JP2022544237A - ヒト神経膠芽腫細胞をターゲティングするためのaavカプシドバリアント - Google Patents
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Abstract
本明細書において記載されるのは、神経膠腫細胞についてのアフィニティーおよびその形質導入の増大をもたらすアミノ酸置換を有するカプシドタンパク質を有するAAV粒子である。開示されるカプシドタンパク質は、がんの処置のための任意の治療用導入遺伝子と組み合わせて用いてもよく、これは、AAV粒子の製造におけるものを含む。また記載されるのは、特定の腫瘍細胞型についてのアフィニティーおよびその形質導入が増大されたAAVバリアントを同定するための方法である。
Description
関連出願
本願は、2019年8月9日に出願された米国仮出願シリアル番号62/884,716の出願日の、35U.S.C.§119(e)下における利益を主張し、当該仮出願は、本明細書において参照して援用される。
本願は、2019年8月9日に出願された米国仮出願シリアル番号62/884,716の出願日の、35U.S.C.§119(e)下における利益を主張し、当該仮出願は、本明細書において参照して援用される。
政府の支援
本発明は、国立衛生研究所により付与された助成金番号CA228875下において、政府の支援によりなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
本発明は、国立衛生研究所により付与された助成金番号CA228875下において、政府の支援によりなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
発明の背景
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、小さい(20nm)複製欠損の非エンベロープウイルスである。AAVは、分裂していない細胞に感染することができ、宿主細胞ゲノム中に安定に組み込む能力を有する。AAVは、一般に非病原性であるため、それは、in vivoで遺伝子を細胞に送達するための魅力的なツールである。in vivoで異なる細胞について異なるアフィニティーを有する、天然に存在するおよび人工のAAVのいくつかの血清型が知られている。これらの血清型は、AAVカプシドタンパク質により決定される。AAVは、典型的には約1:1:10の比において存在する3つのカプシドタンパク質、VP1、VP2およびVP3(それぞれ87、72および62キロダルトン)を含む。異なるAAV血清型は、遺伝子ベースの治療を標的臓器にターゲティングするために利用され得る、特定の臓器向性を有する(例えば、Surace et al., Vision Res. 2008, 48(3):353-9;Zincarelli et al., Mol Ther. 2008,16(6):1073-80を参照)が、一方で、特定の臓器または組織を標的とするためのAAVにおける効率の増大は、多大な利益となるであろう。かかる組織または細胞型の一例は、神経膠腫である。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、小さい(20nm)複製欠損の非エンベロープウイルスである。AAVは、分裂していない細胞に感染することができ、宿主細胞ゲノム中に安定に組み込む能力を有する。AAVは、一般に非病原性であるため、それは、in vivoで遺伝子を細胞に送達するための魅力的なツールである。in vivoで異なる細胞について異なるアフィニティーを有する、天然に存在するおよび人工のAAVのいくつかの血清型が知られている。これらの血清型は、AAVカプシドタンパク質により決定される。AAVは、典型的には約1:1:10の比において存在する3つのカプシドタンパク質、VP1、VP2およびVP3(それぞれ87、72および62キロダルトン)を含む。異なるAAV血清型は、遺伝子ベースの治療を標的臓器にターゲティングするために利用され得る、特定の臓器向性を有する(例えば、Surace et al., Vision Res. 2008, 48(3):353-9;Zincarelli et al., Mol Ther. 2008,16(6):1073-80を参照)が、一方で、特定の臓器または組織を標的とするためのAAVにおける効率の増大は、多大な利益となるであろう。かかる組織または細胞型の一例は、神経膠腫である。
発明の要旨
本明細書において提供されるのは、神経膠芽腫などのがんの処置のための、ウイルスベクター、および特に組み換えAAV(rAAV)ベクターである。本明細書においてさらに提供されるのは、神経膠芽腫、神経膠腫、神経膠芽腫幹細胞様細胞(GSC)および神経膠腫幹細胞様細胞の形質導入の改善を示す、新規のrAAVカプシドタンパク質バリアントである。開示されるカプシドバリアントは、がんの処置のためのAAV粒子の製造において、任意の治療用導入遺伝子と組み合わせて用いてもよい。したがって、本開示は、rAAV粒子、rAAV粒子を含む組成物、および神経膠芽腫または神経膠腫を罹患しているかまたはこれを診断されている対象におけるがんの処置のための方法を提供する。本明細書においてさらに提供されるのは、特定の腫瘍細胞型についてのアフィニティーおよびその形質導入が増大しているAAVバリアントを同定する方法である。
本明細書において提供されるのは、神経膠芽腫などのがんの処置のための、ウイルスベクター、および特に組み換えAAV(rAAV)ベクターである。本明細書においてさらに提供されるのは、神経膠芽腫、神経膠腫、神経膠芽腫幹細胞様細胞(GSC)および神経膠腫幹細胞様細胞の形質導入の改善を示す、新規のrAAVカプシドタンパク質バリアントである。開示されるカプシドバリアントは、がんの処置のためのAAV粒子の製造において、任意の治療用導入遺伝子と組み合わせて用いてもよい。したがって、本開示は、rAAV粒子、rAAV粒子を含む組成物、および神経膠芽腫または神経膠腫を罹患しているかまたはこれを診断されている対象におけるがんの処置のための方法を提供する。本明細書においてさらに提供されるのは、特定の腫瘍細胞型についてのアフィニティーおよびその形質導入が増大しているAAVバリアントを同定する方法である。
本明細書においてさらに開示されるのは、腫瘍細胞型に特異的な結合が増強されたrAAVカプシドを作製するための方法である。いくつかの側面において、これらの方法は、定向進化スクリーニングにおけるもののような、複数の進化の相互作用を含む。いくつかの側面において、方法は、rAAVカプシドバリアントのライブラリーを作製することを含む。方法は、AAVライブラリー試薬の動的な投与の様式の使用を含む。AAVライブラリーの送達を、少なくとも部分的に、マウスモデル腫瘍などの対象腫瘍における腫瘍進行と同期させてもよい。
したがって、いくつかの側面において、異なるcapタンパク質を含むAAVライブラリーが、腫瘍を保有するマウスに投与される。腫瘍は、移植されたものであっても(腫瘍細胞の注射などにより)、自然発症的に生じたものであっても、または誘導したものであってもよい。AAVライブラリーは、注入により腫瘍に投与してもよい。腫瘍が発達して増殖するにつれて、注入のレベルを増大させる。いくつかの態様において、AAVライブラリーの腫瘍内注入は、持続的である。初めは注入速度はゆっくりである。腫瘍が増殖するにつれて、注入速度を、腫瘍増殖の早期および後期と同期させる。AAVライブラリーの腫瘍内注入速度を、腫瘍増殖の早期および後期と同期させることにより、単回腫瘍内注射と比較して、AAVの腫瘍細胞に対する結合および遺伝子送達のほぼ10倍の増大が観察され得る。
神経膠腫は、脳および脊髄における膠細胞の腫瘍である。3つの型の膠細胞が、腫瘍を生じ得る。神経膠腫は、腫瘍に関与する膠細胞の型、ならびに腫瘍の遺伝的特徴に従って分類され、これは、腫瘍が経時的にどのように挙動するか、および効く可能性が最も高い処置を予測するために役立つ。神経膠腫の型として、以下が挙げられる:星細胞腫(星状膠細胞の腫瘍)(これは、星細胞腫、未分化星状細胞腫および多形神経膠芽腫(GBM)を含む);上衣腫;および乏突起神経膠腫。DNA修復遺伝子ERCC1、ERCC2(XPD)およびXRCC1の遺伝子多型は、神経膠腫のリスクを増大させる。外科手技は、しばしば、神経膠腫のための好ましい初期処置である。GBMは、星細胞腫の最も高悪性度の形態である。成人においては、GBMは、最も頻繁には大脳半球において、特に脳の前頭葉および側頭葉において生じる。GBMは、典型的に診断後の最初の15か月以内に死亡をもたらす壊滅的な(devastating)がんである。
外科的切除、アジュバント化学療法、および放射線照射を含む現在の治療の標準は、患者の大多数について寛解をもたらさない。最近では、神経膠腫および神経膠芽腫を処置するための遺伝子治療および免疫療法アプローチが開発されている。しかし、神経膠芽腫についての臨床治験に到達した遺伝子治療処置は、失敗した。特に、ウイルスベクターベースの処置は、ウイルスによる送達に伴う問題、不十分な腫瘍浸透、および限定された効力のせいで、FDAの承認を達成していない。腫瘍細胞などの特定の細胞型への遺伝子送達のためのウイルスベクターベースのコンストラクトについての必要性は、なお存在している。
本開示は、少なくとも部分的に、いくつかの態様においては野生型カプシドタンパク質を含む野生型AAV(rAAV2など)粒子と比較してより高い程度まで、神経膠腫に形質導入することについての向性を示す、バリアントAAVカプシドタンパク質およびバリアントカプシドタンパク質を含む粒子の同定に基づく。本明細書において開示されるバリアントrAAVタンパク質の同定は、AAV2のカプシドタンパク質におけるアミノ酸置換または変異を有するカプシドバリアントを含むrAAV2カプシドライブラリーの、マウスモデルにおけるin vivoでのスクリーニングに基づいたものである。
本明細書において提供される例において開示されるとおり、周期が遅いまたは早い神経膠芽腫幹細胞様細胞(GSC)集団に対して特異的なバリアントについての定向進化スクリーニングにおける、AAVライブラリー試薬の同期的送達は、標的細胞の感染をもたらした。そして、多形神経膠芽腫(GBM)集団に対して特異的なバリアントについての定向進化スクリーニングにおける、AAVライブラリー試薬の同期的送達は、標的細胞の感染をもたらした。したがって、本開示は、GBM細胞に対して、およびGSC細胞に対して特異的なバリアントについてのスクリーニングにおける、AAVライブラリー試薬の同期的送達の方法を提供する。
記載されるのは、GBMおよびGSCの結合および/または形質導入について増大した特異性を有するrAAVカプシドバリアントである。バリアント、改変されたカプシドタンパク質は、野生型AAV2 VP1アミノ酸配列の、アミノ酸263~267、アミノ酸444~461、アミノ酸490~507、アミノ酸527~532、アミノ酸545~556、およびアミノ酸585~596に対応する領域におけるアミノ酸置換、または他の野生型血清型VP1配列(AAV5、AAV8およびAAV9など)の対応する位置におけるアミノ酸置換を含んでもよい。
いくつかの側面において、開示されるrAAVカプシドおよびこれらのカプシドを含む粒子は、特定の細胞マーカー、例えば神経膠芽腫または神経膠腫に関連する細胞マーカーに対して、増大した認識および/または結合を有する。いかなる理論にも拘束されることなく、認識の増大は、これらの細胞マーカーを示す腫瘍細胞に対する結合およびその形質導入の改善を付与し得る。この結合および形質導入の改善は、これらの細胞の増殖の抑制または死を含む、かかる細胞における治療効果の増大をもたらし得る。これらの細胞マーカーは、糖タンパク質を含んでもよい。いくつかの態様において、細胞マーカーは、CD133およびCD44を含む。いくつかの態様において、CD133+GSC細胞、CD44+GSC細胞、CD44+/CD133+GSC細胞、およびCD44-/CD133-GBM細胞の認識が増大したAAV粒子が記載される。GSCおよび/またはGBMの形質導入についての特異性の増大に寄与し得るかまたはこれを与え得るAAVカプシドタンパク質におけるアミノ酸置換を、表1~9において示す。
いくつかの態様において、本開示は、神経膠芽腫細胞(GBM)および/または神経膠腫幹細胞様細胞(GSC)に形質導入するためのrAAVカプシドおよびウイルス粒子を提供し、これらは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、表7、表8、または表9のうちのいずれかにおいて記載されるようなアミノ酸置換を含むカプシドタンパク質を含む。いくつかの態様において、開示される粒子のうちのいずれかのカプシドタンパク質は、野生型AAV2 VP1カプシドのアミノ酸配列(配列番号1)の、以下のアミノ酸位置の組み合わせ:
Q263、S264、Y444、T450、P451、S452、T454、Q457、R459、Q461、S492、A493、D494、E499およびY500F、もしくは
E531、K532、S547、E548、D553、R585およびR588;
のうちの1つ、またはAAV2以外のAAV血清型の野生型VP1カプシド配列の相同なアミノ酸位置において、置換を含む。カプシドは、配列番号1に記載されるような野生型AAV2 VP1カプシド配列のE530、E531およびK532における置換をさらに含んでもよい。
Q263、S264、Y444、T450、P451、S452、T454、Q457、R459、Q461、S492、A493、D494、E499およびY500F、もしくは
E531、K532、S547、E548、D553、R585およびR588;
のうちの1つ、またはAAV2以外のAAV血清型の野生型VP1カプシド配列の相同なアミノ酸位置において、置換を含む。カプシドは、配列番号1に記載されるような野生型AAV2 VP1カプシド配列のE530、E531およびK532における置換をさらに含んでもよい。
これらのrAAVカプシド粒子のうちのいずれかのアミノ酸置換は、AAV2 VP1カプシドのアミノ酸配列(配列番号1)に対するQ263G、S264T、Y444F、T450A、P451E、S452G、T454L、T455K、Q457M、R459H、Q461L、S492D、A493G、D494E、E499DおよびY500Fのうちの1つ以上、またはAAV2以外のAAV血清型の野生型VP1カプシド配列の相同なアミノ酸を含んでもよい。
いくつかの側面において、本開示は、腫瘍細胞型に対するアフィニティーを有するrAAVバリアントを同定する方法をさらに提供し、該方法は、腫瘍中へのウイルスベクターライブラリーの持続的腫瘍内勾配注入(graded infusion)を提供することを含む。いくつかの態様において、注入の速度は、腫瘍増殖の速度に対して比例する。
