JP2022140036A - 展開物デリバリーシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】ステント拡張の初期の位置ずれリスクを高めることなく、術者の回転操作による負担を軽減できる展開物デリバリーシステムを提供する。【解決手段】ステント20と、内管30と、ステント20を覆い内管30より外側に配置される外管40と、内管30が連結された操作部50とを有し、操作部50は、ホイール65と、ホイール65と連動するピニオン53と、ラック52と、ラック52と並進する並進部材70と、バネ部材55と、バネ部材55に連結される作動部材80と、作動部材80に接する保持部材90と、を有する展開物デリバリーシステム10であって、並進部材70が作動部材80の一部を通過することで、保持部材90による作動部材80の移動の軸方向Xの規制が解除され、作動部材80が並進部材70にバネ部材55の応力を伝達し、回転操作部54による外管40の基端側への移動操作を補助する。【選択図】図3

Description

本発明は、生体管腔内にステント等の医療用の展開物を留置するための展開物デリバリーシステムに関する。
血管等の生体管腔の狭窄などの病変部を治療する際に、カテーテルのような治療器具を経皮的に生体管腔に導入し、生体管腔内から病変部を治療する方法が知られている。このような治療方法において、病変部が狭窄病変の場合、狭窄病変をバルーンで拡張し、バルーン拡張後の再狭窄を防ぐ目的で、体内埋込型の医療器具であるステントが留置されることが多い。
ステントは、線状の構成要素であるストラットが波状および環状に形成されて、半径方向に収縮および拡張することが可能な管状構造を有する。ステントを病変部に留置する際は、ステントが収縮されてカテーテルに装着された後、術者がステントが装着されたカテーテルを病変部まで移行(デリバリー)する。ステントが病変部に到達した後に、術者がカテーテルを操作することでステントを拡張し、ステントが病変部に留置される。
ステントは、拡張方式によってバルーン拡張ステントと自己拡張ステントに区分される。バルーン拡張ステントでは、収縮状態のステントがバルーンカテーテルのバルーン部分に載置されており、デリバリー後にバルーンを膨張させることでステントが拡張される。自己拡張ステントでは、ステントがステントより径方向外側にある外管の内腔に拘束されて収縮状態となっており、デリバリー後にステントを外管の外に移動させて拘束を解除することで、自発的にステントが拡張する。
自己拡張ステントの拡張におけるステントを外管の外に移動させる典型的な方法は、デリバリーシステムの基端側に配備された操作部で外管を基端側に移動させることであり、また、操作部の代表的な形態として、サムホイールタイプが知られている。サムホイールタイプの操作部には、回転操作が可能なサムホイールが配備され、サムホイールを回転させることで、外管が基端側に移動する。
このようなサムホイールタイプの操作部を有する自己拡張ステントのデリバリーシステムの例として、例えば特許文献1には、外管の基端に結合するラックと、サムホイールと同軸中心に回転するピニオンを有し、ラックとピニオンがかみ合っている。サムホイールを回転操作することで、ピニオンが回転し、連動してラックと外管が基端側に移動する。
特表2007-504897号公報
自己拡張ステントが適用される対象領域は特に下肢動脈であり、概して自己拡張ステントの全長は長い。外管を移動させるには、ステントと外管の間、および、外管と生体管腔の間に作用する摩擦力を上回る力を与える必要がある。サムホイールタイプの場合も、サムホイールの回転によってその力を与える必要があるため、回転操作は術者にとって負担であり、特にステントの全長が長い場合にその負担は顕著である。このため、回転力を補助する外力を作用させられれば、回転操作に要する力が低減し、術者の負担が低減される。
一方、回転操作の初期段階では、デリバリーシステムが全体的に動いてしまうことがあり、ステント拡張開始位置が目的とする位置からずれることがある。このため、回転操作に加えてデリバリーシステムを動かし、ステント拡張開始位置を修正することがあるが、回転負荷が小さくなると、位置ずれを確認する前にステントが拡張してしまう可能性があり、位置ずれのリスクが大きい。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ステント拡張の初期の位置ずれリスクを高めることなく、術者の回転操作による負担を軽減できる展開物デリバリーシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成する展開物デリバリーシステムは、先端および基端を有し、径方向に縮小、拡張することが可能な展開物と、先端および基端を有する内管と、先端および基端を有し、縮小状態にある前記展開物を覆い、前記内管より外側に配置され、前記内管に対して基端側に移動することで前記展開物を拡張させることが可能な外管と、前記内管が連結されたハウジングを有し、前記内管に対して前記外管を軸方向に移動させるための操作部と、を有し、前記操作部は、前記ハウジングに対して回転可能に連結されて回転操作が可能な少なくとも1つのホイールを含む回転操作部と、前記ホイールの回転と連動して回転するピニオンと、前記ピニオンの回転により前記外管の軸方向の移動と連動して軸方向に並進可能であり、軸方向に延びるラックと、前記ラックに固定され、前記ラックと連動して並進する並進部材と、バネ部材と、前記バネ部材の一端を前記ハウジングに連結するバネ受けと、前記バネ部材の他端に連結される作動部材と、前記ハウジングに連結されて前記作動部材に接する保持部材と、を有する展開物デリバリーシステムであって、前記作動部材は、前記保持部材に接することで軸方向の移動が規制されており、前記並進部材が前記作動部材の少なくとも一部を通過することで、前記保持部材による前記作動部材の軸方向の移動の規制が解除され、前記作動部材が前記並進部材に前記バネ部材の応力を伝達し、前記回転操作部による前記外管の基端側への移動操作を補助することを特徴とする。
上記のように構成した展開物デリバリーシステムは、ステント拡張の初期ではバネ部材の補助を受けずに回転操作部による拡張操作が行われ、外管の移動量が所定量に達した後に、バネ部材の補助を受けて拡張操作が行われる。このため、本展開物デリバリーシステムは、ステント拡張の初期の位置ずれリスクを高めることなく、術者の回転操作による負担を軽減できる。
前記バネ部材は、定荷重バネであってもよい。これにより、ステント拡張の終盤でも外管に作用するバネ部材の補助力が低下しないため、術者の回転操作による負担を軽減できる。
前記回転操作部は、第1ホイールと、前記第1ホイールより単位周長あたりの前記ラックの並進距離が大きい第2ホイールと、を有してもよい。これにより、術者がバネ部材の補助を受けて第2ホイールを利用することで、回転操作に要する力が大きく増加することなく、ステント拡張に要する回転操作量を減らすことができるため、術者の負担がより低減する。
前記作動部材は、軸方向と垂直であって前記保持部材から離れる方向である離脱方向に変位可能な変位用受け部と、前記変位用受け部に結合された係合用受け部と、を有し、前記並進部材が前記変位用受け部に接することで当該変位用受け部は前記離脱方向へ変位して、前記保持部材による前記作動部材の軸方向の移動の規制が解除され、その後に、前記並進部材が前記係合用受け部に接して、前記作動部材が前記並進部材に前記バネ部材の応力を伝達してもよい。これにより、展開物デリバリーシステムは、保持部材による作動部材の軸方向の移動の規制の解除に連動して、作動部材が並進部材にバネ部材の応力を伝達することができる。
前記係合用受け部は、前記離脱方向と逆の方向へ変位可能であってもよい。これにより、並進部材が変位用受け部に接する前に、係合用受け部が離脱方向と逆の方向へ変位することで、係合用受け部が並進部材の離脱方向へ向かう移動を妨げることが抑制される。
前記並進部材は、軸方向と垂直であって前記保持部材に近接する方向である近接方向へ突出する凸部を有し、前記作動部材は、近接方向へ窪む第1凹部と、前記近接方向と反対方向である離脱方向へ窪む第2凹部と、を有し、一部が前記第2凹部内に配置されて、前記ハウジングに固定されたレバー部材が配置され、前記レバー部材は、前記保持部材より基端側に延び、基端方向へ向かう力を受けて傾くことが可能な傾斜用受け部と、前記第2凹部内に配置されて前記傾斜用受け部とともに傾くこと可能な押圧部と、を有し、前記並進部材は、基端側に移動する際、前記凸部が前記第1凹部内を通過することにより、前記作動部材より基端側に移動可能であり、前記並進部材は、前記作動部材を通過した後に、前記レバー部材の傾斜用受け部に当接し、前記レバー部材を傾かせて前記押圧部により前記作動部材を離脱方向へ変位させて、前記保持部材による前記作動部材の軸方向の移動の規制が解除され、その後に、前記並進部材が前記作動部材と当接して、前記作動部材が前記並進部材に前記バネ部材の応力を伝達してもよい。これにより、展開物デリバリーシステムは、保持部材による作動部材の軸方向の移動の規制の解除に連動して、作動部材が並進部材にバネ部材の応力を伝達することができる。
