例示的な実施形態は、極小物体の第1の成分のP多様体によって、極小物体の第1の成分のS多様体の1つまたは複数の状態と極小物体の第1の成分のD多様体の1つまたは複数の状態との間の二光子共鳴遷移に基づいて、EIT冷却を実行するための量子コンピュータ、システム、装置など、および対応する方法を提供する。例示的な実施形態は、極小物体の第1の成分のクロック状態に基づいてEIT冷却を実行するための、量子コンピュータ、システム、装置など、および対応する方法を提供する。様々な実施形態において、極小物体は、原子結晶、原子団(中性の、および/またはイオン化された)、または分子団(中性の、および/またはイオン化された)であり、極小物体の成分(たとえば、第1の成分)は、少なくとも1つの原子、または極小物体の特定のタイプ(たとえば、元素タイプ、化学式など)の分子である。たとえば、例示的な実施形態では、極小物体は、第1の元素タイプの冷却イオンおよび第2の元素タイプの量子ビットイオンを備え、冷却イオンは本明細書では例示的な極小物体の第1の成分と呼ばれる。たとえば、例示的な実施形態では、極小物体の第1の成分はEIT冷却を介して冷却され、極小物体の第2の成分は極小物体の第1の成分との相互作用を介した共同冷却を介して冷却される。例示的な実施形態では、第2の成分は量子コンピュータの量子ビットとして使用される。
一態様によれば、極小物体閉じ込め装置によって閉じ込められる極小物体を冷却するための方法が提供される。例示的な実施形態では、方法は、極小物体閉じ込め装置に関連するコントローラによって、極小物体閉じ込め装置の特定の領域に第1の操作信号を提供するように第1の操作源を制御するステップを備える。方法はさらに、コントローラによって、極小物体閉じ込め装置の特定の領域に第2の操作信号を提供するように第2の操作源を制御するステップを備える。冷却されるべき極小物体は、極小物体閉じ込め装置の特定の領域に配置される。第1の操作信号は、極小物体の第1の成分のS多様体とP多様体との間の遷移に対応する第1の波長によって特徴付けられ、第1の離調だけS多様体とP多様体との間の遷移から離調している。第2の操作信号は、極小物体の第1の成分のP多様体とD多様体との間の遷移に対応する第2の波長によって特徴付けられ、第2の離調だけP多様体とD多様体との間の遷移から離調している。第1および第2の離調は、S多様体とD多様体との間の二光子遷移に関連する暗状態を確立するように選択される。
例示的な実施形態では、極小物体は2つ以上のイオンを備えるイオン結晶であり、極小物体の第1の成分は第1の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つである。
例示的な実施形態では、極小物体の第1の成分は、結晶のための共同冷却方式において冷却イオンとして使用するために構成される。
例示的な実施形態では、極小物体の第2の成分は、第2の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つであり、第2の極小物体タイプは第1の極小物体タイプと異なり、第2の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つは、極小物体閉じ込め装置を備える量子コンピュータの量子ビットとして使用するために構成される。
例示的な実施形態では、第1の離調および第2の離調は実質的に等しい。例示的な実施形態では、第1の操作信号はπ偏光レーザービームであり、第2の操作信号はσ偏光レーザービームである。
例示的な実施形態では、第1の操作信号の偏光および第2の操作信号の偏光は、暗状態に関連する二光子遷移に対応する。
例示的な実施形態では、方法はさらに、極小物体閉じ込め装置の特定の領域においてある磁場方向を有する磁場の生成を引き起こすステップを備え、極小物体閉じ込め装置の極小物体または特定の領域の1つが極小物体軸を定義し、磁場方向が極小物体軸に対して斜めである。
例示的な実施形態では、磁場方向および極小物体軸は、30度から60度の範囲の角度を形成する。
例示的な実施形態では、第1の操作信号は、極小物体軸に対して斜めである第1の伝播方向を定義し、第2の操作信号は、極小物体軸に対して斜めである第2の伝播方向を定義する。
例示的な実施形態では、第1の伝播方向および第2の伝播方向は実質的に互いに反平行であり、磁場方向は第1の伝播方向と第2の伝播方向の両方に対して斜めである。
例示的な実施形態では、第1の伝播方向と第2の伝播方向の両方が実質的に磁場方向に垂直である。
例示的な実施形態では、(a)第1の操作信号の偏光は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に対して実質的に斜めであり、(b)第2の操作信号の偏光は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に対して実質的に斜めであり、(c)第1の伝播方向、第2の伝播方向、および磁場方向はそれぞれ、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に実質的に平行である。
別の態様によれば、極小物体閉じ込め装置によって閉じ込められる極小物体の冷却を引き起こし、および/または制御するように構成される装置が提供される。例示的な実施形態では、装置は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータ実行可能命令を記憶するメモリを備える。コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、装置に、少なくとも、極小物体閉じ込め装置の特定の領域へ第1の操作信号を提供するように第1の操作源を制御させ、極小物体閉じ込め装置の特定の領域へ第2の操作信号を提供するように第2の操作源を制御させるように構成される。冷却されるべき極小物体は、極小物体閉じ込め装置の特定の領域内に配置される。第1の操作信号および第2の操作信号は、極小物体をまとめて冷却するように構成される。第1の操作信号は、極小物体の第1の成分のS多様体とP多様体との間の遷移に対応する第1の波長によって特徴付けられ、第1の離調だけS多様体とP多様体との間の遷移から離調している。第2の操作信号は、極小物体の第1の成分のP多様体とD多様体との間の遷移に対応する第2の波長によって特徴付けられ、第2の離調だけP多様体とD多様体との間の遷移から離調している。第1および第2の離調は、S多様体とD多様体との間の二光子遷移に関連する暗状態を確立するように選択される。
例示的な実施形態では、装置は、極小物体閉じ込め装置を備える量子コンピュータのコントローラである。
例示的な実施形態では、極小物体は2つ以上のイオンを備えるイオン結晶であり、極小物体の第1の成分は第1の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つである。
例示的な実施形態では、極小物体の第1の成分は、結晶のための共同冷却方式において冷却イオンとして使用するために構成される。
例示的な実施形態では、極小物体の第2の成分は、第2の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つであり、第2の極小物体タイプは第1の極小物体タイプと異なり、第2の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つは、極小物体閉じ込め装置を備える量子コンピュータの量子ビットとして使用するために構成される。
例示的な実施形態では、第1の離調および第2の離調は実質的に等しい。例示的な実施形態では、第1の操作信号はπ偏光レーザービームであり、第2の操作信号はσ偏光レーザービームである。
例示的な実施形態では、第1の操作信号の偏光および第2の操作信号の偏光は、暗状態に関連する二光子遷移に対応する。
例示的な実施形態では、コンピュータ実行可能命令はさらに、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、装置に、少なくとも、極小物体閉じ込め装置の特定の領域においてある磁場方向を有する磁場の生成を引き起こさせるように構成され、極小物体閉じ込め装置の極小物体または特定の領域の1つが極小物体軸を定義し、磁場方向が極小物体軸に対して斜めである。
例示的な実施形態では、磁場方向および極小物体軸は、30度から60度の範囲の角度を形成する。
例示的な実施形態では、第1の操作信号は、極小物体軸に対して斜めである第1の伝播方向を定義し、第2の操作信号は、極小物体軸に対して斜めである第2の伝播方向を定義する。
例示的な実施形態では、第1の伝播方向および第2の伝播方向は互いに実質的に反平行であり、磁場方向は第1の伝播方向と第2の伝播方向の両方に対して斜めである。
例示的な実施形態では、第1の伝播方向と第2の伝播方向の両方が磁場方向に対して実質的に垂直である。
例示的な実施形態では、(a)第1の操作信号の偏光は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に対して実質的に斜めであり、(b)第2の操作信号の偏光は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に対して実質的に斜めであり、(c)第1の伝播方向、第2の伝播方向、および磁場方向はそれぞれ、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に対して実質的に平行である。
さらに別の態様によれば、システムが提供される。例示的な実施形態では、システムは、極小物体閉じ込め装置であって、極小物体閉じ込め装置の特定の領域に極小物体を閉じ込めるように構成される、極小物体閉じ込め装置と、システムのコントローラによって制御可能であり、極小物体閉じ込め装置の特定の領域に第1の操作信号を提供するように構成される、第1の操作源と、システムのコントローラによって制御可能であり、極小物体閉じ込め装置の特定の領域に第2の操作信号を提供するように構成される、第2の操作源と、コントローラとを備える。コントローラは、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータ実行可能命令を記憶するメモリとを備え、コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、コントローラに、少なくとも、極小物体閉じ込め装置の特定の領域へ第1の操作信号を提供するように第1の操作源を制御させ、極小物体閉じ込め装置の特定の領域へ第2の操作信号を提供するように第2の操作源を制御させるように構成される。第1の操作信号および第2の操作信号は、極小物体をまとめて冷却するように構成される。第1の操作信号は、極小物体の第1の成分のS多様体とP多様体との間の遷移に対応する第1の波長によって特徴付けられ、第1の離調だけS多様体とP多様体との間の遷移から離調している。第2の操作信号は、極小物体の第1の成分のP多様体とD多様体との間の遷移に対応する第2の波長によって特徴付けられ、第2の離調だけP多様体とD多様体との間の遷移から離調している。第1および第2の離調は、S多様体とD多様体との間の二光子遷移に関連する暗状態を確立するように選択される。
例示的な実施形態では、システムは、量子電荷結合デバイス(QCCD)ベースの量子コンピュータである。
例示的な実施形態では、装置は、極小物体閉じ込め装置を備える量子コンピュータのコントローラである。
例示的な実施形態では、極小物体は2つ以上のイオンを備えるイオン結晶であり、極小物体の第1の成分は第1の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つである。
例示的な実施形態では、極小物体の第1の成分は、結晶のための共同冷却方式において冷却イオンとして使用するために構成される。
例示的な実施形態では、極小物体の第2の成分は、第2の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つであり、第2の極小物体タイプは第1の極小物体タイプと異なり、第2の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つは、極小物体閉じ込め装置を備える量子コンピュータの量子ビットとして使用するために構成される。
例示的な実施形態では、第1の離調および第2の離調は実質的に等しい。
例示的な実施形態では、第1の操作信号はπ偏光レーザービームであり、第2の操作信号はσ偏光レーザービームである。
例示的な実施形態では、第1の操作信号の偏光および第2の操作信号の偏光は、暗状態に関連する二光子遷移に対応する。
例示的な実施形態では、コンピュータ実行可能命令はさらに、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、コントローラに、少なくとも、極小物体閉じ込め装置の特定の領域においてある磁場方向を有する磁場の生成を引き起こさせるように構成され、極小物体閉じ込め装置の極小物体または特定の領域の1つが極小物体軸を定義し、磁場方向が極小物体軸に対して斜めである。
例示的な実施形態では、磁場方向および極小物体軸は、30度から60度の範囲の角度を形成する。
例示的な実施形態では、第1の操作信号は、極小物体軸に対して斜めである第1の伝播方向を定義し、第2の操作信号は、極小物体軸に対して斜めである第2の伝播方向を定義する。
例示的な実施形態では、第1の伝播方向および第2の伝播方向は互いに実質的に反平行であり、磁場方向は第1の伝播方向と第2の伝播方向の両方に対して斜めである。
例示的な実施形態では、第1の伝播方向と第2の伝播方向の両方が、磁場方向に実質的に垂直である。
