JP2022535141A - 心筋細胞及び組成物ならびにそれらを生成する方法 - Google Patents

心筋細胞及び組成物ならびにそれらを生成する方法 Download PDF

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Abstract

本明細書には、成熟心筋細胞を生成する方法、及び成熟心筋細胞を含む組成物が開示される。本明細書にはまた、静止心筋細胞の成熟を促進させる方法、及び成熟した静止心筋細胞を含む組成物が開示される。数ある用途の中でも、細胞療法及び細胞スクリーニングで用いる成熟心筋細胞を生成するための方法またはプロトコルが必要である。心筋細胞を静止状態に導くことにより、心筋細胞の成熟が促進され得る。本明細書には、未熟心筋細胞から成熟心筋細胞を作製する方法が開示される。本方法は、未熟心筋細胞をmTOR阻害剤と接触させることを含む。

Description

関連出願
本出願は、2019年11月11日に出願された米国仮出願第62/933,962号、2019年8月8日に出願された米国仮出願第62/884,592号、及び2019年6月6日に出願された米国仮出願第62/858,302号に対する優先権を主張するものである。上記の出願の全教示は、参照により本明細書に援用される。
心筋細胞をヒト人工多能性幹細胞(iPSC)から作製する現在の分化プロトコルは、心筋トロポニンTの発現によって決定される高純度の心筋細胞集団を生成することが可能である。しかし、これらの心筋細胞は未熟なままであり、成人心筋細胞に比べて、最大収縮力が弱く、アップストローク速度が遅く、ミトコンドリア機能が未熟であり、胎児の状態により密接に類似している。未熟な心筋細胞は、自動能またはペースメーカー様活動を示し、その結果、成体動物モデルに送達された場合には、生命を脅かす心室性不整脈を引き起こす可能性があり、さらにはサルコメア構造も組織化されにくく、十分な収縮力が得られないので、iPSC由来心筋細胞の未熟さは、心疾患のための心筋細胞の細胞療法の臨床解釈に対する大きな障壁となり得る。心筋細胞は、発生過程において、胎児期の増殖状態から、出生後に、より成熟するが静止状態へと移行する。ラパマイシン機構的標的(mTOR)シグナル伝達経路は、栄養素の感知と成長とにおいて重要な役割を果たす。mTORシグナル伝達経路を一時的に阻害することで、心筋細胞を静止状態に導き、心筋細胞の成熟を促進させる可能性がある。分化の過程で心筋細胞を静止状態に導き、結果として心筋細胞の成熟を促進させる方法の改善が求められている。
数ある用途の中でも、細胞療法及び細胞スクリーニングで用いる成熟心筋細胞を生成するための方法またはプロトコルが必要である。心筋細胞を静止状態に導くことにより、心筋細胞の成熟が促進され得る。
本明細書には、未熟心筋細胞から成熟心筋細胞を作製する方法が開示される。本方法は、未熟心筋細胞をmTOR阻害剤と接触させることを含む。
いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤が、mTORC1及びmTORC2の両方の阻害剤である。いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤が、4E-BP1のリン酸化を阻害する。いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤が、リボソームタンパク質S6及び4E-BP1の両方のリン酸化を阻害する。いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤が、ラパマイシン、Torin1、Torin2、エベロリムス、テムシロリムス、リダフォロリムス、任意のATP競合型mTORキナーゼ阻害剤(例えば、ダクトリシブ、BGT226、SF1126、PKI-587、または他の二重mTOR/PI3K阻害剤や、サパニセルチブ、AZD8055、AZD2014、または他のmTORC1/mTORC2二重阻害剤)、及び前記のいずれかの任意の類似体または誘導体からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、未熟心筋細胞が、iPS細胞、ES細胞、T細胞、及び/または線維芽細胞に由来する。いくつかの実施形態では、未熟心筋細胞が、胎児心筋細胞に類似している。
いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて1種以上の成熟遺伝子(例えば、TNNI3、TNNT2、MYH6、MYH7、NPPB、HCN4、CACNA1c、SERCA2a、PPARGC1、KCNJ2、REST、RyR、及び/またはSCN5a)の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて1種以上のサルコメアタンパク質(例えば、TNNT2、TNNI3、MYH6、及び/またはMYH7)の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて1種以上のイオンチャネル遺伝子(例えば、KCNJ2、HCN4、SCN5a、RYR2、CACNA1c、及び/またはSERCA2a)の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べてREST及び/またはGATA4の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて拍動数の減少を呈する。
いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞が、電気的に成熟した心筋細胞である。いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞が、収縮性が成熟した心筋細胞である。いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞が、代謝的に成熟した心筋細胞である。いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞が、電気的に成熟した心筋細胞、収縮性が成熟した心筋細胞、及び代謝的に成熟した心筋細胞のうちの1種以上である。
いくつかの実施形態では、未熟心筋細胞が拍動を開始してから(例えば、1~30日後に、1~15日後に、または1~3日後に)、未熟心筋細胞をmTOR阻害剤と接触させる。いくつかの実施形態では、未熟心筋細胞が、トロポニンT、トロポニンI、ミオシン重鎖6、またはミオシン重鎖7の少なくとも1種を発現し始めた後に、未熟心筋細胞をmTOR阻害剤と接触させる。
本明細書にはまた、非自然発生的心筋細胞であって、この非自然発生的心筋細胞が成熟心筋細胞である、非自然発生的心筋細胞が開示される。
いくつかの実施形態では、本非自然発生的心筋細胞は、未熟心筋細胞と比べて1種以上の成熟遺伝子(例えば、TNNI3、TNNT2、MYH6、MYH7、NPPB、HCN4、CACNA1c、SERCA2a、PPARGC1、KCNJ2、REST、RyR、及び/またはSCN5a)の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、本非自然発生的心筋細胞は、未熟心筋細胞と比べて1種以上のサルコメアタンパク質(例えば、TNNT2、TNNI3、MYH6、及び/またはMYH7)の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、本非自然発生的心筋細胞は、未熟心筋細胞と比べて1種以上のイオンチャネル遺伝子(例えば、KCNJ2、HCN4、SCN5a、RYR2、CACNA1c、及びSERCA2a)の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、本非自然発生的心筋細胞は、未熟心筋細胞と比べてREST及び/またはGATA4の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、本非自然発生的心筋細胞は、未熟心筋細胞と比べて拍動数の減少を呈する。
いくつかの実施形態では、本非自然発生的心筋細胞は、電気的に成熟した心筋細胞である。いくつかの実施形態では、本非自然発生的心筋細胞は、収縮性が成熟した心筋細胞である。いくつかの実施形態では、本非自然発生的心筋細胞は、代謝的に成熟した心筋細胞である。いくつかの実施形態では、本非自然発生的心筋細胞は、電気的に成熟した心筋細胞、収縮性が成熟した心筋細胞、及び代謝的に成熟した心筋細胞のうちの1種以上である。
本明細書にはまた、治療の方法であって、その治療を必要とする対象に、本明細書に記載される非自然発生的心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)を含む組成物を投与することを含む、方法(例えば、対象は、心室性不整脈もしくは収縮期心機能低下、例えば、慢性心不全、または先天性心疾患、あるいは他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある)が開示される。
本明細書にはまた、治療の方法であって、その治療を必要とする対象に、本明細書に記載される1種以上の非自然発生的心筋細胞(例えば、1種以上の成熟心筋細胞)の単離された集団を用いて作製された医薬組成物を投与することを含む、方法(例えば、対象は、心室性不整脈もしくは収縮期心機能低下、例えば、慢性心不全、または先天性心疾患、あるいは他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある)が開示される。
本明細書にはまた、未熟心筋細胞またはその前駆体と、少なくとも1種の心筋細胞成熟因子(例えば、mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン、Torin1、Torin2、エベロリムス、テムシロリムス、リダフォロリムス、任意のATP競合型mTORキナーゼ阻害剤(例えば、ダクトリシブ、BGT226、SF1126、PKI-587、または他の二重mTOR/PI3K阻害剤や、サパニセルチブ、AZD8055、AZD2014、または他のmTORC1/mTORC2二重阻害剤)、及び/または前記のいずれかの任意の類似体または誘導体)と、未熟心筋細胞またはその前駆体及び少なくとも1種の心筋細胞成熟因子を用いて心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)を作製するための説明書とを含む、キット(例えば、本キットは、成熟心筋細胞のマーカーを検出するための構成要素をさらに含む)が開示される。
本明細書にはまた、本明細書に記載される少なくとも1種の非自然発生的心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)を含む組成物と、治療(例えば、心室性不整脈もしくは収縮期心機能低下、例えば、慢性心不全、または先天性心疾患、あるいは他の心疾患の治療)の方法にて、その組成物を使用するための説明書とを含む、キットが開示される。
本明細書にはまた、心臓病(例えば、心室性不整脈もしくは収縮期心機能低下、例えば、慢性心不全、または先天性心疾患)の治療のための薬剤の製造における組成物の使用法であって、治療が、その治療を必要とする対象に薬剤を投与することを含み、組成物が、本明細書に記載される少なくとも1種の非自然発生的心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)を含む、使用法が開示される。
本明細書にはまた、調整培地を含む組成物であって、培地が、本明細書に記載される非自然発生的心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)によって調整されている、組成物が開示される。
本明細書にはまた、本明細書に記載される1種以上の非自然発生的心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)と、1種以上の未熟心筋細胞とを含む組成物が開示される。
また、本明細書に記載の1種以上の非天然心筋細胞(例えば成熟心筋細胞)を含む細胞の集団であって、集団中の細胞の少なくとも10%が本明細書に記載の非天然心筋細胞(例えば成熟心筋細胞)である、当該集団も本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、細胞の集団は未熟心筋細胞をさらに含む。
本明細書に記載の非天然心筋細胞(例えば成熟心筋細胞を含む細胞パッチが本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、非天然心筋細胞は、膜上で成長したものである。
また、本明細書に記載の非天然心筋細胞(例えば成熟心筋細胞)を含む3次元構造体も本明細書に開示される。
いくつかの実施形態では、3次元構造体はマトリックスまたはスキャフォールドである。いくつかの実施形態では、3次元構造体は細胞パッチである。いくつかの実施形態では、3次元構造体は微小組織である。いくつかの実施形態では、3次元構造体は、対象に投与される。いくつかの実施形態では、3次元構造体は、移植によって対象に投与される。
心筋細胞の静止状態を誘導する方法が本明細書に開示される。方法は、老化心筋細胞を心筋細胞成熟因子と接触させてそれによって老化心筋細胞に静止心筋細胞への変移を起こさせることを含む。
いくつかの実施形態では、心筋細胞成熟因子は、p53の上方制御因子であるか、mTORシグナル伝達経路阻害剤であるか、またはp53の上方制御因子及びmTOR阻害剤である。いくつかの実施形態では、心筋細胞成熟因子はTorin1及び/またはnutlin-3aにある。いくつかの実施形態では、心筋細胞成熟因子はmTOR阻害剤でない、例えば、Torin1でない。
いくつかの実施形態では、静止心筋細胞は、1種以上の静止マーカー(例えばp16及びp130)の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、静止心筋細胞は、1種以上の増殖マーカー(例えば、Ki67、サイクリンC1、及びE2F1)の発現の減少を呈する。いくつかの実施形態では、静止心筋細胞は、1種以上の抑制性E2F因子(例えば、E2F3b、E2F4、E2F5、E2F6、E2F7及びE2F8)の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、静止心筋細胞は、1種以上の刺激性E2F因子(例えば、E2F1、E2F2及びE2F3)の発現の減少を呈する。
いくつかの実施形態では、静止心筋細胞は成熟心筋細胞である。いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞は、未熟心筋細胞と比較して1種以上のサルコメアタンパク質(例えば、TNNT2、TNNI3、MYH6及びMYH7)の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞は、未熟心筋細胞と比較して1種以上のイオンチャネル遺伝子(例えば、KCNJ2、HCN4、SCN5a、RYR2、CACNA1c及びSERCA2a)の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞は、未熟心筋細胞と比較してREST及び/またはGATA4の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞は、未熟心筋細胞と比較して減少した拍動数を呈する。いくつかの実施形態では、成熟心筋細胞は、電気的に成熟した心筋細胞、収縮性が成熟した心筋細胞、及び/または代謝的に成熟した心筋細胞である。
また、非天然心筋細胞も本明細書に開示される。非天然心筋細胞は成熟静止心筋細胞である。
いくつかの実施形態では、非天然心筋細胞は、静止の1種以上のマーカー(例えばp16及びp130)の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、非天然心筋細胞は、増殖の1種以上のマーカー(例えば、Ki67、サイクリンC1、及びE2F1)の発現の減少を呈する。いくつかの実施形態では、非天然心筋細胞は、1種以上の抑制性E2F因子(例えば、E2F3b、E2F4、E2F5、E2F6、E2F7及びE2F8)の発現の増加を呈する。いくつかの実施形態では、非天然心筋細胞は、1種以上の刺激性E2F因子(例えば、E2F1、E2F2及びE2F3)の発現の減少を呈する。
また、本明細書に記載の非天然心筋細胞を含む組成物の投与を、それを必要とする対象に行うことを含む治療方法も、本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、対象は、心室性不整脈、収縮期心機能低下、慢性心不全、先天性心疾患または他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある。
また、本明細書に記載の方法に従って生産された静止心筋細胞を含む組成物の投与を、それを必要とする対象に行うことを含む治療方法も、本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、対象は、心室性不整脈、収縮期心機能低下、慢性心不全、先天性心疾患または他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある。
また、本明細書に記載の方法に従って生産された1種以上の静止心筋細胞を使用して生産された医薬組成物の投与を、それを必要とする対象に行うことを含む治療方法も、本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、対象は、心室性不整脈、収縮期心機能低下、慢性心不全、先天性心疾患または他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある。
本発明の実施は典型的には、特に指定されない限り、当技術分野の技能の範囲内に入る細胞生物学、細胞培養、分子生物学、遺伝子組換え生物学、微生物学、組換え核酸(例えばDNA)技術、免疫学及びRNA干渉(RNAi)の従来技術を採用することになる。これらの技術のいくつかについての非限定的な記載は以下の刊行物の中に見つかる:Ausubel,F.,et al.,(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,Current Protocols in Immunology,Current Protocols in Protein Science,and Current Protocols in Cell Biology,all John Wiley &Sons,N.Y.,edition as of December 2008、Sambrook,Russell,and Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,2001、Harlow,E.and Lane,D.,Antibodies-A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,1988、Freshney,R.I.,“Culture of Animal Cells,A Manual of Basic Technique”,5th ed.,John Wiley &Sons,Hoboken,NJ,2005。治療剤及びヒト疾患に関する非限定的な情報は、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,11th Ed.,McGraw Hill,2005、Katzung,B.(ed.)Basic and Clinical Pharmacology,McGraw-Hill/Appleton &Lange;10th ed.(2006)or 11th edition(July 2009)の中に見つかる。遺伝子及び遺伝子疾患に関する非限定的な情報は、McKusick,V.A.:Mendelian Inheritance in Man.A Catalog of Human Genes and Genetic Disorders.Baltimore:Johns Hopkins University Press,1998(12th edition)、またはごく最近のオンラインデータベース:Online Mendelian Inheritance in Man,OMIM(商標).McKusick-Nathans Institute of Genetic Medicine,Johns Hopkins University(Baltimore,MD)and National Center for Biotechnology Information,National Library of Medicine(Bethesda,MD)、2010年5月1日時点、ワールドワイドウェブURL:ncbi.nlm.nih.gov/omim/において、ならびにomia.angis.org.au/contact.shtmlにある動物種(ヒト及びマウス以外)の遺伝子、遺伝性疾患及び形質のデータベースOnline Mendelian Inheritance in Animals(OMIA)において見つかる。参照により、本明細書中で言及されるすべての特許、特許出願及び他の刊行物(例えば、科学論文、書籍、ウェブサイト及びデータベース)の全体を援用する。本明細書と援用される参考文献のいずれかとの間に対立がある場合、本明細書(援用される参考文献に基づくものであり得るそのいかなる補正も含む)が優先される。本明細書では、特に指定されない限り、用語の標準的な当技術分野で受け入れられている意味が用いられる。様々な用語の標準的な略語が本明細書中で使用される。
本特許または本出願のファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含んでいる。この特許または特許出願公開のカラー図面付きのコピーは、請求及び必要な手数料の支払いを行えば特許庁によって提供されよう。
図1A~図1Iは、Torin1処理が人工多能性幹細胞(iPSC)由来心筋細胞(CM)の細胞静止状態を増加させることを示す。図1Aは、特に記されていない限り、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたって実施されるTorin1処理を伴う分化プロトコルの概略図を示す。図1Bは、BJRiPS-CMについて、ベースライン時、ならびにTorin1(200nM)によるiPSC由来CMの単回処理から30分後、及び2、4、10、24及び48時間後の、phospho-S6及びphospho-Aktのウェスタン分析を示す。図1Cは、分化の間の12ウェルプレートのウェル1つあたりの細胞計数を示す。BJRiPS-CMについて、CM拍動の開始からおよそ2日後である9日目にTorin1処理が開始され、群1つあたり、時間点1つあたりn=3である。図1Dは、Gibco iPS-CMについて、生細胞集団に占めるTNNT2+CMの百分率をフローサイトメトリーによって示したものであり、条件1つあたりn=3、一元配置ANOVAで非有意である。図1Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択された静止マーカー(TP53、RB1、RBL2(p130)、CDKN1a(p21)、CDKN1b(p27)、CDKN2a(p16)及びHES1)及び増殖マーカー(MKI67、CCNA1、CCNB1、CCNC1、CCND1、CDK3及びE2F1)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、各遺伝子の対照と比較するHolm-Sidak法による多重t検定でp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図1Fは、Gibco iPS-CMについて、対照細胞、10nMのTorin1で処理した細胞、または200nMのTorin1で処理した細胞のG0、G1及びS/G2/M期を区別するためにヘキスト33342及びピロニンYで染色したiPSC由来CMの代表的なフローサイトメトリープロットを示す。図1Gは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+心筋細胞の百分率を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAで***p<0.001、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図1Hは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたる0.02%DMSO処理とそれに続く10%FBSによる処理の後の対照CM、または無血清対照において、G、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。図1Iは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)とそれに続く10%FBSによる処理の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率、または無血清対照を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図1A~図1Iは、Torin1処理が人工多能性幹細胞(iPSC)由来心筋細胞(CM)の細胞静止状態を増加させることを示す。図1Aは、特に記されていない限り、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたって実施されるTorin1処理を伴う分化プロトコルの概略図を示す。図1Bは、BJRiPS-CMについて、ベースライン時、ならびにTorin1(200nM)によるiPSC由来CMの単回処理から30分後、及び2、4、10、24及び48時間後の、phospho-S6及びphospho-Aktのウェスタン分析を示す。図1Cは、分化の間の12ウェルプレートのウェル1つあたりの細胞計数を示す。BJRiPS-CMについて、CM拍動の開始からおよそ2日後である9日目にTorin1処理が開始され、群1つあたり、時間点1つあたりn=3である。図1Dは、Gibco iPS-CMについて、生細胞集団に占めるTNNT2+CMの百分率をフローサイトメトリーによって示したものであり、条件1つあたりn=3、一元配置ANOVAで非有意である。図1Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択された静止マーカー(TP53、RB1、RBL2(p130)、CDKN1a(p21)、CDKN1b(p27)、CDKN2a(p16)及びHES1)及び増殖マーカー(MKI67、CCNA1、CCNB1、CCNC1、CCND1、CDK3及びE2F1)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、各遺伝子の対照と比較するHolm-Sidak法による多重t検定でp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図1Fは、Gibco iPS-CMについて、対照細胞、10nMのTorin1で処理した細胞、または200nMのTorin1で処理した細胞のG0、G1及びS/G2/M期を区別するためにヘキスト33342及びピロニンYで染色したiPSC由来CMの代表的なフローサイトメトリープロットを示す。図1Gは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+心筋細胞の百分率を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAで***p<0.001、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図1Hは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたる0.02%DMSO処理とそれに続く10%FBSによる処理の後の対照CM、または無血清対照において、G、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。図1Iは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)とそれに続く10%FBSによる処理の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率、または無血清対照を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図1A~図1Iは、Torin1処理が人工多能性幹細胞(iPSC)由来心筋細胞(CM)の細胞静止状態を増加させることを示す。図1Aは、特に記されていない限り、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたって実施されるTorin1処理を伴う分化プロトコルの概略図を示す。図1Bは、BJRiPS-CMについて、ベースライン時、ならびにTorin1(200nM)によるiPSC由来CMの単回処理から30分後、及び2、4、10、24及び48時間後の、phospho-S6及びphospho-Aktのウェスタン分析を示す。図1Cは、分化の間の12ウェルプレートのウェル1つあたりの細胞計数を示す。BJRiPS-CMについて、CM拍動の開始からおよそ2日後である9日目にTorin1処理が開始され、群1つあたり、時間点1つあたりn=3である。図1Dは、Gibco iPS-CMについて、生細胞集団に占めるTNNT2+CMの百分率をフローサイトメトリーによって示したものであり、条件1つあたりn=3、一元配置ANOVAで非有意である。図1Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択された静止マーカー(TP53、RB1、RBL2(p130)、CDKN1a(p21)、CDKN1b(p27)、CDKN2a(p16)及びHES1)及び増殖マーカー(MKI67、CCNA1、CCNB1、CCNC1、CCND1、CDK3及びE2F1)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、各遺伝子の対照と比較するHolm-Sidak法による多重t検定でp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図1Fは、Gibco iPS-CMについて、対照細胞、10nMのTorin1で処理した細胞、または200nMのTorin1で処理した細胞のG0、G1及びS/G2/M期を区別するためにヘキスト33342及びピロニンYで染色したiPSC由来CMの代表的なフローサイトメトリープロットを示す。図1Gは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+心筋細胞の百分率を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAで***p<0.001、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図1Hは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたる0.02%DMSO処理とそれに続く10%FBSによる処理の後の対照CM、または無血清対照において、G、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。図1Iは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)とそれに続く10%FBSによる処理の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率、または無血清対照を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図1A~図1Iは、Torin1処理が人工多能性幹細胞(iPSC)由来心筋細胞(CM)の細胞静止状態を増加させることを示す。図1Aは、特に記されていない限り、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたって実施されるTorin1処理を伴う分化プロトコルの概略図を示す。図1Bは、BJRiPS-CMについて、ベースライン時、ならびにTorin1(200nM)によるiPSC由来CMの単回処理から30分後、及び2、4、10、24及び48時間後の、phospho-S6及びphospho-Aktのウェスタン分析を示す。図1Cは、分化の間の12ウェルプレートのウェル1つあたりの細胞計数を示す。BJRiPS-CMについて、CM拍動の開始からおよそ2日後である9日目にTorin1処理が開始され、群1つあたり、時間点1つあたりn=3である。図1Dは、Gibco iPS-CMについて、生細胞集団に占めるTNNT2+CMの百分率をフローサイトメトリーによって示したものであり、条件1つあたりn=3、一元配置ANOVAで非有意である。図1Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択された静止マーカー(TP53、RB1、RBL2(p130)、CDKN1a(p21)、CDKN1b(p27)、CDKN2a(p16)及びHES1)及び増殖マーカー(MKI67、CCNA1、CCNB1、CCNC1、CCND1、CDK3及びE2F1)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、各遺伝子の対照と比較するHolm-Sidak法による多重t検定でp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図1Fは、Gibco iPS-CMについて、対照細胞、10nMのTorin1で処理した細胞、または200nMのTorin1で処理した細胞のG0、G1及びS/G2/M期を区別するためにヘキスト33342及びピロニンYで染色したiPSC由来CMの代表的なフローサイトメトリープロットを示す。図1Gは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+心筋細胞の百分率を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAで***p<0.001、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図1Hは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたる0.02%DMSO処理とそれに続く10%FBSによる処理の後の対照CM、または無血清対照において、G、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。図1Iは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)とそれに続く10%FBSによる処理の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率、または無血清対照を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図1A~図1Iは、Torin1処理が人工多能性幹細胞(iPSC)由来心筋細胞(CM)の細胞静止状態を増加させることを示す。図1Aは、特に記されていない限り、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたって実施されるTorin1処理を伴う分化プロトコルの概略図を示す。図1Bは、BJRiPS-CMについて、ベースライン時、ならびにTorin1(200nM)によるiPSC由来CMの単回処理から30分後、及び2、4、10、24及び48時間後の、phospho-S6及びphospho-Aktのウェスタン分析を示す。図1Cは、分化の間の12ウェルプレートのウェル1つあたりの細胞計数を示す。BJRiPS-CMについて、CM拍動の開始からおよそ2日後である9日目にTorin1処理が開始され、群1つあたり、時間点1つあたりn=3である。図1Dは、Gibco iPS-CMについて、生細胞集団に占めるTNNT2+CMの百分率をフローサイトメトリーによって示したものであり、条件1つあたりn=3、一元配置ANOVAで非有意である。図1Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択された静止マーカー(TP53、RB1、RBL2(p130)、CDKN1a(p21)、CDKN1b(p27)、CDKN2a(p16)及びHES1)及び増殖マーカー(MKI67、CCNA1、CCNB1、CCNC1、CCND1、CDK3及びE2F1)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、各遺伝子の対照と比較するHolm-Sidak法による多重t検定でp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図1Fは、Gibco iPS-CMについて、対照細胞、10nMのTorin1で処理した細胞、または200nMのTorin1で処理した細胞のG0、G1及びS/G2/M期を区別するためにヘキスト33342及びピロニンYで染色したiPSC由来CMの代表的なフローサイトメトリープロットを示す。図1Gは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+心筋細胞の百分率を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAで***p<0.001、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図1Hは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたる0.02%DMSO処理とそれに続く10%FBSによる処理の後の対照CM、または無血清対照において、G、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。図1Iは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)とそれに続く10%FBSによる処理の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率、または無血清対照を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図1A~図1Iは、Torin1処理が人工多能性幹細胞(iPSC)由来心筋細胞(CM)の細胞静止状態を増加させることを示す。図1Aは、特に記されていない限り、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたって実施されるTorin1処理を伴う分化プロトコルの概略図を示す。図1Bは、BJRiPS-CMについて、ベースライン時、ならびにTorin1(200nM)によるiPSC由来CMの単回処理から30分後、及び2、4、10、24及び48時間後の、phospho-S6及びphospho-Aktのウェスタン分析を示す。図1Cは、分化の間の12ウェルプレートのウェル1つあたりの細胞計数を示す。BJRiPS-CMについて、CM拍動の開始からおよそ2日後である9日目にTorin1処理が開始され、群1つあたり、時間点1つあたりn=3である。図1Dは、Gibco iPS-CMについて、生細胞集団に占めるTNNT2+CMの百分率をフローサイトメトリーによって示したものであり、条件1つあたりn=3、一元配置ANOVAで非有意である。図1Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択された静止マーカー(TP53、RB1、RBL2(p130)、CDKN1a(p21)、CDKN1b(p27)、CDKN2a(p16)及びHES1)及び増殖マーカー(MKI67、CCNA1、CCNB1、CCNC1、CCND1、CDK3及びE2F1)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、各遺伝子の対照と比較するHolm-Sidak法による多重t検定でp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図1Fは、Gibco iPS-CMについて、対照細胞、10nMのTorin1で処理した細胞、または200nMのTorin1で処理した細胞のG0、G1及びS/G2/M期を区別するためにヘキスト33342及びピロニンYで染色したiPSC由来CMの代表的なフローサイトメトリープロットを示す。図1Gは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+心筋細胞の百分率を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAで***p<0.001、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図1Hは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたる0.02%DMSO処理とそれに続く10%FBSによる処理の後の対照CM、または無血清対照において、G、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。図1Iは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)とそれに続く10%FBSによる処理の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率、または無血清対照を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図1A~図1Iは、Torin1処理が人工多能性幹細胞(iPSC)由来心筋細胞(CM)の細胞静止状態を増加させることを示す。図1Aは、特に記されていない限り、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたって実施されるTorin1処理を伴う分化プロトコルの概略図を示す。図1Bは、BJRiPS-CMについて、ベースライン時、ならびにTorin1(200nM)によるiPSC由来CMの単回処理から30分後、及び2、4、10、24及び48時間後の、phospho-S6及びphospho-Aktのウェスタン分析を示す。図1Cは、分化の間の12ウェルプレートのウェル1つあたりの細胞計数を示す。BJRiPS-CMについて、CM拍動の開始からおよそ2日後である9日目にTorin1処理が開始され、群1つあたり、時間点1つあたりn=3である。図1Dは、Gibco iPS-CMについて、生細胞集団に占めるTNNT2+CMの百分率をフローサイトメトリーによって示したものであり、条件1つあたりn=3、一元配置ANOVAで非有意である。図1Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択された静止マーカー(TP53、RB1、RBL2(p130)、CDKN1a(p21)、CDKN1b(p27)、CDKN2a(p16)及びHES1)及び増殖マーカー(MKI67、CCNA1、CCNB1、CCNC1、CCND1、CDK3及びE2F1)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、各遺伝子の対照と比較するHolm-Sidak法による多重t検定でp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図1Fは、Gibco iPS-CMについて、対照細胞、10nMのTorin1で処理した細胞、または200nMのTorin1で処理した細胞のG0、G1及びS/G2/M期を区別するためにヘキスト33342及びピロニンYで染色したiPSC由来CMの代表的なフローサイトメトリープロットを示す。図1Gは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+心筋細胞の百分率を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAで***p<0.001、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図1Hは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたる0.02%DMSO処理とそれに続く10%FBSによる処理の後の対照CM、または無血清対照において、G、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。図1Iは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)とそれに続く10%FBSによる処理の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率、または無血清対照を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図1A~図1Iは、Torin1処理が人工多能性幹細胞(iPSC)由来心筋細胞(CM)の細胞静止状態を増加させることを示す。図1Aは、特に記されていない限り、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたって実施されるTorin1処理を伴う分化プロトコルの概略図を示す。図1Bは、BJRiPS-CMについて、ベースライン時、ならびにTorin1(200nM)によるiPSC由来CMの単回処理から30分後、及び2、4、10、24及び48時間後の、phospho-S6及びphospho-Aktのウェスタン分析を示す。図1Cは、分化の間の12ウェルプレートのウェル1つあたりの細胞計数を示す。BJRiPS-CMについて、CM拍動の開始からおよそ2日後である9日目にTorin1処理が開始され、群1つあたり、時間点1つあたりn=3である。図1Dは、Gibco iPS-CMについて、生細胞集団に占めるTNNT2+CMの百分率をフローサイトメトリーによって示したものであり、条件1つあたりn=3、一元配置ANOVAで非有意である。図1Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択された静止マーカー(TP53、RB1、RBL2(p130)、CDKN1a(p21)、CDKN1b(p27)、CDKN2a(p16)及びHES1)及び増殖マーカー(MKI67、CCNA1、CCNB1、CCNC1、CCND1、CDK3及びE2F1)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、各遺伝子の対照と比較するHolm-Sidak法による多重t検定でp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図1Fは、Gibco iPS-CMについて、対照細胞、10nMのTorin1で処理した細胞、または200nMのTorin1で処理した細胞のG0、G1及びS/G2/M期を区別するためにヘキスト33342及びピロニンYで染色したiPSC由来CMの代表的なフローサイトメトリープロットを示す。図1Gは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+心筋細胞の百分率を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAで***p<0.001、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図1Hは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたる0.02%DMSO処理とそれに続く10%FBSによる処理の後の対照CM、または無血清対照において、G、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。図1Iは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)とそれに続く10%FBSによる処理の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率、または無血清対照を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図1A~図1Iは、Torin1処理が人工多能性幹細胞(iPSC)由来心筋細胞(CM)の細胞静止状態を増加させることを示す。図1Aは、特に記されていない限り、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたって実施されるTorin1処理を伴う分化プロトコルの概略図を示す。図1Bは、BJRiPS-CMについて、ベースライン時、ならびにTorin1(200nM)によるiPSC由来CMの単回処理から30分後、及び2、4、10、24及び48時間後の、phospho-S6及びphospho-Aktのウェスタン分析を示す。図1Cは、分化の間の12ウェルプレートのウェル1つあたりの細胞計数を示す。BJRiPS-CMについて、CM拍動の開始からおよそ2日後である9日目にTorin1処理が開始され、群1つあたり、時間点1つあたりn=3である。図1Dは、Gibco iPS-CMについて、生細胞集団に占めるTNNT2+CMの百分率をフローサイトメトリーによって示したものであり、条件1つあたりn=3、一元配置ANOVAで非有意である。図1Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択された静止マーカー(TP53、RB1、RBL2(p130)、CDKN1a(p21)、CDKN1b(p27)、CDKN2a(p16)及びHES1)及び増殖マーカー(MKI67、CCNA1、CCNB1、CCNC1、CCND1、CDK3及びE2F1)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、各遺伝子の対照と比較するHolm-Sidak法による多重t検定でp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図1Fは、Gibco iPS-CMについて、対照細胞、10nMのTorin1で処理した細胞、または200nMのTorin1で処理した細胞のG0、G1及びS/G2/M期を区別するためにヘキスト33342及びピロニンYで染色したiPSC由来CMの代表的なフローサイトメトリープロットを示す。図1Gは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+心筋細胞の百分率を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAで***p<0.001、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図1Hは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたる0.02%DMSO処理とそれに続く10%FBSによる処理の後の対照CM、または無血清対照において、G、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。図1Iは、拍動の開始の約2日後から開始される1週間にわたるTorin1処理(200nM)とそれに続く10%FBSによる処理の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+CMの百分率、または無血清対照を示す。群1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、Gibco iPSC-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図2A~2Iは、Torin1処理がサルコメア遺伝子の発現を増加させiPSC由来心筋細胞の収縮性を増強することを示す。図2Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択されたサルコメア遺伝子(MYH6、MYH7、TNNT2、TNNI3)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図2Bは、Gibco iPSC-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後のTNNT2及びTNNI3のウェスタンブロット分析の代表例を示したものであり、ローディングコントロールとしてβ-チューブリンが示されている。図2Cは、TNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAで**p<0.01、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図2Dは、拡張期及び収縮期にあるMTFの代表画像を、拡張期及び収縮期にあるMTFの側面の模式図と共に示す。図2Eは、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたってTorin1(200nM)またはビヒクルで処理したiPSC由来心筋細胞が播種された、筋薄膜(MTF)の代表的な力対時間プロットを示す。図2Fは、筋薄膜を使用して定量された、(対照に対して正規化した)相対最大収縮力を示す。群1つあたりn=8~9、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01、BJRiPS-CM(2回分)とGibco iPS-CM(1回分)との3回分を加え合わせたもの。図2Gは、Torin1(200nM×7日)で処理したかまたは処理しなかった心筋細胞を示す代表的な免疫染色画像を示したものであり、青色=DAPI、緑色=アルファ-アクチニン、黄色=F-アクチン、赤紫色=TNNT2であり、BJRiPS-CM、スケールバー=10μmである。図2Hは、対照(n=13細胞)及びTorin1処理(n=17細胞)BJRiPS-CMのサルコメア長を示したものであり、独立2群t検定で非有意である。図2Iは、DMSO×7日(対照)、DMSO×7日とそれに続く10%ウシ胎仔血清(FBS)×2日、Torin1(200nM)×7日、またはTorin1(200nM)×7日とそれに続く10%FBS×2日による処理の後のTNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.01、**p<0.0001、UCSD-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 図2A~2Iは、Torin1処理がサルコメア遺伝子の発現を増加させiPSC由来心筋細胞の収縮性を増強することを示す。図2Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択されたサルコメア遺伝子(MYH6、MYH7、TNNT2、TNNI3)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図2Bは、Gibco iPSC-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後のTNNT2及びTNNI3のウェスタンブロット分析の代表例を示したものであり、ローディングコントロールとしてβ-チューブリンが示されている。図2Cは、TNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAで**p<0.01、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図2Dは、拡張期及び収縮期にあるMTFの代表画像を、拡張期及び収縮期にあるMTFの側面の模式図と共に示す。図2Eは、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたってTorin1(200nM)またはビヒクルで処理したiPSC由来心筋細胞が播種された、筋薄膜(MTF)の代表的な力対時間プロットを示す。図2Fは、筋薄膜を使用して定量された、(対照に対して正規化した)相対最大収縮力を示す。群1つあたりn=8~9、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01、BJRiPS-CM(2回分)とGibco iPS-CM(1回分)との3回分を加え合わせたもの。図2Gは、Torin1(200nM×7日)で処理したかまたは処理しなかった心筋細胞を示す代表的な免疫染色画像を示したものであり、青色=DAPI、緑色=アルファ-アクチニン、黄色=F-アクチン、赤紫色=TNNT2であり、BJRiPS-CM、スケールバー=10μmである。図2Hは、対照(n=13細胞)及びTorin1処理(n=17細胞)BJRiPS-CMのサルコメア長を示したものであり、独立2群t検定で非有意である。図2Iは、DMSO×7日(対照)、DMSO×7日とそれに続く10%ウシ胎仔血清(FBS)×2日、Torin1(200nM)×7日、またはTorin1(200nM)×7日とそれに続く10%FBS×2日による処理の後のTNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.01、**p<0.0001、UCSD-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 図2A~2Iは、Torin1処理がサルコメア遺伝子の発現を増加させiPSC由来心筋細胞の収縮性を増強することを示す。図2Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択されたサルコメア遺伝子(MYH6、MYH7、TNNT2、TNNI3)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図2Bは、Gibco iPSC-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後のTNNT2及びTNNI3のウェスタンブロット分析の代表例を示したものであり、ローディングコントロールとしてβ-チューブリンが示されている。図2Cは、TNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAで**p<0.01、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図2Dは、拡張期及び収縮期にあるMTFの代表画像を、拡張期及び収縮期にあるMTFの側面の模式図と共に示す。図2Eは、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたってTorin1(200nM)またはビヒクルで処理したiPSC由来心筋細胞が播種された、筋薄膜(MTF)の代表的な力対時間プロットを示す。図2Fは、筋薄膜を使用して定量された、(対照に対して正規化した)相対最大収縮力を示す。群1つあたりn=8~9、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01、BJRiPS-CM(2回分)とGibco iPS-CM(1回分)との3回分を加え合わせたもの。図2Gは、Torin1(200nM×7日)で処理したかまたは処理しなかった心筋細胞を示す代表的な免疫染色画像を示したものであり、青色=DAPI、緑色=アルファ-アクチニン、黄色=F-アクチン、赤紫色=TNNT2であり、BJRiPS-CM、スケールバー=10μmである。図2Hは、対照(n=13細胞)及びTorin1処理(n=17細胞)BJRiPS-CMのサルコメア長を示したものであり、独立2群t検定で非有意である。図2Iは、DMSO×7日(対照)、DMSO×7日とそれに続く10%ウシ胎仔血清(FBS)×2日、Torin1(200nM)×7日、またはTorin1(200nM)×7日とそれに続く10%FBS×2日による処理の後のTNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.01、**p<0.0001、UCSD-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 図2A~2Iは、Torin1処理がサルコメア遺伝子の発現を増加させiPSC由来心筋細胞の収縮性を増強することを示す。図2Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択されたサルコメア遺伝子(MYH6、MYH7、TNNT2、TNNI3)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図2Bは、Gibco iPSC-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後のTNNT2及びTNNI3のウェスタンブロット分析の代表例を示したものであり、ローディングコントロールとしてβ-チューブリンが示されている。