JP2022153012A - 炭素貯留農業評価システム及び炭素貯留農業評価情報の提供方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素貯留農業の可視化を図る炭素貯留農業評価システム及び炭素貯留農業評価情報の提供方法を提供する。【解決手段】炭素貯留農業評価システムは、バイオ炭を含む土壌改良資材の特性を示す第1データと、農用地においてバイオ炭を含む土壌改良資材の施用量、農用地の種別及び面積、並びに施肥された肥料の種類及び施肥量を含む第2データと、農用地で栽培された農作物の品種及び収穫量を含む第3データとをストレージから読み出すデータ取得部116と、データ取得部116が取得した第1乃至第3データを用いて農用地の炭素貯留量及び温室効果ガス排出削減量の一方又は両方を計算するデータ処理部118とを含む。【選択図】図4

Description

本発明の一実施形態は、農用地の炭素貯留量、温室効果ガスの排出量を評価し、その貢献度に関する情報を農業事業者及びその関係者、並びに消費者に提供するためのシステム及びその方法に関する。
温室効果ガス排出源の一つとして、農業用地から排出される温室効果ガスが指摘されている。このことから、気候変動に対する国際的な取り組みの中で、農業分野においても地球温暖化対策の推進が求められている。例えば、わが国においては、バイオ炭の農地への施用が農作物の収穫量の増加に加え炭素貯留に効果があるとの考えから、炭素貯留技術をはじめ循環型の温室効果ガス削減システムの開発が進められている(例えば、非特許文献1参照)。なお、バイオ炭とは、農林業の廃棄物や廃木材、森林の主伐材または間伐材、食品廃棄物などの有機物(バイオマス)を炭素化したものをいう。
"木質バイオマスのカスケード利用による分散型炭素貯留技術"、インターネット<https://www.challenge-zero.jp/jp/casestudy/257>
バイオ炭の農用地への施用は、農作物の収量増加に加え温室効果ガスである一酸化二窒素(NO)やメタン(CH)の発生を抑制し、土壌への炭素貯留に効果があると言われている。しかし、バイオ炭の農業分野への活用を推進するには、その活用が土壌への炭素の貯留や温室効果ガスの抑制にどの程度効果があり、農作物の収量増加にどの程度貢献しているのかを農業事業者のみならず一般消費者に対しても可視化することが必要であると考えられる。
本発明は、このような背景に鑑み、バイオ炭による農業事業を可視化することを目的の一つとする。また、本発明は、バイオ炭を用いた農業事業において提供される生産物(農産物)のトレーサビリティを高めること目的の一つとする。また、本発明は、土壌へ炭素を貯留する農業(以下「炭素貯留農業」ともいう)の普及を図ることを目的の一つとする。
本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価システムは、バイオ炭を含む土壌改良資材の特性を示す第1データと、農用地においてバイオ炭を含む土壌改良資材の施用量、農用地の種別及び面積、並びに施肥された肥料の種類及び施肥量を含む第2データと、農用地で栽培された農作物の品種及び収穫量を含む第3データとをストレージから読み出すデータ取得部と、データ取得部が取得した第1乃至第3データを用いて農用地の炭素貯留量及び温室効果ガス排出削減量の一方又は両方を計算するデータ処理部とを含む。
本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価方法は、
炭素貯留農業推進事業者の第1のサーバから提供される炭素貯留農業評価情報を提供する方法であって、第1のサーバが、バイオ炭を含む土壌改良資材の特性を示す第1データを第1データベースから読み出し、第1のサーバが、農業事業者又は農業支援事業者の第2サーバから、農用地において前記バイオ炭を含む土壌改良資材の施用量、農用地の種別及び面積、並びに施肥された肥料の種類及び施肥量を含む第2データ、及び農用地で栽培された農作物の品種及び収穫量を含む第3データ、を取得し、第1のサーバが、第1乃至第3データを用いて農用地の炭素貯留量及び温室効果ガス排出削減量の一方又は両方を計算し、第1のサーバが、計算で得られた情報を第2サーバに提供することを含む。
本発明の一実施形態によれば、バイオ炭を含む土壌改良資材の特性、バイオ炭を含む土壌改良資材を混入させた農用地に関する情報、その農用地で生産された農作物の品種及び収穫量に関する情報から、土壌への炭素貯留量及び/又は温室効果ガス削減量を算出し、評価することで、バイオ炭による農業事業が地球温暖化対策に対する貢献度を可視化しトレーサビリティを高めることができる。また、その貢献度に応じて農業事業者及び消費者にポイントを付与するポイントサービスプログラム(ロイヤリティプログラム)を適用することで、バイオ炭を用いた炭素貯留農業の普及を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価システムが直接的及び間接的に関与する関係先を示す図である。 炭素貯留農業の意義を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価システム及びそれに接続される機器のハードウェア的な構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価システムを構成する第1のサーバの機能的な構成を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価システムの機能を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価システムで実行される処理の流れを説明する図である。 本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価システムにおけるデータ処理部の機能的な構成を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価システムにおいてバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出するときに行われる処理の流れを説明する図である。 本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価システムにおいてバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出するときに行われる処理の流れを説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
「バイオ炭」とは、燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物と定義されている(2019年改良IPCCガイドライン)。本実施形態においては、木竹由来の白炭、黒炭、竹炭、粉炭、オガ炭に加え、家畜の糞尿由来、草本由来、籾殻及び稲藁由来、木の実由来、製紙汚泥及び下水汚泥由来等の炭、並びに木材を利用した木質バイオマスガス化発電装置により発電することで副生される炭を含むものとする。また、バイオ炭には、多孔質構造を有する炭にリンと鉄が担持されたバイオ炭(以下「リン炭」ともいう)が含まれるものとする。なお、リンと鉄が担持されたバイオ炭の詳細については、特開2019-107632号公報、特開2020-011211号公報に開示されている。以下の説明において「バイオ炭」とは特段の断りがない限り上記に例示されるバイオ炭及びそれに類するものが含まれるとする。また、「バイオ炭を含む土壌改良資材」とは、バイオ炭を指し、またバイオ炭に他の付加物との混合物を含み、例えば、バイオ炭に堆肥が混合されたものを含むものとする。
1.炭素貯留農業評価システムの全体的な構成
図1は、本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価システムが直接的及び間接的に関与する関係先を示す。炭素貯留農業評価システムは、炭素貯留農業を行う関係者によって運用される。炭素貯留農業は、バイオ炭を含む土壌改良資材生産者204、農業支援事業者202、炭素貯留農業を行う農業事業者206、炭素貯留農業推進事業者200が関与して行われる。炭素貯留農業には、さらに生産物(農産物)を販売する小売業者208、生産物(農産物)を消費する消費者210も関与している。
