JP2022060662A - 電池駆動車両及び輸送システム - Google Patents

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Abstract

Figure 2022060662000001
【課題】蓄電池を電力供給源として電動機を駆動する電池駆動車両及び前記蓄電池が電力を供給し続けるため電力発生のもととなる電解液を交換できるようにして長距離輸送を可能とした輸送システムを提供する。
【解決手段】電池の電力に基づいて走行駆動される鉄道車両Tであって、レドックスフロー電池本体1fと走行力発生装置(主電動機1h)が備えられ、レドックスフロー電池本体の電力に基づいて走行力発生装置で走行動力を発生させる動力車両1と、動力車両に連結され、レドックスフロー電池本体に供給する電解液を貯留する電解液車両2と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、電池駆動車両及び輸送システムに関する。
下記特許文献1には、蓄電池により駆動するバッテリ駆動の鉄道列車が開示されている。この鉄道列車は、非電化路線に最適な列車を提供すること等を目的とするものであり、車両を駆動する交流モータとインバータとが搭載された電動車と、上記交流モータ及びインバータが搭載されない少なくとも2両の付随車とが連結された鉄道列車において、少なくとも2両の付随車にバッテリを分散搭載し、該蓄電池の直流電力を電動車のインバータに供給するものである。このような鉄道列車によれば、従来、非電化区間で一般的に用いられてきた石炭や石油といった化石燃料を直接燃焼することなく、鉄道車両を駆動することができ、排気ガスによる大気汚染を防止できるだけでなく、蒸気機関やディーゼル機関のような、比較的熱効率の低い駆動システムから、高効率の発電で得られた電力を用いた駆動システムへの転換が実現し、二酸化炭素の排出原単位を引き下げる効果も期待される。
特開2001-352607号公報
ところで、上記背景技術は、非電化路線の大気汚染防止や二酸化炭素の排出原単位低減への効果が期待されるが、1回の充電で走行可能な距離に制約があり、かつ、放電した蓄電池を再充電して、車両を走行可能な状態に戻すために長時間を要する点が課題である。特許文献と若干形態は異なるが、実用化された例があり、現在営業運転されている。本実用化例では、蓄電池としてリチウムイオン電池を用い、2両編成の客車で合計容量190kWhの電池を搭載し、走行距離20km、所用時間35分程度の区間を充電電力のみで走行している。すなわち、190kWhの電力容量で、余裕はあるとしても20kmの走行がほぼ上限である。本実用化例の区間では、1時間当たり1本程度の運用のため、終着駅での充電に時間を要しても、ダイヤが守られている。
上記の実用化例によると、リチウムイオン電池を車両1両当たり5基搭載し、2両編成で合計10基、合計容量190kWhであり、客室容量確保、電池の過熱防止対策を考慮して190kWhがほぼ上限となっている。したがって、20kmを超える区間で運用するためには、20kmごとに充電を要することになる。さらに、上記実用化例では、終着駅で1時間程度の時間が与えられているため、その間に、次の運行に支障がない充電を行うことができるが、運行本数を増加するには、充電時間の短縮が必要となり、充電速度の面での制約に加え、充電中の電池温度上昇等の安全面での問題も生じる。すなわち、上記背景技術では20kmを超える距離の運行を実現するために、中継地点での充電設備設置と、運転ダイヤ上での充電停車時間の確保が必要となる。一方、1回の充電で走行できる距離を延ばす方法として、電池の合計容量の増加、すなわち、搭載する電池の基数増加が考えられるが、電池のスペース増加により、客室容量が制限され、輸送力がむしろ低下してしまう懸念がある。高速、大量輸送の実現が望まれる現代において、上記課題が大きな支障となる。
さらに、使用されている電池として、電気自動車等での実績があるリチウムイオン電池が採用されている。これは、リチウムイオン電池の充放電性能が高いことと、加速時の電力消費に対応できる電流密度が確保できることによるもので、現在、電気自動車等の輸送用機器の電源は、リチウムイオン電池が主流となっている。しかし、リチウムの資源量は非常にタイトで、とくに日本は海外からの輸入に頼っており、今後の需要増加への対応に課題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、非電化区間での鉄道車両の電化を実現するため、第1に、1回の充電で走行可能な距離を延ばすため、電池スペースの拡大を極力抑えながら電池容量を増加すること、第2に、充電等、電池の回復に要する時間を低減すること、第3にリチムウ資源に頼らない電池とすること、さらには、地球温暖化対策としての低炭素化も考慮し、新たな電池駆動車両及び輸送システムの提供を目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明では、鉄道車両に係る解決手段として、外部からの電力供給がない非電化の区間において、鉄道車両への電力供給のための設備を備えることなく、鉄道車両自体に蓄電池を搭載し、その出力される直流電力により電動機を駆動する電池駆動機関を備えた車両とすることにより、電化を実現する、という手段を採用する。従来の、蒸気機関やディーゼル機関といった、燃料を燃焼させる内燃機関から、電池駆動車両に替えることにより、走行中の排ガスが皆無となり、臭気と微量有害物質の排出という内燃機関の問題を解消することができる。ただし、鉄道車両に搭載できる蓄電池の容量が限定されるため、1回の充電で走行可能な距離に限りがある点が課題であり、その課題解決のため、更に以下の手段を講じる。
本発明では、上記鉄道車両に係る解決手段を実現するため、上記電池駆動車両に係る係る第1の解決手段として、長距離の蓄電電力による電池駆動車両の走行を可能にするため、蓄電池の1つに、大容量の蓄電が可能なレドックスフロー電池を備えると共に、レドックスフロー電池の電流密度の上限を超える電力を必要とする電動機に対して、瞬時に大電力を供給できる補助電池を合わせて備える、という手段を採用する。
本発明では、電池駆動車両に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記レドックスフロー電池の容量に最も大きく影響する電解質溶液(以下「電解液」という)の貯留量を確保するため、電解液を貯留するための専用車両を備え、前記レドックスフロー電池本体を搭載した車両に連結する、という手段を採用する。
本発明では、電池駆動車両に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、電解液を貯留する専用車両の1両分で供給可能な電力量を超えて、更に電池駆動車を走行させる必要がある場合、電解液中の電池反応に関与する物質が減少(これを、「電解液の消耗」と表現する)し、やがて電力供給ができなくなる前に、充電操作により電解液を回復する必要があるが、電解液を専用車両(以下、この車両を「電解液車」という)としたため、前記電解液車を車両ごと交換する、という手段を採用する。消耗した電解液が貯留される電解液車(これを、「放電液車」という)を、充電して回復した電解液が貯留される電解液車(これを、「充電液車」という)に交換することで、レドックスフロー電池本体には充電済みの電解液が供給されることになり、更に電解液車1両分の電力量を得て、継続して走行できる。したがって、目的地までの所要時間に電池の充電時間電を考慮する必要がない。
本発明では、電池駆動車両に係る第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、電解液の回復を行うための専用施設として充電基地を設けて、もっぱら電解液車の充電作業を行う、という手段を採用する。電池駆動車両より切り離された放電液車は、前記充電基地へ専用軌道により輸送され、充填専用のレドックスフロー電池本体と接続され、外部から電力供給を受けて電解液が充電され、電解液が回復された充電液車となるので、所定の場所で待機させることにより、次の電解液車交換に備えることができる。
本発明では、電池駆動車両に係る第5の解決手段として、上記第1~第4のいずれかの解決手段において、レドックスフロー電池本体と補助電池を合わせて備え、これらより供給される電力により電動機を駆動して、更に運転手が乗務して電池駆動車両の運転制御を行う制御装置を備えることにより、自力走行できる制御電動車(先頭車両,機関車)と、上記制御電動車に牽引されとともに、上記制御電動車に備えるレドックスフロー電池本体に供給する電解液を貯留する電解液車と、更に、制御電動車と電解液車の後方に連結されて牽引される任意の数の客車、及び/又は任意の数の貨車からなる編成の列車として走行することにより、貨客の輸送に供する、という手段を採用する。
本発明では、電池駆動車両に係る第6の解決手段として、上記第5の解決手段において、制御電動車(機関車)、により牽引される車両のうち、前記電解液車に続いて連結されるその他の車両が、客車である場合、上記客車には照明、空調、放送設備等が設けられ、これら設備が消費する電力を供給するため、前記客車のうち、電解液車の直後に連結される客車の電解液車側端部付近に、客車内電源用の比較的小型のレドックスフロー電池本体を備えることにより、連結された客車すべてに電力を供給する、という手段を採用する。
本発明では、電池駆動車両に係る第7の解決手段として、上記第1~第6のいずれかの解決手段において、前記電解液車は、レドックスフロー電池の正極電解液を貯留する正極電解液貯槽と前記レドックスフロー電池の負極電解液を貯留する負極電解液貯槽とを備え、上記の正極及び負極の各電解液貯槽からレドックスフロー電池本体に電解液を供給する「供給側配管」とレドックスフロー電池本体で電池反応を行って各電解液貯槽へ戻す「戻り側配管」により対をなす正極電解液接続配管(以下、「正極液管」という)と、負極電解液接続配管(以下、「負極液管」という)を更に備える、という手段を採用する。
本発明では、電池駆動車両に係る第8の解決手段として、上記第7の解決手段において、正極液管及び負極液管は、一方は対応する電解液貯槽に接続すると共に、他方は、レドックスフロー電池本体が、電解液車の前後、何れに連結されても電解液が供給できるよう、分岐されて車両の進行方向の前後に、それぞれ他の車両との接続部が設けられると共に、接続相手がない場合に電解液が漏れ出さないようにするための遮断機構を備える、という手段を採用する。
本発明では、電池駆動車両に係る第9の解決手段として、上記第7の解決手段において、客車用のレドックスフロー電池本体から電力の供給を受けて充電され、電解液車の交換作業時等のレドックスフロー電池本体が作動できない時間帯の代替電源として、また、空調機器等の起動電力等、瞬時に大電流が必要となるときなどの補助電源として、比較的小容量の補助電池を前記連結された客車全体で1台、あるいは複数の車両に分散して複数台備える、という手段を採用する。
本発明では、電池駆動車両に係る第10の解決手段として、上記第6~第9のいずれかの解決手段における客車を連結した車両編成において、電解液車の直後に連結される客車に備えられるレドックスフロー電池本体と同じ仕様のものを、最後尾車両の、進行方向後ろ側にも備える、という手段を採用する。すなわち、1編成の客車(1両または複数両の客車が連結されて繋がっている状態)の一端(最前部)と他端(最後部)の2個所に客車電源用のレドックスフロー電池本体が備える、という手段を採用する。
本発明では、電池駆動車両に係る第11の解決手段として、終着駅到着後の折り返しにおいて、上記1両又は複数両の客車の列の両端のうち、何れか一方の、これから進行しようとする方向に、制御電動車及び上記制御電動車に電解液を供給する電解液車を移動して連結され、上記第10の解決手段における上記客車の列において、両端に備える客車電源用のレドックスフロー電池本体のうち、電解液車と連結され側のレドックスフロー電池本体に電解液が供給されて、客車へ電源が供給されるとともに、電解液車との連結のない側のレドックスフロー電池本体には、電解液が供給されず、休止状態で運用する、という手段を採用する。
また、本発明では、輸送システムに係る第1の解決手段として、上記第1~第11のいずれかの解決手段に係る電池駆動車両と、該電池駆動車両の走行ルート上に設けられ、前記電池駆動車両における前記電解液車を交換するための操車設備とを、主要な停車駅に備える、という手段を採用する。
また、本発明では、輸送システムに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、上記操車設備と隣接、あるいは比較的近距離に立地する、電解液車の電解液貯槽に貯留される電解液を充電するための充電基地を備え、上記操車設備と充電基地との間を軌道でつなぐと共に、上記充電基地へ電源を供給する電源設備を比較的近距離に備えるという手段を採用する。
また、本発明では、輸送システムに係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、上記電源設備に電力を供給するため、再生可能エネルギを利用する発電設備を隣接して設け、上記再生可能エネルギを利用した電力を主に受入れて前記充電基地において、前記電解液車の電解液貯槽に貯留される電解液の充電を行う、という手段を採用する。
本発明によれば、長距離の非電化の鉄道路線であっても、路線全体の電化工事をすることなく、電気で駆動される鉄道車両が実現し、化石燃料の燃焼により発生する排気ガスを排出しないことによる、沿線環境の改善が期待されるだけでなく、再生可能エネルギ由来の電力を鉄道車両の動力として利用することで、脱炭素化された電池駆動車両及び輸送システムの提供が可能である。
