JP2022151452A - 回転体のバランス測定装置とこのバランス測定方法 - Google Patents

回転体のバランス測定装置とこのバランス測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回転体である例えば、自動車エンジンに搭載される過給器用のターボチャージャーインペラを、広領域回転にわたってエアー浮遊状態にて高精度にバランス測定する装置と測定方法の技術に関する。【解決手段】回転体1を備える回転軸1aの両端部を浮遊支持する一対のエアー軸受部3,4と、上記エアー軸受部をサーボモータSM1で昇降移動するフレーム12と、他方のエアー軸受部4は固定されたフレーム12に回転自在に支持され、上記軸受部の片側を回転駆動する回転駆動部Dと、上記回転軸の回転速度を検出する回転検出部LSと、上記回転軸の回転振れを検出する振れ検出部LS1,LS2と、上記両エアー軸受部間の拡縮手段部と、上記回転検出部と振れ検出部からの検出値により回転体の回転速度に対応した芯振れ計算の処理表示部CPUと、表示器DSを備えたバランス測定装置100である。【選択図】図1

Description

本発明は、高速回転する回転体である例えば、自動車エンジン他に搭載される過給器用のターボチャージャーインペラ(以下、ターボファンと言う)の主体となるターボファンの広領域回転にわたるバランス測定技術に係り、特に、排ガスで高速回転駆動されるターボファンのバランス測定、及び吸気ファンと排ガス側のターボファンが1つのシャフトに取り付けた状態でのバランス測定装置とこの測定方法に関する。
従来、ターボファンは、自動車用エンジンの過給器やジェットエンジンの過給器他に数多く使用されている。上記ターボファンは、自動車用エンジンの過給器他において、その回転数は低速域から10,000rpm以上の広域に亘る全回転域にわたり、バランス良く回転することが切望されている。この要求を満たすべく、ターボファンの製造工程において、ターボファンのバランス取りが必須であるから、バランス測定装置及びバランス修正装置が多く提供されている。
先ず、特許第5773126号公報の目的は、回転体のバランス調整時における作業性の向上及び作業時間の短縮を実現した上で、回転体のバランス調整を高い精度で行い得るバランス修正装置及びバランス修正方法を提供する。この構成は、単体回転体Tのバランスを修正するバランス修正装置1であり、回転軸CLを鉛直方向に沿わせた単体回転体Tを支持する回転体支持部2と、回転体支持部2に高圧空気を供給して回転体支持部2に支持された単体回転体Tをフローティング状態で回転させる気体供給部3と、回転する単体回転体Tのバランスを測定するバランス測定部4と、回転する単体回転体Tに対してレーザLを照射する2個のレーザヘッド5,5と、バランス測定部4からの測定結果に基づいて、レーザヘッド5,5を動作させてアンバランスを生じさせている単体回転体Tのボス部TB及び排気側ロータTDの余剰箇所BP,DPにレーザLをパルス状に照射して除去する制御部6を備えたものである(特許文献1)。
また、特許第5415601号公報は、高い精度で、支持孔の一部を多角形状にした被回転体のアンバランスの計測が行えるバランス修正用支承装置である。その構成は、多角形の断面形状に形成された部分26を端側に有する被回転体1の支持孔22が装着されるマンドレル11の外周面のうち、支持孔22の多角形の断面形状部分26aに臨む地点に、被回転体1の回転にしたがい多角形の断面形状部分26aとマンドレル11の外周面との間の空間内で変動する圧力を外部へ逃がす逃し孔38を設けた。同構成により、アンバランス(動的不釣合い)を計測する際、支持孔22の多角形の断面部分26aとマンドレル11の外周面との間の空間内で生ずる圧力変動は、逃し孔38を通じて、外部へ逃げる。このため、スクイーズを要因とした、支持孔22の多角形状の断面部分26aとマンドレル11の外周面間における圧力変動が抑えられるものである(特許文献2)。
