JP2022138957A - 予測システムおよび予測方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022138957000001
【課題】法規の改正を精度よく予測することである。
【解決手段】情報収集サーバ10は、外部サーバ群7およびローカルサーバ8から、法規(自動車の排出ガス規制)に関連する関連情報を取得して、取得された関連情報を情報処理サーバ20へ出力する。情報収集サーバ10から関連情報を受けると、情報処理サーバ20は、関連情報に含まれる情報の各々に対して、各情報に応じた変換処理を実行し、各情報を、排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標に変換する。情報処理サーバ20は、変換された各指標を予測作成サーバ30に出力する。情報処理サーバ20から変換された各指標を受けると、予測作成サーバ30は、各指標を用いて排出ガス規制の改正局面を予測する。
【選択図】図2

Description

本開示は、予測システムおよび予測方法に関する。
国際公開第2018/230616号(特許文献1)には、法規の改正動向を予測する法的情報処理システムが開示されている。この法的情報処理システムは、法規に対する関係者であるキーパーソンを設定し、当該キーパーソンが公開に関与した情報を推論エンジンに入力することにより、法規の改正動向を予測する。
国際公開第2018/230616号 特開2004-110149号公報
メーカー等にとって、「ものづくり」に関わる法規の改正は重要な関心事である。法規が改正されると、たとえば、改正内容に適合した「ものづくり」をすることがメーカーに求められる。法規の改正を予測することができれば、メーカーは、改正に対する準備を行なったり、改正に関する渉外活動を行なったりすることができる。
法規の改正を予測するための情報には、キーパーソンが公開に関与した情報の他にも多種多様な情報が挙げられる。たとえば、法規が適用される対象国の経済規模や改正スピード等の情報も法規の改正に関連し得る。しかしながら、これらの情報は、法規の改正のプロセスに直接的に関与する情報ではない。そのため、たとえば、特許文献1に開示された法的情報処理システムにおいて、単に上記情報を推論システムに入力したとしても、精度よい予測結果は得られない。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、法規の改正を精度よく予測することである。
(1)本開示のある局面に係る予測システムは、法規の改正に関連する関連情報を収集する第1装置と、関連情報を改正への影響度に関連する指標に変換するための予め定められた変換処理を実行する第2装置と、上記指標を用いて、改正の局面、または、改正に関する渉外タイミングの適切度を予測する第3装置とを備える。
上記構成によれば、第1装置によって収集された関連情報が、第2装置によって法規の改正への影響度に関連する指標に変換される。この変換された指標を用いることで、第3装置は、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度を予測する。法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度の予測に、法規の改正への影響度に関連する指標が用いられるので、法規の改正に直接的に関与しない関連情報を用いて、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度が予測される場合に比べて、予測精度を高めることができる。
(2)ある実施の形態においては、第3装置は、機械学習により学習された第1学習済みモデルを含む。第1学習済みモデルは、第1学習用データセットを用いた学習処理により、入力に対して法規の改正の局面、または、法規の改正に関する渉外タイミングの適切度を出力するように学習されている。第1学習用データセットは、上記指標に対して、上記改正の局面または上記適切度をラベル付けした学習用データを複数含む。
上記構成によれば、第3装置に含まれる第1学習済みモデルは、法規の改正への影響度に関連する指標に対して、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度をラベル付けした学習用データを複数含む第1学習用データセットを用いて学習される。法規の改正への影響度に関連する指標が学習用データとして用いられることにより、法規の改正に直接的に関与しない関連情報が学習用データして用いられる場合に比べ、第1学習済みモデルの予測精度を向上させることができる。
(3)ある実施の形態においては、法規の改正を動機付けるものとして定められた所定の情報を含む。
たとえば、法規が排出ガス規制である場合には、法規の改正を動機付けるものとして定められた所定の情報には、大気汚染の観測結果を示す情報、大気汚染に関する報道の情報、および/または、大気汚染に関する研究レポートの情報、等が含まれる。所定の情報を、法規の改正への影響度に関連する指標に変換して第3装置に入力することで、法規の改正に直接的に関与しない所定の情報を第3装置に入力して、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度が予測される場合に比べて、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度を精度よく予測することができる。
(4)ある実施の形態においては、所定の情報は、大気汚染の観測結果を示す第1情報を含む。
(5)ある実施の形態においては、第2装置は、予め定められた第1の関数を用いて、第1情報が示す値の第1所定期間の平均値を指標に変換する。
(6)ある実施の形態においては、第2装置は、第1情報が示す値の第1所定期間の平均値と、昨年の第1情報が示す値の第1所定期間の平均値との差分を指標とする。
(7)ある実施の形態においては、第2装置は、第2所定期間毎に、第1情報が示す値の基準値の超過分を算出し、第2所定期間よりも長い期間である第3所定期間における超過分の積算値を指標とする。
(8)ある実施の形態においては、第2装置は、第1情報が示す値が基準値を超過した第2所定期間の数を指標とする。
上記(4)~(8)の構成によれば、第1情報が法規の改正への影響度に関連する各指標に変換される。第1情報を指標に変換して第3装置に入力することで、法規の改正に直接的に関与しない第1情報を第3装置に入力して、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度が予測される場合に比べて、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度を精度よく予測することができる。
(9)ある実施の形態においては、所定の情報は、大気汚染に関する報道または研究レポートの情報である第2情報を含む。
(10)ある実施の形態においては、第2装置は、機械学習により学習された第2学習済みモデルを含む。第2学習済みモデルは、第2学習用データセットを用いた学習処理により、入力に対して法規の改正への影響度を示す情報を出力するように学習されている。第2学習用データセットは、予め定められた項目に関する情報に対して、上記影響度を示す情報をラベル付けした学習用データを複数含む。第2装置は、所定の処理を実行して第2情報から、予め定められた項目に関する情報を抽出し、予め定められた項目に関する情報を第2学習済みモデルへの入力とし、第2学習済みモデルから出力された影響度を示す情報を、予め定められた第2の関数を用いてポイントに変換し、ポイントの第4所定期間における平均値を指標とする。
上記(9),(10)の構成によれば、第2情報が法規の改正への影響度に関連する各指標に変換される。第2情報を指標に変換して第3装置に入力することで、法規の改正に直接的に関与しない第2情報を第3装置に入力して、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度が予測される場合に比べて、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度を精度よく予測することができる。
(11)ある実施の形態においては、関連情報は、法規の対象国の経済指標を示す第3情報を含む。
たとえば、法規が排出ガス規制である場合には、第3情報は、GDP、経済成長率、周辺国の排出ガス規制のレベル、自動車市場の規模、一人当たりの自動車保有台数および政治透明度、等を示す情報のうちの少なくともいずれか1つを含む。排出ガス規制は、その国の経済規模、自動車市場等の大きさによって、改正プロセスのスピードが異なり得るところ、経済指標データが用いられることで、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度を精度よく予測することができる。
(12)ある実施の形態においては、関連情報は、現行法規が改正された日付けを示す第4情報を含む。第2装置は、第4情報を用いて、現行法規が改正されてからの経過期間を算出し、経過期間を指標とする。
現行法規が改正されてからの経過期間は、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度の予測における重要な要素の1つである。現行法規が改正されてからの経過期間を指標として第3装置に入力することで、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度を精度よく予測することができる。
(13)ある実施の形態においては、関連情報は、法規の規制レベルを示す第5情報を含む。第2装置は、第5情報を用いて、法規のレベルと、法規の対象国がモデルケースとする国における法規のレベルとの差分を算出し、差分を指標とする。
