本明細書で説明されているのは、不可逆電気穿孔法によって組織をアブレートするためのパルス電界の選択的で迅速な適用のためのシステム、デバイス、および方法である。一般的に、本明細書で説明されているシステム、デバイス、および方法は、関心の所望の領域において大きい電界の大きさを発生させるために、および、その他の場所でピーク電界値を低減させるために使用され得、意図しない組織損傷を低減させるようになっている。本明細書で説明されているような不可逆電気穿孔法システムは、信号発生器およびプロセッサーを含むことが可能であり、プロセッサーは、アブレーション・デバイスの選択された1セットの電極に1つまたは複数の電圧パルス波形を適用し、関心の領域にエネルギー(たとえば、肺静脈口の中の1セットの組織のためのアブレーション・エネルギー)を送達するように構成されている。本明細書で開示されているパルス波形は、さまざまな心不整脈(たとえば、心房細動)の治療学的な治療を補助することが可能である。信号発生器によって発生させられるパルス波形を送達するために、アブレーション・デバイスの1つまたは複数の電極は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている絶縁された電気リード線を有することが可能である。電極のサブセットは、独立して対処可能であり得、サブセットが、デバイスの任意の他の電極から独立して制御され得る(たとえば、エネルギーを送達する)ようになっている。このように、電極および/または電極サブセットは、組織の電気穿孔法のために異なるタイミングで異なるエネルギー波形を相乗的に送達することが可能である。
本明細書で使用されているような「電気穿孔法」という用語は、細胞外環境に対する細胞膜の透過性を変化させるために、細胞膜に電界を適用することを指す。本明細書で使用されているような「可逆的電気穿孔法」という用語は、細胞外環境に対する細胞膜の透過性を一時的に変化させるために、細胞膜に電界を適用することを指す。たとえば、可逆的電気穿孔法を受けている細胞は、電界の除去のときに閉じるその細胞膜の中の1つまたは複数の細孔の一時的なおよび/または断続的な形成を観察することが可能である。本明細書で使用されているような「不可逆電気穿孔法」という用語は、細胞外環境に対する細胞膜の透過性を恒久的に変化させるために、細胞膜に電界を適用することを指す。たとえば、不可逆電気穿孔法を受けている細胞は、電界の除去のときに持続するその細胞膜の中の1つまたは複数の細孔の形成を観察することが可能である。
本明細書で開示されているような電気穿孔法エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆電気穿孔法に関連付けられる電界閾値を低減させることによって、組織へのエネルギー送達の安全、効率および有効性を強化することが可能であり、したがって、送達される合計エネルギーの低減によって、より効果的なアブレーティブ損傷を生み出す。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されている電圧パルス波形は、階層的であることが可能であり、入れ子構造を有することが可能である。たとえば、パルス波形は、関連の時間スケールを有するパルスの階層的なグルーピングを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されている方法、システム、およびデバイスは、2016年10月19日に出願された「組織へのアブレーティブ・エネルギーの送達のためのシステム、装置、および方法(SYSTEMS, APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE)」という標題の国際出願第PCT/US2016/057664号に、説明されている方法、システム、およびデバイスのうちの1つまたは複数を備えることが可能であり、その内容は、その全体が参照により本明細書に援用されている。
いくつかの実施形態において、システムは、ペーシングされた心拍にパルス波形の発生を同期させるために使用される心臓刺激装置をさらに含むことが可能である。心臓刺激装置は、心臓刺激装置によって心臓を電気的にペーシングし、ペーシング・キャプチャーを保証し、心臓周期の周期性および予測可能性を確立することが可能である。定期的な心臓周期の不応期の中の時間ウィンドウは、電圧パルス波形送達のために選択され得る。したがって、電圧パルス波形は、心臓周期の不応期の中で送達され得、心臓のサイナス・リズムの乱れを回避するようになっている。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイスは、1つまたは複数のカテーテル、ガイドワイヤー、バルーン、および電極を含むことが可能である。アブレーション・デバイスは、異なる構成(たとえば、コンパクトな構成および拡張された構成)へと変形し、心内膜空間の中にデバイスを位置決めすることが可能である。いくつかの実施形態において、システムは、随意的に、1つまたは複数のリターン電極を含むことが可能である。
一般的に、組織をアブレートするために、1つまたは複数のカテーテルが、低侵襲的な方式で血管系を通してターゲット場所へ前進させられ得る。心臓の用途において、電極(電圧パルス波形が電極を通して送達される)は、心外膜デバイスの上にまたは心内膜デバイスの上に配設され得る。ここで説明されている方法は、心臓の左心房の心内膜空間の中へデバイスを導入する工程と、肺静脈口と接触してデバイスを位置決めする(たとえば、配設する)工程とを含むことが可能である。複数のパルス波形が発生させられ、デバイスの1つまたは複数の電極に送達され、組織をアブレートすることが可能である。いくつかの実施形態において、パルス波形は、心臓のペーシング信号と同期して発生させられ、心臓のサイナス・リズムの乱れを回避することが可能である。いくつかの実施形態において、電極は、アノード-カソード・サブセットで構成され得る。パルス波形は、階層的な波形を含み、組織アブレーションを補助し、健康な組織への損傷を低減させることが可能である。
システム
概観
本明細書で開示されているのは、組織アブレーションを補助するための電圧パルス波形の選択的で迅速な適用を介した組織アブレーションのために構成されているシステムおよびデバイスであり、不可逆電気穿孔法を結果として生じさせる。一般的に、ここで説明されている組織をアブレートするためのシステムは、信号発生器およびアブレーション・デバイスを含むことが可能であり、アブレーション・デバイスは、電気穿孔法を駆動するためのDC電圧の選択的で迅速な適用のための1つまたは複数の電極を有している。本明細書で説明されているように、システムおよびデバイスは、心外膜におよび/または心内膜に展開され、心房細動を治療することが可能である。電圧は、電極の選択されたサブセットに印加され得、アノードおよびカソード電極選択のための独立したサブセット選択を伴う。心臓刺激のためのペーシング信号が発生させられ得、ペーシング信号と同期して信号発生器によってパルス波形を発生させるために使用され得る。
一般的に、本明細書で説明されているシステムおよびデバイスは、心臓の左心房腔の中の組織をアブレートするように構成されている1つまたは複数のカテーテルを含む。図1は、電圧パルス波形を送達するように構成されているアブレーション・システム(100)を図示している。システム(100)は、信号発生器(122)と、プロセッサー(124)と、メモリー(126)と、心臓刺激装置(128)とを含む装置(120)を含むことが可能である。装置(120)は、アブレーション・デバイス(110)に連結され得、随意的に、ペーシング・デバイス(130)および/または随意的なリターン電極(140)(たとえば、リターン・パッド、ここでは点線によって図示されている)に連結され得る。
信号発生器(122)は、組織(たとえば、肺静脈口など)の不可逆電気穿孔法のためにパルス波形を発生させるように構成され得る。たとえば、信号発生器(122)は、電圧パルス波形発生器であることが可能であり、パルス波形をアブレーション・デバイス(110)に送達することが可能である。リターン電極(140)は、患者に連結され(たとえば、患者の背中の上に配設されている)、電流がアブレーション・デバイス(110)から患者を通って次いでリターン電極(140)へ流れることを可能にし、患者からの安全な電流リターン経路(図示せず)を提供することが可能である。プロセッサー(124)は、メモリー(126)、心臓刺激装置(128)、およびペーシング・デバイス(130)から受信したデータを組み込み、信号発生器(122)によって発生させられることとなるパルス波形のパラメーター(たとえば、振幅、幅、デューティ・サイクルなど)を決定することが可能である。メモリー(126)は、パルス波形発生および/または心臓ペーシング同期などのような、システム(100)に関連付けられるモジュール、プロセス、および/または機能を信号発生器(122)が実行することを引き起こすためのインストラクションをさらに記憶することが可能である。たとえば、メモリー(126)は、パルス波形発生および/または心臓ペーシングのためのパルス波形および/または心臓ペーシング・データをそれぞれ記憶するように構成され得る。
いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(110)は、より詳細に下記に説明されているパルス波形を受信および/または送達するように構成されているカテーテルを含むことが可能である。たとえば、アブレーション・デバイス(110)は、左心房の心内膜空間の中へ導入され得、1つまたは複数の電極(112)を1つまたは複数の肺静脈口に整合させるように位置決めされ得、次いで、組織をアブレートするためにパルス波形を送達することが可能である。アブレーション・デバイス(110)は、1つまたは複数の電極(112)を含むことが可能であり、1つまたは複数の電極(112)は、いくつかの実施形態において、1セットの独立して対処可能な電極であることが可能である。それぞれの電極は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。いくつかの実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約1,500Vの間の電位差を持続させることが可能である。たとえば、電極(112)は、たとえば、1つのアノードおよび1つのカソードを含むサブセット、2つのアノードおよび2つのカソードを含むサブセット、2つのアノードおよび1つのカソードを含むサブセット、1つのアノードおよび2つのカソードを含むサブセット、3つのアノードおよび1つのカソードを含むサブセット、および/または3つのアノードおよび2つのカソードを含むサブセットなどのような、1つまたは複数のアノード-カソード・サブセットへとグループ化され得る。
ペーシング・デバイス(130)は、患者(図示せず)に適切に連結され得、心臓刺激のために装置(120)の心臓刺激装置(128)によって発生させられる心臓ペーシング信号を受信するように構成され得る。ペーシング信号の指標は、心臓刺激装置(128)によって信号発生器(122)に送信され得る。ペーシング信号に基づいて、電圧パルス波形の指標が、プロセッサー(124)によって選択され、コンピュータ計算され、および/またはその他の方法で識別され得、信号発生器(122)によって発生させられ得る。いくつかの実施形態において、信号発生器(122)は、(たとえば、共通の不応期ウィンドウの中の)ペーシング信号の指標と同期してパルス波形を発生させるように構成されている。たとえば、いくつかの実施形態において、共通の不応期ウィンドウは、心室ペーシング信号に続いて実質的に即座に(または、非常に小さい遅延の後に)開始し、その後におおよそ250ms以下の持続時間にわたって続くことが可能である。そのような実施形態では、パルス波形全体は、この持続時間の中で送達され得る。
プロセッサー(124)は、1セットのインストラクションまたはコードを走らせるおよび/または実行するように構成されている任意の適切な処理デバイスであることが可能である。プロセッサーは、たとえば、汎用プロセッサー、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/またはデジタル信号プロセッサー(DSP)などであることが可能である。プロセッサーは、アプリケーション・プロセス、および/または、システムおよび/またはそれに関連付けられるネットワーク(図示せず)に関連付けられる他のモジュール、プロセス、および/または機能を走らせるおよび/または実行するように構成され得る。根底にあるデバイス技術は、たとえば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)のような金属酸化物半導体電界効果トランジスター(MOSFET)技術、エミッター結合論理(ECL)のようなバイポーラ技術、ポリマー技術(たとえば、シリコン共役ポリマーおよび金属共役ポリマー金属構造体)、ならびに/または、混合されたアナログおよびデジタルなどの、さまざまなコンポーネントタイプで提供され得る。
メモリー(126)は、データベース(図示せず)を含むことが可能であり、たとえば、ランダム・アクセス・メモリー(RAM)、メモリー・バッファー、ハード・ドライブ、消去可能なプログラマブル・リード・オンリー・メモリー(EPROM)、電気的に消去可能なリード・オンリー・メモリー(EEPROM)、リード・オンリー・メモリー(ROM)、フラッシュ・メモリーなどであることが可能である。メモリー(126)は、パルス波形発生および/または心臓ペーシングなどのような、システム(100)に関連付けられるモジュール、プロセス、および/または機能をプロセッサー(124)が実行することを引き起こすためのインストラクションを記憶することが可能である。
システム(100)は、たとえば、1つまたは複数のネットワークを介して、他のデバイス(図示せず)と通信していることが可能であり、そのそれぞれは、任意のタイプのネットワークであることが可能である。ワイヤレス・ネットワークは、任意の種類のケーブルによって接続されていない任意のタイプのデジタル・ネットワークを指すことが可能である。しかし、ワイヤレス・ネットワークは、ワイヤーライン・ネットワークに接続することが可能であり、インターネット、他のキャリア・ボイスおよびデータ・ネットワーク、ビジネス・ネットワーク、およびパーソナル・ネットワークとインターフェース接続するようになっている。ワイヤーライン・ネットワークは、典型的に、銅のツイストされたペア、同軸のケーブル、または光ファイバー・ケーブルの上を搬送される。ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、キャンパス・エリア・ネットワーク(CAN)、インターネットのようなグローバル・エリア・ネットワーク(GAN)、およびバーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)を含む、多くの異なるタイプのワイヤーライン・ネットワークが存在している。以降では、ネットワークは、ユニファイド・ネットワーキングおよび情報アクセス・ソリューションを提供するために、インターネットを通して典型的に相互接続されている組み合わせられたワイヤレス、ワイヤーライン、パブリックおよびプライベート・データ・ネットワークの任意の組合せを指す。
アブレーション・デバイス
ここで説明されるシステムは、1つまたは複数のマルチ電極アブレーション・デバイスを含むことが可能であり、1つまたは複数のマルチ電極アブレーション・デバイスは、心房細動を治療するために心臓の左心房腔の中の組織をアブレートするように構成されている。図2は、(たとえば、構造的におよび/または機能的にアブレーション・デバイス(110)と同様の)アブレーション・デバイス(200)の斜視図であり、アブレーション・デバイス(200)は、カテーテル(210)およびガイドワイヤー(220)を含み、ガイドワイヤー(220)は、カテーテル(210)の管腔の中でスライド可能である。ガイドワイヤー(220)は、非直線的な遠位部分(222)を含むことが可能であり、カテーテル(210)は、使用の間にガイドワイヤー(220)の上方に配設されるように構成され得る。ガイドワイヤー(220)の遠位部分(222)は、患者の管腔の中でのカテーテル(210)の設置を補助するように成形され得る。たとえば、ガイドワイヤー(220)の遠位部分(222)の形状は、図15に関してより詳細に説明されているように、肺静脈口および/またはその付近における設置のために構成され得る。ガイドワイヤー(220)の遠位部分(222)は、非外傷性の形状を含むことが可能であり、および/または、非外傷性の形状で形成され得、非外傷性の形状は、組織への外傷を低減させる(たとえば、組織穿刺の可能性を防止するおよび/または低減させる)。たとえば、ガイドワイヤー(220)の遠位部分(222)は、円形、(図2に図示されているような)ループ、楕円体、または任意の他の幾何学的な形状などのような、非直線的な形状を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤー(220)は、弾性的であるように構成され得、非直線的な形状を有するガイドワイヤーが、カテーテル(210)の中に配設されているときに、カテーテル(210)の管腔に一致することができるようになっており、カテーテル(210)から前進させられるときに、非直線的な形状を再形成する/その他の方法で取り戻すようになっている。他の実施形態において、カテーテル(210)は、同様に、たとえば、シース(図示せず)を通したカテーテル(210)の前進を補助するためなどに、弾性的であるように構成され得る。ガイドワイヤー(220)の成形された遠位部分(222)は、ガイドワイヤー(220)およびカテーテル(210)の他の部分に対して角度を付けられ得る。カテーテル(210)およびガイドワイヤー(220)は、心内膜空間(たとえば、左心房)の中への前進のためにサイズ決めされ得る。ガイドワイヤー(220)の成形された遠位部分(222)の直径は、カテーテル(230)がその中に配設されることとなる管腔の直径とおおよそ同じであることが可能である。
カテーテル(210)は、ガイドワイヤー(220)の上方をスライド可能に前進させられ得、使用の間にガイドワイヤー(220)の上方に配設されるようになっている。管腔の中に(たとえば、肺静脈口の近くに)配設されているガイドワイヤー(220)の遠位部分(222)は、カテーテル(210)の遠位部分の前進に対するバックストップとしての役割を果たすことが可能である。カテーテル(210)の遠位部分は、(たとえば、構造的におよび/または機能的に電極(112)と同様の)1セットの電極(212)を含むことが可能であり、1セットの電極(212)は、管腔(たとえば、肺静脈口)の半径方向内側表面に接触するように構成されている。たとえば、電極(212)は、肺静脈口に接触するように構成されるおおよそ円形の配置の電極を含むことが可能である。図2に示されているように、1つまたは複数の電極(212)は、カテーテル・シャフトに沿って配設されている一連の金属製のバンドまたはリングを含むことが可能であり、一緒に電気的に接続され得る。たとえば、アブレーション・デバイス(200)は、複数のバンドを有する単一の電極、それ自身のバンドをそれぞれ有する1つまたは複数の電極、および、それらの組合せを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、電極(212)は、ガイドワイヤー(220)の遠位部分(222)の形状に一致するように成形され得る。カテーテル・シャフトは、電極同士の間に可撓性の部分を含み、フレキシビリティーを強化することが可能である。他の実施形態において、1つまたは複数の電極(212)は、螺旋状の巻線を含み、フレキシビリティーを強化することが可能である。
本明細書で議論されているアブレーション・デバイスの電極のそれぞれは、絶縁された電気リード線(図示せず)に接続され得、電気リード線は、カテーテルの近位部分に連結されているハンドル(図示せず)につながる。電気リード線のそれぞれの絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、少なくとも700Vの電位差を持続させることが可能である。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。これは、電極が電気エネルギーを効果的に送達することおよび不可逆電気穿孔法を通して組織をアブレートすることを可能にする。電極は、図1に関して上記に議論されているように、たとえば、信号発生器(122)によって発生させられるパルス波形を受信することが可能である。他の実施形態において、ガイドワイヤー(220)は、アブレーション・デバイス(200)から分離していることが可能である(たとえば、アブレーション・デバイス(200)は、カテーテル(210)を含むが、ガイドワイヤー(220)を含まない)。たとえば、ガイドワイヤー(220)は、それ自身によって心内膜空間の中へ前進させられ得、その後に、カテーテル(210)が、ガイドワイヤー(220)の上を心内膜空間の中へ前進させられ得る。
図3は、(たとえば、構造的におよび/または機能的にアブレーション・デバイス(110)と同様の)アブレーション・デバイス(300)の別の実施形態の斜視図であり、アブレーション・デバイス(300)は、セットの電極(314)を有するカテーテル(310)を含み、1セットの電極(314)は、カテーテル(310)の遠位部分(312)に沿って提供されている。カテーテル(310)の遠位部分(312)は、非直線的であり、おおよそ円形の形状を形成することが可能である。1セットの電極(314)が、カテーテル(310)の非直線的な遠位部分(312)に沿って配設され得、概して円形の配置の電極(314)を形成することが可能である。使用の間に、電極(314)は、図16に関してより詳細に説明されているように、肺静脈口に配設され得、パルス波形を送達し、組織をアブレートするようになっている。カテーテル(310)の成形された遠位部分(312)は、カテーテル(310)の他の部分に対して角度を付けられ得る。たとえば、カテーテル(310)の遠位部分(312)は、カテーテル(310)の隣接する部分に対しておおよそ垂直になっていることが可能である。いくつかの実施形態において、ハンドル(図示せず)が、カテーテル(310)の近位部分に連結され得、ベンディング・メカニズム(たとえば、1つまたは複数のプル・ワイヤー(図示せず))を含むことが可能であり、ベンディング・メカニズムは、カテーテル(310)の遠位部分(312)の形状を修正するように構成されている。たとえば、ハンドルのプル・ワイヤーの動作は、カテーテル(310)の遠位部分(312)の円形形状の周囲部を増加または減少させることが可能である。カテーテル(310)の遠位部分(312)の直径は、電極(314)が肺静脈口の近くにおよび/または肺静脈口と接触して(たとえば、肺静脈の半径方向内側表面と接触して)配設されることを可能にするように修正され得る。電極(314)は、一連の金属製のバンドまたはリングを含むことが可能であり、独立して対処可能であり得る。
いくつかの実施形態において、パルス波形が、アノードおよびカソード・セットで構成された電極(314)同士の間に適用され得る。たとえば、隣接しているかまたはおおよそ正反対の電極ペアが、アノード-カソード・セットとして一緒に活性化させられ得る。本明細書で開示されているパルス波形のいずれかが、一連のアノード-カソード電極の上に漸進的にまたはシーケンシャルに適用され得るということが認識されるべきである。
図4は、(たとえば、構造的におよび/または機能的にアブレーション・デバイス(110)と同様の)アブレーション・デバイス(400)のさらに別の実施形態の斜視図であり、アブレーション・デバイス(400)は、カテーテル(410)およびガイドワイヤー(420)を含み、ガイドワイヤー(420)は、成形された非直線的な遠位部分(422)を有している。ガイドワイヤー(420)は、カテーテル(410)の管腔の中をスライド可能であり得る。ガイドワイヤー(420)は、カテーテル(410)の管腔を通して前進させられ得、ガイドワイヤー(420)の遠位部分(422)は、おおよそ円形に成形され得る。ガイドワイヤー(420)の遠位部分(422)の形状および/または直径は、図3に関して上記に説明されているように、ベンディング・メカニズムを使用して修正され得る。カテーテル(410)は、可撓性であり得、偏向可能になるようになっている。いくつかの実施形態において、カテーテル(410)および/またはガイドワイヤー(420)は、弾性的となるように構成され得、それらが、管腔(管腔の中にそれらが配設される)に一致するようになっており、管腔から前進させられるときに、2次的な形状をとるようになっている。ガイドワイヤー(420)のサイズを修正し、カテーテル(410)の偏向を操作することによって、ガイドワイヤー(420)の遠位部分(422)は、ターゲット組織部位(たとえば、肺静脈口など)に位置決めされ得る。カテーテル(410)の遠位端部(412)は、ガイドワイヤー(420)が延在する場所を除いて密封され得、カテーテル(410)が、カテーテル(410)の管腔の中のガイドワイヤー(420)の部分を電気的に絶縁することができるようになっている。たとえば、いくつかの実施形態において、カテーテル(410)の遠位端部(412)は、開口部を有するシールを含むことが可能であり、開口部は、力を付与するとガイドワイヤー(420)の通過を可能にし、シールとガイドワイヤー(420)との間に圧縮ホールド(それは、流体密封であることが可能である)を形成する。
いくつかの実施形態において、ガイドワイヤー(420)の露出された遠位部分(422)は、電極に連結され得、信号発生器からパルス波形を受信し、使用の間に組織にパルス波形を送達するように構成され得る。たとえば、ガイドワイヤー(420)の近位端部は、適切なリード線に連結され得、図1の信号発生器(122)に接続され得る。ガイドワイヤー(420)の遠位部分(422)は、それが肺静脈口に位置決めされ得るようにサイズ決めされ得る。たとえば、ガイドワイヤー(420)の成形された遠位部分(422)の直径は、肺静脈口の直径とおおよそ同じであることが可能である。ガイドワイヤー(420)の成形された遠位部分(422)は、ガイドワイヤー(420)の他の部分およびカテーテル(410)に対して角度を付けられ得る。
ガイドワイヤー(420)は、ステンレス鋼、ニチノール、プラチナ、または他の適切な生体適合性材料を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤー(420)の遠位部分(422)は、ガイドワイヤー(420)に物理的におよび電気的に取り付けられているプラチナ・コイルを含むことが可能である。プラチナ・コイルは、電圧パルス波形の送達のために構成された電極であることが可能である。プラチナは、X線不透過性であり、その使用は、フレキシビリティーを増加させ、心内膜空間の中でのアブレーション・デバイス(400)の前進および位置決めを補助することが可能である。
図5は、(たとえば、構造的におよび/または機能的にアブレーション・デバイス(110)と同様の)アブレーション・デバイス(500)の花形に成形された遠位部分の詳細な斜視図であり、アブレーション・デバイス(500)は、1対の絶縁されたリード線セグメント(510、512、514、516)からそれぞれ延在する1セットの電極(520、522、524、526)を含む。絶縁されていない電極に連結されている隣接する絶縁されたリード線セグメントのそれぞれのペア(たとえば、リード線セグメント(510、512)および電極(526))は、ループを形成している(図5は、1セットの4つのループを図示している)。アブレーション・デバイス(500)の遠位部分における1セットのループは、パルス波形を組織に送達するように構成され得る。アブレーション・デバイス(500)は、1セットの絶縁されたリード線セグメント(510、512、514、516)を含むことが可能であり、1セットの絶縁されたリード線セグメント(510、512、514、516)は、図5に示されているように、デバイス(500)の遠位端部において分岐し、それぞれの露出された電極(520、522、524、526)に接続している。電極(520、522、524、526)は、導電体の露出された部分を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、電極(520、522、524、526)のうちの1つまたは複数は、プラチナ・コイルを含むことが可能である。1つまたは複数のセグメント(510、512、514、516)は、ハンドル(図示せず)から制御されるベンディング・メカニズム(たとえば、ストラット、プル・ワイヤーなど)に連結され、デバイス(500)の遠位部分のサイズおよび/または形状を制御することが可能である。
電極(520、522、524、526)は、可撓性であり得、(たとえば、肺静脈口に隣接して)心内膜空間の中への前進のためのコンパクトな第1の構成を形成することが可能である。所望の場所に配設されると、電極(520、522、524、526)は、図5に示されているように、管腔(たとえば、シースなど)から外へ前進させられるときに、拡張された第2の構成に変形され、花形に成形された遠位部分を形成することが可能である。他の実施形態において、絶縁されたリード線セグメント(510、512、514、516)および電極(520、522、524、526)は、デバイス(500)を担持する管腔(たとえば、シース)から外へ前進させられるときに、第2の構成へと外向きに拡張する(たとえば、勢いよく開く)ように付勢され得る。電極(520、522、524、526)は、独立してアドレス指定可能であり得、絶縁された電気リード線をそれぞれ有することが可能であり、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である。
いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(5000)は、使用の間に1セットの電極(520、522、524、526)を介して組織にパルス波形を送達するように構成され得る。いくつかの実施形態において、パルス波形は、アノードおよびカソード・セットで構成されている電極(520、522、524、526)同士の間に適用され得る。たとえば、おおよそ正反対の電極ペア(たとえば、電極(520、524)および(522、526))が、アノード-カソード・ペアとして一緒に活性化させられ得る。他の実施形態において、隣接する電極が、アノード-カソード・ペアとして構成され得る。例として、1セットの電極の第1の電極(520)は、アノードとして構成され得、第2の電極(522)は、カソードとして構成され得る。
図6~図9E、図26A~図27C、および図28は、(たとえば、構造的におよび/または機能的にアブレーション・デバイス(110)と同様の)アブレーション・デバイスの追加的な実施形態を図示しており、アブレーション・デバイスは、組織をアブレートするために、および、肺静脈を電気的に隔離するために、1セットの電極を使用して電圧パルス波形を送達するように構成され得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、アブレーション・デバイスは、第1の構成から第2の構成に変形され得、アブレーション・デバイスの電極が、組織の管腔(たとえば、肺静脈口)に接触するように外向きに拡張するようになっている。
図6は、アブレーション・デバイス(600)の実施形態の側面図であり、アブレーション・デバイス(600)は、デバイス(600)の近位端部におけるカテーテル・シャフト(610)と、デバイス(600)の遠位キャップ(612)と、それに連結されている1セットのスプライン(614)とを含む。遠位キャップ(612)は、非外傷性の形状を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。1セットのスプライン(614)の近位端部は、カテーテル・シャフト(610)の遠位端部に連結され得、1セットのスプライン(614)の遠位端部は、デバイス(600)の遠位キャップ(612)につながれ得る。アブレーション・デバイス(600)は、1セットのスプライン(614)の1つまたは複数のスプラインを介して、使用の間に組織にパルス波形を送達するように構成され得る。本明細書で使用されているように、「スプライン」および「スパイン(spine)」という用語は、相互交換可能に使用され得る。いくつかの実施形態において、装置は、長手方向軸線を画定するカテーテルを含むことが可能である。
アブレーション・デバイス(600)のそれぞれのスプライン(614)は、1つまたは複数の共同で配線された、または、いくつかのケースでは、独立してアドレス指定可能な電極(616)を含むことが可能であり、電極(616)は、スプライン(614)の表面の上に形成されている。それぞれの電極(616)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である。それぞれのスプライン(614)は、スプライン(614)の本体部の中に(たとえば、スプライン(614)の管腔の中に)形成されたそれぞれの電極(616)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。単一のスプラインの上の電極が一緒に配線されるケースでは、単一の絶縁されたリード線が、スプラインの上の異なる電極に接続するストランドを担持することが可能である。図6は、1セットのスプライン(614)を図示しており、ここで、それぞれのスプライン(614)は、隣接するスプライン(614)の電極(616)とおおよそ同じサイズ、形状、および間隔を有する1対の電極(616)を含む。他の実施形態において、電極(616)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。
本明細書で説明されているアブレーション・デバイスのそれぞれに関して、ならびに、とりわけ図6~図9E、図26A~図27C、および図28に説明されているアブレーション・デバイスに関して、1セットのスプラインのそれぞれのスプラインは、フレキシブルな曲率を含むことが可能である。スプラインの曲率の最小半径は、約1cmまたはそれよりも大きい範囲にあることが可能である。たとえば、1セットのスプラインは、アブレーション・デバイスの遠位部分において送達アッセンブリを形成することが可能であり、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成され得、第1の構成では、1セットのスプラインは、アブレーション・デバイスの長手方向軸線から半径方向外向きに曲がっており、第2の構成では、1セットのスプラインは、アブレーション・デバイスの長手方向軸線に対して概して平行に配置されている。このように、スプラインは、心内膜空間の幾何学形状により容易に一致することが可能である。一般的に、スプラインの「バスケット」は、シャフト長さに沿って非対称の形状を有することが可能であり、バスケットの一方の端部(たとえば、遠位端部)が、バスケットの他方の端部(たとえば、近位端部)よりも球根状になるようになっている。送達アッセンブリは、肺静脈口と接触して第1の構成で配設され得、パルス波形を送達する前に第2の構成に変形され得る。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ハンドルは、1セットのスプラインに連結され得、ハンドルは、第1の構成と第2の構成との間での1セットのスプラインの変形に影響を与えるように構成され得る。いくつかの実施形態において、1セットの電極の少なくとも2つの電極の電気リード線は、アブレーション・デバイスの近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結され得る。
1つの実施形態では、スプライン(614)の上の電極(616)のそれぞれは、アノードとして構成され得、一方では、隣接するスプライン(614)の上の電極(616)のそれぞれは、カソードとして構成され得る。別の実施形態では、1つのスプラインの上の電極(616)は、アノードとカソードとの間で交互になっていることが可能であり、隣接するスプラインの電極は、逆の構成を有している(たとえば、カソードおよびアノード)。アブレーション・デバイス(600)は、任意の数のスプライン、たとえば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれ以上のスプライン(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(600)は、3つから20個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、アブレーション・デバイス(600)は、6つから12個のスプラインを含むことが可能である。
図7は、アブレーション・デバイス(700)の別の実施形態の側面図であり、アブレーション・デバイス(700)は、デバイス(700)の近位端部におけるカテーテル・シャフト(710)と、デバイス(700)の遠位キャップ(712)と、それに連結されている1セットのスプライン(714)とを含む。遠位キャップ(712)は、非外傷性の形状を含むことが可能である。1セットのスプライン(714)の近位端部は、カテーテル・シャフト(710)の遠位端部に連結され得、1セットのスプライン(714)の遠位端部は、デバイス(700)の遠位キャップ(712)につながれ得る。アブレーション・デバイス(700)のそれぞれのスプライン(714)は、スプライン(714)の表面の上に形成された1つまたは複数の独立してアドレス指定可能な電極(716)を含むことが可能である。それぞれの電極(716)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約1500Vの間の電位差を持続させることが可能である。それぞれのスプライン(714)は、スプライン(714)の本体部の中に(たとえば、スプライン(714)の管腔の中に)形成されたそれぞれの電極(716)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。1セットのスプライン・ワイヤー(718、719)は、導電性であることが可能であり、異なるスプライン(714)の上に配設されている隣接する電極(716)同士(たとえば、1セットのスプラインの1対のスプライン(718、719)の間で電極(716)同士など)を電気的に連結することが可能である。たとえば、スプライン・ワイヤー(718、719)は、アブレーション・デバイス(700)の長手方向軸線に対して横断方向に延在することが可能である。
図7は、1セットのスプライン(714)を図示しており、ここで、それぞれのスプライン(714)は、1対の電極(716)を含み、1対の電極(716)は、隣接するスプライン(714)の電極(716)とおおよそ同じサイズ、形状、および間隔を有している。他の実施形態において、電極(716)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。たとえば、第1のスプライン・ワイヤー(718)に電気的に連結されている電極(716)は、第2のスプライン・ワイヤー(719)に電気的に連結されている電極(716’)とはサイズおよび/または形状において異なっていてもよい。
いくつかの実施形態において、第1のスプライン・ワイヤー(718)は、第1のセットのスプライン・ワイヤー(720、721、722、723)を含むことが可能であり、ここで、1セットのスプライン・ワイヤー(720、721、722、723)のそれぞれのスプライン・ワイヤーは、1セットのスプライン(714)の異なるペアのスプライン同士の間で電極(716)同士を連結することが可能である。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、1セットのスプライン・ワイヤー(720、721、722、723)は、それに連結されている電極(716)同士の間に連続的なループを形成することが可能である。同様に、第2のスプライン・ワイヤー(719)は、第2のセットのスプライン・ワイヤー(724、725、726)を含むことが可能であり、ここで、1セットのスプライン・ワイヤー(724、725、726)のそれぞれのスプライン・ワイヤーは、1セットのスプライン(714)を横切って、電極(716’)同士を連結することが可能である。第2のセットのスプライン・ワイヤー(724、725、726)は、1セットのスプライン(714)を横切って、第1のセットのスプライン・ワイヤー(720、721、722、723)とは異なる電極(716’)同士を連結することが可能である。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、第1のセットのスプライン・ワイヤー(720、721、722、723)は、それに連結されている電極(716)同士の間に第1の連続的なループを形成することが可能であり、第2のセットのスプライン・ワイヤー(724、725、726)は、それに連結されている電極(716’)同士の間に第2の連続的なループを形成することが可能である。第1の連続的なループは、第2の連続的なループから電気的に隔離され得る。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、第1の連続的なループに連結されている電極(716)は、アノードとして構成され得、第2の連続的なループに連結されている電極(716)は、カソードとして構成され得る。パルス波形が、第1および第2の連続的なループの電極(716)に送達され得る。いくつかの実施形態において、スプライン・ワイヤー(たとえば、721、722、723など)は、デバイスの近位部の中の(たとえば、デバイス・ハンドルの中の)同様の電気的な接続によって交換され得る。たとえば、電極716はすべて、デバイスのハンドルの中で一緒に電気的に配線され得る。
別の実施形態では、1セットのスプライン・ワイヤー(720、721、722、723)の第1のスプライン・ワイヤー(721)は、1セットのスプライン(714)の第1のスプライン(711)と第2のスプライン(713)との間で電極(716)同士を連結することが可能であり、1セットのスプライン・ワイヤー(720、721、722、723)の第2のスプライン・ワイヤー(720)は、1セットのスプライン(714)の第1のスプライン(711)と第3のスプライン(715)との間で電極(716)同士を連結することが可能である。第1のスプライン・ワイヤー(721)および第2のスプライン・ワイヤー(720)によって連結されている電極(716)は、アノードおよびカソードとして(または、その逆も同様)構成され得る。さらに別の実施形態において、1セットのスプライン・ワイヤー(720、721、722、723)の第1のスプライン・ワイヤー(721)は、1セットのスプライン(714)の第1のスプライン(711)と第2のスプライン(713)との間で電極(716)同士を連結することが可能であり、1セットのスプライン・ワイヤー(720、721、722、723)の第2のスプライン・ワイヤー(723)は、1セットのスプライン(714)の第3のスプライン(715)と第4のスプライン(717)との間で電極(716)同士を連結することが可能である。パルス波形は、第1のスプライン・ワイヤー(721)および第2のスプライン・ワイヤー(723)によって連結されている電極(716)に送達され得る。いくつかの実施形態において、スプライン・ワイヤーの代わりに、1セットの電極のうちの少なくとも2つの電極の電気リード線が、アブレーション・デバイスの近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結されている。
