JP2023023173A - ユニットトラス - Google Patents

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Tomoki KOBASHI
繁明 藤内
Shigeaki Tonai
誠明 中安
Masaaki Nakayasu
広幸 海原
Hiroyuki Kaihara
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Abstract

【課題】上弦材の座屈を簡易な構成で効果的に補剛できるユニットトラスを提供する。【解決手段】ユニットトラス10は、水平方向に互いに対向して対称に配置された一組の弦トラス12であって、それぞれの弦トラス12が、上弦材14と、上弦材14の下側に上弦材14と離れて設けられた下弦材16と、上弦材14と下弦材16とを連結し上弦材14との接合位置が上弦材14の図心とは一致しないように配置され上弦材14との間で三角形のトラスを形成する一対の上下連結材18と、をそれぞれ有する一組の弦トラス12と、一端が一組の弦トラス12中の一方の上弦材14における被補剛区間であって一対の上下連結材18との接合部間に取り付けられ、他端が他方の上弦材14における被補剛区間であって一対の上下連結材18との接合部間に取り付けられ、一組の上弦材14の長手方向に直交して水平に延びる固定部材20と、を備える。【選択図】図4

Description

本開示は、ユニットトラスに関する。
従来、例えば平屋の事務所を建築する際、建物の内部空間を広く確保するために、トラス梁を用いて屋根を施工する方法が知られている。トラス梁の施工性を向上させる観点から、施工現場とは別の工場等で、ユニット型のトラス(以下、「ユニットトラス」と呼ぶ。)もしくはユニットトラスの一部を予め製造し、製造したユニットトラスもしくはユニットトラスの一部を施工現場で組み上げることで、施工負荷を抑えることができる。例えば特許文献1~7には、上弦材、下弦材、及び斜材(上下連結材)を有する弦トラスと、複数の弦トラスを水平方向で繋ぐ繋ぎ材(弦トラス間連結材)を有するユニットトラスを用いた屋根の施工方法が開示されている。
ユニットトラスを用いた屋根構造では、特に、屋根側に位置する上弦材に、大きな圧縮力が作用し、曲げ座屈が生じる場合が多い。この点、例えば「鋼構造許容応力度設計基準」には、圧縮力が作用する部材の水平移動を座屈補剛材によって拘束する場合、座屈補剛材が十分な剛性と強度を有する必要があることが記載されている。
このため、トラスフレームや壁面材といった比較的堅牢な拘束手段を座屈補剛材として弦トラスの間に設けることによって、ユニットトラスの中で対向する上弦材同士及び対向する下弦材同士を一体的に連結する方法が知られている。比較的堅牢な拘束手段によって、上弦材の座屈波長が制御されると共に、上弦材における拘束手段との接合点の水平移動が拘束される。比較的堅牢な拘束手段の一例として、特許文献1には、一組の平行な弦トラスの間に、弦トラスのトラス面方向に対して直交する方向に配置された直交トラスフレームが開示されている。
特許文献1の直交トラスフレームは、一組の弦トラスにおいて対向する上弦材の節点同士に両端が接合された繋ぎ材と、対向する下弦材の節点同士に両端が接合された補剛材とを有する。また、繋ぎ材と補剛材とが補強用斜材によって連結されることで、直交トラスフレームの剛性と強度とが担保される。また、繋ぎ材による拘束力は、補剛材と補強用斜材との組み合わせによって形成されるトラス構造の付加によって補強される。
特開2020-143479号公報 特許第6433107号公報 特開2018-76721号公報 特開2017-186857号公報 特開2016―79688号公報 特開2015-10446号公報 特開2014-105458号公報
しかし、直交トラスフレームを用いる場合、トラスの三角形を形成するため、通常、3つ以上の複数の部材を組み合わせる必要がある。直交トラスフレームの個数が多くなる程、或いは、1個の直交トラスフレームの中のトラスの三角形の個数が多くなる程、必要な部材量は多くなる。すなわち、対向する上弦材同士及び対向する下弦材同士を一体的に連結する比較的堅牢な拘束手段は、構造が複雑である。