いくつかの側面において、本明細書において提供されるのは、組成物、および記載されるrAAV粒子組成物のうちのいずれかをそれを必要とする対象に投与することを含む、処置の方法である。いくつかの態様において、対象は、ヒト対象などの哺乳動物対象である。
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示のある側面をさらに実証するために含められる。本開示のある側面は、本明細書において提示される特定の態様の詳細な説明と組み合わせた、これらの図面のうちの1つ以上への参照により、より良好に理解され得る。図面において図示されるデータは、決して本開示の範囲を限定しないことが、理解されるべきである。
詳細な説明
本明細書において提供されるのは、神経膠芽腫、神経膠腫、神経膠芽腫幹細胞様細胞(GSC)および神経膠腫幹細胞様細胞の形質導入の改善を示す、ウイルスのカプシドタンパク質バリアントである。開示されるカプシドバリアントは、がんの処置のための任意の治療用導入遺伝子と組み合わせて用いてもよい。本開示は、これらのカプシドバリアントのうちのいずれかであって、既存のウイルス粒子による腫瘍のための処置と比較して改善された腫瘍浸透を有するものを含む、ウイルス粒子を提供する。本開示はまた、改善された効力を達成するか、および/または既存のウイルス粒子処置より低いベクター力価(量)において、同等もしくは改善された効力を達成する、ウイルス粒子を提供する。特定の態様において、カプシドタンパク質バリアントは、AAVバリアントである。
本明細書において提供されるのは、神経膠芽腫、神経膠腫、神経膠芽腫幹細胞様細胞(GSC)および神経膠腫幹細胞様細胞の形質導入の改善を示す、ウイルスのカプシドタンパク質バリアントである。開示されるカプシドバリアントは、がんの処置のための任意の治療用導入遺伝子と組み合わせて用いてもよい。本開示は、これらのカプシドバリアントのうちのいずれかであって、既存のウイルス粒子による腫瘍のための処置と比較して改善された腫瘍浸透を有するものを含む、ウイルス粒子を提供する。本開示はまた、改善された効力を達成するか、および/または既存のウイルス粒子処置より低いベクター力価(量)において、同等もしくは改善された効力を達成する、ウイルス粒子を提供する。特定の態様において、カプシドタンパク質バリアントは、AAVバリアントである。
したがって、本開示はまた、変異体カプシドタンパク質を有する、rAAV粒子およびrAAV粒子を含む組成物を提供する。本開示は、変異体カプシドタンパク質を有するrAAV粒子を中枢神経系(CNS)組織などの神経組織に送達するための方法および組成物を提供する。特定の態様において、脳組織(例えばヒト脳組織)などのCNS組織への送達のための方法が提供される。本開示は、神経膠芽腫または神経膠腫を罹患しているかまたはこれを診断されている対象におけるがんの処置のための方法を、さらに提供する。本開示は、これらのrAAV粒子または組成物のうちの1つ以上を投与することによる、それを必要とする対象(ヒト対象など)の処置の方法を、さらに提供する。いくつかの態様において、これらの方法は、異種遺伝子またはターゲティングコンストラクトを、神経膠腫細胞に送達することを含み、これは、開示されるAAV粒子のうちのいずれかに、異種遺伝子またはターゲティングコンストラクトを挿入すること、および神経膠腫細胞をAAVと接触させることを含む。神経膠腫細胞を接触させるステップは、単回AAV粒子投与または多回AAV投与(多回投与のレジメンなど)を含んでもよい。いくつかの態様において、開示される処置の方法のうちのいずれかは、神経膠腫腫瘍の、部分的または完全な縮小を提供する。いくつかの態様において、開示される処置の方法は、神経膠腫において、アポトーシスまたは細胞死を誘導する。
本明細書において提供されるのは、GBMおよびGSCの細胞および組織に形質導入する方法である。いくつかの態様において、GBMおよびGSCに形質導入する方法は、本明細書において開示されるようなバリアントrAAV粒子の組成物のうちのいずれか1つを細胞に提供することを含み、ここで、組成物中のrAAV粒子は、異種の核酸を含む核酸を含む。本開示はまた、これらの粒子または組成物のうちのいずれかを含む、宿主細胞(哺乳動物細胞など)を提供する。いくつかの態様において、これらの宿主細胞は、GBMまたはGSCを含む。本明細書においてさらに提供されるのは、特定の腫瘍細胞型についてのアフィニティーおよびその形質導入が増大しているAAVバリアントを同定する方法である。
多形神経膠芽腫(GBM)は、原発性脳腫瘍の最も一般的かつ致死的な形態であり、全ての神経膠腫の症例のうちの約60%を占め、グレードIVの神経膠腫として分類される。局所浸潤性、血管新生および腫瘍内不均一性が、GBMの高悪性度の最も重要な特徴のうちのものである。GBM腫瘍は、神経膠芽腫幹細胞様細胞(GSC)と称される細胞の機能的なサブセットを含み、これは、放射線照射療法および化学療法に対して耐性であり、最終的に腫瘍再発をもたらす。最近の研究は、GSCが、特に、それらの挙動を支持するために必要な腫瘍の微小環境(血管周囲の微小環境など)に存在することを示した。GSCの存在は、初めに、in vivoで腫瘍を惹起することができるCD133+細胞部分集団の同定により示された(Singh et al., 2004)。正常な神経幹細胞の糖タンパク質細胞表面マーカーであるCD133は、GSCを識別するために一般的に用いられる。CD133+細胞のパーセンテージは、放射線療法および化学療法の後の再発GBMにおいて、原発腫瘍と比較して、著しくより高い場合がある。CD133の他にも、SSEA-1およびCD44などの他の細胞表面マーカーが、GBM中の幹細胞様集団を濃縮または識別するために用いられてきた。特に、CD44は、GBMの間葉系のサブタイプにおいて高度に発現され、その発現は、幹細胞様細胞について濃縮するために用いられてきた(Anido et al., 2010)。Cd44-/-およびCd44+/-マウスが、Cd44+/+マウスよりも長くPDGF由来神経膠腫と共に生存したことが報告されており、このことは、CD44が、能動的に寄与することを示している(Pietras et al., Cell Stem Cell. 2014)。最近になって、患者由来の神経膠腫幹細胞様細胞が、区別し得るCD133+およびCD44+部分集団の特徴的な平衡を示すことが示された(本明細書において参考として援用されるBrown et al., PLoS One. 2017; 12(2): e0172791)。GSC集団は、それらの増殖および移動の速度、すなわち、周期が速い(fast-cycling)(速く分裂して速く移動する、または単純に「速い」)および周期が遅い(slow-cycling)(ゆっくり分裂してゆっくり移動する、または単純に「遅い」)集団によりさらに特徴づけられる(前掲を参照)。
いくつかの態様において、記載される粒子のうちのいずれかのカプシドにおけるアミノ酸置換は、置換を伴わないカプシドタンパク質(野生型カプシドタンパク質など)を含むAAV粒子と比較して、GBMまたはGSCの形質導入を増大させる。
いくつかの側面において、開示されるAAV粒子は、ポリヌクレオチドを含む組み換えAAVゲノム(またはベクター)を含む。このポリヌクレオチドは、少なくとも1つの異種核酸領域をコードしてもよい。いくつかの態様において、異種核酸領域は、ペプチドまたはタンパク質をコードする。ある態様において、異種核酸領域は、治療用ペプチドまたはタンパク質をコードする。ある態様において、異種核酸領域は、ショートヘアピンRNA(shRNA)をコードする。いくつかの態様において、異種核酸領域は、主要調節遺伝子などの神経変性に関与する転写因子をコードする遺伝子を標的とする、ショートヘアピンRNAをコードする。ある態様において、異種核酸領域は、Ascl-1またはNkx6-2遺伝子のうちの1つ以上、例えばヒトASCL-1またはNKX6-2遺伝子を標的とするショートヘアピンRNAをコードする。いくつかの側面において、治療用のペプチドまたはタンパク質は、修復酵素、チェックポイント阻害剤、転写因子、増殖因子受容体、増殖因子リガンド、または腫瘍サプレッサータンパク質を含む。いくつかの態様において、治療用ペプチドは、GBMにおける重要な予後の指標であることが知られている、修復酵素MGMTである。したがって、本開示は、酵素MGMTをコードするrAAVベクターを含むAAV粒子を提供する。
いくつかの態様において、記載されるrAAV粒子のうちのいずれかは、配列番号4~7および9~7010のうちのいずれか1つに対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92.5%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するカプシドを含む。いくつかの態様において、記載されるrAAV粒子のうちのいずれかは、配列番号4~7および9~28のうちのいずれか1つに対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92.5%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するカプシドを含む。いくつかの態様において、記載されるrAAV粒子のうちのいずれかは、配列番号4~7および9~28のうちのいずれか1つに対して、少なくとも85%または少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有するカプシドを含む。いくつかの態様において、記載されるrAAV粒子のうちのいずれかは、配列番号4~7および9~28のうちのいずれか1つを含むアミノ酸配列を有するカプシドを含む。いくつかの態様において、記載されるrAAV粒子のうちのいずれかは、配列番号4~7のうちのいずれか1つに対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92.5%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するカプシドを含む。特定の態様において、rAAVカプシドは、配列番号4~7のうちのいずれか1つの配列を含む。ある態様において、rAAVカプシドは、配列番号4を含む。
いくつかの態様において、開示されるカプシドは、配列番号4~7および9~28のうちのいずれか1つの配列と比較して異なる1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18のアミノ酸を有する配列を含んでもよい。これらの差異は、配列番号4~7および9~28のうちのいずれか1つの配列と比較して、挿入されているか、欠失しているか、または置換されているアミノ酸を含んでもよい。いくつかの態様において、開示されるカプシドは、配列番号4~7のうちのいずれか1つの配列と比較して異なる1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18のアミノ酸を有する配列を含んでもよい。
これらのrAAVカプシド粒子のうちのいずれかのアミノ酸置換は、AAV2 VP1カプシドのアミノ酸配列(配列番号1)に対するQ263G、S264T、Y444F、T450A、P451E、S452G、T454L、T455K、Q457M、R459H、Q461L、S492D、A493G、D494E、E499D、およびY500F、またはAAV2以外のAAV血清型の野生型VP1カプシド配列(例えば、AAV1、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAVrh.74、およびAAVrh.10)の相同なアミノ酸のうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの態様において、記載されるrAAV粒子のうちのいずれかのカプシドタンパク質のアミノ酸置換は、AAV2 VP1カプシドのアミノ酸配列に対して、E531G、K532R、S547A、E548G、T550N、V552A、D553A、E555G、K556Q、R585A、およびR588Aを含む。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、S264A、Y444F、T450D、P451R、S452G、T454S、Q457T、R459A、Q461S、S492D、A493G、D494E、E499D、およびY500Fを含む。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、Q263A、S264A、Y444F、T450D、P451R、S452G、T454S、Q457T、R459A、Q461S、S492D、A493G、D494E、E499D、およびY500Fを含む。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、E530N、E531D、K532R、S547A、E548K、K549G、D553A、I554V、R585A、およびR588Aを含む。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、Q263E、Y444F、T450A、P451S、S452A、T454S、Q457T、R459T、Q461G、T491Q、S492P、A493G、E499D、Y500F、E530D、E531D、およびK532Rを含む。
いくつかの態様において、開示されるカプシドのうちのいずれかは、T491の置換を含む。いくつかの態様において、これらのカプシドは、T491QまたはT491Vの置換を含む。いくつかの態様において、開示されるカプシドのうちのいずれかは、野生型AAV2カプシドVP1(配列番号1)のアミノ酸位置450~457においてDZGXSUXTモチーフを含み、ここで、Xは野生型の位置であり、Zは、TまたはRから選択される変異でり、Uは、KまたはTである。いくつかの態様において、開示されるカプシドのうちのいずれかは、配列番号1のアミノ酸位置530~532においてDDRモチーフを含む。いくつかの態様において、開示されるカプシドのうちのいずれかは、K527R変異を含む。
いくつかの側面において、本明細書において提供されるのは、カプシドおよびゲノムを含むrAAVベクターであり、ここで、カプシドは、表1~9のうちのいずれかにおいて記載されるようなアミノ酸置換を有するVP1、VP2および/またはVP3タンパク質を含み、ここで、これらの置換は、置換を伴わないカプシドタンパク質(野生型カプシドタンパク質など)を含むAAV粒子と比較して、GBM細胞またはGSCの形質導入を増大させる。いくつかの態様において、カプシドは、表1~8のうちのいずれかにおいて記載されるようなアミノ酸置換を有する。ある態様において、カプシドは、配列番号4を含む。
神経膠腫細胞型特異的AAVの作製.
