JP2022121427A - 造形状態推定システム、方法、コンピュータプログラム、及び学習モデルの学習方法 - Google Patents

造形状態推定システム、方法、コンピュータプログラム、及び学習モデルの学習方法 Download PDF

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Abstract

【課題】積層造形物の製造過程において造形状態を推定することが可能なシステムを提供する。【解決手段】本発明によれば、積層造形物の製造過程において造形状態を推定するためのシステムであって、画像取得部と解析部とを備え、前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、前記画像取得部は、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データを取得し、前記解析部は、前記画像データを解析して造形状態を表すパラメータを推定するシステムが提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、積層造形物に係る造形状態を推定するためのシステム、方法、コンピュータプログラム、及び学習モデルの学習方法に関するものである。
三次元造形物の積層造形においては、種々の方式が知られている。例えば、不活性ガスが充満されたチャンバ内において、造形テーブル上の造形領域に金属の材料粉体を供給して材料層を形成し、材料層の所定位置にレーザ光照射装置を用いてレーザ光を照射することで材料層を焼結又は溶融させて固化層を形成する。そして、材料層及び固化層の形成を繰り返すことによって、固化層を積層して所望の三次元造形物を製造する。
このような金属の積層造形においては、製品の仕様に応じた適切な造形条件の調査が事前に行われる。実際の造形においては、調査により得られた適切な造形条件に基づき材料層の積層厚さやレーザ光の走査条件等に係る積層造形装置の設定が行われる。
このように造形条件を設定した場合であっても、実際の造形状態は積層造形の過程において変化し得る。例えば、レーザ光照射装置の設定が一定であっても、レーザ光路に存在するヒューム、及びチャンバの天井部に設けられレーザ光が透過するチャンバウィンドウの熱変位により、材料層表面の照射箇所におけるレーザパワー等の照射状態は変化し得る。このような照射状態の変化を放置すると、材料層の溶融不良、及びそれに伴う空隙等の固化層の形成不良が生じ、積層造形物の品質低下が起こる。従って、積層造形の過程における造形状態の監視と積層造形装置の設定条件の適切な補正が必要となる。特許文献1には、積層造形装置の部材の熱変位に伴うレーザ光の照射位置のずれの検出手段、及びずれに応じた照射位置の補正手段を備える積層造形装置が開示されている。
特許第6283053号
造形物の製造段階、つまり、積層造形の過程において固化層の造形状態を監視することができれば、造形状態の異常を検知した段階で装置の設定条件の補正を随時行い、品質低下を避けることが可能となる。しかし、空隙等の固化層の形成状態の異常の多くは、積層造形の過程で測定により検知することが難しい。また、固化層の形成状態に大きな影響を与えるレーザ光の照射状態等は測定による監視も可能であるが、監視対象の種々のパラメータに応じた個別の測定装置の導入が必要となり費用がかさむ他、測定時に積層造形の中断を要しリアルタイムの測定が困難なパラメータも存在する。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、積層造形物の製造過程において造形状態を推定することが可能なシステムを提供することを目的とする。
本発明によれば、積層造形物の製造過程において造形状態を推定するためのシステムであって、画像取得部と解析部とを備え、前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、前記画像取得部は、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データを取得し、前記解析部は、前記画像データを解析して造形状態を表すパラメータを推定するシステムが提供される。
本発明に係るシステムにおいては、レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データを解析して造形状態を表すパラメータが推定される。このような構成により、従来積層造形の過程において監視することが困難であったパラメータを造形中に推定することが可能となる。また、スパッタの画像データから種々のパラメータをリアルタイムで推定でき、監視対象のパラメータに応じて個別の測定装置を導入する必要がない。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記パラメータは、前記積層造形物の空隙率の仮想値である仮想空隙率を含む。
好ましくは、前記パラメータは、前記レーザ光の照射箇所における、レーザパワー、スポット径、及びレーザパワー密度から選ばれた少なくとも1つを含む。
好ましくは、前記パラメータは、前記材料層の厚さ、及び前記材料層を構成する前記材料粉体の乾燥度から選ばれた少なくとも1つを含む。
好ましくは、前記解析部は、特徴量抽出部と算出部とをさらに備え、前記特徴量抽出部は、前記画像データからスパッタ粒子の特徴量を抽出し、前記算出部は、前記特徴量に基づき前記パラメータの推定値を算出する。
好ましくは、前記特徴量は、スパッタ粒子の飛散速度、スパッタ粒子のサイズ、スパッタ粒子の個数、及び他の特徴量に基づきふるい分けされたスパッタ粒子の個数から選ばれた少なくとも1つを含む。
好ましくは、前記システムは、学習部をさらに備え、前記学習部は、学習用データを取得し、入力としての前記特徴量から前記パラメータの推定値を出力する学習モデルの機械学習を行う。
好ましくは、チャンバと、リコータヘッドと、レーザ光照射装置と、制御装置と、上記のシステムとを備える積層造形装置であって、前記チャンバは、前記造形領域を覆い、且つ所定濃度の不活性ガスで充満され、前記リコータヘッドは、前記造形領域上に前記材料粉体を供給して前記材料層を形成し、前記レーザ光照射装置は、前記材料層に前記レーザ光を照射して前記固化層を形成する、積層造形装置が提供される。
好ましくは、前記制御装置は、積層造形物の製造過程において前記システムによる前記パラメータの推定結果に基づき造形状態の異常の有無を判定する。
好ましくは、前記画像取得部は、前記レーザ光の照射中にリアルタイムでスパッタの画像データを取得し、前記制御装置は、前記システムによる前記パラメータの推定結果に基づき、前記レーザ光の照射状態に係る設定の補正をリアルタイムで実行するように構成される。
好ましくは、前記パラメータは、前記レーザ光の照射箇所におけるスポット径を含み、前記制御装置は、前記システムによるスポット径の推定結果と閾値との比較を行い、比較結果に基づき前記レーザ光の焦点に係る設定の補正を実行するように構成される。
本発明の別の観点によれば、積層造形物の製造過程において造形状態を推定するための方法であって、画像取得工程と解析工程とを備え、前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、前記画像取得工程では、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データを取得し、前記解析工程では、前記画像データを解析して造形状態を表すパラメータを推定する方法が提供される。
