JP2023016689A - 電波送信装置および無線通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】周囲環境の誘電正接が高い場合であっても誘電損失による高周波信号の減衰を抑制し電波を効率的に送出することができる電波送信装置および無線通信システムを提供する。【解決手段】電波送信装置は、電波送信回路が形成された回路基板を有する電子機器と、誘電体層とを備え、前記電波送信回路は、高周波制御部と給電線とアンテナとを有し、前記高周波制御部は、1つまたは複数の周波数帯域における高周波信号を前記給電線を介して前記アンテナに供給し、前記給電線および前記アンテナは、前記誘電体層によって覆われており、前記誘電体層は、水、海水、電解液、あるいは水分を一定量含む物質または組織に接した状態で、前記電波送信装置を使用可能な状態に保護し、前記給電線の配線長が35mm以内である。【選択図】図1

Description

本発明は、電波送信装置および無線通信システムに関する。
従来から、撮像部と、撮像部によって撮像された被検体の内部の画像情報などを送信アンテナを介して外部に無線送信する送信部とを備えるカプセル型医療装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載されたカプセル型医療装置は、被検体の内部の液体の液面に浮揚する。
ところで、特許文献1には、水中の誘電率の影響およびアンテナ設計に関する記述はあるものの、誘電損失に関する記述はない。
特開2009-268797号公報
水中、海水中、その他水分含有率の多い物質中における無線通信では、物質の導電性によって電波が減衰することが知られている。こうした環境下で無線を効率的に送出するために、周囲環境の誘電率や導電率に合わせて電波の送信方法を工夫(アンテナ設計)している。また、こうした装置では防水のために誘電体(絶縁体)により周囲を保護層または筐体で囲むような形態が一般的である(例えば特許文献1参照)。
保護層または筐体が十分に厚く、基板が周囲環境から十分に隔離されている状態であれば、従来技術のように、水中での電波の伝搬損失のみを考慮すればよい。一方で、装置の薄型化・小型化のために保護層または筐体を薄く作る場合、電波の伝搬損失以外に、さらに基板の高周波配線に流れる高周波信号が周囲環境の影響を受ける可能性がある(以下、給電線に流れる高周波信号が周囲環境から受ける影響を「周囲環境相対感度」と称する。)。具体的には、周囲環境が水、海水、電解質や、水分を一定量含むような物質・組織である場合、その周囲環境の誘電正接が高いため、誘電損失によって基板上に流れる高周波信号は減衰する。このため、同じ高周波電力を供給した場合にはアンテナより放出される電波の強度が弱くなり、電波強度を維持するためには本来より余分な電力を供給する必要がある。さらに、電波の伝搬距離が短くてよい場合などでは、電波の伝搬損失と比較して高周波信号の誘電損失の寄与が大きくなるため、誘電正接を考慮した高周波配線設計が必要となる。
上述した点に鑑み、本発明は、周囲環境の誘電正接が高い場合であっても誘電損失による高周波信号の減衰を抑制し電波を効率的に送出することができる電波送信装置および無線通信システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、電波送信回路が形成された回路基板を有する電子機器と、誘電体層とを備える電波送信装置であって、前記電波送信回路は、高周波制御部と給電線とアンテナとを有し、前記高周波制御部は、1つまたは複数の周波数帯域における高周波信号を前記給電線を介して前記アンテナに供給し、前記給電線および前記アンテナは、前記誘電体層によって覆われており、前記誘電体層は、水、海水、電解液、あるいは水分を一定量含む物質または組織に接した状態で、前記電波送信装置を使用可能な状態に保護し、前記給電線の配線長が35mm以内である、電波送信装置である。
本発明の一態様の電波送信装置によれば、周囲環境の誘電正接が高い場合であっても、給電線の配線長(すなわち高周波信号の伝搬長さ)を35mm以内とすることで、誘電損失による高周波信号の減衰を抑制し、アンテナより電波を効率的に送出することができる。
本発明の一態様の電波送信装置では、前記水分を一定量含む物質または組織は、水分を50%以上含んでもよい。
その場合、つまり、電波送信装置が水分を50%以上含む木材、植物等に接した状態で使用される場合には、電波送信装置が木材、植物等の傍で電波を効率的に送出することができる。
本発明の一態様の電波送信装置では、前記水分を一定量含む物質または組織は、動物あるいは人体の体組織であってもよい。
その場合、つまり、電波送信装置が動物あるいは人体の体組織に接した状態で使用される場合には、電波送信装置が動物あるいは人体の傍で電波を効率的に送出することができる。
本発明の一態様の電波送信装置は、動物あるいは人体の体組織に近接した状態で、または、動物あるいは人体の体組織に埋め込まれた状態で使用されてもよい。
その場合には、つまり、電波送信装置が動物あるいは人体の体組織に接した状態で、または、動物あるいは人体の体組織に埋め込まれた状態で使用される場合には、電波送信装置が、動物あるいは人体の傍で、または、動物あるいは人体の中で電波を効率的に送出することができる。
本発明の一態様の電波送信装置では、前記誘電体層の厚さが0.5mm以下であってもよい。
給電線およびアンテナを覆う誘電体層の厚さが0.5mm以下である場合には、電波の送出効率を維持したまま、電波送信装置を小型化することができる。
