JP2022085970A - ぱちんこ遊技機 - Google Patents

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Mamoru Nakamura
祐一郎 関谷
Yuichiro Sekiya
周平 高橋
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Abstract

Figure 2022085970000001
【課題】小当り遊技にて遊技球の増加を期待する特定の遊技状態以外の遊技状態で意図せず遊技者に小当り遊技での遊技球の獲得がなされることを抑制する。
【解決手段】特定の遊技状態以外の遊技状態に制御されているときに、小当り遊技の当選確率が高く設定されている特別図柄の特別図柄抽選で決定される変動パターンを、変動開始時点で遊技盤上に存在する遊技球が大入賞口よりも下流に流下する程度の変動表示時間を決定するように制御することで、特定の遊技状態以外の遊技状態にて小当りに当選した場合でも大入賞口への入賞が発生し難く構成する。
【選択図】図28

Description

ぱちんこ遊技機に関する。
従来、各種のぱちんこ遊技機のうち、特別図柄抽選に係る保留の数に応じて、特別図柄抽選にて決定される変動パターンの種類の傾向が異なるようにする技術が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
特開2012-249889号公報
様々な仕様のぱちんこ遊技機が開発されるなか、ある遊技状態において、特定のタイミングで実行される特別図柄抽選について、通常の抽選を行うことにより、遊技者に対して意図しない利益を付与してしまう虞があった。
本願発明は上記課題に鑑みたもので、ある遊技状態にて実行される特別図柄抽選について、特殊な特別図柄抽選(変動パターン抽選)が実行されることで、意図しない利益の付与を抑制することができるぱちんこ遊技機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るぱちんこ遊技機は、遊技の進行を制御する主制御手段と、第1特別図柄抽選の契機となる第1始動入賞口と、第2特別図柄抽選の契機となる第2始動入賞口と、作動口の通過に基づき普通図柄が変動表示され、普通図柄が特定の態様で停止表示された場合に遊技球を受け入れ容易となる普通電動役物と、第1特別図柄抽選または第2特別図柄抽選の結果が大当りである場合に、入賞容易な状態に変位可能な大入賞口とを有し、第2特別図柄抽選の結果は、大当りの他に、大当りである場合よりも大入賞口が入賞容易な状態に変位している期間が短くなる小当りとなる場合があり、遊技状態として第1特別図柄抽選が遊技の主体となる第1遊技状態と、第2特別図柄抽選が遊技の主体となる第2遊技状態とを少なくとも有し、大当り遊技の実行後に第1遊技状態に設定されたとき、第2特別図柄抽選が実行されるにあたって所定の条件を充足しているとき、第2特別図柄抽選に係る抽選結果の報知までの期間を、第2特別図柄抽選が実行されるタイミングで遊技領域に存在する遊技球が大入賞口まで流下するまでの平均的な期間よりも長くなるよう構成される。
なお、以上の発明に係る構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、データ構造などの間で相互に置換したもの、発明を実施するための形態に記載された実施形態や変形例に係る構成もまた、本発明の態様として有効である。
本発明のぱちんこ遊技機によれば、ある遊技状態にて実行される特別図柄抽選について、特殊な特別図柄抽選(変動パターン抽選)が実行されることで、意図しない利益の付与を抑制することができる。
前提とするぱちんこ遊技機の正面図である。 上記ぱちんこ遊技機の枠部材を開放した状態の正面方向の斜視図である。 上記ぱちんこ遊技機の枠部材を開放した状態の背面方向の斜視図である。 前提とするぱちんこ遊技機に取り付けられた遊技盤を示す斜視図である。 前提とするぱちんこ遊技機の機能ブロック図である。 前提とするぱちんこ遊技機の遊技状態の遷移を示す図である。 前提とするぱちんこ遊技機の主制御基板の電源投入処理を示す図である。 上記電源投入処理中の遊技停止状態設定処理を示す図である。 前提とするぱちんこ遊技機の主制御基板の割込み処理を示す図である。 前提とするぱちんこ遊技機の当否抽選テーブルを示す図である。 前提とするぱちんこ遊技機の当り図柄抽選テーブルを示す図である。 前提とするぱちんこ遊技機の低ベース状態中における変動パターン抽選テーブルを示す図である。 前提とするぱちんこ遊技機の高ベース状態中における変動パターン抽選テーブルを示す図である。 前提とするぱちんこ遊技機の限定的な期間に参照される特殊変動パターン抽選テーブルを示す図である。 前提とするぱちんこ遊技機の演出制御基板の電源投入処理を示す図である。 前提とするぱちんこ遊技機の演出制御基板の割込み処理を示す図である。 前提とするぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)の図柄変動表示(装飾図柄の停止表示中)の遊技演出を表した図である。 前提とするぱちんこ遊技機の大当りとなる期待度が高いリーチ演出が行われている状況の遊技演出を表した図である。 前提とするぱちんこ遊技機において大当り遊技を実行している状態の遊技演出を表した図である。 前提とするぱちんこ遊技機の特定遊技状態中(高確率または低確率/高ベース)である電チューサポート機能の作動中の遊技演出を表した図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機における遊技盤正面図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機におけるゲームフローを示す図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機の大当りの種類の一部の例を示す図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機の確変領域通過監視処理のフローを示す図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機の遊技状態表示処理のフローを示す図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機のエラー検査処理のフローを示す図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機の特別図柄変動開始処理のフローを示す図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機の変動時間決定処理のフローを示す図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機の遊技状態回数減算処理のフローを示す図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機における遊技状態回数カウンタの記憶領域の例を示す図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機の変動パターン選択状態更新処理のフローを示す図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機における変動パターン遷移テーブルの一例を示す図である。 第1実施例のぱちんこ遊技機における特定領域異常通過エラーの画像報知例を示す図である。
(前提技術)
以下、本発明の前提とするぱちんこ遊技機(以下「前提技術」)について図面を用いて説明する。前提技術に係るぱちんこ遊技機の代表例として、ぱちんこ遊技機を図1および図3に示すとともに、このぱちんこ遊技機に設けられる遊技盤を図4に示しており、まず、これらの図を参照して、ぱちんこ遊技機の機械構成について説明する。なお、以降の説明においては、便宜上、図2の各矢印で示す方向をそれぞれ、前後方向、左右方向、上下方向と称して説明する。
[ぱちんこ遊技機の機械構成]
始めに、ぱちんこ遊技機Pの正面側の基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機Pは、図1および図2に示すように、外郭方形に構成され、遊技施設において固定される外枠P1の開口前面に、外枠P1の開口に合わせたサイズで方形に構成された前枠P2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構(上ヒンジ部10、下ヒンジ部20)により横開き開閉および着脱が可能に取り付けられる。
前枠P2には、遊技盤P5とガラス枠P3とが着脱可能にセットされている。ガラス枠P3は方形状であり、前枠P2の前面側に上下のヒンジ機構(上ヒンジ部10、下ヒンジ部20)を利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられて保持される。遊技盤P5は、前枠P2の前面側に着脱可能にセットされ、閉鎖保持されるガラス枠P3のガラスP301を通して遊技盤P5の正面側に設けられた遊技領域P501を遊技者が視認可能に構成されている。また前枠P2およびガラス枠P3は、ぱちんこ遊技機Pの正面右側縁部に設けられた施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入し、左右方向のいずれかに回転させることで、回転方向に応じて、外枠P1と前枠P2の施錠が解除または前枠P2とガラス枠P3の施錠が解除される。具体例としては、施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入して右方向に回転させると外枠P1と前枠P2の施錠が解除され、施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入して左方向に回転させると前枠P2とガラス枠P3の施錠が解除されるようになっている。
ガラス枠P3の下部には、遊技球を貯留する上下の球皿P340(上球皿P341及び下球皿P342)が設けられる。またガラス枠P3には、遊技の展開状況に応じて発光する演出ランプP350や、遊技の展開状況に応じて効果音などの音を出力可能なスピーカP370が設けられている。ガラス枠P3の下部中央には、所定の演出操作を行うための演出操作手段P380が取り付けられ、前提技術として示す本ぱちんこ遊技機が有する演出操作手段P380は、押下入力式のボタンP381と傾倒操作式のレバーP382とを備えており、ボタンP381は常時遊技者操作を可能とする一方、レバーP382はガラス枠に備えられた可動物(枠可動役物P360)の1つであり、操作手段自体が上方に突出した状態(入力許可状態)に変位した場合に操作入力を可能とする(1の演出操作手段にて、複数の操作が可能となっている)。
前枠P2の右下部には、遊技球の発射操作および発射強度の調整を行うハンドルP204が設けられている。前枠P2の下部には、さらに発射装置ユニットP240を備え、図示を省略するが、上球皿P341に貯留された遊技球を1球ずつ送り出す球送り機構P241、この球送り機構から送り出された遊技球を遊技領域P501へ向けて打ち出す発射機構(ロータリーソレノイドで駆動される打球槌)を有する発射装置P242、球送り機構P241や発射装置P242の作動を同期的に制御する発射制御基板P243などが設けられている。
遊技盤P5(遊技盤ユニット)は、図4に示すように、透明な合成樹脂や木材を用いて矩形の平板状に形成された基材をベースとして構成されている。なお、図1は遊技盤P5を含むぱちんこ遊技機Pを前面側から見た正面図であり、図4は遊技盤ユニットP5の斜視図を示す。図4は遊技盤ユニットに備えられた演出役物P560(「可動演出装置」「演出可動体」「演出可動役物」等とも呼ぶ)が動作している状態を図示している。遊技盤P5の前面には、左下部から右上部にかけて配設された円弧状の外レールP502と、遊技盤の下部中央付近から外レールP502の内側における左下部から左上部にかけて配設された円弧状の内レールP503と、右上部の外レールP502の端部から該盤面の下部までの間に配設されて左向きに開く湾曲形状に形成されたレール飾りP504とを備えており、外レールP502と内レールP503とレール飾りP504とで囲まれた内側に略円形の遊技領域P501が区画形成されている。この遊技領域P501は、略中央に配設される後述のセンター役物P540を基準として、センター役物P540の左側の領域である左側領域P501L(左打ち領域)と、センター役物の右側の領域である右側領域P501R(右打ち領域)とを有している。また、外レールと内レールとにより、発射装置ユニットP240により打ち出された遊技球を遊技領域P501へ案内するための案内通路が形成される。
遊技領域P501には、図示しない多数本の遊技釘P510や風車P511とともに、第1始動入賞口P711(第1始動口)、第2始動入賞口P721(第2始動口)、一般入賞口P731、普図作動口P741(普図作動ゲート装置)、大入賞口P751(アタッカー)、等の各種入球装置(賞球が発生する場合は「入賞装置」と称する)が配設されている。なお、大入賞口は1つとしてもよいし、複数有するよう構成してもよい。また、本明細書において、入球装置の構成上、遊技球が入球装置に入球した後に排出されるもの、入球装置に入球した後にさらに遊技領域P501を流下するもの(ゲートタイプ)に対し、遊技球が内部の検出スイッチで検出されることを「入球」「入賞(特に賞球が発生するもの)」と称し、ゲートタイプの入球口のように下流の遊技領域に流下するものついては、特に「通過」と区別して記載する場合を有する。また、入球装置を入球口、入賞装置を入賞口と称することがある。
また、遊技領域P501の右下には、第1特別図柄表示装置P51、第2特別図柄表示装置P52、普通図柄表示装置P53など、後述の主制御基板にて点灯制御される主制御表示装置P50が集約的に配設されている。遊技領域P501の略中央にはセンター役物P540が配設されており、このセンター役物P540の開口を通して演出表示装置P80の画面が視認可能に設けられている。このセンター役物P540の上部等には、遊技の展開状況に応じた演出動作を行う演出役物P560(可動役物装置)が設けられている。遊技領域P501の下端部には、各種入球装置の入賞口に入球せずに流下した遊技球が通過可能なアウト口P790が設けられている。各種入賞装置の入賞口に入球した遊技球又はアウト口P790に流入した遊技球は、遊技盤P5に前後貫通して形成された貫通孔(図示せず)を通じて遊技盤P5の後面側へ流下し、前枠P2下部の回収流路(遊技済み球通路)に収集され、発射した遊技球の総数を検出するための前枠下部に備えられたアウト球センサP792(発射球数センサ)を通過したのち遊技機外へ排出される。
第1始動入賞装置P710は、第1特別図柄遊技に対応する始動入賞装置として設けられている。この第1始動入賞装置P710には、遊技球が入球可能な第1始動入賞口P711が設けられている。第1始動入賞口P711への遊技球の入球は、第1特別図柄に係る抽選に使用される乱数の取得契機となっており、第1始動入賞口P711への遊技球の入球に基づいて入球直後のタイミングまたは保留期間を経過した後に第1特別図柄に係る抽選が実行される。
第2始動入賞装置P720は、第2特別図柄遊技に対応する始動入賞装置として設けられている。この第2始動入賞装置P720には、遊技球が入球可能な第2始動入賞口P721および後述する普通図柄抽選に当選した場合に第2始動入賞口P721への入球を容易となる状態に切り替える可動体である普通電動役物P770が設けられている。第2始動入賞口P721への遊技球の入球は、第2特別図柄に係る抽選に使用される乱数の契機となっており、第2始動入賞口P721への遊技球の入球に基づいて入球直後のタイミングまたは保留期間を経過した後に第2特別図柄に係る抽選が実行される。第2始動入賞装置P720は、普通電動役物P770の作用により遊技球が第2始動入賞口P721へ入球可能又は入球容易な開状態と、遊技球が第2始動入賞口P721へ入球不能又は入球困難な閉状態とに変化する。つまり、第2始動入賞装置P720は、開状態に変位しなければ遊技球が第2始動入賞口へ入球し難い構造となっており、後述の所定の契機(普通図柄抽選に当選する契機)で開状態となると遊技球の入球容易性が高くなる。なお、普通電動役物P770の構造は様々な態様が知られており、可動体P771が開くことによる入球容易性の変化がなされる構造ではない場合があるため、「開状態」「閉状態」をそれぞれ「入球容易状態(入球容易態様)」「入球困難状態(入球困難態様)」と表記する場合を有する。
一般入賞装置P730は、左打ち領域P501Lに配置された左側一般入賞装置P730Lと、右打ち領域P501Rに配置された右側一般入賞装置P730Rとを有している。本前提技術におけるぱちんこ遊技機Pにおいては、左側一般入賞装置P730Lとして、3つの一般入賞口P731La~P731Lcが1のユニットとして構成されている一方、右側一般入賞装置P730Rは後述する大入賞装置P750の一部として構成されている。一般入賞口P731への遊技球の入球は、他の入賞装置と同じく賞球払出の契機となる。なお、前提とするぱちんこ遊技機の一般入賞口P731の個数や位置はあくまで一例であり、右打ち領域P501Rにのみ配置されるよう構成する等としてもよい。
普図作動ゲート装置P740(普図作動口)は、普通図柄遊技に対応する始動入球口として設けられている。この普図作動ゲート装置P740には、遊技球が通過可能な作動ゲートP741が設けられており、入球した遊技球は遊技盤の遊技領域の下流をさらに流下可能に構成されている。作動ゲートP741への遊技球の通過は、第2始動入賞装置P720を開状態とするか否か、すなわち普通電動役物P770を作動させるか否かを決定するための普通図柄抽選の契機となる。なお、変形例として普通図柄抽選の契機となる機能を前述した一般入賞口P731に備えるように構成することも可能であり、この場合には、普通図柄抽選を実行する機能に加えて、賞球を発生させる機能を1の入賞装置として設けることも可能である(普図作動入賞口)。
大入賞装置P750は、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選の抽選結果が大当りや小当りとなった場合に開閉動作する大入賞口P751(特別電動役物P755)を有して構成されており、「アタッカー(装置)」などと呼称する場合を有する。大入賞装置P750は、遊技球が大入賞口P751へ入球可能又は入球容易な開状態(例として特別電動役物が作動P755した状態)と、遊技球が大入賞口P751へ入球不能又は入球困難な閉状態(例として特別電動役物P755が非作動の状態)とに変化する。大当り遊技においては、大入賞口P751の開閉動作を伴う複数回のラウンド遊技(単位遊技)が行われる。なお、特別電動役物P755が作動した状態であっても、一連の作動パターン(「開放パターン」とも呼ぶ)により、大入賞口P751を構成する可動体P756が入球困難な閉態様となる場合を有する。
また、大入賞装置P750には、遊技機の仕様(スペック)によっては、遊技球が通過可能な特定領域P760(「Vゾーン」、「V領域」と呼ばれ、機能によっては「確率変動機能作動領域」、「継続領域」などと呼ぶ)が設けられる場合を有する。この「特定領域」に関する機能として、(ア)大当り遊技中の特定領域に対する通過を契機として大当り遊技の後に確率変動機能(後述)を作動させること、(イ)小当り遊技中の特定領域の通過を契機として役物連続作動装置(特別電動役物を連続的に作動させるためのフラグ)を作動させ、大当り遊技を実行する権利を付与すること、(ウ)大当り遊技中の特定のラウンドにおいて特定領域を通過したか否かに基づいて、後続のラウンドの実行を確定的としたり、実行しないものとしたりすること、などが例として挙げられる。なお、「特定領域」に対し、通過の容易性を変化させるための構造体である開閉部材P761(弁部材)が設けられてもよく、開閉部材P761の作用により流下経路を振り分けられることで、特定領域P760又はそれ以外の非特定領域を通過するように構成してもよい。また、大当り遊技中や小当り遊技中において、特定領域P761の遊技球の通過が有効となる期間と無効となる期間とを有してもよい。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて、大入賞装置P750は、遊技領域P501における右側領域P501R(右打ち領域)に設けられている。そのため、大当り遊技又は小当り遊技では、遊技領域P501に向けて遊技球を発射する際に、右側領域P501Rを狙って打つ、いわゆる右打ちを行うことで大入賞口P751への入球が容易となっている。
続いて、前提とするぱちんこ遊技機Pの背面側の基本構造を説明する。前枠の背面側には、中央に遊技盤ユニットP5を取り付けるために前後連通する窓口を有した裏セットユニットP4が取り付けられている。裏セットユニットP4には、遊技施設側から供給される多数個の遊技球を貯留する貯留タンクP401、貯留タンクP401からの遊技球を流下させる樋部材P402、樋部材により導かれた遊技球を払い出す賞球払出ユニットP410、賞球払出ユニットP410から払い出された遊技球を上球皿P341又は下球皿P342へ流下させる裏側通路部材P403などが設けられている。また、貯留タンクP401から球皿P340までの遊技球流下経路上には、球抜き機構(球抜き操作レバーP405、操作レバーに連動して遊技球を流路上から排除する流路を形成する弁部材P406)が設けられている。
遊技盤P5の背面側には、ぱちんこ遊技機Pの遊技進行を統括的に制御する主制御基板P40や、主制御基板P40の制御に伴う遊技進行に合わせた演出全般の制御を行う演出制御基板P41、遊技展開に応じた画像表示の制御を行う画像制御基板P42などが取り付けられている。なお、本前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、演出制御基板P41および画像制御基板P42は、演出表示装置P80(液晶表示装置)と一体化されたアッセンブリ状態で演出表示ユニットを構成している。これに対して、裏セットユニットP4の背面側には、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板P43や、遊技施設側から受電して各種制御基板や電気・電子部品に電力を供給する電源基板P44(図示せず)などが取り付けられている。なお、これらの制御基板は、不正改造防止のため、カシメ構造及び封印シール構造を有する透明樹脂製の基板ケースに収容されたアッセンブリ状態で遊技盤P5の背面又は裏セットユニットP4の背面の所定位置にそれぞれ配設される。これらの制御基板とぱちんこ遊技機各部の電気・電子部品とがハーネス(コネクタケーブル)を介して相互に接続されて、ぱちんこ遊技機Pにおける遊技の進行や、演出の実行が可能に構成されている。
[機能ブロック]
図5は、前提とするぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す。
ぱちんこ遊技機は、遊技機外部から供給される交流電源に基づいて遊技機内で使用する電源を生成する電源基板P44と、遊技の基本動作や遊技の進行を制御する主制御基板P40(主制御CPU)と、賞球の払出しや遊技球の発射を制御する枠制御装置としての払出制御基板P43(払出制御CPU)と、演出的な動作や処理を制御する演出制御基板P41とに機能を分担させた形態で構成される。なお、図中に示す矢印は機能別に、上方の送受信の関係を実線矢印で示し、電気的接続の関係を破線矢印にて示している。
電源基板P44は、基板上に設けられた電源スイッチP47を操作することによって、後述する主制御基板P40、演出制御基板P41、払出制御基板P43、並びにそれらに電気的に接続する各種遊技用装置に対し、動作に必要となる電力を生成して供給する。詳細は後述するが、電源スイッチP47の電源投入操作は、遊技機の設定に係る情報の処理の開始契機となるスイッチ操作であるため、電源スイッチは不正な操作を防止するため開閉カバーに覆われた状態で保護されている。
主制御基板P40は、第1始動入賞口P711(特図1始動口スイッチP712)、第2始動入賞口P721(特図2始動口スイッチP722)、大入賞口P751(大入賞口スイッチP752)、普図作動口P741(普図作動口スイッチP742)や、その他の検出スイッチである一般入賞口P731(左側一般入賞口,右側一般入賞口)、アウト口P790などの各種の遊技進行に係る検出スイッチや、設定キースイッチP49、振動検知センサP72、磁石センサP73などの各種遊技の管理や不正監視に用いられるスイッチやセンサと接続される。主制御基板は、これらのスイッチから各種の遊技状態の発生に係る情報の入力を得て、遊技進行に係る制御内容の決定をするとともに、ソレノイド等で構成され、大当りや小当りの際に大入賞口P751を拡開させるために駆動される特別電動役物駆動手段P70や、普通図柄抽選に当選した場合に普通電動役物P770を入球容易状態とするために駆動される普通電動役物駆動手段P71といった遊技用装置に対して、駆動態様に係る情報の出力を行う。
主制御基板P40に接続するセンサ等は、主制御基板上の入力ポートと呼ばれる端子に接続して、センサ検出に基づく各種遊技状態の発生の有無を主制御基板P40に情報として通知し、特別電動役物駆動手段P70や、普通電動役物駆動手段P71、その他、発射装置P242に対する発射許可信号などを出力ポートと呼ばれる端子から出力された情報を受け取ってそれぞれの装置、デバイスを制御する。
また、主制御基板P40は、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示を行う特別図柄表示装置P51、P52や大当りや小当りの種類(ラウンド数)を報知するラウンド表示灯P54、遊技状態を報知する状態表示灯P55などの各種表示を行う主制御表示装置P50や、遊技機の性能(例えば通常遊技中におけるベース値、すなわち発射総数に対する賞球数の割合)を表示する性能表示装置P59などと接続する。なお、「ベース値」に関して、始動入賞口P711等の入賞を除外して計上するデータなど、他の計上方法も多種存在するが、本件発明にて必要な場合に別途説明を行い、前提とするぱちんこ遊技機の説明では詳細は割愛する。
主制御基板P40は、上記の他に外部情報出力端子P77や試験端子P78等により遊技機外部の装置と電気的に接続可能に構成されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。また、主制御基板P40は、遊技機内の他の制御基板である演出制御基板P41、払出制御基板P43とも電気的に接続している。
払出制御基板P43は、主制御基板P40から送信される賞球払出や主制御基板の制御状態を示す信号等に基づいて、払出装置P410による賞球の払出を制御するほか、遊技者によるハンドルP204の操作を受けて発射装置ユニットP240による遊技球の発射に係る制御を行う。払出装置P410は、一例として払出モータP411と球計数センサP412有するものであり、払出モータP411の回転により、遊技球を1球ずつ払出可能に構成される。発射装置(発射装置ユニット)P240は、球皿P340(上球皿P341)に滞留している遊技球を1球ずつ球送りユニットP241によって発射可能位置へ移動させた後、打球槌を遊技球にぶつけることで遊技球を発射させるよう構成されている。なお、払出制御基板P43には、主として遊技機の初期化や、遊技中に発生したエラーの解除に用いられるラムクリアスイッチP48が配設されており、払出制御基板P43と主制御基板P40の接続に使用されるハーネスやコネクタを介して、ラムクリアスイッチP48の操作情報が主制御基板に入力されるようになっている。
演出制御基板P41は、演出表示装置P80、演出可動役物P560の駆動源や位置検出センサ(例えば、駆動モータや、初期位置検出センサ、演出位置検出センサ)、スピーカP83(上スピーカP370、下スピーカ141)、演出入力装置ユニットP380(例えば演出操作手段P81である演出ボタンP381、演出レバーP382、十字キーP383など)、演出ランプP82(「装飾ランプ」「盤ランプ(P550)」「枠ランプ(P350)」とも称する)と電気的に接続されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。また、演出制御基板P42と、演出表示装置P80の接続は、演出表示装置P80(例えば液晶表示装置などの画像を表示する装置)の表示制御を行う画像制御基板P42(VDP)などを介して接続するものであってもよい。また、本前提とするぱちんこ遊技機では、スピーカP83を演出制御基板P41にて制御するように構成するものであるが、音声制御用のIC等を備えた音声制御基板を別途設けてスピーカP83を制御するように構成してもよい。
主制御基板P40と演出制御基板P41の間におけるデータの送受信は主制御基板P40から演出制御基板P41への一方向となるよう一方向でのデータ送受信にて行われる。主制御基板P40から演出制御基板P41へのデータ送信の一方向性が保たれるため、演出制御基板P41に含まれる構成から主制御基板P40に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、演出制御基板P41は、主制御基板P40で生成された情報が送信されない限りその情報を参照することはできない。なお、本前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、主制御基板P40と払出制御基板P43の間は、双方向でデータ送受信がなされる。ただし、主制御基板P40と演出制御基板P41の間と同様、主制御基板P40から払出制御基板P43への一方向でのデータ送受信とする構成にしてもよい。
[基本遊技進行]
次に、以上のように構成される前提技術としてのぱちんこ遊技機Pにおける、基本的な遊技進行および遊技方法に関して遊技状態別に説明する。「遊技状態」としては大別して「通常遊技状態」と、通常遊技状態と比して遊技球を獲得することが容易な「特別遊技状態」とがある。「通常遊技状態」は、「特別遊技状態」への移行権利の獲得を目指す状態であり、通常遊技状態の中でも、特別遊技状態への移行権利の獲得に関して遊技者にとって有利度合いが異なる遊技状態が複数設けられており、複数の通常遊技状態の中でも、遊技者にとって比較的特別遊技状態への移行権利が獲得容易な状態(通常遊技状態(低確率/低ベース状態)よりも遊技者にとって有利な状態)に関して「特定遊技状態」と表現する。「特別遊技状態」は、いわゆる「大当り遊技」と「小当り遊技」が該当し、主制御基板P40によって特別電動役物駆動手段P70が駆動され大入賞口P751が開口した状態となり遊技球の獲得が容易となる状態のことを意味している。
[通常遊技状態(低確率/低ベース状態)]
まず、通常遊技状態における遊技方法および遊技の進行に関する説明を行う。なお、ここで記載する通常遊技状態は特定遊技状態を除く「通常遊技状態(低確率/低ベース状態)」(図6参照)に関する説明であり、一般的に遊技者が遊技を開始する状況における遊技状態について説明するものであり、特定遊技状態における遊技方法、遊技の進行、および「低(高)確率」、「低(高)ベース」の用語の意味に関しては後述する。
通常遊技状態(低確率/低ベース状態)における、遊技の方法として、まず、遊技者はハンドルP204を操作して遊技盤P5に設けられた遊技領域P501に向けて遊技球を発射する。前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)において、遊技者はハンドルP204の操作量を遊技球が遊技領域の左側領域P501L(左打ち領域)に向かって発射されるように操作して遊技を行う。
遊技者によって遊技領域の左側領域P501Lに遊技球が発射されると、発射された遊技球は、遊技領域P501を流下し、図示しない遊技釘P510(「障害釘」、「釘」とも呼ぶ)や、風車P511によって流下方向を変位させながら、「ヘソ」などと呼ばれる遊技盤の遊技領域P501における略中央下位置に配置された第1始動入賞口P711、あるいは左側一般入賞装置の一般入賞口P731Lに入球(入賞)するか、いずれの入賞口にも入球せず、遊技済み遊技球としてアウト口P790へ入球する。第1始動入賞口P711あるいは、一般入賞口P731へ入球すると、主制御基板P40は、払出制御基板P43に対し入賞口毎に定められた賞球数の賞球をさせるための情報(制御コマンド)を出力し、遊技者は賞球払出により新たな遊技球を獲得する。
ここで第1始動入賞口P711の内部には特図1始動口スイッチP712が配置されており、遊技者が遊技領域における左側領域P501Lに遊技球を発射して生じ得る遊技状態(遊技結果)として、第1始動入賞口P711への入球がなされた場合において、主制御基板P40に特図1始動口スイッチP712の遊技球検出情報が入力される。
主制御基板P40は、特図1始動口スイッチP712の遊技球検出情報の入力を受けると、予め定められた賞球数の遊技球の払い出しを行うほか、第1特別図柄の制御に係る抽選を行うための乱数値を取得する。乱数値の取得は、遊技球の検出に基づいて、電気回路上で乱数生成回路の生成する乱数値を取得するもの(ハードラッチ)や、主制御基板P40の制御装置がソフト上の処理にて遊技球の検出情報を確認した際に乱数値を先の乱数生成回路から取得する処理を実行したり、ソフト的に更新されている乱数値を取得したりするもの(ソフトラッチ)などの手法があり、取得する乱数値に応じて使い分けてもよいし、組み合わせて使用することも可能である。なお、一般入賞口に入球した場合には、特別図柄に係る乱数は取得されず、賞球の払い出しのみが行われる。
第1特別図柄の制御に係る抽選は、「特別図柄抽選」であり、「特別図柄抽選」には、「当否抽選」、「当り図柄抽選」、「変動パターン抽選」が含まれる。「当否抽選」は、取得した乱数値を用いた抽選結果が「大当り」であるか「はずれ」であるかを決定する処理である(遊技機の仕様によっては抽選結果に「小当り」を含む)。「当り図柄抽選」(単に「図柄抽選」と呼ぶ場合もある)は、主制御表示装置P50における特別図柄表示装置P51(P52)において当否抽選結果を示す停止表示図柄の表示パターンを決定する処理であり、1の抽選結果(大当り、小当り)に対し、複数の停止表示図柄から1の図柄を決定可能であり、ここで決定された停止表示図柄に応じて、「大当り」、「小当り」における特別遊技の実行態様を異ならしめることを可能としている。「変動パターン抽選」は、特別図柄表示装置P51(P52)において当否抽選の結果を示す停止表示図柄をどのタイミングで表示させるかを決定する処理であり、特別図柄表示装置P51(P52)において特別図柄抽選が実行されたことを示す変動表示がなされる時間(「変動表示時間」、「変動パターン」と呼ぶ)を決定するものである。「当否抽選」、「当り図柄抽選」、「変動パターン抽選」に使用される乱数値は異なるものを使用するのが一般的であり、それぞれ「当否抽選乱数」、「図柄乱数」、「変動パターン乱数」と呼ばれる。なお、特図2始動口スイッチP722の遊技球を検出することに基づいて行われる第2特別図柄の制御に係る抽選もまた、同様の「特別図柄抽選」である。また、「特別図柄抽選」に関する説明は後述する。
通常遊技状態(低確率/低ベース状態)における遊技方法の説明に戻って説明すると、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)においては、遊技者は遊技領域の左側領域P501Lに遊技球を発射し、第1始動入賞口P711へ遊技球を入球させ、第1特別図柄に係る抽選(特別図柄抽選)を実行させ、特別図柄表示装置において「大当り」(「小当り」)を示す特別図柄の停止表示図柄が表示されることにより、特別遊技の実行権利の獲得を目指す遊技が行われる。
なお、遊技者が特別図柄抽選を受ける過程において、変動パターン抽選により決定された時間に応じて特別図柄の変動表示がなされる点について上述しているが、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、この特別図柄の変動表示期間において、新たに始動入賞口(第1始動入賞口P711、第2始動入賞口P721)に入球があった場合には、予め定められた回数の特別図柄抽選の実行権利に対応する乱数値を一時的に記憶する保留機能を備えている。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、第1始動入賞口P711の入賞に基づく特別図柄抽選に対応する保留機能として、最大4回の特別図柄抽選を保留することを可能としている。なお、保留機能は特別図柄毎に設定可能であり、本前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、第1特別図柄の保留とは別に、第2特別図柄に対する特別図柄抽選の保留機能も、最大4回の特別図柄抽選に使用する乱数値を保留しておくことを可能としている。
このように、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)においては、遊技者は、遊技領域の左側領域P501Lに遊技球を発射して、第1特別図柄に係る特別図柄抽選を実行させる。そして、特別図柄抽選において、「大当り」や「小当り」などの特別遊技状態となる抽選結果に当選し、特別遊技状態への移行の権利を獲得したことが特別図柄表示装置に表示されると、ぱちんこ遊技機Pの遊技状態は特別遊技状態へ移行する。
[特別遊技状態]
続いて、特別遊技状態における遊技方法および遊技の進行に関する説明を行う。特別遊技状態には「大当り(遊技)」と、「小当り(遊技)」とが存在するが、ともに特別電動役物P755が作動して、すなわち主制御基板P40から特別電動役物駆動手段P70に対して駆動信号が出力されて大入賞口P751が入球容易状態となる状態であり、その相違点として、「大当り」が複数回の特別電動役物P755を連続して作動させる役物連続作動装置の作動に基づくものであるのに対し、「小当り」が1回の特別電動役物の作動により終了する点が大きな相違点である。その他の相違点としては、役物連続作動装置の作動に基づく特別電動役物の作動(大当り)では、特別電動役物P755の作動に関し、より遊技者に有利な作動態様とすることを可能とする点にあり、具体的には、役物連続作動装置の作動状態(大当り)における大入賞口P751の総開放時間は、30秒まで許容される一方、小当りにおける大入賞口P751の総開放時間は1.8秒までに制限される点がある。以下の特別遊技状態における遊技方法および遊技の進行に関する説明では、大当りを例に説明を行う。
前提技術のぱちんこ遊技機Pにおける特別遊技の遊技進行は、時系列に沿って、「特別遊技開始デモ」(大当りの場合は「大当り開始デモ」、「役連作動開始デモ」などと称し、小当りの場合は「小当り開始デモ」)と呼ばれる遊技者に各種特別遊技を獲得した旨を報知するための演出期間と、「ラウンド(遊技)」(「単位遊技」とも称する)と呼ばれる1回の特別電動役物P755の作動期間と、「特別遊技終了デモ」(大当りの場合は「大当り終了デモ」、「役連作動終了デモ」などと称し、小当りの場合は「小当り終了デモ」)と呼ばれる主に特別遊技中における遊技結果(獲得遊技球数など)および移行先の通常遊技状態(特定遊技状態を含む)の種類に係る報知を行うための期間とによって構成される。
次に上述した各特別遊技の期間における遊技の方法について説明を行う。まず、「特別遊技開始デモ」期間において、前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、大入賞口P751が遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に配置されており、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)と同様の左側領域P501Lに遊技球を発射しても大入賞口P751の入球がほとんど期待できないため、特別遊技において大入賞口P751が入球容易状態となるラウンド遊技が開始する前に、遊技者に対して遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射することを促す右打ち報知演出を演出表示装置P80やスピーカ(下スピーカP141、上スピーカP370)、演出ランプP82を用いて実行する。遊技者は、右打ち報知演出に従って、ハンドルP204の操作量を増やし遊技球の発射強度を高めるよう調整し、遊技球を遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に流下するよう発射位置を変更する(右打ちを実行する)。
「ラウンド(遊技)」期間になると、前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、主制御基板P40から特別電動役物駆動手段P70に対して出力される駆動信号により大入賞口P751が入球容易状態または入球困難状態となり、特別遊技の実行期間に合わせて大当り(小当り)を獲得したことを祝福するような演出や、特別遊技が終了した後に移行する通常遊技状態が遊技者にとってより有利な特定遊技状態となるかを示唆する演出などの演出を実行する。遊技者は、大入賞口P751に遊技球を入球させて多数の遊技球を得るべく、遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射する。
1回の「ラウンド(遊技)」期間は、大当り(小当り)の種類に基づいて定められた大入賞口の開放パターン(特別電動役物の作動態様)が完遂する(開放時間が経過する)か、予め定められた「規定個数」(「カウント」「C」などと表現する場合を有する)の遊技球が入球することによって終了する。そして、実行中の特別遊技状態の種類(大当り、小当りの種類)に応じて、実行すべきラウンド遊技が全て終了したとき「特別遊技終了デモ」の状態へ移行する。
