JP2022520802A - がんの治療に使用するための併用療法 - Google Patents
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Abstract
式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は特に、例えばNSCLCなどのMTAP欠損性肺がん、または例えばPDACなどのMTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんの治療に有用であり、本明細書に記載されるように、単独で投与されたときの各剤を用いた治療と比較して、他の剤と併用されて使用されたときに治療利益を提供する。一つの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性NSCLCまたはMTAP欠損性PDACを含む、MTAP欠損性肺がんもしくはMTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんの治療において、少なくとも一つの抗有糸分裂剤と併用して使用されたときに、治療上の利益を提供する。【選択図】なし
Description
関連出願への相互参照
本出願は、2019年2月13日に出願された米国仮特許出願第62/805,179号の利益を主張し、当該仮出願の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本出願は、2019年2月13日に出願された米国仮特許出願第62/805,179号の利益を主張し、当該仮出願の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
式(I)の化合物およびその薬学的に許容可能な塩は特に、例えば非小細胞肺がんもしくはNSCLCなどのMTAP欠損性肺がん、または例えば膵管腺がんもしくはPDACなどのMTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんの治療に有用であり、本明細書に記載されるように、単独で投与されたときの各剤を用いた治療と比較して、他の剤と併用されて使用されたときに治療利益を提供する。
S-アデノシルメチオニンinシンテターゼとしても知られるメチオニンアデノシルトランスフェラーゼ(MAT)は、メチオニンおよびATPからのS-アデノシルメチオニン(SAM、またはAdoMet)の合成を触媒する細胞酵素であり、当該触媒はメチオニンサイクルの律速段階であると考えられている。SAMは、ポリアミン生合成のプロピルアミノドナーであり、DNAメチル化の主たるメチルドナーであり、遺伝子転写および細胞増殖に関与し、また二次代謝産物の産生に関与する。
MAT1AおよびMAT2Aと表される二つの遺伝子は、それぞれ別個の二つの触媒性MATアイソフォームをコードする。第三の遺伝子、MAT2Bは、MAT2A調節サブユニットをコードする。MAT1Aは成人肝臓で特異的に発現され、一方でMAT2Aは広く分布している。MATアイソフォーム同士は触媒運動性および調節性能において異なっているため、MAT1A発現細胞は、MAT2A発現細胞よりも著しく高いSAMレベルを有する。MAT2Aプロモーターの低メチル化およびヒストンアセチル化は、MAT2A発現上昇を引き起こすことが分かっている。
肝細胞がん(HCC)では、MAT1Aの発現低下およびMAT2Aの発現上昇が起こるが、これはMAT1A:MAT2Aスイッチとして知られている。このスイッチは、MAT2Bの発現上昇を伴い、より低いSAM含量を導くが、これは肝腫細胞に対する増殖利益を提供する。MAT2Aは、肝腫細胞の増殖を促進する上で重要な役割を果たすため、抗腫瘍療法の標的である。最近の研究では、低分子干渉RNAを使用したサイレンシングが実質的に増殖を抑制し、肝腫細胞においてアポトーシスを誘発することが示されている。例えば、T.Li et al.,J.Cancer 7(10)(2016)1317-1327を参照されたい。
MTAP欠損である一部のがん細胞株は、特にMAT2Aの阻害に感受性である。Marjon et al.(Cell Reports 15(3)(2016)574-587)。MTAP(メチルチオアデノシンホスホリラーゼ)は、メチルチオアデノシン(MTA)のアデニンおよび5-メチルチオリボース-1-リン酸塩への変換を触媒する、正常組織で広く発現される酵素である。アデニンは、アデノシン一リン酸を生成するために再利用され、5-メチルチオリボース-1-リン酸塩はメチオニンおよびギ酸塩に変換される。このサルベージ経路のため、MTAは、例えばL-アラノシンなどの代謝拮抗剤を用いて、デノボプリン合成が遮断されたときに代替的プリン源としての役割を果たすことができる。
MAT2Aは、肝細胞がんおよび白血病を含むMTAP欠失を欠いているさらなるがんでは調節不全にされる。J.Cai et al.,Cancer Res.58(1998)1444-1450;T.S.Jani et al.,Cell.Res.19(2009)358-369。RNA干渉を介したMAT2A発現のサイレンシングは、いくつかのがんモデルにおいて抗増殖効果をもたらす。H.Chen et al.,Gastroenterology 133(2007)207-218;Q.Liu et al.Hepatol.Res.37(2007)376-388。
多数のヒトおよびマウスの悪性細胞は、MTAP活性を欠いている。MTAP欠損は組織培養細胞において存在するだけでなく、当該欠損は原発性白血病、神経膠腫、黒色腫、膵がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、膀胱がん、星細胞腫、骨肉腫、頭頸部がん、粘液様軟骨肉腫、卵巣がん、子宮内膜がん、乳がん、軟部組織肉腫、非ホジキンリンパ腫、および中皮腫においても存在する。ヒトMTAPをコードする遺伝子は、ヒト染色体9p上の領域9p21に位置する。この領域はまた、腫瘍抑制遺伝子p16INK4A(CDKN2Aとしても知られる)およびpl5INK4Bも含有する。これら遺伝子は、それぞれサイクリンD依存性キナーゼcdk4およびcdk6の阻害剤である、p16およびp15をコードする。
代わりとして、p16INK4A転写物を代替的なリーディングフレーム(ARF:alternative reading frame)として、pl4ARFをコードする転写物へとスプライシングさせることが可能である。pl4ARFはMDM2に結合し、p53の分解を防止する(Pomerantz et al.(1998)Cell 92:713-723)。9p21染色体領域は、白血病、NSLC、膵がん、神経膠腫、黒色腫、および中皮腫を含む、さまざまながんでホモ接合性欠失していることがよくあるため、関心対象である。欠失は複数の遺伝子を不活性化することが多い。例えば、Cairns et.al.((1995)Nat.Gen.11:210-212)は、500を超える原発腫瘍を研究した後に、当該腫瘍において特定されたほぼすべての欠失が、MTAP、pl4ARF、およびP16INK4Aを含有する170kb領域を含んでいたことを報告した。Carson et al.(国際公開第99/67634号)は、MTAPをコードする遺伝子およびp16をコードする遺伝子の腫瘍発生段階とホモ接合性の喪失との間に相関関係が存在することを報告した。例えば、p16INK4Aではないが、MTAP遺伝子の欠失は、発生の早期段階でのがんの兆候であることが報告されたが、p16およびMTAPをコードする遺伝子の欠失は、腫瘍発生のより進行した段階でのがんの兆候であることが報告された。一部の骨肉腫患者では、MTAP遺伝子は診断時に存在していたが、後の時点では欠失していた(Garcia-Castellano et al.,Clin.Cancer Res.8(3)2002 782-787)。
国際出願PCT/US2017/049439は、WO2018/045071として公開されており、3-(シクロヘキサ-1-エン-1-イル)-6-(4-メトキシフェニル)-2-フェニル-5-(ピリジン-3-イルアミノ)ピルゾロ[1,5-a]ピリミジン-7(4H)-オンを含む新規のMAT2A阻害剤を記載し、生化学的アッセイおよび細胞アッセイにより実証している。
国際出願PCT/US2017/049439は、WO2018/045071として公開されており、3-(シクロヘキサ-1-エン-1-イル)-6-(4-メトキシフェニル)-2-フェニル-5-(ピリジン-3-イルアミノ)ピルゾロ[1,5-a]ピリミジン-7(4H)-オンを含む新規のMAT2A阻害剤を記載し、生化学的アッセイおよび細胞アッセイにより実証している。
T.Li et al.,J.Cancer 7(10)(2016)1317-1327
Marjon et al.(Cell Reports 15(3)(2016)574-587
J.Cai et al.,Cancer Res.58(1998)1444-1450
T.S.Jani et al.,Cell.Res.19(2009)358-369
H.Chen et al.,Gastroenterology 133(2007)207-218
Q.Liu et al.Hepatol.Res.37(2007)376-388
Pomerantz et al.(1998)Cell 92:713-723
Cairns et.al.((1995)Nat.Gen.11:210-212
Garcia-Castellano et al.,Clin.Cancer Res.8(3)2002 782-787
化合物の3-(シクロヘキサ-1-エン-1-イル)-6-(4-メトキシフェニル)-2-フェニル-5-(ピリジン-3-イルアミノ)ピルゾロ[1,5-a]ピリミジン-7(4H)-オンは、本明細書において、以下の式(I)の化合物と呼称される場合がある。
参照を容易にするために、当該化合物は、化合物1と呼称される場合もある。本開示は、式(I)の化合物の薬学的に許容可能な塩も含む。
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は特に、例えばNSCLCなどの肺がん、または例えばPDACなどの膵がん、または食道がんの治療に有用であり、それらがんはMTAP欠損性である。一つの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性NSCLCまたはMTAP欠損性PDACを含む、MTAP欠損性肺がんもしくはMTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんの治療において、少なくとも一つの抗有糸分裂剤と併用して使用されたときに、治療上の利益を提供する。関連する抗有糸分裂剤としては、微小管安定化剤、および紡錘体集合チェックポイントを破壊する剤が挙げられる。抗有糸分裂剤の一例は、タキサンである。タキサンの例としては、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、もしくはドセタキセル、またはそれらの代替的な製剤が挙げられる。別の実施形態では、抗有糸分裂剤は、オーロラキナーゼ阻害剤であり、オーロラキナーゼAまたはオーロラキナーゼBの阻害剤が挙げられる。本出願のさらなる態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、例えばNSCLCなどのMTAP欠損性肺がん、または例えばPDACなどのMTAP欠損性膵がんの治療において、DNA合成阻害剤と併用されて使用されたときに、治療上の利益を提供する。DNA合成阻害剤の一例は、ゲムシタビンである。別の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、DNA合成阻害剤は、PDACを含むMTAP欠損性膵がんの治療において、さらにタキサンと併用される。タキサンの例としては、ドセタキセル、およびナノ粒子-アルブミン結合型パクリタキセルを含むパクリタキセルが挙げられる。またさらなる実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、タキサンは、MTAP欠損性食道がんの治療において併用されて使用されるとき、治療上の利益を提供すると考えられる。またさらなる実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性NSCLCまたはMTAP欠損性PDACを含む、MTAP欠損性肺がんもしくはMTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんの治療において、少なくとも一つの抗代謝剤と併用して使用されたときに、治療上の利益を提供する。別の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性中皮腫の治療において、少なくとも一つの抗代謝剤と併用して使用されたときに、治療上の利益を提供し得る。抗代謝剤の一例は、ペメトレキセド二ナトリウム(ペメトレキセド)である。またさらなる実施形態において、前述の治療方法の任意の方法は、本明細書に記載される追加の治療剤を一つ以上組み込んでもよい。
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は特に、例えばNSCLCなどの肺がん、または例えばPDACなどの膵がん、または食道がんの治療に有用であり、それらがんはMTAP欠損性である。一つの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性NSCLCまたはMTAP欠損性PDACを含む、MTAP欠損性肺がんもしくはMTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんの治療において、少なくとも一つの抗有糸分裂剤と併用して使用されたときに、治療上の利益を提供する。関連する抗有糸分裂剤としては、微小管安定化剤、および紡錘体集合チェックポイントを破壊する剤が挙げられる。抗有糸分裂剤の一例は、タキサンである。タキサンの例としては、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、もしくはドセタキセル、またはそれらの代替的な製剤が挙げられる。別の実施形態では、抗有糸分裂剤は、オーロラキナーゼ阻害剤であり、オーロラキナーゼAまたはオーロラキナーゼBの阻害剤が挙げられる。本出願のさらなる態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、例えばNSCLCなどのMTAP欠損性肺がん、または例えばPDACなどのMTAP欠損性膵がんの治療において、DNA合成阻害剤と併用されて使用されたときに、治療上の利益を提供する。DNA合成阻害剤の一例は、ゲムシタビンである。別の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、DNA合成阻害剤は、PDACを含むMTAP欠損性膵がんの治療において、さらにタキサンと併用される。タキサンの例としては、ドセタキセル、およびナノ粒子-アルブミン結合型パクリタキセルを含むパクリタキセルが挙げられる。またさらなる実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、タキサンは、MTAP欠損性食道がんの治療において併用されて使用されるとき、治療上の利益を提供すると考えられる。またさらなる実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性NSCLCまたはMTAP欠損性PDACを含む、MTAP欠損性肺がんもしくはMTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんの治療において、少なくとも一つの抗代謝剤と併用して使用されたときに、治療上の利益を提供する。別の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性中皮腫の治療において、少なくとも一つの抗代謝剤と併用して使用されたときに、治療上の利益を提供し得る。抗代謝剤の一例は、ペメトレキセド二ナトリウム(ペメトレキセド)である。またさらなる実施形態において、前述の治療方法の任意の方法は、本明細書に記載される追加の治療剤を一つ以上組み込んでもよい。
本明細書において上述されるように、および本出願において別段に記載されるように、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は特に、例えばNSCLCなどのMTAP欠損性肺がん、または例えばPDACなどのMTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんの治療に有用である。
一つの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性肺がんまたはMTAP欠損性膵がん、より具体的にはMTAP欠損性NSCLCまたはMTAP欠損性PDACの治療において、またはMTAP欠損性食道がんの治療において、少なくとも一つの抗有糸分裂剤と併用して使用されたときに、治療上の利益を提供し得る。関連する抗有糸分裂剤としては、微小管安定化剤、および紡錘体集合チェックポイントを破壊する剤が挙げられる。一部の実施形態において、抗有糸分裂剤は、タキサンである。一部の実施形態において、タキサンの例としては、ドセタキセル、およびナノ粒子-アルブミン結合型パクリタキセル(nab-パクリタキセル)を含むパクリタキセルが挙げられる。他の実施形態では、抗有糸分裂剤は、オーロラキナーゼ阻害剤であり、オーロラキナーゼAまたはオーロラキナーゼBの阻害剤が挙げられる。
本出願のさらなる態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、例えばNSCLCなどのMTAP欠損性肺がん、または例えばPDACなどのMTAP欠損性膵がんの治療において、DNA合成阻害剤と併用されて使用されたときに、治療上の利益を提供する。一部の実施形態では、DNA合成阻害剤は、ゲムシタビンである。別の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、DNA合成阻害剤は、例えばPDACなどのMTAP欠損性膵がんの治療において、さらにタキサンと併用される。一部の実施形態において、タキサンの例としては、ドセタキセル、およびナノ粒子-アルブミン結合型パクリタキセルを含むパクリタキセルが挙げられる。
別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性食道がんの治療において抗有糸分裂剤と併用されて使用されるとき、治療上の利益を提供する。一部の実施形態において、抗有糸分裂剤はタキサンである。一部の実施形態において、タキサンとしては、ドセタキセル、およびナノ粒子-アルブミン結合型パクリタキセルを含むパクリタキセルが挙げられる。さらに別の実施形態では、MTAP欠損性食道がんの治療において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩とタキサンはさらにプラチナ系化学療法剤と併用されて使用される。一部の実施形態では、プラチナ系化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、および/またはオキサリプラチンである。他の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩とタキサンは、プラチナ系化学療法剤および抗代謝剤とさらに併用されて使用される。一部の実施形態では、抗代謝剤は、5-フルオロウラシルおよび/またはカペシタビンである。
他の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性肺がんまたはMTAP欠損性膵がんまたはMTAP欠損性食道がんの治療において、抗代謝剤と併用されて使用されたときに、治療上の利益を提供する。一部の実施形態では、MTAP欠損性肺がんは、NSCLCである。さらに他の実施形態では、NSCLCは進行した非扁平上皮細胞性のNSCLCである。一部の実施形態では、抗代謝剤は、ペメトレキセドである。他の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩とペメトレキセドは、プラチナ系化学療法剤とさらに併用されて使用される。一部の実施形態では、プラチナ系化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、および/またはオキサリプラチンである。さらに他の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩とペメトレキセドは、プラチナ系化学療法剤、および例えばペムブロリズマブなどのPD-L1チェックポイント阻害剤とさらに併用されて使用される。