他の実施形態において、スプライン・ワイヤー(718、719)のうちの1つまたは複数が、電気的に連結されている電極(716)同士の間に連続的なループを形成することが可能である。たとえば、第1のセットのスプライン・ワイヤー(718)は、それに連結されている電極(716)同士の間に第1の連続的なループを形成することが可能であり、第2のセットのスプライン・ワイヤー(719)は、それに連結されている電極(716)同士の間に第2の連続的なループを形成することが可能である。このケースでは、第1の連続的なループは、第2の連続的なループから電気的に隔離され得る。1つの実施形態では、第1のセットのスプライン・ワイヤー(718)に連結されている電極(716)のそれぞれは、アノードとして構成され得、一方では、第2のセットのスプライン・ワイヤー(719)に連結されている電極(716)のそれぞれは、カソードとして構成され得る。電気的に連結されている電極(716)のそれぞれのグループは、独立してアドレス指定可能であり得る。いくつかの実施形態において、スプライン・ワイヤーの代わりに、1セットの電極のうちの少なくとも2つの電極の電気リード線が、アブレーション・デバイスの近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結されている。
いくつかの実施形態において、図8A~図8Bに関してさらに詳細に下記に議論されているように、スプライン・ワイヤーは、連続的なループを形成することなく、1セットの電極(たとえば、2、3、4、5など)に電気的に連結することが可能である。たとえば、非連続的なループが、2つのスプライン・ワイヤーを使用して形成され得る。他の実施形態において、電極(716)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。アブレーション・デバイス(700)は、任意の数のスプライン、たとえば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(700)は、3つから20個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、1つの実施形態では、アブレーション・デバイス(700)は、6つから9つのスプラインを含むことが可能である。
図8A~図8Bは、それぞれ、アブレーション・カテーテル(800)の側面図および正面断面図である。図8Aは、アブレーション・デバイス(800)の実施形態の側面図であり、アブレーション・デバイス(800)は、デバイス(800)の近位端部におけるカテーテル・シャフト(810)と、デバイス(800)の遠位キャップ(812)と、それに連結されている1セットのスプライン(814)とを含む。遠位キャップ(812)は、非外傷性の形状を含むことが可能である。1セットのスプライン(814)の近位端部は、カテーテル・シャフト(810)の遠位端部に連結され得、1セットのスプライン(14)の遠位端部は、デバイス(800)の遠位キャップ(812)につながれ得る。アブレーション・デバイス(800)のそれぞれのスプライン(814)は、スプライン(814)の表面の上に形成された1つまたは複数の独立してアドレス指定可能な電極(816、818)を含むことが可能である。それぞれの電極(816、818)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。それぞれのスプライン(814)は、スプライン(814)の本体部の中に(たとえば、スプライン(814)の管腔の中に)形成されたそれぞれの電極(816、818)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。1つまたは複数のスプライン・ワイヤー(817、819)は、導電性であることが可能であり、異なるスプライン(814)の上に配設されている隣接する電極(816、818)同士を電気的に連結することが可能である。たとえば、スプライン・ワイヤー(817、819)は、アブレーション・デバイス(800)の長手方向軸線に対して横断方向に延在することが可能である。
図8Bは、8B-8B線に沿って見た図8Aの正面断面図である。それぞれのスプライン・ワイヤー(817、819、821、823)は、異なるスプラインの上の1対の隣接する電極(816、818、820、822)を電気的に連結している。いくつかの実施形態において、それぞれの連結されている電極ペアは、互いから電気的に隔離され得る。いくつかの実施形態において、連結されている電極ペアは、共通の極性を備えて構成され得る。隣接する電極のペアは、反対の極性を備えて構成され得る(たとえば、第1の電極ペアは、アノードとして構成され得、隣接する第2の電極ペアは、カソードとして構成され得る)。たとえば、第1のセットのスプライン・ワイヤー(817)に連結されている電極(816)は、アノードとして構成され得、一方では、第2のセットのスプライン・ワイヤー(819)に連結されている電極(818)のそれぞれは、カソードとして構成され得る。いくつかの実施形態において、スプライン(814)の上に形成されているそれぞれの電極は、共通の極性を共有することが可能である(たとえば、アノードまたはカソードとして構成されている)。それぞれの連結されている電極ペアは、独立してアドレス指定可能であり得る。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(800)は、偶数のスプラインを含むことが可能である。アブレーション・デバイス(800)は、任意の数のスプライン、たとえば、4つ、6つ、8つ、10個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイスは、4つから10個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、1つの実施形態では、アブレーション・デバイスは、6つから8つのスプラインを含むことが可能である。先述のものに示されているように、いくつかの実施形態において、スプライン・ワイヤー(たとえば、817、819など)は、デバイスの近位部の中の(たとえば、デバイス・ハンドルの中の)同様の電気的な接続によって交換され得る。たとえば、電極(816)は、デバイスのハンドルの中で一緒に電気的に配線され得、これらの電極が、アブレーションの間に同じ電位にあるようになっている。
図9Aは、アブレーション・デバイス(900)のさらに別の実施形態の側面図であり、アブレーション・デバイス(900)は、デバイス(900)の近位端部におけるカテーテル・シャフト(910)と、デバイス(900)の遠位キャップ(912)と、それに連結されている1セットのスプライン(914)とを含む。遠位キャップ(912)は、非外傷性の形状を含むことが可能である。1セットのスプライン(914)の近位端部は、カテーテル・シャフト(910)の遠位端部に連結され得、1セットのスプライン(914)の遠位端部は、デバイス(900)の遠位キャップ(912)につながれ得る。アブレーション・デバイス(900)のそれぞれのスプライン(914)は、スプライン(914)の表面の上に形成された1つまたは複数の独立してアドレス指定可能な電極(916、918)を含むことが可能である。それぞれの電極(916、918)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である。それぞれのスプライン(914)は、スプライン(914)の本体部の中に(たとえば、スプライン(914)の管腔の中に)形成されたそれぞれの電極(916、918)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。図9Aは、1セットのスプライン(914)を図示しており、ここで、それぞれのスプライン(914)は、隣接するスプライン(914)の電極から間隔を離して配置されたまたはオフセットされた電極を含む。たとえば、1セットのスプライン(914)は、第1のスプライン(920)と、第1のスプライン(920)に隣接する第2のスプライン(922)とを含み、ここで、第1のスプライン(920)の電極(916)は、第2のスプライン(922)の電極(918)に対して、アブレーション・デバイス(900)の遠位端部(912)のより近くに配設されている。他の実施形態において、電極(916、918)のサイズおよび形状は、同様に異なっていてもよい。
いくつかの実施形態において、隣接する遠位電極(916)および近位電極(918)は、アノード-カソード・ペアを形成することが可能である。たとえば、遠位電極(916)は、アノードとして構成され得、近位電極(918)は、カソードとして構成され得る。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(900)は、3つから12個のスプラインを含むことが可能である。図9Aでは、1つの電極(916、918)が、それぞれのスプライン(914)の表面の上に形成されており、それぞれのスプライン(914)が、1つの絶縁された電気リード線を含むようになっている。したがって、スプライン(914)の管腔は、直径が低減され得、スプライン(914)がより厚くなることおよびより機械的にロバストになることを可能にすることができる。したがって、絶縁の誘電破壊は、さらに低減され、それによって、それぞれのスプライン(914)およびアブレーション・デバイス(900)の信頼性および寿命を改善することが可能である。アブレーション・デバイス(900)は、任意の数のスプライン、たとえば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(900)は、3つから20個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、1つの実施形態では、アブレーション・デバイス(900)は、6つから10個のスプラインを含むことが可能である。そのうえ、いくつかの実施形態において、拡張された1セットのスプライン(914)の球根のような拡張された構造体(930)の形状は、非対称になっていることが可能であり、たとえば、その遠位部分は、その近位部分よりも球根状になっているかまたは丸みを帯びている(たとえば、図9B~図9Eを参照)。そのような球根状の遠位部分は、肺静脈の口にデバイスを位置決めすることを補助することが可能である。
図9B~図9Eを参照すると、そうでないことが示されていない限り、図9Aの中のものと同様の参照番号を伴うコンポーネント(たとえば、図9Aの中の電極(916)および図9Bの中の電極(916’))は、構造的におよび/または機能的に同様であり得るということが理解される。図9Bは、使用の間に(たとえば、展開されたときなど)拡張された構造体(930’)を形成するスプライン・ワイヤー(914’、920’、922’)を図示している。拡張された構造体(930’)の第1の平面(924A’)(近位平面と称されるときもある)は、拡張された構造体(930’)の第2の平面(924B’)における断面積とは異なる断面積を有している。図9Bに図示されているように、いくつかの実施形態において、第2の平面(924B’)における拡張された構造体(930’)の断面積は、第1の平面(924A’)におけるものよりも大きい。図9Bに関して使用されているような「第1の平面」および「第2の平面」という用語は、カテーテル・シャフト(910’)の長手方向軸線に対して直交する平面を指すことが可能であり、それらは、それぞれ、カテーテル・シャフト(910’)の遠位端部から、および、遠位キャップ(912’)の近位端部から、最大で約1cm、約2cm、および、約3cmまたはそれ以上(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)までにそれぞれ形成されている。図9Aと同様に、第1のスプライン(920’)の電極(916’)は、第2のスプライン(922’)の電極(918’)に対して、アブレーション・デバイス(900’)の遠位キャップ(912’)のより近くに配設されている。
図9Cは、使用の間に(たとえば、展開されたときなど)拡張された構造体(930’’)を形成するスプライン・ワイヤー(914’’、920’’、922’’)を図示している。拡張された構造体(930’’)の第1の平面(924A’’)(近位平面と称されるときもある)は、拡張された構造体(930’’)の第2の平面(924B’’)における断面積とは異なる断面積を有している。図9Cに図示されているように、いくつかの実施形態において、いくつかの実施形態において、第2の平面(924B’’)における拡張された構造体(930’’)の断面積は、第1の平面(924A’’)におけるものよりも大きい。図9Cに関して使用されているような「第1の平面」および「第2の平面」という用語は、カテーテル・シャフト(910’’)の長手方向軸線に対して直交する平面を指すことが可能であり、それらは、それぞれ、カテーテル・シャフト(910’’)の遠位端部から、および、遠位キャップ(912’’)の近位端部から、最大で約1cm、約2cm、および、約3cmまたはそれ以上(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)までにそれぞれ形成されている。図9A~図9Bとは異なり、複数の電極が、それぞれのスプライン・ワイヤーの上に存在していることが可能であり、いくつかの電極は、遠位キャップ(912’’)から等距離にあることが可能である。このように、相対的に遠位の電極(たとえば、932’’および934’’など)は、肺静脈の周りに口の円周方向損傷を発生させるためのアブレーション送達のための使用の間に、肺静脈口にまたは肺静脈口の近位/洞に並置され得る。
図9Dは、使用の間に(たとえば、展開されたときなど)拡張された構造体(930’’’)を形成するスプライン・ワイヤー(914’’’、920’’’、922’’’)を図示している。スプライン・ワイヤー(914’’’、920’’’、922’’’)は、それらの遠位端部においてポイント(928’’’)に収束しており、ポイント(928’’’)は、拡張された構造体(930’’’)の内側/中にある。図9Dに図示されているように、そのような構成では、スプライン・ワイヤー(914’’’、920’’’、922’’’)の上の少なくともいくつかの電極(932’’’、934’’’)は、拡張された構造体(930’’’)の遠位端部平面(926’’’)の中にあることが可能である。図9Dに関して使用されているような「遠位端部平面」という用語は、拡張された構造体(930’’’)の遠位境界を通過する、カテーテル・シャフト(910’’’)の長手方向軸線に対して直交する平面を指すことが可能である。このように、拡張された構造体(930’’’)は、たとえば、心内膜表面(たとえば、左心房の後壁など)に押し付けられ得、極性の任意の適切な組合せを使用して、遠位端部平面の中の適当な電極の活性化によって、その上に損傷を直接的に発生させるようになっている。たとえば、遠位電極(932’’’、934’’’)は、心内膜表面に押し付けられ、フォーカル・アブレーションを介して損傷を形成するために使用され得る(たとえば、スポット損傷)。
ここで、アブレーション・デバイス(900’’’)を使用したフォーカル・アブレーション損傷の発生を参照すると、いくつかの実施形態において、電極(933、935)(「近位電極」と称されることもある)および電極(932’’’、934’’’)(「遠位電極」と称されることもある)は、反対の極性によって活性化させられ得る。血液プールを通したこれらの電極同士の間の伝導は、電界発生、および、遠位端部平面(926’’’)に存在している心内膜表面に電界をアブレーティブ・エネルギーとして付与することを結果として生じさせ、フォーカル・アブレーションを結果として生じさせる。たとえば、スプライン・ワイヤー(914’’’、920’’’、922’’’)は、拡張された構造体(930’’’)を形成することが可能であり、遠位電極(932’’’、934’’’)が、心内膜表面の遠位端部平面(926’’’)にあるかまたはその中にあるようになっており、一方では、近位電極(933、935)が、遠位端部平面(926’’’)の外側にあり、結果的に、心内膜表面を押し付けないかまたはその他の方法で接触しないようになっている。いくつかの実施形態において、遠位電極(932’’’、934’’’)は、同じ極性を有することが可能であり、一方では、隣接する近位電極(935、933)は、遠位電極(932’’’、934’’’)とは反対の極性を有することが可能である。
いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(900’’’)の電極は、約0.5mmから約5.0mmの長さ、および、約0.5mmから約2.5mmの断面寸法(たとえば、直径)を有することが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。図9Dに図示されている拡張された構造体(930’’’)のスプライン・ワイヤー(914’’’、920’’’、922’’’)は、約6.0mmから約30.0mmの断面寸法(たとえば、直径)を有することが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。このように形成されるフォーカル・アブレーション損傷は、約0.5cmから約2.5cmの間の直径を有することが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。
いくつかの実施形態において、遠位電極(932’’’、934’’’)は、反対の極性を備えて構成され得る。いくつかの実施形態において、同じスプラインの上の隣接する電極は、同じ極性を有することが可能であり、遠位電極(934’’’)が、近位電極(933)と同じ極性を有することができるようになっており、同様に、遠位電極(932’’’)が、近位電極(935)と同じ極性を有することができるようになっている。電極(934’’’、933)は、電極(932’’’、935)と反対の極性を有することが可能である。
いくつかの実施形態において、隣接する遠位電極(934’’’)および近位電極(933)は、アノード-カソード・ペアを形成することが可能である。たとえば、遠位電極(934’’’)は、アノードとして構成され得、近位電極(933)は、カソードとして構成され得る。別の実施形態では、スプラインの上の電極(2630)は、アノードとカソードとの間で交互になっていることが可能であり、隣接するスプラインの上の電極は、逆の構成を有している(たとえば、カソードおよびアノード)。
図9Eは、使用の間に(たとえば、展開されたときなど)拡張された構造体(950)を形成するスプライン・ワイヤー(944、940、942)を図示している。スプライン・ワイヤー(944、940、942)は、それらの遠位端部において、拡張された構造体(950)の内側/中にある遠位キャップ(912’’’’)の近位端部に収束する。図9Eに図示されているように、そのような構成では、スプライン・ワイヤー(944、940)の上の少なくともいくつかの電極(952、954)は、拡張された構造体(950)の遠位端部平面(946)の中にあることが可能である。図9Eに関して使用されているような「遠位端部平面」という用語は、拡張された構造体(950)の遠位境界を通過する、カテーテル・シャフト(910’’’’)の長手方向軸線に対して直交する平面を指すことが可能である。このように、拡張された構造体(950)は、たとえば、左心房の後壁に押し付けられ得、極性の任意の適切な組合せを使用して、遠位端部平面(946)の中の適当な電極の活性化によって、その上に損傷を直接的に発生させるようになっている。たとえば、電極952および954は、反対の極性を備えて構成され得る。図9Dの中の拡張された構造体(930’’’’)に対して、図9Eの中の拡張された構造体(950)は、より直交した(たとえば、平坦化された)形状を有しており、それは、組織アブレーションのために、たとえば、左心房の後壁に押し付けられ得る。換言すれば、遠位端部平面(926’’’’)における拡張された構造体(930’’’’)の断面積は、遠位端部平面(946)における拡張された構造体(950)の断面積よりも小さい。別の例として、遠位電極(952、954)は、図9Dに関して一般的に本明細書で説明されているように、心内膜表面に押し付けられ、フォーカル・アブレーションを介して損傷を形成するために使用され得る(たとえば、スポット損傷)。
本明細書で説明されているアブレーション・デバイスのそれぞれに関して、スプラインのそれぞれは、ポリマーを含むことが可能であり、中空のチューブを形成するために、管腔を画定することが可能である。本明細書で説明されているアブレーション・デバイスの1つまたは複数の電極は、約0.2mmから約2.0mmの直径、および、約0.2mmから約5.0mmの長さを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、電極は、約1mmの直径、および、約1mmの長さを含むことが可能である。電極が独立してアドレス指定可能であり得るので、電極は、不可逆電気穿孔法によって組織をアブレートするのに十分な任意のパルス波形を使用して、任意のシーケンスで励起され得る。たとえば、異なるセットの電極は、さらに詳細に下記に議論されているように、異なるセットのパルス(たとえば、階層的なパルス波形)を送達することが可能である。スプラインの上のおよびスプライン同士の間の電極のサイズ、形状、および間隔は、連続的な/経皮的なエネルギーを送達し、1つまたは複数の肺静脈を電気的に隔離するように構成され得るということが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、代替的な電極(たとえば、すべての遠位電極)は、同じ電位にあることが可能であり、すべての他の電極(たとえば、すべての近位電極)に関しても同様である。したがって、アブレーションは、すべての電極が同時に活性化させられた状態で迅速に送達され得る。さまざまなそのような電極ペアリング・オプションが存在し、その都合に基づいて実装され得る。
図26Aは、アブレーション・デバイス(2600)の実施形態の斜視図であり、アブレーション・デバイス(2600)は、花のような形状を有しており、デバイス(2600)の近位端部におけるカテーテル・シャフト(2610)と、デバイス(2600)の遠位キャップ(2612)と、それに連結されている1セットのスプライン(2620)とを含む。図26Bに最良に示されているように、スプライン・シャフト(2614)は、近位端部において近位ハンドル(図示せず)に連結され得、遠位端部において遠位キャップ(2612)に連結され得る。好適な実施形態では、遠位キャップ(2612)とカテーテル・シャフト(2610)との間の距離は、約8mm未満であることが可能である。スプライン・シャフト(2614)および遠位キャップ(2612)は、アブレーション・デバイス(2600)の長手方向軸線(2616)に沿って並進可能であり得る。スプライン・シャフト(2614)および遠位キャップ(2612)は、一緒に移動することが可能である。スプライン・シャフト(2614)は、カテーテル・シャフト(2610)の管腔の中をスライドするように構成され得る。遠位キャップ(2612)は、非外傷性の形状を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。1セットのスプライン(2620)のそれぞれのスプラインの近位端部は、カテーテル・シャフト(2610)の遠位端部を通過することが可能であり、カテーテル・シャフト・管腔の中のカテーテル・シャフトにつながれ得、1セットのスプライン(2620)のそれぞれのスプラインの遠位端部は、デバイス(2600)の遠位キャップ(2612)につながれ得る。アブレーション・デバイス(2600)は、1セットのスプライン(2620)の1つまたは複数のスプラインを介して、使用の間に、たとえば図21~図25に開示されているように、パルス波形を組織に送達するように構成され得る。
アブレーション・デバイス(2600)のそれぞれのスプライン(2620)は、いくつかの実施形態において、スプライン(2620)の表面の上に形成された1つまたは複数の共同で配線された電極(2630)を含むことが可能である。他の実施形態において、所与のスプラインの上の電極(2630)のうちの1つまたは複数は、独立してアドレス指定可能な電極(2630)であることが可能である。それぞれの電極(2630)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である。それぞれのスプライン(2620)は、スプライン(2620)の本体部の中に(たとえば、スプライン(2620)の管腔の中に)それぞれの電極(2630)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。図26Aは、1セットのスプライン(2620)を図示しており、ここで、それぞれのスプラインは、1セットの電極(2632または2634)を含み、1セットの電極(2632または2634)は、隣接するスプライン(2620)の電極(2634または2632)とおおよそ同じサイズ、形状、および間隔を有している。他の実施形態において、電極(2632、2634)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。それぞれのスプライン(2620)の厚さは、それぞれのスプライン(2620)の上に形成されている電極(2630)の数に基づいて変化することが可能であり、それは、スプライン(2620)の中の絶縁された電気リード線の数に対応することが可能である。スプライン(2620)は、同じまたは異なる材料、厚さ、および/または長さを有することが可能である。
1セットのスプライン(2620)のそれぞれのスプラインは、フレキシブルな曲率を含むことが可能であり、回転し、または、ツイストし、および、曲がり、図26A~図26Cに示されているものなどのような花弁形状の曲線を形成するようになっている。花弁形状の構成の中のスプラインの曲率の最小半径は、約7mmから約25mmの範囲にあることが可能である。たとえば、1セットのスプラインは、アブレーション・デバイス(2600)の遠位部分において送達アッセンブリを形成することが可能であり、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成され得、第1の構成では、1セットのスプラインは、アブレーション・デバイス(2600)の長手方向軸線に対して概して平行に配置されており、第2の構成では、1セットのスプラインは、回転し、または、ツイストし、および、曲がり、アブレーション・デバイス(2600)の長手方向軸線から離れるように一般的に付勢する。第1の構成では、1セットのスプラインのそれぞれのスプラインは、アブレーション・デバイスの長手方向軸線とともに1つの平面の中にあることが可能である。第2の構成では、1セットのスプラインのそれぞれのスプラインは、長手方向軸線から離れるように付勢し、長手方向軸線に対して概して垂直に配置されている花弁のような曲線を形成することが可能である。このように、1セットのスプライン(2620)は、アブレーション・デバイス(2600)の長手方向軸線から離れるようにツイストし、曲がり、および付勢し、したがって、スプライン(2620)が心内膜空間の幾何学形状により容易に一致すること、および、とりわけ肺口の開口部に隣接することを可能にする。図26Cに最良に示されているように、アブレーション・デバイスが正面から見られるときに、第2の構成は、たとえば、花の形状に似ていることが可能である。いくつかの実施形態において、第2の構成における1セットのスプラインの中のそれぞれのスプラインは、ツイストして曲がり、花弁のような曲線を形成することが可能であり、それは、正面から見られたときに、約180度を超える曲線の近位端部と遠位端部との間の角度を表している。1セットのスプラインは、第2の構成から第3の構成へ変形するようにさらに構成され得、第3の構成では、1セットのスプライン(2620)は、肺静脈口を取り囲む組織などのようなターゲット組織に対して(たとえば、ターゲット組織と接触して)刻印され得る。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(2620)に連結されているスプライン・シャフト(2614)は、スプライン・シャフト(2614)がカテーテル・シャフト(2610)の管腔の中をスライドするときに、1セットのスプライン(2620)のそれぞれのスプラインがカテーテル・シャフト(2610)に対して曲がってツイストすることを可能にすることができる。たとえば、1セットのスプライン(2620)は、展開されていないときにスプライン・シャフト(2614)の長手方向軸線に対して概して平行の形状を形成することが可能であり、完全に展開されるときにスプライン・シャフト(2620)の長手方向軸線に対して平行の軸線(2660)の周りに巻かれ得(たとえば、螺旋状にツイストされる)、スプライン・シャフト(2614)がカテーテル・シャフト(2610)の管腔の中をスライドするときに、その間に任意の中間形状(たとえば、ケージまたはバレルなど)を形成することが可能である。
いくつかの実施形態において、第1の構成における1セットのスプラインは(たとえば、スプライン(2620)など)、その長さに沿ったいくつかの部分において、カテーテル・シャフト(2610)の長手方向軸線に対して平行の軸線(2660)の周りに巻かれ得るが、その他の場所では、そうでなければ、カテーテル・シャフト(2610)の長手方向軸線に対して概して平行になっていることが可能である。スプライン・シャフト(2614)は、カテーテル・シャフト(2610)の中へ後退させられ、アブレーション・デバイス(2600)を第1の構成から第2の構成へ変形することが可能であり、第2の構成では、スプライン(2620)は、一般的に、カテーテル・シャフト(2610)の長手方向軸線に対して(たとえば、垂直に)角度を付けられているかまたはオフセットされており、ツイストされている。図26Cの正面図に示されているように、それぞれのスプライン(2620)は、この正面図の投影において、ツイストしているループを形成することが可能である。図26Cにおいて、それぞれのスプライン(2620)は、同じ極性を有する1セットの電極(2630)を有している。図26Cの正面図に示されているように、1セットのスプライン(2620)のそれぞれのスプラインは、ツイストされたループを形成することが可能であり、それぞれのスプラインが、1つまたは複数の他のスプラインにオーバーラップするようになっている。電極(2630)の数および間隔、ならびに、スプライン(2620)の回転ツイストは、それぞれのスプラインに沿った電極の適切な設置によって構成され、1つのスプラインの上の電極(2630)と隣接するオーバーラップしているスプライン(2620)の電極とのオーバーラップを防止することが可能である。
1セットのアノード電極(2632)を有するスプラインは、不可逆電気穿孔法のためのパルス波形を送達するために、一緒に活性化させられ得る。他のスプラインの上の電極は、それらのそれぞれのスプラインの上の電極(2634)および(2635)などのようなカソード電極として一緒に活性化させられ得、図26Cに示されているように、不可逆電気穿孔法のためのパルス波形の送達のためのアノード-カソード・ペアリングを形成するようになっている。アノード-カソード・ペアリングおよびパルス波形送達は、1セットのそのようなペアリングにわたってシーケンシャルに繰り返され得る。
たとえば、スプライン(2620)は、時計回りまたは反時計回りの様式でシーケンシャルに活性化させられ得る。別の例として、カソード・スプラインは、アブレーションが完了されるまで、それぞれのシーケンシャルなアノード・スプライン活性化とともにシーケンシャルに活性化させられ得る。所与のスプラインの上の電極が別個に配線されている実施形態では、それぞれのスプラインの電極の中の活性化の順序も同様に変化させられ得る。たとえば、スプラインの中の電極は、すべてを1度にまたは所定のシーケンスで活性化させられ得る。
送達アッセンブリは、パルス波形を送達する前に第1の構成で配設され得、肺静脈口または肺静脈洞と接触するために、第2の構成に変形され得る。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ハンドルは、スプライン・シャフト(2614)に連結され得、ハンドルは、第1の構成と第2の構成との間での1セットのスプラインの変形に影響を与えるように構成され得る。たとえば、ハンドルは、スプライン・シャフト(2614)および遠位キャップ(2612)をカテーテル・シャフト(2610)に対して並進させるように構成され得、それによって、遠位キャップに連結されている1セットのスプライン(2620)を作動させ、それらが曲がることおよびツイストすることを引き起こす。スプライン(2620)の近位端部は、スプライン・シャフト(2614)に固定され得、それによって、たとえば、ユーザーによって保持され得るカテーテル・シャフト(2610)に対して遠位キャップ(2612)およびスプライン・シャフト(2614)が引っ張り戻されるときに、スプライン(2620)の座屈を発生させ、スプライン(2620)の曲げ運動およびツイスト運動を結果として生じさせる。たとえば、遠位キャップ(2612)につながれている1セットのスプライン(2620)の遠位端部は、アブレーション・デバイスの長手方向軸線に沿って最大で約60mmまで並進させられ、構成におけるこの変化を作動させることが可能である。換言すれば、ハンドルの作動部材の並進は、1セットのスプライン(2620)を曲げてツイストすることが可能である。いくつかの実施形態において、デバイス・ハンドルの中のノブ、ホイール、または他の回転制御メカニズムの作動は、作動部材またはスプライン・シャフトの並進を結果として生じさせることが可能であり、スプライン(2620)が曲がることおよびツイストすることを結果として生じさせることが可能である。いくつかの実施形態において、1セットの電極(2630)のうちの少なくとも2つの電極の電気リード線は、アブレーション・デバイス(2600)の近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結され得る。
スプライン・シャフト(2614)および遠位キャップ(2612)の後退は、一緒に図26Bに示されているように、1セットのスプライン(2620)を互いに近付けることが可能であり、図26Bでは、1セットのスプライン(2620)は、カテーテル・シャフト(2610)の長手方向軸線に対して概して垂直になっている。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(2620)のそれぞれのスプラインは、最大で約3cmまで、スプライン・シャフト(2614)の長手方向軸線から離れるように横方向に付勢され得る。いくつかの実施形態において、スプライン・シャフト(2614)は、中空の管腔を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、スプラインの断面は、非対称になっていることが可能であり、断面の平面に直交するスプラインの1つの曲げ平面において、異なる曲げ平面よりも大きい曲げ剛性を有するようになっている。そのような非対称の断面は、相対的に大きい横方向の剛性を提示するように構成され得、それによって、最終的なまたは完全に展開された構成において、それぞれのスプラインおよびその隣接物の花弁形状の曲線の最小オーバーラップを伴って展開することが可能である。
1つの実施形態では、スプライン(2620)の上の電極(2632)のそれぞれは、アノードとして構成され得、一方では、異なるスプラインの上の電極(2634)のそれぞれは、カソードとして構成され得る。別の実施形態では、1つのスプラインの上の電極(2630)は、アノードとカソードとの間で交互になっていることが可能であり、別のスプラインの電極は、逆の構成を有している(たとえば、カソードおよびアノード)。
いくつかの実施形態において、スプライン電極は、シーケンシャルな様式で電気的に活性化させられ、それぞれのアノード-カソード・ペアリングによってパルス波形を送達することが可能である。いくつかの実施形態において、電極は、スプラインの中で一緒に電気的に配線され得、一方では、代替的な実施形態において、それらは、デバイスのハンドルの中で一緒に配線され得、これらの電極が、アブレーションの間に同じ電位になるようになっている。他の実施形態において、電極(2630)のサイズ、形状、および間隔は、同様に異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、隣接する遠位電極および近位電極は、アノード-カソード・ペアを形成することが可能である。たとえば、遠位電極は、アノードとして構成され得、近位電極は、カソードとして構成され得る。
アブレーション・デバイス(2600)は、任意の数のスプライン、たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2600)は、3つから20個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、アブレーション・デバイス(2600)は、4つから12個のスプラインを含むことが可能である。
1セットのスプライン(2620)のスプラインのそれぞれは、非外傷性の形状を有するそれぞれの電極(2630)を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。たとえば、電極(2630)は、心内膜組織に接触するように構成されている、丸みを帯びた、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む非外傷性の形状を有することが可能である。いくつかの実施形態において、電極(2630)は、カテーテル・シャフト(2610)の遠位におけるスプライン(2620)の任意の部分に沿って位置付けされ得る。電極(2630)は、それぞれのスプラインに沿って、同じまたは異なるサイズ、形状、および/または場所を有することが可能である。
このように、第2の構成における電極は、左心房の心房壁のセクションの近くに保持されるかまたはそれに対抗して設置され得、本明細書で説明されているように、任意の適切な極性の組合せを使用して適当な電極の活性化によって、その上に損傷を直接的に発生させるようになっている。たとえば、1セットのスプライン(2620)は、肺静脈(2650)(たとえば、口または洞)に隣接する心房(2652)の心房壁(2654)に接触して設置され得る。
図26Dは、組織(たとえば、肺静脈口を取り囲む組織など)の上にアブレーション・デバイス(2600)によって発生させられるアブレーション(2664)の概略説明図である。たとえば、スプライン(2620)のうちの1つまたは複数の上の電極(2630)のうちの1つまたは複数の活性化は、肺静脈洞または肺静脈口の壁(2654)に沿って、1つまたは複数の対応するアブレーション・エリア(2664)を発生させることが可能である。いくつかの実施形態において、肺静脈口の中のアブレーション・エリア(2664)の外形は、約2cmから約6cmの間の直径を有することが可能であり、また、約3.5cmであることが可能である。このように、連続的で経皮的な損傷が発生させられ得、肺静脈の電気的な隔離を結果として生じさせ、それは、望まれる治療結果である。
代替的に、その展開された電極を備えたアブレーション・カテーテルは、左心房の後壁のセクションに隣接してまたはそれに対抗して設置され得、適切な電極セットの活性化によって、適当なパルス波形が、組織をアブレートするための不可逆電気穿孔法エネルギー送達のために送達され得る。
いくつかの実施形態において、電極または電極のサブセットが独立してアドレス指定可能であり得るので、電極は、不可逆電気穿孔法によって組織をアブレートするのに十分な任意のパルス波形を使用して、任意のシーケンスで励起され得る。たとえば、異なるセットの電極は、本明細書でさらに詳細に議論されているように、異なるセットのパルス(たとえば、階層的なパルス波形)を送達することが可能である。スプラインの上のおよびスプライン同士の間の電極のサイズ、形状、および間隔は、連続的な/経皮的なエネルギーを送達し、1つまたは複数の肺静脈を電気的に隔離するように構成され得るということが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、代替的な電極は、同じ電位にあることが可能であり、すべての他の交互の電極に関しても同様である。したがって、いくつかの実施形態において、アブレーションは、すべての電極が同時に活性化させられた状態で迅速に送達され得る。さまざまなそのような電極ペアリング・オプションが存在し、その都合に基づいて実装され得る。
いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイスの最も遠位の部分は、カテーテル・シャフトの長さを延ばす遠位キャップまたは別のエレメントというよりもむしろ、1セットのスプラインを含むことが可能である。これは、組織に対する1セットのスプラインの位置決めを補助することが可能であり、また、組織へのアブレーション・デバイスの他のエレメントの接触(それは、組織への外傷を引き起こす可能性がある)を低減させることが可能である。たとえば、図35は、アブレーション・デバイス(3500)の実施形態の側面図であり、アブレーション・デバイス(3500)は、デバイス(3500)の近位端部において、第1のカテーテル(3510)(たとえば、外側カテーテル・シャフト)を含む。第1のカテーテル(3510)は、長手方向軸線(3550)およびそれを通る管腔を画定することが可能である。第2のカテーテル(3520)は、第1のカテーテル・管腔の中にスライド可能に配設され得、第1のカテーテル・管腔の遠位端部から延在することが可能である。第2のカテーテル(3520)は、第1のカテーテル(3510)の直径よりも小さい直径を有することが可能である。第2のカテーテル(3520)は、それを通る管腔を画定することが可能である。たとえば、管腔は、ガイドワイヤーなどのような別のデバイスのための通過を提供することが可能である。
1セットのスプライン(3530)は、第1のカテーテル(3510)および第2のカテーテル(3520)に連結され得る。とりわけ、1セットのスプライン(3530)の近位部分は、第1のカテーテル(3510)の遠位端部に連結され得、1セットのスプライン(3530)の遠位部分は、第2のカテーテル(3520)の遠位端部に連結され得る。第2のカテーテル(3520)は、アブレーション・デバイス(3500)の長手方向軸線(3550)に沿って並進可能であり得る。1セットのスプライン(3530)のそれぞれのスプラインの近位端部は、第1のカテーテル(3510)の遠位端部を通過することが可能であり、第1のカテーテル・管腔の中で第1のカテーテル(3510)につながれ得る。1セットのスプライン(3530)のそれぞれのスプラインの遠位端部は、第2のカテーテル(3520)の遠位端部を通過することが可能であり、第2のカテーテル・管腔の中で第2のカテーテル(3520)につながれ得る。いくつかの実施形態において、接合部(3522)は、第2のカテーテル(3520)の遠位端部と1セットのスプライン(3530)との間に形成され得る。たとえば、ポリマー・リフロー・プロセスが使用され、第2のカテーテル(3520)とおよび1セットのスプライン(3530)との間に、滑らかな非外傷性の接合部を形成することが可能である。アブレーション・デバイス(3500)は、1セットのスプライン(3530)の1つまたは複数のスプラインの電極を介して、使用の間に、(たとえば図21~図26に開示されているような)パルス波形を組織に送達するように構成され得る。
アブレーション・デバイス(3500)のそれぞれのスプライン(3530)は、スプライン(3530)の表面の上に形成された1つまたは複数の電極(3540)を含むことが可能である。それぞれの電極(3540)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。それぞれのスプライン(3530)は、スプライン(3530)の本体部の中に(たとえば、スプライン(3530)の管腔の中に)それぞれの電極(3540)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。図35は、1セットのスプラインを図示しており、ここで、それぞれのスプライン(3530)は、隣接するスプラインの電極(3540)とおおよそ同じサイズ、形状、および間隔を有する1セットの電極(3540)を含む。他の実施形態において、電極(3540)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。
アブレーション・デバイス(3500)は、組織をアブレートするために、1セットの電極(3540)を使用して1セットの電圧パルス波形を送達するように構成され得る。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、アブレーション・デバイス(3500)は、第1の構成から第2の構成へ変形され得、アブレーション・デバイス(3500)のスプライン(3530)が、半径方向外向きに曲がるようになっている。
