JP2022118927A - 卵リフターおよびワクチン接種装置 - Google Patents

Abstract

【課題】卵を安定して保持することのできる卵リフターおよびワクチン接種装置を提供する。【解決手段】卵リフターは、卵Ｅを持ち上げるための卵リフターであって、中心軸ＡＸの周囲を囲む複数の可動ガイド３の各々を備える。複数の可動ガイド３の各々は、揺動軸３１を中心として揺動可能である可動ガイド本体３２と、可動ガイド本体３２に形成された接触面３３であって、下方に向かうに従って中心軸ＡＸに近づく方向に変位する曲面である接触面３３とを含んでいる。複数の可動ガイド３の各々の接触面３３における下部３３ａが、持ち上げられる前の卵Ｅの表面と接触した場合に、複数の可動ガイド３の各々の可動ガイド本体３２は卵Ｅから受ける力によって矢印ＡＲ３で示す揺動方向に揺動し、複数の可動ガイド３の各々の接触面３３における上部３３ｂも卵Ｅの表面と接触する。【選択図】図８

Description

本発明は、卵リフターおよびワクチン接種装置に関する。より特定的には、本発明は、卵を安定して保持することのできる卵リフターおよびワクチン接種装置に関する。

鶏卵などに代表される卵には、食用のための卵の他に、雛を生産するための卵がある。このような卵は「種卵」と呼ばれている。種卵を適切な温度の所定の環境のもとで所定の日数暖めると雛が孵化する。雛を大量に生産する孵卵場では、ある一定期間に得られた種卵が所定の日に一斉に孵化するように、生産工程が管理されている。

種卵の内部では、産卵の時点から胚の発生が進行する。種卵は、胚の細胞分裂を抑えるような環境で保持されると、成長を停止して休眠する。そこで、休眠させた種卵が所定の数だけ貯まった時点で、休眠させた種卵をセッタートレイに配置して予備加温を行うことで、所定の数の種卵を同じ速度で成長させることができる。具体的には、約３８℃の温度に予備加温した環境のもとで種卵を保持することにより種卵は孵卵工程に入る。孵卵工程を開始してからほぼ２１日目に、種卵は孵化する。

孵卵工程を開始してから１８日目あるいは１９日目になると、種卵の孵化に備えて、種卵をセッタートレイからハッチャートレイに移し替える作業が行われる。この作業の際に種卵の生死判定が行われる。生死判定の結果、未受精の卵や胚の発育が止まった卵などは不良と判定され、排除される。一方、合格と判定された種卵には、感染症予防のためのワクチン接種が行われる。

下記特許文献１などには、卵のワクチン接種または注射などの卵の処理のためのデバイスが開示されている。下記特許文献１のデバイスは、卵に処理を受けさせるように配置された処理ステーションと、処理ステーションが卵に処理を受けさせるために、卵を所定の配向で保持するように配置されたホルダとを備えている。ホルダは、卵の２つの端の一方の端に係合するように配置された支持体と、少なくとも２つのアームによって画定される円柱収容部とを備えている。少なくとも２つのアームは、支持体に接続され、かつ、使用時に支持体から卵の長手方向に延在して、支持体からある距離で卵に係合する。アームは、可撓性があり、卵の周辺形状に対応して湾曲している。アームは、使用時、支持体によって係合される卵の上をたどってアームが移動するときに卵を整列させるように撓むように構成されている。

特表２０１５－５１３９１７号公報

特許文献１では、卵に注射を行う位置まで卵を持ち上げるために、可撓性を有し、かつ少なくとも卵の下部半分に対応する形状または湾曲を有するアームが用いられる。しかし、特許文献１のアームには、卵を安定して保持することができないという問題があった。特許文献１のアームは弾性力によって卵の側面を保持するものである。このため、特許文献１のデバイスが想定するサイズよりも保持する卵のサイズが小さい場合には、アームが卵を保持する力が弱くなっていた。また、特許文献１のデバイスが想定するサイズよりも保持する卵のサイズが大きい場合には、アームが卵に及ぼす力が大きくなり、卵が割れるおそれが生じていた。また、卵が正常な状態から傾いている場合には、アームが卵に及ぼす力が不均一になり、卵を安定して保持することができなかった。

本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、卵を安定して保持することのできる卵リフターおよびワクチン接種装置を提供することである。

本発明の一の局面に従う卵リフターは、卵を持ち上げるための卵リフターであって、ステージと、ステージに設けられ、上下方向に延在する仮想の中心軸の周囲を囲む複数の可動ガイドの各々とを備え、複数の可動ガイドの各々は、揺動軸を中心として揺動可能である可動ガイド本体と、可動ガイド本体に形成された接触面であって、下方に向かうに従って中心軸に近づく方向に変位する曲面である接触面とを含み、複数の可動ガイドの各々の接触面における第１の部分が、持ち上げられる前の卵の表面と接触した場合に、複数の可動ガイドの各々の可動ガイド本体は卵から受ける力によって一の揺動方向に揺動し、複数の可動ガイドの各々の接触面における第１の部分よりも上部に存在する第２の部分も卵の表面と接触する。

