本開示は、画像投影に関する。より詳細には、本開示は、ホログラフィック投影(holographic projection)、およびホログラム(hologram)やキノフォーム(kinoform)などの回折構造を決定する方法に関する。いくつかの実施形態は、視線追跡情報に基づくリアルタイムホログラム計算に関する。いくつかの実施形態は、虚像投影(virtual image projection)に関する。他の実施形態は、実像の投影に関する。諸実施形態は、導波路(waveguide)を通して投影像を観察することに関する。いくつかの実施形態は、画像生成ユニットなどの光エンジン(light engine)に関する。いくつかの実施形態は、ヘッドアップディスプレイに関する。
物体から散乱された光は、振幅と位相の両方の情報を含んでいる。この振幅と位相の情報は、例えば、干渉縞を含むホログラフィック記録、すなわち「ホログラム(hologram)」を形成するために周知の干渉技法によって感光板上に取り込まれ得る。ホログラムは、元の物体を表す2次元または3次元のホログラフィック再構成、すなわち再生画像を形成するために、適切な光で照明することによって再構成され得る。
コンピュータ生成ホログラフィが干渉プロセスを数値的にシミュレートすることができる。コンピュータ生成ホログラムは、フレネル変換やフーリエ変換などの数学的変換に基づく技法によって計算され得る。この種のホログラムは、フレネル/フーリエ変換ホログラムまたは単にフレネル/フーリエホログラムと呼ばれることがある。フーリエホログラムは、物体のフーリエ領域/面表現または物体の周波数領域/面表現と見なされ得る。コンピュータ生成ホログラムは、例えば、コヒーレントレイトレーシングまたは点群技法によって計算されてもよい。
コンピュータ生成ホログラムは、入射光の振幅および/または位相を変調するようになされた空間光変調器上で符号化され得る。光変調は、例えば、電気的にアドレス可能な液晶、光学的にアドレス可能な液晶、またはマイクロミラーを使用して実現され得る。
空間光変調器は、通常、セルまたは要素と呼ばれることもある複数の個々にアドレス可能な画素を備える。光変調方式は、バイナリ、マルチレベル、または連続的でよい。あるいは、装置は連続的でよく(すなわち、画素から構成されず)、したがって、光変調は装置全体にわたって連続的でよい。空間光変調器は反射性でよい、すなわち変調光が反射して出力される。空間光変調器は同様に透過性でよい、すなわち変調光が透過して出力される。
ホログラフィックプロジェクタは、本明細書に記載のシステムを使用して提供され得る。この種のプロジェクタは、例えば、ヘッドアップディスプレイ「HUD」、および光検出測距「LIDAR」に応用されている。
本開示の諸態様は、添付の独立請求項に定義されている。
本開示は、画像投影に関する。本開示は、画像投影の方法および表示装置(display device)を備える画像プロジェクタに関する。本開示は、画像プロジェクタおよび観察システムを備える投影システムにも関する。本開示は、単眼および両眼の観察システムに等しく適用可能である。観察システムは、観察者の1つまたは複数の眼を含むことができる。観察システムは、光パワーを有する光学要素(例えば、人間の眼のレンズ(複数可))および観察面(例えば、人間の眼(複数可)の網膜)を含む。プロジェクタは、「光エンジン」と呼ばれることがある。表示装置および表示装置を使用して形成(または知覚)される画像は、互いに空間的に隔てられる。画像は、表示面上に形成されるか、または観察者によって知覚される。いくつかの実施形態では、画像は虚像であり、表示面は虚像面と呼ばれることがある。画像は、表示装置上に表示された回折パターン(例えば、ホログラム)を照明することによって形成される。
表示装置は画素を備える。表示装置の画素は光を回折する。よく理解されている光学系によれば、最大回折角の大きさは、画素のサイズ(および光の波長などの他の要因)によって決定される。
諸実施形態では、表示装置は、液晶オンシリコン(「LCOS」)空間光変調器(SLM)などの空間光変調器である。光は、LCOSからカメラや眼などの観察エンティティ/システムに向かって、回折角の範囲(例えば、ゼロ回折角~最大回折角)にわたって伝播する。いくつかの実施形態では、利用可能な回折角の範囲をLCOSの従来の最大回折角を超えて増大させるために、倍率技法が使用され得る。
諸実施形態では、画像は実像である。他の実施形態では、画像は、人間の眼(または複数の眼)によって知覚される虚像である。したがって、投影システム、すなわち光エンジンは、観察者が表示装置を直接見るように構成され得る。このような実施形態では、ホログラムで符号化された光が眼(複数可)に直接伝播され、表示装置と観察者との間の自由空間中にもスクリーンもしくは他の受光面上にも、中間ホログラフィック再構成が形成されない。そのような実施形態では、眼の瞳孔は、観察システムの入射開口(entrance aperture)であると見なされてもよく、眼の網膜は、観察システムの観察面であると見なされてもよい。この構成では、眼のレンズはホログラムから画像への変換を行うことであると言われることがある。
よく理解されている光学系の原理によれば、眼または他の観察エンティティ/システムによって観察され得る表示装置から伝播する光の角度の範囲は、表示装置と観察エンティティとの間の距離によって変化する。例えば、1メートルの視距離では、LCOSからの狭い範囲の角度だけが眼の瞳孔を通って伝播して、所与の眼球位置の網膜に画像を形成することができる。所与の眼球位置の網膜に画像を形成するために眼の瞳孔を通って首尾よく伝播することができる、表示装置から伝播される光線の角度の範囲は、観察者に「見える」画像の部分を決定する。換言すれば、画像のすべての部分が、観察面上のどの点からも(例えば、アイモーションボックス(eye-motion box)などの観察窓内のどの眼球位置からも)見えるわけではない。
いくつかの実施形態では、観察者によって知覚される画像は、表示装置の上流側に現れる虚像である、すなわち、観察者は、画像が観察面上の点から表示装置より遠くにあると知覚する。概念上、虚像の異なる複数の虚像点を考えることができる。仮想点から観察者までの距離は、本明細書では、その虚像点に関する虚像距離と呼ばれる。異なる仮想点は、もちろん異なる虚像距離を有することができる。各仮想点に関連する光線束内の個々の光線が、表示装置を介して、観察者への異なるそれぞれの光路をとることができる。しかしながら、表示装置の一部のみ、したがって、虚像の1つまたは複数の仮想点からの光線の一部のみが、ユーザの視野内にあってもよい。換言すれば、虚像上の仮想点のうちのいくつかからの光線の一部のみが、表示装置を介してユーザの眼(複数可)の中へ伝播し、したがって観察者に見える。したがって、概念上、観察者は「表示装置サイズの窓」を通して虚像を見ていると考えることができ、「表示装置サイズの窓」は、比較的遠い距離、例えば1メートルのところで非常に小さくてよく、例えば直径1cmでよい。また、ユーザは、非常に小さくすることもできる、ユーザの眼(複数可)の瞳孔(複数可)を通して表示装置サイズの窓を見ている。したがって、視野は小さくなり、見られる特定の角度範囲は、どの所与の時点でも、眼球位置に大きく依存する。
本開示は、表示装置が(相対的に見れば)小さくかつ投影距離が(相対的に見れば)大きい場合に、視野をどのように増大させるか(すなわち、表示装置から伝播され、眼の瞳孔を通って首尾よく伝播して像を形成することができる光線の角度範囲をどのように増大させるか)という技術的問題に対処する。いくつかの実施形態では、投影距離は、表示装置の開口の直径または幅(すなわち、画素の配列のサイズ)よりも少なくとも1桁(例えば少なくとも2桁)大きい。より具体的には、本開示は、画像自体が人間の眼に伝播されるのではなく、画像のホログラムが人間の眼に伝播される、いわゆる直視ホログラフィを用いてこれをどのように行うかという技術的問題に対処する。換言すれば、観察者が受けた光は、画像のホログラムに従って変調される。
視野を拡大するために、したがって、表示装置の全回折角が使用され得る最大伝播距離を増大させるために、導波路が使用される。導波路を使用すると、ユーザのアイボックスを横方向に増大させ、したがって、ユーザが画像を見ることを依然として可能にしながら、眼(複数可)のいくらかの動きが起こることを可能にすることもできる。したがって、導波路は、導波路瞳孔拡張器と呼ばれることがある。しかしながら、本発明者らは、非無限の虚像距離(すなわち近接場虚像)について、いわゆる「ゴースト像」が、導波路を通る異なる可能な光伝播経路のために現れることを見出した。ゴースト像は、主画像の低強度レプリカである。主要な最高強度画像は、一次像と呼ばれることがある。各ゴースト像は、二次像と呼ばれることがある。ゴースト像が存在すると、知覚される虚像の品質を著しく低下させ得る。ゴースト像は、一次像のぼけに見えることがある。
本開示は、ゴースト像によって引き起こされる問題に対処するための様々な手法に関する。本明細書に開示されるいくつかの解決策は、ゴースト像を首尾よく除去することが示されている。本明細書に開示されるいくつかの解決策が、一次/非ゴースト像を強化または補強するためにゴースト像を修正/操作することが示されている。
一態様によれば、光エンジンは、入射瞳を有する観察システムに空間的に変調された光を提供するようになされる。表示システムは、ホログラムを表示し、ホログラムに従って光を空間的に変調するように構成された表示装置を備える。表示システムは、入射瞳の位置に基づいて表示装置の寄与領域および非寄与領域を識別する寄与情報を受け取るように構成されたホログラムエンジンをさらに備える。表示装置の寄与領域は、決定済み位置で入射瞳を通過する光を実質的に伝播する。表示装置の非寄与領域は、決定済み位置で入射瞳によって止められる光を実質的に伝播する。ホログラムエンジンは、処理エンジンによって識別された表示装置の少なくとも1つの一次寄与領域に基づいてホログラムを決定するようにさらになされる。ホログラムエンジンは、ホログラムを表示のために表示装置に出力するようにさらになされる。
少なくともいくつかの実施形態では、寄与情報は、(i)一次像に寄与する観察システムに光を伝播する表示装置の少なくとも1つの一次寄与領域、および(ii)二次像に寄与する表示システムに光を伝播する表示装置の少なくとも1つの二次寄与領域をさらに識別する。
誤解を避けるために、形成または知覚される画像は、ターゲット画像のホログラフィック再構成である。ホログラフィック再構成は、ターゲット画像に基づくホログラムから形成される。いくつかの実施形態では、ホログラムは、ターゲット画像から決定される(例えば、計算される)。
表示装置の寄与領域および非寄与領域を識別することにより、光エンジンは、観察システムの入射開口の所与の位置について、一次像の形成に積極的に寄与するために、表示装置のどの部分(1つまたは複数)がホログラムによって有用に符号化され得るかを決定することができる。例えば、これは、所与の時点での観察者の眼の場所に対応し得る。さらに、光エンジンは、表示装置のどの部分が入射開口を通って光を伝播することができないかを、したがってホログラム値を追加する価値がないかを決定することができる。加えて、光エンジンは、「主」ターゲット画像に積極的に寄与する表示装置の部分と、一次像のコピー/レプリカまたは「ゴースト」バージョンに寄与する部分と、を区別することができる。したがって、ホログラムは、ゴーストを除去するために、いわゆる二次寄与領域内で省略することができる。
あるいは、注目すべき別の改良では、追加の寄与領域内に表示されるホログラムは、像点の(すなわち、ホログラフィックに再構成されるべき、所望の画像内の点の)変位または修正された位置に基づいて決定され得る。この修正された位置は、「二次像点」であると呼ばれることがあるが、これは、(一次)像点の二次(すなわち、変更された)位置であることの省略表現である。簡単に言えば、一次像を効果的に補強するために、像点のモデル化/計算された位置は、前記修正された位置から表示装置上の追加の寄与領域を通って進む光が、観察面上の所望の位置に到達することになるように修正され得る(例えば、画像平面上で並進させられ得る)。したがって、この代替手法では、追加の寄与領域のホログラムは、表示装置上の一次寄与領域を識別するために使用されるものとは異なる像点の位置に基づいて決定される。一次像点からの光路長は、通常、二次像点から、観察面上に形成される対応する画像までの光路長とは異なる。したがって、追加の寄与領域に関連するホログラム決定プロセスは、ホログラム決定プロセスで使用される像点を並進またはシフトすることを含むと言うことができる。
したがって、合理化された計算効率の高い方法で決定されているホログラムに対応する鮮明で正確な画像を提供するように構成され動作することができるインテリジェントで効率的な光エンジンが提供される。
一態様によれば、表示装置上に表示するためのホログラムを決定する方法が提供される。本方法は、ホログラムを観察するように構成された観察システムの入射瞳の位置を決定するステップと、表示装置の寄与領域および非寄与領域を識別するステップと、を含み、表示装置の寄与領域は、決定された位置で観察システムの入射瞳を通過する光を実質的に伝播し、表示装置の非寄与領域は、決定された位置で観察システムの入射瞳によって止められる光を実質的に伝播する。本方法は、表示装置の少なくとも1つの一次寄与領域に基づいてホログラムを決定するステップをさらに含む。
本方法は、一次像に寄与する光を提供する表示装置の少なくとも1つの一次寄与領域、および二次像に寄与する光を提供する表示装置の少なくとも1つの二次寄与領域を識別するステップをさらに含むことができる。
一態様によれば、観察システムによって変換可能な光をターゲット画像に空間的に変調するように構成された回折構造が提供され、回折構造は、複数の離散光パターンを生成するように構成され、各光パターンはターゲット画像の異なる部分に対応し、各離散光パターンの形状は、観察システムの入射開口の形状に実質的に対応する。
一態様によれば、観察システム(レンズを備える)によって変換可能な光を画像に空間的に変調するように構成された回折構造が提供され、回折構造は、光を複数の離散光チャネル内へ向けるようになされ、各光チャネルは、観察システムの入射瞳に実質的に対応する断面形状を有し、各光チャネルは画像の異なる部分に実質的に対応する。
一態様によれば、表示装置上に表示するとともに、導波路経由で表示装置上に表示されるホログラムを観察することにより観察面から知覚可能な虚像を形成するためのホログラムを決定する方法が提供される。本方法は、虚像の各虚像点について、虚像点の座標[xvirtual,yvirtual,zvirtual]を決定するステップと、観察面上の観察位置を決定するステップと、導波路によって形成された一次像に関連する導波路内の光反射の数Bを決定するステップと、を含む。本方法は、導波路内での「B」光反射について虚像点から観察面までレイトレースするステップと、[xvirtual,yvirtual,zvirtual]から観察面までのB光反射を伴う光伝播のための表示装置における主光線の座標[xLCOS(B),yLCOS(B)]を決定するステップと、をさらに含む。本方法は、[xLCOS(B),yLCOS(B)]によって定義される領域内の表示装置の活性画素を決定するステップと、[xvirtual,yvirtual,zvirtual]からの光波を前記活性画素まで伝播することにより、活性画素の振幅および/または位相ホログラム成分を含むサブホログラムを決定するステップと、をさらに含む。
主光線は、虚像点から表示装置を経由して観察面上の虚像点の一次または「主」像点まで進むと決定される(例えば、計算されるまたはモデル化される)光線を含むことができる。
本方法は、ホログラムを形成するために、サブホログラム(2つ以上の対応する虚像点に対してそれぞれ計算される)を組み合わせるステップをさらに含むことができる。
本方法は、虚像点の主画像の、観察面上の位置[xsensor,ysensor]を決定するステップをさらに含むことができる。
本方法は、導波路によって許容されるDBの各値について、[xsensor,ysensor]からB+DB跳ね返りで虚像面zvirtualまでレイトレースバックするステップと、B+DB反射で[xsensor,ysensor]に画像化する仮想点座標[xvirtual(DB),yvirtual(DB),zvirtual]を決定するステップと、をさらに含むことができる。本方法は、[xvirtual(DB),yvirtual(DB),zvirtual]から観察面までのB+DB跳ね返りを伴う光伝播のための表示装置における主光線の座標[xLCOS(B+DB),yLCOS(B+DB)]を決定するステップと、[xLCOS(B+DB),yLCOS(B+DB)]によって定義される第2の領域(すなわち、追加の領域)内の表示装置の追加の活性画素を識別するステップと、をさらに含むことができる。本方法は、[xvirtual(DB),yvirtual(DB),zvirtual]からの光波を追加の活性画素まで伝播することにより、追加の活性画素の振幅および/または位相ホログラム成分を含む追加のサブホログラムを決定するステップをさらに含むことができる。
本開示の諸態様は、ホログラフィック光のチャネリングまたはルーティングを特徴とするホログラムまたはキノフォームにも関する。具体的には、本明細書では、観察システムによって画像に変換可能な光を空間的に変調するように構成された回折構造が開示され、回折構造は、光の経路を複数のホログラムチャネル内へ定めるように構成され、各ホログラムチャネルは画像の異なる部分に対応する。
回折構造は、ホログラムチャネルが回折構造から異なる角度で伝播するようになされ得る。
各ホログラムチャネルは、画像の当該異なる部分のホログラムに従って空間的に変調された光を含むことができる。
回折構造は、光の位相を空間的に変調するようになされ得る。
回折構造は、導波路を通る光の経路を定めるようになされ得る。導波路は、瞳孔拡張のために配置され得る。
各ホログラムチャネルによって形成可能な光パターンの断面形状は、観察システムの入射開口の形状に実質的に対応し得る。
ホログラムチャネルは、空間的に分離されるか、または少なくとも部分的に空間的に分離され得る。
本明細書では、回折構造と、回折構造から空間的に変調された光を受け取るように構成された導波路と、導波路を経由して空間的に変調された光を受け取るように構成された観察システムと、を備えるシステムがさらに開示される。
本システムは、各ホログラムチャネルの光が回折構造から観察システムまで異なる光路をたどるように配置され得る。
異なる光路は、導波路内の異なる数の反射を含むことができる。異なる光路は、異なる長さを有することができる。異なる光路は、観察システムの入射開口を異なる角度で通過することができる。
導波路は、すべてのホログラムチャネルが、観察面上の任意の観察位置で観察システムの入射開口を通って経路を定められるように配置され得る。導波路は、許容済み観察位置ごとに、1本の光路を通る観察システムまでの各ホログラムチャネルの経路を定めるだけである。
複数のホログラムチャネルのうちの少なくとも2つのホログラムチャネルが、観察システムの入射開口で部分的に重なり合っていてもよい。
回折構造は、キノフォームまたはホログラムでよい。
「ホログラム(hologram)」という用語は、物体に関する振幅情報または位相情報、あるいはこれらの情報の何らかの組合せを含む記録を指して使用される。「ホログラフィック再構成(holographic reconstruction)」という用語は、ホログラムを照明することによって形成される物体の光学的再構成を指して使用される。本明細書に開示されるシステムは、ホログラフィック再構成が実像であり、ホログラムから空間的に隔てられ得るため、「ホログラフィックプロジェクタ(holographic projector)」と言われる。「再生フィールド(replay field)」という用語は、ホログラフィック再構成がその中に形成され、完全に焦点を合わせられている2次元領域を指して使用される。ホログラムが画素を備える空間光変調器上に表示される場合、再生フィールドは、複数の回折次数の形で繰り返され、各回折次数は、ゼロ次再生フィールドのレプリカである。ゼロ次再生フィールドは通常、これが最も明るい再生フィールドであるため、好ましい再生フィールドまたは一次再生フィールドに対応する。特に明記されていない限り、「再生フィールド」という用語は、ゼロ次再生フィールドを指すと解釈されるものとする。「再生面(replay plane)」という用語は、すべての再生フィールドを含む空間内の平面を指して使用される。「画像(image)」、「再生画像(replay image)」および「画像領域(image region)」という用語は、ホログラフィック再構成の光によって照明される再生フィールドの領域を指す。いくつかの実施形態では、「画像」は、「画像スポット(image spots)」または単に便宜上「画像画素(image pixels)」と呼ばれることがある離散スポットを含むことができる。
「符号化(encoding)」、「書き込み(writing)」または「アドレス指定(addressing)」という用語は、SLMの複数の画素に、各画素の変調レベルをそれぞれ決定するそれぞれの複数の制御値を提供するプロセスを説明するために使用される。SLMの画素は、複数の制御値を受け取るのに応答して光変調分布を「表示する(display)」ように構成されると言うことができる。したがって、SLMは、ホログラムを「表示する」と言うことができ、ホログラムは、光変調値または光変調レベルの配列と見なされ得る。
許容品質のホログラフィック再構成は、元の物体(すなわち、再構成のためのターゲット画像)に関連する位相情報のみを含む「ホログラム」から形成され得ることが分かっている。かかるホログラフィック記録は、位相限定ホログラムと呼ばれることがある。諸実施形態は、位相限定ホログラムに関するが、本開示は、振幅限定ホログラフィにも同様に適用可能である。本開示は、ホログラム計算の特定の方法に限定されるものではない。いくつかの実施形態は、単なる例として、点群ホログラム、すなわち点群法を使用して構築されたホログラムに関する。しかしながら、本開示は、フーリエもしくはフレネル型ホログラム、およびコヒーレントレイトレーシングなどの他の技法に従って計算されたホログラムにも同様に適用可能である。
本開示はまた、元の物体(すなわち、ターゲット画像)に関連する振幅および位相情報を使用してホログラフィック再構成を形成することにも同様に適用可能である。いくつかの実施形態では、これは、元の物体に関連する振幅情報と位相情報の両方を含む、いわゆる完全複素ホログラムを使用する複素変調によって達成される。この種のホログラムは、ホログラムの各画素に割り当てられた値(グレーレベル)が振幅および位相の成分を有するため、完全複素ホログラムと呼ばれることがある。各画素に割り当てられた値(グレーレベル)は、振幅成分と位相成分の両方を有する複素数として表すことができる。いくつかの実施形態では、完全複素コンピュータ生成ホログラムが計算される。
「位相遅れ」の省略表現として、位相値、位相成分、位相情報、あるいは単に、コンピュータ生成ホログラムまたは空間光変調器の画素の位相が参照され得る。すなわち、記載される位相値は、実際には、その画素によって提供される位相遅延の量を表す数値(例えば、0~2πの範囲内)である。例えば、位相値がπ/2であると言われる空間光変調器の画素は、受信光の位相をπ/2ラジアンだけ遅らせる。いくつかの実施形態では、空間光変調器の各画素は、複数の可能な変調値のうちの1つ(例えば、位相遅れ値)で動作可能である。「グレーレベル(grey level)」という用語は、複数の利用可能な変調レベルを指して使用され得る。例えば、「グレーレベル」という用語は、便宜上、異なる位相レベルが異なるグレー色合いを提供しない場合でも、位相限定変調器での複数の利用可能な位相レベルを指して使用され得る。「グレーレベル」という用語はまた、便宜上、複素変調器での複数の利用可能な複素変調レベルを指して使用され得る。
したがって、ホログラムは、グレーレベルの配列、すなわち、位相遅れ値または複素変調値の配列などの光変調値の配列を含む。ホログラムはまた、回折パターンと見なされる、というのは、ホログラムは、空間光変調器上に表示され、空間光変調器の画素ピッチに匹敵する、一般にはそれよりも短い波長を有する光で照明されると回折を引き起こすパターンであるからである。本明細書では、ホログラムを、レンズまたは格子として機能する回折パターンなどの他の回折パターンと組み合わせることについて説明する。例えば、格子として機能する回折パターンは、再生面上の再生フィールドを並進させるためにホログラムと組み合わせることができる、または、レンズとして機能する回折パターンは、ホログラフィック再構成の焦点を近接場での再生面に合わせるためにホログラムと組み合わせることができる。
様々な実施形態および実施形態の群が以下の詳細な説明において別個に開示され得るが、任意の実施形態または実施形態の群の任意の特徴が、任意の実施形態または実施形態の群の他の任意の特徴または特徴の組合せと組み合わされてもよい。すなわち、本開示で開示される特徴のすべての可能な組合せおよび順列が想定される。
特定の実施形態について、以下の図を参照してほんの一例として説明する。
スクリーン上にホログラフィック再構成を生成する反射型SLMを示す概略図である。
Gerchberg-Saxton型アルゴリズム例の第1の反復を示す図である。
Gerchberg-Saxton型アルゴリズム例の第2の反復およびその後の反復を示す図である。
Gerchberg-Saxton型アルゴリズム例の代替の第2の反復およびその後の反復を示す図である。
反射型LCOS SLMの概略図である。
表示装置から開口に向かって効果的に伝播する虚像の角度コンテンツを示す図である。
比較的小さい伝播距離を有する観察システムを示す図である。
比較的大きい伝播距離を有する観察システムを示す図である。
無限遠で虚像を形成するための、導波路を含む比較的大きい伝播距離を有する観察システムを示す図である。
図6aの光路の拡大図である。
有限虚像および導波路瞳孔拡張器を用いてゴースト像がどのようにして形成され得るかを示す図である。
一次像および2つのゴースト像を含む虚像を示す図である。
LCOS全体を使用して一次像点および2つの対応するゴースト像点を形成する例を示す図である。
LCOS全体を使用して一次像点および2つの対応するゴースト像点を形成する例を示す別の図である。
LCOS全体を使用して一次像点および2つの対応するゴースト像点を形成する例を示す別の図である。
第2のゴースト点を生じさせる導波路を通る第1の伝播経路を示す図である。
主像点を生じさせる導波路を通る第2の伝播経路を示す図である。
第1のゴースト点を生じさせる導波路を通る第3の伝播経路を示す図である。
3つの異なるフィールド/像点に関連する3本の伝播経路およびLCOS利用のうちの1つを示す図である。
3つの異なるフィールド/像点に関連する3本の伝播経路およびLCOS利用のうちの別の1つを示す図である。
3つの異なるフィールド/像点に関連する3本の伝播経路およびLCOS利用のうちの別の1つを示す図である。
観察システムおよび導波路によって形成される虚像点およびこの虚像点の画像を含む観察システムを示す図である。
図12Aの例に関連するLCOSの一次寄与領域を示す図である。
諸実施形態による改良型データ構造を導出する改良された方法の流れ図である。
諸実施形態による改良型データ構造を導出する別の改良された方法の流れ図である。
複数の画像領域を含む画像(下)および複数のホログラム成分を含む対応するホログラム(上)を示す図である。
ホログラフィックに符号化された光を複数の離散ホログラムチャネル内へルーティングまたはチャネリングすることを特徴とする、本開示によるホログラムを示す図である。
異なる光路を経由して眼までの各ホログラムチャネルの光コンテンツの経路を定めるように構成された最適化システムを示す図である。
同じまたは類似の部品を参照するために、図面全体で同じ参照番号が使用される。
本発明は、以下に記述される実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲全体に及ぶ。すなわち、本発明は、様々な形態で具現化することができ、例示する目的で提示した上述の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
数値例は、特に明記しない限り、例示的であり、限定的するものではないと見なされるべきである。
単数形の用語は、特に指定のない限り、複数形を含み得る。
ある構造が別の構造の上部/下部に形成されるかまたは他の構造上/下に形成されると記述されるのは、その構造が互いに接触する場合を含み、さらに、第3の構造が上記構造の間に配置される場合も含むと解釈されるべきである。
時間的関係を記述する際(例えば、事象の時間的順序が「後」、「後続」、「次」、「前」などと記述される場合)、本開示は、特に指定のない限り、連続的事象および非連続的事象を含むと解釈されるべきである。例えば、この記述は、「ちょうど」、「即時」、「直接」などの表現が用いられない限り、連続していない場合を含むと解釈されるべきである。
「第1の(first)」、「第2の(second)」などの用語は、様々な要素を記述するために本明細書で用いられることがあるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、一要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、第1の要素は第2の要素と呼ばれることがあり、同様に、第2の要素は第1の要素と呼ばれることがある。
異なる実施形態の特徴は、部分的または全体的に互いに結合されるかまたは組み合わされてもよく、互いに様々に相互運用されてもよい。いくつかの実施形態は、添付の特許請求の範囲内で、互いに独立して実行されてもよく、または共存関係で一緒に実行されてもよい。
光学構成
