JP2022141802A - 腎臓疾患または障害を処置するためのビフェニルスルホンアミド化合物 - Google Patents

腎臓疾患または障害を処置するためのビフェニルスルホンアミド化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】アルポート症候群を処置するための薬学的組成物を提供する。【解決手段】下記(I)で表される構造を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を提供する。前記薬学的組成物が、(i)1.5g/g以下の尿タンパク質対クレアチニン(「UP/C」)比を達成するために十分な量において;(ii)1.5g/g以下のUP/C比を達成もしくは維持するために十分な量において;または(iii)1.5g/g以下のUP/C比を達成もしくは維持するために十分な投薬レジメンにおいて、被験体に投与される、薬学的組成物である。JPEG2022141802000028.jpg2841【選択図】図1A

Description

背景
技術分野
本開示は、腎臓疾患または障害(例えば、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS))の処置においてアンギオテンシンおよびエンドセリンレセプター二重アンタゴニストであるビフェニルスルホンアミド化合物の使用に関する。
関連技術の説明
アンギオテンシンII(AngII)およびエンドセリン-I(ET-1)は、現在公知の最も強力な内因性血管作動性ペプチドのうちの2つであり、血管緊張および種々の疾患(糖尿病性腎症、心不全、および慢性または持続性の高血圧が挙げられる)と関連する病的組織リモデリングの両方を制御することにおいて役割を果たすと考えられる。アンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)(これはAngIIの活性を遮断する)は、糖尿病性腎症、心不全、慢性または持続性の高血圧の処置として使用されてきた。さらに、ET-1活性を遮断するにあたって、ETレセプターアンタゴニスト(ERA)の潜在的治療利益を示す増えつつある一連の証拠が存在する。
AngIIおよびET-1は、血圧コントロールおよび病的組織リモデリングにおいて一緒に働くと考えられる。例えば、ARBは、そのレセプターにおいてAngIIの作用を遮断するのみならず、ET-1の生成をも制限する。同様に、ERAは、ET-1活性を遮断し、AngIIの生成を阻害する。結果として、AngIIおよびET-1の活性を同時に遮断することは、いずれかの物質単独を遮断するより良好な有効性を提供し得る。
ヒト慢性または持続性の高血圧のラットモデルにおいて、ARBおよびERAの組み合わせは、相乗効果を生じることが示された。さらに、ARBは糖尿病性腎症を有する患者の標準治療であるが、ERAの共投与での改善された有効性は、フェーズ2の臨床開発において報告された。
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)は、腎臓に影響を及ぼす希少疾患である。FSGSを有する患者は、腎糸球体の瘢痕化を示す。糸球体は血液を濾過し、水およびいくつかの毒素を除去し、尿を生成し、タンパク質を血中に残す。FSGSを有する患者における糸球体の瘢痕化は、尿へのタンパク質の漏出(血中に残すことの代わりに)、タンパク尿といわれる状態と関連する。タンパク尿は、流体を身体に蓄積させる。さらに、タンパク尿が長引くと、腎臓への損傷および腎機能不全が生じ得る。FSGSは、原発性(または「特発性」)、続発性、または遺伝的と分類される。原発性FSGSは、公知の病因がない。続発性FSGSは、腎重量の低減(reduction in renal mass)(出生時低体重と関連し得るものが挙げられる);膀胱尿管逆流;肥満;薬物療法;感染(HIV感染が挙げられる);または全身性の病気(例えば、糖尿病、鎌状赤血球症、および狼瘡)によって引き起こされ得る。FSGSの承認された処置は、現在存在しない。FSGSは未処置のまま過ぎれば、それは5年から10年を経て末期腎疾患(ESRD)をもたらし得る。
FSGSに加えて、糸球体への損傷によって特徴づけられる他の腎臓疾患または障害としては、IgA腎症および特発性膜性腎症が挙げられる。IgA腎症(Berger病としても公知)は、腎臓における免疫グロブリンA(IgA)の蓄積によって引き起こされる。腎臓におけるIgAの存在は、炎症、腎糸球体への損傷、および腎機能の障害(タンパク尿が挙げられる)もたらし得る。いくつかの症例では、IgA腎症を有する患者は、ESRDへと進行する。
特発性膜性腎症(IMN)は、炎症および腎糸球体の肥厚化によって特徴づけられ、ネフローゼ症候群と関連する最も一般的な糸球体疾患である。FSGSおよびIgA腎症と同様に、IMNはまた、タンパク尿によって特徴づけられ、そしていくらかの患者では、ESRDへと進むこともある(Schieppatiら, N. Engl. J. Med. 329(2): 85~89, 1993を参照のこと)。
タンパク尿によって特徴づけられる腎疾患に関して、タンパク尿の低減は、改善された転帰と関連し得る。例えば、タンパク尿の完全寛解または部分寛解は、IMNを有する患者における長期の前向きの転帰と相関した(Schieppatiら, 1993; Fervenzaら, Clin. J. Am. Soc. Nephrol. 3: 905~919, 2008)。タンパク尿を減少させるために使用される現在の方法は、高血圧を下げるか、高コレステロールを下げるか、身体から余分な流体を除去するか、または免疫系を抑制する、ステロイドまたは薬物療法の投与をふくむ。例えば、FSGS患者は、タンパク尿を低下させるために、ステロイド、カルシニューリンインヒビター、アンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)、およびアンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターで処置され得る(例えば、Cameron, Nephrol. Dial. Transplant. 18 (Suppl. 6): vi45~vi51, 2003を参照のこと)が、このような治療はしばしば、タンパク尿の低減において効果的でない(Kiffelら, Adv. Chronic Kidney Dis. 18(5): 332~338, 2011)。エンドセリンレセプターアンタゴニスト(ERA)は、糖尿病性腎症の臨床試験においてタンパク尿を低下させることが示されており(Mannら, J. Am. Soc. Nephrol. 21(3): 527~535, 2010; Kohanら, J. Am. Soc. Nephrol. 22(4): 763~772, 2011)、FSGSにおいて有効であると推測されている(Barton, Biochimica et Biophysica Acta 1802: 1203~1213, 2010)。
従って、種々の腎臓疾患または障害(例えば、FSGS、IgA腎症、およびIMN)を処置するための組成物および方法が未だに必要である。
Schieppatiら、N.Engl.J.Med.(1993)329(2):85~89 Fervenzaら,Clin.J.Am.Soc.Nephrol.(2008)3:905~919
簡単な要旨
いくつかの実施形態において、本発明は、腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法における使用のための、構造(I):
Figure 2022141802000002
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物に関し、上記方法は、上記薬学的組成物を、(i)1.5g/g以下の尿タンパク質 対 クレアチニン(「UP/C」)比を達成するために十分な量において;(ii)1.5g/g以下のUP/C比を達成もしくは維持するために十分な量において;または(iii)1.5g/g以下のUP/C比を達成もしくは維持するために十分な投薬レジメンにおいて、上記被験体に投与する工程を包含する。
いくつかの実施形態において、本発明は、以下の治療法における使用のための、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物に関する:(i)必要性のある被験体において1.5g/g以下のUP/C比を維持するための方法であって、上記方法は、1.5g/g以下のUP/C比を維持するために十分な量において上記薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する方法;または(ii)必要性のある被験体においてUP/C比を1.5g/g以下に低減するための方法であって、上記方法は、上記被験体のUP/C比を1.5g/g以下に低減するために十分な量において上記薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する、方法。
いくつかの実施形態において、本発明は、腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法に関し、上記方法は、構造(I):
Figure 2022141802000003
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を、1.5g/g以下の尿タンパク質 対 クレアチニン(UP/C)比を達成するために十分な量において上記被験体に投与する工程を包含する。
いくつかのさらなる実施形態において、腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法が提供され、上記方法は、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を、1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な量において上記被験体に投与する工程を包含する。
いくつかのさらなる実施形態において、本発明は、腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法に関し、上記方法は、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を、1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な投薬レジメンにおいて上記被験体に投与する工程を包含する。
いくつかのさらなる実施形態において、本発明は、腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法に関し、上記方法は、ある投与期間にわたって、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を、上記投与期間のうちの少なくとも一部にわたって1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な量において上記被験体に投与する工程を包含する。
いくつかのさらなる実施形態において、本発明は、必要性のある被験体において1.5g/g以下のUP/C比を維持するための方法に関し、上記方法は、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を、1.5g/g以下のUP/C比を維持するために十分な量において上記被験体に投与する工程を包含する。
いくつかのさらなる実施形態において、本発明は、必要性のある被験体においてUP/C比を1.5g/g以下に低減するための方法に関し、上記方法は、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を、上記被験体のUP/C比を1.5g/g以下に低減するために十分な量において上記被験体に投与する工程を包含する。
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明を参照した際に明らかになる。本明細書で開示される全ての参考文献は、各々が個々に援用されたかのように、それらの全体において参考として援用される。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法における使用のための、構造(I)
Figure 2022141802000004
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物であって、前記方法は、前記薬学的組成物を
(i)1.5g/g以下の尿タンパク質 対 クレアチニン(「UP/C」)比を達成するために十分な量において;
(ii)1.5g/g以下のUP/C比を達成もしくは維持するために十分な量において;または
(iii)1.5g/g以下のUP/C比を達成もしくは維持するために十分な投薬レジメンにおいて、
前記被験体に投与する工程を包含する、
薬学的組成物。
(項目2)
前記薬学的組成物は、ある投与期間にわたって、前記投与期間のうちの少なくとも一部にわたって1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な量において前記被験体に投与される、項目1に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目3)
構造(I)
Figure 2022141802000005
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物であって、以下:
(i)必要性のある被験体において1.5g/g以下のUP/C比を維持するための治療法であって、前記方法は、1.5g/g以下のUP/C比を維持するために十分な量において前記薬学的組成物を前記被験体に投与する工程を包含する、方法;または
(ii)必要性のある被験体においてUP/C比を1.5g/g以下に低減するための治療法であって、前記方法は、前記被験体のUP/C比を1.5g/g以下に低減するために十分な量において前記薬学的組成物を前記被験体に投与する工程を包含する、方法
における使用のためのものである、薬学的組成物。
(項目4)
前記被験体は、前記薬学的組成物を投与する前に1.5g/gより高いUP/C比を有するかまたは有したことがある、前述のいずれかの項目に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目5)
前記方法は、前記被験体のUP/C比において前記被験体のベースラインUP/C比と比較して少なくとも40%の低減を達成する、前述のいずれかの項目に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目6)
前記薬学的組成物の投与の8週間以内に1.5g/g以下のUP/C比が達成される、前述のいずれかの項目に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目7)
前記薬学的組成物の投与の26週間以内に1.5g/g以下のUP/C比が達成される、前述のいずれかの項目に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目8)
前記薬学的組成物の投与の8ヶ月以内に1.5g/g以下のUP/C比が達成される、前述のいずれかの項目に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目9)
前記投与期間は8週間である、項目2に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目10)
前記投与期間は26週間である、項目2に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目11)
前記投与期間は8ヶ月である、項目2に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目12)
前記被験体に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約50mg/日~約1000mg/日である、前述のいずれかの項目に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目13)
前記被験体に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、約200mg/日~約800mg/日である、項目12に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目14)
前記被験体に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約200mg/日である、項目12に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目15)
前記被験体に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約400mg/日である、項目12に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目16)
前記被験体に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約800mg/日である、項目12に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目17)
前記投与する工程は、(1)前記被験体への初期用量での前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)前記初期投与の後に、前記被験体へのその後の用量での前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を包含し、ここで前記その後の用量は、前記初期用量より大きい、項目1~11のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目18)
前記初期用量は400mg/日であり、前記その後の用量は800mg/日である、項目17に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目19)
前記初期用量は200mg/日であり、前記その後の用量は400mg/日である、項目17に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目20)
前記被験体は、50kg未満の体重の小児である、項目19に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目21)
前記初期投与は、2週間の継続期間を有する、項目17~20のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目22)
前記投与する工程は、(1)400mg/日において1~3週間にわたる前記被験体への前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)前記初期投与の後に、800mg/日において前記被験体への前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含む、項目1~11のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目23)
前記投与する工程は、(1)200mg/日において1~3週間にわたる前記被験体への前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)前記初期投与の後に、400mg/日において前記被験体への前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を包含する、項目1~11のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目24)
前記被験体は、50kg未満の体重の小児である、項目23に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目25)
前記投与する工程は、(1)前記被験体への初期用量での前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)前記初期投与の後に、前記被験体へのその後の用量での前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み、ここで前記その後の用量は、前記初期用量より大きく;そして
