JP2023020570A - ヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法、ヒアルロン酸塩含有微細ファイバー、および繊維製品 - Google Patents

ヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法、ヒアルロン酸塩含有微細ファイバー、および繊維製品 Download PDF

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【課題】保湿性、吸湿性に優れ、かつ高分子量ヒアルロン酸塩を高濃度で含むヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法、ヒアルロン酸塩含有微細ファイバー、および繊維製品を提供する。【解決手段】ヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法は、重量平均分子量が50万以上のヒアルロン酸塩と親水基を有するポリマーと水とを含む混合水溶液を調製する工程と、高電圧を印加した紡糸ノズルから帯電した前記混合水溶液を噴射してヒアルロン酸塩含有微細ファイバーを紡糸するエレクトロスピニング工程と、を含む。ヒアルロン酸塩含有微細ファイバーは、重量平均分子量が50万以上のヒアルロン酸塩と、親水基を有するポリマーとを含み、ヒアルロン酸塩がファイバー総量に対して10質量%以上含まれている。【選択図】図1

Description

本発明は、医療材料、化粧品材料等に用いられるヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法、ヒアルロン酸塩含有微細ファイバー、および繊維製品に関する。
ヒアルロン酸は、D-グルクロン酸とN-アセチル-D-グルコサミンのユニットからなる高分子量の多糖である。様々な組織の主要な細胞外マトリックス(ECM)成分の1つであり、高い生体適合性から医療応用に注目を集めている。
再生医療や医療デバイスでは、ヒアルロン酸を使った、ECMの代替となりうる材料の開発が要望されている。ECMの代替となりうる材料としては、ヒアルロン酸ナトリウムなどのヒアルロン酸またはその塩を含んだ微細ファイバーが注目されている。ヒアルロン酸を含んだ微細ファイバーは、生体との親和性が高く、ECMの構造を容易に模倣できる可能性がある。
また、ヒアルロン酸を含む微細ファイバーを製造する手段としては、エレクトロスピニング法による紡糸が注目されている。
ここで、エレクトロスピニング法とは、高分子溶液に高電圧を印加しながらノズルから噴射して、微細ファイバーを紡糸する技術である。
エレクトロスピニング法を用いてヒアルロン酸を含む微細ファイバーを紡糸するには、ヒアルロン酸を含んだ溶液が必要である。しかしながら、ヒアルロン酸を水に溶解した場合、ヒアルロン酸は水溶液中で側鎖のカルボキシル基に基づく電荷や水素結合により相互作用を形成してハイドロゲルとなるため、ハイドロゲル化したヒアルロン酸水溶液をそのままエレクトロスピニング法によって紡糸することはできない。
そこで、従来、側鎖を修飾したヒアルロン酸や、化学架橋を導入したヒアルロン酸を用いることにより、ハイドロゲル化を抑制したヒアルロン酸水溶液を作製し、前記水溶液をエレクトロスピニング法により紡糸することによって、ヒアルロン酸を含む微細ファイバーを製造することが提案されている(例えば非特許文献1)。
また、未修飾のヒアルロン酸をジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等などの非プロトン性の有機溶媒に溶解した溶液を使用してエレクトロスピニング法により紡糸することで、ヒアルロン酸を含む微細ファイバーの紡糸性を向上させた報告もある(特許文献1、非特許文献2、3)。
国際公開第2018/056937号
Int. J. Pharm., 456, 125-134, 2013 Macromol. Rapid Commun., 27, 114-120, 2006 Carbohydr. Polym., 87, 926-929, 2012
