JP2023018569A - 泌乳量算出システム - Google Patents

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Seiji Fujiwara
国彦 蓑島
Kunihiko Minoshima
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Hiromitsu Fujiyama
泰匡 柴田
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Abstract

【課題】収集した泌乳量に係る情報が、同一範囲にそろわない場合であっても、要因分析を可能にする泌乳量算出システムを提供する。【解決手段】泌乳量算出システム1は、分娩後日数、実乳量及び気候データを含む要因パラメータを牧場データとして蓄積するメモリ14と、牧場データの中の一定期間の分娩後日数と実乳量を補間する補間式を作成する補間式作成部と、補間式から算出される特定の分娩後日数の補間乳量を目的変数とし牧場データから選ばれた少なくとも1つの要因パラメータを説明変数として推定泌乳量を算出する回帰式を作成する回帰式作成部と、入力された前記要因パラメータの値に対して回帰式から推定泌乳量を算出する乳量算出部を含む本体12(制御装置)と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、分娩後日数に応じた乳牛の搾乳量を、過去のデータに基づいて推定する泌乳量算出システムに関するものである。
酪農業にとっては、泌乳量の増減は、牧場経営に直接影響する大きな問題である。より多くの乳量を得るために、飼料の配合を工夫したり、飼育環境を改善し、乳牛のストレスを少なくするといった工夫が行われている。
一方、このような改善は、個々の牧場に依存する部分が多いため、他の牧場との比較は行いにくい。一般に乳牛は暑さに弱いため、緯度の高い地方の方が泌乳量は多いと考えられるが、気候の違いがどの程度泌乳量に影響しているのかは明らかになっているわけではない。
まして、泌乳量に影響を及ぼす要因は非常に多く考えられるため、どのようなケースの時に、どのような要因が泌乳量に大きく影響を及ぼしているかについては、経験に頼っているのが現状である。
したがって、考えられる要因を入力すると泌乳量を推定できるシステムは、酪農経営に大きな指針を与えるものである。
特許文献1は、情報端末を用いて、乳牛を泌乳ステージ別若しくは繁殖ステージ別に群で把握するシステムを提供している。
また、特許文献2では、牛個体ごとに、過去乳量から回帰式により泌乳曲線を算出するものが開示されている。
特開2020-156359号公報 特開2020―020707号公報
特許文献1は、乳牛の現在の状況を把握しようとするものであり、特許文献2は、過去の泌乳量から未来の泌乳量を推定しようとするものである。しかし、乳牛の泌乳量を増加させるための要因を調べることができるものではない。
高温やストレスによるオキシトシンの減少とアドレナリンの分泌が泌乳量に影響があるという生理的な理屈は理解されているものの、どういった飼育環境や乳牛自身の状態が、乳牛にとって快適な状況であるのかは、人間には理解しにくい。そのため、多くの事象(情報)を集めて要因分析し、泌乳量を高めようとする方法は有用であると考えられる。
ここで、多くの情報とは、できるだけ多くの牧場の、飼育環境や飼料配合、乳牛自身の個別情報が該当する。これらの情報は日々更新されている。また、情報の多様性を確保するには、異なる地域の情報もあれば好ましい。したがって、多くの牧場からのデータを利用できるようにするのが好ましい。
しかしながら、規模や事情の異なる複数の牧場からのデータの定期的な収集は困難を極める。牧場によっては、毎日各種データが数値化される場合もあれば、数日毎でなければ、データがそろわない場合もあるからである。
特に所謂泌乳曲線は分娩後日数と乳量の関係を表すものであるが、分娩後日数が1日違いでそろっている乳牛がいる牧場はよほど大規模でないかぎり、想定しにくい。したがって、実際に収集できる泌乳量のデータでさえ、抜けが生じたり、情報の範囲(分娩後日数の範囲)が異なり、画一的に分析できないという課題があった。
本発明に係る泌乳量算出システムは、上記の課題に鑑みて想到されたものであり、収集した泌乳量に係る情報が、同一範囲にそろわない場合であっても、要因分析を可能にするシステムを提供するものである。
より具体的に本発明に係る泌乳量算出システムは、
分娩後日数、実乳量および気候データを含む要因パラメータを牧場データとして蓄積するメモリと、
前記牧場データの中の一定期間の前記分娩後日数と前記実乳量を補間する補間式を作成する補間式作成部と、
前記補間式から算出される特定の前記分娩後日数の補間乳量を目的変数とし、前記牧場データから選ばれた少なくとも1つの前記要因パラメータを説明変数として推定泌乳量を算出する回帰式を作成する回帰式作成部と、
入力された前記要因パラメータの値に対して前記回帰式から推定泌乳量を算出する乳量算出部を含む制御装置を有することを特徴とする。
本発明に係る泌乳量算出システムは、収集した泌乳量に関するデータを、補間することで、一定の範囲の泌乳量を1日単位でさえ得ることができるので、泌乳量に影響を及ぼす要因の推定に役立つという効果を与える。
また、気温といった予測可能な要因が泌乳量に及ぼす影響が判れば、将来の泌乳量の予測を行うことができるという効果も奏する。
本発明に係る泌乳量算出システムの構成を示す図である。 泌乳量算出システムの全体(メイン)フローを示す図である。 泌乳量算出システムの算出する出力を例示する図である。 推定泌乳量EYを算出する工程のフローを示す図である。 補間式を説明する図である。 補間式を作成するフローを示す図である。 回帰式の作成を説明する図である。 回帰式を作成する工程のフローを示す図である。 図3(a)~(e)の推定泌乳量EYに係る曲線を拡大した図である。 図4のステップS206の要因分析の工程の処理を示す図である。 要因分析において、一定期間mの乳量の実測値RYと回帰式から求めた推定泌乳量EYを比較する様子を示す図である。 個別推定泌乳量IYの処理フローを示す図である。 個別推定泌乳量IYを算出する工程の表示例を示す図である。 群推定泌乳量GYを算出する工程の処理を示す図である。 群推定泌乳量GYを算出する工程の表示例を示す図である。 推定泌乳量比較CYの処理フローを示す図である。 推定泌乳量比較CYを算出する工程の出力例を示す図である。 推移泌乳量比較TYを算出する工程の処理フローを示す図である。 推移泌乳量比較TYを算出する工程の出力例を示す図である。 推移泌乳量比較TYを算出する工程の出力例に乳牛個体の実乳量RYを同時にプロットした場合の結果について示す図である。 泌乳量算出システムを実際の牧場に使用し、推定泌乳量は、THIと日照時間を要因パラメータとして重回帰できることを示す図である。
