JP2022140303A - サージ防護素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温多湿の環境下でもAC耐電圧の低下を抑制することができるサージ防護素子およびその製造方法を提供すること。【解決手段】 軸線方向中央部の放電ギャップ部Gを介して周面に導電性被膜が分割形成された柱状又は筒状の絶縁性部材と、絶縁性部材の両端に直接又は他の導電部材を介して対向配置され導電性被膜に電気的に導通する一対の主放電電極部材と、一対の主放電電極部材を両端に配して絶縁性部材を内部に放電制御ガスと共に封止する絶縁性管とを備え、放電ギャップ部に、周方向に延在した円環状溝部7aと円環状突条部7bとが軸線方向に交互に複数形成され、円環状突条部の頂部に金属及び金属酸化物Mの少なくとも一方である導電性材料が付着しており、導電性材料が付着している前記頂部の幅W1が、円環状溝部の幅W2よりも小さい。【選択図】 図2
Description
本発明は、落雷等で発生するサージから様々な機器を保護し、故障・事故を未然に防ぐのに使用するサージ防護素子及びその製造方法に関する。
電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器用の電子機器が通信線との接続する部分、電源線、アンテナ或いはCRT駆動回路等、雷サージや静電気等の異常電圧(サージ電圧)による電撃を受けやすい部分には、異常電圧によって電子機器やこの機器を搭載するプリント基板の熱的損傷又は発火等による破壊を防止するために、サージ防護素子が接続されている。
従来、応答性の良好なサージ防護素子として、例えば特許文献1に示すように、いわゆるマイクロギャップを有するサージ吸収素子を用いたサージ防護素子などが提案されている。このサージ防護素子は、導電性被膜で被包した円柱状の絶縁性部材であるセラミックス部材の周面に、マイクロギャップが形成されていると共に、セラミックス部材の両端に一対のキャップ電極を有するサージ吸収素子が放電制御ガスと共にガラス管内に収容され、円筒状のガラス管の両端にリード線を有する封止電極が高温加熱で封着されたサージアブソーバである。
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記特許文献1に記載のサージ防護素子では、放電開始電圧の調整パラメータの一つとして、ギャップ幅が数十μmのマイクロギャップを1~15箇所形成しており、またギャップ幅を200~1000μmとしている。ギャップ幅が広いと500Vを越える高い放電開始電圧において、狭いギャップ幅(マイクロギャップ)を多数本形成する場合よりも安定することが知られている。しかしながら、ギャップ幅が広くなると、サージ寿命耐久性(8/20μs電流波形、100A試験等)に弱くなるという不都合があった。
上記特許文献1に記載のサージ防護素子では、放電開始電圧の調整パラメータの一つとして、ギャップ幅が数十μmのマイクロギャップを1~15箇所形成しており、またギャップ幅を200~1000μmとしている。ギャップ幅が広いと500Vを越える高い放電開始電圧において、狭いギャップ幅(マイクロギャップ)を多数本形成する場合よりも安定することが知られている。しかしながら、ギャップ幅が広くなると、サージ寿命耐久性(8/20μs電流波形、100A試験等)に弱くなるという不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、高い放電開始電圧でも、サージ寿命耐久性が向上するサージ防護素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明のサージ防護素子は、軸線方向中央部の放電ギャップ部を介して周面に導電性被膜が分割形成された柱状又は筒状の絶縁性部材と、前記絶縁性部材の両端に直接又は他の導電部材を介して対向配置され前記導電性被膜に電気的に導通する一対の主放電電極部材と、前記一対の主放電電極部材を両端に配して前記絶縁性部材を内部に前記放電制御ガスと共に封止する絶縁性管とを備え、前記放電ギャップ部に、周方向に延在した円環状溝部と円環状突条部とが軸線方向に交互に複数形成され、前記円環状突条部の頂部に金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性材料が付着しており、前記導電性材料が付着している前記頂部の幅が、前記円環状溝部の幅よりも小さいことを特徴とする。
