JP2022071866A - 組織サンプル切断中に外側カニューレ内に半径方向に中心位置決めされたままとなるコアコレクタを具備する生検システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来技術の欠点を解消する生検器具及び方法を提供する。【解決手段】 コアコレクタは断面においてクレセント形状をしており且つ軸方向に離隔された歯からなる軸方向に延在する列に形成された横方向側部を具備している。該クレセント形状の円弧角度は、該クレセントの横方向側部をカニューレの内側に当接させることによって該コアコレクタを該カニューレ内に半径方向に中心位置決めされた状態を維持するのに十分である。コアコレクトとカニューレとのセットは、既知のカニューレ及びコアコレクタを置換させるために既知の生検システムにおいて使用することが可能であり又は新しいコア生検器具において使用することが可能である。【選択図】 図1A
Description
本特許明細書は、前立腺組織サンプルを含む軟組織サンプルを採取する医学装置に関するものである。幾つかの実施例は、組織サンプルを切断する外側カニューレと相対的に半径方向に中心位置決めされたままとなるコアコレクタに関するものであり、且つその他は組織をサンプルするための外側カニューレ及びコアコレクタを駆動する装置を包含しており、及び代替的なコアコレクタ構成に関するものである。
本出願は2020年2月4日付けで出願された仮特許出願シリアル番号62/955,559号の優先権を主張するものであり且つ前記仮出願の内容を引用により取り込むものである。
超音波、MRI、X線イメージング等のイメージング様式又は手動検査を介して患者の前立腺又は別の領域において疑わしい組織が発見される場合には、その組織が癌細胞その他の興味の或る細胞を包含するものであるか否かを判別すること又はその他の情報を得ることを助けるためにその組織の一つ又はそれ以上のサンプルを除去するために生検手順を実施することが望ましい場合がある。生検はオープン又は経皮的方法を使用して実施することが可能である。前立腺組織の場合には、典型的にコアニードル装置が使用され、それは前立腺に経直腸的に(TRUS)又は経会陰的に(TPUS)入り込む。手順のために2人以上を必要とする複雑な前立腺サンプリング装置がある。そして、より一層簡単な装置があり、その内の幾つかは一人の患者に使用したあとに廃棄することが可能である。米国特許第5,546,957号、第5,526,822号、及び第10,463,350号、及び米国公開特許出願2016/0166331は、生検装置の例について記載している。前記特許及び公開出願の内容は引用により本特許明細書内に取り込むこととする。バードマグナム(Bard Magnum)と呼ばれるコア生検装置はアリゾナ州テンペにあるBD Bardから市販されているものと思われ、且つその他の製造業者から入手可能な同等の装置もある。
典型的に、既知の従来技術のコア生検器具はコアコレクタを取り囲む外側カニューレのセットを使用する。初期的には、コアコレクタは、その鋭利な先端部のみが末端部から突出するように該カニューレの内部にある。この形態において、該カニューレとコアコレクタとは一体として該鋭利な先端部が興味の或る領域にあるか又はその内側となるまで組織内に挿入される。次いで、該コアコレクタが組織内に遠位方向に飛び出し、且つ組織は該鋭利な先端部から近位方向にあるノッチ内に飛び込む。ほんの一瞬後に、該カニューレが該コアコレクタと相対的にその初期位置へ遠位方向に飛び出す。該カニューレは、鋭利な遠位端部を有しており、それは、この遠位方向運動において、該ノッチ内に入った組織の幾らかを切断する。該カニューレ及びコアコレクタは該組織から引き抜くことが可能であり、且つ該カニューレとコアコレクタとを互いに軸方向に動かして該ノッチを露出させた後に該サンプルを取り出す。
図17Aは鋭利な遠位端部1710aを有するカニューレ1710と鋭利な遠位先端部1712a及びノッチ1712bを有するコアコレクタ1712とからなる典型的な市販されているセットの遠位部分を示している。図17Bは完全な市販されているセットをより詳細にではなく示しており、その場合には、係合要素1712cがコアコレクタ1712の近位端に固定されている。この要素又は同様の係合要素は、最初にコアコレクタを次いでカニューレを遠位方向に飛び出させるためにスプリング負荷機構などの夫々の駆動機構と係合する。図18は、採取すべき組織1810の近傍においてカニューレ1710とコアコレクタ1712の幾つかの相対的な位置を例示している。最初の図は初期位置を示しており、その場合には、コアコレクタ1712の鋭利な遠位端1712aがカニューレ1710から突出しており、且つノッチ1712bはカニューレ1710内部にある。この例における組織1810は、皮膜1810a及び石灰化1810b等のより密度の高い組織を包含している。次の図は、コアコレクタ1712の遠位方向運動における中間点を示している。顕著に、ここでは、該一層密度の高い組織がコアコレクタを上方へ向きを逸らせてノッチ1712bを曲げており、その一層密度の高い組織内へ侵入することはない。次の図は、カニューレ1710から遠位方向に完全に伸長したコアコレクタ1712を示している。カニューレ1710とコアコレクタ1712のこの相対位置において、幾らかの組織(不図示)が上方からノッチ1712b内に入っている。次の図は、コアコレクタ1712のノッチ1712bにわたって途中まで遠位方向に前進した外側カニューレ1710を示しており、該組織の幾らかをノッチ1712b内に切断している。最後の図はコアコレクタ1712と相対的なカニューレ1710の最終位置を示しており、その場合には、カニューレ1710の遠位方向運動がノッチ1712b内に組織を切断している。しかしながら、示されているように、カニューレ1710の底部表面とノッチ1712bとの間にはギャップがあるために、2つの不所望の効果が発生している。一つは、ノッチ1712bにわたってのカニューレ1710の遠位方向運動の殆どの期間中においてのノッチ1712bの上部側とカニューレ1710との間の減少された空間が組織サンプルを伸長させる場合があり及び/又はそれを一塊とさせるか又はそれを断片化させる場合があり、それによりオリジナルの組織の代表的サンプルとしての価値を低下させることとなる。別のことは、回収される組織の体積が、最初の図において見られるカニューレ1710の内側とノッチ1712bの上部表面との間の空間の初期体積よりも実質的により小さいものとなる場合がある。図19はサンプル体積のこの減少を示しており、左側の図はカニューレ1710の内側とノッチ1712bの上部表面との間の組織に対する潜在的な体積1910を示しており、且つ右側の図は、上述したように、カニューレ1710の下部部分とノッチ1712bの下側との間のギャップと、ノッチ1712bにおけるコアコレクタ1712の上方への逸れに起因して減少した体積1912とを示している。