本実施形態において、土壌改良資材生産者204は、バイオ炭等を生産する生産者である。
本実施形態において、農業支援事業者202は、営利法人、非営利法人、公法人、個人事業主等の企業、一定の目的で構成員が結合した団体(社団)、複数の当事者が出資をして共同事業を営む契約によって設立された団体(組合)等であり、例えば、農業者によって組織された協同組合である。
本実施形態において、農業事業者206は、個人、法人を問わず炭素貯留農業を営み、生産物(農産物)を有償又は無償で提供する者をいう。農業事業者206が農業を行う農用地の種別、規模に特段の限定はない。農用地の種別には、畑(水をたたえないで、野菜・穀類などを栽培する農耕地)、水田、果樹園等が含まれる。
本実施形態において、炭素貯留農業推進事業者200は、バイオ炭を活用し、炭素貯留農業を推進する営利法人、非営利法人、公法人、個人事業主等の企業、一定の目的で構成員が結合した団体(社団)等によって構成される。炭素貯留農業推進事業者200は、炭素貯留農業評価システムを運用する主体でもある。
本実施形態に係る炭素貯留農業評価システムは、第1のサーバ102を用いたハードウェア資源及びソフトウェア資源により構築される。また、他の一実施形態として、炭素貯留農業評価システムは、第1のサーバ102及び第2のサーバ106を用いたハードウェア資源及びソフトウェア資源により構築される。図1に示すように、第1のサーバ102は炭素貯留農業推進事業者200に属し、第2のサーバ106は農業支援事業者202に属するものとする。また、第1のサーバ102は第1のストレージ104と接続され、第2のサーバ106は第2のストレージ108と接続されていてもよい。第1のストレージ104及び第2のストレージ108はコンピュータシステムの中で情報を電子的に格納する装置であり、サーバと連動して動作する。また、図示されないが、本実施形態に係る炭素貯留農業評価システムは、分散クラウドによって構築されてもよい。
バイオ炭の農用地への施用は、土壌の透水性、保水性、通気性の改善、中和作用、保肥力の向上等に効果があるといわれている。また、バイオ炭の農用地への施用によって、温室効果ガスである一酸化二窒素(NO)やメタン(CH)の発生を抑制し、長期間に亘って土壌に炭素を貯留する効果が期待されている。しかし、バイオ炭は、原料が多様であり炭化の条件によっても炭素を貯留できる量が異なり、また、バイオ炭を施用する農用地の土壌、農用地の用途(水田、畑地)、栽培する作物によっても炭素貯留の効果が違ってくることが指摘されている。
本実施形態に係る炭素貯留農業評価システムは、炭素貯留能力のあるバイオ炭を含む土壌改良資材の特性に基づき、バイオ炭を含む土壌改良資材がどのような農業用地にどの程度施用され、農作物がどの程度生産され市場に流通したのかを生産段階から最終消費段階までトレース(追跡)し、炭素がどの程度土壌に貯留され、温室効果ガスの排出が削減されたのかを評価し、可視化する機能を有する。
土壌改良資材生産者204は、土壌改良資材として、バイオ炭、リンと鉄が担持されたバイオ炭、バイオ炭またはリンと鉄が担持されたバイオ炭に堆肥が混合されたもの等を生産する。土壌改良資材生産者204は、バイオ炭を含む土壌改良資材を生産し、農業支援事業者202に納入する。
農業支援事業者202は、土壌改良資材生産者204からバイオ炭を含む土壌改良資材を購入する。農業支援事業者202は、購入したバイオ炭を含む土壌改良資材の分析を炭素貯留農業推進事業者200に依頼する。土壌改良資材の分析は、農業支援事業者202が他の分析機関に依頼し、炭素貯留農業推進事業者200に分析データを提供してもよい。
農業支援事業者202は、農用地に混入させるバイオ炭を含む土壌改良資材、化学肥料を農業事業者206に提供(販売)する。農業支援事業者202は、農業事業者206に対して、炭素貯留農業の指導、管理、炭素貯留農業によって生産された生産物(農産物)を購入し、それを小売業者208(又は卸売業者)に販売、又は消費者210に直接販売する。
農業事業者206は、炭素貯留農業を営む。炭素貯留農業とは、農用地の土壌中への炭素貯留と土壌改良材として、バイオ炭、リンと鉄が担持されたバイオ炭、及びこれらに堆肥が付加されたものを土壌に混入させて行う農業をいう。バイオ炭は難分解性で安定なため、大気中の二酸化炭素を炭という固体の状態で土壌中に長期間貯留することができる。
炭素貯留農業は、水田、畑地、果樹園等、農業の形態を問わず適用される。また、農業事業者206が農用地で生産する生産物(農産物)に特段の限定はない。炭素貯留農業によって生産される生産物(農産物)は、稲、麦、豆等の穀物、トマト、胡瓜、キャベツ、大根等の野菜、みかん、梨、リンゴ等の果物等、水耕栽培を除き土壌を培地として生産される生産物(農産物)であれば特段の限定はない。
農業事業者206は、バイオ炭を含む土壌改良資材が混入された農用地で農業を行い、生産物(農産物)の全部又は一部を農業支援事業者202に購入してもらう。なお、農業事業者206が行う炭素貯留農業では、化学肥料が使用されてもよい。
炭素貯留農業推進事業者200は、バイオ炭を含む土壌改良資材について、炭素貯留能力の評価、ランク付け、適正施肥量に関する情報の提供を行う。また、炭素貯留農業推進事業者200は、バイオ炭を含む土壌改良資材の流通管理、炭素貯留農業によって生産された生産物(農産物)に関する情報の提供を行う。さらに、炭素貯留農業推進事業者200は、ポイントサービスプログラム(ロイヤリティプログラム)を運用し、消費者210が利用するアプリケーションプログラムを提供、各種イベントの企画や開催を通して炭素貯留農業の普及、啓蒙活動を行う。
小売業者208は、農業支援事業者202から炭素貯留農業で生産された生産物(農産物)を購入し、消費者210に販売する。農業支援事業者202と小売業者208との間に卸売業者が介在していてもよい。消費者210は、炭素貯留農業で生産された農作物を消費する者であり、自然人、法人の区別を問わない。
図1は、炭素貯留農業評価システムが直接的又は間接的に関与して行われる物資、情報の流れを示す。以下に、その物資、情報の流れを説明する。
(1)バイオ炭を含む土壌改良資材の評価依頼
土壌改良資材生産者204からバイオ炭を含む土壌改良資材を購入した農業支援事業者202は、当該バイオ炭を含む土壌改良資材の評価を炭素貯留農業推進事業者200に依頼する。バイオ炭は、原料の違いにより炭素貯留量に違いがあり、バイオ炭を含む土壌改良資材の特性を知ることは、炭素貯留農業を通じて温暖化対策に協力する上で意義がある。
炭素貯留農業推進事業者200は、バイオ炭を含む土壌改良資材の特性を分析する。分析の内容は様々であるが、例えば、バイオ炭に含まれる難分解性有機炭素の量を分析する。難分解性有機炭素の量を分析することで、土壌にどの程度安定した状態で炭素を貯留することができるか知ることができ、バイオ炭を含む土壌改良資材の品質を知る指標とすることができる。また、リンと鉄が担持されたバイオ炭を用いる場合には、難分解性有機炭素の量、リン、鉄の含有量を分析する。リンは植物の育成に必要な成分であり、リンの含有量を知ることでバイオ炭を含む土壌改良資材の品質を知る指標とすることができる。また、バイオ炭を含む土壌改良資材に堆肥が含まれる場合には、風乾前固形分、及び風乾後固形分の量を分析する。炭素貯留農業推進事業者200は、バイオ炭を含む土壌改良資材の分析結果を第1のストレージ104に保存する。
(2)バイオ炭を含む土壌改良資材の評価結果の通知
炭素貯留農業推進事業者200は、バイオ炭を含む土壌改良資材の評価結果を農業支援事業者202に通知する。評価結果には、バイオ炭を含む土壌改良資材の品種に応じて、難分解性有機炭素の量、リン、鉄の含有量、風乾前固形分、及び風乾後固形分の量等の情報が含まれる。また、炭素貯留農業推進事業者200は、バイオ炭を含む土壌改良資材の評価結果に基づき施用処方箋を作成し、農業支援事業者202に提供する。炭素貯留農業推進事業者200は、バイオ炭を含む土壌改良資材と施用処方箋とを関連付け、他の同一又は類似する土壌改良資材の製品と区別をするために、識別子(例えば、バーコード、QRコード(登録商標)等の二次元コードであり、以下において同じ。)を用いて管理することができる。識別子は第1のサーバ102により発行され、識別子とバイオ炭を含む土壌改良資材とを関連付ける情報は第1のストレージ104に記憶される。
(3)バイオ炭を含む土壌改良資材の提供
