JP2022187773A - 高濃度有機廃棄物の処理方法 - Google Patents
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- Treatment Of Sludge (AREA)
Abstract
【課題】下水道水を処理した活性汚泥廃棄物や家畜の糞尿等の高濃度有機廃棄物を効率よく発行分解処理をする。【解決手段】下水濃縮汚泥等の高濃度有機廃棄物と雑草等の担持物とを混合したものを好気性条件下で発酵により分解処理する際に、該高濃度有機廃棄物と担持物との混合物は、高濃度有機廃棄物の熱量をC、高濃度有機廃棄物の蒸発潜熱をWとしたときに、C/W比が2.00~2.50の範囲、好ましくは2.18となるように調整したものを発酵処理することにより高い減容率と共に臭気も低減できるようにする。【選択図】なし
Description
本発明は、下水濃縮汚泥等の高濃度有機廃棄物を好気性発酵することにより分解処理する処理方法に関するものである。
一般に、高濃度有機廃棄物として、前述したように下水濃縮汚泥だけでなく、飲食店や家庭の台所から廃棄される食品廃棄物、飲食物加工工場から廃棄される焼酎廃液、製アン廃棄物、さらには豚や牛等の家畜糞尿や鶏糞、湖川等から回収されるアオコ脱水スラッジ等、様々なものが存在し、今日、これらを処理することなく廃棄することは公害発生の観点から厳しく規制されており、このような高濃度有機廃棄物を公害の発生なく効率よく処理することが要求されている。
ところでこのような高濃度有機廃棄物は、水分を多量に含むものもあることから焼却場での焼却処分には向かず、例えば杉チップ等の担持体に有機廃棄物を投入した混合物(コロニー)を作成し、該コロニーを攪拌処理しながら好気性菌による発酵によって分解処理する手法が知られている(例えば特許文献1参照)。そしてこのものは、改良した攪拌装置を採用することにより有機廃棄物の発酵処理を確実に行うことができることになり、今日でも評価されるに至っている。
ところでこのような高濃度有機廃棄物は、水分を多量に含むものもあることから焼却場での焼却処分には向かず、例えば杉チップ等の担持体に有機廃棄物を投入した混合物(コロニー)を作成し、該コロニーを攪拌処理しながら好気性菌による発酵によって分解処理する手法が知られている(例えば特許文献1参照)。そしてこのものは、改良した攪拌装置を採用することにより有機廃棄物の発酵処理を確実に行うことができることになり、今日でも評価されるに至っている。
ところが前記従来のものは、単純に有機廃棄物を担持体と混合した混合物(コロニー)を自然発酵させるだけであって、該混合物の性状について検討されたものでなく、このため、発酵処理が完了するまでに、混合物の性状によって大小異なるものであり、例えば水分が多すぎる場合には水分によって酸素の供給が阻害されて好気性発酵が進まず、逆に嫌気性発酵(腐敗)になってしまうこともある。これに対して高濃度有機廃棄物が多すぎる場合には好気性発酵の進行が遅く、減容するまでに長時間が必要になる場合があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、下水濃縮汚泥等の高濃度有機廃棄物と雑草等の担持物とを混合したものを好気性条件下で発酵により分解処理するにあたり、該高濃度有機廃棄物と担持物との混合物は、高濃度有機廃棄物の熱量をC、高濃度有機廃棄物の蒸発潜熱をWとしたときに、C/W比が2.00~2.50の範囲となるように調整されることを特徴とする高濃度有機廃棄物の処理方法である。
請求項2の発明は、C/W比は、好ましくは2.18であることを特徴とする請求項1記載の高濃度有機廃棄物の処理方法である。
請求項3の発明は、C/W比が高い場合の調整は水分の添加により、低い場合の調整は高エネルギー物質の添加によるものであることを特徴とする請求項1または2記載の高濃度有機廃棄物の処理方法である。
請求項4の発明は、添加される高エネルギー物質は担持物である雑草であることを特徴とする請求項3記載の高濃度有機廃棄物の処理方法である。
請求項2の発明は、C/W比は、好ましくは2.18であることを特徴とする請求項1記載の高濃度有機廃棄物の処理方法である。
