JP2022520206A - 微小血管狭心症 - Google Patents

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Abstract

本発明は、微小血管狭心症(MVA)を診断および治療する手段を提供する。冠動脈内ガイドワイヤの診断的用途が提供される。ジボテンタンによるMVA患者の治療が開示される。提供される診断的用途によってMVA患者を特定し、治療のために選択することができる。

Description

本発明は、非閉塞性冠動脈疾患を伴う狭心症の診断および治療、特に微小血管狭心症(MVA)の診断および治療に有用な方法および組成物に関する。
心血管疾患(CVD)は、世界中の死亡率の主要な原因である。狭心症は、多くの場合心臓の筋肉への不十分な血液供給(虚血)によって生じる胸部不快感/胸痛と説明されるCVDの一般的な症状である。英国では、年間20,000件を超える実質的な関連する病的状態および医療資源利用を伴う狭心症の新規症例が発生している。病歴のみから診断を行うこともできるが、一部の医療専門家は、太い視認可能な冠動脈における閉塞性病変(閉塞)の検出が必須と考えている。しかし、これは一般的な誤解である。狭心症は、閉塞性冠動脈疾患(CAD)と同義ではない。
虚血は、閉塞性冠動脈疾患を有さない患者で一般的である(INOCA、「非有意狭窄冠動脈由来の虚血性心疾患(ischaemia and no obstructive CAD)」を表す)。INOCA対象における微小血管狭心症の確定的診断の基準は、冠微小血管機能障害のエビデンスだけでなく、虚血のエビデンスも含むように改訂されている。INOCAは、より太い冠動脈および/または微小血管を含むそれらの分枝の血管攣縮(vasospasm)に起因する場合がある。INOCAはまた、冠循環(大および/または小血管)の血管拡張能が需要を満たすのに不十分である、需要供給の不一致に起因する場合がある。最後にINOCAは、例えば小血管の粗鬆化および/または血管リモデリングに続発する血流への血管抵抗の増加に起因する場合がある。
冠微小血管機能障害は、閉塞性冠動脈病変の存在とは無関係に予後不良の前兆となる(図1)5,6。これは、アテローム性動脈硬化、血管リモデリングおよび粗鬆化を含む、微小循環での血管疾患プロセスから生じる場合がある。体系的に研究を行ったところ、CMDは、血管造影が陰性である狭心症患者のおよそ4分の3に影響を及ぼす。重要なことに、これらの対象は多くの場合、死および心血管イベントのリスクが高いにもかかわらず見落とされる、または確診されないままである8~10
本発明者らは、冠動脈疾患(CAD)の診断に対する「狭窄中心」のアプローチは、狭心症および冠動脈機能の障害のより広範な病態生理を見過ごしていると説明した(Ford et al, EHJ, 2017)。この論文は、「冠疾患エンドタイプ」と称することができる4つの顕著に異なる疾患状態:(1)FFR(血流予備量比)とCFR(冠血流予備能)の両方が低下し、IMR(微小血管抵抗指数)が増加する、限局性心外膜狭窄を含むびまん性心外膜および微小血管疾患;(2)FFR(血流予備量比)とIMR(微小血管抵抗指数)の両方が低下し、CFR(冠血流予備能)が増加する限局性心外膜狭窄(focal epicardial stenosis)(微小血管機能の保持を伴う);(3)FFR(血流予備量比)が正常であり(FFR>0.80)、CFR(冠血流予備能)が低下し、IMR(微小血管抵抗指数)が大幅に増加する、微小血管狭心症の原因である孤立性微小血管疾患;および(4)FFR(血流予備量比)が低下し(FFR≦0.80)、IMR(微小血管抵抗指数)が増加し、CFR(冠血流予備能)が低下するびまん性心外膜および微小血管疾患、について記載している。
胸部不快感/胸痛および冠動脈疾患を全般的に評価するための、灌流MRIおよび心臓磁気共鳴(CMR)などの特定の非侵襲的方法が公知である。第1選択の非侵襲的方法は、「最近発症した胸痛」の評価および診断に関する英国国立医療技術評価機構(NICE)臨床指針通知(2010年3月24日初版発行)に提示されており、これは不安定狭心症、ST部分上昇型心筋梗塞(STEMI)および非ST部分上昇型心筋梗塞(NSTEMI)を含む広範な状態を包含する「急性冠症候群」であることが疑われる、または確認された患者における12誘導心電図(ECG)を推薦している。臨床評価またはECGによって安定狭心症が示された患者では、NICE指針通知はコンピュータ断層撮影(CT)冠動脈血管造影を推薦している。2018年5月、Hsuらは、心筋血流(MBF)を造影CMR灌流画像法および定量的冠動脈血管造影法(QCA)から定量する方法を公開した11。しかしHsuらは、これらの方法が患者における微小血管疾患を反映しない可能性があることを認めている。
動脈造影法(血管造影)によって閉塞性CADを特定することができ、閉塞性CAD患者を治療するためにステントおよびバイパス手術などの治療が利用可能であるが、微小血管狭心症の診断に特異的な広範に利用可能な確定的試験は存在しない。胸痛を患う患者が冠動脈血管造影法による試験で陰性である場合、医師は疼痛が非心臓性の原因に起因するか、または患者が微小血管狭心症などのINOCA型を有するかを容易に決定することができない。したがって、診断は最適未満であり、治療される患者の50%は治療後に再来院し、かつ心血管関連死および/または心筋梗塞のリスクが2倍増加する。ほとんどの微小血管狭心症の治療は、疼痛を緩和するまたは急性症状を改善させるが、基礎疾患に長期的に対処しない。
ETRアンタゴニストおよび血管機能
エンドセリン(ET-1)は、内皮細胞によって放出されるペプチドホルモンであり、強力な血管収縮因子であり、エンドセリンA受容体(ETR)およびエンドセリンB受容体(ETR)に結合する。複数のエンドセリン受容体アンタゴニストが、血管機能に対するそれらの効果について研究されている。Papadogeorgos et al(2009年)は、選択的ETRアンタゴニストであるBQ123およびETR/ETR二重アンタゴニストであるボセンタンの、2型糖尿病患者の冠微小血管機能に対する効果について研究している。BQ123は選択的ETRアンタゴニストである一方、ボセンタンはETRとETRの両方を遮断する。Tschudi et al(1994年)は、バイパス手術を受けるヒト患者から摘出されたヒトの乳房抵抗動脈(mammary resistance arteries)のET-1誘導性収縮の遮断において、選択的ETRアンタゴニストであるFR139317が、ETR/ETR二重アンタゴニストであるボセンタンより有効性が低かったことを示している。Newbyら(1998年)は、BQ123が「シンドロームX」患者および対照対象において同程度の血管拡張を引き起こすことを示している。Johnsonら(2013年)は、ETRアンタゴニストであるダルセンタンが、心筋灌流の均一性が低い対象において血流の均一性を増加させることを示している。Rerianiら(2010年)は、ETRアンタゴニストであるアトラセンタンによる6ヶ月間の処置が、冠微小血管内皮機能障害を有する患者において冠微小血管内皮機能を向上させることを示している。
ジボテンタンは、高度に特異的なETRアンタゴニストである(Maguire & Davenport, 2014)。Beltrame et alは、冠動脈スローフロー現象(coronary slow flow phenomenon)(CSFP)を有する対象におけるジボテンタンの抗狭心症効果を調査している(ANZCTR 2018)。欧州心臓病学会(The European Society of Cardiology)によると、CSFPは、閉塞性冠動脈疾患の非存在下での造影剤の緩徐な通過(TIMIフレーム数>25)を特徴とする血管造影現象として定義される。したがってCSFPは、侵襲的に検証されていないが冠微小血管機能障害の1種のサブタイプとみなされる、血管造影に由来する代用物である。急性冠症候群(心筋梗塞)は、微小血管狭心症を有さない患者で認められることが多いCSFPの一般的な症状である(例えば、冠動脈拡張症、心臓弁膜症または心不全)12。全体的に、ほとんどの微小血管狭心症患者はCSFPを有さず12、CSFPを有する多くの患者は微小血管狭心症を有さない。CSFP患者に対するジボテンタンの有効性は未だ知られていない。
INOCAを有する患者におけるエンドセリン調節不全
ET-1は、微小血管狭心症の病態生理に関与する。Kaskiらは、この群の患者が、冠血管抵抗の増加を伴い、結果として冠血流と逆の関係にある血漿ET-1の増加を有したことを観察している13。他の研究者により、この群におけるET-1の循環の増加が記述されている14。ET-1は、エンドセリン-A受容体(ETR)およびエンドセリン-B受容体(ETR)を介して血管緊張へのその効果を媒介する15。ETRの活性化は、血管平滑筋細胞(VSMC)への直接作用を介して血管収縮を媒介する。ETRの効果はより多様であるが、健常な内皮では、ETRの活性化はETR媒介性血管収縮を妨げる。内皮機能不全を伴う疾患状態(微小血管狭心症)では、ETRのモジュレーションの臨床効果は明確でない。
INOCAを有する患者における選択的ETRアンタゴニストの使用を支持するエビデンス
47名の患者における経口ETRアンタゴニスト(ET-RA)のアトラセンタン(1日10mgPO)の6ヶ月間投与の無作為化プラセボ対照試験において、Rerianiらは、長期的なET-RA治療により、IC-AChによって明らかにされるように冠微小血管内皮機能が向上したことを観察した16。エビデンスは、シタキセンタン(高度に選択的なETRアンタゴニスト)の無作為化二重盲検試験からも導かれている17。シタキセンタンで処置された、駆出率が保持された心不全(HFpEF)を有する患者は、選択性が低いエンドセリン受容体アンタゴニスト(ERA)で見られる有害な心血管イベント(例えば体液貯留)を伴うことなく、プラセボと比較して運動時間の増加を示した。シタキセンタンは肝毒性のために開発が中止されたが、この試験によってCMDを有する患者に対する選択的ETRアンタゴニストの戦略が支持される。
ジボテンタン(N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ピリジン-3-スルホンアミド)は、転移性前立腺がんの治療のためにAstra-Zenecaによって開発された化合物であるが、第III相試験での無益性のために中止された。ジボテンタンは、ETRよりETRに高度に選択的な(およそ10倍)エンドセリン受容体アンタゴニストである18
本発明者らは、デュアルセンサー診断用ガイドワイヤおよびアセチルコリンの冠動脈内注入を使用する介入的診断手順(IDP)を使用する、微小血管狭心症を検出する侵襲的方法を開発した。この方法は、以前に微小血管狭心症の信頼性のある徴候をもたらすことができなかった非侵襲的方法を改良し、検証するためにも使用される。本発明者らは、心臓の小血管疾患が全身性の問題の一部となると考え、微小血管狭心症を有すると確認された患者の小血管において、微小血管狭心症疾患状態のINOCAの状況でのジボテンタンの有効性を初めて実証した。
したがって第1の態様では、本発明は、INOCAを有する患者において狭心症を治療する方法であって、患者にジボテンタンを投与することを含む方法における使用のためのジボテンタンを提供する。関連する態様では、本発明は、INOCAを有する患者における狭心症を治療する方法であって、患者にジボテンタンを投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、INOCAは微小血管狭心症である。
