JP2022115242A - 測色装置 - Google Patents

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【課題】測色結果は、経時的要因に加え、その他の要因によっても誤差が生じる。従来の画像形成装置では経時的要因の一つである印刷枚数に着目してキャリブレーションを行うのみであり、その他の要因については考慮されていない。【解決手段】測色装置は、測定対象から届く光を装置内部に取り入れる為の開口部と、開口部を覆う閉塞位置と開口部を開放する開放位置との間で変位可能なユニットであって、開口部に面する位置に反射率の基準とする反射基準面を有するシャッターユニットと、反射基準面を利用して反射基準値を取得する基準値取得処理を実行可能な制御部と、を備え、装置内部に、温度を検出する温度検出部が設けられ、制御部は、基準値取得処理を実行した際に基準温度を取得し、基準温度に対する温度変化が閾値を超えた場合、アラートを発する。【選択図】図22

Description

本発明は、測定対象から届く光をもとに測色する測色装置に関する。
従来から、測定対象から届く光をもとに測色する測色装置が知られており、この様な測色装置では特許文献1に示される様に所定の条件を満たした場合にキャリブレーションが行われる様に構成されている。
特許文献1記載の画像形成装置は、ジョブを印刷する際に印刷枚数をカウントし、印刷枚数と予め定めた閾値とを比較することによって自動キャリブレーションサイクルに到達したかをチェックする。自動キャリブレーションサイクルに到達した場合は、キャリブレーション用のカラーチャートの画像を形成し、そのカラーチャートの画像を測色部であるインラインセンサで測色し、測色結果をプリンタプロファイルにフィードバックして色調整を行う。
特開2016-107415号公報
測色結果は、経時的要因に加えその他の要因によっても誤差が生じる。特許文献1記載の画像形成装置では、経時的要因の一つである印刷枚数に着目してキャリブレーションを行うのみであり、その他の要因については考慮されていない。
上記課題を解決する為の、本発明の測色装置は、装置の底面に配置された開口部形成部材に形成され、測定対象から届く光を装置内部に取り入れる為の開口部と、測定用の光を前記測定対象に向けて発する発光部と、前記開口部を通って入射した光を処理する入射光処理部と、前記開口部を覆う閉塞位置と前記開口部を開放する開放位置との間で変位可能なユニットであって、前記開口部に面する位置に反射率の基準とする反射基準面を有するシャッターユニットと、前記反射基準面を利用して反射基準値を取得する基準値取得処理を実行可能な制御部と、を備え、装置内部に、温度を検出する温度検出部が設けられ、前記制御部は、前記基準値取得処理を実行した際に基準温度を取得し、前記基準温度に対する温度変化が閾値を超えた場合、アラートを発することを特徴とする。
測色装置の機能を示すブロック図。 光学フィルターデバイスの断面図。 測色装置を上方から見た斜視図。 測色装置の下方から見た斜視図。 測色装置を上方から見た平面図。 測色装置を下方から見た平面図。 本体アセンブリの斜視図。 各回路基板とバッテリーの配置を上方から示す斜視図。 各回路基板とバッテリーの配置を下方から示す斜視図。 上の図はパネル基板の上面を示す斜視図、下の図はパネル基板の下面を示す斜視図。 上の図はバッテリー制御基板の上面を示す斜視図、下の図はバッテリー制御基板の下面を示す斜視図。 上の図は受光部基板の上面を示す斜視図、下の図は受光部基板の下面を示す斜視図。 上の図は発光部基板の上面を示す斜視図、下の図は発光部基板の下面を示す斜視図。 図5におけるA-A断面図。 図5におけるB-B断面図。 測色装置を上方から見た平面図。 測色装置を上方から見た平面図。 測色装置を上方から見た平面図。 測色装置を上方から見た平面図。 シャッターユニットの部分拡大斜視図。 反射基準値を取得する際の処理の流れを示すフローチャート。 測色を実行する際の処理の流れを示すフローチャート。
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る測色装置は、装置の底面に配置された開口部形成部材に形成され、測定対象から届く光を装置内部に取り入れる為の開口部と、測定用の光を前記測定対象に向けて発する発光部と、前記開口部を通って入射した光を処理する入射光処理部と、前記開口部を覆う閉塞位置と前記開口部を開放する開放位置との間で変位可能なユニットであって、前記開口部に面する位置に反射率の基準とする反射基準面を有するシャッターユニットと、前記反射基準面を利用して反射基準値を取得する基準値取得処理を実行可能な制御部と、を備え、装置内部に、温度を検出する温度検出部が設けられ、前記制御部は、前記基準値取得処理を実行した際に基準温度を取得し、前記基準温度に対する温度変化が閾値を超えた場合、アラートを発することを特徴とする。
測色装置における測色結果は装置内部の温度変化に左右され、装置内部における温度変化が大きくなると測定誤差も大きくなる。本態様において前記制御部は、前記基準値取得処理を実行した際に基準温度を取得し、前記基準温度に対する温度変化が閾値を超えた場合、アラートを発するので、装置内部における温度変化に起因する測定誤差を抑制することができる。
第2の態様は、第1の態様において、前記制御部は、前記基準温度に対する温度変化が前記閾値以下である場合、温度変化に伴う測定結果のずれを補正する為の補正値を用いて前記測定結果を補正し、前記基準温度に対する温度変化が前記閾値を超えた場合、アラートを発することを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、前記基準温度に対する温度変化が前記閾値以下である場合、温度変化に伴う測定結果のずれを補正する為の補正値を用いて前記測定結果を補正するので、前記基準温度に対する温度変化が少ない場合に前記基準値取得処理を行うことなく適切な測色結果を得ることができ、ユーザーの利便性が向上する。
第3の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記温度検出部は、前記発光部の配置位置に設けられることを特徴とする。
温度変化に伴い生じる測定誤差は、温度変化に起因した、前記発光部から発せられる測定光の強度変化に依存する。本態様によれば、前記温度検出部は、前記発光部の配置位置に設けられるので、測定結果を適切に補正できる。
第4の態様は、第3の態様において、前記温度検出部を第1温度検出部として、更に温度を検出する第2温度検出部を前記入射光処理部に備え、前記制御部は、前記基準温度及び前記基準温度に対する温度変化を前記第1温度検出部により取得し、前記第2温度検出部により取得した温度を、前記入射光処理部の制御に用いることを特徴とする。
本態様によれば、前記第2温度検出部を更に備え、前記第2温度検出部により取得した温度を、前記入射光処理部の制御に用いるので、前記入射光処理部における温度変化に伴う測定誤差を抑制できる。
