JP2022113467A - 樹脂組成物及び高周波アンテナ関連部材 - Google Patents

樹脂組成物及び高周波アンテナ関連部材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、流動性、耐衝撃性、耐熱性及び剛性のバランスに優れた樹脂組成物を提供することにある。【解決手段】(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂10~95質量%、(b)ポリエチレン樹脂2~80質量%、(c)水添ブロック共重合体3~30質量%を含み、(b)ポリエチレン樹脂の、メルトフローレートが1.5g~30g/10分、密度が930~975kg/m3、数平均分子量に対する重量平均分子量の比率で表される分子量分布が2以上5未満であることを特徴とする、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び高周波アンテナ関連部材に関する。
熱可塑性樹脂の多くは樹脂成形材料として、電子・電機部品、OA機器部品、音響映像機器部品及び自動車部品などで多岐多様に利用されている。
近年、情報通信機器等の樹脂部品では、通信速度高速化、小型精密化のための熱溶融加工時の流動性の向上、部品の小型集積化のための耐熱性向上及び部品形状複雑化による折れ・割れを防止するための耐衝撃性・剛性の向上が要求されている。
このような状況において、特に耐衝撃性の観点から、ポリエチレンを添加した樹脂組成物が多く提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
特開平2-110147号公報 特表2007-500283号公報 特開2008-274039号公報
しかし、特許文献1~3に開示されているポリエチレンは、それぞれのポリエチレンの特性を反映し、LDPE、LLDPEは耐衝撃性に優れるものの耐熱性、剛性に劣り、HDPEについては耐熱性、剛性に優れるものの耐衝撃性が劣っている等、これらの技術で得られる樹脂組成物は、流動性、耐衝撃性、耐熱性、剛性のいずれかは向上するものの、そのバランスが劣り、現在の要求を満足するものではなく、これらを改良した樹脂組成物が望まれている。
そこで、本発明の解決課題は、流動性、耐衝撃性、耐熱性及び剛性のバランスに優れた樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリフェニレンエーテル系樹脂、特定のポリエチレン樹脂、水添ブロック共重合体を特定割合で添加した樹脂組成物が、他のポリエチレンを用いた樹脂組成物と比べて流動性、耐熱性、耐衝撃性及び剛性のバランスに優れることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂10~95質量%、
(b)ポリエチレン樹脂2~80質量%、
(c)水添ブロック共重合体3~30質量%を含み、
前記(b)ポリエチレン樹脂の、メルトフローレートが1.5g~30g/10分、密度が930~975kg/m、数平均分子量に対する重量平均分子量の比率で表される分子量分布が2以上5未満である
ことを特徴とする、樹脂組成物。
[2]
前記(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリフェニレンエーテル樹脂/ポリスチレン系樹脂質量比=100~10/0~90からなる、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記(b)ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが2.5~30g/10分である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
前記(c)水添ブロック共重合体のスチレン含量が30~60質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]
前記(c)水添ブロック共重合体の数平均分子量が54,000~120,000である、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]
前記(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量が20~95質量%である、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]
前記(b)ポリエチレン樹脂がメタロセン触媒を用いて重合したポリエチレン樹脂である、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]
[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、高周波アンテナ関連部材。
本発明によれば、流動性、耐熱性、耐衝撃性及び剛性のバランスに優れる樹脂組成物を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂10~95質量%、(b)ポリエチレン樹脂2~80質量%、(c)水添ブロック共重合体3~30質量%を含み、前記(b)ポリエチレン樹脂の、メルトフローレートが1.5g~30g/10分、密度が930~975kg/m、数平均分子量に対する重量平均分子量の比率で表される分子量分布が2以上5未満である。
上記構成により、本実施形態の樹脂組成物は、流動性、耐熱性、耐衝撃性、剛性において一層優れた物性バランスを発揮することができる。
本明細書において、(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂を「(a)成分」、(b)ポリエチレン樹脂を「(b)成分」、(c)水添ブロック共重合体を「(c)成分」と称する場合がある。
以下、本実施形態の樹脂組成物の構成成分について説明する。
((a)ポリフェニレンエーテル系樹脂))
(a)成分として用いることができるポリフェニレンエーテル系樹脂とは、ポリフェニレンエーテル(本明細書において、「PPE」と記載する場合がある。)とポリスチレン系樹脂(例えば、アタクチックポリスチレン系樹脂)とを含むことができる。上記PPE系樹脂は、PPEとポリスチレン系樹脂(例えば、アタクチックポリスチレン系樹脂)とからなる混合樹脂であってもよいし、PPEのみからなる樹脂であってもよい。
上記PPE系樹脂はPPEを含有するため、本実施形態の樹脂組成物は、耐熱性に一層優れる。
上記PPEとしては、例えば、下記式(1)で表される繰り返し単位構造からなるホモ重合体、下記式(1)で表される繰り返し単位構造を有する共重合体が挙げられる。
上記PPEは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2022113467000001
上記式(1)中、R1、R2、R3、及びR4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~7の第1級アルキル基、炭素数1~7の第2級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、及び少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択される一価の基である。
上記PPEは、加工時の流動性、靭性及び耐薬品性の観点から、0.5g/dLの濃度のクロロホルム溶液を用いて、30℃の条件下、ウベローデ型粘度管で測定した還元粘度が、0.15~2.0dL/gであることが好ましく、より好ましくは0.20~1.0dL/g、さらに好ましくは0.30~0.70dL/gである。
上記PPEとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-フェニル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレンエーテル)等のホモ重合体;2,6-ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6-トリメチルフェノールや2-メチル-6-ブチルフェノール)との共重合体等の共重合体;等が挙げられる。中でも、樹脂組成物としたときの靭性と剛性のバランスや、原料の入手のし易さの観点から、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)がより好ましい。
上記PPEは、公知の方法により製造することができる。PPEの製造方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、米国特許第3306874号明細書に記載のHayによる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6-キシレノールを酸化重合する方法、米国特許第3306875号明細書、米国特許第3257357号明細書、米国特許第3257358号明細書、特公昭52-17880号公報、特開昭50-51197号公報、特開昭63-152628号公報等に記載の方法等が挙げられる。
上記PPEは、上記ホモ重合体及び/又は上記共重合体と、スチレン系モノマー若しくはその誘導体及び/又はα,β-不飽和カルボン酸若しくはその誘導体とを反応させることによって得られる変性PPEであってもよい。ここで、上記スチレン系モノマー若しくはその誘導体及び/又はα,β-不飽和カルボン酸若しくはその誘導体のグラフト量又は付加量としては、PPE100質量%に対して、0.01~10質量%であることが好ましい。
上記変性PPEの製造方法としては、例えば、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下で、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で、80~350℃の温度下で反応させる方法等が挙げられる。
上記PPEとしては、上記ホモ重合体及び/又は上記共重合体と、上記変性PPEとの、任意の割合の混合物を用いてもよい。
(a)成分に含まれるポリスチレン系樹脂としては、アタクチックポリスチレン系樹脂が好ましく、アタクチックポリスチレン、ゴム補強されたポリスチレン(ハイインパクトポリスチレン、HIPS)がより好ましい。
上記ポリスチレン系樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)成分としては、PPEとポリスチレン系樹脂(例えば、アタクチックポリスチレン系樹脂)との質量割合(PPE/ポリスチレン系樹脂)が、100/0~10/90であるポリフェニレンエーテル系樹脂を用いることができる。かかる混合物の質量割合(PPE/ポリスチレン系樹脂)としては、流動性、耐熱性、耐衝撃性及び剛性の観点から、98/2~30/70であることがより好ましく、95/5~50/50であることがさらに好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂において、(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量は、耐熱性、流動性の観点から、10~95質量%であり、好ましくは20~95質量%であり、より好ましくは20~90質量%である。
((b)ポリエチレン樹脂))
(b)成分のポリエチレン樹脂は、メルトフローレート(MFR)が1.5~30g/10分、密度が930~975kg/m、数平均分子量に対する重量平均分子量の比率で表される分子量分布が2以上5未満である。当該物性を満たすポリエチレン樹脂であれば、一般的に市場に供給されているものの中から選択し、使用することができる。
本実施形態の(b)ポリエチレン樹脂としては、例えば、エチレンに由来する構造単位単独からなる重合体、エチレンに由来する構造単位と炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位とからなる共重合体等が挙げられる。