本特許明細書は、既知の生検器具の幾つかの欠点を解消すると共に以下に詳細に説明するようにその他の利点を提供する生検器具に関するものである。
幾つかの実施例に基づく生検器具は、長手軸に沿って延在しており且つ内側壁と鋭利な遠位端とを具備している筒状カニューレ、前記軸に沿って該カニューレとの相対的な運動のための該カニューレ内に嵌合しており且つ鋭利な遠位先端部と前記軸に沿って該鋭利先端部から近位方向に延在しているクレードル部分とを具備しているコアコレクタ、を有しており、(a)該コアコレクタの前記クレードル部分は凸状底部表面と凹状底部表面とを有しており側壁が前記クレードル部分を形成しており、(b)前記側壁は該カニューレ内にある場合に該カニューレの内側壁に対して耐えその際に該コアコレクタを該カニューレ内に中心位置決めに維持し且つ該コアコレクタの底部表面を該カニューレの内側壁に対して維持する形態とされており、(c)該コアコレクタの前記側壁は歯の複数の列を有しており、前記複数の列の各々の歯は前記軸に沿って互いに離隔されており、及び(d)前記歯は、該コアコレクタが該カニューレから遠位方向に飛び出ている間に前記クレードルに入った組織と係合し、且つ、該カニューレが該クレードル上を遠位方向に移動する場合に、該カニューレが周りの組織から組織サンプルを切断する場合に前記組織が歪曲しないように維持しそれにより前記軸に沿っての該組織サンプルの構造的一体性を維持する形態とされている。
幾つかの実施例によれば、該生検器具は、更に、以下の特徴、即ち、(1)前記歯が、該カニューレが前記軸に沿って該クレードル上を移動することによって該サンプルを周囲の組織から切断する場合に該組織サンプルが前記軸に沿って圧縮及び/又は伸長することが無いように戦記組織を係合する形態とされていること、(2)前記側壁の各々の歯は、幾つかの断面は両方の列の歯を包含しており、幾つかは該複数の列の内の一つの列の1個の歯のみを包含しており、及び幾つかは前記複数の列の内の他の列の1個の歯のみを包含しているように他の側壁の歯と相対的にずらされていること、及び(3)該断面の各々において、該カニューレの内側表面の頂部と1個の歯との間の垂直距離は該内側壁の直径の半分を超えるものではなく、それにより該クレードル上を該カニューレが移動する場合の切断動作を与え、そのことは周囲の組織から切断される前の一体性と比較して該サンプルの構造的一体性を維持することを容易としていること、の内の一つ又はそれ以上を包含している。
幾つかの実施例によれば、生検器具は、長手軸に沿って延在しており且つ内側壁と鋭利な遠位端とを具備している筒状カニューレ、前記軸に沿って前記カニューレと相対的に移動するために前記カニューレ内に嵌合しており且つ鋭利な遠位先端部と該鋭利な先端部から近位方向に前記軸に沿って延在しているクレードル部分とを具備しているコアコレクタ、を有しており、(a)該コアコレクタの前記クレードル部分は前記軸に沿って伸長されており且つ前記クレードル部分を形成している側壁を具備すると共に凸状底部と凹状上部表面とを具備しており、(b)該コアコレクタの前記側壁が前記軸と一致する前記内側壁の中間面上方に延在しており且つ複数の歯からなる複数の列を有していて前記複数の列の各々の列の複数の歯は、前記軸に沿って互いに離隔されており且つ該クレードルの幾つかの断面が両方の列の歯を包含し、幾つかが該複数の列の内の一つの列の1個の歯のみを包含し、且つ幾つかが前記複数の列の内の他方の列の1個の歯のみを包含するようにずらされており、及び(c)前記複数の歯は、該コアコレクタが該カニューレから遠位方向に飛び出ている間に前記クレードルに入った組織と係合し且つ周囲の組織から組織サンプルを切断するために該カニューレが該クレードル上を移動する際に前記組織が歪曲しないように維持してそれにより前記組織サンプルの構造的一体性を維持する形態とされている。
幾つかの実施例によれば、すぐ上のパラグラフの器具は、更に、以下の特徴、即ち、(1)前記複数の歯が前記軸に沿って該組織サンプルの構造的一体性を維持する形態とされていること、(2)前記複数の歯が前記軸を横断する方向において該組織サンプルの構造的一体性を維持する形態とされていること、且つ(3)前記複数の歯が前記軸に沿って及び前記軸を横断する方向において該組織サンプルの構造的一体性を維持する形態とされていること、の内の一つ又はそれ以上を有している。
幾つかの実施例によれば、生検器具が、内側壁と鋭利な遠位端とを具備している軸方向に延在している筒状カニューレ、鋭利な遠位先端部と該鋭利な先端部から近位方向に延在している近位部分とを具備している軸方向に延在しているコアコレクタであって該カニューレと該コアコレクタとの間の相対的運動のために該カニューレ内に嵌合する形態とされているコアコレクタ、を有しており、該コアコレクタの前記近位部分は、その断面の全てではなくその幾つかにおいて、凹状上部表面と凸状底部と横方向先端部とを具備するクレセント形状をしており、前記クレセント形状は十分に大きな円弧角度にわたって延在していて、前記横方向先端部が前記内側壁に当接することによって、前記近位部分を前記カニューレ内に半径方向に中心位置決めした状態を維持し且つ前記底部を該カニューレの該内側壁に当接させた状態を維持し、それにより組織サンプルに対する開放空間を提供し、及び該コアコレクタの該クレセント形状をした近位部分の前記横方向先端部の各々が互いに軸方向に離隔された複数の歯からなる1個の列を有している。
幾つかの実施例によれば、直前のパラグラフの器具は、更に、以下の特徴、即ち、(1)該コアコレクタの該近位部分の前記底部が該カニューレの内側壁の円周の半分を越えて延在していること、(2)前記複数の歯が滑らかに研磨されていること、(3)前記コアコレクタの前記近位部分が固体の棒体から機械加工したものであること、及び(4)該器具は、更に、該コアコレクタの前記近位部分が選択した距離だけ該カニューレから遠位方向へ突出するように最初に該コアコレクタを次いで前記開放空間内に延在する組織サンプルを切断するために該カニューレの該鋭利な遠位端が該コアコレクタの前記鋭利な遠位端へ前進するように該カニューレを遠位方向に選択的に駆動するために該カニューレ及びコアコレクタの近位端と係合している駆動機構を包含していること、の内の一つ又はそれ以上を包含している。