特許文献1や非特許文献1~3に記載の方法では、エレクトロスピニング法に使用できるヒアルロン酸の分子量や溶液中のヒアルロン酸濃度には限界があるため、高分子量のヒアルロン酸を高濃度で含む溶液をエレクトロスピニング法により紡糸することは困難であった。そのため、高分子量ヒアルロン酸を含む微細ファイバーや前記微細ファイバーを用いた不織布は、従来技術では製造することが困難であった。また、側鎖の修飾処理がされたヒアルロン酸や、化学架橋の導入処理がされたヒアルロン酸は、未処理のヒアルロン酸に比べ、吸湿性や保湿性が損なわれるおそれがある。さらに、医療材料や化粧品材料等に用いるうえで、有機溶剤はできる限り含有しないことが望ましい。
従って、本発明の主たる課題は、保湿性、吸湿性に優れ、かつ高分子量ヒアルロン酸塩を高濃度で含む、ヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法を提供することである。
本発明の他の課題は、実質的に有機溶剤を使用せず、水系溶媒で製造することができるヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の課題は、保湿性、吸湿性に優れ、かつ高分子量ヒアルロン酸塩を高濃度で含む、ヒアルロン酸塩含有微細ファイバーおよびそれを用いた繊維製品を提供することである。
本発明に係るヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法は、重量平均分子量が50万以上のヒアルロン酸塩と親水基を有するポリマーと水とを含む混合水溶液を調製する工程と、高電圧を印加した紡糸ノズルから帯電した前記混合水溶液を噴射してヒアルロン酸塩含有微細ファイバーを紡糸するエレクトロスピニング工程と、を含む。
本発明に係るヒアルロン酸塩含有微細ファイバーは、重量平均分子量が50万以上のヒアルロン酸塩と、親水基を有するポリマーとを含み、前記ヒアルロン酸塩がファイバー総量に対して10質量%以上含まれている。
本発明の繊維製品は、ヒアルロン酸塩含有微細ファイバーを用いたものである。
本発明のヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法によれば、エレクトロスピニング工程において用いる溶液の溶媒に有機溶剤を使用する必要がなく、製造工程において高い安全性を有する。さらに、得られたヒアルロン酸塩含有微細ファイバーやそれを用いた繊維製品についても、高い安全性を有し、医療材料、化粧品材料として使用するのに好適である。
本発明のヒアルロン酸塩含有微細ファイバーおよび繊維製品は、高分子量ヒアルロン酸塩を高濃度で含有するため、ECMの代替材料として使用するのに好適である。
本発明のヒアルロン酸塩含有微細ファイバーおよび繊維製品は、修飾処理や架橋処理がされたヒアルロン酸塩を用いる必要がないため、保湿性、吸湿性に優れており、医療材料、化粧品材料として使用するのに好適である。
本発明のヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法の一実施形態におけるエレクトロスピニング工程を示す説明図である。 混合水溶液のpHと複素粘度(η)との関係を示すグラフである。 (a)~(d)はそれぞれpHの異なる混合水溶液から得られたヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの形態を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
以下、本発明の一実施形態に係るヒアルロン酸塩含有微細ファイバー(以下、単に微細ファイバーということがある)およびその製造方法、本発明の微細ファイバーを用いた繊維製品を説明する。
まず、本発明の微細ファイバーの製造方法を説明する。
本発明のヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法は、重量平均分子量(Mw)が50万以上のヒアルロン酸塩と親水基を有するポリマーと水とを含む混合水溶液を調製する工程と、高電圧を印加した紡糸ノズルから帯電した前記混合水溶液を噴射してヒアルロン酸塩含有微細ファイバーを紡糸するエレクトロスピニング工程と、を含む。
