JP2022147890A - 検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】情報取得部は、飛翔しながら上方から機体関連情報を取得できることはもちろん、航空機における接地部近傍、例えば、胴体下方側の表面付近を検査装置が飛翔する空域が確保できなくても、検査装置が接地部を走行することによって機体表面から機体関連情報を取得できる。【解決手段】航空機を検査する検査装置100であって、1つ以上の回転翼30と、走行用の車輪9と、検査装置が航空機の機体70の周囲を飛翔中または走行中に、機体から機体に関する情報である機体関連情報を取得する情報取得部6と、を備える。【選択図】図2
Description
本開示は、検査装置に関する。
従来から、航空機を検査するための検査装置が知られている。例えば、特許文献1では、検査用のセンサを搭載したドローンを検査装置として用いている。この検査装置では、ドローンに航空機の周囲を飛行させ、ドローンからアームを伸ばしてアーム先端に取り付けられたセンサを航空機の機体表面に近接させ、機体表面の検査を行う。
しかしながら、特許文献1の検査装置のように、飛行させたドローンからアームを伸ばしてセンサを航空機の機体表面に近接させる構成では、航空機における接地部近傍、例えば、胴体下方側の表面付近は、ドローンを飛行させる空域が確保できず、かかる部分での機体表面の検査が行えないという問題があった。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
本開示の一形態として、航空機を検査する検査装置(100)が提供される。この検査装置は、1つ以上の回転翼(30)と、走行用の車輪(9)と、前記検査装置が前記航空機の機体(70)の周囲を飛翔中または走行中に、前記機体から前記機体に関する情報である機体関連情報を取得する情報取得部(6)と、を備える。
この形態の検査装置によれば、1つ以上の回転翼と、走行用の車輪と、検査装置が航空機の機体の周囲を飛翔中または走行中に、機体から機体に関する情報である機体関連情報を取得する情報取得部とを備えるので、情報取得部は、飛翔しながら上方から機体関連情報を取得できることはもちろん、航空機における接地部近傍、例えば、胴体下方側の表面付近を検査装置が飛翔する空域が確保できなくても、検査装置が接地部を走行することによって機体表面から機体関連情報を取得できる。
本開示は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、航空機の検査方法等の形態で実現することができる。
A.第1実施形態:
A-1.装置構成:
図1および図2に示すように、本開示の一実施形態としての検査装置100は、電動垂直離着陸機(以下、「eVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)」とも呼ぶ)により構成されている。検査装置100は検査対象である図4に示す検査対象機体70を検査する。
A-1.装置構成:
図1および図2に示すように、本開示の一実施形態としての検査装置100は、電動垂直離着陸機(以下、「eVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)」とも呼ぶ)により構成されている。検査装置100は検査対象である図4に示す検査対象機体70を検査する。
検査装置100は、電気により駆動され、鉛直方向に離着陸可能な無人航空機として構成されている。図1~図3に示すように、検査装置100は、本体部20と、複数の回転翼30と、複数の電駆動システム10(以下、「EDS(Electric Drive System)10とも呼ぶ」)と、情報取得部6と、複数の車輪9と、バッテリ40と、コンバータ42と、分配器44と、制御装置50と、本体部通信部64と、報知部66とを備えている。本実施形態の検査装置100は、回転翼30とEDS10と車輪9とをそれぞれ4つずつ備えている。なお、図2および図3では、図示の便宜上、検査装置100が備える4つの回転翼30とEDS10と車輪9のうち、2つの回転翼30とEDS10と車輪9を代表して示している。
図1および図2において、本体部20は、検査装置100において回転翼30およびEDS10と、車輪9と、情報取得部6を除いた部分に相当する。図1に示すように、本体部20は、胴体部21と、支柱部22と、4つの第1支持部23と、4つの第2支持部24とを備える。