モデルケースとする国との法規のレベル差は、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度の予測における重要な要素の1つである。レベル差を指標として第3装置に入力することで、法規の改正の局面または法規の改正に関する渉外タイミングの適切度を精度よく予測することができる。
(14)本開示の他の局面に係る予測方法は、法規の改正に関連する関連情報を収集するステップと、関連情報を法規の改正への影響度に関連する指標に変換するための予め定められた変換処理を実行するステップと、指標を用いて、法規の改正の局面、または、法規の改正に関する渉外タイミングの適切度を予測するステップとを含む。
本開示によれば、法規の改正を精度よく予測することができる。
実施の形態1に係る予測システムの概略的な構成を示す図である。 予測システムの各構成の機能を説明するための図である。 大気汚染に関する報道または研究レポートの情報(報道データ)を取得するための処理の手順を示すフローチャートである。 年平均値AveのポイントPへの変換を説明するための図である。 積算値Sの算出を説明するための図である。 情報処理部の詳細を説明するための図である。 第1処理部の処理の手順を説明するための図である。 重要度ランクの一例を説明するための図である。 重要度ランクのポイントへの変換を説明するための図である。 ジャンプアップ方式を説明するための図である。 排出ガス規制の改正局面を表わす各フェーズを説明するための図(その1)である。 排出ガス規制の改正局面を表わす各フェーズを説明するための図(その2)である。 排出ガス規制の改正局面の予測結果を説明するための図である。 渉外タイミングの適切度の予測結果を説明するための図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
<予測システムの全体構成>
図1は、本実施の形態に係る予測システム1の概略的な構成を示す図である。本実施の形態に係る予測システム1は、法規の改正局面を予測するシステムである。予測システム1は、所定の周期毎に法規の改正局面を予測する。所定の周期は、1ヶ月や数ヶ月等、適宜設定することが可能な期間である。説明を具体的にするために、本実施の形態においては、予測システム1が自動車の排出ガス規制の改正局面を予測する例について説明する。なお、予測システム1が予測するのは、自動車の排出ガス規制の改正局面に限られるものではなく、予測システム1は、種々の法規の改正局面を予測することが可能である。
図1を参照して、予測システム1は、情報収集サーバ10と、情報処理サーバ20と、予測作成サーバ30と、記憶サーバ40と、表示装置50とを含む。情報収集サーバ10、情報処理サーバ20、予測作成サーバ30、記憶サーバ40、および、表示装置50は、通信バス60に接続されている。
情報収集サーバ10は、外部サーバ群7およびローカルサーバ8から、法規(自動車の排出ガス規制)に関連する関連情報を取得する。なお、関連情報の詳細については後述する。情報収集サーバ10は、取得された関連情報を通信バス60を通じて情報処理サーバ20へ出力する。情報収集サーバ10から関連情報を受けると、情報処理サーバ20は、関連情報に含まれる情報の各々に対して、各情報に応じた変換処理を実行し、各情報を、排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標に変換する。変換処理は、各情報の種別に応じて、その処理の内容が定められている。変換処理の詳細は後述する。情報処理サーバ20は、変換された各指標を予測作成サーバ30に出力する。情報処理サーバ20から変換された各指標を受けると、予測作成サーバ30は、各指標を用いて排出ガス規制の改正局面を予測する。予測作成サーバ30は、予測された排出ガス規制の改正局面を表示装置50に表示させる。
表示装置50は、ディスプレイを含む。表示装置50は、予測作成サーバ30からの制御信号に従って、ディスプレイに各種の画像を表示させる。ディスプレイは、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、または、その他の表示機器である。
記憶サーバ40は、たとえば、ハードディスクまたはフラッシュメモリ等の記憶媒体を含んで構成される。記憶サーバ40は、情報収集サーバ10によって取得された各種の情報(関連情報)を記憶したり、情報処理サーバ20によって変換された各種の指標を記憶したり、予測作成サーバ30によって予測された排出ガス規制の改正局面を示す情報を記憶したりする。情報収集サーバ10、情報処理サーバ20および予測作成サーバ30の各々は、所望の情報を記憶サーバ40に記憶したり、所望の情報を記憶サーバ40から読み出したりすることができる。
次に、図1および図2を参照しながら、情報収集サーバ10、情報処理サーバ20および予測作成サーバ30の各々の構成の詳細を順に説明する。図2は、予測システム1の各構成の機能を説明するための図である。
<情報収集サーバ>
まず図1を参照して、情報収集サーバ10は、制御装置11と、記憶装置12と、通信装置13とを含む。
記憶装置12は、たとえば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含み、制御装置11によって実行されるプログラム等を記憶する。記憶装置12は、さらに、プログラムの実行時に使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)を記憶してもよい。
制御装置11は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)を含む集積回路によって構成される。制御装置11は、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行する。制御装置11は、たとえば、通信装置13を介して、外部サーバ群7およびローカルサーバ8から所望の情報を取得する。
通信装置13は、インターネット6を介して、外部サーバ群7との双方向通信が可能に構成されている。外部サーバ群7は、複数の外部サーバ71,72,73,・・・を含む。複数の外部サーバ71,72,73,・・・の各々は、予測システム1を管理する管理者とは異なる管理者、あるいは、予測システム1を管理する管理者と同一の管理者によって管理されている。複数の外部サーバ71,72,73,・・・の各々には、法規(自動車の排出ガス規制)に関連する関連情報を含む、種々の情報が記憶されている。
また、通信装置13は、通信線9を介して、ローカルサーバ8との双方向通信が可能に構成されている。ローカルサーバ8は、予測システム1を管理する管理者によって管理されるサーバであり、たとえば自社サーバである。ローカルサーバ8には、法規(自動車の排出ガス規制)に関連する関連情報、等の種々の情報が記憶されている。ローカルサーバ8に記憶されている関連情報には、たとえば、自国および他国の排出ガス規制の改正日、自国および他国の排出ガス規制の規制レベル、排出ガス規制に関連する会議記録、排出ガス規制に関連する面談記録等の社内記録、等の種々の情報が含まれる。通信装置13とローカルサーバ8との通信は、たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)等を用いて行なわれてもよい。
また、通信装置13は、通信バス60を介して、情報処理サーバ20との双方向通信が可能に構成されている。
図2を参照して、情報収集サーバ10の制御装置11は、観測データ収集部111と、報道データ収集部112と、経済指標データ収集部113と、日付けデータ収集部114と、レベルデータ収集部115とを含む。制御装置11は、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより、観測データ収集部111、報道データ収集部112、経済指標データ収集部113、日付けデータ収集部114、およびレベルデータ収集部115として機能する。なお、観測データ収集部111、報道データ収集部112、経済指標データ収集部113、日付けデータ収集部114、およびレベルデータ収集部115は、たとえば、専用のハードウェア(電子回路)により実現されてもよい。
本実施の形態において、関連情報は、(1)大気汚染の観測結果を示す情報、(2)大気汚染に関する報道または研究レポートの情報、(3)排出ガス規制の対象国(すなわち、法規を制定する国)の経済指標を示す情報、(4)排出ガス規制の対象国で前回排出ガス規制が改正された日付けを示す情報、および、(5)排出ガス規制の対象国の現行規制レベルを示す情報を含む。なお、関連情報は、上記の(1)~(5)の情報以外にも、排出ガス規制に関連する他の情報を含んでもよい。この場合には、上記他の情報を取得する機能が制御装置11に設けられる。
観測データ収集部111は、インターネット6を介して、外部サーバ群7から大気汚染の観測結果を示す情報を収集する。観測データ収集部111は、収集された大気汚染の観測結果を示す情報を情報処理サーバ20に出力する。本実施の形態に係る大気汚染の観測結果を示す情報は、PM2.5の濃度(以下「PM濃度」とも称する)の観測データである。大気汚染の観測結果を示す情報は、たとえば、全世界の大気観測所のリアルタイム観測データを含む。全世界の大気観測所のリアルタイム観測データは、たとえば、外部サーバ群7に含まれる、ある外部サーバ(たとえば外部サーバ71)に集約して記憶されている。なお、以下においては、大気汚染の観測結果を示す情報を「観測データ」とも称する。観測データ収集部111は、たとえば、観測データを日毎に収集する。なお、観測データは、本開示に係る「第1情報」の一例に相当する。