一部の実施形態では、患者は、本明細書に記載される診断用ガイドワイヤを使用して患者の心臓の微小血管抵抗指数(IMR)、冠血流予備能(CFR)、抵抗予備能比(RRR)および/またはアセチルコリン(ACh)血管反応性を測定することにより治療のために選択されている。これらの測定は、薬理学的プローブの使用と組み合わせて行われてもよい。薬理学的プローブは、太い末梢静脈を介した静脈内注入によって投与され得るアデノシンであってもよい。診断用ガイドワイヤは、好ましくは圧力温度感知ガイドワイヤである。ガイドワイヤは、主要心外膜冠動脈の遠位3分の1、例えば左前下降枝(LAD)に配置されてもよい。他の場合では、左回旋枝または右冠動脈(RCA)が使用されてもよい。CFR測定は、最大充血時の平均遠位冠動脈圧の平均大動脈圧に対する比によって計算できる心筋血流予備量比(FFR)の計算を含んでもよい。患者は、IMRが25より高いと測定された場合および/またはCFRが2.0未満と測定された場合に治療のために選択され得る。一部の実施形態では、患者は、2.5を超える充血微小血管抵抗(hyperaemic microvascular resistance)(HMR)の測定後に治療のために選択され得る。HMRは、Dopplerワイヤを使用して測定されてもよい。これらの方法を使用して、患者の心臓における冠微小血管機能障害の存在を定量および/または診断することができ、例えばINOCAおよび/またはMVAを特定することができる。
一部の実施形態では、患者は陽電子放出断層撮影(PETスキャン)および/または負荷灌流MRIを使用した2.0未満のCFR測定後に治療のために選択され得る。これは、心筋灌流予備能比の評価または心筋血流の絶対的な画素単位の評価を伴ってもよい。これらの方法を使用して、患者の心臓における冠微小血管機能障害の存在を定量および/または診断する、例えばINOCAおよび/またはMVAを特定することができる。
一部の実施形態では、患者は、患者のゲノムの遺伝子座rs9349379の一塩基多型の有無の検出後に治療のために選択され得る。患者は、rs9349379遺伝子座がG対立遺伝子についてホモ接合性またはヘテロ接合性である場合に治療のために選択され得る。
一部の実施形態では、患者は、診断用ガイドワイヤ、Dopplerワイヤ、PETスキャン、灌流MRIおよびまたは本明細書に記載されるSNPに関連する方法の2つ以上の組合せ後に治療のために選択され得る。
治療の有効性は検査によって確認することができる。一部の実施形態では、標準化されたトレッドミル試験において測定される患者の平均運動継続時間は治療後に増加する。一部の実施形態では、狭心症の重症度は、狭心症が、CCS狭心症分類スケールの、より下位のクラスに入るとみなされるように低減する。
典型的に、本明細書に開示される薬物療法(medical treatment)およびジボテンタンの医療使用は、1回投与より多いジボテンタンの投与を含み、ジボテンタンは異なる時点で投与される。好ましい実施形態では、方法は、ジボテンタンを患者に毎日10mg(1日10mg)の投薬量で投与することを含む。他の実施形態では、投薬量は倍増されてもよく(1日20mg)、半減されてもよい(1日5mg)。さらなる実施形態では、さらに低い投薬量が使用されてもよい(1日5mg未満、例えば1日2mgまたは1日1mg)。さらなる実施形態では、さらに高い投薬量が使用されてもよい(1日20mgより多い、例えば1日25mgまたは1日50mg)。一部の実施形態では、ジボテンタンは、本明細書に開示される単回用量値のいずれかによりそのエンドポイントで規定される用量の範囲から選択される用量で投与することができる。一部の実施形態では、ジボテンタンは、本明細書に開示される用量値から選択される用量で1日おきに投与することができる。他の実施形態では、ジボテンタンは、本明細書に開示される用量値から選択される用量で毎週投与することができる。
他の態様では、本発明は、対象の冠動脈に近位圧力センサーおよび遠位圧力センサーを有するガイドワイヤを挿入すること、近位圧力センサーが冠動脈内に位置し、遠位圧力センサーが冠微小血管内に位置するようにガイドワイヤを位置決定することによって、対象の微小血管狭心症を診断する方法であって、前記方法は、血流予備量比(FFR)および冠血流予備能(CFR)を測定すること、ならびに微小血管抵抗指数(IMR)を計算することを含み、対象がIMR>25である場合に微小血管狭心症と診断される方法を提供する。関連する態様では、本発明は、対象において微小血管狭心症を診断する方法における使用のためのガイドワイヤであって、前記方法は、対象の冠動脈に2つの圧力センサーを有するガイドワイヤを挿入すること、近位圧力センサーが冠動脈内に位置し、遠位圧力センサーが冠微小血管内に位置するようにガイドワイヤを位置決定することを含み、前記方法は、血流予備量比(FFR)および冠血流予備能(CFR)を測定すること、ならびに微小血管抵抗指数(IMR)を計算することを含み、対象がIMR>25である場合に微小血管狭心症と診断されるガイドワイヤを提供する。ガイドワイヤはディスポーザブルである、すなわち「使い捨て(single-use)」である。
診断用ガイドワイヤは、好ましくは圧力温度感知ガイドワイヤである。ガイドワイヤは、主要心外膜冠動脈の遠位3分の1、例えば左前下降枝(LAD)に配置されてもよい。他の場合では、左回旋枝または右冠動脈(RCA)が使用されてもよい。CFR測定は、最大充血時の平均遠位冠動脈圧の平均大動脈圧に対する比によって計算できる心筋血流予備量比(FFR)の計算を含んでもよい。
一部の実施形態では、ガイドワイヤに付随するマイクロカテーテルまたはガイドカテーテルのいずれかによってアセチルコリン(ACh)を冠動脈内腔に注入し、冠微小血管における攣縮(spasm)を誘発する。この微小血管攣縮(冠微小血管機能障害のサブタイプ)の診断は、虚血性胸部症状の再現、ECGでのST部分偏位が存在するが、心外膜冠動脈の内腔収縮が<90%である(COVADIS研究グループの定義に従って)場合になされてもよい。AChは、約10-6Mの注入から100mcgのICボーラスまでの範囲にわたる漸増濃度で投与されてもよい。一部の実施形態では、AChは約0.2μg/mL、約2μg/mL、その後約20μg/mLの濃度で投与される。
一部の実施形態では、太い末梢静脈を介してアデノシンを静脈内注入で投与し、ガイドワイヤの挿入前に定常状態の最大充血を誘導する。一部の実施形態では、アデノシンは100~200μg・kg-1・分-1、例えば140μg・kg-1・分-1の速度で注入される。一部の実施形態では、診断方法は、三硝酸グリセリン(GTN)を注入すること、その後冠動脈の内皮非依存性機能を測定することの工程をさらに含む。
一部の実施形態では、診断方法は、患者に陽電子放出断層撮影(PETスキャン)および/または負荷灌流MRIを実施し、その後本明細書に記載されるようにPETおよび/またはMRIデータから2.0未満のCFRを測定することを含んでもよい。これは、心筋灌流予備能比の評価または心筋血流の絶対的な画素単位の評価を伴ってもよい。
一部の実施形態では、診断方法は、患者のゲノムの遺伝子座rs9349379の一塩基多型の有無の検出を含んでもよい。患者は、rs9349379遺伝子座がG対立遺伝子についてホモ接合性またはヘテロ接合性である場合に(例えば、本明細書に記載される他の方法を使用して得られるデータなどの他の診断データに加えて)INOCAと診断され得る。
心筋(左)の状況で示される冠動脈(右手側)の概略図である。 コンピュータ断層撮影冠動脈血管造影法(CTCA)スキャンに続く、胸痛を呈する患者の割合の結果を示す流れ図である。 冠動脈および微小血管内のin situでの本発明のデュアルセンサー診断用ガイドワイヤの概略図である(CFR、冠血流予備能;FFR、血流予備量比;IMR、微小血管抵抗指数)。 MVA患者および対照対象におけるアセチルコリン(ACh;パネルA)およびニトロプルシドナトリウム(SNP;パネルB)に応答した微小血管の拡張を示す。AChおよびSNPにより、MVA患者と対照対象の両方からのトロンボキサンアゴニストであるU46619で事前収縮された動脈で濃度依存的な弛緩が引き起こされた。MVAを有する対象では、対照に比べAChに対する弛緩の高度に顕著な低減が認められるが、SNPに対する弛緩の差は認められない。これらの所見により、MVA対象には末梢内皮機能不全が存在することが示唆される。 MVA患者および対照対象におけるET-1(パネルA)およびU46619(パネルB)に応答した微小血管の収縮を示す。すべての動脈がET-1とU46619の両方に濃度依存的に応答し、応答はカリウム誘導性応答(KPSS)のパーセンテージとして提示される。ET-1に対する最大収縮応答は、MVA患者で対照対象より顕著に大きく、U46619に対する最大収縮応答は、患者において対照対象に比べて顕著に大きい。増加は、統計的に高度に有意である(p<0.001)。 微小血管狭心症および血管攣縮性狭心症における全身性微小血管機能障害であり、対照対象の微小血管と比較して、INOCA患者の微小血管のET-1媒介性血管収縮に対する感応性の増加が示される。 エンドセリン受容体(ETR&ETR)をモジュレートするex vivo薬理学的研究を使用したET-1応答の決定因子である。x軸に示される濃度でET-1によって血管収縮を誘導した。微小血管は、示される種々のアンタゴニストで前処理された。A-ジボテンタン(選択的ETRアンタゴニスト)は、ET-1媒介性血管収縮を強力に阻害する(曲線は右にシフトする)。B-ペプチドBQ123もET-1応答を阻害するが、BQ123はバイオアベイラブルな化合物ではなく、ジボテンタンと比較して選択性が低い。CはETR拮抗作用を示しており、高用量のBQ788はET-1応答において最小限のシフトしかもたらさない。合わせて、このデータはETRがMVAにおけるET-1媒介性血管応答の主要エフェクターであることを支持する。 A-遺伝的に決定されたET-1遺伝子発現の増加(G対立遺伝子)を有する患者は、微小血管狭心症(CMD)を有する可能性が2倍を超えて高い(オッズ比2.2、95%CI 1.1~4.6)。B-冠血流予備能(CFR-INOCAを有する患者における微小血管機能不全のマーカー)は、2つの高リスクG対立遺伝子(rs9349379)を有する対象でより低く、エンドセリン遺伝子発現の増加の冠微小循環に対する有害作用と一致する(一元配置ANOVAの線形傾向P=0.012)。AA群対GG群の事前分析では、GG群でより低いCFRが示され、より不良なCMDと一致する(平均差0.7、95%CI 0.2~1.3、P=0.011)。 遺伝的に決定されたET-1遺伝子発現の増加(G対立遺伝子)を有する患者は、非侵襲的(マルチモダリティ評価)においてより不良な虚血を有する。A-心臓負荷磁気共鳴画像法(N=107)。CMRにおいてG対立遺伝子と誘導性灌流欠損の存在との間に線形関係が存在した(傾向のχ検定 P=0.041)。B-運動トレッドミル検査(n=84)。負荷検査において遺伝子型群とより不良な虚血との間に負の線形関係が存在した(デュークトレッドミルスコア ANOVA P傾向=0.045)。 ジボテンタンが、BQ123のものと同等の7.54のpKでET-1に対する収縮応答に拮抗することを示す(N=8)(パネルA)。パネルBは、ジボテンタンがET-1に対する確立された収縮応答の濃度依存的阻害をもたらすことを示す(P<0.001)。 エンドセリンA受容体のモジュレーション(BQ123によるETR)の存在下および非存在下でのex vivo薬理学的研究である。遺伝的に決定されたET-1活性(典型的に最低のエンドセリン遺伝子発現を有するAA遺伝子型から典型的に最大のエンドセリン遺伝子発現を有するGG遺伝子型まで)による3つの顕著に異なる患者の群。x軸に示される濃度でET-1によって血管収縮を誘導した。各群について同様のアンタゴニスト効力が示され(右方向の曲線シフト)、第一に、ETRがET-1血管収縮応答の主要エフェクターであることが示唆される。第二にかつより重要なことに、エンドセリン-1遺伝子発現の上昇およびG対立遺伝子患者の既知のET-1活性の増加にもかかわらず、ETR経路は下方調節されないことを示す。この所見は、微小血管狭心症を有する対象におけるジボテンタンによるETR経路のモジュレーションを考慮すると、特に重要である。 研究概要:微小血管狭心症におけるエンドセリン-1遺伝子エンハンサー。安定狭心症を有する391名の患者を、冠動脈解剖所見の事前知識無しに前もって登録した。185名(47%)が閉塞性冠動脈疾患を有さず、したがって侵襲的冠血管反応性検査およびさらなるサブ研究に適格であった。185名のうち151名(82%)が冠微小血管機能障害の補助的侵襲的試験を受けることが可能であった。試験された109名(72%)の対象が冠微小血管機能障害のエビデンスを有した。140名の対象がrs9349379-G対立遺伝子の遺伝子分析を受け、対立遺伝子頻度は46%であった(129/280個の対立遺伝子)。有害なG対立遺伝子の頻度は、参照ゲノムバンクの対照対象より高かった(46%対39%、P=0.013)。