しかしながら、これらのアプローチを適用することで得られる結果は、様々なシナリオで改善され得る。
したがって、トランシーバのプリコーディング設定のための代替アプローチが必要である。好ましくは、そのようなアプローチは、電力制御も提供する。
本明細書において使用される用語"備える/含む"は、述べられた特徴、整数、ステップ、又は、コンポーネントの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、コンポーネント、又は、それらのグループの存在、或いは、追加を除外するものではないことが強調されるべきである。単数形式は、文脈が明らかに他の場合を示している場合を除き、複数形式を含むことが意図される。
一般に、配置が本明細書で言及されるとき、それは、例えば、装置といった、物理的な製品として理解されるべきである。物理的な製品は、1つ又は複数のコントローラ、1つ又は複数のプロセッサ等の形態の制御回路等の1つ又は複数の部品を含み得る。
幾つかの実施形態の目的は、上記又は他の不利な点の少なくとも幾つかを解決、軽減、緩和又は除去することである。
第1態様は、信号のストリームへの空間多重化及び空間的に多重化されたストリームの送信のために構成された送信機ノードでのプリコーディング方法であり、各ストリームは受信機ノードに向けられる。
送信機ノード及び/又は受信機ノードは、順方向チャネル及び逆方向チャネルの内の1つ又は複数に対して信号歪みを引き起こす少なくとも1つのハードウェアコンポーネントを備える。
本方法は、チャネル推定のための送信機ノード参照信号を(受信機ノード受信プリコーディング設定の選択のために)送信することを含み、送信機ノード参照信号は、送信機ノード送信プリコーディング設定及び割当送信電力の使用から生じる。
本方法はまた、チャネル推定のための受信機ノード参照信号を(受信機ノードから)受信することを含み、受信機ノード参照信号は、選択された受信機ノード受信プリコーディング設定の受信機ノード送信プリコーディング設定としての使用から生じる。
本方法は、さらに、受信したチャネル推定のための受信機ノード参照信号の逆方向チャネル妨害成分(逆方向チャネルの信号歪みを含む)を推定することと、推定した逆方向チャネル妨害成分に基づいて送信機ノード受信プリコーディング設定を選択することと、選択した送信機ノード受信プリコーディング設定を送信機ノード送信プリコーディング設定として使用することにより、送信機ノード送信プリコーディング設定を更新することと、を含む。
幾つかの実施形態において、受信したチャネル推定のための受信機ノード参照信号の逆方向チャネル妨害成分を推定することは、受信したチャネル推定のための受信機ノード参照信号及び逆方向チャネルの信号歪みモデルに基づいて、干渉共分散行列を推定することを含む。
幾つかの実施形態において、送信機ノード受信プリコーディング設定を選択することは、推定した逆方向チャネル妨害成分、逆方向チャネルの推定値及び受信機ノード送信プリコーディング設定に基づいて、逆方向ャネルの信号対妨害比を判定することと、逆方向チャネルの信号対妨害比に基づいて、送信機ノード受信プリコーディング設定を選択することと、を含む。
幾つかの実施形態において、本方法は、さらに、送信ステップの後に、更新された割当送信電力の電力割当係数を受信すること、又は、送信されたチャネル推定のための送信機ノード参照信号の推定した順方向チャネル妨害成分を受信し、順方向チャネル妨害成分に基づいて、更新された割当送信電力を判定することと、を含む。
第2態様は、送信機ノードからの少なくとも1つの空間多重化されたストリームを受信する様に構成された受信機ノードでのプリコーディング方法である。
送信機ノード及び/又は受信機ノードは、順方向チャネル及び逆方向チャネルの内の1つ又は複数に対して信号歪みを引き起こす少なくとも1つのハードウェアコンポーネントを備える。
本方法は、チャネル推定のための送信機ノード参照信号を(送信機ノードから)受信することを含み、送信機ノード参照信号は、送信機ノード送信プリコーディング設定及び割当送信電力の使用から生じる。
本方法は、また、受信したチャネル推定のための送信機ノード参照信号の順方向チャネル妨害成分(順方向チャネルの信号歪みを含む)を推定することと、推定した順方向チャネル妨害成分に基づいて、受信機ノード受信プリコーディング設定を選択することと、選択した受信機ノード受信プリコーディング設定を受信機ノード送信プリコーディング設定として使用することにより、受信機ノード送信プリコーディング設定を更新することと、を含む。
さらに、本方法は、チャネル推定のための受信機ノード参照信号を(送信機ノード受信プリコーディング設定の選択のために)送信することを含み、受信機ノード参照信号は、更新した受信機ノード送信プリコーディング設定の使用から生じる。
