JP2022546515A - 心血管リスク/イベントの予測及びその使用 - Google Patents

心血管リスク/イベントの予測及びその使用 Download PDF

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Abstract

4年間にわたる一次または二次心血管(CV)イベントを発症するリスクを予測するために、個体を評価するために使用されるバイオマーカー、方法、装置、試薬、システム、及びキットが提供される。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月3日に出願の米国仮出願第62/895,383号の優先権の利益を主張し、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本出願は、一般に、バイオマーカーの検出及び個体における将来の心血管イベントのリスクを評価する方法、ならびにより具体的には、4年間にわたる一次または二次心血管(CV)イベントを発症するリスクの予測について個体を評価するために使用される1つ以上のバイオマーカー、方法、装置、試薬、システム、及びキットに関する。かかるイベントとしては、限定されるものではないが、心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作 、心不全による入院、及び死亡が挙げられる。
米国における主な死亡原因は、心血管疾患である。一次イベント(D’Agostino,R et al.,“General Cardiovascular Risk Profile for Use in Primary Care: The Framingham Heart Study” Circulation 117:743-53(2008);及びRidker,P.et al.,“Development and Validation of Improved Algorithms for the Assessment of Global Cardiovascular Risk in Women” JAMA 297(6):611-619(2007))及び二次イベント(Shlipak,M.et al.“Biomarkers to Predict Recurrent Cardiovascular Disease:The Heart & Soul Study” Am.J.Med.121:50-57(2008))のリスクの既に存在し、かつ重要な多数の予測因子が存在し、これらは臨床診療及び治療試験において広く使用されている。残念なことに、受信者動作特性曲線、ハザード比、及びコンコーダンスは、既存のリスク因子及びバイオマーカーの性能があまり高くないことを示す(約0.75のAUCは、これらの因子がコイントスと完全なものとの間の中間程度でしかないことを意味する)。診断性能の改善の必要性に加えて、短期かつ個人における有益な(及び有害な)介入及び生活様式の変化に自分自身で対応するリスク商品が必要とされている。広く利用されているフラミンガム方程式は、3つの主要な問題を有する。第1に、長期的すぎることである。フラミンガム方程式は、10年のリスク計算を提供するが、人は将来的なリスクを軽視し、それに基づいて行動及び生活様式を変化させることを嫌う。第2に、介入にあまり応答しないことである。フラミンガム方程式は、減少し得ない暦年齢及び変更することが不可能な性別に非常に大きく依存する。第3に、ここで想定される高リスク集団において、フラミンガム因子は、高リスクと低リスクをうまく区別できないことである。高い四分位数と低い四分位数とのハザード比は、わずか2であり、対象をより細かい層(例えば、十分位数)に層別化することによりリスクを個別化するために、フラミンガムスコアを使用するよう試みる場合、観察されるイベント発生率は、十分位数の多くで同程度である。
心血管疾患のリスク因子は、治療の強度及び性質を向上させるために広く使用されており、これらの使用は、過去20年にわたり観察された心血管疾患の罹患率及び死亡率の低減に貢献してきたことは間違いない。これらの因子は定型的にアルゴリズムに組み込まれてきたが、残念ながら、それらは全てのリスクを捕捉するわけではない(心疾患の最も一般的な最初の発現は、依然として死亡である)。実際には、恐らくそれらは、リスクの半分を捕捉するにすぎない。かかるリスク因子の一次予防におけるROC曲線下面積は、通常、約0.76であり、二次予防においてははるかに悪い性能(通常は0.62)であり、0.5のコイントスと1.0の完全なものとの間の性能の約1/4~1/2の数値にすぎない。
更に、3209人でのフラミンガム研究(Wang et al.,“Multiple Biomarkers for the Prediction of First Major Cardiovascular Events and Death” N.Eng.J.Med.355:2631-2637(2006))において、10種のバイオマーカーの追加(CRP、BNP、NT-proBNP、アルドステロン、レニン、フィブリノゲン、Dダイマー、プラスミノーゲン活性化抑制因子1、ホモシステイン、及び尿アルブミン対クレアチニン比)は、既存のリスク因子に追加される場合、AUCをそれほど改善しなかった。0~5年までのイベントのAUCは、年齢、性別、及び従来のリスク因子を用いた場合は0.76であり、この組み合わせに最良の組み合わせのバイオマーカーを追加した場合は0.77であり、二次予防については、状況はより悪化する。
高いリスクを有する個体により積極的な処置を行うことで結果が改善し得るため、1~5年の期間内に心血管イベントのより高リスクを有する患者を早期に同定することは重要である。従って、より高いリスクを有するとみなされる患者における心血管イベントのリスクを低減するための最適な管理には、積極的な介入が必要とされる一方で、心血管イベントのリスクがより低い患者は、患者に有益な効果をもたらさない可能性がある、高価かつ潜在的に侵襲的な処置を免れ得る。
所定期間内に特定の病的状態または疾患状態に罹患するリスクを予測するためのバイオマーカーの選択は、最初に、特定の医療用途について、イベントの確率及び/またはタイミングとの測定可能かつ統計的に有意な関係を有するマーカーを同定することを伴う。バイオマーカーとしては、関心対象の状態に至る因果経路で、または疾患もしくは状態の発症もしくは進行に対して下流でもしくは並行してのいずれかで、あるいはこれらの両方で分泌または排出された分子が挙げられ得る。それらは、心血管イベントの素因になる生物学的プロセスに応答して、心血管組織または他の器官、ならびに周囲組織及び循環細胞から血流に放出されるか、またはそれらは、腎機能の低下などの病態生理の下流作用を反映するものであり得る。バイオマーカーとしては、低分子、ペプチド、タンパク質、及び核酸が挙げられ得る。バイオマーカーの同定に影響を及ぼす重要な問題の幾つかとしては、利用可能なデータの過剰適合及びデータのバイアスが挙げられる。
バイオマーカーを同定し、疾患または状態に罹患するリスクを診断または予測する試みにおいて、種々な方法が利用されてきた。タンパク質に基づくのマーカーでは、これらの方法としては、二次元電気泳動、質量分析法、及びイムノアッセイ法が挙げられる。核酸マーカーでは、これらの方法としては、mRNA発現プロファイル、マイクロRNAプロファイル、FISH、遺伝子発現連鎖解析(SAGE)、大規模遺伝子発現アレイ、遺伝子配列決定、及び遺伝子型判定(SNPまたは小バリアント(small variant)解析)が挙げられる。
二次元電気泳動の有用性は、低い検出感度;タンパク質の溶解性、電荷、及び疎水性に関する問題;ゲルの再現性;及び単一のスポットが複数のタンパク質を示す可能性により制限される。質量分析について中心となる制限事項は、使用されるフォーマットに応じて、試料の処理及び分離、低存在量のタンパク質に対する感度、シグナル対ノイズ比の考慮、ならびに検出されたタンパク質を直ちに同定できないことである。バイオマーカー発見へのイムノアッセイによるアプローチにおける制限事項は、多数の分析物を測定するための抗体ベースのマルチプレックスアッセイができないことが中心となる。単純に、高品質の抗体のアレイを作成し、サンドイッチすることなく、それらの抗体に結合した分析物を測定する者もいるかもしれない(これは、形式的には、生物または細胞中の全てのDNAまたはRNA配列をハイブリダイゼーションにより測定するために、ゲノム全体の核酸配列を使用することに等しいであろう。ハイブリダイゼーション実験は、ハイブリダイゼーションが同一性についてストリンジェントな試験であり得るため、効果がある)。しかしながら、非常に良好な抗体であっても、血液または更には細胞抽出物の文脈においては、通常、それらの結合パートナーの選択において、機能するのに十分なストリンジェンシーを有するものではない。なぜならば、それらのマトリックス中のタンパク質集団は、存在量が幅広く異なり、このことが、不良なシグナル対ノイズ比をもたらし得るためである。従って、バイオマーカー発見へのイムノアッセイベースのアプローチに関しては、異なるアプローチを使用せねばならず、すなわち、多数の分析物を同時に測定して、どの分析物が本当のバイオマーカーであるかを決定するために十分なストリンジェンシーを得るために、多重化ELISAアッセイ(すなわち、サンドイッチ)を使用する必要があるだろう。サンドイッチイムノアッセイは、高含有量スケールにすることができず、従って、標準的なアレイフォーマットを使用して、ストリンジェントなサンドイッチイムノアッセイを使用するバイオマーカーの発見は不可能である。最後に、抗体試薬は、大きなロット間変動及び試薬の不安定性の影響を被る。タンパク質バイオマーカー発見のための本発明のプラットフォームは、この問題を克服する。
これらの方法の多くは、解析前の幾つかの種類の試料分画に依存するか、またはそれを必要とする。従って、一連の規定された試料集団における統計的に関連のあるバイオマーカーを同定及び発見するように設計された、十分に検出力のある研究を行うために必要とされる試料調製は極めて困難であり、高コストであり、時間がかかる。分画の間に、広範囲の変動が様々な試料にもたらされ得る。例えば、マーカー候補が処理に対して不安定であり得、マーカーの濃度が変化し得、不適切な凝集または解離が発生し得、不注意による試料汚染が発生し得、これらにより、疾患初期で予測される微妙な変化が不明瞭になる。
これらの技術を使用するバイオマーカーの発見及び検出方法は、診断または予測バイオマーカーの同定に対して深刻な制限を有することが広く認められている。これらの制限としては、低存在量のバイオマーカーを検出できないこと、プロテオームの動的範囲全体を一貫して網羅できないこと、試料処理及び分画における非再現性、ならびにこの方法の全体的な非再現性及び頑健性の欠如が挙げられる。更に、これらの研究のデータにはバイアスが導入されており、標的疾患集団内でバイオマーカーを同定及び検証するのに必要とされる分布及び無作為化の観点から、適切な対照を含む試料集団の複雑性に適切に対処していない。
新規のかつ有効なバイオマーカーの発見を目的とする試みが数十年間続けられているが、この試みのほとんどが成功していない。様々な疾患のバイオマーカーは、概していつも、幾つかの疾患プロセスに関する基礎研究をする間の偶発の発見により、大学の研究室で同定されてきた。この発見に基づき、少量の臨床データを用いて、新規なバイオマーカーの同定を示唆する論文が公表された。しかしながら、これらの提唱されたバイオマーカーのほとんどは、本当のまたは有用なバイオマーカーであると確認されていない。その主な原因は、少数の臨床試料での試験では、有効なバイオマーカーが実際に発見されたという弱い統計的証拠を提供するにすぎないためである。すなわち、初期の同定は、統計の基礎的な要素に関して厳密ではなかった。
不成功に終わったバイオマーカー発見の試みの歴史に基づいて、疾患及び状態を発症するリスクの診断、予後予測 、または予測のためのバイオマーカーが発見されることは稀であり、発見することは困難であるという一般的理解を更に促進する説が提唱されてきた。二次元ゲルまたは質量分析に基づくバイオマーカーの研究は、これらの考えを支持する。これらのアプローチにより同定された有用なバイオマーカーは極めて少ない。しかしながら、二次元ゲル及び質量分析法が、約1nM以上の濃度で血液中に存在するタンパク質を測定すること、及びこのタンパク質集団が、おそらく疾患または特定の状態の発症に伴って変化しそうにないということは、通常見過ごされている。本発明のバイオマーカー発見プラットフォーム以外に、非常に低濃度でタンパク質発現レベルを正確に測定することができるプロテオミクスバイオマーカー発見プラットフォームは存在しない。
複雑なヒト生物学の生化学的経路について多くのことがわかっている。多数の生化学的経路は、病理において局所的に機能するタンパク質の分泌を結果的にもたらすか、またはそれにより生化学的経路が開始される。例えば、増殖因子が分泌されて、病理において他の細胞の複製を刺激し、その他の因子が、免疫系を回避するために分泌されたりするなどである。これらの分泌されたタンパク質の多数がパラクリン様式で機能するが、幾つかは体内の遠位で作用する。生化学的経路の基礎的知識を有する当業者であれば、多数の病理特異的なタンパク質が、二次元ゲル及び質量分析の検出限界未満の濃度で(更にそれを下回る濃度で)血中に存在するはずであることを理解するであろう。この比較的豊富な数の疾患バイオマーカーの同定に先立って必要なものは、二次元ゲルまたは質量分析法により検出可能な濃度未満の濃度でタンパク質を解析することができるプロテオミクスプラットフォームである。
前述したように、心血管イベントは、かかるイベントの傾向が正確に決定され得る場合、積極的な処置により予防され得、かかる介入を、それらを最も必要とする人々に標的化し、及び/またはそれらを最も必要としない人々からは遠ざけることにより、医療資源配分効率が改善され得、同時に費用が低減され得る。更に、患者が心血管イベントの個別化された可能性に関する正確かつ短期的な情報を有する場合、集団に基づく長期的な情報と比べて否定しづらく、生活様式の選択の改善及び利益につながるであろう服薬遵守の改善をもたらすであろう。既存の複数マーカー試験は、個体からの複数試料の回収を必要とするか、または試料が複数のアッセイの間で分割される必要がある。単一の血液、尿、または他の試料及び1回のアッセイのみを必要とする改善された試験が最適である。従って、5年の期間内の心血管イベントの予測を可能にするバイオマーカー、方法、装置、試薬、システム、及びキットの必要性が存在する。
本出願は、例えば、4年間または他の一定期間内に心血管(CV)イベントを起こすリスクの予測のためのバイオマーカー、方法、試薬、装置、システム、及びキットを含む。幾つかの実施形態では、CVイベントは、一次CVイベントである。幾つかの実施形態では、CVイベントは、二次CVイベントである。
心血管疾患には、複数の生物学的プロセス及び組織が関与する。心血管疾患に関連する生物学的系及びプロセスの例は、炎症、血栓症、疾患関連血管新生、血小板活性化、マクロファージ活性化、肝臓の急性期反応、細胞外基質リモデリング、及び腎機能である。これらのプロセスは、性別、閉経状態、及び年齢に応じて、ならびに凝固及び血管機能の状態に応じて観察され得る。これらの系は、部分的にタンパク質に基づくシグナル伝達系により情報交換し、複数のタンパク質が単一の血液試料において測定され得るため、本発明は、心血管疾患に関与する特定の生物学的系及びプロセスに由来するタンパク質に焦点を置いた、単一試料、単一アッセイによる複数タンパク質ベースの試験を提供する。
幾つかの実施形態では、1組のバイオマーカーのレベルを検知する方法が提供される。幾つかの実施形態では、かかる方法は、以下のものである。
実施形態1.対象由来の試料中の1組のバイオマーカータンパク質のレベルを検出する方法であって、
a.前記対象由来の試料を1組の捕捉試薬と接触させることであって、各捕捉試薬が異なるバイオマーカータンパク質に特異的に結合し、1種の捕捉試薬がsTREM1に特異的に結合する、前記接触させることと、
b.各捕捉試薬が特異的に結合する前記バイオマーカータンパク質に結合した前記各捕捉試薬の量を検出することと、を含む、前記方法。
実施形態2.1種の捕捉試薬がMMP-12に特異的に結合する、実施形態1に記載の方法。
実施形態3.1種の捕捉試薬がN末端プロBNPに特異的に結合する、実施形態1または2に記載の方法。
実施形態4.1種の捕捉試薬がアンチトロンビンIIIに特異的に結合する、実施形態1~3のいずれか1項に記載の方法。
実施形態5.1種の捕捉試薬がGPR56に特異的に結合する、実施形態1~4のいずれか1項に記載の方法。
実施形態6.1種の捕捉試薬がゲルゾリンに特異的に結合する、実施形態1~5のいずれか1項に記載の方法。
実施形態7.1種の捕捉試薬がST4S6に特異的に結合する、実施形態1~6のいずれか1項に記載の方法。
実施形態8.1種の捕捉試薬がCHSTCに特異的に結合する、実施形態1~7のいずれか1項に記載の方法。
実施形態9.1種の捕捉試薬がFSHに特異的に結合する、実施形態1~8のいずれか1項に記載の方法。
実施形態10.1種の捕捉試薬がIL-1 sRIIに特異的に結合する、実施形態1~9のいずれか1項に記載の方法。
実施形態11.1種の捕捉試薬がPLXB2に特異的に結合する、実施形態1~10のいずれか1項に記載の方法。
実施形態12.1種の捕捉試薬がSAPに特異的に結合する、実施形態1~11のいずれか1項に記載の方法。
実施形態13.1種の捕捉試薬がTFPIに特異的に結合する、実施形態1~12のいずれか1項に記載の方法。
実施形態14.前記1組のバイオマーカーが、少なくとも3種のバイオマーカーを含む、実施形態1~13のいずれか1項に記載の方法。
実施形態15.前記1組のバイオマーカーが、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、または少なくとも13種のバイオマーカーを含む、実施形態1~13のいずれか1項に記載の方法。
実施形態16.前記1組のバイオマーカーが2~13種のバイオマーカーからなる、実施形態1~13のいずれか1項に記載の方法。
実施形態17.前記1組のバイオマーカーが少なくとも13種のバイオマーカーを含む、実施形態1~13のいずれか1項に記載の方法。
実施形態18.前記1組のバイオマーカーが13種のバイオマーカーからなる、実施形態1~13のいずれか1項に記載の方法。
実施形態19.前記対象が少なくとも40歳である、実施形態1~18のいずれか1項に記載の方法。
実施形態20.前記対象が心血管疾患の既往歴を有さない、実施形態1~19のいずれか1項に記載の方法。
実施形態21.前記対象から前記試料が採取された日付から4年以内に前記対象が一次心血管イベントを起こすリスクを決定することを含む、実施形態1~20のいずれか1項に記載の方法。
実施形態22.前記対象が一次心血管イベントを起こすリスクが、前記対象から前記試料が採取された日付から1、2、3、または4年以内のものである、実施形態21に記載の方法。
実施形態23.前記一次心血管イベントが、心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、心不全による入院、または心血管疾患による死亡である、実施形態21または22に記載の方法。
実施形態24.前記リスクが定量的確率として決定される、実施形態21~23のいずれか1項に記載の方法。
実施形態25.前記リスクがリスクの定性的レベルとして決定される、実施形態21~23のいずれか1項に記載の方法。
実施形態26.前記リスクの定性的レベルが、低い、中間、または高いである、実施形態25に記載の方法。
実施形態27.1種の捕捉試薬がSVEP1に特異的に結合する、実施形態1または2に記載の方法。
実施形態28.1種の捕捉試薬がARL11に特異的に結合する、実施形態1、2、または27のいずれか1項に記載の方法。
実施形態29.1種の捕捉試薬がANTR2に特異的に結合する、実施形態1、2、27、または28のいずれか1項に記載の方法。
実施形態30.1種の捕捉試薬がCA125に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~29のいずれか1項に記載の方法。
実施形態31.1種の捕捉試薬がGOLM1に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~30のいずれか1項に記載の方法。
実施形態32.1種の捕捉試薬がPPR1Aに特異的に結合する、実施形態1、2、または27~31のいずれか1項に記載の方法。
実施形態33.1種の捕捉試薬がERBB3に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~32のいずれか1項に記載の方法。
実施形態34.1種の捕捉試薬がsuPARに特異的に結合する、実施形態1、2、または27~33のいずれか1項に記載の方法。
実施形態35.1種の捕捉試薬がGDF-11/8に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~34のいずれか1項に記載の方法。
実施形態36.1種の捕捉試薬がJAM-Bに特異的に結合する、実施形態1、2、または27~35のいずれか1項に記載の方法。
実施形態37.1種の捕捉試薬がATS13に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~36のいずれか1項に記載の方法。
実施形態38.1種の捕捉試薬がスポンジン-1に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~37のいずれか1項に記載の方法。
実施形態39.1種の捕捉試薬がNCAM-120に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~38のいずれか1項に記載の方法。
実施形態40.1種の捕捉試薬がTFF3に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~39のいずれか1項に記載の方法。
実施形態41.1種の捕捉試薬がSIRT2に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~40のいずれか1項に記載の方法。
実施形態42.1種の捕捉試薬がANPに特異的に結合する、実施形態1、2、または27~41のいずれか1項に記載の方法。
実施形態43.1種の捕捉試薬がNELL1に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~42のいずれか1項に記載の方法。
実施形態44.1種の捕捉試薬がLRP11に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~43のいずれか1項に記載の方法。
実施形態45.1種の捕捉試薬がNDST1に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~44のいずれか1項に記載の方法。
実施形態46.1種の捕捉試薬がPTPRJに特異的に結合する、実施形態1、2、または27~45のいずれか1項に記載の方法。
実施形態47.1種の捕捉試薬がCILP2に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~46のいずれか1項に記載の方法。
実施形態48.1種の捕捉試薬がCA2D3に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~47のいずれか1項に記載の方法。
