JP2022078186A - 敗血症関連急性腎障害の治療に使用するための組み換えアルカリホスファターゼ - Google Patents

敗血症関連急性腎障害の治療に使用するための組み換えアルカリホスファターゼ Download PDF

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Abstract

【課題】たとえば敗血症によって引き起こされる急性腎障害の症状の、予防、治療、治癒、または寛解のための、改良されたアルカリホスファターゼを提供する。【解決手段】治療が必要な対象における敗血症関連急性腎障害を治療するための方法であって、有効量のアルカリホスファターゼ(AP)を前記対象に投与することを含み、(i)前記対象は、APによる治療前に60ml/分以下のECC(内因性クレアチニンクリアランス)量、またはAPによる治療前に60ml/分以下のeGFR(推定糸球体濾過量)を有し、(ii)前記APは、少なくとも500U/kg~2,000U/kgの用量で投与され、(iii)前記APの投与は、腎機能の向上をもたらすことを特徴とする方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、敗血症関連急性腎障害の治療に使用するための組み換えアルカリホスファターゼに関する。
腎臓は、動物の体内において、老廃物の排泄、酸塩基恒常性、浸透圧調節、血圧調節、ホルモン分泌などのいくつかの機能を果たす。腎臓がこれらのタスクを実行可能にするために、腎臓は比較的小さいサイズであるにもかかわらず、心拍出量の約20%を受け取る。その結果、腎臓への血流(腎血流、RBF)の混乱は、腎臓の機能の多くに直接の影響を及ぼす。たとえば、窒素廃棄物の排泄の減少、および流体と電解質とのバランスの乱れが発生するおそれがある。長期的には、RBFの減少だけでなく、虚血(再灌流障害)などの毒性事象や、造影剤または(その他の)腎毒性薬、たとえば抗生物質の使用が、腎臓にストレスを与え、急性腎障害(AKI)を引き起こすおそれがある。
集中治療室(ICU)の患者の最大60%で急性腎障害(AKI)が観察され、その発生率は増加している(Hoste et al. Intensive Care Med 2015; 41:1411-23; Hoste et al. Critical Care; 10; Nisula et al. Intensive Care Med 2013; 39:420-8; Vincentet al. Critical Care Medicine 2006; 34:344-53)。敗血症患者におけるAKIの発症は死亡率の増加に関連し(Kellum et al. Critical Care Medicine 2016; 193:281-7)、さらに生存者は慢性腎疾患を発症するリスクがあり(Chawla et al. Kidney Int 2011; 79: 1361-9; Oppert et al. Nephrol Dial Transplant 2008; 23:904-9; Vaara et al. Crit Care 2012; 16:R197)、患者および社会の両方に多大な負担をもたらす。
AKIは、予防および/または適切に治療することが非常に重要である。なぜなら、第1に、AKIは高コスト、罹患率、および死亡率を伴い、第2に、AKIの長期化は、慢性腎障害(CKI)につながり、腎機能の不可逆的な損失につながるおそれがあるからである。さらに、CKIに罹患した個人は、(再び)AKIに罹患する傾向があり、「慢性腎障害の急性増悪(acute on chronic kidney injury)」と称される。CKI患者の腎機能は既に低下しているので、慢性腎障害の急性増悪は、腎機能を臨界閾値以下に低下させるおそれがある。
本開示は、治療を必要とする対象において敗血症関連急性腎障害(SA-AKI)を治療する方法であって、有効量のアルカリホスファターゼ(AP)を前記対象に投与することを含み、(i)前記対象は、APによる治療の前に60ml/分以下のECC(内因性クレアチニンクリアランス)量、または60ml/分以下のeGFR(推定糸球体濾過量)を有し、(ii)前記APは、500U/kg~2,000U/kgの用量で少なくとも1回投与され、(iii)前記APの投与は腎機能の向上をもたらす方法を提供する。
いくつかの態様において、対象はAPによる治療前に中等度の腎障害(15~60ml/分 ECC)を有する。いくつかの態様において、対象は、APでの治療前に高度の腎障害(<15ml/分 ECC)を有する。いくつかの態様では、対象は、APでの治療前に軽度の腎障害(>60ml/分 ECC)を有していない。いくつかの態様では、対象は、APでの治療前に、15~60ml/分のeGFRを有する。いくつかの態様では、対象は、APでの治療前に、15ml/分未満のeGFRを有する。いくつかの態様では、対象は、APでの治療前に60ml/分を超えるeGFRを有していない。いくつかの態様では、APは、ヒトAPである。いくつかの態様では、APは、組み換えAPである。いくつかの態様では、組み換えAPは、キメラである。いくつかの態様では、キメラAPは、RecAP(SEQ ID NO:1)に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
いくつかの態様では、腎機能の向上は、非治療下でのECCに対するECCの増加、または非治療下におけるeGFRに対するeGFRの増加を含む。いくつかの態様では、敗血症は、AP投与前の96時間未満で検出される。いくつかの態様では、敗血症は、SA-AKI検出前の72時間未満で検出される。
いくつかの態様では、敗血症が検出された後24時間以内に治療が開始される。いくつかの態様において、SA-AKIが検出された後24時間以内に治療が開始される。いくつかの態様において、APは1日1回投与される。いくつかの態様において、APは静脈内投与される。いくつかの態様において、APは1日3回投与される。いくつかの態様では、AP用量は、0.8mg/kgまたは1.6mg/kgのRecAP、たとえば、本開示で使用される臨床グレードのRecAPである。いくつかの態様では、AP用量は、500U/kgまたは1000U/kgのRecAP、たとえば、本開示で使用される臨床グレードのRecAPである。
いくつかの態様において、APの少なくとも1回の投与は、RRTを受けている対象における腎代替療法(RRT)の期間または休止の短縮をもたらす。いくつかの態様では、少なくとも1回のAPの投与は、対象における糸球体濾過量(GFR)またはeGFRの維持または増加をもたらす。
提案されたRecAP用量群を示す表である。 RecAPアミノ酸配列(配列番号1)を示す。 AUC1-7、RRT発生率、および死亡率、およびMAKEを決定するための、投与計画およびタイムフレームを含む、STOP-AKI試験のタイムラインを示す。 試験における患者の、登録、無作為化、および追跡を示すフローチャートである。略語:AKI(急性腎障害)、AUC(曲線下の時間補正領域)、ECC(内因性クレアチニンクリアランス)、ICF(インフォームドコンセントフォーム)、ITT(治療企図)、IV(静脈内)、MAKE(主要な腎臓の有害事象)、NS(不問)、RecAP(配列番号1の配列を有するヒト組み換えアルカリホスファターゼ)、RRT(腎代替療法)、SA-AKI(敗血症関連急性腎障害)、SCr(血清クレアチン)。 試験における全ての群の人口統計学的特性およびベースライン特性を示す表であり、ベースライン特性において群間に有意差がなかったことを示している。データが欠落している変数について、要約データは調整された数値に基づく。ボディマスインデックス(BMI)は、キログラム単位の重量をメートル単位の高さの2乗で割った値である。急性生理異常・慢性度による重症度評価II(APACHE II)のスコアは0~71の範囲であり、スコアが高いほど高度の疾患重症度を示す。順次臓器不全評価(SOFA)のスコアは0~24の範囲で、スコアが高いほど高度の機能障害を示す。簡易急性生理学的スコア(SAPS)のスコアは0~163の範囲であり、スコアが高いほど疾患の重症度が高いことを示す。推算糸球体濾過量(eGFR)は、CKD-EPI(慢性腎臓病疫学共同研究)の式に従って計算された:141 * min(Scr/κ、1)α * max(Scr/κ、1)-1.209 * 0.993年齢 * 1.018[女性の場合] *1.159[黒人の場合]。Scrは血清クレアチニン(mg/dL)、κは女性で0.7、男性で0.9、αは女性で-0.329、男性で-0.411、最小値はScr/κの最小値または1、最大値はScr/κの最大値または1を示す。(www.kidney.org/content/ckd-epi-creatinine-equation-2009)。急性腎障害(AKI)ステージは、AKIネットワークの定義(www.akinet.org/akinstudies.php)に従って層別化された。中央値および四分位値、または数値およびパーセンテージが示される。 RecAP濃度の線形増加を示す、用量に対するAUCのグラフである。STOP-AKI臨床試験における患者の暴露量は、健常者と比較してわずかに高くなっている。用量範囲(0.4~1.6mg/kg)にわたって用量の直線性および比例性が観察された。 プラセボ、ならびに0.4mg/kg、0.8mg/kg、および1.6mg/kgのRecAP用量に対応するクレアチニンクリアランスAUC1-7値を示すボックスウィスカープロットである。プロットされた値は、プロットの下の表に示される。AUC1-7 は、1~7日目までのECC曲線の下の面積を7で割ったものを示し、ml/分単位の時間補正されたクリアランスを提供する。 プライマリーエンドポイントおよびセカンダリーエンドポイント(プラセボおよびRecAP 0.6mg/kg群)を示す表である。AUC1~7は、1日目~7日目までのECC曲線の下の面積を7で割ったものであり、ml/分単位の時間補正されたクリアランスを提供する。略語:CI(信頼区間)、CKD-EPI(慢性腎臓病疫学共同研究)、ECC(内因性クレアチニンクリアランス)、eGFR(推定糸球体濾過量)、ICU(集中治療室)、IQR(四分位範囲)、MAKE(主要な腎臓の有害事象)、RRT(腎代替療法)、SOFA(順次臓器不全評価)。§ RRT発生率は、無作為化後にRRTを必要とした患者の割合を示す。|| 最後の観測が繰り越された。* MAKE28:28日以前にRRTを受けたか、または28日以前に死亡した。基準の少なくとも1つを満たした割合。† MAKE60:血清クレアチニンに基づいてCKD-EPIの式によって60日目においてeGFR<60ml/分と推定されたか、または60日目以前に慢性RRTが必要であったか、または60日目以前に死亡した。基準の少なくとも1つを満たした割合。‡ MAKE90:60:血清クレアチニンに基づくCKD-EPIの式によって90日目においてeGFR<60ml/分であると推定されたか、または90日目以前に慢性RRTが必要であったか、90日以前にAKIの新規発症のために入院したか、または90日以前に死亡した。基準の少なくとも1つを満たした割合。§§ (連続変数について)絶対差を示す。†† オッズ比を示す(カテゴリー変数について)。‡‡ ハザード比を示す(事象について)。 内因性クレアチニンクリアランス(ECC)におけるRecAPの効果を示す。RecAPの治療効果は、ECC総曲線上でプラセボと比較された:P=0.036。欠測値については、最後に観測された値で補完する方法(LOCF)、および補間が適用された。 *は、P<0.05を示し、#はP=0.06を示す。 血中尿素窒素(BUN)クリアランスに対するRecAPの効果を示す。BUNクリアランスの合計曲線に対するプラセボと比較したRecAPの治療効果:P=0.033。欠測値については、最後に観測された値で補完する方法(LOCF)、および補間が適用された。*は、P<0.05を示し、#はP=0.06を示す。 無作為化から90日目までのSA-AKI対象(プラセボ群およびRecAP 1.6mg/kg群)のカプラン・マイヤー生存曲線を示す。28日目の死亡率におけるプラセボと比較したRecAPの効果:P=0.02。90日目の死亡率におけるプラセボと比較したRecAPの効果:P=0.03。 90日間にわたる、0.4mg/kg、0.8mg/kg、もしくは1.6mg/kg用量のRecAP、またはプラセボの投与後のSA-AKI対象の生存期間を示す。 全ての治療群のプライマリーエンドポイントおよびセカンダリーエンドポイントを示す(0.4mg/kg、0.8mg/kg、または1.6mg/kg用量のRecAP 、またはプラセボ)。 ICU(左図)および90日目(右図)でのEuroQoL(EQ5D)スコアによって測定された生活の質(QoL)評価を示す。 1.6mg/kgのRecAP用量群およびプラセボ群について、中央値で表された肺機能パラメータ(P/F比、一回換気量およびPEEP)を示す。数値はグラフの下に示される。 1.6mg/kgのRecAP用量群およびプラセボ群について、中央値で表された肝機能パラメータ(アラニンアミノトランスフェラーゼおよびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性)を示す。数値は、グラフの下に示される。 1.6mg/kgのRecAP用量群およびプラセボ群について、中央値で表された肝機能パラメータ(ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ活性、およびビリルビンレベル)を示す。数値は、グラフの下に示される。 1.6mg/kgのRecAP用量群およびプラセボ群について、中央値で表されたLDH活性を示す。数値は、グラフの下に示される。 事後多変量解析の結果を示す。 1.6mg/kgのRecAP用量群およびプラセボ群について、中央値で表されたC反応性タンパク質(CRP)濃度(mg/L)を示す。数値は、グラフの右側に示される。 1.6mg/kgのRecAP用量群およびプラセボ群について、中央値で表されたインターロイキン6(IL-6)濃度(pg/ml)を示す。数値は、グラフの右側に示される。 1.6mg/kgのRecAP用量群およびプラセボ群について、中央値で表されたインターロイキン18(IL-18)濃度(pg/ml)を示す。数値は、グラフの右側に示される。 1.6mg/kgのRecAP用量群およびプラセボ群について、中央値で表されたリポ多糖結合タンパク質(LBP)濃度(μg/ml)を示す。数値は、グラフの右側に示される。 1.6mg/kgのRecAP用量群およびプラセボ群について、中央値で表された腎臓損傷分子1(KIM-1)濃度(pg/ml)を示す。数値は、グラフの右側に示される。 AKIの最初の診断と、プライマリーエンドポイントECCにおける治験薬注入の開始との間の期間(時間)の影響を示す。 プライマリーエンドポイントECCにおける、APACHE IIスコアによるベースライン疾患重症度の影響を示す。 プライマリーエンドポイントECCにおけるベースラインのC反応性タンパク質(CRP)濃度(mg/L)によって測定される炎症の影響を示す。 プライマリーエンドポイントECCにおけるベースラインのインターロイキン6(IL-6)濃度(pg/ml)によって測定される炎症の影響を示す。 プライマリーエンドポイントECCにおけるベースラインでのナトリウム部分排泄率(FeNaの%)の影響を示す。 プライマリーエンドポイントECCにおけるベースライン腎障害分子1(KIM-1)濃度(pg/ml)の影響を示す。 中央値で表わされた、プライマリーエンドポイントECCにおけるベースライン腎機能の相違を示す。 STOP-AKI試験の間に観察された治療下で発現した有害事象を示す。 腎障害における重症度に応じて層別化されたSTOP-AKI試験における対象の小群(サブグループ)解析を示す。閾値またはカットオフは、ECCに基づいている。 2つの異なるCox並列ハザードモデル(CoxPH)の係数およびモデル適合統計を示す。(モデル1)STOP-AKI試験の全生存期間(OS)をベースラインECCの連続関数として予測するCoxPHモデル。ベースラインおよび1日目の測定値を平均した(MeanBaseECC;欠測値は本計算では無視された)。(モデル2)MeanBaseECCに基づいて次のように3つの異なる群のOSを予測するCoxPHモデル。15未満は参照群、15以上60未満は高度~軽度群、60以上は通常群である。 連続的なCoxPHモデル(図18のモデル1を参照のこと)による全生存期間のハザード比(HR)を、平均ベースラインECCの関数として示し、ベースラインおよび1日目の測定値を平均した。母集団における平均ECCに対するHR、46ml/分は、様々なベースラインレベル(直線)で標準誤差(破線)と共にモデルに従って計算され、参照レベル、1のHR(点線の水平線)と比較された。 ml/分での平均ベースラインECCの異なる値での連続CoxPHモデル(図18のモデル1を参照のこと)による全生存期間のハザード比(HR)を示し、ベースラインおよび1日目の測定が平均化された。CKD基準に従った各群について、平均ベースラインECCの中央値は、CoxPHモデルとその標準誤差(seHR)に従って、各群の患者数、および平均ベースラインECC、46ml/分に対するOSのHRとともに表にされた。さらに、CKD基準の境界、つまり、「腎不全」(高度の腎障害)、および「高度~軽度」(中等度~高度の腎障害)の間の15ml/分、続いて「正常」(軽度障害または正常)への境界として60ml/分が対応するモデルHRおよび標準誤差とともに表にされた。 (ベースラインeGFR小群あたりの)カプラン・マイヤー死までの時間曲線を示す。ベースラインeGFRは、CKD-EPI(慢性腎臓病疫学共同研究)式で測定された。 カプラン・マイヤー死までの時間曲線(ベースラインeGFRが上(右パネル)および下(左パネル)が60mL/分である小群におけるプラセボに対するrecAP)を示す。ベースラインeGFRは、CKD-EPI(慢性腎臓病疫学共同研究)式で測定された。
敗血症関連AKI(SA-AKI)は、他の病態生理学的反応と同時に発生する、炎症性、腎毒性、および虚血性発作を伴う多因子性症候群であり、腎障害を急速に引き起こす(Bonventre et al. J Clin Invest 2011; 121:4210-21 ; Gomez et al. Shock 2014; 41:3-11)。現在、AKIを予防または治療するために利用可能な承認された薬理学的介入はない(Joannidis et al. Intensive Care Medicine 2017; 43:730-49)。アルカリホスファターゼ(AP)は当初、一般的に敗血症の新しい治療法と考えられていた(Poelstra et al. American Journal of Pathology 1997; 151:1163-69.; Verweij et al. Shock 2004; 22:174-9)。2件の小規模な臨床試験において、ウシAP投与は、敗血症患者の腎機能を改善した(Heemskerk et al. Crit Care Med 2009; 37:417-23, e1; Pickkers et al. Crit Care 2012; 16:R14)。
STOP-AKI臨床試験は、敗血症に関連した重症な急性腎障害の成人を対象に実施された国際的な無作為化二重盲検プラセボ対照4群並行群用量設定適応相IIa/IIb多施設共同試験であった。この試験では、EUおよび北米の11か国の53の施設で合計301人の患者が登録された。試験の4つの群は、RecAP 0.4mg/kg、0.8mg/kg、1.6mg/kg、またはプラセボを投与された患者で構成された。中間解析の後、試験は、治療としてRecAP 1.6mg/kgを用いて継続された。
RecAPは、腸APと胎盤APという2つのヒトイソ酵素の特性を組み合わせたキメラAPである(Kiffer-Moreira et al. PLoS One 2014; 9:e89374)。腸AP(最も生物学的に活性なイソ酵素)のクラウンドメインを胎盤AP(最も長い半減期を持つ)のクラウンドメインで置き換えると、非常に安定した生物学的に活性な酵素が作製される(Kiffer-Moreira et al. PLoS One 2014; 9 :e89374)。たとえば、米国特許番号US8586032およびUS8557545、ならびに米国特許出願番号US20170009216およびUS20160250299を参照のこと。上述の開示は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
プラセボと比較して、1.6mg/kgのRecAPは、最初の週のクレアチニンクリアランス、または腎代替療法率に影響を与えなかった。しかしながら、21日目(P=0.02)および28日目(P=0.01)の内因性クレアチニンクリアランスの改善はさらに顕著であり、RecAPを服用している患者で60日目(P=0.045)および90日目(P=0.03)の主要な腎障害の発生率は低かった。全原因による28日間の死亡率は、RecAP治療を受けた患者では14.4%であったが、プラセボ治療を受けた患者では26.7%であった(P=0.02)。(深刻な)有害事象の有意差は、群間で観察されなかった。RecAPは、安全で忍容性が高いと考えられる。
この調査の主な観察結果は、短期的な腎機能には影響がなかったが、RecAP治療に由来する予期しない長期的な有益な効果が観察されたことである。これらの予想外の観察は、RecAPによる治療が、プラセボと比較して、腎機能の向上および持続的回復と良好な生存期間とをもたらした。
長期的効果は、腎機能における障害の重篤度に応じて変化し、すなわち、対象のいくつかの特定の小群は、AP治療に特によく応答した。したがって、腎機能の特定マーカおよび/またはバイオマーカ(たとえば、ECCまたはeGFR)に従って患者を階層化することは、特定の小群におけるAP投与の特定の効果を識別することを可能にする。たとえば肯定的な結果の可能性を評価するために、治療のための患者を選択するために、またはAP治療に関連した決定(たとえば用量の変更)をするために、これらの小群の各々を規定するパラメータ(たとえば、一連の閾値、たとえばECCまたはeGFR閾値)を使用することができる。たとえば、対象が中等度から高度の腎障害である(15mg/ml~60ml/分のECCに相当する)場合、RecAPの統計的に有意な効果があり、腎機能の改善をもたらした(プラセボに対して改善されたクレアチニンクリアランスによって実証された)。対象が高度の腎障害であった(たとえば15ml/分未満のベースラインECCに対応する)場合、改善された生存期間をもたらす統計的に有意な長期効果があった。対象が≦60eGFRを有していた場合、生存期間の改善がもたらされる統計的に有意な長期効果もあった。