農業支援事業者202は、バイオ炭を含む土壌改良資材を農業事業者206に販売する。このとき、農業支援事業者202は、バイオ炭を含む土壌改良資材の種類、販売量、販売先、販売日を記録する。これらの管理は、バイオ炭を含む土壌改良資材付された識別子によって管理することができる。農業支援事業者202によるバイオ炭を含む土壌改良資材の販売及び管理は、第2のサーバ106及び第2のストレージ108を用いて行われる。
農業支援事業者202は、バイオ炭を含む土壌改良資材の分析によって作成された施用処方箋に基づいて、農業事業者206に適正施用量に関する情報を提供し、またその指導をする。また、農業支援事業者202は、農業事業者206に化学肥料の販売を行い、上記と同様に販売量、販売先、販売日を記録する。
(4)農業事業者による炭素貯留農業の実施
農業事業者206は、農用地にバイオ炭を含む土壌改良資材を混入させ、農作物を栽培し、農作物を収穫する。農業事業者206が、農用地にバイオ炭を含む土壌改良資材を混入させることで炭素が土壌中に貯留される。農用地からは、後述するように、メタン(CH)や一酸化二窒素(NO)が発生するが、バイオ炭を含む土壌改良資材を混入させることで、それらの温室効果ガスの排出量を相殺することができる。
農業事業者206は、収穫した生産物(農作物)の全部又は一部を農業支援事業者202に販売する。農業支援事業者202は、農業事業者206から生産物(農作物)を買い取る。農業支援事業者202は、炭素貯留農業で生産された生産物(農産物)を、炭素貯留農業によらない他の農産物の買取価格に比べ、所定の金額を上乗せした価格で買い取りをする。すなわち、農業支援事業者202は、炭素貯留農業で生産された生産物(農作物)にはブランド価値があるとみなし、所定のブラント価格を上乗せした金額で農業事業者206から生産物(農作物)を買い取る。
農業支援事業者202は、農業事業者206から、炭素貯留農業に関する情報(データ)を収集する。炭素農業に関する情報(データ)には、農作物の栽培で使用したバイオ炭を含む土壌改良資材の量、バイオ炭を含む土壌改良資材に付された識別子の情報、化学肥料の使用量、生産地、農用地の種別、農用地の面積、農作物の種別、耕作の期間、生産物(農産物)の収穫量、生産者の情報等が含まれる。これらの情報は、第2のサーバ106が収集し、収集された情報は第2のストレージ108に記憶される。
(5)炭素貯留農業推進事業者への炭素貯留農業に関する情報の提供
農業支援事業者202は、農業事業者206から収集した炭素貯留農業に関する情報を、炭素貯留農業推進事業者200に提供する。農業支援事業者202は、農作物の栽培で使用したバイオ炭を含む土壌改良資材の量、バイオ炭を含む土壌改良資材に付された識別子の情報、化学肥料の使用量、生産地、農用地の種別、農用地の面積、農作物の種別、耕作の期間、生産物(農産物)の収穫量等に関する情報(データ)を、炭素貯留農業推進事業者200に報告する。第1のサーバ102と第2のサーバ106は、電気通信回線(以下、「ネットワーク」ともいう)を介して接続され、炭素貯留農業に関する情報の提供は、第2のサーバ106から第1のサーバ102へデータを送信することで行われる。
(6)生産物に対する評価及び結果の提供
炭素貯留農業推進事業者200は、農業支援事業者202から送信された、農作物の栽培で使用したバイオ炭を含む土壌改良資材の量、バイオ炭を含む土壌改良資材に付された識別子の情報、化学肥料の使用量、生産地、農用地の種別、農用地の面積、農作物の種別、耕作の期間、生産物(農産物)の収穫量等に関する情報を用いて土壌への炭素貯留量、温室効果ガス排出削減量を計算する。そして、炭素貯留農業推進事業者200は、収穫された農作物(農業事業による生産品)がどの程度、温室効果ガスの削減に貢献したのかを評価する。この評価は、農用地ごと、その農用地で生産された生産物(農産物)ごとに、温室効果ガスの排出削減量の大きい順に準位や等級を付け、直感的に判るようにランク付けが行われる。
バイオ炭を含む土壌改良資材に付した識別子は、バイオ炭を含む土壌改良資材が混入された農用地で生産された生産物(農作物)にも付される。バイオ炭を含む土壌改良資材と、それが混入された農用地で生産された生産物(農産物)との対応関係を明確化することで、その生産物(農産物)を生産することによって、どの程度温暖化ガスの排出削減に貢献をすることができたのか、対応関係を明確化することができる。
炭素貯留農業推進事業者200において行われる、炭素貯留量、温室効果ガス排出削減量を計算、及び評価は、第1のサーバ102により実行され、実行された結果は第1のストレージ104に保存される。炭素貯留農業推進事業者200は、農業支援事業者202にランク付けの情報を提供する。この情報の提供は、第1のサーバ102から第2のサーバ106にデータを送信することで行われる。
炭素貯留農業推進事業者200は、ポイントサービス(ロイヤリティプログラム)を提供することができる。例えば、炭素貯留農業推進事業者200は、収穫された農作物(農業事業による生産品)に付されたランクに応じてポイントを与え、識別子によって管理することができる。炭素貯留農業推進事業者200は、収穫された農作物(農業事業による生産品)に付されたポイントに関する情報を、農業支援事業者202に提供することができる。
(7)農業支援事業者による生産物の販売
農業支援事業者202は、炭素貯留農業で生産された生産物(農産物)を小売業者208に販売する。生産物(農産物)の卸価格は農業支援事業者202が単独で、又は農業支援事業者202と小売業者208との両者によって適宜設定する。このとき、農業支援事業者202は、炭素貯留農業で生産された生産物(農産物)を、炭素貯留農業によらない他の農産物の買取価格に比べ、所定の金額を上乗せした価格で販売することができる。すなわち、農業支援事業者202は、炭素貯留農業で生産された生産物(農作物)にはブランド価値があるとみなし、所定のブラント価格を上乗せした価格で小売業者208に販売することができる。
(8)-(9)小売業者による生産物の販売
小売業者208は、炭素貯留農業で生産された生産物(農産物)を消費者210に販売する。小売業者208は、炭素貯留農業で生産された生産物(農産物)を、炭素貯留農業によらない他の農産物の買取価格に比べ、所定の金額を上乗せした価格で販売し、消費者210はその販売価格に応じた金額を支払う。
また、小売業者208は、生産物(農産物)に識別子を付した状態で展示し、販売することができる。消費者210は、自己の端末(スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末)に炭素貯留農業推進事業者200から提供されたアプリケーションプログラムをインストールし、生産物(農産物)を購入する際に利用することができる。例えば、消費者210は、自己の端末により生産物(農産物)に付された識別子を読み取り、購入する生産物(農産物)の生産値、生産者に関する情報、その生産物(農産物)が炭素貯留農業で生産されたものであること、温室効果ガス排出削減にどの程度貢献しているのか等の情報を取得することができる。
(10)-(11)ポイントの還元
消費者210は、小売業者208から生産物(農産物)を、ポイントに相当する金額が上乗せされた販売価格で購入する。消費者210は、生産物(農産物)に付された識別子を自己の端末で読み取り、ポイントサービスプログラム(ロイヤリティプログラム)のサイトにアクセスして、その生産物(農作物)に割り当てられたポイントを取得することができる。消費者210は、炭素貯留農業で生産された生産物(農作物)を購入する毎にポイントを取得することができる。ポイントサービスプログラム(ロイヤリティプログラム)は炭素貯留農業推進事業者200によって提供される。消費者210は取得したポイントに応じて炭素貯留農業推進事業者200が提供するサービスを受けることができる。
小売業者208は、ポイントに相当する金額の内、所定の手数料を徴収し、残りのポイントに相当する金額を農業支援事業者202に納付する。農業支援事業者202は、小売業者208から納付されたポイントに相当する金額の内、所定の手数料を徴収し、残りのポイントに相当する金額を炭素貯留農業推進事業者200に納付する。
2.炭素貯留農業評価システムが提供するポイントサービスプログラム
次に、図1を参照して炭素貯留評価システムによって提供されるポイントサービスプログラムの一例を説明する。