第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記制御部は、前記基準値取得処理を実行してからの経過時間が規定時間を超えた場合、アラートを発することを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、前記基準値取得処理を実行してからの経過時間が規定時間を超えた場合、アラートを発するので、時間経過に起因する測定誤差を抑制することができる。
第6の態様は、第1から第5の態様のいずれかにおいて、各種表示を行う表示部を備え、前記アラートには、前記表示部に対し、前記反射基準面を利用した前記反射基準値の取得操作を案内する表示が含まれることを特徴とする。
本態様によれば、各種表示を行う表示部を備え、前記アラートには、前記表示部に対し、前記反射基準面を利用した前記反射基準値の取得操作を案内する表示が含まれるので、ユーザーが前記アラートの内容を容易に把握することができる。
第7の態様は、第6の態様において、前記制御部は、装置の電源をオンする指令を受けた際、前記反射基準面を利用した前記反射基準値の取得操作を案内する表示を前記表示部に表示させることを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、装置の電源をオンする指令を受けた際、前記反射基準面を利用した前記反射基準値の取得操作を案内する表示を前記表示部に表示させるので、時間経過に起因する測定誤差を抑制することができる。
第8の態様は、第1から第7の態様のいずれかにおいて、前記制御部は、前記アラートを発した後、前記基準値取得処理を行うまで測色を制限することを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、前記アラートを発した後、前記基準値取得処理を行うまで測色を制限するので、温度変化に起因する測定誤差を確実に抑制することができる。
第9の態様は、第1から第8の態様のいずれかにおいて、前記シャッターユニットの位置を検出する為の位置検出手段を備え、前記制御部は、前記基準値取得処理を実行する場合、前記シャッターユニットが前記閉塞位置にあれば前記反射基準値を取得し、前記シャッターユニットが前記開放位置にあれば前記反射基準値の取得を保留することを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、前記基準値取得処理を実行する場合、前記シャッターユニットが前記閉塞位置にあれば前記反射基準値を取得し、前記シャッターユニットが前記開放位置にあれば前記反射基準値の取得を保留するので、前記反射基準値を適切に取得することができる。
第10の態様は、第1から第9の態様のいずれかにおいて、前記入射光処理部は、入射した光のうちの所定波長成分を透過させる波長可変型の光学フィルターと、前記光学フィルターを透過した光を受ける受光部とを備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記入射光処理部が、入射した光のうちの所定波長成分を透過させる波長可変型の光学フィルターと、前記光学フィルターを透過した光を受ける受光部とを備える構成において、上述した第1から第8の態様のいずれかの作用効果が得られる。
第11の態様は、第10の態様において、前記光学フィルターは、ファブリペローエタロンであることを特徴とする。
本態様によれば、前記光学フィルターが、ファブリペローエタロンである構成において、上述した第9の態様の作用効果が得られる。
以下、本発明を具体的に説明する。
尚、各図に示すX-Y-Z座標系は直交座標系であり、X-Y平面が水平面であり、Y-Z平面が垂直面となる。
またZ軸方向は鉛直方向であって、測色装置1の上面50e及び底面50fに対して交差する第1方向の一例である。またY軸方向は第1方向即ち鉛直方向と直交する方向であって測色装置1を鉛直方向から見て長手方向となる第2方向の一例である。またX軸方向はY軸方向と直交する方向であって測色装置1を鉛直方向から見て短手方向となる第3方向の一例である。
本明細書において測色装置1の構成は、底面50fが水平面に平行な載置面に載置され、且つ、測色装置1の長手方向がY軸方向に沿うものとして説明する。
[測色装置1の全体構成]
先ず、図1及び図2を参照して本実施形態に係る測色装置1の全体構成について説明する。
測色装置1は、測定対象200から届く光をもとに測色する為の構成を備える。測定対象200から届く光としては、測定対象200で反射する光や、測定対象200が自ら発する光が挙げられる。
測色装置1は、バンドパスフィルター7、光学フィルターデバイス3、受光部4、静電容量検出部6、発光部9、MCU(Micro Controller Unit)10、有線IF(Interface)12、無線通信部13、操作部14、表示部15、バッテリー制御部16、及びバッテリー17を備えている。
尚、バンドパスフィルター7、光学フィルターデバイス3、及び受光部4は、測定対象200から届いて入射した光を処理する入射光処理部2を構成する。
バンドパスフィルター7は、測定対象200から届いて入射した光のうち、可視光域、例えば380nm~720nmの光を透過させ、紫外光域及び赤外光域の光をカットする。これにより、光学フィルターデバイス3には可視光域の光が入射する。尚、測定対象200からバンドパスフィルター7に届く光は、後述する開口部21a及び測定用窓部87a(図14参照)を介してバンドパスフィルター7に到達する。
光学フィルターデバイス3は、バンドパスフィルター7を通った可視光から、任意の波長成分を選択的に透過させる。光学フィルターデバイス3を透過した光は、受光素子の一例であるフォトダイオード4a(図14参照)に入射し、フォトダイオード4aを備える受光部4で処理される。受光部4は、受光した光の強度を電圧値に変換し、更にその電圧値をデジタル信号に変換してMCU10に出力する。測色装置1は、光学フィルターデバイス3による波長選択と受光部4を用いた受光強度の取得とを繰り返し行うことで、測定対象200のスペクトルを測定することができる。
ここで図2を参照して光学フィルターデバイス3の構成について説明する。本実施形態において光学フィルターデバイス3は、測定対象200から届いて入射した光のうち所定波長成分を透過させる波長可変型のファブリペローエタロンであり、二つの対向する反射面の多重干渉を利用した波長フィルターである。
図2において光学フィルターデバイス3は波長可変干渉フィルター45を備え、波長可変干渉フィルター45は、第1ガラス部材30と第2ガラス部材31とケース32とによって構成される外装の内部に内蔵されている。
ケース32と第1ガラス部材30、ケース32と第2ガラス部材31は、それぞれ低融点ガラスやエポキシ樹脂等の接合部材33により接合されている。また、波長可変干渉フィルター45とケース32は、接着剤等の固定材34によって固定される。ケース32外面の電極36と波長可変干渉フィルター45とは、ワイヤーボンディング35とケース32内の配線とによって導通がとられている。
