JP2022078362A - ケモカイン産生促進剤、免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌治療薬及び抗腫瘍免疫賦活剤 - Google Patents

ケモカイン産生促進剤、免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌治療薬及び抗腫瘍免疫賦活剤 Download PDF

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Abstract

【課題】癌の微小環境における抗腫瘍免疫を増強することができるケモカイン産生促進剤、免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌治療薬及び抗腫瘍免疫賦活剤を提供する。【解決手段】ケモカイン産生促進剤は、糖誘導体を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、ケモカイン産生促進剤、免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌治療薬及び抗腫瘍免疫賦活剤に関する。
癌に対する治療法として、免疫チェックポイント阻害剤が期待されている。免疫チェックポイント阻害剤は、癌細胞による免疫チェックポイント分子を介した免疫抑制機構を阻害し、免疫系による抗腫瘍効果をもたらす。
進行性癌の微小環境では免疫抑制機構が亢進している。例えば、非特許文献1では、癌細胞における解糖系の活性化によって抗腫瘍免疫が抑制されることが報告されている。非特許文献2には、癌の微小環境では、癌細胞におけるグルコース代謝が亢進しているため、T細胞へのグルコースの供給量が低下することでT細胞の活性が低下することが示唆されている。
Tina Cascone、外36名、「Increased tumor glycolysis characterizes immune resistance to adoptive T cell therapy」、Cell Metabolism、2018年、27、p.977-987 Chih-Hao Chang、外13名、「Metabolic competition in the tumor microenvironment is a driver of cancer progression」、Cell、2015年、162、p.1229-1241
癌細胞に対するT細胞の走化性の亢進は、癌の微小環境における抗腫瘍免疫の活性化に重要である。非特許文献1には、75種類の細胞走化性因子(ケモカイン)及びサイトカインの発現量を検討したところ、解糖系活性の低いメラノーマ細胞では解糖系活性の高いメラノーマ細胞よりも、T細胞の走化性を亢進するCXCL10が多く産生されることが示されている。非特許文献1では、細胞外酸性化速度を指標に抽出した解糖系活性の低いメラノーマ細胞によるケモカインの産生量が評価されているものの、癌細胞の解糖系を阻害することによるケモカインの産生量への影響は検討されていない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、癌の微小環境における抗腫瘍免疫を増強することができるケモカイン産生促進剤、免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌治療薬及び抗腫瘍免疫賦活剤を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ね、癌細胞における解糖系の阻害によって、癌細胞によるケモカインの産生及びT細胞の走化性が亢進することに加え、癌細胞とT細胞の間における糖代謝バランスへの介入で抗腫瘍免疫が増強されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の観点に係るケモカイン産生促進剤は、
糖誘導体を含む。
この場合、上記本発明の第1の観点に係るケモカイン産生促進剤は、
癌細胞からのCXCL9、CXCL10及びCXCL11の産生を促進する、
こととしてもよい。
また、上記本発明の第1の観点に係るケモカイン産生促進剤は、
乳酸・グリコール酸共重合体を含有する生体適合性粒子をさらに含み、
前記糖誘導体は、
前記生体適合性粒子に封入されている、
こととしてもよい。
本発明の第2の観点に係る免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌治療薬は、
糖誘導体を含む。
本発明の第3の観点に係る抗腫瘍免疫賦活剤は、
糖誘導体を含み、
免疫チェックポイント阻害剤と併用される。
上記本発明の第1の観点に係るケモカイン産生促進剤、上記本発明の第2の観点に係る免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌治療薬又は上記本発明の第3の観点に係る抗腫瘍免疫賦活剤において、
前記糖誘導体は、
2-デオキシ-D-グルコースである、
こととしてもよい。
本発明によれば、癌の微小環境における抗腫瘍免疫を増強することができる。
試験例1に係る肝癌細胞からのケモカインの分泌量に及ぼす2-デオキシ-D-グルコース(以下、単に「2DG」とする)の影響を示す図である。(A)はCXCL10の分泌量を示す図である。(B)はCXCL9の分泌量を示す図である。 試験例1に係る2DGによる肝癌細胞へのT細胞の走化性の亢進を示す図である。 試験例1に係るVelocity-Directionality(V-D)プロットを示す図である。 試験例1に係るT細胞の移動速度を示す図である。 試験例1に係るT細胞の移動の方向性を示す図である。 試験例2に係る2DGナノ粒子の粒度分布を示す図である。 試験例2に係る2DGナノ粒子による肝癌細胞へのT細胞の走化性の亢進を示す図である。 試験例2に係るV-Dプロットを示す図である。 試験例2に係るT細胞の移動速度を示す図である。 試験例2に係るT細胞の移動の方向性を示す図である。 試験例2に係る肝癌細胞からの乳酸産生量を示す図である。 試験例2に係るT細胞からのIFNγのmRNAの相対的な発現量を示す図である。 試験例2に係る肝癌細胞の2-NBDGの相対的な取り込み量を示す図である。 試験例2に係るT細胞の2-NBDGの相対的な取り込み量を示す図である。 試験例3に係る肝発癌マウスの肝臓の腫瘍の外観を示す図である。 試験例3に係る肝発癌マウスにおける腫瘍最大径を示す図である。 試験例3に係る肝発癌マウスにおける総腫瘍体積を示す図である。 