JP2022104446A - サブ波長光導波路 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造欠陥や曲げに対して高い耐性を有し、光源位置の制約が無く、集積化が可能で、円偏光など光の角運動量の整流性を有するサブ波長構造の光導波路を提供する。【解決手段】光導波路は、高屈折率誘電体で構成され、サイズが異なる二種のサブ波長構造を有し、各サブ波長構造が所定のギャップ長で伝搬方向に沿って交互にジグザグ状に一次元配列される。或いは、光導波路は、少なくとも一種が高屈折率誘電体で構成され、材質が異なる二種のサブ波長構造を有し、各サブ波長構造が所定のギャップ長で伝搬方向に沿って交互にジグザグ状に一次元配列される。光導波路は、サブ波長構造における隣接する共鳴モード間が結合して伝搬し、円偏光など光の角運動量に対して整流性が生じる。【選択図】図2

Description

本発明は、円偏光など光の角運動量の整流性を持つサブ波長構造の光導波路に関する。
近年、整流性を持つ光導波路は、構造欠陥等に由来する反射耐性が高い等、光導波路の新たな機能として活発に研究されている。特に、フォトニック結晶型の光導波路は、導波路外部から照射された円偏光の光や、導波路内部に埋め込んだ光源の円偏光発光に対して、それらの指向性が、対称性の異なる結晶界面を特定の方向に導波するものであり、光の角運動量の整流性を持つ構造で、かつ、構造欠陥や曲げに対して高い耐性を持つ構造として注目を集めている(非特許文献1を参照)。
また、低損失で小型・高集積化を目的として、コアとこれより低屈折率のクラッドから成る光導波路と、光導波路の入力端側に光導波路への入力信号光を円偏光ないしそれに近い偏光とする偏光制御手段を有する光導波路構造が開示されている(特許文献1を参照)。
しかし、フォトニック結晶型の光導波路は、一次元導波路であるが、フォトニックバンドを形成するために二次元に広がった構造が必要であり、その素子全体のサイズが二次元に広がるために集積化や小型化の問題がある。また、特許文献1に開示された光導波路や、シリコン細線導波路等の既存のサブ波長光導波路では、円偏光の整流性がなく、曲げや欠陥に対する耐性が高くないといった問題がある。
また、角運動量選択性を持つ結合器を用いて、通常の対称な導波路を接合することにより、外部から照射された光の偏光状態に依存して、光を選択的に導波できることが知られている(非特許文献2を参照)。しかし、結合器で通常の対称な導波路を接合する場合、整流性は結合器の位置で生じるため、曲げや欠陥に対する耐性が高くないといった問題がある。
また、導波路の構造自体は対称な構造で、角運動量の整流性を持たない通常のリッジ型の導波路を用いて、導波路の中心からずらした位置に光源を統合することにより、光源の偏光状態に応じて特定の方向に光が導波できることが知られている(非特許文献3を参照)。しかし、上記の角運動量選択性を持つ結合器で通常の対称導波路を接合する場合と同様に、整流性は励起時に生じるものであり、伝搬中の曲げや欠陥に対する耐性は通常の導波路と変わらず、また、光源位置が整流性を決定するため、作製に高い工作精度が要求されるといった問題がある。
一方で、誘電体や金属ナノ構造体が伝搬方向に一次元に配列した粒子鎖からなるサブ波長構造が光導波路として機能することが実証されている(非特許文献4~6を参照)。非特許文献4では、一次元に配列した粒子鎖を構成する各粒子は、電気・磁気多極子共鳴モード(以下、単に「共鳴モード」という場合がある)を持ち、隣接する共鳴モード間が互いに結合し、可視波長から近赤外線(NIR)波長の波長領域において、光導波機能、低損失性や全光超高速変調(~50ps)機能について、シリコンナノ粒子鎖で実験的に実証している。
また、一種の粒子から構成され、配列方向に対称でジグザグ状に一次元配列した粒子鎖に関して報告がある(非特許文献7,8を参照)。非特許文献7,8では、粒子鎖の端部の粒子に局在したモードが生じる等の報告があるが、円偏光など光の角運動量の伝搬に関する開示は見当たらない。
特開2007-293211号公報
Long-Hua Wu et al.,"Scheme for Achieving a Topological Photonic Crystal by Using Dielectric Material", Phys. Rev. Lett. 114, 223901 (2015). J. Enrique Vazquez-Lozano et al., "Towards Chiral Sensing and Spectroscopy Enabled by All-Dielectric Integrated Photonic Waveguides", arXiv:1911.11106 (2019). R.J.Coles et al., "Chirality of nanophotonic waveguide with embedded quantum emitter for unidirectional spin transfer", Nat. Commun. 7, 11183 (2016). Reuben M. Bakker et al., "Resonant Light Guiding Along a Chain of Silicon Nanoparticles", Nano Lett. 17, 3458 (2017). Roman S. Savelev et al. "Resonant transmission of light in chains of high-index dielectric particles", Phys Rev B. 92, 155415 (2015). Lu Ding et al., "All-Optical Modulation in Chains of Silicon Nanoantennas", ACS Photonics. 7, 1001 (2020). Alexey P. Slobozhanyuk et al., "Subwavelength Topological Edge States in Optically Resonant Dielectric Structures", Phys. Rev. Lett. 114, 123901 (2015). Alexander Poddubny et al., "Topological Majorana States in Zigzag Chains of Plasmonic Nanoparticles", ACS Photon. 1, 101 (2014).
