JP2023013653A - 中性子プロファイル測定装置および中性子プロファイル測定方法 - Google Patents

中性子プロファイル測定装置および中性子プロファイル測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】中性子プロファイルを簡便に測定する。【解決手段】中性子プロファイル測定装置10は、中性子を吸収する閾値反応によってベータ壊変する別の放射性同位元素に変換される金属元素を含有する複数の金属板コンバータ12a~12eと、複数の金属板コンバータ12a~12eが所定の軸方向に互いに重なるように複数の金属板コンバータ12a~12eを固定する固定治具14と、を備える。複数の金属板コンバータ12a~12eのうちの二以上は、同じ材料から構成される。【選択図】図2

Description

本発明は、中性子プロファイルの測定装置および測定方法に関する。
中性子線を用いて物質内を非破壊で透視する検査手法が知られており、中性子ラジオグラフィ検査(NRT;Neutron Radiography Testing)または中性子イメージングと呼ばれる。中性子イメージングでは、主にX線での検査が難しいとされる原子番号の小さい元素を含む物質の検査に使用され、例えば水素(H)を含む水、油または樹脂、リチウム(Li)や硼素(B)を含む物質などの検査に使用できる。中性子源として、例えば、加速器を用いて加速した陽子線などの粒子線をターゲットに照射して中性子線を発生させる加速器中性子源が利用される。
中性子と物質の相互作用の態様は、中性子のエネルギーによって変化するため、検査に用いる中性子線のエネルギー(スペクトル)を適切に調整および測定することが求められる。中性子スペクトルの測定方法として、複数種の金属箔コンバータに中性子線を照射し、中性子線の照射によって放射化した複数種の金属箔コンバータのそれぞれから放出される放射線の強度を転写プレートに転写して測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2020-24105号公報
加速器中性子源から放出される中性子線は、中性子のエネルギーに応じた指向性を有することが知られている。加速器中性子源を適切に運用するためには、中性子線の空間分布である中性子プロファイルを測定できることが好ましい。
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、中性子プロファイルを簡便に測定する技術を提供することにある。
本発明のある態様の中性子プロファイル測定装置は、中性子を吸収する閾値反応によってベータ壊変する別の放射性同位元素に変換される金属元素を含有する複数の金属板コンバータと、複数の金属板コンバータが所定の軸方向に互いに重なるように複数の金属板コンバータを固定する固定治具と、を備える。複数の金属板コンバータのうちの二以上は、同じ材料から構成される。
本発明の別の態様は、ある態様の中性子プロファイル測定装置を用いる中性子プロファイル測定方法である。この方法は、固定治具によって固定された複数の金属板コンバータに中性子線を照射することと、中性子線の照射によって放射化した複数の金属板コンバータのそれぞれから放出される放射線の二次元強度分布を画像化して画像データを生成することと、画像データに基づいて、中性子線の三次元プロファイルデータを生成することと、を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、中性子プロファイルを簡便に測定できる。
加速器中性子源から放出される中性子線を模式的に示す図である。 第1の実施の形態に係る中性子プロファイル測定装置の構成を模式的に示す側面図である。 金属板コンバータに使用される金属元素の特性を示すテーブルである。 金属板コンバータの構成を模式的に示す背面図である。 図2の中性子プロファイル測定装置の構成を模式的に示す背面図である。 転写装置の構成を概略的に示す断面図である。 図7(a)~(e)は、複数の金属板コンバータの転写画像の一例を示す図である。 中性子線の三次元プロファイルの一例を示すグラフである。 中性子線の指向性の一例を示すグラフである。 中性子スペクトル測定方法の流れを示すフローチャートである。 第2の実施の形態に係る中性子プロファイル測定装置の構成を模式的に示す側面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。また、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下の説明において参照する図面において、各構成部材の大きさや厚みは説明の便宜上のものであり、必ずしも実際の寸法や比率を示すものではない。
本実施の形態は、中性子源から放出される中性子の空間分布である中性子プロファイルを測定する技術に関する。特に、加速器中性子源から放出される高速中性子の三次元プロファイルを簡便に測定する技術に関する。本明細書における「高速中性子」は、中性子のエネルギーが1MeV以上である高エネルギー中性子を指す。
図1は、加速器中性子源90から放出される中性子線NBを模式的に示す図である。加速器中性子源90は、加速器92と、ターゲット94とを備える。加速器92は、ターゲット94に照射される粒子線PBを加速する装置であり、サイクロトロンなどである。粒子線PBは、陽子線やアルファ線などである。加速器92は、例えば10MeV以上に加速された陽子線を生成する。ターゲット94は、粒子線PBの照射による核反応によって高速中性子を生成する。ターゲット94の一例は、金属ベリリウムであるが、リチウムなどの他の材料を用いてもよい。