例示的な実施形態では、(a)第1の操作信号の偏光は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に対して実質的に斜めであり、(b)第2の操作信号の偏光は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に対して実質的に斜めであり、(c)第1の伝播方向、第2の伝播方向、および磁場方向はそれぞれ、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に対して実質的に平行である。
一態様によれば、極小物体閉じ込め装置によって閉じ込められる極小物体を冷却するための方法が提供される。例示的な実施形態では、方法は、極小物体閉じ込め装置に関連するコントローラによって、極小物体閉じ込め装置の特定の領域に第1の操作信号を提供するように第1の操作源を制御するステップを備える。方法はさらに、コントローラによって、極小物体閉じ込め装置の特定の領域に第2の操作信号を提供するように第2の操作源を制御するステップを備える。冷却されるべき極小物体は、極小物体閉じ込め装置の特定の領域に配置される。第1の操作信号は、極小物体の第1の成分のS多様体の第1のクロック状態とP多様体との間の第1の遷移に対応する第1の波長によって特徴付けられ、第1の離調だけ第1の遷移から離調している。第2の操作信号は、極小物体の第1の成分のS多様体の第2のクロック状態とP多様体との間の第2の遷移に対応する第2の波長によって特徴付けられ、第2の離調だけ第2の遷移から離調している。第1および第2の離調は、第1のクロック状態と第2のクロック状態との間の二光子遷移に関連する暗状態を確立するように選択される。
例示的な実施形態では、極小物体は2つ以上のイオンを備えるイオン結晶であり、極小物体の第1の成分は第1の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つである。
例示的な実施形態では、極小物体の第1の成分は、イオン結晶のための共同冷却方式において冷却イオンとして使用するために構成される。
例示的な実施形態では、極小物体の第2の成分は、第2の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つであり、第2の極小物体タイプは第1の極小物体タイプと異なり、第2の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つは、極小物体閉じ込め装置を備える量子コンピュータの量子ビットとして使用するために構成される。
例示的な実施形態は、第1の極小物体タイプは一価イオン化されたイッテルビウムである。
例示的な実施形態では、第1の離調および第2の離調は実質的に等しい。
例示的な実施形態では、方法はさらに、極小物体閉じ込め装置の特定の領域においてある磁場方向を有する磁場の生成を引き起こし、または制御するステップを備え、磁場方向は第1の操作信号の伝播方向に対して斜めである。
例示的な実施形態では、第1の操作信号は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に実質的に平行な直線偏光である第1の偏光によって特徴付けられ、第2の操作信号は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に実質的に垂直な直線偏光である第2の偏光によって特徴付けられる。
例示的な実施形態では、方法はさらに、極小物体閉じ込め装置の特定の領域においてある磁場方向を有する磁場の生成を引き起こすステップを備え、磁場方向は第1の偏光に対して斜めである。
例示的な実施形態では、第1の操作信号は第1の偏光によって特徴付けられ、第2の操作信号は第2の偏光によって特徴付けられ、第1の偏光は第2の偏光に対して斜めである。
例示的な実施形態では、第1のクロック状態はF=1、m=0状態であり、第2のクロック状態はF=0、m=0状態である。
別の態様によれば、極小物体閉じ込め装置によって閉じ込められる極小物体の冷却を引き起こし、および/または制御するように構成される装置が提供される。例示的な実施形態では、装置は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータ実行可能命令を記憶するメモリとを備える。コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、装置に、少なくとも、極小物体閉じ込め装置の特定の領域へ第1の操作信号を提供するように第1の操作源を制御させ、極小物体閉じ込め装置の特定の領域へ第2の操作信号を提供するように第2の操作源を制御させるように構成される。冷却されるべき極小物体は、極小物体閉じ込め装置の特定の領域内に配置される。第1の操作信号および第2の操作信号は、極小物体をまとめて冷却するように構成される。第1の操作信号は、極小物体の第1の成分のS多様体の第1のクロック状態とP多様体との間の第1の遷移に対応する第1の波長によって特徴付けられ、第1の離調だけ第1の遷移から離調している。第2の操作信号は、極小物体の第1の成分のS多様体の第2のクロック状態とP多様体との間の第2の遷移に対応する第2の波長によって特徴付けられ、第2の離調だけ第2の遷移から離調している。第1および第2の離調は、第1のクロック状態と第2のクロック状態との間の二光子遷移に関連する暗状態を確立するように選択される。
例示的な実施形態では、極小物体は2つ以上のイオンを備えるイオン結晶であり、極小物体の第1の成分は第1の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つである。
例示的な実施形態では、極小物体の第1の成分は、イオン結晶のための共同冷却方式において冷却イオンとして使用するために構成される。
例示的な実施形態では、極小物体の第2の成分は、第2の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つであり、第2の極小物体タイプは第1の極小物体タイプと異なり、第2の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つは、極小物体閉じ込め装置を備える量子コンピュータの量子ビットとして使用するために構成される。
例示的な実施形態では、第1の極小物体タイプは一価イオン化されたイッテルビウムである。
例示的な実施形態では、第1の離調および第2の離調は実質的に等しい。
例示的な実施形態では、ある磁場方向を有する磁場が極小物体閉じ込め装置の特定の領域に存在し、その磁場方向は第1の操作信号の伝播方向に対して斜めである。
例示的な実施形態では、第1の操作信号は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に実質的に平行な直線偏光である第1の偏光によって特徴付けられ、第2の操作信号は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に実質的に垂直な直線偏光である第2の偏光によって特徴付けられる。
例示的な実施形態では、ある磁場方向を有する磁場が極小物体閉じ込め装置の特定の領域に存在し、その磁場方向は第1の偏光に対して斜めである。
例示的な実施形態では、第1の操作信号は第1の偏光によって特徴付けられ、第2の操作信号は第2の偏光によって特徴付けられ、第1の偏光は第2の偏光に対して斜めである。
例示的な実施形態では、第1のクロック状態はF=1、m=0状態であり、第2のクロック状態はF=0、m=0状態である。
例示的な実施形態では、装置は量子電荷結合デバイス(QCCD)ベースの量子コンピュータのコントローラである。
さらに別の態様によれば、システムが提供される。例示的な実施形態では、システムは、極小物体閉じ込め装置であって、極小物体閉じ込め装置の特定の領域に極小物体を閉じ込めるように構成される、極小物体閉じ込め装置と、システムのコントローラによって制御可能であり、極小物体閉じ込め装置の特定の領域に第1の操作信号を提供するように構成される、第1の操作源と、システムのコントローラによって制御可能であり、極小物体閉じ込め装置の特定の領域に第2の操作信号を提供するように構成される、第2の操作源と、少なくとも1つのプロセッサおよびコンピュータ実行可能命令を記憶するメモリを備えるコントローラとを備える。コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、コントローラに、少なくとも、極小物体閉じ込め装置の特定の領域へ第1の操作信号を提供するように第1の操作源を制御させ、極小物体閉じ込め装置の特定の領域へ第2の操作信号を提供するように第2の操作源を制御させるように構成される。第1の操作信号および第2の操作信号は、極小物体をまとめて冷却するように構成される。第1の操作信号は、極小物体の第1の成分のS多様体の第1のクロック状態とP多様体との間の第1の遷移に対応する第1の波長によって特徴付けられ、第1の離調だけ第1の遷移から離調している。第2の操作信号は、極小物体の第1の成分のS多様体の第2のクロック状態とP多様体との間の第2の遷移に対応する第2の波長によって特徴付けられ、第2の離調だけ第2の遷移から離調している。第1および第2の離調は、第1のクロック状態と第2のクロック状態との間の二光子遷移に関連する暗状態を確立するように選択される。
例示的な実施形態では、極小物体は2つ以上のイオンを備えるイオン結晶であり、極小物体の第1の成分は第1の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つである。
例示的な実施形態では、極小物体の第1の成分は、イオン結晶のための共同冷却方式において冷却イオンとして使用するために構成される。
例示的な実施形態では、極小物体の第2の成分は第2の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つであり、第2の極小物体タイプは第1の極小物体タイプと異なり、第2の極小物体タイプの2つ以上のイオンの少なくとも1つは、極小物体閉じ込め装置を備える量子コンピュータの量子ビットとして使用するために構成される。
例示的な実施形態では、第1の極小物体タイプは一価イオン化されたイッテルビウムである。
例示的な実施形態では、第1の離調および第2の離調は実質的に等しい。
例示的な実施形態では、ある磁場方向を有する磁場が極小物体閉じ込め装置の特定の領域に存在し、その磁場方向は第1の操作信号の伝播方向に対して斜めである。
例示的な実施形態では、第1の操作信号は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に実質的に平行な直線偏光である第1の偏光によって特徴付けられ、第2の操作信号は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に実質的に垂直な直線偏光である第2の偏光によって特徴付けられる。
例示的な実施形態では、ある磁場方向を有する磁場が極小物体閉じ込め装置の特定の領域に存在し、その磁場方向は第1の偏光に対して斜めである。
例示的な実施形態では、第1の操作信号は第1の偏光によって特徴付けられ、第2の操作信号は第2の偏光によって特徴付けられ、第1の偏光は第2の偏光に対して斜めである。
例示的な実施形態では、第1のクロック状態はF=1、m=0状態であり、第2のクロック状態はF=0、m=0状態である。
例示的な実施形態では、システムは、量子電荷結合デバイス(QCCD)ベースの量子コンピュータである。
本発明を大まかに説明してきたが、ここで必ずしも縮尺通りに描かれていない添付の図面への参照が行われる。
ここで、本発明は、添付の図面を参照して以下でより完全に説明され、それらの図面において、本発明のすべてではないが一部の実施形態が示される。実際には、本発明は多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、該当する法的要件を本開示が満たすように与えられる。「または」(「/」とも表記される)という用語は、別様に示されない限り、選言的な意味と接続的な意味の両方で本明細書において使用される。「説明のための」および「例示的な」という用語は、品質水準を示さない例となるように使用される。「一般に」および「概ね」という用語は、別様に示されない限り、該当する工学上のおよび/もしくは製造上の公差、ならびに/またはユーザ測定能力の範囲内にあることを指す。全体で、同様の番号は同様の要素を指す。
様々なシナリオにおいて、極小物体は、極小物体閉じ込め装置に閉じ込められる。様々な実施形態において、極小物体閉じ込め装置は、表面イオントラップ、ポールイオントラップなどの、イオントラップである。様々な実施形態において、極小物体は、イオン、原子、イオン結晶、原子結晶などである。例示的な実施形態では、極小物体は2つ以上のイオンを備え、このとき、極小物体の第1の成分は第1の原子タイプ(たとえば、第1の化学元素、第1の原子番号のイオンなど)の1つまたは複数のイオンである。例示的な実施形態では、極小物体は2つ以上のイオンを備え、このとき、極小物体の第2の成分は第2の原子タイプ(たとえば、第2の化学元素、第2の原子番号のイオンなど)の1つまたは複数のイオンである。例示的な実施形態では、極小物体の第1の成分(第1の原子タイプのイオン)は、極小物体のための共同冷却方式において使用するための1つまたは複数の冷却イオンである。例示的な実施形態では、極小物体の第2の成分(たとえば、第2の極小物体タイプのイオン)は、量子コンピュータの量子ビットとして使用するための1つまたは複数の量子ビットイオンである。
様々な実施形態において、極小物体閉じ込め装置に閉じ込められる極小物体は、実験、制御された量子状態進化、量子計算などを実行するために使用される。様々な実施形態において、極小物体閉じ込め装置に閉じ込められる極小物体が実験、制御された量子状態進化、量子計算などを実行するために使用されるようにするために、極小物体は、低温でなければならず、かつ/または、極小物体および/もしくはその成分の振動基底状態近くに冷却されなければならない。様々な実施形態において、極小物体および/またはその成分の運動エネルギーを減らすために、レーザー冷却が使用される。たとえば、例示的な実施形態では、極小物体の第1の成分は量子ビットイオンを共同冷却するために使用される冷却イオンであり、極小物体の第2の成分は量子コンピュータの量子ビットとして使用される量子ビットイオンである。
