JP2022548033A - トリアシルグリセリド油中のmcpd形成の予防 - Google Patents

トリアシルグリセリド油中のmcpd形成の予防 Download PDF

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Abstract

(a)液体原料トリアシルグリセリド油中の不溶性成分を、(i)トリアシルグリセリド油をその融解温度より高く維持しながら、トリアシルグリセリド油に遠心力を加えることによって、及び/又は(ii)トリアシルグリセリド油をその融解温度より高く維持しながら、不溶性成分を重力によって沈降させることによって、濃縮する工程と、(b)トリアシルグリセリド油を不溶性成分から分離する工程と、(c)任意選択的に、追加の精製工程を適用する工程と、(d)トリアシルグリセリド油に熱処理を適用する工程と、を含む、トリアシルグリセリド油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を予防又は低減するための方法が提供される。本発明の方法によって得ることができる浄化トリアシルグリセリド油も提供される。【選択図】 なし

Description

発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、油の浄化に関する。特に、本発明は、精製油からモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)を低減又は完全に除去するためのトリアシルグリセリド油の機械的浄化に関する。
[背景技術]
3-ハロゲン-1,2-プロパンジオール、特に3-モノクロロ-1,2-プロパンジオール(3-MCPD)は、食品における既知の汚染物質である(Food Addit.Contam.(2006)23:1290-1298)。例えば、種々の研究において、3-MCPDは高用量で投与された場合にラットにとって発癌性であり得ることが示されている(Evaluation of Certain Food Additives and Contaminants,World Health Organisation,Geneva,Switzerland(1993)267-285;lnt.J.Toxicol.(1998)17:47)。
3-MCPDは、当初、酸加水分解植物性タンパク質で発見されたものである(acid-HVP;Z.Lebensm.-Unters.Forsch.(1978)167:241-244)。より最近では、精製食用油は、3-MCPDを脂肪酸エステル形態で含有し得るが、遊離3-MCPDは非常に少量であることが判明した(Food Addit.Contam.(2006)23:1290-1298)。欧州食品安全機関(EFSA)は、毒性の観点から、3-MCPDエステルを遊離3-MCPDと同等に扱うことを推奨している(欧州食品安全機関(2008))。
アシルグリセリドの塩素化は、超高温にて、例えば、油が真空(3~7mbar)下で最大260~270℃まで加熱され得る油精製プロセスの最終工程中、すなわち脱臭中に、生じ得ることが報告されている。これは、MCPDの脂肪酸エステルの形成をもたらし得る。
MCPDエステルの効率的な低減の手段は限られており、植物油精製産業に課題が提起されている。現在、EFSAの勧告への完全な準拠を確実なものとするために、精油中の3-MCPDの存在は慎重にモニターされており、3-MCPD含量が所定の閾値を上回る油は廃棄されている。
3-MCPDは、商業的に重要な多くの精製油中、例えば、植物油中などで生じ得るため、油精製中に生じるそのような汚染物質の産生を除去及び/又は回避する改良された方法が、特に必要とされている。
[発明の概要]
本発明者らは、油精製のプロセス中のMCPD及びMCPDエステル(モノエステル及びジエステルを含むMCPDE)の形成が実質的に低減又は防止され得る方法を発明した。
この方法の原理は、浄化する油から、不溶性の、塩素若しくは塩化物含有物質を物理的に分離することを可能にする、重力及び/又は遠心力に基づく機械的工程を利用することである。結果として、塩素源として潜在的に機能する不溶性の塩素又は塩化物含有物質は油の沈降画分中に濃縮され、したがって、精製される油から分離することができる。本発明の方法は、パーム油、パームステアリン、パームオレイン、及びそれらの様々な画分、パーム核油、ココナツ油、ヒマワリ油、高オレインヒマワリ油、及びそれらの変種、キャノーラ/ナタネ油、大豆油、魚油、藻類油、カカオバター、及びそれらの任意の混合物/ブレンドが挙げられるが、これらに限定されない、未精製の又は部分的に精製されたトリアシルグリセロール(トリアシルグリセリドとも呼ばれる)油に適用することができる。
機械的処理は、任意の他の浄化工程、精製工程、又は脱臭工程の前、間、又はその後のいずれかにおける、遠心分離及び/又は沈降を含み得る。
潜在的な塩素源は、除去されると、油精製の加熱工程中のMCPD、MCPDモノエステル、及びMCPDジエステルなどの塩素化化合物の形成にはもはや利用不能になる。それにより、塩素担持物質が少ない生成油が得られ、浄化油は、MCPD及びMCPDEを低減された又は含まない精製油を生成することを目的として、熱処理及び脱臭などの様々な精製手順に供され得る。
本発明の方法の更なる利点は、油の脱臭においてより低い温度を使用することを可能にすることであり、すなわち、
1)トランス脂肪酸形成を低減すること(高温でのトランス脂肪形成は、Baley’s industrial oil and fat products;Sixth Edition;Volume 5 Edible Oil and Fat Products:Processing Technologies;Chapter 8 Deodorization;section 3.Refined oil quality,subsection 3.2 Fat isomerization and degradation productsにて報告されている)。
2)グリシジルエステルの形成を低減すること(Comprehensive Reviews in Food Science and FoodSafety;vol.16,263-281;2017における「Glycidyl fatty acid esters in refined edible oils:a review on formation,occurrence,analysis,and elimination methods」のGEの除去方法の概要を参照されたい)の両方である。
したがって、一態様では、本発明は、トリアシルグリセリド油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を予防又は低減するための方法であって、
(a)液体原料トリアシルグリセリド油中の不溶性成分を、
1.原料トリアシルグリセリド油をその融解温度より高く維持しながら、原料トリアシルグリセリド油に遠心力を加えることによって、及び/又は
2.トリアシルグリセリド油をその融解温度より高く維持しながら、不溶性成分を重力によって沈降させることによって、濃縮する工程と、
(b)トリアシルグリセリド油を不溶性成分から分離する工程と、
(c)任意選択的に、任意の組み合わせで、物理的精製、化学的精製、脱ガム、中和、エステル交換、脱色、脱ろう又は分画から選択される1つ以上のプロセスを適用する工程と、
(d)トリアシルグリセリド油に熱処理を適用する工程と、を含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、不溶性成分は、例えば、微粒子、分離された液滴、エマルジョン、懸濁液、及び沈降物を含む。
別の実施形態では、熱処理は脱臭(蒸気蒸留又は短行程蒸留)である。
別の実施形態では、熱処理は閉鎖容器内で実施される。
一実施形態では、熱処理適用工程は、不要な成分を除去する。不要な成分とは、色顔料、遊離脂肪酸、モノグリセリド、微量汚染物質及び/又は臭いであり得る。
いくつかの実施形態では、工程(a)の前に、原料トリアシルグリセリド油は、その融解温度より高く加熱することによって溶融される。
したがって、一態様では、本発明は、トリアシルグリセリド油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を予防又は低減するための方法であって、
(e)融解温度より高く加熱することによって、原料トリアシルグリセリド油を溶融する工程と、
(f)液体トリアシルグリセリド油中の不溶性成分を、
1.トリアシルグリセリド油をその融解温度より高く維持しながら、トリアシルグリセリド油に遠心力を加えることによって、及び/又は
2.トリアシルグリセリド油をその融解温度より高く維持しながら、不溶性成分を重力によって沈降させることによって、濃縮する工程と、
(g)トリアシルグリセリド油を不溶性成分から分離する工程と、
(h)任意選択的に、任意の組み合わせで、物理的精製、化学的精製、脱ガム、中和、エステル交換、脱色、脱ろう又は分画から選択される1つ以上のプロセスを適用する工程と、