1セットのスプライン(3530)の少なくとも一部分は、フレキシブルな曲率を含むことが可能である。たとえば、それぞれのスプライン(3530)の近位領域(3522)および遠位領域(3526)である。1セットのスプライン(3530)は、アブレーション・デバイス(3500)の遠位部分において送達アッセンブリを形成することが可能であり、また、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成され得、第1の構成では、1セットのスプライン(3530)は、全体的にアブレーション・デバイス(3500)の長手方向軸線(3540)のより近くに配置されており、第2の構成では、1セットのスプライン(3530)は、アブレーション・デバイス(3500)の長手方向軸線(3540)から半径方向外向きに曲がり、バスケットのようなおよび/または花のような形状を形成しており、そこでは、それぞれのスプラインが「花弁」を形成している。第2の構成におけるスプラインの空間曲線形状は、図34A~図34Bに対応する式(1)~(3)に関して説明され得る。たとえば、完全に展開された構成において、それぞれのスプラインの長さに沿った1セットのスプライン(3530)のスプラインのそれぞれの回転率の積分された大きさは、πラジアンよりも大きくなっていることが可能である。
他の実施形態において、スプラインの「バスケット」は、カテーテル長さに沿って非対称の形状を有することが可能であり、バスケットの一方の端部(たとえば、遠位端部)が、バスケットの他方の端部(たとえば、近位端部)よりも球根状になるようになっている。送達アッセンブリは、第1の構成で体腔を通して前進させられ得、パルス波形を送達する前に、第2の構成に変形され得る。いくつかの実施形態において、ハンドル(図示せず)は、1セットのスプライン(3530)に連結され得、ハンドルは、第1の構成と第2の構成との間での1セットのスプライン(3530)の変形に影響を与えるように構成され得る。いくつかの実施形態において、ハンドルの中の1つまたは複数のノブ、ホイール、スライダー、プル・ワイヤー、および/または他の制御メカニズムの作動は、第1のカテーテル(3510)に対する第2のカテーテル(3520)の並進を結果として生じさせることが可能であり、スプライン(3530)が曲がることを結果として生じさせることが可能である。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3540)のうちの少なくとも2つの電極の電気リード線は、アブレーション・デバイス(3500)の近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結され得る。たとえば、ハンドルは、第1のカテーテル(3510)に対して第2のカテーテル(3512)を並進させるように構成されており、それによって、1セットのスプライン(3530)を作動させ、図35に示されているように、それらが曲がることを引き起こすことが可能である。スプライン(3530)の遠位端部は、第2のカテーテル(3520)の遠位端部に固定され得、それによって、たとえば、第2のカテーテル(3520)が第1のカテーテル(3510)に対して引っ張り戻されるときに、スプライン(3530)の座屈を発生させ、スプライン(3530)の曲げ運動を結果として生じさせる。換言すれば、ハンドルの作動部材の並進は、1セットのスプライン(3530)を曲げることが可能である。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3530)のそれぞれのスプラインは、最大で約35mmまで、第2のカテーテル(3512)の長手方向軸線(3540)から離れるように横方向に付勢され得る。たとえば、第2の構成における1セットのスプライン(3530)は、その最大の部分において約10mmから約35mmの間の有効断面直径を有する形状を形成することが可能である。第2の構成において、1セットのスプラインは、約15mmから約50mmの間の長さを有することが可能である。
1つの実施形態では、スプラインの上の電極のそれぞれは、アノードとして構成され得、一方では、異なるスプラインの上の電極のそれぞれは、カソードとして構成され得る。すなわち、隣接するスプラインの上の1セットの電極は、反対の極性を有することが可能である。別の実施形態では、1つのスプラインの上の電極は、アノードとカソードとの間で交互になっていることが可能であり、別のスプラインの上の電極は、逆の構成を有している(たとえば、カソードおよびアノード)。いくつかの実施形態において、隣接する遠位電極および近位電極は、アノード-カソード・ペアを形成することが可能である。たとえば、遠位電極は、アノードとして構成され得、近位電極は、カソードとして構成され得る。
いくつかの実施形態において、電極は、シーケンシャルな様式で電気的に活性化させられ、それぞれのアノード-カソード・ペアリングによってパルス波形を送達することが可能である。いくつかの実施形態において、電極(3540)は、スプライン(3530)の中で一緒に電気的に配線され得、一方では、代替的な実施形態において、それらは、デバイス(3500)のハンドルの中で一緒に配線され得、これらの電極(3540)が、アブレーションの間に同じ電位になるようになっている。他の実施形態において、電極(3540)のサイズ、形状、および間隔は、同様に異なっていてもよい。別の例として、スプライン(3530)は、時計回りまたは反時計回りの様式でシーケンシャルに活性化させられ得る。別の例として、カソード・スプラインは、アブレーションが完了されるまで、それぞれのシーケンシャルなアノード・スプライン活性化とともにシーケンシャルに活性化させられ得る。所与のスプライン(3530)の上の電極(3540)が別個に配線されている実施形態では、それぞれのスプライン(3530)の電極(3540)の中の活性化の順序も同様に変化させられ得る。たとえば、スプラインの中の電極(3540)は、すべてを1度にまたは所定のシーケンスで活性化させられ得る。
電極は、不可逆電気穿孔法によって組織をアブレートするのに十分な任意のパルス波形を使用して、任意のシーケンスで励起され得る。スプラインの上のおよびスプライン同士の間の電極のサイズ、形状、および間隔は、エネルギーを送達し、心臓組織の1つまたは複数の領域を電気的に隔離するように構成され得るということが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、代替的な電極(たとえば、すべての遠位電極)は、同じ電位にあることが可能であり、すべての他の電極(たとえば、すべての近位電極)に関しても同様である。したがって、アブレーションは、すべての電極が同時に活性化させられた状態で迅速に送達され得る。さまざまなそのような電極ペアリング・オプションが存在し、その都合に基づいて実装され得る。
スプライン(3530)のそれぞれは、ポリマーから構成され得、中空のチューブを形成するために、管腔を画定することが可能である。アブレーション・デバイス(3500)の1セットのスプライン(3530)は、約1.0mmから約5.0mmの間の直径を有することが可能である。アブレーション・デバイス(3500)の1セットの電極(3540)は、約1.0mmから約5.0mmの間の直径、および、約0.2mmから約5.0mmの間の長さを有することが可能である。
アブレーション・デバイス(3500)は、任意の数のスプライン、たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(3500)は、3つから16個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、アブレーション・デバイス(3500)は、3つから14個のスプラインを含むことが可能である。
1セットのスプライン(3530)のスプラインのそれぞれは、非外傷性の形状を有するそれぞれの電極(3540)を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。たとえば、電極(3540)は、丸みを帯びた、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む非外傷性の形状を有することが可能である。いくつかの実施形態において、電極(3540)は、第1のカテーテル(3510)の遠位におけるスプライン(3530)の任意の部分に沿って位置付けされ得る。電極(3540)は、それぞれのスプラインに沿って、同じまたは異なるサイズ、形状、および/または場所を有することが可能である。アブレーション・デバイス(3500)は、1つのスプライン当たり、任意の数の電極、たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、またはそれ以上の電極を含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(3500)は、1つのスプライン当たり、2つから12個の電極を含むことが可能である。
図34A~図34Bは、図36A~図36Cに示されているスプラインなどのような、本明細書で説明されているスプラインと構造的におよび/または機能的に同様のスプライン(3400)の側面図である。図34Aは、単位接線ベクトルを有するスプラインの側面図である。図34Bは、2つの単位接線ベクトルを有するスプラインの側面図である。図34A~図34Bは、花びらのような形状を有するスプライン(3400)を示しており、本明細書で詳細に説明されているような第2の構成および/または第3の構成におけるスプラインの形状に対応することが可能である。簡単にするために、スプライン(3400)は、電極などのような他のエレメントなしで示されている。湾曲したスプライン(3400)は、近位端部(3402)および遠位端部(3404)を含む。スプライン(3400)に沿ったすべてのポイント(3410)において、単位接線ベクトルu(3420)が定義され得る。図34Bは、スプライン(3400)の近位端部(3402)における単位接線ベクトルu1(3430)、および、スプライン(3400)の遠位端部(3404)における単位接線ベクトルu2(3440)を図示している。
スプラインの長さに沿った単位接線ベクトルの変化率は、以下の式によって支配され得る:
u’=du/dl (1)
ここで、lは、スプラインに沿った弧の長さである。
単位接線ベクトルu’の変化率は、スプラインに沿った単位接線ベクトルの回転率と称され得る。u・u=1であるので、回転率u’は、単位接線ベクトルuに対して垂直である。
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されているようなスプラインは、花弁形状を形成するように移行させられ得、その長さに沿ってツイストされているループを形成することが可能であり、スプラインがその長さに沿ってトーションを有するようになっている。本明細書で説明されているようなスプラインは、以下の不等式によって支配される回転率の積分された大きさを有している:
∫|u’|}dl>π (2)
すなわち、スプラインの回転率の積分された大きさは、πラジアン(言い換えれば、180度)よりも大きい。uおよびu’は垂直であるので、u・u’=0である。したがって、ベクトルb=uxu’は、uおよびu’の両方に対して垂直である。
いくつかの実施形態において、スプラインの形状は、一般的に、トーションを伴う空間曲線であり、以下の式によって支配される、スプラインの長さに沿った少なくともいくつかの場所において、回転率の導関数が、bに沿った成分を有するようになっている:
∫(u’’・b)dl≠0 (3)
本明細書で説明されているデバイスのいくつかの実施形態において、1セットのスプラインの展開されたスプラインは、式(2)および式(3)の両方を満たすことが可能である。
図36A~図36Cは、アブレーション・カテーテル(3600)の側面図であり、アブレーション・カテーテル(3600)は、遠位スプラインが完全に展開されているときに、展開された1セットのスプラインおよび1セットの電極を有するように構成されており、1セットの電極は、カテーテル(3600)のすべての他のエレメントの遠位に延在しており、組織への外傷を低減させ、1セットの電極と組織との間の位置決めおよび接触を補助するようになっている。図36Aは、アブレーション・デバイス(3600)の実施形態の斜視図であり、アブレーション・デバイス(3600)は、花のような形状を有しており、デバイス(3600)の近位端部に第1のカテーテル(3610)を含む。第1のカテーテル(3610)は、長手方向軸線(3650)およびそれを通る管腔を画定することが可能である。第2のカテーテル(3620)が、第1のカテーテル・管腔の中にスライド可能に配設され得、第1のカテーテル・管腔の遠位端部から延在することが可能である。第1のカテーテルおよび第2のカテーテルは、作動のためのカテーテル・ハンドルとともに、単一のデバイスを備えることが可能である。1セットのスプライン(3630)は、第1のカテーテル(3610)および第2のカテーテル(3620)に連結され得る。第2のカテーテル(3620)は、アブレーション・デバイス(3600)の長手方向軸線(3650)に沿って並進可能であり得る。スプライン(3630)のそれぞれのスプラインの近位端部は、第1のカテーテル(3610)の遠位端部を通過することが可能であり、第1のカテーテル・管腔の中で第1のカテーテル(3610)につながれ得、1セットのスプライン(3630)のそれぞれのスプラインの遠位端部は、図35に関して詳細に説明されているように、第2のカテーテル(3620)の遠位端部(3622)につながれ得る。アブレーション・カテーテル(3600)は、第2のカテーテル(3620)の遠位端部から延在する遠位キャップまたは他の突出部を含まないので、第2の構成(たとえば、花形形状)におけるデバイス(3600)は、デバイス(3600)からの外傷のリスクの低減を伴って、薄い心臓壁などのような敏感な組織と係合することが可能である。アブレーション・デバイス(3600)は、1セットのスプライン(3630)の上の1つまたは複数の電極を介して、使用の間に、(たとえば、図21~図26に開示されているような)パルス波形を組織に送達するように構成され得る。
アブレーション・デバイス(3600)のそれぞれのスプライン(3630)は、いくつかの実施形態において、スプライン(3630)の表面の上に形成された1つまたは複数の共同で配線された電極(3640)を含むことが可能である。他の実施形態において、所与のスプラインの上の電極(3640)のうちの1つまたは複数は、独立してアドレス指定可能な電極(3640)であることが可能である。それぞれの電極(3640)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である。それぞれのスプライン(3630)は、スプライン(3630)の本体部の中に(たとえば、スプライン(3630)の管腔の中に)それぞれの電極(3640)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。図36A~図36Cは、1セットのスプライン(3630)を図示しており、ここで、それぞれのスプラインは、隣接するスプライン(3630)の電極(3640)とおおよそ同じサイズ、形状、および間隔を有する1セットの電極(3640)を含む。他の実施形態において、電極(3640)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。それぞれのスプライン(3630)の厚さは、それぞれのスプライン(3630)の上に形成されている電極(3640)の数に基づいて変化することが可能であり、それは、スプライン(3630)の中の絶縁された電気リード線の数に対応することが可能である。スプライン(3630)は、同じまたは異なる材料、厚さ、および/または長さを有することが可能である。
1セットのスプライン(3630)のそれぞれのスプラインは、フレキシブルな曲率を含むことが可能であり、回転し、または、ツイストし、および、曲がり、図26A~図26C、図34A~図34B、および図36A~図36Cに示されているものなどのような花弁形状の曲線を形成するようになっている。花弁形状の構成の中のスプラインの曲率の最小半径は、約7mmから約25mmの間にあることが可能である。たとえば、1セットのスプラインは、アブレーション・デバイス(3600)の遠位部分において送達アッセンブリを形成することが可能であり、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成され得、第1の構成では、1セットのスプラインは、全体的にアブレーション・デバイス(3600)の長手方向軸線のより近くに配置されており、第2の構成では、1セットのスプラインは、回転し、または、ツイストし、および、曲がり、アブレーション・デバイス(3600)の長手方向軸線から離れるように一般的に付勢する。第1の構成では、1セットのスプラインのそれぞれのスプラインは、アブレーション・デバイスの長手方向軸線とともに1つの平面の中にあることが可能である。第2の構成では、1セットのスプラインのそれぞれのスプラインは、長手方向軸線から離れるように付勢し、花弁のような曲線(たとえば、花形形状)を形成することが可能であり、ここで、スプラインの長手方向軸線は、長手方向軸線(3650)に対して概して垂直に配置されているか、または、長手方向軸線(3650)に対して鋭角を有している。本明細書で詳細に説明されているように、1セットのスプラインの形状(たとえば、ベンド、曲線)は、式(1)~(3)を満たすことが可能である。このように、1セットのスプライン(3620)は、アブレーション・デバイス(3600)の長手方向軸線から離れるようにツイストし、曲がり、および付勢し、したがって、スプライン(3620)が心内膜空間の幾何学形状(たとえば、肺口の後壁および開口部など)により容易に一致することを可能にする。いくつかの実施形態において、第2の構成における1セットのスプラインの中のそれぞれのスプラインは、ツイストして曲がり、花弁のような曲線を形成することが可能であり、それは、正面から見られたときに、約180度を超える曲線の近位端部と遠位端部との間の角度を表している。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3630)に連結されている第2のカテーテル(3620)は、第2のカテーテル(3620)が第1のカテーテル(3610)の管腔の中をスライドするときに、1セットのスプライン(3630)のそれぞれのスプラインが第1のカテーテル(3610)に対して曲がってツイストすることを可能にすることができる。たとえば、1セットのスプライン(3630)は、展開されていないときに全体的に第2のカテーテル(3620)の長手方向軸線のより近くにある形状を形成することが可能であり、完全に展開された長手方向軸線(3650)の周りに巻かれ得(たとえば、螺旋状にツイストされる)、第2のカテーテル(3620)が第1のカテーテル(3610)の管腔の中をスライドするときに、その間に任意の中間形状(たとえば、ケージまたはバレルなど)を形成することが可能である。
いくつかの実施形態において、第1の構成における1セットのスプラインは(たとえば、スプライン(3630)など)、その長さに沿ったいくつかの部分において、第1のカテーテル(3610)の長手方向軸線(3650)の周りに巻かれ得るが、その他の場所では、そうでなければ、第1のカテーテル(3610)の長手方向軸線に対して概して平行になっていることが可能である。第2のカテーテル(3620)は、第1のカテーテル(3610)の中へ後退させられ、アブレーション・デバイス(3600)を第1の構成から第2の構成へ変形することが可能であり、第2の構成では、スプライン(3630)は、花弁のような形状を形成するようにツイストしており、一般的に、第1のカテーテル(3610)の長手方向軸線(3650)に対して(たとえば、垂直に、遠位方向に角度を付けられて)角度を付けられているかまたはオフセットされている。第2のカテーテル(3622)が第1のカテーテル(3610)の管腔の中へさらに後退させられるときに、1セットのスプライン(3630)は、さらに遠位に延在することが可能である。図36A~図36Cに示されているように、それぞれのスプライン(3630)は、ツイストしているループを形成することが可能である(たとえば、1セットのスプラインが花形形状を一緒に形成する花弁形状)。
第2の構成において、第2の構成における1セットのスプライン(3630)は、花形形状を形成することが可能であり、遠位方向に角度を付けられ得る。図36Aは、第2のカテーテル(3620)の遠位端部(3622)の遠位に延在する、1セットのスプライン(3630)のそれぞれのスプラインの少なくとも一部分を有する1セットのスプライン(3630)を示している。たとえば、図36Aは、スプラインの遠位部分が、第2のカテーテル(3620)の遠位端部(3622)の遠位にある平面(3660)(長手方向軸線(3650)に対して垂直である)と交差しているということを示している。したがって、アブレーション・デバイス(3600)が、遠位方向に前進させられ、組織に接触するときに、1セットのスプライン(3630)は、第1のカテーテル(3610)および第2のカテーテル(3620)の前に接触することとなる。これは、組織への外傷を低減させることが可能である。その理由は、組織が、相対的に硬い第2のカテーテル(3622)に接触する必要なしに、可撓性のセットのスプラインに接触することができるからである。
図36Bは、第2の構成における1セットのスプライン(3630)が、スプライン(3630)の長手方向軸線(3670)と第1のカテーテルの長手方向軸線(3650)との間に、遠位(たとえば、前方)角度(3680)を形成することを示している。スプライン(3630)の長手方向軸線(3670)は、スプライン(3630)の頂点と、スプライン(3630)の近位端部と遠位端部との間の中間点との間に形成された線によって画定され得る。いくつかの実施形態において、遠位角度は、約80度未満であることが可能である。たとえば、遠位角度は、約60度以下であることが可能である。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3620)のそれぞれのスプラインは、ツイストされたループを形成することが可能であり、それぞれのスプラインが、1つまたは複数の他のスプラインに部分的にオーバーラップするようになっている。電極(3640)の数および間隔、ならびに、スプライン(3630)の回転ツイストは、それぞれのスプラインに沿った電極の適切な設置によって構成され、1つのスプラインの上の電極(3640)と隣接するオーバーラップしているスプラインの電極とのオーバーラップを防止することが可能である。
1セットのアノード電極を有するスプラインは、不可逆電気穿孔法のためのパルス波形を送達するために、一緒に活性化させられ得る。他のスプラインの上の電極は、それらのそれぞれのスプラインの上の電極などのようなカソード電極として一緒に活性化させられ得、不可逆電気穿孔法のためのパルス波形の送達のためのアノード-カソード・ペアリングを形成するようになっている。アノード-カソード・ペアリングおよびパルス波形送達は、1セットのそのようなペアリングにわたってシーケンシャルに繰り返され得る。
たとえば、スプライン(3630)は、時計回りまたは反時計回りの様式でシーケンシャルに活性化させられ得る。別の例として、カソード・スプラインは、アブレーションが完了されるまで、それぞれのシーケンシャルなアノード・スプライン活性化とともにシーケンシャルに活性化させられ得る。所与のスプラインの上の電極が別個に配線されている実施形態では、それぞれのスプラインの電極の中の活性化の順序も同様に変化させられ得る。たとえば、スプラインの中の電極は、すべてを1度にまたは所定のシーケンスで活性化させられ得る。
送達アッセンブリは、パルス波形を送達する前に第1の構成で配設され得、肺静脈口または肺静脈洞と接触するために、第2の構成に変形され得る。たとえば、図36Cは、左心房の後壁などのような組織壁(3690)に近接したおよび/または接触した、1セットのスプライン(3630)の最も遠位の部分を示している。図36Cの中の1セットのスプライン(3630)は、第2の構成になっており、第2の構成では、1セットのスプライン(3630)のそれぞれのスプラインの少なくとも一部分が、第2のカテーテル(3620)の遠位端部(3622)の遠位に延在している。組織(3690)は、左心房の後壁の心内膜表面などのような心臓壁であることが可能である。第2のカテーテル(3620)の遠位端部(3622)は、第1の距離(3692)だけ組織(3690)から分離され得る。したがって、第2の構成におけるアブレーション・デバイス(3600)は、穿孔または他の外傷の低減されたリスクを伴って、非外傷性の様式で組織(3690)に係合することが可能である。したがって、アブレーション・デバイス(3600)は、左心房の後壁などのような薄い組織構造体さえもアブレートするために使用され得る。
これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ハンドルは、第2のカテーテル(3620)に連結され得、ハンドルは、第1の構成と第2の構成との間での1セットのスプラインの変形に影響を与えるように構成され得る。たとえば、ハンドルは、第2のカテーテル(3620)を第1のカテーテル(3610)に対して並進させるように構成され得、それによって、第2のカテーテル(3620)に連結されている1セットのスプライン(3630)を作動させ、それらが曲がることおよびツイストすることを引き起こす。スプライン(3630)の近位端部は、第2のカテーテル(3620)に固定され得、それによって、たとえば、ユーザーによって保持され得る第1のカテーテル(3610)に対して第2のカテーテル(3620)が引っ張り戻されるときに、スプライン(3630)の座屈を発生させ、スプライン(3630)の曲げ運動およびツイスト運動を結果として生じさせる。たとえば、第2のカテーテル(3620)につながれている1セットのスプライン(3630)の遠位端部は、アブレーション・デバイスの長手方向軸線に沿って最大で約60mmまで並進させられ、構成におけるこの変化を作動させることが可能である。換言すれば、ハンドルの作動部材の並進は、1セットのスプライン(3630)を曲げてツイストすることが可能である。いくつかの実施形態において、デバイス・ハンドルの中のノブ、ホイール、または他の回転制御メカニズムの作動は、作動部材または第2のカテーテルの並進を結果として生じさせることが可能であり、スプライン(3630)が曲がることおよびツイストすることを結果として生じさせることが可能である。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3640)のうちの少なくとも2つの電極の電気リード線は、アブレーション・デバイス(3600)の近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結され得る。
第1のカテーテル(3610)に対する第2のカテーテル(3620)の後退は、図36A~図36Cに示されているように、1セットのスプライン(3630)を互いに近付けることが可能である。1セットのスプライン(3630)は、さらに、第1のカテーテル(3610)の長手方向軸線(3650)に対して概して垂直になっているかまたは遠位に角度を付けられている。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3630)のそれぞれのスプラインは、最大で約30cmまで、長手方向軸線(3650)から離れるように横方向に付勢され得る。いくつかの実施形態において、第2のカテーテル(3620)は、中空の管腔を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、スプラインの断面は、非対称になっていることが可能であり、断面の平面に直交するスプラインの1つの曲げ平面において、異なる曲げ平面よりも大きい曲げ剛性を有するようになっている。そのような非対称の断面は、相対的に大きい横方向の剛性を提示するように構成され得、それによって、最終的なまたは完全に展開された構成において、それぞれのスプラインおよびその隣接物の花弁形状の曲線の最小オーバーラップを伴って展開することが可能である。
1つの実施形態では、スプライン(3630)の上の電極(3640)のそれぞれは、アノードとして構成され得、一方では、異なるスプライン(3630)の上の電極(3640)のそれぞれは、カソードとして構成され得る。別の実施形態では、1つのスプラインの上の電極(3640)は、アノードとカソードとの間で交互になっていることが可能であり、別のスプラインの電極は、逆の構成を有している(たとえば、カソードおよびアノード)。
いくつかの実施形態において、スプライン電極は、シーケンシャルな様式で電気的に活性化させられ、それぞれのアノード-カソード・ペアリングによってパルス波形を送達することが可能である。いくつかの実施形態において、電極は、スプラインの中で一緒に電気的に配線され得、一方では、代替的な実施形態において、それらは、デバイスのハンドルの中で一緒に配線され得、これらの電極が、アブレーションの間に同じ電位になるようになっている。他の実施形態において、電極(3640)のサイズ、形状、および間隔は、同様に異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、隣接する遠位電極および近位電極は、アノード-カソード・ペアを形成することが可能である。たとえば、遠位電極は、アノードとして構成され得、近位電極は、カソードとして構成され得る。
アブレーション・デバイス(3600)は、任意の数のスプライン、たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(3600)は、3つから20個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、アブレーション・デバイス(3600)は、4つから12個のスプラインを含むことが可能である。
1セットのスプライン(3630)のスプラインのそれぞれは、非外傷性の形状を有するそれぞれの電極(3640)を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。たとえば、電極(3640)は、心内膜組織に接触するように構成されている、丸みを帯びた、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む非外傷性の形状を有することが可能である。いくつかの実施形態において、電極(3640)は、第1のカテーテル(3610)の遠位におけるスプライン(3630)の任意の部分に沿って位置付けされ得る。電極(3640)は、それぞれのスプラインに沿って、同じまたは異なるサイズ、形状、および/または場所を有することが可能である。
このように、第2の構成における電極は、左心房の心房壁のセクションの近くに保持されるかまたはそれに対抗して設置され得、本明細書で説明されているように、任意の適切な極性の組合せを使用して適当な電極の活性化によって、その上に損傷を直接的に発生させるようになっている。たとえば、1セットのスプライン(3630)は、肺静脈(3650)(たとえば、口または洞)および/または後壁に隣接する心房(3652)の心房壁(3654)に接触して設置され得る。
図37A~図37Bは、アブレーション・カテーテル(3730)および左心房(3700)の斜視図である。図37Aは、左心房(3700)の中に配設されているアブレーション・カテーテル(3730)の斜視図である。左心房(3700)は、1セットの肺静脈(3720)および後壁(3710)を含む。アブレーション・デバイス(3730)は、本明細書で説明されているアブレーション・デバイス(3500、3600)と構造的におよび/または機能的に同様であることが可能であり、左心房(3700)の中へ前進させられ、後壁(3710)の敏感な組織を穿孔することなく、および/または、後壁(3710)の敏感な組織への外傷を引き起こすことなく、左心房(3700)の後壁(3710)に近接しておよび/または接触して位置決めされ得る。たとえば、1セットのスプラインは、スプラインに連結されているカテーテルの遠位端部の遠位に延在することが可能であり、デバイス(3730)の任意の他の部分が後壁(3710)と接触していない状態で、可撓性のおよび非外傷性のスプラインが、後壁(3710)に隣接または接触することができるようになっている。デバイス(3700)の最も遠位の部分が第2の構成(たとえば、花形形状を有する)において1セットのスプラインのみを含む実施形態では、展開されるデバイスは、アブレーション・デバイス(3700)からの外傷の最小リスクを伴って、心臓壁などのような薄い組織構造体に係合することが可能である。1セットのパルス波形が、花形形状を有するアブレーション・デバイス(3700)の電極によって適用され、アブレーション・ゾーン(3740)の中の組織をアブレートすることが可能である。
図37Bは、組織アブレーションの後の左心房(3700)の斜視図の概略図である。アブレーション・デバイス(3700)は、左心房(3700)の後壁(3710)の上に1セットのアブレーション・ゾーン(3740、3742、3744)を発生させるために使用され得る。たとえば、完全なアブレーション同士の間でのカテーテルの移動によって繰り返される、アブレーション・デバイス(3730)のスプラインのうちの1つまたは複数の上の電極のうちの1つまたは複数による活性化は、左心房(3700)の後壁(3710)に沿って、1セットのアブレーション・ゾーン(3740、3742、3744)を発生させることが可能である。いくつかの実施形態において、アブレーション・ゾーン(3740、3742、3744)は、互いに部分的にオーバーラップすることが可能である。これらの連続的なオーバーラップしているアブレーション・ゾーンは、おおよそ、アブレーション(3746)の太い線を形成することが可能である。1つまたは複数のアブレーション・ラインは、他のアブレーション・ライン(たとえば、肺静脈洞または肺静脈口の周りに発生させられる)および/またはアブレーション・ゾーンに接続し、それによって、ボックス損傷を生成させることが可能である。たとえば、1セットの連続的なアブレーション・ゾーンは、アブレーション・デバイス(3730)によって形成され、左心房(3700)の後壁(3710)の周りにボックス損傷を形成することが可能であり、それは、また、肺静脈(3720)のうちの1つまたは複数を取り巻くことが可能である。このように、連続的で経皮的な損傷が、すべての肺静脈の周りに発生させられ、肺静脈の電気的な隔離を結果として生じさせ、望まれる治療結果を提供することが可能である。いくつかの実施形態において、1セットのアブレーション・ゾーン(3740、3742、3744)のそれぞれのアブレーション・ゾーンは、約2cmから約6cmの間の直径を有することが可能である。たとえば、アブレーション・ゾーンは、約2.3cmから約4.0cmの間の直径を有することが可能である。
いくつかの実施形態において、電極または電極のサブセットが独立してアドレス指定可能であるので、電極は、不可逆電気穿孔法によって組織をアブレートするのに十分な任意のパルス波形を使用して、任意のシーケンスで励起され得る。スプラインの上のおよびスプライン同士の間の電極のサイズ、形状、および間隔は、1つまたは複数の肺静脈を電気的に隔離するのに十分なエネルギーを送達するように構成され得るということが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、代替的な電極は、同じ電位にあることが可能であり、すべての他の交互の電極に関しても同様である。したがって、いくつかの実施形態において、アブレーションは、すべての電極が同時に活性化させられた状態で迅速に送達され得る。さまざまなそのような電極ペアリング・オプションが存在し、その都合に基づいて実装され得る。
図27A~図27Bは、アブレーション・デバイス(2700)の実施形態の側面図であり、アブレーション・デバイス(2700)は、デバイス(2700)の近位端部におけるカテーテル・シャフト(2710)と、デバイス(2700)の遠位端部においてカテーテル・シャフト(2710)に連結されている1セットのスプライン(2720)とを含む。アブレーション・デバイス(2700)は、1セットのスプライン(2720)の1つまたは複数のスプラインを介して、使用の間にパルス波形を組織に送達するように構成され得る。アブレーション・デバイス(2700)のそれぞれのスプライン(2720)は、スプライン(2720)の表面(たとえば、遠位端部)の上に形成された、1つまたは複数の場合によっては独立してアドレス指定可能な電極(2730)を含むことが可能である。それぞれの電極(2730)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である。1セットのスプライン(2720)のそれぞれのスプラインは、スプライン(2720)の本体部の中に(たとえば、スプライン(2720)の管腔の中に)形成されたそれぞれの電極(2730)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、電極(2730)は、それらのそれぞれのスプライン(2720)の遠位端部に形成され得る。
1セットのスプライン(2720)は、アブレーション・デバイス(2700)の遠位部分において送達アッセンブリを形成することが可能であり、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成され得る。第1の構成における1セットのスプライン(2720)は、アブレーション・デバイス(2700)の長手方向軸線に概して平行になっており、互いに間隔を空けずに配置され得る。第2の構成における1セットのスプライン(2720)は、図27A~図27Bに示されており、図27A~図27Bでは、1セットのスプライン(2720)は、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部から外へ延在しており、アブレーション・デバイス(2700)の長手方向軸線および他のスプライン(2720)から離れるように付勢している(たとえば、湾曲している)。このように、スプライン(2720)は、心内膜空間の幾何学形状により容易に一致することが可能である。送達アッセンブリは、パルス波形を送達する前に、第1の構成で配設され得、左心房の後壁または心室などのような心臓組織のセクションに対して、第2の構成に変形され得る。不可逆電気穿孔法パルス波形を送達するそのようなデバイスは、フォーカル・アブレーションのための大きい損傷を発生させることが可能である。
1セットのスプライン(2720)の遠位端部は、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部の長手方向軸線から離れるように付勢し、また、他のスプラインから離れるように付勢するように構成され得る。1セットのスプライン(2720)のそれぞれのスプラインは、フレキシブルな曲率を含むことが可能である。スプライン(2720)の曲率の最小半径は、約1cm以上の範囲にあることが可能である。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(2720)の近位端部は、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部にスライド可能に連結され得る。したがって、1セットのスプライン(2720)の長さは、図27Aおよび図27Bに示されているように変化させられ得る。1セットのスプライン(2720)は、カテーテル・シャフト(2710)から外へさらに延在させられているので、1セットのスプライン(2720)の遠位端部は、互いからおよびカテーテル・シャフト(2710)の長手方向軸線から離れるようにさらに付勢することが可能である。1セットのスプライン(2720)は、独立してまたは1つまたは複数のグループで、カテーテル・シャフト(2710)から外へスライド可能に前進させられ得る。たとえば、1セットのスプライン(2720)は、第1の構成でカテーテル・シャフト(2710)の中に配設され得る。次いで、スプライン(2720)は、カテーテル・シャフト(2710)から外へ前進させられ、第2の構成へ変形され得る。スプライン(2720)は、すべて一緒に前進させられ得るか、または、アノード電極(2730)に対応する1セットのスプライン(2720)が、カソード電極(2730)に対応する1セットのスプライン(2720)とは別個に前進させられるように前進させられ得る。いくつかの実施形態において、スプライン(2720)は、独立して前進させられ得る。第2の構成において、電極(2730)は、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部の長手方向軸線に対して長手方向におよび/または横方向に、カテーテル・シャフト(2710)から離れるように付勢されている。これは、心内膜表面に対する電極(2730)の送達および位置決めを補助することが可能である。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(2720)のそれぞれは、最大で約5cmまで、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部から延在することが可能である。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(2720)は、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部から固定長さを有することが可能である。スプライン(2720)は、等しい長さまたは等しくない長さにおいて、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部から延在することが可能である。たとえば、隣接するスプラインよりも大きい曲率半径を有するスプラインは、隣接するスプラインよりも遠くにカテーテル・シャフト(2710)から延在することが可能である。1セットのスプライン(2720)は、ガイド・シースの管腔によって拘束され得、1セットのスプライン(2720)が、第1の構成において、カテーテル・シャフト(2710)の長手方向軸線に対して実質的に平行になるようになっている。
これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ハンドル(図示せず)は、1セットのスプラインに連結され得る。ハンドルは、第1の構成と第2の構成との間での1セットのスプラインの変形に影響を与えるように構成され得る。いくつかの実施形態において、1セットの電極(2730)のうちの少なくとも2つの電極の電気リード線は、アブレーション・デバイスの近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結され得る。このケースでは、電極(2730)は、デバイス(2700)のハンドルの中で一緒に電気的に配線され得、これらの電極(2730)が、アブレーションの間に同じ電位にあるようになっている。
1セットのスプライン(2720)のスプラインのそれぞれは、1セットのスプライン(2720)の遠位端部において、それぞれの電極(2730)を含むことが可能である。1セットの電極(2730)は、非外傷性の形状を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。たとえば、電極(2730)は、心内膜組織に接触するように構成されている、丸みを帯びた、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む非外傷性の形状を有することが可能である。いくつかの実施形態において、電極(2730)は、カテーテル・シャフト(2710)の遠位におけるスプライン(2720)の任意の部分に沿って位置付けされ得る。電極(2730)は、それぞれのスプラインに沿って、同じまたは異なるサイズ、形状、および/または場所を有することが可能である。
