JP2022084110A - 流体制御装置、流体制御方法、及び、流体制御装置用プログラム - Google Patents

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Abstract

Figure 2022084110000001
【課題】制御対象の変化であるシステムノイズを観測ノイズが含まれない形で得られるようにして、従来よりも応答性や精度の良い流体制御が可能となる流体制御装置を提供する。
【解決手段】流路に設けられた制御バルブVと、前記流路を流れる流体の流量又は圧力を測定する流体(流量)センサFSと、前記制御バルブVの開度を変化させる入力パラメータに基づいて流体の流量又は圧力を推定する推定モデルを具備するカルマンフィルタ3と、設定量と、前記カルマンフィルタ3が推定する推定量との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御するバルブ制御器4と、を備えた。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば半導体製造プロセスにおいて流体の流量、分圧(濃度)、圧力等を制御するために用いられる流体制御装置に関するものである。
半導体製造プロセスでは、例えば液体原料を気化させた原料ガスを所定の流量や分圧でチャンバ内に供給して、エッチングやプラズマ処理等が行われる。
チャンバに接続されている原料ガスの供給流路上には、例えば原料ガスの流量を制御する流量制御装置が設けられている。具体的には流量制御のために必要となる各種機器が1つにパッケージ化された、いわゆるマスフローコントローラが流量制御装置として設けられる(特許文献1参照)。流量制御装置は、例えば流路を流れる原料ガスの流量を測定する流量センサと、印加される電圧によって開度が制御される制御バルブと、設定流量と流量センサの測定流量との偏差に基づいた例えばPID制御により、制御バルブの開度を制御するバルブ制御器と、を備えている。
ところで、前述した原料ガスの量を制御対象とする場合、原料が気化されて原料ガスが生成される気化器において、温度や圧力の変化に由来する原料ガスの量の変動が外乱として発生する。このようなシステムノイズが発生したとしても、理想的には流量制御装置によってチャンバに供給される原料ガスの流量は一定に保たれている。
しかしながら、流量制御装置の流量センサで検知される測定値にはシステムノイズだけでなく、電気的ノイズ等の観測ノイズも重畳する。また、流量センサにおける遅れを回復するために微分要素等による補償が行われていると、観測ノイズは非常に大きくなってしまう。例えばシステムノイズと観測ノイズの振幅が同じ程度の大きさである場合には、システムノイズだけを切り分けて適切な流量制御を行うことは難しい。
かといって、流量センサの測定値についてフィルタ処理により観測ノイズを除去すると、測定値自体に遅れが発生してしまい、ひいては流量制御も遅れてしまう。そうすると、システムノイズが発生してから、ある程度時間が経過しないと、流量制御装置は制御を開始しないことになる。特に過渡状態においてはチャンバに対して所望の流量で原料ガスを供給できないことになる。
特開2014-114463号公報
本発明は上述したような問題に鑑みてなされたものであり、制御対象の変化であるシステムノイズを観測ノイズが含まれない形で得られるようにして、従来よりも応答性や精度の良い流体制御が可能となる流体制御装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る流体制御装置は、流路に設けられた制御バルブと、前記流路を流れる流体の流量又は圧力を測定する流体センサと、前記制御バルブの開度を変化させる入力パラメータに基づいて流体の流量又は圧力を推定する推定モデルを具備するカルマンフィルタと設定量と、前記カルマンフィルタが推定する推定量との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御するバルブ制御器と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る流体制御方法は、流路に設けられた制御バルブと、前記流路を流れる流体の流量又は圧力を測定する流体センサと、を備えた流体制御層装置を用いた流体制御方法であって、前記制御バルブの開度を変化させる入力パラメータに基づいて流体の流量又は圧力を推定する推定モデルを具備するカルマンフィルタを設計すること、設定量と、前記カルマンフィルタが推定する推定量との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御することを含むことを特徴とする。