報道データ収集部112は、インターネット6を介して、外部サーバ群7から大気汚染に関する報道または研究レポートの情報を収集する。大気汚染に関する報道または研究レポートの情報は、排出ガス規制の改正局面の予測を行なう国毎に収集される。報道データ収集部112は、収集された大気汚染に関する報道または研究レポートの情報を情報処理サーバ20に出力する。報道データ収集部112は、フィルタリング処理等を実行することにより、大気汚染に関する報道または研究レポートの情報を外部サーバ群7から精度よく取得する。なお、以下においては、大気汚染に関する報道または研究レポートの情報を総称して、「報道データ」とも称する。なお、報道データは、本開示に係る「第2情報」の一例に相当する。
図3は、大気汚染に関する報道または研究レポートの情報(報道データ)を取得するための処理の手順を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理は、所定の周期(たとえば、1ヶ月)毎に制御装置11(報道データ収集部112)により繰り返し実行される。図3に示すフローチャートの各ステップ(以下ステップを「S」と略す)は、制御装置11によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部が制御装置11内に作製されたハードウェア(電子回路)によって実現されてもよい。
S1において、制御装置11は、排出ガス規制の改正局面を予測する国(複数の対象国)の中から国を1つ選択する。すなわち、制御装置11は、複数の対象国の中から、対象国を1つ選択する。複数の対象国の情報は、予め設定されて、たとえば、情報収集サーバ10の記憶装置12に記憶されている。制御装置11は、記憶装置12から複数の対象国の情報を読み出して、複数の対象国を認識する。
S2において、制御装置11は、インターネット6を介して、検索エンジンに対してキーワードを入力して情報を検索する。たとえば、制御装置11は、「国名」および「規定の検索ワード」を入力して、情報を検索する。「規定の検索ワード」は、法規に応じて予め定められたワードである。規定の検索ワードは、たとえば、排出ガス規制であれば、「エアポリューション」、「大気汚染」等である。規定の検索ワードは、たとえば、情報収集サーバ10の記憶装置12に予め記憶されている。規定の検索ワードは、対象国毎に、当該対象国の公用語等を考慮して定められてもよい。制御装置11は、S1で選択された対象国に応じた規定の検索ワードを記憶装置12から読み出して検索エンジンに入力する。
S3において、制御装置11は、S2の検索結果に含まれる情報(すなわち、ヒットした情報)を新しい順、あるいは、古い順にソートする。そして、制御装置11は、対象期間に含まれる情報を検索結果とする。対象期間は、たとえば、前回の検索から現在までの期間である。すなわち、制御装置11は、前回の検索以降に外部サーバ群7に追加された情報をピックアップする。
S4において、制御装置11は、検索結果に含まれる情報の各々から、アップロードされた日付け、タイトル、発信元、および、概要を抽出する。具体的には、制御装置11は、検索結果に含まれる情報の各々に対して、文字情報を構文に分解する処理を実行して、構文に分解された情報からタイトルおよび概要を抽出する。文字情報を構文に分解する手法については、公知の手法を適用することができる。また、構文に分解された情報からタイトルおよび概要を抽出する手法については、公知の手法を適用することができる。
S5において、制御装置11は、検索結果に含まれる情報の中に、「発信元除外リスト」に含まれている発信元から発信された情報が含まれているか否かを判断する。「発信元除外リスト」は、信頼度が低い情報を除外するためのリストである。発信元除外リストは、予め作成されて、たとえば、情報収集サーバ10の記憶装置12に記憶されている。制御装置11は、S4で抽出した発信元の情報を、発信元除外リストに照会させることにより、S5の処理を実行する。検索結果に含まれる情報の中に、発信元除外リストに含まれている発信元から発信された情報が含まれている場合には(S5においてYES)、制御装置11は、処理をS6に進める。検索結果に含まれる情報の中に、発信元除外リストに含まれている発信元から発信された情報が含まれていない場合には(S5においてNO)、制御装置11は、処理をS7に進める。
S6において、制御装置11は、発信元除外リストに含まれている発信元(除外発信元)から発信された情報を検索結果から削除する。そして、制御装置11は、処理をS7に進める。
S7において、制御装置11は、検索結果に含まれる情報の中に、タイトルおよび概要に「除外ワード」を含むものがあるか否かを判断する。除外ワードは、「除外ワードリスト」に含まれている語句である。「除外ワードリスト」は、バグになり得る語句を含む情報を検索結果から除外して、情報の検索精度を高めるためのリストである。一例を示すと、たとえば、大気汚染に関する報道または研究レポートの情報(報道データ)を検索する場合においては、予め作成されている、大気汚染に関する除外ワードリストが参照される。大気汚染に関する除外ワードリストには、水質汚染および土壌汚染、等の語句が含まれる。このような語句を検索対象から除外することにより、検索結果に大気汚染に関する情報だけが残る可能性を高め、情報の検索精度を高めることができる。除外ワードリストは、予め作成されて、たとえば、情報収集サーバ10の記憶装置12に記憶されている。制御装置11は、検索結果に含まれる情報のタイトルおよび概要を、除外リストに照会させることにより、S7の処理を実行する。検索結果に含まれる情報の中に、タイトルおよび概要に除外ワードを含む情報がある場合には(S7においてYES)、制御装置11は、処理をS8に進める。検索結果に含まれる情報の中に、タイトルおよび概要に除外ワードを含む情報がない場合には(S7においてNO)、制御装置11は、処理をS9に進める。
S8において、制御装置11は、タイトルおよび概要に除外ワードを含む情報を検索結果から削除する。そして、制御装置11は、処理をS9に進める。
S9において、制御装置11は、検索結果に含まれる情報の全てが、そのタイトルおよび概要に「対象ワードリスト」で指定された語句(対象ワード)を含むか否かを判断する。「対象ワードリスト」は、対象ワードを含んでいない情報を検索結果から除外して、情報の検索精度を高めるためのリストである。対象ワードリストは、予め作成されて、たとえば、情報収集サーバ10の記憶装置12に記憶されている。制御装置11は、たとえば、検索結果に含まれる情報のタイトルおよび概要の中から対象ワードを検索することにより、S9の処理を実行する。検索結果に含まれる情報の中に、対象ワードを含んでいない情報がある場合には(S9においてNO)、制御装置11は、処理をS10に進める。検索結果に含まれる情報の全てが対象ワードを含んでいる場合には(S9においてYES)、制御装置11は、処理をS11に進める。
S10において、制御装置11は、タイトルおよび概要に対象ワードを含まない情報を検索結果から削除する。そして、制御装置11は、処理をS11に進める。
S11において、制御装置11は、検索結果(検索結果に含まれる情報)を記憶装置12に記憶させる。なお、制御装置11は、検索結果を記憶サーバ40に記憶させてもよい。また、制御装置11は、検索結果をエクセル(登録商標)に出力してもよい。
S12において、制御装置11は、複数の対象国のすべての国について、情報の収集を行なったか否かを判断する。複数の対象国のすべての国について情報の収集を行なっていない場合には(S12においてNO)、制御装置11は、処理をS1に返し、S1において、まだ情報の収集を行なっていない国を選択して、S1以降の処理を実行して情報の収集を行なう。複数の対象国のすべての国について情報の収集を行なった場合には(S12においてYES)、制御装置11は、処理をS13へ進める。
S13において、制御装置11は、通信装置13を介して、複数の対象国についての全ての検索結果(検索結果に含まれる情報)を情報処理サーバ20に出力して、処理を終了させる。
再び図2を参照して、経済指標データ収集部113は、インターネット6を介して、外部サーバ群7から経済指標を表わす情報を収集する。経済指標を表わす情報は、たとえば、GDP(Gross Domestic Product)、経済成長率、周辺国の排出ガス規制のレベル、自動車市場の規模、一人当たりの自動車保有台数および政治透明度(たとえば腐敗認識指数)、等を示す情報のうちの少なくともいずれか1つを含む。排出ガス規制は、その国の経済規模、自動車市場等の大きさによって、改正プロセスのスピードが異なり得る。そのため、本実施の形態においては、経済指標を表わす情報を収集して、排出ガス規制の改正局面の予測に用いる。経済指標データ収集部113は、排出ガス規制の改正局面を予測する国(複数の対象国)の各々について、経済指標を表わす情報を収集する。そして、経済指標データ収集部113は、収集された経済指標を表わす情報を情報処理サーバ20に出力する。なお、以下においては、経済指標を表わす情報を「経済指標データ」とも称する。なお、経済指標データは、本開示に係る「第3情報」の一例に相当する。
日付けデータ収集部114は、ローカルサーバ8から前回の排出ガス規制が改正された日付けを示す情報を収集する。日付けデータ収集部114は、複数の対象国の各々について、排出ガス規制が改正された日付けを示す情報を収集する。そして、日付けデータ収集部114は、収集された、排出ガス規制が改正された日付けを示す情報を情報処理サーバ20に出力する。なお、以下のおいては、排出ガス規制が改正された日付けを示す情報を「日付けデータ」とも称する。日付けデータは、たとえば、排出ガス規制の改正を監視する監視者が、改正日付けを含む改正情報をローカルサーバ8に記憶させることによって、ローカルサーバ8に記憶される。なお、日付けデータは、本開示に係る「第4情報」の一例に相当する。
