以下、本発明に係る複合動力システムにつき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下における「左」、「右」、「下」及び「上」は、特に図3~図5、図8、図9における左方、右方、下方及び上方を指称するが、これは説明を簡素化して理解を容易にするための便宜的なものであり、複合動力システムを実使用する際の姿勢を特定するものではない。
図1は、本実施の形態に係る複合動力システム300の概略全体斜視図である。この複合動力システム300は、回転電機システム10と、内燃機関であるガスタービンエンジン200とを備える。ガスタービンエンジン200は、回転電機システム10の軸線方向右方に配設される。また、回転電機システム10の直径中心を通り長手方向(軸線方向)に沿って延在する軸線と、ガスタービンエンジン200の直径中心を通り長手方向(軸線方向)に沿って延在する軸線は一致する。
換言すれば、回転電機システム10とガスタービンエンジン200は、同一軸線上に並列配置される。このような構成の複合動力システム300は、例えば、ドローンのような飛翔体や船舶、自動車等における推進用の動力源、又は、航空機や船舶、建物等における補助電源の動力源として利用することができる。複合動力システム300は、マルチコプタ等の飛翔体に搭載されたときには、例えば、プロップやダクテッドファン等の揚力発生装置を構成するモータを回転付勢する動力駆動源として機能する。また、船舶に搭載されたときにはスクリューの回転力発生装置として機能し、自動車に搭載されたときにはエンジンを構成するモータを回転付勢する動力駆動源として機能する。この他、複合動力システム300をガスタービン発電設備に適用することも可能である。なお、本実施の形態において、ガスタービンエンジン200は、後述する圧縮エア(気体)を供給する気体供給源を兼ねる。
先ず、回転電機システム10につき説明する。図2及び図3は、それぞれ、回転電機システム10の概略全体斜視図、概略側面断面図である。この回転電機システム10は、回転電機12(例えば、発電機)と、該回転電機12を収納した回転電機用ハウジング14とを備える。該回転電機用ハウジング14は略円筒形状をなし、且つ左右両端が開放端であるメインハウジング16と、該メインハウジング16の左端に連結される第1サブハウジング18と、右端に連結される第2サブハウジング20とを有する。
メインハウジング16は、厚肉の側壁が左右方向に沿って延在する略円筒形状をなす。側壁の内部には、冷却媒体が流通する冷却ジャケット21が形成されている。冷却媒体の具体例としては冷却水が挙げられ、この場合、冷却ジャケット21はウォータジャケットである。また、メインハウジング16の側壁の外面(外側壁)には、左端近傍に、端子用ケーシング22及び測定器用ケーシング24がメインハウジング16と一体的に設けられている。
さらに、メインハウジング16の側壁外壁には、メインハウジング16の長手方向(図3における左右方向)に沿って延在する中空管部158a~158cが設けられる。中空管部158a~158cの中空内部は、カーテン用エアが流通する圧縮エア用流通路である。また、第1サブハウジング18には、回転パラメータ検出器を保持する検出器用保持部材が連結される。本実施の形態では、回転パラメータ検出器としてレゾルバ140を例示する。従って、以降は、第1サブハウジング18に連結される検出器用保持部材を「レゾルバホルダ26」と指称する。このレゾルバホルダ26には、キャップカバー28がネジ止めされる。以上については、後に詳述する。
回転電機12は、ロータ30と、該ロータ30の外周側を囲繞するステータ32とを備える。
ロータ30は、内側軸34が中空筒状の外側軸36に挿抜可能に挿入されることで構成された回転軸40を含む。具体的には、外側軸36は、略円筒形状をなす中空体であり、且つその両端は、開口した開放端である。すなわち、外側軸36は、左開口端42a(図4参照)、右開口端42b(図5参照)を有する。
一方、内側軸34は外側軸36に比して長尺であり、直径が最小である円柱部44と、該円柱部44の左方に連なるとともに該円柱部44に比して大径な左端部46a(図4参照)と、該円柱部44の右方に連なるとともに該円柱部44に比して大径で且つ左端部46aに比して小径な右端部46b(図5参照)とを有する。この中の左端部46aの一部は、外側軸36の左開口端42aから突出して露呈し、後述する突出先端104となる。なお、図示の例では、右端部46bと、外側軸36の右開口端42bとが面一となっているが、右端部46bが右開口端42bから若干奥まった位置となっていてもよい。
図4に詳細を示すように、内側軸34の左端部46aには、左方から右方に向かって第1外ネジ部48、鍔部50、ストッパ部52、第2外ネジ部54がこの順序で設けられている。第1外ネジ部48、鍔部50、ストッパ部52、第2外ネジ部54の外径は、この順序で大きくなる。第2外ネジ部54の外径は外側軸36の内径に比して大に設定されており、このため、第2外ネジ部54の右端は、外側軸36の左開口端42aの縁部に堰き止められる。これにより、内側軸34の、第2外ネジ部54よりも左方側が外側軸36内に挿入されることが阻止される。
鍔部50にはレゾルバロータ56が装着されるとともに、第1外ネジ部48に小キャップナット58が螺合される。レゾルバロータ56は、右端がストッパ部52に堰き止められるとともに左端が小キャップナット58で押圧されることにより、鍔部50に位置決め固定される。また、第2外ネジ部54には大キャップナット60が螺合される。大キャップナット60のスカート部61は、外側軸36の左開口端42aの外周壁を覆う。これにより、内側軸34の左端部46aが外側軸36の左開口端42aに拘束される。なお、第1外ネジ部48及び第2外ネジ部54はいずれも、いわゆる逆ネジである。従って、小キャップナット58及び大キャップナット60は、螺合時には反時計回りに回転される。また、小キャップナット58及び大キャップナット60のネジ山の一部を変形させることにより、小キャップナット58及び大キャップナット60が螺合時よりも弛緩することが防止される。
図5に示すように、内側軸34の右端部46bには、軸連結孔62が左端部46a側に向かって延在するように形成される。軸連結孔62の内周壁には、雌ネジ部64が刻設されている。また、外側軸36の右開口端42bの外周壁には、左右方向に沿って延在する第1内周側スプライン66(内周側係合部)が形成されている。
略円板形状をなす第2サブハウジング20は、図示しないボルトを介してメインハウジング16に連結される。該第2サブハウジング20の中心は厚肉の円筒形状部となっており、該円筒形状部には大径な挿入孔68が形成されている。この挿入孔68には、第2ベアリング94(後述)が挿入されている。第2ベアリング94は、内ストッパ70と外ストッパ71に挟持されて位置決め固定される。