幾つかの実施例によれば、方法が、少なくとも幾つかの断面においてクレセント形状をしており且つ該クレセント形状の横方向側部に形成されている複数の歯からなる2つの列であって各列の複数の歯が互いに軸方向に離隔されている2つの列を有している軸方向に延在しているコアコレクタと、該コアコレクタとの間の相対運動のために該コアコレクタを取り囲む形態とされているカニューレとを設け、該クレセント形状は該カニューレの内側壁に該横方向側部が当接することによって該コアコレクタを該カニューレ内に半径方向中心に位置決めした状態を維持するのに十分な円弧角度にわたって延在しており、該カニューレ及びコアコレクタを組織内に導入し且つ該カニューレから遠位方向で且つ組織内に該コアコレクタを選択した長さにわたり駆動し、その後に、前記コアコレクタ上を該カニューレを遠位方向に駆動してその際に該コアコレクタを前記カニューレ内に半径方向に中心位置決めした状態を維持したまま前記組織のサンプルを切断し、及び該カニューレと該クレセント形状をしたコアコレクタとの間の開放空間内に回収された組織サンプルを取り出す、ことを包含している。
幾つかの実施例によれば、本方法は、更に、以下のステップ、即ち、(1)該カニューレ及びコアコレクタを支持しているハンドルに着脱自在に固定されているカートリッジであって該コアコレクタを該カートリッジへ着脱自在にラッチしているカートリッジと整合する位置へ内部に前記組織サンプルを有している該コアコレクタを近位方向に駆動し且つ前記ハンドルから該コアコレクタがラッチされている該カートリッジを取外すステップ、及び(2)前記ハンドルから取り外したのちに前記コアコレクタから構造的に一体的な組織サンプルを取り出すステップ、の内の一つ又はそれ以上を包含している。
幾つかの実施例によれば、生検器具が、少なくとも幾つかの断面においてクレセント形状をしており且つ凸状の下側と凹状の上部表面とを具備している軸方向に延在しているコアコレクタであって該クレセント形状の横方向側部において形成されている複数の歯からなる2つの軸方向に延在している列であって各列の複数の歯が互いに軸方向に離隔されている複数の歯からなる2つの列を具備しているコアコレクタ、及び内側壁と鋭利な遠位端とを具備している筒状のカニューレ、を有しており、(a)該カニューレは該コアコレクタの選択した長さが該カニューレから遠位方向に延在する第1相対位置と該カニューレが前記第1位置から該コアコレクタと相対的に且つその上を遠位方向に移動した第2位置との間での相対運動に対して該コアコレクタを受納する形態とされており、及び(b)該コアコレクタの該クレセント形状は、該コアコレクタの軸方向長さに対して横断方向に該コアコレクタに作用する力に起因して該コアコレクタの凸状底部が該カニューレ内側から離れて動くことが無いように該カニューレの内側壁に該コアコレクタの横方向側部が当接していることに起因して該コアコレクタを該カニューレ内に半径方向中心位置決めした状態を維持するのに十分な円弧角度にわたって延在している。
幾つかの実施例によれば、直前のパラグラフの器具が、更に、以下の特徴、即ち、(1)前記円弧が少なくとも半円であるが完全な円未満である角度にわたって延在していること、及び(2)前記円弧が半円に近い角度にわたり延在していること、の内の一つ又はそれ以上を包含している。
以下に、好適実施例の幾つかの例の詳細な説明をする。幾つかの実施例を記載するが、本特許明細書に記載される新規な要旨はここに記載されるいずれか一つの実施例又は幾つかの実施例の組み合わせに制限されるものではなく、多数の代替例、修正例、及び均等物を包含するものである。更に、完全なる理解を与えるために、多数の特定的な詳細について以下の説明において記載するが、幾つかの実施例はこれらの詳細の幾つか又は全て無しで実施することが可能なものである。更に、説明の便宜上、関連技術において既知の或る技術事項については、本書に記載する新規な要旨を不必要にぼかすことを回避するために詳細に記載していない。本書に記載する特定の実施例の一つ又は幾つかの個別的な特徴はその他の記載された実施例の特徴と又はその他の特徴と結合して使用することが可能であることは明らかである。更に、種々の図面中の同様の参照番号及び記号は同様の要素を表している。
図1Aは、幾つかの実施例に基づく外側カニューレ10及びコアコレクタ12の遠位部分を部分的斜視図で例示している。それらは図17A-Bに示したタイプの既知のコアコレクタとは非常に異なっている。カニューレ10及びコアコレクタ12の近位部分はこの図には示していないが、当該技術において既知の如く、それらは、典型的に、組織内に相次いでコアコレクタ及びカニューレを遠位方向に発射させるための駆動装置と係合するためのアタッチメント即ち取り付け具を包含しており、例えば、図17Bに示した係合要素1712cの形態における取り付け具である。該コアコレクタは、典型的に、図1Aにおいて見られるように、少なくとも該カニューレから遠位方向に延在するコアコレクタ部分の軸方向長さだけ該カニューレよりも一層長い。特に、コアコレクタ12は、複数の歯12c及び12dからなる平行で軸方向に延在する2つの列の間の空間として画定される軸方向に延在しており湾曲した底部のトラフ12bを有している。複数の歯12cはノッチ12eによって互いに軸方向に離隔されている。遠位歯12cは同様に先端部12aから離隔されており且つ近位歯12cは同様にコアコレクタ12の中実部分12fから離隔されている。複数の歯12dは同様にノッチ12gによって互いに軸方向に離隔されており、且つ遠位歯及び近位歯12dは同様に先端部12a及び中実部分12fから離隔されている。
図1Bはコアコレクタ12及び断面A-A,B-B、C-Cの位置を示しており、且つ図1Cはそれらの断面を示している。図1Cの左側の図は、断面A-Aが1個の歯12c及び1個の歯12dの両方と交差する部分を示しており、この断面において、コアコレクタ12がクレセント形状をしていることを示しており、トラフ12eが該形状の凹状側にあることを示している。歯12c及び12dは該クレセント形状の横方向先端部によって形成されている。この断面において、該クレセント形状は凹状の上部表面と凸状の底部と横方向先端部とを有しており、そして、このクレセント形状は、該コアコレクタを該カニューレ内に半径方向中心位置決めされた状態に維持するために、及び前記横方向先端部が該カニューレの内側壁に当接することによって該コアコレクタの底部を該カニューレの内側壁に当接した状態を維持するために、十分に大きな円弧角度にわたって延在している。該クレセント形状は、好適には、ほぼ180度の円弧角度にわたって延在するものであるが、該角度は幾分それよりも大きいか又は小さいものとすることが可能である。この形状は、サンプル組織を保持するために該クレセントの凹状側の上方に開放空間を与えており、且つ該コアコレクタの底部が上昇し且つ該開放空間12eを減少させることを防止している。