幾つかの実施形態において、受信したチャネル推定のための送信機ノード参照信号の順方向チャネル妨害成分を推定することは、受信したチャネル推定のための送信機ノード参照信号及び順方向チャネルの信号歪みモデルに基づいて、干渉共分散行列を推定することを含む。
幾つかの実施形態において、受信機ノード受信プリコーディング設定を選択することは、推定した順方向チャネル妨害成分、順方向チャネルの推定値及び送信機ノード送信プリコーディング設定に基づいて、順方向チャネルの信号対妨害比を判定することと、順方向チャネルの信号対妨害比に基づいて、受信機ノード受信プリコーディング設定を選択することと、を含む。
幾つかの実施形態において、本方法は、さらに、順方向チャネル妨害成分に基づいて、更新された割当送信電力を判定し、更新した割当送信電力の電力割当係数を送信すること、又は、送信したチャネル推定のための送信機ノード参照信号の推定した順方向チャネル妨害成分を送信すること、を含む。
第1態様及び第2態様のいずれかの幾つかの実施形態において、更新した割当送信電力を判定することは、順方向チャネル妨害成分、ストリームのデータレート、順方向チャネルの推定値、送信機ノード送信プリコーディング設定及び受信機ノード受信プリコーディング設定に基づいて、各ストリームの割当送信電力を最小化することを含む。
第1態様及び第2態様のいずれかの幾つかの実施形態において、方法は、方法ステップを反復することをさらに含む。
例えば、方法ステップは、停止基準が満たされるまで繰り返され得る。停止基準は、例えば、繰り返しが最大回数だけ実行されることと、送信機ノード送信プリコーディング設定及び/又は受信機ノード送信プリコーディング設定が更新時に変更されないことと、信号のパフォーマンスメトリックが閾値基準を満たすことと、の内の1つ以上を含み得る。
方法のステップが繰り返される場合、送信機ノード送信プリコーディング設定及び受信機ノード送信プリコーディング設定の内の1つ以上の開始は、デフォルト設定又は最近使用した設定を使用することを含み得る。
第1態様及び第2態様のいずれかの幾つかの実施形態において、信号歪みは、電力増幅器の非線形歪み、信号クリッパの非線形歪み、発振器の位相雑音、フィルタの非線形歪み及びデジタルアナログ変換器の量子化雑音の内の1つ又は複数を含む。
第3態様は、プログラム命令を含むコンピュータプログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を有するコンピュータプログラム製品である。コンピュータプログラムは、データ処理ユニットにロード可能であり、データ処理ユニットによりコンピュータプログラムが実行されると、第1態様及び/又は第2態様による方法を実行させる様に構成されている。
第4態様は、信号のストリームへの空間多重化のために構成された送信機ノードのためのプリコーディング装置であり、各ストリームは受信機ノードに向けられる。
送信機ノード及び/又は受信機ノードは、順方向チャネル及び逆方向チャネルの内の1つ又は複数に対して信号歪みを引き起こす少なくとも1つのハードウェアコンポーネントを備える。
装置は、チャネル推定のための送信機ノード参照信号を(受信機ノード受信プリコーディング設定の選択のために)送信させる様に構成された制御回路を含み、送信機ノード参照信号は、送信機ノード送信プリコーディング設定及び割当送信電力の使用から生じる。
制御回路は、また、チャネル推定のための受信機ノード参照信号を(受信機ノードから)受信させる様に構成され、受信機ノード参照信号は、選択した受信機ノード受信プリコーディング設定の受信機ノード送信プリコーディング設定としての使用から生じる。
制御回路は、さらに、受信したチャネル推定のための受信機ノード参照信号の逆方向チャネル妨害成分(逆方向チャネルの信号歪みを含む)の推定と、推定した逆方向チャネル妨害成分に基づく送信機ノード受信プリコーディング設定の選択と、選択した送信機ノード受信プリコーディング設定を送信機ノード送信プリコーディング設定として使用することによる送信機ノード送信プリコーディング設定の更新と、を実行させる様に構成される。
第5態様は、第4態様の装置を含む、基地局又はアクセスポイント等の送信ノードである。
第6態様は、送信機ノードからの少なくとも1つの空間多重化されたストリームを受信する様に構成された受信機ノードのためのプリコーディング装置である。
送信機ノード及び/又は受信機ノードは、順方向チャネル及び逆方向チャネルの内の1つ又は複数に対して信号歪みを引き起こす少なくとも1つのハードウェアコンポーネントを備える。
装置は、チャネル推定のための送信機ノード参照信号を(送信機ノードから)受信させる様に構成された制御回路を含み、送信機ノード参照信号は、送信機ノード送信プリコーディング設定及び割当送信電力の使用から生じる。
