JP2023009313A - 風速風圧推定装置及び風速風圧推定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
風洞実験においては、評価の対象となる建物を再現した模型に風を当て、模型の周りの風速等を模型に設けられたセンサで測定することにより、建物周辺の風速等が評価される。特許文献1には、風洞実験時に使用される風速測定装置が開示されている。
上記のような風洞実験においては、実際に模型に風を当てて物理的に風速や風圧を計測するため、信頼性が高い評価結果を取得し得る。
しかし、風洞実験には大型の風洞装置が必要であるし、模型の製作には多くの時間と費用を要する。
また、センサは一定の大きさを有するために、模型上に設置できる数が限られる。したがって、模型上の、あるいは模型周辺の全ての地点における風速が得られるわけではなく、評価結果を取得できる地点の密度が疎となりがちである。
さらに、風洞実験において、風速を計測する手段としては、例えばPIV(Particle Image Velocimetry)が採用され得る。また、風圧を計測する手段としては、模型表面に感圧塗料を塗布し、その発光強度の変化を観測することが考えられる。しかし、これらの手段においては、計測値、観測値の取得は、2次元の平面内に限定され、3次元的空間内の各位置について、立体的に、計測値、観測値を取得するのは難しい。
数値流体解析は、コンピュータにより実現可能であるため風洞実験のような大掛かりな設備が不要であるし、建物のモデリングも風洞実験における模型の製作よりは短時間、低コストで実施可能である。また、評価結果を取得できる地点の密度が、風洞実験よりも高くなり得る。
しかし、建物のモデリングやメッシュ生成等の解析準備作業には高度な知識やノウハウが必要であり、一般に市街地を対象とした解析では大規模な3次元計算となるため、計算時間が相応にかかる。このような計算手法の代表的なものとして、風速や風圧の変動、最大値、あるいは最小値を時刻歴で計算可能なLES(Large Eddy Simulation)が挙げられるが、特にLESにおいては、空間を非常に細かい格子に分割する必要があり、計算負荷が非常に高く、現実的ではない。
ニューラルネットワークを用いた場合には、汎用的なコンピュータで評価装置を実現可能であり、風洞実験のような大掛かりな装置は不要である。また、ニューラルネットワークの学習が終了すると、簡易なデータを入力するのみで風環境を出力可能であるため、数値流体解析のように高度な知識やノウハウ等も基本的には不要である。また、一般に数値流体解析より計算時間が高速である。
例えば特許文献3には、上記のようなニューラルネットワークによる風速分布の評価に関する、建物周辺の風速分布推定装置が開示されている。
特許文献3の風速分布推定装置は、推定する高さ情報を表わす高さ画像と、建物の断面形状情報を表わす形状画像と、風向き情報を表わす風向き画像とを入力する入力手段と、建物周辺の風速分布を表す画像である風速分布画像を作成する風速分布画像作成手段とを備えている。風速分布画像作成手段は、高さ画像と形状画像と風向き画像とを入力画像とし、風速分布画像を出力画像とする畳み込みニューラルネットワークから構成されている。
特許文献3においては、風速分布画像は風速等高線図を作成する入力として使用されている。換言すれば、特許文献3における風速分布画像においては、各画素の有する画素値は、当該画素に対応する地点の風速を表す値となっている。
また、当該風速分布推定装置が結果として出力するものは、2次元的な情報しか有し得ない画像である。したがって、風洞実験の場合と同様に、3次元的空間内の各位置について、詳細に、風速を推定するのは難しい。
短時間で簡易かつ、より詳細に、風速及び風圧を評価することが望まれている。
上記のような構成によれば、学習済みモデルは、建物情報データと、風向データ、及び、建物情報データ及び風向データに対応する教師データとしての3次元空間での風速分布データと風圧分布データを、学習データとして深層学習されている。この学習済みモデルに風速分布及び風圧分布の推定対象となる建物情報データと風向データを入力すると、学習済みモデルは風速分布及び前記風圧分布を推定する。
ここで、風速分布データと、この風速分布データを教師データとしてこれに近い値を出力するように深層学習された学習済みモデルにより推定された風速分布の各々には、3次元空間内の各位置での、互いに直交する複数の軸線方向の各々に対応する風速情報が格納されている。すなわち、学習済みモデルにより、3次元空間内の各位置での、複数の軸線方向に対応する風速を推定することができる。また、各位置において、複数の軸線方向の各々における風速を合成することにより、風速はもとより、これに併せて風向を計算可能である。
また、風圧分布データと、この風圧分布データを教師データとしてこれに近い値を出力するように深層学習された学習済みモデルにより推定された風圧分布の各々には、3次元空間内の各位置での風圧情報が格納されている。すなわち、学習済みモデルにより、3次元空間内の各位置での風圧を推定することができる。
特に、上記のように構成された学習済みモデルは、3次元空間内の各位置での風速分布と風圧分布を、まとめて推定する。すなわち、学習済みモデルは、3次元空間内の各軸線方向において、連続性を有した状態の結果を推定することが可能である。このため、2次元的な情報を推定するような手法に比べると、推定結果はより正確で詳細なものとなっている。
さらに、上記の構成においては、深層学習された学習済みモデルによって風速分布と風圧分布を推定するため、風洞実験や数値流体解析を用いた場合に比べると、短時間かつ簡易な処理で実現可能である。
したがって、短時間で簡易かつ詳細に、風速分布と風圧分布を推定可能な、風速風圧推定装置を実現可能である。
学習済みモデルは、学習時には、基本的には、推定した風速分布及び風圧分布の各々と、教師データとしての風速分布データ及び風圧分布データとを比較し、その差異を反映させることにより深層学習される。
