JP2022115082A - 航空機における中央ウィングボックスと隔壁とを接続するための接合部 - Google Patents
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Abstract
【課題】工場内のスペースや組み立てコストを削減できる、中央ウィングボックスと胴体の迅速な接続を提供する。【解決手段】航空機の隔壁30に中央ウィングボックス20を接続するための接合部40は、可撓性アングル部材を含み、当該可撓性アングル部材は、前記中央ウィングボックス20に接触及び接続するように形成された第1セクションと、前記隔壁30のデッキ31の第1面に接触及び接続するように形成された第2セクションと、前記第1セクションと前記第2セクションとの間に配置された中間丸み付けコーナーと、を含む。前記中央ウィングボックス20には、第1支持部材が取り付けられ、当該第1支持部材により、前記可撓性アングル部材の前記第2セクションの第1面が支持される。前記隔壁30のウェブ33には、第2支持部材が取り付けられ、当該第2支持部材により、前記可撓性アングル部材の前記第2セクションの第2面が支持される。【選択図】図3
Description
本開示は、概して、航空機の分野に関し、具体的には、航空機のセクション間の接続に関する。
航空機は、翼間に配置されるともに、これらの翼に接続された中央ウィングボックスを含みうる。中央ウィングボックスは、飛行中には翼からの空力により、また、航空機が地上にあるときには翼自体の重量、及び翼内に貯留された燃料の重量により、張力、圧縮力、せん断力、及び捻り力などの応力を受ける。また、中央ウィングボックスは、翼からの力を胴体に伝達する。
航空機は、モジュール方式で製造することができる。航空機の複数の異なる部品は、個々に製造され、その後、これらの部品が集められて組み立てられる。例えば、翼アセンブリは、胴体とは別に製造することができる。組み立て工程においては、ほぼ完成した胴体を全て完成した翼上に降下させた後、これらを互いに接合する。これにより、生産速度を高めるとともに、工場内のスペースや組み立てコストを削減することができる。このモジュール方式では、中央ウィングボックスと胴体とを適切に接続するための安全な接続部が求められる。
一態様は、航空機において、ウェブ及びデッキを含む隔壁に中央ウィングボックスを接続するための接合部に関連する。当該接合部は、可撓性アングル部材を含み、当該可撓性アングル部材は、前記中央ウィングボックス及び前記隔壁のうちの一方に接触及び接続するように形成された第1セクションと、前記隔壁の前記デッキの第1面に接触及び接続するように形成された第2セクションと、前記第1セクションと前記第2セクションとの間に配置された中間丸み付けコーナーと、を含む。前記中央ウィングボックスには、第1ピンで第1支持部材が取り付けられる。前記隔壁の前記ウェブには、第2ピンで第2支持部材が取り付けられる。前記第1支持部材及び前記第2支持部材のうちの一方は、前記可撓性アングル部材の前記第2セクションを支持する。前記第1支持部材は、前記隔壁の前記デッキの第1面に配置され、前記第2支持部材は、前記デッキにおける反対側の第2面に配置される。
他の態様において、前記第1支持部材は、前記可撓性アングル部材の前記第2セクションを支持し、前記第1ピンは、前記可撓性アングル部材の前記中間丸み付けコーナーの半径の中心と一致する。
他の態様において、前記第2支持部材は、前記可撓性アングル部材の前記第2セクションを支持し、前記第2ピンは、前記隔壁の前記ウェブと前記デッキとの交差部分に位置する前記丸み付けコーナーの半径の中心と一致する点に配置される。
他の態様において、前記中央ウィングボックスには支持フィッティングが取り付けられ、前記第1支持部材は、前記第1ピンで前記支持フィッティングに取り付けられる。前記隔壁の前記ウェブには、補強部材が取り付けられ、前記第2支持部材は、前記第2ピンで前記補強部材に取り付けられる。
他の態様において、前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、対向するクレビスを有するラグを含み、前記支持フィッティング及び前記補強部材は前記クレビス間に配置される。
他の態様において、前記可撓性アングル部材は、繊維強化複合材料及び金属材料のうちの一方で作製される。
他の態様において、コーナーフィッティングが、前記可撓性アングル部材から横方向にオフセット配置される。前記コーナーフィッティングは、前記中央ウィングボックスと前記隔壁との交差部分にフィットする角度で配向される第1セクション及び第2セクションを含み、前記可撓性アングル部材とは異なる構成を有しており、前記可撓性アングル部材よりも可撓性が低い。