試験例3に係る腫瘍組織におけるCXCL9のmRNA発現量を示す図である。 試験例3に係る腫瘍組織におけるCXCL10のmRNA発現量を示す図である。 試験例3に係る腫瘍組織におけるCXCL11のmRNA発現量を示す図である。 試験例4に係る抗PD-1抗体抵抗性マウスの腫瘍の外観を示す図である。 試験例4に係る抗PD-1抗体抵抗性マウスにおける腫瘍体積の経時変化を示す図である。 試験例5に係る抗PD-1抗体抵抗性マウスの腫瘍の外観を示す図である。 試験例5に係る抗PD-1抗体抵抗性マウスにおける腫瘍体積の経時変化を示す図である。 試験例5に係る抗PD-1抗体抵抗性マウスの免疫染色した肝腫瘍組織を示す図である。 図25に示す肝腫瘍組織におけるCD3陽性T細胞数を示す図である。 試験例6に係る肝発癌マウスの肝臓の腫瘍の外観を示す図である。 試験例6に係る肝発癌マウスにおける腫瘍最大径を示す図である。 試験例6に係る肝発癌マウスにおける総腫瘍体積を示す図である。
(実施の形態)
本発明に係る実施の形態について説明する。本実施の形態に係るケモカイン産生促進剤は、糖誘導体を有効成分として含む。糖誘導体は、例えば解糖系を阻害するD-グルコースの誘導体である。好ましくは、糖誘導体は、グルコース環の2位においてヒドロキシル基を有さないグルコース誘導体である。グルコース誘導体としては、マンノース、ガラクトース及び5-チオ-グルコースが挙げられる。グルコース誘導体は、グルコース環上の任意の位置における水素の代わりにフッ素を有してもよい。フッ素を有するグルコース誘導体としては、例えば、2-フルオロ-2-デオキシ-D-グルコース及び2-ジフルオロ-2-D-デオキシ-グルコース等が挙げられる。
グルコース誘導体は、グルコース環上の6位以外の任意の位置において水酸基の代わりにアミノ基を有してもよい。アミノ基を有するグルコース誘導体としては、例えば、2-アミノ-2-デオキシ-D-グルコース及び2-アミノ-2-デオキシ-D-ガラクトース等が挙げられる。上記の他にグルコース誘導体として、2-F-マンノース、2-マンノサミン、2-デオキシガラクトース、2-F-デオキシガラクトース等が例示される。好適には、糖誘導体はグルコースの誘導体である2DGである。2DGは、グルコーストランスポーターを介して癌細胞内に取り込まれる。癌細胞内に蓄積した2DGは解糖系を阻害する。
好ましくは、ケモカイン産生促進剤は、乳酸・グリコール酸共重合体(ポリラクチドグリコライド共重合体ともいう。以下、単に「PLGA」という)を含有する生体適合性粒子をさらに含む。生体適合性粒子は、生体への刺激又は毒性が低く、かつ投与後分解して代謝される性質を備える粒子である。糖誘導体は生体適合性粒子に封入されている。
PLGAは、例えば1:99~99:1、好ましくは75:25、より好ましくは3:1の割合で、乳酸又はラクチドと、グリコール酸又はグリコライドと、からなるコポリマーである。PLGAは、任意のモノマーから公知の方法で合成してもよいし、市販のPLGAを使用してもよい。市販のPLGAとしては、例えばPLGA7520(乳酸:グリコール酸=75:25、平均重量分子量20,000、和光純薬社製)が挙げられる。乳酸及びグリコール酸の含有量が25重量%~65重量%であるPLGAは非晶質であり、アセトン等の有機溶媒に可溶である点で好ましい。
生体適合性粒子の粒径は、1000nm未満で、例えば2.5~900nm、好ましくは25~500nm又は50~300nm、より好ましくは100~250nm、さらに好ましくは130~200nm、特に好ましくは150~180nmである。生体適合性粒子の粒径は、ふるい分け法、沈降法、顕微鏡法、光散乱法、レーザー回折・散乱法、電気的抵抗試験、透過型電子顕微鏡による観察、及び走査型電子顕微鏡による観察等で測定できる。粒径は粒度分布計で測定してもよい。粒径は、測定方法に応じて、ストーク相当径、円相当径及び球相当径で表すことができる。また、粒径は、複数の粒子を測定対象として、平均で表した平均粒径、体積平均粒径及び面積平均粒径等であってもよい。また、粒径は、レーザー回折・散乱法等の測定に基づく個数分布等から算出される平均粒径であってもよい。
具体的には、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒径である50%径(D50)を粒径としてもよい。累積カーブ及びD50は、市販の粒度分布計を用いて求めることができる。粒度分布計としては、例えば、NIKKISO Nanotrac Wave-EX150(日機装社製)が挙げられる。
上記生体適合性粒子は、表面をポリエチレングリコール(PEG)で修飾してもよい。例えば、上記生体適合性粒子の製造に、PLGAのPEG修飾体を用いることで、表面がPEGで修飾された生体適合性粒子が得られる。表面がPEGで修飾されることで、生体適合性粒子の血中安定性が向上する。
糖誘導体が封入されている生体適合性粒子の製造方法として、公知の任意の製造方法を採用できる。例えば、生体適合性粒子は、水中エマルジョン法で製造できる。水中エマルジョン法では、PLGAが溶解する良溶媒と、PLGAが溶解しない貧溶媒の2種類の溶媒を用いる。良溶媒には、PLGAが溶解し、かつ貧溶媒へ混和する有機溶媒を用いる。良溶媒及び貧溶媒の種類は、特に限定されない。
貧溶媒としては、水が挙げられる。貧溶媒として水を用いる場合、水に界面活性剤を添加してもよい。例えば、界面活性剤としては、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましい。PVA以外の界面活性剤としては、レシチン、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
良溶媒としては、低沸点かつ難水溶性の有機溶媒であるハロゲン化アルカン類、アセトン、メタノール、エタノール、エチルアセテート、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、ベンゼン及びトルエン等が挙げられる。好ましくは、例えば環境や人体に対する悪影響が少ないアセトンのみ又はアセトンとエタノールとの混合液が用いられる。
水中エマルジョン法では、まず、良溶媒中にPLGAを溶解後、PLGAが析出しないように糖誘導体溶液を良溶媒中へ添加し混合する。PLGAと糖誘導体とを含む混合液を、撹拌下で貧溶媒中に滴下すると、混合液中の良溶媒が貧溶媒中へ急速に拡散移行する。その結果、貧溶媒中で良溶媒の乳化が起き、良溶媒のエマルジョン滴が形成される。