(i)トリアシルグリセリド油に熱処理を適用する工程と、を含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、不溶性成分は、例えば、微粒子、分離された液滴、エマルジョン、懸濁液、及び沈降物を含む。
一実施形態では、本発明は、モノクロロプロパンジオール(MCPD)の形成を予防又は低減するための方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、モノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を予防又は低減するための方法を提供する。
一実施形態では、工程(a)又は(f)において、トリアシルグリセリド油をその融解温度より高く維持しながら、遠心力がトリアシルグリセリド油に加えられる。
一実施形態では、工程(a)又は(f)において、トリアシルグリセリド油をその融解温度より高く維持しながら、不溶性成分を重力によって沈降させる。
一実施形態では、工程(a2)が実施され、次いで工程(a1)が実施される。
一実施形態では、工程(a1)が実施され、次いで工程(a2)が実施される。
一実施形態では、工程(f2)が実施され、次いで工程(f1)が実施される。
一実施形態では、工程(f1)が実施され、次いで工程(f2)が実施される。
一実施形態では、熱処理を適用することは、150~300℃の範囲、より一般的には160~290℃又は160~240℃の範囲の温度に、好ましくは少なくとも30分間、油を曝露することを含む。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、パーム油であり、熱処理工程は、油を160~290℃の範囲の温度に曝露することを含む。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油はヒマワリ油であり、熱処理工程は、油を160~240℃の範囲の温度に曝露することを含む。
別の実施形態では、熱処理は脱臭(蒸気蒸留又は短行程蒸留)である。
別の実施形態では、熱処理は閉鎖容器内で実施される。
一実施形態では、熱処理適用工程は、不要な成分を除去する。不要な成分とは、色顔料、遊離脂肪酸、モノグリセリド、微量汚染物質及び/又は臭いであり得る。
一実施形態では、工程(d)又は工程(i)の熱処理された油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量が測定される。
一実施形態では、工程(d)又は工程(i)の熱処理された油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、直接LC-MSによって測定される。
一実施形態では、工程(d)又は工程(i)の熱処理された油中のMCPDEの量は、直接LC-MSによって測定される場合、少なくとも2倍低減される。
一実施形態では、工程(a)又は工程(e)の原料トリアシルグリセリド油は、粗トリアシルグリセリド油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)又は工程(e)の前に脱ガムされていない。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)又は工程(e)の前に脱色されていない。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)又は工程(e)の前に分画されていない。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)又は工程(e)の前に脱臭されていない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)又は工程(e)の前に予備洗浄に供される。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)又は工程(e)の前に予備精製に供される。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)又は工程(e)の前に分画に供される。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)又は工程(e)の前に水素化に供される。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)又は工程(e)の前にエステル交換に供される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、植物油、動物油、魚油又は藻類油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム油であり、工程(e)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗種子油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。例えば、粗種子油は、ヒマワリ油、キャノーラ/ナタネ油、トウモロコシ油であり得る。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、植物油であり、好ましくは、植物油は、パーム油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、キャノーラ油、大豆油、ココナツ油、パーム核油、及びカカオバターからなる群から選択される。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、パーム油である。一実施形態では、トリアシルグリセロール油は、ヒマワリ油又はその高オレイン変種である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、0.5~25%(重量/重量%)の遊離脂肪酸含有量、又は1~12%(重量/重量%)の遊離脂肪酸含有量、又は3~7%(重量/重量%)の遊離脂肪酸含有量を有する。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、少なくとも0.5%(重量/重量%)、好ましくは1%(重量/重量%)、より好ましくは3%(重量/重量%)の遊離脂肪酸含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、25%(重量/重量%)未満、好ましくは15%(重量/重量%)未満、より好ましくは10%(重量/重量%)未満の遊離脂肪酸含有量を有する。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどの任意のアルカリと、又は水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムを含む任意の生成物、例えば苛性ソーダ、苛性カリ、と混合されていない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、任意の水酸化アンモニウム又は任意のアンモニウム塩と混合されていない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩と混合されていない。ナトリウム塩の例としては、塩化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムが挙げられる。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、1000ppm未満のセッケン含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、20ppm未満のセッケン含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、セッケンを含まない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、酸性化されていない、又は酸脱ガムに供されていない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、195Da未満の酸と混合されていない。好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、195Da未満の、無水形態を有する酸と混合されていない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、195Da未満の酸を0.01%を超える量で含まない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、195Da未満の無水形態を有する酸を0.01%を超える量で含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、logP<1を有する酸を0.01%を超える量で含まない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、酸性度pKa1<5を有する酸を0.01%を超える量で含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸、次亜塩素酸(hypochloric acid)、及び塩酸のいずれか1つを実質的に含まない。