JP2022554222A - ヒトオルニチンアミノトランスフェラーゼの不活性化剤としてのガンマアミノ酪酸(gaba)のフッ素置換シクロヘキセン類似体 - Google Patents

ヒトオルニチンアミノトランスフェラーゼの不活性化剤としてのガンマアミノ酪酸(gaba)のフッ素置換シクロヘキセン類似体 Download PDF

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Abstract

アミノフルオロ置換シクロヘキセンカルボン酸化合物が開示される。開示される化合物及びその組成物は、細胞増殖性疾患及び障害などのOAT活性又は発現に関連する疾患又は障害を治療するための方法を含む、オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)活性を調節するための方法において使用することができる。

Description

関連する特許出願への相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の定めにより、2019年10月25日に出願された米国仮出願第62/926,120号の優先権の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
連邦政府による資金提供を受けた研究又は開発に関する声明
本発明は、国立衛生研究所によって授与されたDA030604の下で政府の支援を受けてなされた。政府は本発明において一定の権利を有している。
オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)は、ピリドキサール5’-リン酸(PLP)依存性酵素1であり、ほとんどのヒト及び動物組織のミトコンドリアマトリックスに見られる2。OATは、前半の反応でオルニチンからΔ1-ピロリン-5-カルボキシレート(P5C)への変換を触媒し、そして後半の反応でのα-ケトグルタル酸(α-KG)からグルタミン酸への変換を触媒する3。グルタミン酸は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ4(GLUD)によって分解されてα-KGに戻るか、又はピロリン-5-カルボン酸合成酵素5(P5CS)によりP5Cに変換され;OAT又はP5CS経路を介して生成されたP5Cは、ピロリン-5-カルボン酸リダクターゼ(PYCR)により媒介されてプロリンにさらに変換される可能性がある6-7。プロリンは通常、遊離アミノ酸プールの代わりにコラーゲン中に沈着及び貯蔵されるため7-8、OATの活性はプロリン及びコラーゲンレベルと正の相関がある9。コラーゲンは細胞外マトリックス(ECM)の主成分であり10、コラーゲンの沈着又は分解の変化はECMホメオスタシスの喪失につながる可能性がある。過去数年間、ECMによって提示されるECM動力学と化学的手がかりの調節異常は、発生と癌進行の両方の主要な推進力として認識されてきた11。さらに、癌の代謝再プログラミングにおいて、プロリン代謝が重要な役割を果たすことがますます明らかになっている12-13。プロリン合成の酵素は、よく知られている2つの腫瘍遺伝子、c-mycとホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)によって著しくアップレギュレートされ14、中央中間体としてP5Cのアップレギュレートされた合成をもたらした15。OATによるオルニチンのアミノ転移は、プロリン代謝と尿素回路の間の重要な経路である。OATは、PK/c-mycトランスジェニックマウスの肝腫瘍組織で強く活性化されることがわかっている16。肝細胞癌(HCC)細胞では、Wnt/β-カテニン経路の不適切な活性化によってOAT遺伝子の過剰発現が誘導される16-17。密接に関連するプロリン代謝経路は、HCCの低酸素微小環境によって活性化され、腫瘍の進行とソラフェニブ耐性を促進するヒドロキシプロリンの蓄積を特徴とする18。OATの選択的阻害は、インビボでのHCC腫瘍増殖を効果的に阻害することが示されている19。最近、OATのアップレギュレーションが非小細胞肺癌(NSCLC)細胞で見つけられ、これは、増殖、浸潤、遊走の促進、アポトーシスの阻害、細胞周期の変化に寄与している20。さらにOATのノックダウンは、NSCLC細胞のインビトロ増殖を阻害し、肺癌異種移植モデルにおけるインビボ腫瘍増殖を抑制した20。特定のOATノックダウンは細胞分裂をブロックし、ヒト子宮頸癌及び骨肉腫細胞における細胞死を引き起こす21。従ってOATの選択的阻害は、癌治療の潜在的な治療戦略として役立つ可能性がある。
要約
オルニチンアミノトランスフェラーゼの選択的阻害のための化合物、組成物、及び関連する使用方法が開示される。開示される化合物、組成物、及び方法は、オルニチンアミノトランスフェラーゼ活性に関連する疾患及び障害を治療するために利用することができる。
開示される化合物は、置換シクロヘキセン化合物として記載することができる。特に、開示される化合物は、アミノフルオロ置換シクロヘキセンカルボン酸化合物として記載することができる。開示される化合物及びその組成物は、細胞増殖性疾患及び障害などのOAT活性又は発現に関連する疾患又は障害を治療するための方法を含む、オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)活性を調節するための方法において使用することができる。
開示される化合物は、以下の式の化合物、又はその解離型、非プロトン化型、双性イオン型、若しくは塩:
Figure 2022554222000002
(式中、二重結合はα炭素とζ炭素との間に存在するか、二重結合はα炭素とβ炭素との間に存在する)を対象とすることができ、及び化合物は以下の式:
Figure 2022554222000003
又は
Figure 2022554222000004
[式中、R1及びR2のそれぞれは、H又は脱離基(例えば、F、Cl、Br、及びIなどのハロゲン化物)から独立して選択されるが、但しR1及びR2の少なくとも1つはHではない]を有する。
いくつかの実施態様において、開示される化合物は、以下の式の化合物、又はその解離型、非プロトン化型、双性イオン型、若しくは塩:
Figure 2022554222000005
[式中、二重結合は、α炭素とζ炭素との間、又はα炭素とβ炭素との間に存在し、
式中、R1及びR2のそれぞれは、H又は脱離基(例えば、F、Cl、Br、及びIなどのハロゲン化物)から独立して選択されるが、但しR1及びR2の少なくとも1つはHではない]に向けられ得る。
特定の実施態様において、化合物は、以下の式の化合物、又はその解離型、非プロトン化型、双性イオン型、若しくは塩:
Figure 2022554222000006
(式中、R1及びR2のそれぞれは、H及びFから独立して選択されるが、但しR1及びR2の少なくとも1つはFである)であるか、又はそのような化合物の塩である。
特定の実施態様において、化合物は、以下の式の化合物、又はその解離型、非プロトン化型、双性イオン型、若しくは塩:
Figure 2022554222000007
(式中、R1及びR2のそれぞれは、H及びFから独立して選択されるが、但しR1及びR2の少なくとも1つはFである)であるか、又はそのような化合物の塩である。
記載されているように、開示される化合物は、任意選択的に化合物が塩として存在する場合、例えばアンモニウム部分を形成するためにプロトン化され得る。例えば、カルボン酸部分がカルボキシレート部分から解離される場合、任意選択的に化合物が塩として存在する場合、開示される化合物は、また非プロトン化及び/又は解離され得る。化合物がプロトン化されたアンモニウム部分及び解離されたカルボキシレート部分を含む場合、任意選択的に化合物が塩として存在する場合、開示される化合物は双性イオン型であり得る。
開示される化合物及び組成物は、オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)活性を調節するための方法において利用され得る。このような方法は、本明細書に開示される化合物、例えば以下の式の化合物、又はその解離型、双性イオン型、若しくはその塩などを提供すること、及びOATを化合物:
Figure 2022554222000008
(式中、二重結合は、α炭素とζ炭素との間、又はα炭素とβ炭素との間に存在し、
式中、R1及びR2のそれぞれは、H及びFから独立して選択されるが、ただしR1及びR2の少なくとも1つは、Hではない)又はそのような化合物の塩に接触させることを含む。特定の実施態様において、二重結合はα炭素とζ炭素との間にある。特定の実施態様において、二重結合はα炭素とβ炭素との間にある。特定の実施態様において、R1及びR2はFである。
特定の実施態様において、開示される方法は、癌によって発現されるOATの活性を低下させることを対象とすることができ、この癌は、特に限定されるものではないが、肝細胞癌(HCC)及び非小細胞肺癌(NSCLC)、又はOATを発現又は過剰発現する他の癌を含む。このような方法は、本明細書に開示される化合物、例えば以下の式の化合物、又はその解離型、非プロトン化型、双性イオン型、若しくは塩などを提供し、癌を化合物:
Figure 2022554222000009
(式中、二重結合は、α炭素とζ炭素との間、又はα炭素とβ炭素との間に存在し、
式中、R1及びR2のそれぞれは、H及びFから独立して選択されるが、ただしR1及びR2の少なくとも1つは、Hではない)又はそのような化合物の塩に接触させることを含む。特定の実施態様において、二重結合はα炭素とζ炭素との間にある。特定の実施態様において、二重結合はα炭素とβ炭素との間にある。特定の実施態様において、R1及びR2はFである。
特定の実施態様において、開示される方法は、それを必要とする対象における細胞増殖性疾患又は障害を治療することを対象とすることができる。適切な細胞増殖性疾患及び障害には、特に限定されるものではないが、肝細胞癌(HCC)及び非小細胞肺癌(NSCLC)などのOATを発現又は過剰発現する癌が含まれ得る。そのような方法は、それを必要とするそのような対象に、以下の式の化合物、又はその解離型、非プロトン化型、双性イオン型、若しくは塩:
Figure 2022554222000010
(式中、二重結合は、α炭素とζ炭素との間、又はα炭素とβ炭素との間に存在し、
式中、R1及びR2のそれぞれは、H及びFから独立して選択されるが、ただしR1及びR2の少なくとも1つは、Hではない)又はそのような化合物の塩を投与することを含み得る。特定の実施態様において、二重結合はα炭素とζ炭素との間にある。特定の実施態様において、二重結合はα炭素とβ炭素との間にある。特定の実施態様において、R1及びR2はFである。
本明細書に開示される化合物は、立体化学的又は配置的制限がなく、かつ、立体化学的又は配置的制限が示されない限り、すべての立体化学的又は配置的異性体を包含する。以下に例示及び説明するように、そのような化合物及び/又はそれらの中間体は、単一の鏡像異性体、そこから異性体を分解できるラセミ混合物、又はそこから対応する鏡像異性体を分離できるジアステレオ異性体として利用可能である。従って、任意の立体中心は、他の任意の立体中心に関して(S)又は(R)である可能性がある。もう一つ別の考慮事項として、様々な化合物は酸又は塩基塩として存在することができ、例えばアミノ基で部分的又は完全にプロトン化されてアンモニウム部分を形成するか、及び/又は例えばカルボキシル基で部分的又は完全に解離されてカルボキシレート置換基又は部分を形成する。特定のそのような実施態様において、アンモニウム置換基又は部分に関して、対イオンはプロトン酸の共役塩基であり得る。特定のそのような又は他の実施態様において、カルボキシレート置換基又は部分に関して、対イオンはアルカリ性、アルカリ土類、又はアンモニウムカチオンであり得る。さらに、本明細書に開示される任意の1種以上の化合物が、治療方法又は薬剤と組み合わせて使用するための医薬的に許容可能な担体成分を含む医薬組成物の一部として提供され得ることを、当業者は理解するであろう。
特定の実施態様において、開示される方法は、OAT活性及び/又は発現又は過剰発現に関連する癌などの細胞増殖性疾患及び障害を含む、OAT活性及び/又は発現又は過剰発現に関連する疾患又は障害を対象とする。適切な疾患及び障害には、特に限定されるものではないが、細胞増殖性疾患及び障害が含まれ、これには、特に限定されるものではないが、そのような治療を必要とするヒト対象の肝細胞癌(HCC)及び非小細胞肺癌(NSCLC)が含まれる。特定の実施態様において、そのような化合物は、医薬組成物の一部として提供され得る。
特定の実施態様において、開示された方法は、癌(例えば、肝細胞癌(HCC)及び非小細胞肺癌(NSCLC))によって発現されるオルニチンアミノトランスフェラーゼの活性を低下又は調節することを対象とする。そのような方法は、上記又は本明細書の他の場所に記載の種類の化合物を提供し、そのような化合物に、オルニチンアミノトランスフェラーゼ活性を低下させるのに有効な量で、オルニチンアミノトランスフェラーゼを発現する癌を含む細胞媒体に接触させることを含み得る。特定の実施態様において、そのような化合物は、医薬組成物の一部として提供され得る。とにかく、そのような接触はインビトロ又はインビボであり得る。
より一般的には、開示される方法は、オルニチンアミノトランスフェラーゼを阻害又は不活性化することを対象とすることができる。そのような方法は、医薬組成物の一部であるかどうかにかかわらず、上記又は以下に記載される種類の化合物を提供すること、及びオルニチンアミノトランスフェラーゼと接触するための有効量のそのような化合物を投与することを含み得る。そのような接触は、当技術分野で理解されるように、実験目的及び/又は研究目的のためでも、又は1つ以上のインビボ又は生理学的状態をシミュレートするように設計されてもよい。そのような化合物には、特に限定されるものではないが、以下の実施例、参照図、組み込まれた参考文献、及び/又は付随する合成スキームによって示されるものが含まれ得る。特定のそのような実施態様において、そのような化合物及び/又はこれらの組み合わせは、OAT、細胞増殖、及び/又は腫瘍増殖を阻害するのに少なくとも部分的に十分な量で存在することができる。
図1は、オルニチンの代謝経路を示す。
図2は、選択的hOAT不活性化剤7、及びフッ素置換シクロヘキセン類似体8~11の構造。
図3は、8(左)及び9(右)によって不活性化されたhOATの共結晶構造。
図4は、オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)に対する9の阻害活性。
図5は、ガンマアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ(GABA-AT)に対する9の阻害活性。
図6は、アラニンアミノトランスフェラーゼ及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼに対する9の阻害活性。
図7は、8の濃度を変化させることによって部分的又は完全に阻害されたhOATの時間依存性透析。
図8は、9の濃度を変化させることによって部分的又は完全に阻害されたhOATの時間依存性透析。
図9は、機構に基づく酵素不活性化剤による酵素の力価測定。酵素活性の喪失は、不活性化と酵素濃度の比率の関数として測定される。曲線の線形部分で線形回帰が使用され、ターンオーバー数であるX切片が得られた(分配率=ターンオーバー数-1)。8のターンオーバー数の決定。
図10は、機構に基づく酵素不活性化剤による酵素の力価測定。酵素活性の喪失は、不活性化と酵素濃度の比率の関数として測定される。曲線の線形部分で線形回帰が使用され、ターンオーバー数であるX切片が得られた(分配率=ターンオーバー数-1)。9のターンオーバー数の決定。
詳細な説明
開示される主題は、以下の定義及び用語を使用してさらに説明され得る。本明細書で使用される定義及び用語は、特定の実施態様を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が特に他に明記しない限り複数形を含む。例えば「置換基」という用語は、文脈が特に他に明記しない限り、「1つ以上の置換基」を意味すると解釈しなければならない。
本明細書で使用される「約」、「およそ」、「実質的に」、及び「顕著に」は、当業者によって理解されるものであり、それらが使用される文脈によってある程度変化する。それが使用される文脈を考えると、当業者には明らかでない用語の使用がある場合、「約」及び「およそ」は、特定の用語の最大で±10%を意味し、「実質的に」及び「顕著に」とは、特定の用語の±10%を超えることを意味する。
本明細書で使用される「含む(include)」及び「含んでいる(including)」という用語は、「含む(comprise)」及び「含んでいる(comprising)」という用語と同じ意味を有する。「含む(comprise)」及び「含んでいる(comprising)」という用語は、特許請求の範囲に記載された構成要素に加えて追加の構成要素を含めることを可能にする「開かれた」移行用語であると解釈されるべきである。「からなる(consist)」及び「からなる(consisting of)」という用語は、特許請求の範囲に記載された構成要素以外の追加の構成要素を含めることを許容しない「閉じた」移行用語として解釈されるべきである。「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、部分的に閉じられており、特許請求された主題の本質を根本的に変更しない追加の構成要素のみを含めることができると解釈されるべきである。