他の態様において、前記可撓性アングル部材は、前記中央ウィングボックスに接触及び接続する第1可撓性アングル部材であり、前記接合部は、前記隔壁の前記ウェブ及び前記デッキに接触及び接続する第2可撓性アングル部材をさらに含む。
他の態様において、前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、対で配向され、前記対の各々の前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、水平デッキの両面で重なる。
一態様は、航空機に関連する。当該航空機は、胴体と、前記胴体内に配置された中央ウィングボックス、及び前記胴体の両側から外方に延びる翼を含む翼アセンブリと、前記胴体内に配置されるとともに、ウェブ及びデッキを含む隔壁と、前記隔壁に前記中央ウィングボックスを接続する接合部と、を含む。当該接合部は、前記中央ウィングボックス及び前記隔壁のうちの一方に接続する第1セクション、前記隔壁の前記デッキの全体に延びる第2セクション、及び前記第1セクションと前記第2セクションとの間に配置された中間コーナーを含む可撓性アングル部材と、前記デッキの第1面において前記胴体の幅全体にわたって間隔を空けて配置される第1支持部材と、前記デッキにおける反対側の第2面において前記胴体の幅全体にわたって間隔を空けて配置される第2支持部材と、を含み、前記第1支持部材及び前記第2支持部材のうちの一方は、前記可撓性アングル部材の前記第2セクションに接触する。
他の態様において、前記第1支持部材は、前記第2セクションを支持し、前記コーナーの半径の中心に位置するピンで前記中央ウィングボックスに取り付けられる。
他の態様において、前記第2支持部材は、前記第2セクションを支持し、前記コーナーの半径の中心に位置するピンで前記ウェブに取り付けられる。
他の態様において、前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記胴体の幅に沿って対で配向され、前記対の各々の前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記デッキの両面で重なる。
他の態様において、前記可撓性アングル部材は、前記中央ウィングボックスに取り付けられる第1可撓性アングル部材であり、前記航空機は、第2可撓性アングル部材をさらに含み、当該第2可撓性アングル部材は、前記ウェブに取り付けられる第1セクションと、前記デッキの全体にわたって配置される第2セクションと、丸み付け中間コーナーと、を含む。
他の態様において、前記可撓性アングル部材は、前記胴体の中央セクションに沿って配置され、前記航空機は、前記可撓性アングル部材から横方向にオフセット配置されるとともに当該可撓性アングル部材の両側に設けられた傾斜コーナーフィッティングをさらに含み、前記傾斜コーナーフィッティングは、前記中央ウィングボックス及び前記隔壁の前記デッキに接触するような角度形状を有するとともに、前記可撓性アングル部材とは異なる構成を有し、前記可撓性アングル部材よりも可撓性が低い。
他の態様において、前記可撓性アングル部材は、前記中央ウィングボックスに接続された第1可撓性アングル部材であり、前記航空機は、1つ以上の追加の可撓性アングル部材をさらに含み、当該追加の可撓性アングル部材は、前記中央ウィングボックスに接続された第1セクションと、前記中央ウィングボックスから外方に延びるとともに前記隔壁の前記デッキ全体に延びる第2セクションと、中間コーナーと、を含む。
一態様は、航空機の隔壁に中央ウィングボックスを接続するための方法に関連する。当該方法は、前記中央ウィングボックスと前記隔壁との交差部分に可撓性アングル部材の中間丸み付けコーナーを配置することと、前記中央ウィングボックスに前記可撓性アングル部材の第1セクションを接続することと、前記隔壁に前記可撓性アングル部材の第2セクションを接続することと、前記中央ウィングボックスに第1支持部材を接続し、前記可撓性アングル部材の前記第2セクションの第1面に接触させることと、前記隔壁に第2支持部材を接続し、前記隔壁の両側において前記第1支持部材及び前記第2支持部材を重ね合わせることと、を含む。
他の態様において、前記方法は、前記丸み付けコーナーの半径の中心に配置された第1ピンを使用して、前記中央ウィングボックスに前記第1支持部材を接続することを含む。
他の態様において、前記可撓性アングル部材は、第1可撓性アングル部材であり、前記隔壁の第1セクションに第2可撓性アングル部材の第1セクションを接続することと、前記隔壁の第2セクションに前記第2可撓性アングル部材の第2セクションを接続することと、前記第1セクションと前記第2セクションとの間に位置する前記第2可撓性アングル部材の丸み付けコーナーを、前記隔壁の前記第1セクションと前記第2セクションとの交差部分に配置することと、前記丸み付けコーナーの半径と一致するピンで、前記隔壁に前記第2支持部材を接続することと、をさらに含む。
