JP2022531795A - 自動化された欠損定量を有する手術計画立案システム - Google Patents

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Abstract

本開示の特定の複数の態様は、患者の解剖学的構造に関連する医用画像データを取得する工程と;前記医用画像データに基づいて、三次元解剖学的構造モデルを作成する工程と;統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;適合された前記統計学的形状モデルに基づいて、1つ以上の定量的測定結果を決定する工程と;前記1つ以上の定量的測定結果に基づいて、前記患者の前記解剖学的構造に関連する欠損を分類する工程と、を含む、複数の医学治療計画を作成するための複数の技法を提供する。

Description

(関連応用の相互参照)
本出願は、2019年5月9日に出願された米国仮特許応用第62/845,676号の利益、および2019年5月9日に出願された米国仮特許応用第62/845,676号に対する優先権を主張するものである。その全内容が、参照により本明細書に援用されている。
本開示の複数の態様は、自動化された欠損定量(automated defect quantification)および集団に基づく(population-based)意思決定支援能力を有する複数の手術計画立案システムを含む、複数の手術計画立案システム(surgery planning system)に関する。
従来の手術計画立案ツールは、術前計画立案手続きを扱う。それらは、例えば外科用具(surgical instrument)およびインプラントを含むさまざまなコンポーネントの大きさおよび設計、インプラントおよび固定デバイス(fixation device)の位置および向き等の、特定の手術に付随する従来の問題に対処する。それらは典型的には、患者の医用画像をインプット(入力)として取得し、その結果、ユーザ(医学専門家または技師(technician)もしくはエンジニア(engineer)等の非医学専門家)がそれらの画像において利用可能な情報のみに基づいて意思決定を行うことを可能にする。
特定の複数の態様は、患者の解剖学的構造(anatomy)に関連する医用画像データを取得する工程と;前記医用画像データに基づいて、三次元解剖学的構造モデルを作成する工程と;統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;適合された前記統計学的形状モデルに基づいて、1つ以上の定量的測定結果(測定値)を決定する工程と;前記1つ以上の定量的測定結果に基づいて、前記患者の前記解剖学的構造に関連する欠損を分類する工程と、を含む、複数の医学治療計画を作成(用意)するための方法を提供する。
さらなる複数の態様は、解剖学的欠損の治療を決定するための方法であって、
患者の解剖学的構造に関連する医用画像データを取得する工程と;前記医用画像データに基づいて、三次元解剖学的構造モデルを作成する工程と;統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;前記三次元解剖学的構造モデルおよび前記統計学的形状モデルに基づいて、欠損を特定する工程と;特定された前記欠損に基づいて、デフォルト治療を決定する工程と;特定された前記欠損を有する他の複数の患者に関連する患者集団(patient population)データであって、特定された前記欠損の種々の治療に関連する複数の患者集団データサブセットを含む患者集団データを受け取る工程と;少なくとも1つの患者特性に基づく各患者集団データサブセットの表現、および前記少なくとも1つの患者特性に基づく前記患者の表現を含む、視覚イメージ(visualization)を生成する工程と;前記患者の最終治療を選択する工程と、を含む、方法を提供する。
他の複数の態様は、前述の複数の方法および本明細書に説明される複数の方法を実行するように構成された複数の処理システムと;処理システムの1つ以上のプロセッサによって実行されたとき、前述の複数の方法および本明細書に説明される複数の方法を前記処理システムに実行させる複数の命令を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体と;前述の複数の方法および本明細書においてさらに説明される複数の方法を実行するためのコードを含むコンピュータ可読記憶媒体上において具現化されるコンピュータプログラムプロダクトと;前述の複数の方法および本明細書においてさらに説明される複数の方法を実行するための手段を含む処理システムと、を提供する。
以下の説明および関連する図面は、1つ以上の実施形態の特定の例示的な特徴を詳細に述べるものである。
添付の図面は、1つ以上の実施形態の特定の複数の態様を示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではない。
患者の解剖学的構造の3D画像に適合された統計学的形状モデルの一例を示す。 6つの領域に分割された統計学的形状モデルの一例を示す。 解剖学的構造の測定技法の一例を示す。 解剖学的構造の測定技法の一例を示す。 骨量減少に関連する複数のパラメータを測定するための一例を示す。 手術計画立案ワークフローの一例を示す。 手術計画立案ワークフローの別の実施例を示す。 手術計画立案ワークフローの別の実施例を示す。 複数の治療選択肢を評価するための患者集団の履歴データに基づく分析(historical data-based analysis)の一例を示す。 複数の治療選択肢を評価するための患者集団の履歴データに基づく分析の一例を示す。 パラメータ値を評価するための患者集団の履歴データに基づく分析の一例を示す。 デバイスサイズを評価するための患者集団の履歴データに基づく分析の一例を示す。 パラメータ値を評価するための患者集団の履歴データに基づく分析の一例を示す。 欠損定量の一例を示す。 複数の治療選択肢を評価するための患者集団の履歴データに基づく分析の一例を示す。 複数のインプラント選択肢を評価するための患者集団の履歴データに基づく分析の一例を示す。 複数のインプラント選択肢を評価するための患者集団の履歴データに基づく分析の一例を示す。 インタラクティブな手術計画立案システムの一例を示す。 患者画像データおよびSSMを用いた欠損定量の表現の一例を示す。 三次元患者解剖学的構造モデルにおける治療選択肢の一表現例を示す。 三次元患者解剖学的構造モデルにおける治療選択肢の表現例を示す。 三次元患者解剖学的構造モデルにおける治療選択肢の表現例を示す。 三次元患者解剖学的構造モデルにおける治療選択肢の表現例を示す。 三次元患者解剖学的構造モデルにおける治療選択肢の表現例を示す。 三次元患者解剖学的構造モデルにおける治療選択肢の別の表現例を示す。 三次元患者解剖学的構造モデルにおける治療選択肢の別の表現例を示す。 三次元患者解剖学的構造モデルにおける治療選択肢の別の表現例を示す。 三次元患者解剖学的構造モデルにおける治療選択肢の別の表現例を示す。 三次元患者解剖学的構造モデルにおける治療選択肢の別の表現例を示す。 統計学的形状モデルにより欠損を分類するための一方法例を示す。 意思決定支援の一方法例を示す。 解剖学的欠損の治療を決定するための一方法例を示す。 本明細書に記載のさまざまな方法を実行するように構成され得る、一処理システム例を示す。
理解を容易にするために、複数の図面に共通する同一の要素を指すため、可能な場合には同一の参照番号が使用されている。1つの実施形態の複数の要素および複数の特徴が、さらなる説明なしに他の複数の実施形態に有利に組み込まれ得る、ということが意図されている。
本開示の複数の態様は、自動化された欠損定量および集団に基づく意思決定支援能力を有する複数の手術計画立案システムを含む、複数の手術計画立案システムのための複数の装置、複数の方法、複数の処理システムおよび複数のコンピュータ可読媒体を提供する。
本明細書に記載の複数の手術計画立案システムは、従来の複数の手術計画立案ツールに伴う複数の問題を解決する。
例えば、従来の複数の計画立案ツールは、健康な解剖学的構造(healthy anatomy)についての情報を提供せず、したがって、ユーザが損傷の大きさおよび位置を適切に評価することを可能にしない。対照的に、本明細書に記載の複数の手術計画立案ツールは、損傷した解剖学的構造だけでなく健康な解剖学的構造の特徴を記述する、自動化された欠損分類システム(automated defect classification system)を提供する。したがって、本明細書に記載の複数の手術計画立案システムは、とりわけ、骨(bone)および軟骨(cartilage)等の、損傷した解剖学的構造のみに基づいて、術前計画を設計することの問題を克服する。関連して、本明細書に記載の複数の手術計画立案システムは、欠損分類に基づいて、損傷した骨の解剖学的構造のより良好で、より詳細で、かつ自動化された視覚的表現を提供する。
別の例として、特定の手術のための計画立案支援を提供する一方で、従来の計画立案ツールは、かかる特定の手術の中から選択するための支援をほとんど提供しない。本明細書に記載の複数の手術計画立案システムは、異なる出発点を有し、ユーザがより重要な、高レベルの手術上の意思決定を行うこともまた可能にする。したがって、本明細書に記載の複数の手術計画立案システムは、外科医等のユーザにとって、よりトランスペアレント(透明:transparent)である。具体的には、本明細書に記載の複数の手術計画立案システムは、患者集団内のどこに患者が位置するのかを外科医が評価することを可能にする統計データを提供し、その結果、外科医は、術前計画を作成する間、インフォームドな意思決定(informed decision)を行い得る。当該システムのトランスペアレント性(透明性:transparency)は、ユーザに完全な患者プロフィールを提供することによって、当該ユーザがあらゆる意思決定をトレースバックする(辿り遡る:trace back)ことを可能にする。当該手術計画立案システムは、術前手術計画を作成するために必要な手動のインタラクションの数を減らすこともまた目的としている。
本発明において開示されるシステムおよび方法は、相互接続された(互いに関連し合う)複数の部分からなる。
[欠損定量および分類]
欠損定量システムの複数の実施形態は、医用画像を出発点として使用して、骨、器官(organ)、筋骨格領域(musculoskeletal region)または他の任意の解剖学的部分等の、患者の身体における欠損(defect)または変形(deformity)の特性を計算するための複数の方法を実施し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の複数の欠損定量システムおよび方法は、手術計画立案システムのサブシステム、モジュールまたはその他不可欠な部分であり得る。
例えば、骨欠損(bone defect)の形状および大きさは、外科医、インプラントまたは外科用具の製造業者、インプラントポジショニング(位置決め)ソフトウェアプロバイダ、教育機関にとって、そしてもし必要ならば患者にとって、有用な情報を保持している。多くの分類システム(分類体系)が、骨欠損の形状および大きさを記述するために使用されている。例えば、股関節(the hip)のためのPaprosky分類システム(Paprosky classification system)、膝関節(the knee)のためのDorr、InsallおよびRand分類システム(Dorr, Insall and Rand classification systems)、肩関節(the shoulder)のためのWallace、WalschおよびAntuna分類システム(Wallace, Walsch and Antuna classification systems)、等である。
従来の方法は、標準的なX線撮影(standard radiography)または二次元(2D)コンピュータ断層撮影(CT)スキャンに基づく複数の定性的測定結果(qualitative measurement)を用いる。それらは、ユーザが解剖学的標識(anatomical landmark)を視覚的に特定(同定)して、欠損の始まる場所、および通常の解剖学的構造すなわち健康な解剖学的構造ならばそう見えるであろうものを推測することに、依存する。例えば、関節窩(glenoid)、寛骨臼(acetabulum)、脛骨プラトー(tibial plateau)、椎骨(vertebra)、頭蓋顎顔面領域(craniomaxillofacial region)または他の任意の骨の解剖学的構造もしくは軟骨表面の侵食(erosion)等の、骨または軟骨の欠損の場合において、既存の技法は、解剖学的構造のどの部分が侵食されたのかを評価するために、解剖学的標識または異常な骨の幾何学的形状の観察結果にユーザを頼らせるだろう。しかしながら、基準としての、損傷のない解剖学的構造の形状がなければ、これは一般に、単なる評価以上のものではあり得ない。同様に、心臓、肺、腎臓および脳その他等の、軟部組織(soft tissue)または器官の評価において、発達不全または発達過剰(under or overdeveloped)の部分、葉(lobe)、部(領域:region)、房(chamber)、管(vessel)は、視覚的評価または経験則(rules of thumb)を通じて、同定され得る。しかし、基準としての正常または健康な解剖学的構造の形状がなければ、かかる発達不全または発達過剰の真に意味のある定量は不可能である。
加えて、従来の方法は、2D画像に基づく定性的測定結果を用いる。3D物体をその2D表現に変換するときに情報の一部が失われるため、これらの測定は正確ではない。すなわち、実際の患者の解剖学的構造は3Dにおいて存在するが、手術を計画するために使用される画像は2Dにおいてキャプチャ(捕捉)される。これらの2D技法は、それらの質的な性質の結果として、また、イメージングプロトコルおよび状況における変動(バリエーション)ゆえに、信頼性が低い。例えば、2DのX線における物体のスケールは、線源と捕捉面(acquisition plane)との間の距離、および、被写体と捕捉面との間の距離に依存する。同様に、視差効果(parallax effects)は、それらの距離、および、線源が静止または移動しているかにも依存する。さらに、線源および捕捉面に対する患者の向きは、解剖学的構造の射影(投影)に影響する。
本明細書に記載の複数のシステムにおいて、欠損または変形は、基準として(またはテンプレート(雛型)として)の健康な身体部分のモデルを用いて、患者の医用画像から測定される。欠損の大きさは、実際の、損傷または変形した患者の解剖学的構造の点または表面と、基準モデル上のかかる点または表面の位相的な(トポロジカルな:topological)対応物との間の距離を測定することによって、複数の方法により計算され得る。距離は、健康な解剖学的構造の仮想モデル(バーチャルモデル:virtual model)から複数の射線(レイ:ray)を投射し、健康な身体部分から損傷した身体部分までのそれらの射線に沿った距離を計算することによって、例えば測定され得る。実際の患者の解剖学的構造の医用画像を分割する(segmenting)ことにより、患者の解剖学的構造の仮想モデルが得られうる。対応する健康な解剖学的構造の仮想モデルは、以下に説明するように、異なる方法により得られる。ユーザが損傷または変形の視覚的評価を行うことを可能にするために、損傷または変形した身体部分および健康な身体部分の2Dまたは3D仮想モデルが重ね合わせられ得、ユーザに示され得る。これらのモデルの一方または両方は、半透明で示され得る。
正常または健康な解剖学的構造の基準モデルは、種々の源(ソース)から生じ得る。例えば、健康な対側(contralateral)解剖学的部分の鏡像が使用され得る。この目的のために、前記対側解剖学的部分の医用画像が分割され得、得られた仮想モデルが鏡像化され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の複数の方法は、健康な身体部分を再構成することによって、定量的測定(quantitative measurement)を行い、欠陥欠損または変形の性質を予測するための、3D統計学的形状モデル(statistical shape model:SSM)を使用し得る。実際の健康な骨(の画像)を必要とすることなく、本来のすなわち健康な解剖学的形状を予測するために、統計学的形状モデリングが使用され得る。かかる複数の実施形態では、健康な解剖学的構造のSSMを患者の解剖学的構造(の医用画像または仮想モデル)の部分に適合させることによって、健康な解剖学的構造の仮想モデルが得られうる。
一般に、SSMは、集団内の平均形状および形状変動を表す数学的モデルである。SSMによって生成される各形状は、SSMパラメータと称され得る、複数の形状係数(shape coefficient)によって表され得る。
いくつかの例では、方法は、例えば、3D仮想モデル、3D生体力学モデル(biomechanical model)(筋骨格モデル(musculoskeletal model))、SSM、および/またはSSMインスタンス(SSM instance)において実行され、その結果、2D表現と3D世界との間の測定結果の近似または変換がない。
一例として、肩甲骨(scapula)および/または上腕骨(humerus)モデルに基づく三次元測定結果を使用して、健康な対側基準肩甲骨を必要とすることなしに、関節窩骨量減少(glenoid bone loss)を記述するために、完全に自動化された欠損分類システムが使用され得る。他の複数の実施形態では、自動欠損分類システムは同様に、心臓、膝関節(knee)、股関節(hip)、脊柱(spine)、足(foot)、肺、他の関節(joint)等の、他の身体部分における欠損または変形を測定するために使用され得る。
一方法例は:(1)関節窩骨欠損または関節形成(arthroplasty)を有する患者の(複数の)医用画像を取得すること;(2)例えばMATERIALISE(登録商標)によるMimicsを使用して、仮想三次元表面モデルを得るために肩甲骨を分割すること;および(3)図1に示されるように、健康な複数の肩甲骨の統計学的形状モデル(SSM)を、患者の肩甲骨の健康な表面領域に向かって適合させること、を含み得る。
この例に関して続けると、SSMは、患者が属する集団内における健康な肩甲骨の形状を記述するはずである。患者の解剖学的構造の健康な部分にSSMを適合させることによって、肩甲骨の不健康な表面(例えば、この例では関節窩)が再構成されるだろう。SSM内に埋め込まれた形状相関(shape correlation)は、現在不健康な領域の元の形状、健康な形状または本来の形状がそう見えていただろうものに類似する、という最も高い公算を統計学的に有する、再構成された関節窩を作り出すだろう。
[骨の健康な領域に対して適合されたSSM例]
図1は、肩甲骨の健康な領域(例えば、104)に対して、その元の関節窩表面(glenoid surface)106を再構成するために適合されたSSM102の一例を示す。
健康な解剖学的構造等の部分的データにSSMを適合させるために、後形状モデリング(posterior shape modelling)等の種々の技法が使用され得、その結果、欠落したデータ(例えば、骨侵食(bone erosion)により失われた骨)が予測され得る。しかしながら、かかる技法には、健康な領域、および、損傷または変形した領域のアプリオリな(先験的な)特定が必要とされる。この工程は、高いユーザ間可変性および高いユーザ内可変性を示すことが知られている。したがって、この工程を自動化することは有益である。
[適合エラーを改善するためのSSMの複数の領域への分割]
自動化された方法の一実施形態では、図2の例における領域202~領域212等の複数の位相的領域(トポロジカルな領域:topological region)にSSMが細分される。これら複数の領域の各々について、SSMを適合させるために使用される領域内にその領域を含めることが、適合エラーの減少をもたらすのかまたは増加をもたらすのかがテストされる。ある領域を含めた結果、許容できない適合エラー、または適合エラーの増加が生じたとき、当該領域は、損傷または変形しているものと仮定され、適合から除外される。SSMは続いて、残った領域のサブセット(部分集合)に適合され、その結果、SSMインスタンスが得られる。これは、患者の解剖学的構造が健康な状態または変形していない状態において見えていたであろうものを表す。
図2の例では、肩甲骨(scapula)を表すSSMの表面が、6つの領域:基部領域(base region)202、肩峰領域(acromion region)204、烏口骨領域(coracoid region)206、頸部領域(neck region)208、肩峰先端領域(acromion tip region)210、および関節窩領域(glenoid region)212へと分割されている。これはほんの一例にすぎず、異なる領域への細分またはより多い領域への細分もしくはより少ない領域への細分等の、他の細分が可能である。
