JP2023031429A - 耐放射線半導体装置、および耐放射線システム - Google Patents

耐放射線半導体装置、および耐放射線システム Download PDF

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Abstract

【課題】耐放射線性と耐スパイク電圧性に優れ、小型軽量の耐放射線半導体装置を提供する。【解決手段】正負の電源端子間に設けられた第1のコンデンサ12と、前記第1のコンデンサに並列に接続された第2のコンデンサ13と、前記第2のコンデンサと負側または正側の電源端子18,17との間に挿入された第1の抵抗14および第2の抵抗15と、前記第1の抵抗と第2の抵抗の接続点がベース端子に接続され、前記の負側または正側の電源端子にエミッタ端子またはコレクタ端子がそれぞれ接続されたバイポーラ・トランジスタ16とを備える。【選択図】図1A

Description

本発明は、耐放射線半導体装置、およびそれを用いた耐放射線システムに関する。
放射線の環境下における設備や装置の保全を図る必要があるものとして、例えば原子発電所がある。
原子力発電所における原子炉格納容器内は、放射線(ガンマ線)の照射量が多い。このような高放射線の環境下においても、メンテナンスや廃炉作業のために原子炉格納容器内の状況を把握するセンサや計測器、および種々の装置を稼働させる必要がある。
これら計測器やセンサの情報処理デバイスやレギュレータとして、耐放射線性の炭化ケイ素(SiC)を用いた耐放射線デバイスの開発が進んでいる。
また、計測器の動作不良を未然に防ぐためや、ロボットアームの先端などセンサを設置する空間や積載重量が限られることがあるために、電子部品を必要最小限の構成とすること、および搭載部品の小型・軽量化が強く求められる。
また、前記のセンサや計測器を高放射線環境領域に配置するが、解析や制御を行う制御部や操作を行う指令部は、放射線の影響の少ない低放射線環境領域に配置する。
そのため、センサや計測器を配置する高放射線環境領域と、制御部や指令部を設置する低放射線環境領域との間は、ケーブルなどを用いて、計測器の信号や電源(電力、電圧)を長距離伝送する。
この長距離伝送のケーブルが、例えば10mを超えると、ケーブルの寄生インダクタンス値が無視できない大きさとなり、起動時の電源の変化による電流変化(di/dt)とケーブルのインダクタンスとに起因するスパイク電圧が、前記の高放射線環境領域の電子機器に印加され、電子機器の誤動作や破壊に至ることがある。
特に耐放射線に特化した炭化ケイ素を用いた半導体デバイスのSiC-ICは、放射線を検知するためにゲート絶縁膜が薄く設計されたものもあり、起動時のスパイク電圧に弱いデバイスがある。そのため、高放射線環境領域のセンサや計測器の電子機器は、耐放射線性と、ともに耐スパイク電圧の特性を有することが重要である。
このような技術に関連するものとして、例えば特許文献1がある。
特許文献1の[要約]には、「[課題]電流フローを急に遮断することにより、スイッチングデバイスの両端の電圧が急上昇しないようにスイッチを保護するスナバー回路を設ける。[解決手段]少なくとも第1のスイッチS1及び第2のスイッチS2、第1のインダクタL1、第1のコンデンサC1並びに少なくとも2つのダイオードD1、D2と、第2のスイッチS2を保護するスナバー回路とからなるコンバータであって、スナバー回路は、第2のインダクタLSNと、第2のコンデンサCSNと、第3のダイオードDSN1及び第4のダイオードDSN2とからなることを特徴とし、第2のインダクタLSNの放電は、第2のコンデンサCSNと第2のインダクタLSNとからなる共振回路の期間の最大で半分の時間期間中に第2のコンデンサCSNを通じて、この時間期間後は第1のコンデンサC1において行われることを特徴とする、コンバータに関する。」と記載され、コンバータのスイッチングデバイスの両端の電圧が急上昇することを回避する技術が開示されている。
特開2014-187861号公報
前記の特許文献1では、電流を急に遮断することによりスイッチング素子の両端の電圧が急上昇しないように,スイッチを保護するスナバー回路(スナバ回路)を設けているが、「第2のインダクタ」の記載があるように、ブーストコンバータを前提とした半導体デバイス(半導体装置)には含まれていない外部部品を必要とする。そのため、コストの上昇と、余分なスペースを必要とする課題(問題)がある。
本発明は、前記した課題に鑑みて創案されたものであって、耐放射線性と耐スパイク電圧性に優れ、小型軽量の耐放射線半導体装置を提供することを課題(目的)とする。
前記の課題を解決するために、本発明を以下のように構成した。
すなわち、本発明の耐放射線半導体装置は、正負の電源端子間に設けられた第1のコンデンサと、前記第1のコンデンサに並列に接続された第2のコンデンサと、前記第2のコンデンサと負側または正側の電源端子との間に挿入された第1の抵抗および第2の抵抗と、前記第1の抵抗と第2の抵抗の接続点がベース端子に接続され、前記の負側または正側の電源端子にエミッタ端子またはコレクタ端子がそれぞれ接続されたバイポーラ・トランジスタと、を備えることを特徴とする。
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、耐放射線性と耐スパイク電圧性に優れ、小型軽量の耐放射線半導体装置を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る耐放射線半導体装置が備える耐放射線対策に関連して設けた高周波ノイズ対策回路の回路構成例と、外部の電源との接続関係例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る高周波ノイズ対策回路の半導体デバイスとしての断面の構造例について説明する図である。 本発明の第1実施形態に係る高周波ノイズ対策回路の半導体デバイス構造と回路構成との関連について説明する図である。 建屋内における原子炉格納容器と関連する設備の概要の構成例を示す図である。 原子炉格納容器内部の放射線の高線量領域と、建屋外部の低線量領域における、それぞれの計測関連機器の一般的な構成例を示す図である。 比較例1としての耐放射線半導体装置が備える高周波ノイズ対策の回路構成例と、外部の電源との接続関係例を示す図である。 比較例1としての高周波ノイズ対策であるコンデンサの半導体デバイスとしての断面の第1の構造例について説明する図である。 比較例1としての高周波ノイズ対策であるコンデンサの半導体デバイスとしての断面の第2の構造例について説明する図である。 比較例2としての耐放射線半導体装置が備える高周波ノイズ対策の回路構成例と、外部の電源との接続関係を示す図である。 比較例2としての耐放射線半導体装置が備える高周波ノイズ対策回路の半導体デバイスとしての断面の構造例について説明する図である。 比較例2としての耐放射線半導体装置が備える高周波ノイズ対策回路の半導体デバイス構造例と回路構成例との関連について説明する図である。 比較例1の高周波ノイズ対策回路の高周波ノイズ特性例を示す図である。 比較例2の高周波ノイズ対策回路の高周波ノイズ特性例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る高周波ノイズ対策回路の高周波ノイズ特性例を示す図である。 比較例1と比較例2との高周波ノイズ特性を比較することによって、比較例2で付加したスナバ回路の効果を示す図である。 本発明の第1実施形態と比較例2との高周波ノイズ特性のピーク電圧値を比較することによって、付加したバイポーラ・トランジスタの効果を示す図である。 本発明の第1実施形態と比較例2との高周波ノイズ特性の整定時間を比較することによって、付加したバイポーラ・トランジスタの効果を示す図である。 スナバ・コンデンサのデバイス構造例について示す図である。 スナバ・コンデンサの静電容量値とコンデンサを形成する面積、およびn-epi層の不純物濃度の関係例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る耐放射線半導体装置の高周波ノイズ対策回路のスナバ・コンデンサとバイポーラ・トランジスタを形成する半導体デバイスとしての断面の構造例について説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る高周波ノイズ対策回路のスナバ・コンデンサとバイポーラ・トランジスタが半導体デバイスとしての断面構造において何処に位置するかを示す図である。 本発明の第3実施形態に係る耐放射線システムの構成例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下においては「実施形態」と表記する)を、適宜、図面を参照して説明する。
≪第1実施形態:その1≫
本発明の第1実施形態に係る耐放射線半導体装置の構成の概要を「第1実施形態:その1」として、図1Aを参照して説明する。
図1Aは、本発明の第1実施形態に係る耐放射線半導体装置10が備える耐放射線対策としての高周波ノイズ対策回路11の回路構成例と、外部の電源42との接続関係例を示す図である。
図1Aにおいて、高周波ノイズ対策回路11は、正極端子17と負極端子18との間、すなわち正負電源間(Vdd,Vss)との間に安定性を確保する大きな静電容量のコンデンサ(Cin)12が設けられている。また、スナバ回路に相当するスナバ・コンデンサ(CSNB)13と抵抗(RSNB1)14,抵抗(RSNB2)15がコンデンサ12に並列に設けられている。また、前記の抵抗(RSNB1)14と抵抗(RSNB2)15との電位をベースとしたバイポーラ・トランジスタ(Q)16が設けられている。