「などの(such as)」という句は、「例えば・・・を含む」と解釈されるべきである。さらに、特に限定されるものではないが、「などの」を含むあらゆる例示的な用語の使用は、単に特許請求された主題をより明確にすることを意図しており、特許請求された主題の範囲を制限するものではない。
さらに、「A、B、及びCなどの少なくとも1つ」に類似する慣習がある場合。一般に、そのような構成は、当技術分野で通常の技能を有する者がその慣習を理解するという意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有するシステム」は、システムAのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、及び/又はA、B、Cを一緒に有する説明を含むが、これらに限定されない)。説明又は図のいずれかであるかどうかにかかわらず、2つ以上の代替用語を提示する事実上すべての分離語及び/又は句は、それらの用語の1つ、それらの用語のいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることは、当技術分野の人々によってさらに理解されるであろう。例えば、「A又はB」という句は、「A」又は「B」あるいは「A及びB」の可能性を含むと理解される。
「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などのすべての言語は、列挙された数を含み、後で範囲及び部分範囲に分解することができる範囲を指す。範囲には、個々のメンバーが含まれる。従って、例えば、1~3のメンバーを有する群は、1、2、又は3つのメンバーを有する群を指す。同様に、6つのメンバーを有する群は、1、2、3、4、又は6つのメンバーなどを有する群を指す。
法助動詞「may」(かもしれない)は、同じものに含まれるいくつかの記述された実施態様又は特徴の中の1つ以上のオプション又は選択肢の好ましい使用又は選択を指す。法助動詞「may」は、同じものに含まれる特定の実施態様又は特徴に関してオプション又は選択肢が開示されていない場合、法助動詞「may」は、同じものに含まれるいくつかの記述された実施態様又は特徴の態様の使用方法についての積極的行為と、又は同じものに含まれるいくつかの記述された実施態様又は特徴についての特定のスキルを使用するという断定的な決定を指す。この後者の文脈では、法助動詞「may」は助動詞「can」と同じ意味と意味を有する。
本明細書で使用される「それを必要とする対象」は、ヒト及び/又は非ヒト動物を含み得る。「それを必要とする対象」は、オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)活性に関連する疾患又は障害を有する対象を含み得る。「それを必要とする対象」は、特に限定されるものではないが、肝細胞癌(HCC)を含み得る細胞増殖性疾患又は障害を有する対象を含み得る。
化学物質
新規化学物質及び化学物質の用途が本明細書に開示されている。化学物質は、当技術分野で知られている用語を使用して説明することができ、以下でさらに説明される。
本明細書で使用されるダッシュ「-」、星印「*」、又はプラス記号「+」を使用して、任意のラジカル基又は置換基の結合点を指定することができる。
本明細書で企図される「アルキル」という用語は、1~12、1~10、又は1~6個の炭素原子の直鎖又は分岐基などのそのすべての異性体形態の直鎖又は分岐アルキルラジカルを含み、本明細書では、それぞれ、C1~C12アルキル、C1~C10アルキル、及びC1~C6アルキルと呼ばれる。
「アルキレン」という用語は、直鎖又は分岐アルキル基のジラジカル(すなわち、直鎖又は分岐C1~C6アルキル基のジラジカル)を指す。例示的なアルキレン基には、特に限定されるものではないが、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-などが含まれる。
「ハロ」という用語は、ハロゲン置換(例えば、-F、-Cl、-Br、又は-I)を指す。「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1つのハロゲンで置換されているアルキル基を指す。例えば、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CF2CF3などである。
本明細書で使用される「ヘテロアルキル」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子(例えば、O、N、又はS原子)で置き換えられている「アルキル」基を指す。ヘテロアルキル基の1つのタイプは「アルコキシ」基である。
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、2~12、2~10、又は2~6個の炭素原子の直鎖又は分岐基など、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和の直鎖又は分岐炭化水素を指し、本明細書では、それぞれ、C2~C12アルケニル、C2~C10アルケニル、及びC2~C6アルケニルと呼ばれる。
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、2~12、2~10、又は2~6個の炭素原子の直鎖又は分岐基など、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和の直鎖又は分岐炭化水素を指し、本明細書では、それぞれ、C2~C12アルキニル、C2~C10アルキニル、及びC2~C6アルキニルと呼ばれる。
「シクロアルキル」という用語は、3~12、3~8、4~8、又は4~6個の炭素の一価の飽和環状、二環式、又は架橋環状(例えばアダマンチル)炭化水素基を指し、本明細書において、例えばシクロアルカンに由来して「C4~8シクロアルキル」と呼ばれる。特に他に明記しない限り、シクロアルキル基は、任意選択的に1つ以上の環位置で、例えばアルカノイル、アルコキシ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、又はカルボキシアミド、アミジノ、アミノ、アリール、アリールアルキル、アジド、カルバメート、カーボネート、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロ、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ケトン、ニトロ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、サルフェート、スルフィド、スルホンアミド、スルホニル、又はチオカルボニルで置換される。特定の実施態様において、シクロアルキル基は置換されておらず、すなわち非置換である。
「シクロヘテロアルキル」という用語は、シクロアルカンの少なくとも1つの炭素が、例えば、N、O、及び/又はSなどのヘテロ原子で置換されている、3~12、3~8、4~8、又は4~6個の炭素の一価の飽和環状、二環式、又は架橋環状炭化水素基を指す。
「シクロアルキル」という用語は、1つ以上の環結合で不飽和であるシクロアルキル基を指す。
「部分的に不飽和のカルボシクリル」という用語は、カルボシクリルの少なくとも1つの環が芳香族ではない、環原子間に少なくとも1つの二重結合を含む一価の環状炭化水素を指す。部分的に不飽和のカルボシクリルは、炭素原子の数によって特徴付けることができる。例えば、部分的に不飽和のカルボシクリルは、5~14、5~12、5~8、又は5~6個の環炭素原子を含むことができ、従って、それぞれ5~14、5~12、5~8、又は5~6員の部分的に不飽和のカルボシクリルと呼ばれる。部分的に不飽和のカルボシクリルは、単環式炭素環、二環式炭素環、三環式炭素環、架橋炭素環、スピロ環式炭素環、又は他の炭素環系の形態であり得る。例示的な部分的に不飽和のカルボシクリル基には、部分的に不飽和のシクロアルケニル基及び二環式カルボシクリル基が含まれる。特に明記しない限り、部分的に不飽和のカルボシクリル基は、任意選択的に1つ以上の環位置で、例えば、アルカノイル、アルコキシ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、又はカルボキシアミド、アミジノ、アミノ、アリール、アリールアルキル、アジド、カルバメート、カーボネート、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ケトン、ニトロ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、サルフェート、スルフィド、スルホンアミド、スルホニル、又はチオカルボニルで置換される。特定の実施態様において、部分的に不飽和のカルボシクリルは置換されておらず、すなわち非置換である。
「アリール」という用語は当技術分野で認識されており、炭素環式及び/又は複素環式芳香族基を指す。代表的なアリール基には、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ピリジニル、キノリニル、フラニル、チオニルなどが含まれる。「アリール」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通である2つ以上の炭素環を有する多環式環系を含み(環は「縮合環」である)、ここで、環の少なくとも1つは芳香族であり、及び例えば他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、及び/又はアリールであり得る。特に他に明記しない限り、芳香環は、1つ以上の環位置で、例えばハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、又はカルボキシアミド、カルボン酸、-C(O)アルキル、-CO2アルキル、カルボニル、カルボキシル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド(sulfonamido)、スルホンアミド(sulfonamide)、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリール部分、-CF3、-CNなどで置換され得る。特定の実施態様において、芳香環は、1つ以上の環位置で、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシル、又はアルコキシルで置換される。特定の他の実施態様において、芳香環は置換されておらず、すなわち非置換である。特定の実施態様において、アリール基は6~10員の環構造である。
「ヘテロシクリル」及び「複素環式基」という用語は、当技術分野で認識されており、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族の3~10員の環構造、あるいは3~7員の環を指し、その環構造は、1~4個のヘテロ原子、例えば窒素、酸素、硫黄を含む。ヘテロシクリル基の環原子の数は、5Cx~Cxの命名法を使用して指定でき、ここで、xは環原子の数を指定する整数である。例えば、C3~C7ヘテロシクリル基は、窒素、酸素、硫黄などの1~4個のヘテロ原子を含む飽和又は部分的に不飽和の3~7員環構造を指す。「C3~C7」という呼称は、複素環が、環原子の位置を占める任意のヘテロ原子を含めて、合計3~7個の環原子を含むことを示す。
「アミン」及び「アミノ」という用語は当技術分野で認識されており、非置換及び置換アミン(例えば、一置換アミン又は二置換アミン)の両方を指し、ここで置換基は、例えばアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアリールを含み得る。
「アルコキシ」又は「アルコキシル」という用語は、当技術分野で認識されており、上記したように、そこに結合している酸素ラジカルを有するアルキル基を指す。代表的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、tert-ブトキシなどが含まれる。
「エーテル」は、酸素によって共有結合された2つの炭化水素である。従って、そのアルキルをエーテルにするアルキルの置換基は、-O-アルキル、-O-アルケニル、-O-アルキニルなどのうちの1つによって表され得るようなアルコキシルであるか、又はそれに類似している。
本明細書で使用される「カルボニル」という用語は、ラジカル-C(O)-を指す。
「オキソ」という用語は、二価の酸素原子-O-を指す。
本明細書で使用される「カルボキシ」又は「カルボキシル」という用語は、ラジカル-COOH又はその対応する塩、例えばラジカル-COONaなどを指す。カルボキシアルキルエステルは、-C(O)O-R部分(ここでRはアルキルである)を有する化合物を指す。
本明細書で使用される「カルボキサミド」という用語は、ラジカル-C(O)NRR’を指し、ここで、R及びR’は同じであっても異なっていてもよい。R及びR’は、例えば独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ホルミル、ハロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり得る。
本明細書で使用される「アミド(amide)」又は「アミド(amido)」又は「アミジル」という用語は、-R1C(O)N(R2)-、-R1C(O)N(R2)R3-、-C(O)NR23、又は-C(O)NH2の形態のラジカルを指し、ここで、例えばR1、R2、及びR3は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、水素、ヒドロキシル、ケトン、又はニトロである。
本開示の化合物は異性体であり得る。いくつかの実施態様において、開示される化合物は、異性体的に純粋でもよく、ここでその化合物は、化合物の異性体混合物内のすべての化合物の約99%より多いことを表す。また本明細書では、異性体的に純粋な化合物を含むか、から本質的になるか、又はからなる組成物、及び/又は異性体に富む組成物を企図し、組成物は、特定の化合物の単一の異性体の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
本開示の化合物は、1つ以上のキラル中心及び/又は二重結合を含むことができ、従って、幾何異性体、鏡像異性体、又はジアステレオ異性体などの立体異性体として存在することができる。本明細書で使用される場合「立体異性体」という用語は、すべての幾何異性体、鏡像異性体、又はジアステレオ異性体からなる。これらの化合物は、キラル又は立体中心炭素原子の周りの置換基の配置及び/又は観察される旋光度に応じて、記号「R」若しくは「S」又は「+」若しくは「-」で示され得る。開示される化合物は、様々な立体異性体及びそれらの混合物を包含する。立体異性体には、鏡像異性体とジアステレオ異性体が含まれる。鏡像異性体又はジアステレオ異性体の混合物は、命名法で(±)と指定することができるが、当業者は、構造がキラル中心を暗黙的に示す可能性があることを認識するであろう。化学構造、例えば一般的な化学構造のグラフ表示は、特に他に明記しない限り、特定の化合物のすべての立体異性体型を包含することが理解される。本明細書では、鏡像異性体を含むか、から本質的になるか、又はからなる組成物、及び/又は鏡像異性体に富む組成物が企図され、これらの組成物は、所定の化合物の単一の鏡像異性体の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%(例えば、所定の化合物のR鏡像異性体の少なくとも約95%)を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
開示される化合物及び使用方法の様々な非限定的な実施態様は、OATの触媒機構並びにGABA-ATやOATの不活性化機構を理解することで検討することができる。いくつかの実施態様において、開示される主題は、本明細書において集合的に担体と呼ばれる1つ以上の生理学的に容認し得る又は許容し得る希釈剤、担体、補助剤、又はビヒクルと共に組成物に処方される、上記のような1つ以上のOAT阻害剤に関する。そのような接触又は投与に適した組成物は、無菌であるかどうかにかかわらず、生理学的に許容し得る水溶液又は非水溶液、分散液、懸濁液、又は乳濁液を含むことができる。得られる組成物は、本明細書に記載の様々な方法と組み合わせて、オルニチンアミノトランスフェラーゼの投与又は接触のためのものであり得る。医薬組成物と組み合わされているかどうかにかかわらず、「接触する」とは、オルニチンアミノトランスフェラーゼと1種以上の阻害剤化合物が、そのような阻害剤化合物を酵素に結合及び/又は複合体化する目的で一緒にされることを意味する。オルニチンアミノトランスフェラーゼを阻害するのに有効な化合物の量は、経験的に決定することができ、そのような決定を行うことは当技術分野の技術の範囲内である。オルニチンアミノトランスフェラーゼ活性の阻害又はその他の影響には、OAT活性、グルタミン酸産生、グルタミン合成、細胞増殖、及び/又は腫瘍増殖の低下、緩和、及び/又は調節、並びに排除が含まれる。
投薬量は、特定の阻害剤化合物の活性、病状、投与経路、治療期間、及び医学及び製薬分野でよく知られている同様の要因によって変化することは、当業者によって理解されている。一般に、適切な用量は、治療又は予防効果を生み出すのに有効な最低用量である量である。必要に応じて、そのような化合物、その医薬的に許容し得る塩、又は関連する組成物の有効用量を、適切な期間にわたって別々に投与される2つ以上の部分用量で投与することができる。