したがって、一方法例は、以下のように進行し得る。まず、基部領域202内の点のみに基づいて、SSM形状が標的形状に適合される。形状係数の収束後、適合エラー(fit error)は、適合に使用されるSSM形状上の点と標的形状上の同定された対応する点との間の二乗平均平方根誤差(root mean square error:RMSE)として計算される。
適合エラーが選択された閾値未満に留まる場合、肩峰領域204内の点を使用する第2の適合が実行される。適合エラーが閾値を超える場合、標的形状の肩峰領域204は健康でないと見なされて、肩峰領域204は位相的領域のサブセットから除外される。続いて、この例における烏口骨領域206、肩峰先端210、および頸部領域208内の点について、同じ選択手続きが繰り返される。一部の場合において、関節窩領域212が侵食されていることが予想され得、その結果、適合のために使用されないことがあり得る。
例えば閾値を超える適合エラーに基づいて肩峰領域204および烏口骨領域206の両方が適合に関して除外される場合、一部の場合において、肩峰先端領域210および頸部領域208には、それ以上テストはなされない。
さまざまな実施形態において、種々の適合エラー閾値が使用され得る。例えば、感度(sensitivity)の検討(研究)は、1.7mmという適合エラー閾値が良い結果を生むことを示した。他の値の適合エラー閾値もまた選択され得る。いくつか例を挙げると、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm等の適合エラー閾値が選択され得る。
類似のアプローチが他の解剖学的構造に対して適用され得る。したがって、プロセスを一般化すると、解剖学的構造は、複数の位相的領域(例えば、図2の202~212)へと細分され得る。第1の領域(例えば、図2内の基部領域202)が位相的領域のサブセットを開始するために選択され得、一部の場合において、これは欠損または変形から離れた領域であり得る。次に、第1の領域が適合され得、適合エラーが計算されて上述の閾値等の閾値と比較され得る。続いて、追加の位相的領域がサブセットに追加され得、サブセットが標的モデルに適合され得る。
各位相的理由がサブセットに追加された後、適合エラーが再計算され得、上述の閾値等の、設定された閾値を当該適合エラーが超えているのかまたは超えていないのかに応じて、追加の位相的領域がサブセットから除去されるか、またはサブセット内に保たれ得る。処理を高速化するため、基部領域に直接的に接続していない複数の位相的領域は、間にある1つ以上の領域が損傷したものまたは変形したものとして分類される場合、無視され得る。処理をさらに高速化するために、また、結果を改善するために、損傷または変形していることが知られている位相的領域もまた、無視され得る。
骨欠損(例えば、関節窩骨欠損)の形状を、(例えば、損傷のない関節窩骨の)予測される本来の形状と比較することによって当該骨欠損を分析することにより、例えば、関節窩骨(glenoid bone)の場合には、関節窩蓋損失(glenoid vault loss)、関節窩蓋損失百分率(glenoid vault loss percentage)、関節窩侵食面積(glenoid erosion area)、関節窩侵食面積百分率(glenoid erosion area percentage)、最大侵食深さ(maximum erosion depth)およびその他等の、定量的測定結果が得られる。
[複数の解剖学的構造形状を比較するための距離測定技法]
一実施形態では、複数の解剖学的構造形状を(例えば、予測された形状と実際の形状との間において)比較するために、各形状の複数のモデル上の位相的に等しい(topologically equivalent)複数の点の間の距離が測定され得る。例えば、少数の選択肢を挙げると、最も近い点どうしの間における距離、または、一方のモデルから他方のモデルへと射出された射線に沿った点の間における距離が、測定され得る。
例えば、図3の寛骨臼(acetabulum)302等の、実質的に球形または半球形の解剖学的部分については、射線304は、図3の例において示されるように、球の中心306から外向きに、同心状に射出され得る。
別の例として、実質的に平坦または平面の解剖学的部分については、射線404は、図4に示されるように、最も適合した(ベストフィッティングな:best-fitting)平面402に対して垂直に、平行状に射出され得る。
さらに別の例として、細長い解剖学的部分については、射線は、解剖学的部分の中心軸に対して外向きかつ垂直に射出され得る。他の解剖学的部分については、射線はSSMインスタンスの表面に対して垂直に射出され得る。これらはほんの少数の選択肢であり、他の複数のレイキャスティング戦略(射線投射戦略:ray-casting strategies)または複数の戦略の組合せが可能であることに注意されたい。
したがって、本明細書に記載の複数の方法は、例えば:関節窩蓋損失(glenoid vault loss)(骨侵食により失われた関節窩蓋の総体積)、関節窩蓋損失百分率(glenoid vault loss percentage)(骨侵食により失われた関節窩蓋の体積の百分率)、局所蓋損失百分率(local vault loss percentage)(上(superior)、下(inferior)、前(anterior)および後(posterior)領域における蓋損失)、侵食面積(erosion area)(骨侵食により冒された(affected)関節窩(glenoid cavity)の表面積)、最大侵食深さ(maximum erosion depth)(実際の解剖学的構造表面(anatomy surface)と健康な基準モデルとの間において測定される最大距離)、侵食面積百分率(erosion area percentage)(骨侵食により冒された関節窩の表面積の百分率)、亜脱臼距離(subluxation distance)等の、SSMに基づく計量(metric)を自動的に計算し得る。本明細書における例として関節窩が使用されるものの、他の骨、関節およびその他等の、他の解剖学的部分についても同様の計量が計算され得ることに注意されたい。この計算に基づいて、本明細書に記載の複数のシステムは、欠損を自動的に分類し得る。
[骨量減少(bone loss)に関連する計量の測定の例]
一例として関節窩骨を用いると、関節窩蓋損失百分率計量は、どれだけ多くの関節窩蓋体積が侵食されているのかを示すものであり、関節窩骨欠損の重症度(severity)を表す。上(superior)、前(anterior)、下(inferior)および後(posterior)蓋損失百分率は、どれだけ多くの蓋が関節窩の各解剖学的領域(anatomical region)または四半部において侵食されているかを表しており、欠損の形状のよりよい理解を与えるものである。最大侵食深さは、最も深い侵食の点(the deepest point of erosion)における骨侵食の量を記述する。この測定量は、手術中に外科医が移植骨(bone graft)を使用すべきかまたはリーム(ream)すべきかを、当該外科医が決定することを助け得る。侵食面積百分率は、どれだけ多くの本来の関節窩表面がもはや無傷ではないのかを示すものであり、可能なインプラント‐骨支持(implant-bone support)の量についての指標(表示:indication)を与える。最後に、亜脱臼距離および亜脱臼領域(subluxation distance and region)は、上腕亜脱臼(humeral subluxation)の量および方向を記述しており、これは、関節窩骨欠損の原因のより良い理解を与えるものである。
図5は、関節窩骨における骨量減少に関連する計量を測定するための一例を示す。
これらの計量を測定するために、(上述のような)レイキャスティングアルゴリズム(射線投射アルゴリズム:ray-casting algorithm)が使用され得る。例えば、まず、平面(例えば、506)は、適合されるSSMの関節窩表面を通るように適合され、そして、適合されるSSM形状の関節窩点から面法線の反対方向に、平行射線が投じられる。射線iが適合されるSSM形状と交わる距離は、蓋深さ(vault depth)(d vault)(例えば、502)と称され、選択された最大値としてdmax(例えば、504)を有する。
そして、適合されるSSM形状の関節窩点から骨欠損に向かって、関節窩平面の法線に対して平行に、射線(例えば、502および506)を射出することによって、骨侵食の量が評価される。射線が骨欠損と交わる測定された距離が、侵食深さ(erosion depth)(d ero)(例えば、506)として定義され、dmax(例えば、504)までに制限されている。侵食深さが無限である場合、その位置に骨は全く存在しない。次に、損失深さ(loss depth)(d loss)が、失われた蓋の深さとして定義される。損失深さは、それが蓋深さを超えることができないことを除いて、侵食深さに類似している。
したがって、一例では、各射線iについて:
vault>dmaxならば:d vault=dmax
ero>dmaxかつd ero≠無限ならば:d ero=dmax
ero≦d vaultならば:d loss=d ero
ero>d vaultならば:d loss=d vault
深さの測定結果に基づいて、関節窩骨欠損を記述する9つのパラメータが計算され得る。
例えば、蓋体積(vault volume)は、対応する表面要素の大きさ(A)を乗じたすべての蓋深さの総和として計算される。同様に、蓋損失体積(vault loss volume)は、対応する表面積を乗じた損失深さの総和として計算される。そして、蓋損失百分率(vault loss percentage)は、蓋体積に対する蓋損失体積の百分率として計算される。
上(superior)(sup)、前(anterior)(ant)、下(inferior)(inf)および後(posterior)(post)蓋損失百分率については、関節窩中心点を用いて、関節窩表面が4つの四半部に分割される。これらの領域における蓋損失百分率は、局所蓋体積(local vault volume)で割った局所蓋損失体積(local vault loss volume)に等しい。
次に、一例では、最大侵食深さは、すべての侵食深さ値の95パーセンタイル値として計算される。侵食面積は、最大侵食深さの3分の1よりも大きな侵食深さに出くわしたすべての表面要素の面積Aとして計算される。侵食面積百分率を得るために、一例では、侵食面積が関節窩の総面積で割られる。上腕頭(humeral head)中心点を関節窩平面に射影した後、亜脱臼距離は、上腕頭中心点から関節窩中心点までの平面内距離(in-plane distance)として計算される。亜脱臼領域(subluxation region)は、上腕頭中心点が関節窩上に射影される領域(region)(上(sup)、前(ant)、下(inf)、後(post))として定義される。
したがって、一例では:
蓋体積=Σ(d vault・A)、
蓋損失体積=Σ(d loss・A)、
蓋損失百分率=(蓋損失体積)/(蓋体積)、
領域内のすべてのiについて、局所蓋体積=Σ(d vault・A)、
領域内のすべてのiについて、局所蓋損失体積=Σ(d loss・A)、
局所蓋損失百分率=(局所蓋損失体積)/(局所蓋体積)、
最大侵食深さ=p95(d ero)、
ero>1/3最大侵食深さであるすべてのiについて、侵食面積=Σ
侵食面積百分率=(侵食面積)/(Σ)。
いくつかの例では、(上述のような)正面視(frontal view)におけるAntuna分類および軸方向視(axial view)におけるWallace分類等の、複数の分類システムが組み合わされ得る。これは、従来の二次元分類と比較して、欠損の三次元分類をユーザ(例えば、外科医)に、有利に提供する。
他の関節、他の骨、器官(心臓、肺、腎臓、脳およびその他)等の、他の解剖学的部分についても、類似の定量が実行され得、損傷、変形または疾患を評価し得ることに注意されたい。この定量に基づいて、類似の分類システムが定義され得る。システムおよび方法は、治療を必要とする身体部分に基づいて、適切なおよび/もしくは既知の分類システムまたはその組合せを使用する。
[術前手術計画立案ツール]
例えば、MATERIALISE(登録商標)によるSurgiCase Knee Planner等の、既存の術前計画立案ツールは、(一般に、特定のタイプ、ブランドまたは製品ライン(product line)のインプラントに関わる)特定のタイプの手術のための術前手術計画を生成する可能性を提供する。術前計画立案は一般に、次のような重大な手術上の意思決定が外科医によってなされた後に開始する:外科治療のタイプ、インプラントのタイプおよび使用される外科用具のタイプ、スタンダードインプラント対患者適合(standard implant versus patient-matched)、等々。
さらに、これらの意思決定は、患者からとられた医用画像に基づいている。整形外科治療(orthopedic treatments)については、例えば、これらの医用画像は、損傷した骨/軟骨の解剖学的構造を描写し得る。既存のプランナ(planner)は、損傷した解剖学的構造(例えば、骨および/または軟骨)に基づいて初期計画またはデフォルト計画を生成し、次いで、これが外科医によってレビュー(検討)される。レビュー時に、外科医は、インプラントの位置または大きさ等の特定の変更を提案し得る。当該変更は次いでプランナによって組み込まれ、新たな術前計画が実際の手術手続き中に使用するために生成される。
残念ながら、既存のプランナはインプットとして医用画像を取得するだけであるので、術前計画はそれらの医用画像において可視的である情報のみを考慮に入れる。術前計画は、手術室内において外科医の遭遇する手術に伴うすべての複雑さに対処するものではないか、または、医用画像からは容易に導き出すことのできぬいかなる態様にも対処するものではない。このことは、手術結果、術中もしくは術後合併症(complication)のリスク、または患者満足度に影響し得るだろう。
手術計画立案システムは、1つ以上の既知の術前計画セットに基づく集成的な予測技法を使用することによって、患者固有の医用画像よりも多くのものを用い得る。例えば、かかる計画立案システムは、術前計画からの履歴データ、術中に収集されたデータ、および術後に収集されたデータを供給し得る。さらに、当該計画立案システムは、複数の術前計画を術前計画セットへと選び出し、次いで、機械学習、ディープラーニング、ニューラルネットワーク、または他の人工知能(AI)に基づく技法等の予測技法を適用して、集成的な術前計画を作成し、そして、ユーザに変更を提案し得る。しかしながら、術前計画生成のこの方法は一般に、外科医にとってトランスペアレントではない。すなわち、提案された変更をプランナがどのようにもしくはなぜ組み込んだのか、特定の患者のどの特性が提案された変更に至るのか、システムはそれらの特性に対してどれほどセンシティブなのか、または、それらの変更の患者への影響を、外科医は前もって知らない。したがって、システム自体は自己学習的(self-learning)であり得るものの、それは、外科医がインフォームドな意思決定を行うことを可能としていない。
本明細書に開示の複数のシステムは、より多くの情報を外科医に提供し、また、外科医に対するガイドとして機能することによって、既存の手術計画立案ツールの欠点を克服する。ガイドとして、本明細書に記載の複数のシステムの複数の実施形態は、タイムリーな提案、アドバイスおよび警告を、かかる提案、アドバイスおよび警告を立証する詳細な情報とともに提供し、外科医が情報に基づく意思決定を行うことを可能にする。外科医があらゆる意思決定を意識的に行い得るように、システムの制御は外科医のもとにあり、これが、それをトランスペアレントでかつユーザフレンドリなシステムにしている。本明細書に開示の複数のシステムは、手術室内において費やされる時間、および、外科医が手術室内において対処しなければならない変化を有利に低減し、好ましい手術結果の公算を増大させて、その結果、患者が必要とし得る再置換術(revision surgery)の回数を全体的に低減する。
本明細書に記載の複数のシステムは、提案、警告、アドバイス、および/またはデフォルト術前計画によって、外科医に情報を提供するための、複数のフィードバックループを用いてもよい。これは、1つ以上の相互接続されたデータベースの確立を伴う。
[手術計画立案ワークフロー]
(例えば、本明細書に記載の複数の手術計画立案システムによって実行される)手術計画立案方法は、(1)複数の医用画像をロードする工程、(2)例えば、複数の解剖学的標識を同定し、そして/または、1つ以上の解剖学的構造の仮想3Dモデルを作成するために、複数の前記医用画像を処理する工程、(3)同定された複数の前記標識に基づく複数の幾何学的計算に一般に基づくものであり、かつ、1つ以上のインプラントの選択、複数のインプラントサイズ、すべてのインプラントについての複数の位置および複数の向き、対応する複数の切除または複数のリーミング工程等を典型的には含む、デフォルト手術計画を自動的に作成する工程、(4)承認された術前計画を得るために臨床医がデフォルト計画を変更することを可能にする工程、そして(5)手術中における実施のために利用可能な術前計画を作る工程、を含む、複数の工程を含み得る。いくつかの実施形態では、術前計画は、例えば、ナビゲーションシステムにおいて、ロボティクスシステムにおいて、患者固有のガイドを設計するため、拡張現実および/または仮想リアリティシステムにおいて、ならびに、その他の目的のために、使用され得る。
例えば、図6は、工程602~工程618を含む、従来の手術計画立案方法およびツールのワークフローを示す。
医用画像ならびにデータベース内における標識情報および任意の仮想3Dモデル等の、関連する患者データとともに、承認された計画を格納(記憶)するために、データベースまたは他のデータストア(data store)が使用され得る。加えて、本明細書に記載の複数のシステムは、図6に示すワークフローに、1つ以上のフィードバックループを追加する。
例えば、第1のフィードバックループ702は、図7に示すように、計画立案工程前または計画立案工程中における使用のために、複数の承認された術前手術計画から情報をマイニングして、それをデータベース708内に格納し得る。第2のフィードバックループ704は、術中に情報を収集し、データベース708内にデータを格納し、計画立案工程前または計画立案工程中における使用のためにその情報をマイニングし得る。第3のフィードバックループ706は、術後に情報を収集し、データをデータベース708内に格納し、計画立案工程前または計画立案工程中における使用のためにその情報をマイニングし得る。
図6および図7に記載のデータフローに対するさらなる改良が図8に示されている。データベース内の利用可能な履歴データ(historical data)は、履歴データ分析(historical-data analysis)802を実行するために使用される。これは、患者特性を計画立案意思決定と関連付けるか、1つ以上の計画立案パラメータを手術結果と関連付けるかのどちらかを行うものである。さらに、この履歴データ分析の結果は、計画立案パラメータまたは集団内の患者の位置がそれぞれ、(例えば、804において)集団上の、手術結果または計画立案意思決定の分布とともに示されるように、ユーザ(例えば、外科医)に提示され得る。有利には、この情報を提示することは、提案された計画変更を受け入れるのか拒否するのかを盲目的に選択するよう、ユーザに強制しない。むしろそれは、いかなる計画立案意思決定選択肢またはパラメータ値が適切であるのか、そして、それらが他の選択肢または値よりもどの程度まで適切であるのかを、起こり得る術後シナリオとともに、ユーザに示す。
例えば、選択肢A、選択肢Bおよび選択肢Cを考えるとき、システムは「選択肢Aをとれ」と単に提案するのではなく、選択肢A上、選択肢B上および選択肢C上に患者集団がどのように分布しているのか、そして、その患者が集団内のどこに位置するのかを示し得る。履歴データ分析の結果の表現から、患者が選択肢Aにまさに位置するのか、または、むしろ選択肢Aと選択肢Bとの境界上に位置するのか、をユーザは見ることができるだけでなく、その境界がはっきりと定義されたものなのか、またはむしろスムーズな移り変わりを伴う広範囲のものであるのかどうかもまた、当該ユーザは見ることができる。
[手術計画立案データおよびデータベース]
本明細書に記載の複数のシステムは、1つ以上のデータベースを利用し得る。当該1つ以上のデータベースは、1つ以上のフィードバックループを介して、手術計画立案システムの種々の部分に接続されている。例えば、データは、図7に関して上述したように、ワークフローの1つ以上の段階において収集され得、データベース内に格納され得る。
いくつかの実装形態では、収集されたデータは、患者データ、先在する計画(pre-existing plan)(すなわち、将来の術前計画最適化のためにすでに使用されている術前計画)のコレクション(収集物)を含む術前データ、回顧的データ(retrospective data)、術中データ、および術後データ等のサブセットへと、(論理的または物理的に)分割され得る。異なるサブセット内にあるが個々の患者に関係するデータの間のリンクは維持される;言い換えれば、データベースは、どの患者データ、術前計画、術中データおよび術後データが同じ患者に属するのかを追跡する(の経過を追う)。上述のように、データは、単一のデータベース内または種々のデータベース内に格納され得る。
