JP2022124995A - 金属有機構造体の製造方法及び有機配位子分散液 - Google Patents

金属有機構造体の製造方法及び有機配位子分散液 Download PDF

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Abstract

Figure 2022124995000001
【課題】合成プロセスのスケールアップを可能とする金属有機構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】中心金属及び中心金属に配位する有機配位子からなる金属有機構造体を製造する方法であって、水中に、水に対する溶解度が低い有機配位子を水に分散させた有機配位子分散液及び中心金属を混合し、加熱及び加圧する反応工程を含み、有機配位子の粒子径は、0.01~80μmである。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属有機構造体の製造方法及びこの製造方法に用いる有機配位子分散液に関する。
金属有機構造体は、中心金属及び中心金属に配位する有機配位子からなる材料であり、ガス吸着や分子等の吸着、分離技術、固体触媒、センサーなどへの応用が期待されている。金属有機構造体の合成手法としては、例えば、ラボスケールにおいて多くの実績がある水熱法がある(非特許文献1)。この水熱法は、水熱反応(ソルボサーマル反応)を利用する手法であり、原料試薬と溶媒としての水とを耐圧容器に入れて密封し、水の沸点以上の温度に加熱して反応を進行させることで金属有機構造体を合成する手法である。
材料科学の基礎 第7号 多孔性配位高分子(PCP)/金属有機構造体(MOF)の基礎、SIGMA-ALDRICH
ところで、金属有機構造体の実用化に向けては、合成プロセスのスケールアップが困難であるという課題がある。とりわけ、原料試薬として溶媒への溶解性が低い有機配位子を使用する場合、ラボスケールでの合成とは異なり、加圧・加熱条件下においても反応容器内での反応物の対流が生じ難く、反応が極めて進行し難い。そのため、合成プロセスのスケールアップが非常に困難である。
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、合成プロセスのスケールアップを可能とする金属有機構造体の製造方法の提供を、その目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る、金属有機構造体の製造方法の特徴構成は、
中心金属及び前記中心金属に配位する有機配位子からなる金属有機構造体を製造する方法であって、
水中に、水に対する溶解度が低い前記有機配位子を水に分散させた有機配位子分散液及び前記中心金属を混合し、加熱及び加圧する反応工程を含み、
前記有機配位子の粒子径は、0.01~80μmである点にある。
一般的に、金属有機構造体の合成においては、有機配位子の溶解度が低いと反応が進行し難く、収率が低くなり易い。しかしながら、上記特徴構成によれば、有機配位子として粒子径が0.01~80μmの範囲内にあるものを用いることで、水への溶解度が低い有機配位子を原料とした場合でも、当該有機配位子の水への溶解性が低くとも水への分散性が向上する。そして、この有機配位子を分散させた有機配位子分散液を用いることで、反応容器内での中心金属と有機配位子との接触が促されて反応が進行し易くなり、収率が向上する。したがって、スケールアップが可能となる。
また、本発明に係る、金属有機構造体の製造方法の更なる特徴構成は、
前記有機配位子は、せん断力及び摩擦力のうち少なくともいずれか一方を加えて前記粒子径が制御されたものである点にある。
上記特徴構成によれば、有機配位子の粒子径を0.01~80μmの範囲内に制御できるだけでなく、粒子径が制御された有機配位子の表面に反応の基点が現れやすくなるため、反応がより進行し易くなる。したがって、収率を向上させることができる。
尚、有機配位子は、親水基を有するものが好ましい。
また、有機配位子は、好ましくはポリカルボン酸であり、より好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸、トリメシン酸又はピロメリット酸である。
尚、本願発明者は、有機配位子がテレフタル酸、イソフタル酸、トリメシン酸又はピロメリット酸である場合に、特に収率が向上し、スケールアップが可能であることを実験的に確認している。
また、本発明に係る、金属有機構造体の製造方法の更なる特徴構成は、
前記反応工程後に、前記金属有機構造体を洗浄して乾燥させ、粉末結晶として単離する単離工程を含む点にある。
上記特徴構成によれば、金属有機構造体を粉末の状態で得ることができる。
また、本発明に係る有機配位子分散液の特徴構成は、
上記金属有機構造体の製造方法に用いる点にある。
上記特徴構成によれば、金属有機構造体の収率を向上させることができ、スケールアップも可能となる。
テレフタル酸の分散性評価試験の結果を示す画像である。 イソフタル酸の分散性評価試験の結果を示す画像である。 トリメシン酸の分散性評価試験の結果を示す画像である。
以下、本発明に係る、金属有機構造体の製造方法について説明する。尚、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