胴体部21は、検査装置100の胴体部分を構成する。胴体部21は、本体部軸AXを対称軸として左右対称の構成を有する。本実施形態において、「本体部軸AX」とは、本体部重心位置CMを通り、検査装置100の前後方向に沿った軸を意味している。また、「本体部重心位置CM」とは、貨物等が積載されていない空虚重量時における検査装置100の重心位置を意味している。検査装置100の前方とは、本実施形態では、検査装置100を平面視したときに(上方から見たときに)、本体部重心位置CMから後述の情報取得部6に向かう方向を意味する。
支柱部22は、略柱状の外観形状を有し、胴体部21の上部に固定されている。支柱部22は、検査装置100が地上で停止した状態において、鉛直方向に延びる。本実施形態において、支柱部22は、鉛直方向に見て検査装置100の本体部重心位置CMと重なる位置に配置されている。支柱部22の上端部には、4つの第1支持部23の一方の端部がそれぞれ固定されている。
4つの第1支持部23は、それぞれ略棒状の外観形状を有し、鉛直方向に垂直な面に沿って延びるように、互いに等角度間隔で放射状に配置されている。第1支持部23の他方の端部、すなわち支柱部22から遠ざかる位置にある端部には、それぞれ回転翼30とEDS10とが配置されている。
4つの第2支持部24は、それぞれ略棒状の外観形状を有し、互いに隣り合う第1支持部23の他方の端部(支柱部22と接続されていない側の端部)同士を接続している。なお、図示の便宜上、4つの第2支持部24は、図1において直線で表されている。
図1に示すように、4つの回転翼30は、各第1支持部23および各第2支持部24の端部に配置されている。4つの回転翼30は、2つの回転翼30aと、2つの回転翼30bから構成されている。2つの回転翼30aは、本体部重心位置CMよりも前方側に位置する。他方、2つの回転翼30bは、本体部重心位置CMよりも後方側に位置する。4つの回転翼30は、本体部20の揚力を得るためのリフト用回転翼および推力を得るためのクルーズ用回転翼として利用可能に構成されている。具体的には、4つの回転翼30は、各回転翼30の回転数が等しく制御されることによりリフト用回転翼として用いられる。また、4つの回転翼30は、前方側の2つの回転翼30aの回転数と後方側の2つの回転翼30bの回転数が互いに異なるように制御されることによって、クルーズ用回転翼として用いられる。各回転翼30は、それぞれの回転軸を中心として、互いに独立して回転駆動される。図3に示すように、各回転翼30には、回転数センサ34と、トルクセンサ35とがそれぞれ設けられている。回転数センサ34は、回転翼30の回転数を測定する。トルクセンサ35は、回転翼30の回転トルクを測定する。各センサ34、35による測定結果は、制御装置50へと出力される。なお、各回転翼30には、EDS10が接続されている。
各回転翼30に接続されている4つのEDS10は、各回転翼30をそれぞれ回転駆動させるための電駆動システムとして構成されている。4つのEDS10は、それぞれ回転翼30を回転駆動させる。
図3に示すように、各EDS10は、駆動部11と、駆動用モータ12と、ギアボックス13と、回転数センサ14と、電流センサ15と、電圧センサ16と、トルクセンサ17と、EDS側記憶部18とを有する。
駆動部11は、図示しないインバータ回路と、かかるインバータ回路を制御する図示しないコントローラとを含む電子機器として構成されている。インバータ回路は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等のパワー素子により構成され、コントローラから供給される制御信号に応じたデューティ比により駆動用モータ12に駆動電圧を供給する。コントローラは、制御装置50と電気的に接続されており、制御装置50からの指令に応じてインバータ回路に制御信号を供給する。
駆動用モータ12は、本実施形態ではブラシレスモータにより構成され、駆動部11のインバータ回路から供給される電圧および電流に応じた回転運動を出力する。なお、ブラシレスモータに代えて、誘導モータやリラクタンスモータ等の任意のモータにより構成されていてもよい。
ギアボックス13は、駆動用モータ12と回転翼30とを物理的に接続している。ギアボックス13は、図示しない複数のギアを有し、駆動用モータ12の回転を減速して回転翼30へと伝達する。なお、ギアボックス13が省略されて駆動用モータ12に回転翼30の回転軸が直接的に接続されていてもよい。
