JP2022120578A - Ccaat/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤、il-1関与炎症性疾患の治療薬、及び、il-1又はil-17関与炎症性疾患の治療薬のスクリーニング方法 - Google Patents
Ccaat/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤、il-1関与炎症性疾患の治療薬、及び、il-1又はil-17関与炎症性疾患の治療薬のスクリーニング方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】IVIG不応川崎病患者に対する新規治療薬の実現。【解決手段】本発明のCCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤は、イタコン酸又はその塩若しくはエステルを有効成分として含有する。【選択図】図9
Description
特許法第30条第2項適用申請有り ・刊行物名「Allergy,Volume 75,Issue 8,p.2102-2105」 発行日 令和2年3月18日
本発明は、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤、IL-1関与炎症性疾患の治療薬、及び、IL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬のスクリーニング方法に関する。
小児に特有の病因不明な血管炎である川崎病は、患者数が年々増加しており、2018年の新規患者数は17,000名を超えた。標準治療薬である免疫グロブリン静注療法(IVIG)は80%の患者に有効であるのに対し、20%の患者はIVIG不応で心後遺症(冠動脈瘤)の発生リスクが高いことが知られている。
IVIG製剤は川崎病を含めた様々な免疫疾患の治療に用いられており、数千人の健常成人血漿から精製された多価IgGを含む生物学的製剤である。そのため本製剤には「他の医薬品にはないユニークな特徴」として、多彩な標的細胞及び標的分子を介して臨床効果を発揮できる利点がある。一方でこの構造・作用標的の多様性は、本製剤の作用機序の検証解明を困難にしており、何故8割の川崎病患者に有効であるのか、そのメカニズムについては仮説の域を出なかった。また、IVIG不応メカニズムも不明である。
IVIG製剤は生物学的製剤であるため、安全性及び安定した供給に対する懸念が残されている。原料を献血に依存しているため製造供給量に制限がある一方で、IVIG製剤を標準治療とする川崎病患者は増え続けている。また近年、成人領域疾患への適応拡大に伴うIVIG製剤の使用量が増加している。したがって、将来的には患者数に見合ったIVIG製剤の供給が困難になる懸念も予測されている。
非特許文献1には、臨床データを用いたIVIG不応予測リスクスコアが実臨床の現場で活用されており、80%程度の感度又は特異度で治療前に川崎病患者のIVIG不応を予測できるようになったことが記載されている。
一方、IVIG不応と予測された川崎病患者に対しても非特許文献2の治療ガイドラインに基づいて、安全面に懸念のあるIVIG治療をせざるを得ないという倫理面においても課題があった。
非特許文献3~8には、川崎病のIVIG不応には炎症性サイトカインIL-1β又はIL-17Aが重要な因子として関与していることが記載されている。また、本発明者らはこれまでに、川崎病の病態形成の場である冠動脈血管内皮細胞(HCAEC)の培養系をin vitroの川崎病モデルとして用い、IVIG製剤の分子特異的な抗炎症機序を明らかにしている(非特許文献9)。
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川崎病急性期治療のガイドライン(平成24年改訂版)
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IVIG不応川崎病患者に対して、IVIG製剤に替わる有効な治療薬が存在せず、その開発が急務となっている。
本発明は、IVIG不応川崎病患者に対する新規治療薬を実現することを目的とする。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、川崎病のIVIG不応性への関与が指摘されている炎症性サイトカインIL-1β及びIL-17Aを用いてIVIG不応川崎病モデルを確立した。また、IVIG不応性獲得に転写因子C/EBPの活性化が必須であることを明らかにした。
本発明者らはさらに、上記確立したIVIG不応川崎病モデルを用いて、川崎病治療薬の候補となり得る、IL-1β又はIL-17Aにより誘導される炎症応答をC/EBP活性制御を介して抑制する物質の探索を行った。その結果、目的の活性を持つ有力な新規治療薬候補としてイタコン酸誘導体を見出し、本発明を完成するに至った。
上記の課題を解決するために、本発明は、以下に示す態様を含む。
<1>イタコン酸又はその塩若しくはエステルを有効成分として含有する、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤。
<2>イタコン酸又はその塩若しくはエステルを有効成分として含有する、IL-1関与炎症性疾患の治療薬。
<3>前記イタコン酸又はその塩若しくはエステルは、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質の発現を抑制する、<2>に記載の治療薬。
<4>前記IL-1関与炎症性疾患が川崎病である、<2>又は<3>に記載の治療薬。
<5>前記IL-1関与炎症性疾患が免疫グロブリンによる治療に対して不応である、<2>~<4>の何れかに記載の治療薬。
<6>IL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬のスクリーニング方法であって、IL-1又はIL-17による刺激下にある細胞に対して被験物質を接触させる被験物質接触工程と、前記細胞のCCAAT/エンハンサー結合タンパク質の発現量に基づいて、被験物質をIL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬の候補として選択する選択工程とを含む、スクリーニング方法。
<7>前記細胞がヒト初代冠動脈血管内皮細胞である、<6>に記載のスクリーニング方法。
<8>IL-1刺激に起因する、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質の発現を抑制する、<1>に記載のCCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤。
<1>イタコン酸又はその塩若しくはエステルを有効成分として含有する、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤。
<2>イタコン酸又はその塩若しくはエステルを有効成分として含有する、IL-1関与炎症性疾患の治療薬。
<3>前記イタコン酸又はその塩若しくはエステルは、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質の発現を抑制する、<2>に記載の治療薬。
<4>前記IL-1関与炎症性疾患が川崎病である、<2>又は<3>に記載の治療薬。
<5>前記IL-1関与炎症性疾患が免疫グロブリンによる治療に対して不応である、<2>~<4>の何れかに記載の治療薬。
<6>IL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬のスクリーニング方法であって、IL-1又はIL-17による刺激下にある細胞に対して被験物質を接触させる被験物質接触工程と、前記細胞のCCAAT/エンハンサー結合タンパク質の発現量に基づいて、被験物質をIL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬の候補として選択する選択工程とを含む、スクリーニング方法。
<7>前記細胞がヒト初代冠動脈血管内皮細胞である、<6>に記載のスクリーニング方法。
<8>IL-1刺激に起因する、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質の発現を抑制する、<1>に記載のCCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤。
本発明の一態様によれば、IVIG不応川崎病患者に対する新規治療薬を実現できる。
〔1.CCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤〕
本発明に係るCCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤は、イタコン酸又はその塩若しくはエステルを有効成分として含有する。CCAAT/エンハンサー結合タンパク質は以下、「C/EBP」と略記する場合がある。
本発明に係るCCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤は、イタコン酸又はその塩若しくはエステルを有効成分として含有する。CCAAT/エンハンサー結合タンパク質は以下、「C/EBP」と略記する場合がある。