さらに、本発明によれば、上記のとおり鉄道輸送が脱炭素化できるだけでなく、充電により電解液に蓄電するため、再生可能エネルギの課題である、発電電力の変動を吸収するうえで有効な手段であり、再生可能エネルギ利用の拡大にも貢献できる。
本発明の一実施形態に係る輸送システムの全体構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る電池駆動車両における制御電動車(機関車)、電解液車及び客車の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態におけるレドックスフロー電池の概念図である。 本発明の一実施形態におけるレドックスフロー電池の積層構造を示す図である。 本発明の一実施形態において、主電動機駆動用電源系統の電気の流れを示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る電池駆動車両の充放電状態を示す特性図である。 本発明の一実施形態における電解液車の充電操作を示す模式図である。 本発明の一実施形態における鉄道車両の動力分散型への変形例を示す模式図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
なお、最初に以下で使用する鉄道車両特有の用語について説明する。
※制御車 運転席及び運転制御装置を備える車両
※電動車 動力装置(電動機)を備えた車両
※付随車 動力装置を備えない車両
※制御電動車 制御車と電動車の機能を備えた車両
機関車 動力集中方式の動力装置を備えた車両で、後ろに続く付随車を牽引する。
文中で機関車に相当する車両は「制御電動車」と表し、他の車両がすべて付随車である場合、名称の後に(機関車)と記載する。
客車 客席を備え、機関車で牽引される付随車をとくに客車と記載し、1編成の中で動力装置を複数の車両に分散して備える(動力分散方式)いわゆる電車と区別する。
回生ブレーキ 電動機は発電装置にもなり、発電した電力を負荷抵抗に流すことで制動ができるが、上記発電電力を電源に戻す制動装置が回生ブレーキ。
通常の電気ブレーキでは、動力装置で発電される電力を抵抗器で消費させ、熱として発散させるが、回生ブレーキでは、発電電力を電力供給源である架線や蓄電池へ戻し、再利用できるようにする。
※印は一般的に「電車」と言われる車両で使われる用語
本実施形態は本発明を鉄道に適用したものである。すなわち、図1に示すように、本実施形態に係る鉄道車両Tは本発明に係る電池駆動車両に相当し、また本実施形態に係る輸送システムSは、鉄道車両T(電池駆動車両)、軌道R及び複数(n個)の駅S1~Snを備えている。上記駅の一部に電解液車の交換を行う操車設備B(駅A1~Anに合わせて数字を添える)と、充電基地C(Bと同様)を備える。この輸送システムSは、非電化区間を含み、かつ比較的長い距離、すなわち、蓄電池を備え、非電化区間を蓄電した電気で走行する輸送システムSにおいて、1回の充電で走行可能な距離に対し、大きく上回る距離を、充電に必要な時間を費やすことなく、貨客を輸送する輸送システムSである。なお、本実施形態において「n」は、任意の自然数である。
本発明における鉄道車両T(電池駆動車両)は、主要な電源として、レドックスフロー電池(以下、「フロー電池」という)を採用することを特徴とし、一般的な蓄電池は、電池反応に関与する物質が電池本体内に封入されているのに対し、前記フロー電池では、電池本体と、電池反応に関与する物質とが、別の容器に貯留されるという特徴を持つ。本発明は、電池本体と電池反応に関与する物質とが、別の容器に貯留されるという、フロー電池の特徴を利用し、電池反応に関与する物質が消耗しても、貯留容器ごと新たなものに交換するという方法により、電池本体からの電力供給が継続できる点に注目し、鉄道車両T(電池駆動車両)への適用が有効と判断したもので、具体的には、車両の1両を電池反応物質である電解液の貯留容器専用の車両とし、上記電解液が消耗したとき、電解液を貯留する車両を車両1両を充電済みのものと交換するという方法を考案した。
本実施形態における鉄道車両Tは、蓄電した電気により駆動するため、一定距離を走行するごとに充電が必要であるが、上記のとおり、走行のための電力の源は電解液であって、この電解液を貯蔵する車両(以下、「電解液車」という)が燃料タンクのような存在となる。燃料タンクが空になったときは、燃料を補給すればよいが、本発明においては、燃料タンクに相当する電解液車を、充電済みの別の電解液車に交換するだけで、燃料の補給と同じ効果をもたらし、継続して走行できることになる。具体的には、電解液を専用の車両(電解液車)に貯留し、電力を使い切った電解液車を切り離し、これに替えて、電力を満たした電解液車を連結することで、フロー電池本体が新たな電力を生み出し、鉄道車両Tは、継続して走行できる。
本実施形態について、図1を用いて詳細に説明する。
輸送システムSにおいては、図1に示すように、起点となる駅と終点となる駅の間に、利用者の利便性を考慮し、複数の駅が設置される。起点の駅A1から途中駅としてA2、A3の順で、終点の駅Anまでn個の駅が設置されている。ここで「n」は任意の自然数である。上記鉄道車両Tは、充電された電力により駆動されるが、そのエネルギ源は、電解液に化学エネルギの形で蓄えられたもので、鉄道車両Tの走行にともない、徐々に消費され、電解液に蓄えられた化学エネルギがゼロになれば、それ以上電気を供給することはできず、鉄道車両が継続して走行することはできない。したがって、化学エネルギがゼロになる前に、電解液に充電する必要がある。
上記において、充電されて化学エネルギを最大限蓄えた状態の電解液(これを「充電液」という)と、化学エネルギを消費し、フロー電池で十分な電力が取り出せなくなった状態の電解液(これを「放電液」という)と、充電液が放電液となるまでに取り出せる電力で鉄道車両Tが走行できる距離(これを「連続走行可能距離」という)としたとき、起点の駅A1において充電液を貯留する電解液車(これを「充電液車」という)を連結して出発し、2番目の駅A2に到着する。このとき、起点の駅A1から2番目の駅A2までの距離は、連続走行可能距離より短い距離で設定すべきである。すなわち、鉄道車両Tが2番目の駅A2に到着する時点で、電解液車2に貯留される電解液に電力を供給できる余力が残っていることが必須条件である。
2番目の駅A2に停車した鉄道車両Tは、次に3番目の駅A3を目指して出発する。このとき、駅A2とA3の間の距離が、2番目の駅A2に到着した時点の電解液車2に貯留される電解液の電力供給余力が、駅間の走行に必要な電力量に満たないと判断される場合は、駅A2で電解駅車2の交換を行う。上記電解液車交換により、電解液は充電液となるため、引き続き、連続走行可能距離以内の走行が可能となる。一方、2番目の駅A2での交換作業で切離された電解液車は、電解液の電力供給余力が小さくなって放電液車の状態となっているので、充電液車に戻す必要がある。2番目の駅A2には電解液車に充電を行うための充電基地C2が設けられ、操車設備B2で切離された電解液車を充電基地C2運搬し、充電して化学エネルギを回復させる。充電基地C2の近傍には電力供給設備D2を設け、充電用電源を供給する。
2番目の駅A2を出発して鉄道車両Tは、続いて3番目の駅に到着する。図1の例で、3番目の駅A3には操車設備と充電基地の備えがない。充電基地を設けない理由の1つは、2番目の駅A2と4番目の駅A4との距離が、連続走行可能距離に以下であるため、2番目の駅A2で電解液車を交換することで、4番目の駅A4までは、電解液車の交換を行わなくても到達できるため、3番目の駅A3に操車設備と充電基地の設置は不要とするものである。他の理由として、地理的な条件から、充電基地を設ける余地がない場合、あるいは充電基地を設けても、ここに電力を供給する電力供給設備が設置できないといった、立地条件により設置しない場合である。前者の場合は特に問題ないが、後者については、電解液車2の交換のための代案が必要になる。
上記のとおり、電解液の消耗を予想して電解液車2の交換を計画するため、必ずしも、電解液車の交換を各駅で行う必要はない。操車設備B、充電基地C、並びに電力供給設備Dは、立地条件と輸送システムS全体の必要電力量を考慮して適切な場所、適切な数を配置すべきである。ただし、やむを得ず駅間距離が連続走行可能距離を超える場合は、中間地点に、駅を伴わない操車設備Bxを設け、鉄道車両Tを一時停車させて電解液車の交換を行う。また、上記3番目の駅A3に充電基地Cを置かない理由が後者であった場合、電解液車2の交換は必要であれば、電解液車2交換のための何らかの施設が必要となる。駅と駅の中間での交換も含めて考えたとき、切り離した電解液車2を必ずしも、近接する施設で充電する必要はなく、電解液車2を近隣の充電基地へ、例えば1つ手前の2番目の駅A2へ運搬して充電してもよい。すなわち、自走できる別の車両に連結し、あるいは通常することで移動が可能であるという、車両の特徴を生かした運用ができる。また、交換で新たに連結する充電液車(充電された電解液車2)も同様で、近隣で充電したうえ、牽引できる車両に連結して、駅A3まで移動させ、駅A3に電解液車2の待機場所及び操車設備B3を設ければ、充電基地Cがなくても電解液車2の交換ができる。
一方、駅周囲の状況によっては、隣接して操車設備Bと充電基地Cを設けることができない場合がある。図1ではその例が、起点の駅A1であり、操車設備B1は隣接しているのに対し、充電基地C1が少し離れた場所に記載されている。すなわち、鉄道車両Tが貨客の輸送に利用する軌道R(幹線)から分岐した支線Rbを経て充電基地C1に導かれている。駅A1が開発の進んだ都市部に立地する場合、駅周辺に商業地や住宅地が密集していて、充電基地C1の設置場所の確保や、本発明の特徴とする再生可能エネルギによる発電設備の設置が難しい場合がある。このような場合は、駅から離れた適当な場所を充電基地Cとしてもよく、電力供給設備Dの敷地確保も考慮して、任意の場所まで支線Rbを設けて電解液車を運搬するという方法で、充電基地C1に電解液車2を移動させて充電を行う。牽引用に別途、駆動車両が必要となるが、軌道上の移動となるため、比較的小さい動力で容易に移動できるので、エネルギ消費量増加への影響も、非常に小さいものとなる。
以上のとおり、輸送システムSを計画するに当たっては、駅の間隔や駅周辺の状況、更には軌道Rの経路の勾配も電力消費に影響するので、これら種々の条件を考慮して電力消費を予測し、電解液車交換や充電のための設備の配置を適切に計画することで、円滑な輸送システムSの運用が実現できる。
図1に記載の電力供給設備Dは、太陽光発電設備Eと風力発電設備Fを例として挙げている。その他の再生可能エネルギとして、水力発電設備H、地熱発電設備G、海流発電設備Jなどが挙げられるが、いずれも立地条件が限定される。輸送システムSは、都市部だけでなく、山間部や海岸線を走行することも想定されるので、図1の例に限定せず、沿線の地理的条件に適した電力供給設備を任意に選択してもよい。
なお、一般の電力網から電源を供給してもよい。とくに、気象条件等によ発電量が左右されやすい再生可能エネルギを利用するには、発電量が大きく落ち込んだときの保険的な手段として、安定した電力網からの電力供給は有効である。
次に、鉄道車両Tについて、詳細に説明する。
鉄道車両Tは、電池の電力に基づいて走行駆動される列車であり、図2に示すように複数の車両つまり制御電動車1(機関車)、電解液車2及び1両又は複数両の客車3が連結されている。鉄道車両Tは、所定の規格の軌道R上を走行し、軌道Rは図1で説明のとおり、利用者の利便性と、鉄道車両Tの動力源となる再生可能エネルギ発電設備の立地等を考慮し、駅A1~An、操車設備B1~Bn、充電基地C1~Cn、及び電力供給設備D1~nが設けられ、鉄道車両Tが、前記の各駅、操車設備、充電基地を活用しながら所定の区間、所定の経路を運行する。
上記鉄道車両Tの編成について、先頭を制御電動車1(機関車)とする配置は一般的に行われるが、2両目に電解液車を配置するのは、先頭の制御電動車1に載せたフロー電池本体へ電解液を供給しやすいこと、電解液車2の交換作業手順が簡易にできることに加え、更に客車3については、電解液車2の交換作業に関わる車両が、先頭と2両目に限定され、乗客が乗る3両目以降は、電解液車交換作業中、駅に停車した状態で待機できるよう配慮されている。なお、電解液車2は、電解液貯槽周囲の温度上昇の防止と、電解液の重量に加え、更に重量が嵩む機器の搭載を避けるため、電動機を備えない構成としている。その結果、自走ができないので、交換作業では、先頭の制御電動車1が牽引する形で作業を進める。したがって、電解液車2は電動制御車1に直接連結されていることが望ましい。
図2は鉄道車両Tの編成の一例であり、代表的な構成として示すもので、先頭に制御電動車1(機関車)、2両目に電解液車2を配置し、3両目以下に任意の数の客車3を連結する。前記鉄道車両Tの駆動力は先頭の制御電動車1のみが有し、2両目以下を制御電動車1(機関車)が牽引する構成となっている。制御電動車1は駆動力を得るための電動機を備え、前記電動機に供給する電力を得るため、レドックスフロー電池本体1f(以下「フロー電池本体」という)とこれを制御し、必要な仕様の電源供給するための各種装置をも備える。フロー電池本体1fより電力を取り出すため、前記フロー電池本体1fに電解液を供給するが、その電解液は電解液車2に貯留される。電解液には正極電解液(電池反応で電子を受容)と、負極電解液(電池反応で電子を放出)の2種類があり、電解液車2には、これら2種の電解液を個々に貯留するための貯槽を備える。客車3は、電動機を備えないため、動力電源は不要であるが、照明、空調、その他制御装置用に電力が必要であり、客車の先頭(もっとも電解液車2に近い)車両に、比較的発電容量の小さいフロー電池本体と、フロー電池の直流出力を客車内電源仕様に変換する制御装置を備える。