このようなものであれば、前記カルマンフィルタで推定される推定量に基づいて流体が制御されるので、電気的なノイズ等の観測ノイズは含まれないようにできる。また、システムノイズによる流体の量に対する変動は推定量に反映されるので、例えば原料ガスが温度や圧力の変動により流量や分圧が変化したとしても流体制御装置の下流側に供給される流体の流量や圧力は設定量で保つことができる。さらに、前記カルマンフィルタにより流体の状態が推定されるので、例えば前記流体センサの測定量に含まれる時間遅れ等も低減した形で推定ができるので、流体制御の応答性も向上させられる。
前記カルマンフィルタにおいて推定される推定量と流体の実際の量との間に初期値の違いがあったり、システムノイズとして不連続な変化が生じたりした場合でも速やかに推定量にその差が反映されるようにして、応答性の良い流体制御を実現できるようにするには、前記カルマンフィルタが、前記流体センサの測定量と前記推定量の偏差が乗じられるカルマンゲインをさらに具備するものであればよい。
流体の流量や圧力を制御するのに適した前記カルマンゲインの具体的な設計例としては、前記制御バルブの上流側における外乱による流体の流量又は圧力の変動がシステムノイズであり、前記流量センサにおける測定量に重畳するノイズが観測ノイズであり、前記カルマンゲインが、前記システムノイズの分散と前記観測ノイズの分散に基づいて設定されたものが挙げられる。
本発明に係る流体制御装置の具体的な実施態様の一例としては、前記流体センサが、流量の流量を測定する流量センサであり、前記バルブ制御器が、前記設定量である設定流量と、前記推定量である推定流量との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御するもの挙げられる。
本発明に係る流体制御装置の別の実施態様としては、前記流体センサが、流体の分圧を測定するNDIRであり、前記バルブ制御器が、前記設定量である設定分圧と、前記推定量である推定分圧との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御するものが挙げられる。
本発明に係る流体制御装置のさらに別の実施態様としては、前記流体センサが、流体の全圧を測定する全圧センサであり、前記バルブ制御器が、前記設定量である設定全圧と、前記推定量である推定全圧との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御するものが挙げられる。
前記流体センサにおいて発生する時間遅れを小さくして、高速の流体制御を実現できるようにするには、前記流体センサの出力する測定量を位相進み補償する位相進みフィルタをさらに備えたものであればよい。本発明に係る流体制御装置では、前記カルマンフィルタの推定量に基づいて流体制御が行われるので、前記流体センサの時間遅れを補償することで電気的ノイズが拡大されたとしてもその影響は前記制御バルブの制御には影響しない。また、流体センサの時間遅れは前記位相進みフィルタによって解消されるので、初期値の違いやシステムノイズによる変動は早期に推定量に反映させることが可能となる。
前記カルマンフィルタの具体的な構成例としては、前記推定モデルが、一次遅れ系としてモデル化されたものであればよい。このようなものであれば、簡単なモデルでありながらも、実際の制御対象を精度よくモデル化でき、所望の応答性で流体制御を実現しやすい。
本発明に係る流体制御装置に適した制御対象としては、前記流路が、液体又は固体の原料が気化される気化器において気化された原料ガスが導出される導出ポートに接続された導出ラインの少なくとも一部をなすものが挙げられる。このような系では流体制御装置の上流側から供給される原料ガスの量は温度や圧力の変化により変動するが、本発明に係る流体制御装置は、前記カルマンフィルタによってそのような変動も精度よく推定して、設定量が維持されるように原料ガスを制御できる。