制御回路は、さらに、受信したチャネル推定のための送信機ノード参照信号の順方向チャネル妨害成分(順方向チャネルの信号歪みを含む)の推定と、推定した順方向チャネル妨害成分に基づく受信機ノード受信プリコーディング設定の選択と、選択した受信機ノード受信プリコーディング設定を受信機ノード送信プリコーディング設定として使用することによる受信機ノード送信プリコーディング設定の更新と、を実行させる様に構成される。
制御回路は、さらに、チャネル推定のための受信機ノード参照信号を(送信機ノード受信プリコーディング設定の選択のために)送信させる様に構成され、受信機ノード参照信号は、更新した受信機ノード送信プリコーディング設定の使用から生じる。
第7態様は、第6態様の装置を含む、ユーザ装置等の受信ノードである。
幾つかの実施形態において、上記態様のいずれかは、さらに、他の態様のいずれかで述べた種々の特徴のいずれかに対応する特徴、或いは、同じ特徴を有し得る。
幾つかの実施形態の利点は、トランシーバのプリコーディング設定のための代替アプローチが提供されることである。
幾つかの実施形態の別の利点は、ハードウェアコンポーネントが信号歪みを引き起こすときに適切なプリコーディング設定が達成されることである。
幾つかの実施形態の別の利点は、ハードウェアコンポーネントが信号歪みを引き起こすときに適切な電力制御が提供されることである。
さらなる目的、特徴及び利点は、以下の、図面を参照して行う実施形態の詳細な記述により明らかになる。図面は必ずしも原寸に比例しておらず、代わりに例示的な実施形態を説明することに重点が置かれている。
上述した様に、本明細書において使用される用語"備える/含む"は、述べられた特徴、整数、ステップ、又は、コンポーネントの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、コンポーネント、又は、それらのグループの存在、或いは、追加を除外するものではないことが強調されるべきである。単数形式は、文脈が明らかに他の場合を示している場合を除き、複数形式を含むことが意図される。
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して、以下により完全に説明及び例示される。しかしながら、本実施形態は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
上述した様に、高度なアンテナシステムの課題は、送信機ノードでのビームフォーミング(送信機ノード送信プリコーディング設定)と受信機ノードでのフィルタリング(受信機ノード受信プリコーディング設定)を適切に選択することと、ユーザに割り当てられる送信電力を適切に制御することである。
送信機/受信機プリコーディング設定と電力制御の以前のアプローチでは、通常、実効信号対干渉及び雑音比(SINR)をメトリックとして使用し、ハードウェア機能障害(無線周波数等)によって引き起こされる歪みを考慮していない。ハードウェア機能障害によって引き起こされる歪みの例は、電力増幅器の非線形効果、発振器の位相雑音、信号クリッパの非線形歪み、フィルタの非線形歪み及びデジタル-アナログ変換器(DAC)の量子化雑音を含む。
したがって、これらの以前のアプローチから得られるパフォーマンスは、たとえば、ハードウェアの機能障害によって引き起こされる歪みが顕著である場合には改善され得る。ハードウェア機能障害のモデルに基づく信号対干渉及び雑音及び歪み比(SINDR)が、送信機/受信機プリコーディング設定及び電力制御のために(SINRの代わりに)考慮され得る。ハードウェア機能障害のモデルは、任意の適切なモデル、例えば、多項式モデルであり得る(例えば、3次、5次等の1つ以上の歪み成分が近似として使用され得る)。
図1は、送信機(TX)ノード100及び受信機(RX)ノード150の例示的な方法ステップ及びシグナリングを示す、フローチャート及びシグナリング図の結合図である。送信機ノードは、信号のストリームへの空間多重化及び空間的に多重化されたストリームの送信を行う様に構成され、各ストリームは受信機ノードに向けられる。受信機ノードは、送信機ノードから少なくとも1つの空間多重化ストリームを受信する様に構成される。
送信機ノードは、例えば、基地局又はアクセスポイント等のネットワークノードであり、受信機ノードは、例えば、ユーザ装置等の無線通信デバイスであり得る。
送信機ノード及び/又は受信機ノードは、順方向チャネル(送信機ノードと受信機ノードの間)及び逆方向チャネル(受信機ノードと送信機ノードの間)の内の1つ又は複数に対して信号歪みを引き起こす少なくとも1つのハードウェアコンポーネントを含む。