rs9349379-G対立遺伝子を有する患者は、血清エンドセリン-1がより高く、冠微小血管機能障害のオッズが2倍を超えて高かった(オッズ比2.33、95%信頼区間1.10~4.96、P=0.027)。さらに、対象は心筋灌流の機能不全(P=0.04)および運動耐容能の機能不全(デューク運動トレッドミルスコアで-3.0単位、P=0.045)を有する可能性がより高かった。エンドセリン-1に対する末梢小動脈反応性およびET受容体アンタゴニストの親和性は、rs9349379-G対立遺伝子群で保持された(P=0.209)。重要なことに、臨床的に関連する濃度で試験されたジボテンタンは、確立されたエンドセリン-1血管収縮を完全に逆転させ、これは血管攣縮に関連する状態における有効性の徴候となる。これにより、この群の患者におけるET受容体拮抗作用が治療利益を有する可能性があることが示唆される。 冠微小血管機能およびエンドセリン-1に対するrs9349379-G対立遺伝子の有害作用。(A)G対立遺伝子を有する患者は、基礎微小血管機能障害を有する可能性が2倍を超えて高かった(G対立遺伝子あたりのオッズ比2.33、95%信頼区間1.10~4.96、P=0.027)。他のリスク因子についての調整後でも、G対立遺伝子は微小血管疾患を予測するものであった(オッズ比2.31、95%信頼区間1.0~4.91)。この所見は、エンドセリン遺伝子発現の生涯の増加の冠微小循環に対する有害な影響を支持する。(B)ベースライン群の差について調整する多変数回帰モデルでは、rs9349379-G対立遺伝子を有する患者は、より高い血漿エンドセリン-1を示した(最小二乗平均1.59pg/mL対1.28pg/mL、95%信頼区間1.10~0.53、P=0.005)。 遺伝子型:G対立遺伝子と侵襲的冠微小血管機能障害の表現型関連性。(A~C)侵襲的冠動脈検査の間に検出された微小血管機能障害の有病率は遺伝子型状態と関連した(AA60%、AG75%、GG83%、P=0.021)。異常な冠血流予備能および微小循環抵抗の存在は、G対立遺伝子が増えるごとに線形に関連した。P値は、線形傾向のピアソンのv2検定を表す(カテゴリーデータ)。(D)冠血流予備能は、2つの高リスクG対立遺伝子(rs9349379)を有する対象でより低く、冠微小循環に対するエンドセリン遺伝子発現の増加の有害作用と一致する(群間のクラスカル・ウォリス、破線、P=0.046)。部分群の事前分析(AA群対GG群-実線)では、GG群でより低いCFRが示された(P=0.013)。データはCFRの中央値であり、エラーバーは中央値の95%信頼区間を表す。P=0.021、P=0.030、P=0.029およびP=0.056。 遺伝子型:G対立遺伝子と侵襲的冠微小血管機能障害の表現型関連性。(A~C)侵襲的冠動脈検査の間に検出された微小血管機能障害の有病率は遺伝子型状態と関連した(AA60%、AG75%、GG83%、P=0.021)。異常な冠血流予備能および微小循環抵抗の存在は、G対立遺伝子が増えるごとに線形に関連した。P値は、線形傾向のピアソンのv検定を表す(カテゴリーデータ)。(D)冠血流予備能は、2つの高リスクG対立遺伝子(rs9349379)を有する対象でより低く、冠微小循環に対するエンドセリン遺伝子発現の増加の有害作用と一致する(群間のクラスカル・ウォリス、破線、P=0.046)。部分群の事前分析(AA群対GG群-実線)では、GG群でより低いCFRが示された(P=0.013)。データはCFRの中央値であり、エラーバーは中央値の95%信頼区間を表す。P=0.021、P=0.030、P=0.029およびP=0.056。 エンドセリン-1のex vivoでの遺伝子型別血管生物学。(A)ETアンタゴニストBQ123の存在下および非存在下での、3つの群におけるエンドセリン-1に対する累積濃度応答曲線(n=44)。各群についての同様のアンタゴニスト効力(右方向の曲線シフト)は、第一にET受容体がエンドセリン-1血管収縮応答の主要エフェクターであること、第二にエンドセリン-1遺伝子発現の上昇およびG対立遺伝子の一塩基多型を有する患者における既知のエンドセリン-1活性の増加にもかかわらず、ET受容体経路は下方調節されないことを示唆する。(B)新規の治療用経口ET受容体アンタゴニストであるジボテンタンのアンタゴニスト効力[N=8、平均7.54(95%信頼区間7.27~7.82)]は、ペプチドアンタゴニストBQ123[N=27、平均7.53(95%信頼区間7.37~7.69)]と同様である。pKが高いほどアンタゴニスト効力が高いことを表す。(C)ジボテンタン:確立されたエンドセリン-1血管収縮の逆転。概念実証である、強力な確立されたエンドセリン-1媒介性末梢細動脈血管収縮の用量依存的な逆転。重要なことに、10mg/日の臨床的に関連する用量によって達成された血漿濃度でもある試験された最高濃度は、確立されたエンドセリン-1収縮応答を迅速かつ完全に逆転させ、これは血管攣縮の状況における有効性の徴候となる。いずれも重要因子である時間および用量を含む、通常の二元配置分散分析を使用した比較(多重検定について調整後P<0.001)。 GG(高リスクエンドセリン-1遺伝子エンハンサー)。侵襲的および非侵襲的精密試験からの代表画像を含む安定狭心症を有する患者からの例示的な事例を、臨床像およびエンドセリン-1エンハンサー遺伝子型との関連で示す。最大STは、運動トレッドミル試験の間の最大の平面状または下行傾斜型ST部分下降を表す。両方の対象の侵襲的冠動脈血管造影法はほぼ同一であり、最小限のみの内腔不整を示す。白色矢印は、重度の冠微小血管機能障害を有する患者における、アデノシン負荷磁気共鳴画像法の間の心内膜下の誘導性虚血心筋を表す。ex vivoでの血管生物学的(下パネル)は、ワイヤミオグラフィーの間の典型的なエンドセリン-1媒介性血管収縮を示す。血管張力の増加は、各用量滴定における曲線の上昇と一致する。ET受容体アンタゴニストであるBQ123でのインキュベーション後に、対になった同一の血管の実験を実施する。この曲線は青色で印され、エンドセリン-1応答の曲線は右にシフトし、これはET受容体が血管収縮を媒介することを示唆する。エンドセリン-1遺伝子エンハンサーにもかかわらず、GG対象は、同様のアンタゴニスト効力レベルでET受容体の下方調節を有するように思われない。これにより、この群の患者におけるET受容体拮抗作用が治療利益を有する可能性があることが支持される。CFR、冠血流予備能;ET、エンドセリンA受容体;FFR、血流予備量比;IMR、微小循環抵抗指数。
ここで、本発明の態様および実施形態を添付の図面を参照して考察する。当業者には、さらなる態様および実施形態が明らかである。本文書で言及されたすべての文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
定義
治療される「対象」は、任意の動物またはヒトであってもよい。対象は、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。対象は非ヒト哺乳動物であってもよいが、より好ましくはヒトである。対象は男性であっても女性であってもよい。対象は患者であってもよい。治療的使用は、ヒトまたは動物(獣医学的使用)におけるものであってもよい。
本発明の態様による医薬および医薬組成物は、これらに限定されないが、非経口、静脈内、動脈内、筋肉内、腫瘍内、経口および鼻腔を含む多数の経路による投与用に製剤化されてもよい。好ましくは、医薬または医薬組成物は、経口投与用に調製される。医薬および組成物は、流体または固体形態で製剤化されてもよい。流体製剤は、ヒトまたは動物の身体の選択された領域への注射による投与用に製剤化されてもよい。投与は、好ましくは「治療有効量」であり、これは個体に対して利益を示すのに十分である。投与される実際の量ならびに投与の速度および時間経過は、治療される疾患の性質および重症度に依存する。治療の処方、例えば投薬量などの決定は、一般医および他の医師の責任の範囲内であり、典型的に治療される障害、個々の患者の状態、送達部位、投与方法および医師に既知の他の因子を考慮する。上述の技術およびプロトコールの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition, 2000, pub. Lippincott, Williams & Wilkinsに見出すことができる。
医薬組成物は、安全かつ有効とみなされる材料から構成される、薬学的に許容される「担体」を使用して調製されてもよい。「薬学的に許容される」は、「一般的に安全とみなされる」、例えば生理学的に耐容可能であり、ヒトに投与された場合に典型的にアレルギー性または胃の不調などの同様の不都合な反応をもたらさない分子実体(molecular entities)および組成物を指す。一部の実施形態では、この用語は、FDAによる市販前審査および承認に供される連邦食品・医薬品・化粧品法の204(s)および409条に基づくGRASリストまたは同様のリストとして米国連邦政府または州政府の規制機関によって、米国薬局方または別の一般的に認識される薬局方によって、動物、より詳細にはヒトにおける使用のために承認された分子実体および組成物を指す。
用語「担体」は、希釈剤、結合剤、滑沢剤および崩壊剤を指す。当業者は、そのような薬学的担体およびそのような担体を使用して医薬組成物を配合する方法を熟知している。
本明細書で提供される医薬組成物は、1種または複数の添加剤、例えば溶媒、溶解性増強剤、懸濁剤、緩衝剤、等張剤、酸化防止剤または抗菌保存剤を含んでもよい。使用される場合、組成物の添加剤は、組成物に使用される活性物質、すなわちジボテンタンの安定性、バイオアベイラビリティ、安全性および/または有効性に悪影響を及ぼさない。したがって、当業者は、剤形の成分のいずれかの間に不適合性が生じない組成物が提供されることを認識する。添加剤は、緩衝剤、可溶化剤、等張化剤、キレート剤、酸化防止剤、抗菌剤および保存剤からなる群から選択されてもよい。
活性化合物であるジボテンタンの対応する塩、例えばジボテンタンの薬学的に許容される塩を調製する、精製するおよび/または取り扱うことが好都合であるまたは望ましい場合がある。そのようなジボテンタンの塩は、それらが特許請求の範囲によって定義される方法における使用のためである限り、本発明の一部として包含される。薬学的に許容される塩の例は、Berge et al., 1977, “Pharmaceutically Acceptable Salts,” J. Pharm. Sci., Vol. 66, pp. 1-19で議論される。
本発明者らは、ガイドワイヤに基づく冠血管機能の直接測定、それに続く薬理学的血管反応性検査を組み合わせた介入診断手順を使用する。特に手順は、冠血管機能(血流予備量比[FFR]、冠血流予備能[CFR]および微小血管抵抗指数[IMR])のガイドワイヤに基づく測定、それに続くアセチルコリン(ACh)および三硝酸グリセリン(GTN)による薬理学的血管反応性検査を含み、以前に記載されている7、19
簡潔には、アデノシンを静脈内注入(140μg・kg-1・分-1)で太い末梢静脈を介して投与し、定常状態の最大充血を誘導した。圧力温度感知ガイドワイヤを主要心外膜冠動脈の遠位3分の1(典型的に左前下降枝(LAD))に配置した。心筋FFRを、最大充血時の平均遠位冠動脈圧の平均大動脈圧に対する比によって計算した。FFR≦0.80を異常および血流制限のある冠動脈疾患の徴候とみなした20。CFRは、安静時平均通過時間を充血時平均通過時間で除したものとして、熱希釈を使用して計算した21。CFR<2.0を、血管拡張予備能の機能不全を表す異常と定義した。IMRは、平均充血時通過時間と充血時の平均遠位冠動脈圧の積として計算した22。IMR>25を、異常および微小血管抵抗の増加の徴候と定義した。これらの侵襲的パラメータは、専用のソフトウェア(Coroventis、Uppsala、Sweden)を使用してリアルタイムで同時に導出した。
狭心症の重症度の分類
狭心症の重症度は、検診(medical examination)によって測定されてもよい。カナダ心臓血管学会狭心症分類(CCS狭心症分類スケールと称されることもある)などの一般的な分類システムが使用されてもよい。狭心症のCCS狭心症分類スケールは、以下の通り提示される:
0度-無症候性狭心症。これは「症状を伴わない軽度の心筋虚血」と説明される。
1度-激しい労作のみによる狭心症。これは「激しい、急なまたは持続的な日常活動(歩行または階段を登る)の間の狭心症の存在」と説明される。