本開示の目的は、特に対象が腎機能を低下させるリスクを有するか、または敗血症を罹患しているか、または敗血症のリスクを有する治療を受ける場合、対象における腎機能を維持または改善するための方法を提供することである。本開示の他の目的は、腎代替療法(RRT)の期間を防止または短縮すること、腎臓クレアチニンクリアランスを増加するか、および/または生存期間を増加させることである。
したがって、本開示は、腎障害、たとえば急性腎障害(AKI)を有する対象、特に敗血症に関連するAKI(SA-AKI)を有する対象における腎機能を維持または改善するために、アルカリホスファターゼ(AP)、たとえばRecAPの使用に関する。本開示は、たとえば、対象にAP、たとえばRecAPを投与することを含む、腎障害、たとえばSA-AKIの対象を治療する方法を提供する。いくつかの態様では、対象に投与されるAPの各用量は、少なくとも500U/kg(使用された臨床グレードのRecAPの場合、0.8mg/kg)を含む。いくつかの特定の態様では、各AP用量は、少なくとも1,000U/g(臨床グレードのRecAPを使用した場合、1.6mg/kg)である。
いくつかの態様では、AP、たとえばRecAPは、腎障害、たとえばSA-AKIが存在し、腎障害が中等度から高度であると決定された場合に患者に投与される。したがって、本開示のいくつかの態様において、本明細書に開示された方法は、対象が中等度から高度の腎障害、または高度の腎障害に罹患しているか否かを決定するために、たとえば、APによる治療の前に、糸球体濾過量、または代理測定値、たとえばECCまたはeGFRによって腎障害の重症度を測定することを含む。
いくつかの態様では、ベースラインECCが約15ml/分~約60ml/分の間である場合、腎障害、たとえばSA-AKIは中等度から高度に分類される。いくつかの態様において、ベースラインECCが約15ml/分よりも低い場合、腎障害、たとえばSA-AKIは高度として分類される。他の態様では、他の診断測定を用いて、腎障害の重症度、たとえばeGFRを決定することができる。本開示のいくつかの態様では、腎障害が軽度障害であると判定された場合(たとえば、>60ml/分ベースラインECCの場合)、または>60ml/分ベースラインeGFRの場合、AP治療は対象に行われない。用語「または」は、この点において、ECCもしくはeGFR、またはその両方が、規定された範囲内であるか、または定義された閾値を下回るか、または超える。当業者に理解可能であるように、ECCおよびeGFRは相関しており、たとえば、15ml/分未満のECCを有する人は、15ml/分未満のeGFRを(も)有する可能性が高く、その逆も同様である。60ml/分を超えるeGFRについて、60ml/分を超えるECC、および15~60ml/分のeGFRについて15~60ml/分のECCについても同様である。それにも関わらず、ECC値とeGFR値との間にいくつかの違いがある可能性があり、いずれか1つ、好ましくはeGFRがAPの投与から患者が利益を受けるか否かを決定するために使用されてもよい。
いくつかの態様において、AP、たとえばRecAPは、予防的に投与される。いくつかの態様では、本明細書に開示された方法は、AP、たとえばRecAPを対象に少なくとも1回投与することを含み、各用量は、少なくとも500U/kg(臨床グレードのRecAPが使用された場合、0.8mg/kg)、または1000U/kg(臨床グレードのRecAPが使用された場合、1.6mg/kg)である。いくつかの特定の態様において、投与計画は、少なくとも3日間にわたって、1日量で、静脈内注入によって、0.5mg/kg~2mg/kgのAP、たとえばRecAPを投与することを含む。いくつかの特定の態様において、投与計画は、少なくとも3日間にわたって、1日量で、静脈内注入によって、0.5mg/kg~2mg/kgのAP、たとえばRecAPを投与することを含む。
本開示をさらに容易に理解することができるようにするために、特定の用語を最初に定義する。追加の定義は、詳細な説明全体を通して示されている。
I.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形では「a」、「an」および「the」は、明示されない限り、複数の対象を含む。「a」(または「an」)との用語、ならびに「1以上」および「少なくとも1つ」との用語は、本明細書では互換的に使用することができる。
さらに、「および/または」は、本明細書で使用されると、2つの特定の特徴または成分の他方の有無の特定の開示として受け取られるべきである。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」などの表現で使用される用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「および/または」との用語は、「A、B、および/またはC」などの表現で使用される場合、以下の態様のそれぞれを包含することが意図される。A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
態様が「含む(comprising)」との表現で本明細書に記載されている場合は常に、「~からなる(consisting of)」および/または「本質的に~からなる(Consisting essentially of)」という用語で記載された他の類似態様も提供される。
明細書および特許請求の範囲全体にわたって数値に関連して使用される「約(about)」との用語は、当業者によく知られており許容できる精度の範囲を示す。一般に、そのような精度の範囲は、±15%である。
他に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本開示が関連する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
単位、接頭辞、および記号は、国際単位系(SI)で承認された形式で示される。
数値の範囲には、範囲を定義する数値が含まれる。値の範囲が記載されている場合、その範囲の記載された上限と下限との間に介在する整数値およびその各分数も、そのような値の間の各部分範囲とともに具体的に開示されていることを理解されたい。任意の範囲の上限および下限は、独立して範囲に含めるか、範囲から除外することができ、上限および下限のいずれかが含まれる、両方とも含まれない、または両方とも含まれる範囲も本発明に含まれる。値が明示的に記載されている場合、記載された値とほぼ同じ量または記載された量である値も本発明の範囲内であることを理解されたい。組み合わせが開示されている場合、その組み合わせの要素のサブコンビネーションも具体的に開示されており、本発明の範囲内である。逆に、異なる要素または要素の群が個別に開示されている場合、それらの組み合わせも開示されている。本発明の任意の要素が複数の代替案を有するように開示されている場合、各代替案が単独で、または他の代替案との任意の組み合わせで除外されているその発明の例も本明細書に開示されている。本発明の1以上の要素がそのような除外を有することができ、そのような除外を有する要素の全ての組み合わせが本明細書に開示されている。
本明細書において、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」または「~の治療(treatment of)」との用語は、(i)疾患もしくは障害、たとえばAKI(たとえばSA-AKI)の潜在性もしくはリスクを減少させること、(ii)疾患もしくは障害、たとえばAKI(たとえばSA-AKI)の発生を減少させること、(iii)疾患または障害の重症度を減少させること(たとえば、症状の寛解)、または(iv)それらの組み合わせを表す。
たとえば、治療すること(treating)は、(たとえば、敗血症と診断された、または敗血症のリスクのある対象における)腎障害、たとえばSA-AKIの発症を予防または低減するために、および/または腎障害の、症状、徴候、または原因を治癒または緩和するために、対象に投与したときの治療の能力を表してもよい。また、治療することは、非治療(またはプラセボ治療)群と比較したときの、少なくとも1つの臨床症状の緩和または減少、および/または状態の進行の阻害または遅延、および/または疾患または疾病の発症の予防または遅延を表す。したがって、「治療する」、「治療すること」、または「~の治療」(または文法的に同等の用語)は、予防的および治療的方法の両方を表す。腎臓疾患の場合、対象が本明細書に開示された方法でAPを用いて治療された後、前記APで治療されなかった対象に比べて、腎機能が改善するか、腎機能の低下が少ないことが好ましい。
本明細書において、「保つ(preserving)」との用語は、腎機能の、低下、低下の遅延、低下の停止、および/または少なくとも部分的に低下を反転させることを含む。「増加(increasing)」との用語は、必ずしも、前記腎機能を、前記治療が行われる前の値以上の値に増加させることに限定されない。「増加」には、腎機能の一部回復が含まれる。
「腎機能低下のリスクを有する治療」との用語は、少なくとも1つの腎臓関連パラメータの値を前記パラメータの認識もしくは平均(臨床検査)値と比較して、または前記パラメータを前記治療が行われる前の値と比較することによって、前記治療によって腎機能が低下するリスクを有する治療を表すために一般的に使用される。
たとえば、対象、好ましくはヒトの尿中のタンパク質量が認識または平均(臨床検査)値を有意に超える場合、前記腎機能は「低下」したと称される。同様の分析は、臨床検査室だけでなく、家庭環境でも実施することができる。たとえば、2006年9月以降、オランダの「Nierstichting」社は、腎臓が適切に機能しているか否かを検査するために自宅で実施できる簡単な検査(腎臓検査(Kidney check)(「Niercheck」)と称する)を導入した。この検査は、たとえば尿中のタンパク質の量を対象としている。
本明細書において使用される「対象」または「患者」との用語は、腎障害、たとえばSA-AKIの治療または予防が望まれる任意の対象、特に哺乳動物対象を表す。本明細書で使用される場合、「対象」または「患者」との用語は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。本明細書で使用される場合、「SA-AKIを有する患者」または「敗血症を有する患者」などの表現は、本明細書に開示されたような、APによる治療の実施から利益を受けるであろう対象、たとえば哺乳動物対象を含む。
本開示のいくつかの態様において、対象は、未処置の対象である。未処置の対象は、治療、たとえば治療薬を投与されていない対象である。いくつかの態様において、未処置の対象は、腎障害、たとえばSA-AKI、または腎障害を引き起こし得る疾患もしくは状態(たとえば敗血症)であると診断される前に治療薬で治療されていなかった。
別の態様において、対象は、治療を受けるか、および/または腎障害、たとえばSA-AKI、または腎障害を引き起こし得る疾患もしくは状態(たとえば敗血症)を有すると診断される前に治療薬の1回以上の投与を受けた。
いくつかの態様において、対象のベースラインECCもしくはeGFRが所定のECCもしくはeGFR閾値レベルを下回るか、またはベースラインECCもしくはeGFRが所定のeGFR閾値レベルを超えるか、またはベースラインECCもしくはeGFRが所定の範囲内である場合、対象は、少なくとも1つの治療的に有効な用量でAP、たとえばRecAPを投与することができる。
本明細書において使用される「治療剤」および「薬剤」との用語も、疾患または障害、たとえば腎障害、たとえばSA-AKI、または腎障害を引き起こし得る疾患もしくは状態(たとえば敗血症)を有する対象に、所望の、通常は有益な効果をもたらすために投与される任意の治療的に活性な物質を表す。治療薬は、対象に投与されたとき、代謝されて所望の治療的に活性な物質になるプロドラッグであってもよい。いくつかの態様では、治療薬は予防薬である。さらに、治療薬は、薬学的に処方されてもよい。また、治療薬は、エネルギーの他の形態、たとえば光もしくは超音波エネルギーによって、または全身投与され得る他の循環分子によって活性化された、放射性同位元素もしくは薬剤であってもよく、またはそれらを含んでいてもよい。
本開示のいくつかの態様において、腎障害、たとえばSA-AKIの症状、もしくは腎障害を引き起こし得る、疾患または状態(たとえば敗血症)の、治療、予防、もしくは寛解のための治療薬は、単独で、または腎障害、たとえばSA-AKI、もしくは腎障害を引き起こし得る疾患もしくは状態(たとえば敗血症)の治療に一般的に使用される1つ以上の標準治療薬と組み合わせて、AP、たとえばRecAPを含んでいてもよい。
本明細書で使用される「治療有効」量は、疾患もしくは障害、たとえば腎障害、たとえばSA-AKI、または腎障害を引き起こし得る疾患もしくは状態(たとえば敗血症)を有する対象に何らかの改善もしくは利益をもたらす治療薬の量である。したがって、「治療上有効な」量は、疾患もしくは障害、たとえば腎障害、たとえばSA-AKI、または腎障害を引き起こし得る疾患もしくは状態(たとえば敗血症)の少なくとも1つの臨床症状をいくらか軽減、緩和、および/または減少させる量である。
本開示の特定の投与計画として、腎障害、たとえばSA-AKI、または腎障害を引き起こし得る疾患もしくは状態(たとえば敗血症)に関連付けられた臨床症状は、当業者に周知である。さらに、当業者は、何らかの利益が対象に提供される限り、治療効果が完全または治癒的である必要はないことを理解するであろう。いくつかの態様では、「治療上有効な」という用語は、バイオマーカレベル、たとえば、治療を必要とする患者のECCまたはeGFRを変化させることができる治療薬の量を表す。
本明細書では、「十分な量」、または疾患もしくは障害、たとえば腎障害、たとえばSA-AKI、もしくは腎障害を引き起こし得る疾患もしくは状態(たとえば敗血症)を有する患者において特定の結果を達成するために「十分な量」は、治療効果である(すなわち、治療的有効量の投与によって)所望の効果をもたらすために有効である治療薬(たとえば、APたとえばRecAP)の量を表す。いくつかの態様において、そのような特定の結果は、腎機能の改善または生存期間の増加である。
本明細書において使用されるように、「医療提供者」との用語は、生きている対象、たとえばヒト患者について直接に対話して管理する個人または機関を表す。医療提供者の非限定的な例には、医師、看護師、技術者、セラピスト、薬剤師、カウンセラー、代替医療開業医、医療施設、診療所、病院、緊急治療室、クリニック、緊急医療センター、代替医療クリニック/施設、およびその他一般的および/または専門的な治療、評価、維持、治療、投薬、ならびに/または限定されないが、一般医療、専門医療、外科手術、および/もしくは他の種類の治療、評価、維持、治療、投薬および/もしくは助言を含む、患者の健康状態の全てまたは一部に関する助言を提供する他の団体を含む。
本明細書で使用される、「臨床検査室」との用語は、生きている対象、たとえばヒト由来材料の検査または処理のための施設を表す。処理の非限定的な例は、情報を提供する目的、たとえば、生きている対象、たとえばヒトの、疾患もしくは障害の、診断、予防、もしくは治療のための、または健康の評価のための人体に由来する材料の、生物学的、生化学的、血清学的、化学的、免疫血液学的、血液学的、生物物理学的、細胞学的、病理学的、遺伝学的、もしくはその他の検査が含まれる。これらの検査は、試料を採取するか、または得るための手順、生きている対象、たとえばヒトの体内における、または生きている対象、たとえばヒトの体から得られた試料における様々な物質の有無を、準備、決定、測定、または記載するための手順を含んでもよい。
本明細書において使用される、「医療給付提供者(healthcare benefits provider)」との用語は、個々の団体、組織、またはグループであって、1以上の、医療費給付、給付計画、健康保険、および/または医療費勘定プログラムを全体的または部分的に提供する、提示する、提供する、支払う、または患者にアクセスさせることに関連する、個々の団体、組織、または集団を含む。
いくつかの態様では、医療提供者は、別の医療提供者を管理または指示して、たとえば腎障害、たとえばSA-AKI、または腎障害を引き起こし得る疾患または状態(たとえば敗血症)の症状を、予防、治療、または寛解するための治療を実施することができる。
医療提供者は、以下の行動をするか、または別の医療提供者または患者に以下の行動をするように指示することができる。試料の取得、試料の処理、試料の提出、試料の受け取り、試料の転送、試料の分析または測定、試料の定量化、試料の分析/測定/定量化後に得られた結果の提供、試料の分析/測定/定量化後に得られた結果の受け取り、1つ以上の試料を分析/測定/定量化後に得られた結果の比較/スコアリング、1つ以上の試料からの比較/スコアの提供、1つ以上の試料から比較/スコアの取得、治療(たとえば、APたとえばRecAP)の実施、治療実施の開始、治療実施の中止、治療実施の継続、治療実施の一時中断、投与される治療薬の量の増加、投与される治療薬の量の減少、治療薬の投与の継続、治療薬の投与頻度の増加、治療薬の投与頻度の減少、治療薬の同じ投与頻度の維持、少なくとも別の治療または治療薬による治療または治療薬の置き換え、治療または治療薬と少なくとも別の治療または追加の治療薬との組合せ。
いくつかの態様では、医療給付提供者は、たとえば、試料の収集、試料の処理、試料の提出、試料の受け取り、試料の転送、試料の分析または測定、試料の定量化、試料の分析/測定/定量化後に得られる結果の提供、試料の分析/測定/定量化後に得られる結果の転送、1つ以上の試料の分析/測定/定量化後に得られる結果の比較/スコアリング、1つ以上の試料からの比較/スコアの転送、治療または治療薬の投与、治療または治療薬の投与の開始、治療または治療薬の投与の中止、治療または治療薬の投与の継続、治療または治療薬の投与の一時中断、投与される治療薬の量の増加、投与される治療薬の量の減少、治療薬の投与の継続、治療薬の投与頻度の増加、治療薬の投与頻度の減少、治療薬の同じ投与頻度の維持、少なくとも別の治療または治療薬による治療または治療薬の置き換え、または治療または治療薬と少なくとも別の治療または追加の治療薬との組み合わせを承認または拒否することができる。
さらに、医療給付提供者は、たとえば治療の処方を承認または拒否すること、治療の適用範囲を承認または拒否すること、治療費用の償還の承認または拒否すること、治療の適格性を決定または否定することなどができる。
いくつかの態様では、臨床検査室は、たとえば、試料を収集または取得する、試料を処理する、試料を提出する、試料を受け取る、試料を転送する、試料を分析もしくは測定する、試料を定量する、試料の分析/測定/定量化後に得られる結果を提供する、試料の分析/測定/定量化後に得られる結果を受け取る、1つ以上の試料の分析/測定/定量化後
に得られる結果を比較/スコアする、1つ以上の試料の比較/スコアを提供する、1つ以上の試料から比較/スコアを得ることができるか、またはその他の関連活動をすることができる。
II.APによる急性腎障害の治療
ある態様において、本開示は、対象、特に、APによる治療に特に良好に応答するように決定されたSA-AKI患者の集団における、腎臓を維持または改善するための方法に関する。
STOP-AKI試験は、腎障害の重症度に対応する閾値と腎機能の改善(プラセボに対する改善されたクレアチニンクリアランスによって証明される)と長期生存期間との間に統計的に有意な相関関係を特定した。上述のように、たとえば腎機能のマーカ(たとえば、ECCまたはeGFR)に従ってSTOP-AKI臨床試験の患者を層別化すると、特定の小群においてAP投与の特定の効果が確認された。これらの小群のそれぞれを定義するパラメータ(たとえば、ECCまたはeGFRの閾値などの一連の閾値)を使用し、特定の小群にAP治療を個別化する、治療のために患者を選択する、AP治療に関する決定(たとえば、投薬または投与スケジュールの変更)をする、または陽性のアウトカムの可能性を評価することができる。
したがって、いくつかの態様では、本明細書に開示された方法は、たとえばSA-AKIが原因で、中等度から高度の腎障害、または高度の腎障害を有すると決定された対象にAP、たとえばRecAPを投与することに関し、AP、たとえばRecAPを対象に投与することを含む。APの投与は、中等度から高度の腎障害または高度の腎障害を有する対象に少なくとも500U/kgの用量で投与した場合に特に効果的である。APは、少なくとも1,000U/kgの用量で投与した場合、最も効果的であった。
本明細書で使用される、「高度の腎障害」との用語は、15ml/分よりも低いクレアチニンクリアランス量をもたらす腎臓の損傷または腎機能障害を表す。本明細書で使用される場合、「中等度から高度の腎障害」との用語は、15ml/分~60ml/分のクレアチニンクリアランス量をもたらす、腎臓損傷または腎機能障害を表す。本明細書で使用される「軽度の腎障害」との用語は、腎臓損傷または腎機能障害を表し、60ml/分を超えるクレアチニンクリアランス量を表す。本明細書で使用される「ベースラインECC」との用語は、ベースラインでの内因性クレアチニンクリアランス量を表す。本明細書で使用される場合、「ベースラインeGFR」との用語は、ベースラインでの推定糸球体濾過量を表す。ECCおよびeGFRは、腎機能の測定値としての実際の糸球体濾過量の推定値である。
いくつかの態様において、本開示は、たとえば、治療を必要とする対象における敗血症関連急性腎障害(SA-AKI)を治療するための方法、または治療を必要とする対象における敗血症関連急性腎障害(SA-AKI)を治療するための方法における使用のためのアルカリホスファターゼ(AP)を提供し、
前記方法は、有効量のアルカリホスファターゼ(AP)を前記対象に投与することを含み、
(i)前記対象は、AP(たとえばRecAP)による治療前に、60ml/分以下のECC(内因性クレアチニンクリアランス)量、または60ml/分以下のeGFRを有し、
(ii)前記APは、約500U/kg~約2,000U/kgの用量で少なくとも1回投与され、
(iii)前記APの前記投与は、腎機能の向上をもたらす。
いくつかの態様では、APによる治療前に60ml/分以下のECC量を有する対象は、中等度の腎障害(15~60ml/分 ベースラインECC)を有する。いくつかの態様では、APによる治療前に、60ml/分以下のECC量を有する対象は、高度の腎障害(<15ml/分 ベースラインECC)を有する。いくつかの態様では、APによる治療前に60ml/分以下のECC量を有する対象は、軽度の腎障害(>60ml/分 ベースラインECC)を有しない。いくつかの態様では、APによる治療前に、60ml/分以下のeGFRを有する対象は、15~60ml/分のベースラインeGFRを有する。いくつかの態様では、APによる治療前に、60ml/分以下のeGFRを有する対象は、15ml/分未満のベースラインeGFRを有する。いくつかの態様では、APによる治療前に60ml/分以下のeGFRを有する対象は、60ml/分を超えるベースラインeGFRを有さない。
