JP2022504423A - 細菌株を含む組成物 - Google Patents

細菌株を含む組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2022504423A
JP2022504423A JP2021518945A JP2021518945A JP2022504423A JP 2022504423 A JP2022504423 A JP 2022504423A JP 2021518945 A JP2021518945 A JP 2021518945A JP 2021518945 A JP2021518945 A JP 2021518945A JP 2022504423 A JP2022504423 A JP 2022504423A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
treatment
compositions
gvhd
composition
certain embodiments
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021518945A
Other languages
English (en)
Inventor
サム ユイール
ヘレン サヴィニャック
サラ リード
イムケ エリザベス ムルダー
ニコール レイハート
エマ ラフティス
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
4D Pharma Research Ltd
Original Assignee
4D Pharma Research Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 4D Pharma Research Ltd filed Critical 4D Pharma Research Ltd
Publication of JP2022504423A publication Critical patent/JP2022504423A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/66Microorganisms or materials therefrom
    • A61K35/74Bacteria
    • A61K35/741Probiotics
    • A61K35/742Spore-forming bacteria, e.g. Bacillus coagulans, Bacillus subtilis, clostridium or Lactobacillus sporogenes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/66Microorganisms or materials therefrom
    • A61K35/74Bacteria
    • A61K35/741Probiotics
    • A61K35/744Lactic acid bacteria, e.g. enterococci, pediococci, lactococci, streptococci or leuconostocs
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L33/00Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof
    • A23L33/10Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof using additives
    • A23L33/135Bacteria or derivatives thereof, e.g. probiotics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • A61P11/06Antiasthmatics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P19/00Drugs for skeletal disorders
    • A61P19/02Drugs for skeletal disorders for joint disorders, e.g. arthritis, arthrosis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/06Immunosuppressants, e.g. drugs for graft rejection
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23VINDEXING SCHEME RELATING TO FOODS, FOODSTUFFS OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES AND LACTIC OR PROPIONIC ACID BACTERIA USED IN FOODSTUFFS OR FOOD PREPARATION
    • A23V2002/00Food compositions, function of food ingredients or processes for food or foodstuffs
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/14Particulate form, e.g. powders, Processes for size reducing of pure drugs or the resulting products, Pure drug nanoparticles
    • A61K9/19Particulate form, e.g. powders, Processes for size reducing of pure drugs or the resulting products, Pure drug nanoparticles lyophilised, i.e. freeze-dried, solutions or dispersions
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12RINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES C12C - C12Q, RELATING TO MICROORGANISMS
    • C12R2001/00Microorganisms ; Processes using microorganisms
    • C12R2001/01Bacteria or Actinomycetales ; using bacteria or Actinomycetales
    • C12R2001/145Clostridium