1. かかる状況に鑑みて、本発明は、構造欠陥や曲げに対して高い耐性を有し、光源位置の制約が無く、集積化が可能で、円偏光など光の角運動量の整流性を有するサブ波長構造の光導波路を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明の第1の観点によるサブ波長光導波路は、高屈折率誘電体で構成され、サイズが異なる二種のサブ波長構造を有し、各サブ波長構造が所定のギャップ長で伝搬方向に沿って交互にジグザグ状に一次元配列されたことを特徴とする。
高屈折率誘電体で構成されるナノスケール構造の一次元粒子鎖は、ミー(Mie)共鳴に由来する「電気・磁気多極子共鳴モード」が粒子間で結合することにより、サブ波長光導波路として機能することが既に知られている。ミー共鳴とは、波長λ(nm)の光が物質(屈折率n)に入射した場合、物質中では実効波長λ/n(nm)となり、光の実効波長λ/n(nm)と球形粒子の直径が特定の関係を満たすときに、電気・磁気多極子共鳴モードが光学領域に出現する現象である。
本発明者らは、高屈折率誘電体で構成されるナノスケール構造の一次元粒子鎖の対称性を崩して、大小二種の粒子からなる非対称ジグザグ状の一次元粒子鎖とするサブ波長光導波路に、光の角運動量の整流性が生じることを見出したのである。
本発明のサブ波長光導波路によれば、励起光の円偏光の回転方向に依存して、特定の方向に光を伝搬させることが可能になる。また、本発明のサブ波長光導波路は、一次元構造であり、素子の断面積をサブ波長まで小さくできると共に、結合器を用いず、光源位置の制約がなく、導波路構造自体が整流性を持つため、曲げ耐性や欠陥由来の反射耐性が高いといった利点を備える。
本明細書において、高屈折率誘電体は、可視光から近赤外光域での屈折率が2以上である誘電体を意味する。また、サブ波長構造は、対象とする光の波長と同程度かそれよりも小さい寸法(例えば、入射光の波長の1/4)を持つ微細構造を意味する。また本明細書において、単に波長といえば真空波長を意味する。
また、各サブ波長構造が所定のギャップ長で伝搬方向に沿って交互にジグザグ状に一次元配列されたとは、光の伝搬方向に沿って一次元配列される各サブ波長構造の中心を結ぶ線が伝搬方向に沿って交互にジグザグ線になるものであり、伝搬方向、すなわち配列方向を軸とした場合に、対称でない(非対称)構造である。ここで、所定のギャップ長とは、ギャップ長が0の場合も許容し、隣接する各サブ波長構造にギャップが無い場合も含まれる。後述するとおり、隣接する各サブ波長構造の間にギャップを設けた方が、光の角運動量の整流性が明確となり好ましい。
本発明の第2の観点によるサブ波長光導波路は、少なくとも一種が高屈折率誘電体で構成され、材質が異なる二種のサブ波長構造を有し、各サブ波長構造が所定のギャップ長で伝搬方向に沿って交互にジグザグ状に一次元配列されたことを特徴とする。
本発明者らは、第1の観点によるサブ波長光導波路と同様に、一次元粒子鎖の対称性を崩して、材質が異なる二種の粒子からなる非対称ジグザグ状の一次元粒子鎖とするサブ波長光導波路に、光の角運動量の整流性が生じることを見出した。第2の観点によるサブ波長光導波路によれば、励起光の円偏光の回転方向に依存して、特定の方向に光を伝搬させることが可能になる。
本発明の第2の観点によるサブ波長光導波路も、第1の観点と同様、一次元構造であり、素子の断面積をサブ波長まで小さくできると共に、結合器を用いず、光源位置の制約がなく、導波路構造自体が整流性を持つため、曲げ耐性や欠陥由来の反射耐性が高いといった利点を備える。
本発明の第1の観点によるサブ波長光導波路において、サブ波長構造のサイズは、伝搬方向のサイズ、又は、伝搬方向に直交し基板に平行もしくは垂直な方向のサイズの内、大きいサイズが0.1~0.6μmの範囲であり、小さいサイズが大きいサイズの1/2~5/6の範囲であることが好ましい。小さいサイズが大きいサイズの1/2未満や5/6より超える場合には、光の角運動量の整流性は著しく小さい。