上記卵リフターにおいて好ましくは、複数の可動ガイドの各々の可動ガイド本体を一の揺動方向とは反対の揺動方向に付勢する付勢部と、ステージに固定され、複数の可動ガイドの各々の揺動軸を支持するガイド支持部とをさらに備える。

上記卵リフターにおいて好ましくは、付勢部は、ステージの上面と複数の可動ガイドの各々の可動ガイド本体の下面との間に固定される。

上記卵リフターにおいて好ましくは、卵を持ち上げる際に上昇されるベースと、ベースに対してステージを支持する弾性体とをさらに備える。

上記卵リフターにおいて好ましくは、ステージは、複数の可動ガイドの各々が設けられたステージ本体と、ステージ本体から下方に突出したバッファ軸とを含み、ベースは、ベース本体と、ベース本体に形成された貫通孔とを含み、バッファ軸の外周面は、貫通孔内に設けられた支持部材の内周面に対して摺動する。

上記卵リフターにおいて好ましくは、ステージは、ステージ本体に形成され、弾性体の上端を固定する第１の弾性体用孔を含み、ベースは、ベース本体に形成され、弾性体の下端を固定する第２の弾性体用孔を含む。

本発明の他の局面に従うワクチン接種装置は、保持孔を含む固定プレートと、卵を持ち上げて保持孔に対して押しつける上記卵リフターと、保持孔を通じて下降され、保持孔に対して押しつけられた卵に穿孔する穿孔針と、穿孔針によって形成された孔を通じて卵の内部にワクチンを注入する注入針とを備える。

本発明によれば、卵を安定して保持することのできる卵リフターおよびワクチン接種装置を提供することができる。

本発明の一実施の形態におけるワクチン接種装置１００の構成を示す断面図である。 トレーＴＲの構成を示す上面図である。 本発明の一実施の形態における卵リフター１の構成を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態における卵リフター１の構成を示す上面図である。 図４中Ｖ－Ｖ線に沿った断面図である。 図４中ＶＩ－ＶＩ線に沿った断面図である。 本発明の一実施の形態におけるワクチン接種装置および卵リフターの動作を説明する第１の図である。 卵Ｅの大きさと可動ガイド本体３２が揺動する量との関係を示す図である。 接触面３３による卵Ｅの傾きの補正を示す図である。 本発明の一実施の形態におけるワクチン接種装置および卵リフターの動作を説明する第２の図である。 本発明の一実施の形態におけるワクチン接種装置および卵リフターの動作を説明する第３の図である。 卵Ｅの大きさとバッファ軸２３の移動量との関係を示す図である。 本発明の一実施の形態におけるワクチン接種装置および卵リフターの動作を説明する第４の図である。 本発明の一実施の形態におけるワクチン接種装置および卵リフターの動作を説明する第５の図である。

以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。

［ワクチン接種装置の構成］

始めに、本実施の形態におけるワクチン接種装置の構成について説明する。

図１は、本発明の一実施の形態におけるワクチン接種装置１００の構成を示す断面図である。図２は、トレーＴＲの構成を示す上面図である。なお、図２において場所ＳＴは点線で示されている。

図１および図２を参照して、トレーＴＲには、複数の卵の各々を保持するための複数の場所ＳＴの各々が水平方向に等間隔で配置されている。複数の場所ＳＴの少なくとも一部に複数の卵Ｅが配置されている。複数の卵Ｅの各々は、孵卵工程を開始してから１８日目あるいは１９日目の種卵であり、生死判定の結果合格と判定されたものである。一方、複数の場所ＳＴのうち卵Ｅが配置されていない場所ＳＴ（図１中３つの場所ＳＴのうち左端の場所ＳＴ）は、生死判定の結果不良と判定された卵（図示なし）が配置されていた場所である。不良と判定された卵は、トレーＴＲがワクチン接種装置１００の内部に搬送される前にトレーＴＲから除去される。

トレーＴＲにおける複数の場所ＳＴの各々には、卵リフター１を通過させるための通過孔ｐが形成されている。通過孔ｐには、内部に向かって突出した６本の爪ｈｋが設けられており、これらの爪ｈｋは卵Ｅを下方から保持する。複数の卵Ｅの各々は、たとえば鈍端ｅ１が上であり鋭端ｅ２が下となる状態でトレーＴＲに配置されている。複数の卵Ｅの各々は、鈍端ｅ１が下であり鋭端ｅ２が上となる状態でトレーＴＲに配置されていてもよい。