いくつかの態様において、腫瘍細胞型に特異的な結合および形質導入が増強されたAAVを作製するための方法が記載される。方法は、動的なAAVライブラリー試薬の投与の様式の使用を含む。AAVライブラリーの送達は、マウスモデル腫瘍において、腫瘍進行と少なくとも部分的に同期される。異なるcapタンパク質を含有するAAVライブラリーが、腫瘍を保有するマウスに投与される。腫瘍は、移植されたものであっても(腫瘍細胞の注射などにより)、自然発症的に生じたものであっても、または誘導したものであってもよい。AAVライブラリーは、注入により腫瘍に投与される。腫瘍が発症し、増殖するにつれて、注入レベルを増大させる。いくつかの態様において、AAVライブラリーの腫瘍内注入は、持続的である。初めは注入速度はゆっくりである。腫瘍が増殖するにつれて、注入速度は、腫瘍増殖の早期および後期と同期する。AAVライブラリーの腫瘍内注入速度を腫瘍増殖の早期および後期と同期させることにより、単回腫瘍内注射と比較して、AAVの腫瘍細胞に対する結合および遺伝子送達のほぼ10倍の増大が観察され得る。
いくつかの態様において、腫瘍細胞型に特異的な結合および形質導入が増強されたAAVを作製するための方法が記載される。方法は、動的なAAVライブラリー試薬の投与の様式の使用を含む。AAVライブラリーの送達は、マウスモデル腫瘍において、腫瘍進行と少なくとも部分的に同期される。異なるcapタンパク質を含有するAAVライブラリーが、腫瘍を保有するマウスに投与される。腫瘍は、移植されたものであっても(腫瘍細胞の注射などにより)、自然発症的に生じたものであっても、または誘導したものであってもよい。AAVライブラリーは、注入により腫瘍に投与される。腫瘍が発症し、増殖するにつれて、注入レベルを増大させる。いくつかの態様において、AAVライブラリーの腫瘍内注入は、持続的である。初めは注入速度はゆっくりである。腫瘍が増殖するにつれて、注入速度は、腫瘍増殖の早期および後期と同期する。AAVライブラリーの腫瘍内注入速度を腫瘍増殖の早期および後期と同期させることにより、単回腫瘍内注射と比較して、AAVの腫瘍細胞に対する結合および遺伝子送達のほぼ10倍の増大が観察され得る。
いくつかの態様において、遅いGSCおよび速いGSCの集団、ならびに非GSC GBM細胞集団に対して特異的なバリアントについての定向進化スクリーニングにおける、AAVライブラリー試薬の同期的送達は、標的細胞の感染をもたらした。
GSCおよび非GSC GBM細胞についての特異性および/またはその形質導入が増大したAAV.
いくつかの態様において、GBMおよびGSCについての特異性および/またはその形質導入が増大したAAVバリアントが記載される。かかるAAVバリアントは、改変されたカプシドタンパク質を含有する。改変されたカプシドタンパク質は、野生型AAV2 VP1カプシドタンパク質(配列番号1)のアミノ酸263~267、アミノ酸444~461、アミノ酸490~507、アミノ酸527~532、アミノ酸545~556およびアミノ酸585~596に対応する領域(すなわち、可変領域I、IV、V、VI、VIIおよびVIII)において、アミノ酸置換を含有する。これらのアミノ酸のグループ分けは、AV2 VP1の可変領域を示す。上の領域の野生型アミノ酸配列を、下に示す(配列番号8に対応する):
いくつかの態様において、GBMおよびGSCについての特異性および/またはその形質導入が増大したAAVバリアントが記載される。かかるAAVバリアントは、改変されたカプシドタンパク質を含有する。改変されたカプシドタンパク質は、野生型AAV2 VP1カプシドタンパク質(配列番号1)のアミノ酸263~267、アミノ酸444~461、アミノ酸490~507、アミノ酸527~532、アミノ酸545~556およびアミノ酸585~596に対応する領域(すなわち、可変領域I、IV、V、VI、VIIおよびVIII)において、アミノ酸置換を含有する。これらのアミノ酸のグループ分けは、AV2 VP1の可変領域を示す。上の領域の野生型アミノ酸配列を、下に示す(配列番号8に対応する):
AAVバリアントは、VP1のアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換を有する、改変されたVP2およびVP3カプシドタンパク質を含んでもよい。下の配列番号1において、カプシドタンパク質VP1のアミノ酸263~267、444~461、490~507、527~532、545~556および585~596に下線を付す。それぞれ配列番号2および配列番号3において示されるカプシドタンパク質VP2およびVP3における、対応するアミノ酸位置に下線を付す。
野生型AAV2 VP1アミノ酸配列:
野生型AAV2 VP2アミノ酸配列:
野生型AAV2 VP3アミノ酸配列:
野生型AAV2 VP1アミノ酸配列:
GBMおよびGSCに対する特異性および/またはその形質導入が増強されたAAVバリアントの、例示的なカプシドタンパク質におけるアミノ酸置換を、表1~9において示す。ある態様において、表9において示されるカプシドタンパク質は、GBMおよびGSC細胞の形質導入の増強のための、したがって神経膠腫を罹患する対象における神経膠腫の処置における使用のための、開示される方法、rAAV粒子およびその組成物において使用される。
GBMおよびGSCについての特異性および/またはそれらの形質導入の増大を提供するVP1、VP2およびVP3(集合的にVPX)カプシドタンパク質アミノ酸置換を、表1~8において列記する。表中の各々の行は、コンビナトリアルライブラリー定向進化スクリーニングにおいてGSCに対する結合および/または形質導入について選択されたAAVバリアントにおけるカプシドタンパク質アミノ酸置換を代表する。
いくつかの態様において、AAV粒子は、改変されたVP1カプシドタンパク質を有していてもよく、ここで、VP1カプシドタンパク質は、配列番号1に対して、75%より高く、80%より高く、85%より高く、90%より高く、95%より高く、96%より高く、97%より高く、98%より高く、99%より高くまたは100%同一のアミノ酸配列を有し、表1~8のうちのいずれかにおいて記載されるようなアミノ酸置換のうちの1つ以上を有する、カプシドタンパク質を含む。
いくつかの態様において、AAV粒子は、改変されたVP2カプシドタンパク質を有していてもよく、ここで、VP2カプシドタンパク質は、配列番号2に対して、75%より高く、80%より高く、85%より高く、90%より高く、95%より高く、96%より高く、97%より高く、98%より高く、99%より高くまたは100%同一または類似するアミノ酸配列を有し、表1~8のうちのいずれかにおいて記載されるようなアミノ酸置換のうちの1つ以上を有する、カプシドタンパク質を含む。
いくつかの態様において、AAV粒子は、改変されたVP3カプシドタンパク質を有していてもよく、ここで、VP3カプシドタンパク質は、配列番号3に対して、75%より高く、80%より高く、85%より高く、90%より高く、95%より高く、96%より高く、97%より高く、98%より高く、99%より高くまたは100%同一または類似するアミノ酸配列を有し、表1~8のうちのいずれかにおいて記載されるようなアミノ酸置換のうちの1つ以上を有する、カプシドタンパク質を含む。
いくつかの態様において、AAV粒子は、改変されたVP1カプシドタンパク質、改変されたVP2カプシドタンパク質、改変されたVP3カプシドタンパク質、またはこれらの任意の組み合わせを有していてもよく、各々は、上記のとおりである。
いくつかの態様において、AAVバリアントは、CD133+GSC、CD44+GSC、CD44-/CD133+GSC、CD44+/CD133-GSC、CD44+/CD133+GSCおよび/またはCD44-/CD133-GBM細胞に対して、増大した特異性および/またはその形質導入を有する。CD133+GSCは、遅いGSCである傾向があり;CD44+GSCは、速いGSCである傾向がある。いくつかの態様において、CD133+および/またはCD44+細胞はGSCであり、CD133-/CD44-(ダブルネガティブ)細胞はGBM細胞である。いくつかの態様において、GBM細胞は、GSCおよび非GSCの両方のGBM癌細胞を含む。いくつかの態様において、GSCは、CD133-/CD44-であってよい。
いくつかの態様において、CD133+GSCに対する特異性および/またはその形質導入が増大したAAVバリアントが記載される。CD133+GSCは、CD44+またはCD44-であってよい。かかるAAVバリアントは、表1および/または表2において記載されるようなアミノ酸置換を有する1つ以上のVPXカプシドタンパク質を含む。
いくつかの態様において、CD44+GSCに対する特異性および/またはその形質導入が増大したAAVバリアントが記載される。CD44+GSCは、CD133+またはCD133-であってよい。かかるAAVバリアントは、表7および/または表8において記載されるようなアミノ酸置換を有する1つ以上のVPXカプシドタンパク質を含む。
いくつかの態様において、CD44-/CD133-GBM細胞に対する特異性および/またはその形質導入が増大したAAVバリアントが記載される。かかるAAVバリアントは、表3および/または表4において記載されるようなアミノ酸置換を有する1つ以上のVPXカプシドタンパク質を含む。
いくつかの態様において、CD44+/CD133+GSCに対する特異性および/またはその形質導入が増大したAAVバリアントが記載される。かかるAAVバリアントは、表5および/または表6において記載されるようなアミノ酸置換を有する1つ以上のVPXカプシドタンパク質を含む。
ある態様において、GSCおよび/または非GSC-GBM細胞に対する結合特異性および/またはその形質導入が増大したAAVバリアントは、配列番号1のアミノ酸配列に対してアミノ酸置換E531G、K532R、S547A、E548G、T550N、V552A、D553A、E555G、K556Q、R585A、およびR588Aを有するカプシドタンパク質を有するAAVを含む。
いくつかの態様において、GSCおよび/または非GSC-GBM細胞に対する結合特異性および/またはその形質導入が増大したAAVバリアントは、配列番号1のアミノ酸配列に対してアミノ酸置換Q263G、S264T、Y444F、T450A、P451E、S452G、T454L、T455K、Q457M、R459H、Q461L、S492D、A493G、D494E、E499D、およびY500Fを有するカプシドタンパク質を有するAAVを含む。
いくつかの態様において、GSCおよび/または非GSC-GBM細胞に対する結合特異性および/またはその形質導入が増大したAAVバリアントは、配列番号1のアミノ酸配列に対してアミノ酸置換S264A、Y444F、T450D、P451R、S452G、T454S、Q457T、R459A、Q461S、S492D、A493G、D494E、E499D、およびY500Fを有するカプシドタンパク質を有するAAVを含む。いくつかの態様において、GSCおよび/または非GSC-GBM細胞に対する結合特異性および/またはその形質導入が増大したAAVバリアントは、配列番号1のアミノ酸配列に対してアミノ酸置換Q263A、S264A、Y444F、T450D、P451R、S452G、T454S、Q457T、R459A、Q461S、S492D、A493G、D494E、E499D、およびY500Fを有するカプシドタンパク質を有するAAVを含む。
いくつかの態様において、GSCおよび/または非GSC-GBM細胞に対する結合特異性および/またはその形質導入が増大したAAVバリアントは、配列番号1のアミノ酸配列に対してアミノ酸置換E530N、E531D、K532R、S547A、E548K、K549G、D553A、I554V、R585A、およびR588Aを有するカプシドタンパク質を有するAAVを含む。いくつかの態様において、GSCおよび/または非GSC-GBM細胞に対する結合特異性および/またはその形質導入が増大したAAVバリアントは、配列番号1のアミノ酸配列に対してアミノ酸置換Q263E、Y444F、T450A、P451S、S452A、T454S、Q457T、R459T、Q461G、T491Q、S492P、A493G、E499D、Y500F、E530D、E531D、およびK532Rを有するカプシドタンパク質を有するAAVを含む。
配列同一性は、Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0(Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.)におけるBESTFIT、FASTAおよびTFASTAなどのアルゴリズムを用いて、デフォルトのギャップパラメーターを用いて、または目視により配列をアラインメントし、最良のアラインメント(すなわち、比較ウィンドウ全体にわたり最も高い配列類似性のパーセンテージをもたらすもの)を得ることにより、決定することができる。配列同一性のパーセンテージは、2つの最適にアラインメントされた配列を比較ウィンドウ全体にわたり比較して、両方の配列において同一の残基が生じる位置の数を決定してマッチする位置の数を得て、ギャップをカウントしないで比較ウィンドウ(すなわち、ウィンドウのサイズ)中のマッチする位置の数を、マッチする位置およびミスマッチの位置の総数で除算して、結果に100を乗算して配列同一性のパーセンテージを得ることにより、計算する。2つの配列の最適なアラインメントのために、比較ウィンドウ中の1つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の部分は、他の配列(付加または欠失を含まないもの)と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。別段に示されない限り、2つの配列の間の比較のウィンドウは、2つの配列のうちの短い方の全長により定義される。
タンパク質に関する配列同一性のパーセントについて、同一でないアミノ酸は、保存的置換により異なっていてもよく、ここで、アミノ酸残基は、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有するアミノ酸残基に対して置換することが理解されるべきである。かかる置換は、タンパク質の機能的特性に変化を変化させる可能性が低い。配列が、保存的置換において異なる場合、置換の保存的性質について補正するために、配列同一性のパーセントを上方に調整してもよい。かかる保存的置換により異なる配列は、「配列類似性」または「類似性」を有すると言われる。かかる分析は、当該分野において周知である。保存的置換は、完全なミスマッチではなく部分的なミスマッチとしてスコア付けすることができ、それにより、配列同一性(または類似性)のパーセンテージを増大させることができる。保存的置換のスコア付けは、例えば、プログラムPC/GENE(Intelligenetics, Mountain View, California)において実行されるように、計算される。