請求項3の発明は、C/W比が高い場合の調整は水分の添加により、低い場合の調整は高エネルギー物質の添加によるものであることを特徴とする請求項1または2記載の高濃度有機廃棄物の処理方法である。
請求項4の発明は、添加される高エネルギー物質は担持物である雑草であることを特徴とする請求項3記載の高濃度有機廃棄物の処理方法である。
請求項1の発明とすることにより、高濃度有機廃棄物と担持物との混合物を好気性菌により分解発行する場合に、高濃度有機廃棄物の熱量をC、高濃度有機廃棄物の蒸発潜熱をWとしたときのC/W比が2.00~2.50の範囲となるように調整されていることにより、好気性菌による発酵分解が最適状態で促進されることになる。
請求項2の発明とすることにより、C/W比は、好ましくは2.17~2.19の範囲となるよう調整することで、より効率よく好気性の発酵分解が最適状態で促進されることになる。
請求項3の発明とすることにより、C/W比が高い場合の調整は水分の添加により、低い場合の調整は担持物の添加によるものとなって簡単に調整することができる。
請求項4の発明とすることにより、C/W比が低い場合の調整が、担持物である雑草でよいことから、雑草の処理も併せてすることができ、好適である。
請求項2の発明とすることにより、C/W比は、好ましくは2.17~2.19の範囲となるよう調整することで、より効率よく好気性の発酵分解が最適状態で促進されることになる。
請求項3の発明とすることにより、C/W比が高い場合の調整は水分の添加により、低い場合の調整は担持物の添加によるものとなって簡単に調整することができる。
請求項4の発明とすることにより、C/W比が低い場合の調整が、担持物である雑草でよいことから、雑草の処理も併せてすることができ、好適である。
次に、本発明の実施の形態について説明する。まず本発明において処理できる高濃度有機廃棄物としては、下水道水を処理する過程で発生する下水濃縮汚泥、飲食店や家庭の台所から廃棄される食品廃棄物、飲食物加工工場から廃棄される焼酎廃液、製アン廃棄物、さらには豚や牛等の家畜糞尿や鶏糞、湖川等から回収されるアオコ脱水スラッジが例示され、脱水処理される以前の水分量が多いものであってもそのまま本発明において処理可能な高濃度有機廃棄物として用いることができる。
本発明を実施するにあたり、高濃度有機廃棄物の発酵処理は好気性菌によるものであり、これら好気性菌は、通常の自然発酵の場合と同様、担持物(担持体、担体)に自然状態で付着しているものが用いられ、特別に好気性菌を添加する必要はなく、このような担持物としては、多孔質性を有することで好気性菌の繁殖が促進される杉チップが選択されるが、米ぬか、もみ殻、製材所等から発生する残屑(鋸屑)等のものの単独、若しくはこれらを適宜混合した混合物(コロニー)を採用することができる。
さらに本発明を実施するための好適な担持物として雑草(野草)が例示されるが、該雑草は、細かい繊維質であって堆積してもフカフカした状態になって水分調整や通気性の改良効果だけでなく、保温性に優れており、また除草作業により発生したものを担持物として有効に採用できることもあって好ましいといえる。
さらに本発明を実施するための好適な担持物として雑草(野草)が例示されるが、該雑草は、細かい繊維質であって堆積してもフカフカした状態になって水分調整や通気性の改良効果だけでなく、保温性に優れており、また除草作業により発生したものを担持物として有効に採用できることもあって好ましいといえる。
本発明は、高濃度有機廃棄物を好気性菌による発酵処理で早期に分解し、減容することを目的として鋭意検討したものであり、そのため、分解処理される高濃度有機廃棄物の分解の進行度合いが水分量によって変化する一方、分解処理を促すための好気性菌が繁殖するには好気性菌の栄養源となる高濃度有機廃棄物の熱量が関係しているのではないか、と推論し、そこで、好気性菌が繁殖するための栄養分に換算される高濃度有機廃棄物と担持物との混合物の熱量(カロリー量)Cと、該混合物の含水量から換算される蒸発潜熱Wとの比率であるC/W比が2.00~2.50の範囲である場合に、高濃度有機廃棄物の好気性発酵による分解が促進されることを確認し、本発明を完成するに至った。
