JP2022124883A - キノコの栽培方法、ポリフェノール類含有キノコおよびキノコ栽培用菌床 - Google Patents

キノコの栽培方法、ポリフェノール類含有キノコおよびキノコ栽培用菌床 Download PDF

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Abstract

【課題】オリーブの枝や葉を利用したキノコの栽培方法、かかる栽培方法で栽培されたポリフェノール類含有キノコおよびかかる栽培方法に用いられるキノコ栽培用菌床を提供する。【解決手段】本発明のキノコの栽培方法は、菌床を用いたキノコの栽培方法であって、オリーブの枝および/または葉から、精油および/または水性の液体の少なくとも一部を分離した固形分を含む菌床を用いる。オリーブの枝や葉を処理した固形分を利用してキノコの栽培が行えるようになるので、未利用のバイオマス資源を有効に活用できるようになる。しかも、癌や生活習慣病、感染症、認知症などの予防が期待できるキノコを栽培することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、キノコの栽培方法、ポリフェノール類含有キノコおよびキノコ栽培用菌床に関する。さらに詳しくは、オリーブの枝葉を利用したキノコの栽培方法、かかる栽培方法で栽培されたポリフェノール類含有キノコおよびかかる栽培法に用いられるキノコ栽培用菌床に関する。
近年、日本でもオリーブの栽培が盛んになってきている。オリーブの果実には、オレウロペインをはじめとする様々なポリフェノール類が含まれていることが知られており、多種多様な機能性食品に利用されている一方、果実の収穫過程で剪定される枝葉は廃棄されているのが一般的である。このような搾油後の果実粕や剪定された枝葉にも、果実と同様のポリフェノール類が含まれていることは知られていることから、オリーブ栽培で廃棄される廃棄物の有効な利用方法の開発が求められている。
従来、オリーブ果実粕を養殖魚のエサや家畜飼料(例えば、特許文献1)に混合して利用する方法が提案されている。しかし、葉を枝から分離したりする作業に手間がかかるなどの煩雑さから、剪定された枝葉の利用は限定的であるというのが実情である。
ここで、キノコ栽培では、原木栽培と菌床栽培の2通りがあり、現在、ほとんどの食用キノコは菌床栽培で生産されている。菌床栽培の原料は、広葉樹のおが粉などが利用されているが、広葉樹林減少による将来的な供給不足の懸念が指摘されている。
そこで、オリーブの栽培において排出される産業廃棄物をキノコの菌床に利用する技術が提案されている。例えば、特許文献2には、搾油後の果実残渣をシメジの菌床に利用する技術が開示されている。
特開2018-143228号公報 特開2000-023564号公報 特開2012-090625号公報 特開2012-055309号公報 特開2002-218843号公報
しかしながら、特許文献1には、廃棄物として排出されるオリーブの枝葉を菌床に利用することについては記載や示唆はない。
また、オリーブオイルを菌床に利用する技術(例えば、特許文献3~5)は、多数存在するものの、これらの文献においても、オリーブの枝葉を菌床に利用することについての記載や示唆はない。
本発明は上記事情に鑑み、オリーブの枝や葉を利用したキノコの栽培方法、かかる栽培方法で栽培されたポリフェノール類含有キノコおよびかかる栽培方法に用いられるキノコ栽培用菌床を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、オリーブの枝や葉を処理することにより、キノコの栽培が可能であることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明のキノコの栽培方法は、菌床を用いたキノコの栽培方法であって、前記菌床が、オリーブの枝および/または葉から、精油および/または水性の液体の少なくとも一部を分離した固形分を含むことを特徴とする。
本発明のポリフェノール類含有キノコは、ポリフェノール類を含有するキノコであり、該ポリフェノール類が、ヒドロキシチロソールを含有することを特徴とする。
本発明のキノコ栽培用菌床は、キノコの栽培に用いられる菌床であって、該菌床が、オリーブの枝および/または葉から、精油および/または水性の液体の少なくとも一部を分離した固形分を含むことを特徴とする。