1つの実施形態では、スプライン(2720)の上の電極(2730)は、アノードとして構成され得、一方では、隣接するスプライン(2720)の上の電極(2730)は、カソードとして構成され得る。アブレーション・デバイス(2700)は、任意の数のスプライン、たとえば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2700)は、3つから20個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、アブレーション・デバイス(2700)は、6つから12個のスプラインを含むことが可能である。
図27A~図27Bは、アブレーション・デバイス(2700)の実施形態の側面図であり、アブレーション・デバイス(2700)は、デバイス(2700)の近位端部におけるカテーテル・シャフト(2710)と、デバイス(2700)の遠位端部においてカテーテル・シャフト(2710)に連結されている1セットのスプライン(2720)とを含む。アブレーション・デバイス(2700)は、1セットのスプライン(2720)の1つまたは複数のスプラインを介して、使用の間にパルス波形を組織に送達するように構成され得る。アブレーション・デバイス(2700)のそれぞれのスプライン(2720)は、スプライン(2720)の表面(たとえば、遠位端部)の上に形成された、1つまたは複数の場合によっては独立してアドレス指定可能な電極(2730)を含むことが可能である。それぞれの電極(2730)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である。1セットのスプライン(2720)のそれぞれのスプラインは、スプライン(2720)の本体部の中に(たとえば、スプライン(2720)の管腔の中に)形成されたそれぞれの電極(2730)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、電極(2730)は、それらのそれぞれのスプライン(2720)の遠位端部に形成され得る。
1セットのスプライン(2720)は、アブレーション・デバイス(2700)の遠位部分において送達アッセンブリを形成することが可能であり、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成され得る。第1の構成における1セットのスプライン(2720)は、アブレーション・デバイス(2700)の長手方向軸線に概して平行になっており、互いに間隔を空けずに配置され得る。第2の構成における1セットのスプライン(2720)は、図27A~図27Bに示されており、図27A~図27Bでは、1セットのスプライン(2720)は、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部から外へ延在しており、アブレーション・デバイス(2700)の長手方向軸線および他のスプライン(2720)から離れるように付勢している(たとえば、湾曲している)。このように、スプライン(2720)は、心内膜空間の幾何学形状により容易に一致することが可能である。送達アッセンブリは、パルス波形を送達する前に、第1の構成で配設され得、左心房の後壁または心室などのような心臓組織のセクションに対して、第2の構成に変形され得る。不可逆電気穿孔法パルス波形を送達するそのようなデバイスは、フォーカル・アブレーションのための大きい損傷を発生させることが可能である。
1セットのスプライン(2720)の遠位端部は、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部の長手方向軸線から離れるように付勢し、また、他のスプラインから離れるように付勢するように構成され得る。1セットのスプライン(2720)のそれぞれのスプラインは、フレキシブルな曲率を含むことが可能である。スプライン(2720)の曲率の最小半径は、約1cm以上の範囲にあることが可能である。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(2720)の近位端部は、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部にスライド可能に連結され得る。したがって、1セットのスプライン(2720)の長さは、図27Aおよび図27Bに示されているように変化させられ得る。1セットのスプライン(2720)は、カテーテル・シャフト(2710)から外へさらに延在させられているので、1セットのスプライン(2720)の遠位端部は、互いからおよびカテーテル・シャフト(2710)の長手方向軸線から離れるようにさらに付勢することが可能である。1セットのスプライン(2720)は、独立してまたは1つまたは複数のグループで、カテーテル・シャフト(2710)から外へスライド可能に前進させられ得る。たとえば、1セットのスプライン(2720)は、第1の構成でカテーテル・シャフト(2710)の中に配設され得る。次いで、スプライン(2720)は、カテーテル・シャフト(2710)から外へ前進させられ、第2の構成へ変形され得る。スプライン(2720)は、すべて一緒に前進させられ得るか、または、アノード電極(2730)に対応する1セットのスプライン(2720)が、カソード電極(2730)に対応する1セットのスプライン(2720)とは別個に前進させられるように前進させられ得る。いくつかの実施形態において、スプライン(2720)は、独立して前進させられ得る。第2の構成において、電極(2730)は、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部の長手方向軸線に対して長手方向におよび/または横方向に、カテーテル・シャフト(2710)から離れるように付勢されている。これは、心内膜表面に対する電極(2730)の送達および位置決めを補助することが可能である。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(2720)のそれぞれは、最大で約5cmまで、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部から延在することが可能である。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(2720)は、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部から固定長さを有することが可能である。スプライン(2720)は、等しい長さまたは等しくない長さにおいて、カテーテル・シャフト(2710)の遠位端部から延在することが可能である。たとえば、隣接するスプラインよりも大きい曲率半径を有するスプラインは、隣接するスプラインよりも遠くにカテーテル・シャフト(2710)から延在することが可能である。1セットのスプライン(2720)は、ガイド・シースの管腔によって拘束され得、1セットのスプライン(2720)が、第1の構成において、カテーテル・シャフト(2710)の長手方向軸線に対して実質的に平行になるようになっている。
これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ハンドル(図示せず)は、1セットのスプラインに連結され得る。ハンドルは、第1の構成と第2の構成との間での1セットのスプラインの変形に影響を与えるように構成され得る。いくつかの実施形態において、1セットの電極(2730)のうちの少なくとも2つの電極の電気リード線は、アブレーション・デバイスの近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結され得る。このケースでは、電極(2730)は、デバイス(2700)のハンドルの中で一緒に電気的に配線され得、これらの電極(2730)が、アブレーションの間に同じ電位にあるようになっている。
1セットのスプライン(2720)のスプラインのそれぞれは、1セットのスプライン(2720)の遠位端部において、それぞれの電極(2730)を含むことが可能である。1セットの電極(2730)は、非外傷性の形状を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。たとえば、電極(2730)は、心内膜組織に接触するように構成されている、丸みを帯びた、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む非外傷性の形状を有することが可能である。いくつかの実施形態において、電極(2730)は、カテーテル・シャフト(2710)の遠位におけるスプライン(2720)の任意の部分に沿って位置付けされ得る。電極(2730)は、それぞれのスプラインに沿って、同じまたは異なるサイズ、形状、および/または場所を有することが可能である。
1つの実施形態では、スプライン(2720)の上の電極(2730)は、アノードとして構成され得、一方では、隣接するスプライン(2720)の上の電極(2730)は、カソードとして構成され得る。アブレーション・デバイス(2700)は、任意の数のスプライン、たとえば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2700)は、3つから20個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、アブレーション・デバイス(2700)は、6つから12個のスプラインを含むことが可能である。
図27A~図27Bにおいて、1つの電極(2730)が、それぞれのスプライン(2720)の表面の上に形成されており、それぞれのスプライン(2720)が、1つの絶縁された電気リード線を含むようになっている。したがって、スプライン(2720)の管腔は、直径が低減され得、スプライン(2720)がより厚くなることおよびより機械的にロバストになることを可能にすることができる。したがって、絶縁の誘電破壊は、さらに低減され、それによって、それぞれのスプライン(2720)およびアブレーション・デバイス(2700)の信頼性および寿命を改善することが可能である。そのうえ、いくつかの実施形態において、スプラインの曲率半径は、スプラインの長さにわたって変化することが可能である。たとえば、曲率半径は、単調に増加していることが可能である。そのような可変の曲率半径は、心内膜組織のいくつかの場所における電極(2730)の位置決めを補助することが可能である。スプライン(2720)は、同じまたは異なる材料、厚さ、および/または曲率半径を有することが可能である。たとえば、それぞれのスプラインの厚さは、遠位に低減することが可能である。
このように、第2の構成における電極は、たとえば、左心房の後壁に押し付けられ得、任意の適切な極性の組合せを使用して適当な電極の活性化によって、その上に限局性または局所性損傷を直接的に発生させるようになっている。たとえば、隣接する電極(2730)は、反対の極性を備えて構成され得る。
電極または電極のサブセットが独立してアドレス指定可能であり得るので、電極は、不可逆電気穿孔法によって組織をアブレートするのに十分な任意のパルス波形を使用して、任意のシーケンスで励起され得る。たとえば、異なるセットの電極は、本明細書でさらに詳細に議論されているように、異なるセットのパルス(たとえば、階層的なパルス波形)を送達することが可能である。スプラインの上のおよびスプライン同士の間の電極のサイズ、形状、および間隔は、心内膜組織の比較的に広いエリアにわたって経皮的な損傷を送達するように構成され得るということが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、代替的な電極は、同じ電位にあることが可能であり、すべての他の交互の電極に関しても同様である。したがって、アブレーションは、すべての電極が同時に活性化させられた状態で迅速に送達され得る。さまざまなそのような電極ペアリング・オプションが存在し、その都合に基づいて実装され得る。
図27Cを参照すると、そうでないことが示されていない限り、図27A~図27Bの中のものと同様の参照番号を伴うコンポーネント(たとえば、図27A~図27Bの中の電極(2730)、および、図27Cの中の電極(2730’))は、構造的におよび/または機能的に同様であることが可能であるということが理解される。図27Cは、1セットのスプライン(2720’)を図示しており、ここで、それぞれのスプライン(2720’)は、1対の電極(2730’、2740)を含む。
アブレーション・デバイス(2700’)は、デバイス(2700’)の近位端部におけるカテーテル・シャフト(2710’)と、デバイス(2700’)の遠位端部においてカテーテル・シャフト(2710’)に連結されている1セットのスプライン(2720’)とを含む。アブレーション・デバイス(2700’)は、1セットのスプライン(2720’)の1つまたは複数のスプラインを介して、使用の間にパルス波形を組織に送達するように構成され得る。アブレーション・デバイス(2700’)のそれぞれのスプライン(2720’)は、スプライン(2720’)の表面の上に形成された、1つまたは複数の独立してアドレス指定可能な電極(2730’、2740)を含むことが可能である。それぞれの電極(2730’、2740)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である。1セットのスプライン(2720’)のそれぞれのスプラインは、スプライン(2720’)の本体部の中に(たとえば、スプライン(2720’)の管腔の中に)形成されたそれぞれの電極(2730’、2740)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。スプライン(2720’)のそれぞれの電極(2730’、2740)は、おおよそ同じサイズおよび形状を有することが可能である。そのうえ、スプライン(2720’)のそれぞれの電極(2730’、2740)は、隣接するスプライン(2720’)の電極(2730’、2740)とおおよそ同じサイズ、形状、および間隔を有することが可能である。他の実施形態において、電極(2730’、2740)のサイズ、形状、数、および間隔は異なっていてもよい。
いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2700’)の電極(2730’、2740)は、約0.5mmから約5.0mmの長さ、および、約0.5mmから約4.0mmの断面寸法(たとえば、直径)を有することが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。第2の構成におけるスプライン・ワイヤー(2720’)は、アブレーション・デバイス(2700’)の遠位端部において、約5.0mmから約20.0mmの範囲Sdで互いから広がることが可能であり(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)、また、カテーテル・シャフト(2710’)の遠位端部から、約8.0mmから約20.0mmの長さSlにわたって延在することが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2700’)は、4つのスプライン、5つのスプライン、または6つのスプラインを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、それぞれのスプラインは、1つの電極、2つの電極、または3つもしくはそれ以上の電極を独立して含むことが可能である。
1セットのスプライン(2720’)は、アブレーション・デバイス(2700’)の遠位部分において送達アッセンブリを形成することが可能であり、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成され得る。第1の構成における1セットのスプライン(2720’)は、アブレーション・デバイス(2700)の長手方向軸線に概して平行になっており、互いに間隔を空けずに配置され得る。第2の構成における1セットのスプライン(2720’)は、図27Cに示されており、図27Cでは、1セットのスプライン(2720’)は、カテーテル・シャフト(2710’)の遠位端部から外へ延在しており、アブレーション・デバイス(2700’)の長手方向軸線および他のスプライン(2720’)から離れるように付勢している(たとえば、湾曲している)。このように、スプライン(2720’)は、心内膜空間の幾何学形状により容易に一致することが可能である。送達アッセンブリは、パルス波形を送達する前に、第1の構成で配設され得、第2の構成に変形され、心内膜組織の領域に接触し、本明細書で開示されているように、不可逆電気穿孔法のためにパルス波形を送達すると、大きい局所性損傷を発生させることが可能である。いくつかの実施形態において、図27Cに示されている第2の構成における電極(2730’)(「遠位電極」と称されることもある)は、心内膜組織に接触して押し付けるように構成され得、一方では、第2の構成における電極(2740)(「近位電極」と称されることもある)は、心内膜組織に接触しない可能性がある。このように、血液プールを通して近位電極と遠位電極との間の伝導に起因して電極によって発生させられる電界は、組織のフォーカル・アブレーションを結果として生じさせる。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(2720’)の近位端部は、カテーテル・シャフト(2710’)の遠位端部にスライド可能に連結され得る。1セットのスプライン(2720’)は、カテーテル・シャフト(2710’)から外へさらに延在させられているので、1セットのスプライン(2720’)の遠位端部は、互いからおよびカテーテル・シャフト(2710’)の長手方向軸線から離れるようにさらに付勢することが可能である。1セットのスプライン(2720’)は、独立してまたは1つまたは複数のグループで、カテーテル・シャフト(2710’)から外へスライド可能に前進させられ得る。たとえば、1セットのスプライン(2720’)は、第1の構成でカテーテル・シャフト(2710’)の中に配設され得る。次いで、スプライン(2720’)は、カテーテル・シャフト(2710’)から外へ前進させられ、第2の構成へ変形され得る。スプライン(2720’)は、すべて一緒に前進させられ得るか、または、アノード電極(2730)に対応する1セットのスプライン(2720’)が、カソード電極(2730’、2740)に対応する1セットのスプライン(2720’)とは別個に前進させられるように前進させられ得る。いくつかの実施形態において、スプライン(2710’)は、カテーテル・シャフト(2710’)のそれぞれの管腔(たとえば、シース)を通して独立して前進させられ得る。第2の構成において、電極(2730’、2740)は、カテーテル・シャフト(2710’)の遠位端部の長手方向軸線に対して長手方向におよび/または横方向に、カテーテル・シャフト(2710’)から離れるように付勢されている。これは、心内膜表面に対する電極(2730’、2740)の送達および位置決めを補助することが可能である。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(2720’)のそれぞれは、最大で約5cmまで、カテーテル・シャフト(2710’)の遠位端部から延在することが可能である。
いくつかの実施形態において、遠位電極(2730’)は、同じ極性を有することが可能であり、一方では、隣接する近位電極(2740)は、遠位電極(2730’)と反対の極性を有することが可能である。このように、電界は、フォーカル・アブレーションのために遠位電極と近位電極との間に発生させられ得る。
これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ハンドル(図示せず)は、1セットのスプラインに連結され得る。ハンドルは、第1の構成と第2の構成との間での1セットのスプラインの変形に影響を与えるように構成され得る。いくつかの実施形態において、1セットの電極(2730’、2740)のうちの少なくとも2つの電極の電気リード線は、アブレーション・デバイスの近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結され得る。いくつかの実施形態において、電極(2730’、2740)は、デバイス(2700’)のハンドルの中で一緒に電気的に配線され得、これらの電極(2730’、2740)が、アブレーションの間に同じ電位にあるようになっている。
1セットの電極(2730’、2740)は、非外傷性の形状を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。たとえば、電極(2730’、2740)は、心内膜組織に接触するように構成されている、丸みを帯びた、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む非外傷性の形状を有することが可能である。いくつかの実施形態において、電極(2730’、2740)は、カテーテル・シャフト(2710’)の遠位におけるスプライン(2720’)の任意の部分に沿って位置付けされ得る。電極(2730’、2740)は、それぞれのスプラインに沿って、同じまたは異なるサイズ、形状、および/または場所を有することが可能である。スプライン(2720’)のうちの1つまたは複数は、3つ以上の電極を含むことが可能である。
いくつかの実施形態において、スプライン(2720’)の上の電極(2730’)のそれぞれは、アノードとして構成され得、一方では、隣接するスプライン(2720’)の上の電極(2730’)のそれぞれは、カソードとして構成され得る。別の実施形態では、1つのスプラインの上の電極(2730’)のそれぞれは、アノードとカソードとの間で交互になっていることが可能であり、隣接するスプラインの電極のそれぞれは、逆の構成を有している(たとえば、カソードおよびアノード)。いくつかの実施形態において、電極のサブセットは、デバイスのハンドルの中で一緒に電気的に配線され得、これらの電極が、アブレーションの間に同じ電位にあるようになっている。他の実施形態において、電極(2730)のサイズ、形状、および間隔は、同様に異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、隣接する遠位電極(2730’)および近位電極(2740)は、アノード-カソード・ペアを形成することが可能である。たとえば、遠位電極(2730’)は、アノードとして構成され得、近位電極(2740)は、カソードとして構成され得る。
アブレーション・デバイス(2700’)は、任意の数のスプライン、たとえば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2700’)は、3つから20個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、アブレーション・デバイス(2700)は、6つから12個のスプラインを含むことが可能である。
図27Cにおいて、2つの電極(2730’、2740)が、それぞれのスプライン(2720’)の表面の上に形成されており、それぞれのスプライン(2720’)が、2つの絶縁された電気リード線を含むようになっている。それぞれのスプラインの厚さは、それぞれのスプライン(2720’)の上に形成された電極の数に基づいて変化することが可能であり、それは、スプライン(2720’)の中の絶縁された電気リード線の数に対応することが可能である。スプライン(2720’)は、同じまたは異なる材料、厚さ、および/または曲率半径を有することが可能である。たとえば、それぞれのスプライン(2720’)の厚さは、遠位に低減することが可能である。
このように、第2の構成における電極は、心内膜組織のセクションに対抗して設置され得、不可逆電気穿孔法のためのパルス波形の送達のために任意の適切な極性の組合せを使用して適当な電極の活性化によって、その上に損傷を直接的に発生させるようになっている。たとえば、隣接する電極(2730’、2740)は、反対の極性を備えて構成され得る。
電極が独立してアドレス指定可能であり得るので、電極は、不可逆電気穿孔法によって組織をアブレートするのに十分な任意のパルス波形を使用して、任意のシーケンスで励起され得る。たとえば、異なるセットの電極は、本明細書でさらに詳細に議論されているように、異なるセットのパルス(たとえば、階層的なパルス波形)を送達することが可能である。スプラインの上のおよびスプライン同士の間の電極のサイズ、形状、および間隔は、連続的な/経皮的なエネルギーを送達し、1つまたは複数の肺静脈を電気的に隔離するように構成され得るということが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、代替的な電極は、同じ電位にあることが可能であり、すべての他の交互の電極に関しても同様である。したがって、アブレーションは、すべての電極が同時に活性化させられた状態で迅速に送達され得る。さまざまなそのような電極ペアリング・オプションが存在し、その都合に基づいて実装され得る。
図28は、アブレーション・デバイス(2800)のさらに別の実施形態の側面図であり、アブレーション・デバイス(2800)は、デバイス(2800)の近位端部におけるカテーテル・シャフト(2810)と、デバイス(2800)の遠位キャップ(2812)と、それに連結されている1セットのスプライン(2814)とを含む。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2800)は、本明細書で説明されているように、フォーカル・アブレーションを介して心内膜表面の上に損傷を形成するのに有用である。
遠位キャップ(2812)は、本明細書でさらに詳細に説明されているように、非外傷性の形状および1つまたは複数の独立してアドレス指定可能な電極(2816)(「遠位電極」と称されることもある)を含むことが可能である。1セットのスプライン(2814)の近位端部は、カテーテル・シャフト(2810)の遠位端部に連結され得、1セットのスプライン(2814)の遠位端部は、デバイス(2800)の遠位キャップ(2812)につながれ得る。アブレーション・デバイス(2800)のそれぞれのスプライン(2814)は、スプライン(2814)の表面の上に形成された1つまたは複数の独立してアドレス指定可能な電極(2818)(「近位電極」と称されることもある)を含むことが可能である。それぞれの電極(2816、2818)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。それぞれのスプライン(2814)は、スプライン(2814)の本体部の中に(たとえば、スプライン(2814)の管腔の中に)形成されたそれぞれの電極(2818)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。スプライン(2818)のうちの1つまたは複数は、遠位電極(2816)の絶縁された電気リード線をさらに含むことが可能である。いくつかの実施形態において、電極(2816、2818)のサイズおよび/または形状は、互いに異なっていてもよい。
1セットのスプライン(2814)および近位電極(2818)の構成は、アブレーション・デバイス(2800)によって発生させられるフォーカル・アブレーション損傷の深さ、形状、および/または直径/サイズを制御することが可能である。アブレーション・デバイス(2800)は、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成され得、第1の構成では、1セットのスプライン(2814)は、アブレーション・デバイス(2800)の長手方向軸線に対して概して平行に配置されており、第2の構成では、1セットのスプライン(2814)は、アブレーション・デバイス(2800)の長手方向軸線から半径方向外向きに曲がっている。1セットのスプライン(2814)は、連続的にまたは個別の工程で、第1の構成と第2の構成との間の任意の中間構成へ変形され得るということが理解される。
所定の構成を使用する電極の活性化は、スプライン(2814)の拡張に基づいてフォーカル・アブレーション・スポット・サイズを制御することによって、ターゲットにされたおよび精密なフォーカル・アブレーションを提供することが可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、遠位電極(2816)は、第1の極性を備えて構成され得、1つまたは複数の近位電極(2818)は、第1の極性の反対の第2の極性を備えて構成され得る。アブレーション・デバイス(2800)の近位電極(2818)が、第1の構成になっているときには、比較的により小さい/より集束された直径を有する高強度電界は、心内膜表面の上にフォーカル・アブレーション損傷を結果として生じさせ、それは、比較的に直径がより小さくなっており、また、より大きい深さを有している。アブレーション・デバイス(2800)の近位電極(2818)が第2の構成になっているときには、比較的により分散された電界が発生させられ、心内膜表面の上にフォーカル・アブレーション損傷を結果として生じさせ、それは、第1の構成によるものよりも相対的に広くて浅くなっている。このように、スプライン(2814)の拡張の範囲を変化させることによって、損傷の深さ、形状、および/またはサイズは、アブレーション・デバイス(2800)をスイッチアウトすることなく制御され得る。そのような態様は、同じアブレーション・デバイスを使用してさまざまなサイズおよび/または深さの複数の損傷を生成させるのに有用である。
遠位キャップ(2812)は、心内膜組織に押し付けるように配設され得、一方では、第1の構成または第2の構成のいずれかにおける近位電極(2818)は、心内膜組織に接触しないように構成され得る。遠位電極(2816)は、心内膜組織に接触する必要がないということが認識されるべきである。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ハンドル(図示せず)は、1セットのスプライン(2814)に連結され得、ハンドルは、第1の構成と第2の構成との間での1セットのスプライン(2814)の変形に影響を与えるように構成され得る。いくつかの実施形態において、1セットの電極の少なくとも2つの電極の電気リード線は、アブレーション・デバイス(2800)の近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結され得る。
いくつかの実施形態において、遠位電極(2816)および近位電極(2818)は、アノード-カソード・ペアを形成することが可能である。たとえば、遠位電極(2816)は、アノードとして構成され得、近位電極(2818)のそれぞれは、カソードとして構成され得る。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2800)は、3つから12個のスプラインを含むことが可能である。アブレーション・デバイス(2800)は、任意の数のスプライン、たとえば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2800)は、3つから20個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、1つの実施形態では、アブレーション・デバイス(2800)は、6つから10個のスプラインを含むことが可能である。そのうえ、いくつかの実施形態において、拡張された1セットのスプライン(2814)の形状は、非対称になっていることが可能であり、たとえば、その遠位部分は、その近位部分よりも球根状になっているかまたは丸みを帯びている。そのような球根状の遠位部分(および、近位電極位置決め)は、フォーカル・アブレーションのサイズおよび深さをさらに制御することを補助することが可能である。
図28に示されている第1の平面(2822)は、カテーテル・シャフト(2810)の長手方向軸線に対して直交する平面を指すことが可能である。遠位キャップ(2812)は、たとえば、第1の平面(2812)の中に横たわっている心内膜表面(たとえば、肺静脈の管腔壁など)に押し付けられ得、任意の適切な極性の組合せを使用して、適当な電極の活性化によって、その上にフォーカル・アブレーション損傷を直接的に発生させるようになっている。たとえば、遠位電極(2816)は、心内膜表面に押し付けられ、フォーカル・アブレーション損傷(たとえば、スポット損傷)を形成するために使用され得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の近位電極(2818)は、遠位電極(2816)のものとは反対の極性を備えて構成され得る。逆に、近位電極(2818)のうちの1つまたは複数は、遠位電極(2816)と同じ極性を備えて構成され得る。いくつかの実施形態において、異なるスプライン(2814)の上の近位電極(2818)は、アノードとカソードとの間で交互になっていることが可能である。
いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2800)の遠位電極(2816)は、約0.5mmから約7.0mmの長さ、および、約0.5mmから約4.0mmの断面寸法(たとえば、直径)を含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、近位電極(2818)は、約0.5mmから約5.0mmの長さ、および、約0.5mmから約2.5mmの直径を含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。遠位電極(2816)は、約3.0mmから約12.0mmの長さだけ(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)、近位電極(2818)から分離され得る。遠位キャップ(2812)の上に配設されている遠位電極(2816)は、遠位キャップ(2812)の遠位端部から離れて、約1.0mmから約4.0mmに位置付けされ得る(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、遠位キャップ(2812)の遠位端部は、遠位電極(2816)を含むことが可能である。1つまたは複数のフォーカル・アブレーション・ゾーンは、約1.0cmから約2.0cmの直径を含むように形成され得る(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。
図29A~図29Dは、アブレーション・デバイス(2900)のさらに別の実施形態の側面図であり、アブレーション・デバイス(2900)は、外側カテーテルまたはシース(2902)と、1セットの内側カテーテル(2910、2920)とを含み、1セットの内側カテーテル(2910、2920)は、外側カテーテル・管腔の中をスライド可能であり、管腔の遠位端部から延在するようになっている。外側カテーテルは、長手方向軸線を画定することが可能である。外側カテーテル(2902)の内径は、約0.7mmから約3mmであることが可能であり、外側カテーテル(2902)の外径は、約2mmから約5mmであることが可能である。図29A、図29Dに最良に見られるように、アブレーション・デバイス(2900)は、第1のカテーテル(2910)を含み、第1のカテーテル(2910)は、第1の近位部分(2912)と、第1の遠位部分(2914)と、第1の電極(2916)とを有しており、第1の電極(2916)は、たとえば、第1の遠位部分(2914)の上に(たとえば、第1の遠位部分(2914)の表面の上などに)形成されている。第1の近位部分(2912)は、第1のヒンジ(2918)を介して第1の遠位部分(2914)に連結され得る。第2のカテーテル(2920)は、第2の近位部分(2922)と、第2の遠位部分(2924)と、第2の遠位部分(2924)の上に形成された第2の電極(2926)とを含む。第2の近位部分(2922)は、第2のヒンジ(2928)を介して第2の遠位部分(2924)に連結され得る。
いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2900)は、本明細書で説明されているように、フォーカル・アブレーションを介して心内膜表面の上に損傷を形成するのに有用である。カテーテル(2910、2920)の遠位端部および/または電極(2916、2922)は、非外傷性の形状を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。たとえば、カテーテル(2910、2920)の遠位端部および/または電極(2916、2922)は、心内膜組織に接触するように構成されている、丸みを帯びた、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む非外傷性の形状を有することが可能である。
それぞれの電極(2916、2926)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。それぞれのカテーテル(2910、2920)は、カテーテル(2910、2920)の本体部の中に(たとえば、カテーテル(2910、2920)の管腔の中に)形成されたそれぞれの電極(2916、2926)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。電極(2916、2926)のそれぞれは、カテーテル(2910、2920)の近位部分に連結されているハンドル(図示せず)につながる対応する絶縁された電気リード線に接続され得る。いくつかの実施形態において、電極(2916、2926)のサイズ、形状、および/または場所は、互いに異なっていてもよい。
いくつかの実施形態において、カテーテル(2910、2920)および電極(2916、2926)の構成は、アブレーション・デバイス(2900)によって発生させられるフォーカル・アブレーション損傷の深さ、形状、および/または直径/サイズを制御することが可能である。第1および第2のカテーテル(2910、2920)は、外側カテーテル(2902)の長手方向軸線に沿った並進のために構成され得る。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2900)は、第1の構成、第2の構成、および第3の構成の間で変形するように構成され得、第1の構成では、1セットのカテーテル(2910、2920)は、外側カテーテル(2902)の長手方向軸線に対して概して平行に配置されており、カテーテル(2910、2920)の遠位部分は、外側カテーテル(2902)の中に配設されており(たとえば、図29A);第2の構成では、電極(2916、2926)は、任意の適切な距離だけ、外側カテーテル・管腔(2902)の遠位端部(2903)から外へ離れるように前進させられており;第3の構成では、それぞれのカテーテル(2910、2920)の遠位部分は、その対応するカテーテル(2910、2920)の近位部分に対してその対応するヒンジ(2918、2928)の周りに回転するか、ツイストするか、または曲がることが可能である(たとえば、図29B~図29D)。たとえば、図29B~図29Cに最良に図示されているように、第1のカテーテル(2910)は、第1のヒンジ(2918)の周りに回転可能な遠位部分(2914)を含むことが可能であり、第1のヒンジ(2918)は、複数の位置において近位部分(2912)に対して遠位部分(2914)を位置決めするように構成され得る。第2および第3の構成におけるカテーテル(2910、2912)は、互いから離れるように角度を付けることが可能であり、外側カテーテル(2902)の長手方向軸線から離れるように付勢するようになっている。近位部分(2912、2922)の遠位端部は、長手方向軸線に対して、約5度から約75度の間の角度を形成することが可能である(たとえば、図29D)。アブレーション・デバイス(2900)は、連続的にまたは個別の工程で、第1の、第2の、および第3の構成の間の任意の中間構成へ変形され得るということが理解される。
いくつかの実施形態において、血液プールおよび/または心内膜組織を通した電極同士の間の伝導は、電界発生、および、心内膜表面へのアブレーティブ・エネルギーとしての電界の付与を結果として生じさせる。電極は、左心房の心房壁のセクションの近くに保持され得るか、または、左心房の心房壁のセクションに対して物理的に接触して設置され得、任意の適切な極性の組合せを使用して、電極のうちの1つまたは複数の活性化によって、その上に損傷を発生させるようになっている。このように、所定の構成を使用した電極の活性化は、カテーテル(2910、2920)の近位部分(2912、2922)に対する電極(2916、2926)の位置および配向に基づいてフォーカル・アブレーション・スポット・サイズを制御することによって、ターゲットにされたおよび精密なフォーカル・アブレーションを提供することが可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、第1の電極(2916)は、第1の極性を備えて構成され得、第2の電極(2926)は、第1の極性の反対の第2の極性を備えて構成され得る。電極(2916、2926)が互いに比較的に近くなるように回転させられるときには(たとえば、近位部分(2912)および遠位部分(2914)が鋭角(2950)を形成するとき)、比較的により小さい/より集束された直径を有する、比較的により高い強度の電界は、心内膜表面の上にフォーカル・アブレーション損傷を結果として生じさせ、それは、比較的に直径がより小さくなっており、また、良好な深さを有している。純粋に、非限定的な例示の目的のために、関節運動式のヒンジに形成される鋭角は、約15度から約70度の間の範囲にあることが可能である。いくつかの実施形態において、フォーカル・アブレーション・ゾーンの中の電界強度は、約200V/cm以上であることが可能である。電極(2916、2926)が、互いから相対的により遠くに離れるように、それらの対応するヒンジ(2918、2928)の周りに回転させられるときには(たとえば、近位部分(2912)および遠位部分(2914)が、より大きい角度を形成するとき)、相対的により分散されたおよびより低い強度の電界が発生させられ、心内膜表面の上のフォーカル・アブレーション損傷を結果として生じさせ、それは、相対的により広くおよびより浅くなっている。このように、カテーテル(2910、2920)の近位部分(2912、2922)に対する電極(2916、2926)の回転の範囲を変化させることによって、損傷の深さ、形状、および/またはサイズが、アブレーション・デバイス(2900)をスイッチアウトすることなく制御され得る。そのような態様は、同じアブレーション・デバイスを使用して、さまざまなサイズ、形状、および/または深さの複数の損傷を生成させるのに有用である。たとえば、損傷直径は、約2mmから約3cmであることが可能であり、損傷深さは、約2mmから約12mmの間にあることが可能である。電極(2916、2926)は心内膜組織に触れるように配設され得るが、電極(2916、2926)は心内膜組織に接触する必要がないということが認識されるべきである。
これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ハンドル(図示せず)は、1セットのカテーテル(2910、2920)に連結され得、ハンドルは、第1の、第2の、および第3の構成の間でのカテーテル(2910、2920)の変形に影響を与えるように構成され得る。いくつかの実施形態において、ハンドルの中の1つまたは複数のノブ、ホイール、スライダー、プル・ワイヤー、および/または他の制御メカニズムの作動は、外側カテーテル(2902)を通る1つまたは複数のカテーテル(2910、2920)の並進、および/または、ヒンジ(2918、2928)の周りでのカテーテルの遠位部分(2914、2924)の回転を結果として生じさせることが可能である。
図29B~図29Cは、関節運動式の遠位部分(2914)を有する第1のカテーテル(2910)を示している。第1のカテーテル(2910)は、近位部分(2912)を含むことが可能であり、近位部分(2912)は、ヒンジ(2918)を介して遠位部分(2914)に連結されている。遠位部分(2914)は、本明細書で説明されているように、電極(2916)を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、ヒンジ(2918)は、回転可能なホイールを含むことが可能である。他の実施形態において、ヒンジ(2918)は、第1のカテーテル(2910)に対して低減された断面積を有する、近位部分(2912)または遠位部分(2914)の一部分を含むことが可能であり、それは、カテーテルの他の部分よりも可撓性になっている。さらに他の実施形態において、ヒンジ(2918)は、ジョイント、回転可能なホイール、ボール・アンド・ソケット・ジョイント、コンジロイド・ジョイント、サドル・ジョイント、ピボット、およびトラックなどを含むことが可能である。