ターゲット94から放出される中性子線NBは、中性子のエネルギーに応じた指向性を有する。図1では、エネルギーの異なる中性子線NB1,NB2,NB3の指向角θ1,θ2,θ3を模式的に示す。第1中性子線NB1は、相対的に高エネルギー(例えば10MeV)の高速中性子であり、相対的に小さい第1指向角θ1の範囲内に存在する。第2中性子線NB2は、中程度のエネルギー(例えば5MeV)の高速中性子であり、第1指向角θ1よりも大きい第2指向角θ2の範囲内に存在する。第3中性子線NB3は、相対的に低エネルギー(例えば1MeV)の高速中性子であり、第2指向角θ2よりも大きい第3指向角θ3の範囲内に存在する。
このように、ターゲット94から放出される中性子のエネルギーが高くなるほど、指向角θ1~θ3が小さくなる傾向にある。ターゲット94からは1MeV未満の低エネルギーの中性子も放出されうるが、低エネルギーの中性子はターゲット94から等方的に放出される傾向にある。本実施の形態では、図1に示されるような指向性を有する高速中性子の空間分布を測定することを目的とする。
(第1の実施の形態)
図2は、第1の実施の形態に係る中性子プロファイル測定装置10の構成を模式的に示す側面図である。中性子プロファイル測定装置10は、複数の金属板コンバータ12a,12b,12c,12d,12e(総称して金属板コンバータ12ともいう)と、固定治具14とを備える。中性子プロファイル測定装置10は、位置決めプレート20をさらに備えてもよい。
金属板コンバータ12は、厚みが均一で平坦な金属板である。金属板コンバータ12は、入射する中性子線NBの二次元強度分布を測定するために用いられる。金属板コンバータ12は、中性子を吸収する閾値反応によって放射化する金属元素を含有する。金属板コンバータ12に中性子線NBが照射されると、照射された中性子のエネルギーに応じた放射性同位元素が金属板コンバータ12の内部に生成される。中性子線NBの照射後に、金属板コンバータ12から放出される放射線の二次元強度分布を測定することで、金属板コンバータ12に照射された中性子線NBの特定のエネルギー領域における二次元強度分布を算出できる。
複数の金属板コンバータ12a~12eは、所定の軸方向(z方向)に直交するように配置され、複数の金属板コンバータ12a~12eの厚み方向が軸方向と一致する。所定の軸方向は、測定対象となる中性子線NBの入射方向に相当する。図2において、中性子線NBの入射方向を+z方向としている。複数の金属板コンバータ12a~12eは、軸方向に互いに重なるように配置される。複数の金属板コンバータ12a~12eは、軸方向(z方向)の位置が互いに異なるように間隔を空けて配置され、例えば、軸方向に等間隔となるように配置される。
複数の金属板コンバータ12a~12eは、同じ材料で構成される。複数の金属板コンバータ12a~12eの材料を同じとすることで、複数の金属板コンバータ12a~12eの測定条件を同じにし、軸方向の測定位置のみを変えることができる。その結果、特定のエネルギー領域における中性子の二次元強度分布を軸方向の異なる複数の位置で測定可能となり、中性子線NBの三次元プロファイルを得ることができる。図示する例では、5枚の金属板コンバータ12a~12eを使用しているが、金属板コンバータ12の枚数は5枚に限られず、少なくとも2枚以上あればよく、3枚または4枚であってもよいし、6枚以上であってもよい。言い換えれば、同じ材料を用いた金属板コンバータが少なくとも二以上あればよい。
図3は、金属板コンバータ12に使用される金属元素の特性を示す図である。金属板コンバータ12に用いる金属元素として、例えば、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ガドリニウム(Gd)、モリブデン(Mo)または金(Au)を用いることができる。これらの金属元素は、閾値反応によって生成される放射性同位元素がベータ壊変してベータ線を放出するため、放射線の二次元強度分布を高精度で測定しやすい。また、これらの金属元素は、放射性同位元素の半減期が0.1時間以上200時間以下であるため、放射線を測定する上での時間的な利便性が高い。
亜鉛(Zn)の場合、様々な天然同位体が存在し、同位体存在割合は、64Znが48.63%、66Znが27.90%、67Znが4.10%、68Znが18.75%、70Znが0.62%である。このうち、64Znは、閾値エネルギー0.9MeVの(n,p)反応により半減期12.7時間でβ壊変する64Cuが生成される。66Znは、閾値エネルギー1.887MeVの(n,p)反応により半減期5.12分でβ壊変する66Cuが生成される。66Cuの半減期は0.1時間未満であるため、中性子線NBの照射完了から放射線の測定開始までの準備時間において66Cuの残存量は激減する。そこで、中性子線NBの照射後に30分~1時間程度待ってから放射線を測定することで、実質的に64Cuの寄与のみを測定することができる。したがって、金属板コンバータ12にZn板を用いることで、0.9MeV以上のエネルギーを有する中性子の二次元強度分布を測定できる。
アルミニウム(Al)の場合、同位体存在割合は、27Alが100%である。27Alは、閾値エネルギー1.896MeVの(n,p)反応により半減期9.458分でβ壊変する27Mgが生成され、閾値エネルギー3.249MeVの(n,α)反応により半減期14.959時間でβ壊変する24Naが生成される。中性子線NBの照射直後では、半減期の長い24Naに比べて半減期の短い27Mgが多量に生成される。しかし、中性子線NBの照射後から1~2時間程度経過すると、半減期の短い27Mgの残存量が激減し、半減期の長い24Naの残存量の方が多くなる。例えば、中性子線NBの照射後から1時間程度までの期間に放射線を測定することで、実質的に27Mgの寄与のみを測定でき、その後の期間に放射線を測定することで、実質的に24Naの寄与のみを測定できる。したがって、金属板コンバータ12にAl板を用いることで、1.896MeV以上のエネルギーを有する中性子の二次元強度分布と、3.249MeV以上のエネルギーを有する中性子の二次元強度分布とを測定できる。