(a)まず農業支援事業者202が土壌改良資材生産者204からバイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材を購入する。例えば、農業支援事業者202がバイオ炭を含む土壌改良資材を所定量(例えば25トン)購入する。
(b)農業支援事業者202は、炭素貯留農業推進事業者200に購入したバイオ炭を含む土壌改良資材の分析を依頼する。農業支援事業者202は購入したバイオ炭を含む土壌改良資材をサンプリングし、炭素貯留農業推進事業者200に分析を依頼する。分析の結果、例えば、農業支援事業者202が購入したバイオ炭を含む土壌改良資材における難分解性有機炭素が20%であったと仮定する。
(c)炭素貯留農業推進事業者200は分析結果に基づいて、バイオ炭を含む土壌改良資材に対し、二酸化炭素(CO)換算に基づいてポイントを付与する。上記の例に従えば、農業支援事業者202が購入したバイオ炭を含む土壌改良資材には5トンの難分解性有機炭素が含まれることになり、二酸化炭素(CO)に換算すると18.3トンになる。炭素貯留農業推進事業者200は二酸化炭素(CO)を所定量(例えば1g)貯留する毎に所定のポイント(例えば二酸化炭素(CO)1g当たり1ポイント)を付与し、その情報を第1のサーバ102で管理することができる。例えば、農業支援事業者202が購入したバイオ炭を含む土壌改良資材には、18,333,333ポイントが付与される。
(d)農業支援事業者202は、バイオ炭を含む土壌改良資材を農業事業者206に提供する。例えば、農業支援事業者202は、1つ(又は1人、若しくは1箇所)複数(又は複数人、若しくは複数箇所)の農業事業者206にバイオ炭を含む土壌改良資材を有償又は無償で譲渡する。農業支援事業者202がバイオ炭を含む土壌改良資材を農業事業者206に無償提供する場合には、農業支援事業者202が農業事業従事者206から一括で生産物(農産物)を購入するという前提を有していてもよい。
(e)農業事業者206は農地にバイオ炭を含む土壌改良資材を施肥して農作物を生産し、農業支援事業者202が農業事業者206から生産物(農産物)を購入する。例えば、農業事業者206がバイオ炭を含む土壌改良資材が施肥された農地で特定の野菜を栽培し(炭素貯留農業で栽培し)、その収穫量の合計(単位面積当たりの収穫量)が42,000kg/haであり、特定の野菜の1個当たりの平均的な重量が1kgであった場合、特定の野菜は42,000個収穫されたことになる。
(f)農業支援事業者202は、炭素貯留農業推進事業者200によって付与されたポイントの情報を取得し、そのポイントに基づいて、特定の野菜にポイントを付与し小売業者208に販売する。例えば、ポイントの情報は、第1のサーバ102から第2のサーバ106に提供される。上記の例に従うと、特定の野菜の1個当たり437ポイントが付与され、その情報が付与された識別子(例えば、二次元バーコード、QRコード(登録商標))が商品としての特定の野菜に添付されて消費者210に販売される。識別子には、ポイントの他に、生産者、生産地、使用された肥料(含むバイオ炭含む土壌改良資材)の種類と量、炭素貯留量等の情報を含ませることができる。
(g)小売業者208は、ポイントの付いた特定の野菜を所定の割り増し価格で消費者210に販売し、消費者210は、特定の野菜を割り増し価格で購入する。消費者210は、購入後、識別子の情報を自己の端末を使用して読み取り、特定の野菜に付与されたポイントを取得する。消費者210は、ポイントを集めて炭素貯留農業推進事業者200が提供する各種サービスの提供を受けることができ、それにより割高であっても炭素貯留農業で生産された生産物(農産物)を購入することの動機付けとなる。例えば、炭素貯留農業推進事業者200は第1のサーバ102でポイントサービスプログラムのサイトを提供し、消費者210はそのサイトにアクセスして特定の野菜の生産に関する情報を知ることができ、自己のポイントを管理し、ポイントに応じた各種サービスを申し込むことができる。
なお、一つの事業者が、農業支援事業者202、農業事業者206、及び小売業者208の2つ以上の事業者を兼ねてもよい。例えば、農業生産法人は、農業支援業者202と農業事業者206を兼ねることができる。また、食品EC(Electronic Commerce)は、インターネットを通じて行う食品の商取引であり、農業支援事業者202、農業事業者206、及び小売業者208を兼ねることができる。
(h)特定の農作物を販売することで得られた増収分は各主体に分配される。炭素貯留農業推進事業者200、農業支援事業者202、農業事業者206、小売業者208は、特定の野菜を販売することで得られた増収分の分配を受けることができる。例えば、特定の野菜を販売することで20円の増収が得られた場合、小売業者208が2円、農業支援事業者202が12円、炭素貯留農業推進事業者200が2円、農業事業者206が4円といったように分配を受けることができる。このように各事業主体は炭素貯留農業の貢献度に応じて収益を得ることができ、農業支援事業者202はその収益を土壌改良資材生産者204からバイオ炭、バイオ炭を含む土壌改良資材を購入するときの原資に当てることができる。
このような炭素貯留農業に係るポイントサービスプログラムによれば、消費者210にとっては、ポイントプログラムの特典のみならず、生産物(農産物)の情報、脱炭素貢献度に関する情報(視覚化)を得ることができ、炭素貯留農業で生産された農作物を継続して購入することの動機を得ることができる。農業事業者206にとっては、生産物(農産物)のブランド化、販売経路の拡大、脱炭素貢献度に関する情報(視覚化)を得ることができ、消費者210と直接又は間接的に繋がることで、炭素貯留農業に取り組むことの動機付けを得ることができる。また、農業支援事業者202にとっては、農業事業者206との関係性が向上し、売り上げの増加を図ることができ、脱炭素化社会に貢献することができる。
なお、本節ではバイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材に含まれる難分解性有機炭素の量に基づいてポイントを付与する例を示したが、この例に限定されず、バイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材のみならず窒素肥料(化学肥料)の使用量を考慮して、生産物(農産物)が生産される農用地おける温室効果ガスの削減量に基づいてポイントを付与するようにしてもよい。
炭素貯留農業推進事業者200は、炭素貯留農業で生産された生産物(農産物)の流通を管理するために、小売業者208を販売実績に応じて認定する。炭素貯留農業で生産された生産物(農産物)が認定された小売業者208を通して流通することで、便乗商法や偽造品の流通防止を図ることができる。
また、炭素貯留農業推進事業者200は、消費者210に対し、どこの小売店が炭素貯留農業で生産された生産物(農作物)を販売しているのか、生産地及び生産者の情報、温暖化ガス排出削減にどの程度貢献しているのか等の情報を提供する。また、炭素貯留農業推進事業者200は、消費者210にポイントサービスプログラムを提供し、購買に動機付けを与え、消費の促進を図ることにより、炭素貯留農業の普及を図ることができる。
図2は炭素貯留農業の意義を説明する図である。炭素は、大気から光合成によって二酸化炭素の形で植物へ吸収され、植物が枯れることで炭素が土壌に蓄積され、土壌の炭素(有機物)が大気中に放出されることで、大気、植物、土壌の間を循環している。土壌の炭素(有機物)は、植物が光合成で大気から吸収した炭素に由来するので、土壌中の炭素の量が増えると、その分だけ大気中の二酸化炭素が減少したことになる。したがって、安定的に炭素を土壌中に蓄積できれば、大気中の炭素を減少させることができる。そして、炭素貯留農業の耕作地が増えるほど、温室効果ガスの排出削減に貢献することができる。
図2に示す炭素の循環において、バイオ炭を土壌に混入させることで土壌に炭素を貯留することができる。バイオ炭は、前述のように、バイオ炭の農用地への施用は、土壌の透水性、保水性、通気性の改善、中和作用、保肥力の向上等に効果があるとされている。したがって、バイオ炭を含む土壌改良資材の農用地への適用は、温室効果ガスの排出削減のみならず、農作物の収穫量の増加にも寄与することができる。
3.炭素貯留農業評価システムのハードウェア的な構成
図3は、本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価システムと、それに接続される機器の関係を示す。炭素貯留農業評価システムは、第1のサーバ102によって構築される。また、炭素貯留農業評価システムは、さらに、第1のサーバ102とネットワークを介して接続される第2のサーバ106とによって構築される。
