1つまたは複数の実施形態によれば、開示のプロセスおよびシステムによって、携帯電話等のレンズメータ機器は、1つまたは複数の矯正レンズの処方等の特性を決定可能となる。いくつかの実施形態においては、カメラにより矯正レンズを通して、1つまたは複数のパターンの像が取り込まれ、このパターンの歪みの測定によって、専用ソフトウェアを備えた接続コンピュータ機器により、矯正レンズの特性が決定される。本明細書において論じる実施形態は、既知のレンズメータが必要とし、内蔵する器具によって強制される特定の間隔および配置を要することなく、1つまたは複数の矯正レンズの特性を測定するように構成された機器としてレンズメータを記載する。本レンズメータは、特許請求の範囲に係る方法を実行する専用ソフトウェア(たとえば、アプリ)がインストールされたスマートフォンまたはタブレット機器であってもよい。いくつかの運用シナリオにおいては、矯正レンズの特性を決定する処理のすべてがスマートフォンまたはタブレットで(たとえば、スマートフォンまたはタブレットのプロセッサにより)実行される。他の運用シナリオにおいては、スマートフォンまたはタブレットと矯正レンズの特性を決定する処理の一部または全部を実行する1つまたは複数のクラウドサーバ等の1つまたは複数のリモートプロセッサとの間で、カメラ画像または画像メタデータ等のデータがやり取りされるようになっていてもよい。これら他の運用シナリオにおいては、決定された特性を示す情報をリモートプロセッサからスマートフォン、タブレット、ならびに/または他の機器もしくはシステムに伝達可能である。いくつかの実施態様において、レンズメータは、場所が固定され、当該レンズメータに対する矯正レンズおよびパターンの正確な離間および配置の必要なく矯正レンズの特性を測定可能な1つまたは複数の構成要素(たとえば、壁または器具に埋め込まれ、1つまたは複数のローカルおよび/またはリモートプロセッサに対して通信可能に結合されたカメラ)を具備していてもよい。このような構成は、たとえば眼鏡店または眼鏡小売業者等の小売業環境において好適と考えられる。
パターンは、紙に表示されるようになっていてもよいし、ラップトップコンピュータ等の別の機器のディスプレイに表示されるようになっていてもよい。いくつかの実施態様においては、モバイル機器(すなわち、モバイルレンズメータ)および他の機器(たとえば、パターンを表示する他の機器)が対となって、測定プロセス中に通信および相互作用を行えるようになっていてもよい。本明細書において、モバイルレンズメータをモバイル機器自体として示す例は、説明を目的としているに過ぎず、当然のことながら、「モバイルレンズメータ」に関して本明細書に論じる機能は、モバイルレンズメータシステムの一部として、このような他の機器上で実行されるようになっていてもよいし、このような他の機器とともに実行されるようになっていてもよい。
いくつかの実施形態においては、2つのパターンが離間し、当該パターンとレンズメータとの間の略中途に位置決めされて適当に配向した場合の眼鏡フレーム中の一対の矯正レンズの一方を通して、それぞれがモバイルレンズメータに見えるように構成されている。このような構成によれば、モバイルレンズメータ、パターン、および矯正レンズの容易で直感的な位置決めが可能となる。さらに、モバイルレンズメータは、パターンまでの距離を決定するとともに、処方を決定する際に当該距離を考慮するように構成されている。この設計は、要素の手動位置決めを容易化するため、器具が不要となる。一実施形態において、パターンは、物理的媒体またはコンピュータディスプレイに表示された矩形である。いくつかの実施形態において、パターンは、取り込み像の配向に用いられる基準ランドマーク等の特徴を有する境界により囲まれている。
1つまたは複数の実施形態によれば、開示のプロセスおよびシステムは、取り込み像を理想座標系に変換して、像取り込みプロセス中のパターンに対するレンズメータの配向を補償する。いくつかの実施形態において、この変換は、基準パターン群中の基準ランドマークの場所に対する取り込み像中の基準ランドマークの場所を参照して行われる。
1つまたは複数の実施形態によれば、開示のプロセスおよびシステムは、取り込み像を処理して、取り込み像における多くの取り込みパターンランドマークの場所を検出および決定することにより、全体歪みを決定する。このシステムは、(理想座標系における)多くの基準パターンランドマークの場所から、取り込み像における対応する取り込みパターンランドマークに対する歪みを記述した変換を決定する。矯正レンズの測定結果の決定には、球面度数、円柱度数、および非点収差角等の変換の表現(たとえば、視度行列)を使用可能である。矯正レンズに起因する全体歪みの部分は(レンズメータのレンズとは対照的に)、矯正レンズの少なくとも1つの焦点距離を決定することによって、一部が決定されるようになっていてもよい。また、矯正レンズの他の特性が測定されるようになっていてもよい。本実施形態は、球面円柱レンズに限定されず、単焦点レンズ、二焦点レンズ、三焦点レンズ、累進多焦点レンズ、焦点調整可能レンズ、または高次収差を矯正するレンズ等、他の特性を有するレンズに好適と考えられる。
1つまたは複数の実施形態によれば、複数の像の取り込みおよび解析によって、たとえばレンズメータとパターンとの間の中途に矯正レンズが最も近い好適な位置および/または配向にて取り込まれた像を識別するようにしてもよい。
1つまたは複数の実施形態によれば、カメラ、視覚的ディスプレイ、および本明細書に記載のプロセスを実行するように構成されたプロセッサを具備するレンズメータが提供される。このレンズメータは、専用レンズメータであってもよいし、ダウンロード可能なアプリ等のレンズメータソフトウェアを実行するモバイル機器(たとえば、スマートフォンまたはタブレット機器)であってもよい。
図1は、矯正レンズ130の処方および/または他の未知の特性を決定する従来の光学レンズメータシステム100を示している。光源110がパターン120(たとえば、寸法および配置が既知の印刷パターンを有する透明ターゲット)および矯正レンズ130(および、多くの標準および対物レンズ(図示せず))を通って、接眼レンズ140の方を向いている。眼を接眼レンズ140に接した観察者は、パターン120を通過した光が矯正レンズ130によって歪む様子を観察可能である。矯正レンズ130の歪み効果を測定することにより、ユーザは、矯正レンズ130の球面度数、円柱度数、および軸の測定結果等、矯正レンズ130の特定の特性を決定することができる。レンズメータシステム100は、正確に離間および配向した配置にてパターン120、矯正レンズ130、および接眼レンズ140を維持するため、レンズホルダー152等の器具150を必要とする。レンズメータシステム100の運用の基礎となる光学的原理として、器具150による特定の間隔および配向の維持が必要である。
同様に、デジタルレンズメータの使用によって、単一の矯正レンズを通るパターンを撮像可能であり、これらは、像中の歪みを使用して、矯正レンズの処方および/または他の未知の特性を決定する。従来の光学レンズメータと同様に、現在利用可能なデジタルレンズメータは、正確に離間および配向した配置にて矯正レンズ、レンズメータレンズ、およびパターンを保持する器具を必要とする。
図2は、1つまたは複数の実施形態に係る、レンズメータシステム200のブロック図である。図2に示す実施形態において、システム200は、レンズメータ210、矯正レンズ220、およびパターン230を具備する。動作時、レンズメータ210は、矯正レンズ220を通るパターン230の像を取り込む。矯正レンズ220は、パターン230による放出または反射によってレンズメータ210に入る光を歪ませる。歪み効果の測定によって、球面、円柱、および軸の測定結果等、矯正レンズ220の1つまたは複数の未知の特性を決定するようにしてもよい。
パターン230の取り込み像は、当該パターン230近傍の基準ランドマークを用いた理想座標系への変換によって正規化される。この正規化は、レンズメータ210、矯正レンズ220、およびパターン230間で、間隔および配向における回転、傾斜、および距離の相違を補償する。したがって、レンズメータシステム200には器具が不要である。その後、同じく理想座標系において、正規化パターン230を基準パターンと比較可能であり、矯正レンズの歪み効果をレンズメータ210自体のレンズの歪み効果から分離可能である。
いくつかの実施形態において、パターン230は、コンピュータモニタ、タブレット、または他のモバイル機器等の電子ディスプレイ(図示せず)に表示されるか、または、プロジェクタによって表面に投射される。たとえば、パターン230は、レンズメータシステム200によりアクセス可能なウェブサイト上で提供されていてもよいし、モバイル機器上で動作するモバイルアプリによる提供またはモバイルアプリを通じた提供がなされていてもよい。他の実施形態において、パターン230は、紙またはプラスチック等の物理的媒体に印刷される。
