JP2022089069A - 溶射材料、それを用いた溶射方法、溶射皮膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】希土類シリケートを溶射した際に、実使用環境下に長時間保持しても安定性を維持できる溶射材料を提供する。【解決手段】希土類シリケートと、Si酸化物又は酸素と化合しSi酸化物を形成する化合物又はこれらの組み合わせから選択されるSi系化合物とを含む溶射材料を用いる。これによりSi系化合物が溶射皮膜形成持及びその後の高温加熱時に酸化することによって、SiO2成分の揮発分を補う。【選択図】図3
Description
特許法第30条第2項適用申請有り 集会名 :第57回 高温強度シンポジウム、開催日 :令和1年12月5日~6日、開催場所:東北大学カタールサイエンスキャンパスホール(宮城県仙台市青葉区荒巻青葉6-6-04)
発明は、溶射皮膜の耐熱安定性を向上できる溶射材料、それを用いた溶射方法、溶射皮膜に関する。
例えば、各種産業機械の金属製の部品等の基材に耐熱性等の耐久性を付与するために、当該部品の表面に溶射皮膜を設けるドライコーティング技術が適用されている。ドライコーティング技術の一つである溶射法は、金属、セラミック、サーメット等からなる粒状の溶射材を燃焼炎又は電気エネルギー等の熱源により溶融させるとともにその溶射粒子を加速させて、基材の表面に吹き付け、堆積させることで、皮膜を形成する手法である。
これらの手法の中で、1300℃~1400℃程度の温度範囲における燃焼環境下又は水蒸気環境下で使用される航空機/タービンの皮膜として、希土類シリケートからなる対環境コーティングが行われている。例えば、特許文献1では、希土類シリケートを含む複合皮膜の使用が提案されている。
しかしながら、希土類シリケート材料を用いた溶射皮膜では、溶射皮膜形成時及びその後の高温環境保持時に皮膜中のSiO2成分が揮発して、組成変化(皮膜の減肉)し皮膜としての機能を満たさなくなるという問題が生じている。これは、希土類シリケートを溶射した際にSiO2が揮発し、結晶相が分離すると共に、実使用環境下でおいてもSiO2が揮発するため長時間実環境下使用で安定性が低くなってしまうからである。
本発明の目的は、希土類シリケートを溶射した際に、実使用環境下に長時間保持しても安定性を維持できる溶射材料を提供することにある。
本発明は、上記の目的を達成するために、希土類シリケートと、Si酸化物又は酸素と化合しSi酸化物を形成する化合物又はこれらの組み合わせから選択されるSi系化合物とを含む溶射材料を用いる。これによりSi系化合物が溶射皮膜形成時及びその後の高温加熱時に酸化することによって、SiO2成分の揮発分を補うことを可能とし、上記課題を解決することができる。
希土類シリケートとしては、RE2Si2O7またはRE2SiO5(REは希土類元素)で表される化合物あってもよい。例えば、Yb2Si2O7、Yb2SiO5、ErSi2O7、Er2SiO5、Ho2Si2O7、Ho2SiO5、Dy2Si2O7、Dy2SiO5、Gd2SiO5、Gd2Si2O7などが挙げられる。希土類シリケートとしては、希土類ダイシリケートであることが好ましい。
Si酸化物としては、SiO2、などが挙げられ、酸素と化合しSi酸化物を形成する化合物としては、SiC、SiN、SiCNなどが挙げられる。Si系化合物はSiの酸化物又は炭化物であることが好ましい。
例えば、溶射材料中の希土類シリケートとしてYb2Si2O7使用して、Yb2Si2O7溶射皮膜を形成した場合、溶射皮膜形成時および高温加熱時にSiO成分が揮発して、Yb2SiO5が生成する。このとき、溶射材料中に、酸素と化合しSi酸化物を形成する化合物として、例えばSiCを含めておけば、次の反応式(1)によって、SiCの酸化で発生したSiO2が、揮発分を補い、反応式(2)によって、Yb2Si2O7成分の保持が可能となる。