また、特開2015-184086号公報は、過大なアンバランス量を生じる場合でも、高い精度で被回転体のアンバランス量の計測を可能としたバランス修正用支持装置である。その構成は、回転中心と交差する方向に端面23aを有し、当該端面の回転中心部には支持穴29を有した被回転体1が、支持穴との嵌め込みにより鉛直方向から挿入される縦形のマンドレル17と、マンドレルの外周面に設けられ、マンドレルの外周面から噴出される流体により被回転体の支持穴内面を回転自在に受ける流体ラジアル軸受37と、マンドレルの周りに配置され、被回転体の端面に流体を噴出させ被回転体を浮上させる流体スラスト軸受47と、を有するものである(特許文献3)。
また、特開2005-308538号公報は、ロータの想定される最低回転数から最高回転数までの回転数における不釣合いを修正し、釣合い修正したと仮定したときの各回転数における残留振動を予測して修正評価を容易に判別する釣合い試験機である。
その構成は、ロータ2を保持する保持部材を有して任意の回転数で駆動されるロータ保持装置3と、回転数を検出する回転数検出器4と、軸方向位置の一又は複数の個所で当該位置における不釣合い振動を検出する振動検出器5と、回転数検出器と振動検出器とで予め設定した任意の回転数ごとのロータの不釣合い振動を計測し、この計測結果を基に予め設定したロータの軸方向特定位置(修正面)に付加する又は削除する修正重りを計算する一方、この修正重りを修正面に付加又は削除したと仮定したときの各回転数毎との残留振動を予測するとともに、修正重りを修正面に取付ける重量と位相角として表示する制御装置6とを有する釣合い試験機である(特許文献4)。
特許第5773126号公報 特許第5415601号公報 特開2015-184086号公報 特開2005-308538号公報
上記特許文献1の特許第5773126号公報は、被回転体のバランス修正装置及びバランス修正方法で、本発明の回転体のバランス測定装置とこのバランス測定方法とは、測定すべき回転体Tは略同一であるものの回転体を支持する支持部の構成が全く異なる。即ち、特許第5773126号公報は、不安定なエアー浮上式でメカ的な支持部が無く不安定で軸芯振れを起こしている。これに対して、本発明の回転体のバランス測定装置は、回転体の両端部をエアー浮遊式の支持部材で回転自在に支持し、該支持部材の慣性質量を極限まで低減させた構成である。即ち、上記特許第5773126号公報のエアー浮上式では、アンバランス時の回転体の振動が共振的な挙動となり、回転体の正確な芯振れ値を検出できない問題が残存している。
また、特許文献2の特許第5415601号公報は、バランス修正用支承装置であって、回転体1の支持孔22をマンドレルで支持し、この隙間に圧力気体を供給するものであり、本発明における回転体の支承手段には、全く採用出来ず本発明の回転体のバランス測定装置とは全く異なる技術である。
また、特許文献3の特開2015-184086号公報は、上記特許第5415601号公報のバランス修正用支承装置と全く同一技術であり、本発明における回転体の支承手段には、全く適用出来ず本発明の回転体のバランス測定装置とは全く異なる技術である。
また、特許文献4の特開2005-308538号公報は、立型の釣合い試験機である。この釣合い試験機は、本発明の回転体のバランス測定装置とこのバランス測定方法とは、全く異なる技術思想であり、この技術思想を適用しても、本発明の構成に至らない。
本発明は、上記各特許文献では解決されていない問題点や課題を解決すべく、成されたものである。特に、排ガスで高速回転駆動される排ガス側のターボファン単独のバランス測定し吸気ファンと排ガス側のターボファンが1つのシャフトに取り付けたアッセンブリーの状態でのバランス測定を可能としたバランス測定装置とこの測定方法を提供するものである。
(1)具体的には、ターボファンである回転体の支持軸がバランス測定時の低速から高速回転時に発生する芯ブレの乱動する挙動に対し、その芯ブレを抑制して安定して支持でき、この安定状態での軸芯ブレを高精度に計測できるようにした。