いくつかの態様では、AP(たとえばRecAP)は、1回の投与あたり、少なくとも約500U/kg、少なくとも約600U/kg、少なくとも約700U/kg、少なくとも約800U/kg、少なくとも約900U/kg、少なくとも約1000U/kg、少なくとも約1100U/kg、少なくとも約1200U/kg、少なくとも約1300U/kg、少なくとも約1400U/kg、少なくとも約1500U/kg、少なくとも約1600U/kg、少なくとも約1700U/kg、少なくとも約1800U/kg、少なくとも約1900U/kg、または少なくとも約2000U/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、AP(たとえばRecAP)は、1回の投与あたり、約2000U/kgを超える用量で投与される。いくつかの態様では、AP(たとえばRecAP)は、用量あたり、500U/kg未満の用量で投与される。
いくつかの態様では、AP(たとえばRecAP)は、約500U/kg~約1500U/kg、約600U/kg~約1400U/kg、約700U/kg~約1300U/kg、約800U/kg~約1200U/kg、または約900U/kg~約1100U/kgの用量で投与される。いくつかの特定の態様では、APは、約1000U/kgの用量で投与される。
いくつかの態様では、APは、ヒトAPである。いくつかの態様において、APは、組み換えAPである。いくつかの態様では、APは、キメラAPである。特定の態様では、キメラAPは、RecAP(配列番号1)である。いくつかの態様では、本明細書で開示されるAPは、配列番号1のアミノ酸配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、APは、機能的断片である(すなわち、APの断片、たとえば、対応する全長APのAP活性の、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%を保持している)。いくつかの態様では、APは、本明細書で開示されるAPの変異体または誘導体である。本明細書で開示される方法に従って、または当該方法のために使用することができる他のAPは、以下で詳細に論じられる。
いくつかの態様では、APは、RecAP(たとえば、本開示で使用される臨床グレードのRecAP)であり、1回の投与あたり、少なくとも約0.1mg/kg、少なくとも約0.2mg/kg、少なくとも約0.3mg/kg、少なくとも約0.4mg/kg、少なくとも約0.5mg/kg、少なくとも約0.6mg/kg、少なくとも約0.7mg/kg、少なくとも約0.8mg/kg、少なくとも約0.9mg/kg、少なくとも約1mg/kg、少なくとも約1.1mg/kg、少なくとも約1.3mg/kg、少なくとも約1.4mg/kg、少なくとも約1.5mg/kg、少なくとも約1.6mg/kg、少なくとも約1.7mg/kg、少なくとも約1.8mg/kg、少なくとも約1.9mg/kg、少なくとも約2mg/kg、少なくとも約2.1mg/kg、少なくとも約2.2mg/kg、少なくとも約2.3mg/kg、または少なくとも約2.4mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、APは、1回の投与あたり約2.4mg/kgを超える用量で投与される。いくつかの態様では、APは、RecAP(たとえば、本開示で使用される臨床グレードのRecAP)であり、少なくとも約100U/kg、少なくとも約200U/kg、少なくとも約300U/kg、少なくとも約400U/kg、少なくとも約500U/kg、少なくとも約600U/kg、少なくとも約700U/kg、少なくとも約800U/kg、少なくとも約900U/kg、少なくとも約1000U/kg、少なくとも約1100U/kg、少なくとも約1200U/kg、少なくとも約1300U/kg、少なくとも約1400U/kg、少なくとも約1500U/kg、少なくとも約1600U/kg、少なくとも約1700U/kg、少なくとも約1800U/kg、少なくとも約1900U/kg、または少なくとも約2000U/kgの用量で投与され、APは、RecAPであり、100U/kg未満の用量で投与され、APは、RecAPであり、2000U/kgを超える用量で投与される。
いくつかの態様では、APは、RecAP(たとえば、本開示で使用される臨床グレードのRecAP)であり、約0.8mg/kg~約2.4mg/kg、約0.9mg/kg~約2.3mg/kg、約1mg/kg~約2.2mg/kg、約1.1mg/kg~約2.1mg/kg、約1.2mg/kg~約2mg/kg、約1.3mg/kg~約1.9mg/kg、約1.4mg/kg~約1.8mg/kg、または約1.5mg/kg~約1.7mg/kgの用量で投与される。 いくつかの特定の態様において、APは、
約1.6mg/kgの用量で投与される。
いくつかの態様では、APは、RecAP(たとえば、本開示で使用される臨床グレードのRecAP)であり、少なくとも約100U/mg、少なくとも約200U/mg、少なくとも約300U/mg、少なくとも約400U/mg、少なくとも約500U/mg、少なくとも約600U/mg、少なくとも約700U/mg、少なくとも約800U/mg、少なくとも約900U/mg、少なくとも約1000U/mg、少なくとも約1100U/mg、少なくとも約1200U/mg、少なくとも約1300U/mg、少なくとも約1400U/mg、少なくとも約1500U/mg、少なくとも約1600U/mg、少なくとも約1700U/mg、少なくとも約1800U/mg、少なくとも約1900U/mg、または少なくとも約2000U/mgの比活性を有する。
いくつかの態様では、APは、RecAP(たとえば、本明細書で使用される臨床グレードのRecAP)であり、約1000U:1.6mgの比活性を有する。いくつかの態様では、APは、RecAPであり、約600U/mg~約700U/mg、または約500U/mg~約800U/mg、または約400U/mg~約900U/mg、または約300U/mg~約1000U/mg、または約200U/mg~約1100U/mg、または100U/mg~約1200U/mgの比活性を有する。いくつかの態様では、APは、RecAPであり、100U/mg未満の比活性を有する。いくつかの態様では、APは、RecAPであり、1200U/mgを超える比活性を有する。
いくつかの態様では、AP(たとえばRecAP)は、治療ごと1回だけ投与される(たとえば、1~7日間にわたって1日あたり1回)。他の態様では、APの2回以上の投与が行われる。いくつかの態様では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21用量のAPが投与される(たとえば、1~7日間にわたって1日あたり少なくとも2回)。
いくつかの態様では、AP投与は、毎日行われる。他の態様において、AP投与は、2、3、4、5、6、または7日ごとに行われる。
いくつかの態様では、単回用量が毎日投与される。いくつかの態様において、2、3、またはそれ以上の用量が毎日投与される。
いくつかの態様では、APによる治療は、約4日未満である。いくつかの態様では、APによる治療は、3日未満、2日未満、または1日未満である。
ある態様では、APは、毎日約1000U/kgの用量で3日間連続して投与される。いくつかの特定の態様では、APがRecAPである場合、APは、毎日1.6mg/kgの用量で3日間連続して投与される。いくつかの態様では、各AP、たとえば、RecAP(たとえば、本開示において使用される臨床グレードのRecAP)について、用量は、約0.10mg/kg~約3mg/kg、または約0.20mg/kg~約2.9mg/kg、または約0.3mg/kg~約2.8mg/kg、または約0.4mg/kg~約2.7mg/kg、または約0.5mg/kg~約2.6mg/kg、または約0・6mg/kg~約2.5mg/kg、または約0.7mg/kg~約2.4mg/kg、または約0.8mg/kg~約2.3mg/kg、または約0.9mg/kg~約2.2mg/kg、または約1mg~約2.1mg/kg、または約1.1mg/kg~約2mg/kg、または約1.2mg/kg~約1.9mg/kg、または約1.3mg/kg~約1.8mg/kg、または約1.4mg/kg~約1.7mg/kgである。いくつかの態様では、各AP、たとえばRecAPについて、用量は、少なくとも約0.1mgAP/kg、少なくとも約0.2mgAP/kg、少なくとも約0.3mgAP/kg、少なくとも約0.4mgAP/kg、少なくとも約0.5mgAP/kg、少なくとも約0.6mgAP/kg、少なくとも約0.7mgAP/kg、少なくとも約0.8mgAP/kg、少なくとも約0.9mgAP/kg、少なくとも約1mgAP/kg、少なくとも約1.1mgAP/kg、少なくとも約1.2mgAP/kg、少なくとも約1.3mgAP/kg、少なくとも約1.4mgAP/kg、少なくとも約1.5mgAP/kg、少なくとも約1.6mgAP/kg、少なくとも約1.7mgAP/kg、少なくとも約1.8mgAP/kg、少なくとも約1.9mgAP/kg、少なくとも約2mgAP/kg、少なくとも約2.1mgAP/kg、少なくとも約2.2mgAP/kg、少なくとも約2.3mgAP/kg、少なくとも約2.4mgAP/kg、少なくとも約2.5mgAP/kg、少なくとも約2.6mgAP/kg、少なくとも約2.6mgAP/kg、少なくとも約2.7mgAP/kg、少なくとも約2.8mgAP/kg、少なくとも約2.9mgAP/kg、または少なくとも約3mgAP/kgを含む。
APは、異なる経路を介して、たとえば、静脈内、直腸、気管支または経口投与されてもよい。いくつかの特定の態様では、APは、静脈内、たとえば静脈内注入で投与される。いくつかの態様において、APは、持続注入によって静脈内投与される。
腎機能の短期保存は即時に救命につながる可能性があるが、腎機能におけるAPの効果は長期間続くことが好ましい。
ECCは、当該技術分野で公知の方法によって決定することができる。ECCの計算方法の1つは、尿試料(通常は24時間収集)を収集して、所定の時間間隔で血液から除去
されたクレアチニンの量を決定することである。たとえば、24時間で1440mgを取り除くと、1mg/minを取り除くことと同じである。血中濃度が0.01mg/mL(1mg/dL)である場合、クレアチニンクリアランスは100mL/分であると言われている。これは、1mgのクレアチニンを排泄するには、0.01mg/mLで含む100mLの血液を除去する必要があるからである。
eGFRは、当該技術分野で公知の方法によって決定することができる。腎疾患における食事療法(MDRD)研究式または慢性腎臓病疫学共同研究(CKD-EPI)式のいずれか、好ましくはCKD-EPI式を使用することができる。当業者は、たとえば、米国腎臓財団(kidney.org)によって提供されるような、たとえばeGFRの計算のためのウェブサイトを使用することによって、いずれかの方法に従ってeGFRを推定する方法を知っている。
いくつかの態様では、本明細書に開示された方法に従った対象へのAPの投与は、対象における多くの腎機能関連パラメータ、たとえば、BUN、ECC、eGFR、および血清クレアチニンレベルを改善することができる。
いくつかの態様では、対象へのAP(たとえばRecAP)の投与は、非治療下でのECCまたはeGFRに対してECCまたはeGFRの増加を含む腎機能の向上をもたらす。いくつかの態様において、ECCまたはeGFRの増加は、非治療下におけるECCまたはeGFRに対して、少なくとも、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40ml/分である。
いくつかの態様では、対象へのAP(たとえばRecAP)の投与は、ベースラインECCまたはeGFRに対するECCまたはeGFRの増加を含む腎機能の向上をもたらす。いくつかの態様において、ECCまたはeGFRの増加は、ベースラインECCまたはeGFRに対して、少なくとも、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、または80ml/分である。
いくつかの態様において、AP投与の、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日後に腎機能の向上が観察される。
ECCは、糸球体濾過量(GFR)の近似値として使用することができる。しかしながら、腎機能を決定するために、他のパラメータ、たとえば、GFR、eGFR、血清クレアチニンレベル、電解質の乱れ、尿の生成量、BUN、カルシウムレベル、リンレベル、アルブミンレベル、および/または尿中の赤血球および白血球も評価することができる。腎機能を決定するために実行可能な別の試験は、たとえば鑑別を伴う全血球算定である。RNA分子の有無の有無で尿試料を分析することもできる。尿中のRNAは、尿から分泌された腎細胞から得ることができる。いくつかの態様では、RNAは、mRNA分子、たとえばiNOS mRNAである。
いくつかの態様では、対象へのAP(たとえばRecAP)の投与は、AP非治療での生存率と比較して、生存率が少なくとも、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40%増加する。
逆に、AP(たとえばRecAP)を対象に投与すると、AP非治療の場合における死亡率と比較して、死亡率が少なくとも、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40%低下する。
本明細書に開示された方法のいくつかの態様では、敗血症が治療開始前96時間未満に検出された場合にのみ、AP(たとえばRecAP)が対象に投与される。他の態様では、SA-AKI検出前の72時間未満で敗血症が検出された場合にのみ、APが投与される。
本開示のいくつかの態様では、APによる治療は、敗血症が検出されたてから24時間以内に開始される。敗血症の存在は、たとえば、本出願の実施例に開示されたように検出することができる。本開示のいくつかの態様では、腎機能の低下を防ぐために、敗血症のリスクがある対象にAPによる治療を行う。
いくつかの態様において、SA-AKIが検出されてから24時間以内に治療が開始される。
本明細書に開示される方法のいくつかの態様では、少なくとも1回のAPの投与は、腎代替療法(RRT)を受けている対象におけるRRTの期間の短縮または停止をもたらす。
本明細書に開示されたいくつかの態様では、少なくとも1回のAPの投与は、対象における糸球体濾過量(GFR)の保存または増加をもたらす。GFRは、いくつかの方法、たとえば、イヌリンもしくはクロムEDTAクリアランスによって評価することができ、または概算GFRは、たとえばECCを計算することによってもたらすことができる。GFRは、測定された24時間尿量、尿クレアチニンレベル、および血清クレアチニンレベルから計算される。血清クレアチニンに基づいて、GFRを推算することもできる(eGFR)。
本明細書に開示された方法のいくつかの態様では、APの投与は、腎機能の向上をもたらすか、または特定の治療の実施、たとえば、敗血症を治療するための抗生物質の投与をせずに、臨界閾値を下回る腎機能の低下を防止する。したがって、いくつかの態様では、AP投与は、腎機能の臨界閾値未満の低下を防止することができ、したがって、そのようなヒトが治療を受けることを可能にする。したがって、いくつかの態様では、腎機能の指標(たとえば、ECCまたはeGFR)は、腎機能を維持するためにAPを投与する前に決定され、上述のヒトの腎機能が特定の閾値レベル未満に低減されるリスクを決定する。
いくつかの態様において、本明細書に開示された方法は、単独、または1、2、3またはそれ以上のバイオマーカのレベルにおける変化の検出と組み合わせて、腎機能マーカ、たとえば、ECC、eGFR、またはBUNクリアランスの変化を検出することを含む。
いくつかの態様において、本明細書に開示された方法は、検出された腎機能パラメータ(たとえば、ベースラインECCまたはベースラインeGFR)に基づいて、AP、たとえばRecAPによる治療に対して向上した臨床反応を予測することを含む。いくつかの態様では、本開示の方法は、腎機能パラメータ(たとえば、ベースラインECCまたはベースラインeGFR)が特定の範囲内にあるか、またはそれが特定の閾値(たとえば、腎障害の重症度の、ECCまたはeGFR閾値)の上または下であるかを評価することを含む。したがって、たとえば、腎機能パラメータ(たとえば、ベースラインECCまたはベースラインeGFR)が、単独でまたは他のバイオマーカと組み合わせて、患者がAPによる治療から利益を受けることを示す場合、治療は、開始されるか、維持されるか、または変更される(たとえば、用量の増減、または投与頻度の増減)。
逆に、たとえば、腎機能パラメータ(たとえば、ベースラインECCまたはベースラインeGFR)が単独で、または他のバイオマーカと組み合わせて、患者がAPによる治療の利益を受けないことを示した場合、治療は、中断、一時的に中止、変更(たとえば、投与量の増減、または投与頻度の増減)されてもよい。
言い換えると、腎機能パラメータの特定のレベル(たとえば、ベースラインECCまたはベースラインeGFR)単独、または他の分子または臨床バイオマーカとの組み合わせは、AP療法の臨床効果と相関し、敗血症および/またはSA-AKIに罹患している患者の特定の集団における臨床アウトカムの予測に役立つ。
いくつかの法域では、では、本発明は、有効量のアルカリホスファターゼ(AP)を前記対象に投与することを含む、敗血症関連急性腎障害(SA-AKI)を治療する方法において使用するためのアルカリホスファターゼ(AP)を提供し、
(i)対象は、APによる治療前に、≦60ml/分のECC(内因性クレアチニンクリアランス)量、または ≦60ml/分のeGFR(推定糸球体濾過量)を有し、
(ii)APは、少なくとも300U/kg~2,000U/kgの用量で投与される。好ましい実施形態では、対象は、APによる治療前に中等度の腎障害(15~60ml/分 ECC)を有する。別の好ましい実施形態では、対象は、APによる治療前に高度な腎障害(<15ml/分 ECC)を有する。好ましい実施形態では、対象は、APによる治療前に15~60ml/分のeGFRを有する。別の好ましい実施形態では、対象は、APによる治療前に<15ml/分のeGFRを有する。
また、対象がAPによる治療前に軽度の腎障害(>60ml/分 ECC)を有さない、本発明に係る使用のためのAPが提供される。また、対象がAPによる治療前に>60ml/分のeGFRを有さない、本発明に係る使用のためのAPが提供される。
好ましい一実施形態では、APがヒトAPである、本発明に係る使用のためのAPが提供される。
好ましい実施形態では、APは、組み換えAPであり、好ましくはキメラであり、より好ましくはRecAPのアミノ酸配列(配列番号1)に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有する。
好ましい実施形態では、APの投与が腎機能の向上をもたらし、当該腎機能の向上が、非治療下でのECCに対するECCの増加、または非治療下でのeGFRに対するeGFRの増加をもたらす、本発明に係る使用のためのAPが提供される。
好ましい一実施形態では、敗血症がAP投与前96時間未満で検出される、本発明に係る使用のためのAPが提供される。
好ましい一実施形態では、敗血症がSA-AKI検出前の72時間未満に検出される、本発明に係る使用のためのAPが提供される。
好ましくは、敗血症が検出された後、および/またはSA-AKIが検出された後、24時間以内に治療が開始される。
好ましい実施形態では、APが1日1回投与される、本発明に係る使用のためのAPが提供される。好ましい実施形態では、APは、静脈内投与される。好ましい実施形態では、APは1日3回投与される。
好ましい実施形態では、APがRecAPであり、用量は、0.06mg/kg(および/または375U/kg)、または3.2mg/kg(および/または2,000U/kg)のRecAP、好ましくは0.08mg/kg(および/または500U/kg)である、本発明に係る使用のためのAPが提供される。
好ましい一実施形態では、APの少なくとも1つの用量の投与が腎代替療法(RRT)を受けている対象におけるRRTの、期間の短縮または中止をもたらす、本発明に係る使用のためのAPが提供される。
好ましい一実施形態では、少なくとも1つの用量のAPの投与が、対象における糸球体濾過量(GFR)の維持または増加をもたらす、本発明に係る使用のためのAPが提供される。
本明細書で使用する用語「バイオマーカ」は、生物学的プロセス、生物学的事象、および/または病態の特徴的な指標である因子、たとえば、AP、たとえばRecAPによる治療に対する臨床応答の予測因子を表す。本明細書で使用される場合、バイオマーカとの用語は、臨床マーカおよび分子バイオマーカ(生物学的マーカ)の両方を包含する。したがって、本開示において、用語「バイオマーカ」は、たとえば、「生物学的バイオマーカ」または「分子バイオマーカ」を包含する。いくつかの態様において、腎機能を評価するために使用される、生物学的または分子的バイオマーカは、肝機能マーカ(たとえば、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ、ビリルビン、またはLDH)、C-反応性タンパク質(CRP)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン18(IL-18)、リポ多糖結合タンパク質、腎障害分子1(KIM-1)、またはそれらの組み合わせを含む。
また、上述された「バイオマーカ」との用語は、生物学的治療に対する応答を予測することができる「臨床状態マーカ」とも称される「臨床バイオマーカ」、たとえば、性別、年齢、併用薬、喫煙、ボディマス指数(BMI)などを包含する。
上述のように、ベースラインECC値に基づくカットオフアプローチを適用して、AKIを「高度の腎障害」、「中等度から高度の腎障害」、または「軽度の腎障害」として分類する。たとえば対象において観察されたECCレベルの違い、「高度の腎障害」、「中等度から高度の腎障害」、または「軽度の腎障害」は、患者がAP、たとえばRecAPで治療されたときの臨床アウトカムの予測に適用することができる。同様に、eGFRは、カットオフアプローチのために使用されてもよく、好ましくは使用される。したがって、ベースラインにおける対象のECC量、またはeGFRが特定の閾値(たとえば、60ml/分または15ml/分)を下回っている場合、その対象は、特定のAP治療、たとえば1以上の用量のRecAPを含む特定のAP療法による治療のための候補となるであろう。