前記展開物デリバリーシステムは、前記ハウジングに支点を介して固定され、前記支点から一端までに配置される押圧部と、前記支点から他端までに配置される延在部とを含むレバー部材と、前記レバー部材を前記支点回りに回転させるように前記延在部に接触可能で、前記ハウジングに対して変位可能に接続されるスイッチと、を有し、前記作動部材は、前記押圧部に対して、軸方向と垂直であって前記保持部材から離れる方向である離脱方向側に配置され、前記並進部材は前記スイッチを変位可能に前記スイッチと接触し、前記並進部材が前記作動部材より基端側に移動すると、前記スイッチが前記レバー部材を回転させて前記作動部材が変位し、前記保持部材による前記作動部材の軸方向の移動の規制が解除され、前記作動部材と前記並進部材が当接し、前記作動部材が前記並進部材に前記バネ部材の応力を伝達してもよい。これにより、展開物デリバリーシステムは、保持部材による作動部材の軸方向の移動の規制の解除に連動して、作動部材が並進部材にバネ部材の応力を伝達することができる。
前記展開物デリバリーシステムは、前記ハウジングに支点を介して固定され、前記支点から一端までに配置される押圧部と、前記支点から他端までに配置される延在部とを含むレバー部材と、前記レバー部材を前記支点回りに回転させるように前記延在部を押し込み可能で、前記ハウジングの内部から外部にかけて延在するスイッチと、前記レバー部材の前記延在部の押し込みによる前記支点回りの回転を防止するロック部材と、を有し、前記作動部材は、前記押圧部に対して、軸方向と垂直であって前記保持部材から離れる方向である離脱方向側に配置され、前記並進部材は前記ロック部材を変位可能に前記ロック部材と接触し、前記並進部材が前記作動部材より基端側に移動すると、前記ロック部材による前記レバー部材の回転の防止が解除され、その後前記スイッチを押し込むことで前記レバー部材が回転して前記作動部材が変位し、前記保持部材による前記作動部材の軸方向の移動の規制が解除され、前記作動部材と前記並進部材が当接し、前記作動部材が前記並進部材に前記バネ部材の応力を伝達してもよい。これにより、展開物デリバリーシステムは、保持部材による作動部材の軸方向の移動の規制の解除に連動して、作動部材が並進部材にバネ部材の応力を伝達することができる。
第1実施形態に係る展開物デリバリーシステムを示す平面図である。 展開物デリバリーシステムの先端側を示す断面図であり、(A)はステントの展開前の状態、(B)はステントの展開中の状態を示す。 展開物デリバリーシステムの操作部の内部の平面図である。 展開物デリバリーシステムの操作部の一部を示す拡大平面図である。 展開物デリバリーシステムの動作を示す説明図であり、(A)は並進部材が作動部材に連結される前の状態、(B)は並進部材が作動部材の一部を乗り越えた状態、(C)は保持部材による作動部材の規制が解除された状態、(D)は並進部材にバネ部材の力が作用している状態を示す。 第2実施形態に係る展開物デリバリーシステムの操作部の一部を示す斜視図である。 第2実施形態に係る展開物デリバリーシステムの操作部の一部を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のA-A線に沿う断面図である。 第2実施形態に係る展開物デリバリーシステムの動作を示す説明図であり、(A)は並進部材が作動部材に連結される前の状態、(B)は保持部材による作動部材の規制が解除された状態、(C)は並進部材にバネ部材の力が作用している状態を示す。 第3実施形態に係る展開物デリバリーシステムの動作を示す説明図であり、(A)は並進部材が作動部材に連結される前の状態、(B)は保持部材による作動部材の規制が解除された状態、(C)は並進部材にバネ部材の力が作用している状態を示す。 第3実施形態に係る展開物デリバリーシステムの動作を示す断面図であり、(A)は並進部材が作動部材に連結される前の状態、(B)は保持部材による作動部材の規制が解除された状態を示す。 第4実施形態に係る展開物デリバリーシステムの動作を示す断面図であり、(A)は並進部材が作動部材に連結される前の状態、(B)は保持部材による作動部材の規制が解除された状態、(C)は並進部材にバネ部材の力が作用している状態を示す。 展開物デリバリーシステムの操作部の変形例を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。本明細書では、生体管腔に挿入する側を「先端側」、操作する側を「基端側」と称することとする。
<第1実施形態>
図1~3を参照して、第1実施形態に係る展開物デリバリーシステム10は、血管、胆管、気管、食道、尿道、またはその他の生体管腔の狭窄や閉塞等が生じた病変部に医療用の展開物であるステント20を留置して、生体管腔の開存状態を維持するためのものである。展開物デリバリーシステム10は、展開物デリバリーシステム10を目的の位置(例えば、生体管腔の病変部)まで導くためのガイドワイヤ400が先端側のみに挿入されるRX型(Rapid exchange type)である。
この展開物デリバリーシステム10は、少なくとも一部が管状に形成された内管30と、内管30の外周側に配置される外管40と、内管30と外管40との間に収納された拡張可能なステント20と、外管40を内管30に対して移動させるための操作部50とを備えている。
内管30は、管状の内側先端チューブ31と、内側先端チューブ31の基端側に配置された管状の内側基端チューブ32と、内側先端チューブ31の基端部および内側基端チューブ32の先端部を連結する連結部材33と、内側基端チューブ32の基端に連結されたコネクタ34とを備えている。
内側先端チューブ31は、先端および基端で開口する管体であり、ガイドワイヤ400を通すためのガイドワイヤルーメン35が形成されている。内側先端チューブ31の先端は、外管40の先端から先端側へ突出可能に配置される。内側基端チューブ32は、先端および基端で開口する管体であり、コネクタ34から生理食塩水等の液体を注入されるルーメン36が形成されている。内側先端チューブ31は可撓性が高い樹脂製材料で形成され、内側基端チューブ32は強度が高い金属製材料で形成されることが好ましい。
内側先端チューブ31は、外周面に、ステント係止部37と、ステント係合部38と、ストッパ部39とを備えている。ステント係止部37は、環状であり、径方向外側へ突出している。ステント係止部37は、外管40の内部にステント20が収納された際に、ステント20の基端側となる位置に配置される。ステント係合部38は、環状であり、径方向外側へ突出している。ステント係合部38は、ステント係止部37に対して内側先端チューブ31の先端側に離間して配置される。ステント係合部38は、後述するステント20の縮径部21に係合する。ステント係合部38の径方向外側への高さは、ステント係止部37の径方向外側への高さよりも低い。
ストッパ部39は、環状であり、径方向外側へ突出している。ストッパ部39は、外管40の内管30に対する先端方向X2への移動を規制する。これにより、外管40が内管30の先端に対して先端方向X2へ突出してしまうことが抑制される。
内側先端チューブ31の基端は、内側先端チューブ31の径方向外側に向かって湾曲している。内側先端チューブ31の基端側の開口部は、外管40のガイドワイヤ導出孔43と連通する。
コネクタ34は、円筒状であり、内側基端チューブ32の基端に接続されて、内側基端チューブ32の内腔と連通する。コネクタ34は、操作部50の基端に連結されている。コネクタ34は、例えばシリンジ等の液体注入具を接続可能に形成される。液体注入具からコネクタ34を介して内管基端チューブ32へ注入された液体は、ルーメン36を通って内管30および外管40の先端まで流通される。これにより、内管30および外管40の内部をフラッシュすることができる。
外管40は、内部に内側先端チューブ31が配置される管状の外側先端チューブ41と、外側先端チューブ41の基端側に配置された管状の外側基端チューブ42とを有する。
外側先端チューブ41は、内部にステント20を収納可能である。外側先端チューブ41の先端は、生体管腔内の病変部にステント20を留置する際の放出口として機能すると共に、途中まで放出されたステント20を収納する際の収納口としても機能する。
また、外側先端チューブ41は、基端側に、外側先端チューブ41の内周面から外周面へ貫通して開口するガイドワイヤ導出孔43が形成される。ガイドワイヤ導出孔43は、内部に配置された内側先端チューブ31のガイドワイヤルーメン35の基端側の開口と連通可能に形成される。ガイドワイヤ導出孔43は、内管30のガイドワイヤルーメン35を通るガイドワイヤ400を外部に導出させることができる。
また、外側先端チューブ41の先端部の外周面には、X線造影性を備えた造影マーカー44が配置される。造影マーカー44は、例えば、X線造影性材料により環状に形成される。
ステント20は、多数の開口を有したメッシュ状で略円筒形状に形成される。ステント20は、生体管腔内への挿入時には、中心軸に向かう半径内側方向に弾性的に圧縮されて、外側先端チューブ41の内部に配置される。ステント20は、外側先端チューブ41の先端から外部へ放出されることにより、半径外側方向へ自己の復元力によって拡張して、圧縮前の形状へ復元可能な自己拡張型ステントである。ステント20を構成する材料は、例えば、Ni-Ti合金等の超弾性合金が好適である。
ステント20の基端には、縮径部21が形成される。縮径部21の内径は、縮径部21の近傍の位置のステント20の内径より小さい。また、縮径部21は、内管30の外周面に接触しないように形成される。
ステント20は、外管40の内部に収納された状態で、その基端がステント係止部37に当接し、かつ、縮径部21がステント係止部37とステント係合部38との間に保持されることによって外管40の先端から外部に露出することがない位置で保持される。