図1Cの中央においての断面B-Bは、歯12c及び2個の隣接する歯12dの間のノッチ又はギャップ12gを介してのものであり、且つ図1Cの右側においての断面C-Cは、歯12d及び2個の隣接する歯12cの間のノッチ又はギャップ12eを介してのものである。注意すべきことであるが、軸方向において、各歯12cは歯12dと幾分オーバーラップしている。コアコレクタ12は304SS(ステンレススチール)等の物質からなる固体棒体から機械加工することが可能である。該歯又は少なくとも歯端部は、好適には、組織サンプルを出来るだけ傷つけること無しに維持し且つカニューレ10及びコアコレクタ12を患者から引き抜いた後に組織サンプルを容易にレリーズすることを助けるために、滑らかに研磨されている。
図1Dは、コアコレクタ12の形態の重要な利点を示している。図1Dの左では、トラフ12bの上部表面とカニューレ10の内側との間の組織サンプル用の潜在的空間12eを示している。図1Dの右では、この組織サンプル用の潜在的な空間が、コアコレクタ12が最大に偏向された場合であってもほぼ同じであること、及びコアコレクタ12の底部側とカニューレ10の内側との間には小さなギャップ14が存在することが可能であるに過ぎないことを示している。その理由は、歯12c及び12dがクレセント形状上方であるカニューレ10における空間の寸法が減少する部分に当接しているのでカニューレ10内においてそれ以上上方へ行くことができないからである。このことは、図17に示したような既知のカニューレ及びコアコレクタのユニットの場合に対しての顕著な対比である。その結果、既知の器具の場合よりも同じ直径のカニューレの場合に一層大きな断面の組織サンプルを抽出することが可能であり、且つそのサンプルは一層大きな一体性を有し且つ周囲の組織におけるそのオリジナルの形状に近い形状を維持することが可能であり、従ってそのサンプルは、図17に示したタイプの既知のカニューレ及びコアコレクタで抽出したサンプルと比較して向上された臨床的値を有することが可能である。図17に示したような市販されているカニューレ及びコアコレクタ(バードマグナム生検ガン(Bard Magnum Biopsy Gun)からのもの)とカニューレ10及びコアコレクタ12との性能を比較する試験において、コアコレクタ12を使用した場合のサンプルは一層大きく、一層一貫性があり、且つより良い一体性を維持するものであった。
カニューレ10及びコアコレクタ12は、例えば上記バードマグナム器具などの既知の生検装置における駆動機構と係合するカニューレ及びコアコレクタの近位端に適宜のアタッチメント即ち取り付け具を使用して該既知の生検器具におけるカニューレ及びコアコレクタの代わりに使用することが可能である。又は、コアコレクタ12は、既知のカニューレはそのままで既知のコアコレクタの代わりに既知の器具において使用することが可能である。又は、カニューレ10及びコアコレクタ12は以下に記載するように生検器具において使用することが可能である。以下に記載するような器具において使用される場合には、コアコレクタ12は以下に記載するコアコレクタ110に取って代わる。
上述した如く、コアコレクタをカニューレにおいて中心に位置決めされた状態を維持することは既知の生検装置と比較して重要な利点をもたらす。これらの利点の内の幾つかは以下に記載する図1E乃至1Mにおいてハイライトされる。
図1E乃至1Gは、既知の生検装置と概念的組織繊維との間の相互作用を示しており、且つ図1H乃至1Iは図1Aなどの実施例に基づくコアコレクタを使用した場合の同様の相互作用を示している。図1Eは、カニューレ1710(図17A参照)から遠位方向へ突出しており組織200の1本の概念的繊維の上を通過し且つ次の繊維200の下側にあるコアコレクタ1712の鋭利な先端部1712aを示している。この段階において、その図は、コアコレクタ12の先端部12aがカニューレ10から遠位方向に飛び出ており且つ組織200の1本の概念的繊維又はストリップの下側を通過し且つ次の繊維200の上にある状態の図1Hのものと同様である。該既知の装置からの差異は図1Fを図1Iと比較することによって一層明確となる。図1Fにおいて、組織の幾つかの概念的繊維がコアコレクタ1712のノッチ1712b内にあるがコアコレクタによって所定位置に保持されているものではない。対照的に、図1Iにおいては、全ての繊維200がコアコレクタ12の2個の隣接する歯12c又は2個の隣接する歯12dの間の空間内にあり、従ってコアコレクタ12の長手軸に沿って歪曲されることが無い。図1Gを図1Jと比較すると、図1Gにおいて見られるように、該既知のコアコレクタがカニューレ1710から完全に遠位方向に伸長される場合に、ノッチ112a内の繊維200の全ては軸方向にスライドすることが可能であるが、一方、図1Jにおいては、同等の位置にある繊維200の各々は歯12c及び12dによって軸方向に歪曲することが拘束される。
図1I及び1Kは、カニューレ1710がコアコレクタ1712上を遠位方向に移動する場合に組織200の繊維がノッチ1712bに沿って移動することを許容する場合と比較して、概念的組織繊維200が移動による歪曲から拘束することの特定的な利点を示している。図1I及び1Kは、カニューレ1710の移動がノッチ1712bに入った組織を切断する場合のコアコレクタ172上の遠位方向運動の中間点にある既知のカニューレ1710を示している。例示されるように、カニューレ1710の遠位端は、概念的組織繊維200が切断される場合に該繊維を遠位方向に押し付ける傾向となり、カニューレ1710内に保持される組織サンプルを歪曲させる不所望の結果となる。更に、コアコレクタ1712の遠位部分は上方へ屈曲する場合があるので(図1I及び1Kにおいて見られる方位において)、カニューレ1710内の組織サンプル用の空間は減少する。これら2つの理由により、組織サンプルは軸方向及び半径方向の両方において歪曲される場合があり、その臨床的価値を減少させる。
対照的に、図1Mは、コアコレクタ12の新規なアプローチがどのようにして組織サンプルの一体性を維持するかを示している。組織繊維200はコアコレクタ12と相対的に軸方向移動が阻止されるので、カニューレ10の遠位切断端は基本的に該繊維が生きた組織内にあるように切断し、軸方向の歪曲を減少させている。更に、上に説明したように(図1C及び1D参照)、コアコレクタ12の遠位部分は屈曲することが阻止され且つカニューレ10内側の自由空間12eはその体積を維持し、カニューレ10内側の組織サンプルの半径方向の歪曲が維持される。その結果、既知のコアコレクタとカニューレの組み合わせの場合には、組織サンプルはそれが生きた組織内にあった場合と実質的に異なるものとなる場合がある(引き伸ばされたり、サンプル内の位置での直径が変化したり、幾つかの場所で壊れる場合がある)、一方、本特許明細書に記載される新規なアプローチの場合には、組織の一体性は実質的に維持させることが可能であり且つ組織サンプルの臨床的価値を顕著に向上させることが可能である。