イタコン酸(メチレンコハク酸)は、食品添加剤(酸味料及びpH調整剤)又は農薬(植物成長調整剤)として使用されている化合物である。イタコン酸塩の例として、イタコン酸ナトリウム、イタコン酸カリウム、イタコン酸アンモニウム、イタコン酸マグネシウム、イタコン酸カルシウム、イタコン酸ストロンチウム、イタコン酸亜鉛、イタコン酸ジルコニウム、イタコン酸アルミニウム等の、イタコンの金属塩が挙げられる。イタコン酸エステルの例として、モノメチルイタコン酸、モノエチルイタコン酸、モノプロピルイタコン酸、モノブチルイタコン酸、モノドデシルイタコン酸、ジメチルイタコン酸、ジエチルイタコン酸、ジブチルイタコン酸、ジオクチルイタコン酸、等が挙げられる。イタコン酸及びイタコン酸エステルの一例であるジメチルイタコン酸の構造式を図6に示す、イタコン酸、イタコン酸塩及びイタコン酸エステルは市販のものであってもよいし、公知の手法によって合成してもよい。または、公知の発酵技術によってイタコン酸又はイタコン酸エステルを製造してもよい。
本発明に係るC/EBP発現抑制剤は、C/EBPの発現を抑制するイタコン酸又はイタコン酸エステルを有効成分とする。本明細書において、「C/EBPの発現を抑制する」とは、例えば、C/EBPをコードするmRNAの転写及び/又は翻訳を抑制することが意図される。
C/EBPは、炎症性サイトカインであるTNF(腫瘍壊死因子;tumor necrosis factor)-α、IL(インターロイキン;interleukin)-1(例えば、IL-1α若しくはIL-1β)、又はIL-17(例えば、IL-17A、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E若しくはIL-17F)によって活性化される(発現が誘導される)、タンパク質である。C/EBPによって、IL-6及びG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子;granulocyte colony-stimulating factor)等のサイトカインの発現が誘導された結果、炎症反応が生じる。
C/EBPファミリーには、C/EBPα、C/EBPβ、C/EBPγ、C/EBPδ、C/EBPε及びC/EBPζ等のアイソフォームが存在する。
実施例に示すとおり、イタコン酸の誘導体であるジメチルイタコン酸処理によって、TNF-α又はIL-1β刺激によるC/EBPδの発現誘導が阻害された。そして、C/EBPの下流であるIL-6及びG-SCFの発現誘導が阻害された。したがって、本発明のCCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤は、IL-1刺激に起因するC/EBPの発現を抑制することができ、後述するIL-1関与炎症性疾患の治療薬として使用することができる。
また、イタコン酸又はその塩若しくはエステルは、HMOX-1/HO-1(Heme Oxygenase 1)という抗酸化ストレス応答に重要なタンパク質を強力に誘導できることが分かった。よって、イタコン酸又はその塩若しくはエステルは、優れた抗酸化作用を介して細胞の老化予防(抑制)効果が期待される。したがって、本発明のC/EBP発現抑制剤は、C/EBP発現抑制作用(IL-1関連性炎症抑制作用)に加え、老化予防(抑制)作用を有することが期待される。
また、本発明のC/EBP発現抑制剤は、C/EBP発現抑制作用(IL-1関連性炎症抑制作用)を有し、IL-1関与炎症性疾患の予防又は治療に効果的な食品として使用することができる。当該食品として例えば、特定保健用食品及び栄養機能食品等の保健機能食品;栄養補助食品及び健康補助食品等のサプリメント;等が挙げられる。
〔2.IL-1関与炎症性疾患の治療薬〕
本発明のIL-1関与炎症性疾患の治療薬(以下、「本発明の治療薬」と略記する場合がある)は、イタコン酸またはその塩若しくはエステルを有効成分として含有する。
本発明のIL-1関与炎症性疾患の治療薬(以下、「本発明の治療薬」と略記する場合がある)は、イタコン酸またはその塩若しくはエステルを有効成分として含有する。
本明細書において、IL-1関与炎症性疾患とは、IL-1によって炎症が誘導されることに起因する疾患を示す。IL-1関与炎症性疾患の例として、関節リウマチ、アルツハイマー病、動脈硬化、糖尿病、関節炎、ウイルス性炎症、貧血、腎炎、乾癬、膵炎、多発性骨髄腫、潰瘍性大腸炎、クローン病、COVID-19、川崎病、等が挙げられる。
川崎病は免疫グロブリン療法(IVIG;intravenous immunoglobulin)が標準治療法となっている。一方、一部の川崎病患者はIVIGに不応であることが知られている。川崎病において「IVIGに不応である」とは、例えば、IVIG治療終了後24時間以内に解熱しない(体温が37.5℃未満にならない)状態、または、IVIG治療終了後2解熱しても(体温が37.5℃未満になっても)再発熱する状態を示す。
図3に示すように、IVIG不応細胞において、TNF-α、IL-17A及び/又はIL-1βによって誘導されるIL-6およびG-CSF発現が、C/EBPβ及びC/EBPδのsiRNA導入により有意に抑制された。また、図9に示す通り、本発明者らによって、イタコン酸の誘導体であるジメチルイタコン酸処理によって、TNF-α、IL-17A及び/又はIL-1βによって誘導されるC/EBPβ及びC/EBPδの発現が抑制された。したがって、本発明の治療薬は、IVIG不応であるIL-1関与炎症性疾患の治療薬としての使用が好適であり、IVIG不応である川崎病の治療薬としての使用が特に好適である。
(IL-1関与炎症性疾患の治療薬のその他の成分及び剤形)
本発明の治療薬は、上述のC/EBP発現抑制剤以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。当該他の成分は特に限定されないが、例えば、薬学的に許容される担体、潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧調整用の塩類、緩衝剤、着色剤、香味料、甘味料、抗酸化剤、及び粘度調整剤等が挙げられる。また、必要に応じて、公知のIL-1関与炎症性疾患の治療薬を、本発明の治療薬の一構成として加えて複合剤を構成してもよい。
本発明の治療薬は、上述のC/EBP発現抑制剤以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。当該他の成分は特に限定されないが、例えば、薬学的に許容される担体、潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧調整用の塩類、緩衝剤、着色剤、香味料、甘味料、抗酸化剤、及び粘度調整剤等が挙げられる。また、必要に応じて、公知のIL-1関与炎症性疾患の治療薬を、本発明の治療薬の一構成として加えて複合剤を構成してもよい。
上記薬学的に許容される担体は、特に限定されないが、担体であって、公知のIL-1関与炎症性疾患の治療薬と同時投与された場合にIL-1関与炎症性疾患の治療薬の機能(IL-1関与炎症性疾患の治療)を阻害せず、かつ、投与対象となるヒト又は動物に対して実質的な悪影響を及ぼさないという性質を備えることが好ましい。
上記担体としては、この分野で既報のものを広く使用でき、具体的には、例えば、水、各種塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、パラフィン、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、ヒドロキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドン等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。担体の種類は、IL-1関与炎症性疾患の治療薬の剤形、及び投与方法等に応じて、適宜選択すればよい。
IL-1関与炎症性疾患の治療薬の剤形も特に限定されず、例えば、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、及び注射剤等が挙げられ、好ましくは注射剤又は経口投与用の剤形である。例えば、携帯性及び投与の容易さ等の観点では、錠剤等の経口投与の剤形が好ましく、所定のタイミングでIL-1関与炎症性疾患の治療薬の血中濃度を所定の範囲内に制御することがより容易という観点では注射剤が好ましい。
(治療対象)
治療対象は、ヒト又は動物であり、より具体的には、ヒトを含む哺乳類からなる群より選択される何れかである。中でも、哺乳類に対して特に好適に本発明の治療方法が適用される。治療対象となる哺乳類の種類は特に限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット及びヒトを除く霊長類等の実験動物;イヌ及びネコ等の愛玩動物(ペット);ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ及びウマ等の家畜;ヒト;が挙げられ、好ましくは家畜又はヒトであり、特に好ましくはヒトである。
治療対象は、ヒト又は動物であり、より具体的には、ヒトを含む哺乳類からなる群より選択される何れかである。中でも、哺乳類に対して特に好適に本発明の治療方法が適用される。治療対象となる哺乳類の種類は特に限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット及びヒトを除く霊長類等の実験動物;イヌ及びネコ等の愛玩動物(ペット);ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ及びウマ等の家畜;ヒト;が挙げられ、好ましくは家畜又はヒトであり、特に好ましくはヒトである。
〔3.IL-1関与炎症性疾患の治療方法〕
(投与方法・用量)
本発明に係るIL-1関与炎症性疾患の治療方法は、上述のIL-1関与炎症性疾患の治療薬を、ヒト又は動物に対して、治療有効量投与する工程を含む。ここで、IL-1関与炎症性疾患の治療薬は、当該IL-1関与炎症性疾患の治療薬のみを単独で投与してもよく、又は、投与の目的に適した薬学的組成物の一構成成分として投与してもよい。
(投与方法・用量)