さらに良溶媒と貧溶媒の相互拡散により、エマルジョン内から有機溶媒が貧溶媒へと継続的に拡散するため、エマルジョン滴内のPLGA及び糖誘導体の溶解度が低下する。最終的には、糖誘導体を含有する球形結晶粒子の生体適合性粒子が生成する。その後、良溶媒である有機溶媒を遠心分離又は減圧留去し、生体適合性粒子の粉末を得る。得られた粉末は、そのまま、又は必要に応じて凍結乾燥等により再分散可能な凝集粒子に複合化される。得られた生体適合性粒子における糖誘導体の含有率は、例えば0.01~99重量%、0.1~30重量%、0.5~20重量%、1~15重量%、3~10重量%又は5~10重量%である。なお、ここでの糖誘導体の含有率は、生体適合性粒子の重量に対する糖誘導体の重量の割合である。含有率は、所定重量の生体適合性粒子から抽出された糖誘導体の重量を定量し、生体適合性粒子の重量に対する糖誘導体の重量の割合を算出することで求められる。
なお、生体適合性粒子における糖誘導体の含有率を高めるため、貧溶媒にカチオン性高分子を添加してもよい。カチオン性高分子としては、キトサン並びにキトサン誘導体、セルロースに複数のカチオン基を結合させたカチオン化セルロース及びポリエチレンイミン、ポリビニルアミン並びにポリアリルアミン等のポリアミノ化合物等が挙げられる。
好適には、糖誘導体が封入されている生体適合性粒子は、強制薄膜式マイクロリアクターを用いて製造される。強制薄膜式マイクロリアクターを用いる場合、まず、互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用面間に、上述の良溶媒と貧溶媒とを導入する。これにより形成される薄膜流体中で、良溶媒と貧溶媒とを混合し、糖誘導体が封入されている生体適合性粒子を、薄膜流体中に析出させる。強制薄膜式マイクロリアクターとしては、好ましくはULREA SS-11(エム・テクニック社製)が用いられる。
ケモカイン産生促進剤は、既知の方法で製造され、有効成分として0.000001~99.9重量%、0.00001~99.8重量%、0.0001~99.7重量%、0.001~99.6重量%、0.01~99.5重量%、0.1~99重量%、0.5~60重量%、1~50重量%又は1~20重量%の糖誘導体又は糖誘導体が封入されている生体適合性粒子を含む。ケモカイン産生促進剤は、固形製剤であっても、液状製剤であってもよい。
ケモカイン産生促進剤は、糖誘導体又は生体適合性粒子に加え、薬理学上許容される担体等を含んでもよい。例えば、ケモカイン産生促進剤には、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等が配合されてもよい。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤及び甘味剤等の添加物が配合されてもよい。
本実施の形態に係るケモカイン産生促進剤は、下記試験例1及び試験例3に示すように、癌細胞からのケモカイン、特にはCXCL9、CXCL10及びCXCL11の少なくとも一つの産生を促進する。CXCL9、CXCL10又はCXCL11がCD8陽性T細胞の表面に発現している受容体CXCR3に結合することで、T細胞の走化性が亢進する。この結果、抗腫瘍免疫が活性化する。したがって、ケモカイン産生促進剤は、好ましくは、癌、特には固形癌の治療に用いられる。具体的には、固形癌としては、肝細胞癌、胃癌、膵臓癌、肺癌、大腸癌、乳癌、肝臓癌(肝癌)、腎臓癌(腎癌)、舌癌、甲状腺癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫及び平滑筋腫等が挙げられる。好適には、当該ケモカイン産生促進剤は、多血性腫瘍が形成される癌の治療に用いられる。多血性腫瘍とは、造影コンピューター断層撮影法等の造影検査において、造影にて増強される動脈血流の豊富な腫瘍である。多血性腫瘍が形成される癌種は、例えば、肝細胞癌及び腎細胞癌である。
ケモカイン産生促進剤のヒトへの投与経路は特に限定されない。ケモカイン産生促進剤は、例えば注射又は経口で投与される。ケモカイン産生促進剤の投与量は、投与対象の性別、年齢、体重及び症状等によって適宜決定される。当該ケモカイン産生促進剤は、糖誘導体が有効量となるように投与される。有効量とは、所望の結果を得るために必要な糖誘導体の量であり、治療又は処置する状態の進行の遅延、阻害、予防、逆転又は治癒をもたらすのに必要な量である。
ケモカイン産生促進剤の投与量は、典型的には、0.01mg/kg~1000mg/kg、好ましくは0.1mg/kg~200mg/kg、より好ましくは0.2mg/kg~20mg/kgであり、1日に1回、又はそれ以上に分割して投与することができる。ケモカイン産生促進剤を分割して投与する場合、ケモカイン産生促進剤は、好ましくは1日に1~4回投与される。また、ケモカイン産生促進剤は、毎日、隔日、1週間に1回、隔週、1ヶ月に1回等の様々な投与頻度で投与してもよい。好ましくは、投与頻度は、医師等により容易に決定される。なお、必要に応じて、上記の範囲外の量を用いることもできる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るケモカイン産生促進剤は、癌細胞からのケモカインの産生を促進する。ケモカインはT細胞の癌細胞への走化性を亢進するため、当該ケモカイン産生促進剤によれば、抗腫瘍免疫を増強することができる。また、別の実施の形態では、上記糖誘導体を含むT細胞走化性亢進剤が提供される。
本実施の形態に係る糖誘導体は、下記試験例2に示すように、T細胞からのIFNγの産生を促進する。したがって、本実施の形態に係るケモカイン産生促進剤は、IFNγ産生促進剤としても使用できる。
当該糖誘導体は、下記試験例2に示すように、癌細胞によるグルコースの取り込みを阻害する。よって、本実施の形態に係るケモカイン産生促進剤は、グルコース取り込み阻害剤としても使用できる。癌細胞によるグルコースの取り込みが抑制されると、癌の微小環境において、T細胞によるグルコースの取り込みが相対的に増加する。このため、本実施の形態に係るケモカイン産生促進剤は、T細胞のグルコース取り込み促進剤としても使用できる。T細胞によるグルコースの取り込みが増加することによっても、T細胞の癌細胞への走化性が亢進する。
さらに、当該糖誘導体は、下記試験例2に示すように、癌細胞における乳酸の産生を阻害する。よって、本実施の形態に係るケモカイン産生促進剤は、乳酸産生阻害剤として使用できる。癌細胞から産生される乳酸の濃度が低下することによっても、T細胞の癌細胞への走化性は亢進する。
