JP2022112563A - Oct装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】波長毎の光路長の調整が容易な技術の提供。
【解決手段】複数の波長を含む光を出力する光源と、前記光源から出力された光を参照光と測定光に分割する分割部と、測定対象に照射される前記測定光と、前記測定光によって生じる前記測定対象からの反射光と、の光路を形成する測定アームと、前記参照光の光路を形成する参照アームと、前記反射光と前記参照光との干渉光に基づいて前記測定対象を測定する測定部と、を備え、光を波長毎の光に分散させる分散部と、分散された光の光路であり、かつ、波長毎に異なる光路長となる光路を形成する分散光路部と、が前記測定アームと、前記参照アームと、の少なくとも一方に設けられているOCT装置を構成する。
【選択図】図2
【解決手段】複数の波長を含む光を出力する光源と、前記光源から出力された光を参照光と測定光に分割する分割部と、測定対象に照射される前記測定光と、前記測定光によって生じる前記測定対象からの反射光と、の光路を形成する測定アームと、前記参照光の光路を形成する参照アームと、前記反射光と前記参照光との干渉光に基づいて前記測定対象を測定する測定部と、を備え、光を波長毎の光に分散させる分散部と、分散された光の光路であり、かつ、波長毎に異なる光路長となる光路を形成する分散光路部と、が前記測定アームと、前記参照アームと、の少なくとも一方に設けられているOCT装置を構成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、OCT装置に関する。
OCT装置(光干渉断層撮影装置)は、測定対象の断層像に基づいて3次元画像を取得する装置である。従来、OCT装置において、測定アームと参照アームとの少なくとも一方で光の波長毎の光路長を変化させる技術が知られている。例えば、特許文献1においては、測定アームの光路である測定光路と、参照アームの光路である参照光路と、の少なくとも一方に対して分散部材を配置し、または配置しない状態に切り替えることにより、測定光路の分散特性と、参照光路の分散特性とを相対的に変更する技術が開示されている。
特許文献1に開示された技術においては、光路に向けて分散部材を移動させ、または光路から分散部材を退避させることによって、光路の分散特性を調整している。分散部材の界面は光路に対して垂直であるため、特許文献1に開示された構成においては、複数の波長の光が同一の光路を進行している。分散部材においては屈折率が波長毎に異なるため、同一の光路を進行する複数の波長の光の光路長は異なる。特許文献1においては、このような光路長の差を利用して分散特性を調整している。
しかし、特許文献1に開示された技術においては、光の波長毎の光路差を大きく変化させることは困難であった。一般に、分散部材において同一の光路を進行する複数の波長の光に生じる光路長の差異は小さい。従って、特許文献1に開示された技術を利用して、光の波長毎の光路差を大きく変化させるためには、非常に厚い分散部材が必要になる。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、波長毎の光路長の調整が容易な技術の提供を目的とする。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、波長毎の光路長の調整が容易な技術の提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、OCT装置は、複数の波長を含む光を出力する光源と、光源から出力された光を参照光と測定光に分割する分割部と、測定対象に照射される測定光と、測定光によって生じる測定対象からの反射光と、の光路を形成する測定アームと、参照光の光路を形成する参照アームと、反射光と参照光との干渉光に基づいて測定対象を測定する測定部と、を備え、光を波長毎の光に分散させる分散部と、分散された光の光路であり、かつ、波長毎に異なる光路長となる光路を形成する分散光路部と、が測定アームと、参照アームと、の少なくとも一方に設けられている。
すなわち、OCT装置において、複数の波長を含む光は、波長毎の光に分散した後、異なる光路を進行する。このため、分散部材の厚さを調整する構成と比較して、波長毎の光の光路長の調整が容易になる。すなわち、分散部によって光の波長毎の光路に分散した後の光の光路は、波長毎に異なる。このため、分散部と分散光路部との相対位置関係(距離や姿勢等)を変化させることにより、分散部材の厚さを調整する構成と比較して、波長毎の光路長の差を大きく変化させることが容易である。このため、波長毎の光路長の調整が容易になり、所望の特性のOCT装置を設計しやすくなる。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)OCT装置の構成:
(2)光路長変換部の構成:
(3)他の実施形態:
(1)OCT装置の構成:
(2)光路長変換部の構成:
(3)他の実施形態:
(1)OCT装置の構成:
以下、本発明の一実施例に係るOCT装置1を含む眼科装置を説明する。図1は、眼科装置の構成を模式的に示す図である。眼科装置は、OCT装置1と前眼部撮影系2とを備えている。前眼部撮影系2は、図示しないアライメント光学系、投光光学系、撮影光学系等を含んでいる。アライメント光学系は、被検者の被検眼に対して前眼部撮影系2およびOCT装置1を移動させ、位置決めするための構成を含む。
以下、本発明の一実施例に係るOCT装置1を含む眼科装置を説明する。図1は、眼科装置の構成を模式的に示す図である。眼科装置は、OCT装置1と前眼部撮影系2とを備えている。前眼部撮影系2は、図示しないアライメント光学系、投光光学系、撮影光学系等を含んでいる。アライメント光学系は、被検者の被検眼に対して前眼部撮影系2およびOCT装置1を移動させ、位置決めするための構成を含む。
投光光学系は、被検眼に対して光を投光するための光学系であり、光源の種類や波長、投光方向等は限定されない。撮影光学系は、被検眼からの光を撮像素子に導き、被検眼を撮影するための光学系である。撮影対象は、限定されず、被検眼の種々の部位であって良い。なお、前眼部撮影系2は、被検眼を撮影することができればよく、例えば、特許文献1のような公知の種々の構成によって実現可能である。また、各光学系は、少なくとも一部の光学部品を共有していて良い。本実施形態にかかる眼科装置は、前眼部撮影系2で被検眼を撮影し、各種の検査を実施可能である。
一方、眼科装置は、OCT装置1によって被検眼の眼底を測定対象として断層像を撮影することが可能である。OCT装置1は、光源から出力された光を参照光と測定光に分解し、測定光が測定対象である被検眼に照射され、被検眼での反射によって得られた反射光と、参照光との干渉光によって測定対象の断層像を生成する装置である。
OCT装置1は、マイケルソン干渉計によって干渉光を生成する。このために、OCT装置1は、光路長変換部10と、光源20と、分割部30と、複数の光路41~44を形成する光学部材と、を備えている。なお、図1や後述する図11において、光路41~44の一部を構成する黒い矩形は、光路41~44の一部を構成する光ファイバを模式的に示している。本実施形態において、光源は、所定の波長範囲の光を出力し、中心波長840nm、半値全幅60nm(すなわち、840±30nm)である。分割部30は、光源20から出力された光を参照光と測定光に分割する光学部材であり、例えば、フィルタカプラ等で構成可能である。すなわち、分割部30は、光源20から出力され、光路41を進行する光を参照光と測定光との2系統に分割し、参照光を光路42,測定光を光路43へと進行させる。
また、光路42を進行して光路長変換部10で反射された参照光は、再び光路42を進行して分割部30に達する。光路43を進行して測定対象で反射された反射光は、再び光路43を進行して分割部30に達する。分割部30は、分割部30に達した参照光および反射光を合成し、光路44へと進行させる。
本実施形態において、分割部30による分割で得られた参照光は、光路42、光路長変換部10、光路42、分割部30、光路44の順で進行し、測定部50に到達する。従って、本実施形態においては、光路42、光路長変換部10、光路44が参照光の光路を形成する。本実施形態においては、当該参照光の光路を参照アームと呼ぶ。また、分割部による分割で得られた測定光は、光路43、測定対象、光路43、分割部30、光路44の順で進行し、測定部50に到達する。従って、本実施形態においては、光路43、光路44が測定光および反射光の光路を形成する。本実施形態においては、当該測定光および反射光の光路を測定アームと呼ぶ。
光路41は、光源20の光を分割部30まで進行させる部位であり、各種の光学部品で形成されて良い。当該光は、分割部30によって測定光と参照光とに分割されるため、光路41は、測定光および参照光の光路である。
光路42は、分割部30によって得られた参照光が光路長変換部10に向けて進行する光路であり、かつ、光路長変換部10の反射部において反射することによって逆方向に進行する参照光が分割部30に向けて進行する光路である。光路42は、各種の光学部品で形成されて良い。図1においては、光学部品の中のコリメーター42aが図示されている。光路長変換部10は、後に詳述する。
光路43は、分割部30によって得られた測定光が測定対象に向けて進行する光路であり、かつ、測定対象で反射して測定光の逆方向に進行する反射光が分割部30に向けて進行する光路である。光路43は、各種の光学部品で形成されて良い。図1においては、光学部品の中のコリメーター43aが図示されている。なお、本明細書においては、光路42において、分割部30に戻る光を単に参照光と呼ぶが、光路43において、分割部30に戻る測定光を反射光と呼ぶ。
光路44は、分割部30によって合成された反射光および参照光が測定部50に向けて進行する光路である。光路44は、各種の光学部品で形成されて良く、図1においては、コリメーター44a、回折格子44b、レンズ44cが図示されている。すなわち、光路44を進行する光はコリメーター44aで平行光とされ、回折格子44bで波長毎の光に分散する。分散した光は、レンズ44cを介して測定部50に入射する。
測定部50は、入射した光の強度を検出するセンサであって、異なる位置に配置された複数のセンサを含んでいる。測定部50に入射する光は回折格子44bで分散しており、分散の結果、波長毎の光路を進行するため、測定部50において光を検出するセンサの位置と光の波長とが対応している。従って、測定部50においては、波長毎の光の強度を検出することができる。測定部50に入射する光は、反射光と参照光とが合成された状態であるため、測定部50は、反射光と参照光との干渉光を検出することになる。
