JP2022187539A - スマートリング - Google Patents
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Abstract
【課題】容積脈波センサを搭載したリング型のウエアラブルデバイスに好適な光源とフォトディテクタの位置関係と、センサ信号と、を得る。
【解決手段】スマートリングは、指を照射する第1の光源と、第1の光源または他の光源から出射された光を受光する第1および第2のフォトディテクタと、を有する。リングの内面の所定の基点とリングの中心点と第1の光源が配置された位置とが形成する第1の中心角は、基点と中心点と第1のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第2の中心角より大きく、基点と中心点と第2のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第3の中心角より小さく、受光強度が最も高いフォトディテクタから得られた信号を選択して容積脈波を取得する。
【選択図】図2
【解決手段】スマートリングは、指を照射する第1の光源と、第1の光源または他の光源から出射された光を受光する第1および第2のフォトディテクタと、を有する。リングの内面の所定の基点とリングの中心点と第1の光源が配置された位置とが形成する第1の中心角は、基点と中心点と第1のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第2の中心角より大きく、基点と中心点と第2のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第3の中心角より小さく、受光強度が最も高いフォトディテクタから得られた信号を選択して容積脈波を取得する。
【選択図】図2
Description
本発明は、スマートリングに関する。
光電容積脈波法は、LED光源とフォトディテクタで構成される容積脈波センサを用いて、灌流によって生じる毛細血管内の血液の容積の変化を検出する方法である。光源には可視光帯から近赤外光帯のLEDを用いる。血管中のヘモグロビン量の変化に伴う吸光度の変化より、容積脈波を検出することが可能である。LED光源からの光を皮膚に照射し、その拡散反射光もしくは透過光を測定する。
光電容積脈波法によって検出した容積脈波を分析することで、脈拍数や血中酸素飽和度を推定できる。それに加え近年では、血圧や血糖値などが推定できるという研究報告もなされている。
例えば特許文献1に開示された発明にも使用されている容積脈波センサは安価な素子で構成され、さらに非侵襲的である。そのため、スマートフォン、スマートウォッチやウエアラブルデバイスなど多くの消費者向け製品で採用されている。こういったデバイスの多くは波長500nm-600nmの光源を用いて検出した容積脈波より脈拍数を算出する。
医療機器の血中酸素濃度計(pulse oximeter)にも容積脈波センサは採用されている。血中酸素濃度計では630-690nmと810-990nmの二つの波長光源を用いて、酸化ヘモグロビンと脱酸化ヘモグロビンのそれぞれの波長における吸光度の比より、血中酸素飽和濃度を算出する。
容積脈波センサを用いて血中糖化ヘモグロビン濃度を検出する方法も提案されている。波長範囲600nm-990nmの間で3波長もしくは4波長の光源を用いて、酸化ヘモグロビン、脱酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビンの吸光度比より、血中糖化ヘモグロビン濃度を算出する。
光電容積脈波法には、大きく分けて反射拡散方式と透過方式の二つがある。反射拡散方式は、LED光源からの光を皮膚に照射し、皮膚からの反射拡散光をフォトディテクタで検出する。そのため、反射方式では、手首や額など身体の場所を問わずに容積脈波センサを適用可能である。透過方式では、LED光源を出射し生体組織を透過した光を出射面からみて裏側の皮膚表面にてフォトディテクタで検出する。そのため、指先などの比較的組織が薄い場所で使用される。耳垂での使用の試みもなされている。
反射拡散方式は、透過方式に比べ、外乱による影響を大きく受ける。反射拡散方式では、真皮乳頭層に存在する17ミクロンから26ミクロン径の終末細動脈や真皮と皮下組織の接合部に存在する150ミクロンから242ミクロン径の細動脈の血中ヘモグロビンの吸光度を検出する。それらの末端の細動脈は、外圧によって比較的容易に血流速度やせん断速度が低下するため、容積脈波形状が外圧によって変化する。一方で透過方式では、皮下組織深部にある1mm径前後の比較的太い細動脈の血中ヘモグロビンの吸光度を測定するため、外圧の影響は小さい。
以上の原理的背景より、光電容積脈波法を用いて、より正確な容積脈波を測定するためには太い細動脈にアクセス可能な透過方式が望ましい。近年では、指先測定対象とした医療機器以外にも、指の根本や耳垂を対象とした容積脈波センサを搭載した消費者向け製品が存在する。