以下に本発明に係る泌乳量算出システムについて図面を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態および一実施例を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。
図1に本発明に係る泌乳量算出システムの構成を示す。本発明に係る泌乳量算出システム1は、端末10と本体12およびメモリ14で構成される。端末10は、それ自身がCPU(Central Processor Unit)を有するコンピュータとメモリおよび表示画面で構成することができ、移動通信端末(所謂スマートフォン)を含めることができる。
本体12はCPUで構成される。1台のCPUであってもよいし、複数のCPUを接続したものであってもよい。本体12はサービスを提供する装置なので、サーバーと呼んでよい。メモリ14は本体12が使用するメモリである。
本体12と端末10は、通信可能に接続されている。通信は、有線であっても、無線であってもよい。端末10は、クライアントと呼ぶこともできる。端末10は、実際に乳牛を飼育している牧場16Aに設置されるのが好ましい。ここで、「設置」とは、端末10を牧場16Aに物理的に設置する意味の他、牧場16Aの責任者若しくは担当者が移動通信端末を保有することであってもよい。もちろん、端末10は、牧場16A以外の場所に設置されてもよい。また、牧場16は、乳牛が飼育されていればよい。
本体12には、複数の牧場16が接続されていてもよい。泌乳量算出システム1は、泌乳量に係るデータを多量に集め、これらを分析することで、泌乳量を算出するので、多くのデータが集まるのが望ましいからである。また、本体12は、外部情報18とインターネットを介して接続されていてもよい。牧場16から得られるデータだけでなく、全国的な天気に関する情報をネット経由で取得して利用することもできるからである。
このように、泌乳量算出システム1は、多量のデータを様々な場所から収集し、これらを分析することで、泌乳量を算出するので、ネットワーク経由でサービスを提供する形態が好適な実施形態としてあり得る。すなわち、泌乳量算出システム1はクラウドで構成されてもよい。
したがって、被乳量算出システムを実施するクラウドの形態としては、代表的なSaaS(Software as a Service)が好適であるが、PaaS(Platform as a Service)、HaaS(Hardware as a Service)若しくはIaaS(Infrastructure as a Service)といった形態であってもよい。
本発明に係る泌乳量算出システム1は、端末10から要因パラメータPを入力すると、分娩後日数N日の乳牛から搾乳できる推定泌乳量EY(kg)を得ることができる。ここで要因パラメータPとは、気候データ、乳牛自体の体重、飼料摂取量といった個別データ、摂取させている飼料の種類といった飼料データ等を含む牧場データの内、泌乳量を最もよく説明することのできる項目である。この要因パラメータPは、直接測定可能な項目以外に、直接測定可能な項目のデータを加工したデータであってもよい。この要因パラメータPは、泌乳量算出システム1内で、探すことができる。
気候データは、日の出時刻、日の入り時刻、気温、湿度、日照時間、日射量、風向、風速等である。また、牛舎内温度、牛舎内湿度を含んでもよい。また、THI(Temperature Humidity Index:温度湿度指数)等、これらの加工データを含んでもよい。なお、THIとは一例として(1)式で表される指数である。
Figure 2023018569000002
また、気候データは、牛舎内、牛舎外の気候だけでなく、牧場の1km四方の気候、地域の気候また全国の天気予報サービスからの気候データであってもよい。
個別データは、乳牛自体のデータである。具体的には、登録番号、血統、産回数、分娩後日数、乳量、体重、病歴、所有者、飼育場所等である。
飼料データは、過去に摂取させた飼料の種類や配合、回数などが含まれる。
牧場16に設置された端末10は、牧場の乳牛に係る個別データ、実際に摂取させた飼料データ、日々の気候データを牧場データFDとして本体12に送信する。本体12はこれらのデータをメモリ14に蓄積し、端末10から入力された要因パラメータPに従って、分娩後日数Nに応じた推定泌乳量EYを算出し、端末10に表示させる。
なお、本体12は、気候データを外部情報18から取得してもよい。クローズタイプの牛舎であれば、牛舎内の環境は管理されており、データも送信しやすい。しかし、オープンタイプの牛舎の場合、その日の牛舎内の風速は取得しにくい。そのような場合は、外部の気候データを参考にできるからである。
なお、気候に関するデータは、さまざまな物が提供されており、それらも有効に使用することができる。また、牧場データFDは端末10以外の方法で本体12に送信されてもよい。もちろん、牧場データFDを本体12に送信する端末10と、要因パラメータPを入力し、泌乳量を算出させる端末10が別々であってもよい。
図2に泌乳量算出システム1の全体(メイン)フローを示す。なお、牧場データFDを本体12に送信するのは、各牧場が適宜行うとする。泌乳量算出システム1は、計算条件や要因パラメータPといった端末等から入力された入力に対して、推定泌乳量EYを算出する工程、個別推定泌乳量IYを算出する工程、群推定泌乳量GYを算出する工程、推定泌乳量比較CYを算出する工程、推移泌乳量比較TYを算出する工程による結果を返すことができる。この結果は端末10に返してよい。これらを算出する工程は、メインフローのメニューと呼ぶことができる。
なお、本発明は構成の大部分がソフト的に実施される。そこで、処理の「工程」とは、処理のまとまりをいい、本体12には、「工程」を実行する「部」が存在すると考えてよい。具体的には、本体12(制御装置)には、推定泌乳量算出部、個別推定泌乳量算出部、群推定泌乳量算出部、推定泌乳量比較算出部、推移泌乳量比較算出部が存在すると言える。