Abstract

本発明は、治療に使用するための、ブラウティア プロドゥクタ(Blautia producta)またはブラウティア コッコイデス(Blautia coccoides)種の細菌株を含む組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、哺乳類の消化管から単離された細菌株を含む組成物、及び、疾患の治療におけるかかる組成物の使用の分野におけるものである。
ヒトの腸は子宮内では無菌であると考えられているが、出生の直後に、多種多様な母の、及び環境的微生物に曝される。その後、流動的な期間の、微生物のコロニー形成及び遷移が生じ、これは送達様式、環境、食事、及び宿主の遺伝子型などの因子により影響を受け、これら全てが、特に若年期の間の、腸内微生物叢の組成物に影響を及ぼす。その後、微生物叢は安定し、成人様となる[1]。ヒトの腸内微生物叢は、本質的に2つの主たる細菌部門であるバクテロイデス門及びフィルミクテス門に属する、500~1000種類を超える異なるファイロタイプ を含有する[2]。ヒトの腸における細菌のコロニー形成により生じる、上手くいった共生関係により、多種多様の代謝、構造、保護、及び他の有益な機能がもたらされている。コロニー形成した腸における代謝活性の向上により、別の場合においては消化できない食事成分が、副生成物の放出に伴って分解され、宿主にとって重要な栄養源が確実にもたらされる。同様に、腸内微生物叢の免疫学的重要性は十分認識されており、機能的に再構成された後、共生細菌が導入される、機能不全となった免疫系を有する無菌動物において例示されている[3~5]。
微生物叢組成物の動的な変化は、炎症性腸疾患(IBD)などの胃腸障害において報告されてきた。例えば、クロストリジウム(Clostridium)クラスターXIVa細菌の濃度は、IBD患者において減少する一方で、E.coliの数は増加し、このことは、腸内でのシンビオント及び原生共生生物の均衡の変化を示唆している[6~9]。興味深いことに、この細菌の腸内毒素症は、Tエフェクター細胞集団における不均衡とも関連している。
特定の細菌株が動物の腸に存在し得るという潜在的な正の効果を認識することにおいて、様々な株が、様々な疾患の治療に使用するために提案されている(例えば、[10~13]を参照のこと)。また、ほとんどの場合にラクトバシラス(Lactobacillus)及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)株を含む、特定の株が、腸と直接関連していない様々な炎症性疾患及び自己免疫性疾患の治療に使用するために提案されている(確認には[14」及び[15]を参照のこと)。多くの細菌株を含む集合組成物は、移植片対宿主病などの疾患の治療に使用するために提案されている([16]を参照のこと。)が、使用する株が何であるか、及び、それらが属する種は、明確に決定されてはいなかった。要するに、異なる疾患と異なる細菌株との関係、ならびに、腸での、及び全身レベルにおける、及び、任意の特定の種類の疾患での、特定の細菌株の正確な効果は、十分に特徴付けられていない。
疾患を治療する新規の方法が、当該技術分野においての要件である。腸内細菌を使用する新規の治療法が開発可能となるための、識別されるべき腸内細菌の潜在的な効果もまた、要件となっている。
本発明者らは、炎症性疾患及び自己免疫性疾患の治療及び予防に使用可能な、ブラウティア プロドゥクタ(Blautia producta)及びブラウティア コッコイデス(Blautia coccoides)種の細菌株を含む新規の組成物を開発した。特定の実施形態では、本発明は、移植片対宿主病(GVHD);クローン病または潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;アレルギー性喘息または好中球性喘息などの喘息;関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、または若年性特発性関節炎などの関節炎;多発性硬化症;乾癬;全身性エリテマトーデス;及び同種移植片拒絶からなる群から選択される疾患または状態(condition)の治療または予防方法に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物を提供する。
ブラウティア プロドゥクタ株による治療により、疾患のマウスモデルにおける腸の透過性が低下することを、本発明者らは同定した。腸の透過性の増加は、多くの炎症性疾患及び自己免疫性疾患と関連している。ブラウティア コッコイデスは、ブラウティア プロドゥクタに極めて類似している。したがって、本発明の組成物は、炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療に有用である。
いくつかの実施形態では、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種由来の細菌株により、GVHDの治療または予防における治療的効果がもたらされ得る。ブラウティア プロドゥクタ株による治療により、疾患のマウスモデルにおける、GVHDからの生存が増加することを、本発明者らは同定した。ブラウティア コッコイデスは、ブラウティア プロドゥクタに極めて類似している。本発明の株はそれ故、GVHDの治療または予防において有用であり得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、対象におけるGVHDの治療または予防に使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明は、GVHDの治療または予防に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、炎症性腸疾患の治療または予防方法に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物を提供する。ブラウティア プロドゥクタ株による治療により、疾患のマウスモデルにおける大腸炎の重症度が低下することを、本発明者らは同定した。ブラウティア コッコイデスは、ブラウティア プロドゥクタに極めて類似している。したがって、本発明の組成物は、炎症性疾患の治療に有用である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、炎症性腸疾患の治療または予防に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、潰瘍性大腸炎の治療または予防に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、クローン病の治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、炎症性腸疾患の治療における、特に、大腸炎及び潰瘍性大腸炎の治療における、潰瘍形成の減少及び/または出血の低下に使用するためのものである。
いくつかの実施形態では、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種由来の細菌株により、アレルギーの性喘息または好中球性喘息などの喘息の治療または予防における治療的効果がもたらされ得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、対象における喘息の治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明は、喘息の治療または予防に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種由来の細菌株により、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、または若年性特発性関節炎などの関節炎の治療または予防における治療的効果がもたらされ得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、対象における関節炎の治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明は、関節炎の治療または予防に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種由来の細菌株により、多発性硬化症の治療または予防における治療的効果がもたらされ得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、対象における多発性硬化症の治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明は、多発性硬化症の治療または予防に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種由来の細菌株により、乾癬の治療または予防における治療的効果がもたらされ得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、対象における乾癬の治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明は、乾癬の治療または予防に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種由来の細菌株により、全身性エリテマトーデス(SLE)の治療または予防における治療的効果がもたらされ得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、対象におけるSLEの治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明は、SLEの治療または予防に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種由来の細菌株により、同種移植片拒絶の治療または予防における治療的効果がもたらされ得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、対象における同種移植片拒絶の治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明は、同種移植片拒絶の治療または予防に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、細菌株は生存可能であり、腸において部分的、または完全にコロニー形成することができる。
組成物中の細菌株は、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種のものである。本発明の全ての各態様の好ましい実施形態では、組成物は、ブラウティア プロドゥクタ種の細菌株を含む。配列番号1、2、または3、好ましくは配列番号1に少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%同一である、16s rRNA遺伝子配列を有する細菌株などの、実施例で試験したものに密接に関連する株を使用するのが好ましい場合がある。本発明に使用するための細菌株は、配列番号1で表される16s rRNA遺伝子配列を有するのが好ましい。
いくつかの実施形態では、組成物は、いかなる他の細菌株もしくは種を含有しないか、または、組成物は、わずかな、もしくは生物学的に無関係な量の、他の細菌株もしくは種のみを含む。
特定の実施形態では、本発明の組成物は経口投与のためのものである。経口投与は患者及び施術者にとって便利であり、腸への送達、及び/または腸における部分的もしくは全コロニー形成を可能にする。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、1または2以上の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、凍結乾燥されている細菌株を含む。凍結乾燥は、細菌の送達を可能にする安定した組成物を調製するための、効果的かつ便利な技術である。
特定の実施形態では、本発明は、上述した組成物を含む食品を提供する。
上記発明の開発において、本発明者らは、治療法に特に有用な細菌株を同定し、識別した。本発明のブラウティア プロドゥクタ株は、大腸炎及びGVHDなどの、本明細書に記載する疾患を治療するのに効果的であることが示されている。したがって、別の態様では、本発明は、受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株、またはその派生物(derivative)の細胞を提供する。本発明は、かかる細胞を含む組成物、または、かかる細胞の生物学的に純粋な培養液もまた提供する。かかる組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含み得る。本発明は、特に、本明細書に記載する疾患に対する治療法に使用するための、受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株、またはその派生物の細胞もまた提供する。
本発明のさらなる付番した実施形態を以下に示す:
1.炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療または予防に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物。
2.移植片対宿主病;クローン病または潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;アレルギー性喘息または好中球性喘息などの喘息;関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、または若年性特発性関節炎などの関節炎;多発性硬化症;乾癬;全身性エリテマトーデス;及び同種移植片拒絶からなるリストから選択される疾患または状態の治療または予防に使用するための、実施形態1に記載の組成物。
3.移植片対宿主病の治療または予防に使用するための、実施形態2に記載の組成物。
4.組成物が、移植片対宿主病の治療または予防方法に使用するためのものである、実施形態2に記載の組成物。
5.組成物が、体重減少の低減、または体重増加の向上に使用するためのものである、実施形態4に記載の組成物。
6.組成物が、皮膚の完全性の保護の低下、または皮膚の完全性の改善に使用するためのものである、実施形態4に記載の組成物。
7.組成物が、腸の透過性の低下に使用するためのものである、実施形態4に記載の組成物。
8.組成物が、腸GVHDの治療に使用するためのものである、実施形態4に記載の組成物。
9.組成物が、皮膚GVHDの治療に使用するためのものである、実施形態4に記載の組成物。
10.組成物が、上部腸GVHDの治療に使用するためのものである、実施形態4に記載の組成物。
11.組成物が、III等級またはIV等級の急性GVHDの治療に使用するためのものである、実施形態4に記載の組成物。
12.組成物が、炎症性腸疾患の治療または予防方法に使用するためのものである、実施形態2に記載の組成物。
13.組成物が、潰瘍形成の減少及び/または出血の低下に使用するためのものである、実施形態12に記載の組成物。
14.組成物が、体重減少の低減、または体重増加の向上に使用するためのものである、実施形態12に記載の組成物。
15.組成物が、腸の透過性の低下に使用するためのものである、実施形態12に記載の組成物。
16.組成物が、GVHDを患う患者に使用するためのものである、実施形態12に記載の組成物。
17.組成物が、喘息の治療または予防方法に使用するためのものである、実施形態2に記載の組成物。
18.組成物が、関節炎の治療または予防方法に使用するためのものである、実施形態2に記載の組成物。
19.組成物が、多発性硬化症の治療または予防方法に使用するためのものである、実施形態2に記載の組成物。
20.組成物が、乾癬の治療または予防方法に使用するためのものである、実施形態2に記載の組成物。
21.組成物が、全身性エリテマトーデスの治療または予防方法に使用するためのものである、実施形態2に記載の組成物。
22.組成物が、同種移植片拒絶の治療または予防方法に使用するためのものである、実施形態2に記載の組成物。
23.細菌株が生存可能であり、腸で部分的、または完全にコロニー形成することができる、実施形態1~22のいずれかに記載の組成物。
24.組成物が任意の他の細菌株もしくは種を含有しないか、または、組成物が、わずかな、もしくは生物学的に無関係な量の、他の細菌株もしくは種のみを含む、実施形態1~23いずれかに記載の組成物。
25.細菌株が、配列番号1、2、または3、好ましくは配列番号1に少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%同一である、16s rRNA遺伝子配列を有する、実施形態1~24のいずれかに記載の組成物。
26.細菌株が、配列番号1で表される16s rRNA遺伝子配列を有する、実施形態1~25のいずれかに記載の組成物。
27.組成物が経口投与のためのものである、実施形態1~26のいずれかに記載の組成物。
28.組成物が、1または2以上の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む、実施形態1~27のいずれかに記載の組成物。
29.細菌株が凍結乾燥されている、実施形態1~28のいずれかに記載の組成物。
30.実施形態1~29のいずれかに記載の使用のための、実施形態1~29のいずれかに記載の組成物を含む食品。
31.受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株、またはその派生物の細胞。
32.実施形態31に記載の細胞を含む組成物。
33.薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、実施形態32に記載の組成物。
34.受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株、またはその派生物の生物学的に純粋な培養液。
35.治療法に使用するための、特に、実施形態1~22のいずれか1つで定義される疾患または状態の治療または予防に使用するための、受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株、またはその派生物の細胞。
株NCIMB 43170が投与されたマウスモデルにおける、GVHD体重データ。動物は、研究の間毎日体重を測定し、体重(g)を示す。群の間での統計的有意差を測定するために、台形変換法を用いて、曲線下面積(AUC)を計算し、挿入した図に示す。テューキー(Tukey)の多重比較試験を用いる一元ANOVAにより、有意差を測定した。特に断りのない限り、アスタリスクは群1と比較しての有意差を示し、ハッシュは群2と比較しての有意差を示し、点は群3と比較しての有意差を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.001。各群に対する平均±SEMを示す。群当たりn=8~12。 株NCIMB 43170が投与されたマウスモデルにおける、GVHD体重データ。動物は、研究の間毎日体重を測定し、-14日目に対する体重変化の割合を示す。特に断りのない限り、アスタリスクは群1と比較しての有意差を示し、ハッシュは群2と比較しての有意差を示し、点は群3と比較しての有意差を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.001。データは、平均±SEMとして表す。群当たりn=8~12。 株NCIMB 43170が投与されたマウスモデルにおける、GVHD体重データ。動物は、研究の間毎日体重を測定し、0日目に対する体重変化の割合を示す。特に断りのない限り、アスタリスクは群1と比較しての有意差を示し、ハッシュは群2と比較しての有意差を示し、点は群3と比較しての有意差を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.001。 データは、平均±SEMとして表す。群当たりn=8~12。 群の自然減を考慮に入れた、株NCIMB 43170が投与されたマウスモデルにおける、GVHD体重データであり、死んだ動物の体重を、群2を除く全ての群が死亡したまたは安楽死したと判明した動物の研究期間に繰り越した。特に断りのない限り、アスタリスクは群1と比較しての有意差を示し、ハッシュは群2と比較しての有意差を示し、点は群3と比較しての有意差を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.001。データは、平均±SEMとして表す。群当たりn=8~12。 タクロリムス(FK506)を投与したマウスモデルにおける、GVHD体重データ。***:p≦0.005。 株NCIMB 43170を投与したマウスモデルにおける動物の生存。 タクロリムス(FK506)を投与したマウスモデルにおける動物の生存。 株NCIMB 43170を投与したマウスモデルにおけるGVHD臨床スコア。動物に、0~30日目まで、毎日臨床GVHDスコアを割り当てた。台形変換法を用いて、曲線下面積(AUC)を計算し、挿入した図に示す。特に断りのない限り、アスタリスクは群1と比較しての有意差を示し、ハッシュは群2と比較しての有意差を示し、点は群3と比較しての有意差を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.001。データは、平均±SEMとして表す。群当たりn=8~12。 株NCIMB 43170を投与したマウスモデルにおけるGVHD臨床スコア。動物に、0~30日目まで、毎日臨床GVHDスコアを割り当てた。群の自然減を考慮に入れるために、死んだ動物のGVHDスコアを、群2を除く全ての群が死亡したまたは安楽死したと判明した動物の研究期間に繰り越した。台形変換法を用いて、曲線下面積(AUC)を計算し、挿入した図に示す。特に断りのない限り、アスタリスクは群1と比較しての有意差を示し、ハッシュは群2と比較しての有意差を示し、点は群3と比較しての有意差を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.001。データは、平均±SEMとして表す。群当たりn=8~12。 動物に毎日臨床GVHDスコアを与えた。臨床GVHDスコアは、株NCIMB 43170が投与されたマウスモデルにおける、複合GVHDスコアに使用される、姿勢のコンビネーションである。 動物に毎日臨床GVHDスコアを与えた。臨床GVHDスコアは、株NCIMB 43170が投与されたマウスモデルにおける、複合GVHDスコアに使用される、活動のコンビネーションである。 動物に毎日臨床GVHDスコアを与えた。臨床GVHDスコアは、株NCIMB 43170が投与されたマウスモデルにおける、複合GVHDスコアに使用される、ファーテクスチャーのコンビネーションである。 動物に毎日臨床GVHDスコアを与えた。臨床GVHDスコアは、株NCIMB 43170が投与されたマウスモデルにおける、複合GVHDスコアに使用される、皮膚の完全性のコンビネーションである。 動物に毎日臨床GVHDスコアを与えた。臨床GVHDスコアは、株NCIMB 43170が投与されたマウスモデルにおける、複合GVHDスコアに使用される、体重減少のコンビネーションである。 タクロリムス(FK506)を投与したマウスモデルにおける、GVHD臨床スコア。 株NCIMB 43170を投与したマウスモデルにおける、大腸炎の重症度スコア。動物は、29日目にビデオ内視鏡検査を受けて、結腸の炎症を評価した。特に断りのない限り、アスタリスクは群1と比較しての有意差を示し、ハッシュは群2と比較しての有意差を示し、点は群3と比較しての有意差を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.001。データは、平均±SEMとして表す。群当たりn=8~12。 例示的な結腸内視鏡検査画像。 株NCIMB 43170を投与したマウスにおける、血漿シトルリン濃度。全ての生存動物から、安楽死の前に採血をして、血漿を処理した。血漿シトルリンをELISAにより、2通りに評価した。血漿を分析のために、1:10に希釈した。特に断りのない限り、アスタリスクは群1と比較しての有意差を示し、ハッシュは群2と比較しての有意差を示し、点は群3と比較しての有意差を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.001。データは、平均±SEMとして表す。群当たりn=8~12。 株NCIMB 43170、ならびに、ブラウティア プロドゥクタ及び/またはブラウティア コッコイデスの参照株による、SCFA産生。 ブラウティア コッコイデス株A上清で処理したヒトU373による、IL-6の分泌。 ブラウティア コッコイデス株B上清で処理したヒトU373による、IL-6の分泌。 ブラウティア コッコイデス株B上清で処理したHCT116結腸細胞中での、アセチル化ヒストンH3、アセチル化ヒストンH4、及びオクルディンの濃度。
細菌株
本発明の組成物は、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む。このブラウティア プロドゥクタの細菌は、GVHD及び大腸炎の治療及び予防に有用であり、ブラウティア コッコイデスは、ブラウティア プロドゥクタに極めて類似していることを、実施例は示している。
ブラウティア種は、球菌様または楕円形のいずれかであり得る、グラム反応陽性・非運動型細菌であり、全てが、グルコース発酵の主要最終生成物としての酢酸を生成する、真正嫌気性菌である[17]。ブラウティア プロドゥクタは、ヒトの腸から単離され得る。実施例に使用するブラウティア プロドゥクタ株の、16S rRNA遺伝子配列は、本明細書において配列番号1として開示されている。
ブラウティア プロドゥクタ株は、[17]に記載されている。種類株のATCC27340(=DSM 2950=JCM 1417)が、ヒト敗血症サンプルから単離された。この種類株は元々、ルミノコッカス プロドゥクトス(Ruminoccoccus productus)として寄託されたが、それ以来、ブラウティア プロドゥクタとして再分類されている。ブラウティア プロドゥクタ型株のATCC 27340の、部分的16S rRNA遺伝子配列に対するGenBank/EMBL/DDBJ受託番号は、AB600998.1である。全ゲノム配列は、受託番号ASM37388v1で入手可能である。ブラウティア プロドゥクタ(ルミノコッカス プロドゥクトス)のさらなる株は、受託番号DSM 3508(ATCC 35244)として寄託されている。ブラウティア プロドゥクタのこれらの株は、実施例で試験した株と同じ治療効果を示すことが予想される。
ブラウティア コッコイデス株は、[17]に記載されている。ブラウティア プロドゥクタ及びブラウティア コッコイデスは、非常に高い、16S rRNA遺伝子配列類似性を共有しており、それらの生化学的プロファイル、グルコース代謝の生成物、及び、DNA G+C含量の点において、ほぼ同一である[17]。したがって、一般的には、異なる細菌種は異なる特徴を有するが、ブラウティア コッコイデスの株は、実施例で試験した株と同一の治療効果を示すことが予想される。ブラウティア コッコイデス型株はATCC 29236T(5DSM 935T5JCM 1395T5NCTC 11035T)であり、これは元々、クロストリジウム コッコイデス(Clostridium coccoides)として寄託されたが、それ以来、ブラウティア コッコイデスとして再分類されている。
受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ細菌を実施例で試験し、これが、本発明の好ましい株である。試験したNCIMB 43170株に対する16S rRNA遺伝子配列を、配列番号1に示す。株NCIMB 43170は、2018年8月20日に、「ブラウティア プロドゥクタ」として、4D Pharma Research Limited (Life Sciences Innovation Building, Aberdeen, AB25 2ZS, Scotland)により、国際寄託当局であるNCIMB, Ltd. (Ferguson Building, Craibstone Estate, Bucksburn, Aberdeen, AB21 9YA, Scotland)により寄託され、受託番号NCIMB 43170が割り当てられた。
さらなる参照ブラウティア プロドゥクタ/ブラウティア コッコイデス株もまた、実施例2で試験した。これら2つの種間での、異常に高い類似性によって、16S配列決定、及びMALDI-TOF MS分析を用いての、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデスに属する参照株を確実に分類することは不可能であった。参照株は全て、酢酸を生成し、酪酸またはプロピオン酸を生成しないことが判明した。試験した株REF1及びREF2に対する、16S rRNA遺伝子配列は、配列番号2及び配列番号3に示される。
実施例で試験した株に密接に関連する細菌株もまた、他の炎症性疾患及び自己免疫性疾患の治療または予防に効果的であることが予想される。特定の実施形態では、本発明に使用するための細菌株は、配列番号1、2、または3、好ましくは配列番号1に少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%同一である、16s rRNA遺伝子配列を有する。本発明に使用するための細菌株は、配列番号1で表される16s rRNA遺伝子配列を有するのが好ましい。
受託番号NCIMB 43170として寄託された細菌のバイオタイプである細菌株もまた、GVHD、ならびに他の炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療または予防に効果的であることが予想される。バイオタイプとは、同一、または非常に類似した生理学的及び生化学的特徴を有する、密接に関連した株のことである。
受託番号NCIMB 43170として寄託された細菌のバイオタイプであり、本発明に使用するのに好適な株は、受託番号NCIMB 43170として寄託された細菌に対する、他のヌクレオチド配列を配列決定することで同定され得る。例えば、実質的に全ゲノムが配列決定されてよく、本発明に使用するためのバイオタイプ株は、その全ゲノムの少なくとも80%にわたり(例えば、少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%にわたり、またはその全ゲノムにわたり)、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%の配列同一性を有し得る。バイオタイプ株を同定するのに使用するための、他の好適な配列としては、hsp60、または、BOX、ERIC、(GTG)、もしくはREPなどの反復配列を挙げてよい[18]。バイオタイプ株は、受託番号NCIMB 43170として寄託された細菌の対応する配列に対して、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%の配列同一性を有する配列を有し得る。
あるいは、受託番号NCIMB 43170として寄託された細菌のバイオタイプであり、本発明に使用するのに好適な株は、受託番号NCIMB 43170、ならびに、制限断片分析及び/またはPCR分析を用いることにより、例えば、蛍光増幅断片長多型(FAFLP:fluorescent amplified fragment length polymorphism)及び反復DNAエレメント(rep)-PCRフィンガープリンティング、またはタンパク質プロファイリング、または部分的な16Sもしくは23s rDNA配列決定を使用することにより、同定され得る。好ましい実施形態では、かかる技術を使用して、他のブラウティア株を同定してよい。