続いて「特別遊技終了デモ」期間となると、前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、今回の特別遊技状態の期間において獲得した遊技球数や、後述する特定遊技期間と連続して行われた複数回の特別遊技状態において獲得した(通常遊技状態(低確率/低ベース状態)に移行せずに獲得した)累計の獲得遊技球数を報知する演出を行ったり、特別遊技状態の後に移行する通常遊技状態の種類の報知および移行先の遊技状態における遊技方法に係る報知(前述した右打ち報知演出など)の演出が実行される。遊技者は、実行されている演出より、移行先の通常遊技状態の種類に応じた遊技に備えて、ハンドルの操作を行う。
前提とする多くのぱちんこ遊技機Pにおいては、一部の例外を除いて、特別遊技状態としての大当り遊技が実行されると、通常遊技状態として「特定遊技状態」と呼ばれる遊技者にとって特別遊技状態への移行権利が獲得しやすい状態へ移行し、特定遊技状態と特別遊技状態とを連続して繰り返す、いわゆる「連荘」を楽しむ遊技性となっている。
[特定遊技状態]
続いて、「特定遊技状態」に関する説明を行う。図6に示すように特定遊技状態には、大きく分けて3つの特定遊技状態が存在する。そして、それらの種類を分ける要素として「確率状態」と「ベース状態」とがあり、それらの組み合わせによって特定遊技状態を構成する。
(確率状態)
「確率状態」は、特別図柄抽選における当否抽選において、抽選結果が「大当り」となる確率を変動させる機能である「確率変動機能」(「確変」とも言う)の作動状態に基づき、確率変動機能が作動し、作動していない場合よりも高い確率で特別図柄抽選における当否抽選が「大当り」となる場合について「高確率(状態)」(「確変状態」、「確率変動状態」と表現する場合もある)と表現し、確率変動機能が作動していない状態について「低確率(状態)」と表現する。「高確率(状態)」は、1回の特別図柄抽選に対し大当りとなる確率が高いという点で、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)より有利な遊技状態となっている。
(ベース状態)
「ベース状態」は、「ベース」すなわち「所定個数の遊技球を発射した場合に賞球として得られる遊技球の割合(の期待値)」に関する状態であり、一般的には、普通電動役物P770の作動が通常遊技状態(低確率/低ベース状態)よりも容易(有利)となっている状態を「高ベース(状態)」(「電チューサポート(電サポ)状態」とも言う)と呼ぶ。なお、遊技機仕様によっては、「電チューサポート機能」が作動した状態でなくとも、推奨される遊技球の発射位置が切り替わることにより、「所定個数の遊技球を発射した場合に賞球として得られる遊技球の割合」が高まるのであれば「高ベース状態」と表現する場合も有する。「高ベース(状態)」は、特別遊技状態を獲得するまでの期間において、遊技球が賞球として払い出される数が多くなる(払い出されやすくなる)ことにより、遊技球の消費を抑えながら特別遊技状態の獲得を狙うことができる点で遊技者にとって有利となる遊技状態である。
「電チューサポート機能」は、普通電動役物P770の作動が通常遊技状態(低確率/低ベース状態)よりも容易となっている状態であるが、主として3つの機能の組み合わせ(少なくとも1を備える)によって構成される。「電チューサポート機能」を構成する3つの機能とは、「普通図柄確変」、「普通図柄時短」、「(普通電動役物の)開放延長」の3つである。「普通図柄確変」は、「普通図柄抽選」において普通電動役物を作動させる結果となる確率が高い状態を指す。「普通図柄時短」は、主制御表示装置P50における普通図柄表示手段P53において、普通図柄抽選を実行してから普通図柄抽選の結果を表示するまでの時間が短縮される状態のことを指す。「普通電動役物の開放延長」は、普通図柄抽選で当選した当りの種類に対して、普通電動役物P770に係る入賞口に対し遊技球が入球しやすい態様にて普通電動役物を作動させるように変更することを指しており、一例として、普通電動役物を入球容易状態とする総時間を延長して長くすることが該当する。
「普通図柄抽選」は、上述した特別図柄抽選が特別電動役物P755の作動に関する抽選であるのに対し、普通図柄抽選は対象が普通電動役物P770の作動に関する抽選である点、および抽選の実行契機が普図作動ゲート装置P740に対する遊技球の入球である点で相違するが、当否、図柄、変動パターンを抽選により決定する点や保留機能を有する点でほぼ同じである。普通図柄抽選に関する当否、図柄、変動パターンの抽選について特に表現する場合には「普図当否抽選」、「普図図柄抽選」、「普図変動パターン抽選」というように「普図」(または「普通図柄」)を先頭につけて表現する。
「特定遊技状態」の種類を区別する要素として、「確率状態」、「ベース状態」とを説明したが、特定遊技状態を構成する要素として、他に「時短状態」(「変動時間短縮状態」、「変動時間短縮機能」が作動した状態、ともいう)がある。一般的に「時短状態」は特別図柄の1回当りの変動表示時間(変動パターン)が短縮されて、単位時間あたりの特別図柄抽選の実行回数が増加する状態のことを指し、遊技者にとってより単位時間あたりに多くの特別図柄抽選を受けられる点で有利な状態である。「時短状態」(変動時間短縮状態)は、上述した「高確率状態」や「電チューサポート状態」と同時に制御されていることが多く、それのみで特定遊技状態を構成することは少ない。
[特定遊技状態1:低確率/高ベース状態]
「特定遊技状態」に係る説明に戻り、最初に図6に示す特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)における遊技の進行及び遊技方法に関する説明を行う。
特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)への移行は、図6の(1)、(8)、(12)に示す遊技状態遷移により移行する。図6の(1)、(8)、(12)の遊技状態遷移条件としては、(ア)それぞれの状態で大当り遊技を獲得すること、(イ)所定遊技回数が経過すること(※(8)のみ)などがある。図示はしていないが、特定遊技状態1から大当り遊技を経由して再び特定遊技状態1へ移行する場合も有する。一方で特別遊技状態が終了する条件を満たした場合、図6の(2)、(7)、(11)のように遷移する。これら(2)、(7)、(11)の遊技状態遷移条件としては、(ウ)特定遊技状態1でそれぞれの遊技状態に移行することとなる種類の大当り遊技を獲得すること、(エ)所定遊技回数が経過すること(※(2)のみ)が挙げられる。なお、「遊技回数」とは、一例として「特別図柄抽選の実行回数」のことを指す。
特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)へ移行すると、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、前述した「電チューサポート機能」、「変動時間短縮機能」の双方が作動した状態となる。前提とするぱちんこ遊技機Pの遊技盤P5における各入賞装置の配置構成では、遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に普図作動ゲート装置P740、および普通電動役物に係る第2始動入賞口P721が配置されており、遊技者は遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射する「右打ち」を行うことで容易に普通図柄抽選および特別図柄抽選を受けられる。また、前提とするぱちんこ遊技機Pは、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)において、前述した「時短状態」にも制御されようになっている。
より詳細に遊技の進行に関して説明すると、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)となった場合、遊技者は遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射し、普図作動ゲート装置P740への入球(通過)させることを第1の手順として行い、普図作動ゲート装置P740への入球(通過)により、主制御基板P40において普通図柄抽選を受ける。特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)における普通図柄抽選は、普図確変機能の作動により高確率(約1/1)で当りとなるため、普図作動ゲート装置P740へ遊技球が1球入球(通過)すると、1回の普通電動役物P770の作動が発生する。普通電動役物P770が作動すると、前提とするぱちんこ遊技機Pでは第2特別図柄に係る特別図柄抽選の契機となる第2始動入賞口P721が入球容易状態となり、遊技者は続く第2の手順として第2始動入賞口P721へ向けて遊技球を発射する。第2始動入賞口P721へ遊技球が入球した場合、検出情報が主制御基板P40に入力され、第2特別図柄に係る特別図柄抽選が実行され、特別遊技(大当り、小当り)の実行権利の獲得に係る抽選が実行される。
特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)は、当該状態に移行することとなった遊技状態遷移条件(例えば、大当りの実行であれば実行された大当りの種類、等)によって予め定められた遊技回数(特別図柄抽選を受けた回数)が経過するか、新たに大当り遊技を獲得することによって終了する(なお、大当り遊技後に再び本状態に移行する場合を有する)。小当り遊技の獲得の場合は、特定遊技状態が終了しないものとすることが多いが、遊技機の仕様によっては、小当り遊技の獲得(又は複数回の小当り遊技の獲得、特定の種類の小当り遊技の獲得)によって終了するように設計される場合もある。特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)が遊技回数によって終了する場合は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)へ移行する。
[特定遊技状態2:高確率/高ベース状態]
次に図6に示す特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)における遊技の進行及び遊技方法に関する説明を行う。
特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)への移行は、図6の(3)、(7)、(9)に示す遊技状態遷移により移行する。図6の(3)、(7)、(9)の遊技状態遷移条件としては、(ア)それぞれの状態で大当り遊技を獲得することである。図示はしていないが、特定遊技状態2から大当り遊技を経由して再び特定遊技状態2へ移行する場合も有する。一方で特別遊技状態が終了する条件を満たした場合、図6の(4)、(8)、(10)のように遷移する。これら(4)、(8)、(10)の遊技状態遷移条件としては、(イ)特定遊技状態2でそれぞれの遊技状態に移行することとなる種類の大当り遊技を獲得すること、(ウ)所定遊技回数が経過することが挙げられる。
特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)へ移行すると、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)に対し、さらに「確率変動機能」が作動した「高確率(状態)」である点で相違する。特定遊技状態2における遊技の進行および遊技の方法としては、特定遊技状態1と同様であり、遊技者にとっては特別図柄抽選において大当りの当選確率が高い分より早期に大当りを獲得し得る点で相違する。
特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)は、当該状態に移行することとなった遊技状態遷移条件(例えば、大当りの実行であれば実行された大当りの種類、等)によって予め定められた遊技回数(特別図柄抽選を受けた回数)が経過するか、新たに大当り遊技を獲得することによって終了する(なお、大当り遊技後に再び本状態に移行する場合を有する)。特定遊技状態2は小当り遊技の獲得の場合は終了しないものとするのが一般的である。特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が遊技回数によって終了する場合は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)や、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)、特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)へ移行する。
[特定遊技状態3:高確率/低ベース状態]
続いて図6に示す特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)における遊技の進行及び遊技方法に関する説明を行う。
特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)への移行は、図6の(5)、(10)、(11)に示す遊技状態遷移により移行する。図6の(5)、(10)、(11)の遊技状態遷移条件としては、(ア)それぞれの状態で大当り遊技を獲得すること、(イ)所定遊技回数が経過すること(※(10)のみ)などがある。図示はしていないが、特定遊技状態3から大当り遊技を経由して再び特定遊技状態3へ移行する場合も有する。一方で特別遊技状態が終了する条件を満たした場合、図6の(6)、(9)、(12)のように遷移する。これら(6)、(9)、(12)の遊技状態遷移条件としては、(ウ)特定遊技状態3でそれぞれの遊技状態に移行することとなる種類の大当り遊技を獲得すること、(エ)所定遊技回数が経過すること(※(6)のみ)が挙げられる。
特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)へ移行すると、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、「確率変動機能」が作動した「高確率(状態)」となり、特定遊技状態1および特定遊技状態2とは異なり「電チューサポート機能」、「変動時間短縮機能」は作動していない状態となる。前提とするぱちんこ遊技機Pの遊技盤P5における各入賞装置の配置構成では、遊技領域の右側領域P501(右打ち領域)に普図作動ゲート装置P740、および普通電動役物に係る第2始動入賞口P721が配置されているが、特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)において遊技者が遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射する「右打ち」を行ったとしても普通図柄抽選にて当りに当選する確率は低く、右打ちを行う優位性が存在しない。
そのため、遊技者は遊技領域の左側領域P501L(左打ち領域)に遊技球を発射する「左打ち」にて遊技を進めることとなり、高確率状態であるため特別図柄抽選にて大当りとなる確率が高いため早期に大当り遊技が獲得できること以外は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)と同様の遊技方法、遊技進行となる。
特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)は、当該状態に移行することとなった遊技状態遷移条件(例えば、大当りの実行であれば実行された大当りの種類、等)によって予め定められた遊技回数(特別図柄抽選を受けた回数)が経過するか、新たに大当り遊技を獲得することによって終了する(なお、大当り遊技後に再び本状態に移行する場合を有する)。特定遊技状態3は小当り遊技の獲得の場合は終了しないものとするのが一般的である。特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)が遊技回数によって終了する場合は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)へ移行する。
なお、特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)は、前提とするぱちんこ遊技機Pとして記載した図6の盤面配置構成とは異なり、右側領域P501R(右打ち領域)に普通電動役物P770を有しないタイプの第3始動入賞口を配置し、「時短状態」を作動させることにより、短時間に多くの特別図柄抽選が受けられるように構成するなど、遊技盤上の入賞装置の配置構成及び時短状態の制御によっては「右打ち」が推奨される遊技状態となる場合も有する。
以上で説明したように、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、複数の遊技状態によって遊技進行が行われるものであるが、前述した全ての遊技状態を必ずしも備える必要はない。そこで、複数の遊技状態の組み合わせ等によって構成される遊技機仕様のうち、前提とするぱちんこ遊技機Pで採用可能な遊技機仕様(「スペック」と称することがある)を以下に例示する。
代表的な遊技機仕様(「スペック」)に関し、特別図柄抽選の確率変動機能の作動に係る遊技機仕様の種類の一例としては、「(次回まで)確変」、「ST(回数切り確変)」、「V確変(「球確」、「アタックラウンドシステム」ともいう)」、「潜伏確変」を採用可能である。この確率変動機能の差による遊技機仕様の違いを、「本遊技機は『○○機(例:ST機)』である」などと表現することがある。また、確率変動機能を有しない遊技機において、小当り遊技中に大入賞口P751内部の特定領域P760を通過することにより、その後役物連続作動装置が作動する(すなわち大当り遊技に移行する)こととなる「小当りV」と呼ばれる遊技機仕様なども存在する。
[(次回まで)確変]
まず始めに「(次回まで)確変」について説明する。「次回まで確変」は、一般的には、ぱちんこ遊技機Pに備わった複数の特定遊技状態の中で、前述した特定遊技状態の内の最も有利とする遊技状態として、「特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が次回の大当り遊技の権利を獲得するまでの間継続することとなるぱちんこ遊技機」についての遊技機仕様を示す。換言すると、「次回まで確変」の遊技機は、次回の大当り遊技の権利を獲得するまでは特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が継続し、図柄変動回数などによっては終了しないよう構成されている。
なお、大当りの種類によっては、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)や特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)に制御される場合を有していてもよい。また、「特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)が次回の大当り遊技の権利を獲得するまでの間継続するぱちんこ遊技機」においても、確率変動機能が次回大当りまで継続するという意味で「次回まで確変」と呼称する場合もあるが、ベース状態が「低ベース状態」であり、電チューサポート機能に関して通常遊技状態(低確率/低ベース状態)と同様の遊技が求められる場合があるため、このように電チューサポート機能が作動していない次回まで確変であることから「潜伏確変」と切り分けて表現する。
[ST(回数切り確変)]
続いて「ST(回数切り確変)」について説明する。「ST」は、「Special Time」の略語であり、一般的には、「特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が予め定められた回数の特別図柄抽選を行う(予め定められた回数の図柄変動が実行される)か、大当り遊技の権利を獲得するまでの間継続することとなるぱちんこ遊技機」についての遊技機仕様を示す。
なお、大当りの種類によっては、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)や特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)に制御される場合を有していてもよい。また、前述した「次回まで確変」と同様に、遊技状態が特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)に予め定められた回数の特別図柄抽選を行うか、大当り遊技の権利を獲得するまで制御されることとなる場合について、「潜伏確変(潜伏ST)」と称する状態を有するように構成することも可能である。
また、「ST(回数切り確変)」であっても、遊技状態がSTに制御される期間を、特別図柄抽選の抽選が「10000回行われるまで」とする場合など、高確率状態で実質的に次回までの大当りが保証されているといえる遊技機仕様であれば「次回まで確変」と表現する場合もある。
ここまで述べたように、「次回まで確変」と「ST(回数切り確変)」は、特別図柄抽選の確率変動機能の終期が異なる点で、遊技機仕様としての「確変状態」を区別するものである。一方で以下に説明する「V確変(「球確」「アタックラウンドシステム」)」のように、特定遊技状態における特別図柄抽選の確率変動機能の作動の有無、すなわち確率変動機能の実行開始に関し、特殊な条件を必要することで遊技機仕様(「スペック」)を表現する場合もある。
[V確変]
続いて、「V確変」と呼ばれる遊技機仕様に関して説明する。「V確変」は、遊技状態が特定遊技状態へ移行する前の大当り遊技中において、大入賞口P751内に設けられた「特定領域P750」(「Vゾーン」、「V領域」などと称することがある)に対し、予め定められた条件下(特定の大当りラウンドの実行中など)で遊技球の通過(「V入賞」)が検出された場合に、大当り遊技後に確率変動機能の作動を伴う特定遊技状態(特定遊技状態1や特定遊技状態3)へ移行させる制御を行うぱちんこ遊技機の遊技機仕様を示す。「V確変」に使用する「特定領域」に関し、特に「確率変動機能作動領域」と称する場合もある。
前述したように「V確変」は、確率変動機能の作動有無が大当り遊技中の遊技結果に依存する(遊技球が特定領域P760を通過するか否かに依存する)ことを示す遊技機仕様であり、作動した確率変動機能が、先に説明した「次回まで確変」と同等制御にて終了するか、「ST」と同等の制御にて終了するかの際によって「V確変(V-ループ)」や「V-ST」と異なる遊技機仕様を示す表現が用いられる。
なお、遊技機仕様として「V確変」を採用するぱちんこ遊技機Pにおいては、大当り遊技中においてV入賞しなかった場合においては、大当り遊技後に確率変動機能が作動せず、通常遊技状態や特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)に制御される。また、このようにV入賞した場合としなかった場合とで大当り遊技後に確率変動機能の作動する遊技状態となるか否かを切り替えるとともに、同時に電チューサポート機能の作動態様についても変更可能である。一例として「V確変(V-ループ)」機では、V入賞した場合、確率変動機能および電チューサポート機能が次回大当りを獲得するまで継続し、V入賞しなかった場合、確率変動機能は作動せず、電チューサポート機能も特別図柄抽選が100回行われるまでに制限されるようにすることが挙げられる。
[小当りV]
次に、確率変動機能を持たずに大当り獲得に関して遊技者に有利な遊技状態を提供しうる遊技機仕様として「小当りV」と呼ばれる遊技機仕様(スペック)に関して説明する。
「小当りV」は、特別図柄抽選の結果が小当りとなった際に実行される小当り遊技中(特別電動役物の作動中)に、大入賞口P751内部に設けられた「特定領域P760」(「Vゾーン」、「V領域」などと称することがある)を通過した場合に、小当り遊技に続いて役物連続作動装置を作動させる、すなわち大当り遊技を開始する遊技機仕様である。言い換えると、小当り中に特定領域P760を通過させることによって、特別図柄抽選の結果として大当りとなる結果を獲得することなく大当り遊技を獲得することができる遊技機仕様である。
「小当りV」は特別図柄抽選の結果として役物連続作動装置や特別電動役物を作動させる「1種(ぱちんこ)」の遊技性に、役物連続作動装置非作動中の特別電動役物作動中(大入賞口P751の開放中)において特定領域P760を通過した場合に役物連続作動装置を作動させる仕様であり、「1種小当りV」と表す場合もある一方、従来のぱちんこ遊技機におけるいわゆる「2種ぱちんこ」の遊技機仕様に近い遊技性を有していることから「1種2種混合機」などと表現される場合を有する。
一般的に「小当りV」を遊技機仕様として採用するぱちんこ遊技機においては、確変機能(確率変動機能)を有さず、電チューサポート機能の有無によって有利度合いを変更させる。すなわち、電チューサポート機能が作動した場合に入賞しやすくなる普通電動役物P770に係る入賞口を小当りに当選しやすい特別図柄(例えば1/2で小当りに当選する)の変動契機となる始動入賞口で構成することで、電チューサポート機能が作動している状況下では小当りに当選しやすく、小当り遊技中のV入賞で大当りを狙うことを可能とする。このようにすることで、確変機能のように大当りとなる乱数値範囲を増やすのではなく、小当りにより大当りの獲得可能性を増やす遊技性となっている。
[その他の遊技機仕様(スペック)]
以上に記載した、遊技機仕様は代表的なものであり、その他にも特徴的な遊技機仕様がいくつか知られているため、それらに関して以下に簡易的に説明を行う。
(リミッタ)
「リミッタ」は、確率変動機能や電チューサポート機能が作動する特定遊技状態が、大当り遊技の実行を挟んで繰り返し行われる状態(いわゆる「連荘」状態)が発生した場合であって、予め定められた繰り返し回数(連荘回数)に到達した場合に、本来確率変動機能や電チューサポート機能が作動するはずの大当り遊技が実行された場合であっても、確率変動機能あるいは電チューサポート機能の作動を制限する機能である。リミッタ機能として「確率変動機能」を連続回数に基づいて制限する機能を「確変リミッタ」と呼び、「電チューサポート機能」を連続回数に基づいて制限する機能を「時短リミッタ(電サポリミッタ)」と呼ぶ。そして、リミッタ機能を備える遊技機を「リミッタ機」と呼称する。
(転落)
「転落」は、特別図柄抽選の確率変動機能が作動している期間において、特別図柄抽選が行われる度に、確率変動機能を終了させるか否かを決定する「転落抽選」を実行する遊技機仕様を示す。確率変動機能とともに電チューサポート機能が作動している状況において、転落抽選に当選した場合は、確率変動機能の終了に合わせて電チューサポート機能の作動が終了する場合や、確率変動機能のみが終了し電チューサポート機能の作動は継続する場合とがある。
なお、上述した遊技機仕様は複数組み合わせることが可能であり、例えば、「ST」と「転落」を組み合わせた場合には、特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)である場合に、(1)転落抽選に当選した、(2)予め定められた回数の特別図柄抽選を行った、(3)大当り遊技の権利を獲得した、のいずれかを充足した場合に、特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が終了する(他の遊技状態に移行する)こととなる。
次に、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける遊技の進行を司る主制御基板P40の制御に関する説明を行う。なお、本実施形態に説明する前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、前述した遊技機仕様(スペック)として、「ST(回数切り確変)」を採用しているぱちんこ遊技機を前提として説明を行う。なお、実施形態の説明において、図中の処理ステップを示す「P-s〇〇」の表記は、本文中において「ステップ〇〇」と表記して説明を行う。
[主制御基板の電源投入処理(主制御基板メインループ処理)]
前提とするぱちんこ遊技機Pの主制御基板P40は、ぱちんこ遊技機Pの電源が投入されることにより、最初に電源投入処理(ステップ1000)を実行する。ここで、電源投入処理について図7に沿ってその詳細を説明する。
前提とするぱちんこ遊技機Pの主制御基板P40において電源投入処理が開始されると、主制御基板P40上に設けられた演算装置であるCPUの動作に係る初期設定が行われる(ステップ1002)。初期設定は、この後のCPUの動作に必要な設定を適宜行うものであり、その詳細は割愛する。
CPU初期設定が終了すると、続いて入力ポートの確認処理(ステップ1004)と電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)を実行し、これらの処理内容を受けて遊技停止状態設定処理(ステップ1008)に関する処理を行う。
より詳細に説明すると、入力ポート確認処理(ステップ1004)は、ぱちんこ遊技機Pの特別図柄抽選の有利度合い(特に役物連続作動装置の作動確率、すなわち大当り確率)を変更するための「設定値」を変更可能な「設定変更処理」を行う状態であるか否かのフラグ、「設定値」を確認するための「設定確認処理」を行う状態であるか否かのフラグについて、当該処理の後に行われる遊技停止状態設定処理で成立させるか否か(オンにするか否か)を決定するための情報を生成する処理である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、枠開放スイッチP131(前枠が外枠に対して開放していることを検出するスイッチ)の検出状況、ラムクリアスイッチP48が遊技者に操作されているかの検出状況、設定キースイッチP49が回転操作されているかの検出状況を示すデータを含むデータを1バイトデータとして生成する。
続く電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)では、前回電源を切ったとき、ぱちんこ遊技機Pが正常に電源断を行い、電源断が発生したときの遊技状態に係る制御データを正常に主制御基板P40のCPUの記憶領域に正常に退避、記憶しているかを確認する処理であり、正常なデータでない場合には、エラーとして後述する遊技停止状態設定処理(ステップ1008)にて遊技を停止するようにするフラグを立てる(オンにする)処理である。
「遊技停止状態設定処理」(ステップ1008)は、電源投入処理における処理が終了し、遊技を開始すべくメインループ処理に移行した後、実際に遊技者が遊技できる状況としないためのフラグを設定する処理であり、入力ポートの確認処理(ステップ1004)と電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)の処理結果に基づいて、「設定変更状態」、「設定確認状態」、「復帰不可能エラー状態」のいずれかの遊技進行不許可状態へ移行させるフラグを立てる処理である。「遊技停止状態設定処理」の詳細は図8に記載しており、図8の記載に基づいて説明を行う。
遊技停止状態設定処理では、まず枠開放中であるかを、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータを基に判断する(ステップ1100)。電源投入時にぱちんこ遊技機Pの前枠P2が外枠P1に対して開放した状態であれば(ステップ1100でYESとなる状況)、1バイトデータの特定のビットが「1」となっている状況であるため、続くステップ1102の処理を省略する。一方で、ぱちんこ遊技機の電源投入時に枠開放中でない場合は、設定変更処理を実行するための必須操作の一部が充足していないとし、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータから設定キースイッチの操作情報をオフデータにとなるように演算する。なお、不図示であるが、ステップ1102でYESとなる場合、NOとなる場合のいずれにおいても、1バイトデータ中から枠開放中のビットもオフデータとなるように演算される。
続くステップ1104では、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータが「設定変更操作あり」と判断可能な情報となっているか否かを判断する。前提とするぱちんこ遊技機Pでは「設定変更操作あり」と判断される状況は、(1)枠開放スイッチP131がオン(電源投入時に枠開放中)であり、(2)設定キースイッチP49がオンであり(回転操作されている)、(3)ラムクリアスイッチP48がオンである、の3つの状態を必要としている。前述したように1バイトデータの内、枠開放スイッチP131の情報はオフに設定されており、(2)(3)の双方を満たすか否かを本ステップにて判断している。例えば特定の2つのビットデータが「1」である場合に設定変更操作ありと判断する(なお、2つのスイッチがオンであることを示すアクティブデータが必ずしも「1」である必要はなく、いずれか1つのデータが「0」であってもよい)。そして、設定変更操作があったと判断した場合、すなわちステップ1104でYESと判断した場合には、遊技停止状態フラグとして「設定変更中」を示すデータを記憶し、遊技停止状態設定処理を終了する(ステップ1106、ステップ1118)。一方、ステップ1104でNOと判断した場合には続くステップ1108の処理へ移行する。なお、主制御基板P40のラム(RAM=Random Access Memory)に記憶されている設定値情報が異常データである場合(復帰不可能エラー状態からの復帰操作である場合)には、初期設定値として設定値「1」に対応するデータを、設定値を記憶する領域にセットする(ステップ1118)。
次にステップ1108において、遊技停止エラーの発生の判断を行う。遊技停止エラーは、例えばチェックサム異常(ラム異常)や、設定値異常など、遊技の進行を行うことができない状況に陥ったときに、ラムクリアおよび設定値の設定(変更)処理を要する場合のエラーのことを指す。ステップ1108の判断は、電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)の処理結果や、前回の電源断処理時に記憶しているエラー情報を基に遊技停止状態として設定すべきか否かを判断する。エラー状態とすべきと判断した場合(ステップ1108でYESと判断した場合)には、遊技停止状態フラグを「復帰不可能エラー状態」として遊技停止状態設定処理を終了し(ステップ1110、ステップ1118)、エラーが発生していないと判断した場合には続くステップ1112の処理へ移行する。
続くステップ1112においては、ラムクリアスイッチP48の操作の有無を判断する。遊技停止状態設定処理において、当該ステップまで進行する場合の状態として、
(ア)設定確認状態へ移行する操作が行われているとき、換言すると、「設定変更操作あり」の判断の内、(1)枠開放スイッチP131がオン(電源投入時に枠開放中)である、(2)設定キースイッチP49がオンである、を充足し、(3)ラムクリアスイッチP48がオンである、を充足していないとき、
(イ)データクリアのためのラムクリア操作が行われたとき、換言すると、(2)設定キースイッチP49がオンである、を充足しておらず、(3)ラムクリアスイッチP48がオンである、を充足しているとき、
(ウ)「設定変更操作」、「設定確認操作」、「ラムクリア操作」などの操作が何ら行われず電源を投入したとき、
のいずれかの状況である。そして、これらの状態において入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータは、(ア)設定キースイッチP49のオンオフを示すビットデータが「1(オンデータ)」、(イ)ラムクリアスイッチP48の操作検出状態のオンオフを示すビットデータが「1(オンデータ)」、(ウ)1バイトデータが全てオフデータ(例えば全ビット「0」)のいずれかの状況である。
そして、ステップ1112においてラムクリアスイッチP48の操作があったか否かを判断し、ラムクリア操作があった場合(ステップ1112でYESと判断する場合)には、ぱちんこ遊技機は、ラムクリアをしたのち遊技可能状態へ移行させるため、遊技停止状態フラグをクリアする処理を行う(ステップ1114)。一方、ラムクリア操作がなされた状況以外では、現在の1バイトデータをそのまま設定することとなり、この時、遊技停止状態フラグは「設定確認状態」へ移行する操作がなされているときは(ステップ1112でNOと判断する場合)、設定キースイッチP49の操作状況を示すビットデータが「1」となっており、遊技停止状態フラグを示す1バイトデータに「設定確認中」を示すデータとして記憶される(ステップ1118)。また、ラムクリア操作も設定確認状態への移行操作もない場合には、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータは、もともと遊技停止状態フラグとして遊技停止なしを示すデータであり、遊技停止なし情報としてセットされる。
「遊技停止状態設定処理」(ステップ1008)にて設定された遊技停止状態フラグについて、何らかの停止状態を示す値が記憶されている場合は、電源投入処理(ステップ1000)における遊技許容状態であるメインループ(ステップ1028~ステップ1036)への移行後に実行される遊技進行制御の主体となる割込み処理(ステップ2000)において、停止状態を示す値が参照され、「基本遊技進行」として記載した遊技の進行ができない状態となるが、これらの制御については後述する割込み処理の説明において記載する。
図7の電源投入処理の説明に戻り、続く処理を説明する。遊技停止状態設定処理(ステップ1008)が終了すると、ラムクリア操作があったか否かを判断する(ステップ1010)。ラムクリア操作は、ぱちんこ遊技機Pの電源投入時にラムクリアスイッチP48が操作されることである。なお、設定キースイッチP49がオフの場合にもオンの場合にも本処理は実行される。ステップ1010においてラムクリア操作ありと判断した場合には、主制御基板P40のラムの記憶領域より、予め定められた部分の記憶領域を初期化する。
続くステップ1014からステップ1020の処理では、電源投入時に主制御基板P40から演出制御基板P41に対して遊技機の状態を認識させるための演出制御コマンド(演出コマンド)をセットする処理を行う。より詳細には、ステップ1014において、前回電源が切断したとき(電源断が発生したとき)において未送信となっていた演出制御コマンドを記憶領域からクリアする処理を行う。そして、ステップ1016において電源投入後に復帰した主制御基板P40の現在の遊技状態に関する情報を演出制御コマンドとして生成し、ステップ1018において遊技停止状態でないと判断した場合には、ステップ1020において、生成した復帰した遊技状態を示す演出制御コマンドを演出制御コマンドの送信データを記憶する領域にセットする。
電源投入時における演出制御コマンドのセットに係る処理が終了すると、大入賞口P751(特別電動役物P755)や普通電動役物P770を電源断発生前の状態に戻すべく、必要なデータ(駆動信号)を特別電動役物駆動手段P70および普通電動役物駆動手段P71に対して出力ポートから出力する。(ステップ1022)
そして、電源投入処理におけるステップ1022までの処理が終了すると、主制御基板P40のCPUに対して、割込み処理時間の発生間隔を設定する処理を行う(ステップ1024)。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、後述する割込み処理(図9、ステップ2000)を実行する間隔を4ms(ミリ秒)としている。本処理が終了すると、遊技者が遊技可能な状態であるメインループと呼ばれる循環処理に移行し、電源断が発生するまでメインループ中の循環処理の実行を繰り返す。
(メインループ)
主制御基板のメインループの処理は、図7に示すように、まずステップ1026にて割込み処理の発生を禁止する処理を行い、メインループの処理が完了するまで(ステップ1036にて割込みを許可するまで)割込み処理の実行を制限する。
割込みが禁止されると、続くステップ1028では、ウォッチドッグタイマと呼ばれる主制御基板P40のCPUの暴走(処理がループしてしまったりして、進まなくなってしまう状況など)の発生を監視するための計時情報を記憶している領域をクリア(初期化)する。
そしてステップ1030では、電源断が発生しているか(例えば電源基板P44から電圧が低下したことに基づいて送られる電源断信号が主制御基板P40のCPUの入力ポートに入力されているか)を判断し、電源断が発生している状況であれば、現在の遊技状態を記憶し、電源断情報およびチェックサム情報を記憶して主制御基板P40のCPUとしての処理を停止する電源断処理(ステップ1032)を実行する。電源断が発生していない状況であれば続く処理へ移行する。
ステップ1034では、特別図柄抽選に使用する乱数や、普通図柄抽選に使用する乱数値を更新する処理を行う。なお、これらの乱数値の更新は後述する割込み処理において更新するものもあり、割込み処理においてのみ乱数が更新されることで乱数更新周期が一定になってしまうことを防止するための処理である。なお、割込み処理において、不定期に実行されるような処理があれば、それらの処理に合わせて乱数値を更新するなどの手法を採用することにより、乱数更新周期の一定化を防止することもできるため、メインループ内に乱数更新処理を設けることは必須ではない。
ステップ1036はメインループ中の最後の処理であり、割込みを許可する処理を行う。直後にメインループ中の最初の処理であるステップ1026の割込み禁止に戻ることになるが、割込み許可を行うステップ1036の処理が行われたときに、割込み実行周期(前回割込み処理の発生から4ms経過した状態)を示す入力が主制御基板P40のCPUにあれば、後述する割込み処理が実行されることとなる。