本発明の一態様の電波送信装置では、前記高周波制御部から前記給電線を介して前記アンテナに供給される高周波信号の周波数が1GHz以下であり、かつ、前記給電線の配線長が35mm以内であってもよい。
本発明の一態様の電波送信装置では、前記誘電体層の厚さが0.2mm以下であってもよい。
本発明の一態様の電波送信装置では、前記高周波制御部から前記給電線を介して前記アンテナに供給される高周波信号の周波数が2.5GHz以下であり、かつ、前記給電線の配線長が15mm以内であってもよい。
本発明の一態様の電波送信装置では、前記誘電体層の厚さが0.25mm以下であってもよい。
本発明の一態様の電波送信装置では、前記高周波制御部から前記給電線を介して前記アンテナに供給される高周波信号の周波数が5.5GHz以下であり、かつ、前記給電線の配線長が7mm以内であってもよい。
本発明の一態様の電波送信装置では、前記誘電体層の厚さが0.4mm以下であってもよい。
本発明の一態様の電波送信装置では、前記アンテナは、前記回路基板に形成された配線アンテナであり、前記給電線と前記配線アンテナとの合計の長さが35mm以内であってもよい。
アンテナが回路基板に形成された配線アンテナである場合には、給電線と同じく誘電損失を生じるため、給電線と配線アンテナとの合計の長さを35mm以内とすることでアンテナでの高周波信号減衰を含めて抑制し、アンテナより電波を効率的に送出することができる。
本発明の一態様の電波送信装置では、前記アンテナは、前記回路基板に形成された配線アンテナと、高誘電率材料を含むチップアンテナとによって構成されており、前記給電線と前記配線アンテナとの合計の長さが35mm以内であってもよい。
アンテナが配線アンテナとチップアンテナとの複合アンテナである場合には、チップアンテナを除いた全配線長(つまり、給電線と配線アンテナとの合計の長さ)を35mm以内とすることでアンテナでの高周波信号減衰を含めて抑制し、アンテナより電波を効率的に送出することができる。
本発明の一態様は、上記の電波送信装置と、前記アンテナから送出された電波を受信する受信機とを備える無線通信システムであって、前記アンテナと前記受信機との距離が50cm以内である、無線通信システムである。
想定する電波の伝送距離が50cm以内の短距離伝送である場合、単に周囲環境の導電率による電波減衰に比べて、誘電損失による高周波信号の減衰が顕著になる。
本発明の一態様によれば、短距離伝送にすることで、配線長を制限した効果を顕著にすることができる。
本発明の一態様は、電波送信回路が形成された回路基板を有する電子機器と、誘電体層とを備える電波送信装置であって、前記電波送信回路は、高周波制御部と給電線とアンテナとを有し、前記高周波制御部は、1つまたは複数の周波数帯域における高周波信号を前記給電線を介して前記アンテナに供給し、前記給電線および前記アンテナは、前記誘電体層によって覆われており、前記誘電体層は、水、海水、電解液、あるいは水分を一定量含む物質または組織に接した状態で、前記電波送信装置を使用可能な状態に保護し、前記給電線に流れる高周波信号が前記給電線において周囲環境から影響を受けて減衰することなく前記アンテナまで供給される度合いを示す透過特性Tと、前記給電線に流れる高周波信号が前記給電線において周囲環境から影響を受けて減衰する度合いを示す損失率Sと、周囲環境相対感度Fとが、下記の(1)式で示す関係を有する、電波送信装置である。
Figure 2023016689000002
本発明の一態様の電波送信装置では、前記誘電体層の厚さが0.6mm以下であり、前記給電線に流れる高周波信号の波長が400mm以下であり、前記給電線の配線長が50mm以下であってもよい。
本発明の一態様の電波送信装置では、前記給電線に流れる高周波信号の周波数が2.5GHz付近である場合、前記周囲環境相対感度Fと、前記誘電体層の厚さtとが、下記の(2)式で示す関係を有し、前記透過特性Tと、前記給電線の長さLとが、下記の(3)式で示す関係を有してもよい。
Figure 2023016689000003
Figure 2023016689000004
本発明の一態様は、上記の電波送信装置と、前記アンテナから送出された電波を受信する受信機とを備える無線通信システムであって、前記アンテナと前記受信機との距離が50cm以内である、無線通信システムである。
本発明によれば、周囲環境の誘電正接が高い場合であっても誘電損失による高周波信号の減衰を抑制し電波を効率的に送出することができる電波送信装置および無線通信システムを提供することができる。
第1実施形態の無線通信システムの一例を示す図である。 第1実施形態の電波送信装置が適用された水中センシング装置の一例を説明するための図である。 第1実施形態の電波送信装置の高周波制御部と給電線とアンテナとの関係の例を示す図である。 第3実施形態の電波送信装置の高周波制御部と給電線とアンテナとの関係の例を示す図である。 給電線の長さに対する透過特性(高周波制御部から出力された高周波信号の強度に対する、アンテナに給電される電力の割合)を示す図である。 周囲媒体の誘電正接と透過特性との関係を示す図である。 第1から第5実施形態の電波送信装置の他の適用例を示す図である。 誘電体層の厚さと周囲環境相対感度との関係を示す図である。 周囲媒体の誘電正接tanδと損失率Sとの関係を示す図である。
以下、図面を参照し、本発明の電波送信装置および無線通信システムの実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の無線通信システムWSの一例を示す図である。
図1に示す例では、無線通信システムWSが、電波送信装置1と、受信機2とを備えている。電波送信装置1は電波を送信し、受信機2は、電波送信装置1によって送信された電波を受信する。