このため、直交トラスフレームを用いる場合、全体の部材量が多くなる結果、コストを含めた製造負担が大きいという問題が生じる。また、直交トラスフレームが取り付けられたユニットトラス全体の重量も増加するため、ユニットトラスの取り扱いの負担が大きくなり、施工時に建設現場でユニットトラスを運搬又は設置する際の負担が大きくなるという問題も伴う。なお、例えば壁面材のような、トラスフレーム以外の比較的堅牢な拘束手段が用いられる場合においても、対向する上弦材同士及び対向する下弦材同士を一体的に連結する限り、トラスフレームの場合と同様の問題が懸念される。
本開示は、上記の問題に鑑み、上弦材の座屈を簡易な構成で効果的に補剛できるユニットトラスを提供することを目的とする。
本開示のある態様に係るユニットトラスは、水平方向に互いに対向して対称に配置された一組の弦トラスであって、それぞれの弦トラスが、上弦材と、上弦材の下側に上弦材と離れて設けられた下弦材と、上弦材と下弦材とを連結し上弦材との接合位置が上弦材の図心とは一致しないように配置され上弦材との間で三角形のトラスを形成する一対の上下連結材と、をそれぞれ有する一組の弦トラスと、一端が一組の弦トラス中の一方の上弦材における被補剛区間であって一対の上下連結材との接合部間に取り付けられ、他端が他方の上弦材における被補剛区間であって一対の上下連結材との接合部間に取り付けられ、一組の上弦材の長手方向に直交して水平に延びる固定部材と、を備える。
上記の態様では、一組の弦トラスが、水平方向に互いに対向して対称に配置され、尚且つ、上弦材と上下連結材は、上弦材と上下連結材とのせん断中心は一致しないように接続される。このため、ユニットトラスに対して風や雪等による荷重が作用すると、上下連結材から上弦材に作用する荷重は、上弦材のせん断中心からずれた位置に作用する。なお、上弦材の「断面」は、長尺状の上弦材が延びる方向に直交する切断面を意味する。
結果、一組の上弦材のそれぞれに、荷重の載荷方向に応じて、互いに逆向きの偏心曲げモーメントが生じる。すなわち、対向する2つの上弦材には、互いに内向き又は外向きとなる逆向きの捻じりが、同時に加わる。このため、対向する上弦材には、必ず逆向きの変形が同時に発生する。
ここで、固定部材の一端は、一方の上弦材における被補剛区間であって一対の上下連結材との接合部間に取り付けられる。また、固定部材の他端は、他方の上弦材における被補剛区間であって一対の上下連結材との接合部間に取り付けられる。換言すると、固定部材の両端は、対向する2つの上弦材のそれぞれにおいて、上弦材と一対の上下連結材との間で形成される弦トラスの三角形の一辺に対応する部分に取り付けられる。
このため、2つの上弦材に互いに逆向きの捻じりが同時に加わると、固定部材の両端にも、互いに逆向きの力が、同時に加わる。具体的には、荷重の載荷方向に応じて、固定部材の片端から中央に向かって圧縮する力が作用する場合には、固定部材の他端からも中央に向かってほぼ同じ大きさの圧縮する力が加えられることとなり、また固定部材の片端から中央に向かって引っ張る力が作用する場合には、固定部材の他端からも中央に向かってほぼ同じ大きさの引っ張る力が加えられることとなる。
ここで、上弦材に圧縮力が作用して曲げ座屈が発生するとき、前述の上下連結材と上弦材の偏心による上弦材のねじりの影響で、上弦材に発生する曲げ座屈の座屈変形についても、対向する上弦材には必ず逆向きに発生する。
結果、対向する2つの上弦材に互いに逆向きの座屈変形が生じようとした場合に、固定部材が抵抗することでその変形が拘束される。言い換えれば、対向する2つの上弦材が座屈変形によってユニットトラスの外側へはらみだそう(張り出そう)とした場合、固定部材が2つの対向する上弦材をユニットトラスの外側から内側へ引っ張る方向に抵抗し、また、対向する2つの上弦材が座屈変形によってユニットトラスの内側へはらみだそう(張り出そう)とした場合、固定部材が2つの対向する上弦材をユニットトラスの内側から外側へ押し出す方向に抵抗する。この結果、固定部材は、2つの上弦材の座屈変形を拘束し、その座屈波長をそれぞれ短くすることが出来る。
また、上記の態様では、固定部材として、一組の上弦材の長手方向に直交して水平に延びる部材を用意すれば済むので、対向する上弦材同士及び対向する下弦材同士を一体的に連結する比較的堅牢な拘束手段を用意する必要がない。固定部材が、例えば1本の鋼材等の棒状部材である場合、固定部材を極めて簡易に作製することが可能であり、結果、上弦材の座屈補剛に必要な部材の量を少なくし、工場でのユニットトラスの製造に要する手間を大幅に抑えることができる。