本発明によれば、オリーブの枝や葉を処理した固形分を利用してキノコを栽培することにより、癌や生活習慣病、感染症、認知症などの予防が期待できるポリフェノール類含有キノコ、かかるキノコの栽培方法および当該栽培方法に用いられるキノコ栽培用菌床を提供することができる。
マイクロ波減圧蒸留装置1の概略説明図である。 実験で栽培したキノコの一例を示した図である。 エノキタケの子実体抽出液のHPLCクロマトグラムの一例を示した図である。
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本実施形態のポリフェノール類含有キノコは、オリーブの枝や葉を処理して得られる固形分を含有する本実施形態のキノコ栽培用菌床を用いて、本実施形態のキノコ栽培方法により栽培される、癌や生活習慣病、感染症、認知症などの予防が期待できるキノコである。
(本実施形態のポリフェノール類含有キノコ)
本実施形態のポリフェノール類含有キノコ(以下、ポリフェノール類含有キノコという)は、食用にされるキノコであれば、とくに限定されない。例えば、シイタケ、エノキタケ、ナメコ、ヒラタケ、ブナシメジ、エリンギ、ヤマブシタケ等を挙げることができる。
このポリフェノール類含有キノコは、子実体がポリフェノール類を含有している。ポリフェノール類含有キノコに含まれるポリフェノール類は、一般的なポリフェノール類のほか、その配糖体や誘導体等を挙げることができる。具体的には、後述する栽培方法に用いられるキノコ栽培用菌床に含まれるオリーブ由来のポリフェノール類やこれらの分解物、キノコの生合成経路により合成されたポリフェノール類等を挙げることができる。
ポリフェノール類含有キノコが含有するポリフェノール類としては、例えば、オリーブの葉に多く含まれるポリフェノール類の一種であるオレウロペイン(オレウロペインアグリコンを含む)の代謝物を挙げることができる。このような代謝物は、様々な化合物を挙げることができるが、代表例としては、例えば、ヒドロキシチロソール(4-(2-Hydroxyethyl)-1,2-benzenediol)が存在する。
上記のごとく、ポリフェノール類含有キノコは、子実体である可食部に多くのポリフェノール類を含有させることができる。このようなポリフェノール類は、優れた抗酸化活性を発揮することは知られている。このため、ポリフェノール類含有キノコを食すことにより、体内で発生する活性酸素の働きなどを抑制することが期待される。具体的には、ポリフェノール類含有キノコを食すことで、活性酸素の影響による老化現象や癌、感染症、認知症などの予防に効果が期待される。
また、ポリフェノール類含有キノコは、α-グルコシダーゼ阻害活性を発揮させることができる。このため、ポリフェノール類含有キノコを食すことにより、体内において、α-グルコシダーゼ阻害活性を発揮させることにより糖質の消化吸収の抑制や調節を行うことが期待される。具体的には、ポリフェノール類含有キノコを食すことで、過剰な糖質を摂取することによる生活習慣病の予防、食後の高血糖を制御などに効果を発揮することが期待される。
したがって、ポリフェノール類含有キノコが上記のごとき抗酸化活性および/またはα-グルコシダーゼ阻害活性を発揮させることができるので、人が食することにより、癌や生活習慣病、感染症、認知症などの予防効果が期待される。
ポリフェノール類含有キノコが有する抗酸化活性やα-グルコシダーゼ阻害活性の評価は、後述する実施例に記載の方法により行うことができる。例えば、ポリフェノール類含有キノコを熱水抽出や水抽出により調製した子実体抽出液を抗酸化活性やα-グルコシダーゼ阻害活性の評価に供し分析することができる。
(本実施形態のキノコ栽培用菌床)
ポリフェノール類含有キノコは、上述したように本実施形態のキノコ栽培用菌床(以下、キノコ栽培用菌床という)を用いて栽培することができる。具体的には、ポリフェノール類含有キノコは、オリーブから精油および/または水性の液体の少なくとも一部を分離した後に得られる固形分が含まれたキノコ栽培用菌床を用いて栽培されたものである。言い換えれば、キノコ栽培用菌床は、上述した癌予防などの機能性を有するキノコを栽培するための菌床である。
