JP2023023555A - モデル生成装置、モデル生成方法、異常予兆検知装置、異常予兆検知方法及び異常予兆検知システム - Google Patents

モデル生成装置、モデル生成方法、異常予兆検知装置、異常予兆検知方法及び異常予兆検知システム Download PDF

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Abstract

Figure 2023023555000001
【課題】生産設備の異常および異常の予兆を検知することができる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様に係るモデル生成装置は、訓練用の生産実績データの特徴量データを取得する前処理部と、正常状態の特徴量群を表す異常度算出モデルを利用して、前記取得した特徴量データの異常度を算出する異常度算出部と、前記算出した異常度に基づき前記特徴量データの状態を決定し、前記特徴量データと前記特徴量データの状態とから構成される訓練データによって、前記特徴量データから前記特徴量データの状態を検知する異常予兆検知モデルを訓練する訓練部と、を有する。
【選択図】図1

Description

本開示は、モデル生成装置、モデル生成方法、異常予兆検知装置、異常予兆検知方法及び異常予兆検知システムに関する。
ある設備について、劣化または故障等を予防し、正常な運転を維持するために、設備から取得されるデータを用いた異常予兆検知装置を設けることが一般的に行われている。特許文献1には、温度制御装置から連続的に取得される電流値を用いて機械学習を実行し、異常又は異常の予兆を検出する状態監視装置が開示されている。
特開2018-204940号公報
特許文献1に開示された技術では、機械学習を実行し、異常または異常の予兆を判定している。しかしながら、一般的に設備に異常が発生するケースが少ないため、モデルを生成するための機械学習に使用できる異常データも少なくなる。また、異常データが得られたとしても、設備の異常または異常の予兆に関連する特徴がデータに表れていないデータが混在することもある。一般的な機械学習で学習されるような大量のデータを蓄積した後に学習するのであれば問題はない。しかしながら、データの蓄積には長期間を要する。また、十分なデータが蓄積される頃には生産が終わっている場合もある。よって、大量のデータを蓄積した後に学習することは実用的ではない。したがって、異常データが少ない段階で、異常または異常の予兆に関連する特徴が適切に表れているデータを学習し、精度の高い学習済み異常予兆検知モデルを生成することが望まれる。
本開示の目的は、生産設備の異常および異常の予兆を検知することができる技術を提供することである。
本開示の一態様に係るモデル生成装置は、訓練用の生産実績データの特徴量データを取得する前処理部と、正常状態の特徴量群を表す異常度算出モデルを利用して、前記取得した特徴量データの異常度を算出する異常度算出部と、前記算出した異常度に基づき前記特徴量データの状態を決定し、前記特徴量データと前記特徴量データの状態とから構成される訓練データによって、前記特徴量データから前記特徴量データの状態を検知する異常予兆検知モデルを訓練する訓練部と、を有する。
本開示の一態様に係るモデル生成方法は、訓練用の生産実績データの特徴量データを取得するステップと、正常状態の特徴量群を表す異常度算出モデルを利用して、前記取得した特徴量データの異常度を算出するステップと、前記算出した異常度に基づき前記特徴量データの状態を決定し、前記特徴量データと前記特徴量データの状態とから構成される訓練データによって、前記特徴量データから前記特徴量データの状態を検知する異常予兆検知モデルを訓練するステップと、をコンピュータが実行する。
本開示の一態様に係る異常予兆検知装置は、検知対象の生産実績データの特徴量データを取得する前処理部と、訓練済み異常予兆検知モデルを利用して、前記特徴量データから前記特徴量データの状態を検知する異常予兆検知部と、を有し、前記異常予兆検知モデルは、訓練用の生産実績データの特徴量データと前記特徴量データの状態とから構成される訓練データによって訓練され、前記特徴量データの状態は、正常状態の特徴量群を表す異常度算出モデルを利用して算出された前記特徴量データの異常度に基づき決定される。
本開示の一態様に係る異常予兆検知方法は、検知対象の生産実績データの特徴量データを取得するステップと、訓練済み異常予兆検知モデルを利用して、前記特徴量データから前記特徴量データの状態を検知するステップと、をコンピュータが実行し、前記異常予兆検知モデルは、訓練用の生産実績データの特徴量データと前記特徴量データの状態とから構成される訓練データによって訓練され、前記特徴量データの状態は、正常状態の特徴量群を表す異常度算出モデルを利用して算出された前記特徴量データの異常度に基づき決定される。
本開示によれば、生産設備の異常および異常の予兆を検知することができる技術を提供することができる。
異常予兆検知システムを示す模式図 モデル生成装置及び異常予兆検知装置のハードウェア構成を示すブロック図 巻回部の構成例を示す模式図 巻回体の模式図 第1シート材の測長結果と判定結果との対応例を示す図 第1の実施の形態に係るモデル生成装置の機能構成を例示するブロック図 生産実績データベースの例を示す図 特徴量データベースの例を示す図 異常度データベースの例を示す図 状態ラベルデータベースの例を示す図 第1の実施の形態に係る異常予兆検知装置の機能構成を例示するブロック図 一例となる前処理を説明するためのフローチャート 一例となる異常度算出モデルの生成処理を説明するためのフローチャート 一例となる異常度算出処理を説明するためのフローチャート 一例となる異常度算出モデルの採用判定処理を説明するためのフローチャート 一例となる状態ラベル設定処理を説明するためのフローチャート 一例となる異常予兆検知モデルの訓練処理を説明するためのフローチャート 学習用データリストを説明するための図 一例となる異常予兆検知モデルの採用判定処理を説明するためのフローチャート 第1の実施の形態に係る異常予兆検知処理を説明するためのフローチャート 第2の実施の形態に係るモデル生成装置の機能構成を例示するブロック図 第2の実施の形態に係る状態ラベル設定処理を説明するためのフローチャート 第3の実施の形態に係るモデル生成装置の機能構成を例示するブロック図 第3の実施の形態に係る状態ラベル設定処理を説明するためのフローチャート
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。
なお、以下の説明および参照される図面は、当業者が本開示を理解するために提供されるものであって、本開示の請求の範囲を限定するためのものではない。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る異常予兆検知システム10を示す模式図である。
図1に示されるように、異常予兆検知システム10は、異常予兆検知モデルを生成するモデル生成装置60と、生成された異常予兆検知モデルを利用して異常予兆検知を実行する異常予兆検知装置100とを有する。
異常予兆検知システム10は、モデル生成装置60を利用して、生産設備200に異常または異常の予兆があるか検知するための異常予兆検知モデルを事前に生成する。異常予兆検知モデルを生成した後、異常予兆検知システム10は、訓練済みの異常予兆検知モデルにアクセス可能な異常予兆検知装置100を利用して、生産設備200の稼働中に収集された検知対象の生産実績データに基づき生産設備200の異常及び異常予兆を検知する。
以下の実施形態による異常予兆検知モデルは、生産実績データに基づき生産設備200の状態を正常期間、予兆期間又は異常期間に判別する。しかしながら、本開示による異常予兆検知システム10は、これに限定されず、他の何れか適切な生産設備200の状態を判別するものであってもよい。
モデル生成装置60は、訓練用データベース20から訓練用の生産実績データを抽出し、抽出した訓練用の生産実績データを利用して、教師有り機械学習によって異常予兆検知モデルを訓練する。
例えば、訓練用の生産実績データは、生産設備200の稼働中に収集された製品等に関する時系列の生産実績データであってもよい。実際には、生産設備200の稼働前などに異常予兆検知モデルを生成できることが望まれるが、生産設備200の稼働前には経年劣化等による異常または異常予兆を示す生産実績データを取得することは一般に困難である。
このため、生産設備200の稼働直後(例えば、稼働開始から1週間など)は、生産設備200は正常状態にあると仮定し、以下で詳細に説明するように、当該期間における生産実績データに基づき、正常サンプルからの乖離度として異常度を算出するための異常度算出モデルが導出される。このような異常度算出モデルは、公知のMT法(Mahalanobis Taguchi Method)など、正常サンプルに基づき異常及び異常の予兆を検知する異常予兆検知技術を適用することによって導出可能である。モデル生成装置60は、この異常度算出モデルを利用して、生産設備の稼働直後など収集される異常サンプル及び予兆サンプルが相対的に少ないと考えられる期間であっても、生産実績データに「正常期間」、「予兆期間」及び「異常期間」のラベル付けをし、ラベル付けされた生産実績データを利用して、異常予兆検知モデルを効率的に生成することができる。
一実施形態では、訓練用データベース20は、ラベル付けされていない生産実績データを格納し、後述するように、モデル生成装置60は、異常度算出モデルを利用してラベル付けされていない生産実績データの異常度を算出し、異常予兆検知モデルの訓練データとして、生産実績データの状態をラベル付けする。典型的には、公知のMT法などの異常予兆検知技術によると、異常度算出モデルを訓練するための訓練データは状態がラベル付けされている必要はあるが、異常予兆検知モデルより有意に少ない訓練データによって異常度算出モデルを生成できる。このため、状態がラベル付けされた生産実績データが相対的に少なくしか準備できない場合であっても、異常予兆検知モデルを生成することが可能である。
このような異常度算出モデルは、以下で詳細に説明されるような方法によって生成され、モデル生成装置60に予め備えられるか、あるいは、ネットワークなどを介しアクセス可能とされてもよい。しかしながら、本開示はこれに限定されず、モデル生成装置60が、異常予兆検知モデルだけでなく異常度算出モデルも生成してもよい。
異常予兆検知モデルの訓練が完了すると、モデル生成装置60は、訓練済み異常予兆検知モデルを異常予兆検知装置100に提供する。
異常予兆検知装置100は、モデル生成装置60によって生成された訓練済み異常予兆検知モデルを利用して、生産設備200の生産実績データに基づき生産設備200の異常または異常予兆を検知する。具体的には、異常予兆検知装置100は、生産設備200の稼働中に取得された製品の生産実績データを訓練済み異常予兆検知モデルに入力し、異常予兆検知モデルから検知結果(例えば、「正常期間」、「予兆期間」または「異常期間」など)を取得し、生産設備200の保全のために検知結果を含む各種情報を生産設備200の管理者等のユーザに通知する。本実施形態においては、1つの異常予兆検知装置100が1つの生産設備200に対して適用されているが、1つの異常予兆検知装置100が複数の生産設備200に対して適用されてもよい。
また、本実施の形態において、モデル生成装置60及び異常予兆検知装置100は、サーバ等の計算装置として説明されるが、個々の構成がネットワークを介して接続されたサーバシステムの形態によって実現されてもよい。モデル生成装置60及び異常予兆検知装置100の構成の説明を通じて、本開示に係る異常予兆検知モデルの生成方法および訓練データの生成方法が説明され理解される。
<モデル生成装置60及び異常予兆検知装置100のハードウェア構成>
図2は、本開示の一実施形態によるモデル生成装置60及び異常予兆検知装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、モデル生成装置60及び異常予兆検知装置100はそれぞれ、サーバ等の何れかの計算装置または情報処理装置により実現され、バスBを介し相互接続される記憶部11、処理部12、通信部13及び入出力部14を有する。なお、モデル生成装置60及び異常予兆検知装置100はそれぞれ、分散処理を行う複数のコンピュータから構成されていてもよいし、ソフトウエアによって仮想的に構築された仮想コンピュータによって実現されてもよい。
記憶部11は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置、および、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置を備える。記憶部11は、後述されるモデル生成装置60及び異常予兆検知装置100の機能及び処理を実行するためのプログラム、命令、データ等を格納する。
処理部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを備え、記憶部11に記憶されたプログラム、命令等を実行することによって、後述されるモデル生成装置60及び異常予兆検知装置100の機能及び処理を実行する。