回転可能なホイールは、ワイヤー(2917)(たとえば、プル・ワイヤー)に連結され得る。たとえば、ワイヤー(2917)は、ヒンジ(2918)の周りに取り付けられ得、遠位部分(2914)は、ヒンジ(2918)の一部分に取り付けられ得る。したがって、ワイヤー(2917)の作動(2930)(たとえば、ワイヤーの一方の端部を近位に引っ張る)は、次に、ホイール(2918)および遠位部分(2914)を回転させることが可能であり、遠位部分(2914)が、第1のカテーテル(2910)の近位部分(2912)に対して回転するようになっている。いくつかの実施形態において、遠位部分は、約110度から約165度の角度だけ、近位部分に対して回転することが可能であり、遠位部分の長さは、約3mmから約12mmであることが可能である。ワイヤー(2917)の近位端部は、いくつかの実施形態において、制御メカニズム(たとえば、1つまたは複数のノブ、ホイール、スライダー)を有するハンドル(図示せず)に連結され得る。オペレーターは、制御メカニズムを動作させ、ワイヤー(2917)を操作し、ヒンジ(2918)の周りに第1のカテーテル(2910)の遠位部分(2914)を回転させることが可能である。ハンドルの制御メカニズムは、遠位部分(2914)の位置を固定するためのロックを含むことが可能である。図29Bは、第2の構成と第3の構成との間の遠位部分(2914)を有する第1のカテーテル(2910)の実施形態を示している。図29Cは、第3の構成における第1のカテーテル(2910)の実施形態を示している。電極(2916、2926)は、第3の構成において互いに向けて付勢することが可能である。
図29Dは、第3の構成におけるアブレーション・デバイス(2900)の実施形態を示しており、ここでは、第1および第2のカテーテル(2910、2920)の遠位部分は、外側カテーテルまたはシース(2902)から外へ延在させられており、カテーテル(2910、2920)の近位部分(2912、2922)に対して所望の位置まで回転させられている(たとえば、完全に回転させられている、完全に関節運動させられている)。いくつかの実施形態において、カテーテル(2910、2920)のそれぞれのワイヤー(2912、2922)は、ハンドルにおいて一緒に連結され得、制御メカニズムの作動が、ワイヤー(2912、2922)を一緒に制御するようになっており、カテーテル(2910、2920)のそれぞれの遠位部分(2914、2924)が、それらのそれぞれのヒンジ(2918、2928)の周りに同時に回転させられ得るようになっている。第2および第3の構成において、第1および第2のカテーテル(2910、2920)は、外側カテーテル(2902)の長手方向軸線から離れるように付勢することが可能である。
第1および第2のカテーテル(2910、2920)が外側カテーテル(2902)から外へ延在させられるときには、カテーテル(2910、2920)の1つまたは複数の部分は、それらの自然な(たとえば、拘束されていない)形状(たとえば、湾曲した形状など)をとることが可能である。カテーテル(2910、2920)は、一緒にまたは独立して、外側カテーテル(2902)から外へ前進させられ得る。いくつかの実施形態において、カテーテル(2910、2920)の近位部分(2912、2922)は、フレキシブルな曲率を含むことが可能であり、カテーテル(2910、2920)の遠位端部が、互いから離れるように広がるように構成され得るようになっている。カテーテル(2910、2920)の最小曲率半径は、約1cm以上の範囲にあることが可能である。たとえば、近位部分(2912、2922)は、約1cm以上の曲率半径を有することが可能である。いくつかの実施形態において、遠位部分(2914、2924)は、約1cm以上の曲率半径を有することが可能である。
いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(2900)の電極(2916、2926)は、約0.5mmから約7.0mmの長さ、および、約0.5mmから約4.0mmの断面寸法(たとえば、直径)を含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。異なるカテーテル(2910、2920)の電極(2916、2926)は、約3.0mmから約20mmの距離だけ、互いから分離され得る(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。電極(2916、2926)は、その対応するカテーテル(2910、2920)の遠位端部から離れて、約1.0mmから約4.0mmに位置付けされ得る(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、カテーテル(2910、2920)の遠位端部は、電極(2916、2926)を含むことが可能である。1つまたは複数のフォーカル・アブレーション損傷は、約1.0cmから約2.0cmの直径を含むように形成され得る(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。
図30は、アブレーション・デバイス(3000)の別の実施形態の側面図であり、アブレーション・デバイス(3000)は、長手方向軸線を画定する外側カテーテルまたはシース(3010)と、管腔(3010)の中をスライド可能な1セットの4つのカテーテル(3020、3030、3040、3050)とを含む。カテーテル(3020、3030、3040、3050)のそれぞれは、近位部分(3023、3033、3043、3053)と、遠位部分(3024、3034、3044、3054)と、近位部分(3023、3033、3043、3053)を遠位部分(3024、3034、3044、3054)に連結するヒンジ(3021、3031、3041、3051)とを含むことが可能である。遠位部分(3024、3034、3044、3054)のそれぞれは、電極(3022、3032、3042、3052)を含むことが可能である。カテーテル(3020、3030、3040、3050)の遠位端部および/または電極(3022、3032、3042、3052)は、非外傷性の形状(たとえば、丸みを帯びた、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分)を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。カテーテル(3020、3030、3040、3050)のそれぞれは、本明細書で詳細に説明されているように、ヒンジ(3021、3031、3041、3051)を含むことが可能である。アブレーション・デバイス(3000)は、1セットの2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のカテーテルを含む、任意の数のカテーテルを含むことが可能であるということが認識されるべきである。
それぞれの電極(3022、3032、3042、3052)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。それぞれのカテーテル(3020、3030、3040、3050)は、カテーテル(3020、3030、3040、3050)の本体部の中に(たとえば、カテーテル(3020、3030、3040、3050)の管腔の中に)形成されたそれぞれの電極(3022、3032、3042、3052)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。電極(3022、3032、3042、3052)のそれぞれは、カテーテルの近位部分に連結されているハンドル(図示せず)につながる対応する絶縁された電気リード線に接続され得る。いくつかの実施形態において、電極(3022、3032、3042、3052)のサイズ、形状、および/または場所は、互いに異なっていてもよい。
いくつかの実施形態において、カテーテル(3020、3030、3040、3050)および電極(3022、3032、3042、3052)の構成は、アブレーション・デバイス(3000)によって発生させられるフォーカル・アブレーション損傷の深さ、形状、および/または直径/サイズを制御することが可能である。1セットのカテーテル(3020、3030、3040、3050)は、長手方向軸線に沿って並進し、第1の、第2の、および第3の構成の間で移行するように構成され得る。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(3000)は、第1の構成、第2の構成、および第3の構成の間で変形するように構成され得、第1の構成では、1セットのカテーテル(3020、3030、3040、3050)は、外側カテーテルまたはシース(3010)の長手方向軸線に対して概して平行に配置されており、カテーテル(3020、3030、3040、3050)の遠位部分は、外側カテーテル(3010)の中に配設されており;第2の構成では、電極(3022、3032、3042、3052)は、任意の適切な距離だけ、外側カテーテル(3010)管腔の遠位端部(3011)から外へ離れるように前進させられており;第3の構成では、それぞれのカテーテル(3020、3030、3040、3050)の遠位部分は、その対応するカテーテル(3020、3030、3040、3050)の近位部分に対してその対応するヒンジ(3021、3031、3041、3051)の周りに回転するか、ツイストするか、または曲がることが可能である(たとえば、図30)。たとえば、第1のカテーテル(3020)は、第1のヒンジ(3021)の周りに回転可能な遠位部分(3024)を含むことが可能であり、第1のヒンジ(3021)は、図29A~図29Dに関して上記に議論されているように、複数の位置において近位部分(3023)に対して遠位部分(3024)を位置決めするように構成され得る。アブレーション・デバイス(3000)は、連続的にまたは個別の工程で、第1の、第2の、および第3の構成の間の任意の中間構成へ変形され得るということが理解される。第2の構成では、1セットのカテーテルは、長手方向軸線から離れるように付勢することが可能である。
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のパルス波形が、アノードおよびカソード・セットで構成されている電極(3022、3032、3042、3052)同士の間に適用され得る。たとえば、隣接するまたはおおよそ正反対の電極ペアが、アノード-カソード・セットとして一緒に活性化させられ得る。図30において、第1の電極(3022)は、アノードとして構成され得、カソードとして構成された第2の電極(3032)とペアにされ得る。第3の電極(3042)は、アノードとして構成され得、カソードとして構成された第4の電極(3052)とペアにされ得る。第1および第2の電極(3022、3032)ペアは、第1のパルス波形を適用することが可能であり、第3および第4の電極(3042、3052)ペアを使用して、第2のパルス波形がそれにシーケンシャルに続く。別の実施形態では、パルス波形は、電極のそれぞれに同時に適用され得、ここで、第2および第3の電極(3032、3042)は、アノードとして構成され得、第1および第4の電極(3022、3052)は、カソードとして構成され得る。本明細書で開示されているパルス波形のいずれかは、一連のアノード-カソード電極の上に漸進的にまたはシーケンシャルに適用され得るということが認識されるべきである。アブレーション・デバイス(3000)のいくつかの実施形態は、アブレーション・デバイス(2900)に関して上記に説明されているものと同じ寸法を有することが可能である。
他の実施形態において、電極(3022、3032、3042、3052)のうちの1つまたは複数は、第1の電気極性を備えて構成され得、一方では、外側カテーテル・シャフト(3010)(図示せず)の表面の上に配設されている1つまたは複数の電極(図示せず)は、第1の電気極性の反対の第2の電気極性を備えて構成され得る。
図31A~図31Bは、アブレーション・デバイス(3100)のさらに別の実施形態の斜視図であり、アブレーション・デバイス(3100)は、長手方向軸線を画定する外側カテーテルまたはシース(3110)と、外側カテーテル・管腔の中をスライド可能なカテーテル(3160)とを含む。カテーテル(3160)は、管腔の遠位端部から延在することが可能である。カテーテル(3160)は、近位部分(3160)と、複数の遠位部分(3122、3132、3142、3152)と、近位部分を複数の遠位部分のそれぞれに連結する関節運動部(3162)とを含むことが可能である。たとえば、関節運動部(3162)は、ヒンジ、ジョイント、回転可能なホイール、ボール・アンド・ソケット・ジョイント、コンジロイド・ジョイント、サドル・ジョイント、ピボット、およびトラックなどを含むことが可能である。遠位部分(3122、3132、3142、3152)は、外側カテーテル(3110)の中に折り重ねられており、それぞれの遠位部分(3122、3132、3142、3152)が折り畳まれているときには、それぞれの部分に接続する内部スプリング(図示せず)が、応力を受けた構成になっている。遠位部分(3122、3132、3142、3152)が拘束されていないときには(すなわち、内側カテーテル(3160)が外側カテーテル(3110)から十分に遠くに展開されるかまたは押し出されるときに)、スプリングは、それらの生来のまたは応力を受けていない構成をとり、関節運動部(3162)の関節運動を結果として生じさせ、そのときに、遠位部分(3122、3132、3142、3152)は、外向きに関節運動し、カテーテルの長手方向軸線に対しておおよそ垂直の構成をとる。図31Bに示されているように、カテーテル(3160)の遠位端部は、関節運動部(3162)を介して1セットの電極(3120、3130、3140、3150)に連結され得る。いくつかの実施形態において、関節運動部(3162)は、第1の遠位部分(3122)、第2の遠位部分(3132)、第3の遠位部分(3142)、および第4の遠位部分(3152)に連結され得る。電極(3120、3130、3140、3150)は、それぞれの遠位部分(3122、3132、3142、3152)の表面の上に配設され得る。カテーテル(3160)が外側カテーテル(3110)から外へ前進させられるときには、遠位部分(3120、3130、3140、3150)は、それらの自然な(たとえば、拘束されていない)形状をとることが可能であり、カテーテル(3160)の長手方向軸線に対しておおよそ垂直になるようになっている。
電極(3120、3130、3140、3150)は、非外傷性の形状(たとえば、丸みを帯びた、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分)を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。それぞれの電極(3120、3130、3140、3150)は、絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。カテーテル(3160)は、カテーテル(3160)の本体部(たとえば、管腔)の中に、それぞれの電極(3120、3130、3140、3150)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。電極(3120、3130、3140、3150)のそれぞれは、カテーテル(3160)の近位部分に連結されているハンドル(図示せず)につながる対応する絶縁された電気リード線に接続され得る。いくつかの実施形態において、電極(3120、3130、3140、3150)のサイズ、形状、および/または場所は、互いに異なっていてもよい。
カテーテル(3160)は、第1の、第2の、および第3の構成の間で移行するために、長手方向軸線に沿って並進するように構成され得る。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(3100)は、第1の構成、第2の構成、および第3の構成の間で変形するように構成され得、第1の構成では、1セットの電極(3120、3130、3140、3150)は、外側カテーテル(3110)の長手方向軸線に対して概して平行に、外側カテーテル(3110)の中に配設されており(たとえば、図31A);第2の構成では、1セットの電極(3120、3130、3140、3150)は、任意の適切な距離だけ、外側カテーテル・管腔の遠位端部(3111)から外へ離れるように前進させられており(図31Aには示されていない);第3の構成では、電極(3120、3130、3140、3150)は、カテーテル(3160)の近位部分に対してその対応する関節運動部(3162)の周りに回転するか、ツイストするか、または曲がることが可能である(たとえば、図31B)。第1の構成から第2および第3の構成への移行は、外側カテーテル(3110)の遠位端部から外へカテーテル(3160)および電極(3120、3130、3140、3150)を前進させることによって実施され得る。アブレーション・デバイス(3100)は、連続的にまたは個別の工程で、第1の、第2の、および第3の構成の間の任意の中間構成へ変形され得るということが理解される。
図31Bは、プラス(「+」)形状を形成するために均一に間隔を離して配置された電極(3120、3130、3140、3150)を図示している。しかし、隣接する電極(3120、3130、3140、3150)同士の間の角度は、所望のフォーカル・アブレーションパターンに基づいて選択され得る。同様に、図31Bの中の電極(3120、3130、3140、3150)は、カテーテル(3160)の長手方向軸線に対しておおよそ垂直になっているが、1セットのアブレーション・パラメーターに基づいて調節され得る。
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のパルス波形は、アノードおよびカソード・セットで構成されている電極(3120、3130、3140、3150)同士の間に適用され得る。たとえば、隣接するまたはおおよそ正反対の電極ペアが、アノード-カソード・セットとして一緒に活性化させられ得る。図31Bにおいて、第1の電極(3120)は、アノードとして構成され得、カソードとして構成された第3の電極(3140)とペアにされ得る。第2の電極(3130)は、アノードとして構成され得、カソードとして構成された第4の電極(3150)とペアにされ得る。第1および第3の電極(3120、3140)ペアは、第1のパルス波形を適用することが可能であり、第2および第4の電極(3130、3150)ペアを使用して、第2のパルス波形がそれにシーケンシャルに続く。別の実施形態では、パルス波形は、電極のそれぞれに同時に適用され得、ここで、第1および第2の電極(3120、3130)は、アノードとして構成され得、第3および第4の電極(3140、3150)は、カソードとして構成され得る。本明細書で開示されているパルス波形のいずれかは、一連のアノード-カソード電極の上に漸進的にまたはシーケンシャルに適用され得るということが認識されるべきである。
他の実施形態において、電極(3120、3130、3140、3150)のうちの1つまたは複数は、第1の電気極性を備えて構成され得、外側カテーテル・シャフト(3110)の表面の上に配設されている1つまたは複数の電極は、第1の電気極性の反対の第2の電気極性を備えて構成され得る。
図32は、組織(たとえば、心室腔の中の組織など)のアブレーションのためのアブレーション・デバイス(3200)によって発生させられる高強度電界の概略断面図である。たとえば、アブレーション・デバイス(3200)は、心臓の左心室の心内膜空間の中に配設され得る。図32に示されているアブレーション・デバイス(3200)は、図30および図31A~図31Bに関して説明されているそれらのアブレーション・デバイス(3000、3100)と同様であることが可能である。いくつかの実施形態において、電極(3210、3220、3230、3240)は、第3の構成になっているときに、組織壁に並置され得る。いくつかの実施形態において、図32の電極(3210、3220、3230、3240)は、約1mmから約3mmの間の幅、および、約3mmから約9mmの間の長さを有することが可能である。たとえば、電極(3210、3220、3230、3240)は、約2mmの幅、および、約6mmの長さを有することが可能である。
いくつかの実施形態において、電極(3210、3220、3230、3240)は、アノード-カソード・ペアを形成することが可能である。たとえば、第1の電極(3210)は、アノードとして構成され得、第3の電極(3230)は、カソードとして構成され得る。第1および第2の電極(3210、3230)は、最大で約1500Vの電位差を有することが可能である。1つまたは複数のカテーテルの電極(3210、3220、3230、3240)のうちの1つまたは複数の活性化は、心腔の壁の一部分に沿って1つまたは複数のアブレーション・ゾーンを発生させることが可能である。電界輪郭(3350)は、第1および第3の電極(3220、3240)が活性化させられているときに約460V/cmの電界強度閾値を有するアブレーション・ゾーン(3350)に対応する等しい大きさの線である。いくつかの実施形態において、アブレーション・ゾーン(3350)は、最大で約12mmの幅、および、最大で約20mmの長さを有することが可能である。代替的に、アブレーション・デバイスは、左心房の後壁のセクションに隣接してまたはそれに対抗して設置され得、1つまたは複数の電極の活性化によって、適当なパルス波形が、不可逆電気穿孔法エネルギー送達のために送達され、組織をアブレートすることが可能である。
図33Aは、カテーテルの形態のアブレーション・デバイス/装置(3300)の別の実施形態の斜視図であり、それは、デバイス(3300)の近位端部へ延在する外側シャフト(3310)と、外側シャフト(3310)のシャフト・管腔(3312)の遠位端部から延在する内側シャフト(3320)と、それに連結されている1セットのスプライン(3330)とを含む。内側シャフト(3320)は、近位端部においてハンドル(図示せず)に連結され得、遠位部分(たとえば、遠位端部)において、キャップ電極(3322)へ配設され得る。内側シャフト(3320)および1セットのスプライン(3330)は、アブレーション・デバイス(3300)の長手方向軸線(3324)に沿って並進可能であり得る。いくつかの実施形態において、内側シャフト(3320)および1セットのスプライン(3330)は、一緒に移動することが可能であり、または、独立して並進させられ得る。内側シャフト(3320)は、外側シャフト(3310)の管腔(3312)の中をスライドするように構成され得る。キャップ電極(3322)は、非外傷性の形状を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。たとえば、キャップ電極(3322)は、平坦な円形の形状、および/または、丸みを帯びた鈍いプロファイルを有することが可能である。1セットのスプライン(3330)のそれぞれのスプラインの遠位端部は、内側シャフト(3320)の遠位部分につながれ得る。1セットのスプライン(3330)の近位部分は、外側シャフト(3310)に取り付けられ得る。アブレーション・デバイス(3300)は、たとえば図21~図25に開示されているように、スプライン(3330)の上の電極(3332、3334)および遠位キャップ電極(3322)を介して、使用の間にパルス波形を組織に送達するように構成され得る。
1セットのスプライン(3330)のそれぞれのスプラインは、そのスプラインの表面の上に1セットの電極(3332、3334)を含むことが可能である。それぞれのセットの電極は、遠位電極(3332)を含むことが可能であり、1セットのスプラインが、1セットの遠位電極(3332)を含むようになっている。遠位電極(3332)のそれぞれは、同じスプラインの上のその対応する1セットの電極の他の電極(たとえば、1セットの近位電極(3334))に対して、キャップ電極(3322)に最も近くにある。そのうえ、いくつかの実施形態において、遠位電極(3332)は、外向きに露出された部分(すなわち、1セットのスプラインによって画定された内側空間/体積から離れる方を向く一部分)のみを有することが可能である。たとえば、遠位電極(3332)が金属製のリングから構築される場合には、それぞれのリングの一部分が絶縁され得、外向きに露出された部分または「ウィンドウ」のみが、アブレーション・エネルギーの送達のために露出されるようになっている。キャップ電極(3322)および1セットの遠位電極のうちのそれぞれの遠位電極(3332)は、集合的に、使用の間に同じ極性を有することが可能である。外向きのウィンドウを有する密接して設置された遠位電極およびキャップ電極のこの組合せは、アブレーション・デバイス(3300)の遠位端部がより強力な電界を発生させて投射することを可能にし、それによって、これらの電極のうちのいずれか1つのみと比較して、所望の深さにおいて組織のフォーカル・アブレーション損傷をより効果的に発生させる。
アブレーション・デバイス(3300)のそれぞれのスプライン(3330)は、そのスプライン(3330)の表面の上に、少なくとも1セットの独立してアドレス指定可能な電極(3332、3334)を含むことが可能である。遠位キャップ電極(3322)は、カテーテル・デバイス(3300)の遠位端部に形成され得る。それぞれの電極(3322、3332、3334)は、絶縁された電気リード線に連結され得、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である。それぞれのスプライン(3330)は、スプライン(3330)の本体部の中に(たとえば、スプライン(3330)の管腔の中に)、それぞれの電極(3332、3334)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。同様に、いくつかの実施形態において、内側シャフト(3320)は、キャップ電極(3322)のための絶縁された電気リード線を含むことが可能である。他の実施形態において、電極(3322、3332、3334)のサブセットが、共同で配線され得る。たとえば、1セットのスプライン(3330)のそれぞれのスプラインの近位電極(3334)が、共同で配線され得る。別の例として、すべての遠位電極(3332)およびキャップ電極(3322)が、共同で配線され得る。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3330)は、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成され得、第1の構成では、1セットのスプライン(3330)は、アブレーション・デバイス(3300)の長手方向軸線(3324)に対して概して平行に配置されており、第2の構成では、1セットのスプライン(3330)のそれぞれのスプラインの遠位端部が、長手方向軸線(3324)から半径方向外向きに曲がっている。このように、1セットの遠位電極(3332)およびキャップ電極(3322)は、図33A、図33B、および図33Eに示されている第2の構成を形成するように成形/配向され得る。キャップ電極(3322)は、最大でも約5mmだけ(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)、1セットの遠位電極(3332)のそれぞれの遠位電極から分離され得る。たとえば、キャップ電極(3322)は、約0.5mmから約3mmの間だけ、1セットの遠位電極(3332)のそれぞれの遠位電極から分離され得る。第2の構成において、1セットのスプライン(3330)のそれぞれのスプラインの遠位部分は、長手方向軸線(3312)に対して約45度から約90度の間で(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)角度を付けられ得る(3336)。たとえば、第2の構成における1セットのスプライン(3330)のそれぞれのスプラインの遠位部分は、長手方向軸線(3312)に対して約70度から約80度の間で角度を付けられ得る(3336)。たとえば、第2の構成において、キャップ電極(3322)および1セットの遠位電極(3332)は、図33Bの正面図において見ることができるように、長手方向軸線(3324)に対して垂直の平面の上に投影されるときに、「プラス」記号の形状をとることが可能である。
いくつかの実施形態において、内側シャフト(3320)は、所定の量だけ外側カテーテル・管腔(3312)の中へ後退させられ、第1の構成から第2の構成へアブレーション・デバイス(3300)を変形させることが可能である。1セットのスプライン(3330)は、連続的にまたは個別の工程で、第1の構成と第2の構成との間の任意の中間構成へ変形され得るということが理解される。1セットのスプライン(3330)は、展開されていないときに、内側シャフト(3320)の長手方向軸線(3324)に対して概して平行の形状を形成することが可能であり、また、1セットのスプライン(3330)の遠位端部が長手方向軸線(3324)から半径方向外向きに曲がっているときに、バスケットのような形状または球根のような形状を形成することが可能である。
図33A、図33B、および図33Eは、1セットのスプライン(3330)を図示しており、ここで、1セットのスプライン(3330)のそれぞれのスプラインは、サイズ、形状、数、および間隔のうちの1つまたは複数において異なっている、遠位電極(3332)および1つまたは複数の近位電極(3334)を含む。たとえば、図33Aは、1セットのスプライン(3330)のそれぞれのスプラインに関して、1つの遠位電極(3332)および2つの近位電極(3334)を図示している。いくつかの実施形態において、それぞれの近位電極(3334)は、その周囲部全体に沿って(すなわち、スプラインの厚さ全体の周りに)、そのスプライン(3330)の表面の上に形成され得る。いくつかの実施形態において、それぞれの遠位電極(3332)は、そのスプラインの周囲部の一部分の表面の上に形成され得る。すなわち、図33Cおよび図33Dに示されているように、遠位電極(3332)は、その対応するスプラインの周囲部の上に部分的に横たわっていることが可能であり、そのスプライン(3330)の周囲部全体をカバーしていないことが可能である。たとえば、遠位電極(3332)は、その対応するスプラインの周囲部を取り巻くことが可能であり、絶縁の層によって部分的にカバーされ得、遠位電極(3332)の一部分(たとえば、ウィンドウ)のみが露出されるようになっている。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の電極は、二相性動作のために絶縁の薄い層によって完全にカバーされ得る。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3330)の1セットの遠位電極(3332)は、その対応するスプライン(3330)の中心の周りに、約30度から約300度の間の角度(3333)に対することが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。たとえば、1セットのスプライン(3330)の1セットの遠位電極(3332)は、その対応するスプライン(3330)の中心の周りに、約60度から約120度の間の角度(3333)に対することが可能である。このように、第2の構成における1セットの遠位電極(3332)によって発生させられる電界のかなりの割合は、前方方向に方向付けられ、ターゲット組織の中へ投射され、ターゲット組織から離れるようにというよりもむしろ、血液の中へのフォーカル・アブレーションを補助することが可能である。
このように、遠位電極(3332)は、特定の方向に面するように構成され得る。たとえば、図33Aおよび図33Eは、1セットのスプライン(3330)の遠位端部が長手方向軸線(3324)から半径方向外向きに曲がっているときに、第2の構成においてデバイス(3300)の遠位端部において概して前方を向く1セットの遠位電極(3332)およびキャップ電極(3322)を示している。そのうえ、遠位電極(3332)は、そのスプラインの遠位端部に配設され得、1セットのスプライン(3330)の遠位電極(3332)が、キャップ電極(3322)の近くに配設されるようになっている。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3330)のそれぞれのスプラインは、隣接するスプラインの対応する電極(3332、3334)とおおよそ同じサイズ、形状、数、および間隔を有する1セットの電極(3332、3334)を含むことが可能である。それぞれのスプライン(3330)の厚さは、それぞれのスプライン(3330)の上に形成された電極(3332、3334)の数に基づいて変化することが可能であり、それは、スプライン(3330)の中の絶縁された電気リード線の数に対応することが可能である。スプライン(3330)は、同じまたは異なる材料、厚さ、および/または長さを有することが可能である。
いくつかの実施形態において、キャップ電極(3322)および1セットの電極(3332、3334)は、アノード-カソード・セットで構成され得る。たとえば、キャップ電極(3322)および1セットの遠位電極(3332)のそれぞれの遠位電極は、集合的にアノードとして構成され得、すべての近位電極(3334)は、集合的にカソードとして構成され得る(または、その逆も同様)。いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極(3332)および1セットの近位電極(3334)は、反対の極性を有することが可能である。たとえば、所与のスプラインに関する遠位電極(3332)および1セットの近位電極(3334)は、反対の極性を有することが可能である。キャップ電極(3322)および1セットの遠位電極(3332)は、同じ極性を有することが可能である。本明細書で議論されているように、1セットの遠位電極(3332)およびキャップ電極(3322)は、共同で配線され得る。いくつかの実施形態において、キャップ電極、および、1セットのスプライン(3330)の1つまたは複数のスプラインの1セットの電極(3332、3334)は、一緒に活性化させられ、不可逆電気穿孔法のためのパルス波形を送達することが可能である。他の実施形態において、パルス波形送達は、1セットの電極(3332、3334)の所定のサブセットの上でシーケンシャルに繰り返され得る。
いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極(3332)は、それぞれのスプライン(3330)の遠位端部から最大でも3mmだけ、キャップ電極(3322)から分離され得る。いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極(3332)は、約1mmから約20mmの間の値だけ、1セットの近位電極(3334)から分離され得る。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3332、3334)のそれぞれの電極は、約0.5mmから約3mmの間の直径を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、キャップ電極(3322)は、約1mmから約5mmの間の断面直径を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3332、3334)のそれぞれの電極は、約0.5mmから約5mmの長さを有することが可能である。いくつかの実施形態において、第2の構成における1セットのスプライン(3330)は、約6mmから約24mmの間の拡張された断面直径(すなわち、その最大の部分における拡張された構成または第2の構成の有効直径)を有することが可能である。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3300)は、約6mmから約30mmの間の値だけ、外側シャフト(3310)の遠位端部(3312)から延在することが可能である。いくつかの実施形態において、外側シャフト(3310)は、約1.5mmから約6.0mmの間の外径を有することが可能である。
本明細書で説明されているようなアブレーション・デバイス(3300)は、パルス波形を送達する前に第1の構成で配設され得、組織表面(たとえば、左心房または心室の内側壁など)と接触するために、第2の構成に変形され得る。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ハンドル(図示せず)が、カテーテル(3300)および1セットのスプライン(3330)に連結され得、ハンドルは、第1の構成と第2の構成との間での1セットのスプライン(3330)の変形に影響を与えるように構成され得る。たとえば、ハンドルは、内側シャフト(3320)を外側シャフト(3310)に対して並進させるように構成され得る。たとえば、外側シャフト(3310)の管腔(3312)の中へ内側シャフト(3320)を後退させることは、本明細書で図示されている球根のような形状へと1セットのスプライン(3330)を展開させることが可能である。いくつかの実施形態において、デバイス・ハンドルの中のノブ、ホイール、または他の制御メカニズムの作動は、内側シャフト(3324)の並進を結果として生じさせることが可能であり、1セットのスプライン(3330)の展開を結果として生じさせることが可能である。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3322、3332、3334)の少なくとも2つの電極の電気リード線はアブレーション・デバイス(3300)の近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結され得る。
そのうえ、カテーテル・ハンドル(図示せず)は、カテーテル・デバイス(3300)の遠位部分を偏向させるかまたは操縦するためのメカニズムを含むことが可能である。たとえば、プル・ワイヤーは、カテーテル・ハンドルから、外側シャフト(3310)の遠位端部においてまたはその近くにおいて、デバイス(3300)の遠位部分の1つの側へ延在することが可能であり、プル・ワイヤーにテンションをかけることは、デバイス(3300)の遠位部分の偏向を結果として生じさせる。デバイス(3300)の偏向は、制御された様式で、適切な解剖学的な場所において、ユーザーによるデバイス(3300)の位置決めを支援することが可能である。いくつかの実施形態において、遠位キャップ電極(3322)は、遠位スプライン電極(3332)とは別個に電気的に配線され得る。このように、心臓内ECG信号は、遠位キャップ電極(3322)のみから記録され得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の遠位スプライン電極(3332)は、それぞれのそのような電極(3332)からの心臓内ECG信号のモニタリングのために、別個に電気的に配線され得る。いくつかの実施形態において、いくつかの遠位スプライン電極(3332)は、ECGモニタリングのために使用され得、一方では、他の遠位スプライン電極(3332)は、アブレーション・エネルギーの送達のために使用され得る。本明細書で説明されているアブレーション・デバイスのいずれかは、それぞれのそのような電極からの心臓内ECG信号のモニタリングのために、別個に電気的に配線された電極とともに使用され得るということが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、1セットのスプラインの1つまたは複数のスプラインの上のいくつかの電極は、ECGモニタリングのために使用され得、一方では、他の電極は、アブレーション・エネルギーの送達のために使用され得る。
アブレーション・デバイス(3300)は、任意の数のスプライン、たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、17個、20個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(3300)は、3つから20個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、アブレーション・デバイス(3300)は、4つから12個のスプラインを含むことが可能である。
1セットのスプライン(3300)のスプラインのそれぞれは、組織への外傷を低減させるために非外傷性の全体的に丸みを帯びた形状を有するそれぞれの電極(3332、3334)を含むことが可能である。このように、第2の構成における遠位電極は、左心房の心房壁のセクションの近くに保持され得るか、または、それに対抗して設置され得、本明細書で説明されているように、任意の適切な極性の組合せを使用して、適当な電極の活性化によって、その上に損傷を発生させるようになっている。たとえば、キャップ電極(3322)、および、1セットのスプライン(3330)の遠位電極(3332)は、図33Eに示されているように、組織壁に対しておおよそ垂直の配向、または、組織壁に対して概して斜めの配向のいずれかにおいて、組織壁(3350)に接触してまたは組織壁(3350)に近接して設置され得る。遠位電極(3322、3332)の構成は、展開された構成におけるアブレーション・デバイス(3300)が所定の角度で(たとえば、斜めに)組織壁(3350)に当接するときでも、所望の深さにおける局所性損傷の発生を可能にする。
いくつかの実施形態において、図33A~図33Eに示されているアブレーション・デバイス(3300)は、フォーカル・アブレーションのために構成され得、遠位電極を含まない非外傷性の遠位部分またはキャップ(3322)を含むことが可能である。
図38Aは、カテーテルの形態のアブレーション・デバイス/装置(3800)の別の実施形態の斜視図であり、それは、デバイス(3800)の近位端部へ延在する外側シャフト(3810)(たとえば、第1のシャフト)と、外側シャフト(3810)のシャフト・管腔(3812)の遠位端部から延在する内側シャフト(3820)(たとえば、第2のシャフト)と、それに連結されている1セットのスプライン(3830)とを含む。アブレーション・デバイス/装置(3800)は、アブレーション・デバイス/装置(3300)と同様のコンポーネントおよび/または機能性を含むことが可能であるが、アブレーション・デバイス/装置(3800)は、キャップ電極を含まない。内側シャフト(3820)は、近位端部においてハンドル(図示せず)に連結され得、遠位部分(3822)(たとえば、遠位端部)の近くにまたはそれに隣接して配設されている遠位端部を有することが可能である。たとえば、遠位部分(3822)は、内側シャフト(3820)の遠位端部に連結され得る。1セットのスプライン(3830)の近位端部は、外側シャフト(3810)の遠位端部に連結され得、外側シャフト(3810)の遠位端部から延在することが可能である。内側シャフト(3820)および1セットのスプライン(3830)は、アブレーション・デバイス(3800)の長手方向軸線(3824)(たとえば、外側シャフト(3810)の長手方向軸線)に沿って並進可能であり得る。いくつかの実施形態において、内側シャフト(3820)および1セットのスプライン(3830)は、一緒に移動することが可能である。スプラインは、可撓性であることが可能である。スプラインは、内側シャフトが外側シャフト(3810)に対して並進させられるときに、構成(たとえば、展開された構成、展開されていない構成)同士の間で移行することが可能である。内側シャフト(3820)は、外側シャフト(3810)の管腔(3812)の中をスライドするように構成され得る。遠位部分(3822)は、非外傷性の形状を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。たとえば、遠位部分(3822)は、平坦な円形の形状、および/または、丸みを帯びた鈍いプロファイルを有することが可能である。いくつかの実施形態において、遠位部分(3822)は、キャップを備えることが可能である。図38A~図38Dにおいて、遠位部分(3822)は、電極を含まない。1セットのスプライン(3830)のそれぞれのスプラインの遠位端部は、内側シャフト(3820)の遠位部分(たとえば、遠位端部)につながれ得、および/または連結され得る。1セットのスプライン(3830)の近位部分は、外側シャフト(3810)に取り付けられ得、および/または連結され得る。アブレーション・デバイス(3800)は、たとえば図21~図25に開示されているように、スプライン(3830)の上の電極(3832、3834)を介して、使用の間にパルス波形を組織に送達するように構成され得る。