これにより、保湿性、吸湿性に優れ、かつ高分子量ヒアルロン酸塩を高濃度で含む、ヒアルロン酸塩含有微細ファイバーを製造することができる。
また、これにより、実質的に有機溶剤を使用せずに、水系溶媒で製造することができる。
<混合水溶液調製工程>
本発明の一実施形態である微細ファイバーの製造方法は、エレクロトスピニング法に用いるための混合水溶液を調製する工程を有する。前記混合水溶液は、ヒアルロン酸塩と親水基を有するポリマーと水とを含む。
前記ヒアルロン酸塩は、重量平均分子量(Mw)が50万以上であり、好ましくは100万以上であるのがよい。このような高分子量のヒアルロン酸塩を用いることにより、得られる微細ファイバーは、ECMの代替材料として好適に使用することができる。
前記ヒアルロン酸塩としては、ヒアルロン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。ヒアルロン酸の塩とするのは、水に溶けにくい性質を持つヒアルロン酸が、ヒアルロン酸の塩とすることで水に溶解しやすくなるためである。
親水基を有するポリマー(以下、親水性ポリマーということがある)は、本発明において、高分子量ヒアルロン酸塩を高濃度に含有する水溶液を用いた場合の微細ファイバーの紡糸性を向上させる作用を奏する。すなわち、親水性ポリマーが高分子量ヒアルロン酸塩とともに混合水溶液中に存在することにより、溶液の粘度が高くなり紡糸生が向上する。
親水基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エーテル結合等が挙げられる。
このような親水性ポリマーの代表例としては、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエチレンイミン(PEI)およびこれらの混合物や共重合体等が挙げられる。例えば、ポリエチレンオキシドは、重量平均分子量(Mw)が10万以上であるのがよい。
前記混合水溶液は、溶媒として少なくとも水を含む。なお、前記混合水溶液は、得られる微細ファイバーに悪影響を及ぼさない範囲で、他の水溶性溶媒を含むことができ、他の水溶性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、ギ酸、酢酸、酪酸、塩酸等が挙げられる。
混合水溶液におけるヒアルロン酸塩の含有量は、10質量%以下であるのがよい。これにより、紡糸に適した溶液粘度を有する溶液が得られる。
混合水溶液における親水性ポリマーの含有量は、0.1質量%以上20質量%以下であるのがよい。これにより、紡糸に適した溶液粘度を有する溶液が得られる。
なお、混合水溶液におけるヒアルロン酸塩と親水性ポリマーの割合は、得られる微細ファイバーにおけるヒアルロン酸塩の割合が10質量%以上となるようにする。
本発明に係るヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法に用いられるヒアルロン酸塩は、その分子量が混合水溶液の溶液粘度に大きく影響し、分子量の大きいヒアルロン酸塩であるほど、少量の含有であっても混合水溶液の粘度が増大する傾向がある。
本発明の一実施形態におけるヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法は、混合水溶液のpHを所定のpHに調整することにより、粘度の増大を抑制することができる。これにより、混合水溶液の粘度をエレクトロスピニングに適した粘度に保ちながら、重量平均分子量(Mw)が50万以上の高分子量のヒアルロン酸塩を、混合水溶液中により多く含有させることができる。
前記混合水溶液のpHは、具体的には6以下に調整されているのが好ましく、5以下であるのがさらに好ましい。また、前記混合水溶液は、pH3以上であるのがよい。これにより、重量平均分子量(Mw)が50万以上の高分子量のヒアルロン酸塩を高濃度に含む場合であっても、混合水溶液の粘度を低下させることができ、より高分子量のヒアルロン酸塩をより高濃度に含む水溶液を使用した、エレクロトスピニング法を用いた紡糸が可能となる。また、混合水溶液の粘度を低下させることにより、ヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの紡糸性が向上する。また、混合水溶液の粘度を低下させることにより、得られる微細ファイバーの径を小さくすることができ、より微細な繊維を紡糸することが可能となる。