回転数センサ14とトルクセンサ17とは、それぞれ駆動用モータ12に設けられており、駆動用モータ12の回転数と回転トルクとをそれぞれ測定する。電流センサ15と電圧センサ16とは、それぞれ駆動部11と駆動用モータ12との間に設けられており、駆動電流と駆動電圧とをそれぞれ測定する。各センサ14~17による測定結果は、駆動部11を介して制御装置50へと出力される。EDS側記憶部18には、各センサからの計測データが記憶される。
図1~図3に示す情報取得部6は、図4に示す検査対象の航空機の機体(以下、「検査対象機体70」と呼ぶ)から機体に関する情報(以下、「機体関連情報」と呼ぶ)を取得する。かかる取得は、検査装置100が検査対象機体70の周囲を飛翔中または走行中に行われる。本実施形態において、情報取得部6は、撮像カメラ6aを有している。図2では、撮像カメラ6aの向きをわかりやすくするために便宜上、情報取得部6が見えるように表されている。撮像カメラ6aは、検査対象機体70を撮像する。図5に示すように、情報取得部6は、撮像カメラ6aの向きDRを、検査装置100の姿勢とは独立して調整可能に構成されている。なお、図示の便宜上、図5では検査対象機体70を矩形状で表している。本実施形態では、撮像カメラ6aにより、検査対象、すなわち航空機の機体を撮像して得られた撮像画像が「機体関連情報」に相当する。本実施形態においては、取得された撮像画像によって、検査対象機体70の表面の傷や予定されていない凹凸等、外観でわかる異常が検知され得る。
検査装置100は、検査対象機体70を撮像するために、検査対象機体70の周囲を飛行または走行する。本実施形態では、検査対象機体70の周り、すなわち図4の6つの領域Ar1~Ar6に予め検査経路が設定されている。そして、検査装置100は、この検査経路に沿って飛行または走行しつつ検査対象機体70を撮像して撮像画像を得る。具体的には、検査装置100は、図4に示す検査対象機体70の周囲の領域Ar1~Ar6に応じて、飛行または走行を選択的に実行する。
本実施形態において検査経路は、領域Ar1、領域Ar2、領域Ar3、領域Ar4、領域Ar5、領域Ar6の順の経路として設定されている。領域Ar1は、検査対象機体70の下方である。領域Ar2は、検査対象機体70の前方である。領域Ar3は、検査対象機体70の上方である。領域Ar4は、検査対象機体70の後方である。領域Ar5は、検査対象機体70の進行方向の右側方である。領域Ar6は、検査対象機体70の進行方向の左側方である。
領域Ar1では、検査装置100は、検査対象機体70の下方の地面を走行して検査対象機体70を撮像する。領域Ar2および領域Ar4においては、検査装置100は、検査対象機体70の前方または後方を飛行する。具体的には、領域Ar2において、検査装置100は、検査対象機体70の前方側を飛行しながら検査対象機体70を撮像する。領域Ar4において、検査装置100は、検査対象機体70の後方側を飛行しながら検査対象機体70を撮像する。領域Ar3では、検査装置100は、検査対象機体70の上方を飛行して検査対象機体70を撮像する。領域Ar5および領域Ar6においては、検査装置100は、検査対象機体70の右側方または左側方を飛行して検査対象機体70を撮像する。
図5に示すように、情報取得部6は、撮像画像を取得する方向である取得方向DRを変える。具体的には後述する。
図2、図5~図6に示す車輪9は、本体部20に取り付けられており、走行用の動力源から動力を受けない、すなわち、車輪9は、検査装置100の移動に従動する従動輪として構成されている。図2および図6に示すように、車輪9は、ダンパDPを介して、本体部20のうちの胴体部21に取り付けられている。ダンパDPの周囲には、スプリングSPが配置されている。スプリングSPは、回転翼30の推力の大きさに応じて伸び縮みし、検査装置100の走行中における接地面の凹凸などからの衝撃を吸収する役割を担う。スプリングSPは、かかる衝撃を吸収するときに揺れが生じ、かかる揺れはすぐには治まらない。ダンパDPは、車輪9と胴体部21を繋げるだけでなく、スプリングSPのかかる揺れを抑える。