図2Cは、TNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAで**p<0.01、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図2Dは、拡張期及び収縮期にあるMTFの代表画像を、拡張期及び収縮期にあるMTFの側面の模式図と共に示す。図2Eは、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたってTorin1(200nM)またはビヒクルで処理したiPSC由来心筋細胞が播種された、筋薄膜(MTF)の代表的な力対時間プロットを示す。図2Fは、筋薄膜を使用して定量された、(対照に対して正規化した)相対最大収縮力を示す。群1つあたりn=8~9、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01、BJRiPS-CM(2回分)とGibco iPS-CM(1回分)との3回分を加え合わせたもの。図2Gは、Torin1(200nM×7日)で処理したかまたは処理しなかった心筋細胞を示す代表的な免疫染色画像を示したものであり、青色=DAPI、緑色=アルファ-アクチニン、黄色=F-アクチン、赤紫色=TNNT2であり、BJRiPS-CM、スケールバー=10μmである。図2Hは、対照(n=13細胞)及びTorin1処理(n=17細胞)BJRiPS-CMのサルコメア長を示したものであり、独立2群t検定で非有意である。図2Iは、DMSO×7日(対照)、DMSO×7日とそれに続く10%ウシ胎仔血清(FBS)×2日、Torin1(200nM)×7日、またはTorin1(200nM)×7日とそれに続く10%FBS×2日による処理の後のTNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.01、**p<0.0001、UCSD-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 図2A~2Iは、Torin1処理がサルコメア遺伝子の発現を増加させiPSC由来心筋細胞の収縮性を増強することを示す。図2Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択されたサルコメア遺伝子(MYH6、MYH7、TNNT2、TNNI3)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図2Bは、Gibco iPSC-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後のTNNT2及びTNNI3のウェスタンブロット分析の代表例を示したものであり、ローディングコントロールとしてβ-チューブリンが示されている。図2Cは、TNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAで**p<0.01、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図2Dは、拡張期及び収縮期にあるMTFの代表画像を、拡張期及び収縮期にあるMTFの側面の模式図と共に示す。図2Eは、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたってTorin1(200nM)またはビヒクルで処理したiPSC由来心筋細胞が播種された、筋薄膜(MTF)の代表的な力対時間プロットを示す。図2Fは、筋薄膜を使用して定量された、(対照に対して正規化した)相対最大収縮力を示す。群1つあたりn=8~9、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01、BJRiPS-CM(2回分)とGibco iPS-CM(1回分)との3回分を加え合わせたもの。図2Gは、Torin1(200nM×7日)で処理したかまたは処理しなかった心筋細胞を示す代表的な免疫染色画像を示したものであり、青色=DAPI、緑色=アルファ-アクチニン、黄色=F-アクチン、赤紫色=TNNT2であり、BJRiPS-CM、スケールバー=10μmである。図2Hは、対照(n=13細胞)及びTorin1処理(n=17細胞)BJRiPS-CMのサルコメア長を示したものであり、独立2群t検定で非有意である。図2Iは、DMSO×7日(対照)、DMSO×7日とそれに続く10%ウシ胎仔血清(FBS)×2日、Torin1(200nM)×7日、またはTorin1(200nM)×7日とそれに続く10%FBS×2日による処理の後のTNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.01、**p<0.0001、UCSD-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 図2A~2Iは、Torin1処理がサルコメア遺伝子の発現を増加させiPSC由来心筋細胞の収縮性を増強することを示す。図2Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択されたサルコメア遺伝子(MYH6、MYH7、TNNT2、TNNI3)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図2Bは、Gibco iPSC-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後のTNNT2及びTNNI3のウェスタンブロット分析の代表例を示したものであり、ローディングコントロールとしてβ-チューブリンが示されている。図2Cは、TNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAで**p<0.01、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図2Dは、拡張期及び収縮期にあるMTFの代表画像を、拡張期及び収縮期にあるMTFの側面の模式図と共に示す。図2Eは、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたってTorin1(200nM)またはビヒクルで処理したiPSC由来心筋細胞が播種された、筋薄膜(MTF)の代表的な力対時間プロットを示す。図2Fは、筋薄膜を使用して定量された、(対照に対して正規化した)相対最大収縮力を示す。群1つあたりn=8~9、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01、BJRiPS-CM(2回分)とGibco iPS-CM(1回分)との3回分を加え合わせたもの。図2Gは、Torin1(200nM×7日)で処理したかまたは処理しなかった心筋細胞を示す代表的な免疫染色画像を示したものであり、青色=DAPI、緑色=アルファ-アクチニン、黄色=F-アクチン、赤紫色=TNNT2であり、BJRiPS-CM、スケールバー=10μmである。図2Hは、対照(n=13細胞)及びTorin1処理(n=17細胞)BJRiPS-CMのサルコメア長を示したものであり、独立2群t検定で非有意である。図2Iは、DMSO×7日(対照)、DMSO×7日とそれに続く10%ウシ胎仔血清(FBS)×2日、Torin1(200nM)×7日、またはTorin1(200nM)×7日とそれに続く10%FBS×2日による処理の後のTNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.01、**p<0.0001、UCSD-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 図2A~2Iは、Torin1処理がサルコメア遺伝子の発現を増加させiPSC由来心筋細胞の収縮性を増強することを示す。図2Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択されたサルコメア遺伝子(MYH6、MYH7、TNNT2、TNNI3)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図2Bは、Gibco iPSC-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後のTNNT2及びTNNI3のウェスタンブロット分析の代表例を示したものであり、ローディングコントロールとしてβ-チューブリンが示されている。図2Cは、TNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAで**p<0.01、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図2Dは、拡張期及び収縮期にあるMTFの代表画像を、拡張期及び収縮期にあるMTFの側面の模式図と共に示す。図2Eは、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたってTorin1(200nM)またはビヒクルで処理したiPSC由来心筋細胞が播種された、筋薄膜(MTF)の代表的な力対時間プロットを示す。図2Fは、筋薄膜を使用して定量された、(対照に対して正規化した)相対最大収縮力を示す。群1つあたりn=8~9、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01、BJRiPS-CM(2回分)とGibco iPS-CM(1回分)との3回分を加え合わせたもの。図2Gは、Torin1(200nM×7日)で処理したかまたは処理しなかった心筋細胞を示す代表的な免疫染色画像を示したものであり、青色=DAPI、緑色=アルファ-アクチニン、黄色=F-アクチン、赤紫色=TNNT2であり、BJRiPS-CM、スケールバー=10μmである。図2Hは、対照(n=13細胞)及びTorin1処理(n=17細胞)BJRiPS-CMのサルコメア長を示したものであり、独立2群t検定で非有意である。図2Iは、DMSO×7日(対照)、DMSO×7日とそれに続く10%ウシ胎仔血清(FBS)×2日、Torin1(200nM)×7日、またはTorin1(200nM)×7日とそれに続く10%FBS×2日による処理の後のTNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.01、**p<0.0001、UCSD-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 図2A~2Iは、Torin1処理がサルコメア遺伝子の発現を増加させiPSC由来心筋細胞の収縮性を増強することを示す。図2Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択されたサルコメア遺伝子(MYH6、MYH7、TNNT2、TNNI3)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図2Bは、Gibco iPSC-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後のTNNT2及びTNNI3のウェスタンブロット分析の代表例を示したものであり、ローディングコントロールとしてβ-チューブリンが示されている。図2Cは、TNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAで**p<0.01、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図2Dは、拡張期及び収縮期にあるMTFの代表画像を、拡張期及び収縮期にあるMTFの側面の模式図と共に示す。図2Eは、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたってTorin1(200nM)またはビヒクルで処理したiPSC由来心筋細胞が播種された、筋薄膜(MTF)の代表的な力対時間プロットを示す。図2Fは、筋薄膜を使用して定量された、(対照に対して正規化した)相対最大収縮力を示す。群1つあたりn=8~9、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01、BJRiPS-CM(2回分)とGibco iPS-CM(1回分)との3回分を加え合わせたもの。図2Gは、Torin1(200nM×7日)で処理したかまたは処理しなかった心筋細胞を示す代表的な免疫染色画像を示したものであり、青色=DAPI、緑色=アルファ-アクチニン、黄色=F-アクチン、赤紫色=TNNT2であり、BJRiPS-CM、スケールバー=10μmである。図2Hは、対照(n=13細胞)及びTorin1処理(n=17細胞)BJRiPS-CMのサルコメア長を示したものであり、独立2群t検定で非有意である。図2Iは、DMSO×7日(対照)、DMSO×7日とそれに続く10%ウシ胎仔血清(FBS)×2日、Torin1(200nM)×7日、またはTorin1(200nM)×7日とそれに続く10%FBS×2日による処理の後のTNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.01、**p<0.0001、UCSD-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 図2A~2Iは、Torin1処理がサルコメア遺伝子の発現を増加させiPSC由来心筋細胞の収縮性を増強することを示す。図2Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞について、選択されたサルコメア遺伝子(MYH6、MYH7、TNNT2、TNNI3)のqPCRを示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS-CM。図2Bは、Gibco iPSC-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後のTNNT2及びTNNI3のウェスタンブロット分析の代表例を示したものであり、ローディングコントロールとしてβ-チューブリンが示されている。図2Cは、TNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAで**p<0.01、****p<0.0001、Gibco iPS-CM。図2Dは、拡張期及び収縮期にあるMTFの代表画像を、拡張期及び収縮期にあるMTFの側面の模式図と共に示す。図2Eは、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたってTorin1(200nM)またはビヒクルで処理したiPSC由来心筋細胞が播種された、筋薄膜(MTF)の代表的な力対時間プロットを示す。図2Fは、筋薄膜を使用して定量された、(対照に対して正規化した)相対最大収縮力を示す。群1つあたりn=8~9、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01、BJRiPS-CM(2回分)とGibco iPS-CM(1回分)との3回分を加え合わせたもの。図2Gは、Torin1(200nM×7日)で処理したかまたは処理しなかった心筋細胞を示す代表的な免疫染色画像を示したものであり、青色=DAPI、緑色=アルファ-アクチニン、黄色=F-アクチン、赤紫色=TNNT2であり、BJRiPS-CM、スケールバー=10μmである。図2Hは、対照(n=13細胞)及びTorin1処理(n=17細胞)BJRiPS-CMのサルコメア長を示したものであり、独立2群t検定で非有意である。図2Iは、DMSO×7日(対照)、DMSO×7日とそれに続く10%ウシ胎仔血清(FBS)×2日、Torin1(200nM)×7日、またはTorin1(200nM)×7日とそれに続く10%FBS×2日による処理の後のTNNT2+細胞のTNNT2-Alexa Fluor647の平均蛍光強度を示す。条件1つあたりn=3、Sidak多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.01、**p<0.0001、UCSD-CM。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 図3A~3Fは、Torin1がiPSC由来心筋細胞の酸素消費速度及びミトコンドリア分極を増加させることを示す。図3Aは、Seahorseミトストレス試験によって評価された、ベースラインに対して正規化した平均酸素消費速度の時間に対するプロファイルを示す。白丸=対照(n=70ウェル)、黒四角=Torin1(69ウェル、200nM×7日;アッセイ前に24~48時間にわたってBJRiPS-CMをSeahorseプレートに再播種したもの)、2つの独立した実験を合わせて得たデータ。図3Bは、最大OCR、予備呼気容量及び非ミトコンドリアOCRについて、ベースラインに対して正規化された酸素消費速度を対照(白抜きバー、n=70ウェル)と黒塗りバー(白抜きバー、n=69ウェル)とで比較して示したものであり、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001、BJRiPS-CMである。図3Cは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMのMitotracker Green FMの平均蛍光強度を示す。独立2群t検定でp<0.05、群1つあたりn=3、BJRiPS細胞株。図3Dは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMのミトコンドリア(ND1)対核(B2M)DNA比を示す。独立2群t検定でp<0.05、群1つあたりn=3、BJRiPS細胞株。図3Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMにおける赤色対緑色蛍光のMitoProbe JC-1相対比を示す。群1つあたりn=6、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01。図3Fは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMの脂肪酸代謝(PPARGC1a(PGC1α)、CD36、SLC27A1(FATP1)、SLC27A6(FATP6)及びLPIN1)またはグルコース代謝(GLUT1、GLUT4、PFK及びPYGM)に関連する選択された遺伝子のqPCRを示す。テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、群1つあたりn=3。DMSOはジメチルスルホキシド、FCCPは2-[2-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ヒドラジニリデン]-プロパンジニトリルである。 図3A~3Fは、Torin1がiPSC由来心筋細胞の酸素消費速度及びミトコンドリア分極を増加させることを示す。図3Aは、Seahorseミトストレス試験によって評価された、ベースラインに対して正規化した平均酸素消費速度の時間に対するプロファイルを示す。白丸=対照(n=70ウェル)、黒四角=Torin1(69ウェル、200nM×7日;アッセイ前に24~48時間にわたってBJRiPS-CMをSeahorseプレートに再播種したもの)、2つの独立した実験を合わせて得たデータ。図3Bは、最大OCR、予備呼気容量及び非ミトコンドリアOCRについて、ベースラインに対して正規化された酸素消費速度を対照(白抜きバー、n=70ウェル)と黒塗りバー(白抜きバー、n=69ウェル)とで比較して示したものであり、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001、BJRiPS-CMである。図3Cは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMのMitotracker Green FMの平均蛍光強度を示す。独立2群t検定でp<0.05、群1つあたりn=3、BJRiPS細胞株。図3Dは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMのミトコンドリア(ND1)対核(B2M)DNA比を示す。独立2群t検定でp<0.05、群1つあたりn=3、BJRiPS細胞株。図3Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMにおける赤色対緑色蛍光のMitoProbe JC-1相対比を示す。群1つあたりn=6、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01。図3Fは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMの脂肪酸代謝(PPARGC1a(PGC1α)、CD36、SLC27A1(FATP1)、SLC27A6(FATP6)及びLPIN1)またはグルコース代謝(GLUT1、GLUT4、PFK及びPYGM)に関連する選択された遺伝子のqPCRを示す。テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、群1つあたりn=3。DMSOはジメチルスルホキシド、FCCPは2-[2-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ヒドラジニリデン]-プロパンジニトリルである。 図3A~3Fは、Torin1がiPSC由来心筋細胞の酸素消費速度及びミトコンドリア分極を増加させることを示す。図3Aは、Seahorseミトストレス試験によって評価された、ベースラインに対して正規化した平均酸素消費速度の時間に対するプロファイルを示す。白丸=対照(n=70ウェル)、黒四角=Torin1(69ウェル、200nM×7日;アッセイ前に24~48時間にわたってBJRiPS-CMをSeahorseプレートに再播種したもの)、2つの独立した実験を合わせて得たデータ。図3Bは、最大OCR、予備呼気容量及び非ミトコンドリアOCRについて、ベースラインに対して正規化された酸素消費速度を対照(白抜きバー、n=70ウェル)と黒塗りバー(白抜きバー、n=69ウェル)とで比較して示したものであり、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001、BJRiPS-CMである。図3Cは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMのMitotracker Green FMの平均蛍光強度を示す。独立2群t検定でp<0.05、群1つあたりn=3、BJRiPS細胞株。図3Dは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMのミトコンドリア(ND1)対核(B2M)DNA比を示す。独立2群t検定でp<0.05、群1つあたりn=3、BJRiPS細胞株。図3Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMにおける赤色対緑色蛍光のMitoProbe JC-1相対比を示す。群1つあたりn=6、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01。図3Fは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMの脂肪酸代謝(PPARGC1a(PGC1α)、CD36、SLC27A1(FATP1)、SLC27A6(FATP6)及びLPIN1)またはグルコース代謝(GLUT1、GLUT4、PFK及びPYGM)に関連する選択された遺伝子のqPCRを示す。テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、群1つあたりn=3。DMSOはジメチルスルホキシド、FCCPは2-[2-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ヒドラジニリデン]-プロパンジニトリルである。 図3A~3Fは、Torin1がiPSC由来心筋細胞の酸素消費速度及びミトコンドリア分極を増加させることを示す。図3Aは、Seahorseミトストレス試験によって評価された、ベースラインに対して正規化した平均酸素消費速度の時間に対するプロファイルを示す。白丸=対照(n=70ウェル)、黒四角=Torin1(69ウェル、200nM×7日;アッセイ前に24~48時間にわたってBJRiPS-CMをSeahorseプレートに再播種したもの)、2つの独立した実験を合わせて得たデータ。図3Bは、最大OCR、予備呼気容量及び非ミトコンドリアOCRについて、ベースラインに対して正規化された酸素消費速度を対照(白抜きバー、n=70ウェル)と黒塗りバー(白抜きバー、n=69ウェル)とで比較して示したものであり、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001、BJRiPS-CMである。図3Cは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMのMitotracker Green FMの平均蛍光強度を示す。独立2群t検定でp<0.05、群1つあたりn=3、BJRiPS細胞株。図3Dは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMのミトコンドリア(ND1)対核(B2M)DNA比を示す。独立2群t検定でp<0.05、群1つあたりn=3、BJRiPS細胞株。図3Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMにおける赤色対緑色蛍光のMitoProbe JC-1相対比を示す。群1つあたりn=6、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01。図3Fは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMの脂肪酸代謝(PPARGC1a(PGC1α)、CD36、SLC27A1(FATP1)、SLC27A6(FATP6)及びLPIN1)またはグルコース代謝(GLUT1、GLUT4、PFK及びPYGM)に関連する選択された遺伝子のqPCRを示す。テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、群1つあたりn=3。DMSOはジメチルスルホキシド、FCCPは2-[2-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ヒドラジニリデン]-プロパンジニトリルである。 図3A~3Fは、Torin1がiPSC由来心筋細胞の酸素消費速度及びミトコンドリア分極を増加させることを示す。図3Aは、Seahorseミトストレス試験によって評価された、ベースラインに対して正規化した平均酸素消費速度の時間に対するプロファイルを示す。白丸=対照(n=70ウェル)、黒四角=Torin1(69ウェル、200nM×7日;アッセイ前に24~48時間にわたってBJRiPS-CMをSeahorseプレートに再播種したもの)、2つの独立した実験を合わせて得たデータ。図3Bは、最大OCR、予備呼気容量及び非ミトコンドリアOCRについて、ベースラインに対して正規化された酸素消費速度を対照(白抜きバー、n=70ウェル)と黒塗りバー(白抜きバー、n=69ウェル)とで比較して示したものであり、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001、BJRiPS-CMである。図3Cは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMのMitotracker Green FMの平均蛍光強度を示す。独立2群t検定でp<0.05、群1つあたりn=3、BJRiPS細胞株。図3Dは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMのミトコンドリア(ND1)対核(B2M)DNA比を示す。独立2群t検定でp<0.05、群1つあたりn=3、BJRiPS細胞株。図3Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMにおける赤色対緑色蛍光のMitoProbe JC-1相対比を示す。群1つあたりn=6、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01。図3Fは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMの脂肪酸代謝(PPARGC1a(PGC1α)、CD36、SLC27A1(FATP1)、SLC27A6(FATP6)及びLPIN1)またはグルコース代謝(GLUT1、GLUT4、PFK及びPYGM)に関連する選択された遺伝子のqPCRを示す。テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、群1つあたりn=3。DMSOはジメチルスルホキシド、FCCPは2-[2-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ヒドラジニリデン]-プロパンジニトリルである。 図3A~3Fは、Torin1がiPSC由来心筋細胞の酸素消費速度及びミトコンドリア分極を増加させることを示す。図3Aは、Seahorseミトストレス試験によって評価された、ベースラインに対して正規化した平均酸素消費速度の時間に対するプロファイルを示す。白丸=対照(n=70ウェル)、黒四角=Torin1(69ウェル、200nM×7日;アッセイ前に24~48時間にわたってBJRiPS-CMをSeahorseプレートに再播種したもの)、2つの独立した実験を合わせて得たデータ。図3Bは、最大OCR、予備呼気容量及び非ミトコンドリアOCRについて、ベースラインに対して正規化された酸素消費速度を対照(白抜きバー、n=70ウェル)と黒塗りバー(白抜きバー、n=69ウェル)とで比較して示したものであり、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001、BJRiPS-CMである。図3Cは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMのMitotracker Green FMの平均蛍光強度を示す。独立2群t検定でp<0.05、群1つあたりn=3、BJRiPS細胞株。図3Dは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMのミトコンドリア(ND1)対核(B2M)DNA比を示す。独立2群t検定でp<0.05、群1つあたりn=3、BJRiPS細胞株。図3Eは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMにおける赤色対緑色蛍光のMitoProbe JC-1相対比を示す。群1つあたりn=6、Kruskal-Wallis検定で**p<0.01。図3Fは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nM、50nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のBJRiPS-CMの脂肪酸代謝(PPARGC1a(PGC1α)、CD36、SLC27A1(FATP1)、SLC27A6(FATP6)及びLPIN1)またはグルコース代謝(GLUT1、GLUT4、PFK及びPYGM)に関連する選択された遺伝子のqPCRを示す。テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、群1つあたりn=3。DMSOはジメチルスルホキシド、FCCPは2-[2-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ヒドラジニリデン]-プロパンジニトリルである。 図4A~4Jは、Torin1処理が、選択されたイオンチャネルの発現を増加させ、活動電位プロファイルのピーク上昇時間及び下降速度を増加させることを示す。図4Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞の選択されたイオンチャネル(KCNJ2、CACNA1c、RY2、ATP2a2、SCN5a、HCN4)のqPCRを示す。群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS株。図4Bは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の(KCNJ2にコードされる)Kir2.1の平均蛍光強度のフローサイトメトリー分析を示す。群1つあたりn=3、独立2群t検定でp<0.01、BJRiPS株。図4Cは、Torin1処理された、または処理されていない心筋細胞の自発的拍動数を示したものであり、条件1つあたりn=6~10ウェル、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001。図4Dは、CyteSeerソフトウェアによって自動的に実施されたセル区分を示した代表画像を示す。青色=ヘキスト色素、緑色=FluoVolt。図4Eは、対照に比べてより長い平坦部期間を有するTorin1処理心筋細胞を表す代表的な活動電位プロファイルを示す。CTD25(カルシウムトランジェントの25%持続時間、または最大振幅から25%低下した所での持続期間)、CTD75(カルシウムトランジェントの75%持続期間、または最大振幅から75%低下した所での持続期間)、T75-25(電圧が最大値の75%から25%に減衰するのに要した時間)。図4Fは、UCSD-CMについてピーク上昇時間(msec)を示したものであり****p<0.0001である。図4Gは、UCSD-CMについて下降速度(msec)を示したものであり、****p<0.0001である。図4Hは、UCSD-CMについてCTD25時間(msec)を示したものであり、非有意である。図4Iは、UCSD-CMについてCTD75時間(msec)を示したものであり、p<0.05である。図4Jは、UCSD-CMについてT75-25時間(msec)を示したものであり、***p<0.001である。Fluovoltデータに関して対照はn=531細胞、Torin1はn=315であり、独立2群t検定による解析である。 図4A~4Jは、Torin1処理が、選択されたイオンチャネルの発現を増加させ、活動電位プロファイルのピーク上昇時間及び下降速度を増加させることを示す。図4Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞の選択されたイオンチャネル(KCNJ2、CACNA1c、RY2、ATP2a2、SCN5a、HCN4)のqPCRを示す。群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS株。図4Bは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の(KCNJ2にコードされる)Kir2.1の平均蛍光強度のフローサイトメトリー分析を示す。群1つあたりn=3、独立2群t検定でp<0.01、BJRiPS株。図4Cは、Torin1処理された、または処理されていない心筋細胞の自発的拍動数を示したものであり、条件1つあたりn=6~10ウェル、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001。図4Dは、CyteSeerソフトウェアによって自動的に実施されたセル区分を示した代表画像を示す。青色=ヘキスト色素、緑色=FluoVolt。図4Eは、対照に比べてより長い平坦部期間を有するTorin1処理心筋細胞を表す代表的な活動電位プロファイルを示す。CTD25(カルシウムトランジェントの25%持続時間、または最大振幅から25%低下した所での持続期間)、CTD75(カルシウムトランジェントの75%持続期間、または最大振幅から75%低下した所での持続期間)、T75-25(電圧が最大値の75%から25%に減衰するのに要した時間)。図4Fは、UCSD-CMについてピーク上昇時間(msec)を示したものであり****p<0.0001である。図4Gは、UCSD-CMについて下降速度(msec)を示したものであり、****p<0.0001である。図4Hは、UCSD-CMについてCTD25時間(msec)を示したものであり、非有意である。図4Iは、UCSD-CMについてCTD75時間(msec)を示したものであり、p<0.05である。図4Jは、UCSD-CMについてT75-25時間(msec)を示したものであり、***p<0.001である。Fluovoltデータに関して対照はn=531細胞、Torin1はn=315であり、独立2群t検定による解析である。 図4A~4Jは、Torin1処理が、選択されたイオンチャネルの発現を増加させ、活動電位プロファイルのピーク上昇時間及び下降速度を増加させることを示す。図4Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞の選択されたイオンチャネル(KCNJ2、CACNA1c、RY2、ATP2a2、SCN5a、HCN4)のqPCRを示す。群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS株。図4Bは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の(KCNJ2にコードされる)Kir2.1の平均蛍光強度のフローサイトメトリー分析を示す。群1つあたりn=3、独立2群t検定でp<0.01、BJRiPS株。図4Cは、Torin1処理された、または処理されていない心筋細胞の自発的拍動数を示したものであり、条件1つあたりn=6~10ウェル、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001。図4Dは、CyteSeerソフトウェアによって自動的に実施されたセル区分を示した代表画像を示す。青色=ヘキスト色素、緑色=FluoVolt。図4Eは、対照に比べてより長い平坦部期間を有するTorin1処理心筋細胞を表す代表的な活動電位プロファイルを示す。CTD25(カルシウムトランジェントの25%持続時間、または最大振幅から25%低下した所での持続期間)、CTD75(カルシウムトランジェントの75%持続期間、または最大振幅から75%低下した所での持続期間)、T75-25(電圧が最大値の75%から25%に減衰するのに要した時間)。図4Fは、UCSD-CMについてピーク上昇時間(msec)を示したものであり****p<0.0001である。図4Gは、UCSD-CMについて下降速度(msec)を示したものであり、****p<0.0001である。図4Hは、UCSD-CMについてCTD25時間(msec)を示したものであり、非有意である。図4Iは、UCSD-CMについてCTD75時間(msec)を示したものであり、p<0.05である。図4Jは、UCSD-CMについてT75-25時間(msec)を示したものであり、***p<0.001である。Fluovoltデータに関して対照はn=531細胞、Torin1はn=315であり、独立2群t検定による解析である。 図4A~4Jは、Torin1処理が、選択されたイオンチャネルの発現を増加させ、活動電位プロファイルのピーク上昇時間及び下降速度を増加させることを示す。図4Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞の選択されたイオンチャネル(KCNJ2、CACNA1c、RY2、ATP2a2、SCN5a、HCN4)のqPCRを示す。群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS株。図4Bは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の(KCNJ2にコードされる)Kir2.1の平均蛍光強度のフローサイトメトリー分析を示す。群1つあたりn=3、独立2群t検定でp<0.01、BJRiPS株。図4Cは、Torin1処理された、または処理されていない心筋細胞の自発的拍動数を示したものであり、条件1つあたりn=6~10ウェル、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001。図4Dは、CyteSeerソフトウェアによって自動的に実施されたセル区分を示した代表画像を示す。青色=ヘキスト色素、緑色=FluoVolt。図4Eは、対照に比べてより長い平坦部期間を有するTorin1処理心筋細胞を表す代表的な活動電位プロファイルを示す。CTD25(カルシウムトランジェントの25%持続時間、または最大振幅から25%低下した所での持続期間)、CTD75(カルシウムトランジェントの75%持続期間、または最大振幅から75%低下した所での持続期間)、T75-25(電圧が最大値の75%から25%に減衰するのに要した時間)。図4Fは、UCSD-CMについてピーク上昇時間(msec)を示したものであり****p<0.0001である。図4Gは、UCSD-CMについて下降速度(msec)を示したものであり、****p<0.0001である。図4Hは、UCSD-CMについてCTD25時間(msec)を示したものであり、非有意である。図4Iは、UCSD-CMについてCTD75時間(msec)を示したものであり、p<0.05である。図4Jは、UCSD-CMについてT75-25時間(msec)を示したものであり、***p<0.001である。Fluovoltデータに関して対照はn=531細胞、Torin1はn=315であり、独立2群t検定による解析である。 図4A~4Jは、Torin1処理が、選択されたイオンチャネルの発現を増加させ、活動電位プロファイルのピーク上昇時間及び下降速度を増加させることを示す。図4Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞の選択されたイオンチャネル(KCNJ2、CACNA1c、RY2、ATP2a2、SCN5a、HCN4)のqPCRを示す。群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS株。図4Bは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の(KCNJ2にコードされる)Kir2.1の平均蛍光強度のフローサイトメトリー分析を示す。群1つあたりn=3、独立2群t検定でp<0.01、BJRiPS株。図4Cは、Torin1処理された、または処理されていない心筋細胞の自発的拍動数を示したものであり、条件1つあたりn=6~10ウェル、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001。図4Dは、CyteSeerソフトウェアによって自動的に実施されたセル区分を示した代表画像を示す。青色=ヘキスト色素、緑色=FluoVolt。図4Eは、対照に比べてより長い平坦部期間を有するTorin1処理心筋細胞を表す代表的な活動電位プロファイルを示す。CTD25(カルシウムトランジェントの25%持続時間、または最大振幅から25%低下した所での持続期間)、CTD75(カルシウムトランジェントの75%持続期間、または最大振幅から75%低下した所での持続期間)、T75-25(電圧が最大値の75%から25%に減衰するのに要した時間)。図4Fは、UCSD-CMについてピーク上昇時間(msec)を示したものであり****p<0.0001である。図4Gは、UCSD-CMについて下降速度(msec)を示したものであり、****p<0.0001である。図4Hは、UCSD-CMについてCTD25時間(msec)を示したものであり、非有意である。図4Iは、UCSD-CMについてCTD75時間(msec)を示したものであり、p<0.05である。図4Jは、UCSD-CMについてT75-25時間(msec)を示したものであり、***p<0.001である。Fluovoltデータに関して対照はn=531細胞、Torin1はn=315であり、独立2群t検定による解析である。 図4A~4Jは、Torin1処理が、選択されたイオンチャネルの発現を増加させ、活動電位プロファイルのピーク上昇時間及び下降速度を増加させることを示す。図4Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞の選択されたイオンチャネル(KCNJ2、CACNA1c、RY2、ATP2a2、SCN5a、HCN4)のqPCRを示す。群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS株。図4Bは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の(KCNJ2にコードされる)Kir2.1の平均蛍光強度のフローサイトメトリー分析を示す。群1つあたりn=3、独立2群t検定でp<0.01、BJRiPS株。図4Cは、Torin1処理された、または処理されていない心筋細胞の自発的拍動数を示したものであり、条件1つあたりn=6~10ウェル、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001。図4Dは、CyteSeerソフトウェアによって自動的に実施されたセル区分を示した代表画像を示す。青色=ヘキスト色素、緑色=FluoVolt。図4Eは、対照に比べてより長い平坦部期間を有するTorin1処理心筋細胞を表す代表的な活動電位プロファイルを示す。CTD25(カルシウムトランジェントの25%持続時間、または最大振幅から25%低下した所での持続期間)、CTD75(カルシウムトランジェントの75%持続期間、または最大振幅から75%低下した所での持続期間)、T75-25(電圧が最大値の75%から25%に減衰するのに要した時間)。図4Fは、UCSD-CMについてピーク上昇時間(msec)を示したものであり****p<0.0001である。図4Gは、UCSD-CMについて下降速度(msec)を示したものであり、****p<0.0001である。図4Hは、UCSD-CMについてCTD25時間(msec)を示したものであり、非有意である。図4Iは、UCSD-CMについてCTD75時間(msec)を示したものであり、p<0.05である。図4Jは、UCSD-CMについてT75-25時間(msec)を示したものであり、***p<0.001である。Fluovoltデータに関して対照はn=531細胞、Torin1はn=315であり、独立2群t検定による解析である。 図4A~4Jは、Torin1処理が、選択されたイオンチャネルの発現を増加させ、活動電位プロファイルのピーク上昇時間及び下降速度を増加させることを示す。図4Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞の選択されたイオンチャネル(KCNJ2、CACNA1c、RY2、ATP2a2、SCN5a、HCN4)のqPCRを示す。群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS株。図4Bは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の(KCNJ2にコードされる)Kir2.1の平均蛍光強度のフローサイトメトリー分析を示す。群1つあたりn=3、独立2群t検定でp<0.01、BJRiPS株。図4Cは、Torin1処理された、または処理されていない心筋細胞の自発的拍動数を示したものであり、条件1つあたりn=6~10ウェル、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001。図4Dは、CyteSeerソフトウェアによって自動的に実施されたセル区分を示した代表画像を示す。青色=ヘキスト色素、緑色=FluoVolt。図4Eは、対照に比べてより長い平坦部期間を有するTorin1処理心筋細胞を表す代表的な活動電位プロファイルを示す。CTD25(カルシウムトランジェントの25%持続時間、または最大振幅から25%低下した所での持続期間)、CTD75(カルシウムトランジェントの75%持続期間、または最大振幅から75%低下した所での持続期間)、T75-25(電圧が最大値の75%から25%に減衰するのに要した時間)。図4Fは、UCSD-CMについてピーク上昇時間(msec)を示したものであり****p<0.0001である。図4Gは、UCSD-CMについて下降速度(msec)を示したものであり、****p<0.0001である。図4Hは、UCSD-CMについてCTD25時間(msec)を示したものであり、非有意である。図4Iは、UCSD-CMについてCTD75時間(msec)を示したものであり、p<0.05である。図4Jは、UCSD-CMについてT75-25時間(msec)を示したものであり、***p<0.001である。Fluovoltデータに関して対照はn=531細胞、Torin1はn=315であり、独立2群t検定による解析である。 図4A~4Jは、Torin1処理が、選択されたイオンチャネルの発現を増加させ、活動電位プロファイルのピーク上昇時間及び下降速度を増加させることを示す。図4Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞の選択されたイオンチャネル(KCNJ2、CACNA1c、RY2、ATP2a2、SCN5a、HCN4)のqPCRを示す。群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS株。図4Bは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の(KCNJ2にコードされる)Kir2.1の平均蛍光強度のフローサイトメトリー分析を示す。群1つあたりn=3、独立2群t検定でp<0.01、BJRiPS株。図4Cは、Torin1処理された、または処理されていない心筋細胞の自発的拍動数を示したものであり、条件1つあたりn=6~10ウェル、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001。図4Dは、CyteSeerソフトウェアによって自動的に実施されたセル区分を示した代表画像を示す。青色=ヘキスト色素、緑色=FluoVolt。図4Eは、対照に比べてより長い平坦部期間を有するTorin1処理心筋細胞を表す代表的な活動電位プロファイルを示す。CTD25(カルシウムトランジェントの25%持続時間、または最大振幅から25%低下した所での持続期間)、CTD75(カルシウムトランジェントの75%持続期間、または最大振幅から75%低下した所での持続期間)、T75-25(電圧が最大値の75%から25%に減衰するのに要した時間)。図4Fは、UCSD-CMについてピーク上昇時間(msec)を示したものであり****p<0.0001である。図4Gは、UCSD-CMについて下降速度(msec)を示したものであり、****p<0.0001である。図4Hは、UCSD-CMについてCTD25時間(msec)を示したものであり、非有意である。図4Iは、UCSD-CMについてCTD75時間(msec)を示したものであり、p<0.05である。図4Jは、UCSD-CMについてT75-25時間(msec)を示したものであり、***p<0.001である。Fluovoltデータに関して対照はn=531細胞、Torin1はn=315であり、独立2群t検定による解析である。 図4A~4Jは、Torin1処理が、選択されたイオンチャネルの発現を増加させ、活動電位プロファイルのピーク上昇時間及び下降速度を増加させることを示す。図4Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞の選択されたイオンチャネル(KCNJ2、CACNA1c、RY2、ATP2a2、SCN5a、HCN4)のqPCRを示す。群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS株。図4Bは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の(KCNJ2にコードされる)Kir2.1の平均蛍光強度のフローサイトメトリー分析を示す。群1つあたりn=3、独立2群t検定でp<0.01、BJRiPS株。図4Cは、Torin1処理された、または処理されていない心筋細胞の自発的拍動数を示したものであり、条件1つあたりn=6~10ウェル、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001。図4Dは、CyteSeerソフトウェアによって自動的に実施されたセル区分を示した代表画像を示す。青色=ヘキスト色素、緑色=FluoVolt。図4Eは、対照に比べてより長い平坦部期間を有するTorin1処理心筋細胞を表す代表的な活動電位プロファイルを示す。CTD25(カルシウムトランジェントの25%持続時間、または最大振幅から25%低下した所での持続期間)、CTD75(カルシウムトランジェントの75%持続期間、または最大振幅から75%低下した所での持続期間)、T75-25(電圧が最大値の75%から25%に減衰するのに要した時間)。図4Fは、UCSD-CMについてピーク上昇時間(msec)を示したものであり****p<0.0001である。図4Gは、UCSD-CMについて下降速度(msec)を示したものであり、****p<0.0001である。図4Hは、UCSD-CMについてCTD25時間(msec)を示したものであり、非有意である。図4Iは、UCSD-CMについてCTD75時間(msec)を示したものであり、p<0.05である。図4Jは、UCSD-CMについてT75-25時間(msec)を示したものであり、***p<0.001である。Fluovoltデータに関して対照はn=531細胞、Torin1はn=315であり、独立2群t検定による解析である。 図4A~4Jは、Torin1処理が、選択されたイオンチャネルの発現を増加させ、活動電位プロファイルのピーク上昇時間及び下降速度を増加させることを示す。図4Aは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1(10nMまたは200nM)またはビヒクル対照(0.02%DMSO)による処理の後のiPSC由来心筋細胞の選択されたイオンチャネル(KCNJ2、CACNA1c、RY2、ATP2a2、SCN5a、HCN4)のqPCRを示す。群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、****p<0.001、BJRiPS株。図4Bは、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の(KCNJ2にコードされる)Kir2.1の平均蛍光強度のフローサイトメトリー分析を示す。群1つあたりn=3、独立2群t検定でp<0.01、BJRiPS株。図4Cは、Torin1処理された、または処理されていない心筋細胞の自発的拍動数を示したものであり、条件1つあたりn=6~10ウェル、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001。図4Dは、CyteSeerソフトウェアによって自動的に実施されたセル区分を示した代表画像を示す。青色=ヘキスト色素、緑色=FluoVolt。図4Eは、対照に比べてより長い平坦部期間を有するTorin1処理心筋細胞を表す代表的な活動電位プロファイルを示す。CTD25(カルシウムトランジェントの25%持続時間、または最大振幅から25%低下した所での持続期間)、CTD75(カルシウムトランジェントの75%持続期間、または最大振幅から75%低下した所での持続期間)、T75-25(電圧が最大値の75%から25%に減衰するのに要した時間)。図4Fは、UCSD-CMについてピーク上昇時間(msec)を示したものであり****p<0.0001である。図4Gは、UCSD-CMについて下降速度(msec)を示したものであり、****p<0.0001である。図4Hは、UCSD-CMについてCTD25時間(msec)を示したものであり、非有意である。図4Iは、UCSD-CMについてCTD75時間(msec)を示したものであり、p<0.05である。図4Jは、UCSD-CMについてT75-25時間(msec)を示したものであり、***p<0.001である。Fluovoltデータに関して対照はn=531細胞、Torin1はn=315であり、独立2群t検定による解析である。 図5A~5Dは、Torin1がp53発現を増加させ、効果がピフィスリン-αによって阻害されることを示す。図5Aは、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたって0(DMSO)、10、50または200nMのTorin1で処理したGibco iPS-CM溶解物からのp53、phospho-53、p21(CDKN1a)、GATA4、NKX2.5、及びβ-チューブリンの代表的なウェスタンブロットを示す。細胞は処理の最終日に採集した。 図5A~5Dは、Torin1がp53発現を増加させ、効果がピフィスリン-αによって阻害されることを示す。図5Bは、拍動の開始の約2日後から開始されるビヒクル(DMSO、ジメチルスルホキシド)、1週間にわたるピフィスリン-α(10μM)、7日間にわたるTorin1(200nM)による処理、または7日間にわたるピフィスリン-α(10μM)とTorin1(200nM)とによる同時処理の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+BJRiPS-CMの百分率を示す細胞周期分析を示す。群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 図5A~5Dは、Torin1がp53発現を増加させ、効果がピフィスリン-αによって阻害されることを示す。図5Cは、拍動の開始の約2日後から開始して7日間にわたって対照(DMSO)、Torin1(200nM)、ピフィスリン-α(10μM)またはTorin1(200nM)+ピフィスリン-α(10μM)で処理したBJRiPS由来心筋細胞溶解物からのp53、TNNI3、p21及びβ-チューブリンの代表的なウェスタンブロットを示す。 図5A~5Dは、Torin1がp53発現を増加させ、効果がピフィスリン-αによって阻害されることを示す。図5Dは、BJRiPS-CMについてウェスタン分析によるTNNI3バンドの濃度測定を示したものであり、群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01である。 図6A~6Eは、nutlin-3aによるp53の上方制御がTNNI3発現を増強し、Torin1との相乗効果を有することを示す。図6Aは、提案される心筋細胞成熟の機序を示す概略図を示す。T3はトリヨードサイロニンである。 図6A~6Eは、nutlin-3aによるp53の上方制御がTNNI3発現を増強し、Torin1との相乗効果を有することを示す。図6Bは、拍動の開始の約2日後から開始されるビヒクル(DMSO、ジメチルスルホキシド)、24時間にわたるnutlin-3a(10μM)、7日間にわたるTorin1(200nM)による処理、または7日間にわたるnutlin-3a(10μMでTorin1処理の最初の24時間)とTorin1(200nM)とによる同時処理の後にG、GまたはS/G/M期にあるTNNT2+BJRiPS-CMの百分率を示す細胞周期分析を示す。群1つあたりn=3、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、***p<0.001、****p<0.0001。 図6A~6Eは、nutlin-3aによるp53の上方制御がTNNI3発現を増強し、Torin1との相乗効果を有することを示す。図6Cは、拍動の開始の約2日後から開始して対照(DMSO)、nutlin-3a×24時間(10μM)、Torin1×7日(200nM)、またはTorin1×7日(200nM)+24時間にわたるnutlin-3a(10μM)で処理したBJRiPS由来心筋細胞溶解物からのMDM2、p53、TNNI3及びβ-チューブリンの代表的なウェスタンブロットを示す(nutlin-3aを施したのはTorin1処理の最初の24時間だけであった)。処理の最終日に細胞採集、BJRiPS-CM。 図6A~6Eは、nutlin-3aによるp53の上方制御がTNNI3発現を増強し、Torin1との相乗効果を有することを示す。図6Dは、ウェスタン分析によるp53バンドの濃度測定を示し、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAで**p<0.01、条件1つあたりn=3。 図6A~6Eは、nutlin-3aによるp53の上方制御がTNNI3発現を増強し、Torin1との相乗効果を有することを示す。