また、これらの処理工程の中に下位の処理のまとまりがある場合は、それも「部」と呼んでよい。例えば、推定泌乳量算出部には、回帰式を作成する工程が1まとまりの処理としてある。これを「回帰式作成部」と呼ぶことができる。さらにこの中には、「補間式を作成する工程」が含まれ補間式作成部と呼んでよい。また、得られた回帰式に要因パラメータPの値が代入された際に、推定泌乳量を具体的に算出する工程(ステップS210)等も乳量算出部と呼ぶことができる。また、泌乳量算出システム1は少なくとも推定泌乳量EYを算出する工程(推定泌乳量算出部)を有していればよい。
泌乳量算出システム1がスタートすると(ステップS100)、終了判断を行う(ステップS102)。終了判断は、端末10からの終了指示や、本体12と端末10の通信の切断であってよい。終了する場合(ステップS102のY分岐)は、終了する(ステップS104)。終了しない場合(ステップS102のN分岐)は、次に処理を進める。
次に推定泌乳量EYを算出するか、個別推定泌乳量IYを算出するか、群推定泌乳量GYを算出するか、推定泌乳量比較CYを算出するか、推移泌乳量比較TYを算出するかを選択する(ステップS106、ステップS108、ステップS110、ステップS112、ステップS114)。それぞれの選択肢では、選択する場合(Y分岐)は、それぞれの処理に移り、選択しない場合(N分岐)は処理を次に移す。ステップS114の推移泌乳量比較TYの算出を行わない場合(ステップS114のN分岐)は、終了判断(ステップS102)に戻る。
各選択ステップ(ステップS106、ステップS108、ステップS110、ステップS112、ステップS114)を選択した場合(Y分岐)は、それぞれの工程が行われ、終了判断(ステップS102)に戻る。具体的には、推定泌乳量EYを求める場合(ステップS106のY分岐)では、推定泌乳量EYを算出する工程が行われる(ステップS116)。
個別推定泌乳量IYを求める場合(ステップS108)は、個別推定泌乳量IYを算出する工程が行われる(ステップS118)。群推定泌乳量GYを求める場合(ステップS110)は、群推定泌乳量GYを算出する工程が行われる(ステップS120)。推定泌乳量比較CYを求める場合(ステップS112)は、推定泌乳量比較CYを算出する工程が行われる(ステップS122)。また、推移泌乳量比較TYを求める場合(ステップS114)は、推移泌乳量比較TYを算出する工程が行われる(ステップS124)。各処理工程を終了したら再び終了判定(ステップS102)に戻る。
図3には、それぞれの出力例を示す。図3(a)は推定泌乳量EYの出力例である。特定の条件(例えば温度)の下で、分娩後日数に対する泌乳量を示すことができる。図では温度がT1℃の時と、T2℃の時の推定泌乳曲線Mが示されている。なお、本発明の泌乳量算出システム1が提供する推定泌乳曲線Mは、最小で1日単位の算出値(推定泌乳量EY)の集合である。これらの算出値は直線もしくは曲線で結ばれていてもよい。推定泌乳量EYで形成した推定泌乳曲線を符号Mで表す。言い換えると、推定泌乳曲線Mは推定泌乳量EYを適当な分娩後日数N毎にプロットし、直線若しくは曲線で繋げたものである。
図3(b)は個別推定泌乳量IYの出力例である。個別推定泌乳量IYは、指定された母集団の推定泌乳曲線Mに個別の乳牛の実乳量RYをプロットしたものである。図3(b)では、黒丸dで表した。実乳量RYが推定泌乳量EYに対して、一定以上多い個体や、一定以上少ない個体は、特にわかるように表示することができる(図3(b)では、符号du、ddで示した。)。また、このような個体があった場合は、所有者に通知を行ってもよい。
図3(c)は群推定泌乳量GYの出力例である。群推定泌乳量GYは、指定された母集団の推定泌乳曲線Mに群で管理しているグループの乳牛の実乳量RYをプロットしたものである。同じクループの乳牛は同じ印でプロットする。図3(c)では、ユニットU1とユニットU2の2つの群に属する乳牛に対して、ユニットU1は、白丸。ユニットU2は黒丸で表した。
また、実乳量RYが推定泌乳量EYに対して、一定以上高い、若しくは一定以上低い場合は、個別推定泌乳量IYの場合同様に、通知を行ってもよい。なお、同一グループであっても、推定泌乳量EYから一定以上離れる乳量に対しては、別のマークを用いてもよい。
図3(d)は推定泌乳量比較CYの出力例である。推定泌乳量比較CYは、例えば環境の異なる牧場の牛の推定泌乳曲線M1とM2等を比較する。なお、この推定泌乳曲線に特定の乳牛の実乳量RYを追加して表示してもよい。
図3(e)は、推移泌乳量比較TYの出力例である。ここでは、同一牧場の年毎8月の推定泌乳曲線を比較したものである。もちろん、比較の対象は、他の牧場との比較であってもよい。また、後述するように、この推定泌乳曲線Mに特定の乳牛の実乳量RYを追加してプロットしてもよい。その乳牛の時間的な実乳量の変移が、推定泌乳量EYに対して、どういう位置づけになるかを示すことができる。
図2を再度参照する。以上の全体フローは、本体12と端末10の間で分担して行ってよい。例えば、各処理の選択および最終結果の表示は端末10で行い、各処理は本体12で行うなどである。以下、各工程を詳説する。
<推定泌乳量EY>
図4に推定泌乳量EYの算出工程のフローを示す。推定泌乳量EYの算出工程が始まったら(ステップS116)、母集団データの選択と作成条件を決める(ステップS200)。図1で示したメモリ14中には、多数の牧場データが蓄積されている。その中で、必要な場所およびデータの期間を選択する。また、推定泌乳量EYを算出する条件もここで入力する。
例えば、場所は、自分の牧場で、データ期間は昨年度1年等である。また、条件とは、推定泌乳量EYを算出するための条件すべてを含む。例えば、牧場データを参照する際にまとめる期間の長さを決める等である。より具体的にいうと、実乳量は1日毎の乳量にするか、3日毎、1週間毎、1か月毎の平均乳量であるとか、1か月の最大乳量値である等である。また、これに伴い、その他の変数も同様に一定期間毎に代表値を決めてよい。
次に補間式を作成する(ステップS202)。図5に補間式について説明する。図5は横軸が分娩後日数N(日)であり、縦軸は実乳量RY(kg)である。例えば、ある牧場の複数の乳牛の、ある期間(例えば2020年8月1日)のデータである。ここでプロットされた各点は、乳牛毎の実乳量RYなので、散布図となる。しかし、実乳量であるために、プロットできない範囲も生じる。該当する分娩後日数の乳牛がいない場合である。図5では、無データ領域VRで表した。