本明細書で使用される場合、水酸化ナトリウムは、苛性ソーダ又はアルカリを意味し得、水酸化カリウムは、アルカリカリを意味し得る。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、リン酸、クエン酸、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸塩、ポリリン酸塩、酢酸、無水酢酸、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、ホウ酸、次亜塩素酸、塩酸、及びタンニン酸のうちのいずれか1つを実質的に含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、任意の添加されたイオン性、カチオン性、及びアニオン性の界面活性剤を実質的に含まない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、ソルビタンエステル又はポリグリセロールエステルなどの任意の乳化剤を実質的に含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、Bailey’s Industrial Oil and Fat Products-6th edition,page 2236 in Chapter Emulsifiers for the food industry-Table 4,page 262]に列挙される任意の添加剤、例えばスクロース、グリコール、プロピレングリコール、及び/又はラクチル酸を実質的に含まない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、水脱ガム又は湿式脱ガムに供されていない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、1%未満、又は0.5%未満、又は0.3%未満の含水量を有し、一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、1%未満、又は0.5%未満、又は0.3%未満の含水率を有する。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、水とまったく混合されておらず、0.5%未満の含水率を有する。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、添加された水を含まない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、0.01%未満の漂白粘土含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、漂白粘土と混合されていない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、漂白粘土を含まない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、脱色されていない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は脱ガムされていない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は中和されていない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、添加された結晶化剤、例えば溶媒を含まない。そのような溶媒としては、ヘキサン、アセトン並びに[The Lipid Handbook-Third Edition;edited by Frank D.Gunstone;Chapter 4.4.2.]及び[Bailey’s Industrial Oil and Fat Products-6th edition,Chapter 12]に記載される洗浄剤又は[Omar et al Journal of Oil Palm Research Vol.27(2)June 2015 p.97-106]に記載されるソルビタンエステル若しくはポリグリセロール脂肪酸エステルが挙げられ得る。原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム油であり得る。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、脱ろうされていない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、添加された物質、例えば脱ガム剤、中和剤、添加剤、溶媒、塩、シーディング剤、酸、塩基、又は緩衝剤を含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム油であり、添加された物質、例えば脱ガム剤、中和剤、添加剤、溶媒、塩、シーディング剤、酸、塩基、又は緩衝液を含まない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、追加の冷却又は穏やかな撹拌を行わずに、溶融後に直接遠心分離される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、10%(重量/重量%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、5%(重量/重量%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、2%(重量/重量%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、0.5%(重量/重量%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する。
本明細書で使用される場合、結晶化トリアシルグリセロールは、固体トリアシルグリセロール又は脂肪の固形部分を指す。油脂の固形脂肪含有量は、パルス核磁気共鳴によって特定することができる[Bailey’s Industrial Oil and Fat Products-6th edition,page 175 Chapter 5.2.1.]。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、20℃、15℃、又は10℃未満に冷却されていない。
一実施形態では、遠心分離は、100g超、又は200g超、又は1000g超、又は2000g超、又は5000g超、又は10000g超の相対遠心力で行われる。
別の実施形態では、遠心分離は、15000g未満、又は10000g未満、又は5000g未満、又は2000g未満、又は1000g未満、又は200g未満の相対遠心力で行われる。
一実施形態では、方法は、工程(d)又は工程(i)に続く以下の工程のうちの1つ以上を更に含む。
(j)物理的又は化学的精製、脱ガム、中和、及び脱色からなる群から選択される1つ以上のプロセス;
(k)任意選択的に、工程(j)の生成物を脱臭する工程であって、好ましくは、脱臭が真空蒸気脱臭である、工程、及び
(l)任意選択的に、工程(j)及び工程(k)の生成物を分画する工程。
別の態様では、本発明の方法によって得ることができる浄化トリアシルグリセリド油が提供される。
一実施形態では、浄化の結果として、600~800m/zの範囲の塩素又は塩化物担持物質は、好ましくはそれらのLC-MSシグナルによって実証されるように、原料未浄化トリアシルグリセリド油と比較して、浄化トリアシルグリセリド油中で少なくとも2倍に低減される。
一実施形態では、熱処理された浄化油中のモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、直接LC-MSによって測定される場合、熱処理された未浄化油と比較して、2倍に低減される。
一実施形態では、熱処理され浄化された、沈降物を含まない上相油中のモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、直接LC-MSによって測定される場合、熱処理された、沈殿物を含有する下相油と比較して、少なくとも30%低い。
一実施形態では、熱処理され浄化された、沈降物を含まない上相油中のモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、直接LC-MSによって測定される場合、熱処理された、沈殿物を含有する下相油と比較して、少なくとも2倍、好ましくは5倍である。
一実施形態では、熱処理され浄化された油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)の量は、直接LC-MSによって測定される場合、熱処理された未浄化油と比較して、2倍に低減される。
一実施形態では、熱処理され浄化された、沈降物を含まない上相油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)の量は、直接LC-MSによって測定される場合、熱処理された、沈殿物を含有する下相油と比較して、少なくとも30%低い。