ここで、上記のような構成においては、風速分布データ及び風圧分布データの、建物部分に該当する部分は、値が0に設定されている。また、建物情報データは、建物部分を0とし、非建物部分を1とする2値で構成される3次元データとしてモデル化されており、学習済みモデルは、学習時には、推定した風速分布及び風圧分布の各々の、3次元空間内の各位置における値と、当該位置に対応する建物情報データの値とを乗算した結果を、風速分布データ及び風圧分布データと比較することにより深層学習される。すなわち、深層学習の基となるものであり、比較により差異が求められる対象である、学習時に推定した風速分布及び風圧分布に対して建物情報データの値を乗算した結果と、風速分布データ及び風圧分布データの各々においては、建物部分が共に0となっている。このため、学習済みモデルが学習時に、仮に、風速または風圧として、建物部分に対して0とはならない何らかの値を推定したとしても、これは教師データすなわち風速分布データ及び風圧分布データの各々と比較される際には0が乗算されて値が0となっているため、教師データとの間で差異は生じず、結果的に学習済みモデルの学習には反映されない。
このような構成とすることで、学習済みモデルは、建物の形状等に関する特徴を過度に学習せずに済み、結果として、非建物部分の風速、風圧に関する特徴のみを集中して学習することができる。これにより、学習済みモデルの学習効率を向上させ、風速分布、風圧分布の推定精度を更に高めることができる。
上記のような構成によれば、短時間で簡易かつ詳細に、風速分布と風圧分布を推定可能な、風速風圧推定方法を実現可能である。
図1は、本実施形態における風速分布推定装置のブロック図である。
本実施形態における風速風圧推定装置1は、上記のように、任意の建物において、建物周りの風速分布、及び風圧分布を推定する装置である。風速風圧推定装置1は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。風速風圧推定装置1は、学習部20、風速風圧推定部21、学習済みモデルパラメータ記憶部22、及び結果合成部23を備えている。
これら風速風圧推定装置1の構成要素のうち、学習部20、風速風圧推定部21、及び結果合成部23は、例えば上記情報処理装置内のCPUにより実行されるソフトウェア、プログラムであってよい。また、学習済みモデルパラメータ記憶部22は、上記情報処理装置内外に設けられた半導体メモリや磁気ディスクなどの記憶装置により実現されていてよい。学習部20は、例えばGPU(Graphics Processing Unit)によって処理され得る。
すなわち、風速風圧推定装置1は大別して、風速分布及び風圧分布の学習と、風速分布及び風圧分布の推定の、2通りの動作を行う。説明を簡単にするために、以下ではまず、風速分布及び風圧分布の学習時における、風速風圧推定装置1の各構成要素の説明をした後に、風速分布及び風圧分布の推定時での各構成要素の挙動について説明する。
建物情報データ3は、風速風圧推定装置1において風速分布及び風圧分布の推定の対象となる3次元の対象領域内の、どの部分に建物や、風が通過する場合に障害となる構造物等が在るかを表現している。建物情報データ3は、上記のような対象領域内を、水平面内に位置して延在する第1の軸線方向であるX方向と、水平面内に位置してX方向に直交して延在する第2の軸線方向であるY方向と、及び水平面内に直交する方向、すなわちX方向とY方向の双方に直交する第3の軸線方向であるZ方向の、互いに直交する複数の軸線方向X、Y、Zの各々に細分化して分割されている。すなわち、建物情報データ3は、X方向、Y方向、及びZ方向の各々に、建物情報データ3を構成する最小単位であるボクセルを連接させることにより形成された、ボクセルの集合として、表現されている、ボクセルデータである。
本実施形態において、建物情報データ3の、建物等の風の障害となる構造物等に相当する建物部分3aにおいては、0の値が設定されており、それ以外の、風が通過し得る部分に相当する非建物部分3bにおいては、1の値が設定されている。このように、建物情報データ3は、0と1の2値で構成される3次元データとしてモデル化されることで、対象領域内の、建物及び建物周辺の、3次元形状を表している。図2においては、建物部分3aに相当して0の値が設定されているボクセルのみが表示されているが、実際には、非建物部分3bを含む対象領域全体が、ボクセルにより構成されている。
風向データ4は、上記のように風向を表現するものであり、なおかつ全ての地点において値が一意であるため、1つのベクトルと見做すことができる。風向データ4は、このベクトルを建物情報データ3におけるX方向及びY方向の各々に成分分解した際の、X方向における成分値を表現した風向X成分データ8と、Y方向における成分値を表現した風向Y成分データ9を備えている。
風向X成分データ8と風向Y成分データ9は、それぞれ、X方向、Y方向、及びZ方向の各々において、建物情報データ3と同じ大きさに構成されたボクセルデータである。例えば、風向X成分データ8は、ベクトルが成分分解されたX方向上での成分値に対応する値に、全ボクセルが一様に設定されたボクセルデータとすることができる。また、風向Y成分データ9は、ベクトルが成分分解されたY方向上での成分値に対応する値に、全ボクセルが一様に設定されたボクセルデータとすることができる。なお、図2において、風向X成分データ8と風向Y成分データ9は、それぞれ2次元的に示されているが、実際には、これらは上記説明のように、3次元的な構造を有するボクセルデータである。
本実施形態においては、図4に示されるような、建物情報データ3におけるX方向及びY方向により形成され、かつXとYの各々が0以上1以下の値を有し得る2次元の座標系において、風向を、座標(0.5、0.5)を上流としたときの下流の座標として、風向データ4の値を設定している。