通信部13は、インターネット、LAN(Local Area Network)、WLAN(Wireless LAN)などのネットワークを介し外部装置(例えば、訓練用データベース20、生産設備200など)と有線または無線通信するための各種通信処理を実行する。
入出力部14は、キーボード、マウス、マイクロフォン、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー、センサー、アラーム(例えば、ブザー、ランプなど)などの各種周辺機器と接続するためのUSB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)などの各種インタフェースを備える。例えば、入出力部14は、異常予兆検知装置100のユーザに異常及び異常予兆の検知を通知してもよい。本実施の形態において、異常予兆検知装置100のユーザとは、異常予兆検知装置100の管理者、または、生産設備200を用いて巻回体204(後述の図3を参照)の生産を行う作業者、または、生産設備200の保全を行う作業者等を含んでもよい。
記憶部11および処理部12は、一体のサーバ又はコンピュータとして構成されていなくともよい。すなわち、記憶部11および処理部12は、互いに通信可能に構成されていれば、互いに別体に構成され、離れた位置に配置されていてもよい。また、モデル生成装置60及び異常予兆検知装置100は、図2に示されない操作部を有し、外部からの操作入力を受け付けてもよい。記憶部11および処理部12の詳細については後述する。
<生産設備200>
生産設備200は、本実施の形態においては、リチウムイオン二次電池の生産設備である。図3に示すように、生産設備200は、巻回部201および検査機207を有する。しかしながら、本開示による生産設備200は、これに限定されず、他の何れかの製品等の生産設備であってもよい。
図3は、巻回部201および検査機207の構成例を示す模式図である。巻回部201は、第1供給リール50、第2供給リール51、切断部208、第1貼合ロール205A、第2貼合ロール205B、巻芯206および巻芯回転駆動部206Mを有する。検査機207は、第1シート材切断後長さ測定センサー40および第2シート材切断後長さ測定センサー41を有する。
巻回部201は、第1供給リール50から供給される第1シート材202と第2供給リール51から供給される第2シート材203とを第1貼合ロール205Aおよび第2貼合ロール205Bによって貼り合わせ、巻芯206に巻き取り、巻回体204を生産する。
図4は、巻回部201において生産される巻回体204の模式図である。図4には、便宜的に、巻回体204を構成する第1シート材202および第2シート材203の端部が巻き取られていない様子が示されている。図4に示されるように、第1シート材202よりも第2シート材203の方が、幅(巻回体204の軸方向に沿った長さ)が大きく形成されている。第1シート材202は、例えば正極材料が塗布されたシート状の部材(正極シート)であり、第2シート材203は、例えば負極材料が塗布されたシート状の部材(負極シート)である。
図3に戻って説明を続ける。巻芯回転駆動部206Mは、巻芯206を所望の回転速度で駆動させる。切断部208は、巻芯206における巻き取りが完了する際に、第1シート材202及び第2シート材203を切断する。なお、図3には、切断部208が第1貼合ロール205Aおよび第2貼合ロール205Bの上流側の位置に配置される様子が示されているが、切断部208は、これらの貼合ロールの下流側の位置に配置されていてもよい。
検査機207は、巻回部201が生産した巻回体204の検査を行う装置である。
巻回部201における巻回体204の生産時に、不良品が発生することがある。不良品は、例えば巻芯206の周りに巻き付ける第1シート材202または第2シート材203の切断後の長さに過不足を生じることによって生じうる。第1シート材202または第2シート材203の長さに過不足が生じるとリチウムイオン二次電池の品質が劣化する。よって、第1シート材切断後長さ測定センサー40および第2シート材切断後長さ測定センサー41を用いて第1シート材202および第2シート材203の長さが計測される。
図3には、第1シート材切断後長さ測定センサー40および第2シート材切断後長さ測定センサー41が、第1貼合ロール205Aおよび第2貼合ロール205Bの下流側の位置に配置される様子が示されているが、各センサーは、これらの貼合ロールの上流側の位置に配置されていてもよい。
第1シート材切断後長さ測定センサー40および第2シート材切断後長さ測定センサー41の測長結果は、「良」、「不良」のどちらかに判定される。測長結果が、予め定められた目標範囲に収まっている場合は、「良」と判定され、目標範囲に収まっていない場合は、「不良」と判定される。図5は、第1シート材202の測長結果と判定結果との対応例を示している。すなわち、第1シート材202の切断後の長さが目標長さ以上である測長データI1~I3は「良」と判定され、第1シート材202の切断後の長さが目標長さ未満である測長データI4およびI5が「不良」と判定されている。なお、本実施形態では、「良」および「不良」の2種類のいずれかに判定されるが、3種類以上のいずれかに判定されてもよい。
なお、図5には、測長データI1からI5が時系列に並んで示されている。つまり、図5には、生産設備200の経時劣化に伴って第1シート材202の切断後の長さが次第に短くなっていく様子が示されている。しかしながら、実際には、生産設備200の経時劣化以外の様々な要因により、第1シート材202の長さの変化の仕方は複雑になり、単純に長さの長短で生産設備200の異常を判断することは望ましくない。このため、モデル生成装置60は、機械学習モデルを訓練し、具体的にはニューラルネットワークモデル等を用いて第1シート材202の長さの変化を特徴量化した時系列データを読み込ませることで、どのような時系列データが「正常期間」、「予兆期間」および「異常期間」のいずれに対応するかについて、機械学習モデルをあらかじめ訓練しておくことが望ましい。この場合、異常予兆検知装置100は、モデル生成装置60によって訓練された機械学習モデルを利用して、第1シート材202と第2シート材203の長さの変化を特徴量化した時系列データに基づき生産設備200の異常及び異常の予兆を検知する。なお、以下、説明の便宜上、第1シート材202の長さの変化を用いる場合について説明するが、第2シート材203の長さの変化を用いたり、両シート材の長さの変化を用いたりしてもよいことは言うまでも無い。
<モデル生成装置60の詳細>
次に、本開示の一実施形態によるモデル生成装置60の機能構成と動作について詳細に説明する。
モデル生成装置60は、生産設備200による製品の生産に関する生産実績データに基づき生産設備200の異常の予兆及び異常を検知する異常予兆検知モデルを生成する。異常予兆検知モデルを生成すると、モデル生成装置60は、稼働中の生産設備200の異常予兆及び異常を検知する異常予兆検知装置100に、生成した異常予兆検知モデルを提供する。なお、本実施の形態における異常予兆検知とは、生産設備200の劣化および故障等の異常の発生を予防し、正常な運転を維持するために、生産設備200の異常が発生する前の異常の予兆を検知することを意味する。
図6は、本開示の第1の実施の形態に係るモデル生成装置60の機能構成を例示するブロック図である。
図示されるように、モデル生成装置60は、前処理部61、異常度算出部62及び訓練部63を有する。例えば、前処理部61、異常度算出部62及び訓練部63の1つ以上の機能部は、1つ以上のプロセッサを有する処理部12が1つ以上のメモリを有する記憶部11に記憶されるプログラム又は指示を実行することによって実現されてもよい。
前処理部61は、訓練用の生産実績データの特徴量データを取得する。具体的には、前処理部61は、訓練用データベース20から訓練用の生産実績データを受信し、受信した生産実績データに対して所定の前処理を実行して特徴量データを抽出してもよい。一例として、前処理部61は、時系列の生産実績データから所定の単位数または単位時間の生産実績単位データを抽出し、抽出した各生産実績単位データに対して統計処理を実行し、取得した1つ以上の統計量を特徴量データとして取得してもよい。
なお、前処理部61は、ラベル付けされた生産実績データとラベル付けされていない生産実績データとの何れのタイプの生産実績データに対しても同様の前処理を実行し、特徴量データを導出できる。
[生産実績データベース71]
前処理部61は、例えば、生産設備200から取得した生産実績データを記憶部11の生産実績データベース71に格納してもよい。すなわち、生産実績データベース71は、生産設備200の生産実績に関する生産実績データPDが累積的に登録されたデータベースであってもよい。生産実績データベース71には、複数の生産設備200の生産実績データPDが登録されてもよい。
図7は、生産実績データベース71の例を示す図である。図7に示される例においては、生産実績データベース71には、「生産日時」、「設備」、「第1シート材測長値」、「第2シート材測長値」、「第1シート材測長値判定結果」および「第2シート材測長値判定結果」が互いに関連付けられて登録されている。これらのデータが1つずつ関連付けられて1つの生産実績データPDを構成する。
「生産日時」は、巻回体204が生産された生産日時に関するデータである。
「設備」は、生産設備200が複数存在する場合に、巻回体204を生産した設備を識別するためのデータである。図7では例として、互いに異なる生産設備200の識別子である「A」、「B」および「C」が示されている。
「第1シート材測長値」および「第2シート材測長値」は、巻回体204の生産に使用された第1シート材202の測長値データおよび第2シート材203の測長値データである。これらの測長値データは、第1シート材切断後長さ測定センサー40および第2シート材切断後長さ測定センサー41によって取得される。
「第1シート材測長値判定結果」および「第2シート材測長値判定結果」は、「第1シート材測長値」および「第2シート材測長値」の判定結果(図5参照)を示すデータである。例えば、第1シート材202の目標長さが761mmである場合、762.2mmおよび761.4mmという第1シート材測長値は、「良」と判定され、760.1mmという第1シート材測長値は「不良」と判定される。また、例えば、第2シート材203の目標長さが692mmである場合、693.4mmおよび693.5mmという第2シート材測長値は、「良」と判定され、691.1mmという第1シート材測長値は「不良」と判定される。これらの判定は例えば処理部120または検査機207によって自動的に行われる。
このような生産実績データPDは、例えば生産設備200において巻回体204が生産される度に、自動で、もしくは、作業員の手によって入力され、訓練用データベース20に登録される。典型的には、生産設備200の本格稼働前に異常予兆検知モデルを生成することが望まれるため、訓練用の生産実績データは、生産設備200の本格稼働前の実験段階、テスト稼働段階などに収集され、訓練用データベース20に格納される。
なお、上述した実施形態では、訓練用の生産実績データが、訓練用データベース20に格納され、前処理部61が、訓練用データベース20から生産実績データを抽出し、抽出した生産実績データから特徴量データを抽出するが、本開示は、これに限定されるものでない。例えば、訓練用データベース20には、訓練用の生産実績データから抽出された訓練用の特徴量データが格納されてもよい。この場合、前処理部51は、生産実績データベース61を保持する必要はない。
[特徴量データベース72]
前処理部61は、例えば、生産実績データから抽出した特徴量を記憶部11の特徴量データベース72に格納してもよい。すなわち、特徴量データベース72は、特徴量データFDが登録されたデータベースである。特徴量データFDは、複数の連続する生産実績データPDを、予め定められた所定の数である集計単位数W集め、集めた生産実績データPDに対して統計処理等のデータ処理を行うことで、集めた生産実績データPDを特徴量化したデータであってもよい。特徴量データベース72には、複数の生産設備200の生産実績データPDから得られた特徴量データFDが登録されてもよい。
図8は、特徴量データベース72の例を示す図である。図8に示される例においては、特徴量データベース72には、「生産日時」、「設備」、「集計単位」、「第1シート材測長値の最大値」、「第1シート材測長値の最小値」、「第1シート材測長値の平均値」、「第1シート材測長値の標準偏差」および「第1シート材測長値の不良数」が互いに関連付けられて登録されている。これらのデータが1つずつ関連づけられて、1つの特徴量データFDを構成する。
「生産日時」は、集められたW個の生産実績データPDのうち、生産日時が最新である生産実績データPDの生産日時に関するデータであり、W個の生産実績データPDの生産日時を代表する生産日時である。つまり、「生産日時」は、データ処理されたW個の生産実績データPDが対応するW個の巻回体204のうち最後に生産された巻回体204に対応する生産実績データPDの生産日時である。
「設備」は、集められたW個の生産実績データPDが対応する巻回体204を生産した生産設備200を識別するためのデータである。