キノコ栽培用菌床に含まれる固形分は、オリーブから精油および/または水性の液体の少なくとも一部が分離されたものである。対象となるオリーブの部位は、枝や葉であり、これらを単独または混合して使用することができる。
また、使用されるオリーブは、モクセイ科のオリーブ属に属する植物であり、その種類はとくに限定されない。なお、以下、単にオリーブと称する場合は、上記対象部位を意味する。
固形分の調製に用いられるオリーブの栽培状態は、とくに限定されない。例えば、オリーブの果実の収穫過程で廃棄される予定のオリーブの枝や葉などを用いれば、キノコ栽培用菌床は、未利用のバイオマス資源を有効に活用することができるという利点が得られる。
固形分の調製方法は、オリーブから精油および/または水性の液体の少なくとも一部を分離することができれば、とくに限定されない。例えば、圧搾や蒸留等の処理を行うことにより、固形分を調製することができる。
圧搾機や蒸留装置等を用いて固形分を調製する場合、装置等の収容部に収容できる大きさに処理して供給することができる。なお、オリーブの葉などは、そのまま供給してもよいが、処理時間や処理効率の観点から、小さくした状態で供給するのが好ましい。オリーブを装置等へ供給する際に小さくする方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、裁断や粉砕等の処理を行えば、オリーブをチップ状や粉状などの粉砕物として装置等に供給することができる。
圧搾機を用いた場合、搾汁液として上記精油および/または水性の液体が得られ、残渣として固形分を得ることができる。
また、蒸留装置を用いた場合、上記精油および/または水性の液体が蒸留物として得られ、残渣である残留物として固形分を得ることができる。つまり、蒸留装置を用いた場合、固形分は、オリーブを蒸留することにより、蒸留装置に供されたオリーブから精油および/または水性の液体の少なくとも一部が蒸留物として分離された後に残った残渣である。
蒸留装置を用いた処理では、常圧蒸留、減圧蒸留、水蒸気蒸留等の処理により固形分を得ることができる。
また、蒸留装置を用いた際の加熱方法もとくに限定されず、ヒーターや熱水、水蒸気のほかマイクロ波を照射する方法を採用することができる。
例えば、マイクロ波を照射する方法を採用すれば、オリーブに含まれる成分をキノコ栽培に利用しやすくなるので好ましい。具体的には、マイクロ波をオリーブに対して照射すれば、オリーブに含まれる水分が加熱されて水蒸気として放出される。このときオリーブに含まれる精油や水溶性の化合物(揮発性の成分も含む)などが蒸留物として得られる。一方、オリーブを構成する細胞壁がマイクロ波により破壊されやすい状態になる。このため、一般的な蒸留法では抽出されにくい成分を残留物である残渣(つまり固形分)に抽出等されやすい状態で含ませることができる。
したがって、マイクロ波を照射する方法を採用して調製した固形分を含有するキノコ栽培用菌床で栽培すれば、かかる成分をより多く含有するキノコを得ることができる。
マイクロ波を照射する蒸留装置としては、公知のものを採用することができる。例えば、図1に示すようなマイクロ波減圧蒸留装置1を用いることができる。
このマイクロ波減圧蒸留装置1は、原料となるオリーブを収容するための収容部に相当する蒸留槽2と、マイクロ波を照射するためのマイクロ波加熱装置3と、蒸留槽2に空気あるいは窒素ガス等の不活性ガスなどを供給するための気流流入管4と、蒸留された蒸留物を誘導する蒸留物流出管5と、蒸留物流出管5を冷却する冷却装置6と、蒸留槽2の温度を制御するための加熱制御装置7と、蒸留槽2の内部の圧力を制御するための圧力制御装置10とを備えている。圧力制御装置10は、減圧ポンプ8と、圧力制御弁9とを備えている。
以上のごとき構成であるので、このマイクロ波減圧蒸留装置1は、蒸留槽2の内部の圧力等が加熱制御装置7および圧力制御装置10を介してそれぞれ調整されるようになっている。
なお、蒸留装置を用いた場合の蒸留条件は、公知の条件を採用することができる。条件は内容量やその含水率、マイクロ波の強度などにより変わってくるが、例えば、装置の収容部内の圧力が、10~90kPaの減圧下、処理時間が0.2~8時間となるように調整することができる。