例えば、西風の場合には、図4のような座標系において、座標(0.5、0.5)を上流とするとR1として示される紙面右方向への風向きとなるため、下流の座標は(1、0.5)となり、したがって、X方向上での成分値が1、Y方向上での成分値が0.5となる。南風の場合には、座標(0.5、0.5)を上流とするとR2として示される紙面上方向への風向きとなるため、下流の座標は(0.5、1)となり、したがって、X方向上での成分値が0.5、Y方向上での成分値が1となる。南西からの風の場合には、同様に、風向きはR3として示される方向となるため、下流の座標は(1、1)となり、したがって、X方向上での成分値が1、Y方向上での成分値が1となる。西南西からの風の場合には、風向きはR4として示される方向となるため、下流の座標は(1、0.75)となり、したがって、X方向上での成分値が1、Y方向上での成分値が0.75となる。さらに、北東からの風の場合には、風向きはR5として示される方向となるため、下流の座標は(0、0)となり、したがって、X方向上での成分値が0、Y方向上での成分値が0となる。
風向X成分データ8には、上記のようにして求められたX方向上での成分値が設定されている。また、風向Y成分データ9には、上記のようにして求められたY方向上での成分値が設定されている。
特に本実施形態においては、風速分布データ5は各地点における風向に関する情報をも含む。このために、風速分布データ5が風向に関する情報を保持し得るように、風速分布データ5は、それぞれが建物情報データ3と同じ大きさに構成された、3次元空間でのボクセルデータである、風速分布X成分データ10、風速分布Y成分データ11、及び風速分布Z成分データ12を備えている。
風速分布X成分データ10、風速分布Y成分データ11及び風速分布Z成分データ12は、それぞれ、X方向、Y方向、及びZ方向の各々において、建物情報データ3と同じ大きさに構成されたボクセルデータである。風速分布X成分データ10においては、各ボクセルの値が、与えられた建物情報データ3と風向データ4に対して、建物情報データ3内に表現された対象領域内の当該ボクセルに対応する地点における風向及び風速を表現するベクトルを、建物情報データ3におけるX方向とY方向、及びZ方向の各々に成分分解した際の、X方向における成分値に相当する値に設定されている。風速分布Y成分データ11及び風速分布Z成分データ12は、同様に、各ボクセルの値が、Y方向及びZ方向の各々における成分値に相当する値に設定されている。なお、上記のように実際には、風速分布X成分データ、風速分布Y成分データ、風速分布Z成分データの各々はボクセルデータであり3次元的な構造を有するが、図5、図6、図7においては、地表に相当する水平面とこれに直交する一平面の2つの平面として図示している。
風速分布X成分データ10、風速分布Y成分データ11、及び風速分布Z成分データ12の各々において、ボクセルに対応する地点が建物の場合、すなわち建物部分3aに該当する場合には、当該ボクセルの値は0に設定されている。
実際には、機械学習器24の学習には多くの教師データが必要となる。このため、例えば数値流体解析だけでなく、風洞実験や実測等の他の手法を併せ用いて、風速分布X成分データ10、風速分布Y成分データ11、及び風速分布Z成分データ12を取得することとなる。しかし、これらの分布データは、同じ風速条件で得られたものであるとは限らない。例えば風洞実験の場合には、風洞気流の風速が場合により異なることも考えられるし、数値流体解析の場合には、流入境界に与える風速が場合により異なることも考えられる。実測の場合においては、現地の風速が都度、異なることが容易に想定される。このため、本実施形態においては、風速分布X成分データ10、風速分布Y成分データ11、及び風速分布Z成分データ12の各ボクセルデータ中のボクセルに設定する値を、風速の基準となる、所定の高さである基準高さの風速で基準化している。
例えば、建築基準法や建築物荷重指針においては、建設地周囲の建物の大小や粗密状況に応じて、地表面粗度区分が定められており、当該区分に応じて、境界層高さ及びべき指数が定義されている。境界層高さは、建設地周囲の建物等の影響により風速が減衰する層の高さであり、境界層高さ以上の風速は便宜的に一定とされている。例えば、建築物荷重指針においては、境界層高さは、中層建築物が散在している地域では450m、中層建築物が主となる市街地では550m、高層建物が密集する市街地では650mとされている。また、風速の減衰度合いは指数関数で近似されており、その減衰度合いは上記のべき指数で定義されている。このような、地表面粗度区分に応じたべき指数を用いて算出された境界層高さでの風速により基準化することで、得られた各データ間で風速が異なるような状況であったとしても、風速条件をあわせることが可能となる。
より概念的には、境界層高さは、これよりも低い位置においては、より高い位置よりも、建物の影響で風速が低くなる、そのような境界となる高さであると考えることができる。したがって、本実施形態においては、境界層高さよりも低い高さにおいては、境界層高さよりも、風速が大きくなることは基本的にはないと考え、境界層高さにおける風速を1として、建物情報データ3において表現された対象領域内に位置する各ボクセルの値が1よりも小さい値となるように、風速を基準化している。
なお、本実施形態においては、基準高さを450mとしている。しかし、例えば上記のような建築物荷重指針によれば、中層建築物が主となる市街地では550mとしてもよいし、高層建物が密集する市街地では650mとしてもよい。
まず、上記のように設定された基準高さにおける、風洞実験や数値流体解析における設定風速、あるいは実測の場合には実測値を、基準風速とする。
次に、風速分布X成分データ10、風速分布Y成分データ11、及び風速分布Z成分データ12の各々において、各ボクセルの値が、当該ボクセルに対応する風速を、0以上1以下の値に基準化した値となるように設定する。この基準化の際には、無風、すなわち風速が0である場合には、0と1の中間の値である0.5となるように対応付ける。そのうえで、風速が正の値である場合、すなわち風速分布X成分データ10、風速分布Y成分データ11、及び風速分布Z成分データ12の各々において、X方向、Y方向、Z方向の正方向に風が吹いている場合に、0.5より大きく1以下の値となるように基準化する。また、風速が負の値である場合、すなわち風速分布X成分データ10、風速分布Y成分データ11、及び風速分布Z成分データ12の各々において、X方向、Y方向、Z方向の正方向とは逆の方向に風が吹いている場合に、0.5より小さく0以上の値となるように基準化する。このような基準化は、各地点の風速を基準風速で除算して風速比を計算した後、風速比に1を加算してから2で除算することにより実現され得る。