「集計単位」は、集められた生産実績データPDの数に関するデータである。図8では例として、「100」が示されている。
「第1シート材測長値の最大値」、「第1シート材測長値の最小値」、「第1シート材測長値の平均値」および「第1シート材測長値の標準偏差」は、それぞれ、集められたW個の生産実績データPDに含まれる第1シート材測長値の各統計量を示すデータである。なお、特徴量データベース112には、図8に示される統計量以外に、中央値、第1四分位数、第3四分位数などの統計量が登録されてもよい。これらの統計量が特徴量である。
「第1シート材測長値の不良数」は、集められたW個の生産実績データPDが対応するW個の巻回体204に含まれる「第1シート材測長値判定結果」が「不良」であった巻回体204の個数を示すデータである。
このような特徴量データFDは、生産実績データベース71に、集計単位数の生産実績データPDが登録される度に、前処理部61が所定の前処理を実行し、抽出した特徴量データを特徴量データベース72に登録してもよい。
異常度算出部62は、異常度算出モデルを利用して、取得した特徴量データの異常度を算出する。
ここで、異常度算出モデルは、何れかの異常予兆検知技術に基づいて正常状態の特徴量群から生成されたものであってもよい。入力として特徴量データを受け付けると、異常度算出モデルは、当該特徴量データの異常度を出力する。本開示による異常度算出モデルは、稼働直後では生産設備200は正常状態にあるという仮定の下、稼働直後の期間中に収集された生産実績データから導出した正常状態の特徴量データを利用して、何れか公知の異常予兆検知技術(例えば、MT法など)に従って生成されたものであってもよい。例えば、異常度算出モデルによって算出される特徴量の異常度は、正常状態の特徴量群からの乖離度(例えば、マハラノビス距離など)であってもよい。
一例として、異常度算出モデルM1は、生産設備200の正常状態からの乖離度を異常度Aという数値で表現するモデルであってもよい。異常度Aは、生産設備200の異常度合いを示す。換言すれば、異常度Aは、異常度算出対象の特徴量データFDが、正常期間における特徴量データFDからどの程度乖離しているのかを示す指標である。異常度算出モデルM1が適切に生成されたものである場合、異常度Aが大きいほど、生産設備200に劣化および故障等の異常の程度が大きくなっており、巻回体204の不良品が新たに生産される確率が高くなる。異常度算出モデルM1は、不良が発生していない正常期間の特徴量データFDを用いて正常状態を定義することで、正常状態からの乖離度を異常度Aとして算出する。これにより、異常度算出モデルM1の訓練用の生産実績データが、生産設備200の稼働直後などに収集され、経年劣化等による異常の発生頻度が低く、十分な数の異常状態のサンプルデータを取得できない場合であっても、異常度を算出することが可能になる。なお、正常期間とは、生産設備200の劣化および故障が発生しておらず、生産設備200から生産される巻回体204に不良が発生していない期間である。
異常度算出モデルM1は、特徴量データFDに含まれる複数種類の特徴量の組み合わせを用いて生成されてもよい。組み合わせる特徴量の選択は、異常予兆検知装置100のユーザによって行われてもよいし、あらかじめ決定された基準に基づいて異常度算出部62により自動的に行われてもよい。
また、特徴量の組み合わせを変更することにより、互いに異なる複数の異常度算出モデルM1を生成することができる。なお、異常度算出モデルM1は1つだけ生成されてもよい。
異常度算出モデルM1は、生産設備200の稼働直後などの生産設備200が正常状態にあると想定される期間内に生産された生産実績データPDに基づいて生成される。
ここで、異常度算出モデルM1は、例えば統計的モデル、機械学習によって生成された機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワークモデル)等、複数種類の形式の中から適宜選択されればよい。
一例として、異常度算出モデルM1を生成する際、公知のMT法を採用してもよい。これにより、正常状態からの乖離度をより精度よく示す異常度Aを算出することができる異常度算出モデルM1を生成することができる。正常状態からの乖離度が異常度として利用される場合、特徴量データに対して算出された異常度と異常状態を示す異常閾値とが比較され、比較結果に応じて特徴量データの状態が判別される。
また、他の例として、異常度算出モデルM1を生成する際、OC-SVM(One Class Support Vector Machine)、ニューラルネットワークを用いたAuto Encoder、または、K近傍法などの公知の距離ベースの異常予兆検知手法が採用されてもよい。
そして、このようにして生成された異常度算出モデルM1は、算出された異常度が適切であるか否かに関して検証されてもよい。例えば、生成された異常度算出モデルM1は、特徴量データに対して算出された異常度と、当該特徴量データに対応する生産実績データにおける不良率とに基づいて検証されてもよい。すなわち、入力された特徴量データに対して異常度算出モデルM1から導出された異常度が異常閾値を上回っている場合、当該特徴量データは、異常期間における生産設備200の生産実績データに対応していると想定され、当該生産実績データに対する不良率と正の相関を有するべきである。ここで、異常閾値は、生産設備200が異常状態にあると判定される異常度に基づき設定されてもよい。
従って、異常度算出モデルM1から導出された異常閾値以上の異常度と対応する不良率との間の相関係数が所定の閾値以上である場合、異常度算出モデルM1は、特徴量データの正常状態と異常状態とを適切に判別可能であると判断される。この場合、異常度算出モデルM1は、適切に訓練されたものであると判断され、以降の特徴量データのラベル付け処理に利用されてもよい。
他方、異常度算出モデルM1から導出された異常閾値以上の異常度と対応する不良率との間の相関係数が所定の閾値未満である場合、異常度算出モデルM1は、特徴量データの正常状態と異常状態とを適切に判別可能でないと判断される。この場合、異常度算出モデルM1は、適切に訓練されたものでないと判断され、例えば、他の訓練データを利用して再度生成されてもよい。
なお、上述した異常度算出モデルM1の検証は、異常度算出モデル62による利用前に予め(人手などによって)行われてもよいし、あるいは、異常度算出部62によって行われてもよい。
なお、上述した実施形態では、予め生成された異常度算出モデルM1が異常度算出部62に備えられたが、本開示はこれに限定されない。例えば、異常度算出部62自らが、訓練データを利用して、異常度算出モデルを生成してもよい。具体的には、異常度算出部62は、訓練用データベース20に格納されているラベル付けされた生産実績データまたは特徴量データを利用して、上述したようなMT法などに従って異常度算出モデルM1を同様にして生成してもよい。
異常度算出モデルM1の形式の選択は、異常予兆検知装置100のユーザにより行われてもよいし、異常度算出部62により自動的に行われてもよい。
[異常度データベース73]
異常度算出部62は、算出した異常度を記憶部11の異常度データベース73に格納してもよい。すなわち、異常度データベース73は、異常度算出モデルM1によって算出された異常度Aに関連する異常度データADが登録されたデータベースである。異常度データベース73には、複数の生産設備200の生産実績データPDに基づいて得られた異常度データADが登録されてもよい。
図9は、異常度データベース73の例を示す図である。図9に示される例においては、異常度データベース73には、「生産日時」、「設備」、「異常度算出モデルID」、「異常度」、「集計単位」および「第1シート材測長値の不良数」が互いに関連付けられて登録されている。これらのデータが1つずつ関連付けられて、1つの異常度データADを構成する。
「生産日時」は、異常度算出対象の特徴量データFDに含まれる生産日時である。
「異常度算出モデルID」は、異常度算出に用いられた異常度算出モデルM1を識別するためのデータである。図9では例として、互いに異なる異常度算出モデルM1のID(identification number)である「001」、「002」および「003」が示されている。
「異常度」は、異常度算出対象の特徴量データFDから、異常度算出モデルM1を使用して算出された異常度Aを示すデータである。
「集計単位」は、異常度算出対象の特徴量データFDに含まれる集計単位である。
「第1シート材測長値の不良数」は、異常度算出対象の特徴量データFDに含まれる第1シート材測長値の不良数を示すデータである。この不良数は、以下で詳細に説明されるように、異常度算出モデルの信頼性を評価するのに使用される。
このような異常度データADは、特徴量データベース72に特徴量データFDが登録される度に、異常度算出部62により生成され、異常度データベース73に登録されてもよい。
訓練部63は、算出した異常度に基づき特徴量データの状態を決定し、当該特徴量データと特徴量データの状態とから構成される訓練データによって、特徴量データから特徴量データの状態を検知する異常予兆検知モデルを訓練する。
ここで、異常予兆検知モデルは、入力として特徴量データを受け付け、入力された特徴量データの状態を出力する。異常予兆検知モデルの生成に用いられる訓練データは、生産実績データから導出される特徴量データと、異常度算出モデルを利用して決定した当該特徴量データの状態とから構成されてもよい。すなわち、異常予兆検知モデルの生成用に用いられる訓練データは、訓練用データベース20において状態がラベル付けされていない生産実績データであってもよく、訓練部63は、異常度算出部62によって算出された異常度に基づいて特徴量データの状態を決定し、決定した状態によって生産実績データまたは特徴量データをラベル付けしてもよい。
一実施形態では、訓練部63は、正常期間の異常度の平均値と異常期間の異常度の平均値とに基づき予兆期間を設定してもよい。具体的には、訓練部63はまず、不良率が異常閾値以上となった期間を異常期間として特定し、異常度算出モデルM1を訓練するのに利用した正常期間における異常度の平均値Aと、異常期間における異常度の平均値Bとを算出する。そして、訓練部63は、算出した2つの平均値A及びBの平均値Cを算出し、正常期間と異常期間との間において異常度が平均値Cを超える期間の全てを予兆期間として設定してもよい。このようにして、正常期間、予兆期間及び異常期間を設定すると、訓練部63は、各特徴量データを正常期間、予兆期間又は異常期間によってラベル付けすることができる。
また、一実施形態では、訓練部63は、異常期間の起点と長さとに基づき予兆期間を設定してもよい。具体的には、訓練部63はまず、不良率が異常閾値以上となった期間を異常期間として特定し、異常期間の起点から遡って異常期間と同じ長さの期間を特定する。そして、訓練部63は、正常期間における異常度の平均値Aと異常期間における異常度の平均値Bとを算出し、特定した期間における異常度の平均値Dが平均値Aと平均値Bとの間の範囲内にある場合、特定した期間を予兆期間として設定してもよい。このようにして、正常期間、予兆期間及び異常期間を設定すると、訓練部63は、各特徴量データを正常期間、予兆期間又は異常期間によってラベル付けすることができる。
また、一実施形態では、訓練部63は、異常期間の起点と、正常期間の異常度の平均値と異常期間の異常度の平均値とに基づき予兆期間を設定してもよい。具体的には、訓練部63はまず、不良率が異常閾値以上となった期間を異常期間として特定し、正常期間における異常度の平均値Aと、異常期間における異常度の平均値Bとを算出する。そして、訓練部63は、異常期間の起点から遡った期間であって、当該期間における異常度の平均値Eが算出した2つの平均値A及びBの平均値C以上である期間を予兆期間として設定してもよい。このようにして、正常期間、予兆期間及び異常期間を設定すると、訓練部63は、各特徴量データを正常期間、予兆期間又は異常期間によってラベル付けすることができる。
上述した正常期間、予兆期間及び異常期間のラベル付けは単なる一例であり、本開示による異常予兆検知モデルのための訓練データのラベル付けは、これに限定されるものでない。例えば、訓練部63は、何れか適切に設定された予兆閾値及び異常閾値と異常度との比較に基づきラベル付けを行ってもよい。具体的には、判別対象の特徴量データに対して算出した異常度が予兆閾値未満である場合、訓練部63は、当該特徴量データの状態を正常期間として判別し、当該特徴量データに「正常期間」のラベル付けをしてもよい。
また、判別対象の特徴量データに対して算出した異常度が予兆閾値以上であって、異常閾値未満である場合、訓練部63は、当該特徴量データの状態を予兆期間として判別し、当該特徴量データに「予兆期間」のラベル付けをしてもよい。
また、判別対象の特徴量データに対して算出した異常度が異常閾値以上である場合、訓練部63は、当該特徴量データの状態を異常期間として判別し、当該特徴量データに「異常期間」のラベル付けをしてもよい。
訓練部63は、このようにしてラベル付けした各特徴量データを状態ラベルデータとして格納し、異常予兆検知モデルM2の訓練データとして状態ラベルデータを利用する。
[状態ラベルデータベース74]