電波送信装置1は、電子機器11と、誘電体層12とを備えている。電子機器11は、電波送信回路A1が形成された回路基板11Aを有する。電波送信回路A1は、高周波制御部A11と、給電線A12と、アンテナA13とを有する。高周波制御部A11は、1つまたは複数の周波数帯域における高周波信号を、給電線A12を介してアンテナA13に供給する。給電線A12は、アンテナA13に高周波信号を給電するものであり、一般的に伝送路として構成される。給電線A12は、例えば、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路などである。給電線A12は、電波を放出しないように設計された線路であり、アンテナA13は外部に電波を放出するように設計されている。
給電線A12およびアンテナA13は、誘電体層12によって覆われている。
給電線A12の近傍に誘電正接の高い媒体が存在するときには、給電線A12に流れる高周波信号が誘電損失を受け、減衰する。このときの減衰量は、誘電正接の大きさ、給電線A12と誘電正接の高い媒体との距離(給電線A12を覆う誘電体層12の厚さ)、高周波信号の周波数などに依存する。誘電正接の高い媒体として、水、海水、電解液、水分を一定量(例えば50%以上)含む物質または組織(例えば動物あるいは人体の体組織)などが挙げられる。これらの共通点としては、一般に水分を一定量以上含むことである。
第1実施形態の電波送信装置1は、誘電体層12が水、海水、電解液、水分を一定量含む物質または組織などに接した状態で使用される。換言すれば、誘電体層12は、水、海水、電解液、水分を一定量含む物質または組織などに接した状態で、電波送信装置1を使用可能な状態に保護する。
給電線A12に流れる高周波信号が受ける誘電損失を低減させるためには、給電線A12の長さを可能な限り短くする必要がある。これは、誘電損失が単位長さあたり一定量の減衰を示すためである。一方、水中などの特殊環境ではなく、空気中などで使用する一般的な場合では、給電線の長さを制限する必要がなく、基板の他部品レイアウトの自由度を確保するために給電線はある程度の長さを必要とする。
これらの点に鑑み、誘電体層12が水、海水、電解液、水分を一定量含む物質または組織などに接した状態で使用される第1実施形態の電波送信装置1では、給電線A12の配線長(すなわち高周波信号の伝搬長さ)が35mm以内に設定されている。そのため、第1実施形態の電波送信装置1によれば、周囲環境の誘電正接が高い場合であっても、誘電損失による高周波信号の減衰を抑制し、アンテナA13より電波を効率的に送出することができる。
例えば周囲環境の誘電正接が0.1以上である場合には、周囲環境の誘電正接が0である場合と比較して、電波効率(透過特性)が20%低下する(図6参照)。第1実施形態の電波送信装置1では、給電線A12の配線長が35mm以内に設定されているため、給電線A12に流れる高周波信号が誘電損失を受けても、十分な強度の電波をアンテナA13から送出することができる。
[水中センシング装置]
図1に示す第1実施形態の電波送信装置1は、例えば水中センシング装置SD(図2参照)に適用可能である。
図2は第1実施形態の電波送信装置1が適用された水中センシング装置SDの一例を説明するための図である。
図2に示す例では、水中センシング装置SDが、電波送信装置1(図1参照)と、信号処理部(図示せず)と、センサ(図示せず)とを備えている。信号処理部およびセンサは、回路基板11A(図1参照)に搭載されている。誘電体層12は、回路基板11A、給電線A12、アンテナA13(図1参照)等を覆う保護層または筐体として構成されている。誘電体層12の厚さは、0.5mm以下に設定されている。保護層の材料は、例えばパリレン、アクリル樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂:PMMA)、シリコーン樹脂(例えば、ジメチルポリシロキサン:PDMS)、エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの共重合体)、ガラスなどである。
水中センシング装置SDは、水中(誘電正接の高い媒体中)で周辺環境のセンシングを行う。詳細には、水中センシング装置SDのセンサが、水中で温度、塩分濃度、導電率などをセンシングし、信号処理部は、センサによってセンシングされた情報を処理する。信号処理部によって処理された情報は、高周波制御部A11によって変調信号(高周波信号)として給電線A12を介してアンテナA13に供給され、アンテナA13から電波として水中に送出される。アンテナA13から送出された電波は、受信機2(図1参照)によって受信され、復号された情報が活用される。アンテナA13と受信機2との距離は、50cm以内に設定されている。
ここで、アンテナA13が、回路基板11Aに形成された配線アンテナA13A(図3参照)であり、配線アンテナA13Aは給電線A12と同様の構成(金属配線)となる(つまり、配線アンテナA13Aに流れる高周波信号が誘電損失を受ける)。そのため、電波送信装置1では、給電線A12と配線アンテナA13Aとの合計の長さが35mm以内に設定されている。
図3は第1実施形態の電波送信装置1の高周波制御部A11と給電線A12とアンテナA13との関係の例を示す図である。詳細には、図3(A)は第1実施形態の電波送信装置1の高周波制御部A11と給電線A12とアンテナA13との関係の第1例を示しており、図3(B)は第1実施形態の電波送信装置1の高周波制御部A11と給電線A12とアンテナA13との関係の第2例を示している。