図2Aは、カニューレ及び図1A-1Dに示したものとすることが可能なコアコレクタ又はその代わりに図2Bに示したようなコアコレクタを使用することが可能なコアコレクタを包含する生検器具を示している。該器具はハウジング又はハンドル102を有しているが、それは図2Aにおいては模式的に示してあるに過ぎない。図2Aに示されるように、筒状のカニューレ104が遠位方向に延在しており且つ長手中心軸Aに対して角度を付けた面に沿う切断用カニューレ104によって形成されている鋭利な遠位端104aで終端している。カニューレ104は支持ブロック104b内に保持されている近位端を有しており、該支持ブロックは、軸Aに沿っての遠位方向及び近位方向の両方の運動のためにハンドル102内部のチャンネル内又は1本又は複数本の案内ロッド(不図示)に沿って移動する。ホルダーブロック106がハンドル102内の固定した位置にあり且つコアコレクタ110を保持するカートリッジ110を着脱自在に受納する形態とされている。駆動ロッド112が中心軸Aに沿って延在するホルダー106内のチャンネル(不図示)内に乗っており、駆動ロッド112の近位部分112aはハンドル102の近位端から近位方向へ延在することが可能であり且つハンドル102と相対的にロッド112を遠位方向及び近位方向へ手動で移動させるためのハンドル又はノブ(不図示)で近位方向に終端させることが可能である。
図2Bはコアコレクタ110の側面図であり、且つ図2C-2Eは幾つかの実施例に基づくコアコレクタの異なる斜視図である。コアコレクタ110は鋭利な遠位端110aを有しており、それは軸Aに対して角度を付けた面に適合しており、且つ、好適には、その遠位端を介して軸Aに沿って組織が入らないように閉塞されている。2列の歯110b1及び110b2がコアコレクタ110の遠位端110aから近位方向に延在している。軸Aに対して垂直な断面において、複数の列の歯を具備するコアコレクタ110の部分は、そこから歯110a及び110bが延在する側壁を具備するトラフ111(図2B―2E)を画定するほぼ半円形状である。これらの歯は、近位方向に傾斜させることが可能であり且つ以下に更に説明する重要な機能を果たすために鋭利とさせることが可能な近位側部を有している。コアコレクタ110の筒状部分110cは該2列の歯に対して近位方向にあり且つ以下に更に詳細に説明する機能を果たす側部穴110dを有している。切り欠き部110eが筒状部分11dに対して近位方向にあり、且つ軸Aに対して垂直な断面において、好適には180度未満にわたり延在する円弧である。コアコレクタ110の近位端110fも円弧であるが、好適には180度を越える一層大きな角度にわたるものであり、従って切り欠き部110eは、部分110c及び110fによって遠位方向及び近位方向において形成されている隆起部で終端している。
図3-6は、幾つかの実施例においてその動作を例示するコア生検器具100の部分的に側面図で且つ部分的に断面図である。明確化のために、ハンドル102はこれらの図から省略しているが、該器具を使用する場合にはそれが存在している。図3は初期状態を示しており、その場合に、カートリッジ108がホルダー106内に取り付けられており、従ってコアコレクタ110はホルダー106内のチャンネル内にあり且つ、以下に更に詳細に説明するように、所定位置に保持されており、駆動ロッド112の遠位端とインターロックされている。図4は、駆動ロッド112がコアコレクタ110を遠位方向へ押し付けてその鋭利な遠位端がカニューレ104から遠位方向に突出した状態を示している。その目的のために、駆動ロッド112はハンドル102の近位部分の後ろ側から手動による遠位方向へ押し付けることが可能である。更に詳細に以下に説明するように、カニューレ104及びコアコレクタ110の遠位端が適合する面は中心軸Aに対して反対方向に角度が付けられている。コアコレクタ110の遠位端110aはカニューレ104にすべりばめ状態で嵌合していて組織がそれらの間の空間に入るようにしている。この状態において、コアコレクタ110の遠位先端部110aがサンプルすべき組織と相対的に所望の位置にくるまで、例えば、患者の前立腺の直ぐ外側、又は前立腺の直ぐ内側、又は疑わしい病巣まで又は丁度その中まで、医師がカニューレ104及びコアコレクタ110を患者の組織内に挿入する。この所望の位置は、臨床経験に基づいて、又は感じによって、又は器具100へ取り付けることが可能であるが取り付ける必要がない超音波プローブ等のイメージング装置を使用することによって、又はその他のイメージング方式の使用によって決定することが可能である。図5は、2列の歯の全て又は少なくとも幾つかがカニューレ104の遠位先端部から遠位方向であるようにカニューレ104と相対的に遠位方向へ前進した状態を示している。そのために、スプリング作用を解放させることによりロッド112を遠位方向へ駆動し、従ってハンドル102内に駆動ロッド104用の適宜の停止体(不図示)によって設定することが可能な所望の距離にわたってコアコレクタ110をカニューレ104から押し出すように以下に更に詳細に説明するように駆動ロッド112をスプリング負荷させることが可能である。この状態において、コアコレクタ110はサンプルすべき組織(不図示)内に入り込み、そして組織のサンプルがトラフ111へ入り込んでいる。コアコレクタ110の鋭利な遠位端110aに適合する面の角度は、トラフ111内に組織を押し込むのに貢献する。何故ならば、組織内にコアコレクタ110の遠位端110aを駆動することは、トラフ111の開放側(図5において見た場合の下流側)上にある組織を圧縮し、この圧縮された組織はトラフ111内に飛び込む傾向となるからである。図6は、コアコレクタ110が図5の状態へ遠位方向へ前進された後直ぐに(好適には1秒未満)到達した状態を示している。図6の状態へ到達するために、カニューレ104も好適にはスプリング負荷されており、そのスプリング作用はコアコレクタ110用のスプリング作用が解除された後直ぐに解除されて、コアコレクタ110上をカニューレ104を遠位方向へ駆動する。このカニューレ104の遠位方向運動がコアコレクタ110のトラフ111内に入った組織サンプルを周囲の組織から切断する。この切断作用において、該2列の歯が、更に詳細に以下に説明するように、組織サンプルが一塊になったりトラフ111から出たりすることを防止することに貢献する。その後、図6に示されている夫々の位置にあるカニューレ104及びコアコレクタ110の両方を、例えば、駆動ロッド112及びカニューレ104を保持しているホルダーブロック106を、カニューレ104及びコアコレクタ110が図4に示されている夫々の位置となるまで、手作業によって近位方向へ牽引させ、そして駆動ロッド112をそれがコアコレクタ110を図3に示されている位置とさせるまで近位方向へ更に牽引させる。次いで、以下に更に説明するように、コアコレクタ110(その中には組織サンプルがある)を保持しているカートリッジ108を手作業によってハンドル102から牽引して取り外し且つ化学的に処理し且つ例えば研究所へ送るために密封する。注意すべきことであるが、組織サンプルはカートリッジ108内に留まり且つ取り扱いによって影響を受けることはない。組織サンプルを抽出した生きている組織と相対的な該組織サンプルの方位はコアコレクタがカートリッジ106内に残存することに起因して保存され、且つカートリッジ106の遠位端が既知であるから、研究所は該組織サンプルのどちらの端が遠位でどちらが近位であるかの明確な表示を有することとなる。