なお、外管40の先端からステント20が放出される際、その基端がステント係止部37に当接することにより、ステント20は所定位置に位置決めされた状態で拡張する。また、途中まで放出されたステント20が外管40の内部へと再収納される際、その縮径部21がステント係合部38に当接することにより、ステント20は再収納される。
操作部50は、図3~5(A)に示すように、ハウジング51と、ハウジング51の内部に収納され外管40に接続されるラック52と、ラック52に噛合される歯車であるピニオン53と、ピニオン53とともに回転可能である回転操作部54とを備える。操作部50は、さらに、予め応力が蓄積されているバネ部材55と、ハウジング51の内面に配置されてバネ部材55の一端に連結されたバネ受け56と、ラック52に固定されてラック52と並進する並進部材70と、バネ部材55の他端に連結された作動部材80と、ハウジング51の内面に配置されて作動部材80に当接して作動部材80の位置を保持する保持部材90とを備える。
ハウジング51は、内部にラック52、ピニオン53、回転操作部54、バネ部材55、バネ受け56および並進部材70、作動部材80および保持部材90等を収容する収容部57を有し、回転操作部54の一部を外部へ露出させるホイール露出孔58が形成される。ハウジング51の内壁面には、回転操作部54の回転軸60を回転可能に支持する軸受59が形成される。軸受59は、回転操作部54の回転軸60を、ラック52の延在方向と垂直な軸で回転可能に支持している。また、ハウジング51は、外管40の外側基端チューブ42を摺動可能に保持する外管保持部61と、ラック52が軸方向Xへ移動可能に収容されるスライド溝62と、スライド溝62の基端側に形成されてコネクタ34が固定されるコネクタ収容部63とを備える。外管保持部61は、外側基端チューブ42が挿通される貫通孔(図示せず)が形成される。外側基端チューブ42は、外管保持部61を貫通して、ハウジング51の内部でラック52に固定されている。
ラック52は、直線状に形成され、ピニオン53に臨む側面に、ピニオン53と噛合う複数の歯64を備える。複数の歯64は、軸方向Xへ並んでいる。ラック52は、軸方向Xへ延在するスライド溝62に沿って、外管40と共に変位可能である。
回転操作部54は、軸受59に回転可能に保持される回転軸60と、ホイール露出孔58を介して外部に露出するホイール65を備える。ホイール65は、術者が指で回転力を付与する部位である。ピニオン53は、回転操作部54と同軸上に配置されて、回転操作部54と共に回転可能である。
バネ部材55は、所定の条件が満たされた際にラック52および外管40に基端方向X1へ向かう力を作用させるように、予め応力が蓄積された状態で、軸方向Xと略平行に延在している。バネ部材55は、例えば、帯状の板バネ67が、回転可能なドラム68に巻回されて、ドラム68から引き出し可能であり、かつドラム68に巻き取り可能な定加重バネである。定加重バネは、変位に対する加重が略一定である。バネ部材55は、収縮力を発生させるように引き延ばされた状態で、基端がバネ受け56によりハウジング51に連結され、先端が作動部材80に連結されている。したがって、バネ部材55は、所定の条件が満たされた際に収縮し、ハウジング51の内部で作動部材80を基端方向X1へ移動させることができる。
なお、バネ部材55の構成は、特に限定されず、例えばコイルバネや、伸縮可能なゴム等の弾性部材等であってもよい。また、バネ部材55は、収縮力によって作動部材80を基端方向X1へ移動させるのではなく、拡張力によって作動部材80を基端方向X1へ移動させるように構成されてもよい。
並進部材70は、ラック52に固定されてラック52と並進する部材であり、ラック52の移動方向(軸方向X)と垂直な方向へラック52から突出している。並進部材70は、基端側に、凸となる頂部71と、頂部71を挟む第1基端面72および第2基端面73を有している。並進部材70は、先端側に、軸方向Xと略垂直な先端面74を有している。先端面74は、所定の条件を満たすことでバネ部材55から力を受けて基端方向X1へ移動する作動部材80から、基端方向X1へ向かう力を受けることが可能な部位である。
第1基端面72は、作動部材80に接触することで、作動部材80を保持部材90から離脱させるように作動部材80に力を作用せる部位である。第1基端面72の法線は、軸方向Xに対して傾斜すると共に、作動部材80が保持部材90から離脱するために移動する方向である離脱方向Y2を向く方向成分を有している。離脱方向Y2は、軸方向Xに対して垂直であり、かつ保持部材90が作動部材80に対向する方向である。
第2基端面73は、作動部材80に接触することで作動部材80の一部を変形させて、並進部材70を作動部材80に係合させるように作動部材80に力を作用させる部位である。第2基端面73の法線は、軸方向Xに対して傾斜すると共に、離脱方向Y2の反対方向である近接方向Y1を向く方向成分を有している。
作動部材80は、バネ部材55の先端に固定されてバネ部材55から基端方向X1へ向かう力を受けるとともに、ハウジング51の内面に配置される保持部材90により保持されて、ハウジング51に対する位置が維持されている。作動部材80は、初期状態の並進部材70よりも基端側に配置されており、基端方向X1へ移動する並進部材70が接触可能である。作動部材80は、並進部材70が接触することで保持部材90から離脱し、並進部材70に連結されて、並進部材70と共に基端方向X1へ移動可能となる。
作動部材80は、保持部材90に保持される被保持部81と、並進部材70から力を受けて作動部材80を離脱方向Y2へ変位させる変位用受け部82と、並進部材70と係合可能な係合用受け部83と、を備えている。
被保持部81は、保持部材90に保持される部位である。被保持部81は、作動部材80の基端側であって近接側に形成される段差であり、段差は、基端方向X1へ向く被保持面84を備えている。被保持面84は、保持部材90によって保持されて、被保持部81が基端方向X1へ移動することを規制する。
変位用受け部82は、並進部材70から力を受けて作動部材80を離脱方向Y2へ移動させる部位である。変位用受け部82は、基端方向X1へ移動する並進部材70の第1基端面72と接触可能な変位用傾斜面85を備えている。変位用傾斜面85の法線は、軸方向Xに対して傾斜し、先端方向X2を向く方向成分と、近接方向Y1を向く方向成分を有している。変位用傾斜面85は、並進部材70の第1基端面72と滑らかに接触するように、第1基端面72と平行であることが好ましいが、平行でなくてもよい。変位用傾斜面85の最も基端側の傾斜終端部86は、並進部材70の頂部71よりも近接方向Y1側に距離L4で離れている。
係合用受け部83は、並進部材70と係合可能な部位である。係合用受け部83は、弾性的に撓むことが可能な片持ち梁状の可撓部87と、基端方向X1へ移動する並進部材70の第2基端面73と接触可能な変形用傾斜面88と、並進部材70の先端面74と接触可能な係合用接触面89とを備えている。
可撓部87は、被保持部81から先端方向X2へ延在し、近接方向Y1へ弾性的に撓むことが可能である。可撓部87は、撓んでいない状態で、並進部材70の近接方向Y1側の端部から近接方向Y1へ距離L5で離れて配置される。距離L5は、可撓部87と並進部材70が干渉せずに、作動部材80が並進部材70へ向かって離脱方向Y2へ移動可能な範囲である。
変形用傾斜面88の法線は、軸方向Xに対して傾斜し、先端方向X2を向く方向成分と、離脱方向Y2を向く方向成分を有している。変形用傾斜面88は、基端方向X1へ移動する並進部材70の第2基端面73と接触することで、第2基端面73から力を受けて、可撓部87を撓ませつつ近接方向Y1へ移動可能である。
係合用接触面89は、変形用傾斜面88と可撓部87の間に配置され、並進部材70の先端面74と接触可能な部位である。係合用接触面89は、軸方向Xと略垂直に、基端方向X1を向いて形成される。係合用接触面89は、可撓部87の先端から離脱方向Y2へ延在している。可撓部87が撓んでいない状態において、係合用接触面89は、可撓部87との境界から離脱方向Y2へ距離L5離れた位置から所定の距離L1の位置までの範囲で、並進部材70の先端面74と接触可能である。
保持部材90は、ハウジング51の内面に固定される部材であり、バネ部材55から基端方向X1へ向かう力を受ける作動部材80に接触して、作動部材80の移動を規制している。保持部材90は、作動部材80の被保持部81の近接方向Y1側の面と接触可能な側方保持面91が形成される台部92と、作動部材80の被保持面84と接触可能な保持面93が形成される移動規制部94とを備えている。
台部92に形成される側方保持面91は、軸方向Xと略平行であり、側方保持面91の法線は、離脱方向Y2を向いている。側方保持面91は、作動部材80の被保持部81の近接方向Y1側の面と接触する。
台部92は、離脱方向Y2および近接方向Y1へ、所定の距離L2を有して形成される。距離L2は、作動部材80の係合用受け部83が撓みつつ移動可能な範囲である。
移動規制部94に形成される保持面93は、軸方向Xと略垂直であり、保持面93の法線は、先端方向X2を向いている。保持面93は、作動部材80の被保持面84に接触して、作動部材80の基端方向X1への移動を規制している。なお、保持面93は、軸方向Xと略垂直であるため、作動部材80が、軸方向Xと垂直な離脱方向Y2へ摺動することを許容する。保持面93は、側方保持面91から離脱方向Y2へ所定の距離L3を有して形成される。距離L3は、保持部材90の保持面93が、離脱方向Y2へ移動する作動部材80を、基端方向X1へ移動しないように保持した状態を維持できる範囲である。
次に、第1実施形態に係る展開物デリバリーシステム10の作用を説明する。