配列同一性/類似性の値は、GAP Version 10を用いて、以下のパラメーターを用いて得られる値を指す:50のGAP Weightおよび3のLength Weight、ならびにnwsgapdna.cmpスコア付けマトリックスを用いたヌクレオチド配列についての%同一性および%類似性;8のGAP Weightおよび2のLength Weight、ならびにBLOSUM62スコア付けマトリックスを用いたアミノ酸配列についての%同一性および%類似性;またはこれらの任意の同等のプログラム。類似性を決定する他の方法として、BLAST、PSI-BLAST、SSEARCHおよびFASTAが挙げられる。
本明細書において用いられる場合、「特異性」とは、AAV粒子が、GBM細胞またはGSCなどの標的細胞を認識してこれに結合する能力を指す。GBM細胞またはGSCに対する特異性の増大とは、AAVバリアントが、アミノ酸置換を伴わない類似のAAV(野生型AAVカプシドなど)よりも強い結合アフィニティーでGBM細胞またはGSCに結合することを意味する。
本明細書において用いられる場合、GBM細胞またはGSCの「形質導入が増大した」とは、AAVバリアントが、アミノ酸置換を伴わない類似のAAVよりも高い効率で、GBM細胞またはGSCが、形質導入することを指す。本明細書において用いられる場合、「形質導入」とは、AAVなどのウイルスまたはウイルスベクターによる、細胞中への、ポリヌクレオチドの細胞内導入を指す。
いくつかの態様において、記載されるAAVカプシドタンパク質のうちのいずれかをコードする核酸分子が企図される。いくつかの態様において、記載されるAAVバリアントのうちのいずれかを含む遺伝子送達ベクター、または記載されるAAVカプシドタンパク質のうちのいずれかを含むAAV粒子が企図される。
いくつかの態様において、記載されるAAVバリアントのうちのいずれかまたは記載されるAAVカプシドタンパク質のうちのいずれかを含むAAV粒子を含む、宿主細胞が企図される。多様な態様において、宿主細胞は、GBMまたはGSC細胞を含む。いくつかの態様において、宿主細胞は、CD133およびCD44のシングルポジティブ、CD133/CD44ダブルポジティブならびにCD133/CD44ダブルネガティブGBM細胞、またはCD133およびCD44のシングルポジティブ、CD133/CD44ダブルポジティブならびにCD133/CD44ダブルネガティブGSC細胞のうちのいずれか1つを含む。
いくつかの態様において、記載されるAAVバリアントのうちのいずれかを、遺伝子治療ベクターとして用いることができる。記載されるAAVバリアントは、異種の核酸領域導入遺伝子(または異種遺伝子または導入遺伝子)をGBMまたはGSC細胞に送達することにおいて、特に有用である。記載されるAAV粒子のうちのいずれかまたは記載されるカプシドタンパク質のうちのいずれかを含むAAV粒子は、異種核酸領域を含むゲノムを含んでもよい。異種核酸配列は、タンパク質またはリボヌクレオチドをコードしていてもよい。タンパク質またはリボヌクレオチドは、治療用のタンパク質またはリボヌクレオチドであってもよい。異種遺伝子は、遺伝子配列全体または部分的な遺伝子配列またはこれらの機能的フラグメントを含んでもよい。いくつかの態様において、異種遺伝子は、機能的RNAをコードする。いくつかの態様において、異種遺伝子は、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする。
いくつかの態様において、異種遺伝子をGBM細胞またはGSCに送達する方法が記載され、該方法は、GBM細胞またはGSC細胞を、記載されるAAVバリアントのうちのいずれかまたは記載されるカプシドタンパク質のうちのいずれかを含むAAVと接触させることを含む。
組み換えAAV粒子
本明細書において提供されるのは、バリアントrAAV(例えば、バリアントrAAV2)粒子である。いくつかの態様において、粒子は、空の粒子(例えば、異種遺伝子を含む核酸ベクターを含まないもの)である。いくつかの態様において、AAV2粒子は、異種の核酸または異種遺伝子を含む核酸ベクターを含む。異種遺伝子とは、目的のRNAまたはタンパク質をコードする遺伝子である。
本明細書において提供されるのは、バリアントrAAV(例えば、バリアントrAAV2)粒子である。いくつかの態様において、粒子は、空の粒子(例えば、異種遺伝子を含む核酸ベクターを含まないもの)である。いくつかの態様において、AAV2粒子は、異種の核酸または異種遺伝子を含む核酸ベクターを含む。異種遺伝子とは、目的のRNAまたはタンパク質をコードする遺伝子である。
いくつかの態様において、本明細書において開示されるバリアントrAAV(例えば、バリアントrAAV2)カプシドタンパク質のうちのいずれか1つを含むrAAV2粒子は、血清型2のITRおよび/またはrep ORFを含む。いくつかの態様において、rAAV2粒子は、シュードタイピングされたrAAV粒子であり、これは、(a)血清型2に由来するカプシドタンパク質を含んでなるカプシド、および(b)別の血清型(例えば、AAV1、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9またはAAV10)からのITRを含む核酸ベクターを含む。例えば、粒子は、血清型5のITRおよび血清型2のカプシドを有していてもよい。かかるシュードタイプ化rAAV粒子は、AAV5/2と指定されるであろう。
目的のタンパク質は、検出可能マーカーまたは治療用タンパク質であってよい。検出可能マーカーは、可視化することができる分子である(例えば、裸眼を用いて、または顕微鏡下において)。いくつかの態様において、検出可能マーカーは、蛍光分子、生物発光分子、また色を与える分子(例えば、β-ガラクトシダーゼまたはAntares)である。いくつかの態様において、検出可能マーカーは、蛍光タンパク質またはその機能的ペプチドまたは機能的ポリペプチドである。
いくつかの態様において、異種遺伝子は、治療用タンパク質をコードし、「治療用遺伝子」として言及される。治療用遺伝子は、それが送達される細胞、組織または臓器において、治療効果を提供することができる。いくつかの態様において、治療用遺伝子は、それが送達されるものとは別の細胞、組織または臓器に対して治療的利益を提供する。例えば、脳組織(例えば、側頭葉または前頭葉)に送達される遺伝子は、神経膠腫または神経膠芽腫細胞に到達し得る。いくつかの態様において、治療用遺伝子は、抗体、ぺプチボディー、増殖因子、凝固因子、ホルモン、膜タンパク質、サイトカイン、ケモカイン、細胞表面受容体またはイオンチャネルに対して作用する活性化性または阻害性のペプチド、細胞内プロセスを標的とする細胞浸透性ペプチド、血栓溶解剤、酵素、骨形成性タンパク質、ヌクレアーゼまたは遺伝子編集のために用いられる他のタンパク質、Fc-融合タンパク質、抗凝固剤、ヌクレアーゼ、ショートヘアピンRNA、siRNA、ガイドRNA、または遺伝子編集のための他の核酸もしくはタンパク質をコードする。
いくつかの態様において、異種遺伝子は、治療用RNA、例えば、小分子干渉RNAまたはショートヘアピンRNAをコードする。ある態様において、異種遺伝子は、主要調節遺伝子を標的とするshRNAをコードする。ある態様において、異種遺伝子は、Ascl-1またはNkx6-2遺伝子のうちの1つ以上を標的とするshRNA、例えばヒトASCL-1またはNKX6-2遺伝子のうちの1つ以上を標的とするshRNAをコードする。いくつかの態様において、治療用遺伝子は、修復酵素(例えば、MGMT)、チェックポイント阻害剤、転写因子、増殖因子受容体、増殖因子リガンド、または腫瘍サプレッサータンパク質をコードする。
いくつかの態様において、rAAV粒子中に含まれる核酸ベクターは、以下の1つ以上を含む:(a)異種遺伝子を含む1つ以上の異種核酸領域、および(b)1つ以上の核酸領域(例えば、異種核酸領域)に隣接する逆位末端反復(ITR)配列を含む1つ以上の領域(例えば、野生型ITR配列または操作されたITR配列)。いくつかの態様において、rAAV粒子中の核酸ベクターは、異種核酸領域(例えば、プロモーター)の発現を促進する制御配列を含む1つ以上の核酸領域を含む。いくつかの態様において、rAAV粒子中の核酸ベクターは、対象のゲノム中への異種核酸領域の組み込み(任意に、発現を促進する配列を含む1つ以上の核酸領域と共に)を促進する配列を含む1つ以上の核酸領域を含む。
発現制御配列の非限定的な例として、プロモーター、インスレーター、サイレンサー、応答エレメント、イントロン、エンハンサー、開始部位、終結シグナル、およびポリ(A)テイルが挙げられる。かかる制御配列の任意の組み合わせが、本明細書において企図される(例えば、プロモーターおよびエンハンサー)。
いくつかの態様において、1つ以上のプロモーターは、異種の核酸中のコードヌクレオチド配列に作動的に連結されていてもよい。プロモーターは、プロモーター配列が、ヌクレオチド配列の転写を制御および/または調節する場合、当該ヌクレオチド配列に「作動的に連結されている」。プロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、誘導性プロモーター、または合成プロモーターであってよい。
例えば、異なる強度の構成的プロモーターを用いることができる。本明細書において記載される核酸ベクターは、転写を促進することにおいて一般に活性である、ウイルスプロモーターまたは哺乳動物遺伝子からのプロモーターなどの1つ以上の構成的プロモーターを含んでもよい。構成的ウイルスプロモーターの非限定的な例として、単純ヘルペスウイルス(HSV)、チミジンキナーゼ(TK)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、サルウイルス40(SV40)、マウス乳癌ウイルス(MMTV)、Ad E1Aサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターが挙げられる。構成的哺乳動物プロモーターの非限定的な例として、β-アクチンプロモーター(例えば、ニワトリβ-アクチンプロモーター)およびヒト伸長因子-1α(EF-1α)プロモーターにより例示されるような多様なハウスキーピング遺伝子プロモーターが挙げられる。いくつかの態様において、キメラウイルス/哺乳動物プロモーターは、キメラCMV/ニワトリベータアクチン(CBA、CBまたはCAG)プロモーターを含んでもよい。いくつかの態様において、短縮化またはトランケーションされたプロモーターが用いられる。
誘導性プロモーターおよび/または調節エレメントもまた、目的のタンパク質またはポリペプチドの適切な発現レベルを達成するために企図され得る。好適な誘導性プロモーターの非限定的な例として、チトクロームP450遺伝子、ヒートショックタンパク質遺伝子、メタロチオネイン遺伝子、およびエストロゲン遺伝子プロモーターなどのホルモン誘導性遺伝子などの遺伝子からのものが挙げられる。誘導性プロモーターの別の例は、テトラサイクリンに対して応答性であるtetVP16プロモーターである。
組織特異的プロモーターおよび/または調節エレメントもまた、本明細書において企図される。いくつかの態様において、本明細書において開示されるようなバリアントrAAV(例えば、バリアントrAAV2)粒子を、バリアントrAAV(例えば、バリアントrAAV2)粒子と同じ細胞、組織または臓器を標的とするプロモーターと組み合わせることが、有益な場合がある。例えば、神経膠腫または神経膠腫幹細胞様細胞を標的とするバリアントrAAV(例えば、バリアントrAAV2)粒子が、神経細胞または神経幹細胞を標的とするプロモーターを含む核酸にカプシド形成してもよい。
合成プロモーターもまた、本明細書において企図される。合成プロモーターは、例えば、既知のプロモーター、調節エレメント、転写因子結合部位、エンハンサーエレメント、リプレッサーエレメントなどの領域を含んでもよい。
プロモーターは、本明細書において開示されるプロモーターのうちのいずれか1つのフラグメント、または完全なプロモーターの部分的なプロモーター活性(例えば、活性の10~90、30~60、50~80、80~99もしくは90~99.9%)を保持するものであってもよいことが、理解されるべきである。
本明細書において記載される任意の核酸ベクターは、ウイルスのカプシドによりカプシド形成されてもよい。いくつかの態様において、cap遺伝子は、検出可能マーカーおよびAAV血清型2のVPタンパク質を含む融合タンパク質を発現するように修飾される。いくつかの態様において、ペプチドは、カプシドVP2の位置587/588においてまたはC末端においてタンパク質中に挿入される。いくつかの態様において、核酸ベクターは、環状である。いくつかの態様において、核酸ベクターは、一本鎖である。いくつかの態様において、核酸ベクターは、二本鎖である。いくつかの態様において、二本鎖核酸ベクターは、例えば、核酸ベクターの別の領域に対して相補的であり、それにより核酸ベクターの二本鎖性(double-strandedness)の形成を開始する、当該核酸ベクターの領域を含む、自己相補的ベクターであってもよい。
rAAV粒子を作製する方法
rAAV粒子および核酸ベクターを生成する多様な方法が、知られている(例えば、本明細書において参考として援用されるZolotukhin et al. Production and purification of serotype 1, 2, and 5 recombinant adeno-associated viral vectors. Methods 28 (2002) 158-167;および米国特許公開番号2007/0015238および2012/0322861;ならびにATCCおよびCell Biolabs, Inc.から入手可能なプラスミドおよびキットを参照)。いくつかの態様において、異種遺伝子を含むベクター(例えばプラスミド)は、1つ以上のヘルパープラスミド、例えばrep遺伝子(例えば、Rep78、Rep68、Rep52およびRep40をコードする)ならびにcap遺伝子(VP1、VP2およびVP3をコードし、これは、本明細書において記載されるような修飾されたVP領域を含む)を含むものと組み合わせて、核酸ベクターがカプシド内部にパッケージングまたはカプシド形成され、その後精製されるように、ヘルパーまたは産生株(producer)細胞と称される組み換え細胞中に導入してもよい。