いくつかの実施形態においては、2つ以上のパターンの使用により、2つ以上の矯正レンズの特性を同時に決定可能であってもよい。好適な一実施形態においては、2つの離間したパターンが使用され、各パターン230が白黒交互の正方形の回転変異型市松格子であり、市松の行の数は列の数と1だけ異なる。この回転変異型の性質により、レンズメータ210は、パターン230が正しい直立位置で観察されているか、あるいは、側方に回転しているかを判定可能となる。一実施形態において、パターン230は、8つの行および7つの列を有する白黒市松デザインである。別の実施形態において、パターン230は、16個の行および15個の列を有する。また、他の構成または色の組み合わせも可能である。
図3は、いくつかの実施形態に係る、レンズメータ210のブロック図である。いくつかの実施形態において、レンズメータ210は、専用ソフトウェアを動作させて本明細書に記載の動作を実行する消費者のモバイル機器(たとえば、スマートフォンもしくはタブレット機器)またはコンピュータ(たとえば、ラップトップコンピュータ)である。他の実施形態において、レンズメータ210は、専用レンズメータ機器である。レンズメータ210は、レンズ312を有するカメラ310を具備するとともに、プロセッサ320、ユーザインターフェース330、ネットワークインターフェース340、メモリ350、およびレンズメータソフトウェア360をさらに具備する。いくつかの実施形態において、カメラ310は、レンズメータ210の不可欠な構成要素である。他の実施形態において、カメラ310は、追加の構成要素またはアクセサリであってもよい。プロセッサ320は、カメラ310に結合され、レンズメータ210が実行する像取り込み機能のソフトウェア360を実行する。いくつかの実施形態において、レンズメータ210の機能は、上位のレンズメータシステムの一部として、他の機器とともに実行されるようになっていてもよい。たとえば、レンズメータ210の機能がユーザのスマートフォンにより実行される一実施形態において、このスマートフォンは、ユーザのラップトップコンピュータと対になって、パターンの表示を制御するようにしてもよい。この例において、レンズメータ210は、ユーザのスマートフォンおよびラップトップコンピュータの両者を含むものと考えられる。
ユーザインターフェース330は、レンズメータ210のユーザからの入力を受け付けるとともに、出力を与える。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース330は、カメラ310のレンズ312を通して現在見られる像をユーザに対して表示することにより、ユーザがレンズメータ210の位置または配向を調整できるようにする。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース330は、相互作用によって像を取り込むための物理的なボタンまたは画面上のボタンをユーザに提供する。他の実施形態においては、パターン230が像中に検出され、特定の位置合わせ、サイズ、明暗、および解像度の条件が満たされた場合に、像が自動的に取り込まれる。
また、ユーザインターフェース330は、レンズメータ210、矯正レンズ220、およびパターン230のいずれかを異なる絶対位置もしくは配向または互いに異なる位置もしくは配向へと移動させる指示をユーザに与えるようにしてもよい。たとえば、ユーザインターフェース330は、レンズメータ210およびパターン230に対する最適な既知の位置に矯正レンズ220が位置決めされるように、ユーザがレンズメータ210を位置決めするまで、かつ、レンズメータ210で矯正レンズ220を通してパターン230を観察可能となるように、レンズメータ210、矯正レンズ220、およびパターン230が位置合わせされるまで、「前方移動」、「後方移動」、「レンズメータ前方傾斜」等の命令、グラフィックスおよびイラストにより伝達される指示、またはこのような他の命令を与えるようにしてもよい。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース330および/またはレンズメータ210の他の構成要素は、記録した音声指示またはレンズメータ210の正しい位置からの距離に比例(または、反比例)する周波数で発せられる可聴音等によって、上記のような指示を聞こえるように与えるようにしてもよい。他の実施形態において、ユーザインターフェース330は、ユーザがレンズメータ210、矯正レンズ220、およびパターン230を正しく位置決めしたら、たとえば「緑色光」または親指を立てるしぐさのアイコンを表示することによって、ユーザに指示を与えるようにしてもよい。また、ユーザインターフェース330は、たとえば矯正レンズの処方情報をユーザの医師に送信する指示を与えることによって、ユーザが他のシステムまたは構成要素と相互作用できるようにしてもよい。
いくつかの実施形態において、ネットワークインターフェース340は、ソフトウェア360のダウンロードおよびアップグレードへのアクセスを可能にする。いくつかの実施形態においては、以下に記載のプロセスの1つまたは複数のステップがサーバ(図示せず)またはレンズメータ210と異なる他の構成要素に実行されるようになっていてもよく、また、ネットワークインターフェース340を介して、レンズメータ210とサーバとの間でデータが受け渡されるようになっていてもよい。さらに、ネットワークインターフェース340は、レンズ特性または処方情報を別のエンティティ(たとえば、ユーザの検眼医または別の矯正レンズ供給業者)に対して自動的にアップロードできるようになっていてもよい。
レンズメータ210上で実行されるレンズメータソフトウェア360またはレンズメータ210と連通した他のシステムによって(たとえば、ネットワークインターフェース340を介して)、本明細書に記載のプロセスの一部または全部のほか、他の機能が実行されるようになっていてもよい。
図4は、1つまたは複数の実施形態に係る、矯正レンズの特性を決定するプロセス400のフローチャートである。このような実施形態は、図2および図3に示すようなシステムを用いて実装されていてもよい。
このプロセスは、ステップ410で開始となる。
ステップ420においては、矯正レンズを通して、パターンの取り込み像を取得する。像は、カメラ(たとえば、カメラ310)によって取り込まれる。いくつかの実施形態において、カメラは、専用レンズメータ機器の一部であるか、または、専用レンズメータ機器に取り付けられている。他の実施形態において、カメラは、モバイル機器(たとえば、スマートフォンまたはタブレット機器)の一部である。いくつかの実施形態において、ユーザは、矯正レンズを通してパターンが見えるように、カメラがパターンに向かって配向した状態でモバイル機器を保持するように指示される。そして、カメラによりパターンの像が取り込まれる。この像は、物理的なボタンまたはモバイル機器の画面上のインターフェース要素のクリック等のユーザ指示に応答して取り込まれるようになっていてもよい。他の実施形態において、この像は、相対的に静的で安定した像が取得されて焦点が合い、レンズメータ、矯正レンズ、およびパターンが適当に位置合わせされた場合に、自動的に取り込まれるようになっていてもよい。たとえば、モバイル機器の加速度計の使用により、カメラが相対的に止まっているものと判定するようにしてもよい。合焦像を取得可能な場合、システムは、既知の画像処理および検出技術の使用によって、像内のパターンの有無を識別しようと試みてもよい。いくつかの実施形態においては、複数の像が取り込まれるようになっていてもよく、また、パターンの焦点が最も合う画像、要素が適当に位置合わせされているか、といった基準に基づいて、複数の像のうちの1つが選択され、さらに処理されるようになっていてもよい。
いくつかの実施形態において、物体は、コンピュータディスプレイに表示された画像であってもよい。物体は、形状が既知で特徴点を容易に検出可能なパターンであってもよい。いくつかの実施形態によれば、市松模様が用いられる。