図2に示すように、第2サブハウジング20の、ガスタービンエンジン200を臨む端面には環状凹部72が形成されるとともに、該環状凹部72に、環状の集合流路74が形成される。後述するように、集合流路74には、ガスタービンエンジン200で生じた圧縮エアの一部が分流して流通する。環状凹部72の底壁には、上流側連通孔76が3箇所に形成される。
また、第2サブハウジング20の内部には、図6に示す中継連通路78が設けられる。中継連通路78は、第2サブハウジング20の直径方向に沿って放射状に延在するとともに、直径方向外方において、上流側連通孔76を介して集合流路74に連通する。さらに、第2サブハウジング20の、回転電機12を臨む端面には、3個の下流側連通孔80a~80cが形成される。下流側連通孔80a~80cは、中継連通路78の下流側開口である。3個の下流側連通孔80a~80cは、中空管部158a~158cの各々に個別に開口する。このことから分かるように、中継連通路78は、集合流路74と、中空管部158a~158cの中空内部(圧縮エア用流通路)とを連通する。集合流路74と中継連通路78により、分配路が形成される。
図5に示すように、第2サブハウジング20の、ガスタービンエンジン200に臨む側の端面(軸線方向一端部)には、ガスタービンエンジン200側に向かって突出するようにして、整流部材82が連結される。整流部材82は、第2サブハウジング20側に臨む裾が大径且つ薄肉の円環形状、ガスタービンエンジン200に臨む頂部が小径且つ厚肉の円環形状に形成された、山形形状体ないし無底カップ形状体からなる。そして、裾と頂部の間の側周壁83は、表面粗さが小さい平滑面とされている。
また、頂部側の貫挿孔84の直径(開口径)は、外ストッパ71の外径に比して大きく設定されている。このため、貫挿孔84内に進入した外ストッパ71の右端が、貫挿孔84の内壁に干渉することはない。換言すれば、外ストッパ71の外周壁と、貫挿孔84の内壁との間には間隙が形成されている。
内側軸34に形成された軸連結孔62には、出力軸250の左端が挿入される。該出力軸250は、後述するように螺合によって内側軸34に結合される。なお、出力軸250は、ガスタービンエンジン200を構成するコンプレッサホイール230及びタービンホイール232を支持している(図8参照)。
図3に示すように、外側軸36の長手方向略中間部は外径が最大に設定されており、この大径な部位に、複数個の永久磁石88が磁石ホルダ90によって保持されている。隣接する永久磁石88同士は、互いに隣接して配置されるとともに、隣接するもの同士では互いに異なる極性が外周側を臨む向きとされている。個々の永久磁石88は、回転軸40が回転することに伴って、回転軸40の回転中心を中心として周回する。
回転軸40の左端(第1端部)は、第1ベアリング92を介して第1サブハウジング18に回転可能に支持される。また、回転軸40の右端(第2端部)は、第2ベアリング94を介して第2サブハウジング20に回転可能に支持される。ここで、図3に示されるように、本実施の形態では、第1ベアリング92は外側軸36と第1サブハウジング18との間に介装される。また、第2ベアリング94は、外側軸36と、内ストッパ70を介して第2サブハウジング20との間に介装される。
すなわち、第1サブハウジング18は、メインハウジング16に向かって突出し且つ略円柱形状をなす円柱状突部96を有し、該円柱状突部96に第1軸挿通孔98が形成される。第1ベアリング92は、この第1軸挿通孔98内に設けられる。
第1軸挿通孔98の左方開口は、該第1軸挿通孔98に連なる第2軸挿通孔100が形成された円板部材102によって閉塞される。なお、詳細な図示は省略しているが、外側軸36の左開口端42aの外周壁と、第1軸挿通孔98、第2軸挿通孔100の各内周壁とは互いに僅かに離間している。また、大キャップナット60のスカート部61は、円板部材102の左端面に対して若干離間する。
回転軸40の左端部先端は、第1ベアリング92の内孔に通され、第1軸挿通孔98及び第2軸挿通孔100を通過して、第1サブハウジング18の外部に突出するように露呈する。以下、回転軸40の、第1ベアリング92の左端から突出した部位を突出先端と指称し、その参照符号を104とする。突出先端104には、内側軸34の左端部46aの中、第1外ネジ部48、鍔部50、ストッパ部52、第2外ネジ部54が含まれる(図4参照)。一方、回転軸40の右端は、第2ベアリング94の内孔に通され、第2サブハウジング20に形成された前記挿入孔68から、外ストッパ71とともに突出する(図5参照)。
図3に示すように、第1軸挿通孔98と、内ストッパ70に形成された流通孔106は、メインハウジング16の内部空間である収納室114(後述)に連通する。このため、第1ベアリング92及び第2ベアリング94は、収納室114に曝されている。なお、第2軸挿通孔100が第1軸挿通孔98を介して収納室114に連通することは勿論である。
本実施の形態において、第1ベアリング92及び第2ベアリング94は、ジェット流状で供給された潤滑油によって潤滑及び冷却される、いわゆるジェット給油式のものである。なお、特にこれに限定されるものではなく、オイルミストが噴霧される噴霧潤滑式や、循環給油式のものであってもよい。このような潤滑方式のベアリングは公知であり、従って、詳細な図示及び説明は省略する。
上記のロータ30とともに回転電機12を構成するステータ32は、電磁コイル116と、該電磁コイル116が巻回された複数個の絶縁基材118とを有する。この中の電磁コイル116は、U相コイル、V相コイル、W相コイルの3種類を有する。すなわち、回転電機12が発電機である場合、該回転電機12はいわゆる三相電源である。なお、複数個の絶縁基材118は円環形状に配列されており、これにより、ステータ32に内孔が形成される。
ステータ32は、メインハウジング16に形成された収納室114に収納される。ここで、第2サブハウジング20はステータホルダとしての役割を果たす。すなわち、第2サブハウジング20に形成された円環状凹部122には、ステータ32を構成する絶縁基材118が係合される。この係合により、ステータ32が位置決め固定される。さらに、ステータ32の内孔には、その左方開口から前記円柱状突部96が進入する。
詳細な図示は省略しているが、収納室114の内壁と電磁コイル116は、若干離間している。この離間により、メインハウジング16と電磁コイル116が電気的に絶縁される。
なお、円柱状突部96の外周壁と絶縁基材118との間、永久磁石88の外壁と電磁コイル116の内壁との間には、両者が若干離間することでクリアランスが形成されている。後述するように、このクリアランスは、気体であるカーテン用エアが流通する流通路の一部となる。