図1は、コンピュータ生成ホログラムが単一の空間光変調器上で符号化される実施形態を示す。コンピュータ生成ホログラムは、再構成のための物体のフーリエ変換である。これは単なる例であり、ホログラムをコンピュータ生成するための他の方法が本開示において企図されることが理解されよう。したがって、ホログラムは、物体のフーリエ領域または周波数領域またはスペクトル領域表現であると言うことができる。この実施形態では、空間光変調器は、反射型液晶オンシリコン「LCOS」装置である。ホログラムは空間光変調器上で符号化され、ホログラフィック再構成が、再生フィールド、例えば、スクリーンやディフューザなどの受光面で形成される。
光源110、例えばレーザまたはレーザダイオードが、コリメートレンズ111経由でSLM140を照明するように配置される。コリメートレンズにより、光の略平面波面がSLM上に入射する。図1では、波面の方向はオフノーマルである(例えば、透明層の平面に真に直交することから2~3度離れている)。しかしながら、他の実施形態では、略平面波面は垂直入射で提供され、ビームスプリッタ配置が入力光路と出力光路を分離するために使用される。図1に示される実施形態では、この配置は、光源からの光がSLMのミラー後面から反射され、光変調層と相互作用して出口波面112を形成するようなものである。出口波面112は、スクリーン125にその焦点を合わせたフーリエ変換レンズ120を含む光学系に適用される。より具体的には、フーリエ変換レンズ120は、SLM140から変調光のビームを受け取り、周波数空間変換を実行してスクリーン125でホログラフィック再構成を生成する。
特に、この種のホログラフィでは、ホログラムの各画素が再構成全体に寄与する。再生フィールド上の特定の点(または画像画素)と特定の光変調要素(またはホログラム画素)との間に1対1の相関関係はない。換言すれば、光変調層から出て行く変調光は、再生フィールド全体に分散される。
これらの実施形態では、空間におけるホログラフィック再構成の位置は、フーリエ変換レンズの屈折(集束)力によって決定される。図1に示される実施形態では、フーリエ変換レンズは物理レンズである。すなわち、フーリエ変換レンズは光学フーリエ変換レンズであり、フーリエ変換は光学的に実行される。どのレンズもフーリエ変換レンズとして機能することができるが、レンズの性能は、レンズが実行するフーリエ変換の精度を制限する。当業者は、レンズを使用して光学フーリエ変換を実行する方法を理解している。
ホログラム計算
いくつかの実施形態では、コンピュータ生成ホログラムは、画像が正レンズのフーリエ変換特性を利用することによって遠方場で再構成されるフーリエ変換ホログラム、あるいは単純にフーリエホログラムまたはフーリエベースのホログラムである。フーリエホログラムは、再生面内の所望の明視野をフーリエ変換してレンズ面に戻すことによって計算される。コンピュータ生成フーリエホログラムは、フーリエ変換を使用して計算され得る。
フーリエ変換ホログラムは、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムなどのアルゴリズムを使用して計算され得る。さらに、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、空間領域(写真など)の振幅限定情報からフーリエ領域のホログラム(すなわちフーリエ変換ホログラム)を計算するために使用され得る。物体に関連する位相情報は、空間領域の振幅限定情報から効果的に「検索」される。いくつかの実施形態では、コンピュータ生成ホログラムは、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムまたはその変形を使用して振幅限定情報から計算される。
Gerchberg Saxtonアルゴリズムは、平面A内の光線の強度横断面IA(x,y)および平面B内の光線の強度横断面IB(x,y)が既知であり、IA(x,y)およびIB(x,y)が単一のフーリエ変換によって関連付けられる場合の状況を考慮する。所与の強度横断面で、平面Aおよび平面B内の位相分布の近似値ΨA(x,y)およびΨB(x,y)が見出される。Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、反復プロセスに従うことにより、この問題の解決策を見出す。より具体的には、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、IA(x,y)およびIB(x,y)を表すデータセット(振幅および位相)を空間領域とフーリエ(スペクトルまたは周波数)領域との間で繰り返し転送しながら、空間制約およびスペクトル制約を繰り返し適用する。スペクトル領域内の対応するコンピュータ生成ホログラムは、アルゴリズムの少なくとも1回の反復によって得られる。アルゴリズムは収束し、入力画像を表すホログラムを生成するようになされる。ホログラムは、振幅限定ホログラム、位相限定ホログラム、または完全複素ホログラムとすることができる。
いくつかの実施形態では、位相限定ホログラムは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる英国特許第2,498,170号明細書または第2,501,112号明細書に記載されているようなGerchberg-Saxtonアルゴリズムに基づくアルゴリズムを使用して計算される。しかしながら、本明細書に開示される実施形態は、ほんの一例として、位相限定ホログラムを計算することを記述している。これらの実施形態では、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、既知の振幅情報T[x,y]のもとであるデータセットのフーリエ変換の位相情報Ψ[u,v]を検索する、ただし、振幅情報T[x,y]はターゲット画像(例えば写真)を表す。大きさおよび位相はフーリエ変換で本質的に組み合わされるので、変換された大きさおよび位相は、計算されたデータセットの精度に関する有用な情報を含んでいる。したがって、アルゴリズムは、振幅情報と位相情報の両方に関するフィードバックとともに繰り返し使用され得る。しかしながら、これらの実施形態では、ターゲット画像を表すホログラフィックを画像平面に形成するために、位相情報Ψ[u,v]のみがホログラムとして使用される。ホログラムは、位相値のデータセット(例えば2次元配列)である。
他の実施形態では、完全複素ホログラムを計算するために、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムに基づくアルゴリズムが使用される。完全複素ホログラムは、大きさ成分および位相成分を有するホログラムである。ホログラムは、複素データ値の配列を含むデータセット(例えば2次元配列)であり、各複素データ値は大きさ成分および位相成分を含む。
いくつかの実施形態では、アルゴリズムは複素データを処理し、フーリエ変換は複素フーリエ変換である。複素データは、(i)実数成分および虚数成分、あるいは(ii)大きさ成分および位相成分を含むと見なされ得る。いくつかの実施形態では、複素データの2つの成分は、アルゴリズムの様々な段階で異なって処理される。
図2Aは、位相限定ホログラムを計算するためのいくつかの実施形態によるアルゴリズムの第1の反復を示す。アルゴリズムへの入力は、画素またはデータ値の2次元配列を含む入力画像210であり、各画素またはデータ値は、大きさ値、すなわち振幅値である。すなわち、入力画像210の各画素またはデータ値は、位相成分を有していない。したがって、入力画像210は、大きさのみまたは振幅のみまたは強度のみの分布と見なされ得る。この種の入力画像210の一例が、写真、またはフレームの時系列を含むビデオの1つのフレームである。アルゴリズムの第1の反復は、ランダム位相分布(またはランダム位相シード)230を使用して入力画像の各画素にランダム位相値を割り当て、それによって開始複素データセットを形成するステップであって、セットの各データ要素が大きさおよび位相を含む、データ形成ステップ202Aで始まる。開始複素データセットは、空間領域内の入力画像を表していると言うことができる。
第1の処理ブロック250は、開始複素データセットを受け取り、複素フーリエ変換を実行してフーリエ変換された複素データセットを形成する。第2の処理ブロック253は、フーリエ変換済み複素データセットを受け取り、ホログラム280Aを出力する。いくつかの実施形態では、ホログラム280Aは位相限定ホログラムである。これらの実施形態では、第2の処理ブロック253は、ホログラム280Aを形成するために、各位相値を量子化し、各振幅値を1に設定する。各位相値は、位相限定ホログラムを「表示する」ために使用される空間光変調器の画素上に表すことができる位相レベルに従って量子化される。例えば、空間光変調器の各画素が256の異なる位相レベルを提供する場合、ホログラムの各位相値は、256の可能な位相レベルのうちの1つの位相レベルに量子化される。ホログラム280Aは、入力画像を表す位相限定フーリエホログラムである。他の実施形態では、ホログラム280Aは、受け取ったフーリエ変換済み複素データセットから導出された複素データ値(それぞれが振幅成分および位相成分を含む)の配列を含む完全複素ホログラムである。いくつかの実施形態では、第2の処理ブロック253は、各複素データ値を複数の許容複素変調レベルのうちの1つに制約してホログラム280Aを形成する。制約するステップは、各複素データ値を複素平面内の最も近い許容複素変調レベルに設定することを含むことができる。ホログラム280Aは、スペクトル領域またはフーリエ領域または周波数領域内の入力画像を表すと言うことができる。いくつかの実施形態では、アルゴリズムはこの時点で停止する。
しかしながら、他の実施形態では、アルゴリズムは、図2Aに点線矢印で表されているように継続する。換言すれば、図2Aの点線矢印に続くステップは随意である(すなわち、すべての実施形態に必須ではない)。
第3の処理ブロック256は、第2の処理ブロック253から修正済み複素データセットを受け取り、逆フーリエ変換を実行して逆フーリエ変換された複素データセットを形成する。逆フーリエ変換済み複素データセットは、空間領域内の入力画像を表していると言うことができる。
第4の処理ブロック259は、逆フーリエ変換済み複素データセットを受け取り、大きさ値の分布211Aの分布および位相値の分布213Aを抽出する。随意に、第4の処理ブロック259は、大きさ値の分布211Aを評価する。具体的には、第4の処理ブロック259は、逆フーリエ変換済み複素データセットの大きさ値の分布211Aを、それ自体がもちろん大きさ値の分布である入力画像510と比較することができる。大きさ値の分布211Aと入力画像210との間の差が十分に小さい場合、第4の処理ブロック259は、ホログラム280Aが許容可能であると決定することができる。すなわち、大きさ値の分布211Aと入力画像210との差が十分に小さい場合、第4の処理ブロック259は、ホログラム280Aが入力画像210を十分正確に表していると決定することができる。いくつかの実施形態では、逆フーリエ変換済み複素データセットの位相値の分布213Aは、比較の目的のために無視される。大きさ値の分布211Aと入力画像210を比較するあらゆる方法が使用されてもよく、本開示は特定の方法に限定されないことが理解されよう。いくつかの実施形態では、平均二乗差が計算され、平均二乗差が閾値未満であれば、ホログラム280Aは許容可能と見なされる。第4の処理ブロック259が、ホログラム280Aが許容できないと決定した場合、アルゴリズムのさらなる反復が実行され得る。しかしながら、この比較ステップは必須ではなく、他の実施形態では、実行されるアルゴリズムの反復回数は、予め決定されるか、予め設定されるか、またはユーザ定義される。
図2Bは、アルゴリズムの第2の反復およびアルゴリズムのさらなる反復を示す。前の反復の位相値の分布213Aは、アルゴリズムの上記処理ブロックを経由してフィードバックされる。大きさ値の分布211Aは、入力画像210の大きさ値の分布を優先して拒否される。第1の反復では、データ形成ステップ202Aは、入力画像210の大きさ値の分布をランダム位相分布230と組み合わせることにより第1の複素データセットを形成した。しかしながら、第2の反復およびその後の反復では、データ形成ステップ202Bは、(i)アルゴリズムの前の反復からの位相値の分布213Aを(ii)入力画像210の大きさ値の分布と組み合わせることにより複素データセットを形成することを含む。
次いで、図2Bのデータ形成ステップ202Bによって形成された複素データセットは、図2Aを参照して説明したものと同じ方法で処理されて、第2の反復ホログラム280Bを形成する。したがって、プロセスの説明はここでは繰り返さない。アルゴリズムは、第2の反復ホログラム280Bが計算されたときに停止することができる。しかしながら、アルゴリズムの任意の数のさらなる反復が実行され得る。第3の処理ブロック256は、第4の処理ブロック259が必要とされるか、またはさらなる反復が必要とされる場合にのみ必要とされることが理解されよう。出力ホログラム280Bは一般に反復するたびに良くなる。しかしながら、実際には、通常、重要な改良が認められないところに達するか、または、さらなる反復を実行することの正の便益を追加の処理時間の負の効果が上回る。したがって、アルゴリズムは、反復的でありかつ収束的であると言われる。
図2Cは、第2の反復およびその後の反復の代替実施形態を示す。前の反復の位相値の分布213Aは、アルゴリズムの上記処理ブロックを経由してフィードバックされる。大きさ値の分布211Aは、大きさ値の代替分布を優先して拒否される。この代替実施形態では、大きさ値の代替分布は、前の反復の大きさ値の分布211から導出される。具体的には、処理ブロック258は、前の反復の大きさ値の分布211から入力画像210の大きさ値の分布を減算し、その差を利得係数αでスケール変更し、スケール変更済み差を入力画像210から減算する。これは、下記方程式で数学的に表され、下付きテキストおよび数字は反復回数を示す、
上式で、
F’は、逆フーリエ変換であり、
Fは、順方向フーリエ変換であり、
R[x,y]は、第3の処理ブロック256によって出力される複素データセットであり、
T[x,y]は入力またはターゲット画像であり、
∠は、位相成分であり、
Ψは、位相限定ホログラム280Bであり、
ηは、大きさ値の新しい分布211Bであり、
αは、利得係数である。
利得係数αは、固定または変数とすることができる。いくつかの実施形態では、利得係数αは、入ってくるターゲット画像データのサイズおよびレートに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、利得係数αは、反復回数に依存する。いくつかの実施形態では、利得係数αは、単に反復回数の関数である。
図2Cの実施形態は、他のあらゆる点で図2Aおよび図2Bの実施形態と同じである。位相限定ホログラムΨ(u,v)は、周波数領域またはフーリエ領域における位相分布を含むと言うことができる。
いくつかの実施形態では、フーリエ変換は、空間光変調器を使用して実行される。具体的には、ホログラムデータは、光パワーを提供する第2のデータと組み合わされる。すなわち、空間光変調に書き込まれるデータは、物体を表すホログラムデータとレンズを表すレンズデータとを含む。空間光変調器に表示され、光で照らされると、レンズデータは物理レンズをエミュレートする、すなわち、レンズデータは対応する物理光学系と同じ方法で光を焦点に導く。したがって、レンズデータは、光パワーまたは集束力を提供する。これらの実施形態では、図1の物理フーリエ変換レンズ120は省略され得る。レンズを表すデータを計算する方法は知られている。レンズを表すデータは、ソフトウェアレンズと呼ばれることがある。例えば、位相限定レンズは、このレンズの屈折率および空間的に異なる光路長のためにレンズの各点によって引き起こされる位相遅れを計算することによって形成され得る。例えば、凸レンズの中心での光路長は、レンズの縁での光路長よりも大きい。振幅限定レンズは、フレネル・ゾーン・プレートによって形成され得る。コンピュータ生成ホログラフィの技術分野では、物理フーリエレンズを必要とせずにホログラムのフーリエ変換を実行できるように、レンズを表すデータをホログラムと組み合わせる方法も知られている。いくつかの実施形態では、レンズ効果データが、単純ベクトル加算などの単純加算によってホログラムと組み合わされる。いくつかの実施形態では、物理レンズが、フーリエ変換を実行するためにソフトウェアレンズと組み合わせて使用される。あるいは、他の実施形態では、フーリエ変換レンズは、ホログラフィック再構成が遠方場で行われるように、完全に省略される。他の実施形態では、ホログラムは、格子データ、すなわち、画像ステアリングなどの回折格子の機能を実行するようになされたデータと同じ方法で組み合わせることができる。やはり、そのようなデータを計算する方法はこの分野で知られている。例えば、位相限定格子が、ブレーズド回折格子の表面上の各点によって引き起こされる位相遅れをモデル化することによって形成され得る。ホログラフィック再構成の角度ステアリングを提供するために、振幅限定格子に振幅限定ホログラムが単純に重ね合わされ得る。レンズ効果および/またはステアリングを提供する第2のデータは、画像形成機能または画像形成パターンと呼ばれることがあるホログラムデータと区別するために、光処理機能または光処理パターンと呼ばれることがある。
いくつかの実施形態では、フーリエ変換は、物理フーリエ変換レンズおよびソフトウェアレンズによって合同で実行される。すなわち、フーリエ変換に寄与する一部の光パワーがソフトウェアレンズによって提供され、フーリエ変換に寄与する光パワーの残部は物理光学系によって提供される。
いくつかの実施形態では、画像データを受け取り、アルゴリズムを使用してホログラムをリアルタイムで計算するようになされたリアルタイムエンジンが提供される。いくつかの実施形態では、画像データは、一連の画像フレームを含むビデオである。他の実施形態では、ホログラムは事前に計算され、コンピュータメモリに保存され、SLM上に表示するために必要に応じて呼び出される。すなわち、いくつかの実施形態では、所定のホログラムのリポジトリが提供される。
諸実施形態は、ほんの一例として、フーリエホログラフィおよびGerchberg-Saxton型アルゴリズムに関する。本開示は、同様の方法によって計算され得るフレネルホログラフィおよびフレネルホログラムに等しく適用可能である。本開示は、点群法に基づく技法などの他の技法によって計算されたホログラムにも適用可能である。後で分かるように、本明細書での後続の図は、ホログラム計算のための点群法を含むものとして説明される。しかしながら、図2A~図2Cに関連して上述したフーリエ法を含む、ホログラム計算の他の方法が代わりに使用されてもよい。
光変調
コンピュータ生成ホログラムを含む回折パターンを表示するために空間光変調器が使用され得る。ホログラムが位相限定ホログラムである場合、位相を変調する空間光変調器が必要である。ホログラムが完全複素ホログラムである場合、位相および振幅を変調する空間光変調器が使用されてもよく、あるいは、位相を変調する第1の空間光変調器および振幅を変調する第2の空間光変調器が使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、空間光変調器の光変調要素(すなわち、画素)は、液晶を含むセルである。すなわち、いくつかの実施形態では、空間光変調器は、光学活性構成要素が液晶である液晶装置である。各液晶セルは、複数の光変調レベルを選択的に提供するように構成される。すなわち、各液晶セルは、どの時点でも、複数の可能な光変調レベルから選択された1つの光変調レベルで動作するように構成される。各液晶セルは、複数の光変調レベルとは異なる光変調レベルに動的に再構成可能である。いくつかの実施形態では、空間光変調器は、反射型液晶オンシリコン(LCOS)空間光変調器であるが、本開示はこの種の空間光変調器に限定されない。
LCOS装置は、小開口(例えば、幅数センチメートル)内に高密度の光変調要素、すなわち画素の配列を備えることができる。画素は通常、数度の回折角をもたらす約10ミクロン以下であり、これは光学系を小型にできることを意味する。LCOS SLMの小開口を十分に照明するのは、他の液晶装置のより大きい開口の場合よりも容易である。LCOS装置は一般に反射性であり、これは、LCOS SLMの画素を駆動する回路網を反射面の下に埋め込むことができることを意味する。その結果、開口率が高くなる。換言すれば、画素は密集している、つまり、画素相互間のデッドスペースはほとんどない。これは、それにより再生フィールド内の光学ノイズが低減されるので有利である。LCOS SLMは、画素が光学的に平坦であるという利点があるシリコンバックプレーンを使用する。これは、位相変調装置にとって特に重要である。
適切なLCOS SLMについて、ほんの一例として、図3を参照して以下に説明する。LCOS装置は、単結晶シリコン基板302を使用して形成される。LCOS装置は、基板の上面上に配置された、間隙301aで離間された正方形平面アルミニウム電極301の2次元配列を有する。電極301はそれぞれ、基板302に埋め込まれた回路網302aを経由してアドレス指定することができる。電極はそれぞれ、当該平面ミラーを形成する。配向層303が電極の配列上に配置され、液晶層304が配向層303上に配置される。第2の配向層305が、例えばガラス製の平面透明層306上に配置される。例えばITO製の単一透明電極307が、透明層306と第2の配向層305との間に配置される。
正方形電極301はそれぞれ、透明電極307の上を覆う領域および介在液晶材料とともに、しばしば画素と呼ばれる制御可能な位相変調要素308を画定する。有効画素面積、すなわちフィルファクタは、画素相互間のスペース301aを考慮に入れた、光学的に活性の全画素の割合である。透明電極307に関して各電極301に印加される電圧を制御することにより、当該位相変調要素の液晶材料の特性が変化し、それにより、この位相変調要素への入射光に可変遅延をもたらすことができる。効果は、波面に位相限定変調を与えることである、すなわち、振幅効果は発生しない。
上述のLCOS SLMは、空間的に変調された光を反射して出力する。反射型LCOS SLMには、信号線、ゲート線、およびトランジスタが鏡面の下にあるという利点があり、その結果、高いフィルファクタ(通常は90%超)および高い分解能が得られる。反射型LCOS空間光変調器を使用することのもう1つの利点は、液晶層の厚さが透過型装置を使用した場合に必要となる厚さの半分にできることである。これにより、液晶のスイッチング速度が大幅に向上する(ビデオ動画の投影の重要な利点)。しかしながら、本開示の教示は、透過型LCOS SLMを使用して等しく実施することができる。
小型表示装置および長い視距離を用いた画像投影
本開示は、表示装置と観察者との間の離隔距離が表示装置のサイズよりもはるかに大きい画像投影に関する。視距離(すなわち、観察者と表示装置との間の距離)は、表示装置のサイズよりも少なくとも1桁大きくすることができる。視距離は、表示装置のサイズよりも少なくとも2桁大きくすることができる。例えば、表示装置の画素面積は10mm×10mmとすることができ、視距離は1mとすることができる。システムによって投影される画像は、表示装置から空間的に隔てられた表示面上に形成される。
本開示によれば、画像はホログラフィック投影によって形成される。表示装置にはホログラムが表示される。ホログラムは、光源(図示せず)によって照明され、ホログラムから空間的に隔てられた表示面上に画像が知覚される。画像は、現実であっても仮想であってもよい。以下の説明のために、表示装置の上流側に形成される虚像を考慮することが有用である。すなわち、表示装置の背後に現れる。しかしながら、画像が虚像であることは必須ではなく、本開示は、表示装置と観察システムとの間に形成される実像にも等しく適用可能である。
表示装置は、ホログラムを表示する画素を備える。表示装置の画素構造は回折性である。したがって、ホログラフィック画像のサイズは回折規則によって支配される。表示装置の回折性質の結果について図4を参照して以下に説明する。
図4は、表示装置402の上流側に虚像401を形成するホログラムを表示するように構成された画素化表示装置402を示す。表示装置の回折角qは虚像401のサイズを決定する。虚像401、表示装置402、および観察システム405は光軸Ax上に配置される。
観察システム405は、入射開口404および観察面406を有する。観察システム406は人間の眼とすることができる。したがって、入射開口404は眼の瞳孔とすることができ、観察面406は眼の網膜とすることができる。
表示装置402と観察システム405との間を進む光は、画像(画像自体ではない)のホログラムで変調される。図示の各光線束は、虚像401の異なる部分に関する。より具体的には、各光線束内の光は、虚像の一部に関する情報とともにホログラムによって符号化される。図4は、それぞれが光軸Axに対する当該角度で特徴付けられ、それぞれが虚像の当該部分を表している、5本の光線束の例を示す。この例では、光束のうちの1本が瞳孔404を通過し、他の4本の光束は瞳孔404によって遮られる。この場合も、5本の異なる光線束は、虚像401の5つの異なる部分に対応する。虚像の全画像コンテンツは、角度によって効果的に分割される。光軸Axに沿って進む光束は、画像情報の中央部分、すなわち画像の中心に関する情報を伝える。他の光束は、画像情報の他の部分を伝える。光円錐の両端に示されている2本の光束は、画像情報のエッジ部分を伝える。画像情報をこのように角度で分割した結果、すべての画像コンテンツが所与の観察位置で観察システムの入射開口404を通過できるわけではない。換言すれば、すべての画像コンテンツが眼によって受け取られるわけではない。図4の例では、図示の5本の光束のうちの1本だけが、任意の観察位置で瞳孔404を通過する。読者は、5本の光束が単なる例として示されており、記述されるプロセスは、虚像の画像情報を5本の光束のみに分割することに限定されないことを理解するであろう。
この例では、画像情報の中央部分が眼によって受け取られる。画像情報のエッジ部分は、眼の瞳孔によって遮られる。読者は、観察者が上下に動くと、異なる光束が眼によって受け取られる可能性があり、例えば、画像情報の中央部分が遮られる可能性があることを理解するであろう。したがって、観察者には、全画像の一部しか見えない。画像情報の残部は、入射瞳によって遮られる。観察者は表示装置自体の小開口を通して画像を効果的に見ているため、観察者の視界は非常に制限される。
要約すると、光は表示装置から回折角の範囲にわたって伝播する。1メートルの視距離では、表示装置からの狭い範囲の角度のみが眼の瞳孔を通って伝播して、所与の眼球位置の網膜に画像を形成することができる。虚像の目に見える部分は、入射開口を通過する図4に示されている小さな角度範囲内にある部分のみである。したがって、視野は非常に小さく、特定の角度範囲は眼球位置に大きく依存する。
図4を参照して説明した小さい視野および眼球位置に対する感受性の問題は、表示装置の大きい視距離および小さい開口の結果である。視距離の重要性について、図5~図7を参照してさらに説明する。
図5Aは、ホログラムを表示し、ホログラムに従って変調された光を、入射開口504および観察面506を含む観察システムへ伝播するように構成された表示装置502を示す。虚像501は無限遠にあるため、虚像と表示装置との間でトレースされる光線はコリメートされる。図5Aの下部は、観察システムの拡大図を示す。この図は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。実際には、当然ながら、表示装置502を照明するように構成された光源(図5Aには示さず)がある。
図5Aは、開口504を通って伝播することができる光線のみを示し、開口504を通過することができない他の光線は省略されている。しかしながら、実際には、そうした他の光線は表示装置502からも伝播するはずであることが理解されよう。図5Aでは、表示装置と観察面との間の距離は、表示装置からの完全な回折角が網膜上に画像を形成することができるほど小さい。虚像から示されている光伝播経路はすべて入射開口を通過する。したがって、虚像上のすべての点が網膜上にマッピングされ、すべての画像コンテンツが観察面に送達される。したがって、知覚される画像の視野は最大である。最適位置では、視野は表示装置の回折角に等しい。興味深いことに、網膜上の異なる像点は、表示装置502上の異なる領域から伝播する光から形成され、例えば、図5Aの上部に最も近い像点は、表示装置の下部のみから伝播する光から形成される。表示装置の他の領域から伝播する光は、この像点に寄与しない。
図5Bは、視距離が増大するにつれて生じる状況を示す。
より詳細には、図5Bは、ホログラムを表示し、ホログラムに従って変調された光を、入射開口504’および観察面506’を含む観察システムへ伝播するように構成された表示装置502’を示す。虚像501’は無限遠にあるため、虚像と表示装置との間でトレースされる光線はコリメートされる。図5Bの下部は、観察システムの拡大図を示す。この図は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。実際には、当然ながら、表示装置502’を照明するように構成された光源(図5Bには示さず)がある。
図5Bは、開口504’を通って伝播することができる光線のみを示す。図5Bのより大きい視距離では、光線束の一部は入射開口504’によって遮られる。具体的には、虚像のエッジ部に関連する光線束は入射瞳504’によって遮られる。その結果、虚像全体は目に見えず、虚像の目に見える部分は眼球位置に大きく依存する。したがって、これは、表示装置のサイズが(比較的)小さいために、表示装置と観察システムとの間の大きい距離が問題であることを示している。
図6Aは、表示装置602上に表示されたホログラムで符号化されている光を、入射開口604および観察面606を備える観察システムに向かって伝播する、表示装置602を備える改良型システムを示す。実際には、当然ながら、表示装置602を照明するように構成された光源(図示せず)がある。改良型システムは、表示装置602と入射開口604との間に配置された導波路608をさらに備える。図6Aの下部は、入射瞳604および観察面604の拡大図を示す。この図は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。