測定部50は、図示しない演算部を備えており、当該演算部は、検出された干渉光に基づいて、公知の演算を行うことにより、測定対象の断層像を生成することができる。すなわち、測定対象を測定することができる。以上のように、本実施形態は、マイケルソン干渉計を利用して干渉光を生成し、回折格子44bによって分散した干渉光を測定するため、SD-OCT(Spectral Domain - Optical Coherence Tomography)である。むろん、図1に示す構成は一例であり、OCT装置1が備える光学部品は異なっても良いし、OCT装置1は、他のフーリエドメインのOCT、例えば、SS-OCTで構成されてもよい。
以上のように、測定部50においては、波長毎の干渉光に基づいて、公知の演算によって測定を行うが、当該演算には、波長分散の補正が含まれ得る。本実施形態において、当該補正は、測定範囲の増加に利用される。むろん、波長分散補正の実施の有無は、利用者によって選択可能であっても良い。
図2A~図2Cは、波長分散の補正および測定範囲の増加を模式的に示す図である。図2Aにおいては、測定部50において検出されるセンサの位置毎(センサの位置は光の波長に対応)の干渉光の強度をフーリエ変換して得られる信号(以後、干渉信号と呼ぶ)の強度を模式的に示している。なお、図2A~図2Cにおいては、横軸が空間周波数、縦軸が干渉信号の強度である。測定部50においては、干渉光の強度を検出しているため、測定アームを進行する光と、参照アームを進行する光の光路長に応じて干渉光の強度が変化する。
参照光の光路長と、測定光および反射光の光路長とが等しい場合、全ての波長の光において、測定アームを進行する光と、参照アームを進行する光とが、干渉して強め合う。従って、フーリエ変換後の干渉信号の強度は、空間周波数0においてピークを有する分布となる。
一方、参照光の光路長と、測定光および反射光の光路長とが異なる場合、光路長の差が波長の整数倍であれば、測定アームを進行する光と、参照アームを進行する光とが、干渉して強め合う。光路長の差が波長の整数倍+半波長分であれば、測定アームを進行する光と、参照アームを進行する光とが、干渉して打ち消し合う。従って、光路長に差がある場合、干渉光の強度は波長毎に異なり、光路長の差に応じて干渉光の強度が波長毎に変化する。
図2Aに示す例においては、参照アームを進行する光の光路長より、測定アームを進行する光の光路長の方が長い場合の干渉信号の強度を分布Dとして例示している。参照アームを進行する光の光路長より、測定アームを進行する光の光路長の方が長い場合、空間周波数が0より大きい領域に分布Dが現れる。そして、参照アーム又は測定アームにおいて波長毎の光の光路長に差がある場合、干渉光の強度の空間周波数は光の波長毎に異なるため、干渉信号の分布は、空間周波数方向に広がりを持つブロードな分布となる。
フーリエドメインのOCTにおいては、以上のようにフーリエ変換を利用して空間周波数に対する干渉信号を解析するが、この際、フーリエ変換に伴って、干渉信号の複素共役信号が生じてしまう。図2Aにおいては、複素共役信号の分布Diを破線によって示している。このような複素共役信号は、空間周波数の軸における0点を中心に分布Dと対象の位置に生じる。従って、参照アームを進行する光の光路長と、測定アームを進行する光の光路長と、の差が等しい状態を基準として、光路長の差が距離Lだけ長くなった場合と、光路長の差が距離Lだけ短くなった場合とを、図2Aに示す干渉信号のプロファイルから区別することはできない。従って、図2Aに示す例では、参照アームを進行する光の光路長が、測定アームを進行する光の光路長以上である場合、または以下である場合に限定して測定しなければならない。すなわち、測定範囲が限定されている。
そこで、本実施形態にかかる測定部50は、DEFR(Dispersion Encoded Full Range)アルゴリズムにより、干渉信号と複素共役信号とを区別する。また、測定部50は、干渉信号と複素共役信号とを区別することによって測定範囲を増加させる。当該DEFRアルゴリズムは、例えば、Optics Express Vol. 17, Issue 1, pp. 7-24 (2009) として公知である。DEFRアルゴリズムにおいて、フーリエ変換後の干渉信号に対して、波長分散の補正を行うと、干渉信号において分布が狭くなり、複素共役信号において分布が広くなる。
従って、例えば、図2Aに示すように、空間周波数の正側に干渉信号の分布Dが存在し、負側に複素共役信号の分布Diが存在する場合、図2Bに示すように、正側の干渉信号が狭い分布D1となり、負側の複素共役信号が広い分布Di1となる。一方、仮に、図2Aに示す分布において、空間周波数の負側に存在する分布が干渉信号であり、正側に存在する分布が複素共役信号である場合、図2Cに示すように、負側の干渉信号が狭い分布D2となり、正側の複素共役信号が広い分布Di2となる。
以上のように、波長分散の補正が行われると、測定対象からの真の信号に対応した干渉信号とフーリエ変換に応じて不可避的に生じる複素共役信号とを区別することができる。そこで、測定部50は、波長分散の補正を行った後、狭くなった分布を残し、広くなった分布を除去することにより、複素共役信号を除去する。このようにして干渉信号を残せば、干渉信号が存在する空間周波数の領域を特定可能である。そこで、測定部50は、干渉信号が正側、負側のいずれに存在するかに応じて、参照光が反射した位置より光路長が長くなる位置に測定対象が存在するのか、短くなる位置に測定対象が存在するのか特定した上で、測定対象の断層像を生成することができる。測定部50によって測定対象の断層像が生成されると、測定部50は、図示しない記憶媒体に断層像を示すデータを保存する。保存された断層像を示すデータは、断層像の表示や各種の検査等に利用される。
以上のDEFRアルゴリズムは、図2Aに示すように、参照アーム又は測定アームにおいて波長毎の光の光路長に差がある場合に干渉光の強度の空間周波数が光の波長毎に異なることに起因して、分布Dがブロードになることを利用している。従って、充分に分布がブロードになっていないとDEFRは成立しない。本実施形態において、光源20から出力される光の波長が、中心波長840nmを中心とした狭い波長範囲の光であると、干渉信号の分布が充分にブロードにならないことが想定される。
さらに、光源20の個体差やOCT装置1に対するセッティングの差等に応じて、OCT装置1で利用される光の波長範囲が個体毎に微妙に異なり得る。干渉信号は波長の差異に応じた干渉の強度の変化を反映した分布になるため、OCT装置1で利用される光の波長範囲が異なると、OCT装置1の個体によって同一の測定対象によって得られる干渉信号が異なり得る。このため、DEFRアルゴリズムによって処理されて得られる断層像も異なり得る。
そこで、本実施形態においては、充分にブロードな分布の干渉信号を容易に生成することが可能であり、また、光の波長範囲の微差に応じて光の波長毎の光路長を微調整できるようにするために、光路長変換部10が設けられている。本実施形態にかかるOCT装置1は、光路長変換部10によって光の波長毎の光路長を微調整することができるため、光源20の個体差やセッティングの差等が生じないように設計する必要はない。従って、OCT装置1の設計が容易である。
(2)光路長変換部の構成:
本実施形態において、光路長変換部10は、参照アームに設けられている。具体的には、光路長変換部10は、光を波長毎に異なる進行方向に分散させる分散部と、波長毎に異なる光路長となる光路を形成する分散光路部と、とを備えている。また、本実施形態において、光路長変換部10は、参照光を反射する反射部を含んでいる。
本実施形態において、光路長変換部10は、参照アームに設けられている。具体的には、光路長変換部10は、光を波長毎に異なる進行方向に分散させる分散部と、波長毎に異なる光路長となる光路を形成する分散光路部と、とを備えている。また、本実施形態において、光路長変換部10は、参照光を反射する反射部を含んでいる。
光路長変換部10に入射した参照光は、波長毎の光に分散し、分散した状態で異なる光路を進行することによって、波長毎に異なる光路長の光路を進行するように構成されている。そして、参照光は、光路長変換部10の内部で反射され、再び光路42に出力される。
光を波長毎に分散させるための構成は、種々の構成であって良いが、本実施形態においては光学部材によって、光が波長毎の光に分散する。ここでは、当該光学物材を第1光学部材と呼ぶ。
波長毎に異なる光路長となる光路を形成す分散光路部も、種々の構成であってよく、本実施形態において分散光路部は、第1光学部材によって分散された波長毎の光が入射され、当該波長毎の光の進行方向を、分散された状態が維持されたまま逆向きに変換して第1光学部材に戻す進行方向変換部を有する。進行方向変換部は、複数の光学部材によって構成可能であり、本実施形態においては、第1光学部材と同種の部材である第2光学部材と、光を反射する反射部材と、によって進行方向変換部が構成される。
図3は、光路長変換部10の一例に係る構成から一部の構成を抜き出して模式的に示した図である。図3に示す構成において、第1光学部材はプリズムP11によって構成される。また、第2光学部材はプリズムP12、反射部材はミラーM11によって構成される。光路長変換部10は、これらの部材以外にも、種々の部材を含む。例えば、本実施形態において、光路長変換部10は、プリズムP12およびミラーM11をプリズムP11に向けて進退させるための、図示しない移動機構を備えている。
図3に示す構成において、光路42から光路長変換部10に入射した光Li11は、プリズムP11に向けて進行する。プリズムP11に達した光はプリズムP11の界面で屈折する。この際、光は分散し、波長毎に異なる進行方向に進行する。さらに、波長毎の光がプリズムP11の逆側の界面に達すると、再び屈折し、空気中を進行する。図3においては、異なる波長の光の進路を一点鎖線、実線、破線によって示している。一点鎖線の光路を進行する光は、実線の光路を進行する光より波長が長く、実線の光路を進行する光は、破線の光路を進行する光より波長が長い。むろん、波長毎の光はより多数であって連続的に分布しているが、図3においては、3個の光路のみを抽出して模式的に示している。