rAAV粒子および核酸ベクターを生成する多様な方法が、知られている(例えば、本明細書において参考として援用されるZolotukhin et al. Production and purification of serotype 1, 2, and 5 recombinant adeno-associated viral vectors. Methods 28 (2002) 158-167;および米国特許公開番号2007/0015238および2012/0322861;ならびにATCCおよびCell Biolabs, Inc.から入手可能なプラスミドおよびキットを参照)。いくつかの態様において、異種遺伝子を含むベクター(例えばプラスミド)は、1つ以上のヘルパープラスミド、例えばrep遺伝子(例えば、Rep78、Rep68、Rep52およびRep40をコードする)ならびにcap遺伝子(VP1、VP2およびVP3をコードし、これは、本明細書において記載されるような修飾されたVP領域を含む)を含むものと組み合わせて、核酸ベクターがカプシド内部にパッケージングまたはカプシド形成され、その後精製されるように、ヘルパーまたは産生株(producer)細胞と称される組み換え細胞中に導入してもよい。
哺乳動物ヘルパー細胞の非限定的な例として、HEK293細胞、COS細胞、HeLa細胞、BHK細胞またはCHO細胞(例えば、ATCC(登録商標)CRL-1573(商標)、ATCC(登録商標)CRL-1651(商標)、ATCC(登録商標)CRL-1650(商標)、ATCC(登録商標)CCL-2、ATCC(登録商標)CCL-10(商標)、またはATCC(登録商標)CCL-61(商標))が挙げられる。昆虫ヘルパー細胞の非限定的な例は、Sf9細胞である(例えば、ATCC(登録商標)CRL-1711(商標)を参照)。ヘルパー細胞は、Repタンパク質および/またはCapタンパク質をコードするrepおよび/またはcap遺伝子を含んでもよい。いくつかの態様において、パッケージングは、in vitro(例えば、細胞の外側)で行われる。
いくつかの態様において、異種遺伝子を含む核酸ベクター(例えばプラスミド)1つ以上のヘルパープラスミド、例えば、第1の血清型のrep遺伝子、および同じ血清型または異なる血清型のcap遺伝子を含むものと組み合わされて、rAAV粒子がパッケージングされるように、ヘルパー細胞中に遺伝子導入される。いくつかの態様において、1つ以上のヘルパープラスミドは、rep遺伝子およびcap遺伝子を含む第1のヘルパープラスミド、および以下のヘルパー遺伝子:E1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、およびVA遺伝子のうちの1つ以上を含む第2のヘルパープラスミドを含む。明確性のために、ヘルパー遺伝子とは、ヘルパータンパク質E1a、E1b、E4、E2aおよびVAをコードする遺伝子である。ヘルパープラスミド、およびかかるプラスミドを作製する方法は、当該分野において公知であり、市販されている(例えば、PlasmidFactory, Bielefeld, Germany製のpDF6、pRep、pDM、pDG、pDP1rs、pDP2rs、pDP3rs、pDP4rs、pDP5rs、pDP6rs、pDG(R484E/R585E)およびpDP8.apeプラスミド;Vector Biolabs, Philadelphia, PA;Cellbiolabs, San Diego, CA;Agilent Technologies, Santa Clara, Ca;およびAddgene, Cambridge, MAから入手可能な他の製品およびサービス;pxx6;Grimm et al. (1998), Novel Tools for Production and Purification of Recombinant Adeno associated Virus Vectors, Human Gene Therapy, Vol. 9, 2745-2760;Kern, A. et al. (2003), Identification of a Heparin-Binding Motif on Adeno-Associated Virus Type 2 Capsids, Journal of Virology, Vol. 77, 11072-11081.;Grimm et al. (2003), Helper Virus-Free, Optically Controllable, and Two-Plasmid-Based Production of Adeno-associated Virus Vectors of Serotypes 1 to 6, Molecular Therapy,Vol. 7, 839-850;Kronenberg et al. (2005), A Conformational Change in the Adeno-Associated Virus Type 2 Capside Leads to the Exposure of Hidden VP1 N Termini, Journal of Virology, Vol. 79, 5296-5303;およびMoullier, P. and Snyder, R.O. (2008), International efforts for recombinant adeno-associated viral vector reference standards, Molecular Therapy, Vol. 16, 1185-1188を参照)。特定の血清型についての野生型AAVコード領域をコードするプラスミドもまた、公知であり、入手可能である。例えば、pSub201は、野生型AAV2ゲノムのコード領域を含むプラスミドである(Samulski et al. (1987), J Virology, 6:3096-3101)。
ITR配列およびITR配列を含むプラスミドは、当該分野において公知であり、市販されている(例えば、Vector Biolabs, Philadelphia, PA;Cellbiolabs, San Diego, CA;Agilent Technologies, Santa Clara, Ca;およびAddgene, Cambridge, MAから入手可能な製品およびサービス;ならびにGene delivery to skeletal muscle results in sustained expression and systemic delivery of a therapeutic protein. Kessler PD, Podsakoff GM, Chen X, McQuiston SA, Colosi PC, Matelis LA, Kurtzman GJ, Byrne BJ. Proc Natl Acad Sci U S A. 1996 Nov 26;93(24):14082-7;およびCurtis A. Machida. Methods in Molecular Medicine(商標). Viral Vectors for Gene Therapy Methods and Protocols. 10.1385/1-59259-304-6:201(著作権)Humana Press Inc. 2003. Chapter 10. Targeted Integration by Adeno-Associated Virus. Matthew D. Weitzman, Samuel M. Young Jr., Toni Cathomen and Richard Jude Samulski;米国特許第5,139,941号および同第5,962,313号を参照;これらの全ては本明細書において参考として援用される)。AAV血清型1、2、3、3B、4、5、6、7、8、9、10、11、12および13の配列についてのGenebank参照番号は、特許公開WO 2012/064960において列記され、これは本明細書において参考として援用される。
rAAV粒子生成方法の非限定的な方法を、次に説明する。所望されるAAV血清型についてのrepおよびcap ORF、ならびにアデノウイルスのVA、E2A(DBP)およびE4遺伝子を、それらのネイティブのプロモーターの転写制御下においてを含む、1つ以上のヘルパープラスミドを、生成するか取得する。いくつかの態様において、1つ以上のヘルパープラスミドは、rep遺伝子、cap遺伝子、ならびに任意にアデノウイルスのVA、E2A(DBP)およびE4遺伝子のうちの1つ以上を、それらのネイティブのプロモーターの転写制御下において含む。いくつかの態様において、1つ以上のヘルパープラスミドは、所望されるAAV血清型についてのcap ORF(および任意にrep ORF)、ならびにアデノウイルスのVA、E2A(DBP)およびE4遺伝子を、それらのネイティブのプロモーターの転写制御下において含む。cap ORFはまた、本明細書において記載されるような修飾されたカプシドタンパク質を生成するために、1つ以上の修飾を含んでもよい。例として、HEK293細胞(ATCC(登録商標)から入手可能)を、CaPO4媒介性トランスフェクション、脂質またはポリエチレンイミン(PEI)などのポリマー性分子を介して、ヘルパープラスミドおよび核酸ベクターを含有するプラスミドにより、遺伝子導入する。HEK293細胞を、次いで、少なくとも60時間にわたりインキュベートして、rAAV粒子を生成させる。あるいは、HEK293細胞を、上記の方法を介して、1つ以上の目的の遺伝子を含有するAAV-ITR、RepおよびCapタンパク質をコードする遺伝子を含むヘルパープラスミドにより遺伝子導入し、ヘルパーウイルスにより共導入する。ヘルパーウイルスとは、AAVの複製を可能にするウイルスである。ヘルパーウイルスの例は、アデノウイルスおよびヘルペスウイルスである。
あるいは、別の例において、Sf9ベースの産生株安定細胞株を、核酸ベクターを含む単一の組み換えバキュロウイルスに感染させる。さらなる代替として、別の例において、HEK293またはBHK細胞株を、核酸ベクターを含むHSV、および任意に本明細書において記載されるようなrepおよびcapのORFならびにアデノウイルスのVA、E2A(DBP)およびE4遺伝子を、それらのネイティブのプロモーターの転写制御下において含む1つ以上のヘルパーHSVに感染させる。HEK293、BHK、またはSf9細胞を、次いで、少なくとも60時間にわたりインキュベートして、rAAV粒子を生成させる。RAAV粒子を、次いで、当該分野において公知であるかまたは本明細書において記載される任意の方法を用いて、例えば、イオジキサノール段階的勾配、CsCl勾配、クロマトグラフィー、またはポリエチレングリコール(PEG)沈殿により、精製してもよい。
ヘルペスウイルスベースの系を用いたAAVのラージスケール生成のための方法もまた、公知である。例えば、Clementら(Hum Gene Ther. 2009, 20(8):796-806)を参照。中和性の抗AAV抗体に対してより耐性であり得るエキソソーム関連AAVを生成する方法もまた、もまた、公知である(Hudry et al., Gene Ther. 2016, 23(4):380-92;Macguire et al., Mol Ther. 2012, 20(5):960-71)。
シュードタイピングされたrAAVベクターを生成してこれを用いるための方法もまた、当該分野において公知である(例えば、Duan et al., J. Virol., 75:7662-7671, 2001;Halbert et al., J. Virol., 74:1524-1532, 2000;Zolotukhin et al., Methods, 28:158-167, 2002;およびAuricchio et al., Hum. Molec. Genet., 10:3075-3081, 2001を参照)。
組成物
rAAV粒子の使用を促進するために、多様な処方物が、開発されてきた。例えば、rAAV粒子の注射可能な水溶液の投与のために、溶液を、必要であれば好適に緩衝化してもよく、液体の希釈剤を、初めに十分な食塩水またはグルコースで等張化してもよい。いくつかの態様において、本明細書において提供されるような組成物は、本明細書において開示されるバリアントrAAV(例えば、バリアントrAAV2)粒子のうちのいずれか1つを複数含む。いくつかの態様において、組成物は、本明細書において開示されるバリアントrAAV(例えば、バリアントrAAV2)粒子のうちの1つより多くを複数含む。いくつかの態様において、「投与すること」または「投与」は、薬理学的に有用な様式において材料を対象に提供することを意味する。
rAAV粒子の使用を促進するために、多様な処方物が、開発されてきた。例えば、rAAV粒子の注射可能な水溶液の投与のために、溶液を、必要であれば好適に緩衝化してもよく、液体の希釈剤を、初めに十分な食塩水またはグルコースで等張化してもよい。いくつかの態様において、本明細書において提供されるような組成物は、本明細書において開示されるバリアントrAAV(例えば、バリアントrAAV2)粒子のうちのいずれか1つを複数含む。いくつかの態様において、組成物は、本明細書において開示されるバリアントrAAV(例えば、バリアントrAAV2)粒子のうちの1つより多くを複数含む。いくつかの態様において、「投与すること」または「投与」は、薬理学的に有用な様式において材料を対象に提供することを意味する。
したがって、いくつかの態様において、バリアントrAAV粒子の組成物は、薬学的に受入可能なキャリアを含む。用語「キャリア」とは、それと共にrAAV粒子が投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指す。かかる医薬用キャリアは、無菌の液体(例えば、水、油脂、食塩水溶液、水性デキストロースおよびグリセロール溶液)、懸濁剤、保存剤(例えば、メチル-、エチル-、およびプロピル-ヒドロキシ-ベンゾエート)、ならびにpH調整剤(無機および有機の酸および塩基など)であってよい。いくつかの態様において、キャリアは、緩衝化食塩水溶液(例えば、リン酸緩衝化食塩水、HEPES緩衝化食塩水)を含む。USPグレードのキャリアおよび賦形剤は、rAAV粒子のヒト対象への送達のために、特に有用である。かかる組成物は、さらに任意に、リポソーム、脂質、脂質複合体、マイクロスフェア、マイクロ粒子、ナノスフェア、またはナノ粒子を含んでもよく、あるいは、それを必要とする対象の細胞、組織、臓器または身体への投与のために、別段に処方されてもよい。かかる組成物を作製するための方法は、周知であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第22版、Pharmaceutical Press(2012年)において見出すことができる。