第1のサーバ102と第2のサーバ106とはネットワークを介して双方向に通信可能な状態で接続される。第1のサーバ102は炭素貯留農業推進事業者200の側に属し、第2のサーバ106は農業支援事業者202の側に属している。また、農業事業者206に属する第1の端末110、小売業者208に属する第2の端末112、消費者210に属する第3の端末114がそれぞれネットワークに接続されている。第1のサーバ102と、第1の端末110、第2の端末112、及び第3の端末114とはネットワークを介してそれぞれ双方向に通信可能な状態で接続される。同様に、第2のサーバ106と、第1の端末110、第2の端末112、及び第3の端末114とはネットワークを介してそれぞれ双方向に通信可能な状態で接続される。
このようなネットワークを介した接続により、例えば、第1のサーバ102は第3の端末114に炭素貯留農業で生産された生産物(農作物)を販売している小売店の情報、生産者及び生産地の情報、温暖化ガス排出削減にどの程度貢献しているのかの情報等を提供することができ、ポイントサービスプログラムを提供することができる。また、第2のサーバ106は、第1の端末110にバイオ炭を含む土壌改良資材の適正施用情報を提供することができ、第1の端末110からバイオ炭を含む土壌改良資材の消費量、バイオ炭を含む土壌改良資材に付された識別子の情報、化学肥料の使用量、生産地、農用地の種別、農用地の面積、農作物の種別、耕作の期間、生産物(農産物)の収穫量、生産者の情報を受信することができる。また、第2のサーバ106は、第2の端末112に炭素貯留農業で生産された生産物(農産物)の品種、量、販売価格等の情報を提供することができ、第2の端末112から生産物(農産物)の販売量、売り上げに関する情報を受信することができる。
第1のサーバ102及び第2のサーバ106は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信回路等のハードウェア資源により構築され、ソフトウェア資源によって所望の機能を実現するように駆動される。第1のストレージ104及び第2のストレージ108は、ハードディスク、半導体メモリ、光ディスク等で構築される。また、第1の端末110、第2の端末112、及び第3の端末114はデスクトプ型又はノートブック型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の電子機器で構築される。
4.第1のサーバの機能的な構成
図4は、炭素貯留評価システムに用いられる第1のサーバ102の機能的な構成を示す。第1のサーバ102は、データ取得部116、データ処理部118、データ評価部120、ポイント設定部122を含む。
データ取得部116は、バイオ炭を含む土壌改良資材の特性を示す第1データDA1と、農用地において前記バイオ炭を含む土壌改良資材の施用量、前記農用地の種別及び面積、並びに施肥された肥料の種類及び施肥量を含む第2データDA2と、バイオ炭を含む土壌改良資材が混入された農用地で生産された生産物(農産物)の品種及び収穫量を含む第3データDA3と、を取得する機能を有する。データ取得部116は、第1データDA1、第2データDA2、及び第3データDA3を同一の記憶装置から取得してもよいし、異なる記憶装置から取得してもよい。例えば、第1データDA1は、第1のサーバ102に接続された第1のストレージ104に記憶され、第2データDA2及び第3データDA3は、第2のサーバ106に接続された第2のストレージ108されていてもよい。第1のサーバ102は、ネットワークにより第2のサーバ106と接続されることで、異なる場所に記憶された第2データDA2及び第3データDA3を取得することができる。
データ処理部118は、データ取得部116が取得した第1データDA1、第2データDA2、及び第3データDA3を用いて農用地の炭素貯留量、温室効果ガス排出削減量を計算する機能を有する。データ処理部118は、農作物の栽培当たりの炭素貯留量、温室効果ガス排出削減量計算する機能を有する。
データ評価部120は、データ処理部118によって算出された農作物の栽培当たりの炭素貯留量、温室効果ガス排出削減量の数値に基づいて農作物による環境改善貢献度をランク付けする機能を有する。環境改善貢献度は、複数の農用地の評価結果に基づいて相対的に評価してもよいし、炭素貯留量、温室効果ガス排出削減量の絶対値に基づいて、所定の水準を満たすか否かによって評価してもよい。
ポイント設定部122は、環境改善貢献度の高い順に農作物にポイントを付与する機能を有する。ポイント設定部122は、環境改善貢献度の高い順に、農作物の品種に応じて1個当たりのポイントを設定することができる。
5.炭素貯留評価システムの機能的な構成
図5は、炭素貯留農業評価システムが、第1のサーバ102と第2のサーバ106との間で送受される情報の内容を示す。
農業支援事業者202から提供されたバイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材の試料は、炭素貯留農業推進事業者200によって分析される。分析では、バイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材の風乾前固形分、風乾後固形分、難分解性有機炭素、共用試料中窒素濃度に関するデータが取得される。これらのデータは、第1のサーバ102により第1のストレージ104に記憶される。第1のサーバ102は、これらのデータに基づいてバイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材の適正肥料情報を第2のサーバ106に提供する。適正肥料情報には、バイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材の耕作単位面積当たりの適正施肥量に関する情報が含まれる。第2のサーバ106は、適正施肥情報を農業事業者206に提供する。
農業支援事業者202は、農業事業者206から、生産物(農産物)の生産に関する情報を取得する。農業事業者206から提供される生産物(農産物)の生産に関する情報には、施肥に関する情報、収穫品目に関する情報、収穫量に関する情報、栽培期間に関する情報、耕作地に関する情報が提供される。施肥に関する情報には、施肥をした肥料の種別(バイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材の施肥量、窒素肥料の区別)、施肥をした肥料の施肥量に関する情報が含まれる。収穫品目に関する情報には、生産物(農産物)の品目(レタス、キャベツ、米、芋等)に関する情報が含まれる。収穫量に関する情報には、その収穫品目の収穫量に関する情報が含まれる。栽培期間に関する情報には、その収穫品目の栽培日数(例えば、5月1日から7月30日迄91日間)、季節といった情報が含まれる。耕作地に関する情報には、水田、畑地の種別といった情報が含まれる。
農業事業者206から提供されるこれらの情報は、農業事業者206の端末から第2のサーバ106に提供されてもよい。第2のサーバ106はこれらの情報を第2のストレージ108に記憶する。例えば、第2のサーバ106は、農業事業者206から提供された情報を、窒素肥料施用量、窒素肥料中窒素濃度、供試肥料施用量、水田湛水期間、収穫品目、収穫量に関する情報として第2のストレージ108に記憶する。窒素肥料施用量及び窒素肥料中窒素濃度に関する情報は、農業事業者206がバイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材とは別に施肥した肥料の情報であり、具体的には窒素肥料(化学肥料)の使用に関する情報である。窒素肥料は市販品であり、その種目を知ることで窒素肥料中の含有窒素濃度を知ることができる。供試肥料施用量に関する情報は、農業支援事業者202から提供されたバイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材の使用量に関する情報である。水田湛水期間に関する情報は、耕作地が水田である場合に、農用地から放出されるメタン(CH)量を考慮するために記録するデータである。