使用前の展開物デリバリーシステム10において、図3および5(A)に示すように、作動部材80は、予め応力が蓄積された状態のバネ部材55により基端方向X1へ向かう力を受けた状態を、保持部材90により保持されて維持されている。並進部材70は、作動部材80よりも先端側に配置されている。作動部材80の被保持面84は保持部材90の保持面93に接触し、作動部材80の近接方向Y1側の面は保持部材90の側方保持面91に接触している。そして、ステント20は、図2(A)に示すように、収縮された状態で外管40の内部に保持されている。
そして、術者は、図3に示すように、ホイール65を、ハウジング51に対して所定方向に回転させる。これにより、ホイール65に連結されたピニオン53が回転し、ピニオン53と噛合うラック52がスライド溝62に沿って基端方向X1へ移動する。ラック52が基端方向X1へ移動すると、ラック52に固定された並進部材70も基端方向X1へ移動する。なお、回転操作の初期段階では、展開物デリバリーシステム10が全体的に動きやすい。このため、術者は、ホイール65の回転操作に加えて、展開物デリバリーシステム10を軸方向Xに沿って移動させて、ステント20の拡張開始位置を調節してもよい。このとき、バネ部材55による補助力が並進部材70に作用すると、回転負荷が小さくなるために、位置ずれを確認する前にステント20が拡張してしまう可能性がある。しかしながら、回転操作の初期段階では、バネ部材55による補助力が並進部材70に作用しないため、ステント20の位置ずれのリスクが低減される。
並進部材70は、基端方向X1へ移動すると、図4および5(B)に示すように、並進部材70の第2基端面73が、作動部材80の変形用傾斜面88に接触する。これにより、可撓部87が撓みつつ、変形用傾斜面88が近接方向Y1へ変位する。これにより、並進部材70は、変形用傾斜面88を超えて基端側へ移動できる。並進部材70が変形用傾斜面88を超える際には、変形用傾斜面88が、距離L1を近接方向Y1へ変位する。このとき、可撓部87が撓むことにより係合用受け部83は傾くため、係合用受け部83の先端方向X2側の端部は、距離L1より多少長い距離L1+αを近接方向Y1へ変位する。したがって、係合用受け部83がハウジング51の内面に干渉しないように、距離L1+αは、台部92の離脱方向Y2の高さである距離L2以下であることが好ましい。
並進部材70が、変形用傾斜面88を超えて基端側へ移動すると、可撓部87は自己の復元力により元の形状へ戻る。これにより、作動部材80の変形用傾斜面88が元の位置へ戻り、係合用接触面89が並進部材70の先端面74に対向する。
並進部材70は、変形用傾斜面88を基端方向X1へ超えた後にさらに基端方向X1へ移動すると、並進部材70の第1基端面72が、作動部材80の変位用傾斜面85に当接する。なお、作動部材80は、保持面93によって保持されているため、並進部材70から基端方向X1へ向かう力を受けても基端方向X1へ移動しない。第1基端面72から力を受ける作動部材80の変位用傾斜面85の法線が、近接方向Y1を向く方向成分を有しているため、変位用傾斜面85に力を受ける作動部材80は、離脱方向Y2へ移動する。
並進部材70が、変形用傾斜面88を基端方向X1へ超えた後にさらに基端方向X1へ移動すると、図4および5(C)に示すように、並進部材70の頂部71が、作動部材80の傾斜終端部86に到達する。これにより、作動部材80は、離脱方向Y2へ距離L4を移動する。作動部材80が離脱方向Y2へ距離L4を移動できるように、距離L4は、距離L5以下であることが好ましい。前述したように、距離L5は、可撓部87と並進部材70が干渉せずに、作動部材80が並進部材70へ向かって離脱方向Y2へ移動可能な範囲である。そして、距離L4は、距離L3以上である。前述したように、距離L3は、保持部材90の保持面93が、離脱方向Y2へ移動する作動部材80を、基端方向X1へ移動しないように保持できる範囲である。したがって、距離L4が距離L3以上であれば、並進部材70の頂部71が作動部材80の傾斜終端部86に到達することで、作動部材80が離脱方向Y2へ移動し、作動部材80の被保持面84が、保持部材90の保持面93から離れる。これにより、保持部材90による作動部材80の移動制限が解除されて、作動部材80は、バネ部材55から受ける基端方向X1へ向かう力により、基端方向X1へ移動する。
作動部材80が、図4および5(D)に示すように、バネ部材55から受けている力により基端方向X1へ移動すると、作動部材80の係合用接触面89が、並進部材70の先端面74に当接し、先端面74に基端方向X1へ向かう力を作用させる。並進部材70は、ラック52に固定されているため、バネ部材55から作動部材80に作用する力は、ラック52を介して外管40に伝わる。したがって、ホイール65の回転操作の初期段階では、ステント20を解放するための外管40の基端方向X1への移動は、バネ部材55の補助を受けずに行われ、外管40の移動量が所定量に達した後では、ホイール65の回転操作により外管40に作用する力に、バネ部材55による補助力が追加される。このため、ステント20の拡張の初期段階におけるステント20の位置ずれのリスクを高めることなく、術者の回転操作による負担を軽減できる。
ラック52がスライド溝62に沿って基端方向X1へ移動し、それに伴って、外管40が基端方向X1へ移動すると、図2(B)に示すように、ステント20が、外管40の先端から放出される。これにより、ステント20は、自己復元力により拡張し、病変部に留置される。
以上のように、第1実施形態に係る展開物デリバリーシステム10は、先端および基端を有し、径方向に縮小、拡張することが可能な展開物(ステント20)と、先端および基端を有する内管30と、先端および基端を有し、縮小状態にあるステント20を覆い、内管30より外側に配置され、内管30に対して基端側に移動することでステント20を拡張させることが可能な外管40と、内管30が連結されたハウジング51を有し、内管30に対して外管40を軸方向Xに移動させるための操作部50と、を有し、操作部50は、ハウジング51に対して回転可能に連結されて回転操作が可能な少なくとも1つのホイール65を含む回転操作部54と、ホイール65の回転と連動して回転するピニオン53と、ピニオン53の回転により外管40の軸方向Xの移動と連動して軸方向Xに並進可能であり、軸方向Xに延びるラック52と、ラック52に固定され、ラック52と連動して並進する並進部材70と、バネ部材55と、バネ部材55の一端をハウジング51に連結するバネ受け56と、バネ部材55の他端に連結される作動部材80と、ハウジング51に連結されて作動部材80に接する保持部材90と、を有する展開物デリバリーシステム10であって、作動部材80は、保持部材90に接することで軸方向Xの移動が規制されており、並進部材70が作動部材80の少なくとも一部を通過することで、保持部材90による作動部材80の軸方向Xの移動の規制が解除され、作動部材80が並進部材70にバネ部材55の応力を伝達し、回転操作部54による外管40の基端側への移動操作を補助する。
上記のように構成した展開物デリバリーシステム10は、ステント20拡張の初期ではバネ部材55の補助を受けずに回転操作部54による拡張操作が行われ、外管40の移動量が所定量に達した後に、バネ部材55の補助を受けて拡張操作が行われる。このため、本展開物デリバリーシステム10は、ステント20拡張の初期の位置ずれリスクを高めることなく、術者の回転操作による負担を軽減できる。
バネ部材55は、定荷重バネであってもよい。これにより、ステント拡張の終盤でも外管40に作用するバネ部材55の補助力が低下しないため、術者の回転操作による負担を軽減できる。
作動部材80は、軸方向Xと垂直であって保持部材90から離れる方向である離脱方向Y2に変位可能な変位用受け部82と、変位用受け部82に結合された係合用受け部83と、を有し、並進部材70が変位用受け部82に接することで当該変位用受け部82は離脱方向Y2へ変位して、保持部材90による作動部材80の軸方向Xの移動の規制が解除され、その後に、並進部材70が係合用受け部83に接して、作動部材80が並進部材70にバネ部材55の応力を伝達する。これにより、展開物デリバリーシステム10は、保持部材90による作動部材80の軸方向Xの移動の規制の解除に連動して、作動部材80が並進部材70にバネ部材55の応力を伝達することができる。
係合用受け部83は、離脱方向Y2と逆の方向へ変位可能である。これにより、並進部材70が変位用受け部82に接する前に、係合用受け部83が離脱方向Y2と逆の方向へ変位することで、係合用受け部83が並進部材70の離脱方向Y2へ向かう移動を妨げることが抑制される。
なお、係合用受け部83は、可撓部87を備えず、離脱方向Y2と逆の方向へ変位可能でなくてもよい。この場合、並進部材70が基端方向X1へ移動する際に係合用受け部83に引っ掛からないように、距離L1(図4を参照)は0以下であることが好ましい。この場合、並進部材70が基端方向X1へ移動して変位用受け部82に接触し、作動部材80が離脱方向Y2へ移動することで、並進部材70の先端面74と接触可能な位置に、係合用接触面89が配置される。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る展開物デリバリーシステム100は、図6および7に示されるように、操作部50に設けられる並進部材110、作動部材120および保持部材130の構造が、第1実施形態と異なる。