本発明の第1及び第2の観点によるサブ波長光導波路において、高屈折率誘電体は、Si,GaAs,GaP,InP,Ge,SiGeの何れかが好適に用いられる。これらは、無機材料で安定的であり、Siの屈折率は4.3、GaAsの屈折率は4.2、GaPの屈折率は3.6、InPの屈折率は3.0、Geの屈折率は5.5、SiGe(Si~50%)の屈折率は4.4である。
本発明の第2の観点によるサブ波長光導波路において、サブ波長構造は、屈折率が2以上の第1の誘電体と、屈折率が2未満の第2の誘電体とから構成される。屈折率が2以上の第1の誘電体は、上述の同じく、Si,GaAs,GaP,InP,Ge,SiGeの何れかが好適に用いられ、第2の誘電体はSiO(屈折率が1.4~1.5)が好適に用いられる。
本発明の第1及び第2の観点によるサブ波長光導波路において、サブ波長構造は、交互に隣接するサブ波長構造のギャップ長が0~100nmの範囲であることが好ましい。特に好ましいのは、サイズに依存して変化する。例えば、大きいサイズが0.24μmの場合、ギャップ長が0~20nmの範囲である。
本発明の第1及び第2の観点によるサブ波長光導波路において、サブ波長構造は、円柱形もしくは角柱形、又は、それらの複合である。作製の観点から、円柱形(ディスク)もしくは角柱形が好ましい。作製方法に、リソグラフィー法など既に確立された手法を用いることができる。角柱形は、三角柱、直方体、正六角柱などが含まれる。或いは、サブ波長構造は、粒子を一次元配置して粒子鎖を構成する場合には、球形となる。
本発明の第1及び第2の観点によるサブ波長光導波路では、サブ波長構造における隣接する共鳴モード間が結合して伝搬し、導波光の角運動量に対して整流性がある。
本発明のサブ波長光導波路によれば、一次元構造で整流性を持つため、素子の断面積をサブ波長まで小さくでき、フォトニック結晶導波路に比べて著しく集積度を向上できるといった効果がある。また、スラブ型導波路等の対称性の高い構造に比べて、構造の自由度が高く、構成粒子の粒径比や配置等で分散関係を制御できる可能性がある。
本発明のサブ波長光導波路の模式図の一例 光の角運動量の整流性に関するシミュレーション結果を示すグラフ 光の角運動量の整流性に関するシミュレーション結果の説明図 電場分布を示す図 粒径比固定の説明図 整流性の粒子径依存性(粒径比固定の場合)を示すグラフ 大サイズを固定の説明図 整流性の粒径比依存性(大サイズを固定の場合)を示すグラフ 整流性のギャップ長の説明図 整流性のギャップ長依存性を示すグラフ 整流性のサブ波長構造の構成数依存性の説明図 整流性のサブ波長構造の構成数依存性を示すグラフ 整流性のサブ波長構造(ディスク構造)の説明図 整流性のサブ波長構造(ディスク構造)の整流性を示すグラフ 電界強度分布による曲げ耐久性を示す図 実施例2のサブ波長構造の説明図 実施例2のサブ波長構造の整流性を示すグラフ(1) 実施例2のサブ波長構造の整流性を示すグラフ(2) 構成材料のサイズとその屈折率と共鳴モードの出現の相関性を示すグラフ
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
図1は、サイズが異なる二種のサブ波長構造を有し、各サブ波長構造が伝搬方向に沿って交互にジグザグ状に一次元配列されたサブ波長光導波路の模式図を示している。各サブ波長構造は、シリコンに代表される高屈折率誘電体のナノ構造(ディスク、球形など)をジグザグ状に一次元に配列したものである。シリコンなどの高屈折率誘電体の各サブ波長構造に伴うミー共鳴が結合して伝搬することにより、素子サイズ(幅)が真空波長以下で、光導波路の構造に非対称性を導入する。