他の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性中皮腫の治療において、抗代謝剤と併用されて使用されたときに治療上の利益を提供する。一部の実施形態では、抗代謝剤はペメトレキセドである。他の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩とペメトレキセドは、プラチナ系化学療法剤とさらに併用されて使用される。一部の実施形態では、プラチナ系化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、および/またはオキサリプラチンである。
前述の治療方法のいずれかに関するさらに追加的な実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および一つ以上の追加の治療剤は、同時に投与されてもよい。前述の治療方法のいずれかに関するさらに追加的な実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および一つ以上の追加の治療剤は、連続して投与されてもよい。前述の治療方法のいずれかに関するさらに他の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、経口投与される。前述の治療方法のいずれかに関するさらなる実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、1日に1回または2回投与される。
定義
定義
「MTAP欠損性」の肺がんまたは「MTAP欠損性」の膵がんまたは「MTAP欠損性」の食道がんという文言は、代謝酵素のメチルチオアデノシンホスホリラーゼ(MTAP:Methylthioadenosine Phosphorylase)の活性を欠く肺がんまたは膵がんまたは食道がんを指す。したがって、MTAP欠損性肺がんまたはMTAP欠損性膵がんまたはMTAP欠損性食道がんは、MTAP遺伝子の発現に失敗している場所に発生する。発現の失敗は、MTAP遺伝子の非存在、MTAPタンパク質発現の欠如、またはMTAP基質であるMTAの蓄積により評価されてもよい。一部の実施形態では、「MTAP欠損性」という用語は、「MTAPが欠失した」および/または「MTAPヌル」とも呼称される。したがって、当該用語は相互交換可能に使用されてもよい。例えば一部の実施形態では、「MTAPが欠失した」もしくは「MTAPヌル」の肺がん、または「MTAPが欠失した」もしくは「MTAPヌル」の膵がん、または「MTAPが欠失した」もしくは「MTAPヌル」の食道がんとは、MTAP遺伝子の染色体喪失を指し、喪失の結果、MTAP DNAのすべてまたは一部が喪失され、機能性全長MTAPタンパク質の発現が妨げられる。一部の実施形態では、MTAP欠損性肺がん、またはMTAP欠損性膵がんは、例えばNSCLCまたはPDACなどの肺がんまたは膵がんであり、当該がんにおいて、MTAP遺伝子は欠失され、喪失され、または別手段により不活化されている。同様に、MTAP欠損性食道がんは、MTAP遺伝子が欠失され、喪失され、または別手段により不活化されている食道がんである。一部の実施形態では、例えばNSCLCなどのMTAP欠損性肺がん、または例えばPDACなどのMTAP欠損性膵がんは、野生型MTAP遺伝子と比較して、MTAPタンパク質が機能低下している、または機能的に障害を受けている肺がんまたは膵がんである。同様に、一部の実施形態では、MTAP欠損性食道がんは、野生型MTAP遺伝子と比較して、MTAPタンパク質が機能低下している、または機能的に障害を受けている食道がんである。したがって、本開示の一実施形態では、対象の例えばNSCLCなどのMTAP欠損性肺がん、例えばPDACなどのMTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんを治療するための方法が提供され、当該肺がん、膵がん、または食道がんは、MTAP遺伝子および/またはMTAPタンパク質が存在し、完全に機能している肺がんまたは膵がんと比較して、または野生型MTAP遺伝子を有する肺がんまたは膵がんと比較して、(i)MTAP発現が減少または非存在、(ii)MTAP遺伝子が非存在、および(iii)MTAPタンパク質が機能低下、のうちの少なくとも一つを特徴とする。
本明細書において、「薬学的に許容可能な塩」は、本発明化合物の薬学的に許容可能な、有機もしくは無機の酸または塩基の塩である。代表的な薬学的に許容可能な塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩、アンモニウム塩、例えば酢酸塩、アムソン酸塩(4,4-ジアミノスチルベン-2,2-ジスルホン酸塩)、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゾネート(benzonate)、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、カルシウム、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラリエート(clavulariate)、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキシルレゾルシナート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1-メテン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩、エインボナート(einbonate))、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、スラマート(suramate)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイドおよび吉草酸塩などの水溶性塩ならびに非水溶性塩が挙げられる。薬学的に許容可能な塩は、その構造中に複数の電荷を帯びた原子を有することができる。この場合、薬学的に許容可能な塩は、複数の対イオンを有することができる。従って、薬学的に許容可能な塩は、一つ以上の電荷を帯びた原子および/または一つ以上の対イオンを有することができる。
「治療する」、「治療すること」および「治療」という用語は、疾患、または疾患に関連する症状の改善または根絶を指す。ある実施形態では、当該用語は、一つ以上の予防剤または治療剤をそうした疾患を有する患者に投与することから生じる、疾患の拡大または悪化を最小限にすることを指す。
「予防する」、「予防すること」および「予防」という用語は、予防剤または治療剤の投与から生じる、患者の疾患の発症、再発もしくは拡大の予防または遅延を指す。
「有効量」という用語は、疾患の治療または予防において、治療的または予防的な利益を提供するために充分な、または疾患に関連する症状を遅延または最小限にするために充分な、式(I)の化合物または他の有効成分の量を指す。さらに、式(I)の化合物に関して治療有効量とは、単独での治療剤の量、または疾患の治療もしくは予防において治療的利益を提供する他の療法と組み合わせた治療剤の量を意味する。当該用語は、全体的な療法を改善する量、疾患の症状もしくは原因を減少させるまたは回避する量、または別の治療剤の治療効果を強化する量、または別の治療剤との相乗効果を強化する量を包含し得る。
「患者」または「対象」は、例えば、ヒト、ウシ、ウマ、ヒツジ、仔ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギまたはモルモットなどの動物を含む。一部の実施形態によれば、動物は、例えば非霊長類および霊長類(例えば、サルおよびヒト)等の哺乳動物である。一つの実施形態では、患者は、例えばヒトの新生児、幼児、子供、青年、または成人などのヒトである。一つの実施形態では、患者は、誕生から18歳までの患者を含む小児患者である。一つの実施形態では、患者は、青年の患者であり、青年の患者は、12~17歳の患者である。一つの実施形態では、患者は、成人の患者である。さらに別の実施形態では、患者の年齢を示す用語は、例えば米国FDAにより解説されるガイダンスなどの適切な規制ガイダンスに従い使用され、その場合、新生児は誕生から生後1か月、乳児は生後1か月から2歳まで、小児は2歳から12歳まで、そして青年は12歳から16歳までである。
「阻害剤」とは、SAMの合成を阻害またはSAMの合成量を低下させる化合物を意味する。ある実施形態では、阻害剤は、MAT2Aに結合する。
投与される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の「治療有効量」は、例えば、細胞毒性効果を発揮するため、またはMAT2A活性を阻害するため、またはその両方に必要な最小量などの検討事項により規定されてもよい。そうした量は、正常な細胞に対して、または全体として患者に対して、毒性がある量を下回ってもよい。概して、投与される式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の初期の治療有効量は、1日当たり、約0.01~約200mg/患者体重kgまたは約0.1~約20mg/患者体重kgの範囲であり、典型的な初期範囲は、約0.3~約15mg/kg/日である。例えば錠剤およびカプセルなどの経口単位剤形は、約1mg~約1000mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含有してもよい。別の実施形態では、そうした剤形は、約20mg~約800mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含有してもよい。さらに別の実施形態では、そうした剤形は、約20mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、または800mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含有してもよい。別の態様では、投与量は、式(I)の化合物の遊離形態当量に対応する量として測定される。本明細書で使用される場合、「遊離形態当量」とは、遊離形態(または遊離塩基形態)で存在するか、または塩として存在するかに関わらず、遊離形態の式(I)の化合物の所与の量に対応する、式(I)の化合物の当該量を指す。さらなる態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量を投与することは、組み合わせ、すなわち、式(I)の化合物またはその薬学的な塩と、一つ以上の追加の治療剤が、特定の期間内およびある期間、投与される状況を含む。一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的な塩を含む剤形は、1日1回投与される。他の実施形態では、剤形は、1日2回投与される。本明細書で使用される場合、「毎日投与」という用語は、24時間以内に遂行される、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩に対する特定の投与スケジュールを意味する。
本明細書で使用される場合、「ペメトレキセド」という用語は、以下の構造を有する、(2S)-2-[[4-[2-(2-アミノ-4-オキシド-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)エチル]ベンゾイル]アミノ]ペンタン二酸を指す。「ペメトレキセド」はさらに、Alimta(登録商標)として入手可能なペメトレキセド二ナトリウムなど、その薬学的に許容可能な塩も含む。
がんにおける肯定的な治療効果は、多くの方法で測定することができる。本明細書に記載される組み合わせの治療有効量の投与は、個々の成分化合物よりも利益がある。本明細書で使用される場合、「有益な組み合わせ」は、治療有効量の成分化合物の個々の投与と比較して、以下の改善特性のうちの少なくとも一つを提供する組み合わせである:i)最も高い活性の単剤よりも大きな抗がん効果、ii)相乗的な抗がん効果、またはiii)加法的な活性。
一部の実施形態では、相乗効果は、本明細書に記載されるモデルのうちの少なくとも一つを使用して決定される。組み合わせの効果は、各データ点と、単剤曲線から導かれた組み合わせ基準モデルのデータ点を比較することによって特徴解析されてもよい。一般的に、以下の三つのモデルが使用される:(1)最高単剤(Highest Single Agent)。シンプルな基準モデルであり、予測される組み合わせ効果が、対応する濃度での単剤応答の最大値である;(2)Bliss独立モデル。独立した競合阻害剤に対する統計的期待値を表す;(3)Loewe加法性モデル。両剤が実際には同一化合物である場合に予測される応答を表す;(4)Chou-Talalayモデル。単剤治療および併用治療の用量-効果データから推定し、組み合わせ指数(CI:Combination Index)スコアとして表される;または一つ以上のモデルの組み合わせ。
Loewe加法性モデルは、相乗効果に関して最も一般的に受け容れられている基準であるため、Loewe加法性モデルが使用され、測定基準は同モデルから導かれた。本明細書において、「Loewe相乗効果スコア」と特徴付けられる。
Loewe加法性モデル
Loewe加法性モデルは、用量ベースであり、単剤により達成された活性レベルに対してのみ適用される。Loewe体積を使用して、Loewe加法性モデルを超える組み合わせの相互作用の全体的な大きさが評価される。Loewe体積は、表現型活性における相乗的増加(肯定的Loewe体積)と相乗的拮抗効果(否定的Loewe体積)を識別するときに特に有用である。拮抗効果が観察されるとき、Loewe体積を評価して、拮抗効果と、特定の薬剤標的-活性または細胞遺伝子型との間に何らかの相関が存在するかを検証しなければならない。このモデルは、非相乗的な組み合わせ相互作用として加法性を定義し、組み合わせの用量マトリクス表面は、それ自体と交差するいずれの薬剤とも識別不可能でなければならない。Loewe加法性の計算は、以下である:
(X/XI)+(Y/YI)=1を満たす、ILoewe
式中、XIおよびYIは、観察された組み合わせ効果Iに対する単剤の有効濃度である。例えば、1μMの薬剤Aまたは1μMの薬剤Bにより、50%の阻害が別々に達成された場合、0.5μMのAと0.5μMのBの組み合わせも、50%阻害するはずである。
Loewe加法性モデルは、用量ベースであり、単剤により達成された活性レベルに対してのみ適用される。Loewe体積を使用して、Loewe加法性モデルを超える組み合わせの相互作用の全体的な大きさが評価される。Loewe体積は、表現型活性における相乗的増加(肯定的Loewe体積)と相乗的拮抗効果(否定的Loewe体積)を識別するときに特に有用である。拮抗効果が観察されるとき、Loewe体積を評価して、拮抗効果と、特定の薬剤標的-活性または細胞遺伝子型との間に何らかの相関が存在するかを検証しなければならない。このモデルは、非相乗的な組み合わせ相互作用として加法性を定義し、組み合わせの用量マトリクス表面は、それ自体と交差するいずれの薬剤とも識別不可能でなければならない。Loewe加法性の計算は、以下である:
(X/XI)+(Y/YI)=1を満たす、ILoewe
式中、XIおよびYIは、観察された組み合わせ効果Iに対する単剤の有効濃度である。例えば、1μMの薬剤Aまたは1μMの薬剤Bにより、50%の阻害が別々に達成された場合、0.5μMのAと0.5μMのBの組み合わせも、50%阻害するはずである。
Loewe加法性を超えて観察された活性は、潜在的な相乗的相互作用を特定するものである。本解析について、経験的に導き出された組み合わせマトリクスが、実験的に収集された単剤用量反応曲線から構築された各Loewe加法性モデルと比較された。用量応答マトリクス全体のこの余剰加法性の総計が、Loewe体積と呼ばれる。肯定的Loewe体積は潜在的な相乗効果を示唆しており、一方で否定的Loewe体積は潜在的な拮抗効果を示唆している。
Loewe相乗効果スコア
Loewe加法性を超えた組み合わせ効果を測定するために、スカラー尺度が考案され、本明細書において「Loewe相乗効果スコア」と呼ばれる相乗的相互作用の強度が特徴解析された。Loewe相乗効果スコアは、以下のように計算される:
Loewe相乗効果スコア=log fX log fY Σ max(0,Idata)(Idata-ILoewe)
Loewe加法性を超えた組み合わせ効果を測定するために、スカラー尺度が考案され、本明細書において「Loewe相乗効果スコア」と呼ばれる相乗的相互作用の強度が特徴解析された。Loewe相乗効果スコアは、以下のように計算される:
Loewe相乗効果スコア=log fX log fY Σ max(0,Idata)(Idata-ILoewe)
マトリクス中の各成分の剤および組み合わせの点に対する阻害率は、すべての未処置/ビヒクル処置の対照ウェルの中央値と比較して計算される。Loewe相乗効果スコアの式は、加法性に関するLoeweモデルを使用して成分剤の活性から数値的に導かれた、モデル表面を超えるマトリクス中の各点で実験的に観察された活性体積を積分する。Loewe相乗効果スコアの式(上記)における追加の条件を使用して、個々の剤に使用される様々な希釈因子を正規化し、実験全体の相乗効果スコアの比較を行うことができる。肯定的な阻害ゲーティングまたはIdata乗数を含めると、ゼロの効果レベルに近いノイズが除去され、高活性レベルで発生する相乗的相互作用の結果にバイアスがかかる。より高い最大成長阻害(GI:Growth Inhibition)効果との組み合わせ、または低濃度で相乗的である効果との組み合わせは、Loewe相乗効果スコアが高くなる。
以下の実施例に示されるように、さらに改変された組み合わせ統計解析を実施して、式(I)の化合物が、抗有糸分裂薬またはDNA合成阻害剤と組み合わされたときに、抗腫瘍性の併用利益をもたらすかが決定された。相乗効果スコアは、「インビボ相乗効果スコア」と呼称される場合もある。
より詳細には、この組み合わせ解析のインビボ方法論は以下の通りである:インプットデータは、連続する時点での各動物からの腫瘍体積からなる。各腫瘍体積について、1を加え、底を10とするlogをとる。各動物について、各時点でのlog(腫瘍体積+1)から、最も早い時点でのlog(腫瘍体積+1)を差し引く。時間データに対して得られた差を使用して、各動物に対し、台形公式を使用して曲線下面積(AUC)の値を計算する。各群の平均AUCを計算する。インビボ相乗効果スコア=100×(平均AUCAB-平均AUCA-平均AUCB+平均AUCV)/平均AUCV。この場合において平均AUCAB、平均AUCA、平均AUCBおよび平均AUCVはそれぞれ、併用群、A単剤群、B単剤群、およびビヒクル/対照群の平均AUC値である。個々の動物のAUC値を使用して、インビボ相乗効果スコアがゼロであるか否かに関するANOVA統計検定を実施し、p値を取得する。相乗的であるとみなされる組み合わせについて、インビボ相乗効果スコアはゼロ未満でなければならない。インビボ相乗効果スコアがゼロであれば、まさに加法性である。インビボ相乗効果のスコアが0を超えると、スコアは加法性から拮抗性へと移行する。p値が0.05を超える場合、組み合わせは加法性であるとみなされる。p値が0.05未満であり、インビボ相乗効果スコアがゼロ未満である場合、組み合わせは相乗的であるとみなされる。p値が0.05未満であり、インビボ相乗効果スコアがゼロより大きく、組み合わせの平均AUCが単剤の最小平均AUCよりも低い場合、その組み合わせは、劣加法的であるとみなされる。p値が0.05未満であり、インビボ相乗効果スコアがゼロより大きく、組み合わせの平均AUCが単剤のうちの少なくとも一つの平均AUCよりも大きい場合、その組み合わせは、拮抗的であるとみなされる。
Chou-Talalayモデル
相乗効果の代替モデルは、1983年に導入されたChou-Talalayモデルを使用した薬剤相互作用の評価である。この評価によって、併用実験において二つの薬剤の間の相互作用を推定することが可能となり、本明細書において、「組み合わせ指数(CI)スコア」と呼称される。このモデルによれば、相互作用は単剤治療および併用治療の用量-効果データから推定され、組み合わせ指数(CI)スコアとして表される。CIは、(D1/EDx1)+(D2/EDx2)として定義され、式中、EDx1(またはEDx2)は、選択された効果x(例えば50%成長阻害など)を生じさせる単剤の薬剤1(または薬剤2)の用量であり、D1およびD2は、併用で与えられたときにも効果xを生じさせる薬剤1および薬剤2の用量である。所与の化合物ペアについて、複数の用量の組み合わせを(マトリクス設計において)探索し、最も低いCIを与えるD1/D2ペアを識別した。
相乗効果の代替モデルは、1983年に導入されたChou-Talalayモデルを使用した薬剤相互作用の評価である。この評価によって、併用実験において二つの薬剤の間の相互作用を推定することが可能となり、本明細書において、「組み合わせ指数(CI)スコア」と呼称される。このモデルによれば、相互作用は単剤治療および併用治療の用量-効果データから推定され、組み合わせ指数(CI)スコアとして表される。CIは、(D1/EDx1)+(D2/EDx2)として定義され、式中、EDx1(またはEDx2)は、選択された効果x(例えば50%成長阻害など)を生じさせる単剤の薬剤1(または薬剤2)の用量であり、D1およびD2は、併用で与えられたときにも効果xを生じさせる薬剤1および薬剤2の用量である。所与の化合物ペアについて、複数の用量の組み合わせを(マトリクス設計において)探索し、最も低いCIを与えるD1/D2ペアを識別した。