特定の実施形態では、受託番号NCIMB 43170として寄託された細菌のバイオタイプであり、本発明に使用するのに好適な株は、増幅リボソームDNA制限分析(ARDRA:amplified ribosomal DNA restriction analysis)により分析したとき、例えば、Sau3AI制限酵素を用いるときに、受託番号NCIMB 43170として寄託された細菌と同じパターンを付与する株である(例示的な方法及び指導については、例えば[19]を参照のこと)。あるいは、バイオタイプ株は、受託番号NCIMB 43170として寄託された細菌と同じ炭水化物発酵パターンを有する株として同定される。
受託番号NCIMB 43170として寄託された細菌のバイオタイプといった、本発明の組成物及び方法において有用である他のブラウティア プロドゥクタ及びブラウティア コッコイデス株は、実施例に記載するアッセイを含む、任意の好適な方法または戦略を用いて同定してよい。特に、受託番号NCIMB 43170として寄託された細菌と類似の増殖パターン、代謝タイプ、及び/または表面抗原を有する細菌株は、本発明で有用であり得る。有用な株は、株NCIMB 43170に相当する免疫調節活性を有する。特に、バイオタイプ株は、実施例に示すように、GVHD及び大腸炎において、相当する効果を誘発し、これは、実施例に記載する培養及び投与手順を用いることで同定され得る。
本発明の特に好ましい株は、受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株である。これは、実施例で試験した例示的なブラウティア プロドゥクタ株であり、GVHD及び大腸炎の治療に効果的であることが示されている。したがって、本発明は、受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株、またはその派生物の単離された細胞などの、細胞を提供する。本発明は、受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株、またはその派生物の細胞を含む組成物もまた提供する。本発明は、受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株の生物学的に純粋な培養液もまた提供する。本発明は、特に、本明細書に記載する疾患に対する治療法に使用するための、受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株、またはその派生物の細胞もまた提供する。
受託番号NCIMB 43170として寄託された株の派生物は、起源由来の娘株(後代)または培養(サブクローン株)であり得る。本発明の株の派生物を、例えば遺伝レベルで、生物活性を取り除くことなく、改変してよい。特に、本発明の派生物株は、治療的に活性である。NCIMB 43170株の派生物は一般に、NCIMB 43170株のバイオタイプである。
受託番号NCIMB 43170として寄託されたバクテリアは、酪酸を生成しないが、実施例において、疾患を治療するのに効果的であることが示されている。したがって、好ましい実施形態では、組成物は、酪酸を生成しない種の細菌株を含む。さらに、または代わりに、本発明の細菌組成物は、個別に、及び/またはまとめて酪酸を生成する細菌株を含まない。酪酸の生成は、実施例2のものを含む、当該技術分野において利用可能な任意の適切な方法を用いて測定することができる。したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物は、酪酸を生成しない種の細菌株を含むか、あるいは、本発明の細菌組成物は、YCFAまたはPYG培地を用いて16時間培養する際は、個別に、及び/またはまとめて酪酸を生成する細菌株を含まない。特定の実施形態では、酪酸の生成は、少なくとも24時間前に予め調製され、予め平衡された、10%の接種材料により、YCFAまたはPYGを接種した後に測定される。特定の実施形態では、実施例2のアッセイにおける、1mM未満の測定は、細菌株が酪酸を生成しないことを示すと考えられる。
特定の実施形態では、組成物は、プロピオン酸を生成しない細菌株を含む。受託番号NCIMB 43170として寄託された細菌、及び、実施例で試験した他のB. producta/ブラウティア コッコイデス株は、プロピオン酸を生成しない。プロピオン酸の生成は、実施例2のものを含む、当該技術分野において利用可能な任意の適切な方法を用いて測定することができる。特定の実施形態では、組成物は、例えば、実施例2の方法を用いて、例えば20~40mMで、酢酸を生成する細菌株を含む。受託番号NCIMB 43170として寄託された細菌、及び、実施例で試験した他のB. producta/ブラウティア コッコイデス株は、酢酸を生成する。酢酸の生成は、実施例2のものを含む、当該技術分野において利用可能な任意の適切な方法を用いて測定することができる。本発明の好ましい実施形態では、組成物は、酪酸またはプロピオン酸を生成しない細菌株を含む。本発明の好ましい実施形態では、組成物は、酪酸を生成せず酢酸を生成する細菌株を含む。本発明の好ましい実施形態では、組成物は、酪酸またはプロピオン酸を生成せず酢酸を生成する細菌株を含む。特定の実施形態では、組成物は、YCFA中で増殖したときに、プロパン酸、2-メチル-プロパン酸(イソ酪酸)、3-メチル-ブタン酸(イソ吉草酸)、及びペンタン酸を生成する細菌株を含む。
受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株の細胞に対する参照としては、受託番号NCIMB 43170として寄託された株と同じ安全性及び治療効果特性を有するあらゆる細胞を包含し、かかる細胞は、本発明により包含されている。
好ましい実施形態では、本発明の組成物中の細菌株は生存可能であり、腸で部分的、または完全にコロニー形成することができる。
治療上の使用
実施例で示すように、本発明の細菌組成物は、GVHD、及びGVHDと関連する大腸炎を治療するのに効果的である。GVHDはプロトタイプの炎症性疾患または自己免疫性疾患であるため、本発明の組成物は、炎症の低減、ならびに炎症性疾患及び自己免疫性疾患の治療に効果的であり得る。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、移植片対宿主病(GVHD);クローン病または潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;アレルギー性喘息または好中球性喘息などの喘息;関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、または若年性特発性関節炎などの関節炎;多発性硬化症;乾癬;全身性エリテマトーデス;及び同種移植片拒絶からなるリストから選択される疾患の治療に使用するためのものである。
GVHDは、同種異系組織移植または幹細胞移植の後に生じる。移植された組織中でのドナーT細胞は、宿主ペプチドを外部のものとして認識し、サイトカイン産生Tエフェクター細胞に分化する。これにより、急性GVHDの特徴を示すプロ炎症性サイトカインカスケードがもたらされる[20]。急性GVHDは一般に皮膚、肝臓、及び腸管に影響を及ぼす。急性GVHDは、慢性GVHDに進行し得、これは肺、目、及び粘膜に拡大し得、自己免疫性疾患における臨床的特徴に似た臨床的特徴を有する[21]。
GVHDは、ドナー由来のT細胞により媒介される。ドナー由来のナイーブCD4 T細胞は、宿主組織で発現する抗原により活性化され、エフェクターT細胞のTh細胞サブセットに分化する。野生型T細胞は、GVHDの間にTh1細胞に分化し、T細胞の、Th1及びTh17細胞への分化を遮断することにより、マウスにおいてGVHDを改善することができることが示されている[22]。Th1及びTh17細胞は共に、プロ炎症性サイトカインの産生因子である。Th17細胞は、IL-17及びIL-21及びIL-22サイトカインを産生する。Th1細胞はIFN-γ及びIL-2サイトカインを産生する。Th1及びTh17経路は、(例えば[23~31]に記載するように)自己免疫性疾患を独立して、または協同して引き起こす能力を有するため、本発明の組成物は、炎症性疾患及び自己免疫性疾患の治療に有用であり得る。
GVHDの病状がマウスにて急速に進行したため、実施例で試験したモデルは部分的に、急性GVHDと関連し得る。したがって、本発明の組成物は、上で列挙した急性疾患または条件の治療または予防に、特に有用であり得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、急性の炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療に使用するためのものである。特定の実施形態では、患者は、急性の炎症性疾患または自己免疫性疾患または状態を有すると診断されている場合がある。
実施例で研究したとおり、GVHDは慢性であり得るため、本発明の組成物は、上で列挙した慢性疾患または条件の治療または予防に、特に有用であり得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、慢性の炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療に使用するためのものである。特定の実施形態では、患者は、慢性の炎症性疾患または自己免疫性疾患または状態を有すると診断されている場合があるか、あるいは、本発明の組成物は、慢性の炎症性疾患または自己免疫性疾患または状態に進行する、炎症性疾患または自己免疫性疾患または状態の予防に使用するためのものであってよい。
特定の実施形態では、本発明の組成物による治療は、IL-17、IL-21、またはIL-22濃度の上昇の低減をもたらす、または上昇を防止する。特定の実施形態では、本発明の組成物による治療は、TNFα、IFN-γ、またはIL-6濃度の上昇の低減をもたらす、または上昇を防止する。これらのサイトカインの濃度増加のかかる低減または防止は、炎症性疾患及び自己免疫性疾患及び状態の治療または予防に有用であり得る。
特定の実施形態では、本発明の組成物による治療は、IL-2、またはIFN-γ濃度の上昇の低減をもたらす、または上昇を防止する。これらのサイトカインの濃度増加のかかる低減または防止は、炎症性疾患及び自己免疫性疾患及び状態の治療または予防に有用であり得る。
腸バリアの発達及び機能は、腸内微生物叢に依存していることを、無菌動物研究のエビデンスは示している。多くの炎症性疾患及び自己免疫性疾患は、クローン病または潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、喘息、関節炎、多発性硬化症、乾癬、及び全身性エリテマトーデスを含む、腸の透過性の増加(「リッキーガット」)と関連することが示されている[32~35]。自己免疫プロセスは、腸バリア機能の再確立により阻止可能であることが示唆されている[36]。本発明の組成物による治療によって、腸の透過性の低下をもたらすことができ、このことは、炎症性疾患及び自己免疫性疾患及び状態の治療または予防に有用であり得ることを、実施例は示している。特定の実施形態では、本発明の組成物は、炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療または予防において、腸の透過性を低下させるためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、腸の透過性の増加と関連する炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療に使用するためのものであるか、あるいは、腸の透過性の増加を示すものとして診断された患者における、炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療に使用するためのものである。
著しいことに、本発明の組成物は、GVHDなどの胃腸管から遠位の疾患プロセスに影響を及ぼし得ることを、実施例は示している。特定の実施形態では、本発明は、胃腸管から遠位の炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療または予防に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物を提供する。特定の実施形態では、本発明は、胃腸管から遠位の炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療または予防に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物を提供する。特定の実施形態では、本発明の組成物は、炎症性腸疾患でないものなどの、腸疾患でない疾患の治療に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、胃腸管に影響を及ぼさない炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、胃腸管の一部でない組織の炎症を低下させるためのものである。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、IL-17またはTh17経路と関連していない自己免疫性疾患または炎症性疾患を治療するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、IL-17の濃度が増加していない患者において、自己免疫性疾患または炎症性疾患を治療するためのものである。
本発明の実施形態では、本発明の組成物は、III等級またはIV等級のGVHDを治療するためのものである。
本発明の特定の実施形態では、本発明の組成物は、皮膚GVHD、または上部腸GVHDを治療するためのものである。
移植片対宿主病(GVHD)
本発明の組成物は、移植片対宿主病(GVHD)の治療または予防に使用するためのものであってよい。GVHDは、同種異系組織を対象に移植した後での、医学的合併症である。GVHDは一般に、特に、移植片(すなわちドナー)及び宿主(すなわちレシピエント)の遺伝的背景が異なる場合において、幹細胞もしくは骨髄移植、または充実性臓器移植の後に生じる。
GVHDの病態生理学は、3つの異なる段階を含む。まず、樹状細胞(DC)などの、宿主の抗原提示細胞(APC)が、移植された組織を異物として認識した後で活性化される。APC活性化は、従来の細胞傷害性T細胞などのエフェクター免疫細胞の動員及び活性化に先行し、外来組織の破壊または拒絶をもたらす。
GVHDは、抗原提示細胞が刺激される経路、生じる組織損傷、異なるサイトカインの役割、リンパ系細胞の役割、マイクロバイオームの役割、及び、Notchシグナル伝達の役割を含む多数の側面において、同種移植片拒絶とは著しく異なっている(確認には[37]を参照のこと)。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、患者が移植を受けた後に投与され得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、患者が移植を受ける前に投与され得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、移植の前にドナーに投与され得る。移植を受ける前に本発明の組成物を投与することは、炎症応答または自己免疫応答を誘発しないように、患者またはドナーの免疫系をプライミングするのに有用であり得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの予防、またはGVHDの発症の予防に用いられ得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、予防的なGVHDの治療または予防に使用するためのものであり得る。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、急性GVHDの治療、遅延、予防、または、急性GVHDの発症の予防に有用であり得る。急性GVHDの症状は典型的には、移植の最初の100日以内に明らかとなる。急性GVHDの遅延、治療または予防は特に、移植手術の直後の後遺症での、対象の回復を補助するのに有益であり得る。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、幹細胞または骨髄手術などの移植手術の後で、死亡の予防、または生存の改善に使用するためのものである。
特定の実施形態では、移植後100日以内に対象に投与される場合、本発明の組成物は、急性GVHDの治療、急性GVHDの発症の遅延、急性GVHDの予防、または急性GVHDの発症の予防を行い得る。特定の実施形態では、対象に予防的に投与される場合、例えば、組成物が移植の前に対象に投与される場合、本発明の組成物は、急性GVHDの治療、急性GVHDの発症の遅延、急性GVHDの予防、または急性GVHDの発症の予防を行い得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、移植後100日を超えて生じる、または再発する、急性GVHDなどの急性GVHDの治療、急性GVHDの発症の遅延、急性GVHDの予防、または、持続性、遅発性、もしくは再発性の急性GVHDの予防を行い得る。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、斑丘皮膚発疹、悪心、拒食症、下痢、深刻な腹部疼痛、腸閉塞及び胆汁うっ血性高ビリルビン血症からなるリストから選択される急性GVHDの治療、急性GVHDの発症の遅延、急性GVHDの予防、または急性GVHDの1または2以上の症状の発症の予防を行い得る。
本発明の組成物は、GVHDと関連する体重減少、皮膚損傷、及び腸の透過性の低減に効果的であることを、実施例は示している。したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの治療における体重減少の低減、または体重増加の向上に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの治療における、皮膚の完全性の保護、または皮膚の完全性の改善に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの治療における腸の透過性の低減に使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、腸GVHDの治療に使用するためのものである。好ましいかかる実施形態では、本発明の組成物は、ブラウティア プロドゥクタ種の株を含む。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、慢性GVHDの治療、慢性GVHDの発症の遅延、慢性GVHDの予防、または慢性GVHDの発症の予防に有用であり得る。慢性GVHDは、任意の器官に関与し、典型的には繊維症により特徴付けられる、複雑な複合系疾患である。慢性GVHDは急性GVHDから発展し得るか、または、急性GVHDの後の休止期間後に出現し得るか、または、新規に出現し得る。慢性GVHDの症状は、移植後いつでも出現し得る。組成物は、Th17及び/またはTh1炎症応答の上昇を低減または予防することにより、慢性GVHDの治療、慢性GVHDの予防、慢性GVHDの発症の予防、または慢性GVHDの発症の遅延に有用であり得る。組成物は、HDAC活性を阻害することによる、慢性GVHDの治療、慢性GVHDの予防、慢性GVHDの発症の予防、または慢性GVHDの発症の遅延に有用であり得る。組成物は、Treg細胞活性を上方制御することにより、慢性GVHDの治療、慢性GVHDの発症の遅延、慢性GVHDの予防、または慢性GVHDの発症の予防を行い得る。組成物は、従来の細胞傷害性T細胞活性を阻害することにより、慢性GVHDの治療、慢性GVHDの発症の遅延、慢性GVHDの予防、または慢性GVHDの発症の予防を行い得る。本発明の組成物は、NK細胞活性を向上させることにより、慢性GVHDの治療、慢性GVHDの発症の遅延、慢性GVHDの予防、または慢性GVHDの発症の予防を行い得る。本発明の組成物は、APC DC活性化を阻害することにより、慢性GVHDの治療、慢性GVHDの発症の遅延、慢性GVHDの予防、または慢性GVHDの発症の予防を行い得る。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、最近幹細胞、骨髄、または充実性臓器移植を受けた患者に投与するためのものである特定の実施形態では、本発明の組成物は、幹細胞、骨髄、または充実性臓器移植を必要とする患者に投与するためのものである。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、色素異常沈着、新規発症の脱毛症、多形皮膚萎縮、扁平苔癬様の発疹または硬化性形質、爪ジストロフィまたは喪失、口内乾燥、口内炎(アフタ性口内炎など)、構内での苔癬様の形質(苔癬硬化症など)、乾性角結膜炎、乾燥症候群、瘢痕性結膜炎、筋膜炎、筋炎、関節硬直、膣硬化症、潰瘍形成、拒食症、体重減少、食道ウェブ、黄疸、高トランスアミナーゼ血症、胸膜滲出、閉塞性細気管支炎、ネフローゼ症候群、心膜炎、血小板減少症、貧血、及び好中球減少症からなるリストから選択される慢性GVHDの治療、慢性GVHDの発症の遅延、慢性GVHDの予防、または慢性GVHDの1または2以上の症状の発症の予防を行い得る。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの治療または予防のための1または2以上の薬理学的剤と組み合わせて使用するためのものであってよい。特定の実施形態では、1または2以上の薬理学的剤は、GVHDの薬理学的予防または治療のためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、1または2以上の上記薬理学的剤を受けている、既に受けた、または受けようとしている対象におけるGVHDの治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、1または2以上の薬理学的剤は、サブエロイルアニリド、ボリノスタット、ITF2357シクロスポリン、シクロスポリン、シロリムス、ペントスタチン、リツキシマブ、イマチニブ、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、プレドニゾン、メトトレキサート、レメステムセル-L、及びProchymalからなるリストから選択され、薬理学的剤は、GVHDの治療または予防のための治療に有効な量で投与される。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、体外フォトフォラーゼを既に受けた、受けている、または受けようとしている対象における、GVHDの治療に使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの治療に使用するためのものであり、ブラウティア プロドゥクタの単一株を含み、他の細菌株または種を含まないか、あるいは、わずかな、または生物学的に無関係な量の、他の細菌株または種のみを含む。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの治療に使用するためのものであり、細菌株は酪酸を生成しない。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの治療に使用するためのものであり、酪酸を生成するいかなる細菌株または種をも含まない。さらに好ましい実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの治療に使用するためのものであり、酪酸を生成しないブラウティア プロドゥクタの単一株を含み、他の細菌株または種を含まないか、あるいは、わずかな、または生物学的に無関係な量の、他の細菌株または種のみを含む。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、先の日、週、または月に抗生物質を投与されていないなどの、抗生物質を投与されていない患者における、GVHDの治療に使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの治療に使用するためのものであり、単剤療法として投与することが可能なものである。さらに好ましい実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの治療において単剤療法として使用するためのものであり、ブラウティア プロドゥクタの単一株を含み、他の細菌株または種を含まないか、あるいは、わずかな、または生物学的に無関係な量の、他の細菌株または種のみを含む。さらに好ましい実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの治療において単剤療法として使用するためのものであり、酪酸を生成するいかなる細菌株または種をも含まない。特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、GVHDの治療に単剤療法として使用するためのものであり、酪酸を生成しないブラウティア プロドゥクタの単一株を含み、他の細菌株または種を含まないか、あるいは、わずかな、または生物学的に無関係な量の、他の細菌株または種のみを含む。
炎症性腸疾患
本発明の組成物は大腸炎の重症度を低減することができることを、実施例は示しており、故に、炎症性腸疾患治療に有用であり得る。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、炎症性腸疾患の治療または予防に使用するためのものである。
炎症性腸疾患(IBD)は、複数の環境因子及び遺伝因子により引き起こされ得る、複合疾患である。IBDの発症に寄与する因子としては、食事、微生物叢、腸の透過性、及び、腸の感染症に対する炎症応答の増加に対する遺伝感受性が挙げられる。炎症性腸疾患の症状としては、腹部疼痛、嘔吐、下痢、直腸出血、骨盤領域における深刻な内部痙攣/筋肉攣縮、体重減少、及び貧血が挙げられる。特定の実施形態では、組成物は、IBDと関連する1または2以上の症状の低減に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、IBDの1または2以上の症状の予防に使用するためのものである。
本発明の組成物は、大腸炎の重症度を低下させ得る、特に、潰瘍形成及び出血を低下させ得ることを、実施例は示している。特定の実施形態では、本発明の組成物は、炎症性腸疾患の治療における、潰瘍形成または出血の低下または予防に使用するためのものである。本発明の組成物は、大腸炎及びGVHDと関連した体重減少及び腸の透過性の低減に効果的であることもまた、実施例は示している。したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物は、炎症性腸疾患の治療における体重減少の低減、または体重増加の向上に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、炎症性腸疾患の治療における腸の透過性の低減に使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、ブラウティア プロドゥクタ種の株を含む。
本発明の組成物は、GVHDと関連する大腸炎の治療に効果的であることを、実施例は示している。したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物は、GVHDを患う患者における大腸炎の治療に使用するためのものである。したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物は、GVHDを患う患者における炎症性腸疾患の治療に使用するためのものである。特定の実施形態では、組成物は、GVHDの治療における、腸炎症の低減に使用するためのものである。
IBDは、関節炎、壊疽性膿皮症、原発性硬化性胆管炎、ノンサイロイダルイルネス症候群、深部静脈血栓、肺炎を組織化する閉塞性細気管支炎などの他の疾患または状態が付随する場合がある。特定の実施形態では、本発明の組成物は、IBDに付随する1または2以上の疾患または状態の治療または予防に使用するためのものである。
炎症性腸疾患は一般に、生検または結腸内視鏡検査法により診断される。糞便カルプロテクチンの測定は、IBDの予備診断に有用である。IBDの診断のための他の実験室用試験としては、完全な血球計数、赤血球沈降速度、包括的代謝パネル、糞便での潜在性血液試験、またはC比較タンパク質試験が挙げられる。典型的には、実験室用試験と生検/結腸内視鏡検査法との組み合わせを用いて、IBDの診断を確認する。特定の実施形態では、本発明の組成物は、IBDと診断された対象に使用するためのものである。
特定の実施形態では、炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎である。潰瘍性大腸炎は、T細胞を浸潤することを特徴とする、自己免疫性の炎症性腸疾患である。
潰瘍性大腸炎は通常、直腸及び結腸に限られるが、場合によっては回腸において発生する。疾患は、胃腸管の介入度合いに応じて分類される。潰瘍性大腸炎の分類としては、直腸炎、直腸S状結腸炎、及び左側大腸炎などの遠位大腸炎、または、全大腸炎などの包括的大腸炎が挙げられる。特定の実施形態では、組成物は、遠位大腸炎の治療に使用するためのものである。特定の実施形態では、組成物は、直腸炎の治療に使用するためのものである。特定の実施形態では、組成物は、直腸S状結腸炎の治療に使用するためのものである。特定の実施形態では、組成物は、左側大腸炎の治療に使用するためのものである。特定の実施形態では、組成物は、包括的大腸炎の治療に使用するためのものである。特定の実施形態では、組成物は、全大腸炎の治療に使用するためのものである。特定の実施形態では、組成物は、潰瘍性大腸炎の発症のリスクを有する対象における、潰瘍性大腸炎の予防に使用するためのものである。
潰瘍性大腸炎は、内視鏡検査法/結腸内視鏡検査法と生検といった、実験室用試験と手術の組み合わせにより診断される。潰瘍性大腸炎の診断を補助する例示的な実験室用試験としては、完全な血液細胞計数、完全な代謝パネル、肝臓機能の試験、尿検査、大便培養、赤血球沈降速度、及びC反応性タンパク質測定が挙げられる。
潰瘍性大腸炎の症状の重症度は、単純臨床大腸炎活性指数(SCCAI)を使用して測定することができる[38]。SCCAIは、潰瘍性大腸炎を治療または予防するように設計された治療法の有効性を評価するための手段としてもまた使用可能である。SCCAIは、潰瘍性大腸炎の症状の重症度:排便の頻度(日中);排便の頻度(夜);排便の緊急性;大便中の血液;一般的な健康状態;結腸外の形質(例えば関節炎、ぶどう膜炎、または、UCに付随する他の状態)を測定するように設計された以下の一連の問いを呈する。各回答は、0~19のスコアを生成するスライディングスケールでもたらされる。5を超えるスコアは通常、潰瘍性大腸炎の存在を示す。
いくつかの実施形態では、組成物は、潰瘍性大腸炎を診断された対象に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、組成物は、潰瘍性大腸炎の1または2以上の症状の軽減または緩和に使用するためのものである。例えば、組成物は、SCCAIに対する1または2以上の応答のスコアを改善し得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、便通の頻度を低下させるのに使用するためのものであってよい。特定の実施形態では、本発明の組成物は、排便の緊急性を低下させるのに使用するためのものであってよい。特定の実施形態では、本発明の組成物は、大便中の血液を減少させるのに使用するためのものであってよい。特定の実施形態では、本発明の組成物は、結腸外の形質を減少させるのに使用するためのものであってよい。これらの症状の緩和または回復は、本発明の組成物の、投与前及び投与後の対応するSCCAIスコアにおける改善により判定してよい。