このサージ防護素子では、放電ギャップ部に、周方向に延在した円環状溝部と円環状突条部とが軸線方向に交互に複数形成され、円環状突条部の頂部に金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性材料が付着しており、導電性材料が付着している頂部の幅が、円環状溝部の幅よりも小さいので、導電性材料が円環状突条部の頂部に残留していることで、電界が絶縁性部材の表面に出て、放電ギャップ部の表面にプラズマが集中し、高い放電開始電圧であっても劣化が抑制される。
また、導電性材料が付着している頂部の幅が、円環状溝部の幅よりも小さいので、狭いマイクロギャップを多数本形成した場合に比べて全体として広い放電ギャップ部を構成でき、高い放電開始電圧でも安定した特性を得ることができる。なお、導電性材料が付着している頂部の幅が、円環状溝部の幅よりも大きいと、導電性材料が幅広く付着したマイクロギャップに近い構造となり、全体として幅広な放電ギャップ部としての機能が得られなくなってしまう。
また、導電性材料が付着している頂部の幅が、円環状溝部の幅よりも小さいので、狭いマイクロギャップを多数本形成した場合に比べて全体として広い放電ギャップ部を構成でき、高い放電開始電圧でも安定した特性を得ることができる。なお、導電性材料が付着している頂部の幅が、円環状溝部の幅よりも大きいと、導電性材料が幅広く付着したマイクロギャップに近い構造となり、全体として幅広な放電ギャップ部としての機能が得られなくなってしまう。
第2の発明に係るサージ防護素子は、第1の発明において、前記金属酸化物が、SnO2であることを特徴とする。
第3の発明に係るサージ防護素子は、第2の発明において、前記放電ギャップ部の幅が、200~2000μmであり、前記放電ギャップ部全体で、10~60wt%のSnを含有していることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、放電ギャップ部の幅が、200~2000μmであり、前記放電ギャップ部全体で、10~60wt%のSnを含有しているので、優れたサージ寿命耐久性を得ることができる。なお、Snの含有が10wt%未満であったり、60wt%を越えたりすると、上記サージ寿命耐久効果が十分に得られない場合がある。
すなわち、このサージ防護素子では、放電ギャップ部の幅が、200~2000μmであり、前記放電ギャップ部全体で、10~60wt%のSnを含有しているので、優れたサージ寿命耐久性を得ることができる。なお、Snの含有が10wt%未満であったり、60wt%を越えたりすると、上記サージ寿命耐久効果が十分に得られない場合がある。
第4の発明に係るサージ防護素子は、第1又は第2の発明において、前記頂部に付着している前記導電性材料が、前記金属酸化物と前記金属酸化物上に付着した前記金属とであることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、頂部に付着している導電性材料が、金属酸化物と金属酸化物上に付着した金属とであるので、頂部への金属酸化物の付着が不十分であっても金属がさらに付着されることで、付近の電界がより上昇し、サージ印加時にギャップ部分へのスパッタリングがさらに抑制され、サージ印加による放電開始電圧の低下が低減される。
すなわち、このサージ防護素子では、頂部に付着している導電性材料が、金属酸化物と金属酸化物上に付着した金属とであるので、頂部への金属酸化物の付着が不十分であっても金属がさらに付着されることで、付近の電界がより上昇し、サージ印加時にギャップ部分へのスパッタリングがさらに抑制され、サージ印加による放電開始電圧の低下が低減される。