上記ポリエチレン樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレンと共重合させる炭素数3~20のα-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、デセン-1、ドデセン-1、テトラデセン-1、ヘキサデセン-1、オクタデセン-1、エイコセン-1、3-メチル-ブテン-1、4-メチル-ペンテン-1、6-メチル-ヘプテン-1などが挙げられ、1種単独であっても、2種類以上を任意の比率でドライブレンド或いはメルトブレンドしたものであってもよい。共重合割合は、炭素数3~20のα-オレフィンのエチレンに対するモル比率が0.001%以上1.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.2%以上0.7%以下である。
中でも、分子量分布を上述の範囲に制御しやすいことから、一般的なチーグラー触媒ではなく、メタロセン触媒を用いて重合した高密度ポリエチレンであることが好ましい。
次に、本実施形態の(b)ポリエチレン樹脂の製造方法について説明する。
ポリエチレン樹脂の重合法としては、公知の各種方法を使用でき、例えば、不活性ガス中での流動床式気相重合或いは拡販式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合などが挙げられるが、不活性溶媒中でのスラリー重合が好ましい。
本実施形態の(b)ポリエチレン樹脂は、上述のように、分子量分布を上述の範囲に制御しやすいことから、一般的なチーグラー触媒ではなく、メタロセン触媒及び液体助触媒成分からなるオレフィン重合用触媒を使用して重合することが好ましい。
より具体的には、特開2006-321990号公報に記載されるように、メタロセン触媒を予め水素と接触させた後、液体助触媒成分と共に重合反応器へ導入し、エチレン単独の重合又はエチレンと炭素数3~20のα-オレフィン等との共重合を行うことが好ましい。
上記重合法において用いられるメタロセン触媒としては、特に限定されないが、例えば、特開2006-321990号公報に記載の(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から調製されたメタロセン担持触媒を用いるのが好ましい。特に、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物中の遷移金属は、チタニウムが好ましい。
(b)成分のポリエチレン樹脂は、MFRが1.5~30g/10分であり、2.5~30g/10分であることが好ましく、5.0~20g/10分であることがより好ましい。
MFRが1.5g/10分以上であると、分子量が充分に高いため、本実施形態の樹脂組成物に優れた耐衝撃性を与える。また、MFRが30g/10分以下であれば、本実施形態の樹脂組成物に極端な耐衝撃性低下がなく、優れた流動性を与える。
なお、(b)成分であるポリエチレン樹脂のMFRは、ISO1 133:2005、コードDに準拠して測定された値である。
(b)ポリエチレン樹脂の密度は、930~975kg/mであり、940~975kg/mであることが好ましく、940~970kg/mであることがより好ましい。
密度が930kg/m以上であると、本実施形態の樹脂組成物に剛性を与える。また、密度が975kg/m以下であると、本実施形態の樹脂組成物に靭性を与える。
(b)ポリエチレン樹脂の数平均分子量に対する重量平均分子量の比率で表される分子量分布は、2以上5未満であり、2.2~4.8であることが好ましく、2.4~4.5であることがより好ましく、2.5~4.3であることがさらに好ましい。
分子量分布が2以上であることで、本実施形態の樹脂組成物に優れた流動性を与える。また、分子量分布が5未満であれば、本実施形態の樹脂組成物に優れた耐衝撃性を与え、極端な耐衝撃性低下を防止することができる。
なお、(b)ポリエチレン樹脂の分子量分布は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
本実施形態の熱可塑性樹脂において、(b)ポリエチレン樹脂の含有量は、耐衝撃性、流動性の観点から、2~80質量%であり、好ましくは5~80質量%であり、より好ましくは5~75質量%である。
((c)水添ブロック共重合体))
本実施形態の樹脂組成物において、混和剤として、(c)水添ブロック共重合体を用いる。
(c)成分の水添ブロック共重合体は、上記した(b)ポリエチレン樹脂のマトリックス中に、(a)PPE系樹脂を乳化分散させ、さらには樹脂組成物の耐衝撃性を付与するものである。
(c)成分である水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を、水素添加してなる水添ブロック共重合体であることが好ましい。
(c)成分中に含まれる各ブロックは、それぞれ同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAにおける「主体とする」とは、当該重合体ブロック100質量%において、少なくとも50質量%以上が芳香族ビニル化合物に由来する構造単位であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおける「主体とする」に関しても同様で、重合体ブロックB100質量%において、少なくとも50質量%以上が共役ジエン化合物に由来する構造単位であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
例えば、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA中に、ランダムに少量の共役ジエン化合物又は他の化合物に由来する構造単位を含むブロックであっても、該ブロックの50質量%以上がビニル芳香族化合物に由来する構造単位より形成されていれば、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAとみなす。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの場合においても同様である。
ビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、特にスチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3-ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましく、特にブタジエンが好ましい。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおける1,2-ビニル結合量は、ブロック共重合体の共役ジエン化合物ブロック部分のミクロ構造の1,2-ビニル結合量もしくは1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量との合計量のことである。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおける1,2-ビニル結合量は、本実施形態の樹脂組成物中のポリエチレン樹脂とPPE系樹脂とを乳化分散させ、かつ樹脂組成物を成形することにより得られる成形体における、ドメイン相とマトリクス相との剥離を抑制し、高い耐衝撃性を発現するための観点から、下限は5%が好ましく、10%がより好ましく、さらに好ましくは20%であり、さらにより好ましくは30%である。上限については、60%が好ましく、50%がより好ましく、さらに好ましくは40%である。
重合体ブロックA及び重合体ブロックBで構成される(c)水添ブロック共重合体の構造としては、例えば、A-B型、A-B-A型、A-B-A-B型、(A-B-)n-X型(ここで、nは1以上の整数、Xは四塩化ケイ素、四塩化スズなどの多官能カップリング剤の反応残基又は多官能性有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。)、A-B-A-B-A型等のブロック単位が結合した構造が好ましい。上記(c)水添ブロック共重合体としては、上記のいずれかの構造を有するスチレン-ブタジエンブロック共重合体の水素添加物が好ましい。
(c)成分である水添ブロック共重合体は、乳化分散性の観点から、重合体ブロックAを2個以上有することが重要である。
(c)成分の水添ブロック共重合体は、(c)水添ブロック共重合体中に結合したスチレンに由来する構造単位の質量割合(スチレン含量)が30~60質量%であることが好ましく、30~55質量%であることがより好ましく、30~50質量%であることがさらに好ましい。
スチレン含量が30質量%以上であると、本実施形態の樹脂組成物に優れた混和性と耐衝撃性を与える。また、スチレン含量が60質量%以下であれば、本実施形態の樹脂組成物に極端な耐衝撃性低下がなく、優れた混和性と耐衝撃性及び流動性を与える。
なお、スチレン含量は、赤外線分光光度計、NMR等を用いて算出することができる。
さらに個々のブロック構造に言及すると、例えば、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAとは、スチレンのホモ重合体ブロック又はスチレンを50質量%を超え好ましくは70質量%以上含有するスチレンとブタジエンとの共重合体ブロックであることが好ましい。共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとは、ブタジエンのホモ重合体ブロック又はブタジエンを50質量%を超え好ましくは70質量%以上含有するブタジエンとスチレンとの共重合体ブロックであることが好ましい。
また、これらのビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの個々の構造は、それぞれの重合体ブロックにおける分子鎖中のビニル芳香族化合物又は共役ジエン化合物の分布が、ランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)であってもよく、一部がビニル芳香族化合物(好ましくはスチレン)100質量%のブロック構造又は一部が共役ジエン化合物(好ましくはブタジエン)100質量%のブロック構造の任意の組み合わせから構成されていてもよい。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA及び共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBが、それぞれ2個以上ある場合は、各重合体ブロックはそれぞれ同一構造であってもよく、異なる構造であってもよい。
共役ジエン化合物(例えば、ブタジエン)を主体とする重合体ブロックBについて言及すると、(c)水添ブロック共重合体の水素添加前における、共役ジエン化合物(例えば、ブタジエン)を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBは、共役ジエン化合物(例えば、ブタジエン)の1,2-ビニル結合量が5~60%の中から選ばれる単一のビニル結合量であってもよく、1,2-ビニル結合量が5~60%である共役ジエン化合物(例えば、ブタジエン)を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックB1と1,2-ビニル結合量が1%以上5%未満である共役ジエン化合物(例えば、ブタジエン)を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックB2を併せ持つ共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBであってもよい。このようなブロック構造を示すブロック共重合体は、例えば、A-B2-B1-Aで示され、調整された各モノマー単位のフィードシーケンスに基づいて1,2-ビニル結合量を制御した公知の重合方法によって得ることができる。ただし、この場合、ブロックBにおける1,2-ビニル結合量は、{(B2ビニル結合量)×(B2の分子量)+(B1ビニル結合量)×(B1の分子量)}/{(B2の分子量)+(B1の分子量)}で与えられ、60%以下であることが好ましい。
そして、上記したブロック共重合体の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの脂肪族系二重結合は、水素添加反応を行い、(c)水添ブロック共重合体(例えば、スチレン-ブタジエンブロック共重合体の水素添加物)成分として用いることができる。かかる脂肪族系二重結合の水素添加率は80%以上である。そして、この水素添加率は通常、赤外分光光度計やNMR等によって知ることができる。