ワクチン接種装置１００（ワクチン接種装置の一例）は、トレーＴＲに配置された複数の卵Ｅの各々にワクチンを接種するためのものである。ワクチン接種装置１００は、複数の卵リフター１（卵リフターの一例）と、複数の保持孔７２を含む固定プレート７０（固定プレートの一例）と、複数の穿孔部８０と、複数の注入部９０とを備えている。複数の卵リフター１、複数の保持孔７２、複数の穿孔部８０、および複数の注入部９０の各々は、トレーＴＲにおける複数の場所ＳＴと同じ数だけ設けられている。複数の卵リフター１、複数の保持孔７２、複数の穿孔部８０、および複数の注入部９０の各々は、ワクチン接種装置１００の上方から見た場合に、トレーＴＲにおける複数の場所ＳＴの各々と重なる位置に設けられている。図１では、複数の卵リフター１、複数の穿孔部８０、および複数の注入部９０がいずれも初期位置に存在している。

固定プレート７０は、プレート本体７１と、複数の保持孔７２（保持孔の一例）とを含んでいる。プレート本体７１は板状であり、水平方向に延在している。プレート本体７１は図示しない筐体に固定されており、上下方向に移動しない。複数の保持孔７２の各々は、プレート本体７１に形成されている。複数の保持孔７２の各々は、複数の卵Ｅの各々に穿孔およびワクチン接種を行う際に、複数の卵Ｅの各々を上方から保持する。

複数の卵リフター１の各々は、トレーＴＲおよび固定プレート７０よりも下部に配置されている。卵リフター１は、トレーＴＲに配置された卵Ｅを持ち上げて、卵Ｅの鈍端ｅ１付近を複数の保持孔７２の各々に押しつける。卵リフター１は、駆動部（図示なし）によって上下方向に移動される。卵リフター１は、図１に示す初期位置と、初期位置よりも上方の押しつけ位置との間で移動される。卵リフター１が上昇される際、卵リフター１におけるベース５よりも上の部分は、６本の爪ｈｋの間を通過してトレーＴＲよりも上部まで移動することが可能である。卵リフター１の詳細な構成については後述する。

複数の穿孔部８０の各々は、固定プレート７０よりも上部に配置されており、移動部材８１に固定されている。複数の穿孔部８０の各々は、複数の卵Ｅの各々の鈍端ｅ１付近に穿孔する。移動部材８１は、駆動部（図示無し）によって上下方向に移動され、移動部材８１とともに複数の穿孔部８０の各々も上下方向に移動される。複数の穿孔部８０の各々は、図１に示す初期位置と、初期位置よりも下方の穿孔位置との間で移動される。

複数の穿孔部８０の各々は、移動部材８１と、保持孔８２と、固定部８３と、被覆部８４と、穿孔針８５（穿孔針の一例）とを含んでいる。移動部材８１は板状であり、水平方向に延在している。保持孔８２は移動部材８１に形成されている。固定部８３は、被覆部８４および穿孔針８５を保持孔８２に固定している。被覆部８４および穿孔針８５は、保持孔８２内に挿入されている。被覆部８４は穿孔針８５の上部を被覆している。穿孔針８５の下部は被覆部８４から下方に突出している。穿孔針８５は、一回の使用ごとに消毒されることが好ましい。

複数の注入部９０の各々は、複数の穿孔部８０の各々よりも上部に配置されており、移動部材９１に固定されている。複数の注入部９０の各々は、穿孔針８５によって形成された孔を通じて複数の卵Ｅの各々にワクチンの接種を行う。移動部材９１は、駆動部（図示無し）によって上下方向に移動され、移動部材９１とともに複数の注入部９０の各々も上下方向に移動される。複数の注入部９０の各々は、図１に示す初期位置と、初期位置よりも下方の注入位置との間で移動される。

複数の注入部９０の各々は、移動部材９１と、保持孔９２と、固定部９３と、被覆部９４と、注入針９５（注入針の一例）とを含んでいる。移動部材９１は板状であり、水平方向に延在している。保持孔９２は移動部材９１に形成されている。固定部９３は、被覆部９４および注入針９５を保持孔９２に固定している。被覆部９４および注入針９５は、保持孔９２内に挿入されている。被覆部９４は注入針９５の上部を被覆している。注入針９５の下部は被覆部９４から下方に突出している。注入針９５は、一回の使用ごとに消毒されることが好ましい。