[割込み処理]
続いて主制御基板P40のCPUで行われる割込み処理(「タイマ割込み処理」とも呼ぶ)について図9を参照しながら説明する。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、割込み処理(ステップ2000)により遊技の進行に関する大部分が制御されており、遊技機仕様(スペック)によって変更可能に設けられたサブモジュールプログラムを、汎用的に一定の順序で読みだして制御するように構成されている。それらのサブモジュールに関する処理を以下に簡易的に説明する。
(ウォッチドッグタイマクリア)
割込み処理の最初には、ウォッチドッグタイマクリアの処理が設けられている。本処理は、前述した主制御基板P40のCPUが実行するメインループ処理(図7、ステップ1026~ステップ1036)におけるウォッチドッグタイマクリア処理と同じ処理である。(ステップ2002)
(入力ポート確認処理)
入力ポート確認処理は、主制御基板P40のCPUの入力ポートに入力される情報を確認することにより、以降の処理において判断に必要な情報としての入力情報があったか否かを識別可能とする情報を生成する処理である。(ステップ2004)
入力ポートに入力される情報としては、ラムクリアスイッチP48や設定キースイッチP49の操作状況を示す入力信号や、ハンドルP204の操作状況(タッチ有無)を示す入力信号等の人為的な操作に係る入力信号、特図1始動口スイッチP712や大入賞口スイッチP752等の遊技球の検出による遊技結果を示す入力信号、磁気センサP73やドア開放センサP131、振動検知センサP72など不正監視のために設けられたセンサの検出状況を示す入力信号などがある。
入力ポート確認処理では、これらの入力ポートの入力信号を10μs(マイクロ秒)で3回読み込み、全ての読み込みで同一データ(同一ビット)となったデータを今回割込みにおける入力データ(「レベルデータ」という)として主制御基板P40のラムに記憶する。なお、3回読み込んだデータのうち全ての読み込みで同一データとならなかった部分については、前回の割込み処理(4ms前の割込み処理)において確定したデータをレベルデータとして採用することとなり、すなわち今回割込みにおいて正常にデータが読み取れなかった場合は前回割込みで記憶したデータを更新しないこととなる。
そして今回割込みにおける入力データ(レベルデータ)が確定すると、前回割込みにおける入力データとの比較演算を行い、「立ち上がりデータ」(入力データがオフからオンに変わったビットを特定するデータ)を生成し、今回割込みでオン入力に切り替わったスイッチを特定するデータを記憶する。
(乱数更新処理)
乱数更新処理は、特別図柄抽選に係る当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数や、普通図柄抽選の普図当否乱数、普図図柄乱数、普図変動パターン乱数などの各種乱数の内、ソフト的に更新される乱数値であるいわゆるソフト乱数を更新する処理である(ステップ2006)。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄抽選や普通図柄抽選に使用する乱数は、乱数生成回路にて回路上の更新周期にて乱数を更新するものと、ソフト的な周期で更新されるものを有する仕様としており、それらを組み合わせることで、乱数取得時の各種乱数のランダム性を保つように構成している。
乱数更新処理においては、前述したようにソフト乱数を更新する処理を行うものであるが、更新の方法としては、
(ア)乱数をインクリメント(+1)あるいはデクリメント(-1)して更新し、乱数範囲の上限(又は下限)を超えた場合に下限値(または上限値)とするもの、
(イ)乱数に対して任意の素数を減算(または加算)し、乱数範囲を超える場合に乱数範囲+1(または乱数範囲-1)の値を加算(または減算)するもの、
(ウ)初期値として設定した乱数からインクリメント(またはデクリメント)を繰り返し、1周期の更新が終わった場合に、別途更新している「初期値乱数」を新たな初期値として設定し同様の更新を繰り返すもの(初期値更新型乱数ともいう)、
といった各種の更新方法が例示できる。なお、本実施例に例示したものに限らず更新方法は乱数のランダム性が保てる手法であれば、どのような手法を採用してもよい。
(設定制御処理)
設定制御処理は、主制御基板P40のCPUにおける電源投入処理(図7参照)中で設定した遊技停止フラグが「設定変更中」、または「設定確認中」である場合の処理を行う。(ステップ2008)
設定制御処理では、最初に電源投入処理中にて遊技停止フラグとして格納したデータの設定キー操作中を示すビットデータがオンデータであるか否かを判定し、オンデータでない、すなわちぱちんこ遊技機の電源投入時に設定キーがオン操作されていなかった場合、本処理を抜けるように構成されている。
一方で、遊技停止フラグ中の設定キー操作中を示すビットデータがオンデータである場合には、「設定変更中」、「設定確認中」を終了させるか否かを判定するため、現在の割込み処理における設定キースイッチP49の入力情報(前述した入力ポート確認処理にて生成)を参照し、設定キースイッチP49がオフとなった場合に遊技停止フラグをクリアし、遊技可能な状態とした後、「設定変更状態」、「設定確認状態」のいずれからの復帰であるかに応じて、演出制御基板に演出を復帰(または開始)させるための演出制御コマンドを設定する。
また、電源投入処理(図7参照)において、遊技停止フラグが「設定変更中」である場合、設定キースイッチP49がオフとなるまでの期間において、本割込みタイミングにおける「設定変更スイッチ」の役割を果たすラムクリアスイッチP48(設定値を変更するために操作するスイッチ)の操作状況を確認する。遊技停止フラグが「設定変更中」の時、今回割込みにおいて、設定変更スイッチP48の操作にかかる立ち上がりデータが生成されている場合において、「設定値」を予め定められた変更順序の内の次の設定値となるようデータの変更を行う。例えば、設定が1から6まで順に切り替わるような設定値データを有するぱちんこ遊技機Pであれば、設定変更スイッチ(ラムクリアスイッチP48)の操作に基づく立ち上がりデータがあるたびに、本設定制御処理において設定値を「1」増加させる処理(操作前の設定値が6のときは、次の値として1に変更)を行う。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、設定変更状態や設定確認状態における処理を割込み処理中(図9参照)に設けることによって、設定キースイッチや設定変更スイッチの操作を割込み処理の周期で監視するとともに、後述するLED出力処理にて表示装置に対しての表示データの出力を可能とし、別途割込み処理の設定ができていない電源投入処理中(図7参照)において、周期的な監視のためのプログラムを設定することを省略可能としている。なお、電源投入処理中において、設定変更や設定確認に関するスイッチの監視や表示装置の制御、設定値の更新処理を行うように構成してもよい。
(遊技停止監視処理)
遊技停止監視処理は、主制御基板のCPUがぱちんこ遊技機の電源投入時に実行した電源投入処理(図7参照)中にて生成した遊技停止フラグのデータを読みだして遊技停止中であるか否かを確認する処理である。(ステップ2010)
遊技停止監視処理において、読みだされた遊技停止フラグのデータに何らかの遊技停止情報(遊技停止フラグ)が記憶されていた場合、例えば、遊技停止フラグのデータが0でなくいずれかのビットが「1」である場合は遊技停止状態(遊技停止が必要な状態)と判断し、遊技停止中として、割込み処理中の一部の処理(図9における「タイマ減算処理(ステップ2014)」から「特別電動役物制御処理(ステップ2028)」まで)を省略する。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、遊技停止が必要な状態として、すなわち遊技者が遊技をすることが不可能な状態として、「設定変更中」、「設定確認中」、「復帰不可能エラーの発生中」といった状態が例示できる。
(タイマ減算処理)
タイマ減算処理は、遊技の進行に関する時間の管理に使用されるタイマデータを更新する処理である(ステップ2014)。
タイマデータの更新処理の例として、特別図柄の変動表示が開始された場合に設定される変動表示時間の管理や、大当り遊技中の特別電動役物P755の作動時間(大入賞口P751の開放時間)などの遊技進行を契機としたタイマデータの更新処理や、球詰まりを検出する等のエラー判定のための計時処理、特別図柄表示装置P51、P52などの主制御表示装置P50におけるLEDの点灯パターンを切り替えるための切り替え時間を計時するための処理、外部情報出力端子P77等から外部機器(ホールコンピュータなど)に対する情報の出力を行う期間を計時する処理などが例示できる。
タイマ更新処理で更新されるタイマデータは、主制御基板P40の記憶領域(ラム記憶領域)に、「1バイトタイマ」、「2バイトタイマ」などのタイマデータの種類ごとに分けられて、連続した記憶領域にそれぞれ記憶されている。
タイマ更新処理では、それらの個別のタイマデータの種類を記憶した記憶領域に対し、「1バイトタイマ更新処理」、「2バイトタイマ更新処理」といった処理を行い、各種タイマの時間値を更新する処理を行う。タイマの更新処理は、記憶領域に記憶されているタイマデータをデクリメント(-1)する処理を行う。なお、記憶されているタイマデータが既に「0」である場合には、処理後においても「0」となるように処理される(負の値になった場合に「0」にすることや、「0」の場合にデクリメントをしない、など)。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、1割込みの周期が4msであるため、1バイトタイマのデータである場合には、最大255回の更新(約1秒)で終了する管理対象のみが制御可能となるが、1秒以内でのみ管理される遊技情報がない場合(少ない場合)には、2バイトタイマデータのみで構成し、1バイトタイマ更新処理を有さないように構成することも可能である。また、2バイトタイマでも管理できないような時間値の管理が必要となる場合は、「3バイトタイマ」などより長時間を管理できるタイマデータを持つように構成してもよい。
(有効期間設定処理)
有効期間設定処理は、入球容易態様または入球困難態様に変化可能な入賞口(主として大入賞口P751や普通電動役物P770に係る入賞口が該当)に関し、入球容易態様に制御する期間および有効延長期間において有効期間を設定し、それ以外の期間(入賞口が入球困難態様であり有効延長期間以外のとき)について、無効期間を設定する処理である。(ステップ2016)
前提とするぱちんこ遊技機では、大入賞装置としての大入賞口P751と、普通電動役物P770が備えられている第2始動入賞装置P720である第2始動入賞口P721の入賞を有効期間として設定する処理となる。
なお、有効延長期間は大入賞口P751や普通電動役物P770が入球困難態様へ移行する直前のタイミングで入球した遊技球を有効入賞として扱うために、大入賞口P750(特別電動役物P755)や普通電動役物P770などの電動役物に対して開放制御を実行させる制御期間が経過した後においても有効期間として扱うため、電動役物の構造に応じて適宜設定される一定時間の制御期間である。
また、遊技機仕様によっては特定領域P760(V領域)を有する場合には、特定領域P760に関する遊技球の通過に対する有効延長期間も設定されることがあり、そのような場合には、本処理において特定領域の有効期間の設定も行われる。
(入賞監視処理)
入賞監視処理は、ぱちんこ遊技機における各種入賞口(大入賞口P751、始動口P711、P721、一般入賞口P731)に対する遊技球の入賞を基に、有効入賞であるか否かを判定し、賞球や始動口入球に対する特別図柄抽選の権利の発生(保留の発生)の処理が行われる契機となる情報を生成する処理である。(ステップ2018)
処理内容としては、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したデータを基に予め定められた順序で各種入賞口毎に(ア)入賞の有無を検出(イ)有効期間を有する入賞口の場合は有効期間中における入賞であるかの判断、各種入賞口に対する有効入賞が発生した場合には更に、(ウ)演出制御基板P41に送信する各種入賞口毎の入賞情報をしめす演出制御コマンドの設定、(エ)各種入賞口毎の入賞に基づく動作契機の発生回数を記憶するためのカウンタ値(「入賞カウンタ」と呼ぶ)を更新する(言い換えると、各種入賞口の検出に基づく動作の内で未処理の動作の回数を記憶するカウンタ値を更新する)処理を行う。
なお、入賞監視処理においては、各種入賞口に対する入賞の発生のみでなく、アウト球を計数するために設けられたアウト球検出スイッチP792、普通図柄抽選の契機となる作動口スイッチP742や、遊技機仕様によっては特定領域P760(V領域)に対する遊技球の入球および通過についても判定するようになっており、賞球の発生や特別図柄抽選の契機の発生以外にも遊技機の動作(例えば、演出制御基板P41に対して、作動口スイッチP742や特定領域P760を通過した旨の情報を送信する処理)に必要となる遊技球の検出の有無を本処理において行う。
(作動口監視処理)
作動口監視処理は、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したデータより、普図作動口スイッチP742の立ち上がりデータが生成されている場合に、普通図柄抽選に係る保留の発生に係る処理を行う。(ステップ2020)
より具体的には、普図作動口スイッチP742の検出があった場合に、普通図柄抽選に係る保留の数を確認して、保留数が上限に満たない場合は、新たな保留として乱数を記憶可能であるため、保留数を格納している記憶領域のデータをインクリメント(+1)して保留数情報を1個増やした後、普図当否乱数、普図図柄乱数、普図変動パターン乱数を乱数生成回路から取得、あるいは現在の対応するソフト乱数を取得して保留として記憶する。
(普通図柄制御処理)
普通図柄制御処理は、普通図柄抽選、普通図柄の変動表示、普通電動役物P770の作動に係る処理を行う(ステップ2022)。これらの処理は、普通図柄ステイタスと呼ばれる普通図柄、普通電動役物の制御状態を示すデータがいずれであるかに応じて、異なるサブモジュール処理に移行して、状態に応じた制御を行う。普通図柄のステイタスとしては、「0:普通図柄待機中」、「1:普通図柄変動中」、「2:普通図柄停止表示中」、「3:普通電動役物作動中」、「4:普通電動役物終了デモ中」があり、それぞれの状態に応じた処理を行う。
《普通図柄変動開始監視制御処理》
普通図柄変動開始監視制御処理は、普通図柄ステイタスが「0:普通図柄待機中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通図柄変動開始監視制御処理では、まず、普通図柄抽選に係る保留数が「0」であるか否かを確認する。「0」である場合には、普通図柄の変動権利は発生していないため、普通図柄制御処理を抜ける。一方、普通図柄抽選に係る保留数が「0」でない場合は、普通図柄の変動権利が発生している状態であり、普通図柄の変動開始条件を満たしていると判断して普通図柄の変動の開始に係る処理を実行する。
普通図柄の変動を開始すると判断すると、普通図柄抽選に係る保留数情報を記憶する領域より、保留数情報を-1した後、普図当否乱数、普図図柄乱数、普図変動パターン乱数をそれぞれ呼び出して普図当否抽選、普図図柄抽選、普図変動パターン抽選をそれぞれ行い、抽選結果を主制御基板の記憶領域に格納するとともに、今回使用した乱数情報をクリアし保留数情報の記憶領域を記憶した順番に処理されるようにシフトする処理を行うとともに、普通図柄ステイタスを「1:普通図柄変動中」に更新する。なお、普通図柄抽選に関しては、前述した「ベース状態」(普通図柄の確率変動機能、普通図柄の変動時間短縮機能)の作動状況に応じて異なる抽選テーブルが使用され、高ベース状態では当りとなりやすく、普通図柄の変動表示時間は短いものが決定されやすい傾向にある。
《普通図柄変動中処理》
普通図柄変動中処理は、普通図柄ステイタスが「1:普通図柄変動中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通図柄変動中処理では、普通図柄変動開始監視制御処理中にて決定した普通図柄の変動パターンに応じた普通図柄の変動表示時間が経過するまで、すなわち普通図柄の変動表示を管理するタイマ(普通図柄変動表示タイマ)がタイマ更新処理において0となるまで、普通図柄表示装置P53において、普通図柄の変動表示を実行させる処理である。
より具体的には、普通図柄変動表示タイマが0でない場合には、本処理が実行されるたびに最大値が「5」である普図表示切り替えカウンタを更新し、普図表示切り替えカウンタが「5」となるタイミングで、普通図柄表示装置P53を構成するLEDの発光パターンを指定するためのデータを格納する記憶領域に、次の発光パターンに関する情報を記憶する処理を行う。なお、普図表示切り替えカウンタは最大値である「5」となるタイミングで初期値である「0」にリセットされる。すなわち、普通図柄の変動表示は5回の割込み(4ms×5=20ms)間隔で普通図柄表示装置P53の点灯パターンが切り替えられることとなる。なお、切替間隔は適宜設定可能であり、例えば普図表示切り替えカウンタの最大値を25とすれば、25割込みに1回(100msに1回)の間隔で普通図柄表示装置P53の表示パターンが切り替えられる。
普通図柄の変動表示時間が終了する、すなわち普通図柄変動表示タイマが「0」となっている場合、本処理では普図図柄抽選で決定した普通図柄の停止表示図柄の表示パターンが主制御表示装置P50における普通図柄表示装置P53に停止表示されるよう、停止表示態様を示すLED点灯パターンを指定するためのデータを普通図柄表示装置P53のLED点灯パターンを記憶する記憶領域に格納する。そして、普通図柄の図柄固定時間(停止表示図柄を表示する時間)を普通図柄停止表示タイマに記憶するとともに、普通図柄ステイタスを「2:普通図柄停止表示中」に更新する。
《普通図柄停止表示中処理》
普通図柄停止表示中処理は、普通図柄ステイタスが「2:普通図柄停止表示中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通図柄停止表示中処理では、普通図柄変動中処理の終了時に図柄固定時間が設定された普通図柄停止表示タイマの値が「0」であるかの確認を行い、「0」となったタイミングにて、次の遊技動作に移るための設定を行う処理が行われる。
普通図柄停止表示タイマが「0」となったとき、今回の普通図柄抽選の結果が「当り」であった場合、当り図柄およびベース状態(普通電動役物の延長機能)の作動状態に応じて、普通電動役物P770の作動パターンを呼び出し、動作パターンを設定や、普通電動役物P770に係る入賞カウンタをクリアする等の設定をするとともに、普通図柄ステイタスを「3:普通電動役物作動中」に更新する。
一方、普通図柄停止表示タイマが「0」となったとき、今回の普通図柄抽選の結果が「はずれ」であった場合には、普通図柄ステイタスを「0:普通図柄待機中」に更新する処理を行う。
《普通電動役物作動中処理》
普通電動役物作動中処理は、普通図柄ステイタスが「3:普通電動役物作動中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通電動役物作動中処理では、普通図柄停止表示中処理において設定された普通電動役物P770の動作パターンに基づいて、普通電動役物の開放動作(入球容易態様への変化)および閉鎖動作(入球困難態様への変化)を制御するとともに、普通電動役物の作動終了条件の成立を監視する。普通電動役物P770の作動終了は、(ア)普通電動役物の終了条件として設定された規定数の普通電動役物入賞が発生した場合、(イ)予め設定された動作パターンの動作が終了した場合(普通電動役物の開放動作期間が終了した場合)である。
普通電動役物の作動終了条件が成立すると、普通電動役物の有効延長期間を記憶するタイマ領域に、予め普通電動役物P770の構造に対応して定められた一定時間の延長期間を計時する時間をセットする。そして、普通電動役物の作動終了デモに係る時間値を普通電動役物作動終了デモタイマにセットし、普通図柄ステイタスを「4:普通電動役物終了デモ中」に設定する。
《普通電動役物作動終了デモ処理》
普通電動役物作動終了デモ処理は、普通図柄ステイタスが「4:普通電動役物終了デモ中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通電動役物作動終了デモ処理では、普通電動役物作動中処理にて設定した普通電動役物作動終了デモタイマが「0」となるまで待機し、普通電動役物作動終了デモタイマが「0」となった場合に普通図柄ステイタスを「0:普通図柄待機中」に更新する処理を行う。
(始動口監視処理)
始動口監視処理は、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したデータより、特図1始動口スイッチP712および特図2始動口スイッチP722の立ち上がりデータが生成されている場合に、特別図柄抽選に係る保留の発生に係る処理を行う。(ステップ2024)
より具体的には、特図1始動口スイッチP712および特図2始動口スイッチP722の検出があった場合に、特別図柄抽選に係る保留の数を確認して、保留数が上限に満たない場合は、新たな保留として乱数を記憶可能であるため、保留数を格納している記憶領域のデータをインクリメント(+1)して保留数情報を1個増やした後、当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数を乱数生成回路から取得、あるいは現在の対応するソフト乱数を取得して保留として記憶する。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄として、第1特別図柄(特図1と称することがある)と第2特別図柄(特図2と称することがある)との2種類の特別図柄を設けているため、遊技盤P5に設けられた始動口のそれぞれに対し、対応する特別図柄の保留数および始動口スイッチのデータを呼び出して、始動口毎に保留数の加算、乱数の取得の処理が行われる。
また、処理対象とする始動口が、普通電動役物に係る始動口(電チュー)で構成される場合には、前述した有効期間設定処理にて普通電動役物P770に係る始動口入賞が有効期間内に行われたか否かを判断した上で有効期間である場合には前述した処理を行う。
なお、当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数を記憶する際、取得した乱数情報を事前に予告判定値テーブルを用いて、保留される各種乱数に基づく変動が実行される際の変動内容が事前に推測可能となる情報を生成し、演出制御基板P41に対して演出制御コマンドとして通知する(「事前判定コマンド」、「事前判定情報」、「先読み判定コマンド」と呼ぶ)。事前判定コマンドは、当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数それぞれに対して生成され、演出制御基板P41に送信されると、演出制御基板P41において、後述する「先読み演出」の実行に係る抽選に利用される。
(特別図柄制御処理)
特別図柄制御処理(ステップ2026)は、特別図柄ステイタス(「特図ステイタス」ともいう)と呼ばれる特別図柄を管理するための状態情報と、特別電動役物ステイタス(「特電遊技ステイタス」ともいう)と呼ばれる特別電動役物の作動状態を管理するための状態情報とによって、特別図柄の変動開始の管理(特別図柄変動開始監視制御処理)、特別図柄変動中処理、特別図柄停止図柄表示中処理のいずれかの処理を実行する。
特別図柄ステイタスには、「0:特別図柄変動待機中」、「1:特別図柄変動中」、「2:はずれ図柄停止表示中」、「3:大当り図柄停止表示中」、「4:小当り図柄停止表示中」の状態を有し、特別電動役物ステイタスには、「0:当り待ち中」、「1:特別電動役物作動中」、「2:大入賞口閉鎖中」、「3:大当り終了デモ中」、「4:小当り特電作動中」、「5:小当り閉鎖中」、「6:小当り終了デモ中」の状態を有する。なお、遊技機仕様によっては小当りを有しない場合もあり、その場合には小当りに関連したステイタスデータを持たない。そして、これらのステイタスに基づく制御は後述する。
特別図柄制御処理は、特別図柄を複数有する場合には、予め定められた順序(優先順位)に基づいて処理が行われる。予め定められた順序として、第2特別図柄を優先して制御する処理を行い、第1特別図柄および第2特別図柄の双方の保留が存在する状況下では、第2特別図柄の変動が先に開始される(第2特別図柄が優先して変動する)よう処理される遊技機仕様について、「第2特別図柄(特図2)優先消化制御」と呼び、前提とするぱちんこ遊技機Pの実施形態に係る説明では、このタイプのものに関する処理について例示して説明する。
特別図柄制御処理では、まず、第2特別図柄の制御を行う。第2特別図柄の制御を開始すると、まず第1特別図柄の特別図柄ステイタスと、特別電動役物ステイタスの情報を参照する。特別電動役物ステイタスが大当り遊技中または小当り遊技中を示すデータの場合(特別電動役物ステイタスが「0:当り待ち中」以外のとき)、第1特別図柄が変動中でありの第1特別図柄の特別図柄ステイタスが「0:特別図柄変動待機中」以外の場合には、処理を行うことなく処理を完了する。
第2特別図柄の制御を実行する状況である場合には、第2特別図柄に係る制御のタイマ値を更新する処理が実行される。タイマの更新は、タイマを記憶する記憶領域のデータをデクリメント(-1)する処理にて行われ、デクリメントした結果が負の値となる場合には「0」がセットされる。そして、タイマの更新が終了すると特別図柄2に対応する特別図柄ステイタスに基づいて、後述するサブモジュール処理が呼び出され実行される。なお、割込み処理中にもタイマ減算処理を有しているが、タイマ減算処理にて更新されるタイマに特別図柄制御処理にて更新されるタイマデータは含まれておらず、特別図柄制御処理において特別図柄に係る制御のためのタイマデータを管理している。
《特別図柄変動開始監視制御処理》
特別図柄変動開始監視制御処理は、特別図柄ステイタスが「0:特別図柄変動待機中」である場合に移行するサブモジュール処理である。
特別図柄変動開始監視制御処理では、対象として処理している特別図柄の保留があるか否かを確認し、保留が無ければ処理を終え、保留がある場合には続く処理が実行される。続く処理は、変動を開始する際に行われる特別図柄抽選である。特別図柄抽選は、まず設定値として格納しているデータを読みだして検査し、適切な設定値情報であるか否かを判定する。適切な設定値である場合には、遊技状態等を示す各フラグを記憶した領域のデータを参照して適宜抽選テーブルを選択し、当否抽選および図柄抽選、変動パターン抽選が実行され、抽選結果が記憶領域に格納されたのち、特別図柄ステイタスが「1:特別図柄変動中」に更新される。また、特別図柄抽選によって決定された内容は、演出制御基板P41に演出制御コマンド(当否コマンド、図柄コマンド、変動パターンコマンド)として送信され、特別図柄の変動表示に合わせて実行される変動演出の内容の決定処理(抽選処理)のための情報として利用される。なお、特別図柄抽選に関する詳細は後述する。
《特別図柄変動中処理》
特別図柄変動中処理は、特別図柄ステイタスが「1:特別図柄変動中」である場合に移行するサブモジュール処理である。
特別図柄変動中処理では、変動パターン抽選で決定した特別図柄の変動時間が経過するまで特別図柄の変動表示時間を管理するタイマを監視するとともに、残り変動時間が「0」になるまで、毎割込み更新される特別図柄表示切替タイマ(最大値「24」)により、25割込みごとに特別図柄の変動表示を示すために特別図柄表示装置(第2特別図柄表示装置P52(特図1の制御の時は第1特別図柄表示装置P51))の点灯表示パターンの切り替え処理を行う。
特別図柄の残り変動表示時間が「0」となると、ぱちんこ遊技機Pに接続する外部機器(データカウンタ―やホールコンピュータなど)に対して、特別図柄の変動表示が1回実行されたことを示す外部信号を出力するための情報の設定と、特別図柄の停止表示図柄を固定表示するための図柄固定時間を設定する処理と、当否抽選、図柄抽選の結果決定された停止表示図柄を示す停止表示図柄を特別図柄表示装置P52(P51)に表示させるための点灯パターンデータの設定とを行う。そして、当否抽選結果に応じて特別図柄ステイタスを「2:はずれ図柄停止表示中」、「3:大当り図柄停止表示中」、「4:小当り図柄停止表示中」のいずれかに設定する。
《特別図柄はずれ図柄停止表示中処理》
特別図柄はずれ図柄停止表示中処理は、特別図柄ステイタスが「2:はずれ図柄停止表示中」の場合に移行する処理である。
特別図柄はずれ図柄停止表示中処理では、特別図柄変動中処理において設定した図柄固定時間を管理するタイマの値が「0」となったかを確認し、「0」となった場合に処理対象となっている特別図柄の特別図柄ステイタスを「0:特別図柄変動待機中」に更新するとともに、特別図柄抽選に係る遊技状態(確率変動機能、電チューサポート機能、変動時間短縮機能)の残り遊技回数を更新するとともに終了条件成立に関する確認し、遊技状態移行条件の成立時には遊技状態の移行に係る制御(フラグオフなど)を行う。
《特別図柄大当り図柄停止表示中処理》
特別図柄大当り図柄停止表示中処理は、特別図柄ステイタスが「3:大当り図柄停止表示中」の場合に移行する処理である。
特別図柄大当り図柄停止表示中処理では、特別図柄変動中処理において設定した図柄固定時間を管理するタイマの値が「0」となったかを確認し、「0」となった場合に処理対象となっている特別図柄の特別図柄ステイタスを「0:特別図柄変動待機中」に更新するとともに、特別電動役物ステイタスを「2:大入賞口閉鎖中」に更新する。さらに、特別図柄抽選に係る遊技状態(確率変動機能、電チューサポート機能、変動時間短縮機能)を終了させるために、それぞれの残り回数情報格納領域および作動フラグ格納領域をクリアする処理を実行する。そして、大当り図柄に応じた大当り遊技を実行させるべく、大当り図柄情報より、前回大当り遊技中にデータとして使用していた各種記憶領域の情報を初期化し、大当り遊技中における特別電動役物P755の制御内容データのセットを行う。
特別図柄大当り図柄停止表示中処理では、さらに、演出制御基板P41に対して大当り遊技の演出(大当り開始デモ演出)を実行させるための演出制御コマンドを送信する処理を実行する。また、これらの処理に合わせて、主制御表示装置P50の構成要素の一つである右打ち表示灯P56(遊技領域の右側を狙って遊技球を発射させる右打ち遊技が推奨される遊技状態の時に点灯させるLED)を点灯させるための点灯パターンデータの設定も行われる。
《特別図柄小当り図柄停止表示中処理》
特別図柄小当り図柄停止表示中処理は、特別図柄ステイタスが「4:小当り図柄停止表示中」の場合に移行する処理である。
特別図柄小当り図柄停止表示中処理は、特別図柄大当り図柄停止表示中処理と同様、図柄固定時間の終了とともに、特別電動役物P755の作動に係るデータの設定、右打ち表示灯P56の点灯に係る設定処理を行う。また、本前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、小当り遊技の実行時(小当り図柄の停止表示)では、大当り図柄が停止したときとは異なり、特別図柄抽選に係る遊技状態(高確率状態または高ベース状態)を終了させる処理を有さず、特別図柄はずれ図柄停止表示中処理の処理と同様に、それぞれの遊技状態に対して終了条件を満たしたか否かの判定結果を基に遊技状態を制御する。また、これらの処理に合わせて特別電動役物ステイタスを「5:小当り閉鎖中」に更新する。なお、遊技機仕様によっては、変形例として、小当り遊技の実行に際して、大当り図柄停止時と同様に遊技状態(高確率状態または高ベース状態)を強制的に終了させる処理を有する仕様として設計することも可能である。
以上のサブモジュール処理の内いずれかの処理が選択的に実施されると、第2特別図柄の処理に続いて第1特別図柄の処理が行われる。第1特別図柄の処理については第2特別図柄の処理と参照する情報が相違するのみ(例えば、変動開始可能かどうかについて、第1特別図柄の特別図柄ステイタスではなく第2特別図柄の特別図柄ステイタスを参照して判断するなど)でほぼ同じ処理が繰り返されるのみであるため説明を割愛する。
《入球順消化制御、並列制御》
また、前述した特別図柄制御処理の説明においては、「第2特別図柄優先消化制御」に係る処理に基づいて説明したが、本前提とするぱちんこ遊技機と異なる遊技機仕様を採用する場合にあっては、異なる処理にて特別図柄制御処理を進行することも可能である。以下にその代表的なものについて簡単に説明する。
「入球順消化制御」は、第1特別図柄および第2特別図柄のそれぞれに対応する保留情報が発生した順番に1つずつ処理される遊技機仕様である。一方の図柄の変動中に他方の変動表示が行われることは無く、ある遊技状態において第1特別図柄に対応する保留球と第2特別図柄に対応する保留球との双方の保留球の発生が見込まれる場合に採用されることが多い仕様である。
「並列制御(並列消化)」は、前述した「第2特別図柄優先消化制御」や「入球順消化」とは異なり、同時に第1特別図柄と第2特別図柄の双方の変動表示を同時に行うことができるタイプの遊技機仕様である。2つの図柄を同時に消化することができるため、単位時間当たりの特別図柄抽選回数を増加させることが可能となる。なお、1の特別図柄の停止表示に伴い特別電動役物P755が作動する場合(大当り、小当りが実行される場合)、他方の図柄は強制的にはずれとして図柄を停止したり、変動表示の残り時間の減算を一時中断するような仕様が適宜採用される。一例として、1の特別図柄が大当りとなった場合には、他方の特別図柄を強制的にはずれとして停止表示する仕様や、1の特別図柄が大当りや小当りとなった場合には、他方の特別図柄の変動表示を一時中断する仕様を採用可能である。
(特別電動役物制御処理)
特別電動役物制御処理は、特別電動役物ステイタス(特電遊技ステイタスと称することがある)のデータ内容(値)によって、特別電動役物P755の作動に係るサブモジュール処理を実行し、特別電動役物の作動を管理する処理である(ステップ2028)。言い換えると、大当り遊技や小当り遊技を実行するに際して、大当り遊技、小当り遊技状態における各状態の制御を行い、大入賞口P751の開閉に係る制御を行う処理である。
前述したように、特別電動役物ステイタスには、「0:当り待ち中」、「1:特別電動役物作動中」、「2:大入賞口閉鎖中」、「3:大当り終了デモ中」、「4:小当り特電作動中」、「5:小当り閉鎖中」、「6:小当り終了デモ中」の状態を有している。
これら特別電動役物ステイタスのうち、「0:当り待ち中」のステイタス状態である場合には、遊技者の遊技によって未だ大当り遊技または小当り遊技の実行権利の獲得がなされていない状況であるため、特別電動役物制御処理は処理を行うことなく終了する。
そして、特別電動役物ステイタスが、「0:当り待ち中」以外である場合には、ステイタスに応じて後述するそれぞれの処理のいずれかが実行されることとなる。
《特別電動役物作動中処理》
特別電動役物作動中処理は、特別電動役物ステイタスが「1:特別電動役物作動中」または「4:小当り特電作動中」である場合に実行される処理である。本処理は、特別遊技において、いわゆるラウンド遊技(単位遊技)が実行されている状態(大入賞口P751が開放制御され得る状態)の処理である。
特別電動役物作動中処理では、まずラウンド遊技(単位遊技)の終了条件を充足したか否かを判断する処理が行われる。ラウンド遊技の終了条件としては、(ア)作動した特別電動役物に応じた規定個数(「カウント」とも呼ぶ)の入賞数が行われたか、(イ)実行される特別電動役物の作動パターンとしてセットされた開放時間(開放パターン)が終了したか、のいずれかを満たす場合に終了したものとして判断する。これらの条件を満たさない場合は、以後の処理を行うことなく今回の割込み処理における特別電動役物制御処理を終了する。なお、特別電動役物P755の作動パターン(開放パターン)の中には、複数回大入賞口P751を開閉させるパターンを有しており、これらのパターンが実行される場合には、1回のラウンド遊技中で(イ)の判断に使用するタイマが複数回「0」となる一方で、1回のラウンド遊技中の次の作動データがあるか否かを確認した上で、条件(ウ)「今回の単位遊技における次作動パターンデータなし」と判断した場合に上記(イ)を満たしたものと判断することとなる。
一方、ラウンド遊技の終了条件の上記(ア)、(イ)のいずれかを満たした場合には、続く処理として、大入賞口閉鎖時間を特別電動役物の閉鎖時間管理用タイマに記憶するとともに、特別電動役物ステイタスをインクリメントし「2:大入賞口閉鎖中」とする。そして演出制御基板P41に対し演出制御コマンドとしてラウンド遊技が終了したことを通知するためのコマンドデータをセットして終了する。
《大入賞口閉鎖中処理》
大入賞口閉鎖中処理は、特別電動役物ステイタスが「2:大入賞口閉鎖中」または「5:小当り閉鎖中」である場合に実行される処理である。本処理は、特別遊技において、いわゆるラウンド遊技とラウンド遊技との間である「ラウンド間」に制御されている状態の処理である他、大当り遊技や小当り遊技の開始時における初回ラウンドの開始前の状態である「大当り開始デモ(期間)」、「小当り開始デモ(期間)」に制御される状態のとき、あるいは最終ラウンドのラウンド遊技が終了した後に後述する当り終了デモ中処理が実行されることとなるまで待機する期間に制御されている状態のときに係る処理である。
大入賞口閉鎖中処理では、まず、特別電動役物作動中処理にて設定した大入賞口閉鎖時間が経過したか否かを判定し、閉鎖時間管理用タイマが「0」でない、すなわち閉鎖時間が経過していない場合は、今回割込みにおける特別電動役物制御処理を終了する。
大入賞口閉鎖時間が経過した場合、続いて先に作動が終了した特別電動役物P755の作動(ラウンド遊技)が、今回の当り遊技(大当り遊技、小当り遊技)における最終のラウンド遊技であったか否かを判断し、最終ラウンド遊技の終了時と、最終ラウンド以外のラウンド遊技終了時(または当り開始デモ時)とで異なる処理を実行する。なお、最終のラウンド遊技であったか否かを判断は、今回の当り遊技中に作動した特別電動役物P755の作動回数の累計データが、今回の当り遊技における特別電動役物P755の最大作動回数データを超えているか否かに基づいて判断するものであり、当り開始デモ時には特別電動役物P755の作動回数の累計データは「0」である。
大入賞口閉鎖中処理において、最終ラウンド遊技の終了時と判断した場合には、当りの種類(大当り、小当りを開始することとなった特別図柄の種類)に応じて当り終了デモの実行パターン(主として当り終了デモ時間データ)を読みだして設定する。そして、特別電動役物ステイタスをインクリメントし、「3:大当り終了デモ中」または「6:小当り終了デモ中」とし、演出制御基板P41に当り終了デモ演出を実行させるための演出コマンドをセットしてする。さらに、大入賞口P751の有効延長期間を設定するため有効延長期間として定められた時間値データを大入賞口P751の有効延長期間を管理するタイマに格納して終了する。
一方、大入賞口閉鎖中処理において、最終ラウンド遊技以外の終了時(または当り開始デモ時)と判断した場合には、演出制御基板P41に対する演出制御コマンドとして、次回のラウンド遊技が何ラウンド目であるかを識別可能とする情報(Nラウンド開始デモコマンド ※Nは整数)と、当り遊技中の推奨発射位置(前提とするぱちんこ遊技機では、遊技盤の右側領域P501R(右打ち領域))を指示するための情報(右打ちコマンド)を送信する。
そして、特別電動役物ステイタスをデクリメントして「1:特別電動役物作動中」または「4:小当り特電作動中」に更新し、ラウンド遊技中の大入賞口P751への遊技球の入賞数をカウントするためのデータ領域のデータを初期化する。そして、ラウンド遊技中の大入賞口P751の一回目の開放(またはラウンド遊技開始直後の閉鎖)に係る時間値を、ラウンド遊技における大入賞口P751(特別電動役物P755)の作動パターンデータをセットし、特別電動役物P755の累計作動回数に関する記憶領域のデータをインクリメントする。
(賞球制御処理)
賞球制御処理は、遊技盤P5に配置された入賞口に対する遊技球の入賞に対して、遊技者に賞球として遊技球を付与するための処理である。処理内容としては、次に示す3つのサブモジュール処理を実行する構成である。(ステップ2030)
《払出データ受信監視処理》
払出データ受信監視処理は、払出制御基板P43から主制御基板P40に対して送信される賞球払出の実行に係る制御コマンドの有無を確認し、送信されたコマンドを受信(記憶)する処理である。主制御基板P0は、払出制御基板P43から送信された情報を2つのレジスタ(記憶領域)に格納している。そして1のレジスタは、ステイタスレジスタと呼ばれ、払出制御基板P43から送信された情報があるか、および送信された情報が正常に送信されたものであるか否かを判断するための情報が格納されている。そして他方のレジスタは、データレジスタと呼ばれ、払出制御基板P43から送信された払出制御に関する制御内容の情報が格納されており、ステイタスレジスタが異常でなければデータレジスタのデータを払出制御情報として記憶領域に記憶する。
《払出コマンド要求処理》