既存の流体制御装置において例えばプログラムを更新することにより、本発明に係る流体制御装置と同等の効果を享受できるようにするには、流路に設けられた制御バルブと、前記流路を流れる流体の流量又は圧力を測定する流体センサと、を備えた流体制御装置に用いられるプログラムであって、前記制御バルブの開度を変化させる入力パラメータに基づいて流体の流量又は圧力を推定する推定モデルを具備するカルマンフィルタと、設定量と、前記カルマンフィルタが推定する推定量との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御するバルブ制御器と、としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とする流体制御装置用プログラムを用いれば良い。
なお、流体制御装置用プログラムは、電子的に配信されてもよいし、CD、DVD、フラッシュメモリ等のプログラム記録媒体に記録されたものであってもよい。
このように本発明に係る流体制御装置であれば、前記カルマンフィルタによって流路を流れる流体の量を推定しているので、観測ノイズを含まず、システムノイズは反映された推定量に基づいて流体が設定量となるように制御できる。したがって、時間遅れなく、システムノイズだけを切り分けた状態で流体制御が可能となるので、応答性や精度を従来よりも向上させられる。
本発明の第1実施形態に係る流体制御装置及びガス供給システムを示す模式図。 第1実施形態の流体制御装置の構成を示す模式図。 第1実施形態の流体制御装置の制御構成を示す模式図。 第1実施形態の流体制御装置の制御構成を示すブロック線図。 第1実施形態の流体制御装置の測定流量及び推定流量のシミュレーション結果。 本発明の第2実施形態に係る流体制御装置の構成を示す模式図。 本発明の第3実施形態に係る流体制御装置の構成を示す模式図。
本発明の第1実施形態に係る流体制御装置100について各図を参照しながら説明する。図1に示すように本実施形態の流体制御装置100は、原料を気化する気化器VPとともに原料ガスを基板に対してエッチング処理やプラズマ処理等が行われるチャンバCNへ供給する原料ガス供給システム200を構成する。より具体的には流体制御装置100は、気化器VPにおいて原料ガスの発生量が変動したとしても、ユーザにより設定される設定量で原料ガスがチャンバCNに供給されるように動作する。
原料ガス供給システム200は、気化器VPに接続されたキャリアガス導入ラインL1と、気化器VPとチャンバCNとの間を接続する供給ラインL2と、チャンバCN内のガスを外部に排気する排気ラインL3と、を備えている。供給ラインL2には流体制御装置100であるマスフローコントローラが設けられている。排気ラインL3にはチャンバCN内のガスを真空排気するための排気ポンプPMが設けられている。
気化器VPは、例えば液体原料をバブリングによって気化するものであって、液体原料が内部に収容されたタンクTNと、図示しない温調機構と、を少なくとも具備する。タンクTNにはキャリアガス導入ラインL1を形成する配管がタンクTNの内部底面近傍まで設けられており、タンクTN内に貯留されている液体原料の底側から液面側に向けて通過するように構成されている。キャリアガス導入ラインL1からは例えば貴ガスや窒素ガス等の不活性ガスが所定の流量でタンクTN内の液体原料に供給される。液体原料に対してキャリアガスが接触することで液体原料が気化して原料ガスが発生する。このため、原料ガスはキャリアガスと混合された混合ガスの状態で供給ラインL2へ導出される。
ここで、気化器VPから気化して導出される原料ガスの発生量は、キャリアガスの流量、タンクTN内の内圧、タンクTN内の温度、タンクTN内における液体原料の残量等、各種影響を受ける。これは例えば液体原料の飽和蒸気圧が変化したり、キャリアガスと液体原料との接触時間や接触態様が変化したりすることが原因である。このような影響や気化器VPに作用する環境影響等による原料ガス又は混合ガスの流量の変動を本実施形態ではシステムノイズと定義している。
流体制御装置100は、本実施形態では供給ラインL2を流れる混合ガスの流量がユーザの設定する設定流量で保たれるように制御する流量制御装置である。本実施形態の流体制御装置100は、流路である供給ラインL2を流れる混合ガスの流量を推定するカルマンフィルタ3を具備する。流体制御装置100はカルマンフィルタ3が出力する推定量である推定流量と設定流量の偏差が小さくなるように流量制御を行う。
具体的には、図2に示すように流体制御装置100は、ハードウェアとして流体センサである圧力式の流量センサFSと、制御バルブVと、制御ボードとが1つにパッケージ化されたものである。流量センサFSは、第1圧力センサP1、層流素子である流体抵抗R、及び、第2圧力センサP2からなり、第2圧力センサP2の下流側に制御バルブVが設けられている。なお、流量センサFSは図2に示すものに限られず、圧力式の流量センサFSとして、層流素子の代わりにオリフィスプレートを用いたものであってもよいし、熱式の流量センサであってもよい。