以下、本発明に係る上記の方法の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記パラメータは、前記積層造形物の空隙率の仮想値である仮想空隙率を含む。
好ましくは、前記パラメータは、前記レーザ光の照射箇所における、レーザパワー、スポット径、及びレーザパワー密度から選ばれた少なくとも1つを含む。
好ましくは、前記パラメータは、前記材料層の厚さ、及び前記材料層を構成する前記材料粉体の乾燥度から選ばれた少なくとも1つを含む。
好ましくは、前記解析工程は、特徴量抽出工程と算出工程とをさらに備え、前記特徴量抽出工程では、前記画像データからスパッタ粒子の特徴量を抽出し、前記算出工程では、前記特徴量に基づき前記パラメータの推定値を算出する。
好ましくは、前記特徴量には、スパッタ粒子の飛散速度、スパッタ粒子のサイズ、スパッタ粒子の個数、及び前記特徴量に基づきふるい分けされたスパッタ粒子の個数から選ばれた少なくとも1つを含む。
好ましくは、前記方法は、学習工程をさらに備え、前記学習工程では、学習用データを取得し、入力としての前記特徴量から前記パラメータの推定値を出力する学習モデルの機械学習を行う。
本発明の別の観点によれば、コンピュータに、積層造形物の製造過程において造形状態を推定するための方法を実行させるコンピュータプログラムであって、前記方法は、画像取得工程と解析工程とを備え、前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、前記画像取得工程では、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データを取得し、前記解析工程では、前記画像データを解析して造形状態を表すパラメータを推定するコンピュータプログラムが提供される。
本発明の別の観点によれば、積層造形物の製造過程における造形状態の推定に用いられる学習モデルの学習方法であって、データ取得工程と、特徴量抽出工程と、学習工程とを備え、前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、前記データ取得工程では、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データと、造形状態を表すパラメータとを取得し、前記特徴量抽出工程では、前記画像データからスパッタ粒子の特徴量を抽出し、前記学習工程では、前記特徴量及び前記パラメータを学習用データとして、入力としての前記特徴量から前記パラメータの推定値を出力する学習モデルの機械学習を行う学習方法が提供される。
本発明の実施形態に係る積層造形装置1の概略構成図である。 本発明の実施形態に係る積層造形装置1の概略構成図である。 材料層形成装置3の斜視図である。 リコータヘッド32の上方からの斜視図である。 リコータヘッド32の下方からの斜視図である。 レーザ照射装置7の概略構成及び材料層10へのレーザ光Lの照射の態様を表す図である。 造形状態推定システム8及び制御装置9の構成を示すブロック図である。 画像取得部81が取得した画像データにおける溶融池PとスパッタSを構成するスパッタ粒子との位置関係を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る積層造形装置1を用いた積層造形物の造形方法の手順を示すフロー図である。 実施例における仮想空隙率の推定値と空隙率の実測値との関係を示すグラフである。 実施例におけるレーザパワーの推定値及び実測値の関係を示すグラフである。 実施例におけるスポット径の推定値及び実測値の関係を示すグラフである。 実施例におけるレーザパワー密度の推定値及び実測値の関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
1.積層造形装置
図1及び図2に示すように、積層造形装置1は、チャンバ2、材料層形成装置3、及びレーザ照射装置7を備える。また、積層造形装置1は、後述する造形状態推定システム8及び制御装置9をさらに備える。
1.1.チャンバ
チャンバ2は、所望の積層造形物が形成される領域である造形領域Rを覆い、内部の造形空間2eは不活性ガス供給装置(不図示)から供給される所定濃度の不活性ガスで充満されている。本明細書において不活性ガスとは、材料層や固化層と実質的に反応しないガスであり、成形材料の種類に応じて選択され、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、又はヘリウムガスを使用可能である。金属の積層造形においては、材料粉体の変質を抑制するとともに、レーザ光Lを安定して照射可能とするために、造形領域Rの周囲の酸素濃度を可能な限り低い状態に維持する必要がある。チャンバ2内に不活性ガスを充満させることで、酸素濃度を十分に低く保つことが可能となる。なお、チャンバ2から排出された不活性ガスは、ヒュームコレクタ(不図示)へと送られヒュームが除去された後にチャンバ2へ供給され再利用される。ヒュームコレクタは、例えば乾式電気集塵機、又はフィルタを備える濾過式集塵機である。
チャンバ2の天井部には、レーザ照射装置7から出力されるレーザ光Lが透過するチャンバウィンドウ21が設けられる。チャンバウィンドウ21は、レーザ光Lを透過可能な材料で形成され、レーザ光Lの種類に応じて、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、又はゲルマニウム、シリコン、ジンクセレン若しくは臭化カリウムの結晶等が材料として選択される。例えば、レーザ光Lがファイバレーザ又はYAGレーザの場合、チャンバウィンドウ21は石英ガラスで構成可能である。
チャンバ2の天井部の内側には、チャンバウィンドウ21を覆うようにヒューム拡散部17がさらに設けられる。ヒューム拡散部17は、円筒状の筐体17aと、筐体17a内に配置された円筒状の拡散部材17cとを備える。筐体17aと拡散部材17cの間に不活性ガス供給空間17dが設けられる。また、筐体17aの底面には、拡散部材17cの内側に開口部17bが設けられる。拡散部材17cには多数の細孔17eが設けられており、不活性ガス供給装置から不活性ガス供給空間17dに供給された清浄な不活性ガスが細孔17eを通じて清浄室17fに充満され、開口部17bを通じてヒューム拡散部17の下方に向かって噴出される。このような構成により、ヒュームのチャンバウィンドウ21への付着を防止し、レーザ光Lの照射経路からヒュームを排除することができる。
1.2.材料層形成装置
材料層形成装置3は、チャンバ2の内部に設けられる。図1から図3に示すように、材料層形成装置3は、ベース31、及びベース31上に配置されるリコータヘッド32を備える。ベース31は、積層造形物が形成される造形領域Rを有し、造形領域Rには造形テーブル5が設けられる。造形テーブル5は、造形テーブル駆動機構51によって駆動され上下方向(図1の矢印V方向)に移動することができる。造形時には、造形テーブル5にベースプレート6が配置され、ベースプレート6の上面に材料層10が形成される。