他の態様において、前記方法は、前記可撓性アングル部材の第1側部において、前記中央ウィングボックスに第1コーナーフィッティングを取り付けることと、前記可撓性アングル部材の第2側部において、前記中央ウィングボックスに第2コーナーフィッティングを取り付けることと、を含み、前記第1コーナーフィッティング及び前記第2コーナーフィッティングは、前記可撓性アングル部材に接触する。
上述した特徴、機能、及び利点は、様々な態様において個別に達成可能であり、また、さらに別の態様と組み合わせることも可能である。その詳細は、以下の説明及び図面を参照すれば明らかであろう。
図1に示すように、航空機100は、機首109及び尾部108を有する胴体101を含む。翼アセンブリ102は、対向する翼103の間に配置されるとともにこれらの翼を支持する中央ウィングボックス20を含む。翼103には、飛行中に航空機に動力を供給するためのエンジン105が取り付けられている。中央ウィングボックス20は、胴体101内に配置され、翼アセンブリ102と胴体101とを機能的に接合する。
図2は、明瞭化のために翼103を取り外した状態の胴体101を示す側方概略図である。胴体101は、尾部108と機首109との間に延びる長さLの細長形状を有する。図2に示す例においては、胴体101は、上部分110と下部分111とに分かれている。上部分110は、フロア104を有するキャビン領域106を含む。上部分110は、限定するものではないが、座席、頭上収納部、化粧室、及び他の様々な設備などの、乗客を輸送するための様々なコンポーネントを含む。
下部分111は、上部分110のフロア104よりも下側に配置されている。下部分111は、胴体101の右側又は左側のいずれかに貨物を保持するための前方貨物デッキ112を含む。中央ウィングボックス20は、前方貨物デッキ112の後方に配置されている。中央ウィングボックス20は、前方貨物デッキ112の後方に配置された接合部40で隔壁30に接続されている。主脚ホイール格納部113は、中央ウィングボックス20のすぐ後方に配置されている。後方貨物収容部又は後方貨物デッキを含む下側後方貨物室114は、主脚ホイール格納部113の後方に配置されている。
航空機の設計において、中央ウィングボックス20から隔壁30をオフセット配置することにより、航空機100を個々のアセンブリで製造する場合に組み立て処理を容易に行うことができる。このオフセット配置においては、ほぼ完成した胴体101を全て完成した翼アセンブリ102上に降下させたときに、翼と本体との接合を迅速に行うことができる。これにより、他の設計の場合と比較して、生産速度を高めることができる。
例示的な実施形態において、航空機100は、上部分110が乗客及び飛行乗務員用に構成され、下部分111が貨物収納及び航空機材用に構成された民間航空機である。中央ウィングボックス20と隔壁30とを接続する接合部40は、限定するものではないが、様々な民間航空機及び非民間航空機を含む、他の様々な航空機に使用することができる。これらの航空機100は、貨物及び/又は乗客を収容するために同じ又は異なる構成を含みうる。
図3は、中央ウィングボックス20の前部分を示している。胴体101の外板は、明瞭化のために取り外されている。中央ウィングボックス20は、胴体101の幅Wを横切って延びる前翼桁21などの翼桁を含む。翼上ビーム23は、幅W全体にわたって間隔を空けて配置されるとともに、前翼桁21に対して実質的に垂直に並んでいる。中央ウィングボックス20はまた、上側外板及び下側外板(図示略)を含む。なお、外板にストリンガ(図示略)を取り付けることにより、さらに機械的な支持を行うことができる。
隔壁30は、胴体101の幅W全体にわたって配置されている。図3に示す例において、隔壁30は、胴体101の底部115に配置されている。他の例において、隔壁30は、胴体101の底部115に対する高さが異なっていてもよい。中央ウィングボックス20は、様々なサイズとすることが可能であり、胴体101内の様々な位置に配置することができる。一例において、中央ウィングボックス20及び隔壁30は、両方とも胴体101の下部分111に含まれる。図3の例に示すように、隔壁30の高さは制限されており、当該隔壁30の頂部116が中央ウィングボックス20の頂部よりも下方に位置する。これにより、隔壁30の頂部116が、前翼桁21に沿って配置される。
隔壁30は、胴体101の実質的に丸みを帯びた断面形状に一致する曲線形状のパネル32を含む。水平デッキ31が、幅Wの全体に延びる翼弦を形成しており、パネル32の両側に取り付けられている。隔壁30はまた、水平デッキ31と下側のパネル32との間に延在するウェブ33を有する垂直壁を含む。一例において、パネル32は、胴体101内で実質的に垂直に配向されている。パネル32の強度を上げるために、当該パネルには水平補強部材34が取り付けられる。