また、第2のストレージには、農業支援事業者202が農業事業者206にバイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材を販売したときの販売価格、生産物(農産物)の買い取り価格に関する情報が記録されていてもよい。これらの情報は、生産物(農産物)にポイントを付与するときに使用することができる。
第2のサーバ106は、窒素肥料施用量、窒素肥料中窒素濃度、供試肥料施用量、水田湛水期間、収穫品目、収穫量に関する情報を第1のサーバ102に提供する。第1のサーバ102は、これらの情報に基づいて、温室効果ガス削減量、土壌炭素貯留量を算出する。算出に当たっては、水田NO排出係数、NO温室効果係数、水田NO抑制率、CH温室効果係数、水田CH排出係数、水田CH抑制率等の値を使用する。これらの値は規定値であり、第1のストレージ104に保されていてもよいし、計算プログラムの中に組み込まれていてもよい。
第1のサーバ102は、温室効果ガス削減量、土壌炭素貯留量に関する情報から農用地の評価(ランク付け)を行うことができ、第2節で説明したようなポイントを算出することができる。農用地の評価、ポイントに関する情報は第2のサーバ106に提供される。
第2のサーバ106は小売業者208の端末に、農業事業者206に関する情報、生産値、施肥された肥料に関する情報を提供することができる。また、第2のサーバ106は小売業者208の端末に、ポイントプログラムサービスで提供する生産物(農産物)のポイントに関する情報を提供することができる。
6.炭素貯留評価システムにおける処理の流れ
図6は、第1のサーバ102によって行われる炭素貯留農業を評価するときの処理の流れを示す。ここでは、炭素貯留農業は行われる農用地の温室効果ガスの削減量を評価する方法について示す。
最初にバイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材の成分の分析が行われる(S200)。この分析によりバイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材に含まれる難分解性有機炭素量の割合が求められる(S202)。分析されたデータは第1データDA1として第1のストレージ104に格納される。
次に、農用地の種別、面積、施肥情報を取得する(S204)。農用地の種別には水田及び畑地を区別するための情報が含まれ、施肥情報には農用地に施肥された肥料とその施肥量に関する情報が含まれる。農用地に施肥される肥料には、バイオ炭又はバイオ炭を含む土壌改良資材、窒素肥料(化学肥料)、堆肥等が含まれ、施肥情報にはこれらを区別する情報が含まれる。このステップS204では、第1のサーバ102が第2のサーバ106にアクセスし第2のストレージから第2データDA2を取得することにより行われる。
農用地に応じた温室効果ガス排出係数を設定する(S206)。第2のサーバ106から取得した農用地の種別(水田、畑地)に応じて温室効果ガス排出係数を設定する。この係数は、例えば、地球温暖化対策地域推進計画策定ガイドラインに掲載されている既定値を用いることができ、既定値は第1のサーバ102が保持していてもよいし、第1のストレージに記憶されていてもよい。
難分解性有機炭素の割合から二酸化炭素(CO)の削減量を算出する(S208)。
次に、取得されたデータに窒素肥料施肥量が含まれている場合その施肥量に含まれる窒素の割合から一酸化二窒素NOの削減量を算出する。また、農用地の種別が水田の場合、CHの排出量を算出する(S210)。
そして、農用地の種別、面積、施肥情報に関するデータ、及びステップS206からS210で取得され又は算出されたデータを用いて、農用地の温室効果ガス削減量を算出する(S212)。
上記までの段階で、農用地で炭素貯留農業が行われたことによる温室効果ガスの削減量を評価することができる。さらに、温室効果ガスの削減量に基づいて農用地にポイントを設定してもよい(S214)。そして、第1のサーバ102は、その農用地で生産された生産物(農産物)の生産量に関する情報(第3データDA3)を第2のサーバ106を経由して第2のストレージ108から取得し(S216)、設定したポイントを生産物(農産物)にポイントを付与してもよい(S218)。
第1のサーバ102は、図6に示す処理により、炭素貯留農業における温室効果ガスの削減量を評価することができる。また、第1のサーバ102は農用地の温室効果ガスの削減量に基づいて生産物(農産物)にポイントを付与して、ポイントサービスプログラム(ロイヤリティプログラム)を実行することができる。
7.データ処理部の機能的な構成
図7は、図4に示す第1のサーバ102におけるデータ処理部118の機能的な構成を示す。データ処理部118は、鉄含有量判定部124、施肥肥料判定部126、窒素含有判定部128、耕作地判定部130、施肥量情報取得部132、計算処理部134を含む。データ処理部118には、図4に示す第1データDA1、第2データDA2、及び第3データDA3が入力され、演算処理が実行される。データ処理部118は、上記の各部が有機的に連携して図6に示すS208~S218の各処理が行われる。
鉄含有量判定部124は、バイオ炭を含む土壌改良資材の特性を示す第1データDA1の中からバイオ炭を含む土壌改良資材に鉄が含有しているか否かを判断する。施肥肥料判定部126は、第1データDA1を参照して、バイオ炭を含む土壌改良資材に堆肥が含まれるか否かを判断する。窒素含有判定部128は、農用地においてバイオ炭を含む土壌改良資材の施用量、農用地の種別及び面積、並びに施肥された肥料の種類及び施肥量を含む第2データDA2から、農用地に施肥された肥料に窒素を含む肥料が含まれているか否かを判断する。耕作地判定部130は、第2データDA2から耕作地に種別(水田又は畑地)を判断する。施肥量情報取得部132は、第2データDA2から農用地の面積、農用地への施肥量、バイオ炭を含む土壌改良資材の固形分の量、窒素を含む肥料が施肥された場合の施肥量のデータを取得する。
計算処理部134は、鉄含有量判定部124、施肥肥料判定部126、窒素含有判定部128、及び耕作地判定部130の判定結果、施肥量情報取得部132で取得したデータに基づいて、農用地あたりの二酸化炭素の削減量を算出する。算出方法の一例として、はじめに、バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。こののち、バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量に、農用地の面積(施肥面積)、農用地への施肥量、およびバイオ炭を含む土壌改良資材の固形分の量を乗じる(かける)ことにより、農用地あたりの二酸化炭素の削減量を算出する方法がある。
計算処理部134において行われる計算方法は、バイオ炭を含む土壌改良資材の内容、窒素含有の有無、耕作地の種別により異なる。データ処理部118で行われる、バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量の計算処理方法の一例を図8及び図9を参照して説明する。
8.データ処理部における処理の内容
図8及び図9は、データ処理部118がバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出するときに行われる処理の流れを示す。データ処理部118には、第1データDA1、第2データDA2、及び第3データDA3が入力され、図8及び図9に示す順番でデータの内容を判断してバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
まず、バイオ炭を含む土壌改良資材が鉄を含有するか否かを判断する(S301)。前述のように、バイオ炭を含む土壌改良資材には様々な種類があり、リン及び鉄が担持されたバイオ炭は鉄を1%以上含むが、それ以外のバイオ炭は鉄の含有量が1%以下である。そこで、バイオ炭を含む土壌改良資材の種類を判断するために鉄を含有するか否かを判断する。
鉄の含有量が1%以上であると判断された場合は、バイオ炭を含む土壌改良資材に堆肥が含まれるか否かを判断する(S303)。バイオ炭を含む土壌改良資材には堆肥が含まれるものと含まれないものがあるため、堆肥の有無を判断する。
バイオ炭を含む土壌改良資材に堆肥が含まれると判断された場合には、窒素を含む肥料の施用の有無を判断する(S305)。化学肥料の多くは窒素を含む。窒素を含む肥料を施用すると、窒素の一部が一酸化二窒素(NO)となって土壌から大気中に放出される。窒素を含む肥料の施肥の有無により、温暖化ガス排出削減量が変わってくるため、その施用の有無を判断する。