なお、耐放射線半導体装置10は、高周波ノイズ対策回路11の出力電圧Voutを電源として用いる図示していない半導体回路を別に備えている。この図示していない半導体回路によって、計測器(センサ)としての機能を遂行する。
なお、この図示していない半導体回路の機能を正常に作用させるために、高周波ノイズ対策回路11が備えられている。
また、耐放射線半導体装置10は、後記するように、放射線環境において用いられるので、耐放射線に適した半導体デバイスとして、例えばSiC(炭化ケイ素、シリコンカーバイド)を用いて製造、構成される。
以上の構成による高周波ノイズ対策回路11を耐放射線半導体装置10に備える必要性を、まず図2と図3を参照して説明する。
そして、図2と図3を説明した後に、再度、図1Aおよび図1B、図1Cを参照し、「第1実施形態:その2」として、高周波ノイズ対策回路11および耐放射線半導体装置10を詳しく説明する。
<原子炉格納容器と関連する設備の構成>
図2は、建屋1001内における原子炉格納容器51と関連する設備の概要の構成例を示す図である。
図2において、原子炉格納容器51の内部に原子炉圧力容器52がある。また、圧力抑制室53が、原子炉格納容器51につながっており、原子炉格納容器51の内部の圧力が異常に高くなることを抑制している。
原子炉格納容器51の内部は、放射線(ガンマ線)の高線量領域である。
原子炉格納容器51の内部には、内部の状況を把握するイメージセンサや各種の計測器のセンサ(31:図3)が、放射線環境計測部32として、ロボットアーム(不図示)の先端などに設けられる。なお、放射線環境計測部32は、図15を参照して後記する耐放射線回路部(440:図15)に概ね相当する。
また、センサ(31:図3)の出力信号が原子炉格納容器51の貫通部54を通じて信号の出力部41に取り出され、放射線の影響が低減(低線量領域)された原子炉格納容器51の外部で信号処理される。
<高線量領域と低線量領域における計測関連機器>
図3は、原子炉格納容器内部の放射線の高線量領域と、建屋外部の低線量領域における、それぞれの計測関連機器の一般的な構成例を示す図である。
図3において、放射線の高線量領域には、センサ(計測器、イメージセンサ、耐放射線半導体装置)31、アンプ(増幅器、耐放射線半導体装置)10D、レギュレータ(定電圧器、耐放射線半導体装置)10Eが設けられている。
センサ31は、例えば、放射線計測器、流量計、温度計、圧力計、イメージセンサなどの種々の計測器であり、観測器である。
アンプ10Dは、センサ31からの信号を増幅して、ケーブルなどの長距離伝送の配線(伝送線41A)に信号(410)を出力する。
レギュレータ10Eは、電源42から供給された電力(電圧)を所定の電圧に変換、定電圧化して、前記のセンサ31やアンプ10Dに電力(電圧)を供給する。
センサ31、アンプ10D、レギュレータ10Eは、放射線の高線量領域に配置されているので、放射線の耐性が強い、例えばSiC(炭化ケイ素、シリコンカーバイト)などを用いたデバイスで設計される耐放射線半導体装置である。
なお、図3の放射線の高線量領域において、センサ31、アンプ10D、レギュレータ10Eについて記載しているが、それら以外の様々な図示していない耐放射線半導体装置が配置されることがある。
また、放射線の低線量領域には、配線(伝送線)41A、配線(伝送線)41B、抵抗44、コンデンサ45、アンプ46、電源42が設けられている。
放射線の高線量領域センサで(計測器)31を含む複数の耐放射線半導体装置(10A)によって、検出、計測された信号(410)を、長距離伝送の伝送線(41A,41B)を介して送信する。そして、放射線の低線量領域では、受信側の抵抗44、コンデンサ45で受け後、アンプ46で受信、増幅、処理して信号(420)を形成する。
また、高線量領域と低線量領域にまたがって、長距離伝送線(長距離伝送用のケーブル、伝送線、配線)41A,41Bが設けられ、信号の伝達や電源の供給を行っている。
また、長距離伝送線の伝送線41B(および伝送線41A)には、配線に寄生する寄生インダクタンス(Ls)43が含まれる。
電源42からの電力(電圧、電流)を供給する伝送線41Bには、前記したように、寄生インダクタンス(Ls)43が含まれており、電源オン時の過渡期には電流変化(di/dt)とインダクタンス(Ls)との積で決まる跳ね上がり電圧や、寄生静電容量とで周期が決まるリンギングなどを、発生させる。これらの過渡現象は、デジタル回路およびアナログ回路の誤動作を誘起する。
また、ゲート絶縁膜(酸化膜層)が薄い半導体デバイスは、前記の過渡的な跳ね上がり電圧によって、ゲート絶縁膜が破壊されることがある。
図3において、一点鎖線401で囲まわれた過渡現象の波形例401Aは、前記した電源オン時の過渡期における跳ね上がり電圧と、リンギングの波形例を示すものである。特に破線401Bの枠で示した領域における波形例401Aは、電源電圧の変動が激しい状態の例を示している。
このような電源電圧の変動に対処するものとして、前記した図1Aの高周波ノイズ対策回路11を耐放射線半導体装置10に設けるのが本発明の第1実施形態である。
次に、≪第1実施形態:その2≫として、耐放射線半導体装置10の高周波ノイズ対策回路11を詳しく説明する。
≪第1実施形態:その2≫
本発明の第1実施形態に係る耐放射線半導体装置の構成を「第1実施形態:その2」として、図1A、図1B、図1Cを参照して詳しく説明する。
図1Aは、本発明の第1実施形態に係る耐放射線半導体装置10が備える耐放射線対策に関連して設けた高周波ノイズ対策回路11の回路構成例と、外部の電源42との接続関係例を示す図である。
<耐放射線半導体装置10>
前記したように、耐放射線半導体装置10は、高周波ノイズ対策回路11の出力電圧Voutを電源として用いる図示していない半導体回路を別に備えている。この図示していない半導体回路によって、計測器(センサ)としての機能を遂行する。そして、図示していない半導体回路の機能を正常に作用させるために、高周波ノイズ対策回路11が備えられている。
図1Aに示した耐放射線半導体装置10は、放射線の高い高線量領域に配置されるので、耐放射線性の半導体素子が用いられる。具体的にはSi(シリコン、ケイ素)よりもバンドギャップの広い(高い)半導体が選択される。例えば、SiC(シリコンカーバイド、炭化ケイ素)を用いて構成される。
そして、放射線の高い高線量領域の耐放射線半導体装置10から出力信号をケーブルなどで長距離伝送して、放射線の低い低線量領域の監視制御部(450:図15)に信号を送信するとともに、電源の供給を受けるために、長距離伝送路の寄生インダクタンスに起因するノイズの発生に対応する必要がある。そのため、図1Aに示す高周波ノイズ対策回路11が必要である。
なお、図1Aにおいて、高周波ノイズ対策回路11を経由した電源である出力電圧Voutは、前記したように図示していない他の半導体回路(計測器など)の安定化した電源(電圧)として用いられる。
また、図示していない他の半導体回路は、図1B、図1Cで示した半導体の構造であれば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)の製造工程で構成することに適している。
図1Aにおいて、耐放射線半導体装置10は、電源間の高周波ノイズを低減する高周波ノイズ対策回路11を備えている。
そして、外部の電源42の正極電源端子(Vdd)47と負極電源端子(Vss)48から耐放射線半導体装置10の正極端子17と負極端子18へ電源の供給を受けている。
外部の電源42の正極電源端子47と負極電源端子48と耐放射線半導体装置10の正極端子17と負極端子18との間の接続は、ケーブル等の長距離伝送線(41A,41B:図3)を介して行われる。
長距離伝送線(伝送線)41A,41Bは、充分に長いので、図1Aに示すように、無視できない程度の寄生インダクタンス(Ls)43A,43Bを有している。
耐放射線半導体装置10は、特に高周波ノイズへの対策をしないと、前記したように電源電圧が急激に変動した場合には、電源間において、跳ね上がり電圧やリンギングが発生する。この電源電圧が急激に変動した場合における電源間の跳ね上がり電圧やリンギングが発生を防止するために設けているのが、高周波ノイズ対策回路11である。
この高周波ノイズ対策回路11を設けることによって、半導体装置(電子機器)の誤動作やの破壊を防ぐ。
なお、図3の放射能の高線量領域で用いられるセンサ(計測器)31、アンプ10D、レギュレータ10Eは、それぞれ耐放射線半導体装置10として、高周波ノイズ対策回路11を備えていることが望ましい。
次に、高周波ノイズ対策回路11について、詳しく説明する。
<高周波ノイズ対策回路11>
高周波ノイズ対策回路11の回路構成と、半導体デバイスとしての構造を図1A、図1B、図1Cを参照して説明する。なお、図1Bと図1Cに示すように図1Aの高周波ノイズ対策回路11の回路構成は、集積回路としての半導体チップに作りこまれた半導体デバイスで構成される。また、耐放射線や高電圧に強い半導体デバイス、例えばSiC(炭化ケイ素)を用いたSiC-IC(集積回路、半導体チップ)で構成される。
《高周波ノイズ対策回路11の回路構成》
図1Aにおける高周波ノイズ対策回路11の回路構成について説明する。
図1Aにおいて、高周波ノイズ対策回路11は、正負電源間(Vdd,Vss)との間にコンデンサ(Cin)12(第1のコンデンサ)が設けられている。
また、スナバ回路の機能に相当するスナバ・コンデンサ(CSNB)13(第2のコンデンサ)と抵抗(RSNB1)14(第1の抵抗)と抵抗(RSNB2)15(第2の抵抗)との直列回路がコンデンサ(Cin)12に並列に設けられている。
また、前記の抵抗(RSNB1)14と抵抗(RSNB2)15との電位をベースに接続したバイポーラ・トランジスタ(Q)16が設けられている。
コンデンサ(Cin)12は、正極端子17と負極端子18の間である正負電源間(17,18)の電圧の安定性を確保する比較的大きな静電容量のコンデンサである。