SiC + 2O2 → SiO2 +CO2・・・・(1)
Yb2SiO5 + SiO2 → Yb2Si2O7・・・・(2)
SiC + 2O2 → SiO2 +CO2・・・・(1)
Yb2SiO5 + SiO2 → Yb2Si2O7・・・・(2)
また、例えば、溶射材料中の希土類シリケートとしてYb2Si2O7使用して、ホットプレス法により、Yb2Si2O7バルク焼結体を形成した場合、溶射材料中にSiCを含めておくと、Yb2Si2O7バルク焼結体の熱処理、例えば、1250℃で5時間保持することにより、SiO2の揮発により焼結体表面にできた亀裂を修復することができる。
上記で述べた反応は、溶射材料として、Yb2Si2O7以外の希土類シリケート化合物と、SiC以外のSi酸化物又は酸素と化合しSi酸化物を形成する化合物又はこれらの組み合わせを含む場合も生じるため、SiCと同様にSiO2の揮発により皮膜表面に生じる亀裂を修復することができる。
溶射材料中の希土類シリケート及びSi系化合物はそれぞれ粒子であることができる。このような粒子は、より微細な一次粒子が造粒されてなる造粒粒子で構成されていてもよいし、主として一次粒子の集合(凝集の形態が含まれても良い。)から構成される粉末であってもよい。より好ましくは、一次粒子の集合から構成される顆粒であってもよい。また、希土類シリケートの一次粒子とSi系化合物の一次粒子の集合から構成される複合造粒物からなる顆粒であってもよい。このような、複合造粒物からなる顆粒を含む溶射材料により溶射皮膜を形成した場合、製膜時の熱影響によるSi系化合物の揮発量をより抑制することができる。
溶射材料中の希土類シリケート粒子、Si系化合物はそれぞれ粒子及びこれらの混合複合粒子(顆粒)の粒子径は特に限定されない。希土類シリケート粒子の体積基準の平均粒子径DvRに対するSi系化合物粒子の体積基準の平均粒子径DvSiの比DvR/DvSiが1/10以上、4以下であることが好ましい。この範囲内であることにより、Si系化合物が溶射皮膜形成時及びその後の高温加熱時に、SiO2成分の揮発分をより好適に補うことができ、希土類ダイシリケートの組織を多く含むことができるという効果がある。
溶射材料粒子の平均粒子径は、10μm程度以下であれば特に制限されず、平均粒子径の下限についても特に制限はない。ただし、Si系化合物粒子の体積基準の平均粒子径は0.3μm以上2μm以下であることが好ましい。また、希土類シリケート粒子の体積基準の平均粒子径が1μm以上3μm以下であることが好ましい。さらに、顆粒にした場合の体積基準の平均粒子径は10μm以上、50μm以下であることが好ましい。これらの範囲であることにより、Si系化合物が溶射皮膜形成時時及びその後の高温加熱時に、SiO2成分の揮発分をより好適に補うことができ、希土類ダイシリケートの組織を多く含むことができるという効果がある。
溶射粒子の平均粒子径は、平均粒子径がおおよそ1μm以上の粒子については、例えば、レーザ回折・散乱式の粒度分布測定装置(スペクトリス社製、レーザ回折式粒度分布測定装置マスターサイザー)を用いて測定された、体積基準の粒度分布における積算50%粒径(D50)を採用することができる。
なお、平均粒子径がおおよそ1μm未満の粒子については、比表面積に基づき算出される球相当径を採用することができる。比表面積は、例えば、比表面積測定装置(マウンテック社製、全自動比表面積測定装置Macsorb)を用い、連続流動法により測定されたN2等のガス吸着量から、BET1点法により算出した値とすることができる。なお、上記で各測定方法を適用する平均粒子径の臨界値は厳密に規定されるものではなく、使用する分析器の精度等に応じて変更することもできる。