上記鉄道車両Tにおいて、まず先頭の制御電動車1(機関車)について詳細に説明する。制御電動車1(機関車)は、走行動力を発生させる電動車であるとともに、走行動力発生に必要な電力を供給する役割を持つ。図示するように車体1a、一対の台車1b、連結機1c、運転室1d、乗務員室1e、フロー電池本体1f、補助電池1g、一対の主電動機1h(走行力発生装置)、正極電解液循環系1i(以下「正極循環系」という)、負極電解液循環系1j(以下「負極循環系」という)及び制御装置類1kを備えている。前記制御装置類には、主電動機の制御装置、鉄道運行に必要な各種制御機器、フロー電池本体1fへの電解液循環を制御する機器、その他制御電動車1全体の温度の制御・管理を行うための機器や制御装置が含まれる。更に、電解液搬送系は、陽極電解液と負極電解液を搬送する配管系各1対(フロー電池本体への供給側と排出側)、配管系開閉操作のための弁類、循環用ポンプ各1台(予備機を備える場合は更に各1台)、フロー電池本体1fから排出される電解液の冷却装置など、図示しない機器、装置が含まれる。
車体1aは、所定長さを有する金属製筐体である。この車体1aは、例えばステンレス合金やアルミニウム合金、その他強度と重量を考慮して任意の材料で製作される。一対の台車1bは、車体1aの下部において車体1aの長さ方向(前後方向)に所定の距離を隔てて設けられている。各々の台車1bは、上記軌道R上を回転する4つ(2対)の車輪を備え、直近に備える主電動機1hから伝えられる動力により、車輪が回転する仕組みとなっている。連結機1cは、車体1aの後部に設けられており、後方の電解液車2を車体1a(制御電動車1)に連結させる。なお、図3では、客車を数両連結する程度の出力を想定したもので、制御電動車1(機関車)の形状が、客車等に類似した台車の構成で、車台2台(台車1台あたり動輪数として2軸)としたが、一般的な電気機関車のような、動輪が4軸~6軸(車輪として4対8個~6対12個)程度あるような形状としても、内部の構成は基本的に変わらない。
運転室1dは、車体1aの前部に設けられており、運転手が操作する操縦機器や通信機器、また運転手が座る運転台等が設けられている。運転手は、上記操縦機器を操作することによって、また通信機器が受信する運行指令に基づいて制御電動車1を操作することにより鉄道車両Tを所望の運行スケジュールに従って走行させる。運転室1dとは別に乗務員室1eが、車体1aの後部近傍に備えられており、フロー電池やその他の制御装置を運行中も監視、調整するため、専門の要員が乗務できるようにしている。
一般的な電気機関車は、車体の前後方向の両側に運転室を設け、運転手が乗務する方の運転室を前方として走行するのに対し、本発明における制御電動車1(機関車)は、一方のみ運転室1dを設け、他方は操縦機器を設けない乗務員室1eとしているが、これはフロー電池本体への電解液循環のための機器や配管を設置するうえで、進行方向を限定するのが望ましいためである。電解液供給の経路の工夫により、進行方向を限定する要因が解消できる場合は、運転室1dを、一般的な電気機関車と同様に、両端に設け、双方向へ向けて走行できるようにしてもよい。
フロー電池本体1fは、内部に電解液が通過する部屋(これを「セル」という)が複数、層をなして設けられ、電解液が通過する間に酸化還元反応(電子の授受)が起こり、電子の移動により電流(電力)が発生する。フロー電池の本体1fは、車体1aにおいて長手方向(前後方向)の重量分布を考慮して配置するが、主電動機1hと並んで、制御電動車1の重量の多くを占めるため、略中央部に設けて、全体の重量を平均化するのが好ましい。フロー電池は、周知のように二次電池の一種であり、内部を通過する電解液(正極電解液及び負極電解液)に含まれるイオンの酸化還元反応にっよって電子の移動が起こる仕組みで、充電と放電の双方向の反応を行うことができる。
ここで、フロー電池の仕組みについて説明する。
フロー電池は蓄電池の一種であるが、電極での反応は、基本的に一般的な蓄電池とは、反応する物質が異なるだけで、基本的には酸化還元反応である。大きな違いは、電池反応に関与する物質が貯蔵される場所である。一般の蓄電池では、電池反応を行う物質が、電池本体内の電極もしくは電極の周囲の封入物に含まれ、電極内又は電極表面で電子の授受が行われることで正負の電極間に電流が流れ、充放電を行うことができる。電池内部に蓄えられる電気量は、電池本体内部に封入された、電池反応に関与する物質の量で決まる。
これに対し、フロー電池は、電池反応に関与する物質が電池本体内部に存在し、電極表面で酸化還元反応を行うことで電力が得られる点については、一般の蓄電池と同じであるが、電池反応を行う物質は液状の電解液の状態で存在し、電極は電子の授受のみで自身は変化しないのが特徴である。電池反応を行う物質は電解液として流動性を持ち、電極表面を移動しながら電池反応が進行する。電解液が供給される部屋には、電解液の入口と出口が設けられ、新しい電解液が次々と供給される一方で、電池反応で電子の授受を終えた電解液は排出される。充電時も同様で、放電が進んだ電解液を供給し、電極では放電時と逆の反応が進むことで電解液に電力のもととなるエネルギが蓄積しながら出口に達し、電池本体から排出された電解液は、電解液貯槽に達し、ここで貯留される。電解液貯槽に貯留される電解液中に、化学エネルギの形で蓄えられるエネルギの大小で充電状態が決まる。電池本体とは別の貯蔵容器に、化学エネルギを蓄えた電解液を貯蔵するという構成を特徴とする。電解液のみを貯蔵する専用の車両を設けることで、電池本体を備える車両と、エネルギ源となる電解液を貯蔵する車両を分けるという方法を考案した。
ここで図を参照して、フロー電池の仕組みを説明する。
図3は、フロー電池を構成する電池の最小単位(これを「セル」という)を示すものである。レドックスフロー電池システム100の構成要素として、電解セル110と正極電解液貯槽200、負極電解液貯槽201とが大きな部分を占める。電解セル100には、正極電解液が通過する部屋(正極電解液室112)と、負極電解液が通過する部屋(負極電解液室113)と、前記2つの部屋を仕切る隔膜111で構成され、各電解液が通過する部屋には電極板(正極114,負極115)が設けられている。正極電解液貯槽200には正極電解液が貯留され、供給ポンプ202により電解セル100内の正極電解液室112へ所定の流量で供給され、正極電解液室112内を通過後、正極電解液冷却器208を経て、正極電解液貯槽へ戻される。負極電解液も同様に負極電解液貯槽201→供給ポンプ203→負極電解液室113→負極電解液冷却器209→負極電解液貯槽201の順に循環される。
上記のとおり、フロー電池では、電解液が電池本体と別の貯槽に貯留されていて、その貯留された電解液を電池本体に供給するという構成となっている。ここで使用する電解液には、容易に電子の授受を行うことができるイオンが溶解していて、図4では、模式的に正極側のイオンM及びM2+、負極側のイオンN及びN2+と表し、それぞれが+(1価のイオン)と2+(2価のイオン)の2種類の形態を、相互に変化することを示している。1価から2価へ変化する際に電子1個が放出され、逆の場合は電子1個を受容する。正極のイオンM2+は電子を受容しやすい性質を持っており、負極のイオンNは電子を放出しやすい性質があるという組合せを選択することで、電池反応が起こる。
次に、電池反応について説明する。負極115では電解液中のイオンNが電極に接した際に電子を放出し、イオンN2+に変化する。負極115に残される電子1個は、接続される導線117を通じて、負荷300へ導かれる。一方正極114では、イオンM2+が電子1個を受容し、Mに変化する。このとき、正極では電子1個が不足の状態になるため、電荷を中和するため導線116を通じて電子を取り込もうとするが、負荷300には負極側から電子が供給されており、電子が不足する正極(電荷として+)に引かれ、負荷300を通過して正極へ導かれ、負荷300を電子が通過する(電子の流れと反対の方向に電流が流れる)ことにより、負荷300では「仕事」(エネルギの消費)が行われる。なお、正極電解液室112内では、イオンM2+がMに変わることで正(+)イオンが不足の状態になる。反対に負極電解液室113内では、イオンNがN2+に変わることで、正イオンが過剰となるが、第三のイオンXが隔膜を透過して、正イオンの過剰側から不足側へ移動することで、電解液内の電荷のバランスが保たれる。
以上、フロー電池の放電の仕組みを説明したが、充電は、その逆の反応を行わせることとなる。正極電解液では、イオンM2+が電子を受容してMに変化する方向の駆動力が働いている。言い換えれば、イオンM2+がイオンMよりエネルギの高い状態にあり、したがって、エネルギの高いM2+からエネルギの低いMへ向かって、坂を下ろうとする。これに対し、充電は、強制的に電圧を加えることで、低い方から高い方へ押し上げる作用である。すなわち、イオンMから強制的に電子を放出させ、M2+へ戻すという反応を行うことで、化学エネルギを電解液に蓄える操作である。イオンNとN2+との反応も同様に進み、正極電解液と負極電解液の電荷のバランスをとるように第三のイオンXが隔膜を通じ、放電時と逆方向に移動する。
以上の電池内反応を、2種のイオン(MとN)の1価と2価の間の相互変化、電解液の電荷バランスをとるために移動する第三のイオンXとして説明したが、電解液の組合せは種々提案されていて、価数が1~5あるいは更に大きな価数のイオンが±1あるいは2以上の変化する反応を利用したもので、イオンが単純な1種の金属元素である場合に加え、金属元素の非金属元素が配位したイオン(錯体)であるもの、さらには分子内で可逆的に電荷の変化ができる有機化合物を用いるものなと、多種の電解液が提案されており、本発明では、フロー電池の充放電特性と、鉄道車両Tの電気的特性との適合性を考慮して、採用する電池の種類を選定すべきである。
以上のとおり、レドックスフロー電池システム100において、電池本体の最小単位である電解セル110と、電解セル110とは別に貯留される正極及び負極電解液を、供給ポンプ202及び203により電解セル110に電解液を供給することにより、正極と負極の間に電子の移動が発生し、両電極と接続された負荷に電流が流れることにより、「仕事」が行われる。すなわち、電解液に蓄積されていた化学エネルギが、レドックスフロー電池システム100により、電気エネルギに変換され、最終的に「仕事」に変換される。なお、電解液の化学エネルギを100%「仕事」に変換することは困難で、一部は電池反応の間に熱に変換される。その結果、電解液の温度が上昇するので、電解液が貯槽へ戻る手前に冷却器208及び209を設け、電解液の温度制御している。電解液の温度上昇は、電池反応での効率を低下させるため、厳密に管理する必要がある。
以上は、電池反応の部分だけを取り上げた説明てあるが、本発明においては、電解液車2に貯留される電解液が持つ化学エネルギを、制御電動車1に設置のフロー電池本体1fで電気に変換し、この電気を主電動機に供給することにより、最終的な「仕事」に相当する鉄道車両Tの走行動力を得ている。図3に示した電解液冷却器208及び209について、図3の鉄道車両Tに記載がないが、電解液の温度制御のためには不可欠なものであり、正極循環系1i及び負極循環系1jに備えられる。また、回収する熱は、たとえば客車3や乗務員が居住する空間の暖房や、洗面所等への給湯に利用できる。
以上、フロー電池の原理や作動について説明したが、実際に鉄道車両Tの駆動用電源に用いるためには、新たな構成が必要となる。
図3を用いて説明した電解セル100(単セル)により得られる電圧は、電池の種類によっても異なるが、おおむね1(V,ボルト)前後から、高いものでも数Vである。一般的鉄道車両で用いられる電源電圧は1,500Vで、既存技術として説明した充電式の鉄道車両でも630Vという電圧で駆動している。電圧変換は、DC/DCコンバータによりある程度の変圧は可能であるが、数Vの電圧を、630Vあるいは1,500Vに変圧するのは困難である。電池側で、ある程度の電圧を発生させる必要がある。
電池で高い電圧を得る方法として、乾電池では直列に複数個をつなげる方法が用いられる。フロー電池でも同様の方法で高い電圧を得ることができる。図5を用いて、具体的な方法を説明する。
図4には、図3で説明した電極、電解液室、隔膜など、それぞれを薄い層状とし、これらが順に積層された構造が記載されている。各部材の記号として、図3で用いた記号の後に1~nを付しているが、前記1~nがフロー電池の単位のセルを表す。例えば、1番目のセルの正電極が114-1、同正極電解液室が112-1、同隔膜が111-1、同負極電解液室が113-1、負電極が115-1となる。2番目のセルの正電極114-2は1番目のセルの負電極115-1を共用するため115-1と114-2の記号を併記している。このようにして、2番目のセル、3番目のセルという形で順次積層し、n個のセルが積層された構成となる。電解液は電解液搬送系から分岐し、セルごとに供給される。その結果、上記、積層電池の正極(1番目セルの正電極)と積層電池の負極(n番目セルの負電極)との間に、単セルの電圧に対しn倍の電圧が得られる。
図4に示す構造は、燃料電池でも採用されており、隣り合う単位のセル間で、電極板を共有することにより、電池の直列接続に必要な電線が省略できる。すなわち、積層されたn個のセルの両端に電線を接続するだけで電力を取出すことができる。さらに、積層して密閉構造とすることにより、鉄道車両Tへの搭載が容易になる。また、上記のとおり、積層するセルの数を増すことで、出力できる電圧を高めることができるが、鉄道車両Tの主電動機の駆動用電源としては高電圧が必要である一方、客車用電源としては、用途が照明器具、空調、その他生活用電源レベルであるため、さほどの高電圧は必要なく、フロー電池としては、上記用途の違いにより、積層するセル数を変えて、より適切な仕様のフロー電池本体を選定することになる。