前記方法は、前記その後の投与の前に前記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する、
項目1~11のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目26)
前記初期用量は400mg/日であり、前記その後の用量は800mg/日である、項目25に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目27)
前記初期用量は200mg/日であり、前記その後の用量は400mg/日である,項目25に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目28)
前記被験体は、50kg未満の体重の小児である、項目27に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目29)
前記初期投与は、1~3週間の継続期間を有する、項目25~28のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目30)
前記投与する工程は、(1)400mg/日において1~3週間にわたる前記被験体への前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)前記初期投与の後に、800mg/日において前記被験体に前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み;そして
前記方法は、前記その後の投与の前に前記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する、
項目1~11のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目31)
前記投与する工程は、(1)200mg/日において1~3週間にわたる前記被験体への前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)前記初期投与の後に、400mg/日において前記被験体への前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み;そして
前記方法は、前記その後の投与の前に前記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する、
項目1~11のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目32)
前記被験体は、50kg未満の体重の小児である、項目31に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目33)
前記化合物は、構造(I)を有する、前述のいずれかの項目に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目34)
1またはこれより多くのさらなる治療剤を前記被験体に投与する工程をさらに包含する、前述のいずれかの項目に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目35)
前記腎臓疾患または障害は、糸球体機能に関連する障害である、前述のいずれかの項目に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目36)
前記腎臓疾患または障害は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である、前述のいずれかの項目に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目37)
前記FSGSは、原発性FSGSである、項目36に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目38)
前記FSGSは、続発性FSGSである、項目36に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目39)
前記FSGSは、遺伝的FSGSである、項目36に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目40)
前記腎臓疾患または障害は、IgA腎症である、項目1~35のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目41)
前記腎臓疾患または障害は、特発性膜性腎症(IMN)である、項目1~35のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目42)
前記腎臓疾患または障害は、糖尿病性腎症である、項目1~35のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目43)
前記腎臓疾患または障害は、アルポート症候群である、項目1~35のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
(項目44)
前記腎臓疾患または障害は、ループス腎炎である、項目1~35のいずれか1項に記載の使用のための薬学的組成物。
図1A。NEPTUNEデータ(n=118)のタンパク尿段階およびその後の末期の腎疾患(ESRD)への進行または推定糸球体濾過率(eGFR)における40%低減。そのy軸は、完全寛解(0.3g/g未満のUP/C比;タンパク尿段階「1」)、0.3~1.5g/gのタンパク尿レベル(タンパク尿段階「2」)、または1.5g/gより高いタンパク尿レベル(タンパク尿段階「3」)を示す患者の生存確率を示す。そのx軸は、月数単位での時間を示す。
図1B。FSGS-CTデータ(n=109)のタンパク尿段階およびその後のESRDへの進行またはeGFRにおける40%低減。そのy軸は、完全寛解(0.3g/g未満のUP/C比;タンパク尿段階「1」)、0.3~1.5g/gのタンパク尿レベル(タンパク尿段階「2」)、または1.5g/gより高いタンパク尿レベル(タンパク尿段階「3」)を示す患者の生存確率を示す。そのx軸は、月数単位での時間を示す。
図2。スパルセンタン(sparsentan)で処置した患者(全用量コホート;n=64)およびイルベサルタンで処置した患者(n=32)のベースラインからのUP/C比の低減。幾何最小二乗平均低減;共分散分析からのp値。
図3。スパルセンタンで処置した患者(200mg/日および400mg/日の用量コホート;n=51)およびイルベサルタンで処置した患者(n=25)のベースラインからのUP/C比の低減。幾何最小二乗平均低減;共分散分析からのp値。
図4。全スパルセンタン用量コホートに関する、補完されたデータを使用するUP/C比の治療企図分析。幾何最小二乗平均低減;共分散分析からのp値;全データセットに基づく分析。
図5。スパルセンタンで処置した患者(全用量コホート;n=64)およびイルベサルタンで処置した患者(n=32)に関する、改訂部分寛解(UP/C比≦1.5g/gおよびUP/C比の>40%低減)を有する患者のパーセント。幾何最小二乗平均低減;共分散分析からのp値。
図6A。スパルセンタンを受容し続ける患者において、オープンラベル期間(8週間~48週間)の間にUP/C比≦1.5g/gとベースラインからのUP/C比の>40%低減とを達成する患者のパーセンテージ。オープンラベル期間にわたるベースラインを、オープンラベルスパルセンタン処置の開始前の二重盲検期間における最後の観察(8週目での観察)として定義した。黒菱形=8週目での24時間のUP/C比測定;黒丸=16週目から48週目での起床後最初の尿(first morning void)(スポット測定)のUP/C比。
図6B。イルベサルタンでの処置からスパルセンタンでの処置に切り替えた患者において、オープンラベル期間(8週間~48週間)の間にUP/C比≦1.5g/gとベースラインからのUP/C比の>40%低減とを達成する患者のパーセンテージ。オープンラベル期間にわたるベースラインを、オープンラベルスパルセンタン処置の開始の前の二重盲検期間における最後の観察(8週目での観察)として定義した。黒菱形=8週目での24時間のUP/C比測定;黒丸=16週目~48週目での起床後最初の尿(スポット測定)のUP/C比。
図7。イルベサルタンで処置した患者(n=32)およびスパルセンタンで処置した患者(n=64)の血圧(収縮期血圧、「SBP」;拡張期血圧、「DBP」)。
図8。イルベサルタンで処置した患者(n=32)およびスパルセンタンで処置した患者(n=64)の推定糸球体濾過率(eGFR)。
詳細な説明
本開示は一般に、腎臓疾患または障害(例えば、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、IgA腎症、および特発性膜性腎症(IMN))の処置におけるアンギオテンシンおよびエンドセリンレセプター二重アンタゴニストであるビフェニルスルホンアミド化合物の使用に関する。
以下の説明において、ある種の具体的な詳細が、本発明の種々の実施形態の理解を通じて提供するために示される。しかし、当業者は、本発明がこれらの詳細なしで実施され得ることを理解する。
別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、ある種の用語が、以下の定義された意味を有し得る。
状況が別段要求しなければ、本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、語「含む、包含する(comprise)」およびそのバリエーション(例えば、「含む、包含する(comprises)」および「含む、包含する(comprising)」)は、制限のない包括的な意味、すなわち、「が挙げられるが、これらに限定されない(including, but not limited to)」において解釈されるべきである。
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「含む、包含する(including)」およびそのバリエーション(例えば、「含む、包含する(include)」および「含む、包含する(includes)」)は、制限のない包括的な意味において解釈されるべきである;すなわち、それは、「が挙げられるが、これらに限定されない」と等価である。本明細書で使用される場合、用語「含む、包含する(include)」および「有する(have)」は、類義語として使用され、これらの用語およびこれらのバリエーションは、非限定的として解釈されることが意図される。
本明細書で使用される場合、語句「例えば、のような(such as)」とは、非限定的な例に言及する。
本明細書全体を通じて、「1つの実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて種々の箇所での語句「1つの実施形態において(in one embodiment)」または「一実施形態において(in an embodiment)」の出現は、必ずしも全て同じ実施形態に言及するわけではない。さらに、その特定の特徴、構造、または特性は、1またはこれより多くの実施形態において任意の適切な様式で組み合わされ得る。
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、および「上記、その、この(the)」の単数形は、状況が別段明らかに規定しなければ、複数形への言及を包含する。例えば、用語「1つの細胞(a cell)」とは、複数の細胞(これらの混合物を含む)を包含する。同様に、本明細書で記載されるとおりの医薬の処置または調製に関する「1つの化合物(a compound)」の使用は、状況が別段明らかに規定しなければ、このような処置または調製のために本発明の1またはこれより多くの化合物を使用することを企図する。
選択肢(例えば、「または(or)」)の使用は、それらの選択肢のいずれか1つ、両方、またはこれらの任意の組み合わせを意味すると理解されるべきである。
「選択肢的な(optional)」または「必要に応じて(optionally)」とは、後に説明される事象または状況が起こってもよいし、起こらなくてもよいこと、およびその説明が、上記の事象または状況が起こる場合およびその事象または状況が起こらない場合を含むことを意味する。
本明細書で使用される場合、「約(about)」および「およそ(approximately)」とは一般に、測定の性質または精度を考慮して、測定される量に関する誤差の許容可能な程度に言及する。誤差の代表的な例示的程度は、所定の値または値の範囲の20%、10%、または5%以内であり得る。あるいは、および特に生物学的系では、用語「約」および「およそ」は、所定の値の1桁以内、潜在的には5倍または2倍以内にある値を意味し得る。明示的に述べられない場合、用語「約」および「およそ」は、ある値に等しいか、またはその値の20%以内を意味する。
本明細書で使用される場合、数量は、報告された有効数字のその数に反映される程度まで正確である。例えば、0.1という値は、0.05~0.14を意味すると理解される。別の例として、値の間隔、0.1~0.2は、0.05~0.24の範囲を包含する。
構造(I)を有する化合物は、本開示の範囲内でもある塩を形成する。本明細書での構造(I)を有する化合物への言及は、別段示されなければ、その塩への言及を含むと理解される。用語「塩(salt)」とは、本明細書で使用される場合、無機性または有機性の酸および塩基とともに形成される酸性塩、または塩基性塩を示す。さらに、構造(I)を有する化合物は塩基性部分および酸性部分の両方を含むので、双性イオン(「分子内塩(inner salt)」)が形成され得、本明細書で使用される場合、用語「塩」の中に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性の生理学的に受容可能な)塩が好ましいが、例えば、調製の間に使用され得る単離または精製工程では、他の塩が有用であり得る。構造(I)を有する化合物の塩は、例えば、構造(I)を有する化合物とある量の酸または塩基(例えば、等しい量)とを、塩が沈殿するような媒体中で、または水性媒体中で反応させ、続いて凍結乾燥されることによって形成され得る。
用語「薬学的に受容可能な塩(pharmaceutically acceptable salt)」とは、酸付加塩(acid addition salt)および塩基付加塩(base addition salt)の両方を含む。
構造(I)を有する化合物のプロドラッグおよび溶媒和物がまた、企図される。用語「プロドラッグ(prodrug)」は、被験体に投与する際に、代謝的もしくは化学的なプロセスによる化学的変換を受けて、構造(I)を有する化合物を生じる化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を示す。構造(I)を有する化合物の溶媒和物は、水和物であり得る。任意の互変異性体がまた、企図される。
しばしば結晶化が、構造(I)を有する化合物またはその塩の溶媒和物を生成する。本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物(solvate)」とは、本明細書で開示されるとおりの化合物の1またはこれより多くの分子と溶媒の1またはこれより多くの分子とを含む集合体をいう。いくつかの実施形態において、その溶媒は水であり、この場合、その溶媒和物は水和物である。あるいは、他の実施形態において、その溶媒は有機溶媒である。従って、本開示の化合物は、水和物(一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などが挙げられる)、ならびにその相当する溶媒和化形態として存在し得る。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される化合物は、真の溶媒和物であり得る一方で、他の場合には、本明細書で開示される化合物は、外来性の水を保持するに過ぎないか、または水といくらかの外来性の溶媒の混合物である。
本明細書で開示される発明はまた、その開示される化合物のインビボ代謝生成物を包含することを意味される。このような生成物は、投与される化合物の例えば、酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などから、主に、酵素プロセスに起因して生じ得る。よって、本発明は、本発明の化合物を、その代謝生成物を生じるために十分な期間にわたって哺乳動物に投与する工程を包含するプロセスによって生成される化合物を包含する。このような生成物は、代表的には、放射性標識した本発明の化合物を検出可能な用量で動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、サル、またはヒト)に投与し、代謝が起こる十分な時間を許容し、そして尿、血液、または他の生物学的サンプルからその変換生成物を単離することによって同定される。
「安定な化合物(stable compound)」および「安定な構造(stable structure)」とは、反応混合物からの有用な純度への単離、および効果的な治療剤への製剤化に耐えるために十分強い化合物を示すことが意味される。
用語「被験体(subject)」は、哺乳動物(例えば、飼い慣らされたペット(例えば、イヌまたはネコ))、またはヒトをいう。好ましくは、その被験体は、ヒトである。
語句「有効量(effective amount)」とは、疾患を処置するために被験体または患者に投与される場合、その疾患のためのそのような処置をもたらすために十分である量をいう。
用語「投与単位形態(dosage unit form)」とは、薬学的製品の形態(その薬学的製品が使用のために売買されている形態が挙げられるが、これに限定されない)である。例としては、丸剤、錠剤、カプセル剤、および液体の液剤および懸濁物が挙げられる。
「処置(treatment)」または「処置すること(treating)」とは、(1)疾患の病理または総合的症状を経験または示している被験体もしくは患者においてその疾患を阻害すること(例えば、その病理もしくは総合的症状のさらなる発生を停止させること);または(2)疾患の病理もしくは総合的症状を経験または示している被験体もしくは患者においてその疾患を改善すること(例えば、病理もしくは総合的症状を逆転させること(reversing));または(3)疾患の病理または総合的症状を経験または示している被験体もしくは患者においてその疾患における任意の測定可能な減少をもたらすことを含む。
さらなる定義は、本開示全体を通じて示される。
化合物および調製法
本開示は一般に、アンギオテンシンおよびエンドセリンレセプター二重アンタゴニストであるビフェニルスルホンアミド化合物の使用に関する。特に、本開示は、ビフェニルスルホンアミド化合物、例えば、構造(I)
Figure 2022141802000006
を有する化合物およびその薬学的に受容可能な塩に関する。構造(I)の化合物はまた、スパルセンタンとして公知である。構造(I)の化合物は、エンドセリン(Aタイプ)レセプター(「ET」レセプター)およびアンギオテンシンIIレセプター(タイプ1)(「AT」レセプター)に対して親和性を有する選択的二重作用性レセプターアンタゴニストである(Kowalaら, JPET 309: 275-284, 2004)。
構造(I)の化合物は、以下のスキームIに図示されるもののような方法によって調製され得る。溶媒、温度、圧力、および他の反応条件は、当業者によって選択され得る。
Figure 2022141802000007
Figure 2022141802000008
パート1:エチル-4-ブロモ-3-(ブロモメチル)ベンゾエート(I-1)を、エタノール中のナトリウムエトキシドで処理して、エチル-4-ブロモ-3-(エトキシメチル)ベンゾエート(I-2)を提供し得る。エチル-4-ブロモ-3-(エトキシメチル)ベンゾエートを、1,4-ジオキサン/THF中の水素化ホウ素ナトリウムおよび塩化亜鉛を添加して、(4-ブロモ-3-(エトキシメチル)フェニル)メタノール(I-3)に変換し得る。(4-ブロモ-3-(エトキシメチル)フェニル)メタノールを、メチルスルホニルクロリドでベンジルメタンスルホネートに変換し、続いて、テトラブチルアンモニウムブロミドの存在下で2-ブチル-1,3-ジアザスピロ[4,4]ノナ-1-エン-4-オンヒドロクロリド(I-4)にカップリングして、3-(4-ブロモ-3(エトキシメチル)ベンジル)-2-ブチル-1,3-ジアザスピロ[4,4]ノナ-1-エン-4-オン(I-5)を形成する。その最後から2番目の中間体を結晶化によって単離して、3-(4-ブロモ-3(エトキシメチル)ベンジル)-2-ブチル-1,3-ジアザスピロ[4,4]ノナ-1-エン-4-オン シュウ酸(I-6)を形成する。