マグネシウム(Mg)の場合、同位体存在割合は、24Mgが78.99%、25Mgが10.00%、26Mgが11.01%である。このうち、24Mgは、閾値エネルギー4.931MeVの(n,p)反応により半減期14.96時間でβ壊変する24Naが生成される。したがって、金属板コンバータ12にMg板を用いることで、4.931MeV以上のエネルギーを有する中性子の二次元強度分布を測定できる。
ガドリニウム(Gd)の場合、同位体存在割合は、152Gdが0.20%、154Gdが2.18%、155Gdが14.80%、156Gdが20.47%、157Gdが15.65%、158Gdが24.84%、160Gdが21.86%である。このうち、160Gdは、閾値エネルギー7.498MeVの(n,2n)反応により18.479時間でβ壊変する159Gdが生成される。また、158Gdは、主に1MeV未満の共鳴領域における(n,γ)反応により159Gdが生成される。生成される159Gdは同じ同位体であるため、半減期の違いによる分離はできない。ただし、1MeV未満の低エネルギーの中性子は、ターゲット94から等方的に放出されるため、指向性を有する高速中性子の二次元強度分布の相対的な形状に与える影響は小さい。したがって、金属板コンバータ12にGd板を用いることで、7.498MeV以上のエネルギーを有する中性子の二次元強度分布を測定できる。
モリブデン(Mo)の場合、同位体存在割合は、92Moが14.84%、94Moが9.25%、95Moが15.92%、96Moが16.68%、97Moが9.55%、98Moが24.13%、100Moが9.63%である。このうち、100Moは、閾値エネルギー8.373MeVの(n,2n)反応により半減期65.94時間でβ壊変する99Moが生成され、主に1MeV未満の共鳴領域における(n,γ)反応により半減期14.61分でβ壊変する101Moが生成される。101Moは、99Moに比べて半減期が短いため、半減期は14.61分であるため、中性子線NBの照射後から1時間以上経過してから放射線を測定することで、実質的に99Moの寄与のみを測定できる。また、98Moは、主に1MeV未満の共鳴領域における(n,γ)反応により99Moが生成される。生成される99Moは同じ同位体であるため、半減期の違いによる分離はできない。ただし、1MeV未満の低エネルギーの中性子は、ターゲット94から等方的に放出されるため、指向性を有する高速中性子の二次元強度分布の相対的な形状に与える影響は小さい。したがって、金属板コンバータ12にMo板を用いることで、8.373MeV以上のエネルギーを有する中性子の二次元強度分布を測定できる。
金(Au)の場合、同位体存在割合は、197Auが100%である。197Auは、閾値エネルギー8.114MeVの(n,2n)反応により半減期6.183日でβ壊変する196Auが生成される。また、197Auは、主に1MeV未満の共鳴領域における(n,γ)反応により半減期2.695日でβ壊変する198Auが生成される。197Auの場合、共鳴領域における反応断面積が極めて大きいために196Auに比べて198Auが多量に生成されてしまう。また、198Auの半減期が比較的長いことから、196Auの寄与のみを短時間で分離することが困難である。そこで、金属板コンバータ12にAu板を用いる場合、中性子線NBの入射方向の手前側にAu板で構成されるフィルタを追加し、共鳴領域の中性子をフィルタに吸収させるようにしてもよい。これにより、Au板である金属板コンバータ12には主に高速中性子が入射することとなり、共鳴領域の寄与を分離できる。したがって、金属板コンバータ12にAu板を用いる場合、Au板フィルタを組み合わせることによって、8.114MeV以上のエネルギーを有する中性子の二次元強度分布を測定できる。なお、198Auの半減期の4倍程度(例えば11日)の時間が経過してから放射線を測定することで、実質的に196Auの寄与のみを測定することも可能である。この場合、Au板フィルタを組み合わせなくてもよい。
金属板コンバータ12の材料は、価格や扱いやすさといった実用性を考慮すると、Zn、AlまたはMoで構成されることが好ましい。金属板コンバータ12は、使用する金属元素を95%以上または99%以上含有する材料で構成されることが好ましい。一例としてAlを用いる場合、金属板コンバータ12は、Alを99%以上含有するAl板で構成され、0.1mm~5mm程度の厚さを有する。測定対象とする高速中性子の反応断面積は極めて小さいため、金属板コンバータ12の厚みを数mm程度にしたとしても、金属板コンバータ12の透過前後の高速中性子の強度はほとんど変わらない。したがって、複数の金属板コンバータ12a~12eを透過することによる高速中性子の減衰の影響はほぼ無視できる。
図4は、金属板コンバータ12の構成を模式的に示す背面図である。金属板コンバータ12は、中心孔22と、ノッチ24a,24bと、固定孔26と、罫書線28a,28bとを有する。