上記(c)水添ブロック共重合体は、上記の構造を有する他に、本実施形態の樹脂組成物における、ドメイン相とマトリクス相との剥離が防止でき、耐熱性、耐衝撃性及び加工性の観点から、数平均分子量(Mnc)が250,000以下であることが好ましく、ビニル芳香族化合物(例えば、スチレン)を主体とする重合体ブロックAの数平均分子量(MncA)が8000以上を満たすことが好ましい。
さらに、(c)成分の水添ブロック共重合体は、数平均分子量(Mnc)が50,000~120,000であることがより好ましく、54,000~120,000であることがさらに好ましく、70,000~120,000であることがよりさらに好ましい。
数平均分子量(Mnc)が50,000以上であると、本実施形態の樹脂組成物に優れた混和性と耐衝撃性を与える。また、数平均分子量が120,000以下であれば、本実施形態の樹脂組成物に優れた混和性を発現し、極端な耐衝撃性低下がなく、優れた流動性を与える。
(c)水添ブロック共重合体の数平均分子量(Mnc)の測定は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
なお、(c)水添ブロック共重合体の、ビニル芳香族化合物(例えば、スチレン)を主体とする重合体ブロックAの数平均分子量(MncA)は、例えば、A-B-A型構造の場合、上記(c)水添ブロック共重合体の数平均分子量(Mnc)を基に、(c)水添ブロック共重合体の分子量分布が1、更にビニル芳香族化合物(例えば、スチレン)を主体とする重合体ブロックAが、2つが同一分子量として存在することを前提として、(MncA)=(Mnc)×結合スチレン量の割合÷2の計算式で求めることができる。
同様に、A-B-A-B-A型の(c)水添ブロック共重合体の場合は、(MncA)=(Mnc)×結合スチレン量の割合÷3の計算式で求めることができる。
なお、(c)水添ブロック共重合体を合成する段階で、上記した重合体ブロックAのブロック構造及び重合体ブロックBのブロック構造のシーケンスが明確になっている場合は、上記計算式に依存せずに、測定した(c)水添ブロック共重合体の数平均分子量(Mnc)をベースに、重合体ブロックAの割合から算出してもよい。
上記(c)水添ブロック共重合体は、上述した構造を有するものであれば、どのような製造方法で得られるものであってもかまわない。
公知の製造方法としては、例えば、特開昭47-11486号公報、特開昭49-66743号公報、特開昭50-75651号公報、特開昭54-126255号公報、特開昭56-10542号公報、特開昭56-62847号公報、特開昭56-100840号公報、特開2004-269665号公報、英国特許第1130770号、米国特許第3281383号及び同第3639517号に記載された方法や、英国特許第10207
20号、米国特許第3333024号及び同第4501857号に記載された方法が挙げられる。
また、(c)水添ブロック共重合体は、上述した水添ブロック共重合体のほかに、当該水添ブロック共重合体とα,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体(エステル化合物や酸無水物化合物、例えば無水マレイン酸)とを、ラジカル発生剤の存在下あるいは非存在下で溶融状態、溶液状態、スラリー状態で80~350℃の温度下で反応させることによって得られる変性(前記α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体が0.01~10質量%グラフト又は付加)水添ブロック共重合体であってもよく、さらに上記水添ブロック共重合体と変性水添ブロック共重合体との任意の割合の混合物であってもよい。
本実施形態の熱可塑性樹脂において、(c)水添ブロック共重合体の含有量は、耐衝撃性、流動性の観点から、3~30質量%であり、好ましくは3~25質量%であり、より好ましくは5~25質量%である。
(その他の成分)
本実施形態の樹脂組成物は、上述した成分の他に、本発明の特徴及び効果を損なわない範囲で必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分の含有量は、(a)成分~(c)成分の合計量を100質量%としたときに、20質量%以下としてよい。
上記その他の成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、(a)~(c)成分以外の熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマー(ブロック共重合体やポリオレフィン系エラストマー等)、熱安定剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、結晶核剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、シリコーン系難燃剤等)、可塑剤((b)成分を除く低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類、脂肪酸金属塩等)、耐候(光)性改良剤、スリップ剤、無機又は有機の充填材や強化材(ガラス繊維、炭素繊維、ポリアクリロニトリル繊維、アラミド繊維等)、各種着色剤、離型剤等が挙げられる。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物は、(a)成分~(c)成分、さらに必要に応じてその他の成分を溶融混練することにより製造することができる。
溶融混練を行う溶融混練機としては、以下に限定されないが、例えば、単軸押出機、二軸押出機を含む多軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練機が挙げられるが、特に、混練性の観点から、二軸押出機が好ましい。具体的には、WERNER&PFLEIDERER社製のZSKシリーズ、東芝機械(株)製のTEMシリーズ、日本製鋼所(株)製のTEXシリーズ等が挙げられる。
この際の溶融混練温度は、結晶性樹脂においてはその結晶性樹脂の融点温度以上、非結晶性樹脂においてはそのガラス転移温度以上で加熱溶融して無理なく加工できる温度を選ぶことができ、通常200~370℃の中から任意に選ぶことができる。