本発明に係るIL-1関与炎症性疾患の治療方法は、上述のIL-1関与炎症性疾患の治療薬を、ヒト又は動物に対して、治療有効量投与する工程を含む。ここで、IL-1関与炎症性疾患の治療薬は、当該IL-1関与炎症性疾患の治療薬のみを単独で投与してもよく、又は、投与の目的に適した薬学的組成物の一構成成分として投与してもよい。
上記IL-1関与炎症性疾患の治療薬の投与方法は特に限定されず、経口投与、静脈内又は動脈内への血管内投与、腸内投与といった手法によって全身投与されてもよく、経皮投与、舌下投与といった手法によって局所投与されてもよい。好ましい一つの投与態様では、IL-1関与炎症性疾患の治療薬は、静脈内投与又は動脈内投与によって全身投与される。好ましい他の投与態様では、投与の容易さ等の観点で優れるため、経口投与される。
上記IL-1関与炎症性疾患の治療薬の投与量(治療有効量)は、投与対象となる上記ヒト又は動物の年齢、性別、体重、症状、投与経路、投与回数、及び投与期間等に応じて適宜設定すればよい。また、必要であれば、IL-1関与炎症性疾患の治療薬を用いたインビボアッセイを事前に行い、過度の実験を要することなく上記投与量を決定することができる。
上記IL-1関与炎症性疾患の治療薬の投与回数及び投与タイミングも治療効果が得られる限り特に限定されず、例えば、IL-1関与炎症性疾患の治療薬の種類、上記投与量、投与経路、症状、ヒト又は動物の年齢、性別、体重等に応じて適宜設定すればよい。
また、必要に応じてインビボアッセイ等を行うことによって、ヒト又は動物における上記IL-1関与炎症性疾患の治療薬の血中濃度、より具体的には、IL-1関与炎症性疾患の治療薬の投与量、投与タイミング及びその血中濃度の関係も、当業者であれば容易に把握することができる。
(併用療法)
本発明に係るIL-1関与炎症性疾患の治療方法において、本発明に係るIL-1関与炎症性疾患の治療薬以外の公知のIL-1関与炎症性疾患の治療薬と組み合せてもよい(併用療法)。本発明に係るIL-1関与炎症性疾患の治療方法は、従来のIL-1関与炎症性疾患の治療薬とは異なるメカニズムを利用した新規な治療方法である。それゆえ、本併用療法を採用すれば、従来治療法との間で相乗的な治療効果を示し、治療成績が飛躍的に向上することが期待される。
本発明に係るIL-1関与炎症性疾患の治療方法において、本発明に係るIL-1関与炎症性疾患の治療薬以外の公知のIL-1関与炎症性疾患の治療薬と組み合せてもよい(併用療法)。本発明に係るIL-1関与炎症性疾患の治療方法は、従来のIL-1関与炎症性疾患の治療薬とは異なるメカニズムを利用した新規な治療方法である。それゆえ、本併用療法を採用すれば、従来治療法との間で相乗的な治療効果を示し、治療成績が飛躍的に向上することが期待される。
〔4.IL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬のスクリーニング方法〕
本発明に係るIL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬のスクリーニング方法は、被験物質接触工程と選択工程を含む。以下、各工程について説明する。本明細書において、IL-1又はIL-17関与炎症性疾患とは、IL-1又はIL-17によって炎症が誘導されることに起因する疾患を示す。
本発明に係るIL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬のスクリーニング方法は、被験物質接触工程と選択工程を含む。以下、各工程について説明する。本明細書において、IL-1又はIL-17関与炎症性疾患とは、IL-1又はIL-17によって炎症が誘導されることに起因する疾患を示す。
(1)被験物質接触工程
被験物質接触工程においては、IL-1又はIL-17による刺激下にある細胞に対して被験物質を接触させる。細胞が、IL-1又はIL-17による刺激下にあるとは、1)細胞が現にIL-1又はIL-17と接触している場合の他、2)細胞がIL-1又はIL-17と接触した後に(現に接触しているかは問わない)、細胞がこの接触の影響下にある状態でもよい。なお、IL-1又はIL-17と、被験物質とを、細胞に接触させる順番は任意であり、同時に接触させてもよく、被験物質を先に接触させてもよく、被験物質を後に接触させてもよい。IL-1又はIL-17による細胞の刺激は、例えば、後述する「(2)刺激工程」に記載のように行えばよい。
被験物質接触工程においては、IL-1又はIL-17による刺激下にある細胞に対して被験物質を接触させる。細胞が、IL-1又はIL-17による刺激下にあるとは、1)細胞が現にIL-1又はIL-17と接触している場合の他、2)細胞がIL-1又はIL-17と接触した後に(現に接触しているかは問わない)、細胞がこの接触の影響下にある状態でもよい。なお、IL-1又はIL-17と、被験物質とを、細胞に接触させる順番は任意であり、同時に接触させてもよく、被験物質を先に接触させてもよく、被験物質を後に接触させてもよい。IL-1又はIL-17による細胞の刺激は、例えば、後述する「(2)刺激工程」に記載のように行えばよい。
細胞としては、IL-1又はIL-17関与炎症性疾患のモデルと成りうる細胞、すなわち、IL-1又はIL-17の受容体を発現する細胞を用いることが好ましい。IL-1又はIL-17の受容体を発現する細胞としては、冠動脈血管内皮細胞等の血管内皮細胞、線維芽細胞等の間葉系細胞、等が挙げられる。IL-1又はIL-17の受容体を発現する細胞は市販されている細胞を使用してもよい。また、生体から採取された細胞をそのまま用いてもよいし、培養細胞(初代培養細胞又は細胞株)を用いてもよい。IL-1又はIL-17の受容体を発現する細胞の培養に使用する培地、添加剤及び培養皿のコーティング剤等は、特に限定されず、公知の材料を使用することができる。また、培養温度等の培養条件も公知の手法を参考にして適宜設定できる。
細胞への被験物質の接触は、例えば、培地に被験物質を添加することによって行うことができる。細胞への被験物質の接触期間(被験物質を含む培地による細胞の培養期間)は、例えば、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上が挙げられる。また、当該培養期間は、10日以下、9日以下、8日以下、7日以下、又は6日以下が挙げられる。
被験物質は低分子化合物又は高分子化合物であってもよい。また、被験物質は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、糖、又は、これらの複合体であってもよい。細胞に接触させる被験物質の濃度は特に限定されず、適宜選択することができる。
(2)刺激工程
刺激工程においては、細胞にIL-1又はIL-17を接触させる。刺激工程は、被験物質接触工程前に行ってもよいし、被験物質接触工程と同時に行ってもよい。
刺激工程においては、細胞にIL-1又はIL-17を接触させる。刺激工程は、被験物質接触工程前に行ってもよいし、被験物質接触工程と同時に行ってもよい。
細胞へのIL-1又はIL-17の接触は、例えば、培地にIL-1又はIL-17を添加することによって行うことができる。細胞へのIL-1又はIL-17の接触期間(IL-1又はIL-17を含む培地による細胞の培養期間)は、例えば、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上が挙げられる。また、当該培養期間は、10日以下、9日以下、8日以下、7日以下、又は6日以下が挙げられる。また、細胞に接触させるIL-1又はIL-17の濃度は特に限定されず、適宜選択することができる。例えば、IL-1又はIL-17の濃度として、0.1ng/ml以上100ng/ml以下が挙げられる。
(3)選択工程
選択工程においては、被験物質接触工程後の、細胞におけるC/EBPの発現量に基づいて、前記被験物質をIL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬の候補として選択する。
選択工程においては、被験物質接触工程後の、細胞におけるC/EBPの発現量に基づいて、前記被験物質をIL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬の候補として選択する。
選択工程において、被験物質を接触させない場合と比較して、IL-1又はIL-17刺激によるC/EBPの発現量が減るものを、IL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬の候補として選択してもよい。C/EBPの発現量は例えば、ウエスタンブロッティング法、ELISA法(enzyme-linked immunosorbent assay)、免疫組織化学、又は、免疫蛍光抗体法などの周知の方法が挙げられる。PCR法(polymerase chain reaction)、ノーザンブロッティング法、又は、in situ hybridization法等の周知の方法によって、C/EBPのmRNAの発現量を測定することによって、C/EBPの発現量を評価してもよい。
以下の実施例中、特に記載がない限り、%は質量%を表す。評価例1~4において使用した材料及び方法を以下に示す。
〔材料及び方法〕
(試薬)
組換えヒトTNF-α、IL-1β及びIL-17Aは、PeproTech社(Rochy Hill, NJ, USA)から購入した。ヒトイムノグロブリン調製物(ヴェノグロブリンIH)は一般社団法人日本血液製剤機構(JB)から入手した。
(試薬)
組換えヒトTNF-α、IL-1β及びIL-17Aは、PeproTech社(Rochy Hill, NJ, USA)から購入した。ヒトイムノグロブリン調製物(ヴェノグロブリンIH)は一般社団法人日本血液製剤機構(JB)から入手した。
(細胞培養と処理)