図6の視距離は、図5Bの視距離と同じである。しかしながら、図5Bで遮られた光線束は、より長い視距離にもかかわらず、全画像情報が観察システムによって受け取られるように、導波路608によって効果的に回収される。
導波路608が存在することにより、この比較的大きい投影距離であっても、表示装置602からのすべての角度コンテンツが眼によって受け取られることが可能になる。これは、導波路608が、周知であり、したがって本明細書にごく簡単に説明されている方法で、瞳孔拡張器として作用するからである。
手短に言えば、導波路608は、実質的に細長い形成物を備える。この例では、導波路は屈折材料の光学スラブを備えるが、他種の導波路も周知であり、使用され得る。導波路608は、表示装置602から投影される光円錐と、例えば斜角で交差するように配置される。導波路608のサイズ、箇所、および位置は、光円錐内の5本の光線束のそれぞれからの光が導波路608に入ることを確実にするように構成される。光円錐からの光は、導波路の第1の平面610(表示装置602の最も近くに配置される)を通って導波路608に入射し、導波路608の長さに沿って少なくとも部分的に導かれてから、第1の平面610の実質的に反対側の第2の平面612(眼の最も近くに配置される)を通って放出される。よく理解されるように、第2の平面612は部分的に反射性であり、部分的に透過性である。換言すれば、各光線が導波路608内を、導波路608の第1の平面610から第2の平面612へ進むときに、光の一部は導波路608から透過し、一部は第2の平面612によって反射されて第1の平面610の方へ戻る。第1の平面610は反射性である、したがって、導波路608内から第1の平面610に当たる光はすべて、第2の平面612に向かって反射される。したがって、光の一部は、透過する前に導波路608の2つの平面610、612の間で単に屈折してもよく、他の光は、透過する前に反射してもよい、したがって、導波路608の平面610、612の間で1回または複数回の反射(または「跳ね返り」)を受けてもよい。したがって、導波路608の正味の効果は、光の透過が導波路608の第2の平面612上の複数の箇所を横切って効果的に拡張されることである。したがって、表示装置602によって出力されるすべての角度コンテンツは、導波路608がなかった場合よりも、表示面上のより多くの位置に(かつ開口面上のより多くの位置に)存在し得る。これは、各光線束からの光が、比較的大きい投影距離にもかかわらず、入射開口604に入り、観察面606によって形成される画像に寄与し得ることを意味する。換言すれば、表示装置602からのすべての角度コンテンツを眼で受け取ることができる。したがって、表示装置602の完全な回折角が利用され、観察窓はユーザにとって最大化される。さらに、これは、すべての光線が知覚される虚像601に寄与することを意味する。
図6Bは、図6Aで形成される虚像601内の5つの像点にそれぞれ寄与する5本の光線束(上から下にそれぞれR1~R5とラベル付けされている)のそれぞれの個々の光路を示す。図から分かるように、R1およびR2のそれぞれの光は、単に屈折し、次いで導波路608によって透過する。一方、R4の光は、透過する前に1回の跳ね返りに遭遇する。R3の光は、透過する前に導波路608によって単に屈折される表示装置602の対応する第1の部分からの一部の光と、透過する前に1回の跳ね返りに遭遇する表示装置602の第2の異なる対応する部分からの一部の光と、を含む。同様に、R5の光は、透過する前に1回の跳ね返りに遭遇する表示装置602の対応する第1の部分からの一部の光と、透過する前に2回の跳ね返りに遭遇する表示装置602の第2の異なる対応する部分からの一部の光と、を含む。R3およびR5のそれぞれについて、LCOSの2つの異なる部分が、虚像のその部分に対応する光を伝播する。
本発明者らは、少なくともいくつかの用途において、虚像距離、すなわち観察者から虚像までの距離は、虚像が無限遠で形成されるのとは対照的に、有限であることが好ましいことを認識した。特定の用途では、虚像コンテンツが現れることが望ましいかまたは必要である好ましい虚像距離が存在する。例えば、これは、例えば自動車の設定におけるヘッドアップディスプレイの場合、例えば、虚像コンテンツが、車両のフロントガラスを通して観察者によって観察されている実際のコンテンツに重畳される場合とすることができる。例えば、所望の虚像距離は、観察者の車両またはフロントガラスの前方の数メートル、例えば3メートルないし5メートルに形成される虚像コンテンツを含むことができる。
図7の上部は、表示装置702上に表示されたホログラムで符号化されている(すなわち、このホログラムに従って変調されている)光703を、入射開口704および観察面706を含む眼に向かって伝播する、表示装置702を備えるシステムを示す。表示装置702を照明するように構成された光源(図示せず)がある。このシステムは、上記の図6aに関連して詳述したように、瞳孔拡張器として機能するように表示装置702と入射開口704との間に配置された導波路708をさらに備える。図7の中間部は、入射開口704および観察面706の拡大図を示し、図7の最下部は、観察面706のさらに拡大した図を示す。この図は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。この配置では、眼は、虚像701が表示装置702の上流側の有限の距離に配置されていると知覚する。虚像701と表示装置との間の光線は、虚像距離が有限であるため発散する。
上記の図6Aのように、図7に導波路708が存在することにより、表示装置702の全回折角が比較的大きな投影距離でアクセスされることが効果的に可能になり、したがって、全画像コンテンツが図示の表示位置でユーザに見える。
しかしながら、別の技術的問題が導入される。光線束のいくつかについて、表示装置702の異なる部分からの光の異なる光路は、虚像が有限の虚像距離に形成されるときに、それぞれが網膜706上に多数の像点を形成する光線束をもたらすことができる。これは、図7aのR3’およびR5’とラベル付けされた光線束に関連して示されている。形成される追加の像点は、虚像内の所与の点の主像点に従属的なものであり、「ゴースト像点」と呼ばれることがあり、集合的に「ゴースト像」または単に「ゴースト」を形成する。画像形成の当業者なら理解するように、ゴーストの形成は、観察者の視点から、虚像のぼけおよび知覚品質の全体的な低下を引き起こす可能性がある。これは、「ゴースト」が「主」画像に部分的に重なる場合に特に当てはまる。
図8は、主画像に加えてゴースト像を含む、図7aに示すものと同様の観察システムを使用して作られた番号「5」および「9」の虚像の例を示す。主画像は、左右にゴーストを伴って、各数字の最も明るい中央画像として見ることができる。図8の例では、「9」は、視距離が「5」の場合よりも大きい場合に形成され、したがって、ぼけはそれに対してより顕著になる。しかし、これは1つの例示的な例にすぎず、本開示を限定するものと見なされるべきではない。
本発明者らは、ゴースト像の問題に対処してきた。本発明者らは、表示装置によって出力されるすべての角度画像コンテンツを含み、ゴースト像の形成を低減または除去する、有限の虚像距離に虚像を形成することができる観察システムを提供することが望ましいことを認識した。さらに、本発明者らは、従来型観察システムでは観察開口のサイズが増大するにつれて、ゴースト像点を形成するリスクが増加することを見出した、というのは、観察開口は、表示面上に追加の像点を形成し得る追加の光線を入れることができるからである。したがって、ゴースト像の形成を依然として低減または除去しながら、異なるサイズの開口に対応することができる改良型観察システムを提供することが望ましい。以下に詳述する本発明者らによって提供される解決策は、開口、導波路、および表示装置の様々なサイズ(および配置)に適用可能であり、1つまたは複数のゴースト像が従来から形成され得る異なる伝播距離に適用され得る。
全体として、本発明者らは、事実上、従来の配置では1つまたは複数のゴースト像に寄与するはずの表示装置の1つまたは複数の領域を識別するホログラムを生成するための光エンジンを提供することが可能であり、ホログラムは、表示装置のそうした1つまたは複数の領域からの寄与を制御するために、したがって、ホログラムが表示装置に表示され照明されるときのゴースト像点の形成を回避または低減するために導出されることを認識した。本発明者らは、観察システム内の投影距離が比較的大きくかつ表示装置および/または観察開口が比較的小さい場合であっても、そのようなホログラムを提供するためのホログラムエンジンを提供するとともに、改善された画像を形成するために、改善されたホログラムの表示および照明のための改良型観察システムを提供することが可能であることをさらに認識した。
本発明者らは、比較的小さい観察開口を備え、随意に比較的小さい表示装置も備える導波路を含む観察システム(本明細書の図6Aおよび図7Aに示されている観察システムなど)を有することによって課される角度制限のために、導波路内の異なる可能な伝播経路を別々に考慮することが可能であることを認識した。さらに、本発明者らは、そのような考慮の結果として、所望の「主」画像に寄与する光の供給源である表示装置の領域と、望ましくない「ゴースト」画像に寄与する光の供給源である表示装置の領域と、開口によって遮られる光の供給源である、したがって主画像にもゴースト像にも寄与しない表示装置の領域と、をそれぞれ識別することが可能であることを認識した。本発明者らは、ホログラム計算を、主画像に寄与する表示装置の領域のみに限定することが可能であることをさらに認識した。本発明者らは、さらなる改良において、いくつかの実施形態では、事実上、ゴースト像のうちの1つまたは複数が並進させられて主画像上に重ね合わされるようにすることができる改善されたホログラムを提供することができることをさらに認識した。
本発明者らによってなされた認識、ならびにそうした認識を具体化する改良されたシステムおよび方法は、以下に詳述するように図面を参照してさらに理解され得る。
図9A~図9Cは、この例ではLCOS空間光変調器である表示装置902を示す。以下での「LCOS」への言及は、「表示装置」の省略表現としてなされる。本開示の教示は、LCOS表示装置に限定されるものではない。図9Bは、LCOS902から導波路908を経由して、この例では観察者の眼を含む観察エンティティ/システム905に向かう、1つの虚像点に対する光線をトレースする。図9Cは、眼905の拡大図をさらに含み、瞳孔904(すなわち、入射開口)および網膜906(すなわち、センサまたは観察面)における光線を示す。この例では、LCOS領域全体が網膜906上の像点の形成に寄与する。換言すれば、LCOS902の全体が観察者に「見える」。画像へのLCOS902全体のこの寄与は、LCOS全体が網掛けされることによって示されており、その全表面積を「寄与領域」として示す。
図から分かるように、図9Bおよび図9CにおけるLCOS902からトレースされた光は、この特定の虚像点の網膜906上での3つの像点(それぞれG1、M、およびG2とラベル付けされている)の形成をもたらす。中間像点「M」は、観察者によって知覚される一次/主虚像に寄与する主像点を含む。上の像点G1は第1のゴースト像点を含み、下の像点G2は同じ虚像点の第2の異なるゴースト像点を含む。特に、さらに進歩して、本発明者らは、主像点Mおよび/またはゴースト像点G1、G2に寄与するLCOS902の領域(複数可)を識別することが可能であることを認識した。
図10A~図10Cは、3本のそれぞれの伝播経路に分けられた図9A~図9CのLCOS902および光線図を示し、3本の経路うちの第1の経路は下のゴースト像点G2に寄与する光を含み、3つ経路のうちの第2の経路は主像点Mに寄与する光を含み、3本の経路のうちの第3の経路は上のゴースト像点G1に寄与する光を含む。図10Aに見られるように、G2に寄与する光は、導波路908によって透過する前に3回跳ね返る。図10Bに見られるように、Mに寄与する光は、導波路908によって透過する前に2回跳ね返る。図10Cに見られるように、G1に寄与する光は、導波路908によって透過する前に1回跳ね返る。
各図(10A,10B,10C)はまた、当該像点に寄与するLCOS902の部分(複数可)を網掛けで示してある。したがって、下のゴースト像点G2には、LCOS902の下部に向かう領域が寄与し、上のゴースト像点G1には、LCOS902の上部に向かう領域が寄与し、主像点には、LCOS902全体が寄与することが分かる。
開口904(すなわち、観察者の瞳孔)は、図9および図10a~図10cの例では比較的幅広であり、この例は、LCOS902全体がなぜ主像点に寄与するのかを説明する。換言すれば、この例では、観察システムのf値は比較的低い。図10A~図10Cは、LCOS902の一部がどちらかのゴースト像G1、G2にも寄与するが、どちらのゴースト像G1、G2にも寄与せず、主像点Mにのみ寄与するLCOS902の領域があることを示している。本発明者らは、この領域が、この例ではLCOS902にとって寄与領域であると識別され得ること、より具体的には、この領域が、後続の図の説明からさらに理解されるように、「一次寄与領域」であると識別され得ることを認識した。したがって、この場合、一次寄与領域は円または楕円に限定されるものではなく、他のより複雑な形状をとり得ることが分かる。
図11A~図11Cは、入射開口が比較的小さい(すなわち、f値が比較的高い)場合の虚像の異なる点に関する対応する光線図を示す。図11Aは、虚像の第1のフィールド点(すなわち、第1の虚像点)に関し、図11Bは、虚像の第2のフィールド点に関し、図11Cは、虚像の第3のフィールド点に関する。図11A~図11Cは、LCOS902のすべてが主像点に寄与するわけではないことを示している。実際、図11A~図11Cは、LCOSの第1の領域が主像点(本明細書では「一次寄与領域」と呼ぶ)に対応し、LCOSの第2の領域がゴースト像点(本明細書では「二次寄与領域」と呼ばれる)に対応することを示している。
本発明者らは、特定の条件下では、LCOS902の異なるそれぞれの領域(または観察システム内の他の表示装置)が、主画像かゴースト像のどちらかに寄与するか、あるいは画像の可視部分に寄与しないことを認識した。本発明者らは、この情報を使用してホログラム決定プロセスを最適化できることをさらに認識した。例えば、表示装置の特定の部分からの光は省略され得る、あるいは場合によっては、表示装置の特定の部分がホログラムによって符号化される方法は、ゴースト像に寄与するのではなく、主画像に確実に寄与するように変更され得る。さらに、表示装置の追加の領域が識別されてもよく、追加の領域は、主画像に確実に寄与するように構成され得る。
本発明者らによってなされた認識は、一例として点群ホログラムに関連して以下に記述される。しかしながら、点群ホログラムは、フーリエホログラムやまたはフレネルホログラムなどの他種のホログラムに適用され得る。すなわち、本開示に従って決定され得るLCOS情報を使用して、他のホログラム計算方法を最適化することができる。
よく理解されるように、通常、画像(虚像など)の点群ホログラムを計算する場合、画像は、複数の個々の点(虚像の形成を説明するので、本明細書では「仮想点」と呼ばれる)に分解される(すなわち、複数の個々の点で表される)。次いで、球面波(または「ウェーブレット」)が、各仮想点から、虚像内のその仮想点の所期または所望の位置で、上述の例ではLCOSの平面などの表示装置の平面まで、計算的に(すなわち、モデルまたは他の理論ツールを使用して)伝播される。そのようなウェーブレットが互いに干渉する方法が考慮され、表示装置の各画素で受け取られるはずのウェーブレットの結果として生じる振幅および/または位相が計算される。次いで、表示装置は、計算されたウェーブレットを模倣し、それによって画像のホログラムを作るために、各画素箇所で必要とされる振幅および/または位相変調を示すように、周知の方法で調整することができるので、本明細書では説明しない。
本発明者らは、本明細書に記載の導波路および大きな視距離を有する観察システムでは、表示装置全体にすべての仮想点の対応するウェーブレットの正味の振幅および位相が入力される場合、作られることになるホログラムは、表示および照明されると、1つまたは複数のゴースト像ならびに主画像を生成することができることを認識した。例えば、これは、観察システムが、観察者から有限の距離に虚像が知覚されるように構成されるときに起こり得る。さらに、多くの場合、装置のいくつかの部分の画素から放出された光線は無駄になる、(すなわち、その光線は、観察者が見たり知覚したりする画像に寄与しない)、というのは、観察システムの物理的制約(小さな開口および/または小さな表示装置および/または大きな投影距離など)は、装置のそれらの部分からの光が観察者の眼に入らないことに影響するからである。したがって、本発明者らは、表示装置のどの部分がホログラムを提供するように調整されているかに関して、知的選択が適用され得ることを認識した。具体的には、主画像に寄与するLCOSのそれらの部分(または、一部、または、領域)のみが選択される場合(かつ、ウェーブレットが所期の虚像の仮想点からのみ、LCOSのそれらの部分へ計算的に伝播され、主画像に寄与しないLCOSの他の部分へは伝播されない場合)、表示装置の選択された領域内の各画素で受け取られるはずのウェーブレットの結果として生じる振幅および/または位相を計算することができる。表示装置の他のそれぞれの部分について計算は不要である。
次いで、表示装置は、計算されたウェーブレットを模倣し、それによって主画像のホログラムを作るために、選択された部分(複数可)内の各画素箇所で必要とされる振幅および/または位相変調を示すように、改善された計算に従って調整することができる。これが行われると、計算済みホログラムが表示装置上に表示され、照明されるときに、LCOSの他の部分を調整することはなく、したがって、画像情報が、それらの他の部分から観察者の眼(または他の観察エンティティ)へ伝播することはない。したがって、それが望ましくない「ゴースト」像点を形成することにつながり得る、観察者が利用できる情報はない。結果として、ゴースト(複数可)は排除されるまたは「クエンチされる」。さらに、計算または画像情報は無駄にならない、というのは、条件の所与のセットに対して(特定の開口幅および眼の位置などに対して)、観察者の瞳孔を通って(または、対応する他の観察エンティティの開口を通って)入れられることになる光を提供すると分かっている表示装置の画素のみが調整されるからである。
図12Aおよび図12Bは、仮想点例1201を含む虚像を形成するシステム1200を示す。観察システム1200は、この例ではLCOS SLMである表示装置1202を備え、表示装置1202は、本開示に従って識別される寄与領域1203および非寄与領域1207を含む。表示装置1202は、虚像のホログラムを表示するとともに、ホログラムに従って符号化された光を、開口として作用する瞳孔(図示せず)とレンズ1209と観察面として作用する網膜1206とを備える眼1205に向けて投影するようになされる。レンズ1209および網膜は、分離距離「A」で隔てられる。表示装置1202を照明するように構成された光源(図示せず)がある。観察システム1200は、LCOS1202と眼1205との間に配置された導波路1208をさらに備える。この像は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。
仮想点1201は、表示装置1202の上流側に配置されており、これは、図12Aおよび図12Bにおいて仮想点1201が表示装置1202の左側にあることによって示されている。仮想点1201は、この例ではデカルト(x,y,z)座標を含む空間座標によって定義された位置を有するが、他の座標系または仮想点の位置を識別する他の手段が使用されてもよい。距離「z」は、仮想点1201と表示装置1202との間に、表示装置1202の光軸に略平行な方向に画定される。表示装置1201と眼のレンズ1209との間に、表示装置1201の光軸に略平行な方向に画定されるディスプレイレンズ間距離「l」もある。「z」と「l」の両方の数値は、観察者の位置を含む、所与の時点での観察システム1200の特定の配置に応じて変化する。例えば、ディスプレイレンズ間距離「l」は約1メートル程度であってもよく、ディスプレイ画像間距離「z」はさらに大きくてもよく、例えば数メートル程度であってもよい。しかし、これらの数値の例は純粋に例示的なものであり、限定するものと見なされるべきではない。
本発明者らは、虚像点1201を含む虚像が図12Aに示される位置で観察者によって知覚されるべき場合、対応する像点1211が網膜1206上に形成されなければならないことを認識した。光線は、虚像の仮想点1201からLCOS1202を通って網膜1211上の対応する点1211までトレースすることができる。
導波路1208によって可能な経路が作られる/生成されたるために、仮想点1201と網膜上の仮想点に対応する点1211との間に、LCOS1202を経由して複数の可能な光路をとることができることが理解されよう。諸実施形態によれば、虚像点1201と観察面(すなわち、網膜1206)上の対応する点1211との間の、複数の光線経路の間の光線経路を含む主光線が決定され得る。この主光線経路が識別されると、光が導波路内で受ける跳ね返りの数が決定される。その跳ね返りの数(B)は、虚像と観察面との間で光線がトレースされるべき跳ね返りの数として設定することができる。諸実施形態によれば、主光線(および関連する跳ね返りの数(B))は、初期段階として識別され得る。
本例では、レイトレーシングは、各虚像点1201と網膜上の対応する点1211との間を「主光線」光が進むLCOS1202の部分を、その虚像点1201の「寄与領域」1203を識別するために決定することができる。したがって、図12Aには、光線「r」が、虚像点1201と表示装置1202の寄与領域1203との間で伝播するものとして描かれている。本発明者らによって構成された認識に従って、LCOSの寄与領域に寄与するウェーブレットのみが、虚像点1201および表示装置1202からモデル化される(または他の方法で計算的に考慮される)必要がある。換言すれば、適切なホログラムを生成するために、表示装置1202の識別済み寄与領域1203のみが符号化される(または「調整される」)必要がある。このようなホログラムは、表示装置上で符号化され、適切に照明されると、虚像点1201が観察者によって知覚されることを、虚像点1201のどのゴースト像も存在することなく可能にするはずである。これは、以下で論じられる図13および図14からさらに理解することができる。
図12Aおよび図12Bの寄与領域1203、ならびに以下の図13および図14に関連して論じられる寄与領域は、対応する観察エンティティの入射開口および関連する光学系のサイズおよび形状(例えば、導波路の幾何形状、より大きな光学系内の任意の反射など)に基づいてサイズおよび形状を定められる。したがって、観察エンティティが人間の眼である場合、表示装置上の寄与領域は、場合により、略円形または楕円形、あるいは受け取る瞳孔と同様のサイズの、複雑な形状などの他の適当な形状を含むことができる。しかしながら、本開示は、寄与領域のより複雑な形状を包含する。瞳孔径は、任意の適切な方法で測定または推定され得る。例えば、眼の瞳孔径の測定は、視標追跡システムによって実行され得る。あるいは、瞳孔径は、眼の瞳孔径の既知の範囲(例えば2~6mm)に基づいて、または所与の時点での環境光条件を考慮した別の推定値に基づいて推定され得る。
寄与領域は、意図的に瞳孔よりもわずかに大きい領域(開口面上)に寄与するように、かつ/または瞳孔(または他の開口)に対してわずかに異なる形状の領域(開口面上)に寄与するように設定され得る。そのような場合、「寄与領域」からのすべての光が常に瞳孔を通過するわけではないが、眼は、網膜上に良好な画像を形成するのに十分な光を依然として集めながら、少し動き回ることができる。
図13は、本開示の主要な態様による、表示装置の寄与領域および非寄与領域を決定する方法を示す。随意に、次いで、これらの決定は、図12Aおよび図12Bのシステム1200などの観察システムによる表示および照明のための1つまたは複数のホログラムの生成を最適化するために使用することができる。図13を参照して説明する方法では、観察システムは、(f)値(すなわち、焦点距離および口径)を有するレンズとカメラとを備える。カメラの感光性構成要素は、例えばCCDアレイとすることができ、観察面上に配置される。機能的には、レンズおよびカメラは、観察者の人間の眼のレンズおよび網膜を置換し、表示装置の寄与領域および非寄与領域を決定するプロセスに専ら使用される。表示装置のこれらの領域は、複数の観察位置(例えば、アイモーションボックス内の眼球位置)および/または複数の像距離(例えば、車両の前方の虚像距離)に対して決定され得る。いくつかの点で、図13を参照して開示された方法は、ホログラム計算の前駆体と見なされ得る。本方法は、最適化プロセスか、さらには較正プロセスと見なされ得る。
よく理解されるように、生成されるべき各虚像は、例えば(x,y,z)座標によって定義されるように、それぞれが対応する位置を有する1つまたは複数の虚像点で表すことができる。図13の方法1300のステップ1 1302~ステップ6 1312(以下で詳述される)は、作られるべき虚像内の各虚像点に別々に適用され得る。さらに、方法1300は、観察システムの条件の特定のセット、すなわち特定の測定値および制約条件に該当する。したがって、方法1300の任意の所与の反復(または「実行」)が、作られるべき特定の画像(虚像点による虚像点)を構築するのに該当するとともに、システムが特定のディスプレイ画像間距離「z」、表示装置と網膜との間の特定の距離「d」、特定の口径(瞳孔)幅、および眼の焦点が合わされる特定の虚像距離を有する場合に該当する。
方法1300の反復はまた、特定のサイズおよび種類の表示装置に特有であるとともに、眼の特定の位置に対しても、許容済み観察窓で特有である。本方法の各反復がそれに特有である、他の測定値および/または制約条件が存在してもよい。諸実施形態によれば、それらの測定値または制約条件のいずれかが変化した場合、本方法1300は、変化した状況下で表示装置の寄与領域(複数可)を再決定するために再実行され得る。しかしながら、諸実施形態によれば、それらの測定値または制約条件のうちの1つまたは複数に特定の許容誤差を適用することができ、したがって、本方法は、その測定値または制約条件が所定の量未満だけかつ/または所定の時間長未満の間に変化する場合に再実行されなくてもよいことが理解されよう。本方法がいつ再反復されるべきかに関する規則は、システムごとに決定され得る。
方法1300は、適切なプロセッサによって実行され得る。プロセッサは、ホログラムエンジンを備えるか、またはホログラムエンジン内に含まれるか、またはホログラムエンジンと通信することができる。プロセッサまたはホログラムエンジンは、光エンジン内に含まれ得る。
プロセッサは、方法1300が実行される前に、観察システムに関する境界情報を取得または受信することができる。例えば、プロセッサは、表示装置などの構成要素のサイズに関する情報、様々な構成要素および観察システム(例えば、潜在的な人間の観察者)の絶対位置および/または相対位置に関する情報、光源に関する情報、などを取得または受信することができる。
方法1300によれば、第1のステップ1302で、虚像が知覚されるべき位置に従って、位置、例えば、虚像点(本明細書では略して「仮想点」とも呼ばれる)の座標[xvirtual,yvirtual,zvirtual]が取得される。次いで、レンズ1209と仮想点との間の虚像距離が取得または決定される。この虚像距離は、方法1300を実行しているプロセッサによって設定または決定されてもよく、または別のエンティティによって設定または決定され、そのプロセッサに伝達されてもよい。虚像距離は、いくつかの配置では、予め設定されるか、または複数の可能な虚像距離から選択されてもよい。現実世界の動作では、観察システムが眼である場合、視線追跡情報または頭部追跡情報が虚像距離の決定に使用され得る。
第2のステップ1304で、レンズとセンサとの間の所要の距離「A」が、虚像点に焦点を合わせるために決定される。各虚像点を角度で定義することもできる(図4参照)。本明細書での「角度コンテンツ」への言及は、虚像の虚像点に対してなされる。
第3のステップ1306で、観察システムによって形成された主画像または一次像に関連する導波路内の光の反射または跳ね返りの数「B」が決定される。光学分野の当業者なら、導波路が虚像点に関連付けられた光の複数のレプリカを生成し、各レプリカが導波路内の異なる数の光の跳ね返り/反射に関連付けられ得ることを理解するであろう。ほんの一例として、Bを決定する1つの方法は、導波路内の可能な光伝播経路ごとに主光線と表示装置との交差を決定し、主光線を表示装置の中心の最も近くに置く反射/跳ね返りの数を選択することである。有利には、この手法は、観察システムに寄与する表示装置の面積が最大になるようにすることである。
あるいは、第3のステップ1306で使用する跳ね返りの数を計算する別の方法は、以下のサブステップ1~5を含む。
1.入力として知られ使用される眼球位置
2.第1の跳ね返りの数Bに対する、表示装置の中心から決定済み眼球位置までのレイトレース。虚像に向かうその光線の外挿は、この跳ね返りの数(B)に対する視野(θB)内の角度を定義する。
3.第2の跳ね返りの数B+1に対する、表示装置の中心から決定済み眼球位置までのレイトレース。虚像に向かうその光線の外挿は、この跳ね返りの数(B+1)に対する視野(θB+1)内の角度を定義する。
4.Bは、θBとθB+(θB+1-θB)/2との間の角度コンテンツに使用される跳ね返りの数である
5.B+1は、θB+(θB+1-θB)/2とθBとの間の角度コンテンツに使用される跳ね返りの数である