いくつかの態様では、ECC量またはeGFRが所定の閾値レベルを下回るとの決定で、特定のAP治療による治療、たとえばRecAPによる治療の候補として対象を特定するために十分であろう。したがって、本明細書で開示される方法のいくつかの態様では、ECC量またはeGFRを単独で使用することができる。しかしながら、他の態様において、ECC量またはeGFRは、互いに組み合わせることができるか、または腎機能の他の測定(たとえばBUNクリアランス)および/または分子または臨床マーカ、たとえばKIM-1レベルと組み合わせることができる。
これらの知見は、たとえば、(たとえば、特定のAP治療のための候補として患者を選択することによって)治療を決定する新規の方法、(たとえば、SA-AKIを治療するために)、腎機能の低下を治療する、腎機能の低下を維持する、腎機能を向上させる、または腎機能を維持する方法、AP治療の有効性を監視する方法、または製剤、投与計画、もしくは投与経路を調整する方法を考案するために適用することができる。
本明細書に開示された方法は、対象のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)に少なくとも部分的に基づいて、単独で、または1以上の追加のバイオマーカと組み合わせて、たとえばSA-AKIのための、予防および/または治療を、指示、開始、および/または変更することを含む。
本開示は、APの投与を含む治療法で、SA-AKIを有する患者を治療するか否かを決定する方法を提供し、当該方法は、
(a)患者から取得した試料中の、ECCもしくはeGFR(もしくは他の腎機能パラメータ)、および必要に応じて追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1のレベルを測定するか、または測定するために臨床検査室に指示することと、
(b)患者が、試料中において、各バイオマーカの所定の閾値レベルと比較して、または1もしくは複数の対照における各バイオマーカのレベルと比較してより高いまたはより低い、ECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)および必要に応じて追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1のレベルを有すると決定された場合、患者を治療すること、または治療するために医療提供者に指示すること、治療を一旦停止すること、治療を開始しないこと、治療しないこと、またはAP、たとえばRecAPの投与を含む治療法による治療を、一旦中止する、開始しない、または否定するよう医療提供者に指示することを含む。
SA-AKIを有する患者がAPの投与を含む治療法に応答する可能性が高いか否かを決定する方法が提供され、当該方法は、
(a)患者から取得した試料中の、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)、および必要に応じて追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1のレベルを測定するか、または測定するために臨床検査室に指示することと、
(b)患者が、試料中において、各バイオマーカの所定の閾値レベルと比較して、または1以上の対照における各バイオマーカレベルと比較してより高いまたはより低い、ECC(または別の腎機能パラメータ)および必要に応じて追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1のレベルを有していると決定された場合、患者が、AP、たとえばRecAPの投与を含む治療法による治療に反応する可能性が高い、または反応しない可能性が高いと決定することとを含む。好ましい一態様では、ECCが測定される。別の好ましい態様では、eGFRが測定される。
一態様において、本開示は、APの投与を含む治療法によって、SA-AKIを有する患者を治療するか否かを決定するための方法を提供し、当該方法は、
(a)患者から取得した試料中における、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および必要に応じて追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1のレベルを測定するか、または測定するため臨床検査室に指示することと、
(b)患者が、試料中において、所定のバイオマーカ閾値レベルと比較して、または1以上の対照におけるバイオマーカレベルと比較して、低下または減少したECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および少なくとも1つの任意の追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1の上昇または増加したレベルを有すると決定された場合、APの投与を含む治療法によって患者を治療するか、または医療提供者に指示することを含む。
また、SA-AKIを有する患者がAPの投与を含む治療法に応答する可能性が高いか否かを決定する方法が提供され、当該方法は
(a)患者から取得した試料中における、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および必要であれば追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1のレベルを測定するか、または測定するために臨床検査室に指示することと、
(b)患者が、試料中において、所定のバイオマーカ閾値レベルと比較して、または1以上の対照中のバイオマーカのレベルと比較して、低下または減少したECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および少なくとも1つの任意の追加バイオマーカ、たとえばKIM-1の上昇または増加したレベルを有すると決定された場合、APの投与を含む治療法に応答する可能性が高いと決定することとを含む。
一態様では、本開示は、APの投与を含む治療法によって、SA-AKIを有する患者を治療するか否かを決定する方法を提供し、当該方法は、
(a)患者から取得した試料中における、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および必要に応じて追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1のレベルを測定するか、または測定するために臨床検査室に指示することと、
(b)患者が、試料中において、所定のバイオマーカ閾値レベルと比較して、または1以上の対照におけるバイオマーカレベルと比較して、上昇または増加したECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および少なくとも1つの任意の追加バイオマーカの低下または減少したレベルを有すると決定された場合、治療を一旦中止する、治療を開始しない、治療しない、またはAP、たとえばRecAPの患者への投与を含む治療法による患者の治療を、一旦中止する、開始しない、または否定することを医療提供者に指示することとを含む。
また、SA-AKIを有する患者を、APの投与を含む治療法で治療するか否かを決定する方法が提供され、当該方法は、
(a)患者から取得した試料中における、ECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)および必要に応じて追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1のレベルを測定するか、または測定するように臨床検査室に指示することと、
(b)患者が、試料中において、所定のバイオマーカの閾値レベルと比較して、または1以上の対照におけるバイオマーカレベルに比較してより高いまたは増加した、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および少なくとも1つの任意の追加バイオマーカ、たとえばKIM-1の低下または減少したレベルを有すると決定された場合、患者が、AP、たとえばRecAPの患者への投与を含む治療法に応答する可能性が低いと判断することとを含む。
また、SA-AKIと診断された患者をAPでの治療の候補として選択する方法が提供され、
(a)患者から取得された試料中の、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および必要に応じて追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1を測定するか、または測定するために臨床検査室に指示することと、
(b)患者が、試料中における、所定の閾値レベルと比較して、または1以上の対照におけるバイオマーカレベルと比較して、低下または減少したECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および少なくとも1つの任意の追加バイオマーカ、たとえばKIM-1の上昇または増加したレベルを有すると決定された場合、APで患者を治療するか、または治療するために医療提供者に指示することとを含む。
また、SA-AKIと診断された患者をAPでの治療の候補として選択する方法であって、
(a)患者から取得した試料中における、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および必要に応じて追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1を測定するか、または測定するように臨床検査室に指示することと、
(b)患者が、試料中において、所定の閾値レベルと比較して、または1以上の対照におけるバイオマーカのレベルと比較して、低下または減少したECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)および少なくとも1つの任意の追加バイオマーカの上昇または増加したレベルを有すると決定された場合、患者がAPによる治療に応答する可能性が高いと決定することとを含む方法を提供する。
また、SA-AKIと診断された患者をAPでの治療の候補として選択する方法であって、
(a)患者から取得した試料中における、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および必要に応じて追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1のレベルを測定するか、または測定するように臨床検査室に指示することと、
(b)患者が、試料中において、所定の閾値レベルと比較して、または1以上の対照におけるバイオマーカレベルと比較して、上昇または増加したECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)および少なくとも1つの任意の追加バイオマーカ、たとえばKIM-1の低下または減少したレベルを有すると決定された場合、治療を一旦中止する、治療を開始しない、治療しない、またはAP、たとえばRecAPによる患者の治療を、一旦中止する、開始しない、または否定するために医療提供者に指示することとを含む方法を提供する。
また、SA-AKIであると診断された患者をAPによる治療の候補として選択する方法であって、
(a)患者から取得した試料中における、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および必要に応じて追加のバイオマーカ、たとえばKIM-1のレベルを測定するか、または測定するように臨床検査室に指示することと、
(b)患者が、試料中において、所定の閾値レベルと比較して、または1以上の対照の
バイオマーカレベルと比較して、上昇または増加したECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)および少なくとも1つの任意の追加バイオマーカ、たとえばKIM-
1の低下または減少したレベルを有すると決定された場合、患者がAP、たとえばRecAPによる治療に応答する可能性が低いと決定することとを含む方法を提供する。
いくつかの態様では、開示された方法は、1以上の追加アッセイの、指示、および/または実施を伴ってもよい。たとえば、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)決定アッセイは、偽陰性の結果を除外するために繰り返されてもよく、および/または対象の状態を監視するために1以上の追加のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)決定アッセイを実行してもよい。逆に、偽陽性の結果を除外するために、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の測定アッセイを繰り返すことが望ましい場合もある。
いくつかの態様では、所定のECCまたはeGFRの閾値レベルは、約15ml/分(高度の腎障害と中等度から高度の腎障害とを区別する閾値)、または約60ml/分(中等度から高度の腎障害と軽度の腎障害とを区別する閾値)である。
いくつかの態様では、SA-AKI患者における所定の閾値レベルを上回るか、または下回るECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の存在は、敗血症、または敗血症につながる特定の感染症に特異的な1以上の臨床または分子バイオマーカと組み合わせて使用することができる。
当業者は、ECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)が本開示の方法に従って使用可能であることを理解するであろう。本開示の方法は、正の選択として、治療、診断、および監視方法を含むが、これらに限定されない。すなわち、患者から取得された試料中におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の値が、所定のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の閾値レベルを下回るか、または上回った場合、またはECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)が1以上の対照におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)に対して増加または減少する場合、特定の行動(たとえば患者の治療)が行われる。
当業者は、ECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)が本明細書に開示された方法に従って使用可能であることを理解するであろう。本開示の方法は、負の選択として、治療、診断、および監視方法を含むが、これらに限定されない。すなわち、患者から取得された試料中におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の値が、所定のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の閾値レベルを下回るか、または上回った場合、またはECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)が1以上の対照におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)に対して増加または減少する場合、特定の行動(たとえば患者の治療)が行われる。
一態様において、本開示は、患者がAPによる治療の利益を受けるか否かについて、医療提供者、医療給付提供者、または臨床検査室による決定を容易にするための方法を含む。
一態様では、本明細書に開示された方法は、患者の、ECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)の少なくとも一部に基づいて、診断をすることを含み、診断は鑑別診断であってもよい。いくつかの態様では、本明細書に開示された方法は、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)決定アッセイの結果、および/またはECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の少なくとも一部に基づく診断の結果を対象に通知することを含む。患者は、口頭で、書面で、および/または電子的に通知されてもよい。この診断は、患者の医療記録に記録されてもよい。
「医療記録」または「患者の医療記録」との用語は、通常、患者の病歴および愁訴、医師の身体所見、診断テストおよび手順の結果、患者への投薬、および治療手順の1つ以上を含む患者の検査および/または治療の報告を表す。医療記録は、通常、1人以上の医師
および/または医師の助手によって作成され、医療が必要な様々な疾病または障害の記録および/または経歴、および/または接種、および/またはアレルギー、および/または治療、および/または予後、および/または多くの場合、両親、兄弟、および/または職業に関する健康情報が記載、転記またはその他の方法で記録される。記録は、医師が疾患を診断する際に見直されてもよい。
医療記録は、紙の形態であってもよく、および/またはコンピュータ可読媒体に維持されてもよい。医療記録は、臨床検査室、診療所、病院、健康維持組織、保険会社、および/または個人の医療記録のウェブサイトで管理されてもよい。いくつかの態様では、測定されたECCまたはeGFRに少なくとも部分的に基づく診断は、医療警告物品、たとえば、カード、着用物品、および/または無線周波数識別(RFID)タグの上または中に記録される。本明細書で使用される場合、「着用物品」との用語は、タグ、ブレスレット、ネックレス、アームバンド、またはヘッドバンドを含み、これらに限定されず、対象の体に着用することができる任意の物品を表す。
本明細書において、「診断」との用語は、疾患を検出すること、または疾患の段階または程度を決定することを意味する。通常、疾患の診断は、疾患の指標である1つ以上の因子および/または症状の評価に基づく。すなわち、疾患または障害の有無を示す因子の有無または量に基づいて診断を行うことができる。特定の疾患の診断を示すと考えられる各因子または症状は、特定の疾患に排他的に関連している必要はなく、たとえば、診断因子または症状から推測することができる鑑別診断が存在してもよい。同様に、特定の疾患を示す因子または症状が、特定の疾患を持たない個体に存在する場合があってもよい。
また、「診断」との用語は、薬物療法、たとえばAP療法の治療効果を決定すること、または薬物療法に対する応答パターンを予測することを包含する。診断方法は、独立して、または特定の疾患について医学分野で公知の他の診断および/または病期分類法と組み合わせて使用されてもよい。
本明細書で使用される、「鑑別診断」との用語は、臨床データ分析に基づいて、対象の症状の原因である可能性が高い同様の症状を有する2以上の疾患の決定を表す。また、前記用語は、患者の試料中における測定されたECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)が、所定の閾値レベルを上回るか、または下回るか、または1以上の対照におけるレベルに対して上昇するか、または低下するかに応じてAPによる治療に感受性であるか否かを決定することを表すために使用される。
本明細書で使用する「予後」との用語は、臨床状態または疾患、たとえば、敗血症またはSA-AKIの可能性の高い経過およびアウトカムの予測を表す。予後は通常、好ましいまたは好ましくない疾患の経過またはアウトカムを示す疾患の因子または症状を評価することによって行われる。本明細書で使用される「予後を決定する」という表現は、当業者が患者の状態の経過またはアウトカムを予測することができる行為を表す。「予後」との用語は、状態の経過またはアウトカムを100%の正確性で予測する能力を表すものではない。これに代えて、当業者は、「予後」との用語が、特定の経過またはアウトカムが発生する確率の増加を表すことを理解するであろう。つまり、特定の経過またはアウトカムは、所定の状態を示さない個人と比較して、所定の状態を示す患者で発生する可能性が高くなる。
本明細書で使用される、「良好な予後」および「陽性の予後」または「好ましくない予後」および「陰性の予後」との用語は、状態または疾患、たとえば敗血症またはSA-AKIの可能性の高い経過および/または好ましいアウトカムの予測のための相対的な用語である。良好な予後、または陽性の予後は、好ましくない予後または陰性の予後よりも疾患の良好なアウトカムを予測する。一般的な意味では、「良好な予後」は、特定の状態に関連する可能性のある他の多くの考えられる予後よりも比較的良好なアウトカムであるが、好ましくない予後は、特定の状態に関連する可能性のある他の多くの考えられる予後よりも比較的悪いアウトカムを予測する。良好な予後、または陽性の予後の典型的な例には、腎機能の向上、腎機能の維持、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)などの増加が含まれる。
本開示は、ECC(または他の腎機能パラメータ)の発現の変化に基づいて、被検体におけるSA-AKIを治療する方法、または被検体におけるSA-AKIを治療する方法における使用のためのAPを含む。本開示は、SA-AKIを有する患者の治療方法、または被検体におけるSA-AKIを治療する方法における使用のためのAPを提供し、当該方法は、所定のECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)閾値レベルと比較して、または1以上の対照におけるECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)と比較して、患者から取得された1以上の試料中に、低下または減少したECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)を患者が有すると決定された場合、APを患者に投与することを含む。
また、本開示は、SA-AKIを有する患者を治療するための方法、またはSA-AKIを有する患者を治療する方法において使用するためAPを提供し、前記方法は、
(a)試料におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の測定のために患者から取得した試料を提出することと、
(b)所定のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)閾値レベルと比較して、または1以上の対照におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)と比較して、低下または減少したECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)を患者が有している場合、患者にAPを投与することとを含む。