レベルデータ収集部115は、ローカルサーバ8から現行の排出ガス規制のレベルを示す情報を収集する。レベルデータ収集部115は、複数の対象国の各々について、現行の排出ガス規制のレベルを示す情報を取得する。排出ガス規制のレベルは、たとえば、欧州排出ガス規制(たとえばEuro1~6)を基準として設定される。すなわち、排出ガス規制のレベルは、その国の排出ガス規制を欧州排出ガス規制に換算したものである。レベルデータ収集部115は、収集された現行の排出ガス規制のレベルを示す情報を情報処理サーバ20に出力する。なお、以下においては、現行の排出ガス規制のレベルを示す情報を「規制レベルデータ」とも称する。規制レベルデータは、たとえば、排出ガス規制の改正を監視する監視者が、排出ガス規制のレベルを含む改正情報をローカルサーバ8に記憶させている。なお、規制レベルデータは、本開示に係る「第5情報」の一例に相当する。
<情報処理サーバ>
図1を参照して、情報処理サーバ20は、制御装置21と、記憶装置22と、通信装置23とを含む。
記憶装置22は、たとえば、ROMおよびRAMを含み、制御装置21によって実行されるプログラム等を記憶する。記憶装置22は、さらに、プログラムの実行時に使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)を記憶してもよい。
通信装置23は、通信バス60を介して、情報収集サーバ10および予測作成サーバ30との双方向通信が可能に構成されている。
制御装置21は、たとえば、CPUを含む集積回路によって構成される。制御装置21は、記憶装置22に記憶されたプログラムを実行する。制御装置21は、たとえば、通信装置23を介して、情報収集サーバ10から関連情報を取得する。制御装置21は、取得された関連情報に含まれる情報の各々に対して、各情報に応じた変換処理を実行し、各情報を、排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標に変換する。
図2を参照して、情報処理サーバ20の制御装置21は、情報処理部211~215と、出力部216とを含む。制御装置21は、記憶装置22に記憶されたプログラムを実行することにより、情報処理部211~215および出力部216として機能する。なお、情報処理部211~215および出力部216は、たとえば、専用のハードウェア(電子回路)により実現されてもよい。
情報処理部211は、観測データ収集部111から、大気汚染の観測結果を示す情報(観測データ)を取得する。この観測データは、PM濃度の観測結果である。情報処理部211は、観測データに変換処理を実行して、観測データを排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標に変換する。本実施の形態においては、情報処理部211は、観測データを4つの指標に変換する。
1つ目の指標は、PM濃度の年平均値をポイント化した指標である。情報処理部211は、たとえば、過去のPM濃度の観測結果を記憶サーバ40から読み出す。そして、情報処理部211は、過去のPM濃度の観測結果と、今回収集したPM濃度の観測結果とを用いて、PM濃度の年平均値Aveを算出する。情報処理部211は、算出された年平均値AveをポイントPに変換する。
図4は、年平均値AveのポイントPへの変換を説明するための図である。年平均値AveのポイントPへの変換には、図4に示される第1の関数が用いられる。第1の関数は、たとえば、区分線形関数である。図4の横軸には、年平均値Ave[μg/m]が示され、縦軸にはポイントPが示されている。本実施の形態においては、年平均値Aveは、0~b8(0<・・・<b8)のポイントPに変換される。年平均値Aveがa1未満である場合には、情報処理部211は、第1の区分の関数に従ってポイントPを0に決定する。年平均値Aveがa1以上、かつ、a2(>a1)未満である場合には、情報処理部211は、第2の区分の関数に従ってポイントPを決定する。年平均値Aveがa2以上、かつ、a3(>a2)未満である場合には、情報処理部211は、第3の区分の関数に従ってポイントPを決定する。年平均値Aveがa3以上、かつ、a4(>a3)未満である場合には、情報処理部211は、第4の区分の関数に従ってポイントPを決定する。年平均値Aveがa4以上である場合には、情報処理部211は、第5の区分の関数に従ってポイントPをb8に決定する。情報処理部211は、決定されたポイントPを指標として、出力部216に出力する。なお、ポイントPは、本開示に係る「指標」の一例に相当する。
第1の関数は、たとえば、疫学研究(たとえば、汚染物質濃度と健康被害との相間の研究等)に基づいてWHO(World Health Organization)が定めたガイドラインを参照して導出してもよい。具体的には、WHOが定めたガイドラインには、健康被害を防ぐために満たすべき基準(AQG:Air Quality Guidelines)と、当該基準に至るまでの中間目標1~3(Interim Target 1~3)とが定められている。たとえば、中間目標1(Interim Target 1)が示す値をa4として採用し、中間目標2(Interim Target 2)が示す値をa3として採用し、中間目標3(Interim Target 3)が示す値をa2として採用し、健康被害を防ぐために満たすべき基準(AQG)が示す値をa1として採用することができる。中間目標1~3(Interim Target 1~3)は、健康被害を防ぐために満たすべき基準(AQG)を達成するための段階的な目標として定められている。たとえば以下のようにして第1の関数を定めることができる。
年平均値Aveがa1未満である場合は、健康被害を防ぐために満たすべき基準(AQG)を達成しており、大気汚染(PM2.5)の健康への影響は認められないと考えられることから、自動車の排出ガス規制の改正のニーズは低いことが想定される。よって、ポイントPを0とする第1の区分の関数が定められる。
年平均値Aveがa4以上である場合は、中間目標1(Interim Target 1)を達成しておらず、大気汚染(PM2.5)の健康への影響が明確に認められると考えられる。よって、早期の大気改善が望まれることから、ポイントPをb8とする第5の区分の関数が定められる。
年平均値Aveがa1以上、かつ、a2未満である場合は、健康被害を防ぐために満たすべき基準(AQG)をわずかに未達である。この状況においては、たとえば、既にある程度厳しい自動車の排出ガス規制が導入されており、さらに厳しい排出ガス規制を導入すべきか議論されている可能性がある。この議論において、自動車以外の他の排出源(たとえば、船舶や発電所、等)に対する規制が検討されることも考えられ、必ずしも自動車の排出ガス規制の改正のニーズが高いわけではない。よって、年平均値Aveがa2であるときのポイントPを0よりもやや大きいものとして、第2の区分の関数が定められる。
年平均値Aveがa3以上、かつ、a4未満である場合は、PM濃度が高く大気汚染が比較的深刻であるので、自動車の排出ガス規制の改正のニーズが高いことが想定される。そのため、高いポイント帯の中で緩やかな傾斜を設けて第4の区分の関数が定められる。
年平均値Aveがa2以上、かつ、a3未満である場合は、第2の区分の関数の終点と、第4の区分の関数の始点とから、第3の区分の関数が定められる。
2つ目の指標は、年平均値Aveと、昨年の年平均値Ave1との差分ΔAveを示す指標である。たとえば、現在が2020年12月であるとすると、年平均値Aveは、2020年1月~2020年12月のPM濃度の平均値であり、年平均値Ave1は、20219年1月~2019年12月のPM濃度の平均値である。差分ΔAveは、AveからAve1を減算した値である(ΔAve=Ave-Ave1)。情報処理部211は、たとえば、過去2年間のPM濃度の観測データを記憶サーバ40から読み出す。情報処理部211は、年平均値Aveおよび昨年の年平均値Ave1を算出する。そして、情報処理部211は、差分ΔAveを算出する。情報処理部211は、算出された差分ΔAveを指標として、出力部216に出力する。なお、差分ΔAveは、本開示に係る「指標」の一例に相当する。
3つ目の指標は、基準を超えたPM濃度の月間積算値を示す指標である。情報処理部211は、たとえば、直近1ヶ月間のPM濃度の観測データを記憶サーバ40から読み出す。そして、情報処理部211は、日毎に観測データを基準値athと比較し、基準値athの超過分を積算して積算値Sを算出する。情報処理部211は、積算値Sを指標として、出力部216に出力する。なお、積算値Sは、本開示に係る「指標」の一例に相当する。
図5は、積算値Sの算出を説明するための図である。図5の横軸には日付が示され、縦軸にはPM濃度が示されている。図5に示す例においては、1/1,1/4,1/5において、PM濃度が基準値athを超えている。1/1,1/4,1/5における、PM濃度の基準値ath超過分をそれぞれS1,S2,S3とすると、情報処理部211は、S1~S3を積算(加算)して、積算値Sを算出する。基準値athは、たとえば、上述のWHOが定めたガイドラインを参照して設定されてもよい。基準値athは、たとえば、図4のa4としてもよい。
4つ目の指標は、月間の、基準値athを超えた日数を示す指標である。情報処理部211は、たとえば、積算値Sの算出時に、PM濃度が基準値athを超過した日数をカウントとして、基準値athを超えた日数である超過日数Dを算出する。情報処理部211は、超過日数Dを指標として、出力部216に出力する。なお、超過日数Dは、本開示に係る「指標」の一例に相当する。
情報処理部212は、報道データ収集部112から、大気汚染に関する報道または研究レポートの情報(報道データ)を取得する。情報処理部212は、報道データに変換処理を実行して、報道データを排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標に変換する。