以上、フロー電池の構成や仕組みについて説明したが、以下、図2に戻って鉄道車両Tの詳細について説明する。
フロー電池は、電解液を電池本体とは別の貯槽に貯留し、電力が必要なときに電解液を供給するため、出力できる電力は、電解液の貯槽の容量で決まり、貯槽の容量を大きくすることで、出力できる電力も大きくできるという特徴を持っている。一方で課題もあり、リチウムイン電池のような他の二次電池に比較して電流密度が低いことが知られている。鉄道車両Tでは、停止している状態から、加速を始める際、瞬間的にかなりの電流出力が要求される。フロー電池だけでは、要求量を賄えないことから、不足分を補てんする、補助電池が必要となる。
補助電池1gは、フロー電池本体1fよりも高い電流密度の直流電力を出力する二次電池であり、例えばリチウムイン電池である。鉄道車両Tが加速時に必要とする電流の一部あるいは大半を、この補助電池1gから出力し、フロー電池本体1fの出力では不足する電力を補助する。一方で、惰性走行時には主電動機1hへの電力供給はゼロとなるため、フロー電池本体1fの出力で補助電池1gを充電し、次の加速に備える。このような補助電池1gは、フロー電池本体1fと連携して作動させるため、同一車両内、すなわち制御電動車1(機関車)にフロー電池本体1fと近い位置に配置される。なお、図3の制御電動車1(機関車)内の配置は一例であって、上記の連携制御に支障がない範囲で、配置を変更してもよい。
主電動機1hは、車輪に動力を伝えるため、台車1bの近傍に設ける。上述した一対の台車1bに対応して設けられた走行力発生装置である。これら駆動モータ1hのうち、一方(前方側)の主電動機1hは、前方側に位置する台車1bの車輪を回転させる走行力発生装置であり、他方(後方側)の主電動機1hは、後方側に位置する台車1bの車輪を回転させる走行力発生装置である。
各主電動機1hは、VVVF(可変電圧、可変周波数)インバータ制御等、一般的に用いられる電力変換回路で変換された電力により駆動される。すなわち、各主電動機1hは、フロー電池本体1fから供給される直流電力Pf及び補助電池1gから供給される直流電力Phを上記電力変換回路で主電動機駆動電力Pv(交流電力)に変換することにより、台車1bの車輪を回転駆動する。
正極循環系1iおよび負極循環系1jは、フロー電池本体1fと電解液車2に設置された正極電解液貯槽2d及び負極電解液貯槽2eとの間に設けられており、図3では詳細に記載していないが、1i、1jそれぞれ供給と戻りで1対となる配管系統が2対設けられている。正極循環系1iおよび負極循環系1jには、図示しない電解液循環ポンプが、制御電動車1の各電解液供給側(貯槽からレドックスフロー電池本体へ向かう配管系)に設けられ、正極電解液貯槽2dから正極電解液接続配管2f(以下「正極液管」という)を通じ、正極電解液が供給され、上記電解液循環ポンプの働きにより正極電解液循環系1iに所定量の電解液が流れ、レドックスフロー電池本体の正極電解液室112へ供給される。同様に負極電解液貯槽2eから接続配管2gを通じ、負極電解液が供給され、上記電解液循環ポンプの働きにより電解液循環系1jに所定量の電解液が流れ、レドックスフロー電池本体の負極電解液室113へ供給される。
正極循環系1iおよび負極循環系1jの電解液車2との接続部は、電解液車2を交換する際に、切り離しと連結を繰り返すため、電解液が外部に漏れないようにする機構が必要となる。接続部には、末端には図示しない切り離しと接続を容易に行うための継手を設けると共に、継手の直前の位置には図示しない遮断弁を設け、切り離しの際の電解液の漏れを最小限にすると共に、連結時に継手部に混入する空気の除去機構として、上記遮断弁の近傍に混入した気泡を速やかに排出する機構を設けるといった、細かい配慮を施すこのが好ましい。
制御装置1kは、主電動機の制御装置をはじめ、鉄道車両T内で必要な各種の電源仕様に変換する変換機(器)、鉄道車両Tを運行するための制御システムなど、種々のものがある。上記制御装置1kのうち、とくに重要なものとして、主電動機1hの電源供給系統の制御について、図5(A)を参照して説明する。
フロー電池本体1fから直流出力Pfが供給されるが、刻々変化する電解液の状態(充電レベル、液温度等)による出力変動が生じる可能性があるため、主電動機1hへの供給電圧を安定させるため、出力電圧の制御機能を有する変換機1k―c(DC/DCコンバータ)を介して供給する。主電動機1hには、レドックスフロー電池出力Pfのほかに、補助電池1gからも補助電池出力Pgが供給され、供給電源切替装置1k-jにより、主電動機1hの消費電力に応じて、必要な電力が供給できるよう、適宜調整される。
任意の駅Axを出発し、鉄道車両Tが定常走行(惰性走行)に到達するまで、主電動機1hは、大きな動力を発生させるため、電力消費も大きくなる。したがって、主電動機供給電力Pmが高い状態が続き、フロー電池出力Pfだけでは、主電動機供給電力Pmを賄いきれないため、補助電池1gからの補助電池出力Pgを加えることで主電動機供給電力Pmを確保する。このとき、供給電源切替装置1k-jが、上記フロー電池出力Pfと補助電池出力Pgを加算して主電動機供給電力Pmを供給する。前記、主電動機供給電力PmはVVVFインバータ1k―vを通じて主電動機1hを駆動する。
鉄道車両Tの加速が完了し、定常走行(惰性走行)に移行すると、主電動機1hの動力出力はゼロとなり、主電動機供給電力Pmもゼロになり、フロー電池出力Pfは、全量が余剰となる。このとき、供給電源切替装置1k-jはフロー電池出力Pfを補助電池を充電する方向に切り替わる。すなわち、フロー電池出力Pfを補助電池充電電力Phとして補助電池へ供給し、鉄道車両Tの加速過程で消費した補助電池1gの回復(充電)が行われる。なお、惰性での走行の間、鉄道車両Tは軌道Rとの摩擦や空気抵抗により徐々に速度が低下し、再加速が必要となる。したがって、鉄道車両Tは、次の駅A(x+1)に到着するまで、加速と惰性走行を繰り返し、供給電源切替装置1k-jの働きで、フロー電池出力Pfをほぼ一定に保ちながら、補助電池1gが放電と充電を繰り返すことで、主電動機1hを駆動させるのに必要な電力を供給する。
鉄道車両Tが次の駅への停車に備え、駅A(x+1)の少し手前より制動操作を行う。その際には、回生ブレーキの働きで発電を行い、回生電力Pwが発生する。回生電力Pwは、VVVFインバータ1k-vと供給電源切替装置1k-jを通じて補助電池へ供給され、充電される。
図2に戻って、制御電動車1(機関車)に牽引される各車両について説明する。
電解液車2は、制御電動車1(機関車)に供給する電解液(正極電解液及び負極電解液)を貯留する車両であり、図示するように車体2a、一対の台車2b、一対の連結機2c、正極電解液貯槽2d、負極電解液貯槽2e、正極液管2f(供給と戻りで1対)、負極液管2g(供給と戻りで1対)及び電解液車制御装置2hを備えている。正極液管2fと正極液管2gは、電解液車2の両端まで配管が設けられ、末端に遮断弁及び連結する別の車両との継手設け、他の車両と連結しないときは、遮断弁を閉じて液が流出しない構造としている。上記継手は、脱着が容易で、かつ鉄道車両T走行中の振動で緩まない構造のものとし、さらに、2つの車両の間をつなぐため、一方に自在継手を設ける。自在継手は、鉄道車両Tの振動や、軌道Rの湾曲した部分を通過する際の揺れに対して、継手が伸縮することにより、接続した状態を維持する目的を持っている。上記、制御電動車1の正極循環系1i及び負極循環系1jと同様に、切り離し時の電解液漏れを最小限にとどめる構成とすると共に、連結時は、継手部に混入する気泡を除去する機構を設けるのが好ましい。
車体2aは、所定長さを有する金属製筐体である。この車体2aは、機関車1の車体1aと同様に例えばステンレス合金やアルミニウム合金、その他強度と重量を考慮して任意の材料で製作される。一対の台車2bは、車体2aの下部において、車体2aの長さ方向(前後方向)に所定の距離を隔てて設けられている。このような台車2bは、上記軌道R上を回転する4つの車輪を備えている。
一対の連結機2cは、車体2aの前部及び後部に各々設けられており、電解液車2を制御電動車1(機関車)及び客車3(客車の1両目)に連結させる。これら車体2aの前後に設けられた一対の連結機2cは、鉄道車両Tの進行方向により連結する車両が異なり、進行方向前方側は電解液車2と制御電動車1(機関車)との連結に、進行方向後方側は電解液車2と客車3(客車の1両目)との連結に用いられる。
正極電解液貯槽2dと負極電解液貯槽2eは、図示では車体2aの長手方向(前後方向)に振り分けるように設けられ、それぞれ所定容量の液体を貯留する容器である。レドックスフロー電池システムは、さまざまな電解質の組合せが提案されているが、フロー電池本体の仕様に対して、使用できる電解質の組合せは限定されるので、運用において電解質の組合せを変えることはほとんどない。鉄道車両Tという限られた設置スペースで、かつ電解液を含めた搭載可能重量を考慮して、フロー電池本体と電解質の組合せを決めることになる。
図2の車体2a内の電解液貯槽や制御装置の配置は、一例として示したもので、必ずしも図示した通りである必要はなく、電解液貯槽の振り分けが、車体2aの前後方向であっても左右方向であってもよく、制御装置の配置も図示し配置である必要はない。貯留される電解液の状態を監視するため、鉄道車両Tの走行中に監視・調整員が車体2a内を巡回するので、監視・調整員が、移動するための通路と作業空間が確保でき、かつ車体2a内の重量の片寄りが無視できる程度の配置であれば、電解液貯槽、制御装置等の配置を任意に設定することができる。
正極電解液貯槽2dには、フロー電池本体1fへ電解液を循環するため、電解液を流通させる1対(供給と戻り)の正極液管2fが接続される。正極液管2fは、制御電動車1(機関車)を連結する側と、客車3を連結する反対側の双方に電解液が供給できるよう、正極電解液貯槽2dとの接続口から接続される配管は、車体2aの前後方向に分岐して配置され、さらに前後に分岐された各末端の連結器2c近傍に弁と継手が備えられる。制御電動車1(機関車)連結時は、制御電動車1側の正極液循環系1iと自在継手を介して接続され、鉄道車両T走行時の揺れに対応して変形し、電解液の流路が維持される。他方、客車3にも客車内に電源を供給するためのフロー電池が備えられるため、制御電動車1(機関車)との接続と同様に自在継手により接続される。
負極電解液貯槽2eにも上記と同様の1対(供給と戻り)の負極液管2gが接続され、制御電動車1(機関車)の負極液循環系1j及び、客車3に備えられたフロー電池と接続される。
電解液車制御装置2hは、正極電解液貯槽2d及び負極電解液貯槽2eに付帯する各種計測機器や制御機器である。すなわち、この電解液車制御装置2hは、正極及び負極電解液の充電レベルの監視(電池反応に関与するイオン濃度の計測)、液温、液位の監視、液温制御(温度上昇防止のための冷却装置制御)、弁類(切替弁、遮断弁)の制御等、電解液の維持管理に関する制御機器が備えられている。また、電解液車制御装置2hの電源は、主に制御電動車1(機関車)より、図示しない制御装置用電源供給系統を通じて供給されるが、制御電動車1(機関車)と切り離されたときに、単独でも運用できるよう、比較的容量の小さい補助電池を備えてもよい。制御装置用電源系統は、主電動機用で電源に比べて電圧が低い直流、または交流の電源で、専用のケーブルで制御電動車1(機関車)から接続端子を介して供給される。接続端子は、電解液車2交換作業時に脱着可能の構造とし、走行中の振動に対応可能で、作業上の利便性も考慮した構造や配置とする。
電解液車2は上記のとおり、電解液の貯留と維持管理を行う機能を備える一方で、制御電動車1(機関車)における一対の駆動モータ1hのような走行力発生装置を備えていない。すなわち、電解液車2は付随車であり、軌道Rを走行する間はもとより、充電基地を備えた駅での交換作業においても、制御電動車1(機関車)に牽引されることで移動が可能となる。また、電解液を循環させるためのポンプは備えず、基本的に電解液の循環は、フロー電池本体を備える車両側にポンプを備えて、受動的に循環させる。ただし、電解液貯槽内の液循環や、他の車両への電解液供給の目的で、電解液車2の専用のポンプを備えてもよい。
客車3は、図2に示すように、車体3a、一対の台車3b、一対の連結機3c、客室3d、客車電源用フロー電池本体3e、それぞれ供給と戻りの一対の配管系で構成される正極電解液循環系3f(以下「客車正極液系」という)と負極電解液循環系3g(以下「客車負極液系」という)、更には制御装置3hを備えている。車体3aは、所定長さを有する金属製筐体であり、例えばステンレス合金やアルミニウム合金、その他強度と重量を考慮して任意の材料で製作される。
一対の台車3bは、車体3aの下部において車体3aの長さ方向(前後方向)に所定の距離を隔てて設けられている。各々の台車3bは、上述した軌道R上を回転する4つの車輪を備えている。一対の連結機3cは、車体3aの前部及び後部にそれぞれ設けられており、客車3を電解液車2の後方に連結させると共に後続の客車(図示略)に連結させる。
客室3dは、車体3aの大半を占める空間であり、客用の座席が複数設けられている。なお、図示していないが、客車3の車体3aには客が客車3に出入りするための開閉扉(乗降口)が複数設けられている。客車電源用フロー電池本体3eは、上述した制御電動車1(機関車)のフロー電池本体1fと同様なものであるが、客車3で使用される電源は、制御電動車1(機関車)の主電動機h用電源より電圧が低いため、積層数の少ない仕様でよく、比較的小型のもので良い。電解液車2の正極液管2fの継手と自在継手を介して客車正極液系3fとを接続するとともに、電解液車2の負極液管2gの継手と自在継手を介して客車負極液系3gとを接続し、電解液の供給を受けることによりフロー電池として機能する。この客車電源用フロー電池本体3eは、図示では車体3aにおいて長手方向(前後方向)の電解液車2を連結する側に設けられるが、配置が可能であれば客室3dの床下や天井部分、あるいはその他設置可能な場所に備えることができる。
