JP2022103139A - 作物の生育診断方法、及び作物の生育診断プログラム - Google Patents

作物の生育診断方法、及び作物の生育診断プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】作物の生育状態を迅速に判定し、出力する。【解決手段】第1指標値算出部32は、同一地点(区画)の作物に対して実施した2回の生体調査の結果(画像から得らえる投影葉面積)に基づいて、作物の生育速度を示す第1指標値(Id)を算出する(S16)。また、第2指標値算出部36は、2回の生体調査の結果と、生体調査の間の期間における日射量(Srn)と、に基づいて、日射による生育への影響を示す第2指標値(光利用効率LUE1→2)を算出する(S18~S24)。そして、生育状態判定部38は、第1指標値(Id)と第2指標値(LUE1→2)とに基づいて、作物の生育が順調か否か及び作物の生育と日射との関係を判定し(S26)、出力部42は、判定結果を出力する(S36)。【選択図】図4

Description

本発明は、作物の生育診断方法、及び作物の生育診断プログラムに関する。
作物の収量を最大限に得るには、作物を順調に生育させることが重要である。しかし、現状においては、作物の生育が順調であるかは、生産者が経験や勘により判断していることがほとんどである。一方、生育診断として汁液等を採取して養分濃度を計測する技術はあるものの、専用の分析機器が必要である。
なお、従来、生育状態に影響する環境因子の変動データの相関から生育状態を診断する技術が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
特開2017-051125号公報
しかしながら、従来においては、作物の生育状態を迅速に判断することは難しい。
本発明は、作物の生育状態を迅速に判定し、出力することが可能な作物の生育診断方法、及び作物の生育診断プログラムを提供することを目的とする。
本発明の作物の生育診断方法は、同一地点の作物に対して実施した2回の生体調査の結果に基づいて、前記作物の生育速度を示す第1指標値を算出し、前記2回の生体調査の結果と、前記生体調査の間の期間における日射に関する情報と、に基づいて、日射による生育への影響を示す第2指標値を算出し、前記第1指標値と前記第2指標値とに基づいて、前記作物の生育が順調か否か及び前記作物の生育と日射との関係を判定し、前記判定する処理の判定結果を出力する、処理をコンピュータが実行する作物の生育診断方法である。
本発明の作物の生育診断方法、及び作物の生育診断プログラムは、作物の生育状態を迅速に判定し、出力することができるという効果を奏する。
一実施形態に係る農業システムの構成を示す図である。 図1のユーザ端末のハードウェア構成を示す図である。 図1のユーザ端末の機能ブロック図である。 ユーザ端末の処理を示すフローチャートである。 図4のステップS30の詳細処理を示すフローチャートである。 カメラが撮影した画像の一例を示す図である。 投影葉面積と乾物の関係を示すグラフである。 図8(a)は、n日目の投影葉面積を求める方法について説明するための図であり、図8(b)は、投影葉面積と葉面積指数の関係を示すグラフである。 生育状態判定部が判定に用いるテーブルの一例を示す図である。 図10(a)~図10(c)は、スコア化テーブルの例を示す図である。 図11(a)~図11(c)は、スコア化テーブルを用いて気温スコア、湿度スコア、土壌水分スコアを求めた例を説明するための図である。 図12(a)は、生育状態表示画面の一例を示す図であり、図12(b)は、抑制要因表示画面の一例を示す図である。 変形例に係るユーザ端末の処理を示すフローチャートである。 変形例における第1指標値を用いた判定結果の一例を示す図である。 図15(a)、図15(b)は、1回目及び2回目の撮影により得られた画像であり、図15(c)、図15(d)は、1回目及び2回目の撮影により得られた画像を二値化したものである。 1回目の撮影画像と2回目の撮影画像とから得られた情報を示す図である。 閾値を求める際に用いた情報と、閾値を示す図である。 図18(a)~図18(d)は、気温スコアと土壌水分スコアについて説明するための図である。 図19(a)は、気温と土壌水分の期間平均値を示す図であり、図19(b)は、気温スコアと土壌水分スコアを示す図である。 図20(a)~図20(c)は、生育抑制の要因の特定方法について説明するための図である。
以下、農業システムの一実施形態について、図1~図12に基づいて詳細に説明する。図1には、一実施形態に係る農業システム100の構成が概略的に示されている。本実施形態の農業システム100は、ブロッコリーやキャベツなどの露地野菜を栽培する生産者(以下、ユーザと呼ぶ)が利用可能なシステムである。
農業システム100は、図1に示すように、ユーザ端末10と、カメラ70と、センサ72と、を備える。ユーザ端末10と、カメラ70と、センサ72は、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワーク80に接続されており、ユーザ端末10は、カメラ70によって撮像された画像やセンサ72によって検出された情報を取得することが可能となっている。
カメラ70は、圃場に設けられ、作物(株)を上方(所定高さ)から撮影する。カメラ70が撮影した画像は、ユーザ端末10に送信される。なお、カメラ70は、1つでもよいし、複数でもよい。
センサ72は、圃場の複数区画における日射量や土壌水分を検出するセンサ、圃場の気温や湿度を検出するセンサ等を含む。センサ72が検出した情報は、ユーザ端末10に送信される。なお、各区画の土壌水分については、例えば、降水量や気温から検出される圃場全体の平均的な土壌水分を、画像から得られる各区画の土壌の色や、表面温度、電導度等に基づいて補正することで、得ることができる。