このように、牧場データに抜けがあると後の回帰式を作成する際のデータに不足が生じ、回帰の精度が低下する。そこで、この散布図を適当な関数で近似する。好適に利用できるのはWOOD曲線である。WOOD曲線は、(2)式で表される曲線で、分娩後日数Nに対する泌乳量Yを表す曲線としてよく知られている。なお、実際の散布図を補間するには、WOOD曲線に限定される必要はなく他の関数であってもよい。
Figure 2023018569000003
なお、ここでA、B、Cは定数であり、Yは泌乳量、Nは分娩後日数である。このWOOD曲線を最小二乗法で散布図にフィットするように定数A、B、Cを決めることができる。このように、分娩後日数Nと乳量Yの関係を連続関数でフィッテングさせることを「補間式を作成する」という。散布図を補間した式をより一般化して(3)式と表す。
Figure 2023018569000004
つまり(3)式の補間式は、乳量Yは分娩後日数Nの関数として表される。関数の形としては、WOOD曲線は好適に利用できるが、これに限定されるものではない。図4の補間式作成工程(ステップS202)は、上記の様に実乳量RYの散布図から補間式(3)を決める工程である。
[補間式作成]
図6に補間式を作成する工程(ステップS202)の処理を示す。補間式を作成する工程が始まると(ステップS202)、図4(EY算出フロー)のステップS200で決めた母集団と条件より分娩後日数Nと実乳量RYのデータを取り出す(ステップS230)。これらは実データと呼ぶことができる。具体的に散布図を描いてもよい。実データとは、各乳牛毎の分娩後日数Nと実乳量RYの組である。
次に分娩後日数Nと乳量Yの実データを最もよく反映する補間式を求める。例えば、上記に示した、WOOD曲線を使った最小二乗法を適用して、定数A、B、Cを決定する(ステップS232)(図5も参照)工程である。これは、実乳量RYにフィッテングさせる関数を求めると言える。そして、(3)式の補間式を得る(ステップS234)。その後EY算出ルーチン(図4)に戻る(ステップS236)。
補間式は、毎日分作成することができる。搾乳はほぼ毎日行われるからである。しかし、環境や乳牛の各個体について、大きな変化がない場合は、3日毎や、1週間毎の実データの平均を実データとみなして補間式(3)を作成してもよい。
また、時間軸を大きくとらえ、1か月の実データの平均値を実データとみなして補間式を作成してもよい。より具体的には、ある乳牛個体の1か月の乳量の平均をその乳牛の実乳量RYとする。またその乳牛の分娩後日数はその1か月の平均(つまり、月初めにN=10日であれば、その月の分娩後日数を25日とする)とする等である。これらは、図4の「母集団データ、作成条件」(ステップS200)で決められていても良い。
引き続き図4を参照する。補間式を作成したら要因分析を行うか否か判断する(ステップS204)。この判断は泌乳量算出システム1の利用者が端末10から指示することができる。要因分析とは、牧場データの中から(2)式の補間式から得られる乳量Yを最もよく説明できる要因パラメータPを調べるか否かの判断である。例えば、泌乳量算出システム1を初めて使用する場合や、母集団を大きく変える場合等に利用する。
要因分析を行う場合(ステップS204のY分岐)は、要因分析の工程を行う(ステップS206)。要因分析工程の詳細は後述する。行わない場合(ステップS208のN分岐)は、処理を次に移す。要因分析については、図10で詳説する。
次に回帰式を作成する(ステップS208)。図7に回帰式の作成について説明する。図5、図6で示した補間式(3)(図7(a))によって、例えば各月毎の分娩後日数Nの乳牛の補間乳量が算出できる。ここでは補間式を一般形Fw()で表し、乳量Yは月ごとの平均乳量とする。したがって、Y1月は1月の補間乳量を表し、分娩後日数Nの乳牛の補間式(3)を求める式をFw1月(N)と表す。
ここで、分娩後日数が50日後をN50と表す。1月から12月までの各月における分娩後日数が50日後の乳牛の補間乳量は、Fw1月(N50)、Fw2月(N50)、・・・、Fw12月(N50)で算出される。もちろんFw(N)は、各月毎に補間式が作成されている(「m」は「月」を表す。)。
この各月の補間乳量を最もよく説明することのできる因子を要因パラメータPとして決める。どのような要因パラメータPがよいのかは、ステップS206の要因分析の工程を行って知ることになる。すでに推定泌乳量EYを求めるために使用する要因パラメータPが決まっている場合は、それを使用する。要因パラメータPは1つでなくてもよい。すなわち、これは各月ごとの補間乳量Yを1以上の因子によって最小二乗法による回帰式を求めることである。
よく知られているように回帰式は(4)式のように表される。
Figure 2023018569000005
ここで、EYは推定泌乳量であり、x、x、・・・、xは因子(要因パラメータP)であり、a、a、・・・、a、cは定数である。
図7(c)には、因子が1つの場合の回帰式の例を示す。図7(a)で示す補間式(3)から、分娩後日数50日の乳牛の各月毎の補間乳量Yを算出する(図7(b)参照。)。ここで、mは月を表す。各月毎の補間乳量とは、月初めの3日間の平均とするなどであってもよい。特定の1日だけのデータにその月の補間乳量を代表させてもよい。
次に、これら月ごとの補間乳量を要因パラメータP(ここでは、例えば正午の温度)で整理すると図7(c)のグラフを得ることができる。なおここでは、各月の分娩後50日の乳牛の推定泌乳量EYは、正午の気温でよく説明できるとした場合の結果を例示する。回帰式は、(5)式で表される。
Figure 2023018569000006
ここで、xは、正午の温度であり、EYは推定泌乳量である。なお、このような回帰式は分娩後日数分だけ作成される。つまり、分娩後日数Nの最終日を300日とすると、1日から300日後までの回帰式を得ることができる(図7(e)参照。)。
因子が複数ある場合は、図7(c)のように2次元では記載できなくなるが、複数の要因パラメータによる重回帰式を得れば、分娩後日数Nと補間乳量Yの関係をよく近似することができる場合がある。このようにして求めた回帰式を(6)式と表す(図7(d)参照。)。
Figure 2023018569000007