ここで、高屈折率誘電体としては、可視光から近赤外光域での屈折率が2以上である誘電体、例えば、Si(屈折率4.3),GaAs(屈折率4.2),GaP(屈折率3.6),InP(屈折率3.0),Ge(屈折率5.5),SiGe(Si~50%)(屈折率4.4)等が用いられる。屈折率が2以上である制約とした理由を説明する。
図19は、単一の球形誘電体粒子において、構成材料のサイズとその屈折率と共鳴モードの出現の相関性を示すグラフであり、構成材料の屈折率が一定以上の場合にミー共鳴が発現することを示す計算結果を示している。図19において、縦軸は材料の屈折率n、横軸は粒子内部での光の有効波長(λ/n)に対する直径(2R;但し、Rは半径)を表す値(サイズパラメータ)であり、光散乱の強さを表す散乱効率を濃淡として示す。例えば、サイズパラメータが1のときに出現する共鳴モードが、最低次の磁気双極子共鳴モードであり、これが動作波長に対して最も小さい素子を実現する際に必要な共鳴モードである。サイズパラメータが2の場合に、屈折率2以下は、構造サイズが真空波長以上となり、サブ波長構造ではなくなる。すなわち、屈折率が2以上で強い散乱が起きており、屈折率が2以上の誘電体材料が本発明の高屈折率材料として機能することがわかる。また、共鳴モードは、サイズパラメータが1付近で発現しており、真空波長(λ)の1/nサイズのサブ波長構造の素子となることもわかる。電気双極子や、それ以降の多極子共鳴モードに関しては、屈折率2以下から強い散乱が出現しはじめ、ミー共鳴の発現に必要な屈折率の要件は若干緩和することがわかる。
図1に示すようなサブ波長光導波路を用いることにより、既存技術であるフォトニック結晶型の光導波路に比べて、1/10程度のサイズで光の角運動量の分離を実現できる。従来の結合器を用いる光導波路や、光源位置をずらす対称型の光導波路に対して、本発明のサブ波長光導波路は、後述するとおり、導波路構造自体が整流性を持つため、高い曲げ耐性や、構造揺らぎ等の欠陥に対する高い耐性を持ち、また、導波路構造自体の分散関係を調整する自由度がある。
図2のグラフを参照し、ジグザグ状に一次元配列されたサイズが異なる二種の粒子鎖構造に対して行った光の角運動量の整流性に関するシミュレーション結果について説明する。粒子鎖構造を構成する二種の粒子は、それぞれ半径120nm、80nmのシリコンナノ粒子である(図1に示すR1=240nm、R2=160nm)。粒子鎖構造の幅wは、400nm未満(w<160+240)である。シミュレーション結果は、図3に示すとおり、比較のために、半径120nmの粒子のみからなる直線状に一次元配列された粒子鎖構造(比較例1)と、半径120nmの粒子のみ一種で構成されるジグザグ状に一次元配列された粒子鎖構造(比較例2)について、併せてシミュレーションを行った。
図2と図3のグラフは、シミュレーション結果を示している。シミュレーションの前提条件としては、導波路の中心に、反時計回り円偏光光源を配置し、上記のサイズの大小それぞれ31個及び30個の粒子を一次元配列した粒子鎖構造とし、中心に配置した円偏光光源から伝搬した先(粒子鎖の端)での光の強度を左右でモニタリングすることにした。可視から近赤外光の波長領域でシミュレーションを実施した。
図2と図3に示すグラフは、横軸に光源波長(μm)、縦軸(左)に光強度をとり、光強度の波長依存性を示している。また、縦軸(右)は、左右の光強度の比率(L/R)を示している。
図2に示すとおり、本発明のジグザグ状に一次元配列されたサイズが異なる二種の粒子鎖構造において、粒子鎖の左端での光強度(図中の“L”)と、粒子鎖の右端での光強度(図中の“R”)のプロットを見ると、0.7~0.8μm付近の波長帯域において、光が左に伝搬する整流性が確認できる。L/R比(図中の点線)は、光源波長0.784μmで最も高い値を示している。図2では、0.7μmから0.8μm付近で、粒子鎖の左端の光強度(L)が右端の光強度(R)より強く、L/Rのピーク(0.784μm)から外れても比較的広い波長範囲で整流性が現れることが示されている。このことから、共鳴波長から外れた波長の場合であっても、整流性が出現することがわかる。