溶射材料中のSi系化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、1重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。1重量%未満では、SiO2揮発分を補充する効果が十分ではなく、10重量%を超えると、溶射皮膜形成後に高温環境下にさらされると、酸化反応の進行に伴い皮膜表に亀裂が生じる傾向にあるからである。これは、SiC添加の効果が過飽和に達し、SiO2の生成によって体積膨張が生じて亀裂を発生するためであると考えられる。より好ましくは5重量%以上10重量%以下であるとよい。
溶射材料は、希土類シリケート粒子とSi系化合物粒子の混合物であってもよい。あるいは、希土類シリケート粒子とSi系化合物粒子を使用して、アトマイズ法、溶融-粉砕法、又は焼結-粉砕法及び造粒-焼結法等の固相焼結法により複合粒子を製造することができる。
アトマイズ法は、希土類シリケート粉末とSi系化合物粉末との混合物を融して噴霧及び冷却し、必要に応じてその後分級することにより得られる。溶融-粉砕法では、希土類シリケート粉末とSi系化合物粉末の混合物を溶融して冷却凝固させた後に粉砕し、必要に応じてその後分級することにより得られる。造粒-焼結法は、希土類シリケート粉末とSi系化合物粉末の混合物から造粒粉末を作製し、その造粒粉末を焼結してさらに解砕及び分級することにより得られる。焼結-粉砕法は、希土類シリケート粉末とSi系化合物粉末の混合物を圧縮成形してから焼結し、得られた焼結体を粉砕及び分級することにより得られる。
これらの中で、原料を混合した粉末から造粒粉末を作製し、その造粒粉末を焼結する工程を経る造粒-焼結法により製造されることが好ましい。造粒-焼結法により製造される溶射材料は一般に、原料粉末を圧縮成形してから焼結し、得られた焼結体を粉砕する工程を経る焼結-粉砕法等のその他の製法により製造される溶射材料に比べて流動性により優れる。しかも造粒-焼結法の場合には、製造過程に粉砕工程を含まないので、粉砕中に不純物が混入をより抑制することができる。
本実施形態の溶射材料を溶射する方法は、高速酸素燃料(HVOF)溶射のような高速フレーム溶射であってもよいし、あるいは大気圧プラズマ溶射(APS)等のプラズマ溶射、又は爆発溶射であってもよい。あるいは、コールドスプレー、ウォームスプレー及び高速空気燃料(HVAF)溶射のような低温プロセス溶射であってもよい。
これらの中で高速酸素燃料(HVOF)溶射又はプラズマ溶射が好ましく適用される。平均粒子径の比較的大きな溶射材料を用いた場合であっても、溶射粒子を十分に軟化溶融し、加速させることができる。これにより、平均粒子径の大きな粒子を含む溶射材料を用いた場合であっても、緻密でピッカーズ硬度の高い溶射皮膜を形成することができる。
HVOF溶射法とは、燃料と酸素とを混合して高圧で燃焼させた燃焼炎を溶射のための熱源として利用するフレーム溶射法の一種である。燃焼室の圧力を高めることにより、連続した燃焼炎でありながらノズルから高速(超音速を含む)の高温ガス流を噴出させる。HVOF溶射法は、このガス流中に溶射材料を投入し、加熱、加速して基材に堆積させることで溶射皮膜を得るコーティング手法一般を包含する。HVOF溶射法によると、例えば、一例として、溶射材料を2000℃~3000℃の超音速燃焼炎のジェットにより溶融及び加速させることで、溶射粒子を500m/s~1000m/sという高速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。高速フレーム溶射で使用する燃料は、アセチレン、エチレン、プロパン、プロピレン等の炭化水素のガス燃料であってもよいし、灯油やエタノール等の液体燃料であってもよい。また、溶射材料の融点が高いほど超音速燃焼炎の温度が高い方が好ましく、この観点では、ガス燃料を用いることが好ましい。