訓練部63は、生成した状態ラベルデータを記憶部11の状態ラベルデータベース74に格納してもよい。すなわち、状態ラベルデータベース74は、異常度データベース73に登録された異常度データADを生産日時順に並べた時系列データに付与される状態ラベルデータLDが登録されたデータベースである。なお、時系列データは、生産設備200ごとに分けられている。
図10は、状態ラベルデータベース74の例を示す図である。図10に示される例においては、状態ラベルデータベース74には、「状態ラベル」、「設備」、「開始日時」、「終了日時」および「異常度算出モデルID」が互いに関連付けられて登録されている。これらのデータが1つずつ関連付けられて、1つの状態ラベルデータを構成する。
「状態ラベル」は、「正常期間」、「予兆期間」および「異常期間」の3段階の状態を示すデータである。なお、予兆期間とは、生産設備200に異常の予兆が現れている期間であり、異常期間とは生産設備200に異常が発生している期間である。
「設備」は、状態ラベルLが付与される時系列データに対応する生産設備200の識別子である。
「開始日時」および「終了日時」は、状態ラベルLが付与される時系列データを構成する異常度データADの最初の(最も古い)データの日時および最後の(最も新しい)データの日時である。換言すれば、状態ラベルLが示す状態の期間が始まる日時と終了する日時である。
状態ラベルデータLDは、訓練部63により生成され、状態ラベルデータベース74に登録される。
本開示の一実施形態による異常予兆検知モデルM2とは、生産設備200の状態が「正常期間」、「予兆期間」および「異常期間」のいずれであるかを予測する機械学習モデルであり、入力として特徴量データを受け付け、当該特徴量データの状態を出力する。例えば、異常予兆検知モデルM2は、劣化および故障等の異常による不良品が多発した生産設備200において、異常が発生するまでに、生産実績データPDがどのような時系列変化を経ていたかということを予測するための機械学習モデルである。すなわち、異常予兆検知モデルM2は、生産設備200に劣化および故障等の異常が発生しているか否か、または、異常の予兆が現れているか否かを検知するために使用することができる。生産設備200の生産実績データPDが生産実績データベース71に入力されると、異常予兆検知モデルM2は、入力された生産実績データから導出された特徴量データに基づいて、この生産実績データPDが得られたときの生産設備200の状態が「正常期間」、「予兆期間」および「異常期間」のいずれであるかを判定した結果を出力する。
例えば、訓練部63は、訓練用データベース20から抽出した生産実績データから取得された特徴量データと当該特徴量データの状態とのペアから構成される訓練データを利用して、教師有り学習によって訓練対象の異常予兆検知モデルM2を訓練する。例えば、異常予兆検知モデルM2がニューラルネットワークとして実現される場合、訓練部63は、各訓練データの特徴量データを当該ニューラルネットワークに入力し、ニューラルネットワークからの出力結果と訓練データの特徴量データの状態とを比較する。そして、訓練部63は、出力結果と訓練用の特徴量データの状態との誤差に応じて、バックプロパゲーションなどに従ってニューラルネットワークのパラメータを調整する。所定の終了条件が充足されるまで、訓練部63は、当該パラメータ調整処理を繰り返す。所定の終了条件としては、例えば、準備された全ての訓練データに対してパラメータ調整処理が実行されたこと、誤差が所定の閾値未満になったこと、誤差が所定の閾値範囲内に収束したこと、などであってもよい。
異常予兆検知モデルM2の訓練が終了すると、訓練部63は、訓練済み異常予兆検知モデルM2を異常予兆検知装置100に提供する。
なお、複数の生産設備200の生産実績データPDを用いて1つの異常予兆検知モデルM2が生成されてもよいし、1つの生産設備200の生産実績データPDを用いて1つの異常予兆検知モデルM2が生成されてもよい。
異常予兆検知モデルM2の形式は、特に限定されないが、より判定精度を向上させるために、ニューラルネットワークモデル等の機械学習モデルが採用されることが望ましい。異常予兆検知モデルM2に採用されるモデルの選択は、異常予兆検知装置100のユーザによって行われてもよいし、訓練部63によって自動的に行われてもよい。
<異常予兆検知装置100の詳細>
次に、図11を参照して、本開示の一実現形態による異常予兆検知装置100を説明する。異常予兆検知装置100は、モデル生成装置60によって生成された異常予兆検知モデルを利用して、検知対象の生産設備200の生産実績データに基づいて、生産設備200に発生した異常または異常の予兆を検知する。
図11は、本開示の一実現形態による異常予兆検知装置100の機能構成を示すブロック図である。
図11に示されるように、異常予兆検知装置100は、前処理部101及び異常予兆検知部102を有する。
前処理部101は、検知対象の生産実績データの特徴量を取得する。具体的には、前処理部101は、生産設備200によって生産された製品等に関する生産実績データを取得すると、取得した生産実績データに対して所定の前処理を実行し、生産実績データの特徴量データを取得する。
ここで、前処理部101によって取得される生産実績データは、典型的には、モデル生成装置60によって異常予兆検知モデルの生成に用いられたデータと同一種別のものとされる。例えば、モデル生成装置60が、「生産日時」、「設備」、「第1シート材測長値」、「第2シート材測長値」、「第1シート材測長値判定結果」および「第2シート材測長値判定結果」の6つのデータ種別の生産実績データを訓練データとして使用した場合、前処理部101もまた、これら6つのデータ種別の検知対象の生産実績データを生産設備200から取得する。
そして、前処理部101は、取得した生産実績データに対して所定の前処理を実行し、生産実績データの特徴量データを取得する。具体的には、前処理部101は、モデル生成装置60における前処理と同様の処理を検知対象の生産実績データに対して実行し、当該生産実績データの特徴量データを導出する。例えば、モデル生成装置60における前処理が統計処理であって、特徴量データが、「生産日時」、「設備」、「集計単位」、「第1シート材測長値の最大値」、「第1シート材測長値の最小値」、「第1シート材測長値の平均値」、「第1シート材測長値の標準偏差」および「第1シート材測長値の不良数」の8つのデータ種別から構成される場合、前処理部101もまた、検知対象の生産実績データに対して同様の統計処理を実行し、同一種別の特徴量データを導出する。
このようにして特徴量データを取得すると、前処理部101は、取得した特徴量データを異常予兆検知部102にわたす。なお、前処理部101が、検知対象の生産実績データの代わりに、当該生産実績データの特徴量データを取得する場合、前処理部101は、上述した特徴量データを導出するための処理を実行する必要はなく、取得した特徴量データを異常予兆検知部102にわたすだけでよい。
異常予兆検知部102は、訓練済み異常予兆検知モデルを利用して、特徴量データから特徴量データの状態を検知する。ここで、異常予兆検知モデルは、訓練用の生産実績データの特徴量データと当該特徴量データの状態とから構成される訓練データによって訓練されたものである。また、特徴量データの状態は、正常期間の特徴量群を表す異常度算出モデルを利用して算出された当該特徴量データの異常度に基づき決定される。
具体的には、異常予兆検知部102は、前処理部101から受け付けた特徴量データを訓練済みの異常予兆検知モデルに入力し、当該訓練済みの異常予兆検知モデルからの出力として、入力した特徴量データの状態を取得する。モデル生成装置60に関連して上述したように、異常予兆検知モデルは、訓練済みの異常度算出モデルを利用してラベル付けされた特徴量データを訓練データとして、教師有り学習によって訓練されたニューラルネットワークなどの何れかのタイプの機械学習モデルであってもよい。
一実現形態では、異常度算出部62は、異常度データベース63に登録された異常度データADを用いて、異常度算出モデルの信頼度を評価してもよい。例えば、異常度算出部62は、異常度データADの不良数を集計単位数Wで割った不良率DRと異常度Aとの相関係数Cを算出する。相関係数Cが所定の閾値である相関閾値Thより大きい場合、異常度算出部62は、異常度算出モデルM1が算出する異常度Aが生産設備200の異常度合いを適切に表していると判断することができる。よって、異常度算出部62は、相関係数Cが相関閾値Thよりも大きくなる異常度算出モデルM1を、生産設備200の異常度算出モデルM1として採用するようにしてもよい。
なお、相関閾値Thとは、異常度算出モデルM1が算出する異常度Aと生産設備200で生産される巻回体204の不良数との間に相関が認められる相関係数Cの最小値であってもよい。すなわち、異常度算出モデルM1の生成に使用された特徴量データFDの特徴量の組み合わせが、生産設備200の異常の特徴を表している場合に想定される相関係数Cの最小値である。言いかえると、異常度算出モデルM1が生産設備200の異常度合いを適切に算出していると見なすことができる相関係数Cの最小値である。なお、所定の相関閾値Thは、例えば過去の生産実績データPD等に基づいて経験的に決定されればよい。
そして、訓練部63は、特徴量データベース72に特徴量データFDが登録される度(つまり、異常度データベース73に異常度データADが登録される度)に、以下の処理を行う。すなわち、訓練部63は、登録された特徴量データFD(または異常度データAD)の不良数を集計単位数Wで割った不良率DRを求める。訓練部63は、不良率DRを予め定められた所定の閾値である不良率閾値Thdrと比較する。不良率DRが不良率閾値Thdrよりも大きい場合、訓練部63は、異常度データベース73に登録された異常度データADを生産日時順に並べた時系列データに対して「正常期間」、「予兆期間」または「異常期間」の状態ラベルLを付与することで、状態ラベルデータLDを生成する。そして、訓練部63は、状態ラベルデータベース74に状態ラベルデータLDを登録する。
そして、訓練部63は、特徴量データFDを生産日時順に時系列に並べた時系列データを学習し、異常予兆検知モデルM2を生成する。学習に使用される時系列データは、「正常期間」、「予兆期間」および「異常期間」のそれぞれの状態ラベルデータLDの開始日時と終了日時の間に生産日時が含まれる特徴量データFDを起点とし、起点から過去の所定数の特徴量データFDを並べたものである。訓練部63が生成した異常予兆検知モデルM2は、上述したように、異常予兆検知装置100に提供される。
また、一実現形態では、訓練部63は、異常度算出部62で採用された異常度算出モデルM1と、訓練部63で生成された異常予兆検知モデルM2との判定精度を比較し、異常予兆検知モデルM2の判定精度が高い場合に、異常予兆検知モデルM2を採用するようにしてもよい。換言すれば、異常予兆検知モデルM2の判定精度が、異常度算出モデルM1の判定精度を上回るまで、訓練部63による異常予兆検知モデルの生成(学習用データリストの学習)が継続される。採用された異常予兆検知モデルM2は、異常予兆検知装置100において生産設備200の異常または異常の予兆の検知に用いられる。
そして、異常予兆検知部102は、生産設備200において新たに生産された巻回体204の生産実績データPDから生成された特徴量データFD、およびモデル生成装置60で採用された異常予兆検知モデルM2を用いて、生産設備200の状態を判定する。具体的には、異常予兆検知部102は、検知対象の生産実績データを「正常期間」、「予兆期間」および「異常期間」の3段階に判定する。判定結果が「異常期間」または「予兆期間」であった場合、異常予兆検知部102は、生産設備200を管理するユーザ等に異常または予兆の検知を通知してもよい。この通知には、ユーザの注意を引くための警報や、どの生産設備200にいつ異常または異常の予兆が発生したかを知らせる表示等が含まれてもよい。
<モデル生成処理のための各処理の詳細>
以下では、図6に示されるモデル生成装置60の一実現形態による異常予兆検知モデルを生成するための各処理について詳細に説明する。なお、後述される処理は単なる一例であり、本開示による異常予兆検知モデルの生成は、生産設備200、製品等に応じた生成処理によって実現されてもよい。
(前処理)
以下では、前処理部61が実行する前処理を説明する。図12は、一実施形態による前処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS11において、前処理部61は、生産実績データベース71に新たな生産実績データPDが予め定められた所定数であるS個登録されたか否かを判定する。新たな生産実績データPDがS個登録されていない場合(ステップS11:NO)、前処理部61は、ステップS11を繰り返す。新たな生産実績データPDがS個登録されていた場合(ステップS11:YES)、前処理部61は、処理をステップS12に進める。