波長可変干渉フィルター45は、ベース基板37とダイアフラム基板38とを備えている。ベース基板37とダイアフラム基板38とは、接合膜43によって接合されている。ベース基板37とダイアフラム基板38には、ミラー39がそれぞれに成膜されている。対面するミラー39は、最表面が導体で形成されている。そして対面するミラー39の間の静電容量は、静電容量検出部6(図1参照)によって検出される。静電容量検出部6は、CV(Capacitance to Voltage)コンバーターで構成され、検出した静電容量を電圧値に変換し更にデジタル値に変換してMCU10に送信する。
対面するミラー39の間の距離は、Z軸方向から見て同心円状に形成される固定電極40と可動電極41とが対面することで構成される静電アクチュエーターによって制御される。
対面する固定電極40と可動電極41との間に電圧が印加された場合、静電力によって固定電極40と可動電極41とが引き合う力が発生する。この時、同心円状に形成されるダイアフラム部42が変形する事で、ダイアフラム基板38のミラー39がベース基板37側に引き寄せられ、対面するミラー39の間の距離が制御される。そして、対面するミラー39の間の距離に対応して波長可変干渉フィルター45を透過する光の波長が選択される。
分光測定時には、光軸CLに沿って第2ガラス部材31側から第1ガラス部材30側へ、光学フィルターデバイス3に測定対象200からの光が入射する。尚、光軸CLはZ軸方向に平行であって、開口部21a(図14参照)、測定用窓部87a(図14参照)、波長可変干渉フィルター45、及びフォトダイオード4a(図14参照)の中心を通る線となる。特に開口部21a、測定用窓部87a、及び波長可変干渉フィルター45(図2参照)は、Z軸方向から見て真円形状を成し、光軸CLはそれらの中心を通る。尚、光軸CLは、以下において中心位置CLと称する場合もある。
そして、光学フィルターデバイス3に入射した光は、対面するミラー39の間で干渉し、対面するミラー39の間の距離に対応して選択された波長の光が、波長可変干渉フィルター45を透過する。波長可変干渉フィルター45を透過した光は、第1ガラス部材30を透過し、受光部4に向かう。
尚、対面するミラー39の間の距離は温度変化に伴い変化する為、光学フィルターデバイス3の近傍には温度を検出する為の第2サーミスタ19(図12、図1参照)が設けられている。第2サーミスタ19は第2温度検出部の一例である。第2サーミスタ19により検出された温度に基づき、対面するミラー39の間の距離が補正される。即ち第2サーミスタ19により検出された温度は、入射光処理部2を構成する光学フィルターデバイス3の制御に利用される。
以上が光学フィルターデバイス3の構成である。
図1に戻り、測色装置1の各種制御を行う制御部の一例であるMCU10はマイクロプロセッサをベースとした制御装置であり、測色装置1の制御に必要な各種プログラムや各種データが格納されたメモリを内蔵している。
MCU10は、図2を参照して説明した、固定電極40と可動電極41とが対面することで構成される静電アクチュエーターの駆動に必要な制御情報を不図示のアンプに送り、このアンプから所定の駆動電圧を光学フィルターデバイス3に供給する。そしてMPU10は、静電容量検出部6から出力された電圧値に係わる情報を、記憶されている値と比較し、それに基づいて光学フィルターデバイス3をフィードバック制御する。
発光部9は測定対象200に向けて測定用の光を発する。発光部9は、発光する波長分布の異なる複数の発光素子、具体的には複数のLEDで構成される。MCU10は、発光部9の点灯と消灯を制御する。
有線IF12と無線通信部13は外部機器と通信を行う為の構成要素であり、有線IF12を介して通信する為の規格には、一例としてUSB(Universal Serial Bus)を採用することができる。また無線通信部13の規格には、一例としてBluetoothを採用することができる。USBとBluetoothは登録商標である。MCU10は、有線IF12或いは無線通信部13を介して外部機器に各種データを送出し、また外部機器から各種データを受信する。また測色装置1は、有線IF12を介して外部機器から電力の供給を受けることでバッテリー17を充電することができる。
操作部14は電源ボタンや各種操作設定ボタンで構成され、操作に応じた信号をMCU10に送出する。操作部14については、後に更に説明する。
表示部15は一例として液晶パネルで構成され、MCU10から送出される信号に基づき測色条件を設定する為のユーザインタフェースや測色結果等の各種情報を表示する。
MCU10に検出信号を送出するシャッターセンサー128は、後述するシャッターユニット110の位置を検出する為の位置検出手段の一例であり、本実施形態では磁気の強度によって検出信号を変化させる磁気センサーにより構成される。シャッターセンサー128は後述する発光部基板85の下面に設けられており、シャッターユニット110に設けられた磁石127(図20参照)との距離に基づく磁力の変化に応じた信号をMCU10に送出する。MCU10はシャッターセンサー128から受信する信号をもとに、シャッターユニット110が閉塞位置にあるか開放位置にあるかを検知できる。
バッテリー17は、本実施形態ではリチウムイオン二次電池であり、測色装置1において電力を必要とする各構成部位に電力を供給する。バッテリー17から電力の供給を受ける構成部位には、後述する入射光処理部2が含まれる。バッテリー制御部16は、バッテリー17の充電制御等の各種制御を行う。
[測色装置1の外観構成]
次に、図3、図4、図5、及び図6を参照して測色装置1の外観構成について説明する。
測色装置1の装置本体50は、主筐体51、上部筐体52、及び底部筐体53によって外郭が全体として箱状を成す様に構成されている。主筐体51、上部筐体52、及び底部筐体53は、本実施形態では樹脂材料で形成される。
各図において符号50aは装置本体50の+Y方向の側面を示しており、以下ではこれを前面50aと称する。また符号50b(図6参照)は装置本体50の+X方向の側面を示しており、以下ではこれは右側面50bと称する。また符号50cは装置本体50の-X方向の側面を示しており、以下ではこれを左側面50cと称する。また符号50dは装置本体50の-Y方向の側面を示しており、以下ではこれを後面50dと称する。
尚、本明細書において「上」、「下」、「左」、「右」の各用語は、測色装置1の使用者が図16に示す様に測色装置1を把持して使用する際の、使用者から見た方向に基づいて用いるものとする。
図3~図6において前面50aは主筐体51の前方壁部51aにより形成され、右側面50bは主筐体51の右壁部51bにより形成され、左側面50cは主筐体51の左壁部51cにより形成され、後面50dは主筐体51の後方壁部51dにより形成される。
また符号50eは装置本体50の+Z方向の面を示しており、以下ではこれを上面50eと称する。また符号50fは装置本体50の-Z方向の面を示しており、以下ではこれを底面50fと称する。