窒素を含む肥料の施肥が有りと判断された場合には、耕作地が水田であるか畑地であるかを判断する(S307)。水田と畑地では、大気中に放出される温暖化ガスの種類に違いがあることが知られている。例えば、水田では水を張ることにより土壌が還元状態になると、メタン生成菌の働きによりメタン(CH)が発生する傾向にある。一方、畑地では化学肥料や有機物として投入される堆肥に中に窒素が含まれており、一酸化二窒素(NO)となって大気に放出される傾向がある。
耕作地が水田であると判断された場合には、式(A)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(A):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+(供試試料中N含有率[%]+窒素肥料施用重量[t/ha]÷供試試料施肥重量[t/ha]×窒素肥料中N含有率[%])×水田NO排出係数[t-NO/t-N]×NO温室効果係数×水田NO抑制率[%]+水田CH排出係数[t-CH/ha]÷供試試料施肥重量[t/ha]×水田湛水期間[(月)]÷12×CH温室効果係数×水田CH抑制率[%]
耕作地が水田であると判断された場合には、式(B)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(B):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+(供試試料中N含有率[%]+窒素肥料施用重量[t/ha]÷供試試料施肥重量[t/ha]×窒素肥料中N含有率[%])×畑地NO排出係数[t-NO/t-N]×NO温室効果係数×畑地NO抑制率[%]
ステップS305で、窒素を含む肥料の施肥が無いと判断された場合には、次に耕作地が水田であるか畑地であるかを判断する(S309)。
耕作地が水田であると判断された場合には、式(C)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(C):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+供試試料中N含有率[%]×水田NO排出係数[t-NO/t-N]×NO温室効果係数×水田NO抑制率[%]+水田CH排出係数[t-CH/ha]÷供試試料施肥重量[t/ha]×水田湛水期間[(月)/12]×CH温室効果係数×水田CH抑制率[%]
耕作地が畑地であると判断された場合には、式(D)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(D):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+供試試料中N含有率[%]×畑地NO排出係数[t-NO/t-N]×NO温室効果係数×畑地NO抑制率[%]
ステップS303で、バイオ炭を含む土壌改良資材に堆肥が含まれないと判断された場合には、次に、窒素を含む肥料の施肥の有無を判断する(S311)。窒素を含む肥料の施肥が有りと判断された場合には、耕作地の判定を行う(S313)。
耕作地が水田であると判断された場合には、式(E)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(E):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+窒素肥料施用重量[t/ha]÷供試試料施肥重量[t/ha]×窒素肥料中N含有率[%]×水田NO排出係数[t-NO/t-N]×NO温室効果係数×水田NO抑制率[%]+水田CH排出係数「t-CH/ha」÷供試試料施肥重量[t/ha]×水田湛水期間[(月)/12]×CH温室効果係数×水田CH抑制率[%]
耕作地が畑地であると判断された場合には、式(F)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(F):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+窒素肥料施用重量[t/ha]÷供試試料施肥重量[t/ha]×窒素肥料中N含有率[%]×畑地NO排出係数[t-NO/t-N]×NO温室効果係数×畑地NO抑制率[%]
ステップS311で、窒素を含む肥料の施肥が無いと判断された場合には、次に耕作地が水田であるか畑地であるかを判断する(S315)。
耕作地が水田であると判断された場合には、式(G)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(G):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+水田CH排出係数[t-CH/ha]÷供試試料施肥重量[t/ha]×水田湛水期間[(月)/12]×CH温室効果係数×水田CH抑制率[%]
耕作地が畑地であると判断された場合には、式(H)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(H):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量
ステップS301で、鉄の含有量が1%未満であると判断された場合には、次に、堆肥のバイオ炭を含む土壌改良資材に堆肥が含まれるか否かを判断する(S302)。
バイオ炭を含む土壌改良資材に堆肥が含まれると判断された場合には、窒素を含む肥料の施用の有無を判断する(S304)。
窒素を含む肥料の施肥が有りと判断された場合には、耕作地が水田であるか畑地であるかを判断する(S306)。
耕作地が水田であると判断された場合には、式(I)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(I):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+(供試試料中N含有率[%]+窒素肥料施用重量[t/ha]÷供試試料施肥重量[t/ha]×窒素肥料中N含有率[%])×水田NO排出係数[t-NO/t-N]×NO温室効果係数×水田NO抑制率[率]
耕作地が水田であると判断された場合には、式(J)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(J):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+(供試試料中N含有率[%]+窒素肥料施用重量[t/ha]÷供試試料施肥重量[t/ha]×窒素肥料中N含有率[%])×畑地NO排出係数[t-NO/t-N]×NO温室効果係数×畑地NO抑制率[%]
ステップS304で、窒素を含む肥料の施肥が無いと判断された場合には、次に耕作地が水田であるか畑地であるかを判断する(S308)。
耕作地が水田であると判断された場合には、式(K)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(K):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+供試試料中N含有率[%]×水田NO排出係数[t-NO/t-N]×NO温室効果係数×水田NO抑制率[%]
耕作地が畑地であると判断された場合には、式(L)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(L):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+供試試料中N含有率[%]×畑地NO排出係数[t-NO/t-N]×NO温室効果係数×畑地NO抑制率[%]
ステップS302で、バイオ炭を含む土壌改良資材に堆肥が含まれないと判断された場合には、次に、窒素を含む肥料の施肥の有無を判断する(S310)。窒素を含む肥料の施肥が有りと判断された場合には、耕作地の判定を行う(S312)。
耕作地が水田であると判断された場合には、式(M)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(M):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+窒素肥料施用重量[t/ha]÷供試試料施肥重量[t/ha]×窒素肥料中N有率[%]×水田NO排出係数[t-NO/t-N]×NO温室効果係数×水田NO抑制率[%]