図4に示すように、第1サブハウジング18は、円環形状に突出する円環状凸部124を有する。円環状凸部124の内方は、中空凹部126となっている。内側軸34の左端部46aを構成する突出先端104は、中空凹部126に進入している。
円環状凸部124には、レゾルバステータ130を保持したレゾルバホルダ26が設けられる。このレゾルバホルダ26は、直径方向外方に向かって突出したフランジ状ストッパ132を有する。このフランジ状ストッパ132は円環状凸部124の内径よりも大径に設定されており、従って、レゾルバホルダ26は、フランジ状ストッパ132が円環状凸部124に当接することで位置決めされる。レゾルバホルダ26は、この状態で、例えば、取付ボルト(図示せず)等を介して第1サブハウジング18に連結される。
レゾルバホルダ26には、フランジ状ストッパ132を境に、左方に臨む小円筒部134と、右方に臨み前記小円筒部134に比して大径な大円筒部136とが設けられる。レゾルバホルダ26には保持孔138が形成されており、該保持孔138にその右端が嵌合されることで、レゾルバステータ130が保持されている。大円筒部136が中空凹部126に進入するとともにフランジ状ストッパ132が円環状凸部124に当接したとき、レゾルバステータ130の内孔には、内側軸34の左端部46aの鍔部50に保持されたレゾルバロータ56が位置する。これらレゾルバステータ130とレゾルバロータ56は、回転パラメータ検出器としてのレゾルバ140を構成する。本実施の形態では、レゾルバ140によって回転角度を検出する場合を例示する。
フランジ状ストッパ132に形成された嵌合孔142には、受信器用コネクタ144が嵌合されている。レゾルバステータ130と受信器用コネクタ144は、信号線146を介して電気的に接続されている。なお、受信器用コネクタ144には、レゾルバ140が発した信号を受信する受信器(図示せず)の受信器側コネクタが挿入される。受信器用コネクタ144と受信器側コネクタを介して、レゾルバ140と受信器が電気的に接続される。
小円筒部134には、複数個のタブ部148が設けられている(図1では省略している)。図3には、その中の1個が示されている。さらに、小円筒部134には、該小円筒部134の左方開口を閉塞するとともに内側軸34の左端部46aを遮蔽するキャップカバー28が被せられる。キャップカバー28は、タブ部148に対し、連結ボルト150を介して連結される。
上記したように、メインハウジング16の左端近傍の側壁には、端子用ケーシング22及び測定器用ケーシング24が一体的に設けられる。この中、測定器用ケーシング24には、温度測定器であるサーミスタ152が収納されている。特に図示はしていないが、サーミスタ152の測定端子は測定器用ケーシング24から引き出され、電磁コイル116に接続されている。測定器用ケーシング24からは、サーミスタ152に接続されたハーネス154が外部に引き出される。
測定器用ケーシング24に隣接する端子用ケーシング22には、U相コイル、V相コイル、W相コイルの各末端に電気的に接続されたU相端子156a、V相端子156b、W相端子156cが収納される。換言すれば、端子用ケーシング22は、回転電機12に対して電気的に接続される外部電源としてのバッテリ170(図7参照)が電気的に接続される外部機器接続用コネクタであり、U相端子156a、V相端子156b、W相端子156cは、バッテリ170に電力を供給する電気端子部である。なお、測定器用ケーシング24の内部空間と端子用ケーシング22の内部空間は、不図示のケーシング間連通孔を介して連通している。
図2に示すように、メインハウジング16の側壁外面に設けられた中空管部158a~158cは、該メインハウジング16の側壁内部に形成された冷却ジャケット21の外方に位置する。すなわち、中空管部158a~158cは、例えば、冷却ジャケット21に隣接する。ここで、本実施の形態では、3個の中空管部158a~158cを設ける場合を例示しているが、中空管部の個数は、カーテン用エアの、必要とされる流量や流速によって適宜設定される。すなわち、中空管部の個数は、3個に特に限定されるものではない。また、中空管部の断面積も同様に、カーテン用エアの、必要とされる流量や流速によって適宜設定すればよい。
ここで、中空管部158a~158cの右端は、第2サブハウジング20に形成された3個の下流側連通孔80a~80c(図6参照)に個別に重なる。すなわち、集合流路74は、上流側連通孔76と、中継連通路78と、下流側連通孔80a~80cとを介して、中空管部158a~158cの中空内部に連通する。一方、中空管部158aの左端は測定器用ケーシング24の中空内部に連通し、中空管部158b、158cの左端は端子用ケーシング22の中空内部に連通する。
前記カーテン用エアは、集合流路74を上流側、測定器用ケーシング24、端子用ケーシング22を下流側として流通する。このように、中空管部158a~158cはカーテン用エアが流通する圧縮エア用流通路の一部である。なお、カーテン用エアは、ガスタービンエンジン200から供給される圧縮エアの一部である。
図3に示すように、端子用ケーシング22の内部空間は収納室114に連通している。従って、端子用ケーシング22の内部空間に流入したカーテン用エアは、収納室114に流通して第1ベアリング92、第2ベアリング94に接触することが可能である。
図1及び図2に示すように、メインハウジング16の外周壁には、端子用ケーシング22よりもガスタービンエンジン200側に電流変換器172が設けられる。図7に示すように、電流変換器172は、変換回路174と、コンデンサ176と、制御回路178とを有する。これら変換回路174、コンデンサ176及び制御回路178は、機器用ケース180内に収容される。該機器用ケース180は、例えば、メインハウジング16の外周壁の、中空管部158a~158cに干渉しない箇所に配置される(図1参照)。
変換回路174はパワーモジュール182を含んで構成され、電磁コイル116に生じた交流電流を直流電流に変換する機能を有する。また、コンデンサ176は、変換回路174によって変換された直流電流を電荷として一時的に蓄電する。なお、変換回路174は、バッテリ170から送られた直流電流を交流電流に変換する機能も併せて有する。この場合、コンデンサ176は、電磁コイル116に向けてバッテリ170から送られた直流電流を電荷として一時的に蓄電する。制御回路178は、コンデンサ176からバッテリ170に向かう直流電流、又は、バッテリ170からコンデンサ176に向かう直流電流の電流密度等を制御する。なお、バッテリ170からの直流電流は、例えば、交流-直流変換器を介してモータ(いずれも図示せず)に供給される。
図7に示すように、この場合、機器用ケース180は、メインハウジング16の外周壁に当接するように位置決め固定される。そして、機器用ケース180内では、変換回路174及びコンデンサ176がメインハウジング16に近接するように配置される。上記したようにメインハウジング16には冷却ジャケット21が設けられているので、変換回路174及びコンデンサ176は、冷却ジャケット21に十分に近接する。