図3に示すバッテリ40は、リチウムイオン電池により構成され、検査装置100における電力供給源の1つとして機能する。バッテリ40は、主に、各EDS10がそれぞれ有する駆動部11へと電力を供給して各駆動用モータ12を駆動させる。なお、リチウムイオン電池に代えて、ニッケル水素電池等の任意の種類の二次電池により構成されていてもよく、バッテリ40に代えて、またはバッテリ40に加えて、燃料電池や発電機等の任意の電力供給源が搭載されていてもよい。
コンバータ42は、バッテリ40と接続されており、バッテリ40の電圧を降圧して検査装置100が備える図示しない補機類や制御装置50へと供給する。分配器44は、バッテリ40の電圧を各EDS10が備える駆動部11へと分配する。
制御装置50は、記憶部51と、推力制御部52と、計測制御部53と、特徴抽出部54と、異常判定部55を備えるマイクロコンピュータであり、ECU(Electronic Control Unit)として構成されている。記憶部51は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有する。記憶部51には、検査経路を示すデータと、検査対象機体70の標準形状データが予め記憶されている。また、記憶部51には、検査装置100の全体動作を制御する制御プログラムが予め記憶されている。検査装置100の全体動作としては、例えば、飛行および走行動作等が該当する。記憶部51に予め記憶されている検査経路を示すデータは、検査対象機体70の周囲に設定された予め決められた検査装置100の移動経路である。制御装置50は、記憶部51に記憶されている移動経路に沿って、検査装置100の飛行および走行動作を制御する。なお、飛行および走行動作は、乗員の操縦により実行されてもよく、後述する外部装置500が備える外部制御部510からの指令に基づいて実行されてもよい。
推力制御部52は、記憶部51に予め記憶されている制御プログラムを実行することにより、検査装置100の全体動作を制御する。推力制御部52は、検査装置100の動作において、各EDS10が有する駆動用モータ12の回転数および回転方向等を制御する。推力制御部52は、記憶部51に記憶されている移動経路に沿って、検査装置100を移動させるように、回転翼30の推力を制御する。
推力制御部52は、検査装置100を前進側に走行させる場合には、図6に示すように、胴体部21に取り付けられた回転翼30のうち、後退側に取り付けられた後退側回転翼30bの回転数を、前進側に取り付けられた前進側回転翼30aの回転数よりも大きくなるように制御する。このようにすることで、後退側回転翼30bと前進側回転翼30aの揚力の差により、本体部20全体が前傾姿勢となって、揚力が水平方向の成分を含むこととなり、これが水平方向への推力となる。その結果、検査装置100は前方へ走行することとなる。他方、走行中の検査装置100を減速させる場合には、図示していないが、前進側回転翼30aの回転数を、後退側回転翼30bの回転数よりも大きくなるように制御する。図4における領域Ar1に検査装置100が位置して、検査対象機体70の下方、タービン等を撮像する場合、検査装置100は地面を走行する。
計測制御部53は、図5において上述したように、検査対象機体70に対する検査装置100の相対位置に応じて、情報取得部6を制御して撮像カメラ6aの向きを調整し、検査対象機体70の撮像画像を取得する取得方向を調整する。
特徴抽出部54は、情報取得部6によって取得された撮像画像の画像処理を行い、検査対象機体70の形状の特徴を抽出する。
異常判定部55は、特徴抽出部54によって画像処理された処理後の撮像画像に基づいて、検査対象機体70の異常判定を行う。
本体部通信部64は、無線通信を行なう機能を有し、外部装置500が備える外部通信部520と検査装置100との間で情報の送受信を行なうとともに、制御装置50と通信可能に構成されている。無線通信としては、例えば、4G(第4世代移動体通信システム)や5G(第5世代移動体通信システム)等の電気通信事業者が提供する無線通信や、IEEE802.11規格に従った無線LAN通信等が該当する。また、例えば、USB(Universal Serial Bus)や、IEEE802.3規格に従った有線通信であってもよい。なお、外部装置500としては、例えば、検査の制御や検査結果の記録等を行うサーバ装置等の管理および制御用のコンピュータが該当する。かかる管理・制御用コンピュータは、例えば、航空管制室に配置されているサーバ装置であってもよく、また、検査を含む保守や点検を行う保守作業員が検査装置100の運用場所に持ち込んだパーソナルコンピュータであってもよい。