また、SA-AKIを有する患者の治療方法、またはSA-AKIを有する患者の治療方法における使用のためのAPが提供され、当該方法は、
(a)試料中におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の測定のために患者から取得した試料を提出することと、
(b)1つ以上の対照における、所定のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の閾値レベルと比較して、またはECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)のレベルと比較して、試料中における、上昇または増加したECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)を患者が有する場合、患者へのAP、たとえばRecAPの投与を一旦中止するか、または開始することとを含む。
また、本開示は、SA-AKIを有する患者を治療する方法、またはSA-AKIを有する患者を治療する方法において使用するためのAPを提供し、当該方法は、
(a)患者から取得された試料中における、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)を測定することと、
(b)所定のECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)の閾値レベルと比較して、試料中における、ECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)の値が上昇もしくは増加したか、または低下もしくは減少したかを決定することとを含む。いくつかの態様では、本方法は、所定のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の閾値レベルと比較して、または1つ以上の対照におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)のレベルと比較して、試料中において、低下または減少したECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)を有すると決定された場合、AP、たとえばRecAPを患者に投与するか、または投与するように医療提供者に助言すること、または
所定のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の閾値レベルと比較して、または1つ以上の対照におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)レベルと比較して、試料中において、上昇または増加したECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)を患者が有すると決定された場合、APの投与を一旦中止または否定することをさらに含む。
また、SA-AKIを有する患者を治療する方法、またはSA-AKIを有する患者を治療する方法における使用のためAPが提供され、当該方法は、
(a)患者から取得された試料中における、ECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)の測定のために、患者から取得した試料を提出することと、
(b)所定のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の閾値レベルと比較して、または1つ以上の対照におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)レベルと比較して、試料から測定された、低下または減少したECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)を患者が有すると決定された場合、APを患者に投与するか、または所定のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の閾値レベルと比較して、または1つ以上の対照におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)レベルと比較して、試料中に上昇または増加したECCまたはeGFRを患者が有する決定された場合、APを患者に投与することを、一旦中止、開始しない、または否定することとを含む。
いくつかの態様において、試料は、患者から取得された尿試料であり、試料中における、ECCの測定、またはeGFRの推定のために、たとえば臨床検査室に提出される。
いくつかの態様では、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)決定アッセイは、患者を治療する医療専門家によって、患者から取得された試料に対して実施される。いくつかの態様では、試料は、患者から得られ、試料中におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)を測定するために、医療専門家の指示に従って、たとえば臨床検査室に提出される。いくつかの態様では、アッセイを実施する臨床検査室は、患者のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)が所定のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の閾値を上回るか、または下回るか、または1つ以上の対照に対して上昇または減少するかに基づいて、患者がAPによる治療から利益を得ることができるか否かについて、医療提供者に助言する。
また、本開示は、SA-AKIと診断された患者にAPの有効性または薬力学を測定する方法であって、
(a)患者から取得した第1試料における、患者の、ECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)の第1測定を実施することと、
(b)AP、たとえばRecAPを投与することと、
(c)患者から取得した第2試料における、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の第2測定を実施することとを含み、
第1測定における患者のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)と比較して、第2測定におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の増加は、患者がAP、たとえばRecAPによる治療に応答していることを示す方法を提供する。
また、本開示は、SA-AKIと診断された患者におけるAPの有効性または薬力学を測定する方法であって、
(a)患者から取得した第1試料における患者のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の第1測定を行うことと、
(b)患者がAP、たとえばRecAPを提供された後、患者から取得された第2試料におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の第2測定を行うこととを含み、
第1測定における患者のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)と比較して、第2測定におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の増加は、患者がAP、たとえばRecAPによる治療に応答していることを示す方法を提供する。
また、本開示は、SA-AKIであると診断された患者におけるAPの有効性または薬力学を測定する方法であって、
(a)患者から取得された第1試料における患者のECCまたはeGFR(または他の腎機能パラメータ)の第1測定を行うことと、
(b)AP、たとえばRecAPを投与することと、
(c)患者から取得された第2試料におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の第2測定を行うことと、
第1測定における患者のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)と比較して、第2測定におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の減少は、患者がAP、たとえばRecAPによる治療に応答していないことを示す方法を提供する。
また、本開示は、SA-AKIであると診断された患者におけるAPの有効性または薬力学を測定する方法であって、
(a)患者から取得された第1試料における患者のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の第1測定を行うことと、
(b)患者がAP、たとえばRecAPを提供された後、患者から取得された第2試料におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の第2測定を行うこととを含み、
第1測定における患者のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)と比較して、第2測定におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の減少は、患者がAP、たとえばRecAPによる治療に応答していないことを示す方法を提供する。
いくつかの態様では、第2測定は、AP、たとえばRecAPの投与後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日間、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間、または介在する時間において行われる。
特定の態様において、本明細書に開示される全ての治療方法において、APの「負荷」用量は、患者の腎機能の所望のレベルを達成するために投与される。AP負荷用量が患者の腎機能に顕著に影響を与えない場合、たとえば代替療法に切り替えるために、治療を中止する決定をしてもよい。
負荷用量が患者の腎機能の向上をもたらす場合、APの投与量または頻度を「維持」用量に減らす決定をしてもよい。本明細書で提供される方法は、医療提供者が治療を行うためのガイドラインであり、最終的な治療決定は医療提供者の健全な判断に基づくことに留意することが重要である。
いくつかの態様において、本開示は、SA-AKIを有する患者を治療する方法、またはSA-AKIを有する患者を治療する方法で使用するためのAPを含み、当該方法は、
ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)レベルと、必要に応じてSA-AKIを有する患者から取得された第1試料、たとえば、医療提供者によって提供された試料における1つ以上のバイオマーカレベルを測定し、第1試料における患者のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)レベルが、たとえば測定されることと、
第1試料における患者のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)レベルが、所定のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の閾値を下回るか、または1つ以上の対照におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)レベルに比較して減少するかを決定することと、
患者のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)レベルが、所定のECCまたはeGFRの閾値レベルを下回っているか、または1つ以上の対照におけるECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)レベルと比較して減少している場合、患者にAP、たとえばRecAPを投与するように医療提供者に助言することとを含む。
いくつかの態様では、試料は、患者から得られ(たとえば、24時間尿試料、または血液試料)、ECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)単独で、または少なくとも別のバイオマーカのレベルと組み合わせて、または試料中のそれらの組み合わせの測定のために、たとえば臨床検査室に提出される。
いくつかの態様では、アッセイを行う臨床検査室は、患者のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)が、所定のECCまたはeGFR(または別の腎機能パラメータ)の閾値を下回るか、または上回るかに基づいて、患者がAPによる治療から利益を得ることができるか否かについて医療提供者に助言する。
AP、たとえばRecAPの処方、投与計画、および投与経路は、本明細書に開示された方法に従って最適な治療反応のための有効量を提供するように調整されてもよい。APの投与に関して、APは、当該分野で公知の、適切な手段、組成物および経路を介して投与されてもよい。投与計画に関して、単回ボーラス投与することができ、いくつかの分割用量を経時的に投与することができ、または治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に減少または増加させてもよい。
III.アルカリホスファターゼ(AP)
アルカリホスファターゼ(AP;IUBMB酵素命名法によるEC 3.1.3.1)は、ホスファターゼモノエステルおよびHOのアルコールおよびリン酸への反応を触媒する酵素である。APの他の名前は、アルカリホスホモノエステラーゼ、ホスホモノエステラーゼ、グリセロホスファターゼ、アルカリホスホヒドロラーゼ、アルカリフェニルホスファターゼ、オルトリン酸モノエステルホスホヒドロラーゼ(アルカリ至適)である。APの組織名は、リン酸モノエステルホスホヒドロラーゼ(アルカリ至適)である。
APは幅広い特異性を有する酵素であり、トランスリン酸化も触媒する。ヒトおよび他の哺乳類では、少なくとも4つの異なる関連したAPが知られている。それらは、腸、胎盤、胎盤様、および肝臓/骨/腎臓(または組織非特異的)APである。最初の3つは共に2番染色体に位置するが、組織非特異的な形態は1番染色体に位置する。
「本開示のAP」との用語は、単離されたアルカリホスファターゼを表し、そのスプライスバリアント、アイソフォーム、およびポリマー形態を含む。また、組み換えAPおよびキメラAPも含まれる。特定の態様では、APはRecAPである。RecAPのアミノ酸配列は、図2に示される。いくつかの態様では、本明細書で開示されるAPは、配列番号1のアミノ酸配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、APは、機能的断片(すなわち、APの断片、たとえば、対応する全長APの、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%のAP活性を保持するAP)である。いくつかの態様では、APは、本明細書で開示されるAPの変異体または誘導体である。
本開示に係る使用のためのAPは、市販のAP酵素、またはAP酵素とAP酵素および本発明に関連した機能的AP酵素を製造することができる任意の手段、たとえばAPタンパク質をコードするDNAまたはRNA核酸とを含む任意の組成物であってもよい。
APをコードする核酸は、適切なベクター、たとえば、プラスミド、ファージミド、ファージ、(レトロ)ウイルス、トランスポゾン、遺伝子治療ベクター、およびAPの産生を誘導する、または与えることができる他のベクターに埋め込まれてもよい。また、天然または組み換え微生物、たとえば、細菌、真菌、原生動物および酵母は、本開示においてAPの供給源として適用されてもよい。
本開示に従って使用するための、APを含む組成物は、真核生物のAP、たとえば哺乳動物のAPを含んでもよく、組織非特異的AP、たとえば、肝臓-骨または腎臓型であってもよく、または組織特異的、たとえば、胎盤AP、腸AP、および胎盤様APであってもよい。後者は、生殖細胞APとしても知られており、精巣、胸腺、および特定の胚細胞腫瘍に局在し、APの胎盤型および腸型の両方に密接に関連している。
いくつかの態様では、哺乳動物APは、ヒトまたはウシのAPである。ヒトAP配列の非限定的な例は、NCBI(Genpept)コレクションに見出すことができ、NP_001622(腸AP)、NP_001623(胎盤AP)、NP_112603(胎盤様AP)、またはNP_000469(組織非特異的AP)を含んでもよい。いくつかの態様では、APは遺伝子多型を含む。いくつかの態様では、APは、胎盤AP、胎盤様AP、腸AP、肝臓/骨/腎臓AP、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、APは、組み換えAPである。
立体構造の観点から見ると、APは、おおよそ2つのドメイン、クラウンドメインおよびアクティブサイトドメインから構成される。アクティブサイトドメインは、触媒残基および3つの金属イオン部位(Zn1、Zn2、およびMg3)のような別々の部分に分けられてもよい。一次構造の観点から、クラウンドメインは、活性部位ドメインを形成するアミノ酸に隣接している。APのアミノ酸配列と、触媒ドメインおよびクラウンドメインの相対位置とは、当業者に知られている。
本開示のいくつかの態様において、APは、クラウンドメインおよび触媒ドメインを含む、単離、または組み換えAPであり、前記クラウンドメインおよび前記触媒ドメインは、異なるAPから得られ、前記異なるホスファターゼの少なくとも1つは、ヒトホスファターゼである。いくつかの態様では、APは、たとえば、ECAP(大腸菌(エシュリヒア コリ)AP)または7つの既知のBIAP(ウシ腸AP)の1つである。
いくつかの態様では、APは、クラウンドメインおよび触媒ドメインを含む、単離または組み換えAPであり、前記クラウンドメインおよび前記触媒ドメインは、異なるAPから得られ、異なるAPはヒトAPである。これは、修飾ホスファターゼがヒト治療に使用される場合に特に有用である。開示された方法における使用のためのAPは、修飾された、たとえば遺伝的に修飾された、免疫原性がないか、または免疫原性が弱いヒト由来のAPであってもよい。
本明細書に開示された修飾APは、「in vitro」または「ex vivo」診断または治療において使用することができる。そのような修飾ホスファターゼは、たとえば、ヒトおよびE.コリAPを含んでもよく、またはウシおよびE.コリAPから構成されてもよい。
本開示のいくつかの態様では、APは、クラウンドメインおよび触媒ドメインを含む、単離または組み換えAPであり、前記クラウンドメインおよび前記触媒ドメインは異なるAPから得られ、前記クラウンドメインは胎盤AP(ALPP)であり、前記触媒ドメインは腸AP(ALPI)の触媒ドメインである。いくつかの態様では、異なるAPの少なくとも1つは、ヒトホスファターゼである。他の態様では、両方の異なるAPは、ヒトホ
スファターゼである。
ヒトAPに基づく本明細書に開示された方法に適したドメインスワップ変異体は、表1に記載されている。
Figure 2022078186000001
いくつかの態様では、APは、ECAPまたは任意のヒト形態(ALPI、ALPP、GCAP、またはTNAP)の触媒ドメインと、BIAPのクラウンドメインとの組み合わせである。さらに、BIAPのクラウンドメインと、ECAPまたは任意のヒト型の触媒ドメインとの組み合わせも作製可能である。
いくつかの態様では、修飾されたAPは、自然条件下でグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーを介して細胞膜に連結されているが、細胞膜に結合しないように修飾されたAPである。全てのアイソザイムは細胞膜で機能的に活性であり、GPIアンカー欠損型は検出可能なレベルで自然に存在しない。血清AP活性が実証されているが、酵素は脱落膜画分または膜小胞に依然として存在していることが一般に認められている。牛乳のAP活性は、膜小胞を含む画分にも存在する。GPIアンカーは、トランスアミダーゼを介して付着部位に付着する前駆体分子として細胞内に保存される。GPIアンカーの骨格は哺乳類でも同じであるが、細胞型に依存する修飾が知られている。
いくつかの態様では、ヒト対象の治療について、APはヒトである。このことは、他の種から得られたAP型がヒト対象において免疫原性であり、治療が免疫学的反応および病理学的副作用を誘発する可能性があるという事実が主な原因である。いくつかの対象では、致命的な副作用、すなわちアナフィラキシーショックが発生する可能性があり、したがって免疫学的副作用のリスクは、好ましくは、ヒトAP型の使用によって最小限に抑えられる。
ヒトからのAPの単離は実用的ではないので、APタンパク質のヒト組み換え型は、様々な組み換え発現プラットフォームで規定通りに作製することができる。しかしながら、GPI修飾および膜アンカー型タンパク質の発現および精製は、困難であることが広く知られており、GPIタンパク質は、膜から分離することが難しく、単離および精製が困難である。したがって、いくつかの態様では、組み換えAPは、GPIシグナル配列に修飾を含み、前記修飾は分泌されたAPをもたらし、すなわち、当該APは細胞膜に付着していない。
GPIアンカーの付着の原因となる一般的な配列はないが、いくつかの特定のコンセンサス特性があり、
(i)C末端のアミノ酸の疎水性ストレッチ(少なくとも11個のアミノ酸、好ましくは11個を超えるアミノ酸)、
(ii)疎水性領域の上流、親水性アミノ酸のスペーサー(5~12個のアミノ酸)、
(iii)GPIは小さなアミノ酸である、グリシン、アスパラギン酸、アスパラギン、アラニン、セリン、またはシステインに結合しており、
(iv)GPI付着部位の下流の2つの後続のアミノ酸は、小さなアミノ酸である必要があり、ほとんどの場合、それらは、グリシン、アスパラギン酸、アスパラギン、アラニン、セリン、またはシステインから選択される。
いくつかの態様では、組み換えAPは、GPIシグナル配列における修飾を含み、前記生物学的に活性である分泌型APをもたらし、すなわち生物学的に関連する基質に対する活性を示す。いくつかの態様では、分泌されたAPはヒトAPである。いくつかの態様では、分泌されたヒトAP、ヒト肝臓腎臓骨ホスファターゼ、ヒト腸AP、またはヒト胎盤様アルカリホスファターゼである。
上述のコンセンサス特性に基づき、当業者は、たとえば1つまたは複数のアミノ酸を挿入することによって修飾を導入することができ、コンセンサスの一部が乱れ、APがGPIアンカーに結合することができなくなる。したがって、いくつかの態様では、組み換えAPは、分泌されたAPをもたらすGPIシグナル配列における修飾を含み、修飾は、コンセンサスGPIシグナル配列を包含する配列における少なくとも1つのアミノ酸の変異または欠失を含む。