装置本体50の上面50eには操作部14と表示部15とがY軸方向に沿って配置されている。
操作部14は、電源ボタン55と、決定ボタン54と、戻るボタン56と、十字ボタン60とを備えて構成されている。十字ボタン60は、上ボタン61、下ボタン62、左ボタン63、及び右ボタン64で構成されている。本実施形態に係る測色装置1は、全ての操作ボタンが上面50eに配置され、且つ、操作部14に集約されている。
電源ボタン55は測色装置1の電源をオンオフする為のボタンである。また決定ボタン54は、表示部15に表示された各種設定を決定する為のボタン、つまり測色条件を決定する為のボタンであり、また測色や後述する反射基準値の取得を実行する為のボタンでもある。決定ボタン54は、Z軸方向から見て真円形状を成す。
決定ボタン54の周囲はリング状の発光部59として構成されており、装置の状態に応じて発光色や発光状態が変化する。
戻るボタン56は、表示部15に表示されたユーザインタフェースにおいて一つ前の状態に戻る為のボタンであり、また操作の実行をキャンセルする為のボタンでもある。
十字ボタン60は、表示部15に表示されたユーザインタフェースにおいて各種項目を選択する為のボタンである。上ボタン61の表面には、Y軸方向に平行な垂直ライン58aが付され、下ボタン62の表面には、Y軸方向に平行な垂直ライン58bが付されている。垂直ライン58a、58bは、Y軸方向に延長した場合に中心位置CLを通る位置にある。
また左ボタン63の表面には、X軸方向に平行な水平ライン58cが付され、右ボタン64の表面には、X軸方向に平行な水平ライン58dが付されている。水平ライン58c、58dは、X軸方向に延長した場合に中心位置CLを通る位置にある。
表示部15には測色結果等の各種情報が表示される。表示部15は、本実施形態では液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)67により構成される(図8も参照)。以下、液晶ディスプレイ67はLCD67と略称する。LCD67の上部には透明部材である表示部カバー57が設けられ、この表示部カバー57によって上面50eの一部が形成される。
本実施形態では、図14にも示す様に表示部カバー57の上面と操作部14の上面との間に段差が殆ど生じない様に構成されており、これにより上面50eは全体的に段差が殆どない平坦面として構成されている。但し決定ボタン54の上面は、図14に示す様に僅かに窪んでおり、決定ボタン54を押下するユーザーの指の腹に馴染む形状として形成されている。
図14に示す様に測色装置1は、Z軸方向から見て開口部21aと操作部14とが重なる部位を有する。これにより、ユーザーが開口部21aを測定対象200(図1参照)の測定部位に位置合わせする際に、操作部14の位置をもとにして位置合わせすることができ、即ち簡易な構成で開口部21aを測定部位に位置合わせすることができる。
特に測色装置1はハンディタイプとして構成されており、図16に示す様にユーザーが指先Fsで操作部14を操作する際に、指先Faの位置と開口部21aの位置とが近くなるので、開口部21aの位置が直感的に判り易くなる。
また特に本実施形態では、Z軸方向から見て、開口部21aの中心位置と、決定ボタン54の中心位置とが一致している。
このことにより、より正確に、開口部21aを測定部位に位置合わせすることができる。
また決定ボタン54はZ軸方向から見て円形状を成し、決定ボタン54の周囲には、各種項目を選択する為の十字ボタン60が配置されている。そして十字ボタン60には、決定ボタン54の中心位置から外側に放射する様に目印ラインが設けられている。この目印ラインは、垂直ライン58a、58bと、水平ライン58c、58dとで構成される。
このことにより装置の上面50eを見た際に、開口部21aの中心位置を把握し易くなる。
また操作部14は、電源ボタン55及び測定に係わる全てのボタンを上面50eに備えて構成される。このことにより、電源ボタン55及び測定に係わる全てのボタンを容易に視認することができ、装置の操作を容易に行うことができる。
また操作部14を含む上面50eが、平坦状に形成されている。これにより、上面50eを下にして載置した場合でも、安定して載置することができる。
次に測色装置1の底面50fには図4、図6に示す様にシャッターユニット110が設けられている。図4はシャッターユニット110が閉塞位置にある状態を、図6はシャッターユニット110が開放位置にある状態を、それぞれ示している。シャッターユニット110はY軸方向に沿ってスライドすることで閉塞位置と開放位置との間を変位することができる。またシャッターユニット110は、不図示のばねのばね力によって閉塞位置及び開放位置を保持できる様に設けられている。
シャッターユニット110は、シャッター保持部材111とリンク部材113とを備えて構成されている。シャッター保持部材111は、表面に複数のリブ111aを備えている。ユーザーは、指の腹をリブ111aに掛けることで、シャッターユニット110をY軸方向にスライドさせることができる。
シャッターユニット110を開くことにより、図6に示す様に開口部21a及び測定用窓部87aが露呈する。開口部21a及び測定用窓部87aは、装置の底面50fにおいて開口する。尚、ここでの開口とは光を取り入れる意味であり、例えば透明なガラス板が設けられていても良い意味である。
図14にも示す様に開口部21aは開口部形成部材21に形成され、測定用窓部87aは開口部形成部材21に対し+Z方向に位置する集光部材87に形成されている。発光部9から発せられる測定光は、図14において開口部21aの内側で示す矢印の様に集光部材87と開口部形成部材21との間を通り、開口部21aから測定対象200に向けて放出される。そして測定対象200から届く光は、開口部21aから装置内部に取り入れられ、更に測定用窓部87aを通って入射光処理部2へと入射する。
尚、図5及び図6に示す様に中心位置CLは開口部21a及び測定用窓部87aの中心位置に一致する。また直線VCLはY軸方向に平行な直線であって、Z軸方向から見て中心位置CLを通る直線である。また直線HCLはX軸方向にY軸方向に平行な直線であって、Z軸方向から見て中心位置CLを通る直線である。
本実施形態において中心位置CLは、X-Y平面における決定ボタン54の中心位置に一致し、また十字ボタン60の中心位置にも一致する。
電源ボタン55及び戻るボタン56は、図5に示す様に直線VCLに対して左右対称に配置されている。
次に、図3に示す様に装置本体50の前面50aには、有線IF12が設けられている。また図4に示す様に装置本体50の後面50dには開口50mが形成され、開口50mの奥にはリセットスイッチ71(図9、図14参照)が設けられている。リセットスイッチ71は、測色装置1の各種設定を初期状態に戻す為のスイッチである。
また開口50mに対し-Z方向の位置には、2つの開口50nが形成されており、この2つの開口50nにストラップ(不図示)を通してユーザーが測色装置1を容易に持ち運べる様に構成されている。