ヒト初代冠動脈血管内皮細胞(HCAEC)をLonza社(Walkersville, MD, USA)から購入した。HCAECを37℃において湿潤5%CO2雰囲気下にて培養した。培地として、初代血管内皮細胞専用培地EGM-2MV Bullet kit(Lonza社)を用いた。ELISA及びqPCR用のサンプルは、HCAECを24ウェル細胞培養プレート(24-well cell culture plate)に5×104細胞/ウェルの濃度で播種した。核抽出物調製用のサンプルは、T-25フラスコに1×106細胞/フラスコの濃度で播種した。
ヒト初代冠動脈血管内皮細胞(HCAEC)をLonza社(Walkersville, MD, USA)から購入した。HCAECを37℃において湿潤5%CO2雰囲気下にて培養した。培地として、初代血管内皮細胞専用培地EGM-2MV Bullet kit(Lonza社)を用いた。ELISA及びqPCR用のサンプルは、HCAECを24ウェル細胞培養プレート(24-well cell culture plate)に5×104細胞/ウェルの濃度で播種した。核抽出物調製用のサンプルは、T-25フラスコに1×106細胞/フラスコの濃度で播種した。
10mg/mlのIgG(ヴェノグロブリンIH)の存在又は不存在下において、TNF-α、IL-1β及びIL-17を単独又は組み合わせて細胞を48時間刺激した。個別のドナーから3つの異なるロットであるHCAECを用い、本実施例のすべてのデータは異なるロットにおいて再現できた。
(siRNA(低分子干渉RNA)トランスフェクション)
以下に示すSilencer(商標)Select Pre-designed small interfering RNA(siRNA)をThermo Fisher Scientific社から購入した:ヒトC/EBPβ(sirna_id: S2891);ヒトC/EBPδ(sirna_id: S2895)。コントロールsiRNA(control siRNA; Silencer(商標)Select Negative Control #1 siRNA)及びIκBζ特異的siRNAもThermo Fisher Scientific社から購入した。
以下に示すSilencer(商標)Select Pre-designed small interfering RNA(siRNA)をThermo Fisher Scientific社から購入した:ヒトC/EBPβ(sirna_id: S2891);ヒトC/EBPδ(sirna_id: S2895)。コントロールsiRNA(control siRNA; Silencer(商標)Select Negative Control #1 siRNA)及びIκBζ特異的siRNAもThermo Fisher Scientific社から購入した。
HCAECを24ウェル細胞培養プレートに1×105細胞/ウェルの濃度で播種し、一晩インキュベートした。Lipofectamin(商標)RNAiMAX Transfection Reagent(Thermo Fisher Scientific社)を用いて、メーカーの添付文書の操作法に従って、細胞に目的のsiRNAを最終濃度5nMでトランスフェクションした。トランスフェクトした細胞を24時間さらに培養し、TNF-α、IL-1β及びIL-17を単独又は組み合わせて細胞を48時間刺激した。
(定量PCR)
総RNA(total RNA)抽出、cDNA合成及び定量PCR(qPCR)は、Shoda T et al., J Dermatol Sci 2014; 76: 90-5に記載の方法に従って行った。すなわち、総RNAはQIAGEN社のRNeasy Mini Kitを用いて細胞から回収した。cDNAは、iScript cDNA Synthesis Kit(Bio-Rad社)を用いて合成した。
総RNA(total RNA)抽出、cDNA合成及び定量PCR(qPCR)は、Shoda T et al., J Dermatol Sci 2014; 76: 90-5に記載の方法に従って行った。すなわち、総RNAはQIAGEN社のRNeasy Mini Kitを用いて細胞から回収した。cDNAは、iScript cDNA Synthesis Kit(Bio-Rad社)を用いて合成した。
以下の7種類のプライマーペアをFasmac社に依頼し合成した。
(1)IκBζ
センス:5'- TGG AGT CCC GGT CGA GAG-3'(配列番号1)
アンチセンス:5'- ATA TGG GGC TCA ACT GGC TG-3'(配列番号2)
(2)G-CSF
センス:5'-TGC TTA GAG CAA GTG AGG AAG ATC-3'(配列番号3)
アンチセンス:5'-GCA CAC TCA CTC ACC AGC TTC T-3'(配列番号4)
(3)IL-6
センス:5'-CAA TAA CCA CCC CTG ACC CA-3'(配列番号5)
アンチセンス:5'-GCG CAG AAT GAG ATG AGT TGT C-3'(配列番号6)
(4)IL-1β
センス:5'-AAC TGA AAG CTC TCC ACC TCC AG-3'(配列番号7)
アンチセンス:5'-CCC AAG GCC ACA GGT ATT TTG-3'(配列番号8)
(5)C/EBPβ
センス:5'-TCC AAA CCA ACC GCA CAT G-3'(配列番号9)
アンチセンス; 5'-GAG GGA GAA GCA GAG AGT TTA TCA TT-3'(配列番号10)
(6)C/EBPδ
センス:5'-GGT GCC CGC TGC AGT TT-3'(配列番号11)
アンチセンス:5'-CTC GCA GTT TAG TGG TGG TAA GTC-3'(配列番号12)
(7)β-アクチン
センス:5'-CCC AGC CAT GTA CGT TGC TAT-3'(配列番号13)
アンチセンス:5'-TCA CCG GAG TCC ATC ACG AT-3'(配列番号14)
(1)IκBζ
センス:5'- TGG AGT CCC GGT CGA GAG-3'(配列番号1)
アンチセンス:5'- ATA TGG GGC TCA ACT GGC TG-3'(配列番号2)
(2)G-CSF
センス:5'-TGC TTA GAG CAA GTG AGG AAG ATC-3'(配列番号3)
アンチセンス:5'-GCA CAC TCA CTC ACC AGC TTC T-3'(配列番号4)
(3)IL-6
センス:5'-CAA TAA CCA CCC CTG ACC CA-3'(配列番号5)
アンチセンス:5'-GCG CAG AAT GAG ATG AGT TGT C-3'(配列番号6)
(4)IL-1β
センス:5'-AAC TGA AAG CTC TCC ACC TCC AG-3'(配列番号7)
アンチセンス:5'-CCC AAG GCC ACA GGT ATT TTG-3'(配列番号8)
(5)C/EBPβ
センス:5'-TCC AAA CCA ACC GCA CAT G-3'(配列番号9)
アンチセンス; 5'-GAG GGA GAA GCA GAG AGT TTA TCA TT-3'(配列番号10)
(6)C/EBPδ
センス:5'-GGT GCC CGC TGC AGT TT-3'(配列番号11)
アンチセンス:5'-CTC GCA GTT TAG TGG TGG TAA GTC-3'(配列番号12)
(7)β-アクチン
センス:5'-CCC AGC CAT GTA CGT TGC TAT-3'(配列番号13)
アンチセンス:5'-TCA CCG GAG TCC ATC ACG AT-3'(配列番号14)
qPCRはThunderbird SYBR qPCR Mix(TOYOBO社)を用いてBio-Rad CFX96 qPCRシステムを用いて測定した。各qPCRにおいて、総RNA量が2ngに相当するcDNAアリコートを使用した。mRNA発現レベルは、各サンプル中の内部標準遺伝子(β-アクチン)の相対発現量で補正した。
(ELISA)
培養液中に産生されたG-CSF及びIL-6蛋白量をそれぞれのELISA(R&DSystems社)により、メーカーの添付文書の操作法に従って定量した。
培養液中に産生されたG-CSF及びIL-6蛋白量をそれぞれのELISA(R&DSystems社)により、メーカーの添付文書の操作法に従って定量した。
(核抽出物の調製)
細胞の核分画はNE-PER(登録商標)Nuclear and Cytoplasmic Extraction Reagent(Thermo Fisher Scientific)を用いて、メーカーの添付文書の操作法に従って抽出した。蛋白濃度はBCA(商標)Protein Assay Reagent Kit(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した。
細胞の核分画はNE-PER(登録商標)Nuclear and Cytoplasmic Extraction Reagent(Thermo Fisher Scientific)を用いて、メーカーの添付文書の操作法に従って抽出した。蛋白濃度はBCA(商標)Protein Assay Reagent Kit(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した。
(ウエスタンブロット(WB)解析)
各サンプルにつき2μgの蛋白質をSDS-PAGE(5~15%のReady Gels, Bio-Rad社)を用いて電気泳動分離後、電気泳動分離後、PVDF膜(Trans-Blot(登録商標)Turbo(商標)Transfer Pack, Bio-Rad社)に蛋白質を転写した。ウエスタンブロットは、以下の抗体を用い、それぞれの添付文書の操作法に従って行った:NF-κB(Cell Signaling Technology社)、C/EBPβ(C-19;Santa Cruz Biotechnology社)、C/EBPδ(M-17;Santa Cruz Biotechnology社)、IκBζ(Cell Signaling Technology社)、HDAC2(Cell Signaling Technology社)。2次抗体として、ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合抗ウサギIgG(horseradish peroxidase-conjugated anti-rabbit IgG;Cell Signaling Technology社)を使用した。