スナバ・コンデンサ(CSNB)13と抵抗(RSNB1)14と抵抗(RSNB2)15との直列回路は、スナバ回路の機能に相当し、正負電源間(17,18)の高い周波数の変動を抑制する。
すなわち、過渡的な高電圧や高周波リンギングを抑圧し、吸収する保護回路である。
具体的には、寄生インダクタンス(Ls)43A,43Bに蓄積されたエネルギーをスナバ・コンデンサ(CSNB)13で受け、抵抗(RSNB1)14と抵抗(RSNB2)15で熱に変換(消費)する。
なお、スナバ回路としては、抵抗は1個で機能するが、次に記載するバイポーラ・トランジスタ(Q)16の適正なベース電位を確保するために、2個の抵抗を用いている。
バイポーラ・トランジスタ(Q)16は、抵抗(RSNB1)14と抵抗(RSNB2)15との接続点の電位をベースに入力することによって、正負電源間(17,18)の電位に負帰還の作用をして、正負電源間(17,18)の急激な変動を抑制する。
すなわち、スナバ回路(CSNB、RSNB1、RSNB2)で対処が困難な過大なスパイク電圧に対して、バイポーラ・トランジスタ(Q)16がターンオンし、正負電源間(17,18)に対して負帰還の作用をすることで、スパイク電圧をクランプする。
あるいは、スナバ回路を構成する抵抗(RSNB1)14と抵抗(RSNB2)15の接続点の電圧が所定の電位を超えると寄生のバイポーラ・トランジスタ(Q)16が点弧し、正負電源間(17,18)の跳ね上がり電圧を抑制するとも表現できる。
なお、高周波ノイズ対策回路11を構成するコンデンサ(Cin)12、抵抗(RSNB1)14、抵抗(RSNB2)15、バイポーラ・トランジスタ(Q)16は、すべて半導体チップの内部で形成され、内蔵されている。そのため、高周波ノイズ対策回路11を備えた耐放射線半導体装置10は、追加部品が不要で小型化、軽量化に適した構成となる。
《高周波ノイズ対策回路11の半導体デバイスとしての構造》
図1Bにおける高周波ノイズ対策回路11の半導体デバイスとしての構造について説明する。
図1Bは、本発明の第1実施形態に係る高周波ノイズ対策回路11の半導体デバイス(半導体チップ)としての断面の構造例について説明する図である。
図1Bにおいて、下層(紙面視の下側)から順に説明する。
-sub層(n型substrate層)21は、デバイスを製造する一番の基となるウェハーの半導体基板の層である。シリコン基板(シリコンウェハー)、または多結晶SiC基板を基に形成される。
-epi層(n型epitaxial層)22は、半導体基板(n-sub層21)上に多結晶SiC薄膜をエピタキシャル成長した薄膜の層である。
-well層(p型well層)23は、n-epi層22の上層にp型の島を形成した層である。
+層(高い濃度のn型層)24は、p-well層23のなかに比較的に高い濃度のn+層を形成した層である。
なお、n型を「第1導電型」、p型を「第2導電型」と、適宜、表記する。
また、n層を「第1導電型層」、n+層を「第1導電型高濃度層」、n-層を「第1導電型低濃度層」と、適宜、表記する。
また、n-epi層を「第1導電型エピタキシャル層」、p-well層を「第2導電型ウェル層」と、適宜、表記する。
酸化膜層25は、ゲート酸化膜のような薄い酸化膜を形成する層である。
金属層26は、配線(金属配線)などに用いる金属の層である。
以上の半導体デバイスの構成要素を用いて回路を構成する。半導体の製造工程を完了した後に、ウェハーをチップ状に裁断する。
《高周波ノイズ対策回路11の半導体デバイス構造と回路構成の関連》
図1Cにおける高周波ノイズ対策回路11の半導体デバイスとしての構造について説明する。
図1Cは、本発明の第1実施形態に係る高周波ノイズ対策回路11の半導体デバイス構造と回路構成の関連について説明する図である。
図1Cにおいては、図1Aにおける高周波ノイズ対策回路11の回路構成を図1Bに示した半導体デバイスとしての構造に重ねて表記したものである。
図1Cにおいて、コンデンサ(Cin)12は、酸化膜層25を挟んで金属層26とn+層24とによって、形成される。
スナバ・コンデンサ(CSNB)13は、p-well層23とn-epi層22との間に構成される。すなわち、p-well層23とn-epi層22との間にはpn接合による空乏層が存在し、この空乏層を挟んでp-well層23とn-epi層22との間に接合容量であるコンデンサが形成される。
抵抗(RSNB1)14と抵抗(RSNB2)15は、p-well層23によって形成される。p-well層23は、薄い濃度のp拡散(pイオン打ち込み)によって形成されるので、回路抵抗として十分に活用できる半導体抵抗を有している。
バイポーラ・トランジスタ(Q)16は、n-epi層22(コレクタ)とp-well層23(ベース)とn+層24(エミッタ)とによって、npnバイポーラ・トランジスタが形成されている。
なお、図1B、図1Cに示した半導体製造の工程、および構造は、図1Aに図示していない他の回路(高周波ノイズ対策回路11以外の回路)を、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で製造する際に採用する工程でもある。
したがって、図1A、図1Cで示したバイポーラ・トランジスタ(Q)16は、「寄生」のバイポーラ・トランジスタ(Bipolar junction transistor)とも呼称される。
なお、スナバ・コンデンサ(CCNB)13と正極端子17、コンデンサ(Cin)12と正極端子17との間の配線や、バイポーラ・トランジスタ(Q)16のエミッタと負極端子18、抵抗(RSNB2)15と負極端子18との間の配線は、断面図としての図1Cでは記載をしていない。
以上によって、半導体デバイス(半導体チップ)としての構造において、高周波ノイズ対策回路11の回路が形成される。
なお、耐放射線半導体装置10における高周波ノイズ対策回路11と、電源42、および電源の配線(41A,41B)に寄生する寄生インダクタンス(43,43A,43B)との関係については、次の比較例1および比較例2を参照して、後記する。
また、高周波ノイズ対策回路11の電気特性の詳細については、後記する。
<耐放射線半導体装置が備える高周波ノイズ対策回路の比較例1>
耐放射線半導体装置が備える高周波ノイズ対策回路の比較例1について、図4A、図4B、図4Cを参照して説明する。
図4Aは、比較例1としての耐放射線半導体装置10Bが備える高周波ノイズ対策の回路構成例と、外部の電源42との接続関係例を示す図である。
図4Aにおいて、高周波ノイズ対策回路として、正負電源間(Vdd,Vss)との間に安定性を確保する大きな静電容量のコンデンサ(Cin)12が設けられている。
以上の図4Aにおける高周波ノイズ対策回路は、図1Aにおける高周波ノイズ対策回路11における静電容量のコンデンサ(Cin)12のみで、高周波ノイズ対策としたものである。
なお、図4Aにおける外部の電源42の正極電源端子(Vdd)47と負極電源端子(Vss)48、正極端子17と負極端子18、寄生インダクタンス(Ls)43A,43Bについては、図1Aにおける説明と重複するので省略する。
図4Aにおいては、前記したように、高周波ノイズ対策回路は、コンデンサ(Cin)12で行われている。
この図4Aにおけるコンデンサ(Cin)12による高周波ノイズ対策と、図1Aにおける高周波ノイズ対策回路11による高周波ノイズ対策との、電気特性としての比較については、後記する。
《断面の第1の構造例》
図4Bは、比較例1としての高周波ノイズ対策であるコンデンサ(Cin)12の半導体デバイスとしての断面の第1の構造例について説明する図である。
図4Bにおいて、まず半導体デバイスの構造について下層から順に説明する。
-sub層(n型substrate層)21は、デバイスを製造する一番の基となるウェハーの半導体基板である。
-epi層(n型epitaxial層)22は、半導体基板(n-sub層21)上に薄膜をエピタキシャル成長した薄膜の層である。
+層29は、n-epi層22の上層に形成した層である。
酸化膜層(ゲート酸化膜)25は、ゲート膜のような薄い酸化膜を形成する層である。
金属層26は、配線などに用いる金属の層である。
以上の半導体デバイスの構成要素を用いて、回路を構成する。
図4Bにおいて、コンデンサ(Cin)12は、酸化膜層25を挟んで金属層26とP+層29とによって、形成される。
コンデンサ(Cin)12の一端は、正極端子17に接続され、正極電源端子(Vdd)47につながる。なお、正極端子17と正極電源端子(Vdd)47との間には外部の寄生インダクタンス(Ls)43Aが含まれる。
コンデンサ(Cin)12の他端は、負極端子18に接続され、正極電源端子(Vss)48につながる。なお、負極端子18と負極電源端子(Vss)48との間には外部の寄生インダクタンス(Ls)43Bが含まれる。
以上の構成によって、図4Aに示したコンデンサ(Cin)12を備えた高周波ノイズ対策の回路が構成されている。
《断面の第2の構造例》
図4Cは、比較例1としての高周波ノイズ対策であるコンデンサ(Cin)12の半導体デバイスとしての断面の第2の構造例について説明する図である。
図4Cにおいて、まず半導体デバイスの構造について下層から順に説明する。
-sub層(n型substrate層)21は、デバイスを製造する一番の基となるウェハーの半導体基板である。
-epi層(n型epitaxial層)22は、半導体基板(n-sub層21)上に薄膜をエピタキシャル成長した薄膜の層である。
酸化膜層(ゲート酸化膜)25は、ゲート膜のような薄い酸化膜を形成する層である。
金属層26は、配線などに用いる金属の層である。
酸化膜層27は、薄い酸化膜を形成する層である。
金属層28は、配線などに用いる金属の層である。