CI<1の場合、その二つの薬剤は相乗効果を有し、CI>1の場合、その薬剤は拮抗効果を有する。最後に、CI=1であれば、その薬剤が加法的効果を有することが示唆される。Chou,T.C.& Talalay,P.Quantitative analysis of dose-effect relationships:the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors.Adv.Enzyme Regul.22,27-55(1984)を参照のこと。
医薬組成物
本開示はまた、式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量を、薬学的に許容可能な担体と混合して含む医薬組成物も提供する。いくつかの実施形態では、この組成物は、医薬化合物の受容された慣行に従って、一つ以上の追加的な治療剤、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、アジュバント、安定剤、乳化剤、保存剤、着色剤、緩衝剤、香味付与剤をさらに含有する。
本開示はまた、式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量を、薬学的に許容可能な担体と混合して含む医薬組成物も提供する。いくつかの実施形態では、この組成物は、医薬化合物の受容された慣行に従って、一つ以上の追加的な治療剤、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、アジュバント、安定剤、乳化剤、保存剤、着色剤、緩衝剤、香味付与剤をさらに含有する。
式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物は、適正診療規範に準拠した様式で製剤化され、投薬され、および投与される。このような状況において考慮される因子としては、治療される特定の障害、治療される特定の患者、患者の臨床状態、障害の原因、剤の送達場所、投与方法、投与計画、および医療従事者に公知の他の因子が挙げられる。
医薬組成物は、投与単位製剤で吸入または噴霧または直腸的に、経口投与、局所投与、非経口投与されてもよい。本明細書において使用される場合、非経口という用語は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、もしくは胸骨内注射、または点滴技術を含む。
本発明に従う適切な経口組成物としては限定されないが、錠剤、トローチ、薬用キャンディ、水性もしくは油性の懸濁剤、分散性の粉剤もしくは顆粒剤、乳剤、硬質もしくは軟質のカプセル剤、シロップまたはエリキシルが挙げられる。
医薬組成物は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体を含む、単回単位の投与量に好適であってもよい。
経口用途に適した医薬組成物は、医薬組成物の製造に関する分野に公知の任意の方法に従って調製されてもよい。例えば、液体製剤は、薬学的に好適な、および/または口当たりの良い調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される一つ以上の剤を含有してもよい。
錠剤の組成物について、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、錠剤の製造に使用される非毒性の薬学的に許容可能な賦形剤と混合されて製剤化されてもよい。そのような賦形剤の例としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム等の不活性希釈剤;例えばコーンスターチまたはアルギン酸等の造粒剤および崩壊剤;例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア等の結合剤;および例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸または滑石などの潤滑剤が挙げられるが、これらに限定されない。錠剤は被覆されていなくてもよく、または公知のコーティング技術で被覆されて消化管内での分解および吸収を遅延させて、それによって望ましい時間間隔にわたって持続的な治療作用をもたらしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料が用いられ得る。
また、経口用途のための製剤は硬質ゼラチンカプセルであってもよく、この場合において有効成分は、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリン等の不活性固形希釈剤と混合され、または軟質ゼラチンカプセルであってもよく、この場合において有効成分は、水性媒体、または例えばピーナッツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油等の油性媒体と混合される。
水性懸濁液については、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を賦形剤と混合して、安定的な懸濁液を維持してもよい。そのような賦形剤の例としては、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムが挙げられるが、これらに限定されない。
経口懸濁剤はまた、例えばレクチンである天然に存在するホスファチド等の分散剤もしくは浸潤剤、または例えばステアリン酸ポリオキシエチレンである脂肪酸を伴う酸化アルキレンの縮合物、または例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールである長鎖脂肪族アルコールを伴う酸化エチレンの縮合物、または例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール等である脂肪酸とヘキシトールとに由来する部分エステルを伴う酸化エチレンの縮合物、または、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンである脂肪酸とヘキシトール無水物とに由来する部分エステルを伴う酸化エチレンの縮合物を含有することもできる。水性懸濁剤はまた、例えば、エチルまたはp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピルである一つ以上の保存剤、一つ以上の着色剤、一つ以上の香味剤、および例えばショ糖またはサッカリンなどの一つ以上の甘味剤を含有し得る。
油性懸濁剤は、本開示の化合物を、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはココナッツ油などの植物油中で、または例えば液体パラフィン等の鉱油中で懸濁することにより製剤化されてもよい。油性懸濁剤は、例えば蜜ろう、硬質パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含んでもよい。
上述のようなものである甘味剤、および香味剤は、味のよい経口調製物を提供するために追加してもよい。これら組成物は、アスコルビン酸等の抗酸化剤の添加によって保存され得る。
水の添加による水性懸濁剤の調製に適した分散性の粉剤および顆粒剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤および一つ以上の保存剤と混合された本開示化合物を提供する。好適な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、既に上述したものによって例示されている。例えば、甘味剤、香味剤、着色剤である追加的な賦形剤もまた存在してもよい。
本開示の医薬組成物はまた、水中油型乳剤の形態であってもよい。油相は、例えばオリーブ油もしくはラッカセイ油である植物油、または例えば液体パラフィンもしくはこれらの混合物である鉱油類であり得る。好適な乳化剤は、例えばアカシアゴムまたはトラガカントゴムなどの天然のゴム、例えばダイズ、レシチンなどの天然のホスファチド、および脂肪酸とヘキシトールから誘導されるエステルまたは部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタンなどの無水物、および例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの酸化エチレンを伴う当該部分エステルの縮合反応産物であってもよい。乳化剤はまた、甘味剤および香味剤を含有し得る。
シロップおよびエリキシルは、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースなどの甘味剤と共に製剤化されてもよい。そうした製剤はさらに、粘滑剤、防腐剤、または香味剤および着色剤を含有してもよい。医薬組成物は、滅菌注射可能な形態である、水性懸濁液または油性懸濁液であってもよい。当該懸濁液は、上記に記載された、好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤を使用し、当分野の技術に従い製剤化されてもよい。滅菌注射可能な調製物はさらに、非毒性で、非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中で、例えば1,3-ブタンジオール溶液として、滅菌注射溶液または滅菌注射懸濁液であってもよい。採用され得る許容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに滅菌された固定油を、溶媒または懸濁用媒体として採用してもよい。この目的に対し、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無菌性固定油を採用してもよい。さらに、例えばオレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製の用途で使用されてもよい。
式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩はさらに、薬剤の直腸投与用の坐剤の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸内で融解して薬剤を放出する好適な非刺激性の賦形剤と薬剤とを混合することによって調製することができる。こうした材料は、カカオバターおよびポリエチレングリコールである。
非経口投与用組成物は、滅菌媒体中で投与される。使用されるビヒクルと製剤中の薬物の濃度の濃縮に応じて、非経口製剤は、溶解した薬物を含有する、懸濁剤または液剤のいずれかとすることができる。例えば局所麻酔薬、防腐剤および緩衝剤などのアジュバントもまた、非経口組成物に追加することができる。
使用方法
使用方法
本明細書において上述されるように、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性である、例えばNSCLCなどの肺がん、または例えばPDACなどの膵がん、または食道がんの治療に有用である。一つの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、例えばNSCLC等のMTAP欠損性肺がん、または例えばPDACなどのMTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんの治療において、少なくとも一つの抗有糸分裂剤と併用して使用されたときに、治療上の利益を提供する。関連する抗有糸分裂剤としては、微小管安定化剤、および紡錘体集合チェックポイントを破壊する剤が挙げられる。抗有糸分裂剤の一例は、タキサンである。抗有糸分裂剤の他の例は、オーロラキナーゼ阻害剤であり、オーロラキナーゼAまたはオーロラキナーゼBの阻害剤が挙げられる。
本開示はさらに、中皮腫の治療における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、MTAP欠損性中皮腫の治療において使用されたとき、抗代謝剤と併用されて使用されたときに、治療上の利益を提供する。関連する抗代謝剤としては、ペメトレキセドまたはその薬学的に許容可能な塩が挙げられる。他の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩とペメトレキセドは、プラチナ系化学療法剤とさらに併用されて使用される。一部の実施形態では、プラチナ系化学療法剤は、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである。他の実施形態では、プラチナ系化学療法剤は、カルボプラチンまたはシスプラチンである。
臨床現場において、例えばドセタキセルやパクリタキセルなどのタキサンはしばしば、他の化学療法剤と併せて使用される。例えば、ナノ粒子-アルブミン結合型パクリタキセル(nab-パクリタキセルまたはAbraxane(登録商標)として知られる)は、ヌクレオシドアナログDNA合成阻害剤のゲムシタビン(Gemzar(登録商標))と併用されて、膵管腺がん(PDAC)において広く使用されている。したがって、さらなる態様では、DNA合成阻害剤およびタキサンと併用された式(I)の化合物の使用が、例えばPDAC等のMTAP欠損性膵がんの治療において治療上の利益を提供する。DNA合成阻害剤の一例は、ゲムシタビンである。タキサンの一例は、ナノ粒子-アルブミン結合型パクリタキセルを含むパクリタキセルである。タキサンのもう一つの例は、ドセタキセルである。
一つの実施形態では、方法または使用は、その必要のある患者における、例えば非小細胞肺がん(NSCLC)等のMTAP欠損性肺がんの治療を含み、(a)以下の式(I)の化合物
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む。
一つの態様では、タキサンは、ドセタキセル、パクリタキセル、もしくはnab-パクリタキセル、またはそれらの代替的な製剤である。一つの態様では、タキサンは、ドセタキセルである。一つの態様では、方法または使用はさらに、一つ以上の追加の治療剤を含む。一つの態様では、追加の治療剤は、プラチナ系化学療法剤である。一つの態様では、プラチナ系化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである。一つの態様では、プラチナ系化学療法剤は、カルボプラチンまたはシスプラチンである。一つの態様では、使用方法はさらに、治療有効量のDNA合成阻害剤を含む。一つの態様では、DNA合成阻害剤は、ゲムシタビンである。一つの態様では、肺がんは、MTAPが欠失している、またはMTAPヌルである。一つの態様では、患者は、一つ以上の従前の治療選択の後に、反応せず、反応を停止し、または疾患の進行を経験した。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与は、MTAP欠損性肺がんの治療に対する第二の治療選択である。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与は、MTAP欠損性肺がんの治療に対する第三の治療選択である。一つの態様では、患者は、新たに診断される。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、約20mg~約800mgである。一つの態様では、投与量は、約20mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、または800mgである。一つの態様では、投与量は、1日1回または2回の投与から選択される。一つの態様では、投与は、経口である。別の態様では、投与量は、式(I)の化合物の遊離形態当量に対応する量として測定される。
一つの実施形態では、方法または使用は、その必要のある患者における、MTAP欠損性膵がんの治療を含み、(a)以下の式(I)の化合物
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む。
一つの態様では、タキサンは、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、もしくはドセタキセル、またはそれらの代替的な製剤である。一つの態様では、タキサンは、nab-パクリタキセルである。一つの態様では、タキサンは、ドセタキセルである。一つの態様では、使用方法はさらに、治療有効量のDNA合成阻害剤を含む。一つの態様では、DNA合成阻害剤は、ゲムシタビンである。一つの態様では、膵がんは、MTAPが欠失している、またはMTAPヌルである。一つの態様では、患者は、一つ以上の従前の治療選択の後に、反応せず、反応を停止し、または疾患の進行を経験した。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与は、MTAP欠損性膵がんの治療に対する第二の治療選択である。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与は、MTAP欠損性膵がんの治療に対する第三の治療選択である。一つの態様では、患者は、新たに診断される。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、約20mg~約800mgである。一つの態様では、投与量は、約20mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、または800mgである。別の態様では、投与量は、式(I)の化合物の遊離形態当量に対応する量として測定される。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、1日1回の投与または1日2回の投与から選択される。一つの態様では、投与は、経口である。一つの態様では、MTAP欠損性膵がんは、膵管腺がん(PDAC)である。一つの態様では、MTAP欠損性膵がんは、切除されていない、局所的に進行している、または転移性である。
一つの実施形態では、方法または使用は、MTAP欠損性肺がんまたはMTAP欠損性膵がんと診断された患者を治療することを含み、(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および(b)少なくとも一つの抗有糸分裂剤、を投与することを含む。
一つの態様では、抗有糸分裂剤は、タキサンである。一つの態様では、タキサンは、ドセタキセル、パクリタキセル、もしくはnab-パクリタキセル、またはそれらの代替的な製剤である。一つの態様では、抗有糸分裂剤は、オーロラキナーゼ阻害剤である。一つの態様では、オーロラキナーゼ阻害剤は、AuroraキナーゼAまたはAuroraキナーゼBに対して選択的である。一つの態様では、抗有糸分裂標的剤は、ABT-348またはAZD1152である。一つの態様では、MTAP欠損性膵がんは、膵管腺がん(PDAC)である。一つの態様では、MTAP欠損性膵がんは、切除されていない、局所的に進行している、または転移性である。一つの態様では、MTAP欠損性肺がんは、非小細胞肺がんである。一つの態様では、MTAP欠損性肺がんは、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである。
一つの実施形態では、方法または使用は、MTAP欠損性肺がんまたはMTAP欠損性膵がんと診断された患者を治療することを含み、(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および(b)少なくとも一つのDNA合成阻害剤、を投与することを含む。
一つの態様では、DNA合成阻害剤は、ゲムシタビンである。一つの態様では、方法または使用はさらに、少なくとも一つのタキサンを含む。一つの態様では、タキサンは、ドセタキセル、パクリタキセル、もしくはnab-パクリタキセル、またはそれらの代替的な製剤である。一つの態様では、MTAP欠損性膵がんは、膵管腺がん(PDAC)である。一つの態様では、MTAP欠損性膵がんは、切除されていない、局所的に進行している、または転移性である。一つの態様では、MTAP欠損性肺がんは、非小細胞肺がんである。一つの態様では、MTAP欠損性肺がんは、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである。
一つの実施形態では、方法または使用は、MTAP欠損性食道がんと診断された患者を治療することを含み、(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および(b)少なくとも一つの抗有糸分裂剤、を投与することを含む。