医薬製剤又は組成物を調製する方法は、阻害剤化合物を担体、及び任意選択的に1つ以上の追加の補助剤又は成分と一緒にする工程を含む。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA. に記載されているものなどの標準的な製剤技術を使用することができる。
組成物か製剤であるかには無関係に、当業者は、そのような薬剤を投与に適したものにする際に考慮されるべき対応する因子及びパラメーターとともに、薬剤投与のための様々な手段を認識するであろう。従って、1つ以上の非限定的な実施態様に関して、開示された化合物は、OAT活性、発現、又は過剰発現に関連する疾患又は障害の治療又は予防における治療的使用のための薬剤の製造用の阻害剤化合物として利用され得る。適切な疾患又は障害には、細胞増殖性疾患又は障害が含まれ得、これには、特に限定されるものではないが、肝細胞癌(HCC)及び非小細胞肺癌(NSCLC)が含まれる。
一般に、様々な実施態様に関して、開示される主題は、病理学的増殖性障害の治療のための方法を対象とすることができる。本明細書で使用される「障害」という用語は、正常な機能の障害がある状態を指す。「病気」とは、影響を受ける人又はその人と接触する人に不快感、機能不全、又は苦痛を引き起こす身体又は心の異常な状態である。この用語は、怪我、障害、症候群、症状、逸脱した行動、及び構造と機能の異常な変化を含むために広く使用されることがあるが、他の文脈では、これらは区別可能なカテゴリと見なされる場合がある。「疾患」、「障害」、「症状」、及び「病気」という用語は、本明細書では等しく使用されることに留意されたい。
特定の実施態様において、開示された方法は、オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)を発現する悪性増殖性障害を含む、悪性増殖性障害の治療に特に適用可能であり得る。本明細書で使用される「癌」、「腫瘍」、及び「悪性腫瘍」はすべて、組織又は臓器の過形成に同等に関連している。組織がリンパ系又は免疫系の一部である場合、悪性細胞は循環細胞の非固形腫瘍を含む場合がある。他の組織や臓器の悪性腫瘍は固形腫瘍を引き起こす可能性がある。従って本明細書に開示された化合物、組成物、及び方法は、非固形及び固形腫瘍の治療に使用することができる。
本明細書で企図される悪性腫瘍は、OATを発現する黒色腫、癌腫、白血病、リンパ腫、及び肉腫からなる群から選択され得る。OATを発現する悪性腫瘍を含む、本明細書に開示の方法によって治療できる悪性腫瘍は、特に限定されるものではないが、血液系悪性腫瘍(白血病、リンパ腫、及び骨髄増殖性障害を含む)、低形成性及び再生不良性貧血(ウイルス誘発性及び特発性の両方を含む)、骨髄異形成性症候群、すべてのタイプの再生不良性症候群(免疫性及び特発性の両方)、及び固形腫瘍(膀胱、直腸、胃、子宮頸部、卵巣、腎臓、肺、肝臓、乳房、結腸、前立腺、消化管、膵臓、及びカポジを含む)を含み得る。より具体的には、特定の実施態様によれば、組み合わせて使用される化合物及び組成物は、非固形癌、例えばすべてのタイプの白血病などの造血系悪性腫瘍、例えば急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、肥満細胞白血病、毛状細胞白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、及び多発性骨髄腫の治療又は阻害のための方法で、並びに固形癌、例えば唇及び口腔、咽頭、喉頭、副鼻腔、主要唾液腺、甲状腺、食道、胃、小腸、結腸、結腸直腸、肛門管、肝臓、胆嚢、腹腔外胆管、ファーター膨大部、外分泌性膵臓、肺、胸膜中皮腫、骨、軟組織肉腫、癌腫、及び皮膚の悪性黒色腫、乳房、外陰部、膣、子宮頸部、子宮体、卵巣、卵管、妊娠性栄養芽細胞性腫瘍、陰茎、前立腺、精巣、腎臓、腎盂、尿管、膀胱、尿道、まぶたの癌腫、結膜の癌腫、結膜の悪性黒色腫、悪性黒色腫、網膜芽細胞腫、涙腺癌、眼窩、脳、脊髄、血管系の肉腫、血管肉腫、及びカポジ肉腫の治療又は阻害のための方法で使用することができる。
本明細書に開示された化合物及び組成物は、当技術分野で知られている治療方法で投与することができる。従って、様々なそのような化合物及び組成物を、そのような方法と組み合わせて任意の適切な方法で投与することができる。例えば投与は、経口、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、非経口、経皮、膣内、鼻腔内、粘膜、舌下、局所、直腸、又は皮下投与、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
いくつかの実施態様によれば、治療される対象は哺乳類対象でもよい。本明細書に開示される方法は、特にヒトの増殖性障害の治療を目的としているが、他の哺乳動物も含まれる。非限定的な例として、哺乳動物の対象には、サル、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、及びブタが含まれる。
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「治療する、治療している、治療」という用語は、病理学的障害を有する対象における疾患活動の1つ以上の臨床的兆候を改善することを意味する。「治療」とは治療的処置を指す。治療を必要としているのは、何らかの病的障害に苦しんでいる哺乳類の対象である。「患者」又は「必要としている対象」とは、そのような苦痛を防止、克服、調節、又は減速するために、本明細書に記載の種類の化合物又は任意の医薬組成物の投与が望まれる任意の哺乳動物を意味する。「予防的(preventive)治療」又は「予防的(prophylactic)治療」を提供することは、何か、特に症状又は病気に対して防御又は予防するように、保護的に作用することである。
より一般的には、開示された方法は、OAT活性に関連する悪性の病理学的増殖性障害の開始、進行、及び/又は転移(例えば、他の場所の肝臓から、又は他の任意の臓器若しくは組織から肝臓への)に影響を及ぼし、調節し、低減し、阻害し、及び/又は防止することを対象とし得る(例えば、Lucero OM, Dawson DW, Moon RT, et al. A re-evaluation of the "oncogenic" nature of Wnt/beta-catenin signaling in melanoma and other cancers. Curr Oncol Rep 2010, 12, 314-318; Liu Wei; Le Anne; Hancock Chad; Lane Andrew N; Dang Chi V; Fan Teresa W-M; Phang James M. Reprogramming of proline and glutamine metabolism contributes to the proliferative and metabolic responses regulated by oncogenic transcription factor c MYC. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2012, 109(23), 8983-8988; and Tong, Xuemei; Zhao, Fangping; Thompson, Craig B. The molecular determinants of de novo nucleotide biosynthesis in cancer cells. Curr. Opin. Genet. Devel. 2009, 19(1), 32-37を参照)。
例示的実施態様
以下の実施態様は例示的なものであり、特許請求された主題の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
実施態様1.以下の式の化合物、又はその解離型、双性イオン型、若しくは塩:
Figure 2022554222000011
(式中、二重結合は、α炭素とζ炭素との間、又はα炭素とβ炭素との間に存在し、及び
式中、R1及びR2のそれぞれは、H、又はF、Cl、Br、及びIなどの脱離基から独立して選択されるが、但し、R1及びR2の少なくとも1つはHではない)。
実施態様2.アンモニウム部分及びカルボキシレート部分を含む、双性イオン型の、実施態様1に記載の化合物。
実施態様3.前記二重結合がα炭素とζ炭素との間にある、実施態様1又は2に記載の化合物。
実施態様4.前記二重結合がα炭素とβ炭素との間にある、実施態様1又は2に記載の化合物。
実施態様5.R1及びR2の少なくとも1つがFである、前述の実施態様のいずれかに記載の化合物。
実施態様6.前記化合物が、アンモニウム置換基、カルボキシレート置換基、及びこれらの組み合わせから選択される置換基を含む塩である、前述の実施態様のいずれかに記載の化合物。
実施態様7.前記アンモニウム塩が、プロトン酸の共役塩基である対イオンを有する、実施態様6に記載の化合物。
実施態様8.医薬的に許容可能な担体成分を含む医薬組成物中の、前述の実施態様のいずれかに記載の化合物。
実施態様9.以下の式:
Figure 2022554222000012
及び任意選択的に、
Figure 2022554222000013
(式中、R1及びR2のそれぞれはH及びFから独立して選択されるが、但しR1及びR2の少なくとも1つはFである)の前述の実施態様のいずれかの化合物、又はその塩であり、前記化合物は任意選択的に以下の式を有する:
Figure 2022554222000014
又は
Figure 2022554222000015
実施態様10.R1及びR2のそれぞれがFである、実施態様9に記載の化合物。
実施態様11.前記化合物が、アンモニウム置換基、カルボキシレート置換基、及びこれらの組み合わせから選択される置換基を含む塩である、実施態様9に記載に記載の化合物。
実施態様12.前記アンモニウム塩が、プロトン酸の共役塩基である対イオンを有する、実施態様11に記載の化合物。
実施態様13.医薬的に許容可能な担体成分を含む医薬組成物中の実施態様9に記載の化合物。
実施態様14.以下の式:
Figure 2022554222000016
(式中、R1及びR2のそれぞれはH及びFから独立して選択されるが、但しR1及びR2の少なくとも1つはFである)の前述の実施態様のいずれかの化合物、又はその塩であり、及び前記化合物は任意選択的に以下の式を有する:
Figure 2022554222000017
又は
Figure 2022554222000018
実施態様15.R1及びR2のそれぞれがFである、実施態様14に記載の化合物。
実施態様16.前記化合物が、アンモニウム置換基、カルボキシレート置換基、及びこれらの組み合わせから選択される置換基を含む塩である、実施態様14に記載の化合物。
実施態様17.前記アンモニウム塩が、プロトン酸の共役塩基である対イオンを有する、実施態様16に記載の化合物。
実施態様18.医薬的に許容可能な担体成分を含む医薬組成物中の実施態様14に記載の化合物。
実施態様19.以下を含む医薬組成物:(i)前述の実施態様のいずれかに記載の化合物;及び(ii)医薬的に適切な担体、希釈剤、又は賦形剤。
実施態様20.以下を含む医薬組成物:(i)実施態様9に記載の化合物;及び(ii)医薬的に適切な担体、希釈剤、又は賦形剤。
実施態様21.以下を含む医薬組成物:(i)実施態様14に記載の化合物;及び(ii)医薬的に適切な担体、希釈剤、又は賦形剤。
実施態様22.オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)活性を調節する方法であって、以下を含む方法:(i)任意選択的に、請求項1~18のいずれかに記載の化合物を提供すること;そして(ii)請求項1~18のいずれかに記載の化合物を、OAT活性を調節するのに十分な化合物の量で、OATを含む媒体に接触させること。
実施態様23.前記二重結合がα炭素とζ炭素との間にある、実施態様22に記載の方法。
実施態様24.前記二重結合がα炭素とβ炭素との間にある、実施態様22に記載の方法。
実施態様25.R1及びR2の少なくとも1つがFである、実施態様22~24のいずれかに記載の方法。
実施態様26.前記化合物が、アンモニウム置換基、カルボキシレート置換基、及びこれらの組み合わせから選択される置換基を含む塩である、実施態様22~25のいずれかに記載の方法。
実施態様27.前記アンモニウム塩が、プロトン酸の共役塩基である対イオンを有する、実施態様26に記載の方法。
実施態様28.前記接触がインビボである、実施態様22~27のいずれかに記載の方法。
実施態様29.ヒトの癌によって発現されるOATの活性を低下させる方法であって、以下を含む方法:(i)任意選択的に、請求項1~18のいずれに記載の化合物を提供すること;そして(ii)請求項1~18のいずれかに記載の化合物を、OAT活性を低下させるのに十分な化合物の量で、OATを発現する癌を含む細胞媒体に接触させること。
実施態様30.前記二重結合がα炭素とζ炭素との間にある、実施態様29に記載の方法。
実施態様31.前記二重結合がα炭素とβ炭素との間にある、実施態様29に記載の方法。
実施態様32.R1及びR2の少なくとも1つがFである、実施態様29~31のいずれかに記載の方法。
実施態様33.前記化合物が医薬組成物で提供される、実施態様29~32のいずれかに記載の方法。
実施態様34.前記接触がインビボである、実施態様29~33のいずれかに記載の方法。
実施態様35.前記接触が、それを必要とするヒト対象との接触である、実施態様29~33のいずれかに記載の方法。
実施態様36.それを必要とする対象の癌を治療するための方法であって、実施態様1~18のいずれかに記載の化合物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
実施態様37.前記二重結合がα炭素とζ炭素との間にある、実施態様36に記載の方法。
実施態様38.前記二重結合がα炭素とβ炭素との間にある、実施態様36に記載の方法。
実施態様39.R1及びR2の少なくとも1つがFである、実施態様36~38のいずれかに記載の方法。
実施態様40.前記癌がオルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)の発現又は過剰発現によって特徴付けられる、実施態様36~39のいずれかに記載の方法。
実施態様41.癌前記が肝細胞癌(HCC)である、実施態様36~40のいずれかに記載の方法。
実施態様42.前記癌が非小細胞肺癌(NSCLC)である、実施態様36~41のいずれかに記載の方法。
以下の実施例は例示的なものであり、請求された主題の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。以下の非限定的な実施例及びデータは、開示された化合物、組成物、及び、例えば、特に限定されるものではないが、肝細胞癌(HCC)及び非小細胞肺癌(NSCLC)を含む細胞増殖性疾患及び障害などの、OAT活性、発現、又は過剰発現、及び/又はオルニチンアミノトランスフェラーゼ活性の低下に関連する疾患及び障害の治療を含む方法、に関連する様々な態様及び特徴を示す。本発明の有用性は、共に使用することができるいくつかの化合物及び組成物の使用によって示されるが、本発明の範囲に応じた種々の他の化合物で、匹敵する結果が得られることは、当業者に理解されるであろう。
実施例1 γ-アミノ酪酸の2つのシクロヘキセン類似体によるヒトオルニチンアミノトランスフェラーゼの不活性化の機構に、1つのフッ素原子が与える顕著な違い
原稿Zhu, Wei et al. “A Remarkable Difference That One Fluorine Atom Confers on the Mechanisms of Inactivation of Human Ornithine Aminotransferase by Two Cyclohexene Analogues of γ-Aminobutyric Acid.”J.Am.Chem.Soc. vol. 142,10: 4892-4903, March 1, 2020を参照されたい。その内容は参照によりその全体が組み込まれている。
要約
ピリドキサール5-リン酸依存性酵素であるヒトオルニチンアミノトランスフェラーゼ(hOAT)は、肝細胞癌(HCC)の進行において重要な役割を果たす。hOATの薬理学的選択的阻害は、HCCの潜在的な治療アプローチであることが示されている。非選択的アミノトランスフェラーゼ不活性化剤(1R,3S,4S)-3-アミノ-4-フルオロシクロペンタン-1-カルボン酸(1)の発見に触発されて、この研究では、新規シリーズのフッ素置換シクロヘキセン類似体を、合理的に設計、合成、及び評価し、それにより8と9を新規の選択的hOAT時間依存性阻害剤として同定した。未変性のタンパク質質量分析及びタンパク質結晶解析は、8と9を新規選択的hOATの共有結合阻害剤として示し、これらは、単一のフッ素原子の違いに起因する2つの異なる不活性化機構を示す。興味深いことに、代謝物の質量分析ベースの分析とフッ化物イオン放出実験によると、これらは同様のターンオーバー機構を共有している。分子動力学(MD)シミュレーションと静電ポテンシャル(ESP)電荷計算を実施すると、対応する中間体に対する1つのフッ素の違いの重要な影響が解明され、2つのまったく異なる不活性化経路がもたらされた。9の新規付加芳香族化不活性化機構は、他のアミノトランスフェラーゼよりも優れた選択性とともに、その顕著に増強された効力に貢献する。
緒言