ユーザ端末10は、圃場に設置されたカメラ70により所定時間間隔で撮影された画像から得られる作物(ブロッコリーとする)の葉に関する情報や、センサ72により検出された情報を取得する。また、ユーザ端末10は、取得した情報に基づいて、生育診断(作物の生育が順調であるか否かや、順調でなければその原因が何であるのかの判定)を行い、診断結果(判定結果)を出力する。
図2には、ユーザ端末10のハードウェア構成が概略的に示されている。図2に示すように、ユーザ端末10は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random access memory)94、記憶部(例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)など)96、ネットワークインタフェース97、表示部93、入力部95、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。表示部93は、液晶ディスプレイ等を含み、入力部95は、キーボードやマウス、タッチパネル等を含む。これらユーザ端末10の構成各部は、バス98に接続されている。ユーザ端末10では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム(作物の生育診断プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラム(作物の生育診断プログラムを含む)をCPU90が実行することにより、図3に示す各部の機能が実現される。なお、図3の各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
図3には、ユーザ端末10の機能ブロック図が示されている。ユーザ端末10においては、CPU90がプログラムを実行することにより、図3に示すように、画像取得部30、第1指標値算出部32、センサ情報取得部34、第2指標値算出部36、生育状態判定部38、抑制要因特定部40、出力部42、としての機能が実現されている。なお、図3には、生育状態判定部38による判定結果や抑制要因特定部40の特定結果を格納する判定結果テーブル48も図示されている。
画像取得部30は、カメラ70が作物(株)の直上の任意の高さから撮影した株の投影画像を取得し、第1指標値算出部32に受け渡す。
第1指標値算出部32は、所定時間間隔をあけて同一の株を撮影した2枚の画像(すなわち、圃場の同一の区画を撮影した2枚の画像)を取得し、各画像を二値化したり、AI解析等を行うことで、各画像の土壌の部分と葉の部分を区別する。また、第1指標値算出部32は、各画像における葉の部分の面積、すなわち株の投影葉面積を算出する。なお、第1指標値算出部32が算出した各画像の投影葉面積の値は、2回の生体調査の結果であるといえる。更に、第1指標値算出部32は、2回の生体調査の結果(投影葉面積)を用いて、作物の生育速度を示す指標(第1指標値)を算出する。
センサ情報取得部34は、センサ72が検出した、圃場の複数区画における日射量や土壌水分、圃場の気温や湿度の値を取得し、第2指標値算出部36や抑制要因特定部40に受け渡す。
第2指標値算出部36は、第1指標値算出部32が算出した投影葉面積を用いて、2回の生体調査を行ったときの乾物重や2回の生体調査の間における各日の葉面積指数(LAI:Leaf Area Index)を推定する。また、第2指標値算出部36は、推定した乾物重や葉面積指数、センサ情報取得部34が取得した日射量等を用いて、第2指標値として、2回の生体調査の間における光利用効率(LUE:Light Use Efficiency)を算出する。
生育状態判定部38は、第1指標値(作物の生育速度を示す指標)と第2指標値(光利用効率)とを用いて、作物(株)の生育が順調であるか否か、順調でないならばその要因が日射であるかを判定する。
抑制要因特定部40は、生育状態判定部38の判定の結果、作物(株)の生育が順調でなく、その要因が日射量でない場合に、センサ情報取得部34が取得した、各区画における土壌水分や、圃場の気温や湿度の値を用いて、抑制要因を特定する。
なお、生育状態判定部38の判定結果や、抑制要因特定部40の特定結果は、判定結果テーブル48に格納される。
出力部42は、判定結果テーブル48に格納されている情報(生育状態判定部38の判定結果や、抑制要因特定部40の特定結果)を表示する画面を生成し、表示部93上に出力する。
(ユーザ端末10の処理について)
以下、ユーザ端末10の処理について、図4、図5のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ、詳細に説明する。なお、本実施形態では、圃場で生育しているブロッコリーの生育が順調であるか否か、順調でなければその要因が何であるのかを判定し、判定結果を出力する例について説明する。
図4の処理の前提として、予めユーザによって、画像の撮影タイミング(1回目、2回目)が設定されているものとする。なお、1回目の撮影と2回目の撮影の間は、所定日数空いているものとする。ユーザは、作物の定植日や播種日等に基づいて、撮影タイミングを決定する。また、センサ情報取得部34は、センサ72が所定タイミングで検出する各種情報を適宜取得しているものとする。