一つの態様では、抗有糸分裂剤は、タキサンである。一つの態様では、タキサンは、ドセタキセル、パクリタキセル、もしくはnab-パクリタキセル、またはそれらの代替的な製剤である。別の態様では、タキサンは、ドセタキセルまたはパクリタキセルである。別の態様では、方法または使用はさらに、一つ以上の追加の治療剤の投与を含む。一つの態様では、患者は、一つ以上の従前の治療選択の後に、反応せず、反応を停止し、または疾患の進行を経験した。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与は、MTAP欠損性食道がんの治療に対する第二の治療選択である。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与は、MTAP欠損性食道がんの治療に対する第三の治療選択である。一つの態様では、患者は、新たに診断される。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、約20mg~約800mgである。一つの態様では、投与量は、約20mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、または800mgである。一つの態様では、投与量は、1日1回または2回の投与から選択される。一つの態様では、投与は、経口である。別の態様では、投与量は、式(I)の化合物の遊離形態当量に対応する量として測定される。
さらなる実施形態では、方法または使用は、MTAP欠損性中皮腫と診断された患者を治療することを含み、(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および(b)ペメトレキセド二ナトリウム、を投与することを含む。一つの態様では、方法または使用はさらに、一つ以上の追加の治療剤を投与することを含む。別の態様では、追加の治療剤は、プラチナ系化学療法剤である。さらなる態様では、プラチナ系化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである。他の態様では、プラチナ系化学療法剤は、カルボプラチンまたはシスプラチンである。一つの態様では、患者は、一つ以上の従前の治療選択の後に、反応せず、反応を停止し、または疾患の進行を経験した。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与は、MTAP欠損性中皮腫の治療に対する第二の治療選択である。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与は、MTAP欠損性中皮腫の治療に対する第三の治療選択である。一つの態様では、患者は、新たに診断される。一つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、約20mg~約800mgである。一つの態様では、投与量は、約20mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、または800mgである。一つの態様では、投与量は、1日1回または2回の投与から選択される。一つの態様では、投与は、経口である。別の態様では、投与量は、式(I)の化合物の遊離形態当量に対応する量として測定される。
実施形態および態様の各々に対し、さらなる態様は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および一つ以上の追加の治療剤は、同時に投与されることを含む。実施形態および態様の各々に対し、さらなる態様は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および一つ以上の追加の治療剤は、連続して投与されることを含む。実施形態および態様の各々に対し、使用方法はさらに、放射線療法を含んでもよい。
一つ以上の態様および実施形態は、具体的に記載されていないが、様々な実施形態に組み込まれ得る。すなわち、本明細書に記載されるすべての態様および実施形態は、任意の方法または組み合わせで組み合わせられ得る。
態様I
態様1:その必要のある患者において、MTAP欠損性非小細胞肺がん(NSCLC)を治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および
(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む、方法。
態様1:その必要のある患者において、MTAP欠損性非小細胞肺がん(NSCLC)を治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む、方法。
態様2:当該タキサンが、ドセタキセル、パクリタキセル、もしくはnab-パクリタキセル、またはそれらの代替的な製剤である、態様1に記載の方法。
態様3:当該タキサンが、ドセタキセルである、態様2に記載の方法。
態様4:一つ以上の追加の治療剤をさらに含む、態様1~3のいずれか一つに記載の方法。
態様5:当該追加の治療剤が、プラチナ系化学療法剤である、態様4に記載の方法。
態様6:当該プラチナ系化学療法剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである、態様5に記載の方法。
態様7:当該プラチナ系化学療法剤が、カルボプラチンまたはシスプラチンである、態様6に記載の方法。
態様8:当該NSCLCが、MTAPが欠失している、またはMTAPヌルである、態様1~7のいずれか一つに記載の方法。
態様9:当該患者が、一つ以上の従前の治療選択の後に、反応せず、反応を停止し、または疾患の進行を経験した、態様1~8のいずれか一つに記載の方法。
態様10:当該投与は、第二の治療選択である、態様9に記載の方法。
態様11:当該投与は、第三の治療選択である、態様9に記載の方法。
態様12:当該患者は、新たに診断される、態様1~11のいずれか一つに記載の方法。
態様13:式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の1日投与量は、約20mg~約800mgである、態様1~12のいずれか一つに記載の方法。
態様14:当該1日投与量が、1日1回または1日2回の投与から選択される、態様1~13のいずれか一つに記載の方法。
態様15:当該投与が、経口である、態様1~14のいずれか一つに記載の方法。
態様16:その必要のある患者において、MTAP欠損性膵がんを治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および
(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む、方法。
(a)以下の式(I)の化合物:
(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む、方法。
態様17:当該タキサンが、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、もしくはドセタキセル、またはそれらの代替的な製剤である、態様16に記載の方法。
態様18:当該タキサンが、nab-パクリタキセルである、態様17に記載の方法。
態様19:治療有効量のDNA合成阻害剤をさらに含む、態様16~18のいずれか一つに記載の方法。
態様20:当該DNA合成阻害剤が、ゲムシタビンである、態様19に記載の方法。
態様21:当該膵がんが、MTAPが欠失している、またはMTAPヌルである、態様16~20のいずれか一つに記載の方法。
態様22:当該患者が、一つ以上の従前の治療選択の後に、反応せず、反応を停止し、または疾患の進行を経験した、態様16~21のいずれか一つに記載の方法。
態様23:当該投与は、第二の治療選択である、態様22に記載の方法。
態様24:当該投与は、第三の治療選択である、態様23に記載の方法。
態様25:当該患者は、新たに診断される、態様16~24のいずれか一つに記載の方法。
態様26:式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の1日投与量は、約20mg~約800mgである、態様16~25のいずれか一つに記載の方法。
態様27:当該1日投与量が、1日1回または1日2回の投与から選択される、態様16~26のいずれか一つに記載の方法。
態様28:当該投与が、経口である、態様16~27のいずれか一つに記載の方法。
態様29:当該膵がんが、膵管腺がん(PDAC)である、態様16~28のいずれか一つに記載の方法。
態様30:当該膵がんが、切除されていない、局所的に進行している、または転移性である、態様16~29のいずれか一つに記載の方法。
態様31:MTAP欠損性肺がんまたはMTAP欠損性膵がんと診断された患者を治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および
(b)少なくとも一つの抗有糸分裂剤、を投与することを含む、方法。
(a)以下の式(I)の化合物:
(b)少なくとも一つの抗有糸分裂剤、を投与することを含む、方法。
態様32:当該抗有糸分裂剤が、オーロラキナーゼ阻害剤、または両方である、態様31に記載の方法。
態様33:当該オーロラキナーゼ阻害剤が、オーロラキナーゼAまたはオーロラキナーゼBに対して選択的である、態様32に記載の方法。
態様34:当該抗有糸分裂標的剤は、ABT-348またはAZD1152である、態様32または33に記載の方法。
態様35:当該膵がんが、膵管腺がん(PDAC)である、態様31~34のいずれか一つに記載の方法。
態様36:当該膵がんが、切除されていない、局所的に進行している、または転移性である、態様31~35のいずれか一つに記載の方法。
態様37:当該肺がんが、非小細胞肺がんである、態様31に記載の方法。
態様38:当該肺がんが、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである、態様37に記載の方法。
態様39:MTAP欠損性肺がんまたはMTAP欠損性膵がんと診断された患者を治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および
(b)少なくとも一つのDNA合成阻害剤、を投与することを含む、方法。
(a)以下の式(I)の化合物:
(b)少なくとも一つのDNA合成阻害剤、を投与することを含む、方法。
態様40:当該DNA合成阻害剤が、ゲムシタビンである、態様39に記載の方法。
態様41:少なくとも一つのタキサンをさらに含む、態様39または40に記載の方法。
態様42:当該タキサンが、ドセタキセル、パクリタキセル、もしくはnab-パクリタキセル、またはそれらの代替的な製剤である、態様41に記載の方法。
態様43:当該膵がんが、膵管腺がん(PDAC)である、態様39~42のいずれか一つに記載の方法。
態様44:当該膵がんが、切除されていない、局所的に進行している、または転移性である、態様39~43のいずれか一つに記載の方法。
態様45:当該肺がんが、非小細胞肺がんである、態様39に記載の方法。
態様46:当該肺がんが、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである、態様45に記載の方法。
態様47:当該式(I)の化合物、および当該一つ以上の追加の治療剤が、同時に投与される、態様1~46のいずれか一つに記載の方法。
態様48:当該式(I)の化合物、および当該一つ以上の追加の治療剤が、連続して投与される、態様1~46のいずれか一つに記載の方法。
態様49:放射線療法をさらに含む、態様1~48のいずれか一つに記載の方法。
態様50:その必要のある患者において、MTAP欠損性食道がんを治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および
(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む、方法。
(a)以下の式(I)の化合物:
(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む、方法。
態様51:当該タキサンが、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、もしくはドセタキセル、またはそれらの代替的な製剤である、態様50に記載の方法。
態様52:当該タキサンが、ドセタキセルである、態様51に記載の方法。
態様53:当該食道がんが、MTAPが欠失している、またはMTAPヌルである、態様50に記載の方法。
態様54:当該患者が、一つ以上の従前の治療選択の後に、反応せず、反応を停止し、または疾患の進行を経験した、態様50に記載の方法。
態様55:当該投与は、第二の治療選択である、態様54に記載の方法。
態様56:当該投与は、第三の治療選択である、態様54に記載の方法。
態様57:当該患者は、新たに診断される、態様50に記載の方法。
態様58:当該1日投与量が、1日1回または1日2回の投与から選択される、態様50に記載の方法。
態様59:当該投与が、経口である、態様50に記載の方法。
態様II
態様1.その必要のある患者において、MTAP欠損性非小細胞肺がん(NSCLC)を治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および
(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む、方法。
態様1.その必要のある患者において、MTAP欠損性非小細胞肺がん(NSCLC)を治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む、方法。
態様3.当該タキサンが、ドセタキセル、パクリタキセル、またはnab-パクリタキセルである、態様1に記載の方法または態様2に記載の化合物。
態様4.当該タキサンが、ドセタキセルである、態様2に記載の方法または化合物。
態様5.一つ以上の追加の治療剤を投与することをさらに含む、態様1、3または4に記載の方法。
態様6.当該組み合わせが、一つ以上の追加の治療剤をさらに含む、態様2~4のいずれか一つに記載の化合物。
態様7.当該追加の治療剤が、プラチナ系化学療法剤である、態様5に記載の方法または態様6に記載の化合物。
態様8.当該プラチナ系化学療法剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである、態様7に記載の方法または化合物。
態様9.当該プラチナ系化学療法剤が、カルボプラチンまたはシスプラチンである、態様7もしくは8に記載の方法または化合物。
態様10.当該患者が、MTAP欠損性NSCLCを治療するための一つ以上の従前の治療選択の後に、反応せず、反応を停止し、または疾患の進行を経験した、態様1、3~5または7~9のいずれか一つに記載の方法。
態様11.当該式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、MTAP欠損性NSCLCを治療するための第二の治療選択である、態様10に記載の方法または化合物。
態様12.当該式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、MTAP欠損性NSCLCを治療するための第三の治療選択である、態様10に記載の方法または化合物。
態様13.当該MTAP欠損性NSCLCが、新たに診断される、態様1~12のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様14.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、約20mg~約800mgである、態様1~13のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様15.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、1日1回または1日2回の投与である、態様1~14のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様16.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、経口投与される、または経口投与用に製剤化される、態様1~15のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様17.その必要のある患者において、MTAP欠損性膵がんを治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および
(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む、方法。
(a)以下の式(I)の化合物:
(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む、方法。
態様19.当該タキサンが、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、またはドセタキセルである、態様17に記載の方法または態様18に記載の化合物。
態様20.当該タキサンが、nab-パクリタキセルである、態様19に記載の方法または化合物。
態様21.治療有効量のDNA合成阻害剤を投与することをさらに含む、態様17、19または20のいずれか一つに記載の方法。
態様22.当該組み合わせが、治療有効量のDNA合成阻害剤をさらに含む、態様18~20のいずれか一つに記載の化合物。
態様23.当該DNA合成阻害剤が、ゲムシタビンである、態様21もしくは22に記載の方法または化合物。
態様24.当該患者が、MTAP欠損性膵がんを治療するための一つ以上の従前の治療選択の後に、反応せず、反応を停止し、または疾患の進行を経験した、態様17、19~21または23のいずれか一つに記載の方法。
態様25.当該式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、MTAP欠損性膵がんを治療するための第二の治療選択である、態様24に記載の方法または化合物。
態様26.当該式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、MTAP欠損性膵がんを治療するための第三の治療選択である、態様25に記載の方法または化合物。
態様27.当該MTAP欠損性膵がんが、新たに診断される、態様17~26のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様28.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、約20mg~約800mgである、態様17~27のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様29.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、1日1回または1日2回の投与から選択される、態様17~28のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様30.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与が、経口であるか、または当該化合物が、経口投与用に製剤化される、態様17~29のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様31.当該膵がんが、膵管腺がん(PDAC)である、態様17~27のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様32.当該膵がんが、切除されていない、局所的に進行している、または転移性である、態様17~31のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様33.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、およびタキサンが、同時に投与される、態様1、3~5、7~17、19~21、または23~32のいずれか一つに記載の方法。
態様34.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、およびタキサンが、連続して投与される、態様1、3~5、7~17、19~21、または23~32のいずれか一つに記載の方法。
態様35.MTAP欠損性肺がん、MTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんである癌と診断された患者を治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および
(b)少なくとも一つの抗有糸分裂剤、を投与することを含む、方法。
(a)以下の式(I)の化合物:
(b)少なくとも一つの抗有糸分裂剤、を投与することを含む、方法。
態様36.MTAP欠損性肺がん、MTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんである癌の治療における、少なくとも一つの抗有糸分裂剤と併用される使用のための、以下の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩:
。
態様37.当該抗有糸分裂剤が、オーロラキナーゼ阻害剤である、態様35に記載の方法または態様36に記載の化合物。