例えば、建物情報データ3において表現された対象領域内のある地点のX方向の風速が10m/sであり、基準風速が13m/sである場合には、風速比が10/13となるため、これに1を加算して2で除算した値である0.885が、風速分布X成分データ10の、当該地点に対応するボクセルの値として設定される。
また、建物情報データ3において表現された対象領域内のある地点のX方向の風速が-5m/s、すなわちX方向とは反対を向くものである場合には、風速比が-5/13となるため、これに1を加算して2で除算した値である0.308が、風速分布X成分データ10の、当該地点に対応するボクセルの値として設定される。
このようにして、風速分布データ5には、3次元空間内の各位置での、互いに直交する複数の軸線方向X、Y、Zの各々に対応する風速情報が格納されている。
図8は、風圧分布データの説明図である。
風圧分布データ6は、各ボクセルの値が、与えられた建物情報データ3と風向データ4に対して、建物情報データ3内に表現された対象領域内の当該ボクセルに対応する地点における風圧に相当する値に設定された、3次元空間でのボクセルデータである。なお、上記のように実際には、風圧分布データ6はボクセルデータであり3次元的な構造を有するが、図8においては、地表に相当する水平面とこれに直交する一平面の2つの平面として図示している。
風圧分布データ6において、ボクセルに対応する地点が建物の場合、すなわち建物部分3aに該当する場合には、当該ボクセルの値は0に設定されている。
風圧分布データ6の各ボクセルの値も、風速分布データ5と同様に、本実施形態においては450mの値を基準風圧として基準化されている。基準風圧が得られない場合においては、基準風速の2乗に0.61を乗じて得られる値である速度圧を基準風圧としてもよい。
本実施形態においては、風圧分布データ6の場合においても、風速分布データ5と同様な手順で、値を基準化する。
このようにして、風圧分布データ6には、3次元空間内の各位置での風圧情報が格納されている。
既に説明したように、建物情報データ3、風向データ4、及び教師データとしての風速分布データ5と風圧分布データ6の各々は、ボクセルデータである。したがって、風速分布データ5及び風圧分布データ6と比較される学習時出力データ15も当然、ボクセルデータである。このため、本実施形態においては、機械学習器24は、ボクセルデータを入出力とした場合の処理と相性の良い、3次元の全層畳み込みネットワーク、すなわち3D-FCN(Fully Convolutional Network)により実現されている。FCNは、以下に説明するように、全結合層を備えず、畳み込み層において処理、生成された特徴マップを直接、転置畳み込み層への入力とするものである。
学習部20は、建物情報データ3と風向データ4を初段の畳み込み層27aへ入力する。既に説明したように、建物情報データ3と、風向データ4を構成する風向X成分データ8及び風向Y成分データ9の各々は、X方向、Y方向、及びZ方向の各々において、同じ大きさに構成されたボクセルデータである。実際には、これら建物情報データ3、風向X成分データ8、及び風向Y成分データ9は、一つのボクセルデータである学習時入力データ14として統合され、この学習時入力データ14が機械学習器24に入力される。学習時入力データ14は、例えば、建物情報データ3、風向X成分データ8、及び風向Y成分データ9の各々の、同一の地点に対応するボクセルの値が、学習時入力データ14の対応する位置のボクセル内の、異なるチャネルの値となるように設定することで、統合され得る。
機械学習器24は、この処理を、全てのフィルタに対して実行し、フィルタの数に応じた特徴マップを生成する。
特徴マップに対しては、必要に応じて、バッチ正規化処理やプーリング処理、活性化関数が実行される。
畳み込み層27aにおいて生成された特徴マップは、次段の畳み込み層27bへ入力されるボクセルデータとなる。
畳み込み層27cにおいては、畳み込み層27bにおいて生成された特徴マップに対して、畳み込みフィルタ処理が実行される。畳み込み層27cは、所定の数のフィルタを備えており、これらを用いて畳み込みフィルタ処理を実行し、更に必要に応じてバッチ正規化処理やプーリング処理を実行することで、フィルタの数に応じた所定の数の特徴マップを生成する。
各畳み込み層27a、27b、27cにおけるフィルタの重みは、機械学習により調整される。
畳み込み層27cにおいて生成された特徴マップは、転置畳み込み処理部28の転置畳み込み層28cへの入力となる。
転置畳み込み処理部28すなわち機械学習器24の出力データは、本実施形態においては、入力された学習時入力データ14内の建物情報データ3と風向データ4に対応する、建物情報データ3内に表現された対象地域における風速分布と風圧分布の、その時点における学習段階での推定結果である、学習時出力データ15である。学習時出力データ15は、X方向、Y方向、及びZ方向の各々において、学習時入力データ14と同じ大きさに構成されたボクセルデータである。学習時出力データ15は、各ボクセルが、第1から第4の、4つのチャネルを有するように構成されている。学習時出力データ15の各ボクセルの第1チャネルには、当該ボクセルに対応する位置における、X方向の風速に関する推定結果が格納されている。学習時出力データ15の各ボクセルの第2チャネルには、当該ボクセルに対応する位置における、Y方向の風速に関する推定結果が格納されている。学習時出力データ15の各ボクセルの第3チャネルには、当該ボクセルに対応する位置における、Z方向の風速に関する推定結果が格納されている。学習時出力データ15の各ボクセルの第4チャネルには、当該ボクセルに対応する位置における、風圧に関する推定結果が格納されている。学習時出力データ15の各ボクセルに対して、第1、第2、第3、及び第4チャネルの各々の値を個別に分離することで、X成分の風速分布、Y方向の風速分布、Z方向の風速分布、及び風圧分布を、それぞれ得ることができる。