アブレーション・デバイス/装置は、組織をアブレートするための電界を発生させるように構成されている複数の電極を含むことが可能である。1セットのスプライン(3830)のそれぞれのスプラインは、そのスプラインの表面の上に形成された複数の電極から1セットの電極(3832、3834)を含むことが可能である。それぞれのセットの電極は、遠位電極(3832)を含むことが可能であり、1セットのスプラインが、1セットの遠位電極(3832)を含むようになっている。遠位電極(3832)のそれぞれは、同じスプラインの上のその対応する1セットの電極の他の電極(たとえば、1セットの近位電極(3834))に対して、遠位部分(3822)に最も近くにある。それぞれのセットの電極は、近位電極を含むことが可能であり、1セットのスプラインが、1セットの近位電極(3834)を含むようになっている。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3832、3834)は、そのスプラインの周囲部の周りにそれぞれ延在することが可能である。たとえば、遠位電極(3832)は、そのスプラインの周囲部を取り巻く金属製のリングから構築され得る。いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極のそれぞれの遠位電極(3832)は、集合的に、使用の間に同じ極性を有することが可能である。密接して設置されている遠位電極のこの組合せは、アブレーション・デバイス(3300)の遠位端部がより強力な電界を発生させて投射することを可能にし、それによって、これらの電極のうちのいずれか1つのみと比較して、所望の深さにおいて組織のフォーカル・アブレーション損傷をより効果的に発生させる。他の実施形態において、少なくとも2つの遠位電極は、アブレーション送達のために同じ電気極性を有することが可能である。
アブレーション・デバイス(3800)のそれぞれのスプライン(3830)は、そのスプライン(3830)の表面の上に、少なくとも1セットの独立してアドレス指定可能な電極(3832、3834)を含むことが可能である。それぞれの電極(3832、3834)は、絶縁された電気リード線に連結され得、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約3000Vの間の電位差を持続させることが可能である。それぞれのスプライン(3830)は、スプライン(3830)の本体部の中に(たとえば、スプライン(3830)の管腔の中に)、それぞれの電極(3832、3834)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、内側シャフト(3820)は、遠位電極(3832)のうちの1つまたは複数のための絶縁された電気リード線を含むことが可能である。他の実施形態において、電極(3832、3834)のサブセットが、共同で配線され得る。たとえば、1セットのスプライン(3830)のそれぞれのスプラインの近位電極(3834)が、共同で配線され得る。別の例として、すべての遠位電極(3832)が、共同で配線され得る。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3830)は、展開されていない構成と拡張された構成との間の(展開されていない構成および拡張された構成を含めた)複数の状態へと移行するように構成され得、拡張された構成では、1セットのスプラインからのそれぞれのスプラインの遠位部分は、複数の状態のそれぞれにおける1セットのスプラインからのそれぞれのスプラインの近位部分に対して、対応する複数の角度のうちの1つに設定されている。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3830)は、内側シャフト(3820)が長手方向軸線(3824)に沿って外側シャフト(3810)に対して移動することに応答して、複数の状態のそれぞれへと移行するように構成され得る。たとえば、1セットのスプライン(3830)は、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成され得、図38Aに示されている第1の構成(たとえば、展開されていない構成)では、1セットのスプライン(3830)は、アブレーション・デバイス(3800)の長手方向軸線(3824)に対して概して平行に配置されており、図38Bに示されている第2の構成(たとえば、拡張された構成、バスケット構成、展開された構成)では、1セットのスプライン(3830)のそれぞれのスプラインの遠位部分(3804)が、長手方向軸線(3824)から半径方向外向きに曲がっている。すなわち、スプライン(3830)の遠位部分(3804)は、図38Bおよび図38Cを参照してより詳細に説明されているように、スプライン(3830)の近位部分(3802)に対してベンドを形成している。いくつかの実施形態において、内側シャフト(3820)は、外側シャフト(3810)に向けて引っ張られ(たとえば、外側シャフト(3810)に対して近位に移動させられる)、第2の構成でデバイス(3800)を展開することが可能である。第2の構成における1セットのスプライン(3830)は、それらの間に空間を画定することが可能であり、空間は、1セットのスプラインの拡張された構成において、第1の構成のときよりも大きくなっている。
図38Cは、2つの単位接線ベクトルを有するスプライン(3830)の斜視図である。図38Aおよび図38Bは、バスケットまたはピラミッドのような形状を有する1セットのスプライン(3830)を示しており、第2の構成におけるスプラインの形状に対応することが可能である。スプライン(3830)に沿ったすべてのポイントにおいて、単位接線ベクトルuが定義され得る。図38Cは、スプライン(3830)の遠位部分(3804)における第1の単位接線ベクトルu1(3840)、および、スプライン(3830)の近位部分(3802)における第2の単位接線ベクトルu2(3844)を図示している。たとえば、単位接線ベクトルu1(3840)は、遠位電極(3832)に対応しており、遠位電極(3832)の遠位方向に延在している。同様に、単位接線ベクトルu2(3844)は、近位電極(3832)に対応しており、近位電極(3832)の遠位方向に延在している。第1の線(3842)は、遠位電極(3832)に接しており、第2の線(3846)は、近位電極(3834)に接している。第1の線(3842)および第2の線(3846)の交差は、図38Cに示されているように、角度(3848)を形成している。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3830)は、展開されていない構成と拡張された構成との間の(展開されていない構成および拡張された構成を含めた)複数の状態へと移行するように構成され得、拡張された構成では、1セットのスプライン(3830)からのそれぞれのスプラインの遠位部分の長さを通って延在する第1の単位接線ベクトルu1(3840)と、1セットのスプライン(3830)からのそれぞれのスプラインの近位部分を通って延在する第2の単位接線ベクトルu2(3844)との間の角度は、約70度から約180度の間で変化する。複数の電極(3832、3834)の事前選択された部分は、複数の状態のそれぞれにおいて活性化し、不可逆電気穿孔法によって組織壁をアブレートするための電界を発生させるように構成され得る。
単位ベクトルu1およびu2の内積は、角度(3848)の余弦に等しい。いくつかの実施形態において、それぞれの単位接線ベクトルの内積は、マイナスである。すなわち、遠位電極(3832)と近位電極(3834)との間の角度(3848)は、約90度から約180度の間にある。
遠位電極(3432)および近位電極(3834)は、特定の用途に応じて、異なる度で角度を付けられ得る。たとえば、内側シャフト(3820)は、外側シャフト(3810)に対して異なる位置に後退させられ、遠位電極(3432)と近位電極(3834)との間に異なる角度を生成させることが可能である。遠位電極(3432)と近位電極(3834)との間の角度の調節可能性は、異なる用途に適合するのに有利であり得る。たとえば、心房アブレーションを実施するときに、遠位電極(3432)および近位電極(3834)は、互いに対してより少なく角度を付けられ得(たとえば、約90度未満に角度を付けられる)、1セットのスプライン(3830)が、より丸みを帯びた遠位部分を備えた拡張された構造体を形成するようになっている。図40(下記に説明されている)は、この拡張された構造体のより詳細な図を提供している。そのような展開において、単位ベクトルu1とu2との間の角度は、約70度以上であることが可能である。代替的に、心室アブレーションを実施するときに、遠位電極(3432)および近位電極(3834)は、互いに対してより多く角度を付けられ得(たとえば、約90度から約180度の間で角度を付けられる)、1セットのスプライン(3830)が、より直交したまたは平坦化された遠位端部を有する拡張された構造体を形成するようになっている。図38Dに示されているように、より平坦化された遠位端部は、アブレーション・デバイス(3800)の遠位端部が心内膜表面に全体的により近付くこと(より大きい数の遠位電極が組織表面により近付くようになっている)、および、フォーカル・アブレーションを介して損傷を形成するために使用されることを可能にすることができる。
このように、1セットの遠位電極(3832)は、図38B、図38C、および図38Dに示されている第2の構成を形成するように成形/配向され得る。遠位部分(3822)は、たとえば、最大でも約6mmだけ(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)、1セットの遠位電極(3832)のそれぞれの遠位電極から分離され得る。たとえば、遠位部分(3822)は、約0.5mmから約3mmの間だけ、1セットの遠位電極(3832)のそれぞれの遠位電極から分離され得る。第2の構成において、1セットのスプライン(3830)のそれぞれのスプラインの遠位部分(3804)は、近位部分(3802)に対して約90度と約180度の間で(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)角度を付けられ得る(3836)。遠位部分(3804)は、1セットの遠位電極(3832)の長さおよび剛性に部分的に応じて、第2の構成において概して線形になっていることが可能である。たとえば、第2の構成において、遠位部分(3822)および1セットの遠位電極(3832)は、図33Bに示されているデバイス/装置(3300)の正面図と同様の様式で、長手方向軸線(3824)に対して垂直の平面の上に投影されるときに、「プラス」記号(たとえば、「X」または十字)の形状をとることが可能である。
いくつかの実施形態において、内側シャフト(3820)は、所定の量だけ外側カテーテル・管腔(3812)の中へ後退させられ、第1の構成から第2の構成へアブレーション・デバイス(3800)を変形させることが可能である。1セットのスプライン(3830)は、連続的にまたは個別の工程で、第1の構成と第2の構成との間の任意の中間構成へ変形され得るということが理解される。1セットのスプライン(3830)は、展開されていないときに、内側シャフト(3820)の長手方向軸線(3824)に対して概して平行の形状を形成することが可能であり、また、1セットのスプライン(3830)の遠位部分が長手方向軸線(3824)から半径方向外向きに曲がっており、スプラインの近位部分(3802)に対して所定の角度を形成しているときに、バスケットのような形状またはピラミッドのような形状を形成することが可能である。
図38A、図38B、図38C、および図38Dは、1セットのスプライン(3830)を図示しており、ここで、1セットのスプライン(3830)のそれぞれのスプラインは、遠位電極(3832)および複数の近位電極(3834)を含む。いくつかの実施形態において、異なる数の近位電極(3834)、および/または、サイズ、形状、数、および間隔のうちの1つまたは複数において異なっている、近位電極(3834)または遠位電極(3832)が使用され得る。たとえば、図38Aは、1セットのスプライン(3830)のそれぞれのスプラインに関して、1つの遠位電極(3832)および2つの近位電極(3834)を図示している。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3830)のそれぞれのスプラインは、複数の近位電極(3834)を備えることが可能である。近位電極(3834)は、所与の長さの近位電極領域を形成することが可能であるが、セットのより短い長さの電極セグメントへと分割されることによって、近位電極(3834)は、スプライン(3830)の近位部分(3802)のフレキシビリティーを可能にする。いくつかの実施形態において、それぞれの近位電極(3834)は、その周囲部全体に沿って(たとえば、スプラインの周囲部全体の周りに)、そのスプライン(3830)の表面の上に形成され得る。いくつかの実施形態において、それぞれの遠位電極(3832)は、その周囲部全体に沿って、そのスプライン(3830)の表面の上に形成され得る。すなわち、遠位電極(3832)は、そのスプライン(3830)の周囲部全体をカバーすることが可能である(たとえば、その周りに延在する、それを取り巻く)。追加的にまたは代替的に、1つまたは複数の近位電極(3834)は、コイル電極を備えることが可能であり、コイル電極は、スプライン(3830)の近位部分(3802)のフレキシビリティーを可能にすることができる。たとえば、ある実施形態において、複数の近位電極(3834)は、コイル状の構成を有する単一の近位電極(3834)と交換され得、コイル状の構成は、デバイス/装置(3800)がその第1の構成と第2の(展開された)構成との間で移行することを可能にするために十分に可撓性になっている。
1セットの遠位電極(3832)は、特定の方向に面するように構成され得る。たとえば、図38B、図38C、および図38Dは、1セットのスプライン(3830)の遠位部分(3822)が長手方向軸線(3824)から半径方向外向きに曲がっているときに、第2の構成においてデバイス(3800)の遠位端部において概して前方を向く1セットの遠位電極(3832)および遠位部分(3822)を示している。そのうえ、遠位電極(3832)は、そのスプラインの遠位端部に配設され得、1セットのスプライン(3830)の遠位電極(3832)が、デバイス(3800)の遠位部分(3822)の近くに配設されるようになっている。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3830)のそれぞれのスプラインは、隣接するスプラインの対応する電極(3832、3834)とおおよそ同じサイズ、形状、数、および間隔を有する1セットの電極(3832、3834)を含むことが可能である。それぞれのスプライン(3830)の厚さは、それぞれのスプライン(3830)の上に形成された電極(3832、3834)の数に基づいて変化することが可能であり、それは、スプライン(3830)の中の絶縁された電気リード線の数に対応することが可能である。スプライン(3830)は、同じまたは異なる材料、厚さ、および/または長さを有することが可能である。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3830)のそれぞれのスプラインの1セットの電極(3832、3834)は、隣接するスプラインの対応する電極(3832、3834)とおおよそ同じサイズ、形状、数、および間隔を有することが可能である。それぞれのスプライン(3830)の厚さは、それぞれのスプライン(3830)の上に形成された電極(3832、3834)の数に基づいて変化することが可能であり、それは、スプライン(3830)の中の絶縁された電気リード線の数に対応することが可能である。スプライン(3830)は、同じまたは異なる材料、厚さ、および/または長さを有することが可能である。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3830)のそれぞれのスプラインは、複数の近位電極(3834)を備えることが可能である。近位電極(3834)は、所与の長さの近位電極領域を形成することが可能であるが、1セットのより短い長さの電極セグメントへと分割されることによって、近位電極(3834)は、スプライン(3830)の近位部分(3802)のフレキシビリティーを可能にする。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの可撓性の部分が、複数の近位電極の場所におけるそのスプラインのフレキシビリティーを増加させるために、複数の近位電極からの隣接する近位電極同士の間に配設されている。いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極からのそれぞれの遠位電極(3832)は、内側シャフト(3820)の遠位端部から同じ距離にあることが可能である。
1セットの電極(3832、3834)は、不可逆電気穿孔法による細胞死を引き起こすために組織に適用され得るパルス電界(PEF)アブレーション・エネルギーに対応する高電圧パルスを送達するように適切に分極され得る。いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極からの少なくとも1つの遠位電極は、第1の極性を備えて活性化させられるように構成され得、1セットの近位電極からの少なくとも1つの近位電極は、第1の極性の反対の第2の極性を備えて活性化させられるように構成され得、集合的に電界を発生させる。たとえば、遠位電極(3832)のサブセットは、1つの電気極性を有することが可能であり、一方では、近位電極(3834)のサブセットは、反対の電気極性を有することが可能であり、したがって、PEFアブレーション・エネルギーの送達のための電極バイポール・ペアリングを画定する。一般的に、一連の同様のバイポールが、PEFアブレーション送達のために定義され得る。別の例として、遠位電極(3832)のすべては、1つの電気極性を有することが可能であり、一方では、近位電極(3834)のすべては、反対の電気極性を有することが可能である。
いくつかの実施形態において、1セットの電極(3832、3834)は、アノード-カソード・セットで構成され得る。たとえば、1セットの遠位電極(3832)のそれぞれの遠位電極は、集合的にアノードとして構成され得、1セットの近位電極(3834)は、集合的にカソードとして構成され得る(または、その逆も同様)。いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極(3832)および1セットの近位電極(3834)は、反対の極性を有することが可能である。たとえば、所与のスプラインに関する遠位電極(3832)および1セットの近位電極(3834)は、反対の極性を有することが可能である。1セットの遠位電極(3832)は、同じ極性を有することが可能である。本明細書で議論されているように、1セットの遠位電極(3832)は、共同で配線され得る。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3830)の1つまたは複数のスプラインの1セットの電極(3832、3834)は、一緒に活性化させられ、不可逆電気穿孔法のためのパルス波形を送達することが可能である。たとえば、複数の電極の事前選択された部分が、複数の状態のそれぞれにおいて活性化可能であり、不可逆電気穿孔法によって組織壁(たとえば、心腔)をアブレートするための電界を発生させる。他の実施形態において、パルス波形送達は、1セットの電極(3832、3834)の所定のサブセットの上でシーケンシャルに繰り返され得る。たとえば、特定の活性化シーケンスは、スプライン(3830)の半分(たとえば、図38A~図38Dに示されている4つのスプライン(3830)のうちの2つ)の遠位電極(3432)を活性化させること、および、スプライン(3830)の半分(たとえば、図38A~図38Dに示されている4つのスプライン(3830)のうちの2つ)の近位電極(3834)を活性化させることを含むことが可能である。望まれる電極(3832、3834)によって発生させられる電界の方向に応じて、活性化させられる遠位電極(3832)および近位電極(3834)は、互いからオフセットされ得る(たとえば、遠位電極(3832)は、近位電極(3834)から隣接するスプライン(3830)の上にあることが可能であり、または、遠位電極(3832)は、近位電極(3834)から所定の角度(たとえば、90度)でオフセットされ得る)。いくつかの実施形態において、1セットのスプラインは、組織壁に対する1セットのスプラインの配向から独立して、組織壁をアブレートするように構成され得る。いくつかの実施形態において、複数の電極の事前選択された部分は、組織表面の近くに配向された複数の電極からの電極を含むことが可能である。
いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極(3832)は、それぞれのスプライン(3830)の遠位端部から最大でも6mmだけ、遠位部分(3822)から分離され得る。いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極(3832)は、約1mmから約20mmの間の値だけ、1セットの近位電極(3834)から分離され得る。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3832、3834)のそれぞれの電極は、約0.5mmから約3mmの間の直径を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、内側シャフト(3820)の遠位部分(3822)は、約0.7mmから約5mmの間の断面直径を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3832、3834)のそれぞれの電極は、約0.5mmから約5mmの長さを有することが可能である。いくつかの実施形態において、第2の構成(たとえば、拡張された構成)における1セットのスプライン(3830)は、約6mmから約24mmの間の拡張された断面直径(すなわち、その最大の部分に対応する平面における拡張された構成または第2の構成の有効直径)を有することが可能である。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3800)は、約6mmから約24mmの間の値だけ、外側シャフト(3810)の遠位端部(3812)から延在することが可能である。たとえば、1セットのスプライン(3830)が拡張された構成になっているときには、1セットのスプライン(3830)は、約6mmから約24mmの間の半径方向距離だけ、外側シャフト(3810)の遠位端部から外向きに延在することが可能である。いくつかの実施形態において、外側シャフト(3810)は、約1.5mmから約6.0mmの間の外径を有することが可能である。
本明細書で説明されているようなアブレーション・デバイス(3800)は、パルス波形を送達する前に第1の構成で配設され得、組織表面(たとえば、左心房または心室の内側壁など)と接触するために、第2の構成に変形され得る。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ハンドル(図示せず)が、カテーテル(3800)および1セットのスプライン(3830)に連結され得、ハンドルは、第1の構成と第2の構成との間での1セットのスプライン(3830)の変形に影響を与えるように構成され得る。たとえば、ハンドルは、内側シャフト(3820)を外側シャフト(3810)に対して並進させるように構成され得る。たとえば、外側シャフト(3810)の管腔(3812)の中へ内側シャフト(3820)を後退させることは、本明細書で図示されているバスケットまたはピラミッドのような形状へと1セットのスプライン(3830)を展開させることが可能である。いくつかの実施形態において、デバイス・ハンドルの中のノブ、ホイール、または他の制御メカニズムの作動は、内側シャフト(3824)の並進を結果として生じさせることが可能であり、1セットのスプライン(3830)の展開を結果として生じさせることが可能である。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3832、3834)の少なくとも2つの電極の電気リード線はアブレーション・デバイス(3800)の近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結され得る。
そのうえ、カテーテル・ハンドル(図示せず)は、カテーテル・デバイス(3800)の遠位部分(3804)を偏向させるかまたは操縦するためのメカニズムを含むことが可能である。たとえば、プル・ワイヤーは、カテーテル・ハンドルから、外側シャフト(3810)の遠位端部においてまたはその近くにおいて、デバイス(3800)の遠位部分(3804)の1つの側へ延在することが可能であり、プル・ワイヤーにテンションをかけることは、デバイス(3800)の遠位部分(3804)の偏向を結果として生じさせる。デバイス(3800)の偏向は、制御された様式で、適切な解剖学的な場所において、ユーザーによるデバイス(3800)の位置決めを支援することが可能である。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の遠位スプライン電極(3832)は、それぞれのそのような電極(3832)からの心臓内ECG信号のモニタリングのために、別個に電気的に配線され得る。いくつかの実施形態において、いくつかの遠位スプライン電極(3832)は、ECGモニタリングのために使用され得、一方では、他の遠位スプライン電極(3832)は、アブレーション・エネルギーの送達のために使用され得る。いくつかの実施形態において、いくつかの近位スプライン電極(3834)は、心臓内ECGモニタリングのために別個に配線され得る。本明細書で説明されているアブレーション・デバイスのいずれかは、それぞれのそのような電極からの心臓内ECG信号のモニタリングのために、別個に電気的に配線された電極とともに使用され得るということが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、1セットのスプラインの1つまたは複数のスプラインの上のいくつかの電極は、ECGモニタリングのために使用され得、一方では、他の電極は、アブレーション・エネルギーの送達のために使用され得る。
アブレーション・デバイス(3800)は、任意の数のスプライン、たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、17個、20個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(3800)は、3つから20個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、アブレーション・デバイス(3800)は、4つから12個のスプラインを含むことが可能である。
1セットのスプライン(3800)のスプラインのそれぞれは、組織への外傷を低減させるために非外傷性の全体的に丸みを帯びた形状を有するそれぞれの電極(3832、3834)を含むことが可能である。このように、第2の構成における遠位電極は、左心房の心房壁のセクション、または、より一般的には、任意の心房腔もしくは心室腔の近くに保持され得るか、または、それに対抗して設置され得、本明細書で説明されているように、任意の適切な極性の組合せを使用して、適当な電極の活性化によって、その上に損傷を発生させるようになっている。たとえば、遠位部分(3822)、および/または、1セットのスプライン(3830)の遠位電極(3832)は、図38Dに示されているように、組織壁に対しておおよそ垂直の配向、または、組織壁に対して概して斜めの配向のいずれかにおいて、組織壁(3850)に接触してまたは組織壁(3850)に近接して設置され得る。遠位電極(3832)の構成は、展開された構成におけるアブレーション・デバイス(3800)が所定の角度で(たとえば、斜めに)組織壁(3850)に当接するときでも、所望の深さにおける局所性損傷の発生を可能にする。
上述のように、いくつかの実施形態において、遠位電極(3832)と近位電極(3834)との間の角度は、特定の用途に基づいて変化することが可能である。より具体的には、1セットのスプライン(3830)は、展開されていない構成と拡張された構成との間の(展開されていない構成および拡張された構成を含めた)複数の状態へと移行するように構成され得、拡張された構成では、1セットのスプライン(3830)からのそれぞれのスプラインの遠位部分の長さを通って延在する第1の単位接線ベクトルu1(3840)と、1セットのスプライン(3830)からのそれぞれのスプラインの近位部分を通って延在する第2の単位接線ベクトルu2(3844)との間の角度は、約70度から約180度の間で変化する。たとえば、心室アブレーションのためにデバイスを使用するときに、および/または、より厚い組織を突き抜くために、遠位電極(3832)と近位電極(2834)との間の角度は、約90度から約180度の間にあることが可能であり、スプライン(3830)の拡張された構造体が、より平坦な遠位端部を有するようになっており、より平坦な遠位端部は、全体的に組織のより近くに位置決めされるのに適切であり、また、より深い局所性損傷を形成するためにより大きい表面積を提供するのに適切である。代替的に、デバイスが心房アブレーションのために使用されているとき、および/または、より薄い組織をアブレートするために、1セットのスプラインは、複数の状態から1つまたは複数の状態へと移行させられ得、そこでは、角度は、約70度から約90度の間、または、約70度から約120度の間にある(すべてのサブレンジおよびそれらの間の値を含む)。たとえば、遠位電極(3832)と近位電極(2834)との間の角度は、より低くなっていることが可能である(たとえば、約70度から約90度の間、約70度から約120度の間にある(すべてのサブレンジおよびそれらの間の値を含む))。そのような形状は、スプライン(3830)が組織表面に対して異なる配向で設置されることを可能にする。たとえば、図40に示されているように、1セットのスプライン(4030)を含むアブレーション・デバイス(4000)は、スプライン(4030)が組織壁(4050)に対して横方向に配向されるように設置され得る。それぞれのスプライン(4030)は、少なくとも1つの遠位電極(4032)および少なくとも1つの近位電極(4034)を有することが可能である。示されているように、遠位電極(4032)は、約90度未満の角度(4048)で、近位電極(4034)に対して角度を付けられ得、すなわち、遠位電極(4032)を通って延在する単位接線ベクトルu1は、約90度未満の角度(4048)で、近位電極(4034)を通って延在する単位接線ベクトルu2に対して角度を付けられ得る。ある実施形態において、角度(4048)は、約70度であることが可能である。次いで、スプライン(4030)の上の電極(4032、4034)の事前選択されたセットが、組織をアブレートするために活性化させられ得る。電極(4032、4034)の同じセットが、組織壁(4050)に対するスプライン(4030)の配向にかかわらず、組織をアブレートするために活性化させられ得る。代替的に、電極の異なるセットが、どのスプライン(4030)が組織表面のより近くに配向されているかに応じて、組織をアブレートするために活性化させられ得る。
図39Aは、カテーテルの形態のアブレーション・デバイス/装置(3900)の別の実施形態の斜視図であり、それは、デバイス(3900)の近位端部へ延在する外側シャフト(3910)と、外側シャフト(3910)のシャフト・管腔(3912)の遠位端部から延在する第1の内側シャフト(3920)および第2の内側シャフト(3921)と、1セットのスプライン(3930)と、膨張可能な部材(3950)とを含む。アブレーション・デバイス(3900)は、本明細書で説明されている他のアブレーション・デバイス(たとえば、アブレーション・デバイス(3800))と機能的におよび/または構造的に同様のコンポーネントを有することが可能である。第2の内側シャフト(3921)は、第1の内側シャフト(3920)の遠位端部から延在し、1セットのスプライン(3930)に連結することが可能である。アブレーション・デバイス/装置(3900)は、アブレーション・デバイス/装置(3300、3800)と同様のコンポーネントおよび/または機能性を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス/装置(3900)は、遠位部分(3922)の上に形成されたキャップ電極を含まない。第1の内側シャフト(3920)、第2の内側シャフト(3921)、および外側シャフト(3910)は、それぞれの近位端部において、カテーテル・ハンドル(図示せず)に連結され得る。第2の内側シャフト(3921)の遠位端部は、遠位部分(3922)に連結され得る。膨張可能な部材(3950)(たとえば、拡張可能な部材、バルーン)の近位部分は、第1の内側シャフト(3920)の遠位部分に連結され得る。たとえば、膨張可能な部材(3950)は、外側シャフト(3910)の遠位端部の遠位に、および、1セットのスプライン(3930)同士の間の空間の中に配設され得る。
随意的に、膨張可能な部材(3950)の遠位部分は、遠位部分(3922)および第2の内側シャフト(3921)の遠位部分のうちの1つまたは複数に連結され得る。1セットのスプライン(3930)のそれぞれのスプラインの近位部分は、外側シャフト(3910)の遠位部分に連結され得る。1セットのスプライン(3930)のそれぞれのスプラインの遠位部分は、遠位部分(3922)および第2の内側シャフト(3921)の遠位部分のうちの1つまたは複数に連結され得る。膨張可能な部材(3950)は、1セットのスプライン(3930)同士の間の空間の中に配設され得、1セットのスプライン(3930)によって取り囲まれるようになっている。いくつかの実施形態において、膨張可能な部材(3950)は、1セットのスプライン(3930)とは別個に並進可能であり得、たとえば、膨張可能な部材(3950)は、1セットのスプライン(3930)に対して移動可能であり得る。そのような実施形態では、膨張可能な部材(3950)は、1セットのスプライン(3930)に対して特定の所定の位置へと移動させられ得る。いくつかの実施形態において、膨張可能な部材(3950)は、第1の内側シャフト(3920)、第2の内側シャフト(3921)、および/または遠位部分(3922)とは異なるシャフトまたは他の構造体に連結され得る。たとえば、膨張可能な部材(3950)は、第3の内側シャフト(示されていない)に連結され得る。いくつかの実施形態において、膨張可能な部材は、管腔を画定しており、第2の内側シャフト(3921)は、膨張可能な部材の管腔を通って延在することが可能である。
第1の内側シャフト(3920)、第2の内側シャフト(3921)、および1セットのスプライン(3930)は、アブレーション・デバイス(3900)の長手方向軸線(3924)に沿って並進可能であり得る。いくつかの実施形態において、1セットのスプラインは、膨張可能な部材が膨張された構成へと移行することに応答して、複数の状態へと移行するように構成され得る。たとえば、1セットのスプライン(3930)は、第2の内側シャフト(3921)が第1の内側シャフト(3920)に対して移動することに応答して、拡張された構成へと移行するように構成され得る。別の例として、1セットのスプライン(3930)は、第2の内側シャフト(3921)が長手方向軸線(3924)に対して移動することに応答して、拡張された構成へと移行するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第1の内側シャフト(3920)、第2の内側シャフト(3921)、および1セットのスプライン(3930)は、一緒に移動することが可能である。スプライン(3930)は、可撓性であることが可能である。スプラインは、第1および第2の内側シャフト(3920、3921)が外側シャフト(3910)に対して並進させられるときに、構成(たとえば、展開された構成、展開されていない構成)同士の間で移行することが可能である。第1の内側シャフト(3920)および第2の内側シャフト(3921)は、外側シャフト(3910)の管腔(3912)の中にスライドするように構成され得る。1セットのスプライン(3930)は、たとえば、ハンドルの作動メカニズムを使用して、外側シャフト(3910)に対して第2の内側シャフト(3921)を移動させることによって並進させられ得る。
遠位部分(3922)は、非外傷性の形状を含み、組織への外傷を低減させることが可能である。たとえば、遠位部分(3922)は、平坦な円形の形状、および/または、丸みを帯びた鈍いプロファイルを有することが可能である。いくつかの実施形態において、遠位部分(3922)は、キャップを備えることが可能である。図39A~図39Dにおいて、遠位部分(3922)は、電極を含まない。これは、遠位部分(3922)の形状、プロファイル、およびサイズが構成可能でありおよび/または低減されることを可能にすることができる。1セットのスプライン(3930)のそれぞれのスプラインの遠位端部は、第2の内側シャフト(3921)の遠位部分につながれ得、および/または連結され得る。1セットのスプライン(3930)の近位部分は、外側シャフト(3910)に取り付けられ得、および/または連結され得る。アブレーション・デバイス(3900)は、たとえば図21~図25に開示されているように、スプライン(3930)の上の電極(3932、3934)を介して、使用の間にパルス波形を組織に送達するように構成され得る。
アブレーション・デバイス/装置は、組織をアブレートするための電界を発生させるように構成されている複数の電極を含むことが可能である。1セットのスプライン(3930)のそれぞれのスプラインは、そのスプラインの表面の上に形成された複数の電極から1セットの電極(3932、3934)を含むことが可能である。それぞれのセットの電極は、遠位電極(3932)を含むことが可能であり、1セットのスプラインが、1セットの遠位電極(3932)を含むようになっている。遠位電極(3932)のそれぞれは、同じスプラインの上のその対応する1セットの電極の他の電極(たとえば、1セットの近位電極(3934))に対して、遠位部分(3922)に最も近くにある。それぞれのセットの電極は、近位電極を含むことが可能であり、1セットのスプラインが、1セットの近位電極(3934)を含むようになっている。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3932、3934)は、そのスプラインの周囲部の周りにそれぞれ延在することが可能である。たとえば、遠位電極(3932)は、そのスプラインの周囲部を取り巻く金属製のリングから構築され得る。いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極のそれぞれの遠位電極(3932)は、集合的に、使用の間に同じ極性を有することが可能である。密接して設置されている遠位電極のこの組合せは、アブレーション・デバイス(3900)の遠位端部がより強力な電界を発生させて投射することを可能にし、それによって、これらの電極のうちのいずれか1つのみと比較して、所望の深さにおいて組織のフォーカル・アブレーション損傷をより効果的に発生させる。他の実施形態において、少なくとも2つの遠位電極は、アブレーション送達のために同じ電気極性を有することが可能である。
アブレーション・デバイス(3900)のそれぞれのスプライン(3930)は、そのスプライン(3930)の表面の上に、少なくとも1セットの独立してアドレス指定可能な電極(3932、3934)を含むことが可能である。それぞれの電極(3932、3934)は、絶縁された電気リード線に連結され得、絶縁された電気リード線は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電圧電位を持続させるように構成されている。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約3000Vの間の電位差を持続させることが可能である。それぞれのスプライン(3930)は、スプライン(3930)の本体部の中に(たとえば、スプライン(3930)の管腔の中に)、それぞれの電極(3932、3934)の絶縁された電気リード線を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、内側シャフト(3920)は、遠位電極(3932)のうちの1つまたは複数のための絶縁された電気リード線を含むことが可能である。他の実施形態において、電極(3932、3934)のサブセットが、共同で配線され得る。たとえば、1セットのスプライン(3930)のそれぞれのスプラインの近位電極(3934)が、共同で配線され得る。別の例として、すべての遠位電極(3932)が、共同で配線され得る。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3930)は、展開されていない構成と拡張された構成との間の(展開されていない構成および拡張された構成を含めた)複数の状態へと移行するように構成され得、拡張された構成では、1セットのスプラインからのそれぞれのスプラインの遠位部分は、複数の状態のそれぞれにおける1セットのスプラインからのそれぞれのスプラインの近位部分に対して、対応する複数の角度のうちの1つに設定されている。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3930)は、内側シャフト(3920)が長手方向軸線(3924)に沿って外側シャフト(3910)に対して移動することに応答して、複数の状態のうちの1つまたは複数へと移行するように構成され得る。たとえば、1セットのスプライン(3930)は、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成され得、図39Cに示されている第1の構成では、1セットのスプライン(3930)は、アブレーション・デバイス(3900)の長手方向軸線(3924)に対して概して平行に配置されており、図39A、図39B、および図39Dに示されている第2の構成(たとえば、拡張された構成、バスケット構成、展開された構成)では、1セットのスプライン(3930)のそれぞれのスプラインの遠位部分(3904)が、長手方向軸線(3924)から半径方向外向きに曲がっている。すなわち、スプライン(3930)の遠位部分(3904)は、図39Dに関してより詳細に説明されているように、スプライン(3930)の近位部分(3902)に対してベンドを形成している。いくつかの実施形態において、第1および第2の内側シャフト(3920、3921)は、外側シャフト(3910)に向けて引っ張られ(たとえば、外側シャフト(3910)に対して近位に移動させられる)、第2の構成でデバイス(3900)を展開することが可能である。第2の構成における1セットのスプライン(3930)は、バスケットまたはピラミッドのような形状を有することが可能である。図39Cに示されているように、1セットのスプライン(3930)が第1の構成になっているときには、膨張可能な部材(3950)は、収縮された構成になっている。第2の構成における1セットのスプライン(3930)は、それらの間に空間を画定することが可能であり、空間は、1セットのスプラインの拡張された構成において、第1の構成のときよりも大きくなっている。