各サンプルにつき2μgの蛋白質をSDS-PAGE(5~15%のReady Gels, Bio-Rad社)を用いて電気泳動分離後、電気泳動分離後、PVDF膜(Trans-Blot(登録商標)Turbo(商標)Transfer Pack, Bio-Rad社)に蛋白質を転写した。ウエスタンブロットは、以下の抗体を用い、それぞれの添付文書の操作法に従って行った:NF-κB(Cell Signaling Technology社)、C/EBPβ(C-19;Santa Cruz Biotechnology社)、C/EBPδ(M-17;Santa Cruz Biotechnology社)、IκBζ(Cell Signaling Technology社)、HDAC2(Cell Signaling Technology社)。2次抗体として、ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合抗ウサギIgG(horseradish peroxidase-conjugated anti-rabbit IgG;Cell Signaling Technology社)を使用した。
(電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA))
C/EBPのパリンドロームコンセンサス配列(5'-TGC AGA TTG CGC AAT CTG CA-3';配列番号15)を含む3’-ビオチン標識オリゴヌクレオチドをFasmac社に依頼し合成後、アニールして二本鎖プローブを作製した。EMSAは、LightShift Chemiluminescent EMSA kit(Thermo Fisher Scientific社)を用いて、メーカーの添付文書の操作法に従って抽出した。具体的には、5μgの核抽出物を室温において20分、20fmolのC/EBPプローブと共にインキュベートした。核抽出物は10mg/mlのIgGの存在又は不存在下において、TNF-α、IL-1β及びIL-17を単独又は組み合わせて48時間刺激された細胞から調製した。反応後直ちに、DNA-C/EBP蛋白質複合体を7.5%のMini-PROTEAN(登録商標)TGX(商標)Precast Gel(Bio-Rad社)で分離し、ナイロン膜(Biodyne B, Thermo Fisher Scientific社)に転写した。転写後の膜をすぐに、UVクロスリンカー(TL-2000 Ultraviolet Translinker; Adelaide, Australia)で30秒間架橋させた。化学発光による検出は、メーカーの添付文書の操作法に従って行った。
C/EBPのパリンドロームコンセンサス配列(5'-TGC AGA TTG CGC AAT CTG CA-3';配列番号15)を含む3’-ビオチン標識オリゴヌクレオチドをFasmac社に依頼し合成後、アニールして二本鎖プローブを作製した。EMSAは、LightShift Chemiluminescent EMSA kit(Thermo Fisher Scientific社)を用いて、メーカーの添付文書の操作法に従って抽出した。具体的には、5μgの核抽出物を室温において20分、20fmolのC/EBPプローブと共にインキュベートした。核抽出物は10mg/mlのIgGの存在又は不存在下において、TNF-α、IL-1β及びIL-17を単独又は組み合わせて48時間刺激された細胞から調製した。反応後直ちに、DNA-C/EBP蛋白質複合体を7.5%のMini-PROTEAN(登録商標)TGX(商標)Precast Gel(Bio-Rad社)で分離し、ナイロン膜(Biodyne B, Thermo Fisher Scientific社)に転写した。転写後の膜をすぐに、UVクロスリンカー(TL-2000 Ultraviolet Translinker; Adelaide, Australia)で30秒間架橋させた。化学発光による検出は、メーカーの添付文書の操作法に従って行った。
(統計解析)
IVIG(IgG処理)の抗炎症効果を判断するために、IL-6及びG-CSFの蛋白質産生量及びmRNA発現量に関し、IVIG未処理群に対するIVIG処理群の割合を算出した。割合がゼロに近づくほど、IVIGの抗炎症効果が高いことを示すと仮定した。IL-1β又はIL-17Aの添加量の違いに関する統計上有意性を検定するために分散分析(ANOVA)を使用した。統計上有意性がある場合は、ボンフェローニ検定(Bonferroni test)を用いた事後比較を行った。p<0.05のときに統計上有意性があるとみなした。
IVIG(IgG処理)の抗炎症効果を判断するために、IL-6及びG-CSFの蛋白質産生量及びmRNA発現量に関し、IVIG未処理群に対するIVIG処理群の割合を算出した。割合がゼロに近づくほど、IVIGの抗炎症効果が高いことを示すと仮定した。IL-1β又はIL-17Aの添加量の違いに関する統計上有意性を検定するために分散分析(ANOVA)を使用した。統計上有意性がある場合は、ボンフェローニ検定(Bonferroni test)を用いた事後比較を行った。p<0.05のときに統計上有意性があるとみなした。
〔評価例1〕IL-1β又はIL-17AによるIVIG抗炎症効果の解除(IVIG不応性獲得)
Matsuda A et al., Eur J Immunol. 2012;42(8):2121-2131において、HCAECの培養系をin vitroの川崎病モデルとして用い、炎症性サイトカインTNF-αが誘導する炎症応答をIgG処理(IVIG)によって分子特異的かつ完全に抑制することが報告されている。そこで、IVIG不応因子として報告されているIL-1β又はIL-17AをTNF-αに加えたときに、IVIG不応性を獲得するか否かを検証した。TNF-α及びIL-1β又はIL-17Aで細胞を刺激したときの、IL-6又はG-CSFの産生量をELISAによって測定した。測定結果を図1に示す。
Matsuda A et al., Eur J Immunol. 2012;42(8):2121-2131において、HCAECの培養系をin vitroの川崎病モデルとして用い、炎症性サイトカインTNF-αが誘導する炎症応答をIgG処理(IVIG)によって分子特異的かつ完全に抑制することが報告されている。そこで、IVIG不応因子として報告されているIL-1β又はIL-17AをTNF-αに加えたときに、IVIG不応性を獲得するか否かを検証した。TNF-α及びIL-1β又はIL-17Aで細胞を刺激したときの、IL-6又はG-CSFの産生量をELISAによって測定した。測定結果を図1に示す。
図1において、各カラムの左側の棒はIgG未処理(-IVIG)の結果を示す。右側の棒はIgG処理(+IVIG)の結果を示す。図1に示すように、10ng/mLのTNF-αに対し、0.1ng/mL以上のIL-1β又は10ng/mL以上のIL-17を添加すると、IVIGによるIL-6及びG-CSFの産生抑制が解除された。以上より、臨床で起きている事象を再現するin vitroIVIG不応川崎病モデルを確立できることが分かった。
〔評価例2〕IL-1β又はIL-17Aによる、C/EBPβ及びC/EBPδの発現及び活性化を介したIVIG不応性獲得
次に、評価例1で確立したin vitroIVIG不応川崎病モデルを用いて、HCAECにおけるIVIG不応性獲得時の、転写因子であるC/EBPβ又はC/EBPδの発現の変化についてWB及びEMSAを用いて測定した。測定結果を図2に示す。
次に、評価例1で確立したin vitroIVIG不応川崎病モデルを用いて、HCAECにおけるIVIG不応性獲得時の、転写因子であるC/EBPβ又はC/EBPδの発現の変化についてWB及びEMSAを用いて測定した。測定結果を図2に示す。
図2中、上段の3つのレーンはWBの結果、下段はEMSAの結果である。「IVIG -」はIVIG未処理を示し、「IVIG +」はIVIG処理を示す。図2のWBの結果に示すように、IVIG処理によって、TNF-α刺激によって誘導されるC/EBPβ及びC/EBPδの核発現及びDNA結合活性が完全に抑制されたことが分かった。逆に、IL-1β単独又はTNF-αとIL-17Aとの組合せによって細胞を刺激したときは、IVIG処理してもC/EBPβ及びC/EBPδの核発現及びDNA結合活性は抑制されなかった。図2の結果より、IL-1β又はIL-17Aによって誘発されるC/EBPβ及びC/EBPδの活性は、HCAECにおけるIVIGの抗炎症効果の減衰(不応活性化)に重要であることが強く示唆された。
〔評価例3〕サイトカイン誘導によるHCAECからのIL-6及びG-CSF産生に対する、C/EBPβ及びC/EBPδのジーンサイレンシングの効果
HCAECにおける、サイトカイン誘導によるIL-6及びG-CSFの発現でのC/EBPの関与を確認するために、C/EBPβ及びC/EBPδを標的とするsiRNAをHCAECにトランスフェクトした。そして、トランスフェクトしたHCAECにおけるC/EBPβ及びC/EBPδのmRNAの発現量並びにIL-6及びG-CSFの産生量を測定した。測定結果を図3に示す。