以上の半導体デバイスの構成要素を用いて、回路を構成する。
図4Cにおいて、コンデンサ(Cin)12は、酸化膜層27を挟んで金属層26と金属層28とによって、形成される。
コンデンサ(Cin)12の一端は、正極端子17に接続され、正極電源端子(Vdd)47につながる。なお、正極端子17と正極電源端子(Vdd)47との間には外部の寄生インダクタンス(Ls)43Aが含まれる。
コンデンサ(Cin)12の他端は、負極端子18に接続され、負極電源端子(Vss)48につながる。なお、負極端子18と負極電源端子(Vss)48との間には外部の寄生インダクタンス(Ls)43Bが含まれる。
以上の構成によって、図4Aに示したコンデンサ(Cin)12を備えた高周波ノイズ対策の回路が構成されている。
<耐放射線半導体装置が備える高周波ノイズ対策回路の比較例2>
耐放射線半導体装置が備える高周波ノイズ対策回路の比較例2について、図5A、図5B、図5Cを参照して説明する。
図5Aは、比較例2としての耐放射線半導体装置10Cが備える耐放射線対策としての高周波ノイズ対策回路11Cの回路構成例と、外部の電源42との接続関係例を示す図である。
図5Aにおいて、高周波ノイズ対策回路11Cは、正負電源間(Vdd,Vss)との間に安定性を確保する大きな静電容量のコンデンサ(Cin)12が設けられている。また、スナバ回路に相当するスナバ・コンデンサ(CSNB)13と抵抗(RSNB)19の直列回路がコンデンサ12に並列に設けられている。
以上の回路によって、高周波ノイズ対策回路11Cが構成されている。
なお、図5Aにおける外部の電源42の正極電源端子(Vdd)47と負極電源端子(Vss)48、正極端子17と負極端子18、寄生インダクタンス(Ls)43A,43Bについては、図1Aにおける説明と重複するので省略する。
図5Aにおいては、前記したように、高周波ノイズ対策回路は、コンデンサ(Cin)12と、スナバ回路に相当するスナバ・コンデンサ(CSNB)13と抵抗(RSNB)19とを備えて構成されている。
この図5Aにおける高周波ノイズ対策回路11Cによる高周波ノイズ対策と、図1Aにおける高周波ノイズ対策回路11による高周波ノイズ対策との、電気特性としての比較については、後記する。
《高周波ノイズ対策回路11Cの半導体デバイスとしての構造》
図5Bにおける高周波ノイズ対策回路11Cの半導体デバイスとしての構造について説明する。
図5Bは、比較例2としての耐放射線半導体装置10Cの高周波ノイズ対策回路11Cの半導体デバイスとしての断面の構造例について説明する図である。
図5Bにおいて、下層から順に説明する。
-sub層(n型substrate層)21は、デバイスを製造する一番の基となるウェハーの半導体基板である。
-epi層(n型epitaxial層)22は、半導体基板(n-sub層21)上に薄膜をエピタキシャル成長した薄膜の層である。
p層29Bは、n-epi層22の上層に形成したP型の拡散(イオン打ち込み)層である。
酸化膜層25は、ゲート酸化膜のような薄い酸化膜を形成する層である。
金属層26は、配線(金属配線)などに用いる金属の層である。
酸化膜層27は、薄い酸化膜を形成する層である。
金属層28は、配線などに用いる金属層である。なお、金属の代りに不純物濃度の濃いポリシリコンなどの導体層で形成してもよい。
以上の半導体デバイスの構成要素を用いて、回路を構成する。
《高周波ノイズ対策回路11Cの半導体デバイス構造と回路構成の関連》
図5Cにおける高周波ノイズ対策回路11Cの半導体デバイスとしての構造について説明する。
図5Cは、比較例2としての耐放射線半導体装置10Cの高周波ノイズ対策回路11Cの半導体デバイス構造例と回路構成例の関連について説明する図である。
図5Cにおいては、図5Aにおける高周波ノイズ対策回路11Cの回路構成を図5Bに示した半導体デバイスとしての構造に重ねて示したものである。
図5Cにおいて、コンデンサ(Cin)12は、酸化膜層27を挟んで金属層26と金属層28とによって、形成される。
スナバ・コンデンサ(CSNB)13は、酸化膜層25を挟んでp層29Bと金属層26との間に構成される。
抵抗(RSNB)19は、p層29Bによって形成される。p層29Bは、回路抵抗として十分に活用できる半導体抵抗を有している。
以上によって、半導体デバイスとしての構造において、高周波ノイズ対策回路11Cの回路が構成される。
<高周波ノイズ対策回路における第1実施形態と比較例1と比較例2の関連>
高周波ノイズ対策回路における第1実施形態と比較例1と比較例2の回路の関連について補足する。
《回路機能についての補足》
図1A、図4A、図5Aを参照して第1実施形態と比較例1と比較例2の高周波ノイズ対策としての関連と相違について補足説明する。
コンデンサ(Cin)12は、図4A、図5A、図1Aに示すそれぞれ回路にすべて備えられている。
一番に基本的な回路構成である比較例1の図4Aにおいて、高周波ノイズ対策として、コンデンサ(Cin)12が単独で用いられている。コンデンサ(Cin)12は、高周波ノイズ対策としての機能を有している。ただし、不十分な場合がある。
比較例2の高周波ノイズ対策回路11Cは、図5Aに示すように、スナバ回路として、スナバ・コンデンサ(CSNB)13と抵抗(R)19の直列回路が、コンデンサ(Cin)12に並列に設けられている。
このスナバ回路(CSNB、R)を設けたことによって、高周波ノイズ対策としての機能が改善される。
本発明の第1実施形態に係る高周波ノイズ対策回路11においては、図1Aに示すように、比較例2の高周波ノイズ対策回路11Cに対して、さらに抵抗(RSNB1)14と抵抗(RSNB2)15の接続点の電位をベースとしたバイポーラ・トランジスタ(Q)16が設けられている。
このバイポーラ・トランジスタ(Q)16を追加したことによって、前記したように、正負電源間(17,18)の高い周波数の変動を抑制する。すなわち、過渡的な高電圧や高周波リンギングを吸収する。
なお、以上の第1実施形態と比較例1と比較例2の高周波ノイズ対策としての電気特性の比較については、後記する。
《半導体デバイス構造についての補足》
図1C、図4B、図5Cを参照して第1実施形態と比較例1と比較例2の半導体デバイス構造の関連と相違について補足説明する。
比較例1の図4Bにおいて、コンデンサ(Cin)12の下側の電極は、p+層29で構成されている。また、比較例2の図5Cにおいて、スナバ・コンデンサ(CSNB)13の下側の電極は、p層29Bで構成されている。
それに対して、第1実施形態の図1Cでは、コンデンサ(Cin)12の下側の電極は、n+(高い濃度のn型)層24で構成されている。
このように、本発明の第1実施形態の図1Cのコンデンサ(Cin)12の下側の電極の材質はn+層であって、比較例1のp+層や比較例2のp層とは異なるが、この相違は、図1Cにおいてはバイポーラ・トランジスタ(Q)16を構成するために、p-well層23の島を構成して、そのなかにn+層24を形成する必要があることに起因するもので、p層とn層の違いは高周波ノイズ対策としては本質的な差はない。
また、比較例2の図5Cにおいて、抵抗(RSNB)19は、p層29Bによって形成されている。
それに対して、第1実施形態の図1Cでは、抵抗(RSNB1)14と抵抗(RSNB2)15は、p-well層23によって形成されている。
このように、本発明の第1実施形態の図1Cでは、p-well層23が用いられているのは、抵抗(RSNB1)14と抵抗(RSNB2)15の抵抗素子としての抵抗値を比較的、高く設定することが容易であること、およびバイポーラ・トランジスタ(Q)16を形成するための構成に起因する。
また、図1Cにおけるコンデンサ(Cin)12とスナバ・コンデンサ(CSNB)13の静電容量値について補足する。
コンデンサ(Cin)12は、n+層24と金属層26との間で形成され、酸化膜(ゲート酸化膜)を介しているので比較的大きな静電容量を確保しやすい。
また、スナバ・コンデンサ(CSNB)13は、p-well層23とn-epi層22との間に形成されるので、空乏層が広がりやすく、コンデンサとしての層間の長さが大きくなる。そのため、スナバ・コンデンサ(CSNB)13は、コンデンサ(Cin)12より、同一平面の形状としては小さな静電容量となる。
<第1実施形態と比較例1と比較例2の高周波ノイズ特性の比較>
第1実施形態に係る高周波ノイズ対策回路11の高周波ノイズの電気的特性を、比較例1と比較例2の高周波ノイズの特性と、図6、図7、図8を参照して比較する。
《比較例1の高周波ノイズ特性》
図6は、比較例1の高周波ノイズ対策回路(図4A)の高周波ノイズ特性例を示す図である。
図6において、縦軸は高周波ノイズ対策回路の出力電圧Vout(V)であり、横軸は時間(時間の推移)(s)である。なお、電圧の(V)は単位の[V]であり、時間の(s)は単位の[s]でもある。表記上の都合により単位を示す記号を、( )と[ ]で適宜、使い分ける。
また、図6において、出力電圧の特性線6001は、時間1.0E-04(s)において、出力電圧が急上昇し、5Vを超え、(5V+Vp)に達し、その後は、5Vを中心として振動して少しずつ減少していく。
図6に示す波形(特性線6001)は、図4Aにおける外部の電源42が0[V](Vss)から5[V](Vdd-Vss)へ急激に変動したときの出力電圧Voutの波形である。
また、図4Aの回路における素子の値は、Ls=0.02[mH]、Cin=100[pF]である。また、電源42の本来の電圧値は、Von=5[V]、Voff=0[V]である。
外部の電源42が前記のように急激に変動したとき、電源配線の寄生インダクタンスLs(図4A)に起因して、Ls×(di/dt)に応じた跳ね上がり電圧が発生し、LsとCin(図4A)が共振するため、図6に示すように、波形(特性線6001)は、リンギングが発生する。なお、iは電流であり、tは時間である。