従来のタイプのレーザー冷却には、ドップラー冷却および分解サイドバンド冷却がある。ドップラー冷却は、極小物体の永年周波数と比較して広い光学遷移を介して極小物体を冷却することを含む。極小物体の永年周波数は、たとえば、高周波電圧信号をポール表面イオントラップの高周波電極および/またはレールに印加することによって生成されるものなどの、極小物体閉じ込め装置の閉じ込めポテンシャルおよび/または疑似ポテンシャルに応答して極小物体が振動する周波数である。ドップラー冷却は比較的実行が簡単であるが、一般に、極小物体および/またはその成分を十分に低い温度へ冷却するために使用することはできない。分解サイドバンド冷却は、極小物体の永年周波数と比較して狭い光学遷移を介して極小物体を冷却することを指す。しかしながら、分解サイドバンド冷却は技術的に高度であり、十分な冷却を実行するために比較的高出力のレーザービームを必要とする。
EIT冷却は別の形態のレーザー冷却である。EIT冷却は、2つのレーザー場および磁場を極小物体に印加することを含む。レーザー場は、極小物体の第1の成分のそれぞれの遷移から離調している。青方離調した振動サイドバンドと比較してより強い光子吸収が赤方離調した振動サイドバンド上で発生するとき、冷却が発生する。
2つの例示的なEIT冷却動作が本明細書において説明される。第1の動作は、第1の成分が一価イオン化されたバリウム(138Ba)原子または同様のエネルギー構造(たとえば、同様の微細構造および/または超微細構造、たとえば一価イオン化された88Srなど)を有する別の極小物体成分である極小物体とともにたとえば使用され得る、S-to-P-to-D EIT冷却動作である。たとえば、S-to-P-to-D EIT冷却動作は、低位D多様体を第1の成分が有するような極小物体とともに使用され得る。本明細書において使用される場合、低位D多様体は、角運動量量子数l=1を有する状態のP多様体よりそれぞれ低いエネルギーを有する、軌道角運動量量子数l=2を有する状態の多様体である。
本明細書において説明される第2の例示的なEIT冷却動作は、クロック状態EIT冷却動作である。たとえば、クロック状態EIT冷却動作は、第1の成分が一価イオン化されたイッテルビウム(たとえば、171Yb)原子または同様のエネルギー構造(たとえば、同様の微細構造および/または超微細構造)を有する別の極小物体成分であるような極小物体とともに使用するために構成される。たとえば、クロック状態EIT冷却動作は、第1の成分が電子スピン1/2および核スピン1/2を有する極小物体とともに実行され得る。たとえば、極小物体の第1の成分のエネルギー構造は、一対の「クロック」状態を形成する2つの状態を含む低エネルギー多様体を備え、それらを決定づける特徴は、2つの状態の間のエネルギー差が磁場の変動の影響を受けないということである。たとえば、一価イオン化された171YbにおけるS1/2、F=0、M=0という状態およびS1/2、F=1、M=0という状態は、そのような一対のクロック状態の例である。その一対のクロック状態は、便利なレーザー結合を実現するのに十分大きい線幅とともに、171YbにおけるP多様体などの一般的なより高エネルギーの多様体への遷移を可能にする。図4に関して説明される示される例では、クロック状態はσ+/-遷移を介してP多様体に結合する。同様のエネルギー構造を持つ極小物体の別の例示的な第1の成分は、一価イオン化された133Baである。
例示的な量子コンピュータシステム
極小物体閉じ込め装置によって閉じ込められる極小物体のレーザー冷却は、多様な状況で、および/または多様な用途のために実行され得る。1つの例示的な状況は、量子電荷結合デバイス(QCCD)ベースの量子コンピューティングである。図1は、例示的な量子コンピュータシステム100のブロック図を提供する。様々な実施形態において、量子コンピュータシステム100は計算エンティティ10および量子コンピュータ110を備える。
様々な実施形態において、量子コンピュータ110は、コントローラ30、極小物体閉じ込め装置50によって閉じ込められる極小物体を有する極小物体閉じ込め装置50を囲む低温および/または真空チャンバー40、ならびに1つまたは複数の操作源64(たとえば、64A、64B、64C)を備える。例示的な実施形態では、1つまたは複数の操作源64は、1つまたは複数のレーザー(たとえば、光レーザー、マイクロ波源および/またはメーザーなど)または別の操作源を備えてもよい。様々な実施形態において、1つまたは複数の操作源64は、装置50内の1つまたは複数の極小物体の制御された量子状態進化を操作し、および/またはそれを引き起こすように構成される。たとえば、第1の操作源64Aは、第1の操作信号を生成および/または提供するように構成され、第2の操作源64Bは、第2の操作信号を生成および/または提供するように構成され、第1および第2の操作信号は、極小物体閉じ込め装置によって閉じ込められる極小物体をまとめてレーザー冷却するように構成される。
様々な実施形態において、極小物体閉じ込め装置50は、表面イオントラップ、ポールイオントラップなどの、イオントラップである。様々な実施形態において、極小物体は、イオン、原子、イオン結晶、原子結晶などである。例示的な実施形態において、極小物体は2つ以上のイオンを備え、このとき、極小物体の第1の成分は第1の原子タイプ(たとえば、第1の化学元素、第1の原子番号のイオンなど)の1つまたは複数のイオンである。例示的な実施形態では、極小物体は2つ以上のイオンを備え、このとき、極小物体の第2の成分は第2の原子タイプ(たとえば、第2の化学元素、第2の原子番号のイオンなど)の1つまたは複数のイオンである。例示的な実施形態では、極小物体の第1の成分(第1の原子タイプのイオン)は、極小物体のための共同冷却方式において使用するための1つまたは複数の冷却イオンである。例示的な実施形態では、極小物体の第2の成分(たとえば、第2の極小物体タイプのイオン)は、量子コンピュータの量子ビットとして使用するための1つまたは複数の量子ビットイオンである。たとえば、例示的な実施形態では、極小物体は、冷却イオンとして使用される一価イオン化されたBa原子および量子ビットイオンとして使用される一価イオン化されたYbイオンを備えるイオン結晶である。別の例示的な実施形態では、極小物体は、冷却イオンとして使用される一価イオン化されたYb原子および量子ビットイオンとして使用される一価イオン化されたBaイオンを備えるイオン結晶である。
例示的な実施形態では、1つまたは複数の操作源64は各々、対応するビーム経路66(たとえば、66A、66B、66C)を介して、極小物体閉じ込め装置50の1つまたは複数の領域に操作信号(たとえば、レーザービームなど)を提供する。様々な実施形態において、少なくとも1つのビーム経路66は、ビーム経路66を介して装置50に提供されている操作信号を変調するように構成される変調器を備える。様々な実施形態において、操作源64、変調器、および/または量子コンピュータ110の他の構成要素が、コントローラ30によって制御される。
様々な実施形態において、量子コンピュータ110は、1つまたは複数の磁場生成器70(たとえば、70A、70B)を備える。たとえば、磁場生成器は、低温および/もしくは真空チャンバー40内に配設される内部磁場生成器70A、ならびに/または、低温および/もしくは真空チャンバー40の外側に配設される外部磁場生成器70Bであってもよい。様々な実施形態において、磁場生成器70は、永久磁石、ヘルムホルツコイル、電磁石などである。様々な実施形態において、磁場生成器70は、極小物体閉じ込め装置50の1つまたは複数の領域において特定の大きさおよび特定の磁場方向を有する、極小物体閉じ込め装置50の1つまたは複数の領域において磁場を生成するように構成される。
様々な実施形態において、コントローラ30は、極小物体閉じ込め装置50および/もしくは極小物体閉じ込め装置50内での極小物体の輸送を制御する電圧源、電流信号源、および/もしくはドライバ、低温および/もしくは真空チャンバー40内の温度と圧力を制御する低温システムおよび/もしくは真空システム、操作源64、磁場生成器70、ならびに/または、低温および/もしくは真空チャンバー40内の環境条件(たとえば、温度、湿度、圧力など)を制御する他のシステムを制御するように構成され、かつ/または、極小物体閉じ込め装置50内の1つまたは複数の極小物体の量子状態の制御された進化を操作し、および/もしくは引き起こすように構成される。
様々な実施形態において、計算エンティティ10は、ユーザが、量子コンピュータ110への入力を(たとえば、計算エンティティ10のユーザインターフェースを介して)与え、量子コンピュータ110からの出力を受信し、見るなどすることを可能にするように構成される。計算エンティティ10は、1つまたは複数の有線もしくはワイヤレスネットワーク20を介して、ならびに/または、直接の有線および/もしくはワイヤレス通信を介して、量子コンピュータ110のコントローラ30と通信していてもよい。例示的な実施形態において、計算エンティティ10は、情報/データ、量子計算アルゴリズム、量子回路などを、コントローラ30が理解および/または実施できるコンピュータ言語、実行可能命令、コマンドセットなどへと変換し、構成し、フォーマットするなどしてもよい。
例示的なS-to-P-to-D EIT冷却動作
様々な実施形態は、極小物体の第1の成分のP多様体による、極小物体の第1の成分のS多様体の1つまたは複数の状態と極小物体の第1の成分のD多様体の1つまたは複数の状態との間の二光子共鳴遷移に基づいて、EIT冷却を実行するための量子コンピュータ、システム、装置など、および対応する方法を提供する。
従来は、Ba+様のエネルギー構造(たとえば、一価イオン化されたBa原子と同様の微細および/または超微細エネルギー構造)を有するイオンのEIT冷却は、両方の結合のために単一のレーザーを使用して、基底多様体(たとえば、角運動量量子数l=0に対応するS多様体)における第1(ゼーマン)状態を励起多様体における励起状態に結合することと、励起多様体における励起状態を基底多様体(たとえば、S多様体)における第2の(ゼーマン)状態に結合することとを含む。言い換えると、従来のEIT冷却は、二光子遷移を使用して同じ多様体内で2つの状態を結合する。
しかしながら、低位D多様体を有する極小物体または極小物体の第1の成分について、極小物体または極小物体の第1の成分は、D多様体に「はまる」ことがある。本明細書において使用される場合、低位D多様体は、軌道角運動量量子数l=1である状態のP多様体よりそれぞれ低いエネルギーを有する軌道角運動量量子数l=2である状態の多様体である。したがって、従来のEIT冷却は、低位D多様体を有する第1の成分を有する極小物体を効果的に冷却するために、追加の要素とステップを必要とする。したがって、極小物体をほぼそれらの振動基底状態へとどのように効率的に、効果的に、かつ安定して冷却するかという、技術的な問題が存在する。
様々な実施形態は、これらの技術的な問題に対する技術的な解決策を提供する。様々な実施形態において、EIT冷却動作は、S多様体の1つまたは複数の状態をP多様体の1つまたは複数の状態に結合する第1の操作信号、およびP多様体の1つまたは複数の状態をD多様体の1つまたは複数の状態に結合する第2の操作信号を使用して実行される。様々な実施形態において、第1の操作信号と第2の操作信号の両方が、S多様体とD多様体との間の二光子遷移に関連する暗状態を確立するために、P多様体の1つまたは複数の状態の上に離調される。S多様体をP多様体に結合し、P多様体をD多様体に結合することによって、極小物体のほぼ振動基底状態(たとえば、ドップラー冷却限界を大きく下回る温度)への効率的な冷却を、分解サイドバンド冷却より低いレーザー出力要件および従来のEIT冷却より技術的に複雑ではない方式で、達成することができる。その上、様々な実施形態において、第1および第2の操作信号を生成ならびに/または提供するために使用される第1および第2の操作源は、ドップラー冷却も実行するために使用され得る。したがって、様々な実施形態は、追加のレーザーまたは他の操作源を必要とすることなく、ドップラー冷却とEIT冷却の両方の使用を可能にする。したがって、様々な実施形態は、低位D多様体を有する第1の成分を備える極小物体の従来のレーザー冷却を上回る技術的な改善を提供する。
加えて、様々な実施形態の離調は、従来のEIT冷却動作の従来の離調未満であり、これは極小物体の複数のモードの同時冷却を可能にする。たとえば、様々な実施形態において、第1および第2の離調を(様々な実施形態において、第1および第2の離調を互いに実質的に等しく維持しながら)第1および第2の操作信号の強度とともに調整することによって、異なる周波数(たとえば、約1MHzと約3MHzの間で変動する)を有する極小物体の広範囲の結晶モードが同時に冷却されることを可能にする、パラメータの最適セットが極小物体のために決定され得る。たとえば、様々な実施形態は、異なるモード周波数(たとえば、1~3MHzにわたる周波数)を有する極小物体の複数のモードの広帯域冷却を同時に可能にするという追加の利点をもたらす。