図6は、情報処理部212の詳細を説明するための図である。図6を参照して、情報処理部212は、第1処理部2121と、第2処理部2122と、第3処理部2123とを含む。
第1処理部2121は、報道データの発信元を分類リストに照会させて、排出ガス規制の改正への影響力が小さいデータを除外する前処理を実行する。分類リストは、国毎に作成されて、記憶装置22または記憶サーバ40に記憶されている。分類リストは、定期的にメンテナンスが行なわれ、発信元の追加および削除が行なわれる。分類リストには、発信元の名称(たとえば、A新聞社、B学会等)、および、発信元の名称に対応付けた分類カテゴリ(たとえば、メディア、学術レポート等)が設定されている。
図7は、第1処理部2121の処理の手順を説明するための図である。図7に示すフローチャートの処理は、報道データを受信した際に第1処理部2121により実行される。
S21において、第1処理部2121は、記憶装置22または記憶サーバ40から分類リストを読み出し、報道データの発信元を分類リストに照会させる。なお、第1処理部2121は、図3のS4の処理と同様にして、報道データから発信元を抽出してもよい。また、第1処理部2121は、抽出されたタイトル、発信元、および、概要を示す情報が付加された報道データを、情報収集サーバ10から受けてもよい。
S22において、第1処理部2121は、分類カテゴリ毎に報道データを分類する。具体的には、第1処理部2121は、たとえば、メディア、学術レポート、等のカテゴリに報道データを分類する。
S23において、第1処理部2121は、報道データを分類できたか否かを判断する。たとえば、分類リストにない発信元の報道データは、分類することができない。報道データを分類できなかった場合には(S23においてNO)、第1処理部2121は、処理をS24に進める。報道データを分類できた場合には(S23においてYES)、第1処理部2121は、処理をS25に進める。
S24において、第1処理部2121は、分類できなかった報道データを対象外に分類する。そして、第1処理部2121は、処理をS25に進める。
S25において、第1処理部2121は、第2処理部2122に入力するための入力データを作成する。入力データは、そのフォーマットが定められている。入力データには、タイトル、発信元、概要、および、分類されたカテゴリを示す分類情報が含まれる。なお、本実施の形態においては、対象外に分類された報道データについては、入力データが作成されない。なお、タイトル、発信元、概要、および、分類されたカテゴリを示す分類情報は、本開示に係る「予め定められた項目に関する情報」の一例に相当する。
再び図6を参照して、第1処理部2121は、作成された入力データを第2処理部2122に出力する。
第2処理部2122は、第1処理部2121から入力データを受け付け、入力データに対して重み付けを行なう。具体的には、第2処理部2122は、入力データから、タイトル、発信元、概要、および、分類情報を特徴量として読み出す。第2処理部2122は、機械学習により学習された学習済みモデルを含み、タイトル、発信元、概要、および、分類情報を特徴量として、学習により構築された演算規則に従って、入力データの重要度ランクを出力する。なお、機械学習とは、与えられた情報(たとえば学習データセット)に基づいて反復的に学習し、法則または判定基準を自立的に確立させる手法である。
図8は、重要度ランクの一例を説明するための図である。図8には、重要度ランク、ポイントおよび基準の欄が設けられている。図8に示す例では、重要度ランク1~7が設けられている。重要度ランクは、入力データの排出ガス規制の改正への影響度を示し、その数字が大きくなるほど重要度が高くなるように設定されている。基準には、重要度ランクが付される情報の概要が記載されている。重要度ランク1は、大気汚染に無関係な情報に付される。重要度ランク2は、大気汚染に関するものであるが、排出ガス規制の改正の緊急性を示すものではない情報に付される。重要度ランク3は、大気汚染に対する問題を提起する情報に付される。重要度ランク4は、大気汚染の深刻さを示す情報に付される。重要度ランク5は、排出ガス規制の改正に繋がる可能性がある情報(たとえば、大気汚染に対して政府が何らかの対策の実施を示唆する情報)に付される。重要度ランク6は、自動車の規制を含む排出ガス規制の改正の可能性がある情報(大気汚染に対する政府の対策の対象に自動車が含まれることを示唆する情報)に付される。重要度ランク7は、自動車の規制を含む排出ガス規制の改正の具体案および/または日程案を示す情報に付される。なお、ポイントについては後に説明する。
再び図6を参照して、第2処理部2122に含まれる学習済みモデルは、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習により、入力データから重要度ランクを出力するように学習されている。
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層(隠れ層)、および複数のニューロンからなる出力層によって構成される。中間層は、1層、または2層以上でもよい。たとえば、複数の入力(指標)が入力層に入力されると、その値に重みが掛けられて中間層に入力される。中間層において、入力された値にさらに重みが掛けられて、出力層に入力されて、出力層から結果が出力される。
教師あり学習とは、入力および結果(ラベル)のデータの組(学習用データセット)を第2処理部2122に与えることによって、学習用データセットにある特徴を学習し、入力から結果を推論する手法をいう。すなわち、第2処理部2122に含まれる学習済みモデルは、学習用データセットを用いて、学習処理を繰り返し実行して生成される。学習用データセットは、たとえば、入力として与えられる入力データ(タイトル、発信元、概要および分類情報)に対して、出力となる重要度ランクをラベル付けした学習用データを複数含むものである。入力データに対する重要度ランクのラベル付けは、たとえば、当業者等により行なわれる。上記のような学習用データセットを用いて学習された第2処理部2122(学習済みモデル)は、入力データを受けると、重要度ランクを出力する。第2処理部2122は、重要度ランクを第3処理部2123に出力する。
なお、第2処理部2122は、たとえば、所定の周期毎に学習されてもよい。外部サーバ群7およびローカルサーバ8の情報は日々更新されることから、所定の周期毎に新たに追加されたデータに対応した学習用データセットを用意し、第2処理部2122を学習させてもよい。これにより、第2処理部2122の出力精度を高めることができる。
第3処理部2123は、第2処理部2122から受けた重要度ランクをポイントに変換する後処理を実行する。重要度ランクのポイントへの変換には、第2の関数が用いられる。第2の関数は、重要度ランクに重み付けをして、ポイントを算出するための関数である。すなわち、後処理では、第2処理部2122から受けた重要度ランクに重み係数を用いて重み付けをして、重要度ランクをポイントに変換する。
図9は、重要度ランクのポイントへの変換を説明するための図である。図9の横軸には重要度ランクが示され、縦軸にはポイントが示されている。縦軸のポイントは、図8に示されたポイントと同じものである。図9に示される第2の関数は、たとえば、重要度ランクが増加するにつれて指数関数的にポイントが上昇するモデルから導出してもよい。たとえば、重要度ランク1は、0ポイントに決定される。重要度ランク2は、0.1ポイントに決定される。重要度ランク3は、0.5ポイントに決定される。重要度ランク4は、1.5ポイントに決定される。重要度ランク5は、3.5ポイントに決定される。重要度ランク6は、6.0ポイントに決定される。重要度ランク7は、9.0ポイントに決定される。重要度ランクのポイントへの変換に用いられる重み係数は、たとえば、過去のデータ(重要度ランクと排出ガス規制の改正実績との関係を示すデータ)に基づいて決定されてもよい。あるいは、重み係数は、排出ガス規制の改正に関して、政府関係者と多くの交渉経験を有する当業者の見識に基づいて決定されてもよい。あるいは、重み係数は、上記の過去のデータおよび当業者の見識の双方に基づいて決定されてもよい。重み係数は、排出ガス規制に対する政府の関心度と捉えることもできる。
第3処理部2123は、報道データ毎に重要度ランクをポイントに変換し、ポイントの月平均を算出する。そして、第3処理部2123は、ポイントの月平均を示す情報を出力部216に出力する。なお、ポイントの月平均は、本開示に係る「指標」の一例に相当する。
再び図2を参照して、情報処理部213は、経済指標データ収集部113から、経済指標を表わす情報(経済指標データ)を取得する。情報処理部213は、経済指標データを指標として、出力部216に出力する。なお、経済指標データは、本開示に係る「指標」の一例に相当する。なお、政治透明度(たとえば腐敗認識指数)のような年に1度しか公表されないような経済指標データについては、次回の公表まで前回の公表値を用いるジャンプアップ方式によって経済指標データを決定する。
図10は、ジャンプアップ方式を説明するための図である。図10の横軸には日付けが示されており、縦軸には腐敗認識指数の値が示されている。たとえば腐敗認識指数が毎年1月に公表されることを想定する。
図10に示す例においては、2019年1月に腐敗認識指数が公表され、その値はc1であった。そして、2020年1月に新たな腐敗認識指数が公表され、その値はc2であった。情報処理部213は、2019年1月~12月までは、腐敗認識指数をc1として算出する。2020年1月に新たな腐敗認識指数が公表されると、情報処理部213は、2020年1月~12月まで、腐敗認識指数をc2として算出する。