これらのタイプのデータのどれが(複数の)データベース内に格納されるのかは、どのフィードバックループがシステム内において実装されるのかに依存する。患者データの一部のサブセットは常に格納される。しかしながら、ベーシックなシステムは、例えば、承認された術前計画のみのフィードバックループを実装し得る。他のシステムは、術中データおよび/または術後データのフィードバックループもまた実装し得る。他の組合せも可能である。1つ以上のフィードバックループは、一定の時間に呼び出され得る。いくつかの実施形態では、再置換術の場合に、以前の手術からプロファイルされた患者全体を得るために、すべてのフィードバックループが呼び出され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の複数のシステムは、ローカルで、または「オンプレミスで(on-premises)」動作し得る。この場合には、(複数の)データベースは、外科医、内科医、もしくは臨床医、またはそれらのチーム等の、1人以上のローカルユーザに関するデータのみを含み得る。他の実施形態では、システムは、ウェブベースのシステム(web-based system)またはクラウドベースのシステム(cloud-based system)等の、ネットワークベースのシステム(network-based system)であり得、その場合、(複数の)データベースは、より大きなユーザベース(user base)に関するデータを含み得る。
患者データは、医用画像、年齢、性別、体重、身長、民族(ethnicity)、ライフスタイル、活動レベル、病歴等の個人情報、ならびに、愁訴、疼痛スコア、歩行測定、可動域測定、変性または先天性欠損、スポーツまたは加齢による損傷、遺伝情報、歯科模型(dental cast)およびその他等の術前の診察(検査)中に集められた任意のデータのうちの1つ以上のものの形態で格納され得る。いくつかの実施形態では、患者データは、患者プライバシを保護するため、または、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令(the Health Insurance Portability and Accountability Act:HIPAA)もしくは一般データ保護規則(General Data Protection Regulations:GDPR)等の、さまざまな患者プライバシ制度に準拠するために、匿名化され得る。
術前データは、例えば、術前治療計画(pre-operative treatment plan)(例えば、図6~図8の614)の形態で格納され得る。当該術前治療計画は、代替的に、術前計画(pre-op plan)または術前手術計画(pre-op surgical plan)と称され得る。術前データは、治療のタイプ(侵襲的および非侵襲的治療の両方);(もしあれば)計画されたインプラントのタイプ、ブランド、製品ライン、サイズ、植え込み(埋め込み)(implantation)位置および向き;任意のインプラントの送達システムおよびアプローチ;(もしあれば)患者固有の器具の設計;任意のリーミング工程の詳細;自家移植片(autograft)、同種移植片(allograft)、多孔質構造(porous structure)および他の態様等の、任意の欠損充填コンポーネントのタイプまたは設計、のうちの1つ以上のもの等の、患者の医学的状態の治療に関連する一部のまたはすべての医学的意思決定を捕捉し得る。
術中データ(例えば、図7~図8の710)は、測定結果、術中に同定された解剖学的標識の位置、観察結果、または術中合併症の発生等の、術中に捕捉された任意のデータの形態で、格納され得る。術中データは、軟部組織(soft tissue)、筋肉、筋付着点(muscle attachment point)、筋断裂(muscle rupture)、腱、靭帯、靭帯緊張(ligament tension)等に関する情報等の、医用画像または術前の診察(検査)からは容易に導き出すことのできない情報に関するものであり得る。術中データは、術前計画に対して術中に行われた任意の変更もまた含み得る。術中データは総合データ(synthetic data)もまた含み得る。一例では、当該総合データは、膝関節の場合における靭帯の力(ligament force)等の、定量することができないが、手術結果に影響するがために記し留められ得るデータであり得る。これは、生体力学モデルの形態で格納され得る。
術後データ(例えば、図6~図8の618)は、任意の合併症の発生、術後診察(検査)中に捕捉された任意のデータ、疼痛スコア、患者満足度、機能スコア、再置換術、術後イメージング(post-surgery imaging)、回復時間、リハビリテーション時間、治療のリハビリテーション方法、理学療法士の詳記および観察結果;(もしあれば)可動域測定、等の、術後に捕捉された任意のデータの形態で格納され得る。
手術計画立案システムを通じて、ナビゲーションシステム、ロボティクスシステムもしくは拡張現実(AR)もしくは仮想リアリティ(VR)システム等の手術中に使用される任意のデバイスを通じて、電子アクセスデバイスを通じて、ウェアラブルデバイスを通じて、または、インプラントに埋め込まれたセンサもしくは患者に埋め込まれたチップを通じて、手動か自動かのどちらかにより、データは、システム内に入れられ得る。これらは、ほんの数例であることに注意されたい。
本明細書に記載の複数の手術計画立案システム例は、上述の自動化された欠損定量システムを実装し得る。欠損の分類および記述に基づき、手術プランナは、手術の計画および実施を助けるために、外科医に追加的な価値ある情報を提供する。
[患者データの取得]
患者データは、ファイル、記憶媒体もしくはデータベースからロードされ得るか、または、手動でシステムに入れられ得る。患者が以前に手術を受けたことがある場合、当該患者の過去のファイルが、データベースから呼び出され得る。そうでない場合には、新たなケースファイルまたはレコードが生成される。
多くの用途(応用)にとって、医用画像は、患者データの貴重な一部であるだろう。
データ処理:患者データは処理され得る。例えば、医用画像は、骨の解剖学的構造、軟骨、器官(organ)、器官壁(organ wall)、血液プール体積(blood pool volume)およびその他等の解剖学的構造部分の1つ以上の仮想3Dモデルに変換され得る。解剖学的標識は、医用画像または仮想3Dモデルにおいて、決定または示され得る。これは、例えば、特徴認識技法(feature-recognition technique)によって、手動でまたは自動で行われ得る。骨密度情報、骨量減少(bone loss)、骨同士の接触のインピンジメント(衝突:impingement)、周囲の解剖学的構造上の欠損の広がり/範囲、筋肉、靭帯、軟骨、腱、関節半月(meniscus)等の隣り合い付着する軟部組織の特徴、軟部組織の厚さ等の、さらなる情報が医用画像から得られうる。加えて、さらにシミュレートされ得る軟部組織データに加えて、骨の解剖学的構造等の筋骨格データを実証するために、生体力学モデルが生成され得る。
いくつかの実施形態では、欠損または変形は、上述のように、定量および/または分類される。
[デフォルト治療計画の作成]
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の複数の手術計画立案システムは、特定の手術、および/または、特定のタイプ、ブランドもしくは製品ラインのインプラントに関するものであり得る。加えて、従来のシステムとは異なり、本明細書に記載の複数のシステムは、侵襲的治療、非侵襲的治療、または照会(referral)を含む治療のタイプ等の、より重要な、より高レベルの治療決定を支援し得る。多くの病態(病理:pathology)は既製の、カスタマイズされたもしくはカスタムのインプラントまたはその組合せ等の種々のタイプのインプラントにより治療され得るので、さらなる治療決定はインプラントのタイプを含み得る。例えば、関節の場合:軟骨修復(cartilage repair)、表面置換(resurfacing)または置換術(replacement);部分(partial)または全部(total)(例えば、単顆(unicondylar)/全(total)遠位大腿骨(femur)インプラント、単区画(unicompartmental)/全(total)近位脛骨(tibia)インプラント);固定戦略(fixation strategy)(セメント(cemented)/非セメント(non-cemented)、ステム(stemmed)/ステムレス(stemless)、圧入、スクリュー);機能戦略(functional strategy)(例えば、後安定化(posterior-stabilized)/十字保持(cruciate-retaining)大腿骨インプラント、解剖学的/逆(reversed)肩インプラント);許容可能な可動域;およびその他、が考慮され得る。心臓への用途(応用)の場合:弁修復、ステープリング(stapling)、置換(replacement)、リング弁輪形成術(ring annuloplasty)、ステントのタイプおよびその他の態様が考慮され得る。頭蓋顎顔面(craniomaxillofacial)への応用の場合:下顎矯正(orthognathic)、再建(reconstructive)、外傷(trauma)、TMJ、外科的処置のAveоlar型、上顎骨(maxilla)もしくは下顎骨(mandible)もしくはその両方、眼窩底(orbital floor)、または、頭蓋(cranium)の一部の治療、およびその他の関連する態様が考慮され得る。
肺への応用の場合:管腔内ステントおよび管腔外ステント、弁の種類ならびにその他の態様が考慮され得る。
器械類またはガイダンスの種類について:従来の器械(器具)類、患者固有のガイド、ナビゲーションシステム、ARシステム、ロボティクスシステムおよびその他のものが考慮され得る。
これらの意思決定を支援するために、外科医には、上述のような、医用画像から得られた情報もしくはモデル、ならびに/または、欠損もしくは変形の定量および分類の結果等の、欠損をより詳細に理解するための追加の関連情報が提示され得る。例えば、外科医には、実際の患者の解剖学的構造の仮想3Dモデルと、例えば患者の解剖学的構造の部分へのSSMの適合等からの、健康な解剖学的構造を表すモデルとの重ね合わせによって、定量および分類の結果、ならびに/または、欠損もしくは変形の視覚的表現が提示され得る。1つ以上のモデルは、上述のように、半透明な方法で示され得る。また、生体力学モデルシミュレーションが、仮想3DSSMモデルとともに示され得る。
これらの意思決定に対するさらなる支援として、システムは、1つ以上のフィードバックループを通じてデータベース内に集められた履歴データに基づき、1以上の集団分析(population analyses)を実行し得る。かかる分析は、1つ以上の患者特性を、複数の治療決定のうちの1つ以上の治療決定と関連付け得る。したがって、システムは、(1)集団の選択、(2)支援する治療決定の選択、および(3)集団のメンバおよび治療対象の患者を特徴付ける1つ以上の患者特性の選択、を利用し得る。これらの選択は、例えば、ユーザインターフェース内のドロップダウンボックスまたはチェックボックスによって、ユーザに委ねられ得る。あるいは、システムは、例えばウィザード形式のプロセスにおいて、1つ以上の事前にプログラムされた選択の組合せを、ユーザに提示し得る。相関分析(correlation analysis)は、どの患者特性がどの治療決定に関連し得るのかを、明らかにし得る。あるいは、システムは、まずユーザの行動を追跡(トラック)し、その後、デフォルトで最も一般的な組合せを提示し得る。例えば、AIベースのシステム(AI-based system)は、頻繁に選択される意思決定影響子(influencer)について学習し、将来の術前計画立案段階中に、それらを適切な時に外科医に表示し得る。あるいは、AIベースのシステムは、一定の特性、特に「最良の特性」と、治療決定へのその影響との間の相関を学習し得、「最良の」特性に基づいて、または「最良の特性」についての外科医の選択に基づいて、治療選択肢を最適化して提供するために、それらを使用し得る。
集団の選択に関して、履歴データ分析は、データベース内のすべてのレコード、またはレコードのサブセットに基づくものであり得る。例えば、集団は、十分に完備なレコード、すなわち、分析に必要な適切なデータを含むレコードのみに限定され得る。集団はまた、治療対象の患者と共通する1つ以上の特性、例えば、性別、年齢、民族およびその他を有する患者にも限定され得る。集団はまた、同じ国において、同じ病院において、または、同じ臨床医、内科医、外科医、流派もしくはその他等によって、治療された患者のみにも限定され得る。
履歴データ分析は、選択された治療決定のための種々の選択肢上に選択された集団がどのように分布するかを明らかにし得る。集団のメンバは、選択された(複数の)患者特性によって特徴付けられる。治療対象の患者は、分析された集団内における当該患者の特定の(複数の)患者特性を通じて位置づけられ得る。その結果、どの意思決定選択肢がデータベース内の履歴データに応じてこの特定の患者に最も適切であると思われるかが明らかにされ得る。あるいは、この場合、システムは、システムが選んだ(複数の)「最良の」特性に基づいて、それが選択された(複数の)患者特性と異なる場合に、比較分析(comparative analysis)を示し得、それによって、ユーザが自分の意思決定を再評価することが、可能になり得る。
いくつかの実施形態では、履歴データ分析は、1つ以上の治療決定を、術中もしくは術後の事象、観察または結果の予想される発生と関連付け得る。履歴データ分析は、一定の事象、観察または結果の発生する公算またはリスクが、一定の術前計画パラメータとともにどれほど増加または減少するのかを、例えば明らかにし得る。
例えば、履歴データ分析は、心臓弁の選択された大きさを漏れ(漏出)のリスクと関連付け得るか、または、肩インプラントの側方移動(lateralization)の選択された量を肩峰骨折(acromion fracture)のリスクと関連付け得る。
特定の複数の実施形態では、履歴データ分析は、高レベルの外科医またはキーオピニオンリーダー(key opinion leaders:KOLs)から取得されたデータを含む回顧的データを利用し得、それを新人の外科医または低レベルの外科医に提供して、骨欠損データ等の彼らの決定をガイドし、治療選択肢を模倣するか、または彼らの使用されたもしくは好ましい治療計画を低レベルの外科医に提供し得る。いくつかの実施形態では、回顧的データは、流派(例えば、同一の計画もしくは治療選択肢またはその他の態様を用いる外科医ら)によって提供され使用された情報を含み得る。
このタイプの分析は、例えば1つ以上の患者特性に関して、治療対象の患者との類似性を示す患者らに集団を限定することによって、治療対象の患者に対してより正確なものにされるか、またはより適切なものにされ得る。このタイプの履歴データの分析には、(1)集団を限定するための0個以上の患者特性の選択、(2)1つ以上のタイプの、事象、観察または結果の選択、および(3)1つ以上の治療決定の選択、が必要とされ得る。前と同様に、これらの選択は、例えば、ユーザインターフェース内のドロップダウンボックスまたはチェックボックスを通じて、ユーザに委ねられ得る。あるいは、システムは、例えばウィザード形式のプロセスにおいて、1つ以上の事前にプログラムされた選択の組合せを、ユーザに提示し得る。相関分析(correlation analyses)は、どの事象、観察または結果がどの治療決定に関連し得るのかを、明らかにし得る。あるいは、システムは、まずユーザの行動を追跡し、その後、デフォルトで最も一般的な組合せを提示し得る。例えば、AIベースのシステム(AI-based system)は、頻繁に選択される意思決定影響子(influencer)について学習し、将来の術前計画立案段階中に、それらを適切な時に外科医に表示し得る。
集団の選択基準に関して、集団は、好ましくは、治療対象の患者との類似性を示す複数のメンバに限定されるべきである。この類似性は、1つ以上の患者特性に関するものであり得る。
例えば、心臓弁漏れ(heart-valve leakage)では、それらの患者特性は、弁輪(annulus)の最小径および最大径等の、弁を取り囲む解剖学的構造の形状を記述する一組の測定値であり得る。
別の例として、肩峰骨折の場合には、患者特性は、CTスキャンから得られた骨密度に関する情報、または上述の欠損定量および分類からの結果を含み得る。
患者の解剖学的構造の形状に依存することが知られているかまたは疑われるこれらの分析については、患者特性は、患者の解剖学的構造の一部に適合されたSSMのパラメータまたはパラメータのサブセットを含み得る。これらのパラメータまたはかかるサブセットは、すべての可能な形状のバリエーションを包含するn次元空間内において患者の形状を記述するn次元ベクトルを形成する。したがって、履歴データ分析のための集団は、対応するn次元ベクトルが、治療対象の患者からのあらかじめ設定された一定の距離内にある、すべてのメンバに限定され得る。
履歴データ分析の結果は、さまざまな仕方で提示され得る。そのいくつかの例を以下に説明する。集団分析の複数の実施形態例もまた、以下に説明される。
履歴データ分析の代替として、システムは、選択された集団内において、治療対象の患者の患者特性に最も密接にマッチするメンバを探し出し、そのメンバについて選択された意思決定選択肢を表示し得る。
いったん、上記のような意思決定支援プロセスを使用してか、上記のような意思決定支援プロセスの使用なしにかのどちらかにより、高レベルの治療決定が行われた場合、本明細書中に記載のシステムは、治療対象の患者のためのデフォルト術前計画を作成し得る。この計画は、典型的には、患者データおよび処理された患者データに基づいて、インプラント位置および向き等の治療パラメータを計算する、1つ以上のアルゴリズムまたはヒューリスティックスに依存する。
例えば、SurgiCase Knee Plannerは、患者の大腿骨および脛骨の仮想3Dモデル上で同定された解剖学的標識に基づく幾何学的アルゴリズムを使用して、局所解剖学的座標系、ならびに大腿骨インプラントおよび脛骨インプラントの患者の解剖学的構造に対するデフォルトの大きさ、位置および向きを算出する。かかるアルゴリズムの一定の入力パラメータについては、全般的な、集団全体にわたる(population-wide)値が利用され得る。あるいは、値は、上述のような意思決定支援プロセスからの支援に基づいて、手動または自動で選択され得る。
例えば、全膝関節形成術(total knee arthroplasty)の場合、3°の内反(varus)に対する内反矯正のデフォルト値がすべての患者に対して使用され得るか、履歴データ分析が内反矯正のための一定の値を提案し得るか、または、集団の最も近く(密接に)マッチするメンバの内反矯正のための値が使用され得る。このように、本発明の意思決定支援プロセスは、高レベルな、治療決定(treatment decision)、および、低レベルな、治療固有の決定(treatment-specific decision)の、両方に使用し得る。
1つ以上のフィードバックループを通じて集められた履歴データはまた、自動的に作成されたデフォルト計画を改善するか、または新たなデフォルト計画を作成するためにも使用され得る。例えば、機械学習、ディープラーニング、ニューラルネットワークおよびその他等のAIベースの技法が、計画立案工程においてまたは治療中において、しばしばまたは一貫して行われる変更を、デフォルト計画に組み込むために使用され得る。加えて、術中または術後の合併症についての情報が、ある変更は含めて別の変更は無視するために、使用され得る。
[治療計画の変更]
いったんデフォルト計画が作られると、それは、さらなる微調整のためにユーザに提示される。ユーザには、1つ以上の治療計画パラメータを変更する可能性が提示され得る。例えば、ユーザは、インプラントのサイズ、インプラントの位置またはインプラントの向きを変更する可能性を有し得る。
計画立案工程では、システムは、上述した意思決定支援プロセスによって、ユーザの意思決定を支援し得る。
計画立案工程の結果は、承認された術前計画、すなわち、臨床医が実施することを決定した治療計画である。
いくつかの実施形態では、システムは、すべての承認された術前計画をデータベース内に格納するフィードバックループを含む。このようにして集められた情報は、意思決定支援プロセスに提供する履歴データとして使用され得る。例えば、ユーザの承認された術前計画について集団分析を実行することは、いかなる変更またはパラメータ値が当該ユーザの過去の実践または経験の範囲内にあるのかを、当該ユーザに教え得る。対照的に、全ユーザの承認された術前計画について集団分析を実行することは、はるかに大きなグループの人々の蓄積された経験からユーザが学ぶことを可能とし得るか、またはユーザ個人の実践を全ユーザの平均的な実践と比較することを可能とし得る。履歴データを、同じ病院の全ユーザ、または、同じ国の全ユーザの承認された術前計画に限定する等の、他の選択肢もまた可能である。