態様38.当該オーロラキナーゼ阻害剤が、オーロラキナーゼAまたはオーロラキナーゼBに対して選択的である、態様37に記載の方法または化合物。
態様39.当該抗有糸分裂標的剤は、ABT-348またはAZD1152である、態様37もしくは38に記載の方法または化合物。
態様40.当該がんが、MTAP欠損性膵がんである、態様35~39のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様41.当該MTAP欠損性膵がんが、膵管腺がん(PDAC)である、態様40に記載の方法または化合物。
態様42.当該膵がんが、切除されていない、局所的に進行している、または転移性である、態様40もしくは41に記載の方法または化合物。
態様43.当該がんが、MTAP欠損性肺がんである、態様35~39のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様44.当該MTAP欠損性肺がんが、非小細胞肺がんである、態様43に記載の方法または化合物。
態様45.当該MTAP欠損性肺がんが、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである、態様43もしくは44に記載の方法または化合物。
態様46.当該がんが、MTAP欠損性食道がんである、態様35~39のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様47.MTAP欠損性肺がん、MTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんである癌と診断された患者を治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および
(b)少なくとも一つのDNA合成阻害剤、を投与することを含む、方法。
(a)以下の式(I)の化合物:
(b)少なくとも一つのDNA合成阻害剤、を投与することを含む、方法。
態様48.MTAP欠損性肺がん、MTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんである癌の治療における、少なくとも一つのDNA合成阻害剤と併用される使用のための、以下の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩:
。
態様49.当該DNA合成阻害剤が、ゲムシタビンである、態様47に記載の方法または態様48に記載の化合物。
態様50.少なくとも一つのタキサンを投与することをさらに含む、態様47または49に記載の方法。
態様51.当該組み合わせが、少なくとも一つのタキサンをさらに含む、態様48に記載の化合物。
態様52.当該タキサンが、ドセタキセル、パクリタキセル、またはnab-パクリタキセルである、態様50もしくは51に記載の方法または化合物。
態様53.当該がんが、MTAP欠損性膵がんである、態様47~52のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様54.当該MTAP欠損性膵がんが、膵管腺がん(PDAC)である、態様53に記載の方法または化合物。
態様55.当該膵がんが、切除されていない、局所的に進行している、または転移性である、態様53もしくは54に記載の方法または化合物。
態様56.当該がんが、MTAP欠損性肺がんである、態様47~52のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様57.当該MTAP欠損性肺がんが、非小細胞肺がんである、態様56に記載の方法または化合物。
態様58.当該MTAP欠損性肺がんが、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである、態様56もしくは57に記載の方法または化合物。
態様59.当該がんが、MTAP欠損性食道がんである、態様47~52のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様60.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、およびDNA合成阻害剤が、同時に投与される、態様1、3~5、7~17、19~21、23~32、35、37~50、および52のいずれか一つに記載の方法。
態様61.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、およびDNA合成阻害剤が、連続して投与される、態様1、3~5、7~17、19~21、23~32、35、37~50、および52~59のいずれか一つに記載の方法。
態様62.放射線療法をさらに含む、態様1~61のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様63.その必要のある患者において、MTAP欠損性食道がんを治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および
(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む、方法。
(a)以下の式(I)の化合物:
(b)タキサンの治療有効量、を投与することを含む、方法。
態様65.当該タキサンが、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、またはドセタキセルである、態様63に記載の方法または態様64に記載の化合物。
態様66.当該タキサンが、ドセタキセルである、態様65に記載の方法または化合物。
態様67.当該タキサンが、パクリタキセルである、態様65に記載の方法または化合物。
態様68.一つ以上の追加の治療剤を投与することをさらに含む、態様63に記載の方法。
態様69.当該組み合わせが、一つ以上の追加の治療剤をさらに含む、態様64に記載の化合物。
態様70.当該一つ以上の追加の治療剤が、プラチナ系化学療法剤である、態様68に記載の方法または態様69に記載の化合物。
態様71.当該プラチナ系化学療法剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである、態様70に記載の方法または化合物。
態様72.当該プラチナ系化学療法剤が、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンである、態様70もしくは71に記載の方法または化合物。
態様73.抗代謝剤を投与することをさらに含む、態様70に記載の方法。
態様74.当該組み合わせが、抗代謝剤をさらに含む、態様70に記載の化合物。
態様75.当該抗代謝剤が、5-フルオロウラシルまたはカペシタビンである、態様73に記載の方法または態様74に記載の化合物。
態様76.当該患者が、MTAP欠損性食道がんを治療するための一つ以上の従前の治療選択の後に、反応せず、反応を停止し、または疾患の進行を経験した、態様63に記載の方法。
態様77.当該式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、MTAP欠損性食道がんを治療するための第二の治療選択である、態様63に記載の方法または態様64に記載の化合物。
態様78.当該式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、MTAP欠損性食道がんを治療するための第三の治療選択である、態様63に記載の方法または態様64に記載の化合物。
態様79.当該MTAP欠損性食道がんは、新たに診断される、態様63に記載の方法または態様64に記載の化合物。
態様80.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、1日1回または1日2回の投与から選択される、態様63に記載の方法または態様64に記載の化合物。
態様81.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与が、経口であるか、または当該化合物が、経口投与用に製剤化される、態様63に記載の方法または態様64に記載の化合物。
態様82.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、およびタキサンが、同時に投与される、態様63、65~68、または70~81のいずれか一つに記載の方法。
態様83.式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、およびタキサンが、連続して投与される、態様63、65~68、または70~81のいずれか一つに記載の方法。
態様84.MTAP欠損性肺がん、MTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんである癌と診断された患者を治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および
(b)ペメトレキセド二ナトリウム、を投与することを含む、方法。
(a)以下の式(I)の化合物:
(b)ペメトレキセド二ナトリウム、を投与することを含む、方法。
態様85.MTAP欠損性肺がん、MTAP欠損性膵がん、またはMTAP欠損性食道がんである癌の治療における、ペメトレキセド二ナトリウムと併用される使用のための、以下の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩:
。
態様86.当該がんが、MTAP欠損性肺がんである、態様84に記載の方法または態様85に記載の化合物。
態様87.当該MTAP欠損性肺がんが、非扁平上皮細胞非小細胞肺がんである、態様86に記載の方法または化合物。
態様88.一つ以上の追加の治療剤を投与することをさらに含む、態様84、86または87のいずれか一つに記載の方法。
態様89.当該組み合わせが、一つ以上の追加の治療剤をさらに含む、態様85~86のいずれか一つに記載の化合物。
態様90.当該追加の治療剤が、プラチナ系化学療法剤である、態様88に記載の方法または態様89に記載の化合物。
態様91.当該プラチナ系化学療法剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである、態様90に記載の方法または化合物。
態様92.当該プラチナ系化学療法剤が、カルボプラチンまたはシスプラチンである、態様90もしくは91に記載の方法または化合物。
態様93.ペンブロリズマブを投与することをさらに含む、態様88または90~92のいずれか一つに記載の方法。
態様94.ペンブロリズマブをさらに含む、態様89~92のいずれか一つに記載の化合物。
態様95.当該がんが、切除されていない、局所的に進行している、または転移性である、態様84~94のいずれか一つに記載の方法または化合物。
態様96.MTAP欠損性中皮腫と診断された患者を治療する方法であって、
(a)以下の式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量、および
(b)ペメトレキセド二ナトリウム、を投与することを含む、方法。
(a)以下の式(I)の化合物:
(b)ペメトレキセド二ナトリウム、を投与することを含む、方法。
態様98.一つ以上の追加の治療剤を投与することをさらに含む、態様96に記載の方法。
態様99.当該組み合わせが、一つ以上の追加の治療剤をさらに含む、態様97に記載の化合物。
態様100.当該追加の治療剤が、プラチナ系化学療法剤である、態様98に記載の方法または態様99に記載の化合物。
態様101.当該プラチナ系化学療法剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである、態様100に記載の方法または化合物。
態様102.当該プラチナ系化学療法剤が、カルボプラチンまたはシスプラチンである、態様100もしくは101に記載の方法または化合物。
本開示は、以下の実施例を参照することにより、さらに完全に理解されるであろう。しかし本実施例は、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
上述のように、式(I)の化合物は、化合物1と呼称される場合もあり、国際出願番号PCT/US2017/049439に記載されるように合成されてもよい。当該出願は、WO2018/045071号として公開され、その全体で参照により本明細書に組み込まれる。
実施例1:分子機構
細胞サイクルの同期実験は、ダブルチミジンブロックを使用して実施された。これらの実験は、HCT116 MTAP-/-(Horizon Discovery社)を用いて実施された。この細胞株のMTAP-/-の状態は、人工的に操作されたものであり、患者サンプルから誘導されたものではなかった。式(I)の化合物またはDMSO対照を用いて72時間の前処理を行った後、ダブルチミジンブロック処置を実施して、細胞を初期S期に同期化させた。
細胞サイクルの同期実験は、ダブルチミジンブロックを使用して実施された。これらの実験は、HCT116 MTAP-/-(Horizon Discovery社)を用いて実施された。この細胞株のMTAP-/-の状態は、人工的に操作されたものであり、患者サンプルから誘導されたものではなかった。式(I)の化合物またはDMSO対照を用いて72時間の前処理を行った後、ダブルチミジンブロック処置を実施して、細胞を初期S期に同期化させた。
その後にダブルチミジン複製ブロックから放出された時点で、式(I)の化合物またはDMSO対照を用いた処置後の細胞サイクルの進行が、フローサイトメトリーにより監視された。HCT116 MTAP-/-細胞での式(I)の化合物の処置により、S期からG2/M期への進行が減衰され、4N含有を伴う細胞の蓄積の減速により実証された。図1は、式(I)の化合物がHCT116 MTAP-/-細胞において選択的に細胞周期の進行を阻害することを示す。
この細胞周期の進行の減衰はさらに、ダブルチミジンブロックからの放出の際の、重要な有糸分裂調節因子であるオーロラキナーゼBのタンパク質レベルの低下、ならびに有糸分裂マーカーであるリン酸化ヒストンH3(phS10-H3)の出現の減衰とも相関していた。図2は、細胞サイクル進行中のオーロラBおよびホスホ-Ser10-H3のレベルに関するウェスタンブロット解析を示す。
化合物1で処置されたHCT116 MTAP-/-細胞において有糸分裂への進行速度の低下が観察されたことから、これらの細胞は、損傷DNAの蓄積により複製ストレスを受けている可能性があることが示唆される。DNA損傷のレベルを評価するために、免疫蛍光法を使用して、リン酸化H2AX(γH2AX)のレベルに関する解析を実施した。これらの実験の結果から、DMSO対照と比較し、化合物1で処理した後、γH2AX陽性細胞の数が3倍を超えて増加していたことが示された。図3Aおよび3Bは、γH2AXの免疫蛍光解析を示しており、化合物1を用いた処理の際のHCT116 MTAP-/-におけるDNA損傷レベルの増加を示している。
HCT116 MTAP-/-細胞が、化合物1の存在下で正常な細胞分裂を行う能力があるかを評価した。
有糸分裂像の異常を伴う細胞の数を分析し、DAPI染色を使用して、小核形成の頻度を評価した。DAPI染色分析の結果から、化合物1を用いた処置の際の小核数の増加が示された。図4Aおよび図4Bに示されるように、DAPI染色の免疫蛍光分析から、化合物1を用いた処置が、HCT116 MTAP-/-細胞における小核数の増加をもたらしたことが示された。
さらにDAPI染色分析により、HCT116 MTAP-/-細胞において、他の有糸分裂欠損を伴う細胞数の増加が、化合物1処置と関連することが明らかとなった。図5Aに示されるように、化合物1を用いた処理後に、非対称性に分割された核を有する細胞の数の増加、および二核または多核の細胞の数の増加があった。さらに図5Bに示されるように、γH2AXでマーカーされる染色体異常を有する有糸分裂細胞の増加も観察された。
実施例2:相乗効果スコアリング
表1に示されるように、HCT116 MTAPヌルを含む29個のMTAPヌル細胞株のパネルに対し、増殖阻害アッセイを実施した。当該アッセイは、Horizon Discovery’s High Throughput Screening platformを利用して、化合物1と、現行の標準治療薬(ペメトレキセド、パクリタキセルおよびゲムシタビン塩酸塩)の間の有益な相互作用を評価した。細胞は、本明細書において「エンハンサー」と呼称される五つの剤、すなわちペメトレキセド、パクリタキセル、ゲムシタビン、ABT-348、およびAZD1152-HQPAと併用された化合物1からなる4つの組み合わせを用いて処理された。
表1に示されるように、HCT116 MTAPヌルを含む29個のMTAPヌル細胞株のパネルに対し、増殖阻害アッセイを実施した。当該アッセイは、Horizon Discovery’s High Throughput Screening platformを利用して、化合物1と、現行の標準治療薬(ペメトレキセド、パクリタキセルおよびゲムシタビン塩酸塩)の間の有益な相互作用を評価した。細胞は、本明細書において「エンハンサー」と呼称される五つの剤、すなわちペメトレキセド、パクリタキセル、ゲムシタビン、ABT-348、およびAZD1152-HQPAと併用された化合物1からなる4つの組み合わせを用いて処理された。
図6に示されるように、Loewe相乗効果スコアは散布図として提示され、散布図中に描かれた線により表される、細胞株パネル全体の相乗効果スコアの中央値によりランク付けされている。
以下の表は、実施例2から得られたLoewe相乗効果スコアの結果を提示しており、その計算は本明細書において上述されている。
Loewe相乗効果スコアにより示されるように、様々な腫瘍型の複数のMTAPヌル細胞株において、式(I)の化合物の併用でインビトロにおいて利益が観察された。式(I)の化合物と、ペメトレキセド、パクリタキセル、ゲムシタビン、またはオーロラキナーゼ阻害剤(ABT-348およびAZD1152-HQPA)の組み合わせで、インビトロで有益な効果が観察された。
実施例3:組み合わせ指数評価
有糸分裂中に微小管を安定化させるという臨床的に関連性のある2種の化学療法剤、パクリタキセルとドセタキセルを用いて確認的インビトロ実験を実施した。パクリタキセルとドセタキセルのそれぞれの主要な作用機序は、微小管の超安定化である。微小管はα-チューブリンとβ-チューブリンの細胞骨格タンパク質の反復から構成され、有糸分裂中の適切な染色体分離を含む様々な細胞プロセスに関与している。パクリタキセルとドセタキセルは微小管と直接相互作用し、微小管に安定的付着しない動原体による染色体分離を阻害する微小管脱重合に対して作用する。パクリタキセルおよびドセタキセルで処置された、積極的に分裂するがん細胞は、紡錘体集合チェックポイントを活性化させて成長を中期に停止させ、または有糸分裂を低下させて四倍体細胞を生じさせ、最終的に細胞死へと向かう。Montero,A.,Fossella,F.,Hortobagyi,G.& Valero,V.Docetaxel for treatment of solid tumours:a systematic review of clinical data.Lancet.Oncol.6,229-39(2005);およびWeaver,B.A.How Taxol/paclitaxel kills cancer cells.Mol.Biol.Cell 25,2677-81(2014)を参照のこと。
有糸分裂中に微小管を安定化させるという臨床的に関連性のある2種の化学療法剤、パクリタキセルとドセタキセルを用いて確認的インビトロ実験を実施した。パクリタキセルとドセタキセルのそれぞれの主要な作用機序は、微小管の超安定化である。微小管はα-チューブリンとβ-チューブリンの細胞骨格タンパク質の反復から構成され、有糸分裂中の適切な染色体分離を含む様々な細胞プロセスに関与している。パクリタキセルとドセタキセルは微小管と直接相互作用し、微小管に安定的付着しない動原体による染色体分離を阻害する微小管脱重合に対して作用する。パクリタキセルおよびドセタキセルで処置された、積極的に分裂するがん細胞は、紡錘体集合チェックポイントを活性化させて成長を中期に停止させ、または有糸分裂を低下させて四倍体細胞を生じさせ、最終的に細胞死へと向かう。Montero,A.,Fossella,F.,Hortobagyi,G.& Valero,V.Docetaxel for treatment of solid tumours:a systematic review of clinical data.Lancet.Oncol.6,229-39(2005);およびWeaver,B.A.How Taxol/paclitaxel kills cancer cells.Mol.Biol.Cell 25,2677-81(2014)を参照のこと。