客車正極液系3fと客車負極液系3gとも供給側に液循環ポンプを備え、電解液車2の各電解液貯槽から前記ポンプにより電解液を吸引し、客車電源用フロー電池本体3eへ電解液を供給する。また、客車正極液系3fと客車負極液系3gとも電解液の戻り側(客車電源用フロー電池本体3e出口側)には冷却器を設け、電池反応の過程で上昇した液温を低下させる。なお、可能であれば、回収した熱を客車内の暖房や温水製造に使用することもできる。
制御装置3hは、客車電源用フロー電池本体3eを電源として動作する装置であり、客車正極液系3f及び客車負極液系3gの液循環用ポンプの駆動と制御、客車電源用フロー電池本体3eの制御、監視装置、客室3dに備えられた照明や空調装置を制御する制御装置等である。このような客車3は、制御電動車1(機関車)の駆動モータ1hのような走行動力の動力源を備えるものでなく、上述した電解液車2と同様に付随車である。
次に、本実施形態に係る鉄道車両T及び輸送システムSの動作について、上述した図1~図5に加え図6を参照して詳しく説明する。
この輸送システムSでは、鉄道車両Tが軌道R上を走行することにより貨客を駅A1~An間に輸送する。例えば、駅A1から駅Anに貨客を運ぶ場合、鉄道車両Tは、駅A1から駅Anに向かって軌道R上を走行するが、この間に電解液車2に貯留される正極電解液及び負極電解液に蓄えられた化学エネルギが消耗し、やがて、フロー電池本体1fより出力される直流電力が低下するので、直流電力出力に余力があるうちに、電解液車2の交換を行う必要がある。
この輸送システムSでは、走行区間の地形的な条件や駅間の距離を考慮し、始発駅A1を出発し、電解液車2の交換が必要となる地点がどこかを予想し、その地点の直前にある駅Aを1回目の交換場所とし、さらに交換後、どこまで行けるか、という形で終点までの交換計画を作成し、該当する駅Aに操車設備Bと充電基地Cが設けるという手順で計画する。さらに、輸送システムSの運行に影響を与える種々の外乱、例えば悪天候や事故といった要因で、余分に電解液を消耗する事態を想定し、電解液車2の交換に必要な設備を配置するとよい。
上記のとおり、電解液車2の交換は、あらかじめ運行計画に盛り込んで設定するもので、その結果、電解液車2の交換に要する時間を考慮した、列車の運行スケジュールが作成される。また、予定外の電解液車2の交換もある程度予測して計画するが、地理的に充電基地Cを備えることができない駅Aについても、電解液車2を待機させ、交換作業ができる最低限の設備は整備しておくのが望ましい。
図1のモデルを参考に、始発駅A1を出発した鉄道車両Tが電解液車2に貯留された電解液の化学エネルギを利用しながら、終着駅Anへ向けて走行する際の具体的な運用例を声明する。パラメータとして4つ、すなわち鉄道車両Tの速度、電解液の充電レベルの推移、フロー電池本体1fの出力変化、補助電池の充電状態を、時間経過に対して変化する様子を模式的に表したものが図6である。
始発駅A1において、電解液車2に貯留された電解液充電レベルが100%の状態で鉄道車両が出発する。鉄道車両Tでは加速の指令が出され、補助電池1gが直流電力Pgを放電し、この電力により主電動機1hが駆動され、鉄道車両Tの速度は徐々に増加する。その間、フロー電池本体1fからも直流電力Pfが供給され、主電動機1hの動力の一部を賄う。前述のとおり、フロー電池は電流密度があまり大きくできないという課題があり、本発明における鉄道車両Tに備えるフロー電池本体1fの直流電力Pfは、主電動機1hが必要とする動力Pvのごく一部を賄うに過ぎない。主電動機1hを駆動する電力の多くは、補助電池1gの直流電力Pgによるものとなり、加速が続いている間に、補助電池の充電率は急速に低下する。
鉄道車両Tが、定常走行速度に達すると、運転モードが惰性走行に切り替わる。この状態では、主電動機1hへ供給する電力Pvがゼロとなり、補助電池1gからの直流電力Pgもゼロとなる。一方、フロー電池本体1fからの直流電力Pfの供給は継続されるが、主電動機1hへの供給電力Pvはゼロとなるため、直流電力Pfは全量余る計算になる。図5(A)で示すとおり、フロー電池本体1fからの直流電力と補助電池1gの直流出力1gは制御装置1kを構成する電力切替制御装置1k-jを介して主電動機1hへ供給される。電力切替制御装置1k-jは、上記のとおり、フロー電池本体の直流出力Pfが余剰となったことを検知て、補助電池1gを充電する方向に切り替えを行い、補助電池1gの充電電力Phの供給を始める。その結果、補助電池1gの充電率は徐々に回復する。惰性走行が継続している間は、補助電池1gが充電される。
鉄道車両Tは、惰性走行中に軌道Rとの摩擦や空気抵抗により徐々に減速するので、図6の例では、定常走行速度の80%に達したところで、再加速を行う。再加速に転じる速度については、一例として示したものであり、必ずしも80%である必要はない。加速に転じることで、補助電池1gからは直流電力Pgが供給され、補助電池1gの充電率は低下するが、定常速度に達した時点で、再度惰性走行に移行し、補助電池1gは充電されるという繰返しが行われる。
鉄道車両Tが次の停車駅A2に近づくと、駅に停車するため制動操作に入る。制動操作は、いくつかの制動装置を組合わせて行うが、近年では、制動のエネルギを電力に変え、再利用することを目的に、回生ブレーキが一般的に使用される。本発明においても、エネルギの有効活用を考慮し、主電動機1hに回生ブレーキの機能を備える。回生ブレーキにより発生する電力Pwは、VVVF制御装置1k-vと電力切替制御装置1k-jを介して補助電池1gへ供給され、補助電池1gの充電に利用される。鉄道車両Tは制動操作により速度が低下し、駅A2に停車いする。図6の例では、始発駅A1発車後、次の駅A2に停車するまでの間に電解液車2に貯留された電解液の充電レベルは、交換の目安となる値まで低下しているので、駅A2にて電解液車2の交換を実施する。
駅A2では、電解液車2の交換が完了するまで停車し、出発が可能になりしだい、次の駅A3へ向けて出発する。電解液の充電レベルは回復し、更に所定の距離の走行が可能となる。なお、電解液車2の交換作業は、制御電動車1(機関車)の動力を用いて行うため、補助電池1gに充電された電力を消費する。制御電動車1(機関車)が放電液車2-0(電解液の充電レベルが低下した電解液車)を客車3から切り離し、所定の待機場所まで牽引して留置した後、充電液車2-2(電解液がフル充電された電解液車)を連結し、客車3の停車位置まで牽引して連結するまで、制御電動車1(機関車)の動力は補助電池1gで賄われるため、交換作業が完了して、鉄道車両Tが走行できる編成に戻るまでには、補助電池1gがある程度消耗した状態となる。
以上の作業により、鉄道車両Tは充電液車2-2を得て、次の駅まで走行できる電力源を得るが、電解液車2交換により制御電動車1の補助電池1gが消耗しているため、フロー電池本体1f起動後、しばらくは停車した状態で、補助電池1gの充電を行う。補助電池1gの蓄電量が回復し、加速時の電力消費に耐えられる状態になってから、駅A2を出発するよう配慮する。駅A2での停車時間は、電解液車2の交換作業の時間に加え、交換作業で消耗した補助電池1gの回復時間を加味したものとするのが好ましい。
電解液車2交換のための一連の作業を完了した後、鉄道車両Tは更に次の駅A3へ向けて出発する。電解液車2の交換により、充電レベルの高い電解液が供給されるようになり、再び、連続走行可能距離までの電解液車2の交換なしで走行することが可能となる。上記説明の図1において、次の駅A3には操車設備Bと充電基地Cの備えがなく、これは、駅A2から駅A3を経て更に次の駅A4までが連続走行可能距離の範囲にあると想定し、駅A3では電解液車2の交換が不要のため、操車整備Bと充電基地Cを省いたものである。図6の例では、鉄道車両Tが駅A3に到着した時点で、電解液車2の充電レベルはまだ十分高く、走行可能であることを示している。このような場合は、電解液車2の交換は行わず、客の乗降や貨物の積み下ろしの後、次の駅A4へ向けて出発する。
このようにして、電解液の充電レベルの低下状況を考慮しながら、鉄道車両Tを始発駅A1より、終着駅Anまで運行する。
次に、充電レベルが低下した電解液車2の充電方法について説明する。
図7は充電基地Cにおける電解液車2の充電操作を説明する模式図である。上記の輸送システムSにおいては、フロー電池本体1fに電解液を通じることで、電解液が持つ化学エネルギを電力の形で出力する装置として説明したが、フロー電池は本来、放電と充電の双方向の操作、すなわち、電解液がもつ化学エネルギを電力として出力するとともに、逆に外部から電力を供給することで、その電力を電解液の化学エネルギとして蓄積することができるシステムである。上記のうち後者、すなわち充電の操作に用いるのが、充電基地Cに備えるフロー電池本体4c(定置型,充電用)であり、外部から電力を供給して、電解液車2に貯留される電解液に化学エネルギを蓄積するための装置である。
電解液の充電レベルが低下した放電液車2-0は、軌道上を走行できる車両であり、充電基地C内の充電用フロー電池本体4cの直近の位置まで敷設された軌道上を走行して、移動させる。電解液車2は電動機を備えない付随車であるため、他の動力源を備えた車両、例えば、電解液車2の一連の交換作業の間、制御電動車1(機関車)にともなわれて移動するか、あるいは操車整備Bの所定の位置で切離された後、充電基地C内に備える専用の機関車など、により移動を行う。
フロー電池本体4c(定置型,充電用)には正極電解液循環系4dと負極電解液循環系4eを設け、それぞれ供給側と戻り側の1対の接続口が、電解液車2が停車する位置に向いて設置され、先端に接続用の自在継手(1対の正極電解液接続継手4f,1対の負極電解液継手4g)が備えられている。各自在継手の先端(開口側)には図示しない遮断弁を設け、フロー電池本体4c側の内部に滞留する電解液の漏れ出しと同時に外部の空気の流入の双方を防止する機構とされる。電解液車2を所定位置に停車させ、フロー電池本体4cの正極電解液循環系4dと、電解液車2の正極液管2fとを正極自在継手4fで接続し、同様に負極電解液循環系4eと、電解液車2の負極液管2gとを正極自在継手4gで接続することにより、各電解液の循環経路が作られる。
正極電解液循環系4dおよび負極電解液循環系4eのフロー電池本体4c入口側(供給側)には電解液循環系の1つの要素として、とくに符号は付していないが、循環用のポンプを備え、電解液車2に備える正極電解液貯槽2d及び負極電解液貯槽2eより電解液を誘引し、各電解液貯槽(2d,2e)とフロー電池本体4cの間に電解液の循環流を形成する。次に、電力供給設備Dより電力を供給し、充電用直流電源設備4bにて所定の直流電力をフロー電池本体4cに供給することにより、電解液への充電が開始される。電力供給設備Dは、電力を供給する設備の総称として記載したものであるが、前述のとおり、種々の方式で電力を得ることができ、代表的なものとして太陽光発電設備Eおよび風力発電設備Fがある。更に、充電基地Cが立地する地理条件で特異なものとして、地熱発電設備G、水力発電設備H、海流発電設備Jなど、様々な再生可能エネルギ発電から電力を得ることができる。
なお、正極電解液循環系4dおよび負極電解液循環系4eにおいても、上記制御電動車1の説明に記載のとおり、電解液車2との接続の際、接続継手部での空気混入が起こり、電解液循環系に気泡が混入する可能性があるので、気泡を除去するための図示しない気泡分離のための装置を設けてもよい。
電力供給設備しとしては、再生可能エネルギの代表である、太陽光発電設備Eと風力発電設備Fは、比較的容易に設置できるため、輸送システムSのいたるところに設置ができ、主要な電力供給設備Dになり得る。図1の輸送システムSを説明する図で、太陽光発電設備Eと風力発電設備Fが充電基地Cと対応して配置されているのは、上記を考慮したもので、地理的条件により、発電方式の種類ごと優位性は異なることから、図1の例に限定されるものではない。充電基地の立地において、その他の再生可能エネルギを含め、最も優位性のある発電方式を選定するべきである。
電力供給設備Dとしては、再生可能エネルギが主体であるが、供給が不安定な点を考慮し、電力網からの供給も考慮するのが好ましい。とくに、電力網で電力の余剰が予想される時間帯等の調整用として供給を受けることで、電力網の発電側の負荷調整幅を軽減する効果が期待される。
充電基地Cに移動され、上記りとおり、フロー電池4c(定置型,充電用)と接続された放電液車2-0は、上記のとおり充電が開始され、一定時間をかけて充電液車2-2となるまで、充電が行われる。電力供給設備Dからは、一般的には送電設備4aを介して主として交流により電力が供給され、充電用直流電源装置4bにてフロー電池本体4cに対応した直流電力が供給される。なお、太陽光発電設備Eなど、直流電力の形で電力が得られる電力供給設備Dが近接して設けられる場合は、交流転換による損失等も考慮し、直流のまま電圧調整して供給してもよい。フロー電池本体4cでは、電池の仕組みで説明したとおり、電解液に化学エネルギが蓄積される方向の反応が進み、電解液車2に備えた正極電解液貯槽2d及び負極電解液貯槽2e内の電解液のイオンの割合が、徐々に充電状態の組成(化学エネルギが高い状態)に変化すので、電解液中のイオンの割合を検出し、充電完了の可否を判断する。充電操作完了ご、電解液車2をフロー電池本体4cから切り離して、所定の場所へ移動し、次に電解液車2の交換作業があるまで、待機させる。
上記のとおり、本発明における輸送システムSでは、鉄道車両Tの走行に必要なエネルギを、電解液車2に貯留された電解液(正極電解液と負極電解液)が持つ化学エネルギから得るとともに、継続してエネルギを消費することで、電解液がもつ化学エネルギが低下し、走行に必要なエネルギが得られなくなる前に、電解液を貯留する電解液車2を交換し、化学エネルギを十分蓄えた電解液を新たに得ることで、継続して走行できる。