図2Aは、様々な実施形態による、例示的なEIT冷却動作を示す極小物体(たとえば、冷却イオン)の例示的な第1の成分の部分的なレベルダイアグラムを提供する。この部分的なレベルダイアグラムは、S多様体210を示す。様々な実施形態において、EIT冷却動作は、S多様体210の1つまたは複数の状態(たとえば、S多様体の1つまたは2つの状態)を利用する。部分的なレベルダイアグラムは、P多様体220も示す。様々な実施形態において、EIT冷却動作は、P多様体220の1つまたは複数の状態(たとえば、P多様体の1つまたは2つの状態)を利用する。部分的なレベルダイアグラムはさらに、低位D多様体230を示す。様々な実施形態において、EIT冷却動作は、D多様体230の1つまたは複数の状態(たとえば、D多様体の1つ、2つ、3つ、または4つの状態)を利用する。
図2Bは、様々な実施形態による、別の例示的なEIT冷却動作を示す極小物体(たとえば、冷却イオン)の例示的な第1の成分の部分的なレベルダイアグラムを提供する。図2Bに示される部分的なレベルダイアグラムは、図2Aに示されるのと同じS多様体210、P多様体220、および低位D多様体230を含み、それは、そのダイアグラムが、たとえば同じ冷却イオンのエネルギーレベルに対応するからである。しかしながら、S多様体210をP多様体220に結合するために使用される第1の操作信号215’の偏光は、図2Aに示されるようなπ偏光ではなく、図2Bではσ偏光である。
様々な実施形態のEIT冷却動作の実行は、極小物体に第1の操作信号215、215’および第2の操作信号225、225’を印加することを備える。例示的な実施形態では、図2Aに示されるように、第1の操作信号215は、第1の波長λ1によって特徴付けられ、π偏光している。別の例示的な実施形態では、図2Bに示されるように、第1の操作信号215’は、第1の波長λ1によって特徴付けられ、σ偏光している。第1の波長λ1は、S多様体210とP多様体220との間の遷移に対応する。様々な実施形態において、第1の波長λ1はS多様体210とP多様体220との間の遷移の共鳴周波数に対応し、P多様体220は第1の離調ΔSPだけそれから離調している。
例示的な実施形態では、第2の操作信号225、225’は、第2の波長λ2によって特徴付けられ、σ偏光している。たとえば、第2の操作信号225は、磁場に垂直な方向に直線偏光している(σ+/-偏光)。第2の波長λ2は、P多様体220とD多様体230との間の遷移に対応する。様々な実施形態において、第2の波長λ2は、P多様体220とD多様体230との間の遷移の共鳴周波数に対応し、第2の離調ΔPDだけそれから離調している。
様々な実施形態において、第1および第2の離調は、S多様体、D多様体、およびP多様体から各々1つの3つのレベルの特定のセットに関して測定されると、実質的に互いに等価である(たとえば、ΔSP≒ΔPD)。例示的な実施形態では、極小物体の第1の成分は一価イオン化されたBaであり、第1の波長λ1≒493nmであり、第2の波長λ2≒650nmであり、第1および第2の離調ΔSP≒20MHz≒ΔPDである。様々な実施形態において、第1の操作信号215、215’の周波数および第2の操作信号225、225’の周波数は、公差Δω/(2π)≦100kHz内で互いに関して安定化される。理解されるべきであるように、極小物体の第1の成分のエネルギー構造および選択された暗状態に基づいて、様々な他の偏光方式、波長、および離調が、様々な他の実施形態において使用される。
本明細書において使用される場合、暗状態という用語は、適切な二光子遷移によって形成される2つの状態のコヒーレントな重ね合わせを指す。図2Aおよび図2Bに示される実施形態では、それぞれの暗状態は、第1の操作信号215、215’および第2の操作信号225、225’を介して結合される、S多様体における状態とD多様体における状態の重ね合わせによって形成される。
理解されるべきであるように、本明細書において使用される場合、第1の多様体と第2の多様体(たとえば、S多様体とP多様体、P多様体とD多様体)との間の遷移は、第1の多様体の状態と第2の多様体の状態との間の遷移を示す。本明細書において使用される場合、状態の多様体は、同じ総角運動量を持つ状態のグループを指し、各多様体は、印加される磁場によるゼーマン分裂によってエネルギーが異なる複数の状態を備える。状態の総角運動量は、状態のスピン角運動量と軌道角運動量の合計(これは、核の角運動量が0ではないとき、超微細結合を介した核の角運動量を含む)に対応する。
様々な実施形態において、S-to-P-to-D EIT冷却動作は、S1/2多様体210のゼーマン状態、P1/2多様体220のゼーマン状態、およびD3/2多様体230のゼーマン状態を伴う。例示的な実施形態では、S-to-P-to-D EIT冷却動作は、ドップラー結合のために使用される傾向がある状態および/または多様体を伴う。したがって、ドップラー冷却を実行するように構成されるシステムでは、S-to-P-to-D EIT冷却動作の例示的な実施形態において使用するという別の目的のために、同じ操作源を簡単に使用することができる。有限の磁場および第2の操作信号225、225’の固定された周波数(たとえば、固定された波長λ2)において、第1の操作信号215、215’の周波数を走査することで、S1/2多様体210からD3/2多様体230への二光子共鳴遷移に関連する4つの暗状態共鳴が明らかになる。暗状態は、光子を吸収または放出できない極小物体および/または極小物体の成分の状態である。第1の操作信号215、215’の第1の波長λ1および第2の操作信号225、225’の第2の波長λ2がこれらの二光子共鳴の1つに同調するとき、二光子共鳴の青側(たとえば、より波長が短く、より周波数が高い側)での散乱が二光子共鳴の赤側(たとえば、より波長が長く、より周波数が低い側)での散乱より少なければ、極小物体および/または極小物体の第1の成分(たとえば、冷却イオン)から運動エネルギーを取り除く赤サイドバンド遷移に対する優先散乱を引き起こすことによって、EIT冷却が達成される。
図2Aにおいて、例示的な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作において使用され得る、S1/2多様体210のmj=1/2状態およびD3/2多様体230のmj=3/2状態からなる例示的な二光子共鳴は、実線として示される第1の操作信号215および実線として示される第2の操作信号225による結合を介して示されている。
二光子共鳴の周波数幅は、P1/2多様体の状態から離調している単一の光子に依存する(たとえば、ΔSP、ΔPD)。たとえば、第1および/または第2の離調が減少するとき、二光子共鳴の幅はより広くなり、第1および/または第2の離調が増えるとき、二光子共鳴の幅はより狭くなる。二光子共鳴のより狭い周波数幅は、より低い温度へのより高速な冷却(二光子共鳴の広い周波数幅と比較して)をもたらすが、二光子共鳴のより広い周波数幅は、より広い冷却帯域幅(二光子共鳴の狭い周波数幅と比較して)をもたらす。
様々な実施形態において、第1の離調ΔSPおよび第2の離調ΔPDは、10~450MHzの範囲における離調に設定される。たとえば、例示的な実施形態では、ΔSP=ΔPD≒20MHzであり、これは、極小物体(たとえば、4つのイオンを備えるイオン結晶などのイオン結晶)の多くの振動モードを効率的に冷却するのに十分大きい冷却帯域幅をもたらしながら、それでも、極小物体が量子コンピュータの量子ビットとして使用するための量子ビットイオンを備えるような、量子コンピュータの極小物体閉じ込め装置に閉じ込められる極小物体の冷却を含めて、様々な用途に十分な冷却速度と最終的な温度を維持する。
様々な実施形態において、第1および第2の離調ΔSP=ΔPDは、従来のEIT冷却動作において使用される従来の離調より少ない。様々な実施形態のより小さい第1および第2の離調は(従来のEIT冷却動作の従来の離調と比較して)、極小物体の複数のモードの同時冷却を可能にする。たとえば、様々な実施形態において、第1および第2の離調を(様々な実施形態において、ΔSP=ΔPDを維持しながら)第1および第2の操作信号の強度とともに調整することによって、異なる周波数(たとえば、約1MHzと約3MHzの間で変動する)を有する極小物体の広範囲の結晶モードが同時に冷却されることを可能にするパラメータの最適なセットが、極小物体のために決定され得る。たとえば、様々な実施形態は、異なるモード周波数(たとえば、1~3MHzにわたる周波数)を同時に有する極小物体の複数のモードの冷却を可能にする。
様々な実施形態において、S-to-P-to-D EIT冷却動作の様々な実施形態の効率は、第1および第2の操作信号をそれぞれ特徴付ける第1および第2の波長λ1、λ2が互いに対して比較的安定しているときに改善される。例示的な実施形態では、第1の波長λ1および第2の波長λ2の周波数差が≦100kHzの公差で安定するようにそれらの波長が独立に安定するように、第1の操作源および第2の操作源が構成される。たとえば、例示的な実施形態では、第1および第2の波長の相対的な安定化は、第1および第2の操作源64A、64Bを独立に安定させることによって実行される。様々な実施形態において、第1および/もしくは第2の操作源64A、64Bの安定化ならびに/または第1および/もしくは第2の波長の安定化は、その例が2021年3月16日に出願された米国特許第10,951,002号において説明される、共鳴空洞を使用して第1および第2の操作信号を周波数コムに結合すること、サーボおよび/またはフィードバックループを使用することなどによって達成される。
図3Aは、図2Aに示される例示的な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作を実行するための1つの例示的なジオメトリを示す。図3Aは、極小物体閉じ込め装置50の特定の領域55に配置および/または配設される極小物体308を示す。極小物体308は、2つの第1の成分310および2つの第2の成分312を備える。第1の成分310は第1の原子タイプであり、第2の成分312は第2の原子タイプであり、第1の原子タイプと第2の原子タイプは異なる。たとえば、例示的な実施形態では、第1の成分310は一価イオン化されたBa原子であり、第2の成分312は一価イオン化されたYb原子である。第1および第2の成分310、312は、極小物体軸305を定義するように整列および/または配設される。例示的な実施形態では、極小物体軸305は、極小物体閉じ込め装置50の特定の領域55の高周波ヌル350に実質的に平行である。高周波ヌル350は、高周波電圧信号を極小物体閉じ込め装置50の高周波電極および/またはレールに印加することによって生成される疑似ポテンシャルのゼロ点の線である。
様々な実施形態において、磁場Bは、特定の領域55において磁場Bが有限の実質的に安定した(たとえば、時間とともに変化しない)振幅(たとえば、例示的な実施形態では2~10ガウスおよび/または5ガウス)を有するように生成される。様々な実施形態において、特定の領域55における磁場Bは、極小物体軸305と角度αを形成する磁場方向を有する。例示的な実施形態では、角度αは30度から60度の範囲にある。例示的な実施形態では、角度αは約45度である。
様々な実施形態において、第1の操作信号215は偏光218(たとえば、π偏光)を有する。例示的な実施形態では、第1の操作信号215の偏光218は、実質的に磁場方向に平行である。様々な実施形態において、第1の伝播方向は、極小物体軸305に対して斜めである。例示的な実施形態では、第1の操作信号215は、極小物体軸305と角度βを形成する第1の伝播方向に伝播する。様々な実施形態において、角度βは、第1の操作信号215の伝播が磁場方向に平行ではないように、または反平行であるように構成される。様々な実施形態において、角度βは30度から60度の範囲にある。例示的な実施形態では、角度βは約45度である。
様々な実施形態において、第2の操作信号225は偏光228(たとえば、σ+/-偏光)を有する。例示的な実施形態では、第2の操作信号225の偏光228は磁場方向に対して斜めである。様々な実施形態において、第2の伝播方向は極小物体軸305に対して斜めである。例示的な実施形態では、第2の操作信号225は、極小物体軸305と角度γを形成する第2の伝播方向に伝播する。様々な実施形態において、角度γは0度から90度の範囲にある。例示的な実施形態では、角度γは約45度である。
様々な実施形態において、第1の伝播方向は、第2の伝播方向に実質的に反平行である。様々な実施形態において、第1の伝播方向と第2の伝播方向の両方が、磁場方向に対して斜めである。例示的な実施形態では、第1の伝播方向および第2の伝播方向は、磁場方向に実質的に垂直である。
図3Bは、図2Bに示される例示的な実施形態などの、S-to-P-to-D EIT冷却動作を実行するための別の例示的なジオメトリを示す。図3Bは、極小物体閉じ込め装置50の特定の領域55に配置および/または配設される極小物体308を示す。極小物体308は、2つの第1の成分310および2つの第2の成分312を備える。第1の成分310は第1の原子タイプであり、第2の成分312は第2の原子タイプであり、第1の原子タイプおよび第2の原子タイプは異なる。たとえば、例示的な実施形態では、第1の成分310は一価イオン化されたBa原子であり、第2の成分312は一価イオン化されたYb原子である。第1および第2の成分310、312は、極小物体軸305を定義するように整列および/または配設される。例示的な実施形態では、極小物体軸305は、極小物体閉じ込め装置50の特定の領域55の高周波ヌル350に実質的に平行である。
様々な実施形態において、磁場Bは、特定の領域55において磁場Bが有限の実質的に安定した(たとえば、時間とともに変化しない)振幅(たとえば、例示的な実施形態では2~10ガウスおよび/または5ガウス)を有するように生成される。様々な実施形態において、特定の領域55における磁場Bは、極小物体軸305と角度α’を形成する磁場方向を有する。例示的な実施形態では、角度α’は0度から360度の範囲にある。例示的な実施形態では、角度α’は約45度である。具体的には、磁場方向は、第2の操作信号225’の偏光228’に実質的に平行ではなく、または反平行である。様々な実施形態において、磁場Bは、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に実質的に平行である。