〔金属有機構造体の製造方法の概要〕
本発明に係る、金属有機構造体の製造方法は、中心金属及び中心金属に配位する有機配位子からなる金属有機構造体を製造する方法であって、水中に、水に対する溶解度が低い有機配位子を水に分散させた有機配位子分散液及び中心金属を混合し、加熱及び加圧する反応工程を含み、有機配位子の粒子径は、0.01~80μmである。
〔中心金属〕
本発明において、使用する中心金属は特に制限はなく、金属イオンとして金属有機構造体を構成し得る公知のものを使用できる。中心金属としては、例えば、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi等が挙げられる。
〔有機配位子〕
本発明において、使用する有機配位子は、中心金属に配位可能な官能基を有する化合物であって、上記のように、水に対する溶解度が低く、粒子径が0.01~80μmであるものであれば、特に制限はないが、粒子径が0.01~60μmであると好ましく、0.01~50μmであるとより好ましく、0.01~30μmであると更に好ましい。但し、粒子径が小さいほど処理コストがかさむため、現実的には0.1~30μmが好ましい。尚、水に対する溶解度が低いとは、水に難溶又は不溶であることを意味し、溶解度が0.01~50g/L、より具体的には0.01~33g/Lであることをいう。また、本願における「粒子径」とは、湿式レーザ回折散乱法を用いて測定したメジアン径(D50)である。
尚、水に対する溶解度が低い有機配位子としては、芳香族化合物や脂肪族化合物、脂環式化合物、ヘテロ芳香族化合物、ヘテロ環式化合物に、中心金属に配位可能な官能基として、グリシジル基、無水カルボン酸基、-COOH、-CSH、-OH、-SH、-SO、-SO、-SOH、-NO、-S-、-SS-、-Si(OH)、-Ge(OH)、-Sn(OH)、-Si(SH)、-Ge(SH)、-Sn(SH)、-POH、-AsOH、-AsOH、-P(SH)、-As(SH)、-CH(SH)、-C(SH)、-CH(NH、-C(NH、-CH(OH)、-C(OH)、-CH(CN)、-C(CN)、-CH(RSH)、-C(RSH)、-CH(RNH、-C(RNH、-CH(ROH)、-C(ROH)、-CH(RCN)、-C(RCN)、-NH、-NHR、-NR、芳香環を構成する窒素原子(ピリジンやイミダゾールなどの環内窒素原子)などが含まれるものが挙げられる(式中のRは、C~Cのアルキル基又はアリール基である)。
芳香族化合物としては、ベンゼンやナフタレン、1,4-ジヒドロナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、トリフェニル、アセナフチレン、アセナフテン、テトラヒドロナフタレン、クロマン、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレン、ピレン、インダン、インデンなどが挙げられる。
脂肪族化合物としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンなどが挙げられる。
ヘテロ芳香族化合物としては、フランやチオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンズイミダゾールなどが挙げられる。
ヘテロ環式化合物としては、モルホリンやピロリジン、ピペリジン、メチルピペラジン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。
水に対する溶解度が低い有機配位子の具体例としては、1,4-ブタンジカルボン酸、4-オキソピラン-2,6-ジカルボン酸、1,6-ヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、1,8-ヘプタデカンジカルボン酸、1,9-ヘプタデカンジカルボン酸、ヘプタデカンジカルボン酸、1、2-ベンゼンジカルボン酸、2,3-ピリジンジカルボン酸、ピリジン-2,3-ジカルボン酸、1,3-ブタジエン-1,4-ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、イミダゾール-2,4-ジカルボン酸、2-メチルキノリン-3,4-ジカルボン酸、キノリン-2,4-ジカルボン酸、キノキサリン-2,3-ジカルボン酸、6-クロロキノキサリン-2,3-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノフェニルメタン-3,3′-ジカルボン酸、キノリン-3,4-ジカルボン酸、7-クロロ-4-ヒドロキシキノリン-2,8-ジカルボン酸、ジイミドジカルボン酸、2-メチルイミダゾール-4,5-ジカルボン酸、チオフェン-3,4-ジカルボン酸、2-イソプロピルイミダゾール-4,5-ジカルボン酸、テトラヒドロフラン-4,4’-ジカルボン酸、ペリーレン-3,9-ジカルボン酸、ペリーレンジカルボン酸、プルリオールE200-ジカルボン酸、3,6-ジオキサオクタンジカルボン酸、3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸、セバシン酸、ペンタン-3,3’-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノ-1,1’-ジフェニル-3,3’-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニル-3,3’-ジカルボン酸、ベンジジン-3,3’-ジカルボン酸、1,4-ビス-(フェニルアミノ)-ベンゼン-2,5-ジカルボン酸、1,1’-ビナフチル-8,8’-ジカルボン酸、7-クロロ-8-メチルキノリン-2,3-ジカルボン酸、1-アニリノアントラキノン-2,4’-ジカルボン酸、ポリテトラヒドロフラン-250-ジカルボン酸、1,4-ビス-(カルボキシメチル)-ピペラジン-2,3-ジカルボン酸、7-クロロキノリン-3,8-ジカルボン酸、1-(4-カルボキシ)フェニル-3-(4-クロロ)フェニルピラゾリン-4,5-ジカルボン酸、1,4,5,6,7,7-ヘキサクロロ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、1,3-ジベンジル-2-オキソ-イミダゾリン-4,5-ジカルボン酸、2-ベンゾイルベンゼン-1,3-ジカルボン酸、1,3-ジベンジル-2-オキソイミダゾリン-4,5-ジカルボン酸、2,2’-ビキノリン-4,4’-ジカルボン酸、ピリジン-3,4-ジカルボン酸、3,6,9-トリオキサウンデカンジカルボン酸、O-ヒドロキシベンゾフェノンジカルボン酸、プルリオールE300-ジカルボン酸、プルリオールE400-ジカルボン酸、プルリオールE600-ジカルボン酸、ピラゾール-3,4-ジカルボン酸、5,6-ジメチル-2,3-ピラジンジカルボン酸、4,4’-ジアミノ(ジフェニルエーテル)ジイミドジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルメタンジイミドジカルボン酸、4,4’-ジアミノ(ジフェニルスルホン)ジイミドジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ピリジンジカルボン酸8-メトキシ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-ニトロ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-スルホ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、アントラセン-2,3-ジカルボン酸、2’,3’-ジフェニル-p-テルフェニル-4,4’’-ジカルボン酸、(ジフェニルエーテル)-4,4’-ジカルボン酸、イミダゾール-4,5-ジカルボン酸、4(1H)-オキソ-チオクロメン-2,8-ジカルボン酸、5-t-ブチル-1,3-ベンゼンジカルボン酸、7,8-キノリンジカルボン酸、4,5-イミダゾールジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、ヘキサトリアコンタンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、1,7-ヘプタンジカルボン酸、5-ヒドロキシ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、ピラジン-2,3-ジカルボン酸、フラン-2,5-ジカルボン酸、1-ノネン-6,9-ジカルボン酸、エイコセンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸、1-アミノ-4-メチル-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2,3-ジカルボン酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、シクロヘキセン-2,3-ジカルボン酸、2,9-ジクロロフルオルビン-4,11-ジカルボン酸、7-クロロ-3-メチルキノリン-6,8-ジカルボン酸、2,4-ジクロロベンゾフェノン-2’,5’-ジカルボン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸、1-メチルピロール-3,4-ジカルボン酸、1-ベンジル-1H-ピロール-3,4-ジカルボン酸、アントラキノン-1,5-ジカルボン酸、3,5-ピラゾールジカルボン酸、2-ニトロベンゼン-1,4-ジカルボン酸、ヘプタン-1,7-ジカルボン酸、シクロブタン-1,1-ジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、5,6-デヒドロノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、5-エチル-2,3-ピリジンジカルボン酸、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、7-クロロ-2,3,8-キノリントリカルボン酸、トリメリット酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、2-ホスホノ-1,2,4-ブタンジカルボン酸、トリメシン酸、1-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、4,5-ジヒドロ-4,5-ジオキソ-1H-ピロロ[2,3-F]キノリン-2,7,9-トリカルボン酸、5-アセチル-3-アミノ-6-メチルベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、3-アミノ-5-ベンゾイル-6-メチルベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸、1,1-ジオキシドペリロ[1,12-BCD]チオフェン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ペリーレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ペリーレン-1.12-スルホン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、デカン-2,4,6,8-テトラカルボン酸、1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタジエン-2,3,11,12-テトラカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,11,12-ドデカンテトラカルボン酸、1,2,5,6-ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,9,10-デカンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、2,5-ジヒドロキシテレフタル酸、4,4'-ビフェニルジカルボン酸、1,3,5-トリス(4-カルボキシフェニル)ベンゼンなどが挙げられる。
このうち、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、2,5-ジヒドロキシテレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、1,3,5-トリス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン等が好ましい。
尚、上記水に対する溶解度が低い有機配位子は、市販品であってもよいし、合成により得たものであってもよい。
つまり、本発明における有機配位子は、水に対する溶解度が低い有機配位子(市販品及び合成により得たものの双方を含む)を粒子径が0.01~80μm(より好ましくは0.1~30μm)となるように調製したものである。
また、本発明において、有機配位子は、せん断力及び摩擦力のうち少なくともいずれか一方を加えて粒子径が上記範囲に制御されたものであることが好ましい。せん断力及び摩擦力のうち少なくともいずれか一方を加えて粒子径を制御する方法は、例えば、回転する回転盤と当該回転盤と略平行に設置された盤を備えた装置を用いて、市販品や合成により得た有機配位子にせん断力及び摩擦力のうち少なくともいずれか一方を加える方法である。この場合、回転盤と盤との最短距離が80μm以下(好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下)となるように調整しながら、回転盤を回転させてせん断力及び摩擦力のうち少なくともいずれか一方を加える。このような方法によれば、有機配位子の粒子径を0.01~80μmに制御することができるだけでなく、粒子径が制御された有機配位子の表面に反応の基点が現れやすくなる。
本発明において、有機配位子は、水への分散性の観点から親水基を有していることが好ましい。親水基としては、水酸基やカルボキシ基、アミノ基、ニトロ基等が挙げられるが、水への溶解性が低い化合物、かつ、せん断力及び摩擦力のうち少なくともいずれか一方によって、重量当たりの比表面積が増え、表面に露出する親水基の数を増やすことで親水性が向上するという観点から、特にカルボキシ基が好ましい。
上記のような有機配位子としては、特に、複数のカルボキシ基を有する化合物であるポリカルボン酸が好ましい。ポリカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、2,5-ジヒドロキシテレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、1,3,5-トリス(4-カルボニルフェニル)ベンゼン等が挙げられる。尚、ポリカルボン酸の中でも、水への分散性や合成収率の観点からテレフタル酸、イソフタル酸、トリメシン酸及びピロメリット酸のいずれかがより好ましい。
〔有機配位子分散液〕
本発明において、有機配位子分散液は、上記有機配位子を水に分散させたものである。
有機配位子分散液は、例えば、少量の水の中に有機配位子を投入して撹拌することで得られる。
〔反応工程〕
本発明において、反応工程は、水中に上記有機配位子分散液と上記中心金属とを混合し、加熱及び加圧する工程であり、例えば、オートクレーブ等の密閉型反応容器内に水、中心金属、有機配位子分散液を投入した後、反応液を加圧しながら所定温度まで加熱して所定時間反応させる工程であり、この場合、反応液には飽和蒸気圧が掛かった状態となっている。尚、反応温度は、水の沸点以上の温度であることが好ましく、具体的には、100℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましく、反応液に掛ける圧力は、反応温度に応じた飽和蒸気圧程度であることが好ましい。また、反応時間は、使用する有機配位子の種類や反応条件等によって変動するものであるが、例えば、有機配位子がテレフタル酸である金属有機構造体MIL-101(Cr)を使用する場合、0.5~7時間であることが好ましく、2~6時間であることがより好ましく、3~5時間であることが更に好ましい。