蒸留物として得られた精油と水性の液体の混合物は、静置、再蒸留、液液分離処理等の処理を行うことにより、油性の画分と水溶性の画分とに分離することができる。分離した画分のうち、油性の画分が上述した精油に、水溶性の画分が上述した水性の液体に相当する。これらの分画は、分離することにより、所望の用途にそれぞれ利用することができる。とくに、水性の液体は、菌床用として利用することができる。
キノコ栽培用菌床は、上述した固形分のみから調製してもよいが、水分を含有させてもよい。この水分は、一般的な水のほか、上述した水性の液体または水と水性の液体の混合液を使用してもよい。つまり、キノコ栽培用菌床には、オリーブから得られた固形分のほかに、水、水性の液体、これらの混合液のいずれかを含有させてもよい。
この水性の液体は、上述した方法で調製されていればよく、例えば、圧搾機を用いて得られたものや、蒸留装置を用いて得られたものである。後者の方法としては、例えば、オリーブの枝および/または葉に対してマイクロ波を照射しながら減圧蒸留して得られた蒸留物の水層画分を水性の液体として採用することができる。
キノコ栽培用菌床が、固形分と、水分とを含む場合の各構成成分の含有割合はとくに限定されない。含水率については、キノコの種類によって適宜調整すればよく、例えば、含水率が60~70%が好ましい。具体的には、キノコ栽培用菌床に含まれる水分の含有割合は、固形分100質量部に対して500質量部以上となるように調整することができる。
また、キノコ栽培用菌床が、固形分と、水分のほかに、一般的な菌床に用いられる米糠を含ませてもよい。この場合の各構成成分の含有割合もとくに限定されず、キノコの種類によって適宜調整することができる。
例えば、キノコ栽培用菌床に含まれる米糠の含有割合は、固形分100質量部に対して100質量部以上、300質量部以下となるように調整する。好ましくは250質量部~300質量部である。100質量部~300質量部の範囲であれば、キノコの子実体が正常に形成される。
なお、キノコ栽培用菌床に含まれる水分の含有割合は、上述した場合と同様に調整することができる。また、米糠は栄養が高く安価であるので、栽培及び経済的な観点から好ましい。
キノコ栽培用菌床に含まれる固形分、水分、米糠を上記のごとき含有割合となるように調整すれば、より適切にポリフェノール類含有キノコを栽培することができる。
(本実施形態のキノコの栽培方法)
ポリフェノール類含有キノコは、上述したようにキノコ栽培用菌床を用いた本実施形態のキノコの栽培方法により栽培することができる。つまり、本実施形態のキノコの栽培方法を採用することにより、従来では未利用で廃棄されていたオリーブの枝や葉などを用いたキノコ栽培用菌床により所望のキノコを栽培することができるようになる。言い換えれば、未利用のバイオマス資源を有効に活用できるようになる。
しかも、本実施形態のキノコの栽培方法により栽培されるキノコは、ポリフェノール類を含有したキノコ(ポリフェノール類含有キノコ)であり、このポリフェノール類含有キノコに対して抗酸化活性やα-グルコシダーゼ阻害活性を発揮させることができる。このため、本実施形態のキノコの栽培方法を採用して所望のキノコを栽培することにより、癌や生活習慣病、感染症、認知症などの予防が期待できるキノコを栽培することができるようになる。
なお、本実施形態のキノコの栽培方法で用いられるキノコ栽培用菌床および栽培されるポリフェノール類含有キノコは、上述したとおりであり、重複する内容については割愛する。
本実施形態のキノコの栽培方法は、キノコ栽培用菌床を用いてポリフェノール類含有キノコを栽培することができれば、とくに限定されない。
本実施形態のキノコの栽培方法として、例えば、公知のキノコ栽培に適用される方法や、菌糸体を培養する第一工程と子実体を発生させ育成する第二工程とを含む方法で栽培してもよい。
後者の具体的な方法としては、第一工程が、キノコ栽培用菌床にキノコの種菌を植菌後、暗条件下で菌糸体を培養する工程であり、第二工程が、第一工程の温度よりも低い温度かつ明条件下で子実体を発生させ育成する工程である。
第一工程における栽培温度は、栽培するキノコに応じて適宜調整すればよく、例えば、エノキタケやヒラタケなどであれば、20℃~25℃に調整することができる。
また、第二工程における栽培温度は、第一工程の栽培温度よりも低くかつキノコの子実体が発生し易い温度に調整すればよい。例えば、上記キノコであれば、10℃~15℃程度低くなるよう調整すればよい。