図39Dは、2つの単位接線ベクトルを有するスプライン(3930)の斜視図である。図39Aおよび図39Bは、バスケットまたはピラミッドのような形状を有する1セットのスプライン(3930)を示しており、第2の構成におけるスプラインの形状に対応することが可能である。スプライン(3930)に沿ったすべてのポイントにおいて、単位接線ベクトルuが定義され得る。図39Dは、スプライン(3930)の遠位部分(3904)における単位接線ベクトルu1(3940)、および、スプライン(3930)の近位部分(3902)における単位接線ベクトルu2(3944)を図示している。たとえば、単位接線ベクトルu1(3940)は、遠位電極(3932)に対応しており、遠位電極(3932)の遠位方向に延在している。同様に、単位接線ベクトルu2(3944)は、近位電極(3932)に対応しており、近位電極(3932)の遠位方向に延在している。第1の線(3942)は、遠位電極(3932)に接しており、第2の線(3946)は、近位電極(3934)に接している。第1の線(3942)および第2の線(3946)の交差は、図39Dに示されているように、第1の角度(3948)を形成している。同様に、第1の線(3942)および長手方向軸線(3924)の交差は、第2の角度(3960)を形成している。
いくつかの実施形態において、単位ベクトルu1およびu2の内積は、角度(3948)の余弦に等しい。いくつかの実施形態において、それぞれの単位接線ベクトルの内積は、マイナスである。すなわち、遠位電極(3932)と近位電極(3934)との間の第1の角度(3948)は、約90度から約180度の間にある。第2の構成(たとえば、拡張された構成)において、それぞれのスプラインの遠位部分(たとえば、遠位電極(3932))と長手方向軸線(3924)との間の第2の角度(3960)は、図39Dに示されているように、少なくとも約70度である。
このように、1セットの遠位電極(3932)は、図39A、図39B、および図39Dに示されている第2の構成を形成するように成形/配向され得る。遠位部分(3922)は、最大でも約6mmだけ(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)、1セットの遠位電極(3932)のそれぞれの遠位電極から分離され得る。たとえば、遠位部分(3922)は、約0.5mmから約3mmの間だけ、1セットの遠位電極(3932)のそれぞれの遠位電極から分離され得る。第2の構成において、1セットのスプライン(3930)のそれぞれのスプラインの遠位部分(3904)は、近位部分(3902)に対して約90度と約180度の間で(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)角度を付けられ得る。
遠位部分(3904)は、1セットの遠位電極(3932)の長さおよび剛性に部分的に応じて、第2の構成において概して線形になっていることが可能である。たとえば、第2の構成において、遠位部分(3922)および1セットの遠位電極(3932)は、図33Bに示されているデバイス/装置(3300)の正面図と同様の様式で、長手方向軸線(3924)に対して垂直の平面の上に投影されるときに、「プラス」記号(たとえば、「X」または十字)の形状をとることが可能である。
いくつかの実施形態において、第2の内側シャフト(3921)は、所定の量だけ外側カテーテル・管腔(3912)の中へ後退させられ、第1の構成から第2の構成へアブレーション・デバイス(3900)を変形させることが可能である。1セットのスプライン(3930)は、連続的にまたは個別の工程で、第1の構成と第2の構成との間の任意の中間構成へ変形され得るということが理解される。1セットのスプライン(3930)は、展開されていないときに、長手方向軸線(3924)に対して概して平行の形状を形成することが可能であり、また、1セットのスプライン(3930)の遠位部分が長手方向軸線(3924)から半径方向外向きに曲がっており、スプラインの近位部分(3902)に対して所定の角度を形成しているときに、バスケットのような形状またはピラミッドのような形状を形成することが可能である。
いくつかの実施形態において、膨張可能な部材(3950)は、図39Bおよび図39Cに示されている収縮された構成と図39Aおよび図39Dに示されている膨張された構成との間で変形するように構成され得、収縮された構成では、膨張可能な部材(3950)の外側表面は、アブレーション・デバイス(3900)の長手方向軸線(3924)に対しておおよそ平行に配置されており、膨張された構成では、膨張可能な部材(3950)の外側表面は、1セットのスプラインが拡張された構成になっているときに、長手方向軸線(3924)から半径方向外向きに曲がっている。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3930)は、膨張可能な部材が膨張された構成へと移行することに応答して、拡張された構成へと移行するように構成されている。膨張可能な部材(3950)が、外側シャフト(3910)の遠位端部の遠位に、および、1セットのスプライン(3930)同士の間の空間の中に配設されている、膨張された構成において、膨張可能な部材(3950)は、複数の電極によって発生させられる電界を1セットのスプライン同士の間の空間から駆動するように構成されており、電界がより大きい損傷を組織の中に形成することができるようになっている。いくつかの実施形態において、膨張された構成における膨張可能な部材(3950)は、それらの拡張された構成において、1セットのスプライン同士の間の空間を実質的に充填する。1セットのスプライン(3930)は、膨張可能な部材(3950)が収縮された構成になっているときに、第1の構成(図39C)または第2の構成(図39B)になっていることが可能である。
いくつかの実施形態において、膨張された構成における膨張可能な部材は、非対称的な形状を形成することが可能であり(たとえば、図39A、図39D)、そこでは、膨張可能な部材の遠位部分が、膨張可能な部材の近位部分の外径よりも大きい外径を有している。
いくつかの実施形態において、第1および第2の内側シャフト(3920、3921)は、外側シャフト(3910)に向けて引っ張られ(たとえば、外側シャフト(3910)に対して近位に移動させられる)、第2の構成で1セットのスプライン(3930)を展開すること、および/または、膨張可能な部材(3950)を膨張された拡張された構成へと変形させることが可能である。いくつかの実施形態において、膨張可能な部材(3950)に流体連通している流体供給源が、膨張可能な部材(3950)をその収縮された構成からその膨張された構成へ変形させるために使用され得る。たとえば、第1の内側シャフト(3920)は、流体供給源(図示せず)に連結する(たとえば、流体連通している)ように構成され得、流体が、第1の内側シャフト(3920)の管腔を介して、膨張可能な部材(3950)の中へ送達され、膨張可能な部材(3950)を膨張された構成へと移行させるようになっている。いくつかの実施形態において、膨張された構成における膨張された部材(3950)は、第2の構成における1セットのスプライン(3930)によって形成される形状に一致することが可能である。すなわち、膨張されたまたは拡張された膨張可能な部材(3950)は、球根状の形状、バスケットの形状、またはピラミッドのような形状を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、膨張可能な部材(3950)は、膨張可能な部材(3950)の外側表面が1セットのスプライン(3930)の領域と係合するように拡張することが可能である。膨張可能な部材(3950)は、連続的にまたは個別の工程で、収縮された構成と膨張された構成との間の任意の中間構成へと変形され得るということが理解される。いくつかの実施形態において、膨張可能な部材(3950)を収縮された構成から膨張された構成へ移行させることは、1セットのスプライン(3930)に力を付与し、それは、1セットのスプラインを第1の構成から第2の構成へ移行させる。たとえば、膨張可能な部材(3950)は、1セットのスプライン(3930)の領域と係合するように膨張し、1セットのスプライン(3930)に外向きの力を付与することが可能であり、1セットのスプライン(3930)が、構成をその第1の構成(すなわち、図39Cに示されている展開されていない構成)からその第2の構成(すなわち、図39Dに示されている展開された構成)へ変化させるようになっている。
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されているような膨張可能な部材は、拡張可能な構造体を有することが可能であり、それに限定されないが、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、架橋ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマー(POC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ナイロン、ポリマーブレンド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、およびPEBAXなどを含む、さまざまな絶縁材料または誘電材料のいずれかから構成され得る。好適な実施形態は、ポリウレタンまたはシリコーンから構成され得る。いくつかの実施形態において、膨張可能な部材の1つまたは複数の部分は、X線不透過性の部分を備えることが可能である。いくつかの実施形態において、流体は、たとえば、第1の内側シャフト(3920)の管腔、または、膨張可能な部材(3950)に連結されている別のシャフトもしくは構造体を通して、膨張可能な部材(3950)を膨張させることが可能である。たとえば、膨張可能な部材(3950)は、カテーテル・ハンドルに取り付けられている流体ポートを通して膨張され得、蒸留水または脱イオン水などのような流体が、圧力下で注入され得る。
膨張可能な部材を膨張させるために流体(たとえば、蒸留水もしくは脱イオン水、生理食塩水空気、または、他の液体および/もしくはガス)を使用することとともに、膨張可能な部材は、パルス電界波形の送達の間の効果的な絶縁体としての役割を果たし、膨張可能な部材またはバルーンの外側の領域、および、バルーンを取り囲む領域に電界を駆動する。膨張可能な部材および1セットのスプラインのこの組合せは、アブレーション・デバイス(3900)からさらに遠い距離において、アブレーション・デバイス(3900)の遠位端部がより強力な電界を投射または送達することを可能にし、それによって、1セットのスプラインのみと比較して、所望の深さにおいて組織のフォーカル・アブレーション損傷をより効果的に発生させる。したがって、第2の膨張された構成(図39Aおよび図39D)におけるデバイス(3900)は、膨張可能な部材(3950)および第2の内側シャフト(3921)から離れるように、および、アブレートされることとなる組織に向けて、1セットの電極(3932、3934)によって発生させられる電界を再方向付けすることによって、より少ない電力によって、組織の中に損傷を効率的に形成することが可能である。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3930)が拡張された構成になっているときには、1セットの遠位電極(3932)からの少なくとも1つの電極は、組織表面に接触し、約0.5cmから約2.5cmの間の直径を有するフォーカル・アブレーション損傷を組織表面の上に形成するように構成されている。
いくつかの実施形態において、異なる数の近位電極(3934)、および/または、サイズ、形状、数、および間隔のうちの1つまたは複数において異なっている、近位電極(3934)または遠位電極(3932)が使用され得る。たとえば、図39Aは、1セットのスプライン(3930)のそれぞれのスプラインに関して、2つの遠位電極(3932)および3つの近位電極(3934)を図示している。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3930)のそれぞれのスプラインは、複数の近位電極(3934)を備えることが可能である。近位電極(3934)は、所与の長さの近位電極領域を形成することが可能であるが、セットのより短い長さの電極セグメントへと分割されることによって、近位電極(3934)は、スプライン(3930)の近位部分(3902)のフレキシビリティーを可能にする。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの可撓性の部分が、複数の近位電極の場所におけるそのスプラインのフレキシビリティーを増加させるために、複数の近位電極からの隣接する近位電極同士の間に配設されている。それぞれの近位電極(3934)は、その周囲部全体に沿って(たとえば、スプラインの周囲部全体の周りに)、および/または、その周囲部全体の一部分の周りに、そのスプライン(3930)の表面の上に形成され得る。それぞれの遠位電極(3932)は、その周囲部全体に沿って、および/または、その周囲部全体の一部の周りに、そのスプライン(3930)の表面の上に形成され得る。近位および遠位電極(3932、3934)が周囲部全体に沿って延在しているときには、近位および遠位電極(3932、3934)は、そのスプライン(3930)の周囲部全体をカバーすることが可能である(たとえば、その周りに延在する、それを取り巻く)。追加的にまたは代替的に、1つまたは複数の近位電極(3934)は、少なくとも1つのコイル電極を備えることが可能であり、少なくとも1つのコイル電極は、スプライン(3930)の近位部分(3902)のフレキシビリティーを可能にすることができる。たとえば、ある実施形態において、複数の近位電極(3934)は、コイル状の構成を有する単一の近位電極(3934)と交換され得、コイル状の構成は、デバイス/装置(3900)がその第1の構成と第2の(展開された)構成との間で移行することを可能にするために十分に可撓性になっている。
1セットの遠位電極(3932)は、特定の方向に面するように構成され得る。たとえば、図39B、図39C、および図39Dは、1セットのスプライン(3930)の遠位部分(3904)が長手方向軸線(3924)から半径方向外向きに曲がっているときに、第2の構成においてデバイス(3900)の遠位端部において概して前方を向く1セットの遠位電極(3932)および遠位部分(3922)を示している。そのうえ、遠位電極(3932)は、そのスプラインの遠位端部に配設され得、1セットのスプライン(3930)の遠位電極(3932)が、デバイス(3900)の遠位部分(3922)の近くに配設されるようになっている。
いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3930)のそれぞれのスプラインの1セットの電極(3932、3934)は、隣接するスプラインの対応する電極(3932、3934)とおおよそ同じサイズ、形状、数、および間隔を有することが可能である。それぞれのスプライン(3930)の厚さは、それぞれのスプライン(3930)の上に形成された電極(3932、3934)の数に基づいて変化することが可能であり、それは、スプライン(3930)の中の絶縁された電気リード線の数に対応することが可能である。スプライン(3930)は、同じまたは異なる材料、厚さ、および/または長さを有することが可能である。
1セットの電極(3932、3934)は、不可逆電気穿孔法による細胞死を引き起こすために組織に適用され得るパルス電界(PEF)アブレーション・エネルギーに対応する高電圧パルスを送達するように適切に分極され得る。いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極からの少なくとも1つの遠位電極は、第1の極性を備えて活性化させられるように構成され得、1セットの近位電極からの少なくとも1つの近位電極は、第1の極性の反対の第2の極性を備えて活性化させられるように構成され得、集合的に電界を発生させる。たとえば、遠位電極(3932)のサブセットは、1つの電気極性を有することが可能であり、一方では、近位電極(3934)のサブセットは、反対の電気極性を有することが可能であり、したがって、PEFアブレーション・エネルギーの送達のための電極バイポール・ペアリングを画定する。一般的に、一連の同様のバイポールが、PEFアブレーション送達のために定義され得る。別の例として、遠位電極(3932)のすべては、1つの電気極性を有することが可能であり、一方では、近位電極(3934)のすべては、反対の電気極性を有することが可能である。
いくつかの実施形態において、1セットの電極(3932、3934)は、アノード-カソード・セットで構成され得る。たとえば、1セットの遠位電極(3932)のそれぞれの遠位電極は、集合的にアノードとして構成され得、1セットの近位電極(3934)は、集合的にカソードとして構成され得る(または、その逆も同様)。いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極(3932)および1セットの近位電極(3934)は、反対の極性を有することが可能である。たとえば、所与のスプラインに関する遠位電極(3932)および1セットの近位電極(3934)は、反対の極性を有することが可能である。1セットの遠位電極(3932)は、同じ極性を有することが可能である。本明細書で議論されているように、1セットの遠位電極(3932)は、共同で配線され得る。いくつかの実施形態において、1セットのスプライン(3930)の1つまたは複数のスプラインの1セットの電極(3932、3934)は、一緒に活性化させられ、不可逆電気穿孔法のためのパルス波形を送達することが可能である。たとえば、複数の電極の事前選択された部分が、複数の状態のそれぞれにおいて活性化可能であり、不可逆電気穿孔法によって組織壁(たとえば、心腔)をアブレートするための電界を発生させる。他の実施形態において、パルス波形送達は、1セットの電極(3932、3934)の所定のサブセットの上でシーケンシャルに繰り返され得る。たとえば、特定の活性化シーケンスは、スプライン(3930)の半分(たとえば、図39A~図39Dに示されている4つのスプライン(3930)のうちの2つ)の遠位電極(3432)を活性化させること、および、スプライン(3930)の半分(たとえば、図39A~図39Dに示されている4つのスプライン(3930)のうちの2つ)の近位電極(3934)を活性化させることを含むことが可能である。望まれる電極(3932、3934)によって発生させられる電界に応じて、活性化させられる遠位電極(3932)および近位電極(3934)は、互いからオフセットされ得る(たとえば、遠位電極(3932)は、近位電極(3934)から隣接するスプライン(3930)の上にあることが可能であり、または、遠位電極(3932)は、近位電極(3934)から所定の角度(たとえば、約90度)でオフセットされ得る)。いくつかの実施形態において、1セットのスプラインは、組織壁に対する1セットのスプラインの配向から独立して、組織壁をアブレートするように構成され得る。いくつかの実施形態において、複数の電極の事前選択された部分は、組織表面の近くに配向された複数の電極からの電極を含むことが可能である。
いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極(3932)は、それぞれのスプライン(3930)の遠位端部から最大でも6mmだけ、遠位部分(3922)から分離され得る。いくつかの実施形態において、1セットの遠位電極(3932)は、約1mmから約20mmの間の値だけ、1セットの近位電極(3934)から分離され得る。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3932、3934)のそれぞれの電極は、約0.5mmから約3mmの間の直径を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、遠位部分(3922)および/または第2の内側シャフト(3921)の遠位端部は、約0.7mmから約5mmの間の断面直径を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3932、3934)のそれぞれの電極は、約0.5mmから約5mmの長さを有することが可能である。いくつかの実施形態において、第2の構成における1セットのスプライン(3930)は、約6mmから約24mmの間の拡張された断面直径(すなわち、その最大の部分に対応する平面における拡張された構成または第2の構成の有効直径)を有することが可能である。いくつかの実施形態において、展開されていない構成において、1セットのスプライン(3900)は、約6mmから約30mmの間の値だけ、外側シャフト(3910)の遠位端部(3912)から延在することが可能である。いくつかの実施形態において、外側シャフト(3910)は、約1.5mmから約6.0mmの間の外径を有することが可能である。
本明細書で説明されているようなアブレーション・デバイス(3900)は、パルス波形を送達する前に第1の構成で配設され得、組織表面(たとえば、左心房または心室の内側壁など)と接触するために、第2の構成に変形され得る。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ハンドル(図示せず)が、カテーテル(3900)および1セットのスプライン(3930)に連結され得、ハンドルは、第1の構成と第2の構成との間での1セットのスプライン(3930)の変形に影響を与えるように構成され得る。たとえば、ハンドルは、第1の内側シャフト(3920)および第2の内側シャフト(3921)を外側シャフト(3910)に対して並進させるように構成され得る。たとえば、外側シャフト(3910)の管腔(3912)の中へ第1および第2の内側シャフト(3920、3921)を後退させることは、本明細書で図示されているバスケットまたはピラミッドのような形状へと1セットのスプライン(3930)を展開させることが可能である。いくつかの実施形態において、デバイス・ハンドルの中のノブ、ホイール、または他の制御メカニズムの作動は、第1および第2の内側シャフト(3920、3921)の並進を結果として生じさせることが可能であり、1セットのスプライン(3930)の展開を結果として生じさせることが可能である。いくつかの実施形態において、1セットの電極(3932、3934)の少なくとも2つの電極の電気リード線はアブレーション・デバイス(3900)の近位部分においてまたはその近くにおいて(たとえば、ハンドルの中などで)電気的に連結され得る。
そのうえ、カテーテル・ハンドル(図示せず)は、カテーテル・デバイス(3900)の遠位部分(3904)を偏向させるかまたは操縦するためのメカニズムを含むことが可能である。たとえば、プル・ワイヤーは、カテーテル・ハンドルから、外側シャフト(3910)の遠位端部においてまたはその近くにおいて、デバイス(3900)の遠位部分(3904)の1つの側へ延在することが可能であり、プル・ワイヤーにテンションをかけることは、デバイス(3900)の偏向を結果として生じさせる。デバイス(3900)の偏向は、制御された様式で、適切な解剖学的な場所において、ユーザーによるデバイス(3900)の位置決めを支援することが可能である。たとえば、デバイス(3900)は、心腔などのような所望の場所にデバイス(3900)を送達するために使用される操縦可能なシース(図示せず)の中にスライド可能に配設され得る。心腔の中に入ると、デバイス(3900)は、さらに偏向または操縦され、所望の部位にアクセスし、アブレーション・エネルギーを送達することが可能である。
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の遠位スプライン電極(3932)は、それぞれのそのような電極(3932)からの心臓内心電図(ECG)信号の受信および/またはモニタリングのために、別個に電気的に配線され得る。たとえば、アブレーションのために構成されている電極、および、ECG信号を受信するために構成されている別の電極は、別個の絶縁された電気リード線に連結され得る。いくつかの実施形態において、いくつかの遠位スプライン電極(3932)は、ECGモニタリングのために使用され得、一方では、他の遠位スプライン電極(3932)は、アブレーション・エネルギーの送達のために使用され得る。いくつかの実施形態において、いくつかの近位スプライン電極(3934)は、心臓内ECGモニタリングのために別個に配線され得る。本明細書で説明されているアブレーション・デバイスのいずれかは、それぞれのそのような電極からの心臓内ECG信号のモニタリングのために、別個に電気的に配線された電極とともに使用され得るということが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、1セットのスプラインの1つまたは複数のスプラインの上のいくつかの電極は、ECGモニタリングのために使用され得、一方では、他の電極は、アブレーション・エネルギーの送達のために使用され得るが、他の実施形態では、いくつかの電極のみが、ECGモニタリングのために使用され得、一方では、すべての電極が、アブレーション・エネルギーの送達のために使用され得る。
膨張可能な部材(3950)を含むアブレーション・デバイス(3900)を使用する例示目的の方法は、対象者の心臓の心腔の中の第1の場所にアブレーション・デバイス(3900)を位置決めする(たとえば、配設する)工程を含むことが可能である。1セットのスプライン(3930)は、拡張された構成へと移行させられ得、そこでは、1セットのスプラインのそれぞれのスプラインの遠位部分は、長手方向軸線(3924)から半径方向外向きに曲がっている。1セットのスプライン(3930)を拡張された構成へと移行させる工程は、第1のシャフトに対して第2のシャフトの遠位部分を後退させる工程を含む。第1のシャフトに対して第2のシャフトの遠位部分を後退させる工程は、第2のシャフトまたは第1のシャフトのうちの少なくとも1つに連結されているハンドルを使用する工程を含むことが可能である。アブレーション・デバイスの外側シャフトに対してアブレーション・デバイスの内側シャフトを並進させることは、1セットのスプラインを所定の状態へと移行させることが可能であり、所定の状態では、1セットのスプラインのそれぞれのスプラインの遠位部分、および、1セットのスプラインのそれぞれのスプラインの近位部分が、約70度から約180度の間の第1の角度にある。
膨張可能な部材(3950)は、膨張された構成へと移行させられ得る。アブレーション・パルス波形は、複数の電極(3932、3934)に送達され得、複数の電極(3932、3934)は、1セットのスプライン(3930)の上に配設されており、1セットのスプライン(3930)が、心腔の組織をアブレートするための電界を発生させるようになっており、膨張可能な部材(3950)が、組織に向けて電界を方向付けする。
いくつかの実施形態において、第1のアブレーション・パルス波形は、1セットのスプラインからの少なくとも1つのスプラインの上に形成された遠位電極、および、1セットのスプラインからの少なくとも1つのスプラインの上に形成された近位電極に送達され得、1セットのスプラインが、心腔の組織壁の第1の部分をアブレートするための第1の電界を発生させるようになっている。アブレーション・デバイスは、心腔の中の第2の場所に位置決めされ得る。第2のアブレーション・パルス波形は、1セットのスプラインからの少なくとも1つのスプラインの上に形成された遠位電極、および、1セットのスプラインからの少なくとも1つのスプラインの上に形成された近位電極に送達され得、1セットのスプラインが、組織壁の第2の部分をアブレートするための第2の電界を発生させるようになっている。
いくつかの実施形態において、第1および第2の場所は、心臓の心房の中にあり、第1および第2の角度は、約70度から約90度の間、または、約70度から約120度の間にある(すべてのサブレンジおよびそれらの間の値を含む)。いくつかの実施形態において、第1および第2の場所は、心臓の心室の中にあり、第1および第2の角度は、約90度から約180度の間にある。
いくつかの実施形態において、第1および第2の電界のうちの少なくとも1つは、約0.5cmから約2.5cmの間の直径を有するフォーカル・アブレーション損傷を組織の表面の上に形成するように構成されている。少なくとも1つのスプラインの1セットの電極からの第1の電極は、アノードとして構成され得る。少なくとも1つのスプラインの1セットの電極からの第2の電極は、カソードとして構成され得る。アブレーション・パルス波形は、第1の電極および第2の電極に送達され得る。
少なくとも1つのセットの電極は、アブレーションのために構成され得、少なくとも1つのセットの電極は、電気生理学データを受信するように構成され得る。電気生理学データが、少なくとも1つのセットの電極を使用して、心臓から記録され得る。電気生理学データは、少なくとも1つの肺静脈の心臓内心電図(ECG)信号データを含むことが可能である。
組織は、心腔の心内膜表面を含む。いくつかの用途において、心腔は、心室であり、他の用途では、それは、心房であることが可能である。いくつかの実施形態において、ペーシング・デバイスが、心臓の右心室または他の心臓領域の中へ前進させられ得る。ペーシング信号が、心臓の心臓刺激のために発生させられ得る。ペーシング信号は、ペーシング信号と同期して発生させられるアブレーション・パルス波形を備えたペーシング・デバイスを使用して、心臓に適用され得る。アブレーション・パルス波形は、ペーシング信号に関して時間オフセットを含むことが可能である。アブレーション・デバイスのX線不透過性の部分は、1つまたは複数の工程の間に蛍光透視法的に可視化され得る。
いくつかの実施形態において、カテーテルは、心臓の心腔の中へ前進させられ得、電気生理学データが、記録電極を使用して記録され得る。1セットのスプラインを拡張された構成へと移行させた後に、および、バルーンを膨張された構成へと移行させた後に、1セットのスプラインからの少なくとも1つのスプラインが、心内膜表面と接触して設置され得る。心内膜と接触している少なくとも1つのスプラインは、「C」字形状を形成することが可能である。本明細書で説明されているように、アブレーション・デバイス(3900)は、膨張可能な部材(3950)に流体連通している管腔を画定するシャフトを含むことが可能である。膨張可能な部材が膨張された構成へと移行する工程は、シャフトの管腔を介して、膨張可能な部材の中へ流体を送達する工程を含む。膨張可能な部材は、絶縁材料から形成され得、膨張可能な部材が、アブレーション・パルス波形の送達の間に絶縁体として作用するようになっている。
膨張可能な部材は、複数の膨張可能な部分を含むことが可能である。複数の膨張可能な部分からのそれぞれの膨張可能な部分は、複数の膨張可能な部分の他の膨張可能な部分から独立して膨張可能であり得る。
いくつかの実施形態において、1セットのスプラインを拡張された構成へと移行させる工程は、1セットのスプラインからのそれぞれのスプラインの遠位部分が長手方向軸線に対して約70度よりも大きく角度を付けられるように、1セットのスプラインを移行させる工程を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、1セットのスプラインを拡張された構成へと移行させる工程は、膨張可能な部材を膨張された構成へと移行させる工程に応答している。
アブレーション・デバイス(3900)は、任意の数のスプライン、たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、12個、14個、16個、17個、20個、またはそれ以上のスプラインを含むことが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(3900)は、3つから20個のスプラインを含むことが可能である。たとえば、アブレーション・デバイス(3900)は、4つから12個のスプラインを含むことが可能である。
1セットのスプライン(3900)のスプラインのそれぞれは、組織への外傷を低減させるために非外傷性の全体的に丸みを帯びた形状を有するそれぞれの電極(3932、3934)を含むことが可能である。このように、第2の構成における遠位電極(3932)は、左心室の心房壁のセクション、または、より一般的には、任意の心房腔もしくは心室腔の近くに保持され得るか、または、それに対抗して設置され得、本明細書で説明されているように、任意の適切な極性の組合せを使用して、適当な電極の活性化によって、その上に損傷を発生させるようになっている。たとえば、遠位部分(3922)、および/または、1セットのスプライン(3930)の遠位電極(3932)は、図38Dに示されているものと同様に、組織壁に対しておおよそ垂直の配向、または、組織壁に対して概して斜めの配向のいずれかにおいて、組織壁(3950)と接触してまたは組織壁(3950)に近接して設置され得る。遠位電極(3932)の構成は、展開された構成におけるアブレーション・デバイス(3900)が所定の角度で(たとえば、斜めに)組織壁(3950)に当接するときでも、所望の深さにおける局所性損傷の発生を可能にする。
いくつかの実施形態において、電極または電極のサブセットが独立してアドレス指定可能であり得るので、電極は、不可逆電気穿孔法によって組織をアブレートするのに十分な任意のパルス波形を使用して、任意のシーケンスで励起され得る。たとえば、異なるセットの電極は、本明細書でさらに詳細に議論されているように、異なるセットのパルス(たとえば、階層的なパルス波形)を送達することが可能である。スプラインの上のおよびスプライン同士の間の電極のサイズ、形状、および間隔は、連続的な/経皮的なエネルギーを送達し、1つまたは複数の肺静脈を電気的に隔離するように構成され得るということが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、代替的な電極は、同じ電位にあることが可能であり、すべての他の交互の電極に関しても同様である。したがって、いくつかの実施形態において、アブレーションは、すべての電極が同時に活性化させられた状態で迅速に送達され得る。さまざまなそのような電極ペアリング・オプションが存在し、その都合に基づいて実装され得る。
いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(たとえば、2900、3000、3100、3200)は、2つから6つのカテーテルを含むことが可能である。アブレーション・デバイス(たとえば、2900、3000、3100、3200)は、任意の数のカテーテル、たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のカテーテルを含むことが可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(たとえば、2900、3000、3100、3200)は、3つから6つのカテーテルを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイス(たとえば、2900、3000、3100、3200)のカテーテルは、2つから6つの遠位部分を含むことが可能である。カテーテルは、任意の数の遠位部分、たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の遠位部分を含むことが可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、カテーテルは、2つから4つの遠位部分を含むことが可能である。そのうえ、いくつかの実施形態において、カテーテルの形状(たとえば、曲率、長さ、サイズ)は、非対称になっており、フォーカル・アブレーションの深さ、形状、および/またはサイズを制御することを補助することが可能である。
いくつかの実施形態において、電極は、アノード-カソード・ペアを形成することが可能である。たとえば、第1の電極は、アノードとして構成され得、第2の電極は、カソードとして構成され得る。いくつかの実施形態において、電極のサブセットは、独立してアドレス指定可能であり得、電極は、不可逆電気穿孔法によって組織をアブレートするのに十分な任意のパルス波形を使用して、任意のシーケンスで励起され得る。たとえば、異なるセットの電極は、異なるセットのパルス(たとえば、階層的なパルス波形)を送達することが可能である。
先述のものに説明されているすべての実施形態において、および、限定なしに、アブレーション・カテーテル自体は、当業者に知られているように、カテーテル・ハンドルの中の適切なメカニズムを通して偏向を制御するためのプル・ワイヤーを備えた操縦可能なデバイスであることが可能である。
バルーン
いくつかの実施形態において、アブレーション・デバイスは、不可逆電気穿孔法によって組織をアブレートするためのエネルギーを送達するための1つまたは複数のバルーンを含むことが可能である。図10は、心臓の左心房腔(1000)の中に配設されている(たとえば、構造的におよび/または機能的にアブレーション・デバイス(110)と同様の)バルーン・アブレーション・デバイス(1010)の実施形態を示している。アブレーション・デバイス(1010)は、第1のバルーン(1012)および第2のバルーン(1014)を含むことが可能であり、それらは、肺静脈(1004)の口(1002)の中に配設されるように構成され得る。拡張された(たとえば、膨張された)構成における第1のバルーン(1012)は、拡張された構成における第2のバルーン(1014)よりも大きい直径を有することが可能である。これは、第2のバルーン(1014)が肺静脈(1014)の中へさらに前進させられおよび配設されることを可能にするが、一方では、第1のバルーン(1012)は、肺静脈(1004)の口(1002)の近くにおよび/または口(1002)に配設され得る。膨張された第2のバルーンは、肺静脈の口における第1のバルーンの位置決めを安定化させる役割を果たす。いくつかの実施形態において、第1のバルーン(1012)および第2のバルーン(1014)は、任意の適切な導電性流体(たとえば、生理食塩水など)によって充填され得る。第1のバルーン(1012)および第2のバルーン(1014)は、互いから電気的に隔離され得る。たとえば、それぞれのバルーン(1012、1014)は、それに関連付けられる絶縁された電気リード線を含むことが可能であり、それぞれのリード線は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、少なくとも700Vの電位差を持続させるのに十分な電気的な絶縁を有している。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2500Vの間の電位差を持続させることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。たとえば、第2のバルーン(1014)のリード線は、それが第1のバルーン(1012)を通って延在するときに絶縁され得る。
いくつかの実施形態において、第1および第2のバルーン(1012、1014)は、アノード-カソード・ペアを形成することが可能である。たとえば、1つの実施形態では、第1および第2のバルーンは、生理食塩水流体の電気的に別個の本体部を担持することが可能であり、第1のバルーン(1012)は、カソードとして構成され得、第2のバルーン(1014)は、アノードとして構成され得、または、その逆もまた同様であり、ここで、電気エネルギーは、バルーンまたは生理食塩水で充填された電極を横切って容量的に連結され得る。デバイス(1010)は、組織(1002)に送達されることとなるパルス波形を受信することが可能である。たとえば、二相性信号のうちの1つまたは複数が適用され得、組織が、肺静脈(1004)の中の所望の場所において、第1のバルーン(1012)と第2のバルーン(1014)との間でアブレートされ得るようになっている。第1および第2のバルーン(1012、1014)は、第1および第2のバルーン(1012、1014)の間に実質的に電界を閉じ込めることが可能であり、肺静脈(1004)の口(1002)から離れるように、組織への電界および損傷を低減させるようになっている。別の実施形態では、第1のバルーンの近位および遠位にそれぞれ配設されている電極(1018)および(1019)のうちの一方または両方が、1つの極性の電極として使用され得、一方では、第1のバルーンの中の流体は、反対の極性の電極として作用することが可能である。次いで、二相性パルス波形は、バルーンを横切る容量的カップリングによって、反対側の極性のこれらの電極の間で送達され得、第1のバルーンの周りの領域の中の不可逆電気穿孔法アブレーションのゾーンを結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、バルーン(1012、1014)のうちの1つまたは複数は、ワイヤー・メッシュを含むことが可能である。
図11は、心臓の左心房腔(1100)および右心房腔(1104)の中に配設されている(たとえば、構造的におよび/または機能的にアブレーション・デバイス(1010)と同様の)バルーン・アブレーション・デバイス(1110)の別の実施形態の断面図である。アブレーション・デバイス(1110)は、バルーン(1112)を含むことが可能であり、バルーン(1112)は、右心房腔(1104)の中へ前進させられ、右心房腔(1104)の中に配設されるように構成され得る。たとえば、バルーン(1112)は、心臓の中隔(1106)と接触して配設され得る。バルーン(1112)は、生理食塩水によって充填され得る。デバイス(1110)は、電極(1120)をさらに含むことが可能であり、電極(1120)は、右心房腔(1104)からバルーン(1112)および中隔(1106)を通して左心房腔(1100)の中へ前進させられ得る。たとえば、電極(1120)は、バルーン(1112)から延在し、中隔(1106)を通って穿刺し、左心房腔(1100)の中へ前進させられ得る。電極(1120)が左心房腔(1100)の中へ前進させられると、電極(1120)の遠位部分は、所定の形状を形成するために修正され得る。たとえば、電極(1120)の遠位部分は、非直線的な形状、たとえば、円形、楕円体、または任意の他の幾何学的な形状などを含むことが可能である。図11において、電極(1120)の遠位部分は、ループを形成しており、ループは、左心房腔(1100)の中の肺静脈(1102)の単一の口または2つ以上の口を取り囲むことが可能である。他の実施形態において、電極(1120)の遠位部分は、肺静脈(1102)の口とおおよそ同じ直径を有することが可能である。
バルーン(1112)および電極(1120)は、互いから電気的に隔離され得る。たとえば、バルーン(1112)および電極(1120)は、それぞれ、絶縁された電気リード線(1114、1122)をそれぞれ含むことが可能であり、それぞれのリード線(1114、1122)は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、少なくとも700Vの電位差を持続させるのに十分な電気的な絶縁を有している。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2000Vの間の電位差を持続させることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。電極(1120)のリード線(1122)は、バルーン(1112)を通して絶縁され得る。いくつかの実施形態において、バルーン(1112)の中の生理食塩水および電極(1120)は、アノード-カソード・ペアを形成することが可能である。たとえば、バルーン(1112)は、カソードとして構成され得、電極(1120)は、アノードとして構成され得る。デバイス(1110)は、肺静脈(1102)の口に送達されることとなるパルス波形を受信することが可能である。たとえば、二相性波形が、組織をアブレートするために適用され得る。電流が容量的カップリングを介してバルーン(1112)に適用されて回路を完成させている間に、パルス波形は、電極(1120)の周りに強い電界を生成させることが可能である。いくつかの実施形態において、電極(1120)は、細いゲージ・ワイヤーを含むことが可能であり、バルーン(1112)は、ワイヤー・メッシュを含むことが可能である。