実施形態49.1種の捕捉試薬がITI重鎖H2に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~48のいずれか1項に記載の方法。
実施形態50.1種の捕捉試薬がIGDC4に特異的に結合する、実施形態1、2、または27~49のいずれか1項に記載の方法。
実施形態51.1種の捕捉試薬がBNPに特異的に結合する、実施形態1、2、または27~50のいずれか1項に記載の方法。
実施形態52.前記1組のバイオマーカーが少なくとも3種のバイオマーカーを含む、実施形態27~51のいずれか1項に記載の方法。
実施形態53.前記1組のバイオマーカーが、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種、少なくとも16種、少なくとも17種、少なくとも18種、少なくとも19種、少なくとも20種、少なくとも21種、少なくとも22種、少なくとも23種、少なくとも24種、少なくとも25種、少なくとも26種、または少なくとも27種のバイオマーカーを含む、実施形態1、2、または27~51のいずれか1項に記載の方法。
実施形態54.前記1組のバイオマーカーが2~27種バイオマーカーからなる、実施形態1、2、または27~51のいずれか1項に記載の方法。
実施形態55.前記1組のバイオマーカーが少なくとも27種のバイオマーカーを含む、実施形態1、2、または27~51のいずれか1項に記載の方法。
実施形態56.前記1組のバイオマーカーが27種のバイオマーカーからなる、実施形態1、2、または27~51のいずれか1項に記載の方法。
実施形態57.前記対象が少なくとも40歳である、実施形態27~56のいずれか1項に記載の方法。
実施形態58.前記対象が明らかに安定した心血管疾患を有する、実施形態27~57のいずれか1項に記載の方法。
実施形態59.前記明らかに安定した心血管疾患が、心筋梗塞の病歴、脳卒中の病歴、心不全の病歴、血行再建の病歴、ストレステスト異常、冠動脈性心疾患を示唆するイメージング、または冠動脈カルシウムスコア異常を含む、実施形態58に記載の方法。
実施形態60.前記心筋梗塞または前記脳卒中が、前記対象から前記試料が採取された日付の少なくとも6ヵ月前に発生した、実施形態59に記載の方法。
実施形態61.前記ストレステスト異常がトレッドミル試験または核医学ベースの試験である、実施形態59に記載の方法。
実施形態62.前記冠動脈性心疾患を示唆するイメージングが、50%以上の冠状動脈狭窄を示す血管造影図である、実施形態59に記載の方法。
実施形態63.前記対象から前記試料が採取された日付から4年以内に前記対象が二次心血管イベントを起こすリスクを決定することを含む、実施形態27~62のいずれか1項に記載の方法。
実施形態64.前記対象が二次心血管イベントを起こすリスクが、前記対象から前記試料が採取された日付から1、2、3、または4年以内のものである、実施形態63に記載の方法。
実施形態65.前記二次心血管イベントが、心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、心不全による入院、または死亡である、実施形態63または64に記載の方法。
実施形態66.前記リスクが定量的確率として決定される、実施形態63~65のいずれか1項に記載の方法。
実施形態67.前記リスクがリスクの定性的レベルとして決定される、実施形態63~65のいずれか1項に記載の方法。
実施形態68.前記リスクの定性的レベルが、低い、中間、または高いである、実施形態67に記載の方法。
幾つかの実施形態では、対象を心血管(CV)イベントのリスクについてスクリーニングするための方法が提供される。幾つかのかかる実施形態では、方法は、
(a) N末端プロBNP、sTREM-1、MMP-12、アンチトロンビンIII、GPR56、ゲルゾリン、ST4S6、CHSTC、FSH、IL-1 sRII、PLXB2、SAP、及びTFPIから選択されるN種のバイオマーカーを含むバイオマーカーパネルを形成することであって、Nが3~13の整数である、当該形成することと、
(b) 当該パネルの当該N種のバイオマーカーの各々の当該対象由来の試料におけるレベルを検出することと、を含む。
幾つかの実施形態では、方法は、
(a) BNP、sTREM-1、MMP-12、SVEP1、ARL11、ANTR2、CA125、GOLM1、PPR1A、ERBB3、suPAR、GDF-11/8、JAM-B、ATS13、スポンジン-1、NCAM-120、TFF3、SIRT2、ANP、NELL1、LRP11、NDST1、PTPRJ、CILP2、CA2D3、ITI重鎖H2、及びIGDC4から選択されるN種のタンパク質バイオマーカーを含むバイオマーカーパネルを形成することであって、Nが8~27の整数である、当該形成することと、
(b) 当該パネルの当該N種のバイオマーカーの各々の当該対象由来の試料におけるレベルを検出することと、を含む。
幾つかの実施形態では、対象がCVイベントを起こす可能性を予測するための方法が提供される。幾つかのかかる実施形態では、方法は、
(a) N末端プロBNP、sTREM-1、MMP-12、アンチトロンビンIII、GPR56、ゲルゾリン、ST4S6、CHSTC、FSH、IL-1 sRII、PLXB2、SAP、及びTFPIから選択されるN種のバイオマーカーを含むバイオマーカーパネルを形成することであって、Nが3~13の整数である、当該形成することと、
(b) 当該パネルの当該N種のバイオマーカーの各々の当該対象由来の試料におけるレベルを検出することと、を含む。
幾つかの実施形態では、方法は、
(a) BNP、sTREM-1、MMP-12、SVEP1、ARL11、ANTR2、CA125、GOLM1、PPR1A、ERBB3、suPAR、GDF-11/8、JAM-B、ATS13、スポンジン-1、NCAM-120、TFF3、SIRT2、ANP、NELL1、LRP11、NDST1、PTPRJ、CILP2、CA2D3、ITI重鎖H2、及びIGDC4から選択されるN種のタンパク質バイオマーカーを含むバイオマーカーパネルを形成することであって、Nが8~27の整数である、当該形成することと、
(b) 当該パネルの当該N種のバイオマーカーの各々の当該対象由来の試料におけるレベルを検出することと、を含む。
幾つかの実施形態では、N種のバイオマーカーを含むパネルのバイオマーカーのうちの少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種、少なくとも16種、少なくとも17種、少なくとも18種、少なくとも19種、少なくとも20種、少なくとも21種、少なくとも22種、少なくとも23種、少なくとも24種、少なくとも25種、少なくとも26種、または27種のレベルを検出することを含む、心血管イベント(CV)イベントのリスクまたは可能性について対象をスクリーニングするための方法が提供される。
幾つかの実施形態では、1組のバイオマーカーのうちの少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、または少なくとも13種のバイオマーカーのレベルの各々が、それぞれのバイオマーカーの対照レベルと比較して異常である場合、4年以内に対象がCVイベントを起こすリスクまたは可能性が高い。
幾つかの実施形態では、本方法は、表1における1種以上のバイオマーカーのレベルを検出することを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、表2における1種以上のバイオマーカーのレベルを検出することを含む。
幾つかの実施形態では、対象は冠状動脈疾患を有する。幾つかの実施形態では、対象は、CVイベントの病歴を有さない。幾つかの実施形態では、対象は、American College of Cardiology(ACC)のプールコホート方程式(pooled cohort equation、PCE)で高リスクに分類される。Goff DC,Jr.et al.,“ACC/AHA Guideline on the Assessment of Cardiovascular Risk:A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines.” Circulation.2013を参照のこと。幾つかの実施形態では、対象は、PCEで中リスクに分類される。幾つかの実施形態では、対象は、PCEで低リスクに分類される。幾つかの実施形態では、対象は、少なくとも1つのCVイベントを起こしている。幾つかの実施形態では、CVイベントは、心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院、一過性脳虚血発作、及び死亡から選択される。
幾つかの実施形態では、試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、及び尿試料から選択される。幾つかの実施形態では、試料は、血漿試料である。幾つかの実施形態では、本方法は、インビトロで実行される。
幾つかの実施形態では、各バイオマーカーは、タンパク質バイオマーカーである。幾つかの実施形態では、本方法は、対象由来の試料のバイオマーカーを1組のバイオマーカー捕捉試薬と接触させることを含み、当該1組のバイオマーカー捕捉試薬の各バイオマーカー捕捉試薬は、検出される異なるバイオマーカーに特異的に結合する。幾つかの実施形態では、各バイオマーカー捕捉試薬は、抗体またはアプタマーである。幾つかの実施形態では、各バイオマーカー捕捉試薬は、アプタマーである。幾つかの実施形態では、少なくとも1種のアプタマーは、遅い解離速度のアプタマーである。幾つかの実施形態では、少なくとも1種の遅い解離速度のアプタマーは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、または少なくとも10の修飾を有するヌクレオチドを含む。幾つかの実施形態では、各遅い解離速度のアプタマーは、≧30分、≧60分、≧90分、≧120分、≧150分、≧180分、≧210分、または≧240分の解離速度(t1/2)でその標的タンパク質に結合する。
幾つかの実施形態では、CVイベントのリスクまたは可能性は、バイオマーカーレベルと、
a)心筋梗塞の既往、1本以上の冠血管における50%超の狭窄の血管造影による証拠、トレッドミルもしくは核医学試験による運動誘発性虚血、または冠血行再建の既往からなる群から選択される心血管系リスク因子の存在に相当する情報、
b)対象の身体的な記述子に相当する情報、
c)対象の体重変化に相当する情報、
d)対象の民族性に相当する情報、
e)対象の性別に相当する情報、
f)対象の喫煙歴に相当する情報、
g)対象の飲酒歴に相当する情報、
h)対象の職業歴に相当する情報、
i)対象の心血管疾患またはその他の循環器系状態の家族歴に相当する情報、
j)対象または対象の家族におけるより心血管疾患のより高いリスクと関連する少なくとも1種の遺伝子マーカーの対象における存在または非存在に相当する情報、
k)対象の臨床症状に相当する情報、
l)その他の臨床検査に相当する情報、
m)対象の遺伝子発現値に相当する情報、ならびに
n)対象の既知の心血管系リスク因子、例えば、高飽和脂肪食、高塩分食、高コレステロール食の摂取に相当する情報、
o)心電図、心エコー検査、内膜中膜複合体厚の頚動脈超音波診断、血流依存性血管拡張反応検査、脈波伝播速度、足関節上腕血圧比、ストレス心エコー検査、心筋血流イメージング、CTによる冠動脈カルシウム検査、高分解能CT血管造影法、MRIイメージング、及び他のイメージング手法からなる群から選択される技術により得られた対象のイメージング結果に相当する情報、
p)対象の薬物治療に関する情報、
q)対象の年齢に相当する情報、ならびに
r)対象の腎機能に関する情報から選択される追加の生物医学的情報のうちの少なくとも1つの項目と、に基づく。
幾つかの実施形態では、CVイベントのリスクまたは可能性は、バイオマーカーレベル及び少なくとも対象の年齢に基づく。
幾つかの実施形態では、本方法は、医療保険料または生命保険料を決定するためにCVイベントのリスクまたは可能性を決定することを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、医療保険または生命保険の補償範囲または保険料を決定することを更に含む。幾つかの実施形態では、本方法は、医療資源の利用を予測及び/または管理するために、本方法により得られた情報を使用することを更に含む。幾つかの実施形態では、本方法は、医療事業、病院、または企業を取得または購入するという決定を可能にするために、本方法により得られた情報を使用することを更に含む。
幾つかの実施形態では、心血管(CV)イベントのリスクまたは可能性を評価するためのコンピュータ実施方法が提供される。幾つかの実施形態では、本方法は、コンピュータ上で対象のバイオマーカー情報を検索することであって、当該バイオマーカー情報が、(a)当該対象由来の試料における表1から選択される3~13種のバイオマーカーのレベル、または(b)表2から選択される8~27種のバイオマーカーのレベルを含む、前記検索すること;当該バイオマーカーの値の各々の分類を当該コンピュータで実行すること;複数の分類に基づいて、当該個体についてCVイベントのリスクの評価結果を示すことを含む。幾つかの実施形態では、対象についてCVイベントのリスクまたは可能性の評価結果を示すことは、コンピュータディスプレイ上に結果を表示することを含む。
網掛け領域がカプランマイヤー推定値の95%信頼区間を表す、一次CVDモデルの4つのリスクビンにより層別化された、HUNT3訓練セットでのカプランマイヤー生存曲線を示す。線は、上から順に、1x(<0.0215)、n=469;2x~3x(<0.0505)、n=944;4x~5x(<0.077)、n=285;6x以上(>0.077)、n=315である。 網掛け領域がカプランマイヤー推定値の95%信頼区間を表す、二次CVDモデルの4つのリスクビンにより層別化された、HUNT3訓練セットでのカプランマイヤー生存曲線を示す。線は、上から順に、<0.075、n=117;<0.25、n=285;>0.5、n=121;>0.5、n=82である。 網掛け領域がカプランマイヤー推定値の95%信頼区間を表す、二次CVDモデルの4つのリスクビンにより層別化された、ARIC研究の5回目来院時検証セットでのカプランマイヤー生存曲線を示す。線は、上から順に、<0.075、n=35;<0.25、n=103;<0.5、n=43;>0.5、n=27である。 カットオフ値により層別化されたHUNT3有効性検証セットでの生存曲線を示す。線は、上から順に、<0.075、n=24;<0.25、n=61;<0.5、n=25;>0.5、n=29である。 カットオフ値により層別化されたARIC研究の5回目来院時有効性検証セットでの生存曲線を示す。線は、上から順に、<0.075、n=13;<0.25、n=202;<0.5、n=271;>0.5、n=345である。 本明細書に記載される様々なコンピュータ実施方法と共に使用するための非限定的な例示的コンピュータシステムを示す。 生体試料中の1種以上のバイオマーカーを検出するために使用され得る非限定的な例示的なアプタマーアッセイを示す。 遅い解離速度のアプタマーなどのアプタマーに組み込まれ得る特定の例示的な修飾ピリミジンを示す。 遅い解離速度のアプタマーなどのアプタマーに組み込まれ得る特定の例示的な修飾ピリミジンを示す。
本発明は、特定の代表的な実施形態と共に記載されるが、本発明は、特許請求の範囲により定義されるものであり、それらの実施形態に限定されるものではないことが理解されよう。
当業者であれば、本発明の実施で使用され得る、本明細書に記載されるものと同様または同等の多くの方法及び材料を認識するであろう。本発明は、記載された方法及び材料に決して限定されない。
特に定義しない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解される意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法、装置、及び材料が本発明の実施において使用され得るが、特定の方法、装置、及び材料が本明細書に記載される。
本明細書において引用される全ての刊行物、公開特許文献、及び特許出願は、各個別の刊行物、公開特許文献、または特許出願が参照により本明細書に組み込まれていると具体的かつ個々に示されているかのような程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、及びそれらのあらゆる変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図し、これにより、要素または一連の要素を含む(comprises)、含む(includes)、または含有する(contains)プロセス、方法、プロダクト・バイ・プロセス、または物質の組成物は、明示的に列挙されていない他の要素を含み得る。
本出願は、既定期間内、例えば、1年以内、2年以内、3年以内、または4年以内の短期間のCVイベントのリスクを予測するためのバイオマーカー、方法、装置、試薬、システム、及びキットを含む。
「心血管イベント」または「CVイベント」は、循環器系の任意の部分の障害または機能不全を意味する。一実施形態では、「心血管イベント」は、脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、心筋梗塞(MI)、循環器系の機能不全に起因する突然死、及び/または心不全による入院、または最も可能性の高い原因が心血管である集団における原因不明の突然死を意味する。一次CVイベントは、対象により経験される最初のCVイベントである。二次CVイベントは、対象により経験される2回目またはそれ以降のCVイベントである。
心血管イベントとしては、血栓イベント、例えば、MI、一過性脳虚血発作(TIA)、脳卒中、急性冠症候群、及び冠血行再建の必要性が挙げられ得る。
幾つかの実施形態では、4年の期間内の突然死または将来のCVイベントのリスクまたは可能性を評価するために、単独または様々な組み合わせのいずれかで使用されるバイオマーカーが提供され、ここで、CVイベントは、心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、死亡、及び心不全による入院と定義される。後述するように、代表的実施形態は、表1または表2に掲示されるバイオマーカーを含む。
記載されるCVイベントバイオマーカーのあるものは、それ単独でCVイベントのリスクまたは可能性を評価するのに有用であり得るが、複数サブセットのCVイベントバイオマーカーをグループ化するための方法も本明細書に記載され、ここで、各グループ化またはサブセット選択は、3種以上のバイオマーカーのパネルとして有用であり、本明細書において「バイオマーカーパネル」及びパネルと互換的に称される。従って、種々の実施形態は、表1のバイオマーカーのうちの少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、または全13種を含む組み合わせを提供する。他の種々の実施形態は、表2のバイオマーカーのうちの少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種、少なくとも16種、少なくとも17種、少なくとも18種、少なくとも19種、少なくとも20種、少なくとも21種、少なくとも22種、少なくとも23種、少なくとも24種、少なくとも25種、少なくとも26種、または全27種を含む組み合わせを提供する。
「生体試料」、「試料」、及び「試験試料」は、個体から得られたか、またはそうでなければ個体に由来する任意の物質、生体液、組織、または細胞を意味するように本明細書において互換的に使用される。例としては、血液(例えば、全血、白血球、末梢血単核細胞、バフィーコート、血漿、及び血清が含まれる)、痰、涙液、粘液、鼻腔洗浄液、鼻腔吸引液、尿、唾液、腹腔洗浄液、腹水、嚢胞液、腺液、リンパ液、気管支吸引液、滑液、関節吸引液、器官の分泌物、細胞、細胞抽出物、及び脳脊髄液が挙げられる。例としては、上記の全ての実験用に分離した画分も挙げられる。例えば、血液試料は、血清、血漿、または特定の種類の血液細胞、例えば、赤血球または白赤球(白血球)を含有する画分に分画され得る。幾つかの実施形態では、血液試料は、乾燥血液スポットである。幾つかの実施形態では、血漿試料は、乾燥血漿スポットである。幾つかの実施形態では、試料は、個体由来の試料の組み合わせ、例えば、組織及び液体試料の組み合わせであり得る。用語「生体試料」は、例えば、便試料、組織試料、または組織生検など由来の均質化された固体物質を含有する物質も含む。用語「生体試料」は、組織培養物または細胞培養物由来の物質も含む。生体試料を得るための任意の好適な方法が用いられ得、例示的な方法としては、例えば、静脈切開、綿棒(例えば、口腔スワブ)、及び微細針吸引生検法が挙げられる。微細針吸引が可能な例示的な組織としては、リンパ節、肺、甲状腺、乳房、膵臓、及び肝臓が挙げられる。試料は、例えば、顕微解剖(例えば、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)またはレーザーマイクロダイセクション(LMD))、膀胱洗浄、塗抹標本(例えばPAP塗抹標本)、または乳管洗浄によっても収集され得る。対象から得られたか、または対象に由来する「生体試料」は、当該対象から得られた後に任意の好適な方法で処理された任意のかかる試料も含む。幾つかの実施形態では、生体試料は、血漿試料である。
更に、幾つかの実施形態では、生体試料は、多数の対象から生体試料を採取し、それらをプールするか、または各対象の生体試料のアリコートをプールすることにより得られ得る。プールされた試料は、単一の対象由来の試料として本明細書に記載されるように処理され得、例えば、プールされた試料で予後不良が確証される場合、各対象の生体試料が再試験されて、どの対象(複数可)が高いまたは低いCVイベントのリスクを有するのかが決定され得る。
本明細書の目的において、語句「対象由来の生体試料に帰属するデータ」は、何らかの形態の当該データが、当該対象の対象生体試料から得られたか、またはそれを使用して生成されたことを意味することを意図する。データは、生成された後に、再フォーマットされていてもよく、修正されていてもよく、またはある測定システムでの単位から別の測定システムでの単位への変換などによりある程度まで数値が変更されていてもよいが、データは、生体試料から得られたか、またはそれを使用して生成されたものと理解される。
「標的」、「標的分子」、及び「分析物」は、生体試料中に存在し得る任意の関心対象の分子を指すように本明細書において互換的に使用される。「関心対象の分子」は、特定の分子の任意の軽微な変化、例えば、タンパク質の場合、例えば、アミノ酸配列、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化における軽微な変化、または他の任意の操作もしくは改変、例えば、標識成分とのコンジュゲーションを含み、これらは分子の同一性を実質的に変化させない。「標的分子」、「標的」、または「分析物」は、1種類または1種の分子または多分子構造の1組の複製物を指す。例示的な標的分子としては、タンパク質、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、多糖類、糖タンパク質、ホルモン、受容体、抗原、抗体、アフィボディ、抗体ミメティック、ウイルス、病原体、毒性物質 、基質、代謝産物、遷移状態類似体、補因子、阻害剤、薬物、色素、栄養素、増殖因子、細胞、組織、及び前述のうちのいずれかの任意のフラグメントまたは部分が挙げられる。幾つかの実施形態では、標的分子はタンパク質であり、この場合、当該標的分子は、「標的タンパク質」と称され得る。