図6Eは、ウェスタン分析によるTNNI3バンドの濃度測定を示し、テューキーの多重比較検定による二元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01、条件1つあたりn=3、BJRIPS-CM。 図7A~7Hは、Gibco iPS-CMについて、Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図7Aは、細胞周期経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7Bは、タンパク質代謝経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7C~7Eは、細胞周期経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Cは対照に対する対照+FBS、図7DはTorin1に対する対照、図7EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図7F~図7Hは、タンパク質代謝経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Fは対照に対する対照+FBS、図7GはTorin1に対する対照、図7HはTorin1に対するTorin1+FBS)。QCは品質対照である。 図7A~7Hは、Gibco iPS-CMについて、Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図7Aは、細胞周期経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7Bは、タンパク質代謝経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7C~7Eは、細胞周期経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Cは対照に対する対照+FBS、図7DはTorin1に対する対照、図7EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図7F~図7Hは、タンパク質代謝経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Fは対照に対する対照+FBS、図7GはTorin1に対する対照、図7HはTorin1に対するTorin1+FBS)。QCは品質対照である。 図7A~7Hは、Gibco iPS-CMについて、Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図7Aは、細胞周期経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7Bは、タンパク質代謝経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7C~7Eは、細胞周期経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Cは対照に対する対照+FBS、図7DはTorin1に対する対照、図7EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図7F~図7Hは、タンパク質代謝経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Fは対照に対する対照+FBS、図7GはTorin1に対する対照、図7HはTorin1に対するTorin1+FBS)。QCは品質対照である。 図7A~7Hは、Gibco iPS-CMについて、Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図7Aは、細胞周期経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7Bは、タンパク質代謝経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7C~7Eは、細胞周期経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Cは対照に対する対照+FBS、図7DはTorin1に対する対照、図7EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図7F~図7Hは、タンパク質代謝経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Fは対照に対する対照+FBS、図7GはTorin1に対する対照、図7HはTorin1に対するTorin1+FBS)。QCは品質対照である。 図7A~7Hは、Gibco iPS-CMについて、Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図7Aは、細胞周期経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7Bは、タンパク質代謝経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7C~7Eは、細胞周期経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Cは対照に対する対照+FBS、図7DはTorin1に対する対照、図7EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図7F~図7Hは、タンパク質代謝経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Fは対照に対する対照+FBS、図7GはTorin1に対する対照、図7HはTorin1に対するTorin1+FBS)。QCは品質対照である。 図7A~7Hは、Gibco iPS-CMについて、Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図7Aは、細胞周期経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7Bは、タンパク質代謝経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7C~7Eは、細胞周期経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Cは対照に対する対照+FBS、図7DはTorin1に対する対照、図7EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図7F~図7Hは、タンパク質代謝経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Fは対照に対する対照+FBS、図7GはTorin1に対する対照、図7HはTorin1に対するTorin1+FBS)。QCは品質対照である。 図7A~7Hは、Gibco iPS-CMについて、Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図7Aは、細胞周期経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7Bは、タンパク質代謝経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7C~7Eは、細胞周期経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Cは対照に対する対照+FBS、図7DはTorin1に対する対照、図7EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図7F~図7Hは、タンパク質代謝経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Fは対照に対する対照+FBS、図7GはTorin1に対する対照、図7HはTorin1に対するTorin1+FBS)。QCは品質対照である。 図7A~7Hは、Gibco iPS-CMについて、Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図7Aは、細胞周期経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7Bは、タンパク質代謝経路遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図7C~7Eは、細胞周期経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Cは対照に対する対照+FBS、図7DはTorin1に対する対照、図7EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図7F~図7Hは、タンパク質代謝経路遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図7Fは対照に対する対照+FBS、図7GはTorin1に対する対照、図7HはTorin1に対するTorin1+FBS)。QCは品質対照である。 図8A~8Cは、非解離細胞における増殖の評価を示す。心筋細胞を12ウェルプレート内で分化させ、次いで固定し、解離で生き延びる細胞の選択の可能性を最小限に抑えるために元のプレートの中で染色した。図8Aは、Ki67/TNNT2/DAPI、またはphospho-H3/TNNT2/DAPIで染色した細胞の代表画像を示す。スケールバー=100μm。青色=DAPI、黄色=Ki67、緑色=pH3、赤紫色=TNNT2。図8Bは、Ki67+またはKi67-である全DAPI/TNNT+心筋細胞の百分率を、対照(n=1088細胞)とTorin1処理細胞(n=837細胞)とで比較して表した円グラフを示す。カイ二乗解析で****p<0.0001。図8Cは、pH3+またはpH3-である全DAPI/TNNT+心筋細胞の百分率を、対照(n=962細胞)とTorin1処理細胞(n=799細胞)とで比較して表した円グラフを示す。DMSOはジメチルスルホキシドである。 図8A~8Cは、非解離細胞における増殖の評価を示す。心筋細胞を12ウェルプレート内で分化させ、次いで固定し、解離で生き延びる細胞の選択の可能性を最小限に抑えるために元のプレートの中で染色した。図8Aは、Ki67/TNNT2/DAPI、またはphospho-H3/TNNT2/DAPIで染色した細胞の代表画像を示す。スケールバー=100μm。青色=DAPI、黄色=Ki67、緑色=pH3、赤紫色=TNNT2。図8Bは、Ki67+またはKi67-である全DAPI/TNNT+心筋細胞の百分率を、対照(n=1088細胞)とTorin1処理細胞(n=837細胞)とで比較して表した円グラフを示す。カイ二乗解析で****p<0.0001。図8Cは、pH3+またはpH3-である全DAPI/TNNT+心筋細胞の百分率を、対照(n=962細胞)とTorin1処理細胞(n=799細胞)とで比較して表した円グラフを示す。DMSOはジメチルスルホキシドである。 図8A~8Cは、非解離細胞における増殖の評価を示す。心筋細胞を12ウェルプレート内で分化させ、次いで固定し、解離で生き延びる細胞の選択の可能性を最小限に抑えるために元のプレートの中で染色した。図8Aは、Ki67/TNNT2/DAPI、またはphospho-H3/TNNT2/DAPIで染色した細胞の代表画像を示す。スケールバー=100μm。青色=DAPI、黄色=Ki67、緑色=pH3、赤紫色=TNNT2。図8Bは、Ki67+またはKi67-である全DAPI/TNNT+心筋細胞の百分率を、対照(n=1088細胞)とTorin1処理細胞(n=837細胞)とで比較して表した円グラフを示す。カイ二乗解析で****p<0.0001。図8Cは、pH3+またはpH3-である全DAPI/TNNT+心筋細胞の百分率を、対照(n=962細胞)とTorin1処理細胞(n=799細胞)とで比較して表した円グラフを示す。DMSOはジメチルスルホキシドである。 図9A~9Iは、市販のヒト胎児及び成人心臓RNAの基準試料と比較したときの、選択された遺伝子(図9AはTNNT2、図9BはTNNI3、図9CはPPARGC1a、図9DはRYR2、図9EはKCNJ2、図9FはCACNA1c、図9GはTP53、図9HはCDKN1a(p21)、図9IはGATA4)のqPCR分析を示す。群1つあたりN=6~12、データは2~4つの独立した実験を合わせて得たもの。Kruskal-Wallis検定でp<0.05、**p<0.01、BJRiPS-CM。垂直線は、生物学的複製品がなかった(どちらも販売業者から購入された単一のチューブからのものであった)ために胎児及び成人心臓RNAを統計解析に含めなかったことを示す。生物学的複製品がないために胎児及び成人心臓RNAについてエラーバーを示さない。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 同上。 同上。 同上。 同上。 同上。 同上。 同上。 同上。 図10A~10Bは、異なるTorin1処理期間の評価を示す。図10Aは、対照(DMSOビヒクル)、または分化8~11日目、8~15日目、9~11日目、9~16日目、11~14日目もしくは11~18日目での200nMのTorin1による処理の後の、TNNT2-AlexaFluor647の平均蛍光強度を示す。群1つあたりn=3、ダネットの多重比較検定による一元配置ANOVAで対照と比較してp<0.05。 図10A~10Bは、異なるTorin1処理期間の評価を示す。図10Bは、対照(DMSOビヒクル)、または分化8~11日目、8~15日目、9~11日目、9~16日目、11~14日目もしくは11~18日目での200nMのTorin1による処理の後の、Kir2.1(細胞外)の平均蛍光強度を示す。群1つあたりn=3、ダネットの多重比較検定による一元配置ANOVAで対照と比較してp<0.05、**p<0.01、****p<0.0001。 図11A~11Dは、Torin1による処理を遅らせるとTNNI3の発現が増加しp21の発現が低下することを示す。図11Aは、遅延Torin1処理のために用いられるプロトコルの概略図を示す。図11Bは、0、10、50または200nMのTorin1で4日間処理された後、分化22日目に採集され、その後TNNI3、p21またはb-チューブリン(ローディングコントロール)に対する抗体で評価されたBJRiPS由来心筋細胞の代表的なウェスタンブロット画像を示す。図11Cは、TNNI3バンドの相対バンド強度濃度測定分析を示したものであり、群1つあたりn=3であり、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05である。図11Dは、p21バンドの相対バンド強度濃度測定分析を示したものであり、群1つあたりn=3であり、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01である。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図11A~11Dは、Torin1による処理を遅らせるとTNNI3の発現が増加しp21の発現が低下することを示す。図11Aは、遅延Torin1処理のために用いられるプロトコルの概略図を示す。図11Bは、0、10、50または200nMのTorin1で4日間処理された後、分化22日目に採集され、その後TNNI3、p21またはb-チューブリン(ローディングコントロール)に対する抗体で評価されたBJRiPS由来心筋細胞の代表的なウェスタンブロット画像を示す。図11Cは、TNNI3バンドの相対バンド強度濃度測定分析を示したものであり、群1つあたりn=3であり、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05である。図11Dは、p21バンドの相対バンド強度濃度測定分析を示したものであり、群1つあたりn=3であり、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01である。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図11A~11Dは、Torin1による処理を遅らせるとTNNI3の発現が増加しp21の発現が低下することを示す。図11Aは、遅延Torin1処理のために用いられるプロトコルの概略図を示す。図11Bは、0、10、50または200nMのTorin1で4日間処理された後、分化22日目に採集され、その後TNNI3、p21またはb-チューブリン(ローディングコントロール)に対する抗体で評価されたBJRiPS由来心筋細胞の代表的なウェスタンブロット画像を示す。図11Cは、TNNI3バンドの相対バンド強度濃度測定分析を示したものであり、群1つあたりn=3であり、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05である。図11Dは、p21バンドの相対バンド強度濃度測定分析を示したものであり、群1つあたりn=3であり、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01である。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図11A~11Dは、Torin1による処理を遅らせるとTNNI3の発現が増加しp21の発現が低下することを示す。図11Aは、遅延Torin1処理のために用いられるプロトコルの概略図を示す。図11Bは、0、10、50または200nMのTorin1で4日間処理された後、分化22日目に採集され、その後TNNI3、p21またはb-チューブリン(ローディングコントロール)に対する抗体で評価されたBJRiPS由来心筋細胞の代表的なウェスタンブロット画像を示す。図11Cは、TNNI3バンドの相対バンド強度濃度測定分析を示したものであり、群1つあたりn=3であり、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05である。図11Dは、p21バンドの相対バンド強度濃度測定分析を示したものであり、群1つあたりn=3であり、テューキーの多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01である。DMSOはジメチルスルホキシド、IWP-4はWnt産生阻害剤-4、RIはROCK(Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ)阻害剤(Y-27632)、RPMIはRoswell Park Memorial Institute 1640培地である。 図12A~12Cは、Torin1処理細胞における細胞外酸性化速度(ECAR)を示す。図12Aは、Seahorseミトストレス試験の間のベースラインに対して正規化された平均ECARのプロファイルを示す。対照(白丸、n=70ウェル)、Torin1(200nM)×7日(黒四角、n=69ウェル)、BJRiPS細胞株、2つの独立した実験を合わせて得たデータ。図12Bは、BJRiPS細胞株について、Seahorse解糖系ストレス試験の間のベースラインに対して正規化された平均ECARのプロファイルを示したものであり、条件1つあたりn=4~6である。図12Cは、対照(DMSO)対Torin1(200nM×7日)(群1つあたりn=4~6)の解糖、解糖能、解糖予備能及び非解糖酸性化についてのECAR値を示したものであり、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで****p<0.0001である。FCCPは2-[2-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ヒドラジニリデン]-プロパンジニトリルである。 図12A~12Cは、Torin1処理細胞における細胞外酸性化速度(ECAR)を示す。図12Aは、Seahorseミトストレス試験の間のベースラインに対して正規化された平均ECARのプロファイルを示す。対照(白丸、n=70ウェル)、Torin1(200nM)×7日(黒四角、n=69ウェル)、BJRiPS細胞株、2つの独立した実験を合わせて得たデータ。図12Bは、BJRiPS細胞株について、Seahorse解糖系ストレス試験の間のベースラインに対して正規化された平均ECARのプロファイルを示したものであり、条件1つあたりn=4~6である。図12Cは、対照(DMSO)対Torin1(200nM×7日)(群1つあたりn=4~6)の解糖、解糖能、解糖予備能及び非解糖酸性化についてのECAR値を示したものであり、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで****p<0.0001である。FCCPは2-[2-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ヒドラジニリデン]-プロパンジニトリルである。 図12A~12Cは、Torin1処理細胞における細胞外酸性化速度(ECAR)を示す。図12Aは、Seahorseミトストレス試験の間のベースラインに対して正規化された平均ECARのプロファイルを示す。対照(白丸、n=70ウェル)、Torin1(200nM)×7日(黒四角、n=69ウェル)、BJRiPS細胞株、2つの独立した実験を合わせて得たデータ。図12Bは、BJRiPS細胞株について、Seahorse解糖系ストレス試験の間のベースラインに対して正規化された平均ECARのプロファイルを示したものであり、条件1つあたりn=4~6である。図12Cは、対照(DMSO)対Torin1(200nM×7日)(群1つあたりn=4~6)の解糖、解糖能、解糖予備能及び非解糖酸性化についてのECAR値を示したものであり、Sidak多重比較検定による二元配置ANOVAで****p<0.0001である。FCCPは2-[2-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ヒドラジニリデン]-プロパンジニトリルである。 図13A~13Cは、ミトコンドリア遺伝子及びタンパク質発現ならびに脂肪酸の影響の評価を示す。図13Aは、選択されたミトコンドリア遺伝子(TFAM、DNML1、MFN1、MFN2、OPA1、PHB2)のqPCR分析を示す。群1つあたりn=3。図13Bは、Gibco iPS-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の選択されたミトコンドリアタンパク質(MFN1、OPA1、DRP1、TFAM1)の代表的なウェスタンブロット分析を示したものであり、ローディングコントロールとしてb-チューブリンが示されている。図13Cは、BJRiPS-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理+/-脂肪酸(化学的に定義された、1:100に希釈された脂質濃縮物(Gibco))の後の、選択された代謝関連タンパク質(OPA1、phosphor-AMPK、CD36)の代表的なウェスタンブロット分析を示したものであり、ローディングコントロールとしてb-チューブリンが示されている。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 図13A~13Cは、ミトコンドリア遺伝子及びタンパク質発現ならびに脂肪酸の影響の評価を示す。図13Aは、選択されたミトコンドリア遺伝子(TFAM、DNML1、MFN1、MFN2、OPA1、PHB2)のqPCR分析を示す。群1つあたりn=3。図13Bは、Gibco iPS-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の選択されたミトコンドリアタンパク質(MFN1、OPA1、DRP1、TFAM1)の代表的なウェスタンブロット分析を示したものであり、ローディングコントロールとしてb-チューブリンが示されている。図13Cは、BJRiPS-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理+/-脂肪酸(化学的に定義された、1:100に希釈された脂質濃縮物(Gibco))の後の、選択された代謝関連タンパク質(OPA1、phosphor-AMPK、CD36)の代表的なウェスタンブロット分析を示したものであり、ローディングコントロールとしてb-チューブリンが示されている。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 図13A~13Cは、ミトコンドリア遺伝子及びタンパク質発現ならびに脂肪酸の影響の評価を示す。図13Aは、選択されたミトコンドリア遺伝子(TFAM、DNML1、MFN1、MFN2、OPA1、PHB2)のqPCR分析を示す。群1つあたりn=3。図13Bは、Gibco iPS-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理の後の選択されたミトコンドリアタンパク質(MFN1、OPA1、DRP1、TFAM1)の代表的なウェスタンブロット分析を示したものであり、ローディングコントロールとしてb-チューブリンが示されている。図13Cは、BJRiPS-CMについて、拍動の開始の約2日後から開始される7日間にわたるTorin1処理+/-脂肪酸(化学的に定義された、1:100に希釈された脂質濃縮物(Gibco))の後の、選択された代謝関連タンパク質(OPA1、phosphor-AMPK、CD36)の代表的なウェスタンブロット分析を示したものであり、ローディングコントロールとしてb-チューブリンが示されている。DMSOはジメチルスルホキシド、TBPはTATA結合性タンパク質である。 図14A~14Cは、Vala Kinetic Image Cytometerを使用したカルシウムトランジェント分析を示す。Fluo-4 AM色素を使用してカルシウムの受け渡しを評価した。イソプロテレノール(1μM、「iso」)をいくつかのウェルに添加してイソプロテレノール応答性を評価した。図14Aは、カルシウムピーク上昇時間を示す。図14Bは、カルシウム半値全幅(FWHM、カルシウム振幅がその最大値の半分であるプロファイルの幅)時間を示す。図14Cは、カルシウムピーク減衰時間を示す。対照はn=129細胞、対照+1μMのisoはn=41細胞、Torin1はn=274細胞、Torin1+1μMのisoはn=65細胞である。Sidak多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01、****p<0.0001。 図14A~14Cは、Vala Kinetic Image Cytometerを使用したカルシウムトランジェント分析を示す。Fluo-4 AM色素を使用してカルシウムの受け渡しを評価した。イソプロテレノール(1μM、「iso」)をいくつかのウェルに添加してイソプロテレノール応答性を評価した。図14Aは、カルシウムピーク上昇時間を示す。図14Bは、カルシウム半値全幅(FWHM、カルシウム振幅がその最大値の半分であるプロファイルの幅)時間を示す。図14Cは、カルシウムピーク減衰時間を示す。対照はn=129細胞、対照+1μMのisoはn=41細胞、Torin1はn=274細胞、Torin1+1μMのisoはn=65細胞である。Sidak多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01、****p<0.0001。 図14A~14Cは、Vala Kinetic Image Cytometerを使用したカルシウムトランジェント分析を示す。Fluo-4 AM色素を使用してカルシウムの受け渡しを評価した。イソプロテレノール(1μM、「iso」)をいくつかのウェルに添加してイソプロテレノール応答性を評価した。図14Aは、カルシウムピーク上昇時間を示す。図14Bは、カルシウム半値全幅(FWHM、カルシウム振幅がその最大値の半分であるプロファイルの幅)時間を示す。図14Cは、カルシウムピーク減衰時間を示す。対照はn=129細胞、対照+1μMのisoはn=41細胞、Torin1はn=274細胞、Torin1+1μMのisoはn=65細胞である。Sidak多重比較検定による一元配置ANOVAでp<0.05、**p<0.01、****p<0.0001。 Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図15Aは、全遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図15Bは、全遺伝子の主要成分解析を示す。図15C~15Eは、全遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図15Cは対照に対する対照+FBS、図15DはTorin1に対する対照、図15EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図15Fは、細胞周期経路の主要成分解析を示す。図15Gは、nSolverソフトウェア解析によって決定された細胞周期経路スコアを示す。図15Hは、タンパク質代謝経路の主要成分を示す。図15Iは、nSolverソフトウェア解析によって決定されたタンパク質代謝経路スコアを示す。 Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図15Aは、全遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図15Bは、全遺伝子の主要成分解析を示す。図15C~15Eは、全遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図15Cは対照に対する対照+FBS、図15DはTorin1に対する対照、図15EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図15Fは、細胞周期経路の主要成分解析を示す。図15Gは、nSolverソフトウェア解析によって決定された細胞周期経路スコアを示す。図15Hは、タンパク質代謝経路の主要成分を示す。図15Iは、nSolverソフトウェア解析によって決定されたタンパク質代謝経路スコアを示す。 Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図15Aは、全遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図15Bは、全遺伝子の主要成分解析を示す。図15C~15Eは、全遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図15Cは対照に対する対照+FBS、図15DはTorin1に対する対照、図15EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図15Fは、細胞周期経路の主要成分解析を示す。図15Gは、nSolverソフトウェア解析によって決定された細胞周期経路スコアを示す。図15Hは、タンパク質代謝経路の主要成分を示す。図15Iは、nSolverソフトウェア解析によって決定されたタンパク質代謝経路スコアを示す。 Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図15Aは、全遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図15Bは、全遺伝子の主要成分解析を示す。図15C~15Eは、全遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図15Cは対照に対する対照+FBS、図15DはTorin1に対する対照、図15EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図15Fは、細胞周期経路の主要成分解析を示す。図15Gは、nSolverソフトウェア解析によって決定された細胞周期経路スコアを示す。図15Hは、タンパク質代謝経路の主要成分を示す。図15Iは、nSolverソフトウェア解析によって決定されたタンパク質代謝経路スコアを示す。 Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図15Aは、全遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図15Bは、全遺伝子の主要成分解析を示す。図15C~15Eは、全遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図15Cは対照に対する対照+FBS、図15DはTorin1に対する対照、図15EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図15Fは、細胞周期経路の主要成分解析を示す。図15Gは、nSolverソフトウェア解析によって決定された細胞周期経路スコアを示す。図15Hは、タンパク質代謝経路の主要成分を示す。図15Iは、nSolverソフトウェア解析によって決定されたタンパク質代謝経路スコアを示す。 Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図15Aは、全遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図15Bは、全遺伝子の主要成分解析を示す。図15C~15Eは、全遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図15Cは対照に対する対照+FBS、図15DはTorin1に対する対照、図15EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図15Fは、細胞周期経路の主要成分解析を示す。図15Gは、nSolverソフトウェア解析によって決定された細胞周期経路スコアを示す。図15Hは、タンパク質代謝経路の主要成分を示す。図15Iは、nSolverソフトウェア解析によって決定されたタンパク質代謝経路スコアを示す。 Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図15Aは、全遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図15Bは、全遺伝子の主要成分解析を示す。図15C~15Eは、全遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図15Cは対照に対する対照+FBS、図15DはTorin1に対する対照、図15EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図15Fは、細胞周期経路の主要成分解析を示す。図15Gは、nSolverソフトウェア解析によって決定された細胞周期経路スコアを示す。図15Hは、タンパク質代謝経路の主要成分を示す。図15Iは、nSolverソフトウェア解析によって決定されたタンパク質代謝経路スコアを示す。 Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図15Aは、全遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図15Bは、全遺伝子の主要成分解析を示す。図15C~15Eは、全遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図15Cは対照に対する対照+FBS、図15DはTorin1に対する対照、図15EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図15Fは、細胞周期経路の主要成分解析を示す。図15Gは、nSolverソフトウェア解析によって決定された細胞周期経路スコアを示す。図15Hは、タンパク質代謝経路の主要成分を示す。図15Iは、nSolverソフトウェア解析によって決定されたタンパク質代謝経路スコアを示す。 Torin1で処理したかまたは処理せず、その後10%ウシ胎仔血清(FBS)で処理したかまたは処理しなかった細胞を比較した、PanCancer経路パネルによるNanoString遺伝子発現解析を示す。図15Aは、全遺伝子の教師なしの階層型クラスター解析を示す。図15Bは、全遺伝子の主要成分解析を示す。図15C~15Eは、全遺伝子の差次的遺伝子発現解析を示すボルケーノプロットを示す(図15Cは対照に対する対照+FBS、図15DはTorin1に対する対照、図15EはTorin1に対するTorin1+FBS)。図15Fは、細胞周期経路の主要成分解析を示す。図15Gは、nSolverソフトウェア解析によって決定された細胞周期経路スコアを示す。図15Hは、タンパク質代謝経路の主要成分を示す。図15Iは、nSolverソフトウェア解析によって決定されたタンパク質代謝経路スコアを示す。 図16は、細胞静止状態が、生物の一生にわたって続き得る一時的非増殖状態であることを示す。一時的なmTOR阻害による細胞周期停止は、細胞静止状態をもたらし得る。細胞静止状態は、様々な静止深度、及び全体的な静止状態の概念によく当てはまる他の分子状態を有する多様な状態であり得る。 図17A~17Bは、Torin1がS6K及びAktのリン酸化を阻害しAMPKのリン酸化を増進することを示す。図17Aは、mTORC1及びmTORC2の下流経路の模式図を示す。 図17A~17Bは、Torin1がS6K及びAktのリン酸化を阻害しAMPKのリン酸化を増進することを示す。図17Bは、BJRiPSiPSC由来ヒト心筋細胞へのTorin1(200nM)の投与の0~48時間後におけるmTORC1及びmTORC2の選択された下流経路のリン酸化及び発現を示しているウェスタン分析を示す。 図18A~18Gは、3つの異なる細胞株に由来する心筋細胞において成熟の選択されたマーカーの発現をTorin1が増強することを示す。図18Aは、心筋細胞分化及び成熟のプロトコルの概略図を示す。拍動の開始のおよそ2日後にTorin1を加える。図18B~18Dは、分化9日目(BJRiPS由来心筋細胞)のビヒクル(0.02%DMSO)、10、50または200nMのTorin1による処理に続くTNNI3(図18B)、CACNA1c(図18C)及びATP2a2(SERCA2a)(図18D)の用量依存的増加を示している定量的PCRを示す。ダンの多重比較検定によるKruskal-Wallis検定でp<0.05、**p<0.01。図18Eは、BJRiPS、GCaMPまたはGibco細胞株に由来する心筋細胞においてビヒクルまたはTorin1による処理の後にTNNT2の平均蛍光強度が増加することを示したものであり、TNNT2発現の増加が示唆される。二元配置ANOVAでp<0,05、**p<0.01。図18F~18Gは、BJRiPS由来心筋細胞におけるビヒクルまたはTorin1(10、50、200nM)による4日間の処理に続くTNNI3の発現の増加を示しているウェスタンブロット(図18F)及び濃度測定分析(図18G)を示す。一元配置ANOVAでp<0,05。 図18A~18Gは、3つの異なる細胞株に由来する心筋細胞において成熟の選択されたマーカーの発現をTorin1が増強することを示す。図18Aは、心筋細胞分化及び成熟のプロトコルの概略図を示す。拍動の開始のおよそ2日後にTorin1を加える。図18B~18Dは、分化9日目(BJRiPS由来心筋細胞)のビヒクル(0.02%DMSO)、10、50または200nMのTorin1による処理に続くTNNI3(図18B)、CACNA1c(図18C)及びATP2a2(SERCA2a)(図18D)の用量依存的増加を示している定量的PCRを示す。ダンの多重比較検定によるKruskal-Wallis検定でp<0.05、**p<0.01。図18Eは、BJRiPS、GCaMPまたはGibco細胞株に由来する心筋細胞においてビヒクルまたはTorin1による処理の後にTNNT2の平均蛍光強度が増加することを示したものであり、TNNT2発現の増加が示唆される。二元配置ANOVAでp<0,05、**p<0.01。図18F~18Gは、BJRiPS由来心筋細胞におけるビヒクルまたはTorin1(10、50、200nM)による4日間の処理に続くTNNI3の発現の増加を示しているウェスタンブロット(図18F)及び濃度測定分析(図18G)を示す。一元配置ANOVAでp<0,05。 図18A~18Gは、3つの異なる細胞株に由来する心筋細胞において成熟の選択されたマーカーの発現をTorin1が増強することを示す。図18Aは、心筋細胞分化及び成熟のプロトコルの概略図を示す。拍動の開始のおよそ2日後にTorin1を加える。図18B~18Dは、分化9日目(BJRiPS由来心筋細胞)のビヒクル(0.02%DMSO)、10、50または200nMのTorin1による処理に続くTNNI3(図18B)、CACNA1c(図18C)及びATP2a2(SERCA2a)(図18D)の用量依存的増加を示している定量的PCRを示す。ダンの多重比較検定によるKruskal-Wallis検定でp<0.05、**p<0.01。図18Eは、BJRiPS、GCaMPまたはGibco細胞株に由来する心筋細胞においてビヒクルまたはTorin1による処理の後にTNNT2の平均蛍光強度が増加することを示したものであり、TNNT2発現の増加が示唆される。二元配置ANOVAでp<0,05、**p<0.01。図18F~18Gは、BJRiPS由来心筋細胞におけるビヒクルまたはTorin1(10、50、200nM)による4日間の処理に続くTNNI3の発現の増加を示しているウェスタンブロット(図18F)及び濃度測定分析(図18G)を示す。一元配置ANOVAでp<0,05。 図18A~18Gは、3つの異なる細胞株に由来する心筋細胞において成熟の選択されたマーカーの発現をTorin1が増強することを示す。図18Aは、心筋細胞分化及び成熟のプロトコルの概略図を示す。拍動の開始のおよそ2日後にTorin1を加える。図18B~18Dは、分化9日目(BJRiPS由来心筋細胞)のビヒクル(0.02%DMSO)、10、50または200nMのTorin1による処理に続くTNNI3(図18B)、CACNA1c(図18C)及びATP2a2(SERCA2a)(図18D)の用量依存的増加を示している定量的PCRを示す。ダンの多重比較検定によるKruskal-Wallis検定でp<0.05、**p<0.01。図18Eは、BJRiPS、GCaMPまたはGibco細胞株に由来する心筋細胞においてビヒクルまたはTorin1による処理の後にTNNT2の平均蛍光強度が増加することを示したものであり、TNNT2発現の増加が示唆される。二元配置ANOVAでp<0,05、**p<0.01。図18F~18Gは、BJRiPS由来心筋細胞におけるビヒクルまたはTorin1(10、50、200nM)による4日間の処理に続くTNNI3の発現の増加を示しているウェスタンブロット(図18F)及び濃度測定分析(図18G)を示す。一元配置ANOVAでp<0,05。 図18A~18Gは、3つの異なる細胞株に由来する心筋細胞において成熟の選択されたマーカーの発現をTorin1が増強することを示す。図18Aは、心筋細胞分化及び成熟のプロトコルの概略図を示す。拍動の開始のおよそ2日後にTorin1を加える。図18B~18Dは、分化9日目(BJRiPS由来心筋細胞)のビヒクル(0.02%DMSO)、10、50または200nMのTorin1による処理に続くTNNI3(図18B)、CACNA1c(図18C)及びATP2a2(SERCA2a)(図18D)の用量依存的増加を示している定量的PCRを示す。ダンの多重比較検定によるKruskal-Wallis検定でp<0.05、**p<0.01。図18Eは、BJRiPS、GCaMPまたはGibco細胞株に由来する心筋細胞においてビヒクルまたはTorin1による処理の後にTNNT2の平均蛍光強度が増加することを示したものであり、TNNT2発現の増加が示唆される。二元配置ANOVAでp<0,05、**p<0.01。図18F~18Gは、BJRiPS由来心筋細胞におけるビヒクルまたはTorin1(10、50、200nM)による4日間の処理に続くTNNI3の発現の増加を示しているウェスタンブロット(図18F)及び濃度測定分析(図18G)を示す。一元配置ANOVAでp<0,05。 図18A~18Gは、3つの異なる細胞株に由来する心筋細胞において成熟の選択されたマーカーの発現をTorin1が増強することを示す。図18Aは、心筋細胞分化及び成熟のプロトコルの概略図を示す。拍動の開始のおよそ2日後にTorin1を加える。図18B~18Dは、分化9日目(BJRiPS由来心筋細胞)のビヒクル(0.02%DMSO)、10、50または200nMのTorin1による処理に続くTNNI3(図18B)、CACNA1c(図18C)及びATP2a2(SERCA2a)(図18D)の用量依存的増加を示している定量的PCRを示す。ダンの多重比較検定によるKruskal-Wallis検定でp<0.05、**p<0.01。図18Eは、BJRiPS、GCaMPまたはGibco細胞株に由来する心筋細胞においてビヒクルまたはTorin1による処理の後にTNNT2の平均蛍光強度が増加することを示したものであり、TNNT2発現の増加が示唆される。二元配置ANOVAでp<0,05、**p<0.01。図18F~18Gは、BJRiPS由来心筋細胞におけるビヒクルまたはTorin1(10、50、200nM)による4日間の処理に続くTNNI3の発現の増加を示しているウェスタンブロット(図18F)及び濃度測定分析(図18G)を示す。一元配置ANOVAでp<0,05。 図18A~18Gは、3つの異なる細胞株に由来する心筋細胞において成熟の選択されたマーカーの発現をTorin1が増強することを示す。図18Aは、心筋細胞分化及び成熟のプロトコルの概略図を示す。拍動の開始のおよそ2日後にTorin1を加える。図18B~18Dは、分化9日目(BJRiPS由来心筋細胞)のビヒクル(0.02%DMSO)、10、50または200nMのTorin1による処理に続くTNNI3(図18B)、CACNA1c(図18C)及びATP2a2(SERCA2a)(図18D)の用量依存的増加を示している定量的PCRを示す。ダンの多重比較検定によるKruskal-Wallis検定でp<0.05、**p<0.01。図18Eは、BJRiPS、GCaMPまたはGibco細胞株に由来する心筋細胞においてビヒクルまたはTorin1による処理の後にTNNT2の平均蛍光強度が増加することを示したものであり、TNNT2発現の増加が示唆される。二元配置ANOVAでp<0,05、**p<0.01。図18F~18Gは、BJRiPS由来心筋細胞におけるビヒクルまたはTorin1(10、50、200nM)による4日間の処理に続くTNNI3の発現の増加を示しているウェスタンブロット(図18F)及び濃度測定分析(図18G)を示す。一元配置ANOVAでp<0,05。 EIF4Eによるcap依存的タンパク質翻訳の調節の模式図を示す。mTORC1による4E-BP1のリン酸化は4E-BP1からEIF4Eを遊離させ、EIF4EとEIF4Gとの相互作用を促進し、その結果、mRNA翻訳がもたらされる。Torin1処理は、EIF4E依存的タンパク質翻訳を減少させる可能性がある。 図20A~20Dは、BJRIPS由来心筋細胞における選択された遺伝子のqPCRを示す。図20Aは、拍動の開始の約2日後にTorin1開始が起こるとTNNI3発現がより高くなる傾向を示す。図20B~20Dは、対照(未処理)細胞が分化9日目あたりでEIFG1 mRNA発現のピーク(図20B)、7~9日目あたりでEIF4E mRNA発現のピーク(図20C)、及び11日目あたりで4EBP1発現のピーク(図20D)を示すことを示す。これらのデータは、細胞にmTOR阻害に対する応答性を大なり小なり持たせ得るEIF4E/4EBP1の化学量論が分化の全体を通して変動することを示唆している。 図20A~20Dは、BJRIPS由来心筋細胞における選択された遺伝子のqPCRを示す。図20Aは、拍動の開始の約2日後にTorin1開始が起こるとTNNI3発現がより高くなる傾向を示す。図20B~20Dは、対照(未処理)細胞が分化9日目あたりでEIFG1 mRNA発現のピーク(図20B)、7~9日目あたりでEIF4E mRNA発現のピーク(図20C)、及び11日目あたりで4EBP1発現のピーク(図20D)を示すことを示す。これらのデータは、細胞にmTOR阻害に対する応答性を大なり小なり持たせ得るEIF4E/4EBP1の化学量論が分化の全体を通して変動することを示唆している。 図20A~20Dは、BJRIPS由来心筋細胞における選択された遺伝子のqPCRを示す。図20Aは、拍動の開始の約2日後にTorin1開始が起こるとTNNI3発現がより高くなる傾向を示す。図20B~20Dは、対照(未処理)細胞が分化9日目あたりでEIFG1 mRNA発現のピーク(図20B)、7~9日目あたりでEIF4E mRNA発現のピーク(図20C)、及び11日目あたりで4EBP1発現のピーク(図20D)を示すことを示す。これらのデータは、細胞にmTOR阻害に対する応答性を大なり小なり持たせ得るEIF4E/4EBP1の化学量論が分化の全体を通して変動することを示唆している。 図20A~20Dは、BJRIPS由来心筋細胞における選択された遺伝子のqPCRを示す。図20Aは、拍動の開始の約2日後にTorin1開始が起こるとTNNI3発現がより高くなる傾向を示す。図20B~20Dは、対照(未処理)細胞が分化9日目あたりでEIFG1 mRNA発現のピーク(図20B)、7~9日目あたりでEIF4E mRNA発現のピーク(図20C)、及び11日目あたりで4EBP1発現のピーク(図20D)を示すことを示す。これらのデータは、細胞にmTOR阻害に対する応答性を大なり小なり持たせ得るEIF4E/4EBP1の化学量論が分化の全体を通して変動することを示唆している。 EIF4E依存的及びEIF4E2依存的mRNA翻訳の模式図を示す。EIF4Eに結合した4E-BP1がタンパク質翻訳を阻害する一方、mTORC1による4E-BP1のリン酸化は、EIF4Eを遊離させ、これが代わりにEIF4Gに結合するのを可能にする。EIF4E/EIF4G複合体はEIF4E依存的mRNA翻訳を開始する。対照的に、EIF4E2はHIF2αに結合してEIF4E2依存的翻訳を開始する。ラパマイシンはHIF2a発現を増加させる。 A~Bは、Gibco iPSC由来心筋細胞のSeahorseミトストレス試験を示す。Aは、ベースライン時、ならびにTorin1ありまたはなしでのオリゴマイシン、FCCP及びロテノン/アンチマイシンAによる7日間の処理の後の酸素消費速度(OCR)を示す。Bは、7日間にわたるTorin1処理が最大OCRを有意に増加させることを示す。スチューデントのt検定で**p<0.01。これらの結果は、Torin1処理がiPSC由来心筋細胞の酸化能を増加させることを示唆している。 同上。 不変の表現型ではなく細胞がより深い静止状態とより浅い静止状態との間を循環し得る場合の、静止G状態の模式図を示す。mTORは、細胞が静止状態に留まるか老化へと進むかを制御する、というのも、mTOR阻害なしでの細胞サイクル停止は老化につながり、他方、細胞周期停止とmTOR阻害とが同時に起こると静止状態につながるからである(31)。 Rb-E2F静止調節因子の模式図を示す。E2Fを作動させ細胞周期を再開するためには、浅い静止状態が低レベルの成長刺激を必要とする一方、深い静止状態はより高いレベルの成長刺激を必要とする。 A~Fは、Torin1処理ありまたはなしでの、(A)E1F2、(B)E2F4、(C)RBL2(網膜芽細胞腫様タンパク質2、p130としても知られる)、(D)MDM2(マウス二重突然変異体2相同体、E3ユビキチン-タンパク質リガーゼ)、(E)CDKN1a(サイクリン依存性キナーゼ阻害剤1a、p21としても知られる)、及び(F)CDK2(サイクリン依存性キナーゼ2)のmRNA発現のqPCRによる評価を示す。BJRiPS細胞に由来する心筋細胞、拍動は約8日目から開始、Torin1処理(200nM)は9日目から開始。これらの結果は、Torin1が細胞周期調節因子の発現を調節することを示唆している。 同上。 同上。 同上。 同上。 同上。 A~Bは、3D懸濁培養において分化させたGCaMP由来心筋細胞を示す。Aは、分化0日目の代表的な球状体を示し、分化開始時の理想的な大きさが約300μmであることを示している。Bは、分化10日目のTNNT2+心筋細胞%を示す。Torin1処理を9日目から開始して24時間にわたって行い、その後にアッセイを行ったが、TNNT2+細胞%はTorin1処理ウェルにおいてより高くなる傾向にあった。 同上。 心筋細胞を生産するための分化プロトコルの概略図を示す。ベースライン分化プロトコル(上パネル)は、Lian et al.,Nature Protocols 2013に基づいており、心筋細胞拍動の開始後にmTOR経路の阻害を含むように改変された。小分子を使用してWnt経路を逐次活性化させ、次いで阻害して、ヒトiPS細胞からヒト心筋細胞を発生させ。先に公開されたプロトコルを用いると細胞は未熟なままとなり、より胎児心筋細胞に近い。細胞が(分化8~10日目あたりで)拍動を開始した後、mTOR経路を阻害して心筋細胞の成熟を増強した。 リボソームタンパク質S6のリン酸化の減少によって示唆されるように、mTOR複合体1(mTORC1)がTorin1によって阻害されることを示す。mTORC1複合体はリボソームタンパク質S6のリン酸化をもたらし、これは、mTORが阻害された場合にS6のリン酸化の減少をもたらす。mTORが阻害される場合、25~29日目(ラクテート濃縮後)にTorin1(10nM、50nM及び200nM)で処理されたウェスタンブロットはS6のリン酸化の減少を示す。 mTOR阻害が心筋細胞拍動速度を低下させることを示す。正常成熟成体ヒト心筋細胞は天然では1分あたり20~30回拍動し、ヒト心拍数はより速い、というのも、ペースメーカー組織が心拍数を駆動しているからである。未熟ヒト心筋細胞は高速で拍動するため、心不全の動物モデルに送達されると潜在的に生命を脅かす不整脈を招く可能性がある。自動性が低下した(つまり、自発的に拍動する駆動力が低下した)心筋細胞は細胞療法アプローチにおける不整脈のリスクを減少させ得る。固有拍動数がより低速であることは、自動性の低下を示唆するものであり得る。mTOR阻害剤であるTorin1(10nM、50nM及び200nM)及びTorin2(200nM)を評価したところ、mTOR阻害によって心筋細胞の拍動数が低下したことが示された。BJRiPS-CMは独立した2回分において処理された。処理は分化11日目に開始され、4~5日間継続された。群1つあたりN=4~10ウェル。 Torin1が心筋細胞における収縮タンパク質のRNA発現を増加させることを示す。心筋トロポニンT(TNNT2)、心筋トロポニンI(TNNI3)、ミオシン重鎖タンパク質6(MYH6)及びミオシン重鎖タンパク質7(MYH7)は心筋細胞の収縮装置の構成要素であり、成熟心筋細胞はこれらのタンパク質をより多く有する。Torin1は用量依存的にこれらのタンパク質のRNA発現を増加させた(10nM、50nM及び200nM)。これらのタンパク質の発現の増加は心筋細胞の収縮性を増強し得る。qPCRを実施して相対mRNA発現を測定した。分化プロトコルの11~18日目にBJRiPS由来心筋細胞を、Torin1を含んだRBIで処理した。N=3/群、単回分の細胞。 Torin1処理後のTNNI3タンパク質の発現の増加を示す。ウェスタンブロット(A)及び濃度測定分析(B)は、BJRiPS由来心筋細胞において4日間にわたるTorin1処理(10nM、50nM及び200nM)の後に、必須な心筋サルコメアタンパク質であるTNNI3のタンパク質発現が増加することを示している。3日間にわたってラクテート精製が起こった。Torin1は25~29日目に施され、50μgのタンパク質が与えられた。 同上。 Torin1処理後のイオンチャネルの発現の増加を示す。より成熟したイオンチャネルの発現プロファイルが心筋細胞の電気的成熟度に必要であると考えられる。イオンチャネル遺伝子発現はTorin1処理(10nM、50nM及び200nM)とともに増加した。調べたイオンチャネル遺伝子発現には、KCNJ2、HCN4、SCN5a、RYR2、CACNA1c及びSERCA2a(ATP2a2)が含まれていた。qPCRを用いて相対mRNA発現を測定した。分化プロトコルの11~18日目にBJRiPS由来心筋細胞を、Torin1を含んだRBIで処理した。N=3/群、単回分の細胞。 Torin1処理後のNPPB(BNP)の発現の増加を示す。発達中に心筋細胞によって脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が産生される。心筋細胞において脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の発現はTorin1(10nM、50nM及び200nM)による処理の後に増加した。qPCRを用いて相対mRNA発現を測定した。分化プロトコルの11~18日目にBJRiPS由来心筋細胞を、Torin1を含んだRBIで処理した。N=3/群、単回分の細胞。 Torin1処理後の転写因子RESTの発現の増加を示す。RESTは、心臓細胞におけるあるイオンチャネルの発現を調節する転写因子である。Torin1(10nM、50nM及び200nM)はRESTの遺伝子発現を増加させる。mTOR阻害によって増加したREST遺伝子発現は、心筋細胞の成熟を活性化させ得る。qPCR及びフローサイトメトリーを用いて相対mRNA発現を測定した。qPCR:1回分、n=3/群、フローサイトメトリー:1~3回分。 Torin1処理(10nM、50nM及び200nM)後の酸化的リン酸化経路の調節因子PGG1-アルファ(PPARGC1a)の発現の増加を示す。成熟心筋細胞は、エネルギーを得る元を解糖系から酸化的リン酸化へと切り替える。PGC1アルファの上方制御は、酸化的リン酸化に関連する経路を増強し得、これは、より成熟した表現型を示唆している。qPCRを用いて相対mRNA発現を測定した。分化プロトコルの11~18日目にBJRiPS由来心筋細胞を、Torin1を含んだRBIで処理した。N=3/群、単回分の細胞。 BJRiPS、GCaMPまたはGibco細胞株に由来する心筋細胞におけるビヒクルまたはTorin1による処理の後のTNNT2の平均蛍光強度を示したものであり、複数の細胞株に由来する心筋細胞においてTNNT2発現が増加することを示唆している。二元配置ANOVAでp<0,05、**p<0.01。 A~Bは、Torin1処理がiPSC由来心筋細胞の酸化能を増加させ得ることを示す。Gibco iPSC由来心筋細胞においてseahorseミトストレス試験を実施した。Aは、ベースライン時、ならびにTorin1ありまたはなしでのオリゴマイシン、FCCP及びロテノン/アンチマイシンAによる7日間の処理の後の酸素消費速度(OCR)を示す。Bは、7日間にわたるTorin1処理が最大OCRを有意に増加させることを示す。スチューデントのt検定で**p<0.01。 同上。 A~Bは、Torin1がS6K及びAktのリン酸化を阻害しAMPKのリン酸化を増進することを示す。Aは、mTORC1及びmTORC2の下流経路の模式図を示す。Bは、BJRiPSiPS由来ヒト心筋細胞へのTorin1(200nM)の投与の0~48時間後におけるmTORC1及びmTORC2の選択された下流経路のリン酸化及び発現を示しているウェスタン分析を示す。 同上。 A~Bは、3D懸濁培養において分化させたGCaMP由来心筋細胞を示す。Aは、分化0日目の代表的な球状体を示し、分化開始時の理想的な大きさが約300μmであることを示している。Bは、分化10日目のTNNT2+心筋細胞%を示す。Torin1処理を9日目から開始して24時間にわたって継続し、その後にアッセイを行ったが、TNNT2+細胞%はTorin1処理ウェルにおいてより高くなる傾向にあった。 同上。 [図40]mTOR阻害剤の例示的な構造を示す。
ヒト人工多能性幹細胞(iPSC)から心筋細胞を生産するための現在の分化プロトコルは、心筋トロポニンTの発現によって見極められる高度に純粋な心筋細胞集団を生み出すことが可能である。しかしながら、これらの心筋細胞は未熟なままであり、より胎児状態に近く、成人心筋細胞と比較して最大収縮力がより小さく、上昇速度がより低速であり、ミトコンドリア機能が未熟である。iPSC由来心筋細胞の未熟さは、心疾患のための心筋細胞療法の臨床移行に対する大きな障壁となり得る。心筋細胞は発達中に、胎児における増殖状態から、生後のより成熟しているが静止した状態への変移を経る。機序的ラパマイシン標的(mTOR)シグナル伝達経路は、栄養素感知及び成長において肝要な役割を果たす。mTORシグナル伝達経路の一時的阻害は心筋細胞を静止状態に導き得、心筋細胞成熟を増強し得る。
Wnt経路を調節する小分子を使用してiPSC株から心筋細胞を分化させた。いくつかの実施形態では、mTOR経路の阻害剤を様々な時間点において使用し、成熟iPSC由来心筋細胞の収縮、代謝及び電気生理学特性を定量した。いくつかの実施形態では小分子阻害剤を使用してp53シグナル伝達を阻害し、いくつかの実施形態では異なる小分子阻害剤を使用してp53を上方制御し、その活性化を増進した。
いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤はビヒクル対照と比較して静止細胞(G期)の百分率を(例えば24~48%、p<0.05)上昇させた。加えて、mTOR阻害剤を心筋細胞拍動の開始の後に始めた場合、mTOR阻害剤は、選択されたサルコメアタンパク質(TNNI3を含む)及びイオンチャネル(Kir2.1を含む)の発現を用量依存的に増加させ得る。いくつかの実施形態では、処理細胞は相対最大収縮力が増加し、最大酸素消費速度が増加し、ピーク上昇時間が減少し、下降速度が増加した。mTOR阻害剤による処理は、p53の阻害剤を施与することによって阻害され得るものであるp53のタンパク質発現を増加させ得る。対照的に、p53活性化剤は無関係にp53を上方制御し得、TNNI3発現の増加をもたらし得、mTOR阻害剤と相乗的に作用してp53及びTNNI3の両方の発現をさらに増加させ得る。
本開示の態様は、少なくとも1つの幹細胞から心筋細胞(本明細書では非天然心筋細胞、非天然型心筋細胞、静止心筋細胞、または成熟心筋細胞と呼称する)を生成するための組成物、方法、キット及び薬剤、ならびにそれらの組成物、方法、キット及び薬剤によって生産された、細胞療法、アッセイ及び様々な治療方法に使用するための成熟または静止心筋細胞に関する。
本明細書に記載の方法に従って生み出された試験管内生産心筋細胞は多くの利点を示し、例えば、それらは電気的に成熟しており(例えば、低下した自動性を呈し)、収縮性が成熟しており、代謝的に成熟している。加えて、生成した心筋細胞は細胞療法(例えば、付加的及び/または機能的心筋細胞を必要とする対象への移植)及び研究のための新しい基幹を提供し得る。
定義
便宜上、本発明の本明細書、実施例及び別記の特許請求の範囲の中で採用されているいくつかの用語をここにまとめる。特に規定されない限り、本明細書中で使用されるすべての科学技術用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書中で使用する場合、「体細胞」という用語は、生殖系細胞とは相対する、生物の身体を形成している任意の細胞を指す。哺乳動物において生殖系細胞(「配偶子」としても知られる)は、受精の間に融合して哺乳動物胚全体が発達する元となる接合体と呼ぶ細胞を生成する、精子及び卵子である。哺乳動物の体内の他のあらゆる細胞種は-精子及び卵子とは違ってその元となる細胞(生殖母体)が未分化幹細胞であるが-体細胞種であり、内臓、皮膚、骨、血液及び結合組織はどれも体細胞から成り立っている。いくつかの実施形態では、体細胞は「非胚性体細胞」であり、これは、胚に存在せずまたはそこから得られず試験管内でのそのような細胞の増殖によって得られない体細胞を意味する。いくつかの実施形態では、体細胞は「成体体細胞」であり、これは、胚もしくは胎仔以外の生物に存在するもしくはそこから得られる、または試験管内でのそのような細胞の増殖によって得られる細胞を意味する。
本明細書中で使用する場合、「成体細胞」という用語は、胚発達後の身体の全体にわたって見られる細胞を指す。
「前駆」または「前駆体」細胞という用語は本明細書において互換的に使用され、分化によってそこから発生し得る細胞に比べてより原始的な(つまり、発達経路または経過に沿って完全分化細胞よりも早い段階にある)細胞表現型を有する細胞を指す。前駆細胞は、顕著な、または非常に高い増殖能力も有していることが多い。前駆細胞からは、発達経路、ならびに細胞が発達及び分化する環境に応じて複数の異なる分化細胞種または単一の分化細胞種が発生し得る。
「表現型」という用語は、実際の遺伝子型を問わず特定の組の環境条件及び因子の下にある細胞または生物を特徴付ける1つまたは複数の総合的生物学的特質を指す。
本明細書中で使用される「多能性」という用語は、1つより多い分化細胞種に分化する能力、好ましくは3種の胚細胞葉のすべてに特徴的な細胞種に分化する能力を有する細胞を指す。多能性細胞は主に、例えばヌードマウス奇形腫形成アッセイを用いて1つより多い細胞種、好ましくは3種すべての胚葉に分化するその能力によって特徴付けられる。多能性は胚性幹(ES)細胞マーカーの発現によっても証明されるが、多能性についての好ましい試験は、三胚葉の各々の細胞に分化する能力の実証である。そのような細胞を単に培養すること自体ではそれは多能性にはならないことに留意すべきである。初期化多能性細胞(例えば、本明細書中で定義される用語としてのiPS細胞)も、培養において限られた回数だけ分裂する能力を通常有するものである初代細胞親と比較して、成長能力を失わずに長く継代される能力の特質を有する。
本明細書中で使用する場合、「iPS細胞」及び「人工多能性幹細胞」という用語は互換的に使用され、非多能性細胞、典型的には成体体細胞から例えば1種以上の遺伝子の強制発現の誘導によって人工的に得られた(例えば、誘導された、または完全な逆行による)多能性幹細胞を指す。
本明細書中で使用される「幹細胞」という用語は、増殖が可能であり、多数の母細胞を生み出す能力を有したより多くの前駆細胞の発生が可能であり、今度はこの母細胞が分化または分化可能娘細胞を発生させることになり得る、未分化細胞を指す。娘細胞自体は、親発達能力を有する1種以上の細胞も保持しながら、増殖するように、及び1種以上の成熟細胞種へと後に分化する子孫を生成するように誘導され得る。「幹細胞」という用語は、特定状況下でより特化または特殊化した表現型に分化する能力または潜在能力を有し、ある状況下で分化をほぼ伴わずに増殖する能力を保持した、前駆細胞のサブセットを指す。一実施形態では、幹細胞という用語は全般的には、その子孫(孫子)に、胚細胞及び組織の漸進的多様化において起こるような特化を、時には種々の方向へと、分化、例えば完全に個別な特質の獲得によって行わせる、天然に存在する母細胞を指す。細胞分化は、典型的には多くの細胞分裂によって起こる、複雑なプロセスである。分化細胞は多能性細胞に由来し得、多能性細胞自体は多能性細胞などに由来する。これらの多能性細胞の各々は幹細胞とみなされ得るが、各々が生み出し得る細胞種の範囲はかなり異なり得る。いくつかの分化細胞は、より大きな発達能力を有する細胞を生み出す能力も有する。そのような能力は、天然のものである場合もあるし、または様々な因子による処理によって人工的に誘導されたものである場合もある。多くの生物学的事例において幹細胞は「多能性」でもあり、それは、これが1つより多い別個の細胞種の子孫を生成することができるからであるが、このことは「幹性」に必要とされることではない。自己再生は、幹細胞の定義の他の古典的な部分であり、それは本書において用いられているように必須のものである。理論では、自己再生は2つの主要な機序のいずれかによって起こり得る。幹細胞は、幹状態を保持している一方の娘と、いくつかの別個な他の固有の機能及び表現型が発現している他方の娘とに非対称に分裂し得る。あるいは、集団中の幹細胞のいくつかは、2つの幹に対称に分裂することがあり、かくして、集団中のいくつかの幹細胞が全体として維持される一方で集団中の他の細胞は分化子孫のみを生み出す。幹細胞として出発する細胞が分化表現型へと進展してもその後に幹細胞表現型が、「脱分化」または「初期化」または「逆分化」と当業者にしばしば呼称される用語である「逆行」及び再発現をすることは、形式的にはあり得る。本明細書中で使用する場合、「多能性幹細胞」という用語には、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胎盤幹細胞などが含まれる。
本明細書中で使用する場合、「静止」または「細胞静止」は、栄養枯渇によって誘発され、適切な刺激に応答して細胞周期を再開する能力を特徴とする、細胞休止状態を指して使用される。静止細胞は代謝及び転写活性を保持している。細胞は、Gの一時的開始期間、深いG、及び細胞周期への回帰を誘発する刺激に対して細胞がより大きく応答する静止のより浅い状態であるGalert状態を含めた様々な深度の静止状態を有し得る。静止心筋細胞は、p16及びp130を含めた1種以上の静止マーカーの発現を呈し得る。
「内在心筋細胞」または「内在成熟心筋細胞」という用語は、成熟心筋細胞を指して本明細書中で使用される。成熟心筋細胞は、電気的成熟度、収縮成熟度及び/または代謝成熟度を示し得る。心筋細胞の表現型は当業者によく知られており、これには例えば、自発的に拍動する能力、心筋トロポニン、TNNT2、TNNI3、ミオシン重鎖、MYH6、MYH7、リアノジン受容体(RyR)、ナトリウムチャネルタンパク質SCN5a、電位依存性カリウムチャネルKCNJ2、ATP2A2、PPARGC1a、Cx43などのマーカーの発現、ならびに別個な形態学的特質、例えば、組織化サルコメア、棒形細胞を有すること、及びT細管を有することが含まれる。
本明細書中で使用する場合、「心筋細胞」、「非天然心筋細胞」、「非天然型心筋細胞」、「静止心筋細胞」及び「成熟心筋細胞」はすべて、本明細書に記載の方法によって生産された心筋細胞を指す。心筋細胞は、心室、心房及び/または結節型心筋細胞、あるいは心筋細胞の混合集団であり得る。心筋細胞は、内在心筋細胞と共通し得る1つ以上の特徴を呈し得、これには、自発的に拍動する能力、電気的に成熟していること、代謝的に成熟していること、収縮性が成熟していること、1種以上の遺伝子マーカー(例えば、TNNI3、TNNT1、MYH6、MYH7、KCNJ2、RyR及びREST)の適切な発現を呈すること、1種以上の静止マーカー(例えばpl6及びpl30)の適切な発現を呈すること、適切な形態学的特質(例えば棒形細胞及び組織化サルコメア)を呈すること、及び培養時の増殖性が含まれるが、これらに限定されない。しかしながら、非天然心筋細胞は、本明細書に記載の内在心筋細胞とは同一ではなく区別が可能であり、これには遺伝子発現に基づく区別が含まれる。
「心筋細胞マーカー」という用語は、限定されないが、タンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質及び核酸の多形、スプライスバリアント、タンパク質または核酸の断片、要素、ならびに内在心筋細胞に特異的に発現または存在する他の被分析物を指す。例示的な心筋細胞マーカーとしては、心筋トロポニンT(TNNT2)、心筋トロポニンI(TNNI3)、カリウムチャネルKCNJ2、リプレッサーエレメント1転写サイレンシング因子(REST)、リアノジン受容体(RyR)、ナトリウムチャネル(SCN5a)、及びYang et al.Circ.Res.2014;114(3):511-23に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される「未熟心筋細胞」という用語は、(例えば、電気的に、代謝的に、及び/または収縮性が)未熟である心筋細胞を意味する。未熟心筋細胞は、自動性、またはペースメーカー様活性を呈し、より高い静止膜電位及びより低速の上昇速度を有し、より弱く組織化されたサルコメア構造、及びより低い最大収縮力を有し、T細管を有さず、主として(酸化的リン酸化ではなく)解糖系によってエネルギーを獲得し、静止状態ではなく老化状態にあり得る。
本明細書中で使用する場合、「増殖」という用語は、細胞の成長及び分裂を意味する。いくつかの実施形態では、細胞に関して本明細書中で使用される「増殖」という用語は、一定期間にわたって数が増加し得る細胞の群を意味する。
細胞個体発生の文脈で、「分化した」または「分化する」という形容詞は、「分化細胞」が、比較されている細胞よりも発達経路をさらに下って進んだ細胞である、ということを意味する相対的な用語である。したがって、幹細胞は、系統が制約された前駆体細胞(例えば中胚葉幹細胞)に分化し得、これが今度は、経路をさらに下った他の種類の前駆体細胞(例えば心筋細胞前駆体)に分化し得、その後、最終段階の分化細胞に分化し得るが、これは、ある組織種において特徴的な役割を果たすものであり、さらなる増殖をする能力を保持していることもあるし保持していないこともある。
本明細書中で使用される「薬剤」という用語は、任意の化合物または物質、例えば、限定されないが、小分子、核酸、ポリペプチド、ペプチド、薬物、イオンなどを意味する。「薬剤」は、合成及び天然のタンパク質性及び非タンパク質性実体を含むがこれらに限定されない任意の化学物質、実体または部分であり得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、核酸、核酸類縁体、タンパク質、抗体、ペプチド、アプタマー、核酸のオリゴマー、アミノ酸、または限定はしないがタンパク質、オリゴヌクレオチド、リボザイム、DNAザイム、糖タンパク質、siRNA、リポタンパク質、アプタマー及び修飾体ならびにそれらの組合せを含む炭水化物などである。ある実施形態では、薬剤は、化学分を有する小分子である。例えば、化学部分は、マクロライド、レプトマイシン及び関連する天然産物またはそれらの類縁体を含む非置換または置換アルキル、芳香族または複素環部分を含んでいた。化合物は、所望の活性及び/または特性を有することが知られているものである場合もあるし、または多様な化合物のライブラリから選択される場合もある。
本明細書中で使用する場合、「接触させること」(すなわち、少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体を成熟因子または成熟因子の組合せと接触させること)という用語は、試験管内で分化用培地及び/または薬剤と細胞とを一緒にインキュベートすること(例えば、培養中の細胞に成熟因子を加えること)を含むことを意図したものである。いくつかの実施形態では、「接触させること」という用語は、生体内で細胞を、対象において天然に存在し得る本明細書に開示される化合物に曝露すること(すなわち、天然の生理学的プロセスの結果として起こり得る曝露)を含むことを意図したものではない。少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体を本明細書に記載の実施形態にあるように成熟因子と接触させるステップは、任意の好適な方法で実行され得る。例えば、接着培養または懸濁培養において細胞を処理してもよい。いくつかの実施形態では、心筋細胞の形成を促進する条件において細胞を処理する。本開示は、成熟心筋細胞の形成を促進する任意の条件を企図している。成熟心筋細胞の形成を促進する条件の例としては、低付着性組織培養プレート、スピナーフラスコ、Aggrewellプレートでの懸濁培養が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明者らは、成熟心筋細胞が培地中で安定したままであったことを認めた。いくつかの態様では、血清(例えば熱不活化ウシ胎仔血清)を加えた後に細胞を解離させ再播種する。
成熟因子(例えば心筋細胞成熟因子)と接触させる細胞を同時または後に別の薬剤、例えば、分化剤、あるいは細胞を安定化させるまたは細胞をさらに分化もしくは成熟させる環境と接触させてもよいことは、理解される。
同様に、少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体を少なくとも1つの心筋細胞成熟因子と接触させ、その後、少なくとももう1つの心筋細胞成熟因子と接触させてもよい。いくつかの実施形態では、細胞を少なくとも1つの心筋細胞成熟因子と接触させるが接触を時間的に分離し、いくつかの実施形態では、細胞を少なくとも1つの心筋細胞成熟因子に実質的に同時に接触させる。いくつかの実施形態では、細胞を少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種または少なくとも10種の心筋細胞成熟因子と接触させる。
本明細書において言及される「細胞培養培地」(本明細書では「培養培地」または「培地」とも称される)という用語は、細胞生存能を維持し増殖を支援する栄養素を含有する、細胞を培養するための培地である。細胞培養培地は、以下のいずれかを適切な組合せで含有し得る:塩(複数可)、緩衝剤(複数可)、アミノ酸、グルコースまたは他の糖(複数可)、抗体、血清または血清代替品、及び他の成分、例えばペプチド成長因子など。特定の細胞種のために通常使用される細胞培養培地は当業者に知られている。
「細胞株」という用語は、典型的には単一の祖先細胞からあるいは規定の及び/または実質的に同一な祖先細胞の集団から得られた、概してまたは実質的に同一である細胞の集団を指す。細胞株は、長期(例えば、数か月、数年、無制限の期間)にわたって培養物中に維持されていたもの、または維持されることができるものであり得る。それは、無制限の培養寿命を細胞に付与する形質転換の自発的または誘導的プロセスを経たものであり得る。細胞株には、当技術分野でそのようなものとして認識される細胞株がすべて含まれる。細胞が時間の経過とともに、細胞株の個々の細胞の少なくともいくつかの特性が互いに異なり得るような突然変異及び場合によってはエピジェネティックな変化を成し遂げることは認識されよう。いくつかの実施形態では、細胞株は、本明細書に記載の心筋細胞を含む。
「外来」という用語は、その天然の供給源以外の細胞または生物の中に存在する物質を指す。例えば、「外来核酸」または「外来タンパク質」という用語は、それが通常見つからないかまたはより少ない量で見つかる細胞または生物などの生体系の中に、手作業を伴うプロセスによって導入された、核酸またはタンパク質を指す。物質は、物質を受け継ぐ細胞または細胞の祖先の中にそれが導入された場合に、外来であるとみなされることになる。対照的に、「内在」という用語は、生体系に元来存在している物質を指す。
本明細書中で使用される「遺伝子改変された」または「操作された」細胞という用語は、手作業を伴うプロセスによって導入された外来核酸が導入された細胞(または核酸の少なくとも一部を受け継いだそのような細胞の子孫)を指す。核酸は、例えば、細胞に対して外来である配列を含有する場合もあるし、天然にはない(例えばコード領域が異なる遺伝子からのプロモーターに連結されている)配置ではあるが天然配列(すなわち、細胞内に天然に見つかる配列)を含有する場合もあるし、または改変形態の天然配列などを含んでいる場合もある。核酸を細胞内に移入させるプロセスは、任意の好適な技術によって成し遂げられ得る。好適な技術としては、リン酸カルシウムまたは脂質媒介トランスフェクション、電気穿孔、及びウイルスベクターを使用する形質導入または感染が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドまたはその一部を細胞のゲノムに組み込む。核酸は、その後にゲノムから除去または切除されたものであってもよく、ただし、そのような除去または切除が、未改変である以外は等価である細胞と比較して細胞に検出可能な改変をもたらすことを条件とする。遺伝子改変されたという用語が、細胞内への改変されたRNA(例えば合成の改変RNA)の直接的な導入を含むことを意図したものであることは、認識されなければならない。そのような合成改変RNAには、エンド及びエキソヌクレアーゼによる急速な分解を防止するための、ならびにRNAに対する細胞の自然免疫またはインターフェロン応答を回避または軽減するための改変が含まれる。改変としては、例えば、(a)末端修飾、例えば5’末端改変(リン酸化脱リン酸化、結合体化、逆向きリンケージなど)、3’末端改変(結合体化、DNAヌクレオチド、逆向きリンケージなど)、(b)塩基改変、例えば、改変型塩基による置換え、塩基の安定化、塩基の不安定化、またはパートナーの拡張レパートリーとの塩基対合する塩基、または結合体化塩基、(c)糖修飾(例えば2’位置または4’位置でのもの)または糖の置換え、ならびに(d)ホスホジエステルリンケージの改変または置換えを含めたヌクレオシド間リンケージ改変が挙げられるが、これらに限定されない。そのような改変が翻訳を妨害する(つまり、例えばウサギ網状赤血球において試験管内での翻訳アッセイで、改変がない場合と比較して翻訳の50%以上の低下をもたらす)限りにおいて、改変は本明細書に記載の方法及び組成物には適していない。
「発現」という用語は、適用可能な場合には例えば転写、翻訳、折りたたみ、修飾及びプロセシングを含むがこれらに限定されないRNA及びタンパク質の産生ならびに適する場合でのタンパク質の分泌に関与する、細胞プロセスを指す。「発現産物」には、遺伝子から転写されたRNA、及び遺伝子から転写されたmRNAの翻訳によって得られたポリペプチドが含まれる。
本明細書中で使用される「単離された」または「部分的に精製された」という用語は、核酸またはポリペプチドの場合には、その天然の供給源の中に見つかる核酸もしくはポリペプチドと共に存在している、及び/または細胞によって発現したときもしくは分泌ポリペプチドの場合には分泌されたときに核酸もしくはポリペプチドと共に存在することになる、少なくとも1つの他成分(例えば核酸またはポリペプチド)から分離された核酸またはポリペプチドを指す。化学合成された核酸もしくはポリペプチド、または試験管内での転写/翻訳を用いて合成されたものは、「単離されている」とみなされる。
本明細書中で使用される「単離細胞」という用語は、それが元から認められた生物から取り出された細胞、またはそのような細胞の子孫を指す。任意選択的に、細胞は、試験管内で例えば他の細胞の存在下で培養されたものである。任意選択的に、細胞を後に第2生物に導入するか、またはそれ(またはその祖先である細胞)を単離によって与えた生物に再導入する。
本明細書中で使用される、単離された細胞集団に関する「単離された集団」という用語は、細胞の混合または異種集団から取り出され分離された細胞の集団を指す。いくつかの実施形態では、単離集団は、細胞を単離または濃縮によって与えた異種集団と比較して実質的に純粋な細胞集団である。
特定の細胞集団に関して「実質的に純粋」という用語は、細胞集団全体を構成している細胞に関して少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%純粋である細胞集団を指す。別の言い方をすると、心筋細胞の集団に関して「実質的に純粋」または「本質的に精製された」という用語は、約20%未満、より好ましくは約15%未満、10%未満、8%未満、7%未満、最も好ましくは約5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、または1%未満の、本明細書中の用語によって定義される心筋細胞ではない細胞を含有する、細胞集団を指す。いくつかの実施形態では、本発明は、心筋細胞の集団を増殖させる方法であって、増殖した心筋細胞集団が実質的に純粋な心筋細胞集団である、当該方法を包含する。
「濃縮すること」または「濃縮された」という用語は本明細書中で互換的に使用され、ある種の細胞の収率(分率)が培養または調製の開始時でのその種の細胞の分率よりも少なくとも10%増加することを意味する。
「再生」または「自己再生」または「増殖」という用語は本明細書中で互換的に使用され、幹細胞の長期及び/または数か月~数年にわたる同じ非特化細胞種への分裂による自己再生能力を指すために使用される。ある場合には、増殖は、単細胞から2つの同一な娘細胞への分裂の繰り返しによって細胞が増えることを意味する。
「調節する」という用語は、当技術分野でのその使用と整合して使用され、つまり、関心対象のプロセス、経路または現象において定性的または定量的な変化、変更または改変をもたらすまたは容易にするという意味で使用される。限定はしないが、そのような変化は、種々の成分、またはプロセス、経路もしくは現象の部門の相対的な強度または活性の増加、減少または変化であり得る。「調節剤」は、関心対象のプロセス、経路または現象において定性的または定量的な変化、変更または改変をもたらすまたは容易にする薬剤である。
本明細書中で使用する場合、「DNA」という用語はデオキシリボ核酸として定義される。
本明細書中で使用される「マーカー」は、細胞の特質及び/または表現型を表して使用される。マーカーは、関心対象の特質を含む細胞の選択のために使用され得る。マーカーは具体的な細胞によって様々であろう。マーカーは、特定細胞種の細胞の形態学的、機能的もしくは生化学的(酵素的)特質のいずれであるかを問わない特質、または細胞種によって発現する分子である。好ましくは、そのようなマーカーはタンパク質であり、より好ましくは、抗体または当技術分野で使用できる他の結合性分子のためのエピトープを有する。しかしながら、マーカーは、タンパク質(ペプチド及びポリペプチド)、脂質、多糖、核酸及びステロイドを含むがこれらに限定されない細胞内に見られるいかなる分子からなっていてもよい。形態学的特質または形質の例としては、形状、大きさ及び核対細胞質比が挙げられるが、これらに限定されない。機能的特質または形質の例としては、特定の基材に付着する能力、特定の色素を取り込むまたは排除する能力、特定条件下で遊走する能力、及び特定の系統に沿って分化または脱分化する能力が挙げられるが、これらに限定されない。マーカーは、当業者が利用できる任意の方法によって検出され得る。マーカーはまた、形態学的特質の非存在、またはタンパク質、脂質などの非存在である場合もある。マーカーは、ポリペプチドの存在及び非存在についての独特の特質のパネルと他の形態学的特質との組合せであってもよい。
「選択マーカー」という用語は、発現した際に、選抜可能な表現形質を細胞に付与する遺伝子、RNA、またはタンパク質を示し、選抜可能な表現形質とは、例えば、細胞傷害性剤もしくは細胞増殖抑制剤に対する耐性(例えば、抗生物質耐性)、栄養学的原栄養性、または発現する細胞と発現しない細胞を区別する基準として利用可能な特定タンパク質の発現である。容易に検出可能であるタンパク質、例えば、蛍光もしくは発光タンパク質、または基質に作用して着色、蛍光、もしくは発光物質(「検出可能マーカー」)を生成する酵素は、選択マーカーのサブセットを構成する。多能性細胞において通常選択的または排他的に発現する遺伝子にとって生来のものである発現調節エレメントに連結されて選択マーカーが存在することにより、初期化されて多能性状態になった体細胞を同定及び選択することが可能になる。様々な選択標識遺伝子が利用可能であり、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子(neo)、ピューロマイシン耐性遺伝子(puro)、グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、アデノシンデアミナーゼ(ada)、ピューロマイシン-N-アセチルトランスフェラーゼ(PAC)、ハイグロマイシン耐性遺伝子(hyg)、多剤耐性遺伝子(mdr)、チミジンキナーゼ(TK)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、及びhisD遺伝子などがある。検出可能マーカーとして、緑色蛍光タンパク質(GFP)青色、サファイア色、黄色、赤色、橙色、及びシアン蛍光タンパク質、ならびにこれらのいずれかのバリアントが挙げられる。ルシフェラーゼ(例えば、ホタルまたはウミシイタケルシフェラーゼ)などの発光タンパク質も、使用される。当業者には明白であるとおり、「選択マーカー」という用語は、本明細書中使用される場合、遺伝子を示すことも、遺伝子の発現産物、例えば、コードされたタンパク質を示すことも可能である。
実施形態によっては、選択マーカーは、そのマーカーを発現する細胞に対して、発現しない細胞または発現するが大幅に低いレベルである細胞に比べて、増殖及び/または生存の有利性を付与する。そのような増殖及び/または生存の有利性は、典型的には、細胞が、ある特定条件、すなわち「選抜条件」下に維持された場合に生じる。有効な選抜を確実にするため、マーカーを発現しない細胞が増殖せず及び/または生存せず細胞集団から排除される、あるいはその個数が集団のごくわずかに過ぎない割合まで減少するように、細胞の集団を、ある条件下で十分な長さの時間、維持することができる。増殖及び/または生存の有利性を付与するマーカーを発現しない細胞を大部分または完全に排除するように、細胞の集団を選抜条件下に維持することによるマーカーを発現する細胞の選抜プロセスを、本明細書中「陽性選択」と称し、そのマーカーを、「陽性選択に役立つ」と言う。陰性選択及び陰性選択に役立つマーカーも、本明細書中記載される方法のあるものにおいて、関心対象である。そのようなマーカーの発現は、そのマーカーを発現する細胞に対して、マーカーを発現しない細胞または発現するが大幅に低いレベルである細胞に比べて、増殖及び/または生存の不利性を付与する(すなわち、見方を変えれば、マーカーを発現しない細胞は、マーカーを発現する細胞に比べて、増殖及び/または生存の有利性を有する)。したがって、マーカーを発現する細胞は、十分な長さの時間、選抜条件下に維持された場合、細胞の集団から大部分または完全に排除される可能性がある。
「対象」及び「個体」という用語は、本明細書中同義で使用され、細胞を得ることが可能な、及び/または予防的治療も含めて本明細書中記載されるとおりの細胞を用いた治療が提供される、動物、例えば、ヒトを示す。特定動物、例えばヒト対象に特異的な感染、症状、または疾患状態の治療の場合、対象という用語は、その特定動物を示す。「非ヒト動物」及び「非ヒト哺乳類」は、本明細書中同義で使用され、哺乳類、例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、及び非ヒト霊長類を含む。「対象」という用語は、任意の脊椎動物も包含し、そのような脊椎動物として、哺乳類、爬虫類、両生類、及び魚類が挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、有利には、対象は、ヒトなどの哺乳類、または家畜化哺乳類などの他の哺乳類、例えば、イヌ、ネコ、ウマなど、または生産哺乳類、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタなどである。
「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、「治療」などの用語は、単離細胞に適用される場合、その細胞を任意の種類のプロセスもしくは条件に供すること、またはその細胞に任意の種類の操作もしくは手順を行うことを含む。対象に適用される場合、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、「治療」などの用語は、個体に、医療または外科的な診察、手当て、もしくは管理を提供することを示す。個体は、通常、病気または怪我をしているか、集団の平均的なメンバーに比べて病気になるリスクが高く、そのような診察、手当て、または管理を必要としている。この用語は、対象が、疾患の少なくとも1つの症候の減少または当該疾患における改善、例えば、有益なもしくは所望の臨床結果を呈するように、対象に、有効量の組成物を投与することを含む場合がある。本発明の目的に関して、有益なもしくは所望の臨床結果として、1つまたは複数の症候の軽減、疾患の範囲の縮小、疾患状態の安定化(すなわち、悪化せず)、疾患進行が遅れるまたは遅くなること、疾患状態の寛解または緩和、及び緩解(部分的か全体かを問わず)が挙げられるが、これらに限定されず、検出可能か検出不能かを問わない。治療する(Treating)は、治療を受けなかった場合に予想される生存期間よりも長い生存期間を示すこともできる。すなわち、当業者なら分かるだろうが、治療は、疾患状態を改善する可能性があるものの、疾患を完全に治癒するとは限らない。「治療」という用語は、予防を含む。治療を必要とするものには、症状があり診断がすでについているもの(例えば、筋肉の障害または疾患)、ならびに遺伝的易罹患性または他の要因のため症状を発症する見込みがあるものを含む。
「組織」という用語は、特殊化した細胞の集団または層であって、ある特定の専門機能を共同して行うものを示す。「組織特異的」という用語は、特定組織由来の細胞の供給源を示す。
「低下する(decrease)」、「減少した(reduced)」、「減少((reduction)」、「低下(decrease)」、または「阻害する(inhibit)」は、本明細書中、すべて、概して、統計上有意な量での減少を意味するように使用される。しかしながら、誤解を避けるため、「減少した(reduced)」、「減少((reduction)」、または「低下(decrease)」、または「阻害する(inhibit)」は、参照レベルと比べた場合に、少なくとも10%の低下、例えば、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の低下、または100%を含む最大で100%の低下(すなわち、参照試料と比べた場合に不在レベル)を意味し、あるいは、参照レベルと比べた場合に10~100%の間の任意の低下を意味する。
「増加した」、「増加する」、または「向上する」、または「活性化する」という用語は、本明細書中、すべて、概して、統計上有意な量での増加を意味するように使用される。どのような誤解も避けるため、「増加した」、「増加する」、または「向上する」、または「活性化する」という用語は、参照レベルと比べた場合に、少なくとも10%の増加、例えば、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の増加、または100%を含む最大で100%の増加、あるいは、参照レベルと比べた場合に10~100%の間の任意の増加を意味し、あるいは、参照レベルと比べた場合に少なくとも約2倍、または少なくとも約3倍、または少なくとも約4倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍、あるいは2倍~10倍以上の間の任意の増加を意味する。
「統計上有意な」または「有意に」という用語は、統計上の有意性を示し、概して、マーカーの正常濃度から2標準偏差(2SD)分またはそれより低いことを意味する。この用語は、差異があることの統計的証拠を示す。この用語は、帰無仮説が実際には真である場合に、帰無仮説を棄却する決定を下す可能性として定義される。決定は、P値を用いて下されることが多い。
本明細書中使用される場合、「含む(comprising)」または「含む(comprises)」という用語は、本発明に必須である組成物、方法、及びそれらの各構成要素(複数可)に関連して使用されるが、必須の如何を問わず、明示されていない要素の包含も受け入れる。
本明細書中使用される場合、「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、所定の実施形態にとって必要な要素を示す。この用語は、本発明の当該実施形態の基本的かつ新規なまたは機能的特徴(複数可)に本質的に影響しない追加要素の存在を許容する。
「~からなる(consisting of)」という用語は、本明細書中記載されるとおりの組成物、方法、及びそれらの各構成要素を示し、そこには、その実施形態の当該説明において列挙されていないどのような要素も含まれない。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明白に否定されない限り、複数形の言及を含む。すなわち、例えば、「その方法(the method)」に対する言及は、1つまたは複数の方法、及び/または本明細書中記載される種類の工程、及び/または本開示を読むことで当業者に明らかになるもの、などを含む。
幹細胞
幹細胞とは、有糸細胞分裂を通じて自己更新する能力を保持しており、多様な特殊化細胞型へと分化することが可能な細胞である。哺乳類幹細胞には、大きく分けて2種類ある:胚盤胞で見つかる胚性幹(ES)細胞、及び成人組織で見つかる成人幹細胞である。発育中の胚では、幹細胞は、すべての特殊化胚性組織へと分化することが可能である。成人生物では、幹細胞及び前駆細胞は、身体の修復システムとして作用し、特殊化細胞を補充するだけでなく、再生臓器、例えば、血液、皮膚、または腸管組織の正常なターンオーバーを維持している。多能性幹細胞は、三胚葉のどれに由来する細胞へも分化することができる。
心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)またはその前駆体を生成するための幹細胞の使用に関してある特定の実施形態を以下で説明するものの、幹細胞の代わりに、または幹細胞とともに、生殖細胞を用いて、本明細書中記載される例示プロトコルと同様なプロトコルを用いて、少なくとも1種の心筋細胞を提供することができる。適切な生殖細胞は、例えば、最終月経期の約8~11週間後に採取されたヒト胎性材料中に存在する始原生殖細胞から調製することができる。例示の生殖細胞調製法は、例えば、Shamblott et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726,1998、及び米国特許第6,090,622号に記載されている。
ES細胞、例えば、ヒト胚性幹細胞(hESC)またはマウス胚性幹細胞(mESC)は、事実上無限の複製能力及びほとんどの細胞型へと分化する可能性を持ち、これらの細胞は、原理的には、臨床治療用の分化細胞を生成する無制限の出発物質となる(stemcells.nih.gov/info/scireport/2006report.htm, 2006)。ES細胞の応用として1つ可能性があるものは、心不全(例えば、慢性心不全)の細胞補充療法のための新たな心筋細胞を生成させることであり、これは最初に、例えばhESCから、心筋前駆細胞を生成させ、次いで、心筋前駆細胞をさらに分化させて、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆細胞にし、次いで、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆細胞をさらに分化させて、心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)にすることにより行われる。
hESC細胞は、例えば、Cowanら(N Engl. J. Med. 350:1353,2004)及びThomsonら(Science 282:1145,1998)により記載されている。他の霊長類由来の胚性幹細胞、アカゲザル幹細胞(Thomson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7844,1995)、マーモセット幹細胞(Thomson et al., Biol. Reprod. 55:254,1996)、及びヒト胚性生殖(hEG)細胞(Shamblott et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726,1998)も、本明細書中開示される方法において使用可能である。mESCは、例えば、Tremmlら(Curr Protoc Stem Cell Biol. Chapter 1:Unit 1C.4,2008)により記載されている。幹細胞は、例えば、単能性、全能性、複能性、または多能性のものが可能である。一部の例において、少なくとも1種の胚葉、または3種の胚葉すべてからの派生物である後代を生成することができる霊長類起源の任意の細胞が、本明細書中開示される方法において使用可能である。
ある特定の例において、ES細胞は、例えば、Cowanら(N Engl. J. Med. 350:1353,2004)、及び米国特許第5,843,780号、及びThomson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7844,1995に記載されるとおりに単離することができる。例えば、hESC細胞は、Thomsonら(米国特許第6,200,806号;Science 282:1145,1998;Curr. Top. Dev. Biol. 38:133ff.,1998)及びReubinoff et al., Nature Biotech. 18:399,2000に記載される技法を用いて、ヒト胚盤胞細胞から調製することができる。hESCと同等な細胞型として、それらの多能性誘導体、例えば、原始外胚葉様(EPL)細胞が挙げられ、例えば、WO 01/51610(Bresagen)に概要が記載されている。hESCは、ヒト着床前胚から得ることも可能である。あるいは、体外受精(IVF)胚が使用可能であり、または単一細胞ヒト胚を胚盤胞期へと発展させることが可能である(Bongso et al., Hum Reprod 4:706,1989)。胚は、G1.2及びG2.2培地中で培養されて、胚盤胞期になる(Gardner et al., Fertil. Steril. 69:84,1998)。プロナーゼ(Sigma)に短時間曝露させることにより、発育した胚盤胞から透明帯を除去する。内部細胞塊は、免疫手術により単離することができ、免疫手術では、胚盤胞を、ウサギ抗ヒト脾臓細胞抗血清の1:50希釈液に30分間曝露させ、次いでDMEM中での5分間洗浄を3回行い、モルモット補体(Gibco)の1:5希釈液に3分間曝露させる(Solter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72:5099,1975)。DMEM中での洗浄をさらに2回行った後、溶解した栄養外胚葉細胞を、慎重にピペットで吸引することによりインタクト内部細胞塊(ICM)から除去し、ICMを、mEFフィーダー層に播種する。9~15日後、内部細胞塊由来の生成物を、カルシウム及びマグネシウムを含まず1mMのEDTAを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)に曝露させることによるか、トリプシンに曝露または分散させることによるか、マイクロピペットで機械的に解離させることによるかのいずれかで、解離させて凝集塊にし、次いで、新鮮な培地中でmEFに再播種することができる。未分化形態を有する成長コロニーを、マイクロピペットにより個別に選択し、機械的に解離させて凝集塊にし、そして再播種することができる。ES様形態は、見かけ上高い核対細胞質比を持ち核小体が顕著である緻密なコロニーであることを特徴とする。得られるhESCを、次いで、例えば、短時間トリプシン処理、ダルベッコPBS(2mMのEDTAを含有)への曝露、IV型コラーゲン分解酵素(約200U/mL;Gibco)への曝露、またはマイクロピペットによる個別コロニー選択により、1~2週間ごとに、定期的に分割することができる。一部の例において、凝集塊の大きさが約50~100の細胞であるものが最適である。mESC細胞は、例えば、Connerら(Curr. Prot. in Mol. Biol. Unit 23.4,2003)が記載する技法を用いて、調製することができる。
胚性幹細胞は、霊長類に属する種の胚盤胞から単離することができる(米国特許第5,843,780号;Thomson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7844,1995)。ヒト胚性幹(hES)細胞は、Thomsonら(米国特許第6,200,806号;Science 282:1145,1998;Curr. Top. Dev. Biol. 38:133 ff.,1998)、及びReubinoff et al, Nature Biotech. 18:399,2000に記載の技法を用いて、ヒト胚盤胞細胞から調製することができる。hES細胞と同等な細胞型として、それらの多能性誘導体、例えば、原始外胚葉様(EPL)細胞が挙げられ、例えば、WO 01/51610(Bresagen)に概要が記載されている。
あるいは、実施形態によっては、hES細胞は、ヒト着床前胚から得ることができる。あるいは、体外受精(IVF)胚が使用可能であり、または単一細胞ヒト胚を胚盤胞期へと発展させることが可能である(Bongso et al., Hum Reprod 4:706,1989)。胚は、G1.2及びG2.2培地中で培養されて、胚盤胞期になる(Gardner et al., Fertil. Steril. 69:84,1998)。プロナーゼ(Sigma)に短時間曝露させることにより、発育した胚盤胞から透明帯を除去する。内部細胞塊は、免疫手術により単離することができ、免疫手術では、胚盤胞を、ウサギ抗ヒト脾臓細胞抗血清の1:50希釈液に30分間曝露させ、次いでDMEM中での5分間洗浄を3回行い、モルモット補体(Gibco)の1:5希釈液に3分間曝露させる(Solter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72:5099,1975)。DMEM中での洗浄をさらに2回行った後、溶解した栄養外胚葉細胞を、慎重にピペットで吸引することによりインタクト内部細胞塊(ICM)から除去し、ICMを、mEFフィーダー層に播種する。
9~15日後、内部細胞塊由来の生成物を、カルシウム及びマグネシウムを含まず1mMのEDTAを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)に曝露させることによるか、トリプシンに曝露または分散させることによるか、マイクロピペットで機械的に解離させることによるかのいずれかで、解離させて凝集塊にし、次いで、新鮮な培地中でmEFに再播種することができる。未分化形態を有する成長コロニーを、マイクロピペットにより個別に選択し、機械的に解離させて凝集塊にし、そして再播種することができる。ES様形態は、見かけ上高い核対細胞質比を持ち核小体が顕著である緻密なコロニーであることを特徴とする。得られるES細胞を、次いで、短時間トリプシン処理、ダルベッコPBS(2mMのEDTAを含有)への曝露、IV型コラーゲン分解酵素(約200U/mL;Gibco)への曝露、またはマイクロピペットによる個別コロニーの選択により、1~2週間ごとに、定期的に分割することができる。凝集塊の大きさが約50~100の細胞であるものが最適である。
実施形態によっては、ヒト胚性生殖(hEG)細胞は、本明細書中開示されるとおりの方法において使用することで原始内胚葉細胞へと分化することが可能な多能性幹細胞である。hEG細胞は、最終月経期の約8~11週間後に採取されたヒト胎性材料中に存在する始原生殖細胞から調製することができる。適切な調製法は、Shamblott et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726,1998、及び米国特許第6,090,622号に記載されており、これはそのまま全体が参照として援用される。
簡単に述べると、生殖隆起を処理して、分散された細胞を形成した。EG成長培地は、DMEMに、4500mg/LのD-グルコース、2200mg/L mMのNaHCO;15%ES維持(qualified)ウシ胎児血清(BRL);2mMのグルタミン(BRL);1mMのピルビン酸ナトリウム(BRL);1000~2000U/mLのヒト組換え白血病阻害因子(LIF、Genzyme);1~2ng/mLのヒト組換えbFGF(Genzyme);及び10μMのホルスコリン(10%DMSO中)である。96ウェル組織培養プレートは、LIF、bFGF、またはホルスコリンを含まない改変EG増殖培地中3日間培養したフィーダー細胞(例えば、STO細胞、ATCC No.CRL1503)の準集密層を用いて調製し、5000radのγ線照射で不活性化し、一次生殖細胞(PGC)浮遊液約0.2mLを各ウェルに加える。第一継代は、EG増殖培地中7~10日後に終わるので、各ウェルを、照射済STOマウス線維芽細胞を用いて予め調製しておいた24ウェル培養皿のウェルに1つずつ移す。細胞は、EG細胞と一致する細胞形態が観察されるまで、培地を毎日交換しながら培養する。観察されるのは、典型的には、7~30日後、または1~4代継代後である。
ある特定の例において、幹細胞は、本明細書中開示されるとおりの方法に従って少なくとも1種の心筋細胞成熟因子に曝露させられる前は、未分化であることが可能であり(例えば、細胞は、特定の系統に傾倒しない)、一方で他の例において、本明細書中記載される少なくとも1種の心筋細胞成熟因子(複数可)に曝露させる前に、幹細胞を1種または複数の中間細胞型に分化させることが望ましい場合がある。例えば、幹細胞は、未分化細胞を胚もしくは成人起源の分化細胞と区別するために利用可能な形態学的、生物学的、または物理的特徴を提示している場合がある。一部の例において、未分化細胞は、二次元の顕微鏡の視界において、高い核/細胞質比を持ち核小体が顕著である細胞のコロニー中に出現する場合がある。幹細胞は、幹細胞自身である(例えば、実質的にどのような未分化細胞も存在しない)場合もあれば、分化細胞の存在下で使用される場合もある。ある特定の例において、幹細胞が成長し及び任意選択で分化することができるように、幹細胞は、適切な栄養素及び任意選択で他の細胞の存在下、培養することができる。例えば、胚性線維芽細胞または線維芽細胞様細胞が、幹細胞の成長を支援するため、培養物中に存在する場合がある。線維芽細胞は、幹細胞成長の1段階の間、存在する場合があるが、必ずしも全段階ではない。例えば、線維芽細胞は、最初の培養段階で幹細胞培養物に添加されてもよく、その後の1つまたは複数の培養段階では幹細胞培養物に添加されなくてもよい。
本発明の全態様で使用される幹細胞は、任意の種類の組織(例えば、胎児もしくは前胎児組織などの胚性組織、または成人組織)に由来する任意の細胞が可能であるが、当該幹細胞は、適切な条件下、異なる細胞型の後代、例えば、三胚葉(内胚葉、中胚葉、及び外胚葉)のうち少なくとも1つの誘導体であるものすべてを生成することができるという特徴を有する。これらの細胞型は、確立された細胞株の形態で提供することも可能であれば、一次胚性組織から直接得て直ちに分化に使用することも可能である。含まれるものとしては、NIHヒト胚性幹細胞レジストリに登録されている細胞、例えばhESBGN-01、hESBGN-02、hESBGN-03、hESBGN-04(BresaGen, Inc.);HES-1、HES-2、HES-3、HES-4、HES-5、HES-6(ES Cell International);Miz-hES1(MizMedi Hospital-Seoul National University);HSF-1、HSF-6(University of California at Sa nFrancisco);及びH1、H7、H9、H13、H14(Wisconsin Alumni Research Foundation (WiCell Research Institute))である。実施形態によっては、成熟心筋細胞への化学誘導型分化に使用されるヒト幹細胞または多能性幹細胞の供給源には、ヒト胚の破壊は関与しなかった。
別の実施形態において、幹細胞は、充実性組織を含む組織から単離することができる。実施形態によっては組織は、皮膚、脂肪組織(例えば、脂肪(adipose)組織)、筋肉組織、心臓、または心臓組織である。他の実施形態において、組織は、例えば、臍帯血、胎盤、骨髄、または軟骨であるが、これらに限定されない。
関心対象の幹細胞として、各種胚細胞も挙げられ、例として、Thomson et al. (1998) Science 282:1145に記載されるヒト胚性幹(hES)細胞;他の霊長類の胚性幹細胞、例えば、アカゲザル幹細胞(Thomson et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7844);マーモセット幹細胞(Thomson et al. (1996) Biol. Reprod. 55:254);及びヒト胚性生殖(hEG)細胞(Shambloft et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726,1998)がある。同じく関心対象であるのは、系統が傾倒した幹細胞、例えば、中胚葉幹細胞及び他の初期心原性細胞である(Reyes et al. (2001) Blood 98:2615-2625;Eisenberg & Bader (1996) CircRes. 78(2):205-16などを参照)。幹細胞は、任意の哺乳類種、例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、げっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、霊長類などから得ることができる。実施形態によっては、ヒト胚は、本明細書中開示されるとおりの方法及び組成物で使用される多能性細胞の原料にするために破壊されていなかった。
ES細胞は、特定の分化系統に傾倒していない場合に、未分化であるとみなされる。そのような細胞は、当該細胞を胚または成人起源の分化細胞と区別する形態学的特徴を呈する。未分化ES細胞は、当業者には容易に認識され、典型的には、二次元の顕微鏡の視界において、高い核/細胞質比を持ち核小体が顕著である細胞のコロニー中に出現する。未分化ES細胞は、未分化細胞の存在を検出するマーカーとして利用可能な遺伝子を発現し、当該遺伝子のポリペプチド産物は、陰性選択用マーカーとして利用可能である。例えば、米国出願番号第2003/0224411 A1号;Bhattacharya (2004) Blood 103(8):2956-64;及びThomson (1998)、既出、を参照、これらはそれぞれ、本明細書中参照として援用される。ヒトES細胞株は、未分化非ヒト霊長類ES細胞及びヒトEC細胞を特徴付ける細胞表面マーカーを発現し、そのようなマーカーとして、段階特異的胚性抗原(SSEA)-3、SSEA-4、TRA-1-60、TRA-1-81、及びアルカリホスファターゼが挙げられる。グロボ系列糖脂質GL7は、SSEA-4エピトープを保有しており、シアル酸がグロボ系列糖脂質GbSに付加することにより形成され、GbSは、SSEA-3エピトープを保有する。すなわち、GL7は、SSEA-3及びSSEA-4対する抗体両方と反応する。未分化ヒトES細胞株は、SSEA-1用の染色で染色されなかったが、分化細胞は、SSEA-I用の染色で強力に染色された。未分化形態でhES細胞を増殖させる方法は、WO 99/20741、WO 01/51616、及びWO 03/020920に記載されている。
内皮、筋肉、及び/または神経幹細胞の適切な供給源由来の細胞混合物は、当該分野で既知である方法により、哺乳類ドナーから収集可能である。適切な供給源は、造血微小環境である。例えば、循環末梢血、好ましくは動態化(すなわち、補充)されたものを、対象から取り出すことができる。あるいは、骨髄を、自家移植を受けているヒト患者などの哺乳類から得ることができる。実施形態によっては、幹細胞は、例えば、Cytori製のCELUTION(商標)SYSTEMを用いて、米国特許第7,390,484号及び同第7,429,488号に記載されるとおり、対象の脂肪組織から得ることができ、米国特許第7,390,484号及び同第7,429,488号は、本明細書中そのまま全体が参照として援用される。
実施形態によっては、ヒト臍帯血球細胞(HUCBC)が、本明細書中開示されるとおりの方法において有用である。ヒトUBC細胞は、造血系及び間葉系前駆細胞の豊かな供給原として認識される(Broxmeyer et al.,1992 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4109-4113)。以前は、臍帯及び胎盤血は、廃棄物とみなされ、通常は、乳児の誕生時に廃棄された。臍帯血球細胞は、移植可能な幹細胞及び前駆細胞の供給源として、ならびに悪性疾患(すなわち急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、及び神経芽腫)及び非悪性疾患、例えば、ファンコニー貧血及び再生不良性貧血などの治療用の骨髄再増殖細胞の供給源として、使用される(Kohli-Kumar et al.,1993 Br.J. Haematol. 85:419-422;Wagner et al.,1992 Blood 79;1874-1881;Lu et al.,1996 Crit. Rev. Oncol. Hematol 22:61-78;Lu et al.,1995 Cell Transplantation 4:493-503)。HUCBCの際立った優位性は、当該細胞の未熟な免疫性が、胎児細胞のものと非常に類似していることであり、このことが、宿主による拒絶のリスクを顕著に低下させる(Taylor & Bryson,1985 J. Immunol. 134:1493-1497)。ヒト臍帯血は、間葉系及び造血系前駆細胞、ならびに組織培養で増殖可能な内皮細胞前駆体を含有している(Broxmeyer et al.,1992 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4109-4113;Kohli-Kumar et al.,1993 Br. J. Haematol. 85:419-422;Wagner et al.,1992 Blood 79;1874-1881;Lu et al.,1996 Crit. Rev. Oncol. Hematol 22:61-78;Lu et al.,1995 Cell Transplantation 4:493-503;Taylor & Bryson,1985 J. Immunol.134:1493-1497;Broxmeyer,1995 Transfusion 35:694-702;Chen et al.,2001 Stroke 32:2682-2688;Nieda et al.,1997 Br. J. Haematology 98:775-777;Erices et al.,2000 Br. J. Haematology 109:235-242)。臍帯血中の造血系前駆細胞の全含有量は、骨髄と等しいかこれを上回り、さらに加えて、HUCBC中の高増殖性造血細胞は、骨髄中より8倍多く、造血マーカー、例えば、CD14、CD34、及びCD45を発現する(Sanchez-Ramos et al.,2001 Exp. Neur. 171:109-115;Bicknese et al.,2002 Cell Transplantation 11:261-264;Lu et al.,1993 J. ExpMed. 178:2089-2096)。
別の実施形態において、多能性細胞は、造血微小環境、例えば、循環末梢血中の細胞であり、好ましくは、哺乳類の末梢血、臍帯血、骨髄、胎児肝臓、または卵黄嚢の単核画分に由来するものである。幹細胞、特に神経幹細胞は、髄膜を含む中枢神経系に由来する場合もある。
別の実施形態において、多能性細胞は、ES細胞を短時間プロテアーゼ消化で収集し、未分化ヒトESCの小凝集塊を浮遊培養で増殖させることにより形成させた胚葉体中に存在する。分化は、条件培地の中止により誘導される。得られる胚葉体を、半固体基質上に播種する。分化細胞の形成は、約7日前後~約4週間前後の後に観察される可能性がある。幹細胞のin vitro培養物由来の生分化細胞を、胚葉体または類似の構造体を部分的に解離させることにより選択して、細胞凝集物を提供する。関心対象の細胞を含む凝集物を、凝集物中の細胞対細胞接触を実質的に維持する方法を用いて、表現型特徴に関して選択する。
代替実施形態において、幹細胞は、初期化された幹細胞、例えば、体細胞性または分化細胞に由来する幹細胞が可能である。そのような実施形態において、脱分化幹細胞は、例えば、新生物細胞、腫瘍細胞、及びがん細胞、または代替として、誘導された初期化細胞、例えば、誘導多能性幹細胞またはiPS細胞が可能であるが、これらに限定されない。
クローン化及び細胞培養
本明細書中記載される技法で利用可能な分子遺伝学及び遺伝子工学の例示的方法は、例えば、現行版のMolecular Cloning: A Laboratory Manual, (Sambrook et al., Cold Spring Harbor), Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (Miller & Calos eds.)、及びCurrent Protocols in Molecular Biology (F. M. Ausubel et al. eds., Wiley & Sons)で見つけることができる。細胞生物学、タンパク質化学、及び抗体技法については、例えば、Current Protocols in Protein Science (J. E. Colligan et al. eds., Wiley & Sons)、Current Protocols in Cell Biology (J. S. Bonifacino et al., Wiley & Sons)、及びCurrent protocols in Immunology (J. E. Colligan et al. eds., Wiley & Sons.)で見つけることができる。例示の試薬、クローニングベクター、及び遺伝子操作用キットは、例えば、BioRad、Stratagene、Invitrogen、ClonTech、及びSigma-Aldrich Coから市販で入手可能である。
適切な細胞培養法は、例えば、現行版のCulture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique (R. I. Freshney ed., Wiley & Sons);General Techniques of Cell Culture (M. A. Harrison & I. F. Rae, Cambridge Univ. Press)、及びEmbryonic Stem Cells: Methods and Protocols (K. Turksen ed., Humana Press)で見つけることができる。適切な組織培養消耗品及び試薬は、例えば、Gibco/BRL、Nalgene-Nunc International、Sigma Chemical Co.、及びICN Biomedicalsから市販されている。