図4の処理では、まず、ステップS10において、画像取得部30が、各カメラ70によって撮影された画像(1回目)を取得する。このステップS10では、図6に示すような画像が取得できるようになっている。なお、図6は、圃場内の複数のカメラ70によって撮影された画像を並べたものであり、圃場全体を撮影した画像であるといえる。この場合、1つのカメラ70で複数の区画(破線で区切られた範囲)を撮影してもよいし、1つのカメラ70で1つの区画を撮影してもよい。また、1つのカメラ70で圃場全体を撮影してもよい。いずれの場合であっても、画像取得部30は、図6のような圃場全体を撮影した画像を、所定の方法で複数の区画に分割する。なお、各区画は、概ね1つの株が含まれる範囲である。
次いで、ステップS12では、画像取得部30が、各カメラ70によって撮影された画像(2回目)を取得する。この場合も、画像取得部30は、図6と同様の画像を取得する。
次いで、ステップS14では、第1指標値算出部32が、1区画(1つの区画)を特定する。例えば、第1指標値算出部32は、図6の左上の区画を特定するものとする。
次いで、ステップS16では、第1指標値算出部32が、特定した区画の株の生育速度を示す指標である第1指標値(Id)を算出する。具体的には、第1指標値算出部32は、まず、特定した区画を1回目に撮影した画像を二値化したり、AI解析等を行うことで、土壌と葉の部分を区別し、葉の部分の面積(投影葉面積)A1を算出する。次いで、第1指標値算出部32は、特定した区画を2回目に撮影した画像を二値化したり、AI解析等を行うことで、土壌と葉の部分を区別し、葉の部分の面積(投影葉面積)A2を算出する。そして、第1指標値算出部32は、投影葉面積A1、A2と、第1回目の撮影と第2回目の撮影との間の日数dを用いて、次式(1)より、第1指標値Idを算出する。
Id=(lnA2-lnA)/d …(1)
なお、本実施形態では、撮影タイミングが、ブロッコリーの投影葉面積がシグモイド曲線に沿って大きくなる時期(ステージ)であるため、上式(1)のような式を用いたが、これに限られるものではない。作物の種類や生育ステージに応じて、式を適宜変更してもよい。
次いで、ステップS18では、第2指標値算出部36が、特定した区画の、1回目の撮影と2回目の撮影の間の各日(n日)の日射量Srnをセンサ情報取得部34から取得する。
次いで、ステップS20では、第2指標値算出部36が、1回目の撮影の際と2回目の撮影の際の乾物重Dm1、Dm2を推定する。具体的には、第2指標値算出部36は、次式(2)に基づいて、乾物重Dm1、Dm2を算出する。なお、xは撮影回数を示し、1又は2である。また、a、bは係数である。
Dmx=a・Ax+b …(2)
例えば、ブロッコリーの場合、予め行った試験の結果、投影葉面積Aと乾物重Dmとの間には、図7に示すような関係が見出されている。したがって、第2指標値算出部36は、上式(2)の係数をa=201.6、b=-5.0として、投影葉面積A1、A2を上式(2)に代入することで、乾物重Dm1、Dm2を精度よく算出することができる。なお、投影葉面積は葉の重なりが増えてくると、LAIとの間に直線関係が失われてくるため、0を最小値とする二次曲線で近似したほうがよい場合もある。このような場合には、上式(2)に代えて、二次曲線の式を用いることとしてもよい。
更に、ステップS20では、第2指標値算出部36は、1回目の撮影と2回目の撮影の間の各日の葉面積指数LAI(Lan)を推定する。具体的には、第2指標値算出部36は、次式(3)に基づいて、葉面積指数Lanを算出する。なお、c、dは係数である。
Lan=c・An+d …(3)
ここで、Anは、1回目の撮影と2回目の撮影の間のn日目の投影葉面積を意味する。n日目の投影葉面積Anを求める場合、まず、図8(a)に示すように、1回目の撮影画像から得られた投影葉面積A1と2回目の撮影画像から得られた投影葉面積A2の間を直線で補完して一次直線の推定式を作成する。そして、1日あたりの投影葉面積増加量((A2-A1)/d)とnの積からn日間の投影葉面積増加量を求め、1回目の投影葉面積A1に加算することで、n日目の投影葉面積(An)を求めることができる。これを式に表すと、次式(4)のようになる。
n=A1+{(A2-A1)/d}×n …(4)
なお、図8(a)では、一次直線の推定式を作成する場合について説明したが、生育状況によっては、1回目と2回目の投影葉面積の間を二次曲線などで補完する場合もある。
例えば、ブロッコリーの場合、予め行った試験の結果、投影葉面積Aと葉面積指数LAIとの間には、図8(b)に示すような関係が見出されている。したがって、第2指標値算出部36は、上式(3)の係数をc=3.72、c=0とし、Anに上式(4)で得られる値を代入する。これにより、n日目の葉面積指数Lanを精度よく算出することができる。
図4に戻り、次のステップS22では、第2指標値算出部36が、推定したn日目の葉面積指数Lanと、n日目の日射量Srnから、n日目における株の受光量Linを推定する。ここでは、第2指標値算出部36は、次式(5)を用いることで、n日目における株の受光量Linを推定する。
Lin=(1-e-k Lan)・Srn …(5)
次いで、ステップS24では、第2指標値算出部36が、1回目の撮影と2回目の撮影の間(撮影間)の総受光量と、撮影間の乾物重の変化とから、撮影間の光利用効率LUE(第2指標値)を算出する。
具体的には、第2指標値算出部36は、撮影間の総受光量Li1→2を次式(6)から求める。
Li1→2=ΣLin …(6)
なお、上式(6)のΣLinは、撮影間の各日の受光量Liの合計を意味する。
そして、第2指標値算出部36は、撮影間の総受光量Li1→2と、撮影間の乾物重の変化(Dm2-Dm1)を用いて、次式(7)から撮影間の第2指標値(光利用効率)LUE1→2を算出する。
LUE1→2=(Dm2-Dm1)/Li1→2 …(7)