よって、上記の構成によれば、比較的堅牢な拘束手段を用いる場合と比べ、ユニットトラスのコストを抑えられると共に、ユニットトラスの製造が容易になる。また、固定部材が取り付けられたユニットトラス全体の重量の増加を、比較的堅牢な拘束手段を用いる場合より抑制できるので、建設現場におけるユニットトラスの取り扱いの負担が小さくなる。
なお、本開示の固定部材が、比較的堅牢な拘束手段と共に併用される場合には、固定部材によって上弦材の座屈を補剛できる分、比較的堅牢な拘束手段の使用量を低減することができる。
本開示によれば、上弦材の座屈を簡易な構成で効果的に補剛できるユニットトラスを提供できる。
本開示の実施形態に係るユニットトラスを説明する平面図である。 図1中の2-2線断面図である。 図1中の3-3線断面図である。 図4(A)は、本実施形態に係るユニットトラスの上弦材の両端に上向きの荷重がかかった状態を説明する断面図であり、図4(B)は、図4(A)及び図4(C)中の4B-4B線断面図であり、図4(C)は、上弦材の両端に上向きの荷重がかかった状態を説明する平面図である。 本実施形態に係るユニットトラスを用いた載荷実験の方法を説明する側面図である。 複数のユニットトラスの連結構造体を説明する平面図である。
以下に本開示の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一の部分及び類似の部分には、同一の符号又は類似の符号を付している。ただし、図面における厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判定すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
<ユニットトラスの構造>
まず、本実施形態に係るユニットトラス10の構造について、図1~図3を参照して説明する。ユニットトラス10は、図1に示すように、一組の弦トラス12と、固定部材20と、を備える。また、ユニットトラス10は、いずれも弦トラス間連結材としての直交トラスフレーム19Aと、図1中の左右方向の両端に設けられた壁面材19Bとを備える。
(弦トラス)
一組の弦トラス12に含まれるそれぞれの弦トラス12は、上弦材14と、下弦材16と、一対の上下連結材18と、をそれぞれ有する。一組の弦トラス12のそれぞれの構造は、互いに同様であるため、以下、一方の弦トラス12の構造について主に説明し、他方の弦トラス12の構造における一方の弦トラス12の構造と重複する部分については、説明を省略する。また、本明細書及び図面によって説明される上弦材14、下弦材16及び上下連結材18のそれぞれの長さは、例示であり、本開示では、ユニットトラスを構成する各部材の長さは、求められる設計条件に応じて適宜設定できる。
(上弦材)
本実施形態の上弦材14は、例えばめっき鋼板で形成された1つのリップ溝形鋼である。本実施形態では、上弦材14のリップ溝形鋼は、開口部が外側に位置するように配置される。なお、本開示では、開口部を有する上弦材14の配置パターンは、これに限定されず、開口部が内側(図3中の仮想面A側)に位置するように配置されてもよい。
なお、本開示では、これに限定されず、例えば、リップ無しの溝形鋼や、断面がL字状の山形鋼等の形鋼部材であっても上弦材として使用できる。また、上弦材を構成する形鋼部材の個数は1つに限定されず、複数の形鋼部材を組み合わせて構成されてもよい。また、本開示では、上弦材の素材は、鋼材に限定されず、アルミニウム板、チタン板、木材等、任意に変更できる。
(被補剛区間)
図1に示すように、上弦材14は、長手方向に沿って1個以上の被補剛区間14Aに分画できる。図1中には、ユニットトラス10の両端の2つの壁面材19Bと、中央の2つの直交トラスフレーム19Aとからなる4つの弦トラス間連結材によって区画される3つの被補剛区間14Aが例示されている。
具体的には、被補剛区間14Aは、隣接する弦トラス間連結材が上弦材14とそれぞれ接合する接合部の中心(節点)間の領域として設定される。節点は、例えば、上弦材14の長手方向に沿った部分の接合部の中心位置に定義できる。なお、本開示では、被補剛区間の数は、これに限定されず、1つでもよいし、2つでもよいし、或いは4つ以上であってもよい。