このように、学習時の学習済みモデル25である機械学習器24が推定した風速分布(すなわち学習時出力データ15)には、3次元空間内の各位置での、互いに直交する複数の軸線方向X、Y、Zの各々に対応する風速情報が格納され、機械学習器24が推定した風圧分布(すなわち学習時出力データ15)には、3次元空間内の各位置での風圧情報が格納されている。
より正確には、学習部20は、学習時出力データ15の各ボクセルに対し、建物情報データ3の対応する位置のボクセルの値を乗算して、学習時推定結果16を生成する。既に説明したように、建物情報データ3においては、建物部分3aに相当するボクセルの値は0に、非建物部分3bに相当するボクセルの値は1に、それぞれ設定されている。したがって、このような処理を行うことにより、学習時推定結果16の、建物部分3aに相当するボクセルの値は0に設定され、非建物部分3bに相当するボクセルの値は、学習時出力データ15の対応するボクセルの値がそのまま維持されるように設定される。
次に説明するように、機械学習器24は、基本的には、学習時推定結果16と、教師データとしての風速分布データ5及び風圧分布データ6とを比較し、その差異を反映させることにより深層学習される。ここで、深層学習の基となるものであり、比較により差異が求められる対象である、学習時推定結果16と、風速分布データ5及び風圧分布データ6の各々においては、建物部分3aが共に0となっている。このため、機械学習器24が学習時に、仮に、風速または風圧として、建物部分3aに対して0とはならない何らかの値を推定したとしても、これは教師データすなわち風速分布データ5及び風圧分布データ6の各々と比較される際には0が乗算されて値が0となっているため、教師データとの間で差異は生じず、結果的に機械学習器24の学習には反映されない。
すなわち、上記のような処理を経た学習時推定結果16を深層学習に用いることにより、機械学習器24は、建物の形状等に関する特徴を過度に学習せずに済み、結果として、非建物部分3bの風速、風圧に関する特徴のみを集中して学習することができる。
その上で、このコスト関数を小さくするように、誤差逆伝搬法等により、各フィルタの重みの値等を調整することで、機械学習器24が機械学習される。
結果として、機械学習器24は、学習時入力データ14が入力されたときに、これに含まれる建物情報データ3と風向データ4に対応する風速分布データ5及び風圧分布データ6に近い学習時出力データ15を出力するように学習される。
このようにして、機械学習器24(学習時の学習済みモデル25)は、学習時には、推定した風速分布及び風圧分布の各々すなわち学習時出力データ15に対し、3次元空間内の各位置における値と、当該位置に対応する建物情報データ3の値とを乗算した結果である学習時推定結果16を、風速分布データ5及び風圧分布データ6と比較することにより深層学習される。
すなわち、学習部20は、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとして利用される、適切な学習パラメータが学習されて、学習が終了した、学習済みモデル25を生成するものである。
風速風圧推定部21は、学習済みモデルパラメータ記憶部22から学習済みモデルパラメータを取得し、学習済みモデル25を構築する。図9は、学習済みモデル25の模式的な説明図である。風速風圧推定部21は、この学習済みモデル25を、例えばCPU上でプログラムとして実行することで、風速分布と風圧分布を推定する。
学習済みモデル25の入力データである推定時入力データ30は、実際に風速分布と風圧分布の推定対象となる地域及び風向が情報として格納された、建物情報データ31と風向データ32である。建物情報データ31は、学習時に学習データ2として使用された建物情報データ3と同様に構成されている。風向データ32は、風向X成分データ35と風向Y成分データ36を備えており、これらの各々は、学習時に学習データ2として使用された風向X成分データ8及び風向Y成分データ9と同様に構成されている。推定時入力データ30は、学習時入力データ14と同様に、例えば、建物情報データ31、風向X成分データ35、及び風向Y成分データ36の各々の、同一の地点に対応するボクセルの値が、推定時入力データ30の対応する位置のボクセル内の、異なるチャネルの値となるように設定することで、統合されている。
推定時入力データ30の各ボクセルの値は、学習時と同様に基準化されている。
出力データ38は、学習時出力データ15と同様に、入力された推定時入力データ30内の建物情報データ31と風向データ32に対応する、建物情報データ31内に表現された対象地域における風速分布と風圧分布の推定結果である。出力データ38は、X方向、Y方向、及びZ方向の各々において、推定時入力データ30と同じ大きさに構成されたボクセルデータである。出力データ38は、学習時出力データ15と同様に、各ボクセルが、第1から第4の、4つのチャネルを有するように構成されている。出力データ38の各ボクセルの第1、第2、第3、及び第4の各チャネルには、当該ボクセルに対応する位置における、X方向の風速に関する推定結果、Y方向の風速に関する推定結果、Z方向の風速に関する推定結果、及び風圧に関する推定結果が、それぞれ格納されている。
このように、学習済みモデル25が推定した風速分布(すなわち出力データ38)には、3次元空間内の各位置での、互いに直交する複数の軸線方向X、Y、Zの各々に対応する風速情報が格納され、学習済みモデル25が推定した風圧分布(すなわち出力データ38)には、3次元空間内の各位置での風圧情報が格納されている。