多能性幹細胞は、分化を促進することなく増殖を促進する培養条件を用いて、当業者により培養物中で継続的に増殖させることが可能である。血清含有ES培地の例は、80%のDMEM(例えば、ノックアウトDMEM、Gibco)、20%の規定ウシ胎児血清(FBS、Hyclone)もしくは血清代替物(WO 98/30679)いずれか、1%の非必須アミノ酸、1mMのL-グルタミン、及び0.1mMのβ-メルカプトエタノールで作られる。使用直前に、ヒトbFGFを加えて4ng/mLにする(WO 99/20741、Geron Corp.)。伝統的に、ES細胞は、フィーダー細胞、典型的には、胚性または胎児組織に由来する線維芽細胞の層上で培養される。
あるいは、多能性SCは、フィーダー細胞がない場合でさえ、未分化状態に維持することが可能である。フィーダーを含まない培養のための環境は、適切な培養基質、特にMATRIGEL(登録商標)(ゼラチン状タンパク質混合物)またはラミニンなどの細胞外基質を含む。典型的には、細胞が完全に分散する前に、酵素消化を停止させる(コラーゲン分解酵素IVを用いて約5分)。次いで、約10~2,000の細胞の凝集塊を、それ以上分散させることなく、基質上に直接播種する。
心筋細胞の生成
本開示の態様は、心筋細胞(例えば、成熟、静止心筋細胞)の生成に関する。概して、本明細書中開示される方法により生成した心筋細胞は、機能的に成熟した、静止心筋細胞の特徴を複数示し、そのような特徴として、電気的に成熟している(例えば、低下した自動能を呈する)、収縮性が成熟している、及び代謝的に成熟していることが挙げられるが、これらに限定されない。
心筋細胞は、幹細胞または多能性細胞を分化させて所望の分化段階にする任意の適切な培養プロトコルまたは一連の培養プロトコルにより生成させることができる。実施形態によっては、心筋細胞またはその前駆体は、少なくとも1種の多能性細胞を、その少なくとも1種の多能性細胞が分化して心筋細胞またはその前駆体になるのに適切な長さの時間及び条件下で培養することにより、生成する。実施形態によっては、心筋細胞は、未熟心筋細胞を老化期から静止期へと移行させ、それにより心筋細胞をより成熟させることにより、生成する。
実施形態によっては、心筋細胞は、心筋細胞の実質的に純粋な集団である。実施形態によっては、心筋細胞またはその前駆体の集団は、多能性細胞または分化細胞の混合物を含む。実施形態によっては、心筋細胞またはその前駆体の集団は、胚性幹細胞または多能性細胞またはiPS細胞を実質的に含まないまたは欠いている。
実施形態によっては、体細胞、例えば、線維芽細胞を、例えば、皮膚生検などの組織生検として、対象から単離し、さらなる分化のために初期化して誘導多能性幹細胞にし、本明細書中記載される組成物及び方法で使用するための心筋細胞またはその前駆体を生成させることができる。実施形態によっては、体細胞、例えば、線維芽細胞を、当業者に既知の方法により培養で維持し、実施形態によっては、増殖させてから、本明細書中開示される方法により心筋細胞へと変換する。
実施形態によっては、心筋細胞またはその前駆体を、当業者に既知の方法により培養で維持し、実施形態によっては、増殖させてから、本明細書中開示される方法により心筋細胞へと変換する。
さらに、心筋細胞またはその前駆体、例えば、未熟心筋細胞は、任意の哺乳類種に由来するものが可能であり、それらの限定ではなく例として、マウス、ウシ、サル、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヒト細胞が挙げられる。明確かつ簡潔にするため、本明細書中、方法の記載は、哺乳類の心筋細胞またはその前駆体に関してなされるが、当然のことながら、本明細書中記載される方法はすべて、他の細胞型の心筋細胞またはその前駆体に容易に応用可能である。実施形態によっては、心筋細胞またはその前駆体は、ヒト個体に由来する。
本開示の態様には、未熟、老化心筋細胞が関与する。本明細書中使用される未熟心筋細胞は、任意の供給源に由来するものでも、任意の適切なプロトコルに従って生成させたものでも可能である。態様によっては、多能性幹細胞、例えば、iPSCまたはhESCを、未熟心筋細胞へと分化させる。態様によっては、未熟心筋細胞を、さらに、成熟心筋細胞へと成熟させる。実施形態によっては、多能性幹細胞は、Lian et al. (Nat Protoc. 2012;8(1):162-175)に記載される分化プロトコルを用いて未熟心筋細胞へと分化しており、この文献は本明細書中参照として援用される。実施形態によっては、Lianに記載される分化プロトコルは、本明細書中記載されるとおりに修飾されている。実施形態によっては、多能性幹細胞を、1種または複数の小分子と接触させてWnt経路を操作し、それにより多能性幹細胞を未熟心筋細胞へと分化させる。態様によっては、1種または複数の小分子は、CHIR 99021及びIWP4からなる群より選択される。実施形態によっては、多能性幹細胞の集団を、第一Wnt経路修飾剤(例えば、CHIR 99021)と接触させ、次いで、第二Wnt経路修飾剤(例えば、IWP4)と接触させる。
本開示の態様には、心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)が関与する。本明細書中使用される心筋細胞は、任意の供給源に由来するものでも、任意の適切なプロトコルに従って生成させたものでも可能である。態様によっては、老化心筋細胞(例えば、未熟心筋細胞)を、静止心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)へと誘導する。細胞が静止状態にあることで、心筋細胞成熟を促進させる場合がある。態様によっては、未熟心筋細胞を誘導して、成熟心筋細胞へと成熟させる。
態様によっては、本開示は、心筋細胞に静止状態を誘導する(例えば、心筋細胞を静止期に移行させる)方法を提供する。ある特定の態様において、心筋細胞に静止状態を誘導することにより、心筋細胞の成熟が促進される。実施形態によっては、心筋細胞中の細胞周期レギュレーターの発現を上方制御することにより、心筋細胞を、静止期に移行させる。ある特定の実施形態において、心筋細胞中のp53の発現を上方制御することにより、心筋細胞を、静止期に移行させる。心筋細胞中のp53の発現は、心筋細胞をp53の活性化剤と接触させることにより、上方制御することができる。実施形態によっては、p53の活性化剤は、小分子である。ある特定の実施形態において、p53の活性化剤は、Torin1である。ある特定の実施形態において、p53の活性化剤は、Torin1ではない。ある特定の実施形態において、p53の活性化剤は、nutlin-3aである。実施形態によっては、p53の活性化剤は、2種以上の作用剤の組合せである。実施形態によっては、mTORシグナル伝達を阻害するとともにp53の発現を上方制御することにより、心筋細胞を、静止期に移行させる。実施形態によっては、p53の発現を上方制御するとともにmTORシグナル伝達は阻害しないことにより、心筋細胞を、静止期に移行させる。態様によっては、心筋細胞をmTORC1及びmTORC2の阻害剤と接触させることにより、心筋細胞中のmTORシグナル伝達を阻害することができる。実施形態によっては、mTORC1及びmTORC2の阻害剤は、Torin1である。実施形態によっては、mTORC1及びmTORC2の阻害剤は、Torin1ではない。ある特定の実施形態において、心筋細胞を単一作用剤と接触させることにより、p53発現は上方制御されるとともに、mTORシグナル伝達は阻害される。ある特定の実施形態において、単一作用剤は、Torin1である.他の実施形態において、単一作用剤は、Torin1ではない。
態様によっては、本開示は、未熟心筋細胞から成熟心筋細胞(例えば、電気的に成熟、収縮性の成熟、及び/または代謝的に成熟)を生成させる方法を提供し、本方法は、心筋細胞に静止状態を誘導する(すなわち、心筋細胞を静止期、すなわち、成熟段階に向かって移行させる)ことを含む。実施形態によっては、心筋細胞は、p53発現を上方制御することにより、静止期(例えば、成熟段階)に向かって移行させられる。心筋細胞は、未熟心筋細胞をp53の活性化剤(例えば、nutlin-3a)と接触させることにより、静止期に向かって移行させることができる。実施形態によっては、心筋細胞は、p53発現を上方制御するとともにmTORシグナル伝達を下方制御することにより、静止期(例えば、成熟段階)に向かって移行させられる。実施形態によっては、心筋細胞は、p53発現を上方制御するとともにmTORシグナル伝達を下方制御しないことにより、静止期に向かって移行させられる。実施形態によっては、心筋細胞は、未熟、老化心筋細胞をTorin1と接触させることにより、静止期に向かって移行させられる。実施形態によっては、心筋細胞は、未熟、老化心筋細胞をTorin1ではない作用剤と接触させることにより、静止期に向かって移行させられる。
態様によっては、本開示は、未熟心筋細胞から成熟心筋細胞(例えば、電気的に成熟、収縮性の成熟、及び/または代謝的に成熟)を生成させる方法を提供し、本方法は、未熟心筋細胞を含む細胞の集団を、p53活性化剤及びmTOR阻害剤を含む少なくとも1種の心筋細胞成熟因子と接触させ、集団中の少なくとも1種の未熟心筋細胞を成熟(例えば、in vitro成熟)に誘導することを含む。実施形態によっては、未熟心筋細胞を含む細胞の集団を、少なくとも1種の心筋細胞成熟因子(例えば、p53活性化剤及びmTOR阻害剤)と接触させる。態様によっては、p53発現がmTOR阻害と合わせて上方制御されることにより、幹細胞由来の心筋細胞がより成熟する。
本開示は、未熟心筋細胞が老化期から静止期へと移行する(例えば、心筋細胞へと分化及び/または成熟する(例えば、単独でまたは別の心筋細胞成熟因子(例えば、mTOR阻害剤)と併用して))のを促進する任意のp53活性化剤の使用を企図する。実施形態によっては、p53活性化剤は、p53発現の上方制御因子である。p53の上方制御は、合計p53及びホスホリル化p53タンパク質の増加を含む場合がある。p53活性化剤または上方制御因子の例として、小分子、核酸、アミノ酸、代謝産物、ポリペプチド、抗体及び抗体様分子、アプタマー、大環状分子、ならびに他の分子が挙げられる。態様によっては、p53の上方制御因子は、nutlin-3aである。態様によっては、p53の上方制御因子は、Torin1である。態様によっては、p53の上方制御因子は、Torin1ではない作用剤である。態様によっては、p53の上方制御因子は、mTOR阻害剤ではない作用剤である。態様によっては、p53の上方制御因子は、nutlin-3aとTorin1の組合せである。
態様によっては、本開示は、未熟心筋細胞から成熟心筋細胞(例えば、電気的に成熟、収縮性の成熟、及び/または代謝的に成熟)を生成する方法を提供し、本方法は、未熟心筋細胞を含む細胞の集団を、mTOR阻害剤を含む少なくとも1種の心筋細胞成熟因子と接触させ、集団中の少なくとも1種の未熟心筋細胞を心筋細胞への成熟(例えば、in vitro成熟)に誘導することを含む。実施形態によっては、未熟心筋細胞を含む細胞の集団を、少なくとも1種の心筋細胞成熟因子(例えば、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤、またはAkt阻害剤)と接触させる。態様によっては、PI3K/Akt/mTOR経路が操作される(例えば、阻害される)ことにより、幹細胞由来の心筋細胞がより成熟する。
本開示は、未熟心筋細胞が、心筋細胞へと分化及び/または成熟するのを促進する任意のmTOR阻害剤の使用(例えば、単独でまたは別の心筋細胞成熟因子(例えば、p53上方制御因子)と併用して))を企図する。実施形態によっては、mTORは、mTORC1及び/またはmTORC2を含む。実施形態によっては、mTOR阻害剤は、mTORC1及び/またはmTORC2の阻害剤である。実施形態によっては、mTOR阻害剤は、4E-BP1のリン酸化を阻害する。4E-BP1のリン酸化を阻害することで、酸化的リン酸化経路の調節に影響を及ぼすことができる。4E-BP1のリン酸化を阻害することにより、p21が分解され、それによりp53を上方制御することができる。酸化的リン酸化経路の修飾剤の限定ではなく例として、4EGI-1、JR-AB2-011(mTORC2阻害剤)、AICAR(AMPK活性化剤)、メトホルミン(AMPK活性化剤かつmTORC1/2阻害剤)、及びHLM006474(E2F阻害剤)が挙げられる。実施形態によっては、mTOR阻害剤は、4E-BP1及びリボソームタンパク質S6のリン酸化を阻害する。実施形態によっては、mTOR阻害剤は、Torin1、Torin2、ラパマイシン、エベロリムス、及び/またはテムシロリムスを含む。ある特定の実施形態において、未熟心筋細胞を含む細胞の集団を、Torin1と接触させ、集団中の少なくとも1種の未熟心筋細胞を心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)への成熟に誘導する。実施形態によっては、未熟心筋細胞を含む細胞の集団をTorin2と接触させ、集団中の少なくとも1種の未熟心筋細胞を心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)への成熟に誘導する。
実施形態によっては、接触は、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体を、1種または複数の心筋細胞成熟因子を含む培養培地中に維持することにより行うことができる。実施形態によっては、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体は、遺伝子操作されたものであることが可能である。実施形態によっては、少なくとも少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体は、本明細書中開示されるとおり1種または複数の心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)マーカーを発現するように、例えば、TNNI3、KCNJ2、REST/NRSF、Ryr、及びSCN5aから選択される少なくとも1種のポリペプチド、またはそれらと実質的に相同であるアミノ酸配列、またはそれらの機能的断片もしくは機能的バリアントを発現するように遺伝子操作されたものであることが可能である。
未熟心筋細胞またはその前駆体がin vitro条件下に維持される場合、従来の組織培養条件及び方法を使用することができ、それらは当業者に既知である。様々な細胞に関する単離及び培養方法は、十分に当業者の能力の範囲内にある。
本開示の方法において、少なくとも1個の心筋細胞またはその前駆体は、概して、標準条件の温度、pH、及び他の環境条件下で培養することができ、例えば、付着細胞であれば、5~10%のCOを含有する雰囲気下、組織培養プレート中、37℃である。細胞及び/または培養培地は、本明細書中記載されるとおりの心筋細胞への変換を達成するように適切に修飾される。
ある特定の例において、心筋細胞成熟因子を使用して、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体を、有効量の本明細書中記載される心筋細胞成熟因子に曝露または接触させて、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体を少なくとも1個の心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)へと分化させることにより、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体の分化を誘導することができる。
したがって、本明細書中含まれるのは、本明細書中記載される方法により作成された細胞及び組成物である。心筋細胞成熟因子の正確な量及び種類は、未熟心筋細胞またはその前駆体の個数、所望の分化段階、及び実行済みの先行分化段階の数に応じて変化する可能性がある。
ある特定の例において、心筋細胞成熟因子は、有効量で存在する。本明細書中使用される場合、「有効量」は、未熟心筋細胞またはその前駆体の集団中の細胞の少なくとも10%または少なくとも20%または少なくとも30%を心筋細胞へと分化させるために存在しなければならない化合物量を示す。
さらなる例において、心筋細胞成熟因子は、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体の培養培地中に存在することが可能であり、そうでなければ、心筋細胞成熟因子は、成長のある段階中に、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体に加えることができる。
実施形態によっては、未熟心筋細胞が拍動を開始した後に、未熟心筋細胞を心筋細胞成熟因子(例えば、mTOR阻害剤及び/またはp53上方制御因子)と接触させる。態様によっては、未熟心筋細胞は、1~5日間、1~4日間、1~3日間、1~2日間、1日間、2日間、3日間、4日間、または5日間の期間拍動してから、心筋細胞成熟因子と接触させられる。態様によっては、未熟心筋細胞は、1~40日間、2~35日間、3~30日間、4~25日間、5~20日間、7~35日間、14~30日間、または21~28日間の期間拍動してから、心筋細胞成熟因子と接触させられる。態様によっては、未熟心筋細胞が拍動を開始しなかった場合には、未熟心筋細胞を心筋細胞成熟因子(例えば、mTOR阻害剤及び/またはp53上方制御因子)と接触させない。
実施形態によっては、未熟心筋細胞がトロポニンT(TNNT2)及びミオシン重鎖6(MYH6)の発現を開始した後に、未熟心筋細胞を心筋細胞成熟因子(例えば、mTOR阻害剤及び/またはp53上方制御因子)と接触させる。実施形態によっては、未熟心筋細胞がトロポニンT(TNNT2)、トロポニンI(TNNI3)、ミオシン重鎖6(MYH6)、及びミオシン重鎖7(MYH7)の発現を開始した後に、未熟心筋細胞を心筋細胞成熟因子(例えば、mTOR阻害剤及び/またはp53上方制御因子)と接触させる。
少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体がin vitro条件下に維持される場合、従来の組織培養条件及び方法を使用することができ、それらは当業者に既知である。様々な細胞に関する単離及び培養方法は、十分に当業者の能力の範囲内にある。
態様によっては、多能性幹細胞を、RPMI+B27中で培養し、分化プロトコルの0日目にGSK3阻害剤/WNT活性化剤(例えば、CHIR 99021)と接触させる。プロトコルの2日目、WNT活性化剤(例えば、CHIR 99021)を除去する。プロトコルの3日目、WNT阻害剤(例えば、IWP4)を加え、5日目にWNT阻害剤(例えば、IWP4)を除去する。7日目、インスリンを培養物に加え、2~3日ごとに培地を交換する。11日目、mTOR阻害剤(例えば、Torin1)を加え、18日目になるまで、培地中に維持する。分化プロトコルの完了時、成熟心筋細胞が、培養培地から得られる。
態様によっては、多能性幹細胞を、RPMI+B27中で培養し、分化プロトコルの0~2日目、GSK3阻害剤/WNT活性化剤(例えば、CHIR 99021)と接触させる。プロトコルの2~4日目、WNT阻害剤(例えば、IWP4)を加える。7日目、インスリンを培養物に加え、2~3日ごとに培地を交換する。拍動したら、心筋細胞をTorin1で処理した。Torin1処理は、拍動の開始の約2日後から始めて7日間の期間にわたった。Torin1処理が完了したら、培地をRPMI/B27/インスリンに戻し、培地を2~3日ごとに交換して維持した。分化プロトコルの完了時、成熟心筋細胞が、培養培地から得られる。
実施形態によっては、未熟心筋細胞またはその前駆体から心筋細胞を得る分化プロトコルは、二次元の培養系で行われる。実施形態によっては、未熟心筋細胞またはその前駆体から心筋細胞を得る分化プロトコルは、三次元の培養系で行われる(例えば、3Dバイオリアクター系を用いる)。
本開示の態様には、形態及び機能において内在性成熟心筋細胞に似ているが、それにも関わらず天然の心筋細胞とは異なる、心筋細胞の生成が関与する。実施形態によっては、心筋細胞の形態は、内在性心筋細胞の形態に似ている。実施形態によっては、心筋細胞は、静止している。実施形態によっては、心筋細胞は、静止状態マーカー(例えば、p16及びp130)の発現の増加を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、増殖マーカー(例えば、サイクリンC1、E2F1、及びKi67)の発現の増加を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、阻害剤E2F因子(例えば、E2F3b-8)の発現の増加を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、刺激性E2F因子(例えば、E2F1-3a)の発現の減少を呈する。
実施形態によっては、心筋細胞は、成熟している。実施形態によっては、心筋細胞は、サルコメアタンパク質(例えば、TNNT2、TNNI3、MYH6、及び/またはMYH7)の発現の増加を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、胎児または未熟心筋細胞と比べた場合に拍動数の減少を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、イオンチャネル(例えば、KCNJ2、HCN4、SCN5a、RYR2、CACNA1c、及び/またはSERCA2a(ATP2a2))の発現の増加を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、脳性ナトリウム利尿ペプチドの発現の増加を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、核転写因子(例えば、REST/NRSF、GATA4、TBX20、BRG1、YAP、ERBB2、PITX2、MEIS1、ATA4、Nkx2-5、TBX5、NFAT、TEAD、HAND、CHF1、FoxO3/FoxO4、CHF1/Hey2、CHF1/Hey2、FoxO1、Mef2C、SRF、p53、NFkB、及びそれらの組合せ)の発現の増加を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、酸化的リン酸化経路のレギュレーター(例えば、PGC1-alpha)の発現の増加を呈する。
本開示の方法を用いた、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体の変換または成熟による心筋細胞の生成は、多数の利点を有する。第一に、本開示の方法は、自家心筋細胞の生成を可能にする。自家心筋細胞は、個体に対して特異的であり、当該個体と遺伝的に一致する細胞である。一般に、自家細胞は、免疫拒絶の対象となる可能性が、非自家細胞よりも低い。細胞は、個体由来の体細胞(例えば、線維芽細胞)を初期化して多能性状態を誘導し、次いで多能性細胞を培養して多能性細胞の少なくとも一部を少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体へと分化させ、続いて少なくとも1種の未熟心筋細胞から心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)へのin vitroでの成熟を誘導することにより得られる、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体、例えば、心筋前駆細胞に、由来する。
実施形態によっては、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体を得る元となる対象は、哺乳類対象、例えば、ヒト対象である。実施形態によっては、対象は、心臓障害に罹患している。実施形態によっては、対象は、慢性心不全に罹患している。実施形態によっては、対象は、心室性不整脈に罹患している。そのような実施形態において、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体を、本明細書中記載されるとおりの方法により、ex vivoで心筋細胞へと分化させることができ、次いで、対象の心臓障害(例えば、心不全)を治療する方法において、細胞を収集した元である対象に、投与することができる。
実施形態によっては、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体は、対象内に位置しており(in vivo)、in vivoで、本明細書中開示されるとおりの方法により変換されて心筋細胞になる。実施形態によっては、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体から心筋細胞へのin vivoでの変換は、対象に、本明細書中記載されるとおりの心筋細胞成熟因子を少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、またはそれ以上含む組成物を投与することにより、達成可能である。実施形態によっては、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体から心筋細胞へのin vivoでの変換は、対象に、本明細書中記載されるとおりの心筋細胞成熟因子を少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種含む組成物を投与することにより、達成可能である。
心筋細胞
実施形態によっては、本開示は、成熟心筋細胞を提供する。本明細書中開示される心筋細胞は、天然心筋細胞と多くの目立った特徴を共有しているが、ある特定の態様(例えば、遺伝子発現プロファイル)において異なっている。実施形態によっては、心筋細胞は、非天然であるか、天然に生じないものである。本明細書中使用される場合、「非天然の」または「天然に生じない」は、心筋細胞が、ある特定の態様において、自然に存在する心筋細胞、すなわち、天然の心筋細胞とは顕著に異なることを意味する。しかしながら、認められるべきであることは、そのような顕著な差異が、典型的には、ある特定の機能的差異を呈する心筋細胞をもたらす可能性のある構造的特徴に関連するものであり、例えば、心筋細胞の遺伝子発現パターンが天然の心筋細胞とは異なっていたとしても、当該心筋細胞は挙動が天然の心筋細胞と類似の様式をしており、ただし、ある特定機能が、天然の心筋細胞に比べて変化している(例えば、改善されている)場合がある。
本開示の心筋細胞は、天然の心筋細胞と、正常な心筋細胞機能にとって重要である特有の特徴を多数共有する。成熟心筋細胞の特徴は、Yang et al. Circ. Res. 2014;114(3):511-23に記載されている。
実施形態によっては、心筋細胞は、静止している。実施形態によっては、心筋細胞は、静止期の代謝活性及び転写活性を保持する。実施形態によっては、静止期は、心筋細胞の成熟を促進する。実施形態によっては、心筋細胞は、p16及びp130を含むある特定の静止マーカーを発現する、またはそのレベルを上昇させて(すなわち、対照と比べて)発現する。実施形態によっては、心筋細胞は、Ki67、サイクリンC1、及びE2F1などの増殖マーカーを発現しない、またはそのレベルを低下させて(すなわち、対照と比べて)発現する。実施形態によっては、心筋細胞は、阻害性E2F因子(例えば、E2F3b、E2F4、E2F5、E2F6、E2F7、及びE2F8)の発現の増加を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、刺激性E2F因子(例えば、E2F1、E2F2、及びE2F3)の発現の減少を呈する。
実施形態によっては、心筋細胞は、電気的に成熟した心筋細胞である。実施形態によっては、心筋細胞は、自動能の低下を呈する。天然の成熟成人ヒト心筋細胞は、自然には、毎分20~30拍で拍動する。態様によっては、本明細書中記載される心筋細胞は、より遅い固有拍動数を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、毎分15~35拍、毎分15~20拍、または毎分30~35拍で拍動する。より遅い固有拍動数は、自動能の低下を示唆している場合があり、自動能の低下した(すなわち、自発的な拍動の駆動が減少した)心筋細胞は、細胞療法において、不整脈のリスクを低下させる可能性がある。
実施形態によっては、心筋細胞は、収縮性が成熟した心筋細胞である。実施形態によっては、心筋細胞は、収縮性タンパク質(例えば、サルコメア収縮性タンパク質)のRNA及びタンパク質発現の増加を呈する(すなわち、未熟心筋細胞と比べた場合)。態様によっては、心筋細胞は、心筋トロポニンT(TNNT2)、心筋トロポニンI(TNNI3)、ミオシン重鎖タンパク質6(MYH6)、及びミオシン重鎖タンパク質7(MYH7)のうち少なくとも1種のRNA及びタンパク質発現の増加を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、用量依存的様式でタンパク質のRNA発現の増加を呈する(例えば、未熟心筋細胞をmTOR阻害剤で処理する際)。1種または複数のサルコメアタンパク質の発現の増加は、心筋細胞の収縮性を向上させる可能性がある。態様によっては、心筋細胞は、TNNI3の全含有量または量の増加を呈し、態様によっては遅骨格筋型のTNNI3に比べてTNNI3含有量または量の増加を呈する。態様によっては、心筋細胞は、MYH6含有量またはタンパク質に比べてMYH7含有量またはタンパク質の増加を呈する(例えば、ヒトにおいて)。実施形態によっては、心筋細胞でのTNNI3発現は、未熟心筋細胞と比べた場合に、ほぼ5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、または15倍増加する。態様によっては、心筋細胞の収縮性は、細胞運動を測定する(例えば、1種または複数の画像化法を用いる)ことにより測定することができる。心筋細胞収縮に合わせて屈曲する軟基材を1種または複数の画像化法と共に用いて、収縮性を数量化することができる。態様によっては、心筋細胞は、未熟心筋細胞と比べた場合に、上昇した収縮性を有する。
実施形態によっては、心筋細胞は、代謝的に成熟した心筋細胞である。態様によっては、心筋細胞は、未熟心筋細胞と比べた場合に、上昇した代謝活性を有する。実施形態によっては、心筋細胞は、未熟心筋細胞と比べた場合に、上昇した酸素消費量及び/または細胞外酸性化速度を有する。代謝的成熟度は、Seahorseミトストレス代謝アッセイ(Agilent)を用いて数量化することができる。このアッセイを用いて、ミトコンドリア機能に影響を及ぼす1種または複数の化合物(例えば、小分子化合物)に反応した酸素消費速度及び細胞外酸性化速度を測定することができる。
実施形態によっては、心筋細胞は、内在性成熟心筋細胞の形態に似た形態を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、桿状細胞を形成する。実施形態によっては、心筋細胞は、組織化サルコメア構造を呈する。態様によっては、平均サルコメア長は、1.0~4.0μm、1.5~3.5μm、または2.0~3.0μmである。態様によっては、平均サルコメア長は、約1.5μm、1.6μm、1.7μm、1.8μm、1.9μm、2.0μm、2.1μm、2.2μm、2.3μm、2.4μm、2.5μm、2.6μm、2.7μm、2.8μm、2.9μm、または3.0μmである。
態様によっては、心筋細胞は、成熟イオンチャネル発現プロファイルを呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、イオンチャネル発現の増加を呈する(すなわち、未熟心筋細胞に比べて)。イオンチャネル発現は、KCNJ2、HCN4、SCN5a、RYR2、CACNA1c、またはSERCA2a(ATP2a2)のうち1種または複数に関して増加する場合がある。態様によっては、心筋細胞でのKCNJ2発現は、用量依存的様式で(例えば、未熟心筋細胞をmTOR阻害剤で処理した際)増加する。実施形態によっては、心筋細胞は、SCN5a、KCNJ2、及びRYR2の発現の増加を呈する(すなわち、未熟心筋細胞に比べて)。実施形態によっては、心筋細胞の静止膜電位は、-70~-150mV、-75~-125mV、-80~-100mV、または-85~-95mVの範囲内にある。実施形態によっては、心筋細胞の静止膜電位は、約-85mV、-86mV、-87mV、-88mV、-89mV、-90mV、-91mV、-92mV、-93mV、-94mV、または-95mVである。実施形態によっては、心筋細胞の立ち上がり速度は、150~350V/秒、175~325V/秒、200~300V/秒、または225~275V/秒の範囲内にある。実施形態によっては、心筋細胞の立ち上がり速度は、約200V/秒、210V/秒、220V/秒、230V/秒、240V/秒、250V/秒、260V/秒、270V/秒、280V/秒、290V/秒、または300V/秒である。
実施形態によっては、心筋細胞は、転写因子(例えば、核転写因子)の発現の増加を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、1種または複数の転写因子の発現の増加を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、核転写因子であるリプレッサー配列-1サイレンシング転写因子(repressor element-1 silencing transcription factor、REST)の発現の増加を呈する(すなわち、未熟心筋細胞に比べて)。RESTは、神経特異的サイレンサー因子としても知られる。態様によっては、RESTの発現は、HCN4の発現を抑制する。実施形態によっては、心筋細胞は、RESTの発現の増加を、用量依存的様式で(例えば、未熟心筋細胞をmTOR阻害剤で処理した際)呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、REST/NRSF、GATA4、TBX20、BRG1、YAP、ERBB2、PITX2、MEIS1、ATA4、Nkx2-5、TBX5、NFAT、TEAD、HAND、CHF1、FoxO3/FoxO4、CHF1/Hey2、CHF1/Hey2、FoxO1、Mef2C、SRF、p53、NFkB、及びそれらの組合せからなる群より選択される転写因子の発現の増加を呈する。
実施形態によっては、心筋細胞は、酸化的リン酸化経路のレギュレーターの発現の増加を呈する(すなわち、未熟心筋細胞と比べた場合)。実施形態によっては、心筋細胞は、酸化的リン酸化経路のレギュレーターPGC1-アルファ(PPARGC1a)の発現の増加を呈する。成熟心筋細胞は、エネルギーの抽出を解糖から酸化的リン酸化に切り替える。PGC1アルファの上方制御は、酸化的リン酸化に関連する経路を促進する可能性がある。実施形態によっては、代謝は、脂肪酸、例えば、脂肪酸β-酸化から優先的に生じる(例えば、解糖の代わりに)。
実施形態によっては、心筋細胞は、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の発現の増加を呈する(すなわち、未熟心筋細胞と比べた場合)。実施形態によっては、心筋細胞は、ナトリウム利尿ペプチドB(NPPB))の発現の増加を呈する。
実施形態によっては、心筋細胞は、ミトコンドリア含有量の増加を呈する(すなわち、未熟心筋細胞と比べた場合)。例えば、心筋細胞は、ミトコンドリア長の増大及びミトコンドリア膜電位の上昇を有する場合がある。実施形態によっては、ミトコンドリアは、体積で心筋細胞の約5~70%、10~60%、15~50%、または20~40%を占める。態様によっては、ミトコンドリアは、結晶様格子パターンで心筋細胞全体にわたり分布している。
実施形態によっては、心筋細胞は、約0.15~2.5メートル/秒、0.2~2.0メートル/秒、0.25~1.5メートル/秒、または0.3~1.0メートル/秒の伝導速度を有する。実施形態によっては、心筋細胞は、約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0メートル/秒の伝導速度を有する。
実施形態によっては、心筋細胞は、TNNT2、TNNI3、MYH7、MYH6、KCNJ2、HCN4、SCN5a、RYR2、CACNA1c、SERCA2a(ATP2a2)、NPPB(BNP)、REST、及びPPARGC1a(PGC1a)からなる群より選択される内在性成熟心筋細胞の少なくとも1種のマーカー特徴を呈する。実施形態によっては、心筋細胞は、TNNT2、TNNI3、KCNJ2、REST、RyR、及びSCN5aからなる群より選択される内在性成熟心筋細胞の少なくとも1種のマーカー特徴を呈する。
本発明は、心筋細胞の由来元となる出発細胞により制限されることを意図しないとおり、心筋細胞は、任意の出発細胞からin vitroで分化する。出発細胞の例として、特に制限なく、未熟心筋細胞またはその任意の前駆体、例えば、心臓前駆細胞、多能性幹細胞、胚性幹細胞、及び誘導多能性幹細胞が挙げられる。実施形態によっては、心筋細胞は、初期化細胞、部分初期化細胞(すなわち、体細胞、例えば、誘導された多能性細胞と当該細胞の由来元である体細胞の間の中間状態に存在するように部分初期化された線維芽細胞)、または分化転換細胞からin vitroで分化する。実施形態によっては、本明細書中開示される心筋細胞は、未熟心筋細胞またはその前駆体からin vitroで分化することができる。実施形態によっては、心筋細胞は、未熟心筋細胞、心臓前駆細胞、及び多能性幹細胞からなる群より選択される前駆体からin vitroで分化する。実施形態によっては、多能性幹細胞は、胚性幹細胞及び誘導多能性幹細胞からなる群より選択される。実施形態によっては、心筋細胞または心筋細胞の由来元である多能性幹細胞は、ヒトのものである。実施形態によっては、心筋細胞は、ヒトのものである。
実施形態によっては、心筋細胞は、遺伝子修飾されていない。実施形態によっては、心筋細胞は、細胞の遺伝子修飾の不在下で天然心筋細胞と共通する特徴を獲得している。実施形態によっては、心筋細胞は、遺伝子修飾される。
態様によっては、本開示は、本明細書中記載される心筋細胞を含む細胞株を提供する。実施形態によっては、心筋細胞は、凍結、解凍、及び継代することが可能である。心筋細胞は、顕著な形態学的変化を伴わずに、少なくとも5回継代することができる。
本開示の態様は、本明細書中記載される方法により生成した心筋細胞の単離集団に関する。実施形態によっては、心筋細胞集団は、少なくとも1種の未熟心筋細胞を本明細書中記載される少なくとも1種の心筋細胞成熟因子と接触させることにより生成される。
本開示の態様には、本明細書中記載される細胞(例えば、心筋細胞)の単離集団を含むマイクロカプセルが関与する。マイクロカプセルは、当該分野で周知である。マイクロカプセルの適切な例は、文献に記載されている(例えば、Orive et al., ‘‘Application of cell encapsulation for controlled delivery of biological therapeutics’’, Advanced Drug Delivery Reviews (2013), dx.doi.org/10.1016/j.addr.2013.07.009;Hernandez et al., ‘‘Microcapsules and microcarriers for in situ cell delivery’’, Advanced Drug Delivery Reviews 2010;62:711-730;Murua et al., ‘‘Cell microencapsulation technology: Towards clinical application’’, Journal of Controlled Release 2008;132:76-83;及びZanin et al., ‘‘The development of encapsulated cell technologies as therapies for neurological and sensory diseases’’, Journal of Controlled Release 2012;160:3-13)。マイクロカプセルは、様々なやり方で製剤化することができる。例示のマイクロカプセルは、アルギン酸芯がポリカチオン層で取り囲まれており、さらに外側アルギン酸膜で覆われて、構成されている。ポリカチオン膜は、半透性膜を形成し、これにより安定性及び生体適合性を付与する。ポリカチオンの例として、特に制限なく、ポリ-L-リシン、ポリ-L-オルニチン、キトサン、ラクトース修飾キトサン、及び光重合生体材料が挙げられる。実施形態によっては、アルギン酸芯は、例えば、RGD配列(アルギニン、グリシン、アスパラギン酸)でオリゴペプチドと共役結合しているアルギン酸芯を含む足場を生成するように、修飾される。実施形態によっては、アルギン酸芯は、例えば、安定性の向上した化学酵素的改変アルギン酸を有する共有結合で強化されたマイクロカプセルを生成するように、修飾される。実施形態によっては、アルギン酸芯は、例えば、アクリレート官能基導入リン脂質のin-situ重合により組み立てられた膜模倣フィルムを生成するように、修飾される。実施形態によっては、マイクロカプセルは、エピメラーゼを用いて酵素修飾されたアルギン酸で構成される。実施形態によっては、マイクロカプセルは、マイクロカプセル膜の隣接する層間に共有結合を有する。実施形態によっては、マイクロカプセルは、フェノール部分とカップリングしたアルギン酸を含むサブシーブ(subsieve)寸法のカプセルを含む。実施形態によっては、マイクロカプセルは、アルギン酸-アガロースを含む足場を含む。実施形態によっては、心筋細胞は、PEGで修飾されてから、アルギン酸内に封入される。実施形態によっては、細胞、例えば、心筋細胞の単離集団は、光反応性リポソーム及びアルギン酸に封入される。認められるべきであろうが、マイクロカプセルに使用されるアルギン酸化合物は、他の適切な生体材料で置き換えることができ、そのような材料として、特に制限なく、PEG、キトサン、PES中空繊維、コラーゲン、ヒアルロン酸、RGDを持つデキストラン、EHDとPEGDA、PMBVとPVA、PGSAS、アガロース、ゼラチンを持つアガロース、PLGA、及びそれらによる多層構造実施形態が挙げられる。
実施形態によっては、本明細書中記載される方法により生成した心筋細胞の集団を含む組成物は、医療装置の機能要素としても使用可能である。例えば、装置は、心筋細胞(例えば、未熟心筋細胞またはその前駆体の集団から生成したもの)の集団を、細胞集団の通行を阻止する半透性膜の背後に収容することができ、これにより細胞集団は装置中に保持される。装置の他の例として、心臓系患者への移植、または体外式療法いずれかを企図するものが挙げられる。
本開示の態様には、本明細書中記載される心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)の単離集団を含むアッセイが関与する。実施形態によっては、アッセイは、成熟心筋細胞の運命を促進または阻害する1種または複数の作用剤候補を同定するために使用可能である。実施形態によっては、アッセイは、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体が心筋細胞へと分化するのを促進する1種または複数の作用剤候補を同定するために使用可能である。実施形態によっては、アッセイは、老化期にある未熟心筋細胞から静止期にある成熟心筋細胞への移行を促進する1種または複数の作用剤候補を同定するために使用可能である。
本開示は、心筋細胞が、疾患(例えば、心不全、または心臓関連障害)に罹患している個体から抽出もしくは単離された細胞に由来するiPS細胞から、本明細書中記載される方法により生成したものであり、当該心筋細胞を、当該疾患ではない健康な個体由来の正常心筋細胞と比較して、疾患のマーカー(例えば、エピジェネティック及び/または遺伝子マーカー)として利用できる可能性のある、当該心筋細胞と正常心筋細胞の間の違いを同定する方法を企図する。実施形態によっては、心筋細胞を、心不全に罹患している個体から得て、正常心筋細胞と比較し、次いで、心筋細胞を初期化してiPS細胞にし、iPS細胞を、心不全に罹患している個体から得られた心筋細胞には存在するが正常心筋細胞には存在しない遺伝子及び/またはエピジェネティックマーカーについて分析して、マーカーを同定する(例えば、心不全前症)。実施形態によっては、患者由来のiPS細胞及び/または心筋細胞は、作用剤(例えば、心不全表現型に寄与する遺伝子を調節することができる作用剤)のスクリーニングに使用される。
心筋細胞の存在の確認及び同定
老化心筋細胞の存在と比較しての静止心筋細胞の存在を確認するために、当業者に一般的に知られる任意の手段が利用可能である。心筋細胞、例えば、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体を本明細書中記載されるとおりの少なくとも1種の心筋細胞成熟因子に曝露させることにより分化させて生成させた成熟心筋細胞の存在を確認するために、当業者に一般的に知られる任意の手段が利用可能である。
実施形態によっては、静止マーカーの存在確認は、静止期を示す1種または複数のマーカーの有無を検出することにより、行うことができる。実施形態によっては、本方法は、静止状態マーカーp16及び/またはp130の陽性発現を検出することを含むことができる。実施形態によっては、本方法は、増殖マーカーKi67、サイクリンC1、及び/またはE2Fの陰性発現を検出することを含むことができる。
実施形態によっては、心筋細胞マーカー、例えば化学誘導された心筋細胞の存在確認は、内在性心筋細胞を示す1種または複数のマーカーの有無を検出することにより、行うことができる。実施形態によっては、本方法は、心筋細胞のマーカーの陽性発現(例えば、存在)を検出することを含むことができる。実施形態によっては、本方法は、サルコメアタンパク質(例えば、心筋トロポニンT(TNNT2)、心筋トロポニンI(TNNI3)、ミオシン重鎖タンパク質6(MYH6)、及びミオシン重鎖タンパク質7(MYH7)のうち1種または複数の陽性発現を検出することを含むことができる。実施形態によっては、本方法は、1種または複数のイオンチャネル(例えば、KCNJ2、HCN4、SCN5a、RYR2、CACNA1c、及びSERCA2a(ATP2a2))の陽性発現を検出することを含むことができる。実施形態によっては、本方法は、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の陽性発現を検出することを含むことができる。実施形態によっては、本方法は、1種または複数の転写因子(例えば、REST)の陽性発現を検出することを含むことができる。実施形態によっては、本方法は、酸化的リン酸化経路の1種または複数のレギュレーター(例えば、PGC1-アルファ(PPARGC1a))の陽性発現を検出することを含むことができる。実施形態によっては、マーカーは、試薬、例えば、TNNI3及び/またはKCNJ2の検出用試薬を用いて検出可能である。詳細には、本明細書における心筋細胞は、TNNI3及びKCNJ2を発現するとともに、未熟心筋細胞を示す可能性のある他のマーカーを顕著なレベルで発現しない。心筋細胞は、特定マーカーの下方制御によっても特徴付けることが可能である。例えば、心筋細胞は、HCN4の統計上有意な下方制御によって特徴付けられる場合がある。
マーカー用の試薬としては、例えば、マーカーに対する抗体、あるいはRT-PCRもしくはPCR反応、例えば、半定量的または定量的RT-PCRもしくはPCR反応用のプライマーが可能である。そのようなマーカーを用いて、心筋細胞が生成されたかどうかを評価することが可能である。抗体または他の検出試薬は、標識、例えば、検出用の放射線、蛍光(例えば、GFP)、または比色標識と連結させることができる。検出試薬がプライマーである場合、それは、乾燥製剤、例えば凍結乾燥状で、または溶液で供給されているものが可能である。
少なくとも1種の未熟心筋細胞が老化期から静止期へと進行していくのは、静止心筋細胞を特徴付けるマーカーの発現を特定することにより、モニタリングすることができる。一部のプロセスにおいて、ある特定のマーカーの発現は、そのマーカーの有無を検出することにより特定される。あるいは、ある特定のマーカーの発現は、細胞培養物または細胞集団の細胞中に存在するマーカーのレベルを測定することにより、特定可能である。ある特定のプロセスにおいて、静止心筋細胞を特徴付けるマーカーの発現、ならびに静止心筋細胞の由来元である老化心筋細胞を特徴付けるマーカーの顕著な発現の欠如が、特定される。
少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体から心筋細胞への進行は、成熟心筋細胞を特徴付けるマーカーの発現を特定することによりモニタリングすることができる。一部のプロセスにおいて、ある特定のマーカーの発現は、そのマーカーの有無を検出することにより特定される。あるいは、ある特定のマーカーの発現は、細胞培養物または細胞集団の細胞中に存在するマーカーのレベルを測定することにより、特定可能である。ある特定のプロセスにおいて、成熟心筋細胞を特徴付けるマーカーの発現、ならびに成熟心筋細胞の由来元である未熟心筋細胞またはその前駆体を特徴付けるマーカーの顕著な発現の欠如が、特定される。
未熟心筋細胞からの心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)の生成のモニタリングに関連して記載したとおり、定量的または半定量的技法、例えば、ブロットトランスファー法及び免疫細胞化学反応を用いて、マーカー発現を測定することができ、当業者に一般的に知られる方法が使用される。あるいは、マーカー発現は、定量的PCRなどの技法の使用を通じて、当該分野で一般的に知られる方法により正確に定量することができる。また、細胞外マーカー含有量を測定する技法、例えば、ELISAなどを、利用する場合もある。
当然のことながら、本発明は、本明細書中心筋細胞マーカーとして列挙されるマーカーに限定されず、本発明は、細胞表面マーカー、抗原、及びEST、RNA(microRNA及びアンチセンスRNAを含む)、DNA(遺伝子及びcDNAを含む)などの他の遺伝子産物、ならびにそれらの一部分などのマーカーも包含する。
心筋細胞の濃縮、単離、及び精製
本発明の別の態様は、不均一細胞集団、例えば、成熟心筋細胞及び成熟心筋細胞の由来元である未熟心筋細胞またはその前駆体を含む混合細胞集団から心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)の集団を単離することに関する。態様によっては、静止心筋細胞の集団は、不均一細胞集団、例えば、老化心筋細胞及び静止心筋細胞を含む混合細胞集団から単離される。上記プロセスのいずれかにより生成した心筋細胞の集団は、心筋細胞には存在するが、心筋細胞の由来元である未熟心筋細胞またはその前駆体には存在しない細胞表面マーカーのいずれかを用いることにより、濃縮、単離、及び/または精製することができる。そのような細胞表面マーカーは、心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)に特異的な親和性タグとも称する。心筋細胞に特異的な親和性タグの例として、心筋細胞の細胞表面には存在するが、他の細胞型(例えば未熟心筋細胞)では実質的に存在しないマーカー分子、例えば、ポリペプチドに対して特異的な、抗体、リガンド、または他の結合剤などがある。一部のプロセスにおいて、心筋細胞の細胞表面抗原に結合する抗体が、本明細書中記載される方法により生成した化学誘導された(例えば、本明細書中記載されるとおりの少なくとも1種の心筋細胞成熟因子と接触させることにより)心筋細胞の濃縮、単離、または精製用の親和性タグとして使用される。そのような抗体は既知であり、市販されている。
当業者なら、心筋細胞の濃縮、単離、及び/または精製のために抗体を使用するプロセスが容易に分かるだろう。例えば、実施形態によっては、抗体などの試薬を、心筋細胞を含む細胞集団とともにインキュベートするが、この場合、細胞集団は、細胞間及び基質付着を低減するように処理されたものである。次いで、細胞集団を洗い、遠心し、再懸濁させる。実施形態によっては、抗体がまだ標識で標識化されていなければ、次いで、細胞浮遊液を、二次抗体、例えば一次抗体と結合することができるFITC結合型抗体とともにインキュベートする。次いで、心筋細胞を洗い、遠心し、緩衝液に再懸濁させる。次いで、心筋細胞浮遊液を、蛍光励起細胞分取装置(FACS)を用いて、分析及び分取する。抗体結合した、蛍光初期化細胞を、未結合未蛍光の細胞とは別個に収集し、それにより、心筋細胞が、細胞浮遊液中に存在する他の細胞、例えば未熟心筋細胞またはその前駆体から単離される結果となる。
本明細書中記載されるプロセスの別の実施形態において、心筋細胞を含む単離された細胞組成物は、親和性を利用した代替法を用いることにより、または心筋細胞に特異的な同じもしくは異なるマーカーを用いた分取の追加ラウンドにより、さらに精製することができる。例えば、実施形態によっては、FACS分取を用いて、TNNT2発現を単独でまたはkCNJ2の発現と合わせてのいずれかで、または代替的に本明細書中開示される心筋細胞マーカーを用いて、マーカーを発現する心筋細胞を、細胞集団中でこれらマーカーのうち1種を発現しない細胞(例えば、陰性細胞)から、最初に単離する。態様によっては、TNNI3及び/またはMYH7も、単独でまたはTNNT2及び/またはKCNJ2と合わせてのいずれかで、FACS分取用のマーカーとして使用される。第二FACS分取、例えば第一分取とは異なるマーカーについて陽性である細胞を単離するために再びFACSを使用して陽性細胞を分取することで、細胞集団が初期化細胞で濃縮される。
代替実施形態において、FACS分取を使用して、ほとんどの未熟心筋細胞には存在するが心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)には存在しないマーカーについて陰性分取することにより、細胞を分離する。
本明細書中記載されるプロセスの実施形態によっては、心筋細胞は、抗体を使用することなく蛍光標識されており、次いで、蛍光励起細胞分取装置(FACS)を用いることにより、未標識化細胞から単離される。そのような実施形態において、GFP、YFPをコードする核酸、または発現可能な蛍光標識遺伝子をコードする別の核酸、例えばルシフェラーゼをコードする遺伝子を用いて、上記の方法を用いて初期化細胞を標識する。
直前に記載した手順に加えて、化学的に誘導された心筋細胞は、他の細胞単離技法により単離することもできる。また、心筋細胞は、心筋細胞の選択的生存または選択的増殖を促進する成長条件中での順次継代培養法により濃縮または単離することもできる。そのような方法は、当該分野の当業者に既知である。
本明細書中記載される方法を用いることで、濃縮された、単離された、及び/または精製された心筋細胞集団を、未熟心筋細胞またはその前駆体(これらは、本明細書中記載される方法により多能性幹細胞から分化したものである)からin vitroで生成させることができる。実施形態によっては、好適な濃縮、単離、及び/または精製法は、ヒト未熟心筋細胞またはその前駆体からのヒト心筋細胞のin vitro生成に関し、このヒト未熟心筋細胞またはその前駆体は、ヒト多能性幹細胞から、あるいはヒト誘導多能性幹(iPS)細胞から分化したものである。心筋細胞が未熟心筋細胞から分化したものであり、未熟心筋細胞は、その前にiPS細胞に由来するものである実施形態において、心筋細胞は、iPS細胞を生成させるために細胞を得た対象の自家細胞であり得る。
本明細書中記載される方法を用いることで、心筋細胞の単離された細胞集団は、未熟心筋細胞または前駆体集団の化学誘導前の細胞集団と比較した場合、心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)含有量が、少なくとも約1~約1000倍濃縮されている。実施形態によっては、心筋細胞の集団は、未熟心筋細胞または前駆体集団の化学誘導前の細胞集団と比較した場合、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、50%、70%、80%、90%、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍以上で、誘導、向上、濃縮、または増加している。
心筋細胞を含む組成物
本発明の一部の実施形態は、心筋細胞を含む細胞組成物、例えば、細胞培養物または細胞集団に関し、ただし、心筋細胞は、少なくとも1種の未熟心筋細胞に由来するものである。実施形態によっては、細胞組成物は、未熟心筋細胞を含む。
実施形態によっては、細胞組成物は、静止心筋細胞を含み、ただし、静止心筋細胞は、少なくとも1種の老化心筋細胞に由来するものである。実施形態によっては、細胞組成物は、老化心筋細胞を含む。
ある特定の実施形態に従って、化学誘導された心筋細胞は、哺乳類細胞であり、好適な実施形態において、そのような心筋細胞は、ヒト心筋細胞である。実施形態によっては、未熟心筋細胞は、多能性幹細胞(例えば、ヒト多能性幹細胞)に由来するものである。
本発明の他の実施形態は、本明細書中開示されるとおりの方法により生成した心筋細胞を含む組成物、例えば、単離細胞集団または細胞培養物である。そのような実施形態において、心筋細胞は、心筋細胞集団中の全細胞の約90%未満、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約12%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満を占める。実施形態によっては、組成物は、心筋細胞の集団を含み、この集団は、細胞集団中の全細胞の約90%超を構成する、例えば、細胞集団中の全細胞の少なくとも約95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも約99%、または少なくとも約100%は、心筋細胞である。
本発明のある特定の他の実施形態は、心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)と、心筋細胞の由来元である未熟心筋細胞またはその前駆体の組合せを含む組成物、例えば、単離細胞集団または細胞培養物に関する。実施形態によっては、心筋細胞の由来元である未熟心筋細胞は、単離細胞集団または培養物中の全細胞の約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満を占める。
本発明のさらなる実施形態は、本明細書中記載されるプロセスにより生成され、多数を占める細胞型として化学誘導された心筋細胞を含む組成物、例えば、単離細胞集団または細胞培養物に関する。実施形態によっては、本明細書中記載される方法及びプロセスは、心筋細胞を少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約97%、少なくとも約96%、少なくとも約95%、少なくとも約94%、少なくとも約93%、少なくとも約92%、少なくとも約91%、少なくとも約90%、少なくとも約89%、少なくとも約88%、少なくとも約87%、少なくとも約86%、少なくとも約85%、少なくとも約84%、少なくとも約83%、少なくとも約82%、少なくとも約81%、少なくとも約80%、少なくとも約79%、少なくとも約78%、少なくとも約77%、少なくとも約76%、少なくとも約75%、少なくとも約74%、少なくとも約73%、少なくとも約72%、少なくとも約71%、少なくとも約70%、少なくとも約69%、少なくとも約68%、少なくとも約67%、少なくとも約66%、少なくとも約65%、少なくとも約64%、少なくとも約63%、少なくとも約62%、少なくとも約61%、少なくとも約60%、少なくとも約59%、少なくとも約58%、少なくとも約57%、少なくとも約56%、少なくとも約55%、少なくとも約54%、少なくとも約53%、少なくとも約52%、少なくとも約51%、または少なくとも約50%含む単離細胞培養物及び/または細胞集団を生成させる。
別の実施形態において、細胞(または細胞培養物)の単離細胞集団または組成物は、ヒト心筋細胞を含む。他の実施形態において、本明細書中記載されるとおりの方法及びプロセスは、心筋細胞を少なくとも約50%、少なくとも約45%、少なくとも約40%、少なくとも約35%、少なくとも約30%、少なくとも約25%、少なくとも約24%、少なくとも約23%、少なくとも約22%、少なくとも約21%、少なくとも約20%、少なくとも約19%、少なくとも約18%、少なくとも約17%、少なくとも約16%、少なくとも約15%、少なくとも約14%、少なくとも約13%、少なくとも約12%、少なくとも約11%、少なくとも約10%、少なくとも約9%、少なくとも約8%、少なくとも約7%、少なくとも約6%、少なくとも約5%、少なくとも約4%、少なくとも約3%、少なくとも約2%、または少なくとも約1%含む単離細胞集団を生成させることができる。好適な実施形態において、単離細胞集団は、ヒト心筋細胞を含むことができる。実施形態によっては、細胞培養物または集団中の心筋細胞のパーセンテージは、培養物中に残存するフィーダー細胞を考慮せずに計算される。