次いで、ステップS26では、生育状態判定部38が、特定した区画の作物(株)の生育が順調か否かを判定する。具体的には、生育状態判定部38は、図9に示すようなテーブルに基づいて、判定を実行する。ここで、図9のThIdは、第1指標値Idの大小を判断する閾値であり、ThLUEは、第2指標値LUE1→2の大小を判断する閾値である。生育状態判定部38は、第1指標値Idと閾値ThIdの大小関係と、第2指標値LUE1→2と閾値ThLUEの大小関係とから、以下のように生育状態の判定を実行する。
i)Id≧ThIdかつLUE1→2≧ThLUEのとき、
生育は順調で日射量に見合った生育を示している。
ii)Id<ThIdかつLUE1→2≧ThLUEのとき、
生育は抑制されているが、その抑制要因は主に日射量不足である。
iii)Id<ThIdかつLUE1→2<ThLUEのとき、
生育は抑制されているが、日射量は十分あるため、他の抑制要因がある。
iv)Id≧ThIdかつLUE1→2<ThLUEのとき、
何らかの抑制要因により、日射量に見合った程の生育は得られておらず、生育は抑制されている。たとえば、生育は抑制されているものの、日射量の多さで生育が補償されている状態である。
次いで、ステップS28では、生育状態判定部38が、生育が順調であるか否かを判断する。すなわち、上記i)と判定された場合には、ステップS28の判断は肯定され、ステップS32に移行する。一方、上記i)以外と判定された場合、ステップS28の判断は否定され、ステップS30に移行する。
生育が抑制されている場合(ステップS28の判断が否定された場合)、ステップS30に移行し、抑制要因特定部40は、抑制要因特定処理を実行する。具体的には、抑制要因特定部40は、図5のフローチャートに沿った処理を実行する。
図5の処理においては、まず、ステップS50において、抑制要因特定部40が、抑制要因が日射量であるか否かを判断する。すなわち、抑制要因特定部40は、ステップS26において上記ii)と判定されたか否かを判断する。このステップS50の判断が肯定された場合には、図5の全処理を終了して、図4のステップS32に移行する。一方、ステップS50の判断が否定された場合には、ステップS52に移行する。
ステップS52に移行すると、抑制要因特定部40は、センサ情報取得部34から複数種類の環境要素の値を取得する。本実施形態では、例えば撮影間の期間における圃場の期間平均気温、圃場の期間平均相対湿度、特定した区画の期間平均土壌水分を取得する。
次いで、ステップS54では、抑制要因特定部40が、取得した複数種類の環境要素をスコア化する。スコア化においては、図10(a)~図10(c)に示すようなスコア化テーブルを用いる。
図10(a)のスコア化テーブルは、期間平均気温とスコア(気温スコア)との関係を示すテーブルである。図10(a)のテーブルは、以下のようにして、作物の品種ごとに事前に取得しているものとする。例えば、環境制御が可能なチャンバ内において、基準気温(例えば22℃)に設定したうえで、作物を所定時間生育させ、そのときの作物の重量変化を基準(気温スコア=100%)として取得する。そして、チャンバ内を他の気温に設定して作物を所定時間生育させたときの作物の重量変化を測定し、当該重量変化の基準に対する割合(百分率)を当該他の気温における気温スコアとして図10(a)の座標系上にプロットする。この処理をチャンバ内の気温を異ならせながら繰り返すことで、気温スコアを複数プロットし、最小二乗法等を用いて直線近似等することで、図10(a)の関係を取得する。なお、図10(a)の関係を取得する手順は、上記手順に限られるものではない。
なお、図10(b)のスコア化テーブルは、期間平均相対湿度とスコア(湿度スコア)との関係を示すテーブルである。また、図10(c)のスコア化テーブルは、期間平均土壌水分とスコア(土壌水分スコア)との関係を示すテーブルである。これら、図10(b)、図10(c)のテーブルについても、図10(a)と同様にして作成することができる。
抑制要因特定部40は、以下のa)~d)のように期間平均気温T(℃)を場合分けして、気温スコアScTを算出する。
a) T<6℃、またはT>40℃のとき
抑制要因特定部40は、気温スコアScT=0(%)とする。
b) 6℃≦T<12℃のとき
抑制要因特定部40は、次式(8)から、気温スコアStを求める。
ScT=16.7×T-100(%) …(8)
c) 12℃≦T<28℃のとき
抑制要因特定部40は、気温スコアScT=100(%)とする。
d) 28℃≦T<40℃のとき
抑制要因特定部40は、次式(9)から、気温スコアStを求める。
ScT=-8.3×T+333(%) …(9)
なお、抑制要因特定部40は、上記と同様に、図10(b)のテーブルに期間平均相対湿度を当てはめて、湿度スコアScHを求めるとともに、図10(c)のテーブルに期間平均土壌水分を当てはめて、土壌水分スコアScWを求める。
以下、2つの例について説明する。例えば、例1(期間平均気温=22.7℃、期間平均相対湿度=77.5%、期間平均土壌水分=44.8m3/m3)であれば、図11(a)~図11(c)において破線で示すように、気温スコアScT=100%、湿度スコアScH=100%、土壌水分スコアScW=100%と求められる。また、例2(期間平均気温=20.8℃、期間平均相対湿度=66.1%、期間平均土壌水分=39.9m3/m3)であれば、図11(a)~図11(c)において一点鎖線で示すように、気温スコアScT=100%、湿度スコアScH=100%、土壌水分スコアScW=60%と求められる。
次いで、ステップS56では、抑制要因特定部40が、スコアに基づいて抑制要因を特定する。