2度-中等度の労作による狭心症。これは「急に、食後に、寒冷下で、風の中で、情緒ストレス下で、起床後最初の数時間の間に行われる場合の日常活動だけでなく、坂道の歩行、通常の歩調で通常の条件下で1階分より多くの日常の階段を登る場合のわずかな制限」と説明される。
3度-軽度の労作による狭心症。これは「1もしくは2ブロックの歩行または通常の歩調および条件下で日常的な階段1階分を登ることに困難を有する」と説明される。
4度-安静時狭心症。これは「狭心症を引き起こすのに労作を必要としない」と説明される。
前述の記載または以下の特許請求の範囲または添付の図面で開示され、それらの特定の形態で、もしくは開示される機能を実行するための手段によって表される特色、または開示される結果を得るための方法もしくはプロセスは、適切な場合、その多様な形態で本発明を実現するために、別個にまたはそのような特色の任意の組合せで利用されてもよい。
本発明は上述の例示的な実施形態と併せて記載されたが、本開示を考慮すると、多くの等価の修正および変形が当業者に明らかである。したがって、上記に記載された本発明の例示的な実施形態は例示とみなされ、限定的ではない。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に種々の変更を加えることができる。
誤解を避けるために、本明細書に提供される理論的説明は、読者の理解を向上させる目的で提供される。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれによっても束縛されることを望まない。
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構造化のためのみのものであり、記載される主題を限定すると解釈されるべきではない。
後に続く特許請求の範囲を含む本明細書を通して、文脈によって別段要求されない限り、語「含む(comprise)」および「含む(include)」ならびに「含む(comprises)」「含む(comprising)」および「含む(including)」などの変形は、言及された整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を包含するが、他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を排除しないことを示唆すると理解される。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別段明確に指示しない限り複数の指示対象を含むことが留意されるべきである。範囲は、「約」1つの特定の値からおよび/または「約」別の特定の値までとして本明細書で表される場合がある。そのような範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」を使用して概算値として表される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。数値との関連での用語「約」は任意選択であり、例えば+/-10%を意味する。
実施例1:MVAを診断するための本発明の新規のガイドワイヤの使用
in vivoでの冠血管機能の測定(図3に図示)
本発明者らは、ガイドワイヤに基づく冠血管機能の直接測定、それに続く薬理学的血管反応性検査を組み合わせる介入診断手順を使用する。特に手順は、冠血管機能(血流予備量比[FFR]、冠血流予備能[CFR]および微小血管抵抗指数[IMR])のガイドワイヤに基づく測定、それに続くアセチルコリン(ACh)および三硝酸グリセリン(GTN)による薬理学的血管反応性検査を含み、他の臨床設定において以前に記載されている7、19
簡潔には、アデノシンを静脈内注入(140μg・kg-1・分-1)で太い末梢静脈を介して投与し、定常状態の最大充血を誘導する。圧力温度感知ガイドワイヤを主要心外膜冠動脈の遠位3分の1(典型的に左前下降枝(LAD))に配置する。心筋FFRを、最大充血時の平均遠位冠動脈圧の平均大動脈圧に対する比によって計算する。FFR≦0.80を異常および血流制限のある冠動脈疾患の徴候とみなす20。CFRは、安静時平均通過時間を充血時平均通過時間で除したものとして、熱希釈を使用して計算する21。CFR<2.0を、血管拡張予備能の機能不全を表す異常と定義する。IMRは、平均充血時通過時間と充血時の平均遠位冠動脈圧の積として計算する22。IMR>25を、異常および微小血管抵抗の増加の徴候と定義する。これらの侵襲的パラメータは、専用のソフトウェア(Coroventis、Uppsala、Sweden)を使用してリアルタイムで同時に導出する。
冠血管反応性検査
標的血管はLAD冠動脈である。技術的要因、例えば血管蛇行によってこの動脈の評価が除外される場合、左回旋枝または右冠動脈(RCA)が選択される。本発明者らは、ガイドカテーテルを介した0.182、1.82および18.2μg/mL(それぞれ10-6、10-5および10-4mol/L)の濃度のAChの冠動脈内注入を、機械的注入ポンプを介して1mL/分で2分間にわたって使用し、内皮依存性冠血管運動機能を評価する23。その後、AChの100μgのボーラス(10-4mol/Lを20秒かけて5.5mL、RCAでは50μgに低減される)を使用し、心外膜冠動脈攣縮の誘発検査をすぐに実施する。非内皮依存性血管拡張を評価するために、手動の冠動脈内ボーラス注射によって300μgのGTNを投与する。
実施例2:MVA患者における血管収縮に対するET-1の役割のエビデンス(Ford et al; EHJ 2018)24
目的:冠微小血管機能障害および/または血管攣縮は、閉塞性冠動脈疾患を有さない患者における虚血の潜在的な原因である。本発明者らは、これらの患者が末梢小動脈における機能異常も有するという仮説を試験した。
方法および結果:患者を前もって登録し、実施例1で上述された内皮および内皮非依存性機能のプローブ(アセチルコリンおよびアデノシン)を組み込んだ冠動脈機能試験に基づき、微小血管狭心症(MVA)、血管攣縮狭心症(VSA)を有するとして、または正常対照として類別した。81名の対象(62歳、女性69%、MVA59名、VSA11名および対照11名)に臀部の皮下脂肪生検を実施した。抵抗動脈を切開することにより、ワイヤミオグラフィーを使用する研究を可能にした。
AChに対する最大弛緩は、対照に比べてMVAで中央値が低減した[77.6対98.7%、差の95%信頼区間(CI)2.3~38%、P=0.0047]。内皮非依存性弛緩[ニトロプルシドナトリウム(SNP)]は、すべての群の間で同様であった。エンドセリン-1(ET-1)に対する最大収縮性応答は、MVA(中央値121%)において対照に比べて高かった(100%、95%CI 4.7~45%、P=0.015)。トロンボキサンアゴニストU46619に対する応答も、MVA(中央値143%)で対照に比べて高かった(109%、95%CI 13~57%、P=0.003)。VSAを有する患者は、AChに対する最大弛緩の低減(中央値79.0%対98%、P=0.03)およびET-1を含む収縮アゴニストに対する応答の増加(125%対100%、P=0.02)を含む、末梢血管反応性の同様の異常なパターンを示した。すべての群において、抵抗動脈は、U46619と比較してET-1の収縮効果に対しておよそ50倍高く感受性であった。
結論:全身性微小血管異常は、MVAおよびVSAを有する患者において一般的である。これらの機序にET-1が関与する可能性があり、血管収縮の上昇および内皮機能障害によって特徴付けられた。
結果を表1に示す:
Figure 2022520206000002
これらの結果により、対照と比較してMVAを有する患者の末梢細動脈において、内皮機能障害および血管収縮の増強が確認され、ET-1経路が潜在的な治療標的であることが示唆される。(図6-中央の図-ET-1は微小血管狭心症において収縮を増加させ、内皮機能を低減させた)。
実施例3:微小血管狭心症患者の末梢動脈に対するジボテンタンの効果
仮説:MVAを有する患者では、ジボテンタンは、選択的ETA受容体アンタゴニスト(ERA)であるBQ123および選択的ETBRアンタゴニストであるBQ788より強力なET-1血管応答の阻害剤である。
目的:本発明者らは、MVAを有する患者および対応対照から単離された末梢抵抗動脈を使用し、超選択的ETARアンタゴニストであるジボテンタンが、MVAを有する患者においてex vivoでBQ123より強力なET-1血管応答の阻害剤であるか調査した。BQ-123は経口的に有効でないことに留意されたい。BQ-123は、ERA機能を研究するための薬理学的ツールとして使用される。
結果:10-6MのBQ788およびBQ123(対象n=31)または10-6Mのジボテンタン(n=8)でのプレインキュベーション後、単離直後の対になった細動脈で累積濃度応答曲線(CCRC)を実行した。ETARアンタゴニストであるジボテンタンの存在下でのET-1誘導性血管収縮の効力は、MVAを有する患者で顕著に低減する(図4)。BQ788によるETB受容体拮抗作用は、ET-1収縮応答に対してわずかな効果を及ぼした一方、ETARアンタゴニスト(BQ123)との共インキュベーションにより、ジボテンタンのものと同等の効果が観察された(図7)。効力をシルドプロット(アンタゴニストのその受容体に対する親和性のpA2分析)を使用して考慮すると、同様のpA2値(ジボテンタン7.591(95%CI 7.312~7.871)対BQ123 7.527(95%CI 7.367~7.687))によって明らかであるように、ジボテンタン(n=8)はBQ123(n=6)と同様の効力を有する。BQ123は、経口投与された場合は有効でない。BQ788(1μMl)によるET-1のCCRCにおける小さな右方向のシフトは、この化合物のETA受容体に対する低い親和性を反映する可能性がある(Russell & Davenport. Br J Pharmacol, 1996;119(4):631)。BQ788のシフトは、収縮応答がETB受容体を介して媒介された場合に予想される8のpA2ではなく、5.98~6.85の間のpA2と一致する。
結論:本発明者らは、対照対象と比較したMVAを有する患者で末梢小動脈の機能の変化を示した。末梢血管異常は、内皮機能不全および血管収縮刺激、特にET-1に対する応答の増加によって特徴付けられる。ET-1に対する応答の増強は、MVAを有する患者で上方調節されるまたはより活性であり得るETRによって媒介される。超選択的ETARアンタゴニスト(ジボテンタン)は、これらの患者におけるこの有害なETAR媒介性ET-1血管応答の最も強力な経口活性選択的阻害剤である。BQ788によるETB拮抗作用はわずかな効果を及ぼし、また重要なことに、BQ123は経口活性でない。
概要:本発明者らの結果は、ETARが、対応対照対象における観察と比較して微小血管狭心症を有する患者で上方調節される、またはET-1血管収縮を媒介するのにより有効であることを示唆する。
実施例4:ET-1 SNP遺伝子型/表現型相互作用
Guptaらによる公表(Cell, July 2017)により、一般的な非コードSNPであるrs9349379(PHACTR1遺伝子)は、ヒトの血管細胞におけるET-1遺伝子発現の下流エンハンサーであると特定された25。染色体6p24の一般的な遺伝子変異体(rs9349379)は、5つの血管疾患(冠動脈疾患、高血圧、線維筋性異形成、片頭痛および動脈解離)と関連し、ゲノムワイド関連研究においてエンドセリン遺伝子発現の遠位調節因子であることが示されている。特に、イントロン性一塩基多型(SNP)のマイナー対立遺伝子であるrs9349379-Gは、冠動脈疾患のリスクの増加、エンドセリン遺伝子発現およびET-1血清レベルの増加と関連する。したがって、ET-1の調節不全はこれらの血管障害に関与するが、CMDの病態形成におけるこのSNPの役割は調べられていない。心臓のET-1媒介性微小血管疾患に対して遺伝的基盤が存在する場合、この所見がETAのモジュレーションを含む治療開発の状況を前進させる機構的支援となる。
本明細書に提示される本発明者らの所見を考慮して、以下の研究課題が問われた:
1.安定胸痛を有する患者の前向きコホートにおいて遺伝子型(rs9349379-G対立遺伝子)と表現型(MVA)との間に関連は存在するか?