再び図2を参照して、情報処理部214は、日付けデータ収集部114から、前回の排出ガス規制が改正された日付けを示す情報(日付けデータ)を取得する。情報処理部214は、日付けデータから前回の排出ガス規制の改正日を特定し、当該改正日から現在までの経過月数をカウントする。情報処理部214は、経過月数を指標として、出力部216に出力する。なお、経過月数は、本開示に係る「指標」の一例に相当する。
情報処理部215は、レベルデータ収集部115から、現行の排出ガス規制のレベルを示す情報(規制レベルデータ)を取得する。情報処理部215は、取得された規制レベルデータの対象国(適用国)の排出ガス規制に関する情報を記憶サーバ40から読み出す。排出ガス規制に関する情報には、少なくとも、各国の排出ガス規制のレベルを示す情報と、各国がモデルケースとする国を示す情報とが含まれている。情報処理部215は、対象国の規制レベル(取得された規制レベルデータが示す規制レベル)と、当該対象国がモデルケースとする国の規制レベルとの差分であるレベル差ΔLvを算出する。情報処理部215は、算出されたレベル差ΔLvを指標として、出力部216に出力する。モデルケースとする国には、たとえば、当該国の周辺地域において排出ガス規制の導入のトップランナーの国、あるいは、先進国等が設定されている。排出ガス規制に関する情報は、予め定められて記憶サーバ40に記憶されている。たとえば、ある国において排出ガス規制の改正があった場合には、その改正を反映させるように排出ガス規制に関する情報が更新される。
具体的に、A国の規制レベルデータを受けた場合を想定して説明する。たとえば、A国の排出ガス規制の規制レベルがEuro4であり、A国がモデルケースとする国がB国であり、B国の排出ガス規制の規制レベルがEuro6であることを想定する。この場合には、情報処理部215は、B国の排出ガス規制の規制レベルに対するA国の排出ガス規制の規制レベルの差分である「2」をレベル差ΔLvとして算出する(ΔLv:Euro6-Euro4)。なお、レベル差ΔLvは、本開示に係る「指標」の一例に相当する。
出力部216は、情報処理部211~215から受けた各指標(ポイントP、差分ΔAve、積算値S、超過日数D、ポイントの月平均、経済指標データ、経過月数、および、レベル差ΔLv)を予測作成サーバ30に出力する。
<予測作成サーバ>
図1を参照して、予測作成サーバ30は、制御装置31と、記憶装置32と、通信装置33とを含む。
記憶装置32は、たとえば、ROMおよびRAMを含み、制御装置31によって実行されるプログラム等を記憶する。記憶装置32は、さらに、プログラムの実行時に使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)を記憶してもよい。
通信装置33は、通信バス60を介して、情報処理サーバ20との双方向通信が可能に構成されている。
制御装置31は、たとえば、CPUを含む集積回路によって構成される。制御装置31は、記憶装置32に記憶されたプログラムを実行する。制御装置31は、たとえば、通信装置33を介して情報処理サーバ20から受けた各指標を入力として、排出ガス規制の改正局面を予測する。
図2を参照して、予測作成サーバ30の制御装置31は、予測エンジン部311と、出力部312とを含む。制御装置31は、記憶装置32に記憶されたプログラムを実行することにより、予測エンジン部311および出力部312として機能する。
予測エンジン部311は、情報処理サーバ20の出力部216から各指標を入力データとして受け付ける。予測エンジン部311は、各指標を特徴量とし、学習により構築された演算規則に従って、排出ガス規制の改正局面を予測する。予測エンジン部311は、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習により、入力データから排出ガス規制の改正局面を予測するように学習されている。
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層(隠れ層)、および複数のニューロンからなる出力層によって構成される。中間層は、1層、または2層以上でもよい。たとえば、複数の入力(指標)が入力層に入力されると、その値に重みが掛けられて中間層に入力される。中間層において、入力された値にさらに重みが掛けられて、出力層に入力されて、出力層から結果が出力される。
学習用データセットは、情報処理サーバ20の出力部216から出力される各指標を任意のパターンで組み合わせた入力データに対して、排出ガス規制の改正局面をラベル付けした学習用データを複数含むものである。学習用データは、各指標の組み合わせに対して、そのときの排出ガス規制の改正局面をラベル付けして作成される。学習用データは、たとえば、当業者等により作成される。本実施の形態においては、排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標が学習用データとして用いられるので、収集された関連情報をそのまま学習用データとする場合に比べ、予測エンジン部311(学習済みモデル)の予測精度の向上が期待される。上記のような学習用データセットを用いて学習された予測エンジン部311(学習済みモデル)は、入力データを受けると、排出ガス規制の改正局面を出力する。なお、予測エンジン部311は、たとえば、所定の周期毎に学習されてもよい。外部サーバ群7およびローカルサーバ8の情報は日々更新されることから、所定の周期毎に新たに追加されたデータに対応した学習用データセットを用意し、予測エンジン部311を学習させてもよい。これにより、予測エンジン部311の予測精度を高めることができる。
より具体的には、予測エンジン部311は、情報処理サーバ20の出力部216から受け付けた入力データ(各指標)を特徴量として、排出ガス規制の改正局面を予測し、その予測結果を数値で出力する。
図11および図12は、排出ガス規制の改正局面を表わす各フェーズを説明するための図である。本実施の形態においては、5段階のフェーズが定義されており、予測エンジン部311は、対象国が現在どのフェーズにあるのかを予測する。
図11を参照して、第1フェーズは、排出ガス規制の改正が未検討の局面が含まれるフェーズである。たとえば、排出ガス規制に至る前段階ともいえる大気汚染を改善するための方針の検討を開始する局面も、第1フェーズに含まれる。第2フェーズは、排出ガス規制の改正の検討が開始され、改正の方針が検討される局面を含むフェーズである。第3フェーズは、排出ガス規制の改正のためのワーキンググループが設立(発足)され、改正の具体的な検討がなされる局面を含むフェーズである。第4フェーズは、改正案が完成し、当該改正案が議会等に上程される局面を含むフェーズである。第5フェーズは、参議院および衆議院の両院で改正案が採択される局面を含むフェーズである。
図12を参照して、予測エンジン部311は、1~6の値の範囲で、予測結果を示す数値を出力する。本実施の形態においては、予測エンジン部311は、小数第一位までの値を出力する。たとえば、予測エンジン部311の予測結果の数値が3.6であった場合には、その対象国は、第3フェーズにあり、排出ガス規制の改正の具体的な検討の中盤に差し掛かっていると推定することができる。
予測エンジン部311は、排出ガス規制の改正局面を示す情報を出力部312に出力する。
出力部312は、予測エンジン部311から受けた排出ガス規制の改正局面を示す情報を表示装置50に出力する。表示装置50は、排出ガス規制の改正局面を表示させる。これにより、排出ガス規制の改正局面が報知される。
図13は、排出ガス規制の改正局面の予測結果を説明するための図である。図13に示される例では、A国~D国についての排出ガス規制の改正局面の予測結果がそれぞれ示されている。
A国については、1.0の予測結果が示されている。これは、A国は第1フェーズにあり、排出ガス規制の改正が未検討であると予測されたことを示している。B国については、2.7の予測結果が示されている。これは、B国は第2フェーズにあり、排出ガス規制の改正の方針が検討されていると予測されたことを示している。C国については、3.2の予測結果が示されている。これは、C国は第3フェーズにあり、排出ガス規制の改正の具体的な検討がなされていると予測されたことを示している。D国は、2.8の予測結果が示されている。これは、D国は第2フェーズにあり、排出ガス規制の改正の方針が検討されていると予測されたことを示している。本実施の形態においては、予測結果が数値で示されることにより、同じ第2フェーズであっても、D国は、B国よりも若干、改正への局面が進んでいることがわかる。これにより、予測結果に基づいて、改正に備えて、より適切な準備や対策を行なうことができる。
なお、排出ガス規制の改正局面の予測結果として、数値に代えて、あるいは加えて、局面を示す文字を表示させてもよい。この場合においても、同じフェーズ内においても、数値に応じて文字の内容を異ならせてもよい。
以上のように、本実施の形態に係る予測システム1においては、情報収集サーバ10が外部サーバ群7およびローカルサーバ8から排出ガス規制に関連する関連情報を取得する。そして、情報処理サーバ20が、情報収集サーバ10によって取得された関連情報の各々を、排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標に変換する。そして、予測作成サーバ30が、変換された指標を入力データとして、排出ガス規制の改正局面を予測する。情報収集サーバ10により収集された関連情報を、そのまま予測作成サーバ30の入力データとするのではなく、関連情報の各々を排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標に変換し、これらを予測作成サーバ30への入力データとする。これにより、関連情報をそのまま予測作成サーバ30の入力データとする場合に比べ、精度よく排出ガス規制の改正を予測することができる。