指に嵌めることを想定したリング型の容積脈波センサを搭載したウエアラブルデバイスでは、LED光源とPD(Photo Detector)の位置関係が、得られる容積脈波波形の精度に影響することが報告されている。消費者向け製品のウエアラブルデバイスは使用者の装着方法によってセンサの位置の差異が生じる。また、日常的にセンサの位置は変動することが想定される。
本発明は、リング型ウエアラブルデバイスを用いて高精度な容積脈波を取得するための、センサ素子の構成方法とそれに伴う信号取得アルゴリズムである。具体的には、LED光源とフォトディテクタを複数デバイス内に配置し、その位置関係の最適化の方法である。また、複数のセンサを配置した際、それぞれのセンサ信号を比較し、最適なセンサ信号の選択を行うアルゴリズムであることを特徴としている。
つまり、本発明に係るスマートリングは、
指を照射する第1の光源と、前記第1の光源または他の光源から出射された光を受光する第1および第2のフォトディテクタと、を有し、
リングの内面の所定の基点と前記リングの中心点と前記第1の光源が配置された位置とが形成する第1の中心角は、前記基点と前記中心点と前記第1のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第2の中心角より大きく、前記基点と前記中心点と前記第2のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第3の中心角より小さく、
受光強度が最も高いフォトディテクタから得られた信号を選択して容積脈波を取得する、
ことを特徴とする。
指を照射する第1の光源と、前記第1の光源または他の光源から出射された光を受光する第1および第2のフォトディテクタと、を有し、
リングの内面の所定の基点と前記リングの中心点と前記第1の光源が配置された位置とが形成する第1の中心角は、前記基点と前記中心点と前記第1のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第2の中心角より大きく、前記基点と前記中心点と前記第2のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第3の中心角より小さく、
受光強度が最も高いフォトディテクタから得られた信号を選択して容積脈波を取得する、
ことを特徴とする。
本発明によると、容積脈波センサを搭載したリング型のウエアラブルデバイスに好適な光源とフォトディテクタの位置関係と、センサ信号と、を得ることができる。
本発明のスマートリングについて、以下、添付図面を参照して説明する。なお、説明におけるxyz方向は、各図の矢印に従う。
本発明は、リング型ウエアラブルデバイスを用いて高精度な容積脈波を取得するための、センサ素子の構成方法とそれに伴うセンサ信号取得アルゴリズムである。
[第1実施形態]
図1(a)、(b)にセンサの第1実施形態を示す。センサは一つ以上のLED光源と二つ以上のフォトディテクタから構成される。ここで、LEDには異なるピーク波長をもつ複数のLEDから構成されるLEDアレイ光源も含まれる。リングデバイスの上側を基点として、リングの中心を中心点として、基点と素子位置がなす円弧角(中心角)が、
’基点とフォトディテクタ_01のなす角a_01’<’基点とLED_01のなす角a_02’<’基点とフォトディテクタ_02のなす角a_03’
となるように素子を配置する。
図1(a)、(b)にセンサの第1実施形態を示す。センサは一つ以上のLED光源と二つ以上のフォトディテクタから構成される。ここで、LEDには異なるピーク波長をもつ複数のLEDから構成されるLEDアレイ光源も含まれる。リングデバイスの上側を基点として、リングの中心を中心点として、基点と素子位置がなす円弧角(中心角)が、
’基点とフォトディテクタ_01のなす角a_01’<’基点とLED_01のなす角a_02’<’基点とフォトディテクタ_02のなす角a_03’
となるように素子を配置する。
LED_01から出射して指の軟組織を透過・拡散反射した光をフォトディテクタ_01もしくはフォトディテクタ_02で受光する。フォトディテクタ_01とフォトディテクタ_02の受光強度を比較し、強度が高い方から得られた信号を取得する。指輪の回転方向位置の経時変化に対応するため、任意の時間経過ごとにこの作業を繰り返し、信号強度が高いフォトディテクタからの信号を選択する(図2)。
[第2実施形態]
図3(a)、(b)にセンサの第2実施形態を示す。センサは一つ以上のLED光源もしくはLEDアレイ光源とN個のフォトディテクタから構成される(図3(a)、(b)では、N=2とする)。ここでLEDには、異なるピーク波長をもつ複数のLEDから構成されるLEDアレイ光源も含まれる。リングデバイスの上側を基点として、リングの中心を中心点として、基点と素子位置がなす円弧角が、
’基点とPD_11のなす角PD_a_11’<‘基点とPD_12のなす角PD_a_12’<…<‘基点とLED_11のなす角LED_a_11’<…<’基点とPD_1(N-1)のなす角PD_a_1(N-1)’<‘基点とフォトディテクタ(PD)1Nのなす角PD_a_1N’
となるように素子を配置する。