押出機を用いた好ましい製造方法を以下に述べる。
押出機のL/D(バレル有効長/バレル内径)は、20以上60以下であることが好ましく、より好ましくは30以上50以下である。
押出機の構成については、特に限定されないが、例えば、原料の流れ方向に対し、上流側に第1原料供給口、該第1原料供給口より下流に第1真空ベント、該第1真空ベントの下流に第2原料供給口を設け(必要に応じて、第2原料供給口の下流に、さらに第3、第4原料供給口を設けてもよい)、さらに該第2原料供給口の下流に第2真空ベントを設けたものが好ましい。特に、第1真空ベントの上流にニーディングセクションを設け、第1真空ベントと第2原料供給口との間にニーディングセクションを設け、第2~第4原料供給口と第2真空ベントとの間にニーディングセクションを設けたものがより好ましい。
上記第2~第4原料供給口への原材料供給方法は、特に限定されるものではないが、押出機第2~第4原料供給口の開放口よりの単なる添加供給よりも、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給する方法がより安定して供給できる傾向にあるため好ましい。
特に、原料に粉体が含まれ、樹脂の熱履歴による架橋物や炭化物の発生を低減したい場合は、押出機サイドから供給する強制サイドフィーダーを用いた方法がより好ましく、強制サイドフィーダーを第2~第4原料供給口に設け、これら原料の粉体を分割して供給する方法がさらに好ましい。
また、液状の原材料を添加する場合は、プランジャーポンプ、ギアポンプ等を用いて押出機中に添加する方法が好ましい。
そして、押出機第2~第4原料供給口の上部開放口は、同搬する空気を抜くための開放口として使用することもできる。
樹脂組成物の溶融混練工程における溶融混練温度、スクリュー回転数に関しては、特に限定されないが、結晶性樹脂においてはその結晶性樹脂の融点温度以上、非結晶性樹脂においてはそのガラス転移温度以上で加熱溶融して無理なく加工できる温度を選ぶことができ、通常200~370℃の中から任意に選び、スクリュー回転数を100~1200rpmとする。
二軸押出機を用いた、本実施形態の樹脂組成物の具体的な製法態様の一つとして、例えば、(a)~(c)成分の熱可塑性樹脂を、二軸押出機の第1原料供給口に供給し、加熱溶融ゾーンを熱可塑性樹脂の溶融温度に設定し、スクリュー回転数100~1200rpm、好ましくは200~500rpmにて溶融混練し、溶融混練する方法が挙げられる。また、(a)~(c)成分を二軸押出機に供給する位置は、上記したように一括して押出機の第1原料供給口から供給しても良く、第2原料供給口、第3原料供給口及び第4原料供給口を設けてそれぞれの成分を分割して供給しても構わない。
さらに、樹脂の酸素存在下における熱履歴による架橋物や炭化物の発生を低減化させる場合、各原材料の押出機への添加経路における個々の工程ラインの酸素濃度を1.0体積%未満に保持することが好ましい。上記添加経路としては、特に限定されないが、具体例としては、ストックタンクから順に、配管、リフィルタンクを保有した重量式フィーダー、配管、供給ホッパー、二軸押出機、といった構成を挙げることができる。上記のような低い酸素濃度を維持するための方法としては、特に限定されないが、気密性を高めた個々の工程ラインに不活性ガスを導入する方法が有効である。通常、窒素ガスを導入して酸素濃度1.0体積%未満に維持することが好ましい。
上述した樹脂組成物の製造方法は、熱可塑性樹脂がパウダー状(体積平均粒径が10μm未満)の成分を含む場合、本実施形態の樹脂組成物を二軸押出機を用いて製造する際に、二軸押出機のスクリューにおける残留物をより低減する効果をもたらし、さらには上述した製造方法で得られた樹脂組成物において、黒色異物や炭化物等の発生を低減化する効果をもたらす。
本実施形態の樹脂組成物の具体的な製造方法としては、各原料供給口の酸素濃度を1.0体積%未満に制御した押出機を用い、かつ下記1~3のいずれかの方法を実施することが好ましい。
1.本実施形態の樹脂組成物に含まれる(a)~(c)成分の全量を溶融混練する方法。
2.本実施形態の樹脂組成物に含まれる(a)~(c)成分の一部を溶融混練し、その溶融状態の混錬物に(a)~(c)成分の残量を追加して溶融混練を行う製造方法。
3.本実施形態の樹脂組成物に含まれる(a)~(c)成分の一部を溶融混練し、樹脂ペレットを得る(第一混練工程)。つぎに、(a)~(c)成分の残量を溶融混練し(第二混練工程)、この時に第一混練工程で得られたペレットを追加して溶融混練を行う製造方法。
特に、(a)成分の原料であるポリフェニレンエーテル系樹脂、場合によっては(c)成分の水添ブロック共重合体は粉体状であり、押出機への噛み込み性が悪く、時間当たりの生産量を増やすことが難しい。さらに樹脂の押出機中の滞留時間が長くなることから熱劣化が起きやすい。以上から、上記1、2の製造方法で得られる樹脂組成物は、3の製造方法で得られる樹脂組成物と比較して、(a)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂の噛み込み性が改善され、各成分の混合性に優れ、熱劣化による分解、架橋物や炭化物の発生を低減化させることができ、且つ樹脂の時間当たりの生産量を上げることができ、生産性、品質が優れた樹脂組成物が得られるため、より好ましい。
〔成形品〕
本実施形態の樹脂組成物の成形品は、例えば、射出成形、金属インモールド成形、アウトサート成形、中空成形、押出成形、シート成形、熱プレス成形、回転成形、積層成形等の成形方法を適用して製造でき、高周波アンテナ関連部材、情報通信機器部品等の成形品として広く使用することができる。中でも、本実施形態の樹脂組成物を含む高周波アンテナ関連部材(例えば、周波数10MHz以上のアンテナ関連部材)が好ましい。上記アンテナ関連部材としては、例えば、アンテナを構成する部材が挙げられ、具体的には、アンテナ本体、アンテナアレイ等が挙げられる。
以下、本実施形態について、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた物性の測定方法を以下に示す。
((1)黒色異物数)