また、本開示では、被補剛区間の設定には、弦トラス間連結材は必須ではない。弦トラス間連結材が設けられていない場合であっても、例えば家屋の壁等によって、ユニットトラスの外部から一組の弦トラスを内側に向かって押し込むように弦トラスに力を加えることができる。弦トラスに加えられた力によって上弦材に節点が形成されると共に、形成された節点間に被補剛区間が設定されてもよい。
(下弦材)
下弦材16は、上弦材14の下側に上弦材14と離れて設けられる。上弦材14と下弦材16とは、一対の上下連結材18によって連結される。本実施形態の下弦材16は、めっき鋼板で形成された1つのリップ溝形鋼である。なお、本開示では、これに限定されず、例えば、リップ無しの溝形鋼や、断面がL字状の山形鋼等の形鋼部材であっても下弦材として使用できる。また、下弦材を構成する形鋼部材の個数は1つに限定されず、複数の形鋼部材を組み合わせて構成されてもよい。また、本開示では、下弦材の素材は、鋼材に限定されず、アルミニウム板、チタン板、木材等、任意に変更できる。
また、本開示では、上弦材14と下弦材16とが互いに平行に延びる弦トラス12が構成された場合が例示されているが、本開示では、これに限定されず、例えば、上弦材と下弦材とが近づくように延びてもよく、厳密に互いに平行に延びなくてもよい。また本開示では、上弦材と下弦材は同じ断面仕様を有する必要はなく、一対の上弦材同士、ならびに一対の下弦材同士が同じ断面を有して入ればよい。
(上下連結材)
図2に示すように、本実施形態の上下連結材18は、上弦材14及び下弦材16の延びる方向に対して約45度傾斜して延びる斜材である。弦トラス12を側面から見て、一対の上下連結材18の配置パターンは、V字状である。すなわち、一対の上下連結材18は、上弦材14との間でトラスの概三角形を形成する。上下連結材18は、上弦材14との接合位置が上弦材14の図心とは一致しないように配置される。なお、本開示では、上下連結材の配置パターンは、これに限定されず、例えば、傾斜角度も適宜変更できる。
本実施形態の上下連結材18は、めっき鋼板で形成された1つのリップ溝形鋼である。なお、本開示では、これに限定されず、例えば、リップ無しの溝形鋼や、断面がL字状の山形鋼等の形鋼部材であっても上下連結材として使用できる。また、上下連結材を構成する形鋼部材の個数は1つに限定されず、複数の形鋼部材を組み合わせて構成されてもよい。なお、本開示では、これに限定されず、角形鋼管等、任意の形鋼部材を上下連結材として使用できる。また、上弦材又は下弦材と同様、上下連結材を構成する形鋼部材の個数は1つに限定されず、複数の形鋼部材を組み合わせて構成されてもよい。また、上弦材又は下弦材と同様、上下連結材の素材も、鋼材に限定されず任意に変更できる。
図1及び図2に示すように、本実施形態では、上下連結材18のリップ溝形鋼は、開口部が仮想面A側となる内側に位置するように配置される。なお、本開示では、開口部を有する上下連結材の配置パターンは、これに限定されず、開口部が外側(仮想面Aと反対側)に位置するように配置されてもよい。
上下連結材18と、上弦材14及び下弦材16とは、それぞれ、ドリルねじ、リベット、ボルト等によって接合される。ドリルねじ、リベット、ボルト等の図示は省略する。なお、上下連結材18と上弦材14及び下弦材16との接合については、例えばガセットプレート等を介した接合仕様としてもよい。
一組の弦トラス12は、一組の弦トラス12が存在する空間内で、図1に示す仮想面Aを挟んで水平方向に互いに対向して対称に配置される。仮想面Aは、一組の弦トラス12の中間位置で、一組の弦トラス12のそれぞれのトラス面に平行な平面として設定される。弦トラス12のトラス面は、上下連結材18と上弦材14との間で形成されるトラスの概三角形の面である。本実施形態では、一組の弦トラス12は、図1及び図3中の仮想面Aを挟んで対称に配置される。
本実施形態では、上弦材14のリップ溝形鋼は、開口部が外側に位置するように配置される。また、上下連結材18のリップ溝形鋼は、開口部が内側に位置するように配置される。また、上弦材14と上下連結材18との間では、それぞれのリップ溝形鋼のウェブ同士が張り合わせられる。