報知部66は、制御装置50からの指示に従って報知を行う。本実施形態において、報知部66は、乗員室に搭載されて文字や画像等を表示する表示装置や、音声や警告音等を出力するスピーカ等により構成され、視覚情報や聴覚情報によって乗員に各種情報を報知する。
A-2.異常検知処理:
本実施形態において、検査装置100の駆動指令が行われると図7に示す異常検知処理が実行される。本実施形態においては、外部装置500から検査装置100の駆動が指令される。異常検知処理とは、検査装置100によって検査対象機体70の異常の有無を検知するための処理である。なお、検査対象機体70が地上に停止した状態で、異常検知処理が行われる。
本実施形態において、検査装置100の駆動指令が行われると図7に示す異常検知処理が実行される。本実施形態においては、外部装置500から検査装置100の駆動が指令される。異常検知処理とは、検査装置100によって検査対象機体70の異常の有無を検知するための処理である。なお、検査対象機体70が地上に停止した状態で、異常検知処理が行われる。
検査対象機体70の情報が外部装置500から入力される(ステップS10)。検査対象機体70の情報とは、例えば、検査対象機体70の型や名称である。推力制御部52は、記憶部51に予め記憶されている検査経路の開始位置へ検査装置100を移動させる(ステップS15)。なお、作業者が検査装置100を運搬して検査開始位置に配置してもよい。
計測制御部53は、撮像カメラ6aの撮像方向を調整して検査対象機体70の撮像を制御する(ステップS20)。計測制御部53は、検査対象機体70の周囲を予め定められた経路に沿って飛行または走行しながら、撮像カメラ6aの撮像方向を調整する。具体的には、図5に示すように、領域Ar3に検査装置100が位置している場合には、撮像カメラ6aの向きDRは下方に向くように調整される。また、例えば、図5の例のように、検査装置100が領域Ar4に位置する場合、撮像カメラ6aの向きDRは前方側に向くように調整される。また、例えば、検査装置100が領域Ar1に位置する場合、撮像カメラ6aの向きDRは上方に向くように調整される。撮像された撮像画像は記憶部51に記憶される。
特徴抽出部54は、ステップS20で撮像された撮像画像の画像処理を行い、検査対象機体70の形状の特徴を抽出してデータ解析を行う(ステップS25)。データ解析によって求められたデータは記憶部51に記憶される。
異常判定部55は、検査対象機体70の異常の有無を判定する(ステップS30)。具体的には、異常判定部55は、ステップS25のデータ解析によって求められたデータと、記憶部51に予め記憶されている検査対象機体70の標準形状データとを比較する。例えば、異常判定部55は、検査対象機体70の機体表面のへこみの大きさが、標準形状データに対して予め定められた閾値よりも大きい場合には、異常ありと判定する(ステップS30:YES)。異常判定部55は、検査対象機体70の機体表面のへこみの大きさが、標準形状データに対して予め定められた閾値以下の場合には、異常なしと判定する(ステップS30:NO)。
異常判定部55は、異常ありと判定した場合(ステップS30:YES)、報知部66に対して、「異常あり」を通知する(ステップS35)。異常判定部55は、異常なしと判定した場合(ステップS30:NO)、報知部66に対して、「異常なし」を通知する(ステップS40)。
異常判定部55は、異常の有無の判定結果を記憶部51に記録する(ステップS45)。
以上説明した本実施形態の検査装置である検査装置100によれば、本体部20に取り付けられた走行用の車輪9と、検査装置100が検査対象機体70の周囲を飛翔中または走行中に、検査対象機体70から検査対象機体70に関する情報である機体関連情報を取得する情報取得部6とを備え、情報取得部6は、検査対象機体70における接地部近傍、例えば、胴体下方側の表面付近を検査装置100が飛翔する空域が確保できなくても、検査装置100が接地部を走行することによって検査対象機体70の機体表面から機体関連情報を取得できる。
推力制御部52が複数の回転翼30の回転数を制御することによって、本体部20の走行や減速が実現される。具体的には、推力制御部52は、本体部20を前進側に走行させる場合には、後退側回転翼30bの回転数を、前進側回転翼30aの回転数よりも大きくなるように制御し、走行中の本体部20を減速させる場合には、前進側回転翼30aの回転数を、後退側回転翼30bの回転数よりも大きくなるように制御する。