パート2:2-ブロモ-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3イル)-N-(メトキシメチル)ベンゼンスルホンアミド(I-7)を、ホウ酸トリイソプロピル/n-ブチルリチウム/テトラヒドロフランと反応させて、(2-(N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3イル)-N-(メトキシメチル)スルファモイル)フェニル)ボロン酸(I-8)を形成する。ピナコールと反応した(2-(N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3イル)-N-(メトキシメチル)スルファモイル)フェニル)ボロン酸は、最後から2番目の中間体-2,N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3イル)-N-(メトキシメチル)-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオザボロラン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド(I-9)を生じる。
パート3:窒素下では、I-7を、トルエン/炭酸カリウム溶液中に懸濁する。その水相を除去する。その溶媒相に、I-9、炭酸カリウム溶液、および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン錯体を添加する。その反応混合物を加熱および混合する。その溶媒相を除去し、トリチオシアヌル酸および活性炭を装填する。その反応混合物を温度において撹拌し、次いで、冷却する。次いで、その炭素を濾過し、トルエンで反復して洗浄する。その合わせた濾液を蒸溜によって濃縮し、イソプロピルアルコール(IPA)を装填する。トルエンを、反復蒸溜およびIPAを添加することを通じてその溶液から除去する。カンファースルホン酸、n-ヘプタン、および種晶を、その溶液に装填する。その得られた懸濁物を濾過し、乾燥させて、4’-((2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2’-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)-[1,1’-ビフェニル]-2スルホンアミドカンファースルホン酸(I-10)を単離する。次いで、I-10を、メトキシメチル保護基を除去する温度においてエタノール/水中の濃塩酸で処理して、その粗製生成物(I-粗製)を得る。次いで、その粗製生成物(I-粗製)を、イソプロピルアルコールおよびn-ヘプタンでの結晶化によって精製および単離して、式Iの化合物、4’-((2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2’-(エトキシメチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-スルホンアミドを提供する。
さらに、構造(I)の化合物は、米国特許出願公開番号US 2015/0164865 A1および米国特許第6,638,937 B2号に記載される方法によって調製され得る。
薬学的組成物および使用法
1つの実施形態において、本開示は、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物の投与に関する。用語「薬学的組成物(pharmaceutical composition)」とは、本明細書で使用される場合、活性成分と薬学的に受容可能な賦形剤とを含む組成物に言及する。薬学的組成物は、生物への活性成分の投与を容易にするために使用され得る。化合物を投与するための多数の技術が当該分野に存在する(例えば、経口投与、注射投与、エアロゾル投与、非経口投与、および局所投与)。薬学的組成物は、例えば、化合物と無機酸もしくは有機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸など)とを反応させることによって得られ得る。本明細書で使用される場合、用語「生理学的に受容可能な賦形剤(physiologically acceptable excipient)」とは、その活性成分の活性に干渉しない、生理学的にかつ薬学的に適した非毒性で不活性な物質または成分に言及し、任意のアジュバント、キャリア、流動促進剤(glidant)、甘味剤、希釈剤、保存剤、色素/着色料、香味増強剤(flavor enhancer)、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定化剤、等張剤、溶媒、または乳化剤が挙げられ、これらは、ヒトまたは飼い慣らされた動物における使用に受容可能であるとして、米国食品医薬品局によって承認されている。いくつかの実施形態において、その薬学的組成物は、以下に記載されるように製剤化され得る。さらに、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物を投与することによって疾患または障害を処置するための方法はまた、本開示の範囲内である。
1つの実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、増大したエンドセリンレベルおよび/または増大したAngIIレベルと関連する状態の処置において、ならびにエンドセリン依存性またはアンギオテンシンII依存性の障害の処置において有用である。よって、具体的実施形態において、エンドセリン依存性またはアンギオテンシンII依存性の障害を処置するための方法が提供され、上記方法は、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を必要性のある被験体に投与する工程を包含する。
別の実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、タンパク尿を低減するにあたって有用である。本明細書で使用される場合、「タンパク尿(proteinuria)」とは、尿が異常な量のタンパク質(すなわち、300mg/日より高い尿タンパク質排出)を含む状態に言及する。尿タンパク質 対 クレアチニン(「UP/C」)比は、尿サンプル中のクレアチニン量に対する全尿タンパク質の測定(例えば、尿(dl)中のタンパク質1g/尿(dl)中のクレアチニン1g=UP/C比 1)を提供する。本明細書で使用される場合、0.3g/gより高いUP/C比は、タンパク尿を示す。特定の実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、タンパク尿を、1.5g/g以下のレベルに低減するにあたって有用である。
1つの実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、腎臓疾患または障害の処置において有用である。
さらなる実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、腎臓、糸球体、およびメサンギウム細胞の機能に関連する障害の処置において有用であり、これら障害としては、急性の(例えば、虚血性、腎毒素、または糸球体腎炎)および慢性の(例えば、糖尿病性、高血圧性、または免疫媒介性)腎不全、糖尿病性腎症、糸球体傷害、老年に二次的なまたは透析に関連する腎損傷、腎硬化症(特に、高血圧性腎硬化症)、腎毒性(イメージング剤および造影剤に、ならびにシクロスポリンに関連する腎毒性を含む)、腎虚血、原発性膀胱尿管逆流、糸球体硬化症など)が挙げられる。1つの実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、糸球体機能に関連する障害の処置において有用である。
なお別の実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の処置において有用である。よって、具体的実施形態において、FSGSを処置するための方法が提供され、上記方法は、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を必要性のある被験体に投与する工程を包含する。別の実施形態において、原発性(または特発性)FSGSを処置するための方法であって、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を必要性のある被験体に投与する工程を包含する方法が提供される。まだなお別の実施形態において、続発性FSGSを処置するための方法が提供され、上記方法は、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を必要性のある被験体に投与する工程を包含する。その続発性FSGSは、例えば、腎重量の低減(出生時低体重と関連し得るものが挙げられる);膀胱尿管逆流;肥満;薬物療法;感染(HIV感染が挙げられる);または全身性の疾患(例えば、糖尿病、鎌状赤血球症、または狼瘡)と関連し得る。まだなお別の実施形態において、遺伝的FSGSを処置するための方法が提供され、上記方法は、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を必要性のある被験体に投与する工程を包含する。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、そのFSGSを処置するための方法は、UP/C比を1.5g/g以下に低減するために十分な量において、その薬学的組成物を投与する工程を包含し得る。
さらなる実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、IgA腎症の処置において有用である。
さらなる実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、特発性膜性腎症(IMN)の処置において有用である。
さらなる実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、糖尿病性腎症および高血圧誘導性腎症の処置において有用である。よって、具体的実施形態において、糖尿病性腎症または高血圧誘導性腎症を処置するための方法が提供され、上記方法は、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を必要性のある被験体に投与する工程を包含する。
さらなる実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、アルポート症候群の処置において有用である。
さらなる実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、ループス腎炎の処置において有用である。
さらなる実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、抗高血圧剤として有用である。例えば、1つの実施形態において、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物の投与によって、高血圧哺乳動物(例えば、ヒト)宿主の血圧は、低下される。1つの実施形態において、それらは、門脈の慢性または持続性の高血圧、エリスロポエチンでの処置に二次的な慢性または持続性の高血圧、慢性または持続性の低レニン性高血圧、および慢性または持続性の高血圧において有用である。
なおさらなる実施形態において、構造(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩は、上記の有用性の結果として、全般的な罹患率または死亡率の低下において有用である。
1つの実施形態において、前述の使用または処置法のうちのいずれかは、1またはこれより多くの活性成分(例えば、他の治療剤または診断剤)と組みあわせて、構造(I)の化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩、またはこれらを含む薬学的組成物を投与する工程を包含し得る。例えば、1つの実施形態において、1またはこれより多くの他の治療剤は、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物の投与前に、投与と同時に、または投与後に、投与され得る。固定された用量として製剤化される場合、このような組み合わせ製品は、以下で記載される投与量範囲内で構造(I)の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を、およびその承認された投与量範囲内で他の活性成分を使用し得る。
1つの実施形態において、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、血液透析とともに使用される。
具体的実施形態において、腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法が提供され、上記方法は、1.5g/g以下のUP/C比を達成するために十分な量において、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物をその被験体に投与する工程を包含する。別の実施形態において、腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法が提供され、上記方法は、1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な量において、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する。別の実施形態において、腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法が提供され、上記方法は、1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な投薬レジメンにおいて、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する。1つの実施形態において、その投薬レジメンは、200mg/日の量において構造(I)を有する化合物を投与する工程を包含する。1つの実施形態において、その投薬レジメンは、400mg/日の量において構造(I)を有する化合物を投与する工程を包含する。1つの実施形態において、その投薬レジメンは、800mg/日の量において構造(I)を有する化合物を投与する工程を包含する。別の実施形態において、その投薬レジメンは、8週間、26週間、または8ヶ月にわたって200mg/日の量において構造(I)を有する化合物を投与する工程を包含する。別の実施形態において、その投薬レジメンは、8週間、26週間、または8ヶ月にわたって400mg/日の量において構造(I)を有する化合物を投与する工程を包含する。別の実施形態において、その投薬レジメンは、8週間、26週間、または8ヶ月にわたって800mg/日の量において構造(I)を有する化合物を投与する工程を包含する。
別の具体的実施形態において、腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法が提供され、上記方法は、ある投与期間にわたって、その投与期間のうちの少なくとも一部にわたって1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な量において構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する。「投与期間(administration period)」は、その薬学的組成物がその被験体に投与される期間をいう。1つの実施形態において、その投与期間は、8週間である。1つの実施形態において、その投与期間は、26週間である。1つの実施形態において、その投与期間は、8ヶ月である。
別の実施形態において、必要性のある被験体において1.5g/g以下のUP/C比を維持するための方法が提供され、上記方法は、1.5g/g以下のUP/C比を維持するために十分な量において、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する。
別の実施形態において、必要性のある被験体においてUP/C比を1.5g/g以下に低減するための方法が提供され、上記方法は、上記患者のUP/C比を1.5g/g以下に低減するために十分な量において構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する。さらなる実施形態において、上記被験体は、上記薬学的組成物を投与する前に、1.5g/gより高いUP/C比を有するか、または有したことがある。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記方法は、上記被験体のUP/C比において上記被験体のベースラインUP/C比と比較して少なくとも40%の低減を達成し得る。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記量または投薬レジメンは、上記被験体のUP/C比において上記被験体のベースラインUP/C比と比較して少なくとも40%の低減を達成するために十分であり得る。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、1.5g/g以下のUP/C比は、上記薬学的組成物の投与の8週間以内に達成され得る。前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、1.5g/g以下のUP/C比は、上記薬学的組成物の投与の26週間以内に達成され得る。前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、1.5g/g以下のUP/C比は、上記薬学的組成物の投与の8ヶ月以内に達成され得る。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約50mg/日~約1000mg/日であり得る。例えば、1つの実施形態において、上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約200mg/日である。別の実施形態において、上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約400mg/日である。別の実施形態において、上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約800mg/日である。
1つの実施形態において、投与する工程は、(1)上記被験体への初期用量での構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、上記被験体へのその後の用量での構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を包含し、ここで上記その後の用量は、上記初期用量より大きい。さらなる実施形態において、上記被験体の血圧は、上記その後の投与の前に、90/60mmHgを上回ることが決定されている。なおさらなる実施形態において、上記初期用量は400mg/日であり、上記その後の用量は800mg/日である。別の実施形態において、上記初期用量は200mg/日であり、上記その後の用量は400mg/日である。1つの実施形態において、上記初期用量は200mg/日であり、上記その後の用量は400mg/日であり、上記被験体は、50kg未満の体重の小児である。1つの実施形態において、上記初期用量は200mg/日であり、上記その後の用量は400mg/日であり、上記被験体は、上記初期投与の前に90/60mmHg以下の血圧を有する。前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記初期投与は、1~3週間の継続期間を有し得る。具体的実施形態において、上記初期投与は、2週間の継続期間を有する。
1つの実施形態において、前述の方法では、上記投与する工程は、(1)400mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、800mg/日において上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含む。さらなる実施形態において、上記被験体の血圧は、上記その後の投与の前に90/60mmHgを上回ると決定されている。