［卵リフターの構成］

次に、本実施の形態における卵リフターの構成について説明する。

図３は、本発明の一実施の形態における卵リフター１の構成を示す斜視図である。図４は、本発明の一実施の形態における卵リフター１の構成を示す上面図である。図５は、図４中Ｖ－Ｖ線に沿った断面図である。図６は、図４中ＶＩ－ＶＩ線に沿った断面図である。なお図６では、位置関係の把握を容易にするために、断面では見えない可動ガイド３、ガイド支持部４、および弾性体６などが示されている。

図３～図６を参照して、卵リフター１は、ステージ２（ステージの一例）と、複数の可動ガイド３（可動ガイドの一例）と、複数のガイド支持部４（ガイド支持部の一例）と、ベース５（ベースの一例）と、２つの弾性体６（弾性体の一例）とを備えている。卵リフター１は、上下方向に延在する仮想の中心軸ＡＸを有している。中心軸ＡＸは、理想的には持ち上げる卵の中心軸と重なる。以降の説明において「外径側」および「内径側」とは、それぞれ中心軸ＡＸを基準とした外径側および内径側を意味している。

ステージ２は、ステージ本体２１および２２（ステージ本体の一例）と、２つのバッファ軸２３（バッファ軸の一例）とを含んでいる。ステージ本体２１は、上面２１ａおよび２１ｂを含んでいる。上面２１ａは、中心軸ＡＸを含む位置に設けられている。上面２１ａは、卵Ｅの鋭端ｅ２付近の外形に沿った凹形の断面形状を有している。上面２１ｂは、上面２１ａの外周を取り囲む位置に設けられており、上面２１ａよりも低い位置に設けられている。

ステージ本体２２は、２本のボルト６２によってステージ本体２１の下部に固定されている。２本のボルト６２の各々は、ステージ本体２１の上面２１ｂからステージ本体２１を貫通し、ステージ本体２２に達している。ステージ本体２２は、２つの弾性体用孔２２ａ（第１の弾性体用孔の一例）と、２つのバッファ軸用孔２２ｂとを含んでいる。２つの弾性体用孔２２ａの各々は、ステージ本体２２の下面から上方に向かって所定の深さで形成されている。２つのバッファ軸用孔２２ｂの各々は、ステージ本体２２を上下方向に貫通している。２つのバッファ軸用孔２２ｂの各々には、２つのボルト６３の各々によって、２つのバッファ軸２３の各々の上端が固定されている。２つのボルト６３の各々は、ステージ本体２２の外周面からバッファ軸２３に達している。

２つのバッファ軸２３の各々は、ステージ本体２２から下方に突出している。２つのバッファ軸２３の各々は、その下端にフランジ部２３ａを含んでいる。

複数の可動ガイド３は、ここでは６個であり、ステージ本体２１に設けられている。複数の可動ガイド３の各々は、中心軸ＡＸの周囲を囲んでおり、等間隔で配置されている。複数の可動ガイド３の各々は、揺動軸３１（揺動軸の一例）と、可動ガイド本体３２（可動ガイド本体の一例）と、接触面３３（接触面の一例）と、付勢部３４（付勢部の一例）とを含んでいる。揺動軸３１は、水平方向に延在しており、ガイド支持部４に支持されている。

可動ガイド本体３２は、揺動軸３１を中心として図６中矢印ＡＲ１で示す方向に揺動可能である。可動ガイド本体３２には揺動軸３１が固定されている。

接触面３３は、可動ガイド本体３２の内径側に形成された面である。接触面３３は、卵Ｅを持ち上げる際に卵Ｅの表面と接触する。接触面３３は、下方に向かうに従って中心軸ＡＸに近づく方向に変位する曲面の形状を有している。

付勢部３４は、ステージ本体２１の上面２１ｂに設けられている。付勢部３４は、ステージ本体２１の上面２１ｂと複数の可動ガイド３の各々の可動ガイド本体３２の下面３２ａとの間に固定されている。付勢部３４は、図６中矢印ＡＲ２で示す揺動方向に可動ガイド本体３２を付勢している。

複数のガイド支持部４（ガイド支持部の一例）は、ここでは６個であり、複数の可動ガイド３に対応する数だけ設けられている。複数のガイド支持部４の各々は、複数の可動ガイド３の各々における中心軸ＡＸに対する周方向の両端において、揺動軸３１を支持している。複数のガイド支持部４の各々は、支持部４１と、下部４２とを含んでいる。支持部４１は、可動ガイド３における中心軸ＡＸに対する周方向の両端において、揺動軸３１を支持する。下部４２は、支持部４１から下方に突出しており、ボルト６１によってステージ本体２１の側面に固定されている。支持部４１と下部４２とは一体化している。複数のボルト６１の各々は、ガイド支持部４の下部４２の外径側からガイド支持部４の下部４２を貫通し、ステージ本体２１に達している。なお、１つのガイド支持部４により複数の可動ガイド３の各々の揺動軸３１を支持してもよい。