情報取得部6は撮像カメラ6aを有し、撮像カメラ6aの向きDRは検査装置100の向きとは独立して調整される。このため、検査装置100が検査対象機体70に対して動く構成よりも簡易な構成となる。
記憶部51には、検査対象機体70の周囲に設定された検査装置100の移動経路であって、機体関連情報を取得するための移動経路が予め記憶されている。記憶部51に記憶されている移動経路に沿って、検査装置100の飛行および走行動作が実行されるので、検査対象機体70の形状を検査装置100において認識する処理を省略できる。
B.他の実施形態:
(B1)本実施形態の検査装置である検査装置100おいて、過去の検査装置が移動した経路を記憶する履歴部と、履歴部に記憶されている経路を用いて学習し、記憶部に記憶されている移動経路を更新する学習機能部とをさらに備えてもよい。更新された移動経路が記憶部に記憶されることによって、検査装置100の飛行および走行動作の効率性が向上する。
(B1)本実施形態の検査装置である検査装置100おいて、過去の検査装置が移動した経路を記憶する履歴部と、履歴部に記憶されている経路を用いて学習し、記憶部に記憶されている移動経路を更新する学習機能部とをさらに備えてもよい。更新された移動経路が記憶部に記憶されることによって、検査装置100の飛行および走行動作の効率性が向上する。
(B2)本実施形態の検査装置である検査装置100において、異常判定部55が検査対象機体70の異常の有無を判定していたが、人間が判定してもよい。かかる構成においては、ステップS20の結果得られた撮像画像を表示装置に表示させるようにしてもよい。そして、検査の作業者が撮像画像、または、画像処理された撮像画像を目視で確認して、検査対象機体70の異常の有無を判定してもよい。
(B3)本実施形態の検査装置である検査装置100において、4つの回転翼30を備えていたが、回転翼30の数は1つ以上であれば4つでなくてもよい。
(B4)本実施形態の検査装置である検査装置100において、走行用の車輪9を4つ備えていたが、4つに限らず任意の数の車輪であってもよい。また、車輪9は動力源に接続された駆動輪であってもよい。なお、本開示において「車輪」は、鋼板を帯状につないで車輪の周囲に取り付けた装置、言い換えると、キャタピラを含む広い概念を意味する。
(B5)本実施形態の検査装置である検査装置100おいて、情報取得部6は撮像カメラ6aを有していたが、本開示はこれに限られない。情報取得部6は、レーザを用いた反射光測定による変位測定器、または、X線を用いた内部構造計測器を有していてもよい。
(B6)本実施形態の検査装置である検査装置100おいて、異常判定部55は、ステップS25のデータ解析によって求められたデータと、記憶部51に予め記憶されている検査対象機体70の標準形状データとを比較していたが、本開示はこれに限られない。異常判定部55は、比較対象データとして、標準形状データに代えて、前回検査時のデータ解析によって求められたデータを用いて、検査対象機体70の異常の有無を判定してもよい。この場合、例えば、異常判定部55は、検査対象機体70の機体表面のへこみの大きさが、前回検査時のデータに対して予め定められた閾値の変化量よりも大きい場合には、異常ありと判定する。異常判定部55は、検査対象機体70の機体表面のへこみの大きさが、前回検査時のデータに対して予め定められた閾値の変化量以下の場合には、異常なしと判定する。
(B7)本実施形態の検査装置100は、地面を走行していたが本開示はこれに限られない。検査装置100は、任意の種類の構造体、例えば、検査対象機体70と地面の間に設置された設置台を走行してもよい。また、検査対象機体70の上方面を撮像する場合、検査装置100は領域Ar3を飛行することに代えて、検査対象機体70の表面上面上を走行してもよい。