図5Aは、眼鏡フレーム内の2つの眼鏡レンズ等、2つの矯正レンズの特性の同時検出に用いられるように、パターン510、520が位置決めされたパターン群500を示している。パターン510、520は、境界530内に位置決めされている。境界530は、当該境界530に対する既知の場所に、境界基準ランドマーク532、533、534、535を含む。境界530および/または境界基準ランドマーク532、533、534、535は、後続ステップにおいて、取り込み像の配向を矯正するのに用いられる。好適な一実施形態においては、4つの境界基準ランドマークが用いられるが、いくつかの実施形態では、2つの境界基準ランドマークしか使用しない場合もある。一実施形態においては、境界530の4つの内側隅部それぞれに、境界基準ランドマーク532、533、534、535が位置付けられている。境界基準ランドマーク532、533、534、535は、コンピュータ画像認識技術により取り込み像において認識可能なマーカであってもよいし、コンピュータ画像認識技術の使用および/またはパターン群500の既知の形状の参照によって検出される固有ランドマークであってもよい。たとえば、境界530が4つの内側隅部を有する矩形であることが知られている場合は、これら4つの内側隅部が境界基準ランドマーク532、533、534、535として位置特定され、使用されるようになっていてもよい。
また、パターン510、520は、複数のパターン基準ランドマーク512を含む。矯正レンズがもたらす歪みの性質を決定するため、取り込み像における複数のパターン基準ランドマーク512の場所が後続ステップにおいて使用される。いくつかの実施形態においては、市松模様内の正方形の隣接隅部にパターン基準ランドマーク512が位置付けられる。パターン基準ランドマーク512は、コンピュータ画像認識技術により取り込み像において認識可能なマーカであってもよいし、コンピュータ画像認識技術の使用および/またはパターン群500の既知の形状の参照によって検出されるランドマークであってもよい。
境界基準ランドマーク532、533およびパターン基準ランドマーク512の場所は、パターン群500において既知である。これら既知の場所によれば、後続ステップにおいてパターン群500を基準パターン群として使用可能であり、これに対して、取り込み像における同じ点の場所が比較され得る。
いくつかの実施形態において、レンズメータは、眼鏡フレームの矯正レンズが当該レンズメータとパターン510、520との間の中途にある場合に動作するように構成されている。パターン510、520は、矯正レンズがレンズメータと当該パターン510、520との間の中途にある場合に、当該パターン510、520それぞれがレンズメータおよび一方の矯正レンズの両者と位置合わせされるように構成されるとともに離間している。このような構成は、たとえばパターン510、520の中心間の距離が矯正レンズの中心間の距離の2倍の大きさの場合に実現可能である。たとえば、眼鏡フレームの矯正レンズの中心間の距離が77.5mmである場合、パターン510、520は、それらの中心間の距離が77.5×2=155mmとなるように離間していてもよい。
パターン510、520および/または境界530は、レンズメータが矯正レンズを通してパターンの像を取り込んだ場合に、標準サイズの眼鏡フレームの開口が取り込み像中のパターン全体を囲むように、すなわち、パターンに矯正レンズが完全に重なり合うように、サイズ規定および構成されている。そして、眼鏡フレームの開口全体が境界530内に含まれる。取り込み像は、矯正レンズを通過した光(すなわち、矯正レンズにより歪んだ光)により生成された1つまたは複数の第1の領域および矯正レンズを避けた光(すなわち、矯正レンズにより歪んでいない光)により生成された1つまたは複数の第2の領域を有するものと考えられる。
このような構成を示した取り込み像550が図5Bに見られる。パターン510は、眼鏡フレーム540の開口542内に全体が含まれ、パターン520は、眼鏡フレーム540の開口544内に全体が含まれる。取り込み像550におけるパターン510、520は、眼鏡フレーム540の矯正レンズにより歪んでいる。そして、眼鏡フレーム540の全体が境界530内に含まれる。このような構成を採用することにより、矯正レンズに起因する取り込み像中のパターン510、520の歪みを測定可能である一方、境界基準ランドマーク532、533は、歪まずに維持される。
当然のことながら、図5Aおよび図5Bに示すパターン群500は説明を目的としており、パターンおよび/または境界の異なる構成、サイズ、または種類が本開示の範囲内で採用されるようになっていてもよいし、全体として省略されるようになっていてもよい。いくつかの実施形態においては、それぞれがパターンを1つだけ含むようにトリミングあるいは制限された状態の2つ以上の像が取り込まれるようになっていてもよい。他の実施形態においては、両パターンから成る1つの像が取り込まれ、後続ステップで2つの像に分割されて、各パターンが並列処理される。さらに他の実施形態においては、パターンのビデオクリップが取り込まれるようになっていてもよいし、複数の静止像が立て続けに取り込まれるようになっていてもよい。
また、当然のことながら、特性の異なるレンズは、取り込み像中のパターンを異なる様態で歪ませることになる。たとえば、度数が正のレンズは、取り込み像中のパターンを拡大するため、矯正レンズを通るパターンが大きく見えることになる。この状況において、パターンは、取り込み像において大き過ぎるために矯正レンズを埋め尽くしてしまうことがないようにサイズ規定されていてもよい。同様に、度数が負のレンズは、取り込み像中のパターンを縮小するため、矯正レンズを通るパターンが小さく見えることになる。この状況において、パターンは、取り込み像において小さ過ぎるために後のステップで識別および処理できなくなることがないようにサイズ規定されていてもよい。このため、いくつかの実施形態においては、レンズの特性等の検討事項に応じてパターンサイズを設定可能な表示装置にパターンが表示されるようになっていてもよい。いくつかの実施形態において、ユーザには、パターンのサイズ変更またはレンズの特性選択による好適サイズのパターンの表示を行う(表示装置またはレンズメータ210を介した)インターフェースが提供されていてもよい。他の実施形態において、パターンは、取り込み像において正しいサイズとなるように、システムによって自動的にサイズ変更されるようになっていてもよい。
図5Bの取り込み像550に見られるように、境界530は、図5Aに示す水平矩形構成から反時計回りに回転しており、図5Bのパターン510、520および境界530は、図5Aの各対応部分よりも小さい。これらの変化により、基準パターン群500に対して、取り込み像550のパターン群500を直接比較するのは難しくなる。
したがって、図4に戻り、ステップ430では、取り込み像を理想座標系に変換する。いくつかの実施形態において、取り込み像は、図5Aの基準パターン群500により表される理想座標系に変換される。この変換では、像の回転、サイズ変更、トリミング、および傾斜によって、像取り込みプロセスによりもたらされた任意の歪みまたは不正確を取り除くようにしてもよい。いくつかの実施形態においては、取り込み像550における境界基準ランドマーク532’、533’、534’、535’を検出し、画像操作技術を用いて取り込み像550を変換することにより、境界基準ランドマーク532’、533’、534’、535’が取り込み像において、図5Aの基準パターン群500の対応する境界基準ランドマーク532、533、534、535と同じ場所に現れるようにすることによって、取り込み像が理想座標系に変換される。境界基準ランドマーク532’、533’、534’、535’は、コンピュータ画像認識技術により検出されるようになっていてもよく、境界基準ランドマーク532’、533’、534’、535’またはそれぞれを構成するピクセルは、このようなコンピュータ画像認識技術の実行に適した形状、色等の特性を有するように構成されていてもよい。
いくつかの実施形態においては、取り込み像550中の境界基準ランドマーク532、533、534、535と図5Aの基準パターン群500の対応する境界基準ランドマーク532、533、534、535との間の距離によって、行列変換が決定される。そして、行列変換は、取り込み像550のピクセルの一部または全部への適用によって、変換を有効にする。
理想座標系への変換後に現れる取り込み像550が図5Cに見られる。この変換後の取り込み像550における境界基準ランドマーク532’、533’、534’、535’は、図5Aの基準パターン群500の境界基準ランドマーク532、533、534、535と同じ場所にある。
ステップ440においては、取り込み像を処理して、基準パターンから取り込み像のパターンへの全体歪みを決定する。全体歪み(すなわち、矯正レンズのほか、像の取り込みに用いられるカメラのレンズによりもたらされた歪み)は、取り込み像550中のパターン510、520を基準パターン群500のパターンに対して比較することにより決定されるようになっていてもよい。いくつかの実施形態において、この比較は、取り込み像550中の複数のパターン基準ランドマーク512’を基準パターン群500の複数のパターン基準ランドマーク512に対して比較することにより実行される。