いくつかの態様では、APは、米国特許第8,557,545号に開示されたAPである。いくつかの態様では、APは、米国特許出願第2017/0009216号および2014/0193388号に開示されているようなキメラAPまたはキメラAP様タンパク質である。本開示のいくつかの特定の態様では、APは、ALPI(腸アルカリホスファターゼ)の触媒ドメインとALPP(胎盤アルカリホスファターゼ)のクラウンドメインとを含む組み換えアルカリホスファターゼ、たとえばRecAP(配列番号1)である。RecAPは、catALPI/crownALPP、Xinplap、およびsALPI-ALPP-CDとしても知られている。いくつかの態様では、APは、改良されたRecAP、たとえばLVL-RecAP(米国特許出願公開US2017/0009216号の配列番号1に対応する)である。
いくつかの態様では、本開示のAPは、
(i)ヒトALPPのクラウンドメインに、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列と、
(ii)ヒトALPIの触媒ドメインに、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列とを含む。
いくつかの態様では、ALPPのクラウンドメインに対して前記配列同一性を有する前記配列は、天然ALPPタンパク質におけるALPPのクラウンドメインとほぼ同じ位置で本発明に係るタンパク質中に位置する。
アミノ酸または核酸配列の同一性の割合、または「配列同一性%」との用語は、2つの配列を整列させ、ギャップを導入した後、参照配列における残基と同一である、候補アミノ酸または核酸配列中の残基の割合として定義される。好ましい実施形態では、前記配列同一性の少なくとも割合の計算は、ギャップを導入することなく行われる。整列のための方法およびコンピュータープログラムは、当該技術分野において周知であり、たとえば「Align 2」またはアメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)のBLASTサービスである。
V.治療および診断による悪影響の改善
たとえば、SA-AKIの症状の治療または寛解に加えて、本明細書に開示された方法は、他の疾患または状態の治療、診断方法などによって引き起こされる腎機能の喪失の治療および/または予防に適用することができ、腎機能の喪失は悪影響である。いくつかの態様では、本明細書に開示された方法は、腎代替を受ける必要があり、診断目的などで造影剤を使用されたSA-AKI患者に適用することができる。
腎代替療法:腎機能の低下はRRTの適応である可能性があるが、腎機能の低下がRRTの禁忌であることもある。このことは、RRTが一般的に血管内液の減少を伴い、重症患者は血管内液の量の変動に耐えないという事実によって説明される。このことは、最終的に血液量減少性ショックにつながり、腎臓への血流を低下させ、腎臓を虚血性発作にさらす。残存する腎機能の完全な喪失は、慢性RRTを受けている対象で観察された。本発明は、AP、好ましくは本明細書に開示されたAPをRRTの前および/またはRRTの間に投与することを含む慢性RRTを受けている対象における腎機能の喪失、たとえば残存腎機能の完全な喪失を減少および/または予防するための方法を提供する。本発明は、慢性RRTを受けている対象における腎機能の喪失、たとえば残存腎機能の完全な喪失を減少および/または予防するための方法における使用のためのAPを提供し、AP、好ましくは本明細書に開示されたようなAP、たとえばRecAPがRRTの前および/またはRRTの間に投与される。
造影剤:腎機能を低下させるリスクを有する別の治療は、血管内の造影剤、たとえばヨウ素化造影剤の使用である。特に、(血液)血漿と比較して、高浸透圧性であるイオン性造影剤は、腎機能の低下と関連していることが多い。イオン性造影剤の効果は、以下のように説明することができる。高浸透圧造影剤は、血管外液を血管系に引き寄せ、腎臓の動脈を拡張させる可能性がある。動脈が拡張すると、血管収縮剤が放出されて動脈の拡張を補償する。これらの動作は、動脈の迅速な開閉動作を引き起こす可能性がある。この作用は、腎臓への血液供給を減少させ、腎臓が完全に活動停止する可能性がある。動脈は、完全に閉じる程度まで狭窄することもある。体は、血管系の体液過剰を調節することを試みる。しかしながら、腎臓が機能しない場合、造影剤の結果として、またはそれとは独立して、体液は、他の逃避経路を探すこと強いられ、他の身体系で体液過剰を引き起こす。この事象の主な結果の1つは、肺水腫である。したがって、本開示は、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPを投与することを含む、イオン造影剤が使用される場合に腎機能を保持または改善する方法を提供する。そのような場合、造影剤を必要とする患者は、腎機能を低下させるリスクが低減されたそのような必要な治療を受けることができる。腎機能を維持または改善することができる代替治療によって、腎機能が(高度に)低下した患者で造影剤が禁忌であった場合、そのような造影剤を受け入れ可能にするために、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPでそのような患者を治療することが可能になる。いくつかの態様では、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPは、造影剤の投与前および/または投与中および/または投与後に投与することができる。本明細書で使用される場合、「造影剤」との用語は、単一の造影剤だけではなく、2以上の造影剤の組み合わせも包含する。
心臓手術および腎移植:心臓手術も腎機能を低下させる可能性がある。心臓手術自体はAKIのリスク因子であるが、手術前後の要因は心臓手術後のAKIのリスクに独立して影響を与える可能性がある。これらの要因は、たとえば、術前貧血、赤血球輸血、および外科的再調査である。これらの要因、および心臓手術自体は全て、腎臓に虚血を引き起こすと考えられている。心臓手術だけでなく、たとえば、腎臓手術または移植は、腎組織に虚血を引き起こす可能性がある。したがって、腎移植は、腎機能を低下させるリスクのある治療法であるとも認められている。心臓手術は腎機能を低下させるリスクを伴う治療であるので、AP、好ましくは本明細書に開示されるAP、たとえばRecAPの投与は、心臓手術を受けている患者の腎機能を改善または保持することができる。
薬物療法:腎機能を低下させるリスクがある他の治療法には、たとえば、特定の薬物療法または薬物の使用が含まれる。薬物による二次的な腎機能障害および腎障害が一般的であり、軽微な障害および/または明白な腎不全として現れる可能性がある。いくつかの薬物は腎灌流を混乱させ、濾過能力の損失をもたらす。他には、血管、尿細管、糸球体、および間質細胞を直接傷つけ、腎機能の特定の喪失が、微小血管障害、ファンコーニ症候群、急性尿細管壊死、急性間質性腎炎、ネフローゼ症候群、閉塞、腎性尿崩症、電解質異常、および慢性腎不全などの臨床所見につながる。具体的には、特定の抗菌薬(アンフォテリシンB、カスポファンギン、バンコマイシン、レボフロキサシン、ならびにアミノグリコシド、たとえばトブラマイシンおよびゲンタマイシン);他の薬剤(たとえば、シスプラチン、カルボプラチン、メトトレキサートなどの化学療法薬);プロテアーゼ阻害剤、たとえばインディナビルまたはリトナビル;金;リチウム;抗炎症薬、たとえば非ステロイド性抗炎症薬;シクロスポリン;タクロリムス;シロリムス;抗高血圧薬、たとえば、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、およびアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)); 特定の化学物質、たとえば、ケイ酸塩、炭化水素、重金属(たとえば、Cd、Hg、Pb)、殺虫剤、除草剤、エチレングリコール、および細菌毒素(たとえば、破傷風、連鎖球菌毒素)の使用は、上記の薬剤または化学物質を摂取した、または上記の薬剤または化学物質に暴露された対象の腎機能を低下させるリスクがあることが知られている。したがって、本開示は、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPをそのような薬剤または化学物質に暴露された対象に投与することによってこれらの薬剤または化学物質の効果を低減するための方法、または当該方法で使用するためのAPを提供する。特定の薬物の量を減少させることも可能である。なぜなら、本発明は、本発明に係るAPの使用が患者における同時投薬の量を減少させるという知見を提供するからである。
いくつかの態様では、本開示は、RRT、血管内造影剤、腎臓および/または心臓手術への暴露、腎臓および/または心臓移植、輸血、赤血球輸血、薬物治療、および外科的(再)調査によって腎機能低下のリスクがある対象を治療するための方法、または当該方法における使用のためのAPを提供し、当該方法は、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPを対象に投与することを含む。AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPによる治療は、RRT、血管内造影剤への暴露、腎臓および/または心臓手術、腎臓および/または心臓移植、輸血、赤血球輸血、薬物治療、または外科的(再)調査の前および/または最中および/または後に行うことができる。
腎機能を低下させるリスクのある治療は、腎臓を通る血流を低下させる可能性がある。腎臓の外側髄質は、血液供給が減少すると、虚血性事象をもたらす障害および/または細胞損傷を特に受けやすい。したがって、平均動脈圧が80mmHgになるか、または80mmHg未満であると予想されるときに腎機能を維持または改善するために、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPを使用することが特に有用である。動脈の平均血圧が80mmHgを下回ると、腎臓が損傷するリスクがあり、一般的に腎機能が低下する。
したがって、本開示のいくつかの態様では、腎機能を低下させるリスクがある治療であって、たとえば、動脈の平均血圧が80mmHg未満、または75mmHg未満、または70mmHg未満、または65mmHg未満、または60mmHg未満であることによって腎臓の低灌流をもたらすか、または伴う治療において、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、RecAPが提供される。いくつかの態様では、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPの投与は、平均動脈圧の低下による腎障害を防ぐことによって、少なくとも部分的に腎機能の低下を防ぐことができる。
VI.併用薬の削減
上述のように、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPをSA-AKを有する患者に投与することは、腎機能および/または生存期間の増加をもたらす。したがって、本開示は、敗血症を有する患者に投与される薬物の量を低減する方法、または敗血症を有する患者に投与される薬物の量を低減する方法において使用するAPを提供し、この方法は、患者への、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPの投与を含む。
いくつかの態様では、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPの投与を使用して、対象における腎機能に悪影響を及ぼす可能性がある、SA-AKI以外の疾患および状態の治療で使用される薬物または併用薬の量を減らすために使用することができる。
いくつかの態様において、薬剤は、心臓病、たとえば、心筋梗塞または心不全に起因する心臓病の治療のためのものである。したがって、いくつかの態様では、本開示は、心臓病の治療のための薬物の量を減らす方法、または心臓病の治療のための薬物の量を減らすための方法における使用のためのAPを提供し、それによって、たとえばそのような薬剤の副作用を減らす。本方法は、患者への、AP、たとえばRecAPの投与を含む。
いくつかの態様では、AP、好ましくはRecAPまたは上述されたAPのいずれかの、それを必要とする対象への投与は、(併用)薬の量を減らし、それによって腎機能を少なくとも部分的に維持および/または増加させることができる。いくつかの態様では、本開示は、腎機能の低下で既に苦しんでいる(または苦しむリスクがある)患者における(併用)薬の量を減少させるための本開示に係る方法を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、本明細書で開示されたAP、たとえばRecAPを投与することを含む本発明に係る方法で使用するためのアルカリホスファターゼを提供する。
いくつかの態様では、(併用)薬は、心臓病、たとえば、心筋梗塞または心不全から生じる心臓病の治療のためのものである。別の態様では、(併用)薬は利尿薬である。利尿薬は、強制利尿によって個体の体液バランスに影響を与える。利尿薬は、特に、心不全、高血圧症、および腎疾患の治療に有用であることが証明された。一方、腎機能低下に既に苦しんでいる人では、利尿剤は、利尿による血圧の低下の結果として、腎機能をさらに低下させる可能性がある。しかしながら、APは、そのような血圧の低下を低減する、および/またはそのような血圧の低下に起因する腎機能の低下を防止または改善することができる。
別の態様において、本開示は、(併用)薬を減らす方法、または(併用)薬を減らす方法における使用のためのAPを提供し、前記方法は、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPの投与を含み、(併用)薬は、クラスIII抗不整脈薬、選択的β遮断薬、ジギタリス配糖体、ビタミンK拮抗薬、または選択的β-2-アドレナリン受容体作動薬である。
さらに別の態様では、本開示は、(併用)薬を低減するための方法、または(併用)薬を低減するための方法における使用のためのAPを提供し、前記方法は、AP、好ましくは本明細書に開示されたAP、たとえばRecAPを投与することを含み、前記(併用)薬は、カリウム、ベンゾ誘導体、プレーンスルホンアミド、マグネシウムおよび/またはジギタリス配糖体である。上述の薬物は腎臓に有害である可能性があるので、これらの薬物の量を減らすためのAPの使用は、APを服用している患者の腎機能を低下させるリスクを低減する。
理論に縛られないが、APを服用した個人で観察される(併用)薬の減少は、心房細動または他の心血管障害もしくは血管障害のリスクに対するAPの直接的または間接的な有益な効果であると考えられている。したがって、いくつかの態様では、本開示は、心房細動を予防および/または治療する方法、または心房細動を予防および/または治療する方法における使用のためのAPを提供し、前記方法は、AP、好ましくは本明細書に開示されるAP、たとえばRecAPを投与することを含む。心房細動は、たとえば、腎機能の低下および/または(併用)薬が原因である可能性がある。
上述のように、APは、(併用)薬の量および/または副作用の低減に特に有用である。したがって、(併用)薬の量を減少させる方法、または(併用)薬の量を減少させる方法で使用するAPも提供され、前記方法は、AP、好ましくは本明細書に開示されるAP、たとえばRecAPを(併用)薬を服用している、または(併用)薬を服用するリスクがある対象に投与することを含む。いくつかの態様では、AP、好ましくは本明細書に開示されるAP、たとえばRecAPの投与は、プラセボを服用している対象と比較してAPを服用している対象における(併用)薬の量を減少させるだけでなく、(併用)薬の悪影響も低減する。したがって、本開示は、前記(併用)薬を服用している、または前記(併用)薬を服用するリスクがある対象における(併用)薬の副作用を低減する方法、または前記(併用)薬を服用している、または前記(併用)薬を服用するリスクのある対象における(併用)薬の副作用を低減する方法における使用のためのAPを提供し、前記方法は、AP、好ましくは本明細書において開示されたAP、たとえばRecAPを投与することを含み、それによって対象における(併用)薬の副作用を減少させる。
いくつかの態様において、本開示は、心臓病、たとえば、心筋梗塞または心不全に起因する心臓病の治療のための(併用)薬剤を低減するための方法、または心臓病、たとえば心筋梗塞または心不全に起因する心臓病の治療のための(併用)薬剤を低減するための方法における使用のためのAPを提供し、前記方法は、AP、好ましくは本明細書に開示されるAP、たとえばRecAPを投与することを含む。
いくつかの態様において、(併用)薬剤は、クラスIII抗不整脈、選択的β遮断薬、ジギタリス配糖体、ビタミンKアンタゴニスト、または選択的β-2-アドレナリン受容体アゴニストである。
他の形態では、(併用)薬剤は、カリウム、ベンゾ誘導体、プレーンスルホンアミド、マグネシウムおよび/またはジギタリス配糖体である。上述の薬剤は、それらに曝された対象において腎臓に損傷を与える可能性があるので、これらの薬物の量を減らすと、これらの対象の腎機能が低下するリスクが減少する。
一態様では、本開示は、心房細動を予防および/または治療するための方法、または心房細動を予防および/または治療するための方法で使用するためのAPを提供し、前記方法は、AP、好ましくは本明細書に開示されるAP、たとえばRecAPを心房細動に罹患しているか、または罹患するリスクのある対象に投与することを含み、それによって前記心房細動を予防または治療する。
本願は、同一の実施形態の一部として、または別個の実施形態の一部として特徴を記載してもよいが、本発明の範囲は、本明細書に記載の特徴の全てまたはいくつかの任意の組み合わせを含む実施形態も包含する。
好ましい態様
態様1. 治療を必要とする対象における敗血症関連急性腎障害(SA-AKI)を治療するための方法における使用のためのアルカリホスファターゼ(AP)であって、
前記方法は、アルカリホスファターゼ(AP)の有効量を対象に投与することを含み、
(i)前記対象は、APによる治療前にECC(内因性クレアチニンクリアランス)量」 60ml/分、またはAPによる治療前にeGFR(推定糸球体濾過量)」 60min/分を有し、
(ii)APは、少なくとも500U/kg~2,000U/kg用量で投与され、
(iii)APの投与は、腎機能の向上をもたらす、アルカリホスファターゼ。
態様2. 対象は、APによる治療前に、中等度の腎障害(15~60ml/分 ECC)、または15~60ml/分 eGFRを有する、態様1に記載の使用のためのAP。
態様3. 対象は、APによる治療前に高度の腎障害(<15ml/分 ECC)または<15ml/分 eGFRを有する、態様1または態様2に記載の使用のためのAP。
態様4. 対象は、APによる治療前に、軽度の腎障害(>60ml/分 ECC)または>60ml/分 eGFRを有さない、態様1~3のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
態様5. APは、ヒトAPである、態様1~4のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
態様6. APは、組み換えAPである、態様1~5のいずれか1つに記載の使用のた
めのAP。
態様7. APは、キメラである、態様1~6のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
態様8. キメラAPは、RecAPのアミノ酸配列(配列番号1)に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する、態様1~7のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
態様9. 腎機能の向上は、非治療の場合のECCに対するECCの増加、または非治
療の場合のeGFRに対するeGFRの増加を含む、態様1~8のいずれか1つに記載の
使用のためのAP。
態様10. 敗血症は、AP投与前96時間未満で検出される、態様1~9のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
態様11. 敗血症は、SA-AKI検出前72時間未満で検出される、態様1~10
のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
態様12. 治療は、敗血症が検出されてから24時間以内に開始される、態様1~11のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
態様13. 治療は、SA-AKIが検出された後24時間以内に開始される、態様1~12のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
態様14. APは、1日1回投与される、態様1~13のいずれか1つに記載の使用
のためのAP。
態様15. APは、静脈内投与される、態様1~14のいずれか1つに記載の使用の
ためのAP。
態様16. APは、1日3回の用量で投与される、態様1~15のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
態様17. AP用量は、0.8mg/kgまたは1.6mg/kgのRecAPである、態様1~16のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
態様18. AP用量は、500U/kgまたは1000U/kgのRecAPである、態様1~17のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
態様19. 少なくとも1回のAPの投与が、腎代替療法(RRT)を受けている対象におけるRRTの期間または休止の短縮をもたらす、態様1~18のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
態様20. 少なくとも1回のAPの投与が、対象における糸球体濾過量(GFR)またはeGFRの維持または増加をもたらす、態様1~19のいずれか1つに記載の使用のためのAP。
[実施例1]
敗血症関連急性腎障害のためのヒト組み換えアルカリホスファターゼ
敗血症関連急性腎障害(AKI)は、長期的な腎アウトカムおよび生存期間に悪影響を与える。解毒酵素アルカリホスファターゼの投与は、前臨床試験において腎機能と生存期間とを改善した。我々は、敗血症関連AKIの患者において、ヒト組み換えアルカリホスファターゼ(RecAP)(図2)の有効性および安全性を調べた。