1つの実施形態において、前述の方法では、上記投与する工程は、(1)200mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、400mg/日において上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含む。さらなる実施形態において、上記被験体は、50kg未満の体重の小児である。別の実施形態において、上記被験体は、上記初期投与の前に、90/60mmHg以下の血圧を有する。
1つの実施形態において、前述の方法では、上記投与する工程は、(1)上記被験体への初期用量での構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、上記被験体へのその後の用量での構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を包含し、ここで上記その後の用量は、上記初期用量より大きく;そして上記方法は、上記その後の投与の前に上記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する。さらなる実施形態において、上記被験体の血圧は、上記その後の投与の前に、90/60mmHgを上回ることが決定される。さらなる実施形態において、上記初期用量は400mg/日であり、上記その後の用量は800mg/日である。別の実施形態において、上記初期用量は200mg/日であり、上記その後の用量は400mg/日である。別の実施形態において、上記初期用量は200mg/日であり、上記その後の用量は400mg/日であり、上記被験体は、50kg未満の体重の小児である。別の実施形態において、上記初期用量は200mg/日であり、上記その後の用量が400mg/日であり、上記被験体は、上記初期投与の前に、90/60mmHg以下の血圧を有する。前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記初期投与は、1~3週間の継続期間を有し得る。具体的実施形態において、上記初期投与は、2週間の継続期間を有する。
1つの実施形態において、前述の方法では、上記投与する工程は、(1)400mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、800mg/日において上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み;そして上記方法は、上記その後の投与の前に上記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する。さらなる実施形態において、上記初期投与は、2週間の継続期間を有する。さらなる実施形態において、上記被験体の血圧は、上記その後の投与の前に90/60mmHgを上回ると決定される。
1つの実施形態において、前述の方法では、上記投与する工程は、(1)200mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与後に、400mg/日において上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み;そして上記方法は、上記その後の投与の前に上記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する。1つの実施形態において、上記被験体は、50kg未満の体重の小児である。1つの実施形態において、上記被験体は、上記初期投与の前に、90/60mmHg以下の血圧を有する。さらなる実施形態において、上記初期投与は、2週間の継続期間を有する。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記化合物は、構造(I)を有する化合物であり得る。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記方法は、1またはこれより多くのさらなる治療剤を上記被験体に投与する工程をさらに包含し得る。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記被験体は、薬学的組成物を投与する前に、1またはこれより多くのステロイドを投与されたことがあってもよい。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記被験体は、20%以下の間質性線維症を有し得る。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記被験体は、20%以下の尿細管萎縮を有し得る。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記腎臓疾患または障害は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)であり得る。特定の実施形態において、そのFSGSは、原発性FSGSである。別の実施形態において、そのFSGSは、続発性FSGSである。なお別の実施形態において、そのFSGSは、遺伝的FSGSである。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、その腎臓疾患または障害は、IgA腎症であり得る。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、その腎臓疾患または障害は、特発性膜性腎症(IMN)であり得る。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、その腎臓疾患または障害は、糖尿病性腎症であり得る。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、その腎臓疾患または障害は、アルポート症候群であり得る。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、その腎臓疾患または障害は、ループス腎炎であり得る。
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、その腎臓疾患または障害は、糸球体機能に関連する障害であり得る。
いくつかの実施形態において、本開示は、前述の方法における使用のための、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、本開示は、前述の治療法における使用のための医薬の製造における、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物の使用を提供する。
本開示はまた、さらなる実施形態において以下を提供する:
1. 腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法であって、上記方法は、1.5g/g以下の尿タンパク質 対 クレアチニン(「UP/C」)比を達成するために十分な量において、構造(I)
Figure 2022141802000009
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する、方法。
2. 腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法であって、上記方法は、1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な量において、構造(I)
Figure 2022141802000010
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する、方法。
3. 腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法であって、上記方法は、1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な投薬レジメンにおいて、構造(I)
Figure 2022141802000011
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する、方法。
4. 腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法であって、上記方法は、ある投与期間にわたって、上記投与期間のうちの少なくとも一部にわたって1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な量において構造(I)
Figure 2022141802000012
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する、方法。
5. 必要性のある被験体において1.5g/g以下のUP/C比を維持するための方法であって、上記方法は、1.5g/g以下のUP/C比を維持するために十分な量において、構造(I)
Figure 2022141802000013
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する、方法。
6. 必要性のある被験体においてUP/C比を1.5g/g以下に低減するための方法であって、上記方法は、上記患者のUP/C比を1.5g/g以下に低減するために十分な量において、構造(I)
Figure 2022141802000014
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する、方法。
7. 上記被験体は、上記薬学的組成物を投与する前に、1.5g/gより高いUP/C比を有するかまたは有したことがある、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
8. 上記方法は、上記被験体のUP/C比において上記被験体のベースラインUP/C比と比較して少なくとも40%の低減を達成する、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
9. 1.5g/g以下のUP/C比は、上記薬学的組成物の投与の8週間以内に達成される、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
10. 1.5g/g以下のUP/C比は、上記薬学的組成物の投与の26週間以内に達成される、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
11. 1.5g/g以下のUP/C比は、上記薬学的組成物の投与の8ヶ月以内に達成される、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
12. 上記投与期間は8週間である、実施形態4に記載の方法。
13. 上記投与期間は26週間である、実施形態4に記載の方法。
14. 上記投与期間は8ヶ月である、実施形態4に記載の方法。
15. 上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約50mg/日~約1000mg/日である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
16. 上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約200mg/日~約800mg/日である、実施形態15に記載の方法。
17. 上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約200mg/日である、実施形態15に記載の方法。
18. 上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約400mg/日である、実施形態15に記載の方法。
19. 上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約800mg/日である、実施形態15に記載の方法。
20. 上記投与する工程は、(1)上記被験体への初期用量での構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、上記被験体へのその後の用量での構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を包含し、ここで上記その後の用量は、上記初期用量より大きい、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
21. 上記初期用量は400mg/日であり、上記その後の用量は800mg/日である、実施形態20に記載の方法。
22. 上記初期用量は200mg/日であり、上記その後の用量は400mg/日である、実施形態20に記載の方法。
23. 上記被験体は、50kg未満の体重の小児である、実施形態22に記載の方法。
24. 上記初期投与は、2週間の継続期間を有する、実施形態20~23のいずれか1つに記載の方法。
25. 上記投与する工程は、(1)400mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、800mg/日において上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
26. 上記投与する工程は、(1)200mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、400mg/日において上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
27. 上記被験体は、50kg未満の体重の小児である、実施形態26に記載の方法。
28. 上記投与する工程は、(1)上記被験体への初期用量での構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、上記被験体へのその後の用量での構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み、ここで上記その後の用量は、上記初期用量より大きく;そして
上記方法は、上記その後の投与の前に上記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する、
実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
29. 上記初期用量は400mg/日であり、上記その後の用量は800mg/日である、実施形態28に記載の方法。
30. 上記初期用量は200mg/日であり、上記その後の用量は、400mg/日である、実施形態28に記載の方法。
31. 上記被験体は、50kg未満の体重の小児である、実施形態30に記載の方法。
32. 上記初期投与は、1~3週間の継続期間を有する、実施形態28~31のいずれか1つに記載の方法。
33. 上記投与する工程は、(1)400mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、800mg/日において上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み;そして
上記方法は、上記その後の投与の前に上記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する、
実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
34. 上記投与する工程は、(1)200mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、400mg/日において上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み;そして
上記方法は、上記その後の投与の前に上記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する、
実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
35. 上記被験体は、50kg未満の体重の小児である、実施形態34に記載の方法。
36. 上記化合物は、構造(I)を有する、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
37. 1またはこれより多くのさらなる治療剤を上記被験体に投与する工程をさらに包含する、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
38. 上記腎臓疾患または障害は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
39. 上記FSGSは、原発性FSGSである、実施形態38に記載の方法。
40. 上記FSGSは、続発性FSGSである、実施形態38に記載の方法。
41. 上記FSGSは、遺伝的FSGSである、実施形態38に記載の方法。
42. 上記腎臓疾患または障害は、IgA腎症である、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
43. 上記腎臓疾患または障害は、特発性膜性腎症(IMN)である、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
44. 上記腎臓疾患または障害は、糖尿病性腎症である、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
45. 腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法における使用のための、構造(I)
Figure 2022141802000015
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物であって、上記方法は、上記薬学的組成物を
(i)1.5g/g以下の尿タンパク質 対 クレアチニン(「UP/C」)比を達成するために十分な量において;
(ii)1.5g/g以下のUP/C比を達成もしくは維持するために十分な量において;または
(iii)1.5g/g以下のUP/C比を達成もしくは維持するために十分な投薬レジメンにおいて、
上記被験体に投与する工程を包含する、
薬学的組成物。
46. 上記薬学的組成物は、ある投与期間にわたって、上記投与期間のうちの少なくとも一部にわたって1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な量において上記被験体に投与される、実施形態45に記載の使用のための薬学的組成物。
47. 構造(I)
Figure 2022141802000016
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物であって、以下:
(i)必要性のある被験体において1.5g/g以下のUP/C比を維持するための治療法であって、上記方法は、1.5g/g以下のUP/C比を維持するために十分な量において上記薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する、方法;または
(ii)必要性のある被験体においてUP/C比を1.5g/g以下に低減するための治療法であって、上記方法は、上記被験体のUP/C比を1.5g/g以下に低減するために十分な量において上記薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する、方法
における使用のためのものである、薬学的組成物。
48. 上記被験体は、上記薬学的組成物を投与する前に1.5g/gより高いUP/C比を有するかまたは有したことがある、実施形態45~47のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
49. 上記方法は、上記被験体のUP/C比において上記被験体のベースラインUP/C比と比較して少なくとも40%の低減を達成する、実施形態45~48のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
50. 上記薬学的組成物の投与の8週間以内に1.5g/g以下のUP/C比が達成される、実施形態45~49のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
51. 上記薬学的組成物の投与の26週間以内に1.5g/g以下のUP/C比が達成される、実施形態45~50のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