図4、図4A、及び図5に示すように、隔壁30には、前方可撓性アングル部材85が配置されている。前方可撓性アングル部材85は、第1セクション87と、第2セクション86と、中間丸み付けコーナー38とを含む。コーナー38は、半径R1の丸みを帯びた形状を有する。図5に示す例において、前方可撓性アングル部材85は、隔壁30とは分離しており、実質的に平らであって水平デッキ31上に配置される第1セクション87と、実質的に平らであってウェブ33上に配置される第2セクション86と、丸み付けコーナー38とを含む。前方可撓性アングル部材85は、単一の部品であってもよいし、互いに一体的に取り付けられた2つ以上の部品で形成されてもよい。他の例において、第1セクション87及び第2セクション86のうちの一方又は両方は、隔壁30の一部で形成され、例えば、限定するものではないが、第1セクションは水平デッキ31で形成され、第2セクションはウェブ33で形成される。
前方可撓性アングル部材85のコーナー38は、中心点Cから延びる半径R1を有する。丸み付けコーナー38により、約85°~約95°の範囲内の角度βで第1セクション87及び第2セクション86が配置される。一例において、角度βは90°である。
隔壁30は、ウェブ33に取り付けられるとともに当該ウェブを支持する垂直補強部材36をさらに含む。補強部材36は、限定するものではないが、機械式ファスナ、接着剤、及びこれらの組み合わせなどの様々な方法でウェブ33に取り付けられる。垂直補強部材36は、限定するものではないが、アルミニウムやチタンなどの様々な材料で作製することができる。
隔壁30には、水平デッキ31を支持するための支持部材60が取り付けられている。支持部材60の各々は、ピン62で、垂直補強部材36に取り付けられている。ピン62は、丸み付けコーナー38の半径R1の中心点Cと一致する。支持部材60は、接触縁61をさらに含み、当該接触縁は、水平デッキ31に接触してこれを支持するものであり、当該水平デッキの下側に配置されている。一例において、接触縁61は平らである。他の例において、接触縁61は、異なる形状を有する。
図9に示す例において、支持部材60は、ラグ(lug)79として形成され、当該ラグは、垂直補強部材36の端部を受容するよう寸法が決められた一対の互いに離間するクレビス(clevis)77、78を有する。上記ピンは、各クレビス77、78及び垂直補強部材36を貫通している。他の例において、支持部材60は、垂直補強部材36の片側に接触及び接続する単一のセクションを含む。図6に示すように、垂直補強部材36及び支持部材60は、隔壁30の幅全体にわたって散在している。図6に示す例において、間隔は、隔壁30の幅全体にわたって等しい。
前翼桁21には第2可撓性アングル部材50が取り付けられており、当該前翼桁から外方に延びている。図7及び図7Aは、第1セクション51と、第2セクション52と、中間丸み付けコーナー53と、を含む可撓性アングル部材50を概略的に示す。第1セクション51及び第2セクション52は、両方とも実質的に平らであり、丸み付けコーナー53は、半径R2を有する。第1セクション51及び第2セクション52は、約85°~約95°の範囲内の角度αで配置される。可撓性アングル部材50は、対向する端部54と端部55との間で測定される長さL1を有する。図3に示す例において、長さL1は、胴体101の下部分の幅Wの全体にわたって延びる寸法である。図4Aに示す例において、後方の可撓性アングル部材50は、中央ウィングボックス20から分離している。後方の可撓性アングル部材50は、中央ウィングボックス20に対して配置された第1セクション51と、水平デッキ31上に配置された第2セクション52と、中央ウィングボックス20の前翼桁21と水平デッキ31との交点に配置された丸み付けコーナー53と、を含む。前方可撓性アングル部材85は、単一の部品であってもよいし、互いに一体的に取り付けられた2つ以上の部品で形成されてもよい。他の例において、第1セクション51及び第2セクション52のうちの一方又は両方は、これらのコンポーネントの一部で形成され、例えば、限定するものではないが、第1セクション51は前翼桁21で形成され、第2セクション52は水平デッキ31で形成される。
一例において、可撓性アングル部材50は、単一の部品で作製された第1セクション、第2セクション、及びコーナー53を含む。他の例において、可撓性アングル部材50は、互いに接続された2つ以上の異なる部品で作製される。