予測作成サーバ30Aは、排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標を学習用データとして学習される。排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標を用いて予測作成サーバ30が学習されることにより、関連情報をそのまま用いて予測作成サーバ30が学習される場合に比べて、予測作成サーバ30の予測精度の向上が期待される。排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標を用いて、予測作成サーバ30を学習させることにより、関連情報をそのまま予測作成サーバ30の学習用データとする場合に比べて、予測作成サーバ30の予測精度を高めることができる。
また、本実施の形態に係る予測システム1においては、関連情報に観測データが含まれる。そして、情報処理サーバ20が、収集された観測データ(PM濃度の観測結果)を4つの指標に変換する。4つの指標は、(1)PM濃度の年平均値Aveを変換したポイントP、(2)年平均値Aveと昨年の年平均値Ave1との差分ΔAve、(3)基準値athを超えたPM濃度の月間の積算値S、および(4)基準値athを超えた月間の超過日数Dである。観測データを、排出ガス規制の改正への影響度に関連する4つの指標に変換し、当該4つの指標を予測作成サーバ30の学習用データおよび入力データとする。これにより、排出ガス規制の改正に直接的に関与する情報ではない観測データを予測作成サーバ30の学習用データおよび入力データとする場合に比べ、精度よく排出ガス規制の改正を予測することができる。
また、本実施の形態に係る予測システム1においては、関連情報に報道データが含まれる。そして、情報処理サーバ20が、収集された報道データの各々の重要度ランクをポイントに変換し、ポイントの月平均を算出する。報道データを、排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標(上記の月平均)に変換し、当該指標を予測作成サーバ30の学習用データおよび入力データとする。これにより、排出ガス規制の改正に直接的に関与する情報ではない報道データを予測作成サーバ30の学習用データおよび入力データとする場合に比べ、精度よく排出ガス規制の改正を予測することができる。
また、本実施の形態に係る予測システム1においては、関連情報に経済指標データが含まれる。そして、収集された経済指標データを指標として予測作成サーバ30の学習用データおよび入力データとする。経済指標データには、GDP、経済成長率、周辺国の排出ガス規制のレベル、自動車市場の規模、一人当たりの自動車保有台数および政治透明度、等を示す情報が含まれる。排出ガス規制は、その国の経済規模、自動車市場等の大きさによって、改正プロセスのスピードが異なり得るところ、経済指標データを予測作成サーバ30の学習用データおよび入力データとして、排出ガス規制の改正局面の予測に用いることで、精度よく排出ガス規制の改正を予測することができる。
さらに、本実施の形態に係る予測システム1においては、関連情報には、排出ガス規制が改正された日付けを示す情報(日付けデータ)が含まれる。そして、情報処理サーバ20が、収集された日付けデータから前回の排出ガス規制の改正日を特定し、当該改正日から現在までの経過月数をカウントする。そして、当該経過月数を指標として、予測作成サーバ30の学習用データおよび入力データとする。これにより、排出ガス規制の改正に直接的に関与する情報ではない日付けデータを予測作成サーバ30の学習用データおよび入力データとする場合に比べ、精度よく排出ガス規制の改正を予測することができる。
さらに、本実施の形態に係る予測システム1においては、関連情報には、規制レベルデータが含まれる。そして、情報処理サーバ20が、規制レベルデータと、当該規制レベルデータの対象国がモデルケースとする国の規制レベルデータとを用いて、レベル差ΔLvを算出する。算出されたレベル差ΔLvを指標として、予測作成サーバ30の学習用データおよび入力データとする。これにより、排出ガス規制の改正に直接的に関与する情報ではない規制レベルデータを予測作成サーバ30の学習用データおよび入力データとする場合に比べ、精度よく排出ガス規制の改正を予測することができる。
なお、本実施の形態において関連情報として示した、観測データ、報道データ、経済指標データ、日付けデータ、および、規制レベルデータは、あくまでも一例である。上記の他にも、関連情報には、たとえば、北半球に位置するか南半球に位置するかを示す情報、国民一人あたりのGDPを示す情報、経済成長率を示す情報、貿易収支を示す情報、自動車輸出額を示す情報、自動車の総保有台数を示す情報、千人あたりの自動車保有台数を示す情報、一年間の新車販売台数を示す情報、総エネルギー消費量を示す情報、および、国民一人あたりの消費エネルギーを示す情報、等が含まれてもよい。これらの情報を、情報処理サーバ20において各情報の特性に応じた指標に変換し、これらの指標を用いて学習された予測作成サーバ30への入力データとすることによって、精度よく排出ガス規制の改正局面を予測することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標を入力データとして受けた予測作成サーバ30が、排出ガス規制の改正局面を予測する例について説明した。実施の形態2では、排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標を入力データとして受けた予測作成サーバが、排出ガス規制の改正に対する渉外タイミングの適切度を予測する例について説明する。
再び図1および図2を参照して、実施の形態2に係る予測システム1Aは、情報収集サーバ10と、情報処理サーバ20と、予測作成サーバ30Aと、記憶サーバ40と、表示装置50とを含む。情報収集サーバ10、情報処理サーバ20、予測作成サーバ30A、記憶サーバ40、および、表示装置50は、通信バス60に接続されている。実施の形態2に係る予測システム1Aは、実施の形態1に係る予測システム1の予測作成サーバ30を予測作成サーバ30Aに代えたものである。予測システム1Aのその他の構成については、予測システム1と同様であるため、その説明は繰り返さない。
予測作成サーバ30Aは、情報処理サーバ20から受けた各指標を用いて、排出ガス規制の改正に対する渉外タイミングの適切度を予測する。予測作成サーバ30Aは、予測された渉外タイミングの適切度を示す予測結果を表示装置50に表示させる。
予測作成サーバ30Aは、制御装置31Aと、記憶装置32と、通信装置33とを含む。記憶装置32および通信装置33は、実施の形態1に係る予測作成サーバ30の記憶装置32および通信装置33と同様である。
制御装置31Aは、たとえば、CPUを含む集積回路によって構成される。制御装置31Aは、記憶装置32に記憶されたプログラムを実行する。制御装置31Aは、たとえば、通信装置33を介して情報処理サーバ20から受けた各指標を入力として、排出ガス規制の改正に対する渉外タイミングの適切度を予測する。
制御装置31Aは、予測エンジン部311Aと、出力部312とを含む。制御装置31Aは、記憶装置32に記憶されたプログラムを実行することにより、予測エンジン部311Aおよび出力部312として機能する。なお、出力部312は、実施の形態1に係る制御装置31の出力部312と同様である。
予測エンジン部311Aは、実施の形態1に係る予測エンジン部311と同様に、情報処理サーバ20の出力部216から各指標を入力データとして受け付ける。予測エンジン部311Aは、各指標を特徴量とし、学習により構築された演算規則に従って、排出ガス規制の改正に対する渉外タイミングの適切度を予測する。予測エンジン部311Aは、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習により、入力データから排出ガス規制の改正に対する渉外タイミングの適切度を予測するように学習されている。なお、予測エンジン部311Aは、たとえば、所定の周期毎に学習されてもよい。外部サーバ群7およびローカルサーバ8の情報は日々更新されることから、所定の周期毎に新たに追加されたデータに対応した学習用データセットを用意し、予測エンジン部311Aを学習させてもよい。これにより、予測エンジン部311Aの予測精度を高めることができる。
予測エンジン部311Aの学習に用いられる学習用データセットは、情報処理サーバ20の出力部216から出力される各指標を任意のパターンで組み合わせた入力データに対して、渉外タイミングの適切度をラベル付けした学習用データを複数含むものである。入力データに対する渉外タイミングの適切度のラベル付けは、たとえば、当業者等により行なわれる。実施の形態2においては、過去の各指標の組み合わせに対して、そのときの渉外のタイミングが適正であるか、または適正でないかがラベル付けされる。排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標が学習用データとして用いられるので、収集された関連情報をそのまま学習用データとする場合に比べ、予測エンジン部311A(学習済みモデル)の予測精度の向上が期待される。上記のような学習用データセットを用いて学習された学習済みモデルは、入力データを受けると、排出ガス規制の改正に対する渉外タイミングの適切度を出力する。
図14は、渉外タイミングの適切度の予測結果を説明するための図である。図14に示される例では、A国~D国について、渉外タイミングが適正であるか不適正であるかを示す予測結果がそれぞれ示されている。渉外タイミングが適正であることは、たとえば、現タイミングで政府に交渉することで、排出ガス規制の改正案に自己の意見を反映させることができる可能性が所定値以上であることを示す。渉外タイミングが不適正であることは、たとえば、既に改正案の具体的な検討が終了に差し掛かっていたり、改正案が完成していたり、改正案が既に採択されていたりして、現タイミングで政府に交渉しても改正案に自己の意見を反映させることができる可能性が所定値未満であることを示す。