HCAECにおける、サイトカイン誘導によるIL-6及びG-CSFの発現でのC/EBPの関与を確認するために、C/EBPβ及びC/EBPδを標的とするsiRNAをHCAECにトランスフェクトした。そして、トランスフェクトしたHCAECにおけるC/EBPβ及びC/EBPδのmRNAの発現量並びにIL-6及びG-CSFの産生量を測定した。測定結果を図3に示す。
図3中、上の4つのグラフはqPCRの測定結果を示し、縦軸は各目的遺伝子(C/EBPβ又はC/EBPδ)のmRNA発現量(目的遺伝子のコピー数/β-アクチンの発現量)を示す。下の4つのグラフはELISAの測定結果を示し、縦軸は各目的タンパク質(IL-6又はG-CSF)の発現量(ng/ml)を示す。各カラムの4つのバーは左から、コントロールsiRNAをトランスフェクションした結果(Negative Cont)、C/EBPβsiRNAをトランスフェクションした結果(C/EBPβ)、C/EBPδsiRNAをトランスフェクションした結果(C/EBPδ)、C/EBPβsiRNA及びC/EBPδをトランスフェクションした結果(C/EBPβ+C/EBPδ)を示す。各グラフの横軸は細胞を刺激したサイトカインを示す。Cont.は、サイトカイン未処理を示す。
図3に示すように、トランスフェクションによって、標的のmRNAの発現が80%以上抑制された。また、C/EBPβsiRNA又ははC/EBPδsiRNAをトランスフェクションした結果、HCAECによるIL-6及びG-CSFの産生が抑制された。さらに、C/EBPβsiRNA及びC/EBPδsiRNAを共トランスフェクションした結果(C/EBPβ+C/EBPδ)、それぞれ単独でトランスフェクションしたときよりもさらに、IL-6及びG-CSFの産生(特に、IL-1β刺激によるIL-6及びG-CSFの産生)が抑制され、相乗効果が発揮されたことが示唆された。以上の結果から、C/EBPβ及びC/EBPδはHCAECにおける、サイトカイン誘導によるIL-6及びG-CSFの産生に必要であることが示唆された。
〔評価例4〕IVIG不応性川崎病に対する新規治療薬の探索
IL-1、又は、TNF-α及びIL-17により誘導されるIVIG不応炎症応答をC/EBP活性制御を介して抑制する物質が、IVIG不応川崎病患者に対する新規治療薬候補となると戦略を立てた。そして、評価例1で確立したin vitroIVIG不応川崎病モデルを用いることで、新規治療薬候補をスクリーニングできるという戦略を立てた。当該戦略を示す模式図を図4に示す。
IL-1、又は、TNF-α及びIL-17により誘導されるIVIG不応炎症応答をC/EBP活性制御を介して抑制する物質が、IVIG不応川崎病患者に対する新規治療薬候補となると戦略を立てた。そして、評価例1で確立したin vitroIVIG不応川崎病モデルを用いることで、新規治療薬候補をスクリーニングできるという戦略を立てた。当該戦略を示す模式図を図4に示す。
図4に示すように、IVIG応答性経路(IVIG-responsive pathway)においては、IVIGによって、TNF-αによるC/EBPβ及びC/EBPδ活性化が阻害される。その結果、IL-6及びG-SCF等のC/EBPβ及びC/EBPδ標的遺伝子の発現が抑制され、冠動脈血管内皮細胞(coronary artery endothelial cell)における炎症が抑制される。IL-6及びG-SCFは川崎病に関与するサイトカインとして知られている。
一方、IVIG不応性経路(IVIG-resistant pathway)においては、IL-1、又は、TNF-α及びIL-17により誘導されるC/EBPβ及びC/EBPδ活性化を、IVIGは抑制することができない。その結果、C/EBPβ及びC/EBPδ活性化によって、IL-6及びG-SCF等の発現が誘導されて、冠動脈血管内皮細胞において炎症が起こる。
評価例1で確立したin vitroIVIG不応川崎病モデルを用いてIVIG不応川崎病患者に対する新規治療薬候補のスクリーニングを行った。一次スクリーニングのプロトコールを図5に示す。
〔評価例5〕ジメチルイタコン酸(DI)によるG-CSFの産生抑制
次に、解糖系のクエン酸回路(TCA回路)の中間代謝物であるイタコン酸をIVIG不応川崎病患者に対する新規治療薬候補として評価を行った。細胞透過性を高めるために実験で使用されることが多い、イタコン酸の誘導体であるジメチルイタコン酸を用いて、イタコン酸の抗炎症効果に関する評価を行った。イタコン酸及びジメチルイタコン酸の構造を図6に示す。
次に、解糖系のクエン酸回路(TCA回路)の中間代謝物であるイタコン酸をIVIG不応川崎病患者に対する新規治療薬候補として評価を行った。細胞透過性を高めるために実験で使用されることが多い、イタコン酸の誘導体であるジメチルイタコン酸を用いて、イタコン酸の抗炎症効果に関する評価を行った。イタコン酸及びジメチルイタコン酸の構造を図6に示す。
イタコン酸はマクロファージ又は樹状細胞の機能調節因子として抗炎症機能を有する内因性因子であることが以下に示す文献で報告されている。これらの報告から想定される、イタコン酸の抗炎症メカニズムを図7に示す。
<イタコン酸の抗炎症機能に関する報告が記載されている文献>
Michelucci A., et al. Immune-responsive gene 1 protein links metabolism to immunity by catalyzing itaconic acid production. PNAS 2013;110:7820-7825
Lampropoulou V., et al. Itaconate links inhibition of succinate dehydrogenase with macrophage metabolic remodeling and regulation of inflammation. Cell Metab. 2016;24:158-166
Cordes T., et al. Immunoresponsive gene 1 and itaconate inhibit succinate dehydrogenase to modulate intracellular succinate levels. J Biol Chem. 2016;291:14274-14284
Mills E.L., et al. Itaconate is an anti-inflammatory metabolite that activates Nrf2 via alkylation of KEAP1. Nature 2018;556(7699):113-117
Bambouskova M., et al. Electrophilic properties of itaconate and derivatives regulate the IκBζ-ATF3 inflammatory axis. Nature 2018;556(7702):501-504
Mogilenko D.A., et al. Metabolic and innate immune cues merge into a specific inflammatory response via the UPR. Cell 2019;177:1201-1216
Michelucci A., et al. Immune-responsive gene 1 protein links metabolism to immunity by catalyzing itaconic acid production. PNAS 2013;110:7820-7825
Lampropoulou V., et al. Itaconate links inhibition of succinate dehydrogenase with macrophage metabolic remodeling and regulation of inflammation. Cell Metab. 2016;24:158-166
Cordes T., et al. Immunoresponsive gene 1 and itaconate inhibit succinate dehydrogenase to modulate intracellular succinate levels. J Biol Chem. 2016;291:14274-14284
Mills E.L., et al. Itaconate is an anti-inflammatory metabolite that activates Nrf2 via alkylation of KEAP1. Nature 2018;556(7699):113-117
Bambouskova M., et al. Electrophilic properties of itaconate and derivatives regulate the IκBζ-ATF3 inflammatory axis. Nature 2018;556(7702):501-504
Mogilenko D.A., et al. Metabolic and innate immune cues merge into a specific inflammatory response via the UPR. Cell 2019;177:1201-1216
LPS又は炎症性サイトカインTNF-α、IL-1β刺激によりマクロファージで大量のイタコン酸が産生される。イタコン酸による主な抗炎症機序として、(1)コハク酸蓄積を介した経路(抗酸化ストレス応答)、(2)酸化ストレスセンサーであるKeap1のアルキル化を介した、Nrf2依存経路(抗酸化ストレス応答)、(3)ATF3活性化による転写調節因子IκBζ合成抑制を介した抗炎症経路、等がある。いずれの経路も、最終的にはIL-1β及びIL-6の抑制が導かれる。