造形テーブル5の周りには、粉体保持壁26が設けられる。粉体保持壁26と造形テーブル5とによって囲まれる粉体保持空間には、未固化の材料粉体が保持される。粉体保持壁26の下側には、粉体保持空間内の材料粉体を排出可能な粉体排出部(不図示)が設けられ、積層造形の完了後に造形テーブル5を降下させることによって、未固化の材料粉体が粉体排出部から排出される。
図1及び図3から図5に示すように、リコータヘッド32は、リコータヘッド駆動機構33によって水平1軸方向(矢印H方向)に往復移動可能に構成され、材料収容部32aと、材料供給口32bと、材料排出口32cとを備える。リコータヘッド駆動機構33は、リコータヘッド32を移動させるモータ33aを備える。
材料供給口32bは、材料収容部32aの上面に設けられ、材料供給ユニット(不図示)から材料収容部32aに供給される材料粉体の受け口となる。材料排出口32cは、材料収容部32aの底面に設けられ、材料収容部32a内の材料粉体を排出する。材料排出口32cは、材料収容部32aの長手方向に延びるスリット形状を有する。リコータヘッド32の両側面には、ブレード32fb,32rbが設けられる。ブレード32fb,32rbは、材料排出口32cから排出される材料粉体を平坦化して、材料層10を形成する。
1.3.レーザ照射装置
図1及び図2に示すように、レーザ照射装置7は、チャンバ2の上方に設けられる。レーザ照射装置7は、造形領域R上に形成される材料層10の所定箇所にレーザ光Lを照射して、照射位置の材料層10を溶融又は焼結させ、固化させる。図6に示すように、レーザ照射装置7は、レーザ発振器72、及びガルバノユニット73を備え、後述するレーザ制御部93に制御される。
レーザ発振器72は、レーザ光源となるレーザ素子が取り付けられ、レーザ光Lを出力する。レーザ光Lは、材料粉体を溶融又は焼結可能であればよく、例えば、ファイバレーザ、COレーザ、又はYAGレーザを用いることができる。
ガルバノユニット73は、コリメータ73a、フォーカス制御ユニット73b、及び走査装置73cを備える。コリメータ73aは、コリメータレンズ73a1を内部に備え、レーザ発振器72から出力されたレーザ光Lを平行光に変換する。フォーカス制御ユニット73bは、内部に可動レンズ73b1、及び集光レンズ73b2を備え、コリメータ73aにより平行光に変換されたレーザ光Lを所定のビーム径に調整する。可動レンズ73b1は、レンズアクチュエータ(不図示)によりレーザ光Lの光軸方向に移動可能であり、これによりレーザ光Lの焦点位置を調整することができる。集光レンズ73b2は、可動レンズ73b1を通過したレーザ光Lを集光する。なお、本実施形態においは、可動レンズ73b1は、レーザ発振器72からのレーザ光Lの進路に沿って上流側が凹面で下流側が平面の拡散レンズであるが、レンズの種類は用途によって適宜選択可能であり、集光レンズであってもよい。
走査装置73cは、第1のガルバノミラー73c1,第2のガルバノミラー73c2、及び各ガルバノミラーをそれぞれ回転させる第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータ(不図示)を備え、フォーカス制御ユニット73bを通過したレーザ光Lを2次元走査する。第1のガルバノミラー73c1及び第2のガルバノミラー73c2に反射されたレーザ光Lは、チャンバウィンドウ21を透過して造形領域R内の材料層10に照射され、これにより、固化層11が形成される。なお、レーザ照射装置7は、上述の形態に限定されず、例えば、フォーカス制御ユニット73bに変えてfθレンズを用いる構成としてもよい。
2.造形状態推定システム
次に、積層造形装置1を用いた積層造形物の製造過程において造形状態を推定するためのシステム(造形状態推定システム)について説明する。図7に示すように、本実施形態に係る造形状態推定システム8は、画像取得部81、解析部82、学習部83、及び記憶部84を備える。
なお、造形状態推定システム8に係る上述の各構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよく、ハードウェアによって実現してもよい。ソフトウェアによって実現する場合、CPUがコンピュータプログラムを実行することによって各種機能を実現することができる。プログラムは、内蔵の記憶部に格納してもよく、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納してもよい。また、外部の記憶部に格納されたプログラムを読み出し、いわゆるクラウドコンピューティングにより実現してもよい。ハードウェアによって実現する場合、ASIC、FPGA、又はDRPなどの種々の回路によって実現することができる。本実施形態においては、様々な情報やこれを包含する概念を取り扱うが、これらは、0又は1で構成される2進数のビット集合体として信号値の高低によって表され、上述のソフトウェア又はハードウェアの態様によって通信や演算が実行され得るものである。
図6に示すように、材料層10にレーザ光Lが照射されると、照射された箇所の材料粉体が溶融して溶融池Pが形成され、溶融池Pの周囲にスパッタSが発生する。なお、本発明におけるスパッタSとは、レーザ光Lの照射時に溶融池P又はその周辺から飛散する粒子を示し、例えば溶融池Pから飛散した溶けた金属の粒子や溶融池Pから飛散した材料粉体が含まれる。画像取得部81は、スパッタSを上方から撮像して画像データを取得するように構成され、例えば、CMOSカメラ又はCCDカメラを用いることができる。図1に示すように、本実施形態に係る積層造形装置1は、画像取得部81としてチャンバ2の天井部に設置されたカメラを備える。積層造形の過程で取得された画像データは、解析部82に出力される。なお、画像データの取得は、レーザ光Lの照射中にリアルタイムで行われることが好ましい。また、画像取得部81による撮像範囲は、発生するスパッタSが画像データに含まれれば特に限定されるものではなく、造形領域R内全体が含まれるように設定されてもよいし、材料層10の表面のうち特定の領域を対象としてもよい。また、レーザ光Lの照射位置に応じて、積層造形の過程において撮像範囲を適宜変更してもよい。
解析部82は、画像取得部81から送られた画像データを解析して造形状態を表すパラメータを推定するためのものである。解析部82は、特徴量抽出部82a及び算出部82bを備える。特徴量抽出部82aは、画像データに対して粒子解析等の処理を行い、スパッタSを構成するスパッタ粒子の特徴量を抽出する。算出部82bは、特徴量抽出部82aにより抽出された特徴量に基づき造形状態を表すパラメータの推定値を算出する。本実施形態においては、学習部83が構築する、入力としてのスパッタ粒子の特徴量から造形状態を表すパラメータの推定値を出力する学習モデルを用いて算出を行う。算出部82bによるパラメータの推定結果は、制御装置9の判定部91cに出力される。
スパッタ粒子の特徴量としては、粒子中心における輝度値、粒子中心におけるRGBのうちR(赤)成分の輝度値、粒子中心におけるRGBのうちG(緑)成分の輝度値、粒子中心におけるG成分の輝度値とR成分の輝度値の比(G/R)、粒子中心と溶融池との間の距離、粒子中心と溶融池との間のX方向における距離、粒子中心と溶融池との間のY方向における距離、粒子を楕円近似した際の長軸及び短軸の長さの比、粒子を四角形で近似した際の直軸及び短軸の長さの比(伸び率)、粒子の水力直径、粒子の周囲長、粒子の面積、全粒子の個数、及び他の特徴量に基づきふるい分けされた粒子の個数が例示される。