ステップS12において、前処理部61は、新たに登録されたS個の生産実績データPDから、集計単位数Wの生産実績データPDを抽出し、抽出された生産実績データPDをリスト化した生産実績データリストPLを生成する。つまり、前処理部61は生産実績データリストPLを抽出する。生産実績データリストPLは、生産実績データベース71に最後に登録された最新の生産実績データPDlastを1番目として、生産実績データPDlastの生産日時から過去にさかのぼって集計単位数W番目の生産実績データPDまでの生産実績データPDを抽出してリスト化したものである。すなわち、生産実績データリストPLには、少なくとも最後に登録された最新の生産実績データPDlastが含まれている。なお、集計単位数Wは所定数S以下の数である。
ステップS13において、前処理部61は、抽出した生産実績データリストPLから、第1シート材測長値の最大値、最小値、平均値、標準偏差などの統計量を算出し、これらの統計量を特徴量とする。なお、ここで示される統計量以外に中央値、第1四分位数、第3四分位数などの統計量が算出され、特徴量とされてもよい。また、特徴量化の際に、事前に正規化、ビニング、対数変換、差分変換などの前処理が行われてもよいし、データを所定数過去にずらしたラグ特徴量が生成されてもよい。
ステップS14において、前処理部61は、抽出した生産実績データリストPLに含まれる第1シート材測長値判定結果が「不良」である生産実績データPDの数を集計し、第1シート材測長値の不良数とする。
ステップS15において、前処理部61は、算出した特徴量と不良数を含む特徴量データFDを特徴量データベース72に登録する。特徴量データFDの生産日時は、最新の生産実績データPDlastの生産日時である。
(異常度算出モデルの生成処理)
次に、異常度算出部62が実行する異常度算出モデルの生成処理を説明する。なお、異常度算出部62が、訓練済みの異常度算出モデルを使用する場合、当該異常度算出モデルの生成処理は、異常度算出部62によって実行される必要はない。図13は、一実施形態による異常度算出モデルの生成処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS21において、異常度算出部62は、特徴量データベース72に、正常期間(例えば1週間または1週間よりも長い期間)内に生産日時が含まれる特徴量データFDが、予め定められた所定数以上登録されているか否かを判定する。正常期間とは、生産設備200の劣化および故障が発生しておらず、生産設備200から生産される巻回体204に不良が発生していない期間である。
正常期間内に生産日時が含まれる特徴量データFDが予め定められた所定数より少ない場合(ステップS21:NO)、異常度算出部62は、ステップS21を繰り返す。正常期間内に生産日時が含まれる特徴量データFDが所定数以上登録されている場合(ステップS21:YES)、異常度算出部62は、処理をステップS22に進める。つまり、異常度算出部62は、「第1シート材の測長値の不良数」が0である特徴量データFDが特徴量データベース72に所定数登録されることを待って、処理をステップS22に進める。
ステップS22において、異常度算部62は、特徴量データベース72から、予め定められた所定数の特徴量データFDを抽出し、抽出された特徴量データFDをリスト化した特徴量データリストFLを生成する。つまり、異常度算出部62は、特徴量データリストFLを抽出する。特徴量データリストFLは、特徴量データベース72に登録されている特徴量データFDのうち、上述した正常期間内に生産日時が含まれる特徴量データFDを所定数抽出してリスト化したものである。
ステップS23において、異常度算出部62は、特徴量データリストFLに含まれる特徴量データFDが有する複数の特徴量の組み合わせを用いて(例えば学習させて)、異常度算出モデルM1を生成する。例えば、異常度算出部62は、何れか公知の異常予兆検知技術(例えば、MT法など)に従って異常度算出モデルM1を生成してもよい。例えば、異常度算出モデルM1は、特徴量データFDの異常度として正常状態の特徴量群からの乖離度(例えば、マハラノビス距離など)を算出するものであってもよい。このようにして、異常度算出部62は、複数の特徴量の組み合わせ方を変えて、複数の異常度算出モデルM1を生成してもよい。
ステップS24において、異常度算出部62は、生成された複数の異常度算出モデルM1を登録する。
(異常度算出処理)
次に、異常度算出部62が実行する異常度算出処理を説明する。図14は、一実施形態による異常度算出処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS31において、異常度算出部62は、特徴量データベース72に新たな特徴量データFDnewが登録されたか否かを判定する。新たな特徴量データFDnewが登録されていない場合(ステップS31:NO)、異常度算出部62は、ステップS31を繰り返す。新たな特徴量データFDnewが登録された場合(ステップS31:YES)、異常度算出部62は、処理をステップS32に進める。
ステップS32において、異常度算出部62は、特徴量データベース72から、新たに登録された特徴量データFDnewを抽出する。
ステップS33において、異常度算出部62は、登録されている複数の異常度算出モデルM1を読み出し、読み出された各異常度算出モデルM1と抽出された特徴量データFDnewに含まれる特徴量とを用いて、複数の異常度Aを算出する。つまり、1つの特徴量データFDnewから複数の異常度Aが算出される。異常度Aの算出に用いられる特徴量の種類は、異常度Aの算出に用いられる異常度算出モデルM1を生成する際に用いられた(例えば学習された)特徴量の種類と同じである。
ステップS34において、異常度算出部62は、算出した異常度Aと特徴量データFDnewに含まれる不良数とを含む異常度データADnewを生成し、異常度データベース73に登録する。異常度データADnewの生産日時は、異常度Aの算出に用いられた特徴量データFDnewの生産日時である。
異常度データADnewは、異常度Aの算出に用いられた異常度算出モデルM1のIDを含む。よって、どの異常度算出モデルM1を用いて異常度Aが算出されたか識別することができる。
(異常度算出モデルの採用判定処理)
次に、異常度算出部62が実行する異常度算出モデルの採用判定処理を説明する。なお、異常度算出部62が1つの異常度算出モデルしか備えていない場合、当該採用判定処理は、異常度算出部62によって実行されなくてもよい。図15は、一実施形態による異常度算出モデルの採用判定処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS41において、異常度算出部62は、異常度データベース73に、第1シート材測長値の不良数が1以上の新たな異常度データADnewが登録されたか否かを判定する。第1シート材測長値の不良数が1以上の新たな異常度データADnewが登録されていない場合(ステップS41:NO)、異常度算出部62は、ステップS41を繰り返す。第1シート材測長値の不良数が1以上の新たな異常度データADnewが登録された場合(ステップS41:YES)、異常度算出部62は、処理をステップS42に進める。
ステップS42において、異常度算出部62は、異常度データベース73から予め定められた所定数の異常度データADを抽出し、抽出された異常度データADをリスト化した異常度データリストALを生成する。つまり、異常度算出部62は、異常度データリストALを抽出する。異常度データリストALは、異常度データベース73に新たに登録された異常度データADnewを1番目として、異常度データADnewの生産日時から過去にさかのぼって所定数番目の異常度データADまでの異常度データADを抽出してリスト化したものである。このとき抽出される異常度データADは、異常度データADnewの異常度算出モデルIDと同じ異常度算出モデルIDを有する異常度データADである。換言すれば、異常度算出部62は、異常度Aを算出した異常度算出モデルIDごとに異常度データリストALを抽出する。異常度データリストALには、少なくとも、第1シート材測長値の不良数が1以上の新たに登録された異常度データADnewが含まれている。
ステップS43において、異常度算出部62は、異常度データリストALに含まれる各異常度データADに関して、不良率DRを算出する。不良率DRは、異常度データADに含まれる第1シート材測長値の不良数を集計単位数Wで割った値である。続いて、異常度算出部62は、不良率DRと異常度Aとの相関係数Cを算出する。相関係数Cの算出は、異常度算出モデルM1ごと、つまり異常度算出モデルIDごとに行われる。異常度算出部62は、異常度算出モデルIDごとに算出された複数の相関係数Cの中から最大の相関係数Cを選択する。
ステップS44において、異常度算出部62は、選択された最大の相関係数Cが相関閾値Thより大きいか否かを判定する。最大の相関係数Cが相関閾値Th以下の場合(ステップS44:NO)、異常度算出部62は、処理をステップS41に戻す。最大の相関係数Cが相関閾値Thより大きい場合(ステップS44:YES)、異常度算出部62は、処理をステップS45に進める。なお、相関閾値Thとは、前述のとおり、異常度算出モデルM1が算出する異常度Aと生産設備200で生産される巻回体204の不良数との間に相関が認められる相関係数Cの最小値である。
ステップS45において、異常度算出部62は、最大の相関係数Cを算出した異常度算出モデルM1を採用する。
なお、ステップS45において異常度算出モデルM1を採用した後も、異常度算出部62はステップS41以降の処理を繰り返してもよい。その結果、採用済みの異常度算出モデルM1とは異なる異常度算出モデルM1´が、最大の相関係数Cの算出に用いられる異常度Aを算出することになる可能性がある。この場合、異常度算出部62は、異常度算出モデルM1に代えて、異常度算出モデルM1´を採用してもよい。この場合、異常度算出部62で実行される処理以降の訓練部63で実行される各処理は、入れ替えられた異常度算出モデルM1´に基づいて実行される。
(状態ラベル設定処理)
次に、訓練部63が実行する状態ラベル設定処理を説明する。図16は、状態ラベル設定処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS51において、訓練部63は、特徴量データベース72に、不良率DRが不良率閾値Thdrよりも大きい特徴量データFDが登録されたか否かを判定する。不良率DRが不良率閾値Thdrよりも大きい特徴量データFDが登録されていない場合(ステップS51:NO)、訓練部63は、ステップS51を繰り返す。不良率DRが不良率閾値Thdrよりも大きい特徴量データFDが登録された場合(ステップS51:YES)、訓練部63は、処理をステップS52に進める。
ステップS52において、訓練部63は、異常度算出モデル採用判定処理で採用された異常度算出モデルM1が、異常度算出部62によって生成される際に使用された特徴量データFDの生産日時の期間を正常期間に設定する。対象の生産設備200の識別子と、設定された正常期間の開始日時および終了日時と、採用された異常度算出モデルM1の異常度算出モデルIDを対応付けて、正常期間の状態ラベルデータLDnormalを生成する。また、後述する異常期間または予兆期間以外の期間を正常期間に設定することができる。例えば、異常度算出モデルM1の生成に使用されなかったが、予兆期間として設定された期間よりも前の期間を正常期間に設定してもよい。
ステップS53において、訓練部63は、特徴量データベース72に登録されている、不良率DRが不良率閾値Thdrよりも大きい特徴量データFDの生産日時の期間を異常期間に設定する。対象の生産設備200の識別子と、設定された異常期間の開始日時および終了日時と、採用された異常度算出モデルM1の異常度算出モデルIDを対応付けて、異常期間の状態ラベルデータLDanormalyを生成する。
ステップS54において、訓練部63は、異常期間の状態ラベルデータLDanormalyの開始日時を終了日時とし、この終了日時から予め定められた所定の期間過去にさかのぼった日時を開始日時とする期間を予兆期間に設定する。対象の生産設備200の識別子と、設定された予兆期間の開始日時および終了日時と、採用された異常度算出モデルM1の異常度算出モデルIDを対応付けて、予兆期間の状態ラベルデータLDsignを生成する。
ステップS55において、訓練部63は、対象となる設備の識別子および異常度算出モデルIDが一致する異常度データADに基づいて、以下の処理を行う。すなわち、訓練部63は、正常期間の状態ラベルデータLDnormalの開始日時と終了日時との間に生産日時が含まれる異常度データADを、異常度データベース73から全て抽出し、それらの異常度Aの平均値(つまり正常期間の異常度Aの平均値)MAnormalを算出する。また、訓練部63は、予兆期間の状態ラベルデータLDsignの開始日時と終了日時との間に生産日時が含まれる異常度データADを、異常度データベース73から全て抽出し、それらの異常度Aの平均値(つまり予兆期間の異常度Aの平均値)MAsignを算出する。さらに、訓練部63は、異常期間の状態ラベルデータLDanormalyの開始日時と終了日時との間に生産日時が含まれる異常度データADを、異常度データベース73から全て抽出し、それらの異常度Aの平均値(つまり異常期間の異常度Aの平均値)MAanormalyを算出する。