潰瘍性大腸炎のさらなる症状としては、下痢、直腸出血、体重減少及び貧血、腹部疼痛、便通による腹部痙攣が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、潰瘍性大腸炎の1または2以上のさらなる症状の治療または予防に使用するためのものである。
場合によっては、潰瘍性大腸炎には、1または2以上の結腸外の形質が付随する。結腸外の形質とは、潰瘍性大腸炎に付随し、結腸の外側で明白となる状態または疾患である。潰瘍性大腸炎の結腸外の形質の例としては、アフタ性潰瘍、虹彩炎、ぶどう膜炎、上強膜炎、血清反応陰性関節炎、強直性脊椎炎、仙腸骨炎、結節性紅斑、膿皮症壊疽性膿瘡、深部静脈血栓症及び肺塞栓症、自己免疫性溶血性貧血、時計ガラス皿爪、原発性硬化性胆管炎が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、潰瘍性大腸炎の1または2以上の結腸外の形質の治療または予防に使用するためのものである。
潰瘍性大腸炎は、多数の治療剤、例えば5-アミノサリチル酸、例えばスルファサラジン及びメサラジン、コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、免疫抑制剤、例えばアザチオプリン、生物学的製剤、例えばインフリキシマブ、アダリムマブ、及びゴリムマブ、ベドリズマブ、及びエトロリズマブ、ニコチン、または鉄で治療することができる。特定の実施形態では、本発明の組成物は、追加の治療剤であって、当該追加の治療剤が潰瘍性大腸炎の治療または予防のためのものである、当該追加の治療剤と組み合わせた、潰瘍性大腸炎の治療または予防におけるためのものである。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、クローン病の治療または予防に使用するためのものである。
クローン病は、遺伝リスク因子、食事、他のライフスタイル因子(例えば喫煙及びアルコール消費)、ならびにマイクロバイオーム組成物を含む、考えられる原因のアレイを伴う複合疾患である。クローン病は、胃腸管に沿った箇所ではどこでも、明白となり得る。
クローン病の消化管症状は、中程度から深刻なものまでにまたがり、腹部疼痛、下痢、便潜血、回腸炎、便通の増加、鼓腸の増加、腸狭窄、嘔吐、及び肛門周囲の不快感が挙げられる。本発明の組成物は、クローン病の1または2以上の消化管症状の予防の治療に使用するためのものであってよい。
クローン病の全身症状としては、成長欠陥(例えば、思春期中に成長維持ができないこと)、食欲減退、発熱、及び体重減少が挙げられる。クローン病の腸外の形質としては、ぶどう膜炎、羞明、上強膜炎、胆石、血清反応陰性脊椎関節症、関節炎、骨付着部炎、結節性紅斑、壊疽性膿皮症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、自己免疫性溶血性貧血、時計ガラス皿爪、及び骨粗鬆症が挙げられる。腸外の形質とは、胃腸管の外で明白となる、クローン病と関連するさらなる状態である。クローン病を患う対象は、痙攣、脳卒中、筋障害、末梢神経炎、頭痛、及びうつ病などの、神経系合併症に対する感受性の増加もまた示す。特定の実施形態では、本発明の組成物は、クローン病の1または2以上の全身症状の治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、クローン病の1または2以上の腸外の形質の治療または予防に使用するためのものである。
クローン病の診断には通常、典型的には回腸の、胃鏡検査法及び/または結腸内視鏡検査法、ならびに生検、放射線医学試験、完全な血液計数、C反応性タンパク質試験、ならびに赤血球沈降速度などの、複数の試験及び手術操作を実施することが伴う。特定の実施形態では、本発明の組成物は、クローン病と診断された対象に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、クローン病と既に診断されている対象の治療に使用するためのものである。
クローン病は、影響を受ける胃腸管の領域の程度に応じて分類される[39]。回腸と結腸の両方の疾患を、回結腸クローン病として分類する。いくつかの実施形態では、組成物は、回結腸クローン病の治療または予防に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、組成物は、回腸のみが影響を受けている場合に分類される、回結腸クローン病/クローン病回腸炎と診断された対象に使用するためのものである。クローン大腸炎は、結腸のみが影響を受けている場合に分類される。特定の実施形態では、組成物は、クローン回腸炎の治療または予防に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、組成物は、クローン回腸炎と診断された対象に使用するためのものである。特定の実施形態では、組成物は、クローン大腸炎の治療または予防に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、組成物は、クローン大腸炎と診断された対象に使用するためのものである。
クローン病は、多数の治療剤、例えばコルチコステロイド、例えばプレドニゾン、免疫抑制剤、例えばアザチオプリン、または生物学的製剤、例えばインフリキシマブ、アダリムマブ、及びゴリムマブ、ベドリズマブ、及びエトロリズマブにより治療することができる。特定の実施形態では、本発明の組成物は、追加の治療剤と組み合わせた、クローン病の治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、追加の治療剤は、クローン病の治療または予防に使用するためのものである。
過敏性腸症候群は、炎症性腸疾患と類似の症状を伴い提示され得る。しかし、過敏性腸症候群(IBS)は、炎症性腸疾患の一例ではない。特に、IBS及び炎症性腸疾患の根底にある病因及び疾患メカニズムは、共通点が非常に少ない。具体的には、炎症性腸疾患及び大腸炎は、慢性腸炎により誘導される一方で、対照的に、IBSは、「機能性腸疾患」と考えられ、これは、明らかな解剖学的または生理的異常が存在しないことを特徴としている[40、41]。特定の実施形態では、本発明の組成物は、過敏性腸症候群でない疾患の治療に使用するためのものである。
喘息
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、喘息の治療または予防に使用するためのものである。喘息は、気道の炎症及び制限を特徴とする慢性疾患であり、喘息の炎症は、Th17及び/またはTh1細胞により媒介され得る[42、43]ため、本発明の組成物は、喘息の予防または治療に部分的に効果的であり得る。また、GVHDは肺に影響を及ぼす肺疾患もたらし得、GVHDの症状としては、息切れ及び空咳を挙げることができる。喘息の炎症は、好酸球及び/または好中球により媒介され得る。
特定の実施形態では、喘息は好酸性喘息またはアレルギー性喘息である。好酸性喘息及びアレルギー性喘息は、末梢血中及び気道分泌物中における、好酸球の増加を特徴とし、基底膜ゾーンの壁厚増大と病理学的に関連し、副腎皮質ホルモン応答性により薬理学的に関連する[44]。好酸球の動員または活性化を低下または阻害する組成物は、好酸性及びアレルギー性喘息の治療または予防に有用であり得る。
さらなる実施形態では、本発明の組成物は、好中球性喘息(または非好酸性喘息)の治療または予防に使用するためのものである。好中球の数が多いことは、副腎皮質ホルモン治療に不感性であり得る深刻な喘息と関連している。好中球の動員または活性化を低下または阻害する組成物は、好中球性喘息の治療または予防に使用するためのものであってよい。
好酸性喘息及び好中球性喘息は、相互排他的な状態ではなく、好酸球応答及び好中球応答のいずれかの対処を補助する治療は一般に、喘息の治療に有用であり得る。
Th17経路の活性化は深刻な喘息と関連しているため、本発明の組成物は、深刻な喘息の進行の予防、または深刻な喘息の治療に有用であり得る。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、喘息の治療もしくは予防における、好酸性炎症応答の低減方法に使用するための、または、喘息の治療もしくは予防における、好中球性炎症応答の低減方法に使用するためのものである。上記のとおり、喘息における多量の好酸球は、基底膜ゾーンの壁厚増大と病理学的に関連しているため、喘息の治療または予防において、好酸性炎症応答を低減させることにより、疾患の本形質に特異的に対処することが可能となり得る。また、好酸球の増加と組み合わさった、または好酸球の不存在下のいずれかにおける、好中球の増加は、深刻な喘息及び慢性気道狭窄と関連している。したがって、好中球性炎症応答の低減は、深刻な喘息に対処するのに特に有用であり得る。
特定の実施形態では、組成物は、アレルギー性喘息における細気管支周囲の湿潤を低下させる、または、アレルギー性喘息の治療における、細気管支周囲の湿潤の低下に使用するためのものである。特定の実施形態では、組成物は、好中球性喘息における細気管支周囲の、及び/または血管周囲の湿潤を低下させるか、または、アレルギー性好中球性喘息の治療における、細気管支周囲の、及び/または血管周囲の湿潤の低下に用いるためのものである。
特定の実施形態では、本発明の組成物による治療は、TNFα濃度の上昇の低減をもたらす、または上昇を防止する。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、好酸性及び/または好中球性炎症応答の低下をもたらす、喘息の治療方法に使用するためのものである。特定の実施形態では、治療される患者は、例えば、血液サンプリングまたは痰分析により同定された、好中球または好酸球濃度の増加を有するか、またはこれを有するものとして以前に同定されている。
本発明の組成物は、新生児、または妊婦に投与したときに、新生児における喘息の進行の予防に有用であり得る。組成物は、小児喘息の進行の予防に有用であり得る。本発明の組成物は、成人発症喘息の治療または予防に有用であり得る。本発明の組成物は、喘息の管理または軽減に有用であり得る。本発明の組成物は、家のチリダニなどのアレルゲンにより悪化される喘息と関連した症状の低減に特に有用であり得る。
喘息の治療または予防とは例えば、症状の重症度の軽減、または、悪化頻度、もしくは、患者に対して問題を引き起こす範囲の低下を意味することができる。
関節炎
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、関節リウマチ(RA)の治療または予防に使用するためのものである。Th1及びTh17のパーセンテージ、ならびに、Th1及びTh17サイトカインの発現の低下は、トシリズマブによりRAの治療と関連している[45]。同様に、Th1及びTh17の阻害をもたらす、T細胞のワクチン接種により、コラーゲン誘発性関節炎(RAに対する動物モデル)の発症の遅延、及び、関節の炎症の低下を行うことができる[46]。RAは、主に関節に影響を及ぼす全身炎症性疾患である。RAは、関節の膨張、滑液過形成、ならびに、軟骨及び骨の破壊をもたらす炎症応答と関連している。例えば、IL-17は、軟骨細胞中及び造骨細胞中でのマトリックス産生を阻害し、マトリックスメタロプロテイナーゼの産生及び機能を活性化するため、そして、RAの疾患活性は、IL-17濃度及びTh-17細胞数と相関しているため[47、48]、IL-17及びTh17は、RAにおいて重要な役割を有し得、そのため、本発明の組成物は、RAの予防または治療に特に効果的であり得る。
特定の実施形態では、本発明の組成物による治療は、関節の膨張の低減をもたらす。特定の実施形態では、本発明の組成物は、膨張した関節を有する患者、または、膨張した関節を有するリスクを有すると同定された患者に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、RAにおける関節膨張の低減方法に使用するためのものである。
特定の実施形態では、本発明の組成物による治療は、軟骨損傷または骨損傷の低減をもたらす。特定の実施形態では、本発明の組成物は、RAの治療における軟骨または骨損傷の低減または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、組成物は、軟骨または骨損傷のリスクを有する、深刻なRAを有する患者の治療に使用するためのものである。
IL-17濃度及びTh17細胞数の増加は、RAにおける軟骨及び骨破壊と関連している[49]。IL-17は、軟骨及び骨組織内でのマトリックス破壊を活性化することが知られており、IL-17は、軟骨細胞中及び造骨細胞中でのマトリックス産生に阻害効果を有する。したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物は、RAの治療における骨侵食または軟骨損傷の予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、組成物は、骨侵食もしくは軟骨損傷を示す患者、または、骨侵食もしくは軟骨損傷のリスクを有すると同定された患者の治療に使用するためのものである。
TNF-αもまたRAと関連しているが、TNF-αは、疾患の後期段階の病因には関与していない。対照的に、IL-17は、慢性疾患の全段階を通して役割を有する[50]。したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物は、関節破壊及び軟骨損失を含む疾患などの、慢性RAまたは後期段階RAの治療に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、以前に抗TNF-α治療法を受けた患者を治療するためのものである。特定の実施形態では、治療される患者は、抗TNF-α治療法に応答しないか、またはもはや応答しない。
本発明の組成物は、患者の免疫系の調節に有用であり得るため、特定の実施形態では、本発明の組成物は、RAのリスクを有すると既に同定されているか、または初期段階のRAと既に診断されている患者における、RAの予防に使用するためのものである。本発明の組成物は、RAの進行の予防に有用であり得る。
本発明の組成物は、RAの管理または軽減に有用であり得る。本発明の組成物は、関節膨張または骨破壊と関連した症状の低減に特に有用であり得る。RAの治療または予防とは例えば、症状の重症度の軽減、または、悪化頻度、もしくは、患者に対して問題を引き起こす範囲の低下を意味することができる。
多発性硬化症
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、多発性硬化症の治療または予防に使用するためのものである。多発性硬化症は、特に脳及び脊柱における、ニューロンのミエリン鞘への損傷と関連した炎症性疾患である。多発性硬化症は慢性疾患であり、漸進的に無能力とし、複数の症状発現を伴う。例えば、IL-17濃度が多発性硬化症の病変と関連し得、IL-17が血液脳関門の内皮細胞接合帯を破壊し得、かつ、Th17細胞が、中枢神経系に移動し、神経細胞の喪失を引き起こし得るため、IL-17及びTh17は、多発性硬化症において重要な役割を有し得る[51]。miR-155の発現の、マイクロRNAが媒介するノックダウンにより、多発性硬化症のマウスモデルにおけるTh1及びTh17細胞の数の減少、ならびに、症状の緩和がもたらされる[52]。したがって、本発明の組成物は、多発性硬化症の予防または治療に特に効果的であり得る。
特定の実施形態では、本発明の組成物による治療により、罹患率または疾患重症度の低下がもたらされる。特定の実施形態では、本発明の組成物は、疾患の罹患率または疾患の重症度の低下に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物による治療により、運動機能の低下が予防されるか、または運動機能の改善がもたらされる。特定の実施形態では、本発明の組成物は、運動機能の低下の予防に使用するためのものであるか、または、運動機能の改善に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物による治療は、麻痺の進行を防止する。特定の実施形態では、本発明の組成物は、多発性硬化症の治療における麻痺の予防に使用するためのものである。
本発明の組成物は、患者の免疫系の調節に有用であり得るため、特定の実施形態では、本発明の組成物は、多発性硬化症のリスクを有すると既に同定されているか、または、初期段階多発性硬化症もしくは「再発寛解型」多発性硬化症と既に診断されている患者における多発性硬化症の予防に使用するためのものである。本発明の組成物は、硬化症の進行の予防に有用であり得る。
本発明の組成物は、多発性硬化症の管理または軽減に有用であり得る。本発明の組成物は、多発性硬化症と関連する症状の低減に特に有用であり得る。多発性硬化症の治療または予防とは例えば、症状の重症度の軽減、または、悪化頻度、もしくは、患者に対して問題を引き起こす範囲の低下を意味することができる。
代替の実施形態では、本発明の組成物は、多発性硬化症でない疾患の治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、神経系と関連していない疾患の治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、胃腸管の遠位にあり、神経系と関連しない疾患の治療または予防に使用するためのものである。
乾癬
乾癬は、慢性の炎症性皮膚疾患である。Th1及びTh17は、健康な対照対象と比較して、乾癬患者において多い。抗TNF-αアンタゴニストであるアダリムマブにより乾癬患者を治療した後での、臨床的改善は、Th1及びTh17細胞、ならびにこれらと関連するサイトカインの周波数の低下と関連している[53]。GVHDは、皮膚にもまた影響を及ぼし得る(例えば、発疹)。したがって、本発明の組成物は、対象における乾癬の治療または予防に有用であり得る。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、乾癬の治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、乾癬の治療または予防に使用するためのものであり、上記治療または予防は、Th17及び/またはTh1炎症応答の上昇の低減または予防により、達成される。
全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己免疫性疾患である。SLE患者は、健康な対照対象と比較して、著しく高い濃度のTh17サイトカイン、ならびに、Th1及びTh17細胞応答のバランスの変化を有することが分かっている[54、55]。したがって、本発明の組成物は、対象における全身性エリテマトーデスの治療または予防に有用であり得る。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、SLEの治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、SLEの治療または予防に使用するためのものであり、上記治療または予防は、Th17及び/またはTh1炎症応答の上昇の低減または予防により、達成される。
同種移植片拒絶
同種移植片拒絶は、移植された組織がレシピエントの免疫系により拒絶されるときに生じる。IFN-γ及びIL-17の血清及び移植片内濃度が急性拒絶と正に相関していることを、多数の臨床研究は示している[56]。同種移植片拒絶及びGVHDは共に、移植後に発生し、同種免疫と関連している。したがって、本発明の組成物は、対象における同種移植片拒絶の治療または予防に有用であり得る。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、同種移植片拒絶の治療または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、同種移植片拒絶の治療または予防に使用するためのものであり、上記治療または予防は、Th17及び/またはTh1炎症応答の上昇の低減または予防により、達成される。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、患者が移植を受けた後に投与され得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、移植前に投与され得る。移植を受ける前に本発明の組成物を投与することは、移植組織に対して炎症応答または自己免疫応答を誘発しないように、対象の免疫系をプライミングするのに有用であり得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、同種移植片拒絶の発症の予防に用いられ得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、予防的な同種移植片拒絶の治療または予防に使用するためのものであり得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、対象における移植組織拒絶の予防方法に使用するためのものであり得る。
投与様式
本発明の組成物は、本発明の細菌株による、腸への送達、及び/または、腸における部分的もしくは全コロニー形成を可能にするために、胃腸管に投与されるものであるのが好ましい。一般に、本発明の組成物は経口投与されるが、直腸、経鼻、もしくは頬もしくは舌下経路を通して投与されてもよい。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、例えば、先の日、週、もしくは月に、または全く、メトロニダゾール、ピペラ-シリン-タゾバクタム(ピプ-タクソもしくはP/T)、またはイミペネムなどの、嫌気性菌に対して高活性を有する抗生物質を投与されていない患者に投与するものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、先の日、週、または月にいかなる抗生物質も投与されていないなどの、いかなる抗生物質も投与されていない患者に投与するものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は単剤療法として投与するものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は単独で投与し、任意の他の治療薬、例えば抗生物質と組み合わせては投与されないものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、メトロニダゾール、ピペラ-シリン-タゾバクタム(ピプ-タクソもしくはP/T)、またはイミペネムなどの、嫌気性菌に対して高活性を有する抗生物質と組み合わせることなく投与するものである。本発明の組成物は、抗生物質による腸マイクロバイオームのクリアランスを必要とせずとも効果的であることを、実施例は示している。特定の実施形態では、本発明の組成物は、通常の腸マイクロバイオームを有する患者に投与するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、クロストリジウム目、ブラウティア、B. coccoides、またはB. productaの濃度が通常であるかもしくは増加した、または、濃度が低下していない患者に投与するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、B. producta及び/またはB. coccoidesの、測定可能な腸でのコロニー形成を有する患者に投与するためのものである。本発明の組成物は、疾患の治療において効果的である、任意の特定の腸マイクロバイオーム条件を必要としないことを、実施例は示している。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、泡として、スプレーまたはゲルとして投与され得る。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、例えば、カカオオイル(カカオバター)、合成硬質脂肪(例えばsuppocire、witepsol)、グリセロ-ゼラチン、ポリエチレングリコール、または石けんグリセリン組成物の形態で、座薬として、例えば直腸座薬として投与されてよい。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、管、例えば経鼻胃管、経口胃管、胃管、空腸瘻造術管(J管)、経皮内視鏡胃造瘻術(PEG)、またはポート、例えば、胃、空腸にアクセスをもたらす胸壁ポート、及び他の好適なアクセスポートを通して胃腸管に投与される。
本発明の組成物は、一度に投与されてよいか、または、治療レジメンの一部として連続して投与されてよい。特定の実施形態では、本発明の組成物は毎日投与することができる。
本発明の特定の実施形態において、本発明に従った治療には、患者の腸内微生物叢の評価が付随する。本発明の株の送達、及び/または本発明の株による部分的もしくは全コロニー形成が達成されず、有効性が観察されない場合には、治療を繰り返すことができ、あるいは、送達、及び/または部分的もしくは全コロニー形成が成功し、有効性が観察された場合には、治療を停止してよい。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、胎内の子ども、及び/または出産後の子どもにおいて進行する炎症性疾患または自己免疫性疾患を予防するために、妊娠した動物、例えばヒトなどの哺乳類に投与することができる。
本発明の組成物は、GVHDまたは炎症性疾患もしくは自己免疫性疾患と診断されているか、あるいは、GVHDまたは炎症性疾患もしくは自己免疫性疾患のリスクを有すると同定されている患者に投与することができる。組成物は予防手段としてもまた投与し、健康な患者におけるGVHDまたは炎症性疾患もしくは自己免疫性疾患の進行を予防することができる。
本発明の組成物は、異常な腸内微生物叢を有すると同定されている患者に投与することができる。例えば、患者はブラウティア、及び特に、ブラウティア プロドゥクタ及び/またはブラウティア コッコイデスによる、コロニー形成の低下または不在を有し得る。
本発明の組成物は、栄養補助食品などの食品として投与されてよい。
一般に、本発明の組成物はヒトの治療のためのものであるが、家禽、ブタ、ネコ、イヌ、ウマ、またはウサギなどの単胃哺乳類を含む動物を治療するために使用してもよい。本発明の組成物は、動物の成長及びパフォーマンスの向上に有用であり得る。動物に投与する場合、強制経口投与を用いてよい。
組成物
一般に、本発明の組成物は細菌を含む。本発明の好ましい実施形態では、組成物はフリーズドライ形態で製剤化される。例えば、本発明の組成物は、本発明の細菌株を含む顆粒またはゼラチンカプセル、例えばハードゼラチンカプセルを含み得る。
本発明の組成物は凍結乾燥した細菌を含むのが好ましい。細菌の凍結乾燥は十分に確立された手順であり、関係する手引きは例えば、参考文献[57~59]で入手可能である。
あるいは、本発明の組成物は生存している、活性細菌培養液を含んでよい。
好ましい実施形態では、本発明の組成物をカプセル化することで、腸への細菌株の送達が可能となる。カプセル化により、標的位置に送達されるまで、例えば、圧力、酵素活性、または、pHの変化により引き起こされ得る物理的崩壊などの、化学的または物理的刺激による破裂によっての分解から、組成物が保護される。任意の好適なカプセル化法を使用してよい。例示的なカプセル化技術としては、多孔質マトリックス内でのトラップ、固体担体表面での付着または吸着、難凝集による、または架橋剤を用いた自己凝集、及び、微孔性膜またはマイクロカプセルへの機械的封込めが挙げられる。本発明の組成物の調製に有用であり得るカプセル化における手引きは例えば、参考文献[60]及び[61]で入手可能である。
組成物は経口投与することができ、錠剤、カプセル、または粉末の形態であることができる。ブラウティアは嫌気性菌であるため、カプセル化された製品が好ましい。他の成分(例えば、ビタミンCなど)は、脱酸素剤及びプレバイオティック基質として含め、インビボでの送達、ならびに/または部分的もしくは全コロニー形成及び生存を改善することができる。あるいは、本発明のプロバイオティクス組成物を、乳もしくはホエーベースの発酵乳製品といった食品もしくは栄養製品として、または、薬学製品として、経口投与することができる。
組成物は、プロバイオティクスとして製剤化してよい。
本発明の組成物は、治療に有効な量の、本発明の細菌株を含む。治療に有効な量の細菌株は、患者に有益な効果を発揮するのに十分である。治療に有効な量の細菌株は、患者の腸への送達、及び/または、患者の腸に部分的もしくは全コロニー形成をもたらすのに十分であり得る。
例えば、成人のヒトに対する、細菌の好適な日用量は、約1×10~約1×1011コロニー形成単位(CFU);例えば、約1×10~約1×1010CFU;別の実施例では約1×10~約1×1010CFU;別の実施例では約1×10~約1×1011CFU;別の例では約1×10~約1×1010CFU;別の例では約1×10~約1×1011CFUであってよい。
特定の実施形態では、細菌の用量は、1日当たり少なくとも10cells、例えば1日当たり少なくとも1010、少なくとも1011、または少なくとも1012cellsである。
特定の実施形態では、組成物は、組成物の重量に対して、約1×10~約1×1011CFU/g、例えば、約1×10~約1×1010CFU/gの量で細菌株を含有する。用量は例えば、1g、3g、5g、及び10gであってよい。
特定の実施形態では、本発明は、上記医薬組成物を提供し、細菌株の量は、組成物の重量に対して、グラム当たり約1×10~約1×1011コロニー形成単位である。
特定の実施形態では、医薬組成物は、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5種類以下の異なる細菌種を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、4種類以下の異なる細菌種を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、3種類以下の異なる細菌種を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、2種類以下の異なる細菌種を含む。特定の実施形態では、医薬組成物はブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデスを含み、他の細菌種を含まない。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデスの単一株を含み、他の細菌株または種を含まない。かかる組成物は、わずかな、または生物学的に無関係な量の、他の細菌株または種のみを含み得る。著しいことに、本発明の単一株のみを含む組成物は、他の株または種との同時投与に左右されることなく、疾患に強力な影響を有し得ることを、実施例は示している。
特定の実施形態では、本発明は、上記医薬組成物を提供し、組成物は、500mg~1000mg、600mg~900mg、700mg~800mg、500mg~750mg、または750mg~1000mgの用量で投与される。特定の実施形態では、本発明は、上記医薬組成物を提供し、医薬組成物中の凍結乾燥された細菌は、500mg~1000mg、600mg~900mg、700mg~800mg、500mg~750mg、または750mg~1000mgの用量で投与される。