第1のステップ1302(すなわち、虚像点の座標)および第3のステップ1306(パラメータ、B)からの出力は、センサ上の対応する画像位置/点[xsensor,ysensor,zsensor]を決定するために第4のステップ1308で使用される。すなわち、第4のステップ1308は、虚像点の光が受け取られるセンサ上の点を決定する。換言すれば、虚像点が画像化されるセンサ上の点である。センサ上のこの点は、図14に関連して、主像点[xsensor,ysensor,zsensor]として下記に参照される。ほんの一例として、導波路内のB個の跳ね返りについての仮想点からセンサまでのコンピュータによるレイトレーシングが使用され得るが、本開示は第4のステップへのこの手法に限定されるものではない。
当業者なら、仮想点[xvirtual,yvirtual,zvirtual]からセンサ上の点[xsensor,ysensor,zsensor]までの主光線(または単に主光線)が識別され得ることを理解するであろう。この場合も、コンピュータによるレイトレーシングが主光線を識別または追跡するために使用され得るが、他の方法も同様に適用可能である。第5のステップ1310で、表示装置交点[xLCOS(B)、yLCOS(B)、zLCOS(B)]が識別される、ただし、表示装置交点は、主光線が表示装置と交差する表示装置上の位置である。表示装置交点は、例えばコンピュータによるレイトレーシングによって決定、計算、または測定され得る。
第6のステップ1312で、表示装置交点に関連する表示装置の領域[xLCOS(B)、yLCOS(B)、zLCOS(B)]が識別される。表示装置の領域は、この点[xLCOS(B)、yLCOS(B)、zLCOS(B)]を幾何学的に中心とすることができる。例えば、この領域は円または楕円であってもよいが、他のより複雑な形状が想定されてもよい。この領域が円や楕円などの規則的な形状である場合、領域の半径は、例えば、観察システムのレンズのf値に従って決定され得る。この領域は、観察システムによって形成された一次像に対応するため、本明細書では「一次寄与領域」と呼ばれる。「寄与(contributory)」という単語は、表示装置の識別済み領域内の表示装置の画素が、センサに必要な情報コンテンツを提供する画素であることを反映する。表示装置の他の領域(すなわち、表示装置の他の画素)は、センサ上の像点の形成に寄与しない。他の画素は、当然ながら、他の虚像点に関連するセンサ上の他の像点に寄与し得る。
本開示の主要な態様による方法は、表示装置の一次寄与領域の決定で終了する。本方法は、表示装置の全領域ではなく、一次寄与領域に基づいてホログラムを決定され得る。
したがって、随意の第7のステップ1314で、仮想点に基づいて一次寄与領域に対するホログラム成分が決定される。具体的には、一次寄与領域の光パラメータが決定される。光パラメータは、一次寄与領域の各画素に対する振幅および/または位相とすることができる。例えば、光の振幅および位相は、当業者によく知られている点群法を使用して、仮想点から一次寄与領域への光の伝播に基づいて一次寄与領域内の各画素に対して決定され得る。仮想点のホログラム成分は、虚像全体の完全なホログラムを構築するために、以下の段落に記述される反復プロセスの一部として保存されるか、または他の仮想点のホログラム成分と組み合わされてもよい。
全体として、第7のステップ1314で、一次寄与領域内の表示装置の各画素値に光変調値(例えば、振幅および/または位相の値)が割り当てられる。これは、[xvirtual,yvirtual,zvirtual]から一次寄与領域への光波の伝播を考慮し、[xLCOS(B)、yLCOS(B)、zLCOS(B)]の所望の半径内の表示装置の画素に振幅および/または位相を加算することによって達成される。すなわち、虚像点から生じ、一次寄与領域の各点(すなわち、画素)に到達する光の振幅および/または位相は、光波の伝播、すなわち、虚像点から各画素までの距離を進んだ後の光波の振幅および/または位相を考慮することによって決定される。この決定は、光学分野の当業者に知られているいくつかの異なる技法のいずれか1つによって実行され得る。この決定は、実験的測定によってなされ得る。
第1のステップ~第7のステップは、ホログラムを用いて投影されるべき虚像内の各仮想点に対して繰り返され得る。例えば、複数のホログラム成分を合算して、表示装置の各画素について結果として得られるホログラムを生成することができる。例えば、複素振幅は、すべての虚像点からの伝播のために各画素で加算されてもよい。ホログラムが位相限定変調器に表示されるべき場合、結果として得られる複素振幅和の振幅成分は無視されて、位相だけが残ることができる。より広義には、この結果は、観察システム内の表示装置上に表示および照明されると虚像を形成する、虚像に対応する回折構造である。
ホログラムは、表示装置上に表示または符号化することができる。結果として、表示装置は、所要の虚像距離で虚像が観察者によって知覚されることを可能にする方法で光を変調するように調整される。
方法1300は、虚像内の複数の仮想点のそれぞれに対して実質的に同時に(または非常に迅速に連続して)実行することができ、その結果、虚像全体に適したホログラムが、所与の観察設定、ならびに特定の数値測定および制約に対して、表示装置上に非常に迅速に導出され符号化され得る。寄与領域(複数可)の識別、および/または表示装置の所要の調整に影響を及ぼし得ることが変化した場合、本方法は再実行され得る。プロセッサは、時間制御されたループ上で、かつ/または変化が起きていることを示す信号に応答して、かつ/または所要の虚像のコンテンツまたはアイデンティティが変化したときに本方法を再実行するように構成され得る。プロセッサは、以前に計算されたデータを保存するためのメモリを含むことができ、またはメモリと通信することができる。例えば、測定値および/または制約条件の特定のセットの下で、特定の虚像または仮想点に対する表示装置の活性領域を示すルックアップテーブルまたは他の記憶手段を設けることができる。
方法1300は、いくつかの異なる虚像を迅速に連続して表示するために、かつ/またはユーザの動きなどの状態の変化に正確に応答するために、非常に迅速に実行(または再実行)することができる。図12Aのシステムには片方の眼しか示されていないが、方法1300は、観察者の両方の眼を考慮するように構成することができる。さらに、上記の説明のいくつかは開口幅に言及している場合があるが、瞳孔(およびエンティティを見るためのほとんどの他の開口)は2次元であり、それらのそれぞれの2次元のサイズを変更することができることが理解されよう。方法1300は、2次元の開口サイズとこのサイズの変化とを考慮に入れるように構成され得る。
本発明者らは、図13を参照して開示された方法を使用して、虚像のホログラムが効率的に決定され得ることを見出した。しかしながら、本発明者らは、場合により、ゴースト像を形成するはずの光を従来通り伝播するであろうLCOSのすべての領域が使用されなかった場合、LCOSの比較的小さな部分のみが利用されていることも観察した。注目すべきさらなる技術的進歩において、本発明者らは、一次寄与領域に加えて、LCOSの追加領域を使用し、望ましくないゴースト像を形成するのではなく、一次像を補強するためにその追加領域が光に寄与することを可能にするはずのその追加領域のホログラム値を計算する方法を見出した。
よく理解されるように、光線が観察システム内の導波路を通過してとる光路は、それぞれの他の光線の経路長に対してその経路長を増大させることができる。通常、このような増大は、虚像距離「v」と比較して小さい可能性が高いため、眼には見えない。
図14は、図12Aおよび図12Bのシステム1200などのシステムに適用され得る、本発明者らによってなされた追加の認識による、さらに改良された方法1400を示す。図14の方法1400は、図13の方法1300のすべてのステップを含み、さらに、この方法1400は、仮想点に対応するゴースト像点のうちの1つまたは複数の処理を含み、ゴースト像点は存在していてもよく、従来通り、虚像の1つまたは複数のゴースト像の知覚をもたらす。
方法1400は、適切なプロセッサによって実行され得る。プロセッサは、ホログラムエンジンを備えるか、またはホログラムエンジン内に含まれるか、またはホログラムエンジンと通信することができる。プロセッサまたはホログラムエンジンは、光エンジン内に含まれ得る。
プロセッサは、この方法が実行される前に、本システムに関する境界情報を取得または受信することができる。例えば、プロセッサは、表示装置などの構成要素のサイズに関する情報、様々な構成要素および観察者の絶対位置および/または相対位置に関する情報、光源に関する情報、などを取得または受信することができる。
場合により、本発明者らは、ゴースト像点が、主画像の主光線が通過する「一次寄与領域」とは異なる表示装置の一部を通過する対応する仮想点からの光に起因して生じることを見出した。本明細書の前述の図では、表示装置のそのような部分は、「二次寄与領域」と呼ばれる。1つまたは複数のゴースト像点を作る光は、1つまたは複数の「ゴースト光線」を含むと呼ばれることがある。ゴースト像を生じさせる光線は、観察者の眼の狭い瞳孔を通って進み、網膜と一致するためにも、導波路内で主画像に対応するものとは異なる跳ね返りの数を受けることができる。したがって、主画像に対応する主光線が導波路内で「B」跳ね返りを受けると決定された場合、ゴースト像に対応する光は「B+ΔB」跳ね返りを受けると決定され得る、ただし、ΔBは、負または正の整数、通常は例えば-5~+5の範囲内の一桁の数とすることができる。
図14の改良された方法1400によれば、観察面上の主像点の位置(例えば、この位置の座標(xsensor、ysensor、zsensor))が確立された、図13の方法1300の第4のステップ1308の後、図13の方法13の後続のステップは継続することができ、さらに、例えば並行して、または後で、DBの少なくとも1つの値について、以下のようにステップの別のセットが実行され得る。要約すると、図14の改良された方法1400は、観察面にゴースト像点を形成するために、ゴースト光線が仮想点の座標[xvirtual,yvirtual,zvirtual]から何回の跳ね返り「B+ΔB」を受けたか決定する。次いで、改良された方法1400は、別個のゴースト像点を形成するのではなく、光がそこから進み、導波路内で「B+ΔB」跳ね返りを受け、観察面上の主像点に到達することができる、仮想点の並進(または、修正)位置を決定する。次いで、光線が仮想点の並進位置からその位置を通って主像点まで進む、LCOS上の位置が識別されてもよく、それに応じてホログラムで符号化され得る。したがって、LCOSの1つまたは複数の追加領域(一次寄与領域以外)は、ゴースト像の生成を依然として回避しながら、主画像に寄与するためにホログラム値で符号化され得る。
より詳細には、改良された方法1400は以下の通りである。
第1のさらなるステップ1402で、主像点(xsensor,ysensor,zsensor)からの光線は、導波路内で「B+ΔB」跳ね返り/反射(B跳ね返りではない)を受ける光線を別にして、虚像までトレースバックされる。
第2のさらなるステップ1404で、光が「B+ΔB」跳ね返りを受けた場合、主像点[xsensor,ysensor,zsensor]に画像化することになる(すなわち、表示装置、導波路、および入射開口を通って移動して位置[xsensor,ysensor,zsensor]にある観察面と一致する光を伝播することになる)、虚像の二次仮想点の位置(例えば座標[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual(ΔB)])が決定される(例えば、第1のさらなるステップ1402で実行された光線追跡の結果として)。「二次仮想点」という用語は、本明細書では、(一次)仮想点の二次的(すなわち、変位、または修正された)位置の省略表現として使用される。すなわち、本発明者らは、仮想点の位置が「二次仮想点」の位置[xvirtual(ΔB,yvirtual(ΔB),zvirtual(ΔB)]にシフトされた場合、導波路内で「B+ΔB」跳ね返り/反射を受けた「二次仮想点」からの光が、観察面で主画像に寄与することを認識した。
要約すると、第3のさらなるステップ1406は、導波路内のB+DB跳ね返りの[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]から観察面への光伝播のための表示装置における主光線の座標[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS]を決定することを含む。場合により、zvirtualは、導波路を通る異なる経路長を考慮に入れるように調整され得る(すなわち、跳ね返りの数が異なるため)。この主光線は、「二次主光線」と呼ばれることがある。
より詳細には、第3のさらなるステップ1406で、二次仮想点から主像点[xsensor,ysensor,zsensor]への「二次主光線」が進行するはずの表示装置上の点が識別されて、この点を経由して導波路内でB+ΔB跳ね返りを受ける。表示装置上のこの点は、座標[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS]を有する。
第4の追加ステップ1408で、点[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS]に、この点に関連する領域の範囲またはサイズの半径または他の適切な指標が割り当てられる。点[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS]に関連する領域は、本明細書では「追加の寄与領域」と呼ばれる、というのは、この領域は、観察面で主像点に寄与する光を伝播するが、その光が(一次)仮想点の変位された、または修正された位置、すなわち[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]から生じたときだけであり、第2のさらなるステップ1404で決定された[xvirtual,yvirtual,zvirtual]ではないからである。
第4のさらなるステップ1408は、第6のステップ1312と同様である。具体的には、第4のさらなるステップ1408は、表示装置交点[xLCOS(B+DB),yLCOS(B+DB),zLCOS(B)]に関連する表示装置の領域を識別することを含む。表示装置の領域は、この点[xLCOS(B+DB),yLCOS(B+DB),zLCOS(B)]を幾何学的に中心とすることができる。例えば、この領域は円または楕円であってもよいが、他のより複雑な形状が想定されてもよい。この領域が円や楕円などの規則的な形状である場合、領域の半径は、例えば、観察システムのレンズのf値に従って決定され得る。この領域は、本明細書では「追加の寄与領域」と呼ばれる、というのは、この領域は、適切なホログラムが(一次)仮想点の変位または修正された位置に基づいて計算される場合、虚像に寄与する光を伝播することになるからである。
第5のさらなるステップ1410は、第7のステップ1314と同様である。第5のさらなるステップ1410は随意である。第5のさらなるステップ1410で、(一次)仮想点[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]の修正された位置に基づいて、追加の寄与領域についてホログラム成分が決定される。具体的には、追加寄与領域の光パラメータが決定される。光パラメータは、追加寄与領域の各画素に対する振幅および/または位相とすることができる。例えば、光の振幅および位相は、当業者によく知られている点群法を使用して、異なる仮想点[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]から追加寄与領域への光の伝播に基づいて追加寄与領域内の各画素について決定され得る。異なる仮想点[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]のホログラム成分は、虚像全体の完全なホログラムを構築するために、以下の段落に記述される反復の一部として保存されるか、または他の仮想点のホログラム成分と組み合わされてもよい。
単一の個々の仮想点に関連して出力される、表示装置によるこの所要の光変調は、その仮想点の「ホログラム成分」と呼ばれることがある。ホログラム成分は、作られるべき虚像内の1つまたは複数の他の仮想点に対する方法1300のその後の繰り返しの間に、プロセッサによって保存され得る。
図14のさらに改良された方法1400のステップ1402~1410は、図13の方法1300の第1のステップ1302~第7のステップ1314とともに、作られるべき虚像内の各仮想点に対して繰り返され得る。各仮想点についての変調挙動および対応するホログラム成分が決定されると、ホログラム成分を一緒に加算して、表示装置の各画素について結果として生じる変調挙動を生成することができる。この結果として生じる変調挙動は、虚像の回折構造、すなわちホログラムを表し、ホログラムは、観察システム内の表示装置上に表示および照射されると、主画像だけが形成されることにつながり、ゴースト像を形成しない。図14の改良された方法1400が実行された結果として形成される主画像は、図13の方法1300のみから生じる対応する主画像よりも明るくてもよい。
プロセッサは、任意適切な方法でホログラムに対応するデータを出力することができる。ホログラムは、表示装置上に符号化することができる。結果として、表示装置は、ゴースト像を形成することなく、所要の虚像距離で虚像が観察者によって知覚されることを可能にする方法で光を変調するように調整される。
方法1400は、虚像内の複数の仮想点のそれぞれに対して実質的に同時に(または非常に迅速に連続して)実行することができ、その結果、虚像全体に適したホログラムが、所与の観察設定、ならびに特定の数値測定および制約に対して、表示装置上に非常に迅速に導出され符号化され得る。識別、および/または表示装置の所要の調整に影響を及ぼし得ることが変化した場合、本方法は再実行され得る。プロセッサは、時間制御されたループ上で、かつ/または変化が起きていることを示す信号に応答して、かつ/または所要の虚像のコンテンツまたはアイデンティティが変化したときに本方法を再実行するように構成され得る。プロセッサは、以前に計算されたデータを保存するためのメモリを含むことができ、またはメモリと通信することができる。例えば、測定値および/または制約条件の特定のセットの下で、特定の虚像または仮想点に対する表示装置の活性領域を示すルックアップテーブルまたは他の記憶手段を設けることができる。
方法1400は、いくつかの異なる虚像を迅速に連続して表示するために、かつ/またはユーザの動きなどの状態の変化に正確に応答するために、非常に迅速に実行(または再実行)することができる。図12Aのシステムには片方の眼しか示されていないが、方法1400は、観察者の両方の眼を考慮するように構成することができる。さらに、上記の説明のいくつかは開口幅に言及している場合があるが、瞳孔(およびエンティティを見るためのほとんどの他の開口)は2次元であり、それらのそれぞれの2次元のサイズを変更することができることが理解されよう。方法1400は、2次元の開口サイズとこのサイズの変化とを考慮に入れるように構成され得る。
本開示の主要な態様によれば、本発明者らは、各虚像点が表示装置上の異なる一次寄与領域に対応することを見出した。本発明者らはさらに、これが、虚像の異なる部分(すなわち、異なる虚像点)からの光がシステムを通る異なる光路をたどることを意味することを認識した。図15Aおよび図15Bに示す実施形態では、本発明者らは、簡単に言えば、(i)虚像が複数の離散虚像成分または領域を含み、(ii)各虚像成分の光が導波路1508内の異なる数の跳ね返り/反射に関連付けられるようにシステムを構成した。
図15Aは、8つの画像領域/成分V1~V8を含む投影のための画像1552を示す。図15Aは、ほんの一例として8つの画像成分を示しており、画像1552は、任意の数の成分に分割され得る。図15Aはまた、例えば、適切な観察システムのレンズによって変換されたときに、画像1552を再構成することができる符号化光パターン1554を示す。符号化光パターン1554は、第1~第8の画像成分/領域V1~V8に対応する第1~第8のサブホログラムまたは成分H1~H8を含む。図15Aは、本開示に従って計算されたホログラムがどのようにして画像コンテンツを角度で効果的に分解するかをさらに示す。したがって、ホログラムは、ホログラムが実行する光のチャネリングを特徴とすることができる。これは図15Bに示されている。具体的には、本開示によるホログラムは、光を複数の離散領域内に導く。離散領域は、図示の例ではディスクであるが、他の形状も想定される。最適ディスクのサイズおよび形状は、導波路を伝播した後、観察システムの入射瞳のサイズおよび形状に関連し得る。この光のチャネリングは、本明細書に開示されるホログラムを決定する特定の方法に起因してのみ生じる。
図15Cは、図15Aおよび図15Bに示す認識による、改良型観察システム1500を示す。図13の方法1300または図14の方法1400は、図15Aおよび図15Bによって示されているスキームに適用され得る。
観察システム1500は、この配置ではLCOS1502を備える表示装置を備える。LCOS1502は、ホログラムを含む変調パターン(または「回折パターン」)を表示するとともに、ホログラフィックに符号化された光を、開口1504として作用する瞳孔とレンズ1509と観察面として作用する網膜(図示せず)とを備える眼1505に向けて投影するようになされる。LCOS1502を照明するように構成された光源(図示せず)がある。眼1505のレンズ1509は、ホログラムを画像に変換する。
観察システム1500は、LCOS1502と眼1505との間に配置された導波路1508をさらに備える。図15Cの投影距離は比較的大きくてもよい。しかしながら、前の図に関連して説明したように、導波路1508が存在することにより、この比較的大きい投影距離であっても、LCOS1502からのすべての角度コンテンツが眼1505によって受け取られることが可能になる。これは、導波路1508が上述したように瞳孔膨張器として作用するからである。
さらに、この配置では、LCOS1502が本明細書に記載の方法に従って符号化されているときに、LCOS1502からの光と観察者が知覚する虚像との間に固有の関係を確立するために、導波路1508をLCOS1502とある角度をなして向けることができる。導波路1508のサイズ、箇所、および位置は、虚像の各部分からの光が導波路1508に入り、導波路の伸長軸線に沿って導かれて、導波路1508の略平らな表面間で跳ね返ることを確実にするように構成される。光が第2の平面(眼1505に最も近い)に到達するたびに、一部の光が透過し、一部の光が反射される。
図15Cは、導波路1502の長さに沿った合計9つの「跳ね返り」点B0~B8を示す。読者は、画像1552の中心が空白のままであることに気付くであろう。図15Cは、導波路内のゼロ次光~9次光の「跳ね返り」または反射点B0~B8を示す。画像のすべての点(V1~V8)に関する光は、導波路1508の第2の平面から各「跳ね返り」で導波路の外へ透過するが、画像の角度部分のうちの1つからの光(例えば、V1~V8のうちの1つの光)のみが、それぞれの当該「跳ね返り」点B0~B8から眼1505に到達することを可能にする軌道を有する。さらに、画像の異なる角度部分V1~V8からの光は、それぞれの当該「跳ね返り」点から眼1505に到達する。図15Cは、各「跳ね返り」点(各透過点で複数の短い矢印によって示されている)で放出されているすべての異なる角度コンテンツからの光を示すが、その場合、導波路のその当該部分から実際に眼1505に到達する(したがって、観察者が知覚する虚像の当該部分に寄与する)当該角度コンテンツの眼1505までの光路のみを示す。例えば、ゼロ次跳ね返りB0では、導波路1508によって透過する光は単に屈折し、導波路内でいかなる反射も受けない。第8のサブホログラムH8の光は、ゼロ次跳ね返りB0から眼に到達する。次の跳ね返りB1では、導波路1502によって透過する光は、透過前に、導波路内で1回の跳ね返りを受ける。第7のホログラムH7からの光は、次の跳ね返りB1から眼に到達する。これは、最後の跳ね返りB8で導波路1508によって透過する光が、透過し眼1505に到達する前に8回の跳ね返りを受けるまで順次継続し、第1のホログラムH1に従って符号化された光を含む。
図15に示される例では、ただ1つの画像領域の光が各跳ね返り点から眼に到達する。したがって、ホログラムが本明細書に記載されているように決定されると、虚像の領域と導波路上のその領域の関連する跳ね返り点との間の空間相関が確立される。いくつかの他の例では、画像の1つの領域が隣接する2つの透過点から来るので、導波路から観察面に向かって伝播する光の隣接する2つのディスク内に含まれるように、比較的小さい重複部分が存在し得る。
したがって、本発明者らによってなされた認識、ならびに本明細書に記載の方法および配置は、LCOSまたは他の適切な表示装置に表示されたときに、それぞれが対応する虚像の異なる当該部分に対応する複数の「ディスク」または光線束において光がそこから効果的に放出されることを可能にする(より具体的には、その当該部分を符号化する)ことができるホログラムを含む回折パターン(または、光変調パターン)が生成されることを可能にすることができる。
したがって、表示装置が適切な光源によって照明されたときに、観察者によって鮮明な画像が見られることを可能にする方法で、ホログラムが計算され、適切な表示装置上に表示されることを可能にする改良された方法および配置が本明細書に記載される。観察者が見る画像は、ゴーストを含まなくすることができ、従来はゴースト像に寄与していたはずの光の寄与によってより明るくすることができ、代わりに単一の主画像に寄与する。
本明細書に記載の改良された方法および配置は、様々な異なる用途および観察システムで実施することができる。例えば、それらはヘッドアップディスプレイ(HUD)内に実装され得る。虚像が形成される多くの従来型HUDに対する改良において、本明細書に記載の改良された方法および配置は、依然としてゴースト像を排除しながら、適切なコントローラによって選択および調整され得る、有限の画像距離で虚像を作るために実施することができる。
知覚された画像を形成するために眼が受信された変調光を変換することを必要とする虚像について本明細書で説明したが、本明細書に記載の改良された方法および配置は、実像に適用することができる。
追加機能
実施形態は、ほんの一例として、電気的に作動するLCOS空間光変調器に言及している。本開示の教示は、例えば、任意の電気的に作動するSLM、光学的に作動するSLM、デジタルマイクロミラー装置、または微小電気機械装置などの、本開示に従ってコンピュータ生成ホログラムを表示することができる任意の空間光変調器に等しく実装され得る。
いくつかの実施形態では、光源は、レーザダイオードなどのレーザである。
本開示のシステムは、改良されたヘッドアップディスプレイ(HUD)またはヘッドマウントディスプレイを提供するために使用され得る。いくつかの実施形態では、HUDを提供するために車両内に設置されたホログラフィック投影システムを備える車両が提供される。車両は、自動車、トラック、バン、貨物自動車、オートバイ、列車、飛行機、ボート、船などの自動車車両であってもよい。
ホログラフィック再構成の品質は、画素化空間光変調器を使用する回折性の結果である、いわゆるゼロ次問題によって影響を受ける可能性がある。そのようなゼロ次光は「ノイズ」と見なすことができ、例えば鏡面反射光、およびSLMからの他の不要な光を含む。
諸例は、可視光でSLMを照明することを記述しているが、当業者なら、本明細書に開示されるように、光源およびSLMが例えば赤外線光または紫外線光を向けるために等しく使用され得ることを理解するであろう。例えば、当業者なら、ユーザに情報を提供する目的で、赤外線光および紫外線光を可視光に変換するための技法を認識しているであろう。例えば、本開示は、この目的のために蛍光体および/または量子ドット技術を使用することにまで及ぶ。
本明細書に記載の方法およびプロセスは、コンピュータ可読媒体上に具体化され得る。「コンピュータ可読媒体(computer-readable medium)」という用語は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、バッファメモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリなど、データを一時的または永続的に保存するように構成された媒体を含む。「コンピュータ可読媒体」という用語はまた、機械で実行される命令を、この命令が、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、機械に本明細書に記載の方法論のいずれか1つまたは複数を全部または一部実行させるように、保存することができる任意の媒体または複数の媒体の組合せを含むと解釈されるものとする。
「コンピュータ可読媒体」という用語は、クラウドベースのストレージシステムも包含する。「コンピュータ可読媒体」という用語は、ソリッドステート・メモリ・チップ、光ディスク、磁気ディスク、またはそれらの任意適切な組合せの形態例での1つまたは複数の有形の非一時的データリポジトリ(例えば、データ量)を含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態例では、実行のための命令は、キャリア媒体によって伝達され得る。そのようなキャリア媒体の例には、一時的媒体(例えば、命令を伝達する伝播信号)が含まれる。
添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変形がなされ得ることは当業者には明らかであろう。本開示は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内のすべての修正および変形を包含する。