風速風圧推定部21は、上記のように建物情報データ31が乗算された結果から、第1、第2、及び第3の各チャネルとして格納された、X方向、Y方向、及びZ方向の各々に対応して成分分解された風速、風向情報を、それぞれ、異なるボクセルデータとして分離、抽出する。機械学習器24を学習する際に教師データとして使用した風速分布データ5においては、既に説明したように、値が0以上1以下の値に基準化されており、学習済みモデル25はこの教師データに近い値を出力するように学習されているため、学習済みモデル25が出力した出力データ38、これに建物情報データ31が乗算された結果、及び当該結果から抽出された各ボクセルデータにおいても、各ボクセル内の値が0以上1以下の値となっている。風速風圧推定部21は、各ボクセル内に格納された、各軸線方向X、Y、Zの風速成分値を、実際の風速の値に換算する。
この換算は、風速分布データ5の基準化と逆の手順により実行される。具体的には、推定値に対して2を乗算した後に1を減算して風速比を計算し、これに基準風速を乗算することで、実際の風速を得ることができる。
例えば、基準風速を15m/sとすると、推定値が0.256の場合においては、これに2を乗算して1を減算した値である-0.488が風速比となり、当該風速比に基準風速15m/sを乗算した値-7.32m/sが、実際の風速となる。
あるいは、推定値が0.755の場合においては、これに2を乗算して1を減算した値である0.51が風速比となり、当該風速比に基準風速15m/sを乗算した値7.65m/sが、実際の風速となる。
風速風圧推定部21は、このようにして、X方向、Y方向、及びZ方向の各々に対して抽出された各ボクセルデータに対し、各ボクセルの値を換算して、X成分風速分布推定結果41、Y成分風速分布推定結果42、及びZ成分風速分布推定結果43を生成する。
風速風圧推定部21は、このようにして、風圧に関して抽出されたボクセルデータの、各ボクセルの値を換算し、風圧分布推定結果45を生成する。
風速風圧推定部21は、X成分風速分布推定結果41、Y成分風速分布推定結果42、Z成分風速分布推定結果43、及び風圧分布推定結果45を、推定結果40として外部に出力する。
また、風速風圧推定部21は、X成分風速分布推定結果41、Y成分風速分布推定結果42、及びZ成分風速分布推定結果43を、結果合成部23へと送信する。
このように、風速風圧推定部21は、学習済みモデル25に風速分布及び風圧分布の推定対象となる建物情報データ31と風向データ32を入力して風速分布及び風圧分布を推定し、これを基に推定結果40を出力する。
結果合成部23は、X成分風速分布推定結果41、Y成分風速分布推定結果42、及びZ成分風速分布推定結果43の各々の情報を合成して、風速分布合成結果44を生成する。風速分布合成結果44は、X成分風速分布推定結果41、Y成分風速分布推定結果42、及びZ成分風速分布推定結果43と同等の大きさのボクセルデータである。結果合成部23は、X成分風速分布推定結果41、Y成分風速分布推定結果42、及びZ成分風速分布推定結果43の互いに対応するボクセルの各々に対し、これら推定結果41、42、43の各々からボクセルの値、すなわち当該ボクセルに対応する地点における風速のX成分値、Y成分値、及びZ成分値の各々を取得し、これらをベクトルとして、X方向、Y方向、及びZ方向の3つの軸線方向により形成される3次元座標系上で合成する。結果合成部23は、合成により生成されたベクトルの大きさを基に風速を、及び向きを基に風向を計算する。結果合成部23は、全ボクセルに関して風速及び風向情報を計算し、これらをまとめて一つのボクセルデータすなわち風速分布合成結果44を生成する。
結果合成部23は、風速分布合成結果44を外部へ出力する。
実際には、風速風圧推定装置1によって、風速分布、風圧分布共に、ボクセルデータとして推定されるため、3次元空間内における結果が推定されるが、図10においては、地表に相当する水平面とこれに直交する一平面の2つの平面として、結果を図示している。また、図11においては、建物の表面に作用する風圧に関して、結果を図示している。
まず、風速分布及び風圧分布の学習時における、風速風圧推定装置1の各構成要素の動作を説明する。
学習部20は、建物情報データ3と風向データ4を学習時入力データ14として機械学習器24の畳み込み処理部27へ入力する。
畳み込み処理部27は、各畳み込み層27a、27b、27cにより畳み込み処理を実行して特徴マップを生成し、転置畳み込み処理部28へ入力する。
転置畳み込み処理部28は、各転置畳み込み層28c、28b、28aにより特徴マップを拡大、復元するように転置畳み込み処理を実行し、学習時出力データ15を出力する。
学習部20は、入力された学習時入力データ14に対応する風速分布データ5及び風圧分布データ6を取得し、これら風速分布データ5と風圧分布データ6を教師データとして、教師データと学習時出力データ15をボクセル単位で比較して、例えば各ボクセル間の値の差分の2乗誤差をコスト関数として計算する。
その上で、このコスト関数を小さくするように、誤差逆伝搬法等により、各フィルタの重みの値等を調整することで、機械学習器24が機械学習される(ステップS1)。
学習部20は、学習が終了すると、調整が終了した各フィルタの重みの値等のパラメータを、学習済みモデルパラメータとして、学習済みモデルパラメータ記憶部22に記憶する(ステップS3)。
風速風圧推定部21は、学習済みモデルパラメータ記憶部22から学習済みモデルパラメータを取得し、学習済みモデル25を構築する(ステップS11)。
風速風圧推定部21は、学習済みモデル25に、各ボクセルの値が基準化された、推定時入力データ30を入力する。学習済みモデル25は、畳み込み層27a、27b、27cと、及び転置畳み込み層28c、28b、28aを順に辿りながら、畳み込み処理及び転置畳み込み処理を実行する。最終的に転置畳み込み層28aから、推定時入力データ30に対応する出力データ38が出力される。