第5の発明に係るサージ防護素子の製造方法は、第1から第4の発明のいずれかのサージ防護素子を製造する方法であって、柱状又は筒状の絶縁性部材の周面全体に金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性被膜を形成する被膜形成工程と、軸線方向中央部の前記導電性被膜にレーザ光を照射するレーザ加工又はダイシングブレードでの切条加工により前記導電性被膜の少なくとも一部を除去して分断することで放電ギャップ部を形成し、前記導電性被膜を分割するギャップ形成工程とを備え、前記ギャップ形成工程で、前記周面の周方向に前記レーザ加工又は前記切条加工を行って周方向に延在した円環状溝部と円環状突条部とを軸線方向に交互に複数形成すると共に、前記円環状突条部の頂部にだけ前記導電性被膜を導電性材料として残留させ、前記導電性被膜が付着している前記頂部の幅を、前記円環状溝部の幅よりも小さくすることを特徴とする。
すなわち、サージ防護素子の製造方法では、ギャップ形成工程で、周面の周方向にレーザ加工又は切条加工を行って周方向に延在した円環状溝部と円環状突条部とを軸線方向に交互に複数形成すると共に、円環状突条部の頂部にだけ導電性被膜を導電性材料として残留させ、導電性被膜が付着している頂部の幅を、円環状溝部の幅よりも小さくするので、レーザ加工ではレーザ光の照射幅や出力等を調整し、またダイシングブレードでの切条加工ではダイシングブレードのブレード形状や切削幅等を調整することで、円環状突条部の頂部に残留させる導電性被膜の量と導電性被膜が付着している頂部の幅とを容易に調整することができる。
第6の発明に係るサージ防護素子の製造方法は、第5の発明において、前記被膜形成工程で、金属酸化物を前記導電性被膜として形成し、前記ギャップ形成工程で、前記円環状突条部の頂部にだけ前記金属酸化物を残留させた後、前記絶縁性部材の両端に前記一対の金属キャップを係合させて内部素子とし、複数の前記内部素子をバレル処理によって互いに擦り合わせ、前記金属キャップを構成する金属の粉末を生じさせると共に前記金属の粉末を前記円環状突条部の頂部に付着させることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子の製造方法では、複数の内部素子をバレル処理によって互いに擦り合わせ、金属キャップを構成する金属の粉末を生じさせると共に金属の粉末を円環状突条部の頂部に付着させるので、円環状突条部の頂部に金属酸化物と金属とを容易に付着させることができる。
すなわち、このサージ防護素子の製造方法では、複数の内部素子をバレル処理によって互いに擦り合わせ、金属キャップを構成する金属の粉末を生じさせると共に金属の粉末を円環状突条部の頂部に付着させるので、円環状突条部の頂部に金属酸化物と金属とを容易に付着させることができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサージ防護素子によれば、放電ギャップ部に、周方向に延在した円環状溝部と円環状突条部とが軸線方向に交互に複数形成され、円環状突条部の頂部に金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性材料が付着しており、導電性材料が付着している頂部の幅が、円環状溝部の幅よりも小さいので、高い放電開始電圧であっても劣化が抑制され、サージ寿命耐久性が向上する。
また、本発明に係るサージ防護素子の製造方法によれば、ギャップ形成工程で、周面の周方向にレーザ加工又は切条加工を行って周方向に延在した円環状溝部と円環状突条部とを軸線方向に交互に複数形成すると共に、円環状突条部の頂部にだけ導電性被膜を導電性材料として残留させ、導電性被膜が付着している頂部の幅を、円環状溝部の幅よりも小さくするので、レーザ加工ではレーザ光の照射幅や出力等を調整し、またダイシングブレードでの切条加工ではダイシングブレードのブレード形状や切削幅等を調整することで、円環状突条部の頂部に残留させる導電性被膜の量と導電性被膜が付着している頂部の幅とを容易に調整することができる。
すなわち、本発明に係るサージ防護素子によれば、放電ギャップ部に、周方向に延在した円環状溝部と円環状突条部とが軸線方向に交互に複数形成され、円環状突条部の頂部に金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性材料が付着しており、導電性材料が付着している頂部の幅が、円環状溝部の幅よりも小さいので、高い放電開始電圧であっても劣化が抑制され、サージ寿命耐久性が向上する。