図1に示されている動作の少なくとも一部は、たとえば、送信機ノードでのビームフォーミングの選択(送信機ノード送信プリコーディング設定)や、受信機ノードでのフィルタリングの選択(受信機ノード受信プリコーディング設定)等のプリコーディングのためのものである。
方法が開始されると(たとえば、方法の最初の繰り返しの間)、送信機ノード送信プリコーディング設定及び/又は受信機ノード送信プリコーディング設定は、例えば、最近使用された送信機/受信機ノード送信プリコーディング設定を使用することによって、或いは、デフォルトの送信プリコーディング設定を使用することによって初期化され得る。デフォルトのプリコーディング設定の例は、無指向プリコーディング設定である。さらに、送信電力割り当ては、通常、例えば、最近使用された送信電力割り当てを使用することによって、或いは、デフォルトの送信電力割り当てを使用することによって初期化される。デフォルトの送信電力割り当ての例は、総ての送信ストリームに対する均一な送信電力割り当てである。
ステップ102において、送信機ノードは、送信機ノード参照信号(例えば、パイロット信号又は同様のもの)122を送信する。送信機ノード参照信号は、送信機ノード送信プリコーディング設定と割当送信電力を使用して生成される。
送信機ノード送信プリコーディング設定は、現在の送信機ノード送信プリコーディング設定であり得る(例えば、方法の最初の反復における初期の送信機ノード送信プリコーディング設定及び方法のその後の反復において更新された送信機ノード送信プリコーディング設定)。
割当送信電力は、現在割り当てられている送信電力であり得る(例えば、方法の最初の反復における最初の割当送信電力、及び、方法のその後の反復において更新された割当送信電力)。割当送信電力は、ストリーム毎の割当送信電力であり得る。
参照信号122は、順方向チャネルのチャネル推定のためのものであり、送信は、受信機ノード受信プリコーディング設定の選択のためのものである。一般に、受信プリコーディング設定は、検出器設定(たとえば、受信機のフィルタ設定)と見なすことができる。
送信機ノード参照信号は、ステップ152で受信機ノードによって受信される。ステップ154において、受信された送信機ノード参照信号の順方向チャネル妨害成分が推定され、順方向チャネル妨害成分は、(送信機ノード及び/又は受信機ノードのハードウェア機能障害によって引き起こされた)順方向チャネルの信号歪みを含む。信号歪みは、例えば、電力増幅器の非線形歪み、信号クリッパの非線形歪み、発振器の位相雑音、フィルタの非線形歪み及びデジタルアナログ変換器の量子化雑音の内の1つ又は複数を含む。
例えば、妨害成分は、干渉及び歪み、或いは、干渉、雑音及び歪みを含み得る。
受信したチャネル推定のための送信機ノード参照信号の順方向チャネル妨害成分を推定することは、例えば、受信したチャネル推定のための送信機ノード参照信号及び順方向チャネルの信号歪みモデルに基づいて干渉共分散行列を推定することを含む。
次に、推定した順方向チャネル妨害成分に基づいて、ステップ156で受信機ノード受信プリコーディング設定が選択される。これにより、受信機ノード受信プリコーディング設定(受信機ノードで検出)は、ハードウェア機能障害によって引き起こされる歪みを考慮に入れる。
受信機ノード受信プリコーディング設定の選択は、例えば、最小平均二乗誤差(MMSE)受信機フィルタ、整合フィルタ、最尤(ML)検出器、ゼロ強制(ZF)検出器などを決定することを含み得る。
受信機ノード受信プリコーディング設定を選択することは、例えば、推定した順方向チャネル妨害成分、順方向チャネルの推定値及び送信機ノード送信プリコーディング設定に基づいて、順方向チャネルの信号対妨害比(例えば、信号対干渉及び雑音及び歪み比)を判定することと、順方向チャネルの信号対妨害比に基づいて受信機ノード受信プリコーディング設定を選択することと、を含む。
ステップ158において、受信機ノード送信プリコーディング設定は、選択した受信機ノード受信プリコーディング設定を受信機ノード送信プリコーディング設定として使用することによって更新される。これは、順方向チャネルと逆方向チャネルの間に相対性がある場合に特に適しているが、順方向チャネルと逆方向チャネルの間に相対性がない場合にも適切な結果が得られ得る。これにより、受信機ノード送信プリコーディング設定(受信機ノードでのビームフォーミング)は、ハードウェア機能障害によって引き起こされる歪みを考慮に入れる。
ステップ162において、受信機ノードは、受信機ノード参照信号(例えば、パイロット信号又は同様のもの)172を送信する。受信機ノード参照信号は、受信機ノード送信プリコーディング設定を使用して生成される。