払出コマンド要求処理では、入賞監視処理(ステップ2018)で記憶した、各種入賞口の入賞回数データを記憶する入賞口毎の入賞カウンタデータを確認し、未払出の入賞の有無を確認する。当該確認処理は入賞口毎に予め定められた順序で確認し、1の入賞口に対して入賞カウンタのデータが「0」でないと判断した場合に、該当する入賞口の賞球数に応じて、払出制御基板P43に対して遊技球の払出を実行させるための制御コマンドを送信する処理を行う。この処理によって、複数の入賞口に対する入賞カウンタデータが「0」でない場合であっても、1割込みで払出制御基板P43に対して送信される払出制御コマンドは1つに制限される。
《払出コマンド制御処理》
払出コマンド制御処理では、正常に払出数に関する情報を払出制御基板P43が受信したか否かのチェックが行われ、この処理にて正常にコマンドを受信するか、何らかの異常で通信エラーと判断されることとなる。払出コマンド制御処理にて、コマンドの受信状況が確定する(正常に受信完了したかエラーであるか判断される)までは、払出コマンド要求処理における次の払出制御コマンドの送信は、払出コマンド要求処理および払出コマンド制御処理内でそれぞれオンオフの設定がされるフラグデータにより一時中断される。
(異常検知処理)
異常検知処理は、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて不正検出のために設けられたセンサの情報より異常の発生有無を確認する処理である。(ステップ2032)
より具体的には、振動センサP72、磁気センサP73、電波検知センサP74、枠開放センサP131といったセンサの入力に関し、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成した入力情報を基に異常の発生している状況であるか否かについて判断する処理である。また、各種センサ以外にも電気的な接続のためのハーネスが抜去されていたり、配線上の短絡(ショート)なども検出対象として有している。
そして、いずれかの判断情報に対し異常データが存在する場合には、対応するエラーフラグをオンとするようにして記憶した後、演出制御基板P41に対する演出制御コマンドとしてエラー情報を通知するコマンドをセットする。
(センサ検出判定処理)
センサ検出判定処理は、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したセンサやスイッチの検出データ(レベルデータ)より、センサやスイッチの検出が連続して行われた期間を判断し、処理を行うフラグを成立させる処理である。(ステップ2034)
センサ検出判定処理では、対象のセンサ、スイッチの検出データ情報のレベルデータがオンである場合に、対応するスイッチの連続オン入力期間をカウントするためのデータをインクリメントして更新し、各種処理の実行開始条件を満たしたか否かを判定し、条件が成立した場合に監視対象のスイッチに応じた処理が実行される。監視対象のスイッチがオンデータでなくなった場合、連続入力期間をカウントしているデータを初期化する(「0」に更新する)。
例えば、入賞口に設けられた入賞口検出スイッチにおいて連続的にスイッチがオン状態である旨を検出している場合は、球詰まりが発生していると判断して、エラー状態に制御し、演出制御コマンドとして演出制御基板P41に対しエラー報知を行わせるためのコマンド情報をセットする処理や、外部装置(ホールコンピュータ等)にエラーの発生を報知するための信号データの生成および出力要求を行う。
なお、本処理において検出対象とするスイッチは、ハンドルP204に設けられたタッチセンサスイッチや、不正検出のためのスイッチなどもあり、人為的操作によるものか電気的なノイズによるものかを判別するために一定期間のオンデータの入力が必要なセンサ等についても対象としている。
(遊技状態表示処理)
遊技状態表示処理は、主制御表示装置P50において遊技の進行に関する情報を表示するための点灯データを生成する処理である。なお、表示処理という名称であるものの、主制御表示装置P50に対する表示内容の出力は本処理ではなく後述するLED出力処理にて行っている。(ステップ2036)
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、一例としてエラー状態であることを示すエラー表示灯(状態表示灯P55)、特別図柄抽選に係る保留数を表示する特別図柄保留表示灯(特図1保留表示灯P61、特図2保留表示灯P62)、普通図柄抽選に係る保留数を表示する普通図柄保留表示灯P63などの点灯データ(点灯パターン)を生成して、LED出力処理にて出力されるデータとして格納する。
なお、遊技状態表示処理において、点灯制御されるLED表示灯に関し、点滅表示が必要な場合には、対応するLEDに関する表示切り替えカウンタの更新およびカウンタ値と閾値との比較による点灯パターンの切り替え処理が行われる。例えば、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄抽選の保留数は、最大4つまで保留可能であるものの、2つのLED表示灯で特別図柄保留表示灯が構成(特図1保留表示灯P61、特図2保留表示灯P62のそれぞれに2つずつのLEDを備える)されるため、3以上の保留数がある場合には、少なくとも1のLEDに関して連続的な点灯表示ではなく、点滅表示を行う仕様となっている。
(出力ポート出力処理)
出力ポート出力処理は、主制御基板P40に接続した遊技盤P5上の動作デバイスである電動役物や、払出制御基板P43などに遊技動作に関する信号を送信する設定を行う処理である。(ステップ2038)
より具体的には、普通図柄制御処理中や特別電動役物制御処理中に、普通電動役物ないし特別電動役物の作動パターンが設定されると、出力ポート出力処理中の処理によって、普通電動役物駆動手段P71、特別電動役物駆動手段P72(前提とするぱちんこ遊技機では、ソレノイド)に対し、各電動役物を開放動作(あるいは閉動作)させるための信号データが出力される。
また、払出制御基板P43に対しては、遊技者のハンドル操作に基づく遊技球の発射を許可あるいは禁止するための制御信号(発射許可信号)を出力ポート出力処理にて生成して出力する。発射許可信号は、払出制御基板P43との通信状態や、遊技停止を要するエラーの発生状況に応じて出力内容が設定される。
(演出制御コマンド送信処理)
演出制御コマンド送信処理は、演出制御基板P41に対し演出制御コマンドを出力する処理であり、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御コマンド送信処理においてのみ演出制御コマンドが演出制御基板P41に対して送信される仕様となっている(ステップ2040)。なお、送信する演出制御コマンドの設定に関しては、他の処理中において未送信演出制御コマンドとして所定の記憶領域に設定(セット)されるものとなっている。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、未送信の演出制御コマンドを記憶する領域として、リングバッファと呼ばれる記憶先を循環参照する記憶領域を用いている。リングバッファと呼ばれる記憶領域では、演出制御コマンドの書き込み(セット)と演出制御コマンドの読み込み(送信)とのそれぞれの処理によって更新される、「書き込みポインタ」、「読み込みポインタ」と呼ばれる次回の処理においてコマンドを書き込む記憶領域のアドレスおよびコマンドを読み込む記憶領域のアドレスを算出するための情報を用いて演出制御コマンドの書き込みおよび読み込みを実行する仕様となっている。
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御コマンドの構成がコマンドの種類を示すMODEデータと、コマンドの内容を示すEVENTデータの2つのデータにより構成されている。
演出制御コマンド送信処理の具体的な処理内容の説明に戻り説明を行う。演出制御コマンド送信処理では、まず前述した書き込みポインタと読み込みポインタの情報が一致しているか否かを確認し、一致している場合は送信する演出制御コマンドはないと判断して処理を終了する。一方で、書き込みポインタと読み込みポインタのデータが一致しない場合、送信すべき演出制御コマンドが存在すると判断して次の処理へ移行する。
送信すべき演出制御コマンドがあると判断した場合、読み込みポインタのデータから算出される主制御基板P40の記憶領域のアドレスよりMODEデータおよびEVENTデータを呼び出し、それぞれ主制御基板P40のCPUにおけるレジスタに一時格納し、読み出し先のリングバッファにおける演出制御コマンドをクリアした後、読み出しポインタの値を次の処理時に使用する値に更新する。
演出制御コマンドとして、主制御基板P40のレジスタに格納されたMODEデータおよびEVENTデータは、順番に演出制御基板に送信P41されることとなる。まずMODEデータを、演出制御基板P41に対する演出制御コマンドを送信するための出力ポートである演出コマンド出力ポートにセットし、演出制御基板P41に読み取り動作を行わせるためのストローブ信号を出力する。主制御基板P40は、続いてEVENTデータを出力することとなるが、MODEデータを演出制御基板P41が受け取るまでに十分な期間を確保するため26μsの待機時間を挟む処理を行った後、MODEデータ送信時と同様に、EVENTデータの出力ポートへの設定およびストローブ信号の出力を行う。演出制御基板P41は、ストローブ信号を確認すると演出制御コマンド受信割込みを発生させ、主制御基板P40から送信される演出制御コマンドを受信する。
(外部情報出力処理)
外部情報出力処理は、前提とするぱちんこ遊技機Pに接続する外部機器(データカウンターやホールコンピュータ)に対し、外部情報出力端子77より遊技状況に関する情報や、エラー発生などセキュリティに関する情報を信号として出力する処理である(ステップ2042)。外部情報出力端子77より出力される信号は、主制御基板P40の出力ポートにセットされたデータに基づいて出力され、信号出力の契機が発生した場合に一定期間のオン電位であるパルス信号を送信するものや、信号出力が終了する条件を満たすまでオン電位を出力し続けるもの等がある。
外部情報出力処理では、まず、遊技状態に関する信号を生成する。遊技状態に関する信号として、特定遊技状態の種類を識別可能とするために、前提とするぱちんこ遊技機Pでは確率変動機能の作動状態(確率状態)、電チューサポート機能の作動状態(ベース状態)に対応する情報と、特別遊技中(大当りや小当り)であることを示す情報とを参照し、各遊技状態に制御されている場合には、対応するデータが送信されるよう、外部出力データを更新する。なお、ここで例示したものに限らず、遊技機の仕様によっては、変動時間短縮機能の有無を示す情報や、特定の種類の大当りの場合であることを示す情報を基に出力信号を生成する場合があってもよい。
また外部情報出力処理で出力される出力信号として、遊技状態に係る信号のみでなく、予め定めた遊技結果の発生に基づいた情報が出力される。例えば、特別図柄の変動表示が実行され、停止表示されるたびに送信される信号(「図柄固定信号」とも呼ぶ)や、始動口スイッチ(特図1始動口スイッチP712、特図2始動口スイッチ722)や大入賞口スイッチP752など各種入賞口に対する遊技球の入球の検出がなされる度、あるいは、各種入賞口に対する入球に基づく賞球の払い出しが所定個数(例えば10個)に到達する度に、外部出力データにデータがセットされ、外部機器に対して送信される信号などがある。これらの信号は主にパルス信号で構成され、1の信号を128msのオン電位が続くパルス信号で送信するものであるが、複数回の遊技結果が連続して発生した場合には、1回のパルス信号の出力が終わった後、一定期間のオフ電位出力を挟んだ後、再度パルス信号を出力する仕様となっている。
また、外部信号出力処理では、前述した異常検知処理(ステップ2032)で確認した結果としてのエラーフラグを記憶した記憶領域のデータと、セキュリティ報知の必要なエラーの発生有無を確認するための比較データとを演算、比較してセキュリティ信号を出力する必要があると判断した場合は、外部出力データのセキュリティ信号に対応するビットをオンとするよう、出力ポートにセットする出力データを更新する。
(LED出力処理)
LED出力処理は、主制御表示装置P50を構成する複数のLEDに対し、点灯パターンを示すデータを出力して、LEDを発光させ、遊技の進行状況、遊技状態を表示するための処理である。(ステップ2044)
主制御表示装置P50を構成するLEDは、第1特別図柄表示装置P51(LED8個)、第2特別図柄表示装置P52(LED8個)、第1特別図柄保留表示灯P61(LED2個)、第2特別図柄保留表示灯P62(LED2個)、普通図柄表示装置P53(LED2個)、普通図柄保留表示灯P63(LED2個)の他、ラウンド表示灯P54、状態表示灯P55、右打ち表示灯(合計8個のLED)の計32個のLED表示部を有する。
なお、状態表示灯P55とは、複数の遊技状態に関する表示灯を一括であらわしたものであり、詳細には確率変動機能の作動有無を示す特図確変表示灯や、普通図柄の確変機能の作動有無(電チューサポート機能の作動有無)を示す普図確変表示灯、エラー状態を示すエラー表示灯などの表示灯のことを指す。
LED出力処理では、主制御表示装置における表示部の点灯データを割込み処理毎に1バイト分ずつ出力ポートにセットして主制御表示装置P50を点灯するよう構成しており、割込み処理毎に更新されるデジットカウンタという値に基づいて、今回の割込みで点灯させる主制御表示装置P50のLEDを選択し、遊技状況に応じた点灯パターンデータを選択し、表示データとしてセットして各LEDを点灯制御するようになっている。
すなわち、前提とするぱちんこ遊技機Pでは主制御表示装置P50を32個のLEDに対し、少なくとも4回の割込み処理を使って順番に点灯データを出力するダイナミック点灯方式にて主制御表示装置P50を制御している。
また、LED出力処理では、上記の主制御表示装置P50として遊技者が視認すべきLED表示以外に、遊技停止フラグが設定変更状態、設定確認状態、復帰不可能エラー状態である場合にのみ点灯制御されるLED表示の点灯制御も行っている。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、遊技停止フラグに何らかの遊技停止状態を示すフラグが格納されている場合、主制御表示装置P50に対する点灯パターンデータの設定は省略されるようになっており、設定変更中、設定確認中、復帰不可能エラー中は主制御表示装置を構成するLEDは全消灯状態となっている。変形例として、遊技停止フラグのセットの際に、各状態に対して設定される固定的な点灯パターンを用いて発光表示を行ってもよく、例えば設定変更中である期間に主制御表示装置P50を構成するLEDを全点灯させるように構成してもよい。
(領域外制御処理)
領域外制御処理は、ぱちんこ遊技機の試験に利用する信号の出力を行う試験信号出力処理(ぱちんこ遊技機の試験に利用する信号の出力を行うための処理)と、性能表示装置の表示に係る制御を行う処理によって構成される(ステップ2046)。「領域外」の意味として、ぱちんこ遊技機の規則に定めるプログラム記憶領域の容量の計算に含まれない記憶領域のプログラムによって実行される処理であることを示す。
試験信号出力処理では、ぱちんこ遊技機Pの試験端子P78から外部の試験用機器に対して出力するための遊技結果や遊技状態に係る情報を出力ポートにセットする処理が行われる。性能表示処理では、遊技状態の確認処理を行い、アウト球の計数、アウト球と賞球の数との比率(ベース)を計算して、表示データとして更新し、性能表示装置P59に対して表示出力を行う処理である。
[特別図柄抽選]
続いて、主制御基板P40のCPUにて実行される特別図柄抽選に関し、図10から図14を用いてその詳細を説明する。「特別図柄抽選」は、主として「当否抽選」、「当り図柄抽選」、「変動パターン抽選」にて構成される。
(当否抽選)
「当否抽選」は、実行される特別図柄抽選の結果に基づき特別電動役物P755を作動させる結果となるか否かを決定する抽選であり、より簡単に説明すれば、特別図柄の抽選結果として、「大当り」、「小当り」、「はずれ」のいずれであるかを決定する抽選である。なお、ぱちんこ遊技機Pの仕様によっては、当否抽選の抽選結果として「小当り」を有しないものも存在する。また、第1特別図柄と第2特別図柄とを有するよう構成した場合、一方の特別図柄に関する当否抽選の抽選結果として「小当り」を有しており、他方の当否抽選の抽選結果として「小当り」を有しないよう構成してもよい。
当否抽選は、始動口(第1始動入賞口P711、第2始動入賞口P721など)に遊技球が入球した際に取得され記憶される乱数のうち、「当否乱数」と呼ばれる乱数値を用いて抽選を行う。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、当否乱数の取り得る乱数値の範囲(乱数値範囲)は、「0」から「65535」までの65536通りであり、いわゆる2バイト乱数で構成されている。当否抽選が行われる場合、この乱数値の値と、遊技状態や設定値に応じた当否抽選に使用する抽選テーブル(「当否抽選テーブル」と呼ぶ)との比較により、当否抽選の結果を決定する処理を行う。
図10には、当否抽選に使用する抽選テーブルをいくつか例示している。図10の(A)は設定値「1」かつ低確率状態における当否抽選テーブルを示し、図10(B)は設定値「1」かつ高確率状態における当否抽選テーブルを示す。図10の(C)、(D)は、それぞれ設定値「6」であるときの低確率状態、高確率状態における当否抽選テーブルを示している。
例えば、図10(A)の当否抽選テーブルを使用して当否抽選を実行する状況において、今回の特別図柄抽選における当否乱数が、第1特別図柄(特図1)に対応する乱数であり、乱数値が「1500」であったと仮定し、当否抽選の流れを説明する。
まず、最初の当否抽選結果として大当りの乱数値範囲(「0」から「327」)に属するか否かを判定する。具体的には、今回の当否乱数の乱数値「1500」から、判定対象の大当りの乱数値範囲「328」を減算する処理を行う。このとき、減算結果は「1172」であり、負の値とはならないため、今回の当否乱数は、大当りの乱数値範囲には属さないと判定する。
続く処理として、先の大当り判定の演算後の乱数値「1172」と、当否抽選テーブルの続く当否抽選結果の判定領域として、はずれの乱数値範囲(「328」から「65370」)の比較を行う。より具体的には、当否乱数の一次データ「1172」から、判定対象のはずれの乱数値範囲「65043」を減算する。このとき、演算結果は負の値となるため、当否抽選結果として、「はずれ」の結果に対応した情報が記憶される。
仮に、今回の当否乱数「1500」について、高確率状態において特別図柄抽選が行われた場合には、図10(B)に示す当否抽選テーブルにて抽選されることとなり、最初の大当りの乱数値範囲(「0」から「1639」)に属するか否かを判定する。このときは、当否乱数と乱数値範囲との比較演算(減算)の結果は、負の値となるため、当否抽選結果は「大当り」であると判定される。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、このように、乱数値として取得したデータと、抽選テーブルの抽選結果に応じた乱数値範囲を順次比較していく手法により、抽選結果を判定する手法を採用しており、後述する当り図柄抽選および変動パターン抽選についても同様の抽選方法を採用するものである。なお、抽選方法は、上記した例に限らず、大当りとなる乱数値と一致するか否かを取得した乱数値と直接判定するような手法を採用してもよく、抽選内容ごとに異なる抽選方式を採用するものであってもよい。
(当り図柄抽選)
「当り図柄抽選」は、前述した特別図柄抽選の当否抽選結果を受けて、その後の特別電動役物P755の作動に係る制御内容や、後述する変動パターン抽選の抽選テーブル(図12から図14参照)の切り替えに必要な抽選結果としての特別図柄の停止表示図柄を決定する処理である。
図11には、当否抽選結果が「大当り」である場合に、当り図柄抽選で使用される大当り図柄抽選テーブル(図11(A)参照)や、当否抽選結果が「小当り」である場合に、当り図柄抽選で使用される小当り図柄抽選テーブル(図11(B)参照)や、当否抽選結果が「はずれ」である場合に、当り図柄抽選で使用されるはずれ図柄抽選テーブル(図11(C)参照)が示されている。
当り図柄抽選に使用される、「図柄乱数」は、乱数値範囲を「1000」(「0」から「999」)として構成しており、2バイトデータで表現した場合に、上位1バイトが「0」から「3」、下位1バイトが「0」から「255」で表現されるデータである。
当り図柄抽選を具体例にて説明すると、例えば、当否抽選結果が大当りである場合において、図柄乱数が「400」(上位バイトが「1」、下位バイトが「144」)の時の第1特別図柄に対する当り図柄抽選の場合には、図11(A)に示す上位1バイト「1」の抽選テーブルを用い、下位バイト「128」から「191」に該当する「5R(5ラウンド)確変2」が抽選結果として得られることとなり、特別図柄の変動表示にあたって、停止表示図柄として「5R確変2」図柄が第1特別図柄表示装置P51(第2特別図柄抽選の場合は、第2特別図柄表示装置P52)に停止表示される。
そして、「5R確変2」図柄が第1特別図柄表示装置P51に停止表示された場合、「5R確変2」図柄に対応した大当り遊技が実行されることとなる。このとき、第1特別図柄表示装置に「5R確変2」が停止表示図柄として表示された場合と、「5R確変1」が停止表示図柄として表示された場合とで、5ラウンドの大当り遊技の各ラウンド遊技の内容(大入賞口P751の開放パターンや開放時間など)を停止表示図柄に基づいて異ならせてもよく、また大当り遊技後に移行する特定遊技状態における制御内容を異ならせるよう制御することも可能である。これらの大当り遊技、特定遊技状態における制御の割り当ては、ぱちんこ遊技機Pごとに仕様(スペック)に応じて遊技性を実現するために適宜定められるものであり、その詳細な説明は割愛する。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、図11(A)に示した抽選によって、大当りの種類ごとにまとめた図柄を表示するように記載しているが、例えば先の例において、抽選結果「5R確変2」という、大当りの種類を決定した後、さらに該当する種別の大当りを実行することとなる停止表示図柄を複数のパターンから別の抽選を行って決定するように、大当りの種別の決定、停止表示図柄の決定と2段階で当り図柄抽選が実行されるものであってもよい。
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、図11(A)に示すように、第1特別図柄と第2特別図柄のそれぞれに関する特別図柄抽選において、当り図柄抽選にて大当り図柄を決定する場合に、決定され得る当り図柄の種類が異なるように構成されている。より具体的には、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、第2特別図柄の大当りでは、「10R確変5」ないし「10R確変8」が決定される可能性が増えており、第1特別図柄の当り図柄抽選よりも、ラウンド数の大きな大当りに当選しやすく、特定遊技状態として高確率/高ベース状態へ移行することとなる大当りに当選しやすい仕様となっていると言える。
図11(B)には、小当り図柄抽選テーブルが例示されている。小当り図柄抽選テーブルは、特別図柄抽選の当否抽選の結果が「小当り」である場合に、当り図柄抽選にて参照されるテーブルであり、抽選の手法は、前述した大当り図柄抽選テーブルの時と同様である。
図11(B)に図示した小当り図柄抽選テーブルでは、そのほとんどが「小当り1」図柄に当選するものとなっており、第2特別図柄の当否抽選結果として「小当り」となった場合の一部において「小当り2」が決定され得るようになっている。なお、小当り図柄に関しては1種類であってもよいし、3種類以上の図柄を決定可能に構成してもよい。
前提とするぱちんこ遊技機Pのように、小当り図柄を複数設けることの目的の一例としては、単純に小当り遊技中の大入賞口P751の開放態様を変更することで獲得可能な遊技球数を異ならせたり、例えば小当りVを遊技機仕様(スペック)として採用するぱちんこ遊技機Pにおいて、特定領域にV入賞しやすい小当り遊技とV入賞が困難となる小当り遊技とを切り分けるために小当り図柄を差別化したり、V入賞後の大当り遊技の実行後に移行する特定遊技の種類を切り分けるために小当り図柄を異ならせるなどの態様が実行されることを目的とすることが挙げられる。
図11(C)には、はずれ図柄抽選テーブルが例示されている。はずれ図柄抽選テーブルは、特別図柄抽選の当否抽選の結果が「はずれ」である場合に、当り図柄抽選にて参照されるテーブルであり、抽選の手法は、第1特別図柄に関して前述した大当り図柄抽選テーブルの時と同様であり、第2特別図柄に関しては異なる手法となっている。
より具体的には、図11(C)には、第1特別図柄に対するはずれ図柄抽選テーブルのみが表されており、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、はずれ図柄抽選テーブルとして第1特別図柄である場合のみ抽選処理を行い、停止表示図柄として「はずれ1」または「はずれ2」のいずれかを停止表示図柄として決定する。
「はずれ2」図柄は、第1特別図柄のはずれ時において、およそ6.4%の確率で当選するはずれ図柄であり、「はずれ2」が当選している場合、変動パターン抽選において、リーチとなりやすい特殊な抽選テーブル(不図示)を参照して、変動パターン(変動時間)を決定しやすくするよう構成されている。そのため「はずれ2」に関し、「リーチはずれ図柄」などと称する場合もある。
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、第2特別図柄のはずれ図柄抽選テーブルを有さず、いかなる図柄乱数である場合においても1のはずれ図柄が決定されるようになっており、図柄乱数とテーブルの比較処理自体を省略し、1のはずれ図柄を記憶するよう構成している。なお、必ず1の図柄に当選する抽選テーブルを用いてはずれ図柄に当選するように構成してもよい。
(変動パターン抽選)
「変動パターン抽選」は、特別図柄の抽選結果である停止表示図柄を停止表示するまでの変動表示時間を抽選により決定する処理である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出表示装置P80において大当りであるか否か、大当りである場合について大当りの種類は何かに関する演出報知を行うため必要な演出時間として特別図柄抽選において、特別図柄の変動表示時間を後述する変動パターンテーブルを使用して決定する処理を行っている。
図12には、主として通常遊技状態(低確率/低ベース中)、低ベース状態(非電チューサポート状態)、すなわち前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて遊技盤の左側領域P501Lに遊技球を発射することが推奨される状態の「低ベース中変動パターン抽選テーブル」を表している。
図12に示される、「ID」は、変動パターン抽選を行った結果として記憶される情報を表しており、「変動パターン」は、同IDが当選した場合に演出表示装置P80にて表示される変動の演出の態様の代表例を示している。「変動時間」は、対象の変動パターン抽選の結果(変動パターンID)における特別図柄の変動表示時間値であり、特別図柄が変動表示してから停止表示されるまでの時間を表している。
図12における「保1変動」から「保4変動」は、特別図柄抽選の実行条件を満たした状況における保留数を示しており、当否抽選結果が「はずれ」であり、対象の特別図柄(ここでは第1特別図柄)の保留球がN個であったとき、「保N変動」の変動パターンテーブルを使用して変動パターン抽選が実行される。すなわち、低ベース状態における第1特別図柄の変動パターン抽選は、保留数に依存して使用する変動パターンテーブルを異ならせるように構成されている。なお、保留がない状態において、始動入賞口へ遊技球が入球した場合は、処理上一旦保留として格納されるため、「保1変動」の変動パターンテーブルを使用して変動パターン抽選が実行される。
一方図12中に示すように第2特別図柄に対応する変動パターン抽選は保留数に非依存であり、いかなる保留数である場合においても共通の抽選テーブルを使用するよう構成されている。なお、不図示ではあるが、図柄抽選の結果「はずれ2(リーチはずれ図柄)」が決定されている場合は、第1特別図柄の変動パターン抽選であっても、保留数に依存しない1の変動パターンテーブル(はずれ2用変動パターンテーブル)を使用して変動パターン抽選を行うよう構成されている。
図12における「10R確変」、「5R確変」、「10R通常」、「5R通常」は、低ベース状態における、大当り時の変動パターン抽選に使用する変動パターンテーブルを示すものであり、当否抽選結果が「大当り」となり、図柄抽選結果がいずれの図柄であるかに応じて適宜変動パターンテーブルを選択して抽選が行われることを表している。図12では、第2特別図柄は低ベース状態における遊技の主体でないために、大当り変動パターンテーブルを大当り図柄に依存しない形で決定するように表現しているが、第2特別図柄の大当りについても、大当りの種別に応じて複数パターン有していてもよい。
ここで、図12を用いて、低ベース状態における変動パターン抽選の具体例を説明する。具体例として、第1特別図柄の抽選であって、変動パターン乱数が「30000」、変動開始時の保留球数が3個である状況(変動開始後は保留数2個となる状況)であって当否抽選結果および当り図柄抽選が「はずれ1」となる状況について説明する。
まず、変動開始時の保留数が「3」であることから「保3変動」の変動パターンテーブルを使用する。抽選処理は前述した当否抽選における抽選処理と同様、変動パターン乱数と、各抽選結果の変動パターンIDに対応する乱数値範囲を比較演算(減算)し、同範囲に乱数が属するか否かを判定する。本処理を行うことによってID「2」の通常変動Bのタイミングで、変動パターン乱数と乱数値範囲との比較演算を繰り返した結果が負の値となり、同IDが変動パターン抽選として決定され、特別図柄の変動表示として7秒の変動表示が行われた後、第1特別図柄表示装置P51にはずれ図柄1が表示されることとなる。
続いて、図13を用いて高ベース状態における変動パターンテーブルについて説明する。高ベース状態における変動パターンテーブルの構成は、図12に示した低ベース状態における変動パターンテーブルと対象的な構成となっており、第2特別図柄に対して保留数依存となるはずれ時の変動パターンテーブル、大当り時の大当り図柄別テーブルを有するように構成されている。なお、図12と図13にて、多くの変動パターンが共通して決定され得るように構成されているが、これは説明を簡略化する目的でもあり、低ベース状態と高ベース状態とで決定される変動パターンの重複はごく少数であったり、全く重複しないように構成することも可能である。
また、高ベース状態における変動パターンテーブルの特徴として、はずれ時の第2特別図柄の「保3変動」および「保4変動」の抽選結果として、前提とするぱちんこ遊技機Pの最短変動時間となる2秒変動(変動パターンID「12」)が決定可能に構成されている。
さらに高ベース状態における変動パターンの特徴点として、第1特別図柄の抽選については、必ず変動パターンID「4」の10秒変動が決定されるよう構成されている。第1特別図柄を10秒の変動で構成する理由として、図11に示した大当り図柄抽選テーブルにて、大当りした場合の遊技者利益が大きい(実行ラウンドが多いことによる獲得出玉期待値が高いこと、特定遊技状態として確率変動状態に移行する大当り図柄が多いこと)ことに起因しており、第2特別図柄に対応する変動表示を優先して数多く実施することで、遊技者により有利な大当りを獲得可能とすることを目的としている。また、第1特別図柄と第2特別図柄の大当り遊技の有利度合いに差がほとんどない場合であっても、第2特別図柄優先消化制御を採用していることに基づいて、第1特別図柄が変動表示されることを避け、有利な状態である特定遊技状態(高ベース状態)が終了するまで、通常遊技状態(低ベース状態)にて成立した保留を保持しやすく、高ベース状態において第2特別図柄の保留を発生するのに使用する遊技球の量に対し、低ベース状態で第1特別図柄の保留を生起させるために多量の遊技球を要することを避ける目的もある。
図14は、限定期間における特殊テーブルを示す図であり、特定の期間において参照される特殊な変動パターンテーブルを表している。図14には、前提とするぱちんこ遊技機Pに備えられる特殊な変動パターンテーブルの一例として、3つの期間の特殊な変動パターンテーブルを包括して記載している。
より具体的には、図14には、大当り後の1変動目から4変動目までの期間(大当り時に存在する4つの保留で大当りとなる、いわゆる「保留連」(保留内連荘)と呼ばれる期間)に参照する「保留内連荘テーブル」(ID「51」、「71」が対象)と、大当り後のn回目からm回目の変動において参照され、55秒となるリーチ変動が選択されやすい高頻度リーチテーブル(ID「52」、「53」、「54」、「72」が対象)と、高ベース状態の最後の変動表示にて参照され、主に後述する「リザルト演出」が実行されることとなる「リザルト変動テーブル」(ID「55」、「73」が対象)が、前提とするぱちんこ遊技機Pに備えられていることが示されている。
このように、限定的な期間に参照される特殊な変動パターンテーブルのことを、「特殊変動パターンテーブル」や「限定頻度(パターンテーブル)」などと称する。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、限定頻度パターンテーブルの参照期間を、大当り遊技(特別電動役物の作動、言い換えると役物連続作動装置の作動)の後の定められた期間において参照可能に構成している。これらの参照期間について、大当りの種類(大当り図柄)によって、参照有無を異ならせたりすることも可能であり、小当り遊技に基づく特別電動役物の作動後の特定の期間において、参照する期間を異ならせるように構成することも可能である。いかなる状況でどのような特殊変動パターンテーブルを参照するかは、ぱちんこ遊技機毎に適宜設定可能なものであり、例示したものに限らず、必要があればその詳細を別途の記載で説明することとする。
次に、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける演出動作に係る制御を行う演出制御基板P41の制御に関する説明を行う。なお、演出制御基板P41の動作制御は、遊技機の型式試験上における制約は少なく、主制御基板P40の制御と比較して設計の自由度が高いものであるため、以下の説明で説明される処理のみに制限されるものでなく、処理が行われるタイミングについても適宜変更可能である。
[演出制御基板の電源投入処理~メインループ処理]
前提とするぱちんこ遊技機Pは、遊技機の電源が投入されると演出制御基板P41のCPUにおいて、電源投入処理(ステップ4000)が実行する。ここで、演出制御基板P41の電源投入処理に関し図15に沿ってその詳細を説明する。
前提とするぱちんこ遊技機Pの演出制御基板P41において電源投入処理(ステップ4000)が開始されると、演出制御基板P41上に設けられた演算装置であるCPUの動作に係る初期設定処理が行われる(ステップ4002)。初期設定処理は、この後のCPUの動作に必要な設定を適宜行うものであり、その詳細は割愛するが、前回の電源断が発生した状態で実行されていた演出に関し、主制御基板P40の電源投入処理(図7)と演出制御基板の電源投入処理(図15)の完了には時間差が生じるため、電源復帰後に電断前の演出に復帰してしまうと、主制御基板P40の動作とずれが発生する恐れがあることから、演出制御基板P41の電断復帰時の初期処理では、電断前に実行していた演出が実行されないよう演出情報などを初期化することが多い(「演出制御基板リセット」、「サブリセット」と呼ぶ)。
(演出制御基板のメインループ)
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、初期設定処理の後にメインループ処理へ移行する。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出表示装置P80(画像表示装置)に対して接続する画像制御基板P42において演出画像を描画する周期(フレーム)の時間が、1秒間に30回描画するよう1周期約33ms(30FPS)に設定されるため、そのおよそ半分の周期である16msの周期にてメインループ処理のループを1回行うように構成されている(ステップ4002からステップ4016)。
演出制御基板P41のメインループ処理では、まずCPUの暴走の検出を行うためのウォッチドッグタイマのクリア処理を行う(ステップ4004)。
続いて、演出制御乱数データを更新する処理(ステップ4006)を行い、演出抽選を実行する契機が発生した場合に使用する各種の演出制御乱数を更新する。
次に、入力ポート監視処理を実行する(ステップ4008)。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、後述する演出制御基板P41の割込み処理中においても入力ポートの監視を実行する仕様となっているが、メインループ処理における入力ポートの監視処理は、16ms周期の監視となるため、システム上必要な監視対象であるスイッチなどの入力の監視にとどまり、演出可動役物P560の演出制御に必要なセンサ類などの入力の監視は省略される。なお、変形例として、演出上監視すべき対象であるセンサ類に関し、メインループ処理内の入力ポート監視処理にて確認を行ってもよい。
入力ポート監視処理で実行する内容は、主制御基板の入力ポート確認処理と同様、各種センサの入力データより、レベルデータを生成して記憶したり、立ち上がり(立ち下がり)データを記憶する処理が実行される。
続いて、演出制御基板P41は、演出装置制御処理(ステップ4010)を行い、演出表示装置P80(画像表示)以外の演出動作に関する制御を実行する。本処理において制御される演出装置として、ランプP82(「盤ランプ(P550)」「枠ランプ(P350)」)やスピーカP83(上スピーカP370、下スピーカ141)、演出可動役物P560などがあり、これらの演出装置に対して後述する演出制御処理(ステップ4012)などの処理によって実行が決定された演出内容に応じた演出動作命令を各演出装置に送信して演出動作を実行させる。
演出装置制御処理(ステップ4010)における各種演出装置に対する演出動作命令の出力は、演出表示装置P80(画像表示装置)にて表示される演出画像と同期して実行(開始)される必要があるため、演出表示装置P80の制御を行っている画像制御基板P42から演出制御基板P41に対して一定間隔で送信される信号や、強制的に同期を図る信号を受信したこと(前述した入力ポート監視処理での受信)を契機として、演出表示装置P80の演出切り替わりタイミングとの同期を図り、各種演出装置に対して演出動作命令の出力を行う。
なお、演出装置の内、演出可動役物P560の動作制御に関しては、演出可動役物P560の駆動手段に対して、より短い周期での制御が必要となることから、本処理において設定された演出動作命令にて実行されることとなる演出可動役物P560の動作パターンについて、後述する演出制御基板P41の割込み処理中(図16参照)においてもセンサの監視、動作切り替えが実行される。
次に、演出制御基板P41のメインループ処理で実行される演出制御処理(ステップ4012)に関して説明する。演出制御処理は、後述する演出制御コマンド解析処理で主制御基板P40から受信した演出制御コマンドを解析した結果に基づき成立したフラグや受信した演出制御コマンド自体の情報(特別図柄抽選の抽選結果IDなど)、入力ポート監視処理(ステップ4008)、割込み処理(図16)等の他の処理中に成立したフラグを基に、各種演出装置で実行する演出内容を抽選したり選択することで決定する処理である。
演出制御処理は、各フラグ情報やコマンド解析情報を基に実行すべき演出決定の処理を選択し、対応する演出決定のためのサブモジュール処理を呼び出して実行する。ここで決定される演出内容の例として、特別図柄抽選の実行結果に係るコマンド(当否コマンド、図柄コマンド、変動パターンコマンド)を基に1回の特別図柄の変動に対応する変動演出を決定する処理(予告やリーチの内容、停止する装飾図柄の決定などを行う処理)や、保留が発生した際に送信される保留数情報や事前判定情報を基に新たに発生した保留に対し先読み演出(「事前判定演出」とも呼ぶ)を実行するか否かを決定する先読み抽選処理や、特別遊技(大当りや小当り)の実行に際し演出制御コマンドとして送信された情報に基づき特別遊技中の演出内容を決定する特別遊技演出内容決定処理などがある。
また、演出制御処理は、主制御基板P40から送信された演出制御コマンドに対する処理のみでなく、演出制御基板P41でエラーを検出した場合のエラー表示内容の決定処理(主制御基板から送信されたエラー情報に基づくエラー表示内容の決定処理を含む)や、遊技者によって演出操作手段P81である演出ボタンP381、十字キーP383などの入力操作に基づいてスピーカP83から出力される音量の調整や、ランプP82の発光輝度を変更する光量調整、演出内容および演出内容決定傾向のカスタマイズといった演出内容の決定も実行する。
なお、演出制御処理で呼び出されるサブモジュール処理にて行われる各種の演出内容の決定処理については、遊技機毎に固有の仕様を用いられることが多いため、説明を割愛し、発明の対象となるぱちんこ遊技機Pにおいて特徴を有する処理を実行する場合には、発明の対象となるぱちんこ遊技機Pの実施例の説明にてその詳細を説明することとする。
演出制御基板のメインループ処理の説明に戻り、メインループ処理の最後の処理として演出制御コマンド解析処理(ステップ4014)を説明する。