本発明において、反応工程における水中の中心金属の濃度及び有機配位子の濃度は、特に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
〔単離工程〕
また、本発明において、反応工程後に、金属有機構造体を洗浄して乾燥させ、粉末結晶として単離する単離工程を行うことが好ましい。例えば、単離工程では、反応容器内に生成した金属有機構造体を遠心分離等によって分離し、所定の洗浄溶液で洗浄した後、乾燥させて粉末結晶として金属有機構造体を単離する。
〔金属有機構造体〕
本発明における金属有機構造体の製造方法によって製造できる金属有機構造体としては、例えば、以下の表1に示すものが挙げられる。
Figure 2022124995000002
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。尚、本発明が実施例に限定されないことは言うまでもない。
1.分散性評価試験
市販品のテレフタル酸、イソフタル酸及びトリメシン酸に対して、上記回転盤と盤とからなる装置を用いてせん断力及び摩擦力のうち少なくともいずれか一方を加え、それぞれの粒子径を8.4μm、5.7μm及び19.2μmに調製し、これを調製済みサンプル1~3とした。尚、回転盤と盤との最短距離は50μmに設定して処理を開始し、適宜調整した。
また、市販品のテレフタル酸(粒子径106μm)、イソフタル酸(粒子径115μm)及びトリメシン酸(粒子径204μm)を未調製サンプル1~3とした。
尚、各サンプルの粒子径は、マイクロトラックMT3300EXII(マイクロトラック・ベル社製)を使用して、湿式レーザ回折散乱法により測定した。
これら調製済みサンプル1~3及び未調製サンプル1~3をそれぞれの固形分濃度が同じとなるように水に投入して撹拌し、30分静置した。図1~3は、静置後の分散状態を示す画像であり、図1はテレフタル酸(調製済みサンプル1及び未調製サンプル1)、図2はイソフタル酸(調製済みサンプル2及び未調製サンプル2)、図3はトリメシン酸(調製済みサンプル3及び未調製サンプル3)の分散状態を示している。
図1~図3に示すように、調製済みサンプル1~3は水への分散性が高いのに対し、未調製サンプル1~3は大部分が水に沈殿しており、分散性が低い。つまり、粒子径を0.01~80μmに制御することで、水への分散性が向上することが確認できた。
2.ラボスケールでの合成試験
(実施例1-1)
有機配位子としての上記調製済みサンプル1、中心金属となるCrを含んだ硝酸クロム及び溶媒としての水を仕込みモル比が1:1:98となるように、容量390mlのオートクレーブに投入した。その後、200℃まで昇温してオートクレーブ内を飽和水蒸気圧まで昇圧し、温度を200℃のまま4時間維持し、金属有機構造体としてのMIL-101(Cr)を合成した。合成後、遠心分離によってMIL-101(Cr)を分離して水で洗浄し、真空乾燥させて単離した。
(比較例1-1)
有機配位子として上記未調製サンプル1を使用し、実施例1-1と同様の条件でMIL-101(Cr)を合成し、単離した。
(比較例2)
上記未調製サンプル1に対して、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)を用いて粒径を調製する処理を施したものを有機配位子として使用し、実施例1-1と同様の条件でMIL-101(Cr)を合成し、単離した。
実施例1-1及び比較例1-1,比較例2について、単離したMIL-101(Cr)の乾燥重量及び分子量(717g/mol)、並びに硝酸クロムの仕込み重量及び分子量(238g/mol)を基に、MIL-101(Cr)の収率を下記数1によりCrのモル数で算出した。
Figure 2022124995000003
表2は、有機配位子の粒子径及び収率をまとめた表である。表2から分かるように、比較例1-1及び比較例2はそれぞれ収率が47%、43%であるのに対し、実施例1-1では72%と格段に高くなっている。このことから、有機配位子の粒子径を0.01~80μmに制御することで、収率が向上することが確認できた。
Figure 2022124995000004
(実施例1-2)
有機配位子としての上記調製済みサンプル3、中心金属となるCrを含んだ硝酸クロム及び溶媒としての水を仕込みモル比が0.73:1:98となるように、容量125mlのオートクレーブに投入した。その後、220℃まで昇温してオートクレーブ内を飽和水蒸気圧まで昇圧し、温度を220℃のまま48時間維持し、金属有機構造体としてのMIL-100(Cr)を合成した。合成後、水及びメタノールで洗浄し、乾燥させて単離した。
(比較例1-2)
有機配位子として上記未調製サンプル3を使用し、実施例1-2と同様の条件でMIL-100(Cr)を合成し、単離した。