図3、図4、図15に示す様に、装置本体50の右側面50bと左側面50cには、把持部50gが形成されている。把持部50gは、主筐体51の右壁部51bと左壁部51cのそれぞれに形成された凹部51gによって構成されている。凹部51gは、-Z方向に向かうに従って装置本体50のX軸方向における中心に向かう曲面によって形成されている。
把持部50gが設けられていることにより、ユーザーが装置本体50を容易に且つ確実に把持することができる。
[測色装置1の基板構成]
続いて測色装置1の基板構成について説明する。
図7に示す本体アセンブリ1aは、主筐体51の内部に設けられるアセンブリ体であって、複数のフレームの組立体であるフレームアセンブリ100に、複数の回路基板等が組付けられて構成されている。
複数の回路基板は、図7、図8、図9に示す様にパネル基板65、バッテリー制御基板70、受光部基板80、及び発光部基板85によって構成される。これら複数の回路基板は、Z軸方向に沿って間隔を空けて重畳する様にして設けられる。Z軸方向においてパネル基板65とバッテリー制御基板70との間には、バッテリー17が配置される。
以下、各回路基板の構成について図10~図13及び適宜他の図をも参照して説明する。尚、以下では各回路基板の+Z方向の面を「上面」と称し、-Z方向の面を「下面」と称する場合がある。また、図10~図13では、基板上に設けられる電子部品の一部について図示を省略している。
パネル基板65は、図10の上の図で示す様に上面にLCD接続部66を備えている。尚、LCD67は、図14に示す様にケーブル67aによってLCD接続部66と接続される。
図10の上の図においてパネル基板65の上面には、上述した操作部14を構成する各操作ボタンに対応する位置に、各操作ボタンの押下を検出する為の接点が設けられている。符号54aは、決定ボタン54に対応する位置に設けられた接点を示している。符号54aは、決定ボタン54に対応する位置に設けられた接点を示している。符号61a、62a、63a、64aは、それぞれ上ボタン61、下ボタン62、左ボタン63、右ボタン64(図1等参照)に対応する位置に設けられた接点である。また符号55a、56aは、それぞれ電源ボタン55、戻るボタン56に対応する位置に設けられた接点である。
図10の下の図に示す様に、パネル基板65の下面には、第1基板接続コネクタ68が設けられている。第1基板接続コネクタ68と、図12の下の図で示す第4基板接続コネクタ83とが、図9に示す様にFFC(Flexible Flat Cable)90で接続されることにより、パネル基板65と後述する受光部基板80とが接続される。
また図10の下の図に示す様に、パネル基板65の下面には、通信モジュールである無線通信部13が設けられている。
続いて図11を参照してバッテリー制御基板70について説明する。バッテリー制御基板70は、バッテリー制御部16(図1参照)の機能を実現する。バッテリー制御基板70は、図11の上の図で示す様に上面にリセットスイッチ71、有線IF12、第1バッテリーコネクタ72、及び第2バッテリーコネクタ73を備えている。バッテリー制御基板70の上面には、図11では図示を省略するバッテリー制御回路が設けられている。
第1バッテリーコネクタ72は、図8に示す様に第1バッテリーケーブル92によりバッテリー17と接続され、第2バッテリーコネクタ73は、図8に示す様に第2バッテリーケーブル93によりバッテリー17と接続される。
バッテリー制御基板70は、図11の下の図で示す様に第2基板接続コネクタ74を備えている。第2基板接続コネクタ74と、図12の上の図で示す第3基板接続コネクタ82とが嵌合することにより、バッテリー制御基板70と受光部基板80とが接続される。これによりバッテリー17の電力が、受光部基板80を介して各回路基板へと供給される。
尚、バッテリー17は、図14、図1に示す様に内部に第3サーミスタ18を備えている。MCU10は、第3サーミスタ18により取得したバッテリー17の内部温度が予め定められた許容温度を超えると、バッテリー17から各構成部位への電力供給をカットする。
続いて図12を参照して受光部基板80について説明する。受光部基板80は、上面にPD(Photo
Diode)基板5を備え、また上述した第3基板接続コネクタ82を備えている。PD基板5は、上面に上述した第2サーミスタ19を備え、また図14に示す様に下面にフォトダイオード4aを備えている。PD基板5は、受光部4(図1参照)を構成する回路基板である。つまりPD基板5は、入射した光を処理する入射光処理部2(図1参照)を構成する。
受光部基板80は、下面に光学フィルターデバイス3、第4基板接続コネクタ83、及び第5基板接続コネクタ84を備えている。第5基板接続コネクタ84と、図13の下の図で示す第6基板接続コネクタ88とが、図9に示す様に接続ケーブル91で接続されることにより、受光部基板80と後述する発光部基板85とが接続される。
尚、受光部基板80には、図11では図示を省略する電子部品が設けられる。図11において図示を省略する電子部品には、MCU10(図1参照)、静電容量検出部6(図1参照)を構成するCVコンバーター、バッテリー17の電圧を変換するDC/DCコンバーター、このDC/DCコンバーターからの出力をMCU10の制御のもと調整して光学フィルターデバイス3に供給するアンプなどが含まれる。
尚、図11に示す様に受光部基板80に設けられたPD基板5と光学フィルターデバイス3を囲う様に遮蔽シート29が設けられる(図7も参照)。これにより、PD基板5や光学フィルターデバイス3への外光の入り込みが抑制されている。
続いて図13を参照して発光部基板85について説明する。発光部基板85は、上面と下面との間に亘って集光部材87を備えている。集光部材87には、上述した測定用窓部87aが形成されている。
発光部基板85の下面には、図13の下の図に示す様に第6基板接続コネクタ88が設けられ、また集光部材87の周囲に複数の発光素子86が設けられている。複数の発光素子86は、発光する波長分布の異なる発光素子で構成される。本実施形態において発光素子86は9個設けられ、3個の発光素子86毎に、第1温度検出部の一例である第1サーミスタ20が設けられている。MCU10(図1参照)は、3つの第1サーミスタ20から取得した温度を平均化し、発光素子86の配置位置における温度として取得する。
尚、発光素子86の周囲には遮光部材89が設けられ、遮光部材89によって発光素子86から発せられる測定光の漏洩が抑制される。
以上の様に各基板が、図8に示す様にZ軸方向において装置本体50の底面50fから上面50eに向かって順に、発光部基板85、受光部基板80、バッテリー制御基板70、バッテリー17、及びパネル基板65が重畳する様に配置されている。
この様な構成により、Z軸方向と交差する方向であるX軸方向及びY軸方向つまり水平方向の装置寸法を抑制できる。
尚、バッテリー制御基板70を設けずに、バッテリー制御基板70に搭載される電子部品を適宜パネル基板65や受光部基板80に配置しても良い。