図3(a)、(b)にセンサの第2実施形態を示す。センサは一つ以上のLED光源もしくはLEDアレイ光源とN個のフォトディテクタから構成される(図3(a)、(b)では、N=2とする)。ここでLEDには、異なるピーク波長をもつ複数のLEDから構成されるLEDアレイ光源も含まれる。リングデバイスの上側を基点として、リングの中心を中心点として、基点と素子位置がなす円弧角が、
’基点とPD_11のなす角PD_a_11’<‘基点とPD_12のなす角PD_a_12’<…<‘基点とLED_11のなす角LED_a_11’<…<’基点とPD_1(N-1)のなす角PD_a_1(N-1)’<‘基点とフォトディテクタ(PD)1Nのなす角PD_a_1N’
となるように素子を配置する。
LED_11から出射して指の軟組織を透過・拡散反射した光をPD_11からPD_1NまですべてのPDを同時に駆動させ受光する。N個のPDの受光強度を比較し、最も強度が高いPDから得られた信号を取得する。指輪の回転方向位置の経時変化に対応するため、任意の時間経過ごとにこの作業を繰り返し、信号強度が高いフォトディテクタPD_1Xからの信号を選択する(図4、図5)。
[第3実施形態]
図6(a)、(b)にセンサの第3実施形態を示す。センサは二つ以上のセンサユニットから構成される。センサユニットは一つのLED光源と一つのPDにより構成される。ここで、異なるピーク波長λ1,λ2,…λnをもつ複数のLEDから構成されるLEDアレイ光源も一つのLED光源に含まれる。センサユニットのLED光源とPDは、リングの中心を円弧の中心点とし、PDの位置とLEDの位置とでなす円弧角がa_unitになるようリング内側に配置する。発光面と受光面はそれぞれ円弧の中心に垂直に面する形である。
図6(a)、(b)にセンサの第3実施形態を示す。センサは二つ以上のセンサユニットから構成される。センサユニットは一つのLED光源と一つのPDにより構成される。ここで、異なるピーク波長λ1,λ2,…λnをもつ複数のLEDから構成されるLEDアレイ光源も一つのLED光源に含まれる。センサユニットのLED光源とPDは、リングの中心を円弧の中心点とし、PDの位置とLEDの位置とでなす円弧角がa_unitになるようリング内側に配置する。発光面と受光面はそれぞれ円弧の中心に垂直に面する形である。
リングデバイスの上側を基点として、リングの中心を中心点として、基点とセンサユニットのPDがなす円弧角が、
’基点とPD_21のなす角a_21’+‘センサユニット内でLED_21とPD_21がなす角a_unit_20’(角度)<‘基点とLED_22のなす角a_22’
となるように素子を配置する。
’基点とPD_21のなす角a_21’+‘センサユニット内でLED_21とPD_21がなす角a_unit_20’(角度)<‘基点とLED_22のなす角a_22’
となるように素子を配置する。
まず、LED_21のみを作動させ、LED_21から出射して指の軟組織を透過・拡散反射した光をPD_21で受光する。次に、LED_22のみを作動させ、LED_22から出射して指の軟組織を透過・拡散反射した光をPD_22で受光する。この時、LED_21とLED_22はパルス駆動制御し、図7に示すように、パルスが互い違いになるようにパルス列を重なり合わせる。
任意の時間PD_21とPD_22の受光強度を比較し、強度が高いPDからの信号を取得する。この時、強度が低い方のセンサユニットの駆動を停止する。
指輪の回転方向位置の経時変化に対応するため、定期的にこの作業を繰り返し行い、信号強度が高いセンサユニットからの信号を取得する(図8)。
リング型ウエアラブルデバイスでは多波長容積脈波センサを採用する。図9(a)、(b)に示す多波長容積脈波センサまたはセンサユニットは異なるピーク波長を持つ複数のLEDと、その波長範囲に受光感度を持つ一つもしくは複数のフォトディテクタで構成される。グリコヘモグロビンHbAlc-O2、オキシヘモグロビンHb-O2、カルボキシヘモグロビンHb-CO、およびデオキシヘモグロビンHb-redの各波長におけるモル吸光係数の変化を示す吸光特性曲線は、特開2004-113353号公報の図4に開示されるような関係がある。これらを参照して、本デバイスでは、500-550nmにピーク波長を持つLEDを一つ以上、600-800nmにピーク波長を持つLEDを二つ以上、900-1000nmにピークを持つLEDを一つ以上用いて、脈波、血中酸素飽和度、血中糖化ヘモグロビン濃度を検出する。
なお、本願発明に係るスマートリングは、センサーヘッド部と制御部とがリング型筐体内に集積された独立したウエアラブルデバイスであり、従来の製品、例えば、リングO2(登録商標)(URL:https://www.astemf.jp/sales_function/detail.php?seq=31)のようなセンサーヘッド部と制御部とが別々の筐体に分かれておりセンサーヘッド部と制御部とがケーブルで接続される構成である製品とは明らかに異なる。