pHの調整には、混合水溶液に酸性物質またはアルカリ物質を添加して行う。酸性物質としては、例えば塩酸、硫酸などの無機酸、クエン酸、シュウ酸等の有機酸を使用することができる。
前記混合溶液を調製する際の調製手順は、特に限定されないが、例えば、ヒアルロン酸塩水溶液と親水性ポリマー水溶液とを予め調製しておき、それらを混合することによって調製することができる。また例えば、まず、ヒアルロン酸塩水溶液を調製し、次いで親水性ポリマーを加えることにより、混合溶液を調製してもよい。
前記混合水溶液には、そのほか、混合水溶液および得られる微細ファイバーに悪影響を及ぼさない範囲で、塩、界面活性剤等の各種添加剤を含んでもよい。なお、ここで言う塩とは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンと、塩酸、クエン酸、酢酸、リン酸、炭酸、ホウ酸等の酸との塩を意味する。また、前記界面活性剤の具体例としては、例えば、Triton X、SDS、プルロニック(登録商標)、Tweenなどが挙げられる。
<エレクトロスピニング工程>
本発明の微細ファイバーの製造方法は、前記混合水溶液を用いて、エレクトロスピニング法により微細ファイバーを紡糸する工程を有する。エレクトロスピニング工程では、例えば図1に示すように、混合水溶液1はシリンジ2内に収容され、このシリンジ2から一定速度で押し出され、紡糸ノズル3に送られる。
紡糸ノズル3には、高圧電源装置4から高電圧が印加されており、帯電した混合水溶液1を紡糸ノズル3から噴射することにより、混合水溶液1に含まれる溶媒(水)が徐々に揮発しながら紡糸されて微細ファイバー6を形成し、紡糸された微細ファイバー6は、コレクター5の表面上に付着していく。
コレクター5は、円板形または円柱形であり、中心軸7によって回転している。これにより、紡糸ノズル3から噴射され紡糸された微細ファイバー6は、回転するコレクター5の周面上に巻き取られていく。
混合水溶液1をエレクトロスピニングすることによって微細ファイバーを製造する工程において、コレクター5の回転速度は2m/秒以上50m/秒以下であるであるのがよく、好ましくは20m/秒以下であるのがよい。これにより、強い牽引力により、より細い繊維が得られる。
混合水溶液1をエレクトロスピニングすることによって微細ファイバーを製造するためのその他の条件としては、例えば、噴射時の流速、印加電圧、ノズル3からコレクターまでの距離等が挙げられる。これらは特に限定するものではないが、例えば、流速0.05~1mL/時、印加電圧10~40kV、ノズル3からコレクター5までの距離4~20cmの条件から最適な条件を選択することができる。
なお、エレクトロスピニング法により紡糸された微細ファイバー6をコレクター5の表面に堆積させることにより、微細ファイバー不織布を形成することができる。すなわち、微細ファイバー6同士の融着または絡み合いによって、微細ファイバー不織布が形成される。
また、円板形または円柱形のコレクター5に代えて、平板状のコレクター(図示せず)を用いて、このコレクター上に微細ファイバーを堆積させて、微細ファイバー不織布を形成してもよい。このように、本発明の微細ファイバーの製造方法によれば、微細ファイバーを含む不織布等の繊維製品を得ることができる。
<ヒアルロン酸塩含有微細ファイバー>
本発明の一実施形態であるヒアルロン酸塩含有微細ファイバーは、重量平均分子量が50万以上のヒアルロン酸塩と、親水基を有するポリマーとを含み、前記ヒアルロン酸塩がファイバー総量に対して10質量%以上含まれている。このように、本発明の微細ファイバーは、高分子量ヒアルロン酸塩を高濃度で含有するため、ECMの代替材料として使用するのに好適である。
本発明の微細ファイバーに含まれるヒアルロン酸塩は、重量平均分子量(Mw)が50万以上であり、好ましくは180万以上220万以下であるのがよい。このような高分子量のヒアルロン酸塩を含有することにより、本発明に係る微細ファイバーは、ECMの代替材料として好適に使用することができる。