細胞増殖評価は、Cell Titer-Gloアッセイを使用して、HCT116 MTAP-/-細胞株ならびにKP4膵臓MTAP-/-細胞株、およびH2122 MTAP野生株非小細胞肺がん細胞株における読み取り値として実施された。それら細胞株はMTAP阻害剤を使用してMTAPの「薬理学的」ヌルへと転換され、パクリタキセルおよびドセタキセルと、式Iの化合物の相互作用が評価された。ドセタキセル、パクリタキセル、および式(I)の化合物の間の有益な効果は、本明細書において上述される、薬剤の併用効果に関する定量的尺度を与える薬剤組み合わせ指数(CI)を使用して測定された。図7に示されるように、HCT116 MTAP-/-、KP4、およびH2122のMTAP「薬理学的」ヌル細胞における組み合わせ指数評価の結果から、パクリタキセルとドセタキセルの両方ともが、式(I)の化合物と併用されたときに細胞増殖阻害に対する相乗効果を有していることが示された。
ハイスループットスクリーニングを実施した方法を本明細書に記載する。本アッセイのエンドポイント読み取り値は、生細胞の指標としてのATPの定量に基づく。
液体窒素中に保存された細胞株は解凍され、増殖培地中で増殖される。細胞が予測倍加時間に達したら、スクリーニングを開始する。細胞は、増殖培地中、500~1500細胞/ウェル(アナライザーに記載される)で、黒色の384ウェル組織培養処理プレート中に播種される。細胞は遠心分離によりアッセイプレート中で平衡化され、37℃で24時間、インキュベーター(投与モジュールに付加)に置かれ、その後処理された。処理時に、1セットのアッセイプレート(処理を受けない)を収集し、CellTiter-Glo 2.0(Promega社)を加えることによってATPレベルが測定される。これらのTzero(T0)プレートは、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer社)で超高感度ルミネッセンスを使用して読み取られる。アッセイプレートを化合物と共に96時間インキュベートし、次いでCellTiter-Glo 2.0を使用して分析する。すべてのデータポイントは、自動化されたプロセスにより収集され、クオリティコントロールの対象となり、Horizon所有のソフトウェアを使用して分析される。アッセイプレートは、以下のクオリティコントロール基準に合格した場合に受け入れられる:相対的な生データ値は、実験全体を通して一貫しており、Z因子スコアは0.6より大きく、未処置/ビヒクル対照はプレート上で一貫した挙動をする。
増殖阻害(GI)は、細胞増殖の尺度として使用した。GIパーセントは、以下の検定および方程式を適用することによって計算される:
式中、Tは、被験物質のシグナル測定値であり、Vは、未処置/ビヒクル処置対照の測定値であり、Voは、時間0(口語的にT0プレートとも呼ばれる)での未処置/ビヒクル対照の測定値である。この式は、National Cancer InstituteのNCI-60ハイスループットスクリーニングで使用される増殖阻害計算法から導出される。すべてのデータ解析は、増殖阻害において行われた(記載がある場合を除く)。
GI測定値が0%とは、増殖阻害を示さず、96時間でのT測定値が、それぞれの期間のV測定値と同等である場合に発生する。GIが100%とは、完全な増殖阻害(細胞静止)を表し、この場合、化合物で96時間処置された細胞は、T0対照細胞と同じエンドポイント測定値を有している。GIが200%とは、培養ウェル内のすべての細胞の完全な死(細胞毒性)を表し、この場合、96時間でのT測定値は、T0対照よりも低くなる(値はほぼゼロまたはゼロ)。
阻害は、細胞生存率の尺度として提供される。0%の阻害レベルは、処置による細胞増殖阻害が無いことを示す。100%の阻害は、処置期間中の細胞数の倍加が無いことを示す。細胞静止性および細胞毒性の両処置は、100%の阻害率をもたらし得る。阻害率は、以下のように計算される:I=1-T/U。式中、Tは処置されたものであり、Uは未処置/ビヒクル対照である。
実施例4:膵臓KP4異種移植片モデルにおける式(I)の化合物とドセタキセル療法の併用
試験目的:本試験の目的は、メスマウスにおいて定着したMTAP欠損性膵臓異種移植片腫瘍(KP4)に対する、単独およびドセタキセルとの併用における、式(I)の化合物の1日1回(PO)投与の潜在的な有効性を評価することであった。
試験目的:本試験の目的は、メスマウスにおいて定着したMTAP欠損性膵臓異種移植片腫瘍(KP4)に対する、単独およびドセタキセルとの併用における、式(I)の化合物の1日1回(PO)投与の潜在的な有効性を評価することであった。
試験デザイン:5~6週齢のメスのCB-17 SCIDマウスに、無血清培地+マトリゲル(1:1)中の1x107個のKP4細胞を皮下接種した。26日目に腫瘍が平均200mm3に達したときに、マウスを処置群に無作為化し、表11に概説されるように投与した。
材料および方法:腫瘍体積はキャリパーを使用して2次元で週に2回測定され、体積は、以下の式を使用してmm3単位で表された:V=(L×W×W)/2。式中、Vは腫瘍体積であり、Lは腫瘍の長さ(最長の腫瘍寸法)であり、Wは腫瘍の幅(Lに対して垂直)である。体重は、週に2回測定された。
式(I)の化合物は、非晶質の式(I)を含む製剤として供給された。化合物は、遮光されて4℃で保存された。式(I)の化合物は、ビヒクル中で毎日製剤化された。製剤化された式(I)の化合物は、4℃で遮光されて保存された場合、24時間安定である。
式(I)の化合物は、100mg/kgで1日1回、2群および4群に経口投与された。
ドセタキセルはMyoderm社(カタログ番号66758-0050-01)から購入され、滅菌注射用に0.9% NaCl中で製剤化された。ドセタキセルは、3群および4群に対して、5mg/kgを使用してIV投与された。
1群(ビヒクルのみ)のビヒクル調製は、式(I)の化合物の製剤と合致させた。ビヒクルは毎日新しく製剤化され、4℃で保存された場合、24時間安定である。
結果:
結果:
試験中、ビヒクルを用いた処置は忍容性良好であり、体重減少(BWL)は0であった。腫瘍体積は、1群終了の処置19日目に1687.4mm3の中央値に達した(表28)。
100mg/kgの式(I)の化合物単独での処置(2群)は忍容性良好であり、処置4日目のBWLの最大中央値は3%であった。腫瘍体積は、2群終了の処置36日目に1426.7mm3の中央値に達した。
5mg/kgのドセタキセルの単独での処置は忍容性良好であり、処置1日目のBWLの最大中央値は3%であった。腫瘍体積は、3群終了の処置36日目に1365.8mm3の中央値に達した。
式(I)の化合物とドセタキセルの組み合わせを用いた処置は忍容性良好であり、処置4日目のBWLの中央値は3%であった。腫瘍体積は、4群終了の処置54日目に1075.3mm3の中央値に達した。
実施例5:メスのBALB/cヌードマウスにおける、膵がん異種移植片モデル(PA0372)における式(I)の化合物とパクリタキセル療法の併用。
試験目的:本試験の目的は、メスのBALB/cヌードマウスにおける、式(I)の化合物の単一治療としての治療有効性、またはパクリタキセルとの併用治療の治療有効性の可能性を、HuPrime(登録商標)膵臓異種移植片モデルPA0372(MTAP欠損モデル)を用いて評価することであった。
試験目的:本試験の目的は、メスのBALB/cヌードマウスにおける、式(I)の化合物の単一治療としての治療有効性、またはパクリタキセルとの併用治療の治療有効性の可能性を、HuPrime(登録商標)膵臓異種移植片モデルPA0372(MTAP欠損モデル)を用いて評価することであった。
試験デザイン:PA0372腫瘍断片をBALB/cヌードマウスに接種し、腫瘍が、約158mm3の平均腫瘍体積に達したときに治療を開始した。被験剤である式(I)の化合物は、単一の剤として100mg/kg(2群)で、および15mg/kgのパクリタキセルと併用された。
材料および方法:腫瘍体積はキャリパーを使用して2次元で週に2回測定され、体積は、以下の式を使用してmm3単位で表された:V=(L×W×W)/2。式中、Vは腫瘍体積であり、Lは腫瘍の長さ(最長の腫瘍寸法)であり、Wは腫瘍の幅(Lに対して垂直)である。体重は、週に2回測定された。
式(I)の化合物は、非晶質の式(I)を含む製剤として供給された。化合物は、遮光されて4℃で保存された。式(I)の化合物は、ビヒクル中で毎日製剤化された。製剤化された式(I)の化合物は、4℃で遮光されて保存された場合、24時間安定である。
式(I)の化合物は、100mg/kgで1日1回、2群および4群に経口投与された。
パクリタキセルは、Selleck社(カタログ番号S1150)から購入され、5% DMSO+5% Tween80+90% ddH2O中で製剤化された。パクリタキセルは、3群および4群に対して、15mg/kgを使用してIV投与された。
1群(ビヒクルのみ)のビヒクル調製は、式(I)の化合物の製剤と合致させた。ビヒクルは毎日新しく製剤化され、4℃で保存された場合、24時間安定である。
PA0372ヒト原発性膵臓腫瘍を担持するストックマウスに由来する腫瘍を採取し、解剖して断片にして、BALB/cヌードマウスに接種した。各マウスは、右側腹にPA0372断片(P5、直径2~4mm)を皮下接種されて、腫瘍を発生させた。
腫瘍形成した動物を、その腫瘍体積に基づいて四つの異なる試験群に無作為に割り当てた。無作為化を行ったときの平均腫瘍体積は、158mm3であった。無作為化および投与開始の日を、試験1日目と定義した。
結果:
試験中、ビヒクルを用いた処置は忍容性良好であり、体重減少(BWL)は0であった。腫瘍体積は、1群終了の処置29日目に1220.39mm3の中央値に達した。
試験中、ビヒクルを用いた処置は忍容性良好であり、体重減少(BWL)は0であった。腫瘍体積は、1群終了の処置29日目に1220.39mm3の中央値に達した。
試験中、100mg/kgの式(I)の化合物を用いた処置は忍容性良好であり、体重減少(BWL)は0であった。腫瘍体積は、2群終了の処置29日目に596.13mm3の中央値に達した。
試験中、15mg/kgのパクリタキセルを用いた処置は忍容性良好であり、体重減少(BWL)は0であった。腫瘍体積は、3群終了の処置29日目に913.79mm3の中央値に達した。
試験中、15mg/kgのパクリタキセルと併用された100mg/kgの式(I)の化合物を用いた処置は忍容性良好であり、体重減少(BWL)は0であった。腫瘍体積は、4群終了の処置29日目に326.71mm3の中央値に達した。
実施例6:膵臓PAX041 PDXモデルにおける式(I)の化合物とパクリタキセル療法の併用
試験目的:本試験の目的は、メスのNu/Nuマウスにおいて定着した患者由来のMTAP欠損性異種移植片腫瘍(PDX)であるPAX041に対する、単独、およびパクリタキセルとの併用における、式(I)の化合物の1日1回(PO)投与の有効性を評価することであった。
試験目的:本試験の目的は、メスのNu/Nuマウスにおいて定着した患者由来のMTAP欠損性異種移植片腫瘍(PDX)であるPAX041に対する、単独、およびパクリタキセルとの併用における、式(I)の化合物の1日1回(PO)投与の有効性を評価することであった。
試験デザイン:被験マウスは、接種後23日目に、腫瘍体積の中央値が133mm3であることに基づき四つの試験群に無作為化された。処置は接種後23日目に開始された(処置の初日で、1日目と表示される)。表17に処置スケジュールを要約する。
材料および方法:18~22gのメスNu/Nuマウスを、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.Ltd.(中国、北京)から購入し、PAX041腫瘍断片を皮下移植した。PAX041は、ChemPartner社で確立されたヒトMTAP欠損性原発性の膵がん異種移植片モデルである。処置は23日目に開始され、投与スケジュールは表17に記載されている。
腫瘍体積はキャリパーを使用して2次元で週に2回測定され、体積は、以下の式を使用してmm3単位で表された:V=(L×W×W)/2。式中、Vは腫瘍体積であり、Lは腫瘍の長さ(最長の腫瘍寸法)であり、Wは腫瘍の幅(Lに対して垂直)である。各投与群の腫瘍増殖阻害率(TGI%)を、以下の式に従って計算した:TGI%=[1-(TVi-TV0)/(TVvi-TVv0)]×100%;TViは、特定の日の投与群の平均腫瘍体積である。TV0は、初日の投与群の平均腫瘍体積である。TVviは、特定の日のビヒクル群の平均腫瘍体積である。TVv0は、初日のビヒクル群の平均腫瘍体積である。体重は、週に2回測定された。
式(I)の化合物は、非晶質の式(I)を含む製剤として供給された。化合物は、遮光されて4℃で保存された。式(I)の化合物は、ビヒクル中で毎日製剤化された。製剤化された式(I)の化合物は、4℃で遮光されて保存された場合、24時間安定である。
式(I)の化合物は、100mg/kgで1日1回、2群および4群に経口投与された。
パクリタキセルは、中国のSelleck社(カタログ番号S1150)から購入され、5% DMSO、5% Tween80およびddH2O中で製剤化された。パクリタキセルは、3群および4群に対して、7.5mpkを使用してIP投与された。
1群(ビヒクルのみ)のビヒクル調製は、式(I)の化合物の製剤と合致させた。ビヒクルは毎日新しく製剤化され、4℃で保存された場合、24時間安定である。
結果:
結果:
試験中、ビヒクルを用いた処置(1群)は忍容性良好であり、体重減少(BWL)は0であった。腫瘍体積は、試験終了の28日目に847mm3の中央値に達した。
100mg/kgの式(I)の化合物単独での処置(2群)は忍容性良好であり、処置12日目のBWLの最大中央値は3%であった。腫瘍体積は、試験終了の28日目に461mm3の中央値に達した(TGI=55%)。
7.5mg/kgのパクリタキセル単独での処置(3群)は忍容性良好であり、2日目のBWLの最大中央値は1%であった。腫瘍体積は、試験終了の28日目に756mm3の中央値に達した(TGI=12%)。本試験において、1日目、8日目、および22日目に、より高い用量でのパクリタキセル(15mg/kg)のIP投与が探索されたことに留意されたい。この用量は忍容性良好ではなく、12匹中2匹の動物がそれぞれ20日目および22日目に死亡していた。
式(I)の化合物とパクリタキセルの併用(4群)を用いた処置は忍容性良好であり、11日目のBWLの中央値は4%であった。腫瘍体積は、試験終了の28日目に491mm3の中央値に達した(TGI=50%)。本試験において、1日目、8日目に、式(I)の化合物(100mg/kg)と併用された、より高い用量でのパクリタキセル(15mg/kg)のIP投与が探索されたことに留意されたい。この併用は忍容性良好ではなく、12匹中3匹の動物が20日目に死亡していた。
実施例7:食道ESX030 PDXモデルにおける、式(I)に示される化合物とドセタキセル療法の併用
試験目的:本試験の目的は、メスのNu/Nuマウスにおいて定着した患者由来の異種移植片腫瘍(PDX)であるESX030に対する、単独、およびドセタキセルとの併用における、式(I)に示される化合物の1日1回(PO)投与の有効性を評価することであった。
試験目的:本試験の目的は、メスのNu/Nuマウスにおいて定着した患者由来の異種移植片腫瘍(PDX)であるESX030に対する、単独、およびドセタキセルとの併用における、式(I)に示される化合物の1日1回(PO)投与の有効性を評価することであった。
試験デザイン:
被験マウスは、接種後20日目に、腫瘍体積の中央値が142mm3であることに基づき四つの試験群に無作為化された。処置は接種後20日目に開始された(処置の初日で、1日目と表示される)。表20に処置スケジュールを要約する。
材料および方法:
18~22gのメスNu/Nuマウスを、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.Ltd.(中国、北京)から購入し、ESX030腫瘍断片を皮下移植した。ESX030は、ChemPartner社で確立されたヒト原発性食道がん異種移植片モデルである。
腫瘍体積はキャリパーを使用して2次元で週に2回測定され、体積は、以下の式を使用してmm3単位で表された:V=(L×W×W)/2。式中、Vは腫瘍体積であり、Lは腫瘍の長さ(最長の腫瘍寸法)であり、Wは腫瘍の幅(Lに対して垂直)である。各投与群の腫瘍増殖阻害率(TGI%)を、以下の式に従って計算した:TGI%=[1-(TVi-TV0)/(TVvi-TVv0)]×100%;TViは、特定の日の投与群の平均腫瘍体積である。TV0は、初日の投与群の平均腫瘍体積である。TVviは、特定の日のビヒクル群の平均腫瘍体積である。TVv0は、初日のビヒクル群の平均腫瘍体積である。
体重は、週に2回測定された。
式(I)に示される化合物は、25%の有効医薬品成分(API)を含有する製剤として供給された。化合物は、遮光されて4℃で保存された。式(I)の化合物は、ビヒクル中で毎日製剤化された。製剤化された式(I)の化合物は、4℃で遮光されて保存された場合、24時間安定である。
式Iの化合物は、100mg/kgで1日1回、2群、5群および6群に経口投与された。式Iの化合物の用量は、200mg/kgの1日MTDの1/2であるとして選択された。ヒストリカルデータは、200mg/kgの毎日投与が、28日目にESX030モデルにおいて、74%のTGIをもたらすことを実証した。
式Iの化合物は、100mg/kgで1日1回、2群、5群および6群に経口投与された。式Iの化合物の用量は、200mg/kgの1日MTDの1/2であるとして選択された。ヒストリカルデータは、200mg/kgの毎日投与が、28日目にESX030モデルにおいて、74%のTGIをもたらすことを実証した。
ドセタキセルは、中国のSelleck社(カタログ番号S1148)から購入され、5% DMSO、30% PEG300、5% Tween80およびddH2O中で製剤化された。ドセタキセルは、3群および5群に対しては2.5mpkを使用してIV投与され、4群および6群に対しては5.0mpkを使用してIV投与された。
1群(ビヒクルのみ)のビヒクル調製は、式(I)の化合物の製剤と合致させた。ビヒクルは毎日新しく製剤化され、4℃で保存された場合、24時間安定である。
結果:
ビヒクル処置(1群)は忍容性良好であり、処置2日目のBWLの最大中央値は1%であった。腫瘍体積は、試験終了の36日目に1986mm3の中央値に達した。
100mg/kgの式Iの化合物単独での処置(2群)は忍容性良好であり、処置9日目のBWLの最大中央値は2%であった。腫瘍体積は、試験終了の57日目に1710mm3の中央値に達した。
2.5mg/kgのドセタキセルの単独での処置(3群)は忍容性良好であり、処置9日目のBWLの最大中央値は2%であった。腫瘍体積は、試験終了の50日目に2201mm3の中央値に達した。
5.0mg/kgのドセタキセルの単独での処置(4群)は忍容性良好であり、2日目のBWLの最大中央値は1%であった。腫瘍体積は、試験終了の50日目に1643mm3の中央値に達した。
式(I)の化合物と2.5mpkのドセタキセルの併用(5群)を用いた処置は忍容性良好であり、17日目のBWLの中央値は2%であった。腫瘍体積は、試験終了の71日目に1541mm3の中央値に達した。
式(I)の化合物と5.0mpkのドセタキセルの併用(6群)を用いた処置は全体的に忍容性良好であり、21日目のBWLの中央値は2%であった。この群において12匹中1匹の動物に27%の体重減少があったため、この動物は55日目から60日目まで式(I)の化合物の投薬を休み、体重は4%まで回復した。腫瘍体積は、120日目に371mm3の中央値に達した(図11、表21)。120日目に12匹中3匹の動物が1000mm3を超える腫瘍を呈した。これら3匹の動物は試験から除外された。ドセタキセルの最終週の投与は134日目に行われ、式(I)の化合物の最終投与は135日目に行われた。136日目に残りの9匹のマウスのうちの3匹が、422mm3、146mm3、126mm3の腫瘍体積を示した。これらのマウスは試験から除去された。残りの6匹のマウスは試験続行され、腫瘍は存在しなかった。そして155日目の試験終了まで腫瘍は存在しなかった。
実施例8:NSCLC PDXモデル(LUX001)における、式(I)の化合物とドセタキセル療法の併用
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(LUX001)において、ドセタキセル(2.5mg/kgのIV投与で、Q7Dのスケジュール)を、式(I)の化合物(100mpk POで投与され、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したLUX001腫瘍を担持する8匹のメスのNu/Nuマウスが含まれた。1群は、ビヒクル処置群である。式(I)の化合物群において、数匹の動物にBWLがあったため、16~21日目に投薬が休止された。100mg/kgの式(I)の化合物(2群)では、1匹の動物が14日目に20% BWLを失い、投薬休止中に体重減少(BWL)が回復した。3群は、ドセタキセル群である。式(I)の化合物+ドセタキセルの併用群(4群)において、1匹の動物が20% BWLとなり、54~59、65~73、77~83日目に式(I)の化合物の投薬が休止された。1匹の動物が20%を超えるBWLとなり、38~46日目に式(I)の化合物の投薬が休止され、42日目のドセタキセル投薬が休止された。これら両動物で体重減少は回復された。この群における最大平均BWLは、6%であった。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は25日目に計算され、式(I)の化合物(2群)ではTGI=70%となり、ドセタキセル(3群)はTGI=38%となり、および併用(4群)はTGI=91%となった。腫瘍増殖曲線の結果を図12に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は120日目に評価された。併用群において、4匹の腫瘍形成動物が120日目に除去された。この群の残りの4匹の動物は、114日目に最終投与が行われるときも腫瘍は存在せず、これらの動物は、当該治療群が141日目に終了するまで腫瘍無しのままであった。