2.遺伝子型は、微小血管狭心症対象の心筋虚血および運動能力の非侵襲的パラメータと関連するか?
3.血管生物学:遺伝的に上昇したET-1活性(SNPマイナーG対立遺伝子)を有する対象におけるET-1に対する末梢血管のETA受容体応答はどのようなものであるか
A1-遺伝子多型(rs9349379-G対立遺伝子)を有する患者は、CMDを有する可能性の2倍を超える増加を示した(OR2.33、95%CI 1.10~4.95;P=0.024;図8A)。多変量分析により、G対立遺伝子は依然としてCMDと関連することが示された(G対立遺伝子あたりのOR1.83;1.03~3.27;P=0.04)。さらに、冠血流予備能(CFR-微小血管機能の尺度)はG対立遺伝子が増えるごとに線形に減少した(AA3.2;AG2.9;GG2.4;P傾向=0.012)。最大リスク群(GG)は、AA群より顕著に低いCFRを有した(平均差0.7、95%CI 0.2~1.3;P=0.011;図8B)。
A2-rs9349379-G対立遺伝子は、負荷灌流MRIにおいて誘導性虚血と線形に関連した(GG56%、AG43%、AA31%;P=0.042、図99A)。90名の対象が、侵襲的冠動脈血管造影法に先立ち標準医療の診断精密試験の間に運動トレッドミル検査を完了した。平均運動継続時間は367(±156)秒であり、群間で同様であった。平均デュークトレッドミルスコア(DTS)は-1.0(±5.3)単位であった。遺伝子型とDTSの両方が入手可能な84名の患者の部分群を考慮すると、G対立遺伝子が増えるごとにDTSの低下が見られた(P=0.045)。マイナーG対立遺伝子についてホモ接合性の対象のAA群と比較した事前分析では、-3.0単位の平均差が明らかになった(95%CI -5.8~-0.1;P=0.045;図9B)。
A3-本発明者らは、外植直後の皮下組織から単離されたヒトの細動脈で、ET-1媒介性血管収縮の基礎病態生理を遺伝子型によって評価し、SNPを有する患者におけるエンドセリン遺伝子発現の上昇およびET-1活性の既知の増加にもかかわらず、ET血管収縮応答は下方調節されないことを結論づけた。選択的ET受容体アンタゴニストペプチドであるBQ123は、すべての動脈においてET-1に対するCCRCの平行な右方向のシフトをもたらした。シルド回帰を使用して導出されたpK値は、AA、AGおよびGG群間ですべて同様であり(それぞれpK値7.07[±0.23]、7.79[±0.35]および7.41[±0.26];P=0.209)、心外膜冠動脈を含む他のヒトの血管で、この化合物について文献で報告された機能的親和性値と同等であった26。ジボテンタンも、BQ123のものと同等の7.54のpKでET-1への収縮応答に拮抗した(N=8)(図10A)。さらに重要なことに、これらの研究により、ジボテンタンがET-1に対する確立された収縮応答の濃度依存的阻害をもたらしたことが確認された(P<0.001;図10B)。
集団の観点から、世界的なおよび欧州でのrs9349379のマイナー対立遺伝子頻度はそれぞれ38%および40%であり(1000 Genomes Project, http://www.internationalgenome.org/home)、一方でCMDを有する選択された患者の本発明者らの試料は、マイナー対立遺伝子の濃縮を示し、G対立遺伝子の頻度は46%である。
概要:この一連の研究は、長期的なエンドセリン遺伝子の発現の増加および結果として生じる組織のET-1活性の上昇が冠微小循環に対する病理学的効果と関連し、ひいては微小血管狭心症を有する患者において定量的CMRによって明らかにされる負荷検査の間の心筋血流の機能不全および運動能力の機能不全をもたらすという仮説を支持する。この仮説は、この調査で利用されたマルチモダリティ研究からの結果によって一貫して支持された。最後に、血管生物学サブ研究は、微小血管狭心症を有する対象における、標的化薬剤としてのETA受容体アンタゴニストであるジボテンタンの選択的モジュレーションの役割を支持する。
実施例5:エンドセリン-1の遺伝的調節不全は冠微小血管機能障害に関与する
目的:エンドセリン-1(ET-1)は、一般的なイントロン性遺伝子エンハンサー[(rs9349379-G対立遺伝子)、6番染色体(PHACTR1/EDN1)]を通して血管疾患に関連付けられる強力な血管収縮ペプチドである。本発明者らは、虚血の症状および/または兆候を有するが、閉塞性冠動脈疾患(CAD)を有さない患者での冠微小血管機能障害(CMD)の病態形成におけるET-1およびこの遺伝子変異体の役割についてマルチモダリティ調査を実施した。
方法および結果:狭心症を有する391名の患者を登録した。このうち閉塞性CADを有する206名(53%)を除外し、適格な185名(47%)が残った。侵襲的検査を受けた151名の対象のうち、109名(72%)がCMDの客観的エビデンスを有した(COVADIS基準)。rs9349379-G対立遺伝子頻度は、最新の参照ゲノムバンクの対照対象より高かった[対立遺伝子頻度46%(129/280個の対立遺伝子)対39%(5551/14380);P=0.013]。G対立遺伝子は、より高い血漿血清ET-1と関連した[最小二乗平均1.59pg/mL対1.28pg/30mL;95%信頼区間(CI)0.10~0.53;P=0.005]。rs9349379-G対立遺伝子を有する患者は、2倍を超えるCMDのオッズを有した[オッズ比(OR)2.33、95%CI 1.10~4.96;P=0.027]。非侵襲的マルチモダリティ検査では、1.5Tでの負荷心臓磁気共鳴画像法(N=107;GG56%、AG43%、AA31%、P=0.042)および運動検査(N=87;デューク運動トレッドミルスコアで-3.0単位;-5.8~-0.1;P=0.045)で、G対立遺伝子は心筋灌流における関連付けられる機能不全と関連することが確認された。ジボテンタンを含むエンドセリンA受容体(ET)アンタゴニストを用いてワイヤミオグラフィーを使用し、エンドセリン-1に関連する血管機構をex vivoで評価した。rs9349379-G対立遺伝子を有する対象は、保持されたET-1に対する末梢小血管反応性とETアンタゴニストの高い親和性を示した。ジボテンタンは、G対立遺伝子状況とは無関係にET-1誘導性血管収縮を逆転させた。
結論:本発明者らは、CMDに対する新規の遺伝的リスク遺伝子座を特定する。これらの所見はET-1の調節不全を暗示し、また遺伝学を使用して微小血管狭心症を有する患者における経口ETアンタゴニスト療法を標的化する精密医療の可能性を支持する。
序論
冠微小循環は、50年より長くにわたり狭心症の病態形成に関与してきたが、疾患機序の理解は不完全なままである1A。冠微小血管機能障害(CMD)は、狭心症における有害事象および他の心血管障害の多血症に関連する2A~5A。閉塞性心外膜冠動脈疾患(CAD)を有さない狭心症患者の3分の2に影響を及ぼすという罹患率を特定した近年の研究7A~10Aは、微小血管機能障害のための標準化された診断基準6Aに基づくものである。これらの患者は、最大4人に1人がフォローアップの5年後に主要有害心イベントを経験するという診断的および治療的課題を呈する11A、12A。非有意狭窄冠動脈由来の虚血性心疾患(INOCA)は、ほとんどの場合心臓リスクの上昇が冠流量予備能(CFR)の機能不全によって引き起こされる(かつ閉塞性冠疾患によって引き起こされない)11A女性において特に重要である13A
エンドセリン-1(ET-1)は、ヒトの冠動脈の高度に強力な内在性血管収縮因子であり14A、微小血管機能障害の病態形成に関与してきた15A、16A。Gタンパク質共役エンドセリンA(ET)受容体の血管平滑筋細胞に対するエンドセリン-1媒介性活性化は、内皮機能障害、炎症および血管増殖効果を誘導する。
血清ET-1の循環濃度は、CMDを有する患者における冠血流応答に逆関連する14A、16A。近年、染色体6p24の一般的な(39%)遺伝子座(PHACTR1/EDN1)は、エンドセリン遺伝子発現の遠位調節因子であることが示された17A。対立遺伝子であるrs9349379-Gは、アテローム性動脈硬化性心外膜CADおよび心筋梗塞のリスクの増加と関連する18A。この機能的一塩基多型(SNP:rs9349379-G)は、エンドセリン遺伝子発現の増加と関連し、生涯にわたって少なくとも20%高い血漿中ET-1前駆体レベルの曝露をもたらす17A。エンドセリン-1調節不全は冠血管疾患に関与するが、CMDの病態形成におけるrs9349379の役割は調べられていない。本発明者らは、侵襲的冠動脈機能検査を受ける狭心症患者で、存在する場合rs9349379-G対立遺伝子とCMDの関連を調査した。本発明者らの第2の目的は、G対立遺伝子が心筋虚血の非侵襲的パラメータと関連するか調査することであった。本発明者らの最後の目的は、患者から単離された末梢抵抗小血管における等尺性張力の記録を使用し、遺伝子型によって血管機構を調べることであった。本発明者らは、対象におけるET受容体媒介性血管収縮をrs9349379-G対立遺伝子状況によって評価した。これらには、第三相腫瘍学的試験の中立的な結果に続いて別の目的で使用するために利用可能な、ET受容体選択的アンタゴニストであるジボテンタンが含まれた。
方法
研究集団:安定狭心症を有する患者を前もって登録した。scotland西部の約250万人の集団に対応する2つの病院に照会された選択的な成人をスクリーニングした。患者は、疑いのあるCADを調査するために、臨床的に必要であれば侵襲的冠動脈血管造影法を受けるよう予定された。参加者は、閉塞性CADを有さない狭心症患者での層別化医療の無作為化対照戦略試験である冠微小血管狭心症(CorMicA)研究(ClinicalTrials.gov:NCT03 193294)に登録された19A。血管造影日にRose-Angina問診票を施行し、確定的なまたは可能性のある狭心症を有する患者のみが参加に適格であった20A。除外基準は、侵襲的血管造影法での非冠動脈性の徴候、例えば弁疾患、重度の腎機能障害(糸球体濾過量<30mL/分)、インフォームドコンセントが得られないこと、および侵襲的冠動脈血管造影法の間に決定された閉塞性冠疾患[直径≧50%の狭窄および/または血流予備量比(FFR)≦0.80]を含んだ。すべての冠血管拡張薬を手順の少なくとも24時間前に休止した。プールされた対照の遺伝子型頻度は、最新の医療ゲノム参照コホートから確認した21A
定義:冠微小血管機能障害
本発明者らは、侵襲的冠動脈機能検査および冠動脈機能異常に関する国際共同研究組織(COVADIS)診断基準を使用してCMDを定義した20A。これらの生理学的基準には、アデノシンへの異常な応答[微小血管抵抗指数(IMR)の上昇(≧25)および/または異常なCFR(<2.0)]が含まれた。さらにCMDには、アセチルコリン(ACh)誘発の間の微小血管攣縮[狭心症症状の再現、虚血性の心電図の変化(≧1mmのST部分偏位)かつACh検査の間<90%の心外膜冠動脈攣縮]を有する対象が含まれた22A。冠微小血管機能障害は、心外膜血管攣縮と頻繁に関連するため、アデノシン評価の間の異常な血管反応性(異常なIMRおよび/またはCFR)ならびにACh誘発の間の共存する心外膜血管攣縮を有する患者はCMD群内に含まれた。
血流予備量比を測定し、血流制限のあるCADを心筋虚血の代替的な説明であるとして除外した(INOCA対象は標的動脈においてFFR>0.80を示した)。
in vivoで冠血管機能の測定
本発明者らは、ガイドワイヤに基づく冠血管機能の直接測定、それに続く薬理学的血管反応性検査を組み合わせた介入診断手順(IDP)を使用した。特にIDPは、冠血管機能[FFR、CFRおよびIMR]のガイドワイヤに基づく測定、それに続くAChおよび三硝酸グリセリン(GTN)による薬理学的血管反応性検査を含み、以前に記載されている19A、23A