複数の実施形態では、本発明の組成物などのプロバイオティクスは任意に、少なくとも1種の好適なプレバイオティック化合物と組み合わされる。プレバイオティック化合物は通常、オリゴもしくは多糖類、または糖アルコールなどの非分解性炭水化物であり、これは、上部消化管で分解または吸収されない。公知のプレバイオティクスとしては、イヌリン及びトランスガラクト-オリゴ糖などの、商業製品が挙げられる。代替実施形態では、本発明の組成物はプレバイオティクスを含まず、かつ/または、プレバイオティクスと組み合わせて投与されない。
特定の実施形態では、本発明のブロバイオティック組成物は、組成物の全重量に対して、約1~約30%の量のプレバイオティック化合物(例えば、5~20重量%)を含む。炭水化物は、フルクト-オリゴ糖(またはFOS)、短鎖フルクト-オリゴ糖、イヌリン、イソマルト-オリゴ糖、ペクチン、キシロ-オリゴ糖(またはXOS)、キトサン-オリゴ糖(またはCOS)、β-グルカン、耕地ゴム改変及び耐性デンプン、ポリデキストロース、D-タガトース、アカシア繊維、イナゴマメ、オート麦、及び柑橘繊維からなる群から選択されてよい。一態様では、プレバイオティクスは、短鎖フルクト-オリゴ糖(簡便性のため、本明細書において以下ではFOSs-c.cとして示す。)であり、上記FOSs-c.cは、一般に、てん菜糖への転換により得られる、消化可能な炭水化物ではなく、3つのグルコース分子が結合したサッカロース分子を含む。
本発明の組成物は、薬学的に許容される賦形剤または担体を含んでよい。かかる好適な賦形剤の例は、参考文献[62]に見いだされ得る。治療のために使用する、許容される担体または希釈剤は、薬学技術分野において周知であり、例えば参考文献[63]に記載されている。好適な担体の例としては、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。好適な希釈剤の例としてはエタノール、グリセロール、及び水が挙げられる。医薬担体、賦形剤または希釈剤の選択は、意図する投与経路及び標準的な薬務に応じて選択することができる。医薬組成物は、担体、賦形剤もしくは希釈剤として、またはこれらに加えて、任意の好適な結合剤(複数可)、潤滑剤(複数可)、懸濁化剤(複数可)、コーティング剤(複数可)、可溶化剤(複数可)を含んでよい。好適な結合剤の例としては、デンプン、ゼラチン、グルコース、無水ラクトース、良流動性ラクトース、β-ラクトース、トウモロコシ甘味料などの天然糖類、アカシア、トラガント(tragacanth)またはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース及びポリエチレングリコールなどの、天然及び合成ゴムが挙げられる。好適な潤滑剤の例としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。保存剤、安定剤、染料、及びさらには着香剤を、医薬組成物中に提供してよい。保存剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp-ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。酸化防止剤及び懸濁化剤もまた使用してよい。
本発明の組成物は、食品として製剤化することができる。例えば、食品は、栄養補助食品などにおいて、本発明の治療効果に加えて栄養効果を付与し得る。同様に、医薬組成物よりも、一般的な食品に一層類似させることにより、食品を製剤化して、本発明の組成物の味を向上させるか、または、組成物を消費するのに一層魅力的にすることができる。特定の実施形態では、本発明の組成物は乳ベースの製品として製剤化される。用語「乳ベースの製品」とは、様々な脂肪含量を有する、任意の液体または半固体の、乳またはホエーベースの製品を意味する。乳ベースの製品は、例えば、牛乳、ヤギの乳、ヒツジの乳、スキムミルク、全乳、あらゆる加工をせずに、粉末乳及びホエーから再度合わせた乳、または、加工製品、例えば、ヨーグルト、凝乳、カード、酸乳、酸全乳、バターミルク、及び他の酸乳製品であることができる。別の重要な群としては、乳飲料、例えばホエー飲料、発酵乳、コンデンスミルク、乳幼児用乳;フレーバーミルク、アイスクリーム;スイーツなどの乳含有食品が挙げられる。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、単一の細菌株または種を含有し、任意の他の細菌株または種を含有しない。かかる組成物は、わずかな、または生物学的に無関係な量の、他の細菌株または種のみを含み得る。かかる組成物は、他の生物種を実質的に非含有である培養液であってよい。特定の実施形態では、本発明の組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16種類の細菌株または種からなる。特定の実施形態では、組成物は1~10、好ましくは1~5種類の細菌株または種からなる。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、酪酸を生成するいかなる細菌株または種をも含まない。
本発明に従った使用のための組成物は、市場の認可を必要としても、しなくてもよい。
場合によっては、凍結乾燥した細菌株を、投与前に再構成する。場合によっては、再構成は、本明細書に記載する希釈剤を用いることによる。
本発明の組成物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含んでよい。
特定の実施形態では、本発明は、本発明の細菌株と、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤と、を含む医薬組成物を提供し、細菌株は、障害の治療を必要とする対象に投与したときに、障害を治療するのに十分な量であり、障害は、GVHD及び炎症性疾患または自己免疫性疾患からなる群から選択される。
特定の実施形態では、本発明は、本発明の細菌株と、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤と、を含む医薬組成物を提供し、細菌株は、GVHD、または炎症性疾患もしくは自己免疫性疾患を治療または予防するのに十分な量である。
特定の実施形態では、本発明は、上記医薬組成物を提供し、細菌株の量は、組成物の重量に対して、グラム当たり約1×10~約1×1011コロニー形成単位である。
特定の実施形態では、本発明は、上記医薬組成物を提供し、組成物は1g、3g、5g、または10gの用量で投与される。
特定の実施形態では、本発明は、上記医薬組成物を提供し、組成物は、経口、直腸、皮下、経鼻、頬、及び舌下からなる群から選択される方法により投与される。
特定の実施形態では、本発明は、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、及びソルビトールからなる群から選択される担体を含む上記医薬組成物を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、エタノール、グリセロール、及び水からなる群から選択される希釈剤を含む上記医薬組成物を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、デンプン、ゼラチン、グルコース、無水ラクトース、良流動性ラクトース、β-ラクトース、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガント、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムからなる群から選択される賦形剤を含む上記医薬組成物を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、保存剤、酸化防止剤、及び安定剤の少なくとも1つを更に含む上記医薬組成物を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、またはp-ヒドロキシ安息香酸のエステルからなる群から選択される保存剤を含む上記医薬組成物を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、上記医薬組成物を提供し、上記細菌株は凍結乾燥されている。
特定の実施形態では、本発明は、上記医薬組成物を提供し、組成物が、約4℃~約25℃の封止容器内に保管され、容器が50%相対湿度を有する雰囲気に配置されるとき、コロニー形成単位で測定した細菌株の少なくとも80%が、少なくとも約1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、1.5年、2年、2.5年、または3年の期間の後に残存する。
培養法
例えば、参考文献[64~66]に詳述されている標準的な微生物学技術を使用して、本発明に使用するための細菌株を培養することができる。
培養に用いる固体または液体培地は、YCFA寒天またはYCFA培地であってよい。YCFA培地は、(100mL当たり:およその体積)カジトン(1.0g)、酵母エキス(0.25g)、NaHCO(0.4g)、システイン(0.1g)、KHPO(0.045g)、KHPO(0.045g)、NaCl(0.09g)、(NHSO(0.09g)、MgSO・7HO(0.009g)、CaCl(0.009g)、レサズリン(0.1mg)、ヘミン(1mg)、ビオチン(1μg)、コバラミン(1μg)、p-アミノ安息香酸(3μg)、葉酸(5μg)、及びピリドキサミン(15μg)を含むことができる。
ワクチン組成物中での使用するための細菌株
本発明の細菌株は、GVHDの治療または予防に有用であることを、本発明者らは同定した。これは、本発明の細菌株が宿主免疫系に存在するという効果の結果である可能性がある。したがって、本発明の組成物は、ワクチン組成物として投与されたとき、GVHD、ならびに他の炎症性疾患及び自己免疫性疾患の予防にもまた有用であり得る。特定のかかる実施形態では、本発明の細菌株は殺傷、不活性化、または減衰され得る。特定のかかる実施形態では、組成物はワクチンアジュバントを含むことができる。特定の実施形態では、組成物は、皮下注射などの注射により投与するためのものである。
概略
本発明の実践では、特に断りのない限り、当該技術分野内の、化学、生化学、分子生物学、免疫学、及び薬理学の従来の方法を用いる。かかる技法は文献において十分に説明されている。例えば、参考文献[67]及び[68、74]などを参照のこと。
用語「を含む(comprising)」は、「を含む(including)」及び「からなる(consisting)」を包含し、例えば、X「を含む」組成物は、排他的にXからなり得るか、または、何か他に、例えばX+Yを含み得る。
数値χに関連する用語「約」は任意であり、例えばχ±10%を意味する。
語句「実質的に」は、「完全に」を除外するものではなく、例えば、Yを「実質的に非含有」の組成物は、Yを完全に非含有であってよい。必要であれば、語句「実質的に」を、本発明の定義から除外してよい。
2つのヌクレオチド配列間の配列同一性のパーセンテージへの言及は、整列されたときに、ヌクレオチドのパーセンテージが、2つの配列の比較において同一であることを意味する。このアラインメント、及び相同性割合または配列同一性は、当該技術分野において公知のソフトウェアプログラム、例えば、参考文献[75]のセクション7.7.18に記載されているものを使用して測定することができる。好ましいアラインメントは、12のギャップオープンペナルティ、及び、2のギャップ伸張ペナルティ、62のBLOSUMマトリックスを有する、アフィンギャップ検索を用いるSmith-Watermanホモロジー検索アルゴリズムにより測定される。Smith-Watermanホモロジー検索アルゴリズムは、参考文献[76]に開示されている。
具体的に記述されないかぎり、多数の工程を含むプロセスまたは方法は、方法の始まりもしくは終わりに、追加の工程を含むことができるか、または、追加の介在工程を含むことができる。また、工程は適切な場合、組み合わせるか、取り除くか、代わりの順序で実施してよい。
本発明の各種実施形態が本明細書に開示されている。各実施形態に明記する形質を、明記した他の形質と組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができることが理解されよう。特に、好適、典型的、または好ましいものとして本明細書で強調される実施形態は、(それらが相互排他的である場合を除いて)互いに組み合わせることができる。
本発明を実施するための様式
実施例1-GVHDからの生存の向上における、株NCIMB 43170の有効性
目的
本発明者らは、Balb/Cマウスに含まれる移植片対宿主病(GVHD)での、株NCIMB 43170の効果を測定することを追求した。
材料及び方法
動物
20.67g±0.11gで始まる平均体重(±SEM)を有する、オスBalb/Cマウス(BALB/cAnNCrl;6~8週齢;n=125)を、Charles River Laboratories (Wilmington, MA)から入手した。さらなるn=75のオスC57B1/6(C57Bl/6NCrl;6~8週齢)を、同一の供給元から入手した。研究を開始する前に、動物を順化させた。この期間の間に、不十分な条件で提示されるあらゆるものを拒絶するために、動物を毎日観察した。
ハウジング
70±5°Fの温度、及び50%±20%の相対湿度にて、HEPAフィルターにかけた空気を供給した動物部屋で、研究を実施した。動物は、ケージ1つ当たり4~6匹の群で収容した。具体的には、8匹の動物/群の群では、n=4/ケージで収容し、10匹の動物/群の群では、n=5/ケージで収容し、群当たり12匹の動物の群では、n=6/ケージで収容した。動物を、HEPAフィルターを通した、個別に通気したケージに収容した。ケージは、ラックで勾配分離して、群間での交差汚染を最小に抑えた。動物の部屋は、最低で毎時12~15回の空気交換を維持するように設定した。部屋には、12時間オン、そして12時間微光なしのオフの明暗サイクルのための、自動タイマーを設置した。Alpha-driベッディング(登録商標)を使用した。ベッディングに加えて、各ケージに、エンヴェロドライ及びシェパードシャック(濃縮)を備えた。床は毎日掃除をし、業務用洗剤で最低週に2回モップをかけた。壁及びケージのラックは、希釈した漂白溶液で、最低月に1回スポンジで掃除をした。研究、用量、動物の数、及び治療群を同定するために必要な適切な情報を有する、ケージカードまたはラベルを使用して、全てのケージをマークした。温度及び相対湿度を、研究の間に記録し、記録を保持した。技術者は全員、実験室/動物施設に入る前、及び、動物と作業をする前に、PPE(ラボコート、手袋、保護眼鏡)を身につけた。
食事
動物には、LabDiet 5053滅菌(照射)げっ歯類用固形飼料を給餌し、水(逆浸透)を適宜供給した。食事ベースの栄養富化は提供しなかった。
動物の無作為化及び割り当て
動物を、研究の開始時点で6つの群に無作為化した。各群は、8~12匹のマウスを含んだ。各群を更に、コホートA及びB(コホート当たりの群当たり、n=4~6匹のマウス)にサブ分割した。コホートは、疾患タイムラインをずらした。
株NCIMB 43170の増殖反応速度の分析
株NCIMB 43170を投与する前に、増殖曲線/最大ODを測定し、最大OD600における、及び洗浄後における仮想コロニー数(VCC)を測定した。増殖曲線/最大OD分析を、以下のとおりに行った。午前6時に、凍結した細菌ストックのそれぞれの1つのチューブを、Coyチャンバーに入れた。チューブを解凍させ、ピペット処理により注意深く混合し、9.5mLの、予め還元して予め温めた(37℃)YCFAブロスを含有する2つのチューブ(2通り)に、500μLの細菌ストックを播種した。これらは、プレ培養液であった。プレ培養液をCoyチャンバー中で、37℃で24時間インキュベートした。翌日の午前6時(すなわち、インキュベーションの24時間後)、各培養液の小さなアリコートをCoyチャンバーから取り除き、OD600をナノドロップにより測定した。OD600測定のためにアリコートを取り除く前に、チューブを反転させて混合した。24時間培養液の残り(上で測定した高OD600のチューブを用いる。)を、以下のとおりに2通りに培養した:250μLの株NCIMB 43170(24時間培養液)を使用して、24.75mLの予め温めたYCFAブロスを含有する2つのチューブを播種した。これらの培養液をCoyチャンバー中で、37℃で24時間インキュベートし、2時間毎に16時間(即ち、午前8時、午前10時、午後12時、午後2時、午後4時、午後6時、午後8時、及び午後10時)、ならびに24時間(翌日の午前6時)に、OD600の測定のために、Coyチャンバーから小さなアリコートを取り除いた。OD600測定のためにアリコートを取り除く前に、チューブを反転させて混合した。
最大OD分析におけるVCCは、以下のとおりに発生した:株NCIMB 43170ストックの1つのチューブを、Coyチャンバーに入れた。チューブを解凍させ、ピペット処理により注意深く混合し、9.5mLの、予め還元して予め温めたYCFAブロスを含有する2つのチューブ(2通り)に、500μLの細菌ストックを播種した。これらは、プレ培養液であった。プレ培養液をCoyチャンバー中で、37℃で24時間インキュベートした。翌日(インキュベーションの24時間後)、プレ培養液の小さなアリコートをCoyチャンバーから取り除き、ナノドロップによりOD600を測定した。OD600測定のためにアリコートを取り除く前に、チューブを反転させて混合した。24時間培養液(高ODのチューブを用いる。)の残りを、以下の通りに2通りで培養した:250μLを使用して、24.25mLの予め温めたYCFAブロスを含有する2つのチューブを播種した。これらは主たる培養液であった。主たる培養液の小さなアリコートをCoyチャンバーから、示された時間にて取り除き、OD600をナノドロップにより測定した。OD600測定のためにアリコートを取り除く前に、チューブを反転させて混合した。残りのストックのVCCは以下のとおりであった:個別の希釈系列(未希釈、1:10、1:10、1:10、及び1:10)をPBS中で調製した。各培養液の残りを次に、50mLのコニカルチューブに移し、チューブをCoyチャンバーから取り出し、遠心分離にかけた(3500xg;15分)。遠心分離が済むと、チューブをCoyチャンバーに戻し、上清を(ペレットを破壊しないように注意しながら)取り除き、測定した。ペレットを、取り除いた上清の体積に等しい体積のPBS中に再懸濁し、ピペット(ボルテックスなし)で注意深く混合した。個別の希釈系列(未希釈、1:10、1:10、1:10、及び1:10)をPBS中で調製した。両方の希釈系列(ブロス及び懸濁PBS)を、4分の1の、予め還元したYCFA寒天平板中で3通りに、スポットでプレート処理(20μL)した。プレートをCoyチャンバー中で、37℃で48時間インキュベートし、5~20CFU/スポットで希釈によりスポットが得られたVCCをどちらであっても計数した。3つのスポットVCC/スポット値を平均して、ブロス中での一晩培養し、PBS中で遠心分離/再懸濁したVCC/mLを測定した。
株NCIMB 43170用量の調製
各投与時点の2日前に、株NCIMB 43170の冷凍ストックの株当たり、1つのチューブ(1mL/チューブ)を、Coyチャンバーに入れた。チューブを解凍させ、9.5mLの、予め還元し予め温めたYCFAブロスをそれぞれ含有する2つの15mLチューブに、0.5mLの各細菌ストックを播種した。これらが、プレ培養液(チューブ1及び2)であった。プレ培養液をCoyチャンバー中で、37℃で24時間インキュベートした。
24時間のインキュベーション後、各投与時点の1日前に、培養液を反転により混合し、培養液の小さなアリコート(20μL)を、ナノドロップによるOD600測定のために、Coyチャンバーから取り出した。株当たりのOD600値が高いチューブ(1または2)を、以下のとおりに2通りで、主たる培養液に使用した:高OD600の、2.5mLのプレ培養液を使用して、50mLコニカル中の22.5mLの予め温めたYCFAブロスを播種した(2通り、チューブA及びB)。これらの主たる培養液をCoyチャンバー(37℃)中で、24時間インキュベートした。
各投与日に(上記主たる培養液のインキュベーション後)、培養液を反転により混合し、培養液の小さなアリコート(20μL)を、ナノドロップによるOD600測定のために、Coyチャンバーから取り出した。高OD600値を有するチューブ(AまたはB)をどちらでも、Coyチャンバーから取り出し、遠心分離にかけた(3500xg;15分)。遠心分離が済むと、チューブをCoyチャンバーに戻し、(ペレットを破壊することのないように注意しながら)ピペットにより上清を取り除いた。ペレットを2.49mLのPBSに再懸濁した。ペレットをピペット操作により(ボルテックスなしで)注意深く混合した。再懸濁した培養液のアリコート(0.5mL)をエッペンドルフチューブにピペット操作で入れ、Coyチャンバーに保持した。再懸濁した培養液の残りをCoyチャンバーから取り出し、再懸濁後になるべく早く動物に投与するよう注意しながら、投与のために使用した(動物当たり0.1mL)。
Coyチャンバーに保持した各株の0.5mLアリコートを、予め還元したMRD中での個別の希釈系列の調製のために使用し、1:10、1:10、1:10、及び1:10希釈液を、4分の1の予め還元したYCFA寒天平板中で3通りに、スポットでプレート処理(20μL)した。プレートをCoyチャンバー中で、37℃で48時間インキュベートし、5~20CFU/スポットで希釈によりスポットが得られたVCCをどちらであっても計数した。3つのスポットVCC/スポット値を平均して、実験投与材料のVCC/mLを測定した。
前処理段階
全ての動物の体重を測定し、研究開始前に複数の治療群に、体重で無作為化した。-1日目及び0日目のGVHD誘発の前に、全ての動物を、PBS(群1~4)、細菌株NCIMB 43170(群8)、または酪酸塩対照(群10)により、-14日目から開始して前処理した(PO)。酪酸塩が欠落することが、GVHD患者の腸で同定されているため、酪酸塩を陽性対照として使用した。処理を無作為に群に行い、群処理を毎日変更し、各日に同時に、同じ群が処理されるのを防いだ。試験物品の投与が始まると、群の交差汚染を最小に抑えるように注意した:手袋を治療群間で技術者により変更し、同一群の各ケージの間には、70%イソプロピルアルコールでスプレー処理した。
GVHDモデリング
-1日目に、8Gyの、単回の正確な用量の全体重照射(TBI)を使用して、n=84のBalb/Cマウス(群4、8、及び10)において、GVHDを誘発した。0日目に、これらのレシピエントマウスには、PBS中のドナーC57Bl/6マウス由来の、T細胞が枯渇した骨髄細胞と脾臓細胞の組み合わせの静脈内注射が与えられた。標準的なフラッシュ実務を用いて骨髄細胞を単離し、CD3-ビオチンキット(Miltenyi Biotecカタログ130-094-973)により、細胞表面T細胞抗原CD3を用いて、T細胞を枯渇させた。Miltenyi GentleMACS Dissociatorsを使用して、脾細胞を単離した。群1の動物をナイーブ対照として保存し、TBIも細胞移植も受けさせなかった。群2の動物を照射対照として保存し、-1日目に8GyのTBIを受けたが、0日目に細胞移植は受けなかった。群3の動物を同系養子免疫伝達対照として保存した。これらの動物は-1日目に8GyのTBIを受け、滅菌PBS中のドナーBalb/Cマウス由来の、T細胞が枯渇した骨髄細胞と脾臓細胞の組み合わせの静脈内注射を受けた。
毎日の試験物品投与は、研究の期間(-14日目~30日目)続けた。動物の生存を、GVHD重症度の指標として毎日記録した。動物はまた、GVHD誘発後の研究の間毎日、体重を測定して観察をし、臨床GVHDスコアが与えられた。GVHDスコアは、5つの基準(表1):重量変化のパーセンテージ、姿勢(背中の曲がり)、活動、毛皮のテクスチャー、及び皮膚の完全性に基づく標準的なスコアリングシステムにより評価した(最大スコア=10)。動物の取扱いを隔日で、疑似順序で実施し、それぞれ日に同時に、同一の動物が取り扱われることを防いだ。
Figure 2022504423000001
体重が20%減少した動物に、皮下流体(SID;生理食塩水)を投与し、柔らかくした食事を提供した。いずれかの個別の研究動物が、柔らかくした食事を必要とする場合、その個別の動物の体重減少が戻るまで、全ての研究動物に柔らかくした食事を提供した。予定の安楽死、または30%を超える体重減少のいずれかまで、治療を続けた。正常に戻れない動物、触ると冷たい動物、または瀕死状態の動物を安楽死させた。
29日目に、生存動物を全て内視鏡検査に通し、結腸炎症を監視した。画像を撮影し、大腸炎の重症度と大便のコンシステンシーを、表2に示すスコアリングスケールを使用してスコアリングした。
Figure 2022504423000002
30日目に、眼窩後出血により血液を収集し、血液(およそ150~300μL)を2つのチューブに収集した。およそ3分の2の血液をKEDTAチューブに収集し、残り3分の1をリチウム-ヘパリンチューブに収集した。両方のサンプルを遠心分離にかけて血漿を処理し、血漿チューブをはっきりと標識して、抗凝固剤を使用したことを示した。KEDTAサンプルについては、血漿を以下のとおりにアリコートにした:25μL(下流シトルリンアッセイに使用するため)、及び残り。全ての血漿を-80℃で凍結した。全てのKEDTAサンプルを、研究完了時にELISAにより、シトルリンに対して評価した。
COの吸入及び頚椎脱臼により安楽死を行い、研究のTBI段階の間に、予定外で安楽死した動物からの器官収集は行わなかった。頚椎脱臼のみで安楽死を実施し、研究のGVHD段階の間に予定外で安楽死した動物からは、器官収集を行った。作業台で末端収集を行った。開始前に、作業台を70%イソプロピルアルコール及び市販の消毒剤できれいにした。動物間では、70%のイソプロピルアルコールで、群間では市販の消毒剤で、器具をきれいにした。
統計分析
テューキーの複数比較を用いる一元ANOVAによりパラメーターデータを分析し、全ての群を互いに比較した。ダンの複数比較を用いるクラスカル・ウォリス試験により非パラメーターデータを分析し、全ての群を互いに試験した。GraphPad Prism7(La Jolla, CA)を使用して、全ての統計分析を行った。
結果及び議論
体重
研究の間、毎日のように動物の体重を測定し、研究経過における全ての群の平均体重を、図1に示す。-14日目(図2)、または0日目(図3)のいずれかに対する体重の変化を計算した。-14日目または0日目のいずれかに対する、平均体重または平均体重の変化のいずれかにおける、群間での統計的有意差を測定するために、台形変換法を用いて、曲線下面積(AUC)を計算し、図1、2、及び3の挿入図に示す。群の自然減を考慮するために、死亡した、または安楽死したと分かった動物に対する研究期間に繰り越した、死亡した動物の体重と共に示す、0日目に対する体重変化(群2を除く全ての群に対して)を、AUCの挿入図と共に図4に示す。
前処理期間の間では、あらゆる群において、平均体重の主な変化は観察されなかった(図1)。TBIに暴露した群は全て、0~3日目に体重減少を示した。群3(PBS-TBI+同系移植)における動物の平均体重はこの時点から前に回復し、最終的にはベースラインに戻った。群2(PBS-TBIのみ)における動物の平均体重は、群内の全ての動物が死ぬ前に回復することができなかった。他の全ての研究群に関して、平均体重は7日目まで減少し続けたが、14日目まで増加し、その後、研究中は減少した。群2、8、及び10の平均体重は、群1(PBS-ナイーブ)と比較して、研究を通して有意に減少した。対照的に、群3、4、8、及び10の平均体重は、群2と比較して、研究を通して有意に増加した。最後に、群8及び10の平均体重は、群3と比較して、研究を通して有意に減少した。治療群(群8及び10)を群4(PBS-TBI+同種移植)と比較したときは、研究を通して平均体重の有意差は観察されなかった。マウスに、公知のGVHD治療法である、免疫抑制剤のタクロリムスを投与したときに、これと同じ傾向が観察された(FK506-図5)。
前処理期間の間では、全ての群に関して、-14日目(図2)と比較して、平均体重変化が増加し、体重の動態は、-14日目と比較して、0日目以降で、平均体重で観察された動態と同様に変化する。群1及び3の両方と比較して、群2及び4、8、及び10の動物は、研究を通して、体重の有意な増加を示した。
0日目に対する平均体重の変化(図3及び4)は、0~3日目にTBIに暴露した全ての群に対して減少し、この時点で、群3の動物では体重増加が始まり、4日目まで、他の全ての群においては体重減少が続いた。0日目と比較して、7日目~14日目に体重変化が増加し、群4、8、及び10に関しては、14日目から30日目における研究終了時まで、平均体重の減少が観察された。死亡した動物に対しては体重を繰り越したか否かにかかわらず、0日目に対する体重変化の全体的なパターンは同様であったものの、特定の比較における統計的有意差には影響を及ぼした。群1、2、及び3と比較して優位に増加した体重減少は、減少した動物の体重を繰り越した、及び繰り越さなかった両方の群4、8、及び10において再び観察され、これは、公知のGVHD治療法であるタクロリムスが投与されたマウスで観察された傾向に類似している(FK506-図5)。
生存
動物の生存または瀕死状態を毎日評価し、研究を通した生存を示すカプラン・マイヤー曲線を図6に示す。生存は、群1及び3で100%であり、群2で0%であり、群8では83.33%であった。群8で観察された生存は、群4及び10の両方と比較して著しく改善された。酪酸がGVHDに対する治療として提示されているため、このことは注目すべきである[77]。群8のマウスでの生存率は、公知のGVHD治療であるタクロリムスを投与したマウス対照に相当した(FK506-図7)。ブラウティア プロドゥクタ及びブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物は、GVHD、ならびに他の炎症性疾患及び自己免疫性疾患の治療及び予防に有用であり得ることを、これらのデータは示す。
GVHDスコア
0日目から、30日目の研究終了まで、全ての動物において、(表1に示す複数パラメータースコアリングにより)GVHDスコアを評価した。全ての群の平均GVHDスコアを図8に示し、死亡した動物が繰り越されたGVHDスコアを提示する、これと同じデータを、図9に示す。群間での全体的なGVHDスコアの統計的有意差を測定するために、台形変換法を用いてAUCを計算し、これを、図8及び9の挿入図に示す。各動物に割り当てられた臨床GVHDスコアは、姿勢(図10A)、活動(図10B)、毛皮のテクスチャー(図10C)、皮膚の完全性(図10D)、及び体重減少(図10E)からなるコンビネーションである。
同種異系脾細胞及び骨髄細胞を静脈内注射することにより、全ての群でGVHDが誘発され、これは19日目前後で開始し、研究終了まで重症度が漸進的に増加した。おそらくは、TBI及び移植により、0~7日目の間に、最初のGVHDスコアの増加があった。この時点を過ぎた動物の生存は、移植した細胞の移植が成功したことを示している。死亡した動物のGVHDスコアを繰り越したか否かにかかわらず、GVHDスコアの動態は類似していたものの、統計的有意差は、群間で異なった。死亡した動物のGVHDスコアを繰り越した、及び繰り越さなかった両方の、群1及び2両方と比較して、群3、4、8、及び10の動物は、有意に増加した平均GVHDスコアを示した。同様に、群4、8、及び10の動物は、両方の例における群3と比較して、有意に増加した平均GVHDスコアを示した。この傾向は、公知のGVHD治療法である、免疫抑制剤のタクロリムスを投与したGVHDのマウスモデルにおいても観察された(図11)。
株NCIMB 43170を投与したマウスは、酪酸塩を投与したマウス(群10)と比較してGVHDスコアが同様であり、これは、正しいバリア機能の維持における、酪酸塩の役割を考慮するのに注目すべきことである。ブラウティア プロドゥクタ及びブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物は、GVHD、ならびに他の炎症性疾患及び自己免疫性疾患の治療及び予防に有用であり得ることを、これらのデータは示す。