操作部50は、第1実施形態と同様に、ハウジング51と、ラック52と、ピニオン53と、回転操作部54と、バネ部材55と、バネ受け56とを備える。操作部50は、さらに、ラック52に固定される並進部材110と、バネ部材55の他端に連結された作動部材120と、ハウジング51の内面に配置されて作動部材120に当接して作動部材120の位置を保持する保持部材130と、作動部材120の保持部材130による保持を解除するためのレバー部材140とを備える。
並進部材110は、ラック52に固定される部材であり、ラック52の移動方向(軸方向X)と垂直な断面が略T字形状である。並進部材110は、軸方向Xと垂直な断面において、略直線状に延在する直状部111と、直状部111の延在方向の中央から垂直に突出する凸部112とを備えている。並進部材110は、凸部112の基端方向X1側に基端面113が形成され、直状部111の先端方向X2側に、軸方向Xと略垂直な先端面114が形成されている。なお、並進部材110に形成される凸部の数は、特に限定されない。
基端面113は、レバー部材140に接触することで、作動部材120を保持部材130から離脱させるようにレバー部材140に力を作用せる部位である。先端面114は、所定の条件を満たすことでバネ部材55から力を受けて基端方向X1へ移動する作動部材120から、基端方向X1へ向かう力を受けることが可能な部位である。
作動部材120は、バネ部材55の先端に固定されてバネ部材55から基端方向X1へ向かう力を受けるとともに、ハウジング51の内面に配置される保持部材130により保持されて、ハウジング51に対する位置が維持されている。作動部材120は、初期状態の並進部材110よりも基端側に配置される。作動部材120は、基端方向X1へ移動する並進部材110から力を受けて傾くレバー部材140から力を受けて保持部材130から離脱し、並進部材110に連結されて、並進部材110と共に基端方向X1へ移動可能となる。
作動部材120は、軸方向Xと垂直な断面が略H字形状である。作動部材120は、離脱方向Y2側に第1凹部121が形成され、近接方向Y1側に第2凹部122が形成されている。第1凹部121は、基端方向X1へ移動する並進部材110の凸部112を、作動部材120に接触しないように通過させる部位である。作動部材120は、第1凹部121を挟む両側の突出部位の基端方向X1を向く面に、並進部材110と係合可能な係合用受け部123を備えている。係合用受け部123は、基端側に、並進部材110の先端面114と接触可能な係合用接触面126を備えている。また、作動部材120は、第2凹部122の近接方向Y1を向く面に、レバー部材140から力を受けて作動部材120を離脱方向Y2へ変位させる変位用受け部124が形成され、第2凹部122を挟む両側の突出部位の基端方向X1を向く面に、保持部材130に保持される被保持面125が形成される。なお、作動部材120に形成される凹部の数は、特に限定されない。
保持部材130は、ハウジング51の内面に固定される部材であり、バネ部材55から基端方向X1へ向かう力を受ける作動部材120に接触して、作動部材120の移動を規制している。保持部材130は、作動部材120の各々の被保持面125と接触可能な保持面131が形成される2つの移動規制部132を備えている。保持面131は、軸方向Xと略垂直であり、保持面131の法線は、先端方向X2を向いている。保持面131は、バネ部材55から基端方向X1へ向かう力を受ける作動部材120の被保持面125に接触して、作動部材120の基端方向X1への移動を規制している。なお、保持面131は、軸方向Xと略垂直であるため、作動部材120が、軸方向Xと垂直な離脱方向Y2へ摺動することを許容する。
レバー部材140は、作動部材120の保持部材130による保持を解除するための部材である。レバー部材140は、並進部材110から力を受けて傾くことが可能な傾斜用受け部141と、傾斜用受け部141とともに傾くことが可能な押圧部142と、ハウジング51の内面に固定されて撓むことが可能な可撓連結部143とを備えている。レバー部材140は、可撓連結部143が撓むことで、軸方向Xおよび離脱方向Y2と平行な面で傾くことが可能である。なお、レバー部材140は、ハウジング51ではなく保持部材130に固定されてもよい。また、レバー部材140は、ハウジング51や保持部材130に対して回転可能に支持されてもよい。レバー部材140を保持部材130に回転可能に支持する機構として、例えば、2つの移動規制部132の間で、1つあるいは2つの移動規制部に固定される支持棒と、レバー部材140に溝や孔を設け、支持棒をレバー部材140に設けた溝や孔に挿入する機構が考えられる。
押圧部142は、保持部材130に保持された作動部材120の第2凹部122内に配置され、傾くことで、第2凹部122の変位用受け部124を離脱方向Y2へ押圧することができる。傾斜用受け部141は、押圧部142の基端部から基端方向X1かつ離脱方向Y2へ延在し、基端方向X1へ移動する並進部材110の基端面113の一部と接触可能な傾斜用傾斜面144を備えている。傾斜用傾斜面144の法線は、軸方向Xに対して傾斜し、先端方向X2を向く方向成分と、離脱方向Y2を向く方向成分を有している。可撓連結部143は、傾斜用受け部141と押圧部142の結合部の付近と、ハウジング51の内面を連結している。
次に、第2実施形態に係る展開物デリバリーシステム100の作用を説明する。
使用前の展開物デリバリーシステム100において、図6~8(A)に示すように、作動部材120は、予め応力が蓄積された状態のバネ部材55により基端方向X1へ向かう力を受けた状態を、保持部材130により保持されている。並進部材110は、作動部材120よりも先端側に配置されている。作動部材120の被保持面125は保持部材130の保持面131に接触して保持されている。
そして、術者は、ホイール65をハウジング51に対して所定方向に回転させて、ホイール65と連動して回転するピニオン53と噛合うラック52を、基端方向X1へ移動させる。これにより、ラック52に固定された並進部材110が基端方向X1へ移動する。並進部材110が基端方向X1へ移動すると、並進部材110の凸部112が、作動部材120の第1凹部121を通って、図8(B)に示すように、レバー部材140の傾斜用傾斜面144に接触する。これにより、レバー部材140の可撓連結部143が撓み、傾斜用受け部141の端部が基端方向X1へ傾くと共に、押圧部142が離脱方向Y2へ傾くように変位する。これにより、押圧部142が、作動部材120の変位用受け部124を押圧し、離脱方向Y2へ変位させる。そして、並進部材110が作動部材120よりも基端方向X1へ移動した後に、作動部材120の基端側の係合用接触面126が、並進部材110の先端面114の先端に配置される。これにより、作動部材120の係合用接触面126が、並進部材110の先端面114と係合可能となる。
作動部材120が離脱方向Y2へ移動すると、作動部材120の被保持面125が、保持部材130の保持面131から離れる。これにより、保持部材130による作動部材120の移動制限が解除されて、作動部材120は、バネ部材55から受けている基端方向X1へ向かう力により、基端方向X1へ移動する。
作動部材120が、バネ部材55から受けている力により基端方向X1へ移動すると、図8(C)に示すように、作動部材120の係合用接触面126が、並進部材110の先端面114に当接し、先端面114に基端方向X1へ向かう力を作用させる。並進部材110は、ラック52に固定されているため、バネ部材55から作動部材120に作用する力は、ラック52を介して外管40に伝わる。したがって、ホイール65の回転操作により外管40に作用する力に、バネ部材55による補助力を追加することができる。このため、ステント20の拡張の初期段階におけるステント20の位置ずれのリスクを高めることなく、術者の回転操作による負担が軽減される。
以上のように、並進部材110は、軸方向Xと垂直であって保持部材130に近接する方向である近接方向Y1へ突出する凸部112を有し、作動部材120は、近接方向Y1へ窪む第1凹部121と、近接方向Y1と反対方向である離脱方向Y2へ窪む第2凹部122と、を有し、一部が第2凹部122内に配置されて、ハウジング51に固定されたレバー部材140が配置され、レバー部材140は、保持部材130より基端側に延び、基端方向X1へ向かう力を受けて傾くことが可能な傾斜用受け部141と、第2凹部122内に配置されて傾斜用受け部141とともに傾くこと可能な押圧部142と、を有し、並進部材110は、基端側に移動する際、凸部112が第1凹部121内を通過することにより、作動部材120より基端側に移動可能であり、並進部材110は、作動部材120を通過した後に、レバー部材140の傾斜用受け部141に当接し、レバー部材140を傾かせて押圧部142により作動部材120を離脱方向Y2へ変位させて、保持部材130による作動部材120の軸方向Xの移動の規制が解除され、その後に、並進部材110が作動部材120と当接して、作動部材120が並進部材110にバネ部材55の応力を伝達する。これにより、展開物デリバリーシステム100は、保持部材130による作動部材120の軸方向Xの移動の規制の解除に連動して、作動部材120が並進部材110にバネ部材55の応力を伝達することができる。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る展開物デリバリーシステム200は、図9(A)、10(A)に示すように、操作部50に設けられる並進部材210、作動部材220および保持部材230の構造が、第1実施形態と異なる。