図8は、画像取得部81が溶融池の上方から撮像し取得した画像データにおける溶融池P及びスパッタSを構成するスパッタ粒子の位置関係を示す模式図である。粒子中心と溶融池との間の距離は図8における距離dに対応し、粒子中心と溶融池との間のX方向における距離は図8における距離dxに対応し、粒子中心と溶融池との間のY方向における距離は図8における距離dyに対応する。
粒子の水力直径Dは、以下の式1で表される。式1中のAは粒子の面積を、Lは粒子の周囲長を表す。
(式1)D=4A/L
他の特徴量に基づきふるい分けされた粒子の個数とは、例えば、粒子中心における輝度値が所定値以上の粒子の個数、粒子を楕円近似した際の長軸及び短軸の長さの比が所定値未満の粒子の個数、及び伸び率が所定値以上の粒子の個数が例示される。
なお、スパッタ粒子の特徴量は例示された上述のものに限定されるものではない。造形状態を表すパラメータの推定において複数の特徴量を学習モデルへの入力として用いることが好ましい。また、画像データから抽出されたスパッタ粒子の各特徴量について所定数の粒子毎の統計値(例えば、平均値)を算出し、当該統計値を学習モデルの入力としてもよい。
造形状態を表すパラメータについて、積層造形物の品質に特に大きな影響を与え得るものとして、形成された固化層の空隙率が例示される。ここで、レーザ光Lの照射中に取得された画像データを用いて推定される空隙率は、画像データ取得時の条件で積層造形が開始され完了した場合を想定した場合に当該積層造形により得られる仮想的な積層造形物全体の空隙率にあたる。本発明においては、このような空隙率の仮想値を仮想空隙率と定義する。
加えて、造形状態を表すパラメータについて、固化層の形成に特に大きな影響を与え得るものとして、材料層10の表面上の照射箇所におけるレーザ光Lのレーザパワー、スポット径、及びレーザパワー密度が例示される。レーザ光Lの照射が好ましい状態を外れると、材料粉体の溶融又は焼結の不良による固化層の異常が起こりやすくなる。
さらに、造形状態を表すパラメータについて、固化層の形成に特に大きな影響を与え得るものとして、材料層の厚さ、及び材料層を構成する材料粉体の乾燥度が例示される。材料層の形成が好ましい状態を外れると、固化層の異常が起こりやすくなる。なお、造形状態を表すパラメータとして例示された上述のパラメータは、これらのうち単一を推定対象としてもよいし、複数を推定対象としてもよい。
学習部83は、入力としてのスパッタ粒子の特徴量から造形状態を表すパラメータの推定値を出力する学習モデルの機械学習を行う。本実施形態に係る学習モデル(機械学習モデル)は、学習用の教師データ(既知の入力データと正解データの組)を用いて訓練された、将来の出力を予測可能にするモデルである。教師データは、積層造形の事前調査として行われる試験造形において取得することができる。試験造形においては、レーザ光Lの照射条件を変化させながら積層造形を行って画像取得部81によりスパッタの画像データを取得し、試験造形後に得られた積層造形物の空隙率を、例えば断面観察により、測定する。このように取得したスパッタの画像データから特徴量抽出部82aによりスパッタ粒子の特徴量を抽出し、教師データの入力データとすることができる。また、空隙率の実測値と、実測等により得られたレーザ光Lのレーザパワー、スポット径、及びレーザパワー密度とを教師データの正解データとすることができる。
機械学習の方法としては、目的や条件によってさまざまなアルゴリズムが利用可能であり、例えば、ディープラーニングによるニューラルネットワークモデルを用いることができる。本実施形態において上述の教師データを用いて学習を行うことにより構築される学習モデルは、スパッタ粒子の特徴量が与えられる入力層、造形状態を表すパラメータが出力される出力層、及び1つ以上の隠れ層を含むニューラルネットワークモデルである。
記憶部84は、学習部83により構築された学習モデル等を記憶する。
上述のように、本実施形態に係る造形状態推定システム8は、スパッタSの画像データからスパッタ粒子の特徴量を抽出して学習モデルに入力することにより、造形状態を表すパラメータの推定値を算出するように構成されている。画像取得部81が取得した画像データから固化層の形成状態(空隙)、レーザ光Lの照射状態、材料層10の形成状態に係る種々のパラメータを推定することが可能であり、各パラメータに応じて個別の測定装置を導入する必要がない。また、スパッタSの画像データはリアルタイムで取得可能であるため、これに応じて当該パラメータもリアルタイムで推定可能である。また、測定時に積層造形を中断する必要がなく、生産効率への影響が小さい。
3.制御装置
次に、積層造形装置1を制御するための制御装置9について説明する。
図7に示すように、制御装置9は、数値制御部91、表示部92、及び積層造形装置1を構成する各装置の制御部93,94,95,96を備える。制御装置9は、積層造形装置1の動作を制御するとともに、固化層の造形状態を監視する役割を果たす。
制御装置9の外部には、CAD装置41及びCAM装置42が設置される。CAD装置41は、造形対象の積層造形物の形状及び寸法を示す三次元形状データ(CADデータ)を作成するためのものである。作成されたCADデータは、CAM装置42に出力される。
CAM装置42は、CAD装置41により作成されたCADデータに基づき、積層造形物を造形する際の積層造形装置1を構成する各装置の動作手順データ(CAMデータ)を作成するためのものである。CAMデータには、例えば、各材料層におけるレーザ光Lの照射条件及び照射位置のデータが含まれる。作成されたCAMデータは、数値制御部91に出力される。
数値制御部91は、CAM装置42により作成されたCAMデータに対して数値制御プログラムによる演算を行い、積層造形装置1に対する動作指令を作成するためのものである。数値制御部91は、記憶部91a、演算部91b、及び判定部91cを備える。演算部91bは、記憶部91aに記憶されている数値制御プログラムを用いてCAMデータに対して演算を行い、積層造形装置1を構成する各装置の制御部93,94,95,96に対して動作指令を信号又は動作指令値のデータの形式で出力する。
レーザ制御部93は、動作指令に基づいてレーザ照射装置7の動作を制御する。具体的には、レーザ発振器72を制御し、所定の強度及び照射タイミングでレーザ光Lを出力させる。また、レンズアクチュエータを制御し、可動レンズ73b1を移動させ、これによりレーザ光Lが所定のビーム径に調整される。また、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータを制御し、第1のガルバノミラー73c1及び第2のガルバノミラー73c2をそれぞれ所望の角度に回転させる。さらに、レーザ制御部93は、レーザ照射装置7の実際の動作情報を数値制御部91へとフィードバックする。
リコータヘッド制御部94は、動作指令に基づいてリコータヘッド駆動機構33を制御し、当該制御の下でリコータヘッド駆動機構33がモータ33aを回転させてリコータヘッド32を水平1軸方向に往復移動させる。また、リコータヘッド32の実際の動作情報を数値制御部91へとフィードバックする。
造形テーブル制御部95は、動作指令に基づいて造形テーブル駆動機構51を制御し、当該制御の下で造形テーブル駆動機構51がモータ(不図示)を回転させて造形テーブル5を上下方向に移動させる。また、造形テーブル5の実際の動作情報を数値制御部91へとフィードバックする。