内視鏡検査
結腸炎症を評価するために、29日目に動物を内視鏡検査に通した。0(正常)から4(深刻な潰瘍形成)の範囲の5段階スケールで、大腸炎を目視でスコアリングした(表2)。大腸炎の平均重症度を図12に示す。
ナイーブマウス(群1)と比較して、株NCIMB 43170で処理した、及び、酪酸で処置した動物では、大腸炎の平均重症度が増加した。しかし、酪酸で処置したマウスと比較して、株NCIMB 43170で処理したマウスでは、大腸炎はさほど重傷ではなかった。大腸炎に対する治療として酪酸の欠損の補正が示唆されているため、このことは注目すべきである[78]。例示的な内視鏡検査の画像を図17に示す。ブラウティア プロドゥクタ及びブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物は、大腸炎、ならびに他の炎症性疾患及び自己免疫性疾患の治療及び予防に有用であり得ることを、これらのデータは示す。
血漿シトルリン
全ての生存動物から、安楽死の前に採血をして、血漿を処理した。ELISAにより2通りで、腸の透過性のマーカーとして血漿シトルリンを評価した。血漿シトルリン濃度の低下は、腸のバリア透過性の増加を示す、上皮細胞質量の喪失に対応する。腸バリア機能の維持(すなわち、腸の不透性の維持)は、GVHDの治療に関しては重要である[79]。結果を図14に示す。株NCIMB 43170を投与したマウスは、酪酸塩を投与したマウス(群10)と比較して高い血漿シトルリン濃度を維持し、これは、正しいバリア機能の維持における、酪酸の役割を考慮するのに著しいことである。ブラウティア プロドゥクタ及びブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物は、大腸炎、ならびに他の炎症性疾患及び自己免疫性疾患の治療及び予防に有用であり得ることを、これらのデータは示す。
実施例2-SCFA分析
使用済み培地からのSCFAを、LC-MS技術を用いて分析し、細菌株NCIMB 43170、及び、B.producta/ブラウティア コッコイデスの多数の他の株の、炭水化物発酵経路のロバストなインビトロ分析をもたらした。これら2つの種間での、異常に高い類似性によって、16S配列決定、及びMALDI-TOF MS分析を用いての、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデスに属する参照株を確実に分類することは不可能であった。SCFAは、多くの異なる疾患にて、かつ最も重要には、酪酸の生成による炎症の緩和において、示唆されている。
実験の設計及び方法
細菌培養液を、YCFA及びPYG培地(10%の接種材料)に接種させた。培地は事前に(少なくとも、予めの平衡の24時間前には)予め調製し、予め平衡されていた。接種の16時間後に、1mLの培養液を0.22μMフィルターを通過させ、滅菌したEppendorfに保管した。次に、分析の前に、サンプルを-80℃の冷凍庫に入れた。
2つの生物学的複製で、アリコートを保管した(n=3)。内標準及び品質管理チェックを含む分析を、n=2の生物学的複製で実施した。各生物学的複製の光学密度読取りを記録し、分離によりもたらされた後期log OD極限から、差または偏差を監視した。
結果
結果を図15に示す。細菌株NCIMB 43170、及び全ての参照B. producta/ブラウティア コッコイデス株は、20~40mMで酢酸を生成することが判明した。試験したいずれの株も酪酸またはプロピオン酸を生成しなかった。YCFA中で増殖させた場合、株NCIMB 43170はプロパン酸、ならびに、少量の2-メチル-プロパン酸(イソ酪酸)、3-メチル-ブタン酸(イソ吉草酸)、及びペンタン酸を生成した(データは図示せず)。
実施例3-安定性試験
本明細書に記載する少なくとも1種の細菌株を含有する、本明細書に記載する組成物は、25℃または4℃で、封止した容器に保管し、容器を、相対湿度が30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の雰囲気に配置する。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、1.5年、2年、2.5年、または3年後、細菌株の少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%が、標準的な手順により測定されるコロニー形成単位で測定されるとおりに残存するはずである。
実施例4-ヒトU373細胞内でのIL-6分泌
ブラウティア コッコイデス上清の調製
ブラウティア コッコイデスの2つの株(株A及びB)をそれぞれ、以下のとおりに個別に培養した:100μLのResearch Cell Bankバイアルを使用して、10mLのYCFA+ブロスを接種した。培養液を37℃で、嫌気性ワークステーション内で一晩インキュベートした。各一晩培養液を使用して、10%のサブ培養液を含む、10mLの新鮮な増殖培地を含有する、5つのHungateチューブに接種した。初期静止期に達するまで培養液のチューブをインキュベートし、その後、無細胞上清(CFS)を以下のとおりに収集した。個別の培養液のチューブを合わせ、細菌密度(O.D.600nm)を記録した。2つの株の無細胞上清を、遠心分離(15分間5000xg)により得、0.45μm、続いて0.22μmのフィルターを通して濾過した。
U373細胞の処理
U373は、ヒトグリア芽腫の星状膠細胞腫細胞株である。10%の熱不活化FBS、4mMのL-グルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、及び5μg/mLのプラズモシン、1%の非必須アミノ酸、1%のピルビン酸ナトリウムを補充した、25mLのMEME・4.5g/LのD-グルコース(完全増殖培地)の中で、U373細胞を維持した。
細胞を、24ウェルプレート内で、1mLの完全増殖培地中に100,000細胞/ウェルの密度で播種し、37℃/5% COにて72時間休止させた。処理の日に、培地を各ウェルから取り除き、0.5mLの洗浄培地(血清非含有MEME)で洗い流し、1μg/mLのLPSを含有する、0.9mLの刺激培地(2%のFBSを含有するMEME培地)を適切なウェルに添加して、37℃及び5% COでインキュベートした。1時間の事前インキュベーションの後、細胞をCOインキュベーターから取り出し、100μLのブラウティア コッコイデス上清で処理した。YCFA空培地を対照として使用した。次に、細胞をさらに24時間、37℃/5% COでインキュベートし、その後、無細胞上清を収集して、4℃で3分間、10,000gにて遠心沈殿させた。サンプルを1.5mLのマイクロチューブにアリコート化して、hIL-6 ELISAのために-80℃で保管した。
IL-6分泌の測定
ヒトIL-6の標準的ABTS ELISA Development Kits(Peprotech)を用いて、IL-6の分泌を、U373細胞の無細胞上清にて測定した。メーカーの手順に従いサンプルを分析し、iMarkマイクロプレートリーダー(Bio-Rad)を使用して、655nmで設定した補正波長にて、405nmにおける吸光度を記録した。GraphPad Prism7ソフトウェアを使用して生データをプロットし、分析した。
結果及び考察
結果を図16及び17に示す。ブラウティア コッコイデスの上清のそれぞれを用いる処理によって、YCFA+培地対照で処理した細胞と比較して、免疫刺激の後で、U373細胞によるIL-6の分泌の低下がもたらされた。
ブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物は、プロ炎症性サイトカインIL-6の分泌の低下において効果的であり、したがって、炎症性疾患及び自己免疫性疾患の治療及び予防に有用であることを、これらのデータは示す。
実施例5-オクルディンタンパク質濃度
結腸細胞株の処理
結腸細胞株のHCT116の細胞を、10,000cells/ウェルの密度で、黒色の96ウェルプレートに一晩播種した。実施例4で設定したとおりに、YCFA+培地または2mMの酪酸と共に、YCFA+内で培養したブラウティア コッコイデス株B由来の10%細菌上清で、細胞を24時間処理した。間接免疫蛍光法を使用して、アセチル化ヒストンH3(AcH3)、アセチル化ヒストンH4(AcH4)、及びオクルディンタンパク質の濃度に対する、ブラウティア コッコイデス上清を用いる処理の効果を評価した。オクルディンは、腸上皮の透過性を制御し、腸バリア機能を維持するのに役立つ。オクルディンタンパク質濃度の増加はそれ故、望ましい特性である。
処理後、細胞をPBS(pH7.3)中で4%パラホルムアルデヒドにより20分間、室温(RT)で固定した。細胞をPBSで洗浄し、PBS中の、0.5%のTriton X-100で10分間浸透させた。PBSで洗浄した後、ブロッキング緩衝液(4%のBSA/PBS)により1時間RTで、プレートをインキュベートし、その後、1%のBSA/PBSに希釈した、一次抗体を12時間4℃で(1:500にて抗AcH3抗体(06-599, Millipore)、1:500にて抗AcH4(06-598, Millipore))、または、1時間4℃で(1:200で抗オクルディン(71-1500;ThermoFisher))添加した。次に、細胞をPBSで2回洗浄した後、Alexa Fluor 488抱合体化抗ウサギ(Molecular Probes Inc)及びAlexa Fluor 594(Molecular Probes Inc)抱合体化で1時間RTにて、インキュベーションした。PBSで3回洗浄した後、プレートをDAPIで標識し、PBSでさらに3回洗浄した。20倍の対物レンズ、及び、使用した蛍光色素の検出に好適なフィルターセットを装着したImageExpress PIco顕微鏡(Molecular Devices)を用いてプレートを確認した。保存した画像をTIFFファイルとして保存した。PICO分析モジュールにより生成したそのままの分析データを、GraphPad Prism7ソフトウェアを使用してプロット及び分析した。代表的な画像を選択して、調査したタンパク質の量及び位置の違いを示した。結果を図18に示す。
結果及び議論
ブラウティア コッコイデス上清による処理によって、未処理細胞、及びYCFA+で処理したHCT116細胞と比較して、AcH3及びオクルディンの濃度の増加がもたらされた(図18)。
ブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物は、腸バリア機能の維持に効果的であり得、したがって、大腸炎、ならびに他の炎症性疾患及び自己免疫性疾患の治療及び予防に有用であり得ることを、これらのデータは示す。
配列
配列番号1-株NCIMB 43170 16S rRNA遺伝子配列-コンセンサス
GACTTCGGGCGTTACTGACTCCCATGGTGTGACGGGCGGTGTGTACAAGACCCGGGAACGTATTCACCGCGGCATTCTGATCCGCGATTACTAGCGATTCCAGCTTCGTGCAGTCGAGTTGCAGACTGCAGTCCGAACTGGGACGTTATTTTTGGGATTCGCTCAACATCGCTGTCTCGCTTCCCTTTGTTTACGCCATTGTAGCACGTGTGTAGCCCAAATCATAAGGGGCATGATGATTTGACGTCGTCCCCGCCTTCCTCCGGGTTATCCCCGGCAGTCTCCCTAGAGTGCCCACCATCATGTGCTGGCTACTAAGGATAAGGGTTGCGCTCGTTGCGGGACTTAACCCAACATCTCACGACACGAGCTGACGACAACCATGCACCACCTGTCTCCTCTGCCCCGAAGGGAAGTCCCCGTTACGGGACGGTCAGAGGGATGTCAAGACTTGGTAAGGTTCTTCGCGTTGCTTCGAATTAAACCACATGCTCCACCGCTTGTGCGGGTCCCCGTCAATTCCTTTGAGTTTCATTCTTGCGAACGTACTCCCCAGGTGGAATACTTATTGCGTTTGCTGCGGCACCGAATGGCTTTGCCACCCGACACCTAGTATTCATCGTTTACGGCGTGGACTACCAGGGTATCTAATCCTGTTTGCTCCCCACGCTTTCGAGCCTCAACGTCAGTTACCGTCCAGTAAGCCGCCTTCGCCACTGGTGTTCCTCCTAATATCTACGCATTTCACCGCTACACTAGGAATTCCGCTTACCTCTCCGGCACTCTAGAACAACAGTTTCCAATGCAGTCCTGGGGTTAAGCCCCAGCCTTTCACATCAGACTTGCTCTTCCGTCTACGCTCCCTTTACACCCAGTAAATCCGGATAACGCTTGCCCCCTACGTATTACCGCGGCTGCTGGCACGTAGTTAGCCGGGGCTTCTTAGTCAGGTACCGTCATTTTCTTCCCTGCTGATAGAAGTTTACATACCGAGATACTTCTTCCTTCACGCGGCGTCGCTGCATCAGGGTTTCCCCCATTGTGCAATATTCCCCACTGCTGCCTCCCGTAGGAGTCTGGGCCGTGTCTCAGTCCCAATGTGGCCGTTCACCCTCTCAGGCCGGCTACTGATCGTCGCCTTGGTGGGCCGTTACCCCTCCAACTAGCTAATCAGACGCGGGTCCATCTCATACCACCGGAGTTTTTCACACCAGACCATGCGGTCCTGTGCGCTTATGCGGTATTAGCAGTCATTTCTAACTGTTATCCCCCTGTATGAGGCAGGTTACCCACGCGTTACTCACCCGTCCGCCGCTCAGTCACAAAGACTTCAATCCGAAGAAATCCTGTCTTAGTGCTTCGCT
配列番号2:ブラウティア プロドゥクタ/ブラウティア コッコイデス株REF1 16S rRNA遺伝子配列-Geneiousを用いる、アセンブルされたContigコンセンサス配列2リード
TCGGCAGCTCCTTCCTTTCGGTTAGGTCACTGACTTCGGGCGTTACTGACTCCCATGGTGTGACGGGCGGTGTGTACAAGACCCGGGAACGTATTCACCGCGGCATTCTGATCCGCGATTACTAGCGATTCCAGCTTCGTGCAGTCGAGTTGCAGACTGCAGTCCGAACTGGGACGTTATTTTTGGGATTCGCTCAACATCGCTGTCTCGCTTCCCTTTGTTTACGCCATTGTAGCACGTGTGTAGCCCAAATCATAAGGGGCATGATGATTTGACGTCGTCCCCGCCTTCCTCCGGGTTATCCCCGGCAGTCTCCCTAGAGTGCCCACCATCATGTGCTGGCTACTAAGGATAAGGGTTGCGCTCGTTGCGGGACTTAACCCAACATCTCACGACACGAGCTGACGACAACCATGCACCACCTGTCTCCTCTGCCCCGAAGGGAAGTCCCCGTTACGGGACGGTCAGAGGGATGTCAAGACTTGGTAAGGTTCTTCGCGTTGCTTCGAATTAAACCACATGCTCCACCGCTTGTGCGGGTCCCCGTCAATTCCTTTGAGTTTCATTCTTGCGAACGTACTCCCCAGGTGGAATACTTATTGCGTTTGCTGCGGCACCGAATGGCTTTGCCACCCGACACCTAGTATTCATCGTTTACGGCGTGGACTACCAGGGTATCTAATCCTGTTTGCTCCCCACGCTTTCGAGCCTCAACGTCAGTTACCGTCCAGTAAGCCGCCTTCGCCACTGGTGTTCCTCCTAATATCTACGCATTTCACCGCTACACTAGGAATTCCGCTTACCTCTCCGGCACTCTAGAACAACAGTTTCCAATGCAGTCCTGGGGTTAAGCCCCAGCCTTTCACATCAGACTTGCTCTTCCGTCTACGCTCCCTTTACACCCAGTAAATCCGGATAACGCTTGCCCCCTACGTATTACCGCGGCTGCTGGCACGTAGTTAGCCGGGGCTTCTTAGTCAGGTACCGTCATTTTCTTCCCTGCTGATAGAAGTTTACATACCGAGATACTTCTTCCTTCACGCGGCGTCGCTGCATCAGGGTTTCCCCCATTGTGCAATATTCCCCACTGCTGCCTCCCGTAGGAGTCTGGGCCGTGTCTCAGTCCCAATGTGGCCGTTCACCCTCTCAGGCCGGCTACTGATCGTCGCCTTGGTGGGCCGTTACCCCTCCAACTAGCTAATCAGACGCGGGTCCATCTCATACCACCGGAGTTTTTCACACCAGACCATGCGGTCCTGTGCGCTTATGCGGTATTAGCAGTCATTTCTAACTGTTATCCCCCTGTATGAGGCAGGTTACCCACGCGTTACTCACCCGTCCGCCGCTCAGTCACAAAGACTTCAATCCGAAGAAATCCGTCTTAGTGCTTCGCTCGACTGCA
配列番号3:ブラウティア プロドゥクタ/ブラウティア コッコイデス株REF2 16S rRNA遺伝子配列-Geneiousを用いる、アセンブルされたContigコンセンサス配列2リード
GGTCGCTTCGGCAGCTCTTCCTTTCGGTTAGGTCACTGACTTCGGGCGTTACTGACTCCCATGGTGTGACGGGCGGTGTGTACAAGACCCGGGAACGTATTCACCGCGGCATTCTGATCCGCGATTACTAGCGATTCCAGCTTCGTGCAGTCGAGTTGCAGACTGCAGTCCGAACTGGGACGTTATTTTTGGGATTCGCTCAACATCGCTGTCTCGCTTCCCTTTGTTTACGCCATTGTAGCACGTGTGTAGCCCAAATCATAAGGGGCATGATGATTTGACGTCGTCCCCGCCTTCCTCCGGGTTATCCCCGGCAGTCTCCCTAGAGTGCCCACCATCATGTGCTGGCTACTAAGGATAAGGGTTGCGCTCGTTGCGGGACTTAACCCAACATCTCACGACACGAGCTGACGACAACCATGCACCACCTGTCTCCTCTGCCCCGAAGGGAAGTCCCCGTTACGGGACGGTCAGAGGGATGTCAAGACTTGGTAAGGTTCTTCGCGTTGCTTCGAATTAAACCACATGCTCCACCGCTTGTGCGGGTCCCCGTCAATTCCTTTGAGTTTCATTCTTGCGAACGTACTCCCCAGGTGGAATACTTATTGCGTTTGCTGCGGCACCGAATGGCTTTGCCACCCGACACCTAGTATTCATCGTTTACGGCGTGGACTACCAGGGTATCTAATCCTGTTTGCTCCCCACGCTTTCGAGCCTCAACGTCAGTTACCGTCCAGTAAGCCGCCTTCGCCACTGGTGTTCCTCCTAATATCTACGCATTTCACCGCTACACTAGGAATTCCGCTTACCTCTCCGGCACTCTAGAACAACAGTTTCCAATGCAGTCCTGGGGTTAAGCCCCAGCCTTTCACATCAGACTTGCTCTTCCGTCTACGCTCCCTTTACACCCAGTAAATCCGGATAACGCTTGCCCCCTACGTATTACCGCGGCTGCTGGCACGTAGTTAGCCGGGGCTTCTTAGTCAGGTACCGTCATTTTCTTCCCTGCTGATAGAAGTTTACATACCGAGATACTTCTTCCTTCACGCGGCGTCGCTGCATCAGGGTTTCCCCCATTGTGCAATATTCCCCACTGCTGCCTCCCGTAGGAGTCTGGGCCGTGTCTCAGTCCCAATGTGGCCGTTCACCCTCTCAGGCCGGCTACTGATCGTCGCCTTGGTGGGCCGTTACCCCTCCAACTAGCTAATCAGACGCGGGTCCATCTCATACCACCGGAGTTTTTCACACCAGACCATGCGGTCCTGTGCGCTTATGCGGTATTAGCAGTCATTTCTAACTGTTATCCCCCTGTATGAGGCAGGTTACCCACGCGTTATCACCCGTCCGCCGCTCAGTCACAAAGACTTCAATCCGAAGAAATCCGTCTTAGCGCTCCGCTCGACTGCATGGTAGC
参考文献
[1]Spor et al. (2011) Nat Rev Microbiol. 9(4):279-90.
[2]Eckburg et al. (2005) Science. 10;308(5728):1635-8.
[3]Macpherson et al. (2001) Microbes Infect. 3(12):1021-35
[4]Macpherson et al. (2002) Cell. Mol Life Sci. 59(12):2088-96.
[5]Mazmanian et al. (2005) Cell 15;122(1):107-18.
[6]Frank et al. (2007) PNAS 104(34):13780-5.
[7]Scanlan et al. (2006) J Clin Microbiol. 44(11):3980-8.
[8]Kang et al. (2010) Inflamm Bowel Dis. 16(12):2034-42.
[9]Machiels et al. (2013) Gut. 63(8):1275-83.
[10]WO 2013/050792
[11]WO 03/046580
[12]WO 2013/008039
[13]WO 2014/167338
[14]Goldin and Gorbach (2008) Clin Infect Dis. 46 Suppl 2:S96-100.
[15]Azad et al. (2013) BMJ. 347:f6471.
[16]WO2017/160944
[17]Liu et al. (2008) Int J Syst Evol Microbiol 58, 1896-1902.
[18]Masco et al. (2003) Systematic and Applied Microbiology, 26:557-563.
[19]Srutkova et al. (2011) J. Microbiol. Methods, 87(1):10-6.
[20]Beres et al., Front Immunol, 2013, 4(163), 1-9.
[21]Graze and Gale, Am J Med, 1979, 66, 611-620.
[22]Yu et al., 2011, Blood, 118(18), 5011-5020
[23]Ye et al. (2015) PLoS One. 10(1):e0l 1770.4
[24]Fabro et al. (2015) Immunobiology. 220(1):124-35
[25]Yin et al. (2014) Immunogenetics. 66(3):215-8
[26]Cheluvappa et al. (2014) Clin Exp Immunol. 175(2):316-22.
[27]Schieck et al. (2014) J Allergy Clin Immunol. 133(3):888-91.
[28]Balato et al. (2014) J Eur Acad Dermatol Venereol. 28(8):1016-24.
[29]Damsker et al., Ann NY Acad Sci, 2010, 1183, 211-221.
[30]Dardalhon et al., J Autoimmun, 2008, 31(3), 252-256.
[31]Skapenko et al., Arthritis Res Ther, 2005, 7(2), S4-S14.
[32]Mu et al., (2017), Front. Immunol., 8(598), 1-10.
[33]Liu et al.,(2005), Acta Paediatr., 94(4), 386-93.
[34]Tlaskalova-Hogenova et al., (2011), Cell. Mol. Immunol., 8(2), 110-120.
[35]Ely, (2018), Clin. Dermatol., 36(3), 376-389.
[36]Fasano & Shea-Donohue, (2005), Nat. Clin. Pract. Gastroenterol. Hepatol., 2(9), 416-422.
[37]Perkley and Maillard (2018) Annual Review of Pathology: Mechanisms of Disease, 13:219-245
[38]Walmsley et al 1998 Gut 43: 29-32
[39]Gasche et al 200 Inflammatory Bowel Diseases 6: 8-15
[40]Zhang et al., World J. Gastroentrol., 2014, 20(1), 91-99.
[41]Lacy et al., Gastroenterology, 2016, 150, 1393-1407.
[42]Newcomb & Stokes Peebles, Curr Opin Immunol, 2013, 25(6), 755-760.
[43]Harper & Zeki, Clin Rev Allergy Immunol., 2015, 48(1), 54-65.
[44]Fahy (2009) Proc Am Thorac Soc 6.256-259
[45]Guggino et al., Clin Exp Rheumatol, 2014, 32(1), 77-81.
[46]Li et al., Clin Dev Immunol., 2013, Article ID: 967301.
[47]Miossec and Kolls (2012) Nat Rev Drug Discov. 11(10):763-76.
[48]Yang et al. (2014) Trends Pharmacol Sci. 35(10):493-500.
[49]Shabgah et al. (2014) Postepy. Dermatol. Alergol. 31(4): 256-61
[50]Koenders et al. (2006) J. Immunol. 176:6262-6269.
[51]Chen et al. (2011), Clin Dev Immunol., 2012(970789), 1-16
[52]Zhang et al., J Neuroimmunol., 2014, 266(1-2), 56-63
[53]Luan et al., Int Immunopharmacol., 2015, 29(2), 278-284.
[54] Talaat et al., Cytokine, 2015, 72(2), 146-153.
[55]Shah et al., Arthritis Res Ther., 2010, 12(2), R53.
[56]Atalar et al., Curr Opin Organ Transplant, 2009, 14(1) 23-29.
[57]Miyamoto-Shinohara et al. (2008) J. Gen. Appl. Microbiol., 54, 9-24.
[58]Cryopreservation and Freeze-Drying Protocols, ed. by Day and McLellan, Humana Press.
[59]Leslie et al. (1995) Appl. Environ. Microbiol. 61, 3592-3597.
[60]Mitropoulou et al. (2013) J Nutr Metab. (2013) 716861.
[61]Kailasapathy et al. (2002) Curr Issues Intest Microbiol. 3(2):39-48.
[62]Handbook of Pharmaceutical Excipients, 2nd Edition, (1994), Edited by A Wade and PJ Weller
[63]Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)
[64]Handbook of Microbiological Media, Fourth Edition (2010) Ronald Atlas, CRC Press.
[65]Maintaining Cultures for Biotechnology and Industry (1996) Jennie C. Hunter-Cevera, Academic Press
[66]Strobel (2009) Methods Mal Biol. 581:247-61.
[67]Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy. 20th edition, ISBN: 0683306472.
[68]Molecular Biology Techniques: An Intensive Laboratory Course, (Ream et al., eds., 1998, Academic Press).
[69]Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan, eds., Academic Press, Inc.)
[70]Handbook of Experimental Immunology, Vols. I-IV (D.M. Weir and C.C. Blackwell, eds, 1986, Blackwell Scientific Publications)
[71]Sambrook et al. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press).
[72]Handbook of Surface and Colloidal Chemistry (Birdi, K.S. ed., CRC Press, 1997)
[73]Ausubel et al. (eds) (2002) Short protocols in molecular biology, 5th edition (Current Protocols).
[74]PCR (Introduction to Biotechniques Series), 2nd ed. (Newton & Graham eds., 1997, Springer Verlag)
[75]Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel et al., eds., 1987) Supplement 30
[76]Smith & Waterman (1981) Adv. Appl. Math. 2: 482-489
[77]Matthewson et al (2016) Nature Immunology 15: 505-513
[78]Baas, T (2013) SciBX 6: doi:10.1038/scibx.2013.1310
[79]Johansson and Ekman (2004) Blood 104:5075