本発明のさらに他の実施形態は、心筋細胞及び心筋細胞の分化または成熟元である未熟心筋細胞またはその前駆体の混合物を含む組成物、例えば、単離細胞集団または細胞培養物に関する。例えば、約95個の未熟心筋細胞またはその前駆体につき少なくとも約5個の心筋細胞を含む細胞培養物または細胞集団を生成させることができる。他の実施形態において、約5個の未熟心筋細胞またはその前駆体につき少なくとも約95個の心筋細胞を含む細胞培養物または細胞集団を生成させることができる。さらに、他の比で心筋細胞対未熟心筋細胞またはその前駆体を含む細胞培養物または細胞集団が企図される。例えば、約1,000,000個、または少なくとも100,000個の細胞、または少なくとも10,000個の細胞、または少なくとも1000個の細胞、または500個、または少なくとも250個、または少なくとも100個、または少なくとも10個の未熟心筋細胞またはその前駆体につき少なくとも約1個の心筋細胞を含む組成物を生成させることができる。
本発明のさらなる実施形態は、内在性心筋細胞の特徴を少なくとも1つ呈するヒト心筋細胞を含むヒト細胞を含む組成物、例えば、細胞培養物または細胞集団に関する。
本発明の好適な実施形態において、心筋細胞の細胞培養物及び/または細胞集団は、非組換え細胞であるヒト心筋細胞を含む。そのような実施形態において、細胞培養物及び/または細胞集団は、組換えヒト心筋細胞を全く含まない、または実質的に含まない。
心筋細胞成熟因子
本開示の態様には、未熟心筋細胞またはその前駆体を、例えば、心筋細胞成熟因子と接触させて、心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)への未熟心筋細胞の成熟またはその前駆体の分化を誘導することが関与する。「心筋細胞成熟因子」という用語は、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体から心筋細胞への変換を促進するまたはその変換に寄与する作用剤を示す。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、例えば、本明細書中記載される方法により、多能性細胞(例えば、iPSCまたはhESC)から未熟心筋細胞への分化を誘導する。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、例えば、本明細書中記載される方法により、未熟心筋細胞から心筋細胞への成熟を誘導する。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、老化心筋細胞から静止心筋細胞への移行を誘導する。
概して、本明細書中記載される少なくとも1種の心筋細胞成熟因子は、本明細書中開示されるとおりの方法により心筋細胞を生成させるために、単独で使用することも、他の心筋細胞成熟因子と併用することもできる。実施形態によっては、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、または少なくとも10種の本明細書中記載される心筋細胞成熟因子が、心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)の生成法で使用される。
実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)/Akt/mTOR経路の修飾物質(例えば、阻害剤)を含む。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、mTOR経路の阻害剤を含む。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、PI3K及び/またはAktの阻害剤を含む。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、小分子、核酸、アミノ酸、代謝産物、ポリペプチド、抗体及び抗体様分子、アプタマー、大環状分子、または他の分子を含む。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、Torin1、Torin2、ラパマイシン、エベロリムス、及びテムシロリムスからなる群より選択される。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、Torin1である。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、Torin2である。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、ラパマイシンである。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、エベロリムスである。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、テムシロリムスである。
実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、細胞周期レギュレーターp53の修飾剤(例えば、上方制御因子)を含む。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、p53の上方制御因子または活性化剤を含む。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、小分子、核酸、アミノ酸、代謝産物、ポリペプチド、抗体及び抗体様分子、アプタマー、大環状分子、または他の分子を含む。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、Torin1及びnutlin-3aからなる群より選択される。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、Torin1である。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、nutlin-3aである。実施形態によっては、p53は、nutlin-3aとTorin1の組合せを投与されることにより、上方制御される(例えば、相乗的に)。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、Torin1ではない。実施形態によっては、心筋細胞成熟因子は、mTOR阻害剤ではない。
組成物及びキット
本明細書中記載されるのは、本明細書中記載される心筋細胞(例えば、成熟及び/または静止心筋細胞)を含む組成物である。実施形態によっては、組成物は、本明細書中記載される成熟因子及び/または細胞培養培地も含む。本明細書中記載されるのは、本明細書中記載される化合物を含む組成物(例えば、本明細書中記載される化合物のうち1種または複数を含む細胞培養培地)でもある。
同じく本明細書中記載されるのは、本明細書中開示される方法を実施するための及び本明細書中開示される心筋細胞(例えば、成熟及び/または静止心筋細胞)を作成するためのキットである。同じく本明細書中記載されるのは、慢性心不全を治療するための及び心室性不整脈の発生率を低下させるためのキットである。1つの態様において、キットは、少なくとも1種の未熟及び/または老化心筋細胞またはその前駆体と、及び本明細書中記載されるとおりの少なくとも1種の成熟因子を含み、及び任意選択で、キットは、さらに、本明細書中記載される方法を用いて、少なくとも1種の未熟心筋細胞またはその前駆体を成熟心筋細胞の集団へと変換するための説明書を含むことができる。実施形態によっては、キットは、少なくとも2種の成熟因子を含む。実施形態によっては、キットは、少なくとも3種の成熟因子を含む。実施形態によっては、キットは、任意の組合せの成熟因子を含む。
実施形態によっては、キット中の化合物は、防水または気密容器に入れて提供することができ、実施形態によっては、この容器にキット中の他の構成要素は実質的に入っていない。化合物は、1個より多い容器に入れて供給することができ、例えば、化合物は、未熟及び/または老化心筋細胞、またはその前駆体を、成熟及び/または静止心筋細胞に誘導するために、予め定められた反応回数、例えば、1、2、3、またはそれより多い回数の個別の反応に十分な試薬を含む容器に入れて供給することができる。成熟因子は、任意の形状、例えば、液状、乾燥、または凍結乾燥形で提供することができる。本明細書中記載される化合物(複数可)(例えば、成熟因子)は、実質的に純粋である及び/または滅菌されていることが好ましい。本明細書中記載される化合物(複数可)が、液状の溶液で提供される場合、液状溶液は、好ましくは、水溶液であり、滅菌水溶液であることが好ましい。本明細書中記載される化合物(複数可)が、乾燥形で提供される場合、再構築は、一般に、適切な溶媒の添加により行われる。溶媒、例えば、滅菌水または緩衝液を、任意選択で、キットに提供することができる。
実施形態によっては、キットは、さらに任意選択で、情報文書を含む。情報文書は、本明細書中記載される方法及び/または本明細書中記載される方法のための本明細書中記載される化合物(複数可)の使用に関する、説明文書、指示文書、販売文書、または他の文書であることが可能である。
キットの情報文書は、それが指示文書または情報文書であることに限定されない。1つの実施形態において、情報文書は、化合物の製造、化合物の分子量、濃度、使用期限、バッチまたは製造場所情報などについての情報を含むことができる。1つの実施形態において、情報文書は、化合物の投与法に関する。また、キットの情報文書は、その形状に制限を持たない。多くの場合、情報文書、例えば説明書は、印刷されたもの、例えば、印刷された文書、図面、及び/または写真、例えば、ラベルまたは印刷されたシートで提供される。しかしながら、情報文書は、他の形式でも提供可能であり、例えば、点字、コンピュータ読み取り可能な材料、ビデオ録画、または音声録音がある。別の実施形態において、キットの情報文書は、窓口情報、例えば、物理アドレス、メールアドレス、ウェブサイト、または電話番号であり、その窓口で、キット使用者は本明細書中記載される化合物及び/または本明細書中記載される方法におけるその使用について実質的情報を得ることができる。当然ながら、情報文書は、任意の組合せの形式で提供することもできる。
1つの実施形態において、情報文書は、本明細書中記載されるとおりの化合物(複数可)(例えば、成熟因子)を、本明細書中記載される方法を行うのに適した様式で、例えば、適切な用量、剤形、または投与様式(例えば、本明細書中記載される用量、剤形、または投与様式)で(例えば、in vitroで細胞に、またはin vivoで細胞に)投与するための説明書を含むことができる。別の実施形態において、情報文書は、本明細書中記載される化合物(複数可)を、適切な対象、例えば、ヒト、例えば、本明細書中記載される障害を有するもしくはそのリスクがあるヒトに、またはin vitroで細胞に、投与するための説明書を含むことができる。
キットの組成物は、本明細書中記載される化合物(複数可)に加えて、他の成分、例えば、溶媒または緩衝剤、安定剤、保存剤、香味剤(例えば、苦味のアンタゴニストまたは甘味剤)、香料もしくは他の化粧成分、及び/または本明細書中記載される症状または障害を治療するための追加作用剤を含むことができる。あるいは、他の成分は、キットに含めることが可能であるものの、本明細書中記載される化合物とは異なる組成物または容器中に含まれている。そのような実施形態において、キットは、本明細書中記載される化合物(複数可)と他の成分を混合するための説明書、または本明細書中記載される化合物(複数可)を他の成分と一緒に使用するための説明書、例えば、使用前に2種の作用剤を調合することについての説明書を含むことができる。
キットは、本明細書中記載されるとおりの少なくとも1種の成熟因子を含有する組成物用の容器を1つまたは複数含むことができる。実施形態によっては、キットは、組成物(複数可)及び情報文書用に、別個の容器(例えば、2種の作用剤用に2つの別個の容器)、分割機、またはコンパートメントを含む。例えば、組成物は、ビン、バイアル、またはシリンジに収容することができ、情報文書は、プラスチックの封筒または小袋に収容することができる。他の実施形態において、キットの別個の要素は、単一の分割されていない容器内に収容されている。例えば、組成物は、ビン、バイアル、またはシリンジに収容されており、それには、情報文書がラベルの形で貼付されている。実施形態によっては、キットは、個別容器を複数(例えば、1パック)備えており、各容器に、本明細書中記載される化合物の単位剤形(例えば、本明細書中記載される剤形)が1つまたは複数収容されている。例えば、キットは、複数のシリンジ、アンプル、箔製小袋、またはブリスターパックを備え、それぞれに、本明細書中記載される化合物の単回単位用量が収容されている。キットの容器は、気密性、耐水性(例えば、水分または蒸散の変化に対し不浸透性)、及び/または遮光性のものが可能である。
キットは任意選択で、組成物を投与するために適切なデバイス、例えば、シリンジ、吸入器、ピペット、ピンセット、軽量スプーン、点滴器(例えば、点眼器)、綿棒(swab)(例えば、綿棒(cotton swab)または木製綿棒)、または任意のそのような送達デバイスを含む。好ましい一実施形態では、デバイスは、例えば、外科的装入のために包装された医療用移植デバイスである。
キットは、心筋細胞のためのマーカー、例えば、本明細書に記載のマーカーを検出するための成分、例えば、成熟心筋細胞を検出するための試薬を含むこともできる。または一部の実施形態では、キットは、成熟心筋細胞の陰性選択を目的として心筋細胞の陰性マーカーを検出するための、またはこれらの陰性マーカーを発現しない細胞(例えば、心筋細胞)を同定するための試薬を含むこともできる。試薬は、例えば、マーカーに対する抗体またはRT-PCRもしくはPCR反応、例えば、半定量的もしくは定量的RT-PCRもしくはPCR反応のためのプライマーであり得る。そのようなマーカーは、iPS細胞が生成されているか否かを評価するために使用することができる。検出試薬が抗体である場合、それを、例えば、凍結乾燥された乾燥調製物で、または溶液で供給することができる。抗体または他の検出試薬を、検出において使用するための標識、例えば、X線診断用、蛍光(例えば、GFP)または比色標識に連結させることができる。検出試薬がプライマーである場合、それを、例えば、凍結乾燥された乾燥調製物で、または溶液で供給することができる。
キットは、例えば、陽性細胞型対照として使用するために、同じ型の未熟及び/または老化心筋細胞またはその前駆体に由来する心筋細胞、例えば、成熟及び/または静止心筋細胞を含み得る。
細胞を投与する方法
一実施形態では、本明細書に記載の細胞、例えば、成熟心筋細胞の集団は移植可能であり、例えば、心筋細胞の集団を対象に投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の細胞、例えば、成熟静止心筋細胞の集団は移植可能であり、例えば、心筋細胞の集団を対象に投与することができる。一部の実施形態では、心筋細胞の集団を投与される対象は、心筋細胞に分化させるために使用された多能性幹細胞を(例えば、自己細胞治療用に)得た対象と同じ対象である。一部の実施形態では、対象は、別の対象である。一部の実施形態では、対象は、慢性心不全に罹患しているか、または健康な対象である。例えば、移植用の細胞(例えば、心筋細胞の集団を含む組成物)は、移植に適切な形態であり得る。
方法はさらに、細胞を、それを必要とする対象、例えば、哺乳類対象、例えば、ヒト対象に投与することを含み得る。細胞の供給源は、哺乳類、好ましくは、ヒトであってよい。細胞の供給源またはレシピエントは、非ヒト対象、例えば、動物モデルであってもよい。「哺乳類」という用語は、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、ヤギ、ウマ、サル、イヌ、ネコ、及び好ましくは、ヒトが含まれる生体を含む。同様に、移植可能な細胞を、非ヒトトランスジェニック生体を含む、これらの生体のいずれからも得ることができる。一実施形態では、移植可能な細胞は遺伝子操作されており、例えば、細胞は、外来遺伝子を含むか、または内在性遺伝子を不活性化または変化させるために遺伝子操作されている。
心筋細胞の集団を含む組成物を、移植可能なデバイスを使用して対象に投与することができる。移植可能なデバイス及び関連技術は当技術分野で公知であり、本明細書に記述の化合物または組成物の連続または徐放性送達が望ましい送達システムとして有用である。加えて、移植可能なデバイス送達システムは、化合物または組成物送達の特異的なポイント(例えば、限局部位、臓器)を標的とするために有用である。Negrin et al., Biomaterials, 22(6):563(2001)。代替送達方法を伴う徐放技術も、本発明において使用することができる。例えば、ポリマー技術、持続放出技術及び封入技術(例えば、ポリマー、リポソーム)に基づく徐放性製剤も、本明細書に記述の化合物及び組成物を送達するために使用することができる。
医薬組成物
対象に投与するために、本明細書に開示のとおりの方法により生成された細胞集団、例えば、心筋細胞の集団(少なくとも1つの未熟心筋細胞を少なくとも1つの成熟因子(例えば、本明細書に記載のとおりの成熟因子のうちのいずれか1、2、3つ、またはそれ以上)と接触させることにより生成)を対象に、例えば、薬学的に許容される組成物で投与することができる。これらの薬学的に許容される組成物は、1種または複数の薬学的に許容される担体(添加剤)及び/または希釈剤と一緒に製剤化された治療有効量の前記のとおりの成熟心筋細胞の集団を含む。一部の態様では、薬学的に許容される組成物は、1種または複数の薬学的に許容される担体(添加剤)及び/または希釈剤と一緒に製剤化された治療有効量の前記のとおりの成熟静止心筋細胞の集団を含む。
後記で詳述するとおり、本発明の医薬組成物を、(1)経口投与、例えば、飲薬(水性もしくは非水性溶液もしくは懸濁液)、ロゼンジ剤、糖剤、カプセル剤、丸剤、錠剤(例えば、頬側、舌下、及び全身吸収を標的としたもの)、ボーラス剤、散剤、顆粒剤、舌に施与するためのペースト剤;(2)非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、静脈内もしくは硬膜外注射により、例えば、滅菌溶液もしくは懸濁液、もしくは持続放出製剤として;(3)局所施与、例えば、皮膚に施与されるクリーム剤、軟膏剤、もしくは制御放出貼付剤もしくは噴霧剤として;(4)膣内もしくは直腸内、例えば、膣坐剤、クリーム剤もしくは泡剤として;(5)舌下;(6)眼内;(7)経皮;(8)経粘膜;または(9)経鼻に適合させたものを含めて、固体または液体形態で投与するために特別に製剤化することができる。加えて、化合物を患者に移植することができるか、または薬物送達システムを用いて注射することができる。例えば、Urquhart,et al.,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.24:199-236(1984);Lewis,ed. “Controlled Release of Pesticides and Pharmaceuticals”(Plenum Press,New York,1981);米国特許第3,773,919号;及び米国特許第35 3,270,960号を参照されたい。
本明細書において使用される場合、薬学的に許容される」という用語は、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題または合併症を伴うことなく、合理的なベネフィット/リスク比に相応して、適正な医学的判断の範囲内でヒト及び動物の組織と接触させて使用するために適している化合物、物質、組成物、及び/または剤形を指す。
本明細書において使用される場合、「薬学的許容される担体」という用語は、ある臓器、または身体の一部から、別の臓器、または身体の一部への対象化合物の運搬または輸送に関する、薬学的に許容される物質、組成物またはビヒクル、例えば、液体または固体の増量剤、希釈剤、添加剤、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルクマグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくは亜鉛、またはステアリン酸)、または溶媒カプセル化物質を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、かつ患者に有害でないという意味において、「許容される」必要がある。薬学的許容される担体として役立ち得る物質の一部の例には、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース;(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びバレイショデンプン;(3)セルロース、及びその誘導体、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース及び酢酸セルロース;(4)粉末化トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク;(8)添加剤、例えば、カカオバター及び坐剤用ろう;(9)油、例えば、ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリブ油、トウモロコシ油及びダイズ油;(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール(PEG);(12)エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質不含水;(17)等張性生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/またはポリ無水物;(22)増量剤、例えば、ポリペプチド及びアミノ酸(23)血清成分、例えば、血清アルブミン、HDL及びLDL;(24)C~C12アルコール、例えば、エタノール;ならびに(25)医薬製剤で使用される他の非毒性の適合性物質が含まれる。湿潤剤、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤及び抗酸化剤も、製剤中に存在してよい。「添加剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」などの用語は、互換的に用いられる。
「治療有効量」という語句は、細胞の集団に関して本明細書で使用される場合、何らかの医学的処置に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比で、動物内の細胞の少なくとも亜集団でいくつかの所望の治療効果をもたらすために有効である細胞、例えば、成熟心筋細胞の集団、または本発明の成熟心筋細胞を含む組成物中の関連細胞の量を意味する。例えば、慢性心不全、例えば、収縮期心不全または心室性不整脈の発生などの少なくとも1つの症状において統計学的に有意な測定可能な変化をもたらすために十分である、対象に投与される成熟心筋細胞の集団の量である。治療有効量の決定は十分に、当業者の能力の範囲内である。一般に、治療有効量は、対象の履歴、年齢、状態、性別、さらには、対象における医学的状態の重症度及び種類、ならびに他の薬学的活性薬剤の投与で変化し得る。
疾患または障害の「処置」、「予防」または「寛解」とは、そのような疾患または障害の発症を遅延させる、または予防する、そのような疾患または障害と関連する状態の進行または重症度を逆転する、緩和する、寛解する、阻害する、減速させる、または停止することを意味する。一実施形態では、疾患または障害の症状は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%緩和される。
本明細書で使用される場合、「投与する」という用語は、組成物の少なくとも部分的な局在化を所望の部位でもたらして、所望の作用が生じるような方法または経路により、組成物を対象に配置することを指す。本発明の方法に適切な投与経路には、局所及び全身投与の両方が含まれる。一般に、局所投与は、投与された心筋細胞のうち、対象の全身と比較して、より多くを特異的な位置に送達する一方で、全身投与は、心筋細胞を本質的に対象の全身に送達する。
化合物処理された細胞を投与する文脈において、「投与すること」という用語は、対象におけるそのような細胞の移植も含む。本明細書で使用される場合、「移植」という用語は、少なくとも1つの細胞を対象に移植する、または移入するプロセスを指す。「移植」という用語は、例えば、自己移植(細胞(複数可)を患者のある位置から取り出して、同じ患者の同じか、または別の位置へと移入すること)、同種移植(同種のメンバー間での移植)、及び異種移植(異種のメンバー間での移植)を含む。
成熟心筋細胞またはそれを含む組成物を、これらに限定されないが、経口経路または静脈内、筋肉内、皮下、経皮、気道(エアロゾル)、肺、経鼻、直腸、及び局所(頬側及び舌下を含む)投与を含む非経口経路を含む、当技術分野で公知の任意の適切な経路により投与することができる。
例示的な投与様式には、これらに限定されないが、注射、注入、点滴、吸入、経口摂取、または局所施与が含まれる。「注射」には、限定ではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、血管周囲、経皮気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、髄腔内、脳脊髄内、及び胸骨内注射及び注入が含まれる。好ましい実施形態では、組成物を静脈内注入または注射により投与する。他の好ましい実施形態では、組成物を細胞パッチにより投与する。一部の実施形態では、組成物を、三次元構造体(例えば、マトリックスまたはスキャホールド)により投与する。一部の実施形態では、組成物をマイクロ組織により投与する。
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は、霊長類、げっ歯類、家畜または狩猟動物などの脊椎動物である。霊長類には、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、及びマカク、例えば、アカゲザルが含まれる。げっ歯類には、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギ及びハムスターが含まれる。家畜及び狩猟動物には、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、ネコ種、例えば、家ネコ、イヌ種、例えば、イヌ、キツネ、オオカミ、トリ種、例えば、ニワトリ、エミュー、ダチョウ、及び魚、例えば、マス、ナマズ及びサケが含まれる。患者または対象には、ヒト、霊長類またはげっ歯類などの1つまたは複数の群または種は除くが、前述のもの、例えば、前記のすべての任意のサブセットが含まれる。本明細書に記載の態様のある特定の実施形態では、対象は、哺乳類、例えば、霊長類、例えば、ヒトである。「患者」及び「対象」という用語は本明細書において互換的に用いられる。「患者」及び「対象」という用語は本明細書において互換的に用いられる。対象は、雄または雌であってよい。
好ましくは、対象は哺乳類である。哺乳類は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであってよいが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳類を有利には、収縮期心機能低下または心室性不整脈と関連する障害の動物モデルである対象として使用することができる。加えて、本明細書に記載の方法及び組成物を、家畜動物及び/またはペットを処置するために使用することができる。
対象は、収縮期心機能低下または心室性不整脈で特徴付けられる障害を有すると以前に診断されているか、それに罹患していると同定されているか、またはそれを有する対象であり得る。対象は、心不全(例えば、慢性心不全)を有すると以前に診断されているか、それを有すると同定されている者であってよい。一部の態様では、対象は、心臓関連疾患または障害を有すると以前に診断されているか、それを有すると同定されている者であってよい。一部の態様では、対象は、先天性心疾患(例えば、収縮期心疾患またはティッシュエンジニアリングの結果としての心疾患)を有すると以前に診断されている者であってよい。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、方法はさらに、対象を処置する前に、収縮期心機能低下または心室性不整脈について対象を診断及び/または選択することを含む。一部の態様では、方法はさらに、対象を処置する前に、心臓関連疾患または障害について対象を診断及び/または選択することを含む。一部の態様では、方法はさらに、対象を処置する前に、先天性心疾患について対象を診断及び/または選択することを含む。
本明細書に記載の心筋細胞組成物は、機械的支持デバイス(例えば、心室回復を支持するために使用される補助人工心臓(VAD)または体外式膜型人工肺(ECMO)システム)と組み合わせて、または心臓を血行再建するための心臓カテーテル留置処置(例えば、ステント留置または冠動脈のバルーン血管形成、または外科的バイパス移植)と組み合わせて投与することができる。本明細書に記載の心筋細胞組成物は、対象に、薬学的活性薬剤と組み合わせて同時投与することができる。例示的な薬学的活性化合物には、これらに限定されないが、Harrison’s Principles of Internal Medicine, 13th Edition, Eds. T.R. Harrison et al. McGraw-Hill N.Y., NY;Physicians’ Desk Reference, 50th Edition, 1997, Oradell New Jersey, Medical Economics Co.;Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Edition, Goodman and Gilman, 1990;United States Pharmacopeia, The National Formulary, USP XII NF XVII, 1990;Goodman and Oilman’s The Pharmacological Basis of Therapeuticsの現行版;及びThe Merck Indexの現行版において見い出されるものが含まれ、これらすべての全内容がその全体で本明細書に援用される。
心筋細胞及び/または薬学的活性薬剤を含む組成物は、対象に、同じ医薬組成物で、または別の医薬組成物で(同時に、または別の時間に)投与することができる。別の時間に投与する場合、心筋細胞及び/または薬学的活性薬剤を含む組成物を、他方の投与から5分、10分、20分、60分、2時間、3時間、4時間、8時間、12時間、24時間以内に投与することができる。心筋細胞及び/または薬学的活性薬剤を含む組成物を別の医薬組成物で投与する場合、投与経路は異なってもよい。一部の実施形態では、対象に、心筋細胞を含む組成物を投与する。他の実施形態では、対象に、薬学的活性薬剤を含む組成物を投与する。別の実施形態では、対象に、薬学的活性薬剤と混合された心筋細胞の集団を含む組成物を投与する。別の実施形態では、対象に、心筋細胞の集団を含む組成物と、薬学的活性薬剤を含む組成物とを投与し、その際、投与は実質的に同時であるか、相互に連続する。
心筋細胞の集団を含む組成物の投与の毒性及び治療効力は、例えば、LD50(集団の50%に対して致命的な用量)及びED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定するための、組成物細胞培養物または実験動物における標準的な医薬手順により決定することができる。高い治療指数を示す、心筋細胞の集団を含む組成物が好ましい。
心筋細胞の集団を含む組成物の量は、いくつかの十分に確立された動物モデルを使用して検査することができる。
一部の実施形態では、細胞培養アッセイから、及び動物研究において得られたデータを、ヒトにおいて使用するための投薬量範囲を公式化する際に使用することができる。そのような化合物の投薬量は好ましくは、毒性がほとんどないか、毒性がないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に応じて、この範囲内で変化してよい。
心筋細胞の集団を含む組成物の治療上有効な用量を、初めは細胞培養アッセイから推定することもできる。別法では、任意の特定の投薬量の作用を適切なバイオアッセイによりモニターすることができる。
処置の持続期間及び頻度に関して、熟練した臨床医では、処置が治療効果をもたらしている時期を決定するために、また、投薬量を増加させるか、もしくは減少させるか否か、投与頻度を増加させるか、もしくは減少させるか否か、処置を中断するか否か、処置を再開するか否か、または処置レジメンを他に変化させるか否かを決定するために、対象をモニターすることが典型的である。投薬スケジュールは、いくつかの臨床因子に応じて、週1回から毎日まで変化し得る。所望の用量を1回で、または分割用量、例えば、2~4回の分割用量に分けて投与することができ、ある期間にわたって、例えば、一日を通して適切な間隔で、または他の適切なスケジュールで投与することができる。そのような分割用量を、単位剤形として投与することができる。一部の実施形態では、投与は、長期であり、例えば、数週間または数か月にわたって毎日1回または複数回用量である。投薬スケジュールの例は、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、または6か月またはそれ以上の期間にわたる毎日、1日2回、1日3回または1日4回またはそれ以上の投与である。
本発明の別の態様では、方法は、本明細書に開示のとおりの単離された心筋細胞の集団の使用を提供する。本発明の一実施形態では、本明細書に開示のとおりの単離された心筋細胞の集団を、処置を必要とする対象、例えば、心室性不整脈または収縮期心機能低下(例えば、慢性心不全)を発症しているか、またはそのリスクのある対象への移植において使用するための医薬組成物の生産のために使用することができる。一実施形態では、単離された心筋細胞の集団を遺伝子改変してもよい。別の態様では、対象は、心室性不整脈または収縮期心機能低下を有し得るか、またはそのリスクを有し得る。一部の実施形態では、本明細書に開示のとおりの単離された心筋細胞の集団は、自己及び/または同種異系であり得る。一部の実施形態では、対象は、哺乳類であり、かつ他の実施形態では、哺乳類はヒトである。
本発明の一実施形態は、対象において慢性心不全を処置する方法であって、有効量の本明細書に開示のとおりの心筋細胞の集団を含む組成物を、慢性心不全を有する対象に投与することを含む方法に関する。他の実施形態は、対象において心室性不整脈を処置する方法であって、有効量の本明細書に開示のとおりの心筋細胞の集団を含む組成物を、心室性不整脈を有する対象に投与することを含む方法に関する。さらなる一実施形態では、本発明は、収縮期心機能低下を処置する方法であって、本明細書に開示のとおりの心筋細胞の集団を含む組成物を、収縮期心機能低下を有する対象に投与することを含む方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、先天性心疾患を処置する方法であって、有効量の本明細書に開示のとおりの心筋細胞の集団を含む組成物を、先天性心疾患の低下を有する対象に投与することを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本明細書に開示のとおりの心筋細胞の集団を、任意の生理学的に許容される添加剤中で投与することができ、その際、心筋細胞は、複製、増殖、及び/または生着のために適切な部位を見い出し得る。一部の実施形態では、本明細書に開示のとおりの心筋細胞の集団を注射、カテーテルなどにより導入することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示のとおりの心筋細胞の集団を、液体窒素温度で凍結させて、長期間にわたって貯蔵することができ、解凍して使用することができる。凍結させる場合、心筋細胞の集団を通常は、10%DMSO、50%FCS、40%RPMI 1640培地または他の凍結保護液中で貯蔵することとなる。いったん解凍したら、細胞を、本明細書に開示のとおりの心筋細胞の培養と関連する成長因子及び/またはフィーダー細胞の使用により展開することができる。
一部の実施形態では、本明細書に開示のとおりの心筋細胞の集団を、ヒト投与のために十分な滅菌条件下で調製された等張性添加剤を含む医薬組成物の形態で供給することができる。医薬製剤における一般原則では、読者は、Cell Therapy: Stem Cell Transplantation, Gene Therapy, and Cellular Immunotherapy, by G. Morstyn & W. Sheridan eds, Cambridge University Press, 1996;and Hematopoietic Stem Cell Therapy, E. D. Ball, J. Lister & P. Law, Churchill Livingstone, 2000を参照されたい。本明細書に開示のとおりの心筋細胞の集団を含む組成物の細胞添加剤及び任意の付属の要素の選択を、投与のために使用される経路及びデバイスに従って適合させることとなる。一部の実施形態では、心筋細胞の集団を含む組成物は、心筋細胞の生着または機能的動員を促進する1種または複数の他の成分を含むか、またはそれを随伴し得る。適切な成分は、心筋細胞、または相補的細胞型の接着を支持または促進するマトリックスタンパク質を含む。別の実施形態では、組成物は、吸収性または生分解性マトリックス骨格を含んでもよい。
細胞を修飾して遺伝子産物を換えるため、組織の再生を促進するために、疾患を処置するために、または対象への移植後の細胞の生存を改善するために(すなわち、拒絶を予防するために)、遺伝子治療を使用することができる。
本発明の一態様では、本明細書に開示のとおりの心筋細胞の集団は、全身に、または標的解剖学的部位に投与するために適切である。例えば、心筋細胞の集団を対象の心臓に、またはその近傍に移植することもできるし、または例えば、これらに限定されないが、動脈内または静脈内投与など、全身投与することもできる。代替の実施形態では、心臓系に移植するために適切であるように、これらに限定されないが、静脈内及び動脈内投与、髄腔内投与、心室内投与、実質内、頭蓋内、槽内、線状体内、ならびに黒質内投与を含む非経口を含めて、本発明の心筋細胞の集団を様々な方法で投与することができる。任意選択で、心筋細胞の集団を免疫抑制薬と併せて投与する。
一部の実施形態では、心筋細胞の集団を、適正な医療行為に従って、個々の患者の臨床状態、投与部位及び方法、投与スケジュール、医師が知っている患者の年齢、性別、体重及び他の因子を考慮して投与及び投薬することができる。したがって、本明細書における目的での薬学的「有効量」は、当技術分野で公知であるように、そのような検討により決定される。量は、これらに限定されないが、生存率の改善もしくはより早期の回復を含む改善、または当業者により適切な尺度として選択されるような症状及び他の指標の改善もしくは削減を達成するために有効でなければならない。心筋細胞の集団を対象に、次の場所で投与することができる:クリニック、クリニカルオフィス、救急部門、病棟、集中治療室、手術室、カテーテル留置スイート(catheterization suites)、及び放射線スイート(radiologic suites)。
他の実施形態では、心筋細胞の集団を、後の移植/注入のために貯蔵する。心筋細胞の集団の一部は後の施与のために保持する一方で、一部は対象に即座に施与するように、心筋細胞の集団を1つよりも多いアリコットまたは単位に分けることができる。それらの全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2003/0054331号及び特許公報WO03/024215に開示のとおり、細胞バンクにおける細胞の全部または一部の中期から長期の貯蔵も本発明の範囲内である。加工の終了時に、濃縮細胞を、当技術分野の通常の技能の者に公知の任意の手段によりレシピエントに配置するためのシリンジなどの送達デバイスに装填することができる。
一部の実施形態では、心筋細胞の集団を単独で、または他の細胞、組織、組織断片、VEGF及び他の公知の脈管形成もしくは動脈原性成長因子などの成長因子、生物学的に活性もしくは不活性な化合物、溶解性プラスチックスキャホールド、または集団の送達、有効性、耐容性、もしくは機能を増強するために意図されている他の添加剤と組み合わせて施与することができる。一部の実施形態では、構造または治療上の目的を得るために細胞の機能を変化させる、増強する、または補充するように、DNAの挿入により、または細胞培養に配置することにより心筋細胞の集団を改変することもできる。例えば、幹細胞のための遺伝子導入技術は、(Morizono et al.,2003;Mosca et al.,2000)に開示のとおり、当技術分野の通常の技能の者には公知であり、それには、ウイルストランスフェクション技術、より具体的には、(Walther and Stein,2000)及び(Athanasopoulos et al.,2000)に開示のとおりのアデノ関連ウイルス遺伝子導入技術が含まれ得る。非ウイルスベースの技術も、(Murarnatsu et al.,1998)に開示のとおりに実行することができる。
別の態様では、一部の実施形態では、心筋細胞の集団を、血管新生促進成長因子をコードする遺伝子(複数可)と組み合わせることができるであろう。抗アポトーシス因子または作用物質をコードする遺伝子を適用することもできるであろう。遺伝子(または遺伝子の組合せ)の付加は、これらに限定されないが、アデノウイルス形質導入、「遺伝子ガン」、リポソーム媒介形質導入、及びレトロウイルスまたはレンチウイルス媒介形質導入、プラスミドアデノ関連ウイルスを含む当技術分野で公知の任意の技術により得るであろう。形質導入が継続し得るか、または開始され得るように経時的に遺伝子を細胞に放出及び/または提供し得る遺伝子送達ビヒクルを担持する担体物質と共に、細胞を移植することができるであろう。特に、細胞及び/または細胞を含有する組織を、その細胞及び/または組織を得た患者以外の患者に投与する場合、1種または複数の免疫抑制薬を、細胞及び/または組織を受け取る患者に投与して、移植の拒絶を減少させる、好ましくは予防することができる。本明細書で使用される場合、「免疫抑制薬または作用物質」という用語は、正常な免疫機能を阻害または妨害する医薬品を含むことが意図されている。本明細書に開示の方法で適切な免疫抑制薬の例には、参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2002/0182211号に開示のとおりのCTLA4及びB7経路を介してT細胞及びB細胞のカップリングを妨害する作用物質など、T細胞/B細胞同時刺激経路を阻害する作用物質が含まれる。一実施形態では、免疫抑制薬はシクロスポリンAである。他の例には、ミコフェノール酸モフェチル(myophenylate mofetil)、ラパマイシン、及び抗胸腺細胞グロブリンが含まれる。一実施形態では、免疫抑制薬を少なくとも1種の他の治療薬と共に投与する。免疫抑制薬を、投与経路と適合性である製剤で投与し、対象に、所望の治療効果を達成するために十分な投薬量で投与する。別の実施形態では、免疫抑制薬を、本発明の心筋細胞に対する忍容性を誘導するために十分な時間にわたって一過性に投与する。
有効量の心筋細胞の集団を含む医薬組成物も、本発明は企図している。これらの組成物は、有効な数の心筋細胞を、任意選択で、薬学的に許容される担体、添加剤または添加剤との組合せで含む。本発明のある特定の態様では、心筋細胞の集団を、移植を必要とする対象に、滅菌生理食塩水中で投与する。本発明の他の態様では、心筋細胞の集団をハンクス平衡塩溶液(HBSS)またはIsolyte S、pH7.4中で投与する。無血清細胞培地の使用を含む他のアプローチも使用することができる。一実施形態では、心筋細胞の集団を血漿またはウシ胎児血清、及びDMSO中で投与する。ある特定の適応症では、対象への心筋細胞の集団の全身投与が好ましいこともあるが、他の適応症では、罹患及び/または損傷組織の部位での、またはその近傍での直接投与が好ましいこともある。
一部の実施形態では、心筋細胞の集団を任意選択で、適切な容器内に、所望の目的のための、例えば、対象への投与前に心筋細胞の集団を再構成または解凍(凍結されている場合)するための文書による指示書と共に包装することができる。
成熟心筋細胞の生成を増加させる心筋細胞成熟因子を同定する方法
心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)の生成を増加させる心筋細胞成熟因子または作用物質を同定する方法を本明細書において記載する。ある特定の例では、ハイコンテント及び/またはハイスループットスクリーニング方法を提供する。方法は、少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体を少なくとも1種の化合物(例えば、ライブラリ化合物または本明細書に記載の化合物)に曝露すること、及びその化合物が少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体からの心筋細胞、例えば、成熟心筋細胞の生成を増加させるか否かを決定することを含む。細胞は、本明細書に記載のマーカーのうちの1種または複数を使用して、心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)として同定することができる。一部の例では、少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体を、ライブラリへの曝露の前に分化させることができる。他の例では、2種以上の化合物を個別に、または一緒に、スクリーニングアッセイにおいて使用することができる。追加の例では、少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体をマルチウェルプレートに入れることができ、ライブラリの様々なメンバーをマルチウェルプレートの異なるウェルに入れることにより、化合物のライブラリをスクリーニングすることができる。ライブラリのそのようなスクリーニングにより、少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体から心筋細胞、例えば、成熟心筋細胞を生成することができる化合物を迅速に同定することができる。
心筋細胞(例えば、静止心筋細胞)の生成を増加させる心筋細胞成熟因子または作用物質を同定する方法も、本明細書において記載する。ある特定の例では、ハイコンテント及び/またはハイスループットスクリーニング方法を提供する。方法は、少なくとも1つの老化心筋細胞を少なくとも1種の化合物(例えば、ライブラリ化合物または本明細書に記載の化合物)に曝露すること、及びその化合物が少なくとも1つの老化心筋細胞からの心筋細胞、例えば、静止心筋細胞の生成を増加させるか否かを決定することを含む。細胞は、本明細書に記載のマーカーのうちの1種または複数を使用して、心筋細胞(例えば、静止細胞)として同定することができる。他の例では、2種以上の化合物を個別に、または一緒に、スクリーニングアッセイにおいて使用することができる。追加の例では、少なくとも1つの老化心筋細胞をマルチウェルプレートに入れることができ、ライブラリの様々なメンバーをマルチウェルプレートの異なるウェルに入れることにより、化合物のライブラリをスクリーニングすることができる。ライブラリのそのようなスクリーニングにより、少なくとも1つの老化心筋細胞から心筋細胞、例えば、静止心筋細胞を生成することができる化合物を迅速に同定することができる。
一部の実施形態では、方法はさらに、心筋細胞、例えば、成熟心筋細胞の集団を単離することを含む(例えば、その際、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、50%、75%またはそれ以上が対象細胞型である)。
一部の実施形態では、方法はさらに、本明細書に開示のとおりの方法により生成された心筋細胞を対象(例えば、慢性心不全を有する対象)に移植することを含む。一部の実施形態では、心筋細胞を、対象から得られた幹細胞から得る。一部の実施形態では、心筋細胞を、対象とは異なるドナー、例えば、対象の血族からの幹細胞から得る。
一態様では、本発明は、本明細書に記載の方法により作製された心筋細胞、例えば、成熟心筋細胞を特徴とする。別の態様では、本発明は、本明細書に記載の方法により作製された心筋細胞を含む組成物を特徴とする。
別の態様では、本発明は、未熟心筋細胞またはその前駆体;本明細書に記載の少なくとも1つの心筋細胞成熟因子;ならびに心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)を生成するために未熟心筋細胞またはその前駆体及び少なくとも1種の心筋細胞成熟因子を使用するための指示書を含むキットを特徴とする。一部の実施形態では、キットはさらに、成熟心筋細胞のためのマーカー、例えば、本明細書に記載のマーカーを検出するための成分、例えば、心筋細胞成熟度のマーカーを検出するための試薬、例えば、マーカーに対する抗体;及び例えば、対照として使用するための成熟心筋細胞を含む。
一態様では、本発明は、未熟心筋細胞またはその前駆体の心筋細胞への分化を促進する方法であって、少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体を得ること、及び幹細胞を少なくとも1つの成熟因子に曝露した際に、少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体を心筋細胞(例えば、成熟心筋細胞)に成熟または分化させるための少なくとも1つの心筋細胞成熟因子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の本明細書に記載の心筋細胞成熟因子)を得ることを含む、方法を特徴とする。一部の実施形態では、少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体は哺乳類からのものである。一部の実施形態では、少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体はマウスまたはヒトからのものである。一部の実施形態では、少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体を胚性幹細胞(例えば、哺乳類胚性幹細胞、例えば、マウスまたはヒト胚性幹細胞)の培養から得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの未熟心筋細胞またはその前駆体を、人工多能性幹細胞(例えば、哺乳類iPs細胞、例えば、マウスまたはヒトiPs細胞)の培養から得る。
一部の実施形態では、複数の未熟心筋細胞またはその前駆体を、例えば、複数の未熟心筋細胞またはその前駆体を本明細書に記載のとおりの心筋細胞成熟因子のうちの少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、またはそれ以上と接触させることにより分化または成熟させて、複数の成熟心筋細胞にする。
一部の実施形態では、複数の老化心筋細胞を、例えば、複数の老化心筋細胞を本明細書に記載のとおりの心筋細胞成熟因子のうちの少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、またはそれ以上と接触させることにより成熟させて、複数の静止心筋細胞にする。
一部の実施形態では、複数の未熟心筋細胞またはその前駆体を、約1、2、4、6、8、10、12、14、16、またはそれ以上の日数にわたって心筋細胞成熟因子に曝露する。一部の実施形態では、複数の未熟心筋細胞またはその前駆体を、約25nM、50nM、100nM、150nM、200nM、250nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μMまたは10μMの濃度の心筋細胞成熟因子に曝露する。一部の実施形態では、複数の未熟心筋細胞またはその前駆体を、約250nM、400nM、500nM、600nM、700nM、または800nMの濃度の心筋細胞成熟因子に曝露する。一部の実施形態では、未熟心筋細胞またはその前駆体の約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%超が成熟心筋細胞に分化または成熟する。
前述の詳細な説明及び次の実施例は例示に過ぎず、本発明の範囲の限定と解釈されるべきではないことは理解される。本開示の意図及び範囲から逸脱することなく、当業者には明らかであろう開示の実施形態を様々に変化させる、及び変更することができる。さらに、同定されている特許、特許出願、及び刊行物はすべて明白に、例えば、本開示と関連して使用され得るそのような刊行物に記載の方法を記載及び開示する目的で、参照により本明細書に援用される。これらの刊行物は、本出願の出願日前にそれらが開示されたというだけで提示されているに過ぎない。この点で、従来の発明により、または任意の他の理由のために、そのような開示に先行する資格を本発明者が与えられないことの容認と解釈されるべきものは何もない。日付に関する陳述、またはこれらの文書の内容に関する表現はすべて、出願人が利用可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さに関していかなる容認も与えない。
実施例1 - mTORシグナル伝達の阻害は、p53誘導静止により、ヒト人工多能性幹細胞から得られた心筋細胞の成熟を増強する
ヒト胚性幹細胞(ESC)または人工多能性幹細胞(iPSC)は、心臓トロポニンの発現により決定した場合、高度に純粋な心筋細胞集団を生成することができる(1)。しかしながら、これらのプロトコルは、胎児状態にかなり似ていて、あまり器質化されていないサルコメア構造、低い最大収縮力、遅い立ち上がり速度、高い静止電位、T管の非存在、及び一次エネルギー供給源として解糖作用への依存の持続を伴う未熟心筋細胞を生成する(2)。特に、未熟ESC由来心筋細胞の大型動物モデル(マカクサルまたはヨークシャー種のブタ)への送達は、ビヒクル対照と比較して、生命を脅かす可能性がある心室性不整脈のリスクの上昇をもたらす(3、4)。幹細胞由来心筋細胞の不十分な成熟が、細胞治療を心疾患に臨床に移行させるための主要な障壁である。幹細胞由来心筋細胞の成熟を増強するための先行のアプローチは、成功が限定されている。生物工学による基質(5)、長時間の培養(2)、体外ペーシング(6、7)、同時培養(8)、機械的刺激(9)、及びトリヨードチロニン(10)、グルココルチコイド(11)、または脂肪酸(12)などの生理活性分子が、成熟において多少の改善を示している。しかしながら、心筋細胞成熟の増強をもたらす根本的な分子機構は不明なままである。高グルコース含有培地の状況で観察される低酸素誘導因子-1α(HIF1α)シグナル伝達の異常な上方制御は、心筋細胞未熟をもたらし得る(13)。これは、栄養素センサーが心筋細胞成熟の開始を担い得ることを示唆している。
誕生時に、新生児は胎盤から酸素及び栄養素を得ることから、自発呼吸を介して酸素及び経腸栄養を介して栄養を得ることへと順応するので、哺乳類は著しい生理的変化を受ける。これらの生理的変化が心臓表現型を調節する根本的な分子機構は不明なままである。マウスでは、心筋細胞は誕生後数日以内は、心筋損傷後も再生する能力を保持する(14)。しかしながら、この期間を超えると、心筋細胞は細胞周期から離脱して、静止状態になる(15)。静止細胞は活発に増殖しないが、細胞は、この状態では休眠とはかけ離れており、むしろ、細胞は代謝及び転写活性を維持している(16)。この静止期間は、より器質化されたサルコメア構造、活動電位持続時間の延長及び解糖作用から脂肪酸酸化へのシフトを伴う、心筋細胞の成熟の増加と一致する(15)。
ラパマイシン機構的標的(mTOR)は、成長及び代謝の中心的なレギュレーターである(17)。mTORは、細胞を刺激し得る栄養素センサーとして役立ち、かつ解糖作用と酸化的リン酸化との間の代謝スイッチとして作用し得る(18)。mTORタンパク質は他のタンパク質と複合体を形成して、mTOR複合体1(mTORC1)またはmTOR複合体2(mTORC2)を形成し、それらはそれぞれ相補的に、または時には競合して目的を果たす(17)。mTORシステムは、細胞周期から離脱した細胞が、加齢に関連する不可逆的細胞周期停止の状態である老化に対して、静止に進むか否かの決定において重要である(19)。mTORの阻害を随伴しない細胞周期停止は老化をもたらすが、同時にmTOR阻害を伴う細胞周期停止は静止をもたらす(19、20)。mTORはまた、膵臓ベータ細胞(21)、赤血球系細胞(22)、及びナチュラルキラー細胞(23)を含む他の細胞型の成熟を調節することが示されている。心臓では、mTORシグナル伝達は、心臓肥大を調節することが示されており(24)、心筋細胞からのmTORの欠失は、発生中の心筋細胞アポトーシスをもたらす(25)。しかしながら、mTOR調節が心筋細胞の成熟に影響を及ぼすか否か、またはどのように影響を及ぼすかは十分に理解されていない。
mTORは、低分子ラパマイシンにより阻害される(17)。ラパマイシンは、分化前に、かつ初期分化中に使用される場合、p53依存性アポトーシスを減少させることにより、心筋細胞分化効率を増強する(26)。ラパマイシンは主にmTORC1を阻害するが、ラパマイシンは、長期的に使用されると、mTORC2に対して多少の阻害作用を有し得る(27)。対照的に、二重mTORC1/2阻害薬であるTorin1は、mTORC1及びmTORC2の両方に対して急性阻害作用を有し、かつラパマイシンよりも、翻訳開始因子4E-BP1のリン酸化に対して完全な阻害作用も有する(28、29)。4E-BP1は、細胞静止を指示する重要なメディエーターである細胞周期レギュレーター、p53とのクロストークにおいて相互作用し得る(30)。Torin1でのmTOR経路の一過性阻害が細胞静止をもたらして、iPSC由来心筋細胞の成熟を増強するという仮説が試験された。
結果
Torin1での二重mTORC1/2阻害は細胞静止をもたらす
mTORを分化の種々の相で、Torin1の種々の濃度で(0~200nM)一過性に阻害して、次いで、細胞周期状態及び心筋細胞純度に対する作用を評価した。これらのプロトコル最適化ステップからの結果に基づき、その後の実験の大部分では、細胞を、ビヒクル(0.02%DMSO)に対して200nM Torin1で7日間にわたって処理し、その際、処理は、別段に記述されていない限り、拍動の開始後からおよそ2日後(図1A)に開始した。
分化心筋細胞に投与する場合、Torin1での処理は、S6K及びAktの両方のリン酸化の急速な減少をもたらし、mTORC1(S6K)及びmTORC2(Akt)の両方に対するその下流作用を実証した(図1B)。AktではなくS6Kについて、リン酸化状態の回復がTorin1での1回処理後2日以内に観察され、これは、繰り返し処理がmTORC1阻害を維持するためには必要であり得ることを示唆した(図1B)。Torin1処理で、1ウェルあたりの細胞の絶対数が減少し、TNNT2+細胞の純度が上昇する有意でない傾向が存在した(それぞれ図1C及び1D)。サイクリンC1及びE2F1増殖マーカーの有意な減少、さらには、p16及びp130を含む静止マーカーの発現が増加する有意でない傾向が観察された(図1E)。
Torin1での拍動心筋細胞の処理は、ビヒクル対照に対して、静止(G)細胞の24%から48%への増加及びG細胞の47%から27%への減少をもたらした(図1Fに代表的なフローサイトメトリープロット、図1Gに解析)。フローサイトメトリーによる細胞周期解析は、剥離からの選択バイアスを受け得るか、または成熟に伴うDNA/RNA含有分の変化による誤検出を有するという懸念により、免疫染色も、元々の12ウェル培養プレートにおいて増殖マーカーKi67及びホスホ-ヒストンH3(pH3)について実行した。Torin1処理は、対照に対して、Ki67+心筋細胞のパーセンテージを有意に低下させたが、pH3+心筋細胞のパーセンテージは変化させなかった(図8)。Torin1処理の完了から2日後に開始した48時間にわたる10%FBSでの刺激は、GにあるTorin1処理細胞のパーセンテージの有意な低下(図1I)をもたらしたが、対照ではもたらさず(図1H)、少なくとも一部のTorin1処理細胞はまだ、適切な刺激で細胞周期に再進入する能力を維持しており、細胞老化またはより深い静止に入っていないことを示した。
後期分化中のTorin1でのmTORC1/2の二重阻害は、iPSC由来心筋細胞の収縮力を増強する