また、本発明に係るサージ防護素子の製造方法によれば、ギャップ形成工程で、周面の周方向にレーザ加工又は切条加工を行って周方向に延在した円環状溝部と円環状突条部とを軸線方向に交互に複数形成すると共に、円環状突条部の頂部にだけ導電性被膜を導電性材料として残留させ、導電性被膜が付着している頂部の幅を、円環状溝部の幅よりも小さくするので、レーザ加工ではレーザ光の照射幅や出力等を調整し、またダイシングブレードでの切条加工ではダイシングブレードのブレード形状や切削幅等を調整することで、円環状突条部の頂部に残留させる導電性被膜の量と導電性被膜が付着している頂部の幅とを容易に調整することができる。
以下、本発明に係るサージ防護素子およびその製造方法の第1実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
本実施形態のサージ防護素子1は、図1および図2に示すように、軸線方向中央部の放電ギャップ部Gを介して周面に導電性被膜2が分割形成された柱状又は筒状の絶縁性部材3と、絶縁性部材3の両端に直接又は他の導電部材(金属キャップ4)を介して対向配置され導電性被膜2に電気的に導通する一対の主放電電極部材5と、一対の主放電電極部材5を両端に配して絶縁性部材3を内部に放電制御ガスと共に封止する絶縁性管6とを備えている。
上記放電ギャップ部Gには、周方向に延在した円環状溝部7aと円環状突条部7bとが軸線方向に交互に複数形成されている。
上記円環状突条部7bの頂部には、金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性材料が付着しており、本実施形態では金属酸化物Mが付着している。
金属酸化物Mが付着している頂部の幅W1は、円環状溝部7aの幅W2よりも小さく設定されている。
本実施形態の金属酸化物Mは、例えばSnO2である。
なお、円環状突条部7bの頂部に、導電性材料として金属を直接付着させても構わない。
上記円環状突条部7bの頂部には、金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性材料が付着しており、本実施形態では金属酸化物Mが付着している。
金属酸化物Mが付着している頂部の幅W1は、円環状溝部7aの幅W2よりも小さく設定されている。
本実施形態の金属酸化物Mは、例えばSnO2である。
なお、円環状突条部7bの頂部に、導電性材料として金属を直接付着させても構わない。
上記放電ギャップ部Gの幅W0は、200~2000μmであり、放電ギャップ部G全体で、10~60wt%のSnを含有している。
上記Snの含有量の分析は、絶縁性部材3上に形成された導電性被膜2の表面からから、エネルギー分散型X線分光分析(EDS分析)で検出されるおよそ深さ1μmまでの部分に含まれる成分中のSnの重量割合を示したもので、レーザ等の切削による導電性被膜2の除去量が少ない部分ではSnが高濃度に、また除去量が多い部分ではSnが低濃度になっている。なお、Sn以外には絶縁性部材3に含まれるAl、Si、Oなどが検出されている。
上記絶縁性部材3は、ムライト焼結体などのセラミックス材料からなり、表面に導電性被膜2として物理蒸着(PVD)法や化学蒸着(CVD)法などの薄膜形成技術によるSnO2が形成されている。
上記Snの含有量の分析は、絶縁性部材3上に形成された導電性被膜2の表面からから、エネルギー分散型X線分光分析(EDS分析)で検出されるおよそ深さ1μmまでの部分に含まれる成分中のSnの重量割合を示したもので、レーザ等の切削による導電性被膜2の除去量が少ない部分ではSnが高濃度に、また除去量が多い部分ではSnが低濃度になっている。なお、Sn以外には絶縁性部材3に含まれるAl、Si、Oなどが検出されている。
上記絶縁性部材3は、ムライト焼結体などのセラミックス材料からなり、表面に導電性被膜2として物理蒸着(PVD)法や化学蒸着(CVD)法などの薄膜形成技術によるSnO2が形成されている。
上記放電ギャップ部Gは、導電性被膜2の軸線方向中央に、絶縁性部材3の周面に沿ってYAGレーザからのレーザ光を照射し、導電性被膜2を分断することによって形成される。
また、放電ギャップ部G内の一部に残留する導電性材料である上記金属酸化物Mは、導電性被膜2と同じ材料(SnO2)である。