本開示は、画像投影に関する。より詳細には、本開示は、ホログラフィック投影(holographic projection)、およびホログラム(hologram)やキノフォーム(kinoform)などの回折構造を決定する方法に関する。いくつかの実施形態は、視線追跡情報に基づくリアルタイムホログラム計算に関する。いくつかの実施形態は、虚像投影(virtual image projection)に関する。他の実施形態は、実像の投影に関する。諸実施形態は、導波路(waveguide)を通して投影像を観察することに関する。いくつかの実施形態は、画像生成ユニットなどの光エンジン(light engine)に関する。いくつかの実施形態は、ヘッドアップディスプレイに関する。
物体から散乱された光は、振幅と位相の両方の情報を含んでいる。この振幅と位相の情報は、例えば、干渉縞を含むホログラフィック記録、すなわち「ホログラム(hologram)」を形成するために周知の干渉技法によって感光板上に取り込まれ得る。ホログラムは、元の物体を表す2次元または3次元のホログラフィック再構成、すなわち再生画像を形成するために、適切な光で照明することによって再構成され得る。
コンピュータ生成ホログラフィが干渉プロセスを数値的にシミュレートすることができる。コンピュータ生成ホログラムは、フレネル変換やフーリエ変換などの数学的変換に基づく技法によって計算され得る。この種のホログラムは、フレネル/フーリエ変換ホログラムまたは単にフレネル/フーリエホログラムと呼ばれることがある。フーリエホログラムは、物体のフーリエ領域/面表現または物体の周波数領域/面表現と見なされ得る。コンピュータ生成ホログラムは、例えば、コヒーレントレイトレーシングまたは点群技法によって計算されてもよい。
コンピュータ生成ホログラムは、入射光の振幅および/または位相を変調するようになされた空間光変調器上で符号化され得る。光変調は、例えば、電気的にアドレス可能な液晶、光学的にアドレス可能な液晶、またはマイクロミラーを使用して実現され得る。
空間光変調器は、通常、セルまたは要素と呼ばれることもある複数の個々にアドレス可能な画素を備える。光変調方式は、バイナリ、マルチレベル、または連続的でよい。あるいは、装置は連続的でよく(すなわち、画素から構成されず)、したがって、光変調は装置全体にわたって連続的でよい。空間光変調器は反射性でよい、すなわち変調光が反射して出力される。空間光変調器は同様に透過性でよい、すなわち変調光が透過して出力される。
ホログラフィックプロジェクタは、本明細書に記載のシステムを使用して提供され得る。この種のプロジェクタは、例えば、ヘッドアップディスプレイ「HUD」、および光検出測距「LIDAR」に応用されている。
本開示の諸態様は、添付の独立請求項に定義されている。
本開示は、画像投影に関する。本開示は、画像投影の方法および表示装置(display device)を備える画像プロジェクタに関する。本開示は、画像プロジェクタおよび観察システムを備える投影システムにも関する。本開示は、単眼および両眼の観察システムに等しく適用可能である。観察システムは、観察者の1つまたは複数の眼を含むことができる。観察システムは、光パワーを有する光学要素(例えば、人間の眼のレンズ(複数可))および観察面(例えば、人間の眼(複数可)の網膜)を含む。プロジェクタは、「光エンジン」と呼ばれることがある。表示装置および表示装置を使用して形成(または知覚)される画像は、互いに空間的に隔てられる。画像は、表示面上に形成されるか、または観察者によって知覚される。いくつかの実施形態では、画像は虚像であり、表示面は虚像面と呼ばれることがある。画像は、表示装置上に表示された回折パターン(例えば、ホログラム)を照明することによって形成される。
表示装置は画素を備える。表示装置の画素は光を回折する。よく理解されている光学系によれば、最大回折角の大きさは、画素のサイズ(および光の波長などの他の要因)によって決定される。
諸実施形態では、表示装置は、液晶オンシリコン(「LCOS」)空間光変調器(SLM)などの空間光変調器である。光は、LCOSからカメラや眼などの観察エンティティ/システムに向かって、回折角の範囲(例えば、ゼロ回折角~最大回折角)にわたって伝播する。いくつかの実施形態では、利用可能な回折角の範囲をLCOSの従来の最大回折角を超えて増大させるために、倍率技法が使用され得る。
諸実施形態では、画像は実像である。他の実施形態では、画像は、人間の眼(または複数の眼)によって知覚される虚像である。したがって、投影システム、すなわち光エンジンは、観察者が表示装置を直接見るように構成され得る。このような実施形態では、ホログラムで符号化された光が眼(複数可)に直接伝播され、表示装置と観察者との間の自由空間中にもスクリーンもしくは他の受光面上にも、中間ホログラフィック再構成が形成されない。そのような実施形態では、眼の瞳孔は、観察システムの入射開口(entrance aperture)であると見なされてもよく、眼の網膜は、観察システムの観察面であると見なされてもよい。この構成では、眼のレンズはホログラムから画像への変換を行うことであると言われることがある。
よく理解されている光学系の原理によれば、眼または他の観察エンティティ/システムによって観察され得る表示装置から伝播する光の角度の範囲は、表示装置と観察エンティティとの間の距離によって変化する。例えば、1メートルの視距離では、LCOSからの狭い範囲の角度だけが眼の瞳孔を通って伝播して、所与の眼球位置の網膜に画像を形成することができる。所与の眼球位置の網膜に画像を形成するために眼の瞳孔を通って首尾よく伝播することができる、表示装置から伝播される光線の角度の範囲は、観察者に「見える」画像の部分を決定する。換言すれば、画像のすべての部分が、観察面上のどの点からも(例えば、アイモーションボックス(eye-motion box)などの観察窓内のどの眼球位置からも)見えるわけではない。
いくつかの実施形態では、観察者によって知覚される画像は、表示装置の上流側に現れる虚像である、すなわち、観察者は、画像が観察面上の点から表示装置より遠くにあると知覚する。概念上、虚像の異なる複数の虚像点を考えることができる。仮想点から観察者までの距離は、本明細書では、その虚像点に関する虚像距離と呼ばれる。異なる仮想点は、もちろん異なる虚像距離を有することができる。各仮想点に関連する光線束内の個々の光線が、表示装置を介して、観察者への異なるそれぞれの光路をとることができる。しかしながら、表示装置の一部のみ、したがって、虚像の1つまたは複数の仮想点からの光線の一部のみが、ユーザの視野内にあってもよい。換言すれば、虚像上の仮想点のうちのいくつかからの光線の一部のみが、表示装置を介してユーザの眼(複数可)の中へ伝播し、したがって観察者に見える。したがって、概念上、観察者は「表示装置サイズの窓」を通して虚像を見ていると考えることができ、「表示装置サイズの窓」は、比較的遠い距離、例えば1メートルのところで非常に小さくてよく、例えば直径1cmでよい。また、ユーザは、非常に小さくすることもできる、ユーザの眼(複数可)の瞳孔(複数可)を通して表示装置サイズの窓を見ている。したがって、視野は小さくなり、見られる特定の角度範囲は、どの所与の時点でも、眼球位置に大きく依存する。
本開示は、表示装置が(相対的に見れば)小さくかつ投影距離が(相対的に見れば)大きい場合に、視野をどのように増大させるか(すなわち、表示装置から伝播され、眼の瞳孔を通って首尾よく伝播して像を形成することができる光線の角度範囲をどのように増大させるか)という技術的問題に対処する。いくつかの実施形態では、投影距離は、表示装置の開口の直径または幅(すなわち、画素の配列のサイズ)よりも少なくとも1桁(例えば少なくとも2桁)大きい。より具体的には、本開示は、画像自体が人間の眼に伝播されるのではなく、画像のホログラムが人間の眼に伝播される、いわゆる直視ホログラフィを用いてこれをどのように行うかという技術的問題に対処する。換言すれば、観察者が受けた光は、画像のホログラムに従って変調される。
視野を拡大するために、したがって、表示装置の全回折角が使用され得る最大伝播距離を増大させるために、導波路が使用される。導波路を使用すると、ユーザのアイボックスを横方向に増大させ、したがって、ユーザが画像を見ることを依然として可能にしながら、眼(複数可)のいくらかの動きが起こることを可能にすることもできる。したがって、導波路は、導波路瞳孔拡張器と呼ばれることがある。しかしながら、本発明者らは、非無限の虚像距離(すなわち近接場虚像)について、いわゆる「ゴースト像」が、導波路を通る異なる可能な光伝播経路のために現れることを見出した。ゴースト像は、主画像の低強度レプリカである。主要な最高強度画像は、一次像と呼ばれることがある。各ゴースト像は、二次像と呼ばれることがある。ゴースト像が存在すると、知覚される虚像の品質を著しく低下させ得る。ゴースト像は、一次像のぼけに見えることがある。
本開示は、ゴースト像によって引き起こされる問題に対処するための様々な手法に関する。本明細書に開示されるいくつかの解決策は、ゴースト像を首尾よく除去することが示されている。本明細書に開示されるいくつかの解決策が、一次/非ゴースト像を強化または補強するためにゴースト像を修正/操作することが示されている。
一態様によれば、光エンジンは、入射瞳を有する観察システムに空間的に変調された光を提供するようになされる。表示システムは、ホログラムを表示し、ホログラムに従って光を空間的に変調するように構成された表示装置を備える。表示システムは、入射瞳の位置に基づいて表示装置の寄与領域および非寄与領域を識別する寄与情報を受け取るように構成されたホログラムエンジンをさらに備える。表示装置の寄与領域は、決定済み位置で入射瞳を通過する光を実質的に伝播する。表示装置の非寄与領域は、決定済み位置で入射瞳によって止められる光を実質的に伝播する。ホログラムエンジンは、処理エンジンによって識別された表示装置の少なくとも1つの一次寄与領域に基づいてホログラムを決定するようにさらになされる。ホログラムエンジンは、ホログラムを表示のために表示装置に出力するようにさらになされる。
少なくともいくつかの実施形態では、寄与情報は、(i)一次像に寄与する観察システムに光を伝播する表示装置の少なくとも1つの一次寄与領域、および(ii)二次像に寄与する表示システムに光を伝播する表示装置の少なくとも1つの二次寄与領域をさらに識別する。
誤解を避けるために、形成または知覚される画像は、ターゲット画像のホログラフィック再構成である。ホログラフィック再構成は、ターゲット画像に基づくホログラムから形成される。いくつかの実施形態では、ホログラムは、ターゲット画像から決定される(例えば、計算される)。
表示装置の寄与領域および非寄与領域を識別することにより、光エンジンは、観察システムの入射開口の所与の位置について、一次像の形成に積極的に寄与するために、表示装置のどの部分(1つまたは複数)がホログラムによって有用に符号化され得るかを決定することができる。例えば、これは、所与の時点での観察者の眼の場所に対応し得る。さらに、光エンジンは、表示装置のどの部分が入射開口を通って光を伝播することができないかを、したがってホログラム値を追加する価値がないかを決定することができる。加えて、光エンジンは、「主」ターゲット画像に積極的に寄与する表示装置の部分と、一次像のコピー/レプリカまたは「ゴースト」バージョンに寄与する部分と、を区別することができる。したがって、ホログラムは、ゴーストを除去するために、いわゆる二次寄与領域内で省略することができる。
あるいは、注目すべき別の改良では、追加の寄与領域内に表示されるホログラムは、像点の(すなわち、ホログラフィックに再構成されるべき、所望の画像内の点の)変位または修正された位置に基づいて決定され得る。この修正された位置は、「二次像点」であると呼ばれることがあるが、これは、(一次)像点の二次(すなわち、変更された)位置であることの省略表現である。簡単に言えば、一次像を効果的に補強するために、像点のモデル化/計算された位置は、前記修正された位置から表示装置上の追加の寄与領域を通って進む光が、観察面上の所望の位置に到達することになるように修正され得る(例えば、画像平面上で並進させられ得る)。したがって、この代替手法では、追加の寄与領域のホログラムは、表示装置上の一次寄与領域を識別するために使用されるものとは異なる像点の位置に基づいて決定される。一次像点からの光路長は、通常、二次像点から、観察面上に形成される対応する画像までの光路長とは異なる。したがって、追加の寄与領域に関連するホログラム決定プロセスは、ホログラム決定プロセスで使用される像点を並進またはシフトすることを含むと言うことができる。
したがって、合理化された計算効率の高い方法で決定されているホログラムに対応する鮮明で正確な画像を提供するように構成され動作することができるインテリジェントで効率的な光エンジンが提供される。
一態様によれば、表示装置上に表示するためのホログラムを決定する方法が提供される。本方法は、ホログラムを観察するように構成された観察システムの入射瞳の位置を決定するステップと、表示装置の寄与領域および非寄与領域を識別するステップと、を含み、表示装置の寄与領域は、決定された位置で観察システムの入射瞳を通過する光を実質的に伝播し、表示装置の非寄与領域は、決定された位置で観察システムの入射瞳によって止められる光を実質的に伝播する。本方法は、表示装置の少なくとも1つの一次寄与領域に基づいてホログラムを決定するステップをさらに含む。
本方法は、一次像に寄与する光を提供する表示装置の少なくとも1つの一次寄与領域、および二次像に寄与する光を提供する表示装置の少なくとも1つの二次寄与領域を識別するステップをさらに含むことができる。
一態様によれば、観察システムによって変換可能な光をターゲット画像に空間的に変調するように構成された回折構造が提供され、回折構造は、複数の離散光パターンを生成するように構成され、各光パターンはターゲット画像の異なる部分に対応し、各離散光パターンの形状は、観察システムの入射開口の形状に実質的に対応する。
一態様によれば、観察システム(レンズを備える)によって変換可能な光を画像に空間的に変調するように構成された回折構造が提供され、回折構造は、光を複数の離散光チャネル内へ向けるようになされ、各光チャネルは、観察システムの入射瞳に実質的に対応する断面形状を有し、各光チャネルは画像の異なる部分に実質的に対応する。
一態様によれば、表示装置上に表示するとともに、導波路経由で表示装置上に表示されるホログラムを観察することにより観察面から知覚可能な虚像を形成するためのホログラムを決定する方法が提供される。本方法は、虚像の各虚像点について、虚像点の座標[xvirtual,yvirtual,zvirtual]を決定するステップと、観察面上の観察位置を決定するステップと、導波路によって形成された一次像に関連する導波路内の光反射の数Bを決定するステップと、を含む。本方法は、導波路内での「B」光反射について虚像点から観察面までレイトレースするステップと、[xvirtual,yvirtual,zvirtual]から観察面までのB光反射を伴う光伝播のための表示装置における主光線の座標[xLCOS(B),yLCOS(B)]を決定するステップと、をさらに含む。本方法は、[xLCOS(B),yLCOS(B)]によって定義される領域内の表示装置の活性画素を決定するステップと、[xvirtual,yvirtual,zvirtual]からの光波を前記活性画素まで伝播することにより、活性画素の振幅および/または位相ホログラム成分を含むサブホログラムを決定するステップと、をさらに含む。
主光線は、虚像点から表示装置を経由して観察面上の虚像点の一次または「主」像点まで進むと決定される(例えば、計算されるまたはモデル化される)光線を含むことができる。
本方法は、ホログラムを形成するために、サブホログラム(2つ以上の対応する虚像点に対してそれぞれ計算される)を組み合わせるステップをさらに含むことができる。
本方法は、虚像点の主画像の、観察面上の位置[xsensor,ysensor]を決定するステップをさらに含むことができる。
本方法は、導波路によって許容されるΔBの各値について、[xsensor,ysensor]からB+ΔB跳ね返りで虚像面zvirtualまでレイトレースバックするステップと、B+ΔB反射で[xsensor,ysensor]に画像化する仮想点座標[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]を決定するステップと、をさらに含むことができる。本方法は、[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]から観察面までのB+ΔB跳ね返りを伴う光伝播のための表示装置における主光線の座標[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB)]を決定するステップと、[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB)]によって定義される第2の領域(すなわち、追加の領域)内の表示装置の追加の活性画素を識別するステップと、をさらに含むことができる。本方法は、[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]からの光波を追加の活性画素まで伝播することにより、追加の活性画素の振幅および/または位相ホログラム成分を含む追加のサブホログラムを決定するステップをさらに含むことができる。
本開示の諸態様は、ホログラフィック光のチャネリングまたはルーティングを特徴とするホログラムまたはキノフォームにも関する。具体的には、本明細書では、観察システムによって画像に変換可能な光を空間的に変調するように構成された回折構造が開示され、回折構造は、光の経路を複数のホログラムチャネル内へ定めるように構成され、各ホログラムチャネルは画像の異なる部分に対応する。
回折構造は、ホログラムチャネルが回折構造から異なる角度で伝播するようになされ得る。
各ホログラムチャネルは、画像の当該異なる部分のホログラムに従って空間的に変調された光を含むことができる。
回折構造は、光の位相を空間的に変調するようになされ得る。
回折構造は、導波路を通る光の経路を定めるようになされ得る。導波路は、瞳孔拡張のために配置され得る。
各ホログラムチャネルによって形成可能な光パターンの断面形状は、観察システムの入射開口の形状に実質的に対応し得る。
ホログラムチャネルは、空間的に分離されるか、または少なくとも部分的に空間的に分離され得る。
本明細書では、回折構造と、回折構造から空間的に変調された光を受け取るように構成された導波路と、導波路を経由して空間的に変調された光を受け取るように構成された観察システムと、を備えるシステムがさらに開示される。
本システムは、各ホログラムチャネルの光が回折構造から観察システムまで異なる光路をたどるように配置され得る。
異なる光路は、導波路内の異なる数の反射を含むことができる。異なる光路は、異なる長さを有することができる。異なる光路は、観察システムの入射開口を異なる角度で通過することができる。
導波路は、すべてのホログラムチャネルが、観察面上の任意の観察位置で観察システムの入射開口を通って経路を定められるように配置され得る。導波路は、許容済み観察位置ごとに、1本の光路を通る観察システムまでの各ホログラムチャネルの経路を定めるだけである。
複数のホログラムチャネルのうちの少なくとも2つのホログラムチャネルが、観察システムの入射開口で部分的に重なり合っていてもよい。
回折構造は、キノフォームまたはホログラムでよい。
「ホログラム(hologram)」という用語は、物体に関する振幅情報または位相情報、あるいはこれらの情報の何らかの組合せを含む記録を指して使用される。「ホログラフィック再構成(holographic reconstruction)」という用語は、ホログラムを照明することによって形成される物体の光学的再構成を指して使用される。本明細書に開示されるシステムは、ホログラフィック再構成が実像であり、ホログラムから空間的に隔てられ得るため、「ホログラフィックプロジェクタ(holographic projector)」と言われる。「再生フィールド(replay field)」という用語は、ホログラフィック再構成がその中に形成され、完全に焦点を合わせられている2次元領域を指して使用される。ホログラムが画素を備える空間光変調器上に表示される場合、再生フィールドは、複数の回折次数の形で繰り返され、各回折次数は、ゼロ次再生フィールドのレプリカである。ゼロ次再生フィールドは通常、これが最も明るい再生フィールドであるため、好ましい再生フィールドまたは一次再生フィールドに対応する。特に明記されていない限り、「再生フィールド」という用語は、ゼロ次再生フィールドを指すと解釈されるものとする。「再生面(replay plane)」という用語は、すべての再生フィールドを含む空間内の平面を指して使用される。「画像(image)」、「再生画像(replay image)」および「画像領域(image region)」という用語は、ホログラフィック再構成の光によって照明される再生フィールドの領域を指す。いくつかの実施形態では、「画像」は、「画像スポット(image spots)」または単に便宜上「画像画素(image pixels)」と呼ばれることがある離散スポットを含むことができる。
「符号化(encoding)」、「書き込み(writing)」または「アドレス指定(addressing)」という用語は、SLMの複数の画素に、各画素の変調レベルをそれぞれ決定するそれぞれの複数の制御値を提供するプロセスを説明するために使用される。SLMの画素は、複数の制御値を受け取るのに応答して光変調分布を「表示する(display)」ように構成されると言うことができる。したがって、SLMは、ホログラムを「表示する」と言うことができ、ホログラムは、光変調値または光変調レベルの配列と見なされ得る。
許容品質のホログラフィック再構成は、元の物体(すなわち、再構成のためのターゲット画像)に関連する位相情報のみを含む「ホログラム」から形成され得ることが分かっている。かかるホログラフィック記録は、位相限定ホログラムと呼ばれることがある。諸実施形態は、位相限定ホログラムに関するが、本開示は、振幅限定ホログラフィにも同様に適用可能である。本開示は、ホログラム計算の特定の方法に限定されるものではない。いくつかの実施形態は、単なる例として、点群ホログラム、すなわち点群法を使用して構築されたホログラムに関する。しかしながら、本開示は、フーリエもしくはフレネル型ホログラム、およびコヒーレントレイトレーシングなどの他の技法に従って計算されたホログラムにも同様に適用可能である。
本開示はまた、元の物体(すなわち、ターゲット画像)に関連する振幅および位相情報を使用してホログラフィック再構成を形成することにも同様に適用可能である。いくつかの実施形態では、これは、元の物体に関連する振幅情報と位相情報の両方を含む、いわゆる完全複素ホログラムを使用する複素変調によって達成される。この種のホログラムは、ホログラムの各画素に割り当てられた値(グレーレベル)が振幅および位相の成分を有するため、完全複素ホログラムと呼ばれることがある。各画素に割り当てられた値(グレーレベル)は、振幅成分と位相成分の両方を有する複素数として表すことができる。いくつかの実施形態では、完全複素コンピュータ生成ホログラムが計算される。
「位相遅れ」の省略表現として、位相値、位相成分、位相情報、あるいは単に、コンピュータ生成ホログラムまたは空間光変調器の画素の位相が参照され得る。すなわち、記載される位相値は、実際には、その画素によって提供される位相遅延の量を表す数値(例えば、0~2πの範囲内)である。例えば、位相値がπ/2であると言われる空間光変調器の画素は、受信光の位相をπ/2ラジアンだけ遅らせる。いくつかの実施形態では、空間光変調器の各画素は、複数の可能な変調値のうちの1つ(例えば、位相遅れ値)で動作可能である。「グレーレベル(grey level)」という用語は、複数の利用可能な変調レベルを指して使用され得る。例えば、「グレーレベル」という用語は、便宜上、異なる位相レベルが異なるグレー色合いを提供しない場合でも、位相限定変調器での複数の利用可能な位相レベルを指して使用され得る。「グレーレベル」という用語はまた、便宜上、複素変調器での複数の利用可能な複素変調レベルを指して使用され得る。
したがって、ホログラムは、グレーレベルの配列、すなわち、位相遅れ値または複素変調値の配列などの光変調値の配列を含む。ホログラムはまた、回折パターンと見なされる、というのは、ホログラムは、空間光変調器上に表示され、空間光変調器の画素ピッチに匹敵する、一般にはそれよりも短い波長を有する光で照明されると回折を引き起こすパターンであるからである。本明細書では、ホログラムを、レンズまたは格子として機能する回折パターンなどの他の回折パターンと組み合わせることについて説明する。例えば、格子として機能する回折パターンは、再生面上の再生フィールドを並進させるためにホログラムと組み合わせることができる、または、レンズとして機能する回折パターンは、ホログラフィック再構成の焦点を近接場での再生面に合わせるためにホログラムと組み合わせることができる。
様々な実施形態および実施形態の群が以下の詳細な説明において別個に開示され得るが、任意の実施形態または実施形態の群の任意の特徴が、任意の実施形態または実施形態の群の他の任意の特徴または特徴の組合せと組み合わされてもよい。すなわち、本開示で開示される特徴のすべての可能な組合せおよび順列が想定される。
特定の実施形態について、以下の図を参照してほんの一例として説明する。
スクリーン上にホログラフィック再構成を生成する反射型SLMを示す概略図である。
Gerchberg-Saxton型アルゴリズム例の第1の反復を示す図である。
Gerchberg-Saxton型アルゴリズム例の第2の反復およびその後の反復を示す図である。
Gerchberg-Saxton型アルゴリズム例の代替の第2の反復およびその後の反復を示す図である。
反射型LCOS SLMの概略図である。
表示装置から開口に向かって効果的に伝播する虚像の角度コンテンツを示す図である。
比較的小さい伝播距離を有する観察システムを示す図である。
比較的大きい伝播距離を有する観察システムを示す図である。
無限遠で虚像を形成するための、導波路を含む比較的大きい伝播距離を有する観察システムを示す図である。
図6aの光路の拡大図である。
有限虚像および導波路瞳孔拡張器を用いてゴースト像がどのようにして形成され得るかを示す図である。
一次像および2つのゴースト像を含む虚像を示す図である。
LCOS全体を使用して一次像点および2つの対応するゴースト像点を形成する例を示す図である。
LCOS全体を使用して一次像点および2つの対応するゴースト像点を形成する例を示す別の図である。
LCOS全体を使用して一次像点および2つの対応するゴースト像点を形成する例を示す別の図である。
第2のゴースト点を生じさせる導波路を通る第1の伝播経路を示す図である。
主像点を生じさせる導波路を通る第2の伝播経路を示す図である。
第1のゴースト点を生じさせる導波路を通る第3の伝播経路を示す図である。
3つの異なるフィールド/像点に関連する3本の伝播経路およびLCOS利用のうちの1つを示す図である。
3つの異なるフィールド/像点に関連する3本の伝播経路およびLCOS利用のうちの別の1つを示す図である。
3つの異なるフィールド/像点に関連する3本の伝播経路およびLCOS利用のうちの別の1つを示す図である。
観察システムおよび導波路によって形成される虚像点およびこの虚像点の画像を含む観察システムを示す図である。
図12Aの例に関連するLCOSの一次寄与領域を示す図である。
諸実施形態による改良型データ構造を導出する改良された方法の流れ図である。
諸実施形態による改良型データ構造を導出する別の改良された方法の流れ図である。
複数の画像領域を含む画像(下)および複数のホログラム成分を含む対応するホログラム(上)を示す図である。
ホログラフィックに符号化された光を複数の離散ホログラムチャネル内へルーティングまたはチャネリングすることを特徴とする、本開示によるホログラムを示す図である。
異なる光路を経由して眼までの各ホログラムチャネルの光コンテンツの経路を定めるように構成された最適化システムを示す図である。
同じまたは類似の部品を参照するために、図面全体で同じ参照番号が使用される。
本発明は、以下に記述される実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲全体に及ぶ。すなわち、本発明は、様々な形態で具現化することができ、例示する目的で提示した上述の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
数値例は、特に明記しない限り、例示的であり、限定的するものではないと見なされるべきである。
単数形の用語は、特に指定のない限り、複数形を含み得る。
ある構造が別の構造の上部/下部に形成されるかまたは他の構造上/下に形成されると記述されるのは、その構造が互いに接触する場合を含み、さらに、第3の構造が上記構造の間に配置される場合も含むと解釈されるべきである。
時間的関係を記述する際(例えば、事象の時間的順序が「後」、「後続」、「次」、「前」などと記述される場合)、本開示は、特に指定のない限り、連続的事象および非連続的事象を含むと解釈されるべきである。例えば、この記述は、「ちょうど」、「即時」、「直接」などの表現が用いられない限り、連続していない場合を含むと解釈されるべきである。
「第1の(first)」、「第2の(second)」などの用語は、様々な要素を記述するために本明細書で用いられることがあるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、一要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、第1の要素は第2の要素と呼ばれることがあり、同様に、第2の要素は第1の要素と呼ばれることがある。
異なる実施形態の特徴は、部分的または全体的に互いに結合されるかまたは組み合わされてもよく、互いに様々に相互運用されてもよい。いくつかの実施形態は、添付の特許請求の範囲内で、互いに独立して実行されてもよく、または共存関係で一緒に実行されてもよい。
光学構成