図14においては、A国およびD国については、渉外タイミングが適正であるとの予測結果が示され、B国およびC国については、渉外タイミングが不適正であるとの予測結果が示されている。この予測結果は、表示装置50に表示される。これにより、現タイミングで、排出ガス規制の改正に対する交渉を行なうか否かを判断することができる。
さらに、実施の形態2においては、予測エンジン部311Aは、予測結果の信頼度を出力する。予測エンジン部311Aは、学習済みのデータ(教師データ)に対する入力データの類似度に基づいて、信頼度を算出する。たとえば、入力データが学習済みのデータと同じである場合には、予測エンジン部311Aは、信頼度を100%と算出する。
図14に示される例においては、A~D国の渉外タイミングの予測結果の信頼度は、それぞれ85%,36%,71%,43%と算出されている。予測結果とともに信頼度が示されることにより、ユーザが、現タイミングで、排出ガス規制の改正に対する交渉を行なうか否かの判断をより適切に行なうことができる。
以上のように、実施の形態2に係る予測システム1Aにおいては、情報収集サーバ10が外部サーバ群7およびローカルサーバ8から排出ガス規制に関連する関連情報を取得する。そして、情報処理サーバ20が、情報収集サーバ10によって取得された関連情報の各々を、排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標に変換する。そして、予測作成サーバ30Aが、変換された指標を入力データとして、排出ガス規制の改正に対する渉外タイミングの適切度を予測する。情報収集サーバ10より収集された関連情報を、そのまま予測作成サーバ30Aの入力データとするのではなく、関連情報の各々を排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標に変換し、これらを予測作成サーバ30Aへの入力データとする。これにより、関連情報をそのまま予測作成サーバ30Aの入力データとする場合に比べ、精度よく渉外タイミングの適切度を予測することができる。
予測作成サーバ30Aは、排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標を学習用データとして学習される。排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標を用いて予測作成サーバ30Aが学習されることにより、関連情報をそのまま用いて予測作成サーバ30Aが学習される場合に比べて、予測作成サーバ30Aの予測精度の向上が期待される。排出ガス規制の改正への影響度に関連する指標を用いて、予測作成サーバ30Aを学習させることにより、関連情報をそのまま予測作成サーバ30Aの学習用データとする場合に比べて、予測作成サーバ30Aの予測精度を高めることができる。
[変形例1]
実施の形態2では、渉外タイミングの適切度の予測結果に加えて、当該予測結果に対する信頼度が算出されることを説明した。実施の形態1においても同様にして、実施の形態1の排出ガス規制の改正局面の予測結果に加えて、当該予測結果に対する信頼度が算出されてもよい。予測エンジン部311は、学習済みのデータ(教師データ)に対する入力データの類似度に基づいて、信頼度を算出する。予測結果とともに信頼度が示されることにより、ユーザは、信頼度も考慮しながら、予測結果の活用を検討することができる。
[変形例2]
実施の形態1,2では、排出ガス規制を例にして、予測システム1,1Aについて説明したが、予測システム1,1Aは、他の法規または規格の改正または制定に対しても用いることができる。たとえば、車両の安全基準を定めた道路運送車両の保安基準の改正に対して予測システム1,1Aが用いられる場合には、情報収集サーバ10は、交通事故数および車両の使用実態(頻度)等のデータを収集する。そして、収集されたデータを情報処理サーバ20が、道路運送車両の保安基準の改正への影響度に関連する指標に変換する。そして、予測システム1,1Aが、指標を入力データとして、道路運送車両の保安基準の改正局面、または、道路運送車両の保安基準の改正に対する渉外タイミングの適切度を予測する。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1A 予測システム、6 インターネット、7 外部サーバ群、8 ローカルサーバ、9 通信線、10 情報収集サーバ、11 制御装置、12 記憶装置、13 通信装置、20 情報処理サーバ、21 制御装置、22 記憶装置、23 通信装置、30,30A 予測作成サーバ、31,31A 制御装置、32 記憶装置、33 通信装置、40 記憶サーバ、50 表示装置、60 通信バス、71,72,73 外部サーバ、111 観測データ収集部、112 報道データ収集部、113 経済指標データ収集部、114 日付けデータ収集部、115 レベルデータ収集部、211,212,213,214,215 情報処理部、216 出力部、311,311A 予測エンジン部、312 出力部、2121 第1処理部、2122 第2処理部、2123 第3処理部。

Claims (14)

  1. 法規の改正に関連する関連情報を収集する第1装置と、
    前記関連情報を前記改正への影響度に関連する指標に変換するための予め定められた変換処理を実行する第2装置と、
    前記指標を用いて、前記改正の局面、または、前記改正に関する渉外タイミングの適切度を予測する第3装置とを備える、予測システム。
  2. 前記第3装置は、機械学習により学習された第1学習済みモデルを含み、
    前記第1学習済みモデルは、第1学習用データセットを用いた学習処理により、入力に対して前記改正の局面、または、前記適切度を出力するように学習されており、
    前記第1学習用データセットは、前記指標に対して、前記改正の局面または前記適切度をラベル付けした学習用データを複数含む、請求項1に記載の予測システム。
  3. 前記関連情報は、前記改正を動機付けるものとして定められた所定の情報を含む、請求項1または請求項2に記載の予測システム。
  4. 前記所定の情報は、大気汚染の観測結果を示す第1情報を含む、請求項3に記載の予測システム。
  5. 前記第2装置は、予め定められた第1の関数を用いて、前記第1情報が示す値の第1所定期間の平均値を前記指標に変換する、請求項4に記載の予測システム。
  6. 前記第2装置は、前記第1情報が示す値の前記第1所定期間の平均値と、昨年の前記第1情報が示す値の前記第1所定期間の平均値との差分を前記指標とする、請求項5に記載の予測システム。
  7. 前記第2装置は、
    第2所定期間毎に、前記第1情報が示す値の基準値の超過分を算出し、
    前記第2所定期間よりも長い期間である第3所定期間における前記超過分の積算値を前記指標とする、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の予測システム。
  8. 前記第2装置は、前記第1情報が示す値が前記基準値を超過した前記第2所定期間の数を前記指標とする、請求項7に記載の予測システム。
  9. 前記所定の情報は、大気汚染に関する報道または研究レポートの情報である第2情報を含む、請求項3から請求項8のいずれか1項に記載の予測システム。
  10. 前記第2装置は、機械学習により学習された第2学習済みモデルを含み、
    前記第2学習済みモデルは、第2学習用データセットを用いた学習処理により、入力に対して前記改正への影響度を示す情報を出力するように学習されており、
    前記第2学習用データセットは、予め定められた項目に関する情報に対して、前記影響度を示す情報をラベル付けした学習用データを複数含み、
    前記第2装置は、
    所定の処理を実行して前記第2情報から、前記予め定められた項目に関する情報を抽出し、
    前記予め定められた項目に関する情報を前記第2学習済みモデルへの入力とし、
    前記第2学習済みモデルから出力された前記影響度を示す情報を、予め定められた第2の関数を用いてポイントに変換し、
    前記ポイントの第4所定期間における平均値を前記指標とする、請求項9に記載の予測システム。
  11. 前記関連情報は、前記法規の対象国の経済指標を示す第3情報を含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の予測システム。
  12. 前記関連情報は、現行法規が改正された日付けを示す第4情報を含み、
    前記第2装置は、
    前記第4情報を用いて、現行法規が改正されてからの経過期間を算出し、
    前記経過期間を前記指標とする、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の予測システム。
  13. 前記関連情報は、前記法規の規制レベルを示す第5情報を含み、
    前記第2装置は、
    前記第5情報を用いて、前記法規のレベルと、前記法規の対象国がモデルケースとする国における前記法規に対応する法規のレベルとの差分を算出し、
    前記差分を前記指標とする、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の予測システム。
  14. 法規の改正に関連する関連情報を収集するステップと、
    前記関連情報を前記改正への影響度に関連する指標に変換するための予め定められた変換処理を実行するステップと、
    前記指標を用いて、前記改正の局面、または、前記改正に関する渉外タイミングの適切度を予測するステップとを含む、予測方法。
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