ベース５は、ベース本体５１（ベース本体の一例）と、貫通孔５２（貫通孔の一例）と、２つのブッシュカラー５３と、２つのブッシュ５４と、２つのスクレーパ５６と、２つの弾性体用孔５５（第２の弾性体用孔の一例）とを含んでいる。ベース本体５１は、上面５１ａおよび５１ｂを含んでいる。上面５１ｂは２つであり、上面５１ａの側面において、上面５１ａよりも低い位置に設けられている。ベース５は、２つの上面５１ｂの各々において、２本のボルト６４の各々によって駆動部（図示無し）と連結されている。これにより、ベース５は上下方向に移動される。

貫通孔５２はベース本体５１の上面５１ａに形成されている。貫通孔５２は、ここでは２つであり、ベース本体５１を上下方向に貫通している。２つの貫通孔５２の各々にはバッファ軸２３が挿入されている。

２つの貫通孔５２の各々の内周面５２ａには、２つのブッシュカラー５３の各々が設けられており、２つのブッシュカラー５３の各々の内周面には、２つのブッシュ５４と２つのスクレーパ５６との各々が設けられている。貫通孔５２の口径およびブッシュ５４の内径は、バッファ軸２３のフランジ部２３ａの外径よりも小さくなっている。これにより、バッファ軸２３の貫通孔５２の上部からの抜け落ちが防止される。スクレーパ５６は、バッファ軸２３とブッシュ５４との摺動面への異物の侵入を防止する。

２つの弾性体用孔５５は、ベース本体５１の上面５１ａから所定の深さで形成されている。

２つの弾性体６の各々の上端は、２つの弾性体用孔２２ａの各々の内部に固定されている。２つの弾性体６の各々の下端は、２つの弾性体用孔５５の各々によって固定されている。２つの弾性体６の各々は、ベース５に対してステージ２を支持している。２つの弾性体６の各々は、ステージ２および複数の可動ガイド３などの重量により自然長よりも縮んだ状態となっており、ステージ２および複数の可動ガイド３などを常に上方に付勢している。ステージ２および複数の可動ガイド３などは、下方へ向かう力を受けた場合に、弾性体６の付勢力に抗ってベース５に近づく方向（下方向）に相対的に移動する。

ステージ２および複数の可動ガイド３などがベース５に対して相対的に移動する場合、バッファ軸２３の外周面２３ｂは、貫通孔５２内に設けられたブッシュ５４の内周面５４ａに対して摺動する。ブッシュカラー５３およびブッシュ５４が設けられていない場合、バッファ軸２３の外周面２３ｂは、貫通孔５２の内周面５２ａに対して摺動してもよい。

なお、バッファ軸２３、可動ガイド３、ガイド支持部４、および弾性体６などの数は任意である。特にトレーＴＲの側壁部付近では、トレーＴＲの側壁部と卵Ｅとの間に可動ガイド３のための十分なスペースが無い場合がある。このような場合であっても卵Ｅを保持することができるように、上述の６本の可動ガイド３のうちトレーＴＲの側壁部付近に設けられる可動ガイドの一部が、揺動しない固定ガイドに置き換えられてもよい。

［ワクチン接種装置および卵リフターの動作］

続いて、本実施の形態におけるワクチン接種装置および卵リフターの動作について説明する。

図７を参照して、トレーＴＲは、複数の卵Ｅの各々の生死判定が終了した後でワクチン接種装置１００の内部に搬送される。次に、図１の状態からベース５の上端が位置ＰＯ１に達する位置まで卵リフター１が上昇される。これにより、トレーＴＲに保持されている卵Ｅは、卵リフター１の複数の可動ガイド３の各々に接触する。

具体的には、図８を参照して、複数の可動ガイド３の各々の接触面３３は、下部３３ａ（第１の部分）と上部３３ｂ（第２の部分）とを含んでいる。上部３３ｂは、下部３３ａよりも上部に存在している。ベース５の上端が位置ＰＯ１に達する位置まで卵リフター１が上昇されると、トレーＴＲに保持されている卵Ｅの鋭端ｅ２付近の部分が、複数の可動ガイド３の各々の接触面３３における下部３３ａと接触する。卵Ｅから受ける力によって、複数の可動ガイド３の各々の可動ガイド本体３２は、付勢部３４から受ける付勢力に抗って押し込まれ、矢印ＡＲ３で示す揺動方向（矢印ＡＲ２（図６）で示す付勢部３４の付勢方向とは反対の方向）に揺動する。可動ガイド本体３２の揺動により、複数の可動ガイド３の各々の接触面３３における上部３３ｂが中心軸ＡＸ側に移動し、上部３３ｂも卵Ｅの表面と接触する。その結果、接触面３３の下部３３ａおよび上部３３ｂの両方で卵Ｅは保持される。