[治療計画にしたがった患者の治療]
承認された術前計画がいったん作られると、臨床医はその実施、すなわち患者の治療へと進み得る。いくつかの―主に非侵襲的な―治療において、事前承認された治療計画は、投薬または運動等の、処方の形態をとり得る。他の―主に侵襲的な―治療においては、事前承認された治療計画は、手術ガイダンスシステム内において使用され得るデータファイルの形態をとり得る。例えば、当該計画は、計画された手術結果を手術中に外科医が実現することを助ける患者固有の器具を設計および製造するために、使用され得る。あるいは、当該計画は、ガイダンス情報を手術中に外科医に表示するために、手術ナビゲーションシステムまたはARシステムにロードされ得る。あるいは、当該計画は、自動的または半自動的に手術の一部を実施するために、ロボティクスシステムにロードされ得る。
システムは、術中データをデータベース内に格納するフィードバックループを含み得る。これは、前述の術中データのうちの任意の術中データを含み得る。データは、手術室内のセンサによって、特殊な手術機器によって、ナビゲーションシステム、ARシステム、またはロボティクスシステム等の手術ガイダンスシステムによって、自動的に集められ得るか、または、電子アクセスデバイスを通じて手動で入れられ得る。
例えば、システムは、手術中に遭遇する任意の術中の変更または複雑さを格納するよう、外科医を促し(プロンプトし:prompt)得る。この情報は、インプラント、周囲にある患者の解剖学的構造、使用された実際のインプラントおよび外科用具、測定できないものの重要である総合データ等に関するものであり得る。システムは、後の段階において有効であり得る患者の解剖学的構造に関する任意の関連情報を、外科医が書き留めるためのノートブックとしても働き得る。このデータは、次の2つの目的のためにデータベース内に格納される:(1)患者ケースファイルを完成させること、および、(2)将来の術前計画を最適化すること。
このようにして集められた情報は、上述の意思決定支援プロセスに提供する履歴データとして使用され得る。例えば、術中の測定結果および観察結果を捕捉することは、利用可能な医用画像からは導出され得ないか、または、靭帯緊張、軟部組織への感染もしくは損傷の発生等の侵襲的な方法でのみ測定され得る患者特性に関して、術前計画を承認するよりも前の工程で、統計的情報をユーザに提示することを可能とする。別の例として、術中合併症に関する情報を捕捉することは、かかる合併症の蓋然性に関して、術前計画を承認するよりも前の工程で、統計的情報をユーザに提示することを可能とする。最後に、手術計画に加えられた任意の変更、または、承認された術前計画からのあらゆる逸脱を捕捉することは、計画立案工程中になされている選択に関する情報の提示から手術中になされている選択に関する情報の提示へと、「計画立案工程」の下に記載された意思決定支援プロセスを置き換えるか、または拡張することを可能とする。
[治療後データの収集]
治療の後、術後医用画像、かかる画像に基づく仮想3Dモデル、術後測定結果、機能測定結果、疼痛スコア、機能スコア、機能スコア、患者満足度情報、術後合併症に関する情報、活動データ、再置換術に関する情報等の、より多くの情報が、フィードバックループを通じて集められ、また、捕捉され得る。データは、例えば、1つ以上のインプラントに埋め込まれた複数のセンサもしくは複数のウェアラブルデバイスによって自動的に集められ得るか、または、電子アクセスデバイス内に手動で入れられ得る。
このようにして集められた情報は、上述の意思決定支援プロセスに提供する履歴データとして使用され得る。例えば、それは、実際の手術結果、潜在的な合併症リスク、インプラントの寿命または患者満足度に関して、術前計画を承認するよりも前の工程で、統計的情報をユーザに提示することを可能とする。
[効果的でない治療計画の排除]
術中または術後のフィードバックループの特殊な形態は、合併症に関する術中および術後の情報を集め、それを用いて、例えば、(ユーザ定義のものであり得る)一定の閾値に基づいて術前計画から手術の実施がどれほど逸れたのか、合併症の重症度、またはインプラントの寿命に基づき、より効果の小さい術前計画を、分類するか、タグ付けするか、またはフラグ付けする。このフィードバックループは、自動的に作成されたデフォルト計画を、かかるデフォルト計画を生成するAIベースの技法のための訓練データから最も効果の小さい治療計画を排除することによって、さらに最適化することを可能とする。このフィードバックループはまた、履歴データ分析において使用されるデータから最も効果の小さい治療計画を排除することによって、意思決定支援システムを改善することを可能にする。
排除フィードバックループの非常にベーシックな形態は、任意の訓練データまたは履歴データ分析に含まれるべきでない術前計画または治療計画に、ユーザが手動でフラグ付けすることを可能にする。
[履歴データ分析の結果の提示]
意思決定支援プロセスの一部として生成された情報は、任意の実用的な方法でユーザに提示され得る。例えば、複数の治療選択肢または利用可能なインプラントサイズからの選択等の、限定数の離散的選択肢または離散的パラメータ値に関わる意思決定を支援するとき、分布グラフまたはヒストグラムが、独立変数としての1つの患者特性とともに、これらの選択肢の各々について示され得る。治療対象の特定の患者についての患者特性の値は、独立軸上のマークによってグラフ上に表示され得、その結果、その患者にとってどの意思決定選択肢が履歴データに基づいて最も適切であると思われるのかが、ユーザに示され得る。
例えば、図9は、分布プロット902~分布プロット906形式で表される履歴データ分析の結果の一例を示す。患者集団内における治療対象の患者の位置は、縦線908によって示されている。これから、ユーザは、治療Bが最も適切であると思われることを導き得る。
これは、離散的治療選択肢または離散的パラメータ値についての提案をユーザに単に提示するだけの従来のシステムに対する重要な改善を表す。例えば、図9では、履歴データ分析の結果が、好ましくは直観的な方法で、ユーザに提示されている。具体的には、図9では、提案「治療B」を得るだけではない。ユーザは、患者集団内のどこに患者が位置するのか、そして、種々の選択肢の間に急激な移り変わりがあるのかまたはスムーズな移り変わりがあるのか、もまた見知る。例えば、ユーザは、治療Bが最も適切であるように思われること、だがさらに、治療Aが有望な競争相手であり得るだろうこと、そして治療Cはそうではないことを、グラフから導き出し得る。治療コストまたは治療Bに関する自身の経験不足等の、治療Bよりも治療Aの方を好む他の医学的または非医学的な理由を外科医が有する場合、本発明のシステムは、治療Bを単に提案するだけでなく、治療Aが見込みのある選択肢であることをユーザに教示し、その後、治療Aについてのすべての関連情報をユーザに提供するだろう。
代替的な表現(表示)も可能である。例えば、上記のグラフのデータは、面チャートまたは棒グラフとしても表示され得る。あるいは、それは勾配(例えば、色勾配(color gradient))プロット(gradient plot)で示され得る。その場合、意思決定選択肢の各々は、特定の色、模様(パターン)または強度(例えば、グレースケール)によって表され、意思決定選択肢上の集団の分布は、それぞれの色、模様(パターン)または強度の比例量を混合することによって表される。
例えば、図10は、カラープロット形式で表された履歴データ分析の結果の一例を示す。患者集団内における治療対象の患者の位置は、白のドットで示されている。これから、ユーザは、治療Bが最も適切であると思われることを導き出し得る。
図10におけるプロットから、ユーザは、上述した分布グラフと類似の情報を導き出し得る。具体的には、ユーザは、集団内の患者の位置、種々の治療選択肢またはパラメータ値上に集団がどのように分布しているのか、そして、色勾配を見ることによって、それら複数の選択肢の間およびそれら複数の値の間に、スムーズまたは急激な移り変わりがあるのかどうかを導き出し得る。カラープロットから数値を導出することは、より難しいものであり得る。だが、カラープロットは、解釈するのにより直観的なものであり得る。
他の実施形態では、離散的選択肢を2つの患者特性に関連付ける分析は、3D棒グラフまたはその他の2Dプロット(例えば、色、模様(パターン)、強度、もしくはその他の視覚的参照を使用する)等の、他の視覚的手段によって提示され得る。
別の例として、連続値パラメータ(例えば、膝関節インプラントのための内反矯正、肩インプラントの側方移動、心臓弁の植え込み(埋め込み)深さ(implantation depth)、または患者満足度スコア等)の選択を支援する履歴データ分析の結果は、線グラフによって提示され得る。
例えば、図11は、線プロット1002形式で表された履歴データ分析の結果の一例を示す。患者集団内における治療対象の患者の位置は、縦線1004によって示される。これから、ユーザは、パラメータAに関して0.1と0.2との間の値が最も適切であると思われることを導き出し得る。
図11のような例は、連続的パラメータ値についての提案をユーザに単に提示するだけの従来のシステムに対する改良を表す。例えば、図11に基づいて、ユーザは、提案「0.15」を得るだけではない。むしろ、ユーザは、患者集団内のどこに患者が位置するのか、そして、患者の全体的な位置内において、そのパラメータが患者特性に対して非常に変動しやすいのかどうか、もまた見知る。例えば、0.15というパラメータAの値が最も適切であるように思われること、だがさらに、治療対象の患者に類似した患者らの間で、パラメータAの値における大きな変動はないことを、ユーザはグラフから導き出し得る。さらにより多くの情報を与えるために、線グラフは、例えば、縦棒(いわゆる「ひげ(whiskers)」)によって、または値曲線の周りの陰影領域によって、信頼区間を示し得る。
別の例として、術中もしくは術後の事象、観測もしくは結果の公算またはリスクを治療決定またはパラメータに結びつける履歴データ分析の結果は、(任意選択的に信頼区間とともに)グラフ、面チャートもしくは棒グラフで、または、カラープロットもしくは模様(パターン)プロットで示され得る。集団内の患者の位置が上記の例において表示されているのと同様に、意思決定選択肢またはパラメータ値についての現在の選択が表示され得る。いくつかの実施形態では、グラフ、チャートまたはカラープロットは、2Dもしくは3D画像、線画、医用画像もしくは仮想モデル等の、患者の解剖学的構造、および/または、計画された治療の一部を形成する任意のデバイス、器具もしくはインプラントの描写とともに、表示され得る。グラフ、チャート、カラープロットおよび描写(記述)はすべて、相互作用的であり得、一方で行われた変更が他方に自動で反映され得る。
例えば、図12は、棒グラフ形式で表された履歴データ分析の結果の一例を示す。ここで、2つの合併症のリスクは、選択されたデバイスサイズに関する。現在選択されているデバイスサイズは、円1202によって示されているが、他の手段、例えば、チャート中の棒の不透明度、彩度、色彩または模様(パターン)等も可能である。これから、ユーザは、デバイスサイズ3および4が最も適切であると思われることを導き出し得る。
図13は、カラープロット形式で表された履歴データ分析の結果のさらに別の例を示す。ここで、2つの合併症のリスクは、選択されたパラメータ値に関する。現在選択されているパラメータ値は、円1302によって示されている。これから、ユーザは、選択された値がセーフゾーン内にあることを導き出し得る。
本明細書に記載の複数の図例内の意思決定支援データを表示するさまざまな方法は、意思決定選択肢またはパラメータ値についての提案をユーザに単に提示するだけの従来のシステムに対する大きな改良を表す。例えば、例えば、図12および図13に示された表現から、ユーザは、提案「デバイスサイズ3」または提案「パラメータX=x」を得るだけではない。むしろ、ユーザは、いかなる含意が提案から逸れたものであるのか、合併症の結果またはリスクの公算がどれほど大きいのか、意思決定選択肢またはパラメータ値を変更するときにその公算またはリスクがどれほど急激に増加または減少するのか、そして、したがって意思決定選択肢またはパラメータ値を変更することにユーザがどれだけ多くの余地を有するのか、もまた見知る。例えば、ユーザは、パラメータXに関する現在の値がセーフゾーン内にあること、だがさらに、その値をわずかに増大させることは安全であり得るが、それを減少させることは望ましくないように思われることを、プロットから導き出し得る。1つ以上のかかる履歴データ分析表現は、任意の所与の実例において、ユーザに表示され得る。
[応用例:肩の治療決定支援]
肩関連愁訴については、病態(病理:pathology)に応じて、種々の治療がある。例えば、肩関節炎(shoulder arthritis)は、安静、投薬、コルチコステロイド注射、関節鏡視下デブリードマン(arthroscopic debridement)、関節半置換術(hemiarthroplasty)、切除関節形成術(resection arthroplasty)、全(解剖学的)肩関節置換術(total (anatomical) shoulder replacement)(TSA)、リバース型人工肩関節置換術(reverse shoulder replacement)(RSA)およびその他により治療され得る。病態(病理)または治療の複雑さに応じて、一部の医師は、同僚もしくは他の病院に患者を照会するのか、または、知られた同業者らのうちの一人の治療選択肢に従うのか、を選択し得る。
本発明の複数のシステムおよび方法は、患者特性および履歴データに基づいて治療を決定するときに、医師を補助し得る。
例えば、CTまたはMRI画像等の、患者の骨および/または軟骨の解剖学的構造の医用画像に基づいて、患者の肩の解剖学的構造の仮想3Dモデルが作られ得る。欠損は、上述の方法で定量され得る。定量の結果は、例えば図14におけるような描写によって、ユーザに提示され得る。
特に、図14は、関節窩の欠損定量の結果の表現の一例を示す。左側には、患者の肩甲骨の骨の解剖学的構造の仮想3Dモデル1402があり、関節窩が中央にある。右側には、その解剖学的構造1404が、患者の肩甲骨の部分に適合された健康な解剖学的構造を表すSSM1406上にオーバーレイされて(重ねられて)示されている。欠損定量の種々の結果が示されている。侵食深さ(実際の骨表面からその表面が健康な状態においてあったであろう位置までの距離、ここではSSMインスタンスの表面によって表されている)は、勾配プロット1408形式で示されている。
図14の例において、侵食深さは、SSMインスタンスの関節窩の表面を通る最も適合した(ベストフィットな:best-fit)平面に対して垂直に計算される。SSMインスタンスの関節窩の表面に対して局所的に垂直等の、他の測定方向も可能である。
蓋損失百分率(骨侵食により失われた関節窩蓋の体積の百分率)、侵食面積百分率(骨侵食により冒された関節窩の表面積の百分率)および最大侵食深さ等の、追加の尺度が計算され、示されている。この例では、関節窩は4つの四半部に細分され、前(anterior)、後(posterior)、上(superior)または下(inferior)蓋損失百分率といった定量的計量が、各四半部内に示されている。加えて、亜脱臼距離が計算されている。この目的のために、上腕頭の回旋中心(回転中心:center of rotation)は、上腕頭の関節面に対して球を最もよく適合させる(ベストフィットさせる)ことによって計算されている;この球の中心点は、SSMインスタンスの関節窩の表面を通る最も適合した(ベストフィットな:best-fit)平面上に垂直に射影されている;この射影点と関節窩の幾何学的中心との間の距離が測定され、表示されている。また、亜脱臼領域、すなわち、上腕頭の回旋中心が射影された四半部が、表示されている。
図14は、この情報から、およびその描写から、骨欠損の範囲および位置を評価するための再現可能でかつ客観的な情報を、ユーザがいまや有しているのだという点において、従来のシステムに対する大きな改良を実証するものである。この情報は、最も適切な治療を決定するために重要である。
システムは上述のように、履歴データに基づく統計的情報を提示することによって、意思決定をさらに支援し得る。例えば、承認された術前計画についてのフィードバックループを含むシステムは、上述の計量のうちの任意の計量を以前の事例において選択された治療に関連付けるための分析を実行し得る。この履歴データ分析の結果は、上述の仕方(形式)のうちの任意の仕方で、ユーザに提示され得る。例えば、当該結果は、例えば図15におけるもののようなチャートで提示され得る。
具体的には、図15は、履歴データ分析の結果の表現の一例を示す。図15は、患者のうちの何パーセントが種々の方法で治療されたことがあるのかを示し、蓋損失百分率により分けられている。治療対象の患者は、縦線1502により示されている。
データベース内におけるすべてのレコードは、履歴データ分析のための基礎として使用され得る。あるいは、履歴データ分析のための基礎として選択された集団は、複数の方法で限定され得る。例えば、ユーザによって治療されたことのある事例のみに集団を限定すると、当該ユーザは、治療対象の患者が自分の過去の経験にどのように関連付くのかに関して、洞察を得るだろう。より多くのまたはすべてのユーザの事例を含めることは、特定の病院、国または世界のすべての外科医等の、より大きな外科医コミュニティの実践への洞察を与えるだろう。
集団はまた、治療対象の患者との一定の類似性を示す患者にも限定され得る。かかる類似性は、性別、年齢、民族、活動レベルおよびその他等の、1つ以上の患者特性に基づくものであり得る。
同僚または他の病院への照会は、複数の選択肢のうちの1つであり得る。データベース内に格納された情報に基づき、システムは、照会に対してオープンである臨床医(照会を受け入れている臨床医)を提案する機能を有し得る。データベース内の履歴データに基づき、システムは、類似の患者、すなわち、類似の病態(病理)および/もしくはその他の患者特性を示す患者に関してより経験のある臨床医を提案し得るか、または、照会された外科医の治療計画に従うことを提案し得る。
フィードバックループを通じて集められ格納された、承認された術前計画に基づく履歴データ分析が、説明されてきた。しかしながら、類似の、そして潜在的にはより適切な分析が、他のフィードバックループを通じて集められた術中または術後データについて、実行され得る。かかるデータは、外科医が提供を企てた(intended)治療を表すのではなく、執行された実際の(actual)治療を表すものであり得る。
[応用例:肩手術インプラントタイプ決定支援]
先の例と同様に、本明細書に記載の複数の複数のシステムは、肩関節形成術(shoulder arthroplasty)においてどのタイプのインプラントを使用すべきか、という決定のための支援を提供し得る。これには、例えば、既製のインプラント対カスタムのインプラントといったものが含まれる。
例えば、システムは、スタンダードまたは既製インプラント、およびカスタムインプラントからの選択を上述の骨欠損の定量と関連付ける履歴データ分析の形態において、意思決定支援を提供し得る。分析の結果は、グラフ、チャート、色プロットもしくはパターンプロット、または本明細書に記載の他の例のようなものの形式において、ユーザに提示され得る。
例えば、図16は、スタンダードインプラントおよびカスタムインプラントからの選択を、患者の関節窩の蓋損失百分率と関連付ける履歴データ分析の結果の表現の一例を示す。治療対象の患者は、縦線1602により示されている。
図17は、スタンダードインプラントおよびカスタムインプラントからの選択を、患者の関節窩の蓋損失百分率と関連付ける履歴データ分析の結果の表現の別の例を示す。治療対象の患者は、円1702により示されている。
別の例として、システムには、インプラントのライブラリが設けられ得、分析は、インプラントの選択を、欠損定量から算出された1つ以上の欠損特性と関連付け得る。
[応用例:肩手術、RSA側方移動]
リバース型人工肩関節形成術(reverse shoulder arthroplasty)では、回旋腱板によって生み出されるトルクを改善し、内旋および外旋を増加させる方法として、回旋中心の側方移動がしばしば採用される。しかしながら、過度の側方移動は過度の筋肉の伸延(muscle lengthening)を引き起こし得、負荷(荷重)の増加による肩峰骨折をも引き起こし得る。不十分な側方移動は、筋肉負荷の低下により関節の不安定性を引き起こし得る。
したがって、本明細書に記載の複数のシステムは、側方移動による筋肉の伸延のシミュレーションを通じた意思決定支援を提供し得る。
例えば、システムは、患者の解剖学的構造およびインプラントの2Dまたは3D描写を提供し得る。この描写は、肩甲骨もしくは上腕骨の骨の解剖学的構造、インプラントおよび1つ以上の肩の筋肉の仮想モデルを含み得る。肩の筋肉は、その実際の形状で示され得るか、またはむしろ概略的に、例えば、線、曲線、ポリライン(多角形:polyline)もしくは円柱形状によって示され得る。当該描写は、インプラントの側方移動に伴って筋肉の軌道(軌跡)がどのように変化するのかをシミュレートし得、生体力学モデルとして表示し得る。基準として、当該描写は、本来の(すなわち、術前か健康かのどちらかの)状態における筋肉の軌道および骨のモデルをオーバーレイで表示し得る。術前の状態は、医用画像から導出され得る。健康な状態は、健康な肩の解剖学的構造を表すSSMを、患者の解剖学的構造の部分に適合させることによって、近似され得る。