様々な実施形態において、第1の操作信号215’は第1の偏光218’(たとえば、σ+/-偏光)を有する。例示的な実施形態では、第1の操作信号215’の第1の偏光218’は、磁場方向に実質的に平行ではなく、および/またはそれに対して斜めである。例示的な実施形態では、第1の偏光218’は磁場方向に対して垂直である。様々な実施形態において、第1の伝播方向は極小物体軸305に対して斜めである。例示的な実施形態では、第1の操作信号215’は、極小物体軸305と角度β’を形成する第1の伝播方向に伝播する。様々な実施形態において、角度β’は0度から90度の範囲にある。例示的な実施形態では、角度β’は約45度である。例示的な実施形態では、角度β’は約90度である。
様々な実施形態において、第2の操作信号225’は第2の偏光228’(たとえば、σ+/-偏光)を有する。例示的な実施形態では、第2の操作信号225’の第2の偏光228’は、磁場方向に対して斜めである。例示的な実施形態では、第2の偏光228’は磁場方向に垂直である。様々な実施形態において、第2の伝播方向は極小物体軸305に対して斜めである。例示的な実施形態では、第2の操作信号225’は、極小物体軸305と角度γを形成する第2の伝播方向に伝播する。様々な実施形態において、角度γは30度から60度の範囲にある。例示的な実施形態では、角度γは約45度である。
様々な実施形態において、第1の伝播方向は、第2の伝播方向に実質的に反平行である。示される実施形態では、第1の伝播方向および第2の伝播方向は、互いに関して実質的に反平行である(たとえば、β’≒γ’)。
様々な実施形態において、第1の伝播方向
(それぞれの第1の操作信号215、215’の波ベクトルの方向の単位ベクトル)と第2の伝播方向
(それぞれの第2の操作信号225、225’の波ベクトルの方向の単位ベクトル)との差は、冷却されるべき振動の方向に対する0ではない投影を有する。たとえば、冷却されるべき極小物体308のモードが軸モード(たとえば、極小物体軸305に沿った振動に対応する)であるとき、
であり、
は極小物体軸305に沿った単位ベクトルであり、
である。別の例では、冷却されるべき極小物体308のモードが半径方向モードである(たとえば、極小物体軸305に直交する振動に対応する)とき、
であり、
は半径方向単位ベクトルである(たとえば、
かつ
)。
図3Aおよび図3Bは、例示的な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作を実行するための2つの例示的なジオメトリを示す。理解されるべきであるように、様々な他の実施形態において他のジオメトリが使用され得る。たとえば、例示的な実施形態において、磁場方向は、極小物体軸305に平行または反平行であり得る。例示的な実施形態において、第1の伝播方向および第2の伝播方向は各々、極小物体軸305に平行である。様々な実施形態において、磁場方向は、第1の伝播方向と第2の伝播方向の両方に対して斜めである。様々な実施形態において、磁場方向、第1の伝播方向、および/または第2の伝播方向は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に対して斜めであり得る。
一般に、S-to-P-to-D EIT冷却動作は、第1の多様体、第2の多様体、および第3の多様体を使用して実行されてもよく、第1の、第2の、および第3の多様体は各々、別個の微細構造多様体であり、第1および第2の多様体は低エネルギー多様体であり、第1の多様体と第2の多様体はともに、双極子遷移を介して第3の(より高エネルギーの)多様体に結合され得る。示される実施形態は、第1の多様体がS多様体であり、第2の多様体がD多様体であり、第3の多様体がP多様体であるようなシナリオを示す。
例示的なクロック状態EIT冷却動作
様々な実施形態は、極小物体の第1の成分のクロック状態を使用してEIT冷却を実行するための量子コンピュータ、システム、装置など、および対応する方法を提供する。
これまでは、171Yb+様のエネルギー構造(たとえば、一価イオン化された171Yb原子と同様の微細および/または超微細エネルギー構造)を有するイオンのEIT冷却は、複数のF=1状態を励起多様体に結合することによって機能していた。たとえば、基底多様体のS1/2、F=1、m=+1状態は、P1/2、F=0、m=0状態に結合することを介して基底多様体のS1/2、F=1、m=0状態に結合される。しかしながら、P1/2、F=0、m=0状態へのS1/2、F=1、m=+1状態の結合はσ偏光を必要とするが、P1/2、F=0、m=0状態へのS1/2、F=1、m=0状態の結合はπ偏光を必要とするので、伝播方向に関して磁場の何らかの向きが必要である。加えて、イオンは、S1/2、F=0、m=0状態に「はまる」ことがあり、S1/2、F=1多様体へとリポンプされなければならないので、S1/2、F=0多様体をP多様体に結合する追加の操作信号が必要である。したがって、従来のEIT冷却は、171Yb+様のエネルギー構造を有する第1の成分を有する極小物体を効果的に冷却するために、高度に複雑な技術を必要とする。その上、分解サイドバンド冷却は、EITのために必要とされるものを超える高帯域幅制御能力を必要とするので、両方の冷却方法を使用することを望む場合、さらに複雑な技術が必要である。したがって、極小物体をほぼその振動基底状態へとどのように効率的に、効果的に、かつ安定して冷却するかということについての、技術的な問題が存在する。
様々な実施形態は、これらの技術的な問題に対する技術的な解決策を提供する。様々な実施形態において、EIT冷却動作は、極小物体の第1の成分のS多様体における第1のクロック状態をP多様体の1つまたは複数の状態に結合する第1の操作信号と、極小物体の第1の成分のS多様体における第2のクロック状態をP多様体の1つまたは複数の状態に結合する第2の操作信号とを使用して、実行される。様々な実施形態において、極小物体の第1の成分のS多様体における第1のクロック状態はF=1、m=0状態であり、極小物体の第1の成分のS多様体における第2のクロック状態はF=0、m=0状態である。第1および第2のクロック状態は、F=1、m=+/-1状態と比較して、環境変化に対してかなり影響を受けにくい。様々な実施形態において、第1の操作信号と第2の操作信号の両方が、S多様体における第1のクロック状態とS多様体における第2のクロック状態との間の二光子遷移に関連する暗状態を確立するために、P多様体の1つまたは複数の状態の上に離調される。
暗状態を生み出すためにS多様体における第1のクロック状態と第2のクロック状態を結合することによって、分解サイドバンド冷却より低いレーザー出力要件で、かつ従来のEIT冷却より技術的に複雑ではない方式で、極小物体のほぼ振動基底状態への(たとえば、ドップラー冷却限界をはるかに下回る温度への)効率的な冷却を達成することができる。その上、様々な実施形態において、第1および第2の操作信号を生成ならびに/または提供するために使用される、第1および第2の操作源は、極小物体の第1の成分のサイドバンド冷却を実行するためにも使用され得る。したがって、様々な実施形態は、追加のレーザーまたは他の操作源を必要とすることなく、サイドバンド冷却とEIT冷却の両方の使用を可能にする。
加えて、クロック状態EIT冷却動作の様々な実施形態の有効性は、磁場と第1および第2の操作信号との相対的な整列の影響を受けない。したがって、様々な実施形態は、磁場と第1および第2の操作信号との相対的な整列に関する厳密な要件を必要とすることなく、効率的な冷却を実現するというさらなる技術的な利点をもたらす。
その上、様々な実施形態の離調は、従来のEIT冷却動作の従来の離調より少なく、これは極小物体の複数のモードの同時冷却を可能にする。たとえば、様々な実施形態は、異なるモード周波数(たとえば、1~3MHzにわたる周波数)を有する極小物体の複数のモードの広帯域冷却を同時に可能にするというさらなる利点をもたらす。したがって、様々な実施形態は、極小物体の従来のレーザー冷却を上回る技術的な改善をもたらす。
図4は、様々な実施形態による、例示的なEIT冷却動作を示す極小物体の例示的な第1の成分(たとえば、冷却イオン)の部分的なレベルダイアグラムを提供する。部分的なレベルダイアグラムはS多様体410を示す。様々な実施形態において、EIT冷却動作は、S多様体410の2つのクロック状態を利用する(たとえば、S多様体のm=0状態)。部分的なレベルダイアグラムはP多様体420も示す。様々な実施形態において、EIT冷却動作はP多様体420の1つまたは複数の状態を利用する。部分的なレベルダイアグラムはさらに、それぞれのクロック状態とP多様体420の状態との間の遷移に関してP多様体420から青方離調している第1および第2の操作信号415、412を示す。
様々な実施形態のEIT冷却動作の実行は、極小物体に第1の操作信号415および第2の操作信号425を印加することを備える。例示的な実施形態では、第1の操作信号415は第1の波長λAによって特徴付けられ、第1の偏光を有する。第1の波長λAは、S多様体410の第1のクロック状態412とP多様体420との間の遷移に対応する。様々な実施形態において、第1の波長λAは、S多様体410の第1のクロック状態412とP多様体420との間の遷移の共鳴周波数に対応し、第1の離調ΔAだけそれから離調している。
例示的な実施形態では、第2の操作信号425は、第2の波長λBによって特徴付けられ、第2の偏光を有する。第2の波長λBは、S多様体410の第2のクロック状態414とP多様体420との間の遷移に対応する。様々な実施形態において、第2の波長λBは、S多様体410の第2のクロック状態414とP多様体420との間の遷移の共鳴周波数に対応し、第2の離調ΔBだけそれから離調している。
様々な実施形態において、第1および第2の離調は、3つのレベルの特定のセットに関して測定されると、実質的に互いに等しい(たとえば、ΔA≒ΔB)。例示的な実施形態では、極小物体の第1の成分は一価イオン化されたYbであり、第1の波長λA=369.5nm(たとえば、369.5193nm)であり、第2の波長λ2≒369.5nm(たとえば、369.5251nm)であり、第1および第2の離調ΔA≒30~450MHz≒ΔBである。例示的な実施形態では、ΔA≒55MHz≒ΔBである。理解されるべきであるように、様々な他の偏光方式、波長、および離調が、極小物体の第1の成分のエネルギー構造および選択された暗状態に基づいて、様々な他の実施形態において使用される。様々な実施形態において、離調ΔA≒ΔBは、極小物体の異なる(結晶)振動モードを冷却するために、クロック状態EIT動作の実行の間に調整され得る。様々な実施形態において、異なるモード周波数(たとえば、1~3MHzにわたる周波数)を有する極小物体のモードを含む、極小物体の複数のモードが同時に冷却され得る。
様々な実施形態において、第1の偏光および第2の偏光は互いに対して斜めである。たとえば、第1の偏光および第2の偏光が直線偏光である例示的な実施形態では、第1の偏光が整列される第1の方向および第2の偏光が整列される第2の方向は、互いに斜めである。たとえば、例示的な実施形態では、第1の操作信号が正のz方向に伝播しており、第1の偏光がx方向に整列しており、第2の操作信号が負のz方向に伝播しており、第2の偏光がy方向に整列しているように、直交座標系が定義可能である。様々な実施形態において、第1の偏光および第2の偏光は、直線偏光または円偏光であり得る。
理解されるべきであるように、本明細書において使用される場合、第1の多様体と第2の多様体との間の(たとえば、S1/2、F=1多様体とP1/2、F=1多様体との間の、P1/2、F=1多様体とS1/2、F=1多様体との間の)遷移は、第1の多様体の状態と第2の多様体の状態との間の遷移を示す。クロック状態EIT冷却動作に関して本明細書において使用される場合、状態の多様体は特定の超微細レベルを指し、各多様体は、印加される磁場によるゼーマン分裂によってエネルギーが異なる複数の状態を備える。
二光子共鳴の周波数幅は、P1/2多様体の状態からの単光子離調(たとえば、ΔA、ΔB)に依存する。たとえば、第1および/または第2の離調が減少すると、二光子共鳴の幅はより広くなり、第1および/または第2の離調が増大すると、二光子共鳴の幅はより狭くなる。二光子共鳴のより狭い周波数幅は、(二光子共鳴の広い周波数幅と比較して)より低温へのより高速な冷却をもたらし、二光子共鳴のより広い周波数幅は、(二光子共鳴の狭い周波数幅と比較して)より広い冷却帯域幅を提供する。様々な実施形態は、異なるモード周波数(たとえば、1~3MHzにわたる周波数)を有する極小物体のモードを含めて、複数の極小物体モードの同時冷却を可能にするように、従来の離調より小さいを変化させ、第1および第2の操作信号の強度を変化させるという使用法を通じて、広帯域EIT冷却を提供する。
様々な実施形態において、第1の離調ΔAおよび第2の離調ΔBは、30~450MHzの範囲における離調に設定される。たとえば、例示的な実施形態では、ΔA=ΔB≒55MHzであり、これは、極小物体(たとえば、4つのイオンを備えるイオン結晶などのイオン結晶)の振動モードを効率的に冷却するのに十分大きい冷却帯域幅をもたらしながら、それでも、極小物体が量子コンピュータの量子ビットとして使用するための量子ビットイオンを備えるような、量子コンピュータの極小物体閉じ込め装置に閉じ込められる極小物体の冷却を含めて、様々な用途に十分な冷却速度と最終的な温度を維持する。