図1は、コンピュータ生成ホログラムが単一の空間光変調器上で符号化される実施形態を示す。コンピュータ生成ホログラムは、再構成のための物体のフーリエ変換である。これは単なる例であり、ホログラムをコンピュータ生成するための他の方法が本開示において企図されることが理解されよう。したがって、ホログラムは、物体のフーリエ領域または周波数領域またはスペクトル領域表現であると言うことができる。この実施形態では、空間光変調器は、反射型液晶オンシリコン「LCOS」装置である。ホログラムは空間光変調器上で符号化され、ホログラフィック再構成が、再生フィールド、例えば、スクリーンやディフューザなどの受光面で形成される。
光源110、例えばレーザまたはレーザダイオードが、コリメートレンズ111経由でSLM140を照明するように配置される。コリメートレンズにより、光の略平面波面がSLM上に入射する。図1では、波面の方向はオフノーマルである(例えば、透明層の平面に真に直交することから2~3度離れている)。しかしながら、他の実施形態では、略平面波面は垂直入射で提供され、ビームスプリッタ配置が入力光路と出力光路を分離するために使用される。図1に示される実施形態では、この配置は、光源からの光がSLMのミラー後面から反射され、光変調層と相互作用して出口波面112を形成するようなものである。出口波面112は、スクリーン125にその焦点を合わせたフーリエ変換レンズ120を含む光学系に適用される。より具体的には、フーリエ変換レンズ120は、SLM140から変調光のビームを受け取り、周波数空間変換を実行してスクリーン125でホログラフィック再構成を生成する。
特に、この種のホログラフィでは、ホログラムの各画素が再構成全体に寄与する。再生フィールド上の特定の点(または画像画素)と特定の光変調要素(またはホログラム画素)との間に1対1の相関関係はない。換言すれば、光変調層から出て行く変調光は、再生フィールド全体に分散される。
これらの実施形態では、空間におけるホログラフィック再構成の位置は、フーリエ変換レンズの屈折(集束)力によって決定される。図1に示される実施形態では、フーリエ変換レンズは物理レンズである。すなわち、フーリエ変換レンズは光学フーリエ変換レンズであり、フーリエ変換は光学的に実行される。どのレンズもフーリエ変換レンズとして機能することができるが、レンズの性能は、レンズが実行するフーリエ変換の精度を制限する。当業者は、レンズを使用して光学フーリエ変換を実行する方法を理解している。
ホログラム計算
いくつかの実施形態では、コンピュータ生成ホログラムは、画像が正レンズのフーリエ変換特性を利用することによって遠方場で再構成されるフーリエ変換ホログラム、あるいは単純にフーリエホログラムまたはフーリエベースのホログラムである。フーリエホログラムは、再生面内の所望の明視野をフーリエ変換してレンズ面に戻すことによって計算される。コンピュータ生成フーリエホログラムは、フーリエ変換を使用して計算され得る。
フーリエ変換ホログラムは、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムなどのアルゴリズムを使用して計算され得る。さらに、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、空間領域(写真など)の振幅限定情報からフーリエ領域のホログラム(すなわちフーリエ変換ホログラム)を計算するために使用され得る。物体に関連する位相情報は、空間領域の振幅限定情報から効果的に「検索」される。いくつかの実施形態では、コンピュータ生成ホログラムは、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムまたはその変形を使用して振幅限定情報から計算される。
Gerchberg Saxtonアルゴリズムは、平面A内の光線の強度横断面IA(x,y)および平面B内の光線の強度横断面IB(x,y)が既知であり、IA(x,y)およびIB(x,y)が単一のフーリエ変換によって関連付けられる場合の状況を考慮する。所与の強度横断面で、平面Aおよび平面B内の位相分布の近似値ΨA(x,y)およびΨB(x,y)が見出される。Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、反復プロセスに従うことにより、この問題の解決策を見出す。より具体的には、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、IA(x,y)およびIB(x,y)を表すデータセット(振幅および位相)を空間領域とフーリエ(スペクトルまたは周波数)領域との間で繰り返し転送しながら、空間制約およびスペクトル制約を繰り返し適用する。スペクトル領域内の対応するコンピュータ生成ホログラムは、アルゴリズムの少なくとも1回の反復によって得られる。アルゴリズムは収束し、入力画像を表すホログラムを生成するようになされる。ホログラムは、振幅限定ホログラム、位相限定ホログラム、または完全複素ホログラムとすることができる。
いくつかの実施形態では、位相限定ホログラムは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる英国特許第2,498,170号明細書または第2,501,112号明細書に記載されているようなGerchberg-Saxtonアルゴリズムに基づくアルゴリズムを使用して計算される。しかしながら、本明細書に開示される実施形態は、ほんの一例として、位相限定ホログラムを計算することを記述している。これらの実施形態では、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、既知の振幅情報T[x,y]のもとであるデータセットのフーリエ変換の位相情報Ψ[u,v]を検索する、ただし、振幅情報T[x,y]はターゲット画像(例えば写真)を表す。大きさおよび位相はフーリエ変換で本質的に組み合わされるので、変換された大きさおよび位相は、計算されたデータセットの精度に関する有用な情報を含んでいる。したがって、アルゴリズムは、振幅情報と位相情報の両方に関するフィードバックとともに繰り返し使用され得る。しかしながら、これらの実施形態では、ターゲット画像を表すホログラフィックを画像平面に形成するために、位相情報Ψ[u,v]のみがホログラムとして使用される。ホログラムは、位相値のデータセット(例えば2次元配列)である。
他の実施形態では、完全複素ホログラムを計算するために、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムに基づくアルゴリズムが使用される。完全複素ホログラムは、大きさ成分および位相成分を有するホログラムである。ホログラムは、複素データ値の配列を含むデータセット(例えば2次元配列)であり、各複素データ値は大きさ成分および位相成分を含む。
いくつかの実施形態では、アルゴリズムは複素データを処理し、フーリエ変換は複素フーリエ変換である。複素データは、(i)実数成分および虚数成分、あるいは(ii)大きさ成分および位相成分を含むと見なされ得る。いくつかの実施形態では、複素データの2つの成分は、アルゴリズムの様々な段階で異なって処理される。
図2Aは、位相限定ホログラムを計算するためのいくつかの実施形態によるアルゴリズムの第1の反復を示す。アルゴリズムへの入力は、画素またはデータ値の2次元配列を含む入力画像210であり、各画素またはデータ値は、大きさ値、すなわち振幅値である。すなわち、入力画像210の各画素またはデータ値は、位相成分を有していない。したがって、入力画像210は、大きさのみまたは振幅のみまたは強度のみの分布と見なされ得る。この種の入力画像210の一例が、写真、またはフレームの時系列を含むビデオの1つのフレームである。アルゴリズムの第1の反復は、ランダム位相分布(またはランダム位相シード)230を使用して入力画像の各画素にランダム位相値を割り当て、それによって開始複素データセットを形成するステップであって、セットの各データ要素が大きさおよび位相を含む、データ形成ステップ202Aで始まる。開始複素データセットは、空間領域内の入力画像を表していると言うことができる。
第1の処理ブロック250は、開始複素データセットを受け取り、複素フーリエ変換を実行してフーリエ変換された複素データセットを形成する。第2の処理ブロック253は、フーリエ変換済み複素データセットを受け取り、ホログラム280Aを出力する。いくつかの実施形態では、ホログラム280Aは位相限定ホログラムである。これらの実施形態では、第2の処理ブロック253は、ホログラム280Aを形成するために、各位相値を量子化し、各振幅値を1に設定する。各位相値は、位相限定ホログラムを「表示する」ために使用される空間光変調器の画素上に表すことができる位相レベルに従って量子化される。例えば、空間光変調器の各画素が256の異なる位相レベルを提供する場合、ホログラムの各位相値は、256の可能な位相レベルのうちの1つの位相レベルに量子化される。ホログラム280Aは、入力画像を表す位相限定フーリエホログラムである。他の実施形態では、ホログラム280Aは、受け取ったフーリエ変換済み複素データセットから導出された複素データ値(それぞれが振幅成分および位相成分を含む)の配列を含む完全複素ホログラムである。いくつかの実施形態では、第2の処理ブロック253は、各複素データ値を複数の許容複素変調レベルのうちの1つに制約してホログラム280Aを形成する。制約するステップは、各複素データ値を複素平面内の最も近い許容複素変調レベルに設定することを含むことができる。ホログラム280Aは、スペクトル領域またはフーリエ領域または周波数領域内の入力画像を表すと言うことができる。いくつかの実施形態では、アルゴリズムはこの時点で停止する。
しかしながら、他の実施形態では、アルゴリズムは、図2Aに点線矢印で表されているように継続する。換言すれば、図2Aの点線矢印に続くステップは随意である(すなわち、すべての実施形態に必須ではない)。
第3の処理ブロック256は、第2の処理ブロック253から修正済み複素データセットを受け取り、逆フーリエ変換を実行して逆フーリエ変換された複素データセットを形成する。逆フーリエ変換済み複素データセットは、空間領域内の入力画像を表していると言うことができる。
第4の処理ブロック259は、逆フーリエ変換済み複素データセットを受け取り、大きさ値の分布211Aの分布および位相値の分布213Aを抽出する。随意に、第4の処理ブロック259は、大きさ値の分布211Aを評価する。具体的には、第4の処理ブロック259は、逆フーリエ変換済み複素データセットの大きさ値の分布211Aを、それ自体がもちろん大きさ値の分布である入力画像510と比較することができる。大きさ値の分布211Aと入力画像210との間の差が十分に小さい場合、第4の処理ブロック259は、ホログラム280Aが許容可能であると決定することができる。すなわち、大きさ値の分布211Aと入力画像210との差が十分に小さい場合、第4の処理ブロック259は、ホログラム280Aが入力画像210を十分正確に表していると決定することができる。いくつかの実施形態では、逆フーリエ変換済み複素データセットの位相値の分布213Aは、比較の目的のために無視される。大きさ値の分布211Aと入力画像210を比較するあらゆる方法が使用されてもよく、本開示は特定の方法に限定されないことが理解されよう。いくつかの実施形態では、平均二乗差が計算され、平均二乗差が閾値未満であれば、ホログラム280Aは許容可能と見なされる。第4の処理ブロック259が、ホログラム280Aが許容できないと決定した場合、アルゴリズムのさらなる反復が実行され得る。しかしながら、この比較ステップは必須ではなく、他の実施形態では、実行されるアルゴリズムの反復回数は、予め決定されるか、予め設定されるか、またはユーザ定義される。
図2Bは、アルゴリズムの第2の反復およびアルゴリズムのさらなる反復を示す。前の反復の位相値の分布213Aは、アルゴリズムの上記処理ブロックを経由してフィードバックされる。大きさ値の分布211Aは、入力画像210の大きさ値の分布を優先して拒否される。第1の反復では、データ形成ステップ202Aは、入力画像210の大きさ値の分布をランダム位相分布230と組み合わせることにより第1の複素データセットを形成した。しかしながら、第2の反復およびその後の反復では、データ形成ステップ202Bは、(i)アルゴリズムの前の反復からの位相値の分布213Aを(ii)入力画像210の大きさ値の分布と組み合わせることにより複素データセットを形成することを含む。
次いで、図2Bのデータ形成ステップ202Bによって形成された複素データセットは、図2Aを参照して説明したものと同じ方法で処理されて、第2の反復ホログラム280Bを形成する。したがって、プロセスの説明はここでは繰り返さない。アルゴリズムは、第2の反復ホログラム280Bが計算されたときに停止することができる。しかしながら、アルゴリズムの任意の数のさらなる反復が実行され得る。第3の処理ブロック256は、第4の処理ブロック259が必要とされるか、またはさらなる反復が必要とされる場合にのみ必要とされることが理解されよう。出力ホログラム280Bは一般に反復するたびに良くなる。しかしながら、実際には、通常、重要な改良が認められないところに達するか、または、さらなる反復を実行することの正の便益を追加の処理時間の負の効果が上回る。したがって、アルゴリズムは、反復的でありかつ収束的であると言われる。
図2Cは、第2の反復およびその後の反復の代替実施形態を示す。前の反復の位相値の分布213Aは、アルゴリズムの上記処理ブロックを経由してフィードバックされる。大きさ値の分布211Aは、大きさ値の代替分布を優先して拒否される。この代替実施形態では、大きさ値の代替分布は、前の反復の大きさ値の分布211から導出される。具体的には、処理ブロック258は、前の反復の大きさ値の分布211から入力画像210の大きさ値の分布を減算し、その差を利得係数αでスケール変更し、スケール変更済み差を入力画像210から減算する。これは、下記方程式で数学的に表され、下付きテキストおよび数字は反復回数を示す、
上式で、
F’は、逆フーリエ変換であり、
Fは、順方向フーリエ変換であり、
R[x,y]は、第3の処理ブロック256によって出力される複素データセットであり、
T[x,y]は入力またはターゲット画像であり、
∠は、位相成分であり、
Ψは、位相限定ホログラム280Bであり、
ηは、大きさ値の新しい分布211Bであり、
αは、利得係数である。
利得係数αは、固定または変数とすることができる。いくつかの実施形態では、利得係数αは、入ってくるターゲット画像データのサイズおよびレートに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、利得係数αは、反復回数に依存する。いくつかの実施形態では、利得係数αは、単に反復回数の関数である。
図2Cの実施形態は、他のあらゆる点で図2Aおよび図2Bの実施形態と同じである。位相限定ホログラムΨ(u,v)は、周波数領域またはフーリエ領域における位相分布を含むと言うことができる。
いくつかの実施形態では、フーリエ変換は、空間光変調器を使用して実行される。具体的には、ホログラムデータは、光パワーを提供する第2のデータと組み合わされる。すなわち、空間光変調に書き込まれるデータは、物体を表すホログラムデータとレンズを表すレンズデータとを含む。空間光変調器に表示され、光で照らされると、レンズデータは物理レンズをエミュレートする、すなわち、レンズデータは対応する物理光学系と同じ方法で光を焦点に導く。したがって、レンズデータは、光パワーまたは集束力を提供する。これらの実施形態では、図1の物理フーリエ変換レンズ120は省略され得る。レンズを表すデータを計算する方法は知られている。レンズを表すデータは、ソフトウェアレンズと呼ばれることがある。例えば、位相限定レンズは、このレンズの屈折率および空間的に異なる光路長のためにレンズの各点によって引き起こされる位相遅れを計算することによって形成され得る。例えば、凸レンズの中心での光路長は、レンズの縁での光路長よりも大きい。振幅限定レンズは、フレネル・ゾーン・プレートによって形成され得る。コンピュータ生成ホログラフィの技術分野では、物理フーリエレンズを必要とせずにホログラムのフーリエ変換を実行できるように、レンズを表すデータをホログラムと組み合わせる方法も知られている。いくつかの実施形態では、レンズ効果データが、単純ベクトル加算などの単純加算によってホログラムと組み合わされる。いくつかの実施形態では、物理レンズが、フーリエ変換を実行するためにソフトウェアレンズと組み合わせて使用される。あるいは、他の実施形態では、フーリエ変換レンズは、ホログラフィック再構成が遠方場で行われるように、完全に省略される。他の実施形態では、ホログラムは、格子データ、すなわち、画像ステアリングなどの回折格子の機能を実行するようになされたデータと同じ方法で組み合わせることができる。やはり、そのようなデータを計算する方法はこの分野で知られている。例えば、位相限定格子が、ブレーズド回折格子の表面上の各点によって引き起こされる位相遅れをモデル化することによって形成され得る。ホログラフィック再構成の角度ステアリングを提供するために、振幅限定格子に振幅限定ホログラムが単純に重ね合わされ得る。レンズ効果および/またはステアリングを提供する第2のデータは、画像形成機能または画像形成パターンと呼ばれることがあるホログラムデータと区別するために、光処理機能または光処理パターンと呼ばれることがある。
いくつかの実施形態では、フーリエ変換は、物理フーリエ変換レンズおよびソフトウェアレンズによって合同で実行される。すなわち、フーリエ変換に寄与する一部の光パワーがソフトウェアレンズによって提供され、フーリエ変換に寄与する光パワーの残部は物理光学系によって提供される。
いくつかの実施形態では、画像データを受け取り、アルゴリズムを使用してホログラムをリアルタイムで計算するようになされたリアルタイムエンジンが提供される。いくつかの実施形態では、画像データは、一連の画像フレームを含むビデオである。他の実施形態では、ホログラムは事前に計算され、コンピュータメモリに保存され、SLM上に表示するために必要に応じて呼び出される。すなわち、いくつかの実施形態では、所定のホログラムのリポジトリが提供される。
諸実施形態は、ほんの一例として、フーリエホログラフィおよびGerchberg-Saxton型アルゴリズムに関する。本開示は、同様の方法によって計算され得るフレネルホログラフィおよびフレネルホログラムに等しく適用可能である。本開示は、点群法に基づく技法などの他の技法によって計算されたホログラムにも適用可能である。後で分かるように、本明細書での後続の図は、ホログラム計算のための点群法を含むものとして説明される。しかしながら、図2A~図2Cに関連して上述したフーリエ法を含む、ホログラム計算の他の方法が代わりに使用されてもよい。
光変調
コンピュータ生成ホログラムを含む回折パターンを表示するために空間光変調器が使用され得る。ホログラムが位相限定ホログラムである場合、位相を変調する空間光変調器が必要である。ホログラムが完全複素ホログラムである場合、位相および振幅を変調する空間光変調器が使用されてもよく、あるいは、位相を変調する第1の空間光変調器および振幅を変調する第2の空間光変調器が使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、空間光変調器の光変調要素(すなわち、画素)は、液晶を含むセルである。すなわち、いくつかの実施形態では、空間光変調器は、光学活性構成要素が液晶である液晶装置である。各液晶セルは、複数の光変調レベルを選択的に提供するように構成される。すなわち、各液晶セルは、どの時点でも、複数の可能な光変調レベルから選択された1つの光変調レベルで動作するように構成される。各液晶セルは、複数の光変調レベルとは異なる光変調レベルに動的に再構成可能である。いくつかの実施形態では、空間光変調器は、反射型液晶オンシリコン(LCOS)空間光変調器であるが、本開示はこの種の空間光変調器に限定されない。
LCOS装置は、小開口(例えば、幅数センチメートル)内に高密度の光変調要素、すなわち画素の配列を備えることができる。画素は通常、数度の回折角をもたらす約10ミクロン以下であり、これは光学系を小型にできることを意味する。LCOS SLMの小開口を十分に照明するのは、他の液晶装置のより大きい開口の場合よりも容易である。LCOS装置は一般に反射性であり、これは、LCOS SLMの画素を駆動する回路網を反射面の下に埋め込むことができることを意味する。その結果、開口率が高くなる。換言すれば、画素は密集している、つまり、画素相互間のデッドスペースはほとんどない。これは、それにより再生フィールド内の光学ノイズが低減されるので有利である。LCOS SLMは、画素が光学的に平坦であるという利点があるシリコンバックプレーンを使用する。これは、位相変調装置にとって特に重要である。
適切なLCOS SLMについて、ほんの一例として、図3を参照して以下に説明する。LCOS装置は、単結晶シリコン基板302を使用して形成される。LCOS装置は、基板の上面上に配置された、間隙301aで離間された正方形平面アルミニウム電極301の2次元配列を有する。電極301はそれぞれ、基板302に埋め込まれた回路網302aを経由してアドレス指定することができる。電極はそれぞれ、当該平面ミラーを形成する。配向層303が電極の配列上に配置され、液晶層304が配向層303上に配置される。第2の配向層305が、例えばガラス製の平面透明層306上に配置される。例えばITO製の単一透明電極307が、透明層306と第2の配向層305との間に配置される。
正方形電極301はそれぞれ、透明電極307の上を覆う領域および介在液晶材料とともに、しばしば画素と呼ばれる制御可能な位相変調要素308を画定する。有効画素面積、すなわちフィルファクタは、画素相互間のスペース301aを考慮に入れた、光学的に活性の全画素の割合である。透明電極307に関して各電極301に印加される電圧を制御することにより、当該位相変調要素の液晶材料の特性が変化し、それにより、この位相変調要素への入射光に可変遅延をもたらすことができる。効果は、波面に位相限定変調を与えることである、すなわち、振幅効果は発生しない。
上述のLCOS SLMは、空間的に変調された光を反射して出力する。反射型LCOS SLMには、信号線、ゲート線、およびトランジスタが鏡面の下にあるという利点があり、その結果、高いフィルファクタ(通常は90%超)および高い分解能が得られる。反射型LCOS空間光変調器を使用することのもう1つの利点は、液晶層の厚さが透過型装置を使用した場合に必要となる厚さの半分にできることである。これにより、液晶のスイッチング速度が大幅に向上する(ビデオ動画の投影の重要な利点)。しかしながら、本開示の教示は、透過型LCOS SLMを使用して等しく実施することができる。
小型表示装置および長い視距離を用いた画像投影
本開示は、表示装置と観察者との間の離隔距離が表示装置のサイズよりもはるかに大きい画像投影に関する。視距離(すなわち、観察者と表示装置との間の距離)は、表示装置のサイズよりも少なくとも1桁大きくすることができる。視距離は、表示装置のサイズよりも少なくとも2桁大きくすることができる。例えば、表示装置の画素面積は10mm×10mmとすることができ、視距離は1mとすることができる。システムによって投影される画像は、表示装置から空間的に隔てられた表示面上に形成される。
本開示によれば、画像はホログラフィック投影によって形成される。表示装置にはホログラムが表示される。ホログラムは、光源(図示せず)によって照明され、ホログラムから空間的に隔てられた表示面上に画像が知覚される。画像は、現実であっても仮想であってもよい。以下の説明のために、表示装置の上流側に形成される虚像を考慮することが有用である。すなわち、表示装置の背後に現れる。しかしながら、画像が虚像であることは必須ではなく、本開示は、表示装置と観察システムとの間に形成される実像にも等しく適用可能である。
表示装置は、ホログラムを表示する画素を備える。表示装置の画素構造は回折性である。したがって、ホログラフィック画像のサイズは回折規則によって支配される。表示装置の回折性質の結果について図4を参照して以下に説明する。
図4は、表示装置402の上流側に虚像401を形成するホログラムを表示するように構成された画素化表示装置402を示す。表示装置の回折角qは虚像401のサイズを決定する。虚像401、表示装置402、および観察システム405は光軸Ax上に配置される。
観察システム405は、入射開口404および観察面406を有する。観察システム406は人間の眼とすることができる。したがって、入射開口404は眼の瞳孔とすることができ、観察面406は眼の網膜とすることができる。
表示装置402と観察システム405との間を進む光は、画像(画像自体ではない)のホログラムで変調される。図示の各光線束は、虚像401の異なる部分に関する。より具体的には、各光線束内の光は、虚像の一部に関する情報とともにホログラムによって符号化される。図4は、それぞれが光軸Axに対する当該角度で特徴付けられ、それぞれが虚像の当該部分を表している、5本の光線束の例を示す。この例では、光束のうちの1本が瞳孔404を通過し、他の4本の光束は瞳孔404によって遮られる。この場合も、5本の異なる光線束は、虚像401の5つの異なる部分に対応する。虚像の全画像コンテンツは、角度によって効果的に分割される。光軸Axに沿って進む光束は、画像情報の中央部分、すなわち画像の中心に関する情報を伝える。他の光束は、画像情報の他の部分を伝える。光円錐の両端に示されている2本の光束は、画像情報のエッジ部分を伝える。画像情報をこのように角度で分割した結果、すべての画像コンテンツが所与の観察位置で観察システムの入射開口404を通過できるわけではない。換言すれば、すべての画像コンテンツが眼によって受け取られるわけではない。図4の例では、図示の5本の光束のうちの1本だけが、任意の観察位置で瞳孔404を通過する。読者は、5本の光束が単なる例として示されており、記述されるプロセスは、虚像の画像情報を5本の光束のみに分割することに限定されないことを理解するであろう。
この例では、画像情報の中央部分が眼によって受け取られる。画像情報のエッジ部分は、眼の瞳孔によって遮られる。読者は、観察者が上下に動くと、異なる光束が眼によって受け取られる可能性があり、例えば、画像情報の中央部分が遮られる可能性があることを理解するであろう。したがって、観察者には、全画像の一部しか見えない。画像情報の残部は、入射瞳によって遮られる。観察者は表示装置自体の小開口を通して画像を効果的に見ているため、観察者の視界は非常に制限される。
要約すると、光は表示装置から回折角の範囲にわたって伝播する。1メートルの視距離では、表示装置からの狭い範囲の角度のみが眼の瞳孔を通って伝播して、所与の眼球位置の網膜に画像を形成することができる。虚像の目に見える部分は、入射開口を通過する図4に示されている小さな角度範囲内にある部分のみである。したがって、視野は非常に小さく、特定の角度範囲は眼球位置に大きく依存する。
図4を参照して説明した小さい視野および眼球位置に対する感受性の問題は、表示装置の大きい視距離および小さい開口の結果である。視距離の重要性について、図5~図7を参照してさらに説明する。
図5Aは、ホログラムを表示し、ホログラムに従って変調された光を、入射開口504および観察面506を含む観察システムへ伝播するように構成された表示装置502を示す。虚像501は無限遠にあるため、虚像と表示装置との間でトレースされる光線はコリメートされる。図5Aの下部は、観察システムの拡大図を示す。この図は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。実際には、当然ながら、表示装置502を照明するように構成された光源(図5Aには示さず)がある。
図5Aは、開口504を通って伝播することができる光線のみを示し、開口504を通過することができない他の光線は省略されている。しかしながら、実際には、そうした他の光線は表示装置502からも伝播するはずであることが理解されよう。図5Aでは、表示装置と観察面との間の距離は、表示装置からの完全な回折角が網膜上に画像を形成することができるほど小さい。虚像から示されている光伝播経路はすべて入射開口を通過する。したがって、虚像上のすべての点が網膜上にマッピングされ、すべての画像コンテンツが観察面に送達される。したがって、知覚される画像の視野は最大である。最適位置では、視野は表示装置の回折角に等しい。興味深いことに、網膜上の異なる像点は、表示装置502上の異なる領域から伝播する光から形成され、例えば、図5Aの上部に最も近い像点は、表示装置の下部のみから伝播する光から形成される。表示装置の他の領域から伝播する光は、この像点に寄与しない。
図5Bは、視距離が増大するにつれて生じる状況を示す。
より詳細には、図5Bは、ホログラムを表示し、ホログラムに従って変調された光を、入射開口504’および観察面506’を含む観察システムへ伝播するように構成された表示装置502’を示す。虚像501’は無限遠にあるため、虚像と表示装置との間でトレースされる光線はコリメートされる。図5Bの下部は、観察システムの拡大図を示す。この図は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。実際には、当然ながら、表示装置502’を照明するように構成された光源(図5Bには示さず)がある。
図5Bは、開口504’を通って伝播することができる光線のみを示す。図5Bのより大きい視距離では、光線束の一部は入射開口504’によって遮られる。具体的には、虚像のエッジ部に関連する光線束は入射瞳504’によって遮られる。その結果、虚像全体は目に見えず、虚像の目に見える部分は眼球位置に大きく依存する。したがって、これは、表示装置のサイズが(比較的)小さいために、表示装置と観察システムとの間の大きい距離が問題であることを示している。