システムは、インタラクティブであり得る。例えば、図18に示されるように、システムは、例えば、コンピュータマウス等の入力デバイスをクリックしドラッグすることによってインプラントのモデルを操作することにより、第1の位置1802から第2の位置1804へと、ユーザが回旋中心を手動でシフトさせることを可能にし得る。あるいは、システムは、側方移動を調整するための、ボタンまたはスライダ等の、ユーザインターフェースコントロールを提供し得る。描写は自動的に更新されて、行われた調整を反映する。例えば、肩甲骨、上腕骨およびインプラントコンポーネントの相対的な位置、ならびに、対応する筋肉の軌道が、更新される。
システムは、個々の筋肉の伸延量の定量等の百分率等の数値、または線、曲線、ポリライン(多角形)もしくは円柱形状の厚さの減少によって、または、一部もしくはすべての筋肉についての平均値を表示し得る。これらの値は、解剖学的構造の描写上にオーバーレイされ得るか、または、ユーザインターフェース内のどこか他の場所にリストされ得る。
本発明による複数のシステムは、過去の複数の事例の履歴データ分析を通じた追加の意思決定支援を提供し得る。前述のように、かかる分析のためのデータは、承認された術前計画の形態において、または、術中もしくは術後に集められた、実際に実施された手術計画の形態において、1つ以上のフィードバックループを通じて集められ得る。集団は、すべての利用可能なレコード(記録)に基づくものであり得るか、または上述のように種々の方法で制限され得る。複数の好ましい実施形態では、集団は、1つ以上の患者特性において治療対象の患者との一定の類似性を示す患者らに限定される。例えば、骨密度は、CTスキャンから導出され得、肩峰骨折のリスクを評価するのに重要な役割を演じ得る。代替的にまたは追加的に、肩峰の厚さ等の形状特性が、重要な役割を演じ得る。それらの形状特性は上述のように、一定の複数の測定結果によって、または患者の解剖学的構造に適合されたSSMの複数のパラメータ値によって、定量され得る。分析の結果は、側方移動の種々の量について、どれほどの頻度でそれらの量が以前に計画もしくは実装(実施)されたのかを表示する、グラフ、チャートまたはカラープロットの形式で表示され得る。現在の側方移動は、線、ドット(点)、菱形またはその他等のマーカによって、グラフ、チャートまたはカラープロット上に示され得る。
あるいは、分析は、どれほどの頻度で筋肉伸延の量が以前に計画または実装(実施)されたのかを調査し得る。これは、個々の筋肉の筋肉伸延の量、および、選択された肩の筋肉もしくはすべての肩の筋肉の平均、または、選択された肩の筋肉もしくはすべての肩の筋肉の加重平均であり得るだろう。
最後に、システムが術中または術後の合併症に関する情報を集めて格納する複数の実施形態では、分析は、肩峰骨折または不安定性等の、かかる合併症のリスクをさらに含み得る。そして、ユーザは、グラフ、チャートまたはカラープロットから、選択された側方移動が一般的な実践の範囲内に含まれるのかどうかだけでなく、セーフゾーンの範囲内に含まれるのかどうかもまた見得る。
上述のインタラクティブ機能に加えて、またはその代替として、グラフ、チャートまたはカラープロットは、インタラクティブであり得る。例えば、ユーザは、グラフ、グラフもしくはカラープロットをクリックすることによって、または現在の側方移動の量を表すマーカをスライドさせることによって、側方移動の量を選択し得る。解剖学的構造および計画された(複数の)インプラントの任意の描写は自動的に更新され、側方移動における変更を反映し得る。
本明細書に記載の複数のシステムおよび複数の方法は、デスクトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ、ポータブル電子デバイス、タブレットコンピュータ、スマートフォンおよびその他のコンピュータ化されたデバイスといった、例えばコンピューティングデバイスによって、作動(動作)および実行され得る。いくつかの実装形態では、本明細書に記載の複数の方法は、ネイティブソフトウェアアプリケーションによって実行され得る一方、他の実装形態では、本明細書に記載の複数の方法は、サーバ‐クライアント実装形態(server-client implementations)で実行され得る。例えば、いくつかの実装形態では、本明細書に記載の複数の方法を実行するように構成されたソフトウェアは、リモートサーバまたはクラウドベースのシステムによって、ホストされ得る。一部の場合には、本明細書に記載の複数のシステムおよび複数の方法のさまざまな態様は、種々のコンピューティングデバイスに分散され得る。
さらに、本明細書に記載の複数のシステムおよび複数の方法は、例えば、外科医、医師もしくは看護師等の医療専門家によって、または、臨床技師、設計エンジニア、インプラント製造業者(例えば、特定の外科医がいかなるタイプのインプラントを扱うかの概観をインプラント製造業者に与え、それを描くプロットをインプラント製造業者に生成するため)、専門臨床実習の学生(residency student)、もしくは患者(例えば、実際の手術の前に手術のリハーサルをする人)等の非医療専門家によって、作動および実行され得る。
[応用例:CMF治療決定支援]
本明細書に記載の欠損定量システムはさらに、頭蓋顎顔面(craniomaxillofacial:CMF)領域における1つ以上の欠損を検出し、さらにそれを、外傷(trauma);眼窩再建(orbital reconstruction);仮骨延長術(distraction osteogenesis);顎関節(temporomandibular joint);頭蓋骨再建(cranial vault reconstruction);頭蓋骨癒合症(craniosynostosis)等の先天性頭蓋顔面変形(congenital craniofacial deformities);歯槽外科;または、頭蓋顎顔面領域の複数の部分のうちの1つ以上の部分を含む他の任意の審美(美容:cosmetic)手術もしくは再建手術等に分類するために、使用され得る。
一実施形態例として、本明細書に記載の欠損定量システムは、患者データ(例えば、画像データ)および1つ以上のフィードバックループを使用して、定量対象の欠損のタイプを検出し、そして、下顎骨欠損(orthognathic defect)等の欠損を分類し得る。
方法の一例では、矯正を必要とする患者の解剖学的構造の1つ以上の医用画像またはスキャン(一般に、画像データ)が取得され得る。例えば、画像データは、患者の顎変形に関するものであり得る。この例では、画像データは、例えば、患者の下顎骨、上顎骨またはおとがい(chin)のうちの1つ以上のものの画像データを含み得る。上述のように、画像データ内の解剖学的構造は、仮想三次元表面モデルを得るために(例えば、下顎骨、上顎骨および/またはおとがいの間で)分割され得る。そして、健康な解剖学的構造(例えば、健康な顎(jaw))の統計学的形状モデルが、患者の解剖学的構造の健康な部分および損傷した部分(例えば、患者の顎の損傷した部分)を特定するために、三次元表面モデルに適合され得る。
図19は、患者画像データおよびSSMを使用する欠損定量の表現の一例を示す。この例では、画像データは、元の健康な下顎骨のSSM1904上にオーバーレイされた患者の骨の下顎骨解剖学的構造1902の三次元モデルを含む。
この例では、この患者が上顎骨ではなく下顎骨の治療のみを必要とすることが明らかである。
患者の実際の解剖学的構造(例えば、医用画像データから作成された三次元モデルによる)を健康な解剖学的構造モデル(例えば、SSMモデル)と比較するやり方(manner)は、可能な外科的アプローチを外科医が視覚化することを可能にする。例えば、この事例では、基準としての健康な解剖学的構造を提供しながら、外科医は下顎骨のポジショニング(位置決め:positioning)を操作し得る。この例では、図19に示された欠損、および提案される外科的治療(例えば、下顎骨再建)が特定され得る。
計画立案段階の間、システムは、図20に示すように、切除され得る解剖学的構造の部分2002を示すことによって、外科医をガイドする。特に、システムは、明瞭な切除縁(resection margins)を示し、定量された欠損に基づいて、切除が必要な骨よりも多くの骨または切除が必要な骨よりも少ない骨を切除することを外科医が決定した場合、外科医に警告し得る。
さらに、上述のように、三次元患者解剖学的構造モデルは、患者に関連する履歴データを伴うことがあり得、計画された治療のための患者固有のインプラントを提案し得る。例えば、治療計画は、移植骨の使用を含み得、患者病歴に基づいて、患者の左腓骨(left fibula)が移植片に選択され得る。システムはさらに、腓骨上の健康な部分を指し示し、術後の結果を示し得る。ただし、これらはほんの数例である。
別の例では、提案された治療計画は、上顎骨、下顎骨およびおとがい形成(genioplasty)を含む、追加のCMF領域の治療を含み得る。
図21Aは、欠損がLeFortIとして分類される一例を示す。これは、上顎骨および、水平(horizontal)方向か錐体(pyramidal)方向か横(transverse)方向かのいずれかの方向の周囲の構造に及ぶ頭蓋骨の骨折の一種である。かかる分類に対して、治療計画は、両側矢状分割骨切り術(bilateral sagittal split osteotomy:BSSO)およびおとがい形成骨切り術(genioplasty osteotomy)を含み得る。上記のように、患者の解剖学的構造のモデルは、さまざまな領域2102~領域2108へと分割され、これは欠損定量のために使用され得、術前計画立案中に考慮され得る。
図21Bは、図21Aにおいて定量された欠損の治療の複数の態様を示す。特に、図21Bは、欠損を治療するための上顎骨移動の推奨距離を示す。一部の場合には、推奨距離は、履歴データに基づくものであり得、システムはさらに、可能な上顎骨移動の範囲2110Aおよび範囲2110B(例えば、mm単位)を示し得る。
図21Cは、近位重複(proximal overlap)および切除縁2112の一例を示す。特に、図21Cは、2114において、骨の解剖学的構造の整復が必要であることを特定している。
図21Dは、提案された欠損の治療の別の例を示す。この例では、システムは、隙間(ギャップ)が埋められる必要があるという警告2116を表示している。
いくつかの実施形態では、定量された欠損および初期治療計画に基づいて、システムは、例えば図21Dにおける特定されたギャップを充たすため等、種々の骨部分を接続するための適切なインプラントのタイプおよびサイズをさらに提案し得る。例えば、システムは、下顎骨インプラントの設置(配置)のためのガイドの使用を提案し得る。システムはさらに、外科医が、選択を行い、それに応じて治療計画を更新する前に、種々のインプラント選択肢を視覚化することを可能にし得る。
[応用例:下顎矯正手術(Orthognathic Surgery)決定支援]
本明細書に記載の複数の手術計画立案システムの別の応用例は、頬顎形成手術意思決定支援である。一例では、術前計画立案ツール(例えば、MATERIALISE(登録商標)によるProplan CMF、およびその他)が、特定の頭蓋顎顔面手術のための術前手術計画を生成するために使用され得る。そして、術前計画立案ツールからの画像データが、本明細書に記載されているような欠損定量システムによって使用され得る。
一例では、欠損は、欠損を治療するために頬顎形成手術が必要とされる顎変形(jaw deformity)として分類され得る。この例では、欠損定量システムは、例えば、Limbergの斜め顆下骨切り術(oblique subcondylar osteotomy)、下顎骨整復のためのMooseの手順(Moose’s procedures for mandibular reduction)、CaldwellおよびLettermanの垂直枝骨切り術(Caldwell and Letterman’s vertical ramus osteotomy)、TraunerおよびObweseferの矢状分割骨切り術(sagittal split osteotomy:SSO)、両側矢状分割骨切り術(BSSO)、Winstanleyの口腔内垂直枝骨切り術(intraoral vertical ramus osteotomy:IVRO)およびその他等の、外科医に馴染みのあるさまざまな既存の骨切り術分類に基づいて、欠損を定量し得る。欠損定量システムはさらに、欠損が上顎骨にある場合、LeFortI、LeFortII、変更(modified)LeFortIおよびその他等、頭蓋骨の種々の骨折をユーザが視覚化することを可能にし得る。
代替的にまたは追加的に、欠損定量システムは、切開または手術のタイプに基づいて欠損を分類し得る。例えば、欠損および生成されたSSMモデルに基づいて、ユーザは、両顎(上顎骨+下顎骨)、多分割上顎骨(multi-segment maxilla)、上顎骨のみ、下顎骨のみ、またはおとがい形成を実行することを選択し得る。
いったん欠損が定量されると、上述のようにデフォルト治療計画が作成され得る。一部の場合には、三次元頭蓋計測(three-dimensional cephalometry)データ(基準からの逸脱を測定)、非対称性評価(asymmetry assessment)、過去の手術の記録、および患者プロフィールとともに格納されている他の種類の患者データが考慮され得る。
一例では、欠損が下顎骨内にある場合、両側矢状分割骨切り術(BSSO)が手術計画立案システムによって提案され得る。一部の場合には、この治療は、上(upper)(上顎骨(maxilla))顎(jaw)のいかなる治療もなしに行われ得る。手術計画立案システムは、上顎骨における適切な変更とともに下顎骨の外科的アプローチをユーザ(例えば、外科医またはその他の医療従事者)が視覚化し、ユーザが最良のアプローチを決定することを可能にし得る。
いくつかの実施形態では、システムは、Dalpont、Obwegeser、短枝骨切り術(short ramus osteotomy)、逆L(inverted L)、および垂直枝等を選択するため、的確なタイプのBSSOを外科医が選択することをさらに補助し得る。欠損、および骨切り術のタイプに応じて、システムは、周囲の神経への近接またはダメージ等の警告を提供し、適切な骨切り術を提案し得る。手術計画立案システムはさらに、計画された治療において切除された骨の量が多すぎるか、または骨の量が少なすぎるとき、ユーザに警告を発し得る。手術計画立案システムはさらに、適切な切除縁によってユーザを手助け(プロンプト:prompt)し、選択された患者集団(例えば、手術が計画されている患者がその集団の一部であるところの集団)の履歴データと比べて縁が越えられたときに警告を発し得る。
骨切り術の種類に基づいて、手術計画立案システムはさらに、患者固有の(患者特異的な)方法または標準の方法等の好適な固定方法(fixation method)、および固定方法が配置されるエリアをユーザが決定するのを助け得る。ユーザに利用可能な選択肢のうちのいくつかは、1つ以上のプレートの選択、プレートの種類(患者固有のプレートもしくはスタンダードのプレート)、ガイドの使用および/またはラグスクリューの使用等を含み得る。
いくつかの実施形態では、治療計画が上顎骨の治療を含む場合、ユーザは患者歴(patient history)に基づいて2つ以上のプレートから選択し得、履歴データ分析および/または患者集団プロットを使用して、類似の患者のために選択されたプレートの数の選択および種類を比較することができ得る。
いくつかの実施形態では、治療計画が下顎骨の治療を含む場合、手術計画立案システムは、プレートまたはラグスクリューの位置決めおよび向き、上位または下位固定エリア等をユーザが視覚化することを可能にし得る。手術計画立案システムはさらに、プレートの厚さおよび幅、利用可能な骨の量に基づく固定材料(例えば、CPTi、TAIV、生体吸収性(bioresorbable))、骨切り術の各側上の固定スクリューの数および位置、患者固有のプレートまたはスタンダードプレートと組合せたガイドの使用ならびにその他の選択を可能にし得る。前述の選択および構成のすべては、手術計画立案システムによって生成される治療計画の一部となり得る。
一実施形態例では、欠損定量システムは、患者を、下顎骨前進(mandibular advancement)および上顎骨嵌入(maxillary impaction)の治療が要されるクラス2の狭い上顎骨欠損(maxilla defect)を有するものとして分類し得る。デフォルト治療計画は、下顎骨のためのBSSOおよび多分割LeFortI骨切り術(multi-segment Lefort I osteotomy)等の、上顎骨の治療を含み得る。デフォルト治療計画はさらに、上顎骨には患者固有のプレートを使用し、下顎骨には各側上において3つのラグスクリューを使用することを推奨し得る。手術計画立案システムのユーザ(例えば、外科医)は、デフォルト治療計画を承認し得るか、または、治療計画を視覚化する手術計画立案システムの能力を通じて、計画に対する修正を探り得る。
次いで、ユーザは、治療計画を承認し、手術中に(例えば、手術室内において)それを使用し得る。手術室内においては、手術の工程を実行するのに要する時間、吻合(anastomosis)、移植骨摘出のための虚血時間(ischemic time)、手術開始前の必要な手術機材の確認、失血、正確な切除縁を決定するための病的組織についての時限チェック(timed checks)およびその他等の、治療計画からの変更または逸脱が、手術計画立案システムにインプットされ得る。
手術が完了した後、患者のプロフィールが更新され得、治療に関する一定のデータが、上述のように使用され得る、履歴データ分析のためだけでなく、将来の術前手術計画立案のために生成され得る。特に、感染率、安定性および再発率、疼痛スコア、退院および関連する記録(hospital discharge and related notes)、開口腔スキャン(mouth openings scans)および記録、腫瘍症例についての再発および再発率、再建手術の皮弁生着率(flap survival rate)、機能的結果(functional outcomes)ならびに審美的結果(aesthetic outcomes)等の他の術後データが、患者プロフィール内に同様に含まれ得る。
[応用例:再建手術の意思決定支援]
本明細書に記載の複数の手術計画立案システムの別の応用例は、再建手術の意思決定支援である。一例では、術前計画立案ツール(例えば、MATERIALISE(登録商標)によるProplan CMF、等)が、特定の頭蓋顎顔面手術のための術前手術計画を生成するために、使用され得る。そして、術前計画立案ツールからの画像データが、本明細書に記載されているもののような欠損定量システムによって、使用され得る。
一例では、欠損は、再建手術を必要とする下顎骨または顔面中央部(midface)に及ぶ変形として分類され得る。患者歴および患者画像データ等の、患者プロフィールデータに基づいて、患者の三次元SSMモデルが生成され得る。そして、(欠損を示す)画像データおよび当該SSMが、欠損分類を生成するために比較され得る。当該欠損分類に基づいて、デフォルト治療計画が、本明細書に記載のもののような手術計画立案システムによって生成され得る。
がん患者の場合、欠損定量システムは、がんおよび/または病変(lesion)のタイプ(良性または悪性)、手術中に切除(摘出)および治療すべき病変の面積、必要な手術の回数ならびにその他の因子に基づいて、欠損を定量し得る。例えば化学療法、放射線療法といった他の治療等の、他の任意の患者情報もまた、患者プロフィール内に含まれる。
整容外科(corrective surgery)の場合、治療計画立案の間、患者歴が考慮に入れられ得る。例えば、患者画像データに基づいて、ユーザ(例えば、外科医)は、非対称性および正常な元の解剖学的構造からのその逸脱の評価を行い得る。患者データに基づく三次元モデルを使用して、欠損は、健康な解剖学的構造と比較してシミュレートされる。
外傷の場合、適切な治療計画を効率的に作成するために、手術計画立案システムの視覚化機能が、患者集団および履歴データ分析とともに使用され得る。いくつかの実施形態では、手術計画立案システムは、外傷患者において特定された諸特性に基づいて、デフォルト計画を推奨し得る。
さらに、手術計画立案システムによって実行される履歴データ分析は、血管柄付き移植片(vascularized graft)対非血管柄付き移植骨(bone non-vascularised graft)、自家(autologous)対骨補填(bone substitute)およびその他等の、特定の症候(indication)についてのさまざまな外科的アプローチの成功率をユーザが比較することを可能にし得る。