プラズマ溶射法とは、溶射材料を軟化又は溶融するための溶射熱源としてプラズマ炎を利用する溶射方法である。電極間にアークを発生させ、かかるアークにより作動ガスをプラズマ化すると、かかるプラズマ流はノズルから高温高速のプラズマジェットとなって噴出する。プラズマ溶射法は、このプラズマジェットに溶射材料を投入し、加熱、加速して基材に堆積させることで溶射皮膜を得るコーティング手法一般を包含する。なお、プラズマ溶射法は、大気中で行う大気プラズマ溶射(APS:atmospheric plasma spraying)や、大気圧よりも低い気圧で溶射を行う減圧プラズマ溶射(LPS:low pressure plasma spraying)、大気圧より高い加圧容器内でプラズマ溶射を行う加圧プラズマ溶射(high pressure plasma spraying)等の態様であり得る。プラズマ溶射によると、例えば、一例として、溶射材料を5000℃~10000℃程度のプラズマジェットにより溶融及び加速させることで、溶射粒子を300m/s~600m/s程度の速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。
溶射皮膜形成の対象となる基材の種類は特に制限されず、例えば金属材料、単純セラミック材料、複合セラミック材料、SiC/SiC等のセラミックスマトリックスコンポジット等が挙げられる。基材の具体例としては、例えば、Al2O3などのアルミニウム合金、ZrO2などのジルコニウム合金、鉄、鉄鋼、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、金、銀、ビスマス、マンガン、亜鉛、亜鉛合金、コバルト等の金属材料が挙げられる。鉄鋼としては、例えば耐食性構造用鋼として使用されている各種SUS(ステンレス鋼)材が挙げられる。アルミニウム合金としては、例えば、軽量構造材等として有用なA1000系~A7000系アルミニウム合金が挙げられる。耐食性合金として、例えばニッケル基にモリブデン、クロム等を加えた合金であるハステロイ(ヘインズ社製)、ニッケル基に鉄、クロム、ニオブ、モリブデン等を加えた合金であるインコネル(スペシャルメタルズ社製)、コバルトを主成分とし、クロム、タングステン等を加えた合金であるステライト(デロロステライトグループ社製)、鉄にニッケル、マンガン、炭素等を加えた合金であるインバー等が挙げられる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
<溶射材料の作成>
表1に示されるように、実施例1では平均粒子径(D50)32μmのYb2Si2O7粒子と平均粒子径(D50)2.3μmのα-SiC粒子とを、溶射材料全体に対するα-SiC粒子の添加量が10重量%となるように袋に入れて、十分混合して溶射材料を製造した。
<溶射材料の作成>
表1に示されるように、実施例1では平均粒子径(D50)32μmのYb2Si2O7粒子と平均粒子径(D50)2.3μmのα-SiC粒子とを、溶射材料全体に対するα-SiC粒子の添加量が10重量%となるように袋に入れて、十分混合して溶射材料を製造した。
同様に、実施例2及び3についても、それぞれ表1に記載される平均粒子径のYb2Si2O7粒子とα-SiC粒子とを、溶射材料全体に対するα-SiC粒子の添加量が10重量%となるように袋に入れて、十分混合して溶射材料を製造した。
下記表1に示されるように、実施例4では平均粒子径(D50)1.2μmのYb2Si2O7粒子に溶媒と平均粒子径(D50)0.351μmのα-SiC粒子とを使用して、溶射材料全体に対するα-SiC粒子の添加量が10重量%となるように水を溶媒として用いて混合してスラリー化し、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥を行い、複合造粒粉を形成することにより溶射材料を製造した。