図6Aは、表示装置602上に表示されたホログラムで符号化されている光を、入射開口604および観察面606を備える観察システムに向かって伝播する、表示装置602を備える改良型システムを示す。実際には、当然ながら、表示装置602を照明するように構成された光源(図示せず)がある。改良型システムは、表示装置602と入射開口604との間に配置された導波路608をさらに備える。図6Aの下部は、入射瞳604および観察面604の拡大図を示す。この図は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。
図6の視距離は、図5Bの視距離と同じである。しかしながら、図5Bで遮られた光線束は、より長い視距離にもかかわらず、全画像情報が観察システムによって受け取られるように、導波路608によって効果的に回収される。
導波路608が存在することにより、この比較的大きい投影距離であっても、表示装置602からのすべての角度コンテンツが眼によって受け取られることが可能になる。これは、導波路608が、周知であり、したがって本明細書にごく簡単に説明されている方法で、瞳孔拡張器として作用するからである。
手短に言えば、導波路608は、実質的に細長い形成物を備える。この例では、導波路は屈折材料の光学スラブを備えるが、他種の導波路も周知であり、使用され得る。導波路608は、表示装置602から投影される光円錐と、例えば斜角で交差するように配置される。導波路608のサイズ、箇所、および位置は、光円錐内の5本の光線束のそれぞれからの光が導波路608に入ることを確実にするように構成される。光円錐からの光は、導波路の第1の平面610(表示装置602の最も近くに配置される)を通って導波路608に入射し、導波路608の長さに沿って少なくとも部分的に導かれてから、第1の平面610の実質的に反対側の第2の平面612(眼の最も近くに配置される)を通って放出される。よく理解されるように、第2の平面612は部分的に反射性であり、部分的に透過性である。換言すれば、各光線が導波路608内を、導波路608の第1の平面610から第2の平面612へ進むときに、光の一部は導波路608から透過し、一部は第2の平面612によって反射されて第1の平面610の方へ戻る。第1の平面610は反射性である、したがって、導波路608内から第1の平面610に当たる光はすべて、第2の平面612に向かって反射される。したがって、光の一部は、透過する前に導波路608の2つの平面610、612の間で単に屈折してもよく、他の光は、透過する前に反射してもよい、したがって、導波路608の平面610、612の間で1回または複数回の反射(または「跳ね返り」)を受けてもよい。したがって、導波路608の正味の効果は、光の透過が導波路608の第2の平面612上の複数の箇所を横切って効果的に拡張されることである。したがって、表示装置602によって出力されるすべての角度コンテンツは、導波路608がなかった場合よりも、表示面上のより多くの位置に(かつ開口面上のより多くの位置に)存在し得る。これは、各光線束からの光が、比較的大きい投影距離にもかかわらず、入射開口604に入り、観察面606によって形成される画像に寄与し得ることを意味する。換言すれば、表示装置602からのすべての角度コンテンツを眼で受け取ることができる。したがって、表示装置602の完全な回折角が利用され、観察窓はユーザにとって最大化される。さらに、これは、すべての光線が知覚される虚像601に寄与することを意味する。
図6Bは、図6Aで形成される虚像601内の5つの像点にそれぞれ寄与する5本の光線束(上から下にそれぞれR1~R5とラベル付けされている)のそれぞれの個々の光路を示す。図から分かるように、R1およびR2のそれぞれの光は、単に屈折し、次いで導波路608によって透過する。一方、R4の光は、透過する前に1回の跳ね返りに遭遇する。R3の光は、透過する前に導波路608によって単に屈折される表示装置602の対応する第1の部分からの一部の光と、透過する前に1回の跳ね返りに遭遇する表示装置602の第2の異なる対応する部分からの一部の光と、を含む。同様に、R5の光は、透過する前に1回の跳ね返りに遭遇する表示装置602の対応する第1の部分からの一部の光と、透過する前に2回の跳ね返りに遭遇する表示装置602の第2の異なる対応する部分からの一部の光と、を含む。R3およびR5のそれぞれについて、LCOSの2つの異なる部分が、虚像のその部分に対応する光を伝播する。
本発明者らは、少なくともいくつかの用途において、虚像距離、すなわち観察者から虚像までの距離は、虚像が無限遠で形成されるのとは対照的に、有限であることが好ましいことを認識した。特定の用途では、虚像コンテンツが現れることが望ましいかまたは必要である好ましい虚像距離が存在する。例えば、これは、例えば自動車の設定におけるヘッドアップディスプレイの場合、例えば、虚像コンテンツが、車両のフロントガラスを通して観察者によって観察されている実際のコンテンツに重畳される場合とすることができる。例えば、所望の虚像距離は、観察者の車両またはフロントガラスの前方の数メートル、例えば3メートルないし5メートルに形成される虚像コンテンツを含むことができる。
図7の上部は、表示装置702上に表示されたホログラムで符号化されている(すなわち、このホログラムに従って変調されている)光703を、入射開口704および観察面706を含む眼に向かって伝播する、表示装置702を備えるシステムを示す。表示装置702を照明するように構成された光源(図示せず)がある。このシステムは、上記の図6aに関連して詳述したように、瞳孔拡張器として機能するように表示装置702と入射開口704との間に配置された導波路708をさらに備える。図7の中間部は、入射開口704および観察面706の拡大図を示し、図7の最下部は、観察面706のさらに拡大した図を示す。この図は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。この配置では、眼は、虚像701が表示装置702の上流側の有限の距離に配置されていると知覚する。虚像701と表示装置との間の光線は、虚像距離が有限であるため発散する。
上記の図6Aのように、図7に導波路708が存在することにより、表示装置702の全回折角が比較的大きな投影距離でアクセスされることが効果的に可能になり、したがって、全画像コンテンツが図示の表示位置でユーザに見える。
しかしながら、別の技術的問題が導入される。光線束のいくつかについて、表示装置702の異なる部分からの光の異なる光路は、虚像が有限の虚像距離に形成されるときに、それぞれが網膜706上に多数の像点を形成する光線束をもたらすことができる。これは、図7aのR3’およびR5’とラベル付けされた光線束に関連して示されている。形成される追加の像点は、虚像内の所与の点の主像点に従属的なものであり、「ゴースト像点」と呼ばれることがあり、集合的に「ゴースト像」または単に「ゴースト」を形成する。画像形成の当業者なら理解するように、ゴーストの形成は、観察者の視点から、虚像のぼけおよび知覚品質の全体的な低下を引き起こす可能性がある。これは、「ゴースト」が「主」画像に部分的に重なる場合に特に当てはまる。
図8は、主画像に加えてゴースト像を含む、図7aに示すものと同様の観察システムを使用して作られた番号「5」および「9」の虚像の例を示す。主画像は、左右にゴーストを伴って、各数字の最も明るい中央画像として見ることができる。図8の例では、「9」は、視距離が「5」の場合よりも大きい場合に形成され、したがって、ぼけはそれに対してより顕著になる。しかし、これは1つの例示的な例にすぎず、本開示を限定するものと見なされるべきではない。
本発明者らは、ゴースト像の問題に対処してきた。本発明者らは、表示装置によって出力されるすべての角度画像コンテンツを含み、ゴースト像の形成を低減または除去する、有限の虚像距離に虚像を形成することができる観察システムを提供することが望ましいことを認識した。さらに、本発明者らは、従来型観察システムでは観察開口のサイズが増大するにつれて、ゴースト像点を形成するリスクが増加することを見出した、というのは、観察開口は、表示面上に追加の像点を形成し得る追加の光線を入れることができるからである。したがって、ゴースト像の形成を依然として低減または除去しながら、異なるサイズの開口に対応することができる改良型観察システムを提供することが望ましい。以下に詳述する本発明者らによって提供される解決策は、開口、導波路、および表示装置の様々なサイズ(および配置)に適用可能であり、1つまたは複数のゴースト像が従来から形成され得る異なる伝播距離に適用され得る。
全体として、本発明者らは、事実上、従来の配置では1つまたは複数のゴースト像に寄与するはずの表示装置の1つまたは複数の領域を識別するホログラムを生成するための光エンジンを提供することが可能であり、ホログラムは、表示装置のそうした1つまたは複数の領域からの寄与を制御するために、したがって、ホログラムが表示装置に表示され照明されるときのゴースト像点の形成を回避または低減するために導出されることを認識した。本発明者らは、観察システム内の投影距離が比較的大きくかつ表示装置および/または観察開口が比較的小さい場合であっても、そのようなホログラムを提供するためのホログラムエンジンを提供するとともに、改善された画像を形成するために、改善されたホログラムの表示および照明のための改良型観察システムを提供することが可能であることをさらに認識した。
本発明者らは、比較的小さい観察開口を備え、随意に比較的小さい表示装置も備える導波路を含む観察システム(本明細書の図6Aおよび図7Aに示されている観察システムなど)を有することによって課される角度制限のために、導波路内の異なる可能な伝播経路を別々に考慮することが可能であることを認識した。さらに、本発明者らは、そのような考慮の結果として、所望の「主」画像に寄与する光の供給源である表示装置の領域と、望ましくない「ゴースト」画像に寄与する光の供給源である表示装置の領域と、開口によって遮られる光の供給源である、したがって主画像にもゴースト像にも寄与しない表示装置の領域と、をそれぞれ識別することが可能であることを認識した。本発明者らは、ホログラム計算を、主画像に寄与する表示装置の領域のみに限定することが可能であることをさらに認識した。本発明者らは、さらなる改良において、いくつかの実施形態では、事実上、ゴースト像のうちの1つまたは複数が並進させられて主画像上に重ね合わされるようにすることができる改善されたホログラムを提供することができることをさらに認識した。
本発明者らによってなされた認識、ならびにそうした認識を具体化する改良されたシステムおよび方法は、以下に詳述するように図面を参照してさらに理解され得る。
図9A~図9Cは、この例ではLCOS空間光変調器である表示装置902を示す。以下での「LCOS」への言及は、「表示装置」の省略表現としてなされる。本開示の教示は、LCOS表示装置に限定されるものではない。図9Bは、LCOS902から導波路908を経由して、この例では観察者の眼を含む観察エンティティ/システム905に向かう、1つの虚像点に対する光線をトレースする。図9Cは、眼905の拡大図をさらに含み、瞳孔904(すなわち、入射開口)および網膜906(すなわち、センサまたは観察面)における光線を示す。この例では、LCOS領域全体が網膜906上の像点の形成に寄与する。換言すれば、LCOS902の全体が観察者に「見える」。画像へのLCOS902全体のこの寄与は、LCOS全体が網掛けされることによって示されており、その全表面積を「寄与領域」として示す。
図から分かるように、図9Bおよび図9CにおけるLCOS902からトレースされた光は、この特定の虚像点の網膜906上での3つの像点(それぞれG1、M、およびG2とラベル付けされている)の形成をもたらす。中間像点「M」は、観察者によって知覚される一次/主虚像に寄与する主像点を含む。上の像点G1は第1のゴースト像点を含み、下の像点G2は同じ虚像点の第2の異なるゴースト像点を含む。特に、さらに進歩して、本発明者らは、主像点Mおよび/またはゴースト像点G1、G2に寄与するLCOS902の領域(複数可)を識別することが可能であることを認識した。
図10A~図10Cは、3本のそれぞれの伝播経路に分けられた図9A~図9CのLCOS902および光線図を示し、3本の経路うちの第1の経路は下のゴースト像点G2に寄与する光を含み、3つ経路のうちの第2の経路は主像点Mに寄与する光を含み、3本の経路のうちの第3の経路は上のゴースト像点G1に寄与する光を含む。図10Aに見られるように、G2に寄与する光は、導波路908によって透過する前に3回跳ね返る。図10Bに見られるように、Mに寄与する光は、導波路908によって透過する前に2回跳ね返る。図10Cに見られるように、G1に寄与する光は、導波路908によって透過する前に1回跳ね返る。
各図(10A,10B,10C)はまた、当該像点に寄与するLCOS902の部分(複数可)を網掛けで示してある。したがって、下のゴースト像点G2には、LCOS902の下部に向かう領域が寄与し、上のゴースト像点G1には、LCOS902の上部に向かう領域が寄与し、主像点には、LCOS902全体が寄与することが分かる。
開口904(すなわち、観察者の瞳孔)は、図9および図10a~図10cの例では比較的幅広であり、この例は、LCOS902全体がなぜ主像点に寄与するのかを説明する。換言すれば、この例では、観察システムのf値は比較的低い。図10A~図10Cは、LCOS902の一部がどちらかのゴースト像G1、G2にも寄与するが、どちらのゴースト像G1、G2にも寄与せず、主像点Mにのみ寄与するLCOS902の領域があることを示している。本発明者らは、この領域が、この例ではLCOS902にとって寄与領域であると識別され得ること、より具体的には、この領域が、後続の図の説明からさらに理解されるように、「一次寄与領域」であると識別され得ることを認識した。したがって、この場合、一次寄与領域は円または楕円に限定されるものではなく、他のより複雑な形状をとり得ることが分かる。
図11A~図11Cは、入射開口が比較的小さい(すなわち、f値が比較的高い)場合の虚像の異なる点に関する対応する光線図を示す。図11Aは、虚像の第1のフィールド点(すなわち、第1の虚像点)に関し、図11Bは、虚像の第2のフィールド点に関し、図11Cは、虚像の第3のフィールド点に関する。図11A~図11Cは、LCOS902のすべてが主像点に寄与するわけではないことを示している。実際、図11A~図11Cは、LCOSの第1の領域が主像点(本明細書では「一次寄与領域」と呼ぶ)に対応し、LCOSの第2の領域がゴースト像点(本明細書では「二次寄与領域」と呼ばれる)に対応することを示している。
本発明者らは、特定の条件下では、LCOS902の異なるそれぞれの領域(または観察システム内の他の表示装置)が、主画像かゴースト像のどちらかに寄与するか、あるいは画像の可視部分に寄与しないことを認識した。本発明者らは、この情報を使用してホログラム決定プロセスを最適化できることをさらに認識した。例えば、表示装置の特定の部分からの光は省略され得る、あるいは場合によっては、表示装置の特定の部分がホログラムによって符号化される方法は、ゴースト像に寄与するのではなく、主画像に確実に寄与するように変更され得る。さらに、表示装置の追加の領域が識別されてもよく、追加の領域は、主画像に確実に寄与するように構成され得る。
本発明者らによってなされた認識は、一例として点群ホログラムに関連して以下に記述される。しかしながら、点群ホログラムは、フーリエホログラムやまたはフレネルホログラムなどの他種のホログラムに適用され得る。すなわち、本開示に従って決定され得るLCOS情報を使用して、他のホログラム計算方法を最適化することができる。
よく理解されるように、通常、画像(虚像など)の点群ホログラムを計算する場合、画像は、複数の個々の点(虚像の形成を説明するので、本明細書では「仮想点」と呼ばれる)に分解される(すなわち、複数の個々の点で表される)。次いで、球面波(または「ウェーブレット」)が、各仮想点から、虚像内のその仮想点の所期または所望の位置で、上述の例ではLCOSの平面などの表示装置の平面まで、計算的に(すなわち、モデルまたは他の理論ツールを使用して)伝播される。そのようなウェーブレットが互いに干渉する方法が考慮され、表示装置の各画素で受け取られるはずのウェーブレットの結果として生じる振幅および/または位相が計算される。次いで、表示装置は、計算されたウェーブレットを模倣し、それによって画像のホログラムを作るために、各画素箇所で必要とされる振幅および/または位相変調を示すように、周知の方法で調整することができるので、本明細書では説明しない。
本発明者らは、本明細書に記載の導波路および大きな視距離を有する観察システムでは、表示装置全体にすべての仮想点の対応するウェーブレットの正味の振幅および位相が入力される場合、作られることになるホログラムは、表示および照明されると、1つまたは複数のゴースト像ならびに主画像を生成することができることを認識した。例えば、これは、観察システムが、観察者から有限の距離に虚像が知覚されるように構成されるときに起こり得る。さらに、多くの場合、装置のいくつかの部分の画素から放出された光線は無駄になる、(すなわち、その光線は、観察者が見たり知覚したりする画像に寄与しない)、というのは、観察システムの物理的制約(小さな開口および/または小さな表示装置および/または大きな投影距離など)は、装置のそれらの部分からの光が観察者の眼に入らないことに影響するからである。したがって、本発明者らは、表示装置のどの部分がホログラムを提供するように調整されているかに関して、知的選択が適用され得ることを認識した。具体的には、主画像に寄与するLCOSのそれらの部分(または、一部、または、領域)のみが選択される場合(かつ、ウェーブレットが所期の虚像の仮想点からのみ、LCOSのそれらの部分へ計算的に伝播され、主画像に寄与しないLCOSの他の部分へは伝播されない場合)、表示装置の選択された領域内の各画素で受け取られるはずのウェーブレットの結果として生じる振幅および/または位相を計算することができる。表示装置の他のそれぞれの部分について計算は不要である。
次いで、表示装置は、計算されたウェーブレットを模倣し、それによって主画像のホログラムを作るために、選択された部分(複数可)内の各画素箇所で必要とされる振幅および/または位相変調を示すように、改善された計算に従って調整することができる。これが行われると、計算済みホログラムが表示装置上に表示され、照明されるときに、LCOSの他の部分を調整することはなく、したがって、画像情報が、それらの他の部分から観察者の眼(または他の観察エンティティ)へ伝播することはない。したがって、それが望ましくない「ゴースト」像点を形成することにつながり得る、観察者が利用できる情報はない。結果として、ゴースト(複数可)は排除されるまたは「クエンチされる」。さらに、計算または画像情報は無駄にならない、というのは、条件の所与のセットに対して(特定の開口幅および眼の位置などに対して)、観察者の瞳孔を通って(または、対応する他の観察エンティティの開口を通って)入れられることになる光を提供すると分かっている表示装置の画素のみが調整されるからである。
図12Aおよび図12Bは、仮想点例1201を含む虚像を形成するシステム1200を示す。観察システム1200は、この例ではLCOS SLMである表示装置1202を備え、表示装置1202は、本開示に従って識別される寄与領域1203および非寄与領域1207を含む。表示装置1202は、虚像のホログラムを表示するとともに、ホログラムに従って符号化された光を、開口として作用する瞳孔(図示せず)とレンズ1209と観察面として作用する網膜1206とを備える眼1205に向けて投影するようになされる。レンズ1209および網膜は、分離距離「A」で隔てられる。表示装置1202を照明するように構成された光源(図示せず)がある。観察システム1200は、LCOS1202と眼1205との間に配置された導波路1208をさらに備える。この像は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。
仮想点1201は、表示装置1202の上流側に配置されており、これは、図12Aおよび図12Bにおいて仮想点1201が表示装置1202の左側にあることによって示されている。仮想点1201は、この例ではデカルト(x,y,z)座標を含む空間座標によって定義された位置を有するが、他の座標系または仮想点の位置を識別する他の手段が使用されてもよい。距離「z」は、仮想点1201と表示装置1202との間に、表示装置1202の光軸に略平行な方向に画定される。表示装置1201と眼のレンズ1209との間に、表示装置1201の光軸に略平行な方向に画定されるディスプレイレンズ間距離「l」もある。「z」と「l」の両方の数値は、観察者の位置を含む、所与の時点での観察システム1200の特定の配置に応じて変化する。例えば、ディスプレイレンズ間距離「l」は約1メートル程度であってもよく、ディスプレイ画像間距離「z」はさらに大きくてもよく、例えば数メートル程度であってもよい。しかし、これらの数値の例は純粋に例示的なものであり、限定するものと見なされるべきではない。
本発明者らは、虚像点1201を含む虚像が図12Aに示される位置で観察者によって知覚されるべき場合、対応する像点1211が網膜1206上に形成されなければならないことを認識した。光線は、虚像の仮想点1201からLCOS1202を通って網膜1211上の対応する点1211までトレースすることができる。
導波路1208によって可能な経路が作られる/生成されたるために、仮想点1201と網膜上の仮想点に対応する点1211との間に、LCOS1202を経由して複数の可能な光路をとることができることが理解されよう。諸実施形態によれば、虚像点1201と観察面(すなわち、網膜1206)上の対応する点1211との間の、複数の光線経路の間の光線経路を含む主光線が決定され得る。この主光線経路が識別されると、光が導波路内で受ける跳ね返りの数が決定される。その跳ね返りの数(B)は、虚像と観察面との間で光線がトレースされるべき跳ね返りの数として設定することができる。諸実施形態によれば、主光線(および関連する跳ね返りの数(B))は、初期段階として識別され得る。
本例では、レイトレーシングは、各虚像点1201と網膜上の対応する点1211との間を「主光線」光が進むLCOS1202の部分を、その虚像点1201の「寄与領域」1203を識別するために決定することができる。したがって、図12Aには、光線「r」が、虚像点1201と表示装置1202の寄与領域1203との間で伝播するものとして描かれている。本発明者らによって構成された認識に従って、LCOSの寄与領域に寄与するウェーブレットのみが、虚像点1201および表示装置1202からモデル化される(または他の方法で計算的に考慮される)必要がある。換言すれば、適切なホログラムを生成するために、表示装置1202の識別済み寄与領域1203のみが符号化される(または「調整される」)必要がある。このようなホログラムは、表示装置上で符号化され、適切に照明されると、虚像点1201が観察者によって知覚されることを、虚像点1201のどのゴースト像も存在することなく可能にするはずである。これは、以下で論じられる図13および図14からさらに理解することができる。
図12Aおよび図12Bの寄与領域1203、ならびに以下の図13および図14に関連して論じられる寄与領域は、対応する観察エンティティの入射開口および関連する光学系のサイズおよび形状(例えば、導波路の幾何形状、より大きな光学系内の任意の反射など)に基づいてサイズおよび形状を定められる。したがって、観察エンティティが人間の眼である場合、表示装置上の寄与領域は、場合により、略円形または楕円形、あるいは受け取る瞳孔と同様のサイズの、複雑な形状などの他の適当な形状を含むことができる。しかしながら、本開示は、寄与領域のより複雑な形状を包含する。瞳孔径は、任意の適切な方法で測定または推定され得る。例えば、眼の瞳孔径の測定は、視標追跡システムによって実行され得る。あるいは、瞳孔径は、眼の瞳孔径の既知の範囲(例えば2~6mm)に基づいて、または所与の時点での環境光条件を考慮した別の推定値に基づいて推定され得る。
寄与領域は、意図的に瞳孔よりもわずかに大きい領域(開口面上)に寄与するように、かつ/または瞳孔(または他の開口)に対してわずかに異なる形状の領域(開口面上)に寄与するように設定され得る。そのような場合、「寄与領域」からのすべての光が常に瞳孔を通過するわけではないが、眼は、網膜上に良好な画像を形成するのに十分な光を依然として集めながら、少し動き回ることができる。
図13は、本開示の主要な態様による、表示装置の寄与領域および非寄与領域を決定する方法を示す。随意に、次いで、これらの決定は、図12Aおよび図12Bのシステム1200などの観察システムによる表示および照明のための1つまたは複数のホログラムの生成を最適化するために使用することができる。図13を参照して説明する方法では、観察システムは、(f)値(すなわち、焦点距離および口径)を有するレンズとカメラとを備える。カメラの感光性構成要素は、例えばCCDアレイとすることができ、観察面上に配置される。機能的には、レンズおよびカメラは、観察者の人間の眼のレンズおよび網膜を置換し、表示装置の寄与領域および非寄与領域を決定するプロセスに専ら使用される。表示装置のこれらの領域は、複数の観察位置(例えば、アイモーションボックス内の眼球位置)および/または複数の像距離(例えば、車両の前方の虚像距離)に対して決定され得る。いくつかの点で、図13を参照して開示された方法は、ホログラム計算の前駆体と見なされ得る。本方法は、最適化プロセスか、さらには較正プロセスと見なされ得る。
よく理解されるように、生成されるべき各虚像は、例えば(x,y,z)座標によって定義されるように、それぞれが対応する位置を有する1つまたは複数の虚像点で表すことができる。図13の方法1300のステップ1 1302~ステップ6 1312(以下で詳述される)は、作られるべき虚像内の各虚像点に別々に適用され得る。さらに、方法1300は、観察システムの条件の特定のセット、すなわち特定の測定値および制約条件に該当する。したがって、方法1300の任意の所与の反復(または「実行」)が、作られるべき特定の画像(虚像点による虚像点)を構築するのに該当するとともに、システムが特定のディスプレイ画像間距離「z」、表示装置と網膜との間の特定の距離「d」、特定の口径(瞳孔)幅、および眼の焦点が合わされる特定の虚像距離を有する場合に該当する。
方法1300の反復はまた、特定のサイズおよび種類の表示装置に特有であるとともに、眼の特定の位置に対しても、許容済み観察窓で特有である。本方法の各反復がそれに特有である、他の測定値および/または制約条件が存在してもよい。諸実施形態によれば、それらの測定値または制約条件のいずれかが変化した場合、本方法1300は、変化した状況下で表示装置の寄与領域(複数可)を再決定するために再実行され得る。しかしながら、諸実施形態によれば、それらの測定値または制約条件のうちの1つまたは複数に特定の許容誤差を適用することができ、したがって、本方法は、その測定値または制約条件が所定の量未満だけかつ/または所定の時間長未満の間に変化する場合に再実行されなくてもよいことが理解されよう。本方法がいつ再反復されるべきかに関する規則は、システムごとに決定され得る。
方法1300は、適切なプロセッサによって実行され得る。プロセッサは、ホログラムエンジンを備えるか、またはホログラムエンジン内に含まれるか、またはホログラムエンジンと通信することができる。プロセッサまたはホログラムエンジンは、光エンジン内に含まれ得る。
プロセッサは、方法1300が実行される前に、観察システムに関する境界情報を取得または受信することができる。例えば、プロセッサは、表示装置などの構成要素のサイズに関する情報、様々な構成要素および観察システム(例えば、潜在的な人間の観察者)の絶対位置および/または相対位置に関する情報、光源に関する情報、などを取得または受信することができる。
方法1300によれば、第1のステップ1302で、虚像が知覚されるべき位置に従って、位置、例えば、虚像点(本明細書では略して「仮想点」とも呼ばれる)の座標[xvirtual,yvirtual,zvirtual]が取得される。次いで、レンズ1209と仮想点との間の虚像距離が取得または決定される。この虚像距離は、方法1300を実行しているプロセッサによって設定または決定されてもよく、または別のエンティティによって設定または決定され、そのプロセッサに伝達されてもよい。虚像距離は、いくつかの配置では、予め設定されるか、または複数の可能な虚像距離から選択されてもよい。現実世界の動作では、観察システムが眼である場合、視線追跡情報または頭部追跡情報が虚像距離の決定に使用され得る。
第2のステップ1304で、レンズとセンサとの間の所要の距離「A」が、虚像点に焦点を合わせるために決定される。各虚像点を角度で定義することもできる(図4参照)。本明細書での「角度コンテンツ」への言及は、虚像の虚像点に対してなされる。
第3のステップ1306で、観察システムによって形成された主画像または一次像に関連する導波路内の光の反射または跳ね返りの数「B」が決定される。光学分野の当業者なら、導波路が虚像点に関連付けられた光の複数のレプリカを生成し、各レプリカが導波路内の異なる数の光の跳ね返り/反射に関連付けられ得ることを理解するであろう。ほんの一例として、Bを決定する1つの方法は、導波路内の可能な光伝播経路ごとに主光線と表示装置との交差を決定し、主光線を表示装置の中心の最も近くに置く反射/跳ね返りの数を選択することである。有利には、この手法は、観察システムに寄与する表示装置の面積が最大になるようにすることである。
あるいは、第3のステップ1306で使用する跳ね返りの数を計算する別の方法は、以下のサブステップ1~5を含む。
1.入力として知られ使用される眼球位置
2.第1の跳ね返りの数Bに対する、表示装置の中心から決定済み眼球位置までのレイトレース。虚像に向かうその光線の外挿は、この跳ね返りの数(B)に対する視野(θB)内の角度を定義する。
3.第2の跳ね返りの数B+1に対する、表示装置の中心から決定済み眼球位置までのレイトレース。虚像に向かうその光線の外挿は、この跳ね返りの数(B+1)に対する視野(θB+1)内の角度を定義する。
4.Bは、θBとθB+(θB+1-θB)/2との間の角度コンテンツに使用される跳ね返りの数である
5.B+1は、θB+(θB+1-θB)/2とθBとの間の角度コンテンツに使用される跳ね返りの数である