操作部50は、第1実施形態と同様に、ハウジング51と、ラック52と、ピニオン53と、回転操作部54と、バネ部材55と、バネ受け56とを備える。操作部50は、さらに、ラック52に固定される並進部材210と、バネ部材55の先端に連結された作動部材220と、ハウジング51の内面に配置されて作動部材220に当接して作動部材220の位置を保持する保持部材230と、作動部材220の保持部材230による保持を解除するためのレバー部材240と、レバー部材240を回転させるスイッチ250と、スイッチ250を保持するスイッチ保持部材260と、スイッチ250を支持する支持部270とを備える。
並進部材210は、ラック52に固定される部材であり、ラック52の移動方向(軸方向X)および離脱方向Y2と垂直な横方向Zへラック52から突出している。並進部材210は、基端側にスイッチ押圧面211を有し、先端側に軸方向Xと略垂直な先端面213を有している。
先端面213は、所定の条件を満たすことでバネ部材55から力を受けて基端方向X1へ移動する作動部材220から、基端方向X1へ向かう力を受けることが可能な部位である。スイッチ押圧面211は、スイッチ250に接触することでスイッチ250を横方向Zへ移動させ、レバー部材240を回転させる部位である。スイッチ押圧面211の法線は、軸方向Xに対して傾斜すると共に、横方向Zを向く方向成分を有している。
作動部材220は、バネ部材55の先端に固定されてバネ部材55から基端方向X1へ向かう力を受けるとともに、保持部材230により保持されて、ハウジング51に対する位置が維持されている。作動部材220は、初期状態の並進部材210よりも基端側に配置される。作動部材220は、レバー部材240から力を受けて保持部材230から離脱し、並進部材210に連結されて、並進部材210と共に基端方向X1へ移動可能となる。
作動部材220は、基端側の面の離脱方向Y2側に、並進部材210の先端面213と係合可能な係合用受け部221を備えている。また、作動部材220は、基端側の面の近接方向Y1側に、保持部材230に保持される被保持面222を備えている。
保持部材230は、ハウジング51の内面に固定される部材であり、バネ部材55から基端方向X1へ向かう力を受ける作動部材220に接触して、作動部材220の移動を規制している。保持部材230は、作動部材220の被保持面222と接触可能な保持面231を備えている。保持面231は、軸方向Xと略垂直であり、保持面231の法線は、先端方向X2を向いている。保持面231は、バネ部材55から基端方向X1へ向かう力を受ける作動部材220の被保持面222に接触して、作動部材220の基端方向X1への移動を規制している。なお、保持面231は、軸方向Xと略垂直であるため、作動部材220が、軸方向Xと垂直な離脱方向Y2へ摺動することを許容する。
スイッチ250は、基端方向X1へ移動する並進部材210から力を受けて横方向Zへ移動し、レバー部材240を回転させる部材である。スイッチ250は、並進部材210のスイッチ押圧面211と接触可能な被押圧面251と、レバー部材240と接触可能なレバー押圧部252とを備えている。
スイッチ保持部材260は、ハウジング51の内面に固定される部材であり、スイッチ250を横方向Zへのみ移動可能に保持している。支持部270は、スイッチ250とハウジング51の内面を連結するバネ等であり、スイッチ250を、横方向Zへ移動可能に支持している。
レバー部材240は、作動部材220の保持部材230による保持を解除するための部材である。レバー部材240は、ハウジング51に固定される支点241により回転可能に支持されてスイッチ250から力を受けて傾くことが可能な延在部242と、支点241を挟んで延在部242の反対側に配置される押圧部243とを備えている。延在部242に横方向Zの力がスイッチ250から作用すると、軸方向Xと垂直な面で支点241を中心にレバー部材240が回転し、押圧部243が離脱方向Y2へ移動することができる。レバー部材240の延在部242と押圧部243の間には、屈曲部244が形成される。屈曲部244の凸状となる面は、ハウジング51の内面と干渉しないように、曲面で形成されることが好ましい。
押圧部243は、保持部材230に保持された作動部材220の近接方向Y1側に配置されている。押圧部243は、離脱方向Y2へ移動することで、作動部材220を離脱方向Y2へ押圧することができる。
次に、第3実施形態に係る展開物デリバリーシステム200の作用を説明する。
使用前の展開物デリバリーシステム200において、作動部材220は、予め応力が蓄積された状態のバネ部材55により基端方向X1へ向かう力を受けた状態を、保持部材230により保持されている。並進部材210は、作動部材220よりも先端側に配置されている。作動部材220の被保持面222は保持部材230の保持面231に接触して保持されている。
そして、術者は、ホイール65をハウジング51に対して所定方向に回転させて、ホイール65と連動して回転するピニオン53と噛合うラック52を、基端方向X1へ移動させる。これにより、ラック52に固定された並進部材210が基端方向X1へ移動する。並進部材210が基端方向X1へ移動すると、並進部材210のスイッチ押圧面211が、スイッチ250の被押圧面251に接触する。これにより、図9(B)、10(B)に示すように、スイッチ250がスイッチ保持部材260に沿って横方向Zへ移動し、スイッチ250のレバー押圧部252がレバー部材240の延在部242に接触する。延在部242に横方向Zの力がスイッチ250から作用すると、レバー部材240が軸方向Xと垂直な面で支点241を中心に回転し、押圧部243が離脱方向Y2へ変位する。これにより、押圧部243が、作動部材220を押圧し、離脱方向Y2へ移動させる。
作動部材220が離脱方向Y2へ移動すると、作動部材220の基端側の係合用受け部221が、並進部材210の先端面213の基端側に配置される。これにより、作動部材220の係合用受け部221が、並進部材210の先端面213と係合可能となる。また、作動部材220が離脱方向Y2へ移動すると、作動部材220の被保持面222が、保持部材230の保持面231から離れる。これにより、保持部材230による作動部材220の移動制限が解除される。その結果、作動部材220は、バネ部材55から受けている基端方向X1へ向かう力により、基端方向X1へ移動する。
作動部材220が、バネ部材55から受けている力により基端方向X1へ移動すると、作動部材220の係合用受け部221が、並進部材210の先端面213に当接し、先端面213に基端方向X1へ向かう力を作用させる。並進部材210は、ラック52に固定されているため、バネ部材55から作動部材220に作用する力は、ラック52を介して外管40に伝わる。したがって、ホイール65の回転操作により外管40に作用する力に、バネ部材55による補助力を追加することができる。このため、ステント20の拡張の初期段階におけるステント20の位置ずれのリスクを高めることなく、術者の回転操作による負担が軽減される。
以上のように、第3実施形態に係る展開物デリバリーシステム200は、ハウジング51に支点241を介して固定され、支点241から一端までに配置される押圧部243と、支点241から他端までに配置される延在部242とを含むレバー部材240と、レバー部材240を支点241回りに回転させるように延在部242に接触可能で、ハウジング51に対して変位可能に接続されるスイッチ250と、を有し、作動部材220は、押圧部243に対して、軸方向Xと垂直であって保持部材230から離れる方向である離脱方向Y2側に配置され、並進部材210はスイッチ250を変位可能にスイッチ250と接触し、並進部材210が作動部材220より基端側に移動すると、スイッチ250がレバー部材240を回転させて作動部材220が変位し、保持部材230による作動部材220の軸方向Xの移動の規制が解除され、作動部材220と並進部材210が当接し、作動部材220が並進部材210にバネ部材55の応力を伝達してもよい。これにより、展開物デリバリーシステム200は、保持部材230による作動部材220の軸方向Xの移動の規制の解除に連動して、作動部材220が並進部材210にバネ部材55の応力を伝達することができる。
なお、ラック52に固定される並進部材が2つ設けられて、一方の並進部材にスイッチ250を押すためのスイッチ押圧面211が形成され、他方の並進部材に作動部材220と接する先端面213が形成されてもよい。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る展開物デリバリーシステム300は、図11(A)に示すように、操作部50の並進部材310、作動部材320および保持部材330の構造が、第1実施形態と異なる。
操作部50は、第1実施形態と同様に、ハウジング51と、ラック52と、ピニオン53と、回転操作部54と、バネ部材55と、バネ受け56とを備える。操作部50は、さらに、ラック52に固定される並進部材310と、バネ部材55の先端に連結された作動部材320と、ハウジング51の内面に配置されて作動部材320に当接して作動部材320の位置を保持する保持部材330と、作動部材320の保持部材330による保持を解除するためのレバー部材340と、レバー部材340を回転させるスイッチ350と、レバー部材340の回転を防止するロック部材360とを備える。
並進部材310は、ラック52に固定される部材であり、ラック52の移動方向(軸方向X)および離脱方向Y2と垂直な横方向Zへラック52から突出している。並進部材310は、基端方向X1を向く面に、ロック部材360と接触可能なロック解除部311を有し、先端方向X2を向く面に、先端面313を有している。