図7は、コアコレクタ110の遠位部分の部分側面図及びカニューレ104の遠位部分の断面図であり、且つ図8はカニューレ104及びコアコレクタ110の同じ部分の斜視図である。図7に示されるように、コアコレクタ110の遠位端110aは中心軸Aに対して一方向へ傾斜している面Bに適合しており、且つカニューレ104の遠位端104aは中心軸Aに対して反対方向に傾斜している面Cに適合している。図7及び8に示されるように、カニューレ104の遠位端104aは、カニューレ104の内側直径に到達するまでその遠位方向において壁の厚さを次第に減少させることによって鋭利化されている。
図9はカートリッジ108の斜視図であり、且つ図10は幾つかの実施例に基づいて異なる観点から見た場合の該カートリッジの一部の斜視図である。カートリッジ108は中心軸Aに沿って延在しているチャンネル108aを有しており且つ該チャンネルはコアコレクタ110をすべりばめ的に受納するが該コアコレクタが該チャンネル内を遠位方向及び近位方向へ移動することを可能とさせる寸法とされている。カートリッジ108の近位部分は、コアコレクタ110が通過する開口と、該コアコレクタが図9及び10に示した位置にあるカートリッジ108内にある場合にコアコレクタ110の穴110d(図2A-2D)内に挟み込み且つ弾力性のある2個のピン108cとを具備しているケージ108bを有している。ピン108cは十分に弾力性があるので、駆動ロッド112がコアコレクタ110を遠位方向に押し付けてピン108cとの係合を解除させることを可能とし且つ又駆動ロッド112が、カートリッジ108がハンドル102から引っ張り出される場合にピン108cが該コアコレクタを再度把持してそれを所定位置に維持することが可能な図9及び10に示される位置へ、コアコレクタ110を近位方向へ牽引することを可能とする。カートリッジ108は、ハンドル102における対応する突起又は窪み(不図示)と確実な係合状態へ着脱自在にパチンと嵌る片持ち梁型の突起108d等の備えを有している。
図11は駆動ロッド112とコアコレクタ110とのインターロックを示している側面図であり、且つ図12は、幾つかの実施例に基づく、コアコレクタ110の近位端及び駆動ロッド112の遠位端の斜視図である。駆動ロッド112は、コアコレクタ110の一層小さな円弧の切り欠き部110e内に嵌合する一層厚い遠位端112bと、コアコレクタ110における一層大きな円弧の切り欠き部110f内に嵌合する直ぐ近位に或る一層薄い部分112cとを有している。動作において、カートリッジ108が未だにハンドル102内に挿入されていない場合に、駆動ロッド112の遠位端は図2aに示されているその位置にある。図3に示されている位置にカートリッジ108を挿入すると、駆動ロッド112及びコアコレクタ110は図11に示されているインターロックした位置とされる。カートリッジ108をハンドル102から引っ張り出すことによってカートリッジ108を取外すと、駆動ロッド112はハンドル102内の所定位置に留まったままコアコレクタ110は駆動ロッド112とのインターロックから解除される。
図13Aは駆動ロッド112の遠位部分の側面図であり、図13Bは平面図であり、且つ図13C及び13Dは2つの異なる斜視図である。駆動ロッド112の部分112cは強化用のリブ113の片側に一層薄いバンドを有しており、且つ部分112bは一層幅広の円弧及び一層薄いリブ115を有しており、それらは全てコアコレクタ110とのインターロックを与える作用をする。
図14A-14Eは、中心軸Aに対して垂直な夫々の面におけるカニューレ104内部のコアコレクタ110の断面を示している。図14Aは図4における面Dに沿っての断面であり且つ図12に示した状態においてカニューレ104によって取り囲まれている場合にどのように強化用リブ113(図13B-13D)がコアコレクタ110の部分110f(図12)内に嵌合するかを示している。図14Bは図4の面Eに沿っての断面であり、どのようにしてリブ115(図13B-13D)が図12に示した状態においてカニューレ104内にあるコアコレクタ110の部分110f(図12)内に嵌合するかを示している。図14Cは図7における面Fに沿っての断面を示しており、且つその断面におけるコアコレクタ110のトラフ111の左側側壁の上方へ延在している右側(図14Cにおいて示されるように)における歯110b2を示している。図14Dは図7における面Gに沿っての断面を示しており、その断面におけるコアコレクタ110のトラフ111の右側の側壁の上方に延在している左側(図14Dに示されているように)における歯110b1を示している。図14Eは図7における面Hに沿う断面を示しており、その場合は、歯が存在しておらず且つ同じ高さにあるトラフ111の両方の側壁を示している。
注意すべきことであるが、例えば図7及び8に示されるように、該2例の歯は互いにずらされており、その場合に、中心軸Aに対して垂直な断面において、歯110b1があるが歯110b2は存在しておらず、且つ歯110b2がある場合には、歯110b1は存在していない。このことは、図14C及び14Dの円弧のような円弧にわたって延在しており且つ歯が欠如しているトラフと比較して、組織がトラフ111に入り且つその中に留まることを容易化することが可能である。
更に、例えば図8に示されるように、該歯の遠位側部は近位方向へ傾斜させることが可能であり、且つ、幾つかの実施例においては、該歯の近位側部も幾分近位方向へ傾斜させることが可能である。その他の実施例においては、該歯の近位側部は近位方向へ傾斜させることが必要ではないか又は異なる方向へ傾斜させることが可能である。
注意すべきことであるが、該歯はそれらの近位側部上に鋭利端を有するようにカットすることが可能である。該歯の遠位側部を傾斜させることは歯によって占有されるトラフ111の側壁の部分を減少させ、従ってトラフ内への組織の進入を容易化させる。該歯の近位側部を近位方向へ傾斜させること及び/又は鋭利端で形成することは、カニューレ104がコアコレクタ110上を遠位方向へ移動する場合にトラフ111内の組織サンプルの切断作用を容易化させる。