抑制要因特定部40は、例えば、次式(10)にステップS54で得られたスコアを代入することで、LUE1→2を算出する。
LUE1→2=LUEp×f(ScT×ScH×ScW) …(10)
なお、LUEpは、ポテンシャルLUEであり、生育抑制のない場合の最大LUEを意味する。
そして、抑制要因特定部40は、上式(10)においてスコアScT、ScH、ScWのそれぞれの影響を順次除し、LUE1→2≒LUEpとなったときに除していたスコア(環境要素)を抑制要因と特定する。例えば、図11の例2の場合、気温スコアScT=100%=1、湿度スコアScH=100%=1、土壌水分スコアScW=60%=0.6であるので、上式(10)は次式(10)’のようになるが、
LUE1→2=LUEp×f(1×1×0.6) …(10)’
このうち、土壌水分スコアScW=0.6の影響を除したときに、LUE1→2≒LUEpとなるのであれば、土壌水分が抑制要因であると特定することができる。
一方、抑制要因特定部40は、スコアScT、ScH、ScWのそれぞれの影響を順次除しても、LUE1→2<LUEpとなった場合には、その他の抑制要因があると特定する。その他の抑制要因には、例えば、肥料養分の不足や病虫害の被害が発生していること、などが挙げられる。
以上のようにして図5の処理(ステップS30)が行われた後は、図4のステップS32に移行する。なお、ステップS32に移行する段階では、特定されている区画の生育が順調であるか否かが判定され、成長が抑制されている場合には、その抑制要因(日射量、気温、湿度、土壌水分、その他)が特定されているので、判定結果テーブル48には、これらの判定結果及び特定結果が、各区画の位置情報と対応付けて格納される。
図4のステップS32に移行すると、生育状態判定部38は、全区画の処理が終了したか否かを判断する。このステップS32の判断が否定されると、ステップS34に移行し、第1指標値算出部32が、圃場内の次の区画を特定する。その後は、ステップS16に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、ステップS32の判断が肯定されると、ステップS36に移行する。
ステップS36に移行すると、出力部42は、判定結果テーブル48に格納されている情報に基づいて画面を生成し、表示部93に出力する。例えば、出力部42は、図12(a)に示すように、圃場の区画ごとに、生育状態判定部38の判定結果を色分けして示す生育情報表示画面を生成し、表示部93に出力してもよい。この場合、出力部42は、各区画にマウスカーソルが合わせられたときに、各区画の情報(例えば、どの環境要素に注意すべきかや、各スコアの値など)を表示するようにしてもよい。なお、日射量不足の箇所は、建物や樹木によって日陰になっている箇所であると考えられる。また、例えば、ユーザが土壌水分スコアの表示要求を入力した場合には、図12(b)に示すような各区画の土壌水分スコアを表示する画面(抑制要因表示画面)を表示部93に出力してもよい。なお、土壌水分スコア以外の表示要求があった場合にも、図12(b)と同様の画面を出力すればよい。
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、第1指標値算出部32は、同一地点(区画)の作物に対して実施した2回の生体調査の結果(2枚の撮影画像それぞれから得られる投影葉面積)に基づいて、作物の生育速度を示す第1指標値(Id)を算出する(S16)。また、第2指標値算出部36は、2回の生体調査の結果と、生体調査の間の期間における日射量(Srn)と、に基づいて、日射による生育への影響を示す第2指標値(光利用効率LUE1→2)を算出する(S18~S24)。そして、生育状態判定部38は、第1指標値(Id)と第2指標値(LUE1→2)とに基づいて、作物の生育が順調か否か及び作物の生育と日射との関係を判定し(S26)、出力部42は、生育状態判定部38による判定結果を表示部93に出力する(S36)。これにより、本実施形態では、専用の分析機器等を用いずに、作物の生育状態を迅速に判定し、出力することができる。また、従来のように経験や勘に基づいて生育状態を判断する場合と比べ、精度よく作物の生育状態を判定することができる。
また、本実施形態では、生育状態判定部38は、第1指標値(Id)と予め定めた第1閾値(ThId)との大小関係と、第2指標値(LUE1→2)と予め定めた第2閾値(ThLUE)との大小関係と、に基づいて、図9のテーブルから、作物の生育が順調か否か及び作物の生育と日射との関係を判定する。これにより、作物の生育状態の判定処理を簡素化することができる。
また、本実施形態では、生育状態判定部38は、第2指標値が第2閾値よりも小さい場合(ステップS28:否定、かつステップS50:否定)に、2回の生体調査の間の期間における複数種類の環境要素(気温、湿度、土壌水分等)に関する情報を取得し(S52)、取得した情報に基づいて、作物の生育に対して影響を与えている環境要素の種類を特定する(S54、S56)。これにより、作物の生育に対して影響を与えている環境要素の種類を実際の環境要素の値に基づいて精度よく特定することができる。また、第2指標値が第2閾値よりも大きい場合には、ステップS52~S56の処理を実行しないため、処理の簡素化を図ることができる。
また、本実施形態では、作物を所定高さから撮影した画像から作物の葉に関する情報(投影要面積)を取得することにより、生体調査を行う。これにより、作物に直接触れず、かつ作物を破壊することなく、生体調査を行うことができる。また、画像を用いることで、ユーザが葉の大きさ等を計測しなくてもよいため、ユーザの手間を軽減することができる。