先端面313は、所定の条件を満たすことでバネ部材55から力を受けて基端方向X1へ移動する作動部材320から、基端方向X1へ向かう力を受けることが可能な部位である。ロック解除部311は、ロック部材360に接触することでロック部材360を基端方向X1へ移動させ、レバー部材340を回転可能とする部位である。
作動部材320は、バネ部材55の先端に固定されてバネ部材55から基端方向X1へ向かう力を受けるとともに、保持部材330により保持されて、ハウジング51に対する位置が維持されている。作動部材320は、初期状態の並進部材310よりも基端側に配置される。作動部材320は、レバー部材340から力を受けて保持部材330から離脱し、並進部材310に連結されて、並進部材310と共に基端方向X1へ移動可能となる。
作動部材320は、基端側の面の離脱方向Y2側に、並進部材310の先端面313と係合可能な係合用受け部321を備えている。また、作動部材320は、基端側の面の近接方向Y1側に、保持部材330に保持される被保持面322を備えている。
保持部材330は、ハウジング51の内面に固定される部材であり、バネ部材55から基端方向X1へ向かう力を受ける作動部材320に接触して、作動部材320の移動を規制している。保持部材330は、作動部材320の被保持面322と接触可能な保持面331を備えている。保持面331は、軸方向Xと略垂直であり、保持面331の法線は、先端方向X2を向いている。保持面331は、バネ部材55から基端方向X1へ向かう力を受ける作動部材320の被保持面322に接触して、作動部材320の基端方向X1への移動を規制している。なお、保持面331は、軸方向Xと略垂直であるため、作動部材320が、軸方向Xと垂直な離脱方向Y2へ摺動することを許容する。
スイッチ350は、術者の操作によってレバー部材340を回転させる部材である。スイッチ350は、術者が押圧操作をできるように、ハウジング51を貫通しており、レバー部材340を押圧可能なレバー押圧部351と、術者がハウジング51の外部から操作するスイッチ操作部352とを備えている。スイッチ350は、スイッチ操作部352を押されることで、近接方向Y1へ移動してレバー押圧部351によりレバー部材340を押圧し、レバー部材340を回転させることができる。
レバー部材340は、作動部材320の保持部材330による保持を解除するための部材である。レバー部材340は、ハウジング51に固定される支点341により回転可能に支持されてスイッチ350から力を受けて傾くことが可能な延在部342と、支点341を挟んで延在部342の反対側に配置される押圧部343とを備えている。延在部342に、スイッチ350のレバー押圧部351から近接方向Y1の力が作用すると、軸方向Xと垂直な面で支点341を中心にレバー部材340が回転し、押圧部343が離脱方向Y2へ移動することができる。
押圧部343は、保持部材330に保持された作動部材320の近接方向Y1側に配置されている。押圧部343は、離脱方向Y2へ移動することで、作動部材320を離脱方向Y2へ押圧することができる。
ロック部材360は、レバー部材340の回転を防止する部材である。ロック部材360は、レバー部材340を収容する収容凹部361が先端側の面に形成されている。ロック部材360は、レバー部材340を収容凹部361に収容した状態で、近接方向Y1および離脱方向Y2へ移動できないようにハウジング51に支持されている。ロック部材360は、並進部材310により押されて基端方向X1へ移動することで、レバー部材340を収容凹部361から放出し、レバー部材340を回転可能とする。なお、レバー部材340が回転可能になった後、ロック部材360を並進部材310と干渉しない位置に移動する機構が追加されてもよい。
次に、第4実施形態に係る展開物デリバリーシステム300の作用を説明する。
使用前の展開物デリバリーシステム300において、図11(A)に示すように、作動部材320は、予め応力が蓄積された状態のバネ部材55により基端方向X1へ向かう力を受けた状態を、保持部材330により保持されている。並進部材310は、作動部材320よりも先端側に配置されている。作動部材320の被保持面322は保持部材330の保持面331に接触して保持されている。レバー部材340は、収容凹部361に収容されて回転を防止されているため、術者が誤ってスイッチ操作部352を押すことによる誤作動が防止されている。
そして、術者は、ホイール65をハウジング51に対して所定方向に回転させて、ホイール65と連動して回転するピニオン53と噛合うラック52を、基端方向X1へ移動させる。これにより、ラック52に固定された並進部材310が基端方向X1へ移動する。並進部材310が基端方向X1へ移動すると、並進部材310のロック解除部311が、ロック部材360に接触する。これにより、図11(B)に示すように、ロック部材360が基端方向X1へ移動し、収容凹部361からレバー部材340が放出される。これにより、ロック部材360によるレバー部材340の回転防止機能が解除されて、レバー部材340が回転可能となる。
次に、術者は、ハウジング51から突出しているスイッチ操作部352を押す。これにより、スイッチ350のレバー押圧部351がレバー部材340の延在部342を近接方向Y1へ押圧する。これにより、レバー部材340が軸方向Xと垂直な面で支点341を中心に回転し、押圧部343が離脱方向Y2へ変位する。これにより、押圧部343が、作動部材320を押圧し、離脱方向Y2へ移動させる。
作動部材320が離脱方向Y2へ移動すると、作動部材320の基端側の係合用受け部321が、並進部材310の先端面313の基端側に配置される。これにより、作動部材320の係合用受け部321が、並進部材310の先端面313と係合可能となる。また、作動部材320が離脱方向Y2へ移動すると、作動部材320の被保持面322が、保持部材330の保持面331から離れる。これにより、保持部材330による作動部材320の移動制限が解除される。その結果、作動部材320は、バネ部材55から受けている基端方向X1へ向かう力により、基端方向X1へ移動する。
作動部材320が、バネ部材55から受けている力により基端方向X1へ移動すると、作動部材320の係合用受け部321が、並進部材310の先端面313に当接し、先端面313に基端方向X1へ向かう力を作用させる。並進部材310は、ラック52に固定されているため、バネ部材55から作動部材320に作用する力は、ラック52を介して外管40に伝わる。したがって、ホイール65の回転操作により外管40に作用する力に、バネ部材55による補助力を追加することができる。このため、ステント20の拡張の初期段階におけるステント20の位置ずれのリスクを高めることなく、術者の回転操作による負担が軽減される。
以上のように、第4実施形態に係る展開物デリバリーシステム300は、ハウジング51に支点341を介して固定され、支点341から一端までに配置される押圧部343と、支点341から他端までに配置される延在部342とを含むレバー部材340と、レバー部材340を支点341回りに回転させるように延在部342を押し込み可能で、ハウジング51の内部から外部にかけて延在するスイッチ350と、レバー部材340の延在部342の押し込みによる支点341回りの回転を防止するロック部材360と、を有し、作動部材320は、押圧部343に対して、軸方向Xと垂直であって保持部材330から離れる方向である離脱方向Y2側に配置され、並進部材310はロック部材360を変位可能にロック部材360と接触し、並進部材310が作動部材320より基端側に移動すると、ロック部材360によるレバー部材340の回転の防止が解除され、その後スイッチ350を押し込むことでレバー部材340が回転して作動部材320が変位し、保持部材330による作動部材320の軸方向Xの移動の規制が解除され、作動部材320と並進部材310が当接し、作動部材320が並進部材310にバネ部材55の応力を伝達する。これにより、展開物デリバリーシステム300は、保持部材330による作動部材320の軸方向Xの移動の規制の解除に連動して、作動部材320が並進部材310にバネ部材55の応力を伝達することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、展開物は、生体内で展開可能であれば、ステントに限定されない。展開物は、例えば、塞栓用コイル、ステントグラフト、スネアワイヤ、血栓除去用ワイヤ、フィルタ、バルーン等であってもよい。展開物は、生体内に留置されても、留置されなくてもよい。展開物は、展開することで展開物デリバリーシステムから離脱しても、離脱しなくてもよい。
また、図12に示す変形例のように、回転操作部54は、第1ホイール65Aと、第1ホイール65Aより単位周長あたりのラック52の移動距離が小さい第2ホイール65Bと、を有してもよい。例えば、第2ホイール65Bの外径は、第1ホイール65Aの外径よりも大きく、第1ホイール65A、第2ホイール65Bおよびピニオン53が、同軸で配置されている。これにより、ラック52を同じ距離移動させるために必要な第1ホイール65Aの周長は、第2ホイール65Bの周長よりも小さい。このため、術者は、バネ部材55の補助を受けつつ、使用するホイール65を任意に選択できる。術者がバネ部材55の補助を受けつつ、例えば第2ホイール65Bに替えて第1ホイール65Aを利用することで、回転操作に要する力を大きく増加させることなく、ステント20の拡張までに要する回転操作量を減らすことができ、術者の負担がより低減される。