電解液車2は走行力発生装置を持たないため、交換作業中、制御電動車1又はその他の駆動装置を有する車両に牽引されるが、交換作業全体の流れは、駅Aの立地条件によって異なるため、ここでの詳しい説明は省略する。なお、駅Aと操車設備B、充電基地C等を非常に近接して設けることができれば、電解液車2が走行する距離は限定され、例えば、比較的容量の小さい蓄電池を備えるだけで、自走できる車両とすることもできる。貯留する電解液の重量、駆動のための電動機の重量、走行の装置を行う操作室や制御装置等の設置可能性等を考慮し、合理性があれば、自走型の電解液車とすることもできる。
このような本実施形態に係る鉄道車両T及び輸送システムSによれば、これまで化石燃料のエネルギを用いて行っていた非電化区間の鉄道輸送を、電化(架線を敷設して電力を供給)のための改造をすることなく、電池から供給される電力を動力源とすることにより、電化されたのと同じ効果が得られ、燃焼排ガスの排出を伴わない輸送システムが実現できる。
なお、図2では、鉄道車両Tにおける、制御電動車1(機関車)、電解液車2、客車3をそれぞれ1両ずつ示し、説明したが、客車3は輸送力の面で、複数両連結するのが好ましく、制御電動車1(機関車)の動力が許す範囲で、客車3を複数両連結して走行するのが一般的である。また、このような鉄道車両Tの走行に当たっては、上記鉄道車両Tの運転制御を行う運転手が、前方を確認しながら走行するため、運転手が乗務する運転室1dは、鉄道車両Tの先頭車両である制御電動車1(機関車)の、更に前後方向前方に設けられる。したがって、制御電動車1(機関車)は、図2における左側が常に前方でなければならない。一方、制御電動車1(機関車)により牽引される客車3には、このような制約はなく、乗客の乗降が円滑に行えればよい。
従来の輸送システムでは、終着駅に到着した列車は、終着駅到着まで客車を牽引してきた機関車を終着駅で切り離し、上記機関車を、これまでの客車の最後尾へ移動して連結、あるいは別の機関車を上記客車の最後尾に連結し、これまでの客車の最後尾が、今度は客車のなかで最も前方となり、新たに連結された機関車により、これまでとは反対の方向に走行するのが一般的である。本発明における鉄道車両Tも同様であり、終着駅に到着後、制御電動車1(機関車)を、客車の反対側、すなわち図2の例では右側に連結することになる。
ここで、例えば、客車3が数量連結された列車の前後、すなわち図2の例での左端と右端に、左端には左向きの制御電動車1(機関車)と電解液車2、右側にはこれを左右反転した、右向きの制御電動車1(機関車)とその後ろ(左)に電解液車2という形で連結した、鉄道車両Tとするならば、終着駅到着後、運転手が一方から他方へ移動し、運転手が不在となる側の制御電動車1(機関車)の機能を停止し、新たに運転手が乗務する側の制御電動車1(機関車)を起動するという方法によれば、終着駅での折り返しが、円滑にできる。ただし、1つ大きな問題として、重量のある制御電動車1(機関車)と電解液車2を、1組余分に連結して牽引することにより、動力もかなり多く要することとなり、非効率である。
以上のことに鑑み、終着駅での制御電動車1(機関車)の運用としては、鉄道車両Tの前方(図2の例での左側)から電解液車2と共に切り離したうえ、更に制御電動車1(機関車)を、転車台のような方向転換する機構を用いて、180゜方向転換した後、客車3の後方側(図2の例での右側)へ移動して連結する、といった方法で行うのが合理的である。なお、電解液車2は、構造的に前後方向の前後どちらにも電解液の供給ができる構造となっているため、終着駅での方向転換は不要である。
一方、客車3は、電解液車2の直近に客車電源用フロー電池本体3eを備えるが、上記の制御電動車1(機関車)と電解液車2の移動にともない、電解液の供給を得られなくなる。この課題への対応として、同様の客車電源用フロー電池本体を、制御電動車1(機関車)と電解液車2の移動により、新たに直近の位置となる最後尾車両の後方(図2の例での右側)にも設け、鉄道車両折り返し後の客車電源に活用するという手段備える。すなわち、客車3が数両連結された列車の前後方向の両端に当たる位置に、それぞれ客車電源用フロー電池本体3eを備え、進行方向により、電解液車2の直近に位置する側が電源供給用として稼働し、他方は休止とするという運用を行うことで、客車3への電源供給が円滑に行われることになる。
このような本実施形態に係る鉄道車両T及び輸送システムSによれば、これまで化石燃料のエネルギを用いて行っていた非電化区間の鉄道輸送を、電化(架線を敷設して電力を供給)のための改造をすることなく、電池から供給される電力を動力源とすることにより、電化されたのと同じ効果が得られ、燃焼排ガスの排出を伴わない輸送システムが実現できる。すなわち、長距離を電化するという大工事が必要なく,さらに電化で設置する設備の保守が不要になることが、第1の効果である。
つづいて第2の効果として、電池として採用するレドックスフロー電池システムは、動力源が電解液に含まれるイオンの化学エネルギであり、電池本体と別に貯槽を設けて、電解液を電池本体供給することで電力を取出すことを特徴とするシステムである。このシステムの特徴を利用し、電解液を貯留する貯槽を、電池本体や動力装置を備える車両(制御電動車1)及び貨客の輸送目的で連結するその他の車両から独立した1つの車両(電解液車2)に集約することで、車両ごと電解液の交換が可能となり、電解液の化学エネルギが消耗したときに、車両ごと別の充電して十分な化学エネルギを蓄えた電解液に交換することで、引き続き電力が供給され、鉄道車両Tが走行できる。従来の蓄電池では、1回の充電で走行できる距離が限定されるのに対し、本発明による輸送システムでは、レドックスフロー電池に供給する電解液を、次々と充電済みのものに交換することで、時間を要する充電操作に比べ、はるかに短時間で車両交換しながら目的地へ向けて走行することができる。
更に第3の効果として、交換した電解液車2を再利用するため、輸送システムSの主要な駅Aに充電基地Cを設けて、上記電解液車2を、充電基地Cへ軌道上を走行させて移動し、上記充電基地に設けた充電用のレドックスフロー電池本体4cと接続して充電し、電解液に化学エネルギを蓄えるたうえ、次に鉄道車両Tが電解液車2の交換が行われるまで待機させる。このようにして、電解液車2の交換作業を行う主要な駅Aには、充電済みの電解液車2を待機させ、必要に応じて供給することで、輸送システムSで運行される列車すべてを、充電基地で蓄電した電力で運行させることができる。
また、第4の効果として、充電用の電力を一般の電力ネットワークから供給することは、もちろん可能であるが、とくに地球環境に配慮し、再生可能エネルギを充電用電力として用いることで、輸送システムSの脱炭素化も可能となる。太陽光発電設備Eあるいは風力発電設備Fといった、再生可能エネルギは、刻々と出力が変動するという課題があり、電力ネットワークへの投入にあたり、火力発電等による負荷調整により電力の需給バランスをとる作業が行われている。火力発電による負荷調整は、発電効率の低下につながり、せっかく再生可能エネルギにより低炭素化を図っても、火力発電の効率低下で、発電量当たりではCO排出が増加し、低炭素化の効果を十分生かせないのが現状である。しかし、蓄電という手段を介することで、変動が完全に吸収され、再生可能エネルギによる低炭素化の効果が最大限活用できるものと期待される。
最後に第5の効果として、電力を電解液の化学エネルギとして蓄え、移動可能な電解液車2に貯留することで、再生可能エネルギによる発電設備設置から離れた場所でも、送電システムを介さず使用できるため、上記発電設備から離れた場所に充電済みの電解液車を移動して待機させることで、鉄道車両Tが必要とする場合に、充電済みの電解液車を提供できる。すなわち、再生可能エネルギの時間的変動だけでなく、地域的な変動も吸収できる。すなわち、再生可能エネルギの課題である、天候による発電量の変動も、広い地域で充電済み電解液車を融通することで、地域間差を吸収することができる。更に、再生可能エネルギの中でも天候の影響を受けないものもあり、これらを含めることで、さらに安定的な電力の供給が可能となる。
以上、本発明における輸送システムSの実施形態について説明し、輸送システムの本来の目的である、貨客の輸送を、排出ガスゼロ、かつ少なくとも輸送に直接関係するエネルギについてはCO排出ゼロという条件で達成できることを述べた。なお、輸送システムでもう一つ、考慮しなければいけないのが所要時間である。例えば、ディーゼルエンジン駆動の車両で、1時間で目的地に達するところ、発明の技術で2時間かかってしまっては、排出ガスやCO排出の面での効果が、半減どころか、ゼロに等しいものになってしまう。本発明では、フロー電池の電解液を車両ごと交換するという手段で、目的地までの所用時間短縮を図っているので、その効果について、従来技術と比較して説明する。
本発明の輸送システムでは、電解液車2の交換作業により、ある程度、駅での停車時間が必要となる。しかし、移動は駅近傍の短い距離に留めることで、交換に要する時間を10分程度にできると見込まれる。ディーゼル駆動車による輸送では、このような時間を要することはなく、一見、所用時間が延びるように思われるが、ディーゼル駆動車より加速性能がはるかに勝るVVVFインバータ制御の電動機の採用により、出発から定常速度に達する時間が短縮され、時間差は無くなるばかりか、むしろ短縮される可能性もある。
一方、近年実用化された蓄電池式の電気駆動車両は、蓄電池の容量しだいではあるが、乗客のスペースを確保しながら蓄電池を搭載するということで、走行距離にして20km程度の蓄電量である。平均時速60km毎時で走行したとすると、20分に相当し、20分走行するごとに充電が必要となる。充電には30分から1時間要すると思われるので、20分走っては、その時間を大きく上回る時間を充電に費やすということで、ディーゼル駆動車両と比較しても、所用時間は2倍以上となるのは明らかである。
以上のことから、本発明における輸送システムSは、非電化区間の輸送に一般的に用いられるディーゼル駆動車両とくらべ、長距離であっても、同一距離を同等の時間で走行することが可能である。また、ディーゼル駆動車両が走行中排出する排ガスも、本発明における輸送システムSではゼロであり、更に、再生可能エネルギ利用に特化したシステムとすることで、CO排出も走行のための動力に関してはゼロとすることができる。
なお、本発明における輸送システムSに関する図1の説明において、電解液車2の交換が可能な駅を、走行区間の一部の駅とし、鉄道車両Tが到着しても、電解液車2の交換を行わない駅があると説明したが、電解液車2は、上記のとおり、任意の方法で回送することができ、充電基地Cが併設されていない駅に回送することも可能である。例えば、図1に示す駅A3には、充電基地Cは設けていないが、操車設備B3を設け、前記操車設備B3に電解液車2用の待避線を備えて、他の場所で充電された電解液車2を回送して待機さることにより、予定外で電解液車2の交換が発生したときに、緊急での交換作業が可能となり、運行ダイヤの遅れを最小限にするという、輸送システムSの信頼性向上につながる効果が期待される。
以上、輸送システムSの1実施形態について、動力源となるレドックスフロー電池の原理、鉄道車両Tの構造、輸送システムSの運用に係る諸事項について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、いくつかの変形例が考えられる。
たとえば、図2の制御電動車1(機関車)は、フロー電池本体1fと主電動機1hを備えているが、主電動機1hは、牽引する車両数が多くなれば、電動機出力も大きくする必要があり、電動機自体が大きくなると共に、重量も増加する。また、主電動機1hの出力が大きくなることで、消費電力が増加すると共に、電動機から発生する熱量も大きくなり、その結果、温度変化に敏感なフロー電池本体1fへの熱の影響が無視できなくなる点が課題である。
上記の課題への対応として考えられるのは、主電動機を備える車両とフロー電池本体を孫える車両を分ける、すなわち、駆動力を得る車両と、電源を供給する車両をそれぞれ独立させ、図2の制御電動車1(機関車)の機能を、車両2両に分担させるというものである。ここでの具体的な説明は省略するが、駆動のための動力が大きい車両が必要となっる場合は、このような方法が有効である。
更なる変形例として、終着駅での折り返しを容易にするための方法として、客車3を数量連ねた列車の前後に制御電動車1(機関車)を配置するという方法である。制御電動車1(機関車)は重量があり、非効率である点が課題であった。その課題の解決方法としてべてが先頭車両に牽引される形態、すなわち先頭車両のみに動力を集中させ、機関車という形態をとるものに対し、動力を客車に分散して備え、連結された車両全体の各々が動力源である主電動機を備え、それらの複数の主電動機を、運転室にある操縦機器により一括制御するというものである。このような変形例を、第2実施形態として、図を参照して説明する。
図8は、第2実施形態の鉄道車両T1の典型的な例を示すもので、先頭車両を「機関車」と呼ぶ第1実施形態に対し、連結されたすべての車両が客車であり主電動機を備えた動力車であるという、いわゆる電車という形態に近いものである。ただし、フロー電池本体と、上記フロー電池本体に電解液を供給する電解液貯槽を備える車両については、車両の大半を上記装置類や関係する機器が占めるほか、電解液車の交換作業のため、切り離しと連結を繰り返すため、客車としての利用は困難である。図8の例では、左方向を先頭とする場合、先頭にフロー電池本体1fを備える制御電動車1A(「機関車」に替え「フロー電池車」と呼ぶ)、2両目に電解液車2A、3両目以下がすべて客車となる。更に、最後尾には、上記制御電動車1A(フロー電池車)とは逆の、右に向いた運転室6dを備える制御電動車6(客車)が連結される。