後述の実施例6、22、及び23で得られた樹脂組成物ペレットを、230~280℃に設定したプレス成形機と75mm×75mm×厚み1mmの金型を用いて平板を成形した。その平板に発生した黒色異物を目視にてカウントし、黒色異物数とした。値が高いほど品質に悪影響を与えると評価した。
((2)流動性)
JIS-K7210に準拠し、記載の条件でMFR(g/10min)を測定した。値が高いほど流動性が優れていると評価した。
((3)耐熱性)
後述の実施例及び比較例で得られた樹脂組成物のペレットを、記載の条件に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、ISO 10724-1に従い試験片タイプAを成形した。このテストピースを用いて、JIS K7191-1に準拠し、荷重たわみ温度(℃)を測定した。値が高いほど耐熱性が優れていると評価した。
((4)耐衝撃性)
後述の実施例及び比較例で得られた樹脂組成物のペレットを、記載の条件に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、ISO 10724-1に従い試験片タイプAを成形した。このテストピースを用いて、JIS K7111-1に準拠し、ノッチ付きシャルピー衝撃強さ(kJ/m)を測定した。値が高いほど耐衝撃性が優れていると評価した。
なお、表中の「NB」の記載は、振り子荷重4Jにおいても破断せず(シャルピー衝撃強さ≧123kJ/m)の意である。
((5)剛性)
後述の実施例及び比較例で得られた樹脂組成物のペレットを、記載の条件に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、ISO 10724-1に従い試験片タイプAを成形した。このテストピースを用いて、JIS K7171に準拠し、曲げ弾性率(GPa)を測定した。値が高いほど剛性が優れていると評価した。
実施例及び比較例に用いた原材料を以下に示す。
<(a)成分:ポリフェニレンエーテル系樹脂>
(a1)ポリフェニレンエーテル(濃度0.5g/dLのクロロホルム溶液で30℃で測定した還元粘度:0.40dL/g)
(a2)ハイインパクトポリスチレン(PSジャパン株式会社製H9405)
(a3)上記(a1)成分/(a2)成分=55/15(質量比)でドライブレンド後、下記実施例と同じ条件で溶融混練して得られた樹脂ペレット。
<(b)成分:ポリエチレン樹脂>
(b1):特開2006-321990号公報に従い、メタロセン触媒を用いて製造した、メタロセン触媒重合高密度ポリエチレン MFR=1.5g/10分、密度946kg/m、分子量分布4.5
(b2):特開2006-321990号公報に従い、メタロセン触媒を用いて製造した、メタロセン触媒重合高密度ポリエチレン MFR=2.3g/10分、密度946kg/m、分子量分布4.2
(b3):特開2006-321990号公報に従い、メタロセン触媒を用いて製造した、メタロセン触媒重合高密度ポリエチレン MFR=5.5g/10分、密度944kg/m、分子量分布4.0
(b4):特開2006-321990号公報に従い、メタロセン触媒を用いて製造した、メタロセン触媒重合高密度ポリエチレン MFR=13g/10分、密度962kg/m、分子量分布3.8
(b5):特開2006-321990号公報に従い、メタロセン触媒を用いて製造した、メタロセン触媒重合高密度ポリエチレン MFR=20g/10分、密度965kg/m、分子量分布3.5
(b6):特開2006-321990号公報に従い、メタロセン触媒を用いて製造した、メタロセン触媒重合高密度ポリエチレン MFR=30g/10分、密度966kg/m、分子量分布3.3
(b7):特開2006-321990号公報に従い、メタロセン触媒を用いて製造した、メタロセン触媒重合高密度ポリエチレン MFR=34g/10分、密度964kg/m、分子量分布3.2
(b8):チーグラー触媒を用いて製造した、チーグラー触媒重合高密度ポリエチレン MFR=1.3g/10分、密度966kg/m、分子量分布10
(b9):チーグラー触媒を用いて製造した、チーグラー触媒重合高密度ポリエチレン MFR=14g/10分、密度962kg/m、分子量分布9.1
(b10):チーグラー触媒を用いて製造した、チーグラー触媒重合高密度ポリエチレン MFR=24g/10分、密度960kg/m、分子量分布5.0
(b11):チーグラー触媒を用いて製造した、チーグラー触媒重合低密度ポリエチレン MFR=12g/10分、密度915kg/m、分子量分布12
(b12):メタロセン触媒を用いて製造した、メタロセン触媒重合線状低密度ポリエチレン MFR=14g/10分、密度911kg/m、分子量分布4.2
(b13):チーグラー触媒を用いて製造した、チーグラー触媒重合高密度ポリエチレン MFR=13g/10分、密度964kg/m、分子量分布12
<(c)成分:水添ブロック共重合体>
(c1)ポリスチレン-水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレンのブロック構造を持ち、スチレン含量が13質量%、1,2-ビニル結合量が35%、数平均分子量が120,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.2%の水添ブロック共重合体。
(c2)ポリスチレン-水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレンのブロック構造を持ち、スチレン含量が30質量%、1,2-ビニル結合量が36%、数平均分子量が81,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.3%の水添ブロック共重合体。
(c3)ポリスチレン-水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレンのブロック構造を持ち、スチレン含量が43質量%、1,2-ビニル結合量が36%、数平均分子量が73,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.5%の水添ブロック共重合体。