52. 上記薬学的組成物の投与の8ヶ月以内に1.5g/g以下のUP/C比が達成される、実施形態45~51のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
53. 上記投与期間は8週間である、実施形態46に記載の使用のための薬学的組成物。
54. 上記投与期間は26週間である、実施形態46に記載の使用のための薬学的組成物。
55. 上記投与期間は8ヶ月である、実施形態46に記載の使用のための薬学的組成物。
56. 上記被験体に投与される上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約50mg/日~約1000mg/日である、実施形態45~55のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
57. 上記被験体に投与される上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、約200mg/日~約800mg/日である、実施形態56に記載の使用のための薬学的組成物。
58. 上記被験体に投与される上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約200mg/日である、実施形態56に記載の使用のための薬学的組成物。
59. 上記被験体に投与される上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約400mg/日である、実施形態56に記載の使用のための薬学的組成物。
60. 上記被験体に投与される上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約800mg/日である、実施形態56に記載の使用のための薬学的組成物。
61. 上記投与する工程は、(1)上記被験体への初期用量での上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、上記被験体へのその後の用量での上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を包含し、ここで上記その後の用量は、上記初期用量より大きい、実施形態45~55のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
62. 上記初期用量は400mg/日であり、上記その後の用量は800mg/日である、実施形態61に記載の使用のための薬学的組成物。
63. 上記初期用量は200mg/日であり、上記その後の用量は400mg/日である、実施形態61に記載の使用のための薬学的組成物。
64. 上記被験体は、50kg未満の体重の小児である、実施形態63に記載の使用のための薬学的組成物。
65. 上記初期投与は、2週間の継続期間を有する、実施形態61~64のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
66. 上記投与する工程は、(1)400mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、800mg/日において上記被験体への上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含む、実施形態45~55のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
67. 上記投与する工程は、(1)200mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、400mg/日において上記被験体への上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を包含する、実施形態45~55のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
68. 上記被験体は、50kg未満の体重の小児である、実施形態67に記載の使用のための薬学的組成物。
69. 上記投与する工程は、(1)上記被験体への初期用量での上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、上記被験体へのその後の用量での上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み、ここで上記その後の用量は、上記初期用量より大きく;そして
上記方法は、上記その後の投与の前に上記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する、
実施形態45~55のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
70. 上記初期用量は400mg/日であり、上記その後の用量は800mg/日である、実施形態69に記載の使用のための薬学的組成物。
71. 上記初期用量は200mg/日であり、上記その後の用量は400mg/日である,実施形態69に記載の使用のための薬学的組成物。
72. 上記被験体は、50kg未満の体重の小児である、実施形態71に記載の使用のための薬学的組成物。
73. 上記初期投与は、1~3週間の継続期間を有する、実施形態69~72のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
74. 上記投与する工程は、(1)400mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、800mg/日において上記被験体に上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み;そして
上記方法は、上記その後の投与の前に上記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する、
実施形態45~55のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
75. 上記投与する工程は、(1)200mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、400mg/日において上記被験体への上記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み;そして
上記方法は、上記その後の投与の前に上記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する、
実施形態45~55のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
76. 上記被験体は、50kg未満の体重の小児である、実施形態75に記載の使用のための薬学的組成物。
77. 上記化合物は、構造(I)を有する、実施形態45~76のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
78. 1またはこれより多くのさらなる治療剤を上記被験体に投与する工程をさらに包含する、実施形態45~77のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
79. 上記腎臓疾患または障害は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である、実施形態45~78のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
80. 上記FSGSは、原発性FSGSである、実施形態79に記載の使用のための薬学的組成物。
81. 上記FSGSは、続発性FSGSである、実施形態79に記載の使用のための薬学的組成物。
82. 上記FSGSは、遺伝的FSGSである、請求項79に記載の使用のための薬学的組成物。
83. 上記腎臓疾患または障害は、IgA腎症である、実施形態45~78のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
84. 上記腎臓疾患または障害は、特発性膜性腎症(IMN)である、実施形態45~78のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
85. 上記腎臓疾患または障害は、糖尿病性腎症である、実施形態45~78のいずれか1つに記載の使用のための薬学的組成物。
86. 腎臓疾患または障害の処置を必要とする被験体において腎臓疾患または障害を処置する方法における使用のための医薬の製造における構造(I)
Figure 2022141802000017
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物の使用であって、上記方法は、
(i)1.5g/g以下の尿タンパク質 対 クレアチニン(「UP/C」)比を達成するために十分な量において;
(ii)1.5g/g以下のUP/C比を達成もしくは維持するために十分な量において;または
(iii)1.5g/g以下のUP/C比を達成もしくは維持するために十分な投薬レジメンにおいて、
上記薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する、使用。
87. 上記薬学的組成物は、ある投与期間にわたって、上記投与期間のうちの少なくとも一部にわたって1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な量において上記被験体に投与される、実施形態86に記載の医薬の製造における、使用。
88. 医薬の製造における構造(I)
Figure 2022141802000018
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物の使用であって、前記医薬は、以下:
(i)必要性のある被験体において1.5g/g以下のUP/C比を維持するための治療法であって、上記方法は、1.5g/g以下のUP/C比を維持するために十分な量において上記薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する方法;または
(ii)必要性のある被験体においてUP/C比を1.5g/g以下に低減するための治療法であって、上記方法は、上記患者のUP/C比を1.5g/g以下に低減するために十分な量において上記薬学的組成物を上記被験体に投与する工程を包含する方法
における使用のためのものである、使用。
89. 上記被験体は、上記薬学的組成物を投与する前に1.5g/gより高いUP/C比を有するかまたは有したことがある、実施形態86~88のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
90. 上記方法は、上記被験体のUP/C比において上記被験体のベースラインUP/C比と比較して少なくとも40%の低減を達成する、実施形態86~89のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
91. 上記薬学的組成物の投与の8週間以内に1.5g/g以下のUP/C比が達成される、実施形態86~90のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
92. 上記薬学的組成物の投与の26週間以内に1.5g/g以下のUP/C比が達成される、実施形態86~91のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
93. 上記薬学的組成物の投与の8ヶ月以内に 1.5g/g以下のUP/C比が達成される、実施形態86~92のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
94.上記投与期間は8週間である、実施形態87に記載の医薬の製造における、使用。
95. 上記投与期間は26週間である、実施形態87に記載の医薬の製造における、使用。
96. 上記投与期間は8ヶ月である、実施形態87に記載の医薬の製造における、使用。
97. 上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約50mg/日~約1000mg/日である、実施形態86~96のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
98. 上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約200mg/日~約800mg/日である、実施形態97に記載の医薬の製造における、使用。
99. 上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約200mg/日である、実施形態97に記載の医薬の製造における、使用。
100. 上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約400mg/日である、実施形態97に記載の医薬の製造における、使用。
101. 上記被験体に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約800mg/日である、実施形態97に記載の医薬の製造における、使用。
102. 上記投与する工程は、(1)上記被験体への初期用量での構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、上記被験体へのその後の用量での構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み、上記その後の用量は、初期用量より大きい、実施形態86~96のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
103. 上記初期用量は400mg/日であり、上記その後の用量は800mg/日である、実施形態102に記載の医薬の製造における、使用。
104. 上記初期用量は200mg/日であり、上記その後の用量は400mg/日である、実施形態102に記載の医薬の製造における、使用。
105. 上記被験体は、50kg未満の体重の小児である、実施形態104に記載の医薬の製造における、使用。
106. 上記初期投与は、2週間の継続期間を有する、実施形態102~105のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
107. 上記投与する工程は、(1)400mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、800mg/日において上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含む、実施形態86~96のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
108. 上記投与する工程は、(1)200mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、400mg/日において上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含む、実施形態86~96のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
109. 上記被験体は、50kg未満の体重の小児である、実施形態108に記載の医薬の製造における、使用。
110. 上記投与する工程は、(1)上記被験体への初期用量での構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、上記被験体へのその後の用量での構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み、ここで上記その後の用量は、上記初期用量より大きく;そして
上記方法は、上記その後の投与の前に上記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する、
実施形態86~96のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
111. 上記初期用量は400mg/日であり、上記その後の用量は800mg/日である、実施形態110に記載の医薬の製造における、使用。
112. 上記初期用量は200mg/日であり、上記その後の用量は、400mg/日である、実施形態110に記載の医薬の製造における、使用。
113. 上記被験体は、50kg未満の体重の小児である、実施形態112に記載の医薬の製造における、使用。
114. 上記初期投与は、1~3週間の継続期間を有する、実施形態110~113のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
115. 上記投与する工程は、(1)400mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、800mg/日において上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み;そして
上記方法は、上記その後の投与の前に上記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する、
実施形態86~96のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
116. 上記投与する工程は、(1)200mg/日において1~3週間にわたる上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)上記初期投与の後に、400mg/日において上記被験体への構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を含み;そして
上記方法は、上記その後の投与の前に上記被験体の血圧を測定する工程をさらに包含する、
実施形態86~96のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
117. 上記被験体は、50kg未満の体重の小児である、実施形態116に記載の医薬の製造における、使用。
118. 上記化合物は、構造(I)を有する、実施形態86~117のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
119. 1またはこれより多くのさらなる治療剤を上記被験体に投与する工程をさらに包含する、実施形態86~118のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
120. 上記腎臓疾患または障害は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である、実施形態86~119のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
121. 上記FSGSは、原発性FSGSである、実施形態120に記載の医薬の製造における、使用。
122. 上記FSGSは、続発性FSGSである、実施形態120に記載の医薬の製造における、使用。
123. 上記FSGSは、遺伝的FSGSである、実施形態120に記載の医薬の製造における、使用。
124. 上記腎臓疾患または障害は、IgA腎症である、実施形態86~119のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
125. 上記腎臓疾患または障害は、特発性膜性腎症(IMN)である、実施形態86~119のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
126. 上記腎臓疾患または障害は、糖尿病性腎症である、実施形態86~119のいずれか1つに記載の医薬の製造における、使用。
127. 上記腎臓疾患または障害は、糸球体機能に関連する障害である、実施形態1~37、45~78、および86~119のいずれか1つに記載の方法、使用のための薬学的組成物、または医薬の製造における、使用。
128. 上記腎臓疾患または障害は、アルポート症候群である、実施形態1~37、45~78、および86~119のいずれか1つに記載の方法、使用のための薬学的組成物、または医薬の製造における、使用。
129. 上記腎臓疾患または障害が、ループス腎炎である、実施形態1~37、45~78、および86~119のいずれか1つに記載の方法、使用のための薬学的組成物、または医薬の製造における、使用。