ここで、図８（ａ）に示すように卵Ｅのサイズが小さい場合には、接触面３３における上部３３ｂが卵Ｅの表面と接触するまでに可動ガイド本体３２が揺動する量が大きくなり、可動ガイド本体３２の揺動角度θ１が大きくなる。一方、図８（ｂ）に示すように卵Ｅのサイズが大きい場合には、接触面３３における上部３３ｂが卵Ｅの表面と接触するまでに可動ガイド本体３２が揺動する量が小さくなり、可動ガイド本体３２の揺動角度θ２が小さくなる。このように、卵Ｅのサイズに応じて可動ガイド本体３２の揺動量が変わるため、卵の大きさにかかわらず卵Ｅを安定して保持することができる。

図９を参照して、また、トレーＴＲに保持されている卵Ｅが複数の可動ガイド３の各々に接触すると、卵Ｅの傾きが補正される。複数の可動ガイド３の各々の接触面３３は、下方に向かうに従って中心軸ＡＸに近づく方向に変位する曲面である。このため、傾いた状態で存在していた卵Ｅが接触面３３と接触した場合に、卵Ｅの自重により卵Ｅの表面が接触面３３を滑る。その結果、図９（ａ）、図９（ｂ）、図９（ｃ）、および図９（ｄ）という順序で卵Ｅが回転し、卵Ｅの表面が接触面３３の形状に沿う形状となるように（鈍端ｅ１および鋭端ｅ２を通る卵Ｅの中心線Ｌが中心軸ＡＸと平行になるように）、卵Ｅの傾きが補正される。

図１０を参照して、卵Ｅを保持した状態で、ベース５の上端が位置ＰＯ１を超える位置まで卵リフター１が上昇されると、トレーＴＲに配置された卵Ｅは複数の可動ガイド３によってトレーＴＲから空中に持ち上げられる。弾性体６は、卵Ｅの重量による下向きの力を受けて縮む。バッファ軸２３は、卵Ｅの重量による下向きの力を受けて、弾性体６の付勢力に抗ってベース５に対して相対的に下方に移動する。この時のバッファ軸２３の移動量（図１の状態をゼロとした場合の移動量）は移動量ｓ０であり、わずかである。

図１１を参照して、卵Ｅを保持した状態で、ベース５の上端が位置ＰＯ２に達する位置まで卵リフター１がさらに上昇されると、卵Ｅの鈍端ｅ１付近が保持孔７２に押しつけられる。これにより、卵Ｅは保持孔７２に保持される。ベース５の上端が位置ＰＯ２に到達した状態が、卵リフター１の押しつけ位置に相当する。この時、卵リフター１の上下方向の位置合わせのために、ベース５の上端はトレーＴＲの下面などと接触してもよい。卵Ｅを通じて固定プレート７０から受ける下向きの力を受けて、弾性体６は縮み、バッファ軸２３は弾性体６の付勢力に抗ってベース５に対して相対的に下方に移動する。

図１２を参照して、位置ＰＯ２Ａは位置ＰＯ２よりも下方の位置であるものとし、位置ＰＯ２Ｂは位置ＰＯ２Ａよりも下方の位置であるものとする。

図１２（ａ）に示すように卵Ｅのサイズが小さい場合には、ベース５の上端が位置ＰＯ２から近い位置ＰＯ２Ａに達した時点で卵Ｅは保持孔７２と接触し、その後ベース５の上端が位置ＰＯ２に達するまでの間、バッファ軸２３はベース５に対して相対的に下方に移動する。その結果、バッファ軸２３の移動量は、移動量ｓ１となる。一方、図１２（ｂ）に示すように卵Ｅのサイズが大きい場合には、ベース５の上端が位置ＰＯ２から遠い位置ＰＯ２Ｂに達した時点で卵Ｅは保持孔７２と接触し、その後ベース５の上端が位置ＰＯ２に達するまでの間、バッファ軸２３はベース５に対して相対的に下方に移動する。その結果、バッファ軸２３の移動量は、移動量ｓ２（＞ｓ１）となる。

仮に、バッファ軸２３がベース５に対して移動不可能である場合には、卵Ｅの大きさによって卵Ｅが固定プレート７０から受ける力の大きさが変わる。卵Ｅが大きい場合に卵Ｅに過度の力が加わらないようにするためには、卵Ｅを保持孔７２の押しつける際のベース５の上端の位置を低く（固定プレート７０からより離れた位置に）設定すればよい。しかし、ベース５の上端の位置を低く設定した場合には、卵Ｅが小さい場合に卵Ｅが保持孔７２と接触しない事態が起こり得る。