(B8)本実施形態の検査装置100は、図4に示す領域Ar1、領域Ar2、領域Ar3、領域Ar4、領域Ar5、領域Ar6の順の検査経路で、飛行または走行を選択的に実行していたが、本開示はこれに限られない。図8は、他の実施形態における検査装置の経路を示す説明図である。検査装置100は、図8に示すように、太線の矢印の順の検査経路で飛行または走行を選択的に実行してもよい。なお。図8において、検査対象機体70は、地上に停止している。また、図8は検査対象機体70の上面視図であり、領域Ar1~Ar6は、図4における領域Ar1~Ar6に対応している。検査装置100は、図8に示すように、領域Ar3のうち検査対象機体70の中心の上方から開始して、領域Ar6のうちの後方側を後退方向へ向かって飛行し、検査対象機体70の後方の領域Ar4を飛行する。その後、検査装置100は、領域Ar5のうちの後方側を進行方向へ向かって飛行し、検査対象機体70の右翼に沿って飛行する。検査装置100は、検査対象機体70の右翼上方をわずかに飛行した後、領域Ar5のうちの前方側を進行方向へ向かって飛行する。その後、検査装置100は、検査対象機体70の前方の領域Ar2を飛行し、領域Ar6のうちの前方側を後退方向へ向かって飛行し、検査対象機体70の左翼上方をわずかに飛行した後、領域Ar6を左翼に沿って飛行する。その後、検査装置100は、図8に示す一点鎖線の経路のように、領域Ar6のうちの後方側を後退方向へ飛行する。その後、検査装置100は、図8に示す破線に沿って進行方向に向かって地面を走行する。かかる走行領域は、図4に示す領域Ar1である。上述したように、検査装置100は、図8に示す検査経路で飛行または走行を行ってもよい。また、図8に示す破線の走行経路の走行後に、検査装置100は領域Ar3へ飛行して、そのまま後退方向へ向かって飛行してもよい。言い換えると、検査装置100は、図8に示す破線経路の後、かかる破線経路と平行な経路に相当する検査対象機体70の上空経路を飛行してもよい。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
本開示に記載の検査装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の検査装置及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の検査装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
6…情報取得部、9…車輪、30…回転翼、70…検査対象機体、100…検査装置
Claims (6)
- 航空機を検査する検査装置(100)であって、
1つ以上の回転翼(30)と、
走行用の車輪(9)と、
前記検査装置が前記航空機の機体(70)の周囲を飛翔中または走行中に、前記機体から前記機体に関する情報である機体関連情報を取得する情報取得部(6)と、
を備える、検査装置。 - 請求項1に記載の検査装置において、
前記情報取得部は、撮像カメラ(6a)を有し、前記機体関連情報として、前記機体の撮像画像を取得する、検査装置。 - 請求項1または請求項2に記載の検査装置において、
複数の前記回転翼であって、前進側に取り付けられた前進側回転翼(30a)と、後退側に取り付けられた後退側回転翼(30b)とを含む、複数の前記回転翼と、
前記複数の回転翼の回転数を制御する推力制御部(52)と、をさらに備え、
前記推力制御部は、前進側に走行させる場合には、前記後退側回転翼の回転数を、前記前進側回転翼の回転数よりも大きくなるように制御し、走行中に減速させる場合には、前記前進側回転翼の回転数を、前記後退側回転翼の回転数よりも大きくなるように制御する、検査装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の検査装置において、
前記情報取得部は、前記機体関連情報を取得する方向である取得方向を前記検査装置の向きとは独立して調整可能に構成され、
前記機体に対する前記検査装置の相対位置に応じて、前記情報取得部を制御して、前記取得方向を調整する計測制御部(53)を、さらに備える、検査装置。 - 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の検査装置において、
前記機体の周囲に設定された前記検査装置の移動経路であって、前記機体関連情報を取得するための移動経路を記憶する記憶部(51)と、
前記移動経路に沿って前記検査装置を移動させるように前記1つ以上の回転翼の回転数を制御する推力制御部と、
をさらに備える、検査装置。 - 請求項5に記載の検査装置において、
過去の前記検査装置が移動した経路を記憶する履歴部と、
前記履歴部に記憶されている前記経路を用いて学習し、前記記憶部に記憶されている前記移動経路を更新する学習機能部と、
をさらに備える、検査装置。
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