図6は、基準パターン群500の複数のパターン基準ランドマーク512の場所に重ね合わされた例示的な取り込み像550中の複数のパターン基準ランドマーク512’の場所を示している。取り込み像中の各パターン基準ランドマーク512a’、512b’と基準パターン群の対応する基準ランドマーク512a、512bとの間の距離の使用により、理想座標系から取り込み像への歪み(すなわち、変換)を記述する視度行列Pを決定するようにしてもよい。
プレンティスの法則は、レンズにおける誘起プリズム(induced prism)の量を記述する。Pの使用により、行列形態のプレンティスの法則をxtest=Pxrefとして表現可能である。ここで、xtestは、取り込み像中のパターン基準ランドマーク512a’、512b’の場所の行列であり、xrefは、基準パターン群の対応する基準ランドマーク512a、512bの場所の行列である。
視度行列Pは、以下により与えられる。
ただし、
P
x=S+Csin
2θ [2]
P
y=S+Ccos
2θ [3]
P
t=−Csinθcosθ [4]
である。
これを代数的に解くことで、Sの値(レンズの球面度数に関する値)、Cの値(レンズの円柱度数に関する値)、およびθの値(レンズの非点収差角)を決定することができる。
SおよびCの値は、矯正レンズおよびレンズメータのカメラのレンズの両者により取り込み像中にもたらされる歪みを記述する。したがって、ステップ450においては、矯正レンズに起因し得る取り込み像中のパターンの歪みを決定する。特に、矯正レンズがカメラとパターンとの間の中途場所に位置付けられている場合は、以下の式によって、θおよびθ+90°に対応する2つの直交軸に沿った矯正レンズの焦点距離fθおよびfθ+90°が決定される。
ここで、lは、パターンとレンズメータのカメラのレンズとの間の距離である。lの値を決定するため、カメラおよび/またはレンズのパラメータが決定されるようになっていてもよいし、データストアから直接アクセス可能であってもよい。いくつかの実施形態において、カメラレンズの焦点距離fは、取り込み像またはレンズメータの設定情報におけるメタデータから決定されるようになっていてもよい。パターンの高さhは、既知であってもよい。距離lは、fおよび他のパラメータから決定されるようになっていてもよい。物体(たとえば、パターン)からの距離を決定する方法およびシステムについては、2016年1月15日に出願された米国特許出願第14/996,917号明細書「SMARTPHONE RANGE FINDER」に記載されており、そのすべての開示内容を参照により本明細書に援用する。
ステップ460においては、矯正レンズの少なくとも1つの特性を決定する。いくつかの実施形態においては、矯正レンズの球面、円柱、および軸の測定結果の決定により、矯正レンズの処方を決定可能であってもよい。球面の測定結果は、ジオプタで測定されたレンズ度数の量を示す。矯正レンズは、眼のすべての経線における近視または遠視を矯正する特定の球面度数が処方されていてもよい。いくつかの実施形態においては、球面度数に符号が与えられ、負の値が近視の処方を表し、正の値が遠視の処方を表していてもよい。
円柱度数は、非点収差に対して処方されたレンズ度数の量を示す。円柱度数は、非点収差に対する矯正が処方されていない場合、ゼロであってもよい。円柱の測定結果は、矯正レンズが、曲率の追加のない第1の経線と、非点収差を矯正する最大のレンズ曲率を含む第1の経線に垂直な第2の経線とを有することを示す。
軸度数は、円柱の第2の経線の配向を表す。軸度数は、1°〜180°の範囲で、90°が眼の垂直経線に対応し、180°が水平経線に対応していてもよい。
また、多焦点(たとえば、二焦点または三焦点)レンズの底部に適用される追加の倍率を表すADD値等、矯正レンズの他の値が決定されるようになっていてもよい。
いくつかの実施形態において、矯正レンズの球面、円柱、および軸の測定結果は、以下の式により決定されるようになっていてもよい。
SPH=1000/fθ [7]
AXIS=180°−θ [9]
ここで、AXISの決定は、矯正レンズの着用者の視点から実行される。
SPH、CYL、およびAXISの値は、レンズメータの画面上の表示、レンズメータのメモリ(たとえば、データベースまたはファイル)への格納、および/またはレンズメータのネットワークインターフェースを介した別の当事者(処方の確認または指定を目的として矯正レンズの所有者と提携している眼科医等)への配送が可能である。たとえば、これらのプロセスは、眼鏡を有するものの、当該眼鏡の処方を知らない人物により実行されるようになっていてもよい。本明細書において論じる方法により得られた情報は、この人物のアイケア専門家に送られるようになっていてもよく、専門家は、この情報を用いて、適正な処方の新たな眼鏡を注文することができる。
プロセス400は、ステップ470で終了となる。
いくつかの実施形態においては、矯正レンズをレンズメータとパターンとの間の中途に位置付ける必要性が抑えられ得る。代わりに、レンズメータが複数の像を取り込みながら、レンズメータおよび/または矯正レンズが相互およびパターンに対して移動するようになっていてもよい。上述の通り、SおよびCの値が像ごとに決定されるようになっていてもよい。矯正レンズがレンズメータとパターンとの間の中途に位置決めされている場合は、SおよびS+Cが極値(すなわち、極小または極大)を有することが知られている。SおよびS+Cが極値を生成する像は、本明細書に記載のプロセスの基準として用いられるようになっていてもよい。
また、当然のことながら、ここで与える例は、眼鏡の形態の矯正レンズを含むが、上記プロセスおよびシステムは、特許請求の範囲に係るプロセスの実行のために好適な配向および場所に保持され得ることを前提として、コンタクトレンズ等の他種の矯正レンズに適用可能であってもよい。
いくつかの実施形態においては、取り込み像が理想座標系に変換されない。むしろ、本明細書の種々実施形態において論じる通り、矯正レンズがレンズメータとパターンとの間に配設された第1の像および矯正レンズが除去された点を除いて第1の像と同一の第2の「基準」像という2つの像が取り込まれる。第2の像にはレンズの歪み効果が存在しないため、第1の像を第2の像と直接比較することにより、プロセス400のステップ440に関して論じた技術を用いて歪みの量を決定するようにしてもよい。
(たとえば、式1〜9に関して)上述の通り、器具なしレンズメータの運用においては、矯正レンズをレンズメータカメラと表示パターンとの間の中途に配置することが役立ち得る。ただし、ユーザにとっては、適当な中途場所を見出すのが困難となり得る。
さらに上述の通り、SおよびS+Cの極値を識別するため、レンズメータが移動中に複数の像を取り込むことにより、矯正レンズが中途場所に位置付けられた複数の像のうちの1つを識別しながら、レンズメータおよび/または矯正レンズが相互およびパターンに対して移動する場合は、レンズメータとパターンとの間の中途に矯正レンズを位置付ける必要性が抑えられ得る。
ただし、複数の像の取り込み、格納、および/または処理によってSおよびS+Cの極値を識別するには、(たとえば、CPUサイクル、メモリ使用、および/または電力の観点で)演算コストが高くなり得る。
本開示の種々態様によれば、パターンとレンズメータのカメラのレンズとの間の距離l、パターンと矯正レンズとの間の距離l1、および/または矯正レンズとパターンとの間の距離l2(たとえば、l−l1)を決定可能な改良されたレンズメータシステムおよび方法が提供される。これらの決定された距離のうちの1つまたは複数を使用することにより、解析画像の取り込み前の中途場所(たとえば、l1=l2)での矯正レンズの配置のためのユーザのガイドならびに/またはレンズメータによるレンズメータ、矯正レンズ、およびパターンの相対位置の補償が可能となる。
まず、パターンと接触した矯正レンズにより取り込まれた補完測定像(本明細書においては、接触像または第1の像と称する場合がある)を用いて矯正レンズの絶対的なサイズおよび形状を決定することにより、距離l、l1、および/またはl2を決定可能である。図7〜図11は、接触像を用いた器具なしレンズメータの運用の種々態様を示している。