様々な実施形態において、クロック状態EIT冷却動作の様々な実施形態の有効性は、第1および第2の操作信号をそれぞれ特徴付ける第1および第2の波長λA、λBが互いに対して比較的安定しているときに高まる。例示的な実施形態では、第1の操作源および第2の操作源は、第1の波長および第2の波長が独立に安定化されるように構成される。例示的な実施形態では、第1の操作信号および第2の操作信号は、2つの操作信号のそれぞれの波長が互いに対してかなり安定するように、同じ操作源64によって生成される。
図4において、例示的な実施形態のクロック状態EIT冷却動作において使用され得る、S1/2多様体410のm=0状態(たとえば、クロック状態412、414)およびP1/2多様体420の状態からなる例示的な二光子共鳴は、実線として示される第1の操作信号415と実線として示される第2の操作信号425による結合を介して示される。
図4は、第1の操作信号415によるS多様体410のゼーマン状態416A、416B(m=+/-1)からの極小物体の光ポンピングも示す。様々な実施形態において、P多様体420からの極小物体の自然崩壊が、S多様体410の結合されていないゼーマン(たとえば、m=+/-1)状態416A、416Bを占有することにつながり得る。しかしながら、極小物体への第1の操作信号415および第2の操作信号425の印加はまた、破線の遷移線450によって示されるように、これらの結合されていないゼーマン状態416A、416Bから占有を取り除く。たとえば、極小物体への第1の操作信号415の印加は、結合されていないゼーマン(たとえば、m=+/-1)状態416A、416Bの極小物体をクロック状態412、414へと戻すように光ポンピングする。結果として、暗状態冷却サイクルから漏洩するあらゆる極小物体(たとえば、クロック状態412、414、およびP多様体420の1つまたは複数の状態を備える)は、この光ポンピングプロセスを通じてすぐに返される。
例示的な実施形態では、第1の操作信号415は第1の操作源64Aによって生成および/または提供され、第2の操作信号425は第2の操作源64Bによって生成および/または提供され、第1の操作源64Aおよび第2の操作源64Bは異なる操作源である。例示的な実施形態では、第1の操作信号415および第2の操作信号425は、同じ操作源(たとえば、同じレーザー)によって生成される。たとえば、例示的な実施形態では、第1の操作源および第2の操作源は同じ操作源であり、または重複する操作源である(たとえば、同じレーザーを備えるが、それぞれの操作信号を準備するための異なる光成分を含み得る)。
図5は、例示的な実施形態のクロック状態EIT冷却動作を実行するための1つの例示的なジオメトリを示す。図5は、極小物体閉じ込め装置50の特定の領域55に配置および/または配設される極小物体508を示す。極小物体508は、2つの第1の成分510および2つの第2の成分512を備える。第1の成分510は第1の原子タイプであり、第2の成分512は第2の原子タイプであり、第1の原子タイプおよび第2の原子タイプは異なる。たとえば、例示的な実施形態において、第1の成分510は一価イオン化されたYb原子であり、第2の成分512は一価イオン化されたBa原子である。第1および第2の成分510、512は、極小物体軸505を定義するように整列および/または配設される。例示的な実施形態において、極小物体軸505は、極小物体閉じ込め装置50の特定の領域55の高周波ヌル550に実質的に平行である。高周波ヌル550は、高周波電圧信号を極小物体閉じ込め装置50の高周波電極および/またはレールに印加することによって生成される疑似ポテンシャルのゼロ点の線である。
様々な実施形態において、磁場Bは、特定の領域55において磁場Bが有限の実質的に安定した(たとえば、時間とともに変化しない)振幅(たとえば、例示的な実施形態では2~10ガウスおよび/または5ガウス)を有するように生成される。様々な実施形態において、特定の領域55における磁場Bは、極小物体軸505と角度θを形成する磁場方向を有する。例示的な実施形態では、角度θは0度から90度の範囲または180~270度の範囲にある。例示的な実施形態では、角度θは約45度である。
様々な実施形態において、磁場方向は、第1の操作信号415の伝播の方向に実質的に平行ではなく、または反平行である。様々な実施形態において、クロック状態EIT冷却動作の有効性は、磁場方向が第1の操作信号415の偏光418に実質的に平行ではない限り、または反平行である限り、第1および第2の操作信号415、425と磁場方向との間の相対角度に依存しない。
様々な実施形態において、第1の操作信号415は第1の偏光418(たとえば、示される実施形態では直線偏光)を有する。例示的な実施形態において、第1の操作信号415の偏光418は、磁場方向に対して斜めである。
様々な実施形態において、第1の操作信号415は、極小物体軸505に対して斜めである。第1の伝播方向に伝播する。例示的な実施形態において、第1の操作信号415は、極小物体軸505と角度φを形成する第1の伝播方向に伝播する。様々な実施形態において、角度φは0度から90度の範囲にある。例示的な実施形態において、角度φは約45度である。
様々な実施形態において、第2の操作信号425は第2の偏光428(たとえば、示される実施形態では直線偏光)を有する。例示的な実施形態において、第2の操作信号425の第2の偏光428は、磁場方向と第1の偏光418の両方に対して斜めである。
様々な実施形態において、第2の操作信号425は、極小物体軸505に対して斜めである第2の伝播方向に伝播する。例示的な実施形態において、第2の操作信号425は、極小物体軸505と角度Ψを形成する第2の伝播方向に伝播する。様々な実施形態において、角度Ψは90度から180度の範囲にある。例示的な実施形態において、角度Ψは約135度である。
様々な実施形態において、第1の伝播方向は、第2の伝播方向に対して斜めまたは反平行である。一般に、第1の伝播方向および第2の伝播方向は、実質的に平行ではない(たとえば、互いに対して斜めまたは反平行である)。示される実施形態では、第1の伝播方向および第2の伝播方向は、互いに対して実質的に反平行である(たとえば、φ+Ψ=180°)。様々な実施形態において、φ+Ψは135度から225度の範囲にある。
様々な実施形態において、第1の伝播方向
(それぞれの第1の操作信号415の波ベクトルの方向の単位ベクトル)と第2の伝播方向
(それぞれの第2の操作信号425の波ベクトルの方向の単位ベクトル)との差は、冷却されるべき振動の方向に対する0ではない投影を有する。たとえば、冷却されるべき極小物体508のモードが軸モード(たとえば、極小物体軸505に沿った振動に対応する)であるとき、
であり、
は極小物体軸505に沿った単位ベクトルであり、
である。別の例では、冷却されるべき極小物体508のモードが半径方向モードである(たとえば、極小物体軸505に直交する振動に対応する)とき、
であり、
は半径方向単位ベクトルである(たとえば、
かつ
)。
図5は、例示的な実施形態のクロック状態EIT冷却動作を実行するための例示的なジオメトリを示す。理解されるべきであるように、様々な他の実施形態において他のジオメトリが使用され得る。たとえば、例示的な実施形態では、磁場方向は、極小物体軸505に平行または反平行であり得る。例示的な実施形態では、第1の伝播方向および第2の伝播方向は各々、極小物体軸505に平行である。様々な実施形態において、磁場方向、第1の伝播方向、および/または第2の伝播方向は、極小物体閉じ込め装置によって定義される平面に対して斜めであり得る。
EIT冷却動作を実行するための例示的な方法
図6は、様々な実施形態による、S-to-P-to-D EIT冷却動作および/またはクロック状態EIT冷却動作を実行するための様々な処理、手順などを示すフローチャートを提供する。図6に示される例示的な実施形態は、量子コンピュータ110などのQCCDベースの量子コンピュータによるS-to-P-to-D EIT冷却動作および/またはクロック状態EIT冷却動作の実行に対応する。様々な実施形態において、図6に示される処理、手順などは、量子コンピュータ110のコントローラ30によって実行される。
ステップ/動作602で開始すると、コントローラ30は、量子コンピュータ110に量子回路の実施および/または実行を開始させる。たとえば、コントローラ30は、極小物体閉じ込め措置50によって閉じ込められる極小物体の量子ビットイオンの制御された量子状態進化を量子コンピュータ110に実行させるように、量子コンピュータ110の電圧源、操作源64、磁場生成器70などを制御し得る。
ステップ/動作604において、コントローラ30は、冷却トリガが識別されたことを決定する。たとえば、コントローラ30が量子コンピュータ110および/またはその構成要素を制御するにつれて、コントローラ30は、冷却トリガが識別されたことを決定する。例示的な実施形態では、冷却トリガは、輸送動作(たとえば、直線輸送、二次元極小物体閉じ込め装置の接合点を通る輸送、極小物体内の成分の並べ替え、極小物体を組み合わせること、極小物体を分割すること、極小物体を交換することなど)を実行することと、輸送動作の間に得られる過剰な熱が極小物体から取り除かれるべきであると決定することとに応答して識別される。例示的な実施形態において、冷却トリガは量子ゲートの実行の準備において識別される。様々な実施形態において、種々の活動および/または計画された活動が、冷却トリガが識別されたことを、コントローラ30に決定させ得る。様々な実施形態において、冷却トリガは、冷却動作が実行されるべき極小物体閉じ込め装置50の特定の領域55を示す。
ステップ/動作606において、コントローラ30は、ある磁場方向および特定の振幅を有する特定の領域55における磁場を生成するように、磁場生成器70を制御する。例示的な実施形態において、磁場生成器70は永久磁石であり、コントローラ30は磁場生成器70を制御する必要はない。例示的な実施形態において、磁場生成器70は、量子コンピュータ110の動作ならびに/または量子回路および/もしくはアルゴリズムの実行の全体で、ある磁場方向および特定の振幅を有する実質的に安定した磁場を生成および/または維持するように構成される。したがって、例示的な実施形態において、コントローラ30は、その磁場方向および特定の振幅を有する磁場を特定の領域55において維持するように、磁場生成器70を制御する。
ステップ/動作608において、コントローラ30は、第1の操作信号215、415を生成して特定の領域55に提供するように第1の操作源64Aを制御し、第2の操作信号225、425を生成して特定の領域55に提供するように第2の操作源64Bを制御する。
様々な実施形態において、EIT冷却動作は、S-to-P-to-D EIT冷却動作であり、第1の操作信号215は、極小物体308の第1の成分310のS多様体とP多様体との間の遷移に対応する第1の波長λ1によって特徴付けられ、第1の離調ΔSPだけS多様体とP多様体との間の遷移から離調している。様々な実施形態において、第2の操作信号225は、極小物体308の第1の成分310のP多様体とD多様体との間の遷移に対応する第2の波長λ2によって特徴付けられ、第2の離調ΔPDだけP多様体とD多様体との間の遷移から離調している。
様々な実施形態において、EIT冷却動作はクロック状態EIT冷却動作であり、第1の操作信号415は、極小物体408の第1の成分510のS多様体の第1のクロック状態412とP多様体との間の遷移に対応する第1の波長λAによって特徴付けられ、第1の離調ΔAだけ第1のクロック状態412とP多様体420との間の遷移から離調している。様々な実施形態において、第2の操作信号425は、極小物体508の第1の成分510のS多様体410の第2のクロック状態414とP多様体420との間の遷移に対応する第2の波長λBによって特徴付けられ、第2の離調ΔBだけ第2のクロック状態414とP多様体420との間の遷移から離調している。
様々な実施形態において、第1および第2の離調は、S-to-P-to-D EIT冷却動作の場合、S多様体とD多様体との間の二光子遷移、または、クロック状態EIT冷却動作の場合、第1のクロック状態412と第2のクロック状態414との間の二光子遷移に関連する、(選択された)暗状態に対応する(たとえば、それに同調され、および/またはそれに基づいて決定される)。様々な実施形態において、特定の領域55において配設される極小物体に、時間が重複する方式で第1の操作信号と第2の操作信号の両方が入射するように、第1および第2の操作信号215、415、225、425が提供される。たとえば、少なくともある期間、第1の操作信号と第2の操作信号の両方が、特定の領域55に配設される極小物体に同時に入射する。
様々な実施形態において、S-to-P-to-D EIT冷却動作またはクロック状態EIT冷却動作を実行する前に、ドップラー冷却動作が実行される。たとえば、例示的な実施形態では、冷却トリガが識別されると決定したことに応答して、極小物体および/またはその成分に対して適宜、ドップラー冷却動作が実行され、S-to-P-to-D EIT冷却動作またはクロック状態EIT冷却動作の実行がそれに続く。例示的な実施形態では、冷却トリガは、特定の領域55に配設される極小物体がドップラー限界に達するまでドップラー冷却動作が特定の領域55において実行されたと決定したことに応答して識別される。
ステップ/動作610において、コントローラ30は、十分な冷却が実行されたかどうかを決定する。たとえば、コントローラ30は、1つまたは複数の測定を実行して特定の領域55に配設される極小物体の温度および/または振動モードを決定するように、量子コンピュータ110の1つまたは複数の要素を制御し得る。たとえば、コントローラ30は、S-to-P-to-D EIT冷却動作またはクロック状態EIT冷却動作が、十分な冷却を引き起こすのに十分な長さの時間実行されたかどうかを決定し得る。たとえば、例示的な実施形態では、コントローラ30は、冷却時間の間S-to-P-to-D EIT冷却動作またはクロック状態EIT冷却動作を実行するように構成され、十分な冷却が実行されたかどうかの決定は、S-to-P-to-D EIT冷却動作またはクロック状態EIT冷却動作が冷却時間の間実行されたかどうかの決定である。様々な実施形態において、冷却時間は、0.2ミリ秒から1.5ミリ秒の範囲から選択される。