別の実施形態では、電極(1120)は、肺静脈(1102)を通して前進させられ、バルーン(1112)および/または中隔(1106)を通して前進させられることなく、肺静脈口のうちの1つまたは複数の中に配設され得る。バルーン(1112)および電極(1120)は、カソード-アノードペアとして構成され得、上記に議論されているものと同じ様式でパルス波形を受信することが可能である。
リターン電極
本明細書で説明されているようなアブレーション・システムのいくつかの実施形態は、患者に連結されているリターン電極またはリターン電極の分散されたセットをさらに含み、健康な組織への意図しない損傷のリスクを低減させることが可能である。図12A~図12Bは、患者(1200)の上に配設されているアブレーション・システムの1セットのリターン電極(1230)(たとえば、リターン・パッド)の概略図である。左心房の肺静脈(1210)の4つの口のセットが、図12A~図12Bに図示されている。アブレーション・デバイスの電極(1220)は、肺静脈(1210)の口のうちの1つまたは複数の周りに位置決めされ得る。いくつかの実施形態において、1セットのリターン電極(1230)は、患者(1200)の背中の上に配設され、電流が電極(1220)から患者(1200)を通って次いでリターン電極(1230)へ流れることを可能にすることができる。
たとえば、1つまたは複数のリターン電極は、患者(1200)の皮膚の上に配設され得る。1つの実施形態では、8つのリターン電極(1230)が、患者の背中の上に位置決めされ得、肺静脈口(1210)を取り囲むようになっている。導電性ゲルが、リターン電極(1230)と皮膚との間に適用され、接触を改善することが可能である。本明細書で説明されているアブレーション・デバイスのいずれかは、1つまたは複数のリターン電極(1230)とともに使用され得るということが認識されるべきである。図12A~図12Bにおいて、電極(1220)は、4つの口(1210)の周りに配設されている。
図12Bは、肺静脈の口(1210)の周りに電界(1240)を形成している励起された電極(1220)を図示している。そして、リターン電極(1230)は、電極(1220)によって送達されるパルス状の単相性のおよび/または二相性の波形を受信することが可能である。いくつかの実施形態において、リターン電極(1230)の数は、リターン電極(1230)の表面積におおよそ反比例していることが可能である。
本明細書で議論されているアブレーション・デバイスのそれぞれに関して、電極(たとえば、アブレーション電極、リターン電極)は、チタン、パラジウム、銀、プラチナ、またはプラチナ合金などのような、生体適合性金属を含むことが可能である。たとえば、電極は、好ましくは、プラチナまたはプラチナ合金を含むことが可能である。それぞれの電極は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、少なくとも700Vの電位差を持続させるのに十分な電気的な絶縁を有する電気リード線を含むことが可能である。他の実施形態において、電気リード線のそれぞれの上の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さを横切って、約200Vから約2500Vの間の電位差を持続させることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。絶縁された電気リード線は、カテーテルの近位ハンドル部分へ走ることが可能であり、そこから、それらが適切な電気的なコネクターに接続され得る。カテーテル・シャフトは、テフロン(登録商標)、ナイロン、Pebaxなどのような、可撓性のポリマー材料から作製され得る。
方法
ここで、上記に説明されているシステムおよびデバイスを使用して心臓腔の中の組織をアブレートするための方法も説明されている。心臓腔は、左心房腔であることが可能であり、その関連の肺静脈を含むことが可能である。一般的に、ここで説明されている方法は、1つまたは複数の肺静脈口領域または肺静脈洞領域と接触してデバイスを導入および配設する工程を含む。パルス波形が、組織をアブレートするためにデバイスの1つまたは複数の電極によって送達され得る。いくつかの実施形態において、心臓ペーシング信号は、送達されたパルス波形を心臓周期と同期させることが可能である。追加的にまたは代替的に、パルス波形は、合計エネルギー送達を低減させるために、複数のレベルの階層を含むことが可能である。そのように実施される組織アブレーションは、ペーシングされた心拍と同調して、より少ないエネルギー送達によって送達され、健康な組織への損傷を低減させることが可能である。本明細書で説明されているアブレーション・デバイスのいずれかは、必要に応じて、下記に議論されている方法を使用して、組織をアブレートするために使用され得るということが認識されるべきである。
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されているアブレーション・デバイスは、不整脈を引き起こすと識別される心臓の特徴/構造体のフォーカル・アブレーションのために使用され得る。たとえば、心臓電気生理学診断カテーテル(たとえば、マッピング・カテーテル)が、ロータなどのような心臓構造体をマッピングするために使用され得、それは、本明細書で説明されているアブレーション・デバイスのいずれかを使用して、フォーカル・アブレーションを通してその後にアブレートされ得る。フォーカル・アブレーションは、たとえば、周囲の組織を温存しながらロータを中和するスポット損傷を生成させることが可能である。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のフォーカル・アブレーション損傷は、1つまたは複数のボックス損傷またはライン損傷と組み合わせて形成され、心不整脈を治療することが可能である。非限定的な例として、いくつかの実施形態において、システムは、1つまたは複数のマッピング・カテーテルと、フォーカル・アブレーションを介して損傷を生成させるのに有用な1つまたは複数のアブレーション・カテーテル(たとえば、図9D、図9E、図27A~図27C、図28、図29、図30、図31、図32に図示されているようなアブレーション・デバイス)と、ボックス損傷および/またはライン損傷を生成させるのに有用な1つまたは複数のカテーテル(たとえば、図3~図8、図9A~図9C、図10~図12、図26A~図26Bに図示されているようなアブレーション・デバイス)とを含むことが可能である。
図13は、組織アブレーション・プロセスの1つの実施形態のための方法(1300)である。いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている電圧パルス波形が、心臓周期の不応期の間に適用され得、心臓のサイナス・リズムの乱れを回避するようになっている。方法(1300)は、工程(1302)において、左心房の心内膜空間の中へのデバイス(たとえば、アブレーション・デバイス、たとえば、アブレーション・デバイス(110)、および/または、アブレーション・デバイス(200、300、400、500、600、700、800、900、1010、1110、2900、3000、3100)のいずれかなど)の導入を含む。デバイスは、肺静脈口と接触して配設されるように前進させられ得る(1304)。たとえば、アブレーション・デバイスの電極は、肺静脈口における半径方向内側表面と接触して配設されている電極のおおよそ円形の配置を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、ペーシング信号が、心臓の心臓刺激のために発生させられ得る(1306)。次いで、ペーシング信号が、心臓に適用され得る(1308)。たとえば、心臓は、心臓刺激装置によって電気的にペーシングされ、ペーシング・キャプチャーを保証し、心臓周期の周期性および予測可能性を確立することが可能である。心房ペーシングおよび心室ペーシングのうちの1つまたは複数が適用され得る。ペーシング信号の指標が、信号発生器に送信され得る(1310)。次いで、心臓周期の不応期の中の時間ウィンドウが定義され得、その中で、1つまたは複数の電圧パルス波形が送達され得る。いくつかの実施形態において、不応期時間ウィンドウは、ペーシング信号に従うことが可能である。たとえば、共通の不応期時間ウィンドウは、心房不応期時間ウィンドウおよび心室不応期時間ウィンドウの両方の間にあることが可能である。
パルス波形は、ペーシング信号と同期して発生させられ得る(1312)。たとえば、電圧パルス波形は、共通の不応期時間ウィンドウの中に適用され得る。いくつかの実施形態において、パルス波形は、ペーシング信号の指標に関して時間オフセットを伴って発生させられ得る。たとえば、不応期時間ウィンドウの開始は、時間オフセットだけペーシング信号からオフセットされ得る。電圧パルス波形は、対応する共通の不応期時間ウィンドウにわたる一連の心拍にわたって適用され得る。発生させられたパルス波形は、組織に送達され得る(1314)。いくつかの実施形態において、パルス波形は、アブレーション・デバイスの1セットのスプラインのうちの1つまたは複数のスプラインを介して、患者の心臓の肺静脈口に送達され得る。他の実施形態において、本明細書で説明されているような電圧パルス波形は、肺静脈のアブレーションおよび隔離のために、アノード-カソード・サブセットなどのような電極サブセットに選択的に送達され得る。たとえば、電極のグループの第1の電極は、アノードとして構成され得、電極のグループの第2の電極は、カソードとして構成され得る。これらの工程は、所望の数の肺静脈口領域または肺静脈洞領域がアブレートされるように繰り返され得る(たとえば、1つ、2つ、3つ、または4つの口)。
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されているような時間間隔の入れ子構造および階層を有する階層的な電圧パルス波形は、不可逆電気穿孔法に有用であり、異なる組織タイプにおける制御および選択性を提供する。図14は、組織アブレーション・プロセスの別の実施形態のフローチャート(1400)である。方法(1400)は、左心房の心内膜空間の中へのデバイス(たとえば、アブレーション・デバイス、たとえば、アブレーション・デバイス(200、300、400、500、600、700、800、900、1010、1110、2900、3000、3100)のいずれかなど)の導入を含む(1402)。デバイスは、肺静脈口の中に配設されるように前進させられ得る(1404)。デバイスが第1および第2の構成(たとえば、コンパクトな構成および拡張された構成)を含むことが可能である実施形態において、デバイスは、第1の構成で導入され、第2の構成に変形され、肺静脈洞または肺静脈口においてまたはその近くにおいて組織に接触することが可能である(1406)。デバイスは、電極を含むことが可能であり、上記に詳細に議論されているように、アノード-カソード・サブセットで構成され得る(1408)。たとえば、デバイスの電極のサブセットは、アノードとして選択され得、一方では、デバイスの電極の別のサブセットは、カソードとして選択され得、電圧パルス波形が、アノードとカソードとの間に適用される。
パルス波形は、信号発生器(たとえば、信号発生器122)によって発生させられ得、階層の中に複数のレベルを含むことが可能である(1410)。さまざまな階層的な波形が、本明細書で開示されているような信号発生器によって発生させられ得る。たとえば、パルス波形は、第1のセットのパルスを含む、パルス波形の階層の第1のレベルを含むことが可能である。それぞれのパルスは、パルス・タイム持続時間、および、連続するパルスを分離する第1の時間間隔を有している。パルス波形の階層の第2のレベルは、第2のセットのパルスとして、複数の第1のセットのパルスを含むことが可能である。第2の時間間隔は、連続する第1のセットのパルスを分離することが可能である。第2の時間間隔は、第1の時間間隔の持続時間の少なくとも3倍になっていることが可能である。パルス波形の階層の第3のレベルは、第3のセットのパルスとして、複数の第2のセットのパルスを含むことが可能である。第3の時間間隔は、連続する第2のセットのパルスを分離することが可能である。第3の時間間隔は、第2のレベル時間間隔の持続時間の少なくとも30倍になっていることが可能である。
本明細書における例は、別個の単相性の波形および二相性波形を識別するが、組合せ波形(ここで、波形階層のいくつかの部分が、単相性になっており、一方では、他の部分は、二相性になっている)も発生させられ得るということが認識されるべきであるということが理解される。階層的な構造体を有する電圧パルス波形は、異なるアノード-カソード・サブセットを横切って適用され得る(随意的に、時間遅延を伴う)。上記に議論されているように、アノード-カソード・サブセットを横切って適用される波形のうちの1つまたは複数が、心臓周期の不応期の間に適用され得る。パルス波形が、組織に送達され得る(1412)。図13および図14に説明されている工程は、必要に応じて組み合わせられて修正され得るということが認識されるべきである。
図15~図18は、本明細書で説明されているアブレーション・デバイス(たとえば、図2~図5)を使用して、上記に説明されているように、心臓の左心房腔の中の組織をアブレートするための方法の実施形態を示している。図15は、図2に示されているアブレーション・デバイス(210)に対応するアブレーション・デバイス(1500)を使用して、心臓の左心房腔の中に配設されている組織をアブレートする方法の実施形態の断面図である。左心房腔(1502)は、4つの肺静脈(1504)を有することを示されており、アブレーション・デバイス(1500)は、組織をシーケンシャルにアブレートするために使用され、肺静脈(1504)のうちの1つまたは複数を電気的に隔離することが可能である。図15に示されているように、アブレーション・デバイス(1500)は、経中隔アプローチを使用して、左心房腔(1502)などのような心内膜空間の中へ導入され得る(たとえば、右心房腔から中隔を通って左心房腔(1502)の中へ延在する)。アブレーション・デバイス(1500)は、カテーテル(1510)およびガイドワイヤー(1520)を含むことが可能であり、ガイドワイヤー(1520)は、カテーテル(1510)の管腔の中をスライド可能である。カテーテル(1510)の遠位部分は、1セットの電極(1512)を含むことが可能である。ガイドワイヤー(1520)の遠位部分(1522)は、左心房腔(1502)の中へ前進させられ得、肺静脈(1504)の口の近くに配設されるようになっている。次いで、カテーテル(1510)は、ガイドワイヤー(1520)の上を前進させられ、肺静脈(1504)の口の近くに電極(1512)を配設することが可能である。電極(1512)が肺静脈(1504)の口と接触した状態になると、電極(1512)は、アノード-カソード・サブセットで構成され得る。信号発生器(図示せず)によって発生させられる電圧パルス波形が、ペーシングされた心拍と同調して電極(1512)を使用して組織に送達され得、および/または、波形階層を含むことが可能である。肺静脈(1504)のうちの1つの中での組織アブレーションの完了の後に、カテーテル(1510)およびガイドワイヤー(1520)は、別の肺静脈(1504)において再位置決めされ、残りの肺静脈(1504)のうちの1つまたは複数の中の組織をアブレートすることが可能である。
図16は、図3に示されているアブレーション・デバイス(310)に対応するアブレーション・デバイス(1600)を使用して、心臓の左心房腔の中に配設されている組織をアブレートする方法の実施形態の断面図である。左心房腔(1602)は、4つの肺静脈(1604)を有することを示されており、アブレーション・デバイス(1600)は、組織をシーケンシャルにアブレートするために使用され、肺静脈(1604)のうちの1つまたは複数を電気的に隔離することが可能である。図16に示されているように、アブレーション・デバイス(1600)は、経中隔アプローチを使用して、左心房腔(1602)などのような心内膜空間の中へ導入され得る。アブレーション・デバイス(1600)は、シース(1610)およびカテーテル(1620)を含むことが可能であり、カテーテル(1620)は、シース(1610)の管腔の中をスライド可能である。カテーテル(1620)の遠位部分(1622)は、1セットの電極を含むことが可能である。カテーテル(1620)の遠位部分(1622)は、左心房腔(1602)の中へ前進させられ、肺静脈(1604)の口の近くに電極を配設することが可能である。電極が肺静脈(1604)の口と接触した状態になると、電極は、アノード-カソード・サブセットで構成され得る。信号発生器(図示せず)によって発生させられる電圧パルス波形が、ペーシングされた心拍と同調して電極を使用して組織に送達され得、および/または、波形階層を含むことが可能である。肺静脈(1604)の中での組織アブレーションの完了の後に、カテーテル(1620)は、別の肺静脈(1604)において再位置決めされ、残りの肺静脈(1604)のうちの1つまたは複数の中の組織をアブレートすることが可能である。
図17は、図4に示されているアブレーション・デバイス(410)に対応するアブレーション・デバイスを使用して、心臓の左心房腔の中に配設されている組織をアブレートする方法の実施形態の断面図である。左心房腔(1702)は、4つの肺静脈(1704)を有することを示されており、アブレーション・デバイス(1700)は、組織をアブレートするために使用され、肺静脈(1704)のうちの1つまたは複数を電気的に隔離することが可能である。図17に示されているように、アブレーション・デバイス(1700)は、経中隔アプローチを使用して、左心房腔(1702)などのような心内膜空間の中へ導入され得る。アブレーション・デバイス(1700)は、シース(1710)および複数のカテーテル(1720、1721)を含むことが可能であり、複数のカテーテル(1720、1721)は、シース(1710)の管腔の中をスライド可能である。カテーテル(1720、1721)のそれぞれは、それぞれのガイドワイヤー(1722、1723)を含むことが可能であり、それぞれのガイドワイヤー(1722、1723)は、カテーテル(1720、1721)の中をスライド可能である。ガイドワイヤー(1722、1723)の遠位部分は、電圧パルス波形を送達するように構成されている電極を含むことが可能である。カテーテル(1720、1721)および対応するガイドワイヤー(1722、1723)のそれぞれは、左心房腔(1702)の中へ前進させられ得、肺静脈(1704)のそれぞれの口の近くに配設されるようになっている。ガイドワイヤー電極(1722、1723)が肺静脈(1704)の口と接触した状態になると、電極は、アノード-カソード・サブセットで構成され得る。たとえば、第1のガイドワイヤー(1722)は、アノードとして構成され得、一方では、第2のガイドワイヤー(1723)は、カソードとして構成され得る。この構成では、信号発生器(図示せず)によって発生させられる電圧パルス波形が、肺静脈(1704)のペアのアブレーションおよび同時の隔離のために送達され得る。追加的にまたは代替的に、電圧パルス波形が、ペーシングされた心拍と同調して電極を使用して組織に送達され得、および/または、波形階層を含むことが可能である。肺静脈(1704)のうちの2つの中での組織アブレーションの完了の後に、カテーテル(1720、1721)は、2つの残りの肺静脈(1704)における組織をアブレートするために再位置決めされ得る。いくつかの実施形態において、シース(1710)は、肺静脈(1704)の中に配設されることとなる3つまたは4つのカテーテルを含むことが可能である。
図18は、図5に示されているアブレーション・デバイス(500)に対応するアブレーション・デバイス(1800)を使用して、心臓の左心房腔の中に配設されている組織をアブレートする方法の実施形態の断面図である。左心房腔(1802)は、4つの肺静脈(1804)を有することを示されており、アブレーション・デバイス(1800)は、組織をシーケンシャルにアブレートするために使用され、肺静脈(1804)のうちの1つまたは複数を電気的に隔離することが可能である。図18に示されているように、アブレーション・デバイスは、経中隔アプローチを使用して、左心房腔(1802)などのような心内膜空間の中へ導入され得る。アブレーション・デバイスは、シース(1820)およびカテーテル(1810)を含むことが可能であり、カテーテル(1810)は、シース(1820)の管腔の中をスライド可能である。カテーテル(1810)の遠位部分(1812)は、図5に関して詳細に議論されているように花形に成形され得る。カテーテル(1810)の遠位部分(1812)は、コンパクトな第1の構成で左心房腔(1802)の中へ前進させられ、肺静脈(1804)の口の近くに配設され得る。次いで、カテーテル(1810)の遠位部分(1812)が、拡張された第2の構成に変形され、図18に示されているように、花形に成形された遠位部分を形成することが可能であり、カテーテル(1810)の遠位部分(1812)が、肺静脈(1804)の口の近くに配設されるようになっている。電極が肺静脈(1804)の口と接触した状態になると、電極は、アノード-カソード・サブセットで構成され得る。信号発生器(図示せず)によって発生させられる電圧パルス波形が、ペーシングされた心拍と同調して電極を使用して組織に送達され得、および/または、波形階層を含むことが可能である。肺静脈(1804)の中での組織アブレーションの完了の後に、カテーテル(1810)は、別の肺静脈(1804)において再位置決めされ、残りの肺静脈(1804)のうちの1つまたは複数の中の組織をアブレートすることが可能である。
本明細書で説明されている方法のいずれかは(たとえば、図13~図18)、リターン電極(たとえば、図12A~図12Bに示されている1つまたは複数のリターン電極(1230))を患者の背中に連結する工程をさらに含むことが可能であり、それは、電圧パルス波形の適用の間に患者から電流を安全に除去するように構成されているということが認識されるべきである。
図19A~図20Bは、肺静脈の口の周りに接触して配設されている電極およびそれから発生させられる電界の実施形態を示している。図19Aは、肺静脈(1904)の口の中に配設されている1セットの電極(1910)の実施形態の概略図(1900)である。左心房腔(1902)は、血液プール(1906)を含むことが可能であり、肺静脈(1904)は、血液プール(1908)を含むことが可能である。左心房腔(1902)および肺静脈(1904)は、最大で約4mmの壁厚さをそれぞれ有することが可能である。
図19Bは、肺静脈(1904)の内部表面に沿って半径方向に配設されている1セットの電極(1910)の別の概略図(1900)である。肺静脈(1904)は、血液プール(1908)を含有する動脈壁(1905)を含むことが可能である。隣接する電極(1910)同士は、所定の距離(1911)だけ分離され得る。いくつかの実施形態において、肺静脈(1904)は、約16mmの内径を有することが可能である。図19A~図19Bにおいて、電極(1910)は、約10mmの長さを有することが可能であり、互いから約4mm間隔を離して配置され得る。電極(1910)は、他の実施形態において、本明細書で開示されている電極のうちのいずれかであることが可能であるということが認識されるべきである。たとえば、電極(1910)は、図5の花形に成形された遠位部分の電極、および/または、図3に示されている電極の概して円形の配置を含むことが可能である。
図20A~図20Bは、肺静脈(2002)の口の中に配設されている1セットの電極(2010)によって発生させられる電界(2020)の実施形態の概略図(2000)である。図20Aは、斜視図であり、一方では、図20Bは、肺静脈(2002)および左心房腔(2004)の外側壁の断面図である。影付きの電界(2020)は、隣接する電極(2010)が組織をアブレートするためにエネルギー(たとえば、電圧パルス波形)を送達するときに、電界(2020)が閾値を超える場所を図示している。たとえば、電界(2020)は、隣接する電極(2010)同士の間に印加される1500Vの電位差を表している。この印加された電圧の下で、電界(2020)の大きさは、影付きの体積電界(2020)の中で少なくとも500V/cmの閾値を上回っており、心臓組織の中に不可逆なアブレーションを発生させるのに十分である可能性がある。上記に詳細に説明されているように電極(2010)の隣接するペアにわたってパルス波形を配列することによって、肺静脈(2002)口がアブレートされ、左心房腔(2004)から肺静脈(2002)を電気的に隔離することが可能である。
パルス波形
本明細書で開示されているのは、不可逆電気穿孔法によって組織アブレーションを実現するための、パルス電界/波形の選択的なおよび迅速な適用のための方法、システム、および装置である。本明細書で開示されているようなパルス波形は、本明細書で説明されているシステム(100)、デバイス(たとえば、200、300、400、500、600、700、800、900、1010、1110、1230、1500、1600、1700、1800、1910、2010、2900、3000、3100)、および方法(たとえば、1300、1400)のいずれかとともに使用可能である。いくつかの実施形態は、1セットの電極を介して組織にエネルギーを送達するための配列された送達スキームとともに、パルス状の高電圧波形を対象とする。いくつかの実施形態において、ピーク電界値は、低減および/または最小化され得るが、同時に、十分に大きい電界の大きさが、組織アブレーションが望まれる領域において維持され得る。また、これは、過度の組織損傷または電気的なアーク放電の発生の可能性、および、局所的に高い温度上昇を低減させる。いくつかの実施形態において、不可逆電気穿孔法に有用なシステムは、信号発生器およびプロセッサーを含み、プロセッサーは、アブレーション・デバイスの選択された複数の電極または電極のサブセットにパルス状の電圧波形を適用するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、プロセッサーは、入力を制御するように構成されており、それによって、電極のアノード-カソード・サブセットの選択されたペアが、事前決定されたシーケンスに基づいてシーケンシャルにトリガーされ得、1つの実施形態では、配列された送達が、心臓刺激装置および/またはペーシング・デバイスからトリガーされ得る。いくつかの実施形態において、アブレーション・パルス波形は、心臓周期の不応期の中に適用され、心臓のサイナス・リズムの乱れを回避するようになっている。これを強化する1つの例示的な方法は、心臓刺激装置によって心臓を電気的にペーシングする工程、および、ペーシング・キャプチャーを保証し、心臓周期の周期性および予測可能性を確立する工程、および、次いで、この定期的な周期の不応期の中に十分に時間ウィンドウを定義する工程である(アブレーション波形がその中に送達される)。
いくつかの実施形態において、本明細書で開示されているパルス状の電圧波形は、組織の中で階層的であり、入れ子構造を有している。いくつかの実施形態において、パルス状の波形は、さまざまな関連の時間スケールを備えたパルスの階層的なグルーピングを含む。そのうえ、関連の時間スケールおよびパルス幅、ならびに、パルスおよび階層的なグルーピングの数は、心臓ペーシングの周波数に関与する1セットのディオファントス(Diophantine)不等式のうちの1つまたは複数を満たすように選択され得る。
本明細書で開示されているような電気穿孔法エネルギー送達のためのパルス状の波形は、不可逆電気穿孔法に関連付けられる電界閾値を低減させることによって、エネルギー送達の安全、効率、および有効性を強化することが可能であり、送達される低減された合計エネルギーによって、より効果的なアブレーティブ損傷を生み出す。そして、これは、さまざまな心不整脈の治療学的な治療を含む電気穿孔法の臨床適用のエリアを広げることが可能である。
図21は、一連の長方形ダブル・パルスの形態のパルス状の電圧波形を図示しており、それぞれのパルス(たとえば、パルス(2100)など)は、パルス幅または持続時間に関連付けられている。パルス幅/持続時間は、約0.5マイクロ秒、約1マイクロ秒、約5マイクロ秒、約10マイクロ秒、約25マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約125マイクロ秒、約140マイクロ秒、約150マイクロ秒であることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。図21のパルス状の波形は、1セットの単相性のパルスを図示しており、ここで、すべてのパルスの極性は同じである(ゼロ・ベースラインから測定されるときに、図21の中ではすべてプラスである)。いくつかの実施形態において、たとえば、不可逆電気穿孔法用途などに関して、それぞれのパルス(2100)の高さ、または、パルス(2100)の電圧振幅は、約400ボルト、約1,000ボルト、約5,000ボルト、約10,000ボルト、約15,000ボルトからの範囲にあることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。図21に図示されているように、パルス(2100)は、時間間隔(2102)(第1の時間間隔と称されることもある)によって、隣接しているパルスから分離されている。第1の時間間隔は、不可逆電気穿孔法を発生させるために、約10マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約200マイクロ秒、約500マイクロ秒、約800マイクロ秒、約1ミリ秒であることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。
図22は、入れ子パルスの階層の構造を有するパルス波形を紹介している。図22は、パルス幅/パルス・タイム持続時間wを有するパルス(2200)などのような一連の単相性のパルスを示しており、それは、連続するパルス同士の間の持続時間t1の(2202)などのような時間間隔(第1の時間間隔と称されることもある)によって分離されており、その数m1は、パルス(2210)のグループ(第1のセットのパルスと称されることもある)を形成するように配置されている。そのうえ、波形は、パルスのそのようなグループ(第2のセットのパルスと称されることもある)の数m2を有しており、それは、連続するグループ同士の間の持続時間t2の時間間隔(2212)(第2の時間間隔と称されることもある)によって分離されている。m2のそのようなパルス・グループの収集(図22の中の(2220)によってマークされている)は、階層の次のレベルを構成しており、それは、パケットおよび/または第3のセットのパルスと称され得る。パルス幅およびパルス同士の間の時間間隔t1は、両方とも、マイクロ秒から数百マイクロ秒の範囲にあることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。いくつかの実施形態において、時間間隔t2は、時間間隔t1よりも少なくとも3倍大きくなっていることが可能である。いくつかの実施形態において、比率t2/t1は、約3から約300の間の範囲にあることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。
図23は、入れ子パルス階層波形の構造をさらに詳しく述べている。この図では、一連のm1パルス(個々のパルスは示されていない)は、パルスのグループ(2300)(たとえば、第1のセットのパルス)を形成している。1つのグループと次のグループとの間の持続時間t2のグループ間時間間隔(2310)(たとえば、第2の時間間隔)によって分離されている一連のm2のそのようなグループが、パケット132(たとえば、第2のセットのパルス)を形成している。1つのパケットと次のパケットとの間の持続時間t3の時間間隔(2312)(たとえば、第3の時間間隔)によって分離されている一連のm3のそのようなパケットが、階層の中の次のレベル、図の中の(2320)とラベル付けされたスーパ・パケット(たとえば、第3のセットのパルス)を形成している。いくつかの実施形態において、時間間隔t3は、時間間隔t2よりも少なくとも約30倍大きくなっていることが可能である。いくつかの実施形態において、時間間隔t3は、時間間隔t2よりも少なくとも50倍大きくなっていることが可能である。いくつかの実施形態において、比率t3/t2は、約30から約800の間の範囲にあることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。パルス階層の中の個々の電圧パルスの振幅は、500ボルトから7,000ボルトまたはそれ以上の範囲の中のどこかにあることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。
図24は、階層的な構造を有する二相性波形シーケンスの例を提供している。図に示されている例では、(2400)などのような二相性パルスは、プラスの電圧部分およびマイナスの電圧部分を有し、パルスの1周期を完了する。持続時間t1の隣接する周期同士の間に時間遅延(2402)(たとえば、第1の時間間隔)が存在しており、n1のそのようなサイクルは、パルス(2410)のグループ(たとえば、第1のセットのパルス)を形成している。1つのグループと次のグループとの間の持続時間t2のグループ間時間間隔(2412)(たとえば、第2の時間間隔)によって分離されている一連のn2のそのようなグループは、パケット(2420)(たとえば、第2のセットのパルス)を形成している。また、図は、第2のパケット(2430)を示しており、パケット同士の間に持続時間t3の時間遅延(2432)(たとえば、第3の時間間隔)を伴っている。単相性のパルスの場合と全く同じように、より高いレベルの階層的な構造体が、同様に形成され得る。それぞれのパルスの振幅または二相性パルスの電圧振幅は、500ボルトから7,000ボルトまたはそれ以上の範囲のどこかにあることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。パルス幅/パルス・タイム持続時間は、ナノ秒またはさらにはサブナノ秒から数十マイクロ秒の範囲にあることが可能であり、一方では、遅延t1は、ゼロから数マイクロ秒の範囲にあることが可能である。グループ間時間間隔t2は、パルス幅よりも少なくとも10倍大きくなっていることが可能である。いくつかの実施形態において、時間間隔t3は、時間間隔t2よりも少なくとも約20倍大きくなっていることが可能である。いくつかの実施形態において、時間間隔t3は、時間間隔t2よりも少なくとも50倍大きくなっていることが可能である。
本明細書で開示されている実施形態は、階層のさまざまなレベルにおいて波形エレメント/パルスを含む階層的な波形として構造化された波形を含む。図22の中の(2200)などのような個々のパルスは、階層の第1のレベルを含み、関連のパルス・タイム持続時間、および、連続するパルス同士の間の第1の時間間隔を有している。1セットのパルス、または、第1のレベル構造体のエレメントは、図22の中のパルスのグループ/第2のセットのパルス(2210)などのような階層の第2のレベルを形成している。他のパラメーターの中でも、第2のセットのパルスの合計タイム持続時間(図示せず)、第1のレベル・エレメント/第1のセットのパルスの合計数、および、第2のレベル構造体/第2のセットのパルスを説明する連続する第1のレベル・エレメント同士の間の第2の時間間隔などのような、パラメーターが、波形に関連付けられる。いくつかの実施形態において、第2のセットのパルスの合計タイム持続時間は、約20マイクロ秒から約10ミリ秒の間にあることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。1セットのグループ、第2のセットのパルス、または、第2のレベル構造体のエレメントは、図22の中のグループのパケット/第3のセットのパルス(2220)などのような階層の第3のレベルを形成している。他のパラメーターの中でも、第3のセットのパルスの合計タイム持続時間(図示せず)、第2のレベル・エレメント/第2のセットのパルスの合計数、および、第3のレベル構造体/第3のセットのパルスを説明する連続する第2のレベル・エレメント同士の間の第3の時間間隔が存在している。いくつかの実施形態において、第3のセットのパルスの合計タイム持続時間は、約60マイクロ秒から約200ミリ秒の間にあることが可能である(すべての値およびそれらの間のサブレンジを含む)。波形の概して反復的な構造または入れ子構造は、構造体の10レベル以上などのような、より高い複数のレベルまで継続することが可能である。
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されているような時間間隔の入れ子構造および階層を備えた階層的な波形は、不可逆電気穿孔法アブレーション・エネルギー送達に有用であり、異なる組織タイプにおける用途に関して良好な程度の制御および選択性を提供する。さまざまな階層的な波形が、適切なパルス発生器によって発生させられ得る。本明細書における例は、明確化のために、別個の単相性のおよび二相性波形を識別するが、組合せ波形(ここで、波形階層のいくつかの部分が、単相性になっており、一方では、他の部分は、二相性になっている)も発生/実装され得るということが留意されるべきであるということが理解される。
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されているアブレーション・パルス波形は、心臓周期の不応期の間に適用され、心臓のサイナス・リズムの乱れを回避するようになっている。いくつかの実施形態において、治療の方法は、心臓刺激装置によって心臓を電気的にペーシングし、ペーシング・キャプチャーを保証し、心臓周期の周期性および予測可能性を確立する工程、ならびに、次いで、心臓周期の不応期の中に時間ウィンドウを定義する工程を含む(1つまたは複数のパルス状のアブレーション波形がその中に送達され得る)。図25は、心房ペーシングおよび心室ペーシングの両方が適用されている(たとえば、ペーシング・リード線またはカテーテルは、右心房および右心室の中にそれぞれ位置している)例を図示している。時間が横軸に表された状態で、図25は、ペーシング信号によって駆動される一連のECG波形(2540、2542)とともに、(2500)および(2510)などのような一連の心室ペーシング信号、ならびに、一連の心房ペーシング信号(2520、2530)を図示している。太い矢印によって図25に示されているように、心房不応期時間ウィンドウ(2522)および心室不応期時間ウィンドウ(2502)が存在しており、それらは、心房ペーシング信号(2522)および心室ペーシング信号(2500)にそれぞれ続いている。図25に示されているように、持続時間Trの共通の不応期時間ウィンドウ(2550)が定義され得、それは、心房不応期時間ウィンドウおよび心室不応期時間ウィンドウ(2522、2502)の両方の中にある。いくつかの実施形態において、電気穿孔法アブレーション波形が、この共通の不応期時間ウィンドウ(2550)の中に適用され得る。この不応期時間ウィンドウ(2522)の開始は、図25に示されているように、時間オフセット(2504)だけペーシング信号(2500)からオフセットされている。時間オフセット(2504)は、いくつかの実施形態において、約25ミリ秒よりも小さくなっていることが可能である。次の心拍において、同様に定義される共通の不応期時間ウィンドウ(2552)は、アブレーション波形の適用に利用可能な次の時間ウィンドウである。このように、アブレーション波形は、一連の心拍にわたって適用され得、それぞれの心拍において、共通の不応期時間ウィンドウの中に残っている。1つの実施形態では、パルス波形階層の中の上記に定義されているようなパルスのそれぞれのパケットは、心拍の上に適用され得、一連のパケットが、所与の電極セットに関して、一連の心拍の上に適用されるようになっている。
本開示の中の例および説明図は、例示的な目的を果たしており、スプラインの数および電極の数などのような逸脱および変化は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書における教示に従って構築および展開され得るということが理解されるべきである。
本明細書で使用されているように、数値および/または範囲に関連して使用されるときに、「約」および/または「おおよそ」という用語は、一般的に、記載されている数値および/または範囲の近いそれらの数値および/または範囲を指す。場合によっては、「約」および「おおよそ」という用語は、記載された値の±10%以内であるということを意味することが可能である。たとえば、場合によっては、「約100[単位]」は、100の±10%以内(たとえば、90から110)であるということを意味することが可能である。「約」および「おおよそ」という用語は、相互交換可能に使用され得る。
本明細書で説明されているいくつかの実施形態は、さまざまなコンピュータに実装された動作を実施するためにインストラクションまたはコンピュータ・コードをその上に有する非一時的なコンピュータ可読媒体(非一時的なプロセッサー可読媒体とも称され得る)を備えたコンピュータ・ストレージ製品に関する。コンピュータ可読媒体(または、プロセッサー可読媒体)は、それが本質的に一時的な伝播信号(たとえば、空間またはケーブルなどのような送信媒体の上で情報を運ぶ伝播電磁波)を含まないという意味において非一時的である。媒体およびコンピュータ・コード(コードまたはアルゴリズムとも称され得る)は、1つまたは複数の特定の目的のために設計および構築されたものであることが可能である。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、それに限定されないが、磁気ストレージ媒体、たとえば、ハード・ディスク、フロッピー(登録商標)・ディスク、および磁気テープなど;光学ストレージ媒体、たとえば、コンパクト・ディスク/デジタル・ビデオ・ディスク(CD/DVD)、コンパクト・ディスク・リード・オンリー・メモリー(CD-ROM)、およびホログラフィック・デバイスなど;光磁気ストレージ媒体、たとえば、光ディスクなど;搬送波信号処理モジュール;ならびに、プログラム・コードを記憶および実行するように特別に構成されているハードウェア・デバイス、たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、リード・オンリー・メモリー(ROM)、およびランダム・アクセス・メモリー(RAM)デバイスなどを含む。本明細書で説明されている他の実施形態は、コンピュータ・プログラム製品に関し、それは、たとえば、本明細書で開示されているインストラクションおよび/またはコンピュータ・コードを含むことが可能である。
本明細書で説明されているシステム、デバイス、および/または方法は、ソフトウェア(ハードウェアの上で実行される)、ハードウェア、または、それらの組合せによって実施され得る。ハードウェア・モジュールは、たとえば、汎用プロセッサー(または、マイクロプロセッサーまたはマイクロコントローラー)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、および/または特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことが可能である。ソフトウェア・モジュール(ハードウェアの上で実行される)は、C、C++、Java(登録商標)、Ruby、Visual Basic(登録商標)、および/または、他のオブジェクト指向の、手続き型の、もしくは他のプログラミング言語および開発ツールを含む、さまざまなソフトウェア言語(たとえば、コンピュータ・コード)で表現され得る。コンピュータ・コードの例は、それに限定されないが、マイクロ・コードまたはマイクロ・インストラクション、マシン・インストラクション(たとえば、コンパイラーによって作り出されるものなど)、ウェブ・サービスを作り出すために使用されるコード、および、インタープリターを使用してコンピュータによって実行されるより高レベルのインストラクションを含有するファイルを含む。コンピュータ・コードの追加的な例は、それに限定されないが、制御信号、暗号化されたコード、および圧縮されたコードを含む。
本明細書における特定の例および説明は、本質的に例示的なものであり、実施形態は、本発明の範囲(それは、添付の特許請求の範囲のみによって限定される)を逸脱することなく、本明細書で教示される材料に基づいて、当業者によって開発され得る。