当該糖誘導体は、特にPLGAに封入した場合に、下記試験例3~5に示すように、癌組織におけるCXCL9-CXCR3相互作用、CXCL10-CXCR3相互作用及びCXCL11-CXCR3相互作用を介してT細胞性腫瘍免疫を亢進させることで抗腫瘍効果をもたらす。したがって、本実施の形態に係るケモカイン産生促進剤は、免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌治療薬として使用できる。
免疫チェックポイント阻害剤は、公知のものであれば特に限定されない。例えば、免疫チェックポイント阻害剤として、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体及び抗PD-L1抗体が挙げられる。免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌は、有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与しても治療又は処置する癌の進行の遅延、阻害、逆転又は治癒の傾向がない、又は免疫チェックポイント阻害剤が有効な癌よりもその程度が小さい癌である。なお、免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌には、同じ癌種でも免疫チェックポイント阻害剤による癌の進行の遅延、阻害、逆転又は治癒の傾向が他の患者と比較して小さい場合も含まれる。免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌は、例えば、肺癌及び悪性黒色腫等である。
また、本実施の形態に係るケモカイン産生促進剤は、免疫チェックポイント阻害剤と併用される抗腫瘍免疫賦活剤としても使用できる。併用とは、所定の期間に同一患者に当該抗腫瘍免疫賦活剤と免疫チェックポイント阻害剤とを投与することをいう。併用では、抗腫瘍免疫賦活剤を免疫チェックポイント阻害剤と同時に投与することが好ましいが、一方の効果が残っている間に他方を投与する等して、時間が前後してそれぞれ単独で投与してもよい。併用においては、抗腫瘍免疫賦活剤及び免疫チェックポイント阻害剤の投与経路は同一であってもよいし、異なってもよい。例えば併用では、抗腫瘍免疫賦活剤及び免疫チェックポイント阻害剤それぞれの用量及び用法が規定された1つのレジメンに従って、所定の期間に渡って、抗腫瘍免疫賦活剤及び免疫チェックポイント阻害剤が投与される。なお、別の実施の形態では、上記抗腫瘍免疫賦活剤と併用される免疫チェックポイント阻害剤が提供される。
また、本実施の形態に係る糖誘導体は、生体適合性粒子に封入されてもよいこととした。生体適合性粒子に封入することで、EPR(Enhanced Permeability and Retention)効果により、標的組織に選択的に効率よく糖誘導体を集積させることができ、高い抗腫瘍効果が得られる。
他の実施の形態で提供される抗癌剤は、上記の糖誘導体又は糖誘導体が封入されている生体適合性粒子と、免疫チェックポイント阻害剤と、を含む。すなわち、当該抗癌剤は、糖誘導体又は糖誘導体が封入されている生体適合性粒子及び免疫チェックポイント阻害剤の両成分を単一の製剤に含む。これにより、糖誘導体と免疫チェックポイント阻害剤とを同一投与経路において同時に投与することができる。当該抗癌剤における糖誘導体と免疫チェックポイント阻害剤との重量比は特に限定されず、抗腫瘍効果等に応じて適宜調整される。
別の実施の形態では、上記の糖誘導体を患者に投与することにより、該患者の癌又は免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌を治療又は予防する方法が提供される。また、上記の糖誘導体を対象に投与することにより、対象におけるケモカインの産生を促進する方法、対象の癌細胞によるグルコースの取り込みを阻害する方法、対象のT細胞によるグルコース取り込みを促進する方法、対象における癌細胞からの乳酸の産生を阻害する方法、又は対象における抗腫瘍免疫を賦活する方法が提供される。
実施例を含む以下の試験例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例及び試験例によって限定されるものではない。
(試験例1:肝癌細胞の解糖系抑制によるT細胞走化性因子分泌を介したT細胞走化性亢進能の検討)
2DGによる解糖系の阻害が肝癌細胞からの直接的なCXCL9及びCXCL10の分泌を亢進させるか否かを検討した。肝癌細胞株であるHuh7(国立大学法人東北大学 加齢医学研究所 医用細胞資源センター・細胞バンク)を2×10個播種し、一晩インキュベートし生着させた。Huh7は、5%COインキュベーターを用いて37℃で培養した。Huh7の培地には、10%ウシ胎児血清を含むDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)を用いた。
2DGを、0.1mM、1mM及び10mMとなるように培地に加え、24時間インキュベートした。その後上記各培地にIFNγ 100ng/mL及びTNFα 50ng/mLを添加することで、Huh7からのCXCL9及びCXCL10分泌刺激を行った。24時間経過後の培養上清中のCXCL9及びCXCL10の濃度をELISA法(Quantikine ELISA Human CXCL9/MIG Immunoassay及びQuantikine ELISA Human CXCL10/IP-10 Immunoassay、ともにR&D社製)にて測定した。
また、リアルタイム細胞動態解析装置(EZ-TAXIScan、Effector cell Institute社製)を用いて、IFNγ及びTNFαによってCXCL9及びCXCL10分泌刺激を受けた肝癌細胞へのCD8陽性T細胞(以下、単に「T細胞」という)の走化性が2DGによりさらに亢進するか否かを検討した。さらには、2DGのT細胞走化性への影響が、CXCL9及びCXCL10の受容体であるCXCR3に対する中和抗体(抗CXCR3抗体)によりキャンセルされるか否かを検討した。