図3(A)に示す例では、アンテナA13が、回路基板11Aに形成されたL型の配線アンテナA13Aによって構成されている。また、給電線A12とL型の配線アンテナA13Aとの合計の長さが35mm以内に設定されている。
図3(B)に示す例では、アンテナA13が、回路基板11Aに形成されたメアンダ型の配線アンテナA13Aによって構成されている。また、給電線A12とメアンダ型の配線アンテナA13Aとの合計の長さが35mm以内に設定されている。
電波を送出するための高周波信号が流れるすべての配線に対して誘電損失は同様に生じる。したがって、図3(A)および図3(B)に示す例のように、アンテナA13が配線アンテナA13Aによって構成されている第1実施形態の電波送信装置1では、給電線A12と同様に配線アンテナA13Aにおいて誘電損失が生じると考えなければならない。
<第2実施形態>
以下、本発明の電波送信装置および無線通信システムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の電波送信装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電波送信装置1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の電波送信装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電波送信装置1と同様の効果を奏することができる。
第2実施形態の電波送信装置1では、アンテナA13が、回路基板11Aに形成された配線アンテナA13A(図4参照)と、高誘電率材料を含むチップアンテナA13B(図4参照)とによって構成されている。第2実施形態の電波送信装置1では、高周波信号が、給電線A12のみならず、配線アンテナA13Aにも流れる(つまり、配線アンテナA13Aに流れる高周波信号が誘電損失を受ける)ものの、チップアンテナA13Bは周囲の媒質よりも著しく比誘電率の高い材料を含むため、チップアンテナA13Bに流れる高周波信号は周囲の水による誘電損失を受けにくい。そのため、第2実施形態の電波送信装置1では、給電線A12と配線アンテナA13Aとの合計の長さが35mm以内に設定されている。
図4は第2実施形態の電波送信装置1の高周波制御部A11と給電線A12とアンテナA13との関係の例を示す図である。詳細には、図4(A)は第2実施形態の電波送信装置1の高周波制御部A11と給電線A12とアンテナA13との関係の第1例を示しており、図4(B)は第2実施形態の電波送信装置1の高周波制御部A11と給電線A12とアンテナA13との関係の第2例を示している。
図4(A)に示す例では、アンテナA13が、回路基板11Aに形成されたL型の配線アンテナA13Aと、高誘電率材料を含むチップアンテナA13Bとによって構成されている。また、給電線A12とL型の配線アンテナA13Aとの合計の長さが35mm以内に設定されている。
図4(B)に示す例では、アンテナA13が、回路基板11Aに形成された直線状の配線アンテナA13Aと、高誘電率材料を含むチップアンテナA13Bとによって構成されている。また、給電線A12とL型の配線アンテナA13Aとの合計の長さが35mm以内に設定されている。
上述したように、電波を送出するための高周波信号が流れるすべての配線に対して誘電損失は同様に生じる。したがって、図4(A)および図4(B)に示す例のように、アンテナA13が配線アンテナA13AとチップアンテナA13Bとによって複合的に構成されている第2実施形態の電波送信装置1では、給電線A12と同様に配線アンテナA13Aにおいて誘電損失が生じると考えなければならない。ただし、チップアンテナA13Bは高誘電率材料によって封止されていることが一般的であるため、チップアンテナA13Bには誘電損失が生じないと考えると、給電線A12および配線アンテナA13Aの両方を誘電損失が生じる対象として考えることが望ましい。
通常、アンテナA13自体の設計修正やアンテナA13の前段にキャパシタやインダクタから成るマッチング回路を追加することで、アンテナA13と高周波制御部A11との間で高周波整合をとる必要がある。このとき、整合の良否は、電圧定在波比(VSWR)により評価され、一般的には0~5の間で調整を行うことが多い。これは、リターンロスを0dBから-3dBの間になるように調整する作業であるから、給電線A12による誘電損失を-3dB以内に抑えることができれば、通常発生しうる不整合と同等程度の影響に抑えられる。さらには、マッチング回路に含まれる素子の定数を細かく調整することによって、給電線A12による誘電損失分はキャンセルできる可能性がある。以上の理由より、給電線A12による誘電損失は-3dB以内に抑えられることが望ましい。
周波数2.45GHzにおける水の誘電正接は約0.3と知られている。
図5は給電線A12の長さに対する透過特性(高周波制御部A11から出力された高周波信号の強度に対する、アンテナA13に給電される電力の割合)を示す図である。
図5に示すように、高周波信号の周波数2.45GHzにおいては、給電線A12の長さを15mm以下に設定することによって透過率の低下を50%以下に抑えることができる(減衰を-3dB以内に抑えることができる)。ここで、2.45GHzは2.4GHz帯の中央周波数近辺であるが、同様に、代表的な周波数帯域である920MHz帯では給電線A12の長さを35mm以下、5GHz帯では給電線の長さを7mm以下とすることで、給電線による誘電損失を-3dB以内に抑えることができる。