そこで、上述のようにバッファ軸２３がベース５に対して相対的に移動可能とすることで、卵リフター１の押しつけ位置（卵リフター１の上昇の際のベース５の上端の位置ＰＯ２）を一定にしつつ、卵Ｅが大きい場合に卵Ｅが過度の力を受けて割れる事態を抑止することができる。

図１３を参照して、卵リフター１により卵Ｅを保持孔７２に押しつけた状態で、穿孔部８０は、保持孔７２を通じて穿孔位置まで下降される。穿孔部８０が穿孔位置にある場合、穿孔針８５の下端は卵Ｅの内部に達する。これにより、穿孔針８５は卵Ｅの鈍端ｅ１に穿孔する。本実施の形態によれば、図９を用いて説明したように卵Ｅの傾きは補正されているため、卵Ｅへ穿孔する位置の精度を高めることができる。

図１４を参照して、卵リフター１により卵Ｅを保持孔７２に押しつけた状態で、さらに注入部９０が注入位置まで下降される。注入針９５の下端は、穿孔針８５の内部を経由して卵Ｅの内部まで下降される。注入部９０が注入位置にある場合、注入針９５の下端は卵Ｅの内部に達する。これにより、注入針９５は卵Ｅの内部にワクチンを注入する。

その後、穿孔部８０および注入部９０が初期位置まで上昇され、卵リフター１が初期位置まで下降される。卵リフター１の下降により、ワクチン接種後の卵ＥはトレーＴＲに戻される。以上により、ワクチン接種装置１００による複数の卵Ｅの各々へのワクチン接種が終了する。トレーＴＲは、ワクチン接種装置１００の外部に搬送される。

［実施の形態の効果］

上述の実施の形態によれば、可動ガイド３の接触面３３における下部３３ａが、持ち上げられる前の卵Ｅの表面と接触した場合に、可動ガイド３は、卵Ｅの大きさに応じた距離だけ揺動し、接触面３３における下部３３ａおよび上部３３ｂで卵Ｅの表面を保持する。その結果、卵Ｅの大きさにかかわらず卵Ｅを安定して保持することができる。

また、可動ガイド３の接触面３３は、下方に向かうに従って中心軸ＡＸに近づく方向に変位する曲面であるため、傾いた状態で存在していた卵Ｅが可動ガイド３の接触面３３と接触した場合に、卵Ｅの自重により卵Ｅの表面が接触面３３を滑る。これにより、卵Ｅの表面が接触面３３の形状に沿う形状となるように、卵Ｅの傾きを補正することができる。その結果、卵Ｅを安定して保持することができる。

また、付勢部３４により可動ガイド本体３２を付勢することにより、卵Ｅを保持しない状態の可動ガイド本体３２を上向きに開いた状態で保つことができ、卵Ｅが接触面３３と接触しやすくなる。

また、ステージ本体２１の上面２１ｂと可動ガイド本体３２の下面３２ａとの間に付勢部３４が固定されるので、可動ガイド本体３２を簡易な構成で付勢することができる。

また、弾性体６によりベース５に対してステージ２を支持することで、卵リフター１の押しつけ位置ＰＯ２を一定にしつつ、卵Ｅが大きい場合に卵Ｅが過度の力を受けて割れる事態や、卵Ｅが小さい場合に卵Ｅが保持孔７２と接触しない事態を抑止することができる。

また、バッファ軸２３の外周面２３ｂがブッシュ５４の内周面５４ａに対して摺動するので、ステージ２および可動ガイド３などをベース５に安定的に支持することができる。

また、弾性体６の上端および下端の各々を弾性体用孔２２ａおよび５５の各々に固定することにより、弾性体６の動作を安定させることができる。

さらに、卵リフター１を用いて卵Ｅへのワクチン接種を行うことにより、卵Ｅの表面における適切な位置に穿孔することができ、卵Ｅの内部の適切な位置にワクチンを注入することができる。

［その他］

卵リフターは、卵を持ち上げるためのものであればよく、その用途は任意である。卵リフターは、ワクチン接種の際に用いられる場合の他、生死判定の結果不良と判定された種卵を排除する際や、食用のための卵をパッケージに梱包する際などに使用されてもよい。卵リフターにより持ち上げられる卵は、鶏卵の種卵に限られるものではなく、任意の種類の卵であればよい。