中心孔22は、金属板コンバータ12の中心部に設けられる貫通孔であり、軸方向(z方向)に直交するx方向およびy方向の中心位置を示すマークである。ノッチ24a,24bは、金属板コンバータ12の外周の一部箇所に設けられるV字状またはU字状の切り欠きである。ノッチ24a,24bは、金属板コンバータ12のx方向およびy方向の向きを識別するためのマークである。固定孔26は、金属板コンバータ12の外周部に設けられる貫通孔であり、固定治具14による固定に用いられる。図示する例では、金属板コンバータ12の外形が正方形であり、正方形の四隅のそれぞれに固定孔26が設けられる。罫書線28a,28bは、x方向およびy方向の中心位置を示すマークである。第1罫書線28aは、中心孔22を通ってy方向に延びる直線として描かれ、第2罫書線28bは、中心孔22を通ってx方向に延びる直線として描かれる。
ノッチ24a,24bは、金属板コンバータ12の表面(例えば中性子線NBの入射側)と裏面(例えば中性子線NBの出射側)を識別するためのマークでもある。ノッチ24a,24bは、中心孔22に対して非対称となる複数の位置に設けられる。図示する例の場合、転写結果においてV字状の第1ノッチ24aに対してU字状の第2ノッチ24bが左側にある場合、コンバータの表面(中性子線NBの入射側の面)での転写結果であることが示される。
複数の金属板コンバータ12a~12eは同一形状であり、それぞれが図4に示される形状を有する。複数の金属板コンバータ12a~12eは、それぞれの中心部に設けられる貫通孔(中心孔22)を有し、それぞれの貫通孔が軸方向(z方向)に整列するように配置される。複数の金属板コンバータ12a~12eは、それぞれの外周部に設けられる切り欠き(ノッチ24a,24b)を有し、それぞれの切り欠きが軸方向(z方向)に整列するように配置される。
なお、金属板コンバータ12の形状は、図4に示すものに限られず、長方形や円形などの他の任意の形状であってもよい。金属板コンバータ12は、x方向およびy方向の位置や向きを識別するためのマークとして、中心孔22およびノッチ24a,24bとは異なる切り欠きまたは貫通孔が設けられてもよい。例えば、二つのノッチ24a,24bを設けるのではなく、例えば、第1ノッチ24aまたは第2ノッチ24bの一方のみが設けられてもよい。その他、金属板コンバータ12の表裏を識別するために中心孔22に対して非対称となる複数の位置に切り欠きや貫通孔を設けてもよい。x方向およびy方向の位置や向きを識別するためのマークとして固定孔26を用いてもよい。例えば、複数の固定孔26を中心孔22に対して非対称となる位置に設けてもよい。
図2に戻り、固定治具14は、複数の金属板コンバータ12a~12eを互いに固定するよう構成される。固定治具14は、照射中の中性子線NBに対する複数の金属板コンバータ12a~12eの配置が変わらないようにする。固定治具14は、スペーサ16および締結部材18を含む。スペーサ16は、複数の金属板コンバータ12a~12eの間に配置され、複数の金属板コンバータ12a~12eの間隔を維持する。締結部材18は、ボルトやねじなどであり、複数の金属板コンバータ12a~12eとスペーサ16を互いに締結して固定する。固定治具14は、例えば締結部材18を取り外すことで、複数の金属板コンバータ12a~12eとスペーサ16を分解できるよう構成される。中性子線NBの照射後、複数の金属板コンバータ12a~12eを別々に分解することで、複数の金属板コンバータ12a~12eのそれぞれから放出される放射線の二次元強度分布を高精度で測定できる。
位置決めプレート20は、中性子プロファイル測定装置10を設置する際の位置決めに用いるマークを有する金属板である。位置決めプレート20は、固定治具14によって複数の金属板コンバータ12a~12eに対して固定される。位置決めプレート20は、例えば、複数の金属板コンバータ12a~12eよりも中性子線NBの入射方向の手前側に配置される。位置決めプレート20は、例えば、金属板コンバータ12aと締結部材18の間に挟みこまれて固定される。
図5は、図2の中性子プロファイル測定装置10の構成を模式的に示す背面図であり、中性子線NBの入射方向とは反対側から見たときの構成を示す。位置決めプレート20は、x方向およびy方向の中心位置を示すマークである罫書線28c,28dを有する。第3罫書線28cは、中心孔22を通ってy方向に延びる直線として描かれ、第1罫書線28aと重なる位置に設けられる。第4罫書線28dは、中心孔22を通ってx方向に延びる直線として描かれ、第2罫書線28bと重なる位置に設けられる。
位置決めプレート20は、金属板コンバータ12よりもx方向およびy方向のサイズが大きく、金属板コンバータ12と軸方向に重ならない箇所に罫書線28c,28dが付されている。これにより、罫書線28c,28dが金属板コンバータ12に隠れて見えなくなることを防止できる。図5の例では、位置決めプレート20の外形が八角形であるが、位置決めプレート20の外形は、円形や菱形などの他の任意の形状であってもよい。また、罫書線28c,28dとは異なる位置決め用のマークが位置決めプレート20に付されてもよい。
図2に示されるように、中性子プロファイル測定装置10を加速器中性子源90の正面に設置する際、最後尾の金属板コンバータ12eに付される罫書線28a,28bと、位置決めプレート20に付される罫書線28c,28dとを用いて設置位置が調整される。中性子プロファイル測定装置10の設置位置として、例えば、加速器中性子源90の中心部から放出される中性子線NBの放射方向の延長線上の出口が想定される。通常、中性子線NBを直接目視できないため、設計上の線源中心部の位置および設計上の放射線NBの放射方向と一致するようにレーザ墨出し器から十字レーザを照射し、基準となる座標軸を設定する。つづいて、十字レーザと罫書線28a~28dが一致するように中性子プロファイル測定装置10を配置する。例えば、中性子プロファイル測定装置10を支持する架台(不図示)を利用することで、十字レーザを基準として三次元位置を調整できる。これにより、設計上の中性子線NBの放射方向の延長線上に中性子プロファイル測定装置10を設置できる。