なお、図6において、Vpは出力電圧のピーク電圧であり、5[V]を基準としての電圧である。
また、Voutのリンギングが4.9[V]以上、5.1[V]以下に収まるまでの時間を「整定時間」とする。図6の場合には、図のなかには収まっていないが、整定時間は0.27[ms]である。すなわち、2.7E-04(s)である。
《比較例2の高周波ノイズ特性》
図7は、比較例2の高周波ノイズ対策回路(図5A)の高周波ノイズ特性例としての、波形(特性線7001)を示す図である。
なお、比較例2の図5Aが、比較例1の図4Aと異なるのは、スナバ回路としてコンデンサCSNBとスナバ抵抗RSNBを付加したことである。
図7において、縦軸は高周波ノイズ対策回路の出力電圧Vout(V)であり、横軸は時間(時間の推移)(s)である。なお、電圧の(V)は単位の[V]であり、時間の(s)は単位の[s]でもある。
また、図7において、出力電圧の特性線7001は、時間1.0E-04(s)において、出力電圧が急上昇し、5Vを超え、(5V+Vp)に達し、その後は、5Vを中心として振動して少しずつ減少していく。
図7に示す波形(特性線7001)は、図5Aにおける外部の電源42が0[V](Vss)から5[V](Vdd-Vss)へ急激に変動したときの出力電圧Voutの波形である。
図7に示す出力電圧の特性線7001の波形は、図6に示す出力電圧の特性線6001の波形と比較すると、ピーク電圧Vpは、差ほど変わらないが、収束する時間(整定時間)が速くなっている。
なお、図5Aの回路において、Ls=0.02[mH]、Cin=100[pF]、CSNB=100[pF]、RSNB=100[kΩ]であり、また、Von=5[V]、Voff=0[V]である。
《第1実施形態に係る高周波ノイズ対策回路11の高周波ノイズ特性》
図8は、本発明の第1実施形態に係る高周波ノイズ対策回路11(図1A)の高周波ノイズ特性例を示す図である。なお、第1実施形態の高周波ノイズ対策回路11の図1Aが、比較例2の図5Aと異なるのは、さらに、バイポーラ・トランジスタ(Q)16を付加したことである。
図8において、縦軸は高周波ノイズ対策回路の出力電圧Vout(V)であり、横軸は時間(時間の推移)(s)である。なお、電圧の(V)は単位の[V]であり、時間の(s)は単位の[s]でもある。
また、図8において、出力電圧の太い線で示した特性線8001が本発明の第1実施形態に係る高周波ノイズ対策回路11(図1A)の高周波ノイズ特性を示す図である。
また、特性の比較のために、図8において、比較例1の出力電圧の細い線で示した特性線6001を併記してある。
比較例1の出力電圧の特性線6001に対して、本発明の第1実施形態に係る高周波ノイズ対策回路11(図1A)の出力電圧の特性線8001は、急速に収束している。
この急速に収束する要因は、図1Aの高周波ノイズ対策回路11がnpnのバイポーラ・トランジスタ(Q)がターンオンすることでVdd-Vss間を短絡することで、ピーク電圧Vpおよびリンギングを急速に低減することに起因する。
なお、図1Aの回路において、Ls=0.02[mH]、Cin=100[pF]、CSNB=100[pF]、RSNB1=50[kΩ]、RSNB2=50[kΩ]であり、また、Von=5V[V]、Voff=0[V]である。
また、図6、図7、図8における各特性線のピーク電圧、および整定時間の詳細については、図9、図10、図11に、表記をあらためて後記する。
<本発明の第1実施形態と比較例1と比較例2とのピーク電圧値、整定時間の比較>
次に、本発明の第1実施形態と比較例1と比較例2とにおけるピーク電圧値、整定時間を図9、図10、図11を参照して比較する。
《比較例1と比較例2の特性比較(スナバ回路の効果)》
図9は、比較例1(図4A)と比較例2(図5A)との高周波ノイズ特性(ピーク値、整定時間)を比較することによって、比較例2(図5A)で付加したスナバ回路の効果を示す図である。
なお、図9において、左側の縦軸にはピーク電圧Vp(V)を示し、右側の縦軸には整定時間(s)が示してある。横軸には長距離伝送線の寄生インダクタンスLs(mH)が示してある。
図9において、特性点6110と特性点6210は、比較例1(図4A)の高周波ノイズ対策回路としての特性を示している。
特性点6110は、図6の比較例1の高周波ノイズ特性におけるピーク電圧Vpを示している。特性点6210は、図6の比較例1の高周波ノイズ特性における整定時間(s)を示している。
また、特性点7110と特性点7210は、比較例2(図5A)の高周波ノイズ対策回路としての特性を示している。
図9における特性点7110は、図7の比較例2の高周波ノイズ特性におけるピーク電圧Vp(V)を示している。
図9における特性点7210は、図7の比較例2の高周波ノイズ特性における整定時間(s)を示している。
なお、以上の特性点6110,6210、特性点7110,7210においては、寄生インダクタンスLsが0.02(mH)における高周波ノイズ特性である。
図9において、特性点6110と特性点7110は、概ね重なっている。つまり高周波ノイズ特性におけるピーク電圧Vpについては、比較例1(図4A)と比較例2(図5A)とは殆ど差異はないことを示している。
また、図9において、特性点6210に対して、特性点7210は、下側に位置している。つまり高周波ノイズ特性における整定時間については、比較例2(図5A)は、比較例1(図4A)に対して所定の改善効果があることを示している。この差は、図7においては、図6と比較して、リンギングが速く収束していることに対応している。
したがって、比較例2(図5A)と比較例1(図4A)の相違であるスナバ回路(CSNB、RSNB)は、高周波ノイズ特性における整定時間を短縮する効果があることを示している。
また、図9において、特性点7108~7111は、比較例2(図5A)の高周波ノイズ特性におけるピーク電圧Vpについて、寄生インダクタンスLs(mH)をパラメータとして特性を図示したものである。
また、図9において、特性点7208~7211は、比較例2(図5A)の高周波ノイズ特性における整定時間について、寄生インダクタンスLs(mH)をパラメータとして特性を図示したものである。
図9において、特性点7108~7111は、寄生インダクタンスLs(mH)の変化に対して、高周波ノイズ特性におけるピーク電圧Vpは大きな変化は見られない。
また、特性点7208~7211は、寄生インダクタンスLs(mH)の変化に対して、高周波ノイズ特性における整定時間は、ある程度の所定の変化が見られる。
以上より、比較例2(図5A)におけるスナバ回路(CSNB、RSNB)は、高周波ノイズ特性における整定時間の短縮において、所定の改善効果がある。
《第1実施形態と比較例2とのピーク電圧値の比較》
図10は、本発明の第1実施形態(図1A)と比較例2(図5A)との高周波ノイズ特性のピーク電圧値を比較することによって、本発明の第1実施形態(図1A)で付加した抵抗(RSNB1)14と抵抗(RSNB2)15との電位をベースとしたバイポーラ・トランジスタ16の効果を示す図である。
なお、図10において、縦軸にはピーク電圧Vp(V)を示し、横軸には図1Aおよび図5Aにおけるスナバ回路のスナバ・コンデンサ(CSNB)13のパラメータCSNB値(pF)が示してある。
図10において、特性点8311~8313は、本発明の第1実施形態(図1A)の高周波ノイズ特性におけるピーク電圧Vp(V)について、スナバ・コンデンサ13の静電容量値(CSNB)をパラメータとして特性を図示したものである。
また、特性点7311~7313は、比較例2(図5A)の高周波ノイズ特性におけるピーク電圧Vp(V)について、スナバ・コンデンサ(CSNB)13の静電容量値(pF)をパラメータとして特性を図示したものである。
なお、参考として、比較例1(図4A)の高周波ノイズ特性におけるピーク電圧Vp(V)について、特性点6310として示している。比較例1(図4A)は、スナバ回路を有していないので特性点6310では静電容量値(CSNB)は0(pF)である。
図10において、本発明の第1実施形態(図1A)の高周波ノイズ特性の特性点8311~8313は、比較例2(図5A)の高周波ノイズ特性の特性点7311~7313に対して、それぞれ大幅にピーク電圧Vp(V)は低下している。
例えば、静電容量値(CSNB)が10(pF)において、特性点8313は、特性点7313と比較して、ピーク電圧Vpが約1/5に低下している。
すなわち、図1Aに示すように抵抗14と抵抗15との電位をベースとしたバイポーラ・トランジスタ16を付加した本発明の第1実施形態(図1A)の高周波ノイズ対策回路11は、図5Aで示した比較例2(図5A)の高周波ノイズ対策回路11Cよりも、ピーク電圧Vpを低減する効果が顕著である。
《第1実施形態と比較例2との整定時間の比較》
図11は、本発明の第1実施形態(図1A)と比較例2(図5A)との高周波ノイズ特性の整定時間を比較することによって、本発明の第1実施形態(図1A)で付加した抵抗R14と抵抗15との電位をベースとしたバイポーラ・トランジスタ16の効果を示す図である。
なお、図11において、縦軸には整定時間(対数目盛)を示し、横軸には図1Aおよび図5Aにおけるスナバ回路のスナバ・コンデンサ(CSNB)13の静電容量値(CSNB)(pF)がパラメータとして示してある。
図11において、特性点8411~8413は、本発明の第1実施形態(図1A)の高周波ノイズ特性における整定時間について、スナバ・コンデンサ13の静電容量値(CSNB)をパラメータとして特性を図示したものである。
また、特性点7411~7413は、比較例2(図5A)の高周波ノイズ特性における整定時間について、スナバ・コンデンサ13の静電容量値(CSNB)をパラメータとして特性を図示したものである。