また、放電ギャップ部G内の一部に残留する導電性材料である上記金属酸化物Mは、導電性被膜2と同じ材料(SnO2)である。
一対の金属キャップ4は、絶縁性部材3よりも硬度が低く、塑性変形できる、例えば、ステンレスやCu(銅)などの金属から形成されている。また、一対の金属キャップ4は、絶縁性部材3の両端にそれぞれ係合されており、互いに対向する面が主放電電極部材5の内面と共に主放電面となっている。なお、金属キャップ4を用いずに絶縁性部材3の両端に直接、主放電電極部材5を対向配置しても構わない。
上記主放電電極部材5は、Fe(鉄)-Ni(ニッケル)合金の表面を酸化銅で被覆した金属で形成された封止電極であって、円板状又は円柱状となっている。そして、主放電電極部材5の一方の面が金属キャップ4と接触しており、他方の面にリード線8が溶接されている。このリード線8は、銅覆鋼線等で形成されている。
上記絶縁性管6は、鉛ガラスやソーダ石灰ガラスのような軟質ガラスで構成されており、円筒状となっている。また、絶縁性管6の両端近傍において主放電電極部材5の外周面が絶縁性管6の内周面に溶着用のガラス層6aを介して溶着されている。
上記放電制御ガスは、放電開始電圧などの電気特性が所望の値となるように組成などを調整された封止ガスであって、He、Ar、Ne、Xe、SF6、CO2、C3F8、C2F6、CF4、H2,N2及びこれらの混合ガス等の不活性ガスである。
なお、本実施形態では、放電制御ガスとしてAr、N2及びその混合ガスを採用している。
上記放電制御ガスは、放電開始電圧などの電気特性が所望の値となるように組成などを調整された封止ガスであって、He、Ar、Ne、Xe、SF6、CO2、C3F8、C2F6、CF4、H2,N2及びこれらの混合ガス等の不活性ガスである。
なお、本実施形態では、放電制御ガスとしてAr、N2及びその混合ガスを採用している。
次に、本実施形態のサージ防護素子の製造方法について説明する。
本実施形態のサージ防護素子1の製造方法では、柱状又は筒状の絶縁性部材3の周面全体に金属酸化物である導電性被膜2を形成する被膜形成工程と、軸線方向中央部の導電性被膜2にレーザ光を照射するレーザ加工を行って導電性被膜2の少なくとも一部を除去して分断することで放電ギャップ部Gを形成し、導電性被膜2を分割するギャップ形成工程とを備えている。
上記ギャップ形成工程では、周面の周方向にレーザ加工を行って周方向に延在した円環状溝部7aと円環状突条部7bとを軸線方向に交互に複数形成する。
上記ギャップ形成工程では、周面の周方向にレーザ加工を行って周方向に延在した円環状溝部7aと円環状突条部7bとを軸線方向に交互に複数形成する。
すなわち、最初に周面の周方向に円環状溝部7aを1本形成した後、レーザ光を、軸線方向に一定間隔を空けて複数回照射することで、隣接する凹曲面状の円環状溝部7aの間に凸曲面状の円環状突条部7bを形成することができる。
また、ギャップ形成工程では、レーザ光による照射幅や出力を調整して、円環状突条部7bの頂部にだけ金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性被覆(本実施形態では金属酸化物M)を導電性材料として残留させ、導電性被膜(金属酸化物M)が付着している頂部の幅W1を、円環状溝部7aの幅W2よりも小さくする。
また、ギャップ形成工程では、レーザ光による照射幅や出力を調整して、円環状突条部7bの頂部にだけ金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性被覆(本実施形態では金属酸化物M)を導電性材料として残留させ、導電性被膜(金属酸化物M)が付着している頂部の幅W1を、円環状溝部7aの幅W2よりも小さくする。
なお、上記ではレーザ加工により円環状溝部7aと円環状突条部7bとを形成したが、周面の周方向にダイシングブレードでの切条加工により周方向に延在した円環状溝部7aと円環状突条部7bとを軸線方向に交互に複数形成すると共に、円環状突条部7bの頂部にだけ金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性材料(金属酸化物M)を残留させ、導電性被膜(金属酸化物M)が付着している頂部の幅W1を、円環状溝部7aの幅W2よりも小さくしてもよい。