受信機ノード送信プリコーディング設定は、現在の受信機ノード送信プリコーディング設定であり得る(例えば、更新した受信機ノード送信プリコーディング設定が無い場合、方法の最初の反復における初期の受信機ノード送信プリコーディング設定であり、利用可能な場合、更新した受信機ノード送信プリコーディング設定)。
参照信号172は、逆方向チャネルのチャネル推定のためのものであり、送信は、送信機ノード受信プリコーディング設定の選択のためのものである。
受信機ノード参照信号は、ステップ112で送信機ノードによって受信される。ステップ114において、受信した受信機ノード参照信号の逆方向チャネル妨害成分が推定され、逆方向チャネル妨害成分は、(送信機ノード及び/又は受信機ノードのハードウェア機能障害によって引き起こされた)逆方向チャネルの信号歪みを含む。
例えば、妨害成分は、干渉及び歪み、或いは、干渉、雑音及び歪みを含み得る。
受信したチャネル推定のための受信機ノード参照信号の逆方向チャネル妨害成分を推定することは、例えば、受信したチャネル推定のための受信機ノード参照信号及び逆方向チャネルの信号歪みモデルに基づいて干渉共分散行列を推定することを含む。
次に、推定した逆方向チャネル妨害成分に基づいて、ステップ116で送信機ノード受信プリコーディング設定が選択される。これにより、送信機ノード受信プリコーディング設定(送信機ノードで検出)は、ハードウェア機能障害によって引き起こされる歪みを考慮に入れる。
送信機ノード受信プリコーディング設定を選択することは、例えば、最小平均二乗誤差(MMSE)受信機フィルタ、整合フィルタ、最尤(ML)検出器、ゼロ強制(ZF)検出器などを決定することを含み得る。
送信機ノード受信プリコーディング設定を選択することは、例えば、推定した逆方向チャネル妨害成分、逆方向チャネルの推定値及び受信機ノード送信プリコーディング設定に基づいて、逆方向チャネルの信号対妨害比(例えば、信号対干渉及び雑音及び歪み比)を判定することと、逆方向チャネルの信号対妨害比に基づいて送信機ノード受信プリコーディング設定を選択することと、を含む。
ステップ118において、送信機ノード送信プリコーディング設定は、選択した送信機ノード受信プリコーディング設定を送信機ノード送信プリコーディング設定として使用することによって更新される。これは、順方向チャネルと逆方向チャネルの間に相対性がある場合に特に適しているが、順方向チャネルと逆方向チャネルの間に相対性がない場合にも適切な結果が得られ得る。これにより、送信機ノード送信プリコーディング設定(送信機ノードでのビームフォーミング)は、ハードウェア機能障害によって引き起こされる歪みを考慮に入れる。
図1に示されるステップに加えて、受信機ノードはまた、順方向チャネル妨害成分に基づいて、更新後の割当送信電力を判定し(例えば、ステップ156、158、162のいずれかに関連して)、更新後の割当送信電力の電力割当係数を送信する(例えば、ステップ162に関連して)。次に、更新後の割当送信電力の電力割当係数は、送信機ノードによって受信され、方法の後続する反復のステップ102で使用され得る。
代替的又は追加的に、及び、図1に示されるステップに加えて、受信機ノードはまた、推定した順方向チャネル妨害成分を送信し得る(例えば、ステップ154、156、158、162のいずれかに関連して)。次に、推定した順方向チャネル妨害成分は、送信機ノードによって受信され、更新後の割当送信電力を判定するために使用され、これは、方法の後続する反復のステップ102で使用され得る。
いずれの場合でも、割当送信電力は、ストリーム毎の割当送信電力であり得る。
更新後の割当送信電力を判定することは、順方向チャネル妨害成分、ストリームのデータレート、順方向チャネルの推定値、送信機ノード送信プリコーディング設定及び受信機ノード受信プリコーディング設定に基づいて、各ストリームの割当送信電力を最小化することを含む。
一般に、送信機ビームフォーミング行列(ステップ118及び158)及び受信機フィルタリング行列(ステップ116及び156)は、各ストリームの信号対干渉及び雑音及び歪み比(SINDR)を最大化する様に設計され得る。
代替的又は追加的に、送信機ビームフォーミング行列(ステップ118及び158)、受信機フィルタリング行列(ステップ116及び156)及び割当送信電力は、通信の成功が保証され得る様に、各符号化データストリームに可能な最小電力を割り当てる様に設計され得る。
図1のループバック矢印で示す様に、本方法は、たとえば、停止基準が満たされるまで繰り返され得る。停止基準の例は、繰り返しの最大回数が実行されたことと、送信機ノード送信プリコーディング設定及び/又は受信機ノード送信プリコーディング設定が更新時に変更されないことと、信号のパフォーマンスメトリックが閾値基準を満たすことと、の内の1つ以上を含み得る。
送信機/受信機ノード送信/受信プリコーディング設定及び割当送信電力が決定されると、送信機ノードと受信機ノード間の通信において使用される。