本明細書で使用する場合、「捕捉剤」または「捕捉試薬」は、バイオマーカーに特異的に結合することができる分子を指す。「標的タンパク質捕捉試薬」は、標的タンパク質に特異的に結合することができる分子を指す。非限定的な例示的捕捉試薬としては、アプタマー、抗体、アドネクチン、アンキリン、他の抗体ミメティック及び他のタンパク質スキャフォールド、自己抗体、キメラ、小分子、核酸、レクチン、リガンド結合受容体、インプリントポリマー、アビマー、ペプチドミメティック、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、合成受容体、ならびに上記の捕捉試薬のいずれかの改変型またはフラグメントが挙げられる。幾つかの実施形態では、捕捉試薬は、アプタマー及び抗体から選択される。
用語「抗体」は、任意の種の全長抗体、ならびにFabフラグメント、F(ab’)フラグメント、一本鎖抗体、Fvフラグメント、及び一本鎖Fvフラグメントが含まれる、かかる抗体のフラグメント及び誘導体を指す。用語「抗体」は、合成により得られた抗体、例えば、ファージディスプレイにより得られた抗体及びフラグメント、アフィボディ、ナノボディなども指す。
本明細書で使用する場合、「マーカー」及び「バイオマーカー」は、対象における正常もしくは異常なプロセスを示すか、もしくはその徴候であるか、または対象における疾患もしくは他の状態を示すか、もしくはその徴候である標的分子を指すように互換的に使用される。より具体的には、「マーカー」または「バイオマーカー」は、正常または異常にかかわらず、かつ異常である場合、慢性または急性にかかわらず、特定の生理的状態またはプロセスの存在に関連する解剖学的パラメータ、生理学的パラメータ、生化学的パラメータ、または分子パラメータである。バイオマーカーは、実験室のアッセイ及び医学画像などの種々の方法により検出及び測定が可能である。幾つかの実施形態では、バイオマーカーは、標的タンパク質である。
本明細書で使用する場合、「バイオマーカーレベル」及び「レベル」とは、生体試料中のバイオマーカーを検出するための任意の分析法を使用して得られ、生体試料中のバイオマーカーの、生体試料中のバイオマーカーに関する、または生体試料中のバイオマーカーに対応する、存在、非存在、絶対量または濃度、相対量または濃度、力価、レベル、発現レベル、測定レベルの比率などを示す測定値を指す。「レベル」の正確な性質は、バイオマーカーを検出するために用いられる具体的な設計及び特定の分析法の構成要素に依存する。
バイオマーカーが、対象における異常なプロセスまたは疾患もしくは他の状態を示すか、またはその徴候である場合、そのバイオマーカーは、一般的に、対象における正常なプロセスまたは疾患もしくは他の状態の非存在を示すか、またはその徴候であるバイオマーカーの発現レベルまたは値と比較して、過剰発現されているまたは過小発現されているのいずれかと記載される。「上方調節」、「上方調節された」、「過剰発現」、「過剰発現された」、及びそれらの任意の変化形は、生体試料中のバイオマーカーの値またはレベルであって、健常または正常な対象由来の類似の生体試料で通常検出される当該バイオマーカーの値またはレベル(または値もしくはレベルの範囲)を超える、当該値またはレベルを指すように互換的に使用される。この用語は、生体試料中のバイオマーカーの値またはレベルであって、特定の疾患の異なる段階で検出され得る当該バイオマーカーの値またはレベル(もまたは値もしくはレベルの範囲)を超える、当該値またはレベルも指し得る。
「下方調節」、「下方調節された」、「過小発現」、「過小発現された」、及びそれらの任意の変化形は、生体試料中のバイオマーカーの値またはレベルであって、健常または正常な対象由来の類似の生体試料で通常検出される当該バイオマーカーの値またはレベル(または値もしくはレベルの範囲)未満である、当該値またはレベルを指すように互換的に使用される。この用語は、生体試料中のバイオマーカーの値またはレベルであって、特定の疾患の異なる段階で検出され得る当該バイオマーカーの値またはレベル(もまたは値もしくはレベルの範囲)未満である、当該値またはレベルも指し得る。
更に、過剰発現されているか、または過小発現されているかのいずれかであるバイオマーカーは、対象における正常なプロセスまたは疾患もしくは他の状態の非存在を示すか、またはその徴候である当該バイオマーカーの「正常な」発現レベルまたは値と比較して、「差次的に発現されている」または「差次的なレベル」もしくは「差次的な値」を有するとも称され得る。従って、バイオマーカーの「差次的発現」は、当該バイオマーカーの「正常な」発現レベルからの変動とも称され得る。
標的分子の「対照レベル」は、疾患もしくは状態を有さない対象由来の、または疾患もしくは状態を有すると疑われていないか、もしくはそのリスクがない対象由来の、または一次もしくは最初の心血管イベントを起こしたが、二次心血管イベントを起こしていない対象由来の、または安定した心血管疾患を有する対象由来の同じ種類の試料中の当該標的分子のレベルを指す。対照レベルは、疾患もしくは状態を有さない対象の、または疾患もしくは状態を有すると疑われていないか、もしくはそのリスクがない対象の、または一次もしくは最初の心血管イベントを起こしたが、二次心血管イベントを起こしていない対象の、または安定した心血管疾患を有する対象の、またはそれらの組み合わせの集団由来の試料中の標的分子の平均レベルを指し得る。
本明細書で使用する場合、「個体」、「対象」、及び「患者」は、哺乳動物を指すように互換的に使用される。哺乳動物対象は、ヒトまたは非ヒトであり得る。各種の実施形態では、対象はヒトである。健常または正常な対象は、従来の診断方法により関心対象の疾患または状態(例えば、心筋梗塞、脳卒中、及び心不全による入院などの心血管イベントが含まれる)が検出されない対象である。
「診断する」、「診断すること」、「診断」、及びそれらの変化形は、対象の健康状態または状態を、1つ以上の徴候、症状、データ、またはその対象に関する他の情報に基づいて検出、決定、または識別することを指す。対象の健康状態は、健常/正常と診断され得(すなわち、疾患または状態がないという診断)、または病気/異常と診断され得る(すなわち、疾患もしくは状態があるという診断、または疾患もしくは状態の特徴の評価)。用語「診断する」、「診断すること」、「診断」などは、特定の疾患または状態に関して、当該疾患の初期検出;当該疾患の特徴付けまたは分類;当該疾患の進行、寛解、または再発の検出;及び対象に処置または治療を施した後の疾患応答の検出を包含する。CVイベントリスクの予測は、高いCVイベントリスクを有する対象と有さない対象とを区別することを含む。
「予後予測する(prognose)」、「予後予測すること(prognosing)」、「予後予測(prognosis)」、及びそれらの変化形は、疾患または状態を有する対象における当該疾患または状態の将来の経過の予測(例えば、患者生存を予測すること)を指し、かかる用語は、当該対象に処置または治療を施した後の疾患または状態の応答を評価することを包含する。
「評価する」、「評価すること」、「評価」、及びそれらの変化形は、「診断」及び「予後予測」の両方を包含し、疾患を有さない対象における当該疾患または状態の将来の経過についての決定または予測、及び明らかに疾患が治癒したか、または状態が消退した対象において当該疾患もしくは状態が再発するリスクに関する決定または予測も包含する。用語「評価する」は、治療に対する対象の応答を評価すること、例えば、対象が、治療薬に良好に応答しそうか、もしくは治療薬に応答しそうにないのか(または例えば、毒性作用または他の好ましくない副作用を経験するのか)を予測すること、対象に投与する治療薬を選択すること、または対象に施された治療に対する対象の応答をモニタリングもしくは決定することも包含する。従って、CVイベントのリスクを「評価すること」は、例えば、以下のうちいずれかを含み得る:対象における将来のCVイベントリスクを予測すること;明らかにCVの問題がない対象におけるCVイベントリスクを予測すること;特定の種類のCVイベントを予測すること;CVイベントが起きる時を予測すること;あるいはCV処置に対する対象の応答を決定もしくは予測すること、または対象の生体試料に由来するバイオマーカー値の決定に基づいて対象に施されるCV処置を選択すること。CVイベントのリスクの評価は、例えば、連続的尺度でのCVイベントのリスクの評価、または段階的に上昇する分類でのCVイベントのリスクの分類などの実施形態を含み得る。リスクの分類は、例えば、2つ以上の分類、例えば、「CVイベントの中間リスク」、「CVイベントの高リスク」、及び/または「CVイベントの低リスク」への分類を含む。幾つかの実施形態では、CVイベントリスクの評価は、既定の期間についてのものである。非限定的な例示的なかかる既定期間としては、1年、2年、3年、4年、5年、及び5年超が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「追加の生物医学的情報」は、CVリスク、またはより具体的にはCVイベントリスクに関連する、本明細書に記載されるバイオマーカーのいずれか以外を使用した対象の1つ以上の評価を指す。「追加の生物医学的情報」は、以下のうちのいずれかを含み得る:対象の身長及び/または体重が含まれる対象の身体的な記述子;対象の年齢;対象の性別;体重変化;対象の民族性;職業歴;心血管疾患(または他の循環器系障害)の家族歴;対象または家族における心血管疾患(または他の循環器系障害)のより高いリスクと相関する遺伝子マーカー(複数可)の存在;頚動脈内膜厚の変化;胸痛などの臨床症状、体重増加、または遺伝子発現値の減少;放射線イメージングにより観察された身体的な記述子が含まれる対象の身体的な記述子;喫煙状態;飲酒歴;職業歴;食習慣、すなわち、塩、飽和脂肪、及びコレステロールの摂取量;カフェイン摂取;ならびに撮像情報、例えば、心電図、心エコー検査、内膜中膜複合体厚の頚動脈超音波診断、血流依存性血管拡張反応検査、脈波伝播速度、足関節上腕血圧比、ストレス心エコー検査、心筋血流イメージング、CTによる冠動脈カルシウム検査、高分解能CT血管造影法、MRIイメージング、及び他のイメージング手法;及び対象の薬物治療。バイオマーカーレベルの検査と、他の臨床検査(例えば、HDL、LDL検査、CRPレベル、Nt-proBNP検査、BNP検査、高感度トロポニン検査、ガレクチン-3検査、血清アルブミン検査、クレアチン検査)が含まれる任意の追加の生物医学的情報の評価との組み合わせは、例えば、バイオマーカー検査のみまたは追加の生物医学的情報のうちの任意の特定項目の評価のみ(例えば、頚動脈内膜厚のイメージングのみ)と比較して、CVイベント予測の感度、特異性、及び/またはAUCを改善し得る。追加の生物医学的情報は、当該技術分野において公知の定型的な技術を使用して対象から、例えば、定型的な患者質問表または健康歴質問表などを使用して対象自身から取得され得るか、または医療従事者などから取得され得る。バイオマーカーレベルの検査と任意の追加の生物医学的情報の評価との組み合わせは、例えば、バイオマーカー検査のみまたは追加の生物医学的情報のうちの任意の特定項目の評価のみ(例えば、CTイメージングのみ)と比較して、CVイベントの予測(または他の心血管関連の用途)について感度、特異性、及び/または閾値を改善し得る。
本明細書で使用する場合、バイオマーカー値に関して「検出する」または「決定する」は、バイオマーカーレベルに対応するシグナルを観察及び記録するために使用される機器、ならびにそのシグナルを生成するために必要とされる物質/物質(複数)の両方の使用を含む。各種の実施形態では、バイオマーカーレベルは、蛍光、化学発光、表面プラズモン共鳴、表面弾性波、質量分析、赤外分光法、ラマン分光法、原子間力顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、電気化学的な検出方法、核磁気共鳴、量子ドットなどが含まれる任意の好適な方法を使用して検出される。
本明細書で使用する場合、「PCEリスク分類」は、2013年11月12日にオンラインでCirculationに公開された(Print ISSN:0009-7322、Online ISSN:1524-4539)、Goff et al.,“2013 ACC/AHA Guideline on the Assessment of Cardiovascular Risk:A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines,”に従って決定される。本明細書で使用する場合、「高」PCEリスク分類は、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)ハードイベント(非致死性心筋梗塞または冠動脈性心疾患(CHD)による死亡、または致死性もしくは非致死性脳卒中の最初の発症として定義される)について20.0%以上と予測された10年のリスクであり、「中間」PCEリスク分類は、ASCVDハードイベントについて10.0~19.9%と予測された10年のリスクであり、「低」PCEリスク分類は、ASCVDハードイベントについて10.0%未満と予測された10年のリスクである。Goffの16ページ、表5を参照のこと。
本明細書において、「固体支持体」は、分子が共有結合または非共有結合のいずれかにより直接または間接的に結合され得る表面を有する任意の基質を指す。「固体支持体」は、種々の物理的形態を有し得、これには、例えば、メンブレン;チップ(例えば、タンパク質チップ);スライド(例えば、スライドガラスまたはカバーガラス);カラム;中空の、固体の、半固体の、孔または空洞を有する粒子、例えば、ビーズ;ゲル;光ファイバー材料が含まれるファイバー;マトリックス;及び試料容器が挙げられ得る。例示的な試料容器としては、試料ウェル、チューブ、毛細血管、バイアル、及び他の任意の容器、試料を保持することができる溝またはくぼみが挙げられる。試料容器は、多試料プラットフォーム、例えば、マイクロタイタープレート、スライドガラス、マイクロ流体装置などに含まれ得る。支持体は、天然または合成材料、有機または無機材料から構成され得る。捕捉試薬が結合される固体支持体の組成は、一般的に、結合の方法(例えば、共有結合)に依存する。他の例示的な容器としては、アッセイ及び関連する操作がその中で行われ得る、微小液滴、マイクロ流体制御された、またはバルクの水中油型エマルジョンが挙げられる。好適な固体支持体としては、例えば、プラスチック、樹脂、多糖類、シリカまたはシリカベースの材料、官能化ガラス、変性ケイ素、炭素、金属、無機ガラス、メンブレン、ナイロン、天然繊維(例えば、絹、羊毛、及び綿)、ポリマーなどが挙げられる。固体支持体を構成する材料は、例えば、カルボキシ、アミノ、またはヒドロキシル基などの反応性基を含み得、これらは捕捉試薬の結合に使用される。ポリマー固体支持体としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレングリコールテトラフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴム、天然ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、(ポリ)テトラフルオロエチレン、(ポリ)ビニリデンフルオリド、ポリカーボネート、及びポリメチルペンテンが挙げられる。使用され得る好適な固体支持体粒子としては、例えば、コード化粒子、例えば、Luminex(登録商標)タイプのコード化粒子、磁気粒子、及びガラス粒子が挙げられる。
バイオマーカーの例示的な使用
各種の例示的実施形態では、例えば、本明細書に記載される分析方法のいずれかが含まれる多数の分析方法によって、対象の循環中、例えば、血液、血清、または血漿中に存在する1種以上のバイオマーカーに対応する1種以上のバイオマーカー値を検出することによる、対象におけるCVイベントのリスクまたは可能性を評価するための方法が提供される。これらのバイオマーカーは、例えば、CVイベントの高いリスクを有する対象において、CVイベントの高いリスクを有さない対象と比較して差次的に発現される。対象におけるバイオマーカーの差次的発現の検出は、例えば、1年、2年、3年、4年、または5年の期間内のCVイベントのリスクの予測を可能にするために使用される。
独立した診断試験としてのバイオマーカーレベルの試験に加えて、バイオマーカーレベルは、疾患または状態の感受性のリスクの増加を示す一塩基多型(SNP)または他の遺伝子損傷もしくは遺伝的変異性の決定と共になされてもよい。(例えば、Amos et al.,Nature Genetics 40,616-622(2009)を参照のこと)。バイオマーカーレベルは、放射線学的スクリーニングと共に使用されてもよい。バイオマーカーレベルは、関連する症状または遺伝子検査と共に使用されてもよい。本明細書に記載されるバイオマーカーのいずれかの検出は、CVイベントのリスクが評価された後に、対象の臨床ケアを適切に管理するのに有用であり得、例えば、CVイベントリスクが決定された後に、高リスクの対象の治療の程度をより積極的なものに上げることが含まれる。関連する症状またはリスク因子と共にバイオマーカーレベルを試験することに加えて、バイオマーカーに関する情報は、他の種類のデータ、特に、対象の心血管イベントのリスクを示すデータ(例えば、患者の病歴、症状、心血管疾患の家族歴、喫煙歴もしくは飲酒歴、リスク因子、例えば、遺伝子マーカー(複数可)の存在、及び/または他のバイオマーカーの状態など)と共に評価されてもよい。これらの様々なデータは、コンピュータまたは他の装置/デバイスで具体化され得るコンピュータプログラム/ソフトウェアなどの自動化された方法により評価され得る。
高リスク対象において放射線学的スクリーニングと共にバイオマーカーレベルを試験すること(例えば、冠動脈造影図で検出された閉塞と共にバイオマーカーレベルを評価すること)に加えて、バイオマーカーに関する情報は、他の種類のデータ、特に、対象がCVイベントを起こすリスクを示すデータ(例えば、患者の病歴、症状、心血管疾患の家族歴、リスク因子、例えば、当該対象が喫煙者、アルコール多飲者であるかどうか、及び/または他のバイオマーカーの状態など)と共に評価されてもよい。これらの様々なデータは、コンピュータまたは他の装置/デバイスで具体化され得るコンピュータプログラム/ソフトウェアなどの自動化された方法により評価され得る。
バイオマーカーの試験は、臨床診療において現在使用されているガイドライン及び心血管リスクアルゴリズムと組み合わされてもよい。例えば、フラミンガムリスクスコアでは、リスク因子を使用して、リスクスコアが得られ、かかるリスク因子としては、LDL-コレステロール及びHDL-コレステロールレベル、グルコース濃度の異常、喫煙、収縮期血圧、及び糖尿病が挙げられる。高リスク患者の頻度は加齢に共に増加し、高リスク患者のうち男性のほうが女性よりも高い比率を占める。
記載されるバイオマーカーのいずれかは、画像検査においても使用され得る。例えば、造影剤が記載されるバイオマーカーのいずれかに結合され得、これは、他の用途もあるが特に、心血管イベントリスクの予測を補助するため、治療介入への応答をモニタリングするため、臨床試験において標的集団を選択するために使用され得る。
バイオマーカー及びバイオマーカーレベルの検出及び決定
本明細書に記載されるバイオマーカーのバイオマーカーレベルは、種々の既知の分析方法のいずれかを使用して検出され得る。一実施形態では、バイオマーカー値は、捕捉試薬を使用して検出される。各種の実施形態では、捕捉試薬は、溶液中でバイオマーカーに曝露され得るか、または捕捉試薬が固体支持体に固定された状態でバイオマーカーに曝露され得る。他の実施形態では、捕捉試薬は、特徴部であって、固体支持体上の第2の特徴部と反応する、当該特徴部を有する。これらの実施形態では、捕捉試薬が溶液中でバイオマーカーに曝露され得、次いで、バイオマーカーを固体支持体上に固定化するために、捕捉試薬上の特徴部が固体支持体上の第2の特徴部と共に使用され得る。捕捉試薬は、実施される分析の種類に基づいて選択される。捕捉試薬としては、限定されるものではないが、アプタマー、抗体、アドネクチン、アンキリン、他の抗体ミメティック、及び他のタンパク質スキャフォールド、自己抗体、キメラ、低分子、F(ab’)フラグメント、一本鎖抗体フラグメント、Fvフラグメント、一本鎖Fvフラグメント、核酸、レクチン、リガンド結合受容体、アフィボディ、ナノボディ、インプリントポリマー、アビマー、ペプチドミメティック、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、及び合成受容体、ならびにこれらの改変型及びフラグメントが挙げられる。
幾つかの実施形態では、バイオマーカーレベルは、バイオマーカー/捕捉試薬複合体を使用して検出される。
幾つかの実施形態では、バイオマーカーレベルは、バイオマーカー/捕捉試薬複合体から得られ、例えば、バイオマーカー/捕捉試薬の相互作用に続く反応の結果として間接的に検出されるが、バイオマーカー/捕捉試薬複合体の形成に依存する。
幾つかの実施形態では、バイオマーカーレベルは、生体試料中のバイオマーカーから直接検出される。
幾つかの実施形態では、バイオマーカーは、生体試料中の2種以上のバイオマーカーの同時検出を可能にする多重化フォーマットを使用して検出される。多重化フォーマットの幾つかの実施形態では、捕捉試薬は、固体支持体上の別個の位置に、共有結合または非共有結合により、直接的または間接的に固定化される。幾つかの実施形態では、多重化フォーマットは、別個の固体支持体を使用し、ここで、各固体支持体は、その固体支持体、例えば、量子ドットと結合した固有の捕捉試薬を有する。幾つかの実施形態では、生体試料中の検出されるべき複数のバイオマーカーのそれぞれの検出のために、別個の装置が使用される。別個の装置は、生体試料中の各バイオマーカーが同時に処理されるのを可能にするよう構成され得る。例えば、マイクロタイタープレートが使用され得、その結果、プレート中の各ウェルが生体試料中の検出されるべき1種以上のバイオマーカーを固有に解析するために使用される。
前述の実施形態のうちの1つ以上では、バイオマーカーレベルの検出を可能にするために、蛍光タグを使用して、バイオマーカー/捕捉試薬複合体の構成要素が標識され得る。各種な実施形態では、蛍光標識は、既知の技術を使用して、本明細書に記載されるバイオマーカーのいずれかに特異的な捕捉試薬にコンジュゲートされ得、次いで、蛍光標識を使用して、対応するバイオマーカーレベルが検出され得る。好適な蛍光標識としては、希土類キレート、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、アロフィコシアニン、PBXL-3、Qdot 605、Lissamine、フィコエリトリン、Texas Red、ならびに他の類似の化合物が挙げられる。
いくつかの実施形態では、蛍光標識は蛍光色素分子である。幾つかの実施形態では、蛍光色素分子は、インドリウム環の3位の炭素の置換基が化学反応性基またはコンジュゲートされた物質を含有する、少なくとも1つの置換インドリウム環系を含む。幾つかの実施形態では、色素分子としては、AlexFluor分子、例えば、Alexafluor 488、Alexafluor 532、Alexafluor 647、Alexafluor 680、またはAlexafluor 700が挙げられる。他の実施形態では、色素分子は、第1の種類の色素分子及び第2の種類の色素分子、例えば、2種の異なるAlexafluor分子を含む。幾つかの実施形態では、色素分子は、第1の種類の色素分子及び第2の種類の色素分子を含み、この2種の色素分子は、異なる放出スペクトルを有する。