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(LUX001)において、ドセタキセル(2.5mg/kgのIV投与で、Q7Dのスケジュール)を、式(I)の化合物(100mpk POで投与され、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したLUX001腫瘍を担持する8匹のメスのNu/Nuマウスが含まれた。1群は、ビヒクル処置群である。式(I)の化合物群において、数匹の動物にBWLがあったため、16~21日目に投薬が休止された。100mg/kgの式(I)の化合物(2群)では、1匹の動物が14日目に20% BWLを失い、投薬休止中に体重減少(BWL)が回復した。3群は、ドセタキセル群である。式(I)の化合物+ドセタキセルの併用群(4群)において、1匹の動物が20% BWLとなり、54~59、65~73、77~83日目に式(I)の化合物の投薬が休止された。1匹の動物が20%を超えるBWLとなり、38~46日目に式(I)の化合物の投薬が休止され、42日目のドセタキセル投薬が休止された。これら両動物で体重減少は回復された。この群における最大平均BWLは、6%であった。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は25日目に計算され、式(I)の化合物(2群)ではTGI=70%となり、ドセタキセル(3群)はTGI=38%となり、および併用(4群)はTGI=91%となった。腫瘍増殖曲線の結果を図12に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は120日目に評価された。併用群において、4匹の腫瘍形成動物が120日目に除去された。この群の残りの4匹の動物は、114日目に最終投与が行われるときも腫瘍は存在せず、これらの動物は、当該治療群が141日目に終了するまで腫瘍無しのままであった。
実施例9:NSCLC PDXモデル(LUX034)における、式(I)に示される化合物とドセタキセル療法の併用
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(LUX034)において、ドセタキセル(IV投与で、Q7Dのスケジュール)を、式(I)の化合物(100mpk POで投与され、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したLUX034腫瘍を担持する8匹のメスのNu/Nuマウスが含まれた。1群はビヒクル処置であり、2群は式(I)の化合物であり、3群はドセタキセル(2.5mg/kg)であり、4群はドセタキセル(5.0mg/kg)であり、5群は式(I)の化合物とドセタキセル(2.5mg/kg)の併用であり、6群は式(I)の化合物とドセタキセル(5mg/kg)の併用である。すべての処置は、忍容性良好であった。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は43日目に計算され、式(I)の化合物(2群)は、TGI=41%であり、ドセタキセル2.5mg/kg(3群)はTGI=32%であり、ドセタキセル5.0mg/kg(4群)はTGI=27%であり、式(I)の化合物+ドセタキセル2.5mg/kgの併用(5群)はTGI=51%であり、式(I)の化合物+ドセタキセル5.0mg/kgの併用(6群)はTGI=60%であった。腫瘍増殖曲線の結果を図13に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は43日目に評価された。
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(LUX034)において、ドセタキセル(IV投与で、Q7Dのスケジュール)を、式(I)の化合物(100mpk POで投与され、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したLUX034腫瘍を担持する8匹のメスのNu/Nuマウスが含まれた。1群はビヒクル処置であり、2群は式(I)の化合物であり、3群はドセタキセル(2.5mg/kg)であり、4群はドセタキセル(5.0mg/kg)であり、5群は式(I)の化合物とドセタキセル(2.5mg/kg)の併用であり、6群は式(I)の化合物とドセタキセル(5mg/kg)の併用である。すべての処置は、忍容性良好であった。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は43日目に計算され、式(I)の化合物(2群)は、TGI=41%であり、ドセタキセル2.5mg/kg(3群)はTGI=32%であり、ドセタキセル5.0mg/kg(4群)はTGI=27%であり、式(I)の化合物+ドセタキセル2.5mg/kgの併用(5群)はTGI=51%であり、式(I)の化合物+ドセタキセル5.0mg/kgの併用(6群)はTGI=60%であった。腫瘍増殖曲線の結果を図13に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は43日目に評価された。
実施例10:NSCLC PDXモデル(LU6412)における、式(I)の化合物とドセタキセル療法の併用
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(LU6412)において、ドセタキセル(IV投与で、Q7Dのスケジュール)を、式(I)の化合物(100mpk POで投与され、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したLU6412腫瘍を担持する8匹のメスのBALB/cヌードマウスが含まれた。1群はビヒクル処置であり、2群は式(I)の化合物であり、3群はドセタキセル(2.5mg/kg)であり、4群はドセタキセル(5.0mg/kg)であり、5群は式(I)の化合物とドセタキセル(2.5mg/kg)の併用であり、6群は式(I)の化合物とドセタキセル(5mg/kg)の併用である。すべての処置は、以下の例外を除いて忍容性であった:1)4群および6群は、6群の2匹の動物が投薬休止のBWLリバウンド後に20%のBWLに達したことから、ドセタキセル(5mg/kg)の投与休止を受けた。2)5群において1匹の動物が18日目に死亡したことが判明した。3)38日目に8群の1匹の動物が22.5%の体重減少があったため、式Iの化合物とドセタキセルの両方の投薬休止を受け、当該動物ではBWLは回復した。最後に4)6群において1匹の動物が24%の体重減少があり、1匹の動物が22% BW減少があった。両動物ともドセタキセルと式Iに示される化合物の両方の投薬休止を受けたが、回復せず、これら2群は39日目に取り下げられた。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は39日目に計算され、式(I)に示される化合物(2群)は、TGI=52%であり、ドセタキセル2.5mg/kg(3群)はTGI=22%であり、ドセタキセル5.0mg/kg(4群)はTGI=57%であり、式(I)に示される化合物+ドセタキセル2.5mg/kgの併用(5群)はTGI=64%であり、式(I)に示される化合物+ドセタキセル5.0mg/kgの併用(6群)はTGI=92%であった。腫瘍増殖曲線の結果を図14に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は39日目に評価された。
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(LU6412)において、ドセタキセル(IV投与で、Q7Dのスケジュール)を、式(I)の化合物(100mpk POで投与され、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したLU6412腫瘍を担持する8匹のメスのBALB/cヌードマウスが含まれた。1群はビヒクル処置であり、2群は式(I)の化合物であり、3群はドセタキセル(2.5mg/kg)であり、4群はドセタキセル(5.0mg/kg)であり、5群は式(I)の化合物とドセタキセル(2.5mg/kg)の併用であり、6群は式(I)の化合物とドセタキセル(5mg/kg)の併用である。すべての処置は、以下の例外を除いて忍容性であった:1)4群および6群は、6群の2匹の動物が投薬休止のBWLリバウンド後に20%のBWLに達したことから、ドセタキセル(5mg/kg)の投与休止を受けた。2)5群において1匹の動物が18日目に死亡したことが判明した。3)38日目に8群の1匹の動物が22.5%の体重減少があったため、式Iの化合物とドセタキセルの両方の投薬休止を受け、当該動物ではBWLは回復した。最後に4)6群において1匹の動物が24%の体重減少があり、1匹の動物が22% BW減少があった。両動物ともドセタキセルと式Iに示される化合物の両方の投薬休止を受けたが、回復せず、これら2群は39日目に取り下げられた。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は39日目に計算され、式(I)に示される化合物(2群)は、TGI=52%であり、ドセタキセル2.5mg/kg(3群)はTGI=22%であり、ドセタキセル5.0mg/kg(4群)はTGI=57%であり、式(I)に示される化合物+ドセタキセル2.5mg/kgの併用(5群)はTGI=64%であり、式(I)に示される化合物+ドセタキセル5.0mg/kgの併用(6群)はTGI=92%であった。腫瘍増殖曲線の結果を図14に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は39日目に評価された。
実施例11:NSCLC PDXモデル(CTG-1194)における、式(I)の化合物とドセタキセル療法の併用
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(CTG-1194)において、ドセタキセル(IV投与で、Q7Dのスケジュール)を、式(I)に示される化合物(100mpk POで投与され、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したCTG-1194腫瘍を担持する12匹のメスの無胸腺ヌードマウスが含まれた。1群はビヒクル処置であり、2群は式(I)の化合物であり、3群はドセタキセル(5.0mg/kg)であり、4群は式(I)の化合物とドセタキセル(5mg/kg)の併用である。すべての処置は忍容性良好であったが、4群の1匹の動物は14日目に15%のBWLを示し、ゆえに14日目にドセタキセルの投薬が休止され、BWLは回復した。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は14日目に計算され、式(I)に示される化合物(2群)ではTGI=38%となり、ドセタキセル5.0mg/kg(3群)はTGI=41%となり、および式(I)の化合物とドセタキセル5.0mg/kgの併用(4群)はTGI=66%となった。腫瘍増殖曲線の結果を図15に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は12日目に評価された。
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(CTG-1194)において、ドセタキセル(IV投与で、Q7Dのスケジュール)を、式(I)に示される化合物(100mpk POで投与され、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したCTG-1194腫瘍を担持する12匹のメスの無胸腺ヌードマウスが含まれた。1群はビヒクル処置であり、2群は式(I)の化合物であり、3群はドセタキセル(5.0mg/kg)であり、4群は式(I)の化合物とドセタキセル(5mg/kg)の併用である。すべての処置は忍容性良好であったが、4群の1匹の動物は14日目に15%のBWLを示し、ゆえに14日目にドセタキセルの投薬が休止され、BWLは回復した。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は14日目に計算され、式(I)に示される化合物(2群)ではTGI=38%となり、ドセタキセル5.0mg/kg(3群)はTGI=41%となり、および式(I)の化合物とドセタキセル5.0mg/kgの併用(4群)はTGI=66%となった。腫瘍増殖曲線の結果を図15に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は12日目に評価された。
実施例12:膵臓PDXモデル(PAX001)における、式(I)の化合物とドセタキセル療法の併用
MTAP欠損性膵臓PDXモデル(PAX001)において、パクリタキセル(IV投与で、Q7Dx2のスケジュール)を、式(I)の化合物(100mpk PO投与で、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したPAX001腫瘍を担持する12匹のメスのNu/Nuマウスが含まれた。1群はビヒクル処置であり、2群は式(I)の化合物であり、3群はパクリタキセル(5.0mg/kg)であり、4群はパクリタキセル(10.0mg/kg)であり、5群は式(I)の化合物とパクリタキセル(5mg/kg)の併用であり、6群は式(I)の化合物とパクリタキセル(10mg/kg)の併用である。すべての処置は、忍容性良好であった。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は28日目に計算され、式(I)の化合物(2群)は、TGI=94%であり、パクリタキセル5mg/kg(3群)はTGI=0%であり、パクリタキセル10.0mg/kg(4群)はTGI=22%であり、式(I)の化合物+パクリタキセル5.0mg/kgの併用(5群)はTGI=93%であり、式(I)の化合物+パクリタキセル10.0mg/kgの併用(6群)はTGI=93%であった。腫瘍増殖曲線の結果を図16に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は28日目に評価された。
MTAP欠損性膵臓PDXモデル(PAX001)において、パクリタキセル(IV投与で、Q7Dx2のスケジュール)を、式(I)の化合物(100mpk PO投与で、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したPAX001腫瘍を担持する12匹のメスのNu/Nuマウスが含まれた。1群はビヒクル処置であり、2群は式(I)の化合物であり、3群はパクリタキセル(5.0mg/kg)であり、4群はパクリタキセル(10.0mg/kg)であり、5群は式(I)の化合物とパクリタキセル(5mg/kg)の併用であり、6群は式(I)の化合物とパクリタキセル(10mg/kg)の併用である。すべての処置は、忍容性良好であった。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は28日目に計算され、式(I)の化合物(2群)は、TGI=94%であり、パクリタキセル5mg/kg(3群)はTGI=0%であり、パクリタキセル10.0mg/kg(4群)はTGI=22%であり、式(I)の化合物+パクリタキセル5.0mg/kgの併用(5群)はTGI=93%であり、式(I)の化合物+パクリタキセル10.0mg/kgの併用(6群)はTGI=93%であった。腫瘍増殖曲線の結果を図16に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は28日目に評価された。
実施例13:食道PDXモデル(ES2263)における、式(I)の化合物とドセタキセル療法の併用
MTAP欠損性食道PDXモデル(ES2263)において、ドセタキセル(IV投与で、Q7Dのスケジュール)を、式(I)の化合物(100mpk POで投与され、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したES2263腫瘍を担持する12匹のメスのBALB/cヌードマウスが含まれた。1群はビヒクル処置対照であり、2群は式(I)の化合物であり、3群はドセタキセル(2.5mg/kg)であり、4群はドセタキセル(5.0mg/kg)であり、5群は式(I)の化合物とドセタキセル(2.5mg/kg)の併用であり、6群は式(I)の化合物とドセタキセル(5mg/kg)の併用である。全ての処置が忍容性良好であったが、5群の1匹の動物は8日目に死亡が判明し、6群の1匹の動物は19日目に死亡が判明した。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は19日目に計算され、式(I)の化合物(2群)は、TGI=27%であり、ドセタキセル2.5mg/kg(3群)はTGI=-17%であり、ドセタキセル5.0mg/kg(4群)はTGI=12%であり、式(I)の化合物+ドセタキセル2.5mg/kgの併用(5群)はTGI=25%であり、式(I)の化合物+ドセタキセル5.0mg/kgの併用(6群)はTGI=57%であった。腫瘍増殖曲線の結果を図17に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は19日目に評価された。
MTAP欠損性食道PDXモデル(ES2263)において、ドセタキセル(IV投与で、Q7Dのスケジュール)を、式(I)の化合物(100mpk POで投与され、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したES2263腫瘍を担持する12匹のメスのBALB/cヌードマウスが含まれた。1群はビヒクル処置対照であり、2群は式(I)の化合物であり、3群はドセタキセル(2.5mg/kg)であり、4群はドセタキセル(5.0mg/kg)であり、5群は式(I)の化合物とドセタキセル(2.5mg/kg)の併用であり、6群は式(I)の化合物とドセタキセル(5mg/kg)の併用である。全ての処置が忍容性良好であったが、5群の1匹の動物は8日目に死亡が判明し、6群の1匹の動物は19日目に死亡が判明した。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は19日目に計算され、式(I)の化合物(2群)は、TGI=27%であり、ドセタキセル2.5mg/kg(3群)はTGI=-17%であり、ドセタキセル5.0mg/kg(4群)はTGI=12%であり、式(I)の化合物+ドセタキセル2.5mg/kgの併用(5群)はTGI=25%であり、式(I)の化合物+ドセタキセル5.0mg/kgの併用(6群)はTGI=57%であった。腫瘍増殖曲線の結果を図17に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は19日目に評価された。
実施例14:膵臓PAX041 PDXモデルにおける式(I)の化合物とゲムシタビン療法の併用
試験目的:本試験の目的は、メスマウスにおいて定着したMTAP欠損性患者由来の異種移植片腫瘍(PDX)であるPAX041に対する、単独、およびゲムシタビンとの併用における、式(I)の化合物の1日1回(PO)投与の有効性を評価することであった。
試験目的:本試験の目的は、メスマウスにおいて定着したMTAP欠損性患者由来の異種移植片腫瘍(PDX)であるPAX041に対する、単独、およびゲムシタビンとの併用における、式(I)の化合物の1日1回(PO)投与の有効性を評価することであった。
試験デザイン:被験マウスは、接種後23日目に、腫瘍体積の中央値が133mm3であることに基づき四つの試験群に無作為化された。処置は接種後23日目に開始された(処置の初日で、1日目と表示される)。表24に処置スケジュールを要約する。
材料および方法:18~22gのメスNu/Nuマウスを、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.Ltd.(中国、北京)から購入し、PAX041腫瘍断片を皮下移植した。PAX041は、ChemPartner社で確立されたMTAP欠損性ヒト原発性の膵がん異種移植片モデルである。