一例において、可撓性アングル部材50、85のうちの一方又は両方は、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)材料などの繊維強化複合材料又は金属材料で作製される。繊維強化複合材料は、追加的又は代替的に、繊維強化ポリマー又は繊維強化プラスチックとして説明又は記載する場合がある。本明細書において、繊維強化複合材料は、例えば(限定するものではないが)炭素繊維、ボロン繊維、パラ系アラミド(例えば、Kevlar(登録商標))繊維などの繊維や他の繊維とともに、少なくともエポキシ材料、他のポリマー材料、又は結合材料を含む。他の例において、可撓性アングル部材50は、金属及び/又は金属合金で作製される。
可撓性アングル部材50、85のうちの一方又は両方に対して炭素繊維材料を使用することにより、金属材料と比較して、腐食及び疲労亀裂を低減することができる。一例において、航空機の設計は、上部分110における大型のキャビン領域106に対応するために、幅の広い胴体101を含む。一例において、キャビン領域106は、2つの通路、及び各列における3組の座席に対応する幅を有する。胴体断面を広くすると、胴体101に対する翼103の相対横変位が著しく大きくなる。この場合、金属製の可撓性アングル部材50を含む設計は、当該可撓性アングル部材に生じる歪みが大きくなるため、困難である。また、炭素繊維材料は、航空機100のこのエリアに蓄積して他の材料を腐食させうる湿気に対する曝露が可能である。さらに、炭素繊維は、航空機100の動作中に生じる著しい繰り返し負荷に対して、より適切に対応することができる。炭素繊維は、疲労亀裂が発生しにくい。さらに、接合部40の位置により、航空機100が組み立てられた後のアクセスが困難になるため、課題を最小限に抑える設計上の配慮が求められる。
図8は、接合部40で取り付けられた可撓性アングル部材50を示す。各可撓性アングル部材50は、その第1セクション51が前翼桁21に配置され、これに取り付けられている。第2セクション52は、隔壁30の水平デッキ31に配置され、これに重なっている。第1セクション51及び第2セクション52は、1つ以上の機械式ファスナ及び接着剤によって取り付けられている。一例において、第2セクション52は、前方可撓性アングル部材85の第1セクション87と重なっている。
支持フィッティング56は、可撓性アングル部材50の第1セクション51、及び前翼桁21上に延びており、これらに対して接着剤及び/又は機械式ファスナで固定されている。一例において、支持フィッティング56は、T形状であり、前翼桁21及び第1セクション51に接触する頂部材と、外側に延びるブレース(brace)とを含む。支持フィッティング56には支持部材70が取り付けられている。
支持部材70は、可撓性アングル部材50の第2セクション52に配置され、これに取り付けられている。支持部材70は、第2セクション52と水平デッキ31又は第1セクション87とに接触する接触縁71を含む。上記取り付けは、1つ以上の機械式ファスナ及び接着剤によって実現することができる。支持部材70は、第2セクション52を越えて外方に延び、水平デッキ31上に到達する長さを有する。図9に示す例において、支持部材70は、互いに離間するクレビス77及び78を有するラグ79を含み、支持フィッティング56を受容する。図7Aに示すように、ピン72は、可撓性アングル部材50の丸み付けコーナー53の半径R2の中心Cと一致している。
ピン72をコーナー53に配置することにより、可撓性アングル部材50の曲がりを最小限に抑えることができる。これにより、半径R2における層間応力及び積層曲げ歪み(laminate bending strain)を、炭素繊維構造物において許容可能なレベルまで低減することができる。
水平デッキ31及び/又は可撓性アングル部材85の第1セクション87には補強部材80が取り付けられている。補強部材80は、支持部材70に対して実質的に垂直に配向されている。補強部材80は、水平デッキ31の座屈を防止するために支持を行う。水平デッキ31(図4Aを参照)の下側には、1つ以上の補強部材80が追加的に取り付けられている。
図4及び図4Aに示すように、支持部材60、70は、可撓性アングル部材50、85の長さ全体にわたって対で配向されている。各対は、隔壁30の水平デッキ31の第1面における支持部材70と、当該水平デッキ31における反対側の第2面における支持部材60と、を含む。各対は、可撓性アングル部材50、85の全体にわたって様々な間隔で配置することができる。また、支持部材60、70の長さは、互いに重なり合うような長さとなっている。すなわち、各支持部材60、70の遠位セクションは、隔壁30の水平デッキ31の両面で重なり合っている。これにより、隔壁30をさらに支持することができる。