ここで、流量センサFSで測定される混合ガスの流量には、電気的なノイズ等が重畳する。本実施形態では流量センサFSで測定されており、実際の混合ガスにおける流量の変動とは無関係に発生する電気的なノイズを観測ノイズとして定義している。
制御バルブVは、印加される電圧に応じた開度が実現されるものであり、例えば弁体を駆動するアクチュエータとしてピエゾアクチュエータ(図示しない)を具備するピエゾバルブである。なお、制御バルブVはピエゾバルブに限られるものではなく、ソレノイドバルブや可変オリフィス等であっても構わない。
制御ボードCOMは、CPU、メモリ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、各種入出力機器を備えたコンピュータであって、図2の機能ブロック図に示すように抵抗流量算出器1、位相進み補償器2、カルマンフィルタ3、バルブ制御器4としての機能を少なくとも発揮する。
抵抗流量算出器1は、第1圧力センサP1及び第2圧力センサP2の測定する第1圧力及び第2圧力に基づいて供給ラインL2を流れる混合ガスの流量を算出する。抵抗流量算出器1で用いられる流量算出式は既存のものを用いることができ、例えば第1圧力の平方と第2圧力の平方の差に所定の係数を乗じることで流量が算出される。ここで、第1圧力及び第2圧力には電気的なノイズ等が重畳しているため、抵抗流量算出器1が算出する測定流量は電気的なノイズを含む。
位相進み補償器2は、流量センサFSの出力する測定量を位相進み補償するフィルタである。本実施形態では流量算出器の出力する測定流量に対して微分演算を含む演算によって、実際の流量に対する位相遅れを回復させている。また、位相進み補償器2によって補償された測定流量は、微分演算によって電気的なノイズが拡大されたものとなる。本実施形態では第1圧力センサP1、流体抵抗R、第2圧力センサP2、抵抗流量算出器1、位相進み補償器2が協業することで流量センサFSとしての機能を発揮する。すなわち、位相進み補償器2が出力する補償後の測定流量に含まれるノイズが観測ノイズとなる。
カルマンフィルタ3及びバルブ制御器4は、図3のブロック線図に示すような制御系を構成するものである。図3及び図4に示すようにカルマンフィルタ3で推定される推定流量がバルブ制御器4にフィードバックされ、バルブ制御器4は設定流量と推定流量との偏差に応じて制御バルブVに印加する電圧を変化させる。また、流量センサFSで測定されうる測定流量はカルマンフィルタ3に対してフィードバックされる。
カルマンフィルタ3は、制御バルブVの開度を変化させる入力パラメータに基づいて流体の流量を推定する推定モデル31と、流量センサFSの測定流量と推定モデル31から出力される推定流量との偏差が乗じられるカルマンゲイン32と、を具備するものである。
推定モデル31は、図4の状態方程式表現のブロック線図に示すように流体制御装置100においてバルブ制御器4以外の要素をモデル化したものである。すなわち、推定モデル31は、流体制御装置100をモデル化した要素A、B、Cと同じ要素A、B、Cで定義されるモデルである。この推定モデル31は、入力パラメータが制御バルブVに印加される電圧QMV、出力パラメータが流量Qout、システムノイズの分散σが気化器VPに対する外乱により生じる流体制御装置100に対して供給される混合ガスの流量の分散、観測ノイズの分散σが流量センサFSで測定される測定流量に重畳する電気的なノイズ等の分散とした場合に、例えば一次遅れ系としてモデル化されたものである。一次遅れ系を規定する時定数等のパラメータは例えば実際の流体制御装置100において各種実験を行うことで同定される。
また、システムノイズの分散σは、観測ノイズの分散σとほぼ同じ大きさ以下として定義している。言い換えると、観測ノイズに対してシステムノイズが埋もれてしまうため、流量センサFSの測定流量と設定流量の偏差によりバルブ制御器4が流量制御を行うと、システムノイズに対応した制御が行えない場合がある。
カルマンゲイン32は、システムノイズの分散σと観測ノイズの分σに基づいて設定される。以下に推定モデル31、及び、カルマンゲイン32の詳細について説明する。
図4に示す推定モデル31は、ARMAモデルに基づき、時系列の状態空間で表現でき、以下のような行列として表すことができる。