次に、ガスタービンエンジン200につき説明する。図8に示すように、ガスタービンエンジン200は、回転電機システム10の第2サブハウジング20に連結されるインナハウジング202と、該インナハウジング202に連結されるアウタハウジング204とを含むエンジン用ハウジング206を備える。
図1及び図6に示すように、インナハウジング202は、第2サブハウジング20に連結される第1円環部208と、直径が最大である第2円環部210と、第1円環部208と第2円環部210を連結する複数個(例えば、6個)の脚部212とを有する。また、第2円環部210の中央開口からは、回転電機システム10側に円筒状カバー部214が突出する。なお、脚部212の個数は、ガスタービンエンジン200と回転電機システム10との間で要求される結合強度に応じて適宜設定される。すなわち、脚部212の個数は、図示例の6個に特に限定されるものではない。
脚部212の右端は、第2円環部210及び円筒状カバー部214の双方に連なっている。これにより、脚部212に支持剛性がもたらされる。そして、脚部212の、円筒状カバー部214との連結箇所には、抽気通路216の入口開口が形成される。また、図8に示すように、脚部212の内部、及び第1円環部208の内部には、シュラウドケース218に形成された抽気口220に連通する抽気通路216が個別に形成されている。抽気通路216の出口開口は、第1円環部208の、第2サブハウジング20を臨む側の端面に、個別に形成される。該出口開口は、集合流路74に重なる。すなわち、複数個の抽気通路216は全て、集合流路74に連通している。このように、集合流路74では、複数個の抽気通路216からの圧縮エアが流入して集合する。
図8に示すように、ガスタービンエンジン200は、インナハウジング202、アウタハウジング204の内部に収容されるシュラウドケース218、コンプレッサホイール230、タービンホイール232、ディフューザ234、燃焼器236、ノズル238をさらに備える。本実施の形態では、コンプレッサホイール230とタービンホイール232は別部材である。
シュラウドケース218は整流部材82と略相似形状をなす中空体であり、整流部材82に比して大型である。小径な左端は整流部材82に臨み、大径な右端はインナハウジング202内に挿入される。シュラウドケース218の左端は、インナハウジング202の脚部212同士の間に形成される吸気空間240に露呈する。この左端の内部には、整流部材82の右端である頂部が進入している。なお、シュラウドケース218は、右端から左端に向かうに従って漸次的に縮径するが、左端先端は、直径方向外方に向かって拡開するように湾曲する。
シュラウドケース218内には、コンプレッサホイール230が収容される。換言すれば、シュラウドケース218は、コンプレッサホイール230を囲繞している。ただし、コンプレッサホイール230とシュラウドケース218は互いに離間している。
コンプレッサホイール230とタービンホイール232は、回転軸40と一体的に回転することが可能である。すなわち、図5に詳細を示すように、コンプレッサホイール230は、左端に小径円筒部242(中空円筒形状部)を有する。該小径円筒部242は、整流部材82の頂部に形成された貫挿孔84に進入する。小径円筒部242の内壁には、直径方向内方に向かって延出し且つ環状に設けられた複数個の歯からなる第1外周側スプライン85(外周側係合部)が形成されている。該第1外周側スプライン85は、外側軸36の右開口端42bの外周壁に形成された第1内周側スプライン66に噛合する。なお、外側軸36は小径円筒部242の中空内部に圧入されている。このため、小径円筒部242の特に左方開口の内周壁は、外側軸36の右開口端42bの外周壁を、内方に向かって押圧している。コンプレッサホイール230は、以上のような噛合及び圧入により、外側軸36、ひいては回転軸40に連結される。
コンプレッサホイール230の直径中心には、左右方向に沿って延在する軸孔244が形成されている。この軸孔244において、左端近傍の内壁には、直径方向内方に向かって延出し且つ環状に設けられた複数個の歯からなる第2外周側スプライン246(外周側歯部)が刻設される。また、軸孔244の、小径円筒部242の中空内部に連なる箇所の孔径は、他の箇所に比して若干小さく設定されている。このため、コンプレッサホイール230の、軸孔244の小径円筒部242側開口の近傍に、内フランジ部248が設けられる。内フランジ部248が設けられた部位では、軸孔244の孔径(直径)は最小である。
この軸孔244に、タービンホイール232に設けられた出力軸250が挿入される。出力軸250の左端先端は、コンプレッサホイール230の小径円筒部242の左端先端と略同位置まで延出する。上記したように、外側軸36の右開口端42bの外周壁は、小径円筒部242の中空内部に挿入されている。このため、出力軸250の、軸孔244から突出した左端は、回転軸40の軸連結孔62に進入する。出力軸250の左端には雄ネジ部252が刻設されており、該雄ネジ部252は、軸連結孔62の内壁に形成された雌ネジ部64に螺合される。この螺合により、回転軸40と出力軸250とが連結される。
出力軸250の左端近傍には、内周側歯部である第2内周側スプライン254が形成されている。この第2内周側スプライン254は、コンプレッサホイール230の軸孔244の内周壁に形成された第2外周側スプライン246に噛合する。また、出力軸250の左端部は、内フランジ部248に対し、圧入によって通される。
図8に示すように、コンプレッサホイール230と、タービンホイール232との間には、例えば、ニッケル基合金等の耐熱性金属材からなるリング部材256が介装される。図9に示すように、リング部材256には、コンプレッサホイール230からタービンホイール232に向かう嵌合孔258が形成される。また、リング部材256の外周壁には、複数個(例えば、3個)のラビリンス用凸部264が形成される。ラビリンス用凸部264は、リング部材256の直径方向外方に向かって突出するとともに、外周壁の周方向に沿って周回する。後述するように、ラビリンス用凸部264によって燃焼器236で生成する燃焼済燃料(排ガス)のコンプレッサホイール230への逆流を防止できる。