第1のステップ1302(すなわち、虚像点の座標)および第3のステップ1306(パラメータ、B)からの出力は、センサ上の対応する画像位置/点[xsensor,ysensor,zsensor]を決定するために第4のステップ1308で使用される。すなわち、第4のステップ1308は、虚像点の光が受け取られるセンサ上の点を決定する。換言すれば、虚像点が画像化されるセンサ上の点である。センサ上のこの点は、図14に関連して、主像点[xsensor,ysensor,zsensor]として下記に参照される。ほんの一例として、導波路内のB個の跳ね返りについての仮想点からセンサまでのコンピュータによるレイトレーシングが使用され得るが、本開示は第4のステップへのこの手法に限定されるものではない。
当業者なら、仮想点[xvirtual,yvirtual,zvirtual]からセンサ上の点[xsensor,ysensor,zsensor]までの主光線(または単に主光線)が識別され得ることを理解するであろう。この場合も、コンピュータによるレイトレーシングが主光線を識別または追跡するために使用され得るが、他の方法も同様に適用可能である。第5のステップ1310で、表示装置交点[xLCOS(B)、yLCOS(B)、zLCOS(B)]が識別される、ただし、表示装置交点は、主光線が表示装置と交差する表示装置上の位置である。表示装置交点は、例えばコンピュータによるレイトレーシングによって決定、計算、または測定され得る。
第6のステップ1312で、表示装置交点に関連する表示装置の領域[xLCOS(B)、yLCOS(B)、zLCOS(B)]が識別される。表示装置の領域は、この点[xLCOS(B)、yLCOS(B)、zLCOS(B)]を幾何学的に中心とすることができる。例えば、この領域は円または楕円であってもよいが、他のより複雑な形状が想定されてもよい。この領域が円や楕円などの規則的な形状である場合、領域の半径は、例えば、観察システムのレンズのf値に従って決定され得る。この領域は、観察システムによって形成された一次像に対応するため、本明細書では「一次寄与領域」と呼ばれる。「寄与(contributory)」という単語は、表示装置の識別済み領域内の表示装置の画素が、センサに必要な情報コンテンツを提供する画素であることを反映する。表示装置の他の領域(すなわち、表示装置の他の画素)は、センサ上の像点の形成に寄与しない。他の画素は、当然ながら、他の虚像点に関連するセンサ上の他の像点に寄与し得る。
本開示の主要な態様による方法は、表示装置の一次寄与領域の決定で終了する。本方法は、表示装置の全領域ではなく、一次寄与領域に基づいてホログラムを決定され得る。
したがって、随意の第7のステップ1314で、仮想点に基づいて一次寄与領域に対するホログラム成分が決定される。具体的には、一次寄与領域の光パラメータが決定される。光パラメータは、一次寄与領域の各画素に対する振幅および/または位相とすることができる。例えば、光の振幅および位相は、当業者によく知られている点群法を使用して、仮想点から一次寄与領域への光の伝播に基づいて一次寄与領域内の各画素に対して決定され得る。仮想点のホログラム成分は、虚像全体の完全なホログラムを構築するために、以下の段落に記述される反復プロセスの一部として保存されるか、または他の仮想点のホログラム成分と組み合わされてもよい。
全体として、第7のステップ1314で、一次寄与領域内の表示装置の各画素値に光変調値(例えば、振幅および/または位相の値)が割り当てられる。これは、[xvirtual,yvirtual,zvirtual]から一次寄与領域への光波の伝播を考慮し、[xLCOS(B)、yLCOS(B)、zLCOS(B)]の所望の半径内の表示装置の画素に振幅および/または位相を加算することによって達成される。すなわち、虚像点から生じ、一次寄与領域の各点(すなわち、画素)に到達する光の振幅および/または位相は、光波の伝播、すなわち、虚像点から各画素までの距離を進んだ後の光波の振幅および/または位相を考慮することによって決定される。この決定は、光学分野の当業者に知られているいくつかの異なる技法のいずれか1つによって実行され得る。この決定は、実験的測定によってなされ得る。
第1のステップ~第7のステップは、ホログラムを用いて投影されるべき虚像内の各仮想点に対して繰り返され得る。例えば、複数のホログラム成分を合算して、表示装置の各画素について結果として得られるホログラムを生成することができる。例えば、複素振幅は、すべての虚像点からの伝播のために各画素で加算されてもよい。ホログラムが位相限定変調器に表示されるべき場合、結果として得られる複素振幅和の振幅成分は無視されて、位相だけが残ることができる。より広義には、この結果は、観察システム内の表示装置上に表示および照明されると虚像を形成する、虚像に対応する回折構造である。
ホログラムは、表示装置上に表示または符号化することができる。結果として、表示装置は、所要の虚像距離で虚像が観察者によって知覚されることを可能にする方法で光を変調するように調整される。
方法1300は、虚像内の複数の仮想点のそれぞれに対して実質的に同時に(または非常に迅速に連続して)実行することができ、その結果、虚像全体に適したホログラムが、所与の観察設定、ならびに特定の数値測定および制約に対して、表示装置上に非常に迅速に導出され符号化され得る。寄与領域(複数可)の識別、および/または表示装置の所要の調整に影響を及ぼし得ることが変化した場合、本方法は再実行され得る。プロセッサは、時間制御されたループ上で、かつ/または変化が起きていることを示す信号に応答して、かつ/または所要の虚像のコンテンツまたはアイデンティティが変化したときに本方法を再実行するように構成され得る。プロセッサは、以前に計算されたデータを保存するためのメモリを含むことができ、またはメモリと通信することができる。例えば、測定値および/または制約条件の特定のセットの下で、特定の虚像または仮想点に対する表示装置の活性領域を示すルックアップテーブルまたは他の記憶手段を設けることができる。
方法1300は、いくつかの異なる虚像を迅速に連続して表示するために、かつ/またはユーザの動きなどの状態の変化に正確に応答するために、非常に迅速に実行(または再実行)することができる。図12Aのシステムには片方の眼しか示されていないが、方法1300は、観察者の両方の眼を考慮するように構成することができる。さらに、上記の説明のいくつかは開口幅に言及している場合があるが、瞳孔(およびエンティティを見るためのほとんどの他の開口)は2次元であり、それらのそれぞれの2次元のサイズを変更することができることが理解されよう。方法1300は、2次元の開口サイズとこのサイズの変化とを考慮に入れるように構成され得る。
本発明者らは、図13を参照して開示された方法を使用して、虚像のホログラムが効率的に決定され得ることを見出した。しかしながら、本発明者らは、場合により、ゴースト像を形成するはずの光を従来通り伝播するであろうLCOSのすべての領域が使用されなかった場合、LCOSの比較的小さな部分のみが利用されていることも観察した。注目すべきさらなる技術的進歩において、本発明者らは、一次寄与領域に加えて、LCOSの追加領域を使用し、望ましくないゴースト像を形成するのではなく、一次像を補強するためにその追加領域が光に寄与することを可能にするはずのその追加領域のホログラム値を計算する方法を見出した。
よく理解されるように、光線が観察システム内の導波路を通過してとる光路は、それぞれの他の光線の経路長に対してその経路長を増大させることができる。通常、このような増大は、虚像距離「v」と比較して小さい可能性が高いため、眼には見えない。
図14は、図12Aおよび図12Bのシステム1200などのシステムに適用され得る、本発明者らによってなされた追加の認識による、さらに改良された方法1400を示す。図14の方法1400は、図13の方法1300のすべてのステップを含み、さらに、この方法1400は、仮想点に対応するゴースト像点のうちの1つまたは複数の処理を含み、ゴースト像点は存在していてもよく、従来通り、虚像の1つまたは複数のゴースト像の知覚をもたらす。
方法1400は、適切なプロセッサによって実行され得る。プロセッサは、ホログラムエンジンを備えるか、またはホログラムエンジン内に含まれるか、またはホログラムエンジンと通信することができる。プロセッサまたはホログラムエンジンは、光エンジン内に含まれ得る。
プロセッサは、この方法が実行される前に、本システムに関する境界情報を取得または受信することができる。例えば、プロセッサは、表示装置などの構成要素のサイズに関する情報、様々な構成要素および観察者の絶対位置および/または相対位置に関する情報、光源に関する情報、などを取得または受信することができる。
場合により、本発明者らは、ゴースト像点が、主画像の主光線が通過する「一次寄与領域」とは異なる表示装置の一部を通過する対応する仮想点からの光に起因して生じることを見出した。本明細書の前述の図では、表示装置のそのような部分は、「二次寄与領域」と呼ばれる。1つまたは複数のゴースト像点を作る光は、1つまたは複数の「ゴースト光線」を含むと呼ばれることがある。ゴースト像を生じさせる光線は、観察者の眼の狭い瞳孔を通って進み、網膜と一致するためにも、導波路内で主画像に対応するものとは異なる跳ね返りの数を受けることができる。したがって、主画像に対応する主光線が導波路内で「B」跳ね返りを受けると決定された場合、ゴースト像に対応する光は「B+ΔB」跳ね返りを受けると決定され得る、ただし、ΔBは、負または正の整数、通常は例えば-5~+5の範囲内の一桁の数とすることができる。
図14の改良された方法1400によれば、観察面上の主像点の位置(例えば、この位置の座標(xsensor、ysensor、zsensor))が確立された、図13の方法1300の第4のステップ1308の後、図13の方法13の後続のステップは継続することができ、さらに、例えば並行して、または後で、ΔBの少なくとも1つの値について、以下のようにステップの別のセットが実行され得る。要約すると、図14の改良された方法1400は、観察面にゴースト像点を形成するために、ゴースト光線が仮想点の座標[xvirtual,yvirtual,zvirtual]から何回の跳ね返り「B+ΔB」を受けたか決定する。次いで、改良された方法1400は、別個のゴースト像点を形成するのではなく、光がそこから進み、導波路内で「B+ΔB」跳ね返りを受け、観察面上の主像点に到達することができる、仮想点の並進(または、修正)位置を決定する。次いで、光線が仮想点の並進位置からその位置を通って主像点まで進む、LCOS上の位置が識別されてもよく、それに応じてホログラムで符号化され得る。したがって、LCOSの1つまたは複数の追加領域(一次寄与領域以外)は、ゴースト像の生成を依然として回避しながら、主画像に寄与するためにホログラム値で符号化され得る。
より詳細には、改良された方法1400は以下の通りである。
第1のさらなるステップ1402で、主像点(xsensor,ysensor,zsensor)からの光線は、導波路内で「B+ΔB」跳ね返り/反射(B跳ね返りではない)を受ける光線を別にして、虚像までトレースバックされる。
第2のさらなるステップ1404で、光が「B+ΔB」跳ね返りを受けた場合、主像点[xsensor,ysensor,zsensor]に画像化することになる(すなわち、表示装置、導波路、および入射開口を通って移動して位置[xsensor,ysensor,zsensor]にある観察面と一致する光を伝播することになる)、虚像の二次仮想点の位置(例えば座標[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual(ΔB)])が決定される(例えば、第1のさらなるステップ1402で実行された光線追跡の結果として)。「二次仮想点」という用語は、本明細書では、(一次)仮想点の二次的(すなわち、変位、または修正された)位置の省略表現として使用される。すなわち、本発明者らは、仮想点の位置が「二次仮想点」の位置[xvirtual(ΔB,yvirtual(ΔB),zvirtual(ΔB)]にシフトされた場合、導波路内で「B+ΔB」跳ね返り/反射を受けた「二次仮想点」からの光が、観察面で主画像に寄与することを認識した。
要約すると、第3のさらなるステップ1406は、導波路内のB+ΔB跳ね返りの[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]から観察面への光伝播のための表示装置における主光線の座標[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS]を決定することを含む。場合により、zvirtualは、導波路を通る異なる経路長を考慮に入れるように調整され得る(すなわち、跳ね返りの数が異なるため)。この主光線は、「二次主光線」と呼ばれることがある。
より詳細には、第3のさらなるステップ1406で、二次仮想点から主像点[xsensor,ysensor,zsensor]への「二次主光線」が進行するはずの表示装置上の点が識別されて、この点を経由して導波路内でB+ΔB跳ね返りを受ける。表示装置上のこの点は、座標[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS]を有する。
第4の追加ステップ1408で、点[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS]に、この点に関連する領域の範囲またはサイズの半径または他の適切な指標が割り当てられる。点[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS]に関連する領域は、本明細書では「追加の寄与領域」と呼ばれる、というのは、この領域は、観察面で主像点に寄与する光を伝播するが、その光が(一次)仮想点の変位された、または修正された位置、すなわち[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]から生じたときだけであり、第2のさらなるステップ1404で決定された[xvirtual,yvirtual,zvirtual]ではないからである。
第4のさらなるステップ1408は、第6のステップ1312と同様である。具体的には、第4のさらなるステップ1408は、表示装置交点[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS(B)]に関連する表示装置の領域を識別することを含む。表示装置の領域は、この点[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS(B)]を幾何学的に中心とすることができる。例えば、この領域は円または楕円であってもよいが、他のより複雑な形状が想定されてもよい。この領域が円や楕円などの規則的な形状である場合、領域の半径は、例えば、観察システムのレンズのf値に従って決定され得る。この領域は、本明細書では「追加の寄与領域」と呼ばれる、というのは、この領域は、適切なホログラムが(一次)仮想点の変位または修正された位置に基づいて計算される場合、虚像に寄与する光を伝播することになるからである。
第5のさらなるステップ1410は、第7のステップ1314と同様である。第5のさらなるステップ1410は随意である。第5のさらなるステップ1410で、(一次)仮想点[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]の修正された位置に基づいて、追加の寄与領域についてホログラム成分が決定される。具体的には、追加寄与領域の光パラメータが決定される。光パラメータは、追加寄与領域の各画素に対する振幅および/または位相とすることができる。例えば、光の振幅および位相は、当業者によく知られている点群法を使用して、異なる仮想点[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]から追加寄与領域への光の伝播に基づいて追加寄与領域内の各画素について決定され得る。異なる仮想点[xvirtual(ΔB),yvirtual(ΔB),zvirtual]のホログラム成分は、虚像全体の完全なホログラムを構築するために、以下の段落に記述される反復の一部として保存されるか、または他の仮想点のホログラム成分と組み合わされてもよい。
単一の個々の仮想点に関連して出力される、表示装置によるこの所要の光変調は、その仮想点の「ホログラム成分」と呼ばれることがある。ホログラム成分は、作られるべき虚像内の1つまたは複数の他の仮想点に対する方法1300のその後の繰り返しの間に、プロセッサによって保存され得る。
図14のさらに改良された方法1400のステップ1402~1410は、図13の方法1300の第1のステップ1302~第7のステップ1314とともに、作られるべき虚像内の各仮想点に対して繰り返され得る。各仮想点についての変調挙動および対応するホログラム成分が決定されると、ホログラム成分を一緒に加算して、表示装置の各画素について結果として生じる変調挙動を生成することができる。この結果として生じる変調挙動は、虚像の回折構造、すなわちホログラムを表し、ホログラムは、観察システム内の表示装置上に表示および照射されると、主画像だけが形成されることにつながり、ゴースト像を形成しない。図14の改良された方法1400が実行された結果として形成される主画像は、図13の方法1300のみから生じる対応する主画像よりも明るくてもよい。
プロセッサは、任意適切な方法でホログラムに対応するデータを出力することができる。ホログラムは、表示装置上に符号化することができる。結果として、表示装置は、ゴースト像を形成することなく、所要の虚像距離で虚像が観察者によって知覚されることを可能にする方法で光を変調するように調整される。
方法1400は、虚像内の複数の仮想点のそれぞれに対して実質的に同時に(または非常に迅速に連続して)実行することができ、その結果、虚像全体に適したホログラムが、所与の観察設定、ならびに特定の数値測定および制約に対して、表示装置上に非常に迅速に導出され符号化され得る。識別、および/または表示装置の所要の調整に影響を及ぼし得ることが変化した場合、本方法は再実行され得る。プロセッサは、時間制御されたループ上で、かつ/または変化が起きていることを示す信号に応答して、かつ/または所要の虚像のコンテンツまたはアイデンティティが変化したときに本方法を再実行するように構成され得る。プロセッサは、以前に計算されたデータを保存するためのメモリを含むことができ、またはメモリと通信することができる。例えば、測定値および/または制約条件の特定のセットの下で、特定の虚像または仮想点に対する表示装置の活性領域を示すルックアップテーブルまたは他の記憶手段を設けることができる。
方法1400は、いくつかの異なる虚像を迅速に連続して表示するために、かつ/またはユーザの動きなどの状態の変化に正確に応答するために、非常に迅速に実行(または再実行)することができる。図12Aのシステムには片方の眼しか示されていないが、方法1400は、観察者の両方の眼を考慮するように構成することができる。さらに、上記の説明のいくつかは開口幅に言及している場合があるが、瞳孔(およびエンティティを見るためのほとんどの他の開口)は2次元であり、それらのそれぞれの2次元のサイズを変更することができることが理解されよう。方法1400は、2次元の開口サイズとこのサイズの変化とを考慮に入れるように構成され得る。
本開示の主要な態様によれば、本発明者らは、各虚像点が表示装置上の異なる一次寄与領域に対応することを見出した。本発明者らはさらに、これが、虚像の異なる部分(すなわち、異なる虚像点)からの光がシステムを通る異なる光路をたどることを意味することを認識した。図15Aおよび図15Bに示す実施形態では、本発明者らは、簡単に言えば、(i)虚像が複数の離散虚像成分または領域を含み、(ii)各虚像成分の光が導波路1508内の異なる数の跳ね返り/反射に関連付けられるようにシステムを構成した。
図15Aは、8つの画像領域/成分V1~V8を含む投影のための画像1552を示す。図15Aは、ほんの一例として8つの画像成分を示しており、画像1552は、任意の数の成分に分割され得る。図15Aはまた、例えば、適切な観察システムのレンズによって変換されたときに、画像1552を再構成することができる符号化光パターン1554を示す。符号化光パターン1554は、第1~第8の画像成分/領域V1~V8に対応する第1~第8のサブホログラムまたは成分H1~H8を含む。図15Aは、本開示に従って計算されたホログラムがどのようにして画像コンテンツを角度で効果的に分解するかをさらに示す。したがって、ホログラムは、ホログラムが実行する光のチャネリングを特徴とすることができる。これは図15Bに示されている。具体的には、本開示によるホログラムは、光を複数の離散領域内に導く。離散領域は、図示の例ではディスクであるが、他の形状も想定される。最適ディスクのサイズおよび形状は、導波路を伝播した後、観察システムの入射瞳のサイズおよび形状に関連し得る。この光のチャネリングは、本明細書に開示されるホログラムを決定する特定の方法に起因してのみ生じる。
図15Cは、図15Aおよび図15Bに示す認識による、改良型観察システム1500を示す。図13の方法1300または図14の方法1400は、図15Aおよび図15Bによって示されているスキームに適用され得る。
観察システム1500は、この配置ではLCOS1502を備える表示装置を備える。LCOS1502は、ホログラムを含む変調パターン(または「回折パターン」)を表示するとともに、ホログラフィックに符号化された光を、開口1504として作用する瞳孔とレンズ1509と観察面として作用する網膜(図示せず)とを備える眼1505に向けて投影するようになされる。LCOS1502を照明するように構成された光源(図示せず)がある。眼1505のレンズ1509は、ホログラムを画像に変換する。
観察システム1500は、LCOS1502と眼1505との間に配置された導波路1508をさらに備える。図15Cの投影距離は比較的大きくてもよい。しかしながら、前の図に関連して説明したように、導波路1508が存在することにより、この比較的大きい投影距離であっても、LCOS1502からのすべての角度コンテンツが眼1505によって受け取られることが可能になる。これは、導波路1508が上述したように瞳孔膨張器として作用するからである。
さらに、この配置では、LCOS1502が本明細書に記載の方法に従って符号化されているときに、LCOS1502からの光と観察者が知覚する虚像との間に固有の関係を確立するために、導波路1508をLCOS1502とある角度をなして向けることができる。導波路1508のサイズ、箇所、および位置は、虚像の各部分からの光が導波路1508に入り、導波路の伸長軸線に沿って導かれて、導波路1508の略平らな表面間で跳ね返ることを確実にするように構成される。光が第2の平面(眼1505に最も近い)に到達するたびに、一部の光が透過し、一部の光が反射される。
図15Cは、導波路1502の長さに沿った合計9つの「跳ね返り」点B0~B8を示す。読者は、画像1552の中心が空白のままであることに気付くであろう。図15Cは、導波路内のゼロ次光~9次光の「跳ね返り」または反射点B0~B8を示す。画像のすべての点(V1~V8)に関する光は、導波路1508の第2の平面から各「跳ね返り」で導波路の外へ透過するが、画像の角度部分のうちの1つからの光(例えば、V1~V8のうちの1つの光)のみが、それぞれの当該「跳ね返り」点B0~B8から眼1505に到達することを可能にする軌道を有する。さらに、画像の異なる角度部分V1~V8からの光は、それぞれの当該「跳ね返り」点から眼1505に到達する。図15Cは、各「跳ね返り」点(各透過点で複数の短い矢印によって示されている)で放出されているすべての異なる角度コンテンツからの光を示すが、その場合、導波路のその当該部分から実際に眼1505に到達する(したがって、観察者が知覚する虚像の当該部分に寄与する)当該角度コンテンツの眼1505までの光路のみを示す。例えば、ゼロ次跳ね返りB0では、導波路1508によって透過する光は単に屈折し、導波路内でいかなる反射も受けない。第8のサブホログラムH8の光は、ゼロ次跳ね返りB0から眼に到達する。次の跳ね返りB1では、導波路1502によって透過する光は、透過前に、導波路内で1回の跳ね返りを受ける。第7のホログラムH7からの光は、次の跳ね返りB1から眼に到達する。これは、最後の跳ね返りB8で導波路1508によって透過する光が、透過し眼1505に到達する前に8回の跳ね返りを受けるまで順次継続し、第1のホログラムH1に従って符号化された光を含む。
図15に示される例では、ただ1つの画像領域の光が各跳ね返り点から眼に到達する。したがって、ホログラムが本明細書に記載されているように決定されると、虚像の領域と導波路上のその領域の関連する跳ね返り点との間の空間相関が確立される。いくつかの他の例では、画像の1つの領域が隣接する2つの透過点から来るので、導波路から観察面に向かって伝播する光の隣接する2つのディスク内に含まれるように、比較的小さい重複部分が存在し得る。
したがって、本発明者らによってなされた認識、ならびに本明細書に記載の方法および配置は、LCOSまたは他の適切な表示装置に表示されたときに、それぞれが対応する虚像の異なる当該部分に対応する複数の「ディスク」または光線束において光がそこから効果的に放出されることを可能にする(より具体的には、その当該部分を符号化する)ことができるホログラムを含む回折パターン(または、光変調パターン)が生成されることを可能にすることができる。
したがって、表示装置が適切な光源によって照明されたときに、観察者によって鮮明な画像が見られることを可能にする方法で、ホログラムが計算され、適切な表示装置上に表示されることを可能にする改良された方法および配置が本明細書に記載される。観察者が見る画像は、ゴーストを含まなくすることができ、従来はゴースト像に寄与していたはずの光の寄与によってより明るくすることができ、代わりに単一の主画像に寄与する。
本明細書に記載の改良された方法および配置は、様々な異なる用途および観察システムで実施することができる。例えば、それらはヘッドアップディスプレイ(HUD)内に実装され得る。虚像が形成される多くの従来型HUDに対する改良において、本明細書に記載の改良された方法および配置は、依然としてゴースト像を排除しながら、適切なコントローラによって選択および調整され得る、有限の画像距離で虚像を作るために実施することができる。
知覚された画像を形成するために眼が受信された変調光を変換することを必要とする虚像について本明細書で説明したが、本明細書に記載の改良された方法および配置は、実像に適用することができる。
追加機能
実施形態は、ほんの一例として、電気的に作動するLCOS空間光変調器に言及している。本開示の教示は、例えば、任意の電気的に作動するSLM、光学的に作動するSLM、デジタルマイクロミラー装置、または微小電気機械装置などの、本開示に従ってコンピュータ生成ホログラムを表示することができる任意の空間光変調器に等しく実装され得る。
いくつかの実施形態では、光源は、レーザダイオードなどのレーザである。
本開示のシステムは、改良されたヘッドアップディスプレイ(HUD)またはヘッドマウントディスプレイを提供するために使用され得る。いくつかの実施形態では、HUDを提供するために車両内に設置されたホログラフィック投影システムを備える車両が提供される。車両は、自動車、トラック、バン、貨物自動車、オートバイ、列車、飛行機、ボート、船などの自動車車両であってもよい。
ホログラフィック再構成の品質は、画素化空間光変調器を使用する回折性の結果である、いわゆるゼロ次問題によって影響を受ける可能性がある。そのようなゼロ次光は「ノイズ」と見なすことができ、例えば鏡面反射光、およびSLMからの他の不要な光を含む。
諸例は、可視光でSLMを照明することを記述しているが、当業者なら、本明細書に開示されるように、光源およびSLMが例えば赤外線光または紫外線光を向けるために等しく使用され得ることを理解するであろう。例えば、当業者なら、ユーザに情報を提供する目的で、赤外線光および紫外線光を可視光に変換するための技法を認識しているであろう。例えば、本開示は、この目的のために蛍光体および/または量子ドット技術を使用することにまで及ぶ。
本明細書に記載の方法およびプロセスは、コンピュータ可読媒体上に具体化され得る。「コンピュータ可読媒体(computer-readable medium)」という用語は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、バッファメモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリなど、データを一時的または永続的に保存するように構成された媒体を含む。「コンピュータ可読媒体」という用語はまた、機械で実行される命令を、この命令が、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、機械に本明細書に記載の方法論のいずれか1つまたは複数を全部または一部実行させるように、保存することができる任意の媒体または複数の媒体の組合せを含むと解釈されるものとする。
「コンピュータ可読媒体」という用語は、クラウドベースのストレージシステムも包含する。「コンピュータ可読媒体」という用語は、ソリッドステート・メモリ・チップ、光ディスク、磁気ディスク、またはそれらの任意適切な組合せの形態例での1つまたは複数の有形の非一時的データリポジトリ(例えば、データ量)を含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態例では、実行のための命令は、キャリア媒体によって伝達され得る。そのようなキャリア媒体の例には、一時的媒体(例えば、命令を伝達する伝播信号)が含まれる。
添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変形がなされ得ることは当業者には明らかであろう。本開示は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内のすべての修正および変形を包含する。