そしてC/W比が2.00よりも低い場合には、水分量が多すぎ、高濃度有価廃棄物量が少なすぎるため好気性菌が活性化するためのエネルギー不足、酸素不足になって好気性発酵の促進が阻害され、逆に2.50よりも高い場合には水分量が少なく、高濃度有価廃棄物量が多すぎて好気性菌の活性が低下することにより好気性発酵の促進が阻害されるものであると推定される。
そしてC/W比が2.00よりも低い場合には、水分量が多すぎ、高濃度有価廃棄物量が少なすぎるため好気性菌が活性化するためのエネルギー不足、酸素不足になって好気性発酵の促進が阻害され、逆に2.50よりも高い場合には水分量が少なく、高濃度有価廃棄物量が多すぎて好気性菌の活性が低下することにより好気性発酵の促進が阻害されるものであると推定される。
そこで発酵処理しようとする混合物のC/W比が2.00よりも低い場合には水分量がすぎるものであると判断し、廃油、生ごみ、米ぬか等の高エネルギー物質を添加してC/W比を調整することになるが、このような高エネルギー物質のなかには前述した担持物となる雑草も含まれるものである。
また前記混合物のC/W比が2.50を越える場合には水不足であるとして水を添加してC/W比が2.00~2.50の範囲となるように調整することになる。
因みに高濃度有機廃棄物と担持物との混合物の熱量Cは、市販のカロリー算出器(カロリー計算機)を用いて測定することができ、また蒸発潜熱は混合物の水分量から演算することができるものであって、格別特殊な装置や技術を必要とするものでないので、その算出方法についての詳細は省略する。
また前記混合物のC/W比が2.50を越える場合には水不足であるとして水を添加してC/W比が2.00~2.50の範囲となるように調整することになる。
因みに高濃度有機廃棄物と担持物との混合物の熱量Cは、市販のカロリー算出器(カロリー計算機)を用いて測定することができ、また蒸発潜熱は混合物の水分量から演算することができるものであって、格別特殊な装置や技術を必要とするものでないので、その算出方法についての詳細は省略する。
次に、本発明の実験例を比較例と共に記載する。
<実験1>
高濃度有機廃棄物として牧場の畜舎で飼育される牛の糞尿を選択し、担持物として該牧場(屋外)に生育する雑草(野草)を採取し、これらを混合して混合物を得た。
この混合物について、糞尿と雑草との混合割合を調整することで、前記C/W比が1.50、2.00、2.18、2.50、3.00となるものを得た(実験番号1~5)。
これら混合物の各10kgを30Lの容器に入れた状態で屋外に放置した。そして放置後、10日を経過したものの発酵状況を観測した。これによると、実験番号3のC/W比が2.18のものは分解発酵が最も進んでおり、嵩高さが1/10程度(減容割合)になるまで減容されていることが確認された。減容物にはしっとり感が残っており、臭気も殆どないものになっていた。
これに対し、実験番号2のC/W比が2.00のものは発酵による減容が確認されたが、減容量は実験番号3のものよりも少なく、嵩高さが1/5程度になる減容であり、臭気は減少してはいたが残っていた。さらに実験番号1のC/W比が1.50のものは減容がほとんど進まず乾燥状態になっており、臭気も強いものがあった。
一方、C/W比が2.50の実験番号4のものは発酵による減容は認められたが、減容量としては1/3程度までのものであり、臭気は減少してはいたが残っていた。さらに実験番号5のC/W比が3.00のものは一部分が腐敗した状態になっており、このものでは水分量が多いため好気性発酵ではなく嫌気性発酵が促進したものと認められる。
因みに各実験番号のものについて経過温度を測定したところ、実験番号2、3、4のものは凡そ二日後には混合物内温度が60~65℃まで昇温したが、実験番号1、5のものは45℃程度までしか昇温しなかった。
高濃度有機廃棄物として牧場の畜舎で飼育される牛の糞尿を選択し、担持物として該牧場(屋外)に生育する雑草(野草)を採取し、これらを混合して混合物を得た。
この混合物について、糞尿と雑草との混合割合を調整することで、前記C/W比が1.50、2.00、2.18、2.50、3.00となるものを得た(実験番号1~5)。
これら混合物の各10kgを30Lの容器に入れた状態で屋外に放置した。そして放置後、10日を経過したものの発酵状況を観測した。これによると、実験番号3のC/W比が2.18のものは分解発酵が最も進んでおり、嵩高さが1/10程度(減容割合)になるまで減容されていることが確認された。減容物にはしっとり感が残っており、臭気も殆どないものになっていた。