ヒト全血からLymphoprep(AXIS-SHIELD社製)にて末梢血単核球を抽出し、さらにCD8+ T cell isolation kit(Miltenyi Biotech社製)にてT細胞を抽出した。リアルタイム細胞動態解析装置では、4μm厚のチップ及びカバーグラスを使用した。リアルタイム細胞動態解析装置の各チャネルのチャンバーAにT細胞を1×10個ずつアプライした。各チャンネルのチャンバーBには、試料としてHuh7含有培養上清をアプライした。チャンバーBに含まれる細胞走化性因子としてのCXCL9及びCXCL10の濃度に応じて、チャンバーAとチャンバーBとの間に介在する微細流路にCXCL9及びCXCL10の濃度勾配が形成される。微細流路中に配置された水平なガラス面(テラス)をCCD(Charge Coupled Device)カメラで撮像することで、チャンバーAにアプライしたT細胞のガラス面上の動態を解析することができる。
チャンバーBにアプライした試料は以下のように調製した。Huh7を5×10個播種し、一晩インキュベートし生着させた後、Huh7を次の条件でインキュベートした。インキュベート後、剥離したHuh7を含む培養上清をチャンバーBにアプライした。
(A1)対照群 2DG非含有培地にて48時間インキュベートした。
(B1)IFNγ+TNFα群 2DG非含有培地にて24時間インキュベート後、100ng/mL IFNγ及び50ng/mL TNFαを添加し24時間インキュベートした。
(C1)IFNγ+TNFα+2DG群 10mM 2DG含有培地にて24時間インキュベート後、100ng/mL IFNγ及び50ng/mL TNFαを添加し24時間インキュベートした。
(D1)IFNγ+TNFα+2DG+抗CXCR3抗体群 10mM 2DG含有培地にて24時間インキュベート後、100ng/mL IFNγ、50ng/mL TNFα及び抗CXCR3抗体(R&D Systems社製)を添加し24時間インキュベートした。
ホルダー温度を37℃に設定して、1.5時間にわたってテラスを撮像した。得られた画像を専用ソフトウェアであるTAXIScan Analyzer 2(Effector cell Institute社製)を用いて解析した。
(結果)
図1(A)及び図1(B)は、それぞれHuh7培養上清中のCXCL9及びCXCL10の濃度を示す。非刺激群に対し、IFNγ及びTNFαによる刺激によってCXCL9及びCXCL10の濃度が増加した(2DG 0mM群)。CXCL9及びCXCL10の濃度は、2DG濃度依存的にさらに有意に増加した。
図2は、実験開始前(0時間)及び実験開始1.5時間後のA1~D1それぞれに対応するレーンのテラスの写真を示す図である。1.5時間後には、IFNγ+TNFα群では、対照群と比較して、多くのT細胞がチャンバーAからチャンバーBの方向へ移動していることが観察された。IFNγ+TNFα+2DG群では、さらに多くのT細胞がチャンバーAからチャンバーBの方向へ移動していることが観察された。IFNγ+TNFα+2DG+抗CXCR3抗体群においてチャンバーAからチャンバーBの方向へ移動したT細胞の個数は、IFNγ+TNFα+2DG群よりも減少した。
図3は、各レーンのテラスにおいて測定対象として無作為に抽出したT細胞に関するV-Dプロットを示す。測定対象としたT細胞の数は、レーン1で9個、レーン2で20個、レーン3で20個及びレーン4で10個である。V-Dプロットの横軸は、測定対象としたT細胞1個あたり1分毎の移動の方向性を示す。細胞の移動の方向性は、チャンバーBへの方向、すなわち細胞走化性因子への方向を1.57ラジアン、水平方向への方向を0ラジアン、細胞走化性因子への方向とは逆の方向を-1.57ラジアンとする。V-Dプロットの縦軸は、測定対象としたT細胞1個あたり1分毎の移動速度を示す。
図3に示されたすべての移動速度及び移動の方向性のレーンごとの平均値を、それぞれ図4及び図5に示す。対照群(レーン1)に対して、IFNγ及びTNFα刺激でT細胞走化性は亢進した(レーン2)。T細胞走化性は、2DGの投与によりさらに亢進した(レーン3)。T細胞走化性は、抗CXCR3抗体の併用によりキャンセルされた(レーン4)。以上の結果より、2DGは、肝癌細胞におけるCXCL9及びCXCL10の分泌を促進させることで、T細胞の走化性を亢進させることが証明された。
(試験例2:肝癌細胞と共培養したT細胞の機能に2DG-PLGAが及ぼす効果についての検討)
ULREA SS-11(エム・テクニック社製)を使用して、以下のように2DGナノ粒子(2DG-PLGA)を作製した。まず、A液をA液タンクに充填し、タンクを0.3MPaに加圧した。その後、設定値43℃でA液を167mL/分で送液し、次いで設定値41℃(実測値約29℃)でB液を100mL/分で送液した。A液は0.5%PVAを含む水溶液である。また、B液は、PLGA:2DG:アセトン:エタノールが重量比で0.65:0.25:66:33の溶液である。回転数を1000rpmとし、背圧を0.02MPaとした。吐出液400.5mLを回収し、吐出液からエバポレーターで80分間、溶媒を留去した。なお、B液におけるPLGAとして、PLGA-7520(乳酸:グリコール酸=75:25、平均重量分子量20,000、和光純薬社製)を用いた。得られた2DG-PLGA水性分散液224mLを凍結乾燥し、2.16gの2DG-PLGAを得た。
上記で調製した2DG-PLGA3.7mgをチューブに量りとり、ミリQ水3.7mLを加えた。ボルテックスミキサーで30秒間撹拌後、5分間超音波処理を行った。ミリQ水を対照とし、2DG-PLGAの粒度分布をNIKKISO Nanotrac Wave-EX150(日機装社製)で測定した。
2DG-PLGAにおける2DGの含有率は、以下のように評価した。まず、標準溶液を調製した。200mgの2DGを100mLメスフラスコに量りとり、水50mLを加えて溶解した。次にアセトニトリルを用いて100mLにメスアップし、標準原液(2000μg/mL)とした。標準原液を250、125、62.5、31.25μg/mLになるようにアセトニトリル:水(1:1)を用いて段階希釈し、標準溶液とした。
試料溶液の調製では、試料として約20mgの2DG-PLGAを量りとり、ミリQ水10mLを加えた。ボルテックスミキサーで30秒間撹拌後、30分間超音波処理し試料原液とした。試料原液1.0mLにアセトニトリルを加え2mLとした。この液を20℃、10,000×gで15分間遠心分離した。遠心後の上澄み液を、0.2μmメンブレンフィルターを用いてろ過し、得られたろ液を試料溶液とした。試料溶液についてはn=3で試験を実施した。標準溶液及び試料溶液を下記条件にて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、標準溶液の検量線から試料溶液中の2DGの濃度を計算により求めた。上記の2DG-PLGAの重量及び2DGの濃度に基づいて2DGの含有率を算出した。