なお、給電線の長さは基板製造および実装上、最短0.2mm以上であることが望ましい。一般的な例で言えば、高周波信号を生成する機能をもったIC(集積回路)もしくはLSI(大規模集積回路)から、アンテナ素子までの距離は実装上0.2mm以下では実現が困難で、コスト増加をもたらす。
<第3実施形態>
上述した点に鑑み、第3実施形態の電波送信装置1では、高周波制御部A11から給電線A12を介してアンテナA13に供給される高周波信号の周波数が1GHz以下であり、かつ、給電線A12の配線長が35mm以内である。また、誘電体層12の厚さが0.2mm以下である。
第3実施形態の電波送信装置1は、上述した点を除き、第1実施形態の電波送信装置1と同様に構成されている。
<第4実施形態>
また、第4実施形態の電波送信装置1では、高周波制御部A11から給電線A12を介してアンテナA13に供給される高周波信号の周波数が2.5GHz以下であり、かつ、給電線A12の配線長が15mm以内である。また、誘電体層12の厚さが0.25mm以下である。
第4実施形態の電波送信装置1は、上述した点を除き、第1実施形態の電波送信装置1と同様に構成されている。
<第5実施形態>
また、第5実施形態の電波送信装置1では、高周波制御部A11から給電線A12を介してアンテナA13に供給される高周波信号の周波数が5.5GHz以下であり、かつ、給電線A12の配線長が7mm以内である。また、誘電体層12の厚さが0.4mm以下である。
第5実施形態の電波送信装置1は、上述した点を除き、第1実施形態の電波送信装置1と同様に構成されている。
マルチバンドを使用する場合、例えば920MHzと2.4GHz、5GHz帯を併用して通信を行うような機器である場合は、周波数が高いほど給電線A12を短く設計しなければならないため、最も高い周波数に合わせて給電線A12の長さを規定することが望ましい。
上述した第1実施形態の電波送信装置1の適用例のように、水中で電波を伝送する際には、水の導電性により生じる電波の減衰が生じ、給電線の誘電損失に加えて、水中の伝搬経路中で電波の減衰がみられる。ここで、水中を伝搬する電波は、約-10dB/mで減衰することが知られている。第1実施形態の電波送信装置1の適用例のように、想定する電波の伝送距離が50cm以内の短距離伝送である場合、単に周囲環境の導電率による電波減衰に比べて、誘電損失による高周波信号減衰が顕著になる。短距離伝送にすることで、配線長を制限した効果を顕著にできる。
上述したように水の誘電正接は0.3であるが、電波送信装置1の周囲環境は水であることに限らない。給電線A12の誘電損失は、誘電正接の高い物質で発生しうるため、誘電正接の高い材料全般において給電線A12の長さが制限されることが望ましい。上述したように、水、海水、電解液、動物あるいは人体の体組織などのいずれもが一定量の水分を含有する。
図6は周囲媒体の誘電正接と透過特性との関係を示す図である。詳細には、図6は給電線A12の長さが35mmであって高周波信号の周波数が920MHzである場合における周囲媒体の誘電正接と透過特性との関係、給電線A12の長さが15mmであって高周波信号の周波数が2.45GHzである場合における周囲媒体の誘電正接と透過特性との関係、および、給電線A12の長さが7mmであって高周波信号の周波数が5.2GHzである場合における周囲媒体の誘電正接と透過特性との関係を示している。
誘電正接が物質の濃度に比例することを考えると、周囲媒体の水分の含有率が約50%の環境では、誘電正接は0.15となる。このとき、給電線A12の誘電損失による高周波信号は20%の減衰に抑えることができ、電波の通信品質を大きく落とすことはない。
また、高誘電損失の物質が給電線A12の近傍に存在する場合にも、給電線A12に流れる高周波信号の誘電損失による減衰が生じる。
図7は第1から第5実施形態の電波送信装置1の他の適用例を示す図である。詳細には、図7(A)は第1から第5実施形態の電波送信装置1の電子機器11の給電線A12(図1、図3等参照)を含む回路基板11A(図1参照)が、薄い誘電体層12を挟んで高誘電損失物質(上述した「媒体」)に触れている状態を示している。図7(B)は第1から第5実施形態の電波送信装置1の電子機器11の回路基板11Aのうちの給電線A12のみが、薄い誘電体層12を挟んで高誘電損失物質(上述した「媒体」)に触れている状態を示している。
さらに、水中センシング装置SD(図2参照)を水中で使用した後、水中センシング装置SDが水中から引き揚げられ、水が水中センシング装置SDの表面に付着している状態でも、図7(A)または図7(B)に示す状態と同様に、給電線A12に流れる高周波信号の誘電損失による減衰が生じる。
一般的に、給電線を搭載する基板は、防水や防塵などのために保護層または筐体に囲まれる。この保護層または筐体は、電波を通すために少なくとも一部は金属を避け、誘電体であることが望ましい。この保護層または筐体が十分に厚く、給電線が外界の誘電損失の影響を受けないような状況であれば、給電線の長さを制限する必要はない。
図8は誘電体層12の厚さと周囲環境相対感度との関係を示す図である。詳細には、図8は高周波信号の周波数が920MHzである場合における誘電体層12の厚さと周囲環境相対感度との関係と、高周波信号の周波数が2.45GHzである場合における誘電体層12の厚さと周囲環境相対感度との関係と、高周波信号の周波数が5.2GHzである場合における誘電体層12の厚さと周囲環境相対感度との関係とを示している。
つまり、図8は誘電体層12によって構成される保護層または筐体によって給電線A12が封止されている場合(例えば図2および図7参照)に、誘電体層12の厚さが給電線A12の誘電損失に与える影響を示している。