第2a/2b相STOP-AKI臨床試験の第1部では、患者を無作為化し、RecAP 0.4、0.8、または1.6mg/kg、またはプラセボを1日1回3日間投与して、最適な用量を確立した。
第2部では、この用量をプラセボと比較した。プライマリーエンドポイントは、、1~7日間の内因性クレアチニンクリアランス(AUC1~7ECC)の曲線下における、主要なセカンダリーエンドポイントとしての腎代替療法(RRT)で時間修正された面積であった。28日目、60日目、90日目における、長期腎機能、主要な腎臓の有害事象(MAKE)、および生存期間も分析された。全体として、301人の患者が登録された。プラセボ(n=116)と比較して、RecAP(1.6mg/kg、n=111)は、AUC1~7ECCまたはRRT率に有意な影響を与えなかった。しかしながら、21日目(P=0.02)および28日目(P=0.01)のECC改善はさらに顕著であり、60日目(P=0.045)および90日目(P=0.03)における複合MAKEはRecAPを服用している患者での発生率が低かった。全ての原因による28日間の死亡率は、RecAP治療を受けた患者では14.4%であったが、プラセボ治療を受けた患者では26.7%であった(P=0.02)。(高度な)有害事象の相違は、群間で観察されなかった。
RecAP治療によって、腎機能の回復が向上および持続し、プラセボと比較して生存期間が延びた。RecAPは、安全で忍容性が高いと考えられる。
方法
I.STOP-AKI試験デザインおよび参加者
STOP-AKI試験は、SA-AKIの重症成人において対象実施された、プラセボを対照とした、国際的な無作為化二重盲検、4並行群間アダプティブ用量設定相2a/2b試験であった。120人の患者を含めた後に実施された適格性基準のわずかな変更を含む試験実施計画書は、以前に公開された(Peters et al. BMJ Open 2016; 6:e012371)。
≧18歳で敗血症であると診断され(Levy et al. Crit Care Med 2003; 31:1250-6)、AKIであると最初に診断された(Mehta et al. Crit Care 2007; 11:R31)ICU患者は、研究に参加する資格を有した。組み入れ基準および除外基準は、以下に示される。
組み入れ基準
試験に含まれるには、対象は、
(i)現地の規則および規制に従って、患者、または法定代理人、または独立した治験責任医師によって署名されたインフォームドコンセントフォームを有しており、
(ii)すべてを含めると、年齢は18~85歳であり、
(iii)集中治療室、または中間集中治療室に収容されており、
(iv)以下のAおよびBに基づいて、米国胸部疾患学会/集中治療学会が定義した基準に従って敗血症と診断され(最初の治験薬投与前<96時間、または急性腎障害(AKI)診断前<72時間まで)(Bone et al. Chest 1992; 101:1644-55.)、
A.実証済み、または強く疑われる細菌感染
B.AKI診断の時点において72時間の期間内における以下の4つのSIRS基準の少なくとも2つ(注:症状が試験無作為に同時に存在することは必要とされない)
1.コア温度>38℃または<36℃
2.心拍数>90bpm(患者が心拍数を増加させることが知られている病状を有するか、または頻脈を防ぐための治療を受けている場合を除く)
3.呼吸数>20呼吸/分、PaCO<32mmHg、または急性呼吸プロセスのための機械的換気の使用
4.白血球数>12,000/mmまたは<4000/mmまたは未熟好中球>10%を示す分画
(v)以下のAKIN基準に従って、AKIステージ1以上として定義されたAKIの最初の診断を有し(注:タイムウィンドウに関して調整済み)、:
A.基礎となる原発性腎疾患がない場合において、該当するときは、適切な輸液による蘇生後、>6時間にわたって尿量が<0.5ml/kg/hであるか、または
B.過去48時間以内の血清クレアチニン値と比較して、または参照クレアチニン値と比較して過去48時間に発生したと推定される(以下を参照)>26.2μmol/l(0.30mg/dl)の血清クレアチニンの(絶対)増加、または
C.参照クレアチニン値(原発性腎疾患の欠如)と比較した場合、過去48時間の血清クレアチニン値と比較して、または過去48時間に発生したと推定される血清クレアチニンの>150%(>1.5倍)(相対)増加。
参照クレアチニン値は、次の優先順位の血清クレアチニン値である。
1.入院後3か月以内の最低値。利用できない場合:
2.入院時。利用できない場合:
3.ICU入院。利用できない場合:
4.入院の3~12か月前の最低値
(vi)AKIの診断がAKIN血清クレアチニン基準の1つに従ってなされた場合、AKIを含むことは、≧26.2μmol/l(≧0.30mg/dl)の血清クレアチニンの減少なしとして定義された、確認的流体補正血清クレアチニン測定(confirmative fluid-corrected serum creatinine measure)によって確認する必要がある。結果は、無
作為化の前に利用可能でなければならない。最初のAKI診断後24時間以内に治験薬の投与を開始しなければならない。
(vii)AKI診断がAKIN尿量基準に従ってなされた場合、乏尿または無尿は依然として無作為化前にAKIN尿量基準を満たすべきである。最初のAKI診断後24時間以内に試験薬の投与を開始する必要がある。
除外基準
以下の条件の少なくとも1つが満たされた場合、対象は研究から除外された。
(i)妊娠検査(血液または尿)が陽性で出産の可能性がある、妊娠中、または授乳中の女性
(ii)115kg(253ポンド)を超える体重
(iii)生命維持に制限がある(例:挿管不要、透析不要、蘇生不要)
(iv)HIV陽性であることが知られている
(v)尿路性敗血症に罹患している。尿路閉塞は尿路性敗血症で頻繁に観察され、血清クレアチニンレベルの増加の原因となる可能性があるので、SA-AKIが原因である可能性がある割合を特定することができない。したがって、尿路性敗血症の患者は、除外される。
(vi)既に腎代替療法(RRT)を行っているか、または計画された治験薬投与の開始後24時間以内にRRTを開始することが決定された
(vii)免疫抑制剤治療を受けているか、またはプレドニゾン/プレドニゾロン0.5mg/kg/日と同等のステロイドの慢性高用量(治療の2週間を超える高用量治療)を受けている。固形臓器移植患者を含む。ヒドロコルチゾン(たとえば3×100mg)で治療された敗血症性ショックの患者を含めてもよい。
(viii)急速に致死的アウトカムが予想される(24時間以内)
(ix)真菌性敗血症が確認されていることが知られている
(x)10~15のチャイルドピュー分類(クラスC)で確認された、末期慢性肝疾患を患っている
(xi)感染源が確立されていない急性膵炎を患っている
(xii)試験に登録する前、30日以内に別の調査研究に参加した
(xiii)SA-AKI以外の病状、たとえば、がん(積極的に治療が許可されていない以前の血液系腫瘍)、末期心疾患、心肺蘇生を必要とするか、もしくは無脈性電気活動を伴う心停止、または過去30日以内の心静止、末期肺疾患および末期肝疾患が原因で、28日間生存すると予想されない。
(xiv)
現在の敗血症以外の理由でエントリー前に、一般的に使用される式、たとえばMDRDまたはCKD-EPIによって確認されたeGFR<60ml/分のCKDの病歴、既知のGFR<60ml/分 または永続クレアチニンレベル≧150μmol/l(1.70mg/dl)の病歴がある。CKDは、AKIと比較して明確な病態生理学を有する疾患である。また、eGFRが損なわれると、さらなる悪化を防ぐための介入の可能性が制限される。したがって、試験母集団の均一性を高めるために、これらの患者は除外される。
AKI、急性腎障害;AKIN、急性腎障害ネットワーク;CDK、慢性腎臓病;CKD-EPI、慢性腎臓病疫学共同研究;eGFR、推定糸球体濾過量;ICU、集中治療室;IV、静脈内;MDRD、腎疾患における食事療法の変更;NSAID、非ステロイド性抗炎症薬;RRT、腎代替療法;SIRS、全身性炎症反応症候群。
(xv)マラリアまたは他の寄生虫感染の診断がある
(xvi)体表の>20%に火傷がある
(xvii)治験薬投与前の24時間より長い期間、AKI組み入れ基準に従ってAKI診断を受けたことがある
(xviii)1日目~7日目に非連続性RRTで治療されることが予想される
(xix)1日目~7日目に、試験実施計画書の基準に従っていない連続性RRTの開始または停止が予想される
(xx)AKIが敗血症以外の原因、たとえば、腎毒性薬(NSAID、造影剤、アミノグリコシド)、および腎灌流関連(急性腹部大動脈瘤、解離、腎動脈狭窄)に起因する可能性が最も高い
(xxi)治験薬投与前に、少なくとも26.2μmol/l(0.30mg/dl)の血清クレアチニンの改善
(xxii)腎毒性薬を使用し、スクリーニングでSA-AKI組み入れ基準を満たしている患者は、当該腎毒性薬の使用が継続されることが予定されている場合、これに代えて医学的に適切な場合に非腎毒性薬が利用可能である場合には、適格ではない。
(xxiii)既知の静脈内薬物乱用の病歴がある
(xxiv)治験責任医師または試験の現場担当者の従業員または家族の一員である
(xxv)活性の造血器腫瘍を有する
SA-AKIが最初に診断された後24時間以内、敗血症基準を満たした後96時間以内に治療が開始された(Levy et al. Crit Care Med 2003; 31:1250-6)。試験の第1部に登録された患者は、1:1:1:1の割り付け比率を使用して、プラセボまたは3つのRecAP用量(0.4;0.8;1.6mg/kg)のいずれかを1日1回3日間無作為に割り付けた。
120人目の患者の後、プライマリーエンドポイントデータに対する介入の無益性または優越性、および薬物(Emax)モデルの用量反応曲線に起因すると考えられる最大効果への適合性が評価された。中間解析は、次のように行われた。
中間解析:第2部の最適なRecAP用量を決定するために、第1部のデータに対して非盲検の中間解析が行われた。本解析は、主要有効性エンドポイントおよび第1部からの4つの治療群からの安全性データの選択と比較された。中間解析は、患者が無作為化され、7日間を終える前に死亡または中止されない限り、第1部における患者120人について最初の7日間の臨床検査室データが収集されたときに行われた。
盲検を維持するために、別の場所にいる非盲検のPPDバイオ統計チームが中間解析を行い、試験に関与した盲検PPDバイオ統計担当者に提供した。中間解析では、無益性解析が行われた。
効用分析:中間解析では、RecAP用量の有効性の証拠を示さないか否かを特定するためにデータが見直された。結果は、0.8の片側有意水準を用いて、プライマリーエンドポイントでの各RecAP用量とプラセボとの比較から評価された。この有意水準は、試験のための十分な全検定力を確保し、プラセボとの多重比較を可能にし、無益性解析のために選択された。無益性解析では、各RecAP用量は、プラセボとの比較の片側未調整p値が0.8未満である場合にのみ、有効性のいくつかの証拠を示したと見なされる。
最適なRecAP用量の選択:最適な用量は、プラセボと比較してクレアチニンクリアランスが最も安全に改善される用量として定義された。
DSMBがRecAPの用量レベルおよび/またはEmaxモデル(プライマリーエンドポイントの用量反応モデリング)を特定することに関し、異常な傾向を強く示す安全性の懸念を持たない限り、最適用量は、好ましくはRecAPの最高用量(すなわち、1.6mg/kg)であろう。
用量反応曲線に関して安全上の懸念および/または何らかの懸念があった場合、最適用量の選択は以下の有効性基準を使用して行われる。最適用量レベルは、安全性または/および用量反応モデリングの懸念がない用量レベルから選択されるであろう。
用量レベルの有効性は、プライマリーエンドポイントのプラセボとの比較のための片側未調整p値に基づいて決定される。つまり、最小のp値を有する用量が最も有効な用量であると考えられる片側未調整p値が0.025未満の用量は、プラセボよりもクレアチニン
クリアランスを有意に向上する考えられる。しかしながら、プラセボとの比較は、最も効果的な用量であると考えられる用量に対して2.5%レベルで有意である必要はなかった。複数の用量が同じ効果で最も効果的であると思われる場合、安全性データとEmax用量反応モデリングを詳細に調べて、最適な用量を選択する必要がある。
統計分析計画に記載されているように、適応的デザインは2つの治療群を中止し、第2部において患者は無作為に割り付けられ、プラセボ、またはプライマリーエンドポイント分析に基づいて選択されたRecAPの最適用量のいずれかを服用した。
II.無作為化および治験薬
無作為化スケジュールは、場所ごとに層別化された。治験薬の投与量の根拠(Peters et al. BMJ Open 2016; 6:e012371)を以下に述べる。
用量の根拠および薬物動態
試験における用量選択および各患者について投与のタイミング:ゲッティンゲンミニブタで、14日間にわたって維持された18mg/kg(10000U/kg)および36mg/kg(20000U/kg)の1日用量まで、健康なボランティアで、3.2mg/kg(2000U/kg)の単回投与まで、および1.6 mg/kg(1000U/kg)の1日3回の複数回投与まで、RecAPの前臨床試験および臨床試験において、用量制限毒性は観察されなかった。したがって、用量の根拠は、主に、1)観察された第1相RecAP PKパラメータ;2)ウシ腸アルカリホスファターゼ(BiAP)を用いた以前の試験で得られたトラフレベル(293U/l、0.171mg/l RecAPに対応);および3)BiAPを用いた以前の試験中に維持され、臨床活性に関連付けられた暴露量に基づいた。プラセボ群に加えて、本第2相試験の第1部について3つの用量レベル計画は、図1に示される。
PKシミュレーション実験を使用して、これらの計画は、濃度-時間曲線の下の領域をゼロから無限時間(AUC0-inf)まで提供し、2つの異なるBiAP研究に基づいて、推定された最小要件と同様であるか、または超えた投与後の血漿または血清最小濃度(Cmin)が観察された。さらに、30人の患者の3つの群を比較すると、これらの用量群は有意に異なる暴露を達成する可能性が高かった(第1相の患者で観察されたPK変動によって知らされるように)。PKシミュレーションを解析すると、RecAP低用量群は、十分な暴露を達成することが期待され、再注入前にCminが標的のトラフ濃度を下回ったのに対し、中用量および高用量群は、標的暴露およびCminを超えた。中間解析でのSTOP-AKIの第2相試験で臨床活動が異なることが観察された場合、提案された用量群の設計は、試験の第2部への継続のために最適なRecAP用量を明確に決定可能である可能性があった。
薬物動態:第1相で開発されたPKモデルは引き続き利用可能であり、同様の薬物動態特性を示す。PKモデルは、共変量分析が可能である。試験した共変量は、年齢、体重、BMI、人種、AKINステージ、RRT、ベースラインClCr、KIM、CRP、IL6、IL18、LBP、FeNa、BUN、アルブミン、ALAT、ASAT、およびビリルビンを含む。ベースラインのALATおよびASATを除いて、これらのパラメータは、いずれもRecAPのPKに影響を与えないようである。図6を参照のこと。
推定有効濃度を下回るトラフ血漿濃度に到達するために、最低用量が選択された。中等度用量および最高用量は、それぞれ推定有効濃度における、または当該濃度を超えるトラフ濃度を有するように選択された。SA-AKIが最初に診断されてから24時間以内に、その後24±1時間および48±1時間後に、治験薬を1時間の静脈内注入として投与した。推奨されるように(Okusa et al. Kidney Int 2014; 85:39-48)、腎毒性薬の投
与は可能な限り避けた。本試験に関与した担当者は、第1部および第2部の間、治療の割り付けを知らされていなかった。したがって、盲険を維持するために、APレベルは14日目まで測定されなかった(盲検の詳細は以下に示される)。
盲検化:RecAPは、静脈内注入用の透明で無色の発熱物質を含まない溶液として、水性緩衝液中8.0mg/mlでバイアルあたり40mgの含有量で供給された。対応するプラセボは、同じ方法で提供された。全てのアンプルおよび薬箱は、完全に同じ外観およびラベルを有した。試験に関与した全ての担当者は、治療の割り付けを知らされていなかった。無作為化計画は、異なる地域の場所で独立チームによって保持され、全ての患者が試験を完了し、データベースが試験の終了のために確定されるまで、盲検チームに明らかにされなかった。投与されたRecAPがAP活性を増加させ、参照範囲のAPレベルを何倍も超えるので、AP活性の決定、多くの場合定期的な臨床化学パネルの一部は、非盲検化および肝機能の誤った解釈につながる可能性がある。そのため、試験の最初の14日間に取得された試料からのAP活動レベルは、試験チーム構成員、または試験の実施に関与する他の試験スタッフの構成員に報告することは許されていなかった。14日後、RecAPの最終的な半減期を考慮すると、AP活動レベルは通常のレベルに戻ると予想された。したがって、14日目以降に取得された試料のAP活性の結果が報告された。
IV.アウトカム尺度
本試験の主な目的は、RecAPの最適な治療用量を調べ、腎機能(ECC)への影響を評価することであった。1日目から7日目までのECCを7で割って、時間補正(すなわち1日ごとに測定された)曲線(AUC)以下の領域として規定され、平均クレアチニンクリアランス(AUC1・/SUB>7 ECC)が提供される。腎代替療法(RRT)の要件は、主要な関連臨床パラメータであった。部位(Site)は、RRTの開始および終了の基準に従うように助言された(Bellomo et al. The Lancet 2012; 380:756-66.)。その他の腎エンドポイントには、血中尿素窒素(BUN)クリアランス、RRTなしの日数、腎機能(ECCおよび推定糸球体濾過量(eGFR))、および28日目(RRTまたは死亡<28日目)、60日目(eGFR<60ml/分、または慢性RRT、または死亡<60日)、および90日目(eGFR<60ml/分、または慢性RRT、またはAKI新規発症のための入院、または死亡<90日)におけるMAKE複合スコアを含む。図3を参照のこと。
安全性、忍容性、薬物動態(最初の120人の患者)、免疫原性、全身性および尿中バイオマーカ、およびSA-AKI患者の生活の質に対するRecAPの影響も調べられた。アプリオリ小群解析は、RecAP治療が特定の患者群で異なるレベルの有効性を示すか否かを決定するために計画された。安全性および腎臓以外のセカンダリーエンドポイントを含む全てのエンドポイントについて、以下で詳しく説明する。
試験のエンドポイント
プライマリーエンドポイント:プライマリーエンドポイントは、7日間の標準化された内因性クレアチニンクリアランス値の平均として計算された、1日目から7日目までの時間補正内因性クレアチニンクリアランス(ECC)曲線下の面積(AUC1-7)であった。尿は5~7時間収集され、ECCは尿および血清クレアチニン濃度および尿量から計算された。ECCは、1日目から7日目まで毎日決定された。完全なAUCが計算され、7で割って平均ECCがもたらされた。
セカンダリーエンドポイント
(a)主要セカンダリーエンドポイント:主要セカンダリーエンドポイントは、1日目(最初の治療後)から28日目までの間のRRT発生率であった。
(b)その他のセカンダリーエンドポイント:
腎臓
腎臓エンドポイントは、以下のものを含んでいた。
・時間当たりに標準化された尿の量(1日目から7日目まで毎日を含む、および信頼性のある6時間採尿が可能である場合、それに続く訪問日)。
・血清クレアチニンおよびBUN/尿素(1日目から7日目まで毎日を含み、および以降の訪問日を含む)。
・BUN/尿素クリアランス(1日目から7日目まで毎日を含み、および信頼性の高い採尿が可能である場合はそれに続く訪問日)。
・血清クレアチニンのピーク値およびBUN/尿素のピーク値(1日目から7日目までの期間中を含む)。
・RRTのない日:無作為化から28日目までのRRTに依存しない生存日数を含む。サポートのない日数は、本明細書において説明されたように計算された。統計分析計画では、サポートのない日は、「患者がサポートを受けなかった日」(RRT/機械的人工換気/昇圧剤/変力剤)と定義され、最後の観察は死亡または離脱の場合に繰り越された。
・RRTの合計日数(1日目から28日目までの期間を含む)。RRTの日は、患者が任意の期間、任意の形式のRRT(中断を伴うRRTを含む)を受けた日と定義された。
・RRTの開始の理由(1日目から28日目までの期間を含む)。
・利用可能な場合は測定されたクレアチニンクリアランスによって評価され、そうでない場合はeGFR(血清クレアチニン濃度に基づくCKD-EPI式で推定)によって評価された、14日目、21日目、および28日目の腎臓機能。。
・eGFR(血清クレアチニン濃度に基づくCKD-EPI式で推定)によって評価された60日目および90日目の腎臓機能。
・eGFR<60mL/分で定義された、60日目および90日目における持続的な腎機能低下(eGFRは、血清クレアチニン濃度に基づくCKD-EPI式で推定された)。
・60日目および90日目の透析依存症の発生率。
その他の臓器
腎臓以外の臓器のためのエンドポイントは、以下のものを含んでいた。
・APを除く肝酵素(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST]、アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ[GGT]、乳酸脱水素酵素[LDH]、ビリルビン)。
・肺機能は、分圧動脈酸素(PaO)/吸気酸素の割合(FiO)(P/F比)、Carricoインデックス、呼気終末陽圧(PEEP)、および人工呼吸器装着患者の1回換気量で評価された。
・人工呼吸器のない日数:無作為化から28日目までの、機械換気に依存しない生存日数を含む。人工呼吸器の非使用日は、患者が人工呼吸器(侵襲的または非侵襲的な人工呼吸器)を使用していない日と定義された。
・本期間の開始時に人工呼吸器を使用していた患者の、治験薬の最初の投与開始から人工呼吸器の停止までの時間(1日目から28日目までを含む)。
・ショックなしの日。無作為化から28日目までの、昇圧薬/変力薬療法に依存しない生存日数を含む。患者は、昇圧剤または変力剤(ノルアドレナリン、アドレナリン、ドブタミン、ドーパミン、バソプレシン、またはエノキシモンを含み、これらに限定されない)を使用していなかった場合、ショックがないと見なされた。サポートなしの日数は、本明細書において説明されたように計算された。統計分析計画では、サポートなしの日は、「患者がサポートを受けなかった日」(RRT/機械換気/昇圧剤/変力作用)と定義され、最後の観察は死亡または離脱の場合に繰り越された。