なお、例えば本開示では、ユニットトラスにおいて、一組の上弦材14のリップ溝形鋼が、開口部が内側に位置するように対称配置される場合、上弦材14のリップ溝形鋼のウェブは、外側(図1中で上弦材14の仮想面Aと反対側)に位置する。そして、本実施形態のように、上下連結材18のリップ溝形鋼は、上弦材14のリップ溝形鋼のウェブ側に配置され、それぞれのウェブ同士が接合されることになる。
(固定部材)
本実施形態の固定部材20は、めっき鋼板で形成された1つのリップ溝形鋼である。なお、本開示では、これに限定されず、角形鋼管や棒鋼等、任意の形鋼部材を上下連結材として使用できる。また、本開示では、上弦材、下弦材又は上下連結材と同様、固定部材を構成する形鋼部材の個数は1つに限定されず、複数の形鋼部材を組み合わせて構成されてもよい。また、本開示では、上弦材、下弦材又は上下連結材と同様、固定部材の素材も、鋼材に限定されず任意に変更できる。
固定部材20の一端(図1中の上端)は、一組の弦トラス12中の図1中の上側の一方の上弦材14における被補剛区間14Aであって、一対の上下連結材18との接合部間に取り付けられる。また、固定部材20の他端(図1中の下端)は、図1中の下側の他方の上弦材14における被補剛区間14Aであって、一対の上下連結材18との接合部間に取り付けられる。
固定部材20は、一方の被補剛区間14Aと他方の被補剛区間14Aとの間に架け渡された状態で、一組の上弦材14の長手方向(図1中の左右方向)に直交して水平に延びる。固定部材20は、仮想面Aに対して対称に配置される。固定部材20は、対向する弦トラス12同士を繋ぐ弦トラス間連結材としての機能を有する。
なお、例えば、上弦材14が開口部を有する溝形鋼であって、開口部が対向した状態で一組の上弦材14が対称配置されている場合には、固定部材20の端部は、溝形鋼の開口部の内側のウェブ面に取り付けられてもよい。
固定部材20と上弦材14とは、例えば、L字状の接続金物を介したねじ止めによって接合できる。また、本実施形態では、固定部材20は、被補剛区間14Aの長さを2等分する位置に取り付けられる。なお、本開示では、固定部材の取り付け位置は、これに限定されず、被補剛区間内の任意の位置に取り付けできる。
(弦トラス間連結材)
弦トラス間連結材は、一組の弦トラス12において、互いに対向する上弦材14同士と、互いに対向する下弦材16同士とを一体的に連結する。本実施形態では、弦トラス間連結材として、直交トラスフレーム19A及び壁面材19Bが設けられる。直交トラスフレーム19A及び壁面材19Bは、例えばL字状の接続金物を介して弦トラス12の上弦材14及び下弦材16にそれぞれ接合したり、板状の接続金物を介して弦トラス12の上弦材14及び下弦材16にそれぞれ接合したりすることができる。
本開示では、ユニットトラス10に対し、直交トラスフレーム19A及び壁面材19Bのような弦トラス間連結材を付加することは妨げられない。ただし、固定部材20自体が、一組の弦トラス12を繋ぐ連結材としての機能を有するため、弦トラス間連結材が付加されなくても、本開示は成立する。すなわち、図示を省略するが、一組の弦トラスは、固定部材のみを用いて連結された場合であっても、上弦材の座屈を補剛することができる。換言すると、本開示では、固定部材によって、上弦材を補剛するために比較的堅牢な拘束手段を外部に求める必要がない、自己釣合い型のユニットトラスを実現できる。
(荷重と偏心曲げモーメント)
次に、本実施形態に係るユニットトラス10において、一対の上弦材14にかかる荷重と、荷重によって生じる偏心曲げモーメントとについて、図4を参照して説明する。なお、見易さのため、図4中では、上弦材14、下弦材16、上下連結材18及び固定部材20以外の部材の図示は、省略されている。
図4(A)に示すように、ユニットトラスに対して鉛直方向への荷重が作用する。このとき、上弦材には、ユニットトラス全体として外力に抵抗することで生じる軸方向への圧縮力と、上下連結材の偏心による生じる曲げモーメントが作用する。
このとき、図4(B)に示すように、例えば上下連結材18が上下連結材18を圧縮する方向への力に抵抗している場合、上下連結材18から上弦材14に荷重が作用する位置は上弦材14と上下連結材18が接合される上弦材14のウェブ表面となり、上弦材14の図心とは異なる位置になることから、上弦材14には、荷重の作用位置とせん断中心とのズレによる偏心曲げモーメントが作用する。ここで、本実施形態では、一組の弦トラス12が、仮想面Aを挟んで対称配置される。また、水平方向において互いに対向する一組の上弦材14において、被補剛区間14A同士が固定部材20で連結される。