いくつかの態様において、本明細書において開示されるrAAV粒子のうちのいずれか1つを含む組成物は、0.014%のTween 20を添加した平衡化塩溶液(BSS)(ポリソルベート20)を含む。いくつかの態様において、本明細書において開示されるrAAV粒子のうちのいずれか1つを含む組成物は、100mMのクエン酸ナトリウム、10mMのTris(pH8.0)に0.001%のPluronic F-68を添加したものを含む。
いくつかの態様において、宿主細胞に投与されるrAAV粒子の数は、500~5,000ベクターゲノム(vgs)/細胞の範囲の桁であってよい。特定の態様において、開示される方法は、約500vgs/細胞、1000vgs/細胞、2000vgs/細胞、3000vgs/細胞、4000vgs/細胞、5000vgs/細胞、6000vgs/細胞または7000vgs/細胞の用量におけるrAAV粒子の投与を含む。
いくつかの態様において、対象に投与されるrAAV粒子の数は、106~1014粒子/mLまたは103~1013粒子/mLの範囲の桁、またはいずれかの範囲におけるその間の任意の値、例えば、約106、107、108、109、1010、1011、1012、1013または1014粒子/mLなどであってよい。一態様において、1013粒子/mLよりも高いrAAV粒子が投与される。いくつかの態様において、対象に投与されるrAAV粒子の数は、106~1014vgs/mLまたは103~1015vgs/mLの範囲の桁、またはいずれかの範囲におけるその間の任意の値、例えば、約106、107、108、109、1010、1011、1012、1013または1014vgs/mLなどであってよい。ある態様において、開示される方法は、3×103~1×104vgs/mLの用量におけるrAAV粒子組成物の投与を含む。一態様において、1013vgs/mLよりも高いrAAV粒子が投与される。
rAAV粒子は、処置されている特定の疾患または障害の治療を達成するために必要とされる場合は、単回用量として投与しても、または2回以上の投与に分けて投与してもよい。いくつかの態様において、0.0001mL~10mLが、対象に送達される。
いくつかの態様において、本開示は、単独で、または1つ以上の他の治療のモダリティーと組み合わせての、細胞または動物への投与のための、および特にヒトの細胞、組織、ヒトに影響を及ぼす疾患の治療のための、本明細書において開示される組成物の、薬学的に受入可能な溶液中の処方物を提供する。
所望される場合、rAAV粒子または調製物および核酸セグメントは、また例えばタンパク質またはポリペプチドまたは多様な薬学的に活性な剤などの他の剤と組み合わせて投与してもよく、これは、治療用ポリペプチド、生体活性フラグメント、またはこれらのバリアントの、1回以上の全身または局所投与を含む。実際に、標的細胞または宿主組織との接触の際にさらなる剤が顕著な有害効果を引き起こさないことを前提として、また含まれてもよい他の構成成分について実質的に制限はない。RAAV粒子または調製物および核酸セグメントは、したがって、特定の場合において必要とされる場合は、多様な他の剤と共に送達してもよい。かかる組成物は、宿主細胞または他の生物学的ソースから精製してもよく、あるいは代替的に、本明細書において記載されるように化学的に合成してもよい。本明細書において用いられる場合、用語「ベクター」は、核酸セグメント(例えば、プラスミドもしくは組み換えウイルスゲノム)またはウイルスベクター(例えば、組み換えゲノムを含むrAAV粒子)を指してもよい。
典型的には、組成物は、治療剤(例えば、rAAV粒子)のうちの少なくとも約0.1%またはそれより多くを含んでもよいが、活性成分のパーセンテージは、変化してもよく、便利に、全処方物の重量または容積の約1または2%~約70%または80%またはそれより多くの間であってよい。当然のことながら、各々の治療上有用な組成物中の治療剤(例えば、rAAV粒子)の量は、化合物の任意の所与の単位用量において好適な投与量が得られるであろう方法において調製してもよい。溶解度、バイオアベイラビリティー、生物学的半減期、投与の経路、製品の有効期間、ならびに他の薬理学的配慮などの要因が、かかる医薬処方物を調製する当業者により企図され、したがって、多様な投与量および処置レジメンが望ましい場合がある。
注射可能な使用のために好適なrAAV粒子組成物の薬学的形態として、無菌の水溶液または分散が挙げられる。いくつかの態様において、形態は、無菌であり、容易な通針性(syringability)が存在する程度まで液体である。いくつかの態様において、形態は、製造および貯蔵の条件下において安定であり、細菌および真菌などの微生物の混入作用に対して保存される。いくつかの態様において、形態は、無菌である。キャリアは、例えば、水、食塩水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および/または植物油を含む、溶媒または分散媒であってよい。適当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散の場合には必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。
対象への投与のための組成物の調製は、当該分野において公知である。例えば、1投与量を、1mlの等張NaCl溶液中に溶解して、1000mlの皮下点滴液に添加するか、または提案される注入の部位において注射してもよい(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第15版、1035~1038および1570~1580を参照)。いくつかの投与量のバリエーションは、処置されている対象の状態に依存して、必然的に生じるであろう。投与の責任者は、いずれにしても、個々の対象のために適切な用量を決定するであろう。さらに、ヒトの投与のために、調製物は、例えば、FDA Office of Biologicsの標準により必要とされるような、無菌性、発熱性、ならびに一般的な安全性および純度の標準を満たすべきである。
いくつかの態様において、細胞、組織または臓器は、例えば、疾患を処置する目的のために、in vivoで形質導入される。いくつかの態様において、CNSの細胞、組織または臓器が、in vivoで形質導入される。いくつかの態様において、脳組織または脳細胞が、in vivoで形質導入される。いくつかの態様において、CNSに関連する疾患が、開示されるrAAV粒子または組成物のうちの1つ以上の投与により処置される。特定の態様において、神経膠腫または神経膠芽腫に関連する疾患が処置される。
いくつかの態様において、「投与すること」または「投与」とは、材料を、薬理学的に有用な様式において対象に提供することを意味する。いくつかの態様において、rAAV粒子は、対象に経腸投与される。いくつかの態様において、必須金属元素の経腸投与は、経口である。いくつかの態様において、rAAV粒子は、対象に非経口投与される。いくつかの態様において、rAAV粒子は、対象腫瘍内に、眼内に、皮下に、静脈内に(IV)、動脈内に、脳内に、脳室内に、筋肉内に、クモ膜下内に(IT)、大槽内に、腹腔内に、吸入を介して、局所に、または直接注射により、1つ以上の細胞、組織または臓器(例えば脳)に投与される。ある態様において、rAAV粒子送達は、腫瘍内である。
いくつかの態様において、細胞、組織または臓器が形質導入される対象は、脊椎動物(例えば、哺乳動物または爬虫類)である。いくつかの態様において、哺乳動物対象は、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ハムスター、マウス、ラット、ブタ、ウマ、ウシ、ラバまたはウサギである。非ヒト霊長類対象の非限定的な例として、マカク(例えば、カニクイザルまたはアカゲザル)、マーモセット、タマリン、クモザル、ヨザル、サバンナモンキー、リスザル、ヒヒ、ゴリラ、チンパンジーおよびオランウータンが挙げられる。いくつかの態様において、対象は、特定の疾患のための、あるいは薬物動態学および/または異種遺伝子によりコードされるタンパク質もしくはsiRNAの薬物動態学を研究するために用いられるモデルである。
疾患を「処置する」とは、当該用語が本明細書において用いられる場合、対象により経験される疾患または障害の少なくとも1つの徴候または症状の頻度または重篤度を軽減することを意味する。上または本明細書において他の場所で記載される組成物は、典型的には、望ましい結果を提供することができる量である有効量において、対象に投与される。望ましい結果は、投与されている活性剤に依存するであろう。例えば、rAAV粒子の有効量は、発現コンストラクトを、宿主細胞、組織または臓器に移送できる粒子の量であってよい。治療的に受入可能な量とは、疾患、例えば脳卒中を処置することができる量であってよい。医学および獣医学の分野において周知であるとおり、任意の1つ対象のための投与量は、対象のサイズ、体表面積、年齢、投与されるべき特定の組成物、組成物中の活性成分、投与の時間および経路、一般的健康、および同時に投与されている他の薬物を含む、多くの要因に依存する。
例
例1.AAV2送達.
腫瘍進行と同期されたライブラリー試薬の投与の動的様式を評価した。AAVベクターは、評価下において、シアンを励起可能な橙色の蛍光レポーター遺伝子であるAntaresを発現した。Antares遺伝子は、CyOFP1とNanoLucルシフェラーゼとの最適化された融合物からなり、高感度生物発光レポーターとしてin vivoで機能し、深組織から、ホタルルシフェラーゼおよび他の生物発光タンパク質よりも実質的により明るいシグナルを生成する(本明細書において参考として援用されるChu et al., Nat Biotechnol. 2016 Jul; 34(7): 760-767を参照)。腫瘍進行と同期させたAAV2-Antaresベクター試薬の持続的腫瘍内勾配注入(すなわち、腫瘍増殖の早期および後期と同期して、遅い注入速度から速い注入速度へ)は、単回腫瘍内注射と比較して、Antares遺伝子送達のほぼ10倍の増大をもたらした。遅いおよび速いGSC集団および非GSC GBM細胞集団に対して特異的なバリアントについての定向進化スクリーニングにおけるAAV試薬の同期送達は、標的細胞の感染をもたらした(図1A~1C)。
例1.AAV2送達.
腫瘍進行と同期されたライブラリー試薬の投与の動的様式を評価した。AAVベクターは、評価下において、シアンを励起可能な橙色の蛍光レポーター遺伝子であるAntaresを発現した。Antares遺伝子は、CyOFP1とNanoLucルシフェラーゼとの最適化された融合物からなり、高感度生物発光レポーターとしてin vivoで機能し、深組織から、ホタルルシフェラーゼおよび他の生物発光タンパク質よりも実質的により明るいシグナルを生成する(本明細書において参考として援用されるChu et al., Nat Biotechnol. 2016 Jul; 34(7): 760-767を参照)。腫瘍進行と同期させたAAV2-Antaresベクター試薬の持続的腫瘍内勾配注入(すなわち、腫瘍増殖の早期および後期と同期して、遅い注入速度から速い注入速度へ)は、単回腫瘍内注射と比較して、Antares遺伝子送達のほぼ10倍の増大をもたらした。遅いおよび速いGSC集団および非GSC GBM細胞集団に対して特異的なバリアントについての定向進化スクリーニングにおけるAAV試薬の同期送達は、標的細胞の感染をもたらした(図1A~1C)。
例2.AAV2ライブラリーの定向進化スクリーニング.
3つのGFP/ルシフェラーゼ標識GSC株、および各々の群において少なくとも5個体の動物において、AAV2ライブラリー(約107のバリアントの複雑度)を用いた、3ラウンドの定向進化スクリーニング。生物発光イメージング(BLI)により、腫瘍増殖をモニタリングした。各々のラウンドについて、動物の背中に皮下移植(s.q.)したAlzetポンプを用いて、AAV2注入を腫瘍増殖と同期させた。カテーテルを腫瘍内に挿入した。AAV2ライブラリーは、少なくとも2週間の期間にわたり注入し、第2週において腫瘍増殖が加速した場合、注入速度を2倍にし、その後、1週間の期間、ウイルスによる最大の形質導入を可能にするために静置した。腫瘍を採取し、FACSにより分析した;GFPについてゲーティングし、CD133およびCD44のシングルポジティブ、CD133/CD44ダブルポジティブならびにCD133/CD44ダブルネガティブ集団についてソートした(図2)。各々の細胞集団において2ラウンドの定向進化スクリーニングを行い、表1~8において示す結果を得た。その後、第3ラウンドの評価を行って、4つ全ての細胞型にわたり最も高い形質導入の増大(またはこれにおける改善)を与えた、23のバリアントを得た。これらの定向進化(DE)実験は、カプシドバリアントがAAV2ウイルスライブラリーの中で均一に分布することを前提とする。
3つのGFP/ルシフェラーゼ標識GSC株、および各々の群において少なくとも5個体の動物において、AAV2ライブラリー(約107のバリアントの複雑度)を用いた、3ラウンドの定向進化スクリーニング。生物発光イメージング(BLI)により、腫瘍増殖をモニタリングした。各々のラウンドについて、動物の背中に皮下移植(s.q.)したAlzetポンプを用いて、AAV2注入を腫瘍増殖と同期させた。カテーテルを腫瘍内に挿入した。AAV2ライブラリーは、少なくとも2週間の期間にわたり注入し、第2週において腫瘍増殖が加速した場合、注入速度を2倍にし、その後、1週間の期間、ウイルスによる最大の形質導入を可能にするために静置した。腫瘍を採取し、FACSにより分析した;GFPについてゲーティングし、CD133およびCD44のシングルポジティブ、CD133/CD44ダブルポジティブならびにCD133/CD44ダブルネガティブ集団についてソートした(図2)。各々の細胞集団において2ラウンドの定向進化スクリーニングを行い、表1~8において示す結果を得た。その後、第3ラウンドの評価を行って、4つ全ての細胞型にわたり最も高い形質導入の増大(またはこれにおける改善)を与えた、23のバリアントを得た。これらの定向進化(DE)実験は、カプシドバリアントがAAV2ウイルスライブラリーの中で均一に分布することを前提とする。
例3.次世代シークエンシング(NGS)およびバイオインフォマティクス.