図3に示すとおり、直線状に一次元配列された粒子鎖構造(比較例1)と、一種で構成されるジグザグ状に一次元配列された粒子鎖構造(比較例2)では、共に、ほとんど左右で強度に差がないのに対し、本発明のジグザグ状に一次元配列されたサイズが異なる二種の粒子鎖構造では、0.7~0.8μm付近の波長帯域において、光が左に伝搬する整流性が確認できるのである。また、その光強度は、整流性を持たない比較例1と同等であり、本発明の光導波路を用いることで、導波特性を低下させることなく既存の一次元配列型導波路に整流性を付与できることとがわかる。
図4は、最大の整流性が得られた光源波長0.784μmにおいて計算した電場分布を示している。図4に示す電場分布から、円偏光光源の偏光の回転方向に応じて、左右に光が整流し伝搬する様子が確認できる。
(1)整流性のサイズ依存性(サイズ比固定の場合)について
ジグザグ状に一次元配列されたサイズが異なる二種の粒子鎖構造に対して、サイズ比(粒径比)を固定した場合において、図5,6を参照し、整流性のシミュレーション結果を説明する。
粒径比は、大きいサイズR1に対して、その2/3で固定し(R2=R1×2/3)、粒径R1を0.06~0.3μmの範囲で変化させて、整流性を確認した。
その結果を、図6に示す。図6(1)(2)は、共に、横軸に光源波長(μm)、縦軸に粒径R1(μm)をとり、光強度の左右の比率(L/R又はR/L)を濃淡で示している。図6(1)(2)のそれぞれに右側に濃淡スケールバーを示す。
図6(1)は左に伝搬する整流性(L/R)を、図6(2)は右に伝搬する整流性(R/L)を示す。図6(1)において、縦軸の粒径R1が0.12μmの場合に、0.7~0.8μmの光源波長でL/Rが高い値を示すことが確認できる。このことは、上述の図2のグラフの説明と一致している。縦軸の粒径R1が大きくなるに従って、L/Rが高い値を示す光源波長が大きくなることがわかる。例えば、光源波長が1.3μmの場合には、粒径R1が0.2μmであればL/Rが高い値を示す。また、光源波長が1.55μmの場合には、粒径R1が0.24μmであればL/Rが高い値を示す。このように、粒径R1が0.1μmから0.30μmで、光通信に使用される主な波長帯に対して整流性(L/R)を示すことがわかる。
一方、図6(2)において、R/LもL/Rと同様に、縦軸の粒径R1が大きくなるに従って、R/Lが高い値を示す光源波長が大きくなることがわかる。一方、その整流性の起こる波長領域は、同粒径で比較すると、凡そ0.1μm短波長に発現する。例えば、縦軸の粒径R1が0.12μmの場合、凡そ0.7μmの光源波長でR/Lが高い値を示すことが確認できる。同様に、光源波長が1.3μmの場合には、粒径R1が凡そ0.23μmであればR/Lが高い値を示す。また、光源波長が1.55μmの場合には、粒径R1が0.27μmであればR/Lが高い値を示す。このように、粒径R1が0.1μmから0.30μmで、光通信に使用される主な波長帯に対して整流性(R/L)を示すことがわかる。
以上説明したとおり、ジグザグ状に一次元配列されたサイズが異なる二種の粒子鎖構造に対して、サイズ比を固定した場合において、整流性のサイズ径依存性が確認できた。
(2)整流性のサイズ比依存性(大サイズを固定の場合)について
ジグザグ状に一次元配列されたサイズ(粒径)が異なる二種の粒子鎖構造に対して、粒径R1を固定して粒径R2を小さくしていった場合において、図7,8を参照し、整流性のシミュレーション結果を説明する。図8は、横軸に光源波長(μm)、縦軸に粒径R2(μm)をとり、光強度の左の比率(L/R)を濃淡で示し、図8の右側にL/Rの濃淡スケールバーを示している。