プリズムP11から出力された光がプリズムP12に達すると、界面で屈折してプリズムP12の内部を進行し、逆側の界面で再び屈折し、波長毎の光が互いに平行な状態でミラーM11に向けて進行する。波長毎の光がミラーM11に達すると、ミラーM11で反射され、反射前の光と進行方向が逆向きになり、元の光路と同一の光路を戻っていく。すなわち、ミラーM11で反射された光は、プリズムP12,プリズムP11を通過し、プリズムP11から出力された段階で、波長毎に異なる光路を進行していた光(分散していた光)が、分散前の状態に戻る。そして、プリズムP11から出力された光Li12が光路42に戻っていく。
なお、以上の構成は一例であり、例えば、マッハツェンダー干渉計が利用される場合であれば、参照アームを進行する参照光が同一の光路に戻るような構成でなくても良い。なお、光路42から光路長変換部10に入射する光と、光路長変換部10から光路42に入射する光は、1本の線で表現されているが、幅を持つ平行光であっても良い(以下、他の実施形態でも同様)。
本実施形態において、プリズムP11,P12は、同一の媒質であり、かつ、同一形状である。図3に示す例においてプリズムP11,P12は、三角柱であり、当該三角柱の軸は、互いに平行である。また、三角柱の軸に垂直な平面(図3の紙面と平行な平面)と光Li11の光軸とは平行である。さらに、プリズムP11への光の入射面Si11と、プリズムP12からの光の出射面So12とが平行に向けられ、かつ、プリズムP11からの光の出射面So11と、プリズムP12への光の入射面Si12とが平行に向けられている。ミラーM11は、プリズムP12から出力された光に対して垂直な向きに向けられている。
従って、プリズムP11に対して入射する光と、プリズムP12からミラーM11に向かう光とは、平行になる。また、光がプリズムP11,P12を通ることで、光が波長毎に分散した状態が維持されたままミラーM11に向かう構成になる。ミラーM11に向かう波長毎の光がミラーM11に達すると、反射されて逆向きに進行する。このように、本実施形態において、第1光学部材であるプリズムP11によって分散された光は、第2光学部材であるプリズムP12と、反射部材であるミラーM11とにより、分散した状態が維持されたまま逆向きに変換されて第1光学部材であるプリズムP11に戻される。プリズムP11から出力される光と、プリズムP11に戻る光とは、逆向きであるため、戻った光がプリズムP11を通ると、波長毎に分散していない状態に戻る。
以上のように、光路長変換部10においては、光路42から入力する光を波長毎の光に分散させる。また、分散した波長毎の光は異なる光路を進行する。本実施形態においては、このような機能を有する分散部と分散光路部とを、プリズムP11,P12およびミラーM11によって実現しており、簡易な構成によって光路長変換部10を構成することができる。
本実施形態においては分散した光が異なる光路を進行するため、分散した光の光路長が波長毎に異なる。図3に示す構成においては、主に、二点鎖線Lm1,Lm2の間の光路長が波長毎に異なっている。さらに、本実施形態においては、波長毎の光路長を変化させることが可能である。光路長を変化させるための構成は、種々の構成によって実現されて良く、例えば、分散部と、進行方向変換部と、の距離または向きの少なくとも一方を変化させることによって、分散された光の波長毎の光路長を変化させることが可能である。
本実施形態においては、進行方向変換部を構成するプリズムP12とミラーM11とを一体的に移動させることが可能である。具体的には、プリズムP12とミラーM11とは、図示しない移動機構に連結されている。移動機構は、プリズムP12とミラーM11との相対位置関係が変化せず、かつ、プリズムP11の出射面So11とプリズムP12の入射面Si12とが平行である状態を維持しながら、プリズムP12とミラーM11とを移動させることができる。図3に示す矢印A11は、プリズムP12とミラーM11との移動可能方向を示している。
当該移動可能方向にプリズムP12とミラーM11とを移動させると、プリズムP11,P12間の距離が変動する。プリズムP11,P12間の距離が変動すると、同じ波長の光が入射面Si12に対して入射する位置が変動する。例えば、図3に示す状態から、矢印A11に沿ってプリズムP12とミラーM11とがプリズムP11に近づく方向に移動した場合、一点鎖線、実線、および破線で示す光は、図3に示す状態よりもプリズムP12の頂点Pa12から遠い位置で入射面Si12に対して入射する。この結果、例えば、プリズムP12内において、各波長の光の光路長は長くなる。このように、プリズムP12とミラーM11とを矢印A11方向に移動させると光路長が変化する。この際、光路長の変化度合いは波長毎に異なる。従って、本実施形態によれば、波長毎に異なる変化量で光路長を変化させることができる。
移動機構は、物体を直線方向に往復移動させるための各種の機構で実現可能である。例えば、ボールネジ機構等によって直線往復運動が実現されても良いし、スライダクランク機構やカム等の動力伝達機構によって直線往復運動が実現されても良い。なお、光路長を変化させるための構成は、プリズムP12とミラーM11とを直線方向に往復移動させる構成に限定されない。例えば、プリズムP11,P12の頂点Pa11,Pa12を回転軸とし、プリズムP11,P12を同一回転方向に同一角度だけ回転するように向きを変化させてもよい。すなわち、プリズムP11の出射面So11とプリズムP12の入射面Si12とが平行である状態を維持しながらプリズムP11,P12を回転させても良い。
また、プリズムP11が直線方向に往復移動可能であっても良い。むろん、プリズムP11,P12の回転や直線方向への移動を可能にする機構が併用されていても良い。なお、移動機構は、利用者によって手動で動作させる構成であっても良いし、測定部50等からの制御指示に応じて動作させる構成であってもよい。後者であれば、例えば、モータ等の動力を移動機構に伝達可能に構成され、制御指示に応じてモータ等を動作させる構成となる。
さらに、プリズムP11,P12やミラーM11の形状も図3に示す構成に限定されない。例えば、プリズムP11,P12の形状は完全同一でなくても良い。すなわち、プリズムP11,P12において、頂点Pa11,Pa12における角度θが同一であり、プリズムP11の出射面So11とプリズムP12の入射面Si12とが平行であればよい。従って、例えば、プリズムP11,P12が図3において形成する三角形は合同でなくても良い。また、ミラーM11が図3に示す大きさと比較して充分大きい場合、プリズムP12とミラーM11とを一体的に移動させるのではなく、プリズムP12を移動させるように構成されていても良い。
以上のように、本実施形態においては各種の変形例を採用可能であるが、いずれにしても、本実施形態によれば、移動機構によって波長毎の光路長を変化させることが可能である。従って、本実施形態にかかるOCT装置1によれば、分散特性を調整することが可能であり、干渉信号の分布を充分にブロードにするための調整を容易に実施することができる。さらに、光源20の個体差やセッティングの差等により、OCT装置1で利用される光の波長範囲が個体毎に微妙に異なったとしても、OCT装置1を製造した後に調整を行うことにより、OCT装置1の個体毎に干渉信号の特性に差が生じないように調整することが可能である。
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。従って、上述の実施形態の少なくとも一部の構成が省略、置換、された構成であってもよい。
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。従って、上述の実施形態の少なくとも一部の構成が省略、置換、された構成であってもよい。
例えば、分散光路部が進行方向変換部によって構成される場合において、分散光路部と分散部は部材を共有していても良い。図4は、第1光学部材がプリズムP21によって構成され、進行方向変換部が、当該プリズムP21とリトロリフレクターR21とミラーM21とによって構成される実施形態を模式的に示す図である。
図4は、本実施形態にかかる光路長変換部10から一部の構成を抜き出して模式的に示した図である。光路長変換部10は、図4に示す部材以外にも、種々の部材を含む。また、図3と同様の要素については図3と同一の符号で示している。さらに、図4に示す光路長変換部10は、リトロリフレクターR21を、プリズムP21に向けて矢印A21に示す方向に進退させるための、図示しない移動機構を備えている。なお、リトロリフレクターR21は、任意の方向から入射する光を反射させ、入射方向と平行で、かつ反対の方向へと進行させる装置である。従って、リトロリフレクターR21は、第1光学部材としてのプリズムP21から出力された波長毎の光を、進行方向が逆向きであり、かつ、異なる光路上を進行する光に変換して第1光学部材としてのプリズムP21に戻す変換光学部材である。
図4に示す構成において、光路42から光路長変換部10に入射する光Li11は、プリズムP21に向けて進行する。プリズムP21に達した光はプリズムP21の界面で屈折する。この際、光は分散し、波長毎に異なる進行方向に進行する。さらに、波長毎の光がプリズムP21の逆側の界面に達すると、再び屈折し、空気中を進行する。図4においても、異なる波長の光の進路を一点鎖線、実線、破線によって示している。一点鎖線の光路を進行する光は、実線の光路を進行する光より波長が長く、実線の光路を進行する光は、破線の光路を進行する光より波長が長い。むろん、波長毎の光はより多数であって連続的に分布しているが、図4においても、3個の光路のみを抽出して模式的に示している。
プリズムP21から出力された光がリトロリフレクターR21に達すると、当該光はリトロリフレクターR21で反射され、入射方向と平行で、かつ反対の方向に進行する。当該光は、プリズムP21に達し、プリズムP21に達した光はプリズムP21の界面で屈折する。プリズムP21内を進行する光がプリズムP21の逆側の界面に達すると、再び屈折し、波長毎の光が互いに平行な状態で反射部材としてのミラーM21に向けて進行する。波長毎の光がミラーM21に達すると、ミラーM21で反射され、反射前の光と進行方向が逆向きになり、元の光路と同一の光路を戻っていく。すなわち、ミラーM21で反射された光は、プリズムP12を通過してリトロリフレクターR21で反射され、再びプリズムP21に入射する。プリズムP21に入射した光がプリズムP21から出力されると、波長毎に異なる光路を進行していた光(分散していた光)が、分散前の状態に戻る。そして、プリズムP21から出力された光Li12が光路42に戻っていく。