Figure 2022084110000002
また、推定モデル31を規定する行列A、B、C、及び、システムノイズの分散σ、観測ノイズの分散σに基づいて、事前誤差共分散行列Pは以下のように定義される。なお、文字の右肩にあるマイナスは逆行列、ダッシュは転置行列を示す。
Figure 2022084110000003
この事前誤差共分散行列を用いてカルマンゲイン32は以下のように表せる。
Figure 2022084110000004
加えて、推定モデル31から出力される推定流量Q^outは以下のように表せる。
Figure 2022084110000005
そして、事後誤差共分散行列Pは以下のように表すことができ、新たに算出されるPを数3に戻すことで、逐次推定流量Q^outを算出できる。
バルブ制御器4は、カルマンフィルタ3から出力される推定流量と設定流量の偏差についてPID演算を行い、開度指令を生成するPID制御器41と、PID制御器41の出力する開度指令に応じた電圧を制御バルブVに印加する電圧生成回路42と、を備えている。図3に示すようにバルブ制御器4は、推定流量に基づいて制御バルブVを制御しており、流量センサFSの測定流量についてはフィードバックされていないので、観測ノイズの影響を受けずにシステムノイズだけを反映した制御が可能となる。
次にカルマンフィルタ3の効果についてシミュレーション結果を示しながら説明する。ここで、システムノイズの分散σ=0.001^2、観測ノイズの分散σ=0.1^2として、数1乃至数4で示した推定モデル31及びカルマンゲイン32を用いている。図5(a)のステップ応答に示すように流量センサFSの測定流量には大きな観測ノイズが重畳しているためにシステムノイズと観測ノイズを切り分けることが難しいのに対して、図5(b)のステップ応答に示すように、太線で表されるカルマンフィルタ3の推定流量であれば、システムノイズだけが反映された状態にできる。また、点線で示す測定流量をローパスフィルタに通した場合と比較して、時間遅れも発生していない事がわかる。
このように構成された流体制御装置100であれば、カルマンフィルタ3によって流量を推定しているので、観測ノイズを除去しつつシステムノイズによる変動だけを時間遅れなくバルブ制御器4にフィードバックできる。また、観測ノイズの影響がバルブ制御器4には表れないため、PID制御器41に設定される各種ゲインは、従来よりも高い値が設定されても制御的な安定性を保つことができる。また、ハイゲイン化が可能であるから、気化器VPにおいて何らかの外乱影響により原料ガスの発生量が変化しても、その変動を抑えこむことができる。したがって、気化器VPを含むような流量や圧力等を所望の値に制御しにくいシステムであっても、常にユーザが設定した所望の流量で混合ガスをチャンバCNに供給し続けることができる。
さらに、カルマンフィルタ3により流体の状態が推定されるので、流量センサFSの測定流量をローパスフィルタに通した場合と比較して、時間遅れも発生せず、流量制御の応答性も従来よりも向上させられる。
本発明の第2実施形態について図6を参照しながら説明する。なお、第1実施形態において説明したものにおいて対応するものについては同じ符号を付すこととする。
第1実施形態では流体制御装置100は流量を制御するものであったが、第2実施形態の流体制御装置100は、原料ガスの分圧(圧力)を制御するように構成されている。より具体的には、流体制御装置100は流量センサFSの代わりに流路を流れる流体の分圧を測定する分圧測定機構Nを具備している。また、カルマンフィルタ3は推定量として流路を流れる流体の推定分圧を出力する。具体的にカルマンフィルタ3は、例えばPID制御器41から出力される開度指令等の制御バルブVの開度を変化させる入力パラメータに基づいて推定分圧を算出する。また、カルマンフィルタ3には推定分圧と分圧測定機構Nで測定される測定分圧の偏差がフィードバックされる。バルブ制御器4はユーザにより設定される設定分圧と推定分圧の偏差に基づいて制御バルブVの開度を制御するように構成されている。
分圧測定機構Nは、NDIR方式のものであり、例えば流路中に光を射出する光源N11と、流路を通過した光を検出する光検出器N2と、光検出器N2の出力に基づいて原料ガスの分圧を算出する分圧算出器65と、を備えている。