粒径R1は0.12μmで固定し、粒径R2を0~0.12μmの範囲で変化させたところ、図8のグラフに示すとおり、粒径比(R2/R1)が1/2(粒径R2が0.06μm)程度から整流性が現れ、2/3から5/6付近で、特に整流性が高いことがわかる。
以上のとおり、ジグザグ状に一次元配列されたサイズが異なる二種の粒子鎖構造に対して、整流性のサイズ比依存性が確認でき、小さいサイズが大きいサイズの1/2~5/6の範囲で整流性が確認できた。また、小さいサイズが大きいサイズの2/3付近が最も整流性が高いことがわかった。
(3)整流性のギャップ長依存性について
ジグザグ状に一次元配列されたサイズ(粒径)が異なる二種の粒子鎖構造に対して、粒径R1とR2を固定して、粒子間のギャップ長を変化させた場合において、図9,10を参照し、整流性のシミュレーション結果を説明する。図10は、横軸に光源波長(μm)、縦軸にギャップ長さ(nm)をとり、光強度の左の比率(L/R)を濃淡で示し、右側にL/Rの濃淡スケールバーを示している。
粒径R1は0.12μm、粒径R2は0.08μmで固定し、ギャップ長を0~100nmの範囲で変化させたところ、図10のグラフに示すとおり、0~100nmの範囲で整流性が確認でき、5~15nm付近で特に整流性が特に高いことがわかる。
(4)整流性のサブ波長構造の構成数依存性について
ジグザグ状に一次元配列されたサイズ(粒径)が異なる二種の粒子鎖構造に対して、粒径R1とR2とギャップ長gを固定して、構成粒子数を変化させた場合において、図11,12を参照し、整流性のシミュレーション結果を説明する。図12(1)(2)は、横軸に光源波長(μm)、縦軸に構成粒子数Nをとり、それぞれ光強度の左右の比率(T_L又はT_R)を濃淡で示している。また、図12(3)は、横軸に光源波長(μm)、縦軸に構成粒子数Nをとり、光強度の左右の比率(L/R)を濃淡で示し、右側にL/Rの濃淡スケールバーを示している。なお、構成粒子数Nは、大きい方の粒子数とし、小さい方の粒子数はN-1個としている。
15個程度の粒子があれば、L/R比は100以上になり、また、粒子数が変化しても大体同じ現象が起き、粒子数4~6個の周期でL/R比や動作波長が少し変化することがわかる。
(5)整流性のサブ波長構造の形状依存性について
サブ波長構造体の形状を円柱形(ディスク)構造とした場合において、ジグザグ状に一次元配列されたサイズが異なる二種のサブ波長構造に対する整流性のシミュレーション結果について、図13,14を参照して説明する。
図14は、横軸に光源波長(μm)、縦軸にディスクの径R1をとり、光強度の左右の比率(L/R)を濃淡で示している。
図14のグラフから、サブ波長構造体の形状が円柱形(ディスク)構造の場合であっても、粒子の場合と同様に整流効果があることが確認できる。また、非対称性(R1/R2)の範囲も概ね同様である。なお、ディスクの場合は、ディスク高さhなどの構造由来と推察するが、粒子(球形)に比べて、若干短波長にシフトしていることがわかった。
(6)曲げ耐性について
図15は、ジグザグ状に一次元配列されたサイズ(粒径)が異なる二種の粒子鎖構造を屈曲されたものに対する電界強度の伝搬性について示す。
粒径R1は0.12μm、粒径R2は0.08μm、ギャップ長は15nmで固定している。図の左側に時計回り円偏光の光源を配置している。
図15に示す電界強度分布において、光源の配置された左側端部の粒子から、右方向へと光が伝搬する様子が確認できる。曲げにより、一定の光のロスは生じているが、二度の急峻曲げを超えて右側端部の粒子まで光が伝搬している。なお、構造の最適化を行っていないため、一部の光はロスしているが、曲げ部周辺のギャップ長や構造の配置を最適化することによりロスは低減できる。