コンプレッサホイール230の、タービンホイール232を臨む右端面からは、環状突部268が突出する。リング部材256の左端面がコンプレッサホイール230の右端面に着座するとき、環状突部268が嵌合孔258に嵌合される。一方、タービンホイール232の、コンプレッサホイール230を臨む左端面からは、前記出力軸250が延出する。また、該左端面には、出力軸250を囲繞するように周回する嵌合用凸部270が突出形成される。リング部材256の右端面がタービンホイール232の左端面に着座するとき、嵌合用凸部270の頂面が嵌合孔258に嵌合する。以上により、嵌合孔258にコンプレッサホイール230、タービンホイール232の各一部が嵌合される。リング部材256は、この状態で両ホイール230、232に挟持される。
一方、ラビリンス用凸部264は、アウタハウジング204(図8参照)の中空内部で中間プレート266に囲繞されるとともに、該中間プレート266に形成された孔部272内に挿入される。孔部272の内壁と、これに当接したラビリンス用凸部264とにより、ラビリンス流路が形成される。コンプレッサホイール230によって生じた圧縮エアは、該コンプレッサホイール230の背面を経由してラビリンス用凸部264に到達する。その一方で、タービンホイール232側から燃焼ガスがラビリンス用凸部264に到達する。燃焼ガスの圧力に比べて圧縮エアの圧力が高く設定されているため、燃焼ガスがラビリンス用凸部264を通過してコンプレッサホイール230側に流入することを抑制できる。
図8に示すように、アウタハウジング204の中空内部では、シュラウドケース218及びコンプレッサホイール230の、直径が最大である部位と、中間プレート266とがディフューザ234に囲繞される。さらに、タービンホイール232がノズル238に囲繞され、ノズル238は燃焼器236に囲繞される。燃焼器236とアウタハウジング204の間には、燃焼用エアが流通する環状の燃焼用エア流通路273が形成される。一方、アウタハウジング204の右端面には、燃焼器236に燃料を供給するための燃料供給ノズル274が位置決め固定される。
ここで、燃焼器236には、燃焼用エア流通路273と燃焼器236の内部を連通させるための中継孔276が形成されている。また、燃焼器236には、燃焼器236の内部を冷却するエアカーテンを形成するための図示しない微細孔も形成されている。後述するように、コンプレッサホイール230によって圧縮された燃焼用エアは、ディフューザ234、燃焼用エア流通路273、中継孔276を経由して燃焼器236の内部に到達する。さらに、ノズル238には、タービンホイール232の最も大径な部位を囲繞する部位に、燃焼用エアとともに燃焼した燃料(以下、「燃焼済燃料」とも表記する。「燃焼済燃料」は、「燃焼ガス」ないし「燃焼後の排気ガス」と同義である)をタービンホイール232に供給するための図示しない送出孔が形成されている。
また、アウタハウジング204及びノズル238の右端は、燃焼済燃料を排出する排出管(図示せず)が設けられる排出口280が開口している。燃焼済燃料は、前記送出孔を通過してノズル238内に進行した後、回転するタービンホイール232の作用下に、排出口280を介してアウタハウジング204外に吹き出される。
本実施の形態に係る複合動力システム300は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき説明する。
本実施の形態において、回転電機システム10は、ガスタービンエンジン200とともに複合動力システム300を構成する。このため、図5に示すように、回転軸40に対して出力軸250が連結される。ここで、回転軸40を構成する内側軸34の右端部46bには、軸連結孔62が形成されるとともに、該軸連結孔62の内周壁に雌ネジ部64が刻設されている。また、出力軸250の左端には雄ネジ部252が刻設され、該左端が軸連結孔62に挿入されるとともに、前記雄ネジ部252が前記雌ネジ部64に螺合される。
このように、回転軸40の一端部に形成された軸連結孔62に出力軸250の一端部を挿入することから、互いに連結された後の回転軸40と出力軸250の長さが、両軸40、250の各長さの合計に比して小さくなる。また、回転軸40の軸連結孔62に出力軸250を挿入することから、出力軸250の直径が軸連結孔62の直径よりも小さく設定される。従って、出力軸250が小型で軽量なものとなる。以上のような理由から、複合動力システム300の小型化、軽量化を図ることができる。
そして、端子用ケーシング22内のU相端子156a、V相端子156b、W相端子156cに対し、外部電源である前記バッテリ170(図7参照)の接続端子が接続される。この状態で、バッテリ170から直流電流が供給される。図2及び図7に示す電流変換器172の変換回路174は、この直流電流を交流電流に変換し、U相端子156a、V相端子156b、W相端子156cを介して、電磁コイル116(U相コイル、V相コイル、W相コイル)に供給する。この交流電流が電磁コイル116を流れることで、ステータ32に交番磁界が生じる。このため、電磁コイル116と、ロータ30の永久磁石88との間に、吸引力と反発力とが交互に作用する。その結果、回転軸40が回転を開始する。なお、図示しない公知のスタータによって回転軸40を回転させるようにしてもよいことは勿論である。
ここで、図5に示すように、回転軸40を構成する外側軸36の右開口端42bの外周壁に第1内周側スプライン66が形成され、且つコンプレッサホイール230の小径円筒部242の内壁に第1外周側スプライン85が形成されている。そして、第1内周側スプライン66と第1外周側スプライン85が互いに噛合している。さらに、出力軸250に第2内周側スプライン254が形成され、且つコンプレッサホイール230の軸孔244の内壁に第2外周側スプライン246が形成されている。そして、第2内周側スプライン254と第2外周側スプライン246も互いに噛合している。このため、回転軸40の回転トルクが、コンプレッサホイール230を介して出力軸250に速やかに伝達される。
すなわち、回転軸40が回転を開始すると、これと一体的に出力軸250も回転を開始する。これに伴い、出力軸250に支持されたコンプレッサホイール230、タービンホイール232が出力軸250と一体的に回転する。以上のように、内周側係合部である第1内周側スプライン66、外周側係合部である第1外周側スプライン85、内周側歯部である第2内周側スプライン254、外周側歯部である第2外周側スプライン246を設け、第1内周側スプライン66と第1外周側スプライン85、第2内周側スプライン254と第2外周側スプライン246をそれぞれ噛合(係合)させることにより、回転軸40の回転トルクを出力軸250に対して十分に伝達することができる。
しかも、回転軸40の右端部が、コンプレッサホイール230の小径円筒部242の中空内部に圧入されるとともに、出力軸250の左端部が、コンプレッサホイール230の内フランジ部248に圧入によって通されている。このため、回転軸40の軸線と、出力軸250の軸線とが精度よく一致する。これにより、出力軸250が偏心ないし振動しながら回転することが十分に抑制される。