ここで、EYは、分娩後日数Nの乳牛が要因パラメータPの時の推定泌乳量EYと呼ぶ。
[回帰式作成]
図8に回帰式を作成する工程のフローを示す。図4で示したEY算出フローで回帰式を作成する工程(ステップS208)が開始されると、図8に飛び、まず要因パラメータPが入力される(ステップS250)。要因パラメータPは、端末10から入力することができる。つまり、泌乳量算出システム1の利用者が入力する。ここでは仮に要因パラメータPがp(温度)であったとする。
次に要因パラメータpについて指定された一定期間m(これはステップS200で定められる)毎に、分娩後日数N毎の推定泌乳量Ymを、補間式(3)によって求める(ステップS252)。つまり、図7(b)の補間乳量Ymを求める。これによって、図7(c)の散布図を描くことができる。
次に要因パラメータpを説明変数、補間乳量Ymを目標変数として、回帰式を求める(ステップS254)。すなわち、この時要因パラメータpについて、分娩後日数Nが同じ場合の乳量の関係(6)式(図7(d))を得ることができる。回帰式の求め方は公知の方法でよい。
このように本発明では、要因パラメータPを使って推定泌乳量を算出する際に、実乳量RYを直接使用するのではなく、実乳量RYを補完する補間式から算出した補間乳量を利用する。そのため、実乳量RYにデータの抜けがあっても、妥当な値を平均的な乳量として算出することができる。
(6)式は、分娩後日数Nが1から最終日(ここで最終日は、分娩後日数の最長日の意味)までの数を作ることができる(図7(e)参照。)。回帰式(6)は、図7(e)をまとめて表している。回帰式が求まったら、図4の推定泌乳量EYを求めるルーチンに戻る(ステップS256)。
図4を再び参照し、推定泌乳量EYを求める回帰式(6)が求められれば、回帰式(6)に要因パラメータPを入力すれば推定泌乳量EYを求めることができる(ステップS210)。
分娩後日数Nに対応する回帰式(6)は要因パラメータPの値を入力すると、推定泌乳量EYを算出する。したがって、分娩後日数N毎を表す回帰式(6)に順次同一の要因パラメータPの値を入力することで、同一の要因パラメータPの値における分娩後日数Nと推定泌乳量EYのデータセットを得ることができる。図3(a)~(e)の推定泌乳量に係る曲線は、このようにして得られた分娩後日数Nと推定乳量EYのデータセットをプロットし、若しくはこの点同士を直線でつないだものである。
図9に図3(a)~(e)の推定泌乳量EYをプロットした推定泌乳曲線Mを拡大した図を示す。分娩後日数毎に推定泌乳量EYをプロットしたものである。要因パラメータPは、pとpの2つの要因で重回帰式を求めた場合を示している。分娩後日数Nは、飛び飛びの値(10日、20日、30日、50日、80日、100日、150日、200日、250日)で求めたが、1日単位で求めることもできる。各推定泌乳量EYは、(6)式が表す別々の回帰式(分娩後日数違い。図7(e)参照。)から求められたものである。すなわち、これらの式の定数は異なる。
推定泌乳量EYを求めるこのステップS210(図4参照)は、クライアント側が端末10から入力し、本体12が推定泌乳量EYを返す。クライアント側は、少なくとも1つの推定泌乳量EYを返せば本発明に係る泌乳量算出システム1としての要件を満たす。複数の分娩後日数Nに対して推定泌乳量EYを求め、図9のようにグラフにしてもよい。
図4を再度参照し、要因パラメータPの再入力を行う場合(ステップS212のY分岐)は、再びステップS210を行う。推定泌乳量EYを求めない場合(ステップS212のN分岐)は、終了判定を行う(ステップS214)。終了する場合(ステップS214のY分岐)は、メインルーチンへ戻る(ステップS216)。終了しない場合(ステップ214のN分岐)は、ステップ200に戻り、EY算出工程を再実行する。
[要因分析]
図10には、図4のステップS206の要因分析の工程の処理を示す。要因分析の工程は、回帰式の作成(ステップS208)と途中までは同じである。具体的には、図8で示すステップS250、ステップS252、ステップS254は、図8の場合と同じである。したがって、ステップ番号も同じ番号を用いる。
したがって、要因パラメータPを入力し(ステップS250)、要因パラメータPについて指定された一定期間m(これはステップS200で定められる)毎に、分娩後日数N毎の乳量Ymを、補間式(3)によって求め(ステップS252)、要因パラメータPを説明変数、乳量Ymを目標変数として、回帰式を求る(ステップS254)工程が行われる。
要因分析では、一定期間mの乳量の実測値RYと回帰式から求めた推定泌乳量EYを比較する(ステップS260)。図11はこの様子を図にしたものである。要因パラメータとしては、pとpの2つを選んだ場合を示す。例えば、温度と風速等である。一定期間は異なる4日の場合を示した。例えば、春夏秋冬の代表的な1日としてよい。具体的には、m1月n1日、m2月n2日、m3月n3日およびm4月n4日とする。これらの日の具体的な要因パラメータp、pは記録として残っている。要因パラメータの選択は、別途主要因分析を行ってもよいし、試行錯誤によって選択してもよい。要因パラメータp、pを入力すれば回帰式(6)から推定泌乳量EYを算出することができる。
分娩後日数Nは1から最大日まで求めることができるが、ここでは、30日、50日、100日、150日の4種について求めた状態を示している。これらの値をそれぞれの日時の実乳量RYとの差の絶対値ERRとする。なお、図11で30RYは、分娩後日数が30日の乳牛の実乳量である。また、30ERRは、分娩後日数が30日の場合の推定泌乳量EYと実乳量RYの差の絶対値を示す。このERRは、分娩後日数が50日、100日、150日の場合も算出している。なお、後述する実施例では、分娩後日数が50日の場合について、推定泌乳量EYと実乳量RYの比較を行った例を示した。
4日分について、推定泌乳量EYと実乳量RYの差の絶対値ERRを合計したものを総誤差TΣで表す。このようにステップ260では、推定泌乳量EYと実乳量RYを比較する。
再度図10を参照して、推定泌乳量EYと実乳量RYを比較した後は、終了判定を行う(ステップS262)。終了判定は、ステップS250で入力した要因パラメータPが推定泌乳量EYと実乳量RYの差の絶対値ERRが妥当であるか否かで決める。ERRが妥当であるか否かについては、予め値を決めておいてもよいし、利用者が判断してもよい。また、最適値を選択するようにプログラム(所謂「AI」を含んでよい。)を設定してもよい。また、推定泌乳量EYと実乳量RYの差は絶対値として説明したが、2乗値を用いてもよい。