蛍光は、広範囲のアッセイフォーマットに適合可能な種々の計測手段で測定され得る。例えば、分光蛍光計は、マイクロタイタープレート、顕微鏡スライド、プリントされたアレイ、キュベットなどを解析するように設計されている。J.R.LakowiczによるPrinciples of Fluorescence Spectroscopy,Springer Science + Business Media,Inc.,2004を参照のこと。Bioluminescence Chemiluminescence:Progress Current Applications;Philip E.Stanley Larry J.Kricka editors, World Scientific Publishing Company,January 2002を参照のこと。
1つ以上の実施形態では、バイオマーカーレベルの検出を可能にするために、化学発光タグを任意に使用して、バイオマーカー/捕捉複合体の構成要素が標識され得る。好適な化学発光物質としては、塩化オキサリル、ローダミン6G、Ru(bipy) 2+、TMAE(テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン)、ピロガロール(1,2,3-トリヒドロキシベンゼン)、ルシゲニン、ペルオキシオキサレート、アリールオキサレート、アクリジニウムエステル、ジオキセタンなどのいずれかが挙げられる。
幾つかの実施形態では、検出方法は、バイオマーカーレベルに対応する検出可能なシグナルを生成する酵素/基質の組み合わせを含む。一般的に、酵素は、発色基質の化学的変化を触媒し、この化学的変化は、分光光度法、蛍光、及び化学発光が含まれる、様々な技術を使用して測定され得る。好適な酵素としては、例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ウリカーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなどが挙げられる。
幾つかの実施形態では、検出方法は、測定可能なシグナルを生成する、蛍光、化学発光、放射性核種、または酵素/基質の組み合わせの組み合わせであり得る。幾つかの実施形態では、多様式のシグナルの生成が、バイオマーカーアッセイフォーマットにおいて固有かつ有利な特徴を有し得る。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるバイオマーカーのバイオマーカーレベルは、後述するように、シングルプレックスアプタマーアッセイ、マルチプレックスアプタマーアッセイ、シングルプレックスまたはマルチプレックスイムノアッセイ、mRNA発現プロファイリング、miRNA発現プロファイリング、質量分光分析、組織学的/細胞学的方法などが含まれる、任意の分析方法を使用して検出され得る。
アプタマーベースのアッセイを使用したバイオマーカーレベルの決定
生体試料及び他の試料中の生理学的に重要な分子の検出及び定量化を目的としたアッセイは、科学研究及びヘルスケア分野における重要なツールである。かかるアッセイの部類の1つは、固体支持体に固定化された1種以上のアプタマーを含むマイクロアレイの使用を伴う。アプタマーはそれぞれ、高度に特異的な様式で、かつ極めて高親和性で標的分子に結合することができる。例えば、「Nucleic Acid Ligands」という表題の米国特許第5,475,096号を参照のこと。例えば、各々が「Nucleic Acid Ligand Diagnostic Biochip」という表題の米国特許第6,242,246号、米国特許第6,458,543号、及び米国特許第6,503,715号も参照のこと。マイクロアレイが試料と接触されると、アプタマーは試料中に存在するそれぞれの標的分子に結合し、これにより、バイオマーカーに対応するバイオマーカーレベルの測定を可能にする。
本明細書で使用される場合、「アプタマー」は、標的分子に対して特異的な結合親和性を有する核酸を指す。親和性相互作用は程度の問題であることが認識されているが、しかしながら、この文脈において、アプタマーのその標的に対する「特異的な結合親和性」は、一般的に、アプタマーが、試験試料中の他の成分に結合するよりも非常に高い程度の結合親和性でその標的に結合することを意味する。「アプタマー」は、特定のヌクレオチド配列を含む1つのタイプまたは1種の核酸分子の1組のコピーである。アプタマーは、任意の数の化学修飾されたヌクレオチドが含まれる、任意の好適な数のヌクレオチドを含み得る。「アプタマー」は、2組以上のかかる分子を指す。異なるアプタマーは、同じ数または異なる数のいずれかのヌクレオチドを有し得る。アプタマーは、DNAもしくはRNAまたは化学修飾された核酸であり得、一本鎖、二本鎖であり得るか、または二本鎖領域を含有し得、より高次の構造を含み得る。アプタマーは、当該アプタマーがその対応する標的に共有結合的に連結されるのを可能にするために、光反応性官能基または化学反応性官能基がアプタマーに含まれている、フォトアプタマーであってもよい。本明細書において開示されるアプタマーの方法のいずれかは、同じ標的分子に特異的に結合する2種以上のアプタマーの使用を含み得る。以下で更に記載されるように、アプタマーは、タグを含み得る。アプタマーがタグを含む場合、全コピーのアプタマーが同じタグを有している必要はない。更に、異なるアプタマーがそれぞれタグを含む場合、これらの異なるアプタマーは、同じタグまたは異なるタグのいずれかを有し得る。
アプタマーは、SELEXプロセスが含まれる、任意の既知の方法を使用して同定され得る。同定されたら、アプタマーは、化学合成法及び酵素合成法が含まれる任意の既知の方法に従って調製または合成され得る。
用語「SELEX」及び「SELEXプロセス」は、一般に、(1)所望の様式で標的分子と相互作用する、例えば、タンパク質と高親和性で結合するアプタマーの選択と、(2)それらの選択された核酸の増幅との組み合わせを指すように本明細書において互換的に使用される。SELEXプロセスは、特異的な標的またはバイオマーカーに対して高親和性を有するアプタマーを同定するために使用され得る。
SELEXは、一般に、候補の核酸混合物を調製すること、候補混合物を所望の標的分子に結合させて、親和性複合体を形成させること、当該親和性複合体を結合していない候補核酸から分離すること、当該親和性複合体から核酸を分離及び単離すること、核酸を精製すること、ならびに特異的なアプタマー配列を同定することを含む。選択されたアプタマーの親和性を更に改良するために、このプロセスは、複数ラウンド行われ得る。このプロセスは、プロセスの1つ以上の時点での増幅ステップを含み得る。例えば、「Nucleic Acid Ligands」という表題の米国特許第5,475,096号を参照のこと。SELEXプロセスは、標的に共有結合するアプタマーだけでなく、標的に非共有結合するアプタマーを生成するためにも使用され得る。例えば、「Systematic Evolution of Nucleic Acid Ligands by Exponential Enrichment:Chemi-SELEX」という表題の米国特許第5,705,337号を参照のこと。
SELEXプロセスは、例えば、改善されたインビボ安定性または改善された送達特性などの改善された特性をアプタマーに付与する修飾ヌクレオチドを含有する高親和性アプタマーを同定するために使用され得る。かかる修飾の例としては、リボース及び/またはリン酸及び/または塩基の位置での化学的置換が挙げられる。SELEXプロセスにより同定された修飾ヌクレオチドを含有するアプタマーは、ピリミジンの5’位及び2’位で化学修飾されたヌクレオチド誘導体を含有するオリゴヌクレオチドを記載している、「High Affinity Nucleic Acid Ligands Containing Modified Nucleotides」という表題の米国特許第5,660,985号に記載されている。米国特許第5,580,737号(上記を参照のこと)は、2’-アミノ(2’-NH2)、2’-フルオロ(2’-F)、及び/または2’-O-メチル(2’-OMe)で修飾された1つ以上のヌクレオチドを含有する高度に特異的なアプタマーを記載している。物理的及び化学的特性が高められた核酸ライブラリーならびにSELEX及びフォトSELEX(photoSELEX)におけるその使用を記載している、「SELEX and PHOTOSELEX」という表題の米国特許出願公開番号第20090098549号も参照のこと。
SELEXは、所望の解離速度特性を有するアプタマーを同定するためにも使用され得る。標的分子に結合することができるアプタマーを作製するための改善されたSELEXプロセスを記載している、「Method for Generating Aptamers with Improved Off-Rates」という表題の米国特許出願公開第20090004667号を参照のこと。それぞれの標的分子からのより遅い解離速度を有するアプタマー及びフォトアプタマーを作製する方法が記載される。この方法は、候補混合物を標的分子と接触させること、核酸-標的複合体を形成させること、及び遅い解離速度のアプタマーを濃縮するプロセスであって、速い解離速度を有する核酸-標的複合体は解離し、再形成しないが、遅い解離速度を有する複合体はインタクトなままである、当該プロセスを実行することを含む。加えて、この方法は、解離速度性能が改善されたアプタマーを作製するために、候補核酸混合物の生成において修飾ヌクレオチドを使用することを含む。非限定的な例示的修飾ヌクレオチドとしては、例えば、図8に示される修飾ピリミジンが挙げられる。幾つかの実施形態では、アプタマーは、塩基修飾などの修飾を有する、少なくとも1つのヌクレオチドを含む。幾つかの実施形態では、アプタマーは、標的タンパク質との疎水性接触を可能にする疎水性塩基修飾などの疎水性修飾を有する、少なくとも1つのヌクレオチドを含む。幾つかの実施形態では、かかる疎水性接触は、アプタマーによるより高い親水性及び/またはより遅い解離速度の結合に寄与する。非限定的な例示的疎水性修飾を有するヌクレオチドを、図8に示す。幾つかの実施形態では、アプタマーは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、または少なくとも10の、疎水性修飾を有するヌクレオチドを含み、ここでは、各疎水性修飾は、互いに同一であってもまたは異なってもよい。幾つかの実施形態では、アプタマーにおける少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、または少なくとも10種の疎水性修飾は、図8に示される疎水性修飾から独立して選択され得る。
幾つかの実施形態では、遅い解離速度のアプタマー(疎水性修飾を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含むアプタマーが含まれる)は、≧30分、≧60分、≧90分、≧120分、≧150分、≧180分、≧210分、または≧240分の解離速度(t1/2)を有する。
幾つかの実施形態では、アッセイは、アプタマーがその標的分子に共有結合するか、またはそれに「光架橋」されることを可能にする光反応性官能基を含むアプタマーを用いる。例えば「Nucleic Acid Ligand Diagnostic Biochip」という表題の米国特許第6,544,776号を参照のこと。これらの光反応性アプタマーは、フォトアプタマーとも称される。例えば、それぞれ「Systematic Evolution of Nucleic Acid Ligands by Exponential Enrichment:Photoselection of Nucleic Acid Ligands and Solution SELEX」という表題の米国特許第5,763,177号、米国特許第6,001,577号、及び米国特許第6,291,184号を参照のこと。例えば「Photoselection of Nucleic Acid Ligands」という表題の米国特許第6,458,539号も参照のこと。マイクロアレイが試料と接触され、フォトアプタマーがその標的分子に結合する機会が与えられた後、フォトアプタマーが光活性化され、固体支持体が洗浄され、任意の非特異的に結合した分子が除去される。フォトアプタマー上の光活性化された官能基(複数可)により生成された共有結合のために、フォトアプタマーに結合している標的分子は通常除去されないため、厳格な洗浄条件が使用され得る。このようにして、アッセイは、試験試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカーレベルの検出を可能にする。
幾つかのアッセイフォーマットにおいて、アプタマーは、試料と接触させる前に固体支持体に固定化される。しかしながら、特定の状況下では、試料と接触させる前にアプタマーを固定化すると、最適なアッセイを提供しない可能性がある。例えば、アプタマーの事前の固定化は、固体支持体表面上でのアプタマーの標的分子との非効率的な混合をもたらし得、反応時間が長期化する可能性があり、従って、インキュベート時間の延長により、アプタマーのその標的分子との効率的な結合が可能となる。更に、フォトアプタマーがアッセイに用いられる場合、固体支持体として利用される物質に応じて、固体支持体は、フォトアプタマーとその標的分子との間の共有結合の形成に影響を与えるために使用される光を散乱させるか、または吸収する傾向を有し得る。更に用いられる方法に応じて、固体支持体の表面が使用される任意の標識薬剤にも曝露され得、それにより影響も受け得るため、アプタマーに結合したその標的分子の検出は不正確になりやすい。最後に、固体支持体上へのアプタマーの固定化は、一般に、アプタマーの試料への曝露前のアプタマー調製ステップ(すなわち、固定)を含み、この調製ステップは、アプタマーの活性または官能性に影響を及ぼし得る。
アプタマーが溶液中でその標的を捕捉するのを可能にし、次いで、検出前にアプタマー-標的混合物の特定の成分を除去するように設計されている分離ステップを用いるアプタマーアッセイも記載されている(「Multiplexed Analyses of Test Samples」という表題の米国特許出願公開第20090042206号を参照のこと)。記載されるアプタマーアッセイは、核酸(すなわち、アプタマー)を検出及び定量化することにより、試験試料中の非核酸標的(例えば、タンパク質標的)の検出及び定量化を可能にする。記載される方法は、非核酸標的を検出及び定量化するための核酸代用物(すなわち、アプタマー)を作製し、これにより、増幅が含まれる多種多様な核酸技術が、タンパク質標的が含まれるより広範囲の所望の標的に適用されることを可能にする。
アプタマーは、アプタマーバイオマーカー複合体(またはフォトアプタマーバイオマーカーの共有結合複合体)からのアッセイ成分の分離を容易にし、検出及び/または定量化のためのアプタマーの単離を可能にするように構築され得る。一実施形態では、これらの構築物は、アプタマー配列内に切断可能な要素または遊離可能な要素を含み得る。他の実施形態では、さらなる機能性をアプタマーに導入することができ、例えば、標識または検出可能成分、スペーサー成分、または特異的結合タグもしくは固定化要素を導入することができる。例えば、アプタマーは、切断可能な部分を介してアプタマーに連結されたタグ、標識、標識を隔てるスペーサー構成要素、及び切断可能な部分を含み得る。一実施形態では、切断可能な要素は、光切断性リンカーである。光切断性リンカーは、ビオチン部分及びスペーサー部分に結合され得、アミンの誘導体化のためのNHS基を含み得、ビオチン基をアプタマーに導入して、これにより、アッセイ法において後にアプタマーの放出を可能にするために使用され得る。
溶液中の全てのアッセイ成分を用いて行われる均一アッセイは、シグナル検出前の試料及び試薬の分離を必要としない。これらの方法は迅速であり、使いやすい。これら方法は、分子の捕捉または特異的な標的と反応する結合試薬に基づいてシグナルを生成する。本明細書に記載される方法の幾つかの実施形態では、分子捕捉試薬は、1種以上のアプタマーまたは抗体などを含み、当該1種以上のアプタマーまたは抗体などの各々の特異的な標的は、表1または表2に示されるバイオマーカーであり得る。
幾つかの実施形態では、シグナル生成方法は、フルオロフォア標識された捕捉試薬とその特異的なバイオマーカー標的との相互作用に起因する異方性のシグナル変化を利用する。標識された捕捉試薬がその標的と反応すると、分子量の増加により複合体に結合されたフルオロフォアの回転運動が非常に遅くなり、異方性値が変化する。異方性変化をモニタリングすることにより、結合事象を使用して、溶液中のバイオマーカーが定量的に測定され得る。他の方法としては、蛍光偏光アッセイ、分子ビーコン法、時間分解蛍光消光、化学発光、蛍光共鳴エネルギー移動などが挙げられる。
生体試料中のバイオマーカーレベルを検出するために使用され得る例示的な溶液ベースのアプタマーアッセイは、以下を含む: (a)当該生体試料を、第1のタグを含み、当該バイオマーカーに対して特異的な親和性を有するアプタマーと接触させることにより混合物を調製することであって、当該バイオマーカーが当該試料中に存在する場合、アプタマー親和性複合体が形成される、当該調製すること;(b)当該混合物を第1の捕捉要素を含む第1の固体支持体に曝露させ、当該第1のタグを当該第1の捕捉要素と会合させること;(c)当該第1の固体支持体と会合していない当該混合物の任意の成分を除去すること;(d)第2のタグを当該アプタマー親和性複合体のバイオマーカー成分に結合させること;(e)当該第1の固体支持体から当該アプタマー親和性複合体を放出させること;(f)放出されたアプタマー親和性複合体を第2の捕捉要素を含む第2の固体支持体に曝露し、当該第2のタグを当該第2の捕捉要素と会合させること;(g)複合体化していない任意のアプタマーを当該アプタマー親和性複合体から分けることにより、任意の複合体化していないアプタマーを当該混合物から除去すること;(h)固体支持体から当該アプタマーを溶出させること;及び(i)当該アプタマー親和性複合体の当該アプタマー成分を検出することにより当該バイオマーカーを検出すること、を含む。
アプタマー親和性複合体のアプタマー成分を検出することによりバイオマーカー値を検出するために、当該技術分野において公知の任意の手段が使用され得る。親和性複合体のアプタマー成分を検出するための多数の異なる検出方法、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ、質量分析、またはQPCRなどが使用され得る。幾つかの実施形態では、アプタマー親和性複合体のアプタマー成分を検出し、これにより、バイオマーカー値を検出するために、核酸配列決定法が使用され得る。要約すると、試験試料中に存在する1種以上のアプタマーの配列または複数の配列を同定及び定量化するために、当該試験試料が任意の種類の核酸配列決定法に供され得る。幾つかの実施形態では、配列は、アプタマー分子の全体または当該分子を一意的に識別するために使用され得る当該分子の任意の部分を含む。他の実施形態では、識別配列は、アプタマーに付加された特定の配列であり、かかる配列は、多くの場合、「タグ」、「バーコード」、または「ジップコード」と称される。幾つかの実施形態では、配列決定法は、アプタマー配列を増幅するため、または任意の位置に化学修飾を含有するRNA及びDNAが含まれる任意の種類の核酸を配列決定に適した任意の他の種類の核酸に変換するための酵素ステップを含む。
幾つかの実施形態では、配列決定法は、1つ以上のクローニングステップを含む。他の実施形態では、配列決定法は、クローニングを用いない直接配列決定法を含む。
幾つかの実施形態では、配列決定法は、試験試料中の1種以上のアプタマーを標的とする特異的プライマーを用いる指向性アプローチを含む。他の実施形態では、配列決定法は、試験試料中の全てのアプタマーを標的とするショットガンアプローチを含む。
幾つかの実施形態では、配列決定法は、配列決定の標的とされる分子を増幅するための酵素ステップを含む。他の実施形態では、配列決定法は、単一の分子を直接配列決定する。生体試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を検出するために使用され得る例示的な核酸配列決定ベースの方法は、以下を含む:(a)酵素ステップを用いて化学修飾されたヌクレオチドを含むアプタマーの混合物を、未修飾の核酸に変換すること;(b)大規模並列配列決定プラットフォーム、例えば、454シーケンシングシステム(454 Life Sciences/Roche)、Illuminaシーケンシングシステム(Illumina)、ABI SOLiDシーケンシングシステム(Applied Biosystems)、HeliScope1分子シーケンサー(Helicos Biosciences)もしくはPacific BioSciencesリアルタイム1分子シーケンシングシステム(Pacific BioSciences)、またはPolonator Gシーケンシングシステムズ(Dover Systems)などを用いて得られた未修飾の核酸をショットガン配列決定すること;ならびに(c)特異的な配列及び配列カウントにより当該混合物中に存在する当該アプタマーを同定及び定量化すること、を含む。
アプタマーを使用して生体試料中のバイオマーカーを検出する非限定的な例示的方法は、実施例1に記載される。更にKraemer et al.,2011,PLoS One 6(10):e26332も参照のこと。
イムノアッセイを使用したバイオマーカーレベルの決定
イムノアッセイ法は、抗体のその対応する標的または分析物に対する反応に基づいており、特定のアッセイフォーマットに応じて、試料中の分析物を検出することができる。免疫反応性に基づくアッセイ方法の特異性及び感度を改善するために、モノクローナル抗体及びそのフラグメントが、それらの特異的なエピトープ認識のために、頻繁に使用される。ポリクローナル抗体も、モノクローナル抗体と比較して標的に対する親和性が高いために、様々なイムノアッセイにおいて成功裏に使用されている。イムノアッセイは、広範囲の生物学的試料マトリックスと共に使用するように設計されている。イムノアッセイフォーマットは、定性的、半定量的、及び定量的な結果をもたらすように設計されている。
定量的な結果は、既知の濃度の検出されるべき特異的分析物を用いて作成された検量線を使用することにより得られる。未知の試料からの反応またはシグナルを検量線にプロットされ、未知の試料中の標的に対応する量またはレベルが決定される。
多数のイムノアッセイフォーマットが設計されている。ELISAまたはEIAは、分析物の検出について定量的であり得る。この方法は、分析物または抗体のいずれかへの標識の結合に基づいており、標識の構成要素は、直接的または間接的のいずれかで酵素を含む。ELISA試験は、分析物の直接的検出、間接的検出、競合的検出、またはサンドイッチ検出用のフォーマットであり得る。他の方法は、例えば、放射性同位体(I125)または蛍光などの標識に基づく。追加の技術としては、例えば、凝集、ネフェロメトリー、比濁法、ウェスタンブロット、免疫沈降、免疫細胞染色、免疫組織染色、フローサイトメトリー、Luminexアッセイなどが挙げられる(ImmunoAssay:A Practical Guide,Brian Law編,Taylor & Francis,Ltd.出版,2005年版を参照のこと)。