(2)更に、回転体となるターボファンの形態は、支持軸に一つのターボファンが設けられた状態でも、吸気ファンと排ガス側のターボファンが1つのシャフトに取付けた状態でも、支持軸から外されたターボファン単体の状態でも、上記支持軸の長さ寸法が異なっても、支持軸が無くても、安定にして高精度のバランス測定を保証できる。
(3)回転体となるターボファンの低速から高速回転領域までの全域にわたり、駆動側と従動側との駆動系を非接触式とし、両駆動系間での振動・ノイズ等の外乱伝達を完全排除する事に成功した。
(4)回転体となるターボファンの軸芯ブレの最大箇所となる支持軸の先端箇所での軸芯ブレ測定を可能とした。等々である。
本発明の請求項1の回転体のバランス測定装置は、低速から高速回転領域まで回転する回転体のバランス測定装置であって、上記回転体を備える回転軸の両端部をエアー圧で浮遊支持する一対のエアー軸受部と、上記エアー軸受部の片側はサーボモータで昇降移動するフレームと他方のエアー軸受部は固定したフレームに回転自在に支持され、上記軸受部の片側を回転駆動する回転駆動部と、上記回転軸の回転速度を検出する回転検出部と、上記回転軸の回転振れを検出する軸芯振れ検出部と、上記両エアー軸受部間で把持する回転体の拡縮手段部と、上記回転検出部と軸芯振れ検出部からの検出値により回転体の回転速度に対応した軸芯振れを計算処理する処理表示部と、を備えたことを特徴とする。
請求項2は、上記請求項1の回転体のバランス測定装置において、上記エアー軸受部は、機体の上下に配置した各フレームに設けた軸受穴に対して、鍔付嵌合軸はその外周を僅かな空隙で遊嵌合されるとともに軸受穴に明けた複数の小孔からのエアー圧で浮遊支持され、該上下鍔付嵌合軸の相互に対面した回転中心にテーパー軸突端を有し、少なくとも片側のフレームを昇降させることで上記鍔付嵌合軸のテーパー軸突端が離反し、この離反又は接近により回転体の回転軸のセンター孔とテーパー軸突端が系脱し合う構成としたことを特徴とする。
請求項3は、上記請求項1の回転体のバランス測定装置において、上記エアー軸受部は、機体の上下に配置した各フレームに設けた軸受穴に対して、鍔付嵌合軸はその外周面にベアリングを介した鍔付嵌合筒の外周を僅かな空隙で遊嵌合されるとともに軸受穴に明けた複数の小孔からのエアー圧で浮遊支持され、該上下鍔付嵌合軸の相互に対面した回転中心にテーパー軸突端を有し、少なくとも片側のフレームを昇降させることで上記鍔付嵌合軸のテーパー軸突端が離反し、この離反又は接近により回転体の回転軸のセンター孔とテーパー軸突端が系脱し合う構成としたことを特徴とする。
請求項4は、上記請求項1の回転体のバランス測定装置において、上記回転駆動部は、固定したフレームに回転自在に支持された鍔付嵌合軸の開放側に付設する面板の周囲に磁石を列設し、上記円板の軸芯に軸芯合せしたサーボモータで回転する駆動円板の円周上に磁石を列設させ、上記サーボモータの回転制御による駆動円板上のマグネットを介して負荷側となる鍔付回転軸を磁気継手で回転制御する構成としたことを特徴とする。
請求項5は、上記請求項1の回転体のバランス測定装置において、上記回転駆動部は、上記回転体であるタービンフィンに対して、該タービンフィンを支持する回転軸の少なくとも一つの対称位置に、タービンフィン回転方向にノズル孔を向けた駆動用噴射筒と、タービンフィン逆回転方向にノズル孔を向けた制動用噴射筒とを配置し、圧縮空気供給部からの圧縮空気圧とその空気量を一定のもとに上記駆動用噴射筒及び制動用噴射筒のノズル孔方向をタービンフィンの軸心側又は外径側に相反回動制御させることでタービンフィンを低速から高速まで回転制御することを特徴とする。