図4に示す例においてもプリズムP21は、三角柱である。また、三角柱の軸に垂直な平面(図4の紙面と平行な平面)と光Li11の光軸とは平行である。また、ミラーM21は、プリズムP21から出力されてミラーM21に向かって進行する光に対して垂直な向きに向けられている。
以上のように、本実施形態においては、図3に示す構成からプリズムP12およびミラーM11が除外され、替わりにリトロリフレクターR21とミラーM21とが配置された構成である。リトロリフレクターR21は、光を逆方向に進行させる装置であるため、図4に示す実施形態の光路は、図3に示すプリズムP11,P12の間で光路が折り返されたという差異があるものの、図4に示す構成と図3に示す構成とは実質的にはほぼ等価である。
以上のように、図4に示す構成においても、第1光学部材であるプリズムP21によって分散された光は、リトロリフレクターR21とプリズムP21とミラーM21とによって往復することにより、分散した状態が維持されたまま逆向きに変換され、第1光学部材であるプリズムP21に戻される。そして、プリズムP21から再び光路42に向けて進行する光は波長毎に分散していない状態に戻る。
図4に示す構成においても、分散した光が波長毎の光路を進行する。そして、本実施形態においても、このような機能を有する分散部と分散光路部とを、プリズムP21,リトロリフレクターR21およびミラーM21によって実現しており、簡易な構成によって光路長変換部10を構成することができる。
さらに、図4に示す構成においても、分散した光が異なる光路を進行するため、分散した光の光路長が波長毎に異なり、当該光路長を変化させることができる。具体的には、リトロリフレクターR21が図示しない移動機構に連結されている。移動機構は、リトロリフレクターR21を矢印A21方向に沿って直線的に往復移動させることができ、リトロリフレクターR21とプリズムP21との間の距離を変動させることができる。リトロリフレクターR21とプリズムP21との間の距離が変動すると、波長毎の光の光路長が変化する。この際、光路長の変化度合いは波長毎に異なる。従って、本実施形態によれば、波長毎に異なる変化量で光路長を変化させることができる。なお、図4に示す構成においても、移動機構は、物体を直線方向に往復移動させるための各種の機構で実現可能であり、プリズムP21の頂点Pa21を回転軸としてプリズムP21を回転させても良い。
本実施形態においても、以上の構成により、移動機構によって波長毎の光路長を変化させることが可能である。従って、本実施形態にかかるOCT装置1によれば、分散特性を調整することが可能であり、干渉信号の分布を充分にブロードにするための調整を容易に実施することができる。さらに、光源20の個体差やセッティングの差等により、OCT装置1で利用される光の波長範囲が個体毎に微妙に異なったとしても、OCT装置1を製造した後に調整を行うことにより、OCT装置1の個体毎に干渉信号の特性に差が生じないように調整することが可能である。
上述の実施形態において、分散部はプリズムによって構成されるが、他の光学部品によって構成されても良い。図5は、分散部としての第1光学部材が回折格子によって構成される例を示す図である。図5に示す構成においても、光路長変換部10は、分散部と分散光路部とを備えており、分散部は第1光学部材によって構成され、分散光路部は第1光学部材と同種の部材である第2光学部材と光を反射する反射部材とを含む進行方向変換部によって構成される。
図5に示す構成において、分散部は、第1光学部材としての第1ブレーズド回折格子Dg31であり、分散光路部は、第2光学部材としての第2ブレーズド回折格子Dg32と反射部材としてのミラーM31とを備えている。なお、ブレーズド回折格子は、図6に示すように、直方体の部材の一面に階段面が形成された光学部材である。図6に示す構成例においては、直方体の部分Prの一つの面Sgに複数の楔形の部分Psが形成されている。楔形の部分Psは、面Sgに対してブレーズ角θBだけ傾斜した階段面Ssと、面Sgに対して垂直な垂直面Svとを有している。また、楔形の部分Psは、線間隔dで面Sg上に繰り返し形成されている。本実施形態においては、ブレーズド回折格子における楔形の部分Psを除外して得られる面Sgを回折格子面と呼ぶ。
図5に示す実施形態は、このようなブレーズド回折格子が2個利用される。すなわち、図5に示す実施形態においては、光路42から入射した入射光Li11に対して、第1ブレーズド回折格子Dg31の回折格子面が傾斜するように向けられ、光路長変換部10に固定される。
また、第1ブレーズド回折格子Dg31と向かい合う位置に第2ブレーズド回折格子Dg32が配置される。具体的には、第1ブレーズド回折格子Dg31と第2ブレーズド回折格子Dg32とは、同一の形状である。従って、第1ブレーズド回折格子Dg31と第2ブレーズド回折格子Dg32とにおいて、線間隔およびブレーズ角の大きさが同一である。
また、第1ブレーズド回折格子Dg31の回折格子面と、第2ブレーズド回折格子Dg32の回折格子面と、は平行である。さらに、第1ブレーズド回折格子Dg31の階段面の法線(法線は、例えば、図6のVn)と、第2ブレーズド回折格子Dg32の階段面の法線と、は平行である。すなわち、図6において、第1ブレーズド回折格子Dg31を180°回転させて平行移動させると、第2ブレーズド回折格子Dg32と重なる。
以上の構成において、光路42から入射し、第1ブレーズド回折格子Dg31に達した光は、第1ブレーズド回折格子Dg31によって波長毎の光に分散する。図5においては、異なる波長の光の進路を一点鎖線、実線、破線によって示している。一点鎖線の光路を進行する光は、実線の光路を進行する光より波長が長く、実線の光路を進行する光は、破線の光路を進行する光より波長が長い。むろん、波長毎の光はより多数であって連続的に分布しているが、図5においては、3個の光路のみを抽出して模式的に示している。
第1ブレーズド回折格子Dg31によって分散した光は、分散した状態で第2ブレーズド回折格子Dg32に達し、第2ブレーズド回折格子Dg32によって回折する。第2ブレーズド回折格子Dg32によって回折した波長毎の光は、平行な状態でミラーM31に達する。ミラーM31は、これらの光の進行方向に対して垂直に向けられているため、ミラーM31に達した光は、ミラーM31で反射されて逆向きに進行する。この後、波長毎の光は元の光路と同一の光路を進行し、第1ブレーズド回折格子Dg31から光路42に向かう段階で分散していない状態となる。そして、当該分散していない光Li12が光路42に戻っていく。
以上の構成においても、波長毎の光路長を変化させるための構成が備えられている。具体的には、第2ブレーズド回折格子Dg32とミラーM31とは、図示しない移動機構に連結されている。移動機構は、第2ブレーズド回折格子Dg32とミラーM31との相対位置関係が変化せず、かつ、第1ブレーズド回折格子Dg31の回折格子面と第2ブレーズド回折格子Dg32の回折格子面とが平行である状態を維持しながら、第2ブレーズド回折格子Dg32とミラーM31とを移動させることができる。図5に示す矢印A31は、第1ブレーズド回折格子Dg31と第2ブレーズド回折格子Dg32との移動可能方向を示している。
当該移動可能方向に第2ブレーズド回折格子Dg32とミラーM31とを移動させると、第1ブレーズド回折格子Dg31と第2ブレーズド回折格子Dg32との間の距離が変動する。第1ブレーズド回折格子Dg31と第2ブレーズド回折格子Dg32との間の距離が変動すると、第1ブレーズド回折格子Dg31によって分散された波長毎の光が第2ブレーズド回折格子Dg32に達するまでに進行する光路の光路長が波長毎に変動する。これに伴い、第2ブレーズド回折格子Dg32からミラーM31に達するまでに進行する光路の光路長も波長毎に変動する。このように、第2ブレーズド回折格子Dg32とミラーM31とを矢印A31方向に移動させると光路長が変化する。この際、光路長の変化度合いは波長毎に異なる。従って、本実施形態によれば、波長毎に異なる変化量で光路長を変化させることができる。
上述の実施形態と同様に、移動機構は、物体を直線方向に往復移動させるための各種の機構で実現可能である。また、光路長を変化させるための構成は、第2ブレーズド回折格子D32とミラーM31とを直線方向に往復移動させる構成に限定されない。例えば、第1ブレーズド回折格子Dg31の回折格子面と第2ブレーズド回折格子Dg32の回折格子面とが平行である状態を維持しながら、各回折格子を回転させる構成であっても良い。
また、第1ブレーズド回折格子Dg31が直線方向に往復移動可能であっても良い。むろん、第1ブレーズド回折格子Dg31と第2ブレーズド回折格子Dg32の回転や直線方向への移動を可能にする機構が併用されていても良い。移動機構は、利用者によって手動で動作させる構成であっても良いし、測定部50等からの制御指示に応じて動作させる構成であってもよい。後者であれば、例えば、モータ等の動力を移動機構に伝達可能に構成され、制御指示に応じてモータ等を動作させる構成となる。
さらに、第1ブレーズド回折格子Dg31と第2ブレーズド回折格子Dg32とミラーM31の形状も図5に示す構成に限定されない。第1ブレーズド回折格子Dg31と第2ブレーズド回折格子Dg32との形状は完全同一でなくても良く、例えば、線間隔d方向の長さが互いに異なってもよい。
さらに、第1ブレーズド回折格子Dg31における線間隔d1と、第2ブレーズド回折格子Dg32における線間隔d2と、が異なる構成も採用可能である。具体的には、第1ブレーズド回折格子Dg31における線間隔を線間隔d1、回折次数を回折次数n1とし、第2ブレーズド回折格子Dg32における線間隔を線間隔d2、回折次数を回折次数n2とした場合に、n1/d1=n2/d2の関係が満たされるように構成されていても良い。すなわち、n1/d1=n2/d2の関係が満たされる場合、第1ブレーズド回折格子Dg31における回折角と、第2ブレーズド回折格子Dg32における回折角が等しくなるため、図5に示す例のように、光路42から第1ブレーズド回折格子Dg31に向けて進行する光と、第2ブレーズド回折格子Dg32からミラーM31に向けて進行する光とが平行である状態となる。
さらに、ミラーM31が図5に示す大きさと比較して充分大きい場合、第2ブレーズド回折格子Dg32とミラーM31とを一体的に移動させるのではなく、第2ブレーズド回折格子Dg32を移動させるように構成されていても良い。