不活性ガス系統制御部96は、動作指令に基づいて不活性ガス供給装置及びヒュームコレクタの運転を制御する。また、不活性ガス供給・排出系統の実際の運転情報を数値制御部91へとフィードバックする。
判定部91cは、造形状態推定システム8の解析部82の算出部82bから受け取った造形状態を表すパラメータの推定結果に基づき、固化層の造形状態の異常の有無を判定する。本実施形態に係る判定部91cは、パラメータの推定値を記憶部91aに記憶される各パラメータの閾値又は許容範囲と比較し、各造形状態の異常の有無を判定する。
造形状態を表すパラメータとして仮想空隙率を推定する場合、仮想空隙率は低いほど固化層の形成状態として好ましいため、記憶部91aには仮想空隙率の許容範囲に対応する上限値が記憶される。判定部91cは、仮想空隙率と当該上限値との比較を行い、仮想空隙率が上限値以下である場合は固化層の形成状態の異常がないと判定し、仮想空隙率が上限値を上回る場合は固化層の形成状態の異常があると判定する。
造形状態を表すパラメータとしてレーザ光Lのレーザパワー、スポット径、又はレーザパワー密度を推定する場合、これらのパラメータについては、材料粉体等の条件に応じた適正な範囲が存在する。例えば、レーザ光Lのレーザパワー及びレーザパワー密度は、適正な範囲を上回る(溶融過多)、又は下回る(溶融不足)と固化層の形成不良が起こりやすくなる。従って、記憶部91aには、これらのパラメータの許容範囲に対応する上限値及び下限値が記憶される。判定部91cは、これらのパラメータと当該上限値及び下限値との比較を行い、当該パラメータが下限値以上且つ上限値以下である場合はレーザ光Lの照射状態の異常がないと判定し、当該パラメータが下限値を下回る又は上限値を上回る場合はレーザ光Lの照射状態の異常があると判定する。
造形状態を表すパラメータとして材料層の厚さ、又は材料層を構成する材料粉体の乾燥度を推定する場合、材料層の厚さについては、材料粉体の特性等に応じた適正な範囲が存在する。従って、記憶部91aには、材料層の厚さの許容範囲に対応する上限値及び下限値が記憶される。判定部91cは、これらのパラメータと当該上限値及び下限値との比較を行い、当該パラメータが下限値以上且つ上限値以下である場合は材料層の形成状態の異常がないと判定し、当該パラメータが下限値を下回る又は上限値を上回る場合は材料層の形成状態の異常があると判定する。一方、材料粉体の乾燥度については、材料粉体の水分の含有量が低いほど好ましい。従って、記憶部91aには、水分の含有量の許容範囲に対応する上限値が記憶される。判定部91cは、これらのパラメータと当該上限値との比較を行い、当該パラメータが上限値以下である場合は材料層の形成状態の異常がないと判定し、当該パラメータが上限値を上回る場合は材料層の形成状態の異常があると判定する。
記憶部91aは、CAMデータ、数値制御プログラム、判定部91cが上述の異常の判定の際に利用する閾値又は許容範囲、及び判定部91cによる異常の判定結果を記憶する。
表示部92は、数値制御部91の演算部91bが出力する動作指令、及び判定部91cによる異常の判定結果等を表示する。
4.積層造形物の製造方法
次に、本実施形態に係る積層造形装置1を用いた積層造形物の造形方法について説明する。
積層造形に先駆けて試験造形を行い、試験造形により得られる教師データを用いて造形状態推定システム8の学習部83による学習モデルの機械学習を行う。試験造形では、レーザ光Lの照射により形成された溶融池Pの周囲に発生するスパッタSの画像データを画像取得部81により取得するとともに、推定対象とする造形状態を表すパラメータに係るデータを取得する。学習部83は、画像データからスパッタ粒子の特徴量を抽出し、当該特徴量及び造形状態を表すパラメータのデータを学習用データとして、入力としての特徴量からパラメータの推定値を出力する学習モデルの機械学習を行う。
図9に示すように、積層造形装置1が積層造形を開始すると、ベースプレート6が載置された造形テーブル5が下降して適切な位置に調整される(ステップS1-1)。この状態で、リコータヘッド32を図1の矢印H方向に造形領域Rの左側から右側に移動させることにより、材料層10が形成される(ステップS1-2)。さらに、材料層10の所定の箇所にレーザ光Lを照射することによって材料層10を固化させる(ステップS1-3)。
このような積層造形物の製造と並行して、造形状態の監視が行われる。レーザ光Lの照射と並行して、画像取得部81は、溶融池の周囲に発生するスパッタSの画像データをリアルタイムで取得する(ステップS2-1)。取得された画像データは解析部82へと送られ、特徴量抽出部82aは、画像データからスパッタ粒子の特徴量を抽出する(ステップS2-2)。算出部82bは、スパッタ粒子の特徴量を学習モデルに入力し、造形状態を表すパラメータの推定値を算出する(ステップS2-3)。
判定部91cは、算出部82bから送られたパラメータの推定値に基づき、造形状態の異常の有無を判定する(ステップS2-4)。判定結果は、パラメータの推定値の算出結果とともに、表示部92により表示される(ステップS2-5)。造形状態の異常があると判定された場合、異常を解消するために、積層造形装置1を構成する各装置の動作の停止、設定の補正等の対応を行う。
図9は、このような対応の一例として、仮想空隙率の推定結果に基づき固化層の形成状態の異常があると判定された場合に、レーザ光Lの照射条件を補正し、材料層10のレーザ光Lが照射された領域に対して再照射を行う手順を示す。演算部91bは、判定結果に基づき照射条件の補正、つまり、再照射時の照射条件の決定及びレーザ制御部93への動作指令の出力を行う(ステップS2-6)。再照射時は材料層10が既に固化され熱容量が大きくなっているため、材料粉体への照射時よりもレーザ光Lの走査速度を遅くする等の変更が必要となる。
他の例として、レーザパワーの推定値が許容範囲を外れている場合、レーザ照射装置7の出力設定を補正する、又は材料層に照射されるレーザパワーが一定となるような制御を行うことが可能である。例えば、チャンバ2内のヒューム濃度の上昇に伴いレーザ光Lがヒュームに遮蔽されてレーザパワーの減衰が起こっている場合、レーザパワーが減衰した分を補うようにレーザ照射装置7の出力を増加させることが可能である。或いは、レーザパワーの減衰が所定値以上となった時点でレーザ光Lの照射を停止し、チャンバ2からのヒュームを含む不活性ガスの排出及びチャンバ2への新たな不活性ガスの供給により不活性ガスの濃度が十分に低下した時点で、照射を再開させることも可能である。また、レーザパワーが略一定となるように、レーザパワーの減衰に応じた動作指令を不活性ガス系統制御部96に出力し、ヒュームコレクタの運転に係る設定(例えば、ヒュームコレクタのファン回転数)を補正するような制御を行うことも可能である。
レーザ光Lのスポット径が許容範囲を外れている場合、例えば、レーザ照射装置7の可動レンズ73b1を移動させ、焦点位置を調整することが可能である。また、レーザ光Lがチャンバウィンドウ21を通して材料層10に照射される際、チャンバウィンドウ21へのヒュームの付着、チャンバウィンドウ21の劣化(例えば、コーティングの剥離)、清掃不良による白濁等の原因により、チャンバウィンドウ21においてレーザ光Lのエネルギーの一部が吸収されて局所的な昇温が起こることがある。このような昇温に伴い屈折率が変化する熱レンズ効果によりレーザ光Lの焦点が移動する、所謂フォーカスシフトが起こっている可能性がある場合には、チャンバウィンドウ21を交換することも可能である。