また、イタコン酸はIL-17Aが関与する炎症を、IκBζ合成抑制を介して改善することが報告されている(Mogilenko D.A., et al)。評価例1~4から、IL-17AはHCAECにおけるIVIG不応獲得に重要な因子であることが分かった。イタコン酸の抗炎症機序によりIL-1βの抑制が導かれることから、「イタコン酸はIL-1β又はIL-17AによるHCAECのIVIG不応性を解除して抗炎症効果を発揮している」という仮説を立てて、以下の評価を行った。
これまでに、IL-1βと同じIL-1ファミリーであるIL-1α刺激によっても、HCAECにおいてIVIG不応性炎症応答を惹起することが本発明者らによって見出されている(Inoue T., et al. Functional benefits of corticosteroid and IVIG combination therapy in a coronary artery endothelail cell model of Kawasaki disease. Pediatr Rheumtol. 2020 Accepted)。そこで、IL-1α又はIL-1β刺激によるHCAEC細胞からのG-SCFの産生をDI処理によって抑制されるか否かを検証した。
HCAECを24ウェル細胞培養プレート(24-well cell culture plate)に5×104細胞/ウェルの濃度で播種し、24時間培養した。培地は、初代血管内皮細胞専用培地EGM-2MV Bullet kit(Lonza社)を用いた。24時間後に、ハイドロコルチゾンのみを抜いたEGM-2MV(以後、「-HC培地」と示す)に入れ替えて3時間培養した。次に、500μMのジメチルイタコン酸(DI)又は10mg/mlのIgG(ヴェノグロブリンIH)を含む-HC培地に10ng/mlのIL-1α又はIL-1βを加えた培地に交換し、48時間培養した。培養後の上清を回収し、48時間培養中に培養液中に産生されたG-CSF蛋白量をELISA(R&DSystems社)により定量した。定量結果を図8に示す。
図8中、グラフの縦軸はG-CSFの産生量(ng/ml)を示す。(-)はコントロール、+IVIGはIgGを加えた培地の結果、+DIはジメチルイタコン酸を加えた培地の結果を示す。
図8に示すように、IgG処理によってG-CSFの産生は抑制されなかった一方、DI処理によってG-CSFの産生が顕著に抑制されることが分かった。なお、DI処理時に細胞障害は全く観察されなかった(図示せず)。
〔評価例6〕DI処理によるC/EBPδ及びIκBζの抑制
次に、DIによって、C/EBPδ及びIκBζの発現が抑制されるか否かを検証した。HCAECをT-75細胞培養プレート(T-75 cell culture plate)に5×104細胞/ウェルの濃度で播種し、24時間培養した。その後-HC培地に入れ替えてさらに24時間培養した。次に、500μMのDI又は10mg/mlのIgGを含む-HC培地に10ng/mlのTNF-α又ははIL-1βを加えた培地に交換し、48時間培養した。培養後の細胞をトリプシン処理して回収し、NE-PERTM Nuclear and Cytoplasmic Extraction Reagents(Thermo Fisher Scientific社)を用いて核抽出液を調製した。各抽出液の蛋白量をBCA(商標)Protein Assay Kit(Thermo Fisher Scientific社)を用いて定量した。そして、各サンプルにつき2μgの蛋白質をSDS-PAGE(4~20%のMini-PROTEAN TGX Gels, Bio-Rad社)を用いて電気泳動分離後、PVDF膜(Trans-Blot(登録商標)Turbo(商標)Transfer Pack, Bio-Rad社)に蛋白質を転写した。ウエスタンブロットは、以下の抗体を用い、それぞれの添付文書の操作法に従って行った:NF-κB(Cell Signaling Technology社)、C/EBPδ(Santa Cruz Biotechnology社)、IκBζ(Cell Signaling Technology社)。ウエスタンブロットの結果を図9に示す。
次に、DIによって、C/EBPδ及びIκBζの発現が抑制されるか否かを検証した。HCAECをT-75細胞培養プレート(T-75 cell culture plate)に5×104細胞/ウェルの濃度で播種し、24時間培養した。その後-HC培地に入れ替えてさらに24時間培養した。次に、500μMのDI又は10mg/mlのIgGを含む-HC培地に10ng/mlのTNF-α又ははIL-1βを加えた培地に交換し、48時間培養した。培養後の細胞をトリプシン処理して回収し、NE-PERTM Nuclear and Cytoplasmic Extraction Reagents(Thermo Fisher Scientific社)を用いて核抽出液を調製した。各抽出液の蛋白量をBCA(商標)Protein Assay Kit(Thermo Fisher Scientific社)を用いて定量した。そして、各サンプルにつき2μgの蛋白質をSDS-PAGE(4~20%のMini-PROTEAN TGX Gels, Bio-Rad社)を用いて電気泳動分離後、PVDF膜(Trans-Blot(登録商標)Turbo(商標)Transfer Pack, Bio-Rad社)に蛋白質を転写した。ウエスタンブロットは、以下の抗体を用い、それぞれの添付文書の操作法に従って行った:NF-κB(Cell Signaling Technology社)、C/EBPδ(Santa Cruz Biotechnology社)、IκBζ(Cell Signaling Technology社)。ウエスタンブロットの結果を図9に示す。
図9中、IVIGはIgG処理を示す。図9に示すように、IVIG処理によってIL-1β刺激によるC/EBPδ発現は抑制されなかった。一方、DI処理によって、TNF-α又はIL-1β刺激によるNFκβ、C/EBPδ及びIκBζの発現が顕著に抑制された。DI処理によるIκBζの発現抑制は、上記のイタコン酸の抗炎症機能に関する報告が記載されている文献の記載と一致した。この結果から、DIは図4に示すIVIG不応川崎病に対する新規治療薬探索のストラテジーのコンセプトを概ね満たす物質であることが分かった。
NFκβ、C/EBPδ及びIκBζは、IVIGによる抗炎症作用が観察されるTNF-α刺激よりも、IVIG不応性が認められるIL-1β刺激によって強く発現が誘導される。IVIG処理ではNFκβ、C/EBPδ及びIκBζの発現が抑制されなかった。DI処理によって、IVIG処理によって発現が抑制されなかったIκBζを含めた転写因子複合体(IκBζ-C/EBP-NFκβ複合体)の機能的抑制を介して、優れた抗炎症効果が発揮されたことが示唆された。
〔評価例7〕IκBζ siRNAによるノックダウン及びジメチルイタコン酸処理の効果の比較
刺激に応じて発現誘導される遺伝子には、迅速に発現誘導される一次応答遺伝子(TNF-α、IκBζ等)と、一次応答遺伝子産物に依存してやや遅れて発現される二次応答遺伝子(IL-6、IL-12等)とが存在することが知られている。また、一次応答遺伝子はNF-κBの活性化のみで活性化されることが知られている。さらに、IκBζの標的遺伝子である二次応答遺伝子は、NF-κBと、IκBζ及びC/EBP等とによる転写因子複合体によって活性化されることが知られている(牟田達史、医学のあゆみ、234(5):372-378, 2010)。
刺激に応じて発現誘導される遺伝子には、迅速に発現誘導される一次応答遺伝子(TNF-α、IκBζ等)と、一次応答遺伝子産物に依存してやや遅れて発現される二次応答遺伝子(IL-6、IL-12等)とが存在することが知られている。また、一次応答遺伝子はNF-κBの活性化のみで活性化されることが知られている。さらに、IκBζの標的遺伝子である二次応答遺伝子は、NF-κBと、IκBζ及びC/EBP等とによる転写因子複合体によって活性化されることが知られている(牟田達史、医学のあゆみ、234(5):372-378, 2010)。
図9に示すように、IL-1β刺激よりもTNF-α刺激において、DI処理によるNK-κBの発現がより抑制された。これは、DIの作用点が、NK-κBよりも、C/EBP又はIκBζの方が上位であることを示唆している。また、図2及び9に示すように、C/EBP発現については、IVIG製剤が効果的に抑制するIVIG応答性経路(TNF-α刺激)においても顕著に誘導された。一方、IκBζ発現はIVIG不応を示すIL-1β刺激で顕著に誘導された。これらの結果から、イタコン酸のプライマリー作用標的分子の有力候補はIκBζであると仮説を立てた。また、IκBζを標的とすることによって、IVIGでは抑制できない転写因子複合体(IκBζ-C/EBP-NFκβ複合体)の機能的抑制を介して優れた抗炎症効果が発揮されていると仮説を立てた。
そこで、IκBζ遺伝子をノックダウンした場合と、DI処理した場合の、炎症分子(IκBζ、IL-1β、C/EBPβ、C/EBPδ、G-CSF及びIL-6)のmRNAの発現動態(キネティクス)を比較した。
HCAECを24ウェル細胞培養プレートに5×104細胞/ウェルの濃度で播種し、24時間培養した。その後-HC培地に入れ替え、コントロールsiRNA(Negative control siRNA)又はIκBζ特異的siRNA(いずれもThermo Fisher Scientific社)を最終濃度5nM、Lipofectamin RNAiMAX Reagent(Thermo Fisher Scientific社)を1ウェルあたり1μL用いてトランスフェクションした。トランスフェクションから24時間後に、500μMのDIを含む又はDIを含まない-HC培地に10ng/mlのIL-1βを加えた培地に交換し、48時間まで培養した。培養後1.5時間、8時間、24時間、48時間の時点で細胞からQIAGEN社のRNeasy Mini Kitを用いて総RNA(total RNA)を回収し、iScript cDNA Synthesis Kit(Bio-Rad社)を用いてcDNAを合成した。