様々な実施形態において、様々な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作は、極小物体308を1.5ミリ秒未満でドップラー限界から
に冷却し、
は極小物体の特定のモードにおける平均の光子の数である。様々な実施形態において、様々な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作は、0.2ミリ秒から1.25ミリ秒で極小物体308をドップラー限界から
に冷却する。例示的な実施形態において、様々な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作は、0.2ミリ秒から0.5ミリ秒で極小物体308をドップラー限界から
に冷却する。たとえば、例示的な実施形態において、様々な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作は、約0.25ミリ秒で極小物体308をドップラー限界から
に冷却する。したがって、コントローラ30は、第1および第2の操作信号215、225が特定の領域55に印加され始めてからある冷却時間が経過したかどうかを決定し得る。様々な実施形態において、冷却時間は、0.25ミリ秒、0.5ミリ秒、1ミリ秒、1.25ミリ秒、1.5ミリ秒などである。
様々な実施形態において、様々な実施形態のクロック状態冷却動作は、軸ゲートモードでは約0.7ミリ秒で、軸重心モードでは約0.13ミリ秒で、極小物体508をドップラー限界から
未満に冷却するように構成される。様々な実施形態において、クロック状態冷却動作は、0.55ms未満で半径方向モードのすべてを
未満に冷却するように構成される。したがって、コントローラ30は、第1および第2の操作信号415、425が特定の領域55に印加され始めてからある冷却時間が経過したかどうかを決定し得る。様々な実施形態において、冷却時間は、0.25ミリ秒、0.55ミリ秒、0.8ミリ秒、1ミリ秒、1.25ミリ秒などである。
十分な冷却が実行されていない(たとえば、冷却時間より短い時間S-to-P-to-D EIT冷却動作またはクロック状態EIT冷却動作が実行された)と決定されると、プロセスはステップ/動作608に戻り、第1および第2の操作信号215、225は特定の領域55に印加され続ける。十分な冷却が実行された(たとえば、冷却時間の間S-to-P-to-D EIT冷却動作またはクロック状態EIT冷却動作が実行された)と決定されると、プロセスはステップ/動作612に続く。
ステップ/動作612において、コントローラ30は、第1の操作信号215および第2の操作信号225が特定の領域55に印加されるのを止めるように、第1の操作源64Aおよび第2の操作源64Bを制御する。たとえば、コントローラ30は、第1の操作源64Aおよび/または第2の操作源64Bに、それぞれ、第1の操作信号215および/または第2の操作信号225の生成を止めさせ得る。たとえば、コントローラ30は、第1の操作信号225および/または第2の操作信号225が特定の領域55に提供および/または印加されるのを止めるように、1つまたは複数の変調器を制御し得る。
ステップ/動作614において、コントローラ30は、量子回路の実施および/または実行を続けるように、量子コンピュータ110の様々な要素(たとえば、電圧源、操作源64、磁場生成器70など)を制御する。たとえば、コントローラ30は、特定の領域55の中へ、その外へ、および/またはその中で1つまたは複数の極小物体が輸送されるようにすること、1つまたは複数の極小物体に対して1つまたは複数の量子ゲートを実行すること、1つまたは複数の極小物体および/または極小物体の成分の状態を読み取ることなどを行うように、量子コンピュータ110の様々な要素を制御し得る。
技術的な利点
様々な実施形態において、S-to-P-to-D EIT冷却動作が実行される。様々な実施形態において、S-to-P-to-D EIT冷却を実行することが可能なシステム(たとえば、量子コンピュータ)および/または対応するシステムにS-to-P-to-D EIT冷却動作を実行させるように構成されるコントローラが提供される。たとえば、様々な実施形態は、極小物体の第1の成分が低位D多様体を有し、極小物体が少なくとも一部S-to-P-to-D EIT冷却動作を使用して冷却されるような、システムを提供する。様々な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作は、従来のレーザー冷却技法に技術的な利点を提供し、従来のレーザー冷却技法に関する技術的な問題に対する技術的な解決策を提供する。
たとえば、ドップラー冷却は、ドップラー限界への極小物体の冷却を可能にするだけであり、これは種々の用途(QCCDベースの量子コンピューティング用途を含む)では十分に低くない。加えて、ドップラー冷却はEIT冷却と比較すると相対的に遅い。様々な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作は、0.2ミリ秒から1.5ミリ秒の範囲の冷却時間で、ドップラー限界(たとえば、
)より十分低く極小物体を効率的に冷却することを可能にする。分解サイドバンド冷却はドップラー限界未満への冷却を可能にするが、分解サイドバンド冷却は実施が技術的に複雑であり、高いレーザー出力を必要とし、レーザー強度の変動の影響を受ける。分解サイドバンド冷却の実施は、極小物体が複数の成分を備えるとき、ならびに/または複数のイオンおよび/もしくは原子を備える結晶であるときには、特に技術的に複雑である。様々な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作は、高速かつ効果的な冷却性能を維持しながら、実施の技術的な複雑さが低くレーザー出力要件がより低いことを含めた、分解サイドバンド冷却を超える改善を提供する。様々な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作はさらに、低位D多様体を有する極小物体の成分のために従来のEIT冷却を実行する際の複雑さをなくす。たとえば、低位D多様体を有する原子および/またはイオンの従来のEIT冷却では、原子および/またはイオンが低位D多様体に「はまり」、S多様体とP多様体との間の冷却サイクルに戻るようにリポンプされる必要がある確率が非常に高い。したがって、様々な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作は、低位D多様体を伴う原子および/もしくはイオン、ならびに/または低位D多様体を伴う第1の成分を有する極小物体のために、従来のEIT冷却と比較して技術的な複雑さを低減する。
様々な実施形態のS-to-P-to-D EIT冷却動作は、第1および第2の操作信号を生成するために使用される操作源が、ドップラー冷却を実行するために使用されるのと同じ操作源であり得るという追加の技術的な利点をもたらす。したがって、システムは、同じ2つのレーザーを使用して、ドップラー冷却およびS-to-P-to-D EIT冷却を実行するように構成されてもよく、たとえば、これにより、様々な実施形態における実装形態の技術的な複雑さを低減する。
様々な実施形態において、クロック状態EIT冷却動作が実行される。様々な実施形態において、クロック状態EIT冷却を実行することが可能なシステム(たとえば、量子コンピュータ)および/または対応するシステムにクロック状態EIT冷却動作を実行させるように構成されるコントローラが提供される。たとえば、様々な実施形態は、極小物体の第1の成分が一価イオン化されたYbと同様のエネルギー構造を有し、極小物体が少なくとも一部クロック状態EIT冷却動作を使用して冷却されるような、システムを提供する。様々な実施形態のクロック状態EIT冷却動作は、従来のレーザー冷却技法に技術的な利点を提供し、従来のレーザー冷却技法に関する技術的な問題に対する技術的な解決策を提供する。
たとえば、本明細書の他の箇所で論じられるように、レーザー冷却技法は、比較的遅いプロセスである(たとえば、量子ゲート、極小物体輸送などのQCCD量子プロセッサによって実行される他のプロセスと比較して)。その上、従来のレーザー冷却技法は、大きなレーザー出力を必要とする。加えて、171Yb+様のエネルギー構造(たとえば、一価イオン化された171Yb原子と同様の微細および/または超微細エネルギー構造)を有するイオンの以前のEIT冷却は、複数のF=1状態を励起多様体に結合することによって機能していた。たとえば、基底多様体のS1/2、F=1、m=+1状態は、P1/2、F=0、m=0状態への結合を介して、基底多様体のS1/2、F=1、m=0状態に結合される。しかしながら、P1/2、F=0、m=0状態へのS1/2、F=1、m=+1状態の結合はσ偏光を必要とするが、P1/2、F=0、m=0状態へのS1/2、F=1、m=0状態の結合はπ偏光を必要とするので、伝播方向に関する磁場の何らかの配向を必要とする。加えて、イオンがS1/2、F=0、m=0において「はまる」ことがあり、S1/2、F=1多様体へとリポンプされなければならないので、S1/2、F=0多様体をP多様体に結合する追加の操作信号が必要である。したがって、従来のEIT冷却は、171Yb+様のエネルギー構造を有する第1の成分を有する極小物体を効果的に冷却するには、高度な技術的な複雑さを必要とする。その上、分解サイドバンド冷却は、EITのために必要とされるものを超える高帯域幅の制御能力を必要とするので、両方の冷却方法を使用することを望む場合、さらなる技術的な複雑さを必要とする。したがって、極小物体をほぼその振動基底状態へとどのように効率的に、効果的に、かつ安定して冷却するかということについての技術的な問題が存在する。
様々な実施形態は、これらの技術的な問題に対する技術的な解決策を提供する。様々な実施形態において、EIT冷却動作は、極小物体の第1の成分のS多様体における第1のクロック状態をP多様体の1つまたは複数の状態に結合する第1の操作信号と、極小物体の第1の成分のS多様体における第2のクロック状態をP多様体の1つまたは複数の状態に結合する第2の操作信号とを使用して実行される。様々な実施形態において、極小物体の第1の成分のS多様体における第1のクロック状態はF=0、m=0状態であり、極小物体の第1の成分のS多様体における第2のクロック状態はF=1、m=0状態である。第1および第2のクロック状態は、F=1、m=+/-1状態と比較して環境変化の影響をかなり受けにくい。様々な実施形態において、第1の操作信号と第2の操作信号の両方が、S多様体における第1のクロック状態とS多様体における第2のクロック状態との間の二光子遷移に関連する暗状態を確立するために、P多様体の1つまたは複数の状態の上に離調される。(選択された)暗状態を生み出すためにS多様体における第1のクロック状態と第2のクロック状態を結合することによって、分解サイドバンド冷却より低いレーザー出力要件で、かつ従来のEIT冷却より技術的に複雑ではない方式で、極小物体のほぼ振動基底状態への(たとえば、ドップラー冷却限界をはるかに下回る温度への)効率的な冷却を達成することができる。その上、様々な実施形態において、第1および第2の操作信号を生成ならびに/または提供するために使用される、第1および第2の操作源は、極小物体の第1の成分のサイドバンド冷却を実行するためにも使用され得る。したがって、様々な実施形態は、追加のレーザーまたは他の操作源を必要とすることなく、サイドバンド冷却とEIT冷却の両方の使用を可能にする。加えて、様々な実施形態は、従来のレーザー冷却技法と比較して低い出力を使用しながら、極小物体のより高速な冷却をもたらす。したがって、様々な実施形態は、極小物体の従来のレーザー冷却を超える技術的な改善を提供する。
例示的なコントローラ
様々な実施形態において、量子コンピュータ110は、量子コンピュータ110の様々な要素を制御するように構成されるコントローラ30を備える。様々な実施形態において、コントローラ30は、様々な動作(たとえば、ゲート動作、冷却動作、輸送動作、量子ビット相互作用動作、量子ビット測定動作、漏洩抑制/変換動作などの計算動作)を量子コンピュータ110に実行させるように構成され得る。たとえば、コントローラ30は、冷却トリガを識別すること、冷却動作(たとえば、S-to-P-to-D EIT冷却動作、クロック状態EIT冷却動作、および/またはS-to-P-to-Dもしくはクロック状態EIT冷却動作が後に続くドップラー冷却)が実行されるようにすること、第1および/または第2の操作信号を提供するように第1および/または第2の操作源を制御することなどを行うように構成され得る。たとえば、コントローラ30は、低温および/もしくは真空チャンバー40内の温度と圧力を制御する低温システムおよび/もしくは真空システム、操作源64、極小物体閉じ込め装置50の電極に電圧信号を印加するように構成される電圧源、磁場生成器70、ならびに/または、低温および/もしくは真空チャンバー40内の環境条件(たとえば、温度、湿度、圧力など)を制御するシステムを制御するように構成され、かつ/または、極小物体閉じ込め装置50内の1つまたは複数の極小物体の量子状態の制御された進化を操作し、および/もしくは引き起こすように構成され得る。