請求項6は、上記請求項5の回転体のバランス測定装置において、上記回転駆動部は、上記回転体であるタービンフィンに対して、該タービンフィンを支持する回転軸の少なくとも一つの対称位置に、タービンフィン回転方向とタービンフィン逆回転方向にV字状に向けた2つのノズル孔を持つエアー噴射筒を各々旋回可能に配置し、圧縮空気供給部からの圧縮空気圧とその空気量を一定のもとに各エアー噴射筒を、タービンフィン外径方向又はタービンフィン軸心方向に旋回制御させることでタービンフィンを低速から高速まで回転制御することを特徴とする。
請求項7の回転体のバランス測定方法は、上記各回転体のバランス測定装置において、回転体は、上記回転駆動部により低速回転から高速回転領域迄回転制御され、上記回転体の回転速度は回転検出部の回転計で回転検出し、上記回転体の回転振れは軸振れ検出部のレーザ変位計で軸芯ブレ検出し、上記回転検出部と軸芯振れ検出部からの各検出値を入力する処理表示部は回転体の回転速度に対応する軸芯振れを計算処理するとともに表示器に表示することを特徴とする。
本発明の請求項1による回転体のバランス測定装置によると、特に、エアー軸受部の一方が昇降移動するから、排気側の高速回転駆動するターボファンだけのバランス測定と、吸気ファンと排ガス側のターボファンが1つのシャフトに取り付けたアッセンブリーの状態でも、即ち、回転体のあらゆる形態でのバランス測定が簡潔にして、高精度に測定できる。
本発明の請求項2と3のエアー軸受部によると、上下鍔付嵌合軸の相互に対面した回転中心にテーパー軸突端を有し、少なくとも片側のフレームを昇降させることで上記鍔付嵌合軸のテーパー軸突端が接近又は離反し、この接近又は離反により回転体の回転軸のセンター孔とテーパー軸突端が系脱し合うから、回転体の軸部の長さが異なっても回転体を円滑に着脱でき、且つ高精度に回転支持できる。特に、請求項3のエアー軸受部は、ベアリングを介在させているから、鍔付嵌合軸の一層の軽量化と円滑回転が保証される。
本発明の請求項4の回転駆動部は、磁気継手で鍔付回転軸を回転制御するから、鍔付回転軸に対する機械的な拘束が無く、回転体に対する外部振動となる外乱が伝達すること無くバランス測定精度を高められる。
本発明の請求項5の回転駆動部は、回転体であるタービンフィン(ターボチャージャーインペラ)を支持する回転軸の対称位置に、タービンフィン回転方向に向けた駆動用のノズル孔の駆動用噴射筒と、制動方向に向けたノズル孔の制動用噴射筒を配置したから、圧縮空気供給部からの圧縮空気圧とその空気量を一定のもとに上記駆動用噴射筒及び制動用噴射筒のノズル孔方向をタービンフィンの軸心側又は外径側に相反回動制御させることでタービンフィンを低速から高速まで円滑且つ繊細に回転制御できる。
本発明の請求項6の回転駆動部は、タービンフィンを支持する回転軸の少なくとも一つの対称位置に、タービンフィン回転方向とタービンフィン逆回転方向にV字状に向けた2つのノズル孔を持つエアー噴射筒を各々旋回可能に配置したから、圧縮空気供給部からの圧縮空気圧とその空気量を一定のもとにエアー噴射筒を、タービンフィン回転方向又はタービンフィン制動回転方向に旋回制御することで、タービンフィンを低速から高速まで円滑且つ繊細に回転制御できる。
本発明の請求項7の回転体のバランス測定方法は、回転体に対して、回転駆動部が低速回転から高速回転領域迄回転制御でき、上記回転体の回転速度は回転検出部で回転検出し、上記回転体の回転振れは振れ検出部のレーザ変位計でバランス検出し、上記回転検出部と振れ検出部からの各検出値を入力する処理表示部により回転体の回転速度に対応する芯振れを計算処理するとともに表示器に表示できる。
しかして、回転体は、その回転軸の両端を一対のエアー軸受部で支持されているから、低速回転域から高速回転域まで安定し、低速回転域から高速回転域までの全域のバランス測定が高精度に保証できる。
本発明の第1実施形態を示し、回転体のバランス測定装置の全体正面図である。 本発明の第1のエアー式回転駆動部の平面図である。 本発明の第2のエアー式回転駆動部の平面図である。 本発明の第2実施形態を示し、回転体のバランス測定装置の全体正面図である。 本発明のバランス測定方法のフローチャート図である。 本発明のバランス測定装置で、回転体のみ及び1対の回転体からなるバランス測定装置の断面図である。