加えて、図9に示すように、コンプレッサホイール230とタービンホイール232の間にリング部材256が介装されている。リング部材256の嵌合孔258には、コンプレッサホイール230の右端面の環状突部268、タービンホイール232の左端面の嵌合用凸部270がそれぞれ嵌合している。これらの嵌合も、出力軸250の偏心回転(振動)を抑制することに寄与する。従って、振動を抑制するための機構を設けたり、出力軸250を大径なものとしたりする必要がない。これにより、複合動力システム300の小型化を図ることができる。
さらに、コンプレッサホイール230の右端面とリング部材256の左端面との間、リング部材256の右端面とタービンホイール232の左端面との間には、それぞれ、摩擦力が発生する。この摩擦力により、コンプレッサホイール230、リング部材256、タービンホイール232が相互に密着する。従って、両ホイール230、232が回転ズレを起こすことが回避される。
さらにまた、複合動力システム300を組み上げる際には、上記の嵌合により、コンプレッサホイール230及びタービンホイール232の出力軸250に対する位置合わせ(芯出し)がなされる。このことから分かるように、両ホイール230、232の間にリング部材256を設けるとともに、両ホイール230、232の一部をリング部材256の嵌合孔258に個別に嵌合するようにしたことにより、コンプレッサホイール230及びタービンホイール232の出力軸250に対する芯出しが容易となる。
そして、上記の回転により、図8に示すように、インナハウジング202の脚部212同士の間の吸気空間240から大気がシュラウドケース218内に吸引される。ここで、インナハウジング202の直径中心には、整流部材82が位置している。上記したように、整流部材82は、シュラウドケース218に向かうに従って縮径するような山形形状をなし、しかも、側周壁83が平滑である。このため、吸引される大気は、整流部材82によってシュラウドケース218に向かうように整流される。整流部材82の右端がシュラウドケース218の左端開口から進入しているので、大気がシュラウドケース218内に効率よく進入する。このように、整流部材82を上記のような形状とするとともに、その先端をシュラウドケース218内に進入させたことにより、大気をシュラウドケース218で効率よく捕集することができる。
シュラウドケース218内に吸引された大気は、コンプレッサホイール230とシュラウドケース218との間を流通する。シュラウドケース218の左方開口に比して、コンプレッサホイール230とシュラウドケース218との間が十分に狭小であることから、この流通の際に大気が圧縮される。すなわち、圧縮エアが生じる。
シュラウドケース218の右端(裾)近傍には、抽気口220が形成されている。一方、シュラウドケース218の左右方向略中間部の外周側には、インナハウジング202の脚部212の基端が位置する。この基端には、抽気通路216の入口開口が形成されている。このため、圧縮エアの一部が抽気口220からカーテン用エアとして分流し、脚部212内に形成された抽気通路216を経て第2サブハウジング20に進行する。図6に示すように、カーテン用エアは、抽気通路216の出口開口から集合流路74に流入して集合し、且つ円環状に拡散する。カーテン用エアは、さらに、集合流路74から上流側連通孔76を経、中継連通路78に分配されて流入した後、3個の下流側連通孔80a~80cのそれぞれから、図1等に示す中空管部158a~158cの中空内部を流通する。
中空管部158a~158cは、冷却ジャケット21の外周側に位置する。従って、カーテン用エアが中空管部158a~158cに沿って流通する過程で、カーテン用エアの熱が冷却ジャケット21に予め供給された冷却媒体に十分に伝導する。これにより、カーテン用エアが比較的低温となる。すなわち、本実施の形態では、回転電機12や電流変換器172を冷却するための冷却ジャケット21により、カーテン用エアを降温することができる。このため、ガスタービンエンジン200や回転電機システム10に、カーテン用エアを冷却するための冷却設備を別途に設ける必要がない。この分、複合動力システム300の小型化を図ることができる。
中空管部158aを流通したカーテン用エアは、図2に示すように測定器用ケーシング24の内部空間に流入する。これにより、測定器用ケーシング24内にエアカーテンが形成される。余剰のカーテン用エアは、前記ケーシング間連通孔を介して端子用ケーシング22の中空内部(内部空間)に流入する。この余剰のカーテン用エアと、中空管部158b、158cを流通して端子用ケーシング22の内部空間に流入したカーテン用エアとにより、端子用ケーシング22内にエアカーテンが形成される。
端子用ケーシング22内の余剰のカーテン用エアは、図3に示すように、メインハウジング16に形成された収納室114に流入する。ここで、端子用ケーシング22及び測定器用ケーシング24がメインハウジング16の左方に配設されていることから、カーテン用エアは、収納室114の左端から流入する。カーテン用エアは、その後、ステータ32の内孔、すなわち、円柱状突部96の外周壁と絶縁基材118との間のクリアランスに先ず進入する。
カーテン用エアの一部は、その後、第1軸挿通孔98側に向かう。また、残部は、永久磁石88の外壁と電磁コイル116の内壁との間のクリアランス、換言すれば、収納室114に沿って、挿入孔68側に向かって流通する。このように、カーテン用エアは、左端(第1端部)の第1軸挿通孔98に向かう分と、右端(第2端部)の挿入孔68に向かう分とに分岐する。なお、上記から諒解される通り、カーテン用エアの流通路は、端子用ケーシング22及び測定器用ケーシング24の内部空間を上流側とし、メインハウジング16の収納室114を下流側とする。
第1軸挿通孔98側に流通したカーテン用エアは、第1軸挿通孔98内に配設された第1ベアリング92を通過する。一方、挿入孔68側に流通したカーテン用エアは、挿入孔68内に配設された第2ベアリング94を通過する。潤滑油を含んだ両カーテン用エアは、その後、例えば、潤滑用排出路を経てオイルタンク(いずれも図示せず)に排出され、潤滑油とエアとに分離される。潤滑油は第1ベアリング92、第2ベアリング94に再供給される。一方、エアは、例えば、大気に排出される。
抽気口220に進入することなく、シュラウドケース218とコンプレッサホイール230の間を通過した圧縮エアは燃焼用エアとなり、図8に示すように、ディフューザ234内に進行する。燃焼用エアは、ディフューザ234の壁部に形成された出口孔から、燃焼器236とアウタハウジング204の間の燃焼用エア流通路273に流出する。燃焼用エアは、さらに、燃焼器236に形成された中継孔276や前記微細孔、さらには、燃焼器236と燃料供給ノズル274との間のクリアランス等を介して、燃焼器236の中空内部、すなわち、燃焼室に進入する。