例示的なアッセイフォーマットとしては、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、放射免疫測定法、蛍光、化学発光、及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)または時間分解FRET(TR-FRET)イムノアッセイが挙げられる。バイオマーカーを検出するための手法の例としては、バイオマーカー免疫沈降、それに続くサイズ及びペプチドレベルの識別を可能にする定量方法、例えば、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、平面電気クロマトグラフィーなどが挙げられる。
検出可能な標識またはシグナル生成物質を検出及び/または定量化する方法は、標識の性質に依存する。適切な酵素により触媒される反応の産物(ここで、検出可能な標識は酵素である;上記を参照のこと)は、限定されるものではないが、蛍光、発光、もしくは放射能であり得、またはそれらは、可視光もしくは紫外線を吸収し得る。かかる検出可能な標識の検出に好適な検出器の例としては、限定されるものではないが、X線フィルム、放射能カウンター、シンチレーションカウンター、分光光度計、比色計、蛍光光度計、ルミノメーター、及び濃度計が挙げられる。
検出方法のいずれかは、任意の好適な調製、処理、及び反応の解析を可能にする任意のフォーマットで実行され得る。検出方法は、例えば、マルチウェルアッセイプレート(例えば、96ウェルまたは386ウェル)で、または任意の好適なアレイもしくはマイクロアレイを使用して実行され得る。様々な薬剤の貯蔵液が、手作業でまたはロボットにより作成され得、その後のピペット操作、希釈、混合、分配、洗浄、インキュベーション、試料読み取り、データ収集、及び解析の全てが、検出可能な標識を検出することができる市販の解析ソフトウェア、ロボット、及び検出機器を使用してロボットにより行われ得る。
遺伝子発現プロファイリングを使用したバイオマーカーレベルの決定
幾つかの実施形態では、当該生体試料中の対応するタンパク質のレベルを検出するために、生体試料中のmRNA測定が代用として利用され得る。従って、幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるバイオマーカーまたはバイオマーカーパネルは、適切なRNAを検出することにより検出され得る。
幾つかの実施形態では、mRNA発現レベルは、逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCRに続くqPCR)により測定される。RT-PCRは、mRNAからcDNAを作製するために使用される。cDNAは、DNA増幅プロセスが進行するにつれて蛍光を発生させるために、qPCRアッセイで使用され得る。qPCRでは、検量線との比較により、細胞当たりのmRNAのコピー数などの絶対測定が得られ得る。ノーザンブロット、マイクロアレイ、インベーダーアッセイ、及びRT-PCRと、キャピラリー電気泳動との組み合わせは、いずれも試料中のmRNA発現レベルを測定するために使用されてきた。Gene Expression Profiling:Methods and Protocols,Richard A.Shimkets,editor,Humana Press,2004を参照のこと。
インビボ分子イメージング技術を使用したバイオマーカーの検出
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるバイオマーカーは、分子イメージング試験において使用され得る。例えば、造影剤が、インビボでバイオマーカーを検出するために使用され得る捕捉試薬に結合され得る。
インビボイメージング技術は、対象の身体における特定の疾患の状態を決定するための非侵襲的方法を提供する。例えば、身体の全ての部分または身体全体が三次元画像として表示され得、これにより、体の形態及び構造に関する有益な情報を提供する。かかる技術は、インビボでのバイオマーカーに関する情報を提供するために、本明細書に記載されるバイオマーカーの検出と組み合わされ得る。
様々な技術の進歩により、インビボ分子イメージング技術が発展している。これらの進歩としては、身体内で強いシグナルを発生させ得る放射標識及び/または蛍光標識などの新規のコントラスト剤または標識の開発;ならびに身体外部からこれらのシグナルを十分な感度及び精度で検出及び解析して、有用な情報を提供することができる強力な新規のイメージング技術の開発が挙げられる。コントラスト剤は、適切なイメージングシステムで可視化され得、これにより、コントラスト剤が存在する身体の一部または複数部分の画像を提供する。コントラスト剤は、例えば、アプタマーもしくは抗体などの捕捉試薬、及び/またはペプチドもしくはタンパク質またはオリゴヌクレオチド(例えば、遺伝子発現を検出するため)、またはこれらのいずれかを1種以上の巨大分子及び/または他の粒子形態と共に含む複合体に結合され得るか、またはそれらと会合し得る。
コントラスト剤は、イメージングにおいて有用な放射性原子を特徴とするものであってもよい。好適な放射性原子としては、シンチグラフィー検査のためのテクネチウム99mまたはヨウ素123が挙げられる。他の容易に検出可能な部分としては、例えば、磁気共鳴画像(MRI)用のスピン標識であり、例えば、同様にヨウ素123、ヨウ素131、インジウム111、フッ素19、炭素13、窒素15、酸素17、ガドリニウム、マンガン、または鉄などが挙げられる。かかる標識は、当該技術分野において周知であり、当業者により容易に選択され得る。
標準的なイメージング技術としては、限定されるものではないが、磁気共鳴画像、コンピュータ断層撮影、陽電子放出断層撮影(PET)、単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)などが挙げられる。インビボ診断イメージングでは、利用可能な検出機器の種類が、所与のコントラスト剤、例えば、所与の放射性核種及びそれを使用して標的化される特定のバイオマーカー(タンパク質、mRNAなど)の選択において重要な因子となる。通常選択される放射性核種は、所与の種類の機器により検出可能なある種の減衰を示す。またインビボでの診断のために放射性核種を選択する場合、その半減期は、標的組織により最大限取り込まれた時に検出を可能にするほど十分に長く、宿主への有害な放射線が最小限にされるほど十分に短いものであるべきである。
例示的なイメージング技術としては、限定されるものではないが、対象に放射性核種が全身または局所投与されるイメージング技術であるPET及びSPECTが挙げられる。その後の放射性トレーサーの取り込みが経時的に測定され、標的とされる組織及びバイオマーカーに関する情報を得るために使用される。用いられる特定の同位体の高エネルギー(ガンマ線)放出、ならびにそれを検出するために使用される機器の感度及び精巧さにより、放射能の二次元分布が身体外部から推定され得る。
PETにおいて一般的に使用される陽電子放出核種としては、例えば、炭素11、窒素13、酸素15、及びフッ素18が挙げられる。SPECTでは、電子捕獲及び/またはガンマ放射により減衰する同位体が使用され、例えば、ヨウ素123及びテクネチウム99mが挙げられる。アミノ酸をテクネチウム99mで標識するための例示的な方法は、キレート前駆体の存在下で過テクネチウム酸イオンを還元して、不安定なテクネチウム99m-前駆体複合体を形成させることであり、次に、これは、二官能性修飾された走化性ペプチドの金属結合基と反応し、テクネチウム99m-走化性ペプチドコンジュゲートを形成する。
かかるインビボイメージング診断方法においては、抗体が頻繁に使用される。インビボでの診断用の抗体の調製及び使用は当該技術分野において周知である。同様に、アプタマーが、かかるインビボイメージング診断方法に使用されてもよい。例えば、本明細書に記載される特定のバイオマーカーを同定するために使用されたアプタマーが、インビボでバイオマーカーを検出するために、適切に標識され、対象に注射され得る。使用される標識は、前述したように、使用されるイメージング手法に従って選択される。アプタマー指向性造影剤は、組織透過性、生体内分布、動態、除去、効力、及び選択性に関して、他の造影剤と比較して固有かつ有利な特性を有し得る。
かかる技術は、任意に、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたイメージングにより遺伝子発現を検出するために、標識されたオリゴヌクレオチドを用いて実行されてもよい。これらの方法は、例えば、標識として蛍光分子または放射性核種を用いるin situハイブリダイゼーションで使用される。遺伝子発現を検出するための他の方法としては、例えば、レポーター遺伝子の活性の検出が挙げられる。
別の一般的な種類のイメージング技術は、対象内の蛍光シグナルが対象の外部にある光学装置により検出される光学イメージングである。これらのシグナルは、実際の蛍光及び/または生物発光に起因し得る。光学検出装置の感度の改善により、インビボでの診断アッセイのための光学イメージングの有用性が高まっている。
他の技術の総論については、N.Blow,Nature Methods,6,465-469,2009を参照のこと。
質量分析法を使用したバイオマーカーレベルの決定
バイオマーカーレベルを検出するために、種々の構成の質量分析計が使用され得る。数種類の質量分析計が利用可能であり、または様々な構成で製造され得る。一般的に、質量分析計は、以下の主な構成要素を有する:試料インレット、イオン源、質量分析器、検出器、真空システム、及び機器制御システム、及びデータシステム。試料インレット、イオン源、及び質量分析器における相違は、概して計測器のタイプ及びその能力を規定する。例えば、インレットは、キャピラリーカラム液体クロマトグラフィー源であり得、またはマトリックス支援レーザー脱離において使用されるようなダイレクトプローブもしくはステージであり得る。一般的なイオン源は、例えば、ナノスプレー及びマイクロスプレーが含まれるエレクトロスプレー、またはマトリックス支援レーザー脱離である。一般的な質量分析器としては、四重極質量フィルター、イオントラップ質量分析器、及び飛行時間型質量分析器が挙げられる。更なる質量分析法が当該技術分野において周知である(Burlingame et al.,Anal.Chem.70:647R-716R(1998);Kinter and Sherman,New York(2000)を参照のこと)。
タンパク質バイオマーカー及びバイオマーカーレベルは、以下のうちいずれかにより検出及び測定され得る:エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)、ESI-MS/MS、ESI-MS/(MS)n、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)、表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(SELDI-TOF-MS)、シリコンを用いた脱離/イオン化(DIOS)、二次イオン質量分析(SIMS)、四重極飛行時間型(Q-TOF)、UltraFlex III TOF/TOFと呼ばれるタンデム飛行時間型(TOF/TOF)技術、大気圧化学イオン化質量分析(APCI-MS)、APCI-MS/MS、APCI-(MS)N、大気圧光イオン化質量分析(APPI-MS)、APPI-MS/MS、及びAPPI-(MS)N、四重極質量分析、フーリエ変換質量分析(FTMS)、定量的質量分析、ならびにイオントラップ質量分析。
質量分析法によるタンパク質バイオマーカーの特徴付け及びバイオマーカーレベルの決定の前に、試料を標識及び濃縮するための試料調製戦略が使用される。標識方法としては、限定されるものではないが、相対または絶対定量用の等質量タグ(iTRAQ)、及び細胞培養液中のアミノ酸による安定同位体標識法(SILAC)が挙げられる。質量分光分析の前に試料中のバイオマーカータンパク質候補を選択的に濃縮するために使用される捕捉試薬としては、限定されるものではないが、アプタマー、抗体、核酸プローブ、キメラ、低分子物質、F(ab’)フラグメント、一本鎖抗体フラグメント、Fvフラグメント、一本鎖Fvフラグメント、核酸、レクチン、リガンド結合受容体、アフィボディ、ナノボディ、アンキリン、ドメイン抗体、代替的抗体スキャフォールド(例えば、ダイアボディなど)、インプリントポリマー、アビマー、ペプチドミメティック、ペプトイド、ペプチド核酸、トレオース核酸、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、及び合成受容体、ならびにこれらの改変型及びフラグメントが挙げられる。
近接ライゲーションアッセイを使用したバイオマーカーレベルの決定
バイオマーカー値を決定するために、近接ライゲーションアッセイが使用され得る。要約すると、一対の各メンバーがオリゴヌクレオチドで延長された、一対の抗体または一対のアプタマーであり得る一対の親和性プローブと試験試料が接触される。一対の親和性プローブの標的は、1種のタンパク質上の2つの異なる決定基であり得、またはホモもしくはヘテロ多量体の複合体として存在し得る2種の異なるタンパク質上の各々の1種の決定基であり得る。プローブが標的の決定基に結合すると、オリゴヌクレオチド延長部の自由端が、共にハイブリダイズするほど十分に近接する。オリゴヌクレオチド延長部のハイブリダイゼーションは、オリゴヌクレオチド延長部が十分に近接して配置される場合に、それらを共に架橋するのに役立つ共通のコネクターオリゴヌクレオチドにより促進される。プローブのオリゴヌクレオチド延長部がハイブリダイズしたら、延長部の末端が、酵素によるDNAライゲーションによって共に連結される。
各オリゴヌクレオチド延長部は、PCR増幅のためのプライマー領域を含む。オリゴヌクレオチド延長部が共にライゲーションされると、オリゴヌクレオチドは連続したDNA配列を形成し、この配列は、PCR増幅により、標的タンパク質の同一性及び量に関する情報、ならびに標的決定基が2種の異なるタンパク質上に存在する場合、タンパク質-タンパク質相互作用に関する情報を明らかにする。近接ライゲーションは、リアルタイムPCRを使用することによりリアルタイムのタンパク質濃度及び相互作用情報に関する高感度かつ特異的なアッセイを提供し得る。関心対象の決定基に結合しないプローブは、対応するオリゴヌクレオチド延長部を近接させることはなく、ライゲーションまたはPCR増幅は進行できず、シグナルの生成をもたらさない。
前述のアッセイは、CVイベントのリスクを予測するための方法に有用なバイオマーカー値の検出を可能にし、ここで、当該方法は、対象由来の生体試料中の、表1のバイオマーカーから選択される少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、もしくは13種のバイオマーカー;または表2のバイオマーカーのうちの少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種、少なくとも16種、少なくとも17種、少なくとも18種、少なくとも19種、少なくとも20種、少なくとも21種、少なくとも22種、少なくとも23種、少なくとも24種、少なくとも25種、少なくとも26種、もしくは全27種を検出することを含み、下記で述べるように、バイオマーカー値を使用した分類は、当該対象が、1年、2年、3年、または4年の期間内にCVイベントが発生する高いリスクを有するかどうかを示す。本明細書に記載される方法のいずれかによれば、バイオマーカー値は、個別に検出及び分類され得、または例えば、マルチプレックスアッセイフォーマットにおける様に、まとめて検出及び分類され得る。
バイオマーカーの分類及び疾患スコアの計算
幾つかの実施形態では、所与の診断試験のバイオマーカー「シグネチャ」は、1組のバイオマーカーを含み、各バイオマーカーは、関心対象の集団において特徴的なレベルを有する。幾つかの実施形態では、特徴的なレベルは、特定の群内の対象についてのバイオマーカーの平均または平均値を指し得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される診断方法は、対象由来の未知の試料を、2つの群のうちの一方、CVイベントの高いリスクを有する群またはそうでない群のいずれかに割り当てるために使用され得る。
試料を2つ以上の群のうちの1つに割り当てることは、分類として公知であり、この割り当てを達成するために使用される手法は分類子または分類法として公知である。分類法は、スコア化法とも称され得る。1組のバイオマーカーレベルから診断分類子を構築するために使用され得る多数の分類方法が存在する。場合によっては、分類法は、区別したい2つ(または多重分類状態の場合はそれより多く)の別個の群の個体から得られた試料を使用してデータセットが収集される、教師あり学習技術を使用して実行される。各試料が属するクラス(群または集団)が、予め試料毎に分かっているため、所望の分類応答が得られるように分類法が訓練され得る。教師なし学習技術を使用して、診断分類子を生成することも可能である。
診断分類子を開発するための一般的な手法としては、決定木;バギング+ブースティング+フォレスト;推論規則に基づく学習;パルゼン窓;線形モデル;ロジスティック曲線;ニューラルネットワーク法;教師なしクラスタリング;K平均法;階層的昇順分類/降順分類;半教師あり学習;プロトタイプ法;最近傍法;カーネル密度推定;サポートベクトルマシン;隠れマルコフモデル;ボルツマン学習が挙げられ、分類子は、単純に組み合わされ得るか、または特定の目的関数を最小化する方法で組み合わされ得る。総論に関して、例えば、Pattern Classification,R.O.Duda,et al.,editors,John Wiley & Sons,2nd edition,2001を参照のこと。The Elements of Statistical Learning - Data Mining,Inference,and Prediction,T.Hastie,et al.,editors,Springer Science+Business Media,LLC,2nd edition,2009も参照のこと。
教師あり学習技術を使用して分類子を生成するために、訓練データと呼ばれる1組の試料が取得される。診断試験の文脈において、訓練データは、後に未知の試料が割り当てられる異なる群(クラス)からの試料を含む。例えば、対照集団の対象から収集された試料、及び特定の疾患集団の対象から収集された試料は、未知の試料(または、より具体的には試料が取得された対象)を、疾患を有する、または疾患を有さないのいずれかに分類することができる分類子を開発するための訓練データを構成し得る。訓練データからの分類子の開発は、分類子の訓練として公知である。分類子の訓練に関する具体的な詳細は、教師あり学習技術の性質に依存する。単純ベイズ分類子の訓練は、このような教師あり学習技術の一例である(例えば、Pattern Classification,R.O.Duda,et al.,editors,John Wiley & Sons,2nd edition,2001;を参照のこと;The Elements of Statistical Learning - Data Mining,Inference,and Prediction,T.Hastie,et al.,editors,Springer Science+Business Media,LLC,2nd edition,2009も参照のこと)。単純ベイズ分類子の訓練は、例えば、米国特許公開第2012/0101002号及び同第2012/0077695号に記載されている。
通常、訓練セットの試料と比べて多数のより高いバイオマーカーレベルが存在する可能性があるため、過剰適合を回避するように配慮する必要がある。過剰適合は、統計モデルが、基礎をなす関係の代わりにランダムエラーまたはノイズを表す場合に起こる。過剰適合は、例えば、分類子開発の際に使用されたバイオマーカーの数を制限すること、バイオマーカーの応答が互いに独立していると仮定すること、用いられる基礎をなす統計モデルの複雑さを制限すること、及び基礎をなす統計モデルがデータに適合することを確実にすること、が含まれる種々の方法で回避され得る。
1組のバイオマーカーを使用した診断試験の開発の具体的な例としては、バイオマーカーの厳密な独立した処理によるベイズの定理に基づく単純な確率的分類子である、単純ベイズ分類子の適用が挙げられる。各バイオマーカーは、各クラスにおける測定されたRFU値または対数RFU(相対蛍光単位)値に関するクラス依存性確率密度関数(pdf)によって説明される。1つのクラスにおける1組のバイオマーカーに関する結合pdfは、各バイオマーカーに関する個々のクラス依存性pdfの積であると推定される。この文脈において単純ベイズ分類子を訓練することは、クラス依存性pdfを特徴付けるために、パラメータを割り当てること(「パラメータ化」)に等しい。クラス依存性pdfのために任意の基礎となるモデルが使用され得るが、モデルは、一般に、訓練セットにおいて観察されるデータに適合しなければならない。
単純ベイズ分類子の性能は、分類子を構築及び訓練するために使用されるバイオマーカーの数及び質に依存する。単一のバイオマーカーは、KS(コルモボロフ・スミルノフ)距離に従って働くであろう。良好なKS距離(例えば、>0.3)を有するバイオマーカーのその後の追加は、その後に追加されるバイオマーカーが第1のバイオマーカーから独立している場合、一般に、分類性能を改善するであろう。分類子スコアとして感度に加えて特異度を使用することにより、多数の高スコア化分類子が、グリーディ法の一種を用いて生成され得る。(グリーディ法は、大域的最適解を見つけるという目的で各段階において局所的に最適な選択を行う、問題解決のためのメタヒューリスティックに従う任意のアルゴリズムである)。
分類子性能を描写するための別の方法は、受信者動作特性(ROC)、または単純にROC曲線もしくはROCプロットによるものである。ROCは、2値分類子システムの識別閾値の変化に従う2値分類子システムの感度または真陽性率対偽陽性率(1-特異度または1-真陰性率)のグラフィカルプロットである。このROCは、陽性のうちの真陽性の比率(TPR=真陽性率)を、陰性のうちの偽陽性の比率(FPR=偽陽性率)に対してプロットすることによっても同等に表され得る。これは、基準の変化に従う2つの動作特性(TPR及びFPR)の比較であるため、相対動作特性曲線としても知られている。ROC曲線下面積(AUC)は、診断精度の集約尺度として一般的に使用される。これは、0.0~1.0の値を取り得る。AUCは、重要な統計的性質を有する。すなわち、分類子のAUCは、分類子が無作為に選択された正事例を無作為に選択された負事例よりも上位に順位付けする確率に等しい(Fawcett T,2006.An introduction to ROC analysis.Pattern Recognition Letters.27:861-874)。これは、ウィルコクソンの順位検定に相当する(Hanley,J.A.,McNeil,B.J.,1982.The meaning and use of the area under a receiver operating characteristic (ROC) curve.Radiology 143,29-36)。既知の参照基準に対する診断試験の性能を表現するための別の方法は、純再分類改善度であり、これは、新しい試験が、参照基準試験と比較して、リスクを正確に増加または減少させる能力である。例えば、Pencina et al.,2011,Stat.Med.30:11-21を参照のこと。ROC曲線下のAUCが、2クラスの分類子の性能を評価するのに最適であるが、層別化及び個別化医療は、集団が2よりも多くのクラスを含むという推論に依存する。かかる比較については、上位四分位数対下位四分位数(または十分位数などの他の階層化)のハザード比がより適切に使用され得る。