HPLCの条件
機器:Shimadzu 10A series(島津製作所社製)
検出:Shimadzu ELSD-LT
ゲイン:8
ドリフト温度:40℃
ガス圧力:350kPa(実測358kPa)
ネブライザーガス:N2
カラム:Shodex Asahipak NH2P-504D(150mm×4.6mm)
カラム温度:40℃
移動相:A:水、B:アセトニトリル
B.濃度 75%→69%(8分)69→75%(8分→16分)
流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
注入量:20μL
測定時間:16分
2DG-PLGAにおける2DGの含有率は、8.1±0.4%であった。図6に示すように、2DG-PLGAの粒度分布はシングルピークで、D50が166nm±5.4nm、スパン値は1.52±0.15であった。当該2DG-PLGAを以下の試験例で用いた。
Transwell(Corning社製)を用いてHuh7と共培養したT細胞における細胞走化性を検討し、肝癌細胞における2DG-PLGAによる糖代謝抑制が共培養したT細胞の機能に及ぼす効果を解析した。
4μm厚のチップ及びカバーグラスを使用した上記リアルタイム細胞動態解析装置における各チャネルのチャンバーBに5μM CXCL10含有培地をアプライした。Huh7を5×10個播種し、一晩インキュベートすることで生着させた後に、チャンバーAにアプライするT細胞を以下のように調製した。なお、下記の操作で用いたT細胞は試験例1と同様に抽出した。
(A2)PLGA+グルコースなし群 Huh7の培地を10mM PLGAを含むグルコース非含有培地に交換し、24時間インキュベート後、1×10個のT細胞が播種されたTranswellをセットした状態で20時間共培養を行った。
(B2)2DG-PLGA+グルコースなし群 Huh7の培地を10mM 2DG-PLGAを含むグルコース非含有培地に培地交換し、24時間インキュベート後、1×10個のT細胞が播種されたTranswellをセットした状態で20時間共培養を行った。
(C2)PLGA+グルコースあり群 Huh7の培地を10mM PLGA及び900mg/dL グルコースを含む培地に交換し、24時間インキュベート後、1×10個のT細胞が播種されたTranswellをセットした状態で20時間共培養を行った。
(D2)2DG-PLGA+グルコースあり群 Huh7の培地を10mM 2DG-PLGA及び900mg/dL グルコースを含む培地に交換し、24時間インキュベート後、1×10個のT細胞が播種されたTranswellをセットした状態で20時間共培養を行った。
上記A2~D2について、共培養後、剥離したHuh7を含む培養上清をチャンバーAにアプライした。ホルダー温度を37℃に設定して、2時間にわたってテラスを撮像した。得られた画像をTAXIScan Analyzer 2を用いて解析した。
上記A2~D2について、PLGA又は2DG-PLGA投与から24時間後のHuh7培養上清中の乳酸産生量を測定した(Glycolysis Cell-Based Assay kit、Cayman Chemical社製)。
また、Transwellに播種するT細胞を1×10個とし、かつHuh7とT細胞との共培養時間を4時間とする点を除いて、A2~D2と同様にそれぞれ調製したT細胞(A3~D3)を得た。A3~D3のT細胞について、RNeasy MiniKit(Qiagen社製)を用いてmRNAを抽出し、SuperScript VILO(商標)、Invitrogen社製)にてcDNA合成後に、リアルタイムPCR(Polymerase Chain Reaction)にて、β-アクチンのmRNAで補正したIFNγ mRNAの発現量を比較した(TaqMan Gene Expression Assays、Assay ID;Hs00989291_m1(IFNγ)、Hs01060665_m1(β-アクチン)、Applied Biosystems社製)。
Huh7を5×10個播種し、一晩インキュベートすることで生着させた後に、Transwellに播種するT細胞を5×10個とする点を除いて、A3~D3と同様にそれぞれ調製したT細胞(A4~D4)を得た。A4~D4のT細胞に関して、蛍光性グルコースアナログである2-NBDG(2-deoxy-2-[(7-nitro-2,1,3-benzoxadiazol-4-yl)amino]-D-glucose)を用いてグルコース取り込み量を評価した。詳細には、T細胞の培地を、2-NBDG(Cayman Chemical社製)含有培地に交換し、16時間インキュベートし、Huh7とT細胞とを分離した。その後、Huh7における単位タンパク質あたりの2-NBDGの取り込み量及びT細胞における単位細胞あたりの2-NBDGの取り込み量について、蛍光マイクロプレートリーダー(FLUO star OPTIMA system、BMG Labtechnologies社製)を用いて4群間で相対比較を行った。
(結果)
図7は、実験開始前(0時間)及び実験開始2時間後のテラスの写真を示す図である。PLGA+グルコースなし群及び2DG-PLGA+グルコースなし群では、CXCL10をアプライしたチャンバーBの方向に移動したT細胞はほとんど見られなかった。PLGA+グルコースあり群では、T細胞がチャンバーBの方向へ移動していることが観察された。2DG-PLGA+グルコースあり群では、さらに多くのT細胞がチャンバーBの方向へ移動していた。
図8は、上記試験例1と同様にV-Dプロットを示す図である。測定対象としたT細胞の数は、レーン1で5個、レーン2で5個、レーン3で15個及びレーン4で15個である。当該V-Dプロットの横軸及び縦軸は、測定対象としたT細胞1個あたり1分毎の移動の方向性及び測定対象としたT細胞1個あたり1分毎の移動速度をそれぞれ示す。図8に示されたすべての移動速度及び移動の方向性のレーンごとの平均値を、それぞれ図9及び図10に示す。グルコースありの条件では、方向性及び移動速度いずれの細胞走化性指標においても、PLGA+グルコースあり群よりも2DG-PLGA+グルコースあり群で高い値を示した。
上記A2~D2の各群におけるPLGA又は2DG-PLGA投与から24時間後のHuh7培養上清中の乳酸産生量の結果を図11に示す。グルコースなしの条件ではPLGA及び2DG-PLGA投与いずれにおいても有意な乳酸産生は見られなかった。グルコースありの条件では、PLGAを投与することで増加した乳酸産生量が2DG-PLGAの投与で有意に抑制された。