図15はコア生検器具100の斜視図であり、それは、ハンドル102,カニューレ104、及びカニューレ104から遠位方向へ突出しているコアコレクタ110の遠位部分の1例を示している。図15はハンドルの近位側にあるノブ101を示しており、それは駆動ロッド112の近位端へ取り付けられていて手作業により必要に応じて該ロッドを近位方向に牽引し且つ遠位方向に押し付ける。更に、ノブ101はハンドル102内のスプリング(不図示)へ接続させることが可能であり、該スプリングが圧縮状態にラッチされるまでノブ101を近位方向へ牽引する場合に該スプリングが圧縮される。これらのスプリングは、解放されると、コアコレクタ110及びカニューレ104を上述した如くに遠位方向へ駆動する。図15は、更に、手動作型スイッチ103を示しており、それは押し下げられた場合には圧縮状態にあるスプリングをラッチ状態から解除してロッド112を遠位方向へ駆動する。カニューレ104を遠位方向へ駆動するスプリングは、スイッチ103を動作させることによるスプリング解除により駆動される場合にロッド112の前方運動によって動作される遅延により解除させることが可能である。特定的且つ非制限的例において、ハンドル102の近似的な寸法は、長さが9.0インチで、幅が2.2インチで、且つ高さが1.3インチである。この例において、カニューレ104はハンドル102から遠位方向へ約6インチ突出する。
一つの動作モードにおいて、器具100が図6に示した状態に到達した後に又は図6の状態に到達した後に図4の状態へ復帰した後に、カニューレ104を患者から引き抜くことが可能である。別の組織サンプルのために、同じ器具又は未使用の複製物を上述した如くに使用して別の組織サンプルを採取することが可能である。代替的に、図6の状態に到達した後に、又は図4の状態へ復帰した後に、カニューレ104を患者内に残すか又は該患者における新たな方位及び/又は深さへ移動させることが可能であり、且つコアコレクタ110のみをカートリッジ108内に引き込むことが可能であり、該カートリッジをハンドル102から取り外し且つ新たなカートリッジ、新たなコアコレクタを置換させることが可能であり、且つ新たな組織サンプルを採取するために上述した手順を繰り返すことが可能である。カニューレ104を患者内に維持したままカートリッジを複数回取り外し且つ交換することが可能であり、それにより複数個の組織サンプルを採取する。
図16A-16Dは、幾つかの実施例に基づく、カニューレ104及びコアコレクタ110用のスプリング負荷型駆動装置の一連の動作を示している。明確性のために、ハンドル102は省略しているが、それは、該ハンドルから遠位方向へ突出しているカニューレ104及びコアコレクタ110の部分を除いて、及び該ハンドルの近位方向へ延在する駆動ロッド112の部分を除いて、例示した部品を取り囲んでいる。図16Aはスプリング122を示しており、それはハンドル102へ取り付けられているブロック120と駆動ロッド112へ取り付けられているブロック112dとの間で圧縮されて保持されており、且つ中心軸に沿って遠位方向及び近位方向へ移動することが可能である。ラッチ118が図16Aの位置に圧縮された状態にスプリング122を保持している。図16Bはラッチ118を回動させてスプリング122を開放し且つ遠位方向へ伸びている状態を示している。ラッチ118は、例えばトリガ103(図15)等の手動作トリガを動作させることにより解除させることが可能である。図16Cはスプリング122が完全に伸びた状態を示しており、その位置において、ブロック112dはラッチ116の近位端に衝突しており且つラッチ116を図16Cに示した位置へ回動させてスプリング124を開放させてブロック104b及びカニューレ104を遠位方向へ駆動している。コアニードル110がその遠位運動の終端に到達する時とカニューレ104の遠位運動の開始との間の時間を増加させることが所望される場合には、機械的ダンパー又はバッファ等の所望の遅延(不図示)をブロック112dとラッチ116の近位端との間に導入させることが可能である。図16Dは、カニューレ104及びコアコレクタ110がそれらの遠位運動の終端に到達した後の例示した部品の位置を示している。
以上明確性のために幾分詳細説明したが、その原理を逸脱すること無しに或る変形及び修正を行うことが可能であることは明らかである。本書に記載したプロセス及び装置の両方を実現する多くの代替的な態様が存在し得る。従って、本実施例は例示的なものであって制限的なものではないと解釈すべきであり、且つ本書に記載した要旨の実体はここに与えた詳細に制限されるものではなく、それは特許請求の範囲の範囲内及び均等物内において修正することが可能である。
Claims (18)
- 生検器具において、
長手軸に沿って延在しており且つ内側壁と鋭利な遠位端とを具備している筒状のカニューレ、
前記軸に沿って相対的に運動するために該カニューレ内に嵌合しており且つ鋭利な遠位先端部と前記軸に沿って該鋭利な先端部から近位方向へ延在しているクレードル部分とを具備しているコアコレクタ、
を有しており、
該コアコレクタの前記クレードル部分が凸状底部表面と前記クレードル部分を形成する側壁を具備している凹状上部表面とを有しており、
前記側壁が、該カニューレ内にある場合に該カニューレの該側壁と当接してそれにより該カニューレ内に該コアコレクタを中心位置決め状態を維持し且つ該コアコレクタの該底部表面を該カニューレの該内側壁に当接した状態を維持する形態とされており、
該コアコレクタの前記側壁が複数列の歯を有しており、前記複数列の各々の歯は前記軸に沿って離隔されており、
前記歯は、該コアコレクタが該カニューレから遠位方向へ突出している間に前記クレードル内に入った組織と係合し、且つ、該カニューレが該クレードル上を遠位方向へ移動する場合に、該カニューレが周囲の組織から組織サンプルを切断する際に前記組織が歪曲することを阻止しそれにより前記軸に沿っての該組織サンプルの構造的一体性を維持する形態とされている、
生検器具。 - 前記歯が、該カニューレが前記軸に沿って該クレードル上を移動することにより該サンプルが周囲の組織から切断される場合に該組織サンプルが前記軸に沿って圧縮及び/又は伸長されることを阻止するために前記組織と係合する形態とされている請求項1記載の生検器具。
- 幾つかの断面が両方の列の歯を包含し、幾つかの断面が該複数の列の内の一方の列の1個の歯のみを包含し、及び幾つかの断面が前記複数の列の内の他方の列の1個の歯のみを包含するように前記側壁の各々の複数の歯が他方の側壁の複数の歯と相対的にずらされており、及び該断面の内の各々において、該カニューレの該内側表面の上部と1個の歯との間の垂直距離は該内側壁の直径のほぼ半分未満であり、それにより該カニューレが該クレードル上を移動する際に切断作用が行われ、そのことが周囲の組織から切断される前の一体性と比較して該サンプルの構造的一体性を維持することを容易とさせている請求項2記載の生検器具。