以下、図1乃至図6を参照して本発明の各実施の形態となるバランス測定装置とそのバランス測定方法を順次説明する。
本発明の第1の実施形態となる回転体のバランス測定装置100とこのバランス測定方法について、図1~図6で示す。
先ず、図1において、回転体のバランス測定装置100は、低速から高速回転領域にわたり回転する回転体(ターボチャージャーインペラ)1の回転バランスを測定する。
このバランス測定装置100の機体Kは、基盤10と、この左隅に垂直姿勢に固立したガイドバー11と、このガイドバーの下側に固着した固定フレーム12と上側に昇降自在に嵌合させた昇降フレーム13と、この昇降フレーム13を高精度に昇降移動させるべく、機体Kの基盤10に付設したブラケットBに昇降サーボモータSM1の回転軸Sにボールネジ棒BSが連結し、この先端側がガイドバー11に嵌る昇降フレーム13内のナットNに螺合している。しかして、NC制御装置による昇降サーボモータSM1の回転軸Sの回転制御量により、昇降フレーム13の昇降位置が繊細に制御される。
上記回転体1の回転軸1aの両端部(円錐穴)1b,1cは、エアー供給部EKのエアー圧Eで浮遊支持される一対のエアー軸受部3,4に回転自在に支持される。上記エアー軸受部3,4の構成は、図1に示す。上記エアー軸受部3はサーボモータSM1で下上移動する昇降フレーム13の先端部に設けた支持穴13aと、また他方のエアー軸受部4は固定フレーム12の支持穴12aに回転自在にエアー圧Eで浮遊支持されている。
更に、電気制御系E0には、上記エアー軸受部4を回転駆動するとともに上記回転体1を低速から高速回転させる回転駆動部Dと、上記回転体1の回転速度を検出するレーザ式の回転検出部LSと、上記回転体1の回転軸1aの回転振れを検出するレーザ変位計の振れ検出部LS1,LS2と、上記両エアー軸受部3,4間の拡縮手段部EBは、上記サーボモータSM1で下上移動する昇降フレーム13である。上記回転検出部LSと振れ検出部LS1,LS2からの検出値±Vにより回転体1の回転速度Vに対応した芯振れの計算処理部CPUとその表示部DSと、を備えたものである。
続いて、上記両エアー軸受部3,4の詳細を説明する。図1において、上記エアー軸受部3,4は、機体Kの上下に配置した各フレーム12,13に設けた軸受穴13a,14aに対して、鍔付嵌合軸3a,4aの外周を僅かな空隙Xで遊嵌合されるとともに軸受穴13a,14aに明けた複数の小孔hからのエアー圧Eで浮遊支持される。上下鍔付嵌合軸が相互に対面する回転中心には、円錐状のテーパー軸突端3d,4dを有し、少なくとも片側のフレーム13を昇降させることで、上記鍔付嵌合軸3a,4aのテーパー軸突端3d,4dが離反し、この離反又は接近により回転体1の回転軸1aのセンター孔1b,1cとテーパー軸突端3d,4dが系脱し合う構成になっている。尚、エアー軸受部3,4は、その両端部に鍔3b,3cと4b,4cを持つので、軸受穴13a,14に嵌合時には片側の鍔3b,4cを外し、嵌合後に嵌めれば良い。
上記バランス測定装置100における回転体1の磁気式の回転駆動部Dは、固定したフレーム12に回転自在に支持された鍔付嵌合軸4aの下端円板4Cに付設したマグネットMと回転用のサーボモータSM1の駆動円板5に付設したマグネットMにより構成している。
更に、図2のエアー回転駆動部ED1は、駆動用噴射筒T1と制動用噴射筒T2とを各々45°の円周上に配置されていて、加速ノズルN1と減速ノズルN2を正対すれば、エアーEが出ていても、回転トルクは打消し合って回転出来ず、加速ノズルN1を外径側へ減速ノズルN2を内径側に回動させて行けば、ブレーキトルクが減少し回転を始め、加速することとなる。