これに対し、実験番号2のC/W比が2.00のものは発酵による減容が確認されたが、減容量は実験番号3のものよりも少なく、嵩高さが1/5程度になる減容であり、臭気は減少してはいたが残っていた。さらに実験番号1のC/W比が1.50のものは減容がほとんど進まず乾燥状態になっており、臭気も強いものがあった。
一方、C/W比が2.50の実験番号4のものは発酵による減容は認められたが、減容量としては1/3程度までのものであり、臭気は減少してはいたが残っていた。さらに実験番号5のC/W比が3.00のものは一部分が腐敗した状態になっており、このものでは水分量が多いため好気性発酵ではなく嫌気性発酵が促進したものと認められる。
因みに各実験番号のものについて経過温度を測定したところ、実験番号2、3、4のものは凡そ二日後には混合物内温度が60~65℃まで昇温したが、実験番号1、5のものは45℃程度までしか昇温しなかった。
<実験2>
高濃度有機廃棄物として下水道水を処理する過程で発生した下水濃縮汚泥を選択し、担持物として杉チップを選択し、これらを混合して混合物を作成したが、その混合割合を調整することで、C/W比が2.90、2.18、1.80になるの混合物を得た(実験番号6、7、8)。さらに実験番号6の混合物に水を添加してC/W比が2.18になるよう調整したもの(実験番号9)、実験番号8の混合物に雑草、廃油(てんぷら油)を添加してC/W比が2.18になるよう調整したもの(実験番号10、11)をそれぞれ作成し、これらを実験1の場合と同様、10kgのものを30Lの容器に投入して放置し、放置後の経過を観測した。そして同様にして10日後の発酵状態を観測したところ、実験番号6、7のものは前記実験1の場合と同様、発行分解の促進が滞って減容量が少ないと共に臭気も強く残っていたが、C/W比を2.18に調整した実験番号7、9、10、11のものは何れのもの発酵分解が促進され、実験1の場合と同様、1/10程度の減容が確認されると共に臭気も殆どないものになっていた。
高濃度有機廃棄物として下水道水を処理する過程で発生した下水濃縮汚泥を選択し、担持物として杉チップを選択し、これらを混合して混合物を作成したが、その混合割合を調整することで、C/W比が2.90、2.18、1.80になるの混合物を得た(実験番号6、7、8)。さらに実験番号6の混合物に水を添加してC/W比が2.18になるよう調整したもの(実験番号9)、実験番号8の混合物に雑草、廃油(てんぷら油)を添加してC/W比が2.18になるよう調整したもの(実験番号10、11)をそれぞれ作成し、これらを実験1の場合と同様、10kgのものを30Lの容器に投入して放置し、放置後の経過を観測した。そして同様にして10日後の発酵状態を観測したところ、実験番号6、7のものは前記実験1の場合と同様、発行分解の促進が滞って減容量が少ないと共に臭気も強く残っていたが、C/W比を2.18に調整した実験番号7、9、10、11のものは何れのもの発酵分解が促進され、実験1の場合と同様、1/10程度の減容が確認されると共に臭気も殆どないものになっていた。
本発明は、下水道水を処理した活性汚泥廃棄物や家畜の糞尿等の高濃度有機廃棄物の処理方法に利用することができる。
Claims (4)
- 下水濃縮汚泥等の高濃度有機廃棄物と雑草等の担持物とを混合したものを好気性条件下で発酵により分解処理するにあたり、該高濃度有機廃棄物と担持物との混合物は、高濃度有機廃棄物の熱量をC、高濃度有機廃棄物の蒸発潜熱をWとしたときに、C/W比が2.00~2.50の範囲となるように調整されることを特徴とする高濃度有機廃棄物の処理方法。
- C/W比は、好ましくは2.18であることを特徴とする請求項1記載の高濃度有機廃棄物の処理方法。
- C/W比が高い場合の調整は水分の添加により、低い場合の調整は高エネルギー物質の添加によるものであることを特徴とする請求項1または2記載の高濃度有機廃棄物の処理方法。
- 添加される高エネルギー物質は担持物である雑草であることを特徴とする請求項3記載の高濃度有機廃棄物の処理方法。
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