図10に示すように、本発明のリング型ウエアラブルデバイスは、MCU(Micro Controller Unit)と、それに付随するセンサユニット、Bluetooth(登録商標)/Wi-fi(登録商標)通信、ワイヤレス充電器、バッテリで構成される。これらの機能が一つのハードウェアに収納されたウエアラブルデバイスである。デバイスから得られたセンサ情報は、Bluetooth/Wi-fi通信でスマートフォン等に転送される。
搭載されるセンサには、多波長PPG(Photoplethysmography)センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、温度計、ラジオ波マイクロ波センサ、光学センサなどが含まれる。
上記の実施形態に係るスマートリングは、指を照射する第1の光源と、第1の光源または他の光源から出射された光を受光する第1および第2のフォトディテクタと、を有する。リングの内面の所定の基点とリングの中心点と第1の光源が配置された位置とが形成する第1の中心角は、基点と中心点と第1のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第2の中心角より大きく、基点と中心点と第2のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第3の中心角より小さく、受光強度が最も高いフォトディテクタから得られた信号を選択して容積脈波を取得することができる。
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされているものである。また、上述した実施形態は、本発明の一実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。上記実施例及び変形例は任意に組み合わせることができる。さらに、必要に応じて実施形態の構成要件の一部を除いても本発明の技術的思想の範囲内となる。
Claims (7)
- 指を照射する第1の光源と、前記第1の光源または他の光源から出射された光を受光する第1および第2のフォトディテクタと、を有し、
リングの内面の所定の基点と前記リングの中心点と前記第1の光源が配置された位置とが形成する第1の中心角は、前記基点と前記中心点と前記第1のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第2の中心角より大きく、前記基点と前記中心点と前記第2のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第3の中心角より小さく、
受光強度が最も高いフォトディテクタから得られた信号を選択して容積脈波を取得する、
ことを特徴とするスマートリング。 - 第3のフォトディテクタをさらに有し、
前記第1の中心角は、
前記基点と前記中心点と前記第3のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第4の中心角よりも大きい、または小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載のスマートリング。 - 前記指を照射する第2の光源をさらに有し、
前記基点と前記中心点と前記第2の光源が配置された位置とが形成する第5の中心角は、前記第2の中心角に前記第1の光源と前記中心点と前記第1のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第6の中心角を加えた第1の角度より大きく、かつ、前記第2の中心角に前記第2の光源が配置された位置と前記中心点と前記第2のフォトディテクタが配置された位置とが形成する第7の中心角を加えた第2の角度より大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載のスマートリング。 - 所定の時間が経過する毎に、受光強度が最も高いフォトディテクタから得られた信号を選択して容積脈波を取得する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスマートリング。 - 前記第1の光源は、異なるピーク波長をもつ複数のLEDから構成されるLEDアレイ光源であり、
前記第1および第2のフォトディテクタ、または、前記第1、第2および第3のフォトディテクタは、前記異なるピーク波長を、受光感度を有する波長範囲に含む、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のスマートリング。 - 前記複数のLEDは、500-550nmにピーク波長をもつLEDを一つ以上と、600-800nmにピーク波長をもつLEDを二つ以上と、900-1000nmにピーク波長をもつLEDを一つ以上と、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載のスマートリング。 - 前記第1および第2の光源は、互いのパルス・オンの時間とパルス・オフの時間が逆である、
ことを特徴とする請求項3に記載のスマートリング。
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