続いて、図3に示すエアー回転駆動部ED2は、上記駆動用噴射筒T1と制動用噴射筒T2との本数を一対に簡素化したもので、各噴射筒T3は回転軸1aを挟んだ対称位置に配置されている。上記噴射筒T3には、加速ノズルN1と減速ノズルN2がV字状に設けられている。各ノズルは、図示の如く回転軸1a方向に対して均等な偏向方向から各噴射筒T3を正転すれば、加速ノズルN1がフインFの外径側に向き、減速ノズルN2が内径側の回転軸1aの方向に連動して向けられる。
しかして、加速ノズルN1と減速ノズルN2には、同じ流量のエアーEが一斉に噴出される。ここで、上記両方のノズルN1,N2を、インペラ翼部Fの中間点に当たる様にすれば、回転加速と回転減速のトルクが拮抗して回転駆動は起きない。各噴射筒T3を一斉に同じ方向に回動すれば回転体1は回動側へ回転加速し、反対側へ回動すれば回転減速するとともに、ついには逆転する形態に回転制御される。しかして、コンベンショナル方式の駆動方法とも採用が可能である。即ち、ワークの支持方式如何に関わらずメリットが出せる。
再度、説明すれば、上記回転駆動部ED1は、上記回転体1であるインペラ翼部のタービンフィンFに対して、該回転体を支持する回転軸1aの少なくとも対称位置に、回転体の回転方向にノズル孔N1を向けた駆動用噴射筒T1と、逆回転方向にノズル孔N2を向けた制動用噴射筒T2とを配置し、圧縮空気供給部EKからの圧縮空気圧とその空気量を一定のもとに上記駆動用噴射筒T1及び制動用噴射筒T2のノズル孔N1,N2方向を軸心側又は外径側に相反回動制御することで、回転体は低速から高速域まで回転制御できる。
又、上記回転駆動部ED2は、上記回転体1のインペラ翼部であるタービンフィンFに対して、該タービンフィンを支持する回転軸1aの少なくとも一つの対称位置に、回転体1の正転方向と逆回転方向に向けたV字状の2つのノズル孔N1,N2を一体化した空気噴射筒T3を旋回可能に配置し、圧縮空気供給部からの圧縮空気圧とその空気量を一定のもとにエアー噴射筒を、タービンフィン回転方向又はタービンフィン逆回転方向に旋回制御し、回転体1は低速から高速域まで回転制御できる。
以上のように、上記第1実施態様例は、その構成により最良のバランス測定機能を発揮している。そこで、更に、改善を図るべく、図4に示す本発明の第2実施態様では、上記両エアー軸受部3,4の構成変更を図ったものである。両エアー軸受部3,4において、セラミック製の軽量ベアリングB0を嵌合軸3a,4aに嵌め、この軽量ベアリングB0の外輪に、鍔付筒体3e,4eを介在させることで、鍔付嵌合軸3a,4aの一層の軽量化と円滑回転を保証している。
しかして、各フレーム12,13に設けた軸受穴12a,13aに対して、鍔付嵌合軸3a,4aの外周面に軽量ベアリング(セラミック製他)B0を介した鍔付筒体3e,4eの外周を、僅かな空隙Xで遊嵌合されるとともに軸受穴12a,13aに明けた複数の小孔hからのエアー圧Eで浮遊支持されている。その他の構成は、上記第1実施例のバランス測定装置100と、同一構成であるから、同一符号を付して詳細説明を省略する。
以上のように、両エアー軸受部3,4内に、軽量ベアリングB0を介在させることで、両エアー軸受部3,4の一層の軽量化と円滑回転が保証され、より一層のバランス測定精度が向上する作用・効果が得られた。
続いて、上記回転体のバランス測定装置100,200の測定方法とそれによる測定委作用は、図5のフローチャートを参考にして説明する。
上記回転体1は、回転駆動部となるエアー軸受部3,4により低速回転から高速回転領域迄回転制御される。先ず、上記回転体1の「回転速度は回転検出部の回転計LSで回転検出し」(イ)、上記回転体の回転振れは振れ検出部のレーザ変位計LS1,LS2でバランス検出し」(ロ)、上記回転検出部と振れ検出部からの「各検出値±Vを入力する処理表示部CPUは回転体の回転速度に対応する芯振れを計算処理するとともに表示器でDSに表示」(ハ)が順次に実施され、回転体のバランス測定方法が実行される。ここで、規格内なら「良品選出」(ニ)になり「エンド」となる。
規格外なら「不良品選別」(ホ)に選別される。この不良品の回転体1は、「バランス修正工程」(ヘ)を行い、「再測定」(ト)を繰り返す。