このように第二工程において栽培温度を調整(低温シフト調整)することにより、子実体の発生および生育を適切に行わせることができるようになる。
なお、第一工程後、第二工程に移行する際に、キノコ栽培用菌床の表面部分に形成された菌糸体(表面菌糸体)を除去する菌欠き処理を行ってもよい。かかる処理を行うことにより、第二工程における子実体の発生がし易くなる。
つぎに、実施例によりさらに詳細に本発明を説明する。なお、これらの実施例は、本実施形態の一例を示すものであり、本発明は、以下の実施例によってなんら制限を受けるものではない。
オリーブの剪定した枝および葉を粉砕機で粉砕した粉砕物を、図1に示したマイクロ波減圧蒸留装置の蒸留槽内へ投入し、蒸留槽内を下記条件に設定した状態で蒸留処理を行った。
蒸留槽内の圧力:0.25KPaの減圧条件
蒸留時間:30分
図1に示したマイクロ波減圧蒸留装置を用いて蒸留処理することにより、残渣(固形分)と蒸留物を得た。
得られた残渣を蒸留槽内から取り出し、この残渣と蒸留物を用いて菌床を調製した。
菌床の調製は、以下のとおり行った。
なお、調製した菌床が、本実施形態のキノコ栽培用菌床に相当する。
菌床の調製は、2種類行った(実施例1の菌床A、実施例2の菌床B)。
菌床A:菌床全体の質量に対して、残渣(オリーブ枝葉)が10質量%、米糠(米ぬか)が30質量%(残渣100質量部に対して300質量部)、水が60質量%(残渣100質量部に対して600質量部)
菌床B:菌床全体の質量に対して、残渣(オリーブ枝葉)が10質量%、米糠(米ぬか)が30質量%(残渣100質量部に対して300質量部)、蒸留物のうち水溶性の画分として得られたオリーブ枝葉抽出水が60質量%(残渣100質量部に対して600質量部)
なお、オリーブ枝葉抽出水が、本実施形態でいう水性の液体に相当する。
キノコの種類は、エノキタケ、ヒラタケ、ヤマブシタケ、ブナシメジ、ナメコとした。
菌床A、Bに各キノコの種菌を植菌し、23℃、湿度70%、暗条件で静置して菌糸体を培養した。培養後、菌床A、Bの菌床表面に発生した菌糸体を除去する菌欠きを行った後、15℃、湿度90%、明条件で静置して子実体を発生させ、発生した子実体を育成し子実体を形成させた。
形成した子実体が、本実施形態のポリフェノール類含有キノコに相当する。
形成した子実体の代表例として、図2にエノキタケを示す。図2の左から順に、比較例1のエノキタケ、実施例1のエノキタケ、実施例2のエノキタケを示す。
植菌から収穫までの各キノコの栽培期間は、以下のとおりであった。
エノキタケ:約40日間(暗条件:約20日間、明条件:約20日間)
ヒラタケ:約45日間(暗条件:約25日間、明条件:約20日間)
ヤマブシタケ:約45日間(暗条件:約30日間、明条件:約15日間)
ブナシメジ:約80日間(暗条件:約40日間、明条件:約40日間)
ナメコ:約100~約130日間(暗条件:約60日間、明条件:約40~70日間)
収穫した子実体が有する総ポリフェノール類の分析、子実体が有する抗酸化活性およびα-グルコシダーゼ阻害活性の評価は以下のとおり行った。
(総ポリフェノール類の分析)
子実体の総フェノール量の分析は、子実体から調製した子実体抽出液を用いて、フォーリン-チオカルト法により没食子酸相当量(μmol・没食子酸/ml)で評価した。
子実体抽出液の調製は、水と熱水を用いてそれぞれ以下のとおり調製した。
(水抽出による子実体抽出液の調製)
子実体3g(そのまま)と水30mlを混合して、24時間4℃で静置した。その後、遠心分離機(8000rpm、4℃、30分)を用いて遠心分離した。遠心分離後の上清を分取して、遠心分離機(8000rpm、4℃、15分)を用いて2回目の遠心分離を行った。この遠心分離後の上清を分取して、遠心分離機(120000rpm、4℃、10分)を用いて3回目の遠心分離を行った。
3回目の遠心分離後の上清を分取して、水抽出による子実体抽出液を調製した。図中では、水抽出による子実体抽出液を単に「水抽出液」として表記した。
(熱水抽出による子実体抽出液の調製)
水の代わりに熱水(100℃)を用いた以外は、水抽出による子実体抽出液の調製と同様にして熱水抽出による子実体抽出液を調製した。図中では、熱水抽出による子実体抽出液を単に「熱水抽出液」として表記した。
測定条件は、以下のとおりとした。
検出器:マイクロプレートリーダー(コロナ電子工業社製、型番:SH-1200 Lab)