簡潔には、アデノシンを静脈内注入(140μg kg-1-1)で太い末梢静脈を介して投与し、標的時間を180秒として少なくとも90秒間、定常状態の最大充血を誘導した。圧力温度感知ガイドワイヤを主要心外膜冠動脈の遠位3分の1(典型的に左前下降枝)に配置した。心筋FFRを、最大充血時の平均遠位冠動脈圧の平均大動脈圧に対する比によって計算した。FFR≦0.80を異常および血流制限のあるCADの徴候とみなした24A。冠血流予備能は、安静時平均通過時間を充血時平均通過時間で除したものとして、熱希釈を使用して計算した25A。CFR<2.0を、血管拡張予備能の機能不全を表す異常と定義した26A。IMRは、平均充血時通過時間と充血時の平均遠位冠動脈圧の積として計算した27A。IMR≧25を異常および微小循環抵抗の増加の徴候と定義した28A
これらの侵襲的パラメータは、専用のソフトウェア(Coroventis、Uppsala、Sweden)を使用してリアルタイムで同時に導出した。本発明者らは、ガイドカテーテルを介した0.182、1.82および18.2μg/mL(それぞれ10-6、10-5および10-4mol/L)の濃度のAChの冠動脈内注入を、機械的注入ポンプを介して1mL/分で2分間にわたって使用して内皮依存性冠血管運動機能を評価した29A。AChのボーラス(AChの100μgのボーラス;10-4mol/Lを20秒かけて5.5mL)の間にCMD(例えば、異常なCFRおよび/またはIMR)を有したが、共存する心外膜血管攣縮を有さなかった患者をCMD群とみなした30A。非内皮依存性血管拡張を評価するために、手動の冠動脈内ボーラス注射によって300μgのGTNを投与した。詳細な方法は、付録のオンラインの補足資料に報告される。
血液および組織分析
冠動脈機能検査(Quantikine(登録商標)ELISA、R&D Systems(登録商標)Europe、Abington、UK)日に得た血液を使用して血清ET-1を決定した。血液は、一晩の絶食後に横臥位にある参加者から得た。
侵襲的冠動脈機能評価の4週間以内に、臀部の皮下脂肪生検を受けることを志願した患者に末梢血管機能のex vivoでの薬理学的評価を実施した。生検は、リドカイン(2%)による局所麻酔を使用して滅菌条件下で得た。光学顕微鏡を使用し、末梢抵抗小血管(<400μm)を新鮮な生検から慎重に切除した。約2mm長の血管を40μmのステンレス鋼ワイヤに取り付け、生理食塩溶液が充填された多チャネルミオグラフチャンバ(DMT、デンマーク)で等尺性ミオグラフィーを行った。ワイヤミオグラフィー技術を直接使用して等尺性張力の記録を続けて行い、BQ123またはジボテンタンのいずれかのET受容体アンタゴニスト(AstraZeneca、UK;Open Innovation)の存在下または非存在下の、ET-1に対する対になった累積濃度応答曲線(CCRC)によって末梢抵抗小動脈を研究した。この血管生物学サブ研究は、この学術誌で以前に公開されたINOCA対象における本発明者らの研究の延長であった31A。詳細な方法は、付録のオンラインの補足資料に記載される。
ET-1に対する末梢血管感受性(pEC50)およびET-1に対する最大血管収縮(Emax)を決定した。アンタゴニスト研究では、個体からの対になった血管でBQ123の親和性(K)を最初に決定し、シルド回帰を使用して計算した。異なる遺伝子型を有する患者が臨床的に使用されるETアンタゴニストに同様に十分に応答する可能性があるかどうかを示すものとして、pK(-log10)値を各遺伝子型間で比較した。最終的な一連の実験は、高度に選択的なET受容体アンタゴニストであるジボテンタンの存在下および非存在下でのET-1のCCRCを使用してpKB値を決定し、ジボテンタンが確立されたET-1媒介性血管収縮を逆転させることができるかどうかを評価する、対になった血管による実験を含んだ。
心臓磁気共鳴画像法および虚血検査のプロトコール
指標冠動脈血管造影の6週間以内に、静脈内アデノシン(140μg/kg/分)を用いた薬理学的負荷検査を使用する、1.5Tでの定量的灌流心臓磁気共鳴(CMR)画像法を受けるように患者を前もって募った。標準化されたCMRプロトコール(Siemens MAGNETOM Avanto、Erlangen、Germany)を使用してCMR研究を実施した。CMRスキャンは、診断所見および遺伝子型に対して盲検化された欧州心血管画像学会(EACVI)のレベルIII認定を有する2名の熟練の観察者(D.C.、C.B.)によって判断された。負荷時および安静時灌流の原画像を、誘導性または固定灌流欠損について定性的に評価した。灌流は、正常、異常または不確定のいずれかに分類された。灌流欠損が存在する場合、心外膜、微小血管または不確定パターンを有すると報告された。灌流欠損は、次いでアメリカ心臓協会の16セグメントモデル32Aによるセグメントベースで報告され、灌流欠損の貫壁性(<50%または>50%)および定性的に異常な灌流が明確にされたセグメントの数によって分類された。標準化された基準に基づき、dark rimアーチファクトを判定した33A
次に、初回循環灌流画像を後処理し、定量的な灌流の画素マップを導出し、絶対的な心筋血流および心筋灌流予備能(MPR)を導出した(オンラインの補足資料にさらに詳しい)34A
ブルースプロトコールを使用したトレッドミル運動負荷心電図を、侵襲的冠動脈血管造影法に先立ちこの手順のために臨床的背景に基づいて事前選択された患者の部分群から分析した。本発明者らは、心血管予後の有用性が確立された、立証された測定基準であるデュークトレッドミルスコア(DTS)を使用した35A。運動トレッドミル試験の分析は、(i)運動継続時間ならびに(ii)遺伝子型および侵襲的生理学に対して盲検化された心臓病学研究者(EY)によるDTS36Aを含んだ。DTSは、トレッドミル運動検査の間の狭心症の発生、試験の間のST部分下降および最大運動継続時間(または達成されたタスクの代謝等量)に基づく。詳細には、DTSは分単位の最大運動時間-(5 運動中または後のmm単位での最大の正味ST部分偏位)-(4 トレッドミル狭心症指数(0=狭心症なし、1=非制限狭心症、2=運動を制限する狭心症)に等しい。
すべての対象に、CMR検診前24時間カフェインを含む飲料または食品を控え、48時間血管作動薬を控えるよう求めた。すべてのスキャン取得物を空間的に共位置合わせした。すべてのCMR分析は、レベル3のEACVI 110認定を有する盲検化された分析者によって実施された。
統計分析
本発明者らの研究の主要仮説は、イントロン性ET-1遺伝子エンハンサーであるrs9349379-Gの存在によって反映されるET-1遺伝子発現の調節が、CMDの侵襲的試験と関連するというものであった。本発明者らは、オッズ比(OR)およびその95%信頼区間(CI)を計算することにより、侵襲的冠血管反応性検査で遺伝子型(SNP rs9349379G-A対立遺伝子状況)とCMDの関連を試験した。以前の心臓イベントを含む全体的な心臓リスク(ASSIGNスコア)について調整する多変数ロジスティック回帰を使用し、遺伝子型がCMD(冠動脈内AChおよび/または全身アデノシンに対する異常な応答によって定義される)と独立に関連するかを決定した37A
カテゴリーデータはパーセンテージとして提示され、連続パラメータは平均と標準偏差値または中央値と四分位範囲として示される。二次分析では、対象を3つの遺伝子型群に分けた。クラスカル・ウォリス検定を使用し、ノンパラメトリック変数の分布が群間で同じであるか試験した。A対G遺伝子型の部分群分析を事前に決定し、2つの最も差がある群間の差を評価した。従属変数として血清ET-1を用い、共変量として年齢、性別、ボディマス指数、遺伝子型および心血管リスクならびに可能性のある交絡因子について調整された共分散分析を使用して導出された血清ET-1レベルの最小二乗(LS)平均を群間で比較した。連続パラメータの線形傾向を表すPを用いた分散分析(ANOVA)およびカテゴリー変数の線形・線形検定を表すPを用いたχ2検定により、微小血管疾患の侵襲的および非侵襲的測定基準の線形関連を実施した。Prism7.0(GraphPad、La Jolla、CA、USA)およびSPSS25.0(SPSS、Chicago、IL、20 USA)を用いて統計分析を実施した。
結果
Scotland西部の約250万人の集団に対応する2つの病院で、2016年11月25日から2017年12月11日の間に狭心症を有する391名の患者を前もって登録した(CorMicA:ClinicalTrials.gov NCT03193294)19A。侵襲的冠動脈血管造影法により、206名(53.7%)の参加者で閉塞性疾患が明らかになり、さらなる研究から除外された。閉塞性冠疾患を有さない151名の参加者が研究を継続した(図12、表2)。侵襲的冠血管反応性検査を受けた151名の対象のうち、109名(72%)にCMDのエビデンスが見出された(表3)。研究および調査の概要が表12に例示される。ベースラインの静脈血液試料を使用し、140名の対象(93%)で遺伝子分析を完了した。この分析での患者の平均年齢は61.1±10.1歳である。女性が多数であり[103名(74%)]、25%(±20)の心血管イベントの推定10年リスク(ASSIGN)が確認された。
rs9349379の遺伝子型分布は、AA(N=50、36%)、AG(N=51、36%)およびGG(N=39、28%)であった。このSNPは、遺伝子型の生物学的確認を反映するハーディー・ワインベルグ平衡(P=0.0015)に適合しなかった。140名の対象が(rs9349379-G対立遺伝子)についての遺伝子分析を受け、対立遺伝子頻度は46%であった(129/280個の対立遺伝子)。対立遺伝子頻度は、ゲノムバンクの対照対象[rs9349379-G対立遺伝子頻度39%(5551/14380);x=6.15、P=0.013]のものと比較して、本発明者らの狭心症コホートで増加した21A。rs9349379-G対立遺伝子は、2倍を超えるCMDのオッズと関連した(OR2.33、95%CI 1.10~4.96;P=0.027;図13A)。G対立遺伝子を有する対象は、循環血清ET-1濃度が高かった(LS平均1.59pg/mL対1.28pg/mL;差0.31pg/mL;0.10~0.52;P=0.005;図13B)。侵襲的インテロゲーションでは、G対立遺伝子が増えるごとにCMDと線形に関連した(図14A;P=0.021)。多変数分析では、G対立遺伝子は依然としてCMDと関連した(G対立遺伝子あたりのOR2.31;1.08~4.91;P=0.030)。
Figure 2022520206000003
微小血管機能障害の診断的サブタイプを考慮すると、大部分がアデノシンによるインテロゲーションの間にCMDを有し(73%で異常なCFRおよび/またはIMR)、遺伝子型決定された集団の27%のみが孤立性微小血管攣縮(AChのみに対する孤立性CMD)を有した。冠血管拡張予備能の機能不全によって反映されるように、遺伝子型とCMDとの間に統計的に有意な関係が存在した(異常なCFR:AA20%、AG35%およびGG41%;図14B;P=0.030)。各遺伝子型の異常な微小血管抵抗の有病率に関して同様の関係が認められた(異常なIMR:AA24%、AG33%およびGG46%;図14C;P=0.029)。冠血流予備能は、rs9349379-G対立遺伝子が増えるごとに線形に減少した[AA3.0(2.1~3.7);AG2.7(1.8~3.5);GG2.1(1.7~3.2);全体P=0.046;図14D;表3]。最大リスク群(GG)は、AA群より顕著に低いCFRを有した(中央値の差0.84、95%CI 0.1~1.1)。異常な侵襲的ACh応答の有病率は、群間で有意に異ならなかった(G対立遺伝子有り36%対G対立遺伝子なし30%、P=0.463)。AChに対する孤立性CMD(微小血管攣縮)を有する患者は、有さない患者と同様のET-1レベルを有した(1.33ng/mL対1.28ng/mL;P=0.769)。最大の血清ET-1レベルは、CFRとIMRの両方で一致した異常を有する対象で見られ、CMDの指標が1つのみの対象と比較して線形の段階的な低減を伴い、異常を有さない対象で最低であった[平均1.67ng/mL(両方)対1.39ng/mL(1つ)対1.31ng/mL(なし);P傾向=0.041]。