風速風圧推定部21は、出力データ38に対して建物情報データ31を、ボクセルごとに乗算して、建物部分に相当するボクセルの値を0に設定し、非建物部分に相当するボクセルについてはその値を維持するように設定する。
風速風圧推定部21は、上記のように建物情報データ31が乗算された結果から、X方向、Y方向、及びZ方向の各々に対応して成分分解された風速、風向情報を、それぞれ、異なるボクセルデータとして分離、抽出し、各ボクセルの値を実際の風速の値に換算して、X成分風速分布推定結果41、Y成分風速分布推定結果42、及びZ成分風速分布推定結果43を生成する。
また、風速風圧推定部21は、上記のように建物情報データ31が乗算された結果から、風圧に対応する風圧情報を、ボクセルデータとして分離、抽出し、各ボクセルの値を実際の風圧の値に換算して、風圧分布推定結果45を生成する。
風速風圧推定部21は、X成分風速分布推定結果41、Y成分風速分布推定結果42、Z成分風速分布推定結果43、及び風圧分布推定結果45を、推定結果40として外部に出力する(ステップS13)。
結果合成部23は、風速風圧推定部21から、X成分風速分布推定結果41、Y成分風速分布推定結果42、及びZ成分風速分布推定結果43を受信する。
結果合成部23は、X成分風速分布推定結果41、Y成分風速分布推定結果42、及びZ成分風速分布推定結果43の各々の情報を合成して、風速分布合成結果44を生成する(ステップS15)。
結果合成部23は、風速分布合成結果44を外部へ出力する。
上記のような構成によれば、学習済みモデル25は、建物情報データ3と、風向データ4、及び、建物情報データ3及び風向データ4に対応する教師データとしての3次元空間での風速分布データ5と風圧分布データ6を、学習データ2として深層学習されている。この学習済みモデル25に風速分布及び風圧分布の推定対象となる建物情報データ31と風向データ32を入力すると、学習済みモデル25は風速分布及び前記風圧分布(出力データ38)を推定する。
ここで、風速分布データ5と、この風速分布データ5を教師データとしてこれに近い値を出力するように深層学習された学習済みモデル25により推定された風速分布(出力データ38)の各々には、3次元空間内の各位置での、互いに直交する複数の軸線方向X、Y、Zの各々に対応する風速情報が格納されている。すなわち、学習済みモデル25により、3次元空間内の各位置での、複数の軸線方向X、Y、Zに対応する風速を推定することができる。また、各位置において、複数の軸線方向X、Y、Zの各々における風速を合成することにより、風速はもとより、これに併せて風向を計算可能である。
また、風圧分布データ6と、この風圧分布データ6を教師データとしてこれに近い値を出力するように深層学習された学習済みモデル25により推定された風圧分布(出力データ38)の各々には、3次元空間内の各位置での風圧情報が格納されている。すなわち、学習済みモデル25により、3次元空間内の各位置での風圧を推定することができる。
特に、上記のように構成された学習済みモデル25は、3次元空間内の各位置での風速分布と風圧分布(出力データ38)を、まとめて推定する。すなわち、学習済みモデル25は、3次元空間内の各軸線方向X、Y、Zにおいて、連続性を有した状態の結果を推定することが可能である。このため、2次元的な情報を推定するような手法に比べると、推定結果40はより正確で詳細なものとなっている。
さらに、上記の構成においては、深層学習された学習済みモデル25によって風速分布と風圧分布を推定するため、風洞実験や数値流体解析を用いた場合に比べると、短時間かつ簡易な処理で実現可能である。
したがって、短時間で簡易かつ詳細に、風速分布と風圧分布を推定可能な、風速風圧推定装置1を実現可能である。
学習済みモデル25(機械学習器24)は、学習時には、基本的には、推定した風速分布及び風圧分布の各々と、教師データとしての風速分布データ5及び風圧分布データ6とを比較し、その差異を反映させることにより深層学習される。
ここで、上記のような構成においては、風速分布データ5及び風圧分布データ6の、建物部分3aに該当する部分は、値が0に設定されている。また、建物情報データ3は、建物部分3aを0とし、非建物部分3bを1とする2値で構成される3次元データとしてモデル化されており、学習済みモデル25(機械学習器24)は、学習時には、推定した風速分布及び風圧分布(学習時出力データ15)の各々の、3次元空間内の各位置における値と、当該位置に対応する建物情報データ3の値とを乗算した結果(学習時推定結果16)を、風速分布データ5及び風圧分布データ6と比較することにより深層学習される。すなわち、深層学習の基となるものであり、比較により差異が求められる対象である、学習時に推定した風速分布及び風圧分布(学習時出力データ15)に対して建物情報データ3の値を乗算した結果(学習時推定結果16)と、風速分布データ5及び風圧分布データ6の各々においては、建物部分3aが共に0となっている。このため、学習済みモデル25(機械学習器24)が学習時に、仮に、風速または風圧として、建物部分3aに対して0とはならない何らかの値を推定したとしても、これは教師データすなわち風速分布データ5及び風圧分布データ6の各々と比較される際には0が乗算されて値が0となっているため、教師データとの間で差異は生じず、結果的に学習済みモデル25(機械学習器24)の学習には反映されない。
このような構成とすることで、学習済みモデル25(機械学習器24)は、建物の形状等に関する特徴を過度に学習せずに済み、結果として、非建物部分3bの風速、風圧に関する特徴のみを集中して学習することができる。これにより、学習済みモデル25(機械学習器24)の学習効率を向上させ、風速分布、風圧分布の推定精度を更に高めることができる。
上記のような構成によれば、短時間で簡易かつ詳細に、風速分布と風圧分布を推定可能な、風速風圧推定方法を実現可能である。