一実施形態では、熱処理され浄化された、沈降物を含まない上相油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)の量は、直接LC-MSによって測定される場合、熱処理された、沈殿物を含有する下相油と比較して、少なくとも2倍、好ましくは5倍である。
食品製品の製造に使用するための、本発明による浄化トリアシルグリセリド油も提供される。
本発明による浄化トリアシルグリセリド油を使用することによって製造される食品製品も提供される。
ジパルミトイル-MCPD、PP-MCPDの遠心分離に基づく低減の有益な効果を示す。 パルミトイル-オレイル-MCPDの遠心分離に基づく低減の有益な効果を示す。 ジオレイル-MCPDの遠心分離に基づく低減の有益な効果を示す。 オレイル-リノレイル-MCPDの遠心分離に基づく低減の有益な効果を示す。 ジオレイル-MCPDの遠心分離に基づく低減の有益な効果を示す。 オレイル-リノレイル-MCPDの遠心分離に基づく低減の有益な効果を示す。 ジリノレイル-MCPDの遠心分離に基づく低減の有益な効果を示す。 加熱された「工業的に製造された粗パーム油」中に観察されるMCPDE濃度に対する遠心分離の有益な効果を示す。 長期沈降後に、「工業的に製造された粗トウモロコシ油」の加熱された下相及び上相で観察されたMCPDE。 長期沈降後に、「工業的に製造された粗ヒマワリ油」の加熱された下相及び上相で観察されたMCPDE。 短期沈降後に、「コールドプレスされた粗キャノーラ油」の加熱された下相及び上相で観察されたMCPDE。 長期沈降後に、「工業的に製造された粗大豆油」の加熱された下相及び上相で観察されたMCPDE。 長期沈降後に、「溶媒抽出された粗ヒマワリ油」の加熱された下相及び上相で観察されたMCPDE。 遠心分離後に、「工業的に製造されたパーム油」の加熱された下相及び上相で観察されたMCPDE。 2つの異なる相対遠心力の場合における遠心分離に基づく低減の濃縮効果を示す。15000gでは、遠心分離された油の下部10%から、上部10%と比較して約12倍高いMCPDE濃度が発生する。対照的に、4000gでは、濃縮効率が弱く、下部10%と上部10%との間に観察されたMCPD濃度の差は、6倍に低下する。(PP-ジパルミトイル-MCPD、PO-パルミトイル-オレイル-MCPD、PL-パルミトイル-リノレイル-MCPD、OO-ジオレイル-MCPD、OL-オレイル-リノレイル-MCPD) 脱ガムされたパーム油の場合の、遠心分離の濃縮効果を示す。これらの結果は、脱ガムプロセス後でも例を示す。本明細書に記載の遠心分離を加えることは、遠心分離された油の下部10%において、上部10%と比較して約2倍のMCPDEを示す、濃縮効果を有する。(PP-ジパルミトイル-MCPD、PO-パルミトイル-オレイル-MCPD、PL-パルミトイル-リノレイル-MCPD、OO-ジオレイル-MCPD、OL-オレイル-リノレイル-MCPD)
[発明を実施するための形態]
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprised of)」は、「含む(including)」若しくは「含む(includes)」と同義であり、他を包含し得るもの又は非限定的なものであり、追加の、列挙されていない部材、要素、又は工程を除外しない。「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprised of)」という用語はまた、「からなる(consisting of)」、「含有する(containing)」、又は「含有する(contains)」という用語を含む。
浄化
浄化は、原料トリアシルグリセリド油から塩素/塩化物を担持する汚染物質(モノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成に必要な塩素源として機能し得る物質)を含有し得る油の不溶性画分を除去するのに特に好適である。本明細書を通して本明細書で使用される原料トリアシルグリセリド油は、本発明の方法の工程(a)又は工程(e)に供される直前のトリアシルグリセリド油を意味するものと見なされる。
本発明の方法は、原料トリアシルグリセリド油を、原料油(例えば、粗油)からの油精製中に、塩素の活性源であり得る塩化物/塩素担持物質を含有する油の不溶性画分を物理的に除去する処理に供するものである。この処理は、遠心力又は重力が、貯蔵容器の狭い空間中で微粒子、分離された液滴、及び沈降物を濃縮することを可能とし、その後、上相の純粋な油を取り出すことを可能とするために、遠心分離又は沈降に基づいてよい。
3-ハロゲン-1,2-プロパンジオール、特に3-モノクロロ-1,2-プロパンジオール(3-MCPD)は、食品中の既知の汚染物質である(Food Addit.Contam.(2006)23:1290-1298)。例えば、種々の研究において、3-MCPDは高用量で投与された場合にラットにとって発癌性であり得ることが示されている(Evaluation of Certain Food Additives and Contaminants,World Health Organisation,Geneva,Switzerland(1993)267-285;lnt.J.Toxicol.(1998)17:47)。しかしながら、精製された食用油は、3-MCPDをその脂肪酸エステル形態で含有し得る一方で、遊離3-MCPDは非常に少量のみを含有し得ることも発見された(Food Addit.Contam.(2006)23:1290-1298)。欧州食品安全機関(EFSA)は、毒性の観点から、3-MCPDエステルを遊離3-MCPDと同等に扱うことを推奨している(欧州食品安全機関(2008))。
脱ハロゲン化反応は、熱プロセス中に生じ得ることが周知である。例えば、高温(例えば、270℃まで)での植物性油の脱臭中に豊富で十分な活性化エネルギーが投入された際に、塩素は、塩化水素(ガス)として化学成分を残すことが示されている。本発明者らは、塩化水素は、トリアシルグリセリド油精製プロセスの原料物質、例えば植物材料中に元来存在する塩素含有化合物由来で、油精製中に発生し得ると考えている。
実際に、MCPD生成反応は指数関数的に増加し(150℃超)、短時間で完了することが示唆されている。
理論に束縛されるものではないが、機構的には、MCPDジエステルは、ほとんどの植物性油中の全グリセリドの約88%~95%に相当するトリアシルグリセリド(TAG)の末端エステル基のプロトン化、すなわち、油精製中に発生した塩化水素との相互作用によるプロトン化を介して、油精製中に形成され得ることが示唆されている。次いで、形成されたオキソニウムカチオンは、分子内転位、続く塩化物イオンの求核置換を受け、遊離脂肪酸及びMCPDジエステルが放出され得る。
本発明の方法の使用を通じて除去されると、潜在的な塩素源は、油精製の加熱工程中のMCPDエステルなどの塩素化化合物の形成にはもはや利用不能になる。それによって、浄化されていない精製トリアシルグリセリド油と比較して、熱処理、例えば脱臭を伴う様々な精製工程に供されたときの、モノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の発生量が低減された、浄化生成油が得られる。
別の実施形態では、モノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、原料トリアシルグリセリド油と比較して、浄化及び熱処理されたトリアシルグリセリド油中で少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%低減される。
本発明の方法を使用して生成された精製油は、例えば、3ppm未満、1ppm未満、0.5ppm未満、又は好ましくは0.3ppm未満のMCPDEを含有し得る。
別の実施形態では、モノクロロプロパンジオール(MCPD)の量は、原料トリアシルグリセリド油と比較して、浄化及び熱処理されたトリアシルグリセリド油中で少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%低減される。
本発明の方法を使用して生成された精製油は、例えば、3ppm未満、1ppm未満、0.5ppm未満、又は好ましくは0.3ppm未満のMCPDを含有し得る。
当該技術分野で周知のプロトコルを使用して、MCPDEの量を容易に分析することができる。例えば、本実施例に示すように、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)に基づくアプローチは、MCPDEの濃度を分析するのに好適である。
一実施形態では、本発明の方法の工程(a)又は工程(e)で投入される原料トリアシルグリセリド油は、粗トリアシルグリセリド油である。