定向進化の各々のラウンドの後で、各々の細胞集団からウイルスDNAを単離し、専用のソフトウェアを用いる次世代シークエンシング(NGS)およびバイオインフォマティクス分析に供した。クラスタリング分析は、GSCおよび非GSC-GBM細胞各々の集団の増大した認識および形質導入を示す、いくつかの濃縮されたAAVカプシドバリアントを同定した。23のAAVバリアント(Mut)は、CD44(+)、CD133(+)およびダブルネガティブ細胞を含む、試験された全ての型を認識し、これに形質導入した(図3および4)。
定向進化の各々のラウンドの後で、各々の細胞集団からウイルスDNAを単離し、専用のソフトウェアを用いる次世代シークエンシング(NGS)およびバイオインフォマティクス分析に供した。クラスタリング分析は、GSCおよび非GSC-GBM細胞各々の集団の増大した認識および形質導入を示す、いくつかの濃縮されたAAVカプシドバリアントを同定した。23のAAVバリアント(Mut)は、CD44(+)、CD133(+)およびダブルネガティブ細胞を含む、試験された全ての型を認識し、これに形質導入した(図3および4)。
次世代シークエンシングを用いて、定向進化スクリーニングにおいて同定されたAAV粒子のカプシドタンパク質におけるアミノ酸置換であって形質導入を増大させるものを同定した。これらのシークエンシング評価の結果を、表1~8において示す。バリアントを、各々のバリアントと関連するrAAVベクター(またはゲノム)の「濃縮因数」と共に示す。濃縮因数(「%」)とは、全ヌクレオチド配列の読み値(read)(または「コピー」)のパーセンテージであって、特定のスクリーニングのラウンドにおいて、特定のバリアントと関連するゲノムにより表されるものを指す。(読み値は、ゲノムの次世代シークエンシング(NGS)を通して決定される。)このパーセンテージの値が高いほど、バリアントが、rAAVゲノムを組み込むためにこれらの特定の細胞型を標的としてこれに感染するために好適である。単一のスクリーニングのラウンドの後で、より高い配列読み値のパーセンテージを生じるバリアントを、より良好な(または最良の候補として選択することができる。そのシナリオにおいて、示される%は、(個々の変異体ゲノムの読み値のカウント)/(DNA試料中の全ての変異体ゲノムの読み値のカウント)の分率に等しい。例えば、合計1000,000コピーのDNA(その試料について)の分析をスクリーニングした後で10,000コピーの変異体#1が回収された場合、変異体#1についての%は、(10,000/1000,000)*100%、または1%として計算される。
したがって、いくつかの態様において、開示されるrAAV粒子のうちのいずれかのカプシドバリアントは、GBMおよび/またはGSC細胞において、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.50、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、30.0、40.0、50.0、60.0、70.0、80.0、90.0または95.0より大きい、任意に10.0または20.0、30.0、40.0、50.0、60.0、70.0、80.0または90.0より大きい、濃縮因数(%)を示すポリペプチド配列を含む。特定の態様において、カプシドバリアントは、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0または20.0より大きい濃縮因数を示す。例えば、カプシドは、配列番号8(例えば、配列番号4~7および9~28の変異)と比較して、配列番号4、5、6、7または9~7010のうちのいずれかの変異を含み、上記のような濃縮因数を示す配列を含んでもよい。
表についてのキーは、以下のとおりである:
・表1は、野生型AAV2 VP1カプシドタンパク質の可変領域I、IV、V、VI、VIIおよびVIIIに対応する配列番号8に対する、CD133+GSC細胞におけるラウンド1選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表2は、CD133+GSC細胞におけるラウンド2選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表3は、CD44-/CD133-GBM細胞におけるラウンド1選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表4は、CD44-/CD133-GBM細胞におけるラウンド2選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表5は、CD44+/CD133+GSC細胞におけるラウンド1選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表6は、CD44+/133+GSC細胞におけるラウンド1選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表7は、CD44+GSC細胞におけるラウンド1選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表8は、CD44+GSC細胞におけるラウンド2選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表9は、配列番号8に対する、4つ全てのGSCおよびGBM細胞集団を標的とする3ラウンドの定向進化により選択された上位23のカプシドバリアントの配列のアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表1は、野生型AAV2 VP1カプシドタンパク質の可変領域I、IV、V、VI、VIIおよびVIIIに対応する配列番号8に対する、CD133+GSC細胞におけるラウンド1選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表2は、CD133+GSC細胞におけるラウンド2選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表3は、CD44-/CD133-GBM細胞におけるラウンド1選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表4は、CD44-/CD133-GBM細胞におけるラウンド2選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表5は、CD44+/CD133+GSC細胞におけるラウンド1選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表6は、CD44+/133+GSC細胞におけるラウンド1選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表7は、CD44+GSC細胞におけるラウンド1選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表8は、CD44+GSC細胞におけるラウンド2選択の後のバリアントのプールのアミノ酸配列のアラインメントを表す。
・表9は、配列番号8に対する、4つ全てのGSCおよびGBM細胞集団を標的とする3ラウンドの定向進化により選択された上位23のカプシドバリアントの配列のアミノ酸配列のアラインメントを表す。
表1.CD133+GSC(ラウンド1選択のプール)についての特異性および/またはその形質導入が増大したAAVカプシドタンパク質。アミノ酸数は、VP1のアミノ酸配列(配列番号1)に対応する。最後から2番目カラムにおけるパーセンテージ値は、「濃縮因数」を示す。下の配列は、上から下へ、配列番号8および29~295に対応する。
表2.CD133+GSC(ラウンド2選択のプール)についての特異性および/またはその形質導入が増大したAAVカプシドタンパク質。アミノ酸数は、VP1のアミノ酸配列(配列番号1)に対応する。下の配列は、上から下へ、配列番号8および296~523に対応する。
表3.CD44-/133-GBM細胞(ラウンド1選択のプール)についての特異性および/またはその形質導入が増大したAAVカプシドタンパク質。アミノ酸数は、VP1のアミノ酸配列(配列番号1)に対応する。下の配列は、上から下へ、配列番号8および524~3691に対応する。
表4.CD44-/133-GBM細胞(ラウンド2選択のプール)についての特異性および/またはその形質導入が増大したAAVカプシドタンパク質。アミノ酸数は、VP1のアミノ酸配列(配列番号1)に対応する。下の配列は、上から下へ、配列番号8および3692~3730に対応する。
表5.CD44+/133+GSC(ラウンド1選択のプール)についての特異性および/またはその形質導入が増大したAAVカプシドタンパク質。アミノ酸数は、VP1のアミノ酸配列(配列番号1)に対応する。下の配列は、上から下へ、配列番号8および3731~4667に対応する。
表6.CD44+/133+GSC(ラウンド2選択のプール)についての特異性および/またはその形質導入が増大したAAVカプシドタンパク質。アミノ酸数は、VP1のアミノ酸配列(配列番号1)に対応する。下の配列は、上から下へ、配列番号8および4668~4705に対応する。
表7.CD44+GSC(ラウンド1選択のプール)についての特異性および/またはその形質導入が増大したAAVカプシドタンパク質。アミノ酸数は、VP1のアミノ酸配列(配列番号1)に対応する。下の配列は、上から下へ、配列番号8および4706~6981に対応する。
表8.CD44+GSC(ラウンド2選択のプール)についての特異性および/またはその形質導入が増大したAAVカプシドタンパク質。アミノ酸数は、VP1のアミノ酸配列(配列番号1)に対応する。下の配列は、上から下へ、配列番号8および6982~6986に対応する。
例4.GBM特異的な変異体の検証
1、9、19および23番のバリアント(または変異体)(図4)および対照WT AAV2を、レポーター遺伝子Antaresを発現するように合成した。同等の力価の変異体、および2倍高い力価のWTを、D-ルシフェラーゼでタグ付けされた多形神経膠芽腫(GBM)患者由来の異種移植(PDX)動物のコホート中に、1回注射した。Antares生物発光(フリマジンを用いる)を、注射の4日後に測定した。Antares生物発光を、基線のD-ルシフェラーゼ生物発光(D-ルシフェリンを用いたもの)に対して正規化した。図5において示される変異体9および19からの結果は、効率およびGBMについての特異性において、選択されていないWT AAV2対照と比較して、著しく上昇したことは、NGS分析により予測されたとおりであった
1、9、19および23番のバリアント(または変異体)(図4)および対照WT AAV2を、レポーター遺伝子Antaresを発現するように合成した。同等の力価の変異体、および2倍高い力価のWTを、D-ルシフェラーゼでタグ付けされた多形神経膠芽腫(GBM)患者由来の異種移植(PDX)動物のコホート中に、1回注射した。Antares生物発光(フリマジンを用いる)を、注射の4日後に測定した。Antares生物発光を、基線のD-ルシフェラーゼ生物発光(D-ルシフェリンを用いたもの)に対して正規化した。図5において示される変異体9および19からの結果は、効率およびGBMについての特異性において、選択されていないWT AAV2対照と比較して、著しく上昇したことは、NGS分析により予測されたとおりであった
図6A、6Bおよび7において示されるとおり、異なる細胞集団からの2ラウンドの選択の後で細胞に対するアフィニティーおよびこれにおける形質導入を増大させる、特定のカプシドバリアントのプールは、顕著なオーバーラップを有する。
最も高い形質導入特性を付与するカプシドバリアントのうちのいくつかは、配列番号1(AAV2 VP1アミノ酸配列)に対して、以下のアミノ酸位置の組み合わせのうちの1つにおいて置換を含む:(a)Q263、S264、Y444、T450、P451、S452、T454、Q457、R459、Q461、S492、A493、D494、E499およびY500F、または(b)E531、K532、S547、E548、D553、R585およびR588。
表9.バリアントカプシドタンパク質:アミノ酸置換.4つ全てのGSCおよびGBM細胞集団を標的とする3ラウンドの定向進化により選択された、上位23のカプシドバリアントのアミノ酸(AA)配列。リストの上の数は、WT AAV2 VP1カプシド配列中のAA残基位置を指定する。選択されたバリアント中の、保存された、変異していない残基は、点により同定され、変異体AAの位置は、それぞれのWT AAの下に示される。番号9、10、18、19および23を有するバリアントを、太字で示す。NGSデータベースにおける選択されたバリアントの頻度(%における)は、配列の右側に対する4つの列において示す。加えて、「10*」と指定されるバリアントを、合成した。下の配列は、上から下へ、配列番号8および6987~7010に対応する。
例5.In Vitroでのカプシドバリアントの検証
定向進化スクリーニングにより、GBMおよびGSC細胞において最も良く形質導入するカプシドのうちの4つとして、カプシドバリアント#9、#10、#18および#23を同定した。これらのカプシドを含む組み換えAAV粒子を、in vitroで、患者由来細胞において、3D灌流ニューロスフェアアッセイにおいて評価した(図8A)。ニューロスフェアは、自由に浮遊する細胞のクラスターを含んでなる培養系である。本明細書において用いられる場合、ニューロスフェアアッセイ(NSA)は、定義された無血清条件において培養される患者由来GBMおよびGSC細胞を含む。NSAは、細胞のクローンの球の使用におけるin vivoでの腫瘍化能力および増殖を反映するモデルを可能にする。ポリアクリルアミドニューロスフェアアッセイ(pNSA)は、ポリエチレングリコール(PEG)の水溶液中に浸漬された透明なポリアクリルアミドハイドロゲル粒子を含んでなる10~20μmのマイクロゲルの使用を含む(図8B)。AAV灌流、または動的継代(dynamic passage)を示す。本明細書において用いられる場合、pNSAアッセイは、患者由来GBMのクローンの球における支持を示し、in situでのシングルセルの分解能における蛍光獲得を可能にする。
定向進化スクリーニングにより、GBMおよびGSC細胞において最も良く形質導入するカプシドのうちの4つとして、カプシドバリアント#9、#10、#18および#23を同定した。これらのカプシドを含む組み換えAAV粒子を、in vitroで、患者由来細胞において、3D灌流ニューロスフェアアッセイにおいて評価した(図8A)。ニューロスフェアは、自由に浮遊する細胞のクラスターを含んでなる培養系である。本明細書において用いられる場合、ニューロスフェアアッセイ(NSA)は、定義された無血清条件において培養される患者由来GBMおよびGSC細胞を含む。NSAは、細胞のクローンの球の使用におけるin vivoでの腫瘍化能力および増殖を反映するモデルを可能にする。ポリアクリルアミドニューロスフェアアッセイ(pNSA)は、ポリエチレングリコール(PEG)の水溶液中に浸漬された透明なポリアクリルアミドハイドロゲル粒子を含んでなる10~20μmのマイクロゲルの使用を含む(図8B)。AAV灌流、または動的継代(dynamic passage)を示す。本明細書において用いられる場合、pNSAアッセイは、患者由来GBMのクローンの球における支持を示し、in situでのシングルセルの分解能における蛍光獲得を可能にする。
これら4つのカプシドの各々を含むAAV粒子を、Antares遺伝子を発現するように操作した。粒子を、GBM細胞およびGSC細胞に投与し、形質導入の1、3および5日後に、蛍光(mFI)を評価した。図8C~8Dにおいて示されるとおり、無血清GBM細胞における形質導入の動態学および向性は、有利なものであった。図8Cにおいて示されるとおり、特にカプシドバリアント#9を含む粒子についての形質導入の動態学が優れていた。これら4つのバリアントについての第5日の形質導入の動態学の順位付けを、図8Dにおいて示す。変異体#9は、最も右のバーにおいて示す。無血清灌流におけるこれらのカプシドの効率的な形質導入は、これらの粒子が、スケーラブルなrAAVの生成のために好適であり得、例4において示される定向進化スクリーニングおよびin vivo検証実験を確認することを示唆する。
これら4つのカプシドの各々を含むAAV粒子を、3つのショートヘアピンRNA(shRNA):スクランブルshRNA(scrambled shRNA)、Nkx6-2およびAscl-1遺伝子をノックダウンの標的とするshRNA、またはNkx6-2のみを標的とするshRNAのうちの1つと共に、またはそれを用いずに、GFPを発現するように操作した。粒子は、GFPの発現(すなわち、AAV形質導入を測定する)、球のサイズ、およびヨウ化プロピジウム(PI)取り込み(細胞死の尺度)であった。図9A~9Cにおいて示されるとおり、Nkx6-2またはNkx6-2/Ascl1の組み合わせのいずれかを標的とするshRNAを担持するカプシドバリアント#9を含有する粒子は、GBMおよびGSCに、効果的に形質導入し、Nkx6-2およびAscl-1の発現の両方をサイレンシングし、これは、pNSAアッセイにおいて決定されるとおり、対照のスクランブルshRNAを含有するAAVと比較して、GBMスフェアサイズの減少および細胞死の増加をもたらした。スクランブルshRNA(対照、X)と比較して、細胞の生存率は、形質導入の後4~8日にわたり、Nkx6-2/Ascl-1(Y)およびNkx6-2(Z)ショートヘアピンRNAにおいて実質的に低下する(図9B~9C)。サイズの減少および死の増加は、MRのshRNAの枯渇により媒介されたことが、専門の共焦点アルゴリズムを用いてPI取り込みにより捕捉された。図9Cにおけるチャートは、3つのshRNAカセットを発現する粒子について、差次的な細胞殺傷(生存%)の動態学を示す。Nkx6-2/Ascl-1 shRNAを発現するベクターが、ほとんどの細胞の死を引き起こしたが、一方、Nkx6-2(単独)ベクターは、最も劇的な単一の日の細胞死の増大(第7日と8日との間)を引き起こした。これらの動態学は、これら4つのリードAAVバリアントのさらなるスクリーニングを可能にした。
他の態様
本明細書において開示される特徴の全ては、任意の組み合わせにおいて組み合わせてもよい。本明細書において開示される各々の特徴は、同じか、同等か、または類似の目的に役立つ代替的特徴により置き換えられてもよい。したがって、別段に明示的に記述されない限り、開示される各々の特徴は、一般的な一連の同等または類似の特徴の一例にすぎない。