たとえば、図7は、接触像の取り込みのため、レンズメータ210、眼鏡704のフレーム708に装着された2つの矯正レンズ220、およびパターン230が配置されたシステム200の斜視図である。図7の例においては、ラップトップコンピュータ702上の表示画像700にパターン230が表示されている。ラップトップコンピュータ702は、(本例においては、携帯電話として実装された)レンズメータ210と対になっていてもよい。レンズメータ210は、ラップトップ702から、ラップトップ702のディスプレイの表示特性を取得し、画像700および/またはパターン230の表示を制御する指示をラップトップ702に与えるようにしてもよい。
たとえば、レンズメータ210は、ラップトップ702のディスプレイのサイズ(たとえば、高さおよび幅)ならびに/またはディスプレイのピクセルサイズおよび密度を示す寸法情報等、ラップトップ702のディスプレイと関連付けられた情報を取得するようにしてもよい。この情報を用いて、レンズメータ210は、パターン230の特徴の絶対的な物理サイズの調整の決定および/またはラップトップ702への指示が可能である。図7の例においては、基準ランドマーク706が埋め込まれた画面の幅の単一のパターン230が表示されている。本例においては、境界基準ランドマーク532、533、534、および535に関して上述した通り、基準ランドマーク706が(たとえば、取り込み像の配向および変換のための)境界基準ランドマークとして利用されるようになっていてもよい。本例においては、パターン基準ランドマーク512等のパターン基準ランドマークをパターン230内に設けること、および/または、パターンの特徴(たとえば、パターンの正方形等の形状の交差隅部)をパターン基準ランドマークとして使用することが可能である。
図7に示す運用においては、矯正レンズ220がパターン230と接触した状態(たとえば、パターン230を表示するラップトップ702のディスプレイと接触した状態)で、矯正レンズ220中およびフレーム708外の矯正レンズ220、フレーム708、およびパターン230の接触像をレンズメータ210が取り込む。図示の構成においては、矯正レンズ220がパターン230と接触しているため、パターン230には実質的に、矯正レンズ220による歪みがない。したがって、接触像中のパターンの特徴のサイズは既知であり(たとえば、メモリ350に格納されており)、(たとえば、フレーム708により遮られたパターン230の部分によって識別される)パターン230に対する矯正レンズ220の縁部の場所の使用によって、各矯正レンズの絶対的なサイズおよび形状を決定することができる。
図7の例に示すように、指示703は、レンズメータ210のディスプレイ上で与えられるようになっていてもよい。他の実施態様においては、ラップトップ702または別の機器のディスプレイ上で指示703の全部または一部が与えられるようになっていてもよい。図8は、レンズメータ210を用いたレンズメータ運用中に与えられ得る指示703の一例を示している。図8に示すように、指示703には、すべてがレンズメータ210のカメラにより取り込まれた1つまたは複数の像に基づいて、境界基準ランドマーク706の表示800と、当該境界基準ランドマーク706の表示800に対して適所の眼鏡704の表示802(フレーム708およびレンズ220の表示804および806を含む)とを含んでいてもよい。図示のように、テキスト指示801および/またはグラフィック指示803を含むことにより、ユーザに対して、図7の構成のようにパターン230にぴったり接した状態で(たとえば、ラップトップ702の画面にぴったり接した状態で)眼鏡704を配置し、像を取り込む(たとえば、写真を撮る)指示を与えるようにしてもよい。
図8に示すように、矯正レンズ220それぞれの外側境界を示すレンズ境界インジケータ810が表示されていてもよい。たとえば、眼鏡704は、レンズメータ210により取り込まれた像において、表示パターン230から分離されていてもよく、結果として接続される構成要素の場所および相対サイズに基づいて、レンズ220に対応する形状が推測されるようになっていてもよい。推測したレンズ形状に基づいて、レンズ境界インジケータ810を生成した後、図8に示すように、スマートフォンのカメラビューに重畳して、レンズが正確に位置特定された旨のフィードバックをユーザに与えることができる。
また、図8は、レンズ220の一方または両方が(たとえば、ユーザの指または眼鏡のテンプルアームによって)部分的に遮られるかをレンズメータ210が判定する様子を示している。たとえば、形状ミラーリングおよび/または位置合わせ手順を用いて、眼鏡704の2つのレンズ220のレンズ形状を比較することにより、遮りが検出されるようになっていてもよい。一方のレンズのミラーリング形状が他方のレンズの形状と実質的に異なる場合(たとえば、閾値を超えて小さい場合)に遮りが検出されるようになっていてもよい。
遮りの厳密な位置特定および形状は、レンズメータ210によって、非遮りレンズ形状に一致しない遮りレンズ形状の点を選択することにより決定されるようになっていてもよい。そして、これら選択した点により規定される遮り境界814をスマートフォンのカメラビューに重畳して、遮りの性質および場所をユーザに知らせることにより、ユーザが対処できるようにすることも可能である。また、付加的な指示821を与えることにより、(遮りが検出された場合に)遮りの除去をユーザに指示するようにしてもよいし、レンズの遮りを回避することをユーザに思い出させるようにしてもよい。
上述の通り、矯正レンズ220がパターン230にぴったり接した図7に構成において、接触像がシステム200により取り込まれた場合は、パターン230の特徴の既知のサイズとの境界(図8においては、境界インジケータ810により示す)の比較によって、各矯正レンズ220の絶対的なサイズおよび形状を決定することができる。
接触像を取り込んだ後(たとえば、ユーザ動作への応答により、または、上述の通り自動的に)、レンズメータ210とパターン230との間の略中途の場所への矯正レンズ220の移動をユーザに指示するように、指示703が変更されるようになっていてもよい。
図9は、矯正レンズ220がレンズメータ210とパターン230との間の中間位置900に位置付けられるようにユーザが眼鏡704を移動させた構成のシステム200の上面斜視図である。図9は、パターン230と矯正レンズ220との間の距離l1、矯正レンズ220とパターン230との間のl2、およびカメラとパターンとの間の総距離lを示している。
矯正レンズ220の移動および位置決め中に取り込まれた像の実時間処理によって、レンズ220の形状およびサイズを識別可能であり、接触像中の形状およびサイズとの比較によって、距離l1およびl2を決定可能である。これら決定した距離のうちの1つもしくは複数ならびに/または絶対的および/もしくは相対的距離のグラフィックインジケータを(たとえば、レンズメータ210のディスプレイにより)実時間でユーザに折り返し報告することによって、パターン230と矯正レンズ220との間の距離l1および矯正レンズ220とパターン230との間の距離l2が(たとえば、差異閾値の範囲内で)実質的に同じとなる中途位置等、所望の中間位置900へとユーザが眼鏡をガイドするのに役立ち得る。
また、レンズ境界インジケータ810および/または遮りインジケータ814は、矯正レンズ220の移動および位置決め中に、レンズメータ210により実時間表示されて、基準ランドマーク706に対する矯正レンズの位置をユーザに示すとともに、レンズのうちの1つまたは複数が遮られた場合には、ユーザに注意喚起するようにしてもよい。
接触像の処理により、レンズ220の既知のサイズに基づいて、距離l1およびl2が(たとえば、差異閾値の範囲内で)略同一と判定された場合(たとえば、遮りが検出されない場合)、レンズメータ210は、たとえば「緑色光」または親指を立てるしぐさのアイコンを表示することによって、ユーザがレンズメータ210、矯正レンズ220、およびパターン230を正しく位置決めしたことを示すようにしてもよい。矯正レンズ220の(たとえば、中途位置における)所望の位置決めが実現された場合は、レンズメータ像(たとえば、レンズ度数測定結果像)を取り込む指示がユーザに与えられるようになっていてもよいし、レンズメータ像を自動的に取り込むことも可能である。レンズ220の特性は、取り込んだレンズメータ像を用いることにより、(たとえば、図3に関して上述した通り)測定される。
このように、レンズメータ210およびレンズ220の位置決め中に得られた情報を(たとえば、上述のようにSおよびS+Cを繰り返し演算および比較する場合に比べて少ない演算および電力で)ユーザに実時間で折り返し報告することによって、ユーザが眼鏡およびスマートフォンの配置をインタラクティブに調整して所望の撮像条件を実現するのに役立ち得る。また、この情報(たとえば、相対距離)は、レンズメータ像の取り込み後、ユーザに対して表示可能である。いくつかの実施態様において、レンズメータはその後、レンズメータ像を再取得または承認するオプションを提供可能である。