可撓性アングル部材50及び支持部材60、70によって形成される接合部40は、いずれも、中央ウィングボックス20と前方貨物デッキ112との間の圧力差を封じる圧力シールを形成するよう構成されている。一例において、中央ウィングボックス20は、主脚ホイール格納部113と連絡しており、第1レベルの圧力を受けるが、前方貨物デッキ112は、これとは異なる第2レベルの圧力を有する。一例において、前方貨物デッキ112は、飛行中に加圧される。接合部40は、さらに、隔壁30及び/又は胴体101に対する中央ウィングボックス20の動きに対応するために、せん断力の連続負荷経路を形成するよう構成されている。さらに、接合部40は、胴体101に対して翼アセンブリ102を撓ませることができる。可撓性を有する接合部40は、動作に抵抗して航空機100に重量を加えうる剛性構造と比較して軽量である。
一例において、可撓性アングル部材50は、幅全体にわたって延在する単一の部品である。他の例において、可撓性アングル部材50は、各々が幅の一部にわたって延在する2つ以上の別個の部品で作製される。これらの別個の部品は、一緒に組み合わされると、幅全体にわたって延びて、接合部40を形成する。
一例において、接合部40は、後方の可撓性アングル部材50と、前方の可撓性アングル部材85の両方を含む。他の例において、接合部は、単一の可撓性アングル部材のみ(すなわち、後方可撓性アングル部材50又は前方可撓性アングル部材85のうちの一方のみ)を含む。
図3に示すように、可撓性アングル部材50は、胴体101の中央セクションに配置されている。一例において、可撓性アングル部材50は、幅Wに沿って中央に配置されている。可撓性アングル部材50の両側にはコーナーフィッティング90が配置されている。コーナーフィッティング90は、可撓性アングル部材50をさらに支持する。コーナーフィッティング90は、中央ウィングボックス20と水平デッキ31との間の実質的なせん断接合を実現する。
図8に最もよく示すように、コーナーフィッティング90は、前翼桁21に接触する第1セクション91と、隔壁30のパネル32に接触する第2セクション92と、を含む角度形状を有する。コーナー93は、第1セクション91と第2セクション92との間に配置されており、前翼桁21とパネル32との交差部分に設けられている。コーナーフィッティング90は、第1セクション91及び第2セクション92が約85°~95°の範囲内の角度で配向された角度形状を有する。コーナーフィッティング90は、可撓性アングル部材50とは異なる構成を有しており、当該可撓性アングル部材50よりも可撓性が低い。一例において、コーナーフィッティング90は、チタン又はアルミニウムで作製される。コーナーフィッティング90は、機械式ファスナ及び接着剤のうちの1つ又は複数を使用して、他の構造体に取り付けられる。
1つ以上の支持部材70は、前翼桁21に接続されており、コーナーフィッティング90に配置されている。支持部材70は、ピン72により支持フィッティング56に接続されており、第2セクション92及び水平デッキ31の各々に延在及び接続する長さを有する。同様に、1つ以上の支持部材60は、ピン62により隔壁30のウェブ33に接続される。支持部材60は、水平デッキ31の第2面において、ウェブ33から外方に延びている。一例において、コーナーフィッティング90と位置合わせされた支持部材60、70は、対で並べられている。
一例において、コーナーフィッティング90は、さらに、可撓性アングル部材85を支持するために、隔壁30に対して配置される。
図10は、航空機100の隔壁30に対して中央ウィングボックス20を接続するための方法を示す。上記方法は、中央ウィングボックス20と隔壁との交差部分に可撓性アングル部材50の丸み付け中間コーナー53を配置することを含む(ブロック160)。上記方法は、可撓性アングル部材50の第1セクション51を中央ウィングボックス20に接続することと(ブロック161)、可撓性アングル部材50の第2セクション52を隔壁30に接続することと(ブロック162)、を含む。中央ウィングボックス20に第1支持部材70が接続される(ブロック163)。第1支持部材70は、可撓性アングル部材50の第2セクション52の第1面を支持する。隔壁30には第2支持部材60が接続される(ブロック164)。第2支持部材60は、第2セクション52における反対側の第2面を支持する。
上述した設計においては、低い隔壁30に中央ウィングボックス20を接続する接合部40を使用することにより、ほぼ完成した胴体101を全て完成した翼アセンブリ102に降下させて、翼と胴体との接合を迅速に行うことができる。これにより、生産速度を高めることができ、また、工場内のスペースや組み立てコストを削減することができる。この設計はまた、翼と胴体にかかる負荷を切り離すことにより、前翼桁21においてこれらが独立して変形することを可能にする。さらに、翼と胴体とを共に移動させる構造は高価でメンテナンスに問題が生じうるが、上記設計はこのような構造を採用しないため、コスト及び重量の問題を改善することができる。