同様に、実施例5~7についても、それぞれ表1に記載される平均粒子径のYb2Si2O7粒子とα-SiC粒子とを、溶射材料全体に対するα-SiC粒子の添加量が10重量%となるように混合して、実施例4と同様の手順に沿って、複合造粒粉を形成することにより溶射材料を製造した溶射材料を製造した。また、実施例8及び9では、シリケート化合物粒子をそれぞれ、Y2Si2O7(イットリウムシリケート)、Gd2Si2O7(ガドリニウムシリケート)にそれぞれ代えて、表1に示される粒子径のシリケート化合物粒とα-SiC粒子とを、溶射材料全体に対するα-SiC粒子の添加量が10重量%となるように混合して、実施例4と同様の手順に沿って、複合造粒粉を形成することにより溶射材料を製造した溶射材料を製造した。
下記表1に示されるように、比較例では平均粒子径(D50)32μmのYb2Si2O7粒子を用いて溶射材料とした。
<溶射皮膜の形成>
上記のように製造された実施例1~9及び比較例の溶射材料を使用して、表2に示される条件で、SG-100(プラックスエアー社製)(装置)を用いて、大気圧プラズマ溶射法により、実施例1~3及び比較例1ではAl2O3基板上に、また、実施例4~9ではZrO2基板上に溶射皮膜を形成した。
上記のように製造された実施例1~9及び比較例の溶射材料を使用して、表2に示される条件で、SG-100(プラックスエアー社製)(装置)を用いて、大気圧プラズマ溶射法により、実施例1~3及び比較例1ではAl2O3基板上に、また、実施例4~9ではZrO2基板上に溶射皮膜を形成した。
<ピーク強度比の測定>
実施例1~7及び比較例の溶射皮膜を1300℃、5時間高温保持後、溶射皮膜をX線回折によりピーク強度を分析し、実施例1~7及び比較例ではYb2Si2O7のYb2SiO5対するピーク強度比を算出し結果を表3に示した。また、実施例4~7及び比較例の溶射皮膜を1300℃、50時間高温保持後、溶射皮膜をX線回折によりピーク強度を分析し、Yb2Si2O7のYb2SiO5対するピーク強度比を算出し結果を表3に示した。同様に、実施例8及び9において、1300℃、5時間高温保持後、溶射皮膜をX線回折によりピーク強度を分析し、実施例8ではYSi2O7のY2SiO5対するピーク強度比を、実施例9ではGd2Si2O7のGd2SiO5に対するピーク強度比を表4に示した。なお、X線回折は島津製作所製 Maxima XRD-7000(装置)を使用して管球電圧: 40kV、管球電流: 30mA、走査速度: 2.000 deg./min、走査ステップ: 0.0200 deg.の条件の下で行った。
実施例1~7及び比較例の溶射皮膜を1300℃、5時間高温保持後、溶射皮膜をX線回折によりピーク強度を分析し、実施例1~7及び比較例ではYb2Si2O7のYb2SiO5対するピーク強度比を算出し結果を表3に示した。また、実施例4~7及び比較例の溶射皮膜を1300℃、50時間高温保持後、溶射皮膜をX線回折によりピーク強度を分析し、Yb2Si2O7のYb2SiO5対するピーク強度比を算出し結果を表3に示した。同様に、実施例8及び9において、1300℃、5時間高温保持後、溶射皮膜をX線回折によりピーク強度を分析し、実施例8ではYSi2O7のY2SiO5対するピーク強度比を、実施例9ではGd2Si2O7のGd2SiO5に対するピーク強度比を表4に示した。なお、X線回折は島津製作所製 Maxima XRD-7000(装置)を使用して管球電圧: 40kV、管球電流: 30mA、走査速度: 2.000 deg./min、走査ステップ: 0.0200 deg.の条件の下で行った。
なお、ピーク強度及びピーク強度比は、X線回折により得られたそれぞれの結晶構造に該当するピークを選択し、正規化して強度ピーク、強度ピーク比として算出した。以下の、実施例についても同様の方法によった。