例えば、建物情報データ3、風速分布データ5、風圧分布データ6内に表現された地域が、学習に適さない程度に、あるいは実際の風速風圧推定装置1の運用上想定している以上に、広すぎる範囲のものである場合がある。このような場合には、建物情報データ3、風速分布データ5、風圧分布データ6に関する各ボクセルデータの各々に関し、当該広範な地域中の任意の部分を、適切な範囲に切り出すことで、一つの学習データ2から複数の学習データ2を生成することができる。この際には、建物情報データ3、風速分布データ5、風圧分布データ6を、同一の位置及び範囲で切り出して、各ボクセルデータの同一座標に位置するボクセルが同一の地点に対応するように留意する必要がある。
同様に、学習データ2中の各ボクセルデータを、Z方向と平行な任意の回転軸を中心として回転させることによっても、新たな学習データ2を生成することができる。
また、学習データ2中の各ボクセルデータを、Z方向と平行な任意の平面あるいは軸線に対して反転させることによっても、新たな学習データ2を生成することができる。
このようにして、一つの学習データ2から複数の学習データ2を生成することにより、多くの学習データ2を機械学習器24の学習に用いることができるため、学習済みモデル25の推定精度が向上する。
ただし、例えば、少なくとも地表面はボクセルデータ中に含まれなければならない等、Z方向に関してはランダムに範囲が切り出されることで不適切なデータが生成される可能性がある。
あるいは、地表面がボクセルデータ中の上方に位置して上下が反転されてしまうと、同様に、不適切なデータが生成される。
このため、学習データ2をランダムに生成する場合には、切り出し位置や範囲、回転軸、回転方向、回転角度、反転平面等を適切に設定する必要がある。
例えば、上記実施形態及び変形例においては、機械学習器24及び学習済みモデル25としてFCNを用いたが、推定精度が損なわれないのであれば、他の構造のニューラルネットワークを使用してもかまわない。
また、FCNの構造は、図2及び図9を用いて説明した上記の構造に限られず、他の構造を備えていてもよい。例えば、上記実施形態においては、畳み込み処理部27及び転置畳み込み処理部28はともに3層構造とした模式的な例を用いて説明したが、各々の層数は3以外であってもよいし、畳み込み処理部27の層数と転置畳み込み処理部28の層数が異なっていてもよい。
また、上記実施形態においては、風向データ4は建物情報データ3内に表現された地域内の建物あるいは建物群に対して、地域外から吹き込む風の風向を表現するデータであったが、風向データ4は風向に加えて風速を情報として有していても構わない。
しかし、例えば十分な学習効率が得られるようであれば、これらの建物情報データ3、31の乗算処理は行わなくても構わない。すなわち、この場合においては、学習時に、学習時出力データ15を直接、教師データと比較するように構成してもよい。また、風速分布及び風圧分布の推定時に、出力データ38を直接、推定結果40として出力するように構成してもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態及び変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
2 学習データ 21 風速風圧推定部
3、31 建物情報データ 23 結果合成部
3a 建物部分 24 機械学習器(学習時の学習済みモデル)
3b 非建物部分 25 学習済みモデル
4、32 風向データ 30 推定時入力データ
5 風速分布データ 38 出力データ
6 風圧分布データ 40 推定結果
14 学習時入力データ 44 風速分布合成結果
15 学習時出力データ X、Y、Z 軸線方向
16 学習時推定結果
Claims (3)
- 建物周りの風速分布、及び風圧分布を推定する、風速風圧推定装置であって、
建物及び当該建物周辺の3次元形状を表す建物情報データと、風向データ、及び、前記建物情報データ及び前記風向データに対応する教師データとしての3次元空間での風速分布データと風圧分布データを、学習データとして深層学習された学習済みモデルを備え、当該学習済みモデルに前記風速分布及び前記風圧分布の推定対象となる建物情報データと風向データを入力して前記風速分布及び前記風圧分布を推定し、これを基に推定結果を出力する、風速風圧推定部を備え、
前記風速分布データ及び前記学習済みモデルが推定した前記風速分布の各々には、前記3次元空間内の各位置での、互いに直交する複数の軸線方向の各々に対応する風速情報が格納され、前記風圧分布データ及び前記学習済みモデルが推定した前記風圧分布の各々には、前記3次元空間内の各位置での風圧情報が格納されている、風速風圧推定装置。 - 前記建物情報データは、建物部分を0とし、非建物部分を1とする2値で構成される3次元データとしてモデル化され、
前記風速分布データ及び前記風圧分布データの、前記建物部分に該当する部分は、値が0に設定され、
前記学習済みモデルは、学習時には、推定した前記風速分布及び風圧分布の各々の、前記3次元空間内の各位置における値と、当該位置に対応する前記建物情報データの値とを乗算した結果を、前記風速分布データ及び前記風圧分布データと比較することにより深層学習されることを特徴とする請求項1に記載の風速風圧推定装置。 - 建物周りの風速分布、及び風圧分布を推定する、風速風圧推定方法であって、
建物及び当該建物周辺の3次元形状を表す建物情報データ、風向データ、及び、前記建物情報データ及び前記風向データに対応する教師データとしての3次元空間での風速分布データと風圧分布データを、学習データとして深層学習された学習済みモデルに対し、前記風速分布及び前記風圧分布の推定対象となる建物情報データと風向データを入力して前記風速分布及び前記風圧分布を推定し、これを基に推定結果を出力する工程を備え、
前記風速分布データ及び前記学習済みモデルが推定した前記風速分布の各々には、前記3次元空間内の各位置での、互いに直交する複数の軸線方向の各々に対応する風速情報が格納され、前記風圧分布データ及び前記学習済みモデルが推定した前記風圧分布の各々には、前記3次元空間内の各位置での風圧情報が格納されている、風速風圧推定方法。
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