また、本実施形態では、出力部42は、圃場内の複数の作物(株)に関する判定結果を、作物(株)の位置と関連付けて表示する画面(図12(a))を生成し、出力する。これにより、ユーザは、どの位置において、どのように環境を調整すべきかを容易に把握することができる。また、ユーザは、生育状態を把握することで、収量を適切に予測することができる。なお、ユーザ端末10は、本実施形態により得られる生育状態判定部38の判定結果や抑制要因特定部40の特定結果を用いて収量予測を行い、予測結果を表示部93に出力するようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、出力部42は、図12(a)などの画面を生成し、表示部93に出力する場合について説明したが、これに限られるものではない。出力部42は、生育状態判定部38による判定結果や、抑制要因特定部40による特定結果に基づいて、環境制御装置に対して制御指示を出力することとしてもよい。環境制御装置は、例えば屋外の圃場であれば、給水装置などである。また、温室内であれば、環境制御装置は、ヒートポンプ、換気窓、暖房機、遮光・保温カーテン、細霧装置等である。
なお、上記実施形態では、生育状態判定部38は、第2指標値(LUE1→2)と閾値(ThLUE)との大小関係に基づいて、生育状態を判定する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、0<LUE1→2<0.3×ThLUEの場合、日射量以外の生育抑制が大きい、0.3×ThLUE≦LUE1→2<0.7×ThLUEの場合、日射量以外の生育抑制が中くらい、0.7×ThLUE≦LUE1→2<ThLUEの場合、日射量以外の生育抑制が小さい、というように、複数段階で判定を行うこととしてもよい。
なお、上記実施形態では、ユーザ端末10は、図4、図5のフローチャートに沿って処理を実行する場合について説明したが、これに限らず、図13のフローチャートに沿った処理を実行することとしてもよい。図13の処理は、ステップS10、S12、S14、S16は図4と同様であるが、ステップS16において第1指標値(Id)が算出された後に、ステップS17が実行される。このステップS17においては、第2指標値算出部36が、第1指標値(Id)が閾値(ThId)よりも大きいか否かを判断する。
ステップS17の判断が否定された場合には、第2指標値算出部36は、ステップS18、S20、S22、S24の処理を実行して、第2指標値(LUE1→2)を算出する。そして、ステップS24の後は、ステップS30に移行し、抑制要因特定部40が抑制要因特定処理(図5の処理)を実行する。なお、図5のステップS50においては、抑制要因特定部40は、算出した第2指標値(LUE1→2)が閾値ThLUE以上であるかを判断するものとする。その後、図5の処理(ステップS30)が終了すると、ステップS32に移行する。
一方、ステップS17の判断が肯定された場合には、ステップS18~S24、S30を経ずに、ステップS32に移行する。このように、図13の処理では、第1指標値(Id)が閾値(ThId)である場合にのみ、第2指標値(LUE1→2)の算出(S18~S24)や抑制要因特定処理(S30)を行うこととしている。例えば、第1指標値(Id)による判定の結果、図14において黒塗りで示すように、生育が順調と判定された区画については、第2指標値(LUE1→2)を算出せず、図14においてハッチングを付して示すように、生育が抑制されていると判定された区画についてのみ、第2指標値(LUE1→2)を算出する。このようにすることで、第1指標値Idと第2指標値LUE1→2を毎回算出する場合と比べ、処理量を低減することができる。なお、図13の処理の結果としては、図14に示すような画面を表示することができる。この場合、図14においてハッチングを付して示す区画にマウスカーソルが合わせられたときに、図12(a)と同様、各区画の情報(例えば、どの環境要素に注意すべきかや、各スコアの値など)を表示するようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、撮影した画像を用いて生体調査を行う場合について説明したが、これに限らず、生体調査としてユーザが作物の各種寸法(葉長や葉幅、葉数など)を測定してもよい。また、生体調査により得られる情報は、投影葉面積に限らず、立体的な植物体の大きさや草丈、株はりなどであってもよい。
なお、上記実施形態では、図4、図5の処理をユーザ端末10が行う場合について説明したが、これに限らず、ユーザ端末10とネットワーク接続されている情報処理装置(サーバ等)が図4、図5の処理を行うこととしてもよい。また、複数の情報処理装置が、図4、図5の処理を分担して処理することとしてもよい。
なお、上記実施形態では、ブロッコリーやキャベツなどの露地野菜の生育状態を判定する場合について説明したが、これに限らず、トマトなどの施設野菜や、その他の作物の生育状態を判定する場合にも上記実施形態の農業システム100を利用することができる。
(実施例)
以下、実施例について説明する。本実施例は、上述した実施形態の処理を行うことで、適切に生育診断を行うことができることを検証したものである。本実施例における生育診断の対象作物は、キャベツである。本発明者は、試験圃場(露地)において、慣行法に従い施肥、耕耘を行って、2021年3月31日にキャベツの苗を定植した。キャベツの供試品種は「おきな」である。
(画像の撮影)
本実施例においては、同一のキャベツ個体について1回目の撮影を2021年4月13日に行い、2回目の撮影を2021年4月27日に行った(図4のS10,S12に対応)。この撮影により得られた画像が、図15(a)、図15(b)に示されている。撮影は、対象株の直上140cmの高さから行った。撮影の際には、投影葉面積を計算するための既知の大きさ(投影面積)の指標物(図15(a)、図15(b)ではボール)をキャベツ個体の近傍に置いた。