・この期間の開始時にショックがなかった患者について、治療薬の最初の投与の開始からショックがなくなるまでの時間(1日目から28日目までを含む)。
・ICU/中間ケア滞在中の連続臓器不全評価(SOFA)スコア。
・SOFAスコアで評価された機能不全の臓器の数(基準から28日目までを含む)。
・90日間の試験期間中の死亡(記録日による)。
バイオマーカ
バイオマーカエンドポイントには、以下のものが含まれた。
・腎臓機能マーカ。
・尿細管傷害バイオマーカ。
・全身性炎症バイオマーカ。
・試験の第1部の間における3つの実薬治療群におけるRecAPの薬物動態。
・RecAP PK濃度測定に加えて、ベースライン(投与前)APが活性によって測定された。(中央研究所)
その他のエンドポイント
さらなるエンドポイントは、次のものを含んでいた。
・3つの主要な腎障害イベント(MAKE)の複合エンドポイント:次の基準の少なくとも1つに適合した、または適合しなかった患者:
○ MAKE複合エンドポイント1:RRTを受けたか、または死亡した(28日目より前[を含む])。
○ MAKE複合エンドポイント2:60日目においてeGFR<60ml/分(CKD-EPI式で推定);または透析依存;または死亡(60日目以前)。
○ MAKE複合エンドポイント3:90日目におけるeGFR<60mL/分(CKD-EPI式で推定);または透析依存;AKIの新規発症で入院した(90日目)、または死亡した(90日目以前)。
・免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンE(IgE)、および総免疫グロブリンによって評価された血清学。
・(高度な)有害事象、臨床検査室での評価(臨床化学、血液学、および有効性分析では考慮されない尿検査パラメータ)、バイタルサイン、およびECGデータなどの安全性パラメータ。
・ベースライン、ICU/中間ケア退院、および90日目のEQ-5Dアンケートで評価された生活の質。
・治療の最初の投与開始からICU/中間治療からの退院までの時間。退院は、患者を移動する決定がなされた時として定義された(配置の問題により遅延する可能性があった実際の移動の時間ではない)。
・実際の移動時間を用いる、治験薬の最初の投与開始からのICU/中間治療における合計時間(1日目から28日目までの期間、および1日目から90日目までの期間を含む)。
・治療の最初の投与開始から退院までの時間。退院は、(実際の移動の時間ではなく)患者を転院することが決定された時として定義された。
・患者の退院が決定された時間を使用した、治験薬の最初の投与開始から(1日目から28日目までの期間を含み、および1日目から90日目までの期間を含む)病院での合計時間。
V.統計解析
インフォームドコンセントが得られ、無作為に治療群に割り付けられた患者の治療企図に従って、データが分析された。症例数の計算に関連する詳細は、以下に示される。
症例数の計算
症例数は、第1部では治療群ごとにn=30人の患者の症例数が計画され、
第2部では追加のn=85人の患者が最適なRecAP用量群およびプラセボ治療群に採用された(n=290人の患者の合計症例数)。SASソフトウェアV.9.2を使用してカスタムプログラムのシミュレーションを実行し、選択した症例数の検出力および第1種の過誤率を決定し、様々な用量反応シナリオで設計した。各シナリオでは、プライマリーエンドポイントの標準偏差を49ml/分と想定し、プラセボ群の応答を60ml/分と想定し、RecAP用量群について、60mL/分(治療効果なし)から79ml/分(強い治療効果)までとを想定した。
片側第1種過誤率が2.4%である(したがって、片側2.5%の有意水準で十分に制御されている)ことを示すために5万回のシミュレーションが行われた。検出力は、1以上のRecAP投与群に治療効果がある場合の(治療群間の差がない)帰無仮説を棄却する確率として定義され、69.5ml/分の応答として定義された。このことは7つのシナリオで調査され、1万回のシミュレーションがそれぞれ行われた。選択された設計は、中RecAP用量群および高RecAP用量群に強力な治療効果があるシナリオで79%~86%の検出力を達成した。低用量群では反応が異なり、高用量群のみが強い治療効果を示した場合、66%~67%の間であった。症例数の決定は、治療企図(ITT)分析に必要な患者数に基づいていたので、無作為に割り付けられ、その後、試験の完了前に中止した患者は置き換えられなかった。
統計分析計画に詳述されているように、試験実施計画ごとの分析は、試験実施計画に従って治験薬を服用した患者の介入群およびプラセボ群と比較され、1~7日目において2つ未満の欠測ECC値しか有さなかった。
記述統計について、連続変数は、分布に応じて、標準偏差の平均値、または四分位範囲の中央値として表示される。正規分布変数は、スチューデントt検定を使用して比較された。Mann-Whitney U検定を使用して、非正規分布変数を比較した。カテゴリー(およびバイナリ)変数は、パーセンテージ付きの数値として表示され、カイ2乗検定を使用して分析される。カプラン・マイヤー曲線を用いた生存分析をグラフ表示に使用した。Cox比例ハザード回帰分析を使用して、プラセボに対してRecAPを使用して、試験1~28日目の、生存期間について、RRTのない日数、ショックのない日数、および人口呼吸のない日数についてハザード比を推定した。
主要有効性エンドポイントの分析は、分散分析によって行われた。セカンダリーエンドポイントで行われた全ての分析は探索的な目的のみで行われたので、多重度の調整は必要なかった。RecAP効果の頑強性を確立するために、事後多変量解析が行われた。全ての統計的検定(SASソフトウェアバージョン9.4、SAS Institute社、ノースカロライナ州ケアリー)は、治療企図母集団に対して行われ、5%の有意水準を用いて両側検定が行われた。
結果
I.参加者
初期選別を通過した326人の患者は、301人の患者が、欧州連合および北米における11カ国の53の地域にわたって登録された(図4)。患者は、RecAP 0.4mg/kg、(n=30)、0.8mg/kg、(n=32)、1.6mg/kg(第1部ではn=29、第2部ではn=82)、またはプラセボ(第1部ではn=30、第2部ではn=86)を服用した。無作為化は、群間における腎機能のわずかなベースラインの相違を除いて、バランスのとれた人口統計学的特性および患者特性をもたらした(図5)。
II.有効性アウトカム
試験の用量設定第1部では、0.4mg/kg、0.8mg/kg、1.6mg/kgのRecAPで治療された患者のAUC1・/SUB>7ECCの中央値は、プラセボ群の46.2ml/分と比較して、それぞれ47.0ml/分、63.5ml/分、60.7ml/分であった。図7を参照のこと。
中間解析後、DSMBは、RecAP 1.6mg/kgで試験を続けるように助言した。統計分析計画に従って、一次解析においてRecAP 1.6mg/kg群の効果のみがプラセボ群の効果と比較された。第1部および第2部のRecAP 1.6mg/kg群のデータを組み合わせると(n=111)、RecAP治療の主要な有効性アウトカム(AUC1-7ECC)とプラセボ(n=116)との間に有意差は観察されなかった。さらに、RRTの要件は、RecAP治療によって有意に影響されなかった(図8)。
治験薬注入はAKIの診断後できるだけ早く開始されたので、患者のクリアランスデータの半分未満は0日目で得られた。図9Aおよび図9Bにおいて、ECCおよびBUNクリアランスの差は、1日目から計算された。28日目以降の、ECC(P=0.036)(図9A)およびBUNクリアランス(P=0.033)(図9B)の改善は、21日目以降に発生した差に基づいて、プラセボを服用している患者と比較してRecAP治療を受けた患者で向上した。
RecAPによる治療は、MAKE28に影響を与えなかったが、60日目(P=0.045)および90日目(P=0.031)のMAKEの発生率がプラセボと比較して有意に低下した(図8)。
28日目までの全死因死亡率は、プラセボ群に対してRecAP群で統計的に有意に低かった(それぞれ14.4%対26.7%;P=0.022)。図10は、90日目までの死亡率を示す(好ましい治療、P=0.030)。同様の生存利益は、RecAP 0.8mg/kg投与群で観察された。全ての群のカプラン・マイヤー生存曲線を示す図11を参照のこと。
炎症性および腎障害バイオマーカ、ならびに他の非腎エンドポイントは、RecAP治療による有意な影響を受けなかった。図12(表は、全ての群のプライマリーエンドポイントおよびセカンダリーエンドポイントを示している)、および図13A~31Eを参照のこと。
試験実施計画ごとの分析にによって、同等の結果が得られた。
生存期間におけるRecAP媒介効果の頑強性を試験するために、逐次臓器不全評価(SOFA)小群および共変量としての試験群を含む事後多変量分析が行われた。RecAPによる治療は、生存期間と有意に関連したままであった(ハザード比0.50、95%CI 0.28~0.90、P=0.02、図14を参照)。
III.小群解析
プライマリーエンドポイントおよび主要なセカンダリーエンドポイントにおける統計的に有意な影響は、アプリオリで定義された小群では観察されなかった。図15A~15Lを参照のこと。ベースラインおよび1日目のECCは、AUC1-7ECCと強く相関し[r=0.88、共通勾配1.023(95%信頼区間[CI]0.946-1.100);P<0.0001]、初期腎機能の関連性を示す。
IV.安全性
RecAP 1.6mg/kgを服用した患者の43%、およびプラセボを服用した患者の50%で、治療下で発現した重篤な有害事象が報告された。図16を参照のこと。有害事象(AE)の発生率および性質におけるRecAPの用量依存性は、観察されなかった。抗薬物抗体力価は、RecAPで治療された9人の患者の検出限界をわずかに超えていた。
考察
SA-AKI患者を被検体とした多国籍二重盲検無作為化比較対照試験では、標準治療にRecAPを追加すると、腎機能の回復の改善および持続、および複合MAKEエンドポイントを含む長期臨床アウトカムに関連する生存期間に大きな影響があった。本試験は用量決定概念検証第2相試験であったので、腎機能障害(たとえば短期ECC)と、長期的で、患者中心の臨床アウトカム(たとえばMAKE60~90日目、生存期間)との両方に関連するエンドポイントを含めるように設計された。
機能は、死亡と競合するエンドポイントであり、したがって、臨床アウトカムとは異なっていてもよい(Billings et al. Nephron Clinical practice 2014;127:89-93)。本試験では、機能的測定値における死亡に対するペナルティは使用されなかったので、生存曲線の分離によって、観察された短期および長期の治療効果の違いを説明し得る非生存者の機能を説明することが困難になる。
敗血症において、損傷は腎臓全体で不均一であることが知られており、巣状尿細管障害が最も一般的な組織学的所見である(Kellum et al. Nat Rev Nephrol 2018)。これに対して、腎機能は世界的な尺度である。その結果、臓器機能の急性測定は、後になって初めて明らかになる根本的な臓器損傷を偽って伝え得る。RecAPは、腎臓の損傷を減らし、促進された臓器機能は数週間後に現れる。いくつかの追加の理由は、短期ECCへの観察されたRecAPにとって有望であり、およびその長期的臨床結果にに対する肯定的な効果である。第1に、クレアチニンおよびそのクリアランスは腎機能を推定するための精度に限界があると認識されている(Shemesh et al. Kidney International 1985; 28:830-8; Perrone et al. Clin Chem 1992; 38:1933-53)が、現在利用可能な実行可能な代替案はない。第2に、無作為化にも関わらず、群間の腎機能にわずかな不均衡があった。以前の研究(Kellum et al. Am J Respir Crit Care Med 2017; 195:784-91)、および本試験は、腎不全が高度になるとアウトカムが悪化するので、初期の腎機能障害の程度が腎臓回復および生存期間の程度を決定することを示している。したがって、いくらか障害のある腎機能が、最初の週にECCの改善が見られない原因となっている可能性がある。第3に、治療群間のECCの回復における統計的に有意な差は21日目以降に現れた。第4に、RecAP治療群の有意に高い生存率は、最も重症であるが生存している治療群の患者の腎機能不良がECCを減衰させた可能性があるので、一次および主要な二次アウトカムに影響を及ぼした可能性がある。興味深いことに、治療群における生存期間の利益は、他のエンドポイント、たとえば生活の質に悪影響を与えなかった。生存期間におけるRecAPの効果の頑強性をさらに調べるために、我々は、生存期間に影響を与えることが知られているSOFA小群を含む事後多変量解析を行った。本解析では、治療群への無作為化は依然として生存期間の強力な予測因子であった。
大規模な本試験において、我々は、広い臨床使用に適したヒト組み換えAPを評価した。尿細管細胞への直接作用によって腎臓の保護がどの程度媒介されるか、または全身作用が腎臓への損傷を間接的にどの程度保護するのか、または敗血症を改善する一般的な効果として腎機能が改善するのかは、依然として不明である。一方、APは虚血性発作(Khundmiri et al. Am J Physiol 1997; 273:849-56)に続いて腎臓で枯渇し、RecAPは
分離されたヒト近位尿細管細胞の炎症反応を減衰させる(Peters et al. Br J Pharmacol2015; 172:4932-45)。他方、全身の解毒特性は、循環炎症マーカのより迅速な正常化につながる可能性があり(Pickkers et al. Crit Care 2012; 16:R14)、間接的に腎臓に利益をもたらす。腎組織への直接的な影響が現れることが重要であると考えられる。RecAPによる治療は腎炎症を弱めることができ、それによってその有害な長期的影響に影響を及ぼし、および/またはRecAPは一次損傷自体の防止に対してAKIからの腎回復を高める可能性がある。
結論として、RecAP療法は、安全で忍容性が高いと考えられた。AKIを伴う敗血症患者では、RecAP治療によって、長期腎機能、MAKE60-90、および生存期間の大幅な改善が見られた。
ベースラインECCまたはベースラインeGFRに従って定義された腎疾患の重症度に従って患者が層別化された事後分析では、中等度から高度の障害を有する患者、および高度の腎障害を有する患者に対するRecAPの投与に起因する明確な影響が明らかになった。図17を参照のこと。軽度SA-AKIは、患者の死亡率を増加させず、APの投与はその母集団の生存期間には何の影響も与えなかったようである。中等度から高度SA-AKI群でも同じことが観察された。驚くべきことに、ベースラインeGFR<60ml/分を示した患者は、ECC<15ml/分群と同様に、死亡率に関してAP投与から利益を得る。図22を参照のこと。一方、APによって治療された高度SA-AKIを有する個体(ECC<15ml/分によって決定される)は、AP治療またはプラセボ治療された、中等度から高度損傷群および軽度損傷群と同等の生存率を有した。これに対して、プラセボで治療されたSA-AKI患者の生存率ははるかに低くなった。敗血症の発症後3日間、RecAPを1000U/kgの用量で投与した高度SA-AKI患者の治療は、治療後90日目まで劇的な生存期間の延長(>20%)をもたらした。さらに、腎機能の統計的に有意な増加(クレアチニンクリアランスの増加)は、治療後21日目および28日目において中等度から高度SA-AKIで観察された。腎機能の向上は、高度SA-AKI群で観察された。図18、19および20も参照のこと。図18に示されるモデル適合統計、たとえばR2乗および対数尤度比(LR)試験は、連続モデル(モデル1)にとっては、パラメータが1つ少ないカテゴリカルモデル(モデル2)と比較して、それに匹敵する、むしろわずかに優れていることを示している。ただし、カテゴリーモデルは、ハザード比(HR)として解釈可能な係数を提供する。
[実施例2]
RecAP酵素活性およびタンパク質濃度の測定
活性アッセイ:
recAP酵素活性の測定は、黄色に着色された4-ニトロフェノールへの4-ニトロフェノールホスフェートの転化(加水分解)に基づくものであった。405nmでの単位時間あたりの光学密度の変化は、アルカリホスファターゼ活性の指標である。アッセイ緩衝液は、2mM MgClおよび0.1mM ZnClおよび8.5mM 4-ニトロフェノールホスフェートを有する、25℃でpH9.6の0.25M グリシン緩衝液から構成された。
U/mLで表わされるrecAPのユニット(U)定義は、pH9.6および25℃で毎分1μmolの4-ニトロフェノールホスフェートの加水分解を引き起こす酵素の量である。
タンパク質濃度:
RecAP製剤原料および医薬品の総タンパク質濃度の測定は、UV/Vis分析によって行った。RecAP溶液は、280nmで分析され、吸光度は以下の式を用いたタンパク質含有量(mg/mL)の測定値である。
濃度(mg/mL)=[A/(a×b)]×DF A=A280;b=経路長;a=1.01 mL mg-1 cm-1の質量吸光係数;DFは希釈係数である。
***
概要および要約ではなく、詳細な説明が、特許請求の範囲を解釈するために使用されることを意図していることを理解されたい。概要および要約は、発明者によって企図される本発明の例示的な実施形態の全てではなく、1以上を説明してもよく、したがって、本発明および添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明は、その特定の機能および関係の実施を示す機能構成ブロックを用いて説明されている。これらの機能的構成ブロックの境界は、説明の便宜上、本明細書において任意に定義された。指定された機能とその関係が適切に実行される限り、代わりの境界を定義することができる。
上記の特定の実施形態の記載は、本発明の一般的性質を十分に明らかにしており、当業者は、過度の実験をすることなく、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を、種々の用途のために、当業者の範囲内の知識を適用することにより、容易に変更および/または適合させることができる。したがって、そのような適合および修正は、本明細書に示された教示およびガイダンスに基づいて、開示された実施形態の同等物の意味および範囲内であることが意図されている。本明細書の表現または用語は、本明細書の表現または用語が教示および指導に照らして当業者によって解釈されるように、限定ではなく説明を目的とするものであることを理解されたい。
本明細書の表現方法または専門用語は、限定ではなく説明を目的とするものであり、本明細書の専門用語または表現方法は、その教示および指導に照らして当業者によって解釈されるものであることを理解されたい。
本願で引用された、全ての、出版物、特許、特許出願、および/またはその他の文書は、あたかも、個々の、出版物、特許、特許出願、および/またはその他の文書が、それぞれ、あらゆる目的のために参照によって組み込まれるべく示されているのと同じ程度に、あらゆる目的でその全体が参照によって組み込まれる。

Claims (20)

  1. 治療が必要な対象における敗血症関連急性腎障害(SA-AKI)を治療するための方法であって、
    有効量のアルカリホスファターゼ(AP)を前記対象に投与することを含み、
    (i)前記対象は、APによる治療前に60ml/分以下のECC(内因性クレアチニンクリアランス)量、またはAPによる治療前に60ml/分以下のeGFR(推定糸球体濾過量)を有し、
    (ii)前記APは、少なくとも500U/kg~2,000U/kgの用量で投与され、
    (iii)前記APの投与は、腎機能の向上をもたらすことを特徴とする方法。
  2. 前記対象は、APによる治療の前に、中等度の腎障害(15~60ml/分のECC)、または15~60ml/分のeGFRを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記対象は、APによる治療の前に、高度の腎障害(<15ml/分のECC)を有する、または15ml/分未満のeGFRを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記対象は、APによる治療の前に、軽度の腎障害(>60ml/分のECC)を有さないか、または60ml/分を超えるeGFRを有さないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記APは、ヒトAPであることを特徴とする請求項1~4に記載の方法。
  6. 前記APは、組み換えAPであることを特徴とする請求項1~5に記載の方法。
  7. 前記組み換えAPは、キメラであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記キメラAPは、RecAPのアミノ酸配列(配列番号1)に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 腎機能の向上は、非治療下におけるECCに対するECCの増加、または非治療下におけるeGFRに対するeGFRの増加を含むことを特徴とする請求項1~8に記載の方法。
  10. 敗血症は、AP投与前96時間未満で検出されることを特徴とする請求項1~9に記載の方法。
  11. 前記敗血症は、SA-AKI検出前72時間未満で検出されることを特徴とする請求項
    1~10に記載の方法。
  12. 治療は、敗血症が検出された後24時間以内に開始されることを特徴とする請求項1~11に記載の方法。
  13. 治療は、SA-AKIが検出された後24時間以内に開始されることを特徴とする請求項1~12に記載の方法。
  14. APは、1日1回投与されることを特徴とする請求項1~13に記載の方法。
  15. APは、静脈内に投与されることを特徴とする請求項1~14に記載の方法。
  16. APは、毎日3回の用量で投与されることを特徴とする請求項1~15に記載の方法。
  17. AP用量は、RecAPの、0.8mg/kg、または1.6mg/kgであることを特徴とする請求項1~16に記載の方法。
  18. AP用量は、RecAPの、500U/kg、または1000U/kgであることを特徴とする請求項1~17に記載の方法。
  19. 少なくとも1回のAPの投与は、腎代替療法(RRT)を受けている対象におけるRRTの期間の短縮または中止をもたらすことを特徴とする請求項1~18に記載の方法。
  20. 少なくとも1回のAPの投与は、対象において、糸球体濾過量(GFR)またはeGFRの維持または増加をもたらすことを特徴とする請求項1~19に記載の方法。
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