なお、参考として、比較例1(図4A)の高周波ノイズ特性における整定時間について、特性点6410として示している。比較例1(図4A)は、スナバ回路を有していないので特性点6410では静電容量値(CSNB)は0(pF)である。
図11において、本発明の第1実施形態(図1A)の高周波ノイズ特性の特性点8411~8413は、比較例2(図5A)の高周波ノイズ特性の特性点7411~7413に対して、それぞれ大幅に整定時間が低下している。なお、前記したように、縦軸の整定時間は対数目盛であるので、見かけ以上に効果が顕著にでている。
例えば、静電容量値(CSNB)が10(pF)において、特性点8413は、特性点7413と比較して、整定時間が約1/50に低下している。
すなわち、図1Aに示すように抵抗14と抵抗15との電位をベースとしたバイポーラ・トランジスタ16を付加した本発明の第1実施形態(図1A)の高周波ノイズ対策回路11は、図5Aで示した比較例2(図5A)の高周波ノイズ対策回路11Cよりも、整定時間を低減する効果が顕著である。
以上によって、図1Aに示した本発明の第1実施形態に係る耐放射線半導体装置10が備える高周波ノイズ対策回路11は、比較例1(図4A)や比較例2(図5A)の高周波ノイズ回路よりも、高周波ノイズ特性のピーク電圧Vpの低減、および整定時間の短縮に大きな効果があることがわかる。
<CSNBの構造と静電容量特性>
図1Aに示した本発明の第1実施形態に係る耐放射線半導体装置10が備える高周波ノイズ対策回路11においては、コンデンサ(Cin)12やスナバ・コンデンサ(CSNB)13が備えられている。
このようなコンデンサの構造や静電容量特性について、スナバ回路の機能に相当するスナバ・コンデンサ(CSNB)13を例にとって説明する。
《CSNBの構造》
図12は、スナバ・コンデンサ(CSNB)13のデバイス構造例について示す図であって、図1Cにおけるスナバ・コンデンサ(CSNB)13の構造について再記したものである。図1Cおよび図1Bにおける説明と重複する説明は、適宜、省略する。
図12において、スナバ・コンデンサ(CSNB)13は、n-epi層22とp-well層23との間で構成される。
-epi層22とp-well層23との間には空乏層が生じる。この空乏層を挟んでn-epi層22の電極とp-well層23の電極との間にスナバ・コンデンサ(CSNB)13が形成される。
スナバ・コンデンサ(CSNB)13の静電容量の値は、前記の空乏層の厚さによって変化する。
-epi層22の不純物濃度(n型)とp-well層23の不純物濃度(p型)とを比較すると、n-epi層22の不純物濃度の方が低いので、空乏層はn-epi層22側に大きく広がる。そのため、n-epi層22の不純物濃度によって実質的に空乏層の幅が支配される。
すなわち、n-epi層22の不純物濃度が高くなると、空乏層の幅が小さくなって、スナバ・コンデンサ(CSNB)13の静電容量の値は、大きくなる。
《CSNBの静電容量特性》
図13は、スナバ・コンデンサ(CSNB)の静電容量値とコンデンサを形成する面積、およびn-epi層の不純物濃度の関係を示す図である。
図13において、縦軸はスナバ・コンデンサ(CSNB)の静電容量値(pF)を示し、横軸はn-epi層の不純物濃度(cm-3)を示している。またパラメータとしてスナバ・コンデンサを形成する面積を100um□、200um□、300um□の場合を図示している。なお、「um」は「μm」を意味している。
また、スナバ・コンデンサ(CSNB)に加わる電圧VCSNB=5V、p-well層23の不純物濃度Np-well=1×1018(cm-3)である。
図13に示すように、スナバ・コンデンサ(CSNB)の静電容量値(pF)を大きくするためには、n-epi層の不純物濃度を高めることである。また、スナバ・コンデンサを形成する面積を広くすることである。
<第1実施形態の総括>
本発明の第1実施形態に係る耐放射線半導体装置は、SiCなどの耐放射線に強いデバイスで構成されているとともに、高周波ノイズ対策回路11Cを備えている。
具体的には、高周波ノイズ対策回路として、正負電源間(Vdd,Vss)との間にコンデンサ(Cin)と、スナバ回路の機能に相当するスナバ・コンデンサ(CCNB)と抵抗(RSNB1)、抵抗(RSNB2)と、バイポーラ・トランジスタ(Q)を設ける。
この構成によって、スナバ回路の抵抗における電圧が所定の電位を超えると寄生のバイポーラ・トランジスタ(Q)が点弧し、急遮断に伴う電源間の跳ね上がり電圧をクランプ(抑制)する。
以上の構成によって、高放射線領域と低放射線領域との間の長距離送電線のインダクタンスに起因する電源オン時の跳ね上がり電圧や、寄生容量とで周期が決まるリンギングの発生を抑制し、関連するデバイスの破壊の危険性を低減する。
また、前記のコンデンサ(Cin)、スナバ・コンデンサ(CCNB)、抵抗(RSNB1、RSNB2)、バイポーラ・トランジスタ(Q)は、半導体デバイス(半導体チップ)のなかに造りこむことができて、追加部品が不要である。そのため、ロボットアームの先端などにも搭載可能な小型、軽量、低コストの耐放射線半導体装置が具現化する。
<第1実施形態の効果>
本発明の第1実施形態の耐放射線半導体装置によれば、耐放射線性などの環境性能に優れ、起動時などの耐スパイク電圧性に優れ、チップに内蔵されて追加部品が不要の小型、軽量、低コストの耐放射線半導体装置を提供できる。
また、耐放射線性などの環境性能に優れ、起動時などの耐スパイク電圧性に優れ、小型、軽量、低コストの耐放射線半導体装置であるので、放射能の高線量領域から低線量領域へ信号や電力をケーブルなどで長距離伝送をする必要のある原子炉格納容器におけるセンサや各種計測機器に適用でるという効果がある。
また、本発明の第1実施形態の耐放射線半導体装置は、耐放射線性に優れ、小型、軽量であるので、センサを設置する空間や積載重量が限られるロボットアームの先端など搭載に適しているという効果がある。
また、放射線環境下での状態監視や、廃炉作業の効率化に効果がある。
また、本発明の第1実施形態の耐放射線半導体装置を用いれば、放射能の高線量領域から低線量領域へ信号や電力をケーブルなどで長距離伝送をする必要のある原子炉格納容器における計測や制御に適した耐放射線システムを提供できる。
≪第2実施形態≫
本発明の第2実施形態に係る耐放射線半導体装置について、図14A、図14Bを参照して説明する。
図14Aは、本発明の第2実施形態に係る耐放射線半導体装置の高周波ノイズ対策回路におけるスナバ・コンデンサとバイポーラ・トランジスタを形成する半導体デバイスとしての断面の構造例について説明する図である。
図14Aにおいて、下層から順に説明する。
-sub層(n型substrate層)21は、デバイスを製造する一番の基となるウェハーの半導体基板の層である。シリコン基板(シリコンウェハー)、または多結晶SiC基板を基に形成される。
-epi層(n型epitaxial層)22は、半導体基板(n-sub層21)上に多結晶SiC薄膜をエピタキシャル成長した薄膜の層である。
-層20は、n-epi層(n型epitaxial層)22の上に形成したn型の層である。
-well層(p型well層)23は、n-epi層22の上層にp型の島を形成した層である。
+層(高い濃度のn型層)24は、p-well層23のなかに比較的に高い濃度のn+層を形成した層である。
酸化膜層25は、ゲート酸化膜のような薄い酸化膜を形成する層である。
金属層26は、配線(金属配線)などに用いる金属の層である。
なお、n-層20は、下面がn-epi層(n型epitaxial層)22に接し、上面はp-well層23の下層の一部と接している。
以上の半導体デバイスの構成要素を用いて回路を構成する。半導体の製造工程を完了した後に、ウェハーをチップ状に裁断する。
以上の第2実施形態の図14Aの構成において、第1実施形態の図1Bの構成と異なるのは、n-層20を有していることである。
-層20は、n-epi層22よりはn型の不純物濃度が高濃度の層である。ただし、n-層20は、p層とn層の違いはあるが、p-well層23の不純物濃度よりは低濃度の層である。
また、前記したように、n-層20の上面はp-well層23と接している。また、n-層20の下面はn-epi層22と接している。
図14Aにおけるその他の層については、図1Bの各層と事実上、同じであるので重複する説明は、適宜、省略する。
図14Bは、本発明の第2実施形態に係る高周波ノイズ対策回路におけるスナバ・コンデンサ(CSNB)とバイポーラ・トランジスタ(Q)が半導体デバイスとしての断面構造において、何処に位置しているかを示す図である。
図14Bにおいて、スナバ・コンデンサ(CSNB)13Bは、p-well層23とn-層20との間に構成される。
また、図14Bにおいて、バイポーラ・トランジスタ(Q)16Bは、n-層20(コレクタ)とp-well層23(ベース)とn+層24(エミッタ)とによって、npnバイポーラ・トランジスタが形成されている。
図14Bにおいて、バイポーラ・トランジスタ(Q)16Bのコレクタは、n-層20で構成されている。
前記したように、図1Cにおけるバイポーラ・トランジスタ(Q)16のコレクタは、n-epi層22で構成されている。
このように、第2実施形態に係るバイポーラ・トランジスタ(Q)16Bのコレクタの材質は、第1実施形態に係るバイポーラ・トランジスタ(Q)16のコレクタの材質と異なる。
前記したように、n-層20は、n-epi層22よりもnの不純物が高い。そして、コレクタであるn-層20は、ベースであるp-well層23に接している。
そのため、第2実施形態(図14B)におけるバイポーラ・トランジスタ(Q)16Bは、第1実施形態(図1C)におけるバイポーラ・トランジスタ(Q)16に比較して、直流電流増幅率hfeが高くなる。