原発性肝癌の90%を占める肝細胞癌(HCC)は、世界で2番目に多い癌死亡の原因である1-4。HCCは通常、進行した病期で診断され、及び腫瘍は通常、標準治療である受容体チロシンキナーゼ阻害剤、ソラフェニブ、及び放射線療法5-8による全身治療に抵抗性であるため、今日まで、HCCの効果的な治療法はない。ヒトオルニチンアミノトランスフェラーゼ(hOAT)は、ピリドキサール5’-リン酸(PLP)依存性酵素9であり、先天性の代謝エラー10 及び肝細胞癌(HCC)の進行11に関与する。機構的には、2つの結合した半反応物がhOATのトランスアミノ化サイクルに関与している(図1)。前半の反応では、hOATは、PLPとオルニチンからピリドキサミンリン酸(PMP)とグルタミル-5-セミアルデヒドへの変換を触媒し、これは自発的に環化してΔ1-ピロリン-5-カルボキシレート(P5C)になる12。生成されたP5Cは、さらにピロリン-5-カルボン酸リダクターゼ(PYCR)によってプロリンに変換される13,14。後半の反応では、PMPとα-ケトグルタル酸(α-KG)がPLPとL-グルタミン酸(L-Glu)に変換され、これはまた、ピロリン-5-カルボン酸シンターゼ(P5CS)によってP5Cに変換され得る。増大する証拠は、プロリン代謝が代謝再プログラミングにおいて重要な役割を果たして、中央の中間体としてのP5Cのアップレギュレートされた合成とともに、癌増殖を維持していることを示している15-17。HCCにおける代謝再プログラミングは、プロリン/ヒドロキシプロリン代謝経路の活性化によって特徴付けられ、これが、HIF1a依存性の腫瘍進行とソラフェニブ耐性を維持している18。さらに、hOATによって生成されたグルタミン酸は、同化及び増殖細胞プログラムを維持するグルタミン合成酵素(GS)によってグルタミンに変換できる19。異常な発癌性のWnt/β-カテニンシグナル伝達のために、hOAT及びグルタミン生成酵素はHCCで強く活性化され、一般的に過剰発現されることが分かった20,21。hOATの選択的阻害は、インビボでHCC腫瘍増殖を効果的に抑制することが証明されている11。さらに最近は、hOATの特異的ノックダウンが、インビトロ及びインビボで非小細胞肺癌(NSCLC)の増殖を抑制することもわかっている22。まとめると、hOATは、プロリン及びグルタミン代謝経路を介してHCCの代謝再プログラミングにおいて重要な役割を果たし、hOATの選択的阻害は、HCC及びその他の関連する癌の治療のための有望な治療戦略として機能する。14の既知のアミノトランスフェラーゼの中で、hOATは、一次構造が類似しているため、γ-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ(GABA-AT)と同じ亜群に属している23。hOATとGABA-ATは非常に類似した活性部位を有し24、従って。GABA-ATのいくつかの強力な阻害剤がhOATも阻害することは驚くべきことではない11。長年にわたり、我々の研究室は、GABA-ATの機構ベースの不活性化因子(MBI)の合理的な設計に焦点を当ててきた25。MBIは、標的酵素の非反応性代替基質であり、これは、触媒部位の活性種に変換され、次に、酵素との共有結合、緊密な結合阻害、又は機能的に不可逆的な阻害機構を介して不活性化を引き起こす26。例えば、(1R,3S,4S)-3-アミノ-4-フルオロシクロペンタン-1-カルボン酸(1)は、スキーム1に示すように、同じエナミン機構を介してhOAT27とGABA-AT28を不活性化することが報告されている。計画された不活性化機構はシッフ塩基2の形成によって開始され、これは律速的脱プロトン化とフッ化物イオンのインサイチュ脱離を受けて、中間体4が得られる。活性エナミン5がシッフ塩基交換反応によって形成され、次にLys結合PLP複合体への5の求核付加により、共有結合付加物6が生成される。
スキーム1.1によるhOAT及びGABA-ATの不作用の機構。
Figure 2022554222000019
MBIは、それらが活性部位で活性化されるまで不活性であるため、望ましくないオフターゲット作用を大幅に減らすことができる。さらに重要なことに、これらの不活性化剤は、低用量でも従来の阻害剤よりも高い効力と選択性を示すことができる11,29,30。2015年に、GABA類似体7(図2)がhOATの選択的MBIとして報告され、これは、α-フェトプロテインレベル(HCCのバイオマーカー)を劇的に低下させ、0.1及び1.0mg/kgの用量でインビボのHCC腫瘍増殖を抑制した11。ごく最近、7の不活性化機構も明らかになった31
本発明者らは、新規の不活性化機構を有する強力かつ選択的なhOAT不活性化剤を発見することに関心を抱いてきた。ここで本発明者らは、シクロペンタンベースの類似体1に基づいて、フッ素置換シクロヘキセンベースのGABA類似体8~11(図2)を合理的に設計及び合成した。その中で、化合物(9)は、hOATの不活性化剤として7より23倍効率的であり、他のアミノトランスフェラーゼ(GABA-ATなど)よりも優れた選択性を備えている。本発明者らはまた、質量分析、結晶解析、及びその他のさまざまな生化学的方法を通じて、8と9の不活性化及びターンオーバーの機構を解明し、単一のフッ素原子の違いが不活性化機構を劇的に変化させると結論付けることができる。
結果と考察
新規OAT不活性化剤の設計。同じような結合ポケットがhOATとGABA-ATで観察され、これはリガンドのアンカーポイント間に実質的に同じ距離を生じさせる。興味深いことに、hOATのTyr55は、GABA-ATのPhe351と同様の立体空間を部分的に占めている。より疎水性の高いPhe351残基がGABA-ATの活性部位に侵入するため、より小さなGABA分子のみが適合する。hOAT触媒部位は、GABAより1炭素長いオルニチンを収容するために、より柔軟で大きくなっている32。さらに、ユニークなTyr55残基は、hOATの活性部位のより親水性の高い基質と、余分な水素結合を形成する可能性を提供する31。既に、シクロペンタンベースのGABA類似体1は、hOATとGABA-ATに対する二重阻害剤として同定された。1の比較的小さいサイズのため、これはhOAT及びGABA-ATの触媒ポケットに収まり、その選択性が低いことと一致する27。従って我々は、シクロヘキセン誘導体8~11の比較的大きなサイズが、GABA-ATよりもhOATの選択性を改善する可能性があると仮定した(図2)。さらに、α/β位(8/9)に二重結合を組み込むと、おそらくアミノ基に隣接するプロトンの酸性度が上がることにより、二重結合異性体10/11と比較して阻害活性33が向上する可能性がある。
MBIは通常、最初に基質として作用し、続いて触媒部位に活性中間体が形成され、その後、これは異なる機構的経路を介して酵素を不活性化する。従って、不活性化機構の提唱は、潜在的なMBIの合理的設計の初期段階で重要な役割を果たす。8/9について3つの可能な不活性化機構が、スキーム2で提唱されている。すべての機構はシッフ塩基形成(12a/12b)によって開始され、その後のHF除去により、1の既知の機構に基づいて、反応種14a/14bが生成される(スキーム1)。機構的経路aは1の不活性化機構に類似しており、Lys292による14a/14bのイミノ転移後に、活性エナミン15a/15bが放出される可能性がある。その後のエナミンの添加は、付加物16a/16bの形成を伴う不活性化につながる可能性がある。付加物16bの2番目のフッ化物イオンをさらに放出して芳香族付加物17を得ることができる。機構的経路bは、14a/14bを直接芳香族化して、緊密な結合付加物20a/20bを生成し、これは、別のフッ素化シクロヘキセン類似体の不活性化機構と同様である34。機構的経路cは、共役オレフィン14a/14bへのLys292の求核付加を含み、付加物21a/21bを生成する。
Figure 2022554222000020
21bの場合、第2のフッ化物イオンの除去後に、より安定な共有結合芳香族付加物(26)を生成することが可能である。
分子ドッキング。環のサイズ間の立体障害の違いをよりよく理解するために、1と8の分子ドッキング研究35を使用してこれらの結合ポーズを、未変性の基質と比較して、GABA-ATとhOATの活性部位で模倣した。分子ドッキング研究に基づくと、GABAはGABA-ATの活性部位で結合し、残基Arg192、Tyr69、及びGlu270と水素結合を確立する(データは示していない)。GABAのこの推定上の結合ポーズは、そのγ-アミノ基をLys329-PLP複合体の近くに配置し、その後のシッフ塩基交換を促進する。1の結合モデルは、これらの残基との同様の水素結合を示している(データは示していない)。ただし、分子ドッキングは、8がHis206とより安定した水素結合を形成することにより、Lys329-PLP複合体との最初の反応を妨げる可能性のある残基Phe351との衝突の可能性を回避していることを示している(データは示していない)。同様に、オルニチンとhOATの結合モデルは、δ-アミノ基が活性部位に深く入り、Thr322と明確な水素結合を形成することを示しており(データは示していない)、こうして、これがLys292-PLP複合体の近くに配置される。ドッキングモデルでは、8のアミノ基がThr322と同様の水素結合を形成し(データは示していない)、1のドッキングポーズは、代わりにGlu325と水素結合を形成することを示している(データは示していない)。これらのドッキング結果は、基質としてより大きなシクロヘキセン類似体はhOAT活性部位では好ましいが、GABAAT活性部位では1と比較して好ましくないことを示しており、これは、上記の我々の設計戦略と一致している。
MBIのγ位のキラリティーは、不活性化プロセスのための及びそれらの阻害活性を保持するために非常に重要であることが見出された25。興味深いことに、8の鏡像異性体は、hOATの活性部位において同様の結合ポーズを示す(データは示していない)。γ位のLys支援脱プロトン化は、初期の類似体の律速段階であることが分かった36。従って、hOATの触媒ポケットにおける活性中間体12a(データは示していない)とその鏡像異性体(データは示していない)の結合ポーズを予測するために、分子ドッキング研究も実施した。これらの中間体の両方のカルボキシレート部分は、Tyr55及びArg180と水素結合を確立するが、12a-鏡像異性体の異なるキラリティーは、そのγ-プロトンを反対側に向けさせ、これが、触媒性Lys292から離れるように向ける(3.0Å対5.3Å)。このドッキングシミュレーションはまた、以前の不活性化剤の観察とも一致しており、キラル的に純粋な類似体の合成を維持する。
フッ素置換シクロヘキセン類似体8~11の合成。8~11の合成経路をスキーム3に示す。ジ-PMB中間体(29)は、キラル的に純粋な出発物質27から、3つの連続した工程(分子内環化、立体選択的エポキシド開環、及び過剰のアニスアルデヒドによる還元的アミノ化)によって得られた。得られた中間体(29)をXtalFluor-M及び(HF)3Et3Nで処理してトランス異性体30のみが中程度の収率で生成され37、ここで、アジリジニウム機構経路が関与している可能性がある。ジ-PMB保護された中間体30からBoc保護された中間体31への直接変換は、Boc2Oの存在下でPd(OH)2触媒による水素化によって達成された。中間体31をPhSeClとKHMDSで処理した後、m-CPBAで酸化的に除去して、オレフィン異性体32aと32bを得て、これらをクロマトグラフィーで分離した後、それぞれ8と10に脱保護した。以前の報告に基づいて、アルコール3338は、キラル的に純粋な27から調製することができる。次に、33をPCCで酸化してケトン34を得た。さまざまなフッ素化試薬と反応温度をスクリーニングした後、主要な中間体35が中程度の収率で得られ、これは、モノフルオロアルケン不純物の生成を回避した39。8と10を作成するために用いたものと同じ方法を使用して、中間体35をジフルオロオレフィン異性体36a及び36bに変換し、これらをさらにそれぞれ9と11に脱保護した。
Figure 2022554222000021
フッ素置換シクロヘキセン類似体の速度論的研究。インビトロ研究は、フッ素置換シクロヘキセン類似体8~11が、GABA-ATよりも良好な選択性でhOATを阻害することを示した(表1)。この結果は、6員環類似体が、はるかに大きいKI値を有する1よりも、GABA-ATへの結合親和性が低く、これは、環サイズが大きいと、類似体と比較的小さくて硬い活性部位を有するGABA-ATとの結合相互作用が妨げられる可能性があることを示している。選択性は、最初の設計戦略及び最初の結合工程のドッキング結果と一致している(データは示していない)。
Figure 2022554222000022
Figure 2022554222000023
α/β位での二重結合の導入又はδ位での別のフッ素の導入は、hOAT及びGABA-ATの両方に対する不活性化効率を顕著に増強し、これは、おそらくγ位の酸性度の低下又は不活性化機構の変化に起因する可能性がある。これらの中で、最良の化合物(9、kinact/KI=20.33min-1mM-1)は、強力なインビボ抗腫瘍効率を示した7(kinact/KI=0.87min-1mM-1)よりも、hOATの不活性化剤として23倍効率的である。さらに9は、効率定数(pH8.0、kinact/KI=1.52min-1mM-1;pH6.5、kinact/KI=0.18min-1mM-1)がより低く、高濃度(5~20mM、図4、5、及び6)でさえも、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(Asp-AT)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(Ala-AT)に対する阻害活性がほとんど又はまったくないGABA-ATよりも優れた選択性を示す。
アミノトランスフェラーゼの能力のより良い理解のために、及び新しい不活性化剤の将来の合理的な設計のために、8と9の不活性化機構を研究した。前述の機構(スキーム2)のいずれかが8と9によるhOATの不活性化の原因であるかどうかを決定するために、透析及びフッ化物イオン放出研究を含む一連の実験を実施して、不活性化された酵素のタンパク質の質量スペクトル及び結晶構造を取得した。
透析。8と9は、共有結合又は緊密結合機構を介してhOATを不活性化するように設計されているが、hOATの時間依存的な再活性化を実施して、不活性化中に可逆成分も関与しているかどうかを決定した30。4~25当量の8又は0.6~2.0当量の9により、hOAT活性を部分的又は完全になくした後、これらを透析し、異なる時間間隔でアリコートを収集し、酵素活性の回復についてアッセイした。48時間の透析後に酵素活性は回復せず(図7及び8)、hOATの完全な不可逆的阻害を示していた。
8又は9によって改変されたhOATの未変性タンパク質の質量分析。未変性のタンパク質質量分析法は、改変アミノトランスフェラーゼの共有付加物又は緊密な結合付加物を決定するための効率的なツールとして役立った31,41。特に、イミン基の加水分解及びPLP又はPMPの損失が共通して観察された31。未変性のhOAT又は潜在的な共有付加物の既存の不安定な群を考慮して、理論上の質量差を表2に示すように計算した。hOATが8によって不活性化された場合、1つの改変種(46506.08±0.21Da)が質量分析により観察された。+369.29Daの質量シフトが観察された、これは、経路aの付加物16aに対応する(スキーム2)。9の場合、質量分析によって検出された未変性の酵素(46138.32±0.10Da)と1つの改変種(46504.66±0.13Da)から+366.34Daの質量シフトが観察された。この質量シフトは、経路aの付加物17又は経路cの付加物26のいずれかに対応する(スキーム2)。
8又は9によって不活性化されたhOATのX線結晶解析。8によって不活性化されたhOATの未変性のタンパク質質量スペクトルにおいて、+369.29Daの非常に正確な質量シフトが観察されたが、付加物16aと22の間には1.02Daの差しかなかった。さらに、9によって不活性化されたhOATの未変性のタンパク質質量分析によって、付加物17と26を区別することは困難である。8/9の不活性化機構をよりよく解釈するために、8/9によって不活性化されたhOATのタンパク質結晶解析を実施して、それぞれ活性部位で形成された付加物を確認した。
8/9によって不活性化されたhOATの構造は、すべての水分子及びリガンド原子が削除された後、過去に報告されたhOATの構造(PDBコード1OAT)からのモノマーを使用して分子置換によって解決された。hOAT-8の場合、空間群C121では、1つの非対称ユニットが3つのモノマーを含むことが分かった。非対称ユニット内の2つのモノマーは、ホモダイマーとして生物学的集合体を形成した。3つ目のモノマーは、別の非対称ユニットに存在する別のモノマーとホモダイマーを形成した。hOAT-9の場合、空間群P3112では、1つの非対称ユニットが3つのモノマーを含むことも分かった。生物学的集合体は、結晶解析的対称性によって観察することができる。hOAT-8とhOAT-9の最終モデルは、それぞれ2.20と1.90Åの解像度まで精密化され、RFree/Rwork値はそれぞれ15.70%/19.90%と27.49%/23.98%であった。最終的な精密化統計値を例2、表3に示される。PLP、リガンド、及びLys292を省略して、各構造のポルダーマップ(polder map)42が作成された(データは示していない)。PLPの密度は、両方の構造のポルダーマップで明確に表された。8と9の密度も観察され、最終的な付加物で予想されるように、環とカルボキシレート部分の存在を明確に示している。hOAT-8/9の解決された構造は、PDBバンクに登録されている(PDBコード:6V8D及び6V8C)。