次に、このように放電ギャップ部Gを作製しておいた絶縁性部材3の両端に一対の金属キャップ4を係合させ、さらにこの両端を一対の主放電電極部材5で挟んで保持する。次に、放電制御ガスの雰囲気内において、これらをこの状態で絶縁性管6内に投入し、絶縁性管6内の空気を所定の放電制御ガスで置換した後に、放電制御ガスの雰囲気内において、絶縁性管6の両端を加熱して溶かすことで主放電電極部材5と密着させて封止を行うことでサージ防護素子1が作製される。
このように本実施形態のサージ防護素子1では、放電ギャップ部Gに、周方向に延在した円環状溝部7aと円環状突条部7bとが軸線方向に交互に複数形成され、円環状突条部7bの頂部に金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性材料(金属酸化物M)が付着しており、導電性材料(金属酸化物M)が付着している頂部の幅W1が、円環状溝部7aの幅W2よりも小さいので、導電性材料(金属酸化物M)が円環状突条部7bの頂部に残留していることで、電界が絶縁性部材3の表面に出て、放電ギャップ部Gの表面にプラズマが集中し、高い放電開始電圧であっても劣化が抑制される。
また、金属酸化物Mが付着している頂部の幅W1が、円環状溝部7aの幅W2よりも小さいので、狭いマイクロギャップを多数本形成した場合に比べて全体として広い放電ギャップ部Gを構成でき、高い放電開始電圧でも安定した特性を得ることができる。なお、導電性材料(金属酸化物M)が付着している頂部の幅W1が、円環状溝部7aの幅W2よりも大きいと、導電性材料(金属酸化物M)が幅広く付着したマイクロギャップに近い構造となり、全体として幅広な放電ギャップ部Gとしての機能が得られなくなってしまう。
また、放電ギャップ部Gの幅Wが、200~2000μmであり、放電ギャップ部G全体で、10~60wt%のSnを含有しているので、優れたサージ寿命耐久性を得ることができる。
本実施形態のサージ防護素子1の製造方法では、ギャップ形成工程で、周面の周方向にレーザ加工又は切条加工を行って周方向に延在した円環状溝部7aと円環状突条部7bとを軸線方向に交互に複数形成すると共に、円環状突条部7bの頂部にだけ金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性被膜(金属酸化物M)を導電性材料として残留させ、導電性被膜(金属酸化物M)が付着している頂部の幅W1を、円環状溝部7aの幅W2よりも小さくするので、レーザ加工ではレーザ光の照射幅や出力等を調整し、またダイシングブレードでの切条加工ではダイシングブレードのブレード形状や切削幅等を調整することで、円環状突条部7bの頂部に残留させる導電性被膜(金属酸化物M)の量と金導電性被膜(金属酸化物M)が付着している頂部の幅W1とを容易に調整することができる。
本実施形態のサージ防護素子1の製造方法では、ギャップ形成工程で、周面の周方向にレーザ加工又は切条加工を行って周方向に延在した円環状溝部7aと円環状突条部7bとを軸線方向に交互に複数形成すると共に、円環状突条部7bの頂部にだけ金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性被膜(金属酸化物M)を導電性材料として残留させ、導電性被膜(金属酸化物M)が付着している頂部の幅W1を、円環状溝部7aの幅W2よりも小さくするので、レーザ加工ではレーザ光の照射幅や出力等を調整し、またダイシングブレードでの切条加工ではダイシングブレードのブレード形状や切削幅等を調整することで、円環状突条部7bの頂部に残留させる導電性被膜(金属酸化物M)の量と金導電性被膜(金属酸化物M)が付着している頂部の幅W1とを容易に調整することができる。
次に、本発明に係るサージ防護素子1の第2実施形態について、図3を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、円環状突条部7bの頂部に金属酸化物Mだけが付着しているのに対し、第2実施形態のサージ防護素子では、図3に示すように、円環状突条部7bの頂部に金属酸化物Mだけでなく金属M2も付着している点である。