図7に示されるように、様々な実施形態において、コントローラ30は、処理要素705、メモリ710、ドライバコントローラ要素715、通信インターフェース720、アナログデジタルコンバータ要素725などを含む、様々なコントローラ要素を備え得る。たとえば、処理要素705は、プログラマブル論理デバイス(CPLD)、マイクロプロセッサ、コプロセッシングエンティティ、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、ハードウェアアクセラレータ、他の処理デバイスおよび/または回路などを備え得る。回路という用語は、完全にハードウェアの実施形態またはハードウェアとコンピュータプログラム製品の組合せを指し得る。例示的な実施形態において、コントローラ30の処理要素705は、クロックを備え、および/またはクロックと通信している。
たとえば、メモリ710は、ハードディスク、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、RRAM、SONOS、レーストラックメモリ、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリなどの1つまたは複数などの、揮発性および/または不揮発性メモリストレージなどの、非一時的メモリを備え得る。様々な実施形態において、メモリ710は、量子コンピュータの量子ビット(たとえば、量子ビット記録データストア、量子ビット記録データベース、量子ビット記録テーブルなど)、較正テーブル、実行可能キュー、コンピュータプログラムコード(たとえば、1つまたは複数のコンピュータ言語、専用のコントローラ言語などの)などに対応する、量子ビット記録を記憶し得る。例示的な実施形態では、メモリ710に(たとえば、処理要素705によって)記憶されるコンピュータプログラムコードの少なくとも一部分の実行は、コントローラ30に、本明細書において説明される1つまたは複数のステップ、動作、処理、手順などを実行させる。
様々な実施形態において、ドライバコントローラ要素715は、1つまたは複数のドライバを制御するように各々構成される1つまたは複数のドライバおよび/またはコントローラ要素を含み得る。様々な実施形態において、ドライバコントローラ要素715は、ドライバおよび/またはドライバコントローラを備え得る。たとえば、ドライバコントローラは、コントローラ30によって(たとえば、処理要素705によって)スケジューリングされ実行される実行可能命令、コマンドなどに従って、1つまたは複数の対応するドライバが動作させられるようにするように構成され得る。様々な実施形態において、ドライバコントローラ要素715は、コントローラ30が、1つまたは複数の操作源64を動作させ、および/または制御すること、1つまたは複数の磁場生成器70を制御すること、真空および/または低温システムを動作させることなどを可能にし得る。様々な実施形態において、ドライバは、レーザードライバ、真空部品ドライバ、電圧源(たとえば、AC電圧源、任意波形生成器(AWG)、直接デジタル合成器(DDS)など)、低温および/または真空システム部品ドライバなどであり得る。様々な実施形態において、コントローラ30は、カメラ、MEMSカメラ、CCDカメラ、フォトダイオード、光電子増倍管などの、1つまたは複数の光受信機部品から信号を通信および/または受信するための手段を備える。たとえば、コントローラ30は、1つまたは複数の光受信機部品、較正センサなどから信号を受信するように構成される、1つまたは複数のアナログデジタルコンバータ要素725を備え得る。たとえば、コントローラ30は、極小物体閉じ込め装置50の特定の領域55における条件に対応する、および/または、様々な極小物体308に対応する測定結果を、アナログデジタルコンバータ要素725を介して受信し得る。
様々な実施形態において、コントローラ30は、計算エンティティ10とインターフェースおよび/または通信するための通信インターフェース720を備え得る。たとえば、コントローラ30は、実行可能命令、コマンドセットなどを計算エンティティ10から受信し、量子コンピュータ110から(たとえば、光収集システムまたは他の測定システムから)受信された出力および/または出力を処理した結果を計算エンティティ10に提供するための、通信インターフェース720を備え得る。様々な実施形態において、計算エンティティ10およびコントローラ30は、直接の有線および/もしくはワイヤレス接続、ならびに/または、1つまたは複数の有線および/もしくはワイヤレスネットワーク20を介して通信し得る。
例示的な計算エンティティ
図8は、本発明の実施形態とともに使用され得る例示的な計算エンティティ10を表す例示的な概略図を提供する。様々な実施形態において、計算エンティティ10は、ユーザが入力を量子コンピュータ110に(たとえば、計算エンティティ10のユーザインターフェースを介して)提供し、量子コンピュータ110からの出力を受信し、表示し、分析するなどすることを可能にするように構成される。たとえば、ユーザは、量子アルゴリズムおよび/もしくは量子回路を生成ならびに/またはプログラムするように計算エンティティ10を操作してもよく、その量子アルゴリズムおよび/または量子回路は、コントローラ30が量子アルゴリズムおよび/または量子回路を受け入れて、量子コンピュータ110に量子アルゴリズムおよび/または量子回路を実行させることができるように提供され得る。
図8に示されるように、計算エンティティ10は、アンテナ812、送信機814(たとえば、無線)、受信機806(たとえば、無線)、ならびに、それぞれ送信機814および受信機806に信号を提供しそれらから信号を受信する処理デバイスおよび/または要素808を含み得る。それぞれ送信機814および受信機806に提供され、それらから受信される信号は、コントローラ30、他の計算エンティティ10などの様々なエンティティと通信するために、適用可能なワイヤレスシステムのエアインターフェース規格に従って情報/データをシグナリングすることを含み得る。この点で、計算エンティティ10は、1つまたは複数のエアインターフェース規格、通信プロトコル、変調タイプ、およびアクセスタイプを用いて動作することが可能であり得る。たとえば、計算エンティティ10は、ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、デジタル加入者線(DSL)、イーサネット、非同期転送モード(ATM)、フレームリレー、data over cable service interface specification(DOCSIS)、または任意の他の有線送信プロトコルなどの、有線データ送信プロトコルを使用して、通信を受信し、および/または提供するように構成され得る。同様に、計算エンティティ10は、general packet radio service(GPRS)、Universal Mobile Telecommunications System(UMTS)、Code Division Multiple Access 2000(CDMA2000)、CDMA2000 1X(1xRTT)、Wideband Code Division Multiple Access(WCDMA)、Global System for Mobile Communications(GSM)、Enhanced Data rates for GSM Evolution(EDGE)、Time Division-Synchronous Code Division Multiple Access(TD-SCDMA)、Long Term Evolution(LTE)、Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E-UTRAN)、Evolution-Data Optimized(EVDO)、High Speed Packet Access(HSPA)、High-Speed Downlink Packet Access(HSDPA)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、Wi-Fi Direct、802.16(WiMAX)、ultra wideband(UWB)、赤外線(IR)プロトコル、近距離通信(NFC)プロトコル、Wibree、Bluetoothプロトコル、ワイヤレスuniversal serial bus(USB)プロトコル、および/または任意の他のワイヤレスプロトコルなどの、種々のプロトコルのいずれかを使用してワイヤレス外部通信ネットワークを介して通信するように構成され得る。計算エンティティ10は、ボーダーゲートウェイプロトコル(BGP)、ダイナミックホストコンフィグレーションプロトコル(DHCP)、ドメイン名システム(DNS)、ファイル転送プロトコル(FTP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、HTTP over TLS/SSL/Secure、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)、ネットワークタイムプロトコル(NTP)、シンプルメール転送プロトコル(SMTP)、Telnet、トランスポートレイヤセキュリティ(TLS)、セキュアソケットレイヤ(SSL)、インターネットプロトコル(IP)、送信制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、データグラム混雑制御プロトコル(DCCP)、ストリーム制御送信プロトコル(SCTP)、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)などを使用して通信するための、そのようなプロトコルおよび規格を使用し得る。
これらの通信規格およびプロトコルを介して、計算エンティティ10は、Unstructured Supplementary Service information/data(USSD)、ショートメッセージサービス(SMS)、マルチメディアメッセージングサービス(MMS)、Dual-Tone Multi-Frequency Signaling(DTMF)、および/または加入者識別モジュールダイヤラ(SIMダイヤラ)などの概念を使用して、様々な他のエンティティと通信することができる。計算エンティティ10はまた、そのファームウェア、ソフトウェア(たとえば、実行可能命令、アプリケーション、プログラムモジュールを含む)、およびオペレーティングシステムへの、たとえば変更、アドオン、および更新をダウンロードすることもできる。
計算エンティティ10はまた、1つまたは複数のユーザ入力/出力インターフェース(たとえば、処理デバイスおよび/もしくは要素808に結合されたディスプレイ816および/またはスピーカー/スピーカードライバ、ならびに、処理デバイスおよび/もしくは要素808に結合されたタッチスクリーン、キーボード、マウス、および/またはマイクロフォン)を備えるユーザインターフェースデバイスを備え得る。たとえば、ユーザ出力インターフェースは、アプリケーション、ブラウザ、ユーザインターフェース、インターフェース、ダッシュボード、画面、ウェブページ、ページ、ならびに/または、情報/データの表示もしくは可聴の提示を引き起こすために、および1つまたは複数のユーザ入力インターフェースを介して計算エンティティ10と対話するために、計算エンティティ10で実行する、および/もしくは計算エンティティ10を介してアクセス可能な、本明細書において交換可能に使用される類似の語を提供するように構成され得る。ユーザ入力インターフェースは、キーパッド818(ハードまたはソフト)、タッチディスプレイ、声/発話もしくはモーションインターフェース、スキャナ、リーダ、または他の入力デバイスなどの、計算エンティティ10がデータを受信することを可能にするいくつかのデバイスのいずれかを備え得る。キーパッド818を含む実施形態では、キーパッド818は、従来の数字(0~9)および関連するキー(#、*)、ならびに計算エンティティ10を動作させるために使用される他のキーを含むことができ(またはその表示を引き起こすことができ)、英数字キーの完全なセットまたは英数字キーの完全なセットを提供するように作動し得るキーのセットを含み得る。入力を提供することに加えて、ユーザ入力インターフェースは、たとえば、スクリーンセーバーおよび/またはスリープモードなどの何らかの機能を有効または無効にするために使用され得る。そのような入力を通じて、計算エンティティ10は、情報/データ、ユーザ対話/入力などを収集することができる。
計算エンティティ10はまた、揮発性ストレージもしくはメモリ822および/または不揮発性ストレージもしくはメモリ824を含んでもよく、これらは、埋め込まれていてもよく、および/または取り外し可能であってもよい。たとえば、不揮発性メモリは、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、RRAM、SONOS、レーストラックメモリなどであり得る。揮発性メモリは、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリなどであり得る。揮発性および不揮発性ストレージまたはメモリは、計算エンティティ10の機能を実装するための、データベース、データベースインスタンス、データベース管理システムエンティティ、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイルされたコード、解釈されたコード、マシンコード、実行可能命令などを記憶することができる。
結論
本明細書に記載される本発明の多くの改変および他の実施形態が、前述の説明および関連する図面において提示される教示の利益を受ける、本発明が関係する技術の当業者には想起されるだろう。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されるべきではなく、改変および他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されることが理解されるべきである。特定の用語が本明細書で利用されるが、それらは、限定を目的とするものではなく一般的な説明の意味で使用されるにすぎない。