図8では、5両の車両が記載されているが、図の上段側3両と図の下段側2両の間には、更に客車3Aと同様の構成の車両を連結してもよく、必要な客席数に応じ、車両の数を増加することができる。また、客車5は主電動機を備えない付随車である。基本的な構成は客車3Aと同様であるが、主電動機がなく、また、補助電池5iは車両内の照明や空調等のユーティリティ用であり、容量、電圧とも、客車3Aの補助電池3jより小さなものでよい。
図8下段の右側の車両が客車6(制御電動車)であり、進行方向が左向きの場合、最後尾となる。制御電動車6(客車)は、運転室6dを備え、運転室6dには、鉄道車両の運転操作に必要な操縦機器、通信機、監視装置等を備えると共に、連結された各車両のドア操作、車内照明、空調、放送設備等、鉄道車両T2の運行上必要な車内設備を集中監視及び操作が行えるよう、必要な装置を備える。終着駅に到着し、折り返しで進行方向が図8における右向きに変わることで、制御電動車6(客車)が先頭になり、運転手が乗務して鉄道車両T1の運転操作を行う。
なお、一般の鉄道車両においては、主電動機を備える「電動車」と主電動機を備えず、他の車両の動力により付随して走行する「付随車」を組合わせて1編成としているが、「電動車」と「付随車」の割合は、1対1程度の割合であることが多く、本発明の第2実施形態においても、同様の比率が妥当と考える。運転室を備える車両においても「電動車」と「付随車」とのいずれかが考えられ、図8の例では、両端を電動車とし、とくに車両の制御を行うということで、「制御電動車」という名称としている。上記制御電動車のうち、図8における左側の制御電動車1A(フロー電池車)は、電解液車2の交換作業で自走する必要があることから、主電動機1hを備える必要がある一方、右側の制御電動車6(客車)は、必ず、他の車両と連結された状態で走行するため、主電動機を備える必然性はない。したがって、主電動機を備えない「付随車」であってもよく、その場合は、名称として、制御車6(客車)となり、主電動機を備えない客車5(付随車)と同様な構成で、運転室6dを更に備える形態とすることができる。
その他、客車3A(電動車)と客車5(付随車)については、1編成内での主電動機を備える車両の割合を考慮し、客車3A(電動車)と客車5(付随車)の割合や連結の順序を適切に判断して決めることになる。
第2実施形態における制御電動車1A(フロー電池車)は、電池出力を他の車両にも供給するため、電源供給ケーブル1rと、接続端子1tとを備える。フロー電池本体1fより出力される直流電力は、制御電動車1A(フロー電池車)より、電源供給ケーブル1rを通じ、接続端子1tを介して後続車両の電源供給ケーブルへと接続され、更に、後続車両へと順次供給される。鉄道車両T1の走行に必要な動力は、複数の車両に備える主電動機により得るため、全動力が先頭車両(機関車)に集中する、第1実施形態と異なり、主電動機1台あたりの動力は、小さくてよい。そのため、各電動車の主電動機に対応して備える補助電池の容量も小さいものとなる。
制御電動車1A(フロー電池車)は、構成要素の大半は上記第1実施形態と同じであるが、上記のとおり主電動機1hの動力が小さく、更に上記主電動機1hに電力を供給する補助電池1gも動力に比例して容量が小さくできるため、これらが占める体積も小さくなる。ただし、制御電動車1A(フロー電池車)の次には、電解液車2Aを伴っており、動力源を持たない電解液車2Aの交換作業には、主電動機1hを持つ制御電動車1Aが牽引する必要があるため、制御電動車1A(フロー電池車)が備える補助電池1gは、電解液車2Aの交換作業中の消費電力も考慮した容量としなければならない。一方、フロー電池本体1fは、電力を消費する機器が鉄道車両T1全体に振り分けられるだけで、電力の総消費量が大きく変わることはないので、大きさとしては第1実施形態のフロー電池本体1fとほぼ同じ大きさとなる。
電源供給ケーブル1rは、フロー電池本体1fの出力を外部に供給するための電力伝送線路である。電源系統は図6に示すように、フロー電池本体1fから出力される直流電力Pfは、DC/DCコンバータにより高圧直流電力Pc(例えば600V程度の電圧)に変換される。この変換出力は、制御電動車1A(フロー電池車)の主電動機1hへ供給されると共に、電源供給ケーブル1rの一端(先端)も接続され、前記電源供給ケーブル1rの他端(後端)には、後続車両との接続のため、接続端子1tが設けられている。このような電源供給ケーブル1rは、図示では、描画の都合により車体1aの上部に配置されているが、後続車両の切り離し及び連結作業において、接続端子1tも後続車両との切り離し及び接続を行う必要があり、作業の面から考慮すると、車体1aの比較的低い位置に配置するのが好ましい。図8の配置は一例であって、実際には機能面の優位性と作業上の利便性の双方を考慮し、適当な位置に配置される。
電源供給ケーブル1rには、上記のとおり高電圧が供給される。したがって、接続端子1tの手前には図示しない断続器が設けられ、作業者が接続端子1tの切り離し・連結を行う際に、手元で断続器の開閉を行えるよう操作器を設け、作業の安全を確保する。なお、電源供給ケーブル1rは、フロー電池本体1fの出力を後続車両に供給するのが役割で、電流の最大値は、フロー電池本体1fが出力できる最大の電流値以上にはならない。
電解液車2Aは、基本的には上記第1実施形態の電解液車2と同じであるが、制御電動車1A(フロー電池車)より供給されるフロー電池本体1fの直流出力より変換されて得られる高圧直流電力Pcを中継して後続車両供給するため、上記に加え電源供給ケーブル2rを備える。この電源供給ケーブル2rの一端(先端)及び他端(後端)には、接続端子2tがそれぞれ設けられ、上記一端(先端)の接続端子2tは制御電動車1A(フロー電池車)の接続端子1tに接続される。制御電動車1A(フロー電池車)からは、フロー電池本体1fより出力より電圧変換された高圧直流電力Pcが出力され、電源供給ケーブル1rを通じて供給されるので、接続端子1tと接続端子2tが接続されることにより、電源供給ケーブル2rには、上記高圧直流電力Pcが供給される。
さらに、この電源供給ケーブル2rに供給される高圧直流電力Pcは、上記他端(後端)の接続端子2tに供給され、後続の客車3Aへと接続される。高圧直流電力Pcを供給するフロー電池本体1fとDC/DCコンバータ1k-cは制御電動車1A(フロー電池車)にのみ備えられるため、客車3A及び更に後ろに連結される車両へ供給される高圧直流電力Pcは、すべて上記電源供給ケーブル2rは、を通じて供給される。また、この電源供給ケーブル2rは、図8において、描画の都合により車体2aの上部に配置されているが、接続端子2tは、前後の車両との切り離し及び連結作業時に同時に切り離し及び接続を行うため、作業上の利便性の面から考慮すると、むしろ車体2aの比較的低い位置に配置するのが好ましい。図8の配置は一例であって、実際には機能面の優位性と作業上の利便性の双方を考慮し、適当な位置に配置される。なお、制御電動車1A(フロー電池車)の接続端子1tと同様に、接続端子2tの直近には図示しない断続器及び断続器の操作器を備え、作業者が断続器を操作して確実に高電圧を遮断するようにして、作業の安全を確保する。
客車3Aは、第1実施形態の客車3(付随車)とは異なり、主電動機3hを備える電動車である。電源供給ケーブル3rを備え、電解液車2Aの電源供給ケーブル2rから接続端子(2t,3t)を通じて、高圧直流電力Pcが供給される。第1実施形態では、客車3のうち電解液車2のすぐ後ろに連結される客車3に、客車用フロー電池本体3eが設けられるが、本実施形態においては、高圧直流電力Pcとして電源が供給されるため、客車電源用フロー電池本体は備えず、代わりに高圧直流電力Pcを客車内で使用する電源仕様に変換する器具を設ける。すなわち、電源供給ケーブル3rに供給される高圧直流電力PcよりDC/DCコンバータ、あるいはDC/ACコンバータを介して、制御装置の電源や客車内の照明、空調等の電源として利用する。
電源供給ケーブル3rは、一端(先端)に設けられた接続端子3tが電解液車2Aの接続端子2tに接続され、電源供給ケーブル3rの他端(後端)に設けられた接続端子3tが後続車両の接続端子に接続される。これにより、制御電動車1A(フロー電池車)のフロー電池本体1fから出力され、DC/DCコンバータ1k-cで高圧直流電力Pcに変換された電力が、電解液車2Aを経由して客車3A(電動車)に供給され、さらに後続の車両へ供給される。高圧直流電力Pcの一部は分岐され、上記のとおり客車3Aの主電動機3hの動力として利用されると共に、更に低圧の直流や交流の電力に変換されることにより、客車内の各種設備や制御装置の電力として利用される。
図5(B)は、主電動機用の電源供給経路を図解したものであるが、電源供給ケーブ3rから分岐された高圧直流電力Pcが、制御電動車1Bと同様の回路により補助電池3j及び主電動機3hと接続され、運転の状態に応じて電力が供給される。なお、第1実施形態で説明した制御電動車1(機関車)の電力の流れと同様であるため、詳細な説明は省略する。図5(B)では、電力供給ケーブル3rの後端の接続端子3tに接続される電力供給ケーブルを示しているが、これは後続車両にも同様の回路が設けられていることを示すもので、このような高圧直流電力Pcの供給が、最後尾の車両まで及ぶことを示している。
なお、電源供給ケーブル3rは、図8において、描画の都合により車体3aの上部に配置されているが、接続端子3tは、前後の車両との切り離し及び連結作業において、相手側接続端子との切り離し及び接続を行う必要があり、作業の面から考慮すると、車体3aの比較的低い位置に配置するのが好ましい。図8の配置は一例であって、実際には機能面の優位性と作業上の利便性の双方を考慮し、適当な位置に配置される。なお、電源供給ケーブル3rには高圧直流電力Pcが供給されるため、接続端子3tについても上記の他の車両と同様、直近には図示しない断続器及び操作器を設け、作業者が操作器により高圧直流電力を確実に遮断し、作業の安全を確保する。
本発明における第2実施例においても、鉄道車両T1の各車両の主電動機が加速時に消費する電力を、制御電動車1A(フロー電池車)のフロー電池本体1f出力を変換して得られる高圧直流電力Pcだけで賄うことはできず、各車両に備える補助電池より、不足する電力が一時的に供給される。補助電池は、主電動機の電力消費が少ないときに高圧直流電力Pcに余剰が出るため、この余剰電力で充電され、充電レベルが回復されるという動作を繰り返す。
電力の供給は図5(B)のように、制御電動車1A(フロー電池車)のフロー電池本体1f出力を電圧変換して得られる高圧直流電力Pcを電源供給テーブル1rに供給し、各車両において、この高圧直流電力Pcを分岐しながら、後続の車両へ順次接続していく構成とする。その結果、補助電池は車両1両の中で必要な電力を供給できればよく、上記のとおり、動力の分散により主電動機が第1実施形態より電力消費の少ないものとなり、これに対応して補助電池も容量を小さくでき、主電動機と補助電池が共に小型化され、軽量化と省スペースが実現し、客室スペースの確保が可能となる。
図8の一例では、動力客車用補助電池3jが比較的小型であるため、車体3aの床下に備えることが可能となり、客室の空間を十分確保できる構成となる。各車両では、電源供給ケーブルより分岐した直流電力を制御装置へ供給し、補助電池との組合せで、加速時の大電流出力、惰性走行時の補助電池の充電、回生ブレーキの発電電力回収を車両ごとに行う。その結果、各車両の電源供給ケーブルは、フロー電池本体の出力を電圧変換して得られる高圧直流電力Pcの最高値までを許容できればよく、電源ケーブルの仕様も上記許容範囲で選定することができる。
客車3A(電動車)の主電動機3hは、客車3Aにおける一対の台車3bに対応して設けられた分散型の走行力発生装置である。これら主電動機3h(電動車用)は1車両あたり2台備えており、前方側及び後方側のそれぞれの台車3bを回転駆動する分散型の走行力発生装置である。
これら主電動機3hは、図5(B)に示す制御回路により、フロー電池本体1f出力を電圧変換して得られる高圧直流電力Pc及び補助電池3jから供給される直流電力Pgを電力切替制御装置3k-iとVVVFインバータ3k-vを介して主電動機3hの駆動電力に変換することにより、台車3bの車輪を回転駆動する。
このように構成された本発明における第2実施形態に係る鉄道車両T1では、制御電動車1A(フロー電池車)に設けられたフロー電池本体1fの出力を電圧変換して得られる高圧直流電力Pcが各電源供給ケーブル1r,2r,3rを介して客車3Aに供給される。また、この客車3Aには補助電池3j及び主電動機3hが設けられ、主電動機3hには、上記高圧直流電力Pc及び補助電池3jの直流電力Pgが給電される。
このような本発明における第2実施形態に係る鉄道車両T1によれば、制御電動車1A(フロー電池車)に加えて客車3Aも走行動力を発生させるので、制御電動車1A(フロー電池車)における主電動機1h及び客車3Aにおける主電動機3hを上記第1実施形態の制御電動車1(機関車)における主電動機1hよりも小型化することが可能である。また、主電動機1hが発する熱影響防止のため、フロー電池本体1f周囲に、図示しない冷却機構を設けるが、主電動機1hの小型化により電動機が発する熱量が減少し、上記冷却機構も、より軽微なものに変更できるといった効果も期待できる。
上記各実施形態では、本発明に係る電池駆動車両を鉄道車両T,T1に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明に係る電池駆動車両は、鉄道車両以外の様々な車両に適用可能である。例えば、本発明に係る電池駆動車両は、牽引機能を有するトレーラ車(自動車)にも適用可能である。このトレーラ車の場合、上述した電解液車2,2Aに代わるものとして、トレーラ車の運転台と牽引車両との連結機構の間にカートリッジ式の正負各極用電解液貯槽を取り付け、電解液が消耗するごとに、カートリッジごと交換するという形で、同様の機能を持たせる。