表3の結果に示されるように、1300℃で5時間及び50時間保持後のYb2Si2O7/Yb2SiO5強度比はいずれも実施例1~7が比較例より高く、実施例1~7では修復反応により比較例に比べてYb2Si2O7が多く形成されていることが分かる。また、1300℃で5時間保持後における、実施例4~7のYb2Si2O7粒子とSiC粒子の複合造粒粉からなる溶射材料を用いた場合の溶射皮膜のYb2Si2O7/Yb2SiO5強度比は、実施例1~3のYb2Si2O7粒子とSiC粒子の混合粉からなる溶射材料を用いた場合の溶射皮膜のYb2Si2O7/Yb2SiO5強度比より高い傾向にあることがわかる。これは、原料材料として、混合粉を用いるより、複合造粒粉を用いるほうが、SiCの揮発が少なく、溶射皮膜中にSiCがより多くれ残されて、修復反応によりYb2Si2O7がより多く形成されたことを示している。また、高温で長時間(1300℃、50時間)保持するほど、Yb2Si2O7/Yb2SiO5強度比高くなり、修復反応によりYb2Si2O7が占める割合が高くなっていることが分かる。
また、表4に示されるように、実施例8のYSi2O7のY2SiO5対するピーク強度比、実施例9のGd2Si2O7のGd2SiO5に対するピーク強度比も、比較例のYb2Si2O7/Yb2SiO5強度比より高く、シリケート化合物粒子を代えても、同様の効果が得られることが確認できた。
表3に示されるように、同じ粒子径2.3μmのα-SiCを10重量%添加して、混合粉を用いる実施例1と、複合造粒粉からなる顆粒を用いる実施例6により得られた溶射皮膜のYb2Si2O7のYb2SiO5対するピーク強度比を比較すると、複合造粒粉からなる顆粒を用いた実施例6の方が、混合粉を用いた実施例1よりも、Yb2SiO5対するYb2Si2O7のピーク強度比が高く、単に混合したものより複合造粒粉を用いて形成した溶射皮膜の方が、Yb2Si2O7成分が多く、修復効果が大きいことが分かる。
<走査型電子顕微鏡写真の観察>
次に、実施例1と実施例6の溶射皮膜について、熱処理しないで、溶射したままの状態における操作型電子顕微鏡写真をそれぞれ図1の(a)及び(b)に示した。電子顕微鏡写真は日立ハイテク社製走査電子顕微鏡SU-70を使用して撮影し、溶射皮膜試料の表面を観察した。(b)に示される実施例6の造粒粉を用いて形成した溶射皮膜の方が、(a)に示される実施例1の混合粉を用いて形成した溶射皮膜よりも、SiCの結晶の粒子が多く存在していることがわかる。これは、造粒粉より混合粉の方が溶射製膜時におけるSiCの揮発量が多く、溶射皮膜中に結晶粒として形成されるSiCの量が少なくなるためと考えられる。
次に、実施例1と実施例6の溶射皮膜について、熱処理しないで、溶射したままの状態における操作型電子顕微鏡写真をそれぞれ図1の(a)及び(b)に示した。電子顕微鏡写真は日立ハイテク社製走査電子顕微鏡SU-70を使用して撮影し、溶射皮膜試料の表面を観察した。(b)に示される実施例6の造粒粉を用いて形成した溶射皮膜の方が、(a)に示される実施例1の混合粉を用いて形成した溶射皮膜よりも、SiCの結晶の粒子が多く存在していることがわかる。これは、造粒粉より混合粉の方が溶射製膜時におけるSiCの揮発量が多く、溶射皮膜中に結晶粒として形成されるSiCの量が少なくなるためと考えられる。
次に、実施例6の溶射皮膜について、1300℃、5時間の熱処理を行った後の電子顕微鏡二次電子像写真と、当該二次電子像写真の同領域の電子顕微鏡反射電子像写真を、それぞれ図2の(a)及び(b)に示した。電子顕微鏡二次電子像写真(a)では、灰色の領域であるYbxSiyOz素地に対して黒いSiC粒子が析出している様子が見られ、電子顕微鏡反射電子像写真(b)では、黒いSiC粒子の周囲に新たに灰色の領域が現れており、これはSiCの酸化によってSiO2が形成されて、SiO2とYb2SiO5(明るい領域)の修復反応により、Yb2Si2O7の灰色領域が形成されたものと考えられる。