図2は、送信機ノード(図1の送信機ノード100と比較)、例えば、基地局又はアクセスポイント等のネットワークノードのための例示的なプリコーディング装置210(例えば、プリコーダ)を概略的に示している。この装置は、制御回路(CNTR;例えば、コントローラ又は制御エンティティ)200と、現在の送信機ノード送信/受信プリコーディング設定を格納するプリコーダ(PC;例えば、プリコーディング回路)240と、を備える。
制御回路は、チャネル推定及び受信機ノード受信プリコーディング設定の選択のための送信機ノード参照信号の送信を引き起こす様に構成される(図1のステップ102と比較される)。送信機ノード参照信号は、送信機ノード送信プリコーディング設定と割当送信電力の使用から生成される。
制御回路はまた、チャネル推定のための受信機ノード参照信号の受信を引き起こす様に構成される(図1のステップ112と比較)。受信機ノード参照信号は、選択した受信機ノード受信プリコーディング設定を受信機ノード送信プリコーディング設定として使用することから生成される。
このために、制御回路は、トランシーバ(TX/RX;例えば、トランシーバ回路)230に関連付けられ(例えば、接続され、又は、接続可能であり)得る。トランシーバは、送信機ノード参照信号を送信し、及び/又は受信機ノード参照信号を受信する様に構成され得る。
制御回路はさらに、受信した受信機ノード基準信号の逆方向チャネル妨害成分(逆方向チャネルの信号歪みを含む)の推定を実行させる様に構成される(図1のステップ114と比較)。このために、制御回路は、推定器(EST;例えば、推定回路)201を含む、或いは、推定器201に関連付けられ(例えば、接続され、又は、接続可能であり)得る。推定器は、逆方向チャネル妨害成分を推定する様に構成され得る。
制御回路はさらに、推定した逆方向チャネル妨害成分に基づいて送信機ノード受信プリコーディング設定の選択を実行させる様に構成される(図1のステップ116と比較)。このために、制御回路は、セレクタ(SEL;例えば、選択回路)202を含む、或いは、セレクタ202に関連付けられ(例えば、接続され、又は、接続可能であり)得る。セレクタは、送信機ノード受信プリコーディング設定を選択する様に構成され得る。
制御回路はさらに、選択した送信機ノード受信プリコーディング設定を送信機ノード送信プリコーディング設定として使用することにより、送信機ノード送信プリコーディング設定240の更新を実行させる様に構成される(図1のステップ118と比較)。
図3は、受信機ノード(図1の受信機ノード150と比較)、例えば、ユーザ装置等の無線通信デバイスのための例示的なプリコーディング装置310(例えば、プリコーダ)を概略的に示している。この装置は、制御回路(CNTR;例えば、コントローラ又は制御エンティティ)300と、現在の受信機ノード送信/受信プリコーディング設定を格納するプリコーダ(PC;例えば、プリコーディング回路)340と、を備える。
制御回路はまた、チャネル推定のための送信機ノード参照信号の受信を実行させる様に構成される(図1のステップ152と比較)。送信機ノード参照信号は、送信機ノード送信プリコーディング設定と割当送信電力に使用から生成される。このために、制御回路は、トランシーバ(TX/Rx;例えば、トランシーバ回路)330に関連付けられ(例えば、接続され、又は、接続可能であり)得る。トランシーバは、送信機ノード参照信号を受信する様に構成され得る。
制御回路はさらに、受信した送信機ノード参照信号の順方向チャネル妨害成分(順方向チャネルの信号歪みを含む)の推定を実行させる様に構成される(図1のステップ154と比較)。このために、制御回路は、推定器(EST;例えば、推定回路)301を含む、或いは、推定器201に関連付けられ(例えば、接続され、又は、接続可能であり)得る。推定器は、順方向チャネル妨害成分を推定する様に構成され得る。
制御回路はさらに、推定した順方向チャネル妨害成分に基づいて受信機ノード受信プリコーディング設定の選択を実行させる様に構成される(図1のステップ156と比較)。このために、制御回路は、セレクタ(SEL;例えば、選択回路)302を含む、或いは、セレクタ202に関連付けられ(例えば、接続され、又は、接続可能であり)得る。セレクタは、受信機ノード受信プリコーディング設定を選択する様に構成され得る。
制御回路はさらに、選択した信機ノード受信プリコーディング設定を受信機ノード送信プリコーディング設定として使用することにより、受信機ノード送信プリコーディング設定340の更新を実行させる様に構成される(図1のステップ158と比較)。