本明細書で使用するとき、用語「粗油」は、未精製油を指し得る。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の方法の工程(a)又は工程(e)で投入される原料トリアシルグリセリド油は、精製、脱ガム、脱色、及び/又は分画されていない。好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)又は工程(e)の前に脱臭されていない。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)又は工程(e)の前に予備洗浄などの予備処理に供される。しかしながら、工程(a)又は工程(e)の前に原料トリアシルグリセリド油に対して実施される任意のプロセスは、好ましくは、トリアシルグリセリド油を100℃、150℃、200℃、又は250℃を超える温度に加熱することを含まない。いくつかの実施形態では、トリアシルグリセリド油は、工程(a)又は工程(e)の前に予備精製、分画、水素化、及び/又はエステル交換に供される。
トリアシルグリセリド油
「トリアシルグリセリド」という用語は、「トリアシルグリセロール」及び「トリグリセリド」と同義的に使用することができる。これらの化合物では、グリセロールの3つのヒドロキシル基は各々、脂肪酸によってエステル化されている。本発明の方法を使用して浄化され得る油は、トリアシルグリセリドを含み、当該油としては、植物油、動物油、魚油、藻類油、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は植物油である。例えば、植物油としては、ヒマワリ油、コーン油、キャノーラ油、大豆油、ココナツ油、パーム油、パーム核油、及びカカオバターが挙げられる。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、パーム油又はパームオレイン、パームステアリン、中融点画分などの分画パーム油である。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗植物油である。
別の好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム油又は粗パームオレイン、粗パームステアリン、粗中融点画分などの分画粗パーム油である。
一実施形態では、植物油は、粗パーム油である。一実施形態では、植物油は、粗トウモロコシ油である。一実施形態では、植物油は、粗ヒマワリ油である。一実施形態では、植物油は、コールドプレスされた粗キャノーラ油である。一実施形態では、植物油は、粗大豆油である。
好ましい実施形態では、植物油は、少なくとも部分的に溶媒抽出されている。好ましくは、溶媒は、2-プロパノール及びn-ヘキサンの混合物である。
一実施形態では、植物油は、溶媒抽出された粗ヒマワリ種子油である。
一実施形態では、植物油は、溶媒抽出された粗キャノーラ種子油である。
粗トリアシルグリセリド油
パーム油の場合、粗油は、パーム果実の異なる部分から、例えば、中果皮として既知である果実の果肉から、及び果実の種子又は核からも生成され得る。粉砕果実からの粗パーム油(CPO)の抽出は、例えば90~140℃の範囲の温度下で実施することができる。
他の場合では、例えば、ヒマワリ粗油は、圧搾によって、溶媒抽出又はそれらの組み合わせによって生成され、例えば、Gotor & Rhazi in Oilseeds & fats Crops and lipids 2016(DOI:10.1051/ocl/2016007)に記載される。
精製油
本明細書で使用される場合、「精製された」という用語は、油の品質を改善する、熱処理を含む方法に供された油を指し得る。この熱処理は、蒸気蒸留又は短行程蒸留を含む脱臭工程であり得る。そのような熱処理は、150~300℃の範囲、より一般的には160~260℃又は160~240℃の範囲で適用することができる。
熱処理
本明細書で使用される場合、「熱処理」という用語は、150~300℃の範囲、より一般的には160~260℃又は160~240℃の範囲の温度に油を曝露することを指し得る。熱処理は、脱臭中の工業的設定(蒸気蒸留又は短行程蒸留)中に行われるように、閉鎖容器又はアンプル内で、又は真空及び/若しくは蒸気と組み合わせて適用され得る。
塩素及び塩化物
塩素は、記号Cl及び原子番号17を有する化学元素である。塩素は、イオン性(例えば、塩化ナトリウム)及び共有結合性(例えば、ポリ塩化ビニル)の両方の形態で広範囲の物質に見出すことができる。したがって、「塩素」及び「塩化物」という用語は、両方とも、様々な形態の塩素元素を含有する物質を指す。
本明細書で使用される場合、「塩素含有」、「塩化物含有」、「有機塩素」、「塩素供与体」という用語は、全て、任意の形態で塩素元素を含む物質を指す。この形態は、イオン性、極性共有結合性、又は共有結合性のいずれであってもよい。
塩素又は塩化物担持物質
本明細書で使用される場合、「塩素又は塩化物担持物質」という用語は、任意の形態で塩素元素を含む物質を指す。この形態は、イオン性、極性共有結合性、又は共有結合性のいずれであってもよい。
塩素供与体
本明細書で使用される場合、「塩素供与体」という用語は、任意の形態で塩素元素を含み、例えば、塩酸、次亜塩素酸塩、塩化物アニオンであるがこれらに限定されない任意の形態で塩素を放出し得る物質を指す。
酸性度及びpH
化学的性質において、pHは、水性溶液が、どの程度酸性又は塩基性であるかを記述するために使用される尺度である。同様に、本明細書で使用される場合、「pH」という用語及び「酸性度」という用語は、油試料中の遊離酸含有量を指す。例えば、油とリン酸とを混合する場合、そのpHを低下させると考えることができる。同様に、水酸化ナトリウムを油に添加する中和工程は、油のpHを上昇させると考えることができる。
融解温度
本明細書で使用するとき、用語「融解温度」は、固体が、100kPaの圧力で固体から液体に状態変化する温度を指し得る。例えば、融解温度は、固体が、100kPaの圧力で2℃/分で加熱したときに固体から液体に状態変化する温度であり得る。
当業者は、トリアシルグリセリド油の融解温度を特定するための適切な方法を容易に選択することができる。
例えば、融解温度の分析のための装置は、加熱ブロック、又は透明窓(例えば、Thiele管)及び拡大鏡を有する油浴からなり得る。固体の試料を肉薄のガラス管(thin glass tube)に入れ、これを加熱ブロック内に配置して、又は油浴中に浸漬して、その後徐々に加熱してもよい。固体の融解を観察し、関連する融解温度を記録することができる。
高度に複雑なトリアシルグリセロール組成物を含む油脂の場合、スリップ融点による方法が、一般的に使用される基準である(AOCS Official method Cc3-25)。
遠心分離
本明細書で使用される「遠心分離」という用語は、容器及びその内容物に遠心力を作用させるため、油を内容物として含む容器を急速に回転させることを指し得る。
MPCDEの形成を軽減すること以外に、本明細書に記載の遠心分離工程の更なる利点としては、以下のものが挙げられる。
1)遠心分離工程により、油からの残留水の除去を改善することが可能となり、今日の業界で一般的な慣行である、更なる真空乾燥の必要性が回避されることで、エネルギー及びコストの節約をもたらす。
2)遠心分離工程により、脱ガム工程の前に油からの残留固形分の除去を改善することが可能となり、したがって、より固形分が少ない、より良好な品質のガムの生成を可能にする。
3)遠心分離工程により、無機沈降物の除去を改善することが可能となり、脱色プロセス中のより少ない量の粘土の使用が可能となって、脱色プロセスのコスト及び廃棄物が低減される。
一実施形態では、遠心分離は、油が液体状態にある高温で行われる。この温度は、パーム油については、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、100℃又はそれ以上、パームステアリンについては、50℃、60℃、80℃、100℃又はそれ以上、パームオレインについては、15℃、20℃又はそれ以上、ヒマワリ油、キャノーラ油/ナタネ油、トウモロコシ油を含む種子油については、5℃以上であり得る。
好ましい実施形態では、温度は、パーム油については30℃~80℃、好ましくは35℃~70℃であり得る。好ましい実施形態では、温度は、ヒマワリ油については5℃~20℃であり得る。好ましい実施形態では、遠心分離速度は、15分間にわたって少なくとも15,000gである。
沈降
本明細書で使用される「沈降する」又は「沈降」という用語は、油容器を動きのない又は実質的に動きのない環境に置くことを指し、好ましくは、少なくとも4時間、6時間、1日、2日、1週間、又は1か月であり得る一定期間にわたって撹乱が回避される。
一実施形態では、油容器を、固定された動きのない環境に安定させ、例えば、粗ヒマワリ油又は粗大豆油に関して、少なくとも5ヶ月間の期間にわたって撹乱を回避する。一実施形態では、粗油は、沈降前に少なくとも60℃に加熱される。
一実施形態では、油容器を、固定された動きのない環境に安定させ、例えばコールドプレスされた粗キャノーラ油に関して、少なくとも4日間の期間にわたって撹乱を回避する。
セッケン
本明細書で使用される場合、「セッケン」という用語は、界面活性剤特性を有する物質から生成される様々な洗浄及び潤滑用製品を指し得る。