燃焼器236は予め加熱状態とされており、且つその中空内部(燃焼室)に、燃料供給ノズル274から燃料が供給される。燃料は燃焼用エアとともに燃焼し、高温の燃焼済燃料となる。この燃焼済燃料が前記送出孔からノズル238内に供給されたときにノズル238内で膨張することにより、タービンホイール232が高速で回転し始める。出力軸250がタービンホイール232に設けられるとともに、該出力軸250にコンプレッサホイール230が外嵌されていることから、タービンホイール232が高速回転することに伴って出力軸250及びコンプレッサホイール230が一体的に高速回転する。なお、燃焼済燃料は、排出口280に設けられる図示しない排出管を介してアウタハウジング204外に排出される。
コンプレッサホイール230とタービンホイール232の間に介装されたリング部材256は、両ホイール230、232の間をシールするシール部材としての役割も果たす。しかも、図9に示すように、リング部材256の外周壁には複数個のラビリンス用凸部264が形成されており、該ラビリンス用凸部264が、中間プレート266に形成された孔部272の内壁に当接している(図9参照)。コンプレッサホイール230によって生じた圧縮エアが、該コンプレッサホイール230の背面を経由してラビリンス用凸部264に到達する。また、タービンホイール232側から燃焼ガスがラビリンス用凸部264に到達する。上述の通り、燃焼ガスの圧力に比べて圧縮エアの圧力が高く設定されている。このため、燃焼ガスがラビリンス用凸部264を通過してコンプレッサホイール230側に流入することが抑制される。以上のような理由から、燃焼済燃料が、例えば、両ホイール230、232の間から軸孔244に侵入することが回避される。
図8において、出力軸250が高速回転を開始すると、バッテリ170(図7参照)から電磁コイル116への電流供給が停止される。しかしながら、上記したように燃焼済燃料によってタービンホイール232が高速回転しているので、タービンホイール232と一体的に出力軸250が回転することに追従し、回転軸40が一体的に回転する。この際にも、上記と同様の理由から、出力軸250から回転軸40に対して十分な回転トルクが伝達される。
そして、回転軸40が永久磁石88を同伴しながら回転することに伴い、囲繞する電磁コイル116に交流電流が生じる。交流電流は、U相端子156a、V相端子156b、W相端子156cを介して、図2及び図7に示す電流変換器172に送られる。電流変換器172の変換回路174は、この交流電流を直流電流に変換する。電流変換器172の制御回路178は、バッテリ170に対して電気的に接続された外部負荷(例えば、モータ)の出力が低下したと判断されたとき、コンデンサ176を介して直流電流を前記バッテリ170(図7参照)に供給する。これにより、バッテリ170に充電がなされる。
この過程において、電流変換器172のうち、変換回路174及びコンデンサ176が特に熱を帯びる。しかしながら、本実施の形態では、メインハウジング16の外周壁に機器用ケース180を位置決め固定し、且つ機器用ケース180内の変換回路174及びコンデンサ176を冷却ジャケット21に近接させている。このため、変換回路174及びコンデンサ176の熱が冷却ジャケット21内の冷却媒体に速やかに伝導する。これにより、変換回路174及びコンデンサ176が過度に高温となることが回避される。
なお、図3において、出力軸250及び回転軸40の回転方向は、小キャップナット58、大キャップナット60及び雄ネジ部252の螺合時の回転方向と逆方向であることが好ましい。この場合、回転軸40の回転中に小キャップナット58、大キャップナット60及び雄ネジ部252が弛緩することが回避されるからである。なお、小キャップナット58や大キャップナット60、雄ネジ部252に、弛緩を防止するための機構を予め設けておくようにしてもよい。
ここで、回転軸40を回転可能に回転電機用ハウジング14に支持する第1ベアリング92及び第2ベアリング94には、潤滑油がジェット流として供給される。これにより第1ベアリング92及び第2ベアリング94が潤滑油で冷却されるので、これら第1ベアリング92及び第2ベアリング94に焼き付きが発生することを抑制することができる。なお、上記したように、回転電機システム10には、端子用ケーシング22及び測定器用ケーシング24の内部空間を上流側、第1ベアリング92及び第2ベアリング94を下流側とする流通路が形成されている。また、該流通路にはラビリンスシール構造が設けられており、カーテン用エアは、このラビリンスシール構造を経由するように流通する。このため、潤滑油が端子用ケーシング22及び測定器用ケーシング24の内部空間に進入することは困難である。
しかも、端子用ケーシング22及び測定器用ケーシング24の内部空間には、カーテン用エアによるエアカーテンが形成されている。従って、仮に潤滑油が端子用ケーシング22及び測定器用ケーシング24の内部空間に進入したとしても、U相端子156a、V相端子156b、W相端子156cや、サーミスタ152等に潤滑油が付着することが抑制される。以上のような理由から、バッテリ170が電気的に接続される電気端子部や、測定器(サーミスタ152)等が潤滑油で汚れることを有効に回避することができる。
加えて、回転電機システム10では、第1ベアリング92、第2ベアリング94を通過したカーテン用エアが回転電機用ハウジング14の外部に排出されるように流通する。このため、第1ベアリング92や第2ベアリング94から潤滑油が漏洩したとしても、潤滑油はカーテン用エアに同伴されて回転電機用ハウジング14の外部に排出される。従って、漏洩した潤滑油がロータ30側に向かうことや、ロータ30内に残留することを回避することができる。
回転軸40が回転することに伴い、外側軸36の大径な部位に保持された複数個の永久磁石88が周回する。これにより、永久磁石88に対向する電磁コイル116(U相コイル、V相コイル、W相コイル)に電流が誘起される。この電流が、U相端子156a、V相端子156b、W相端子156cを介して、外部機器を付勢する電力として取り出される。
電磁コイル116は、電流が流れることに伴って発熱する。ここで、ステータ32の左端には、分岐される前のカーテン用エアが接触する。また、ステータ32の外壁及び内壁には、長手方向に沿って、収納室114を経て挿入孔68に向かうカーテン用エアが接触する。すなわち、ステータ32には、左端に対して十分な量のカーテン用エアが接触するとともに、外壁及び内壁の全体にわたって、分岐後のカーテン用エアが接触する。
加えて、メインハウジング16に設けられた冷却ジャケット21に、冷却媒体が流通する。この冷却媒体により、電磁コイル116を含むステータ32、ひいては回転電機12が、カーテン用エア及び冷却媒体によって速やかに冷却される。