すなわち、第2実施形態では、導電性材料として、円環状突条部7bの頂部にSnO2の金属酸化物MとCu等の金属M2とが付着している。
すなわち、第2実施形態では、導電性材料として、円環状突条部7bの頂部にSnO2の金属酸化物MとCu等の金属M2とが付着している。
第2実施形態のサージ防護素子の製造方法においては、まず金属キャップ4をCuで形成しておく。
また、上記ギャップ形成工程で、予め金属酸化物Mを導電性材料として頂部に形成しておく。
そして、第1実施形態の上記製法により、絶縁性部材3の両端に一対の金属キャップ4を係合させた内部素子を作製する。
次に、複数の内部素子を互いに擦り合わせるバレル処理を行うことで、Cuの金属キャップ4からCu粉が生じ、このCu粉を円環状突条部7bの頂部の金属酸化物M上に金属Mとして付着させる。
また、上記ギャップ形成工程で、予め金属酸化物Mを導電性材料として頂部に形成しておく。
そして、第1実施形態の上記製法により、絶縁性部材3の両端に一対の金属キャップ4を係合させた内部素子を作製する。
次に、複数の内部素子を互いに擦り合わせるバレル処理を行うことで、Cuの金属キャップ4からCu粉が生じ、このCu粉を円環状突条部7bの頂部の金属酸化物M上に金属Mとして付着させる。
このように第2実施形態のサージ防護素子では、頂部に付着している導電性材料が、金属酸化物Mと金属酸化物M上に付着した金属M2とであるので、頂部への金属酸化物Mの付着が不十分であっても金属M2がさらに付着されることで、付近の電界がより上昇し、サージ印加時にギャップ部分へのスパッタリングがさらに抑制され、サージ印加による放電開始電圧の低下が低減される。
また、第2実施形態のサージ防護素子の製造方法では、複数の内部素子をバレル処理によって互いに擦り合わせ、金属キャップ4を構成するCu等の金属粉末を生じさせると共に金属粉末を円環状突条部7bの頂部に付着させるので、円環状突条部7bの頂部に金属酸化物Mと金属M2とを容易に付着させることができる。
次に、第1本実施形態のサージ防護素子を、上記製造方法により作製した実施例について、放電ギャップ部Gの表面を示すSEM画像を、図3に示す。
この画像からわかるように、円環状溝部7aと円環状突条部7bとが交互に繰り返し平成されていると共に、円環状突条部7bの頂部には金属酸化物M(円環状突条部7bの頂部上の白色部分)が付着している。さらに、金属酸化物Mが付着している円環状突条部7bの頂部の幅W1は、円環状溝部7aの幅W2よりも小さくなっている。
この画像からわかるように、円環状溝部7aと円環状突条部7bとが交互に繰り返し平成されていると共に、円環状突条部7bの頂部には金属酸化物M(円環状突条部7bの頂部上の白色部分)が付着している。さらに、金属酸化物Mが付着している円環状突条部7bの頂部の幅W1は、円環状溝部7aの幅W2よりも小さくなっている。
次に、上記実施例について、サージ寿命耐久試験として、8/20μs、100A、サージ印加回数100回まで行った際の抵抗値の変化を測定した結果を図4に示す。
この測定結果からわかるように、繰り返しのサージ印加に対して変化の小さい安定した抵抗値が得られ、サージ寿命耐久性が向上している。
この測定結果からわかるように、繰り返しのサージ印加に対して変化の小さい安定した抵抗値が得られ、サージ寿命耐久性が向上している。
次に、第2本実施形態のサージ防護素子を、上記製造方法により作製した実施例について、サージ印加回数300回まで行った際の放電開始電圧Vsを測定した結果を図6の(a)に示す。
これから分かるように、サージ印加回数300回でも放電開始電圧Vsが低下していない。
また、第2本実施形態のサージ防護素子の実施例について、サージ印加回数0~500回までの放電開始電圧の変化率ΔVsを測定した結果を図6の(b)に示す。
これから分かるように、サージ印加回数500回でも放電開始電圧の変化率ΔVsは小さくなっている。
これから分かるように、サージ印加回数300回でも放電開始電圧Vsが低下していない。
また、第2本実施形態のサージ防護素子の実施例について、サージ印加回数0~500回までの放電開始電圧の変化率ΔVsを測定した結果を図6の(b)に示す。
これから分かるように、サージ印加回数500回でも放電開始電圧の変化率ΔVsは小さくなっている。