このように、第2実施形態と第1実施形態のコレクタの材質のn拡散の濃度差が、直流電流増幅率hfeの差となって、トランジスタ特性の差となって現れる。
バイポーラ・トランジスタ(Q)16Bの直流電流増幅率hfeが高くなると高周波ノイズ対策回路として、ピーク電圧Vpの低減と、整定時間の短縮に効果がある。
また、図14Bにおいて、スナバ・コンデンサ(CSNB)13Bは、p-well層23とn-層20との間に構成されている。
一方、図1Cにおけるスナバ・コンデンサ(CSNB)13は、p-well層23とn-epi層22との間に構成されている。
スナバ・コンデンサ(13,13B)の電極間に相当する空乏層の幅は、p-well層23のp型の不純物濃度が、n型の不純物濃度より十分高いため、n型としての不純物濃度によって事実上、決定される。そして、n型の不純物濃度が高いと、空乏層の幅が小さくなって、コンデンサとしての静電容量値が大きくなる。
前記したように、n-層20は、n-epi層22に比較して、n型としての不純物濃度が高い。そのため、スナバ・コンデンサ(CSNB)13Bは、スナバ・コンデンサ(CSNB)13に比較して、静電容量値が大きい。
このように、第2実施形態(図14B)の高周波ノイズ対策回路は、第1実施形態(図1C)の高周波ノイズ対策回路に比較して、バイポーラ・トランジスタ(Q)16Bの直流電流増幅率hfeが高く、かつスナバ・コンデンサ(CSNB)13Bの静電容量値が大きいので、併せてピーク電圧Vpの低減と、整定時間の短縮に効果がある。
<第2実施形態の効果>
第2実施形態においては、バイポーラ・トランジスタ(Q)16Bの形成において、n-層20(コレクタ)とp-well層23(ベース)とn+層24(エミッタ)とでnpnバイポーラ・トランジスタを構成することによって、第1実施形態におけるバイポーラ・トランジスタ(Q)16よりも直流電流増幅率hfeが高くなる。
また、第2実施形態に係るスナバ・コンデンサ(CSNB)13Bの静電容量値が大きくなる。
そのため、第2実施形態は、高周波ノイズ対策回路として、ピーク電圧Vpの低減と、整定時間の短縮にさらに効果がある。
≪第3実施形態≫
本発明の第3実施形態として、第1実施形態や第2実施形態の耐放射線半導体装置を原子炉格納容器内などの高放射線領域に配置し、伝送線(ケーブル、長距離伝送線)を介して、低放射線領域に設置された監視制御部と信号の授受や電源の供給を行う耐放射線システムについて、図15を参照して説明する。
図15は、本発明の第3実施形態に係る耐放射線システムの構成例を示す図である。
図15において、放射線の高い高線量領域には、耐放射線回路部440が配置されている。なお、耐放射線回路部440(図15)は、前記した図2における放射線環境計測部32に概ね相当する。
耐放射線回路部440には、例えば、センサ31、アンプ10D、レギュレータ10Eが備えられている。これらのセンサ31、アンプ10D、レギュレータ10Eは、SiCを含んで構成され、耐放射線の特性を有している。また、センサ31、アンプ10D、レギュレータ10Eは、図1Aに示した耐放射線半導体装置10が備える高周波ノイズ対策回路11を備えて構成されている。
図15における耐放射線回路部440は、電源が急に遮断された場合に、程度の差はあれ、ノイズの影響を受ける可能性がある。具体的には、センサ31、アンプ10Dは、レギュレータ10Eから電源の供給を受けているので電源遮断によるノイズの影響は軽減されるが、所定のレベルで影響は受ける。
そのため、耐放射性と耐ノイズ性を考慮して設計する必要があるので、前記した耐放射線半導体装置10(図1A)の対象となる回路である。
図15において、放射線の低い低線量領域には、監視制御部450が配置されている。監視制御部450には、抵抗44、コンデンサ45、アンプ46、電源42が設けられている。また、伝送線(配線)41A、伝送線(配線)41Bの一部も含まれる。
監視制御部450の電源42から長距離伝送のケーブル(長距離伝送線)を介して耐放射線回路部440に電源電力(電圧)が供給される。
また、耐放射線回路部440のアンプ10Dから信号が、長距離伝送のケーブル(伝送線41A,41B)を介して監視制御部450の抵抗44、コンデンサ45、アンプ46に送られる。
以上のように、高放射線環境領域には、耐放射線性と耐ノイズ性を考慮した設計の耐放射線回路部(耐放射線半導体装置)440を配置し、低放射線領域に監視制御部450を設けて、長距離伝送のケーブル(長距離伝送線)を介して、信号の授受と電源電力(電圧)の供給を行うシステムを構築することによって、耐放射線性と耐スパイク電圧性に優れ、小型軽量の耐放射線半導体装置を用いた耐放射線システムを提供できる。
特に、長距離伝送線が10m以上である場合には、効果的である。
また、高放射線環境領域の例としては、図2に示したように原子炉格納容器の内部がある。
<第3実施形態の効果>
放射線の高い高線量領域の環境に、耐放射線性と耐ノイズ性を考慮した設計の耐放射線半導体装置を用い、放射線の低い低線量領域に、長距離伝送のケーブル(長距離伝送線)を介して、信号の授受と電源電力(電圧)の供給を行う耐放射線システムを構築することによって、耐放射線性と耐スパイク電圧性に優れ、小型軽量の耐放射線半導体装置を用いた耐放射線システムを提供できる。
≪その他の実施形態≫
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために、詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を追加・削除・置換をすることも可能である。
以下に、その他の実施形態や変形例について、さらに説明する。
《コンデンサの構造》
図1A、図1B、図1Cを参照して説明した第1実施形態のコンデンサ(Cin)12については、酸化膜25を挟んで、金属層26とn+層24との間で形成すると説明した。しかし、この構造に限定されない。金属層26の代りに濃い不純物濃度のポリシリコン(導体層)を用いてもよい。
また、n+層24(n型の拡散層)の代りにp型の拡散層を用いてもよい。また必要に応じて、電位を隔離するためにn型やp型を、適宜、選択して、拡散層の島を形成してもよい。
また必要に応じて、拡散濃度を選択してもよい。
《スナバ抵抗とトランジスタの構成》
図1Aにおいては、スナバ抵抗(RSNB)は中間電位を利用するために、2個の抵抗(RSNB1、RSNB2)で構成したが3個以上で構成してもよい。
また、複数のトランジスタと複数の抵抗で、さらなる高周波ノイズ対策性能を向上させる回路を構成してもよい。
《バイポーラ・トランジスタの構成》
バイポーラ・トランジスタは、npn構成のトランジスタで説明したが、ウェハー基板をp-sub(p基板)を採用したり、p-wellの島をn-wellの島で構成したりするような場合には、バイポーラ・トランジスタをpnp構成で回路を構成することも可能である。
《半導体基板について》
図1Bでは、n-sub層21の基板の上に、n-epi層22を形成する工程を説明したが、n型のSiC基板を用いて、その上層のエピタキシャル工程を省略する工程を用いてもよい。
この場合には、図1Bにおいて、n型(第1導電型)のSiC基板の低濃度層(第1導電型低濃度層)の上にp-well(第2導電型ウェル層)の島を形成する。
この後は、図1Bで説明した工程とおりに、p-well23に囲まれ、かつp-well23の主表面に形成されたn+型(第1導電型)の高濃度層(第1導電型高濃度層)24と、このn+型高濃度層24と酸化膜25を介して対向する金属層26(もしくはポリシリコンなどの導体層)を有する構造とする。
以上のように、エピタキシャル工程のn-epi層22を省く製造工程も可能である。
《MOSFETについて》
第1実施形態において、高周波ノイズ対策回路11の出力電圧Voutを用いた、図示していない他の回路(計測器など)を例として、単にMOSFETの場合を説明した。
このMOSFETは、プレーナ型(横型)の構造のMOSFET、あるいはトレンチ型(縦型)の構造のMOSFET、さらにはスーパージャンクションMOSFETにおいても、前記した効果がある。
《耐放射線半導体装置の回路素子の構成》
耐放射線半導体装置の高周波ノイズ対策回路について説明したが、高周波ノイズ対策回路以降の電源を用いた、その他の回路構成についてはMOSFETが適していると説明した。しかし、MOSFETに限定されず、バイポーラ・トランジスタや、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成してもよい。
他のデバイス製造工程においても、図1Aに示した高周波ノイズ対策回路に相当するデバイス回路構成を形成することは、標準的な製造過程で可能であることがある。
《半導体素子について》
第1実施形態においては、バンドギャップがSiより広く、放射線に強い半導体として、SiCを用いて、p型半導体とn型半導体とを形成し、MOSFETを構成する場合について説明した。
しかし、バンドギャップがSiより広く、放射線に強い半導体は、SiC(シリコンカーバイド、炭化ケイ素)に限定されない。例えば、バンドギャップが広い半導体としては、化合物半導体のGaAs(ヒ化ガリウム)、GaN(窒化ガリウム)、AlP(リン化アルミニウム)、InP(リン化インジウム)等がある。
なお、SiCは、IV族-IV族の組み合わせで、Siと同じくIV族であるので、pMOSやnMOSを制作する際のp型半導体とn型半導体の形成には、それぞれ3価(V族)のB(ホウ素)や、5価(III族)のP(リン)を不純物として打ち込む。
また、例えばGaAsは、III族-V族の組み合わせである。Ga(ガリウム)がAs(ヒ素)より多く含まれるとp型半導体となり、AsがGaより多く含まれるとn型半導体となる。