薬学的製剤
一局面において、本開示は、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物の投与に関する。構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の製剤化および投与に関する技術は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」, Mack Publishing Co., Easton, PA, 第18版, 1990に見出され得る。いくつかの実施形態において、その薬学的組成物は、以下で記載されるように製剤化される。
いくつかの実施形態において、賦形剤は、それ自体治療剤ではなく、治療剤を被験体に送達するために、または薬学的組成物に添加されて、その取り扱いもしくは貯蔵特性を改善するか、または経口投与に適した別個の物品(例えば、カプセル剤、錠剤、フィルム被覆錠剤、カプレット(caplet)、ゲルキャップ(gel cap)、丸剤、ペレット、ビーズなど)へとその組成物の用量単位を形成することを可能にするかもしくは促進する、キャリア、希釈剤、アジュバント、またはビヒクルとして使用される任意の物質を含む。例えば、賦形剤は、表面活性剤(または「界面活性剤」)、キャリア、希釈剤、崩壊剤、結合剤、湿潤剤、ポリマー、滑沢剤、流動促進剤、被覆または被覆補助物質、フィルム形成物質、甘味料、可溶化剤、平滑化剤(smoothing agent)、懸濁剤、不愉快な味もしくは臭いをマスクもしくは相殺するために添加される物質、香味料(flavor)、着色料、香料(fragrance)、またはその組成物の外見を改善するために添加される物質、あるいはこれらの組み合わせであり得る。
受容可能な賦形剤としては、例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、トウモロコシデンプンもしくはその誘導体、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース一水和物、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、システイン塩酸塩、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー101、105、108、122、123、124、181、182、183、184、185、188、212、215、217、231、234、235、237、238、282、284、288、331、333、334、335、338、401、402、403、および407、ならびにポロキサマー105ベンゾエート、ポロキサマー182ジベンゾエート407など)、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素などが挙げられる。錠剤およびカプセル剤に適した賦形剤の例としては、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、デンプンナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポロキサマー188、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムが挙げられる。軟質ゼラチンカプセルに適した賦形剤の例としては、植物性油、ワックス、脂肪、ならびに半固体および液体のポリオールが挙げられる。液剤およびシロップ剤の調製に適した賦形剤としては、例えば、水、ポリオール、スクロース、転化糖、およびグルコースが挙げられる。その化合物はまた、微小被包形態で作製され得る。望ましいのであれば、吸収増強調製物(例えば、リポソーム)が利用され得る。治療上の使用のための受容可能な賦形剤は、製薬分野で周知であり、例えば、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」, 第5版(Raymond C Rowe, Paul J Sheskey and Sian C Owen編, 2005)および「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」, 第21版(Lippincott Williams & Wilkins, 2005)に記載される。
いくつかの実施形態において、界面活性剤が使用される。経口薬物形態における湿潤剤としての界面活性剤の使用は、文献中に、例えば、H. Sucker, P. Fuchs, P. Speiser, Pharmazeutische Technologie, 第2版, Thieme 1989, 第260頁に記載される。界面活性剤を使用すること、とりわけ、薬学的活性化合物の透過およびバイオアベイラビリティーを改善することも可能であることは、他の論文(例えば、Advanced Drug Delivery Reviews (1997), 23, 第163~183頁において公開されるもの)から、公知である。界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、およびこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、その界面活性剤は、ポリ(オキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレン)ステアレート、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリグリコール酸化グリセリド(polyglycolated glyceride)、ポリ(オキシエチレン)ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポロキサマー、脂肪酸塩、胆汁酸塩、アルキルスルフェート、レシチン、胆汁酸塩およびレシチンの混合ミセル、グルコースエステルビタミンE TPGS(D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)、ラウリル硫酸ナトリウムなど、ならびにこれらの混合物からなる群より選択される。
本明細書で使用される場合、用語「キャリア(carrier)」とは、化合物を細胞または組織へと組み込むことを促進する化合物を定義する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、生物の細胞または組織への多くの有機化合物の取り込みを促進することから、一般に利用されるキャリアである。本明細書で使用される場合、用語「希釈剤(diluent)」とは、目的の化合物を溶解し、その化合物の生物学的に活性な形態を安定化する水中で希釈される化合物を定義する。緩衝化溶液中に溶解した塩は、当該分野で希釈剤として一般に利用される。1つの一般に使用される緩衝化溶液は、ヒト血液の塩条件を模倣することから、リン酸緩衝化食塩水である。緩衝塩は、低濃度で溶液のpHを制御し得るので、緩衝化希釈剤は、化合物の生物学的活性を希に改変する。いくつかの実施形態において、スクロース、フルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、転化糖、炭酸カルシウム、ラクトース、デンプン、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、薬学的に受容可能なポリオール(例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イソマルト、およびグリセロール)、ポリデキストロース、デンプンなどの化合物、またはこれらの混合物のうちの1またはこれより多くから選択される希釈剤が、使用される。治療上の使用に受容可能なキャリアまたは希釈剤は、製薬分野で周知であり、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」, 第18版, Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)に記載される。
いくつかの実施形態において、崩壊剤(例えば、デンプン、クレイ、セルロース、アルギン、ガム、または架橋ポリマー)が、例えば、投与後の錠剤崩壊を促進するために使用される。適切な崩壊剤としては、例えば、架橋ポリビニルピロリドン(PVP-XL)、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、メタクリル酸DYB、微結晶性セルロース、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、α化デンプン、クロスカルメロースナトリウムなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、その製剤はまた、微量の非毒性の補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化剤など);例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、酢酸ナトリウムトリエタノールアミン、トリエタノールアミンオレエート、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを含み得る。
いくつかの実施形態において、例えば、製剤に粘着特性を付与し、従ってその得られた投与形態が圧縮後に無傷なままであることを担保するために結合剤が使用される。適切な結合剤物質としては、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロースおよびマルトデキストリンが挙げられる)、ポリエチレングリコール、ワックス、天然および合成のガム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ポビドン、セルロースポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる)などが挙げられるが、これらに限定されない。よって、いくつかの実施形態において、本明細書で開示される製剤は、主要な賦形剤の圧縮性を増強するために少なくとも1つの結合剤を含む。例えば、その製剤は、以下の範囲において以下の結合剤のうちの少なくとも1つを含み得る:約2%~約6% w/w ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel);約2%~約5% w/w ポリビニルピロリドン(PVP);約1%~約5% w/w メチルセルロース;約2%~約5% ヒドロキシプロピルメチルセルロース;約1%~約5% w/w エチルセルロース; 約1%~約5% w/w カルボキシメチルセルロースナトリウム;など。当業者は、本明細書で記載される製剤において使用され得るさらなる結合剤および/または量を認識する。当業者によって認識されるように、本明細書で開示される製剤に組み込まれる場合、主要な充填剤および/または他の賦形剤の量は、その投与形態の全体の単位重量を変化しないように維持するために、添加される結合剤の量を応じて合わせるために低減され得る。1つの実施形態において、結合剤は、結合活性を増大させるために、溶液からスプレーされる(例えば、湿式造粒)。
1つの実施形態において、滑沢剤は、ある種の投与形態の製造において使用される。例えば、滑沢剤は、錠剤を生成する場合に使用され得る。1つの実施形態において、滑沢剤は、打錠する工程の直前に添加され得、良好な分散を得るために最低限の期間にわたって他の成分と混合され得る。いくつかの実施形態において、1またはこれより多くの滑沢剤が使用され得る。適切な滑沢剤の例としては、当該分野で公知のように、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、タルク、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドポリマー(例えば、ポリエチレングリコールに関してはCarbowax(登録商標)およびポリエチレンオキシドに関してはPolyox(登録商標)の登録商標の下でDow Chemical Company(Midland, Mich.)から市販されている)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、DL-ロイシン、コロイド状シリカなどが挙げられる。代表的な滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物である。滑沢剤は、錠剤重量のうちの約0.25%~約50%、代表的には、約1%~約40%、より代表的には約5%~約30%、および最も代表的には20%~30%を構成し得る。いくつかの実施形態において、ステアリン酸マグネシウムは、滑沢剤として、例えば、粉末流動を改善するために、そのブレンドが打錠装置へ接着することを防止するために、および表面に打印するために、ならびに潤滑を提供して、錠剤が錠剤ダイからきれいに排出されることを可能にするために、添加され得る。いくつかの実施形態において、ステアリン酸マグネシウムは、約0.1%~約5.0% w/w、または約0.25%~約4% w/w、または約0.5% w/w~約3% w/w、または約0.75%~約2% w/w、または約0.8%~約1.5% w/w、または約0.85%~約1.25% w/w、または約0.9%~約1.20% w/w、または約0.85%~約1.15% w/w、または約0.90%~約1.1.% w/w、または約0.95%~約1.05% w/w、または約0.95%~約1% w/wの範囲に及ぶ濃度で薬学的製剤に添加され得る。上記の範囲は、代表的範囲の例である。当業者は、本明細書で記載される製剤において使用され得るさらなる滑沢剤および/または量を認識する。当業者によって認識されるように、本明細書で開示される薬学的組成物へと組み込まれる場合、その主要な充填剤および/または他の賦形剤の量は、その投与形態の全体の単位重量が変化しないように維持するために、添加される滑沢剤の量をそれに応じて合わせるように低減され得る。
いくつかの実施形態において、流動促進剤が使用される。流動促進剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末化セルロース、デンプン、タルク、およびリン酸カルシウムなど、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
いくつかの実施形態において、その製剤は、被覆、例えば、フィルム被覆を含み得る。フィルム被覆が含まれる場合、被覆調製物は、例えば、フィルム形成ポリマー、可塑剤などを含み得る。また、その被覆は、顔料または乳白剤を含み得る。フィルム形成ポリマーの例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびデンプンが挙げられる。可塑剤の例としては、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル(dibutyl sebecate)、ヒマシ油、およびアセチル化モノグリセリドが挙げられる。さらに、顔料および乳白剤の例としては、種々の色の鉄酸化物、多くの色のレーキ色素、二酸化チタンなどが挙げられる。
いくつかの実施形態において、着色添加物が含まれる。その着色料は、投与形態強度を識別するために十分な量で使用され得る。いくつかの実施形態において、薬物における使用に関して承認された着色添加物(21 C.F.R. pt. 74を参照のこと)は、錠剤強度を区別するために市販される製剤に添加される。他の薬学的に受容可能な着色料およびこれらの組み合わせの使用はまた、本開示によって包含される。
本明細書で開示されるとおりの薬学的組成物は、改善された移送、送達、耐性などを提供する任意の他の薬剤を含み得る。これらの組成物としては、例えば、散剤、パスタ剤、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有小胞(例えば、Lipofectin(登録商標))、DNA結合体、無水吸収パスタ剤(anhydrous absorption paste)、水中油型および油中水型のエマルジョン、Carbowax(種々の分子量のポリエチレングリコール)のエマルジョン、半固体ゲル、およびCarbowaxを含む半固体混合物が挙げられ得る。
種々の実施形態において、アルコール、エステル、硫化脂肪族アルコールなどは、表面活性剤として使用され得る;スクロース、グルコース、ラクトース、デンプン、結晶化セルロース、マンニトール、軟質無水ケイ酸(light anhydrous silicate)、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(magnesium methasilicate aluminate)、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸性炭酸ナトリウム(sodium acid carbonate)、リン酸水素カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどが、賦形剤として使用され得る;ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油などが、平滑化剤として使用され得る;ココナツ油、オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、およびダイズ油(soya)は、懸濁剤または滑沢剤として使用され得る;炭水化物(例えば、セルロースまたは糖)の誘導体としての酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルの誘導体としてのメチルアセテートメタクリレートコポリマー、または可塑剤(例えば、フタル酸エステル)は、懸濁剤として使用され得る。
1つの実施形態において、本明細書で開示されるとおりの薬学的組成物は、保存剤、安定化剤、色素、甘味料、香料、矯味矯臭剤などのうちの1またはこれより多くをさらに含み得る。例えば、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルは、保存剤として含まれ得る。抗酸化剤および懸濁化剤はまた、その薬学的組成物に含まれ得る。
単剤療法として使用されていることに加えて、本明細書で開示される化合物および薬学的組成物はまた、併用療法における使用が見出され得る。有効な併用療法は、多数の活性成分を含む単一の薬学的組成物で、または2またはこれより多くの別個の薬学的組成物で達成され得る。あるいは、各療法が、数分から数ヶ月の範囲の間隔で、他のものより先に行われてもよいし、後に行われてもよい。
いくつかの実施形態において、その列挙された賦形剤のうちの1もしくはこれより多く、またはこれらの任意の組み合わせは、具体的に含まれ得るか、または本明細書で開示される薬学的組成物または方法から排除され得る。
前述の製剤のうちのいずれかは、その薬学的組成物の中の1またはこれより多くの活性成分がその製剤によって不活性化されず、その製剤が生理学的に適合性でありかつ投与経路に許容性であることを条件として、本明細書中の開示に従って処置および治療において適切であり得る(Baldrick P., 「Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance.」 Regul. Toxicol. Pharmacol. 32(2):210-8 (2000); Charman W.N., 「Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts.」 J. Pharm. Sci. 89(8):967-78 (2000)、ならびに製薬化学者に周知の製剤、賦形剤、およびキャリアに関連するさらなる情報に関するその中の引用もまた参照のこと)。
いくつかの実施形態において、上記の賦形剤は、全組成物重量のうちの約95%まで、もしくは全組成物重量のうちの約85%まで、もしくは全組成物重量のうちの約75%まで、もしくは全組成物重量のうちの約65%まで、もしくは全組成物重量のうちの約55%まで、もしくは全組成物重量のうちの約45%まで、もしくは全組成物重量のうちの約43%まで、もしくは全組成物重量のうちの約40%まで、もしくは全組成物重量のうちの約35%まで、または全組成物重量のうちの約30%まで、もしくは全組成物重量のうちの約25%まで、もしくは全組成物重量のうちの約20%まで、もしくは全組成物重量のうちの約15%まで、もしくは全組成物重量のうちの約10%まで、またはそれより少ない量で存在し得る。