制御回路は、チャネル推定及び送信機ノード受信プリコーディング設定の選択のための受信機ノード参照信号の送信を実行させる様に構成される(図1のステップ162と比較)。受信機ノード参照信号は、更新した受信機ノード送信プリコーディング設定を使用から生成される。トランシーバ330は、受信機ノード参照信号を送信する様に構成され得る。
したがって、幾つかの実施形態によると、ハードウェアコンポーネントが信号歪みを引き起こすときに適切なトランシーバプリコーディング設定(及び場合によっては適切な電力制御)が達成される代替アプローチが提供される。
様々な実施形態の可能な利点は、送信電力の低減(及びそれによるエネルギー効率の改善)と、様々な及び/又は複数のハードウェア歪み源を処理する可能性と、を含む。
さらに、ハードウェアコンポーネントに対する要件を緩和できるため、及び/又は、事前歪みによる緩和を省略できるため、低コストの無線設計が可能になる。
ここで、幾つかの実施形態の詳細な例示的な実装が、図1を参照して提供される。この例では、jとインデックスされた送信機ノード(たとえば、基地局又はアクセスポイント)は、Dj個の独立したストリームを送信し、d番目のストリームは、ベクトルvd
j(送信機ノード送信プリコーディング設定)でビームフォーミングされ、レートRd
j及び電力pd
jでデータを送信し、kとインデックスされた受信機ノード(例えば、ユーザ装置)は、d番目のストリームのための受信機フィルタベクトルud
k(受信機ノード受信プリコーディング設定)を有する。
ダウンリンクのトレーニングフェーズ(ステップ102、152、154と比較)中に、受信機ノードkで観測される(送信機ノードkによって送信された)(望ましい)ストリームlに対応する総干渉共分散行列Ql
k(順方向チャネル妨害成分)が、トレーニング(参照)信号に基づいて、各受信機ノードで以下の様に推定される。
ここで、Hkjは送信機ノードjと受信機ノードkとの間の順方向チャネル行列であり、Qd,in
ee,jは送信機ノードjでのd番目のストリームに対応するダウンリンク帯域内ハードウェア障害共分散行列であり、Sоut
DLはハードウェア機能障害による帯域外放射に寄与する送信機ノードのインデックスのセットであり、Qd,оut
ee,jは送信機ノードjでのd番目のストリームに対応するダウンリンク帯域外ハードウェア障害共分散行列である。したがって、上記の式の最後の2つの項は、ハードウェア機能障害によって引き起こされる順方向チャネルの信号の歪みを示している。
受信機フィルタ最適化フェーズ(ステップ156と比較)では、最小平均二乗誤差(MMSE)受信機フィルタ(受信機ノード受信プリコーディング設定)が以下の様に構成される。
電力更新フェーズ(図1には示されず)では、l番目のストリームの送信電力(割当送信電力)が以下の様に更新される。
ここで、pmaxは最大許容送信電力であり、Rl
kはストリームlの送信データレートである。上述した様に、このステップは、受信機ノード又は送信機ノードで実行され得る。
アップリンクのトレーニングフェーズ(ステップ162、112、114と比較)中に、送信機ノードkで観測される(受信機ノードkによって送信された)(望ましい)ストリームlに対応する総干渉共分散行列Qr,l
k(逆方向チャネル妨害成分)(ここで、rは逆方向チャネルを示す)が、トレーニング(参照)信号に基づいて、各送信機ノードで以下の様に推定される。
ここで、Hr
kjは受信機ノードjと送信機ノードkとの間の逆方向チャネル行列であり、Puは、アップリンクの送信電力であり、Qr,d,in
ee,jは送信機ノードjのd番目のストリームに対応するアップリンク帯域内ハードウェア障害共分散行列であり、Sоut
ULはハードウェア機能障害による帯域外放射に寄与する受信機ノードのインデックスのセットであり、Qr,d,оut
ee,jは送信機ノードjのd番目のストリームに対応するアップリンク帯域外ハードウェア障害共分散行列である。したがって、上記の式の最後の2つの項は、ハードウェア機能障害によって引き起こされる逆方向チャネルの信号の歪みを示している。
アップリンクトのレーニングフェーズでは、ダウンリンクのトレーニングフェーズで決定された受信機ノード受信プリコーディング設定ud
jが、受信機ノード送信プリコーディング設定vr,d
jとして使用される(ステップ158と比較)。
送信機ビームフォーミング最適化フェーズ(ステップ116及び118と比較)では、最小平均二乗誤差(MMSE)受信機フィルタ(送信機ノード受信プリコーディング設定)が、まず、以下の様に更新される。
そして、送信機ノード受信プリコーディング設定ur,d
jは、送信機ノード送信プリコーディング設定vd
jとして使用される。