本発明によって可能になるリスク及び可能性予測は、初期治療中の対象もしくは専門心血管センターにおける対象に適用されてもよく、または更には消費者を対象としてもよい。幾つかの実施形態では、イベントを予測するために使用される分類子は、これらが適用される集団に対するいくらかの較正を必要とし得、これは、例えば、民族性または地域に起因する変動が存在し得るためである。幾つかの実施形態では、かかる較正は、大集団での試験によりあらかじめ確立され得、従って、個々の患者に適用される場合に、これらがリスク予測を行う前に組み込まれる。静脈血試料が採取され、適切に処理され、本明細書に記載されるように解析される。解析が完了すると、リスク予測が、遺伝学または人口統計などの本明細書に記載される医療記録からの他のメタデータを組み込み、または組み込まずに、数学的になされ得る。消費者の専門知識のレベルに応じて、様々な形式の情報の出力が可能である。最も単純な種類の出力を求める消費者に対しては、幾つかの実施形態では、情報は、「この人は、今後x年(ここで、xは1~4である)にイベントを起こす可能性があるか、はい/いいえ」であってもよく、または代替的に「信号機」の赤色/オレンジ色/緑色に類似するものであってもよく、または高/中/低リスクなどの言葉または書面によるその等価物であってもよい。より詳細を求める消費者に対しては、幾つかの実施形態では、リスクは、単位時間当たりのイベントの確率を連続的なスコアとして示す数もしくは図式として、またはより多数の層(例えば、十分位数)として、及び/またはイベント及び/または最も可能性の高い種類のイベントが起きるまでの平均時間として、出力され得る。幾つかの実施形態では、出力は、治療勧告を含み得る。同じ患者の経時的な縦断的モニタリングは、介入に対する応答または生活様式の変化をグラフに示すことを可能にするであろう。幾つかの実施形態では、患者のニーズ及び異なるレベルの専門知識を有する医療管理チームの個々のメンバーのニーズを満たすために、2種類以上の出力が同時に提供され得る。
幾つかの実施形態では、対象由来の血液試料(例えば、血漿試料または血清試料)中の表1または表2に示されるバイオマーカーが、例えば、遅い解離速度のアプタマーなどのアプタマーを使用して検出される。対数RFU値を使用して、対象がCVイベントを起こすリスクもしくは可能性、または予後予測指数(PI)が計算される。
PIが与えられれば、対象が今後「t」年に心血管イベント(CVイベント)に罹患する確率は、以下の式により得られる。
Figure 2022546515000002
式中、PIは、予後予測指数(または線形予測子)であり、sは、極値分布の関連する尺度パラメータである。各種の実施形態では、「t」は、5年以下、4年以下、3年以下、または2年以下である。
キット
例えば、本明細書において開示される方法を実行するのに使用するための好適なキットを使用して、本明細書に記載されるバイオマーカーの任意の組み合わせが検出され得る。更に、任意のキットが、本明細書に記載されるような1種以上の検出可能な標識、例えば、蛍光部分などを含み得る。
幾つかの実施形態では、キットは、(a)生体試料中の1種以上のバイオマーカーであって、当該バイオマーカーが、表1のバイオマーカーから選択される少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、もしくは13種のバイオマーカー;または表2のバイオマーカーの少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種、少なくとも16種、少なくとも17種、少なくとも18種、少なくとも19種、少なくとも20種、少なくとも21種、少なくとも22種、少なくとも23種、少なくとも24種、少なくとも25種、少なくとも26種、もしくは27種全てを含む、当該1種以上のバイオマーカーを検出するための1種以上の捕捉試薬(例えば、少なくとも1種のアプタマーまたは抗体);及び任意に、(b)当該生体試料が得られた対象を、本明細書において更に記載されるように、高いCVイベントリスクを有するもしくは有さないのいずれかに分類するための、または対象が高いCVイベントリスクを有する可能性を決定するための1つ以上のソフトウェアまたはコンピュータプログラム製品を含む。あるいは、1つ以上のコンピュータプログラム製品ではなく、上記のステップを人が手作業で実行するための1つ以上の使用説明書が提供され得る。
幾つかの実施形態では、キットは、固体支持体、捕捉試薬、及びシグナルを生成する物質を含む。キットは、装置及び試薬の使用、試料の取り扱い、及びデータ解析についての使用説明書も含み得る。更に、キットは、生体試料を解析し、その解析結果を報告するためのコンピュータシステムまたはソフトウェアと共に使用され得る。
キットは、生体試料を処理するための1種以上の試薬(例えば、可溶化緩衝液、界面活性剤、洗浄液、または緩衝液)も含み得る。本明細書に記載されるキットのいずれかは、例えば、緩衝液、ブロッキング剤、質量分析用マトリックス物質、抗体捕捉剤、陽性対照試料、陰性対照試料、ソフトウェア、及び情報、例えば、プロトコール、指針、及び参考データも含み得る。
幾つかの実施形態では、CVイベントリスクの状態を解析するためのキットが提供され、ここで、当該キットは、本明細書に記載されるバイオマーカーに特異的な1種以上のアプタマー用のPCRプライマーを含む。幾つかの実施形態では、キットは、バイオマーカーの使用説明書及びCVイベントのリスクの予測との関係に関する説明書を更に含み得る。幾つかの実施形態では、キットは、本明細書に記載されるバイオマーカーに特異的な1種以上のアプタマーの相補体を含有するDNAアレイ、試薬、及び/または試料DNAを増幅または単離するための酵素も含み得る。幾つかの実施形態では、キットは、リアルタイムPCRのための試薬、例えば、TaqManプローブ及び/またはプライマー、ならびに酵素を含み得る。
例えば、キットは、(a)試験試料中の1種以上のバイオマーカーのレベルを決定するための少なくとも1種の捕捉試薬を含む試薬、及び任意に、(b)当該試験試料中の定量化された各バイオマーカーの量を1つ以上の所定のカットオフ値と比較するステップを実行するための1以上のアルゴリズムまたはコンピュータプログラムを含み得る。幾つかの実施形態では、アルゴリズムまたはコンピュータプログラムは、上記比較に基づいて、定量化された各バイオマーカーにスコアを割り当て、幾つかの実施形態では、合計スコアを得るために、定量化された各バイオマーカーの割り当てられたスコアを合わせる。更に、幾つかの実施形態では、アルゴリズムまたはコンピュータプログラムは、合計スコアを所定のスコアと比較し、対象が高いCVイベントリスクを有するかどうかを決定するために、この比較を使用する。あるいは、1つ以上のアルゴリズムまたはコンピュータプログラムではなく、上記のステップを人が手作業で実行するための1つ以上の使用説明書が提供され得る。
バイオマーカーパネル
幾つかの実施形態では、表1に列挙されるバイオマーカーのうちの1つ以上が検出される。幾つかの実施形態では、以下の表に列挙されるバイオマーカーのうちの全てが検出される。幾つかの実施形態では、表1に列挙される各タンパク質のレベルが検出される。幾つかの実施形態では、対象が既定期間内に一次CVイベントを起こすリスクまたは可能性を決定するために、1種以上のバイオマーカーまたは全てバイオマーカーの検出が実行される。幾つかのかかる実施形態では、既定期間は、1年、2年、3年、4年、または5年である。幾つかの実施形態では、既定期間は、4年である。
Figure 2022546515000003
幾つかの実施形態では、表2に列挙されるバイオマーカーのうちの1つ以上が検出される。幾つかの実施形態では、以下の表に列挙されるバイオマーカーのうちの全てが検出される。幾つかの実施形態では、表2に列挙される各タンパク質のレベルが検出される。幾つかの実施形態では、対象が既定期間内に二次CVイベントを起こすリスクまたは可能性を決定するために、1種以上のバイオマーカーまたは全てバイオマーカーの検出が実行される。幾つかのかかる実施形態では、既定期間は、1年、2年、3年、4年、または5年である。幾つかの実施形態では、既定期間は、4年である。
Figure 2022546515000004
Figure 2022546515000005
コンピュータ方法及びソフトウェア
対象におけるCVイベントのリスクまたは可能性を評価するための方法は、以下を含み得る:1)生体試料を得ること;2)分析方法を実行して、生体試料中のパネルのバイオマーカーまたはバイオマーカーのセットを検出及び測定すること;3)任意のデータの正規化または標準化を任意に実行すること;4)各バイオマーカーのレベルを決定すること;及び5)結果を報告すること。幾つかの実施形態では、結果は、集団/対象の民族性に対して較正される。幾つかの実施形態では、バイオマーカーレベルは、何らかの方法で組み合わされ、組み合わされたバイオマーカーレベルについての単一の値が報告される。このアプローチにおいて、幾つかの実施形態では、スコアは、疾患の存在または非存在の指標である予め設定された閾値と比較される、全てのバイオマーカーの統合により決定される単一の数値であり得る。あるいは診断または予測スコアは、各々がバイオマーカー値を示す一連のバーであり得、応答パターンが、疾患、状態、またはイベントの高い(または高くない)リスクの存在または非存在の決定のための予め設定されたパターンと比較され得る。
本明細書に記載される方法の少なくとも幾つかの実施形態は、コンピュータを用いて実施され得る。図6にコンピュータシステム100の例を示す。図6を参照すると、システム100は、プロセッサ101、入力装置102、出力装置103、記憶装置104、コンピュータ可読記憶媒体リーダー105a、通信システム10 6、加速処理装置(例えば、DSPまたは特殊用途のプロセッサ)107、及びメモリ109を含む、バス108を介して電気的に接続されたハードウェア要素から構成されることが示される。コンピュータ可読記憶媒体リーダー105aは、更にコンピュータ可読記憶媒体105bに接続され、この組み合わせは、包括的に、コンピュータ可読情報を一時的及び/またはより持続的に収容するための、遠隔、局所、固定、及び/または取り外し可能な記憶装置を加えた記憶媒体、メモリなどに相当し、この組み合わせは、記憶装置104、メモリ109、及び/または他のかかる任意のアクセス可能なシステム100リソースを含む。システム100は、オペレーティングシステム192、及び他のコード193、例えば、プログラム、データなどが含まれるソフトウェア要素(ここでは作業メモリ191内に存在するものとして示される)も含む。
図6を参照すると、システム100は、幅広い柔軟性及び構成可能性を有する。従って、例えば、単一のアーキテクチャーが1つ以上のサーバーを実装するために利用され得、かかるサーバーは更に、一般に望ましいプロトコール、プロトコール変更、拡張などに従って更に構成され得る。しかしながら、より特定のアプリケーション要求に従って実施形態が利用されるであろうことが、当業者にとって明らかである。例えば、1つ以上のシステム要素が、システム100の構成要素内の(例えば、通信システム106内の)下位要素として実装され得る。カスタマイズされたハードウェアが利用されてもよく、及び/またはハードウェア、ソフトウェア、もしくは両方において特定の要素が実装され得る。更に、ネットワーク入力/出力装置(図示せず)などの他のコンピューティングデバイスへの接続が用いられ得るが、他のコンピューティングデバイスへの有線、無線、モデム、及び/または他の接続または複数の接続が利用されていてもよいことを理解されたい。
一態様では、システムは、CVイベントのリスクの予測特性を示すバイオマーカーの特徴を含むデータベースを含み得る。バイオマーカーデータ(またはバイオマーカー情報)は、コンピュータ実施方法の一部として使用するためのコンピュータへの入力として利用され得る。バイオマーカーデータは、本明細書に記載されるデータを含み得る。
一態様では、システムは、入力データを1つ以上のプロセッサに提供するための1つ以上の装置を更に含む。
システムは、順位付けされたデータ要素のデータセットを保存するためのメモリを更に含む。
別の態様では、入力データを提供するための装置は、例えば、質量分析計または遺伝子チップリーダーなどのデータ要素の特徴を検出するための検出器を含む。
システムは、追加的にデータベース管理システムを含み得る。ユーザーの要求または問い合わせは、問い合わせを処理して訓練セットのデータベースからの関連情報を抽出するデータベース管理システムにより理解される適切な言語でフォーマットされ得る。
システムは、ネットワークサーバー及び1つ以上のクライエントが接続されるネットワークに接続可能であり得る。ネットワークは、当該技術分野において周知のように、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域エリアネットワーク(WAN)であり得る。好ましくは、サーバーは、ユーザーの要求を処理するためにデータベースのデータにアクセスするためのコンピュータプログラム製品(例えば、ソフトウェア)を実行するのに必要なハードウェアを含む。
システムは、データベース管理システムからの命令を実行するためのオペレーティングシステム(例えば、UNIXまたはLinux)を含み得る。一態様では、オペレーティングシステムは、インターネットなどのグローバル通信ネットワーク上で動作し得、このようなネットワークに接続するためのグローバル通信ネットワークサーバーを利用し得る。
システムは、当該技術分野において公知のグラフィカルユーザーインターフェースにおいて通常見出されるようなボタン、プルダウンメニュー、スクロールバー、テキスト入力用フィールドなどインターフェース要素を含むグラフィカルディスプレイインターフェースを含む1つ以上の装置を含み得る。ユーザーインターフェースで入力される要求は、1つ以上のシステムデータベースで関連情報を検索するためにフォーマットするためのシステム中のアプリケーションプログラムに送信され得る。ユーザーにより入力される要求または問い合わせは、任意の好適なデータベース言語で構築され得る。
グラフィカルユーザーインターフェースは、オペレーティングシステムの一部としてグラフィカルユーザーインターフェースコードにより生成され得、データを入力するため、及び/または入力されたデータを表示するために使用され得る。処理されたデータの結果は、インターフェースに表示され得、システムと通信する印刷機で印刷され得、記憶装置に保存され得、及び/またはネットワークを介して送信され得、またはコンピュータ可読媒体の形態で提供され得る。
システムは、システムにデータ要素に関するデータ(例えば、発現値)を提供するための入力装置と通信し得る。一態様では、入力装置は、例えば、質量分析計、遺伝子チップ、またはアレイリーダーなどが含まれる、遺伝子発現プロファイリングシステムを含み得る。
種々の実施形態に従って、CVイベントリスク予測のバイオマーカー情報を解析するための方法及び装置が、任意の好適な方式で、例えば、コンピュータシステムで動作するコンピュータプログラムを使用して実装され得る。リモートアクセス可能なアプリケーションサーバー、ネットワークサーバー、パーソナルコンピュータ、またはワークステーションなどの、プロセッサ及びランダムアクセスメモリを含む従来のコンピュータシステムが使用され得る。追加のコンピュータシステム要素としては、記憶装置または情報記憶システム、例えば、大容量記憶システム及びユーザーインターフェース、例えば、従来型のモニター、キーボード、及びトラッキング装置が挙げられ得る。コンピュータシステムは、独立型システム、またはサーバー及び1つ以上のデータベースを含むコンピュータのネットワークの一部であり得る。
CVイベントリスク予測バイオマーカー解析システムは、データ収集、処理、解析、報告、及び/または診断などのデータ解析を完了するための機能及び操作を提供し得る。例えば、一実施形態では、コンピュータシステムは、CVイベントリスク予測バイオマーカーに関する情報を受信、保存、検索、解析、及び報告し得るコンピュータプログラムを実行し得る。コンピュータプログラムは、様々な機能または操作を実行する複数のモジュール、例えば、生データを処理し、補足データを生成するための処理モジュール、ならびに生データ及び補足データを解析して、CVイベントリスクの予測状態及び/または診断またはリスク計算を生成するための解析モジュールを含み得る。CVイベントのリスク状態の計算は、疾患、状態、またはイベントと関連する個体の状態に関する追加の生物医学的情報が含まれる、任意の他の情報を生成または回収すること、更なる試験が望ましい可能性があるかどうかを確認すること、またはそうでなければ個体の健康状態を評価すること、を任意に含み得る。
本明細書に記載される幾つかの実施形態は、コンピュータプログラム製品を含むように実装され得る。コンピュータプログラム製品は、アプリケーションプログラムをデータベースを有するコンピュータで実行させるための媒体で具体化されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読媒体を含み得る。
本明細書で使用する場合、「コンピュータプログラム製品」は、任意の性質(例えば、文書、電子、磁気、光学、または別の様式)の物理媒体に含まれ、コンピュータまたは他の自動データ処理システムで使用され得る、自然またはプログラミング言語ステートメントの形態で組織化された命令セットを指す。かかるプログラミング言語ステートメントは、コンピュータまたはデータ処理システムで実行される場合、コンピュータまたはデータ処理システムを、特定の内容のステートメントに従って作動させる。コンピュータプログラム製品としては、限定されるものではないが、ソース及びオブジェクトコードでのプログラム、及び/またはコンピュータ可読媒体に記憶されたテストまたはデータライブラリーが挙げられる。更に、コンピュータシステムまたはデータ処理装置を事前に選択された方式で作動させることを可能にするコンピュータプログラム製品が、限定されるものではないが、オリジナルソースコード、アセンブリコード、オブジェクトコード、機械言語、前述の暗号化または圧縮されたバージョン、及び任意の等価物が含まれる、多数の形態で提供され得る。
一態様では、CVイベントのリスクを評価するためのコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は、コンピューティングデバイスまたはシステムのプロセッサにより実行可能なプログラムコードを具体化するコンピュータ可読媒体を含み、当該プログラムコードは、対象由来の生体試料に起因するデータであって、各々が表1または表2のバイオマーカーのうちの1種に対応するバイオマーカーレベルを含む、当該データを取り出すコード;及びバイオマーカー値の関数として当該対象のCVイベントリスクの状態を示す分類法を実行するコードを含む。
更に別の態様では、CVイベントの可能性またはリスクを示すためのコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は、コンピューティングデバイスまたはシステムのプロセッサにより実行可能なプログラムコードを具体化するコンピュータ可読媒体を含み、当該プログラムコードは、対象由来の生体試料に起因するデータであって、表1または表2に提供されるバイオマーカーから選択される少なくとも1種のバイオマーカーに対応する当該生体試料における少なくとも1種のバイオマーカー値を含む、当該データを取り出すコード;及びバイオマーカー値の関数として当該対象のCVイベントリスクの状態を示す分類法を実行するコードを含む。
種々の実施形態が方法または装置として記載されたが、実施形態は、コンピュータと併用されるコード、例えば、コンピュータに内在するか、またはコンピュータによりアクセス可能なコードを介して実施され得ることを理解するべきである。例えば、ソフトウェア及びデータベースが、多数の上記の方法を実施するために利用され得る。従って、ハードウェアにより達成される実施形態に加えて、これらの実施形態が、本明細書で開示された機能の実行可能性をもたらす、コンピュータ可読プログラムコードを具体化したコンピュータ使用可能な媒体から構成される製造物品を使用することより達成され得ることにも留意されたい。従って、それらのプログラムコード手段においても実施形態が本特許によって同様に保護されるものとみなされることが望ましい。更に、実施形態は、RAM、ROM、磁気媒体、光学媒体、または磁気光学媒体が含まれるが、それらに限定されない、実質的に任意の種類のコンピュータ可読メモリに保存されたコードとして具体化され得る。更により一般的には、実施形態は、限定されるものではないが、汎用プロセッサで作動するソフトウェア、マイクロコード、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、または特定用途向け集積回路(ASIC)が含まれる、ソフトウェアで、またはハードウェアで、またはそれらの任意の組み合わせで実施され得る。
更に実施形態が、搬送波で具体化されるコンピュータシグナル、及び伝送媒体を介して伝搬されるシグナル(例えば、電気及び光学)として達成され得ることも想定される。従って、上記の様々な種類の情報は、データ構造などの構造でフォーマットされ得、伝送媒体を介して電気信号として送信され得るか、またはコンピュータ可読媒体に保存され得る。
本明細書に列挙された多数の構造、材料、及び行為が、機能を実行するための手段または機能を実行するためのステップとして列挙され得ることにも留意されたい。従って、かかる言葉は、参照により組み込まれる事項を含め、本明細書内で開示されたかかる全ての構造、材料、または行為、及びそれらの等価物を包含することができることを理解すべきである。
本明細書において開示されたバイオマーカーの利用、及びバイオマーカー値を決定するための種々の方法は、CVイベントのリスクの評価に関して詳述される。しかしながら、プロセスの用途、同定されたバイオマーカーの使用、及びバイオマーカー値を決定するための方法は、他の特定種類の心血管状態、任意の他の疾患もしくは医学的状態、または補助的な医学的処置により恩恵を受ける可能性があるか、もしくはその可能性がない対象の同定に十分に適用可能である。
他の方法
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるバイオマーカー及び方法は、医療保険料もしくは補償範囲決定及び/または生命保険料もしくは補償範囲決定を決定するために使用される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される方法の結果は、医療保険料及び/または生命保険料を決定するために使用される。幾つかのかかる例では、医療保険または生命保険を提供する組織は、対象のCVイベントのリスクまたは可能性に関する情報を要求または別様に取得し、その情報を使用して、対象の適切な医療保険または生命保険料を決定する。幾つかの実施形態では、医療保険または生命保険を提供する組織により検査が要求され、当該組織により代金が支払われる。幾つかの実施形態では、検査は、事業または保険制度または企業の買収候補者により、将来の債務またはコストを予測し、買収を進めるべきかを決定するために使用される。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるバイオマーカー及び方法は、医療資源の利用を予測及び/または管理するために使用される。幾つかのかかる実施形態では、本方法はかかる予測の目的で実施されないが、本方法により取得された情報は、このような医療資源の利用の予測及び/または管理において使用される。例えば、検査施設または病院は、特定の施設または特定の地理的地域における医療資源の利用を予測及び/または管理するために、本方法により多数の対象に関する情報を集め得る。