上記の如く、不良品となった回転体1は、図5のように、バランス修正工程で、過剰ウェイト箇所を切削排除し、再度のバランス測定を行う。このバランス修正工程は、良品となる迄、繰り返し行われる。しかして、上記バランス測定装置100,200によれば、回転体1に対して、その測定時に回転軸1aの両端を支持しているから、低速回転域から高速回転域まで安定したバランス測定が高精度に測定でき、回転体を素早く良品に仕上げられる。
更に、回転体1は、図6の如く、回転軸1aの無い回転体1のタービンフィンFのインペラ翼部においても、また、回転軸1aの両端に二つの回転体1のタービンフィンFのインペラ翼部においても、上側のエアー軸受部3を昇降フレーム13の下降動により、タービンフィンFの両端を任意寸法で支持可能となる。しかして、このタービンフィンFにおけるバランス測定も可能となる。尚、図1と同一符号を付して構成の詳細は省略する。
以上の如く、本発明のバランス測定装置100,200によれば、排ガスで高速回転駆動される排ガス側のターボファンだけのバランス測定と、回転軸に取付けられたターボファンだけのバランス測定と、吸気ファンと排ガス側のターボファンとが1つのシャフトに取り付けたアッセンブリーの状態でのバランス測定が多様に可能となる作用・効果が発揮される。
再度、本発明のバランス測定装置100,200の効果を列記すれば、
(1)ターボファンである回転体の支持軸がバランス測定時の低速から高速回転時に発生する芯ブレの乱動する挙動に対し、その芯ブレを抑制して安定して支持でき、この安定状態での芯ブレを高精度に計測できる。
(2)更に、回転体となるターボファンの形態は、支持軸に一つのターボファンが設けられた状態でも、吸気ファンと排ガス側のターボファンが1つのシャフトに取付けた状態でも、支持軸から外されたターボファン単体の状態でも、上記支持軸の長さ寸法が異なっても、支持軸が無くても、安定にして高精度のバランス測定を保証できる。
(3)回転体となるターボファンの低速から高速回転領域までの全域にわたり、駆動側及び従動側との駆動系を非接触式とし、両駆動系間での振動・ノイズ等の外乱伝達を完全排除する事に成功した。
(4)回転体となるターボファンの芯ブレの最大箇所となる支持軸の先端箇所での芯ブレ測定を可能とした。等々である。
本発明の回転体のバランス測定装置100,200とその測定方法は、上記実施例の回転体1のバランス測定装置に限定されず、他の回転体となるガスタービンやジェットエンジンのタービンやリング状の回転体のバランス測定装置の設計変更や各種制御方法が実施可能である。例えば、バランス測定装置100,200は、図示の立型から横型に変更しても良い。
1 回転体(ターボチャージャーインペラ)
1a 回転軸
1b,1c 両端部(円錐穴),センター孔
3,4 エアー軸受部
3a,4a 鍔付嵌合軸
3b,3c 鍔
3d,4d テーパー軸突端
3b,4c 鍔
4a 鍔付回転軸
4c 面板
5 駆動円板
10 基盤
11 ガイドバー
12 固定フレーム
12a,13a 軸受穴
13 昇降フレーム
100,200 バランス測定装置
B ブラケット
BS ボールネジ棒
CPU 計算処理部
DS 表示部
D 回転駆動部
D1 磁気継手
E エアー圧
EB 拡縮手段部
ED1,ED2 エアー回転駆動部
E0 電気制御系
F インペラ翼部・ファン
LS1,LS2 振れ検出部
LS 回転検出部
K 機体
M 磁石
N ナット
h 小孔
SM1 昇降サーボモータ
SM2 サーボモータ
S 回転軸
V 回転速度
N1 加速ノズル
N2 減速ノズル
T1 駆動用噴射筒
T2 制動用噴射筒
T3 噴射筒
X 空隙

Claims (7)