決定された受信プリコーディング設定を送信プリコーディング設定として使用することは、アップリンク/ダウンリンクチャネルの相対性があるシナリオに特に適している。次に、受信干渉を最小限に抑えるアップリンク送信用の受信フィルタも、相対性の原則により、ダウンリンク送信での干渉の寄与が最も低いことが期待され得る。ただし、相対性は、原理が有益であるために必要な条件ではない。
一般に、配置が本明細書で言及されるとき、それは、例えば、装置といった、物理的な製品として理解されるべきである。物理的な製品は、1つ又は複数のコントローラ、1つ又は複数のプロセッサ等の形態の制御回路等の1つ又は複数の部品を含み得る。
記述した実施形態及びその等価物は、ソフトウェア、ハードウェア、又は、それらの組み合わせで実現され得る。実施形態は、汎用回路によって実行され得る。汎用回路の例は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、中央処理装置(CPU)、コプロセッサユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)及びその他のプログラム可能なハードウェアを含む。代替的又は追加的に、実施形態は、特定用途向け集積回路(ASIC)等の特殊な回路によって実行され得る。汎用回路及び/又は特殊回路は、例えば、無線通信デバイス又はネットワークノード(例えば、基地局又はアクセスポイント)等の装置に関連付けられるか、それらに含まれ得る。
実施形態は、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる構成、回路及び/又は論理を含む電子装置(無線通信デバイス又はネットワークノードなど)内に搭載され得る。追加的又は代替的に、(無線通信デバイス又はネットワークノードの様な)電子装置は、上記実施形態のいずれかによる方法を実行する様に構成され得る。
幾つかの実施形態によると、コンピュータプログラム製品は、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリ、プラグインカード、組み込みドライブ、又は、読み出し専用メモリ(ROM)といった、コンピュータ可読記憶媒体を含む。図4は、コンパクトディスク(CD)ROM400の形式のコンピュータ可読記憶媒体の例を示している。コンピュータ可読記憶媒体は、プログラム命令を含む、コンピュータプログラムを格納している。コンピュータプログラムは、データプロセッサ(PROC;例えば、データ処理回路又はデータ処理ユニット)420にロード可能であり、これは、例えば、無線通信デバイス又はネットワークノード(例えば、基地局又はアクセスポイント)410に含まれ得る。データプロセッサにロードされると、コンピュータプログラムは、データ処理ユニットに関連付けられた、或いは、組み込まれたメモリ(MEM)430に格納され得る。幾つかの実施形態によると、コンピュータプログラムは、データ処理ユニットにロードされて実行されると、例えば、図1に示されるか又は本明細書に記載される方法のいずれかによる方法ステップの実行を引き起こし得る。
一般的に、ここで使用されているすべての用語は、異なる意味が明確に与えられていないか、使用されている文脈から示唆されていない限り、関連する技術分野での通常の意味に従って解釈される。
ここで、参照が様々な実施形態に対して行われる。しかしながら、当業者は、請求項の範囲内である、上述した実施形態の多くのバリエーションを認識する。
例えば、ここで記述した方法の実施形態は、ある順序で実行されるステップを通しての例示的な方法を記載する。しかしながら、イベントのこれらシーケンスは、請求項の範囲から逸脱することなく他の順序に置き換えることができる。さらに、幾つかの方法ステップは、ここでは順に実行されるとしたが、並行して実行され得る。本明細書に開示されているいずれかの方法のステップは、ステップが別のステップの後に続く、又は、前にあると明確に説明されていない限り、及び/又は、ステップが別のステップの前又は後になければならないことが暗黙的に示されている場合を除き、開示された正確な順序で実行する必要はない。
同様に、本実施形態の記述における機能ブロックの特定ユニットへの分割は、限定するものではない。反対に、これら分割は単なる例である。ここで1つのユニットとして記述した機能ブロックは、2つ以上のユニットに分離され得る。さらに、2つ以上のユニットに実装されるものとして本明細書で説明される機能ブロックは、より少ない(例えば、単一の)ユニットにマージされ得る。
本明細書に開示される実施形態の任意の特徴は、必要に応じて、他の実施形態に適用され得る。同様に、実施形態の任意の利点は、他の実施形態に適用することができ、逆もまた同様である。
したがって、記載された実施形態の詳細は、例示の目的で提示された単なる例であり、特許請求の範囲内にあるすべての変形は、そこに含まれることを意図していることを理解されたい。