いくつかの実施形態では、システムはまた、ドナーをレシピエントとマッチングするために要求される関連情報を格納し得、手術計画立案システムはさらに、潜在的ドナーと接する他のユーザ(例えば、他の外科医)または他の施設(例えば、他の病院)についての情報を提供し得る。組織が摘出(採取)された場合には、手術計画立案システムは、例えば摘出された移植骨の場合における、ドナー部位(donor site)の病的状態(morbidity)に関する情報を表示し得る。より大きな骨欠損を含む外傷の場合、手術計画立案システムは、より大きく、より強力なプレートを使用するよう、そして、一部の場合には患者固有のプレートさえ使用するよう、ユーザを促し(プロンプトし:prompt)得る。ただし、これらはほんの一部の例であり、その他のものも可能である。
[応用例:心臓治療]
本明細書に記載の複数の手術計画立案システムの別の応用例は、心臓治療である。一例では、術前計画立案ツール(例えば、MATERIALISE(登録商標)によるMIMICSおよびMIMICS Enlight)が、構造的な心臓および他の血管(vascular)インターベンション(intervention)のための術前手術計画を生成するために使用され得る。そして、術前計画立案ツールからの画像データが、本明細書に記載のもののような欠損定量システムによって使用され得る。
例えば、画像、スキャンおよび患者歴等を含む患者データは、手術計画立案システムによって記憶(格納)されている。上述のように、画像データは、患者の解剖学的構造の三次元モデルへと変換され得る。そして、SSMモデルが、先天性または後天性疾患に基づく心臓欠損を分類するために、欠損定量システムによって使用され得る。一部の例では、当該欠損は、中隔欠損(septal defect)、大動脈(aorta)または僧帽弁(mitral valve)等の心臓弁膜症(valvular heart disease)、血管閉塞(vascular obstruction)、瘻孔(fistula)およびその他の状態に、分類され得る。各カテゴリは、重症度に基づく複数のクラスへと、さらに分割され得る。いったん欠損が定量されると、上述のもののような、デフォルト治療計画が生成され得る。
一例では、患者が、経カテーテル大動脈弁置換術(transcatheter aortic valve replacement:TAVR)処置を必要とする、大動脈弁における欠損を有すると特定され得る。大動脈弁の形態(aortic valve morphology)、大動脈基部(aortic root)の評価、弁輪(annulus)の評価(大きさおよび高さ)、LVOT石灰化、洞上行大動脈移行部(sinutubular junction)の高さ、冠状動脈口(coronary ostium)の評価(高さ)、ヴァルサルヴァ洞(the sinus of vulsava)の評価(直径および高さ)、冠状動脈閉塞のリスクの評価、デバイス展開のための最適な透視投影角度(fluoroscopic projection angles)の予測、TAVRデバイスのための経大腿動脈(transfemoral)アクセスルートの評価、経大腿が実行不可能な場合の代替ルートの評価、頸動脈保護デバイスの実行可能性の評価ならびにその他等の、複数の因子が、欠損分類システムの一部としてのSSMモデルおよび三次元解剖学的構造モデルから決定され得、これは、ユーザ(例えば、外科医)が治療計画を生成することを助ける。これらの因子は、カテーテル計画立案、デバイス選択、従来の経大腿ルートがアクセス可能でない場合のアクセス計画立案、切開の大きさ、デバイスのタイプおよびその他等の、治療計画の決定に影響を及ぼし得る。
一例では、患者が、経カテーテル僧帽弁置換術(transcatheter mitral valve replacement:TMVR)処置を必要とする、僧帽弁における欠損を有すると特定され得る。僧帽弁輪の大きさの評価(直径、高さ、APML、弁尖(leaflet))を伴うランディングゾーン(landing zone)の評価、石灰化、左室流出路(left ventricular outflow tract:LVOT)閉塞のリスクに対する評価、(新たにもしくは最近植え(埋め)込まれた(implanted)、または植え(埋め)込まれることとなっている)他の心臓内デバイス(intercardiac devices)との相互作用のリスクの評価、かかるデバイスからの距離、最適な経中隔穿刺(trans-septal puncture)位置または経心尖(transapical)ルートの決定、最適な透視角度の評価、乳頭筋(papillary muscle)の高さ、左心室(left ventricle)の容積および大きさ、送達(delivery)デバイスおよびルートの評価、僧帽弁のアンギュレーション(angulation)、アクセス位置、経中隔横断(trans-septal crossing)(例えば、卵円窩(fossa ovalis))の拡張(extend)ならびにその他等の、複数の因子が、欠損分類システムの一部としてのSSMモデルおよび三次元解剖学的構造モデルから決定され得、これは、外科医が治療計画を生成することを助ける。これらの因子は、例えば、外科デバイスの種類および大きさ、切開(切り口)サイズおよび進入点(entry points)等に影響を及ぼし得る。例えば、ユーザ(例えば、外科医)は、デバイスの設置に関して、心尖(apex)/尖(apical)穿刺が僧帽弁輪に対して垂直であるように、進入点を決定し得る。履歴データに加えて欠損定量システムを使用して、外科医は、選択された患者集団内に患者を配置する1つ以上の視覚化方法を使用することによって、新LVOT(neoLVOT)処置の結果を予測することができ得る。
一例では、患者は、左心耳(left atrial appendage:LAA)の閉鎖(closure)を必要とする、LAAにおける欠損を有すると特定され得る。デバイス設置(配置)のためのランディングゾーンの評価、最適な経中隔穿刺位置の決定、デバイス送達のための最適な透視投影角度の決定および評価、送達デバイスの選択および計画立案、カテーテルの選択、ならびにLAAへの角度付け(angulation)等の、複数の因子が、欠損分類システムの一部としてのSSMモデルおよび三次元解剖学的構造モデルから決定され得、これは、外科医が治療計画を生成することを助ける。LAAの直径、高さ、深さおよび形状に基づいて、適切なデバイスおよびその大きさが、治療計画のために選択され得る。
履歴データおよび患者集団を使用して、手術計画立案システムは、数例ではあるがデバイスの種類および大きさ、カテーテルの選択ならびに送達ルートについて、ユーザを手助け(プロンプト(prompt))し得る。疾患の重症度、患者の年齢、伴う健康リスクならびにデバイスの利用可能性および実現性に基づいて、手術計画立案システムは、代替の治療についてユーザをプロンプトし(促し:prompt))得る。例えば、開心術(open heart surgery)が最後に考慮され得る。履歴データに基づいて、システムはまた、例えばカテーテル変形百分率(catheter deformation percentage)等の、カテーテル送達および使用される経路に関する関連情報を格納し得、より適切なカテーテルが利用可能である場合にはそれを考慮するよう、ユーザに警告し得る。
弁傍漏出(paravalvular leak)、心房中隔欠損(atrial septal defect:ASD)、卵円孔開存(patent foramen ovale:PFO)等の、他の構造的心臓インターベンションもまた、本明細書に記載の手術計画立案システムを使用して計画され得る。
さらに、透視のための最良の視角、または、手術中に患者を正確に位置決めするためのC‐アーム角度等の術中測定もまた提案され得、適切な警告が、計画された治療(例えば、手術)中に1つ以上のナビゲーションシステムを介して、および、術前計画立案中に、提供され得る。
例えば、患者の解剖学的構造の画像データ(例えば、CT画像またはMRI画像)に基づいて、患者の心臓の解剖学的構造の仮想三次元モデルが作られ得る。欠損は、上述の方法で定量され得る。
図22に示す例では、患者は僧帽弁における欠損を有すると特定される。
TMVR等の構造的心臓インターベンションは、図22に示すように、僧帽弁デバイス2202の設置を伴う。図22に示されるもののような、患者の心臓の三次元モデルに基づいて、ユーザ(例えば、外科医)は、インプラントのサイズ、タイプ、位置(ポジション:position)、および場所(ロケーション:location)を決定し得る。角度付け(angulation)、流路に対応する利用可能な断面積、およびその他等の患者計量(Patient metric)が考慮され得る。さらに、手術計画立案システムの1つ以上の視覚化ツールを使用して、インプラントのタイプを考慮しながら漏出(漏れ:leakage)のリスクが決定され得る。さらに、送達方法(delivery method)およびアクセス点(access point)もまた、インプラントの選択に影響を及ぼし得る。
別の例では、インプラントが送達されるための現行の送達ルートが、LAA処置が必要な患者のために決定される必要があり得る。かかるケースでは、手術中にインプラントが患者に安全に送達されるように、患者の解剖学的構造に基づくカテーテルの選択が、その進入点および送達軌道(delivery trajectory)とともに、計画される必要がある。
図23は、インプラントの送達のための標的軌道(target trajectory)2302を描写している。手術計画立案システムのユーザは、最終治療計画の作成より前に、種々のカテーテルで実験し得る。さらに、患者のために選択された送達経路がさらなる合併症につながるであろう場合、手術計画立案システムは、送達経路を再考するようにユーザに警告し得る。
[応用例:膝関節治療決定支援]
本明細書に記載の複数の手術計画立案システムの別の応用例は、膝関節治療決定支援等の、関節欠損(例えば、足関節(ankle)、股関節)についてのものである。一例では、術前計画立案ツール(例えば、MATERIALISE(登録商標)によるSurgiCase Knee Planner)が、膝関節等の関節形成術のための術前手術計画を生成するために使用され得る。医用画像データ(例えば、MRIおよびCTスキャン)、患者歴、手術前のPROMスコア、新たな手術または再置換術情報、膝蓋骨(patella)高さ、軸(axis)、変形タイプならびにその他等を含む患者データが、治療計画を生成するために、手術計画立案システムによって利用され得る。
例えば、欠損定量システムが、全膝関節形成術または部分膝関節形成術を必要とするものとして欠損の重症度を分類するために使用され得る。上記のように、欠損定量システムは、患者の解剖学的構造の三次元モデルをSSMモデルと比較して、欠損の定量を助け得る。計画立案の前または計画立案中に、内反(varus)/外反(valgus)角、軟骨の磨耗(すり減り:cartilage wear)およびその他の軟部組織データに関する情報とともに、インプラントのタイプ(スタンダードまたは患者固有)およびサイズ等の情報が、術前計画が決定され得るように、ユーザに提示され得る。
一部の場合には、ユーザは、上述のように、生成されたデフォルト術前計画を選択された患者集団と比較し得、履歴データ分析を使用し得る。特に、手術計画立案システムは、なぜあるタイプのインプラントが提案されたのか、インプラントの位置(ポジション:position)および場所(ロケーション:location)、考慮される内反/外反角についての情報をユーザに提示し得、システムは、インプラントの諸特性の変化が患者の予想される術後結果にどのように影響するのかを、ユーザが視覚化することを可能にし得る。
例えば、患者が若くてかつ活動的な場合、手術計画立案システムは、若い患者のための治療選択肢に関するデータを取り出し、全膝関節形成術(total knee arthroplasty:TKA)の代わりに部分膝関節形成術(partial knee arthroplasty:PKA)を考慮するようユーザに提案し得る。手術計画立案システムはさらに、軟骨の磨耗および断裂が最小である最適な治療選択肢を示しながら、患者固有のインプラントとともにガイドを使用するよう、ユーザに提案し得る。
手術計画立案システムはまた、靭帯および筋付着部等の軟部組織データに加えて骨および軟骨の情報を含む生体力学モデル上において治療計画をユーザが見ることを可能にし得る。さらに、手術計画立案システムはまた、回転および並進を通じて生体力学モデルをシミュレートするように構成され得、治療の結果として膝関節の周りの軟部組織に最小の損傷が生じるように、靭帯の伸び(elongation)および膝関節の荷重(負荷)等のデータを提示し得る。
一部の場合には、生体力学モデルは、上述の複数のフィードバックループのうちの1つを用いて格納され得る。当該生体力学モデルは、実際の治療が治療計画から逸脱した場合、または他の合併症に出くわした場合に、警告によってユーザ(例えば、外科医)を手助け(プロンプト:prompt)して誘導を与え得るように、手術中に(リアルタイムで)(ナビゲーションシステムに加えて)基準として使用され得る。
いくつかの実施形態では、術前計画からの逸脱および軟部組織情報等の、術中測定結果が、患者プロフィールを完成させ、将来の術前計画および履歴治療データ(治療データ履歴)を作成するために、格納され得る。
いくつかの実施形態では、計画からの逸脱を含む術中測定結果が、手術計画立案システムによって記録され得る。例えば:セメンテーション(cementation)の必要(脛骨(tibia)/大腿骨(femur))、膝蓋骨、アプローチ、アライメント(位置合わせ)技法、大腿回転(femoral rotation)、大腿外反(femoral valgus)、膝蓋リリース(patella release)、内側(medial)および外側(lateral)リリース、手術後に達成したバランス満足度のレベル(例えば、幸せでない、幸せ、非常に幸せ)、失血、手術時間、閉じるときの可動域、ロボットシステムまたは他のナビゲーションシステムの使用、骨質、診断、PCLカットおよびサイズ、肢アライメント(位置合わせ)(limb alignment)(内反/ニュートラル/外反)、カット前の関節空間の開き(内側(medial)/外側(lateral))、インプラント設置(配置)後の関節空間の開き(内側(medial)/外側(lateral))、弛緩スコア(例えば、高(high)/良(good)/低(low))、屈曲拘縮(flexion contracture)、靱帯リリース(ligament release)、膝蓋表面置換(patella resurfacing)、脛骨および/または大腿骨ガイドならびにガイド適合の使用、脛骨傾斜(tibial slope)、近位脛骨カット(proximal tibial cut)、脛骨インプラント、計画されたインプラントが使用されたのかまたは他のサイズおよびタイプのインプラントが使用されたのかの確認、脛骨の厚さおよびインサートタイプ、遠位脛骨カット、後大腿骨カット、AP-シフト大腿骨、前大腿骨カット、大腿骨インプラント回転、ROM:最大屈曲、屈曲バランス、伸展バランスならびにその他等。
さらに、KSS、KOOS、OKS、EQ5D、FJS等といった外科医によって現在使用されているPROMスコア、および、フォローアップ中に患者またはその治療者らによって提供される他のインプット等の、術後データもまた、手術計画立案システムによって記録され得る。
一例では、CT画像またはMRI画像等の、患者の骨および/または軟骨の解剖学的構造の医用画像が、患者の膝関節の三次元モデル2402を生成するために使用され得る。欠損は、上述の方法で定量され得る。
例えば、図24は、膝関節(脛骨および大腿骨)の骨の解剖学的構造上の軟骨厚さの一表現を示す。一定の特定されたエリア(例えば、2404)は、健康であるとみなされており、例えば十分な量の軟骨が見出される場所等である。他のエリア(例えば、2406)は欠損を示しており、例えばより弱い軟骨のエリア等である。どの治療選択肢を治療計画のために選択するかを決定するとき、この情報はユーザ(例えば、外科医)によって使用され得る。
例えば、ユーザは、健康なエリア内に見出される軟骨が保存され得るように、図24内の画像に基づいて、全膝関節形成術ではなく部分膝関節形成術により患者を治療することを決定し得る。この意思決定に基づいて、手術計画立案システムは、さまざまなインプラントから、この患者のためのインプラント、サイズ、ブランドおよびタイプを提案し得る。
さらに、手術計画立案システムは、治療計画についての最終決定を行う前に、軟骨の磨耗に対するインプラントのタイプおよびサイズをユーザが視覚化することを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、ユーザはさらに、上述のように、インプラントのタイプを比較するために、履歴データおよび患者集団分析を使用し得る。
さらに、手術計画立案システムはまた、図25に示されるように、肢アライメントのために使用される内反/外反角2502を表示するように構成され得る。
同様に、手術計画立案システムは、三次元モデルを介して、脛骨傾斜、インプラントの位置(ポジション:position)および場所(ロケーション:location)、切除値ならびにその他等の、他の患者計量を表示するように構成され得る。
いったん、例えば患者の脛骨のための図26に示すインプラント等、インプラントが患者の解剖学的構造について選択されると、ユーザ(例えば、外科医)はさらに、三次元モデル内のインプラントの位置を精緻化(精密なものに)し得る。例えば、インプラントが(2602に示すように)張り出している(はみ出している)場合、手術計画立案システムは、ユーザに警告を発し、ユーザがインプラントの位置を再評価することを提案し得る。一部の場合には、適切な位置が確立されない場合、手術計画立案システムは、異なるインプラントを提案し得る。
[複数の方法例]
図27は、統計学的形状モデルにより欠損を分類するための一方法例2700を示す。
方法2700は、患者の解剖学的構造に関連する医用画像データを取得する工程2702から始まる。
次に、方法2700は、当該医用画像データに基づいて、三次元解剖学的構造モデルを作成する工程2704へと進む。
次に、方法2700は、統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程2706へと進む。
次に、方法2700は、適合された当該統計学的形状モデルに基づいて、1つ以上の定量的測定結果を決定する工程2708へと進む。
次に、方法2700は、当該1つ以上の定量的測定結果に基づいて、当該患者の当該解剖学的構造に関連する欠損を分類する工程2710へと進む。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程はさらに、当該統計学的形状モデルを複数の位相的領域へと細分する工程と;当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域のサブセットを決定する工程と、を含む。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、各位相的領域が位相的領域の当該サブセット内に含められるとき、もし適合エラーが閾値を超えているならば、当該複数の位相的領域のうちの前記各位相的領域を除外する工程を含む。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、当該複数の位相的領域から第1の位相的領域を選択する工程と;当該第1の位相的領域のみに基づいて、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;当該第1の位相的領域に基づく当該統計学的形状モデルの第1の適合に基づいて、第1の適合エラーを計算する工程と、を含む。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該第1の適合エラーは、当該統計学的形状モデル上の複数の点と、当該三次元解剖学的構造モデル上の対応する複数の点との間の二乗平均平方根誤差(RMSE)として計算される。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、当該第1の適合エラーが閾値を下回ることを判定する工程と;当該複数の位相的領域から第2の位相的領域を選択する工程と;当該第2の位相的領域に基づいて、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;当該第2の位相的領域に基づく当該統計学的形状モデルの第2の適合に基づいて、第2の適合エラーを計算する工程と、を含む。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、当該第1の適合エラーが閾値を上回ることを判定する工程と;当該第1の適合エラーが当該閾値を上回ることに基づいて、位相的領域の当該サブセットから当該複数の位相的領域のうちの第2の位相的領域を除外する工程と、を含む。