また、バッファ軸２３に関する機構が省略され、卵Ｅの大きさに応じて卵リフター１の位置が調整されてもよい。

上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

１ 卵リフター（卵リフターの一例）
２ ステージ（ステージの一例）
３ 可動ガイド（可動ガイドの一例）
４ ガイド支持部（ガイド支持部の一例）
５ ベース（ベースの一例）
６ 弾性体（弾性体の一例）
２１，２２ ステージのステージ本体（ステージ本体の一例）
２１ａ，２１ｂ ステージ本体の上面
２２ａ ステージ本体の弾性体用孔（第１の弾性体用孔の一例）
２２ｂ ステージ本体のバッファ軸用孔
２３ ステージのバッファ軸
２３ａ バッファ軸のフランジ部
２３ｂ バッファ軸の外周面
３１ 可動ガイドの揺動軸
３２ 可動ガイドの可動ガイド本体（可動ガイド本体の一例）
３２ａ 可動ガイド本体の下面
３３ 可動ガイドの接触面（接触面の一例）
３３ａ 接触面の下部（第１の部分の一例）
３３ｂ 接触面の上部（第２の部分の一例）
３４ 可動ガイドの付勢部（付勢部の一例）
４１ ガイド支持部の支持部
４２ ガイド支持部の下部
５１ ベースのベース本体（ベース本体の一例）
５１ａ，５１ｂ ベース本体の上面
５２ ベースの貫通孔（貫通孔の一例）
５２ａ 貫通孔の内周面
５３ ベースのブッシュカラー
５４ ベースのブッシュ
５４ａ ブッシュの内周面
５５ ベースの弾性体用孔（第２の弾性体用孔の一例）
５６ スクレーパ
６１，６２，６３，６４ ボルト
７０ 固定プレート（固定プレートの一例）
７１ プレート本体
７２，８２，９２ 保持孔（保持孔の一例）
８０ 穿孔部
８１，９１ 移動部材
８３，９３ 固定部
８４，９４ 被覆部
８５ 穿孔針（穿孔針の一例）
９０ 注入部
９５ 注入針（注入針の一例）
１００ ワクチン接種装置（ワクチン接種装置の一例）
ＡＸ 中心軸
Ｅ 卵
Ｌ 卵の中心線
ＳＴ トレーにおける複数の卵の各々を保持する場所
ＴＲ トレー
ｅ１ 卵の鈍端
ｅ２ 卵の鋭端
ｈｋ トレーの爪
ｐ トレーの通過孔

Claims (7)

1. 卵を持ち上げるための卵リフターであって、
   ステージと、
   前記ステージに設けられ、上下方向に延在する仮想の中心軸の周囲を囲む複数の可動ガイドの各々とを備え、
   前記複数の可動ガイドの各々は、
   揺動軸を中心として揺動可能である可動ガイド本体と、
   前記可動ガイド本体に形成された接触面であって、下方に向かうに従って前記中心軸に近づく方向に変位する曲面である接触面とを含み、
   前記複数の可動ガイドの各々の前記接触面における第１の部分が、持ち上げられる前の前記卵の表面と接触した場合に、前記複数の可動ガイドの各々の前記可動ガイド本体は前記卵から受ける力によって一の揺動方向に揺動し、前記複数の可動ガイドの各々の前記接触面における前記第１の部分よりも上部に存在する第２の部分も前記卵の表面と接触する、卵リフター。
2. 前記複数の可動ガイドの各々の前記可動ガイド本体を前記一の揺動方向とは反対の揺動方向に付勢する付勢部と、
   前記ステージに固定され、前記複数の可動ガイドの各々の前記揺動軸を支持するガイド支持部とをさらに備えた、請求項１に記載の卵リフター。
3. 前記付勢部は、前記ステージの上面と前記複数の可動ガイドの各々の前記可動ガイド本体の下面との間に固定される、請求項２に記載の卵リフター。
4. 前記卵を持ち上げる際に上昇されるベースと、
   前記ベースに対して前記ステージを支持する弾性体とをさらに備えた、請求項１～３のいずれかに記載の卵リフター。
5. 前記ステージは、
   前記複数の可動ガイドの各々が設けられたステージ本体と、
   前記ステージ本体から下方に突出したバッファ軸とを含み、
   前記ベースは、
   ベース本体と、
   前記ベース本体に形成された貫通孔とを含み、
   前記バッファ軸の外周面は、前記貫通孔内に設けられた支持部材の内周面に対して摺動する、請求項４に記載の卵リフター。
6. 前記ステージは、前記ステージ本体に形成され、前記弾性体の上端を固定する第１の弾性体用孔を含み、
   前記ベースは、前記ベース本体に形成され、前記弾性体の下端を固定する第２の弾性体用孔を含む、請求項５に記載の卵リフター。
7. 保持孔を含む固定プレートと、
   卵を持ち上げて前記保持孔に対して押しつける請求項１～６のいずれかに記載の卵リフターと、
   前記保持孔を通じて下降され、前記保持孔に対して押しつけられた前記卵に穿孔する穿孔針と、
   前記穿孔針によって形成された孔を通じて前記卵の内部にワクチンを注入する注入針とを備えた、ワクチン接種装置。

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