測定波長:750nm
検量線用標準試薬:没食子酸(和光純薬工業株式会社製)
フォーリンチオカルト試薬(和光純薬工業株式会社製)
比較例1として、残渣の代わりにおが粉を使用した以外は実施例と同様に行った。
Figure 2022124883000002
表1に総ポリフェノール類の分析結果を示す。
表1に示すように、各種キノコとも、比較例1と比較して、実施例1、実施例2とも総ポリフェノール増が増大した。
(抗酸化活性の分析)
子実体が有する抗酸化活性は、子実体から調製した子実体抽出液を用いて、DPPHラジカル消去活性法およびスーパーオキシドラジカル消去活性法で分析して、DPPHラジカル除去率(%)およびスーパーオキシドラジカル除去率(%)で評価した。
測定条件は、以下のとおりとした。
(スーパーオキシドラジカル消去活性)
市販のキット(ATTO社、AB-2970 CLETA-S キット)を用いて発光法により測定した。
発光量は、ATTO社の発光測定装置 AB-2270 ルミネッセンサーを用いて測定した。
(DPPHラジカル消去活性)
180μLのDPPH溶液(DPPH 1.0mg、100%エタノール5.0ml、0.1M MESバッファー(pH6.0)5.0ml)に試料あるいは抽出溶媒(ネガティブコントロール)を20μl添加して、室温・遮光下で30分間反応させた。
反応後は、マイクロプレートリーダー(コロナ電子工業社製、SH-1200 Lab)を用いて、517nmの吸光度を測定した。
Figure 2022124883000003
Figure 2022124883000004
表2に抗酸化活性(DPPHラジカル除去率(%))の評価結果を、表3に抗酸化活性(スーパーオキシドラジカル除去率(%))の評価結果を示す。
表2に示すように、各種キノコの抽出液とも、実施例1及び実施例2は、比較例1よりもDPPHラジカル除去率が向上していることを確認した。
表3に示すように、各種キノコの抽出液とも、実施例1及び実施例2は、比較例1よりもスーパーオキシドラジカル除去率が向上していることを確認した。
(α-グルコシダーゼ阻害活性の分析)
測定用試料を用いてα-グルコシダーゼ阻害活性を分析した。
α-グルコシダーゼ阻害活性は、α-グルコシダーゼ(シグマ-アルドリッチ社製、型番 I1630)で評価した。
測定用試料から所定量を分取して、α-グルコシダーゼと混合した後、10分間室温で静置した。その後、調整した混合液にp-ニトロフェニルα-D-グルコピラノシド水溶液を添加して、37℃で30分間、攪拌しながら反応させた後、Tris水溶液を加え、マイクロプレートリーダー(コロナ電子工業社製、SH-1200 Lab)を用いて、400nmの吸光度を測定した。
α-グルコシダーゼ阻害活性は、α-グルコシダーゼ阻害活性率(%)として示した。表中では、単に「阻害活性率(%)」として示した。
α-グルコシダーゼ阻害活性率(%)は、各分析値からブランク値を減算した値を、ブランク値で除することにより求めた。
Figure 2022124883000005
表4にα-グルコシダーゼ阻害活性(α-グルコシダーゼ阻害活性率(%))の評価結果を示す。
表4に示すように、各種キノコの抽出液とも、実施例1及び実施例2は、比較例1よりも、α-グルコシダーゼ阻害活性が向上していることを確認した。
(子実体に含まれるポリフェノール類の分析)
栽培したキノコに含まれるポリフェノール類をHPLC(島津製作所製)を用いて分析した。
実験では、エノキタケの子実体抽出液を使用した。
測定条件は、以下のとおりとした。
使用カラム:Shim-pack CLC-ODS 250×4.6mm(島津製作所製)
移動相:A液(2%酢酸)、B液(100%メタノール)
流速:0.5ml/min
測定波長:280nm
測定結果を図3に示す。
図3(A)に示すように、オリーブの枝及び葉から得られた残渣(固形分)を使用した菌床を用いて栽培したエノキタケの子実体抽出液からヒドロキシチロソールが検出された。
一方、図3(B)に示すように、比較例1のおが粉で栽培したエノキタケの子実体抽出液からはヒドロキシチロソールは検出されておらず、比較例1に対する実施例1の総ポリフェノール量増大分(対Ct)が、ポリフェノール成分として知られるヒドロキシチロソールである可能性が考えられる。