上記A3~D3の各群におけるHuh7との共培養4時間後の時点でのT細胞におけるIFNγ mRNAの相対的な発現量を図12に示す。グルコースなし及びグルコースありのいずれにおいても、IFNγ mRNAの発現量はPLGAを投与した場合と比較して、2DG-PLGAを投与した場合に有意に増加していた。
上記A4~D4におけるHuh7の2-NBDGの相対的な取り込み量を図13に示す。グルコースなし及びグルコースありのいずれにおいても、Huh7の2-NBDG取り込み量は、PLGAを投与した場合と比較して、2DG-PLGAを投与した群で減少した。特に、グルコースありの条件下では、Huh7における2-NBDG取り込み量の減少は、PLGAを投与した場合に対して2DG-PLGAを投与した場合に有意に減少した。
図14は、上記A4~D4におけるT細胞の2-NBDGの相対的な取り込み量を示す。グルコースなし及びグルコースありのいずれにおいても、T細胞の2-NBDG取り込み量は、PLGAを投与した場合と比較して、2DG-PLGAを投与した群で有意に増加した。
以上の結果より、高濃度グルコース環境下で肝癌細胞と共培養したT細胞に関して、2DG-PLGAはT細胞走化性及びIFNγ産生量といったT細胞の機能を亢進させることが明らかとなった。また、その機序の一つとして、癌の微小環境における肝癌細胞のグルコース取り込み量の低下に伴う相対的なT細胞のグルコース取り込み量の増加、又は肝癌細胞からの乳酸産生量低下に伴うT細胞の機能の活性化が関与していると考えられた。
(試験例3:免疫応答性肝発癌マウスに対する2DGのCXCL9、CXCL10及びCXCL11の発現増強を介した抗腫瘍効果の検討)
肝発癌モデル動物であるSTAM(STelic Animal Model)マウスは、生後2日齢のC57BL6/Nマウス雄に200μgのストレプトゾトシンを皮下注射し、出生から4週目に離乳を行い、餌を高脂肪食に切り替えることにより作製される。STAMマウス(SMCラボラトリーズ社製)雄12週齢を、以下の2群に群分けした。
(a1)PLGA群 800mg/kg/日でPLGAを週1回尾静脈投与した。
(b1)2DG-PLGA群 800mg/kg/日で2DG-PLGAを週1回尾静脈投与した。
なお、b1の2DG-PLGAは、毎回投与前にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて100mg/mLの懸濁液とし、1匹につき1回あたり200μL投与した。2DG-PLGAにおける2DG充填率が約8%であることを考慮すると、b1におけるマウス1匹あたりの実質的な2DG単回投与量は約1.6mgに相当する。
a1及びb1において、投与開始から21日目に肝臓全体を観察し、肝臓内の腫瘍最大径、腫瘍個数及び総腫瘍体積を計測した。また、RNeasy MiniKit(Qiagen社製)を用いてa1及びb1における腫瘍組織からmRNAを抽出し、SuperScript VILOTM(Invitrogen社製)にてcDNA合成後に、リアルタイムPCRにて、β-アクチンのmRNAで補正したCXCL9、CXCL10及びCXCL11のmRNAの発現量を比較した(TaqMan Gene Expression Assays、Assay ID;Mm00434946_m1(CXCL9)、Mm00445235_m1(CXCL10)、Mm00444662_m1(CXCL11)及びMm02619580_g1(β-アクチン)、Applied Biosystems社製)
(結果)
投与開始21日後の肝臓における腫瘍が図15の矢印によって示されている。図16及び図17は、それぞれ投与開始21日後の腫瘍最大径及び総腫瘍体積を示す。PLGA群と比べて2DG-PLGA群では腫瘍最大径及び総腫瘍体積を有意に減少させた。さらに、図18、図19及び図20は、各群での腫瘍組織におけるCXCL9、CXCL10及びCXCL11のmRNA発現量をそれぞれ示す。CXCL9、CXCL10及びCXCL11のmRNA発現量はPLGA投与群と比べて2DG-PLGA投与群で有意に増加していた。
STAMマウスは、T細胞免疫も含めて免疫不全ではないマウスである。よって、免疫応答性の肝発癌マウスモデルに対する2DG-PLGAによるCXCL9、CXCL10及びCXCL11発現亢進を介した抗腫瘍効果が証明された。
(試験例4:抗PD-1抗体抵抗性マウスにおける2DG及び2DG-PLGAの抗腫瘍効果の検討)
6週齢のC57BL/6Jマウス(雄性)に抗PD-1抗体抵抗性悪性黒色腫細胞株B16F10を1×10個皮下移植した。移植した細胞の生着及び増殖を確認するために、腫瘍サイズをノギスで計測し、腫瘍の体積が100~150mmとなった時点で以下の7群に群分けした。
(a2)対照群 200μgのisotype rat IgGを3日毎に腹腔内投与した。
(b2)PLGA群 200μgのisotype rat IgGを3日毎の腹腔内投与に加えて、PLGA800mg/kg/日を週1回尾静脈投与した。
(c2)2DG群 200μgのisotype rat IgGを3日毎の腹腔内投与に加えて、100mg/kg/日で2DGを連日腹腔内投与した。
(d2)2DG-PLGA群 200μgのisotype rat IgGを3日毎の腹腔内投与に加えて、800mg/kg/日で2DG-PLGAを週1回尾静脈投与した。
(e2)抗PD-1抗体群 200μgの抗PD-1抗体(InVivoMAb anti-mouse PD-1、BioXCell社製)を3日毎に腹腔内投与した。
なお、c2において100mg/kg/日で投与された2DGの実質的な単回投与量は、平均体重27gとするマウス1匹あたりのとしては約2.7mgに相当する。b2のPLGA及びd2の2DG-PLGAは、毎回投与前にPBSにて100mg/mLの懸濁液とし、1匹につき1回あたり200μL投与した。2DG-PLGAにおける2DG充填率が約8%であることを考慮すると、上記d2におけるマウス1匹あたりの実質的な2DG単回投与量は約1.6mgに相当し、c2の約60%程度となる。
a2~e2において、投与開始から3日毎に腫瘍体積を計測し、腫瘍体積の経時的推移を評価した。また、投与12日後に腫瘍を採取し肉眼で観察し、血液採取等を行った。
(結果)
図21及び図22には、それぞれ投与開始12日後の腫瘍の外観及び腫瘍体積の経時変化が示されている。対照群、PLGA群及び抗PD-1抗体群と比べて、2DG群では、悪性黒色腫細胞の腫瘍が小さく、腫瘍体積の増大が抑制された。さらに、対照群、PLGA群及び抗PD-1抗体群と比べて、2DG-PLGA群では、悪性黒色腫細胞の腫瘍が明らかに小さく、腫瘍体積の増大が有意に抑制された。