ここで、一般的な利用シーンとして、センシング装置がスマートフォン等にデータを送信する場合を考える。このとき、0dBmの電力が高周波制御部から供給されたとき、一般利用の可能な伝搬距離5m程度を確保するためには、給電線の誘電損失を-10dB程度以下に抑えることが望ましい。これは、10%の減衰に等しいため、例えば第1~第2実施形態の電波送信装置1においてマルチバンドでの通信が行われる例では、誘電体層12の厚さが0.5mm以下に設定される(誘電体層12の厚さを0.5mm以下に抑えることができる)。
高周波信号の周波数が920MHzである場合、本発明が適用されない例では、周囲環境相対感度(図8の縦軸の値)を20%程度まで遮断するために、誘電体層12の厚さを0.2mm以上に設定する必要がある。それに対し、高周波制御部A11から給電線A12を介してアンテナA13に供給される高周波信号の周波数が1GHz以下であり、かつ、給電線A12の配線長が35mm以内である第3実施形態の電波送信装置1では、誘電体層12の厚さが0.2mm以下であっても、周囲環境相対感度を20%程度まで遮断することができる。
高周波信号の周波数が2.45GHzである場合、本発明が適用されない例では、周囲環境相対感度を20%程度まで遮断するために、誘電体層12の厚さを0.25mm以上に設定する必要がある。それに対し、高周波制御部A11から給電線A12を介してアンテナA13に供給される高周波信号の周波数が2.5GHz以下であり、かつ、給電線A12の配線長が15mm以内である第4実施形態の電波送信装置1では、誘電体層12の厚さが0.25mm以下であっても、周囲環境相対感度を20%程度まで遮断することができる。
高周波信号の周波数が5.2GHzである場合、本発明が適用されない例では、周囲環境相対感度を20%程度まで遮断するために、誘電体層12の厚さを0.4mm以上に設定する必要がある。それに対し、高周波制御部A11から給電線A12を介してアンテナA13に供給される高周波信号の周波数が5.5GHz以下であり、かつ、給電線A12の配線長が7mm以内である第5実施形態の電波送信装置1では、誘電体層12の厚さが0.4mm以下であっても、周囲環境相対感度を20%程度まで遮断することができる。
つまり、第3~第5実施形態の電波送信装置1では、誘電体層12の厚さを薄くすることができ、第3~第5実施形態の電波送信装置1を水中センシング装置SD(図2参照)に適用することによって、水中センシング装置SDを小型化することができる。
第1~第5実施形態の電波送信装置1の無線通信方式としては、例えばBluetooth(登録商標)、Bluetooth low energy、WiFi、LPWA(Low Power Wide Area)などの公知の無線通信方式を適用可能である。
[カプセル型医療装置]
第1~第5実施形態の電波送信装置1は、例えば内視鏡カプセル(図示せず)等に封入されているセンシング装置(図示せず)に適用可能である。
このセンシング装置は、カメラをはじめ、温度センサ、化学センサなどの複数のセンサを内蔵しており、人体に影響を与えることがないように完全に封止されている。このセンシングデバイスは、患者が口から摂取することで、消化器官の経路を通る間、人体内の生体情報をセンシングし、それを電波により外部に送出する。装置は体組織に接するか、あるいは被験者内液(唾液、胃液、腸液など)に沈む、もしくは一部が浮いている状況である。
このとき、給電線A12(図1、図3等参照)の誘電損失を防ぐために十分に厚い封止を施す(つまり、誘電体層12(図1、図2等参照)を厚くする)と装置全体が大型化し、被験者が違和感、嘔吐感などを有するおそれがある。
第1~第5実施形態の電波送信装置1が適用されたカプセル型医療装置(センシング装置)では、給電線A12の長さを制限する設計を行うことで、封止のための誘電体層12の厚さを最小限の薄さにできるため、より被験者に優しいカプセル型医療装置を実現することができる。
[体表に装着されるセンシング装置]
第1~第5実施形態の電波送信装置1は、例えば体表に装着されるセンシング装置に適用可能である。
例えば、人間の腕、肌に接する形で、センシング装置が使用される場合、給電線A12(図1、図3等参照)の誘電損失を防ぐために十分に厚い封止を施す(つまり、誘電体層12(図1、図2等参照)を厚くする)と装置全体が大型化し、ユーザは圧迫感、違和感などを覚えるおそれがある。
第1~第5実施形態の電波送信装置1が適用されたセンシング装置では、給電線A12の長さを制限する設計を行い、封止のための誘電体層12の厚さを最小限の薄さにすることで、よりユーザフレンドリーなセンシング装置を実現することができる。
[野生生物の追跡装置]
第1~第5実施形態の電波送信装置1は、例えば野生動物の追跡に用いることができる。
ペンギンなどの鳥類、アザラシ、イルカなどの哺乳類、コイ、サメなどの魚類を含め、野生生物に対して各種センサを取り付け、その生態や周囲の環境情報などを記録する。野生動物の体表あるいは体内に無線通信付きの装置を埋め込む場合、給電線A12(図1、図3等参照)の誘電損失を防ぐために十分に厚い封止を施す(つまり、誘電体層12(図1、図2等参照)を厚くする)と装置全体が大型化し、野生動物が本来の活動をすることを妨げるおそれがある。
第1~第5実施形態の電波送信装置1が適用されたセンシング装置(野生生物の追跡装置)では、給電線A12の長さを制限する設計を行うことで、封止のための誘電体層12の厚さを最小限の薄さにすることができ、センシング装置が体組織に埋め込まれた影響を最小限におさえながら、生物本来の生体を観測することが可能となる。