材料層10の形成状態の異常があると判定された場合、所定の動作を行った後に、再度リコータヘッド32を移動させて材料層10を形成し直すことが可能である。当該所定の動作として、例えば、材料粉体が湿気の吸収等により流動性が低下し材料排出口32cからの供給が滞っている場合には、リコータヘッド32を矢印H方向の前後に素早く移動させることで振動させ、これにより材料収容部32a内の材料粉体の凝集又は詰まりを解消して排出を促進させることが可能である。
上述の対応は、レーザ光Lの照射による固化層の造形中に行っても、ある固化層の造形が完了したあと次の層の造形が開始するまでの間に行われてもよく、手動又は自動で行う場合の双方が想定される。手動の場合、表示部92に表示される造形状態の異常の判定結果に基づき、積層造形装置1のオペレータが適宜対応を行う。自動の場合、判定部91cから送られる判定結果に基づき、数値制御部91の演算部91bが動作指令に係る補正値を算出するように構成してもよい。また、当該補正値の算出を積層造形装置1の動作中にリアルタイムで行い、積層造形装置1を構成する各装置の制御部に補正された動作指令を出力してもよい。
造形状態の異常が無いと判定された場合、又は上述のような対応を行って異常を解消した後に1層目の固化層11の造形が完了した場合、造形テーブル5を材料層の1層分下降させる。続いて、上述と同様の方法を繰り返して2層目以降の造形が行われる。積層造形の完了後は、未固化の材料粉体及び切削屑を排出することによって、積層造形物を得ることができる。
上述のように、本実施形態に係る積層造形物の製造方法においては、造形状態推定システム8により造形状態を表すパラメータの推定をリアルタイムで行いながら、推定結果に基づき制御装置9により固化層の造形状態の異常の有無を判定する。このような構成により、造形状態の異常を検知した段階で積層造形装置1を構成する各装置の設定条件等の補正を行い、品質低下を避けることが可能となる。
以下、本実施形態に係る造形状態推定システム8による学習モデルの機械学習、及び造形状態を表すパラメータの推定について、実施例を用いてより詳細に説明する。
実施例に係る造形状態推定システム8の画像取得部81を、カメラ(ソニー株式会社製、型式:XCG-CG510C、最大出力画素数:2464×2056、フレームレート:23fps)、レンズ(株式会社ヴイ・エス・テクノロジー製、型式:VS-2514H1)、及びオレンジフィルター(エドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社製、型式:89805)を用いて構成し、チャンバ2の天井部に設置した。画像取得部81の撮像範囲は250mm四方の造形領域R全体が含まれるように設定し、カメラの露光時間を500μsecに設定した。
まず、学習モデルの機械学習を行った。レーザ光Lの照射条件をレーザパワーについて300~480[W]、スポット径について160~380[μm]の範囲で変化させながら、マルエージング鋼からなる材料粉体により40mm四方の領域で積層造形を行い、画像取得部81によりスパッタSの画像データを取得した。また、造形完了後、得られた積層造形物の空隙率を断面観察により測定した。
取得したスパッタSの画像データに対して、前処理として輝度値が20~255の範囲のスパッタ粒子について二値化処理を行い、さらに画像データから溶融池、及びピクセルサイズが19以下のスパッタ粒子を除去した。前処理を行った画像データに対して粒子解析を行い、スパッタ粒子について、粒子中心における輝度値、粒子中心におけるRGBのうちR(赤)成分の輝度値、粒子中心におけるRGBのうちG(緑)成分の輝度値、粒子中心におけるG成分の輝度値とR成分の輝度値の比(G/R)、粒子中心と溶融池との間の距離、粒子中心と溶融池との間のX方向における距離、粒子中心と溶融池との間のY方向における距離、粒子を楕円近似した際の長軸及び短軸の長さの比、粒子を四角形で近似した際の直軸及び短軸の長さの比(伸び率)、粒子の水力直径、粒子の周囲長、粒子の面積、全粒子の個数、粒子中心における輝度値が130以上の粒子の個数、粒子を楕円近似した際の長軸及び短軸の長さの比が2未満の粒子の個数、及び伸び率が8以上の粒子の個数の計16種の特徴量を抽出した。
このように抽出された当該特徴量の一部を訓練データとして学習モデルの入力に用い、当該訓練データに対応する積層造形物の仮想空隙率、レーザ光Lのレーザパワー、スポット径、及びレーザパワー密度の実測値を出力とし、隠れ層の数を7に設定し、ディープラーニングによる機械学習を行った。
次に、訓練データとして用いられなかったデータをテストデータとして用い、学習モデルの評価を行った。テストデータとしての特徴量を学習モデルに入力し、仮想空隙率、レーザパワー、スポット径、及びレーザパワー密度の推定値を得た。
図10から図13は、積層造形物の空隙率、レーザ光Lのレーザパワー、スポット径、及びレーザパワー密度について、実測値(横軸)、及び造形状態推定システム8による推定値(縦軸)を示す。積層造形物の空隙率は、一般的に0.3%以下であれば固化層の造形状態が良好といえる。空隙率の実測値が0.3%以下の範囲における372点のデータのうち、仮想空隙率の推定値が0.3%以上であったものは1点のみであった。レーザパワー、スポット径、及びレーザパワー密度について、若干のばらつきはあるものの、推定の精度は良好であった。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
1:積層造形装置、2:チャンバ、2e:造形空間、3:材料層形成装置、5:造形テーブル、6:ベースプレート、7:レーザ照射装置、8:造形状態推定システム、9:制御装置、10:材料層、11:固化層、17:ヒューム拡散部、17a:筐体、17b:開口部、17c:拡散部材、17d:不活性ガス供給空間、17e:細孔、17f:清浄室、21:チャンバウィンドウ、26:粉体保持壁、31:ベース、32:リコータヘッド、32a:材料収容部、32b:材料供給口、32c:材料排出口、32fb,32rb:ブレード、33:リコータヘッド駆動機構、33a:モータ、41:CAD装置、42:CAM装置、51:造形テーブル駆動機構、72:レーザ発振器、73:ガルバノユニット、73a:コリメータ、73a1:コリメータレンズ、73b:フォーカス制御ユニット、73b1:可動レンズ、73b2:集光レンズ、73c:走査装置、73c1:第1のガルバノミラー、73c2:第2のガルバノミラー、81:画像取得部、82:解析部、82a:特徴量抽出部、82b:算出部、83:学習部、84:記憶部、91:数値制御部、91a:記憶部、91b:演算部、91c:判定部、92:表示部、93:レーザ制御部、94:リコータヘッド制御部、95:造形テーブル制御部、96:不活性ガス系統制御部、L:レーザ光、P:溶融池、R:造形領域、S:スパッタ