hOAT-8及びhOAT-9の両方の活性部位内で、三元付加物が観察された。不活性化されたhOAT-8とhOAT-9の活性部位の比較に基づいて、8と9は、異なる部位ではあるが、PLPとLys292の両方と反応及び共有結合し、それぞれ三元付加物を形成する。hOAT-8結晶構造では、PLPとLys292は中央の炭素原子で不活性化剤と結合しており、16aを生成する。この結果はMSデータと一致し、最終付加物として22を除外し、ここでPLPとLys292は、異なる位置で不活性化剤と共有結合を形成する。従って、経路aは、経路cではなく、8による不活性化の最も可能性の高い機構である(スキーム2)。hOAT-9結晶構造では、Lys292とPLPが不活性化剤と共有結合を形成して26を生成する。付加物にフッ素原子が残っていることを示唆する密度は観察されなかった。このように、フッ素の完全な喪失と付加物上の共有結合の存在により、未変性のタンパク質質量分析によって結論付けられたように、不活性化の可能性のある機構としての経路b(スキーム2)が除外される。hOAT-9の活性部位の三元付加物は、17のように中心原子ではなく、環に沿った2つの別々の位置で結合している。ポルダーマップ(Fo-Fc)によって生成される電子密度は、リシンとPLPの間に形成されたC-N結合を完全に囲み、9が経路cを介してhOATを26に不活性化することを示唆している(スキーム2)。さらに、Thr322は6員環の中心に位置し、付加物と孤立電子対-芳香族相互作用43(2.9Å)を形成しているように見え(データは示していない)、これは26の形成を維持する。
図3(右)に示されるように、26のカルボキシレート上の両方の酸素原子は、Tyr55と水素結合(2.7及び3.3Å)を確立するが、16aのカルボキシレート上の1つの酸素原子(図3、左)のみが、Tyr55と水素結合(2.7Å)に関わることが観察された。Tyr55との相互作用が優先され、不活性化されたhOAT-7の結晶構造にも同様の相互作用がある31。16aと26の両方のカルボキシレートは、Gly320のペプチド骨格とn-π*相互作用(両方とも3.3Å)を形成することが観察されたが、未変性の基質認識に不可欠な43Arg180との相互作用はない。オルニチンのα-アミノ基と水素結合を形成すると想定されるGABA-ATの活性部位44,45と比較して、Tyr55はhOATの活性部位にある独特の残基である。GABA類似体8と9とTyr55との相互作用は、天然の基質であるオルニチンより1炭素少ないにもかかわらず、高い効力に寄与する。
ターンオーバー機構。1がアミノトランスフェラーゼによって代謝物に変換され、PLP又はPMPが放出されることは、既にわかっていた27。1と8/9との構造的類似性を考慮して、スキーム4に示されるように、2つの可能なターンオーバー経路が提唱されている。PLPと8/9によるシッフ塩基形成とそれに続くリジン支援脱プロトン化により中間体13a/13bが生成される。中間体13a/13bは、補酵素の直接プロトン化を介して中間体37a/37bに変換できる。形成されたイミンはさらに加水分解されて、PMPと代謝物38a/38bが放出される可能性がある。このPMPターンオーバー機構は、hOATによるオルニチンの分解に似ている。中間体13a/13bはまた、フッ化物イオンの除去及びイミンの加水分解を受けて、エナミン15a/15bを放出することができ、これは加水分解されてケトン39a/39bが得られる。このPLPターンオーバー機構では、再生されたPLPは、α-KGがない場合でも、不活性化剤とシッフ塩基をさらに形成するであろう。上記のターンオーバー機構のいずれかが8と9によるhOATの不活性化プロセス中に関与しているかどうかを決定するために、我々は、これら2つの不活性化剤の代謝物について、分配比実験、フッ化物イオン放出の測定、及び質量分析を実施した。
Figure 2022554222000024
分配比とフッ化物放出。分配比は、基質として作用する化合物と酵素を不活性化する化合物との比率である。理想的には、添加された化合物の当量に対する残存酵素活性のプロットは、100~0%の残存酵素活性の直線を与える。x軸の切片は、各酵素分子を不活性化するために必要な不活性化分子の数(ターンオーバー数)を示す。この数には、酵素を不活性化するために必要な不活性化剤の1分子が含まれる。従って、分配比はターンオーバー数から1を引いたものである(不活性化剤と酵素の化学量論が1:1であると仮定)。従って、8/9の分配比は、不活性化剤の当量を変化させ既知量のhOATを用いて、酵素を力価測定することによって決定された(図9及び10)。線形関係を外挿して、酵素を完全に不活性化するために必要な正確な当量が算出された。ここから、8の分配比が22.0であり9の分配比が0.8であると決定した。
PLP及びPMPターンオーバー経路では、フッ化物イオンの異なる当量が放出され得る29,31。α-KGの非存在下では、PMPがターンオーバー機構で形成されると、これはPLPに戻すことができず、その結果、放出されるフッ化物イオンが1当量未満になる。フッ化物イオンが放出された後、ターンオーバー機構中にPLPが再生されると、複数当量のフッ化物イオンが放出される。酵素のターンオーバーごとに放出されるフッ化物イオンの数は、フッ化物イオン選択性電極を使用して検出することができる。α-KGの非存在下で過剰の8を用いてhOATが不活性化されると、1つの酵素活性部位あたり22.7当量のフッ化物イオンが放出された(実施例2、表4)。9の場合、1つの酵素活性部位あたり2.9当量のフッ化物イオンが放出された(実施例2、表4)。これらの結果は、不活性化の前に追加当量のフッ化物イオンの放出を有するターンオーバー機構の一部として、8と9のターンオーバー機構がPLPを再生する必要があり、これは、それぞれこれらの分配比に一致することを示している。
代謝物の質量分析に基づく分析。不活性化されたhOAT試料8/9のサイズ排除ろ過後、濾液を非標的化メタボロミクス(±ESIHRMS)により分析し、代謝物を検出した。PLPターンオーバー経路の代謝物39a(m/z139.0393、[M-H]-1)及び39b(m/z157.0301、[M-H]-1)が検出され、それらの断片化スペクトルによって確認された(データは示していない)。PLP及びPMPの標準物質はHRMSによって追跡され、前駆体のHCDベースの断片化を使用して、代謝物の検出と保持時間を確認した(データは示していない)。8と9の両方の試料で、質量分析によってPLPのみが検出された(m/z248.0316、[M+H]+1)。PMPもPMPの付加物も観察されなかった(データは示していない)。全体として、メタボロミクスの結果は、これら2つの化合物が、同様のPLP再生ターンオーバー機構を経ることを示している(スキーム4)。
hOATを用いた8と9の可能性の高い機構。上記の不活性化及びターンオーバー機構の研究に基づいて、不活性化剤8の改変された機構経路をスキーム5に示す。シッフ塩基12aが最初に形成され、続いて脱プロトン化されて中間体13aが得られる。フッ化物イオン放出実験とメタボロミクスの結果に基づいて、中間体13aは完全に中間体14aに変換される。次に、シッフ塩基14aは、共役オレフィン位置ではなくPLPイミン位置でLys292によって攻撃される。8の分配比によると、活性エナミン15aのわずか4%が不活性化のためにLys-PLP複合体を攻撃し(経路a)、その96%が加水分解されて39aを与える(経路b)。
Figure 2022554222000025
Figure 2022554222000026
スキーム6に示されるように、不活性化剤9のための改変された機構経路が提唱される。活性中間体14bは、同様のフッ化物イオン放出プロセスを介して形成されるが、不活性化は、共役二重結合へのリジンの付加によって発生する。形成された付加物はさらに安定な芳香族付加物(26;56%、経路a)に変換され、中間体14bの44%が不活性エナミン15bに変換され、これはLys-PLP複合体を攻撃せず、加水分解されて代わりに代謝物39bを与える(経路b)。
付加物16a/26の構造は、未変性のタンパク質のMS及びその結晶構造複合体によって確認され、対応する代謝物39a/39bは、複数当量の放出されたフッ素イオンとともに、質量分析によって検出された。まとめると、単一のフッ素原子の違いにより、8(エナミン経路)と9(付加芳香族化経路)では異なる不活性化機構経路が生じるが、同じターンオーバー機構(PLP経路)が生じる。
分子動力学(MD)シミュレーション及び静電ポテンシャル(ESP)電荷計算。8と9による不活性化中に、非常によく似た中間体(14a/14bと15a/15b)が形成されるが、結果として生じる共有結合付加物(それぞれ16aと26)はまったく異なる。既に、フッ素の数が異なる結果として、アラニンラセマーゼ阻害剤の異なる不活性化機構は示されていた(1フッ素と3フッ素)46。追加のフッ素原子がこれらの中間体に与える影響をよりよく理解するために、分子ドッキング/動力学とESP電荷計算を実施して、hOATの触媒ポケットでの結合ポーズと、Lys292又はLys292-PLP複合体との反応親和性とを示した。
分子ドッキング研究に基づくと、14aと14bのドッキングポーズはhOATの活性部位においてほぼ同一であり、Lys292は、2つの潜在的な求電子部位の真ん中にある:PLPイミン部分の炭素(C4’)と共役オレフィンの末端炭素(Cδ)(データは示していない)。分子動力学シミュレーションを実施して、求核性Lys292(NLys)の窒素と14a/14bのC4’/Cδ位置との間の平均距離をそれぞれ計算した(データは示していない)。14aのNLys-C4’(4.3Å)とNLys-Cδ(4.1Å)の平均距離は非常に似ているが、14bのC4’は、14bのCδ(6.6Å)よりもNLys(5.0Å)に近く、平均差は1.6Åである。分子動力学シミュレーション中に、シクロヘキサジエン環とピリジン環の間の平均二面角も追跡された(データは示していない)。14bの平均二面角(-148.26°)は、14aの平均二面角(-91.64°;直交であり、共役ではない)よりも-180°(完全に共役)にはるかに近く、14bのオレフィンがピリジン環に共役する傾向が高いことを示している。中間体14a/bと15a/bのESP電荷及び電子密度/静電ポテンシャルマップを計算して、追加のフッ素原子の影響を評価した(データは示していない)。追加のフッ素原子を導入したCδ-14a(-0.28)とCδ-14b(+0.49)の間、並びにCδ-15a(-0.70)とCδ-15b(+0.07)の間には有意差が示され、C4’-14a(+0.42)の電荷はC4’-14b(+0.45)の電荷に近い。従って、分子動力学シミュレーション(データは示していない)から、Cδ-14aとC4’-14aへのLys292のアクセス可能性は類似しているが、二面角(-91.64°)及び炭素電荷(-0.28対+0.42)は、14aのオレフィンに対するLys292の求核攻撃が著しく劣っており、C4’への攻撃はエナミン15aを与え、最終付加物16aにつながる(スキーム5)。14bの場合、距離NLys-C4’は、14bのC4’に対するLysの求核攻撃の方が、14bのCδに対するよりも有利である(5.0Å対6.6Å)が、14bのCδの求電子性は追加のフッ素原子により大きく上昇し、最終付加物26と不活性なエナミン15bが生成され、これはプロトン化及び加水分解されて39bになる(スキーム6)。15bの追加のフッ素原子はその求核性を大幅に低下させ、これが、付加物16bと17の形成を妨害する(スキーム2)。分子ドッキング/動力学とESP電荷計算の両方は、8と9によるhOATの不活性化中の我々の観察を明確に正当化している。
結論
過去数年にわたって、ヒトオルニチンアミノトランスフェラーゼ(hOAT)の選択的阻害は、癌、特に肝細胞癌(HCC)の有望な治療法として徐々に認識されてきた11。非選択的不活性化剤131の既知の不活性化機構に基づいて、新規クラスのフッ素置換シクロヘキセン類似体(8~11)が、分子動力学シミュレーションとドッキングの助けを借りて、合理的に設計、合成、及び評価された。中でも、類似体8と9は、1と比較して、GABA-ATよりも優れた選択性と共に、hOATに対して顕著に改善された阻害活性を示した(表1)。8と9の不活性化経路は、質量分析及び結晶解析、そして透析実験、総ターンオーバー、及びフッ化物イオン放出の測定の助けを借りて、解明された。モノフルオロ置換類似体8はエナミン経路(スキーム2、経路a)を介してhOATを不活性化するが、ジフルオロ類似体9は新規の付加芳香族化機構(スキーム2、経路c)を介してhOATを不活性化し、その効力の大幅な向上に貢献する。特に、未変性のタンパク質の驚くほど正確な質量が、1Da未満の誤差で得られたため、結晶構造の前の付加物の質量測定が簡単になっている(表2)。興味深いことに、不活性化機構の違いにもかかわらず、hOATによる8と9のターンオーバー機構はほぼ同じであり(スキーム4、PLP経路)、代謝物は標的化質量分析の助けを借りて同定された。分子動力学(MD)シミュレーションと静電ポテンシャル(ESP)電荷計算の使用によって維持及び合理化された8と9の可能性の高い不活性化及びターンオーバー機構は、分子内の単一のフッ素原子の違いが酵素不活性化機構を制御できることを示している。
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実施例2 実施例1の補足資料
一般的な合成方法
すべての化学物質は、Sigma Aldrich、Acros Organics、又は Combiblock から購入し、さらに精製することなく使用した。無水溶媒(THF)は、使用前に、活性アルミナと担持された銅酸化還元触媒で構成されるカラムを通過させることによって精製された。収率とは、クロマトグラフィーで均質な材料について言及される。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Merck シリカゲル60Å F-254プレコートプレート(厚さ0.25mm)を使用して実施し、成分は紫外線(254nm)及び/又はモリブデン酸セリウムアンモニウム染色及び/又はニンヒドリン染色で可視化された。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、さまざまなTaledyneカートリッジ(4~80g、40~63μm、60Å)を備えたTeledyne Combiflash(登録商標) Rf Plus自動フラッシュ精製システムを用いて実施した。特に記載がない限り、精製はヘキサンと酢酸エチルで行った。1H及び13C NMRスペクトルは、Bruker Avance-III NMR分光計で、それぞれ500MHz及び126MHzで、CDCl3、CD3OD、又はDMSO-d6中で記録された。化学シフトはppmで報告された。多重度は、s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、dd=二重項の二重項、dt=三重項の二重項、dq=四重項の二重項、m=多重項共鳴で示される。結合定数「J」はHzで報告された。高分解能質量スペクトルデータは、陽イオンモードのAgilent 6210 LC-TOF分光計で、Agilent G1312A HPLCポンプと Agilent G1367B オートインジェクターを用いて電子噴霧イオン化を使用して、Integrated Molecular Structure Education and Research Center (IMSERC), Northwestern University で得られた。分析用HPLCは、Phenomenex Kintex C-18カラム(50×2.1mm、2.6μm)を備えた逆相 Agilent Infinity 1260 HPLCを使用して実施し、254nmのUV吸光度で検出した。
(1R,4R,5R)-4-ヨード-6-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン-7-オン(28)。水(200mL)中のNaHCO3(15.98g、190.74ミリモル、3.0当量)の撹拌溶液に、(R)-シクロヘキセ-3-エン-1-カルボン酸27(8g、63.41ミリモル、1.0当量)を、氷浴中でゆっくり加えた。KI(52.36g、317.07ミリモル、5.0当量)及びI2(17.7g、69.76ミリモル、1.1当量)を少しずつ加えた。30分後に氷浴を取り除き、室温で一晩撹拌した。反応を飽和Na2S2O3(水溶液、150mL)でクエンチし、EtOAc(200mL)で3回抽出した。合わせた有機相を食塩水(10mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。溶液を濃縮して褐色の固体を得て、これをヘキサン(100mL)に加え、3時間撹拌した。懸濁液を濾過して淡褐色の粉末(29、15.2g、95%)を得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 4.82 (dd, J = 5.9, 4.2 Hz, 1H), 4.50 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 2.79 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 2.67 (s, 1H), 2.48 - 2.35 (m, 2H), 2.11 (dd, J = 16.5, 5.3 Hz, 1H), 1.90 (tdd, J = 13.0, 5.4, 2.1 Hz, 1H), 1.82 (dt, J = 12.8, 5.4 Hz, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 177.9, 80.4, 38.7, 34.6, 29.9, 23.9, 23.3. LRMS (APCI) (M+H+): 252.85.