終了する場合(ステップS262のY分岐)は、EY算出フローに戻る(ステップS264)。継続する場合は、再びステップS250に戻り、要因パラメータPを入力しなおす。
再度図4を参照する。要因分析(ステップS206)を抜けたら、乳量算出の工程(ステップS210)に処理を移す。要因分析の工程(ステップS206)を抜けたら、好適な要因パラメータPを見つけていると考えられるので、推定泌乳量EYを算出する工程(ステップ210)を行ってよいと考えられるからである。これ以降の工程は上記に説明した通りである。
なお、本発明に係る泌乳量算出システム1においては、回帰式(6)を求める工程は、いずれのメニューでも利用される。したがって、ステップS200、ステップS202、ステップS204、ステップS206、ステップS208までをまとめてステップS290とする。ステップS290は、回帰式取得工程と呼んでもよい。
推定泌乳量EYの算出(ステップS116)は、要因パラメータPの値を入力すると、推定泌乳量EYを算出する。この場合の要因パラメータPの値は、過去のデータである必要はなく、将来の予想する要因パラメータPの値であってもよい。すなわち、明日の要因パラメータPの値若しくは半年先の要因パラメータPの値であってもよい。
以上のように推定泌乳量算出は、特定の母集団に対して、要因パラメータPが、ある値の時の平均的な乳量を推定した値を返す。言い返すと、推定泌乳量値とは、要因パラメータPが、ある値の時のその母集団に属する乳牛から見込める予定乳量である。
<個別推定泌乳量IY>
図2を再度参照する。推定泌乳量EYを選択しなかった場合(ステップS102のN分岐)は、個別推定泌乳量IYを算出するか否かが判断される(ステップS106)。この判断はクライアント側から端末を通じて選択することができる。個別推定泌乳量IYを算出する工程では、推定泌乳量EYと実乳量RYを比較し、その差を算出する。個別推定泌乳量を算出する場合(ステップS106のY分岐)は、個別推定泌乳量IYの算出工程(ステップS118)に処理が移される。
図12に個別推定泌乳量IYの算出工程のフローを示す。個別推定泌乳量IYを算出する工程が開始されると(ステップS116)、回帰式取得工程が行われる(ステップS290)。これは図4のステップS290と同じである。したがって、ステップS290を実行すると、推定泌乳量EYを求める回帰式(6)が得られている。
次に特定の乳牛Iの実乳量IRYを指定する(ステップS300)。この指定は、クライアント側が端末を通じて入力することで行うことができる。実乳量IRYは、特定の乳牛を指定することで行ってもよい。特定の乳牛の所定期間の実乳量はサーバー側のメモリ14に記録されているからである。実乳量IRYを指定すると、その実乳量IRYを泌乳した乳牛が特定され、その実乳量IRYを泌乳した時の分娩後日数Nおよび要因パラメータPの値も得ることができる。この時の要因パラメータPをpとする。
次に推定泌乳量EYを算出し表示する(ステップS302)。ここでは、所定の期間の母集団から得られた回帰式(6)から複数の分娩後日数Nの回帰式を選択し、要因パラメータPを入力し、推定泌乳量EYを算出する。分娩後日数Nを複数入力することで、分娩後日数と推定泌乳量EYは、2次元表示することができる。入力する分娩後日数Nは予め決めておいてもよい。
図13に個別推定泌乳量IYの表示例を示す。図13を参照して、横軸は分娩後日数(日)であり、縦軸は乳量Yである。要因パラメータPはpの場合である。推定泌乳量EYは滑らかな線で表したが、実際は入力した分娩後日数N個の点をつないだものである。すなわち、推定泌乳曲線Mである。
再度図12を参照する。次に指定された分娩後日数Nの乳牛の実乳量IRYを分娩後日数Nの推定泌乳量EYと比較する(ステップS304)。この比較は、推定泌乳量EYの2次元表示に実乳量IRYをプロットdとして表示させてもよい(図13参照。)。
図13では、分娩後日数Nがn、n、n、nの4つの点をプロットした。これらのデータは、すべて要因パラメータPがpである。また、このように、個別推定泌乳量IYを算出する工程では、複数の個体の実乳量RYをプロットしてもよい。
図12を再度参照し、実乳量IRYと推定泌乳量EYの差が優良閾値Thu以上であれば(ステップS304のY分岐)、優良通知を行う(ステップS310)。優良通知を取得された特定の乳牛の実乳量IRYは、推定泌乳量EYより多く、優秀な泌乳量(優秀な乳牛)であったことを表している。優良通知は、テキストだけで通知してもよいし、推定泌乳量EYのグラフ上に優良点(du)として表示してもよい(図13参照。)。図13では、分娩後日数Nがn2の場合の実乳量duは、推定泌乳量n2EYより優良閾値Thu以上大きいことを示している。
実乳量IRと推定泌乳量EYの差が優良閾値Thuより大きくなければ(ステップS304のN分岐)、推定泌乳量EYと実乳量IRYとの比較を行う(ステップS306)。この比較は、推定泌乳量EYの2次元表示に実乳量IRYをプロットdとして表示させてもよい(図13参照。)。
推定泌乳量EYと実乳量IRYの差が劣勢閾値Thdより大きければ(ステップS306のY分布)、劣勢通知を行う(ステップS312)。特定された乳牛の泌乳量IRYは、推定泌乳量EYより少なく、劣勢な泌乳量(劣勢な乳牛)であったことを表している。劣勢通知は、テキストだけで通知してもよいし、推定泌乳量EYのグラフ上に劣勢点(dd)として表示してもよい(図3(b)参照。)。
図13では、分娩後日数Nがn1の場合の実乳量ddは、推定泌乳量n1EYに対して劣勢閾値Thdより小さいこと(推定泌乳量n1EYは実乳量ddより劣勢閾値Thd以上大きい。)を示している。
なお、推定泌乳量EYとの差が優勢閾値Thu若しくは劣勢閾値Thdほど離れていない場合は、通知は行わなくてよい。図13では、分娩後日数n3およびn4の時の場合である。しかし、この場合でも、実乳量IRYと推定泌乳量EYの差は求められている。
推定泌乳量EYと実乳量IRYの差が劣勢閾値Thdより大きくなければ(ステップS306のN分岐)、実乳量IRYの再指定か否かを判断する(ステップS308)。実乳量IRYを再指定する場合(ステップS308のY分岐)は、ステップS302に処理を移す。