このようなものであれば、カルマンフィルタ3によって、分圧測定機構Nにおいて重畳する電気的なノイズを除去しつつ、気化器VPにおける外乱影響による原料ガスの分圧の変動を反映した推定分圧を得られる。また、バルブ制御器4が推定分圧に基づいて制御バルブVの開度を制御しているので、観測ノイズの影響をほぼ受けずにシステムノイズに対応して設定分圧を維持することができる。加えて、NDIR方式の分圧測定方法は実際の分圧に対して大きな時間遅れを含む場合があるが、カルマンフィルタ3による推定であれば、本来観測できない時間遅れを含まない分圧を得ることができる。このため、従来の分圧制御と比較して応答性を良くすることができる。
本発明の第3実施形態について図7を参照しながら説明する。なお、第1実施形態において説明したものにおいて対応するものについては同じ符号を付すこととする。
第3実施形態の流体制御装置100は、流路を流れる流体の全圧を制御するように構成されている。より具体的には、流体制御装置100は流量センサFSの代わりに流路を流れる流体の全圧を測定する全圧センサPSを具備している。また、カルマンフィルタ3は推定量として流路を流れる流体の推定全圧を出力する。具体的にカルマンフィルタ3は、例えばPID制御器41から出力される開度指令等の制御バルブVの開度を変化させる入力パラメータに基づいて推定全圧を算出する。また、カルマンフィルタ3には推定全圧と全圧センサPSで測定される測定全圧の偏差がフィードバックされる。バルブ制御器4はユーザにより設定される設定全圧と推定全圧の偏差に基づいて制御バルブVの開度を制御するように構成されている。
全圧センサPSは、例えば流体の圧力によって変形するダイアフラム(図示しない)よる静電容量の変化を電圧変化として出力する全圧検出機構PSMと、全圧検出機構PSMの出力に基づいて全圧を算出する全圧算出器6とを備えている。
このようなものであれば、カルマンフィルタ3によって、全圧センサPSにおいて重畳する電気的なノイズを除去しつつ、気化器VPにおける外乱影響による原料ガスの分圧の変動又は混合ガスの全圧の変動を反映した推定全圧を得られる。また、バルブ制御器4が推定全圧に基づいて制御バルブVの開度を制御しているので、観測ノイズの影響をほぼ受けずにシステムノイズに対応して設定全圧を維持することができる。カルマンフィルタ3による推定であるため、気化器VPの設置場所と全圧センサPSの設置場所が離れていても、システムノイズを早期に反映した推定全圧によって外乱影響が制御結果にほぼ表れないようにして全圧制御することも可能となる。
その他の実施形態について説明する。
推定モデルについては、一次遅れのモデルに限られず、二次遅れやさらに高次の遅れのモデルとしてもよい。また、全く別のモデル化を行ったものであってもよい。すなわち、流体制御装置の実際の構成にあわせて推定モデルは構築すればよい。
流体制御装置は分圧ではなく、混合ガス中における原料ガスの濃度を制御するものであってもよい。この場合、カルマンフィルタは濃度を推定するように構成すればよい。また、圧力や流量を測定する流体センサは制御バルブの下流側に設けられていても良い。加えて、流体センサは位相進み補償器を具備しておらず、カルマンフィルタに位相進み処理が施されていない測定量が入力されるようにしてもよい。
気化器の方式は実施形態において説明したいわゆる液体原料用のバブリング方式のものに限られない。例えば、気化器は、固体の原料にキャリアガスを吹き付けて昇華させるようなバブリング方式のものであってもよい。また、気化器にキャリアガスが導入されず、タンク内の原料を加熱して気化させるベーキング方式のものであってもよい。さらに、液体の原料とキャリアガスを混合して噴霧することにより、原料を気化させる直接気化方式のものであってもよい。本発明に係る流体制御装置であれば、いずれの方式の気化器から導出される原料ガスの流量や圧力等であっても従来よりも応答性や精度を改善して制御することが可能となる。
本発明に係る流体制御装置は、気化器を具備するガス供給システム以外に適用してもよい。半導体製造プロセスにおいて用いられる液体又は気体の流量や圧力等を制御するために適用してもよい。カルマンフィルタについても各実施形態に示した物に限られない。カルマンフィルタへの入力は、電圧生成回路の出力する電圧の値に限られず、制御バルブの開度を変化させる入力パラメータであればよい。例えばユーザにより設定される設定流量や設定分圧等の設定量を入力パラメータとしてもよい。バルブ制御器の構成についても各実施形態に示したものに限られず、PID制御以外の制御方式を用いたものであってもよい。例えばフィードフォワード制御等と組み合わせて構わない。