演出制御コマンド解析処理は、主制御基板P40から送信された演出制御コマンドとして記憶されている情報を基に、前述した演出制御処理において演出内容の決定に使用するための演出制御コマンドに対応する情報の記憶や、フラグの設定を行う。本処理は、主制御基板P40から送信されたコマンドに応じて処理内容を決定する必要があり、演出制御コマンドであるMODEデータ、EVENTデータの内容より処理内容を決定して、演出制御コマンドに応じた処理が実行される。
なお演出制御コマンドは、主制御基板P40の割込み処理毎(4ms毎)に1のコマンド(MODEデータとEVENTデータ)が送信される可能性があるため、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御基板P41のメインループ処理の周期(16ms)が経過するまでの間、処理可能な限り演出制御コマンドの解析を繰り返し実行する(ステップ4016)。
[演出制御基板の割込み処理]
次に、演出制御基板P41のCPUにおいて実行される割込み処理に関して説明する。演出制御基板P41における割込み処理は、主制御基板の割込み処理とは異なり、異なる実行契機で開始される複数の割込み処理を有している(図16(A)および(B)を参照)。なお、これらの複数の割込み処理には、優先度が設定されており、より上位の優先度の割込みが発生した場合には、割込み処理の実行中であっても上位の割込み処理を実行するように制御される。本説明においては、代表して演出制御タイマ割込み処理(図16(A))と、演出制御コマンド受信割込み(図16(B))とについて説明を行う。
(演出制御タイマ割込み処理)
演出制御タイマ割込み処理(図16(A))は、演出制御基板P41のCPUにおいて、1ms周期で実行される割込み処理である。
ポート入出力処理(ステップ5002)は、演出制御基板P41の入力ポートより、演出可動役物P560の位置検出のために設けられたセンサや、他のセンサ(演出操作手段P81の入力センサ)の入力からレベルデータ、立ち上がりデータを生成して記憶する処理や、出力ポートより、演出装置制御処理にて設定された動作パターンに従って演出可動役物P560の駆動手段(ソレノイドやステッピングモータなど)に対して駆動信号を出力する処理が実行される。また、出力ポートからデータ出力を行った際には、必要があれば出力回数をカウントするカウンタ(記憶領域)のデータを更新する。
タイマ更新処理(ステップ5004)は、演出動作の切り替えタイミングを計るタイマの減算や加算を行う処理である。各タイマに関し更新処理が終了すると、比較値との比較演算を行い、演出動作の切り替え条件が発生したか否かを判断し、演出制御処理(ステップ4012)において演出内容の決定に必要な情報やフラグを記憶領域に記憶する処理を行う。
センサ監視処理(ステップ5006)は、ポート入出力処理にて生成したセンサの検出データより、演出可動役物P560の演出動作切り替え条件が成立したか否かなど、演出動作の切り替えに係るセンサ検出情報の発生有無を判断し、動作パターンのテーブルを切り替える処理を行ったり、演出制御処理(ステップ4012)にて演出内容を決定するための条件フラグを立てる処理を行う。
演出ボタン監視処理(ステップ5008)は、演出操作手段P81である演出ボタンP381やレバーP382、十字キーP383などの入力に基づく演出の切り替え条件の成立有無を判断する処理である。演出ボタン監視処理では、ポート入出力処理(ステップ5002)において生成された各入力装置の入力状態を示すレベルデータや立ち上がりデータ(前回オフから今回オンへレベルデータが変化したことを示すデータ)より演出操作手段P81に対する操作有無、操作態様を判断する。
例えば、演出操作手段P81に対する入力情報として、立ち上がりデータが生成されている場合には演出操作手段P81に対する遊技者操作があったものとして、対応する演出の実行のためのフラグなどの情報を記憶する。なお、立ち上がりデータのみで入力を判断すると電気的なノイズにより誤検出して演出動作の切り替えが行われる可能性があるため、立ち上がりデータの発生後、複数回のレベルデータ(オンデータ)の入力が連続したことを契機として演出操作手段P81に対する遊技者操作(「単押し(単引き)操作」、「一撃操作」と表現する場合がある)と判断してもよい。
また、オン入力のレベルデータが連続して500回検出された場合、すなわち0.5秒に渡って演出操作手段P81が操作されたと判断した場合、「長押し(長引き)」操作と判断し、特殊な操作として扱うよう構成している。なお、「長押し(長引き)」操作の有無、継続の判断において立ち下がりデータ(前回オンから今回オフへレベルデータが変化したことを示すデータ)が電気的にノイズとして検出される場合があるが、この場合も前述した誤検出防止の対策と同様に立ち下がりデータの検出後、複数回のレベルデータ(オフデータ)の入力を検出したことに基づいて、「長押し(長引き)」操作の入力終了を判断するものとしてもよい。
そして、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、実行中の演出内容によっては、演出ボタンP381に対する「長押し」操作の実行により、一定周期毎(例えば0.3秒毎)に1回の演出操作手段P81の「単押し(単引き)」入力操作があったと見做す処理を繰り返して行わせることを可能としており、このように「長押し(長引き)」操作などの特殊な操作を契機として、「単押し」操作が行われたと見做して繰り返し処理が実行されることを「オート連打」操作と呼ぶ。なお、「オート連打」操作は、例示した操作内容に限らず、複数の演出操作手段P81を同時操作するものや、演出ボタンとは異なるスイッチとして設けられたディップスイッチなどのオンオフ操作することで、演出ボタンP381の入力に基づき「オート連打」操作が実行されたと見做す手法を採用することも可能である。
なお、演出操作手段P81に対する入力は、演出の実行状況によって、有効操作として扱う期間(「操作有効期間」)と、無効操作として扱う期間(「操作無効期間」)とが存在する。
マルチタスク処理(ステップ5010)は、演出制御タイマ割込み処理が実行される毎に更新されるタスクカウンタ(値「0」~「15」の間で更新)の値に応じて、今回発生した演出制御タイマ割込み処理中で実行する処理内容を異ならせて行う処理である。タスクカウンタが16ms周期で循環するように構成されており、メインループ処理の1周期とほぼ同期して各カウンタ値における処理が実行されるように構成されている。各タスクにおける処理の一例としては、画像制御基板P42の動作が実行できるか否かを画像制御基板P42から送信される信号(ポート入出力処理にて入力情報を生成)を基に判断し、画像制御基板P42の動作状況を監視する処理が行われる。
画像制御コマンド送信処理(ステップ5012)は、画像制御基板P42のCPUに対して演出制御処理P41にて決定した演出内容に応じた画像表示を実行させるべく、画像制御コマンド(「サブ間コマンド」と呼ぶ場合もある)を画像制御基板P42のCPUに対して送信する処理である。なお、画像制御基板P42と演出制御基板P41は同一の基板で構成してもよいが、本明細書内では便宜的に画像制御基板P42として記載する。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御基板P41は、画像制御コマンドを表示内容の種類を示す第1コマンドと、表示内容のパターンを指定する第2コマンドとで構成し、画像制御基板P42に送信する構成となっている。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御タイマ割込み処理にて画像制御コマンドを送信する構成となっているが、演出制御基板P41と画像制御基板P42との間におけるコマンドの送受信に関して、別途割込み処理を設けて送受信を行うように構成することも可能である。
(演出制御コマンド受信割込み)
演出制御コマンド受信割込み(図16(B))は、主制御基板P40の割込み処理(図9)中の演出制御コマンド送信処理(ステップ2040)においてストローブ信号が出力され、当該ストローブ信号を演出制御基板P41が受信した場合に発生させる割込み処理である。
演出制御基板P41は、演出制御コマンド受信割込みを開始すると、主制御基板P40の出力ポートより送信される演出制御コマンド(MODEデータまたはEVENTデータ)を読み取り、一時バッファデータを更新して記憶する(ステップ5502、ステップ5504)。
一時バッファデータの更新が終了すると、1の演出制御コマンド(MODEデータとEVENTデータの組み合わせ)の受信が完了したか否かを判断する(ステップ5506)。なお、主制御基板P40から送信される演出制御コマンドは、1バイトデータのうち、特定のビットが「1」「0」で構成されている。
前述したステップ5504の一時バッファデータ(2バイトデータ記憶領域)の更新に際しては、通常下位の1バイトの記憶領域に今回受信した演出制御コマンドの内容を記憶する処理を行う。このとき、更新前に現在の一時バッファデータの記憶領域の下位1バイトのうち特定のビットの部分がMODEデータであることを示す場合、一時バッファデータの記憶データを上位の1バイト記憶領域にシフトさせて記憶させた後、今回受信したEVENTデータを一時バッファデータの下位の1バイトの記憶領域に記憶する処理が行われる。
そしてステップ5506の演出制御コマンドの受信完了の判断においては、一時バッファデータの下位1バイトのうちの特定のビットがEVENTデータを示すデータであるか否かを判断し、EVENTデータであると判断した場合には、1の演出制御コマンドの受信が完了したもの(ステップ5506YES)として次の処理に進み、MODEデータであると判断した場合(ステップ5506NO)には、主制御基板P40からEVENTデータの送信に基づくストローブ信号を受信するまで、演出制御コマンド受信割込みを抜け、他の処理を行って待機する。
ステップ5506において、演出制御コマンドの受信が完了したと判断した場合、送られた演出制御コマンドが正常なものであったか否かを判断する(ステップ5508)。この処理は、例えば、主制御基板P40から送信され得る演出制御コマンドの一覧データの中に一致するデータが存在するか否かを基に判断される。そして、正常なコマンドであると判断された場合には、演出制御タイマ割込み処理中の演出制御コマンド解析処理にて解析されるように受信した演出制御コマンドを記憶するための記憶領域に記憶し、異常データの場合には一時バッファデータを破棄する。
[基本的な画像表示の演出例]
次に、図17から図20を用いて、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける基本的な演出に関して説明を行う。図17は、通常遊技中(低確率/低ベース中)の図柄変動表示(装飾図柄の停止表示中)を表した図であり、図18は大当りとなる期待度が高いリーチ演出が行われている状況を表した図である。図19は、大当り遊技を実行している状態を表した図であり、図20は特定遊技状態中(高確率または低確率/高ベース)である電チューサポート機能の作動中の遊技演出を表した図である。
(通常遊技状態の演出表示例)
《装飾図柄》
図17は、通常遊技中(低確率/低ベース中)の図柄変動表示(装飾図柄の停止表示中)を表した図である。画面の略中央領域に3つの数字が遊技者に対して明瞭に確認できる態様にて表示されている。この3つの図柄は「装飾図柄(P801)」(「装図」とも呼ぶ)と呼ばれており、特別図柄抽選の結果に対応して表示される演出的な表示物であり、特別図柄の変動表示に合わせて変動表示される。なお、図17中では数字のみで表現しているが、各数字にキャラクタ画像などの装飾画像を伴って表示される場合もある。また、各数字に装飾画像を伴って表示するよう構成する場合には、遊技状態によって装飾画像や各数字の表示態様を相違させてもよい。そのように構成することによって、遊技者は現在の遊技状態を判別し易くなる。
装飾図柄P801は、特殊な演出を行っている場合を除いて特別図柄の変動表示1回(特別図柄抽選1回)に対して、1度の演出としての変動表示が行われる。なお、不図示であるが、装飾図柄P801の変動表示が行われる際には、装飾図柄が高速で変動表示(場合によっては透過表示や非表示となる)され、アニメーションや演出効果の画像による「予告」と呼ばれる演出により、大当り遊技の権利獲得の期待感を高める演出を行う。
図17に示す装飾図柄P801は、変動表示が開始されると上下方向(上から下方向)にスクロール表示された後、左図柄(P801a)、右図柄(P801c)、中図柄(P801b)の順に図柄列毎に、演出制御基板P41で決定された停止表示図柄が停止表示される。一般的には、3つの装飾図柄P801が同一の態様(ぞろ目)で停止表示された場合に、大当りであることを演出的に報知するものとなっている。また、1の図柄が変動表示を行う一方で他の図柄が表示されている状態、例えば、最後に停止する図柄(「最終停止図柄」とも呼ぶ)である中図柄P801bが停止する前に左図柄および右図柄が同一の図柄で表示(仮停止表示)されている状態のことを「リーチ」(「リーチ状態」「リーチ態様」)と呼ぶ。
装飾図柄P801の変動表示は、上下方向(上から下方向)にスクロール表示する態様で表示されることが多いが、変動表示の態様は上下方向に限らず、左右方向や奥行きを使って前後(斜め)方向にスクロール表示動作を行うものであってもよいし、スクロールせずにその場で回転動作を行うとともに順番に切り替え表示がされるものであってもよい。
また、装飾図柄P801は1回の特別図柄の変動表示中において、複数回の停止表示を行う場合を有している。この時、複数回の停止表示に際して、特別抽選の結果を示す停止表示は、特別図柄の停止表示図柄が特別図柄表示装置に停止表示されるタイミングと同時期に表示される停止表示であり、それ以外のタイミングにおける停止表示を「仮停止(表示)」という。なお、特別図柄の停止表示と同時期の停止表示ついては、「本停止」と表現する場合がある。
装飾図柄P801の仮停止が行われた際には、最終的な図柄の停止表示(本停止)と区別するため、装飾図柄P801を完全に固定せず、固定したと認められない程度に一時停止させたり、上下あるいは左右などの方向に動作したり、1の回転軸を中心に揺れ動作を行ったりするように構成される。このような状態のことを仮停止の他に「揺れ変動」などと表現する場合がある。
装飾図柄P801が仮停止表示された後は、再び変動表示を繰り返す場合があり、一般的に大当り図柄以外の図柄が仮停止した状態からの再変動を「擬似変動(擬似連)」演出と呼び、大当り図柄の停止後に停止表示される大当り図柄を変更する場合がある再変動を「昇格(変動)」演出と呼ぶ。なお、昇格演出を実行する場合には、停止した大当り図柄よりも不利な大当り図柄には変更しないよう構成したり、ハズレ図柄に変更しないよう構成してもよい。
また、装飾図柄P801の停止表示に際して、通常の変動表示中は表示されておらず、一部の演出を実行する場合にのみ表示される特殊な装飾図柄の一種があり、これを「特殊装図(P804)」(特殊図柄)と呼ぶ。特殊装図は、それぞれの図柄に意味があり、例えば特定の大当りが実行されることを示唆したり、前述した擬似変動演出を行うことを示唆したり、特定のリーチ演出(リーチ態様となった場合に表示される予告演出)が実行されることを示唆するものなどが挙げられる。特殊図柄を用いる場合には、最後に仮停止する装飾図柄(中図柄P801b)として特殊図柄を仮停止させてもよいし、左図柄P801a、中図柄P801b、右図柄P801cのすべてを代用する1つの装飾図柄として特殊図柄を仮停止させてもよい。
《簡易装図(ミニ装図)》
画面右上には、装飾図柄P801と同一の態様にて表示される3つの数字が表示されている。この図柄は「簡易装図(P802)」(「簡易図柄」)や「ミニ装図」とも呼ばれ、前述した「装飾図柄」同様特別図柄の変動表示に合わせて、特別図柄の抽選結果を示す表示物として表示される。
簡易装図P802(ミニ装図)は、「装飾図柄」と異なり、装飾図柄P801が停止表示されない特殊な演出が行われている場合であっても、特別抽選の結果を示す特別図柄が特別図柄表示装置P51、P52に表示されるのに合わせて、特別図柄抽選1回に対して必ず1回の停止表示を行う。
また、簡易装図P802の変動表示は、前述した装飾図柄P801がリーチ態様となった場合に、同一のリーチ態様を形成するように構成してもよいし、特別図柄抽選の結果を報知するという最低限の目的を達成するために、装飾図柄P801とは無関係に特別図柄の変動表示が停止表示状態となるまで一定の表示切り替えを行う、といった簡略的な変動表示とする方法を採用してもよい。
《保留表示領域》
図17の下部領域には、保留表示領域P810が設けられている。保留表示領域P810には、遊技者が獲得した特別図柄抽選の権利として、未行使の権利に対応する保留(乱数値)に対応した保留オブジェクトP811が表示される。図17の例では、特別図柄抽選の権利が3つ保留されている状態を示している。
図17の例では、特別図柄抽選の実行時期が早い保留(すなわち先に発生した保留)であるほど、画面下部の略中央方向に近い位置に表示されるようになっており、保留表示領域P810の最も右側に位置する保留オブジェクトの表示位置を「保1(表示領域)」と呼び、画面左側に向かうにつれて「保2(表示領域)」、「保3(表示領域)」、「保4(表示領域)」と呼ぶ。
また、保留表示領域P810の右側近傍には、保留表示領域P810の保留オブジェクトP811と略同一態様のオブジェクトが一段高い位置に保留オブジェクトP811より大サイズに表示されている。本表示領域は、現在の特別図柄変動表示の開始契機となった乱数値に対応した保留表示を保留表示領域から継続して表示するものであり、「当該変動オブジェクト表示領域(P812)」と称する。また、当該変動オブジェクト表示領域P812に表示されるオブジェクトを「当該変動オブジェクト(P813)」と呼ぶが、「当該保留表示」などと称する場合があり、保留表示領域P810の保留オブジェクトP811と差別化するために「当該」という頭文字をつけている。
なお、当該変動オブジェクト表示領域P812における当該変動オブジェクトP813の表示態様は、保留オブジェクトP811と完全に同一に構成する必要はなく、変動開始に伴いある保留表示が当該変動オブジェクト表示領域P812に移動表示する際に、形状が変化したり、消失(非表示)となったりする場合があってもよい。また、当該変動オブジェクトP813についても、後述する保留変化先読みにおける保留表示と同様に表示態様が変化し得るよう構成してもよい(例えば、変動表示の途中のタイミングでオブジェクトの形状や色が変化する)。
《簡易保留表示》
画面左側の高さ方向略中央位置には、2つの数字が縦方向に並んで表示されている。この2つの数字は、現在の第1特別図柄の保留数および第2特別図柄の保留数を表しており、「簡易保留表示(P814)」と呼ばれる。図17中の例では、第1特別図柄の保留数を上に表示される数値「3」で示しており、第2特別図柄の保留数を下に表示される数値「4」で示している。
(先読み演出)
《保留変化先読み》
また、図17においては、保留表示領域P810における保3表示領域の保留オブジェクトP811が、保2、保1の表示領域における保留オブジェクトP811とは異なる態様で表示されている。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、保3の保留オブジェクトP811の表示態様の方が保2の保留オブジェクトP811の表示態様よりも大当りとなる可能性が高くなるよう構成されている。このように、特定の保留に対して、保留オブジェクトP811の表示態様を変化して表示させる演出のことを「保留変化(先読み)」と呼んでいる。
なお、図17に例示した態様のみに限らず、複数種類の変化態様を有し、そのそれぞれに対して大当りとなる可能性(期待度)が異なり得るように構成し、段階的に保留オブジェクトP811の表示態様を変化させていってもよい。
また、「保留変化(先読み)」に限らず、保留として記憶されている乱数値に対して演出の実行対象として決定した場合に、演出の実行対象となった保留に対応した変動表示が開始されるよりも前に、先んじて演出の実行対象となった保留の大当りとなる可能性が高いことを示唆する演出のことを「先読み演出」(「事前判定演出」と称する場合もある)と呼んでいる。
そして、「先読み演出」を実行する場合に、演出の実行対象となった保留として決定された保留のことを、「先読み対象保留」、「トリガ保留」、「犯人保留」などと称する場合があり、先読み対象保留に基づく特別図柄の変動表示のことを「先読み対象変動」、「トリガ変動」、「犯人変動」などと称する。
ここで、「先読み演出」として、前提とするぱちんこ遊技機Pで採用し得る代表的なものをいくつか例示する。
《チャンス目先読み》
「チャンス目先読み」は、先読み対象変動の変動が開始されるまでの装飾図柄P801の変動表示において、予め定められた法則に則った装飾図柄P801の停止表示図柄が停止表示(または仮停止表示)される演出である。チャンス目として予め定められる装飾図柄P801の停止表示態様の法則の一例としては、(ア)装飾図柄の数字部分の色合いが同一の図柄のみの組み合わせによってはずれ図柄が停止表示される場合、(イ)「1」「2」「3」や「5」「4」「3」など、装飾図柄の停止図柄が順番に並ぶ(順目、逆順目)など規則的な停止表示態様で表示される場合、(ウ)「7」などの特別な数字又は「先」などの数字とは異なる図柄が、中図柄の停止表示図柄として停止表示される場合、などが挙げられる。
《演出可動役物先読み》
「演出可動役物先読み」は、遊技盤P5または枠(ガラス枠P3)に設けられた演出可動役物P560または枠可動役物P360(前提とするぱちんこ遊技機P1のレバーP382など)を、先読み対象変動の変動表示が開始されるまでの変動、あるいは先読み対象変動まで跨いで、変動開始から演出動作パターンに従ってにぎやかし動作させる演出である。
《ゾーン移行先読み》
「ゾーン移行先読み」は、先読み対象変動が開始される前の特別図柄の変動表示において、特殊な演出モード(「ゾーン」と呼ばれる)へ移行させ、先読み対象変動となる変動表示までの間、特殊な演出モードに対応した予告演出を実行させるための予告抽選を実行することで、大当りの可能性が高いことを示唆する先読み演出である。例えば、「通常背景を表示→先読み時背景を表示→大当り」となったり、「通常背景を表示→先読み時背景を表示→はずれ図柄が停止して通常背景に戻る」となる。
(リーチ演出の実行時の表示例)
続いて、図18は大当りとなる期待度が高いリーチ演出が行われている状況を表した図である。「リーチ演出」は、前述したように、1の装飾図柄(中図柄P801b)以外の装飾図柄(左図柄P801a、右図柄P801c)が同一態様で表示されている状況であり、あと1つの図柄が同一態様で停止すれば大当りとなることが報知される状態における演出のことを言う。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、多くの場合、リーチ演出を経由して3つの装飾図柄P801が同一の停止表示態様となることで大当りを報知する仕様となっている。
図18の例では、装飾図柄の左図柄P801aと右図柄P801cが「5」で表示されており、変動中の中図柄列の図柄として「4」、「5」、「6」が表示されている状況であり、「4」図柄が激しく振動し、「5」に切り替われば大当りとなる状況を示している。
ここで、図18の例では、装飾図柄の左図柄と右図柄である「5」の表示が、図17の停止表示時の装飾図柄P801よりも小さく表示されており、変動表示中の中図柄列の装飾図柄P801bを停止表示時の装飾図柄P801よりも大きく表示し、強調表示している。この時の左図柄P801a、右図柄P801cに対応する小さく表示された装飾図柄を「退避図柄(P803)」や、「リーチ図柄」などと呼ぶ場合がある。リーチ演出では、図示した例以外にも、装飾図柄の変動表示に伴って表示される予告演出(リーチ演出)のアニメーションの結末がどのような結末になるかによって大当りとなるか否かを報知する場合もあり、すでに仮停止表示された左図柄P801a、右図柄P801cを退避図柄P803小さくして表示する(あるいは非表示とする)ことで、遊技者に注目させたい演出の視認性を高めるようにしている。
また、装飾図柄P801の表示数を3つとしない遊技機なども知られており、同時に複数列のリーチ態様を形成するマルチラインリーチなども存在するが、その詳細に係る説明は割愛する。
リーチ演出の例外として、3つの装飾図柄P801の全てが同一の態様で同期して変動表示される「全回転リーチ」と呼ばれるリーチ演出が存在する。リーチ演出の基準である「1の装飾図柄以外の装飾図柄が同一態様で表示されている状況であり、あと1つの図柄が同一態様で停止すれば大当りとなることが報知される状態」とは状況的に異なるが、全回転リーチもまたリーチ演出として当業者には認識されるものである。
また図18において、画面右下領域には、「演出設定表示領域(P850)」が表示されており、図18の例では演出設定表示として音量設定表示P851が表示されている。
演出設定表示領域P850は、遊技機PのスピーカP83から出力される音量レベルを調整する音量設定機能や、遊技機Pの装飾ランプP82の発光輝度を調整する光量調整機能、さらには、演出モードと呼ばれる発生する予告演出の種類を変更したり、予告演出の発生頻度を変更したりする演出モード変更機能の設定状況および変更状況に係る表示を行う領域である。
演出設定表示領域P850は、常時表示されているものではなく、遊技者が前述した各種演出設定(音量調整機能、光量調整機能、演出モード変更機能)に係る操作を実行した場合において、一時的に表示されるものであり、例えば十字キーP383の左右方向の操作により図18に示す音量調整機能に係る演出設定表示(音量設定表示P851)を表示させることが可能である。図18の状況において、さらに遊技者により十字キーP383の右ボタンが操作された場合には、設定されている音量レベル(図中の黒塗り領域)が増加し、音量設定値が「3」から「4」へと変化するようになっている。
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、光量調整を行う場合は、十字キーP383の上下方向の操作によって変更操作が行われるように構成され、演出モード変更機能は、演出ボタンの操作に応じて演出モードを予め定められた順序で切り替える例が挙げられる。なお、これらの演出設定に係る操作は、遊技中の演出の実行との関係上異なる操作態様を採用する場合もあり、例示した設定の変更方法以外にも適宜採用可能である。
また、演出設定表示領域P850の表示や、各種演出設定機能の利用に関し、遊技者の演出設定操作を有効とする期間、無効とする期間をそれぞれ設定することが可能であり、特に重要な演出が実行されるときには、演出設定表示領域P850を非表示とし、各種演出設定機能の利用を無効とするよう構成される。
(大当り遊技中の演出表示例)
続いて、図19に基づき、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて大当り遊技を実行している状態における演出の表示態様を説明する。
《大当りの種類を示す演出表示》
図19の画面左下および画面右上には、大当り遊技の実行契機となった装飾図柄P801の表示が行われている。画面左下は、前述したリーチ演出の実行中と同様、変動表示中の装飾図柄よりも小さい表示態様にて1の装飾図柄P801(「大当り装図(P805)」とも呼ぶ)を表示し、画面右上には、特別図柄の変動表示が終了した際に表示した簡易装図P802を引き続き表示している。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当りの発生契機となった(大当りの発生時に停止表示した)装飾図柄P801の種類によって、遊技者に実行される大当りの種類や大当り中に獲得できる遊技球数の期待度合や大当り終了後の遊技状態(通常遊技状態)を演出的に示唆している。そのためこのように大当りの実行契機となった装飾図柄(大当り装図P805、簡易図柄P802)を表示させておくことによって、大当り遊技中においても大当りの種類や、獲得が期待される遊技球数を示唆することを可能としている。
また、大当りの種類を示す表示として、図19では「ROUND6」(「ラウンド表示(P820)」と呼ぶ)という文字列の下に、五角形の盾を模したアイコン画像P821が表示されており、アイコンP821の中央に「MAX」という文字が記載されている。図中のアイコンP821では「MAX」の文字列が示唆する大当りであって、前提とするぱちんこ遊技機Pが有する最大ラウンドの大当り遊技が実行されることを示している。このアイコンP821は「大当りアイコン」や「連荘(表示)アイコン」と呼ばれ、特定遊技状態と大当り遊技が繰り返し実行される毎に、累積的に並んで表示が増加し、いわゆる「連荘」状態において何回、どのような種類の大当りを獲得したかを遊技者が理解できるように報知する演出表示である。
なお、図示はしていないが、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り開始デモ期間において実行される演出表示の「大当り開始デモ演出」において「〇〇ボーナス!」(最大ラウンド大当りを報知)や「△△チャンス」(最大ラウンドではない大当りを示唆)といった表示を行うことにより、大当りの種類を遊技者に報知する演出を実行する。
また、例えば実行されるラウンド数が少ない「△△チャンス」などの大当りであることが示唆された場合であっても、大当りラウンド中において「エクストラボーナス!+〇ラウンド」として、大当りの実行ラウンドが実は最大ラウンドの大当りであることを報知するといった「大当り昇格演出」を実行することも可能である。
なお、「大当り昇格演出」は、先に報知された大当りの種類よりも遊技者にとって有利となる特定遊技状態へ移行することとなる大当り遊技が実行されていることを示唆する場合にも使用されることがある。例えば、大当り遊技後に確率変動機能が作動しないことを示唆する大当り遊技(「非確変大当り」、「通常大当り」と呼ばれる)の演出から、大当り後に確率変動機能が作動することとなる大当り遊技(「確変大当り」、「特定大当り」と呼ばれる)の演出へと演出表示が切り替わる、というような演出表示が挙げられる。
《大当り遊技の進行状況を示す演出表示》
次に大当り遊技の実行に際して、大当り遊技の進行状況を示す演出表示に関する説明を行う。図19において、大当りの演出表示を示す演出として、画面左上の「ROUND_〇」の文字列表示で実行される「ラウンド表示(P820)」、画面右下において「TOTAL_〇〇pt」の文字列表示で実行される「獲得球数表示(P822)」、画面右側略中央の10個の円形画像オブジェクトで表示される「カウント表示(P825)」などが挙げられる。不図示ではあるが、大当り遊技中はこれらの表示に加えて「ラウンド演出」と呼ばれるアニメーションなどの画像表示が表示される。
《ラウンド表示》
「ラウンド表示(P820)」は、大当り遊技中において、実行中のラウンド遊技(単位遊技)が何ラウンド目かを示す表示である。ラウンド遊技が開始されるタイミングで「ROUND」の右側の数値が更新される。図19の例では、6ラウンド目のラウンド遊技が実行されている状況を示している。
なお、「ラウンド表示(p820)」は、必ずしも実際の大当り遊技中の実行ラウンド数に同期する必要はない。例えば、前述した「小当りV」のスペックでは、小当り遊技中を1ラウンド目としてカウントして、V入賞後に実行される大当り遊技の1ラウンド目を2ラウンド目として扱うようすることがある。また、他の例では、ラウンド遊技における大入賞口P751の開放パターンが、短時間の入球容易状態への移行で終了する場合には、「ラウンド表示」の値を更新せず、大入賞口の開放パターンが長時間の入球容易状態となる場合においてのみ、実質的に実行されたラウンド「実質ラウンド」として扱う場合などがあってもよい。
《獲得球数表示》
「獲得球数表示(P822)」は、実行中の1回の大当り遊技で累積獲得している遊技球数を表示する「大当り獲得球数表示(P823※不図示)」と、特定遊技を挟んで複数回の大当りにおいて累積的に獲得した遊技球数を表示する「累積獲得球数表示(824)」といった種類がある。図19においては、5桁の獲得球数表示である「累積獲得球数表示(P824)」が表示されている例を示している。なお、「大当り獲得球数表示(P823)」と「累積獲得球数表示(P824)」を並列的に同時表示してもよい。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、「獲得球数表示(P822)」について、大当り遊技中における大入賞口P751への入球に基づく累積の賞球払出数を表示するものとしている。しかし、獲得球数表示P822の賞球払出の累積対象として、遊技盤P5の右側領域P501Rに配置された一般入賞口P731や第2始動入賞口P721に対する入球に基づく払出に関して累積して加算してもよい。
また、他の変形例として、「獲得球数表示(P822)」の表示期間は、大当り遊技中だけでなく、特定遊技の実行中に表示してもよいし、「獲得球数表示(P822)」の累積賞球払出数の加算期間についても、大当り遊技中だけでなく、特定遊技中や、小当り遊技中に拡大するよう構成してもよい。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、「獲得球数表示(P822)」の他に、累積した賞球払出数が「2500球」、「5000球」、「10000球」など、区切りとなる払出数を迎えた場合などの特殊な状況においてのみ、遊技者に「獲得球数表示」に加えて強調して報知する「区切り獲得球数表示」演出を実行可能としている(例えば、「GET10000!!」と表示する)。
《カウント表示》
「カウント表示(P825)」は、1回のラウンド遊技において大入賞口P751の閉鎖条件として設定される遊技球数まであと何球入球可能か、または今回のラウンド遊技において何球の遊技球が大入賞口P751に入球したかを表す表示である。前者は、図19において網掛け表示される円形オブジェクトで表示されており、後者は白抜きの円形オブジェクトとして画面右側略中央位置に2列のオブジェクト表示として表示されている。
図19の例では、6ラウンド目の遊技として、大入賞口へ5球入球済みであり(白抜きの円形オブジェクトで表示)、あと5球入球可能であること(網掛けの円形オブジェクトで表示)がカウント表示P825により示されている。カウント表示P825は新たなラウンドが開始されるたびに表示が初期態様にリセットされる。
大当り遊技のラウンド遊技の実行中には、遊技球の流下状況により、大入賞口P751の閉鎖条件を満たすこととなる遊技球に連続して大入賞口P751の閉鎖条件以上の遊技球数となる入賞が発生する場合があり、このような閉鎖条件以上の遊技球数の入賞が発生することを「オーバー入賞」と呼ぶ。
図示はしていないが、「オーバー入賞」が発生した場合に、カウント表示P825のオブジェクト表示等を使って特殊な演出を行ったり、演出ランプP82の特殊な発光やスピーカP83から特殊効果音を発したりして報知してもよい。また、前述した獲得球数表示P822については、「オーバー入賞」となる入賞に基づく賞球払出数を加算対象としてもよいし、加算対象外としてもよい。
《大当り遊技中のその他の演出表示》
次に、図19において演出表示が実行されている、他の演出表示について説明する。
まず、画面左側略中央位置に表示されている2つの数字は、前述した簡易保留表示P814である。
画面左下の装飾図柄(大当り装図P805)の右側に表示されている「Sound_2」という表示は、現在の大当り遊技中に再生している楽曲のタイトルを示す「選択楽曲表示(P854)」である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り遊技中において、1ラウンド目や2ラウンド目の間に演出ボタンP381や十字キーP383を操作することによって、遊技者が任意に再生する楽曲を選択可能とする仕様を有している。選択楽曲表示P854に関し、楽曲が変更可能な状況である場合には、図20に示すように選択楽曲表示P854の近傍に「(上)(下)キーで変更できます」という画像表示を行う。
なお、このような大当り遊技中における演出の選択は、楽曲選択に限らず、ラウンド演出の変更や、大当り遊技後における特定遊技中の演出(演出モード)の選択なども可能とするが(総称して「演出カスタマイズ表示(P853)」と呼ぶ)、それらの詳細な説明は割愛する。
最後に、画面右上の簡易装図P802の下部に表示されている「右打ち」および右側矢印記号は、「打ち分け報知(P830)」(「推奨発射位置報知」などとも呼ばれる)に係る画像表示である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り遊技中は、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射することが推奨される遊技状態であるため、「右打ち報知(P832)」(「右打ち」の文字列、および右側矢印記号の表示)が実行されている。
「打ち分け報知」は、大当り遊技中に限らず、特定遊技状態における遊技中や、通常遊技状態における遊技中においても表示される場合を有する。特に、遊技状態が切り替わるような状況(大当りの発生/終了や、特定遊技状態の発生/終了)においては、図19に示す打ち分け報知P830よりも、遊技者が認識しやすいよう大きなサイズの表示を画面中央部などに一時的に表示することで、次の遊技状態での推奨される発射位置を遊技者に報知する演出が実行される。
なお、「打ち分け報知(P830)」において、遊技状態が遷移するタイミングで一時的に大きなサイズで表示されるものを「第1打ち分け報知画像」(「右打ち大表示(P831)」、「左打ち大表示(P833)」)と表現し、大当り遊技中や特定遊技状態中において、遊技状態での推奨発射位置を、遊技状態が続く期間のほぼ全てにおいて表示する表示について「第2打ち分け報知画像」(「右打ち小表示(P832)」、「左打ち小表示(P834)」)と表現する場合がある。
また、「打ち分け報知(P830)」の他の種類の演出として、推奨される発射位置以外の位置に遊技球が発射されている状況を検出した場合、例えば、大当り中に遊技領域の左側領域P501Lに遊技球を発射した場合に、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射すべきことを遊技者に対して注意喚起する「左打ち警告報知」(「右打ち注意喚起報知(P835)」)として「右打ちしてください」などのメッセージ表示)を行う。なお、推奨発射位置と遊技者の実発射位置が逆の状況では、「右打ち警告報知」(「左打ち注意喚起報知(P936)」)が実行される。
(特定遊技状態中の演出表示例)
図20は、特定遊技状態中(高確率または低確率/高ベース)である電チューサポート機能の作動中の遊技演出を表した図である。図中には多岐にわたる演出表示がなされているが、前述の説明の中で説明を行ったものに関しての説明は割愛し、これまでに説明がされていない演出表示、および前述の説明と相違点を有する演出表示に関する説明を行う。
まず、これまでに説明がされていない演出表示として、特定遊技状態中の演出表示に関する説明として「演出モード表示(P840)」と「残り遊技回数表示(P841)」に関する説明を行う。
《演出モード表示》
「演出モード表示(P840)」は、現在の演出表示態様の状態を示す表示であり、演出モードと呼ばれる状態情報によって、該当するモードに応じた予告演出が抽選されていることを示す表示である。演出モード表示が相違する場合には、遊技者に視認される予告演出の種類が、一部共通とする予告演出はあるものの、見た目に与える印象が大きく異なるように作られることが一般的である。図20では、「RUSH_MODE」という表示がなされており、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける遊技状態が、「ST(回数切り確変)」(高確率/高ベース状態)であることを示す表示を行っている。
なお、「演出モード表示(P840)」は、特定遊技状態における演出モードを報知する以外に、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)において表示される場合があってもよいし、1の遊技状態において複数の演出モードを有する場合に、演出モードが切り替わる条件が成立するたびに表示を一時的、または演出モードが終了するまで継続して行うものであってもよい。
《残り遊技回数表示》
「残り遊技回数表示(P841)」は、特定遊技状態が終了するまでの特別図柄の変動表示の回数(特別図柄抽選の回数)や、現在の演出モードが終了するまでの特別図柄の変動表示の回数を表す表示である。図20では、画面中央上部に「残り_56」という表示が実行されており、「ST(回数切り確変)」の遊技状態が、あと56回の特別図柄抽選が実行されるまで行われることを遊技者に報知している。
次に、図20に示す特定遊技状態の演出表示例において、前述した他の遊技状態における演出表示例と相違する表示に関して説明を行う。
《装飾図柄(特定遊技状態)》
図20の画面中央には、装飾図柄P801の変動表示が表示されている。図20の通常遊技状態における演出表示例の装飾図柄P801に比して、図20の特定遊技状態における装飾図柄P801の演出表示例では、装飾図柄P801の表示が小さく表示されている。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特定遊技状態の演出表示として、画面上部に演出モード表示P840や、残り遊技回数表示P841、さらには大当りアイコン表示P821を行っており、画面下部には選択楽曲表示P854および獲得球数表示P824を行っている。特定遊技状態では、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)で表示されないこのような付加的な表示を行うため、通常遊技状態と同等のサイズで装飾図柄P801を表示してしまうと、停止表示の際に一部図柄の表示が各表示の一部と重なってしまい、停止表示図柄の視認性が低下するという問題が発生する恐れがあり、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、このような問題が生じにくくなるよう装飾図柄P801の表示を小さく簡略化するものとしている。また、装飾図柄P801を簡略化して表示する例として、サイズを小さくするほか、図柄を示す数字に付帯して表示されるキャラクタ画像などの表示を行わない方法なども採用可能である。