Torin1処理は、用量依存的にMYH6、MYH7、TNNT2 mRNAの発現を増加させ、かつTNNI3 mRNA発現を有意に増加させる傾向があったが(図2A)、TNNT2及びTNNI3RNAレベルはまだ、胎児または成人心臓RNA発現レベルのいずれも著しく下回ったままである(図9A~9B)。加えて、Torin1処理は、ウェスタン解析によるとTNNT2及びTNNI3タンパク質発現(図2Bに示されている代表的なブロット)及びフローサイトメトリーによるとTNNT2MFI(図2C)の用量依存的増加をもたらした。Torin1処理について追加の時点を検査すると、Torin1処理がさらに短期間であるか(5日間の処理)(図10)、またはさらに遅かった場合に(拍動の開始から10日後に開始)(図11)、TNNT2 MFIに対する有益効果がフローサイトメトリーにより観察されたが;しかしながら、一貫性のために、実験のために拍動の開始からおよそ2日後に開始する7日間のTorin1処理の単一のプロトコルを、この研究のために選択した。TNNI1タンパク質レベルの上昇(図2B)(しかし、RNAレベルではない、図2A)も観察され、トロポニンIのこのアイソフォームは、心筋細胞成熟で減少すると予測されるであろうが(35);しかしながら、TNNI3レベルの全体はまだ、胎児心臓のレベルもかなり下回ることを考慮すると、おそらく、すべてのトロポニンアイソフォームのさらなる増加が、成熟度の改善を達成するためにはまだ必要である。1週間にわたるTorin1処理の完了後に、心筋細胞を剥離し、ゼラチン筋肉薄膜(MTF)に再播種して、収縮力を評価した(図2D)。Torin1処理心筋細胞を含有するMTFは、対照に対して生じた相対最大収縮力のほぼ2倍の上昇を有した(図2F、時間に対する代表的な力の追跡が図2Eに示されている)。Torin1処理心筋細胞は、対照に対してサルコメア長さの差を示さなかった(図2H、代表的な画像が図2Gに示されている)。興味深いことに、Torin1処理でのTNNT2 MFIの増加は、Torin1処理の完了後に10%FBSと共に2日間にわたってインキュベートすることにより逆転され(図2I)、これは、成長刺激でのmTORシグナル伝達の再活性化が心筋細胞表現型に有害であり得ることを示唆した。
後期分化中のTorin1でのmTORC1/2の二重阻害は、iPSC由来心筋細胞の代謝成熟を増強する
ミトコンドリア機能を評価するためのSeahorse Mito Stress Testを使用すると(図3A)、Torin1処理心筋細胞の正規化最大OCRの有意な上昇が対照に対して観察され(図3B)、これは、より成熟した心筋細胞により示される酸化的リン酸化へのシフトを示唆した。細胞外酸性化速度(ECAR)が低下する傾向も観察された(図12A及び12B)。この変化は、グリコーゲン分解の減少と共に起こり得るものなど(36)、非解糖酸性化からのECARの減少によると考えられる(図12C)。予期せず、核DNAに対するミトコンドリアDNAの比の低下(図3C)及びフローサイトメトリーよるとMitoTrackerのMFIの減少(図3D)が観察され、これはおそらく、細胞静止の状態を反映した。しかしながら、1週間にわたるTorin1でMitoProbe JC-1赤色:緑色蛍光比の上昇により示されるとおり、ミトコンドリア膜分極の有意な上昇が観察され(図3E)、これは、存在するミトコンドリアがより成熟していることを示唆した。PPARGC1a(ミトコンドリア生合成及び成熟を調節するPGC1α、転写共活性化因子としても公知(37))のmRNA発現の用量依存的増加がTorin1処理で観察された(図3F)。これは、脂肪酸輸送タンパク質6(FATP6)のmRNA発現の増加を随伴した。選択されたミトコンドリア遺伝子(図13A)またはタンパク質(図13B)の有意な変化は観察されなかったが、脂肪酸受容体、CD36の発現が増加する傾向がTorin1で観察された(図13C)。OPA1の発現が増加する傾向が脂肪酸の処理で見られた。
後期分化中のTorin1でのmTORC1/2の二重阻害は、成熟イオンチャネルの発現を増強し、ピーク立ち上がり時間及びダウンストローク速度を増加させる
Torin1処理は、KCNJ2、CACNA1c、RYR2、ATP2A2(SERCA2A)、及びSCN5A mRNAの発現の有意な用量依存的増加をもたらした(図4A)。HCN4が増加する有意でない傾向もあり(図4A)、より成熟した非ペースメーカー心筋細胞はHCN4の低い発現レベルを有するであろうと予想されていたが、倍数変化は、試験された他のイオンチャネルで見られたものよりも、HCN4ではさらに低い。RYR2、KCNJ2、及びCACNA1cのmRNAレベルはまだ、成体心臓において見い出されたレベルをかなり下回り、RYR2及びKCNJ2発現レベルも、胎児心臓レベルを著しく下回ることが観察された(図9)。これは、より高い成熟を達成するためには、すべてのイオンチャネルが発現を増加させる必要がまだあることを示唆している。加えて、Torin1は、フローサイトメトリーによると細胞外Kir2.1(KCNJ2によりコードされる)のMFIを有意に上昇させた(図4B)。Torin1処理細胞における収縮の拍動数の低下が観察され(図4C)、これは、自動性を阻害する重要なイオンチャネルであるKir2.1発現の増加と共に予測されるであろう(38)。サルコメアタンパク質発現に対してイオンチャネル発現に影響を及ぼすために、Torin1処理のための別の最適な時間ウィンドウが存在し得る(図10)。FluoVoltを使用して作成した活動電位プロファイル(図4CのCyteSeerソフトウェアセルセグメンテーションを示す代表的な画像)は、Torin1処理細胞が一般に、数値パラメーターに反映される比較的長いプラトー相ならびに比較的鋭いアップストローク及びダウンストローク(図4E)を、ピーク立ち上がり時間(図4F)、CTD75(図4I)及びT75-25タイム(図4J)の有意な減少、ならびにダウンストローク速度の有意な上昇(図4G)、CTD25の無変化(図4H)と共に有することを示した。加えて、カルシウムピーク立ち上がり時間、ピーク減衰時間、及びFWHM(半値全幅)タイムの有意な減少がTorin1処理で観察され、イソプロテレノール刺激でこれらのパラメーターがさらに低下した(図14)。
Torin1での二重mTORC1/2阻害は、p21の発現を阻害しながらp53及びGATA4の発現を増強する
Torin1で、腫瘍抑制因子タンパク質及び細胞周期レギュレーターであるp53(全タンパク質及びリン酸化タンパク質)の用量依存的増加、さらには、p21タンパク質発現の用量依存的減少が観察された(図5A)。p53は、p21を上方制御することが公知であるが(39)、p21はまた、mTORC1阻害の状況において低リン酸化4E-BP1により分解され得る(40)。したがって、データは、Torin1がp21のレベルを直接的に低下させるように作用し、そのことが、p53上方制御の二次的作用につながり得ることを示唆している。Torin1処理で心臓転写因子GATA4(NKX2.5ではない)のタンパク質発現が増加する傾向もあり(図5A)、p53が心臓トランスクリプトームを調節するという先行の証拠と一致した(41)。Torin1処理細胞でのピフィスリン-α(p53の活性を阻害する低分子阻害薬(42))の使用は、Torin1単独に対して、静止(G)心筋細胞のパーセンテージを低下させ、細胞周期(G、S/G/M)にある心筋細胞のパーセンテージを上昇させた(図5B)。また、ピフィスリン-αは、p53及びTNNI3の両方のTorin1誘導増加を阻害した(図5C、代表的なウェスタンブロット;図5D、p53のデンシトメトリー解析)。
nutlin-3aでのp53の上方制御は、独立に、かつTorin1と相乗的にTNNI3の発現を増強する
p53の上方制御だけで、細胞静止を促進するために十分であるか否か、または同時のmTOR阻害が必要であるか否かを決定するために(図6Aに図示)、細胞を、mTORとは独立に、E3ユビキチンリガーゼMDM2の阻害によりp53を増加させるnutlin-3aで処理した。nutlin-3a単独(10μM、24時間)、200nM Torin1単独(200nM、7日間)、またはTorin1(200nM、7日間)を伴うnutlin-3a(10μM、Torin1処理の最初の24時間)で処理すると、対照に対して、静止(G)TNNT2+心筋細胞のパーセンテージが上昇し、G相にあるTNNT2+心筋細胞のパーセンテージが低下した(図6B)。加えて、nutlin-3aは、Torin1とは独立に、p53及びTNNI3タンパク質発現を増加させた(図6C)。心筋細胞をnutlin-3aとTorin1との組合せで処理した場合、nutlin-3a単独またはTorin1単独のいずれに対しても、p53発現レベルの有意な上昇が観察された(図6D)。加えて、nutlin-3a及びTorin1の両方での組合せ処理では、TNNI3発現がさらに増加した(図6E)。したがって、p53の上方制御だけでも、限定された心筋細胞成熟を促進し得るが、この作用は、mTOR阻害との組合せでさらに増強した。
Torin1処理は、細胞を老化表現型から静止表現型へとシフトさせる
NanoString PanCancer Pathways Panelを利用して、Torin1で処理され、続いて、FBSで処理された細胞における細胞周期、成長、及び代謝と関連する遺伝子の多重解析を、対照に対して得た。教師なし階層的クラスタリング及び主成分解析(PCA)を用いて、4つの処理群(対照、対照+FBS、Torin1、Torin1+FBS)により、NanoStringにより図示されるとおりの「細胞周期」(図7A(ヒートマップ)、図15F(PCA))及び「タンパク質の代謝」(図7B(ヒートマップ)、図15H(PCA))経路を含めて、パネルのすべての遺伝子のレベルで(図15A(ヒートマップ)及び15B(PCA))、さらには、遺伝子のいくつかのサブセットでクラスタリングを観察した。経路スコア(特定の経路内のすべての遺伝にわたる全体変化を要約するために指定された数値)によるクラスタリングが、細胞周期(図15G)及びタンパク質の代謝(図15I)経路で観察された。
すべての遺伝子(図15C~15E)についての、かつ細胞周期(図7C~7E)及びタンパク質の代謝(図7F~7H)経路についての示差的遺伝子発現は、4つの群の間での細胞静止と老化との差を示唆している。特に、Torin1処理は、両方とも老化関連分泌表現型(SASP)の一部として見られる分泌因子(43)であるインターロイキン-8(IL8)及びSPP1(オステオポンチン)(図7G)の発現の有意な減少をもたらし、これは、Torin1が、細胞に老化表現型から離れるように再指示し得ることを示唆した。対照細胞をFBSで刺激すると、これは、細胞周期阻害因子、CDKN1a(p21)の上方制御、ならびにサイクリンA2、B1、D2、及びE2の下方制御をもたらし、これも、老化表現型において予測されるであろう。Torin1ですでに処理された細胞では、FBSで、CDKN1a(p21)の有意な増加は見られない。しかしながら、Torin1処理細胞における血清処理では、SPP1の増加及びサイクリンB1の減少が見られ、これは、少なくとも一部の細胞がFBS処理で、静止表現型ではなく、老化表現型へと指示され得ることを示唆した。興味深いことに、FBS処理では、フローサイトメトリーによるとTNNT2のMFIの低下が観察され(図2I)、これは、Torin1処理で見られる成熟の増加が、老化の宿命への指示で逆転し得ることを示唆した。
考察
この研究では、二重mTORC1/2阻害薬、Torin1が、静止(G)状態の細胞のパーセンテージを上昇させ、TNNI3及びKCNJ2を含む心筋細胞成熟と関連する遺伝子の発現を増強することが見い出された。Torin1処理は、iPSC由来心筋細胞により生成される収縮力の上昇、ならびに活動電位プロファイルのピーク立ち上がり時間及びダウンストローク速度の上昇をもたらした。また、Torin1で一過性に処理された心筋細胞はOCRの上昇を有したことが観察され、これは、これらの細胞が、対照細胞よりも代謝的により成熟していることを示唆した。Torin1処理が、細胞周期レギュレーター、p53の発現を増加させながら、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子のmRNA発現を有意に減少させたことも観察された。p53により調節されると以前に示されている(41)、GATA4の発現を増加させる傾向もあった。さらに、nutlin-3a、p53活性化因子は独立に、TNNI3発現を増加させ、Torin1と相乗効果を有した。これらのデータは、p53の発現の増加が心筋細胞静止及び成熟の両方を誘導する二重作用を有することを示唆している。
未熟心筋細胞が心室性不整脈を刺激するという懸念により、幹細胞由来心筋細胞の不十分な成熟は依然として、臨床に移行させるための重大な障壁である(3、4)。幹細胞に由来する心筋細胞の成熟を増強するために、様々な戦略が使用されてきた(6、9)。デキサメタゾンを伴って、もしくは伴わずにトリヨードチロニンを添加すること(10、11)またはHIF1α(13)の下方制御が心筋細胞成熟を改善し、特に、デキサメタゾンはmTORシグナル伝達を抑制し得て(44)、HIF1αは、mTORにより調節され(45)、かつトリヨードチロニンは、mTORシグナル伝達を下方制御し得る(46)。mTORシグナル伝達の刺激は実際に、心筋細胞成熟を阻害し得て、グルコースなどの成長シグナルはmTORを刺激し、グルコース刺激は、心筋細胞成熟を阻止することが示されている(47)。さらに、インスリンも、mTORを刺激し、かつ心筋細胞の未熟な状態を支持し得る成長刺激分子である(48)。最後に、低酸素もmTORシグナル伝達を阻害し得るが(49)、低酸素はまた、心筋細胞増殖を刺激しながら(すなわち、静止を減少させる)、成体マウス心筋細胞において解糖作用を上方制御することができる。mTORシグナル伝達の阻害が心筋細胞成熟を促進し得ることを示すデータは、これらの先行研究と一致する。
新生児期直後を過ぎると、心筋細胞は細胞周期を離脱して、大規模には増殖せず、損傷後に、心筋層は再生するのではなく、瘢痕組織を形成する(14)。出生後心筋細胞は、不可逆的な細胞周期を離脱して老化していると考えられてきた。しかしながら、さらに最近のデータは、成体心筋細胞が、成人において1年あたり約1%の心筋細胞ターンオーバー率で増殖し得ることを示唆している(50)。これは、老化しているのではなく、おそらく成体哺乳類心筋細胞が実際には、深い静止(G)状態にあることを示唆している。細胞静止は、栄養素遮断により引き起こされる休止状態であり、適切な刺激に応じて細胞周期に再進行可能であることにより特徴付けられる(16)。しかしながら、増殖は起こらず、細胞は、この状態で休眠しているのではなく、むしろ、細胞は、代謝及び転写活性を維持している(16)。G状態内では、細胞は、Gへの移行エントリー期(transitional entry period)、深G、及び静止のより浅い状態であり、その間、細胞が細胞周期への復帰を引き起こす刺激に応答可能であるGalert状態を含めて、様々な深さの静止を有し得る(16)。データは、静止状態が心筋細胞成熟を促進する一方で、老化状態が心筋細胞成熟を阻害することを示唆している。
Torin1処理後に、腫瘍抑制因子p53のタンパク質発現の用量依存的増加が、p21タンパク質発現の増加ではなく、予期せぬ減少と共に観察された。p53は、p21の発現を上方制御することが公知であり、次いで、p21によりp53の安定性が低下するので、p53はp21により対抗制御される(39)。Torin1でのmTORC1阻害が4E-BP1のリン酸化を阻止し、4E-BP1の非リン酸化状態は、p21に結合して、それを分解し得るので、p21発現の減少は、p21の4E-BP1調節により得る(40)。これは、iPSC由来心筋細胞のTorin1処理が、心筋細胞成熟を指示し得るp53発現及び活性の上昇を間接的にもたらすことを示唆している。p53及びTNNI3発現に対するTorin1の作用は、p53阻害薬、ピフィスリン-αで阻害された。最近、p53は、心筋細胞表現型の維持における中核であると同定された(41)。ゲノムワイド解析により、p53は、GATA4、NKX2.5、MEF2a、及びSRFを含む他の心臓転写因子の発現を誘導する心臓トランスクリプトームレギュレーターとして同定された(41)。重要な心臓転写因子のそのような中枢的調節と共に、これは、収縮、電気生理学的、及び代謝ドメインにわたる心筋細胞成熟の一般化改善を説明し得る。
p53は、老化または静止のいずれも開始させることができ、その決定は、mTORにより部分的に調節される(19)。低分子、nutlin-3aでのp53の上方制御は、Gにある細胞の数を増加させ、TNNI3タンパク質発現を増加させ、Torin1との組合せでさらなる相乗効果を有することが観察された。マウス胚線維芽細胞では、nutlin-3aでのp53の上方制御は老化をもたらした(19)。しかしながら、これらの細胞をmTORを阻害するためのラパマイシン、さらにはp53を上方制御するためのnutlin-3aの両方で処理すると、細胞は、老化ではなく細胞静止へと方向付けられた(19)。したがって、ある特定の細胞型では、同時のp53の上方制御及びmTORシグナル伝達の下方制御が、静止状態表現型へと細胞を方向付けるためには必要である。nutlin-3a及びTorin1でのiPSC由来心筋細胞におけるこの組合せ処理は、いずれか単独と比べて、TNNI3発現のさらなる増強をもたらし、これは、p53のさらなる活性化が心筋細胞成熟に対して追加の有益効果を有し得ることを示唆している。
多重遺伝子発現解析により、Torin1処理は、老化関連分泌表現型(SASP)、細胞老化と関連する炎症誘発状態に関連する選択された遺伝子の発現を減少させることが明らかになった(43)。これは、Torin1が、p21下方制御により老化状態から離して、同時のp53の上方制御及びmTORの下方制御により静止状態表現型へと心筋細胞の分化を再指示し得ることを示唆している。しかしながら、Torin1の除去及び同時の血清での刺激の後のmTOR再活性化で、Torin1処理細胞は老化表現型へとシフトする。これは、TNNT2 MFIの減少を随伴し、これは、老化状態への移行で、静止中に起こる成熟の増加が逆転し得ることを示唆している。将来の調査では、より深い静止状態の促進が老化または増殖状態のいずれかへの変換を阻止して、心筋細胞成熟を維持し得るか否かを調査すべきである。
まとめると、結果は、iPSC由来心筋細胞において、後期分化中のTorin1での処理が細胞静止を誘導して、選択された成熟のパラメーターを改善することを実証した。この作用は、少なくとも一部では、細胞静止を誘導し、かつ心臓トランスクリプトームを調節し得るp53の上方制御により駆動されると考えられる。これは、mTORシグナル伝達経路が心筋細胞成熟の重要なレギュレーターであることを示唆している。
方法
細胞系
3種のヒトiPSC系をこの研究で使用した。BJ-RiPS細胞系(男性ドナー、線維芽細胞由来)は、Harvard Stem Cell Institute(HSCI)Induced Pluripotent Stem Cell (iPSC) Core facilityから得た。UCSD142i-86-1 iPSC系(女性ドナー、線維芽細胞由来)は、University of California San DiegoのDr. Kelly Frazer研究室により作製され、Wi細胞Cellにより配給された。市販のGibcoエピソーム由来iPSC系(CD34+臍帯血単核細胞由来)はThermoFisher Scientificから得た。各細胞系での全継代数は70未満であり、継代数が、最後の解凍から20に近づいたら、新しい、より低い継代のバイアルを解凍した。細胞をStemFlex(ThermoFisher)中で維持し、分割後24時間にわたってROCK阻害薬を使用して3~4日ごとに継代した。図に示されている代表的なデータは、単一細胞系を用いた個々の実験からのものであり;各図で使用されている細胞系は、図の凡例に示されている(BJRIPS-CM、Gibco iPS-CM、またはUCSD-CMと省略)。重要な実験は、再現性を確認するために3種すべての細胞系で行った。
人工多能性幹細胞由来心筋細胞の分化
分化を準備するために、分化の開始の4日前に、iPSCを12ウェルプレートのウェル1つあたり20,000~80,000細胞(細胞系に応じて)の密度で播種した。細胞を、Lian et al.により以前に記載されたプロトコルに従って、多少の変更を加えて分化させた(図1A)(1)。分化0日目に、基礎培地をStemFlexからRPMI/B27に変えた。GSK3阻害薬、CHIR99021(6μM)を、細胞がおよそ70~80%集密になった分化0日目から2日目まで48時間にわたって添加した。WntアンタゴニストIWP4(5μM)を分化2~4日目に添加した。インスリン(10μg/ml)を、分化7日目から開始して培地に添加し、培地を2~3日ごとに変えた。一般に、分化から10日目より前に拍動が開始された場合に、より高い純度の(TNNT2+)心筋細胞が観察され、したがって、分化から7~10日目の間に拍動が開始されたバッチのみが、この研究に含まれた。別段に特記されていない限り、拍動心筋細胞を、拍動の開始から約2日後に開始して7日間にわたってTorin1(別段に特記されていない限り、200nM)またはビヒクル(0.02%ジメチルスルホキシド(DMSO))で処理した(培地を新鮮なTorin1またはDMSOと2~3日ごとに変えた)。Torin1処理の後に、培地をRPMI/B27/インスリンに戻し、終点アッセイまで2~3ごとに培地を変えながら維持した。いくつかのアッセイでは、脂肪酸を、1:1000に希釈された化学的に定義された脂質(Gibco)の形態で、Torin1処理と同時に添加した。一部の他のアッセイでは、2~4日間にわたるTorin処理の完了後に、ウシ胎児血清(10%FBS)を細胞に添加した。
定量逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応
製造者指示書に従って、RiboZol(VWR)、続いて、E.Z.N.A.Total RNA I kit(Omega)を使用して、RNAを細胞から抽出し、次いで、High Capacity cDNA Reverse Transcription kit(Thermo Fisher Scientific)で、cDNAに逆転写した。iTaq Universal SYBR Green Supermix(Bio-Rad)及び表1に列挙されているプライマー対をBio-Rad CFX384 Real-Timeサーマルサイクラーと共に用いて、定量的PCR(qPCR)を実行した。TATA結合タンパク質(TBP)をハウスキーピング遺伝子として使用した。
ウェスタン解析
細胞を溶解緩衝液(1%Triton(登録商標) X、0.35%デオキシコール酸Na、1mM EDTA、1%プロテアーゼ阻害薬カクテル(Sigma)、1%ホスファターゼ阻害薬カクテル2(Sigma)、1%ホスファターゼ阻害薬カクテル3(Sigma)、1mMフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF))で溶解させ、全タンパク質をPierce BCA Protein Assay Kitで測定した。等量の全タンパク質量を有する試料(Laemmli試料緩衝液(Bio-Rad)中で調製)をMini-Protean TGX Precast Gel(Bio-Rad)に装填し、100Vで1時間にわたって電気泳動させ、その後、Trans-Blot Turbo Transfer System(Bio-Rad)を使用してPVDF膜に移動させた。Precision Plus Protein Dual Color Standards分子量ラダーを使用して、検出されたバンドの分子量を推定した(Bio-Rad)。膜を5%牛乳またはウシ血清アルブミンでブロックし、次いで、一次抗体(表2)と共に、終夜、4℃でインキュベートし、続いて、ホースラディッシュペルオキシダーゼ-コンジュゲート二次抗体(表2)と共に1時間にわたって室温でインキュベートした。Amersham ECL Western Blotting Detectionキットを使用して、化学発光によりタンパク質シグナルを検出し、ImageJソフトウェア(NIH)を使用してバンド密度を定量化した。
フローサイトメトリー
細胞を剥離し、5×10~1×10の細胞を1条件あたり使用した。細胞周期解析では、1条件あたり5×10の細胞を70%冷エタノール中で少なくとも2時間から終夜、-20℃で固定した。細胞を初めにPermeabilization Buffer(Thermo)中のAlexaFluor 647-TNNT2で、次いで、Hoechst 33342(2μg/ml)及びピロニンY(4μg/ml)で20分間にわたって染色して、G、G、及びS-G-M相にある細胞を識別した。他の染色法では、細胞を、eBioscience Intracellular Fixation緩衝液中で30分間にわたって固定し、続いて、eBioscience Permeabilization Buffer中で2回洗浄し、eBioscience FACS Staining緩衝液中の適切な一次抗体(表2)で30~60分間にわたって染色した。二次抗体を使用する場合、細胞を適切な二次抗体(表2)と共に30~60分間にわたってインキュベートした。相乗平均蛍光強度(MFI)をTNNT2及びKir2.1抗体について定量化した。データをBD LSRII機器により取得し、FlowJoソフトウェアを使用して解析した。
免疫細胞化学
分化後に、0.1%トリプシン-EDTAを用いて細胞を12ウェルプレートから剥離し、Geltrexコーティング4チャンバー顕微鏡スライドに再播種した。細胞を4%パラホルムアルデヒド中で固定し、次いで、0.5%Triton(登録商標) X-100で透過化した。5%BSAでブロックした後に、細胞を一次抗体(表2)と共に30分間にわたって室温でインキュベートし、続いて、二次抗体(表2)と共に45分間にわたって室温で、暗所でインキュベートした。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した後に、DAPIを含むVectashield封入剤(スライド用)またはDAPI(プレート用)を施与し、細胞を共焦点顕微鏡(Zeiss LSM 700)で可視化した。筋肉薄膜(MTF)を同様の手法で染色したが、ただし、DAPI(1μg/ml)を5分間にわたって施与し、その後、すすいで、イメージングするまでMTFをPBS中に移した。
分化中の心筋細胞のイメージング定量化
心筋細胞を12ウェル内で分化し、次いで、固定し、元のプレート内で染色して、剥離を生き延びた細胞を選択する可能性を最小化した。細胞を、免疫染色法に記載のとおりKi67/TNNT2/DAPIまたはホスホ-H3/TNNT2/DAPIで染色した。画像を蛍光顕微鏡で取得した。10倍対物レンズを用いて、TNNT2+細胞を含有する単層領域をプレート中の5つの視野から無作為に選択した。ImageJの粒子解析機能を使用して、DAPI、Ki67、またはpH3について陽性であった1視野あたりの細胞数を定量化した。試料全体にわたる可変性を調整するために、<500のシグナル閾値をDAPI及びpH3(488nm)について設定し、<600のシグナル閾値をKi67(488nM)について設定した。10~1000ピクセルの粒径が解析に含まれた。DAPI及びTNNT2によりマークされた細胞の合計数の中からKi67+細胞またはpH3+細胞のパーセンテージを定量化した。カイ二乗検定を使用して、統計学的有意性を評価した。
筋肉薄膜
以前に記載されたとおり(32)、ゼラチン筋肉薄膜(MTF)を調製した。正方形の22×22mmガラス製カバースリップを低粘着性テープ(Patco 5560 Removable Protective Film Tape)でカバーし、Epilog Mini 24レーザーエングレービング機器を使用して、2つの内部長方形(カンチレバー領域では3×10mm及びベース領域では7×10mm)が外部輪郭に取り囲まれるように、テープを切り出した。大きい方の内部長方形を剥がし、この領域を0.1M NaOHで5分間にわたって、次いで、95%エタノール中0.5%(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)で5分間にわたって、次いで、0.5%グルタルアルデヒド溶液で30分間にわたって活性化させた。次いで、ガラス製カバースリップをすすいで、乾燥させた。次に、小さい方の長方形領域をカバーしているテープを剥がした。蒸留水溶液の20%w/vの貯蔵用ゼラチン(175gブルーム、Type A、Sigma)を65℃で30分間にわたって溶解させ、蒸留水溶液の8%w/v貯蔵用微生物トランスグルタミナーゼ(MTG)(Ajinomoto)を37℃で30分間にわたって溶解させた。10%w/vゼラチン及び4%w/v MTGの最終濃度で使用する直前に、貯蔵用ゼラチン及び貯蔵用MTG溶液を1:1で混合した。溶液をグラスカバースリップ上の露出した正方形にピペットで添加した。リッジ幅25μm×溝幅4μmの線特徴を有するポリジメチルシロキサン(PDMS、Sylgard 184、Dow Corning)スタンプをゼラチンに配置し、500gの重りをPDMSスタンプの上に配置した。ゼラチンを終夜、室温で固化させた。翌日、重りを取り除き、ガラスカバースリップをゼラチン及びPDMSスタンプと共に、蒸留水中に30分にわたって配置して、ゼラチンを再水和させ、その後、PDMSスタンプを取り除いた。ゼラチンの輪郭に沿って残っているテープを取り除いた。MTFを、Kimwipeを押し当てて乾燥させ、次いで、Epilog Mini 24レーザーエングレーバーを出力3%、速度7%、及び周波数2000Hzで用いて、カンチレバー(幅1mm×長さ3mm)を6~7回切り出した。MTFを70%エタノール中で5分間にわたって滅菌し、続いて、安全キャビネット内で、終夜、PBS中でUV光に曝露した。MTFにGeltrex(Invitrogen)を30分間にわたって室温でコーティングし、その後、細胞を播種した。Torin1またはビヒクル処理の完了後のiPSC由来心筋細胞を12ウェルプレートから剥離し、MTF上に、100μLあたり800,000細胞の密度で再播種した。細胞を1~2時間にわたって体積100μLで、37℃で接着させ、次いで、追加の4mlのRPMI/B27/インスリン+10%FBSを、6ウェルプレートの各ウェルに添加した。翌日、培地を、RPMI/B27/インスリンを含有する非血清に再び変えた。細胞を、イメージング/拍動の前に4~5日間にわたって接着させ、再播種から回復させた。解析の当日に、ゼラチンMTFを、タイロード液(1.8mM CaCl、5mMグルコース、5mM4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、1mM MgCl、5.4mM KCl、135mM NaCl、0.33mM NaHPO、pH7.4)を含有する35mmペトリ皿に移した。各カンチレバーを取り囲む過剰のゼラチンを解剖顕微鏡(Leica MZ9.5)下で慎重に除去し、カンチレバーを、微細ピンセットを用いてガラスから慎重に剥がした。測定中、MTFを37℃で、加熱ブロック内に維持した。2本の白金電極を2cm空けて皿に配置し、MyoPacer Cell Stimulator(IonOptix)を使用して、MTFを1~4Hzで20Vでペーシングした。Basler A601f-2カメラを用いて1秒あたり20のフレームで、画像を取得した。各MTFでの曲率半径を、ImageJを使用して定量化した。MTFの厚さを、Zeiss LSM共焦点顕微鏡を用いて決定した。改変ストーニー式を用いて、各MTFでの力を、曲率半径、暑さ、及び弾性率を用いて計算した(33)。最大及び平均収縮期、拡張期、及び単収縮(収縮期-拡張期応力)応力を各MTFについて計算した。
Seahorse Mito Stress Test及びGlycolysis Stress Test
Seahorse XFe96 Analyzer(Agilent)を使用して、分化心筋細胞の代謝活性を評価した。Seahorse XFe96細胞培養マイクロプレートに、Geltrex(DMEM中で1:100希釈:F12)をコーティングした。心筋細胞を前記のとおり分化させ、次いで、拍動の開始からほぼ2日後から出発して1週間にわたって(多くのバッチで、分化からほぼ9~16日目)、DMSOまたはTorin1(200nM)で処理した。処理の後に、すべての細胞を、アッセイの調製(分化から35日目、またはその前に実行)まで、RPMI/B27/インスリン培地に再び変えた。アッセイの前日に、心筋細胞を0.1%トリプシン-EDTAで5分間にわたって剥がし、次いで、RPMI/B27/インスリン+10%ウシ胎児血清(FBS)で中和し、1ウェルあたり20,000~30,000細胞の密度で播種した。心筋細胞を血清含有培地中で終夜、維持して、細胞接着を促進した。アッセイの1時間前に、プレートをSeahorseアッセイ培地(25mMグルコース、1mMピルビン酸ナトリウム、及び1mM GlutaMAXを補充されたXF Base Medium)に変え、次いで、37℃で、CO2フリーインキュベーター内で、Seahorseアッセイ培地と共にインキュベートした。XF Cell Mito Stress Test Kitを製造者指示書に従って、注入される化合物については次の最終濃度:2μMオリゴマイシン、2μM 2-[2-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ヒドラジニリデン]-プロパンジニトリル(FCCP)、及び0.5μMロテノン/アンチマイシンAで使用した。XF Glycolysis Stress Testを製造者指示に従って、10mMグルコース、1μMオリゴマイシン、及び50mM 2-デオキシグルコースと共に使用した。ストレステストキット化合物の連続注射に応じた酸素消費速度(OCR)及び細胞外酸性化速度(ECAR)の測定後に、洗浄中の細胞喪失を考慮するために、最終細胞密度を、CyQUANTアッセイ(Thermo Fisher Scientific)を使用して決定した。洗浄/混合ステップ中の細胞損失を考慮するために、Seahorseアッセイに使用されなかったが、同様の分化からの日の心筋細胞を使用して、CyQUANTアッセイのための標準曲線を作成して、絶対細胞数を定量化した。OCR値を、CyQUANTアッセイにより決定された絶対細胞数に対して正規化した。データを、各ウェルについて平均基線値に対して正規化した。基線OCR値は、化合物の注射前の最初の3つのOCR測定値(0~12分)を平均することにより計算し、最大OCR値は、平均非ミトコンドリアOCR値(ロテノン/アクチノマイシンA後のOCR)を、脱共役FCCPを注射した後のOCR値から引くことにより計算し、かつ呼吸予備容量値(respiratory reserve capacity values)は、基線OCR値を、FCCPの添加後のOCR値から引くことにより計算した。Glycolysis Stress Testでは、製造者指示に従って、解糖ECARは、平均非解糖酸性化値(2-DG後)をグルコース投与後の値から引くことにより計算し、解糖能は、非解糖酸性化ECAR値をオリゴマイシン添加後のECAR値から引くことにより計算し、解糖予備能は、グルコース添加後のECAR値をオリゴマイシン添加後のECAR値から引くことにより計算した。
核DNAに対するミトコンドリアDNAの比
核DNAに対するミトコンドリアDNAの比を、qPCRで定量化した。PureLink genomic DNAミニキット(Invitrogen)を使用して、DNAを心筋細胞から抽出した。ミトコンドリア遺伝子のNADHデヒドロゲナーゼ1(ND1)及び核遺伝子のリポタンパク質リパーゼ遺伝子(LPL)のDNAのためのプライマーを使用した(10)。
MitoTracker及びMitoProbe JC-1アッセイ
生iPSC由来心筋細胞を、製造者指示に従ってMitoTracker Green FM(Invitrogen)またはMitoProbe JC-1アッセイキット(Invitrogen)を使用して染色した。細胞をフローサイトメトリーにより評価し、全生細胞の平均蛍光強度を定量化した。JC-1では、Torin1処理細胞対ビヒクルで、緑色MFIに対する赤色MFIの比を定量化し、対照に対して正規化した。
Vala Kinetic Image Cytometerを用いての電圧解析
Torin1処理の完了後に、心筋細胞を前記のとおり剥離し、次いで、1ウェルあたり20,000~30,000細胞の密度で、GeltrexコーティングされたGreiner Cellstar黒色96ウェルプレートに再播種した。RPMI1640(フェノールレッドではない)(OxyFluor(Oxyrase、1:100希釈)、10mM乳酸ナトリウムを補充)中のFluoVolt色素(FluoVolt Membrane Potential Kit、Thermo中のストックから1:1000)及びHoechst 33258染料(20μg/ml)をアッセイの15分前に各ウェルに添加した。細胞を、IC200 Kinetic Image Cytometer(Vala)を使用して15Vで、0.5パルス/秒の周波数及び5パルスで5msecのパルス幅で電気的に刺激した。画像を20×で、かつ1秒あたり70フレームのフレーム速度で取得した。Hoechst染色核を自動的に認識し、分割し、各細胞を同定して、視野に捕捉された各細胞の電圧データを定量化するCyteSeer画像解析ソフトウェアを使用して、電圧解析を実行した(34)。CyteSeerソフトウェアにより、細胞をHoechst染色核により同定し、個々の細胞に分割し、自動的に数えた(図4C)。各細胞で、蛍光強度を、それぞれの数えられた有核細胞内の円形領域内から記録した。4つの電圧ピークが検出された場合に、細胞は含まれ(最初にペーシングされた拍動はイメージングシステムにより部分的にしか捕捉されなかった);4つ未満のピークを有する細胞は、不十分な捕捉を示し、4つよりも多いピークを有する細胞は、その細胞がペーシングされた拍動よりも早い自発拍動速度を有することを示した。およそ300~500の個々の細胞からのデータが、各条件での解析に含まれた。基線蛍光を使用して、個々の細胞の間での蛍光強度の可変性について正規化した。ピーク立ち上がり時間、CTD25(カルシウム移行の25%期間、または最大振幅から25%減衰の期間)、CTD75(カルシウム移行の75%期間、または最大振幅から75%減衰の期間)、T75-25(電圧が最大の75%から25%へと減衰する時間)、及びダウンストローク速度を、CyteSeer画像解析ソフトウェアを使用して定量化した。
Vala Kinetic Image Cytometerを用いてのカルシウム移行解析
カルシウム移行解析を実行するために、50ulの10ug/ml Hoeschst33258及び5μM Fluo-4 AMを96ウェルプレートの各ウェルに添加し、10分間にわたって37度でインキュベートした。培地を、フェノールレッドを含有せず、1:100のオキシフルオロ及び10uM乳酸ナトリウムを補充されたRPMIに置き換えた。イソプロテレノール(1μM)をイソプロテレノール実験のための培地に添加した。ペーシングプロトコルは、ペーシングなしで5秒遅延、続いて、1Hzで5秒ペーシング、及びペーシングなしで5秒イメージングであった。イメージングを、Vala Kinetic Image Cytometerを用いて、30fpで、33.30msの曝露で、強度14.25で実行した。刺激パルスは15V電圧で5msであった。データをCyteSeer解析プログラムにより収集した。
NanoString解析
製造者指示に従って蛍光バーコード化RNA(fluorescently barcoded RNA)の光学計数法を用いるNanoString技術を使用して、遺伝子発現解析を実行した。nCounter PanCancer Pathways Panelを選択して、細胞周期、アポトーシス、Wnt、転写調節、PI3K、及びTGF-βを含む複数の成長及び細胞周期関連経路からの770の遺伝子の多重解析を得た。このパネルを選択して、細胞周期調節、代謝、静止及び老化と関連する経路の多重解析を得た。心筋細胞を12ウェルプレート内で分化させ、次いで、心筋細胞を、拍動の開始からほぼ2日後から開始して1週間(このバッチでは9~16日目)にわたって、Torin1(200nM)またはビヒクル(DMSO)で処理した。Torin1処理の完了後に、細胞を維持培地(RPMI+B27+インスリン)に戻した。分化の18日目に開始して、10%ウシ胎児血清(FBS)を1処理群あたり半分のウェルに添加し、FBS処理を4日間にわたって継続した(分化から22日目まで)。細胞をRiboZol内に収集し、次いで、qPCR調製について前記したとおり、全RNAを各ウェルから抽出した。全RNA200ngを調製し、次いで、nCounter XT Gene Expression Assayに従って、試料をPanCancer Pathways Panel試薬と共に16時間にわたって65℃でハイブリッド形成した。試料をNanoStringプレップステーションで処理し、次いで、nCounter機器(NanoString Technologies)でイメージングした。教師なし階層的クラスタリング、示差的発現解析、及びR統計学的パッケージを使用する経路スコアリングを実行するためのパネルに含めて、内部ハウスキーピング遺伝子に対する正規化を伴うAdvanced Analysis Module 2.0を用いるnSolver 4.0ソフトウェアを使用して、データを解析した。
統計学
データは、別段に特記されていない限り、平均±平均からの標準誤差(SEM)として表されている。GraphPad Prismソフトウェアを使用してデータを解析した。正規分布データを適宜、スチューデントの独立t検定、一元ANOVA、または二元ANOVAで評価した。正規分布していないデータは適宜、クラスカル-ウォリス検定で解析した。Advanced Analysis Module 2.0を用いるnSolverソフトウェア及び独立t検定を用いるopen source Rを用いて、NanoStringデータを評価し、偽発見率を調整するためのBenjamini-Yekutieli法を用いて発現解析を評価した。試験は、p<0.05で統計学的に有意と判断された。
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実施例2:分子静止及び心筋細胞成熟
心不全を処置するための幹細胞アプローチは、収縮期心機能を改善して、心室性不整脈の発生率を低下させるために、成熟心筋細胞(CM)の生成を必要とするであろう。しかしながら、現行の分化プロトコルを使用すると、胚性または人工多能性幹細胞(それぞれESCまたはiPSC)に由来するCMは、機能的に未熟なままである(1)。これらの未熟CMは、成体大型動物モデルに送達されると、生命を脅かし得る心室性不整脈をもたらす(2~4)。細胞治療を心臓血管疾患に成功裏に移転するには、幹細胞由来CMを成熟させるための改善された方法が必要であろう。
発生中に、CMは誕生後に、胎生期としての増殖状態から、より成熟した、しかし静止状態へとシフトする(5)。このシフトはエネルギー代謝の変化を随伴し、胎児CMはエネルギーを主に解糖作用を介して得るが、成体CMはエネルギーを主に脂肪酸酸化を介して得る(5)。ラパマイシン機構的標的(mTOR)シグナル伝達経路は、栄養素センシング及び成長に重要な役割を果たし、mTORの調節が、解糖作用から脂質代謝への代謝シフトに影響を及ぼす(6)。この臨界周産期ウィンドウ中のmTOR経路の調節の変更が、細胞を静止へと駆動することによるCM成熟において、重要な駆動因子であると仮定された(図16)。加えて、栄養素利用性も細胞静止を決定するために役立ち、これがCM成熟を調節し得る。
背景
幹細胞由来心筋細胞
ヒト胚性幹細胞(ESC)またはヒト人工多能性幹細胞(iPSC)から心筋細胞(CM)を分化させるプロトコルは、心臓トロポニンの発現により決定されるとおり、高度に純粋なCM集団を生成することができる(7~10)。しかしながら、これらのプロトコルは、成体CMのものを不十分に発生反復する収縮、電気生理学的、及び代謝特徴を有する未熟CMを生成する(1、11)。これらの幹細胞由来CMを心不全の動物モデルに送達する試みは、移植細胞と天然の心筋層との不十分な統合、おそらく不十分な成熟の結果により、困難なままである。大型動物モデルでは、幹細胞由来CMの心筋内送達は、おそらく不十分な成熟により、生命を脅かし得る不整脈につながっている(2、4、12)。これらの難しさが、臨床使用のための幹細胞由来CMの開発の前進を著しく妨げている。
心筋細胞の成熟は、未解決の重要な問題である
成熟成体CMと比較して、幹細胞由来CMは、胎児状態にかなり似ていて、あまり器質化されていないサルコメア構造、低い最大収縮力、遅い立ち上がり速度、高い静止電位、T管の非存在、及び一次エネルギー供給源として解糖作用への依存の持続を伴う(1)。種々の剛性の基質上での培養、長期培養、電気刺激またはトリ-ヨード-L-チロニンもしくはインスリン様成長因子1などの低分子とのインキュベーションなど、様々な戦略が、成熟を増強するために研究されてきた(1、13、14)。しかしながら、これらの戦略は、部分的に増強された成熟しか有さず、成熟に関与する根本的な分子機構は十分には説明されていない。
技術革新
新生児心筋細胞は誕生後に静止する
誕生時に、新生児は胎盤からすべての酸素及び栄養素を得ることから、自発呼吸を介して酸素及び経腸栄養を介して栄養を得ることへと順応するので、哺乳類は著しい生理的変化を受ける。これらの生理的変化が心臓表現型を調節する根本的な分子機構は不明なままである。マウス(15)及びブタ(16)では、心筋細胞は誕生後1~2日以内は、心筋損傷後も再生する能力を保持する。しかしながら、この期間を超えると、心筋細胞は細胞周期から離脱して、大規模に増殖しなくなり、損傷後は心臓は再生ではなく瘢痕組織を形成する(15、16)。この出生後期間はまた、心筋細胞の成熟の上昇と同時に起こり、より器質化されたサルコメア構造、活動電位持続期間の延長及び解糖作用から脂肪酸酸化へのシフトを伴う(1、5、17)。
心筋細胞成熟には、心筋細胞静止が必要なのか?
長い間、出生後に心筋細胞は不可逆的細胞周期から離脱して老化すると考えられてきた。細胞老化、または細胞加齢は、炎症誘発性サイトカインの分泌を特徴とする老化関連分泌表現型(SASP)により特徴付けられる(18、19)。この状態は、ラパマイシン機構的標的(mTOR)経路の活性の増加と関連することが示されており(19、20)、mTORの阻害は、寿命の延長と関連している(20)。しかしながら、さらに最近のデータは、成体心筋細胞が、成人において1年あたり約1%の心筋細胞ターンオーバー率で増殖し得(21、22)、運動などの刺激に応じて増殖を増加させ得る(23)ことを示唆している。これは、成体哺乳類心筋細胞はおそらく老化しているのではなく、実際には深い静止(G)状態にあることを示唆している。
細胞静止は、栄養素遮断により引き起こされる休止状態であり、適切な刺激に応じて細胞周期に再進行可能であることにより特徴付けられる(24)。しかしながら、増殖は起こらず、細胞は、この状態で休眠しているのではなく、むしろ、細胞は、代謝及び転写活性を維持している(25)。G状態内では、細胞は、Gへの移行エントリー期、深G、及び静止のより浅い状態であり、その間、細胞が細胞周期への復帰を引き起こす刺激に応答可能であるGalert状態を含めて、様々な深さの静止を有し得る(25)。Meis1の条件付き欠失(26)、Notch再活性化(27)、または運動(23)などのある特定の刺激が細胞周期への再進行を引き起こすので、出生後心筋細胞は、老化状態ではなく、G状態にあるままであることを示唆する証拠がある。静止状態を定義する明白なトランスクリプトームによるサインは存在しないことで、どのような定常活性が静止中に起こっているかを理解することが困難になっている。静止状態への進行が心筋細胞成熟を開始するために必要とされること、及び静止の深さの調節が成熟の程度を調節することが仮定された。
mTOR活性が細胞静止か老化かを決定する
ラパマイシン機構的標的(mTOR)は、成長及び代謝の中心的なレギュレーターである(6)。mTORは、細胞増殖を刺激し得る栄養素センサーとして役立ち、かつ解糖作用と酸化的リン酸化との間の代謝スイッチとして作用し得る(28~30)。mTORタンパク質は他のタンパク質と複合体を形成して、mTOR複合体1(mTORC1)またはmTOR複合体2(mTORC2)を形成し、それらはそれぞれ相補的に、または時には競合して目的を果たす(図17)(6)。mTORシステムは、細胞周期から離脱した細胞が、老化に対して静止に進むか否かの決定においても重要である(31、32)。mTORの阻害を随伴しない細胞周期停止は老化をもたらすが、同時にmTOR阻害を伴う細胞周期停止は静止をもたらす(31、32)。mTORはまた、膵臓ベータ細胞(33)、樹状細胞(34)、赤血球系細胞(35)、及びNK細胞(36)を含む他の細胞型の成熟を調節することが示されている。心臓では、mTORシグナル伝達は、心臓肥大を調節することが示されており(37)、心筋細胞からのmTORの欠失は、発生中の心筋細胞アポトーシス及び壊死をもたらす(38)。しかしながら、mTOR調節が心筋細胞の成熟に影響を及ぼすか否か、またはどのように影響を及ぼすかは十分に理解されていない。
mTORC1を主に阻害するラパマイシンとは対照的に(39)、Torin1は、mTORC1及びmTORC2の両方を阻害する低分子阻害薬である。Torin1でのmTORの阻害は、S6Kのリン酸化の減少、Aktのリン酸化の減少、及びAMPキナーゼ(AMPK)のリン酸化の増加(図17B)を含む、下流経路の急速な変化をもたらす(図17A)。Torin1でのmTORの阻害はiPSC由来心筋細胞の成熟を用量依存的に増強することが実証されている。投与のタイミング及び用量が最適化され、拍動の開始からおよそ2日後にiPSC由来心筋細胞に200nM Torin1を添加することが(図18A)、mRNA発現においてTNNI3、CACNA1c、及びSERCA2a(それぞれ図18B~18D)を含む選択されたCM成熟のマーカーの力強い増加をもたらすことが見い出された。3種の細胞系(BJRiPS、GCaMP、Gibco)においてフローサイトメトリーにより定量化された平均蛍光強度により、タンパク質発現におけるTNNT2の有意な増加も観察された(図18E)。ウェスタン解析によるTNNTI3の有意な増加も、BJRiPS細胞系において見られた(図18F(ブロット)及び図18G(デンシトメトリー解析))。これらの結果は、mTORの阻害がiPSCに由来する心筋細胞の成熟を増強することを示唆している。
要約
iPSCに由来する心筋細胞は、大型動物モデルに移植した場合、生命を脅かす不整脈のリスクを上昇させ得る未熟表現型を示す(2~4)。出生後心筋細胞は、増殖状態から静止状態へと自然にシフトするが、このシフトが成熟に影響を及ぼす方法の重要性は不明である(5)。静止は、他の細胞型において成熟を促進すると示されているmTORシグナル伝達経路により、少なくとも部分的に調節される(31、35)。先行データは、iPSC由来心筋細胞におけるmTORの薬理学的阻害が、TNNT2、TNNI3、CACNA1c、及びSERCA2aを含む、心筋細胞成熟の選択されたマーカーの発現を増強することを示唆している。
心筋細胞成熟の検査
mTORの下流にある2つの系の役割を調査して、それらが心筋細胞成熟の増強において特異的な役割を果たすか否かを決定した。初めに、Torin1誘導心筋細胞成熟における4E-BP1の役割を調査する。次に、転写因子のE2Fファミリーを調節することによる静止の深さの調節がどのように心筋細胞成熟に影響を及ぼすかを調査する。最後に、三次元(3D)懸濁培養が将来的な規模拡大及び臨床移行に必要である可能性があるので、かつmTORが2Dと3Dとで示唆的に調節され得るので(40)、3D培養でのmTOR阻害も心筋細胞成熟を調節するか否かに関しての理解を求める。
iPSC由来CMのTorin1誘導成熟における4E-BP1活性化の役割の定義
mTOR経路は、4E-BP1の阻害を介して、mRNA翻訳の中心的なレギュレーターである(41)。4E-BP1は、真核生物翻訳開始因子4E(EIF4E)と競合的に結合して、EIF4EとEIF4Gとの相互作用を妨害する(41)。mTORC1が4E-BP1を(Thr37/46で)リン酸化すると、EIF4Eが放出されて、EIF4Gとの相互作用を可能にし、これが、cap依存的タンパク質翻訳の開始をもたらす(41)。Torin1によるmTORC1の阻害は、4E-BP1の低リン酸化及びEIF4E依存的タンパク質翻訳の阻害をもたらす(図19)。一過性Torin1処理での4E-BP1の時間依存的活性化がどのようにiPSC由来CMの成熟の増強をもたらすかを検査する。
EIF4E/4E-BP1の相対存在比が、分化の種々の段階でCM成熟の増強におけるTorin1の有効性を決定するか否かを検査する
4E-BP1に対するEIF4Eの相対比、さらには、EIF4Eの活性レベルが、がん処置におけるmTOR阻害薬に対する感受性を予言することを示唆する証拠がある(42)。具体的には、高レベルのEIF4Eまたは低レベルの4E-BP1を有する細胞は、mTOR阻害薬の抗新生物作用に対して抵抗性である一方で、より低レベルのEIF4Eを有する細胞は、mTOR阻害薬での処理に対してより応答性がある(42)。加えて、より高いEIF4E活性を有する細胞(タンパク質翻訳効率により証拠付けられるとおり)は、ラパマイシンによる処理に対して、より高い感受性があった(ラパマイシンでの処理後の生細胞のパーセント低下により測定されるとおり)(43)。データは、Torin1処理のための最適なウィンドウが心筋細胞拍動の開始からおよそ2日後であることを示唆している(図20A)。この時間ウィンドウ内では、対照条件(mTOR阻害なし)下にある分化中の心筋細胞は、EIF4G1、EIF4E、及び4E-BP1(EIF4EBP1)のダイナミックな変化を受けて、心筋細胞拍動の開始からおよそ5日後以内に3種すべてのタンパク質が減少することが示された(それぞれ図20B~20D)。しかしながら、このデータは、EIF4G1 mRNA発現がおよそ9日目に減衰し得て、これはおよそ10日目にEIF4Eが減衰する前、14日目にEIF4EBP1が減衰する前であり、したがって、EIF4E/4EBP1比がより低く、かつ細胞がTorin1処理に対して、より高い応答性がある最適なウィンドウが存在し得ることを示唆している。4E-BP1と比べてEIFの化学量論が分化によりどのように変化するか、及びこのことが心筋細胞成熟の増強に対するTorin1有効性にどのように影響するかを評価する。
真核生物翻訳開始因子(EIF)の発現の定量化。細胞を分化の種々の時点で収集して、異なる時点でのEIF(EIF4E、EIF4E2、EIF4G1/2/3を含む)ならびに4E-BP1及び4E-BP2のmRNA及びタンパク質発現の反応速度を評価する。Torin1処理を伴うか、または伴わずに、分化の0~28日目の様々な時点で、4E-BPのリン酸化状態をウェスタン解析により検査する。Torin1の最適な処理条件は、心筋細胞拍動の開始からおよそ2日後から開始して1週間にわたって200nMであることが示されている。Torin1を種々の時点で投与して、Torin1の有効性が4E-BP1に対するEIF4Eの特異的な比または他の化合物を必要とするか否かを評価する。加えて、EIF4EとEIF4Gとの間の相互作用は阻害するが、4E-BP1とEIF4Eとの相互作用は安定化させる低分子4EGI-1(44)を調査する。4EGI-1は、Torin1と同様の作用を4E-BP1下流経路に対して有するはずである。Torin1の全般的な作用を理解するために、細胞をqPCR及びウェスタン解析のために収集する。4E-BP及びEIF、さらには、心筋細胞成熟の選択されたマーカー(TNNT2、TNNI3、KCNJ2、RYR2、PPARGC1aを含む)の発現を評価する。各細胞系についての再現性を保証するために、すべての実験を四重に実行し、3つの別々の機会に検査する。データを、クラスカル・ウォリス検定を使用して解析する。
Torin1処理及び4EGI-1処理細胞の単一細胞RNAseq。細胞集団(心筋細胞対非心筋細胞)の細胞分布及び異なる細胞集団がどのようにTorin1処理に応答するかを理解するために、単一細胞RNA-seqを実行する。加えて、相対的に低い4E-BP1に対するEIF4Eの発現比を有する個々の心筋細胞が、Torin1処理で、選択された成熟マーカー(TNNI3、KCNJ2、RYR2、PPARGC1aなど)の発現の増加を有するか否かを評価する。データを少なくとも3種の細胞系(ゲノムデータ共有を承認されているDiPS 1016 SevA、Gibco、及びUCSD142i-86-1系)から取得する。データをNIH Gene Expression Omnibus(GEO)に公的に供託する。
4E-BP1に対するEIF4Eの相対存在比を変化させるEIFの過剰発現または下方制御。レンチウイルス技術を使用して、選択されたEIFタンパク質を過剰発現させるか、または低分子干渉RNA(siRNA)を使用して下方制御して、または種々の時点で、EIFに対する4E-BPの相対比を変化させる。各細胞系が、Torin1または4EGI-1処理について、わずかに異なる分化の最適期間を有し得ることが予測されたので、これらの実験を各細胞系で実行する。加えて、qPCR及びフローサイトメトリーによる遺伝子及びタンパク質発現解析を含む心筋細胞成熟の選択されたパラメーター、ビデオベース解析による2次元培養物の収縮性(45)、ハイスループットイメージングによる活動電位動力学及びカルシウム移行、ならびにSeahorseアッセイによる代謝パラメーターを評価する。
4E-BP1/EIF4Eの安定化がEIF4E依存的翻訳を減少させ、かつEIF4E2依存的翻訳を増加させて、より成熟した遺伝子発現プロファイルをもたらすか否かの検査(図21)
低酸素は、EIF4E2(4EHPとしても公知)依存的RNA翻訳に対して、EIF4E依存的RNA翻訳を引き起こすスイッチとして作用し得ることが以前に示されている(46)。EIF4Eは、EIF4Gと相互作用してEIF4E依存的タンパク質の翻訳を開始する一方で、EIF4E2はEIF4Gと相互作用せず、むしろ低酸素誘導因子2α(HIF2α)と相互作用して、EIF4E2依存的タンパク質の翻訳を開始する(46)。ラパマイシンは、羊水幹細胞においてHIF2αの発現を増加させることが示されている(47)。興味深いことに、HIF1αの下方制御は、iPSC由来心筋細胞の代謝成熟を増強することが報告されている(48)。HIF1α及びHIF2α転写は低酸素により示差的に調節され(49)、したがって、HIF2αは心筋細胞成熟と共にまだ増加し得る。Torin1は、4E-BP1からのEIF4E放出を阻害しながら、HIF2αの発現を増加させて、EIF4E1依存的タンパク質ではなくEIF4E2依存的タンパク質の翻訳をもたらし(図21)、かつEIF4E2依存的タンパク質発現はより成熟した心筋細胞表現型をもたらすと仮定された。
mTOR阻害後のEIF4E2依存的タンパク質翻訳に対するEIF4E依存的タンパク質翻訳の評価。EIF4E、EIF4G、EIF4E2、またはHIF2αに対するsiRNAを使用して、mTOR阻害を伴うか、伴わずに、様々な時点で、各系からのタンパク質翻訳を選択的に評価する。心筋細胞成熟と関連する選択されたタンパク質(TNNT2、TNNI3、KCNJ2、RYR2、CACNA1c、PGC1a)のウェスタン解析を各条件下で実行して、EIF4E依存的翻訳に対してEIF4E2依存的翻訳で、より成熟したタンパク質発現プロファイルが存在するか否かを評価する。単一時点(分化から14日目)からの試料(培地及び細胞溶解産物)を定量的質量解析法により評価して、どのタンパク質が、EIF4E2依存的翻訳機構に対してEIF4E依存的翻訳で示差的に発現されるかを同定する。質量解析データを5種すべての細胞系で取得する。
EIF4E2依存的翻訳機構に対してEIF4E依存的翻訳機構により調節される遺伝子によりコードされるマイクロRNAの調査。EIF4E2がマイクロRNA(miRNA)と直接的に相互作用して、タンパク質翻訳に影響を及ぼすことを示唆する証拠がある(50)。具体的には、EIF4E2は、miRNA誘導型サイレンシング複合体(miRISC)機構の成分であり、これはEIF4E依存的タンパク質翻訳を阻害するために役立つ(50)。加えて、miRNAは、イオンチャネル発現を抑制することが示されており(51)、特に、miRNA-26は、心筋細胞静止膜電位の重要な決定子であるIk1電流を維持するために必要される主要なイオンチャネル(53)であるKir2.1(KCNJ2によりコードされる)(52)の発現を抑制する。siRNAを使用して、EIF4E、EIF4G、EIF4E2、またはHIF2αを選択的に阻害し、次いで、miRNA-seqを実行して、EIF4E2依存的翻訳機構に対してEIF4E依存的翻訳機構で、miRNAの示差的発現を評価する。データを5種すべての細胞系から取得する。同定された任意の有望なmiRNAを個別に検査して、それらがイオンチャネル発現を変化させ、かつ心筋細胞成熟を増強するか否かを評価する。
心筋細胞成熟の特徴付け