装置10は、様々な航空機100に使用することができる。航空機100は、限定するものではないが、有人航空機、無人航空機、有人宇宙船、無人宇宙船、有人回転翼機、無人回転翼機、人工衛星、ロケット、ミサイル、又はこれらの組み合わせを含む。
量や測定値に対する「実質的に」なる用語は、記載された特性、パラメータ、又は値を必ずしも正確に達成する必要がないことを意味する。むしろ、例えば、当業者に知られた許容差、測定誤差、測定精度限界、及びその他の要因などを含むズレや変動は、その特性により達成しようとする効果を妨げない程度に生じる可能性がある。
本発明は、その本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書に具体的に記載される以外の方法で実現することができる。本開示の実施形態は、あらゆる点において、例示であって限定であると解釈されるべきではない。また、本願の請求項の意味及び均等物の範囲における全ての変更は、請求の範囲に包含される。
Claims (20)
- 航空機において、ウェブ及びデッキを含む隔壁に中央ウィングボックスを接続するための接合部であって、
前記中央ウィングボックス及び前記隔壁のうちの一方に接触及び接続するように形成された第1セクション、前記隔壁の前記デッキの第1面に接触及び接続するように形成された第2セクション、及び、前記第1セクションと前記第2セクションとの間に配置された中間丸み付けコーナーを含む可撓性アングル部材と、
第1ピンで前記中央ウィングボックスに取り付けられる第1支持部材と、
第2ピンで前記隔壁の前記ウェブに取り付けられる第2支持部材と、を含み、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材のうちの一方は、前記可撓性アングル部材の前記第2セクションを支持し、
前記第1支持部材は、前記隔壁の前記デッキの第1面に配置され、前記第2支持部材は、前記デッキにおける反対側の第2面に配置される、接合部。 - 前記第1支持部材は、前記可撓性アングル部材の前記第2セクションを支持し、前記第1ピンは、前記可撓性アングル部材の前記中間丸み付けコーナーの半径の中心と一致する、請求項1に記載の接合部。
- 前記第2支持部材は、前記可撓性アングル部材の前記第2セクションを支持し、前記第2ピンは、前記隔壁の前記ウェブと前記デッキとの交差部分に位置する前記丸み付けコーナーの半径の中心と一致する点に配置される、請求項2に記載の接合部。
- 支持フィッティングと補強部材とをさらに含み、
前記支持フィッティングは、前記中央ウィングボックスに取り付けられ、前記第1支持部材は、前記第1ピンで前記支持フィッティングに取り付けられ、
前記補強部材は、前記隔壁の前記ウェブに取り付けられ、前記第2支持部材は、前記第2ピンで前記補強部材に取り付けられる、請求項1~3のいずれか1つに記載の接合部。 - 前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、対向するクレビスを有するラグを含み、前記支持フィッティング及び前記補強部材は前記クレビス間に配置される、請求項4に記載の接合部。
- 前記可撓性アングル部材は、繊維強化複合材料及び金属材料のうちの一方で作製される、請求項1~5のいずれか1つに記載の接合部。
- コーナーフィッティングをさらに含み、当該コーナーフィッティングは、前記可撓性アングル部材から横方向にオフセット配置されるとともに、前記中央ウィングボックスと前記隔壁との交差部分にフィットする角度で配向される第1セクション及び第2セクションを含み、前記コーナーフィッティングは、前記可撓性アングル部材とは異なる構成を有しており、前記可撓性アングル部材よりも可撓性が低い、請求項6に記載の接合部。
- 前記可撓性アングル部材は、前記中央ウィングボックスに接触及び接続する第1可撓性アングル部材であり、前記接合部は、前記隔壁の前記ウェブ及び前記デッキに接触及び接続する第2可撓性アングル部材をさらに含む、請求項1~7のいずれか1つに記載の接合部。
- 前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、対で配向され、前記対の各々の前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、水平デッキの両面で重なる、請求項1~8のいずれか1つに記載の接合部。
- 胴体と、
前記胴体内に配置された中央ウィングボックス、及び前記胴体の両側から外方に延びる翼を含む翼アセンブリと、
前記胴体内に配置されるとともに、ウェブ及びデッキを含む隔壁と、
前記隔壁に前記中央ウィングボックスを接続する接合部と、を含み、当該接合部は、
前記中央ウィングボックス及び前記隔壁のうちの一方に接続する第1セクション、前記隔壁の前記デッキの全体に延びる第2セクション、及び前記第1セクションと前記第2セクションとの間に配置された中間コーナーを含む可撓性アングル部材と、