以上のように、本実施形態においては各種の変形例を採用可能であるが、いずれにしても、本実施形態によれば、移動機構によって波長毎の光路長を変化させることが可能である。従って、本実施形態にかかるOCT装置1によれば、分散特性を調整することが可能であり、干渉信号の分布を充分にブロードにするための調整を容易に実施することができる。さらに、光源20の個体差やセッティングの差等により、OCT装置1で利用される光の波長範囲が個体毎に微妙に異なったとしても、OCT装置1を製造した後に調整を行うことにより、OCT装置1の個体毎に干渉信号の特性に差が生じないように調整することが可能である。
図5に示す構成においても、当該構成を変形し、分散光路部と分散部とが部材を共有するような構成にすることが可能である。図7は、第1光学部材がブレーズド回折格子Dg41によって構成され、進行方向変換部が、当該ブレーズド回折格子Dg41と、変換光学部材としてのリトロリフレクターR41と、反射部材としてのミラーM41とによって構成される実施形態を模式的に示す図である。
図7は、本実施形態にかかる光路長変換部10から一部の構成を抜き出して模式的に示した図である。光路長変換部10は、図7に示す部材以外にも、種々の部材を含む。また、図3と同様の構成については図3と同一の符号で示している。図7に示す構成において、光路長変換部10は、リトロリフレクターR41を、ブレーズド回折格子Dg41に向けて矢印A41に示す方向に進退させるための、図示しない移動機構を備えている。
図7に示す構成において、光路42から光路長変換部10に入射した光Li11は、ブレーズド回折格子Dg41に達する。ブレーズド回折格子Dg41に達した光はブレーズド回折格子Dg41で回折して分散する。図7においては、その中の特定の波長の光のみを実線で示しているが、分散した波長毎の光は、波長毎に異なる光路を進行する。ブレーズド回折格子Dg41で分散した波長毎の光がリトロリフレクターR41に達すると、当該光はリトロリフレクターR41において反射され、入射方向と平行で、かつ反対の方向に進行する。当該光は、ブレーズド回折格子Dg41に達し、ブレーズド回折格子Dg41に達した光はブレーズド回折格子Dg41で回折する。この結果、波長毎の光は分散前の光と平行な状態に戻るので、波長毎の光が互いに平行な状態で反射部材としてのミラーM41に向けて進行する。
波長毎の光がミラーM41に達すると、ミラーM41で反射され、反射前の光と進行方向が逆向きになり、元の光路と同一の光路を戻っていく。すなわち、ミラーM41で反射された光は、ブレーズド回折格子Dg41で回折されてリトロリフレクターR41で反射され、再びブレーズド回折格子Dg41に入射する。ブレーズド回折格子Dg41で回折すると、波長毎に異なる光路を進行していた光(分散していた光)が、分散前の状態に戻る。そして、ブレーズド回折格子Dg41からの光Li12が光路42に戻っていく。
以上のように、本実施形態においては、図5に示す構成から第2ブレーズド回折格子Dg32およびミラーM31が除外され、替わりにリトロリフレクターR41とミラーM41とが配置された構成である。リトロリフレクターR41は、光を逆方向に進行させる装置であるため、図7に示す実施形態の光路は、図5における第1ブレーズド回折格子Dg31,第2ブレーズド回折格子Dg32の間で光路が折り返されたという差異があるものの、図7に示す構成と図5に示す構成とは実質的にはほぼ等価である。
図7に示す構成においても、分散した光が波長毎の光路を進行する。そして、本実施形態においても、このような機能を有する分散部と分散光路部とを、ブレーズド回折格子Dg41,リトロリフレクターR41およびミラーM41によって実現しており、簡易な構成によって光路長変換部10を構成することができる。
さらに、図7に示す構成においても、分散した光が異なる光路を進行するため、分散した光の光路長が波長毎に異なり、当該光路長を変化させることができる。具体的には、リトロリフレクターR41が図示しない移動機構に連結されている。移動機構は、リトロリフレクターR41を矢印A41方向に沿って直線的に往復移動させることができ、リトロリフレクターR41とブレーズド回折格子Dg41との間の距離を変動させることができる。リトロリフレクターR41とブレーズド回折格子Dg41との間の距離が変動すると、波長毎の光の光路長が変化する。この際、光路長の変化度合いは波長毎に異なる。従って、本実施形態によれば、波長毎に異なる変化量で光路長を変化させることができる。なお、図7に示す構成においても、移動機構は、物体を直線方向に往復移動させるための各種の機構で実現可能であり、他の構成、例えば、ブレーズド回折格子Dg41を回転させる構成であっても良い。
本実施形態においても、以上の構成により、移動機構によって波長毎の光路長を変化させることが可能である。従って、本実施形態にかかるOCT装置1によれば、分散特性を調整することが可能であり、干渉信号の分布を充分にブロードにするための調整を容易に実施することができる。さらに、光源20の個体差やセッティングの差等により、OCT装置1で利用される光の波長範囲が個体毎に微妙に異なったとしても、OCT装置1を製造した後に調整を行うことにより、OCT装置1の個体毎に干渉信号の特性に差が生じないように調整することが可能である。
上述の実施形態において、第2光学部材が、複数の光学部材で構成されていても良い。図8は、第2光学部材が、第1光学部材と同種の部材および複数のレンズによって構成される例を示す図である。図8に示す構成においても、光路長変換部10は、分散部と分散光路部とを備えており、分散部は第1光学部材によって構成され、分散光路部は第1光学部材と同種の部材である第2光学部材と光を反射する反射部材とを含む進行方向変換部によって構成される。
図8に示す構成において、分散部は、第1光学部材としての第1ブレーズド回折格子Dg51であり、分散光路部は、第2光学部材としての第2ブレーズド回折格子Dg52と反射部材としてのミラーM51と、複数のレンズL51,L52を備えている。なお、レンズL51,L52の焦点距離は同一である。
図8に示す実施形態において、光路42から入射した入射光Li11に対して、第1ブレーズド回折格子Dg51の回折格子面が傾斜するように向けられる。複数のレンズL51,L52は平行に向かい合うように配置される。すなわち、複数のレンズL51,L52は、それぞれの焦点Fが重なり、かつ、各レンズの主点と焦点Fとを通る光軸が一致するように配置されている。第2ブレーズド回折格子Dg52は、焦点Fを通る光軸に垂直な焦点面Sfに対して第1ブレーズド回折格子Dg51と対称な向きとなるように、光路長変換部10に配置される。なお、図8に示すfは焦点距離である。Lは、第1ブレーズド回折格子Dg51とレンズL51との距離および第2ブレーズド回折格子Dg52とレンズL52との距離である。すなわち、両距離は等しい。
本実施形態において、第1ブレーズド回折格子Dg51と第2ブレーズド回折格子Dg52とは同一の形状である。従って、第1ブレーズド回折格子Dg51と第2ブレーズド回折格子Dg52とにおいて、線間隔およびブレーズ角の大きさが同一である。
以上の構成において、光路42から入射し、第1ブレーズド回折格子Dg51に達した光は、第1ブレーズド回折格子Dg51によって波長毎の光に分散する。図8においては、異なる波長の光の進路を一点鎖線、実線、破線によって示している。一点鎖線の光路を進行する光は、実線の光路を進行する光より波長が長く、実線の光路を進行する光は、破線の光路を進行する光より波長が長い。むろん、波長毎の光はより多数であって連続的に分布しているが、図8においては、3個の光路のみを抽出して模式的に示している。
第1ブレーズド回折格子Dg51によって分散した光は、分散した状態でレンズL51,L52を通過し、各レンズL51,L52で屈折しながら進行する。レンズL52から出力された光は第2ブレーズド回折格子Dg52に達し、第2ブレーズド回折格子Dg52によって回折する。第2ブレーズド回折格子Dg52によって回折した波長毎の光は、平行な状態でミラーM51に達する。ミラーM51は、これらの光の進行方向に対して垂直に向けられているため、ミラーM51に達した光は、ミラーM51で反射されて逆向きに進行する。この後、波長毎の光は元の光路と同一の光路を進行し、第1ブレーズド回折格子Dg51から光路42に向かう段階で分散していない状態となる。そして、当該分散していない光Li12が光路42に戻っていく。
以上の構成においても、波長毎の光路長を変化させるための構成が備えられている。具体的には、第1ブレーズド回折格子Dg51と第2ブレーズド回折格子Dg52とは、図示しない移動機構に連結されている。移動機構は、第1ブレーズド回折格子Dg51と第2ブレーズド回折格子Dg52とが焦点面Sfに対称である状態を維持しながら、第1ブレーズド回折格子Dg51と第2ブレーズド回折格子Dg52とを矢印A51,A52方向に移動させることができる。また、移動機構は、第1ブレーズド回折格子Dg51とレンズL51との距離Lと、第2ブレーズド回折格子Dg52とレンズL52との距離Lが等しい状態を維持しながら、当該移動を行う。距離Lの変動の際に、ミラーM51は第2ブレーズド回折格子Dg52と一体で移動しても良いし、ミラーM51は移動しなくても良い。すなわち、ミラーM51が充分に大きいならばミラーM51は固定されていても良い。
当該距離Lの大きさを変動させると、第1ブレーズド回折格子Dg51によって分散された波長毎の光が第2ブレーズド回折格子Dg52に達するまでに進行する光路の光路長が波長毎に変動する。これに伴い、第2ブレーズド回折格子Dg52からミラーM51に達するまでに進行する光路の光路長も波長毎に変動する。このように、距離Lの大きさを変動させると光路長が変化する。この際、光路長の変化度合いは波長毎に異なる。従って、本実施形態によれば、波長毎に異なる変化量で光路長を変化させることができる。
上述の実施形態と同様に、移動機構は、物体を直線方向に往復移動させるための各種の機構で実現可能である。また、光路長を変化させるための構成は、第1ブレーズド回折格子Dg51と第2ブレーズド回折格子Dg52とを直線方向に往復移動させる構成に限定されない。例えば、第1ブレーズド回折格子Dg51と第2ブレーズド回折格子Dg52とが焦点面Sfに対して対称である状態を維持しながら、各回折格子を回転させる構成であっても良い。
むろん、第1ブレーズド回折格子Dg51と第2ブレーズド回折格子Dg52の回転や直線方向への移動を可能にする機構が併用されていても良い。移動機構は、利用者によって手動で動作させる構成であっても良いし、測定部50等からの制御指示に応じて動作させる構成であってもよい。後者であれば、例えば、モータ等の動力を移動機構に伝達可能に構成され、制御指示に応じてモータ等を動作させる構成となる。