またZ軸方向に沿って重畳する様に設ける構成は、発光部基板85、受光部基板80、バッテリー制御基板70、バッテリー17、及びパネル基板65のうちの任意の2つ、或いは3つ以上の組み合わせであっても良い。
またバッテリー17は、装置の長手方向となるY軸方向に延びる形状を成し、図14に示す様にバッテリー17の+Y方向の端部である第1端部17aが、主筐体51の、前方内壁面51eと対向している。またバッテリー17の-Y方向の端部である第2端部17bが、主筐体51の、後方内壁面51fと対向している。つまりバッテリー17のY軸方向の両端部が、主筐体51の、Y軸方向の側壁内面と対向している。
このことにより、Y軸方向においてバッテリー17が偏って配置される構成に比して装置本体50のY軸方向の重量バランスに優れ、装置のハンドリング性が向上する。
尚、本実施形態においてバッテリー17は、図15に示す様にX軸方向においても装置の中心位置にあるので、装置本体50のX軸方向の重量バランスにも優れる。
[反射基準面を用いた基準値取得処理]
続いて反射基準面を用いた基準値取得処理、即ちキャリブレーションについて説明する。
図20に示す様に、シャッター保持部材111において+Z方向の側には、シャッター部材112が設けられ、そしてシャッター部材112には、反射率の基準とする反射基準面を形成する白色プレート125が設けられている。白色プレート125は、反射基準値を取得する為に反射率が100%に近くなる様に白色を呈している。白色プレート125は、シャッターユニット110が閉塞位置にある際に、開口部21a(図6参照)と対向する。MCU10(図1参照)は、シャッターユニット110が閉塞位置にある際に白色プレート125を測色することで、反射基準値を取得できる。
図21は、反射基準値を取得する基準値取得処理の流れを示すものであり、MCU10は基準値取得タイミングである場合(ステップS101においてYes)、シャッターユニット110の状態を取得する(ステップS102)。
ここで、本実施形態において基準値取得タイミングには、電源オフの状態で電源ボタン55(図5等参照)が押下された場合、即ちMCU10が電源オン指令を受けた場合と、電源オンの状態で測色を実行する為に決定ボタン54(図5等参照)が押下された場合であって、後述する基準温度に対する現在温度の温度変化が閾値を超えている場合に行われる。
次に、MCU10はシャッターユニット110が閉塞位置にあれば(ステップS102においてYes)、表示部15に基準値取得案内表示を行う(ステップS103)。
基準値取得案内表示は、ユーザーに対し反射基準値の取得を案内するメッセージであり、例えば「キャリブレーションを実行します。決定ボタンを押してください。」などのメッセージとすることができる。
この様にMCU10は、電源オン指令を受けた際、反射基準面を利用した反射基準値の取得操作を案内する表示を表示部15に表示させるので、時間経過に起因する測定誤差を抑制することができる。
基準値取得案内表示の結果、決定ボタンが押下されると(ステップS104においてYes)、MCU10は反射基準値を取得し(ステップS105)、そしてその際に第1サーミスタ20(図1、図13参照)により現在温度を基準温度として取得し、取得した基準温度を内蔵メモリに保存する(ステップS106)。
尚、ステップS102においてシャッターユニット110が開放位置にあれば(ステップS102においてNo)、シャッターユニット110が開放位置にある旨のアラートを表示部15に表示させる(ステップS106)。このアラートは、例えば「シャッターが開いているためキャリブレーションが実行できません。シャッターを閉じて下さい。」などのメッセージ表示とすることができる。
尚、MCU10は、基準値取得タイミングである場合(ステップS101においてYes)、ステップS103とS104をスキップし、ユーザー操作を介することなくステップS105、S106を実行しても良い。
次いで図22を参照して測色を実行する際の処理について説明する。MCU10は、電源オンの状態で測色を実行する為に決定ボタン54(図5等参照)が押下された場合、即ち測色実行指令を受けた場合(ステップS201においてYes)、第1サーミスタ20(図1、図13参照)から現在温度を取得し、また基準温度を読み出す。そして現在温度の基準温度に対する温度変化が閾値Saを超えているか否かを判断する(ステップS202)。閾値Saは、例えば10℃~20℃の範囲で設定することができる。
その結果温度変化が閾値Sa以下であれば(ステップS202においてNo)、シャッターユニット110の状態を取得する(ステップS203)。その結果シャッターユニット110が閉塞位置にあれば(ステップS203においてNo)、シャッターユニット110が閉塞位置にある旨のアラートを表示部15に表示させる(ステップS206)。このアラートは、例えば「シャッターが閉じています。開いて下さい。」などのメッセージ表示とすることができる。
そしてMCU10は、現在温度に基づき温度補正値を取得する(ステップS204)。温度補正値は、基準温度に対する温度補正値である。より詳しくは、発光部9から発せられる測定光の強度は温度変化に応じて変化する為、温度補正値は、フォトダイオード4a(図1参照)で受光した光の強度に対し乗じる補正係数となる。この温度補正値は、各基準温度に対する温度変化量毎のデータとして内部メモリに保存され、読み出すことができる。そしてMCU10は、測色処理を行った際(ステップS205)、温度補正値を反映させる。
一方、ステップS202において温度変化が閾値Saを超えた場合(ステップS202においてYes)、アラートを発する(ステップS207)。このアラートは、表示部15に表示させるものであり、例えば「キャリブレーションを実行する必要があります。決定ボタンを押してください。」などのメッセージとすることができる。この様にステップS207のアラート表示には、反射基準面を利用した反射基準値の取得操作を案内する表示が含まれるので、ユーザーはアラートの内容を容易に把握することができる。
そしてその状態で決定ボタン54(図5等参照)が押下されると、MCU10は図21を参照して説明した基準値取得処理を行う(ステップS208)。
以上説明した様に測色装置1は装置内部に第1サーミスタ20を備え、MCU10は、基準値取得処理を実行した際に基準温度を取得し、基準温度に対する温度変化が閾値Saを超えた場合(図22のステップS202においてYES)、アラートを発する(図22のステップS207)。そしてその結果、基準値取得処理が行われることとなる(図22のステップS208)。これにより、装置内部における温度変化に起因した測定誤差を抑制することができる。
またMCU10は、温度変化に伴う測定結果のずれを補正する為の温度補正値を有し、基準温度に対する温度変化が閾値Sa以下である場合(図22のステップS202においてNo)、温度補正値を用いて測色結果を補正する(図22のステップS204、S205)。基準温度に対する温度変化が閾値Saを超えた場合(図22のステップS202においてYes)、アラートを発する(図22のステップS207)。