つづいて、放射化した金属板コンバータ12から放出される放射線の測定方法について説明する。図6は、転写装置30の構成を概略的に示す断面図である。転写装置30は、複数の金属板コンバータ12a~12eから放出される放射線の二次元強度分布を転写プレート32に転写して画像化するためのカセッテである。転写装置30は、転写プレート32と、緩衝材34と、遮蔽容器36とを備える。
転写プレート32は、放射線に反応して放射線強度分布に対応する画像を生成するためのイメージングプレート(IP)である。転写プレート32として、例えば輝尽性蛍光体を用いたものを使用できる。輝尽性蛍光体は、主にベータ線に反応して蛍光し、事後的に読み出し光を照射することで放射線に反応した箇所が再度発光するという記憶機能(光メモリ機能)を有する。その結果、輝尽性を有しない一般的な蛍光体を用いる場合に比べて高感度画像を得ることができ、ダイナミックレンジの大きい画像データを取得できる。また、転写装置30を用いることで、中性子線NBの照射環境と、転写プレート32への転写環境とを分離することができ、中性子線NBの照射環境にて生じる高線量のガンマ線が転写工程に悪影響を及ぼすことを防止できる。
放射化された複数の金属板コンバータ12a~12eは、その片面が転写プレート32と密着した状態で遮蔽容器36の内部に収容される。例えば、金属板コンバータ12の両面のうち、中性子線NBの入射側となる片面を転写プレート32と密着させる。緩衝材34は、スポンジ状の樹脂部材またはゴム部材であり、転写プレート32を金属板コンバータ12a~12eに押し付けるようにする。これにより、転写プレート32と金属板コンバータ12a~12の間に隙間が生じないようにし、転写工程の間、転写プレート32と金属板コンバータ12a~12の相対位置が変わらないようにする。遮蔽容器36は、転写工程の間、容器内部が暗室状態となるように外部からの光を遮蔽する。
図6の例では、一つの転写装置30を用いて、複数の金属板コンバータ12a~12eの放射線強度分布が同時に転写される。これにより、複数の金属板コンバータ12a~12eの転写条件を同一にできる。なお、複数の転写装置30を用いてもよく、複数の金属板コンバータ12a~12eの放射線強度分布が別々の転写装置30を用いて画像化されてもよい。転写プレート32に転写された放射線強度分布は、専用の読み取り装置(リーダまたはスキャナ)を用いて読み取られ、放射線強度分布に対応した画像データが生成される。
図7(a)~(e)は、複数の金属板コンバータ12a~12eの転写画像の一例を示す図である。図7の例は、複数の金属板コンバータ12a~12eとして100mm×100mmのAl板を使用し、複数の金属板コンバータ12a~12eの軸方向の位置を20mmずつ変えた場合を示す。Al板コンバータの中心部には3mmφの中心孔22を設けている。中性子線NBの照射後に1.5時間経過してから転写プレート32への転写を開始したため、主に24Naから放出される放射線が転写されており、3.249MeV以上のエネルギーを有する中性子が測定されている。転写画像は、相対的に黒い(濃い)ほど放射線の強度が高く、中性子量が多いことを示し、相対的に白い(薄い)ほど放射線の強度が低く、中性子量が少ないことを示す。
図7(a)~(e)は、加速器中性子源90から金属板コンバータ12a~12eまでの距離の順に並べている。図7(a)は、加速器中性子源90に最も近い位置に配置される金属板コンバータ12aの転写画像であり、図7(e)は、加速器中性子源90から最も遠い位置に配置される金属板コンバータ12eの転写画像である。図7(a)~(e)に示されるように、中性子線NBの二次元強度分布を高い空間分解能で画像化できていることが分かる。本手法で得られる空間分解能は、転写プレート32の読み取り装置の性能に依存する。図7の例では、空間分解能が25μmであるが、より精細な読み取り装置(例えば、空間分解能が12.5μm)を用いることも可能である。また、加速器中性子源90に近いほど転写画像の中心部が黒い(濃い)ことから、中性子線NBの二次元強度分布を軸方向に異なる複数の位置で比較できていると言える。
図7(a)~(e)の転写画像のそれぞれの中心部には、周囲に比べて相対的に白い(薄い)円形領域がある。中心部の円形領域は、複数の金属板コンバータ12a~12eのそれぞれの中心孔22に相当し、貫通孔が設けられているために放射線強度が局所的に小さくなっている。同様の理由で、図7(a)~(e)のそれぞれの四隅には、固定孔26に相当する円形領域がある。図7(a)~(e)の例では、金属板コンバータ12にノッチ24a,24bを設けていないが、ノッチ24a,24bがある場合にはノッチ24a,24bに相当する箇所にV字状およびU字状の相対的に白い(薄い)領域が生じる。転写画像において局所的に白く(薄く)見える領域は、転写画像のx方向およびy方向の位置や向きを識別するためのマークとして使用できる。
図7(a)の転写画像によれば、中性子強度が最も高い位置と中心孔22の位置がずれていることが分かり、かつ、位置ずれの方向および大きさを特定することも可能である。このような位置ずれは、加速器中性子源90から放出される中性子線NBの中心軸と、中性子プロファイル測定装置10の設置時の中心軸とがずれていることに由来する。したがって、中性子プロファイル測定装置10の設置時の中心軸を精密に測定しておくことで、転写画像に基づく位置ずれの方向および大きさから、中性子線NBの中心軸の位置および向きを精密に特定できる。