このため、一組の上弦材14においても、図4(B)に示すように、荷重によって、連結された2つの上弦材14のそれぞれに生じる偏心曲げモーメントの向きが、仮想面Aを挟んで互いに対称な方向へ作用することで、一組の上弦材14に生じる変形もまた、仮想面Aをはさんで対称になる。
この効果により、上弦材が圧縮力によって曲げ座屈を生じる場合も、例えば図4(C)に示す通り、対向する上弦材14同士が、仮想面Aをはさんで対称な形に変形しようとする。ここに、図4(c)には、仮に固定部材20が無かった場合に、一組の上弦材14において発生することが予見される曲げ座屈の変形状態が、破線で仮想的に例示されている。
ここで、固定部材20は、仮想面Aを挟んで、一組の上弦材14に対して、その両端部が直交した状態で取り付けられるため、対向する被補剛区間14A同士を連結する固定部材20の両端に、互いに逆向きの力が加えられることになる。具体的には、仮に図4(B)に示す曲げ座屈の変形が上弦材14に発生しようとした場合、固定部材20には、固定部材20を軸方向へ圧縮する力が働き、固定部材20はその圧縮する方向への力に抵抗することで、上弦材14の曲げ座屈の発生が防止される。
(載荷実験)
次に、本実施形態に係るユニットトラス10を用いた載荷実験について説明する。図5に示すように、本実験では、上弦材14及び固定部材20を含む、すべての構成部材をめっき鋼板のリップ溝形鋼を用いて製造したユニットトラス10による4点曲げ実験を行った。
図5に示すように、4点曲げ実験では、ユニットトラス10を下側から指示する2箇所の支点はそれぞれ、左右方向の両端における、壁面材19Bと上弦材14との接合部の中心(節点)位置に配置された。支点間距離L1は、5460mmであった。また、上側から荷重が負荷される2箇所の荷重点はそれぞれ、図5中の左右方向の中央における、直交トラスフレーム19Aと上弦材14との接合部の中心(節点)位置に配置された。荷重点間距離L2は、1820mmであった。
また、実験結果と対比する比較例として、固定部材20によって上弦材14の曲げ座屈が完全に拘束されていると仮定し、上弦材の曲げ座屈の波長を910mmとした場合のユニットトラスの設計耐力と、固定部材20によって上弦材14の曲げ座屈が拘束されないと仮定し、上弦材の曲げ座屈の波長を1820mmとした場合のユニットトラスの設計耐力とそれぞれ設定した。設定耐力をそれぞれ表1に示す。
Figure 2023023173000002
実験の結果、被補剛区間14Aを2等分する位置に固定部材20が取り付けられた、本実施形態に係る試験体のユニットトラス10の最大耐力は120.69kNとなり、上弦材14が固定部材20によって曲げ座屈を拘束されないと仮定して座屈波長を1820mmとした場合の設計耐力の55kNを大きく上回り、上弦材14が固定部材20によって曲げ座屈を拘束されると仮定して座屈波長を910mmとした場合の設計耐力の115kNと同等以上の値になった。以上の実験結果から、本実施形態に係るユニットトラス10では、直交トラス等の比較的堅牢な拘束手段を講じることなく、固定部材20を設けることのみによって、座屈補剛の効果を十分に得られたことが分かった。
(作用効果)
本実施形態に係るユニットトラス10では、上下連結材18から上弦材14に荷重が作用する位置が上弦材14の図心と一致しておらず、尚且つ上弦材14と上下連結材18が対称に配置されることで、1組の上弦材14が軸圧縮力によって曲げ座屈する際の座屈変形の形状が、仮想面Aに対して対称な形になる。このため、14上弦材の座屈変形を固定部材20が補剛することで、2つの上弦材14の座屈波長がそれぞれ短くなり、ユニットトラスの耐力を向上させることが可能になる。
また、固定部材20としては、一組の上弦材14の長手方向に直交して水平に延びる部材を用意すれば済む。このため、対向する上弦材14同士及び対向する下弦材16同士を一体的に連結する比較的堅牢な拘束手段を用意する必要がない。
特に、本実施形態では、固定部材20は、1本の鋼材からなる棒状部材であるので、固定部材20を極めて簡易に作製することが可能である。このため、上弦材14の座屈補剛に必要な部材の量を最低限に抑えることができる。また、工場でのユニットトラス10の製造に要する手間を大幅に抑えることができる。