実施例1-2及び比較例1-2について、単離したMIL-100(Cr)の乾燥重量及び分子量(645g/mol)、並びに硝酸クロムの仕込み重量及び分子量(238g/mol)を基に、MIL-100(Cr)の収率を下記数2によりCrのモル数で算出した。
Figure 2022124995000005
表3は、有機配位子の粒子径及び収率をまとめた表である。表3から分かるように、比較例1-2では収率が62%であるのに対し、実施例1-2では89%と高くなっている。このことから、有機配位子としてトリメシン酸を採用して金属有機構造体を合成した場合でも、有機配位子の粒子径を0.01~80μmに制御することで、収率が向上することが確認できた。
Figure 2022124995000006
(実施例1-3)
有機配位子としての上記調製済みサンプル1、中心金属となるAlを含んだ硝酸アルミニウム九水和物及び溶媒としての水を仕込みモル比が0.5:1:89となるように、容量125mlのオートクレーブに投入した。その後、220℃まで昇温してオートクレーブ内を飽和水蒸気圧まで昇圧し、温度を220℃のまま24時間維持し、金属有機構造体としてのMIL-53(Al)を合成した。合成後、水で洗浄し、乾燥させて単離し、その後、400℃で2日間焼成することで、MIL-53(Al)を得た。
(比較例1-3)
有機配位子として上記未調製サンプル1を使用し、実施例1-3と同様の条件でMIL-53(Al)を合成し、単離した。
実施例1-3及び比較例1-3について、単離したMIL-53(Al)の乾燥重量及び分子量(208g/mol)、並びにテレフタル酸の仕込み量及び分子量(166g/mol)を基に、MIL-53(Al)の収率を下記数3によりテレフタル酸のモル数で算出した。
Figure 2022124995000007
表4は、有機配位子の粒子径及び収率をまとめた表である。表4から分かるように、比較例1-3では収率が15%であるのに対し、実施例1-3では24%と高くなっている。このことから、中心金属がAlである金属有機構造体を合成する場合でも、有機配位子の粒子径を0.01~80μmに制御することで、収率が向上することが確認できた。
Figure 2022124995000008
3.スケールアップ試験
(実施例2)
粒子径を14μmに調製したテレフタル酸(有機配位子)を水に分散させて18%テレフタル酸分散液を調製し、このテレフタル酸分散液206kg、40%硝酸クロム水溶液125kg及び水153kgを、容量700Lのオートクレーブに投入した。その後、200~220℃に昇温してオートクレーブ内を飽和水蒸気圧まで昇圧し、温度を保ったまま4時間維持して、MIL-101(Cr)を合成した。合成後、遠心分離によってMIL-101(Cr)を分離して水で洗浄し、真空乾燥させて単離した。
(比較例3)
有機配位子として上記未調製サンプル(固体)32kg、40%硝酸クロム水溶液125kg及び水344kgを、容量700Lのオートクレーブに投入し、実施例2と同様の条件でMIL-101(Cr)を合成し、単離した。
実施例2及び比較例3について、上記と同様に数1により収率を算出した。
表5は、有機配位子の粒子径、単離したMIL-101(Cr)の乾燥重量及び収率をまとめた表である。表5からわかるように、比較例3は、乾燥重量が0.9kg、収率が2%である。これに対して、実施例2は、乾燥重量17.6kg、収率が36%であり、比較例3と比べて格段に合成効率が向上している。このことから、本発明の金属有機構造体の製造方法であれば、スケールアップが可能であることが確認できた。
Figure 2022124995000009
本発明に係る金属有機構造体の製造方法及び有機配位子分散液は、中心金属及び中心金属に配位する有機配位子からなる金属有機構造体を製造するために利用することができる。

Claims (7)

  1. 中心金属及び前記中心金属に配位する有機配位子からなる金属有機構造体を製造する方法であって、
    水中に、水に対する溶解度が低い前記有機配位子を水に分散させた有機配位子分散液及び前記中心金属を混合し、加熱及び加圧する反応工程を含み、
    前記有機配位子の粒子径は、0.01~80μmである、金属有機構造体の製造方法。
  2. 前記有機配位子は、せん断力及び摩擦力のうち少なくともいずれか一方を加えて前記粒子径が制御されたものである請求項1に記載の、金属有機構造体の製造方法。
  3. 前記有機配位子は、親水基を有する請求項1又は2に記載の、金属有機構造体の製造方法。
  4. 前記有機配位子は、ポリカルボン酸である請求項1~3のいずれか一項に記載の、金属有機構造体の製造方法。
  5. 前記ポリカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメシン酸又はピロメリット酸である請求項4に記載の、金属有機構造体の製造方法。
  6. 前記反応工程後に、前記金属有機構造体を洗浄して乾燥させ、粉末結晶として単離する単離工程を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の、金属有機構造体の製造方法。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の金属有機構造体の製造方法に用いる有機配位子分散液。
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