また、本実施の形態では、回転電機12を収納する回転電機用ハウジング14(メインハウジング16)と、U相端子156a、V相端子156b、W相端子156cを収納する端子用ケーシング22とを個別に設けている。このため、メインハウジング16内のステータ32に発生した熱の影響が、端子用ケーシング22内のU相端子156a、V相端子156b、W相端子156cに及び難い。なお、バッテリ170(図7参照)の端子が電気的に接続されることから、U相端子156a、V相端子156b、W相端子156cも発熱する。しかしながら、U相端子156a、V相端子156b、W相端子156cは、端子用ケーシング22に供給されたカーテン用エアによって速やかに冷却される。
このように、カーテン用エアは、回転電機システム10における発熱箇所を冷却する役割も兼ねる。そして、電気端子部(U相端子156a、V相端子156b、W相端子156c)や電磁コイル116や永久磁石88等が冷却されることから、回転電機システム10の出力制御等に熱の影響が及ぶことや、熱によって電磁コイル116や永久磁石88の励磁が低下すること等が回避される。その結果として、回転電機システム10の信頼性が向上する。
さらに、回転電機12を収納するメインハウジング16と、U相端子156a、V相端子156b、W相端子156cを収納する端子用ケーシング22とを個別に設けていることから、回転電機12と電気端子部が互いに離間する。このため、U相端子156a、V相端子156b、W相端子156cが、ロータ30が回転することに伴って発生する振動の影響を受け難い。換言すれば、U相端子156a、V相端子156b、W相端子156cが振動から保護される。また、上記したように、第1ベアリング92及び第2ベアリング94では、カーテン用エアによって焼き付きの発生が抑制される。従って、回転電機システム10が耐久性に優れたものとなる。
回転軸40が回転する最中、該回転軸40の回転角度(回転パラメータ)がレゾルバ140によって検出される。具体的には、回転軸40と一体的に、内側軸34の左端部46aに外嵌されたレゾルバロータ56が回転する。これによりレゾルバステータ130に発生した電気信号が、受信器用コネクタ144に電気的に接続された受信器に伝達される。電気信号を読み取った受信器は、該電気信号に基づいて回転軸40の回転角度を算出し、その結果を図示しない制御装置等に送る。制御装置等は、この回転角度に基づき、演算によって回転数を求める。
レゾルバ140は、回転軸40の、回転電機用ハウジング14から露呈した突出先端104に配設されている。従って、レゾルバ140には、回転電機用ハウジング14内のステータ32の電磁コイル116に発生した熱や、ロータ30の回転に伴って発生した振動の影響が及び難い。加えて、回転軸40を支持する第1ベアリング92及び第2ベアリング94は、回転電機用ハウジング14内に設けられている。従って、第1ベアリング92や第2ベアリング94が振動することは、回転電機用ハウジング14によって抑制される。このことも、振動の影響がレゾルバ140に及ぶことを困難にする。
以上のように、熱や振動が伝達されることが抑制されることにより、レゾルバ140による回転角度の検出結果が正確となる。また、レゾルバ140の寿命も長期化する。
なお、例えば、レゾルバ140を内径及び外径が一層大きなものに取り替える場合には、内側軸34を、左端部46aの直径が一層大きなものに交換すればよい。なお、1本の中実回転軸を回転軸40として採用した場合、レゾルバ140を内径及び外径が大きなものに取り替えることに対応するべく中実回転軸を大径なものに交換すると、該中実回転軸を第1ベアリング92ないし第2ベアリング94に通すことが困難となることがあり得る。このことから分かるように、回転軸40を外側軸36と内側軸34で構成するとともに、外側軸36を第1ベアリング92及び第2ベアリング94に通し、且つ内側軸34の、外側軸36から露呈した部位にレゾルバロータ56を配設することにより、内側軸34を交換することで、内径及び外径が様々なレゾルバ140に対応することが可能となる。
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、この実施の形態では、回転パラメータ検出器としてレゾルバ140を採用しているが、ホール素子を含む検出器を採用することも可能である。
また、カーテン用エアを、測定器用ケーシング24の内部空間に流通させた後に端子用ケーシング22の内部空間に流通させるようにしてもよい。又は、測定器用ケーシング24と端子用ケーシング22にカーテン用エアを個別に供給するとともに、各ケーシング22、24の内部空間を流通したカーテン用エアを個別に収納室114に流通させるようにしてもよい。
さらに、ガスタービンエンジン200では、コンプレッサホイール230とタービンホイール232を、図8とは逆の配置としてもよい。すなわち、互いの位置を入れ替えるようにしてもよい。この場合、タービンホイール232に軸孔244を形成するとともに、コンプレッサホイール230に出力軸250を設ければよい。このほか、コンプレッサホイール230とタービンホイール232の形式を遠心式又は軸流式にしてもよい。コンプレッサホイール230とタービンホイール232とを同軸上に配置しているのであれば、遠心式と軸流式とを組み合せた多段コンプレッサホイール及び多段タービンホイールの組み合せであってもよい。
さらにまた、図3において、回転電機システム10を構成する回転電機12は、電磁コイル116に通電がなされることによって回転軸40が回転するモータであってもよい。この場合、U相端子156a、V相端子156b、W相端子156cは、バッテリ170から電力を受領する電気端子部となる。
そして、電流変換器は、交流電流又は直流電流の電圧を下降もしくは上昇させる回路を有するものであってもよい。
さらにまた、上記した実施の形態では、ガスタービンエンジン200で生じた圧縮エアから一部を分流することで、ガスタービンエンジン200を気体供給源として用いる態様を例示しているが、図2に示すように、外部に設けたポンプ290を気体供給源とすることも可能である。この場合、該ポンプ290の作用下に大気等を圧縮し、中空管部158a~158c、又は集合流路74に供給すればよい。なお、この構成では、圧縮エアをガスタービンエンジン200から分流する必要は特にない。
加えて、回転軸40と出力軸250との間でトルクを伝達する構成は、スプライン同士の噛合に特に限定されるものではない。例えば、回転軸40の外周壁に1個以上の凸部を直径方向外方に突出するように設ける一方で出力軸250に1個以上の凹部を形成し、凸部と凹部を係合するようにしてもよい。又は、回転軸40を多角形形状とする一方で出力軸250に多角形孔を形成し、多角形孔に回転軸40を係合するようにしてもよい。後者では、回転軸40の外周壁が内周側係合部となり、多角形孔の内周壁が環状の外周側係合部となる。