本発明によれば、積層造形物の製造過程において造形状態を推定するためのシステムであって、画像取得部と解析部とを備え、前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、前記画像取得部は、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データをリアルタイムで取得し、前記解析部は、前記画像データを解析して解析結果を学習モデルに入力することにより実際の造形状態を表すパラメータをリアルタイムで推定し、前記パラメータは、前記画像データの取得時の条件で前記材料層形成工程及び前記固化層形成工程が実施された場合に得られる仮想的な積層造形物全体の空隙率である仮想空隙率を含む、システムが提供される。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記解析部は、特徴量抽出部と算出部とをさらに備え、前記特徴量抽出部は、前記画像データからスパッタ粒子の特徴量を抽出し、前記算出部は、前記特徴量に基づき前記パラメータの推定値を算出する。 好ましくは、前記特徴量抽出部は、前記画像データに対して、前処理としてスパッタ粒子の輝度値に基づき二値化処理を行い、前記前処理を行った前記画像データから前記特徴量を抽出する。
好ましくは、前記特徴量抽出部は、前記画像データに対して、前処理としてサイズが所定値以下のスパッタ粒子を除去する処理を行い、当該前処理を行った前記画像データから前記特徴量を抽出する。
好ましくは、前記特徴量は、スパッタ粒子の飛散速度、スパッタ粒子のサイズ、スパッタ粒子の個数、及び他の特徴量に基づきふるい分けされたスパッタ粒子の個数から選ばれた少なくとも1つを含む。
好ましくは、前記システムは、学習部をさらに備え、前記学習部は、学習用データを取得し、入力としての前記特徴量から前記パラメータの推定値を出力する前記学習モデルの機械学習を行う。
好ましくは、前記学習部は、前記学習用データとして、積層造形物の断面観察により測定された空隙率を取得する。
好ましくは、チャンバと、リコータヘッドと、レーザ光照射装置と、制御装置と、前記システムとを備える積層造形装置であって、前記チャンバは、前記造形領域を覆い、且つ所定濃度の不活性ガスで充満され、前記リコータヘッドは、前記造形領域上に前記材料粉体を供給して前記材料層を形成し、前記レーザ光照射装置は、前記材料層に前記レーザ光を照射して前記固化層を形成する、積層造形装置が提供される。
好ましくは、前記制御装置は、積層造形物の製造過程において前記システムによる前記パラメータの推定結果に基づき造形状態の異常の有無を判定する。
好ましくは、前記制御装置は、積層造形物の製造過程において前記システムによる仮想空隙率の推定結果に基づき前記固化層の形成状態の異常の有無を判定し、前記固化層の形成状態の異常があると判定された場合、前記制御装置は、前記レーザ光の照射条件を補正し、前記レーザ光照射装置は、前記材料層の前記レーザ光が照射された領域に対して補正後の照射条件により前記レーザ光を再照射するように構成される。
本発明の別の観点によれば、積層造形物の製造過程において造形状態を推定するための方法であって、画像取得工程と解析工程とを備え、前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、前記画像取得工程では、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データをリアルタイムで取得し、前記解析工程では、前記画像データを解析して解析結果を学習モデルに入力することにより実際の造形状態を表すパラメータをリアルタイムで推定し、前記パラメータは、前記画像データの取得時の条件で前記材料層形成工程及び前記固化層形成工程が実施された場合に得られる仮想的な積層造形物全体の空隙率である仮想空隙率を含む、方法が提供される。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記解析工程は、特徴量抽出工程と算出工程とをさらに備え、前記特徴量抽出工程では、前記画像データからスパッタ粒子の特徴量を抽出し、前記算出工程では、前記特徴量に基づき前記パラメータの推定値を算出する。
好ましくは、前記特徴量抽出工程では、前記画像データに対して、前処理としてスパッタ粒子の輝度値に基づき二値化処理を行い、前記前処理を行った前記画像データから前記特徴量を抽出する。
好ましくは、前記特徴量抽出工程では、前記画像データに対して、前処理としてサイズが所定値以下のスパッタ粒子を除去する処理を行い、当該前処理を行った前記画像データから前記特徴量を抽出する。
好ましくは、前記特徴量は、スパッタ粒子の飛散速度、スパッタ粒子のサイズ、スパッタ粒子の個数、及び前記特徴量に基づきふるい分けされたスパッタ粒子の個数から選ばれた少なくとも1つを含む。
好ましくは、前記方法は、学習工程をさらに備え、前記学習工程では、学習用データを取得し、入力としての前記特徴量から前記パラメータの推定値を出力する前記学習モデルの機械学習を行う。
好ましくは、前記学習工程では、前記学習用データとして、積層造形物の断面観察により測定された空隙率を取得する。
本発明の別の観点によれば、コンピュータに、積層造形物の製造過程において造形状態を推定するための方法を実行させるコンピュータプログラムであって、前記方法は、画像取得工程と解析工程とを備え、前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、前記画像取得工程では、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データをリアルタイムで取得し、前記解析工程では、前記画像データを解析して解析結果を学習モデルに入力することにより実際の造形状態を表すパラメータをリアルタイムで推定し、前記パラメータは、前記画像データの取得時の条件で前記材料層形成工程及び前記固化層形成工程が実施された場合に得られる仮想的な積層造形物全体の空隙率である仮想空隙率を含む、コンピュータプログラムが提供される。
本発明の別の観点によれば、積層造形物の製造過程における実際の造形状態の推定に用いられる学習モデルの学習方法であって、データ取得工程と、特徴量抽出工程と、学習工程とを備え、前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、前記データ取得工程では、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データをリアルタイムで取得し、造形状態を表すパラメータを取得し、前記特徴量抽出工程では、前記画像データからスパッタ粒子の特徴量を抽出し、前記学習工程では、前記特徴量及び前記パラメータを学習用データとして、入力としての前記特徴量から前記パラメータの推定値を出力する学習モデルの機械学習を行い、前記パラメータは、前記画像データの取得時の条件で前記材料層形成工程及び前記固化層形成工程が実施された場合に得られる仮想的な積層造形物全体の空隙率である仮想空隙率を含む、学習方法が提供される。
また、好ましくは、前記データ取得工程では、前記パラメータとして前記積層造形物の空隙率を断面観察で測定することにより取得する。

Claims (20)

  1. 積層造形物の製造過程において造形状態を推定するためのシステムであって、
    画像取得部と解析部とを備え、
    前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、
    前記画像取得部は、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データを取得し、