いくつかの実施形態では、方法2700は、当該第2の位相的領域を除外することに基づいて、位相的領域の当該サブセットから当該複数の位相的領域のうちの第3の位相的領域を除外する工程をさらに含む。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該閾値は、約1.7mmである。方法2700のいくつかの実施形態では、当該閾値は、0.5mm~3mmの範囲内にある。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、位相的領域の当該サブセットから、損傷または変形のあることが知られている当該複数の位相的領域のうちの位相的領域を除外する工程を含む。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該1つ以上の定量的測定結果に基づいて当該欠損を分類する工程はさらに、2つ以上の分類システムであって、その各々が当該患者の当該解剖学的構造の異なる観点に基づくものである2つ以上の分類システムを、三次元分類を生成するために組み合わせる工程を含む。
いくつかの実施形態では、方法2700は、当該患者の当該解剖学的構造に関連する分類された当該欠損に基づいて、デフォルト治療計画を作成する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法2700は、分類された当該欠損を有する複数の患者に関連する患者データを取得する工程と;当該患者に関連する特性に基づいて、患者データの集団を選択する工程と;患者データの当該集団に基づいて、複数の治療選択肢を比較する治療選択肢分析を表示する工程と、をさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法2700は、当該患者に関連する当該特性に基づいて、当該治療選択肢分析上に患者参照(patient reference)を示す工程をさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法2700は、当該治療選択肢分析に基づいて、当該デフォルト治療計画を変更する工程をさらに含む。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該複数の治療選択肢は、肩欠損(shoulder defect)の治療に関するものである。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該複数の治療選択肢は、関節欠損の治療に関するものである。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該複数の治療選択肢は、当該解剖学的構造の患部の治療に関するものである。
方法2700のいくつかの実施形態では、当該複数の治療選択肢は、当該解剖学的構造の欠損部分の治療に関するものである。
図28は、解剖学的欠損の治療を決定するための一方法例2800を示す。
方法2800は、患者の解剖学的構造に関連する医用画像データを取得する工程2802から始まる。
次に、方法2800は、当該医用画像データに基づいて、三次元解剖学的構造モデルを作成する工程2804へと進む。
次に、方法2800は、統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程2806へと進む。
次に、方法2800は、当該三次元解剖学的構造モデルおよび当該統計学的形状モデルに基づいて、欠損を特定する工程2808へと進む。
次に、方法2800は、特定された当該欠損に基づいて、デフォルト治療を決定する工程2810へと進む。
次に、方法2800は、特定された当該欠損を有する他の複数の患者に関連する患者集団データであって、特定された当該欠損の種々の治療に関連する複数の患者集団データサブセットを含む患者集団データを受け取る工程2812へと進む。
次に、方法2800は、少なくとも1つの患者特性に基づく各患者集団データサブセットの表現、および当該少なくとも1つの患者特性に基づく当該患者の表現を含む、視覚イメージを生成する工程2814へと進む。
次に、方法2800は、当該患者の最終治療を選択する工程2816へと進む。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該最終治療は、変更されたデフォルト治療を含む。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該最終治療は、当該デフォルト治療を含む。
いくつかの実施形態では、方法2800は、当該患者および選択された当該治療に関連する治療結果に基づいて、新たな患者集団データエントリ(入力)を生成する工程をさらに含む。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程はさらに、当該統計学的形状モデルを複数の位相的領域へと細分する工程と;当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域のサブセットを決定する工程と、を含む。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、各位相的領域が位相的領域の当該サブセット内に含められるとき、もし適合エラーが閾値を超えているならば、当該複数の位相的領域のうちの前記各位相的領域を除外する工程を含む。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、当該複数の位相的領域から第1の位相的領域を選択する工程と;当該第1の位相的領域のみに基づいて、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;当該第1の位相的領域に基づく当該統計学的形状モデルの第1の適合に基づいて、第1の適合エラーを計算する工程と、を含む。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該第1の適合エラーは、当該統計学的形状モデル上の複数の点と、当該三次元解剖学的構造モデル上の対応する複数の点との間の二乗平均平方根誤差(RMSE)として計算される。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、当該第1の適合エラーが閾値を下回ることを判定する工程と;当該複数の位相的領域から第2の位相的領域を選択する工程と;当該第2の位相的領域に基づいて、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;当該第2の位相的領域に基づく当該統計学的形状モデルの第2の適合に基づいて、第2の適合エラーを計算する工程と、を含む。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、当該第1の適合エラーが閾値を上回ることを判定する工程と;当該第1の適合エラーが当該閾値を上回ることに基づいて、位相的領域の当該サブセットから当該複数の位相的領域のうちの第2の位相的領域を除外する工程と、を含む。
いくつかの実施形態では、方法2800は、当該第2の位相的領域を除外することに基づいて、位相的領域の当該サブセットから当該複数の位相的領域のうちの第3の位相的領域を除外する工程をさらに含む。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該閾値は、約1.7mmである。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該閾値は、0.5mm~3mmの範囲内にある。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、位相的領域の当該サブセットから、損傷または変形のあることが知られている当該複数の位相的領域のうちの位相的領域を除外する工程を含む。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該最終治療は、肩欠損の治療に関するものである。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該最終治療は、関節欠損の治療に関するものである。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該最終治療は、当該解剖学的構造の患部の治療に関するものである。
方法2800のいくつかの実施形態では、当該最終治療は、当該解剖学的構造の欠損部分の治療に関するものである。
図29は、解剖学的欠損の治療を決定するための一方法例を示す。
方法2900は、患者の解剖学的構造に関連する医用画像データを取得する工程2902から始まる。
次に、方法2900は、当該医用画像データに基づいて、三次元解剖学的構造モデルを作成する工程2904へと進む。
次に、方法2900は、統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程2906へと進む。
次に、方法2900は、当該三次元解剖学的構造モデルおよび当該統計学的形状モデルに基づいて、欠損を特定する工程2908へと進む。
次に、方法2900は、特定された当該欠損に対する以前に使用された複数の術前治療計画を含む履歴データの分析を使用して、デフォルト治療計画を受け取る工程2910へと進む。
次に、方法2900は、任意選択的に、少なくとも1つの患者特性に基づく治療計画の表現、および当該少なくとも1つの患者特性に基づく当該患者の表現を含む、視覚イメージを生成する工程2912へと進む。
次に、方法2900は、当該患者の最終治療の承認をする工程2914へと進む。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該最終治療は、変更されたデフォルト治療を含む。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該最終治療は、当該デフォルト治療を含む。
いくつかの実施形態では、方法2900は、当該患者および選択された当該治療に関連する治療結果に基づいて、新たな患者集団データエントリを生成する工程をさらに含む。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程はさらに、当該統計学的形状モデルを複数の位相的領域へと細分する工程と;当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域のサブセットを決定する工程と、を含む。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、各位相的領域が位相的領域の当該サブセット内に含められるとき、もし適合エラーが閾値を超えているならば、当該複数の位相的領域のうちの前記各位相的領域を除外する工程を含む。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、当該複数の位相的領域から第1の位相的領域を選択する工程と;当該第1の位相的領域のみに基づいて、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;当該第1の位相的領域に基づく当該統計学的形状モデルの第1の適合に基づいて、第1の適合エラーを計算する工程と、を含む。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該第1の適合エラーは、当該統計学的形状モデル上の複数の点と、当該三次元解剖学的構造モデル上の対応する複数の点との間の二乗平均平方根誤差(RMSE)として計算される。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、当該第1の適合エラーが閾値を下回ることを判定する工程と;当該複数の位相的領域から第2の位相的領域を選択する工程と;当該第2の位相的領域に基づいて、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;当該第2の位相的領域に基づく当該統計学的形状モデルの第2の適合に基づいて、第2の適合エラーを計算する工程と、を含む。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、当該第1の適合エラーが閾値を上回ることを判定する工程と;当該第1の適合エラーが当該閾値を上回ることに基づいて、位相的領域の当該サブセットから当該複数の位相的領域のうちの第2の位相的領域を除外する工程と、を含む。
いくつかの実施形態では、方法2900は、当該第2の位相的領域を除外することに基づいて、位相的領域の当該サブセットから当該複数の位相的領域のうちの第3の位相的領域を除外する工程をさらに含む。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該閾値は、約1.7mmである。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該閾値は、0.5mm~3mmの範囲内にある。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該複数の位相的領域から、当該統計学的形状モデルを当該三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の当該サブセットを決定する工程はさらに、位相的領域の当該サブセットから、損傷または変形のあることが知られている当該複数の位相的領域のうちの位相的領域を除外する工程を含む。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該最終治療は、肩欠損の治療に関するものである。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該最終治療は、関節欠損の治療に関するものである。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該最終治療は、当該解剖学的構造の患部の治療に関するものである。
方法2900のいくつかの実施形態では、当該最終治療は、当該解剖学的構造の欠損部分の治療に関するものである。
[処理システム例]
図30は、個人同定(特定)可能な(personally identifiable)情報を検出し、除去するための方法を実行するように構成された例示的な処理システム3000を示す。
処理システム3000は、データバス3008に接続されたCPU3002を含む。CPU3002は、例えば、メモリ3010またはストレージ3030内に格納(記憶)された、コンピュータ実行可能な命令を処理し、例えば図27~図29に関して本明細書に記載された方法のような方法を、処理システム3000に実行させるように構成されている。CPU3002は、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コア(processing core)を有する単一のCPU、およびコンピュータ実行可能な命令を実行することのできる他の形態の処理アーキテクチャを代表するものとして、含まれるものである。
処理システム3000はさらに、入出力デバイス、ならびに、処理システム3000が例えば、キーボード、ディスプレイ、マウスデバイス、ペン入力、タッチセンシティブ入力デバイス、カメラ、マイクロフォン、医用イメージング機器(設備)および処理システム3000との相互作用を可能にする他のデバイス等の入出力デバイスとインターフェースすることを可能にするインターフェース3004、を含む。独立した外部入出力デバイスとともに示されてはいないが、処理システム3000が、物理的接続およびワイヤレス接続を通じて、外部入出力デバイス(例えば、外部ディスプレイデバイス)と接続し得る、ということに注意されたい。
処理システム3000はさらに、処理システム3000に、例えばネットワーク3009を介して、外部コンピューティングデバイスへのアクセスを提供する、ネットワークインターフェース3006を含む。
処理システム3000はさらに、メモリ3010を含む。この例では、メモリ3010は、本明細書に記載の複数の機能を実行するように構成された、さまざまなコンポーネントを含む。この実施形態では、メモリ3010は、イメージングコンポーネント3012、モデリングコンポーネント3014、適合コンポーネント3016、定量コンポーネント3018、分類コンポーネント3020、決定(判定)コンポーネント3022、選択コンポーネント3024、表示3026、および特定(同定)コンポーネント3028を含む。これらのさまざまなコンポーネントは、例えば、本明細書に記載のさまざまな機能を実行するように構成されたコンピュータ実行可能な命令を含み得る。
単純化のために、図30では単一のメモリ3010として示されているが、メモリ3010内に格納されているさまざまな態様は種々の物理メモリ内に格納され得る、しかし、バス3012等の複数の内部データ接続を介して、すべて、CPU3002にアクセス可能である、ということに注意されたい。例えば、メモリ3010の一部のコンポーネントが、処理システム3000上においてローカルに(locally)常駐し得る一方で、他のコンポーネントが、他の複数の実施形態における、遠隔の処理システム上において、または、クラウドベースの処理システム内において、実行され得る。これはほんの一例にすぎない。
処理システム3000はさらに、ストレージ3030を含む。この例では、ストレージ3030は、患者データ3032、医用画像データ3034、患者集団データ3036、治療データ3038、外科デバイスデータ3040、デフォルト計画データ3042、術前計画データ3044、術中計画データ3046、術後計画データ3048、履歴データおよび複数のプロット3050、ならびに、SSMモデルデータ3052を含む。図30には示されていないが、他の複数の態様が、ストレージ3030内に含まれ得る。
メモリ3010の場合と同様、単一のストレージ3030が単純化のために図30に示されているが、ストレージ3030内に格納されているさまざまな態様は、種々の物理ストレージ内に格納され得る、しかし、バス3008等の複数の内部データ接続を介して、または、ネットワークインターフェース3006等の外部接続を介して、すべて、CPU3002にアクセス可能である。
[追加の考慮事項]
以上の説明は、本明細書に記載のさまざまな実施形態を任意の当業者が実施することを可能にするために、提供されたものである。本明細書で論じられた複数の例は、特許請求の範囲に記載の、範囲(scope)、適用可能性または複数の実施形態を限定するものではない。これらの実施形態に対するさまざまな修正形態は、当業者には容易に明らかであり、本明細書において定められた包括的な原則は、他の複数の実施形態に適用され得る。例えば、本開示の範囲から逸脱することなしに、論じられた複数の要素の機能および配置構成において変更がなされ得る。さまざま例は、さまざまな手続きまたは構成要素を、然るべく省略、置換または追加し得る。例えば、記載の複数の方法は、記載されたものとは異なる順序において実行され得、さまざまな工程が追加され、省略され、または組み合わされ得る。また、一部の例に関して説明した複数の特徴は、他の一部の例において組み合わされ得る。例えば、本明細書に記載の任意の数の態様を用いて装置が実装され得るか、または、本明細書に記載の任意の数の態様を用いて方法が実施され得る。加えて、本開示の範囲は、本明細書に記載された本開示に係るさまざまな態様に加えて、または本明細書に記載された本開示に係るさまざまな態様以外の、他の構造、機能性、または構造および機能性を用いて実施されるような装置または方法をカバーするよう、意図されている。本明細書に開示された、本開示に係る任意の態様が、クレームにかかる1つ以上の要素によって具現化(実施)され得ることを理解されたい。
本明細書において使用されているように、語「例示的である(exemplary)」は、「例、実例、または例証として機能する」ことを意味する。「例示的である(exemplary)」として本明細書に記載された任意の態様は、必ずしも他の態様より好ましい、または有利であるものとして解釈されるべきではない。
本明細書において使用されているように、複数の項目のリスト「のうちの少なくとも1つ(at least one of)」を指す語句は、単一のメンバ(要素)を含む、それらの項目の任意の組合せを指す。例えば、「a、bまたはcのうちの少なくとも1つ(at least one of: a, b, or c)」は、a、b、c、a-b、a-c、b-cおよびa-b-c、ならびに、同一の要素の多重(重複)を伴う任意の組合せ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-cおよびc-c-c、または、a、bおよびcの他の任意の配列)をカバーするよう、意図されている。
本明細書において使用されているように、用語「決定(判定)すること」は、多種多様な行為を包含する。例えば、「決定すること」は、計算すること、算出すること、処理すること、導出すること、調査すること、検索すること(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造を検索すること)、確かめること等を含み得る。また、「決定すること」は、受け取ること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)等を含み得る。また、「決定すること」は、解決すること、精選すること、選択すること、確立すること等を含み得る。