植物性油精製の文脈及び本文脈では、「セッケン」という用語は、負に帯電した脱プロトン化脂肪酸と、正に帯電した対イオン、例えばナトリウムカチオン又はカリウムカチオンとによって形成される脂肪酸の塩であるアルカリカルボキシレートを表すために使用される。[Bailey’s Industrial Oil and Fat Products-6th edition,page 3084-Soap raw materials and their processing page 105;Wikipedia]アルカリ精製の実践に関する文献において周知であるように、遊離脂肪酸は、アルカリ、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムと反応して、そのようなセッケンを形成する[The Lipid Handbook-Third Edition;edited by Frank D.Gunstone;page 178,191]。
更なる精製
不溶性油成分がそれらの塩素供与体物質と共に本発明の方法によって枯渇されることから、任意の後続の精製プロセス中の加熱が、MCPDEなどの望ましくない塩素化化合物の著しい生成を引き起こすことがなくなる。
一実施形態では、方法は、工程(d)又は工程(i)に続く物理的又は化学的精製、脱ガム、中和、及び脱色からなる群から選択される1つ以上のプロセスを更に含む。
一実施形態では、方法は、工程(d)又は工程(i)に続く脱臭を更に含み、好ましくは、脱臭は真空蒸気脱臭である。
一実施形態では、方法は、工程(d)又は工程(i)に続く分画を更に含む。
精製、脱ガム、脱色、脱臭及び分画を行うためのプロセスは、当該技術分野において周知である。
例として、植物性油などの植物油の精製は、典型的には、物理的精製又は化学的精製からなる。
持続可能性の向上を目的とした試みとして、油精製所では、エネルギー消費の最小化(エコノマイザー)及び廃棄物の低減のために、植物油加工ラインが過去数十年にわたって改良されてきた。しかしながら、これら2つの精製プロセスの工程は、本質的に変化していない。
物理的精製は、本質的に、化学的精製の短縮された形態であり、1973年にパーム油精製の好ましい方法として導入された。この精製は、入ってくる油を酸で前処理(脱ガム)し、吸着性漂白粘土を通過させて洗浄し、次いで水蒸気蒸留を行う3工程連続操作であり得る。このプロセスにより、後続の脱酸、脱臭、及びパーム油に固有のカロテノイド(すなわち、この粗油は、他の植物油とは異なり、色が濃い赤色である)の分解が可能となる。物理的精製における中和工程の欠如を考慮すると、物理的精製所から製造された精製脱色(RB)油は、粗油中に見出されるものとほぼ同じ遊離脂肪酸(FFA)濃度を有する。
化学精製所からの中和脱色(NB)油及びRBパーム油は、脱臭前のものと、他のすべての点で同等である。
熱脱色ユニットの操作は、油精製プロセスにおける損失の主な原因であり、濾過後の油量が20~40%減少する。プロセスは、典型的には約30~45分間持続し、典型的には、95~110℃の温度で27~33mbarの真空下で行われる。
次いで、熱脱色された油は、脱臭塔に送られる前に、溶解ガス及び水分の除去を補助する脱気装置への配管へと経路を変更してもよい。
脱色工程は、油を加熱すること、及び吸着性漂白粘土を通過させることによって油を洗浄することを含んでもよい。
脱臭工程は、水蒸気蒸留を含んでもよい。
当業者は、開示される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明の全ての特徴を組み合わせることができることを理解されたい。
本発明の好ましい特徴及び実施形態を、非限定的な例によってこれより記述する。
本発明の実施では、特に指示がない限り、当業者の能力の範囲内のものである、化学、生化学、分子生物学、微生物学、及び免疫学の従来技術を用いる。かかる技術は文献で説明されている。例えば、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel,F.M.et al.(1995 and periodic supplements)Current Protocols in Molecular Biology,Ch.9,13 and 16,John Wiley & Sons;Roe,B.,Crabtree,J.and Kahn,A.(1996)DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques,John Wiley & Sons;Polak,J.M.and McGee,J.O’D.(1990)In Situ Hybridization:Principles and Practice,Oxford University Press;Gait,M.J.(1984)Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press、並びに、Lilley,D.M.and Dahlberg,J.E.(1992)Methods in Enzymology:DNA Structures Part A:Synthesis and Physical Analysis of DNA,Academic Pressを参照されたい。これらの一般的なテキストの各々は、本明細書に参照により組み込まれる。
[実施例]
実施例で使用される分析手順
サンプル調製
油試料を注入前に段階的に希釈した。
1)まず、各試料100μLをバイアル瓶に移し、900μLのn-ヘキサン:アセトン(1:1体積/体積)の混合物を添加した。試料を5~10秒間ボルテックスにかけた。
2)第2の工程では、50μLのこの溶液を、950μLのアセトンと混合することによって更に希釈した。得られた溶液を5~10秒間ボルテックスにかけた。
3)この溶液(latter solution)100μLを、90μLのメタノール及び10μLの内部標準混合溶液と混合した。(内部標準混合溶液は、2ng/μLの濃度で、メタノールに溶解した以下の安定な同位体標識化合物を含んでいた:1-オレオイル2-リノレオイル3-クロロプロパンジオール-(OL)、1-2-ジパルミトオイル3-クロロプロパンジオール-(PP)、1-パルミトイル2-オレオイル3-クロロプロパンジオール-(PO)、1-パルミトイル2-リノレオイル3-クロロプロパンジオール-(PL)、1-2-ジリノレオイル3-クロロプロパンジオール-(LL))、1-2-オレオイル3-クロロプロパンジオール-(OO))。
LC条件
超高性能液体クロマトグラフィーを、シリカ系オクタデシル相(Waters Acquity HSS C18、1.7μm;2.1×150mm)を備えるThermo UltiMate 3000システム又はWaters Acquity H-クラスシステムのいずれかを使用して実施した。適用された溶媒勾配を表3に要約する。
Figure 2022548033000001
MS条件
モノクロロプロパンジオール(MCPD)エステルのモニターを、サーモフィッシャー高分解能質量分析計(Q Exactive Hybrid Quadrupole-Orbitrap,Orbitrap Fusion(商標)Lumos(商標)Tribrid(商標)and Orbitrap Elite Hybrid)を使用して実施した。これらのプラットフォームは、約2ppmの作業質量精度での高選択質量分析を可能にした。MCPDエステルをESI陽性イオンモード(ESI)でモニターした。これらの条件下で観察されたMCPD前駆体イオンは[M-H]であったが、モニターされたMCPDエステルイオンは[M+NH及び[M+Na]付加体であった。
データの解釈
MCPDEの相対的定量化は、最初に、[M+NH及び[M+Na]付加体のイオンクロマトグラムをそれぞれのm/z値で10ppmの質量域で抽出し、次いで、対応するクロマトグラフィー保持時間の得られたピーク面積を積分することによって実施した。モニターされたMPCDEの略語は以下の通りである:PP:ジパルミトイルMCPDエステル;PO:パルミトイル-オレイルMCPDエステル;OO:ジオレイルMCPDエステル;OL:オレイル-リノレイルMPCDエステル;LL:ジリノイルMPCDエステル;PL:パルミトイル-リノレイルMPCDエステル。
全ての実験では、対照試料で検出された最も豊富なMPCDEのピーク面積を100%に設定し、軽減された試料に見られる結果を、非軽減対照試料と比較して相対%として表した。
サンプルのアンプル熱処理
この粗油試料の熱処理を、Thermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)において、230℃で2時間、窒素下で密閉したガラスアンプル中で実施した。窒素でフラッシングし、ブンゼンガスバーナーを使用してそれらを密封することにより、ガラス製のパスツール・ピペットからガラスアンプルを製造した。これらの条件は、食用油の脱臭中に使用される熱条件を再現するために選択された。
実施例1
溶媒抽出された粗パーム油
溶媒抽出された粗パーム油の製造