《保留表示領域(特定遊技状態)》
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、図20の画面左下に示すように、特定遊技状態の保留表示領域P810における保留オブジェクトP811の表示として、画面手前側から奥行き方向に向かって「保1」から「保4」の保留オブジェクトの表示領域が設けられている。なお、図18等に示す当該変動オブジェクト表示領域P812(及び当該変動オブジェクト表示P813)については「RUSH_MODE」の演出モード状態では表示が省略されている。
図20に示す変動表示が終了し、新たな変動が開始すると、図20の最も下部に位置する保留オブジェクト(「保1」の保留オブジェクト)P811の表示が消失し、奥に並ぶ保留オブジェクト(「保2」から「保4」の保留オブジェクト)P811の表示が手前に移動するとともに表示が大きくなるよう表示制御される。
また、図示はしないが特定遊技中において表示される演出として重要な演出である、「リザルト表示演出」に関して説明を行う。
《リザルト表示演出》
「リザルト表示演出」は、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、主として特定遊技状態(高ベース状態)の最後の変動が実行される際、あるいは特定遊技状態中に生起した保留がなくなる際等、遊技者が「連荘」状態が終了したと認識するタイミングに行われる演出であり、いわゆる「連荘」状態において、何回の大当り遊技を獲得したかという情報や、合計で何発の遊技球を獲得したか(獲得球数表示に相当)を遊技者に報知する演出である。
<第1実施例>
第1実施例のぱちんこ遊技機Pは、上述の前提技術を基本構成とする他、種々の特徴的な構成を有する。以下、前提技術との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。第1実施例のぱちんこ遊技機を構成する要素のうち、前提技術で説明した要素と同一または対応する要素には同一の符号を付して説明する。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pの特徴構成を説明する前に、第1実施例のぱちんこ遊技機Pの各種構成や遊技性について、図21から図23を用いて説明を行う。
(第1実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技性)
図21は、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおける遊技盤正面図を示している。以下図21を用いて、遊技領域の入賞口など遊技部品の配置構成について説明を行う。
[遊技領域の構成]
第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、略中央位置には遊技領域P501の中央領域に演出領域としてのセンター役物P540が配置される。センター役物P540は、遊技盤P5の開口部に組付けられ、開口部より演出表示装置P80や、演出役物P560が視認可能となっており、ぱちんこ遊技機Pにおいて実行される演出表示や演出役物の可動演出を実行することにより、遊技中の演出を盛り上げるよう構成されている。
なお、不図示であるが、後述する各種入賞装置やセンター役物P540には、演出ランプP82が配置されることにより発光演出を実行可能となっているとともに、不図示のガラス枠P3にはスピーカP83が配置されることにより効果音やBGM等の音演出が実行可能となっている。なお、詳細な説明は割愛するが、第1実施例のぱちんこ遊技機Pの枠構造については、前提とするぱちんこ遊技機(図1から図3参照)と同様であるものとする。
遊技領域P501において、センター役物P540の左側に形成される領域(遊技球がセンター役物P540の左を流下する場合の遊技領域)が左側領域P501Lであり、センター役物P540の右側に形成される領域(遊技球がセンター役物P540の右を流下する場合の遊技領域)が右側領域P501Rである。左側領域P501Lは、ハンドルP204の操作量を調整することで、遊技球の発射を相対的に弱めに行うことにより遊技球を流下可能に構成され、左側領域P501Lに向けて遊技球を発射する遊技方法を「左打ち(遊技)」と称する。一方、右側領域P501Rは、ハンドルP204の操作量を調整することで、遊技球の発射を相対的に強めに行うことにより遊技球を流下可能に構成され、右側領域P501Lに向けて遊技球を発射する遊技方法を「右打ち(遊技)」と称する。
遊技領域P501の下方には、第1始動入賞装置P710A(第1始動入賞口P711A)が配置されているとともに、第1始動入賞装置P710Aの下方にはアウト口P790が配置されている。
第1始動入賞口P711Aは、左側領域P501Lに向けて遊技球を発射する左打ち遊技のほうが右打ち遊技よりも入賞容易に構成され、遊技者は後述するゲームフローの通常遊技状態において左打ち遊技を行うことにより、第1始動入賞口P711Aおよび左側一般入賞装置P730Lへの入賞に基づく賞球を獲得しながら、第1始動入賞口P711Aへの入賞に基づいて取得される第1特別図柄の特別図柄抽選に係る乱数に基づいて、特別遊技(大当り)の獲得を目指す遊技を行う。
遊技領域P501の右側領域P501Rには、遊技球の流下方向の上流から下流に向けて、普通図柄の変動表示(または普通図柄抽選の契機となる)作動口P741、作動口の通過を契機とした普通図柄の変動表示に基づいて入賞が容易な状態と困難な状態とに切り替わる普通電動役物P770を備える第1始動入賞口P711B、特別図柄抽選が大当り又は小当りとなる場合に入賞が容易となる大入賞装置P750、第2始動入賞口P721がこの順に配置されている。
ここで第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、普通電動役物P770および大入賞装置P750の入賞の容易性を異ならせるための開閉部材をいずれもスライド板の構造で構成している。普通電動役物P770、大入賞装置P750の開閉部材であるスライド板は、入賞困難となる場合(普通電動役物または特別電動役物P755の非作動状態)に遊技盤P5の前方に向けて突出し、遊技球がスライド板の上面を下流側に向けて転動可能に構成している。
なお、普通電動役物P770、大入賞装置P750の構造はあくまで一例であり、その他の構造を採用してもよいし、右側領域P501Rの各種入賞装置の配置順番についても、適宜配置を変更することが可能である。例えば、普通電動役物P770に係る入賞口を第2特別図柄の抽選に係る第2始動入賞装置P720としたり、右側領域P501Rにおいて右側一般入賞装置P730Rを設けるように構成したりしてもよい。
遊技領域P501の右側領域P501Rは、大当りや小当り等の特別遊技が実行されている特別遊技中や、確率変動機能や変動時間短縮機能の作動している状態である特定遊技状態において主たる遊技領域として使用される領域である。左側領域P501Lとは異なり、右側領域P501Rは、発射された遊技球の流下経路におけるばらつきが少なく、普通電動役物P770や特別電動役物P755が作動し、普通電動役物に係る入賞口や、大入賞装置P750が入賞容易となっているタイミングにおいては、発射された遊技球のほとんど(例えば9割以上)がいずれかの入賞装置への入賞が可能な構造となっている。
そのため、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、遊技者は、特別遊技状態や特定遊技状態においては右打ち遊技を行うことにより、大当りや小当りによる賞球の獲得、第1始動入賞口P711B(第1特別図柄に対応)や第2始動入賞口P7210(第2特別図柄に対応)への入賞に基づく、特別図柄抽選による新たな大当り、小当りの獲得を目指す遊技を行うように構成されている。
また、詳細は後述するが、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、大入賞装置P750の大入賞口P751の内部に特定領域P760(確率変動機能作動領域)を有しており、遊技機の仕様(スペック)として、「V確変」を採用することで、大当り遊技中に特定領域P760を通過するか否か及び大当りとなったときの特別図柄の停止表示図柄の種類によって、大当り遊技の終了後に移行することとなる特定遊技状態の種類を切り替えるように構成している。
遊技領域に発射された遊技球は、遊技領域P501において、左打ち遊技を行い左側領域P501Lに遊技球を流下させた場合、または右打ち遊技を行い右側領域P501Rに遊技球を流下させた場合であって、各種入賞口に入賞しないときには、遊技領域P501の最下部に配置されたアウト口P790より遊技球が遊技領域外へ向けて排出される。
(遊技機の仕様、スペック、ゲームフロー)
次に、図22および図23を中心に第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおけるゲーム性の説明を行う。図22は第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおけるゲームフローを示しており、図23では第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおける大当りの種類の一例が示されている。図22において矢印は遊技状態の遷移条件を示しており、黒塗りの矢印が第1特別図柄の特別図柄抽選に係る大当り遊技を契機とする遊技状態の遷移を示し、内部が斜線でハッチングされた矢印が第2特別図柄の特別図柄抽選に係る大当り遊技を契機とする遊技状態の遷移を示し、白抜きの矢印が特別図柄抽選の実行回数(特別図柄の変動表示回数)に基づく遊技状態の遷移条件を示しているものである。
図22に示すように、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、特別遊技が実行されていない状態における通常遊技の状態として、「通常時(低確/低ベース)」、「RUSH(高確/高ベース)」、「超RUSH(高確/低ベース)」、「時短(低確/高ベース)」の4つの遊技状態を有している。このうち、「RUSH(高確/高ベース)」、「超RUSH(高確/低ベース)」、「時短(低確/高ベース)」の3つが遊技者に有利な特定遊技状態となっている。
なお、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、特別図柄抽選の制御方法として並列制御を採用しており、第1特別図柄と第2特別図柄とが同時に変動表示が可能に構成されているが、遊技性の本質を変更しない場合には、入球順消化や優先消化制御等を採用するように適宜変更してもよい。
[通常時(低確/低ベース)]
「通常時(低確/低ベース)」は、遊技機の初期状態(ラムクリア後の状態)であり、遊技店舗が開店した後で、通常、遊技者が遊技を開始する際に最初に遊技を行う状態である。
「通常時(低確/低ベース)」では、遊技者は、左打ち遊技を行い左側領域P501Lに遊技球を流下させ、第1始動入賞口P711Aに遊技球を入球させることによって、第1特別図柄の特別図柄抽選に係る乱数を獲得することで、第1特別図柄の特別図柄抽選を受け、大当りの獲得を目指す。
「通常時(低確/低ベース)」において、第1特別図柄の特別図柄抽選の結果が大当りとなると、大当り図柄の種類および大当り遊技中の遊技結果(特定領域P760に対する遊技球の通過の有無)に基づいて、図22中の(A)、(B)、(C)の遊技状態の遷移が行われる。
図22(A)は、図23に示す大当りの種類のうち、特図1大当りB、特図2大当りCに当選した場合であって、大入賞装置P750に設けられた特定領域P760を遊技球が通過した場合の遊技状態の遷移を示している。特図1大当りB、特図2大当りCに当選し、特定領域P760を通過した場合、大当り遊技後の状態として「RUSH(高確/高ベース)」が設定される。
なお、特図1大当りDに当選し、大入賞装置P750に設けられた特定領域P760を通過した場合であっても同様の遊技状態の遷移となるが、特図1大当りDにおいては設計上特定領域P760を通過させることが限りなく困難となるように構成されており、イレギュラーな遊技フローとして扱っている。なお、図23において「※(米印)」を付す遊技状態の遷移は、すべて設計者の意図に沿わないイレギュラーな遊技結果であることを示している。
また、通常時(低確/低ベース)において、第2始動入賞口P721に遊技球が入賞した場合に第2特別図柄の特別図柄抽選に係る変動表示が実行されることとなるが、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては通常時(低確/低ベース)の遊技の主体を第1特別図柄の特別図柄抽選となるように定めており、第2特別図柄の特別図柄抽選が実行された場合、4分や10分などの長時間の変動表示が行われるように構成され、特別図柄抽選の時間効率が著しく悪くなっており、満足に抽選を受けられないように構成している。
このように、遊技の主体とならない図柄で大当りとなる場合も存在するが、以降の遊技状態の説明においては、各遊技状態の主たる図柄においてのみ説明を行い、イレギュラーな遊技や遊技の主体でない図柄に基づく遊技の遷移は図23上においてのみ示す。本実施例中の説明は、図22において示す、設計上意図された遊技状態の遷移について中心に説明を行うものとする。
「通常時(低確/低ベース)」中の遊技状態の遷移の説明に戻り、図22(B)の遊技状態の遷移は、「通常時(低確/低ベース)」において、特図1大当りDに当選し、大当り遊技中に大入賞装置P750に設けられた特定領域P760を遊技球が通過しないこと(設計上、通常の遊技では通過する可能性が限りなく低い)に基づいて行われる遊技状態の遷移である。特図1大当りDに当選した後、大当り遊技中に特定領域P760を通過しないことで、大当り遊技後において「時短(低確/高ベース)」に制御されるようになっている。
図22(C)に示す遊技状態の遷移は、「通常時(低確/低ベース)」において、特図1大当りAに当選することにより行われる大当り遊技中に、大入賞装置P750に設けられた特定領域P760を遊技球が通過することに基づいて実行される遊技状態の遷移を示している。特図1大当りAに当選し、特定領域P760に対する遊技球の通過があった場合、大当り遊技後において、「超RUSH(高確/低ベース)」に制御されるようになっている。
図22(D)は通常遊技状態における特別図柄の抽選回数が所定回数実行されたことに基づいて実行される遊技状態の遷移を示している。例えば、「通常時(低確/低ベース)」(正しくは、確率変動機能が非作動状態である遊技状態)において、特別図柄抽選が合計N回実行されることによって、遊技者の過剰な遊技球の消費を避けるために大当り遊技を経由することなく「時短(低確/高ベース)」状態へ移行するようになっている。第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、N回の数値として750回(第1特別図柄単独での特別図柄抽選回数)又は800回(第1特別図柄と第2特別図柄の合算での特別図柄抽選回数)が設定されている。第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおける図22(D)のような機能は救済機能として位置づけられ、救済機能が作動すると、「時短(低確/高ベース)」の状態が、特別図柄抽選で大当りとなるか、特別図柄抽選(特別図柄の変動表示)が820回(第1特別図柄単独での特別図柄抽選回数)又は830回(第1特別図柄と第2特別図柄の合算での特別図柄抽選回数)実行されるまで継続するようになっている。
なお、救済機能(図22(D))によって移行する「時短(低確/高ベース)」と、大当りによって移行する「時短(低確/高ベース)」(図22(B))とは、厳密には同じ状態でなくてもよい。例えば、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、「電チューサポート機能」を構成する3つの機能である、「普通図柄確変」、「普通図柄時短」、「(普通電動役物の)開放延長」について、大当りによって移行する「時短(低確/高ベース)」では3つの機能がすべて作動する一方で、救済機能の作動によって移行する「時短(低確/高ベース)」は、「普通図柄時短」、「(普通電動役物の)開放延長」のみの作動で構成されるようになっている。
以下、大当りによって移行する「時短(低確/高ベース)」をA時短、救済機能によって移行する「時短(低確/高ベース)」をB時短と称する場合がある。また、救済機能であるB時短は、一旦実行された後、大当り(又はラムクリア)が実行されるまでは、再び実行されることがないように構成される)
[RUSH(高確/高ベース)]
図22に示す「RUSH(高確/高ベース)」は、確率変動機能および電チューサポート機能の作動状態であり、右側領域P501Rに対して遊技球の発射を行う右打ち遊技が遊技の主体となるように設計されている。
図21に示すように、右側領域P501Rの上流の位置には、作動口P741および普通電動役物P770に係る第1始動入賞口P711Bが配置されており、電チューサポート機能の作動により、通常遊技に制御されている期間では、大半(例えば99%程度)の遊技球が第1始動入賞口P711Bへ入賞するように構成され、下流に遊技球が流下することで第2始動入賞口P721への入賞が発生し、第2特別図柄の特別図柄抽選が実行されることを抑制し得るように構成している。
なお、第1始動入賞口P711Bから第2始動入賞口P721との間に、アウト口P790とは別に設けられた第2アウト口等を設けることにより、第1始動入賞口P711Bに入賞しなかった遊技球が第2始動入賞口P721へ入賞する頻度を低下させうるように構成してもよい。
また、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、確率変動機能は、次回の大当り遊技の発生まで継続するように制御され、電チューサポート機能の作動は、作動期間中に大当りを獲得するか、あるいは電チューサポート機能を作動させる契機となった大当り図柄に応じて予め定められる終了条件となる作動回数の特別図柄抽選が実行された場合に終了するようになっている。なお、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおける電チューサポート機能の終了条件となる特別図柄の特別図柄抽選の回数は、第1特別図柄の特別図柄抽選回数に基づく終了条件と、第1特別図柄および第2特別図柄の特別図柄抽選の合算回数のいずれかの条件(特別図柄抽選の実行回数、特別図柄の変動表示の実行回数)を満たした場合に終了するようになっている。
このような構成であることより、「RUSH(高確/高ベース)」においては、第1始動入賞口P711Bへの入賞に基づく第1特別図柄の特別図柄抽選が遊技の主体となっている。
そして、「RUSH(高確/高ベース)」中において、第1特別図柄の特別図柄抽選が大当りとなると、「通常時(低確/低ベース)」と同様の種類の大当りに当選し、図22(E)、(F)、(G)に示す遊技状態の遷移が実行される。図22(E)が特図1大当りB、Cに当選した場合(特定領域P760通過あり)であり、図22(F)が特図1大当りDに当選した場合(特定領域P760通過なし)であり、図22(G)が特図1大当りDに当選した場合(特定領域P760通過あり)である。
図22(H)は、「RUSH(高確/高ベース)」の遊技状態における重要な遊技状態の遷移であり、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて最も有利となる「超RUSH(高確/低ベース)」への移行条件のうち最も成立頻度が高い遊技状態の遷移条件である。
「超RUSH(高確/低ベース)」の詳細は後述するが、「超RUSH(高確/低ベース)」は遊技の主体が第1特別図柄から第2特別図柄に切り替わることにより、第2特別図柄の特別図柄抽選によって高頻度(例えば1/1.5~1/3程度)で発生する小当り遊技により、滞在期間中に遊技球を増加させながら大当りの獲得を目指すことができる特別な遊技状態となっている(このように小当りが頻発して発生して、遊技球を増加させながら遊技できる状態は「小当りラッシュ」と呼ばれる)。
「RUSH(高確/高ベース)」において、「RUSH(高確/高ベース)」に突入する契機となった大当りの種類によって定められる規定回数(例えば30回、50回など)の特別図柄抽選(第1特別図柄の特別図柄抽選)が実行されると、確率変動機能は作動状態を継続する一方で、電チューサポート機能の作動が終了し、「超RUSH(高確/低ベース)」に移行するように制御される。
なお、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、イレギュラーな処理として、「RUSH(高確/高ベース)」において、規定回数の第1特別図柄に係る特別図柄抽選が実行される前に、第1特別図柄および第2特別図柄の特別図柄抽選の合算回数が規定回数よりも多い特定上限回数(例えば100回)に到達された場合であっても「超RUSH(高確/低ベース)」に移行するようになっている。
すなわち、遊技者が「超RUSH(高確/低ベース)」への移行権利を獲得するためには、「RUSH(高確/高ベース)」において、第1特別図柄の特別図柄抽選を規定回数実行させ、大当りを獲得しないことが、「超RUSH(高確/低ベース)」の移行権利の獲得のメインルートとなる。
なお、第1特別図柄の特別図柄抽選にて、特図1大当りAを獲得することによっても「超RUSH(高確/低ベース)」へ移行可能となるが、第1特別図柄の特別図柄抽選が大当りとなったときに図柄抽選の結果が特図1大当りAを実行させることとなる割合は、例えば1%等わずかに設定されるようになっており、プレミア的な大当りとして設定されている。
また、「RUSH(高確率/高ベース)」中の第2特別図柄の特別図柄抽選は、基本的には遊技の主体でないイレギュラー的な扱いとなっているため、頻繁に小当りに当選して第1特別図柄の遊技の進行が停止(第1特別図柄の変動表示が中断)しないように、第2特別図柄の変動表示時間としては、ある程度の変動表示時間を確保するように構成しているが、「RUSH(高確率/高ベース)」にて所定回数の第1特別図柄の特別図柄抽選が実行されたときに「超RUSH(高確/低ベース)」へ移行したときに、第2特別図柄の変動表示が長時間で実行されている状況が発生してしまうと、「超RUSH(高確/低ベース)」へのスムーズな移行が妨げられてしまう虞があることより、「RUSH(高確率/高ベース)」中の第2特別図柄の変動表示は、5秒から10秒程度の比較的短い時間(中程度の時間)で構成されるようにしている。
[超RUSH(高確/低ベース)]
図22に示す「超RUSH(高確/低ベース)」は、前述したように「小当りラッシュ」の遊技性であって、右打ち遊技を行うことにより、第2特別図柄の特別図柄抽選を遊技の主体として行うように設計され、第2特別図柄の特別図柄抽選にて高頻度で当選する小当りによって遊技球を獲得、増加させながら大当りの獲得を目指す遊技性となっている。
「超RUSH(高確/低ベース)」は、低ベース状態(電チューサポート機能の非作動状態)に制御されているため、普通電動役物P770に係る始動入賞口P711Bへの入賞は全く無く(あるいはほとんど無く)、第2始動入賞口P721への入賞に基づいて第2特別図柄の特別図柄抽選が実行されうるようになっている。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、「超RUSH(高確/低ベース)」中は、特別図柄の変動時間短縮機能(時短機能)が、確率変動機能と連動して作動するようになっており、「通常時(低確/低ベース)」では、第2特別図柄の特別図柄抽選に係る変動表示時間が4分から10分の長時間の変動パターンに設定されていたが、「超RUSH(高確/低ベース)」では、1秒程度の短時間に設定され、短期間に多くの第2特別図柄の特別図柄抽選が実行されるとともに、それに伴って小当り遊技が短時間(例えば、1秒から5秒等)に何度も実行されうるようになっている。
また、第2特別図柄の特別図柄抽選が大当りとなった場合に実行される大当りは、設計上、特定領域P760への遊技球の通過(V入賞)が容易な大当りのみが実行されうるようになっており、「超RUSH(高確/低ベース)」において、特別図柄抽選(第2特別図柄)が大当りとなった場合には、「RUSH(高確/高ベース)」、「超RUSH(高確/低ベース)」のいずれかのみに制御されるようになっており、第1特別図柄の特別図柄抽選が大当りとなる場合よりも遊技者に有利となるように構成されている。
図22の説明に戻り、「超RUSH(高確/低ベース)」からの遊技状態の遷移について説明を行う。
図22に示すように、「超RUSH(高確/低ベース)」からの遊技状態の遷移は、イレギュラーな場合を除いて、図22(I)、(J)の2パターンの遊技状態の遷移に制限されている。
図22(I)は、「超RUSH(高確/低ベース)」において、第2特別図柄の特別図柄抽選にて大当りとなり、特図2大当りB、特図2大当りCのいずれかが実行された場合であり、大当り遊技中に大入賞装置P750の特定領域P760に対する遊技球の通過がなされた場合の遊技状態の遷移を示している。特図2大当りB、特図2大当りCを獲得し、特定領域P760への遊技球の通過がなされた場合には、大当り遊技後に「RUSH(高確/高ベース)」へ移行するよう制御される。
図22(J)は、「超RUSH(高確/低ベース)」において、第2特別図柄の特別図柄抽選にて大当りとなり、特図2大当りAが実行された場合であって、大当り遊技中に大入賞装置P750の特定領域P760に対する遊技球の通過がなされた場合の遊技状態の遷移を示している。特図2大当りAを獲得し、特定領域P760への遊技球の通過がなされた場合には、大当り遊技後に「超RUSH(高確/低ベース)」へ移行するよう制御される。
「超RUSH(高確/低ベース)」は、基本的に、第1特別図柄の特別図柄抽選が遊技の主体となる遊技状態から大当り、規定回数の特別図柄抽選(特別図柄の変動表示)の実行によって移行することより、「超RUSH(高確/低ベース)」において、移行時に残存する第1特別図柄の特別図柄抽選に係る保留(乱数)によって大当りとなってしまうイレギュラーが発生してしまう虞がある。
「超RUSH(高確/低ベース)」は、滞在期間中に第2特別図柄の特別図柄抽選の実行回数が増加すればするほど、小当りの獲得による遊技球の獲得が見込めることより、「超RUSH(高確/低ベース)」移行直後に、十分に第2特別図柄の特別図柄抽選を受けられないまま第1特別図柄の特別図柄抽選にて大当りとなってしまうと、不利な遊技状態遷移の大当りが実行される上に、小当りによる遊技球の獲得ができなかったことによる遊技意欲の減退につながる可能性が高まる虞があるため、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては「超RUSH(高確/低ベース)」において、第1特別図柄の特別図柄抽選が大当りとなった場合の変動パターンとして、1分等の長時間の変動が実行されるように構成され、1分間が経過する前に第2特別図柄の特別図柄抽選をおよそ25~30回(1変動当り平均2秒程度で換算)受けられるように構成することで、「超RUSH(高確/低ベース)」に移行した直後に残留する第1特別図柄の特別図柄抽選の保留(乱数)に基づく不利益を解消するように構成している。
なお、「超RUSH(高確/低ベース)」は、特別図柄の特別図柄抽選が高確率となる確率変動機能の作動状態であるが、第2特別図柄の特別図柄抽選にて大当りを獲得するまでの平均変動回数(期待変動回数)が30回よりも多くなるように構成することで、イレギュラーな第1特別図柄の特別図柄抽選に基づく「超RUSH(高確/低ベース)」の継続よりも、正常な遊技が行われている場合のほうが「超RUSH(高確/低ベース)」の継続期間の期待度(第2特別図柄の特別図柄抽選の実行回数の期待回数)が大きくなるように構成することが好ましい。
[時短(低確/高ベース)]
図22に示す、「時短(低確/高ベース)」は、確率変動機能の非作動かつ電チューサポート機能の作動状態である。
「時短(低確/高ベース)」は、「RUSH(高確/高ベース)」と同様、電チューサポート機能の作動状態であり、右打ち遊技を行うと、作動口P740に対する遊技球の通過(および普通図柄抽選の実行)により、普通電動役物P770が作動し、第1始動入賞口P711Bへの入賞が発生しやすい遊技状態である。
したがって、「時短(低確/高ベース)」における遊技の主体は、第1特別図柄の特別図柄抽選となっており、「時短(低確/高ベース)」において大当りを獲得した場合や、「時短(低確/高ベース)」において大当りを獲得できず規定回数(第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては50回)の特別図柄抽選が実行された場合に、図22に示すような遊技状態の遷移が行われる。
図22(K)、(L)、(M)は、「時短(低確/高ベース)」において大当りを獲得した場合の遊技状態の遷移を示している。図22(K)は特図1大当りB、特図1大当りCを獲得した場合かつ特定領域P760への遊技球の通過があった場合の遊技状態の遷移であり、図22(L)は特図1大当りDを獲得した場合かつ特定領域P760への遊技球の通過がなかった場合の遊技状態の遷移であり、図22(M)は特図1大当りAを獲得した場合かつ特定領域P760への遊技球の通過があった場合の遊技状態の遷移である。
図22(N)は、「時短(低確/高ベース)」において大当りを獲得できず、規定回数の特別図柄抽選が実行された場合の遊技状態の遷移を示している。大当り遊技後に移行した「時短(低確/高ベース)」では規定回数が50回(特別図柄1)又は100回(特別図柄1及び特別図柄2の特別図柄抽選の合算)に設定されており、救済機能の作動により移行した「時短(低確/高ベース)」では規定回数が820回(特別図柄1)又は830回(特別図柄1及び特別図柄2の特別図柄抽選の合算)に設定される。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、「通常時(低確/低ベース)」と「時短(低確/高ベース)」における遊技の主体となる特別図柄が共通(特別図柄1)となっていることより、大当りとなった場合の有利度合いとして、第2特別図柄の特別図柄抽選のほうが有利に設定されている場合であっても、救済機能の作動により遊技者により有利な特別図柄抽選が受けられる等の過度の恩恵を受けられないように構成することで、救済機能の作動を目指して遊技球を過度に消化させてしまうことを防止するよう構成している。
[特別遊技(大当り)のVラウンド制御]
第1実施例のぱちんこ遊技機Pは、遊技性としてV確変(球確)を採用している。すなわち、大当り遊技中(特にVラウンドとして定められた特定のラウンド中)に大入賞装置P750に設けられた特定領域P760に対する遊技球の通過することで、大当り遊技後に、確率変動機能の作動、非作動を異ならせる仕様を採用している。
図21には不図示であるが、大入賞装置P750の特定領域P760の近傍には、特定領域P760に対する遊技球の入球容易性を異ならせる開閉弁P761を有するように構成されており、開閉弁P761が入球困難態様に維持されている状況下では、特定領域P760に対する遊技球の通過は発生し得ないように構成されている。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、Vラウンドの制御として、開閉弁P761の変位態様を大当り図柄によって異ならせることで、特定領域P760に対する遊技球の通過(V入賞)の容易性を異ならせるように構成している。
より具体的には、すべての大当りに共通して、1ラウンド目、2ラウンド目がVラウンドとして定められており、1ラウンド目、2ラウンド目の開始(大入賞装置の開放開始)直後に、40msだけ特定領域P760近傍の開閉弁P761を入球容易状態に変位させる。この時、40msという時間は、ごく短時間であり、大入賞装置P750が入賞容易な態様に変位した直後(あるいはほぼ同タイミング)に遊技球が入賞した場合であっても、特定領域P760に対する遊技球の通過はほとんど発生し得ないようになっている。
そして、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、大当りの契機となった図柄の種類(大当り遊技の種類)によって、大当り遊技中にV入賞が容易となるか否かは、前述した開閉弁P761の短開放動作後に、開閉弁P761が長時間(例えばラウンド終了まで、あるいは20秒等)の間入賞容易となる動作を行うか否かを異ならせることによって実現している。
例えば、図23に示す、特図1(特図2)大当りA、B、Cは、特定領域P760に対する遊技球の通過が容易となる当りであり、特図1大当りDは、特定領域P760に対する遊技球の通過が困難となる当りとして割り当てられている。
大当り遊技中のVラウンドでは、1球目の遊技球の入賞の際に、今回の大当りの種類(大当りを開始することとなった特別図柄の種類、あるいは同一の大当りを実行することとなる情報である大当りの図柄群情報)を参照することにより、今回の当りが特定領域P760に対する遊技球の通過(V入賞)が容易な当りであるか否かを判定する。より具体的に、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、今回の当りが特図1(特図2)大当りA、B、Cのいずれかであるか否かを判定する。
そして、Vラウンドの実行時の1球目の遊技球の入賞時に、現在の大当りが特図1(特図2)大当りA、B、Cであると判定された場合、開閉弁P761の変位態様を制御する駆動源(開閉弁ソレノイド)に対して、入賞容易な状態に変位させるためのデータ(ソレノイドオンデータおよび、開閉弁の駆動タイマ)を設定して、開閉弁P761を大入賞装置P750内の特定領域P760に対する遊技球の入賞が容易な状態に変位させるように構成している。
一方でVラウンドの実行時の1球目の遊技球の入賞時に、現在の大当りが特図1大当りDであると判断した場合には、開閉弁P761の変位態様を変化させるためのデータの設定を行わず、大入賞装置P750の特定領域P760に対し、遊技球の通過が困難となる状態に開閉弁P761の変位状態を維持するように構成している。
なお、開閉弁P761の変位状態を入賞容易とするか否かの判断に対し、大当りの種類に関する情報を参照するように構成しているが、大当りが発生する際に設定されるフラグデータ(開閉弁P761の長時間の変位を許容するためのフラグ)が設定されているか否かを判断するように構成してもよい。
以上が、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおける遊技性に関する説明であり、以下に、本遊技性の採用に関し、合わせて検討された特徴的なぱちんこ遊技機の制御に関する説明を行う。
(第1実施例のぱちんこ遊技機Pの構成概要)
第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、以下の3つの特徴的な制御を実行するようになっており、まずはその3つの特徴に関して概要を説明した後、それらの個別の特徴的な制御に関する説明を記載する。
[特徴構成1]
第1実施例のぱちんこ遊技機Pは、特定領域(V領域)を備えたぱちんこ遊技機であり、特別遊技(大当り)の種類として、設計の意図として特定領域(V領域)を通過しやすい特別遊技(以下「V容易当り」と称する場合がある)と、特定領域を通過しにくい特別遊技(以下「V困難当り」と称する場合がある)とを有するように構成されている。
このように「V容易当り」と「V困難当り」とを制御的に有しているにもかかわらず、「V困難当り」である際に、特定領域P760への遊技球の通過が検出された場合には、悪意を持った遊技者(不正遊技者)の不正行為が行われている状況である可能性が考えられる。
そこで、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「V困難当り」が実行されている状況下において、特定領域を通過した場合には、所定期間のエラー報知を実行することによって、遊技店舗の管理者や店員によって、不正行為の実施の有無を確認しやすいように構成することを目的とする。
なお、不正行為を行うものには、これらのエラー報知の対策としてエラー報知を行うための装飾ランプP82の表示を隠したり、スピーカP83からのエラー報知音を出力されなくするようスピーカP83の周辺に不正にアクセスしたりするなど対策を施される虞がある。
そこで、「V困難当り」である際の特定領域P760への遊技球の通過に基づくエラー(以下「特定領域異常通過エラー」または「ショートVエラー」と称する場合がある)が発生した場合には、演出制御基板P41(や画像制御基板P42)によって制御される演出装置以外に、主制御基板P40の管理する表示装置(例えば主制御表示装置P50の状態表示灯P55等)によってエラーを外部に報知可能に構成することで、より確実なエラー報知を可能とするように構成する。
主制御基板P40において特定領域異常通過エラーを適切に報知するために、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、大当り遊技中に大入賞装置P750の特定領域P760への遊技球の通過が検出された場合に、割込み処理中の「特定領域通過監視処理」(第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは特定領域として「確率変動機能作動領域」を設定しているため、「確変領域通過監視処理」として記載するが、小当りV等の特定領域の通過監視処理においても適用可能である)において、特別遊技の実行契機となった図柄の種類(大当り、小当りの図柄の種類であり、停止図柄そのものや、同一の処理内容となる図柄群で判定される)が、「V困難当り」であるか否かを判定し、「V困難当り」である場合に「特定領域異常通過エラー」の報知に係る処理が実行されるように構成される。
また、一方で不正を行うことがない善意の遊技者が「V困難当り」でも、稀に特定領域異常通過エラーを発生させてしまう状況も存在することより、主制御基板P40や演出制御基板P41等での「特定領域異常通過エラー」のエラー報知期間について、過度に報知を継続することで、善意の遊技者に不信感や不安を与えてしまう虞があることより、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、「特定領域異常通過エラー」に対するエラー報知の実行期間を適切に設定する対応も行う(詳細は後述)。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pの特徴構成1によれば、特定領域(V領域)を有するぱちんこ遊技機において、本来設計の意図として特定領域P760への遊技球の通過がなされるべきではない当りが実行されているときに、特定領域P760への遊技球の通過が検出されて、意図しない利益が遊技者に付与されてしまうエラーについて、適切に外部に報知が可能となることで、不正行為の防止につながる。
[特徴構成2]
第1実施例のぱちんこ遊技機Pは、第2特別図柄の特別図柄抽選において、第1特別図柄の特別図柄抽選よりも高確率で小当りに当選するように構成され、単位時間において「小当り」が高頻度で当選する特定の遊技状態(小当りラッシュ)を有するぱちんこ遊技機である。
特定の遊技状態は、主として特別遊技(大当り)や特別図柄の規定回数の変動表示を契機として終了するものであるが、遊技状態が特定の遊技状態(小当りラッシュ)から、他の状態へ変更された場合の通常遊技において、第2特別図柄の特別図柄抽選が実行され小当りに当選すると、遊技領域P501上に存在する遊技球が稀に大入賞装置P750へ入賞して、特定の遊技状態でないにもかかわらず、設計上意図しない賞球が払い出されてしまう虞がある。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、大入賞装置P750が配置される遊技領域P501(右側領域P501R)の構成として、大入賞装置P750よりも遊技球の流下方向の上流側に、作動口P740および普通電動役物P770に係る入賞口(始動口)を配置することにより、大入賞装置P750への遊技球の流下頻度を減らすことで、大入賞装置P750への意図しないタイミングでの入賞を避けるように構成している。
しかしながら、特別遊技(大当り)が終了して、特定の遊技状態(小当りラッシュ)ではない他の遊技状態に制御される場合であっても、例えば特別遊技(大当り)が実行される前の遊技状態が特定の遊技状態(小当りラッシュ)である場合に、第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留が残留しており、特別遊技の終了直後に第2特別図柄の特別図柄抽選が実行されてしまう場合がある。特に特別遊技(大当り)中は、確率変動機能や電チューサポート機能は大当りの開始のタイミングで非作動状態に切り替えられるように構成されるため、普通電動役物P770の開放に係る普通図柄抽選が不利な状態であり、特別遊技の終了直後は、普通電動役物P770に係る入賞口(始動口)が入賞困難であり、たとえ大入賞装置P750の上流側に普通電動役物P770に係る入賞口(始動口)が設けられている場合であっても、大入賞装置P750側へ遊技球が流下しやすい状況が少しの間継続してしまい、特定の遊技状態(小当りラッシュ)でないにもかかわらず、小当りの発生による入賞が発生してしまう可能性が高い状況が生まれやすくなっていた。