Figure 2022520206000004
冠動脈アテローム性動脈硬化の程度(または負荷量)を反映するGensini血管造影スコアは、AA群[中央値のスコア0.0(0.0~2.0);P=0.037;表3]と比較してrs9349379-GG群[中央値のスコア1.0(0.0~6.0)]で高かった。このINOCA患者集団で予想され得るように、心外膜CADの生理学的負荷量は群間で同様であった[心筋FFR、AA0.88(±0.05);AG0.88(0.06);GG0.88(±0.05);P=0.977]。
107名の対象が、侵襲的血管造影の6週間以内にアデノシン負荷灌流心臓磁気共鳴画像法(MRI)を受けた。46名(43%)の患者がCMDに起因する心筋灌流の心内膜下の円周方向の異常のエビデンスを有した(表3)。rs9349379-G対立遺伝子は、負荷灌流MRIによって明らかにされた異常な心筋灌流と関連した(AA31%、AG43%、GG56%;P=0.042、図15A)。遺伝子型とCMDの関連は、MRIによって明らかにされた円周方向の心内膜下灌流欠損またはCMDの侵襲的エビデンスのいずれかを有する対象を考慮すると、さらにロバストであった(AA65%、AG85%、GG91%;P<0.001;図15B)。絶対的な全体および心内膜下灌流予備能(MPR)は、G対立遺伝子ごとに数値が低下した。しかし、差は統計的に有意ではなかった(表3;図15CおよびD)。
次に、運動トレッドミル検査、冠血管機能の侵襲的測定および遺伝子型の間の関係を評価した。90名の対象が、侵襲的冠動脈血管造影法に先立ち標準医療の診断精密試験の間に運動トレッドミル検査を前もって完了し、これらの対象のうち84名が研究に含まれ、残りの患者は遺伝子型データの欠如のために除外された。平均運動継続時間は367秒(±156秒)であり、群間で同様であった(表3)。平均DTSは-1.0(±5.3)単位であった。CMDの存在はDTSの低下と関連した(CMD-2.3対CMDなし+3.5;差-5.8単位、95%CI -8.2~-3.3;P<0.001;図15E)。
全体的に、CMDの存在とDTSの間に中等度の逆相関が存在した(スピアマンのrho=-0.42;P<0.001)。遺伝子型とDTSの両方が入手可能であった84名の患者のコホートを考慮すると、ET-1遺伝子の増強による虚血の増加と一貫して、G対立遺伝子が増えるごとにDTSが低下した。AA群と比較した高リスク対象(マイナーG対立遺伝子についてホモ接合性)の事前分析により、DTSの-3.0単位の平均差が明らかになった(95%CI -5.8~-0.1;P=0.045)(図15F)。
連続DTSと遺伝子型の間に、統計的に有意でないわずかな相関が存在した(スピアマンのrho-0.21;P=0.055)。運動中の狭心症指標は、G対立遺伝子状況と線形に関連した(非制限または制限狭心症 AA59%対AG68%対GG87%;P傾向=0.036)。運動時間は、G対立遺伝子を有する対象の間で有意に低下しなかった(365対392秒;P=0.423)。
68名の遺伝子型決定された対象が血管生物学サブ研究への参加に同意し、冠動脈血管造影法の4週間以内の臀部皮下生検について書面によるインフォームドコンセントを提供した。生検を行うことを志願した対象は、サブ研究への参加を辞退した対象と年齢および心臓リスクが同様であった[生検参加者の平均年齢62±9歳対61±11歳(P=0.134)、ASSIGNスコア23%±18対28%±23(P=0.198)]。これらの患者のうち44名(65%)が、BQ123またはジボテンタン(ZD4054、AstraZeneca、Cambridge、UK)のいずれかのET受容体アンタゴニストの存在下および非存在下での、ET-1に対する対になったCCRCに供するのに十分な数の小動脈を有する生検を有した。
遺伝子型による群分け(AA、n=16;AG、n=14;GG、n=14)およびAChに対する血管拡張応答(ACh Emax)は同様であった(表4)。同様に、血管は同様のET-1に対する効力(pEC50 AA9.34、AG9.45およびGG9.32;P=0.533)およびET-1に対する最大血管収縮(Emax AA122.3%、AG115.5%、GG129.7%;P=0.533;図16A;表4)を有した。特に、選択的ETA受容体アンタゴニストであるBQ123は、CCRCの平行の右方向のシフトをもたらし、AA、AGおよびGG群間で同等のpK値を有した[それぞれ7.07(±0.23)、7.79(±0.35)および7.41(±0.26)のpK値;P=0.209;図16B]。高度に選択的な経口活性ETA受容体アンタゴニストであるジボテンタンは、ET-1に対する収縮応答を減弱させ、pKは7.54(95%CI 7.27~7.82)でBQ123のもの、pK7.53と同等であった(95%CI 7.37~7.69)。
重要なことに、これらの研究により、ジボテンタンがET-1に対する確立された収縮応答の濃度依存的阻害をもたらし、かつ依然としてG対立遺伝子を有する対象で効果的であったことが確認された(P<0.001;図16C)。図17は、従来の心血管リスク因子を少ししか有さないが、高リスクのET-1エンハンサー遺伝子型(GG)を有する女性対象からの代表的な調査を示す。
Figure 2022520206000005
考察:本発明者らは、CMDの新規の遺伝的リスク遺伝子座を特定する。本発明者らの研究は、動脈血管運動との遺伝子型の関連に関するWISE調査員からの報告を拡張する13A。本発明者らの結果は、ET-1/ET受容体系の調節不全が冠微小循環における異常の基盤となり、心筋虚血をもたらすという仮説を支持する。第1に、rs9349379-G対立遺伝子状況は、狭心症を有するが閉塞性冠疾患を有さない患者における血清ET-1の増加ならびにCMDの存在および程度に関連する。第2に、遺伝子多型は、運動負荷心電図および負荷灌流CMRを含む、顕著に異なる非侵襲的モダリティーを使用する虚血検査に関連する。第3に、本発明者らは、ex vivoでヒトの末梢抵抗小血管において、rs9349379-G対立遺伝子を有する患者におけるエンドセリン遺伝子発現の増加およびET-1活性の存在下で、ET血管収縮応答が下方調節されないことを実証する。最後に、本発明者らは、経口活性の高度に選択的なET受容体アンタゴニストであるジボテンタンの、確立されたET-1媒介性血管収縮の逆転における役割を支持する概念実証となる機構的データを提供する。ジボテンタンがこの患者集団における新規の疾患修飾療法としてリポジショニングに利用可能であるため、これらの所見は潜在的な臨床的関連性を有する。本発明者らの研究結果は、SNP rs9349379の遺伝子検査を含む「微小血管狭心症におけるジボテンタンによる精密医療(Precision Medicine with Zibotentan in Microvascular Angina)(PRIZE)」試験および関連付けられる療法(ClinicalTrials.gov識別子:NCT04097314)の根拠を支持する。
エンドセリン調節不全:CMDの実験モデルでの前臨床研究は、心臓でのET-1産生の増加が内皮調節不全、rhoキナーゼおよびスーパーオキシドなどの反応性酸化種の血管発現の増強、ならびにET-1媒介性血管収縮の増強をもたらすことを暗示する38A。狭心症を有するが閉塞性CADを有さない患者において、微小血管調節不全は、末梢内皮調節不全および末梢小血管血管収縮の増強を特徴とする全身性の現象である31A、39A。さらに、冠微小血管機能の機能不全および心筋虚血の傾向は、主要有害心臓イベントの長期的なリスクを増加させる可能性がある40A、41A
将来の第II相研究を要する臨床解釈の潜在性が高いジボテンタンを使用したため、本発明者らの研究は顕著であり、微小血管狭心症におけるET-1の本発明者らの以前の血管研究をさらに強化する31。加えて、対象はCMDの有無ではなく、ET-1のrs9349379-G対立遺伝子状況によって分析された。rs9349379-G対立遺伝子状況によって反映されるように、ET-1の増加した循環濃度への長期的な曝露は、微小血管狭心症を有する患者でET媒介性ET-1血管収縮に対する下方調節をもたらさなかったことが観察された。逆SNP(rs9349379-A)は、典型的にアテローム性動脈硬化を有さない患者で生じる特発性冠動脈解離(SCAD)に関連することが近年見出されている21A。この所見は、特に微小血管機能はSCADにおいて典型的に正常であることを考慮すると、本発明者らの研究と一致する42A
本発明者らは、rs9349379-G対立遺伝子が血清ET-1レベルの上昇と関連したことを示し、これはSNPが健康な対象においてET-1およびその前駆体(ビッグET-1)レベルの上昇と関連するという以前の研究と一致する。興味深いことに、本発明者らのINOCA集団におけるET-1血漿濃度は、肺動脈高血圧を含む他の状態におけるET-1血漿濃度と同等であるが43A、他のINOCAコホートにおける濃度より低い44A。本発明者らは、内皮細胞から下部の血管平滑筋へのET-1の反管腔側分泌は、ET-1の循環濃度が血管組織におけるET-1活性の不完全な尺度であることを意味すると認識している45A。循環ET-1の長期的な上昇により、その内在性Gタンパク質共役受容体の適応的下方調節がもたらされる可能性がある。この現象は、除去機能を有するET受容体がノックアウトされたマウスにおけるET受容体で説明されている46A。血圧を含む心血管リスク因子は、本発明者らの集団ではrs9349379-G対立遺伝子と関連しなかったが、さらに大規模な集団では逆関連が観察されている17A。これは、アテローム発生およびCADとのその関連を考慮すると、特に興味深い。健康な集団における過剰なET-1効果は、ET誘導性一酸化窒素およびプロスタサイクリン産生、結果として生じる血管拡張、利尿およびナトリウム利尿を介して血圧低下を媒介すると考えられている47A。本発明者らの研究は、高血圧の治療によって交絡される可能性もあるベースラインの血圧の有意差を決定するには力不足であった。
微小血管狭心症は、満たされていない治療必要性を有する長期的な消耗性状態である。本発明者らの血管薬理学所見は、ET-1の循環濃度への曝露の生涯にわたる増強をもたらす可能性がある、rs9349379-G対立遺伝子状況に基づくエンドセリン遺伝子発現が増強する遺伝的傾向にもかかわらず、ET-1応答に対する正味の効果またはETアンタゴニストへの感受性は、rs9349379対立遺伝子状況別の群間で同様であったことを示す。ET受容体は、罹患患者で下方調節されない可能性があり、ジボテンタンなどの選択的ET受容体アンタゴニストによる治療による健康上の利益に対する潜在性が向上する。重要なことに、BQ123はすべての群において収縮応答を完全に遮断した。本発明者らの血管薬理学研究は、rs9349379-G対立遺伝子状況、ET-1血管作用性応答とET受容体遮断との間の関係に特に焦点を置いた。微小血管狭心症を有する患者は、経口ET受容体遮断薬療法に対して同様の組織応答を示す可能性があり、この重要な可能性はさらに評価に値する(NCT04097314)。