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…サージ防護素子、2…導電性被膜、3…絶縁性部材、4…導電部材(金属キャップ)、5…主放電電極部材、6…絶縁性管、7a…円環状溝部、7b…円環状突条部、G…放電ギャップ部、M…金属酸化物、M2…金属、W1…導電性材料が付着している頂部の幅、W2…円環状溝部の幅
Claims (6)
- 軸線方向中央部の放電ギャップ部を介して周面に導電性被膜が分割形成された柱状又は筒状の絶縁性部材と、
前記絶縁性部材の両端に直接又は他の導電部材を介して対向配置され前記導電性被膜に電気的に導通する一対の主放電電極部材と、
前記一対の主放電電極部材を両端に配して前記絶縁性部材を内部に前記放電制御ガスと共に封止する絶縁性管とを備え、
前記放電ギャップ部に、周方向に延在した円環状溝部と円環状突条部とが軸線方向に交互に複数形成され、
前記円環状突条部の頂部に金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性材料が付着しており、
前記導電性材料が付着している前記頂部の幅が、前記円環状溝部の幅よりも小さいことを特徴とするサージ防護素子。 - 請求項1に記載のサージ防護素子において、
前記金属酸化物が、SnO2であることを特徴とするサージ防護素子。 - 請求項2に記載のサージ防護素子において、
前記放電ギャップ部の幅が、200~2000μmであり、
前記放電ギャップ部全体で、10~60wt%のSnを含有していることを特徴とするサージ防護素子。 - 請求項1又は2に記載のサージ防護素子において、
前記頂部に付着している前記導電性材料が、前記金属酸化物と前記金属酸化物上に付着した前記金属とであることを特徴とするサージ防護素子。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載のサージ防護素子を製造する方法であって、
柱状又は筒状の絶縁性部材の周面全体に金属及び金属酸化物の少なくとも一方である導電性被膜を形成する被膜形成工程と、
軸線方向中央部の前記導電性被膜にレーザ光を照射するレーザ加工又はダイシングブレードでの切条加工により前記導電性被膜の少なくとも一部を除去して分断することで放電ギャップ部を形成し、前記導電性被膜を分割するギャップ形成工程とを備え、
前記ギャップ形成工程で、前記周面の周方向に前記レーザ加工又は前記切条加工を行って周方向に延在した円環状溝部と円環状突条部とを軸線方向に交互に複数形成すると共に、前記円環状突条部の頂部にだけ前記導電性被膜を導電性材料として残留させ、前記導電性被膜が付着している前記頂部の幅を、前記円環状溝部の幅よりも小さくすることを特徴とするサージ防護素子の製造方法。 - 請求項5に記載のサージ防護素子の製造方法において、
前記被膜形成工程で、金属酸化物を前記導電性被膜として形成し、
前記ギャップ形成工程で、前記円環状突条部の頂部にだけ前記金属酸化物を残留させた後、前記絶縁性部材の両端に前記一対の金属キャップを係合させて内部素子とし、複数の前記内部素子をバレル処理によって互いに擦り合わせ、前記金属キャップを構成する金属の粉末を生じさせると共に前記金属の粉末を前記円環状突条部の頂部に付着させることを特徴とするサージ防護素子の製造方法。
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JP2021039802 | 2021-03-12 |
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JP2022017455A Pending JP2022140303A (ja) | 2021-03-12 | 2022-02-07 | サージ防護素子及びその製造方法 |
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2022
- 2022-02-07 JP JP2022017455A patent/JP2022140303A/ja active Pending
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