凍結した1.8kgのまるごとそのままの(whole,intact)パーム果実を室温で解凍した。小刀を使用して、核を手作業で果実から取り出した。2Lの2-プロパノール及び2Lのn-ヘキサンを混合することにより、4Lの抽出溶液を調製した。果肉及び果皮を含む1.4kgのパームパルプを混合して裏ごしし、市販の浸漬ブレンダーミキサー(Bamix Gastro 200)を使用して2Lの抽出溶液と均質化した。得られたスラリーを、ポリトロン(Kinematica Polytron PT 10 35 GT)を使用して残りの2Lの抽出溶液と混合し、更に均質化した。得られたスラリー溶液を1Lポリプロピレン管(Sorvall 1000mL)に等分し、Thermo Scientific Heraeus Cryofuge 8500i遠心分離器中で30℃で4000gで15分間遠心分離した。有機相を濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過し、1つにまとめた。次いで、有機溶媒を、60℃でBuchi Rotavapor R-300システム(B-300加熱浴、I-300真空コントローラ、V-300ポンプ、及び4℃で稼働したP-314再循環冷却機)を用いて、油から蒸発させた。試料の沸騰を避けるために、10mbarに達するまで真空を段階的に調整した。
熱処理中のMPCDEの形成を防止するために、粗パーム油の異なるバッチを遠心分離に供した。
溶媒抽出された粗パーム油の遠心分離
上記のように調製した1Lの粗パーム油を、水浴中で80℃に加熱することによって溶融した。手動で振盪することによって油を均質化した。40mLのアリコートを50mLのFalcon試験管に移した。この試験管を、40℃に予熱したEppendorf 5810遠心分離機に入れて、40℃で15分間15000gで遠心分離した。
食用油脱臭中に使用される熱条件を再現するために、遠心分離による処理後に得られた油及び原料物質(遠心分離なし)を上記の熱処理に供した。得られた試料を、LC-MSによってそれらのMPCDE含有量について分析した。図1において(ジパルミトイル-MCPD、PP-MCPD)、図2において(パルミトイル-オレイル-MCPD、PO-MCPD)、図3において(ジオレイル-MCPD、OO-MCPD)及び図4において(オレイル-リノレイル-MCPD、OL-MCPD)の遠心分離に基づく低減の有益な効果を示す。
実施例2
溶媒抽出された粗ヒマワリ油
溶媒抽出された粗ヒマワリ種子油の製造
1.2kgのヒマワリ種子を粉砕し、市販の浸漬ブレンダーミキサー(Bamix Gastro 200)を使用して1.5Lの抽出溶液(2-プロパノール:n-ヘキサン、1:1 体積/体積)と均質化した。均質物を1.5Lの抽出溶液と更に混合し、ポリトロン(Kinematica Polytron PT 10 35 GT)を使用して更に均質化した。得られたスラリーを1Lポリプロピレン管(Sorvall 1000mL)に等分し、Thermo Scientific Heraeus Cryofuge 8500i遠心分離器中で22℃で4000gで15分間遠心分離した。有機相を濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過し、1つにまとめた。次いで、有機溶媒を、60℃でBuchi Rotavapor R-300システム(B-300加熱浴、I-300真空コントローラ、V-300ポンプ、及び4℃で稼働したP-314再循環冷却機)を用いて、油から蒸発させた。試料の沸騰を避けるために、10mbarに達するまで真空を段階的に調整した。
熱処理中のMCPDEの形成を防止するために、溶媒抽出された粗ヒマワリ油(上記のように製造)を遠心分離に供した。
溶媒抽出された粗ヒマワリ油の遠心分離
上記のように調製した1Lの粗ヒマワリ油を、手動で振盪することによって均質化した。40mLのアリコートを50mLのFalcon試験管に移した。試験管をEppendorf5810遠心分離機に入れて、23℃で15分間15000gで遠心分離した。
食用油脱臭中に使用される熱条件を再現するために、遠心分離による処理後に得られた油及び原料物質(遠心分離なし)を、上記の熱処理に3連で供した。得られた試料をLC-MSによってそれらのMPCDE含有量について分析した。図5において(ジパルミトイル-MCPD、PP-MCPD)、図6において(パルミトイル-オレイル-MCPD、PO-MCPD)、及び図7において(オレイル-リノレイル-MCPD、OL-MCPD)の遠心分離に基づく低減の有益な効果を示す。
全体として、データは、粗ヒマワリ油及び粗パーム油についての各実験において、未処理の状態で観察された濃度と比較して、低減後にモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の濃度の実質的な低減を示す。
実施例3
工業的に製造された粗パーム油
工業的に製造された粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を遠心分離による低減試験に供した。
1Lの粗パーム油を、水浴中で80℃に加熱することによって溶融した。手動で振盪することによって油を均質化した。40mLのアリコートを50mLのFalcon試験管に移した。この試験管を、40℃に予熱したEppendorf 5810遠心分離機に入れて、40℃で15分間15000gで遠心分離した。
MCPDEの形成をシミュレートするために、得られた試料をアンプルで熱処理し、それに応じてMCPDE含量についてLC-MSによる分析を行った。得られたMCPDE濃度に対する遠心分離の利点を図8に示す。
実施例4
工業的に製造された粗トウモロコシ油の長期沈降
工業的に製造された粗トウモロコシ油は、VFI GmbH(Wels,Austria)から購入した。
粗油を、最初に水浴中60℃で2Lのパイレックスボトル中で加熱し、手動で激しく振盪することによって均質化し、次いで、5ヶ月間全く撹乱することなく室温でベンチ上に放置した。
5ヶ月の期間後、40mLのアリコートを、上相及び底相から採取し、それぞれ「上相」及び「下相」と称した。
MCPDEの形成をシミュレートするために、得られた試料をアンプルで熱処理し、それに応じてMCPDE含量についてLC-MSによる分析を行った。得られたMCPDE濃度に対する長期沈降の利点を図9に示す。
実施例5
工業的に製造された粗ヒマワリ油の長期沈降
工業的に製造された粗バイオヒマワリ油は、VFI GmbH(Wels,Austria)から購入した。
粗油を、最初に水浴中60℃で2Lのパイレックスボトル中で加熱し、手動で激しく振盪することによって均質化し、次いで、5ヶ月間全く撹乱することなく室温でベンチ上に放置した。
5ヶ月の期間後、40mLのアリコートを、上相及び底相から採取し、それぞれ「上相」及び「下相」と称した。
MCPDEの形成をシミュレートするために、得られた試料をアンプルで熱処理し、それに応じてMCPDE含量についてLC-MSによる分析を行った。得られたMCPDE濃度に対する長期沈降の利点を図10に示す。
実施例6
コールドプレスされた粗キャノーラ油の短期沈降
7.9kgのキャノーラ種子を、家庭用電気油圧搾機(OP 700,Rommelsbacher,Germany)を使用して圧搾して、約2.4kgの圧搾油及び約5.5kgの残りの固体残留物(ケーキ)を得た。次いで、圧搾した油を、オーブン内で65℃で濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過した。
次いで、2Lの粗油を、沈降のために4日間にわたって撹乱することなく、室温でベンチ上に放置した。
4日間の期間後、20mLのアリコートを、上相及び底相の両方から採取し、それぞれ「上相」及び「下相」と称した。
MCPDEの形成をシミュレートするために、得られた試料をアンプルで熱処理し、それに応じてMCPDE含量についてLC-MSによる分析を行った。得られたMCPDE濃度に対する短期沈降の利点を図11に示す。
実施例7
工業的に製造された粗大豆油の長期沈降
工業的に製造された粗バイオ大豆油は、VFI GmbH(Wels,Austria)から購入した。
粗油を、最初に水浴中60℃で2Lのパイレックスボトル中で加熱し、手動で激しく振盪することによって均質化し、次いで、5ヶ月間全く撹乱することなく室温でベンチ上に放置した。
5ヶ月の期間後、40mLのアリコートを、上相及び底相から採取し、それぞれ「上相」及び「下相」と称した。
MCPDEの形成をシミュレートするために、得られた試料をアンプルで熱処理し、それに応じてMCPDE含量についてLC-MSによる分析を行った。得られたMCPDE濃度に対する長期沈降の利点を図12に示す。
実施例8
溶媒抽出された粗ヒマワリ油の長期沈降
溶媒抽出された粗ヒマワリ種子油の製造については、上記に記載する。
1Lのこの粗油を、5ヶ月間全く撹乱することなく室温でベンチ上に放置することによって、長期沈降試験に供した。
5ヶ月の期間後、40mLのアリコートを、上相及び底相から採取し、それぞれ「上相」及び「下相」と称した。
MCPDEの形成をシミュレートするために、得られた試料をアンプルで熱処理し、それに応じてMCPDE含量についてLC-MSによる分析を行った。得られたMCPDE濃度に対する長期沈降の利点を図13に示す。
実施例9
工業的に製造された粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を遠心分離による低減試験に供した。