次に、少なくとも一種が高屈折率誘電体で構成され、材質が異なる二種のサブ波長構造を有し、各サブ波長構造が伝搬方向に沿って交互にジグザグ状に一次元配列されたサブ波長光導波路の整流性について、図16~18を参照して説明する。材質が異なる二種は、シリコンとシリカを用いて、実施例1と同様に、ナノ構造(球やディスク等)をジグザグ状に一次元に配列したものである。
シリコンの粒径R1は0.12μm、シリカの粒径R2は0.12μm、ギャップ長は15nmで固定している。
図17は、横軸に光源波長(μm)、縦軸(左)に光強度をとり、光強度の波長依存性を示し、縦軸(右)は、左右の光強度の比率(L/R)を示している。
図17に示すとおり、本実施例のジグザグ状に一次元配列された材質が異なる二種の粒子鎖構造において、粒子鎖の左端での光の強度(図中の“L”)と、粒子鎖の右端での光の強度(図中の“R”)のプロットを見ると、0.68~0.78μm付近の波長帯域において、光が左に伝搬する整流性が確認できる。L/R比(図中の点線)は、光源波長0.76μmで最も高い値を示している。
図18は、横軸に光源波長(μm)、縦軸にシリカ粒径R2(μm)をとり、光強度の左の比率(L/R)を濃淡で示し、右側にL/Rの濃淡スケールバーを示している。
図18に示すとおり、本実施例のサブ波長光導波路では、主鎖(シリコン)及び副鎖(シリカ)からなる非対称粒子鎖における円偏光の伝搬特性が確認でき、異なるサイズのシリコン粒子鎖と同様に、同サイズのシリコン粒子及びシリカ粒子からなる粒子鎖でも整流が起きることがわかる。シリカ粒子のサイズ依存性から、シリカ粒径が大きくなるにつれて整流性が大きくなっている(異なるサイズでも一定の整流性がある)。
本発明は、高い集積度や、角運動量による情報の多重化が期待でき、光電子集積回路や量子情報素子へ応用ができる。

Claims (10)

  1. 高屈折率誘電体で構成され、サイズが異なる二種のサブ波長構造を有し、各サブ波長構造が所定のギャップ長で伝搬方向に沿って交互にジグザグ状に一次元配列されたサブ波長光導波路。
  2. 少なくとも一種が高屈折率誘電体で構成され、材質が異なる二種のサブ波長構造を有し、各サブ波長構造が所定のギャップ長で伝搬方向に沿って交互にジグザグ状に一次元配列されたサブ波長光導波路。
  3. 前記サブ波長構造のサイズは、伝搬方向のサイズ、又は、伝搬方向に直交し基板に平行もしくは垂直な方向のサイズの内、大きいサイズが0.1~0.6μmの範囲であり、小さいサイズが大きいサイズの1/2~5/6の範囲である請求項1に記載のサブ波長光導波路。
  4. 前記高屈折率誘電体は、Si,GaAs,GaP,InP,Ge,SiGeの何れかである請求項1~3の何れかに記載のサブ波長光導波路。
  5. 前記サブ波長構造は、屈折率が2以上の第1の誘電体と、屈折率が2未満の第2の誘電体とから構成される請求項2に記載のサブ波長光導波路。
  6. 第1の誘電体はSi,GaAs,GaP,InP,Ge,SiGeの何れかであり、第2の誘電体はSiOである請求項5に記載のサブ波長光導波路。
  7. 前記サブ波長構造は、交互に隣接するサブ波長構造のギャップ長が0~100nmの範囲である請求項1~6の何れかのサブ波長光導波路。
  8. 前記サブ波長構造は、円柱形もしくは角柱形、又は、それらの複合である請求項1~7の何れかのサブ波長光導波路。
  9. 前記サブ波長構造は、球形である請求項1~7の何れかのサブ波長光導波路。
  10. 前記サブ波長構造における隣接する共鳴モード間が結合して伝搬し、導波光の角運動量に対して整流性があることを特徴とする請求項1~9の何れかのサブ波長光導波路。
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