本発明の微細ファイバーに含まれる親水性ポリマーは、微細ファイバー中において、ヒアルロン酸と相互作用しうる官能基(水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド結合、エーテル結合等)を有している。
本発明の微細ファイバーに含まれるヒアルロン酸塩および親水性ポリマーの具体例としては、製造法のところで述べたとおりである。
本実施形態では、必要に応じて、上記したヒアルロン酸塩および親水性ポリマーと共に、塩、界面活性剤等の成分を含有していてもよい。なお、ここで言う塩とは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンと、塩酸、クエン酸、酢酸、リン酸、炭酸、ホウ酸等の酸との塩を意味する。また、前記界面活性剤の具体例としては、例えば、Triton X、SDS、プルロニック(登録商標)、Tweenなどが挙げられる。
本実施形態の微細ファイバーは、ヒアルロン酸塩を微細ファイバー総量に対して10質量%以上含んでおり、好ましくは50質量%以上含むのがよい。これにより、微細ファイバーは、高い保湿性、吸湿性を有する。また、ヒアルロン酸塩の上限値としては特に限定するものではないが、98質量%であるのがよい。
微細ファイバーの平均繊維径は、特に限定されないが、0.1μm以上、8.0μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.3μm以下であるのがよい。これにより、比表面積が大きくなり保湿効果および吸湿効果が高まる。微細ファイバーの平均繊維径は、例えば、SEM写真から求めることができる。
ヒアルロン酸は、様々な生体組織における主要なECM成分であり、高い生体適合性を有することから、得られたヒアルロン酸塩含有微細ファイバーは、例えば、再生医療等の医療分野への応用が期待されるものである。また、本発明に係る微細ファイバーは、その保湿性を利用して、例えば化粧用のパック(フェイスパック)の材料として用いる等、化粧品分野への応用も期待される。特に、本発明に係る微細ファイバーは、実質的に有機溶剤を含有していないので、医療分野や化粧品分野で使用するのに好適である。また、本発明に係る微細ファイバーは、人工の細胞外マトリクスや細胞培養用の足場材等に使用可能である。
本発明に係る微細ファイバーは、製造方法で上述したように、エレクトロスピニング法によって紡糸する際にシート状の不織布の形態にすることもできるが、これに限定されず、様々な形状を有する三次元構造体の形態であってもよい。このような三次元構造体は、例えば、人工の細胞外マトリクスや細胞培養用の足場材等に使用可能である。
本発明に係る微細ファイバーで形成された微細ファイバー膜は、微細ファイバーの配向性をコントロールすることにより、例えば、所望の箇所に引張強度の異方性を付与することができる。
このように、微細ファイバーを含む膜の幾何的構造(例えば、密度、繊維の配向強度、繊維の融合度、多孔度等)、微細ファイバー膜の表面粗さ、膜の厚さ、張力、繊維径、ビーズ・ファイバー(beaded fiber)などをコントロールすることにより、所望の微細ファイバー膜特性を得ることができる。
本発明に係る繊維製品は、本発明に係る微細ファイバーを用いることにより、該繊維製品の所望の箇所に、ヒアルロン酸塩による高い保湿性、吸湿性等を付与することができる。
本発明に係る繊維製品の形態としては、例えば不織布などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、様々な形状を有する三次元構造体であってもよい。また、本発明に係る繊維製品は、本発明の微細ファイバーを少なくとも一部に含むものであればよく、他の繊維材料や異素材との積層体や複合体であってもよい。
本発明に係る繊維製品は、微細ファイバーの配向性をコントロールすることにより、例えば、繊維製品の所望の箇所に引張強度の異方性を付与することができる。
このように、微細ファイバーを含む膜の幾何的構造(例えば、密度、繊維の配向強度、繊維の融合度、多孔度等)、微細ファイバー膜の表面粗さ、膜の厚さ、張力、繊維径、ビーズ・ファイバー(beaded fiber)などをコントロールすることにより、所望の微細ファイバー膜特性を得ることができる。