(c4)ポリスチレン-水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレンのブロック構造を持ち、スチレン含量が55質量%、水素添加前の1,2-ビニル結合量が33%、数平均分子量が78,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.4%の水添ブロック共重合体。
(c5)ポリスチレン-水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレンのブロック構造を持ち、スチレン含量が60質量%、水素添加前の1,2-ビニル結合量が36%、数平均分子量が88,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.3%の水添ブロック共重合体。
(c6)ポリスチレン-水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレンのブロック構造を持ち、スチレン含量が67質量%、水素添加前の1,2-ビニル結合量が36%、数平均分子量が74,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.3%の水添ブロック共重合体。
(c7)ポリスチレン-水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレンのブロック構造を持ち、スチレン含量が30質量%、水素添加前の1,2-ビニル結合量が36%、数平均分子量が235,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.3%の水添ブロック共重合体。
(c8)ポリスチレン-水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレンのブロック構造を持ち、スチレン含量が31質量%、1,2-ビニル結合量が35%、数平均分子量が54,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.3%の水添ブロック共重合体。
(c9)ポリスチレン-水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレンのブロック構造を持ち、スチレン含量が30質量%、1,2-ビニル結合量が36%、数平均分子量が120,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.3%の水添ブロック共重合体。
[実施例1~23、比較例1~12]
(a)~(c)成分を表1及び表2に示した組成で配合し、二軸押出機ZSK-40(COPERION WERNER&PFLEIDERER社製、ドイツ国)を用いて樹脂組成物の製造を行った。この二軸押出機において、原料の流れ方向に対して上流側に第1原料供給口を設け、これより下流に第1真空ベント、その下流に第2原料供給口、さらにその下流に第2真空ベントを設けた。
上記のように設定した押出機を用い、表1及び2に示す組成及び添加方法で各成分を添加し、押出温度250~320℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量70Kg/Hr、各原料供給口の酸素濃度0.8体積%にて溶融混練し、ペレットを製造した。
得られた樹脂組成物ペレットを用いて、上述の各評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 2022113467000002
Figure 2022113467000003
表1及び表2に示すように、実施例1~23の樹脂組成物は、流動性、耐熱性、耐衝撃性及び剛性に優れていることが分かった。
比較例1~12は、実施例と比較して、流動性、耐熱性、耐衝撃性及び剛性のいずれかが劣る結果となっていた。
本実施形態の樹脂組成物で成形される成形品は、優れた流動性、耐熱性、耐衝撃性及び剛性を有することから、樹脂成形品の設計の自由度を上げることができる。このため、情報通信機器部品、電気・電子機器、家電部品、OA機器部品、音響映像機器部品、及び自動車部品における各種部品等として利用でき、産業上の利用可能性を有している。

Claims (8)

  1. (a)ポリフェニレンエーテル系樹脂10~95質量%、
    (b)ポリエチレン樹脂2~80質量%、
    (c)水添ブロック共重合体3~30質量%を含み、
    前記(b)ポリエチレン樹脂の、メルトフローレートが1.5g~30g/10分、密度が930~975kg/m、数平均分子量に対する重量平均分子量の比率で表される分子量分布が2以上5未満である
    ことを特徴とする、樹脂組成物。
  2. 前記(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリフェニレンエーテル樹脂/ポリスチレン系樹脂質量比=100~10/0~90からなる、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(b)ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが2.5~30g/10分である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(c)水添ブロック共重合体のスチレン含量が30~60質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記(c)水添ブロック共重合体の数平均分子量が54,000~120,000である、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量が20~95質量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記(b)ポリエチレン樹脂がメタロセン触媒を用いて重合したポリエチレン樹脂である、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、高周波アンテナ関連部材。
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