さらに、第1ブレーズド回折格子Dg51と第2ブレーズド回折格子Dg52との形状も図8に示す構成に限定されない。第1ブレーズド回折格子Dg51と第2ブレーズド回折格子Dg52との形状は完全同一でなくても良く、例えば、線間隔d方向の長さが互いに異なってもよい。また、第1ブレーズド回折格子Dg51における線間隔を線間隔d1、回折次数を回折次数n1とし、第2ブレーズド回折格子Dg52における線間隔を線間隔d2、回折次数を回折次数n2とした場合に、n1/d1=n2/d2の関係が満たされるように構成されていても良い。
以上のように、本実施形態においては各種の変形例を採用可能であるが、いずれにしても、本実施形態によれば、移動機構によって波長毎の光路長を変化させることが可能である。従って、本実施形態にかかるOCT装置1によれば、分散特性を調整することが可能であり、干渉信号の分布を充分にブロードにするための調整を容易に実施することができる。さらに、光源20の個体差やセッティングの差等により、OCT装置1で利用される光の波長範囲が個体毎に微妙に異なったとしても、OCT装置1を製造した後に調整を行うことにより、OCT装置1の個体毎に干渉信号の特性に差が生じないように調整することが可能である。
図8に示す構成においても、当該構成を変形し、分散光路部と分散部とが部材を共有するような構成にすることが可能である。第1光学部材がブレーズド回折格子Dg61によって構成され、進行方向変換部が、当該ブレーズド回折格子Dg61と、変換光学部材としてのレンズL61および反射部材としてのミラーM62と、ブレーズド回折格子Dg61からの光を再びブレーズド回折格子Dg61に戻す反射部材としてのミラーM61と、によって構成される実施形態を模式的に示す図である。
図9は、本実施形態にかかる光路長変換部10から一部の構成を抜き出して模式的に示した図である。光路長変換部10は、図9に示す部材以外にも、種々の部材を含む。また、図3と同様の構成については図3と同一の符号で示している。図9に示す構成において、光路長変換部10は、ブレーズド回折格子Dg61を、レンズL61に向けて矢印A61に示す方向に進退させるための、図示しない移動機構を備えている。
図9に示す構成においては、光路42から光路長変換部10に入射する光Li11は、ブレーズド回折格子Dg61に達する。ブレーズド回折格子Dg61に達した光はブレーズド回折格子Dg61で回折して分散する。図9においては、その中の特定の波長の光のみを実線で示しているが、分散した波長毎の光は、波長毎に異なる光路を進行する。ブレーズド回折格子Dg61で分散した波長毎の光がレンズL61に達すると、当該光は、レンズL61で屈折してミラーM62に向けて進行する。
さらに、当該光はミラーM62で反射し、再びレンズL61に向けて進行する。光がレンズL61に到達すると、当該光は、レンズL61で屈折してブレーズド回折格子Dg61に向けて進行する。ブレーズド回折格子Dg61に達した光はブレーズド回折格子Dg61で回折する。この結果、波長毎の光は分散前の光と平行な状態に戻るので、波長毎の光が互いに平行な状態で反射部材としてのミラーM61に向けて進行する。
波長毎の光がミラーM61に達すると、ミラーM61で反射され、反射前の光と進行方向が逆向きになり、元の光路と同一の光路を戻っていく。すなわち、ミラーM61で反射された光は、ブレーズド回折格子Dg61で回折されてレンズL61を通過し、再びミラーM62で反射され、レンズL61を介して、再びブレーズド回折格子Dg61に入射する。ブレーズド回折格子Dg61で回折すると、波長毎に異なる光路を進行していた光(分散していた光)が、分散前の状態に戻る。そして、当該分散していない光Li12が光路42に戻っていく。
以上のように、本実施形態においては、図8に示す構成からレンズL52,第2ブレーズド回折格子Dg52,ミラーM51が除外され、替わりにミラーM62とミラーM61とが配置された構成である。なお、ミラーM62の反射面は、図8に示す構成の焦点面Sfと同一の位置に存在する。ミラーM62は、光を逆方向に進行させる装置であるため、図9に示す実施形態の光路は、図8における第1ブレーズド回折格子Dg51,第2ブレーズド回折格子Dg52の間で光路が折り返されたという差異があるものの、図9に示す構成と図8に示す構成とは実質的にはほぼ等価である。
図9に示す構成においても、分散した光が波長毎の光路を進行する。そして、本実施形態においても、このような機能を有する分散部と分散光路部とを、ブレーズド回折格子Dg61,レンズL61およびミラーM61,M62によって実現しており、簡易な構成によって光路長変換部10を構成することができる。
さらに、図9に示す構成においても、分散した光が異なる光路を進行するため、分散した光の光路長が波長毎に異なり、当該光路長を変化させることができる。具体的には、ブレーズド回折格子Dg61が図示しない移動機構に連結されている。移動機構は、ブレーズド回折格子Dg61を矢印A61方向に沿って直線的に往復移動させることができ、ブレーズド回折格子Dg61とレンズL61との間の距離を変動させることができる。ブレーズド回折格子Dg61とレンズL61との間の距離が変動すると、波長毎の光の光路長が変化する。この際、光路長の変化度合いは波長毎に異なる。従って、本実施形態によれば、波長毎に異なる変化量で光路長を変化させることができる。なお、図9に示す構成においても、移動機構は、物体を直線方向に往復移動させるための各種の機構で実現可能であり、他の構成、例えば、ブレーズド回折格子Dg61を回転させる構成であっても良い。
本実施形態においても、以上の構成により、移動機構によって波長毎の光路長を変化させることが可能である。従って、本実施形態にかかるOCT装置1によれば、分散特性を調整することが可能であり、干渉信号の分布を充分にブロードにするための調整を容易に実施することができる。さらに、光源20の個体差やセッティングの差等により、OCT装置1で利用される光の波長範囲が個体毎に微妙に異なったとしても、OCT装置1を製造した後に調整を行うことにより、OCT装置1の個体毎に干渉信号の特性に差が生じないように調整することが可能である。
さらに、分散部は、平行平面板であっても良い。すなわち、空気中と分散部との界面での屈折を利用して光を分散させる各種の光学部材が利用されて良い。図10は、分散部が平行平面板B71で構成され、分散光路部がミラーM71で構成される実施形態を示している。
図10に示す構成においても、移動機構など、光路長変換部10を構成する部材等の一部は省略されている。図10に示す実施形態において、光路42から入射した入射光Li11に対して、平行平面板B71の平面S71が傾斜するように向けられ、光路長変換部10に固定される。
光路42から入射して平行平面板B71に達した光は、空気と平行平面板B71との界面である平面S71で屈折し、波長毎の光に分散する。図10においては、異なる波長の光の進路を一点鎖線、実線、破線によって示している。一点鎖線の光路を進行する光は、実線の光路を進行する光より波長が長く、実線の光路を進行する光は、破線の光路を進行する光より波長が長い。むろん、波長毎の光はより多数であって連続的に分布しているが、図10においては、3個の光路のみを抽出して模式的に示している。
平行平面板B71によって分散した光は、分散した状態で平行平面板B71内を進行し、平行平面板B71と空気との界面で再び屈折する。当該界面である平面S72は平面S71と平行である。従って、平面S72で屈折した波長毎の光は、平行な状態でミラーM71に達する。ミラーM71は、これらの光の進行方向に対して垂直に向けられているため、ミラーM71に達した光は、ミラーM71で反射されて逆向きに進行する。この後、波長毎の光は元の光路と同一の光路を進行し、平行平面板B71から光路42に向かう段階で分散していない状態となる。そして、当該分散していない光Li12が光路42に戻っていく。
以上の構成においても、波長毎の光路長を変化させるための構成が備えられている。具体的には、平行平面板B71は、図示しない移動機構に連結されており、平面S71の入射光Li11に対する傾斜角θを変動させることができる。
当該傾斜角θの大きさを変動させると、平行平面板B71との平面S71で分散された波長毎の光がミラーM71に達するまでに進行する光路の光路長が波長毎に変動する。このように、傾斜角θの大きさを変動させると光路長が変化する。この際、光路長の変化度合いは波長毎に異なる。従って、本実施形態によれば、波長毎に異なる変化量で光路長を変化させることができる。
上述の実施形態と同様に、移動機構は、物体を回転させるための各種の機構で実現可能である。移動機構は、利用者によって手動で動作させる構成であっても良いし、測定部50等からの制御指示に応じて動作させる構成であってもよい。後者であれば、例えば、モータ等の動力を移動機構に伝達可能に構成され、制御指示に応じてモータ等を動作させる構成となる。
以上のように、本実施形態においては各種の変形例を採用可能であるが、いずれにしても、本実施形態によれば、移動機構によって波長毎の光路長を変化させることが可能である。従って、本実施形態にかかるOCT装置1によれば、分散特性を調整することが可能であり、干渉信号の分布を充分にブロードにするための調整を容易に実施することができる。さらに、光源20の個体差やセッティングの差等により、OCT装置1で利用される光の波長範囲が個体毎に微妙に異なったとしても、OCT装置1を製造した後に調整を行うことにより、OCT装置1の個体毎に干渉信号の特性に差が生じないように調整することが可能である。
上述の実施形態において、光路長変換部は、分割部30で分割された参照光が進行する光路42側の参照アームに設けられているが、分割部30で分割された測定光が進行する光路43側の測定アームに光路長変換部が設けられてもよい。図11は、測定アームにおける分割部30と測定対象との間の光路43に光路長変換部100が設けられた構成を模式的に示す図である。
図11に示す実施形態において、図1と同様の構成は、図1と同一の符号を付して示している。図1に示す構成において、光路長変換部10が存在する部分には、参照光を反射させるミラー11が設けられている。図11に示す光路長変換部100は、測定アームである光路43において、測定対象に照射される前の光の光路長を波長毎に変動させることが可能である。このための構成としては、種々の構成が採用可能であり、ここでも光路長変換部100が、光を波長毎に分散させる分散部と、波長毎に異なる光路長となる光路を形成する分散光路部と、を含むように構成される。