図8は、中性子線NBの三次元プロファイルを示すグラフである。図8に示す曲線A~Eは、図7(a)~(e)に示す転写画像の対角線上の強度分布を示す。図8では、中心孔22の位置を原点とし、固定孔26の位置における強度値を1として規格化している。また、中心孔22がないと仮定した場合の強度分布(点線)をカーブフィッティングにより求めてピーク値を算出し、ピークの半値における強度分布の全幅(FWHM)を破線により示している。図8から、加速器中性子源90から離れるにつれて、中性子量のピーク値が減少し、半値全幅Wa,Wbが広がっていく三次元プロファイルを把握できる。
図9は、中性子線NBの指向性を示すグラフであり、複数の金属板コンバータ12a~12eの軸方向の位置に対して、図8に示す曲線A~Eの半値全幅をプロットしたものである。図示されるように、複数の金属板コンバータ12a~12eのそれぞれを用いて算出された中性子強度分布の半値全幅が直線上に並んでおり、図1に示されるような中性子線NBの指向性を測定できていることが分かる。図9に示す近似直線の傾き約0.9であることから、半値全幅に基づく指向角が約43度であることが分かる。
図10は、中性子スペクトル測定方法の流れを示すフローチャートである。まず、測定対象とする中性子線NBに対して中性子プロファイル測定装置10を位置決めする(S10)。例えば、加速器中性子源90のターゲット94の位置に基づいてx方向およびy方向の原点を決定し、ターゲット94に照射される粒子線PBの照射方向に基づいてz方向を決定する。具体的には、レーザ墨出し器(レーザセオドライト)などの測量機を用いて基準となる座標軸を決定できる。つづいて、決定した座標軸に基づいて中性子プロファイル測定装置10を設置する。例えば、レーザ墨出し器から照射される十字レーザと、最後尾の金属コンバータ12eに付される罫書線28a,28bと、位置決めプレート20に付される罫書線28c,28dとが一致するように中性子プロファイル測定装置10の設置位置を調整する。
次に、設置した中性子プロファイル測定装置10に測定対象となる中性子線NBを照射する(S12)。中性子線NBの照射により、中性子プロファイル測定装置10に含まれる複数の金属板コンバータ12a~12eが放射化する。中性子線NBの照射後、複数の金属板コンバータ12a~12eのそれぞれから放射される放射線を転写プレート32に転写する(S14)。例えば、中性子プロファイル測定装置10を分解し、複数の金属板コンバータ12a~12eのそれぞれを転写装置30に収容することにより、放射線の二次元強度分布を転写プレート32に転写する。転写完了後、転写プレート32に転写された放射線の二次元強度分布の画像を読み取って画像データを生成する(S16)。
つづいて、画像データに基づいて中性子線NBの三次元プロファイルデータを生成する(S18)。三次元プロファイルデータとは、測定対象となる中性子線NBの三次元の空間分布を示す任意のデータであり、例えば、図8や図9のグラフデータや、図9のグラフから算出される指向角の数値データなどである。
本実施の形態によれば、中性子プロファイル測定装置10を用いて、測定対象となる中性子線NBの三次元プロファイルを高い空間分解能で特定できる。金属板コンバータ12にAl板を用いる場合、材料が安価であり、S14の転写工程に必要な時間も1日程度であるため、中性子線NBの三次元プロファイルを迅速かつ簡便に得ることができる。
金属板コンバータ12にAl板を用いる場合、転写工程を2回に分けることで、エネルギー別の三次元プロファイルデータが得られる。例えば、中性子線NBの照射により放射化した複数のAl板コンバータのそれぞれから放出される放射線の二次元強度分布を第1転写プレートに転写して第1画像データを生成する。つづいて、第1転写プレートへの転写後に複数のAl板コンバータのそれぞれから放出される放射線の二次元強度分布を第2転写プレートに転写して第2画像データを生成する。第1画像データに基づいて、1.896MeV以上のエネルギーを有する中性子の三次元プロファイルデータを生成できる。また、第2画像データに基づいて、3.249MeV以上のエネルギーを有する中性子の三次元プロファイルデータを生成できる。
(第2の実施の形態)
図11は、第2の実施の形態に係る中性子プロファイル測定装置50の構成を模式的に示す側面図である。第2の実施の形態では、エネルギー別の三次元プロファイルを得るために複数種類の金属板コンバータを組み合わせて使用する。以下、第2の実施の形態について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点については適宜省略する。
中性子プロファイル測定装置50は、複数の第1金属板コンバータ54a,54b,54c,54d,54e(総称して第1金属板コンバータ54ともいう)と、複数の第2金属板コンバータ56a,56b,56c,56d,56e(総称して第2金属板コンバータ56ともいう)と、複数の第3金属板コンバータ58a,58b,58c,58d,58e(総称して第3金属板コンバータ58ともいう)と、固定治具14とを備える。中性子プロファイル測定装置50は、位置決めプレート20をさらに備えてもよい。
中性子プロファイル測定装置50は、複数のコンバータセット52a,52b,52c,52d,52e(総称してコンバータセット52ともいう)を含む。コンバータセット52は、複数種類の金属板コンバータ54,56,58を含む。第1金属板コンバータ54は、第1金属元素を含有する。第2金属板コンバータ56は、第1金属元素とは異なる第2金属元素を含有する。第3金属板コンバータ58は、第1金属元素および第2金属元素とは異なる第3金属元素を含有する。第1金属元素、第2金属元素および第3金属元素は、Zn、Al、Mg、Gd、MoまたはAuである。なお、複数のコンバータセット52a~52eのそれぞれは、2種類の金属板コンバータのみを含んでもよいし、4種類以上の金属板コンバータを含んでもよい。