以下の実施例は、単に例示目的で提供されるものであり、添付の特許請求の範囲により定義される本出願の範囲を限定することを意図しない。以下の実施例に記載される定型的な分子生物学技術は、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd.ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(2001)などの標準的な実験マニュアルに記載されるように実行され得る。
実施例1:アプタマーを使用した例示的なバイオマーカー検出
試料中の1種以上のバイオマーカータンパク質を検出する例示的な方法は、例えば、Kraemer et al.,PLoS One 6(10):e26332において記載されており、以下に記載される。3つの異なる定量化方法:マイクロアレイベースのハイブリダイゼーション、Luminexビーズベースの方法、及びqPCRが記載される。
試薬
HEPES、NaCl、KCl、EDTA、EGTA、MgCl、及びTween-20は、例えば、Fisher Biosciencesから購入され得る。名目上分子量が8000のデキストラン硫酸ナトリウム塩(DxSO4)は、例えば、AICから購入され得、1回の交換で少なくとも20時間、脱イオン水に対して透析される。KOD EX DNAポリメラーゼは、例えば、VWRから購入され得る。塩化テトラメチルアンモニウム及びCAPSOは、例えば、Sigma-Aldrichから購入され得、ストレプトアビジン-フィコエリトリン(SAPE)は、例えば、Moss Incから購入され得る。4-(2-アミノエチル)-ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩(AEBSF)は、例えば、Gold Biotechnologyから購入され得る。ストレプトアビジンがコーティングされた96ウェルプレートは、例えば、Thermo Scientificから購入され得る(Pierce Streptavidin Coated Plates HBC、透明、96ウェル、製品番号15500または15501)。NHS-PEO4-ビオチンは、例えば、Thermo Scientificから購入され得(EZ-Link NHS-PEO4-Biotin、製品番号21329)、無水DMSO中に溶解され、1回使用アリコートで凍結保存され得る。IL-8、MIP-4、リポカリン-2、RANTES、MMP-7、及びMMP-9は、例えば、R&D Systemsから購入され得る。レジスチン及びMCP-1は、例えば、PeproTechから購入され得、tPAは、例えば、VWRから購入され得る。
核酸
従来のオリゴデオキシヌクレオチド(アミン置換及びビオチン置換を含む)は、例えば、Integrated DNA Technologies(IDT)から購入され得る。Z-ブロック(Z-Block)は、5’-(AC-BnBn)7-AC-3’の配列の一本鎖オリゴデオキシヌクレオチドであり、ここで、Bnはベンジル置換デオキシウリジン残基を示す。Z-ブロックは、従来のホスホロアミダイト化学を使用して合成され得る。アプタマー捕捉試薬は、従来のホスホロアミダイト化学により合成され得、例えば、Waters Autopurification 2767システム(またはWaters 600シリーズ半自動システム)で80℃にて動作する21.5×75mmのPRP-3カラムで、例えば、timberline TL-600またはTL-150ヒーター及び生成物を溶出させるための重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)/ACNの勾配を使用して精製され得る。検出は260nmで実行され、主ピークにわたって画分が回収された後に、最も良好な画分がプールされる。
緩衝液
緩衝液SB18は、40mMのHEPES、101mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl2、及び0.05%(v/v)のTween 20から構成され、NaOHでp H7.5に調整される。緩衝液SB17は、1mMのEDTA三ナトリウムを補足したSB18である。緩衝液PB1は、10mMのHEPES、101mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl2、1mMのEDTA三ナトリウム、及び0.05%(v/v)のTween-20から構成され、NaOHでpH7.5に調整される。CAPSO溶出緩衝液は、100mMのCAPSO(pH10.0)及び1MのNaClからなる。中和緩衝液は、500mMのHEPES、500mMのHCl、及び0.05%(v/v)のTween-20を含有する。Agilent Hybridization Bufferは、キット(Oligo aCGH/ChIP-on-chipハイブリダイゼーションキット)の一部として供給される独自の配合物である。Agilent Wash Buffer 1は、独自の配合物である(Oligo aCGH/ChIP-on-chip Wash Buffer 1、Agilent)。Agilent Wash Buffer 2は、独自の配合物である(Oligo aCGH/ChIP-on-chip Wash Buffer 2、Agilent)。TMACハイブリダイゼーション溶液は、4.5Mの塩化テトラメチルアンモニウム、6mMのEDTA三ナトリウム、75mMのTris-HCl(pH8.0)、及び0.15%(v/v)のサルコシルからなる。KOD緩衝液(10倍濃縮)は、1200mMのTris-HCl、15mMのMgSO4、100mMのKCl、60mM(NH4)2SO4、1%v/vのトリトン-X100、及び1mg/mLのBSAからなる。
試料調製
血清(100μLのアリコートで-80℃にて保存)を25℃のウオーターバスで10分間解凍し、次いで、試料希釈前に氷上で保存する。試料を、穏やかに8秒間ボルテックスすることにより混合する。0.6mMのMgCl2、1mMの三ナトリウムEGTA、0.8mMのAEBSF、及び2μMのZ-Blockを補足した0.94×SB17中に希釈することにより6%の血清試料溶液を調製する。6%の血清貯蔵液の一部をSB17中に10倍希釈して、0.6%の血清貯蔵液を作成する。幾つかの実施形態では、6%及び0.6%の貯蔵液を、それぞれ高存在量及び低存在量分析物を検出するために使用する。
捕捉試薬(アプタマー)及びストレプトアビジンプレートの調製
アプタマーを、それらの関連する分析物(またはバイオマーカー)の相対存在量に従って2つの混合物に分類する。貯蔵液濃度は、各アプタマーについて4nMであり、各アプタマーの最終濃度は、0.5nMである。アプタマー貯蔵液混合物をSB17緩衝液中に4倍希釈し、使用前に95℃まで5分間加熱し、15分間にわたり37℃まで冷却する。この変性-再生サイクルは、アプタマーの立体構造異性体分布を正常化し、これにより、履歴の変動にかかわらず再現性のあるアプタマー活性を確実にすることを目的とする。ストレプトアビジンプレートを、使用前に150μLの緩衝液PB1で2回洗浄する。
インキュベーション及びプレートでの捕捉
加熱-冷却した2×アプタマー混合物(55μL)を、等容量の6%または0.6%の血清希釈物と合わせ、3%及び0.3%の血清を含有する混合物を作成する。プレートをシリコン製シーリングマット(Axymatのシリコン製シーリングマット、VWR)で密閉し、37℃で1.5時間インキュベートする。次いで、混合物を洗浄済みの96ウェルストレプトアビジンプレートのウェルに移し、37℃に設定したEppendorf Thermomixer上で800rpmで振盪しながら更に2時間インキュベートする。
手動でのアッセイ
特に明記しない限り、液体は、それを廃棄し、続いて、重ねたペーパータオル上で2回タップすることにより除去する。洗浄容量は150μLであり、全ての振盪インキュベーションは、25℃、800rpmに設定したEppendorf Thermomixer上で行う。混合物をピペット操作により除去し、プレートを、1mMの硫酸デキストラン及び500μMのビオチンを補足した緩衝液PB1で1分間、2回洗浄し、次いで、緩衝液PB1で15秒間、4回洗浄する。緩衝液PB1(150μL/ウェル)中1mMのNHS-PEO4-ビオチンの新たに作成した溶液を添加し、プレートを振盪しながら5分間インキュベートする。NHS-ビオチン溶液を除去し、プレートを20mMのグリシンを補足した緩衝液PB1で3回洗浄し、緩衝液PB1で3回洗浄する。次いで、1mMのDxSO4を補足した85μLの緩衝液PB1を各ウェルに添加し、プレートをBlackRay紫外線ランプ(表示波長365nm)下で5cm離して振盪しながら20分間照射する。試料を、新たな洗浄済みのストレプトアビジンがコーティングされたプレート、または既存の洗浄済みストレプトアビジンプレートの未使用ウェルに移し、高及び低希釈試料混合物を単一のウェルに合わせる。試料を振盪しながら室温にて10分間インキュベートする。未吸着物質を除去し、30%のグリセロールを補足した緩衝液PB1でそれぞれ15秒間、8回洗浄する。次いで、プレートを緩衝液PB1で1回洗浄する。100μLのCAPSO溶出緩衝液を用いて、アプタマーを室温で5分間溶出させる。90μLの溶出液を96ウェルのHybAidプレートに移し、10μLの中和緩衝液を添加する。
半自動化アッセイ
吸着された混合物を有するストレプトアビジンプレートを、BioTek EL406プレート洗浄機のデッキに配置する。洗浄機は、以下のステップを実行するようにプログラムされている。未吸着物質を吸引により除去し、ウェルを1mMの硫酸デキストラン及び500μMのビオチンを補足した300μLの緩衝液PB1で4回洗浄する。次いで、ウェルを300μLの緩衝液PB1で3回洗浄する。新たに調製した(DMSO中100mMの貯蔵液から)150μLの緩衝液PB1中1mMのNHS-PEO4-ビオチンの溶液を添加する。プレートを振盪しながら5分間インキュベートする。液体を吸引し、ウェルを10mMのグリシンを補足した300μLの緩衝液PB1で8回洗浄する。1mMの硫酸デキストランを補足した100μLの緩衝液PB1を添加する。これらの自動化ステップの後、プレートをプレート洗浄機から取り出し、UV光源(BlackRay、表示波長365nm)下に取り付けたthermoshaker上に5cm離して20分間配置した。thermoshakerは、800rpm及び25℃に設定される。20分間の照射後、試料を、新たな洗浄済みストレプトアビジンプレート(または既存の洗浄済みプレートの未使用のウェル)に手作業で移した。高存在量(3%の血清+3%のアプタマー混合物)及び低存在量の反応混合物(0.3%の血清+0.3%のアプタマー混合物)を、この時点で単一のウェルに合わせた。この「Catch-2」プレートを、BioTek EL406プレート洗浄機のデッキに配置する。洗浄機は、以下のステップを実行するようプログラムされている。プレートを振盪しながら10分間インキュベーションする。液体を吸引し、ウェルを30%のグリセロールを補足した300μLの緩衝液PB1で21回洗浄する。ウェルを300μLの緩衝液PB1で5回洗浄し、最終洗浄液を吸引する。100μLのCAPSO溶出緩衝液を添加し、振盪しながら5分間アプタマーを溶出させる。これらの自動化ステップ後、次いで、プレートをプレート洗浄機のデッキから取り出し、試料の90μLのアリコートを、10μLの中和緩衝液を含有するHybAid 96ウェルプレートのウェルに手作業で移す。
特注のAgilent 8×15kマイクロアレイへのハイブリダイゼーション
24μLの中和された溶出液を新たな96ウェルプレートに移し、10種のCy3アプタマーから構成される1組のハイブリダイゼーション対照を含有する、6μLの10×Agilent Block(Oligo aCGH/ChIP-on-chipハイブリダイゼーションキット、大容量、Agilent 5188-5380)を各ウェルに添加する。30μLの2×Agilentハイブリダイゼーション緩衝液を各試料に添加し、混合する。40μLの得られたハイブリダイゼーション溶液を、ハイブリダイゼーションガスケットスライド(Hybridization Gasket Slide、スライドフォーマット当たり8マイクロアレイ、Agilent)の各「ウェル」にピペットを用いて手動で加える。各アプタマーのランダムな40ヌクレオチド領域に相補的な、アレイ当たり10種のプローブを、20×dTリンカーと共に有する特注のアジレントマイクロアレイスライドを、製造業者のプロトコールに従って、ガスケットスライド上に配置する。アセンブリ(Hybridization Chamber Kit、SureHyb対応、Agilent)をクランプし、20rpmで回転させながら、60℃で19時間インキュベートする。
ハイブリダイゼーション後の洗浄
約400mLのAgilent Wash Buffer 1を、2つの別個のガラス染色皿のそれぞれに入れる。Wash Buffer 1に浸しながらスライド(一度に2つ以内)を分解及び分離し、次いで、同様にWash Buffer 1を含有する第2の染色皿のスライドラックに移す。スライドを、Wash Buffer 1中で撹拌しながら更に5分間インキュベートする。スライドを、事前に37℃に平衡化したWash Buffer 2に移し、撹拌しながら5分間インキュベートする。スライドを、アセトニトリルを含有する第4の染色皿に移し、撹拌しながら5分間インキュベートする。
マイクロアレイの画像化
マイクロアレイスライドを、Agilent G2565CAマイクロアレイスキャナーシステムを用いて、5μmの解像度、100%のPMT設定でのCy3-チャンネル、及び0.05で可能になるXRDオプションを使用して画像化する。得られたTIFF画像を、GE1_105_Dec08プロトコールにより、Agilentの特徴抽出ソフトウェア(バージョン10.5.1.1)を使用して処理する。
Luminexプローブの設計
ビーズに固定化されたプローブは、標的アプタマーの3’末端のランダムな40ヌクレオチド領域に相補的な40個のデオキシヌクレオチドを有する。アプタマー相補性領域は、5’アミノ末端を有するヘキサエチレングリコール(HEG)リンカーを介して、Luminexマイクロスフェアに結合される。ビオチン化された検出用デオキシオリゴヌクレオチドは、標的アプタマーの5’プライマー領域に相補的な17~21個のデオキシヌクレオチドを含む。ビオチン部分は、検出用オリゴの3’末端に付加される。
プローブのLuminexマイクロスフェアへの結合
プローブは、殆ど製造者の使用説明書に従って、Luminexマイクロスフェアに結合されるが、以下のように変更される:アミノ末端オリゴヌクレオチドの量は、2.5×10個のマイクロスフェア当たり0.08nモルであり、2回目のEDC添加は、10mg/mLで5μLである。カップリング反応は、25℃及び600rpmに設定したEppendorf ThermoShakerで行う。
マイクロスフェアのハイブリダイゼーション
マイクロスフェア貯蔵液(約40000個のマイクロスフェア/μL)をボルテックスし、Health Sonics超音波洗浄機(モデル:T1.9C)で60秒間超音波処理し、マイクロスフェアを懸濁させる。懸濁したマイクロスフェアを、1.5×TMACハイブリダイゼーション溶液中に、反応当たり2000個のマイクロスフェアに希釈し、ボルテックス及び超音波処理により混合する。反応当たり33μLのビーズ混合物を、96ウェルのHybAidプレートに移す。1×TE緩衝液中15nMのビオチン化された検出用オリゴヌクレオチド貯蔵液の7μLを、各反応に添加し、混合する。10μLの中和されたアッセイ試料を添加し、プレートをシリコンキャップのマットシールで密封する。このプレートを初めに96℃で5分間インキュベートし、通常のハイブリダーゼーションオーブン内で撹拌することなく、50℃で一晩インキュベートする。フィルタープレート(Dura pore、Millipore部品番号MSBVN1250、1.2μmの孔径)を、0.5%(w/v)のBSAを補足した75μLの1×TMACハイブリダイゼーション溶液で事前に湿らせる。ハイブリダイゼーション反応から試料容量全体を、フィルタープレートに移す。ハイブリダイゼーションプレートを、0.5%のBSAを含有する75μLの1×TMACハイブリダイゼーション溶液でリンスし、あらゆる残存する物質をフィルタープレートに移す。試料を、150μLの緩衝液を用いて、緩徐な減圧下で濾過し、約8秒間にわたり排気する。フィルタープレートを、0.5%のBSAを含有する75μLの1×TMACハイブリダイゼーション溶液で1回洗浄し、フィルタープレート内のマイクロスフェアを、0.5%のBSAを含有する75μLの1×TMACハイブリダイゼーション溶液中に再懸濁させる。フィルタープレートを光から保護し、Eppendorf Thermalmixer R上で1000rpmにて5分間インキュベートする。次いで、フィルタープレートを、0.5%のBSAを含有する75μLの1×TMACハイブリダイゼーション溶液で1回洗浄する。1×TMACハイブリダイゼーション溶液中10μg/mLの75μLのストレプトアビジンフィコエリトリン(SAPE-100、MOSS,Inc.)を各反応に添加し、Eppendorf Thermalmixer R上で25℃にて1000rpmで60分間インキュベートする。フィルタープレートを、0.5%のBSAを含有する75μLの1×TMACハイブリダイゼーション溶液で2回洗浄し、フィルタープレート内のマイクロスフェアを、0.5%のBSAを含有する75μLの1×TMACハイブリダイゼーション溶液中に再懸濁させる。次いで、フィルタープレートを光から保護し、Eppendorf Thermalmixer R上で1000rpmにて5分間インキュベートする。次いで、フィルタープレートを、0.5%のBSAを含有する75μLの1×TMACハイブリダイゼーション溶液で1回洗浄する。マイクロスフェアを、0.5%のBSAを補足した75μLの1×TMACハイブリダイゼーション溶液中に再懸濁し、XPonent 3.0ソフトウェアを実行するLuminex 100機器で解析する。高PMT較正及び7500~18000のダブレットディスクリミネータの設定下で、ビーズの種類当たり少なくとも100個のマイクロスフェアを計数する。
QPCRの読み取り
qPCRの検量線試料を、水を用いて10倍希釈で、108~102コピーの範囲で調製し、テンプレートなしの対照を調製する。中和されたアッセイ試料を、diH2O中に40倍希釈する。qPCRマスターミックスを、2×最終濃度(2×KOD緩衝液、400μMのdNTPミックス、400nMのフォワード及びリバースプライマーミックス、2×SYBR Green I、ならびに0.5U KOD EX)で調製する。10μLの2×qPCRマスターミックスを、10μLの希釈したアッセイ試料に添加する。qPCRを、BioRad MyIQ iCyclerを用いて、96℃で2分間、続いて、96℃で5秒間及び72℃で30秒間の40サイクルで実行する。
実施例2.一次心血管イベントの予測のための心血管イベントモデル
心血管疾患の既往歴のない対象が4年以内に一次CVイベントを起こすリスクまたは可能性を予測するために、13種のバイオマーカータンパク質のパネルを含有する一次心血管疾患(CVD)モデルを開発した。一次CVイベントは、心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、心不全による入院、またはCVDに起因する死亡と定義された。一次CVDイベントを豊富に含む症例コホート研究デザインであるHUNT3データセットを使用して、訓練/検証解析を開始した。研究は2,515人を含み、そのうちの41.51%が5年以内にCVDイベントを起こした。Krokstad et al.,Int J Epidemiol.2013;42:968-977を参照のこと。データを訓練用の80%及び検証用の20%に分割した。Whitehall II研究(Marmot et al.,“Health inequalities among British Civil Servants:the Whitehall II study.”Lancet 1991;337:1387-1393を参照のこと)からの独立した複製セットでの予測を有効性検証段階で実施した。
モデル
心血管疾患(CVD)一次モデルは、ワイブル分布を用いた加速死亡時間(AFT)パラメトリック生存モデルである。このモデルは、その特徴として13種のバイオマーカー、年齢、及び年齢との相互作用を有する。4年のリスクが報告された。予測を、4つのリスクビン及び3つのリスク分類にビニングした。4年にわたる訓練セットでのスコア化及び対応する実際のイベント発生率を表3に報告する。
Figure 2022546515000006
結果
コンコーダンス統計量(C統計量)、ROC曲線(AUC)下面積、及び再適合されたPCEモデル(HUNT3訓練データに再適合された)と比較した、分類を作らない純再分類改善度(NRI)、ならびに5年間の予測について公開されたPCEモデルを以下の表4に示す。最終モデルを、HUNT3の20%のホールドアウト検証データセットでも評価した。
Figure 2022546515000007
HUNT3訓練セットでは、468人の患者が7.5%未満のPCEリスクスコアを有した。最も近い計算された4年のプロテオミクスリスクカットオフ値は、2.15%であり、469人の患者が2.15%未満のリスクを有すると予測された。従って、健常なベースライン層は、4年で2.15%未満のプロテオミクスリスクを有すると予測された個体として定義された。この集団における平均プロテオミクスリスクは、1.53%であった。4つのリスクビンを、1x、2x、3x、4x、5x、及び6x以上として計算した(表3を参照のこと)。図1は、HUNT3訓練セットについての4つのリスクビンに層別化されたカプランマイヤー生存曲線を示す。図1は、経時的なCVD一次イベントの経験分布が異なる予測リスクビン群間でどれだけ分離しているかの概観を提供し、網掛け領域はカプランマイヤー推定値の95%信頼区間を表す。図1は、明白にリスクビン間の分離を示し、4年で生存分布が重なっていない。
最終モデルを訓練及び検証データセットの全個体(0.05未満を含む全てのPCEリスクスコア)についても評価した。結果を表5に示す。最終モデルは、全個体についても、競合する再適合された臨床的PCEモデルと比べて性能がより良好であった。
Figure 2022546515000008
一次CVDモデルは、幾つかのパラメータの改良により更に特徴付けられた。性別に基づく顕著な影響または予備的な干渉物質評価における顕著な影響は見られなかった。モデルを2005反復のアッセイQC試料に適用した。予測には再現性があり、0.05の平均及び0.008の標準偏差であった。試料処理時間に基づく大きな変動は見られなかった。
有効性検証
モデル有効性検証を、265人の個体を含み、そのうちの101人がCVイベントを有した(38.11%)Whitehall IIデータセットで実行した。データセットにおける分析物のRFU値は、解析前にlog10変換した。範囲外のlog10 RFU値を、HUNT3訓練データを使用したモデル開発時にウィンザー化により計算されたアプタマー特異的な最大値及び最小値を使用して補完した。次いで、最終プロテオミクスモデルを、5年の時点でのデータセットで評価し、公開されたPCEモデルとの比較として純再分類改善度(NRI)を計算した。これを表6に示す。
Figure 2022546515000009