前記デッキの第1面において前記胴体の幅全体にわたって間隔を空けて配置される第1支持部材と、
前記デッキにおける反対側の第2面において前記胴体の幅全体にわたって間隔を空けて配置される第2支持部材と、を含み、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材のうちの一方は、前記可撓性アングル部材の前記第2セクションに接触する、航空機。 - 前記第1支持部材は、前記第2セクションを支持し、前記コーナーの半径の中心に位置するピンで前記中央ウィングボックスに取り付けられる、請求項10に記載の航空機。
- 前記第2支持部材は、前記第2セクションを支持し、前記コーナーの半径の中心に位置するピンで前記ウェブに取り付けられる、請求項11に記載の航空機。
- 前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記胴体の幅に沿って対で配向され、前記対の各々の前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記デッキの両面で重なる、請求項10~12のいずれか1つに記載の航空機。
- 前記可撓性アングル部材は、前記中央ウィングボックスに取り付けられる第1可撓性アングル部材であり、前記航空機は、第2可撓性アングル部材をさらに含み、当該第2可撓性アングル部材は、前記ウェブに取り付けられる第1セクションと、前記デッキの全体にわたって配置される第2セクションと、丸み付け中間コーナーと、を含む、請求項10~13のいずれか1つに記載の航空機。
- 前記可撓性アングル部材は、前記胴体の中央セクションに沿って配置され、前記航空機は、前記可撓性アングル部材から横方向にオフセット配置されるとともに当該可撓性アングル部材の両側に設けられた傾斜コーナーフィッティングをさらに含み、前記傾斜コーナーフィッティングは、前記中央ウィングボックス及び前記隔壁の前記デッキに接触するような角度形状を有するとともに、前記可撓性アングル部材とは異なる構成を有し、前記可撓性アングル部材よりも可撓性が低い、請求項10~14のいずれか1つに記載の航空機。
- 前記可撓性アングル部材は、前記中央ウィングボックスに接続された第1可撓性アングル部材であり、前記航空機は、1つ以上の追加の可撓性アングル部材をさらに含み、当該追加の可撓性アングル部材は、前記中央ウィングボックスに接続された第1セクションと、前記中央ウィングボックスから外方に延びるとともに前記隔壁の前記デッキ全体に延びる第2セクションと、中間コーナーと、を含む、請求項10~15のいずれか1つに記載の航空機。
- 航空機の隔壁に中央ウィングボックスを接続するための方法であって、
前記中央ウィングボックスと前記隔壁との交差部分に可撓性アングル部材の中間丸み付けコーナーを配置することと、
前記中央ウィングボックスに前記可撓性アングル部材の第1セクションを接続することと、
前記隔壁に前記可撓性アングル部材の第2セクションを接続することと、
前記中央ウィングボックスに第1支持部材を接続し、前記可撓性アングル部材の前記第2セクションの第1面に接触させることと、
前記隔壁に第2支持部材を接続し、前記隔壁の両側において前記第1支持部材及び前記第2支持部材を重ね合わせることと、を含む、方法。 - 前記丸み付けコーナーの半径の中心に配置された第1ピンを使用して、前記中央ウィングボックスに前記第1支持部材を接続することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
- 前記可撓性アングル部材は、第1可撓性アングル部材であり、
前記隔壁の第1セクションに第2可撓性アングル部材の第1セクションを接続することと、
前記隔壁の第2セクションに前記第2可撓性アングル部材の第2セクションを接続することと、
前記第1セクションと前記第2セクションとの間に位置する前記第2可撓性アングル部材の丸み付けコーナーを、前記隔壁の前記第1セクションと前記第2セクションとの交差部分に配置することと、
前記丸み付けコーナーの半径と一致するピンで、前記隔壁に前記第2支持部材を接続することと、をさらに含む、請求項18に記載の方法。 - 前記可撓性アングル部材の第1側部において、前記中央ウィングボックスに第1コーナーフィッティングを取り付けることと、前記可撓性アングル部材の第2側部において、前記中央ウィングボックスに第2コーナーフィッティングを取り付けることと、を含み、前記第1コーナーフィッティング及び前記第2コーナーフィッティングは、前記可撓性アングル部材に接触する、請求項17~19のいずれか1つに記載の方法。
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