ステップS56において、訓練部63は、正常期間の異常度Aの平均値MAnormalと、予兆期間の異常度Aの平均値MAsignと、異常期間の異常度Aの平均値MAanormalyとの大小関係が、MAnormal<MAsign<MAanormalyとなっているか否かを判定する。MAnormal<MAsign<MAanormalyとなっていない場合(ステップS56:NO)、訓練部63は、処理を終了し、生成した各状態ラベルデータLDnormal、LDsignおよびLDanormalyを破棄する。
一方、MAnormal<MAsign<MAanormalyとなっている場合(ステップS56:YES)、訓練部63は、処理をステップS57に進める。ステップS57において、訓練部63は、生成した各状態ラベルデータLDnormal、LDsignおよびLDanormalyを状態ラベルデータベース74に登録する。
(異常予兆検知モデルの生成処理)
次に、訓練部63が実行する異常予兆検知モデルの生成処理を説明する。図17は、一実施形態による異常予兆検知モデルの生成処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS61において、訓練部63は、状態ラベルデータベース74から全ての状態ラベルデータLDを抽出する。
ステップS62において、訓練部63は、抽出した正常期間の状態ラベルデータLDnormalの開始日時から終了日時までの間に生産日時が含まれる特徴量データFDを、特徴量データベース72から予め定められた所定数抽出する。訓練部63は、抽出された所定数の特徴量データFDを用いて、正常特徴量データリストFLnormalを生成する。特徴量データFDが所定数に満たない場合、訓練部63は、抽出した正常期間の状態ラベルデータLDnormalの開始日時から終了日時までの間に生産日時が含まれる全ての特徴量データFDを用いて正常特徴量データリストFLnormalを生成する。
ステップS63において、訓練部63は、抽出した予兆期間の状態ラベルデータLDsignの開始日時から終了日時までの間に生産日時が含まれる特徴量データFDを、特徴量データベース62から予め定められた所定数抽出する。訓練部63は、抽出された所定数の特徴量データFDを用いて、予兆特徴量データリストFLsignを生成する。特徴量データFDが所定数に満たない場合、訓練部63は、抽出した予兆期間の状態ラベルデータLDsignの開始日時から終了日時までの間に生産日時が含まれる全ての特徴量データFDを用いて予兆特徴量データリストFLsignを生成する。
ステップS64において、訓練部63は、抽出した異常期間の状態ラベルデータLDanormalyの開始日時から終了日時までの間に生産日時が含まれる特徴量データFDを、特徴量データベース72から予め定められた所定数抽出する。訓練部63は、抽出された所定数の特徴量データFDを用いて、異常特徴量データリストFLanormalyを生成する。特徴量データFDが所定数に満たない場合、訓練部63は、抽出した異常期間の状態ラベルデータLDanormalyの開始日時から終了日時までの間に生産日時が含まれる全ての特徴量データFDを抽出し、異常特徴量データリストFLanormalyを生成する。
ステップS65において、訓練部63は、正常特徴量データリストFLnormal、予兆特徴量データリストFLsignおよび異常特徴量データリストFLanormalyに含まれる全ての特徴量データFDに、「正常期間」、「予兆期間」および「異常期間」の3段階の状態ラベルLを付与することで、特徴量データFDlabeledを生成する。訓練部63は、各特徴量データFDlabeledに基づいて、特徴量データベース62から学習用データリストTLをそれぞれ抽出する。学習用データリストTLは、特徴量データFDを時系列に並べ、状態ラベルLが付与された特徴量データFDlabeledから所定数前にある特徴量データFDから、状態ラベルLが付与された特徴量データFDlabeledまでの特徴量データFDを抽出してリスト化したものである。つまり、状態ラベルLが付与された特徴量データFDlabeledは、学習用データリストTLに含まれる特徴量データFDのうち最新の特徴量データFDである。なお、学習用データリストTLには、特徴量データFDlabeledよりも生産日時が新しい特徴量データFDが含まれていてもよい。いずれにしても、学習用データリストTLには、少なくとも特徴量データFDlabeledが含まれている。また、生成される学習用データリストTLの数は、正常特徴量データリストFLnormal、予兆特徴量データリストFLsignおよび異常特徴量データリストFLanormalyに含まれる特徴量データFD(つまり、特徴量データFDlabeled)の数に等しくしてもよい。
図18を参照しながら、「予兆期間」の状態ラベルLが付与された特徴量データFDlabeledが生成される場合を例に挙げて、学習用データリストTLを説明する。図18は学習用データリストを説明するための図である。
図示された例では、予兆特徴量データリストFLsignに複数の特徴量データFDが含まれている。これら複数の特徴量データFDの全てに、予兆期間の状態ラベルLが付与され、これらの特徴量データFDが全て特徴量データFDlabeledになる。すなわち、訓練データ用のラベル付けされる各特徴量データは、時間軸に関して重複する特徴量群から構成されてもよい。このようにして、1回の予兆期間及び異常期間から複数の「予兆期間」及び「異常期間」のラベルが付けられた特徴量データを生成することができ、発生頻度の低い状態に対応する訓練データの数を増加させることが可能になる。いずれの特徴量データリストFLに含まれているかは関係なく、特徴量データFDを時系列に並べたもののなかから、時系列に並ぶ所定数の特徴量データFDが選択される。このとき選択される特徴量データFDのうち、生産日時が最新である特徴量データFDが、特徴量データFDlabeledである。このように選択された所定数の特徴量データFDによって、学習用データリストTLが構成される。
正常特徴量データリストFLnormalおよび異常特徴量データリストFLanormalyに含まれる特徴量データFDも、予兆特徴量データリストFLsignに含まれる特徴量データFDと同様に、全て特徴量データFDlabeledになる。そして、これらの特徴量データFDlabeledを含む学習用データリストTLが生成、抽出される。
つまり、学習用データリストTLは、複数の時系列に並ぶ生産実績データPDそれぞれから生成された複数の時系列に並ぶ特徴量データFDを含む。また、学習用データリストTLは、特徴量データFDlabeledを含む。特徴量データFDlabeledは、学習用データリストTLに含まれる複数の特徴量データFDを代表する代表特徴量データである。代表特徴量データFDlabeledには、「正常期間」、「予兆期間」または「異常期間」の状態ラベルLが付与されている。
再び図17を参照する。ステップS66において、訓練部63は、全ての学習用データリストTLを用いて機械学習を行い、異常予兆検知モデルM2を生成する。この際に使用される特徴量およびその組み合わせは、異常度算出部62で採用された異常度算出モデルM1の生成の際に使用された特徴量およびその組み合わせとされる。学習するに当たっては、代表特徴量データFDlabeledに付与されている状態ラベルLを正解として、学習用データリストTLに含まれる全ての特徴量データFDの入力を受け付ける教師あり学習が行われる。
上述したように、異常予兆検知モデルM2は、生産設備200が異常または異常の予兆に至るまでの時系列的な変化の特徴を学習したモデルである。異常予兆検知モデルM2は、生産設備200の異常および異常の予兆の検知に用いられる。
なお、複数の生産設備200の生産実績データPDを基に生成された学習用データリストTLを学習して1つの異常予兆検知モデルM2を生成してもよいし、生産設備200ごとに異なる異常予兆検知モデルM2を生成してもよい。
ステップS67において、訓練部63は、生成された1つあるいは複数の異常予兆検知モデルM2を登録する。
(異常予兆検知モデルの採用判定処理)
次に、訓練部63が実行する異常予兆検知モデルの採用判定処理を説明する。なお、訓練部63が1つのみの異常予兆検知モデルしか生成しない場合、当該採用判定処理は不要である。図19は、異常予兆検知モデル採用判定部127が実行する処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS71において、訓練部63は、状態ラベルデータベース74から全ての状態ラベルデータLDを抽出する。
ステップS72において、訓練部63は、抽出した「正常期間」の状態ラベルデータLDnormalの開始日時から終了日時までの間に生産日時が含まれる特徴量データFDを、特徴量データベース72から予め定められた所定数抽出する。訓練部63は、抽出された所定数の特徴量データFDを用いて、評価用の正常特徴量データリストEFLnormalを生成する。特徴量データFDが所定数に満たない場合、訓練部63は、抽出した正常期間の状態ラベルデータLDnormalの開始日時から終了日時までの間に生産日時が含まれる全ての特徴量データFDを用いて、評価用の正常特徴量データリストEFLnormalを生成する。
なお、ステップS72で生成される評価用の正常特徴量データリストEFLnormalに含まれる特徴量データFDは、図17のステップS62で生成される正常特徴量データリストFLnormalに含まれる特徴量データFDとは異なるものであることが望ましい。
ステップS73において、訓練部63は、抽出した予兆期間の状態ラベルデータLDsignの開始日時から終了日時までの間に生産日時が含まれる特徴量データFDを、特徴量データベース72から予め定められた所定数抽出する。訓練部63は、抽出された所定数の特徴量データFDを用いて、評価用の予兆特徴量データリストEFLsignを生成する。特徴量データFDが所定数に満たない場合、訓練部63は、抽出した予兆期間の状態ラベルデータLDsignの開始日時から終了日時までの間に生産日時が含まれる全ての特徴量データFDを用いて、評価用の予兆特徴量データリストEFLsignを生成する。
なお、ステップS73で生成される評価用の予兆特徴量データリストEFLsignに含まれる特徴量データFDは、図17のステップS63で生成される予兆特徴量データリストFLsignに含まれる特徴量データFDとは異なるものであることが望ましい。
ステップS74において、訓練部63は、抽出した「異常期間」の状態ラベルデータLDanormalyの開始日時から終了日時までの間に生産日時が含まれる特徴量データFDを、特徴量データベース72から予め定められた所定数抽出する。訓練部63は、抽出された所定数の特徴量データFDを用いて、評価用の異常特徴量データリストEFLanormalyを生成する。特徴量データFDが所定数に満たない場合、訓練部63は、抽出した異常期間の状態ラベルデータLDanormalyの開始日時から終了日時までの間に生産日時が含まれる全ての特徴量データFDを用いて、評価用の異常特徴量データリストEFLanormalyを生成する。
なお、ステップS74で生成される評価用の異常特徴量データリストEFLanormalyに含まれる特徴量データFDは、図17のステップS64で生成される異常特徴量データリストFLanormalyに含まれる特徴量データFDとは異なるものであることが望ましい。
ステップS75において、訓練部63は、評価用の正常特徴量データリストEFLnormal、評価用の予兆特徴量データリストEFLsignおよび評価用の異常特徴量データリストEFLanormalyに含まれる全ての特徴量データFDに、「正常期間」、「予兆期間」および「異常期間」の3段階の状態ラベルLを付与することで、特徴量データFDlabeledを生成する。訓練部63は、各特徴量データFDlabeledに基づいて、特徴量データベース72から評価用データリストELをそれぞれ抽出する。評価用データリストELは、特徴量データFDを時系列に並べ、状態ラベルLが付与された特徴量データFDlabeledから所定数前にある特徴量データFDから、状態ラベルLが付与された特徴量データFDlabeledまでの特徴量データFDを抽出してリスト化したものである。すなわち、評価用データリストELには、少なくとも特徴量データFDlabeledが含まれている。また、生成される評価用データリストELの数は、評価用の正常特徴量データリストEFLnormal、評価用の予兆特徴量データリストEFLsignおよび評価用の異常特徴量データリストEFLanormalyに含まれる特徴量データFD(つまり、特徴量データFDlabeled)の数に等しくてもよい。
すなわち、評価用データリストELは、図18を参照して説明された学習用データリストTLと同じ形式のリストである。また、状態ラベルLが付与された特徴量データFDlabeledを含む点においても、評価用データリストELは、学習用データリストTLと共通している。
ステップS76において、訓練部63は、新たに登録された異常予兆検知モデルM2newに、抽出された全ての評価用データリストELを入力する。すると、異常予兆検知モデルM2newは、入力された評価用データリストELの数の状態ラベルLを出力する。訓練部63は、評価用データリストELに含まれる特徴量データFDlabeledに付与された状態ラベルLと異常予兆検知モデルM2newから出力された状態ラベルLとが一致した(つまり正解した)件数(一致件数)C2を集計する。