(第1指標値の算出)
本発明者は、第1指標値Idを算出するため(図4のステップS16に対応)、図15(a)、図15(b)の撮影画像を画像解析ソフト(Image J:米国NIH (National Institute of Health)開発のサイエンス向け画像処理ソフト)を用いて二値化した(図15(c)、図15(d)参照)。そして、土壌と区別された葉の部分のピクセル数と指標物のピクセル数とを用いることで、葉の投影葉面積(A1、A2)を算出した。
投影葉面積A1、A2は、図16に示すように、A1=42.4cm2/株であり、A1=287.4cm2/株であった。この結果を上式(1)に代入することにより、第1指標値Idとして、次式(1)’のような値が得られた。なお、式(1)のdは14(日)である。
Id=(In287.4-ln42.4)/14=0.136 …(1)’
(第2指標値の算出)
本発明者は、第2指標値LUE1→2を算出するにあたり、乾物重Dm1、Dm2を上式(2)から求めた(図4のステップS20に対応)。なお、本実施例において、上式(2)の係数a、bは、a=1/147.3、b=0である。したがって、乾物重Dm1、Dm2は次式(2)’、(2)”のように求めることができた。
Dm1=(1/147.3)×A1=(1/147.3)×42.4=0.29(g/株) …(2)’
Dm2=(1/147.3)×A2=(1/147.3)×287.4=1.95(g/株) …(2)”
更に、本発明者は、撮影間の総受光量Li1→2を上式(6)から求めた(図4のステップS24に対応)。上式(6)のLinは、1回目の撮影日(1日目:n=1)と2回目の撮影日(14日目:n=14)までの各日(n日目)の日射量(実測値)をSrnとすると、次式(11)のように表すことができる。
Lin=An×Srn …(11)
また、外葉肥大期のキャベツの投影葉面積は指数関数的な増加を示すので、A1とA2の間の投影葉面積補完値Anは次式(12)の関数により求めた。
n=A1×EXP((lnA2-lnA1)/d×n) …(12)
この結果、1回目と2回目の撮影の間の総受光量Li1→2は、図16に示すように、3.82(MJ/株)と求められた。
そして、本発明者は、1回目と2回目の撮影の間の総受光量Li1→2と、乾物重の変化(Dm2-Dm1)を用いて、上式(7)に基づいて、次式(7)’のように1回目と2回目の撮影の間の第2指標値(光利用効率)LUE1→2を算出した。
LUE1→2=(1.95-0.29)/3.82=0.435(g/MJ) …(7)’
(閾値ThId、ThLUEの設定)
本発明者は、気温、土壌水分が抑制要因にはならない条件(光利用効率を減少させない範囲)で、日射量実測値を既存の生育モデルに入力して投影葉面積(Asim)を推定した。そして、本発明者は、推定した投影葉面積(Asim)を用いて、ThId、ThLUEを設定した。すなわち、ThId、ThLUEはId、LUEそれぞれのポテンシャル値であるといえる。具体的には、本発明者は、ThIdについては、上式(1)と同様の方法で、投影葉面積A1、Asimを用いて算出した。また、ThLUEは、上式(7)と同様の方法で、投影葉面積A1、Asimから求められる乾物重Dm1、Dmsimと、総受光量Li1→2と、を用いて算出した。なお、図17の投影葉面積A1、乾物重Dm1は、図16と同値を用いた。図17の例では、ThId=0.176(cm2/cm2/日)、ThLUE=0.560(g/MJ)となった。
(生育判定)
本発明者は、上述した1回目の撮影画像と2回目の撮影画像から得られた第1指標値Id(=0.136)及び第2指標値LUE1→2(=0.435)を、ThId(=0.176)及びThLUE(=0.560)と比較した(図4のステップS26に対応)。その結果、Id<ThId、LUE1→2<ThLUEとなった。この比較結果は、図9のiiiに対応するため、「生育は抑制されている。日射量は十分であるため、他の抑制要因がある。」と判定(診断)できた。本発明者は、この判定結果を受け、以下のように抑制要因の特定処理(ステップS52~S56)を行った。
(抑制要因の特定)
抑制要因の特定に際し、本発明者は、図18(a)、図18(b)に示すようなスコア化テーブルを準備した。図18(a)のスコア化テーブルは、期間平均気温とスコア(気温スコア)との関係を示すテーブルである。また、図18(b)のスコア化テーブルは、期間平均土壌水分とスコア(土壌水分スコア)との関係を示すテーブルである。なお、これらのスコア化テーブルは、2018年秋、2019年春及び秋に栽培試験を実施して得られた値を基に、光利用効率と気温、土壌水分との関係性を解析して、得たものである。
ここで、スコアについては、図18(c)に示すような環境計測値とスコアとの関係がある場合において、次式(13)に示すような式で表すことができる。
Figure 2022103139000002
上式(13)のBは図18(c)に示す最小値、Aは図18(c)に示すスコア値の幅(最大値と最小値の差)を意味する。また、aは図18(c)に示す天面幅(スコアが最大値を示す環境計測値の幅)、cは図18(c)に示す天面幅の中央値(スコアが最大値を示す環境計測値の中央値)、bは図18(c)に示す傾斜を意味する。これらの値は、複数の栽培試験で得られた日射利用効率と、日射利用効率を試算した2つのサンプリング日間の環境計測値の平均値を式(13)に代入して得られる値との残渣平方和が最小となるように式(13)の係数を推定し、さらにスコアの最小値を0、最大値を1にスケーリングすることで、求めることができる。なお、図18(a)、図18(b)のスコア化テーブルの各値a~c、A、Bは、図18(d)に示す通りである。