複数の第1金属板コンバータ54a~54e、複数の第2金属板コンバータ56a~56eおよび複数の第3金属板コンバータ58a~58eは、軸方向(z方向)に互いに重なるように配置される。図11の例では、五つのコンバータセット52a~52eが使用され、一つのコンバータセット52が3枚の金属板コンバータを含み、合計で15枚の金属板コンバータが使用される。つまり、中性子プロファイル測定装置50は、5枚の第1金属板コンバータ54a~54eと、5枚の第2金属板コンバータ56a~56eと、5枚の第3金属板コンバータ58a~58eとを含む。なお、コンバータセットの数は5に限られず、少なくとも2以上あればよく、3または4であってもよいし、6以上であってもよい。
一例において、第1金属板コンバータ54は、Al板コンバータであり、1mm~5mm程度の厚さを有する。第2金属板コンバータ56は、Zn板コンバータであり、0.1mm~1mm程度の厚さを有する。第3金属板コンバータ58は、Mo板コンバータであり、0.1mm~1mm程度の厚さを有する。同じコンバータセット52に含まれる複数種類の金属板コンバータ54,56,58は、互いに隣接するように配置される。複数種類の金属板コンバータ54,56,58を隣接して配置することで、これらを分離して配置する場合に比べて機械的な強度を高めることができる。例えば、第1金属板コンバータ54の厚みを相対的に大きくすることで、第2金属板コンバータ56および第3金属板コンバータ58を第1金属板コンバータ54によって機械的に支持できる。Al以外の材料(Zn,Mg,Gd,Mo,Au)は、相対的に高価であるため、Al板コンバータの厚みを大きくし、Al以外の金属板コンバータの厚みを小さくすることで、機械的な強度を持たせつつ、材料費を抑えることができる。
第1金属板コンバータ54、第2金属板コンバータ56および第3金属板コンバータ58は、図4に示される金属板コンバータ12と同様の形状を有するように構成される。したがって、第1金属板コンバータ54、第2金属板コンバータ56および第3金属板コンバータ58のそれぞれは、外形が正方形であり、中心孔22と、ノッチ24a,24bと、固定孔26と、罫書線28a,28bとを有する。
固定治具14は、第1の実施の形態と同様に構成される。固定治具14は、複数のコンバータセット52a~52eを固定し、中性子線NBに対する複数のコンバータセット52a~52eの配置が変わらないようにする。スペーサ16は、複数のコンバータセット52a~52eの間に配置され、複数のコンバータセット52a~52eの間隔を維持する。締結部材18は、複数のコンバータセット52a~52eとスペーサ16を互いに締結して固定する。一つのコンバータセット52に含まれる複数種類の金属板コンバータ54,56,58は、スペーサ16と締結部材18の間、または、二つのスペーサ16の間に挟み込まれて固定される。
図11の例では、一つのコンバータセット52に含まれる複数種類の金属板コンバータ54,56,58の積層順が共通である。つまり、複数のコンバータセット52a~52eのいずれであっても、中性子線NBの入射方向に第3金属板コンバータ58、第2金属板コンバータ56、第1金属板コンバータ54の順に配置されている。これにより、複数の第1金属板コンバータ54a~54eの間隔と、複数の第2金属板コンバータ56a~56eの間隔と、複数の第3金属板コンバータ58a~58eの間隔とを共通にできる。
なお、複数のコンバータセット52a~52eのそれぞれに含まれる複数種類の金属板コンバータ54,56,58の積層順は、必ずしも共通でなくてもよい。また、複数のコンバータセット52a~52eのそれぞれに含まれる金属板コンバータの種類や種類数が共通でなくてもよい。例えば、一部のコンバータセット52a,52bにのみAl,Zn,Moの3種類の金属板コンバータを含め、残りのコンバータセット52c~52eにはAlとZnの2種類の金属板コンバータのみを含めたり、Al板コンバータのみを含めたりしてもよい。
本実施の形態によれば、複数種類の金属板コンバータを組み合わせることにより、複数のエネルギー領域別に中性子線NBの三次元プロファイルデータを得ることができる。例えば、複数のMo板コンバータから、8.373MeV以上のエネルギーを有する中性子の三次元プロファイルデータが得られる。複数のAl板コンバータから、3.249MeV以上のエネルギーを有する中性子の三次元プロファイルデータと、1.896MeV以上のエネルギーを有する中性子の三次元プロファイルデータとが得られる。また、複数のZn板コンバータから、0.9MeV以上のエネルギーを有する中性子の三次元プロファイルデータが得られる。これにより、図1のエネルギーが異なる中性子線NB1~NB3のそれぞれに対応するような三次元プロファイルデータが得られ、中性子線NBのより詳細な三次元プロファイルを把握可能となる。
以上、本発明を実施の形態にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
上述の実施の形態では、転写プレート32として輝尽性蛍光体を用いる場合を示したが、他の種類の蛍光体を用いてもよいし、鉛泊増感紙と感光フィルムの組み合わせを用いてもよい。