よって、本実施形態によれば、比較的堅牢な拘束手段を用いる場合と比べ、ユニットトラス10のコストを抑えられると共に、ユニットトラス10の製造が容易になる。また、固定部材20が取り付けられたユニットトラス10全体の重量の増加を、比較的堅牢な拘束手段を用いる場合より抑制できるので、建設現場におけるユニットトラス10の取り扱いの負担が小さい。
なお、本実施形態では、固定部材20が直交トラスフレーム19Aや壁面材19Bと共に併用されている。本実施形態の場合、固定部材20によって上弦材14の座屈を補剛できる分、ユニットトラス10中における、直交トラスフレーム19Aや壁面材19Bのような比較的堅牢な拘束手段の使用量を低減することができる。
また、本実施形態では、固定部材20は、被補剛区間14Aの長さを2等分する位置に取り付けられることで、上弦材14の被補剛区間14Aの座屈波長が半分になる。ここで、被補剛区間14Aの長さが不均等に2分割される場合、設計上、長い方の被補剛区間14Aの長さに応じて補剛する必要が生じる。この点、本実施形態では、1本の固定部材20によって被補剛区間14Aの長さが均等に2分割されるため、1本であっても上弦材14の座屈耐力を効率的に稼ぐことができる。
<その他の実施形態>
本開示は、上記の実施形態によって説明されたが、この説明は、本開示を限定するものではない。本開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになると考えられるべきである。
例えば、本開示では、複数のユニットトラスを連結して一体的に構成することもできる。図6中には、5つのユニットトラス10Aが、弦トラス12の平行面に直交する方向(図6中の上下方向)に沿って連結された構造体100が例示されている。隣接するユニットトラス10A同士は、例えばガセットプレートやねじ等の連結具を用いて連結してもよく、またブレース等を用いて複数のユニットトラスを跨ぐ仕様で連結してもよく、また折板屋根や構造用合板等を用いて2つまたは3つ以上のユニットトラスを連結してもよい。
図6中に例示された1つのユニットトラス10Aには、5つの被補剛区間14Aのそれぞれに、それぞれの被補剛区間14Aの長さを2等分する固定部材20が設けられている。図6中の構造体100のように、複数のユニットトラス10Aを連結して一体的に構成することによって、求められる建築物の屋根の仕様に対するユニットトラスを柔軟に構成することができる。
また、本開示では、図1~図6中に示した構成を部分的に組み合わせて、本開示に係るユニットトラスを構成することもできる。本開示は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むと共に、本開示の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ定められるものである。
10,10A ユニットトラス
12 弦トラス
14 上弦材
14A 被補剛区間
16 下弦材
18 連結材
19A 直交トラスフレーム
19B 壁面材
19C 水平ブレース
20 固定部材
100 構造体
A 仮想面
L1 支点間距離
L2 荷重点間距離

Claims (3)

  1. 水平方向に互いに対向して対称に配置された一組の弦トラスであって、それぞれの弦トラスが、上弦材と、上弦材の下側に上弦材と離れて設けられた下弦材と、上弦材と下弦材とを連結し上弦材との接合位置が上弦材の図心とは一致しないように配置され上弦材との間で三角形のトラスを形成する一対の上下連結材と、をそれぞれ有する一組の弦トラスと、
    一端が前記一組の弦トラス中の一方の上弦材における被補剛区間であって前記一対の上下連結材との接合部間に取り付けられ、他端が他方の上弦材における被補剛区間であって前記一対の上下連結材との接合部間に取り付けられ、前記一組の上弦材の長手方向に直交して水平に延びる固定部材と、
    を備えるユニットトラス。
  2. 前記固定部材は、1本の棒状部材である、
    請求項1に記載のユニットトラス。
  3. 前記固定部材は、前記被補剛区間の長さを2等分する位置に取り付けられる、
    請求項1又は2に記載のユニットトラス。
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