(試験例5:抗PD-1抗体抵抗性マウスにおける2DG-PLGAによるT細胞性腫瘍免疫を介した抗腫瘍効果の検討)
6週齢のC57BL/6Jマウス(雄性)にB16F10を1×10個皮下移植した。移植した細胞の生着及び増殖を確認するために、腫瘍サイズをノギスで計測し、腫瘍の体積が100~150mmとなった時点で以下の4群に群分けした。
(a3)対照群 800mg/kg/日でPLGAを週1回尾静脈注射した。また、200μgのisotype Hamster IgGをPLGA初回投与前日以降3日毎に腹腔内投与した。
(b3)抗CXCR3抗体群 800mg/kg/日でPLGAを週1回尾静脈注射した。また、200μgの抗CXCR3抗体をPLGA初回投与前日以降3日毎に腹腔内投与した。
(c3)2DG-PLGA群 800mg/kg/日で2DG-PLGAを週1回尾静脈注射した。また、200μgのisotype Hamster IgGを2DG-PLGA初回投与前日以降3日毎に腹腔内投与した。
(d3)2DG-PLGA+抗CXCR3抗体群 800mg/kg/日で2DG-PLGAを週1回尾静脈注射した。また、200μgの抗CXCR3抗体を2DG-PLGA初回投与前日以降3日毎に腹腔内投与した。
なお、a3及びb3のPLGA及びc3及びd3の2DG-PLGAは、毎回投与前にPBSにて100mg/mLの懸濁液とし、1匹につき1回あたり200μLを投与した。2DG-PLGAにおける2DG充填率が約8%であることを考慮すると、c3及びd3におけるマウス1匹あたりの実質的な2DG単回投与量は約1.6mgに相当する。
a3~d3において、投与開始から3日毎に腫瘍体積を計測し、腫瘍体積の経時的推移を評価した。また、投与12日後に腫瘍を採取し肉眼で観察し、血液採取等を行った。また、肝腫瘍組織に対してRabbit Monoclonal CD3抗体(Gene Tex社製)を用いて免疫染色を行った。
(結果)
図23及び図24には、それぞれ投与開始12日後の腫瘍の外観及び腫瘍体積の経時変化が示されている。対照群及び抗CXCR3抗体群と比べて、2DG-PLGA群では、悪性黒色腫細胞の腫瘍が明らかに小さく、腫瘍体積の増大が有意に抑制された。一方、2DG-PLGA+抗CXCR3抗体群では腫瘍体積増大の抑制効果が一部低下した。
肝腫瘍組織の免疫染色の結果を図25に示す。図25における矢印はCD3陽性T細胞を示す。図26は、HPF(高倍率視野)当たりのCD3陽性T細胞数の細胞数を示す。対照群及び抗CXCR3抗体群と比べて、2DG-PLGA群において、腫瘍内部への有意なT細胞浸潤の亢進が認められた。また、2DG-PLGAによる腫瘍内部へのT細胞浸潤の亢進は抗CXCR3抗体によって抑制された。本試験例の結果と試験例3の結果より、2DG-PLGAの抗腫瘍効果に関して、癌組織におけるCXCL9-CXCR3相互作用、CXCL10-CXCR3相互作用及びCXCL11-CXCR3相互作用を介したT細胞性腫瘍免疫の関与が示された。
(試験例6:肝発癌マウスに対する2DG-PLGA及び抗PD-1抗体の併用効果の検討
STAMマウス(SMCラボラトリーズ社製)雄12週齢を、以下の4群に群分けした。
(a4)対照群 200μgのisotype rat IgGを3日毎に腹腔内投与した。
(b4)抗PD-1抗体群 200μgの抗PD-1抗体を3日毎に腹腔内投与した。
(c4)抗PD-1抗体+2DG群 200μgの抗PD-1抗体を3日毎の腹腔内投与に加えて、100mg/kg/日で2DGを連日腹腔内投与した。
(d4)抗PD-1抗体+2DG-PLGA群 200μgの抗PD-1抗体を3日毎の腹腔内投与に加えて、800mg/kg/日で2DG-PLGAを週1回尾静脈投与した。
なお、c4で投与された100mg/kg/日で投与された2DGの実質的な単回投与量は、上記c2と同様に約2.7mgに相当する。d4の2DG-PLGAは、毎回投与前にPBSにて100mg/mLの懸濁液とし、1匹につき1回あたり200μLを投与した。2DG-PLGAにおける2DG充填率が約8%であることを考慮すると、d4におけるマウス1匹あたりの実質的な2DG単回投与量は約1.6mgに相当し、c4の約60%程度となる。
a4~d4において、投与開始から21日目に肝臓全体を観察し、肝臓内の腫瘍最大径、腫瘍個数及び総腫瘍体積を計測し、血液採取等を行った。
(結果)
投与開始21日後の肝臓における腫瘍が図27の矢印によって示されている。図28及び図29は、それぞれ投与開始21日後の腫瘍最大径及び総腫瘍体積を示す。抗PD-1抗体と2DGを併用することで、腫瘍最大径及び総腫瘍体積が抗PD-1抗体群よりも低下した。さらに抗PD-1抗体と2DG-PLGAとを併用することで、有意な総腫瘍体積の抑制が認められた。
表1は、投与開始21日目の血清学的所見及び肝重量を示す。全群間で有意な差を認めなかった。以上より、肝発癌マウスモデルに対する2DG-PLGAと抗PD-1抗体との併用効果が示された。
Figure 2022078362000002
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本発明は、医薬に好適である。

Claims (6)

  1. 糖誘導体を含む、
    ケモカイン産生促進剤。
  2. 癌細胞からのCXCL9、CXCL10及びCXCL11の産生を促進する、
    請求項1に記載のケモカイン産生促進剤。
  3. 乳酸・グリコール酸共重合体を含有する生体適合性粒子をさらに含み、
    前記糖誘導体は、
    前記生体適合性粒子に封入されている、
    請求項1又は2に記載のケモカイン産生促進剤。
  4. 糖誘導体を含む、
    免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌治療薬。
  5. 糖誘導体を含み、
    免疫チェックポイント阻害剤と併用される、
    抗腫瘍免疫賦活剤。
  6. 前記糖誘導体は、
    2-デオキシ-D-グルコースである、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のケモカイン産生促進剤、請求項4に記載の免疫チェックポイント阻害剤抵抗性癌治療薬、又は請求項5に記載の抗腫瘍免疫賦活剤。
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