プロテオミクスモデルを使用したWhitehall II有効性検証データセットでの予測のNRIは正であり、結果は、再適合されたPCEモデル(HUNT3訓練データで開発された)のHUNT3検証データでの結果より良好であった。
実施例3.二次心血管イベントの予測のための心血管イベントパネル
既知の明らかに安定した心血管疾患を有する対象が4年以内に二次CVイベントを起こすリスクまたは可能性を予測するために、27種のバイオマーカータンパク質のパネルを含有する二次心血管疾患(CVD)モデルを開発した。二次CVイベントは、心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、心不全による入院、または死亡と定義された。訓練/検証解析を、既知の明らかに安定したCVDを有する適格基準を満たした個体から構成されるHUNT3データセットのサブコホートを使用して開始した。HUNT3研究は、試料がQCメトリックを通過した754人の個体を含み、4年以内に208(28%)のCVイベントが観察された。データを訓練用の80%及び有効性検証用の20%に分割した。解析を、Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)研究の5回目来院時データセットの20%の検証サブセットにより補完した。(The Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC) Study:design and objectives.The ARIC investigators.Am.J.Epidemiol.1989;129(4):687-702を参照のこと)。ARIC研究の5回目来院時の残りの80%及びHUNT3データセットの20%を使用する独立した複製セットでの予測は、有効性検証の間、開鍵された。
モデル
二次心血管疾患(CVD)モデルは、ワイブル分布を用いたAFTパラメトリック生存モデルである。このモデルは、27種のバイオマーカー(log10スケールに変換され、中心化及びスケール化された)のパネルを特徴として有する。4年のリスクが報告された。予測を、4つのリスクビン及び3つのリスク分類にビニングした。4年にわたる訓練セットでのスコア化及び対応する実際のイベント発生率を表7に報告する。
Figure 2022546515000010
結果
4年間の予測についてのC統計量、AUC、及び再適合されたPCEモデルと比較したNRI(HUNT3訓練データに再適合された)を、以下の表8に示す。二次CVDモデルは、訓練(HUNT3)及び検証(ARIC研究の5回目来院時)データセットにおいて、4年間でより高いC統計量及びAUC値及び正のNRIを有した。
Figure 2022546515000011
次いで、ベースライン群が相対的に健常(4年で5%のイベント発生率)であり、高リスク群が顕著に増進したイベント発生率(4年で65%のイベント発生率)を有するように、訓練セットのリスク確率を4つのビンに分類した。上記の表7を参照のこと。4つ全ての分類は、4年間で95%信頼度で異なった。HUNT3訓練セット(図2)及びARIC5回目来院時検証セット(図3)について、4つのリスクビンにより層別化された群を、図2及び3のカプランマイヤー生存曲線に示す。図2及び3は、経時的な二次CVDイベントの経験分布が異なる予測リスクビン群間でどれだけ分離しているかの概観を提供し、網掛け領域はカプランマイヤー推定値の95%信頼区間を表す。
有効性検証
モデル有効性検証を、HUNT3の20%ホールドアウト及びARICの80%ホールドアウト有効性検証セットで実行した。データセットにおける分析物のRFU値は、解析前にlog10変換した。次いで、分析物RFU値を、訓練セットの分布のみに基づいて中心化及びスケール化し、範囲外のlog10 RFU値をウィンザー化により計算された値を使用して補完した。二次CVD最終モデルのC統計量及びAUVを、4年の時点でのデータセットで評価し、再適合されたPCEモデルと比較した。再適合されたPCEモデルと比較したNRIを計算した。これを表9に示す。
Figure 2022546515000012
二次CVDモデルは、訓練、検証、及び有効性検証セットにおいて、4年でイベントありの対象とイベントなしの対象との分類、及びより早期のイベントの予測のコンコーダンス統計量において、再適合されたPCE臨床モデル(性別及び民族性による分離係数が含まれる、ACCリスク方程式からの臨床的及び人口統計的パラメータを使用)より優れていた。NRIは、両方の有効性検証セット(HUNT3及びARICの5回目来院時)で正であった。図4及び5は、カットオフ値により層別化された、HUNT3及びARICの5回目来院時の有効性検証セットについての生存曲線を示す。分類別の順序及び傾きは、訓練セット及び経験的に観察されたイベント発生率から予想される分布と同様であった。最も高いリスク群が区別された。

Claims (81)

  1. 対象を心血管(CV)イベントのリスクについてスクリーニングするための方法であって、
    (a)N末端プロBNP、sTREM-1、MMP-12、アンチトロンビンIII、GPR56、ゲルゾリン、ST4S6、CHSTC、FSH、IL-1 sRII、PLXB2、SAP、及びTFPIから選択されるN種のタンパク質バイオマーカーを含むバイオマーカーパネルを形成することであって、Nが3~13の整数である、前記形成することと、
    (b)前記パネルの前記N種のバイオマーカーの各々の前記対象由来の試料におけるレベルを検出することと、を含む、前記方法。
  2. 対象を心血管(CV)イベントのリスクについてスクリーニングするための方法であって、
    (a)BNP、sTREM-1、MMP-12、SVEP1、ARL11、ANTR2、CA125、GOLM1、PPR1A、ERBB3、suPAR、GDF-11/8、JAM-B、ATS13、スポンジン-1、NCAM-120、TFF3、SIRT2、ANP、NELL1、LRP11、NDST1、PTPRJ、CILP2、CA2D3、ITI重鎖H2、及びIGDC4から選択されるN種のタンパク質バイオマーカーを含むバイオマーカーパネルを形成することであって、Nが8~27の整数である、前記形成することと、
    (b)前記パネルの前記N種のバイオマーカーの各々の前記対象由来の試料におけるレベルを検出することと、を含む、前記方法。
  3. 対象がCVイベントを起こす可能性を予測するための方法であって、
    (a)BNP、sTREM-1、MMP-12、アンチトロンビンIII、GPR56、ゲルゾリン、ST4S6、CHSTC、FSH、IL-1 sRII、PLXB2、SAP、及びTFPIから選択されるN種のタンパク質バイオマーカーを含むバイオマーカーパネルを形成することであって、Nが3~13の整数である、前記形成することと、
    (b)前記パネルの前記N種のバイオマーカーの各々の前記対象由来の試料におけるレベルを検出することと、を含む、前記方法。
  4. 対象がCVイベントを起こす可能性を予測するための方法であって、
    (a)BNP、sTREM-1、MMP-12、SVEP1、ARL11、ANTR2、CA125、GOLM1、PPR1A、ERBB3、suPAR、GDF-11/8、JAM-B、ATS13、スポンジン-1、NCAM-120、TFF3、SIRT2、ANP、NELL1、LRP11、NDST1、PTPRJ、CILP2、CA2D3、ITI重鎖H2、及びIGDC4から選択されるN種のタンパク質バイオマーカーを含むバイオマーカーパネルを形成することであって、Nが8~27の整数である、前記形成することと、
    (b)前記パネルの前記N種のバイオマーカーの各々の前記対象由来の試料におけるレベルを検出することと、を含む、前記方法。
  5. Nが、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、または13である、請求項1または3に記載の方法。
  6. Nが、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、または27である、請求項2または4に記載の方法。
  7. 1組のバイオマーカーのうちの少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、または少なくとも13種のバイオマーカーのレベルの各々が、それぞれのバイオマーカーの対照レベルと比較して異常である場合、4年以内に前記対象がCVイベントを起こすリスクまたは可能性が高い、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記CVイベントが、心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、心不全による入院、または死亡である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記対象が冠状動脈疾患を有する、請求項2、4、または6~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記対象がCVイベントの病歴を有さない、請求項1、3、5、7、または8のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記対象が、少なくとも1つのCVイベントを起こしている、請求項2、4、または6~9のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記試料が、血液試料、血清試料、血漿試料及び、尿試料から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記試料が血液試料である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記方法がインビトロで実行される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記方法が、前記対象由来の前記試料のバイオマーカーを1組の捕捉試薬と接触させることを含み、前記1組の捕捉試薬の各捕捉試薬が、検出される異なるバイオマーカーに特異的に結合する、請求項1、3、5、7、8、10、または12~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記方法が、前記対象由来の前記試料のバイオマーカーを1組の捕捉試薬と接触させることを含み、前記1組の捕捉試薬の各捕捉試薬が、検出される異なるバイオマーカーに特異的に結合する、請求項2、4、6~9、または11~14のいずれか1項に記載の方法。
  17. 各捕捉試薬が抗体またはアプタマーである、請求項15または16に記載の方法。
  18. 各バイオマーカー捕捉試薬がアプタマーである、請求項17に記載の方法。
  19. 少なくとも1種のアプタマーが遅い解離速度のアプタマーである、請求項18に記載の方法。
  20. 少なくとも1種の遅い解離速度のアプタマーが、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、または少なくとも10の修飾を有するヌクレオチドを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 各遅い解離速度のアプタマーが、≧30分、≧60分、≧90分、≧120分、≧150分、≧180分、≧210分、または≧240分の解離速度(t1/2)でその標的タンパク質に結合する、請求項19または請求項20に記載の方法。
  22. 1種の捕捉試薬がsTREM1に特異的に結合する、請求項15~21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 1種の捕捉試薬がMMP-12に特異的に結合する、請求項15~22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 1種の捕捉試薬がN末端プロBNPに特異的に結合する、請求項15または17~23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 1種の捕捉試薬がアンチトロンビンIIIに特異的に結合する、請求項15または17~24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 1種の捕捉試薬がGPR56に特異的に結合する、請求項15または17~25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 1種の捕捉試薬がゲルゾリンに特異的に結合する、請求項15または17~26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 1種の捕捉試薬がST4S6に特異的に結合する、請求項15または17~27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 1種の捕捉試薬がCHSTCに特異的に結合する、請求項15または17~28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 1種の捕捉試薬がFSHに特異的に結合する、請求項15または17~29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 1種の捕捉試薬がIL-1 sRIIに特異的に結合する、請求項15または17~30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 1種の捕捉試薬がPLXB2に特異的に結合する、請求項15または17~31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 1種の捕捉試薬がSAPに特異的に結合する、請求項15または17~32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 1種の捕捉試薬がTFPIに特異的に結合する、請求項15または17~33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記1組のバイオマーカーが少なくとも13種のバイオマーカーを含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記1組のバイオマーカーが13種のバイオマーカーからなる、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
  37. 1種の捕捉試薬がSVEP1に特異的に結合する、請求項16~23のいずれか1項に記載の方法。
  38. 1種の捕捉試薬がARL11に特異的に結合する、請求項16~23または37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 1種の捕捉試薬がANTR2に特異的に結合する、請求項16~23、37、または38のいずれか1項に記載の方法。
  40. 1種の捕捉試薬がCA125に特異的に結合する、請求項16~23または37~39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 1種の捕捉試薬がGOLM1に特異的に結合する、請求項16~23または37~40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 1種の捕捉試薬がPPR1Aに特異的に結合する、請求項16~23または37~41のいずれか1項に記載の方法。
  43. 1種の捕捉試薬がERBB3に特異的に結合する、請求項16~23または37~42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 1種の捕捉試薬がsuPARに特異的に結合する、請求項16~23または37~43のいずれか1項に記載の方法。
  45. 1種の捕捉試薬がGDF-11/8に特異的に結合する、請求項16~23または37~44のいずれか1項に記載の方法。
  46. 1種の捕捉試薬がJAM-Bに特異的に結合する、請求項16~23または37~45のいずれか1項に記載の方法。
  47. 1種の捕捉試薬がATS13に特異的に結合する、請求項16~23または37~46のいずれか1項に記載の方法。
  48. 1種の捕捉試薬がスポンジン-1に特異的に結合する、請求項16~23または37~47のいずれか1項に記載の方法。
  49. 1種の捕捉試薬がNCAM-120に特異的に結合する、請求項16~23または37~48のいずれか1項に記載の方法。
  50. 1種の捕捉試薬がTFF3に特異的に結合する、請求項16~23または37~49のいずれか1項に記載の方法。
  51. 1種の捕捉試薬がSIRT2に特異的に結合する、請求項16~23または37~50のいずれか1項に記載の方法。
  52. 1種の捕捉試薬がANPに特異的に結合する、請求項16~23または37~51のいずれか1項に記載の方法。
  53. 1種の捕捉試薬がNELL1に特異的に結合する、請求項16~23または37~52のいずれか1項に記載の方法。
  54. 1種の捕捉試薬がLRP11に特異的に結合する、請求項16~23または37~53のいずれか1項に記載の方法。
  55. 1種の捕捉試薬がNDST1に特異的に結合する、請求項16~23または37~54のいずれか1項に記載の方法。
  56. 1種の捕捉試薬がPTPRJに特異的に結合する、請求項16~23または37~55のいずれか1項に記載の方法。
  57. 1種の捕捉試薬がCILP2に特異的に結合する、請求項16~23または37~56のいずれか1項に記載の方法。
  58. 1種の捕捉試薬がCA2D3を特異的に結合する、請求項16~23または37~57のいずれか1項に記載の方法。
  59. 1種の捕捉試薬がITI重鎖H2に特異的に結合する、請求項16~23または37~58のいずれか1項に記載の方法。
  60. 1種の捕捉試薬がIGDC4に特異的に結合する、請求項16~23または37~59のいずれか1項に記載の方法。
  61. 1種の捕捉試薬がBNPに特異的に結合する、請求項16~23または37~60のいずれか1項に記載の方法。
  62. 前記1組のバイオマーカーが少なくとも27種のバイオマーカーを含む、請求項2、4、6~9、11~14、16~23、または37~61のいずれか1項に記載の方法。
  63. 前記1組のバイオマーカーが27種のバイオマーカーからなる、請求項2、4、6~9、11~14、16~23または37~61のいずれか1項に記載の方法。
  64. 前記対象が明らかに安定した心血管疾患を有する、請求項2、4、6~9、11~14、16~23、または37~63のいずれか1項に記載の方法。
  65. 前記明らかに安定した心血管疾患が、心筋梗塞の病歴、脳卒中の病歴、心不全の病歴、血行再建の病歴、ストレステスト異常、冠動脈性心疾患を示唆するイメージング、または冠動脈カルシウムスコア異常を含む、請求項64に記載の方法。
  66. 前記心筋梗塞または前記脳卒中が、前記対象から前記試料が採取された日付の少なくとも6ヵ月前に発生した、請求項65に記載の方法。
  67. 前記ストレステスト異常がトレッドミル試験または核医学ベースの試験である、請求項65に記載の方法。
  68. 前記冠動脈性心疾患を示唆するイメージングが、50%以上の冠状動脈狭窄を示す血管造影図である、請求項65に記載の方法。
  69. 前記対象が少なくとも40歳である、請求項1~68のいずれか1項に記載の方法。
  70. 前記対象から前記試料が採取された日付から4年以内に前記対象が心血管イベントを起こすリスクまたは可能性を決定することを含む、請求項1~69のいずれか1項に記載の方法。
  71. 前記対象が前記心血管イベントを起こすリスクまたは可能性が、前記対象から前記試料が採取された日付から1、2、3、または4年以内のものである、請求項70に記載の方法。
  72. 前記心血管イベントが、心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、心不全による入院、または心血管疾患による死亡である、請求項70または71に記載の方法。
  73. 前記リスクが定量的確率として決定される、請求項70~72のいずれか1項に記載の方法。
  74. 前記リスクがリスクの定性的レベルとして決定される、請求項70~72のいずれか1項に記載の方法。
  75. 前記リスクの定性的レベルが、低い、中間、または高いである、請求項74に記載の方法。
  76. CVイベントのリスクまたは可能性が、バイオマーカーレベルと、
    a)心筋梗塞の既往、1本以上の冠血管における50%超の狭窄の血管造影による証拠、トレッドミもしくは核医学試験による運動誘発性虚血、または冠血行再建の既往からなる群から選択される心血管系リスク因子の存在に相当する情報、
    b)前記対象の身体的な記述子に相当する情報、
    c)前記対象の体重変化に相当する情報、
    d)前記対象の民族性に相当する情報、
    e)前記対象の性別に相当する情報、
    f)前記対象の喫煙歴に相当する情報、
    g)前記対象の飲酒歴に相当する情報、
    h)前記対象の職業歴に相当する情報、
    i)前記対象の心血管疾患またはその他の循環器系状態の家族歴に相当する情報、
    j)前記対象または前記対象の家族におけるより心血管疾患のより高いリスクと関連する少なくとも1種の遺伝子マーカーの前記対象における存在または非存在に相当する情報、
    k)前記対象の臨床症状に相当する情報、
    l)その他の臨床検査に相当する情報、
    m)前記対象の遺伝子発現値に相当する情報、ならびに
    n)前記対象の既知の心血管系リスク因子、例えば、高飽和脂肪食、高塩分食、高コレステロール食の摂取に相当する情報、
    o)心電図、心エコー検査、内膜中膜複合体厚の頚動脈超音波診断、血流依存性血管拡張反応検査、脈波伝播速度、足関節上腕血圧比、ストレス心エコー検査、心筋血流イメージング、CTによる冠動脈カルシウム検査、高分解能CT血管造影法、MRIイメージング、及び他のイメージング手法からなる群から選択される技術により得られた前記対象のイメージング結果に相当する情報、
    p)前記対象の薬物治療に関する情報、
    q)前記対象の年齢に相当する情報、ならびに
    r)前記対象の腎機能に関する情報から選択される追加の生物医学的情報のうちの少なくとも1つの項目と、に基づく、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  77. 前記追加の生物医学的情報のうちの少なくとも1つの項目が、前記対象の年齢に相当する情報である、請求項76に記載の方法。
  78. 前記方法が、医療保険料または生命保険料を決定するために前記CVイベントのリスクまたは可能性を決定することを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  79. 前記方法が、医療保険または生命保険の補償範囲または保険料を決定することを更に含む、請求項78に記載の方法。
  80. 前記方法が、医療資源の利用を予測及び/または管理するために、前記方法により得られた情報を使用することを更に含む、請求項1~79のいずれか1項に記載の方法。
  81. 前記方法が、医療事業、病院、または企業を取得または購入するという決定を可能にするために、前記方法により得られた情報を使用することを更に含む、請求項1~80のいずれか1項に記載の方法。
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