本発明に係る繊維製品の具体例としては、例えば、化粧品分野におけるフェイスパックや、医療分野における創傷面の湿潤環境を保持するような創傷被覆材、バイオ産業(抗体産生細胞株の培養等)や再生医療用途で使用できるような細胞培養基材(人工の細胞外マトリクス、細胞培養用の足場材等)などが挙げられるが、これに限定するものではない。
本発明に係る繊維製品は、実質的に有機溶剤を含有しないヒアルロン酸塩含有微細ファイバーが用いられているため安全性が高く、医療分野や化粧品分野への利用に好適である。
次に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<混合水溶液の調製工程>
ヒアルロン酸塩として、重量平均分子量(Mw)が200万のヒアルロン酸ナトリウムを使用した。親水性ポリマーとして、重量平均分子量(Mw)が200万のポリエチレンオキシド(PEO)を使用した。ヒアルロン酸ナトリウムの水溶液と、ポリエチレンオキシドの水溶液とを混合して、ヒアルロン酸ナトリウムを1.5質量%、PEOを1.0質量%含む混合水溶液を調製した。
得られた混合水溶液はpH8.5であった。これをHClでpH3、4、5および6に調整した。次に、各pHの粘度を、レオメーター(粘弾性測定装置)を用いて測定した。その結果を図2に示す。
図2に示すように、pHが低くなるにつれて、粘度が低くなっていることがわかる。これは、pHが高いと、ヒアルロン酸ナトリウム分子同士が静電的に相互作用し、互いに絡まりあって流動性が低い状態になっているのに対して、pHが低いほど、ヒアルロン酸ナトリウムの流動性が上昇しPEOとの混和性が向上することを意味している。
<エレクトロスピニング工程>
pHを調整した各混合水溶液を用いて、エレクトロスピニング法にて微細ファイバーの不織布を作製した。得られた微細ファイバーはそれぞれ、総量に対してヒアルロン酸ナトリウムを60質量%含んでいた。
エレクトロスピニング法の紡糸条件は、図1に示す混合水溶液1の紡糸ノズル3への流量0.4~0.6mL/時、紡糸に加わる電界2.0~2.5kV/cm、コレクター5の回転速度13m/秒、紡糸ノズル3の径23G、紡糸ノズル3の先端からコレクター5までの距離10cm、紡糸時間10分間とした。
得られた各微細ファイバーのSEM画像を図3(a)~(d)に示す。また、各混合水溶液の調整pHと、紡糸ノズル3への流量と、得られた各微細ファイバーのファイバー径を表1に示す。ファイバー径はSEM画像から求めた。
Figure 2023020570000002

図3(a)~(d)および表1に示すように、pH6.0以下の混合水溶液から微細ファイバーを紡糸することができた。特に、pH5.0以下で混合水溶液から細い径の微細ファイバーを得ることができ、紡糸性にも優れていた。
1 混合水溶液
2 シリンジ
3 紡糸ノズル
4 高圧電源装置
5 コレクター
6 微細ファイバー
7 中心軸

Claims (5)

  1. 重量平均分子量が50万以上のヒアルロン酸塩と親水基を有するポリマーと水とを含む混合水溶液を調製する工程と、
    高電圧を印加した紡糸ノズルから帯電した前記混合水溶液を噴射してヒアルロン酸塩含有微細ファイバーを紡糸するエレクトロスピニング工程と、
    を含む、ヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法。
  2. 前記混合水溶液のpHを6以下に調整する工程を含む、請求項1に記載のヒアルロン酸塩含有微細ファイバーの製造方法。
  3. 重量平均分子量が50万以上のヒアルロン酸塩と、親水基を有するポリマーとを含み、前記ヒアルロン酸塩がファイバー総量に対して10質量%以上含まれている、ヒアルロン酸塩含有微細ファイバー。
  4. 前記親水基を有するポリマーがポリエチレンオキシドまたはポリビニルアルコールである、請求項3に記載のヒアルロン酸塩含有微細ファイバー。
  5. 請求項3または4に記載のヒアルロン酸塩含有微細ファイバーを用いた繊維製品。


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