実乳量IRYを再指定しない場合(ステップS308のN分岐)は、終了判定に処理を移す(ステップS314)。終了しない場合(ステップS316のN分岐)は、回帰式取得工程(ステップS290)に戻る。終了する場合(ステップS314のY分岐)は、メインルーチンに戻る(ステップS316)。
以上のように個別推定泌乳量IYを算出する工程では、母集団から得られる推定泌乳量EYに対して、指定された乳牛の泌乳量IRYを比較し、推定泌乳量EYとの差を求めた上で、推定泌乳量EYから一定以上離れた値の泌乳量の乳牛に対しては、通知が行われる。
<群推定泌乳量GY>
図2を再度参照する。個別推定泌乳量IYを選択しなかった場合(ステップS108のN分岐)は、群推定泌乳量GYを算出するか否かが判断される(ステップS110)。この判断はクライアント側から端末を通じて選択することができる。群推定泌乳量GYを算出する工程では、同一要因パラメータPの時に、グループ同士の泌乳量を比較する(差が求められる。)。
群推定泌乳量GYを算出する場合(ステップS110のY分岐)は、群推定泌乳量GYの算出工程(ステップS120)に処理が移される。
図14に群推定泌乳量GYの算出工程の処理を示す。群推定泌乳量GYを算出する工程が開始されると(ステップS120)、回帰式取得工程が行われる(ステップS290)。これは図4のステップS290と同じである。したがって、ステップS290を実行すると、推定泌乳量EYを求める回帰式(6)が得られている。この際、母集団には、比較されるグループの乳牛は当然含まれている。
次に群が指定される(ステップS350)。「群」とは、2頭以上の乳牛のグループで、飼料、環境、産次数等をそろえた乳牛のまとまりである。以後A群とB群があり、それぞれ分娩後日数が異なる乳牛が3頭ずつ属しているとする。
群が指定されると、推定泌乳量EYが算出される。もちろん、推定泌乳曲線Mを表示させてもよい(ステップS352)。母集団(ここでは少なくともA群とB群の乳牛)が決まるので、要因パラメータPによる推定泌乳量EYが算出できる。
次にA群とB群に属する乳牛に対して、1頭ずつ実乳量IRYと推定泌乳量EYが比較される(ステップS354およびステップS356)。そして、優秀閾値Thuより実乳量IRYが高ければ優秀通知を行い(ステップS354)、劣勢閾値Thdより実乳量IRYが低ければ劣勢通知を行う(ステップS362)。
次にA群、B群の全ての乳牛に対して評価が行われたかを判断し(ステップS358)、終了していなければ(ステップS358のN分岐)、再度実乳量IRYと推定泌乳量EYが比較される(ステップS354およびステップS356)。
全ての乳牛に対する評価が終了したら(ステップS358のY分岐)、表示を行う(ステップS364)。図15に群推定泌乳量GYの表示例を示す。ここでは白丸をA群とし、黒丸をB群とした。A群は推定泌乳量EYと比較して高めの泌乳量を示し、B群は推定泌乳量EYと比較して低めの泌乳量を示している。これらのグループは、要因パラメータP以外の要因で差がついていると考えられる。なお、優勢通知を受けたものは白抜き星印で表し、劣勢通知を受けたものは黒四角で表した。
以上のように、群推定泌乳量GYでは、指定した群の乳牛の泌乳量が推定泌乳量EYを基準として比較することができる。
<推定泌乳量比較CY>
図2を再度参照する。群推定泌乳量GYを選択しなかった場合(ステップS110のN分岐)は、推定泌乳量比較CYを算出するか否かが判断される(ステップS112)。この判断はクライアント側から端末を通じて選択することができる。推定泌乳量比較CYとは、推定泌乳量EY同士を比較する。すなわち、要因パラメータPの値が違う推定泌乳量EY同士を比較する。若しくは、母集団同士が異なる場合の比較であってもよい。
推定泌乳量比較CYを算出する場合(ステップS112のY分岐)は、推定泌乳量比較CYの算出工程(ステップS122)に処理が移される。
図16に推定泌乳量比較CYの算出工程の処理フローを示す。推定泌乳量比較CYを算出する工程が開始されると(ステップS122)、回帰式取得工程が行われる(ステップS290)。ただし、ここでは、母集団違いの回帰式が取得されてもよい。例えば、異なる地方の牧場同士の比較である。これは図4のステップS290で、母集団を複数選択するのと同じである。もちろん、母集団は1つであってもよい。したがって、ステップS290を実行すると、推定泌乳量EYを求める回帰式(6)が得られている。ここでは、母集団は符号Uとして以下説明する。母集団Uは3つ以上あってもよい。
回帰式が取得されると、母集団Uおよび要因パラメータPが指定される(ステップS380)。母集団Uおよび要因パラメータPが指定されると、推定泌乳量EYが算出され、表示される。
その後再指定の要否が問い合わされ(ステップS384)、再度母集団Uおよび要因パラメータPを指定する場合(ステップS384のY分岐)は、母集団Uおよび要因パラメータPが指定される処理(ステップS380)に処理は移され、再指定が不要であれば(ステップS384のN分岐)、メインフローに戻る(ステップS386)。
図17には、推定泌乳量比較CY工程の出力例を示す。図17(a)は、同一母集団Uの場合であって、要因パラメータPが異なる場合である。例えば、同一牧場の季節違いの表示等である。
図17(b)は、要因パラメータPが同じであって、母集団がU1およびU2と異なる場合の結果である。立地条件の違いで、気候の全く異なる牧場同士等で利用することができる。
このように推定泌乳量比較CY工程では、母集団U同士が異なる場合の推定泌乳量EYの比較や、同一母集団であっても、要因パラメータPが異なる場合などの推定泌乳量を算出し表示させることができる。
<推移泌乳量比較TY>
図2を再度参照する。推定泌乳量比較CYを選択しなかった場合(ステップS112のN分岐)は、推移泌乳量比較TYを算出するか否かが判断される(ステップS114)。この判断はクライアント側から端末を通じて選択することができる。
推移泌乳量比較TYを算出する工程では、時間軸の異なる推定泌乳量EY同士の比較が行われる。要因パラメータPは気候データを含むので、異なる要因パラメータP同士の推定泌乳量EYの比較も時間軸の異なる推定泌乳量EY同士の比較と言える。したがって、要因パラメータPの値が違う推定泌乳量EY同士を比較するという意味で、推移泌乳量比較TYは、推定泌乳量比較CYと似ている。しかし、推移泌乳量比較TYでは、比較する日時が先に決定され、その日時の要因パラメータPが使用されるという点で異なる。推定泌乳量比較CYを算出する工程では、要件パラメータPが先に決定される。