本発明のキノコの栽培方法およびキノコ栽培用菌床は、本発明のポリフェノール類含有キノコの栽培に適しており、未利用のバイオマス資源の有効活用に適している。本発明のポリフェノール類含有キノコは、機能性食品として適している。
1 マイクロ波減圧蒸留装置
2 蒸留槽
3 マイクロ波加熱装置
4 気流流入管
5 蒸留物流出管
6 冷却装置
7 加熱制御装置
8 減圧ポンプ
9 圧力制御弁
10 圧力制御装置

Claims (16)

  1. 菌床を用いたキノコの栽培方法であって、
    前記菌床が、
    オリーブの枝および/または葉から、精油および/または水性の液体の少なくとも一部を分離した固形分を含む
    ことを特徴とするキノコの栽培方法。
  2. 前記菌床に、前記水性の液体を含ませる
    ことを特徴とする請求項1記載のキノコの栽培方法。
  3. 前記固形分が、
    オリーブの枝および/または葉に対してマイクロ波を照射しながら減圧蒸留した後の残留物である
    ことを特徴とする請求項1または2記載のキノコの栽培方法。
  4. 前記水性の液体が、
    オリーブの枝および/または葉に対してマイクロ波を照射しながら減圧蒸留して得られた液体である
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のキノコの栽培方法。
  5. 前記菌床が、
    前記固形分と、米糠と、を含み、
    前記米糠の含有割合が、
    前記固形分100質量部に対して、100質量部以上である
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のキノコの栽培方法。
  6. 前記キノコが、
    シイタケ、エノキタケ、ナメコ、ヒラタケ、ブナシメジ、エリンギおよびヤマブシタケからなる群から選ばれる
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のキノコの栽培方法。
  7. 前記キノコが、ヒドロキシチロソールを含有する
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のキノコの栽培方法。
  8. ポリフェノール類を含有するキノコであり、
    該ポリフェノール類が、ヒドロキシチロソールを含有する
    ことを特徴とするポリフェノール類含有キノコ。
  9. 前記キノコが、
    シイタケ、エノキタケ、ナメコ、ヒラタケ、ブナシメジ、エリンギおよびヤマブシタケからなる群から選ばれたキノコである
    ことを特徴とする請求項8記載のポリフェノール類含有キノコ。
  10. 機能性食品として用いられる
    ことを特徴とする請求項8または9記載のポリフェノール類含有キノコ。
  11. キノコの栽培に用いられる菌床であって、
    該記菌床が、
    オリーブの枝および/または葉から、精油および/または水性の液体の少なくとも一部を分離した固形分を含む
    ことを特徴とするキノコ栽培用菌床。
  12. 前記菌床が、前記水性の液体を含む
    ことを特徴とする請求項11記載のキノコ栽培用菌床。
  13. 前記固形分が、
    オリーブの枝および/または葉に対してマイクロ波を照射しながら減圧蒸留した後の残留物である
    ことを特徴とする請求項11または12記載のキノコ栽培用菌床。
  14. 前記水性の液体が、
    オリーブの枝および/または葉に対してマイクロ波を照射しながら減圧蒸留して得られた液体である
    ことを特徴とする請求項11、12または13記載のキノコ栽培用菌床。
  15. 前記菌床が、
    前記固形分と、米糠と、を含み、
    前記米糠の含有割合が、
    前記固形分100質量部に対して、100質量部以上である
    ことを特徴とする請求項11、12、13または14記載のキノコ栽培用菌床。
  16. 前記キノコが、
    シイタケ、エノキタケ、ナメコ、ヒラタケ、ブナシメジ、エリンギおよびヤマブシタケからなる群から選ばれたキノコである
    ことを特徴とする請求項11、12、13、14または15記載のキノコ栽培用菌床。

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