上述の実施の形態では、スペーサ16を用いて複数の金属板コンバータの間隔を維持する場合について示した。別の実施の形態では、スペーサ16を用いるのではなく、金属板コンバータの厚み自体によって複数の金属板コンバータの間隔を維持してもよい。この場合、複数の金属板コンバータは、互いに隣接するように配置されてもよい。第2の実施の形態において、全て(例えば15枚)の金属板コンバータを隣接するように配置した場合、同一種類の金属板コンバータの間隔は、一つのコンバータセット52に含まれる複数種類の金属板コンバータ54,56,58の厚みの合計に相当する。
上述の第2の実施の形態では、一つのコンバータセット52に含まれる複数種類の金属板コンバータ54,56,58を互いに隣接して配置する場合について示した。別の実施の形態では、一つのコンバータセット52に含まれる複数種類の金属板コンバータ54,56,58の間にスペーサを配置してもよい。
上述の実施の形態では、中性子イメージングのために中性子プロファイルを測定する場合について示した。本実施の形態に係る測定方法は、中性子イメージングへの応用に限られず、中性子線が利用される様々な分野に応用されてもよい。例えば、シリコンウェハに中性子線を照射することでシリコン(Si)をリン(P)に変換してドーピングする中性子ドーピング(NTD)法に用いる中性子線源の評価に用いてもよい。また、医療用の中性子線源を評価するために用いてもよく、例えば、癌組織に取り込まれたホウ素(B)に中性子線を照射することで癌組織を選択的に破壊するホウ素中性子補足療法(BNCT)に用いる中性子線源の評価に用いてもよい。
10…中性子プロファイル測定装置、12…金属板コンバータ、14…固定治具、16…スペーサ、18…締結部材、20…位置決めプレート、22…中心孔、24a,24b…ノッチ、26…固定孔、28a,28b,28c,28d…罫書線、30…転写装置、32…転写プレート、50…中性子プロファイル測定装置、52…コンバータセット、54…第1金属板コンバータ、56…第2金属板コンバータ、58…第3金属板コンバータ、90…加速器中性子源、92…加速器、94…ターゲット、NB…中性子線。

Claims (9)

  1. 中性子を吸収する閾値反応によってベータ壊変する別の放射性同位元素に変換される金属元素を含有する複数の金属板コンバータと、
    前記複数の金属板コンバータが所定の軸方向に互いに重なるように前記複数の金属板コンバータを固定する固定治具と、を備え、
    前記複数の金属板コンバータのうちの二以上は、同じ材料から構成されることを特徴とする中性子プロファイル測定装置。
  2. 前記金属元素は、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ガドリニウム(Gd)、モリブデン(Mo)または金(Au)であることを特徴とする請求項1に記載の中性子プロファイル測定装置。
  3. 前記複数の金属板コンバータは、第1金属元素を含有する複数の第1金属板コンバータと、前記第1金属元素とは原子番号の異なる第2金属元素を含有する複数の第2金属板コンバータとを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の中性子プロファイル測定装置。
  4. 前記固定治具は、前記複数の金属板コンバータの間に設けられるスペーサを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の中性子プロファイル測定装置。
  5. 前記複数の金属板コンバータは、それぞれの中心部に設けられる貫通孔を有し、それぞれの貫通孔が前記軸方向に整列するように配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の中性子プロファイル測定装置。
  6. 前記複数の金属板コンバータは、それぞれの外周部に設けられる切り欠きまたは貫通孔を有し、それぞれの切り欠きまたは貫通孔が前記軸方向に整列するように配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の中性子プロファイル測定装置。
  7. 前記複数の金属板コンバータに対して固定され、前記軸方向に直交する方向の位置を示すマークが設けられる位置決めプレートをさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の中性子プロファイル測定装置。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の中性子プロファイル測定装置を用いる中性子プロファイル測定方法であって、
    前記固定治具によって固定された前記複数の金属板コンバータに中性子線を照射することと、
    前記中性子線の照射によって放射化した前記複数の金属板コンバータのそれぞれから放出される放射線の二次元強度分布を画像化して画像データを生成することと、
    前記画像データに基づいて、前記中性子線の三次元プロファイルデータを生成することと、を備えることを特徴とする中性子プロファイル測定方法。
  9. 前記画像データを生成することは、前記中性子線の照射により放射化した前記複数の金属板コンバータのそれぞれから放出される放射線の二次元強度分布を第1転写プレートに転写して第1画像データを生成することと、前記第1転写プレートへの転写後に前記複数の金属板コンバータのそれぞれから放出される放射線の二次元強度分布を第2転写プレートに転写して第2画像データを生成することとを含み、
    前記第1画像データおよび前記第2画像データに基づいて、前記中性子線の三次元プロファイルデータを生成することを特徴とする請求項8に記載の中性子プロファイル測定方法。
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