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、実施形態の変形を行ったり、各実施形態の一部同士を組み合わせたりしても構わない。
200・・・ガス供給システム
100・・・流体制御装置
FS、N・・・流量センサ、分圧測定機構(流体センサ)
V ・・・制御バルブ
1 ・・・抵抗流量算出器
2 ・・・位相進み補償器
3 ・・・カルマンフィルタ
31 ・・・推定モデル
32 ・・・カルマンゲイン
4 ・・・バルブ制御器
41 ・・・PID制御器
42 ・・・電圧生成回路
5 ・・・分圧算出器

Claims (11)

  1. 流路に設けられた制御バルブと、
    前記流路を流れる流体の流量又は圧力を測定する流体センサと、
    前記制御バルブの開度を変化させる入力パラメータに基づいて流体の流量又は圧力を推定する推定モデルを具備するカルマンフィルタと
    設定量と、前記カルマンフィルタが推定する推定量との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御するバルブ制御器と、を備えたことを特徴とする流体制御装置。
  2. 前記カルマンフィルタが、前記流体センサの測定量と前記推定量の偏差が乗じられるカルマンゲインをさらに具備する請求項1記載の流体制御装置。
  3. 前記制御バルブの上流側における外乱による流体の流量又は圧力の変動がシステムノイズであり、前記流体センサにおける測定量に重畳するノイズが観測ノイズであり、
    前記カルマンゲインが、前記システムノイズの分散と前記観測ノイズの分散に基づいて設定された請求項2記載の流体制御装置。
  4. 前記流体センサが、流量の流量を測定する流量センサであり、
    前記バルブ制御器が、前記設定量である設定流量と、前記推定量である推定流量との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御する請求項1乃至3いずれかに記載の流体制御装置。
  5. 前記流体センサが、流体の分圧を測定するNDIRであり、
    前記バルブ制御器が、前記設定量である設定分圧と、前記推定量である推定分圧との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御する請求項1乃至3いずれかに記載の流体制御装置。
  6. 前記流体センサが、流体の全圧を測定する全圧センサであり、
    前記バルブ制御器が、前記設定量である設定全圧と、前記推定量である推定全圧との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御する請求項1乃至3いずれかに記載の流体制御装置。
  7. 前記流体センサの出力する測定量を位相進み補償する位相進みフィルタをさらに備えた請求項1乃至6いずれかに記載の流体制御装置。
  8. 前記推定モデルが、一次遅れ系としてモデル化されたものである請求項1乃至7いずれかに記載の流体制御装置。
  9. 前記流路が、液体又は固体の原料が気化される気化器において気化された原料ガスが導出される導出ポートに接続された導出ラインの少なくとも一部をなす請求項1乃至8いずれかに記載の流体制御装置。
  10. 流路に設けられた制御バルブと、前記流路を流れる流体の流量又は圧力を測定する流体センサと、を備えた流体制御層装置を用いた流体制御方法であって、
    前記制御バルブの開度を変化させる入力パラメータに基づいて流体の流量又は圧力を推定する推定モデルを具備するカルマンフィルタを設計すること、
    設定量と、前記カルマンフィルタが推定する推定量との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御することを含む流体制御方法。
  11. 流路に設けられた制御バルブと、前記流路を流れる流体の流量又は圧力を測定する流体センサと、を備えた流体制御装置に用いられるプログラムであって、
    前記制御バルブの開度を変化させる入力パラメータに基づいて流体の流量又は圧力を推定する推定モデルを具備するカルマンフィルタと
    設定量と、前記カルマンフィルタが推定する推定量との偏差が小さくなるように前記制御バルブを制御するバルブ制御器と、としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とする流体制御装置用プログラム。

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