(1R,3S,4S)-3-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロヘキサン-1-カルボン酸エチル(29)。EtOH(100mL)中の28(28.7g、118.9ミリモル、1.0当量)の懸濁液を氷浴中で撹拌した。NaOHの溶液(2M、65mL、130.8ミリモル、1.1当量)を滴下して加えた。添加後、氷浴を取り除き、溶液を室温で4時間撹拌した。溶液を40℃未満で濃縮し、水(100mL)で希釈し、DCM(200mL)で3回抽出した。合わせた有機相を水(100mL)及び食塩水(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。溶液を濃縮して、褐色の油状物(15.3g)を得た。EtOH(50mL)中の得られた褐色油状物(10.5g)溶液に、アンモニア水(28~30%、100mL)を加えた。溶液を45℃に加熱し、一晩撹拌した。反応の完了は、LC-MSによって決定した。溶液を濃縮して、粗アミノアルコール中間体(11.1g)を得た。DCE(200mL)中の粗中間体(6.0g、32.04ミリモル、1.0当量)の溶液に、4-アニスアルデヒド(13.1g、96.13ミリモル、3.0当量)及びAcOH(5.77g、96.13ミリモル、3.0当量)を加えた。溶液を75℃に加熱し、1時間撹拌した。この溶液に、NaBH(OAc)3(20.37g、96.13ミリモル、3.0当量)を2時間かけて少しずつ加えた。得られた混合物を75℃で一晩撹拌した。反応の完了は、LC-MSによって決定した。混合物を室温に冷却し、DCM(200mL)と水(200mL)で希釈した。10分間撹拌した後、有機相を分離し、次に水(200mL)、NaHCO3(水溶液200mL)、及び食塩水(100mL)で連続して洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させた。溶液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の50%EtOAc)により精製して、白色の固体(29、6.297g、3工程で35%)を得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.17 (d, J = 8.5 Hz, 4H), 6.84 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 4.17 (dq, J = 10.8, 7.1 Hz, 1H), 4.07 (dq, J = 10.8, 7.1 Hz, 1H), 3.79 (s, 1H), 3.78 (s, 6H), 3.74 (d, J = 13.1 Hz, 2H), 3.63 (s, 1H), 3.47 (td, J = 10.4, 4.5 Hz, 1H), 3.31 (d, J = 13.0 Hz, 2H), 2.80 (dp, J = 4.9, 2.2 Hz, 1H), 2.53 (ddd, J = 12.7, 9.8, 3.4 Hz, 1H), 2.47 (dq, J = 12.9, 2.7 Hz, 1H), 2.17 (dp, J = 14.0, 3.1 Hz, 1H), 1.97 (dq, J = 11.6, 3.4 Hz, 1H), 1.50 - 1.42 (m, 2H), 1.23 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 174.1, 158.8, 131.5, 130.3, 113.9, 68.7, 60.7, 60.3, 55.3, 52.6, 39.6, 30.1, 25.1, 23.5, 14.4. HRMS (ESI) C25H34NO5 (M+H+)の計算値: 428.2431, 実測値: 428.242.
(1R,3S,4S)-3-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-フルオロシクロヘキサン-1-カルボン酸エチル(30)。プラスチック容器中のDCM(100mL)中のXtalFluor-M(7.67g、31.65ミリモル、1.5当量)の撹拌懸濁液に、DCM(50mL)中の29(9.0g、21.05ミリモル、1.0当量)及び(HF)3Et3N(5.09g、31.65ミリモル、1.5当量)の溶液をAr下でゆっくり加えた。添加が完了した後、混合物を室温で一晩撹拌した。反応の完了は、TLC(ヘキサン:EtOAc=2:1)によって決定した。反応物をDCM(100mL)で希釈し、水(50mL)でクエンチした。有機相を分離し、次に水(100mL)、NaHCO3(水溶液、100mL)、及び食塩水(100mL)で順次洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させた。溶液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の25%EtOAc)によって精製して、無色の油状物(30、6.81g、75%)を得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.30 (d, J = 8.5 Hz, 4H), 6.84 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 4.62 (dtd, J = 50.5, 10.3, 4.8 Hz, 1H), 4.01 (dq, J = 10.8, 7.1 Hz, 1H), 3.91 (dq, J = 10.8, 7.1 Hz, 1H), 3.78 (s, 6H), 3.73 (d, J = 13.6 Hz, 2H), 3.65 (d, J = 13.5 Hz, 2H), 2.85 (dddd, J = 12.3, 9.7, 8.4, 3.9 Hz, 1H), 2.66 (dh, J = 5.5, 2.8 Hz, 1H), 2.32 (ddq, J = 12.8, 6.2, 3.0 Hz, 1H), 2.19 - 2.10 (m, 1H), 2.03 (ddq, J = 12.3, 8.2, 4.1 Hz, 1H), 1.64 - 1.47 (m, 2H), 1.38 (tddd, J = 13.7, 5.1, 3.6, 1.4 Hz, 1H), 1.08 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 173.9 , 158.6 , 132.5 , 129.8 , 113.6 , 92.5 (d, J = 178.1 Hz), 60.6 , 57.8 (d, J = 16.1 Hz), 55.3 , 53.6 , 39.0 (d, J = 2.0 Hz), 29.2 (d, J = 18.7 Hz), 28.6 (d, J = 8.4 Hz), 24.9 (d, J = 11.2 Hz), 14.1. HRMS (ESI) C25H33FNO4 (M+H+)の計算値: 430.2388, 実測値: 430.238.
(1R,3S,4S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4-フルオロシクロヘキサン-1-カルボン酸エチル(31)。MeOH(50mL)及びEtOAc(50mL)中の30(5.0g、17.46ミリモル、1.0当量)の溶液に、Boc2O(3.81g、11.64ミリモル、1.0当量)及びPd(OH)2(1.0g、20重量%)をAr下で加えた。フラスコを排気してArを除去し、H2バルーンで再充填した。混合物を室温で一晩撹拌した。反応の完了は、LC-MSによって決定した。懸濁液をセライトパッドで濾過し、さらに100mLのEtOAcで洗浄した。濾液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の20%EtOAc)によって精製して、白色の固体(31、2.73g、81%)を得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 4.55 (s, 1H), 4.47 (d, J = 39.7 Hz, 1H), 4.15 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.89 (s, 1H), 2.49 (s, 1H), 2.23 (ddt, J = 13.3, 8.5, 4.1 Hz, 1H), 2.00 - 1.76 (m, 3H), 1.76 - 1.64 (m, 2H), 1.44 (s, 10H), 1.26 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 174.3, 155.2, 90.589.8 (d, J = 173.2 Hz), 60.8, 49.3, 38.0, 29.8, 26.7 (d, J = 20.2 Hz), 23.4 (d, J = 5.4 Hz), 14.4. 19F NMR (564 MHz, CD3OD) δ -181.34 (d, J = 50.7 Hz). HRMS (ESI) C14H24FNNaO4 (M+Na+)の計算値: 312.158, 実測値: 312.1582.
(4S,5S)-5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4-フルオロシクロヘキサ-1-エン-1-カルボン酸エチル(32b)及び(3S,4S)-3-((tert-ブトキシカルボニル))アミノ)-4-フルオロシクロヘキサ-1-エン-1-カルボン酸エチル(32a)。KHMDSの撹拌溶液(THF中1M、10.89mL、10.89ミリモル、2.1当量)に無水THF(10mL)をゆっくり加え、無水THF(30mL)中の31(1.5g、5.18ミリモル、1.0当量)の溶液を-78℃でAr下で30分かけて加えた。溶液を-78℃でさらに3時間撹拌し、続いてTHF(10mL)中のPhSeCl(1.09mg、5.70ミリモル、1.1当量)の溶液を加えた。次に、溶液をゆっくり室温まで温め、一晩撹拌した。飽和NH4Cl(20mL)を加えて、反応をクエンチした。次に、溶液をEtOAc(200mL)で希釈し、有機相を分離した。水相をEtOAc(100mL)で2回抽出した。合わせた有機層を食塩水(約30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。溶液を濃縮し、黄色の油状物を得た。DCM(50mL)中の得られた油状物(1.55g、3.49ミリモル、1.0当量)の撹拌溶液に、m-CPBA(1.17g、5.23ミリモル、1.5当量)を加えた。溶液を室温で3時間撹拌した。反応の完了は、LC-MSによって決定した。反応をNa2S2O3(水溶液10mL)でクエンチした。有機相を分離し、飽和NaHCO3(水溶液、10mL)及び食塩水(10mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。溶液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中5~10%のEtOAc)及びC-18クロマトグラフィーにより精製して、白色の固体(32b、92mg、9%)を得た、1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 6.85 (tq, J = 3.5, 1.9 Hz, 1H), 4.75 (dq, J = 47.5, 4.9, 4.2 Hz, 1H), 4.52 (s, 1H), 4.20 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.07 (s, 1H), 2.83 (d, J = 17.9 Hz, 1H), 2.66 (t, J = 23.7 Hz, 1H), 2.53 (t, J = 19.4 Hz, 1H), 2.33 (ddq, J = 18.1, 5.5, 1.9 Hz, 1H), 1.44 (s, 9H), 1.29 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 166.1, 155.3, 134.5 (d, J = 4.2 Hz), 128.0, 87.1 (d, J = 176.2 Hz), 60.8, 47.7, 29.5 (d, J = 22.6 Hz), 28.3, 27.6 (d, J = 3.2 Hz), 14.2. HRMS (ESI) C14H22FNNaO4 (M+Na+)の計算値: 310.1425, 実測値: 310.1416.
別の白色固体(32a、365mg、36%)も得られた。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.27 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.46 (s, 1H), 4.60 (dddd, J = 49.1, 9.3, 5.9, 3.1 Hz, 1H), 4.25 (ddq, J = 14.5, 9.0, 3.4, 2.9 Hz, 1H), 4.13 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.38 - 2.20 (m, 2H), 2.05 - 1.94 (m, 1H), 1.88 (dp, J = 14.1, 6.9 Hz, 1H), 1.40 (s, 9H), 1.22 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 165.5, 155.1, 136.2, 136.2, 130.7, 90.0 (d, J = 175.2 Hz), 78.4, 60.3, 50.4 (d, J = 25.0 Hz), 28.1, 25.3 (d, J = 19.4 Hz), 21.5 (d, J = 9.5 Hz), 14.1. HRMS (ESI) C14H22FNNaO4 (M+Na+)の計算値: 310.1425, 実測値: 310.1416.;及び分離されていない混合物(421mg、42%)。
(1R,3S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4-オキソシクロヘキサン-1-カルボン酸エチル(33)。28(16g、63.41ミリモル)の懸濁液をEtOH(100mL)に加え、氷浴中で撹拌した。NaOHの溶液(2M、35mL、69.76ミリモル、1.1当量)を滴下して加えた。添加後、氷浴を取り除き、溶液を室温で4時間撹拌した。溶液を40℃未満で濃縮し、水(100mL)で希釈し、DCM(200mL)で3回抽出した。合わせた有機相を水(100mL)及び食塩水(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。溶液を濃縮し、EtOH(20mL)及びアンモニア水溶液(28~30%、40mL)で希釈した。溶液を45℃に加熱し、一晩撹拌した。反応の完了は、LC-MSによって決定した。溶液を濃縮し、EtOH(50mL)で希釈した。溶液を濃縮し、EtOH(200mL)で希釈し、氷浴中で撹拌した。Boc2O(13.84g、63.41ミリモル、1.0当量)を少しずつ加えた。次に、溶液を室温まで温め、4時間撹拌した。溶液を濃縮して粗製33を得た。(構造決定のための精製:1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 4.61 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 4.19 - 4.12 (m, 2H), 3.57 (s, 1H), 3.47 - 3.28 (m, 2H), 2.62 (p, J = 4.5 Hz, 1H), 2.35 - 2.26 (m, 1H), 2.15 - 2.07 (m, 1H), 1.90 - 1.84 (m, 1H), 1.55 - 1.48 (m, 2H), 1.44 (s, 10H), 1.25 (q, J = 7.0 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 174.2, 171.3, 80.2, 73.8, 60.8, 53.0, 38.9, 31.4, 30.1, 28.5, 24.8, 14.4.). HRMS (ESI) C14H25N NaO5 (M+Na+)の計算値: 310.1625, 実測値: 310.1618.
粗製33をDCM(300mL)に溶解し、氷浴中で撹拌した。PCC(27.34g、126.83ミリモル、2.0当量)を少しずつ加えた。混合物を室温に温め、一晩撹拌した。反応の完了は、TLC(ヘキサン:EtOAc=2:1)によって決定した。混合物をシリカゲルの薄いパッドを通して濾過し、DCM(50mL)で3回溶出した。溶液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中40%のEtOAc)で精製して、白色の固体(34、10.2g、56%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.36 (s, 1H), 4.48 (s, 1H), 4.25 (q, J = 6.7 Hz, 2H), 2.99 - 2.91 (m, 1H), 2.87 (s, 1H), 2.70 (td, J = 13.7, 5.7 Hz, 1H), 2.46 (t, J = 14.1 Hz, 2H), 1.87 (tt, J = 14.3, 4.8 Hz, 1H), 1.62 (td, J = 12.8, 4.9 Hz, 1H), 1.43 (s, 9H), 1.32 (t, J = 7.1 Hz, 3H). HRMS (ESI) C14H23NNaO5 (M+Na+)の計算値: 308.1468, 実測値: 308.1459.