上述した2回の画像取得期間内(4月13日~4月27日)における気温と土壌水分(土壌含水率)の期間平均値は図19(a)に示す通りであった。この場合、図18(a)、図18(b)のスコア化テーブル又は上式(13)を用いて気温スコアScT、土壌水分スコアScWを求めた結果、図19(b)に示す通りとなった。
本発明者は、上記のように求められた気温スコアScT、土壌水分スコアScWを用いて、生育抑制の要因が、気温や土壌水分にあるのかを判断した(図5のステップS56に対応)。なお、本実施例における生育抑制要因の特定方法は、上記実施形態とは異なるが、以下のような方法で行うこととした。まず、本発明者は、図20(a)に示すように、気温スコアScTと土壌水分スコアScWの積を求め、環境スコアSとした。また、本発明者は、LUE1→2/Sを求め、Mとしし、更に、Mを閾値ThLUEで除した値(M/ThLUE)を求めた。そして、本発明者は、M/ThLUEの値が、図20(b)に示すいずれの条件を満たすかに基づいて、生育抑制の要因を判定した。
図20(a)の場合、図20(b)の条件1を満たすため、「生育抑制は主にスコア化した環境要因による。」と判定された。
更に、本発明者は、図20(c)に示すように、各環境要因の影響度(=1-環境スコア)を試算した。その結果、気温の影響度が0.133、土壌水分の影響度が0であることが分かった。
以上のように、本実施例によれば、対象作物がキャベツの場合において、上記実施形態で説明した生育診断や生育抑制要因の特定処理を適切に実施しうることが分かった。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
10 ユーザ端末
32 第1指標値算出部
36 第2指標値算出部
38 生育状態判定部
40 抑制要因特定部
42 出力部
70 カメラ
72 センサ

Claims (8)

  1. 同一地点の作物に対して実施した2回の生体調査の結果に基づいて、前記作物の生育速度を示す第1指標値を算出し、
    前記2回の生体調査の結果と、前記生体調査の間の期間における日射に関する情報と、に基づいて、日射による生育への影響を示す第2指標値を算出し、
    前記第1指標値と前記第2指標値とに基づいて、前記作物の生育が順調か否か及び前記作物の生育と日射との関係を判定し、
    前記判定する処理の判定結果を出力する、
    処理をコンピュータが実行することを特徴とする作物の生育診断方法。
  2. 前記判定する処理では、前記第1指標値と予め定めた第1閾値との大小関係と、前記第2指標値と予め定めた第2閾値との大小関係と、に基づいて、前記作物の生育が順調か否か及び前記作物の生育と日射との関係を判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の作物の生育診断方法。
  3. 前記判定する処理では、
    前記第2指標値が前記第2閾値よりも小さい場合に、前記2回の生体調査の間の期間における複数種類の環境要素に関する情報を取得し、
    取得した前記複数種類の環境要素に関する情報に基づいて、前記作物の生育に対して影響を与えている環境要素の種類を特定する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の作物の生育診断方法。
  4. 前記生体調査では、前記作物を所定高さから撮影した画像から前記作物の葉に関する情報を取得する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の作物の生育診断方法。
  5. 前記生体調査では、前記作物の投影葉面積を取得し、
    前記第1指標値は、前記2回の生体調査で得られた前記作物の投影葉面積を用いて算出した生育速度を示す値であり、
    前記第2指標値は、前記2回の生体調査で得られた前記作物の投影葉面積を用いて算出した、前記2回の生体調査の間における前記作物の光利用効率である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の作物の生育診断方法。
  6. 前記出力する処理では、所定範囲内の複数の作物に関する前記判定する処理の結果を、前記複数の作物の位置と関連付けて表示する画面を生成し、出力する、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の作物の生育診断方法。
  7. 前記出力する処理では、前記判定する処理の結果に基づいて、前記作物が生育する環境を制御する環境制御装置に対して制御指示を出力する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の作物の生育診断方法。
  8. 同一地点の作物に対して実施した2回の生体調査の結果に基づいて、前記作物の生育速度を示す第1指標値を算出し、
    前記2回の生体調査の結果と、前記生体調査の間の期間における日射に関する情報と、に基づいて、日射による生育への影響を示す第2指標値を算出し、
    前記第1指標値と前記第2指標値とに基づいて、前記作物の生育が順調か否か及び前記作物の生育と日射との関係を判定し、
    前記判定する処理の判定結果を出力する、
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とする作物の生育診断プログラム。
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