これにより、第1基準温度に対する温度変化が少ない場合に基準値取得処理を行うことなく適切な測色結果を得ることができ、ユーザーの利便性が向上する。
また第1サーミスタ20は、図13に示す様に発光部9の配置位置に設けられる。温度変化に伴い生じる測定誤差は、温度変化に起因した、発光部9から発せられる測定光の強度変化に依存するので、第1サーミスタ20が発光部9の配置位置に設けられることで、測定結果を適切に補正できる。
尚、上記実施形態の変形例として、図22のステップS202において否定分岐の直後に、前回基準値取得処理を実行してからの経過時間を判断するステップを設けても良い。このステップでは、前回基準値取得処理を実行してからの経過時間が閾値Thを超えるかを判断し、超えていなければステップS203に進み、超えていればステップS207に進む。この様な処理を行うことで、時間経過に起因する測定誤差を抑制することができる。
この様な処理は、装置の電源オフの状態で電源ボタン55(図5等参照)が押下された際、即ち装置の電源がオンにされた際の基準値取得処理をスキップする設定とされている場合に特に有効となる。装置の電源がオンにされた際の基準値取得処理をスキップする設定では、前回基準値取得処理を実行してからの温度変化が大きくならない限り、基準値取得処理が実行されない虞がある為である。尚、この様な処理を行う場合、基準値取得処理を行った際にその実行日時を内蔵メモリに記憶させておく。
またMCU10は、ステップS207のアラートを発した後、基準値取得処理を行うまで測色を制限する。これにより、温度変化に起因する測定誤差を確実に抑制することができる。
またMCU10は、基準値取得処理を実行する指令を受けた場合、シャッターユニットが閉塞位置にあれば基準値を取得し、シャッターユニットが開放位置にあれば基準値の取得を保留する。これにより、反射基準値を適切に取得することができる。
[測色装置におけるその他の制御]
以下、測色装置1におけるその他の制御について説明する。
(1)測色装置1のMCU10は装置の無操作状態が所定時間経過した場合に自動的に省電力モードに移行し、表示部15を消灯状態とする。更にその後も無操作状態が所定時間経過した場合、自動的に装置の電源をオフとする。これにより、発熱と電力消費量を抑制できる。
(2)MCU10は、電源オンの状態で測色を実行する為に決定ボタン54(図5等参照)が押下される迄、マイコンのクロック数を下げておく。電源オンの状態で測色を実行する為に決定ボタン54(図5等参照)が押下されると、マイコンのクロック数を上げて測色処理を行う。そして測色処理が終了すると、マイコンのクロック数を下げる。これにより、発熱と電力消費量を抑制できる。
(3)表示部15のユーザインタフェースは、ユーザー設定に応じて向きを変更することができる。図16~図19においてユーザーは測色装置1に対して-Y方向に位置しており、測色装置1が図16に示す向きにある状態で、表示部15に表示するユーザインタフェースの向きを、測色装置1に対して-Y方向に位置するユーザーに合わせることができる。同様に測色装置1が図17に示す向きにある状態で、表示部15に表示するユーザインタフェースの向きを、測色装置1に対して-Y方向に位置するユーザーに合わせることができる。また同様に測色装置1が図18に示す向きにある状態で、表示部15に表示するユーザインタフェースの向きを、測色装置1に対して-Y方向に位置するユーザーに合わせることができる。また同様に測色装置1が図19に示す向きにある状態で、表示部15に表示するユーザインタフェースの向きを、測色装置1に対して-Y方向に位置するユーザーに合わせることができる。
以上のユーザインタフェースの向きは、表示部15に実現される設定画面を介してユーザーが設定することができる。
以上の様にユーザーから見た測色装置1の向きに応じて、表示部15に表示するユーザインタフェースの向きを変更できる為、ユーザーの使い勝手が向上する。
尚、MCU10は表示部15に表示するユーザインタフェースの向きに応じて、十字ボタン60の機能も入れ替える。例えば、図16に示す状態では符号61が上ボタン、符号62が下ボタン、符号63が左ボタン、符号64が右ボタンであったが、図17に示す状態では符号61が左ボタン、符号62が右ボタン、符号63が下ボタン、符号64が上ボタンとなる。同様に図18に示す状態では符号61が右ボタン、符号62が左ボタン、符号63が上ボタン、符号64が下ボタンとなる。また同様に図19に示す状態では符号61が下ボタン、符号62が上ボタン、符号63が右ボタン、符号64が左ボタンとなる。
(4)決定ボタン54の周囲に構成されるリング状の発光部59は、以下の様に制御される。
例えば、電源オフ状態において、発光部59は消灯する。但し、装置の電源オフ状態においてバッテリー充電中は、発光部59は白色点灯する。
また電源オン状態において、測色可能な状態では、発光部59は青色点灯する。
また電源オン状態において、エラーが生じた場合、発光部59は橙色点灯する。
また省電力モードの状態において、発光部59は光量を抑えた状態で青色点灯する。
また省電力モードの状態において、バッテリー残量が残り少ない場合や、上述した様に現在温度の第1基準温度に対する温度変化が閾値Saを超えている場合、即ち反射基準値を取得する必要がある場合は、発光部59は光量を抑えた状態で白色点滅する。
また省電力モードの状態において、バッテリー充電中は光量を抑えた状態で白色点灯する。
また省電力モードの状態において、エラーが生じた場合、発光部59は橙色点灯する。
以上の様に発光部59の発光状態により現在の装置状態をユーザーに知らせることができ、特に表示部15が消灯している場合でも現在の装置状態を把握できる為、ユーザービリティが向上する。
尚、発光部59による装置状態の表現に加え、ビープ音により装置状態を表現しても良い。例えば、バッテリー残量が残り少なくなった場合やエラーが生じた場合にビープ音を生じさせることで、ユーザーに対し装置状態について警告することができる。
本発明は上記において説明した各実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
例えば上述した実施形態では、測色装置1はバッテリー17を内蔵しているが、バッテリー17が取り外し可能に構成されていても良く、即ち測色装置1としてバッテリー17を内蔵しない構成であっても良い。またその場合、バッテリー17は繰り返しの充放電を行わない一次電池であっても良い。
また本実施形態において入射光処理部2は、光学フィルターデバイス3と受光部4とを備えて構成され、光学フィルターデバイス3は入射した光のうち所定波長成分を透過させる波長可変型のファブリペローエタロンであるが、これに限られない。例えば、分光方法として、回析格子を用いた分光方法を用いても良い。また、測色原理として色彩の元となる3つの刺激値を直接測定する刺激値直読法を採用した装置構成であっても良い。