また、当然のことながら、図7〜図9は、ラップトップ702のディスプレイ全体にわたる共通のパターンを示しているが、種々シナリオにおいては、複数のパターン(たとえば、眼鏡の2つのレンズに対するパターン510および520等の2つのパターンまたは累進多焦点レンズもしくは多焦点レンズに対する3つ以上のパターン)を使用可能である。ただし、多焦点レンズ、累進多焦点レンズ、または他の複雑なレンズ構成のさまざまな特性を決定するのにも、図7〜図9に関して図示および説明したような単一のパターンを使用可能である(たとえば、取り込み像の副領域解析)。また、当然のことながら、図7〜図9に関して単一の接触像および単一のレンズメータ像を説明しているが、いくつかの状況においては、複数の接触像および/または複数のレンズメータ像の取り込みならびに集約、平均化、あるいは組み合わせおよび/もしくは共通処理によって、より正確な結果を与えることも可能である。たとえば、複数の像の積み重ねあるいは組み合わせによる解析ならびに/または複数の像からの測定結果の平均化あるいは組み合わせが可能である。たとえば、本明細書に記載のレンズ度数推定動作は、取り込み像におけるテストパターンの歪みならびにレンズメータ機器に対するパターンおよびレンズの位置および配向等、複数の量の測定結果の精度による影響を受ける。これらの測定結果は、一部が頻繁に無相関となる誤りの影響を受ける可能性がある。一連の類似像を取得し、導出された推定の測定結果を集約することによって、時間的に無相関のノイズ源の影響を抑えることができる。
図10は、本技術の種々態様に係る、レンズメータ運用の例示的なプロセスのフロー図である。本明細書においては、説明を目的として、図2、図3、および図7〜図9の構成要素を参照しつつ、図10の例示的なプロセスを説明する。さらに、本明細書においては、説明を目的として、図10の例示的なプロセスのいくつかのブロックは、順次すなわち連続して発生するものとして説明する。ただし、図10の例示的なプロセスの複数のブロックが並列に発生し得る。また、図10の例示的なプロセスのブロックの図示の順序での実行ならびに/または図10の例示的なプロセスのブロックのうちの1つもしくは複数の実行が不要である。
図示の例示的なフロー図において、ブロック1000では、パターン230等のパターンを提供する。上述の通り、パターンは、印刷パターンであってもよいし、ラップトップ702等のコンピュータ機器により(たとえば、コンピュータ機器自体および/または携帯電話として実装されるレンズメータ機器210等のレンズメータ機器との協働により)提供されるようになっていてもよい。
ブロック1002においては、(たとえば、レンズメータ機器のディスプレイにより)パターンと接触させて(たとえば、ぴったり接した状態で)矯正レンズを配置する指示を与える(たとえば、図7および図9参照)。図10の例は、単一の矯正レンズに関して説明するが、図10の動作は、フレームに装着された一対の矯正レンズ等、2つ以上の矯正レンズに対して実行可能である。
ブロック1004においては、パターンに接触させた状態の矯正レンズを通して、(たとえば、レンズメータのカメラにより)パターンの第1の像(たとえば、接触像)を取得する。本明細書に記載の通り、第1の像は、レンズメータ機器により像を取り込むことによって、自動的に取得されるようになっていてもよいし、ユーザの動作に応じて取得されるようになっていてもよい。
ブロック1006において、レンズメータは、第1の像を用いて(たとえば、第1の像において、矯正レンズおよび/または矯正レンズのフレームをパターンから分離するとともに、分離像において、接続構成要素の場所を識別することにより、外側境界に対応する点を取得することによって)、矯正レンズの外側境界を識別する。上述の通り、矯正レンズの表示と併せて、図8の境界インジケータ810等の境界インジケータが表示されるようになっていてもよい。
ブロック1008において、レンズメータは、矯正レンズが遮られているかを判定する。矯正レンズが遮られているかの判定には、単一の矯正レンズの不規則な縁部を識別すること、または、眼鏡の2つのレンズのミラーリング形状間の形状差を識別することを含んでいてもよい(たとえば、図8および関連する記述参照)。
矯正レンズが遮られていると判定された場合、ブロック1010において、レンズメータは、レンズを遮りするユーザの指の表示812と関連付けられた図8の遮りインジケータ814等の遮りインジケータとともに第1の像を表示するようにしてもよい。遮りが検出されている間、レンズメータは、遮りが除去されるまで、ブロック1004、1006、1008、および1010に連続して戻るようにしてもよい。
矯正レンズが遮られていないと判定された場合は、ブロック1012において、第1の像および識別された境界を(たとえば、レンズメータのメモリ350等のメモリに)格納するようにしてもよい。
ブロック1014においては、識別された境界およびパターンに基づいて、矯正レンズのサイズおよび形状を決定する。たとえば、形状および絶対的なサイズが既知の特徴がパターンに与えられ、接触像におけるパターンの特徴との比較により、矯正レンズの絶対的な寸法を決定できるようになっていてもよい。たとえば、パターンが正方形の市松模様を含み、それぞれの幅がXmmで、矯正レンズの最大寸法がY個の正方形に及ぶ場合、矯正レンズの最大寸法は、長さがX×Ymmとなる。また、レンズの1つまたは複数の付加的な寸法も測定可能である。この情報を用いることにより、後続の如何なる像においても、レンズの最大寸法の長さ(像のピクセル)を使用して、(たとえば、ピクセルの立体角が既知である場合に)カメラと矯正レンズとの間の距離を決定することができる。既知のサイズのパターンの特徴と組み合わせて、第2の像から、上述のすべての距離l、l1、およびl2を決定することができる。
ブロック1018においては、第1のパターンと異なる第2のパターンを提供するようにしてもよい。第2のパターンは、複数のレンズに対するパターン510および520ならびに/または多焦点レンズもしくは累進多焦点レンズに対する1つもしくは複数の付加的なパターン等、複数のパターンを含んでいてもよい。ただし、必要に応じて、第2のパターンを表示するのではなく、ブロック1000で表示したパターンを表示し続けることも可能である。
ブロック1020において、レンズメータは、レンズメータ機器のカメラとパターンとの間の中途位置等の中間位置900に矯正レンズを配置する指示を与えるようにしてもよい。
ブロック1022においては、矯正レンズが中間位置にある状態で、レンズメータにより、矯正レンズを通るパターン(たとえば、ブロック1000で提供される第1のパターンまたはブロック1018で提供される第2のパターン)の第2の像を取得する。また、第2の像において、矯正レンズの外側境界が識別されるようになっていてもよい。
ブロック1024において、レンズメータは、矯正レンズが遮られているかを判定する。
矯正レンズが遮られていると判定された場合、ブロック1026において、レンズメータは、レンズを遮るユーザの指の表示812と関連付けられた図8の遮りインジケータ814等の遮りインジケータとともに第1の像を表示するようにしてもよい。遮りが検出されている間、レンズメータは、遮りが除去されるまで、ブロック1022、1024、および1026に連続して戻るようにしてもよい。
矯正レンズが遮られていないと判定された場合は、ブロック1028において、(たとえば、ブロック1014で決定した矯正レンズの既知のサイズ、第2の像、および/またはパターンの特徴の既知のサイズを用いることにより)カメラと矯正レンズとの間の距離l1および矯正レンズとパターンとの間の距離l2(たとえば、l−l1)を決定する。
ブロック1030において、レンズメータは、当該レンズメータと矯正レンズとの間の距離および矯正レンズとパターンとの間の距離が差異閾値の範囲内で同様であるか(たとえば、距離l1が距離l2に略等しいか)を判定するようにしてもよい。このように、矯正レンズが所望の中間位置(たとえば、中途位置)にあるかが判定されるようになっていてもよい。
矯正レンズが所望の中間位置にないと判定された場合は、ブロック1032において、レンズメータにより再位置決め指示が与えられるようになっていてもよい。たとえば、再位置決め指示には、絶対および/もしくは相対距離l1およびl2のテキストベースおよび/もしくはグラフィック表示ならびに/または矯正レンズおよび/もしくはレンズメータの移動をユーザに指示するグラフィック矢印もしくはテキスト等のインジケータを含んでいてもよい。