ステップS77において、訓練部63は、異常予兆検知モデルM2newが学習に使用した異常度Aを算出した異常度算出モデルM1を抽出する。異常予兆検知モデルM2newが学習に使用した異常度Aとは、訓練部63によってステップS55にて抽出された異常度データADに含まれる異常度Aである。訓練部63は、全ての評価用データリストELに含まれる特徴量データFDlabeledを、抽出された異常度算出モデルM1に入力する。すると、異常度算出モデルM1は、入力された特徴量データFDlabeledの数の異常度Aを算出する。異常度算出モデルM1が算出した異常度Aは、次のように分類される。異常度Aが予め定められた所定の閾値である異常度閾値ThAanormalyよりも大きい場合、この異常度Aは、「異常期間」に分類される。異常度Aが予め定められた所定の閾値である予兆閾値ThAsignよりも大きく、異常度閾値ThAanormaly以下である場合、この異常度Aは、「予兆期間」に分類される。異常度Aが予兆閾値TAsign以下である場合、この異常度Aは、「正常期間」に分類される。訓練部63は、特徴量データFDlabeledに付与された状態ラベルLと異常度算出モデルM1が算出した異常度Aの分類結果とが一致した(つまり正解した)件数(一致件数)C1を集計する。
なお、異常度閾値ThAanormalyには、例えばステップS55で算出した、異常期間の異常度Aの平均値であるMAanormalyを用いてもよい。また、予兆閾値ThAsignには、例えばステップS55で算出した、予兆期間の異常度Aの平均値MAsignを用いてもよい。これにより、後述するステップS78において、訓練部63は、一致件数C1と一致件数C2とを同じ基準で比較することができるようになる。
ステップS78において、訓練部63は、一致件数C2が一致件数C1よりも大きいか否かを比較する。一致件数C2が一致件数C1よりも大きい場合(ステップS78:YES)、訓練部63は、処理をステップS79に進める。一致件数C2が一致件数C1以下である場合(ステップS78:NO)、異常予兆検知モデルM2newは採用されず、訓練部63は、処理を終了する。
ステップS79において、訓練部63は、異常予兆検知モデルM2newを採用する。
採用された異常予兆検知モデルM2newは、異常予兆検知装置100に提供され、生産設備200の異常および異常の予兆の検知に用いられる。
なお、異常予兆検知モデルM2newが採用されなかった場合(ステップS78:NO)、特徴量データFDの蓄積に伴って再び訓練部63によって、新たな異常予兆検知モデルM2newが生成され、訓練部63によって、この新たな異常予兆検知モデルM2newを採用するか否かが判定される。つまり、一致件数C2が一致件数C1よりも大きくなるまで、異常予兆検知モデルM2を生成するための機械学習が継続される。このようにして、モデル生成装置60は、生産設備200の稼働後も生産実績データを収集し、稼働中に収集した生産実績データを利用して、検知精度を向上させるために異常予兆検知モデルM2を再訓練することができる。
<異常予兆検知処理のための各処理の詳細>
以下では、図11に示される異常予兆検知装置100の一実施形態による異常予兆検知処理について詳細に説明する。ここで、異常予兆検知装置100の前処理は、モデル生成装置60のものと同様であり、重複を避けるため、説明を省く。なお、後述される処理は単なる一例であり、本開示による異常予兆検知処理は、モデル生成装置60によって生成される異常予兆検知モデル、生産設備200、製品等に応じて異なる処理によって実現されてもよい。
(異常予兆検知処理)
次に、異常予兆検知部102が実行する異常予兆検知処理を説明する。図20は、一実施形態による異常予兆検知処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS81において、異常予兆検知部102は、特徴量データベース72に新たな特徴量データFDnewが登録されたか否かを判定する。新たな特徴量データFDnewが登録されていない場合(ステップS81:NO)、異常予兆検知部102は、ステップS81を繰り返す。新たな特徴量データFDnewが登録された場合(ステップS81:YES)、異常予兆検知部102は、処理をステップS82に進める。
ステップS82において、異常予兆検知部102は、新たに登録された特徴量データFDnewに基づいて、特徴量データベース72から特徴量データリストFLを抽出する特徴量データリストFLは、特徴量データFDを時系列に並べ、新たに登録された特徴量データFDnewから所定数前にある特徴量データFDから、新たに登録された特徴量データFDnewまでの特徴量データFDを抽出してリスト化したものである。すなわち、特徴量データリストFLには、少なくとも新たに登録された特徴量データFDnewが含まれている。
すなわち、特徴量データリストFLは、図18を参照して説明された学習用データリストTLと同じ形式のデータリストである。
ステップS83において、異常予兆検知部102は、異常予兆検知モデルM2に、特徴量データリストFLを入力する。すると、異常予兆検知モデルM2は、複数の状態ラベルLnewを出力する。
ステップS84において、異常予兆検知部102は、状態ラベルLnewが「予兆期間」であるか否かを判定する。状態ラベルLnewが「予兆期間」である場合(ステップS84:YES)、異常予兆検知部102は、処理をステップS85に進める。なお、予兆期間とは、生産設備200に異常が発生しているわけではないが、異常の予兆が現れていることが想定される期間である。
ステップS85において、異常予兆検知部102は、異常の予兆が現れている旨を生産設備200の管理者等に通知する。ステップS85において、異常予兆検知部102は、「予兆期間」にあると判定された生産設備200を管理者等の端末に表示してもよい。例えば、異常予兆検知部102は、「以下の生産設備に異常の予兆あり!」等のメッセージとともに、異常の予兆が現れたと判断される生産設備200を表示してもよい。
一方、状態ラベルLnewが「予兆期間」でない場合(ステップS84:NO)、異常予兆検知部102は、処理をステップS86に進める。
ステップS86において、異常予兆検知部102は、状態ラベルLnewが「異常期間」であるか否かを判定する。なお、異常期間とは、異常の予兆の段階を超えて、生産設備200に異常が生じていることが想定される期間である。
状態ラベルLnewが「異常期間」である場合(ステップS86:YES)、異常予兆検知部102は、処理をステップS87に進める。ステップS87において、異常予兆検知部102は、「異常期間」にあると判定された生産設備200を管理者等の端末に表示してもよい。例えば、異常予兆検知部102は、「以下の生産設備に異常発生!」等のメッセージとともに、異常が発生したと判断される生産設備200を表示してもよい。また、異常予兆検知部102は、対象の生産設備200に異常が生じていることを報知するための警報を管理者等に発することができる。生産設備200に異常が生じている事態は、緊急の保全作業が必要な事態である。このため、異常予兆検知部102は、メッセージの表示だけでなく、警報による音または光の出力により、異常予兆検知装置100のユーザに対して速やかに異常の発生を通知してもよい。
状態ラベルLnewが「異常期間」でない場合(ステップS86:NO)、異常予兆検知部102は処理を終了する。
<第1の実施の形態のモデル生成装置60及び異常予兆検知装置100の作用・効果>
以上説明したように、第1の実施の形態に係るモデル生成装置60及び異常予兆検知装置100によれば、生産設備200の生産実績データPDから特徴量データFDを生成する処理と、生産設備200の異常度Aを算出する異常度算出モデルM1を、特徴量データFDから学習等により生成する処理と、生成された異常度算出モデルM1が、生産設備200の異常度合いを適切に算出しているか否かを判定する処理と、異常度算出モデルM1が算出した異常度Aに基づいて、生産設備200の状態を「正常期間」、「予兆期間」及び「異常期間」の3段階に設定する状態ラベル設定処理と、設定された状態ラベルLに基づいて、生産設備200の異常または異常の予兆を検知する異常予兆検知モデルM2を、特徴量データFDから学習により生成する処理と、異常度算出モデルM1と異常予兆検知モデルM2との判定精度を比較し、異常予兆検知モデルM2の判定精度が高い場合に、異常予兆検知モデルM2を採用する処理と、採用された異常予兆検知モデルM2を用いて、生産設備200に異常または異常の予兆が発生しているか否かを検知し、異常または異常の予兆が発生している場合にはその旨を通知する処理と、を実行することができる。
よって、生産設備200の劣化および故障等の異常が少ない場合においても、生産設備200の劣化および故障等の異常または異常の予兆に関連する特徴が適切に表れている特徴量データを抽出し、抽出された特徴量データを用いて精度の高い学習済みモデル(異常予兆検知モデルM2)を生成することができる。また、学習済みモデルを使用して生産設備200の異常を検知した場合には、警報を発することで、緊急の対応をユーザに行わせることができる。また、学習済みモデルを使用して異常の予兆を検知した場合には、異常の予兆を検知した生産設備200をユーザに報知することで、不良品の発生率が低いうちに、生産設備200の劣化および故障等の異常が進行することを予防するための保全作業を行わせることができる。
また、異常予兆検知モデルM2は、学習用データリストTLを用いる機械学習によって生成された学習済みモデルである。そして、異常予兆検知モデルM2は、学習用データリストTLと同じ形式のデータリストである特徴量データリストFLが入力されると、生産設備200が「正常期間」、「予兆期間」および「異常期間」のいずれにあるかを判定した結果を出力する。
本開示によれば、相対的に少数のラベル付けされた訓練データから生成可能な異常度算出モデルを利用して、ラベル付けされていない訓練データにラベル付けをすることによって、異常予兆検知モデルM2を、予兆期間および異常期間であるときの生産実績データPDが大量に集まらないうちに生成することができる。よって、生産設備200が製品の生産を開始してから経過した時間が比較的短いうちに異常の予兆が現れたり異常が発生したりしても、確実にそれらを検知することができる学習済み異常予兆検知モデルを利用することができる。したがって、生産設備200が製品の生産を開始してから経過した時間が比較的短いうちに、異常の予兆が現れたことおよび異常が発生したことを検知することができる。
(第2の実施の形態)
以下では、本開示の第2の実施の形態について説明する。図21は、第2の実施の形態に係るモデル生成装置60Aの機能構成を例示するブロック図である。第2の実施の形態に係るモデル生成装置60Aは、第1の実施形態に係るモデル生成装置60と次の点で異なる。すなわち、訓練部63Aが行う処理が、訓練部63が行う処理と異なっている。
以下では、第1の実施の形態との相違点について説明を行う。第1の実施の形態と同様の構成については、第1の実施の形態と同様の符号を付して説明し、第1の実施の形態と異なる構成については符号に「A」を付して説明する。
第1の実施の形態において、訓練部63は、生産設備200に劣化および故障等の異常が発生する直前の一定期間に、異常の予兆が現れることを前提として、異常期間の直前に一定期間の予兆期間を設定した。この方法は、生産設備200の劣化のパターンがいつも同じである場合に有効である。しかしながら、実際には、様々な要因により、劣化が想定よりも急激に進行し、異常の予兆が現れている期間が短くなる場合がある。この場合、異常の予兆が現れていない特徴量データFDが、予兆期間の特徴量データFDに想定以上に含まれることになり、生成される異常予兆検知モデルM2が異常の予兆を検知する性能が不足することになる。本第2の実施の形態は、このような場合に対応できる異常予兆検知モデルM2を生成するものである。
図22は、第2の実施の形態による状態ラベル設定処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS91において、訓練部63Aは、特徴量データベース72に、不良率DRが不良率閾値Thdrよりも大きい特徴量データFDが登録されたか否かを判定する。不良率DRが不良率閾値Thdrよりも大きい特徴量データFDが登録されていない場合(ステップS91:NO)、訓練部63Aは、ステップS91を繰り返す。不良率DRが所定の不良率閾値Thdrよりも大きい特徴量データFDが登録された場合(ステップS91:YES)、訓練部63Aは、処理をステップS92に進める。
ステップS92において、訓練部63Aは、異常度算出部62で採用された異常度算出モデルM1が、異常度算出部62によって生成される際に使用された特徴量データFDの生産日時の期間を正常期間に設定する。対象の生産設備200の識別子と、設定された正常期間の開始日時および終了日時と、採用された異常度算出モデルM1の異常度算出モデルIDを対応付けて、正常期間の状態ラベルデータLDnormalを生成する。また、後述する異常期間または予兆期間以外の期間を正常期間に設定することができる。例えば、異常度算出モデルM1の生成に使用されなかったが、予兆期間として設定された期間よりも前の期間を正常期間に設定することができる。