但し、測定アームにおいては、測定光が測定対象で反射されるため、光路長変換部100においては、光を反射して逆方向に戻す機能は含まれていない。具体的には、分散部は、光を波長毎の光に分散させる第1光学部材を有する。さらに、分散光路部は、第1光学部材によって分散された波長毎の光が入射され、当該波長毎の光の進行方向を変換し、波長毎に分散していない光に戻す進行方向変換部を有する。すなわち、分散光路部は、進行方向変換部によって、波長毎の光の進路を変換するが、反射等によって逆向きに戻すことなく、光を進行させる。
図12は、光路長変換部100の一例に係る構成から一部の構成を抜き出して模式的に示した図である。図12に示す構成において、第1光学部材はプリズムP81によって構成される。また、進行方向変換部は、プリズムP82、プリズムP83、プリズムP84によって構成される。光路長変換部100は、これらの部材以外にも、種々の部材を含む。例えば、光路43からプリズムP81に向かう光Li11は平行光であり、光路43とプリズムP81との間に図示しないコリメーター等が配置されることによって光Li11は平行光となる。また、光路長変換部100は、図示しない移動機構等を備えている。
図12に示す構成において、光路43から光路長変換部100に入射し、プリズムP81に向かう光Li11は、プリズムP81の入射面Si81に達すると、屈折することによって分散し、波長毎に異なる進行方向に進行する。さらに、波長毎の光がプリズムP81からの光の出射面So81に達すると、再び屈折し、空気中を進行する。図12においては、異なる波長の光の進路を一点鎖線、実線、破線によって示している。一点鎖線の光路を進行する光は、実線の光路を進行する光より波長が長く、実線の光路を進行する光は、破線の光路を進行する光より波長が長い。むろん、波長毎の光はより多数であって連続的に分布しているが、図12においては、3個の光路のみを抽出して模式的に示している。
プリズムP81から出力された光がプリズムP82に達すると、プリズムP82への光の入射面Si82で屈折してプリズムP82の内部を進行し、プリズムP82からの光の出射面So82で再び屈折し、波長毎の光が互いに平行な状態でプリズムP83に達する。波長毎の光がプリズムP83に達すると、プリズムP83への光の入射面Si83で屈折してプリズムP83の内部を進行し、プリズムP83からの光の出射面So83で再び屈折し、プリズムP84に向けて進行する。
波長毎の光がプリズムP84に達すると、プリズムP84への光の入射面Si84で屈折してプリズムP84の内部を進行し、プリズムP84からの光の出射面So84で再び屈折し、分散していない光となって光路43に対して出力される。本実施形態において、プリズムP81,P82,P83,P84は、同一の媒質であり、かつ、同一形状である。図12に示す例においてプリズムP81,P82,P83,P84は、三角柱であり、各三角柱の軸は、互いに平行である。また、三角柱の軸に垂直な平面(図12の紙面と平行な平面)と光Li11,Li12の光軸とは平行である。
さらに、プリズムP81への光の入射面Si81と、プリズムP82からの光の出射面So82とが平行に向けられている。また、プリズムP81からの光の出射面So81と、プリズムP82への光の入射面Si82とが平行に向けられている。さらに、プリズムP83への光の入射面Si83と、プリズムP84からの光の出射面So84とが平行に向けられている。また、プリズムP83からの光の出射面So83と、プリズムP83への光の入射面Si83とが平行に向けられている。また、三角柱であるプリズムP82,P83の軸から等距離にある平面に対して、プリズムP82からの光の出射面So82とプリズムP83への光の入射面Si83とが対称である。
従って、光路43からプリズムP81に対して入射する光と、プリズムP82からプリズムP83に向かう光とは、平行になる。さらに、プリズムP83に対して入射する光と、プリズムP84から光路43に向かう光とは、平行になる。また、光がプリズムP81を通ることで分散した光は、プリズムP82,P83,P84を通った後に分散していない状態に戻る。従って、プリズムP81~P84を通過する過程で光は分散した状態を維持する。
以上のように、光路長変換部100においては、光路43からプリズムP81に入力する光を波長毎の光に分散させる。また、分散した波長毎の光は異なる光路を進行する。本実施形態においては、このような機能を有する分散部と分散光路部とを、プリズムP81~P84によって実現しており、簡易な構成によって光路長変換部100を構成することができる。
本実施形態においては分散した光が異なる光路を進行するため、分散した光の光路長が波長毎に異なる。図12に示す構成においては、主に、二点鎖線Lm1,Lm2の間の光路長と二点鎖線Lm3,Lm4の間の光路長が波長毎に異なっている。さらに、本実施形態においては、波長毎の光路長を変化させることが可能である。光路長を変化させるための構成は、種々の構成によって実現されて良く、例えば、分散部と、進行方向変換部と、の距離または向きの少なくとも一方を変化させることによって、分散された光の波長毎の光路長を変化させることが可能である。
本実施形態においては、進行方向変換部を構成するプリズムP82,P83を同期させて移動させることが可能である。具体的には、プリズムP82とプリズムP83とは、図示しない移動機構に連結されている。移動機構は、プリズムP81の出射面So81とプリズムP82の入射面Si82とが平行である状態を維持しながら、プリズムP82を矢印A81方向に移動させることができる。また、移動機構は、プリズムP83の出射面So83とプリズムP84の入射面Si84とが平行である状態を維持しながら、プリズムP83を矢印A82方向に移動させることができる。
さらに、プリズムP82がプリズムP81に近づく方向に移動する際、プリズムP83がプリズムP84に近づく方向に移動する。プリズムP82がプリズムP81から遠ざかる方向に移動する際、プリズムP83がプリズムP84から遠ざかる方向に移動する。この際の移動量は、プリズムP82,P83において同一である。以上の構成において、プリズムP82を矢印A81方向、プリズムP83を矢印A82方向に移動させると光路長が変化する。この際、光路長の変化度合いは波長毎に異なる。従って、本実施形態によれば、波長毎に異なる変化量で光路長を変化させることができる。
本実施形態においても、移動機構は、物体を直線方向に往復移動させるための各種の機構で実現可能である。また、光路長を変化させるための構成は、プリズムP82,P83を直線方向に往復移動させる構成に限定されない。例えば、プリズムP81,P82の頂点Pa81,Pa82を回転軸とし、プリズムP81,P82を同一回転方向に同一角度だけ回転するように向きを変化させてもよい。この場合、プリズムP83,P84の頂点Pa83,Pa84を回転軸とし、プリズムP83,P84をプリズムP81,P82と逆回転方向に同一角度だけ回転するように向きを変化させてもよい。すなわち、プリズムP81の出射面So81とプリズムP82の入射面Si82とが平行である状態を維持し、プリズムP83の出射面So83とプリズムP84の入射面Si84とが平行である状態を維持しながらプリズムP81~P84を回転させても良い。
また、プリズムP81,P84が直線方向に往復移動可能であっても良い。むろん、プリズムの回転や直線方向への移動を可能にする機構が併用されていても良い。なお、移動機構は、利用者によって手動で動作させる構成であっても良いし、測定部50等からの制御指示に応じて動作させる構成であってもよい。後者であれば、例えば、モータ等の動力を移動機構に伝達可能に構成され、制御指示に応じてモータ等を動作させる構成となる。
さらに、プリズムP81~P84の形状も図12に示す構成に限定されない。例えば、プリズムP81~P84の形状は完全同一でなくても良い。すなわち、プリズムP81~P84において、頂点Pa81~Pa84における角度θが同一であり、プリズムP81の出射面So81とプリズムP82の入射面Si82とが平行であり、プリズムP83の出射面So83とプリズムP84の入射面Si84とが平行であり、三角柱であるプリズムP82,P83の軸から等距離にある平面に対して、プリズムP82からの光の出射面So82とプリズムP83への光の入射面Si83とが対称であればよい。従って、例えば、プリズムP81~P84が図12において形成する三角形は合同でなくても良い。
以上のように、本実施形態においては各種の変形例を採用可能であるが、いずれにしても、本実施形態によれば、移動機構によって波長毎の光路長を変化させることが可能である。従って、本実施形態にかかるOCT装置1によれば、分散特性を調整することが可能であり、干渉信号の分布を充分にブロードにするための調整を容易に実施することができる。さらに、光源20の個体差やセッティングの差等により、OCT装置1で利用される光の波長範囲が個体毎に微妙に異なったとしても、OCT装置1を製造した後に調整を行うことにより、OCT装置1の個体毎に干渉信号の特性に差が生じないように調整することが可能である。
なお、図12に示す構成は、図3に示す構成と類似している。すなわち、図3に示す構成において、分散後の光路の中間地点に配置されたミラーM11を取り除き、当該ミラーM11の反射面に対して対称な位置に、光路42とミラーM11との間に配置された光学部品(プリズムP11,P12)と同一の光学部品を配置すれば、図12と同等になる。同様の操作を、図4,5,7,8,9,10に対して実施すれば、測定アーム内に配置される光路長変換部100を構成することができる。
上述の各実施形態において、光源は、複数の波長を含む光を出力することができればよい。すなわち、波長毎に異なる光路長となる光路を形成することができるように、分散前の光が複数の波長を含んでいれば良い。波長が複数とは、光に含まれる波長が単一ではない状態であり、ある波長帯域に連続的に波長が分布した光であっても良いし、離散的に波長が分布した光であっても良い。また、波長帯域の広さは限定されず、例えば、半値全幅が30nm、120nmなど、種々の大きさであって良いし、中心波長も上述の840nmに限定されない。例えば中心波長が1064nm,1310nm,1550nm,1700nmである各種の波長帯域幅の光源が利用されても良い。なお、上述のように、OCT装置1が備える光学部品は上述の実施形態と異なっていても良いし、OCT装置1はSS-OCTで構成されてもよい。この場合においては、光源は時間とともにその出力する波長が変化する光源、すなわち波長掃引光源であっても良い。