当業者によって認識されるように、賦形剤の量は、薬物投与量および投与形態サイズによって決定される。本明細書で開示されるいくつかの実施形態において、その投与形態サイズは、約200mg~800mgである。本明細書で開示される別の実施形態において、その投与形態サイズは、約200mgである。本明細書で開示されるさらなる実施形態において、その投与形態サイズは、約400mgである。本明細書で開示されるさらなる実施形態において、その投与形態サイズは、約800mgである。当業者は、重量範囲が本開示によって作製されかつ包含されることを理解する。
本開示の薬学的組成物は、それ自体が公知である様式で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、湿式粉砕、乳化、被包、捕捉、または打錠プロセスによって、製造され得る。
本開示の薬学的組成物は、錠剤、フィルム被覆錠剤、カプセル剤、カプレット、丸剤、ゲルキャップ、ペレット、ビーズ、または糖衣錠投与形態において、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の低用量製剤を提供し得る。本明細書で開示される製剤は、都合の良い薬物処理品質(例えば、迅速な打錠速度、低減した圧縮力、低減した排出力、ブレンドの均一性、内容の均一性、均一な色の分散、加速した崩壊時間、迅速な溶解、低破砕性(下流の処理(例えば、パッケージング、輸送、選別梱包処理(pick-and-pack)などに好ましい)およびバリエーションの小さい投与形態の物理的特性(例えば、重量、硬度、厚み、破砕性)が挙げられる)を提供し得る。
適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。構造(I)の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩、またはこれらを含む薬学的組成物を投与するための適切な経路としては、例えば、経口、直腸、経粘膜、局所、または腸管投与(intestinal administration);および非経口送達(筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、髄腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻内、または眼内注射が挙げられる)が挙げられ得る。構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩はまた、所定の速度での長期または適時のパルス状の投与のために、徐放性投与形態または制御放出投与形態(デポー注射、浸透圧ポンプ、丸剤、経皮(電気輸送(electrotransport)を含む)パッチなどが挙げられる)で投与され得る。
注射物は、従来の形態において、液体の液剤もしくは懸濁物、注射前の液体への溶解もしくは懸濁に適した固体形態、またはエマルジョンとしてのいずれかで調製され得る。適切な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、システイン塩酸塩などを含み得る。さらに、望ましい場合、その注射可能な薬学的組成物は、微量の非毒性補助物質(例えば、湿潤剤、pH緩衝化剤など)を含み得る。生理学的に適合性の緩衝液としては、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理食塩緩衝液が挙げられる。望ましい場合、吸収増強調製物(例えば、リポソーム)が利用され得る。
経粘膜投与のために、浸透されるべき障壁に適した浸透剤が、その製剤において使用され得る。
非経口投与(例えば、ボーラス注射または連続注入による)のための薬学的製剤は、水溶性形態においてその活性化合物の水性溶液を含む。さらに、その活性化合物の懸濁物は、適切な油性注射懸濁物として調製され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、脂肪油(例えば、ゴマ油)、または他の有機性の油(例えば、ダイズ、グレープフルーツ、またはアーモンドの油)、または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)、またはリポソームを含む。水性の注射懸濁物は、懸濁物の粘性を増大させる物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、デキストラン)を含み得る。必要に応じて、その懸濁物はまた、高度に濃縮された液剤の調製を可能にするために化合物の溶解度を増大させる適切な安定化剤または薬剤を含み得る。注射用の製剤は、単位投与形態において、例えば、アンプルまたは複数用量容器において、保存剤が添加されて、提示され得る。その組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の懸濁物、液剤、またはエマルジョンとしてこのような形態をとり得、製剤化剤(formulatory agent)(例えば、懸濁化剤、安定化剤、または分散剤)を含み得る。あるいは、その活性成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば、滅菌発熱物質非含有水での構成のために散剤形態にあり得る。
経口投与のために、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、その活性化合物と当該分野で公知の薬学的に受容可能なキャリアとを合わせることによって製剤化され得る。このようなキャリアは、その化合物が、処置されるべき患者による経口摂取のために、錠剤、フィルム被覆錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液体、ゲル、ゲルキャップ(get cap)、ペレット、ビーズ、シロップ剤、スラリー、懸濁物などとして製剤化されることを可能にする。
経口使用のための薬学的調製物は、その活性化合物を、固体賦形剤と合わせる、必要に応じて、得られた混合物をすり潰す、および望ましい場合には、錠剤または糖衣錠コアを得るために適切な補助剤を添加した後に顆粒の混合物を処理することによって、得られ得る。適切な賦形剤は、特に、充填剤(例えば、糖(ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールが挙げられる);およびセルロース調製物(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはポリビニルピロリドン(PVP)のような)である。望ましい場合、崩壊剤が添加され得る(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム))。適切な被覆を有する糖衣錠コアはまた、本開示の範囲内である。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用され得、これは、必要に応じて、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液(lacquer solution)、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。染料または顔料は、識別用に、または活性化合物用量の種々の組み合わせを特徴付けるために、錠剤もしくは糖衣錠被覆に添加され得る。この目的のために、濃縮された糖溶液が使用され得、これは、必要に応じて、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、または適切な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含み得る。染料または顔料は、識別用に、または活性化合物用量の種々の組み合わせを特徴付けるために、錠剤もしくは糖衣錠被覆に添加され得る。さらに、安定化剤が添加され得る。いくつかの実施形態において、経口投与のための製剤は、このような投与のために適切な投与量にある。いくつかの実施形態において、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の製剤は、受容可能な即時放出溶解プロフィールおよび堅固かつ拡張可能な製造法を有する。
経口使用され得る薬学的調製物は、ゼラチンから作製されるプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)から作製される軟質のシールされたカプセルを含む。そのプッシュフィットカプセルは、その活性成分を、充填剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)、または滑沢剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム)、および必要に応じて、安定化剤と混合した状態で含み得る。軟質カプセルでは、その活性化合物は、適切な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール)に溶解または懸濁され得る。さらに、安定化剤が添加され得る。
口内投与のために、その組成物は、従来の様式で製剤化される錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。
吸入による投与のために、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、適切な噴霧体(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガス)を使用して、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーの提示という形態で都合良く送達される。加圧されたエアロゾルの場合、その投与単位は、計測された量を送達するためにバルブを提供することによって決定され得る。吸入器または吹送器(insufflator)における使用のための、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジが製剤化され、これは、その化合物および適切な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプン)の粉末混合物を含む。
本明細書でさらに開示されるのは、眼内、鼻内、および耳介内の送達を含む使用に関して製薬分野で周知の種々の薬学的組成物である。これらの使用のために適した浸透剤は、一般に、当該分野で公知である。眼内送達のための薬学的組成物としては、水溶性形態(例えば、点眼剤)、またはゲランガム(Sheddenら, Clin. Ther. 23(3):440-50, 2001)もしくはヒドロゲル(Mayerら, Ophthalmologica 210(2):101-3, 1996)中にある活性化合物の水性の眼用液剤;眼用軟膏剤;眼用懸濁物(例えば、微小粒子)、液体キャリア媒体中に懸濁される薬物含有ポリマー小粒子(Joshi, J. Ocul. Pharmacol. 10(1):29-45, 1994)、脂溶性製剤(Almら, Prog. Clin. Biol. Res. 312:447-58, 1989)、およびマイクロスフェア(Mordenti, Toxicol. Sci. 52(1):101-6, 1999);ならびに眼用挿入物(ocular insert)が挙げられる。このような適切な薬学的製剤は、安定性および快適性のために滅菌、等張性、および緩衝化されるように製剤化され得る。鼻内送達のための薬学的組成物はまた、通常の線毛活動の維持を担保するために、多くの点において鼻分泌物を模倣するようにしばしば調製される滴剤およびスプレーを含み得る。「Remington’s Pharmaceutical Sciences」, 第18版, Mack Publishing Co., Easton, PA(1990)に開示され、当業者に周知であるように、適切な製剤は、最も頻繁かつ好ましいことには、pH5.5~6.5を維持するために、等張性でわずかに緩衝化されており、最も頻繁かつ好ましいことには、抗微生物性の保存剤および適切な薬物安定化剤を含む。耳介内送達のための薬学的製剤は、耳の局所適用のための懸濁物および軟膏剤を含み得る。このような耳用の製剤に一般的な溶媒としては、グリセリンおよび水が挙げられる。
構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩はまた、直腸組成物(例えば、坐剤または停留浣腸、例えば、従来の坐剤基剤(例えば、カカオ脂または他のグリセリド)を含むもの)中に製剤化され得る。
以前に記載された製剤に加えて、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩はまた、デポー調製物として製剤化され得る。このような長期作用性製剤は、埋め込み(例えば、皮下にまたは筋肉内に)によって、または筋肉内注射によって、投与され得る。従って、例えば、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、適切なポリマー物質または疎水性物質(例えば、受容可能な油中のエマルジョンとして)もしくはイオン交換樹脂で、または難溶性の誘導体として(例えば、難溶性の塩として)、製剤化され得る。
疎水性化合物に関しては、適切な薬学的キャリアは、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水相を含む共溶媒系であり得る。使用される一般的な共溶媒系は、VPD共溶媒系(これは、3% w/v ベンジルアルコール、8% w/vの非極性界面活性剤ポリソルベート80TM、および65% w/v ポリエチレングリコール 300(無水エタノールで容積まで補充)の溶液である。共溶媒系の割合は、その溶解度および毒性の特性を壊すことなく、かなり変動され得る。さらに、共溶媒構成要素が何であるかは、変動され得る:例えば、他の低毒性非極性界面活性剤は、ポリソルベート80TMの代わりに使用され得る;ポリエチレングリコールの画分サイズは変動され得る;他の生体適合性ポリマーは、ポリエチレングリコールに取って代わり得る(例えば、ポリビニルピロリドン);そして他の糖またはポリサッカリドは、デキストロースの代用であり得る。
あるいは、疎水性の薬学的化合物のための他の送達システムが、使用され得る。リポソームおよびエマルジョンは、疎水性薬物のための送達ビヒクルまたはキャリアの周知の例である。いくつかの実施形態において、ある種の有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)がまた、使用され得る。
さらに、その化合物は、徐放系(例えば、治療剤を含む固体の疎水性ポリマーの半透性マトリクス)を使用して送達され得る。種々の徐放性物質が確立されており、当業者に公知である。徐放性カプセル剤は、それらの化学的性質に依存して、数週間から100日間超までにわたってその化合物を放出し得る。治療剤の化学的性質および生物学的安定性に依存して、タンパク質安定化のためのさらなるストラテジーが使用され得る。
細胞内に投与されることが意図される薬剤は、当業者に周知の技術を使用して投与され得る。例えば、このような薬剤は、リポソームへと被包され得る。リポソーム形成のときに水性溶液中に存在する分子は、その水性の内部に組み込まれる。そのリポソーム内容物は、両方が外部の微小環境から保護され、そしてリポソームが細胞膜と融合することから、細胞質へと効率的に送達される。そのリポソームは、組織特異的抗体で被覆され得る。そのリポソームは、所望の器官に標的化され、その器官によって選択的に取り込まれる。あるいは、小さな疎水性有機分子が、細胞内に直接投与され得る。
投与方法
構造(I)の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩、またはこれらを含む薬学的組成物は、任意の適切な手段によって患者に投与され得る。投与方法の例としては、以下が挙げられる:(a)経口経路を通じての投与(これは、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、スプレー、シロップ剤、および他のこのような形態における投与を含む);(b)非経口経路を通じての投与(例えば、直腸、膣、尿道内、眼内、鼻内、および耳介内(これは、滴注、スプレー、坐剤、膏薬(salve)、軟膏剤などとしての水性懸濁物、油性調製物などとしての投与を含む));(c)注射を介して、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮内、眼窩内、包内、脊髄内、胸骨内などに投与(注入ポンプ送達を含む);(d)局所的に(例えば、直腸または心臓領域への直接注射による(例えば、デポー埋め込みによる))投与;ならびに(e)局部的に投与;構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を、生きている組織と接触した状態にするために当業者によって適切と見做されるもの。
投与に適した薬学的組成物は、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩が、その意図された目的を達成するために有効な量において含まれる組成物を含む。その用量は、所望の効果を達成するために調整され得るが、体重、食事、同時の薬物療法、および医療分野の当業者が認識する他の因子のような因子に依存する。より具体的には、治療上有効な量は、処置されている被験体に治療上の利益を提供するために有効な化合物の量を意味する。
処置されるべき状態の重篤度および応答性に依存して、投薬はまた、遅延放出組成物の1回の投与であり得、処置クールは、数日間から数週間、または治癒がもたらされるかもしくはその疾患状態の減弱が達成されるまで継続する。投与されるべき組成物の量は、処置されている被験体、苦痛の重篤度、投与様式、および処方医の判断を含む多くの因子に依存する。1つの実施形態において、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、1日あたり患者の体重の0.001mg/kg~2500mg/kgの用量で経口的にまたは注射を介して投与され得る。さらなる実施形態において、成人の用量範囲は、0.01mg~10g/日である。別個の単位で提供される提示の錠剤または他の形態は、都合の良いことに、このような投与量またはその複数の投与量(例えば、5mg~1000mg、通常は約100mg~約800mgを含む単位)として有効である構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量を含み得る。使用される用量は、多くの因子(患者の年齢および性別、処置されている正確な障害、およびその重篤度が挙げられる)に依存する。また、その投与経路は、その状態およびその重篤度に依存して変動し得る。
塩が投与される場合、投与量は、遊離塩基の用量として計算され得る。
いくつかの実施形態において、患者に投与される薬学的組成物の用量範囲は、患者の体重1kgあたり約0.01mg~約1000mgであり得る。その投与量は、患者によって必要とされるとおり、単一のものであってもよいし、1またはこれより多くの日数のクールで与えられる一連の2またはこれより多くのものであってもよい。
いくつかの実施形態において、成人患者の1日の投与レジメンは、例えば、0.1mg~2000mgの間、または1mg~1500mgの間、または5mg~1000mgの間の各活性成分の経口用量であり得る。他の実施形態において、1mg~1000mgの間、50mg~900mgの間、および100mg~800mgの間の各活性成分の経口用量が投与される。いくつかの実施形態において、その経口用量は、1日あたり1~4回投与される。別の実施形態において、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の組成物は、1000mg/日までの各活性成分の用量で、連続静脈内注入によって投与され得る。いくつかの実施形態において、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、例えば、1週間またはこれより長く、または数ヶ月もしくは数年にわたって、継続的治療の期間にわたって投与される。
いくつかの実施形態において、構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の投薬レジメンは、ある期間にわたって投与され、その期間は、例えば、少なくとも約4週間~少なくとも約8週間、少なくとも約4週間~少なくとも約12週間、少なくとも約4週間~少なくとも約16週間であり得るかまたはこれより長い。構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の投薬レジメンは、1日に3回、1日に2回、1日1回、2日に1回、1週間に3回、2週間に1回、1ヶ月に3回、1ヶ月に1回、実質的に連続して、または連続して、投与され得る。