- 生検器具において、
長手軸に沿って延在しており且つ内側壁と鋭利な遠位端とを具備している筒状のカニューレ、
前記軸に沿っての相対的運動のために前記カニューレ内に嵌合しており且つ鋭利な遠位先端部と該鋭利な先端部から近位方向へ前記軸に沿って延在しているクレードル部分とを具備しているコアコレクタ、
を有しており、
該コアコレクタの前記クレードル部分が前記軸に沿って伸長されており且つ凸状底部と前記クレードル部分を形成している側壁を具備している凹状上部表面とを有しており、
該コアコレクタの前記側壁が前記軸と一致する前記内側壁の中間面上方へ延在しており且つ複数の歯からなる複数の列を有しており、前記複数の列の各々の複数の歯は前記軸に沿って互いに離隔されており且つ該クレードルの幾つかの断面がる両方の列の複数の歯を包含しており、幾つかの断面が該複数の列の内の一つの列の1個の歯のみを包含しており、且つ幾つかの断面が前記複数の列の内の他方の列の1個の歯のみを包含しているようにずらされており、
前記複数の歯は、該コアコレクタが該カニューレから遠位方向へ突出している間に前記クレードル内に入った組織と係合し、それにより該カニューレが該クレードル上を移動して周囲の組織から組織サンプルを切断する際に前記組織が歪曲することを阻止し、それにより前記組織サンプルの構造的一体性を維持する形態とされている、
生検器具。 - 前記複数の歯が前記軸に沿っての該組織サンプルの構造的一体性を維持する形態とされている請求項4記載の生検器具。
- 前記複数の歯が前記軸を横断する方向において該組織サンプルの構造的一体性を維持する形態とされている請求項4記載の生検器具。
- 前記複数の歯が前記軸に沿って及び前記軸を横断する方向の両方において該組織サンプルの構造的一体性を維持する形態とされている請求項4記載の生検器具。
- 内側壁と鋭利な遠位端とを具備している軸方向に延在している筒状のカニューレ、
鋭利な遠位先端部と該鋭利な先端部から近位方向に延在しており且つ該カニューレとの相対的運動のために該カニューレ内に嵌合する形態とされている近位部分とを具備している軸方向に延在しているコアコレクタ、
を有しており、
該コアコレクタの前記近位部分が、その全てではないが幾つかの断面において、凹状上部表面と凸状底部と横方向先端部とを具備しているクレセント形状であり、前記クレセント形状は、前記近位部分を前記カニューレ内に半径方向に中心位置決めした状態を維持し且つ前記横方向先端部が前記内側壁に当接することにより前記底部を該カニューレの該内側壁に当接させそれにより組織サンプルに対する開放空間を与えるために十分に大きな円弧角度にわたって延在しており、
該コアコレクタの該クレセント形状をした近位部分の前記横方向先端部の各々が軸方向に互いに離隔されている複数の歯からなる列を有している、
生検器具。 - 該コアコレクタの該近位部分の前記底部が該カニューレの内側壁の円周の半分を越えて延在している請求項8記載の生検器具。
- 前記複数の歯が滑らかに研磨されている請求項8記載の生検器具。
- 前記コアコレクタの前記近位部分が中実の棒体から機械加工されたものである請求項8記載の生検器具。
- 更に、該コアコレクタの前記近位部分が選択した距離だけ該カニューレから遠位方向へ突出するように該コアコレクタを最初に遠位方向へ選択的に駆動し、次いで該カニューレの該鋭利な遠位端が該コアコレクタの前記鋭利な遠位端へ前進して前記開放空間内に延在している組織サンプルを切断するために該カニューレを駆動するために該カニューレ及びコアコレクタの近位端と係合する駆動機構を有している請求項8記載の生検器具。
- 少なくとも幾つかの断面においてクレセント形状をしており該クレセント形状の横方向側部に形成されており各列の複数の歯が互いに軸方向に離隔されている2列の複数の歯を有している軸方向に延在しているコアコレクタを設け、
該コアコレクタとの間の相対的運動のために該コアコレクタを取り囲む形態とされているカニューレであって、該横方向側部が該カニューレの内側に当接することによって該コアコレクタを該カニューレ内に半径方向に中心位置決めした状態を維持するために十分な円弧角度にわたって該クレセント形状が延在しているカニューレを設け、
該カニューレ及びコアコレクタを組織内に導入し且つ該カニューレから遠位方向へ且つ組織内へ該コアコレクタの選択した長さだけ駆動し、
その後、該カニューレを遠位方向へ前記コアコレクタ上を駆動してそれにより該コアコレクタを前記カニューレ内に半径方向に中心位置決めした状態を維持しながら前記組織のサンプルを切断し、
該カニューレと該クレセント形状をしたコアコレクタとの間の開放空間内に回収された組織サンプルを取り出す、
ことを包含している方法。 - 更に、
該カニューレ及びコアコレクタを支持しており且つ該コアコレクタをカートリッジへ着脱自在にラッチしているハンドルに着脱自在に固定されている該カートリッジと整合する位置へ内部に該組織サンプルを有する該コアコレクタを近位方向へ駆動し、
前記ハンドルから該コアコレクタがラッチされている該カートリッジを離脱させる、
ことを包含している請求項13記載の方法。 - 更に、前記ハンドルから離脱させた後に前記コアコレクタから構造的に一体性のある組織サンプルを取り出すことを包含している請求項13記載の方法。
- 少なくとも幾つかの断面においてクレセント形状をしており且つ凸状下側と凹状上部表面とを具備している軸方向に延在しているコアコレクタであって、該クレセント形状の横方向側部に形成されている2列の軸方向に延在する複数の歯であって各列の複数の歯が互いに軸方向に離隔されているコアコレクタ、
内側壁と鋭利な遠位端とを具備している筒状のカニューレ、
を有しており、
該カニューレが該コアコレクタの選択した長さが該カニューレから遠位方向へ延在する第1相対位置と該カニューレが前記第1位置から該コアコレクタ上をそれと相対的に遠位方向へ移動した第2位置との間の相対的運動のために該コアコレクタを受納する形態とされており、
該コアコレクタの該クレセント形状は、該コアコレクタの該横方向側部が該カニューレの内側壁に当接しそれにより該コアコレクタの軸方向長さに対して横断する方向に該コアコレクタ上に作用する力に起因して該コアコレクタの該凸状下側が該カニューレ内側から離れる方向に移動することを阻止することに起因して該コアコレクタを該カニューレ内に半径方向に中心位置決め状態を維持するのに十分な円弧角度にわたって延在している、
生検器具。 - 前記円弧が完全な円未満であるが少なくとも半円である角度にわたって延在している請求項16記載の生検器具。
- 前記円弧が半円に近づく角度にわたって延在している請求項16記載の生検器具。
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