以上のように、バンドギャップがSiより広く、放射線に強い半導体(化合物半導体を含む)を用いることによって、耐放射線に強いp型半導体とn型半導体を用いたMOSFETやIGBTが形成できる。
《p型半導体とn型半導体の逆の組み合わせ》
第1実施形態に係る高周波ノイズ対策回路11の半導体デバイスとしての構造として、図1Bを参照した説明において、n型を「第1導電型」、p型を「第2導電型」とし、また、n層を「第1導電型層」、n+層を「第1導電型高濃度層」、n-層を「第1導電型低濃度層」、n-epi層を「第1導電型エピタキシャル層」、p-well層を「第2導電型ウェル層」と表記することにした。
そして、図1B、図1Cにおいて、n-sub層21、n-epi層22、p-well層23、n+層24として高周波ノイズ対策回路11の半導体デバイスとしての構造を説明した。
しかし、「第1導電型」と、「第2導電型」の関係において、n型とp型の関係を逆にした構造もあり得る。すなわち、半導体基板(21)をp型で形成し、その上層のp,n関係を逆に構成し、電源(Vdd,Vss)を逆の極性で用いている構造、方法もある。
《耐放射線システムの構成例の補足1》
図15を参照して説明した耐放射線システムにおいて、高放射線領域(高線量領域)には耐放射線回路部440を備え、放射線の低線量領域には、監視制御部450を備え、高線量領域の耐放射線回路部440と低線量領域の監視制御部450との間は、長距離伝送としてケーブルで接続する構成の例を説明した。
そして、耐放射線回路部440は、耐放射線半導体装置10が備える高周波ノイズ対策回路11を有するセンサ31、アンプ10D、レギュレータ10Eの構成で説明した。
しかし、耐放射線回路部440の構成は、前記の構成に限定されない。すなわち、耐放射線半導体装置10としての高周波ノイズ対策回路11を有する様々の回路装置を備えて、様々に構成される。
例えば、前記したように高放射線領域(高線量領域)のセンサ31として、放射線計測器、流量計、温度計、圧力計、イメージセンサなどの種々の計測器、観測器がある。
また、これらセンサの構成に対応して、放射線の低線量領域の監視制御部450の構成も図15に示した構成に限定されず、様々な構成が可能である。
このように、様々な構成の高放射線領域の耐放射線回路部440と低放射線領域の監視制御部450の組み合わせによって、様々な耐放射線システムが構成できる。
《耐放射線システムの構成例の補足2》
図3、および図15においては、高線量領域からの耐放射線半導体装置の信号を、長距離伝送線を介して、低線量領域における監視制御部450が受信する場合について説明したが、これに限定されない。
監視制御部450が耐放射線回路部440に対する制御信号を送る場合においても、その制御信号を耐放射線回路部440で受信する受信回路は、耐放射線性と耐ノイズ性を備える耐放射線半導体装置を用いる。
《耐放射線半導体装置の応用》
以上は、原子炉格納容器において使用する耐放射線半導体装置として説明したが、原子炉格納容器の環境や耐放射線の半導体装置に限定されない。
第1から第3実施形態の説明において、「耐放射線半導体装置」として表記したが、「高周波ノイズ対策回路」を搭載しているので、放射線環境に関係なく、耐放射線半導体装置は、耐ノイズ性がある。したがって、放射線環境以外の電源や信号にノイズが乗りやすい環境に用いる耐ノイズ性の半導体装置に用いてもよい。
例えば、信号を長距離伝送のためケーブル等を使用して信号を遠くに伝送システムに応用することができる。この際、放射線環境や原子炉関係に限定されない。
このように、放射線環境以外の環境においても、信号を長距離伝送する場合の前記した耐放射線半導体装置は、電源や信号にノイズが乗りやすい環境に用いる耐ノイズ性の半導体装置であることが重要であるので、高周波ノイズ対策回路(11、図1A)が搭載してあれば、耐放射線性のためのSiCの半導体、および半導体装置であることには、限定されない。
10,10B,10C 耐放射線半導体装置
10D アンプ(耐放射線半導体装置)
10E レギュレータ(耐放射線半導体装置)
11,11C 高周波ノイズ対策回路
12 コンデンサ(第1のコンデンサ)、Cin
13,13B スナバ・コンデンサ(第2のコンデンサ)、CSNB
14 抵抗(第1の抵抗)、RSNB1
15 抵抗(第2の抵抗)、RSNB2
16,16B バイポーラ・トランジスタ、Q
17 正極端子
18 負極端子
19,44 抵抗
20 n-層(第1導電型低濃度層)
21 n-sub層(半導体基板)
22 n-epi層(第1導電型エピタキシャル層)
23 p-well層(第2導電型ウェル層)
24 n+層(第1導電型高濃度層、n+型高濃度層)
25,27 酸化膜層、酸化膜
26,28 金属層、導体層
29 p+
29B p層
31 センサ、計測器(耐放射線半導体装置)
32 放射線環境計測部
41 出力部
41A,41B 長距離伝送線、伝送線、配線
42 電源
43,43A,43B 寄生インダクタンス、インダクタンス、Ls
45 コンデンサ
46 アンプ
47 正極電源端子、Vdd
48 負極電源端子、Vss
51 原子炉格納容器
52 原子炉圧力容器
53 圧力抑制室
54 貫通部
440 耐放射線回路部
450 監視制御部
1001 建屋

Claims (14)

  1. 正負の電源端子間に設けられた第1のコンデンサと、
    前記第1のコンデンサに並列に接続された第2のコンデンサと、
    前記第2のコンデンサと負側または正側の電源端子との間に挿入された第1の抵抗および第2の抵抗と、
    前記第1の抵抗と第2の抵抗の接続点がベース端子に接続され、前記の負側または正側の電源端子にエミッタ端子またはコレクタ端子がそれぞれ接続されたバイポーラ・トランジスタと、
    を備える、
    ことを特徴とする耐放射線半導体装置。
  2. 請求項1において、
    前記耐放射線半導体装置は、シリコンのバンドギャップより広いバンドギャップを有する半導体を用いて構成される、
    ことを特徴とする耐放射線半導体装置。
  3. 請求項2において、
    前記耐放射線半導体装置は、炭化ケイ素を用いた半導体デバイスで構成される、
    ことを特徴とする耐放射線半導体装置。
  4. 請求項1において、
    前記耐放射線半導体装置は、MOSFETを備えて構成される、
    ことを特徴とする耐放射線半導体装置。
  5. 請求項4において、
    前記バイポーラ・トランジスタは、前記MOSFETを形成する半導体構造を転用して形成する寄生のバイポーラ・トランジスタである、
    ことを特徴とする耐放射線半導体装置。
  6. 請求項1において、
    前記耐放射線半導体装置は、IGBTを備えて構成される、
    ことを特徴とする耐放射線半導体装置。
  7. 請求項1または請求項3において、
    前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサと前記第1の抵抗と前記第2の抵抗と前記バイポーラ・トランジスタとが、ひとつの半導体チップに形成される、
    ことを特徴とする耐放射線半導体装置。
  8. 請求項3において、
    前記耐放射線半導体装置は、
    炭化ケイ素基板の主表面に形成された第1導電型エピタキシャル層と、
    前記第1導電型エピタキシャル層の主表面の一部に形成された第2導電型ウェル層と、
    前記第2導電型ウェル層に囲まれ、かつ前記第2導電型ウェル層の主表面に形成された第1導電型高濃度層と、
    前記第1導電型高濃度層と、酸化膜層を介して対向する金属層と、
    を有して形成される、
    ことを特徴とする耐放射線半導体装置。
  9. 請求項8において、
    前記第1導電型エピタキシャル層と前記第2導電型ウェル層との間に、前記第1導電型エピタキシャル層よりも高濃度で、前記第2導電型ウェル層よりも低濃度な第1導電型層が形成される、
    ことを特徴とする耐放射線半導体装置。
  10. 請求項3において、
    前記耐放射線半導体装置は、
    炭化ケイ素基板の主表面に形成された第1導電型低濃度層と、
    前記第1導電型低濃度層の主表面の一部に形成された第2導電型ウェル層と、
    前記第2導電型ウェル層に囲まれ、かつ前記第2導電型ウェル層の主表面に形成された第1導電型高濃度層と、
    前記第1導電型高濃度層と、酸化膜層を介して対向する導体層と、
    を有して形成される、
    ことを特徴とする耐放射線半導体装置。
  11. 請求項10において、
    前記導体層は、金属層である、
    ことを特徴とする耐放射線半導体装置。
  12. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の耐放射線半導体装置と、
    前記耐放射線半導体装置に電源を供給するとともに前記耐放射線半導体装置からの信号を受信する監視制御部と、
    前記耐放射線半導体装置と前記監視制御部との間の信号の伝送と、前記監視制御部から前記耐放射線半導体装置に電源電力を配送と、を担う経路である長距離伝送線と、
    を備え、
    前記耐放射線半導体装置は、放射線の高い高線量領域に配置され、
    前記監視制御部は、放射線の低い低線量領域に配置され、
    前記長距離伝送線は、前記高線量領域と前記低線量領域との間を跨いで配置される、
    ことを特徴とする耐放射線システム。
  13. 請求項12において、
    前記長距離伝送線は、10m以上である、
    ことを特徴とする耐放射線システム。
  14. 請求項12において、
    前記耐放射線半導体装置は、原子炉格納容器内に配置される、
    ことを特徴とする耐放射線システム。
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