(1R,3S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4,4-ジフルオロシクロヘキサン-1-カルボン酸エチル(35)。プラスチック容器中のDCM(20mL)中のXtalFluor-M(2.04g、8.41ミリモル、2.0当量)の撹拌懸濁液に、DCM(10mL)中の34(1.2g、4.21ミリモル、1.0当量)及び(HF)3Et3N(1.36g、8.41ミリモル、2.0当量)の溶液をAr下でゆっくり加えた。添加が完了した後、混合物を室温で一晩撹拌した。反応の完了は、TLC(ヘキサン:EtOAc=2:1)によって決定した。反応物をDCM(30mL)で希釈し、水(10mL)でクエンチした。有機相を分離し、次に水(10mL)、NaHCO3(水溶液、10mL)、及び食塩水(10mL)で洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させた。溶液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の20%EtOAc)によって精製して、白色の固体(35、629mg、48%)を得た。NMR (500 MHz, CDCl3) δ 4.68 (s, 1H), 4.18 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.12 (s, 1H), 2.71 (s, 1H), 2.31 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 2.14 - 1.90 (m, 3H), 1.81 - 1.72 (m, 1H), 1.71 - 1.65 (m, 1H), 1.45 (s, 9H), 1.28 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 173.5, 155.2, 121.6 (dd, J = 248.2, 242.0 Hz), 80.1, 61.1, 50.1 (dd, J = 25.0, 21.0 Hz), 37.9, 31.5, 30.4 (t, J = 23.3 Hz), 28.4, 23.8 (d, J = 7.9 Hz), 14.4. HRMS (ESI) C14H23F2NNaO4 (M+Na+)の計算値: 330.q1487, 実測値: 330.1479.
(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4,4-ジフルオロシクロヘキサ-1-エン-1-カルボン酸エチル(36a)及び(S)-5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4,4-ジフルオロシクロヘキサ-1-エン-1-カルボン酸エチル(36b)。KHMDSの撹拌溶液(THF中1M、7.16mL、7.16ミリモル、2.2当量)を無水THF(5mL)で希釈し、Ar下で-78℃に冷却し、次に、無水THF(10mL)中の35(1.0g、3.25ミリモル、1.0当量)の溶液を30分かけてゆっくり加えた。溶液を-78℃でさらに3時間撹拌し、続いてTHF(10mL)中のPhSeCl(685mg、3.58ミリモル、1.1当量)の溶液を加えた。次に、溶液をゆっくり室温まで温め、一晩撹拌した。飽和NH4Cl(20mL)を加えることにより、反応をクエンチした。次に、溶液をEtOAc(200mL)で希釈し、有機相を分離した。水相をEtOAc(100mL)で2回抽出した。合わせた有機相を食塩水(約30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。溶液を濃縮して黄色の油状物を得た。DCM(20mL)中の油状物の撹拌溶液に、m-CPBA(555mg、2.48ミリモル、1.5当量)を加えた。溶液を室温で3時間撹拌した。反応の完了は、LC-MSによって決定した。反応をNa2S2O3(水溶液、10mL)でクエンチした。有機相を分離し、飽和NaHCO3(水溶液、10mL)及び食塩水(10mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。溶液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中5~10%のEtOAc)で精製して、白色の固体(36a、258mg、51%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.59 (ddt, J = 5.2, 2.6, 1.3 Hz, 1H), 4.90 - 4.I68 (m, 2H), 4.21 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.70 - 2.57 (m, 1H), 2.57 - 2.43 (m, 1H), 2.28 (tdd, J = 16.6, 8.6, 4.5 Hz, 1H), 2.17 - 1.97 (m, 1H), 1.47 (s, 9H), 1.30 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 165.8, 155.4, 135.6, 131.9, 120.2 (dd, J = 247.1, 241.3 Hz), 80.7, 61.2, 51.4 (t, J = 26.8, 22.4 Hz), 29.5 (t, J = 23.5 Hz), 28.4, 22.8 (dd, J = 7.6, 2.9 Hz), 14.3. 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -105.13 (d, J = 239.4 Hz), -115.81 (d, J = 239.3 Hz), HRMS (ESI) C14H21F2NNaO4 (M+Na+)の計算値: 328.1331, 実測値: 328.1324.
別の白色固体(36b、62mg、12%)も得られた。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 6.76 (s, 1H), 4.83 - 4.67 (m, 1H), 4.21 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.18 - 4.14 (m, 1H), 2.95 (d, J = 17.5 Hz, 1H), 2.90 - 2.70 (m, 2H), 2.40 - 2.28 (m, 1H), 1.46 (s, 9H), 1.29 (t, J = 7.1 Hz, 3H).13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 165.6, 155.4, 132.8 (d, J = 9.1 Hz), 129.0, 120.5 (dd, J = 246.9, 242.0 Hz), 80.4, 61.1, 49.5 (t, J = 21.5 Hz), 34.8 (t, J = 28.1 Hz), 30.3 (t, J = 3.6 Hz), 28.4, 14.3., HRMS (ESI) C14H21F2NNaO4 (M+Na+)の計算値: 328.1331, 実測値: 328.1324.; 及びand unseparated mixture of 36a and 36bの分離されていない混合物 (94 mg, 19%).
一般的な脱保護手順A.塩酸(4M、1.5mL)とAcOH(1.5mL)の溶液に、エステル中間体をAr下で加えた。溶液を密封し、80℃に加熱し、一晩撹拌した。反応の完了は、LC-MSによって決定した。溶液を濃縮し、C-18クロマトグラフィーにより精製して、生成物を得た。
(3S,4S)-3-アミノ-4-フルオロシクロヘキサ-1-エン-1-カルボン酸塩酸塩(8)。32a(150mg、0.522ミリモル)を手順Aによって脱保護して、白色の固体(8、94mg、92%)を得た。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 6.67 (dt, J = 5.1, 2.5 Hz, 1H), 4.78 (dddd, J = 50.5, 11.6, 7.8, 4.0 Hz, 1H), 4.27 - 4.13 (m, 1H), 2.65 (d, J = 20.3 Hz, 1H), 2.50 - 2.39 (m, 1H), 2.33 - 2.23 (m, 1H), 1.98 (ddq, J = 17.5, 11.9, 6.0 Hz, 1H). 13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 168.2, 137.2 (d, J = 2.4 Hz), 130.5 (d, J = 7.0 Hz), 90.9 (d, J = 177.6 Hz), 53.6 (d, J = 23.2 Hz), 27.3 (d, J = 18.7 Hz), 24.4 (d, J = 11.2 Hz). 13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 168.4, 136.3 (d, J = 11.1 Hz), 128.4, 89.8 (d, J = 177.5 Hz), 51.7 (d, J = 18.1 Hz), 31.8 (d, J = 21.7 Hz), 29.2 (d, J = 6.1 Hz). HRMS (ESI) C7H11FNO2 (M+H+)の計算値: 160.0768, 実測値: 160.0765.
(S)-3-アミノ-4,4-ジフルオロシクロヘキサ-1-エン-1-カルボン酸塩酸塩(9)。36a(105mg、0.34ミリモル)を手順Aによって脱保護して、白色の固体(9、56mg、76%)を得た。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 6.72 (s, 1H), 4.65 - 4.52 (m, 1H), 2.71 (ddd, J = 18.9, 6.2, 3.0 Hz, 1H), 2.55 (dtd, J = 19.0, 6.4, 3.1 Hz, 1H), 2.47 - 2.22 (m, 2H). 13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 167.9, 136.8, 129.62 (d, J = 5.9 Hz), 121.05 (t, J = 246.2 Hz), 52.27 (dd, J = 29.1, 22.2 Hz), 29.24 (t, J = 22.7 Hz), 23.76 (dd, J = 7.7, 2.9 Hz). 19F NMR (376 MHz, CD3OD) δ -108.4 (dp, J = 240.6, 5.8, 5.3 Hz), -114.2 (dq, J = 240.7, 23.2 Hz). HRMS (ESI) C7H10F2NO2(M+H+)の計算値: 178.0674, 実測値: 178.0672.
(4S,5S)-5-アミノ-4-フルオロシクロヘキサ-1-エン-1-カルボン酸塩酸塩(10)。32b(80mg、0.278ミリモル)を手順Aによって脱保護して、白色の固体(10、49mg、90%)を得た。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 6.89 (s, 1H), 5.02 - 4.95 (m, 1H), 3.65 (tt, J = 10.6, 6.2 Hz, 1H), 3.03 (dt, J = 17.3, 5.8 Hz, 1H), 2.93 (d, J = 18.5 Hz, 1H), 2.65 - 2.51 (m, 1H), 2.51 - 2.38 (m, 1H). 13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ168.4, 136.3 (d, J = 11.1 Hz), 128.4, 89.8 (d, J = 177.5 Hz), 51.7 (d, J = 18.1 Hz), 31.8 (d, J = 21.7 Hz), 29.2 (d, J = 6.1 Hz). HRMS (ESI) C7H11FNO2 (M+H+)の計算値: 160.0768, 実測値: 160.0762.
(S)-5-アミノ-4,4-ジフルオロシクロヘキサ-1-エン-1-カルボン酸塩酸塩(11)。36b(30mg、0.10ミリモル)を手順Aによって脱保護して、白色の固体(11、14mg、66%)を得た。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 6.87 (p, J = 3.9 Hz, 1H), 4.06 - 3.95 (m, 1H), 3.15 - 3.06 (m, 1H), 3.00 (dp, J = 21.4, 4.1, 3.2 Hz, 2H), 2.53 (ddd, J = 17.1, 10.6, 2.8 Hz, 1H). 13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 167.9, 134.4 (d, J = 10.3 Hz), 128.3, 121.1 (dd, J = 245.6, 243.5 Hz), 50.9 (t, J = 22.5 Hz), 34.9 (t, J = 25.6 Hz), 28.6. HRMS (ESI) C7H10F2NO2(M+H+)の計算値: 178.0674, 実測値: 178.0675.
ドッキングシミュレーション
GABA-AT又はOATに結合したリガンドのドッキングモデルは、分子操作環境(Molecular Operating Environment:MOE)計算スイートのBuilderユーティリティを使用して開発された1-3。リガンドのエネルギー最小化は、気相で力場MMFF94Xを使用して行い、続いてコンフォメーション検索プロトコールにより、構造-コンフォメーションデータベースを生成した。未変性のGABA-AT(PDB:1OHV)、未変性のhOAT(1OAT)、不活性化GABA-AT(4Y0I)、不活性化hOAT(1GBN)のX線結晶構造をそれぞれMOEにアップロードし、次に受容体を調製した。5VWO及び4Y0Iのアクティブポケット内の緊密結合生成物が削除され、触媒性Lysが中和された。ドッキング部位は、触媒性Lys原子で特定された。リガンドドッキングは、準備されたアミノトランスフェラーゼ酵素モデルで、無関係の基質と不活性化した溶媒原子を用いて実施された。リガンドの配置は、Affinity dG スコア化を用いる Alpha Triangle 法を使用して300のデータポイントを生成し、これらを、GBVI/WSAdGスコア化を使用した誘導適合法を使用してさらに精密化し上位50のドッキング結果を得た。各リガンドのドッキング結果は、スコアと報告されたX線構造に基づいて、最適なドッキングポーズを選択するために分析された。その後、PyMOLですべてのレンダリングを行なった。
酵素アッセイ
hOAT及びPYCR1は、文献の手順4,5に従って発現、増加、及び精製された。GABA-ATは、ブタの脳から単離され、文献の手順6に従って精製された。GABA-AT、hOAT、Ala-AT、及びAsp-ATの結合酵素アッセイは、以前の手順7,8に従って実施された。
透析アッセイ
透析実験は、以前のプロトコール7、9、10を使用して実施された。
分配比実験
分配比は、以前のプロトコール7、9、10を使用して計算された。
フッ化物イオン放出
フッ化物イオン放出アッセイは、以前のプロトコール7を使用して実施された。試料中のhOATの最終濃度は、BSAアッセイ及び希釈の計算により、16.9±0.04μg/mL(モノマー、0.37±0.01μM)であると決定された。電圧(V、mV)の検量線は、NaF(F、μM)のさまざまな濃度から生成され、以下の式が得られた:F-=10^((V-181.9)/-53.18)。フッ化物イオン濃度を正確に検出するために、2.0μMのフッ化物イオンを各対照と試料に添加した。活性部位あたり放出されたフッ化物イオンの数は、フッ化物イオン放出濃度とhOAT濃度の比率によって計算された。
未変性のタンパク質及び小分子質量分析
組換え及び処理されたhOATを、Amicon Ultra 30kDa分子量スピンフィルター(Millipore)上で、水で10回脱塩した。hOATをクロマトグラフィーで分離するために、Dionex Ultimate 3000 液体クロマトグラフィーシステム(Thermo Fisher)を使用して、0.5μgのhOATを3cmのPLRP-S(Agilent)トラップカラムにロードした。タンパク質分析物を、10%溶媒B(95%MeCN/5%H2O/0.2%FA)及び90%溶媒A(5%MeCN/95%H2O/0.2%FA)の10分間の等溶媒濃度勾配(isocratic gradient)で洗浄した。hOATは、PLRP-S樹脂(Agilent)を充填した自社製75μmID×15cm長のナノポアキャピラリカラムで分離された。LCシステムは、300nL/分の流量で以下の勾配で操作した:0~10分、10%溶媒B;10~12分、40%溶媒Bへ;12~22分、90%溶媒Bへ;22~24分、90%溶媒Bで;24~26分、10%溶媒Bへ;26~30分、10%溶媒Bの等溶媒濃度で。低圧のタンパク質モード、[M+24H+]+24デフォルト荷電状態で動作するFusion Lumos Tribrid 質量分析計(Thermo Fisher)のOrbitrap 質量分析計を使用して、正のフルプロファイルESIデータが取得された。カスタムナノ電子噴霧イオン化源を静的スプレー電圧1700Vで使用した。データは500~2,000m/zのウィンドウで収集され、(200m/z)の7,500の分解能でスキャンイベントごとに平均20マイクロスキャンで、最大注入時間は50ミリ秒、自動ゲイン制御(AGC)の目標値は5e6チャージであった。平均化された合計スキャンは、中性質量を生成するために手動でデコンボリューションされた。小分子及び代謝物の質量は、前述のようにQ-Exactive Orbitrap 質量分析計の高分解能LC-MS/MSによって特定され、特性評価された9
hOAT結晶化
結晶構造の成長。新たに調製した酵素(200μg)を、pH8.0の5mM α-ケトグルタル酸を含む50mM ピロリン酸カリウムで透析した。化合物8/9(0.5mg)を添加し、ホイルで覆われたバイアル内で酵素を12時間不活性化した。結合酵素アッセイは、活性を示さなかった。hOAT活性を完全に不活性化した後、酵素試料を50mMトリシンpH7.8でタンパク質濃度6mg/mLに濃縮した。結晶化は、ハンギングドロップ蒸気拡散法によって最適化され、PEG1000(10~20%)、NaCl(100~250mM)、グリセロール(20%~30%)を変化させ、緩衝液として50mMトリシンpH7.8を一定に維持することによって設定された。各ウェルについて、ウェルの液滴:タンパク質溶液を1:1の比率に設定した。データ収集に最適な形態とサイズの結晶は、16.5%PEG1000、240mM NaCl、25%グリセロールを含むウェルで成長した。結晶を凍結防止剤溶液(30%グリセロールを補足したウェル溶液)に移してから、液体窒素で瞬間凍結した。
データ収集及び処理。単色データは、Argonne National Laboratory (ANL)のAdvanced Photon Source (APS)のLS-CATビームライン21-ID-Dで収集された。回折データは、Dectris Eiger 9M検出器を使用して、100Kで0.98Åの波長で収集された。データセットは、HKL200011 スイートを使用してインデックス付け及び統合された。データ統計値は表3にまとめられている。