そこで、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、短時間に高頻度で小当りが発生し、かつ小当り発生時に大入賞装置P750への入賞が容易な特定の遊技状態と、他の遊技状態とを少なくとも有し、他の遊技状態において、特別遊技の終了後において、第2特別図柄の特別図柄抽選が実行された場合に、第2特別図柄の特別図柄抽選に係る第2特別図柄の変動表示時間が所定時間(例えば、特別遊技終了時点で遊技領域P501の右側領域P501Rに残留する遊技球が、大入賞装置P750よりも下流側へ流下するのに要する平均的な時間)よりも長くなるよう、他の遊技状態における第2特別図柄の特別図柄抽選の変動パターンの抽選について所定の処理(例:最大保留個数時の変動パターン抽選テーブルを長時間の変動パターンが選択されるテーブルとする、特別遊技の終了直後の変動パターンテーブルを特殊変動パターンテーブルとする、第2特別図柄の特別図柄抽選時に変動付加抽選を行うなど)を行うように構成している。
このように、特別遊技の終了後に、小当りに基づく遊技球の獲得を遊技性として意図していない他の遊技状態に制御される場合に、小当りに高頻度で当選する第2特別図柄の特別図柄抽選の変動パターンの抽選を特殊な仕様とすることにより、小当り発生に基づく意図しない大入賞装置P750への入賞で、出玉設計上意図しない遊技球が遊技者に付与されてしまうことを防止することができるようになる。
[特徴構成3]
第1実施例のぱちんこ遊技機Pは、遊技状態(特定遊技や変動パターンテーブルの選択状態)の遷移条件として、第1特別図柄(又は第2特別図柄)の変動回数に基づく第1移行条件と、第1特別図柄および第2特別図柄の合算の変動回数に基づく第2移行条件とを有するように構成される。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pは、いずれの遊技状態に制御される状況下であっても、演出制御基板P41の変動演出としては、第1特別図柄または第2特別図柄のいずれか一方の変動表示に対する変動演出を演出の主体として実行することにより、遊技の主体である特別図柄が変動表示されていることが遊技者に容易に知覚できるように構成している。
このように構成される第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、遊技の主体である特別図柄に係る変動演出が実行された回数(遊技の主体である特別図柄の特別図柄抽選回数)が、遊技状態の遷移条件として遊技者に意識されることが重要であり、第1の移行条件に連動して、遊技状態の遷移が実行される旨を示す変動演出を実行されるように構成することが好ましい。
しかしながら、第1実施例のぱちんこ遊技機Pの制御として、遊技の主体とならない特別図柄については変動演出を積極的に実行しない構成であることより、第1の移行条件よりも先に第2の移行条件が成立した場合に遊技状態が遷移してしまう場合が存在する。
このようなイレギュラーな状況で遊技状態が遷移する場合について、意図的に行われたものか否かを判別することは困難である一方で、遊技状態が遷移したことを報知(例えば演出モードを変更することなど)が実行されないと、遊技者に不利益を与えてしまうことになるため、第2の移行条件が成立した場合であっても、遊技状態が遷移したことを遊技者に知覚可能に構成することが好ましい。
一方で、設計者の意図の通り遊技が行われ、第1の移行条件を満たす場合には、遊技状態が遷移するタイミングや、遊技状態が遷移する直前や手前のタイミングにおいて、遊技状態の遷移が近い旨を示す変動演出を実行させるための制御が行われるように構成することで、遊技状態の遷移のタイミングに係る遊技者の関心を高め、演出の興趣を向上させることが可能となる。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、第1の移行条件を満たすように遊技がなされた場合では、遊技状態の遷移時及び遷移する直前や手前の複数回の特別図柄の変動表示タイミングにおいて、遊技状態の遷移に係る変動演出が実行される一方で、第2の移行条件が成立するように遊技が行われた場合、少なくとも遊技状態が遷移する直前や手前の複数回の特別図柄の変動表示タイミングにおいては、遊技状態の遷移に係る変動演出が実行されないように構成される。
このように構成することで、設計者の意図する遊技にて第1の移行条件を満たす場合には、興趣性の高い演出を提供可能に構成する一方で、イレギュラーな遊技状態の遷移(第2の移行条件の充足)が行われる場合であっても、遊技状態の遷移の報知に係る一部を実行可能とすることで遊技状態の遷移を報知しないことによる遊技者の不利益を防止することができる。
(第1実施例のぱちんこ遊技機Pの特徴構成詳細)
続いて、図24から図31を用いて、第1実施例のぱちんこ遊技機Pの特徴構成に係る制御の内容について説明を行う。
[特徴構成1の詳細]
最初に、特徴構成1について、図24から図26を用いて説明を行う。図24から図26の処理は、主制御基板P40(主制御CPU)にて行われる割込み処理中の処理の一部である。図24は、特別遊技(大当り)中の特定領域の通過有無を監視する処理である「確変領域通過監視処理」を示すフローチャートである。図25は、主制御基板P40にて、エラーの発生状態やその他の遊技状態を主制御表示装置P50に表示させる際の、表示データの生成に係る「遊技状態表示処理」を示すフローチャートである。図26は、「遊技状態表示処理」やその他の処理にて、エラーの発生の有無を確認するための「エラー検査処理」を示すフローチャートである。
≪確変領域通過監視処理P-s3100≫
図24は、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、割込み処理中において行われ、主に大当り遊技中に特定領域P760(確率変動機能作動領域)を通過したときに、主たる制御が行われる「確変領域通過監視処理P-s3100」を示している。以下「確変領域通過監視処理P-s3100」に関する処理内容について図24を参照しながら順を追って説明する。
「確変領域通過監視処理P-s3100」は、特別電動役物制御処理P-s2028(図9参照)にて呼び出して実行されるサブモジュール処理である。
「確変領域通過監視処理P-s3100」が開始されると、最初に特定領域P760に対する遊技球の有効な入賞があったか否かの検査が行われる。具体的には、有効期間設定処理P-s2016(図9参照)で設定される特定領域P760の有効期間中であるか否かを検査し(P-s3102)、入賞監視処理P-s2018で生成する特定領域P760のセンサ通過情報をもとに特定領域P760に対する遊技球の通過(V入賞)が検出されたタイミングであるかを判断し(P-s3104)、入賞監視処理P-s2108で大入賞口の入賞センサおよび大入賞口の排出センサの検出をもとに更新される特別電動役物入賞カウンタの値をもとに、ラウンド遊技の開始後(大入賞口P751の入球容易態様への変位動作後)に入賞した遊技球があるか否かを検出する(P-s3106)。
なお、特別電動役物入賞カウンタは、ラウンド開始時に初期値「0」となっており、大入賞口P751への入賞で「+1」され、大入賞口P751からの排出で「-1」される構成となっており、特定領域の通過は、大入賞口P751への入賞が発生していない場合には起こりえないことより、P-s3106の処理では、特別電動役物入賞カウンタが0ではない(または0より大きい)ことを判定することで入賞があったことを検出するようになっている。
このように、「確変領域通過監視処理P-s3100」開始直後の処理では、最初に特定領域P760に対する遊技球の有効な入賞があったか否かの検査が3つの判断によって行われ、すべて肯定結果(YES)となった場合に、続く処理(P-s3108)へ進行する一方、いずれか一つでも否定結果(NO)となった場合には、「確変領域通過監視処理P-s3100」の処理を終了し、割込み処理の続きの処理へ復帰する。
「確変領域通過監視処理P-s3100」の処理において、特定領域P760に対する遊技球の有効な入賞が発生したと判定された場合には、主制御基板P40のラム(RAM)の記憶領域より、「特定領域通過済みフラグ」の記憶領域を参照し、既に特定領域P760を通過した旨の情報が格納されているか否かを確認する(P-s3108、P-s3110)。
「特定領域通過済みフラグ」が既に通過済みのデータである場合(P-s3110YES)、すなわち特定領域P760通過に基づく一連の処理が実行済みである場合には、「確変領域通過監視処理P-s3100」の処理を終了し、割込み処理の続きの処理へ復帰する。一方、「特定領域通過済みフラグ」に通過済みデータが設定されていない場合、続く処理(P-s3112以降の処理)に移行して、特定領域通過に係る処理が行われる。
「確変領域通過監視処理P-s3100」の特定領域P760の初回の通過時の処理として、大きく分けて2つの処理が実行される。一つは、特定領域P760に対する遊技球の有効な入賞による、遊技状態の変化に係るフラグデータの設定に関する処理(P-s3112、P-s3114)であり、もう一つは、「V困難当り」であるか否かの判定および「V困難当り」であった場合のエラー報知に関する設定処理(P-s3116からP-s3122)である。
特定領域P760に対する遊技球の有効な入賞による、遊技状態の変化に係るフラグデータの設定に関する処理としては、「特定領域通過済みフラグ」のラム記憶領域に対し、通過済みデータ(通過済みフラグ)をセットする処理を行い(P-s3112)、その後、ラムの「確率変動判定フラグ」のラム記憶領域に確率変動機能作動データをセットする処理が行われる(P-s3114)。
「確率変動判定フラグ」のラム記憶領域に設定される確率変動機能作動データは、大当り遊技の終了時の遊技状態の設定処理として、確率変動機能を作動させるか否かの判定処理に使用されるとともに、大当り遊技の実行契機となった大当り図柄および確率変動機能作動データの設定有無に応じた電チューサポート機能の作動回数を設定するために使用される。一例としては、図23に示す、特図1大当りBに当選している場合に、特定領域760を通過し「確率変動判定フラグ」のラム記憶領域に確率変動機能作動データ(作動ありデータ)が設定されている場合、確率変動機能の作動と電チューサポート機能の作動30回の特定遊技に係る遊技情報(データ)が設定され、確率変動機能作動データが設定されていない場合(作動なしデータが格納されている場合)、確率変動機能の非作動と電チューサポート機能の作動50回の特定遊技に係る遊技情報(データ)が設定される。
「V困難当り」であるか否かの判定および「V困難当り」であった場合のエラー報知に関する設定処理は、まず、現在実行中の特別遊技(大当り)の開始の契機となった特別図柄の種類を識別可能なデータ(例えば、図柄の当選番号、当選IDや、同一の特別遊技が実行されることとなる図柄群情報であり、本例では図柄群情報である群判定番号)をラム記憶領域より読み出す(P-s3116)。
続いて、読み出した群判定番号(図柄群情報)が、「V困難当り」を行う大当り図柄(「ショートV図柄」とも称する)であるか否かを判定する(P-s3118)。ショートV図柄であるか否かの判定は、あらかじめ記憶されている判定データ(定数データ)と一致するデータであるか否かで判定を行うように構成されている。そして、「V困難当り」であるか否かの判定結果が肯定結果(YES)であり、「V困難当り」にて、特定領域P760に対する遊技球の通過が検出されたと判定された場合には、続く処理を行うように構成するとともに、「V困難当り」であるか否かの判定結果が否定結果(NO)であると判定された場合には、「確変領域通過監視処理P-s3100」の処理を終了する。
今回の特別遊技(大当り)が「ショートV図柄」に対応する大当り図柄を契機とする、特別遊技であって、特定領域P760に対する遊技球の通過(V入賞)が発生したと判定した場合(P-s3118YES)、「V困難当り」にてV入賞が発生した旨をラムの記憶領域に記憶するため、ショートVフラグ記憶領域にショートVフラグ(「V困難当り」でのV入賞ありを示すフラグ)を設定し(P-s3120)、演出制御基板P41に対して、「V困難当り」にてV入賞した旨のエラー報知を行わせるための演出制御コマンドを送信する(P-s3122)。
「確変領域通過監視処理P-s3100」において、ショートVフラグ記憶領域に対し、ショートVフラグ(V入賞ありデータ)が格納された場合、後述する、「遊技状態表示処理P-s2306」、「エラー検査処理P-s3204」の処理によって、主制御基板P40の主制御表示装置P50(状態表示灯P55)に、エラーの発生に関する情報が表示されるようになっているとともに、演出制御基板P41に対するショートV発生を通知する演出制御コマンドの送信により、演出制御基板P41によって演出装置を利用したエラー報知が実行されることとなる。
なお、不図示であるが、主制御基板P40のラム記憶領域であるショートVフラグ記憶領域は、特別遊技(大当り)の終了時(大当り終了デモの終了時)においてクリア(初期化)される。この特別遊技の終了時のショートVフラグのクリア処理に伴って、ショートVフラグのセット(P-s3120)後から後述する遊技状態表示処理の実行により報知が開始されることとなる主制御表示装置P50における状態表示灯P55(エラー表示灯)の特定領域異常通過エラーの報知が終了することとなる。
≪遊技状態表示処理≫
続いて図25を参照しながら、「遊技状態表示処理P-s2036」に関する制御処理の内容について説明を行う。
「遊技状態表示処理P-s2036」は、前提とするぱちんこ遊技機の説明においても概要を記載したが、主制御表示装置P50における遊技の進行に関する情報の表示のための点灯データを生成する処理であって、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、エラー表示灯(状態表示灯P55)、特別図柄抽選に係る保留数を表示する特別図柄保留表示灯(特図1保留表示灯P61、特図2保留表示灯P62)、普通図柄抽選に係る保留数を表示する普通図柄保留表示灯P63などの点灯データ(点灯パターン)を生成している処理である。
「遊技状態表示処理P-s2036」が開始されると、最初に、エラー表示を行うための点灯データの生成処理が行われる(P-s3202からP-s3208)。
エラー表示を行うための処理として、まず、制御プログラム(ROM)に記憶されているエラー判定用のマスクデータ(定数データ)を呼び出し(P-s3202)、サブモジュールである「エラー検査処理P-s3204」を実行することによってエラーの発生状態であるか否かを判定するためのデータを生成する。なお、「エラー検査処理P-s3204」については後述する。
「エラー検査処理P-s3204」が実行された結果、エラーが発生している状態であると判定されると、主制御表示装置P50の状態表示灯P55(エラー表示灯)に対して、点灯データ(エラー発生中を示すデータ)をセットする処理がおこなわれ(P-s3206YES_P-s3208)、「エラー検査処理P-s3204」の実行結果として、エラー発生状態でないと判定された場合、主制御表示装置P50の状態表示灯P55(エラー表示灯)に対しては消灯データ(エラー非発生中を示すデータ)が設定されるようになっている(P-s3206)。
なお、図25中には、エラー発生中でないと判定した場合(P-s3206NO)に、非点灯データをセットする処理が実行されてはいないが、「遊技状態表示処理P-s2036」で生成された点灯パターンデータをもとに実際に主制御表示装置P50の発光部(LED)を点灯させる制御を行う際に、エラーが発生していない状況(例えばエラーフラグ=エラー無しデータ、設定処理フラグ=設定キーオフデータ、ショートVフラグ=V入賞無しデータ)であることを条件として、状態表示灯P55(エラー表示灯)の点灯状態を読み出す処理を行わない(=消灯データとして出力する)ように構成しているため、点灯制御用データが出力ポートにセットされず、状態表示灯P55(エラー表示灯)が点灯しないように構成されている。
「遊技状態表示処理P-s2036」の後半の処理(P-s3210からP-s3214)は、特別図柄抽選に係る保留数と普通図柄抽選に係る保留数に係る表示装置の点灯パターンデータを生成する処理である。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、特別図柄抽選に係る保留および普通図柄抽選に係る保留は最大4個で構成されているが、いずれの保留表示も2個のLEDを用いて、「消灯、消灯」(0個)、「消灯、点灯」(1個)、「点灯、点灯」(2個)、「点灯、点滅」(3個)、「点滅、点滅」(4個)の点灯態様を切り替えることにより、保留個数の表示を行うようになっている。
そのため、まず、特別図柄抽選に係る保留、普通図柄抽選に係る保留の個数をラムの記憶領域から読み出し点灯制御用のデータを生成する。点灯制御用のデータは、点滅を行う際に点灯状態と消灯状態とがあるため、保留1個から4個に対応するデータとして8個のデータ(例:1個点滅なし、1個点滅あり、・・・、4個点滅なし、4個点滅あり)が設けられ、保留数に応じていずれのデータを参照するかのオフセット値が生成される。この時オフセット値としては点滅なしデータを参照するためのオフセット値が記憶されるようになっている(P-s3210)。
そして、「表示番号切替処理P-s3212」を行うことで、点滅表示の際の点灯時間(又は消灯時間)が経過したかを判定し、点灯時間(消灯時間)である100msが経過している場合には、保留表示の点灯制御用データを切り替えるためのデータが記憶される。具体的には、点滅表示の点灯が必要なタイミングには、保留表示の点灯制御用データを切り替えるためのデータとして「1」がセットされ、点滅表示の消灯が必要なタイミングでは「0」が記憶されるようになっている。
そして、「表示番号切り替え処理P-s3212」で生成した、点滅切り替えのためのデータを、先に生成した点灯制御用データと演算(加算)することにより、特別図柄抽選に係る保留および普通図柄抽選に係る保留の表示灯に対する点灯パターンを指定するためのオフセット値情報を更新するようになっている(P-s3214)
≪エラー検査処理≫
続いて、図26を参照しながら「エラー検査処理P-s3204」について説明を行う。
「エラー検査処理P-s3204」は、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいてエラーが発生している状況に関する制御を行うタイミングで、エラーの発生有無を確認するための処理であり、図25に示した「遊技状態表示処理P-s2036」や、その他の処理(例えば、外部信号出力処理P-s2042)などの処理中にサブモジュール処理として読み出して実行される処理である。
「エラー検査処理P-3204」が開始されると、最初にセキュリティ信号の出力中であるか否かを判定する(P-s3302)。セキュリティ信号とは、外部信号出力処理P2042等の処理で、ぱちんこ遊技機に異常(エラー)が発生していることを外部に報知するための信号であり、ぱちんこ遊技機の異常(エラー)のうちあらかじめ設定されたエラーについて、外部に信号出力するように設定されている。セキュリティ信号の出力期間は、発生した異常(エラー)の内容により異なっており、セキュリティ信号を出力するための時間値を管理するためのタイマデータを記憶する記憶領域がラムに設けられており、セキュリティ信号の出力中であるかどうかは、このタイマデータの記憶領域に出力期間が残っているか否か(タイマデータが0でないかどうか)で判断するようになっている。
そして、セキュリティ信号の出力中であると判定された場合(P-s3202YES)には、検査データ1にエラーあり情報を記憶する(P-s3304)。
続いて、ラムの記憶領域からエラーフラグを記憶している記憶領域の情報を読み出す(P-s3306)。この処理で読み出されるエラーフラグは、1バイトデータであり、特定の5ビットに対して、「通信線異常」、「断線短絡電源異常」、「扉/枠開放」、「磁気センサ異常」、「電波センサ異常」が割り当てられており、各エラーが発生している状況下において、対応するビットがエラー発生状態の指定値である「1」(または「0」、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては「1」がエラー発生状態を示す値)に設定されるようになっている。
エラーフラグのデータが読み出されると、事前に読み出しておいたエラー判定データ(P-s3202等)とエラーフラグのデータを論理演算し(図26では論理積をとっている)、エラー発生を示す結果となるか否かを判定する(図26では論理積の結果が0以外であればエラーありと判定される)。そして、エラーフラグとして格納されている値がエラーありである場合には、エラー判定データとの論理積の結果は、0以外となるように構成されており、エラーが発生している場合(エラーフラグにいずれかのエラーが発生している情報が格納されている場合)には、検査データ2にエラーあり情報を記憶するようになっている。(P-s3308、P-s3310)
そして、検査データ1(セキュリティ信号の出力中であるか否かを示すデータ)および検査データ2(エラーフラグにエラー発生中のデータが格納されているか否かを示すデータ)の生成が終了すると、検査データ1および検査データ2の論理和をとり、エラー発生中(又はエラー信号出力中)である旨を指定するためのデータを記憶するための判定を行う(P-s3312)。
検査データ1または検査データ2のいずれかが、エラー発生中(又はエラー信号出力中)である場合には、「エラー検査処理P-s3204」の結果として、エラーありを記憶するように構成されている(P-s3312YES、P-s3318)。一方、検査データ1および検査データ2のいずれもエラー発生中(又はエラー信号出力中)を示すデータが格納されていない場合には、続く判定処理(P-s3314以降の処理)へ進む。
続く判定処理では、2つの判定が行われ、エラーまたはエラーと同等の制御が必要な状況であるかを判定するようになっている。
続く判定処理において、最初に行われる判定としては、設定キースイッチがオンであるか否かの判定であり、入力ポート確認処理P-s2004で生成される設定キースイッチの信号データ(レベルデータ)を参照することにより、設定変更状態または設定確認状態であり、「設定制御処理P-s2008」における制御が必要な状態であるか否かを判定するようになっている。(P-s3314)
設定に関する情報が表示される設定変更、設定確認の状態は、通常遊技者が遊技する状況においては発生することがなく、状態表示灯P55の表示を行ったり、外部信号の出力を行ったりすることによって、外部にエラーと同等の重大なインシデントが発生していることを報知、出力可能とするように構成している。(P-s3314YES、P-s3318)
続く判定処理は、ラムの記憶領域である、ショートVフラグ記憶領域に「V困難当り」でのV入賞ありを示すフラグ(V入賞ありデータ)が設定されているか否かを確認する処理である。
前述した「確変領域通過監視処理P-s3100」において、ショートVフラグ記憶領域に「V困難当り」でのV入賞ありを示すフラグが記憶された場合、主制御表示装置P50の状態表示灯P55にエラー表示を行うとともに、エラーを外部の管理コンピュータへ出力するための外部信号の出力を行う制御に必要なデータとして必要な制御情報である「エラー検査処理P-s3204」の検査結果のエラーありデータを記憶するように構成されている。(P-s3316YES、P-s3318)
なお、設定キースイッチの判定(P-s3314)および、ショートVフラグの判定(P-s3316)について、いずれもエラー(エラーと同等)と扱うデータでない場合には、「エラー検査処理P-s3204」の結果として、エラーあり情報を記憶することなく処理を終了する。
以上説明したように、「確変領域通過監視処理P-s3100」において、「V困難当り」であるにもかかわらず、大入賞装置P750の特定領域P760に対する遊技球の通過(V入賞)が検出された場合には、ショートVフラグ記憶領域に、「V困難当り」にてV入賞が検出された旨を示すショートVフラグが記憶され、「遊技状態表示処理P-s2036」にて、「エラー検出処理P-s3204」を実行した結果、ショートVフラグ情報に基づいて、主制御表示装置P50の状態表示灯P55(エラー表示灯)で「特定領域異常通過エラー」に係るエラー表示を実行させるべき状態であると判断し、主制御表示装置P50にてエラーの表示が実行される。
また、主制御基板P40の「特定領域異常通過エラー」のエラー報知は、特別遊技の終了に際してショートVフラグ記憶領域が初期化されることで、「特定領域異常通過エラー」の発生に基づく主制御表示装置P50におけるエラー報知が終了するようになっている。
[特徴構成2の詳細]
続いて、第1実施例のぱちんこ遊技機Pの特徴構成2の制御内容について図27、図28を用いて説明を行う。
特徴構成2は、前述したように遊技機仕様の設計上、特定の遊技状態(小当りラッシュ)以外の遊技状態でも第2特別図柄の特別図柄抽選にて発生し得る小当り遊技について、特定の遊技状態以外では遊技者に小当り遊技に基づく賞球の獲得を困難とさせるため、特定の遊技状態以外での第2特別図柄の特別図柄抽選の変動表示に係る変動表示時間(変動パターン)に対し所定の変動時間以上となるようにするための制御である。
図27は、「特別図柄変動開始処理P-s3400」のフローチャートを示している。
「特別図柄変動開始処理P-s3400」は、特別図柄の変動開始条件(特別遊技中でない、対象の特別図柄が変動表示中および図柄固定中でない、など)を充足した場合に実行される、特別図柄変動開始監視制御処理におけるサブモジュール処理であり、特別図柄抽選における当否抽選、図柄抽選の終了後において呼び出される処理である。
「特別図柄変動開始処理P-s3400」での主な処理は、変動パターン抽選処理P-s3404や変動時間決定処理P-s3408によって、今回の特別図柄抽選における特別図柄の変動表示時間(変動パターン)を決定する処理である。
なお、図27に示すフローチャートでは、確率変動機能の作動状態や、電チューサポート機能の作動状態の管理を行うための「遊技状態回数減算処理P-s3410」や、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、限定頻度などの特殊変動パターンテーブルの参照期間や、電チューサポート機能の作動状態の切り替え等に伴う変動パターン抽選における変動パターンテーブルの切り替えを行う「変動パターンテーブル選択状態更新処理P-s3412」を有している。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄の制御として「並列制御」を採用しているため、変動を開始するタイミングで「遊技状態回数減算処理P-s3410」や「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」を行うことで、遊技状態が切り替わる条件である規定回数の変動表示が行われることとなった変動の実行中に、他方の特別図柄の変動が切り替わった後の遊技状態に基づく抽選がなされるようになっている(例えば、電チューサポート機能の作動終了条件が100回であるとき、100回目の変動として第2特別図柄の変動表示が行われているにもかかわらず、101回目の変動表示として第1特別図柄の変動表示が行われる場合、第1特別図柄の変動表示を電チューサポート機能の非作動状態で行われたものとする)。
なお、「遊技状態回数減算処理P-s3410」や「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」の処理は、「並列制御」を採用しない場合には、特別図柄の変動表示が終了したタイミングで実行されるように構成してもよい。
以下、図27を用いて「特別図柄変動開始処理P-s3400」の説明を行う。
「特別図柄変動開始処理P-s3400」が開始されると、最初に特別図柄の当否抽選の結果、図柄抽選の結果および変動パターン選択状態(変動時間短縮機能の作動中、限定頻度により特殊変動パターンテーブル参照期間中など)の情報より、今回の特別図柄抽選(変動パターン抽選)に使用する変動パターンテーブル(および変動付加パターンテーブル)を選択する。(P-s3402)
変動パターン抽選に用いる変動パターンテーブルが選択されると、当該変動パターンテーブルと、今回の特別図柄抽選に対応する変動パターン乱数とに基づいて、変動パターン抽選を実行し、変動パターン抽選の結果として変動パターン選択番号「変動パターンID」とも称する)を取得する。(変動パターン抽選処理P-s3404)
続いて、変動付加パターン抽選処理P-s3406を行い、今回の特別図柄の変動表示に対して、付加的な変動表示時間を追加するか否かの決定が行われる。変動付加パターン抽選の結果としては、変動付加パターン選択番号(「変動付加パターンID」とも称する)が取得される。なお、変動付加パターンには変動パターンとは異なり、0秒(付加時間なし)に相当する結果である変動付加パターン選択番号「0」が抽選結果として選ばれることがある。
変動パターン抽選処理P-s3404、変動付加パターン抽選処理P-s3406が実行され、変動パターン選択番号、変動付加パターン選択番号が取得されると、変動パターンおよび変動付加パターンとして対応する時間を格納したテーブルより変動表示時間を読み出し、変動パターンに基づく変動表示時間、変動付加パターンに基づく変動表示時間を演算(加算)して、今回の特別図柄の変動表示に関する変動表示時間情報をラムの記憶領域(特別図柄制御タイマ)に記憶する。(P-s3410)
変動時間決定処理が終了すると、特定遊技状態(確率変動機能、変動時間短縮機能、電チューサポート機能等)の継続期間を管理するため、「遊技状態回数減算処理P-s3410」を実行し、その後、変動パターン抽選に用いる変動パターンテーブルの切り替えを行うため、「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」を実行する。「遊技状態回数減算処理P-s3410」、「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」の詳細は、第1実施例のぱちんこ遊技機Pの特徴構成3に深く関係する内容であり、後述する特徴構成3の詳細にて説明を行う。
図28は、「特別図柄変動開始処理P-s3400」の処理中のサブモジュール処理である「変動時間決定処理P-s3408」を示している。図28中の左側の処理(P-s3502からP-s3516)は、変動パターン抽選および変動付加パターン抽選に基づいて決定された変動パターン選択番号、変動付加パターン選択番号に基づいて変動表示の時間を決定する処理である。図28中右側の処理(P-s3518からP-s3530)は、特殊な条件を基に、変動表示時間として特殊な条件に応じた固定の変動付加時間を付加する処理である。
「特別図柄変動開始処理P-s3400」が開始されると、最初に変動パターン抽選の結果である変動パターン選択番号を、ラムの記憶領域から読み出し(P-s3502)、各変動パターン抽選結果に応じた変動時間を記憶した変動時間テーブルの先頭アドレスを指定した後(P-s3504)、変動パターン選択番号をオフセット値として変動時間テーブルの先頭アドレスからオフセット値分だけ更新したアドレスに記憶される変動時間を読み出し(P-s3506)、読み出した変動時間を特別図柄の変動表示時間としてラムの記憶領域に記憶する(P-s3508)。
変動パターン抽選の結果に応じた変動表示時間の記憶処理が終了すると、続いて、変動付加パターン抽選の結果である変動付加パターン選択番号を、ラムの記憶領域から読み出し(P-s3510)、各変動付加パターン抽選結果に応じた変動時間を記憶した変動付加時間テーブルの先頭アドレスを指定した後(P-s3512)、変動付加パターン選択番号をオフセット値として変動付加時間テーブルの先頭アドレスからオフセット値分だけ更新したアドレスに記憶される変動時間を読み出し(P-s3514)、読み出した変動時間を特別図柄に付加する変動表示時間としてラムの記憶領域に記憶する(P-s3516)。
ここで、変動付加パターンに応じた変動時間を記憶する記憶領域は、変動パターンに応じた変動表示時間を記憶する記憶領域とは異なるラム記憶領域に記憶して変動表示時間、変動付加時間として2つのデータで記憶してもよいし、変動パターンに対応する変動表示時間を記憶するラム記憶領域の変動表示時間に加算して変動表示時間として1つのデータで記憶されるように構成してもよい。
続いて、図28の右側に示す、特殊な条件を基に固定時間(定数データ)の変動付加時間を付加する処理について説明を行う。
《特殊条件1》
第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、変動付加時間を変動付加パターン抽選の結果によらずに付加する特殊な条件の一つとして、最初に「変動パターン抽選結果に基づく固定時間の変動付加時間の付加」について説明を行う。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、変動パターン抽選の結果(変動パターン選択番号)が、X以上(図29においては、以上を示すものとして「>=」を表記)である場合に、変動付加時間として、2バイトデータとして「50000(200000ms=200秒相当)」の変動時間が記憶されるように構成されている。(P-s3518YES、P-s3520)
第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、変動パターン抽選の結果である、変動パターン選択番号がX以上となる場合として、特定の遊技状態(小当りラッシュ)である超RUSH中の変動パターン抽選テーブルで、第1特別図柄が大当りとなった場合に選択される変動パターン選択番号としてX以上となる変動パターン抽選の結果が得られるように構成されている。
すなわち、第1実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技性として説明を前述したように、「超RUSH」の遊技期間においては、第2特別図柄の小当りが頻発することにより大当り遊技の獲得までに、小当り遊技による遊技球の獲得を期待できる遊技性を提供するものであることより、「超RUSH」(特定の遊技状態)において、「超RUSH」への遊技状態の遷移直後やイレギュラーな抽選として第1特別図柄の特別図柄抽選で大当りとなってしまった場合に、「超RUSH」における小当り遊技の獲得可能とする時間を一定時間確保するための処理として、図28に示すP-s3518YES、P-s3520の処理が設けられている。
このように第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、特定の変動パターンに当選した場合に限り、変動表示時間として固定の変動付加時間を必ず付加するように構成することで、特定の遊技状態(小当りラッシュ)が維持される期間を担保することが可能に構成することができるようになっている。
《特殊条件2》
続いて、変動付加時間を変動付加パターン抽選の結果によらずに付加する特殊な条件の2つ目の条件を説明する。制御の詳細を説明する前に、他の条件について要約すると「特定の遊技状態(小当りラッシュ)以外の遊技状態において、第2特別図柄の特別図柄抽選の結果が小当りであり、かつ第2特別図柄の保留数が最大値であるときに抽選されたものである場合」が特殊な条件の一つとして設定されている、ということができる。
特殊な条件の2つ目の条件に関する処理は、図28中のP-s3522からP-s3528に示される。
特殊な条件の2つ目の判定処理は、3つの判定処理で行われ、最初に変動パターン選択状態が「超RUSH」に対応する選択状態情報となっていないかどうかを判断する(P-s3522)。そして、「超RUSH」中であると判定された場合には、続いて今回の特別図柄抽選が、第2特別図柄抽選であり、かつ当否抽選結果が「小当り」であるか否かを確認する(P-s3524)。さらに、今回の特別図柄抽選が第2特別図柄抽選であり、かつ当否抽選結果が「小当り」であると判定された場合には、保留数が最大値で行われた特別図柄抽選であったかを確認する(P-s3526)。
以上の3つの判定処理においていずれも肯定結果(YES)である場合において、特樹奈条件の2つ目の条件を充足すると判定し、変動付加時間として、固定時間である「1750(7000ms=7秒相当)の変動付加時間が付加される(P-s3528)。
ここで、P-s3528の処理で付加される「1750」という時間は、遊技領域P501の右側領域P501Rに向けて発射された遊技球が大入賞装置P750に入賞可能となる領域を通過するのに要する時間の平均的な時間(+余白時間)であり、例えば、大入賞装置P750の上流側に配置された普通電動役物P770に係る入賞口(第1始動入賞口P711B)で遊技球の下流への流下を防ぎ難い大当り直後の状態、特に特定の遊技状態以外の遊技状態に移行した直後に小当りに当選した場合であっても、遊技領域P501の右側領域P501Rに残存する遊技球が大入賞装置P750に入賞する可能性を限りなく低くすることが可能となる。
そして、「変動時間決定処理P-s3408」にて変動パターン抽選の結果である変動パターン選択番号および、変動付加パターン抽選の結果である変動付加パターン選択番号より、特別図柄の変動表示時間の設定(ラム記憶領域への記憶)がなされると、演出制御基板P41に送信する演出制御コマンドとして変動開始コマンド(例えば変動パターンコマンド、変動付加パターンコマンド等)がセットされて演出制御基板P41に送信される(P-s3530)。
このように第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、特殊な条件の成立により変動付加時間を設定することで、特定の遊技状態(小当りラッシュ)以外の遊技状態である場合であって、第2特別図柄の特別図柄抽選が行われた結果、特定の遊技状態(小当りラッシュ)でないにもかかわらず、第2特別図柄の特別図柄抽選が小当りとなり、小当りの実行により設計上小当りでの遊技球の獲得を意図しない特定の遊技状態以外の遊技状態での遊技球の獲得がなされてしまうことを抑制することが可能となる。
[特徴構成3の詳細]
続いて、図29から図32を用いて、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおける特徴構成3の内容について説明を行う。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pは、特別遊技(大当り遊技)の終了から起算してあらかじめ定められた特別図柄の変動回数の変動が行われる場合や、遊技状態が変化する場合に、変動パターン選択状態を変更するように構成され、新たな特別遊技が発生するまでにあらかじめ定められた順番にて特別図柄抽選の変動パターン抽選に用いる変動パターンテーブルを異ならせることで、遊技の進行状況に応じた変動パターンテーブルが選択され、遊技の主体となる特別図柄を変更したり、演出表示に必要な適切な変動パターンが選択されたりするように構成することができる。
以下、特徴構成3の制御の詳細について説明を行う。特徴構成3には「遊技状態回数減算処理P-s3410」、「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」の2つの処理が特徴的な処理として含まれる。
《遊技状態回数減算処理P-s3410》
図29は、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにて実行される「遊技状態回数減算処理P-s3410」を示している。「遊技状態回数減算処理P-s3410」は、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、並列制御を採用するため、特別図柄の変動開始時に行われる制御の一つとして、「特別図柄変動開始処理P-s3400」(図27参照)より呼び出されて実行される処理である。そして図30には、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにて特定遊技状態(確率変動機能、変動時間短縮機能および電チューサポート機能)の継続回数を管理するカウンタの記憶領域の例を示している。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、図30に示すように、特定遊技状態のカウンタとして、5つのカウンタ記憶領域を有している。
「特別図柄時短回数カウンタ1」は、特定遊技状態における特別図柄の変動時間短縮機能の作動回数を制御するためのカウンタであり、第1特別図柄の変動回数に基づいて、特別図柄の変動時間短縮機能の作動を終了させるための条件(カウンタが「0」になったか否か)が成立について判定するために用いられるカウンタ記憶領域である。
「普通図柄時短回数カウンタ1」は、特定遊技状態における、電チューサポート機能(普通図柄の変動時間短縮機能、普通電動役物の開放延長機能、普通図柄の確率変動機能等)の作動回数を制御するためのカウンタであり、第1特別図柄の変動回数に基づいて、電チューサポート機能の作動を終了させるための条件(カウンタが「0」になったか否か)が成立について判定するために用いられるカウンタ記憶領域である。
「特別図柄時短回数カウンタ2」は、特定遊技状態における特別図柄の変動時間短縮機能の作動回数を制御するためのカウンタであり、第1特別図柄および第2特別図柄の特別図柄抽選(変動表示)の合算回数に基づいて、特別図柄の変動時間短縮機能の作動を終了させるための条件(カウンタが「0」になったか否か)が成立について判定するために用いられるカウンタ記憶領域である。