腫瘍体積はキャリパーを使用して2次元で週に2回測定され、体積は、以下の式を使用してmm3単位で表された:V=(L×W×W)/2。式中、Vは腫瘍体積であり、Lは腫瘍の長さ(最長の腫瘍寸法)であり、Wは腫瘍の幅(Lに対して垂直)である。各投与群の腫瘍増殖阻害率(TGI%)を、以下の式に従って計算した:TGI% = [1-(TVi-TV0)/(TVvi-TVv0)]
×100%;TViは、特定の日の投与群の平均腫瘍体積である。TV0は、初日の投与群の平均腫瘍体積である。TVviは、特定の日のビヒクル群の平均腫瘍体積である。TVv0は、初日のビヒクル群の平均腫瘍体積である。体重は、週に2回測定された。
×100%;TViは、特定の日の投与群の平均腫瘍体積である。TV0は、初日の投与群の平均腫瘍体積である。TVviは、特定の日のビヒクル群の平均腫瘍体積である。TVv0は、初日のビヒクル群の平均腫瘍体積である。体重は、週に2回測定された。
式(I)の化合物は、非晶質の式(I)の製剤として供給された。化合物は遮光されて4℃で保存された。式(I)の化合物はビヒクル中で毎日製剤化された。製剤化された式(I)の化合物は、4℃で遮光されて保存された場合、24時間安定である。
式(I)の化合物は、100mg/kgで1日1回、2群および4群に経口投与された。
ゲムシタビンは中国のSelleck社(カタログ番号S1149)から購入され、滅菌生理食塩水中で製剤化された。ゲムシタビンは、3群および4群に対して、20mpkを使用してIP投与された。1群(ビヒクルのみ)のビヒクル調製は、式(I)の化合物の製剤と合致させた。ビヒクルは毎日新しく製剤化され、4℃で保存された場合、24時間安定である。
結果:
結果:
試験中、ビヒクルを用いた処置(1群)は忍容性良好であり、体重減少(BWL)は0であった。腫瘍体積は、試験終了の28日目に847mm3の中央値に達した。
100mg/kgの式(I)の化合物単独での処置(2群)は忍容性良好であり、処置12日目のBWLの最大中央値は3%であった。腫瘍体積は、試験終了の28日目に461mm3の中央値に達した(TGI=55%)。
20mp/kgのゲムシタビン単独(3群)での処置は忍容性良好であり、試験中のBWL中央値は無かった。腫瘍体積は、試験終了の28日目に728mm3の中央値に達した(TGI=16%)。
式(I)の化合物とゲムシタビンの併用(4群)を用いた処置は忍容性良好であり、24日目のBWLの中央値は3%であった。腫瘍体積は、試験終了の28日目に357mm3の中央値に達した(TGI=69%)。
実施例15:膵臓PDXモデル(PAX001)における式(I)の化合物とゲムシタビン療法の併用
試験目的:本試験の目的は、メスマウスにおいて定着したMTAP欠損性患者由来の異種移植片腫瘍(PDX)であるPAX001に対する、単独、およびゲムシタビンとの併用における、式(I)の化合物の1日1回(PO)投与の有効性を評価することであった。
試験目的:本試験の目的は、メスマウスにおいて定着したMTAP欠損性患者由来の異種移植片腫瘍(PDX)であるPAX001に対する、単独、およびゲムシタビンとの併用における、式(I)の化合物の1日1回(PO)投与の有効性を評価することであった。
試験デザイン:被験マウスは、接種後18日目に、腫瘍体積の中央値が188mm3であることに基づき四つの試験群に無作為化された。処置は接種後18日目に開始された(処置の初日で、1日目と表示される)。表27に処置スケジュールを要約する。
材料および方法:18~22gのメスNu/Nuマウスを、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.Ltd.(中国、北京)から購入し、PAX001腫瘍断片を皮下移植した。PAX001は、ChemPartner社で確立されたMTAP欠損性ヒト原発性の膵がん異種移植片モデルである。
腫瘍体積はキャリパーを使用して2次元で週に2回測定され、体積は、以下の式を使用してmm3単位で表された:V=(L×W×W)/2。式中、Vは腫瘍体積であり、Lは腫瘍の長さ(最長の腫瘍寸法)であり、Wは腫瘍の幅(Lに対して垂直)である。各投与群の腫瘍増殖阻害率(TGI%)を、以下の式に従って計算した:TGI%=[1-(TVi-TV0)/(TVvi-TVv0)]×100%;TViは、特定の日の投与群の平均腫瘍体積である。TV0は、初日の投与群の平均腫瘍体積である。TVviは、特定の日のビヒクル群の平均腫瘍体積である。TVv0は、初日のビヒクル群の平均腫瘍体積である。体重は、週に2回測定された。
式(I)の化合物は、非晶質の式(I)を含む製剤として供給された。化合物は遮光されて4℃で保存された。式(I)の化合物はビヒクル中で毎日製剤化された。製剤化された式(I)の化合物は、4℃で遮光されて保存された場合、24時間安定である。
式(I)の化合物は、100mg/kgで1日1回、2群および4群に経口投与された。
ゲムシタビンは中国のSelleck社(カタログ番号S1149)から購入され、滅菌生理食塩水中で製剤化された。ゲムシタビンは、3群および4群に対して、20mpkを使用してIP投与された。
1群(ビヒクルのみ)のビヒクル調製は、式(I)の化合物の製剤と合致させた。ビヒクルは毎日新しく製剤化され、4℃で保存された場合、24時間安定である。
結果:
結果:
ビヒクル処置(1群)は忍容性良好であり、処置2日目のBWLの最大中央値は2%であった。腫瘍体積は、試験終了の21日目に965mm3の中央値に達した。
100mg/kgの式(I)の化合物単独での処置(2群)は忍容性良好であり、処置14日目のBWLの最大中央値は7%であった。腫瘍体積は、試験終了の21日目に320mm3の中央値に達した(TGI=83%)。
10mp/kgのゲムシタビンの単独での処置は忍容性良好であり、8日目のBWLの最大中央値は5%であった。腫瘍体積は、試験終了の21日目に529mm3の中央値に達した(TGI=56%)。
式(I)の化合物とゲムシタビンの併用を用いた処置は忍容性良好であり、9日目のBWLの中央値は5%であった。腫瘍体積は、試験終了の21日目に274mm3の中央値に達した(TGI=89%)。
実施例16:膵臓KP4モデルにおける式(I)の化合物とゲムシタビン療法の併用
試験目的:本試験の目的は、メスマウスにおいて定着したMTAP欠損性膵臓異種移植片腫瘍(KP4)に対する、単独およびゲムシタビンとの併用における、式(I)の化合物の1日1回(PO)投与の潜在的な有効性を評価することであった。
試験目的:本試験の目的は、メスマウスにおいて定着したMTAP欠損性膵臓異種移植片腫瘍(KP4)に対する、単独およびゲムシタビンとの併用における、式(I)の化合物の1日1回(PO)投与の潜在的な有効性を評価することであった。
試験デザイン:5~6週齢のメスのCB-17 SCIDマウスに、無血清培地+マトリゲル(1:1)中の1x107個のKP4細胞を皮下接種した。26日目に腫瘍が平均200mm3に達したときに、マウスを処置群に無作為化し、以下の表30に概説されるように投与した。
材料および方法:腫瘍体積はキャリパーを使用して2次元で週に2回測定され、体積は、以下の式を使用してmm3単位で表された:V=(L×W×W)/2。式中、Vは腫瘍体積であり、Lは腫瘍の長さ(最長の腫瘍寸法)であり、Wは腫瘍の幅(Lに対して垂直)である。体重は、週に2回測定された。
式(I)の化合物は、非晶質の式(I)を含む製剤として供給された。化合物は、遮光されて4℃で保存された。式(I)の化合物は、ビヒクル中で毎日製剤化された。製剤化された式(I)の化合物は、4℃で遮光されて保存された場合、24時間安定である。
式(I)の化合物は、100mg/kgで1日1回、2群および4群に経口投与された。
ゲムシタビンはMyoderm社(カタログ番号00002-7501-01)から購入され、滅菌注射用に0.9% NaCl中で製剤化された。ゲムシタビンは、3群および4群に対して、20mg/kgを使用してIP投与された。
1群(ビヒクルのみ)のビヒクル調製は、式(I)の化合物の製剤と合致させた。ビヒクルは毎日新しく製剤化され、4℃で保存された場合、24時間安定である。
結果:
結果:
試験中、ビヒクルを用いた処置は忍容性良好であり、体重減少(BWL)は0であった。腫瘍体積は、1群終了の処置19日目に1687.4mm3の中央値に達した。
100mg/kgの式(I)の化合物単独での処置(2群)は忍容性良好であり、処置4日目のBWLの最大中央値は3%であった。腫瘍体積は、2群終了の処置36日目に1426.7mm3の中央値に達した。
20mp/kgのゲムシタビンの単独での処置は忍容性良好であり、処置3日目のBWLの最大中央値は3%であった。腫瘍体積は、3群終了の処置22日目に1318.61mm3の中央値に達した。
100mg/kgの式(I)の化合物と20mg/kgのゲムシタビンの併用を用いた処置は忍容性良好であり、処置10日目のBWLの中央値は5%であった。腫瘍体積は、4群終了の処置36日目に1284.3mm3の中央値に達した。
実施例17:NSCLC PDXモデルにおける式(I)の化合物とゲムシタビン療法の併用
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(LU1513)において、ゲムシタビン(1、4、7、10および13日目にIP 20mpk)を、式(I)の化合物(38日間のPO 100mpk)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。実験の11日目に、併用群の12匹の動物中1匹が、処置前体重の28%を失った。この併用は(このモデルにおいて)忍容性良好ではなく、抗腫瘍の併用利益評価から除外された。
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(LU1513)において、ゲムシタビン(1、4、7、10および13日目にIP 20mpk)を、式(I)の化合物(38日間のPO 100mpk)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。実験の11日目に、併用群の12匹の動物中1匹が、処置前体重の28%を失った。この併用は(このモデルにおいて)忍容性良好ではなく、抗腫瘍の併用利益評価から除外された。
実施例18:NSCLC PDXモデル(LU6431)における式(I)の化合物とゲムシタビン療法の併用
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(LUX6431)において、ゲムシタビン(IP投与で、Q3Dのスケジュール)を、式(I)の化合物(100mpk POで投与され、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したLUX6431腫瘍を担持する12匹のメスのBALB/cマウスが含まれた。1群はビヒクル処置であり、2群は式(I)に示される化合物であり、3群はゲムシタビン(20.0mg/kg)であり、4群は式(I)の化合物とゲムシタビン(20.0mg/kg)の併用である。すべての処置は、忍容性良好であった。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は22日目に計算され、式(I)の化合物(2群)ではTGI=45%となり、ゲムシタビン20mg/kg(3群)はTGI=43%となり、および式(I)の化合物とゲムシタビン20.0mg/kgの併用(4群)はTGI=69%となった。腫瘍増殖曲線の結果を図21に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は22日目に評価された。
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(LUX6431)において、ゲムシタビン(IP投与で、Q3Dのスケジュール)を、式(I)の化合物(100mpk POで投与され、QDスケジュール)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。各群には定着したLUX6431腫瘍を担持する12匹のメスのBALB/cマウスが含まれた。1群はビヒクル処置であり、2群は式(I)に示される化合物であり、3群はゲムシタビン(20.0mg/kg)であり、4群は式(I)の化合物とゲムシタビン(20.0mg/kg)の併用である。すべての処置は、忍容性良好であった。腫瘍増殖阻害(本明細書に記載される方法)は22日目に計算され、式(I)の化合物(2群)ではTGI=45%となり、ゲムシタビン20mg/kg(3群)はTGI=43%となり、および式(I)の化合物とゲムシタビン20.0mg/kgの併用(4群)はTGI=69%となった。腫瘍増殖曲線の結果を図21に示す。併用の利益(本明細書に記載される方法)は22日目に評価された。
実施例19:NSCLC PDXモデルにおける式(I)の化合物とパクリタキセル療法の併用
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(LU1513)において、パクリタキセル(1、8、15、および38日目にIP 15mpk)を、式(I)の化合物(38日間のPO 100mpk)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。LU1513モデルは、パクリタキセル耐性であることが判明し、TGI=-6%であった。この結果と一致して、式(I)の化合物の単剤のTGI(74%)は、併用のTGI(78%)と同等であった。このモデルはパクリタキセル耐性により併用利益の評価から除外された。
MTAP欠損性NSCLC PDXモデル(LU1513)において、パクリタキセル(1、8、15、および38日目にIP 15mpk)を、式(I)の化合物(38日間のPO 100mpk)と併用し、抗腫瘍の併用利益を評価した。LU1513モデルは、パクリタキセル耐性であることが判明し、TGI=-6%であった。この結果と一致して、式(I)の化合物の単剤のTGI(74%)は、併用のTGI(78%)と同等であった。このモデルはパクリタキセル耐性により併用利益の評価から除外された。
本明細書に引用される全ての公表文献、特許および特許出願は、当該引用が使用される教示に対し、参照により本明細書に組み込まれる。
観察される特定の応答は、選択された特定の活性化合物、または組み合わせの投与、ならびに採用される製剤のタイプおよび投与様式に従い、およびそれらに応じて変化し得る。そのように予測される結果の変動または差異は、本発明の実施に従い予期される。
本発明の特定の実施形態が本明細書に例証され、詳述されているが、本発明はそれに限定されるものではない。上述の発明を実施するための形態は、本発明の例示として提供され、本発明のいかなる制限を構成するものとしても解釈されるべきではない。改変は、当業者には明らかであり、本発明の趣旨から逸脱しないすべての改変は、添付の特許請求の範囲の適用範囲に含まれることが意図される。
Claims (34)
- 前記タキサンが、ドセタキセル、パクリタキセル、またはnab-パクリタキセルである、請求項1に記載の方法または請求項2に記載の化合物。
- 前記タキサンが、ドセタキセルである、請求項3に記載の方法または化合物。
- 一つ以上の追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項1、3または4に記載の方法。
- 前記組み合わせが、一つ以上の追加の治療剤をさらに含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物。
- 前記追加の治療剤が、プラチナ系化学療法剤である、請求項5に記載の方法または請求項6に記載の化合物。
- 前記プラチナ系化学療法剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである、請求項7に記載の方法または化合物。
- 前記プラチナ系化学療法剤が、カルボプラチンまたはシスプラチンである、請求項7もしくは8に記載の方法または化合物。
- 前記患者が、MTAP欠損性NSCLCを治療するための一つ以上の従前の治療選択の後に、反応せず、反応を停止し、または疾患の進行を経験した、請求項1、3~5または7~9のいずれか一項に記載の方法。
- 式(I)の前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、MTAP欠損性NSCLCを治療するための第二の治療選択である、請求項10に記載の方法または化合物。
- 式(I)の前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、MTAP欠損性NSCLCを治療するための第三の治療選択である、請求項10に記載の方法または化合物。
- 前記MTAP欠損性NSCLCが、新たに診断される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法または化合物。
- 式(I)の前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、約20mg~約800mgである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法または化合物。
- 式(I)の前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、1日1回または1日2回の投与である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法または化合物。
- 式(I)の前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、経口投与される、または経口投与用に製剤化される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法または化合物。
- 前記タキサンが、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、またはドセタキセルである、請求項17に記載の方法または請求項18に記載の化合物。
- 前記タキサンが、nab-パクリタキセルである、請求項19に記載の方法または化合物。
- 治療有効量のDNA合成阻害剤を投与することをさらに含む、請求項17、19または20のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組み合わせが、治療有効量のDNA合成阻害剤をさらに含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の化合物。
- 前記DNA合成阻害剤が、ゲムシタビンである、請求項21もしくは22に記載の方法または化合物。
- 前記患者が、MTAP欠損性膵がんを治療するための一つ以上の従前の治療選択の後に、反応せず、反応を停止し、または疾患の進行を経験した、請求項17、19~21または23のいずれか一項に記載の方法。
- 式(I)の前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、MTAP欠損性膵がんを治療するための第二の治療選択である、請求項24に記載の方法または化合物。
- 式(I)の前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、MTAP欠損性膵がんを治療するための第三の治療選択である、請求項25に記載の方法または化合物。
- 前記MTAP欠損性膵がんが、新たに診断される、請求項17~26のいずれか一項に記載の方法または化合物。
- 式(I)の前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、約20mg~約800mgである、請求項17~27のいずれか一項に記載の方法または化合物。
- 式(I)の前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与量は、1日1回または1日2回の投与から選択される、請求項17~28のいずれか一項に記載の方法または化合物。
- 式(I)の前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与が、経口であるか、または前記化合物が、経口投与用に製剤化される、請求項17~29のいずれか一項に記載の方法または化合物。
- 前記膵がんが、膵管腺がん(PDAC)である、請求項17~27のいずれか一項に記載の方法または化合物。
- 前記膵がんが、切除されていない、局所的に進行している、または転移性である、請求項17~31のいずれか一項に記載の方法または化合物。
- 式(I)の前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および前記タキサンが、同時に投与される、請求項1、3~5、7~17、19~21、または23~32のいずれか一項に記載の方法。
- 式(I)の前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および前記タキサンが、連続して投与される、請求項1、3~5、7~17、19~21、または23~32のいずれか一項に記載の方法。
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