微小血管狭心症を有する患者における機構的無作為化対照試験において、JohnsonおよびGould48Aは、ET受容体の拮抗作用によって安静時心筋灌流の均一性が増加した(向上した)ことを報告している。この研究は、心臓の陽電子放出断層撮影(PET)を使用して均一性指標(PETに由来する均一性の視覚的な見解)を定量した49A。Kaski et al.50Aは、微小血管狭心症を有する患者がET-1の増加した循環濃度に曝露され、これがひいては冠血管抵抗の増加および冠血流の機能不全に関連したことを示している。近年、Theuerle et al.51Aは、32名のINOCA患者において血漿ET-1が侵襲的CMDと関連することを示したが、この関係はCFRの機能不全ではなく微小血管抵抗の上昇によって引き起こされるものであった。
限界:本発明者らは、機能的SNPがCMDに関連付けられるという説得力のある機構的エビデンスを説明する。本発明者らは、CMD分類のための受け入れられているガイドラインに従ったが、いずれの分類システムにも注意事項が存在することが認識され、それらを認めることもこの研究に重要である。第1に、本発明者らはIDP試験についてバイナリカットオフを採用した。不確定(グレーゾーンまたはボーダーライン)試験結果によって一部の患者が誤判別された可能性がある。さらに、CMDを有する患者は異質性であり、異なる種類の微小血管機能障害、例えば血流予備能の機能不全、微小血管抵抗の増加、異常なACh応答を有する患者が統合された。それにもかかわらず、罹患患者の血管表現型は、全身アデノシンの間の異常な冠微小血管応答、冠動脈内AChに対する異常な血管運動応答またはその両方のための総合指針に基づく冠血管機能障害のものであった6A。このアプローチの裏付けとして、本発明者らはCMDと運動トレッドミルによる非侵襲的虚血検査との間に高度な線形関係を観察した(図15F)。さらに、多くの同様の心血管障害、例えば駆出率が保持された心不全を考慮した場合、異質性は例外ではなく標準である52A。CMDの種類、すなわち構造的微小血管疾患(すなわちIMRの上昇)および血管拡張予備能の機能障害(CFRの低下)別の本発明者らの層別化感受性分析(表3)により、本発明者らの橋渡し研究の設計がさらに支援される。第2に、すべての患者がトレッドミル運動検査を受けたわけではない。
試験は、中央検査室(core laboratory)ではなく標準医療および臨床試験の一部として示され、分析のための報告が入手可能であった。それにもかかわらず、試験はブルース(Bruce)のプロトコールに従って実施され、結果はrs9349379対立遺伝子状況に対して盲検化された標準化された方法で決定された。トレッドミル運動検査は虚血の不完全な尺度であるため、rs9349379-G対立遺伝子と心外膜CADの既知の関連は交絡因子であることが妥当と思われる。GouldおよびJohnson53Aは近年、入口部分枝血管のフラッシュ閉塞が、狭窄を伴わない視覚的に「正常の」血管造影にもかかわらず生じる虚血をどのように説明できるかについて強調している。一方で、DTSにはCMD患者における有用性が実証された発達した関連文献が存在する54A、55A。標本サイズが比較的小規模であり、ベースラインの差が測定されない可能性があることから、第1種の過誤の可能性が増大する。第3に本発明者らは、経橈骨動脈アクセス、冠動脈造影法および侵襲的冠血管反応性検査に関する手順の安全性を促進するために、短時間作用GTN(100~200μg)の用量を動脈内投与した。理論的に、GTNはAChに対する血管応答に影響を及ぼし得る;しかし、GTNの半減期はおよそ2分である。したがって、10分後にはGTN用量の3%しかバイオアベイラブルでなく、微小血管の血管攣縮についての交絡および偽陰性試験の潜在性は低いと考えられる。
反対に、陽性のACh試験は真の安静時血流の評価と交絡し、偽のCFR低下を導く可能性があるため、本発明者らはアデノシン評価後のACh検査を支持する。最後に、本発明者らはScotlandからの本発明者らのコホート内の対立遺伝子有病率を、プールされた他施設の最新医療ゲノム参照対照群と比較した。本発明者らの研究は、本発明者らの対象と同じ地域および民族背景からの対照比較群によって強化された可能性がある。さらに、SNPは集団全体でハーディー・ワインベルグ平衡を満たさなかったが、CMDを有さないこの研究からの対照群は平衡と一致した(x2.99、P=0.084)。CMD群では、目的のrs9349379-G対立遺伝子とのその関連のためにHWが満たされなかったとするのが妥当である。この研究は単一の遺伝子座の断面分析であり、臨床的に興味深い関連のある所見を提供するが、他の重要な遺伝的リスク決定因子を見落とす場合がある。
臨床解釈:特に小規模な標本サイズおよび異質性の患者集団を考慮すると、これらの観察は仮説生成型である。所見は他のCMDコホートにおける外部検証を必要とし、一方で異なる領域からの集団での将来の研究が有用な背景をもたらす可能性がある。全体的に本発明者らの研究は、心臓の微小血管疾患を有する患者におけるETのモジュレーションとは顕著に異なる選択的なET遮断に対する論拠を支持する。経口ET選択的遮断薬は、微小血管の血管攣縮の傾向を減弱させ、冠血流を増加させ、さらにNO媒介性放出によって冠動脈の内皮機能を向上させることによって治療潜在性を示す56A。ジボテンタンは、すべての経口活性ET受容体アンタゴニストの中で最もET選択的であるとして有望な1つの化合物であり、そのため微小血管狭心症に使用するのに特に適する。患者における選択的ET受容体アンタゴニスト療法を使用する、遺伝子型に基づく標的化アプローチがPRIZE試験で評価されている(NCT04097314)。
結論:本発明者らは、CMDの遺伝的リスク遺伝子座を特定した。一般的な遺伝子多型(SNP rs9349379-G対立遺伝子)は、狭心症を有するが閉塞性CADを有さない対象におけるET-1の増加、および虚血の侵襲的CMDと非侵襲的試験の両方と関連した。機構的ex vivo研究により、この機能的対立遺伝子を有する対象がET受容体遮断に対する保持された応答を示すことが確認された。経口活性ET受容体アンタゴニストであるジボテンタンは、確立されたET-1媒介性血管収縮を逆転させた。この研究は狭心症患者に希望をもたらすが、CMDがETアンタゴニスト療法の潜在的な新規の疾患サブタイプであるかどうかを決定するには将来の試験が必要である。
参考文献
本発明および本発明が属する最新技術をより詳細に記載し開示するために、多数の刊行物が上記で列挙される。これらの参考文献の完全な列挙を以下に提供する。これらの参考文献のそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
番号付き参考文献(実施例5を除く)
Figure 2022520206000006
Figure 2022520206000007
実施例5の番号付き参考文献
Figure 2022520206000008
Figure 2022520206000009
Figure 2022520206000010
Figure 2022520206000011
Figure 2022520206000012
標準分子生物学技術については、Sambrook, J., Russel, D.W. Molecular Cloning, A Laboratory Manual. 3 ed. 2001, Cold Spring Harbor, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。

Claims (16)

  1. INOCAを有する患者において狭心症を治療する方法であって、患者にジボテンタンを投与することを含む方法における使用のためのジボテンタン。
  2. INOCAが微小血管狭心症である、請求項1に記載の使用のためのジボテンタン。
  3. 患者が、薬理学的プローブと組み合わせた診断用ガイドワイヤを使用して患者の心臓の微小血管抵抗指数(IMR)、冠血流予備能(CFR)、抵抗予備能比(RRR)またはアセチルコリン(ACh)血管反応性を測定することにより治療のために選択されている、請求項1または請求項2に記載の使用のためのジボテンタン。
  4. 患者が、患者の心臓における冠微小血管機能障害の存在を定量/診断するための負荷灌流MRIを使用して治療のために選択されている、請求項1または請求項2に記載の使用のためのジボテンタン。
  5. 患者が、患者のゲノムのrs9349379遺伝子座の検出を含む方法によって治療のために選択されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のためのジボテンタン。
  6. rs9349379遺伝子座がG対立遺伝子についてホモ接合性またはヘテロ接合性である、請求項5に記載の使用のためのジボテンタン。
  7. 標準化されたトレッドミル試験において測定される患者の平均運動継続時間が治療後に増加する、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのジボテンタン。
  8. 狭心症の重症度が、狭心症がCCS狭心症分類スケールのより下位のクラスに入るとみなされるように低減する、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のためのジボテンタン。
  9. 対象の冠動脈に近位圧力センサーおよび遠位圧力センサーを有するガイドワイヤを挿入すること、近位圧力センサーが冠動脈内に位置し、遠位圧力センサーが冠微小血管内に位置するようにガイドワイヤを位置決定することによって、対象の微小血管狭心症を診断する方法であって、前記方法は、血流予備量比(FFR)および冠血流予備能(CFR)を測定すること、微小血管抵抗指数(IMR)および/または抵抗予備能比(RRR)を計算することを含み、対象がIMR>25および/またはCFR<2.0および/またはRRR<2.0である場合に微小血管狭心症と診断される、方法。
  10. ガイドワイヤに付随するマイクロカテーテルまたはガイドカテーテルのいずれかによってアセチルコリン(ACh)を冠動脈内腔に注入し、冠微小血管における攣縮を誘発する、請求項10に記載の微小血管狭心症を診断する方法。
  11. AChが、約10-6Mの注入から100mcgのICボーラスまでの範囲にわたる漸増濃度で投与される、請求項10に記載の微小血管狭心症を診断する方法。
  12. 太い末梢静脈を介してアデノシンを静脈内注入で投与し、ガイドワイヤの挿入前に定常状態の最大充血を誘導する、請求項10~12のいずれか一項に記載の微小血管狭心症を診断する方法。
  13. 対象において微小血管狭心症を診断する方法における使用のためのガイドワイヤであって、前記方法は、対象の冠動脈に診断用ガイドワイヤを挿入すること、近位圧力センサーが冠動脈内に位置し、遠位圧力センサーが冠微小血管内に位置するようにガイドワイヤを位置決定することを含み、前記方法は、血流予備量比(FFR)および冠血流予備能(CFR)を測定すること、微小血管抵抗指数(IMR)および/または抵抗予備能比(RRR)を計算することを含み、対象がIMR>25および/またはCFR<2.0および/またはRRR<2.0である場合に微小血管狭心症と診断される、ガイドワイヤ。
  14. ガイドワイヤまたはガイドワイヤに付随するガイドカテーテルのいずれかによってアセチルコリン(ACh)を冠動脈内腔に注入し、冠微小血管における攣縮を誘発する、請求項13に記載の使用のためのガイドワイヤ。
  15. AChが、約10-6Mの注入から100mcgのICボーラスまでの範囲にわたる漸増濃度で投与される、請求項14に記載の使用のためのガイドワイヤ。
  16. 太い末梢静脈を介してアデノシンを静脈内注入で投与し、ガイドワイヤの挿入前に定常状態の最大充血を誘導する、請求項14に記載の使用のためのガイドワイヤ。
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