他の例では、第1~第5実施形態の電波送信装置1が適用されたセンシング装置が、人体の体組織に埋め込まれた状態で使用されてもよい。
更に他の例では、第1~第5実施形態の電波送信装置1が適用されたセンシング装置が、動物あるいは人体の体組織に近接した状態で使用されてもよい。
図9は周囲媒体の誘電正接tanδと損失率Sとの関係を示す図である。図9の横軸は、図6の横軸と同様に、周囲媒体の誘電正接tanδを示している。図9の縦軸は、損失率Sを示している。
損失率Sは、給電線A12に流れる高周波信号が、給電線A12において水、海水、電解液、あるいは水分を一定量含む物質または組織である周囲環境から影響を受けて減衰する度合いを示す。
図6および図9に示すように、損失率Sの値(図9の縦軸の値)は、透過特性Tの値(図6の縦軸の値)を1から減じた値に概略等しい。
そのため、透過特性Tは、給電線A12に流れる高周波信号が、給電線A12において周囲環境から影響を受けて減衰することなくアンテナA13まで供給される度合いを示す。
本発明者等は、図5、図6、図8および図9に示す関係の数式化を行い、上述した(1)式~(3)式および下記の(4)式~(10)式に示す関係を得た。
Figure 2023016689000005
Figure 2023016689000006
Figure 2023016689000007
Figure 2023016689000008
Figure 2023016689000009
Figure 2023016689000010
Figure 2023016689000011
具体的には、図5に示す関係を数式化したものが(8)式である。(8)式において、Tは図5の縦軸に対応する透過特性であり、Lは図5の横軸に対応する給電線A12の長さ[mm]である。(8)式において、cは係数であり、係数cは、(9)式によって表される。(8)式において、dは係数であり、係数dは、(10)式によって表される。(9)式および(10)式において、λは給電線A12に流れる高周波信号の波長である。
つまり、給電線A12に流れる高周波信号の周波数920MHz、2.45GHz、5.2GHzを用いて図5に例示した透過特性Tと給電線A12の長さLとの関係を、給電線A12に流れる高周波信号の波長λを用いた表現に変換すると共に一般化したものが(8)式である。
給電線A12に流れる高周波信号の周波数が2.5GHz付近である場合には、透過特性Tと、給電線の長さLとが、(3)式で示す関係を有する。すなわち、給電線A12に流れる高周波信号の周波数が2.5GHz付近である場合には、(8)式中の係数cが0.0025になり、(8)式中の係数dが0.04になる。
また、図8に示す関係を数式化したものが(5)式である。(5)式において、Fは図8の縦軸に対応する周囲環境相対感度(詳細には、給電線A12に流れる高周波信号が周囲環境から受ける影響)であり、tは図8の横軸に対応する誘電体層12の厚さ[mm]である。(5)式において、aは係数であり、係数aは、(6)式によって表される。(5)式において、bは係数であり、係数bは、(7)式によって表される。(6)式および(7)式において、λは、(9)式および(10)式と同様に、給電線A12に流れる高周波信号の波長[mm]である。
つまり、給電線A12に流れる高周波信号の周波数920MHz、2.45GHz、5.2GHzを用いて図8に例示した周囲環境相対感度Fと誘電体層12の厚さtとの関係を、給電線A12に流れる高周波信号の波長λを用いた表現に変換すると共に一般化したものが(5)式である。
給電線A12に流れる高周波信号の周波数が2.5GHz付近である場合には、周囲環境相対感度F(詳細には、給電線A12に流れる高周波信号が周囲環境から受ける影響)と、誘電体層12の厚さtとが、(2)式で示す関係を有する。すなわち、給電線A12に流れる高周波信号の周波数が2.5GHz付近である場合には、(5)式中の係数aが9になり、(5)式中の係数bが-18になる。
更に、図9に示す関係を数式化したものが(4)式である。(4)式において、Sは図9の縦軸に対応する損失率であり、wは図9の横軸に対応する周囲媒体の誘電正接tanδである。
<第6実施形態>
第6実施形態の電波送信装置1は、後述する点を除き、上述した第1~第5実施形態の電波送信装置1と同様に構成されている。従って、第6実施形態の電波送信装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1~第5実施形態の電波送信装置1と同様の効果を奏することができる。
第6実施形態の電波送信装置1では、給電線A12に流れる高周波信号が給電線A12において周囲環境から影響を受けて減衰することなくアンテナA13まで供給される度合いを示す透過特性Tと、給電線A12に流れる高周波信号が給電線A12において周囲環境から影響を受けて減衰する度合いを示す損失率Sと、周囲環境相対感度Fとが、(1)式で示す関係を有するように、給電線A12の長さLおよび誘電体層12の厚さtが設定されている。
第6実施形態の電波送信装置1の一例では、誘電体層12の厚さtが0.6mm以下に設定され、給電線A12に流れる高周波信号の波長λが400mm以下に設定され、給電線A12の配線長(長さL)が50mm以下に設定されている。
第6実施形態の電波送信装置1が無線通信システムWSに適用される場合には、無線通信システムWSが、アンテナA13から送出された電波を受信する受信機2を備え、アンテナA13と受信機2との距離が50cm以内に設定される。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