Figure 2022554222000027
Figure 2022554222000028
モデルの構築と精密化。hOAT構造は、Phenix ソフトウェアスイートの PHASEER を使用する分子置換法によって解決された12。最初の検索モデルは、過去に公開されたhOATの構造(PDBコード:1OAT)に基づく。このモデルはCOOTを使用して再構築され13、Phenixを使用して精密化され、そしてCOOT及びUSCF Chimeraで分析された14。最終的な精密化統計値は表3に報告されている。構造図はUSCF Chimeraで作成された。
分子動力学シミュレーション
ドッキングプロトコールを使用して、古典的なMDシミュレーションのための14aと14bに対応する初期hOAT複合体を生成した。この研究のために選択されたタンパク質構造は、2.3Åの分解能を有する不活性化hOAT(PDB ID:1GBN)のX線結晶構造であった。アミノ酸残基のプロトン化状態は、H++サーバーを使用して決定された。14aと14bの構造は、理論のHF/6-31+(G)レベルで Gausian09 ソフトウェアを使用して最適化された15。阻害剤及びタンパク質の構造は、MGLTools ソフトウェアパッケージで利用可能なAutoDockTools-1.5.6を使用してさらに精密化された16。精密化された阻害剤の構造は、Autodock 4.2 ソフトウェアを使用してOAT活性部位にドッキングされた。活性部位を中心とするグリッドボックスは、0.375Åのグリッド間隔とx、y、z軸に沿った55×55×55ポイントの寸法で Autogrid 4.2 ソフトウェアを使用して生成された。ラマルク遺伝的アルゴリズム(Lamarckian genetic algorithm;GA)は、GA母集団サイズが150、評価の最大数が2,500,000で、コンフォメーション検索に使用された。生成された100のポーズは、それらのrmsd値(1.5Åカットオフ)に従ってクラスター化され、MDシミュレーションのために、最良のクラスターの最低エネルギー配置が選択された。幾何学的に最適化された阻害剤(HF/6-31+G)の静電ポテンシャルエネルギー(ESP)は、理論のHF/6-31+Gレベルで計算された。次に、これらのエネルギーを使用して、Amber12 プログラムで利用可能なアンテチャンバー(antechamber)モジュールで採用されている静電ポテンシャル二乗フィット(ESP)法を使用して、阻害剤の部分原子電荷を得た17。これは、元の Amber力場の部分原子電荷を得るために使用される方法である。阻害剤原子は一般的な Amber力場(GAFF)で処理され、自動的に割り当てられたGAFF原子タイプは、それらの化学環境を正確に表すように用手的に調整された後、パラメーターを得た。パラメーターとトポロジーファイルは、Amber 12プログラムのtLEaPモジュールとアンテチャンバーモジュールを使用して生成された。次に、これらのパラメーターとトポロジーファイルは、ACPYPE を使用して GROMACS 互換形式に変換された18。共有結合したPLPの力場パラメーターとトポロジーも同様に得られた。共有結合したPLPのパラメーターを有する改変Amberff99SB-ILDN力場を使用して、タンパク質をシミュレートした。OATダイマーのパラメーターは、GROMACS5.1.2 ソフトウェアパッケージで利用可能な PDB2gmx モジュールを使用して得られた。すべてのMDシミュレーションは、GROMACS5.1.2ソフトウェアを使用して実施された19。TIP3P モデルが水モデルとして使用された。タンパク質-阻害剤複合体を、TIP3P 水で満たされた十二面体ボックスに浸した。ここで、境界はタンパク質の端から全方向に少なくとも1.8nm伸びている。次に、NaClを最大0.15M(生理学的NaCl濃度)の濃度までシステムに添加して、システムの電荷を中和した。溶媒和されたシステムは、500KJmol-1nm-1以下の最大力で収束するまで、最急降下法(steepest descent method)とそれに続く共役勾配法(conjugate gradient method)によりエネルギーが最小化された。
得られたエネルギー最小化周期システムは、究極科学工学発見環境(Extreme Science and Engineering Discovery Environment:XSEDE)の助けを借りて実施されたMDシミュレーションの開始構成であった20。実動MDシミュレーションの前に、システムは2つの工程で平衡化された。最初に、これは一定のNVT(粒子数、体積、及び温度)アンサンブルで1nsの間平衡化された。次に、得られたシステムは一定のNPT(粒子数、圧力、及び温度)アンサンブルで3ns平衡化された。温度と圧力は、V-リスケールサーモスタット(時定数0.4ps)と、パリネロ・ラーマン定圧法(Parrinello-Rahmanbarostat)(時定数2ps)によって、それぞれ310Kと1barで制御された。両方の平衡化工程で、1000KJmol-1nm-2の力定数を適用することにより、重原子の位置を拘束した。その後、位置の拘束は、500から100KJmol-1nm-2へ2回の実施(各1ns)で徐々に減少させた。最後に、平衡化されたシステムの実動MDシミュレーションを、15ns(2fsのタイムステップ)のNPT条件下で位置の拘束なしで実施した。NPTの平衡化中に、V-リスケールサーモスタットは、最も正確なNose-Hooverサーモスタットに置き換えられ、残りのシミュレーションプロトコールに使用された。長距離静電相互作用は粒子メッシュEwald(PME)法で処理され、クーロンとファンデルワールス相互作用は1.2nmでカットオフされた。原子の結合長は、線形制約ソルバー(Linear Constraint Solver:LINCS)アルゴリズムを使用して拘束された。
重要な距離及び二面角の測定値は、GROMACS ソフトウェアパッケージで利用可能な距離、マインドリスト、及び角度ツールを使用して得られた。
静電ポテンシャル(ESP)電荷計算
気相中の静電ポテンシャル(ESP)エネルギー及び幾何学的に最適化された阻害剤(14aと14b)(HF/6-31+G)の電荷は、理論のHF/6-31+Gレベルで計算された。Gaussain09 プログラムの Cubegen ユーティリティを使用して、電子密度と静電ポテンシャルマップを作成し、VMD 1.9.2 分子視覚化プログラムを使用して視覚化した。
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12. Adams, P. D.; Afonine, P. V.; Bunkoczi, G.; Chen, V. B.; Davis, I. W.; Echols, N.; Headd, J. J.; Hung, L. W.; Kapral, G. J.; Grosse-Kunstleve, R. W.; McCoy, A. J.; Moriarty, N. W.; Oeffner, R.; Read, R. J.; Richardson, D. C.; Richardson, J. S.; Terwilliger, T. C.; Zwart, P. H., PHENIX: a Comprehensive Python-based System for Macromolecular Structure Solution. Acta. Crystallogr. D 2010, 66, 213-221.
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15. Gaussian 09, Revision A.02, M. J. Frisch, G. W. Trucks, H. B. Schlegel, G. E. Scuseria, M. A. Robb, J. R. Cheeseman, G. Scalmani, V. Barone, G. A. Petersson, H. Nakatsuji, X. Li, M. Caricato, A. Marenich, J. Bloino, B. G. Janesko, R. Gomperts, B. Mennucci, H. P. Hratchian, J. V. Ortiz, A. F. Izmaylov, J. L. Sonnenberg, D. Williams-Young, F. Ding, F. Lipparini, F. Egidi, J. Goings, B. Peng, A. Petrone, T. Henderson, D. Ranasinghe, V. G. Zakrzewski, J. Gao, N. Rega, G. Zheng, W. Liang, M. Hada, M. Ehara, K. Toyota, R. Fukuda, J. Hasegawa, M. Ishida, T. Nakajima, Y. Honda, O. Kitao, H. Nakai, T. Vreven, K. Throssell, J. A. Montgomery, Jr., J. E. Peralta, F. Ogliaro, M. Bearpark, J. J. Heyd, E. Brothers, K. N. Kudin, V. N. Staroverov, T. Keith, R. Kobayashi, J. Normand, K. Raghavachari, A. Rendell, J. C. Burant, S. S. Iyengar, J. Tomasi, M. Cossi, J. M. Millam, M. Klene, C. Adamo, R. Cammi, J. W. Ochterski, R. L. Martin, K. Morokuma, O. Farkas, J. B. Foresman, and D. J. Fox, Gaussian, Inc., Wallingford CT, 2016.
16. Morris, G. M.; Huey, R.; Lindstrom, W.; Sanner, M. F.; Belew, R. K.; Goodsell, D. S.; Olson, A. J., AutoDock4 and AutoDockTools4: Automated Docking with Selective Receptor Flexibility. J. Comput. Chem. 2009, 30, 2785-2791.
17. Wang, J. M.; Wang, W.; Kollman, P. A.; Case, D. A., Automatic Atom Type and Bond Type Perception in Molecular Mechanical Calculations. J Mol Graph Model 2006, 25, 247-260.
18. Sousa da Silva, A. W.; Vranken, W. F., ACPYPE - AnteChamber PYthon Parser interfacE. BMC Res. Notes. 2012, 5, 367.
19. Pronk, S.; Pall, S.; Schulz, R.; Larsson, P.; Bjelkmar, P.; Apostolov, R.; Shirts, M. R.; Smith, J. C.; Kasson, P. M.; van der Spoel, D.; Hess, B.; Lindahl, E., GROMACS 4.5: a High-throughput and Highly Parallel Open Source Molecular Simulation Toolkit. Bioinformatics 2013, 29, 845-854.
20. Towns, J.; Cockerill, T.; Dahan, M.; Foster, I.; Gaither, K.; Grimshaw, A.; Hazlewood, V.; Lathrop, S.; Lifka, D.; Peterson, G. D.; Roskies, R.; Scott, J. R.; Wilkins-Diehr, N., XSEDE: Accelerating Scientific Discovery. Comput. Sci. Eng. 2014, 16, 62-74.
本開示によれば、当業者に公知で理解されており、かつ本発明により認識されたような改変などの、組み込まれた合成手順及び技術又はその直接的な改変により、構造的、立体化学的、及び/又はコンフォメーション的に変化した様々な他の化合物が利用可能であり、そのような手順、技術、及び改変は、任意の対応する試薬又は出発物質の商業的又は合成的な入手可能性によってのみ制限される。

Claims (45)

  1. 以下の式の化合物:
    Figure 2022554222000029
    (式中、二重結合は、α炭素とζ炭素との間、又はα炭素とβ炭素との間に存在し、かつ
    式中、R1及びR2のそれぞれは、H、又はF、Cl、Br、及びIなどの脱離基から独立して選択されるが、但し、R1及びR2の少なくとも1つはHではない)、又はその解離型、非プロトン化型、双性イオン型、若しくは塩。
  2. アンモニウム部分及びカルボキシレート部分を含む、双性イオン型の請求項1に記載の化合物。
  3. 前記二重結合がα炭素とζ炭素との間にある、請求項1に記載の化合物。
  4. 前記二重結合がα炭素とβ炭素との間にある、請求項1に記載の化合物。
  5. 1及びR2の少なくとも1つがFである、請求項1に記載の化合物。
  6. 前記化合物が、アンモニウム置換基、カルボキシレート置換基、及びこれらの組み合わせから選択される置換基を含む塩である、請求項5に記載の化合物。
  7. アンモニウム塩が、プロトン酸の共役塩基である対イオンを有する、請求項6に記載の化合物。
  8. 医薬的に許容可能な担体成分を含む医薬組成物中の請求項1に記載の化合物。
  9. 以下の式の請求項1に記載の化合物:
    Figure 2022554222000030
    (式中、R1及びR2のそれぞれはH及びFから選択されるが、但しR1及びR2の少なくとも1つはFである)。
  10. 1及びR2のそれぞれがFである、請求項9に記載の化合物。
  11. 以下の式の請求項1に記載の化合物:
    Figure 2022554222000031
  12. 以下の式の請求項1に記載の化合物:
    Figure 2022554222000032
  13. 前記化合物が、アンモニウム置換基、カルボキシレート置換基、及びこれらの組み合わせから選択される置換基を含む塩である、請求項9に記載の化合物。
  14. アンモニウム塩が、プロトン酸の共役塩基である対イオンを有する、請求項13に記載の化合物。
  15. 医薬的に許容可能な担体成分を含む医薬組成物中の請求項9に記載の化合物。
  16. 前記化合物が、アンモニウム置換基、カルボキシレート置換基、及びこれらの組み合わせから選択される置換基を含む塩である、請求項11又は12に記載の化合物。
  17. アンモニウム塩が、プロトン酸の共役塩基である対イオンを有する、請求項16に記載の化合物。
  18. 医薬的に許容可能な担体成分を含む医薬組成物中の請求項11又は12に記載の化合物。
  19. 以下を含む医薬組成物:(i)請求項1に記載の化合物、及び(ii)医薬的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤。
  20. 以下を含む医薬組成物:(i)請求項9に記載の化合物、及び(ii)医薬的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤。
  21. 以下を含む医薬組成物:(i)請求項11又は12に記載の化合物、及び(ii)医薬的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤。
  22. オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)活性を調節する方法であって、前記方法は、請求項1に記載の化合物をOATを含む媒体に接触させることを含み、ここで前記化合物がOAT活性を調節するのに十分な量で存在する、方法。
  23. 前記二重結合がα炭素とζ炭素との間にある、請求項22に記載の方法。
  24. 前記二重結合がα炭素とβ炭素との間にある、請求項22に記載の方法。
  25. 1及びR2の少なくとも1つがFである、請求項22に記載の方法。
  26. 前記化合物が、アンモニウム置換基、カルボキシレート置換基、及びこれらの組み合わせから選択される置換基を含む塩である、請求項22に記載の方法。
  27. アンモニウム塩が、プロトン酸の共役塩基である対イオンを有する、請求項26に記載の方法。
  28. 前記接触がインビボである、請求項22に記載の方法。
  29. ヒトの癌によって発現されるOATの活性を低下させる方法であって、前記方法は請求項1に記載の化合物をOATを発現する癌に接触させることを含み、ここで前記化合物がOAT活性を低下させるのに有効な量で存在する、方法。
  30. 前記二重結合がα炭素とζ炭素との間にある、請求項29に記載の方法。
  31. 前記二重結合がα炭素とβ炭素との間にある、請求項29に記載の方法。
  32. 1及びR2の少なくとも1つがFである、請求項29に記載の方法。
  33. 前記化合物が医薬組成物で提供される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記接触がインビボである、請求項33に記載の方法。
  35. 前記接触が、それを必要とするヒト対象とのものである、請求項34に記載の方法。
  36. それを必要とする対象の癌を治療するための方法であって、前記方法は請求項1に記載の化合物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
  37. 前記二重結合がα炭素とζ炭素との間にある、請求項36に記載の方法。
  38. 前記二重結合がα炭素とβ炭素との間にある、請求項36に記載の方法。
  39. 1及びR2の少なくとも1つがFである、請求項36に記載の方法。
  40. 前記化合物が以下の式の化合物である、請求項36に記載の方法:
    Figure 2022554222000033
  41. 前記化合物が以下の式の化合物である、請求項36に記載の方法:
    Figure 2022554222000034
    (式中、R1及びR2のそれぞれはH及びFから独立して選択されるが、但しR1及びR2の少なくとも1つはF又はその塩である)。
  42. 1及びR2のそれぞれがFである、請求項36に記載の方法。
  43. 前記癌が、オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)の発現又は過剰発現を特徴とする、請求項36に記載の方法。
  44. 前記癌が肝細胞癌(HCC)である、請求項36に記載の方法。
  45. 前記癌が非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項36に記載の方法。
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