分割部は、光源から出力された光を参照光と測定光に分割することができればよい。すなわち、OCT装置は、反射光と参照光との干渉光を検出する装置であるため、分割部は、単一の光源から出力された光を参照光と測定光に分割し、異なる光路を進行させることができればよい。従って、分割部および干渉光の検出のための光学系の構成は、上述のようなマイケルソン干渉計に限定されない。例えば、バランスドマイケルソン干渉計やマッハツェンダー干渉計等が利用されても良い。
測定アームは、測定対象に照射される測定光と、測定光によって生じる測定対象からの反射光と、の光路を形成していればよい。すなわち、測定光を測定対象に対して照射し、測定光からの反射光が参照光と干渉するように進行させる任意の光学系が測定アームとなり得る。むろん、光学系を構成する光学部品は、限定されず、各種の光学部品、例えば、任意のレンズ、光ファイバ、ミラー、ガルバノメーター、光カプラ、光サーキュレータ、偏波コントローラ、ビームスプリッタ等が利用されて良い。
参照アームは、参照光の光路を形成していればよい。すなわち、参照光は、測定対象からの反射光と干渉する光であり、参照アームは、参照光との干渉によって測定対象を測定することができるように、光を進行させることができればよい。従って、上述の実施形態のように、参照光はミラーによって反射される構成であっても良いし、当該構成と同一の位相の参照光が得られるように光路が形成されていても良い。
測定部は、反射光と参照光との干渉光に基づいて測定対象を測定することができればよい。すなわち、干渉光の解析等に基づいて、測定対象について各種の測定を行うことができればよい。従って、上述のように、断層像を生成し、表示部に表示させる構成以外にも、種々の態様で測定対象の測定が行われ、種々の態様で利用される構成であって良い。また、測定対象は被検眼に限定されず、皮膚の一部等であっても良いし、人以外の動物の体の組織等が測定対象となっても良く、各種の測定対象が測定されて良い。
分散部は、光を波長毎の光に分散させることができればよい。従って、分散部は、光の波長毎に異なる方向に進行させる各種の光学部材によって実現可能である。このような光学部材としての第1光学部材は、回折格子、プリズム以外の各種の部材で実現されて良く、例えば、バーチャリイメージドフェイズドアレイ(VIPA)、グリズム等あってもよいし、これらの組合せであっても良い。また、第2光学部材も回折格子、プリズムに限定されず、バーチャリイメージドフェイズドアレイ(VIPA)、グリズム等であってもよいし、これらの組合せであっても良い。また、これらの光学部材の態様としても種々の態様を採用可能であり、例えば、回折格子はブレーズド回折格子に限定されず、各種の態様であって良いし、反射型、透過型のいずれであっても良い。さらに、光路長を調整するための構成は、上述の実施形態に限定されず、例えば、より多数の光学部品によって構成されても良い。具体的には、図3に示すミラーM11と光路42との間のプリズムP11,P12を一組の光学部品と考えた場合に、ミラーM11と光路42との間に複数組の光学部品が存在しても良い。
分散光路部は、分散された光の光路であり、かつ、波長毎に異なる光路長となる光路を形成していればよい。すなわち、波長毎に分散した光が異なる光路を通り、かつ、各光路を進行する波長毎の光の光路長が互いに異なっていればよい。この構成によれば、光の波長毎に光路長が異なる状態で、干渉光を解析することができるため、光の波長毎の光路長が同一である場合と比較して、空間周波数に対する干渉信号の強度がブロードになるように構成することができる。また、分散光路部は、測定アームと、参照アームと、の少なくとも一方に設けられていればよく、双方に設けられていても良い。
分散光路部によって形成される光路において、光の波長毎の光路長は、可変であっても良いし、固定であっても良い。上述の実施形態のように、光路長を変化させることが可能であると、OCT装置の出荷後等の運用過程において、光路長を変化させ、微調整を含む各種の用途の調整を行うことができる。むろん、出荷前に光路長が調整され、固定されても良い。
一方、OCT装置において光路長が可変ではなく固定であるように構成するとしても、設計段階で、分散部と、進行方向変換部と、の距離または向きの少なくとも一方を変化させることによって、波長毎の光路長を容易に調整することができる。また、OCT装置における出荷前に光学部品の取付位置や角度等を調整することによって、波長毎の光路長を容易に調整可能である。従って、例えば、分散部材の厚さによって波長毎の光路長を調整する構成と比較して、波長毎の光路長を容易に調整することが可能である。
波長毎の光路長は、種々の手法で決定されて良い。例えば、DEFRを使う構成においては、波長分散補正前の干渉信号の強度を、空間周波数を横軸としたグラフにプロットした場合に、分布が広がっていることが必要である。光源の帯域幅が狭いOCT装置においては、帯域幅が広いOCT装置よりも、分布が狭くなる。このため、帯域幅が狭いOCT装置においては、帯域幅が広いOCT装置よりも、波長毎の光の光路長の差を大きくし、分布が広がるように構成されていても良い。
さらに、OCTを構成する光学系は、測定対象毎に設けられていても良い。例えば、特許文献1のように、眼底と前眼部とのそれぞれを測定対象とする2系統の光学系が設けられても良い。この場合、分散部と分散光路部は、それぞれの光学系に設けられても良いし、一方の光学系に設けられても良く、種々の態様であって良い。
1…OCT装置、2…前眼部撮影系、10…光路長変換部、11…ミラー、20…光源、30…分割部、41,42,43,44…光路、42a,43a,44a…コリメーター、44b…回折格子、44c…レンズ、50…測定部、M11…ミラー、P11,P12…プリズム、Pa11,Pa12…頂点、Si11,Si12…入射面、So11,So12…出射面
Claims (13)
- 複数の波長を含む光を出力する光源と、
前記光源から出力された光を参照光と測定光に分割する分割部と、
測定対象に照射される前記測定光と、前記測定光によって生じる前記測定対象からの反射光と、の光路を形成する測定アームと、
前記参照光の光路を形成する参照アームと、
前記反射光と前記参照光との干渉光に基づいて前記測定対象を測定する測定部と、を備え、
光を波長毎の光に分散させる分散部と、
分散された光の光路であり、かつ、波長毎に異なる光路長となる光路を形成する分散光路部と、が前記測定アームと、前記参照アームと、の少なくとも一方に設けられている、
OCT装置。 - 前記測定部は、
前記干渉光に対して、波長分散の補正と、干渉信号の複素共役信号の除去と、を行うことで測定範囲を増加させる、
請求項1に記載のOCT装置。 - 前記測定部は、
前記干渉光をフーリエ変換し、前記測定対象を測定する、
請求項1または請求項2に記載のOCT装置。 - 前記分散部は、
光を波長毎の光に分散させる第1光学部材を有し、
前記分散光路部は、
前記第1光学部材によって分散された波長毎の光が入射され、当該波長毎の光の進行方向を、分散された状態が維持されたまま逆向きに変換して前記第1光学部材に戻す進行方向変換部を有する、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のOCT装置。 - 前記分散部と、前記進行方向変換部と、の距離または向きの少なくとも一方を変化させることによって、分散された光の波長毎の光路長を変化させることが可能である、
請求項4に記載のOCT装置。 - 前記進行方向変換部は、
前記第1光学部材と同種の部材を含み、前記第1光学部材から出力された波長毎の光の進行方向を互いに平行な進行方向に変換して出力する第2光学部材と、
前記第2光学部材から出力された互いに平行な波長毎の光を反射させて前記第2光学部材に戻す反射部材と、
を備える、
請求項4または請求項5に記載のOCT装置。 - 前記第1光学部材および前記第2光学部材は、
回折格子、プリズム、バーチャリイメージドフェイズドアレイ(VIPA)、グリズムのいずれかまたは組合せである、
請求項6に記載のOCT装置。 - 前記第1光学部材は、
回折格子、プリズム、バーチャリイメージドフェイズドアレイ(VIPA)、グリズムのいずれかまたは組合せであり、
前記第2光学部材は、
前記第1光学部材と同種の部材および複数のレンズである、
請求項6に記載のOCT装置。 - 前記進行方向変換部は、
前記第1光学部材から出力された波長毎の光を、進行方向が逆向きであり、かつ、異なる光路上を進行する光に変換して前記第1光学部材に戻す変換光学部材と、
戻った光によって前記第1光学部材から出力される光には、進行方向が互いに平行な波長毎の光が含まれており、当該互いに平行な波長毎の光を反射させて前記第1光学部材に戻す反射部材と、
を備える、
請求項4または請求項5に記載のOCT装置。 - 前記第1光学部材は、
回折格子、プリズム、バーチャリイメージドフェイズドアレイ(VIPA)、グリズムのいずれかまたは組合せであり、
前記変換光学部材は、
リトロリフレクターである、
請求項9に記載のOCT装置。 - 前記第1光学部材は、
回折格子、プリズム、バーチャリイメージドフェイズドアレイ(VIPA)、グリズムのいずれかまたは組合せであり、
前記変換光学部材は、
レンズおよび反射部材である、
請求項9に記載のOCT装置。 - 前記分散部は、
第1ブレーズド回折格子であり、
前記分散光路部は、
前記第1ブレーズド回折格子に対して回折格子面が向かい合い、かつ、平行であり、線間隔およびブレーズ角の大きさが同一であり、階段面の法線が前記第1ブレーズド回折格子の階段面の法線と平行である第2ブレーズド回折格子と、
前記第2ブレーズド回折格子から互いに平行な方向に進行する波長毎の光の進行方向に対して垂直な方向に向けられた反射部材と、を備え、
前記第1ブレーズド回折格子の回折格子面と前記第2ブレーズド回折格子の回折格子面とが平行な状態を維持しながら少なくとも一方を移動させることによって、前記第1ブレーズド回折格子で分散された光の波長毎の光路長を変化させることが可能である、
請求項1に記載のOCT装置。 - 前記分散部は、
光を波長毎の光に分散させる第1光学部材を有し、
前記分散光路部は、
前記第1光学部材によって分散された波長毎の光が入射され、当該波長毎の光の進行方向を変換し、波長毎に分散していない光に戻す進行方向変換部を有する、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のOCT装置。
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