(たとえば、距離l1およびl2の演算および比較により決定されるように)矯正レンズが中間位置にない間、レンズメータは、矯正レンズが所望の中間場所となるまで、ブロック1022、1024、1026、1028、1030、および/または1032の動作を連続して繰り返すようにしてもよい。
ブロック1030において、矯正レンズが所望の中間位置にあると判定された場合、レンズメータは、ブロック1034において、矯正レンズを通るパターンの第2の像を格納するようにしてもよい。また、ブロック1030において、レンズメータは、たとえば「緑色光」または親指を立てるしぐさのアイコンを表示することによって、矯正レンズが所望の中間場所に正しく位置決めされたことをユーザに示すようにしてもよい。そして、当該場所での検出またはユーザによる後続の像取り込み動作に応答して、第2の像が自動的に取り込まれ、格納されるようになっていてもよい。このように、ブロック1030および1032の動作は、最適な測定結果を得るため、カメラとパターンとの間の中途場所に矯正レンズを配置するようにユーザをガイドするのに役立ち得る。ただし、当然のことながら、ブロック1030および1032の動作は、いくつかのシナリオにおいて省略または遮断されるようになっていてもよく、ブロック1028で決定した距離の使用により、カメラとパターンとの間の異なる場所における矯正レンズの位置に起因するパターンの歪みの差異を考慮可能である。
ブロック1036においては、第2の像を理想座標系に変換するようにしてもよい。たとえば、第2の像は、図7の基準パターン群706により表される理想座標系に変換されるようになっていてもよい。この変換では、第2の像の回転、サイズ変更、トリミング、および傾斜によって、像取り込みプロセスによりもたらされた任意の歪みまたは不正確を取り除くようにしてもよい。いくつかの実施形態においては、第2の像における境界基準ランドマーク706を検出し、画像操作技術を用いて第2の像を変換することにより、境界基準ランドマークが第2の像において、基準パターン群の対応する境界基準ランドマーク706と同じ場所に現れるようにすることによって、第2の像が理想座標系に変換される。第2の像における境界基準ランドマークは、コンピュータ画像認識技術により検出されるようになっていてもよく、検出された境界基準ランドマークまたはそれぞれを構成するピクセルは、このようなコンピュータ画像認識技術の実行に適した形状、色等の特性を有するように構成されていてもよい。
いくつかの実施形態においては、第2の像中の境界基準ランドマークと基準パターン群の対応する境界基準ランドマーク706との間の距離によって、行列変換が決定される。そして、行列変換は、第2の像のピクセルの一部または全部への適用によって、変換を有効にする。
ブロック1038においては、第2の像を処理して、基準パターンから取り込み像のパターンへの全体歪みを決定する。全体歪み(すなわち、矯正レンズのほか、像の取り込みに用いられるカメラのレンズによりもたらされた歪み)は、第2の像中のパターンを基準パターンのパターンに対して比較することにより決定されるようになっていてもよい。いくつかの実施形態において、この比較は、第2の像中の512’等の複数のパターン基準ランドマークを基準パターン群のパターン基準ランドマーク512等の複数の対応するパターン基準ランドマークに対して比較することにより実行される。そして、矯正レンズに起因し得る取り込み像中のパターンの歪みが(たとえば、第2の像ならびにパターンの特徴の既知のサイズおよび/もしくは矯正レンズの決定サイズを用いて決定された距離lを使用することにより)決定されるようになっていてもよい。この決定された距離lを用いて、矯正レンズに起因し得る取り込み像中のパターンの歪みが決定されるようになっていてもよく、パターンとカメラとの間の中途場所に矯正レンズがある場合(たとえば、l1=l2=l/2の場合)は、上式5および6による。矯正レンズが中途場所にない(たとえば、l1≠l2)状況においては、当業者が理解するように、矯正レンズに起因し得る取り込み像中のパターンの歪みを決定する式の修正によって、矯正レンズに起因し得る取り込み像中のパターンの歪みを決定する。
ブロック1040においては、レンズメータによって、矯正レンズの少なくとも1つの特性を決定する。たとえば、矯正レンズの球面、円柱、および軸の測定結果の決定により、矯正レンズの処方を決定可能であってもよい。また、多焦点(たとえば、二焦点または三焦点)レンズの底部に適用される追加の倍率を表すADD値等、矯正レンズの他の値が決定されるようになっていてもよい。いくつかの実施形態において、矯正レンズの球面、円柱、および軸の測定結果は、上式7、8、および9により決定されるようになっていてもよい。したがって、矯正レンズの少なくとも1つの特性は、矯正レンズの測定サイズに基づいて、少なくとも一部が決定されるようになっていてもよい。
SPH、CYL、およびAXISの値は、レンズメータの画面上の表示、レンズメータのメモリ(たとえば、データベースまたはファイル)への格納、および/またはレンズメータのネットワークインターフェースを介した別の当事者(処方の確認または指定を目的として矯正レンズの所有者と提携している眼科医等)への配送が可能である。たとえば、これらのプロセスは、眼鏡を有するものの、当該眼鏡の処方を知らない人物により実行されるようになっていてもよい。本明細書において論じる方法により得られた情報は、この人物のアイケア専門家に送られるようになっていてもよく、専門家は、この情報を用いて、適正な処方の新たな眼鏡を注文することができる。
本明細書においては、レンズメータの動作が(たとえば、携帯電話またはスマートフォンとして実装された)レンズメータ機器210により実行される種々例を説明するが、当然のことながら、レンズメータ動作の一部または全部は、モバイル機器により取り込まれて送信された画像および/または他の情報を用いて、サーバによりリモートで実行されるようになっていてもよい。たとえば、図11は、携帯電話として実装されたレンズメータ210、パターン230を表示するラップトップコンピュータ702、ならびにネットワーク1150を介してレンズメータ210および/もしくはラップトップコンピュータ702と連通したサーバ1130を具備するレンズメータシステムの一実施態様を示している。
上述の通り、本明細書に開示の態様および機能は、これらコンピュータシステムのうちの1つまたは複数のハードウェアまたはソフトウェアとして実装されていてもよい。これらは、現在使用されているコンピュータシステムの多くの例である。これらの例としては、数ある中でも、ネットワーク家電、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、メインフレーム、ネットワーククライアント、サーバ、メディアサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバ、およびウェブサーバが挙げられる。コンピュータシステムの他の例としては、携帯電話および個人用デジタル補助装置等のモバイルコンピュータ機器ならびに負荷分散装置、ルータ、およびスイッチ等のネットワーク装置が挙げられる。さらには、単一のコンピュータシステム上に態様が設定されていてもよいし、1つまたは複数の通信ネットワークに接続された複数のコンピュータシステム間で態様が分散していてもよい。
たとえば、1つまたは複数のクライアントコンピュータにサービスを提供するように構成された1つまたは複数のコンピュータシステム間で種々態様および機能が分散していてもよい。また、さまざまな機能を実行する1つまたは複数のサーバシステム間で分散した構成要素を含むクライアント−サーバまたは多層システム上で態様が実行されるようになっていてもよい。結果として、例は、任意特定のシステムまたはシステム群上での実行に限定されない。さらには、ソフトウェア、ハードウェア、もしくはファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせにおいて態様が実装されていてもよい。このため、多様なハードウェアおよびソフトウェア構成を使用するプロセス、動作、システム、システム要素、および構成要素内で態様が実装されていてもよく、例は、任意特定の分散アーキテクチャにも、ネットワークにも、通信プロトコルにも限定されない。