また、外管40とラック52は直接的に連結されなくてもよい。例えば、展開物デリバリーシステム10は、外管40とホイール65に固定される牽引ワイヤを有してもよい。ホイール65は、回転することで固定された牽引ワイヤを巻き取ることができ、これにより、牽引ワイヤに固定された外管40を、基端方向X1へ牽引して移動させることができる。
また、バネ部材55は、予め引張応力を蓄積してもよいが、予め圧縮応力を蓄積してもよい。また、バネ部材55に応力を付与できる応力付与機構を別途設けて、外管40の移動操作を行う前に、バネ部材55に応力を付与してもよい。また、ピニオン53とラック52が直接噛合って接触するのではなく、ピニオン53とラック52の間に、歯車が介在されてもよい。
また、作動部材80、120、220、320の軸方向Xの移動の規制が解除される前に、意図しない作動部材80、120、220、320の移動を防止するために、作動部材80、120、220、320を周辺の部材と弱く結合してよい。弱く結合する方法は、例えば接着、融着、凹凸嵌合、または作動部材80、120、220、320の一部領域と接する、ハウジング51の内面から突出した部材の設置などであってもよい。
また、ホイール65の回転を規制する回転規制部材を別途設けてもよい。これにより、ホイール65が意図せず回転し、外管40が意図せず移動し、展開物20が意図せず展開されることを防止できる。なお、回転規制部材はホイール65の回転の規制の解除が可能となるように構成され、展開物20を展開する際に術者はホイール65の回転の規制を解除するための解除操作を実施できる。
10、100、200、300 展開物デリバリーシステム
20 ステント(展開物)
360 ロック部材
361 収容凹部
40 外管
50 操作部
51 ハウジング
52 ラック
53 ピニオン
54 回転操作部
55 バネ部材
56 バネ受け
65 ホイール
70、110、210、310 並進部材
71 頂部
72 第1基端面
73 第2基端面
74、114、213、313 先端面
80、120、220、320 作動部材
81 被保持部
82、124 変位用受け部
83、123、221、321 係合用受け部
84、125、222、322 被保持面
85 変位用傾斜面
86 傾斜終端部
87 可撓部
88 変形用傾斜面
89、126 係合用接触面
90、130、230、330 保持部材
93、131、231、331 保持面
94、132 移動規制部
111 直状部
112 凸部
113 基端面
121 第1凹部
122 第2凹部
140、240、340 レバー部材
141 傾斜用受け部
142、243、343 押圧部
143 可撓連結部
144 傾斜用傾斜面
211 スイッチ押圧面
241、341 支点
242、342 延在部
250、350 スイッチ
311 ロック解除部
352 スイッチ操作部
X 軸方向
X1 基端方向
X2 先端方向
Y1 近接方向
Y2 離脱方向
Z 横方向

Claims (8)

  1. 先端および基端を有し、径方向に縮小、拡張することが可能な展開物と、
    先端および基端を有する内管と、
    先端および基端を有し、縮小状態にある前記展開物を覆い、前記内管より外側に配置され、前記内管に対して基端側に移動することで前記展開物を拡張させることが可能な外管と、
    前記内管が連結されたハウジングを有し、前記内管に対して前記外管を軸方向に移動させるための操作部と、を有し、
    前記操作部は、
    前記ハウジングに対して回転可能に連結されて回転操作が可能な少なくとも1つのホイールを含む回転操作部と、
    前記ホイールの回転と連動して回転するピニオンと、
    前記ピニオンの回転により前記外管の軸方向の移動と連動して軸方向に並進可能であり、軸方向に延びるラックと、
    前記ラックに固定され、前記ラックと連動して並進する並進部材と、
    バネ部材と、
    前記バネ部材の一端を前記ハウジングに連結するバネ受けと、
    前記バネ部材の他端に連結される作動部材と、
    前記ハウジングに連結されて前記作動部材に接する保持部材と、
    を有する展開物デリバリーシステムであって、
    前記作動部材は、前記保持部材に接することで軸方向の移動が規制されており、
    前記並進部材が前記作動部材の少なくとも一部を通過することで、前記保持部材による前記作動部材の軸方向の移動の規制が解除され、前記作動部材が前記並進部材に前記バネ部材の応力を伝達し、前記回転操作部による前記外管の基端側への移動操作を補助することを特徴とする展開物デリバリーシステム。
  2. 前記バネ部材は、定荷重バネであることを特徴とする請求項1に記載の展開物デリバリーシステム。
  3. 前記回転操作部は、第1ホイールと、前記第1ホイールより単位周長あたりの前記ラックの並進距離が大きい第2ホイールと、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の展開物デリバリーシステム。
  4. 前記作動部材は、軸方向と垂直であって前記保持部材から離れる方向である離脱方向に変位可能な変位用受け部と、前記変位用受け部に結合された係合用受け部と、を有し、
    前記並進部材が前記変位用受け部に接することで当該変位用受け部は前記離脱方向へ変位して、前記保持部材による前記作動部材の軸方向の移動の規制が解除され、その後に、前記並進部材が前記係合用受け部に接して、前記作動部材が前記並進部材に前記バネ部材の応力を伝達することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の展開物デリバリーシステム。
  5. 前記係合用受け部は、前記離脱方向と逆の方向へ変位可能であることを特徴とする請求項4に記載の展開物デリバリーシステム。
  6. 前記並進部材は、軸方向と垂直であって前記保持部材に近接する方向である近接方向へ突出する凸部を有し、
    前記作動部材は、近接方向へ窪む第1凹部と、前記近接方向と反対方向である離脱方向へ窪む第2凹部と、を有し、
    一部が前記第2凹部内に配置されて、前記ハウジングに固定されたレバー部材が配置され、
    前記レバー部材は、前記保持部材より基端側に延び、基端方向へ向かう力を受けて傾くことが可能な傾斜用受け部と、前記第2凹部内に配置されて前記傾斜用受け部とともに傾くこと可能な押圧部と、を有し、
    前記並進部材は、基端側に移動する際、前記凸部が前記第1凹部内を通過することにより、前記作動部材より基端側に移動可能であり、前記並進部材は、前記作動部材を通過した後に、前記レバー部材の傾斜用受け部に当接し、前記レバー部材を傾かせて前記押圧部により前記作動部材を離脱方向へ変位させて、前記保持部材による前記作動部材の軸方向の移動の規制が解除され、その後に、前記並進部材が前記作動部材と当接して、前記作動部材が前記並進部材に前記バネ部材の応力を伝達することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の展開物デリバリーシステム。
  7. 前記ハウジングに支点を介して固定され、前記支点から一端までに配置される押圧部と、前記支点から他端までに配置される延在部とを含むレバー部材と、
    前記レバー部材を前記支点回りに回転させるように前記延在部に接触可能で、前記ハウジングに対して変位可能に接続されるスイッチと、を有し、
    前記作動部材は、前記押圧部に対して、軸方向と垂直であって前記保持部材から離れる方向である離脱方向側に配置され、
    前記並進部材は前記スイッチを変位可能に前記スイッチと接触し、
    前記並進部材が前記作動部材より基端側に移動すると、前記スイッチが前記レバー部材を回転させて前記作動部材が変位し、前記保持部材による前記作動部材の軸方向の移動の規制が解除され、前記作動部材と前記並進部材が当接し、前記作動部材が前記並進部材に前記バネ部材の応力を伝達することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の展開物デリバリーシステム。
  8. 前記ハウジングに支点を介して固定され、前記支点から一端までに配置される押圧部と、前記支点から他端までに配置される延在部とを含むレバー部材と、
    前記レバー部材を前記支点回りに回転させるように前記延在部を押し込み可能で、前記ハウジングの内部から外部にかけて延在するスイッチと、
    前記レバー部材の前記延在部の押し込みによる前記支点回りの回転を防止するロック部材と、を有し、
    前記作動部材は、前記押圧部に対して、軸方向と垂直であって前記保持部材から離れる方向である離脱方向側に配置され、
    前記並進部材は前記ロック部材を変位可能に前記ロック部材と接触し、
    前記並進部材が前記作動部材より基端側に移動すると、前記ロック部材による前記レバー部材の回転の防止が解除され、その後前記スイッチを押し込むことで前記レバー部材が回転して前記作動部材が変位し、前記保持部材による前記作動部材の軸方向の移動の規制が解除され、前記作動部材と前記並進部材が当接し、前記作動部材が前記並進部材に前記バネ部材の応力を伝達することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の展開物デリバリーシステム。
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