また発光部9に用いる発光素子として本実施形態ではLEDを用いるが、これに限られず、例えばキセノンランプを用いても良い。
1…測色装置、1a…本体アセンブリ、2…入射光処理部、3…光学フィルターデバイス、4…受光部、4a…フォトダイオード、5…PD基板、6…静電容量検出部、7…バンドパスフィルター、9…発光部、10…MCU、11…、12…有線IF、13…無線通信部、14…操作部、15…表示部、16…バッテリー制御部、17…バッテリー、17a…第1端部、17b…第2端部、18…第3サーミスタ、19…第2サーミスタ、20…第1サーミスタ、21…開口部形成部材、21a…開口部、29…遮蔽シート、30…第1ガラス部材、31…第2ガラス部材、32…ケース、33…接合部材、34…固定材、35…ワイヤーボンディング、36…電極、37…ベース基板、38…ダイアフラム基板、39…ミラー、40…固定電極、41…可動電極、42…ダイアフラム部、43…接合膜、45…波長可変干渉フィルター、50…装置本体、50a…前面、50b…右側面、50c…左側面、50d…後面、50e…上面、50f…底面、50g…把持部、50m…開口、51…主筐体、51a…前方壁部、51b…右壁部、51c…左壁部、51d…後方壁部、51e…前方内壁面、51f…後方内壁面、51g…凹部、52…上部筐体、53…底部筐体、53a…開口部、53c…第1上ガイド部、53d…第2上ガイド部、53e…第3上ガイド部、53f…移動規制部、54…決定ボタン、54a…接点、55…電源ボタン、55a…接点、56…戻るボタン、56a…接点、57…表示部カバー、58a、58b…垂直ライン、58c、58d…水平ライン、59…発光部、60…十字ボタン、61…上ボタン、61a…接点、62…下ボタン、62a…接点、63…左ボタン、63a…接点、64…右ボタン、64a…接点、65…パネル基板、66…LCD接続部、67…LCD、67a…ケーブル、68…第1基板接続コネクタ、70…バッテリー制御基板、71…リセットスイッチ、72…第1バッテリーコネクタ、73…第2バッテリーコネクタ、74…第2基板接続コネクタ、80…受光部基板、81…受光モジュール、82…第3基板接続コネクタ、83…第4基板接続コネクタ、84…第5基板接続コネクタ、85…発光部基板、86…発光素子、87…集光部材、87a…測定用窓部、88…第6基板接続コネクタ、89…遮光部材、90…FFC、91…接続ケーブル、92…第1バッテリーケーブル、93…第2バッテリーケーブル、100…フレームアセンブリ、110…シャッターユニット、111…シャッター保持部材、112…シャッター部材、113…リンク部材、125…白色プレート、127…磁石、128…シャッターセンサー、200…測定対象

Claims (11)

  1. 装置の底面に配置された開口部形成部材に形成され、測定対象から届く光を装置内部に取り入れる為の開口部と、
    測定用の光を前記測定対象に向けて発する発光部と、
    前記開口部を通って入射した光を処理する入射光処理部と、
    前記開口部を覆う閉塞位置と前記開口部を開放する開放位置との間で変位可能なユニットであって、前記開口部に面する位置に反射率の基準とする反射基準面を有するシャッターユニットと、
    前記反射基準面を利用して反射基準値を取得する基準値取得処理を実行可能な制御部と、を備え、
    装置内部に、温度を検出する温度検出部が設けられ、
    前記制御部は、前記基準値取得処理を実行した際に基準温度を取得し、
    前記基準温度に対する温度変化が閾値を超えた場合、アラートを発する、
    ことを特徴とする測色装置。
  2. 請求項1に記載の測色装置において、前記制御部は、前記基準温度に対する温度変化が前記閾値以下である場合、温度変化に伴う測定結果のずれを補正する為の補正値を用いて前記測定結果を補正し、
    前記基準温度に対する温度変化が前記閾値を超えた場合、アラートを発する、
    ことを特徴とする測色装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の測色装置において、前記温度検出部は、前記発光部の配置位置に設けられる、
    ことを特徴とする測色装置。
  4. 請求項3に記載の測色装置において、前記温度検出部を第1温度検出部として、更に温度を検出する第2温度検出部を前記入射光処理部に備え、
    前記制御部は、前記基準温度及び前記基準温度に対する温度変化を前記第1温度検出部により取得し、前記第2温度検出部により取得した温度を、前記入射光処理部の制御に用いる、
    ことを特徴とする測色装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の測色装置において、前記制御部は、前記基準値取得処理を実行してからの経過時間が規定時間を超えた場合、アラートを発する、
    ことを特徴とする測色装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の測色装置において、各種表示を行う表示部を備え、
    前記アラートには、前記表示部に対し、前記反射基準面を利用した前記反射基準値の取得操作を案内する表示が含まれる、
    ことを特徴とする測色装置。
  7. 請求項6に記載の測色装置において、前記制御部は、装置の電源をオンする指令を受けた際、前記反射基準面を利用した前記反射基準値の取得操作を案内する表示を前記表示部に表示させる、
    ことを特徴とする測色装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の測色装置において、前記制御部は、前記アラートを発した後、前記基準値取得処理を行うまで測色を制限する、
    ことを特徴とする測色装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の測色装置において、前記シャッターユニットの位置を検出する為の位置検出手段を備え、
    前記制御部は、前記基準値取得処理を実行する場合、前記シャッターユニットが前記閉塞位置にあれば前記反射基準値を取得し、前記シャッターユニットが前記開放位置にあれば前記反射基準値の取得を保留する、
    ことを特徴とする測色装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の測色装置において、前記入射光処理部は、入射した光のうちの所定波長成分を透過させる波長可変型の光学フィルターと、
    前記光学フィルターを透過した光を受ける受光部と、を備える、
    ことを特徴とする測色装置。
  11. 請求項10に記載の測色装置において、前記光学フィルターは、ファブリペローエタロンである、
    ことを特徴とする測色装置。
JP2021011758A 2021-01-28 2021-01-28 測色装置 Pending JP2022115242A (ja)

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