本明細書に開示の複数の方法は、当該複数の方法を達成するための1つ以上の工程または行為を含む。方法の工程および/または行為は、特許請求の範囲から逸脱することなしに、互いに入れ替えられ得る。言い換えれば、特定の順序の工程または行為が指定されない限り、特定の工程および/または行為の順序および/または使用は、特許請求の範囲から逸脱することなしに、修正(変更)され得る。さらに、上述の複数の方法のさまざまな働き(動作)は、対応する機能を実行することのできる任意の適切な手段によって、実行され得る。当該手段は、回路、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)またはプロセッサを含むものの、それらに限定されるのではない、さまざまなハードウェアおよび/またはソフトウェアの(複数の)コンポーネントおよび/または(複数の)モジュールを含み得る。一般に、図に示される働き(動作)がある場合、それらの働き(動作)は、同様の番号付けを有する、対応する同等のミーンズプラスファンクションのコンポーネントを有し得る。
本開示に関連して記載されるさまざまな例示的な論理ブロック、モジュールおよび回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor:DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス(programmable logic device:PLD)、離散ゲートもしくはトランジスタロジック、離散ハードウェアコンポーネント、または本明細書に記載の機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せにより、実装または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替的に、当該プロセッサは、任意の市販のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラまたはステートマシンであり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、例えば、DSPおよびマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと結合した1つ以上のマイクロプロセッサ、または他の任意のかかる構成として、実装され得る。
処理システムは、バスアーキテクチャにより実装され得る。バスは、処理システムの具体的な用途および全体的な設計制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含み得る。バスは、とりわけ、プロセッサ、機械可読媒体および入出力デバイスを含む、さまざまな回路と連結し得る。ユーザインターフェース(例えば、キーパッド、ディスプレイ、マウス、ジョイスティック等)もまた、バスに接続され得る。バスはまた、タイミングソース、周辺機器、電圧調整器、電力管理回路、および当技術分野において周知である他の回路素子等の、さまざまな他の回路と連結し得、したがってこれ以上は説明されない。プロセッサは、1つ以上の汎用プロセッサおよび/または専用プロセッサにより、実装され得る。例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSPプロセッサおよびソフトウェアを実行し得る他の回路が含まれる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課される全体的な設計制約に応じて、処理システムについて記載された機能性をどのように実装するのが最善であるのかを認識するだろう。
ソフトウェアにおいて実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令またはコードとして、格納または送信され得る。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語またはその他と称されるのかどうかにかかわらず、命令、データまたはそれらの任意の組合せを意味するように、広く解釈されるべきである。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体等の通信媒体と、の両方を含む。プロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体上に格納(記憶)されたソフトウェアモジュールの実行を含む、一般的な処理およびバスの管理を担い得る。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り得、また記憶媒体に情報を書き込み得るように、プロセッサに結合され得る。あるいは、記憶媒体は、プロセッサと一体であり得る。例えば、コンピュータ可読媒体は、伝送線、データによって変調された搬送波、および/またはワイヤレスノードとは別個にコンピュータ可読記憶媒体上に格納された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体を含み得、これらのすべては、バスインターフェースを通じてプロセッサによってアクセスされ得る。代替的または追加的に、コンピュータ可読媒体、またはその任意の部分は、ケースがキャッシュおよび/または汎用レジスタファイルを有し得るように、プロセッサに統合され得る。機械可読記憶媒体の例には、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)、PROM(Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、レジスタ、磁気ディスク、光ディスク、ハードドライブもしくは他の任意の適切な記憶媒体、またはこれらの任意の組合せが含まれ得る。機械可読媒体は、コンピュータプログラムプロダクト内において具現化され得る。
ソフトウェアモジュールは、単一の命令または多くの命令を含み得、種々のプログラム間で、および複数の記憶媒体にわたって、複数の種々のコードセグメントに分散(分布)され得る。コンピュータ可読媒体は、複数のソフトウェアモジュールを含み得る。ソフトウェアモジュールは、プロセッサ等の装置によって実行されたときに処理システムにさまざまな機能を実行させる命令を含む。ソフトウェアモジュールは、送信モジュールおよび受信モジュールを含み得る。各ソフトウェアモジュールは、単一のストレージデバイス内に存在し得るか、または複数のストレージデバイスにわたって分散され得る。例えば、ソフトウェアモジュールは、トリガーイベントが発生したとき、ハードドライブからRAMにロードされ得る。ソフトウェアモジュールの実行中、プロセッサは、アクセス速度を向上させるために、命令の一部をキャッシュメモリにロードし得る。そして、プロセッサによる実行のため、1つ以上のキャッシュラインが汎用レジスタファイルにロードされ得る。ソフトウェアモジュールの機能性に言及するとき、かかる機能性は、そのソフトウェアモジュールからの命令を実行するとき、プロセッサによって実装される、ということが理解されるだろう。
以下の特許請求の範囲は、本明細書に示された複数の実施形態に限定されることが意図されたものではなく、特許請求の範囲の言葉と整合する完全な範囲と一致すべきものである。クレーム内において、単数形の要素への言及は、「1つのみ」を意味するものと明記されない限りは「1つのみ」を意味するものではなく、「1つ以上」を意味するものである。別段に明記がない限り、用語「いくつかの(一部の:some)」は、1つ以上を指す。いかなるクレーム要素も、語句「のための手段(means for)」を用いてその要素が明示的に記載されない限り、または方法クレームの場合、語句「のための工程(step for)」を用いてその要素が記載されない限り、米国特許法第112条(f)の規定のもとに解釈されるべきではない。当業者に知られているか、または当業者に後に知られることとなる、本開示全体を通じて記載された、さまざまな態様にかかる要素に対するすべての構造的等価物および機能的等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれており、また特許請求の範囲に包含されることが意図されている。さらに、本明細書に開示されたいかなる事柄も、かかる開示が特許請求の範囲内に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公共の用に供することが意図されたものではない。

Claims (38)

  1. 患者の解剖学的構造に関連する医用画像データを取得する工程と;
    前記医用画像データに基づいて、三次元解剖学的構造モデルを作成する工程と;
    統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;
    適合された前記統計学的形状モデルに基づいて、1つ以上の定量的測定結果を決定する工程と;
    前記1つ以上の定量的測定結果に基づいて、前記患者の前記解剖学的構造に関連する欠損を分類する工程と、
    を含む、方法。
  2. 前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程は、
    前記統計学的形状モデルを複数の位相的領域へと細分する工程と;
    前記複数の位相的領域から、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域のサブセットを決定する工程と、
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記複数の位相的領域から、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の前記サブセットを決定する工程は、
    各位相的領域が位相的領域の前記サブセット内に含められるとき、もし適合エラーが閾値を超えているならば、前記複数の位相的領域のうちの前記各位相的領域を除外する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記複数の位相的領域から、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の前記サブセットを決定する工程は、
    前記複数の位相的領域から第1の位相的領域を選択する工程と;
    前記第1の位相的領域のみに基づいて、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;
    前記第1の位相的領域に基づく前記統計学的形状モデルの第1の適合に基づいて、第1の適合エラーを計算する工程と、
    をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  5. 前記第1の適合エラーは、前記統計学的形状モデル上の複数の点と、前記三次元解剖学的構造モデル上の対応する複数の点との間の二乗平均平方根誤差(RMSE)として計算される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記複数の位相的領域から、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の前記サブセットを決定する工程は、
    前記第1の適合エラーが閾値を下回ることを判定する工程と;
    前記複数の位相的領域から第2の位相的領域を選択する工程と;
    前記第2の位相的領域に基づいて、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;
    前記第2の位相的領域に基づく前記統計学的形状モデルの第2の適合に基づいて、第2の適合エラーを計算する工程と、
    をさらに含む、請求項4に記載の方法。
  7. 前記複数の位相的領域から、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の前記サブセットを決定する工程は、
    前記第1の適合エラーが閾値を上回ることを判定する工程と;
    前記第1の適合エラーが前記閾値を上回ることに基づいて、位相的領域の前記サブセットから前記複数の位相的領域のうちの第2の位相的領域を除外する工程と、
    をさらに含む、請求項4に記載の方法。
  8. 前記第2の位相的領域を除外することに基づいて、位相的領域の前記サブセットから前記複数の位相的領域のうちの第3の位相的領域を除外する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記閾値は、約1.7mmである、請求項6に記載の方法。
  10. 前記閾値は、0.5mm~3mmの範囲内にある、請求項6に記載の方法。
  11. 前記複数の位相的領域から、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の前記サブセットを決定する工程は、
    位相的領域の前記サブセットから、損傷または変形のあることが知られている前記複数の位相的領域のうちの位相的領域を除外する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  12. 前記1つ以上の定量的測定結果に基づいて前記欠損を分類する工程は、
    2つ以上の分類システムであって、その各々が前記患者の前記解剖学的構造の異なる観点に基づくものである2つ以上の分類システムを、三次元分類を生成するために組み合わせる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記患者の前記解剖学的構造に関連する分類された前記欠損に基づいて、デフォルト治療計画を作成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  14. 分類された前記欠損を有する複数の患者に関連する患者データを取得する工程と;
    前記患者に関連する特性に基づいて、患者データの集団を選択する工程と;
    患者データの前記集団に基づいて、複数の治療選択肢を比較する治療選択肢分析を表示する工程と、
    をさらに含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記患者に関連する前記特性に基づいて、前記治療選択肢分析上に患者参照を示す工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記治療選択肢分析に基づいて、前記デフォルト治療計画を変更する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記複数の治療選択肢は、肩欠損の治療に関するものである、請求項14に記載の方法。
  18. 前記複数の治療選択肢は、関節欠損の治療に関するものである、請求項14に記載の方法。
  19. 前記複数の治療選択肢は、前記解剖学的構造の患部の治療に関するものである、請求項14に記載の方法。
  20. 前記複数の治療選択肢は、前記解剖学的構造の欠損部分の治療に関するものである、請求項14に記載の方法。
  21. 解剖学的欠損の治療を決定するための方法であって、
    患者の解剖学的構造に関連する医用画像データを取得する工程と;
    前記医用画像データに基づいて、三次元解剖学的構造モデルを作成する工程と;
    統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;
    前記三次元解剖学的構造モデルおよび前記統計学的形状モデルに基づいて、欠損を特定する工程と;
    特定された前記欠損に基づいて、デフォルト治療を決定する工程と;
    特定された前記欠損を有する他の複数の患者に関連する患者集団データであって、特定された前記欠損の種々の治療に関連する複数の患者集団データサブセットを含む患者集団データを受け取る工程と;
    少なくとも1つの患者特性に基づく各患者集団データサブセットの表現、および前記少なくとも1つの患者特性に基づく前記患者の表現を含む、視覚イメージを生成する工程と;
    前記患者の最終治療を選択する工程と、
    を含む、方法。
  22. 前記最終治療は、変更されたデフォルト治療を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記最終治療は、前記デフォルト治療を含む、請求項21に記載の方法。
  24. 前記患者および選択された前記治療に関連する治療結果に基づいて、新たな患者集団データエントリを生成する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
  25. 前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程は、
    前記統計学的形状モデルを複数の位相的領域へと細分する工程と;
    前記複数の位相的領域から、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域のサブセットを決定する工程と、
    をさらに含む、請求項21に記載の方法。
  26. 前記複数の位相的領域から、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の前記サブセットを決定する工程は、
    各位相的領域が位相的領域の前記サブセット内に含められるとき、もし適合エラーが閾値を超えているならば、前記複数の位相的領域のうちの前記各位相的領域を除外する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記複数の位相的領域から、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の前記サブセットを決定する工程は、
    前記複数の位相的領域から第1の位相的領域を選択する工程と;
    前記第1の位相的領域のみに基づいて、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;
    前記第1の位相的領域に基づく前記統計学的形状モデルの第1の適合に基づいて、第1の適合エラーを計算する工程と、
    をさらに含む、請求項25に記載の方法。
  28. 前記第1の適合エラーは、前記統計学的形状モデル上の複数の点と、前記三次元解剖学的構造モデル上の対応する複数の点との間の二乗平均平方根誤差(RMSE)として計算される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記複数の位相的領域から、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の前記サブセットを決定する工程は、
    前記第1の適合エラーが閾値を下回ることを判定する工程と;
    前記複数の位相的領域から第2の位相的領域を選択する工程と;
    前記第2の位相的領域に基づいて、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させる工程と;
    前記第2の位相的領域に基づく前記統計学的形状モデルの第2の適合に基づいて、第2の適合エラーを計算する工程と、
    をさらに含む、請求項27に記載の方法。
  30. 前記複数の位相的領域から、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の前記サブセットを決定する工程は、
    前記第1の適合エラーが閾値を上回ることを判定する工程と;
    前記第1の適合エラーが前記閾値を上回ることに基づいて、位相的領域の前記サブセットから前記複数の位相的領域のうちの第2の位相的領域を除外する工程と、
    をさらに含む、請求項27に記載の方法。
  31. 前記第2の位相的領域を除外することに基づいて、位相的領域の前記サブセットから前記複数の位相的領域のうちの第3の位相的領域を除外する工程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記閾値は、約1.7mmである、請求項29に記載の方法。
  33. 前記閾値は、0.5mm~3mmの範囲内にある、請求項29に記載の方法。
  34. 前記複数の位相的領域から、前記統計学的形状モデルを前記三次元解剖学的構造モデルに適合させることに使用するための位相的領域の前記サブセットを決定する工程は、
    位相的領域の前記サブセットから、損傷または変形のあることが知られている前記複数の位相的領域のうちの位相的領域を除外する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
  35. 前記最終治療は、肩欠損の治療に関するものである、請求項21に記載の方法。
  36. 前記最終治療は、関節欠損の治療に関するものである、請求項21に記載の方法。
  37. 前記最終治療は、前記解剖学的構造の患部の治療に関するものである、請求項21に記載の方法。
  38. 前記最終治療は、前記解剖学的構造の欠損部分の治療に関するものである、請求項21に記載の方法。

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