耕作地が畑地であると判断された場合には、式(N)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(N):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量+窒素肥料施用重量[t/ha]÷供試試料施肥重量[t/ha]×窒素肥料中N含有率[%]×畑地NO排出係数[t-NO/t-N]×NO温室効果係数×畑地NO抑制率[%]
ステップS311で、窒素を含む肥料の施肥が無いと判断された場合には、次に耕作地が水田であるか畑地であるかを判断する(S314)。
耕作地が水田であると判断された場合には、式(O)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(O):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量
耕作地が畑地であると判断された場合には、式(P)によりバイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。
式(P):
バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量=風乾前固形分[%]÷風乾後固形分[%]×難分解性有機炭素含有率[%]×CO分子量÷C分子量
以上のように、バイオ炭を含む土壌改良資材の種類、窒素を含む肥料の施肥の有無、耕作地を判断して、それぞれの場合に応じた計算式で、バイオ炭を含む土壌改良資材の1トン当たりの二酸化炭素の削減量を算出する。なお、各式に用いられるパラメータの内容は以下の通りである。
風乾前固形分[%]:FAMIC肥料分析法2018の4頁の記載に従った風乾処理前の固形分の割合を示す。
風乾後固形分[%]:FAMIC肥料分析法2018の4頁の記載に従った風乾処理後の固形分の割合を示す。
難分解性有機炭素含有率[%]:飼料分析法の酸性デタージェント繊維の分析法に準拠して、得られた炭素の含有率を示す。乾燥不要物のTOC(全体に対する炭素の含有量)から算出できる。
供試試料中N含有率[%]:堆肥を含む供試試料に含まれる窒素の割合を示す。
窒素肥料施用重量[t/ha]:1ヘクタール当たりに施肥する窒素肥料量を示す。
供試試料施肥重量[t/ha]:1ヘクタール当たりに施肥する供試試料の重量を示す。
窒素肥料中N含有率[%]:窒素肥料に含まれる窒素含有率を示す。
水田NO排出係数[t-NO/t-N]:水田に窒素肥料または/および堆肥に含まれる窒素1トンを施肥した場合に発生する一酸化二窒素の重量(トン)を示す。
O温室効果係数:NOの放出量をCOの放出量に換算する係数を示す。
水田NO抑制率[%]:施肥飼料にリン炭(多孔質構造を有する炭にリンと鉄が担持されたバイオ炭)を含ませることによって、水田から発生する総NO量を抑制する割合を示す。
水田CH排出係数[t-CH/ha]:水田1ヘクタールから発生するメタンの重量を示す。
水田湛水期間[(月)/12]:水田において湛水する期間を示す。
CH温室効果係数:CHの放出量をCOの放出量に換算する係数である。
水田CH抑制率[%]:施肥飼料にリン炭を含ませることによって、水田から発生する総CH量を抑制する割合を示す。
本発明の一実施形態に係る炭素貯留農業評価システムは、農林業の廃棄物、廃木材、食品廃棄物などの有機物(バイオマス)を炭素化したバイオ炭を生産し、生産されたバイオ炭を農用地に混入して炭素を土壌に貯留すると共に農産物を生産し、食料品として市場に流通させると共に、その過程で生成されたバイオマス原料を用いてバイオ炭を生成する循環型産業の普及に利用することができる。
102:第1のサーバ、104:第1のストレージ、106:第2のサーバ、108:第2のストレージ、110:第1の端末、112:第2の端末、114:第3の端末、116:データ取得部、118:データ処理部、120:データ評価部、122:ポイント設定部、124:鉄含有量判定部、126:施肥肥料判定部、128:窒素含有判定部、130:耕作地判定部、132:施肥量情報取得部、134:計算処理部、200:炭素貯留農業推進事業者、202:農業支援事業者、204:土壌改良資材生産者、206:農業事業者、208:小売業者、210:消費者、DA1:第1データ、DA2:第2データ、DA3:第3データ

Claims (12)

  1. バイオ炭を含む土壌改良資材の特性を示す第1データと、農用地において前記バイオ炭を含む土壌改良資材の施用量、前記農用地の種別及び面積、並びに施肥された肥料の種類及び施肥量を含む第2データと、前記農用地で栽培された農作物の品種及び収穫量を含む第3データと、を記憶装置から読み出すデータ取得部と、
    前記データ取得部が取得した前記第1乃至第3データを用いて前記農用地の炭素貯留量及び温室効果ガス排出削減量の一方又は両方を計算するデータ処理部と、を含む
    ことを特徴とする炭素貯留農業評価システム。
  2. 前記データ処理部は、前記農作物の栽培当たりの炭素貯留量及び温室効果ガス排出削減量の一方又は両方を計算する、請求項1に記載の炭素貯留農業評価システム。
  3. 前記農作物の栽培当たりの炭素貯留量及び温室効果ガス排出削減量の一方又は両方の数値に基づいて、前記農作物による環境改善貢献度をランク付けするデータ評価部を有する、請求項2に記載の炭素貯留農業評価システム。
  4. 前記環境改善貢献度の高い順に、前記農作物にポイントを付与するポイント設定部を有する、請求項3に記載の炭素貯留農業評価システム。
  5. 前記バイオ炭を含む土壌改良資材が、バイオ炭、又は、りんと鉄が担持されたバイオ炭である、請求項1に記載の炭素貯留農業評価システム。
  6. 前記バイオ炭を含む土壌改良資材が、さらに堆肥を含む、請求項5に記載の炭素貯留農業評価システム。
  7. 炭素貯留農業推進事業者の第1のサーバから提供される炭素貯留農業評価情報を提供する方法であって、
    前記第1のサーバが、バイオ炭を含む土壌改良資材の特性を示す第1データを第1データベースから読み出し、
    前記第1のサーバが、農業事業者又は農業支援事業者の第2サーバから、
    農用地において前記バイオ炭を含む土壌改良資材の施用量、前記農用地の種別及び面積、並びに施肥された肥料の種類及び施肥量を含む第2データ、及び
    前記農用地で栽培された農作物の品種及び収穫量を含む第3データ、
    を電気通信回線を介して取得し、
    前記第1のサーバが、前記第1乃至第3データを用いて前記農用地の炭素貯留量及び温室効果ガス排出削減量の一方又は両方を計算し、
    前記第1のサーバが、前記計算で得られた情報を、前記第2サーバに電気通信回線を介して提供する
    ことを特徴とする炭素貯留農業評価情報の提供方法。
  8. 前記第1のサーバが、前記農作物の栽培当たりの炭素貯留量及び温室効果ガス排出削減量の一方又は両方の情報を、前記第2サーバに電気通信回線を介して提供する、請求項7に記載の炭素貯留農業評価情報の提供方法。
  9. 前記第1のサーバが、前記農作物の栽培当たりの炭素貯留量及び温室効果ガス排出削減量の一方又は両方の情報に基づいて、前記農作物による環境改善貢献度をランク付けしたデータを、前記第2サーバに電気通信回線を介して提供する、請求項7に記載の炭素貯留農業評価情報の提供方法。
  10. 前記第1のサーバが、前記環境改善貢献度の高い順に、前記農作物にポイントを付与し、前記第2サーバに電気通信回線を介して提供する、請求項9に記載の炭素貯留農業評価情報の提供方法。
  11. 前記バイオ炭を含む土壌改良資材が、バイオ炭、又は、りんと鉄が担持されたバイオ炭である、請求項7に記載の炭素貯留農業評価情報の提供方法。
  12. 前記バイオ炭を含む土壌改良資材が、さらに堆肥を含む、請求項11に記載の炭素貯留農業評価情報の提供方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024009586A1 (ja) * 2022-07-08 2024-01-11 株式会社Towing 情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び情報処理システム

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