定量PCR(qPCR)はThunderbird SYBR qPCR Mix(TOYOBO社)を用いてBio-Rad CFX96 qPCRシステムを用いて測定した。サンプル中の遺伝子(IIκBζ、G-CSF、IL-6、IL-1β、C/EBPβ、C/EBPδ、β-アクチン)の正確なコピー数を算出するため、コピー数が既に分かっている精製したPCR産物を段階希釈し、検量線として用いた。目的遺伝子(IκBζ、G-CSF、IL-6、IL-1β、C/EBPβ、及びC/EBPδ)のmRNA発現レベルは、各サンプル中の内部標準遺伝子(β-アクチン)の相対発現量で補正した。各目的遺伝子のmRNA発現量を図10に示す。
図10の縦軸は、各目的遺伝子のmRNA発現量(目的遺伝子のコピー数/β-アクチンの発現量)を示す。横軸は、IL-1βによって細胞を刺激してからの経過時間を示す。NC siRNAは、ネガティブコントロール用のsiRNAをトランスフェクション処理した結果である。また、NC siRNA及びIκBζ siRNAは、トランスフェクションから24時間後に、DI処理を行っていない。NC siRNA+DI及びIκBζ siRNA+DIは、トランスフェクションから24時間後にDI処理した結果である。
図10に示すように、IκBζのノックダウン処理(IκBζ siRNA)とDI処理(NC siRNA+DI)による各目的遺伝子のmRNA発現キネティクスは、ほぼ一致していた。独立した処理であるにもかかわらずmRNA発現キネティクスがほぼ一致していたことから、DIは核内因子IκBζを標的として優れた抗炎症効果を発揮している可能性がさらに強く示唆された。
〔評価例8]IκBζ siRNAによるノックダウン及びジメチルイタコン酸の効果の比較
評価例7で使用したサンプルで、IL-1β刺激後24時間、48時間における培養上清を回収した。培養液中に産生されたG-CSF及びIL-6蛋白量をそれぞれのELISA(R&DSystems社)により定量した。定量結果を図11に示す。
評価例7で使用したサンプルで、IL-1β刺激後24時間、48時間における培養上清を回収した。培養液中に産生されたG-CSF及びIL-6蛋白量をそれぞれのELISA(R&DSystems社)により定量した。定量結果を図11に示す。
図11に示すように、IL-1β刺激によるG-CSF及びIL-6産生も、IκBζのノックダウン処理(IκBζ siRNA)又はDI処理(NC siRNA+DI)によって顕著に抑制された。IκBζのノックダウン処理及びDI処理を行ったときに(IκBζ siRNA+DI)、G-CSF及びIL-6産生がもっとも顕著に抑制された。
〔評価例9〕DI処理による遺伝子発現変化の解析
DI処理による全遺伝子発現変化を網羅的に解析するために、マイクロアレイ解析を行った。HCAECを24ウェル細胞培養プレートに10×104細胞/ウェルの濃度で播種し、24時間培養した。その後-HC培地に入れ替えて3時間培養後、500μMのDI又は10mg/mlのIgGを含む-HC培地に10ng/mlのIL-1βを加えた培地に交換し、24時間培養した。QIAGEN社のRNeasy Mini Kitを用いて総RNAを回収した。遺伝子発現アレイにかけるため、SurePrint G3 Human GE Microarray 8 x 60 K Kit ver, 3(Agilent社)に総RNAをアプライし、メーカーの添付文書の操作法に従って実施した。マイクロアレイの解析結果を図12に示す。
DI処理による全遺伝子発現変化を網羅的に解析するために、マイクロアレイ解析を行った。HCAECを24ウェル細胞培養プレートに10×104細胞/ウェルの濃度で播種し、24時間培養した。その後-HC培地に入れ替えて3時間培養後、500μMのDI又は10mg/mlのIgGを含む-HC培地に10ng/mlのIL-1βを加えた培地に交換し、24時間培養した。QIAGEN社のRNeasy Mini Kitを用いて総RNAを回収した。遺伝子発現アレイにかけるため、SurePrint G3 Human GE Microarray 8 x 60 K Kit ver, 3(Agilent社)に総RNAをアプライし、メーカーの添付文書の操作法に従って実施した。マイクロアレイの解析結果を図12に示す。
図12中、Controlはコントロール(IL-1β未処理)の結果、IL-1β+DIはIL-1β及びDI処理の結果、IL-1βはIL-1β処理のみの結果、IL-1β+IVIGはIL-1β及びIgG処理の結果を示す。
図12に示すように、IL-1β処理のみ(IL-1β)とIL-1β及びIgG処理(IL-1β+IVIG)との結果はほぼ完全に一致していた。この結果から、IL-1β処理(刺激)によってIVIG不応性が誘導されることが再確認された。
一方、IL-1β及びDI処理(IL-1β)+DIの結果は、IL-1β未処理(Control)の結果とほぼ同様であった。この結果から、DIはIL-1β炎症応答の根底部分に働きかけて抗炎症作用を発揮していることが示唆された。
〔実施例のまとめ〕
イタコン酸又はその誘導体は、IVIG製剤では抑制できなかった転写因子C/EBPの活性化(IL-1β又はIL-17Aを起点とする)を完全に抑制することによって、優れた抗炎症効果を発揮することが分かった。したがって、IVIG不応性によって冠動脈炎症が持続し、心障害後遺症のリスクが高い重症川崎病患者に対する新規治療薬候補として、イタコン酸又はその誘導体が非常に有望であることが分かった。
イタコン酸又はその誘導体は、IVIG製剤では抑制できなかった転写因子C/EBPの活性化(IL-1β又はIL-17Aを起点とする)を完全に抑制することによって、優れた抗炎症効果を発揮することが分かった。したがって、IVIG不応性によって冠動脈炎症が持続し、心障害後遺症のリスクが高い重症川崎病患者に対する新規治療薬候補として、イタコン酸又はその誘導体が非常に有望であることが分かった。
イタコン酸は植物成長調整剤として普段からヒトが経口摂取している物質である。また、イタコン酸は食品衛生法に基づいて食品安全委員会がヒトの健康を損なうおそれのないことが明らかであることが認められている物質である(対象外物質評価書 イタコン酸、2015年3月、食品安全委員会農薬専門調査会)。さらに、イタコン酸は低分子量かつ水溶性であり、細胞内の代謝過程で産生される物質である。したがって、実臨床へのハードルが低いことが予想され、イタコン酸による自然治癒の仕組みを利用した安全かつ新規の治療法の開発が期待できる。
TCA回路はすべての細胞に備わっているエネルギー産生メカニズムの1つである。よって、イタコン酸又はその誘導体は、IVIG不応川崎病に対する治療薬としての使用に加え、IL-1が関与する他の免疫疾患に対する治療薬の候補となり得ることが示唆された。
また、代謝と炎症(イムノメタボリズム)の観点で、未だ不明な川崎病の病因を研究する上でイタコン酸は大きなヒントになる可能性を秘めていると考えられる。
本発明のCCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤は、川崎病等のIL-1関与炎症性疾患の治療薬として利用することができる。
Claims (8)
- イタコン酸又はその塩若しくはエステルを有効成分として含有する、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤。
- イタコン酸又はその塩若しくはエステルを有効成分として含有する、IL-1関与炎症性疾患の治療薬。
- 前記イタコン酸又はその塩若しくはエステルは、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質の発現を抑制する、請求項2に記載の治療薬。
- 前記IL-1関与炎症性疾患が川崎病である、請求項2又は3に記載の治療薬。
- 前記IL-1関与炎症性疾患が免疫グロブリンによる治療に対して不応である、請求項2~4の何れか一項に記載の治療薬。
- IL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬のスクリーニング方法であって、
IL-1又はIL-17による刺激下にある細胞に対して被験物質を接触させる被験物質接触工程と、
前記細胞のCCAAT/エンハンサー結合タンパク質の発現量に基づいて、被験物質をIL-1又はIL-17関与炎症性疾患の治療薬の候補として選択する選択工程とを含む、スクリーニング方法。 - 前記細胞がヒト初代冠動脈血管内皮細胞である、請求項6に記載のスクリーニング方法。
- IL-1刺激に起因する、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質の発現を抑制する、請求項1に記載のCCAAT/エンハンサー結合タンパク質発現抑制剤。
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CN116500280A (zh) * | 2023-06-26 | 2023-07-28 | 中国医学科学院北京协和医院 | 一组诊断颈动脉体瘤的标志物及其应用 |
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CN116500280A (zh) * | 2023-06-26 | 2023-07-28 | 中国医学科学院北京协和医院 | 一组诊断颈动脉体瘤的标志物及其应用 |
CN116500280B (zh) * | 2023-06-26 | 2023-09-12 | 中国医学科学院北京协和医院 | 一组诊断颈动脉体瘤的标志物及其应用 |
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