実施例6及び7の溶射皮膜の形成後、上記と同様の方法により、熱処理をしないまま表面を観察した電子顕微鏡写真と、1300℃、100時間熱処理した後の電子顕微鏡写真をそれぞれ図3に示した。(a)は実施例6の溶射皮膜、(b)は実施例7の溶射皮膜であるが、それぞれ、左側には溶射皮膜を形成したままの状態の電子顕微鏡写真が示され、右側には同じ試験片を1300℃、100時間の熱処理理後に観察した電子顕微鏡写真が示されている。(a)および(b)ともに、溶射皮膜を形成したままでの写真(左側)では、丸で囲った領域に亀裂が見られたが、熱処理後の写真(右側)では、ほとんど亀裂がなくなっていることがわかる。両皮膜ともに、100時間の熱処理による酸化によって、亀裂が修復されていること分かる。実施例6及び7とも、比較的粒径の大きいSiC粒子の添加によって、SiCの揮発を抑制して、皮膜内にSiC粒子を残すことに有効に働いていることが確認された。
実施例6の溶射皮膜について、溶射したままの状態と、1300℃、5時間、50時間、100時間熱処理後の皮膜について、時間経過におけるX線回折パターンを比較することによって、長時間熱処理することによる酸化反応の進行によって、Yb2SiO5のピークが減少し、Yb2Si2O7のピークが増加して、ほとんどYb2Si2O7の単層皮膜の組成に近づくことが確認された。X線回折は島津製作所製 Maxima XRD-7000を使用して行った。熱処理時間が長くなるほど、長時間の熱処理による酸化反応により組成の修復が進行することが確認された。
実施例4~7の溶射皮膜について、上記と同様の方法により、それぞれ、熱処理をしないまま表面を観察した電子顕微鏡写真と、1300℃、100時間水蒸気酸化処理した後に観察した電子顕微鏡写真を比較したところ、実施例5~7の1.4~2.9μmのSiC粒子を使用した場合には、水蒸気酸化後ほとんど亀裂がなくなっていることが確認された(電子顕微鏡写真は省略する)。水蒸気酸化においても、比較的粒径の大きいSiC粒子の添加によって、SiCの揮発を抑制して、皮膜内にSiC粒子を残すことにより亀裂の修復に有効に働いていることが確認された。
Claims (12)
- 希土類シリケートと、Si酸化物又は酸素と化合しSi酸化物を形成する化合物又はこれらの組み合わせから選択されるSi系化合物とを含む溶射材料。
- 前記希土類シリケート及び前記Si系化合物はそれぞれ粒子である、請求項1記載の溶射材料。
- 前記粒子は顆粒を構成していることを特徴とする請求項2記載の溶射材料。
- 前記希土類シリケート粒子の体積基準の平均粒子径DvRに対する前記Si系化合物粒子の体積基準の平均粒子径DvSiの比DvR/DvSiが1/10以上、2以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の溶射材料。
- 前記Si系化合物粒子の体積基準の平均粒子径が0.3μm以上2μm以下であることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の溶射材料。
- 前記希土類シリケート粒子の体積基準の平均粒子径が1μm以上、3μm以下であることを特徴とする請求項2~5いずれか一項に記載の溶射材料。
- 前記顆粒の体積基準の平均粒子径は10μm以上、50μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の溶射材料。
- 溶射材料中の前記Si系化合物の含有量が1重量%以上、10重量%以下であることを特徴とする請求項1~7いずれか一項に記載の溶射材料。
- 前記希土類シリケートは希土類ダイシリケートであり、前記Si系化合物はSiの酸化物又は炭化物であることを特徴とする請求項1~8いずれか一項に記載の溶射材料。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の溶射材料を使用して、溶射皮膜を形成する方法。
- プラズマ溶射法により溶射皮膜を形成する請求項10に記載の方法。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の溶射材料により形成された溶射皮膜。
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