Claims (15)

  1. 炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療または予防に使用するための、ブラウティア プロドゥクタまたはブラウティア コッコイデス種の細菌株を含む組成物。
  2. 移植片対宿主病(GVHD);クローン病または潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;アレルギー性喘息または好中球性喘息などの喘息;関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、または若年性特発性関節炎などの関節炎;多発性硬化症;乾癬;全身性エリテマトーデス;及び同種移植片拒絶からなるリストから選択される疾患または状態の治療または予防に使用するための、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記組成物が、GVHDの前記治療における、体重減少の低減もしくは体重増加の向上、皮膚の完全性の保護もしくは皮膚の完全性の改善、または、腸の透過性の低減に使用するためのものである、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記組成物が、炎症性腸疾患の前記治療における、潰瘍形成及び/もしくは出血の低下、体重減少の低減もしくは体重増加の向上、または、腸の透過性の低減に使用するためのものである、請求項2に記載の組成物。
  5. 前記組成物が、GVHDを患う患者における大腸炎の治療に使用するためのものである、請求項2に記載の組成物。
  6. 前記細菌株が生存可能であり、前記腸で部分的、または完全にコロニー形成することができる、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
  7. 前記組成物が任意の他の細菌株もしくは種を含有しないか、または、前記組成物が、わずかな、もしくは生物学的に無関係な量の、他の細菌株もしくは種のみを含む、請求項1~6いずれかに記載の組成物。
  8. 前記細菌株がブラウティア プロドゥクタ種のものである、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
  9. 前記細菌株が、配列番号1に少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%同一である、16s rRNA遺伝子配列を有するか、あるいは、前記細菌株が、配列番号1で表される16s rRNA遺伝子配列を有する、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
  10. 前記細菌株が酪酸を生成しない、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
  11. 前記組成物が経口投与のためのものである、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
  12. 前記細菌株が凍結乾燥されている、実施形態1~11のいずれかに記載の組成物。
  13. 実施形態1~12のいずれかに記載の使用のための、実施形態1~12のいずれかに記載の組成物を含む食品。
  14. 受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株、またはその派生物の細胞。
  15. 受託番号NCIMB 43170として寄託されたブラウティア プロドゥクタ株、またはその派生物の生物学的に純粋な培養液。
JP2021518945A 2018-10-19 2019-10-21 細菌株を含む組成物 Pending JP2022504423A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP18201603 2018-10-19
EP18201603.0 2018-10-19
PCT/EP2019/078598 WO2020079282A1 (en) 2018-10-19 2019-10-21 Compositions comprising bacterial strains