  1. 低速から高速回転領域まで回転する回転体のバランス測定装置であって、上記回転体を備える回転軸の両端部をエアー圧で浮遊支持する一対のエアー軸受部と、上記エアー軸受部の片側はサーボモータで昇降移動するフレームと他方のエアー軸受部は固定したフレームに回転自在に支持され、上記軸受部の片側を回転駆動する回転駆動部と、上記回転軸の回転速度を検出する回転検出部と、上記回転軸の回転振れを検出する軸芯振れ検出部と、上記両エアー軸受部間で把持する回転体の拡縮手段部と、上記回転検出部と軸芯振れ検出部からの検出値により回転体の回転速度に対応した軸芯振れを計算処理する処理表示部と、を備えたことを特徴とする回転体のバランス測定装置。
  2. 上記請求項1の回転体のバランス測定装置において、上記エアー軸受部は、機体の上下に配置した各フレームに設けた軸受穴に対して、鍔付嵌合軸はその外周を僅かな空隙で遊嵌合されるとともに軸受穴に明けた複数の小孔からのエアー圧で浮遊支持され、該上下鍔付嵌合軸の相互に対面した回転中心にテーパー軸突端を有し、少なくとも片側のフレームを昇降させることで上記鍔付嵌合軸のテーパー軸突端が離反し、この離反又は接近により回転体の回転軸のセンター孔とテーパー軸突端が系脱し合う構成としたことを特徴とする回転体のバランス測定装置。
  3. 上記請求項1の回転体のバランス測定装置において、上記エアー軸受部は、機体の上下に配置した各フレームに設けた軸受穴に対して、鍔付嵌合軸はその外周面にベアリングを介した鍔付嵌合筒の外周を僅かな空隙で遊嵌合されるとともに軸受穴に明けた複数の小孔からのエアー圧で浮遊支持され、該上下鍔付嵌合軸の相互に対面した回転中心にテーパー軸突端を有し、少なくとも片側のフレームを昇降させることで上記鍔付嵌合軸のテーパー軸突端が離反し、この離反又は接近により回転体の回転軸のセンター孔とテーパー軸突端が系脱し合う構成としたことを特徴とする回転体のバランス測定装置。
  4. 上記請求項1の回転体のバランス測定装置において、上記回転駆動部は、固定したフレームに回転自在に支持された鍔付嵌合軸の開放側に付設する面板の周囲に磁石を列設し、上記円板の軸芯に軸芯合せしたサーボモータで回転する駆動円板の円周上に磁石を列設させ、上記サーボモータの回転制御による駆動円板上のマグネットを介して負荷側となる鍔付回転軸を磁気継手で回転制御する構成としたことを特徴とする回転体のバランス測定装置。
  5. 上記請求項1の回転体のバランス測定装置において、上記回転駆動部は、上記回転体であるタービンフィンに対して、該タービンフィンを支持する回転軸の少なくとも一つの対称位置に、タービンフィン回転方向にノズル孔を向けた駆動用噴射筒と、タービンフィン逆回転方向にノズル孔を向けた制動用噴射筒とを配置し、圧縮空気供給部からの圧縮空気圧とその空気量を一定のもとに上記駆動用噴射筒及び制動用噴射筒のノズル孔方向をタービンフィンの軸心側又は外径側に相反回動制御させることでタービンフィンを低速から高速まで回転制御することを特徴とする回転体のバランス測定装置。
  6. 上記請求項5の回転体のバランス測定装置において、上記回転駆動部は、上記回転体であるタービンフィンに対して、該タービンフィンを支持する回転軸の少なくとも一つの対称位置に、タービンフィン回転方向とタービンフィン逆回転方向にV字状に向けた2つのノズル孔を持つエアー噴射筒を各々旋回可能に配置し、圧縮空気供給部からの圧縮空気圧とその空気量を一定のもとに各エアー噴射筒を、タービンフィン外径方向又はタービンフィン軸心方向に旋回制御させることでタービンフィンを低速から高速まで回転制御することを特徴とする回転体のバランス測定装置。
  7. 上記請求項1と請求項4~6記載の回転体のバランス測定装置において、回転体は、上記回転駆動部により低速回転から高速回転領域迄回転制御され、上記回転体の回転速度は回転検出部の回転計で回転検出し、上記回転体の回転振れは軸振れ検出部のレーザ変位計で軸芯ブレ検出し、上記回転検出部と軸芯振れ検出部からの各検出値を入力する処理表示部は回転体の回転速度に対応する軸芯振れを計算処理するとともに表示器に表示することを特徴とする回転体のバランス測定方法。
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