細胞系及び分化プロトコル。別段に特記されていない限り、男女両方のドナーからの少なくとも2つの異なる起源の細胞型(例えば、線維芽細胞由来または末梢血単核細胞由来iPSC)の少なくとも5種のヒトiPSC系(BJRiPS-A、DiPS 1016 SevA、GCaMP、Gibco、UCSD142i-86-1)を各実験のために使用する。これは、所見が細胞系全体にわたって確固たるものであるという信頼をもたらす。Lian et al(8)により概説された分化プロトコルを使用する。CHIR濃度(3~12μM)及びタイミング(24~48時間のCHIR曝露)を各細胞系について最適化し、最大有効CHIR濃度の分化プロトコルを各系で使用する。別段に特記されていない限り、実験を単層接着培養で実行する。別段に特記されていない限り、すべての実験を各細胞系において1群あたり少なくとも3回の反復試験で実行し、データを非対合スチューデントのt検定解析により、p<0.05の統計学的有意性レベルで解析する。
サルコメアタンパク質及び収縮性の評価。qPCRを、Torin1、Torin2、4EGI-1を含むmTOR経路低分子モジュレーターで処理した後に、2D培養から収集した細胞で実行する。フローサイトメトリー解析により、TNNT2+CMのパーセンテージならびにTorin1またはmTOR経路の他のモジュレーターの存在または非存在下で産生されるTNNT2、TNNI3、MYH6、及びMYH7を含む選択されたマーカーの平均蛍光強度を同定する。ウェスタン解析を実行して、様々な時点でのmTOR阻害後の、選択されたサルコメアタンパク質の発現を定量化する。各分化プロトコルを各細胞系について少なくとも3つの別個のバッチで反復試験する。データを4重に実行し、パラメーターデータでは一元ANOVA、または非パラメーターデータではクラスカル・ウォリス解析により解析する。以前に報告されたとおりに、ビデオベース解析及び付属MATLAB(登録商標)スクリプトを用いて、2D培養物での収縮性を定量化する(45)。以前に報告されたイメージベースのSarcOmere Texture Analysis(SOTA)MATLABベース法を用いて、サルコメアアラインメントを定量化する(54)。以前に記載されたとおりに、細胞面積及び循環性を定量化する(14)。焦点接着タンパク質であるビンキュリンでの抗体染色を使用して、焦点接着数及び面積を定量化する(55)。
イオンチャネル発現及び電気生理学的測定値の評価。KCNJ2、CACNA1c、SERCA2a、RYR2、及びHCN4を含む選択されたイオンチャネルのqPCR及びウェスタン解析/フローサイトメトリーでそれぞれ、mRNA及びタンパク質発現を評価する。Fluo-4(56)及びFluoVolt(57)を用いる活動電位期間を使用して、カルシウム移行を解析する。Vala Kinetic Image Cytometer(KIC)(58)を使用して、画像を取得する。カルシウム移行及び活動電位データを、細胞系あたり条件あたり少なくとも50の単一細胞で記録する。自発及び拍動条件下で、活動電位形態及び期間ならびにカルシウム移行を記録する。測定パラメーターには、活動電位期間、アップストローク速度、活動電位プロファイル、及びカルシウム減衰時間が含まれる。画像解析をCyteSeer(Vala Biosciences)で実行する。
代謝プロファイル及びミトコンドリア機能の評価。選択されたグルコース輸送体(例えば、GLUT1-4)、脂肪酸輸送(FATP1-6)、及び代謝レギュレーター(例えば、PPARa、PPARg、及びPGC1a)のmRNA及びタンパク質発現をそれぞれqPCR及びウェスタン解析で評価する。mTOR阻害を伴って、または伴わずに、細胞における核DNA含有率に対するミトコンドリアDNA含有率を定量化する。ミトコンドリア色素を用いて、ミトコンドリア体積画分を評価する。Seahorse XFe96解析器を使用し、mTOR経路モジュレーター(ラパマイシン、Torin1、Torin2、4EGI1を含む)で処理された分化CMの代謝活性を評価して、酸素消費速度(OCR)及び細胞外酸性化速度(ECAR)を評価する。製造者指示に従ってXF Cell Mito Stress Test Kitを使用して、基線OCR、最大OCR、非ミトコンドリアOCR、及び呼吸予備容量を定量化する(図22)。XF Glycolysis Stress Testにより、解糖能及び解糖予備能を定量化する。製造者指示に従ってXF Fatty Acid Oxidation Kitにより、mTOR阻害が脂肪酸の利用率を変化させるか否かを定量化する。プレートあたり条件あたり最低4回の反復試験で、条件を実行し、各細胞系を、独立したバッチの細胞で少なくとも3回試験する。
予想される結果
EIF及び4E-BP1の発現は細胞系全体にわたって分化の時間で変化することが予想される。細胞系に応じて可変的な最適時間ウィンドウが存在し得る。心筋細胞拍動の開始直後に、EIF4Eレベルは相対的に低く、4EBP1レベルは同時に相対的に高く、mTOR阻害に対して最適な応答性のウィンドウを指し示す時間ウィンドウが存在することが予想される。単一細胞RNA解析で、異なるEIF4E/4EBP1比により分けられた心筋細胞は別個のトランスクリプトームを有することが予測され、その際、より成熟したプロファイルは、阻害後の比較的低いEIF4E/4EBP1比で見られる。mTOR阻害が、タンパク質翻訳の性向をEIF4E依存的タンパク質翻訳からEIF4E2依存的タンパク質翻訳へとシフトさせることも予測される。EIF4E2依存的タンパク質翻訳は、TNNI3、KCNJ2、RYR2、PGC1aを含む、心筋細胞成熟と関連するタンパク質の発現の増加と関連することが予想される。EIF4E2依存的タンパク質翻訳に対してEIF4E依存的タンパク質翻訳はマイクロRNA発現を示差的に調節して、イオンチャネル及びおそらく、収縮または代謝マーカーなどの他の心筋細胞成熟タンパク質の示差的調節をもたらすことが予想される。
E2Fによる静止深さがどのようにiPSC由来心筋細胞の成熟に影響を及ぼすかを定義する。
哺乳類における誕生直後の、胎児としての増殖状態から主として非増殖状態への心筋細胞遷移(5)。この遷移は十分に理解されてなく、心筋細胞が老化していて、細胞周期に戻ることができないのか否か、または深い静止状態にとどまっているのか否かは不明なままである(60)。細胞静止は、栄養素の停止、成長因子の非存在、または接触阻害により開始されると考えられる細胞の休止状態である(61、62)。静止は、単一の定常状態とみなされるべきではなく、実際に、一部では、静止細胞がこの状態で種々の表現型を示し得ることを強調するために、「静止サイクル」の概念の概念が提案されている(図23)(63、64)。特に、静止細胞は、細胞周期に再進入するために、異なる程度の刺激を必要とし得る(65)。静止状態の骨格筋サテライト細胞は、Gと呼ばれるより深い静止、またはGalertと呼ばれるより浅い静止の状態のいずれかで存在する(66)。Galertでは、細胞は、Gのより深い形態のものと比較して、細胞周期への復帰を急がせる刺激に対して高い応答性がある(65、66)。この遷移は、少なくとも一部ではmTORC1により制御され、GからGalertへと遷移するように細胞にシグナル伝達するためにはmTORC1の活性化が必要である(66)。個体が様々な深さの睡眠を夜間にわたって複数回循環するのと同様に(すなわち、非急速眼球運動と急速眼球運動睡眠とを循環することと同様に、その重要性は完全には理解されていないが、それぞれの相が、別々の目的のために役立っていると考えられる)(67)、おそらく、細胞静止の異なる深さはそれぞれ、細胞表現型の維持における別々の目的に役立っている。
深い静止は、長期の血清飢餓により引き起こされ得る(65)。細胞周期に再進行するためには、深く静止している細胞ほど、強い成長刺激(すなわち、高い血清濃度)を必要とする(65)。深い静止は、Rbタンパク質とE2Fファミリーの転写因子との間の相互作用により調節される(65)。Rb-E2Fシステムは、「双安定なスイッチ」として作用し、その際、E2Fは、静止の深さに応じてRbに対して可変的に応答する二進オン/オフスイッチとして作用する。深く静止している細胞では、E2Fをターンオンするために、タンパク質のRbファミリーにより翻訳されるより強い成長シグナルが必要とされる一方で、浅く静止している細胞では、タンパク質のRbファミリーにより翻訳される成長シグナルは、E2Fをターンオンするほど強くある必要はない(図24)。
細胞周期停止と組み合わせたmTOR阻害は、細胞静止をもたらす(31)。データは、Torin1が転写因子のE2Fファミリー、さらには、細胞周期の他のレギュレーターの発現レベルを調節することを示唆している(図25)。E2Fファミリーは、いくつかの分子からなり、そのうちの一部は(E2F1-3a)を刺激し、そのうちの一部は(E2F3b-8)細胞周期を阻害する。Torin1処理で、阻害性E2Fメンバー、E2F4のmRNA発現の増加(図25B)、RBL2(網膜芽細胞腫様タンパク質2、p130としても公知)のmRNA発現の増加(図25C)、及びE2ユビキチン-タンパク質リガーゼ、MDM2のmRNA発現の減少(図25D)が観察されており(68)、これらはすべて、静止状態と一致するであろう。しかしながら、Torin1処理の後に、サイクリン阻害CDKN1a(p21)のmRNA発現が減少し(図25E)、かつサイクリン依存性キナーゼ、CDK2のmRNA発現が増加する(図25F)、予測されていなかった傾向も観察され、これらは増殖状態と、より一致するであろう。非常に特異的な時間依存的作用が存在し得て、例えば、Torin1処理の直後に、刺激E2Fメンバー、E2F1のmRNA発現が減少し、続いて、処理開始から約5日後にE2F1が一過性に増加する傾向があり、次いで、処理開始から約8日後までに未処理状態に戻る傾向がある(図25A)。
Torin1でのmTORの阻害がGでの細胞周期停止をもたらす場合、これは、転写因子のE2Fファミリーの発現を変化させて、心筋細胞の成熟を促進すると決定されるであろう。
/Gでの細胞周期が成熟に必要とされる一方で、G/Mでの細胞周期停止がCMの成熟を阻止するか否かの検査
先行の研究が、mTOR阻害がG相からの可逆的細胞周期離脱をもたらすことを実証している(69、70)。さらに、ラパマイシンでの処理は、血清での刺激の際に細胞周期進行を遅延させる(69)。対照的に、微小管分解の阻害薬であるパクリタキセル単独での細胞周期停止(したがって、細胞周期をM相で停止させると予測されるであろう)が、心筋細胞成熟を増強することは見い出されていない(71)。心筋細胞は、GまたはM相で停止させた場合は成熟せず、G/Gでの可逆的細胞周期が存在する場合にのみ成熟すると仮定された。
分化中の心筋細胞の細胞周期状態の評価。フローサイトメトリーを用いて、分化中の心筋細胞の細胞周期状態を、TOR活性を持つ小分子(例えば、Torin1、Torin2、またはラパマイシン)による修飾ありまたはなしで、異なる時点で特性決定する。総DNA量(2n)に基づくG期とG期の間の判別、及び細胞が増殖に積極的に参加しているかどうか(Ki67+)を、Ki67に対する抗体及びヨウ化プロピジウムを用いて同時に染色することにより、試験することになる(72)。この方法により、S(2n-4n)期とG/M期(4n)の間の判別も可能になる。また、心筋細胞成熟度について選択したマーカーの発現を、細胞周期に基づき各サブ集団内で評価する。単細胞RNAシーケンシングを行うことになり、細胞周期状態を、選択した細胞周期マーカーの発現に基づいて推測することになる(73)。これは、細胞の細胞周期状態に基づき心筋細胞成熟遺伝子の示差的調節が存在するかどうかで、評価することになる。RNAシーケンシングデータは、NIH GEOデータベースに蓄積されることになる。データは、5種の株すべて(BJRiPS-A、DiPS 1016 SevA、GCaMP、Gibco、UCSD142i-86-1)から獲得することになるが、ただしディープシーケンシングデータは例外であり、これは、少なくとも3種の細胞株(ゲノムデータの共有が承認されているDiPS 1016 SevA株、Gibco株、及びUCSD142i-86-1株)で獲得することになる。
心筋細胞成熟に対する細胞周期停止の効果。小分子を用いて、細胞周期を様々な段階で停止させ(例えば、Gでの停止にC6-セラミド、Gでの停止にノコダゾール、Mでの停止にパクリタキセル)、次いで、心筋細胞成熟度について選択したマーカー(TNNT2、TNNI3、KCNJ2)の発現を、評価することになる(TNNT2+細胞の平均蛍光強度により)。Fluidigm Biomark装置を用いて、細胞周期または成熟に関連して選択した遺伝子について、従来型のqPCR、ならびに単細胞RNA分析を行うことになる。実験は、5種の株すべてについて行い、各条件を少なくとも3つ組で試験することになる。
分化した心筋細胞の増殖能力の評価。mTOR阻害剤を用いて静止状態を開始させた後、血清含有培地を用いて、細胞を刺激し、再び細胞周期に入れることになる。細胞が再び細胞周期に入るために必要な血清濃度及び時間を、EdUを用いて増殖細胞を同定することにより、評価することになる。成長の刺激をより高いレベルで必要とする細胞は、呈する成熟表現形質もより多くなるかどうかを、Fluidigm Biomarkシステムを用いて従来型qPCR及び単細胞qPCRにより評価することになる。実験は、5種の株すべてについて行い、各条件を少なくとも3つ組で試験することになる。
刺激性E2F1/2/3a転写因子の発現がCMの成熟を阻止するかどうかの試験。
E2F転写ファミリーは、細胞周期刺激性メンバー(E2F1~3a)及び細胞周期阻害性メンバー(E2F3b~8)からなる。E2F1/2/3a転写因子の発現は、細胞周期の再開を促進し心筋細胞増殖を誘導するだろうという仮定がなされた。そうだとすると、これは、心筋細胞の成熟を阻止するだろうと予想された。
刺激性E2F転写因子の過剰発現。レンチウイルスベクターを導入して、様々な分化段階に分化した心筋細胞においてE2F1、E2F2、及びE2F3aを過剰発現させることになる。心筋細胞増殖は、フローサイトメトリー及び顕微鏡観察により、TNNT2+、EdU-+細胞を定量することにより評価することになる。心筋細胞成熟は、E2F1/2/3aの過剰発現がありまたはなしでの、選択した成熟マーカーのqPCR及びウェスタン分析により評価することになる。細胞の収縮性、電気生理学的、及び代謝表現形質を、本明細書中記載されるとおりに特性決定することになる。すべての実験は、すべての株について行い、各条件を少なくとも3つ組で試験することになる。
刺激性E2F転写因子の阻害。小分子(例えばHLM006474、pan-E2F阻害剤)を用いて、またはE2F1、E2F3、及びE2F3a分子を標的とする低分子干渉RNAを用いて、E2F転写因子を阻害することになる。心筋細胞の増殖及び成熟は、本明細書中記載されるとおり評価することになる。すべての実験は、すべての株について行い、各条件を少なくとも3つ組で試験することになる。
阻害性E2F3a/4/5/6/7/8の上方制御がCMの成熟に必要であるかどうかの試験。
阻害性E2F3b~8転写因子の発現が心筋細胞の増殖を阻止し、静止期を維持させるだろうという仮定がなされた。このことは、心筋細胞成熟に必要であると予想された。
阻害性E2F転写因子の過剰発現。レンチウイルスベクターを導入して、様々な分化段階に分化した心筋細胞においてE2F3b、E2F4、E2F5、E2F6、E2F7、及びE2F8を過剰発現させることになる。心筋細胞の増殖及び成熟は、本明細書中記載されるとおりに評価することになる。すべての実験は、すべての株について行い、各条件を少なくとも3つ組で試験することになる。
阻害性E2F転写因子の選択的削除。小分子(例えば、HLM006474、pan-E2F阻害剤)を用いて、またはE2F3b、E2F4、E2F5、E2F6、E2F7、及びE2F8分子を標的とする低分子干渉RNAを用いて、E2F転写因子を阻害することになる。心筋細胞の増殖及び成熟は、本明細書中記載されるとおりに評価することになる。すべての実験は、すべての株について行い、各条件を少なくとも3つ組で試験することになる。
mTOR阻害を用いた静止状態深度の調節。心筋細胞を、mTOR阻害剤を用いて阻害することになり、次いで、E2Fファミリーの転写因子の発現を、分化の様々な時点で評価することになる。追加の成長刺激、例えば、グルコースまたは成長因子などの中止が、静止状態をさらに深化させるのかどうか、及びこのことが、心筋細胞成熟をさらに向上させるのかどうかを、評価することになる。mTOR阻害を阻害性E2F分子の過剰発現と組み合わせることで、心筋細胞にさらなる成熟の効果がもたらされるかどうかも、評価することになる。心筋細胞の増殖及び成熟は、本明細書中記載されるとおりに評価することになる。すべての実験は、すべての株について行い、各条件を少なくとも3つ組で試験するものとする。
予想される結果
予想として、刺激性E2F分子の過剰発現は、心筋細胞成熟を向上させることはなく、心筋細胞表現形質にとって有害である可能性がある。予想として、刺激性E2F分子の過剰発現は、心筋細胞成熟の向上を招くことになるだろうが、完全な成熟効果のためにはmTOR阻害も同時に生じることが必要である可能性がある。対照的に、予想として、刺激性E2F分子の下方制御は、心筋細胞成熟を招く可能性があり、一方、阻害性E2F分子の下方制御は、心筋細胞の成熟を阻止することになる。
三次元(3D)培養中のiPSC由来心筋細胞の成熟におけるmTORの一過性阻害の役割の検討
急性心筋梗塞後、ヒト心臓は、約10億個以上の心筋細胞を失う(78)。心筋細胞の細胞療法を実行可能な治療選択肢として開発するためには、適正な製造の実践で幹細胞由来心筋細胞を大量に培養及び維持する方法が存在することが必要になる。現在の二次元(2D)培養系を使用する場合、10億個の心筋細胞の維持は、労働集約的であると思われ、使用者間、バッチ間、さらにはウェル間でさえ、顕著な変動性が見られることが多く、そのような変動は、ウェル全体にわたる播種密度の変動性及び特定範囲の集密度で分化を開始させる必要性に大きく由来することが多い(8)。そのため、多くのグループは、三次元(3D)バイオリアクター系での多能性幹細胞の維持及び分化へと移行している。3Dバイオリアクター系は、スケールアップをより行いやすく、労働時間を大幅に短縮し、しかも少量のサンプリングにより品質管理の改善が可能である(79)。しかしながら、この2Dから3D培養への移行とともに、異なる培養形状において様々なシグナル伝達経路の調節が異なる故に細胞の表現形質が変化する可能性がある。
Torin1によるmTOR阻害が、三次元浮遊培養で分化したiPSC由来CMの成熟を向上させるかどうかの試験
AKT-mTOR-S6K経路は、がん細胞株において、2D培養対3D培養で異なって調節されることが示されている(40)。詳細には、3Dで成長した細胞は、AKT-mTOR-S6K経路を通じたシグナル伝達のベースラインが全体的に低く、2Dに比べて3Dで成長した複数の細胞株で、AKT及びS6Kのリン酸化の減少が見られた(40)。また、3Dスフェロイドは、2Dで成長した細胞よりも、ラパマイシンの効果に対してより敏感であった(40、80)。3Dスフェロイド内では、ホスホ-RPS6の勾配は明らかであり、スフェロイド核に比べてスフェロイド表面でより多くのリン酸化が示された。このことは、核に存在するmTORシグナル伝達がより少ないことを示唆する(40)。表面対スフェロイド核でmTOR活性が異なることは、mTOR活性を上昇させる主要シグナルである栄養素へのアクセスにおける違いを反映している可能性がある。3D培養は、発生中にin vivoで見られる条件をより正確に複製する可能性がある。しかしながら、3D浮遊培養で成長したiPSC由来心筋細胞における一過性mTOR阻害が心筋細胞成熟を向上させるかどうか、もしそうであるならば、3D培養物を処理する場合に異なる条件が必要であるかどうかは依然として不明である。そのうえさらに、3D環境は、移植心筋細胞用に探求されている最終的なin vivo状態とより一層似通っている構造化心臓組織の研究を可能にする。
浮遊培養におけるiPSCの心筋細胞への分化。Kempfら(79)が概要を述べている浮遊液分化プロトコルに、一部改変を加えて使用することになる。30ml及び125mlの使い捨てスピナーフラスコを、40~70rpmの回転速度が可能なスピナープレートに設置し、37℃、5%CO2のインキュベーターに入れる。細胞を、750,000細胞/mlで播種し、スフェロイドが直径約300μmになるまで維持培地中で4日間成長させ、次いで、7.5μMのCHIR99021で分化を開始させる。分化の2日目、培地からCHIRを除去し、培地にWnt経路阻害剤IWP4(5μM)を加え、分化の4日目、培地からIWP4を除去し、7日目以降、培地にインスリンを含ませる。GCaMP細胞株では、フローサイトメトリーで定量して約70%がTNNT2+である拍動する心筋細胞がこのプロトコルにより得られ、Torin1で24時間処理後に純度が高くなる傾向があった(図26)。分化条件は、5種の細胞株すべて(BJRiPS-A、DiPS 1016 SevA、GCaMP、Gibco、UCSD142i-86-1)で最適化することになる。心筋細胞純度は、フローサイトメトリーでTNNT2+細胞を検出することにより定量することになる。
3D浮遊培養対2D培養での心筋細胞成熟度の比較。成熟度は、成熟遺伝子のmRNA及びタンパク質発現の程度を定量し、ならびに本明細書中記載されるとおりの収縮性アッセイ、電気生理学的アッセイ、及びSeahorseアッセイを行って、2D環境対3D環境中で成長後の心筋細胞表現形質を比較することにより評価することになる。2D成長細胞及び3D成長細胞で同一のアッセイを使用する目的で、このアッセイは、2Dシステム用に設計されていたので、3Dスフェロイドは、試験の直前に、解離させて2Dに再播種することになる。3D環境で分化した心筋細胞の単細胞RNAシーケンシングを分化の異なる時点で行って、2D環境で分化したものと比較することになる。すべての実験は、各細胞株の1グループあたり少なくとも3つ組で行うことになる。
3D浮遊培養で成長した心筋細胞に対する一過性mTOR阻害の効果。一過性mTOR阻害(ラパマイシン、Torin1、Torin2を用いる)が3D浮遊培養における心筋細胞の成熟も向上させるかどうかを試験することになる。2D培養との直接比較を可能にするため、心筋細胞は、2Dでも同時に成長させることになる。心筋細胞を、播種の日から分化の28日目の範囲の様々な時点で、様々な濃度のmTOR阻害剤に曝露させることになる。心筋細胞を、心筋細胞成熟について選択されたマーカーのmRNA及びタンパク質発現の分析用に収集することになる。収縮性、電気生理学的特性、及び代謝パラメーターを、本明細書中記載されるとおりに評価することになる。3Dスフェロイドはまた、アガロースゲルに投入されてからパラフィン包埋及び切断される(40)ことになり、これにより、mTORシグナル伝達及び心筋細胞成熟に関与する選択されたマーカーの免疫染色による評価が可能になり、mTORシグナル伝達または心筋細胞表現形質に空間的差異が存在するかどうかが判定される。下流シグナル伝達は、4E-BP1活性の評価も含めて、本明細書中記載されるとおりに検討されることになる。実験は、各細胞株の1グループあたり少なくとも3つ組で行うことになる。
3D浮遊培養中の静止状態の評価。3D培養で成長した心筋細胞の細胞周期状態は、本明細書中記載されるとおりに評価されることになる。2D環境対3D環境で成長した細胞におけるG、G、S、G、及びMの細胞分布に差異が存在するかどうかについて比較を行うことになる。様々な時点で、mTOR阻害剤ありまたはなしで、血清含有培地で細胞を刺激して、静止状態の深度を評価することになる。実験は、各細胞株の1グループあたり少なくとも3つ組で行うことになる。
Torin1によるmTOR阻害が三次元構造化心臓組織(EHT)の収縮性を向上するかどうかの試験
構造化心筋組織(EHT)とは、心筋細胞及び細胞外基質足場で構成される3D構造体であり、追加の支持細胞型を持つもの及び持たないものがある(81、82)。EHTは、in vitroでの改善された心臓モデリングを可能にし、他の細胞型、例えば、線維芽細胞から心臓への再現をより良好にする空間手掛かりならびにシグナル伝達の両方を提供する(81、83)。EHTで成長した心筋細胞は、出生後心筋と同様な収縮期収縮力、β-アドレナリン刺激に対する反応性の向上、及びより成熟したトランスクリプトームにより裏付けられるとおり、2D単層培養物に比べて向上した成熟を示す(83)。mTOR阻害がEHTの成熟に対して相乗効果を呈するかどうかは、依然として不明である。
EHTの調製及び特性決定。収縮性は、構造化心筋組織(EHT)モデルを用いて評価することになる(83)。iPSC由来CMを、線維芽細胞及びコラーゲンと調合して構造化心筋組織を製作し、次いで、最大4週間インキュベートすることになる。EHTに関して以前に記載されたとおり、録画に基づく分析を使用して、収縮力を、カルシウム濃度の上昇に対する反応で測定することになる(84)。以前に記載されたとおり、インタクトEHT由来の細胞で、パッチクランプ及び活動電位測定を行うことになる(85)。mRNA及びタンパク質発現については、それぞれ、qPCR及びウェスタン分析用に処理し、収縮性タンパク質については免疫細胞化学反応用に処理することになる。各株で確証を得るため、実験ごとに少なくとも3回繰り返すことになる。
EHTに対する一過性mTOR阻害の効果。一過性mTOR阻害(ラパマイシン、Torin1、Torin2を用いる)もまた、EHTでの心筋細胞成熟を向上させるかどうかを、試験することになる。EHTを、様々な時点で様々な濃度のmTOR阻害剤に曝露させることになる。EHTは、全EHT中の心筋細胞成熟について選択されたマーカーのmRNA及びタンパク質発現を分析するために収集されることになる。また、心筋細胞と線維芽細胞の間の調節の潜在的差を評価するため、EHTを解離させることになり、次いでFACS分取法を用いて、線維芽細胞から心筋細胞を単離し、それからmRNA及びタンパク質分析することになる。マクロスケールの収縮性及び電気生理学的特性を、本明細書中記載されるとおり全EHTで評価することになり、同じく本明細書中記載される方法を用いて解離させた細胞を用いた2Dフォーマットで評価することになる。EHTを、パラフィンに包埋し、次いで薄片化して、mTORシグナル伝達及び心筋細胞成熟に関与する選択されたマーカーの免疫染色による評価を可能にし、これにより、EHT中のmTORシグナル伝達または心筋細胞表現型に空間的差が存在するかどうか判定することになる。下流シグナル伝達は、4E-BP1活性の評価も含めて、本明細書中記載されるとおりに研究されることになる。実験は、各細胞株において1グループあたり少なくとも3つ組で行うことになる。
EHT中の静止状態の評価。EHTで成長した心筋細胞の細胞周期状態は、本明細書中記載されるとおりに評価されることになる。mTOR阻害剤ありまたはなしで処理されたEHT中のG、G、S、G、及びMである細胞の分布に差異が存在するかどうかについて、比較を行うことになる。細胞は、様々な時点で、mTOR阻害剤ありまたはなしで、血清含有培地を用いて刺激されて、静止状態の深度を評価することになる。実験は、各細胞株において1グループあたり少なくとも3つ組で行うことになる。
予想される結果
予想として、3D環境中での心筋細胞の分化は、2D環境に比べて心筋細胞の成熟の改善をもたらすとともに、分化効率の改善及び労働時間の短縮を可能にするだろう。また、予想として、3Dで成長した心筋細胞は、mTOR阻害に対する反応性を維持するだろう。この場合、Torin1は3Dでの心筋細胞成熟をさらに向上させる。2Dで同じ効果を達成するために必要なTorin1の用量はこれより少ない可能性があり、所定の容量で成熟表現形質のさらなる向上がもたらされる可能性がある。予想として、3Dスフェロイド内でmTOR活性に対して空間的効果が存在するだろう。これはスフェロイドの深度によって栄養素の利用可能度が異なることによると思われる。予想として、これもまた、スフェロイド内の位置が異なる細胞の静止状態プロファイルに影響する可能性がある。また、予想として、EHTは、mTOR阻害剤で処理した場合、心筋細胞成熟の向上も経験するだろう。EHT中の線維芽細胞の存在は、mTOR阻害に対する反応性を変化させる可能性がある。
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実施例3:幹細胞由来の心筋細胞の成熟を向上させるためのPI3K/Akt/mTOR経路の操作
背景
慢性心不全治療のための幹細胞アプローチは、収縮期心臓機能を改善及び心室性不整脈の発生率を低下させるために、心室心筋細胞の生成を必要とすることになる。しかしながら、胚性または誘導多能性幹細胞(それぞれ、ESCまたはiPSC)由来の心筋細胞は、現行の分化プロトコルを用いると、機能的に未熟なままである。こうした未熟心筋細胞は、自動能またはペースメーカー様活性を呈し、このことが、成人動物モデルに送達した場合に生命に関わる心室性不整脈の可能性をもたらし、またサルコメア組織があまり構造化されていないため適切な収縮力が阻止される(1、2)。循環器疾患の治療への幹細胞由来療法の転用を成功させるには、幹細胞由来心筋細胞の成熟の改善された方法を開発することが要求されることになる。
概要
ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)/Akt/mTOR経路は、細胞増殖、タンパク質合成、及びオートファジーを調節するシグナル伝達経路である(3、4)。この系の調節不全は、がんで見られ、従って、この経路の阻害剤は、がん治療薬の可能性があるとして広く研究されてきた。マウスでは、mTORを欠失した心筋細胞が、拡張型心筋症の発症による早期死亡を招く(5)。しかしながら、幹細胞から心筋細胞への分化におけるこの経路の役割は、依然として不明である。予備データは、小分子(Wnt経路を操作するためのCHIR 99021、IWP2、IWP4)による心筋細胞への分化後、ラパマイシン、Torin1、及びTorin2を含むmTOR阻害剤を投与することが、TNNI3及びKCNJ2を含む成熟について選択されたマーカーのRNA発現の増加により裏付けられるとおり、心筋細胞の成熟を向上させる可能性があることを示唆する。そのような化合物を使用してmTOR経路及び上流分子、PI3K及びAktを阻害することは、心筋細胞成熟を向上させ、それにより自動能を低下させ、及び心筋に細胞を送達した後の潜在的に命に関わる心室性不整脈のリスクを低下させる可能性がある。これは、心不全の細胞療法の臨床的転用を、より安全にするとともにより実行可能な治療選択肢とすると思われる。
方法
BJRiPS細胞株を使用して、予備データを生成させた。以前に公開されたプロトコルに従って、BJRiPS細胞を心筋細胞に分化させた(6)。拍動の開始後(10日目前後)、心筋細胞を、異なる長さの時間の間、ビヒクル(DMSO)または異なる濃度のラパマイシン、Torin1、もしくはTorin2で処理した。拍動数は、手作業で計数した。一部の細胞を、フローサイトメトリー分析用に、処理の5~7日後に収集した。他の細胞は、qPCR用に、処理の7日後に収集した。
予備データ
予備データは、Torin1またはTorin2で処理した心筋細胞では、1週間で、用量依存的様式で拍動数が有意に低下したことを実証する(図29)。そのうえさらに、成熟について選択された遺伝子の遺伝子発現は、試験したTorin1の最高量(200nM)、特にTNNI3で増加し(図30)、成熟型の心筋トロポニンが、ほぼ10倍増加した(TNNT2に比べて、図30)。また、Torin1処置では、KCNJ2発現に用量依存的増加の傾向が存在した(図32)。KCNJ2は、Kir2.1電流に関与しており、Kir2.1電流は、成熟心筋細胞の自動能の抑制に大きく関与する(7)。そのうえさらに、Torin1処置は、用量依存的様式で核転写因子、REST/NRSF(リプレッサー配列-1サイレンシング転写因子、別名神経特異的サイレンサー因子)の発現を増加させる(図34)。RESTは、HCN4がコードするイオンチャネルの発現を抑制し(8)、HCN4は、ペースメーカー細胞における自動能の増加に大きく関与する(9)。最後に、心筋細胞成熟度のさらなるマーカー、すなわちリアノジン受容体(RyR)及びナトリウムチャネル、SCN5aについてRNA発現が増加する傾向も観察された(図32)(10)。
まとめると、Torin1及びTorin2でmTORを阻害すると、心筋細胞成熟度の堅固なマーカーであるTNNI3を含む選択された遺伝子の発現の増加により裏付けられるとおり、幹細胞に由来する心筋細胞の成熟を向上させる可能性がある。そのうえさらに、Torin1での処理は、報告によればHCN4発現を抑制する核転写因子、RESTの発現を増加させる。総合すると、これらの予備結果は、Torin1がKCNJ2及びRESTの発現を増加させて自動能を抑制することにより幹細胞由来心筋細胞の電気的成熟を向上させる可能性があることを示唆する。
参照文献:
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実施例4:心筋細胞の三次元培養
急性心筋梗塞後、ヒト心臓は、約10億個以上の心筋細胞を失う。心筋細胞の細胞療法を実行可能な治療選択肢として開発するためには、適正な製造の実践で幹細胞由来心筋細胞を大量に培養及び維持する方法が存在することが必要になる。現在の二次元(2D)培養系を使用する場合、10億個の心筋細胞の維持は、労働集約的であると思われ、使用者間、バッチ間、さらにはウェル間でさえ、顕著な変動性が見られることが多く、そのような変動性は、ウェル全体にわたる播種密度の変動性及び特定範囲の集密度で分化を開始させる必要性に大きく由来することが多い。そのため、多くのグループは、三次元(3D)バイオリアクター系での多能性幹細胞の維持及び分化へと移行している。3Dバイオリアクター系は、スケールアップをより行いやすく、労働時間を大幅に短縮し、しかも少量のサンプリングにより品質管理の改善が可能である。しかしながら、この2Dから3D培養への移行とともに、異なる培養形状において様々なシグナル伝達経路の調節が異なる故に細胞の表現形質が変化する可能性がある。
mTOR阻害(例えば、Torin1による)が3D浮遊培養で分化したiPSC由来心筋細胞の成熟を向上させる能力を、評価することになる。AKT-mTOR-S6K経路は、がん細胞株において、2D培養対3D培養で異なって調節されることが示されている。詳細には、3Dで成長した細胞は、AKT-mTOR-S6K経路を通じたシグナル伝達のベースラインが全体的に低く、2Dに比べて3Dで成長した複数の細胞株で、AKT及びS6Kのリン酸化の減少が見られた。また、3Dスフェロイドは、2Dで成長した細胞よりも、ラパマイシンの効果に対してより敏感であった。3Dスフェロイド内では、ホスホ-RPS6の勾配は明らかであり、スフェロイド核に比べてスフェロイド表面でより多くのリン酸化が示された。このことは、核に存在するmTORシグナル伝達がより少ないことを示唆する。表面対スフェロイド核でmTOR活性が異なることは、mTOR活性を上昇させる主要シグナルである栄養素へのアクセスにおける違いを反映している可能性がある。3D培養は、発生中にin vivoで見られる条件をより正確に複製する可能性がある。3D浮遊培養で成長したiPSC由来心筋細胞における一過性mTOR阻害は、心筋細胞成熟を向上させる可能性がある。3D培養物を処理する際に、異なる条件を評価することになる。3D環境は、移植心筋細胞用に探求されている最終的なin vivo状態とより一層似通っている構造化心臓組織の研究を可能にする。
浮遊培養でiPSCから心筋細胞を生成させる分化プロトコルの例を以下に詳細に説明する。30ml及び125mlの使い捨てスピナーフラスコを使用し、これらを40~70rpmの回転速度が可能なスピナープレートに設置した。スピナープレートは、37℃、5%CO2のインキュベーターに入れる。細胞を、750,000細胞/mlで播種し、スフェロイドが直径約300μmになるまで維持培地中で4日間成長させ、次いで、7.5μMのCHIR99021で分化を開始させる。分化の2日目、培地からCHIRを除去し、培地にWnt経路阻害剤IWP4(5μM)を加える。分化の4日目、培地からIWP4を除去し、7日目以降、培地にインスリンを含ませる。GCaMP細胞株では、フローサイトメトリーで定量して約70%がTNNT2+である拍動する心筋細胞が得られ、Torin1で24時間処理後に純度が高くなる傾向があった(図39A~図39B)。分化条件は、少なくとも5種の細胞株(BJRiPS-A、DiPS 1016 SevA、GCaMP、Gibco、UCSD142i-86-1)について最適化可能である。心筋細胞純度は、フローサイトメトリーでTNNT2+細胞を検出することにより定量することになる。
心筋細胞の成熟度は、成熟遺伝子のmRNA及びタンパク質発現の程度を定量し、ならびに収縮性アッセイ、電気生理学的アッセイ、及びSeahorseアッセイを行って、2D環境対3D環境中で成長後の心筋細胞表現形質を比較することにより評価することになる。2D成長細胞及び3D成長細胞で同一のアッセイを使用する目的で、このアッセイは、2Dシステム用に設計されていたので、3Dスフェロイドは、試験の直前に、解離させて2Dに再播種することになる。また、3D環境で分化した心筋細胞の単細胞RNAシーケンシングを分化の異なる時点で行って、2D環境で分化したものと比較することになる。すべての実験は、各細胞株の1グループあたり少なくとも3つ組で行うことになる。
一過性mTOR阻害(ラパマイシン、Torin1、Torin2を用いる)が3D浮遊培養における心筋細胞の成熟も向上させるかどうかを試験することになる。2D培養との直接比較を可能にするため、心筋細胞は、2Dでも同時に成長させることになる。心筋細胞を、播種の日から分化の28日目の範囲の様々な時点で、様々な濃度のmTOR阻害剤に曝露させることになる。心筋細胞を、心筋細胞成熟について選択されたマーカーのmRNA及びタンパク質発現の分析用に収集することになる。収縮性、電気生理学的特性、及び代謝パラメーターを、評価することになる。3Dスフェロイドはまた、アガロースゲルに投入されてからパラフィン包埋及び薄片化されることになり、これにより、mTORシグナル伝達及び心筋細胞成熟に関与する選択されたマーカーの免疫染色による評価が可能になり、mTORシグナル伝達または心筋細胞表現形質に空間的差異が存在するかどうかが判定される。下流シグナル伝達は、4E-BP1活性の評価も含めて、研究されることになる。実験は、各細胞株の1グループあたり少なくとも3つ組で行うことになる。
また、mTOR阻害(例えば、Torin1による)が三次元構造化心臓組織(EHT)の収縮性を向上させる能力を、評価することになる。構造化心筋組織(EHT)とは、心筋細胞及び細胞外基質足場で構成される3D構造体であり、追加の支持細胞型を持つもの及び持たないものがある。EHTは、in vitroでの改善された心臓モデリングを可能にし、他の細胞型、例えば、線維芽細胞から心臓への再現をより良好にする空間手掛かりならびにシグナル伝達の両方を提供する。EHTで成長した心筋細胞は、出生後心筋と同様な収縮期収縮力、β-アドレナリン刺激に対する反応性の向上、及びより成熟したトランスクリプトームにより裏付けられるとおり、2D単層培養物に比べて向上した成熟を示す。
構造化心筋組織(EHT)モデルを用いて、収縮性を評価することになる。iPSC由来CMを、線維芽細胞及びコラーゲンと調合して構造化心筋組織を製作し、次いで、最大4週間インキュベートすることになる。録画に基づく分析を使用して、収縮力を、カルシウム濃度の上昇に対する反応で測定することになる。インタクトEHT由来の細胞で、パッチクランプ及び活動電位測定を行うことになる。組織は、mRNA及びタンパク質発現については、それぞれ、qPCR及びウェスタン分析用に処理し、収縮性タンパク質については免疫細胞化学反応用に処理することになる。各株で確証を得るため、実験ごとに少なくとも3回繰り返すことになる。
一過性mTOR阻害(ラパマイシン、Torin1、Torin2を用いる)が、EHTにおける心筋細胞成熟も向上させるかどうかを、試験することになる。EHTを、様々な時点で様々な濃度のmTOR阻害剤に曝露させることになる。EHTは、全EHT中の心筋細胞成熟について選択されたマーカーのmRNA及びタンパク質発現を分析するために収集されることになる。また、心筋細胞と線維芽細胞の間の調節の潜在的差を評価するため、EHTを解離させることになり、次いでFACS分取法を用いて、線維芽細胞から心筋細胞を単離し、それからmRNA及びタンパク質分析することになる。マクロスケールの収縮性及び電気生理学的特性を、全EHTで評価することになり、同じく解離させた細胞を用いた2Dフォーマットで評価することになる。EHTを、パラフィンに包埋し、次いで薄片化して、mTORシグナル伝達及び心筋細胞成熟に関与する選択されたマーカーの免疫染色による評価を可能にし、これにより、EHT中のmTORシグナル伝達または心筋細胞表現型に空間的差が存在するかどうか特定することになる。下流シグナル伝達も、4E-BP1活性の評価も含めて、検討されることになる。実験は、各細胞株において1グループあたり少なくとも3つ組で行うことになる。
予想として、3D環境中での心筋細胞の分化は、2D環境に比べて心筋細胞の成熟の改善をもたらすとともに、分化効率の改善及び労働時間の短縮を可能にするだろう。また、予想として、3Dで成長した心筋細胞は、mTOR阻害に対する反応性を維持するだろう。この場合、Torin1は3Dでの心筋細胞成熟をさらに向上させる。状況によっては、2Dで同じ効果を達成するために必要なTorin1の用量はこれより少ない可能性があり、所定の容量で成熟表現形質のさらなる向上がもたらされる可能性がある。予想として、3Dスフェロイド内でmTOR活性に対して空間的効果が存在する可能性があり、これはスフェロイドの深度によって栄養素の利用可能度が異なることによると思われる。予想として、EHTは、mTOR阻害剤で処理した場合、心筋細胞成熟の向上も経験する可能性がある。EHT中の線維芽細胞の存在は、mTOR阻害に対する反応性を変化させる可能性がある。

Claims (105)

  1. 未熟心筋細胞から成熟心筋細胞を作製する方法であって、前記未熟心筋細胞をmTOR阻害剤と接触させることを含む、前記方法。
  2. 前記mTOR阻害剤が、mTORC1及びmTORC2の両方の阻害剤である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記mTOR阻害剤が、4E-BP1のリン酸化を阻害する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記mTOR阻害剤が、リボソームタンパク質S6及び4E-BP1の両方のリン酸化を阻害する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記mTOR阻害剤が、ラパマイシン、Torin1、Torin2、エベロリムス、テムシロリムス、リダフォロリムス、ATP競合型mTORキナーゼ阻害剤、及び前記のいずれかの任意の類似体または誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ATP競合型mTORキナーゼ阻害剤が、二重mTOR/PI3K阻害剤またはmTORC1/mTORC2二重阻害剤である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記ATP競合型mTORキナーゼ阻害剤が、ダクトリシブ、BGT226、SF1126、PKI-587、サパニセルチブ、AZD8055、AZD2014、及びそれらのいずれかの類似体または誘導体からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  8. 前記mTOR阻害剤がTorin1である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記未熟心筋細胞がiPS細胞に由来する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記未熟心筋細胞がES細胞に由来する、請求項1に記載の方法。
  11. 前記未熟心筋細胞がT細胞に由来する、請求項1に記載の方法。
  12. 前記未熟心筋細胞が線維芽細胞に由来する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記未熟心筋細胞が、胎児心筋細胞に類似している、請求項1に記載の方法。
  14. 前記成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて1種以上の成熟遺伝子の発現の増加を呈する、請求項1に記載の方法。
  15. 前記1種以上の成熟遺伝子が、TNNI3、TNNT2、MYH6、MYH7、NPPB、HCN4、CACNA1c、SERCA2a、PPARGC1、KCNJ2、REST、RyR、及びSCN5aからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて1種以上のサルコメアタンパク質の発現の増加を呈する、請求項1に記載の方法。
  17. 前記1種以上のサルコメアタンパク質が、TNNT2、TNNI3、MYH6、及びMYH7からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて1種以上のイオンチャネル遺伝子の発現の増加を呈する、請求項1に記載の方法。
  19. 前記1種以上のイオンチャネル遺伝子が、KCNJ2、HCN4、SCN5a、RYR2、CACNA1c、及びSERCA2aからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べてREST及び/またはGATA4の発現の増加を呈する、請求項1に記載の方法。
  21. 前記成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて拍動数の減少を示す、請求項1に記載の方法。
  22. 前記成熟心筋細胞が、電気的に成熟した心筋細胞である、請求項1に記載の方法。
  23. 前記成熟心筋細胞が、収縮性が成熟した心筋細胞である、請求項1に記載の方法。
  24. 前記成熟心筋細胞が、代謝的に成熟した心筋細胞である、請求項1に記載の方法。
  25. 前記成熟心筋細胞が、電気的に成熟した心筋細胞、収縮性が成熟した心筋細胞、及び代謝的に成熟した心筋細胞である、請求項1に記載の方法。
  26. 前記未熟心筋細胞が拍動を開始した後に、前記未熟心筋細胞を前記mTOR阻害剤と接触させる、請求項1に記載の方法。
  27. 前記未熟心筋細胞が拍動を開始してから1~30日後に、前記未熟心筋細胞を前記mTOR阻害剤と接触させる、請求項1に記載の方法。
  28. 前記未熟心筋細胞が拍動を開始してから1~3日後に、前記未熟心筋細胞を前記mTOR阻害剤と接触させる、請求項1に記載の方法。
  29. 前記未熟心筋細胞が、トロポニンT、トロポニンI、ミオシン重鎖6、またはミオシン重鎖7の少なくとも1種を発現し始めた後に、前記未熟心筋細胞を前記mTOR阻害剤と接触させる、請求項1に記載の方法。
  30. 非自然発生的心筋細胞であって、前記非自然発生的心筋細胞が成熟心筋細胞である、前記非自然発生的心筋細胞。
  31. 前記非自然発生的心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて1種以上の成熟遺伝子の発現の増加を呈する、請求項30に記載の非自然発生的心筋細胞。
  32. 前記1種以上の成熟遺伝子が、TNNI3、TNNT2、MYH6、MYH7、NPPB、HCN4、CACNA1c、SERCA2a、PPARGC1、KCNJ2、REST、RyR、及びSCN5aからなる群から選択される、請求項31に記載の非自然発生的心筋細胞。
  33. 前記非自然発生的心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて1種以上のサルコメアタンパク質の発現の増加を呈する、請求項30に記載の非自然発生的心筋細胞。
  34. 前記1種以上のサルコメアタンパク質が、TNNT2、TNNI3、MYH6、及びMYH7からなる群から選択される、請求項33に記載の非自然発生的心筋細胞。
  35. 前記非自然発生的心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて1種以上のイオンチャネル遺伝子の発現の増加を呈する、請求項30に記載の非自然発生的心筋細胞。
  36. 前記1種以上のイオンチャネル遺伝子が、KCNJ2、HCN4、SCN5a、RYR2、CACNA1c、及びSERCA2aからなる群から選択される、請求項35に記載の非自然発生的心筋細胞。
  37. 前記非自然発生的心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べてREST及び/またはGATA4の発現の増加を呈する、請求項30に記載の非自然発生的心筋細胞。
  38. 前記非自然発生的心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて拍動数の減少を示す、請求項30に記載の非自然発生的心筋細胞。
  39. 前記非自然発生的心筋細胞が、電気的に成熟した心筋細胞である、請求項30に記載の非自然発生的心筋細胞。
  40. 前記非自然発生的心筋細胞が、収縮性が成熟した心筋細胞である、請求項30に記載の非自然発生的心筋細胞。
  41. 前記非自然発生的心筋細胞が、代謝的に成熟した心筋細胞である、請求項30に記載の非自然発生的心筋細胞。
  42. 前記非自然発生的心筋細胞が、電気的に成熟した心筋細胞、収縮性が成熟した心筋細胞、及び代謝的に成熟した心筋細胞である、請求項30に記載の非自然発生的心筋細胞。
  43. 治療の方法であって、その治療を必要とする対象に、請求項30~42のいずれか1項に記載の非自然発生的心筋細胞を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
  44. 前記対象が、心室性不整脈、収縮期心機能低下、慢性心不全、先天性心疾患、または他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある、請求項43に記載の方法。
  45. 治療の方法であって、その治療を必要とする対象に、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法に従って作製された成熟心筋細胞を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
  46. 前記対象が、心室性不整脈、収縮期心機能低下、慢性心不全、先天性心疾患、または他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある、請求項45に記載の方法。
  47. 治療の方法であって、その治療を必要とする対象に、請求項30~42のいずれか1項に記載の1種以上の非自然発生的心筋細胞の単離された集団を用いて作製された医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
  48. 前記対象が、心室性不整脈、収縮期心機能低下、慢性心不全、先天性心疾患、または他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある、請求項47に記載の方法。
  49. 治療の方法であって、その治療を必要とする対象に、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法に従って作製された1種以上の成熟心筋細胞を用いて作製された医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
  50. 前記対象が、心室性不整脈、収縮期心機能低下、慢性心不全、先天性心疾患、または他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある、請求項49に記載の方法。
  51. 未熟心筋細胞またはその前駆体と、少なくとも1種の心筋細胞成熟因子と、前記未熟心筋細胞またはその前駆体及び前記少なくとも1種の心筋細胞成熟因子を用いて成熟心筋細胞を作製するための説明書とを含む、キット。
  52. 前記少なくとも1種の心筋細胞成熟因子が、mTOR阻害剤である、請求項51に記載のキット。
  53. 前記少なくとも1種の心筋細胞成熟因子が、ATP競合型mTORキナーゼ阻害剤である、請求項51に記載のキット。
  54. 前記少なくとも1種の心筋細胞成熟因子が、mTOR/PI3K阻害剤及びmTORC1/mTORC2二重阻害剤である、請求項51に記載のキット。
  55. 前記少なくとも1種の心筋細胞成熟因子が、ラパマイシン、Torin1、Torin2、エベロリムス、テムシロリムス、リダフォロリムス、ダクトリシブ、BGT226、SF1126、PKI-587、サパニセルチブ、AZD8055、AZD2014、及び/または前記のいずれかの任意の類似体または誘導体からなる群から選択される、請求項51に記載のキット。
  56. 前記キットが、成熟心筋細胞のマーカーを検出するための構成要素をさらに含む、請求項51に記載のキット。
  57. 請求項30~42のいずれか1項に記載の少なくとも1種の非自然発生的心筋細胞、及び/または請求項1~29のいずれか1項に記載の方法に従って作製された少なくとも1種の成熟心筋細胞を含む組成物と、請求項43~50のいずれか1項に記載の治療方法にて前記組成物を使用するための説明書とを含む、キット。
  58. 心臓病の治療のための薬剤の製造における組成物の使用法であって、前記治療が、その治療を必要とする対象に前記薬剤を投与することを含み、前記組成物が、請求項30~42のいずれか1項に記載の少なくとも1種の非自然発生的心筋細胞、及び/または請求項1~29のいずれか1項に記載の方法に従って作製された少なくとも1種の成熟心筋細胞を含む、前記使用法。
  59. 前記対象が、心室性不整脈、収縮期心機能低下、慢性心不全、先天性心疾患、または他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある、請求項28に記載の使用法。
  60. 調整培地を含む組成物であって、前記培地が、請求項30~42のいずれか1項に記載の非自然発生的心筋細胞によって調整されている、前記組成物。
  61. 請求項30~42のいずれか1項に記載の1種以上の非自然発生的心筋細胞と、1種以上の未熟心筋細胞とを含む、組成物。
  62. 請求項30~42のいずれか1項に記載の1種以上の非自然発生的心筋細胞を含む細胞の集団であって、前記集団中の前記細胞の少なくとも10%が、請求項30~42のいずれか1項に記載の非自然発生的心筋細胞である、前記細胞の集団。
  63. 未熟心筋細胞をさらに含む、請求項62に記載の細胞の集団。
  64. 請求項30~42のいずれか1項に記載の非自然発生的心筋細胞を含む、細胞パッチ。
  65. 前記非自然発生的心筋細胞が、膜上で成長したものである、請求項64に記載の細胞パッチ。
  66. 請求項30~42のいずれか1項に記載の非自然発生的心筋細胞を含む、3次元構造体。
  67. 前記3次元構造体が、マトリックスまたはスキャフォールドである、請求項66に記載の3次元構造体。
  68. 前記3次元構造体が、細胞パッチである、請求項66に記載の3次元構造体。
  69. 前記3次元構造体が、微小組織である、請求項6に記載の3次元構造体。
  70. 前記3次元構造体は、対象に投与される、請求項66~69のいずれか1項に記載の3次元構造体。
  71. 前記3次元構造体は、移植によって対象に投与される、請求項66~69のいずれか1項に記載の3次元構造体。
  72. 心筋細胞の静止状態を誘導する方法であって、老化心筋細胞を心筋細胞成熟因子と接触させ、それによって前記老化心筋細胞に静止心筋細胞への変移を起こさせることを含む、前記方法。
  73. 前記心筋細胞成熟因子が、p53の上方制御因子である、請求項72に記載の方法。
  74. 前記心筋細胞成熟因子が、mTORシグナル伝達経路阻害剤である、請求項72に記載の方法。
  75. 前記心筋細胞成熟因子が、p53の上方制御因子であり、かつmTOR阻害剤である、請求項72に記載の方法。
  76. 前記心筋細胞成熟因子がTorin1である、請求項72に記載の方法。
  77. 前記心筋細胞成熟因子が、Torin1とnutlin-3aとの組合せである、請求項72に記載の方法。
  78. 前記心筋細胞成熟因子がTorin1ではない、請求項72に記載の方法。
  79. 前記静止心筋細胞が、1種以上の静止マーカーの発現の増加を呈する、請求項72に記載の方法。
  80. 前記1種以上の静止マーカーが、p16及びp130からなる群から選択される、請求項79に記載の方法。
  81. 前記静止心筋細胞が、1種以上の増殖マーカーの発現の減少を呈する、請求項72に記載の方法。
  82. 前記1種以上の増殖マーカーが、Ki67、サイクリンC1、及びE2F1からなる群から選択される、請求項81に記載の方法。
  83. 前記静止心筋細胞が、成熟心筋細胞である、請求項72に記載の方法。
  84. 前記成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて1種以上のサルコメアタンパク質の発現の増加を呈する、請求項83に記載の方法。
  85. 前記1種以上のサルコメアタンパク質が、TNNT2、TNNI3、MYH6、及びMYH7からなる群から選択される、請求項84に記載の方法。
  86. 前記成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて1種以上のイオンチャネル遺伝子の発現の増加を呈する、請求項83に記載の方法。
  87. 前記1種以上のイオンチャネル遺伝子が、KCNJ2、HCN4、SCN5a、RYR2、CACNA1c、及びSERCA2aからなる群から選択される、請求項86に記載の方法。
  88. 前記成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べてREST及び/またはGATA4の発現の増加を呈する、請求項83に記載の方法。
  89. 前記成熟心筋細胞が、未熟心筋細胞と比べて拍動数の減少を示す、請求項83に記載の方法。
  90. 前記成熟心筋細胞が、電気的に成熟した心筋細胞である、請求項83に記載の方法。
  91. 前記成熟心筋細胞が、収縮性が成熟した心筋細胞である、請求項83に記載の方法。
  92. 前記成熟心筋細胞が、代謝的に成熟した心筋細胞である、請求項83に記載の方法。
  93. 前記成熟心筋細胞が、電気的に成熟した心筋細胞、収縮性が成熟した心筋細胞、及び代謝的に成熟した心筋細胞である、請求項83に記載の方法。
  94. 非自然発生的心筋細胞であって、前記非自然発生的心筋細胞は、成熟した静止心筋細胞である、前記非自然発生的心筋細胞。
  95. 前記非自然発生的心筋細胞が、1種以上の静止のマーカーの発現の増加を呈する、請求項94に記載の非自然発生的心筋細胞。
  96. 前記1種以上の静止のマーカーが、p16及びp130からなる群から選択される、請求項95に記載の非自然発生的心筋細胞。
  97. 前記非自然発生的心筋細胞が、1種以上の増殖のマーカーの発現の減少を呈する、請求項94に記載の非自然発生的心筋細胞。
  98. 前記1種以上の増殖のマーカーが、Ki67、サイクリンC1、及びE2F1からなる群から選択される、請求項97に記載の非自然発生的心筋細胞。
  99. 治療の方法であって、その治療を必要とする対象に、請求項94~98のいずれか1項に記載の非自然発生的心筋細胞を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
  100. 前記対象が、心室性不整脈、収縮期心機能低下、慢性心不全、先天性心疾患、または他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある、請求項99に記載の方法。
  101. 治療の方法であって、その治療を必要とする対象に、請求項72~93のいずれか1項に記載の方法に従って作製された静止心筋細胞を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
  102. 前記対象が、心室性不整脈、収縮期心機能低下、慢性心不全、先天性心疾患、または他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある、請求項101に記載の方法。
  103. 治療の方法であって、その治療を必要とする対象に、請求項72~93のいずれか1項に記載の方法に従って作製された1種以上の静止心筋細胞を用いて作製された医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
  104. 前記対象が、心室性不整脈、収縮期心機能低下、慢性心不全、先天性心疾患、または他の心疾患を有するかまたは発症する危険性がある、請求項103に記載の方法。
  105. 心筋細胞の成熟を誘導する方法であって、成熟度の低いまたは老化した心筋細胞を心筋細胞成熟因子と接触させ、それによって前記成熟度の低いまたは老化した心筋細胞が静止心筋細胞に移行するよう誘導し、その結果、前記心筋細胞の成熟を誘導することを含む、前記方法。
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