また、推移泌乳量比較TYを算出する工程では、特定の乳牛の実乳量の継時変化をその時の要因パラメータPとの比較で表すこともできる。
推移泌乳量比較TYを算出する場合(ステップS114のY分岐)は、推移泌乳量比較TYの算出工程(ステップS124)に処理が移される。
図18に推移泌乳量比較TYの算出工程の処理フローを示す。推移泌乳量比較TYを算出する工程が開始されると(ステップS124)、回帰式取得工程が行われる(ステップS290)。ただし、ここでは、母集団違いの回帰式が取得されてもよい。例えば、同一牧場における異なる年度のデータ同士を比較する場合である。これは図4のステップS290で、母集団を複数選択するのと同じである。もちろん、母集団は1つであってもよい。したがって、ステップS290を実行すると、推定泌乳量EYを求める回帰式(6)が得られている。ここでは、年度は符号Qで表す。年度Qは複数であってもよく、また、数か月毎の期間であってもよい。
回帰式が取得されると、表示期間が指定される(ステップS400)。表示期間とは、例えば各年で表示比較したい月や週、日時であってもよい。決められた母集団において、日時が決まると、要因パラメータPを決めることができる。また、表示期間には、乳牛自体の指定を含めてもよい。推定泌乳量の変移と共に、個体の泌乳量RYの変移を知りたい場合もあるからである。要因パラメータPが決まれば、推定泌乳量EYが算出され、表示される(ステップS402)。
その後再指定の要否が問い合わされ(ステップS404)、表示期間を再指定する場合(ステップS404のY分岐)は、表示期間が指定される処理(ステップS400)に処理は移され、再指定が不要であれば(ステップS404のN分岐)、メインフローに戻る(ステップS406)。
図19には、推移泌乳量比較TY工程の出力例を示す。図19は、特定の母集団Uの年度違いの場合であって、各年度Qとも8月の推定泌乳量EYが表された場合である。8月の推定泌乳量EYを算出する場合の要因パラメータPは、8月の特定日の要因パラメータPであってもよいし、連続した3日若しくは1週間の要因パラメータPを平均してもよい。
図19を参照すると、2018年から2020年にかけ、推定泌乳量EYは全体として高くなっている。特に分娩後日数n付近の向上が高くなっている。したがって、各年毎に行なわれた泌乳量改善の効果が出ていることがわかる。
このように推移泌乳量比較TY工程では、指定された表示期間の推定泌乳量EYを比較することができる。図19では、異なる年度の同一月の場合の表示例を示したが、同一年度の月違いであってもよい。
また、図20には、乳牛個体の実乳量RYを同時にプロットした場合の結果について示す。図20(a)は、例えば2019年の5月の推定泌乳量EY(5月)を曲線にした泌乳曲線M(5月)が表示され、図20(b)は、2019年の8月の推定泌乳量EY(8月)を曲線にした泌乳曲線M(8月)が表示されている。なお、図20(a)、(b)共に、他方の月の推定泌乳量を点線で示した。そして、特定の乳牛Iの実乳量IRYが表示されている。なお、N50は分娩後日数が50日の場合を示し、N150は分娩後日数が150日の場合を示している。5月から8月への時間の経過に伴って、個体牛Iの泌乳量も変化する。
図20では、この個体牛Iは5月時点では、推定泌乳量N50EY(5月)よりも高い泌乳量であったが、8月になると推定泌乳量N150EY(8月)並み、若しくはそれより低い値となっている。このように、推移泌乳量比較TYを算出する工程では、特定の乳牛の泌乳量の変化の経緯と、その変化と平均レベルとの相違も知ることができる。
再度図2を参照する。以上のように本発明に係る泌乳量算出システム1は、推定泌乳量EY、個別推定泌乳量IY、群推定泌乳量GY、推定泌乳量比較CYおよび推移泌乳量比較TYを算出することができるが、それぞれの工程の結果を持って、他の工程を引き続き実行できるようにしてもよい。
具体的には、あるメニューの結果を保存しておき、他のメニューを実行している際に、同時に保存しておいた結果を示す若しくは利用することで、メニューの組み合わせは可能となる。
日本国内の牧場で得たデータを用いて本発明に係る泌乳量算出システムを実施した。この牧場は、ある地方の複数の牧場で乳牛数は、およそ5000頭ほどのデータである。母集団は、2019年の月毎のデータである。要因パラメータPは、THIと日照時間である。THIは月の平均温度と平均湿度の値を用いた。日照時間は月合計値である。結果を図21に示す。
図21(a)は、2019年の2月、5月、8月、11月の5か月のTHIと日照時間の値である。対象の牧場の平均実乳量(kg/日)と分娩後日数NをWOOD曲線で近似し、そこから得た値を用いて推定泌乳量EYを要因パラメータPとしてTHIだけを用いた単回帰で求めた結果を図21(b)に示す。また、要因パラメータPとして、THIに日照時間(月合計)の2つを用いた重回帰によって推定泌乳量EYを求めた結果を図21(c)に示す。なお、いずれも分娩後日数が50日の場合である。
要因パラメータPとしてTHIだけを用いると、標準誤差が0.65とかなりばらついた。しかし、要因パラメータPとしてTHIと日照時間を用いると、標準誤差が0.17となり、かなり実乳量を推定できていることが分かった。
泌乳量がTHIと日照時間で推定できる点は、これまで知られることがなく、今後の泌乳量の増加に対する対応に大きなインパクトを与えるものである。
本発明は、酪農の情報化のために、好適に利用することができる。
1 泌乳量算出システム
10 端末
12 本体
14 メモリ
16 牧場
18 外部情報

Claims (1)

  1. 分娩後日数、実乳量および気候データを含む要因パラメータを牧場データとして蓄積するメモリと、
    前記牧場データの中の一定期間の前記分娩後日数と前記実乳量を補間する補間式を作成する補間式作成部と、
    前記補間式から算出される特定の前記分娩後日数の補間乳量を目的変数とし、前記牧場データから選ばれた少なくとも1つの前記要因パラメータを説明変数として推定泌乳量を算出する回帰式を作成する回帰式作成部と、
    入力された前記要因パラメータの値に対して前記回帰式から推定泌乳量を算出する乳量算出部を含む制御装置を有することを特徴とする泌乳量算出システム。
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