上記実施形態では、フロー電池本体を備える制御電動車1,1Aと正極及び負極の各電解液を貯留する電解液車2,2Aを1:1の組み合わせにより、フロー電池システムが構成されているが、電解液車2,2Aを2両続けて連結し、2両目の電解液車と3両目の電解液車のいずれからも電解液をフロー電池本体へ供給できるような構成とすることにより、連続走行可能距離を、電解液車1両の場合と比較して2倍に増加させることが可能となり、始発駅から終着液までの間での電解液車交換作業を半分にすることができ、作業のための人的負荷の低減と、始発駅から終着駅の間の所要時間の短縮が期待できる。なお、電解液車の連結車両数を更に増やすことも可能であるが、電解液の循環経路(車両内を通過する配管長)が長くなりすぎると、配管での圧力損失が増加し、電解液の円滑な循環が確保できなくなる可能性があるので、さらに連結車両数を増加するのは好ましくない。
上記実施形態では、電解液車の交換を行う駅を、運行計画時に電力消費量予測に基づき、交換用の電解液車の配置も含めてあらかじめ計画し、この計画に基づき実施するのが基本であるが、電解液の繰返し使用による劣化や、運行条件による電力消費の変動により、充電レベル低下が予測値から外れることが考えられるため、電池反応に関与する電解質イオンの濃度の計測とその後の消耗の予測を行うと共に、フロー電池そのものの作動状態の良し悪しを判断するため、専門の監視・調整員の乗務を想定しているが、従来の輸送システムと比較すると、上記の監視・調整員の配置による乗務員の増加につながり、運行コストへの影響が懸念される。そこで、AI技術を活用し、監視と電解液消耗予測に基づく電解液車の交換指示、あるいは、フロー電池の作動状態の監視と適切な調整を自動で行えるようなシステムを導入して、人的な負荷の軽減が必要と考えられる。
上記実施形態では、鉄道車両T,T1の継続走行と、電解液2,2Aの充電レベル回復のため、主要な駅Aに隣接して電解液車の交換を行うための操車設備B及び充電基地Cを設け、鉄道車両T,T1に対しては放電液車2-0を充電液車2-2に交換する作業、切離される放電液車2-0へは充電を行って充電液車2-2に戻すの作業を行う構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば充電基地Cxを備えず、操車設備Bxみ設けたある駅Axにおいて、他の駅Ayに設置した充電基地Cyにおいて充電した電解液車を回送し、操車設備Bxに待機させておくことにより、駅Axでも電解液車の交換を可能とすることができる。
上記実施形態では、太陽光発電設備E、風力発電設備Fを代表とした再生可能エネルギによる電力供給設備Dを電力源として電解液の充電を行うこととしたが、本発明はこれに限定されない。ある電力供給設備Dxにおいては、電力網からの電力を受け、充電基地Cxに供給して電解液車の充電を行ってもよい。電力網の電力には、化石燃料由来の電力が含まれ、脱炭素を目的とする本発明における輸送システムSに合致しないように思われるが、再生可能エネルギは不安定であり、ある場面では、供給量が不足する事態が生じ、輸送システムSの運用が困難になる可能性があるため、そのバックアップとして必要であると共に、別の場面では再生可能エネルギが供給過剰となり、電力網が危機状態になることもあるが、その余剰電力を本発明の輸送システムSで吸収することで、電力網が安定し、電力網に電力を供給している再生可能エネルギ源は、電力供給を停止する必要がなく、発電される電力を最大限供給できることになり、むしろ脱炭素の促進となり、総合的に見て、CO2排出原単位の低減に貢献できる。
上記実施形態では、電解液車2,2Aに正極電解液貯槽2dと負極電解液貯槽2eとを設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、正極電解液貯槽dと負極電解液貯槽2eとを個別の電解液車に設けてもよい。この場合、本発明に係る電池駆動車両は、正極電解液貯槽2dを備える第1電解液車と負極電解液貯槽2eを備える第2電解液車とを備えることになる。
上記第1実施形態では、鉄道車両Tに客車3を設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば客車3に代えて、あるいは客車3に加えて他の種別の列車、例えば貨車やコンテナ車を連結してもよい。ただし、貨車やコンテナ車の場合、電力供給は不要のため、客車3のうち電解液車の直後に連結される客車に設けた客車電源用フロー電池本体3eは不要であり、また客車3に加えて貨車やコンテナ車を連結する場合は、客車3の最後尾のさらに後ろに連結し、電源を供給するケーブルは備えないものとなる。
上記第1実施形態では、制御電動車1に、フロー電池本体1fと主電動機1hの双方を備えるが、本発明はこれに限定されない。すなわち、主電動機1hの動力出力が大きなものになると、電動機自体が大きくなり、車体1a内に収めることが困難になるだけでなく、大量の熱が発生し、フロー電池本体1fの動作の障害となる可能性があるため、フロー電池本体1fを別の専用車両に備えるようにして、主電動機1hを備える制御電動車1に続けて、フロー電池本体1fを備えるフロー電池専用車両、さらにその後ろに電解液車2という編成とすることで、上記の問題を解決すると共に、大容量の主電動機1hを備えることで、重い貨車を多数牽引できるような電池駆動車両が実現できる。
A 駅
添え字の1~nは駅の番号で、経路内の一端を1とて付した追番
B 操車設備
添え字の1~nは操車設備の番号で、駅番号と同じ番号を付した
C 充電基地
添え字の1~nは充電基地の番号で、駅番号と同じ番号を付した
D 電力供給設備(再生可能エネルギ発電設備等の総称)
E 太陽光発電設備
添え字の1~nは充電基地の番号で、駅番号と同じ番号を付した
F 風力発電設備
添え字の1~nは充電基地の番号で、駅番号と同じ番号を付した
G 地熱発電設備
H 水力発電設備
J 海流発電設備
,M2+ 正極電解液中のイオン(充放電の際に相互に変化M⇔M2+
,N2+ 負極電解液中のイオン(充放電の際に相互に変化N⇔N2+
Pc 高圧直流電力(DC/DCコンバータ変換出力)
Pf 直流電力(レドックスフロー電池出力)
Pg 直流放電電力(補助電池)
Ph 直流充電電力(補助電池)
Pm 供給電源切替装置出力
Pv 主電動機駆動電力
Pw 回生ブレーキ発電出力
R 軌道(本線)
Rb 軌道(支線)
S 輸送システム
第三のイオン(正極、負極の各電解液の充放電時の電荷のバランスを取るように移動するイオン)
T,T1 鉄道車両(電池駆動車両)
1 制御電動車(機関車)
1A 制御電動車(フロー電池車)
1a,2a,3a,5a,6a 車体
1b,2b,3b,5b,6b 台車
1c,2c,3c,5c,6c 連結機
1d,6d 運転室
1e 監視・調整員室
1f レドックスフロー電池本体(動力電源用,略:フロー電池本体)
1g 補助電池(機関車用の大容量のもの)
1h 主電動機(走行力発生装置)
1i 正極電解液循環系(ポンプ、配管・弁類、継手等含む.略:正極液系)
1j 負極電解液循環系(ポンプ、配管・弁類、継手等含む,略:負極液系)
1k 制御装置(主電動機用インバータ、冷却装置その他)
1m,3m,5m,6m 補機類(空調等)
1r,2r,3r,5r,6r 電源供給ケーブル
1t,2t,3t,5t,6t 動力用電源接続端子
2,2A 電解液車
2-0 電解液車(放電して電解液の充電レベルが低いもの,電解液車2A含む)
2-1 電解液車(充電途中のもの,電解液車2A含む)
2-2 電解液車(充電済みの充電レベルが高いもの,電解液車2A含む)
2d 正極電解液貯槽
2e 負極電解液貯槽
2f 正極電解液接続配管(略:正極液管)
2g 負極電解液接続配管(略:負極液管)
2h 電解液車制御装置(電解液冷却装置、計測装置、安全装置その他)
3 客車(付随車)
3A 客車(電動車)
3d,5d,6d 客室
3e 客車電源用レドックスフロー電池本体(略:客車電源用フロー電池本体)
3f 正極電解液循環系(ポンプ、配管・弁類、継手等含む.略:客車正極液系)
3g 負極電解液循環系(ポンプ、配管・弁類、継手等含む.略:客車負極液系)
3h,6h 主電動機(電動車用)
3i 客車内電源用補助電池
3j,6j 電動客車用補助電池
3k,6k 制御装置(主電動機用インバータ、冷却装置その他)
3n,5n,6n 乗降用デッキ
4 充電設備
4a 送電設備
4b 充電用直流電源装置
4c レドックスフロー電池本体(略:充電用フロー電池本体)
4d,4e 電解液搬送系
4f,4g 電解液搬送系接続継手
4h 電解液車搬入用軌道
5 客車(付随車)
5d 客室
5i 客車内電源用補助電池
5k 制御装置(客車用電力供給、制御用)
6 客車(制御電動車)
6e 運転室
100 レドックスフロー電池システム(単セル)
110 電解液セル
111 イオン交換膜
112 正極電解液室
113 負極電解液室
114 正極
115 負極
116 正極電源線
117 負極電源線
200 正極電解液貯槽
201 負極電解液貯槽
202 正極電解液循環ポンプ
203 負極電解液循環ポンプ
204 正極電解液供給管
205 負極電解液供給管
206 正極電解液排出管
207 負極電解液排出管
208 正極電解液冷却器
209 負極電解液冷却器
300 負荷(電池出力利用機器)
301 充電用電源供給装置


Claims (12)

  1. 電池の電力に基づいて走行駆動される電池駆動車両であって、
    レドックスフロー電池本体と走行力発生装置が備えられ、前記レドックスフロー電池本体の電力に基づいて前記走行力発生装置で走行動力を発生させる動力車両と、
    該動力車両に連結され、前記レドックスフロー電池本体に供給する電解液を貯留する電解液車両と
    を備えることを特徴とする電池駆動車両。
  2. 前記動力車両は、前記レドックスフロー電池本体に加えて補助電池を備え、前記走行力発生装置の消費電力が、前記レドックスフロー電池本体の出力電力を上回る間、前記補助電池からの出力電力を加えることで必要な電力を賄うよう制御することを特徴とする請求項1に記載の電池駆動車両。
  3. 前記走行装置の消費電力が、前記レドックスフロー電池本体の出力電力を下回る間、余剰となる電力を用い、前記補助電池の充電を行うよう制御することを特徴とする請求項2に記載の電池駆動車両。
  4. 前記電解液車両は、レドックスフロー電池の正極電解液を貯留する正極電解液槽と前記レドックスフロー電池の負極電解液を貯留する負極電解液槽とを備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電池駆動車両。
  5. 前記動力車両と前記電解液車両に続けて連結する複数の座席が設けられた1あるいは複数の客車をさらに備え、
    前記電解液車両に続く1番目の客車に客車内で必要な電力を賄うためのレドックスフロー電池本体を備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電池駆動車両。
  6. 前記客車の一部は、分散型走行力発生装置を備え、前記動力車両が備えるレドックスフロー電池本体の出力電力の一部の供給を受けて、前記動力車両の走行力発生装置と連動して分散型走行力発生装置が稼働することを特徴とする請求項5に記載の電池駆動車両。
  7. 前記分散型走行力発生装置を備える客車は、分散動力用補助電池をさらに備え、
    前記分散型走行力発生装置の消費電力が、前記動力車両が備えるレドックスフロー電池本体よりの供給電力を上回る間、前記分散動力用補助電池からの出力電力加えることで必要な電力を賄うよう制御し、
    前記分散型走行力発生装置の消費電力が前記供給電力を下回る間、分散動力用補助電池の充電を行う制御することを特徴とする請求項6に記載の電池駆動車両。
  8. 前記客車のうち、最後尾に連結された客車は、前記動力車両とは反対方向を向いた運転室を備え、前記電池駆動車両が終着地到着後、折り返してこれまでと逆方向へ走行するとき、前記客車に備える運転席が新たに先頭となり、運転制御を行うことを特徴とする請求項6~7のいずれか一項に記載の電池駆動車両。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の電池駆動車両と、
    該電池駆動車両の走行ルート上に設けられ、前記電池駆動車両における前記電解液車両を交換する交換設備と
    を備えることを特徴とする輸送システム。
  10. 前記輸送システムは、前記電解液の充電を行うための専用のレドックスフロー電池本体を含む充電設備を備え、
    前記交換設備において、前記電池駆動車両から交換により切り離した前記電解液車両を、前記の充電設備に備える専用のレドックスフロー電池本体に接続して、
    外部より電源を用いて前記電解液への充電操作を行うことを特徴とする請求項9に記載の輸送システム。
  11. 前記輸送システムは、再生可能エネルギを用いて電力を発生させる発電設備をさらに備え、該発電設備より供給される電力を前記充電設備の主要電源として前記電解液への充電操作を行うことを特徴とする請求項10に記載の輸送システム。
  12. 前記輸送システムは、前記充電設備において前記電解液への充電が完了した前記電解液車両を一時留置する待機場所を備え、
    前記交換設備で、前記電解液車両の交換が必要なときに、前記待機場所より、留置していた電解液車両を搬出して交換に利用することを特徴とする請求項10または11に記載の輸送システム。
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