1Lの粗パーム油を、水浴中で40℃に加熱することによって溶融した。手動で振盪することによって油を均質化した。30mLのアリコートを50mLのFalcon試験管に移した。この試験管を、40℃に予熱したEppendorf 5810遠心分離機に入れて、40℃で15分間15000gで遠心分離した。
MCPDEの形成をシミュレートするために、得られた試料をアンプルで熱処理し、それに応じてMCPDE含量についてLC-MSによる分析を行った。得られたMCPDE濃度に対する遠心分離の利点を図14に示す。
実施例10
工業的に製造された粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。同じバッチの粗油を、2つの異なる遠心分離実験による低減試験に供した。
粗パーム油を、水浴中で80℃に加熱することによって溶融した。手動で振盪することによって油を均質化した。
油の1つのアリコートを40mLのFalcon試験管に移し、40℃に予熱したEppendorf 5810遠心分離機で、40℃で15分間15000gで遠心分離した。
他のアリコートを1Lのリザーバに移し、40℃に予熱したThermo Scientific Heraeus Cryofuge 8500i遠心分離機で、40℃で15分間4000gで遠心分離した。
遠心分離後、上部10%(体積/体積%)相及び下部10%(体積/体積%)相を異なる試験管に分離した。次いで、浄化油(上部10%)及び沈降物富化油(下部10%)に対応するこれらのアリコートを、MCPDEの形成をシミュレートするためにアンプルで熱処理し、それに応じてMCPDE含量についてLC-MSによる分析を行った。得られたMCPDE濃度に対する遠心分離の濃縮効果を図15に示す。
実施例11
工業的に製造された粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。最初に粗油を80℃で加熱し、次いで40℃で15’000gで15分間遠心分離した。沈降物に富む下部10体積/体積%の液相を、脱ガムに使用した。
この油の脱ガムは、まずこの油を80℃に加熱し、0.02%のリン酸85%(体積/体積)を添加することによって実施した。次いで、粗油を85℃に維持しながら、剪断ミキサー(Silverson L5M-A)を使用してこの混合物を1000rpmで2分間剪断した。次いで、混合物を2%(体積/体積)のミリQ水と混合し、再び1000rpmで2分間剪断した。油をガムから分離するために、混合物を40℃で5分間3’000gで遠心分離し、上部95%液相を脱ガム油として更に使用した。
40℃に予熱したEppendorf 5810遠心分離機で40℃で15分間、15000gで遠心分離することによって、この脱ガム油に遠心分離に基づく低減を適用した。
遠心分離後、上部10%(体積/体積%)相及び下部10%(体積/体積%)相を異なる試験管に分離した。次いで、浄化脱ガム油(上部10%)及び沈降物富化脱ガム油(下部10%)に対応するこれらのアリコートを、MCPDEの形成をシミュレートするためにアンプルで熱処理し、それに応じてMCPDE含量についてLC-MSによる分析を行った。得られたMCPDE濃度に対する遠心分離の濃縮効果を図16に示す。
上記明細書で言及した全ての刊行物は、本明細書に参照により組み込まれる。本発明に開示する方法、使用及び生成物の様々な改変及び変更は、本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく、当業者には明白である。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して開示されているが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者には自明であり、本発明を実施するために開示された様式の種々の改変は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることを意図している。

Claims (21)

  1. トリアシルグリセリド油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を予防又は低減するための方法であって、
    (a)液体原料トリアシルグリセリド油中の不溶性成分を、
    -前記原料トリアシルグリセリド油をその融解温度より高く維持しながら、前記原料トリアシルグリセリド油に遠心力を加えることによって、及び/又は
    -前記トリアシルグリセリド油をその融解温度より高く維持しながら、前記不溶性成分を重力によって沈降させることによって、濃縮する工程と、
    (b)前記トリアシルグリセリド油を前記不溶性成分から分離する工程と、
    (c)任意選択的に、任意の組み合わせで、物理的精製、化学的精製、脱ガム、中和、エステル交換、脱色、脱ろう又は分画から選択される1つ以上のプロセスを適用する工程と、
    (d)前記トリアシルグリセリド油に熱処理を適用する工程と、を含む、方法。
  2. 工程(a)の前に、前記原料トリアシルグリセリド油が、その融解温度より高く加熱することによって溶融される、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a)において、前記トリアシルグリセリド油をその融解温度より高く維持しながら、遠心力が前記トリアシルグリセリド油に加えられる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記原料トリアシルグリセリド油が、少なくとも0.5(重量/重量%)の遊離脂肪酸含有量を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記遠心分離が、200gを超える相対遠心力で実施される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 工程(a)において、前記トリアシルグリセリド油をその融解温度より高く維持しながら、前記不溶性成分を重力によって沈降させる、請求項1又は2に記載の方法。
  7. 工程a(ii)が実施され、次いで工程a(i)が実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 工程a(i)が実施され、次いで工程a(ii)が実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記原料トリアシルグリセリド油が、植物油、動物油、魚油又は藻類油、好ましくは植物油であり、好ましくは、前記植物油は、パーム油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、キャノーラ油、大豆油、ココナツ油、パーム核油、及びカカオバターからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記原料トリアシルグリセリド油が、パーム油又はパーム油から得られた画分である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記原料トリアシルグリセリド油が、ヒマワリ油又はその高オレイン変種である、請求項9に記載の方法。
  12. 前記原料トリアシルグリセリド油が、1%未満の含水量を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記原料トリアシルグリセリド油が、酸又はアルカリと混合されていない、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記原料トリアシルグリセリド油が、添加された結晶化剤を含まない、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記原料トリアシルグリセリド油が、10%(重量/重量%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記原料トリアシルグリセリド油が、1000ppm未満のセッケン含有量を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記原料トリアシルグリセリド油が、塩と混合されていない、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記原料トリアシルグリセリド油が、添加されたイオン性、カチオン性、及びアニオン性の界面活性剤及び/又は添加剤のいずれも含まない、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記原料トリアシルグリセリド油が、0.01%未満の漂白粘土含有量を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記原料トリアシルグリセリド油が、20℃未満に冷却されていない、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 請求項1~20のいずれか一項に記載の方法によって得られ得る浄化トリアシルグリセリド油。

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