    前記解析部は、前記画像データを解析して造形状態を表すパラメータを推定する、
    システム。
  2. 請求項1に記載のシステムであって、
    前記パラメータは、前記積層造形物の空隙率の仮想値である仮想空隙率を含む、
    システム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のシステムであって、
    前記パラメータは、前記レーザ光の照射箇所における、レーザパワー、スポット径、及びレーザパワー密度から選ばれた少なくとも1つを含む、
    システム。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のシステムであって、
    前記パラメータは、前記材料層の厚さ、及び前記材料層を構成する前記材料粉体の乾燥度から選ばれた少なくとも1つを含む、
    システム。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のシステムであって、
    前記解析部は、特徴量抽出部と算出部とをさらに備え、
    前記特徴量抽出部は、前記画像データからスパッタ粒子の特徴量を抽出し、
    前記算出部は、前記特徴量に基づき前記パラメータの推定値を算出する、
    システム。
  6. 請求項5に記載のシステムであって、
    前記特徴量は、スパッタ粒子の飛散速度、スパッタ粒子のサイズ、スパッタ粒子の個数、及び他の特徴量に基づきふるい分けされたスパッタ粒子の個数から選ばれた少なくとも1つを含む、
    システム。
  7. 請求項5又は請求項6に記載のシステムであって、
    学習部をさらに備え、
    前記学習部は、学習用データを取得し、入力としての前記特徴量から前記パラメータの推定値を出力する学習モデルの機械学習を行う、
    システム。
  8. チャンバと、リコータヘッドと、レーザ光照射装置と、制御装置と、請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のシステムとを備える積層造形装置であって、
    前記チャンバは、前記造形領域を覆い、且つ所定濃度の不活性ガスで充満され、
    前記リコータヘッドは、前記造形領域上に前記材料粉体を供給して前記材料層を形成し、
    前記レーザ光照射装置は、前記材料層に前記レーザ光を照射して前記固化層を形成する、
    積層造形装置。
  9. 請求項8に記載の積層造形装置であって、
    前記制御装置は、積層造形物の製造過程において前記システムによる前記パラメータの推定結果に基づき造形状態の異常の有無を判定する、
    積層造形装置。
  10. 請求項3を引用する請求項8又は請求項9に記載の積層造形装置であって、
    前記画像取得部は、前記レーザ光の照射中にリアルタイムでスパッタの画像データを取得し、
    前記制御装置は、前記システムによる前記パラメータの推定結果に基づき、前記レーザ光の照射状態に係る設定の補正をリアルタイムで実行するように構成される、
    積層造形装置。
  11. 請求項10に記載の積層造形装置であって、
    前記パラメータは、前記レーザ光の照射箇所におけるスポット径を含み、
    前記制御装置は、前記システムによるスポット径の推定結果と閾値との比較を行い、比較結果に基づき前記レーザ光の焦点に係る設定の補正を実行するように構成される、
    積層造形装置。
  12. 積層造形物の製造過程において造形状態を推定するための方法であって、
    画像取得工程と解析工程とを備え、
    前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、
    前記画像取得工程では、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データを取得し、
    前記解析工程では、前記画像データを解析して造形状態を表すパラメータを推定する、
    方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、
    前記パラメータは、前記積層造形物の空隙率の仮想値である仮想空隙率を含む、
    方法。
  14. 請求項12又は請求項13に記載の方法であって、
    前記パラメータは、前記レーザ光の照射箇所における、レーザパワー、スポット径、及びレーザパワー密度から選ばれた少なくとも1つを含む、
    方法。
  15. 請求項12から請求項14のいずれか1つに記載の方法であって、
    前記パラメータは、前記材料層の厚さ、及び前記材料層を構成する前記材料粉体の乾燥度から選ばれた少なくとも1つを含む、
    方法。
  16. 請求項12から請求項15のいずれか1つに記載の方法であって、
    前記解析工程は、特徴量抽出工程と算出工程とをさらに備え、
    前記特徴量抽出工程では、前記画像データからスパッタ粒子の特徴量を抽出し、
    前記算出工程では、前記特徴量に基づき前記パラメータの推定値を算出する、
    方法。
  17. 請求項16に記載の方法であって、
    前記特徴量には、スパッタ粒子の飛散速度、スパッタ粒子のサイズ、スパッタ粒子の個数、及び前記特徴量に基づきふるい分けされたスパッタ粒子の個数から選ばれた少なくとも1つを含む、
    方法。
  18. 請求項16又は請求項17に記載の方法であって、
    学習工程をさらに備え、
    前記学習工程では、学習用データを取得し、入力としての前記特徴量から前記パラメータの推定値を出力する学習モデルの機械学習を行う、
    方法。
  19. コンピュータに、積層造形物の製造過程において造形状態を推定するための方法を実行させるコンピュータプログラムであって、
    前記方法は、画像取得工程と解析工程とを備え、
    前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、
    前記画像取得工程では、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データを取得し、
    前記解析工程では、前記画像データを解析して造形状態を表すパラメータを推定する、
    コンピュータプログラム。
  20. 積層造形物の製造過程における造形状態の推定に用いられる学習モデルの学習方法であって、
    データ取得工程と、特徴量抽出工程と、学習工程とを備え、
    前記積層造形物は、造形領域上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層にレーザ光を照射して固化層を形成する固化層形成工程とを繰り返すことによって製造され、
    前記データ取得工程では、前記レーザ光の照射により形成された溶融池の周囲に発生するスパッタの画像データと、造形状態を表すパラメータとを取得し、
    前記特徴量抽出工程では、前記画像データからスパッタ粒子の特徴量を抽出し、
    前記学習工程では、前記特徴量及び前記パラメータを学習用データとして、入力としての前記特徴量から前記パラメータの推定値を出力する学習モデルの機械学習を行う、
    学習方法。
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