「普通図柄時短回数カウンタ2」は、特定遊技状態における、電チューサポート機能(普通図柄の変動時間短縮機能、普通電動役物の開放延長機能、普通図柄の確率変動機能等)の作動回数を制御するためのカウンタであり、第1特別図柄および第2特別図柄の特別図柄抽選(変動表示)の合算回数に基づいて、電チューサポート機能の作動を終了させるための条件(カウンタが「0」になったか否か)が成立について判定するために用いられるカウンタ記憶領域である。
「確率変動回数カウンタ」は、特定遊技状態における特別図柄の確率変動機能の作動回数を制御するためのカウンタであり、第1特別図柄および第2特別図柄の特別図柄抽選(変動表示)の合算回数に基づいて、特別図柄の確率変動機能の作動を終了させるための条件(カウンタが「0」になったか否か)が成立について判定するために用いられるカウンタ記憶領域である。なお、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、確率変動機能が作動した場合、必ず初期値として「10000」が設定されるように構成されており、実質的に次回大当りの獲得が可能といえる設定がなされるようになっている。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、上記の5つのカウンタ記憶領域を用いて、特定遊技状態の各機能(確率変動機能や電チューサポート機能など)の作動終了に係る制御を行うように構成しているが、図30に示す例は、あくまで第1実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技機仕様に用いるカウンタ記憶領域の設定の一例であり、その他の遊技機仕様(スペック)等には、カウンタの割り当てやカウンタ記憶領域の個数を異ならせてもよい。
例えば、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは「RUSH(高確/高ベース)」状態や「時短(低確/高ベース)」から、「超RUSH(高確/低ベース)」、「通常時(低確/低ベース)」への移行に係る遊技の主体として、普通電動役物P770に係る始動入賞口(第1始動入賞口P711B)が割り当てられ第1特別図柄が遊技の主体となるため、「特別図柄時短回数カウンタ1」、「普通図柄時短回数カウンタ1」として、第1特別図柄の特別図柄抽選(変動表示)の回数にて更新されるカウンタを用いたが、高ベース状態の遊技の主体が第2特別図柄である場合には、「特別図柄時短回数カウンタ1」、「普通図柄時短回数カウンタ1」として、第2特別図柄の特別図柄抽選(変動表示)の回数にて更新されるカウンタを用いるように構成してもよい。
また、図30の例では、特別図柄の変動時間短縮機能に対応する「特別図柄時短回数カウンタ1」、電チューサポート機能の作動に対応する「普通図柄時短回数カウンタ1」というように切り分けたが、特別図柄の変動時間短縮機能と電チューサポート機能の作動終了タイミングが完全に同期する場合には、カウンタ記憶領域を1つにまとめるように構成してもよいし、逆に電チューサポート機能の作動について、普通図柄の確率変動機能や普通電動役物の開放延長機能など個別の機能ごとに作動回数を異ならせたい場合には、「普通図柄時短回数カウンタ」を複数のカウンタ記憶領域により細分化して構成するようにしてもよい。
図29は、「遊技状態回数減算処理P-s3410」のフローチャートを示している。
「遊技状態回数減算処理P-s3410」が開始されると、最初に図30に示す「特別図柄時短カウンタ1」のアドレス(XXX0)を設定し(P-s3602)、減算回数として「5」を設定する(P-s3604)。なお、「減算回数」は、更新されるカウンタ記憶領域の個数を表すものである。
続いて、今回の変動表示が第1特別図柄(特図1)によるものか否かを判定し(P-s3606)、否定結果(NO)である場合には、カウンタ記憶領域の更新開始のアドレスを「特別図柄時短カウンタ1」から「特別図柄時短カウンタ2」へ変更し(P-s3608)、減算回数を「3」に変更する。
ここまでの処理によって、図30に示す特定遊技状態の遊技回数を管理するカウンタ記憶領域の更新処理について、第1特別図柄の変動表示である場合には、「特別図柄時短回数カウンタ1」から「確率変動回数カウンタ」まで更新する一方で、第2特別図柄の変動表示である場合には、「特別図柄時短回数カウンタ2」から「確率変動回数カウンタ」まで更新するための設定が行われることとなる。
更新されるカウンタ記憶領域の設定が終了すると、続いて、現在のアドレス(「特別図柄時短回数カウンタ1」から「確率変動回数カウンタ」までのいずれかのアドレス)に格納されている情報が0より大きい場合に「-1(デクリメント)」される処理を行う(P-s3614)。
更新されるカウンタ記憶領域の値が0より大きい特定遊技状態である場合に、カウンタの更新結果が「0」となったか否かを判定し(P-s3614)、カウンタが「0」となった場合には(P-s3614NO)、対象のカウンタについて対応するフラグ(例えば、「特別図柄時短回数カウンタ1(2)」であれば、特別図柄の変動時間短縮機能の作動に関するフラグが該当)に終了情報(非作動状態を示す初期情報)を設定する(P-s3616)。一方カウンタの更新結果が、未だ「0」とならない場合には(P-s3614YES)、更新されたカウンタ記憶領域に対応する遊技状態フラグの終了情報の設定を行わずに次の処理(P-s3618)へ移行する。
1つのカウンタ記憶領域の更新処理および/または対応する遊技状態フラグの設定に関する処理が終了すると、続くカウンタ記憶領域の更新処理を行うため、更新対象としているカウンタ記憶領域のアドレスの設定を「+2」して次のカウンタのアドレスを設定する(P-s3618)。なお、図30に示すように、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、特定遊技状態を制御するカウンタの取りうる範囲は、少なくとも「0」~「820」の範囲を管理する必要があり、2バイトのデータを更新する必要があるため、各カウンタ記憶領域に対しては、1アドレス1バイトの記憶領域が2つずつ割り当てられるため、次のカウンタ記憶領域のアドレスを指定するためには、アドレス情報を「+2」する必要がある。
続くカウンタ記憶領域のアドレス指定が終了すると、続いて、更新すべき残りのカウンタ記憶領域が存在しているか否かの判定を行うため、減算回数を更新(「-1(デクリメント)」)し(P-s3620)、減算回数の更新結果が「0」となったか否かを判定する(P-s3622)。
減算回数の更新結果が「0」となった場合には、特定遊技状態に係るカウンタ記憶領域のすべての更新処理(本例では「確率変動回数カウンタ」までの更新処理)が終了した状況であると判断し、「遊技状態回数減算処理P-s3410」を終了し、「特別図柄変動開始処理P-s3400」へ復帰する。一方、減算回数の更新結果が「0」ではない場合、更新すべきカウンタ記憶領域が残っていると判断し、続くカウンタ記憶領域の更新処理(P-s3612)に復帰する。
《変動パターン選択状態更新処理P-s3412》
次に、遊技状態の変化の一つである変動パターン選択状態の変更に関し、「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」について、図31、図32を用いて説明を行う。
「変動パターン選択状態」は、特別図柄抽選の変動パターン抽選において使用される変動パターンテーブルの選択の基準となる情報であり(図27のP-s3402等)、特別図柄抽選が実行されるごとに、変動パターン選択状態の更新の有無の確認および更新処理が実行されるように構成され、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄の変動開始時の処理として、「特別図柄変動開始処理P-s3400」中の処理である「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」にて更新処理が実行されるようになっている。
なお、「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」にて、更新される「変動パターン選択状態」の種類や、更新タイミングは、直前の特別遊技(大当りや小当り)の種類(特別図柄の停止表示態様)によって定められ、図32には、その一例を示している。
図32中の、「大当り図柄」は、1回前に実行された特別遊技(大当り)の種類を示しており、「変動パターン選択状態」には、変動パターン選択状態としての情報である数値情報の遷移態様が示されており、「変動パターン選択状態回数」には、変動パターン選択状態が次の情報に更新されるまでの回数情報を示している。なお、「変動パターン選択状態回数」に「0回」と示されている場合には、はずれ変動の実行時に次の変動パターン選択状態への更新処理が行われず、大当り変動の開始時に次の変動パターン選択状態への更新処理が行われる状態であることを示している。
なお、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、変動パターン選択状態を更新するタイミングは、主に「RUSH(高確率/高ベース)」と「時短(低確/高ベース)」の実行中および、「超RUSH(高確率/低ベース)」への移行時に限られ、これらのタイミングでは遊技の主体は第1特別図柄が遊技となっていることより、「変動パターン選択状態回数」は、第1特別図柄の特別図柄抽選回数(変動回数)によって更新されるカウンタの回数を示している。なお、他の遊技機仕様を採用する場合には、「変動パターン選択状態回数」を第2特別図柄単独や、第1特別図柄および第2特別図柄の合算の特別図柄抽選回数(変動回数)によって更新されるように適宜変更してもよい。
図32の例では、例えば前回の大当りが「特図1大当りB」または「特図2大当りB」である場合には、大当り遊技の終了から起算して、29回の第1特別図柄の変動表示を「RUSH(高確/高ベース)」中の基本変動パターンテーブルを参照するよう、変動パターン選択状態として「1(RUSH)」が設定されるようになっており、続いて、30回目の第1特別図柄の変動(当該変動の開始時に内部状態として「超RUSH(高確/低ベース)」へ移行)として、1回だけ「2(RUSH最終)」が設定されるようになっており、その後の「超RUSH(高確/低ベース)」の期間として大当り変動の開始まで、変動パターン選択状態「3(超RUSH)」が設定されるようになっている。そして変動パターン選択状態として「3(超RUSH)」の設定中に大当り変動(遊技の主体である第2特別図柄の大当り変動)が開始されると、「0(通常)」が設定されるようになっている。
なお、いずれのタイミングで大当りとなった場合でも、特別図柄の変動表示が終了して大当り遊技の開始される際には、変動パターン選択状態は一旦「0(通常)」が設定されるようになっており、大当り遊技の終了時に大当り遊技の種類に応じて、変動パターン選択状態の更新順番、変動パターン選択状態回数の設定順番を指定する情報および、大当り遊技の種類に応じた変動パターン選択状態、変動パターン選択状態回数の初期情報が設定されるようになっている。
このような変動パターン選択状態の遷移によれば、各変動パターン選択状態によって選択可能な変動パターンの選択傾向(平均的な変動時間)が異なるため、例えば、変動パターン選択状態「1(RUSH)」にて、「超RUSH(高確/低ベース)」への移行の期待感を示唆する演出または大当りの獲得を示唆する変動演出を行い、変動パターン選択状態「2(RUSH最終)」にて、「超RUSH(高確/低ベース)」への突入が確定することとなる演出表示を行い(はずれの場合)、変動パターン選択状態「3(超RUSH)」にて、小当りの当選または大当りの当選を示唆する演出表示および小当りでの獲得遊技球数の増加に関する演出表示を行う、といったメリハリのある演出表示を実行可能になる。
続いて、図31に示す「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」のフローチャートを用いて、変動パターン選択状態の更新に関する制御の説明を行う。
「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」を開始すると、変動パターン選択状態回数を記憶するラム記憶領域のアドレスをセットする(P-s3702)。ここでセットされるアドレスは、図32に示す、「変動パターン選択状態回数」の情報であって、現在設定されている変動パターン選択状態を残り何回維持するかの情報を記憶しているラム記憶領域のアドレスである。
続いて、設定されたアドレスの内容(変動パターン選択状態回数)として、回数情報が記憶されているか否か(変動パターン選択状態回数が「0」でないか否か)を判断する(P-s3704)。
変動パターン選択状態回数が「0」でなく、変動パターン選択状態を更新する可能性がある状況での遊技が進行していると判断すると(P-s3704NO)、続いて、今回の変動表示が、特定遊技状態であって変動パターン選択状態を更新する状況(「RUSH(高確率/高ベース)」または「時短(低確/高ベース)」等)の遊技の主体である第1特別図柄の変動表示であるか否かを判断する(P-s3706)。
変動パターン選択状態を更新する可能性がある状態であり、かつ遊技の主体である特別図柄(第1特別図柄)の変動表示が実行されている状況であると判断された場合(P-s3706YES)、事前に設定されたアドレス(P-s3702で設定されたアドレス)の情報(「変動パターン選択状態回数」の情報)を「-1(デクリメント)」して更新し(P-s3708)、続く処理(P-s3710)にて、更新した結果が変動パターン選択状態を更新するタイミングとなったかどうかを判定する(変動パターン選択状態回数が「0」となったかどうかを判定する)。
遊技の主体である特別図柄の変動表示が行われ、変動パターン選択状態回数を更新した結果、変動パターン選択状態の更新タイミングに到達したと判断した場合、前回の大当り遊技の終了時に設定された情報(変動パターン選択状態の更新順番、変動パターン選択状態回数の設定順番を指定する情報)を基に、続く変動パターン選択状態の情報および続く変動パターン選択状態の維持回数である変動パターン選択状態回数の情報をセットする「変動パターン選択状態回数設定処理P-s3712」を行う。
「変動パターン選択状態回数更新処理P-s3412」にて、変動パターン選択状態を更新するタイミングでないと判断した場合(P-s3704YES、またはP-s3706NO、またはP-s3710YES)、同一変動パターン選択状態において、演出状態の更新を行うか否かの判断処理を行う(P-s3714)。
「変動パターン選択状態設定処理P-s3712」または「同一変動パターン選択状態中の演出状態の更新処理P-s3714」が終了すると、「変動パターン選択状態更新処理P3412」を終了して「特別図柄変動開始処理P3400」に復帰する。
ここで、「同一変動パターン選択状態中の演出状態の更新処理P-s3714」は、詳細な説明は割愛するが、例えば変動パターン選択状態として、「1(RUSH)」が設定されている29回(49回)の有限の変動表示期間の所定回数の変動表示期間が経過した場合や、「3(超RUSH)」や「0(通常)」が設定されている不定されている期間において所定回数の変動表示期間が経過した場合において、設計上演出状態(演出モード)を切り替えたり、演出表示として所定の演出表示を開始させたりするための制御を切り替えるための設定を行うように構成している。
「同一変動パターン選択状態中の演出状態の更新処理P-s3714」では、変動パターン選択状態の更新は行わないものの、演出状態を切り替えるべきタイミングに到達した場合に、主制御基板P40から演出制御基板P41に対し、演出状態を切り替え可能とする旨の情報(演出制御コマンド)を演出制御基板P41に送信する処理を行う。
例えば、「1(RUSH)」に維持される期間29回(49回)では、遊技の主体である特別図柄(第1特別図柄)に対し10回の変動表示が行われる毎に、変動パターン選択状態が「3(超RUSH)」に更新される期待度(言い換えると遊技状態が「超RUSH(高確/低ベース)」に移行する期待度)が高まっていることを示唆する演出表示(演出モードの切り替えや、期待感を表示するためのエフェクト表示を行う等)を実行するための情報(演出制御コマンド)を演出制御基板P41送ることにより、演出表示装置P80や演出ランプP82、スピーカP83を用いた演出装置での演出内容の切り替えを行うように構成している。この時、変動パターン選択状態の更新処理と同様の判定フローを採用しておくことで、遊技の主体でない第2特別図柄の変動表示では演出状態の更新処理を行わないように構成しておくようにすることで、遊技の主体である特別図柄の変動回数に応じた演出表示態様の切り替えを行うように構成することができる。
その他、変動パターン選択状態が「3(超RUSH)」では、遊技の主体である特別図柄(第2特別図柄)の変動表示回数、「超RUSH(高確/低ベース)」の遊技性の主目的である小当り遊技について、第2特別図柄の特別図柄抽選にて小当りに当選した回数を契機として、所定回数の第2特別図柄の特別図柄抽選回数または小当り当選回数ごと(例えば20回ごと)などの遊技者が享受したと推定される利益量に応じて、演出状態(演出モードや演出効果表示)を切り替えるための情報(演出制御コマンド)を演出制御基板P41に送信し、遊技者に対し、段階的により多くの遊技球を獲得できた旨を実感させうる演出表示を実行可能に構成することもできる。
さらには、変動パターン選択状態が「0(通常)」(または「4(時短)」、「5(時短最終)」)であるときの、特別図柄(主として第1特別図柄)の変動表示回数をカウントして、救済機能である「時短(低確/高ベース)」(B時短)への移行タイミングを示唆可能な演出状態の切り替えを実行可能に構成してもよい。例えば、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、確率変動機能が非作動である状態(低確状態)で750回(第1特別図柄の特別図柄抽選回数)の変動表示が実行されると、救済機能である「時短(低確/高ベース)」(B時短)の状態へ移行することとなるが、低確状態での特別図柄(第1特別図柄)の変動表示が650回(B時短まで残り100回)となるタイミングや、720回(B時短まで残り30回)となるタイミング、749回(B時短まで残り1回)となるタイミングで変動パターン選択状態を更新することなく、演出状態を更新し、演出制御基板P41に演出状態を更新した旨の情報(演出制御コマンド)を送信するように構成してもよい。
例えば、演出制御基板P41は、前述したようなタイミングで、演出状態が変更された旨の演出制御コマンドを受信すると、「B時短まで残り100回!」(650回時)の通知表示を行ったり、「○○モード(救済機能の準備モード)」(720回時)へ演出モードを変更したり、「次回××モード(「時短(低確/高ベース)」)に対応する演出モード名」(749回時)を全画面表示する演出を実行したりするように構成してもよい。なお、これらの演出状態の切り替わりのタイミングについて、主制御基板P40から演出制御基板P41に対して演出制御コマンドが送信された場合であっても、大当り変動が実行される場合には、これらの演出表示は実行しないように構成してもよい。
《変動パターン選択状態の更新に係る例外的処理》
以上に説明した、「遊技状態回数減算処理P-s3410」および「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」によれば、第1実施例のぱちんこ遊技機Pのように、特定遊技状態の終了条件として、遊技の主体である特別図柄のみの第1の終了条件、遊技の主体である特別図柄と他の特別図柄の合算の第2の終了条件とを有するぱちんこ遊技機において、適切に遊技状態の変更と、変動パターン選択状態の更新処理が実行可能となる。
しかしながら、図29、図31に示した基本的なフローチャートに示す制御は、遊技の主体である特別図柄(本例では第1特別図柄)が適切に、設計者の意図の通りに遊技された場合(第1の終了条件を満たすように遊技された場合)に正しく制御されるために構築されたものであり、意図していない不適当な遊技によって遊技状態が遷移することとなる第2の終了条件を満たす遊技方法が実行された場合には、例外的な処理が必要となる。
以下には、「遊技状態回数減算処理P-s3410」および「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」に関し、不図示の例外的な制御に関する説明を行う。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pは、前述したように、「RUSH(高確率/高ベース)」および「時短(低確/高ベース)」において、規定回数(30回、50回)の第1特別図柄の特別図柄抽選(変動表示)を行うことにより、第1の終了条件を満たし、「超RUSH(高確/低ベース)」や「通常(低確/低ベース)」に移行するように構成されているが、第1特別図柄の特別図柄抽選が実行されことを回避しつつ、第2特別図柄の特別図柄抽選を受けるような意図しない遊技が実行された場合、第1の終了条件を満たす前に、第1特別図柄と第2特別図柄の合算の特別図柄抽選(変動表示)の回数が100回に到達し第2の終了条件を満たしてしまう場合が存在する。
このとき、「遊技状態回数減算処理P-s3410」では、遊技状態の遷移が第2の終了条件の成立によって進行する一方で、「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」では、遊技の主体である特別図柄(第1特別図柄)の特別図柄抽選(変動表示)を条件に変動パターン選択状態の更新を実行しているため、遊技状態の遷移に合わせた変動パターン選択状態の更新が実行できない状況が発生してしまう。
このように遊技状態と変動パターン選択状態との間で齟齬が発生した場合、遊技性に大きな影響(遊技者に対する不利益)が発生してしまう虞がある。
特に「RUSH(高確率/高ベース)」から「超RUSH(高確/低ベース)」への移行が第2の終了条件を契機に実行されてしまった場合、本来「超RUSH(高確/低ベース)」用の変動パターン選択状態(変動パターン選択状態=「3(超RUSH)」)で単位時間当たりの小当り回数を増加させた遊技が実行されるはずであったところ、未だ「RUSH(高確率/高ベース)」用の変動パターン選択状態(変動パターン選択状態=「1(RUSH)」又は「2(RUSH最終)」)に変動パターン選択状態が設定されている状況となってしまい、単位時間当たりの小当り当選回数が低下するとともに、単位時間に占める大入賞口の開放時間や、普通電動役物P770の作動時間が減少し、アウト口P790へ流れてしまう遊技球が増加するという状況が発生してしまう。
このように、第2の終了条件が発生した場合であっても、遊技性を損なわないようにするためには、例外処理を「遊技状態回数減算処理P-s3410」および「変動パターン選択状態更新処理P-s3412」に設定しておくことが好ましく、以下にはその例外処理の一例を示す。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pに設定される、イレギュラー的な遊技の進行に基づく変動パターン選択状態の制御方法として、「遊技状態回数減算処理P-s3410」の処理として、更新される特定遊技状態の残りの遊技回数をカウントするカウンタ記憶領域のいずれが、更新処理によって「0」となったかによって、対象のカウンタに応じた遊技フラグをセットする処理(P-s3616)において、設定内容を異ならせるように構成する手法の例が挙げられる。
例えば、通常想定されている遊技(第1特別図柄を主体とする遊技)の進行が行われて、特別図柄時短回数カウンタ1(または普通図柄時短回数カウンタ1)が「0」となったタイミングでは、設定内容として、(1)特別図柄の変動時間短縮機能に係るフラグ記憶領域に対し、非作動データ(例えば「0」)を設定する、(2)電チューサポート機能の各機能に係るフラグ記憶領域に対し、非作動データ(例えば「0」)をセットする処理が行われるようにする。
一方、イレギュラー的な遊技の進行によって、第2の条件を満たした場合、すなわち、特別図柄時短回数カウンタ2(または普通図柄時短回数カウンタ2)が「0」となった場合には、前述した(1)、(2)の処理に加えて、(3)変動パターン選択状態の記憶領域に、「3(超RUSH)」または「0(通常)」が設定される処理を追加するように構成する。「3(超RUSH)」または「0(通常)」のいずれを設定するかは、同タイミングにおける確率変動機能の作動フラグを参照して決定し、確率変動機能の作動フラグとして作動中を示すデータが格納されている場合には、「3(超RUSH)」が変動パターン選択状態を記憶する記憶領域に設定され、そうでなければ「0(通常)」が変動パターン選択状態を記憶する記憶領域に設定される。
このように、特別図柄時短回数カウンタ1(または普通図柄時短回数カウンタ1)、あるいは特別図柄時短回数カウンタ2(または普通図柄時短回数カウンタ2)のいずれが特定遊技状態の終了条件を満たしたかによって、処理内容を異ならせることによって、第2の終了条件が発生した場合であっても、遊技性を損なわないようにすることが可能となる。
処理内容を異ならせる手法としては、カウンタの更新毎に更新される「減算回数」の値を参照することで、どのカウンタを更新した結果、終了条件を満たしたこととなったか、すなわちカウンタ記憶領域が「0」となったかを判別可能であり、この「減算回数」をオフセット値として、各種フラグの終了処理等を格納した制御テーブルを切り替えるように構成し、実行する処理内容を異ならせるように構成すればよい。
なお、このようなイレギュラーな変動パターン選択状態の遷移を行うとき、「2(RUSH最終)」で選択される変動パターンに対応する演出表示としての「超RUSH(高確/低ベース)」への移行演出(開始演出)を実行することはできないが、イレギュラーな遷移を行ってしまった場合に、「2(RUSH最終)」のような、遊技状態移行演出を実行するための比較的長時間の変動パターンを選択してしまうと、遊技性に影響が出る虞があるため、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、直接「3(超RUSH)」の変動パターン選択状態をセットするように構成している。しかしながら、遊技者に対し、イレギュラーな遷移が行われた場合であっても、遊技状態が遷移したこと(すること)を演出表示として表示させたい場合には、第2の条件を満たした場合に、変動パターン選択状態として、「3(超RUSH)」ではなく、「2(RUSH最終)」を設定するように構成してもよい。
(特定領域異常通過エラーの演出報知)
続いて、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおける特徴構成1から特徴構成3に対し、その他有効な制御について説明を行う。
《演出制御基板P41による特定領域異常通過エラーの報知》
前述した特徴構成1の説明においては、特定領域異常通過エラーの主制御基板P40(主制御表示装置P50の状態表示灯P55)における特定領域異常通過エラーの報知期間について説明を行ったが、ここでは、演出制御基板P41による特定領域異常通過エラーの報知期間について説明を行う。
主制御表示装置P50の状態表示灯P55では、特定領域異常通過エラーの検出から特定遊技の終了(大当り終了デモの終了時)まで、状態表示灯P55が点灯することで特定領域異常通過エラーの報知を行う構成としていたが、特定領域異常通過エラーの検出の際に、主制御基板P40から演出制御基板P41に対し、特定領域異常通過エラーの発生を通知する演出制御コマンドが送信され(図24のP-s3122)、演出制御基板P41における特定領域異常通過エラーの報知を可能としている。
演出制御基板P41は、特定領域異常通過エラーに係る演出制御コマンドを受信すると、演出表示装置P80、演出ランプP82、スピーカP83を用いて特定領域異常通過エラーの発生に係る報知を実行する。
図33は、特定領域異常通過エラーの発生の際に演出表示装置P80にて表示される画像例を示している。
図33は、大当り遊技中の画面例であり、大当り中の演出表示として、スピーカP83から楽曲の再生を伴う大当りラウンド演出としてのアニメーションが背景演出として再生されている。背景演出である大当りラウンド演出には、アニメーション画像として、スピーカP83から再生される楽曲に合わせて、対応するタイミングの歌詞などを表示したテロップ表示P827が表示されている。
そして、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、大当り中の演出表示として、その他に、現在のラウンドが何ラウンド目であるかを示すラウンド表示P820、過去に獲得した大当りの種類および現在の大当りの種類をアイコンとして表示するアイコン画像P821、大当りした装飾図柄を示す大当り装図P805、打ち分け報知画像P830(右打ち報知P832)、現在のラウンドでの大入賞装置P750への入賞数を把握させるためのカウント表示P825、現在までの獲得遊技球数を示す累計獲得球数表示P824等が、遊技者が大当り遊技を進行させるための補助表示として表示されている。
そして、画面の左側中ほどの位置には、いずれの補助表示とも重ならない位置であって、大当り遊技中の背景演出である大当りラウンド演出のうちテロップ表示P827等の特定表示領域を避ける位置にエラー報知画像表示領域P828を配置し、「特定領域異常通過エラー」の発生を報知するように構成している。
「特定領域異常通過エラー」は、不正を行う悪意を持った遊技者でなくても、意図せず善意の遊技者の遊技によって発生してしまう場合もある。大当り中にエラー報知の画像表示を画面いっぱいに表示してしまうと、遊技が停止したと誤認してしまう虞があることより、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「特定領域異常通過エラー」に関する画像報知を大当りラウンド演出と対比して占有領域を小さめにして表示を行うように構成している。なお、設計者の裁量により「特定領域異常通過エラー」に係る画像報知を演出表示装置P80の略全画面に表示させるように、報知の重要度を高めるように構成してもよい。
演出表示装置P80に「特定領域異常通過エラー」の報知画像が表示される期間とほぼ同期して、スピーカP83からも「特定領域異常通過エラー」の発生に係る報知を行う。このとき、スピーカP83からは大当り遊技中の大当りラウンド演出に応じた楽曲や、大入賞装置P750やその他の入賞装置への入賞に基づく効果音等が再生されているが、「特定領域異常通過エラー」が発生した場合は、これらの大当り演出や入賞に対応した演出音よりも「特定領域異常通過エラー」の発生を報知するエラー音等の可聴性を優先するように構成している。第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「特定領域異常通過エラー」が報知されている期間であっても、演出表示装置P80での大当りラウンド演出の大部分が視認可能に構成されているため、大当りラウンド演出に対応して再生されている楽曲は、「特定領域異常通過エラー」と同時に出力を継続し、「特定領域異常通過エラー」の非発生時よりも音量を低下させるなど可聴性を低くすることで、「特定領域異常通過エラー」の発生に係るエラー音の可聴性を高めるように構成している。
演出表示装置P80および、スピーカP83からの「特定領域異常通過エラー」に関する報知が実行される期間(特定の期間)は、主制御基板P40から演出制御基板P41に対して「特定領域異常通過エラー」に係る演出制御コマンドが送信され、「特定領域異常通過エラー」に関する報知を実行すると決定(実行開始)してから60秒間が報知期間として設定されている。すなわち、主制御表示装置P50の状態表示灯P55によるエラー報知期間である所定の期間とは異なる期間となっている。
一方、演出ランプP82の「特定領域異常通過エラー」に関する報知は、演出表示装置P80およびスピーカP83における「特定領域異常通過エラー」に関するエラー報知期間とは異なるように設定される。
演出制御基板P41は、「特定領域異常通過エラー」に関するエラー報知を行うと決定すると、演出ランプP82であるガラス枠P3の枠ランプP350と、遊技盤P5の盤ランプP550とにおいて、赤色等で点滅発光するエラー発光演出を実行する。このエラー発光演出は、前述した演出表示装置P80およびスピーカP83のエラー報知期間と同期して開始及び終了の制御がなされる。
一方、演出制御基板P41は、枠ランプP350の特定の発光部(例えば、遊技者が遊技を行っているときの視界に入りにくいガラス枠上部の1灯のLED)を、エラー実績報知ランプ(特定領域異常通過エラー発生実績表示)として割り当てるように構成しており、エラー実績報知ランプについては、「特定領域異常通過エラー」の報知の開始から常時同一態様で点灯表示(又は点滅表示)を継続して実行するように構成し、遊技機の電源断が実行されるまで(電源投入時に演出制御基板P41によって演出ランプP82に対するリセットが実行されるまで)の間、電源投入時から現在までの期間においてエラー(特定領域異常通過エラー)が、少なくとも1回発生した旨を報知し続けるように構成している。すなわち、上記エラー実績報知ランプの報知期間は、主制御表示装置P50の状態表示灯P55によるエラー報知期間(所定の期間)および演出表示装置P80および、スピーカP83からの「特定領域異常通過エラー」に関する報知が実行される期間(特定の期間)のいずれよりも長い期間(異なる期間)に亘って実行可能となっている。
このように、演出制御基板P41においては、演出表示装置P80および演出ランプP82、スピーカP83にて、60秒間の一時的なエラー報知を実行することで、「特定領域異常通過エラー」の発生の度に、一時的に目立つエラー報知を外部に報知可能とするとともに、報知期間を60秒間に制限することで、過度に大当り中の大当りラウンド演出の興趣を低下させることを防止することができる。
また、第1実施例のぱちんこ遊技機Pは、大当り遊技中において、演出制御基板P41による一時的な「特定領域異常通過エラー」に関するエラー報知が終了した場合であっても、主制御基板P40の主制御表示装置P50の状態表示灯P55においては、当該大当り遊技が終了するタイミングまで、エラー報知を継続することを可能としているため、演出的な「特定領域異常通過エラー」に関するエラー報知がなされなくなった場合であっても、主制御表示装置P50の状態表示灯P55を確認することで、今回の大当り遊技中にエラーが発生していたことを特定可能に構成している。
さらに、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、エラー実績報知ランプにて、少なくとも1回でも「特定領域異常通過エラー」が発生した場合には、遊技機の電源がオフされるまでの期間、枠ランプP350の一部に設けられたエラー実績報知ランプにて「特定領域異常通過エラー」の発生実績を報知し続けることが可能となっていることより、遊技店舗の管理者等は、不正が行われていないか確認すべき遊技機を特定しやすくなるように構成できる。
なお、エラー実績報知ランプは、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、枠ランプP350の一部として設けるように構成したが、遊技盤上に設けられた盤ランプP550に対して割り当てるように構成してもよいし、エラー実績報知ランプを複数有して、「特定領域異常通過エラー」以外のエラーに関するエラーの発生実績を報知可能に構成してもよい。また、エラー実績報知ランプにてその他のエラーも報知可能とする場合、複数のエラー実績報知ランプを設けるのではなく、色や点灯パターン等で発生したエラーの実績を報知可能に構成することも可能である。
(変形例)
《大当り遊技直後の小当り入賞回避のための制御に関する他の制御例》
第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおける特徴構成2の制御では、特定の遊技状態(小当りラッシュ)以外の遊技状態において、第2特別図柄の特別図柄抽選にて小当りとなった際の大入賞装置P750に対する入賞を避けるための制御として、最も大入賞装置P750への可能性が高まる、大当り遊技直後に普通電動役物P770の作動が開始されない状況下で遊技領域P501の右側領域P501Rに残存する遊技球の大入賞装置P750への入賞を避けるための制御として、第2特別図柄の特別図柄抽選に関して変動パターン抽選を行う際に変動付加パターンを付加する制御を採用した。
より具体的には、大当り遊技を契機として移行する場合がある特定の遊技状態(小当りラッシュ)以外の遊技状態である、「RUSH(高確率/高ベース)」および「時短(低確/高ベース)」の遊技状態は、電チューサポート機能が非作動となる大当り遊技中に大入賞装置P750に向けて発射した遊技球が第2始動入賞装置P720(第2始動入賞口P721)に入賞し、第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留が最大となっている状況下で開始される可能性が高い。
そのため、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、特定の遊技状態(小当りラッシュ)以外の遊技状態であるときに、第2特別図柄の特別図柄抽選結果が小当りであり、かつ当該第2特別図柄の特別図柄抽選が最大保留数の時に実行されたか否かによって、特定の変動付加時間(7秒)を付加するか否かを決定するように構成していた(図28のP-s3522からP-s3528)。
しかしながら、特定の遊技状態(小当りラッシュ)以外の遊技状態における、特に大当り遊技の終了時の遊技状態遷移直後において、第2特別図柄に関する特別図柄抽選で発生し得る小当りの発生に基づく遊技球の獲得を回避するための制御としては、特徴構成2に示した制御以外の手法も検討できる。
例えば、特徴構成2では、固定時間となる変動付加パターンを追加するように構成していたが、特定の遊技状態(小当りラッシュ)以外の遊技状態における、第2特別図柄抽選の特別図柄抽選における変動パターン抽選で決定し得る時間を特定時間(7秒)以上のパターンに制限する手法も考えられる。
なお、このように変動パターン抽選で決定される変動表示時間(変動パターン)を制限する手法を採用する場合であっても、「超RUSH(高確/低ベース)」の開始時点で、第2特別図柄が長時間変動してしまう可能性を抑えるため、保留数が最大値である場合に限り変動パターン抽選で決定される変動パターンを7秒以上のものに制限するようにすることが好ましい。
また、他の手法としては、特定の遊技状態(小当りラッシュ)以外の遊技状態に制御される場合に、第2特別図柄の特別図柄抽選(変動パターン)に用いる変動パターンテーブルを1変動だけ特殊変動パターンテーブル(限定頻度)とする手法も考えられる。
なお、第2特別図柄の特別図柄抽選に対し、特殊変動パターンテーブル(限定頻度)を採用する場合、図32に示したような第1特別図柄の制御を主として遷移する変動パターン選択状態の制御のみでなく、第2特別図柄の制御によって遷移する変動パターン選択状態の選択順序および変動パターン選択状態回数の設定回数に関する情報も大当り遊技の終了時に設定するように構成し、それぞれ第1特別図柄の制御と第2特別図柄の制御で独立して、変動パターン選択状態を切り替えていくように構成することが好ましい。
P ぱちんこ遊技機、 P1 外枠、 P2 前枠、 P3 ガラス枠、
P4 裏セットユニット、 P5 遊技盤、 P40 主制御基板、
P41 演出制御基板、 P42 画像制御基板、 P43 払出制御基板、
P44 電源基板、 P47 電源スイッチ、 P48 ラムクリアスイッチ、
P49 設定キースイッチ、 P50 主制御表示装置、
P51 第1特別図柄表示装置、 P52 第2特別図柄表示装置、
P80 演出表示装置、 P81 演出操作手段(P380 演出操作ユニット、
P381 演出ボタン、 P382 レバー、 P383 十字キー)、
P82 演出ランプ(P350 枠ランプ、 P550 盤ランプ)、
P83 スピーカ(P141 幕板スピーカ,P371 上スピーカ)、
P560 演出役物、 P710 第1始動入賞装置、
P720 第2始動入賞装置、 P730 一般入賞装置、
P740 普図作動ゲート装置、 P750 大入賞口装置
P755 特別電動役物、 P770 普通電動役物

Claims (1)

  1. 遊技の進行を制御する主制御手段と、
    第1特別図柄抽選の契機となる第1始動入賞口と、
    第2特別図柄抽選の契機となる第2始動入賞口と、
    所定の契機で普通図柄が変動表示され、普通図柄が特定の態様で停止表示された場合に遊技球を受け入れ容易となる普通電動役物と、
    前記第1特別図柄抽選または前記第2特別図柄抽選の結果が大当りである場合に、入賞容易な状態に変位可能な大入賞口とを有し、
    前記第2特別図柄抽選の結果は、前記大当りの他に、前記大当りである場合よりも前記大入賞口が入賞容易な状態に変位している期間が短くなる小当りとなる場合があり、
    遊技状態として第1特別図柄抽選が遊技の主体となる第1遊技状態と、第2特別図柄抽選が遊技の主体となる第2遊技状態とを少なくとも有し、
    前記大当り遊技の実行後に前記第1遊技状態に設定された状況で、前記第2特別図柄抽選が実行されるにあたって所定の条件を充足しているとき、前記第2特別図柄抽選に係る抽選結果の報知までの期間を、前記第2特別図柄抽選が実行されるタイミングで遊技領域に存在する遊技球が前記大入賞口まで流下するまでの平均的な期間よりも長くなるよう構成することを特徴とするぱちんこ遊技機。
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