ステップS93において、訓練部63Aは、特徴量データベース72に登録されている、不良率DRが不良率閾値Thdrよりも大きい特徴量データFDの生産日時の期間を異常期間に設定する。対象の生産設備200の識別子と、設定された異常期間の開始日時および終了日時と、採用された異常度算出モデルM1の異常度算出モデルIDを対応付けて、異常期間の状態ラベルデータLDanormalyを生成する。
ステップS94において、訓練部63Aは、対象となる設備の識別子および異常度算出モデルIDが一致する異常度データADに基づいて、以下の処理を行う。すなわち、訓練部63Aは、正常期間の状態ラベルデータLDnormalの開始日時と終了日時との間に生産日時が含まれる異常度データADを、異常度データベース73から全て抽出し、それらの異常度Aの平均値(正常期間の異常度Aの平均値)MAnormalを算出する。また、訓練部63Aは、異常期間の状態ラベルデータLDanormalyの開始日時と終了日時との間に生産日時が含まれる異常度データADを、異常度データベース73から全て抽出し、それらの異常度Aの平均値(異常期間の異常度Aの平均値)MAanormalyを算出する。
ステップS95において、訓練部63Aは、正常期間の異常度Aの平均値MAnormalと異常期間の異常度Aの平均値MAanormalyとの平均値を算出する。訓練部63Aは、算出した平均値を、予兆期間の予兆閾値ThAsignに設定する。
ステップS96において、訓練部63Aは、異常期間の開始日時を終了日時とし、この終了日時から過去にさかのぼった日時を開始日時とする期間を予兆期間に設定し、予兆期間の状態ラベルデータLDsignを生成する。訓練部63Aは、予兆期間の開始日時と終了日時との間に生産日時が含まれる全ての異常度データADの異常度Aの平均値MAsignが予兆期間の予兆閾値ThAsignよりも大きくなる最長の期間を、予兆期間に設定する。換言すれば、訓練部63Aは、異常期間の開始日時を起点として、できるだけ長い期間、過去にさかのぼるように、予兆期間の開始日時を設定する。
ステップS97において、訓練部63Aは、生成した各状態ラベルデータLDnormal、LDsignおよびLDanormalyを状態ラベルデータベース74に登録する。
以上説明したように、第2の実施の形態に係るモデル生成装置60Aによれば、異常の予兆が現れる期間が一定ではなく、短くなることがある場合においても、異常の予兆期間を適切に設定し、精度の高い学習済みモデル(異常予兆検知モデルM2)を生成することができる。
(第3の実施の形態)
以下では、本開示の第3の実施の形態について説明する。図23は、第3の実施の形態に係るモデル生成装置60Bの機能構成を例示するブロック図である。第3の実施の形態に係るモデル生成装置60Bは、第1の実施形態に係るモデル生成装置60と次の点で異なる。すなわち、訓練部63Bが行う処理が、訓練部63が行う処理と異なっている。
以下では、第1の実施の形態との相違点について説明を行う。第1の実施の形態と同様の構成については、第1の実施の形態と同様の符号を付して説明し、第1の実施の形態と異なる構成については符号に「B」を付して説明する。
第1の実施の形態において、訓練部63は、生産設備200に劣化および故障等の異常が発生する直前の一定期間に、異常の予兆が現れることを前提として、異常期間の直前に一定の予兆期間を設定した。この方法は、生産設備200の劣化の進行とともに、異常の予兆が現れていることが明確になっていき、やがて異常の発生に至る場合に有効である。しかしながら、実際には、様々な要因により、異常期間の直前の期間に、異常の予兆が現れていない期間が含まれる場合がある。この場合、異常の予兆が現れていない特徴量データFDが、予兆期間の特徴量データFDに含まれることになり、生成される異常予兆検知モデルM2が異常の予兆を検知する性能が不足することになる。本第3の実施の形態は、このような場合に対応できる異常予兆検知モデルM2を生成するものである。
図24は、第3の実施の形態による状態ラベル設定処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS101において、訓練部63Bは、特徴量データベース62に、不良率DRが不良率閾値Thdrよりも大きい特徴量データFDが登録されたか否かを判定する。不良率DRが所定の不良率閾値Thdrよりも大きい特徴量データが登録されていない場合(ステップS101:NO)、訓練部63Bは、ステップS101を繰り返す。不良率DRが所定の不良率閾値Thdrよりも大きい特徴量データFDが登録された場合(ステップS101:YES)、訓練部63Bは、処理をステップS102に進める。
ステップS102において、訓練部63Bは、異常度算出部62で採用された異常度算出モデルM1が、異常度算出部62によって生成される際に使用された特徴量データFDの生産日時の期間を正常期間に設定する。対象の生産設備200の識別子と、設定された正常期間の開始日時および終了日時と、採用された異常度算出モデルM1の異常度算出モデルIDを対応付けて、正常期間の状態ラベルデータLDnormalを生成する。また、後述する異常期間または予兆期間以外の期間を正常期間に設定することができる。例えば、異常度算出モデルM1の生成に使用されなかったが、予兆期間として設定された期間よりも前の期間を正常期間に設定することができる。
ステップS103において、訓練部63Bは、特徴量データベース72に登録されている、不良率DRが不良率閾値Thdrよりも大きい特徴量データFDの生産日時の期間を異常期間に設定する。対象の生産設備200の識別子と、設定された異常期間の開始日時および終了日時と、採用された異常度算出モデルM1の異常度算出モデルIDを対応付けて、異常期間の状態ラベルデータLDanormalyを生成する。
ステップS104において、訓練部63Bは、対象となる設備の識別子および異常度算出モデルIDが一致する異常度データADに基づいて、以下の処理を行う。すなわち、訓練部63Bは、正常期間の状態ラベルデータLDnormalの開始日時と終了日時との間に生産日時が含まれる異常度データADを、異常度データベース73から全て抽出し、それらの異常度Aの平均値(正常期間の異常度Aの平均値)MAnormalを算出する。また、訓練部63Bは、異常期間の状態ラベルデータLDanormalyの開始日時と終了日時との間に生産日時が含まれる異常度データADを、異常度データベース73から全て抽出し、それらの異常度Aの平均値(異常期間の異常度Aの平均値)MAanormalyを算出する。
ステップS105において、訓練部63Bは、正常期間の異常度Aの平均値MAnormalと異常期間の異常度Aの平均値MAanormalyとの平均値を算出する。訓練部63Bは、算出した平均値を、予兆期間の予兆閾値ThAsignに設定する。
ステップS106において、訓練部63Bは、予兆閾値ThAsignよりも異常度Aが大きく、かつ、生産日時が正常期間および異常期間に含まれない異常度データADを抽出する。訓練部63Bは、抽出された異常度データADを所定の期間、例えば1日を単位としてグループ化する。訓練部63Bは、異常度データADが予め定められた所定数以上存在するグループの期間を予兆期間として、予兆期間の状態ラベルデータLDsignを生成する。
ステップS107において、訓練部63Bは、生成した各状態ラベルデータLDnormal、LDsignおよびLDanormalyを状態ラベルデータベース74に登録する。
以上説明したように、第3の実施の形態に係るモデル生成装置60Bによれば、異常期間の直前の期間に、異常の予兆が現れていない期間が含まれる場合においても、異常の予兆期間を適切に設定し、精度の高い学習済みモデル(異常予兆検知モデルM2)を生成することができる。
なお、第1の実施の形態、第2の実施の形態および第3の実施の形態で生成されたそれぞれの異常予兆検知モデルM2の検知性能が訓練部63、63A及び63Bで比較され、最も検知性能が高い異常予兆検知モデルM2が採用されてもよい。
また、本開示に係るモデル生成装置60,60A,60B及び異常予兆検知装置100が適用される生産設備200が、リチウムイオン二次電池以外の製品を生産する生産設備であってもよいことは言うまでも無い。
異常予兆検知モデルM2の適用先は、異常予兆検知モデルM2を生成する際に使用した生産実績データPDを生成した生産設備200に限られず、生産設備200と同じ製品を生産する他の設備であってもよい。さらには、異常の発生の仕方の傾向が共通する場合、異常予兆検知モデルM2の適用先は、生産設備200とは異なる製品を生産する設備であってもよい。
本開示は、生産設備の異常または異常の予兆を検知する異常予兆検知装置に有用である。
10 異常予兆検知システム
20 訓練用データベース
60,60A,60B モデル生成装置
61 前処理部
62 異常度算出部
63,63A,63B 訓練部
71 生産実績データベース
72 特徴量データベース
73 異常度データベース
74 状態ラベルデータベース
100 異常予兆検知装置
101 前処理部
102 異常予兆検知部
200 生産設備
201 巻回部
202 第1シート材
203 第2シート材
204 巻回体
205A 第1貼合ロール
205B 第2貼合ロール
206 巻芯
206M 巻芯回転駆動部
207 検査機
208 切断部
40 第1シート材切断後長さ測定センサー
41 第2シート材切断後長さ測定センサー
50 第1供給リール
51 第2供給リール

Claims (11)

  1. 訓練用の生産実績データの特徴量データを取得する前処理部と、
    正常状態の特徴量群を表す異常度算出モデルを利用して、前記取得した特徴量データの異常度を算出する異常度算出部と、
    前記算出した異常度に基づき前記特徴量データの状態を決定し、前記特徴量データと前記特徴量データの状態とから構成される訓練データによって、前記特徴量データから前記特徴量データの状態を検知する異常予兆検知モデルを訓練する訓練部と、
    を有するモデル生成装置。
  2. 前記異常予兆検知モデルは、前記特徴量データの状態を正常期間、予兆期間又は異常期間に判別する、請求項1に記載のモデル生成装置。
  3. 前記訓練部は、前記算出した異常度と予兆閾値及び異常閾値との比較に基づき、前記特徴量データの状態を判別する、請求項2に記載のモデル生成装置。
  4. 前記異常度算出モデルは、前記特徴量データの異常度として前記正常状態の特徴量群からの乖離度を算出する、請求項1から3の何れか一項に記載のモデル生成装置。
  5. 前記前処理部は、前記訓練用の生産実績データの統計量に基づき前記特徴量データを決定する、請求項1から4の何れか一項に記載のモデル生成装置。
  6. 前記訓練データの各特徴量データは、時間軸に関して重複する特徴量群から構成される、請求項1から5の何れか一項に記載のモデル生成装置。
  7. 前記異常度算出部は、訓練用データベースから取得した前記特徴量データと前記特徴量データの状態とから構成される訓練データによって前記異常度算出モデルを生成する、請求項1から6の何れか一項に記載のモデル生成装置。
  8. 訓練用の生産実績データの特徴量データを取得するステップと、
    正常状態の特徴量群を表す異常度算出モデルを利用して、前記取得した特徴量データの異常度を算出するステップと、
    前記算出した異常度に基づき前記特徴量データの状態を決定し、前記特徴量データと前記特徴量データの状態とから構成される訓練データによって、前記特徴量データから前記特徴量データの状態を検知する異常予兆検知モデルを訓練するステップと、
    をコンピュータが実行するモデル生成方法。
  9. 検知対象の生産実績データの特徴量データを取得する前処理部と、
    訓練済み異常予兆検知モデルを利用して、前記特徴量データから前記特徴量データの状態を検知する異常予兆検知部と、
    を有し、
    前記異常予兆検知モデルは、訓練用の生産実績データの特徴量データと前記特徴量データの状態とから構成される訓練データによって訓練され、
    前記特徴量データの状態は、正常状態の特徴量群を表す異常度算出モデルを利用して算出された前記特徴量データの異常度に基づき決定される、異常予兆検知装置。
  10. 検知対象の生産実績データの特徴量データを取得するステップと、
    訓練済み異常予兆検知モデルを利用して、前記特徴量データから前記特徴量データの状態を検知するステップと、
    をコンピュータが実行し、
    前記異常予兆検知モデルは、訓練用の生産実績データの特徴量データと前記特徴量データの状態とから構成される訓練データによって訓練され、
    前記特徴量データの状態は、正常状態の特徴量群を表す異常度算出モデルを利用して算出された前記特徴量データの異常度に基づき決定される、異常予兆検知方法。
  11. 請求項1から7の何れか一項に記載のモデル生成装置と、
    請求項9に記載の異常予兆検知装置と、
    を有する異常予兆検知システム。
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