図3を再び参照して、レンズメータ210は、ネットワーク1150等のネットワークに接続されたネットワークインターフェース340を介して、サーバ1130等の他のシステムと相互接続されていてもよく、また、他のシステムとデータを交換するようにしてもよい。ネットワークとしては、コンピュータシステムがデータを交換可能な任意の通信ネットワークが挙げられる。ネットワークを用いてデータを交換するため、レンズメータ210およびネットワークは、さまざまな方法、プロトコル、および規格を使用してもよく、数ある中でも、ファイバチャネル、トークンリング、イーサネット、無線イーサネット、Bluetooth、IP、IPV6、TCP/IP、UDP、DTN、HTTP、FTP、SNMP、SMS、MMS、SS7、JSON、SOAP、CORBA、REST、およびウェブサービスが挙げられる。データ転送が安全になるように、レンズメータ210は、たとえばTSL、SSL、またはVPN等の多様なセキュリティ手段を用いることにより、ネットワークを介してデータを送信するようにしてもよい。
1つまたは複数のコンピュータシステムにおいて実行される専用ハードウェアまたはソフトウェアとして、種々態様および機能が実装されていてもよい。図3に示すように、レンズメータ210は、カメラ310、プロセッサ320、ユーザインターフェース330、ネットワークインターフェース340、メモリ350、およびレンズメータソフトウェア360を具備する。
プロセッサ320は、操作データとなる一連の指示を実行するようにしてもよい。プロセッサ320は、IntelのXeon、Itanium、Core、Celeron、Pentium、AMDのOpteron、SunのUltraSPARC、IBMのPower5+、またはIBMのメインフレームチップ等、市販のプロセッサであってもよいが、一方で、如何なる種類のプロセッサ、マルチプロセッサ、またはコントローラであってもよい。プロセッサ320は、メモリ350、カメラ310等の他のシステム要素に接続されている。
メモリ350は、レンズメータ210の動作中に、プログラムおよびデータの格納に用いられるようになっていてもよい。このため、メモリ350は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)またはスタティックメモリ(SRAM)等、比較的高性能の揮発性ランダムアクセスメモリであってもよい。ただし、メモリ350としては、ディスクドライブまたは他の不揮発性記憶装置等、データを格納する任意のデバイスが挙げられる。種々例において、特定の構造、場合によっては一意の構造にメモリ350を組み入れることにより、本明細書に開示の機能を実行するようにしてもよい。
また、メモリ350としては、プロセッサ320により実行可能なプログラムを規定する命令が格納されたコンピュータ読み込みおよび書き込み可能な不揮発性(持続性)データ記憶媒体が挙げられる。また、メモリ350は、媒体上または媒体中に記録された情報を含んでいてもよく、この情報は、プログラムの実行時に、プロセッサ320により処理されるようになっていてもよい。より具体的に、この情報は、記憶領域の節約またはデータ交換性能の向上を図るように明確に構成された1つまたは複数のデータ構造に格納されていてもよい。命令は、符号化信号として持続的に格納されていてもよく、また、本明細書に記載の機能のいずれかをプロセッサ320に実行させるようにしてもよい。媒体は、たとえば数ある中でも、光ディスク、磁気ディスク、またはフラッシュメモリであってもよい。多様な構成要素が記憶媒体と他のメモリ要素との間のデータ移動を管理するようにしてもよく、例は、特定のデータ管理構成要素に限定されない。さらに、例は、特定のメモリシステムにも、データ記憶システムにも限定されない。
また、レンズメータ210は、1つまたは複数のユーザインターフェース330を具備する。ユーザインターフェース330は、入力を受け付けるようにしてもよいし、出力を提供するようにしてもよい。より詳細には、出力機器が外部提示用の情報を提供するようにしてもよい。入力機器が外部源からの情報を受け入れるようにしてもよい。インターフェース機器の例としては、キーボード、マウスデバイス、トラックボール、マイク、タッチスクリーン、印刷デバイス、表示画面、スピーカ、ネットワークインターフェースカード等が挙げられる。
種々態様および機能を実現可能な一種のコンピュータ機器の一例としてレンズメータ210を示しているが、態様は、図2および図3に示すようなレンズメータ210上の実装に限定されない。図3に示すものとは異なるアーキテクチャまたは構成要素を有する1つまたは複数のコンピュータ上で種々態様および機能が実現されるようになっていてもよい。たとえば、レンズメータ210は、たとえば本明細書に開示の特定の動作を実行するように調整された特定用途向け集積回路(ASIC)等、専用にプログラムされた専用ハードウェアを含んでいてもよい。ただし、MotorolaのPowerPCプロセッサによってMAC OS System Xを動作させる複数の汎用コンピュータ機器または独自のハードウェアおよびオペレーティングシステムを動作させる複数の専用コンピュータ機器から成るグリッドを用いて、別の例が同じ機能を実行するようにしてもよい。
レンズメータ210は、当該レンズメータ210に含まれるハードウェア要素の少なくとも一部を管理するオペレーティングシステムを具備していてもよい。通例は、プロセッサ320等のプロセッサまたはコントローラがオペレーティングシステムを実行するが、これは、たとえばMicrosoft社から入手可能なWindows NT、Windows 2000(Windows ME)、Windows XP、Windows Vista、またはWindows 7オペレーティングシステム等のWindowsベースのオペレーティングシステムであってもよいし、Apple Computerから入手可能なMAC OS System Xオペレーティングシステムであってもよいし、多くのLinuxベースのオペレーティングシステム区分(たとえば、Red Hat社から入手可能なEnterprise Linuxオペレーティングシステム、Sun Microsystemsから入手可能なSolarisオペレーティングシステム、またはさまざまなソースから入手可能なUNIXオペレーティングシステム)のうちの1つであってもよい。その他多くのオペレーティングシステムが用いられるようになっていてもよく、また、例は、任意特定の実施態様に限定されない。
プロセッサ320およびオペレーティングシステムは、高水準プログラミング言語のアプリケーションプログラムを記述可能なコンピュータプラットフォームを一体的に規定する。これらの構成要素アプリケーションは、通信プロトコル(たとえば、TCP/IP)を用いて通信ネットワーク(たとえば、インターネット)上で通信する実行可能な中間バイトコードまたはインタープリット済みコードであってもよい。同様に、.Net、SmallTalk、Java、C++、Ada、またはC#(C−Sharp)等のオブジェクト指向プログラミング言語を用いて、態様が実装されていてもよい。また、他のオブジェクト指向プログラミング言語が用いられるようになっていてもよい。あるいは、機能的、スクリプト記述式、または論理的プログラミング言語が用いられるようになっていてもよい。
また、非プログラミング環境(たとえば、ブラウザプログラムのウィンドウ中で見た場合に、グラフィカルユーザインターフェースの態様の描画または他の機能の実行を担うHTML、XML、または他のフォーマットにて生成された文書)において種々態様および機能が実装されていてもよい。さらに、プログラミング要素もしくは非プログラミング要素、またはこれらの任意の組み合わせとして、種々例が実装されていてもよい。たとえば、HTMLを用いてウェブページが実装される一方、ウェブページ内から呼び出されるデータオブジェクトは、C++で記述されていてもよい。このため、上記例は、特定のプログラミング言語に限定されず、任意好適なプログラミング言語を使用することも可能である。したがって、本明細書に開示の機能的構成要素は、多種多様な要素(たとえば、上記機能を実行するように構成された実行可能コード、データ構造、またはオブジェクト)を含んでいてもよい。
上述の実施形態は、モバイル機器のカメラを用いて矯正レンズの特性を決定するプロセスを利用する。多くの異なる用途において、レンズの特性の決定に他の実施形態が用いられるようになっていてもよく、レンズの傷の検出、2つの異なるレンズの特性の比較、検出される回折(すなわち、歪み)の量に基づくレンズの構造的特性の決定、またはレンズの特性の決定を要する他の用途が挙げられる。
以上、少なくとも1つの例の複数の態様を説明したが、当然のことながら、当業者であれば容易に、種々変更、修正、および改良に想到するであろう。たとえば、本明細書に開示の例は、他の背景において用いられるようになっていてもよい。このような変更、修正、および改良は、本開示の一部になることが意図されるとともに、本明細書において論じる例の範囲に含まれることが意図される。したがって、上記説明および図面は、ほんの一例に過ぎない。