1…電波送信装置、11…電子機器、11A…回路基板、A1…電波送信回路、A11…高周波制御部、A12…給電線、A13…アンテナ、A13A…配線アンテナ、A13B…チップアンテナ、12…誘電体層、2…受信機、WS…無線通信システム、SD…水中センシング装置

Claims (18)

  1. 電波送信回路が形成された回路基板を有する電子機器と、誘電体層とを備える電波送信装置であって、
    前記電波送信回路は、高周波制御部と給電線とアンテナとを有し、
    前記高周波制御部は、1つまたは複数の周波数帯域における高周波信号を前記給電線を介して前記アンテナに供給し、
    前記給電線および前記アンテナは、前記誘電体層によって覆われており、
    前記誘電体層は、水、海水、電解液、あるいは水分を一定量含む物質または組織に接した状態で、前記電波送信装置を使用可能な状態に保護し、
    前記給電線の配線長が35mm以内である、
    電波送信装置。
  2. 前記水分を一定量含む物質または組織は、水分を50%以上含む、
    請求項1に記載の電波送信装置。
  3. 前記水分を一定量含む物質または組織は、動物あるいは人体の体組織である、
    請求項1に記載の電波送信装置。
  4. 前記電波送信装置は、動物あるいは人体の体組織に近接した状態で、または、動物あるいは人体の体組織に埋め込まれた状態で使用される、
    請求項3に記載の電波送信装置。
  5. 前記誘電体層の厚さが0.5mm以下である、
    請求項1に記載の電波送信装置。
  6. 前記高周波制御部から前記給電線を介して前記アンテナに供給される高周波信号の周波数が1GHz以下であり、かつ、前記給電線の配線長が35mm以内である、
    請求項1に記載の電波送信装置。
  7. 前記誘電体層の厚さが0.2mm以下である、
    請求項6に記載の電波送信装置。
  8. 前記高周波制御部から前記給電線を介して前記アンテナに供給される高周波信号の周波数が2.5GHz以下であり、かつ、前記給電線の配線長が15mm以内である、
    請求項1に記載の電波送信装置。
  9. 前記誘電体層の厚さが0.25mm以下である、
    請求項8に記載の電波送信装置。
  10. 前記高周波制御部から前記給電線を介して前記アンテナに供給される高周波信号の周波数が5.5GHz以下であり、かつ、前記給電線の配線長が7mm以内である、
    請求項1に記載の電波送信装置。
  11. 前記誘電体層の厚さが0.4mm以下である、
    請求項10に記載の電波送信装置。
  12. 前記アンテナは、前記回路基板に形成された配線アンテナであり、
    前記給電線と前記配線アンテナとの合計の長さが35mm以内である、
    請求項1に記載の電波送信装置。
  13. 前記アンテナは、前記回路基板に形成された配線アンテナと、高誘電率材料を含むチップアンテナとによって構成されており、
    前記給電線と前記配線アンテナとの合計の長さが35mm以内である、
    請求項1に記載の電波送信装置。
  14. 請求項1に記載の電波送信装置と、
    前記アンテナから送出された電波を受信する受信機とを備える無線通信システムであって、
    前記アンテナと前記受信機との距離が50cm以内である、
    無線通信システム。
  15. 電波送信回路が形成された回路基板を有する電子機器と、誘電体層とを備える電波送信装置であって、
    前記電波送信回路は、高周波制御部と給電線とアンテナとを有し、
    前記高周波制御部は、1つまたは複数の周波数帯域における高周波信号を前記給電線を介して前記アンテナに供給し、
    前記給電線および前記アンテナは、前記誘電体層によって覆われており、
    前記誘電体層は、水、海水、電解液、あるいは水分を一定量含む物質または組織に接した状態で、前記電波送信装置を使用可能な状態に保護し、
    前記給電線に流れる高周波信号が前記給電線において周囲環境から影響を受けて減衰することなく前記アンテナまで供給される度合いを示す透過特性Tと、
    前記給電線に流れる高周波信号が前記給電線において周囲環境から影響を受けて減衰する度合いを示す損失率Sと、
    周囲環境相対感度Fとが、下記の(1)式で示す関係を有する、
    電波送信装置。
    Figure 2023016689000012
  16. 前記誘電体層の厚さが0.6mm以下であり、
    前記給電線に流れる高周波信号の波長が400mm以下であり、
    前記給電線の配線長が50mm以下である、
    請求項15に記載の電波送信装置。
  17. 前記給電線に流れる高周波信号の周波数が2.5GHz付近である場合、
    前記周囲環境相対感度Fと、
    前記誘電体層の厚さtとが、下記の(2)式で示す関係を有し、
    前記透過特性Tと、
    前記給電線の長さLとが、下記の(3)式で示す関係を有する、
    請求項15に記載の電波送信装置。
    Figure 2023016689000013
    Figure 2023016689000014
  18. 請求項15に記載の電波送信装置と、
    前記アンテナから送出された電波を受信する受信機とを備える無線通信システムであって、
    前記アンテナと前記受信機との距離が50cm以内である、
    無線通信システム。
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