本明細書において開示される特徴の全ては、任意の組み合わせにおいて組み合わせてもよい。本明細書において開示される各々の特徴は、同じか、同等か、または類似の目的に役立つ代替的特徴により置き換えられてもよい。したがって、別段に明示的に記述されない限り、開示される各々の特徴は、一般的な一連の同等または類似の特徴の一例にすぎない。
上の記載から、当業者は、本開示の本質的な特徴を容易に確認することができ、その精神および範囲から逸脱することなく、それを多様な用途および条件に適応させるために、本開示の多様な変更および改変を行うことができる。したがって、他の態様もまた、請求の範囲内である。
均等物
いくつかの本発明の態様を、本明細書において記載および説明してきたが、一方で、当業者は、機能を行うため、ならびに/または本明細書において記載される結果および/もしくは利点のうちの1つ以上を得るための、多様な他の手段および/または構造を、容易に想起し、かかるバリエーションおよび/または改変の各々は、本明細書において記載される本発明の態様の範囲内であるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書において記載される全てのパラメーター、寸法、材料および立体構造は、例示的であることを意図されること、ならびに、実際のパラメーター、寸法、材料および/または立体構造は、本発明の教示がそのために用いられる特定の適用に依存するであろうことを、容易に理解するであろう。当業者は、本明細書において記載される本発明の特定の態様に対する多くの均等物を、理解するか、または慣用的な実験のみを用いて確認することができるであろう。したがって、前述の態様は、単に例として提示されるものであること、ならびに、添付の請求の範囲およびそれに対する均等物の範囲内において、本発明の態様は、具体的に記載されるかまたは請求されるものとは別段に実施してもよいことが理解されるべきである。本開示の発明の態様は、本明細書において記載される各々の個々の特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法に対して向けられる。加えて、2つ以上のかかる特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組み合わせは、かかる特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法が互いに相反しない場合には、本開示の発明の範囲内に含まれる。
いくつかの本発明の態様を、本明細書において記載および説明してきたが、一方で、当業者は、機能を行うため、ならびに/または本明細書において記載される結果および/もしくは利点のうちの1つ以上を得るための、多様な他の手段および/または構造を、容易に想起し、かかるバリエーションおよび/または改変の各々は、本明細書において記載される本発明の態様の範囲内であるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書において記載される全てのパラメーター、寸法、材料および立体構造は、例示的であることを意図されること、ならびに、実際のパラメーター、寸法、材料および/または立体構造は、本発明の教示がそのために用いられる特定の適用に依存するであろうことを、容易に理解するであろう。当業者は、本明細書において記載される本発明の特定の態様に対する多くの均等物を、理解するか、または慣用的な実験のみを用いて確認することができるであろう。したがって、前述の態様は、単に例として提示されるものであること、ならびに、添付の請求の範囲およびそれに対する均等物の範囲内において、本発明の態様は、具体的に記載されるかまたは請求されるものとは別段に実施してもよいことが理解されるべきである。本開示の発明の態様は、本明細書において記載される各々の個々の特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法に対して向けられる。加えて、2つ以上のかかる特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組み合わせは、かかる特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法が互いに相反しない場合には、本開示の発明の範囲内に含まれる。
全ての定義は、本明細書において定義され用いられる場合、定義される用語の辞書の定義、参考として援用される文書における定義および/または通常の意味に対して優先されることが理解されるべきである。
本明細書において開示される全ての参考文献、特許および特許出願は、各々が引用される主題に関して、参考として援用され、これは、いくつかの場合においては、文書の全体を包含してもよい。
不定冠詞「a」および「an」は、本明細書において、明細書においておよび請求の範囲において用いられる場合、逆であることが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されるべきである。
句「および/または」、本明細書において、明細書においておよび請求の範囲において用いられる場合、そのように結合された要素のうちの「いずれかまたは両方」、すなわち、いくつかの場合において接続的に存在し、他の場合においては離接的に存在する要素を意味するものと理解されるべきである。「および/または」により列記される複数の要素は、同じ様式において、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つ以上」において、解釈されるべきである。他の要素は、「および/または」節により特に同定された要素の他に、任意に存在してもよく、これは、特に同定された要素と関連しても関連しなくてもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」についての言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンドの語法と組み合わせて用いられる場合、一態様においては、Aのみ(任意にB以外の要素を含む)を指していてもよく;別の態様においては、Bのみ(任意にA以外の要素を含む)を指していてもよく;さらに別の態様においては、AおよびBの両方(任意に他の要素を含む)を指していてもよい、など。
句「および/または」、本明細書において、明細書においておよび請求の範囲において用いられる場合、そのように結合された要素のうちの「いずれかまたは両方」、すなわち、いくつかの場合において接続的に存在し、他の場合においては離接的に存在する要素を意味するものと理解されるべきである。「および/または」により列記される複数の要素は、同じ様式において、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つ以上」において、解釈されるべきである。他の要素は、「および/または」節により特に同定された要素の他に、任意に存在してもよく、これは、特に同定された要素と関連しても関連しなくてもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」についての言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンドの語法と組み合わせて用いられる場合、一態様においては、Aのみ(任意にB以外の要素を含む)を指していてもよく;別の態様においては、Bのみ(任意にA以外の要素を含む)を指していてもよく;さらに別の態様においては、AおよびBの両方(任意に他の要素を含む)を指していてもよい、など。
本明細書において、明細書においておよび請求の範囲において用いられる場合、「または」は、上で定義されるような「および/または」と同じ意味を有するものと理解されるべきである。例えば、リストにおいて項目を分ける場合、「または」または「および/または」は、包含的である、すなわち、少なくとも1つの包含として解釈されるべきであるが、また、多数の要素または要素のリストのうちの1つより多く、および任意にさらなる列記されていない項目を含む。「~のうちの1つのみ」または「~のうちの正確に1つ」、または、請求の範囲において用いられる場合、「~からなる(consisting of)」などの、逆であることが明確に示される用語は、多数の要素または要素のリストのうちの正確に1つの要素の包含を指すであろう。一般的に、用語「または」とは、本明細書において用いられる場合、「~のいずれか」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」または「~のうちの正確に1つ」などの排他性の用語により先行される場合には、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるべきである。「~から本質的になる(consisting essentially of)」とは、請求の範囲において用いられる場合、特許法の分野において用いられる場合のその通常の意味を有するべきである。
本明細書において、明細書においておよび請求の範囲において用いられる場合、1つ以上の要素のリストに関する句「少なくとも1つ」は、要素のリスト中の要素のうちのいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素のリスト中に特に列記される各々および全ての要素のうちの少なくとも1つを含むものではなく、要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを除外するものではないことが、理解されるべきである。この定義はまた、句「少なくとも1つ」が言及する要素のリスト中に特に同定される要素以外の要素が、特に同定される要素と関連しても関連しなくとも、任意に存在してもよいことを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または、同等に、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一態様においては、Bの不在下における(および任意にB以外の要素を含む)、少なくとも1つ(任意に1つより多くを含む)のAを指していてもよく;別の態様においては、Aの不在下における(および任意にA以外の要素を含む)、少なくとも1つ(任意に1つより多くを含む)のBを指していてもよく;さらに別の態様においては、少なくとも1つ(任意に1つより多くを含む)のA、および少なくとも1つ(任意に1つより多くを含む)のB(および任意に他の要素を含む)を指していてもよい;など。
また、逆であることが明確に示されない限り、本明細書において請求される任意の方法であって、1つより多くのステップまたは行為を含むものにおいて、当該方法のステップまたは行為の順序は、必ずしも、当該方法のステップまたは行為が記述される順序に限定されないことが、理解されるべきである。
請求の範囲において、ならびに上の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「~を含んでなる(composed of)」、および類似のものなどの全ての移行句は、オープンエンドである、すなわち、それを含むがそれに限定されないことを意味するものと理解されるべきである。米国特許庁特許審査便覧、セクション2111.03において記載されるとおり、移行句「~からなる(consisting of)」および「~から本質的になる(consisting essentially of)」のみが、それぞれ、クローズまたはセミクローズの移行句であるべきである。オープンエンドの移行句(例えば、「含む(comprising)」)を用いて本文書において記載される態様もまた、代替的な態様においては、オープンエンドの移行句により記載される特徴「からなる(consisting of)」およびそれ「から本質的になる(consisting essentially of)」ものとして企図されることが、理解されるべきである。例えば、本開示が「AおよびBを含む組成物」を記載する場合、本開示はまた、代替的な態様「AおよびBからなる組成物」および「AおよびBから本質的になる組成物」を企図する。
Claims (21)
- 神経膠芽腫細胞(GBM)および/または神経膠腫幹細胞様細胞(GSC)に形質導入するためのアデノ随伴ウイルス(AAV)粒子であって、表1、表2、表3、表4、表5、表6、表7、表8、または表9のうちのいずれかにおいて記載されるようなアミノ酸置換を含むカプシドタンパク質を含む、前記AAV粒子。
- 配列番号1に記載されるような野生型AAV2 VP1カプシド配列の、以下のアミノ酸位置の組み合わせ:
Q263、S264、Y444、T450、P451、S452、T454、Q457、R459、Q461、S492、A493、D494、E499およびY500、もしくは
E531、K532、S547、E548、D553、R585およびR588;
のうちの1つ、またはAAV2以外のAAV血清型の野生型VP1カプシド配列の相同なアミノ酸において置換を含むカプシドタンパク質を含む、AAV粒子。 - 配列番号1に記載されるような野生型AAV2 VP1カプシド配列のE530、E531およびK532、またはAAV2以外のAAV血清型の野生型VP1カプシド配列の相同なアミノ酸において、置換をさらに含む、請求項2(a)または2(b)に記載のAAV粒子。
- アミノ酸置換が、配列番号1のアミノ酸配列に対して、E531G、K532R、S547A、E548G、T550N、V552A、D553A、E555G、K556Q、R585AおよびR588Aを含む、請求項1または2に記載のAAV粒子。
- アミノ酸置換が、配列番号1のアミノ酸配列に対して、Q263G、S264T、Y444F、T450A、P451E、S452G、T454L、T455K、Q457M、R459H、Q461L、S492D、A493G、D494E、E499DおよびY500Fを含む、請求項1または2に記載のAAV粒子。
- アミノ酸置換が、配列番号1のアミノ酸配列に対して、S264A、Y444F、T450D、P451R、S452G、T454S、Q457T、R459A、Q461S、S492D、A493G、D494E、E499DおよびY500Fを含む、請求項1に記載のAAV粒子。
- Q263Aをさらに含む、請求項6に記載のAAV粒子。
- アミノ酸置換が、配列番号1のアミノ酸配列に対して、E530N、E531D、K532R、S547A、E548K、K549G、D553A、I554V、R585AおよびR588Aを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のAAV粒子。
- アミノ酸置換が、配列番号1のアミノ酸配列に対して、Y444F、T450A、P451S、S452A、T454S、Q457T、R459T、Q461G、T491Q、S492P、A493G、E499D、Y500F、E530D、E531DおよびK532Rを含む、請求項1または2に記載のAAV粒子。
- アミノ酸置換が、配列番号1のアミノ酸配列に対して、Q263E、Y444F、T450A、P451S、S452A、T454S、Q457T、R459T、Q461G、T491Q、S492P、A493G、E499D、Y500F、E530D、E531DおよびK532Rを含む、請求項1に記載のAAV粒子。
- カプシドが、配列番号4~7および9~28のうちのいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも92.5%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のAAV粒子。
- カプシドが、配列番号4~7および9~28のうちのいずれか1つを含むアミノ酸配列を有する、請求項1~3および11のいずれか一項に記載のAAV粒子。
- カプシドが、配列番号4を含むアミノ酸配列を有する、請求項1~3および11、12のいずれか一項に記載のAAV粒子。
- 置換が、野生型カプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、GBMまたはGSC細胞の形質導入の増大をもたらす、請求項1~13のいずれか一項に記載のAAV粒子。
- 少なくとも1つの異種核酸配列をコードする組み換えゲノムを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のAAV粒子。
- 異種核酸配列が、治療用ペプチドまたはタンパク質をコードする、請求項15に記載のAAV粒子。
- 治療用ペプチドが、修復酵素、チェックポイント阻害剤、転写因子、増殖因子受容体、増殖因子リガンド、または腫瘍サプレッサータンパク質である、請求項16に記載のAAV粒子。
- カプシドが、配列番号4~7および9~7010のうちのいずれか1つに対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92.5%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、任意にここで、カプシドが、配列番号4~7および9~28のうちのいずれか1つに対して、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のAAV粒子。
- カプシドおよびゲノムを含む組み換えAAVベクターであって、前記カプシドが、表1、表2、表3、表4、表5、表6、表7、または表8のいずれかに記載されるようなアミノ酸置換を有するVPXタンパク質を含み、ここで、前記置換が、野生型カプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、GBM細胞またはGSCの形質導入の増大をもたらす、組み換えAAVベクター。
- 異種遺伝子またはターゲティングコンストラクトを神経膠腫細胞に送達する方法であって、異種遺伝子またはターゲティングコンストラクトを、請求項1~18のいずれか一項に記載のAAV粒子中に挿入すること、および神経膠腫細胞をAAVと接触させることを含む、前記方法。
- ある腫瘍細胞型についてアフィニティーを有するウイルスバリアントを同定する方法であって、腫瘍中へのウイルスライブラリーの持続的腫瘍内勾配注入を提供すること、ここで、注入の速度は、腫瘍増殖の速度に比例する、を含む、前記方法。
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