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022504423A true JP2022504423A (ja) 2022-01-13

Family

ID=64267428

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021518945A Pending JP2022504423A (ja) 2018-10-19 2019-10-21 細菌株を含む組成物

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20220031772A1 (ja)
EP (1) EP3866822A1 (ja)
JP (1) JP2022504423A (ja)
TW (1) TW202027768A (ja)
WO (1) WO2020079282A1 (ja)

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB0127916D0 (en) 2001-11-21 2002-01-16 Rowett Res Inst Method
GB201112091D0 (en) 2011-07-14 2011-08-31 Gt Biolog Ltd Bacterial strains isolated from pigs
GB201117313D0 (en) 2011-10-07 2011-11-16 Gt Biolog Ltd Bacterium for use in medicine
GB201306536D0 (en) 2013-04-10 2013-05-22 Gt Biolog Ltd Polypeptide and immune modulation
US20150037285A1 (en) * 2013-07-03 2015-02-05 New York University Methods for efficient transfer of viable and bioactive microbiota
MA41020A (fr) * 2014-11-25 2017-10-03 Evelo Biosciences Inc Compositions probiotiques et prébiotiques, et leurs procédés d'utilisation pour la modulation du microbiome
JP6675752B2 (ja) * 2016-02-23 2020-04-01 国立大学法人佐賀大学 腸内Blautia coccoides増殖刺激剤
US11260083B2 (en) 2016-03-15 2022-03-01 The Regents Of The University Of Michigan Compositions and methods for treating and preventing graft versus host disease
GB201621123D0 (en) * 2016-12-12 2017-01-25 4D Pharma Plc Compositions comprising bacterial strains
WO2018187272A1 (en) * 2017-04-03 2018-10-11 Gusto Global, Llc Rational design of microbial-based biotherapeutics

Also Published As

Publication number Publication date
EP3866822A1 (en) 2021-08-25
WO2020079282A1 (en) 2020-04-23
US20220031772A1 (en) 2022-02-03
TW202027768A (zh) 2020-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6957436B2 (ja) 細菌株を含む組成物
JP7368433B2 (ja) 細菌株を含む組成物
EP3377082B1 (en) Compositions comprising bacterial strains
US20210069258A1 (en) Compositions comprising bacterial strains
EP3204024B1 (en) Compositions comprising bacterial strains
JP6441536B2 (ja) 細菌株を含む組成物
US20170143774A1 (en) Compositions comprising bacterial strains
JP2019135254A (ja) 細菌株を含む組成物
US20210338746A1 (en) Compositions comprising bacterial strains
US20220031772A1 (en) Compositions comprising bacterial strains

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221019

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230911

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230913

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240408