局所投与または選択的取り込みの場合には、その薬物の有効な局所濃度は、血漿濃度に関連しなくてもよい。投与される組成物の量は、処置されている被験体、その被験体の体重、苦痛の重篤度、および投与様式に依存し得る。
1つの実施形態において、本開示は、患者におけるエンドセリン依存性またはアンギオテンシンII依存性の障害の処置において有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を使用するための方法に関し、上記方法は、1用量あたり約10mg~約1000mgの薬物の量を含む構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の投与量を、その患者に経口的に、1ヶ月に3回、1ヶ月に1回、1週間に1回、3日に1回、2日に1回、1日に1回、1日に2回、1日に3回の頻度で、実質的に連続して、または連続して、処置の所望の継続期間にわたって投与する工程を包含する。
別の実施形態において、本開示は、患者におけるエンドセリン依存性またはアンギオテンシンII依存性の障害の処置において有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を使用するための方法を提供し、上記方法は、1用量あたり約100mg~約1000mgの薬物の量を含む投与量を、その患者に経口的に、1ヶ月に3回、1ヶ月に1回、1週間に1回、3日に1回、2日に1回、1日に1回、1日に2回、または1日に3回の頻度で、処置の所望の継続期間にわたって投与する工程を包含する。
まだなお別の実施形態において、本開示は、患者におけるエンドセリン依存性またはアンギオテンシンII依存性の障害の処置において有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を使用するための方法を提供し、上記方法は、1用量あたり約200mgの薬物の量を含む投与量を、その患者に経口的に、1ヶ月に3回、1ヶ月に1回、1週間に1回、3日に1回、2日に1回、1日に1回、1日に2回、または1日に3回の頻度で、処置の所望の継続期間にわたって投与する工程を包含する。
さらなる実施形態において、本開示は、患者におけるエンドセリン依存性またはアンギオテンシンII依存性の障害の処置において有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を使用するための方法を提供し、上記方法は、1用量あたり約400mgの薬物の量を含む投与量を、その患者に経口的に、1ヶ月に3回、1ヶ月に1回、1週間に1回、3日に1回、2日に1回、1日に1回、1日に2回、または1日に3回の頻度で、処置の所望の継続期間にわたって投与する工程を包含する。
さらなる実施形態において、本開示は、患者におけるエンドセリン依存性またはアンギオテンシンII依存性の障害の処置において有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を使用するための方法を提供し、上記方法は、1用量あたり約800mgの薬物の量を含む投与量を、その患者に経口的に、1ヶ月に3回、1ヶ月に1回、1週間に1回、3日に1回、2日に1回、1日に1回、1日に2回、または1日に3回の頻度で、処置の所望の継続期間にわたって投与する工程を包含する。
さらなる実施形態において、本開示は、患者におけるエンドセリン依存性またはアンギオテンシンII依存性の障害の処置において有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を使用するための方法を提供し、上記方法は、1日あたり、体重1kgあたり約0.1mg~約100mg、または約0.2mg~約50mg、または約0.5mg~約25mg(または約1mg~約2500mg、または約100mg~約800mg)の活性化合物の投与量を患者に投与する工程を包含し、これは、単一用量で投与されてもよいし、個々の分割用量の形態で(例えば、1日あたり1~4回)投与されてもよい。
その組成物は、所望であれば、その活性成分を含む1またはこれより多くの単位投与形態を含み得るパックまたはディスペンサーデバイスにおいて提示され得る。そのパックは、例えば、金属またはプラスチックホイルを含み得る(例えば、ブリスターパック)。そのパックまたはディスペンサーデバイスは、投与についての指示が付随し得る。そのパックまたはディスペンサーはまた、医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府当局によって規定された形態の容器と関連付けられた通知が付随し得る。その通知は、ヒトまたは獣医学的投与に関して薬物の形態の当局による承認を反映する。このような通知は、例えば、処方薬に関して米国食品医薬品局によって承認されたラベル、または承認された製品添付文書であり得る。適合性の薬学的キャリア中に製剤化された構造(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物はまた、調製され得、適切な容器の中に入れられ得、そして意図された状態の処置に関するラベルが貼られ得る。
実施例1
長期腎生存の予測因子としてのタンパク尿
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)を有する患者において、タンパク尿は、疾患活動性の指標として現在使用されている。タンパク尿がFSGSを有する患者において長期腎生存を推測するために使用され得るか否かを決定するために、タンパク尿、推定糸球体濾過率(eGFR)、および末期腎疾患(ESRD)状態に関する前向きデータを、118名のFSGS患者に関して、ネフローゼ症候群研究ネットワーク(NEPTUNE)から集めた。尿タンパク質 対 クレアチニン(「UP/C」)比を、生検時および生検後の最初の1年間にわたって4ヶ月ごとに測定した。
カプラン-マイアー分析を、その後のESRDへの進行またはeGFRの40%低減に対するタンパク尿の影響を推定するために生成した。タンパク尿を、完全寛解(UP/C比 <0.3 g/g)および部分寛解(UP/C比の50%低減およびUP/C比<3.5 g/g)という従来の定義によって分類した。ROC分析を行って、タンパク尿の他の重要な閾値を決定した。結果を複製し、巣状分節性糸球体硬化症臨床試験(FSGS-CT)からの109名の患者を使用して検証した。
NEPTUNEでは、39名の患者が追跡の間に、ESRDまたはeGFRの40%低減へと進行した。完全寛解に達すると(しかし部分寛解では必ずしもそうではない)、疾患進行の低下したリスクと関連した。ROC分析を使用したところ、UP/C比 <1.5 g/gを有する患者は、進行する可能性が低いと同定された(図1Aおよび図1B)。
タンパク尿の完全寛解またはUP/C比 <1.5 g/gのいずれかに達すると、FSGSを有する患者においてより良好な長期の転帰と関連した。
実施例2
スパルセンタンでの巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の処置
DUET治験は、原発性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)(重症のタンパク尿および腎機能の進行性の喪失によって特徴づけられる希少な障害)の処置として、スパルセンタンの有効性および安全性を評価する、フェーズ2の二重盲検無作為化実薬対照用量漸増研究(NCT01613118)である。1g/gより高いベースライン尿タンパク質 対 クレアチニン(「UP/C」)比および30ml/分より高い推定糸球体濾過率を有する生検で証明された原発性FSGS(またはその疾患と関連するポドサイトタンパク質における遺伝的変異の証拠)を有する患者(年齢8歳~75歳の範囲)は、その研究に適格であった。その包含基準はまた、18歳以上の年齢の患者に関して坐位での平均血圧>100/10mmHgかつ<145/96mmHg、または<18歳の患者に関しては、坐位での平均血圧>90/60mmHgかつ年齢、性別、および身長に関して<95パーセンタイルを含んだ。その包含基準は、≧1ヶ月にわたる免疫抑制薬物療法の安定な用量の許容を包含した。排除基準は、続発性FSGS;心機能、肝機能、または免疫機能に関する重大な医学的状態;成人に関してはボディマス指数>40mg/mまたは小児患者に関しては99パーセンタイルプラス5;ヘマトクリット<27%またはヘモグロビン<9m/dL;血清カリウム>5.5mEq/L;および妊娠中、授乳中、または2種類の避妊法を使用することを望まない妊娠する可能性のある女性を含んだ。
同意書に署名をしかつスクリーニング相の間に全ての包含基準および排除基準を満たす患者に2週間のアンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)およびアンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター休薬期間を設け、その後、各コホート内で3:1比においてスパルセンタン(200mg/日;400mg/日;および800mg/日)を受ける3種の漸増用量コホートまたは実薬対照の固定最大用量(ARBであるイルベサルタン、300mg/日)のうちの1つに無作為に割り当てた。その主要エンドポイントは、ベースラインからのUP/C比の変化(尿タンパク質排出の尺度として決定される)であった。8週目でUP/C比 ≦1.5g/gとUP/C比の>40%低減(改定応答者分析(modified responder analysis))を達成した患者の割合を、二次エンドポイントとして評価した。
8週間の二重盲検期間の完了後に、その患者は、さらに136週間にわたって、オープンラベル延長で彼らの割り当てられた用量でのスパルセンタン処置を継続した。イルベサルタンコントロールアームの患者には、彼らが登録した二重盲検用量群に従って彼らが受けた用量においてスパルセンタン処置を提供した。
主要エンドポイントの分析は、試験薬の少なくとも1つの用量を受けた96名の無作為化された患者を含み、ベースラインおよび8週目のUP/C比の値(すなわち、8週間の二重盲検処置を完了した)の両方を有した。予め特定された分析順序は、(1)全スパルセンタン用量 対 イルベサルタン;(2)スパルセンタン800mg用量および400mg用量 対 イルベサルタン;(3)スパルセンタン400mg用量 対 イルベサルタン;(4)スパルセンタン800mg用量 対 イルベサルタンであった。
全スパルセンタン用量群をプールした後、スパルセンタン処置患者は、イルベサルタンで処置した患者と比較して、UP/C比においてより大きな低下を示した(45% 対 19%、p<0.01;表1;図2)。有意な低減がまた、プールした400mg/日~800mg/日 スパルセンタン群(47% 対 19%, p<0.05;表2;図3)において検出された。
Figure 2022141802000019
Figure 2022141802000020
スパルセンタンで処置した患者におけるタンパク尿の低減は、各コホート内で、イルベサルタンで処置した患者における低減より大きかったが、コホート内比較は、統計的に有意ではなかった(表3)。
Figure 2022141802000021
ベースラインまたは8週目のUP/C比データは、9名のスパルセンタン処置患者および4名のイルベサルタン処置患者に関して欠けていた。治療企図分析を行った。この分析において、その欠けているデータを、UP/C比のゼロ変化として補完した。ゼロ値を補完した後ですら、ベースラインから8週目までのUP/C比の変化は、スパルセンタン処置患者とイルベサルタン処置患者との間では有意に異なった(図4)。スパルセンタン用量コホートにわたる結果は、補完されたデータなしで観察されたものに類似であった(表4)。
Figure 2022141802000022
UP/C比 ≦1.5g/gと>40%低減を達成した患者の割合は、全スパルセンタン群(n=64)にわたって28%およびイルベサルタン処置群(n=32)において9%であった(フィッシャーの正確検定、p<0.05)(表5;図5)。
Figure 2022141802000023
完全寛解(UP/C比 <0.3g/g)は、4名のスパルセンタン処置患者において起こったが、イルベサルタン処置患者では起こらなかった。さらに、UP/C比 ≦1.5g/gと UP/C比の>40%低減とを達成した患者のパーセンテージは、スパルセンタンを受け続けた患者およびイルベサルタンからスパルセンタンに切り替えた患者においてオープンラベル期間(8週間から48週間まで)の間に増大した(図6Aおよび6B)。
イルベサルタン処置患者およびスパルセンタン処置患者の両方が、ベースライン値に対して平均収縮期血圧および平均拡張期血圧において低下を示した;この低下は、スパルセンタン処置患者に関して統計的に有意であった(図7)。いずれの処置群に関しても、eGFR(図8)、または血清カリウム、N末端プロBタイプナトリウム利尿ペプチドもしくはアルブミンにおいて、有意な変化も差異もなかった。
処置により発現した有害事象のカテゴリーを比較すると、事象の発生率は、用量変更または中断をもたらす事象を除いて、イルベサルタン処置患者とスパルセンタン処置患者との間で類似することが示された(表6)。特定の処置により発現した有害事象の発生率は、その発生率が全患者にわたって5%より高かったものを表7に示す。頭痛、めまい感、および浮腫のような症状は、低血圧と関連し得、それら症状のうちのいくつかは、イルベサルタンで処置したそれら患者と比較して、スパルセンタンで処置した患者においてより頻度が高かった。しかし、既存の浮腫の悪化においてイルベサルタン処置患者とスパルセンタン処置患者との間で有意差はなかった(表8)。
Figure 2022141802000024
Figure 2022141802000025
Figure 2022141802000026
まとめると、スパルセンタンでのAngIIおよびET二重阻害は、FSGSを有する患者においてタンパク尿を低減し、ARBであるイルベサルタンでのAngIIの単一の阻害と比較して、有意に大きな抗タンパク尿効果を有した。
実施例3
スパルセンタンでの巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の処置に関する可変投薬レジメン
治療上有効な用量のスパルセンタンを投与した患者は、減少したタンパク尿を示し得る。しかし、高用量のスパルセンタンでの処置の際に低下した血圧はまた、低血圧を生じ得る。よって、低用量のスパルセンタンを最初に投与し、血圧の変化が低用量処置の後に観察されなかったのであれば、次いで、その用量を増大させることは、望ましいことであり得る。
FSGSを有する患者に、最初の2週間にわたって400mg/日のスパルセンタンを投与する。2週間の処置後、この初期用量の耐性を、そのスパルセンタンの用量を800mg/日へと上昇させる前に評価する。2週間にわたって400mg/日のスパルセンタンで処置した後に血圧測定値>90/60mmHgを有する患者に、800mg/日のスパルセンタンの用量を投与し、この用量レベルで継続する。無症候性のBP≦90/60mmHgを示すか、または起立性低血圧の臨床症状を示すが、他の点では2週間後に初期用量に耐えた患者は、400mg/日用量を摂取し続ける。
2016年10月13日に出願された米国仮特許出願第62/407,860号および2016年11月16日に出願された同第62/423,079号を含む本明細書で言及されるか出願データシートに列挙される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物の全ては、それらの全体が参考として本明細書に援用される。
上記の種々の実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わされ得る。その実施形態の局面は、必要であれば、種々の特許、出願、および刊行物の概念を使用して、なおさらなる実施形態を提供するために改変され得る。これらおよび他の変更は、上記の詳細な説明に鑑みてその実施形態に対して行われ得る。
一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、本明細書および特許請求の範囲おいて開示される具体的実施形態に限定するとは解釈されるべきではなく、このような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに、可能な実施形態全てを含むと解釈されるべきである。よって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。

Claims (18)

  1. アルポート症候群を処置するための薬学的組成物であって、構造(I)
    Figure 2022141802000027
    を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含み、前記薬学的組成物は、必要性のある被験体に投与されることを特徴とする、薬学的組成物。
  2. 前記薬学的組成物が
    (i)1.5g/g以下の尿タンパク質 対 クレアチニン(「UP/C」)比を達成するために十分な量において;
    (ii)1.5g/g以下のUP/C比を達成もしくは維持するために十分な量において;または
    (iii)1.5g/g以下のUP/C比を達成もしくは維持するために十分な投薬レジメンにおいて、
    前記被験体に投与される、請求項1に記載の薬学的組成物。
  3. 前記薬学的組成物は、ある投与期間にわたって、前記投与期間のうちの少なくとも一部にわたって1.5g/g以下のUP/C比を達成または維持するために十分な量において前記被験体に投与される、請求項1に記載の薬学的組成物。
  4. 前記被験体は、前記薬学的組成物を投与する前に1.5g/gより高いUP/C比を有するかまたは有したことがある、請求項1に記載の薬学的組成物。
  5. 前記薬学的組成物が、8週間、26週間、または8ヶ月の期間にわたって前記被験体に投与される、請求項1に記載の薬学的組成物。
  6. 前記被験体に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約50mg/日~約1000mg/日である、請求項1に記載の薬学的組成物。
  7. 前記被験体に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約200mg/日~約800mg/日である、請求項1に記載の薬学的組成物。
  8. 前記被験体に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約200mg/日である、請求項1に記載の薬学的組成物。
  9. 前記被験体に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約400mg/日である、請求項1に記載の薬学的組成物。
  10. 前記被験体に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の量は、約800mg/日である、請求項1に記載の薬学的組成物。
  11. 前記投与は、(1)前記被験体への初期用量での前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩の初期投与;および(2)前記初期投与の後に、前記被験体へのその後の用量での前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩のその後の投与を包含し、ここで前記その後の用量は、前記初期用量より大きい、請求項1に記載の薬学的組成物。
  12. 前記初期用量は400mg/日であり、前記その後の用量は800mg/日である、請求項11に記載の薬学的組成物。
  13. 前記初期用量は200mg/日であり、前記その後の用量は400mg/日である、請求項11に記載の薬学的組成物。
  14. 前記被験体は、50kg未満の体重の小児である、請求項13に記載の薬学的組成物。
  15. 前記初期投与は、2週間の継続期間を有する、請求項11に記載の薬学的組成物。
  16. 前記その後の投与の前に前記被験体の血圧が測定される、請求項11に記載の薬学的組成物。
  17. 前記化合物は、構造(I)を有する、請求項1に記載の薬学的組成物。
  18. 1またはこれより多くのさらなる治療剤が前記被験体に投与される、請求項1に記載の薬学的組成物。
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